竜騎士「好きな者が居る……と」 風竜「うむ」(576)

風竜「しかし、なぜにその様な事を聞くのじゃ」

竜騎士「それは良いでしょう、しかし風竜様」

風竜「なんじゃ?」

竜騎士「その話、それは本当の事ですか?」

風竜「然様、我にもそのような者居るぞ」

竜騎士「……誠ですか?」

風竜「何度も聞くな、この戯けが」

竜騎士「申し訳ありません」

風竜「ははぁ、さてはあれじゃな? 巷で有名な『恋バナ』……」

竜騎士「良くご存知ですね」

風竜「ふんっ、民の間で”ぶぅむ”になっている事ぐらい把握済みよ!」シャキーン

竜騎士(ブームの使い方が若干違う気がする)

風竜「つまり、我にそのような事を聞いたからにはお前も話す……と言う事じゃな」

竜騎士「えっ」

風竜「えっ」

竜騎士「なぜそんな事を言わねばならぬのです」

風竜「いやしかし、『恋バナ』とはお互いの腹の内を晒あうものだと聞いたが」

竜騎士「風竜様、言い方には気を付けた方が良いでしょう」

風竜「分かればよいのだ! 分かれば!」

竜騎士「ははぁ」

風竜「お前は堅物すぎる、もうちょっと融通をだの」

竜騎士「その話は昨日も聞きました」

風竜「直すつもりもなさそうだから言っているのだ、この戯けが」

風竜「ともかく! 私に聞いたからにはお前も腹を割って話すがよい」

竜騎士「無理です」

風竜「そんな明確に拒否せんでも良かろう!?」

竜騎士「無理なものは無理です」

風竜「うぐぐぅ……」

竜騎士「別に私の話なぞどうでも良いでしょう、風竜様ともあろう者が」

風竜「我に聞いておいてそうぬかすかお前は……」

竜騎士「花屋の娘の話ならできますが」

風竜「ああ、お前が毎日我に献上する花を買ってくるあの」

竜騎士「あの子は最近パン屋の息子にですね」

風竜「それはどうでも良い」

竜騎士「選り好みは良くないですよ」

風竜「どうでも良いものはどうでも良いのだ」

竜騎士「わぁ我儘」

風竜「お前の事を話せい! お前の事を」

竜騎士「それは嫌です、では同僚Aの話をしましょう」

風竜「そんなもんはどうでも良いわぁ!」

竜騎士「てっきり男の恋話に興味があるのかと思いました」

風竜「無いな、いいや無い」

竜騎士「無茶な事を言いなさる」

竜騎士「それでですね、その同僚Aがですね」

風竜「私の意見は無視するのか」

竜騎士「ええ、最近様子がおかしいと思ったらどうやら恋をしている様なんですよ」

風竜「心底どうでも良いわ」

竜騎士「ええ、服屋の」

風竜「娘か」

竜騎士「息子に」

風竜「息子ぉ!?」

竜騎士「ちなみに同僚Aは無論男です」

風竜「たまげたのぉ……」

竜騎士「興味を持っていただいたようで何より」

風竜「いやいや、確かに興味は惹かれるが……待て、どこに行く」

竜騎士「どこって、王の所ですよ」

風竜「王? いつもなら自分の部屋に行くものを……なにかあったか?」

竜騎士「ありましたとも、国の一大事が」

風竜「一大事じゃと!?」バサッ

竜騎士「あ、羽は畳んでください」

風竜「これが落ち着いていられるものか! 我の国の一大事ぞ!?」バッサァ

竜騎士「ははぁ」

風竜「して、それは何ぞ、我が国に憂いを齎さんとするはどこの賊ぞ!?」バッサバッサ

竜騎士「あなたです」

風竜「……は?」ピタッ

竜騎士「あなたがさっき言った事です」

風竜「……は?」

竜騎士「言いましたよね? 『好きな者が居る』と」

風竜「おお、そうじゃが」

竜騎士「その意味、よもや国の象徴たる貴方が理解できぬわけではありますまい」

風竜「……おう」シューン

竜騎士「では、私は王にこの件を報告せねば」

風竜「待てい!」

竜騎士「なんです、私は一刻も早く報告したいのですが」

風竜「報告はするな、黙っておれ」

竜騎士「はぁ」

風竜「事情故、余計な混乱を招きとうないからの」

竜騎士「その事情をよろしければお聴きしたいのですが」

風竜「ならぬ、ともかく良いな? これは命令じゃ」

竜騎士「理由が分かりませんが……畏まりました」

風竜「うむ」

竜騎士「ああそうだ、王の元に往く前にこれをお納めします」

風竜「ふふん、我はお前の送る花が好きぞ」

竜騎士「どうぞ、ヒアシンスです」

風竜「ほほー、一輪花も良いがこの房になっている花も良いものぞ」

竜騎士「本来ならば紫色ですが珍しく赤いものが在ったのです」

風竜「感謝するぞ、今日はこれを飾っておくとしよう」

竜騎士「はい」

◆ 謁見の間 ◆

王「……むむ、むぅ」

従者「王よ、竜騎士殿が」

王「通せ」

従者「はっ、竜騎士殿こちらに」

竜騎士「王よ、竜騎士参りました」

王「頭を上げよ」

竜騎士「はっ」

王「してどうだった、風竜様のご様子は」

竜騎士「何も変わりなし、恙なくお過ごしになられております」

王「そうか……何よりだ、あの方に何かあれば国の威信に関わる」

竜騎士「近頃は賊も姿を現さず、安穏としております」

王「頼んだぞ、貴公は風竜様直々に選ばれた騎士――『竜騎士』なのだからな」

竜騎士「はっ」

王「特に注意せねばならぬことは分かっておるな?」

竜騎士「『恋愛』ですね?」

王「然様、国の象徴たる竜が他国の竜とそう言った関係になれば世界は大きく動く……」

竜騎士「竜が婚姻を結べばその国々は友好関係を気付かねばならない……」

王「如何に確執を抱いていようと戦時中であろうとだ。一切の例外はない、友好関係どころか隣国同士の竜が婚約を結べば合併も十分あり得る! 王族云々すらもそれを阻害することは出来ん……子供が出来てしまえば国が生まれてしまう事と同じだ!」

竜騎士「文字通り『国を揺るがす』事態ですが……それ故にその機会も多くはない」

王「千年に一度起こるか起こらないかとも言われている、だが特にその件は気を付けよ」

竜騎士「はっ」

王「頼んだぞ、風竜様が選んだ人間はお前しか居ないのだからな」

竜騎士「命に代えても!」バッ

――翌日――

風竜「………」ズー…

竜騎士「風竜様」

風竜「………」ズルズル…

竜騎士「朝ですよ、風竜様」ツンツン

風竜「ひにゃぁっ!?」ドォォォ…ッ

竜騎士「風竜様、暴れないでください」

風竜「寝てるところに突かれたら誰だってああするわぁ!」

竜騎士「しかし、驚きました」

風竜「な、なにがじゃ」

竜騎士「風竜様ともあろう者があのような可愛らしい悲鳴を上げるとは」

風竜「……お主のぉ、なんかお前は我を誤解しておるようだがのぉ」

竜騎士「はい?」

風竜「雌なのじゃぞ? 我は」

竜騎士「……はい」

風竜「なんじゃ、その胡散臭い目は」

竜騎士「いえ……やはり風竜様は竜であって、人間ではないので一概に雌と言われましても…」

風竜「戯けが! 少しは話を合わす事をせんか!」

竜騎士「しかしですね、どこを褒めれば宜しいかと迷いまして」

風竜「色々あるじゃろ、鱗が艶やかだとか…尻尾が長いとか…鬣がふさふさとか…」

竜騎士(とっても困った)

風竜「体がでかいのも褒める所ぞ」

竜騎士「それは可愛らしさ、なのでしょうか」

風竜「いいや、体の大きさは竜の強さぞ。伊達に千年来生きてはおらんわ」

竜騎士「その時点ですでに性別云々を超越しています」

風竜「我は竜ぞ、性別なぞ関係ないわ!」

竜騎士(とても、とても困った)

風竜「それより…あの件は他言していないであろうな」

竜騎士「無論です、約束は違えません」

風竜「そちの口の堅さは我も知っておる、信頼しておるからな」

竜騎士「光栄の極み」

風竜「……もうちょい、堅さが無くなるといいんじゃがのぉ」

竜騎士「無理です、騎士ですので」

風竜「面倒くさい奴じゃ」

竜騎士(それは、あなたもでしょう)

竜騎士「して、事情とは」

風竜「言う訳にはいかぬ」

竜騎士「口が堅いと信頼してくださっているのでしょう」

風竜「それでもじゃ、どうしても人には言えぬ」

竜騎士「風竜様に信用されていないとは……傷つきました」

風竜「良く言うわ、この狸が」

風竜「ともかく! この件は事情ゆえ秘匿じゃ、分かったな?」

竜騎士「承知いたしました」

風竜「この事を話したのはそちと我だけ、つまりは我々の秘密じゃ」

竜騎士「竜との秘密とは、下手をせずとも洒落になりませんね」

風竜「人間にとってはな、竜にとってすれば大したことでもない」

竜騎士「身勝手な事で」

風竜「はっはっは、我は竜ゆえに傲慢じゃ」

竜騎士「さて、起こして早々ですが私は失礼します」

風竜「なんじゃ、今日は用事があるのか」

竜騎士「ええ、北方でゴブリンの集団が蜂起したそうで」

風竜「ほほぉ」

竜騎士「大分遠いので日帰りとはいかなそうです」

風竜「……どのぐらいかかる?」

竜騎士「一日あれば余裕でしょう」

風竜「となると、明日はそちが居ないのか」

竜騎士「はい」

風竜「…………」

竜騎士「もしかして、寂しいのですか?」

風竜「さ、ささっ、寂しくなぞないわ!」

風竜「そちは竜の事を理解しとらんな!」

竜騎士「はいはい」

風竜「誇り高き竜がそのような事でだな」

竜騎士「そうですね」

風竜「むぅー……」

竜騎士「………」

風竜「………」

竜騎士「帰ってきますから」

風竜「……っ!?」

竜騎士「我は竜の騎士、その御身の為に魂を捧げし者也」

竜騎士「いつ如何なる時もその命に背かず、約束を違えず、その勅令を全うする者也」

竜騎士「その命の限り尽くし続ける者也、その体朽ちるまで捧げ続ける者也」

風竜「……ちゃんと覚えているのじゃな」

竜騎士「当然です、竜騎士ですから」

風竜「ふん、こんなところで格好つけるでないわい」

竜騎士「だから帰ってきますよ、貴方がそう命ずるならば」

風竜「………」

竜騎士「風竜様?」

風竜「当然じゃ、この風竜の騎士が下級も下級ごときにやられては面子が立たん」プイッ

竜騎士「お厳しい事で」

風竜「国一番の騎士にとってすれば、当たり前じゃろう」

竜騎士「至極最もな話です」

竜騎士「不満ですか?」

風竜「……頭を出せ」ズルル…ッ

竜騎士「まさか頭突きとか、竜にそんなの食らったら木っ端微塵じゃすみませんよ」

風竜「阿呆が、そんな事せんわ」

竜騎士「流石に冗談が過ぎましたか」スッ

風竜「それは時と場所を考えい」ズッ…

竜騎士「貴方がそれを言いますか」

風竜「知っておるか、竜がこうして人間に対して頭を出すことは異例なのじゃぞ」

竜騎士「無論知っておりますとも」

風竜「ならば、その意味わかるじゃろう」

竜騎士「言われずとも」

コツンッ

風竜「………」

竜騎士「………」

風竜「竜の加護を、貴様に」

竜騎士「我が魂を、貴方に」

風竜「勝てよ、人間」

竜騎士「勝ちます、風竜様」

竜騎士「そう言えば今日はこんな花を持ってまいりました」スッ

風竜「それは知っておるぞ、オミナエシじゃな」

竜騎士「朝一番に摘んでまいりました」

風竜「そこらの草木を竜に貢ぐとは、不遜な輩め」

竜騎士「この花、好きでしょうに」

風竜「……まあ、確かにの」

竜騎士「それでは、失礼します」スッ

風竜「………」

風竜「………」フゥーッ

ザザザザァ……

――「この花、好きでしょうに」

風竜「まさか、そんな事も知っておるとはな」チョイチョイ

風竜「………ふっ」

風竜「言えんわな……『お前が好きだ』なぞ」

風竜「まさかこの年にして恋煩いとはの、しかも相手はただの人間……」

風竜「……言えんわなぁ」ハァーッ…

―――■     □―――

竜騎士「………」ニヤニヤ

同僚B「どうした? そんなにやけて」

竜騎士「はっ?」

同僚C「いつも冷静なお前らしくも無い」

竜騎士「ああいや、私とて嬉しい事ぐらいある」

同僚A「昼食に肉の山盛りが出ても微動だにしないお前がか?」

同僚D「よっぽどの事だろうな」

竜騎士「……まあな」

同僚B「まさかこれから戦闘に行くのが楽しいとか?」

竜騎士「そんな訳なかろう、私をどう思っているのだ」

同僚C「いや、否定できん」

同僚D「お前っていつも遠征する時は嬉しそうだし」

竜騎士「……そうか?」

同僚A「ああ、すっげー晴れ晴れとしてる」

同僚A「そう言えばお前はよく花屋に行くよな」

竜騎士「あ、ああ」

同僚C「あそこのお嬢さん、お前に気があるんだぜ?」

竜騎士「えっ」

同僚B「『いつも花を選んでいる時のあの人はとても生き生きとしているんです』ってさ」

竜騎士「まあ、花は好きだからな」

同僚A「本当かー?」

同僚C「本当は花屋の娘さんに気があるんじゃないのか―?」

同僚D「ひょっとしてさっきのにやけ顔は……」

同僚A「進展でもあったのか!?」バッ

竜騎士「ない、断じてない」

同僚B「またまた、とぼけちゃって」

同僚D「行きがけの馬車で詳しく聞かせてもらおうか」

同僚C「ついでに俺にも紹介しろよー」

竜騎士「……なあ、先に行っててくれないか」

同僚B「なんでよ」

竜騎士「ちょっと、用事をな」

竜騎士「……風竜様」

―――勝てよ、人間

竜騎士「………」スッ

竜騎士「必ず、貴方にに勝利を」

竜騎士(我が愛おしき、竜よ)

