P「お金よりも」 やよい「大事なもの」 (52)

・やよい誕SSです
・やよいちゃんお誕生日おめでとう!!

ではよろしくお願いします

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「………………ふー」

「新しい靴買ったら財布スッカラカンになっちまった。 また新しい仕事探さなきゃなー」

「でも今回のタイプの仕事はダメだな、求人には事務って書いてたのに殆ど力仕事だったし」

「次はもうちょい楽で金の良いトコ見つけないと」

「えーと、これで何個目の仕事辞めたっけなー。 金入ったらー辞めてー金入ったらー辞めてー」

「買いたいモンの為に働いてるだけだしなぁ」

「続ける気も無いしなー。 さて、そろそろ家戻るか……」

??「むっ、君!」

「………………?」

??「君だよ君!!」

「………………何ですか?」

??「ふむ、ふむ…………」ジロジロ

(気に障る見方しやがるなー……)

??「……うむ、ティンと来た!! 君、うちの事務所で働いてみないかね!」

「……………………は?」

??「是非とも我が社でアイドルの卵達を育ててみようじゃないか!!」

「いやいや、いやいやいや、ちょっと待ってくださいよ」

??「……?? 嫌なのかね?」

「まず事情を説明してくださいよ! アンタは誰で、どんな事務所で、アイドルの卵ってなんなんだ!!」

??「あぁ、すまんすまん。 紹介が遅れてしまったね、歳を取るとどうにも……」

「御託は良いから!」

??「あぁ、そうだね。 うぉっほん、私は高木順二朗。 これは名刺だ」

「あ、はい……。 …………社長!?」

高木「はっはっは! 意外かな?」

「あぁいや……。 …………芸能事務所、765プロダクション…………」

高木「うむ! 知らないだろう?」

「………………名前くらいは……」

高木「いやいや、気を遣わなくても結構。 老舗ではあるし、名は通ってるんだが、いかんせんメディアに出なくてなぁ……」

「はあ………………」

高木「私が経営するこの765プロは、まだ幼いアイドルの卵達をトップアイドルに輝かせる為にある」

「アイドル、ねぇ………………」

高木「そして、その役を君にも担って欲しいのだよ」

「…………それなんですけど、なんで俺なんですか?」

高木「む? ティンと来たからだよ、君には何かがある! そう思ったに過ぎない」

「だったら、そのティンって奴がもっとでかい人を探せば良いでしょう。 なんで公園で暇そうにしてた俺なんだ」

高木「いや、君以上の人間は居ないよ。 そう確信している」

「……………………」

高木「勿論、これも強制じゃない。 嫌であったり、何か事情があるのなら私も身を引こう」

「……………………」

高木「名刺に事務所の電話番号は書いているから、もし気が変わったのならここに連絡して欲しい。 では失礼するよ」



「………………つってもなぁ」



・ ・ ・ ・ ・


「…………ふぅ、ただいま。 つったって誰も居ないけど」

「新しい靴ケースん中に追加しとこ。 これで何十足目だろうなー」

「飯どうすっかな。 食うくらいの金なら残ってるけど、また外に出るのもな」

「冷蔵庫の中はー……。 何も無い、と」

「じゃあさっさと寝ちまうかぁ。 こういう時は寝て誤魔化すに限る」


「………………765プロダクション、か……」


「仕事辞めたし、ちょっとくらいならやっても良いかもな、別に長く居なきゃいけないとか言われてないし」

「芸能事務所なんだから、金払いも結構良いだろ多分」

「よし、じゃあちょっと連絡してみるか」スチャ

「えーと…………、よし」トゥルルルル

『はい、こちら765プロの音無で御座います』

「(お、2コール以内か……、それに女性?)あの、高木社長居ますかね?」

『あ、少々お待ちくださいね』

「お願いします(綺麗な声だな……)」チャラララチャラーンチャラーンチャラーン♪

『…………もしもし?』

「あ、えー……、高木……社長ですかね? あの、俺……」

『おぉ!! 声だけで解ったよ! どうかしたのかね?』

「あぁえーと、雇用の件で……」

『……ふむ? その声色からして悪い意味では無さそうだね』

「え、あ、はい。 お引き受けさせて頂こうかと……」

『解った! では早速、名刺に書いてある住所に明日来て欲しいのだが……』

「解りました。 ……はい、はい。 では失礼します」

パタン

「…………ふー。 意外とアッサリしてるなぁ」

「普通、芸能事務所ってもうちょい厳しく査定するモンじゃないのかね」

「しかし、声色だけで解ったとか、結構凄い人なのかもな……」

「……ま良いか。 さっさと寝ちまうか、明日明日」


・ ・ ・ ・ ・

「…………えっと、ここらへん、か。 えーっと……?」

「………………あった、アレか。 思いっきり「765」って書いてある」

「随分ボロいな……。 大丈夫か……?」



「エレベーターぶっ壊れてんし……。 どうなってんだ……」

「うお、こっちのドアにも「765」って書いてる」

「……うし、すいません」コンコン

??「はいはーい?」ガチャ

「あの、俺高木社長に呼ばれ……うおっ」

??「あ、伺ってます! どうぞ!!」

「あ、はい……(この声、最初電話で話した人か、めっちゃ綺麗だな……)」

??「社長ー!! 例の人、来られましたよー!」

(例の人…………)

