ゼルダ「もう行くんですね」(74)
~コキリの森・高台~
ミド「よ、よう…」
リンク「う、うん…」
ミド「そ、その…なんだ…久しぶりだな」
リンク「う、うん‥」
ミド「なんていうか…その…おかえり…な」
リンク「えと…ただい、ま」
ミド「外の世界はどうだった?」
リンク「うん、すごかったよ、お城とか大きくて、お姫様もいたんだ」
ミド「はは、なんだかわからなねえけど、すげえな」
ミド「その、怪我…とかしてないよな?」
リンク「うん、大丈夫だよ。」
ミド「そ、そうか、よかったな」
ミド「…………‥」
リンク「………」
ミド「あの、ありが…とうな」
リンク「え?」
ミド「帰ってきてくれて、っな…ありがと…ぅ」
リンク「フフっ、どうしたの?ミドらしくないんじゃない?」
ミド「お前がここを出て行ったの俺の…なんていうか…勘違いで…」
ミド「その…お前がもしも…死んでたら…って」
リンク「ミド…」
ミド「なあ、ナビィはどうしたんだ?」
リンク「うん、別れたんだ」
ミド「な!?わ、別れた?」
リンク「もう、ナビィの仕事は終わったんだって」
ミド「な、なんだよ、それ!ナビィの奴勝手すぎるだろう!」
リンク「そんなことないよ」
ミド「そんなことあるよ!なんだよそれ!」
リンク「ありがとう…でもまた会えるから」
ミド「この森に帰ってるのか?あいつ」
リンク「分からない」
ミド「わからないって…」
リンク「ここにいなかったら探しに行くつもり」
ミド「探しに行くって…また出て行くのかよ!」
リンク「うん、ここは僕のいていい場所じゃないし…ね」
ミド「な、なに言ってんだよ!この森がコキリの…お前の場所だろ!」
リンク「…僕…コキリじゃないんだ…」
ミド「…………え?」
リンク「ずっと高いところにあったミドの目がね、大きかったミドがね…」スッ
リンク「ほら見てよ…同じ高さに居る、コキリは大きくならないはずなのに」
ミド「そ…それは…」
リンク「ずっと僕に妖精がいなかったのも…そういうことなんだ」
ミド「…か、関係ねえよ!」
リンク「関係あるよ」
ミド「いいや!無い!お前は絶対もう村から出さないからな!」
リンク「ミド…でも…」
ミド「うるさい!うるさい!弱虫リンクなんかの話は聞いてやらない!」
ミド「サリアだって絶対に許すはずないからな!」
リンク「…ごめん、サリアに会ってくるね…」
ミド「…絶対出さないからな…」
~森の聖域~
リンク「サリアー、どこー?」
リンク「ここだと思ったのに、いないのかな?」
サリア「どうしたノ?」
リンク「うわっ!いきない、ま、真後ろにたたないでよ」
サリア「フフフ、ずっと後ろにいたヨ」
リンク「その…」
サリア「ナビィならもう行ったヨ」
リンク「え!?なんで?」
サリア「三日前。ここにきたヨ、リンクをよろしくっテ」
リンク「そ、その…」
サリア「スタルキッド」
サリア「スタルキッドの笛の音が聞こえなくなったノ」
リンク「えっと、ナビィは…」
サリア「みんな、旅に出るみたいだネ」
サリア「ほら、見て」
リンク「なっ!スタルフォス?なんでこんなところに?」スチャ
サリア「大丈夫…あの子は襲ってこないヨ」
スタルフォス「マ…マ…パ…パ…」カタ…カタカタ
サリア「ずーっと前、あの子があんな風になったのはリンクがここに来るよりもずーっと」
リンク「………」
サリア「もう…壊れてもいいノ、スタルフォスは生きていた気持ちじゃなくて、生きていてもらいたい気持ちでできてるノ」
リンク「生きていてもらいたい…気持ち?」