竜騎士「………」ザッザッ

ヒュゥゥゥゥゥ……

リハビリがてら書いた 急にネタが浮かんだ
龍娘じゃなくて龍×人間を書きたかった

ネタが浮かんだら書く 多分 書く
( ?ω?)スヤァ

風竜「むぅ……」

司祭「どういたしましたかな、風竜様」

風竜「あやつがまだ帰ってこん」

司祭「竜騎士殿ですか、風の噂では大戦果を挙げて凱旋してくるとの事です」

風竜「……そうか」パァッ

司祭「流石は『竜騎士』、風竜様の加護を受ける者だけはあります」

風竜「うむ当然ぞ、我が力を与えているのだからな」

司祭「歴代でも最古の一角である風竜様――その竜騎士ともあれば一騎当千でしょう」

風竜「はっはっは、褒めるでない」

司祭「加えて彼の力は竜と親和性が高い、竜騎士となるべくしてなった男でしょう」

風竜「確かに、あやつは良く竜の力を使いこなせておる」

司祭「中も大変宜しいと聞くが……」

風竜「……どうかな、あやつは堅物故にな」

司祭「緩いよりは良いでしょう、彼が風竜様に忠誠を誓っている証です」

風竜「そうか? そうか……」

司祭「おっと、そろそろ凱旋してくることでしょう」

風竜「うむ……では儂も出なければな」バッサァッ

司祭「風竜様直々に迎え入れたとあっては、きっと兵も皆喜ぶでしょう」

風竜「司祭よ、儂に吹き飛ばされぬよう急ぐがよい」ビュォォォッ

司祭「はっ」

◆ 竜宮前広場 ◆

農民A「ばんざーい! ばんざーい!」

鍛冶屋の親父「俺の鍛えた武器だ、きっと化け物どもをばっさばっさと切っただろうさ!」

宿屋の女将「はいはい、自慢なら後で聞いたげるから今は万歳しなさいな」

本屋の娘「あっ、兵士さん達が来たわよ!」

バンザーイ! バンザーイ!

兵士達「………」ザッザッザッザッ

農民B「おおっ、先頭を歩くは竜騎士様だ!」

農民C「此度の鎮圧でも大戦果を挙げたらしい」

パン屋の息子「すげえなぁ……」

花屋の娘「竜騎士様……素敵」ポッ

農民A「おっ、恋する乙女だねぇ」

花屋の娘「そっ、そんなぁ」アワアワ

竜騎士「………」ザッザッザッ

ワーッ ワーッ

兵士長「大歓声ですな、何度聞いても正直身が竦む思いです」

竜騎士「我々は民にとってそれ程の事をしたのだ、胸を張れい」

兵士長「はっ」

竜騎士「……むっ」ピタッ

兵士長「どうされました……おおっ!」

宿屋「わっ、わわっ!」バサバサッ

鍛冶屋「空を見ろっ! 風竜様だ!」

風竜「………」バサッ バサッ

農民A「すげえ……」

宿屋「お美しい……」

農民B「風竜様……」

兵士長「……総員、気をつけぇぇっ!」ハッ

兵士達「はっ!」ピシィッ

兵士長「風竜様に、敬礼っ!」

兵士達「はっ!」ピッ パシィッ

竜騎士「………」ピシッ

風竜「………」バサッ バサッ

竜騎士「風竜様」カツカツ

風竜「竜騎士、並びに兵たちよ、休んでよいぞ」

兵士達『はっ!』チャカッ

竜騎士「態々ここまでお越しいただき、誠にありがとうございます」

風竜「よい、兵達を労うのも我が役割ゆえ……」

風竜「皆の物、ご苦労であった……多くは言わん、今はゆっくりと休むがよい」

竜騎士「ありがたきお言葉」

風竜「そなたらの働き、いつも感謝しておるぞ」バサァッ

竜騎士「はっ!」

兵士長「総員! 敬礼っ!!」

兵士達『はっ!』バシッ

風竜「……うむ」

「やっぱり風竜様はすげえなぁ」ガヤガヤ

「貫禄が違うわな、他の竜様とはな」ガヤガヤ

「じい様も言ってたわ、『この世で一番美しいのは風竜様だ、二番目が婆様だって』」

「ひゅぅー! 老いてなお盛んだねぇ」

竜騎士「……ふっ」

騎士A「どうされましたか?」

竜騎士「なんでもないさ」

◆ 騎士宿舎 ◆

騎士C「やっぱりきこりのの嬢ちゃんが一番綺麗だ」

騎士B「いーや! 俺は本屋の嬢ちゃんを押すね」

騎士D「何だと貴様ら!」

騎士C「やるか!?」

竜騎士「……こほんっ」カツカツ

騎士達『竜騎士殿!?』シーン

騎士A「いかがなされた、竜騎士殿」

竜騎士「……風竜領騎士団ノ掟 第七条っ!」

騎士達『騎士たる者仲間への信頼を貴ぶべし! 如何なる理由であっても同士討ちは行うべからず!』

竜騎士「そういうことだ、誇り高き騎士がそんなことで喧嘩をするな」

騎士D「は……ははっ!」

騎士B「申し訳ありません!」

竜騎士「……確かに、自分の贔屓は大事にしたいだろうがな それで争うのは止せ」

騎士C「ははっ!」バッ

竜騎士「それでは」カツカツ

騎士C「どちらに? もうじき食事の筈ですが……」

竜騎士「風竜様に呼ばれたのだ、此度の出征の事であろうな」

騎士C「なるほど、つまらぬことをお聞きしてすみませぬ」

竜騎士「いいのだ、その程度も聞けぬのなら度胸を疑うぞ」

騎士C「ははっ」

騎士B「いやー……流石は竜騎士だけはあるな、あの貫禄」

騎士A「騎士の中でも最高位の『竜騎士』……竜に選ばれた者のみがなれる地位だな」

騎士B「ああ、正しく神に選ばれた者って感じだよ」

騎士C「先陣を切り、殿を務め、いつでも最も戦果を挙げてるもんなぁ」

騎士B「あの人の戦いっぷりときたら惚れ惚れするよ、ほんと」

騎士D「紛らわしい言い方っぽいけど本当だもんなあ」

騎士D「騎士道精神! って感じがするもんな」

騎士B「ああ、女だけじゃなく誰にでも優しいもんな」

騎士A「訓練の時は厳しいけど、俺達にも平等だし」

騎士C「ファンも多いってさ、老若男女関係なく」

騎士B「なんか納得するわ、それ」

騎士C「でもさ、やっぱり……あれだよな」

騎士B「正確も完璧超人だけどさ」

騎士D「仕事も出来る人だけどさ」

騎士A「やっぱ……顔だよなぁ」

騎士B「二枚目がいるなんてあの人に会うまで思わなかったよ」

騎士C「あの人の近くだけ空気が違うもん」

騎士D「神様は不公平だよなぁ」

騎士B「あの人と女を取りあったら絶対俺たち負けるだろ?」

騎士C「間違いないな、取り合いになるレベルにすらならないと思うけど」

騎士A「その前に寄ってくるもんなぁ……」

騎士D「羨ましい人だよ、ほんと」

騎士B「その割には浮いた噂聞かないよな」

騎士D「不思議だよなぁ」

騎士A「なんでだろな」

騎士B「男が好き……とか?」

騎士D「ない、とも言い切れんな」

騎士C「でもあの人ってたまに、本当にたまーに笑うよな?」

騎士A「ああ竜騎士殿占いか、あの人の微笑を見たら一週間幸運とか」

騎士B「長過ぎる気もするけど本当にレアだもんな」

騎士D「しっかし、あの人が好きになるとしたら誰だろうな」

騎士A「やっぱり超絶美人だろ」

騎士C「いやいや、案外普通の人が好きとか」

騎士B「やっぱり男に走るんじゃないか?」

騎士A「なんでお前はそっちに行くんだよ!」

騎士C「お前こそそっちの人間じゃないのか!?」

騎士D「まあまあ落ち着けって」―――――

……………

………

……

風竜「………はぁぁ」ブンブン

風竜「まだかのう、あやつはいつまで待たせるのじゃ」

竜騎士「風竜様!」カツカツ

風竜「おお! 竜騎士……っ」パァッ

竜騎士「お待たせしました、申し訳ありません」

風竜「全くじゃ、我を待たすでないぞ」プリプリ

竜騎士「はっ」

竜騎士「これを選んでいまして……時間が掛かりました」スッ

風竜「なんじゃ、この橙色の花は」

竜騎士「シベリアヒナゲシ……らしいです、どうやら凍土に咲いていた珍しい花だとか」

風竜「まったく、あの花屋は奇妙なものばかりおいているのじゃな」

竜騎士「お蔭で貢物には困りませんゆえ」

風竜「……ふんっ!」ゴォォォォ

竜騎士「風竜様、鼻息荒いのは宜しいのですが」

風竜「乙女に鼻息荒いとは何というか!」

竜騎士(ツボが分からんな……)

風竜「まったく! お前はまったく! わかっとらん!」シュゴォォォ

竜騎士「風竜様、あなたの吐息には比類なき魔力が宿っている事をお忘れなきよう」

風竜「……し、知っておるわそんな事! 言われなくとも!」

竜騎士(完全に忘れていたのだな)

竜騎士「しかし、相手が風竜様で助かりました」

風竜「はて、何かしたか?」コテン

竜騎士「『風竜の息吹は生命の息吹、吹けば芽吹き春を迎える』――これが炎竜様であったならばと身震いして」

風竜「ああ……あやつは一息で街をも吹き飛ばすからな……」

竜騎士「私が言うのもなんですが、怖ろしいものです」

風竜「くしゃみも迂闊に出来んと嘆いておったわ、あやつが」

竜騎士「割と親近感の出る嘆きですね、それ」

風竜「ともかく! ともかくじゃ……こほんっ」ゴォォォッ

竜騎士「はっ」ビュォォォッ

風竜「よく聞け人間、一度しか言わん」

竜騎士「なんなりと」

風竜「……おかえり、我が騎士よ」

竜騎士「ただいま帰りました、風竜様」スッ

風竜「五体満足で帰ってきてなによりじゃ」

竜騎士「誤解なさっている様ですが……私はこれでも国一番の騎士ゆえ」

風竜「違うわい、張り切り過ぎて突撃しておったのではないかと思っとったわい」

竜騎士「ええ、しましたが」

風竜「えっ」

竜騎士「ばっさばっさと先陣を切らせていただきました、単騎で」

風竜「お、おお……凄まじいのぉ、それも」

竜騎士「貴方の加護ですよ」

風竜「……我の加護でもそうはいかんよ、やはりお前の実力」

竜騎士「いいえ、風竜様の加護のお蔭です」

風竜「そうなのか?」

竜騎士「無論、私のこれまでの戦果はみな貴方が居たからこそなのです」

風竜「……そう言われると、少し恥ずかしいわい」

竜騎士「誇ってください、私の為にも」

風竜「おう、お前の気持ちはしかと受け取った!」バッサァッ

竜騎士「あの時もそうでした、貴方が居なければ私は……」

風竜(妙な所で義理堅い男じゃのぉ)

竜騎士「聞いておりますか!?」

風竜「聞いておるとも」

竜騎士「どうにも信用なりませんな」

風竜「信頼してるのかしてないのかどっちなんじゃ……」

竜騎士「ともかく、私はこれから食事がありますのでこれにて」

風竜「まて、そちには一つ言いたい事があってな」

竜騎士「なんでしょうか」

風竜「……信頼しておるぞ」

竜騎士「っ!!」

風竜「如何なる時であろうと我はお前を信頼しておる、お前が我を信頼しておるように」

竜騎士「………」

風竜「分かったな?」

竜騎士「……勿体なきお言葉、ありがとうございます」バッ

風竜「ふんっ、自分の騎士を信頼することなぞ当たり前だわい」

竜騎士「……はい」フッ

◆    ◇

風竜「しっかし、あやつは時折不遜な態度を取るのぉ」プリプリ

風竜「………」

風竜(あやつは、よく笑う……あの笑顔を誰かに向けているのか?)

風竜(いや当然であろう、あやつは人間じゃぞ? しかしあの笑顔を我以外に向ける……ううむ)

風竜「うがー! なにを考えておるのじゃ我はぁーっ!」ドッスンバッタン

司祭「如何なされた風竜殿! 竜宮がまるで地震の様に揺れておりますぞ!」

風竜「し、しまったぁっ!」

◇   ◆

ズゴゴゴゴゴゴゴォ……ッ

竜騎士「……むっ」ピクッ

騎士D「なっ、なんでしょうかこの揺れは!?」

騎士B「よもや敵襲!?」シャキッ

竜騎士「剣を収めよ、大したことも無いだろう」

騎士E「……おお、治まった」

竜騎士(風竜様がまたなにかしたな)

竜騎士(まったくあのお方は、気まぐれで暴れるとは……)

竜騎士(しかしながら私が送った花を気に入っていただき何よりだ)

竜騎士(態々選んだ甲斐があるというもの……しかし)

竜騎士(やはり、風竜様に花は良く似合うな)ニヤニヤ

竜騎士(素が緑なのでどれも良く似合うが、やはり白かな、白が映えるな)ニヤニヤ

竜騎士(白くて大輪の花は何か無いものか……あの大きな体でも劣らぬほどに大輪の花は……)

騎士A「どうしました? そんなに顔を綻ばせて」

竜騎士「……はっ!?」バッ

騎士A「珍しい事もありますな、貴方があれほどまでに破顔しているとは……ぁっ!?」

竜騎士「……よく聞け? お前は何も見ていない」ゴゴゴゴゴゴ

騎士A「はっ? はぁっ!?」

竜騎士「お前は 何も 見ていない……いいな?」ゴゴゴゴゴゴ

騎士A「はっ はひぃっ!」

騎士A(何処が幸運だーっ!?)