高木「音無君、それは本当……、おぉ、どうやら本当だったようだ!」

「音無…………」

??「あっ、紹介が遅れちゃいましたね、私音無小鳥って言います。 よろしくお願いしますね!」

「よ、よろしくお願いします」

高木「うんうん、音無君とも仲良くしてくれたまえよ!!」

小鳥「ふふっ、社長色々話すことがあるんじゃないんですか?」

高木「おぉ、そうだったそうだった。 では早速、業務などの説明を……」

「はい。 ………………へ?」

高木「ん?」

「面接とかは無いんですか!? 資格とか解らないと採用しようにも出来ないでしょう!!」

高木「………………あぁ……」

「あぁ……。 って!!!」

高木「いや、まぁ、ティンと来たし……?」

「それだけで採用されたら採用される方も不安でしょうがないんですけど!!!」

小鳥「あ、あのぅ……」

「給与とか一体どうなって…………、はい?」

小鳥「自動車の免許は、取られてますか?」

「……まぁ、持ってますけど」

小鳥「ホントですか!? これで送迎出来ますよ社長!!」

高木「うむ、やはり私は間違ってなかった!!」

「ちょいちょいちょいちょいなんで自動車の免許持ってるだけでここまで歓迎されるんですか!!」

小鳥「やっぱり律子さんだけでは辛いですからねぇ……」

高木「うむ……。 私も出来るだけ手伝いはしてるんだが、どうにも後一人、と言った所だったのだよ……」

「はぁ…………。 ……ん? 律子さん?」

小鳥「あ、はい。 765プロでプロデューサーをやっている女性の方なんです」

「女性っていうのは名前の響きからして解ってたんですけど……。 プロデューサー……」

高木「うむ、君の先輩になるわけだ!」

「先輩ィ!?」

高木「そうとも、君も今日から晴れてプロデューサーというわけだ!!」

「……………………はぁ」ガクッ

小鳥「ついにうな垂れた?!」

「もう、驚くのも疲れた……」

高木「そして並びに、君に担当してもらいたい子が居るのだがね?」

「あぁもう勝手にしてください…………」

高木「うむ、もう来てもらっているのだけどね」

「えぇ……? 俺がやっぱり良いですって言ったらどうするつもりだったんですか」

高木「泣きながらしがみついていたやもしれんね」

「あーそうですか……」

高木「じゃあ音無君、高槻くんを呼んできてくれたまえ」

小鳥「はい、解りました」




高木「高槻くんは、とても優しい良い子だ。 期待してくれていい」

「はぁ……」

高木「しかし、彼女には少々家庭的な事情があってね……」

「え、それって……」

高木「いやいや、危険な意味ではなく、ね」

「……………………(家庭的な事情、ねぇ)」

高木「まぁ、それは本人に聞いてみてくれないか。 君の今後のためにも。 …………さぁ、君?」

「……はい」

高木「君は今から一人のプロデューサーだ。 彼女を不安にさせないよう自己紹介してくれたまえよ?」

「中々責任重大ですね……」

高木「はっはっは! 期待しているよ? ……お、そうこうしてる内に来たようだ」

小鳥「ほら、やよいちゃん。 挨拶挨拶っ」

やよい「は、はいっ! あ、あの、高槻やよいです!! よろしくお願いしまーっす!!」

「………………ちっちゃい」

やよい「……う?」

「あぁいや、なんでも」

やよい「……あ、あの…………」

高木「ほら、君」

「は、はい」 

P「…………よろしく、今日からこの765プロダクションに配属になったプロデューサーになる」

やよい「はいっ!! 一緒に頑張りましょうねーっ!」