サリア「そう、あの子のパパとママはあの子に生きていてもらいたいから…あの子はずっと帰ろうとしているノ」
リンク「…………」
サリア「……忘れてあげるのも優しさなんだヨ…」
リンク「………」ザッ
サリア「ナビィはネ」
リンク「………」ピタ
サリア「北の森に行ったヨ、あと、リンクに幸せになってッテ」
サリア「リンク…暖かいネ」ギュ
サリア「一人だと…寒いヨ」
リンク「ナビィも一人なんだ…」
サリア「……で…でも……ううん」
サリア「大きくなったね、リンクの手」
リンク「……………」
サリア「いっぱいの人、この長い旅でいっぱいの人と出会ったんだネ」
リンク「……うん」
サリア「スタルキッド」
サリア「みんなおんなじ顔」
リンク「ど、どうしたの、また?」
サリア「スタルキッドはみんなおんなじ顔、違ウ」
リンク「え?」
サリア「似てるけどちょっとずつ違うノ」
サリア「この世界に偽物なんていない、みんな本物、リンクだって誰かの偽物じゃないヨ、どこに行ったって、リンクは…」
~真夜中・森の吊り橋~
リンク「よし、誰もいない」
ミド「なわけねえだろ!」
リンク「うわっ!ミド!」
ミド「そこの看板よく読め!」
リンク「えっと…村…ぴ…ろ…えと」
ミド「村人の外出を禁ず!ただし絶対に帰ってくるならば特例を認めるだ。」
リンク「み、ミド…」
ミド「止めたってどうせ行くんだろ?」
リンク「ご、ごめん」
ミド「あと、これ」グイ
リンク「うわっ、ハイリアの盾!持ちやすくなってる」
ミド「お前がサリアとデートしてるときに磨いてやっといたぜ」
リンク「デートなんかじゃ…」
ミド「帰ってこいよ、帰ってこなかったらぶっ飛ばすからな」
リンク「うん、ありがとう…行ってきます」
~ゾーラの泉・北のほこら前~
ルト「な、なんのようじゃ?そ、そちがわらわを呼び出すなんて」
リンク「うん、その…ね、実は言わないといけないことがあるんだ」
ルト「ふ、ふん!わ、わらわは忙しいのじゃ、きょ、告白ならはようせい!OKじゃ」
リンク「いや、そうじゃなくて」
ルト「なんじゃ?式の日取りか?それなら明日が丁度空いとるからのう」
リンク「その…そうでもなくて」
ルト「ま、まさか!婚礼の前に契りを交わすとな!な、なんとだいたんな、ま、まあよかろう…そちなら…痛くするなよ…」
リンク「…旅に出るんだ」
ルト「最初は優しくほぐして…へ?」
ルト「た、旅って、どこじゃ!どこに行くのじゃ!かわゆいわらわを置いて、またどこかにフラフラするのか!」
リンク「北のほうに…友達を探しに行くんだ」
ルト「北のほうって…大雑把すぎるぞ!そ、そうじゃ、わらわも連れて行け!」
リンク「だめだよ、どんなところかも分からない…ルトの入る水もあるかどうか…」
ルト「そんなもん、愛の力でなんとか」
リンク「ならない…ルトにもしものことがあったら…僕」
ルト「い、嫌じゃ!嫌じゃ!1週間も離れ離れだったのに!」
ルト「グスッ…また、そちと別れなければいけないなんて嫌じゃ!」
リンク「…ごめん」
ルト「ぐう…謝るくらいならここに残れ!」
リンク「それは…」
ルト「なら!わらわがついてぐ!」
リンク「それも…」
ルト「むううう!ついで行くと言えばついてぐりゅな!」
ルト「うう…ごごに残れといえば残らない!」
ルト「ごのワガママももめ!」
ルト「もう!お前のようなたわけ者知らん!何処にでもいぐがいい」
リンク「ルト…」
ルト「じらん!知らん!お前など…グスッ」プイ