イチャイチャ書きたい 技量が足りない
うごごごごご ( ?ω?)スヤァ

寝る 眠い 寝る

風竜「……すぅ すぅ…」ズゴゴゴゴォ…

竜騎士(竜はいびきもうるさいのだ)

風竜「むにゃむにゃ……はやく…はやくホットケーキを持ってまいれ……」

竜騎士「ホットケェキ?」

風竜「ふにゃぁっ!?」ズドォォン

竜騎士「……っ 風竜様、天井に穴が開きます」

風竜「す、すまんってそち! いつからおった!」

竜騎士「つい先程です」

ちなみに狐娘のssも見ています 人外好きとしては見落とせない
こっち見るより先に目を通して どうぞ

風竜「……のぉ、我は何か妙な事を口走っとらんかったか?」

竜騎士「いえ、しかし先程『ホットケェキ』たる言葉を口にしまして」

風竜「ホットケーキ!?」パァッ

竜騎士「そう言っただけです」

風竜「なんじゃ、そうか……」シオーン

竜騎士「………」

風竜「ホットケーキ……ああホットケーキ……」ブツブツ

竜騎士「して風竜様、そのホットケーキとは一体」

風竜「食べ物じゃ、ケーキで分かろうも」

竜騎士「ははぁ……そのホットケーキは食べ物なのですか」

風竜「然様じゃ、こう甘くてな? ふんわりとこう……堪らんのぅ 堪らんのぅ!」バッサァッ

竜騎士「風竜様、そんなに暴れられては」

司祭「どうなされましたか風竜様ぁ!」

風竜「む、むむっ」アセアセ

司祭「はて、竜騎士殿……如何なされたのでしょうか」

竜騎士「大した事ではない」チラッ

風竜「………」アセッ

竜騎士「風竜様が自信の武勇伝を語っておられてな、それで興が乗っただけだ」

司祭「ははぁ! 風竜様の武勇伝と……それはそれは」

風竜「うむ、あの時は我も若かったからの」シャキッ

司祭「それならば納得もいきますな、この儂も昔は千切っては投げ千切っては投げ……」

風竜「はっはっは、よく覚えておるぞ司祭よ あの頃は貴様も筋骨隆々としておったな」

司祭「若い頃を思い出すと恥ずかしくなりますな、若気の至りと言いますか」テレテレ

風竜「よい、よい 若いうちは恥ずべきことも多くするもの、あとで笑い話になれば儲けものぞ」

司祭「まったくですな、では失礼しまして」

風竜「うむ」

風竜「………」

竜騎士「………」

風竜「そのなんだ……すまんな」

竜騎士「当然の事をしたまでです」

風竜「にくいのぉ」

竜騎士「光栄の極み」

風竜「そのなんだ、ホットケーキの事じゃがな」

竜騎士「望みとあらば今からでも料理人に指示を出しますが」

風竜「良いのだ、今となってはもう食えんのだから」

竜騎士「……はい?」

風竜「ホットケーキのレシピを知る者はな、その昔に居なくなってしもうてな……」

竜騎士「………」

風竜「三百年前の大乱じゃった、国土の大半が焼けてしまってな……」

竜騎士「雷龍領と戦った時ですな」

風竜「然様、その時に料理人も居なくなってしまった」

竜騎士「むむ……しかし レシピぐらいは残っていそうなものですが」

風竜「復興には五十年もかかった、その間は苦しい時代が続いた」

竜騎士「………」

風竜「まともな食事は作れず、芋や草が主食じゃった 復興が終わった時には世代が変わっておった」

竜騎士「なるほど、作り方を覚えている者は居なくなっていたと」

風竜「うむ、最早その時ホットケーキは過去の物となったのじゃ……だからもう作れんじゃろう」

竜騎士「………」

風竜「すまんのぉ、湿っぽい話をしてしまって」

竜騎士「なにを仰いますか、風竜様の言葉は歴史そのものなのです 紛う事の無い唯一絶対の歴史ですぞ」

風竜「うむ、なにせ全てを見てきておるからな」

竜騎士「貴重な話、ありがとうございます」

風竜「……もう遅いじゃろう、寝るといい」

竜騎士「はっ」

竜騎士「その前に、これを」スッ

風竜「ふむ……今宵は妙な形の花を送るな しかも白い」

竜騎士「オダマキの花です、風竜様に似合うと思いまして出来るだけ大きいものを」

風竜「ふふ、口が上手いのぉ そちは」

竜騎士「勿体なきお言葉、それでは失礼して」カッカッ

風竜「………」

風竜「……ふぅぅ」シュゴォォ…

◆ 調理場 ◆

料理長「ホットケーキ、ですか」

竜騎士「そうだ、ホットケーキだ」

料理長「聞いたことがありませんな」

竜騎士「遥か数百年前にあったレシピと聞くからな」

料理長「ふむ……想像もつかんですな」

竜騎士「何としてもホットケーキを作ってもらいたい、なんとしてもだ」

料理長「なんとしても?」

竜騎士「なんとしてもだ」

料理長「無茶を仰るな、竜騎士殿も」

竜騎士「これは私の為ではない、風竜殿への貢物である」

料理長「なにっ!?」ガタッ

竜騎士「今言った通りだ、嘘はない」

料理長「すると、そのホットケーキたるものは……」

竜騎士「うむ、風竜様は夢の中で口にするほどそれをご所望である」

料理長「なんと!」

竜騎士「もうあれが食せぬと分かり非常に落ち込んでいられたのだぞ」

料理長「むむ……むむっ それは由々しき事態」

竜騎士「然様である」

竜騎士「竜騎士の位を預かる身としてはなんとしてもホットケーキをお出しせねばならぬ、それはそちらとて同じであろう」

料理長「はっ、王宮料理長を拝命しているからには何としてもその料理を再現せねばなりますまいて」

竜騎士「ならば、すべきことは一つ」

料理長「王宮書庫を隈なく探させましょう」

竜騎士「こちらは諜報部にも依頼を出しておこう」

料理長「忙しくなりますな」

竜騎士「これも風竜様の為ぞ」

料理長「この料理長、必ずやホットケーキを作って見せましょう」

竜騎士「我が国一番の貴君の腕、存分に振るってもらおう」

◆ 竜宮 ◆

風竜「のぉ」

竜騎士「はて、なんでしょう」

風竜「最近どうにも騒がしくないかの?」

竜騎士「そうでしょうか? 私にはいつも通りに思えますが」

風竜「うむ……どれもこれも落ち着かんと言うか 慌ただしいと言うか」

竜騎士「心当たりがありませんな」

風竜「本当にか?」

竜騎士「ええ」

風竜「……むぅ」

竜騎士「なにか嫌な予感でも?」

風竜「いや、そんなものではないのだが」

竜騎士「ならば問題はないでしょう、風竜様の勘は絶対ですからな」

風竜「……むむっ むぅぅ……」

書きたい時に書く ネタが尽きたら寝る ( ?ω?)スヤァ
無理矢理書いても欲望が足りない 人外愛が足りない 欲望が足りん

風竜様は外見は完全な竜です 思考が人間ちっくな所があるぐらい


ちなみにこの話は 
某ゲームで最初完全に結婚できると思ってたドラゴン(可愛い)に恒例のバグでフラグが建たない事へ憤慨した完全な自己満足です

ちなみにそのゲームは使用するのが男主人公にも拘らず好感度を上げると男からもフラグを漂わせる発言が聞けたり
モブ(男)から「可愛い顔だね ちょっとお茶しない?」とか言われたり「男だろうと関係ないさ!」とか言われたり
挙句の果てには見た目だけでも性別変更出来る為 女主人公の見た目を男主人公に変えて男×男が出来てしまうなどの不具合があり

だがしかし、誰がどう見てもメインヒロインであるドラゴンにはフラグが建たない 何をしても建たない
好物をあげても好意的な選択肢を選んでもカンストするまで好感度を上げても建たない

理不尽極まりないバグに憤り「なんなら書いてしまえばよい」と思っただけです。
そのゲームが分かる人は握手してください 家に来て私を××××してもいいです。

( ?ω?)スヤァ

有名メーカーから発売されてるシリーズものです ちなDS
微ヤンデレショタ(ホモ) ガチムチ兄貴(ホモ) ツンデレ(ホモ) 執事(ホモ) オラオラ系(ホモ)等凄いピンナップ
でもメインヒロインはどう見てもドラゴン(超絶可愛い) なんで攻略できないんですかねぇ

思い浮かんだのはカブ神様の出るゲームの4作目かな?

>>100 正解です このスーパーセルザちゃん人形をどうぞ

竜騎士「……む」ムクリ

竜騎士「うむ……本日も良い朝だ、風も良い」

竜騎士「これもひとえに風竜様のお力であろう」コクコク

竜騎士「さて、早速身支度を整えるとするか」チャカチャカ

◆ 花屋 ◆

花屋の娘「はぁ……今日はあのお方、いらっしゃるかしら」

花屋の主人「あんた、気の抜けた顔してんじゃないの!」バシンッ

娘「あいたっ、ちょっとお母さん! いきなり叩かないでよ!」

主人「恋にうつつを抜かすのは良いけどね、商売に影響出しちゃいけないよ!」

娘「もう、分かってるってば!」

主人「あんたにゃ商売人としての気概が足りないよ!」

娘「なによ、それに恋だなんてそんな……」ブツブツ

主人「こちとら昔は乙女だったんだよ、あんたの気持ちぐらい分かるっ!」

娘「なによぅ、偉そうに」

主人「竜騎士様だろう?」ニヤニヤ

娘「なっ、なぁっ!?」カァァッ

主人「あたしゃ知ってるんだからね? あんたが竜騎士様が来るたびにちらちら見てることをさ」

娘「なっ……ななっ……」

主人「分かり易く頬なんて染めちゃってさ、一緒前に色気づいてるじゃないの」バンバンッ

娘「かっ、からかわないでよっ!」

主人「からかっちゃいないさ、あんだけ小さかったあんたが随分でかくなっちゃってまぁまぁ……」ナデナデ

娘「………」プイッ

主人「あれま、からかいすぎちゃったかい?」

娘「むぅ……っ!」プイッ

カラカラ

主人「あら、いらっしゃい!」

竜騎士「ご主人、あいも変わらず早いな」

主人「これでも商売人ですものさ、当然!」カラカラ

竜騎士「ふむ……今日はどの花にするべきか……」

娘「そっ、それでしたら竜騎士様!」ソソクサ

主人(あれま、私は出ない方がよさそうかね)

竜騎士「む、お勧めを教えていただけるか?」

娘「勿論です!」キラキラ

主人「………」

主人(竜騎士様……やっぱりいい男じゃないの、顔も良くて器量も良い)

娘「この花はですね、隣国より分けて頂いた花を……」

竜騎士「ふむふむ」

主人(おまけに強くて誰にでも優しい、妻になったからにゃ玉の輿さね)

娘「あ、あのっ! この花なんてどうでしょうか?」

竜騎士「ほぉ、こちらは色が良いな」

主人(勿論そればっかじゃないけど……親としちゃ娘をとつがせるにはこれ以上ない男さね、でもねぇ……)

娘「竜騎士様は本当に花が好きなのですね」

竜騎士「む、まあそうだな……そうだ」フッ

主人(あの反応……どう見ても『居る』ねぇ)

娘「竜騎士様は、普段花をどのように?」

竜騎士「家に飾ったり……そんなところか」

娘「まあ!」

主人(あの反応……確実に誰かへの贈り物にしてるねぇ 気付かないあの子もあの子だけど)

竜騎士「……この花が良いかもしれんな」

娘「その花にしますか?」

竜騎士「ん、ああ……気に入った」

主人(それもただの関係じゃない……あの顔、確実に想い人だねぇ)

竜騎士「ちなみにこの花の名は?」

娘「スミレって言います、名前にも付けられるんですよ」

竜騎士「名前も美しいな……気に入った」

主人(言うべきか……いや、子供に対してお節介だね それもあの子の成長につながるだろうね)