P「うん。 んで、並びに、君の担当プロデューサーになる、んですかね?」

高木「うむ! これからはお互い切磋琢磨していってくれたまえ!!」

やよい「…………………………」

P「………………あれ?」

やよい「……………………」

P「あ、あの…………」

やよい「………………え」

P「え?」

やよい「ええぇえぇぇーーーっっ!!?」

P「うお」

やよい「え、ええぇえぇ!? 私の担当って、そんな、ホントですかぁ!?」

高木「…………うむ? 音無君、確か高槻君に連絡するように昨日…………」

小鳥「はい、勿論忘れてました」ダラダラ

高木「音無君…………!!」

P「大丈夫なんですかこの会社…………」

高木「な、なに、大船に乗ったつもりでいてくれたまえ!!!」

P「不安だ…………」

・ ・ ・ ・ ・

P「えっとまぁ、今日から君の担当になったわけだけど……」

やよい「は、はい」

P「えーっと、高槻やよいちゃん、だよね」

やよい「はい、よろしくお願いしますっ!」

P「よろしくね、高槻ちゃん」

やよい「あ………………(苗字…………)」

P「………………(ヤバイ、この年頃の女の子とコミュニケーションなんて取った事無ェ……)」

やよい「………………(名前じゃ、ないんだ……)」

P「あー…………(なんか話題なんか話題なんか話題……)」

やよい「………………あの」

P「えーっと………………、え?」

やよい「プロデューサーって、何歳なんですか?」

P「え? あ、あぁ、今年で26かな」

やよい「ふわぁー、私の12歳も上なんですねっ!」

P「あぁ、そうなるのかな……?」

やよい「私14なんですよー!! でもお姉ちゃんなんです!!」

P「お姉ちゃん?」

やよい「はい! うち、いっぱい弟たちが居るんです!! 一人妹が居るんですけど……」

P「ほぉー……」

やよい「かすみ、長介、浩太郎、浩司に、浩三!! みーんな可愛いんですよ!!」

P「へぇ、知らなかった。 大家族なのか」

やよい「はい、でもみんなヤンチャで毎日大変なんですよー!」

P「へぇ………………」

やよい「プロデューサーは、兄弟とか居ないんですか?」

P「あー、そういえば居ないなー」

やよい「そうなんですか…………」

P「あぁ、まぁ、いや、でも兄弟って良いとは思うけど」

やよい「!! ですよね! とっても大変ですけど、とっても幸せなんですよー!」

P「…………(社長が言ってた、優しい子ってのはこういう事か……)」

P「(この子も話題を探してくれてたんだな……。 我ながら情けない……)」


やよい「………………あっ!? もうこんな時間!?」

P「……ん? どうかした? 力になれるなら手伝うけど」

やよい「あっ、あのっ、今日は五時から隣町のスーパーで特売が!!」

P「………………なんだそんな事?」

やよい「…………え?」

P「特売なんて気にしなくて良いじゃん、金入るまでの繋ぎなんだからそこまで考えなくても」

やよい「そ、そんな事無いです!! キチンと節約しないと!!」

P「…………そう?」

やよい「はいっ!!」

P「……ん、解った。 じゃあ車出そうか」

やよい「えっ!? 良いんですか!?」

P「送迎のついでみたいなモンさ。 それくらいなら良いでしょ」

やよい「でもでも……」

P「そこまでのモンなんでしょ? 使える物は使わないと間に合わなくなるけど」

やよい「じゃ、じゃあ、お願いします!」

P「おし、音無さん。 車の鍵出してもらってもよろしいでしょうか?」

小鳥「あ、はい。 …………よっと、どうぞ」

P「有難う御座います」