リンク「ねえ、ルト…」
ルト「ざっざどぎえ…」バッ
リンク「ごめん」ぎゅうう
ルト「あ、え…あ…り…ンク?」
リンク「きっと…帰ってくるから、ちょっとだけ待ってて…」
ルト「あ、あの、ち、近い…ゾラ…」カアアア
リンク「お願い…僕を信じて」
ルト「……………ひゃい…」
リンク「落ち着いた?」
ルト「う、うん…わるかった…ゾラ」
リンク「ううん、僕の方こそ突然で」
ルト「お主にはまた恥ずかしいところを見られてしまったゾラ」
リンク「そんなことないよ」
ルト「ん?そうか?ほら、他にも行くところがあるのだろう」
リンク「え?なんで知ってるの?」
ルト「そちはモテるからのう、この女たらしめ」
リンク「そんなんじゃないよ、ただ」
ルト「ただ~?」
リンク「な、なんでもないよ!なんでそんなに急かすの?」
ルト「早く行って帰ってきた方が嬉しいゾラ」
リンク「フフ、よかった、やっとルトらしくなった」
ルト「美形の顔は三日で飽きるゾラ、ほれ、さっさと行け」
リンク「うん、行ってきます」
ルト「元気でやるゾラ」
ルト「…ふう」
ルト「きっと…帰ってくる…」
ジャブジャブ様「ほああああああああああ」
ルト「のう…ジャブジャブ様…どうして男は皆、嘘をつくんじゃろうなあ」
ジャブジャブ様「ほああああああああ」
ルト「ふふ…そうであっだ…な、うう…グズ…うううう…リングゥ…うう…ええ…うう」
~カカリコ村~
ダルニア「ん??おーう!兄弟じゃねえか!どうしたい?」
リンク「ダルニアさん?それにごろんのみんな?どうしたの、なんで今日は村に居るの?」
ダルニア「おう!今日はなあ、カカリコの奴らとの交友会の日なんだよ!」
リンク「交友会?」
ダルニア「そうよ!なんって言ったか?グロウブ春の時代だからな!」
ゴロン「あんた、グロウブ春じゃなくてグローバルゴロ」
ダルニア「おう!それそれ、一つの種族だけで生きていくのは辛いってことよ!皆仲良くするゴロ!」
ゴロン「すいませんねえ、うちのバカ亭主が」
リンク「亭主?」
ダルニア「おう!まだあわせてなかったか?うちの嫁さんだ!どうだ可愛いだろう?」
ゴロン「ちょっとあんた!もーう本当に正直な亭主で困っていますゴロ」
リンク「は…ははは…」
リンク「ところで交友会って具体的に何するの?」
ダルニア「そうだなあ、飯食ったり酒飲んだり、スモとったりだな!」
リンク「スモ?」
ダルニア「おう!さっきから妙に質問が多いがゴロン族のスッポツって奴だな」
ゴロン「スポーツ」
ダルニア「あそこに丸があんだろう?」
リンク「うん、紐で作った奴だね」
コッコ姉さん「はっけいよーい残った」
中ゴロン「ゴロッ!」
コッコアニキ「う、うあああ」
ダルニア「あの中に入って二人で押し合う、丸の外に出たら負け、手をついても負け、どうだ簡単だろう?」
リンク「うん…でも」
コッコアニキ「うあああ~やっぱりみんな嫌な奴だ~」ヒュ~
リンク「これ…ゴロンに勝てるの?」
ダルニア「おう、ほぼ五分五分だ!っと次は綱取対決だ、ちょっと行ってくるぜ兄弟!」
ゴロン「綱取ってのは一番強い人のことゴロ」
リンク「だ、ダルニアさんに勝てる人なんているのか?」
コッコ姉さん「ひが~し~ダルニ~山~」
ダルニア「今日は勝たせてもらうゴロ!」
ゴロン「あんたー!しっかりー!お腹の子供も見てるゴロー!」
コッコ姉さん「に~し~インパ~青龍~」
リンク「え?」
インパ「ふん!!!!!」
コッコ姉さん「はっけよ~い…残った」
インパ「はっ!!」バチッ!