◆ 竜宮 ◆

風竜「スミレか、確か東の方でつけられている名前らしいのぉ」

竜騎士「然様ですか、東と言えば……」

風竜「あの炎竜の所じゃな」

竜騎士「どうにで聞き覚えがあると思いました」

風竜「確か先代の炎竜騎士の名がスミレじゃった」

竜騎士「面白い事もあるものです」

風竜「いやはや、全くじゃな」

風竜「しかし、そちは言っておるのか?」

竜騎士「なにがでしょう」

風竜「そちが買っている花は我への貢物だと……言っておるか?」

竜騎士「そんな訳ないでしょう、そんな事を言えば大騒ぎですよ」

風竜「そうよなぁ……多少気がかりじゃった」

竜騎士「当然です」

竜騎士「本来であれば竜への供物は相応の段階を経て行われるもの……竜騎士や司祭、王族は別ですがな」

風竜「不便ではあるのじゃがの、気持ちはありがたいのじゃが」

竜騎士「なりませんな、誰からでも自由に送れるようになれば毒を混ぜる輩がいるやもしれませぬ」

風竜「毒で死ぬような柔い体はしていないがな」

竜騎士「問題は『毒を食した』事ではございません『毒を混ぜた輩がいる』事が問題なのです」

風竜「……自分で言うのもなんじゃが、確かにのぉ」

竜騎士「その国に一体の竜は国の誇りであり国の象徴、いや国そのものなのです」

風竜「なんだかむず痒いわい、そう改めて言われると」

竜騎士「それに対して毒を混ぜる……それ即ち国全てを侮辱し侮蔑しているのと同義、決して許されることはございません!」

竜騎士「しかしながら、それを行ったのがこの領土の者であれば一族郎党獄門及びに晒し首にすれば済む話」

風竜「随分物騒な話じゃのぉ」

竜騎士「それぐらいやっても問題はないのです、問題はそうではない場合」

風竜「……他領土の者が下手人だった場合だの?」

竜騎士「そうです、例えそれが単独犯であろうとも「他領土の民」である時点で事態は最悪の展開を迎えるでしょう」

風竜「確か、四百年前北の方であった大乱もそのような始まりじゃったな」

竜騎士「例え単独だったとしても、どの様な意図が在れど、他国の竜に危害を加えようとしたならば行われるのは一つ」

風竜「戦争、じゃな」

竜騎士「それも国の威信をかけた大戦争、ありとあらゆる国々を巻き込む大戦です」

風竜「難儀なものじゃ……」

竜騎士「それほど竜の及ぼす影響は強い、理解されている事は承知ですが」

風竜「………」

竜騎士「むろん大戦なぞ起こらぬ方が良いのです、それも一個人の迂闊な行動によるものなぞ」

風竜「だからこそ、厳しい規制が掛かっている訳じゃな」

竜騎士「然様でございます、極一部の者しか風竜様に関われないのは余計な火の粉を避ける為……納得していただきたい」

風竜「我こそすまなんだ、そちらに気苦労を掛けるな」

竜騎士「勿体なきお言葉です」ペコリ

風竜「いやしかし、そちが花屋に本当の事を伝えられんのは分かったが……」

竜騎士「なにか?」

風竜「……そち、ではどうして花を買うのか聞いた時になんと答えているのじゃ?」

竜騎士「いえ、普通に」

風竜「普通に?」

竜騎士「家に飾っていると」

風竜「………は?」

竜騎士「なにか」

風竜「そちが、家に?」

竜騎士「家にです」

風竜「なにを飾っておると?」

竜騎士「花です」

風竜「家に、花を飾っておると?」

竜騎士「はい」

風竜「………」プクーッ

竜騎士「どうなされました、そんな風船のように頬を膨らませて」

風竜「――っ、ふぅ……っ」ワナワナ

竜騎士「あまり揺れないでください、ぐらぐらしてます」

風竜「…………っ、くくっ、くくくっ」ワナワナワナ

竜騎士「一体いかがしたのですか?」イラッ

風竜「ぶっ……はぁーっ! あっはっはっは!」ドォォォン

竜騎士「おわぁっ!?」キーン

風竜「ひぃっ……ひっ、くるしっ、息がくるしぃ……っ」バタンバタン

竜騎士(耳が、風竜様の笑い声で耳が!)

風竜「そちが? 家に花を飾っておる? そちが!?」ワナワナワナ

竜騎士(鼻息で飛ばされそうだ!)ガタガタガタガタ

風竜「はぁ……はぁっ……それは反則じゃ……卑怯じゃ」

竜騎士「風竜様、何も聞こえません」ジーン

風竜「いやすまん、すまん……ひっ」クスクスッ

竜騎士「なにがあったのですか、何が起こったのですか」

風竜「いやなに、あんまりにも傑作でな、ついつい……」

竜騎士「そんなに似合いませんか」

風竜「いやいや、まさかそんな言い訳をするとは思わなんだ」

竜騎士「真意を隠すためならば、無論それが最も良い言い訳でしょう」

風竜「国一番の騎士が花を愛でる、のぉ……」

竜騎士「なにか?」

風竜「……案外似合うではないか」

竜騎士「褒められているのでしょうか」

風竜「無論褒めておる」

竜騎士「意外ですね、女々しいとか言われると思いました」

風竜「心外な事を言う、風竜ともあろう者が自然を愛でる者を馬鹿にするものか」

竜騎士「それは……失礼しました」

風竜「そもそも女々しいとか、そういった性別を区別する言葉は人間がするもの 竜にとって貴様らは皆人間ひとくくりよ」

竜騎士「スケールの大きなことで」

風竜「人間が小さいのじゃ!」

風竜「女と言えど一騎当千の強者は居た、男と言えど優しき心を持つ者も居た、それは侮蔑する事ではないぞ」

竜騎士(そう言えば、風竜様はそういった区別を嫌っておられた)

風竜「だからの、なにもおかしい事は無いのじゃ」

竜騎士「では風竜様」

風竜「なんじゃ?」

竜騎士「先程は何故あそこまでの大爆笑を」

風竜「………ぷっ」

竜騎士「風竜様!?」

風竜「気にするでない、気にするでないぞ」

竜騎士「ははぁ、では私はこれで……しかし妙ですね」

風竜「なにがじゃ?」

竜騎士「あそこまで大きな笑い声をあげれば司祭殿がやってきそうな気がしますが」

風竜「そう言えば……そうじゃの」

竜騎士「……まさか!」バッ

司祭「……ううむ、星が見える……」チーン

竜騎士「おお、なんとおいたわしい……」

司祭「あれは……婆さん!? まっていなさい、今逝くぞ!」

竜騎士「それ以上はいけない 司祭殿、それ以上はいけない!」ユサユサユサユサ

司祭「おお、時が、時が見える……」

竜騎士(その後、この一件は未解決の大音響事件と言った形で収まった)

風竜「ふぁぁ……眠いのぉ」シュゴォォッ

竜騎士(欠伸をするたびにこの……っ 踏ん張らねばならない 流石は竜だ)

風竜「最近は日差しも暖かくついつい眠たく……」

竜騎士(だが、やはり)

風竜「……むにゃむにゃ」スゥゥゥ

竜騎士(この方は、可愛らしい)

理解されなくても良い 擬人化じゃない人外にも浪漫はあると思う

あってください あって( ?ω?)スヤァ

◆ 竜騎士の家 ◆

竜騎士「………」

コンコン コンコン

竜騎士「来たか」ガチャッ

新米騎士「はっ! 竜騎士殿の呼び出しを受け参上しましたっ!」ビシィッ

竜騎士「うむ、家に入るといい」

新米騎士「よっ、よろしいのでしょうか!?」

竜騎士「ああ」カツカツ

新米騎士(こっ、ここがかの高名な竜騎士様の家……自分の様な者が入っても良いのだろうか……!?)

竜騎士「硬くならなくても良い……とはまあ、難しいだろうがな」

新米騎士「す、すみません……」

竜騎士「気に病むな、今日はお前の懲罰等ではないのだから出来るだけ楽にするといい」

新米騎士「はっ!」

竜騎士「今回お前を呼んだのはだ、試験の意味合いもある」

新米騎士「試験……ですか?」ピシッ

竜騎士「我々は何の為に居る?」

新米騎士「はっ! 風竜様の身辺を警備し、有事の際に風竜様に尽くすことであります!」

竜騎士「然様、国の……王族の為にある『兵士団』と竜の為にある『騎士団』の双璧によって軍隊は仕切られている」

新米騎士「兵士団のトップが『兵士団長』、騎士団のトップが『竜騎士』であります!」

竜騎士「その通りだ」

竜騎士「一つの国には一体の竜、これは前提である」

新米騎士「いかに優れ発展した場所であろうとそこに竜が居なければ国としては認められないのでありますな」

竜騎士「然様、逆にどれだけ寂れていようともそこに龍が居ればそこは国として認められるのだ」

新米騎士「南にある大樹海の奥には人が一人しか居ない国があると言いますが……」

竜騎士「無論そこも国だ、例外はいかなる理由でも認められん」

新米騎士「当たり前ですな」

竜騎士「そうだ」

新米騎士「しかしながら、時折『竜の討伐』なる任務がありますが……」

竜騎士「そこだ、最近の者はその違いが分かっていないので戸惑うだろう」

新米騎士「は、はっ」

竜騎士「各地で暴れまわっている竜と、国の礎である竜はまったく異なるのだ」

新米騎士「そうなのでありますか?」

竜騎士「そうだ」

竜騎士「『遥か昔、神はまず始めに三体の竜を造った』――神話の第一章だ」

新米騎士「神話!」

竜騎士「『大地を統べる地竜 大海を統べる海竜 大自然を統べる風竜を造った後、神は三日の休息を取った』」

新米騎士「まさか、最後の一体が……?」

竜騎士「然様、我々が住むこの地は最古の王国の一つなのだ」

新米騎士「おお……恥ずかしながら、知りませんでした」

竜騎士「自らの国の成り立ち程度は調べておけ」

新米騎士「肝に銘じます!」ビシッ

竜騎士「この時造られた三体の竜、そしてそこから生まれた竜――それらは『神竜』と呼ばれる」

新米騎士「国そのものであるのは『神竜』のみでありますか」

竜騎士「然様、そこらに居る野良竜は悪神が神竜の出来栄えに嫉妬し、模造した出来損ない……そう言われている」

新米騎士「なるほど」

竜騎士「よって、我々がそういった悪事を働く竜を討滅する事は寧ろ神竜の威光を護るためにも必要な事なのだ」

新米騎士「なるほど……」

竜騎士「どうにもそこを分からずにいる者が多い、今回呼んだのはそういった事を伝えるためでもある」

新米騎士「確か同僚も竜騎士様の家へと呼ばれたとか、それはつまり」

竜騎士「うむ、新顔にはこうして一対一で話す機会を設ける事にしているのだ、顔なじみのない上官よりも少しでも知っていた方が良いだろう」

新米騎士「お気遣い感謝いたします!」ビシッ

竜騎士「そういった理由もある、今日は好きな事を聞くといい」

新米騎士「はっ!」

新米騎士(しかし、竜騎士殿の家は何というか……その、壁に大量に飾られた武具がな)

竜騎士「ああ、そこの武器に興味があるか」

新米騎士「えっ、どうしてお分かりに!?」

竜騎士「皆そこに気を取られるからだ」

新米騎士「は、はぁ……」

竜騎士「それらはまあ、趣味の様なものだ」

新米騎士「趣味」

竜騎士「様々な武器を使ってみる事もまた面白い、まあ一番得意な得物は決まっているのだが」

新米騎士「槍、ですね?」

竜騎士「ほぉ、良く知ってるじゃないか」

新米騎士「いえ、それ程でも」

竜騎士「戦場ではいつも剣を振るっているからな、良く間違えられるのだ」

新米騎士「あはは……先輩から聞いたのです、竜騎士様は槍の名手だと」

竜騎士「確かにそうだ、だが槍は騎乗兵等が使うもの、一対一ならともかく多数対多数ならば槍は不便だ」

新米騎士「自由に振れる空間が無いと槍は効力を発揮しないですからね」

竜騎士「よく知っているな」

新米騎士「齧っているのです、齧っただけですが……まあ」

竜騎士「齧っただけでも良い、間合いや長所と短所、知っておいて損はない」

新米騎士「はっ」

竜騎士「他に聞きたい事はないか?」

新米騎士「そ、そうですね……」キョロキョロ

竜騎士「無理に探さなくても良いのだがな」

新米騎士(……ん?)

竜騎士「どうした?」

新米騎士「いえ、あそこに一本飾られてる槍」

竜騎士「ああ、これか」

新米騎士「一番大事に飾られているのですが……」

竜騎士「そうだな、これは私にとって最も大事な武器だ」

新米騎士(ただの槍に見えるが……)

竜騎士「これはな、私が風竜様に最初に賜った武器だ」

新米騎士「風竜様に……ってええっ!?」

竜騎士「ほぼ唯一と言ってもよい、だからこそ大事なのだ」

新米騎士「それは確かに、凄い槍なのですね」

竜騎士「ああ、何の効果も無いと風竜様は言っていたがな」

新米騎士「何の効果も無い?」

竜騎士「力が宿っている訳でもない、強くも無い、ただ普通の槍だ」

新米騎士「本当に、何の力も宿っていないのですか?」

竜騎士「あの方が直々に言っていたのだ、そうなのだろう」

新米騎士「ははぁ……しかし、どうしてそんなものを」

竜騎士「……あれは、私がまだ竜騎士になったばかりの頃だったな」

■    ■

竜騎士「………」カチカチ

風竜「………ふむ」

竜騎士「な、なんでしょうか」

風竜「そち、武器は何を使う?」

竜騎士「ぶっ、武器ですか?」

風竜「然様、得意なものは何じゃ?」

竜騎士「どうしてそのような事を……」

風竜「そちは、我の言った事に一々理由を必要とするか?」

竜騎士「申し訳ありません」

風竜「では答えよ、そちはどのような武器を得意とす?」

竜騎士「……正直に言ってもよろしいでしょうか」

風竜「構わぬ、申せ」

竜騎士「自分は、槍が好きなのです」

風竜「槍? しかしそちはいつも剣術の鍛錬をしているではないか」

竜騎士「皆が剣を使うので私も……」

風竜「流されていると言う訳じゃな」

竜騎士「恥ずかしながら」

風竜「竜の騎士が他者に流される、自分を表せず怯える……よいのか?」

竜騎士「それは、そうですが……」

風竜「この風竜の騎士が、騎士の長が、誇りすら持てなくてよいのか?」

竜騎士「まだ、未熟なので」

風竜「貴様は、そうやって未熟だの仕方ないだの言って我が名を穢している事に気付かぬのか?」

竜騎士「……っ!」

風竜「竜の騎士が他者に一々怯え、自分を出せず……それが我の落ち度に繋がる事に気付いているのか?」

竜騎士「……っ」

風竜「答えよ人間、貴様それでのうのうと生きていられるのか?」ビキビキッ

竜騎士「申し訳、ありません」

風竜「ふん……よく覚えておけ、貴様が背負っている竜騎士の称号は我が名も同然である事をな」

竜騎士「はっ」

風竜(……いかんな、これはいかんな)

竜騎士「風竜様、私は竜騎士で良いのでしょうか? こんな未熟者が……」

風竜(緊張しているこやつをほぐそうとして、かえって逆効果になってしまうとは思わなんだ)

竜騎士「風竜様?」

風竜(う、ううむ……いかにすべきか、もっとこやつに自信をつけさせねば)

竜騎士「やはり自分は……」

風竜「くどいわっ!」ゴォッ

竜騎士「ひっ!?」ビクッ

風竜「よく聞け、『相応しくない』と思うのならばな『相応しい』と思えるように努力せよ、めそめそするでない!」

竜騎士「………」

風竜「そちは我が騎士、それは我が相応しいと思ったからぞ! ならばその期待に応えよっ!」

竜騎士「………」フルフル

風竜(いかんな、どうにも問いただしてしまう……! これではまた逆効果ではないか!)