小鳥「いえいえ。 あ、そうだ。 この鍵はプロデューサーさんが持っててください」

P「え?」

小鳥「これからはプロデューサーさんが送迎しますからね。 持っておいてください」

P「え、良いですけど……。 ちょっと、その、無用心じゃないですか?」

小鳥「まぁ、これも社長の指示なので……」

P「あぁ、成る程……」

小鳥「それと!」

P「あ、はい?」

小鳥「そんなに畏まらないでください。 これから沢山話すんですから、他人行儀は嫌じゃないですか!」

P「…………はい、解りました音無さん」

小鳥「もっと仲良くなったら「小鳥さん」って呼んでくださいね?」

P「そ、それはちょっとハードルが……」

やよい「プロデューサー!! あの、その、時間が……」

P「あぁそうだったごめん!!! じゃあ小鳥さん、失礼します!!!」

小鳥「はーいいってらっしゃーい」

P「はい! よし急ごう!!!」

やよい「はいーっ!」


小鳥「……ふふっ、やよいちゃんとプロデューサーさん、仲良くなれそう、かな?」


・ ・ ・ ・ ・


P「……よし!! なんとか間に合ったな……」

やよい「ありがとうございますー!! こんなにジャガイモ取ってもらっちゃって!」

P「おばちゃんの中に突っ込んでいくのはちょっと勇気が要ったけどね……!」

やよい「じゃあ、今度は普通のお買い物をしますねっ!」

P「おぉ、了解。 何を買う感じ?」

やよい「えーっと……。 味噌汁の具材と、キュウリかな……?」

P「……それだけで良いの? 肉は?」

やよい「え、お肉は高いですから……」

P「でも、兄弟とか居るんでしょ? それだけじゃお腹空いちゃうんじゃ?」

やよい「うーん……、そうかもですけど……」

P「…………何か買えない理由でもあるの? 特売狙ったり、買うもの制限したりさ」

やよい「…………うち、貧乏なんです」

P「え……?」

やよい「両親も共働きなんですけど、それでも……」

P「え、ま、待って、てことは君がアイドルやってるのも……」

やよい「……はい、家計の支えになれたら良いかなーって……」

P「………………そうだったのか……」

やよい「……………………あ、お会計行ってきますね」

P「……あ、あぁ……、うん」




P「……………………家庭の事情ってこういうことか……」

P「無神経だったなぁ…………」

P「貧乏、か…………」



・ ・ ・ ・ ・


やよい「すいませんプロデューサー、お家にまで送ってもらっちゃって……」

P「うんにゃ、気にしてないよ。 俺こそごめん」

やよい「え?」

P「デリカシー無いこと言っちゃってさ……」

やよい「あっ、そんな事無いです! 私の方こそ、先に言わなくてごめんなさい……」

P「いや、俺が悪いよ。 あれくらい察せたろうに……」

やよい「…………あの、プロデューサーのお家ってお金持ちなんですか?」

P「え、なんで?」

やよい「765プロに、伊織ちゃんっていうお友達が居るんですけど、伊織ちゃんのお家ってとってもお金持ちなんです」

P「へぇ、あの事務所に……」

やよい「はい! それで、伊織ちゃんとプロデューサー似てるなぁって……」

P「似てる? どこが?」

やよい「えっと、お金の使い方というか……」

P「あぁ……。 俺って金持ちの思考に似てんのか……」

やよい「ごっ、ごめんなさい!! うぅ、そんなつもりじゃなくて……」

P「いや、大丈夫。 俺も自覚してるからさ。 俺は別に金持ちって訳じゃないんだけど、なんていうか。
 高槻ちゃんみたいに節約とか出来ないタイプでさ。 すぐお金使っちゃうんだよ」