ダルニア「うわッ」どて
コッコ姉さん「インパ青龍の勝ちー」
ダルニア「かあ~猫だましか~」
インパ「フッ、これで14勝1敗ですな」
ダルニア「やっぱり姫さんの乳母様は違うな~」
リンク「い、インパさ~ん」
インパ「むっ、少年?どうしたんだ、こんなところで」
リンク「インパさんこそ」
インパ「私はこの村の長も兼ねているから、こういった催しの時は姫様からお休みをいただいているのだよ」
リンク「知らなかった…」
インパ「それで少年は?」
リンク「実は…」
インパ「そうか…友人を探しに…北へ…か」
ダルニア「流石だぜ!兄弟!オトコの人生は旅!仕方ねえよ!」
インパ「あてはあるのかね?」
リンク「…ありません」
インパ「そうk…」
インパ「北の森の先に妖精の集まる古の森があると聞いた」
リンク「え?」
インパ「いってみてはどうかね?」
リンク「ありがとうございます」
「ブルルルルル」
~ロンロン牧場~
マロン「♪~♪~~」
インゴー「おーいお嬢ー、馬を追いやるのてつだってくだせえー」
マロン「はーい、ただいまー」
マロン「はあ~、今日も夕日が沈んで終わりか~」
マロン「今日もお客さん来なかったね、インゴーさん」
インゴー「まあ、うちは町への輸出で潤ってるからお客様が来なくても大丈夫なんですがね、ほら馬次郎早く入らないとコウモリに噛まれちまうぞ」
馬次郎「ヒヒーン」
マロン「お父さんは寝てばっかりだし、あっ!めっ!馬太郎、こんな所で寝ないの」
インゴー「まあ、旦那はやる時はやりますから…ン?」
パカラ パカラ
マロン「誰か来てるわ」
インゴー「お嬢さま、お待ちかねの白馬の王子様じゃないんですかい?」
マロン「うん、行ってみる」
リンク「あ、おーい」
マロン「あ~、何時ぞやの妖精くん、それにエポナ~!」
エポナ「ブルル…ヒヒン」
マロン「も~どこ行ってたの~、急に脱走なんかして~、妖精くんが見つけてきれくれたの?」
リンク「ううん、カカリコ村で保護されたんだって」
マロン「そっか~もう、あんまり遠くにいっちゃダメだよ」
エポナ「ヒヒン」
リンク「じゃあ僕はこれで」
マロン「え?もう行っちゃうの?」
リンク「うん、もうちょっと行きたい所があるんだ」
マロン「もう遅いし、明日じゃダメなの?」
リンク「えーっとできれば急ぎたいんだ」
マロン「そうだ、今日は泊まっていきなよ、ベッドならひとつ空いてるし」
リンク「えーっと、僕の話聞いてる?」
マロン「うん、それがいいよね、インゴーさん」
インゴー「お嬢様がいいんならいいと思いますよ」
マロン「はい、決まり!さあさあ入って入って」
リンク「いやその…」
インゴー「妖精くん、今日の晩御飯はホワイトシチューですぜ」
リンク「」ぐう~
リンク「ええと…お世話になります…」カアア
~夜・マロンとタロンの部屋~
マロン「妖精くん、寝ちゃった?」
リンク「ううん、起きてるよ」
マロン「そっか…」
リンク「………」
マロン「……………」
マロン「お話、しよっか?」
リンク「うん、しよっか」
マロン「マロン、お母さんが死んじゃったって、妖精くんに言ったっけ?」
リンク「うん、歌を教えてもらった時に聞いたよ」
マロン「そっか~」
リンク「………」
マロン「………」
リンク「ねえ、もしかして今僕の使ってるベッドって」
マロン「ううん、そこは何時もマロンが使ってるの」
マロン「お母さんのベッドはこっち」
リンク「そっか…ごめんね」
マロン「いいよ、だって時々さみしくなったらお母さんの布団で寝てるの…」
リンク「そっか…」
マロン「今度ね、南の方の村から新しい動物をもらうんだって」
リンク「どんな奴なの?」
マロン「わかんない、黒くて角があって、メエって鳴くんだって」
リンク「そっかー」
マロン「ねえ、妖精くん、まだ…起きてるかな」
リンク「……………」
マロン「寝ちゃったか…」
マロン「今から独り言いうけど、うるさかったらごめんね」
マロン「あのね、マロン、実は妖精くんのこと…」
リンク「……ごくっ」
マロン「初めて、お城の町であった時からね」
リンク「…………」ドキドキ
マロン「すっごく尊敬してたんだ」