竜騎士「風竜様」

風竜「なんじゃ」

竜騎士「今の激励……目が覚めました」キッ

風竜(ほぉ……やはり、いい顔をするわい)

竜騎士「私は貴方に相応しい騎士になりましょう、それが私の出来る最大の報恩です」

風竜「少しは、成長した様じゃな」

竜騎士「はっ、ありがたきお言葉」ガシャッ

風竜「ならば、この槍を持て」スゥ

竜騎士「これは……? 一見してただの槍のようですが」

風竜「ただの槍のようではない、ただの槍じゃ」

竜騎士「はぁ」

風竜「何の効果も無い、何の力も無い、一般兵が持つのと同じ槍じゃ」

竜騎士「ならばなぜ、これを……」

風竜「ただの槍じゃがな、今この瞬間にこれは『私からそちに贈った槍』になった訳じゃ」

竜騎士「………っ!!」

風竜「この意味わかったならば、精進せい」

竜騎士「肝に銘じて、必ずや!」バッ

風竜(しかしよかった、これで我とこやつは多少でも距離が縮まったかの)

竜騎士「風竜様、いつか私の槍を披露しますので是非ご覧ください」

風竜「うむ、期待しておるぞ」

竜騎士「はっ!」

風竜(やはりの、竜騎士との距離感があると……つらいからの)

□   □

新米騎士「そんな事が……」

竜騎士「ああ、私にとってこの槍は最も重要な武器だ」

新米騎士(羨ましいものだな)

竜騎士「あの時の事が無ければ私は挫けていだだろう、本当にな」

新米騎士(多くの竜騎士と触れ合ってきた風竜様だからこそ、分かる事なのだろうな)

寿命差ネタは良いよね 儚い感じがしてね
バットエンドって思う人が多いけど 長く生きる方はそれなりの覚悟が出来てると思うんだよね
ネタ切れが著しくて( ?ω?)スヤァ

風竜「のぉ、そち」

竜騎士「なんでしょう」

風竜「ちと、笑ってみぃ」

竜騎士「なぜでしょう」

風竜「理由なぞ良いのじゃ! はよ笑えい!」クワッ

竜騎士「……ええ、まあ……その程度なら」

風竜「………はよ」ウズウズ

竜騎士「ぬ……ぬぅ」

風竜「どうしたのじゃ、よもや笑うことが出来んとは申すまい」

竜騎士「いや、しかしですね」

風竜「なんじゃ」

竜騎士(風竜様に向ける笑顔と考えると、上手く出来ん……!)

風竜「はよぉ、はよぉ」ウズウズウズ

竜騎士(おお竜騎士よ情けない奴め、風竜様の期待にも応えられんとは!)

風竜「どうした? どうかしたのか?」

竜騎士(ええい、ままよ!)ニコォッ

風竜「………」

竜騎士(……どうだ?)

風竜「………」ジーッ

竜騎士「……風竜様?」ニコッ

風竜「………」ジィーッ

竜騎士「そろそろやめてもよろしいでしょうか」ニコォッ

風竜「………」

竜騎士「……風竜様?」スッ

風竜「……はっ!」

竜騎士「どうしました」

風竜「やはり貴様は……あれじゃの」

竜騎士「はい」

風竜「むかつく程爽やかな笑顔じゃの」

竜騎士「いきなりひどい事言いますね貴方は」

風竜「巷でそちは人気らしいが……なるほどのぉ」

竜騎士「ははぁ」

風竜「そちがなぜそれほどまで人気かと思ったが、あれを見れば納得できるというもの」

竜騎士「褒められているのでしょうか それは」

風竜「無論褒めておる!」

竜騎士「ははぁ……」

風竜(困ったわい……まったく)

竜騎士「風竜様、では私からも頼みが」

風竜(我ともあろう者がついつい見とれるなぞ……これでは人間の女と変わらんではないか)

竜騎士「風竜様?」

風竜(しかし、中々に男前であるな これならばよい嫁も見つけるじゃろう……寂しくなぞないわい)

竜騎士「……えい」ソワッ

風竜「ひやぁぁんっ!? そ、そそっ、そち! 尻尾はやめんか!」

竜騎士「しかし、こうしないと気付いてもらえそうになかったので」

風竜「して……なんじゃ、何用じゃ」

竜騎士「えい、風竜様も笑っていただこうかと」

風竜「……笑う? 我が?」

竜騎士「然様です、それとも嫌だと?」

風竜「いや、その……いやではないが」

竜騎士「では何を遠慮するのです、さあさあ」

風竜「うむ……うぬぬ……」

竜騎士「それともどうしても出来ぬ理由でも?」

風竜「ええい! そこまで言われたからには引くわけにはいかぬ!」

竜騎士「ありがとうございます」

風竜「なにか馬鹿にされているような気がするのじゃが」

竜騎士「気のせいでしょう」

風竜「では、心してみよ」

竜騎士「はい」

風竜「……くわぁっ!」ニィィッ

竜騎士「おわっ!?」

風竜(どうじゃ、竜の笑みなぞ凄まじ過ぎて声も上がるまい)

竜騎士「大変可愛らしいですね、ええ」

風竜「そうじゃろうそうじゃろう……って可愛い!?」

竜騎士「ええ」

風竜「……いやいや、これが?」ニンマァァ

竜騎士「そうですが」

風竜「………」

竜騎士「どうかされましたか」

風竜「いや、どうってその……なぁ?」

竜騎士「ははぁ」

風竜「……ふーむ」

竜騎士「もしや、私が信じられないと?」

風竜「そんなことはないが」

竜騎士「ならば私の申し上げた事が誠の事であると分かるはずです」

風竜「お、おお……」タジタジ

竜騎士「それとも本当に私の事が」

風竜「信じる! 信じるとも!」

竜騎士「光栄です」

風竜「竜騎士よ」

竜騎士「はい」

風竜「そちは……変わり者じゃのぉ」

竜騎士「そうでしょうか」

風竜「そうじゃ」

竜騎士「不本意です」

風竜「いいや、十分変わり者じゃ」

竜騎士「だったら風竜様も変わりものです」

風竜「なぜにそうなる」

竜騎士「頻りに自らの容姿を気になさる」

風竜「ぶっふぉっ!?」ビュォォッ

竜騎士「違いますか」

風竜「そっ、そそそ……そち、どこでそれを」

竜騎士「それは二週間前の事でした」

◇  ◇  ◇

竜騎士(ううむ……どうするべきか……)

竜騎士(西方の地より伝わったこの装飾具、『かちゅぅしゃ』だが、是非ともこれを風竜様に)

竜騎士(しかしながら風竜様は非常に大きなお方……いかにすべきか)

竜騎士「これは由々しき問題……んっ?」

風竜「………むぅ」

竜騎士(風竜様はなにかに悩んでおられる、私の勘がそう告げている!)

風竜「ここをこう……こうか?」

竜騎士(本来ならばここで私が出ていって悩みを聞くべきなのだろうが……)

風竜「ふぅむ……中々難しいものじゃ」

竜騎士(竜は長年生きる種族、人に理解出来ぬ悩みもある……どうすべきか)

風竜「解し難いものじゃな……『きゅぅてぃくる』は……」

竜騎士(『きゅぅてぃくる』!?)

竜騎士(『きゅぅてぃくる』……一体如何なる物なのだろう、風竜様すらも解せぬ事とは)

風竜「中々に難しいが、これをますたぁしなければあいつの心は射とめられん」

竜騎士(何っ!?)

風竜「雄を射とめるには雌の魅力……なるほどのぉ」

竜騎士(ははぁ成程、『きゅぅてぃくる』とは……了解したぞ)

風竜「やっぱり睫毛か? それとも鬣か!?」

竜騎士(そっとしておくことにしよう)

◆  ◆  ◆

竜騎士「と言う事がありまして」

風竜「忘れよ」

竜騎士「はぁ」

風竜「忘れよ、今すぐに一切の事を頭から抹消せよ」

竜騎士「難しい事ですな」

風竜「そちは竜騎士ぞ、出来る筈じゃ」

竜騎士(そんな力は無い筈だが)

風竜「出来ねば我がやる、物理的に」

竜騎士「忘れましょう」

風竜「よかった、我とてお前を失いたくはない」

竜騎士「私も貴方に殺されたくはない」

風竜「そうじゃろう、人は皆死にたくは無い筈」

竜騎士「いえ、そうではありません」

風竜「はて、ではなんじゃ?」

竜騎士「私は、一時でも長く貴方の竜騎士で居たいので」

風竜「………」

竜騎士「風竜様?」

風竜「………」

◇    ◆

竜騎士「風竜様に追い出されてしまった」

同僚A「どうした?」

竜騎士「なんでもない」

同僚A「じゃ、これから飯を食いにいくか……近くに焼肉屋がだな」

竜騎士「ほぉ……それは魅力的な誘いだな」

同僚A「だろう? 早速行こうじゃないか」

竜騎士「ああ、頼んだ」

竜騎士(あの時風竜様が容姿を気にしていたのは、あの方のつがいの為だろう)

竜騎士(その為にあそこまで悩んで、苦労して)

竜騎士(そこまでされる相手を考えると……)

竜騎士「……嫉妬、してしまうな」

同僚A「ん? なんか言ったか?」

竜騎士「なにも」

◇   ◆

風竜「……はぁぁ……」

風竜(なんということじゃ……恥ずかしくて追い出してしまうとは)

風竜「……この花、野菊と言ったか」チラチラ

風竜「ふむ、中々良い」

風竜「………」

風竜(喩え容姿を磨いても、あやつは人で我は竜)

風竜(繋がることなぞ出来ぬ、思いを告げる事すら出来ぬ)

風竜(いつかあやつが婚約し、子を成したとしたら……)

風竜(我はただ、あやつを祝福しよう)

風竜「……笑顔、か」

―――大変可愛らしいです

風竜「……ふっ、ふふ」ニヘラッ

どの層に需要があるのか分からない
需要が無くても押し付けていくスタイル( ?ω?)スヤァ

カランコロン

花屋の娘「ありがとうございましたー!」

竜騎士「ああ、また来るよ」

花屋の娘「はいっ、竜騎士様……」ウットリ

竜騎士(ふふ、今日は珍しい形の花が仕入れられていたな……これもあの方に似合いそうだ)

竜騎士「カラスウリと言ったか、早速風竜様に捧げねばな」

竜騎士(あの方は花を送れば大変お喜びになる……いかんな、あの顔を思い出すたびに急ぎ足になってしまう)

竜騎士「はやく竜宮に行かねば」

◆ 竜宮 ◆

竜騎士「風竜様、私で……むっ?」

王「ははぁ、息災なようで何よりです」

風竜「うむ、お前も中々に健康そうでのぉ」

王「風竜様のお力ですな、この国が大安お蔭で私も然したる苦労をしませんでな」

風竜「はっはっは、見事に肥え太りおってのぉ?」ニヤニヤ

王「妻も子も、なにより民も恙なく暮らしておりますでな、このような体になってしまいましたわ!」ハッハッハ

風竜「どうじゃ、将来この国を継ぐ者は?」

王「うむ……それが難しい」

風竜「難しい?」

竜騎士(込みいった話になりそうだな、一旦引くか)

風竜「その前に……竜騎士! いつまでそこにおるか!」

王「なんですと?」

竜騎士(……やはり、ばれたか)

竜騎士「申し訳ありません風竜様と我が王よ、盗み聞く様になってしまいまして」スチャカッ

王「よい、よい……大方儂が居たから出にくかったのじゃろう」

風竜「気にせずとも良いのだがの」

竜騎士「気にしますとも」

風竜「『貴様』はいつもそうだの、細かいところで気を張り過ぎぞ」

竜騎士「はっ」

王「ふむ……しかし、竜騎士殿にも伝えた方が良かろうな」

風竜「世継ぎの事じゃな」

王「そのとおりですな、竜騎士殿も当然知っておろう?」

竜騎士「王のご子息は第一皇子と第一皇女、第二皇女ということならば」

王「うむ、生まれとしては皇子は二番目なのだが……王位継承権としてはあれになろう」

竜騎士「それが、いかがしましたか」

王「……ううむ、中々に難しくてな」

竜騎士「なにか」

王「あの子は産まれてから姉妹に挟まれておった、それならばよかったのだが……」

風竜「あの二人、中々に気が強いぞ?」

王「然様です、それに挟まれていたからかすっかり弱腰になってしまったのです」

風竜「お前が悪い」

竜騎士「王が悪い」

王「儂が悪いのは分かっております」

王「しかしこのままでは……自信の無いあの子が王となるのはあまりにも困難でしょう」

竜騎士「最悪の場合姉妹に傀儡化も十分あり得ると」

王「流石にそうならないとは思うが……可能性としては捨てきれん」

風竜「で、あ奴に何とかしてもらいたいと」

王「そうなのです」

風竜「竜騎士よ」

竜騎士「出来ませんよ、そんな事」

風竜「むむっ、我の言う事が聞けんのか」

竜騎士「聞くことは出来ます、実行は出来ませんが」

風竜「ふぅむ……」

竜騎士「いくら風竜様の騎士とはいえ、王族に口を出すことは出来ません」

竜騎士「王族と竜は不干渉、お互いに尊重はしても良いが往きすぎればバランスを失うのです」

風竜「それは知っているが……しかしだの」

王「良いのです風竜様」

風竜「良いのか?」

王「私がこうして話したのは将来的に暗雲が漂うかもしれん故、こちらとてそうはならぬよう尽力しております」

風竜「そうか……」

竜騎士「報告といった形ですね」

王「然様」

王「この国に安寧を齎すのが王の役目、暗君が訪れようものならばその時は……っ!」

竜騎士「王よ……」

風竜「……そちの願い、しかと聞き届けた」

王「ありがとうございます、風竜よ」

風竜「うむ」

王「しかし竜騎士殿、そちも変わらないようで何より」

竜騎士「変わらない?」

王「はっはっは、風竜様との仲だ!」

風竜「な゛っ!?」

竜騎士「どうかしました? 風竜様」

風竜「なっ、なななななんでもないわい!」

風竜(ばれたか!? ばれているのか!?)