やよい「そうなんですかー?」

P「うん、浪費癖っつー奴? しかも、仕事始めて給料入ったらすぐ仕事辞めて買いたいモン買って、いい加減金が無くて生きていけなくなったら、
 また仕事探して、んで給料入ったら辞めて……って感じなんだよ、今」

やよい「え…………」

P「って、あ……(まずった、これ言っちゃダメな奴じゃねぇか……)」

やよい「ダメですっ!!!」

P「へ」

やよい「プロデューサー、お給料入ったら辞めちゃうんですか!?」

P「え、あ、あの、いや、まだそうと決まったわけじゃ……」

やよい「でも、今までそうだったんですよね?」

P「あー……、まぁ……(社長にチクられたら面倒だぞ……)」

やよい「そんなのダメです!! それじゃプロデューサーすぐ辞めちゃいます!!! こうなったら……」


やよい「プロデューサーに、節約を教えます!!!!!」

P「えぇ!? い、いいよ別に……」

やよい「ダメです!! これから半年、無駄遣いは禁止です!!」

P「半年ぃ!? そんな長くまで耐えられないって」

やよい「大丈夫です、私に任せてください!」

P「……でも」

やよい「でももヘチマも無いです!! 覚悟してくださいっ、プロデューサー!」


・ ・ ・ ・ ・

P「それからと言うもの……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

やよい「テレビを点けっぱなしにして寝ちゃダメです! 電気代とっても掛かるんですよ!」

P「それくらい良いじゃん数千円の違いでしょー……?」

やよい「その数千円ムダにしちゃうのを一年続けたらどうなりますか?」

P「え……? ……数万以上、か……。 高ぇな……」

やよい「そうなんですよっ!」

P「長い目で見たら結構なモンだなぁ。 そこまで見てるのか、凄いな高槻ちゃん……」

やよい「これくらい普通です!!」

P「不甲斐無ぇ…………」



P「お、気になってたバンドのCD新作出てんじゃーん」

やよい「ダメですよっ!」ヒョコッ

P「うおっ、どこから!?」

やよい「節約、ですよっ!! これを買うお金をご飯に使えば、三日は持ちます!!」

P「そんなに!?」

やよい「プロデューサーさん一人だったら一週間でも大丈夫ですー!」





P「お、この名刺入れ良いな……。 ちょっと名刺入れにしちゃ高いけど、仕事用ということで……」

やよい「それでもダメですっ!」ビュオウ

P「疾い……!!!」

やよい「名刺入れなんて壊れてからで良いんですっ!」

P「いや、名刺入れなんて中々壊れるものじゃ……」

やよい「じゃあ尚更、買わなくていいですっ!!」

P「えー…………」

やよい「あともうちょっと、あともうちょっと我慢してください!」

P「そんな事言ってもう三ヶ月も碌な買い物してないよ……」

やよい「それでも、あともうちょっと、です!」





P「最近家で飯食ってばっかだし、たまには外食したいなー……」

やよい(また……!!)コソコソ

P「んー……、でも、あともうちょっと、かな?」

やよい「あ…………」

P「あともうちょっと、あともうちょっと……」

やよい「…………えへへ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

P「ってな具合に、あともうちょっとって自分に言い聞かせ続けたら……」

P「いつの間にか半年で貯金がえらいことに……!!」

P「桁が……、桁が一個違う……!!!」

やよい「えへへ、おめでとうございますー!!」

P「最初はどうなる事かと思ったけど、まさかここまで来るなんて……」

やよい「ここまで来れたのはプロデューサーさんの力ですよー!」

P「えーそうかなーへへへへ」

やよい「そうですよー!! ……よしっ!」

P「ん?」

やよい「ここまで頑張ったプロデューサーへのご褒美に、無駄遣いかいきん! ですー!!」

P「え、ホント!?」

やよい「はいっ!! CDも名刺入れもなーんでも!!」

P「なんでも……。 なんでも…………!! この金で、なんでも!!!」

やよい「なーんでも!! ですっ!」

P「ヒャッホーィ!!! 早速物色してくる、じゃあね高槻ちゃん!!」