リンク「」ドンガラガッシャーン
マロン「あれ?起こしちゃった?」
リンク「う、うん…期待した僕が悪いから…大丈夫」
マロン「?続けるよ」
マロン「初めて話したときね、妖精くん、一人で森から来たって言ったでしょう?」
リンク「うん、ナビィも一緒だったけどね」
マロン「マロンね、あの時、じつは凄くびっくりしてたんだ」
マロン「だってね、マロンと同じくらいの背丈の男の子が一人で怪物だらけのハイラル平原を歩いてきたって言うんだよ」
リンク「そ、そんな、照れるなあ」
マロン「うん」
リンク「………」
マロン「…………」
リンク「それだけ?」
マロン「うん、おやすみ」
リンク「………………」
リンク「……………」
リンク「マロン…あの」
マロン「スースー」
リンク「…な、なるほど…」
~朝・ロンロン牧場~
リンク「…昨日はありがとうございました…」
タロン「ん~?ボウズよく寝れなかっただか?ひどいくまだ~」
リンク「…はい…思春期は色々ありまして…」
タロン「ふあ~、おらも眠いだ~、夜中ずっと産気づいた馬子の相手してたからな~」
インゴー「旦那はほとんど寝てたでしょうが」
リンク「とにかく、お世話になりました」
マロン「妖精くん、忘れ物!忘れ物!」
エポナ「ブルルン」
リンク「えっと、エポナは僕の…じゃないよ」
マロン「うん、この子はうちのもう一人の看板娘だもん」
マロン「でもね、昨日お父さんと話し合ったの」
リンク「え?いつ?」
マロン「いつでも、エポナの脱走癖は一回思いっきり外の世界を見せてあげないと治らないんじゃないかって」
タロン「んだ、エポナさの母親もひどい脱走魔だっただが、一年くらい行方不明になったあとに帰ってきて、そっからは逃げなくなっただ」
タロン「エポナの母親んときはかなり心配しただが、今回はボウズっていうお目付け役もいるから安心だべ、なんたってお姫様のお友達らしいだからな」
エポナ「ヒヒーン」
リンク「そんな、どんな旅になるか…危険な旅になるかもしれないのに、怪我でもさせたら…」
マロン「大丈夫!」
マロン「妖精くんなら、エポナを守ってくれる。って思う。」
タロン「一食一泊の恩義って事でお願いできねえだか?」
マロン「ね?お願い!」
リンク「う~ん…」
リンク「ついてきて…くれる?」
エポナ「ヒヒーーン」
マロン「はい、決まり!」
~ハイラル平原~
リンク「成り行きで連れてきちゃった」
エポナ「ブルン」パッカパッカ
リンク「こっちでも巻き込んじゃってごめんね、エポナ」
エポナ「ヒヒン」パッカパッカ
リンク「っていっても、向こうのことは知らないよね」
エポナ「?」パッカパッカ
リンク「僕ね、フフ…信じられる?世界を救ったんだよ」
エポナ「ヒヒーン」
リンク「聞きたい?聞きたい?あのね…綺麗で大きい建物でね、宝石をね…」
~ゲルドの谷~
リンク「ふう、お前のおかげでずっと早く着いたよ、ありがとう、ヨシヨシ」
エポナ「ブルル」
リンク「すいませーん」
見張り「なんだ、子供が何のようだ?」
リンク「ナボールさんにお届け物があって」
見張り「現在ナボール様は外出中だ、荷物は預かっておこう」
リンク「そうですか…これ、お願いします」
見張り「ふう、包もなしか、小汚い手袋…手袋?」
見張り「こ、小僧!貴様これをどこで!」
リンク「ナボールさんに頼まれたものです」
見張り「これは、女神が残したと言われる銀のグローブだ!何故貴様のような小僧が持っていた!」
リンク「だから、ナボールさんに頼まれて…」
見張り「むうう…埒があかん…一度牢屋に入ってもらうぞ!」
リンク「そんな!もうフックショット返しちゃったのに」
ナボール「その必要はないよ」
見張り「ナボール様!?おかえりでしたか?」
ナボール「そう、今着いたとこでね、あと、そのボウヤの言ってることは本当、神殿でお宝探しを手伝ってもらったの、いわばオ・ト・モ・ダ・チ」
見張り「そ、そうでしたか、失礼しました。えーその…」
ナボール「リンク、ガノンドロフの手先で勇者でトレジャーハンターのお子様だそうな」
リンク「き、記憶力良いんですね」
ナボール「ダブルババアに色々弄られてからちょっとね」