王「はっはっは!」

竜騎士「王が楽しげで何よりです」

王「いやはや、竜騎士と竜の仲が良い国は安泰であるからな!」

竜騎士「それはまあ、確かに」

風竜(拙い……これは相当まずいわい)

風竜(なんだか知らんが非常にピンチじゃ……)

王「いやはや、竜騎士殿は風竜様に花を贈るとか」

竜騎士「……なぜそれを」

王「隠している理由は分かるが、儂とて御王族なのでな 司祭から聞いておるわ」

竜騎士「そうですか、ばれたわけではないのですね」ホッ

王「安心せい、そこまで愚かではないわ」

風竜「………」

王「むむっ、いかがされましたか風竜様」

風竜「ああいや、なんでもないのじゃ」

竜騎士「何か思う所などは」

風竜(このままではまずい……私の想いがばれているかもしれんじゃと!?)

竜騎士「何かあったら迷わず命じて下されば」

風竜「ああよいのじゃ、ちょっとうとうとしただけで」

風竜(いやしかし、王とて何気なく言ったのかもしれん)

王「竜騎士よ、前回の遠征では大活躍だったそうだな」

竜騎士「はっ、野良竜を3体仕留めまして」

王「大戦果だの、他国の王もお前の素質を羨んでおったぞ」

竜騎士「全て風竜様の力です」

王「お前の力でもあるだろうが」

竜騎士「いえ、風竜様が居なければ私程度 ただの人間ですから」

王「いやいや、お前の力も」

竜騎士「風竜様の力です」

王「そんな謙遜せずに」

竜騎士「風竜様が居なければ私なぞそこらでのたれ死んでます」

王(いかんせんこいつは融通が利かん、忠実なのは良い事だがの……硬いと言うか)

竜騎士「どうしました風竜様」

風竜「………」

風竜「のぉ、王よ」

王「何でしょう風竜様」

風竜「主は我とこやつの仲をどう見ておる?」

王「それは勿論……」

風竜(ここであれが我の勘違いであったとするならば……その時はなにもないが)

風竜(じゃが、ここでもしも気付いているような発言をすれば……その時はっ!)

王「それは勿論……」



――特別な仲でしょう

風竜「……っ!」

竜騎士「ッッッ!」

王「む? どうしました二人とも?」

風竜「いやいやなんでも無いのじゃ」

竜騎士「何でもありません王よ」

王「ならばよいが……」

風竜(やはり……気付いておったか!)

竜騎士(由々しき事態になった……)

風竜(恐らく竜騎士にはこの想いばれておらん)

竜騎士(隠し事が苦手な風竜様の事だ……気付いていないだろうが)

風竜(何としてもばれてはならん、例えそれが事故であっても口に出させる訳にはいかん!)

竜騎士(人の口には戸が立てられぬ……いずれはばれるッッ!)

王(なにか殺気立っておる――っ!?)

竜騎士(かくなる上は……)チャキ

風竜(今ここで……)ボォォッ…



竜騎士(殺るッッ!)

風竜(滅するっ……!)


王(なんだか知らないが命の危機を感じる!)

王「いやいや、なんだか知らんが”特別”というのはあくまで竜と竜騎士の関係ですぞ!?」

風竜「……へ」

竜騎士「……はぁ」

風竜(とするとなにか? 我はつい勘違いをしたのか?)

竜騎士(先走り過ぎたか……)

王「風竜様」

風竜「お、おお……知っておったとも! そんな事は知っておったとも!」カァァッ

◆    ◆

風竜「しかし、あやつの息子のぉ」

竜騎士「ご子息の事は心配ですが……何分王は優しいのですが、優しすぎるのです」

風竜「それは同意じゃ、王の中では格段に甘いぞ」

竜騎士「ははぁ……やはりですか」

風竜「人の上に立つ者はそれなりの狡猾さと冷酷さを持っていなければならん」

竜騎士「狡猾さと冷酷さ……ですか」

風竜「然様、どちらが欠けてもならぬのじゃ」

竜騎士「しかしながら、今は安寧ですが」

風竜「『今は』の、しかし聞いたじゃろう次の主君の事を」

竜騎士「……成程」

風竜「今のままでは将来国は傾きかねん……優しさが癌になる事もあるのじゃ」

竜騎士「……風竜様は」

風竜「うむ」

竜騎士「今まで見てこられたのですか?」

風竜「……うむ」

竜騎士「……然様、ですか」

風竜「忘れてはならぬよ、これは」

竜騎士「そうだ、忘れておりました」スッ

風竜「何じゃこの小さな花は」

竜騎士「イチゴの花です、畑に咲いていたので農家の方の許可を得て詰んでまいりました」

風竜「中々可愛らしい花じゃな」

竜騎士「気に入っていただけたようで何より」

風竜「しかしまぁ……特別な仲 のぉ」

竜騎士「確かに我々の関係ですね、特別」

風竜「なにを言うかと思えばたしかにのぉ、考えた事も無かったが」

竜騎士「生涯を捧げる制約ですからね」

風竜「……そうか」

竜騎士「そうですとも」

竜騎士(特別な仲、か)

風竜(特別な仲、のぉ)

竜騎士(確かに、我々の関係は全世界を探してもどこにもないだろう)

風竜(竜と人間の製薬は一代ごとの大事、確かに特別なのじゃ)

竜騎士(だが)

風竜(じゃが)

竜騎士(……私が求めているのは、もっと違う関係)

風竜(一代どころではない、この生涯すべてを捧げる様な……そんな)

竜騎士「……無理ですね」

風竜「無理、じゃのぉ」

途中で切れるのはネタが無いからです

ネタが ない

ネタ 寝た……( ?ω?)スヤァ


テンポ遅くてごめんよマイダーリン 寝ます

◆ 兵士宿舎 ◆

兵士A「なあ」

兵士B「ん?」

兵士A「今回の遠征、凄かったな」

兵士B「なにがだよ」

兵士A「いや、あの竜騎士様だよ」

兵士B「ああ……間近で見るとな、凄いなありゃ」

兵士A「ゴブリンだっけ」

兵士B「んだな、ゴブリンチーフも居たな」

兵士A「凄いよなぁ……人間よりもずっとでかいんだもん」

兵士B「頭ほどの棍棒持っててさ、あれで殴られたら……なぁ?」

兵士A「一瞬でお陀仏さ、ありゃ」

兵士B「おっかねえなぁ……」

兵士C「どしたよ」

兵士A「おう、竜騎士様の事だよ」

兵士C「あー……凄かったなぁ」

兵士B「おらは初めて見たがな、ありゃぁ英雄だわな」

兵士A「んだ、んだ」

兵士C「全くだなぁ」

■     □

ゴブリンA「……グルルル……」

ゴブリンB「シャァァッ!」バッバッ

竜騎士「……囲まれたか」

兵士A「も、もう駄目だぁ……」

兵士D「おっかぁ もうオラ死んじまうよぉ…!」

ゴブリンC「カッカッカ……」ガチガチ

ゴブリンチーフ「ブルルルルゥ……」ゴゴゴゴ

ゴブリンD「シャァァッ! カァァッ!」バヒュッバヒュッ

兵士B「ひぃぃっ!?」ビクッ

兵士C「何だあの化けもんは……竜騎士様の二倍、いやそれ以上の背じゃねえか……」

竜騎士「……五体か、こちらは守るべき者が四名……」

兵士A「竜騎士様!? 無茶です!」

ゴブリンチーフ「…………」ギロリ

竜騎士「…………」チャカッ

ゴブリンチーフ「………ブルルル……」ザッザッ

竜騎士「…………」ザッザッ

ゴブリンチーフ「……シャァァッ…シャァッ!」ピタッ

竜騎士「……来るか」ピタッ

ゴブリンチーフ「…………」ギロッ

竜騎士「…………」チャカッ

ゴブリンチーフ「………シャァァッ!」バッ

ゴブリン達「オォォオォォ!!」バババッ

兵士C「りゅ……竜騎士様ぁ!」

兵士A「ああっ、もうおしめえだぁ!」

>>58
あるけど出てないだけで、出します!多分!

竜騎士「……風竜様の威光に仇成す者よ…」チャッ

オークA「ゴォッ!」ブゥンッ

竜騎士「悪神より出でた邪悪なる者共よ……」サッ

オークB「オォォォッ!」ゴォッ

竜騎士「我が剣は即ち大いなる竜の牙」スゥッ

オークC「シャァァッ!!」ビュバッ

竜騎士「我が盾は即ち偉大なる竜の鱗!」ガキィィンッ

>>231 作品応援してますぞ

>>233 なぜかゴブリンがオークになってます 誤字です誤字

ゴブリンD「ヒルルル……ヒャァッッ!!」バヒッ

竜騎士「いざ、竜の力の前にて断罪の時まで待て!」ヒュゥッ!

ゴブリンチーフ「……ッッッ!!」

竜騎士「……どうした、貴様がこやつらの首魁であろう」

兵士A「すげえ……」

兵士C「瞬く間に四匹を……」

兵士B「あの太刀筋、見えなかったぞ!」

ゴブリンチーフ「………シュルルル……」ザッ

竜騎士「来い、風竜様の力が絶対である事を教えてやる」

ゴブリンチーフ「フシュッ、シャァァァッ!」ダダダダッ

竜騎士「っ……すぉぉぉぉっ!!!」

ゴブリンチーフ「オォオォォォオォォ!!」

竜騎士「チェストォォォ!!」



ザシュンッ

ゴブリンチーフ「…………」

竜騎士「………」

ゴブリンチーフ「……グ、ォ…ォォ……ッ」ドシャァッ

竜騎士「……ふぅ」

兵士D「りゅ、竜騎士様! ご無事で!?」

竜騎士「風竜様の前では他愛ない敵だったな」

□    ■

兵士A「いやぁ……な?」

兵士B「やっぱ竜騎士様はすげえ人だな」

兵士C「もう人間か分からねえなこりゃ!」

兵士B「あの人に弱点なんてあるのか?」

兵士A「ないだろうよぉ、竜騎士様だぞ?」

兵士D「でもよぉ、流石に風竜様には勝てないべ」

兵士C「ところがな? 噂によりゃ風竜様相手でも引かないで意見が言えるらしいぞ?」

兵士A「おっ、それはおいらも聞いた事があるべ」

兵士B「なんでも時々風竜様に強く言うことすらあるってなぁ」

兵士A「はぇー……やっぱり竜騎士様に弱点は無いんだな」

兵士B「んじゃ、生還を祝って何か食いに行くべ」

兵士C「奢りか?」

兵士A「おっしゃたんまり食ったる」

兵士B「馬鹿言え、そんなわけあるかい」

兵士D「ん? ありゃ竜騎士様でねえか?」

竜騎士「…………」

兵士A「おっ、そうだそうだ! おーい竜騎士様ぁー!」

竜騎士「………」

兵士C「今回はありがとうございやしたー!」

竜騎士「……むっ?」ピクッ

兵士B「おーい!」

竜騎士「ぬ、手を振られているならば振り返さねば」パタパタ

竜騎士(しかしどうするか、非常に困った)

竜騎士(風竜様への貢物……此度の遠征で活躍できたのはあの方の力故)

竜騎士(それが花では情けない、風竜の騎士かと品位を問われるだろうッッ!)

竜騎士(私への侮辱は良い、だが風竜様の顔に泥を塗る様ならもう腹を切る他はない)

竜騎士(どうするか……さてどうするか……)

イケメン 頭が良い チートレベルに強い 皆に慕われてる フラグメイカー 過去になにかあった

ここまでだとただのメアリースーだけど竜に片想いって着くだけで一気に残念な奴になる気がする

私だけ? そうなの? ………( ?ω?)スヤァ


P.S. 自分で言うのも本当にあれですがコメント下さいあとネタ下さい餓えています支援ありがてえですモチべががががが

( ?ω?)スヤァ

ペース遅いですけど許してください! なんでもはしませんけど!
リクアリシャス サブキャラも出していきたい いきたい(予定)
人間(身長180cm)と竜(建物の4階ほどの高さ)のラブハプニング……これもうわかんないね やるけどね

早漏な人は作者が前にここで書いてたssを教えておこうとしたけどURLわかんない
神娘がうんたらかんたらな奴書いてたのでよろしく!(なげやり

僅か4分で見つけられて草しか生えない
そうですそれです 人外萌えを詰め込もうとしてよく分からなくなった作品です

竜騎士「………」ボーッ

風竜「のぉ、竜騎士よ」

竜騎士「……はっ?」

風竜「大丈夫かの?」

竜騎士「大丈夫、とは」

風竜「そちにしてはやけに気の抜けた顔をしておるからの」

竜騎士「は、ははぁ…」

風竜「どうした? 恋の病か?」

竜騎士「そうですね」

風竜「そうじゃろうそうじゃ……はへぇっ!?」ガビンチョ

竜騎士「冗談です」

風竜「何じゃ冗談か……」

竜騎士「少しは冗談も話せと仰るので、その通りにしたまでですが」

風竜「うむ、確かにそう言ったがの?」

竜騎士(言える訳なかろう、本気だと)

風竜(冗談だったからよかったが……いやしかし、本気でもそれはそれで)

竜騎士(しかし見つめてしまっていたのがばれるとは……今日は不調だな)

風竜(いやいやいや、あくまでこやつは人間で我は竜、竜騎士と竜の関係じゃて)

竜騎士(むむ……どうにも調子がおかしい)

風竜(ぐぬぬぅ……ん? なにかおかしいのぉ)