やよい「いってらっしゃーい! ………………」


やよい「……………………」

やよい「やっぱり、プロデューサー辞めちゃうのかな……」

・ ・ ・ ・ ・


P「さーてさてさてさーてさてー♪」

P「何を買おっかなー♪ 高槻ちゃんの言ったように名刺入れかなー?」

P「あ、そういえば今日何日だっけ? 新しいCD入荷してっかも…………」

P「3月24日か……。 そっか………………」


P「よし!!!」

・ ・ ・ ・ ・

―翌日―

やよい「うぅ、事務所に入るの怖い……」

やよい「プロデューサー今日お休みらしいけど……」

やよい「辞めるとしたら今日居るかもしれないんだよね……」

やよい「うぅ…………。 …………でもでも、入らなくちゃ……」

やよい「…………よし!」ガチャ


やよい「おはようございまー……」

P「お、おはよう高槻ちゃん! 丁度いい時間だ!!」

やよい「あ………………プロ、デュ……」

P「ほら、車乗って乗って!!」

やよい「え……?」

P「早く早く! 折角今日のレッスン断ったんだから!!」

やよい「え、レッスン断ったって……」

P「今から遊園地行こう!」

やよい「え、えぇっ?」

P「そんで、ブティックとか行って服とか買おう! そうだな、弟君たちの服も買っちゃおう!!」

やよい「あ、あの」

P「夕方になったら弟君たちも呼んでパーティーだ!」

やよい「ぱ、ぱーてぃー?」

P「うん、今日は何日?」

やよい「あ、えっと、25日ですかね?」

P「三月のね。 で、今日は何がある日だと思う?」

やよい「近くのスーパーでお砂糖の特売が……」

P「違う違う、そうじゃなくて、もっと身近なこと」

やよい「身近な…………? ………………あ、私の誕生日……」

P「そういうこと、さー無駄遣いすんぞー!!」

やよい「え、む、無駄遣いって?」

P「んー? 言ったじゃん、無駄遣い解禁ってさ」

やよい「そ、そうですけど……」

P「……高槻ちゃんに節約教えられてさ、色々縛られて大変だった」

やよい「あぅ……」

P「けど、次第に気付いていったんだ。 俺って多分、買いたいもの買って欲求を満たしたかっただけなんだなって。
 確かに、買ったらそれっきりなんだよ。 ケースん中に入れてそれを嬉しそうに眺めてそれで終わり」

やよい「………………」

P「それが解ってから、買わなくても別に苦にならなくって。 仕事したり高槻ちゃんと話してる方が楽しかったんだよ」

やよい「ホントですか……?」

P「うん、代わりと言っちゃなんだけど、感謝の印として、無駄遣いと言う名の誕生日パーティーだ!」

やよい「そんな、申し訳ないですー……」

P「良いんだ。 これでも足りないくらいなんだから」

やよい「プロデューサー…………」

P「もしかしたら天職なのかもなぁ。 この仕事」

やよい「!!! ……じゃ、じゃあ辞めちゃわないんですか!?」

P「…………今のとこ予定は無いかな」

やよい「……じゃ、じゃあ、じゃあプロデューサーと、これからも一緒なんですね!」

P「うん、高槻ちゃんをこれからもプロデュースするよ」

やよい「う、うっうー!! 嬉しいですー!!」

P「はは、こんなんで喜んでちゃいけないよ。 誕生日プレゼント、何が欲しいか考えなきゃ」

やよい「誕生日プレゼント? …………決めました!」

P「はやっ。 どんな?」

やよい「………………やよい」

P「?」

やよい「高槻ちゃんじゃなくって、やよいって呼んでください」

P「え」

やよい「これからも一緒なら、これからもずっと仲良しで居てくれるなら、やよいって呼んで欲しいです」

P「……………………」

やよい「…………ダメ、ですか?」

P「……これからも一緒に、これからもずっと仲良しでいよう。 よろしく、やよい」

やよい「……!! はいっ!!!」





「ずっと、ずっと一緒ですっ!!」














おしまい

ここまで読んでいただき、どうも有難う御座います。

やよいちゃんお誕生日おめでとう!!!!!

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