リンク「あれ、その会話って、あの二人に捕まる前じゃ…」
ナボール「細かい男はモテないよ」
リンク「どこに行ってたんですか?」
ナボール「街で半期に一度のバーゲンがあってね、可愛い服買ってきたの」
リンク「お、女の子ですねえ…」
ナボール「おうよ、あと…ついでに迷子を探しにね」
リンク「迷子?」
ナボール「そ、おかげさまで連れ帰れたよ」
ナボール「迷子の迷子の反逆者、ガノンドロフちゃんさ」
リンク「!あの鎖でがんじがらめに巻かれた籠って」
ナボール「ご察しのとおり」
ガノンドロフ「」ジャラジャラ
ナボール「姫さんには助けられたよ、姫さんの告発がなけりゃアタシは今でも、あのくっさい鎧の中だったよ」
ナボール「おらっ、何とか言いな!この反逆者」ドガ
ガノンドロフ「…………」
リンク「………」
ナボール「ったく、城からずーっとだんまりかよ、てめえのせいで一族が滅ぼされるかもってのに…」
リンク「え?」
ナボール「おっと、子供には関係ないよ」
ナボール「ほら、入んなよ、お茶ぐらいご馳走してやるよ」
リンク「いえ、色々立て込んでるみたいですし、急ぎの用もあるので僕はこれで」
ナボール「つれない男だねえ」
ナボール「ほら、あんた達、ガノン坊やを修練場の一番奥のVIPルームにお連れしな」
ゲルドの女たち「はっ!ナボール様」
ガノンドロフ「………」ジャラジャラ
リンク「…………」
ガノンドロフ「………」ジャラジャラ
リンク「………」
ガノンドロフ「……俺様は諦めんぞ…小僧」
リンク「止めるよ…何度でも」
~真夜中・ハイラル城 中庭~
ゼルダ「ふう…」
ゼルダ「いい夜ですね」
リンク「こんばんは、起きてたんだ…」
ゼルダ「ふふふ、知っていたくせに、そんな事言うんですね」
リンク「うん、隣、いいかな?」
ゼルダ「どうぞ」
リンク「満月、綺麗だね」
ゼルダ「そうですね、吸い込まれそうなほど、綺麗…」
リンク「……うん」
リンク「あの…ね、ゼルダ姫、僕…」
ゼルダ「知っていますか?」
リンク「え?」
ゼルダ「あの月と同じように私たちの住む、この世界もまん丸なんですよ」
リンク「え?あれ?ふふ、姫様、僕をからかってるの?」
ゼルダ「まさか、本当ですよ」
リンク「うーん、よくわからないなあ」
ゼルダ「ですから、あなたは世界で一番ゼルダの近くにいますが、同時に世界で一番ゼルダの遠くにいるんですよ」
リンク「うーん、今日はなんか難しいこと言うね」
ゼルダ「ごめんなさい、あまりにも素敵な夜だったから、ちょっと哲学したくなったんです」
リンク「鉄学?僕、そんな事考えたこともなかったよ」
ゼルダ「ふふ、だから、あなたが何処に行ったって今より遠くに行くってことは無いんですよ」
リンク「………うん…そうだね」
ゼルダ「はい…」
リンク「…………」
ゼルダ「……………」
リンク「…………」
ゼルダ「…………………スウウ」
ゼルダ「もう行くんですね」
リンク「えと…その…」
ゼルダ「あなたはもう、このハイラルから旅立ってしまうのですね…」
リンク「うん…友達を探しに行く…」
ゼルダ「ほんの短い時でも、このハイラルであなたとともにすごした日のことは」
ゼルダ「決して忘れません…」
リンク「そ、そんな、最後のお別れみたいにされても…また戻ってくるからさ」
ゼルダ「ふふ、いつの日かあなたと出会える日が来ると信じています」
リンク「ぼ、僕だって同じだよ」
ゼルダ「その時が来るまであなたにこれを…」
リンク「時の…オカリナ」
ゼルダ「あなたの旅が無事であるよう…祈っています」
ゼルダ「もしなにかあったら…長い時の流れの中で、二人をとなぎつめてくれた…この歌を思い出して下さい」
~深い森~
パカラ…パカラ…
スタルキッド「いいかお前ら」
チャット「せーののタイミングだからね!せーのよ」
トレイル「もう、おねいちゃんわかってるよ」
チャット「せーのよせーの、あ!きたきた」
チャット・トレイル「せーの」
ゼルダの伝説 時のオカリナ.5
END
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