風竜「のぅ、そち……風邪気味ではないか?」

竜騎士「そんな筈はありません、いつも通りです……」フラフラ

風竜「いやいや、様子が変ぞ」

竜騎士「そんな筈は……」フラッ

竜騎士「そうです、なんでもないです」フラフラ

風竜「……のぉ、そち」

竜騎士「なんでしょう」

風竜「もう何日ねとらん?」

竜騎士「さて…寝た筈ですが」

風竜「何日前じゃ」

竜騎士「確か……数日前、三日でしょうか」

風竜「………」

竜騎士「なんでしょう」

風竜「この……このっ」

竜騎士「はて」

風竜「このっ、馬鹿たれがぁぁぁっ!!」ズォォォッ

竜騎士「おわぁぁっ!?」ブワァッ

風竜「貴様は、どうして、どうして!」ズゴゴゴ

竜騎士「風竜様、落ち着いてください!」

風竜「落ち着いてなぞ居られるか! 貴様っ! 我を愚弄するかぁ!」ブォォォォッ

竜騎士「風竜様ぁっ!?」

風竜「はぁっ……はぁ…っ、そこに直れ」

竜騎士「はっ、はい……」

風竜「よいか、そち」

竜騎士「はっ」

風竜「寝よ」

竜騎士「は…しかし、職務が」

風竜「その程度どうでも良い、休め」

竜騎士「ははぁ……」

風竜「まったく……貴様はまったく」

竜騎士(なぜ怒られているのだろうか)

風竜「ともかく寝るがよい、今からでも部屋に行けい」

竜騎士「了解しました」スッ

風竜「………」

竜騎士「それでは」フラフラ

風竜(大丈夫かのぉ……)

竜騎士「………」フラフラ

風竜「おい、そち……っておわぁ!?」

竜騎士「あ……っ」グラァッ

ドサッ

風竜「………」

竜騎士「………」

風竜(何じゃこの状況)

竜騎士(何だこの状況)

竜騎士(意識が遠のいたと思ったら……なんだこれは)

風竜(我の方にこやつが倒れ込んできおった……恐らくは足を滑らせたのか、それとも)

竜騎士(しかしなんだ、これは)

風竜(しかしなんだ、こやつ)

竜騎士(暖かい……な)

風竜(こんなに重いのだな…こやつは)

竜騎士(竜の体温は人よりわずかに高い……確かに、陽光に照らされている様だ)

風竜(重みか……なんとも、命の重さを感じる)

竜騎士(ともすればこのまま寝てしまいそうな……)

風竜(……む、こやつ眠そうだの)

竜騎士(いかん、こんなところで寝るなんて不敬にも程が……)

風竜「………」

竜騎士「……ぬ」スゥ

風竜「……寝おったか」

風竜(まったく、こやつは無理をしすぎるのがいけないのぉ)

竜騎士(……暖かい)

風竜(それもまた可愛げがあるが…無理のし過ぎで潰れれば目も当てられん)

竜騎士(まるで母の様な……)

風竜(もっと自分を労わってもらわねばな)

竜騎士(落ち着く……な)

竜騎士(そういえば、あれは受け取ってもらえただろうか)

風竜「む、なんじゃこれは……葉っぱ?」

竜騎士(趣向を変えて花以外を贈ってみたのだが……)

風竜「……むむぅ」

竜騎士(それは、スギノハというのですよ)

適当に書いてま( ?ω?)スヤァ

無理に書くとあれな出来になる、書かないと落ちる

これもう分かんねえな! 人外萌えへの愛が足りない精進精進

竜騎士「……む」ムクッ

風竜「起きたか」

竜騎士「……はて」ボーッ

風竜(ぬぬっ、まだ起ききってはおらんか)

竜騎士「………」ウツラウツラ

竜騎士「……はっ!?」

風竜「おお、起きたか貴様」

竜騎士「し、失礼しました……ご無礼を」

風竜「良い、良い、気にするでないぞ」

竜騎士「はぁ……しかしですね」

風竜「よい、と言っておるのじゃ」

竜騎士(どうするか、抜け出そうにも風竜様が締め付けてきて抜け出せん…!)

風竜(しかしどうしてこやつは抜けだそうとせんのだ…?)

竜騎士(流石に人間が竜に勝とうなど無理な話…どうするか)

風竜(ふーむ……もぞもぞしていたと思いきや動かなくなってしまいおった)

竜騎士(なぜ風竜様は私を逃がそうとしないのだ……さては!)

風竜(普段ならば嫌がりそうなものをなぜ……さては!?)

竜騎士「風竜様……成程」

風竜「お前……成程のぉ」

竜騎士(風竜様は私の忠誠心を試しておられるッッ!)

風竜(こやつは…我に甘えたいに違いない!)

竜騎士(恐らくは…この状況下で私の反応を見る事で忠義を試しているのだ!)

風竜(こやつも人の子、我に甘えたくなっても仕方ない、全く仕方ないのぉ!)ニマニマ

竜騎士(ならばこそ、こうしてじっとすることで抵抗が無い事を示す他なし)シーン

風竜(随分と大人しくなりおって……余程こうしたかったと見える、こやつめむっつりじゃのぉ!)

竜騎士「風竜様」

風竜「なんじゃ」

竜騎士「どうぞ」

風竜「おう、安心せい」

竜騎士「………」

風竜「……のぉ」

竜騎士「なんでしょう」

風竜「どうじゃ」

竜騎士(「どうだ」? どういった意味だ…つまりは隠し事は無いか、ということか?)

風竜(そう言えば毛づくろいをしておらんかった! むむ…妙に胸毛がだまになっていやしないだろうかの…)

竜騎士(どうすればよいか……適当に受け流すべきか、それとも…いやしかし)

風竜「どうじゃ? のぉ、そち」ウズウズ

竜騎士(期待して……期待しておられる…!)ズズズズ

風竜「いや、正直に言っても構わんぞ? 我は怒らんからの」

竜騎士(そう言われてはいるのだが……果たしてどうするべきか)

風竜「どうじゃ? のぉのぉ」

竜騎士(言い辛い…誠に言い辛い…!)

風竜「ちっとは何とか言えい」

竜騎士(貴女に……貴女に抱きしめられる事が果たして心地よい以外なにものでもないなぞ言えるか!)

風竜「無視か? 無視を決め込むのかそちは?」

竜騎士(この抱擁感、まるで揺り籠のような圧倒的安心感! ああ…なんとも言えぬ高揚よ!)

風竜「おーい? 聞いておるかー?」

竜騎士(これが竜か、まるで大木の元に居るかの如く、そして大地のように確固とした絶対的な存在感よ……)

風竜「……おい」

竜騎士「ああなんとも……はっ!?」バッ

風竜「黙っておらんで、我の問いに答えんか」

竜騎士「失礼しました、ついたんの……いえ、答えを考えておりまして」

風竜「答え、じゃと?」

竜騎士「ええ」

風竜「ふむ……ではさっさと言えい、吐き出してしまえ」

竜騎士(吐き出す?)

風竜(そんなに形容しがたかったか? 妙な事でもあったのじゃろうか……)

竜騎士「問題はありません、なにも」

風竜「ふむ……」

竜騎士「むしろ(日々)心地よい……とすら思えてしまいます」

風竜「なにっ、(我の傍が)心地よいと」

竜騎士「ええ、何か問題でもありますでしょうか」

風竜「いやないが……しかしじゃのぉ」

竜騎士(まだ何かあるのだろうか)

風竜「……いや、ない」

竜騎士「然様ですか」

風竜「ないとも」

竜騎士「ははぁ」

風竜「………」

竜騎士「………」

風竜(やりにくいのぉ…)

竜騎士(なんともやり辛い、だがもう少しこのままでも)

風竜「……のぉ」

竜騎士「はい」

風竜「国は、どうじゃ」

竜騎士「どうと言われましても」

風竜「平和か? 平穏か?」

竜騎士「それは……分かりません」

風竜「分からないとな」

竜騎士「ええ」

竜騎士「確かに平和ではあります、ですが夜盗や不穏な動きもそこかしこに見られます」

風竜「ふむ」

竜騎士「平和と言われればそうかもしれません、ですが裏では諸国との不安定さが現れる時もあります」

風竜「魔物とかはどうじゃ」

竜騎士「最近は随分と大人しくなりましたが…それでもいつ活性化するか分かりません」

風竜「ふぅむ……」

竜騎士「平穏とは程遠いのかもしれません、確かに安寧ではありますがいつ崩れるか……」

風竜「………」

竜騎士「風竜様?」

風竜「のぉ、竜騎士よ」

竜騎士「はい」

風竜「平穏とは、なんなのじゃろうなぁ」

竜騎士「はい?」

風竜「昔、戦乱の時期は酷いものじゃった。明日の食糧どころか今日の飯すらありつけるか分からん」

竜騎士「大戦のとき、ですか」

風竜「そうじゃ、我は最近までそれと比べれば安寧じゃとも思っておった…」

竜騎士「はい」

風竜「じゃが…それはあくまで我にとっては、じゃなあ」

竜騎士「風竜様にとって、ですか?」

風竜「然様じゃ」

風竜「戦乱の時は、食べるものがあればそれで平穏じゃと思っておった」

竜騎士「そこまでとは……今では考えられませんね」

風竜「そうじゃろう、じゃが当時の我らはそう思っておった」

竜騎士「……」

風竜「住む場所が無くとも良かった、じゃがひもじさには勝てなかったのじゃ」

風竜「戦乱が収まって暫くすると、住処が欲しくなった」

竜騎士「戦果の爪痕は酷かったと聞きます」

風竜「然様、家は残らず焼けてしまった、畑も無くなってしまった」

竜騎士「真っ先に復興したのは畑、それから住居だとか聞いておりますが」

風竜「そうじゃ、まずは食い扶持を得て、それから家を再び建て始めたのじゃ」

風竜「その後は治安の悪さが目立ってきての、治安維持のための組織が出来上がった」

竜騎士「兵団の前身とも言える組織ですね」

風竜「そうじゃ、自警団はやがて国民の信用を勝ち得ることで正規の兵団となったのじゃ」

竜騎士「歴史としては、現在の騎士団よりも歴史は古いのでしたね」

風竜「一応竜騎士はいたがの、騎士団よりも兵団の方が徴用されておるのは当たり前じゃった」

竜騎士「存じ上げております」

風竜「その次に興ったのが……劇団じゃったかのぉ、知っておるじゃろ?」

竜騎士「『戦後初めての劇団』と謳い文句で高名な?」

風竜「そうじゃとも、食い物も住居も安定してきて、安全も確保されてから暇になってのぉ」

竜騎士(絶対この方が一番暇してたな)

風竜「なんじゃ、失敬な顔しおって」

竜騎士「なんでもありません」

風竜「そうかの?」

竜騎士「そうです」

風竜「むむ……そち、我が一番退屈してたとか考えておったな?」

竜騎士「そんな失敬なこと考える訳ないでしょう」

風竜「むぅ……すまんな」

竜騎士「全く、それ程までに私に信用が置けませんか」

風竜「そ、そんな事は無いぞ? 我だってそのぉ……お主の事は、信用と言うよりもむしろ信頼と言うか……」モゾモゾ

竜騎士「どうかなされましたか」

風竜「なっ、なんでもないわい!」バッサァ

竜騎士(変な所で鋭いから心臓が止まるかと思った)ホッ

風竜「と、ともかくじゃ!」

竜騎士「はい」

風竜「そちにそう言ったのはな、見方を変えさせる為じゃよ」

竜騎士「見方を?」

風竜「なにも『今は十分平穏じゃからなにもせんでいい』と言うつもりは無い、じゃがの……もう少し緩く考えい」

竜騎士「……おっしゃっている意味が、いまいち分かりかねます」

風竜「お主はまったく、仕方のない奴じゃのぉ」

竜騎士「すみません」

風竜「平和とはの、見えぬものじゃと思っておる」

竜騎士「見えぬ……?」

風竜「そうじゃ、決して見えぬが確かにそこに在る」

竜騎士「………」

風竜「失ってこそあれが平和だったと分かるのは、それが目に見えぬからなのじゃ」

竜騎士「そう、なのでしょうか」

風竜「不満か?」

竜騎士「いえ……ですが、しかし」

風竜(不満なのじゃな、素直じゃない奴め)

風竜「申してみよ、怒らぬ」

竜騎士「……宜しいのですか」

風竜「二言は無い、他者の意見も聞き入れんような狭き器ではない」

竜騎士「畏まりました……私は、そうではないと思っているのです」

風竜「そうではない、と言うと」

竜騎士「平和とは、目に見えて然るべきものだと思っているのです」

風竜「ほう!」

竜騎士「こう申しあげると、風竜様に反対するようで心苦しいのですが……」

風竜「構わぬ、申せ」

竜騎士「はい」

竜騎士「作物の出荷量にせよ戦費にせよ、何にせよ変化は必ず訪れるものだと思っております」

風竜「なるほど、そちらは確かに帳簿を見る時も多いと聞く」

竜騎士「はい、しかしながら戦費は減る事もありますが絶対量としては未だ多くの割合を占めております」

風竜「当たり前じゃろう、それが無いなぞ国として成り立たん」

竜騎士「それは分かります、しかしながらやはり……考えてしまうのです」

風竜「なにをじゃ」

竜騎士「時折、戦費の欄を見る時に果たしてこれは必要かどうかと思ってしまうのです」

風竜「……ふむ」

竜騎士「確かに攻めるだけではなく、守るにもそれは必要です。しかしながら……」

風竜「『果たして平和ならば守る事すら必要か』じゃな?」

竜騎士「……はい」

風竜「守る必要が生じる事は、即ち責められている事、確かに言っている事は分かる」

竜騎士「その必要が生じるというのはつまり……何らかの形で戦争が起きているに相違はありません」

風竜「間違いはないは無いのぉ、それは確かにそうじゃ」

竜騎士「我々が存在する理由はそれですし、それについて疑問は思ってはおりません。ただ」

風竜「ただ?」

竜騎士「我々が存在して居るから戦争は起こる……そうとも考えてしまうのです」

竜騎士「我々と言う武力がある故に戦争が起きる――のかもしれません」

風竜「戦争があるからこそ武力が必要になる――のかもしれんぞ?」

竜騎士「それを言えばキリがありませんよ」

風竜「キリがなければいかんのか?」

竜騎士「少なくとも議論は成り立ちません」

風竜「果たしてこれに関して議論が必要か……それもまた問題じゃな」

竜騎士「ええ、まったく」

風竜「頭が痛いわい」

竜騎士「私もです」

竜騎士「風竜様」

風竜「なんじゃ」

竜騎士「私はおかしいのでしょうか」

風竜「何じゃいきなり、藪から棒にけったいな事を言いおって」

竜騎士「竜騎士と言う身分を頂きながら戦争の是非を問うてしまう私はおかしいのでしょうか」

風竜「ふむ」

竜騎士「おかしいのならば……私は竜騎士を辞した方が良いのでしょうか」

風竜「………」

竜騎士「………」

風竜「竜騎士よ」

竜騎士「はい」

風竜「お主は、騎士である前に人じゃな?」

竜騎士「はい」

風竜「人ならば悩む、人ならば迷う、人ならば躊躇う」

竜騎士「……!」

風竜「お前のそれは『騎士』としてではない、『人』としての本能じゃ、当たり前の事じゃ」

竜騎士「人と、しての」

風竜「我を誰と思っておる、人が人故の悩みを持っておるのに否定するわけがあろうものか」ケラケラ

竜騎士(風竜様)

風竜「我は嬉しいぞ、お主も人が如く悩むことが出来る事がとても嬉しい」

竜騎士「そう……ですか」

風竜「おう、そうじゃ」

竜騎士「………」

風竜「………」

竜騎士「……ふっ、くくく」

風竜「くくっ、ははは……」

竜騎士「悩んでいたのが馬鹿らしくなってしまいました」

風竜「……お主、もしや」

竜騎士「どうにも、その通りです」

風竜「馬鹿者、そんなの相談すればよかったものを」

竜騎士「はい? 誰にでしょう」

風竜「我にじゃが」

竜騎士「えっ?」

風竜「えっ」

風竜「我にじゃ」

竜騎士「風竜様に?」

風竜「そうじゃが」

竜騎士「私が?」

風竜「不満か?」

竜騎士「失礼ではないでしょうか」

風竜「このばかもの」ボスッ

竜騎士「あいたっ!?」

風竜「こうして聞いておるではないか、失礼もあるか」

竜騎士「そうですね」

風竜「そうじゃ」

風竜「第一のぉ、普段のお主の方が余程失礼じゃろうに」

竜騎士「えっ」

風竜「えっ」

竜騎士「そうなのですか?」

風竜「そうじゃが! 気付けこの戯けが!」バンバンバン

竜騎士「やめてください、死んでしまいます」

風竜「む、それは困るの」スッ

竜騎士「ありがとうございます、三途の河が見えましたよ」

風竜「……竜騎士よ」ギュゥ

竜騎士「はい」

風竜「時に悩み立ち止まれ、時に苦しみ足掻け、そして泣き怒れ」

竜騎士「随分と、酷い事を要求しますね」

風竜「酷いとも、じゃがそれは人の輝きじゃ、ただ淡々と生きるなぞ人ではない。故に我はお主たちをその度に導こう」

竜騎士「それが……竜の」

風竜「竜の役割じゃ、人を正しき方向に導き、時に突き離しても輝かせることが役目なのじゃ」

竜騎士「………」

風竜「分かったかの?」

竜騎士「……はい」

風竜「それなら良い、万事良いじゃろう」

久しぶりに更新した気がする

適当に続けるかも、かも……( ?ω?)スヤァ

風竜「ふむぅ」

風竜「……とぉーっ!」バサァッ

風竜「………」

風竜「暇じゃ」

風竜「暇じゃ暇じゃーっ!」バサバサッ

風竜「ええい、竜騎士はおらんのか!」プンスコ

風竜「………」

風竜「確か……遠征に行っておったなあやつは」

風竜「ううむ、では呼び寄せる訳にも行くまいて」

風竜「………」

風竜「………」ウズウズ

風竜「寂しいのぉ……」

風竜「竜騎士の奴がひょこっと来てくれんかのぉ」

風竜「まあ、あやつは我がそんな事を悩んでいるとも思わんのじゃろうが……」

風竜「はぁ」ブォォォォ…ッ

◆ 凄く遠い場所 ◆

竜騎士「――むっ?」ピキュンッ

騎士A「どうなされました、竜騎士殿?」

竜騎士「今一瞬、風竜様が私を呼んだ気がした」

騎士B「なんと!?」ザワッ

騎士C「そんな、まさか……」アセアセ

騎士D「間違いではありますまいな?」

騎士A「戯けが! 竜騎士とは即ち竜と最も密に繋がりし者……違えるわけがあるまい!」

竜騎士「うむ、今の気配は間違えようもなく風竜様のものだ」

騎士B「騎士Dよ、なぜ貴殿はそれを疑った?」

騎士C「竜騎士様がお優しく無ければ今の発言、貴様の胴が二つに分かれているやもしれんぞ」

竜騎士「待て! それ程責める事もあるまい、しかし聞いておきたいものだな……なぜ疑問に思った?」

騎士D「申し訳ありません竜騎士殿、しかしながら……」

竜騎士「構わぬ申せ、その程度で怒る狭き器ではない」

騎士B「竜騎士様……!」

竜騎士(風竜様の受け売りだがな、しかしこの程度で怒っては上には立てぬ)

騎士D「はっ、私が疑問を呈したのは懸念してに御座います」

竜騎士「懸念?」

騎士D「はっ」

騎士D「風竜様ともあろうお方が世間話の様に念を飛ばすはずがありますまい」

騎士B「むむ……確かに」

騎士D「竜騎士様が何かを受け取ったとあればそれは一大事では、竜騎士様を必要とする事態が起きたのではと思いまして」

騎士C「一理ある、確かに一大事かもしれぬ!」

騎士A「竜騎士様、如何なされます」

竜騎士「……いや、その心配はない」

騎士D「心配はない?」

竜騎士「この気……切迫したものを感じん、一大事なれば緊張感がある筈ぞ」

騎士C「それを感じないのは問題無しと?」

竜騎士「うむ、更にこれは……」

騎士D「これは、なにか?」

竜騎士「あっさりとしていて味わい深く、それに紛れもなくコクと旨みを感じる……」

騎士A「はい?」

騎士B「はっ?」

騎士C「今、なんと?」

騎士D「む……むむっ?」

竜騎士「いやなんでも無い、戯言だ」

竜騎士「ふむ、これは……風竜様は我々の事を案じておるな」

騎士A「なんと、風竜様が!?」

竜騎士「然様、我々には風竜様がいつもついているのだ」

騎士B「ありがたきお言葉だ、早速つたえて来よう」

竜騎士「ああ、頼んだぞ」

竜騎士「………」

騎士「皆の者! 今風竜様より激励の念が入った!」

兵士「なんと、風竜様が!」

騎士「必ずやこの戦勝ち! 故国に、風竜様に首魁の首を持って帰るぞぉぉ!」

兵士達「うぉおぉぉおぉ!」ドドォッ

騎士達「いやぁああぁぁ!」ガシャガシャガシャッ

竜騎士(風竜様……取り敢えず誤魔化しておきました)

竜騎士(あの方は私が返ってくるのを心待ちにしておられる、私を頼ってくださっている)

竜騎士(出来る事ならば――私はあの方の隣に残りたかった……っ)

竜騎士(あの方を一刻たりとも寂しい思いをさせたくはないっ!!)ギリギリッ

騎士「おお、竜騎士殿が凄まじい気迫を放っておられる!」

兵士「流石だな、俺達とは桁がちげえぜ……」

兵士「やはり国を背負っている者は違うな」

竜騎士「一刻も……一刻も早くこの遠征を終わらせ、国に帰るぞぉ!」

竜騎士(そして風竜様に会う事だ、遠征をすると風竜様と離れるのが辛いのだ!)

兵士達「やるぞぉぉおぉぉぉ!」ドドドドドッ

騎士達「故国の為に! 風竜様の為にっ!」ガシャンガシャンガシャン

竜騎士「……早く帰ろう」

竜騎士(心配なさらないでください風竜様)

竜騎士(この竜騎士、必ずや一刻も早く敵を滅し貴方の元に馳せ参じて見せます)

竜騎士(ですからその時まで、首を長くしてお待ちください)

竜騎士「………」

竜騎士「届くといいがな、届けば」

◆ 竜宮 ◆

風竜「……むむっ!?」キュピンッ

風竜「この気は竜騎士のものじゃな? キレのある重々しい味わい……渋みが多めじゃがほんのり甘い」

風竜「……ふふ、あやつめ……我を喜ばせおってからに」

風竜「竜騎士よ……期待しておるぞ」

風竜「しかし、あやつがもし竜であれば……いや何も言うまい、叶わぬことじゃ」

風竜(これは読まれぬよう、心の中にしまっておこうぞ)

◆ 凄く遠い場所 ◆

竜騎士「――むむっ!?」キュピン

竜騎士「……風竜様」

竜騎士「ええ、必ずやその期待に応えて見せましょうぞ」

竜騎士「もしもあのお方が竜でなければ、いや竜の使命が無ければ……馬鹿げた事だが」

竜騎士(この想いは心の中に、墓まで誰も知られずに持っていこうぞ)

電話代わりの念話、一家に一台どうぞ

久しぶりに更新したから疲れ( ?ω?)スヤァ

>>1さんへ、しつもんです!
風竜さまと、竜騎士さまは、
喧嘩しないのですか?
気になって気になって
夜しか眠れません!( ?ω?)スヤ

>>342さん

ちゃんと寝れてるだろいい加減に( ?ω?)スヤァ
喧嘩はしません、立場上は絶対的な主従なので
これからどうなるかは分かりませんがある意味仲睦まじいです



――――………


風竜「うう……ん…」



―――…………


風竜「いくな……行かないでくれ……」


――……………


風竜「頼むから……」


…………………




風竜「行くな」

風竜「行かんでくれ」

風竜「頼むから……行くな」

風竜「のお……行ってくれるな……」

風竜「頼む……」





騎士「それは、出来ませぬ」

風竜「なぜじゃ、負けに行くのか貴様!」

騎士「負ける為に行くのではありません、そんな気は毛頭ありません」

風竜「お主も分かっておろう! 戦局程度読めぬ愚者ではあるまい!」

騎士「……それでも、私は行かねばなりません」

風竜「やめよ! お主が居なくなったら我はどうすればよいのだ……竜騎士が居なくなれば我は……!」

騎士「直ぐに次代が選定されるでしょう、それまではお待ちいただければ」

風竜「待てぬ! そんなのは待てるはずもない!」

騎士「……私は往きます、それでも往きます」

風竜「待て……待ってくれ!」

騎士「風竜様、どうぞご達者で」バッ

風竜「待て」


――――――………


風竜「待って……」


―――――…………



騎士「………」

風竜「……行くのか」

騎士「……ええ」コクリ

風竜「なぜじゃっ!?」ゴォッ

騎士「……っ」

風竜「なぜお主まで行かねばならぬ! さっさと兵を引かせればよいであろう!?」

騎士「それでも……」

風竜「お主の事じゃから死ぬつもりであろう!? 敗戦の責任を問わずとも好いのじゃぞ!?」

騎士「それでも……」

風竜「確かに不備はあった、じゃがお主が悪い事は無い……無いのじゃぞ!?」

騎士「………」

風竜「責任感が強くとも、なにも死ぬ事は無いじゃろう……っ!?」


騎士「……それでもっ!」

風竜「―――っ!?」

騎士「私は……俺は、行かなきゃならないんだ!」

風竜「……なんで」

騎士「この国が」

風竜「……どうしてじゃ……」

騎士「この国が、好きだからだ」

風竜「……そんなの、どうだって……どうだってよかろう……」

騎士「………」バッ

風竜「……頼む」

騎士「………」ギリッ

風竜「……行かんでくれ……」

騎士「……さらば!」ダッ


風竜「行かないでくれ……」



―――――…………


風竜「なぜじゃ、なぜなんじゃ」


――――………………



騎士「風竜様」

風竜「………」

騎士「風竜様」

風竜「……お前もか」

騎士「私も?」

風竜「お前も、あやつも、あやつも……皆我を置いて行く」

騎士「………」

風竜「お前も、我を置いていくのじゃ」

風竜「………」

騎士「………」

風竜「なぜじゃ」

騎士「………」

風竜「なぜなんじゃ……なぜ……」

騎士「………」

風竜「誰も答えてくれんのじゃ……っ」

風竜「なぜ……」

騎士「……行ってまいります」

風竜「なんで……」

騎士「………」ザッザッザッ

風竜「一体、なぜ……」



風竜「どうして」



風竜「我に黙って皆行ってしまうのじゃ……!」

―――――

竜騎士「ふむ、今回の遠征も他愛ない勝利だった」

司祭「お疲れ様です竜騎士様……兵達の士気は損なわれておりませんで」

竜騎士「当然だ、それも私の役目なのだからな」

司祭「流石は風竜様の騎士と言いましょうか、お疲れですか?」

竜騎士「ああ、しかし私にはまだやるべき事がある」

司祭「風竜様ですか?」

竜騎士「当然、風竜様に勝利を捧げる義務があるのだからな」

司祭「風竜様は『疲れたのであれば明日でも構わん』と申しておりましたが……」

竜騎士「ならぬ、断固として今日やらねばならぬ、司祭殿は私が風竜様に『疲れたから明日行く』など侮蔑をせよと言うのか」

司祭「……それも全くその通りで」

竜騎士「遅くなってしまったが恐らくあの方はまだ寝ていないだろう」

司祭(竜騎士殿は立派なお方だ……故に溜め込み過ぎないか心配なのだが)

竜騎士(嗚呼早く会いたい、あのお方に早く会いたい!)

司祭(風竜様と謁見している時の竜騎士様は疲れを見せん、恐らくあのお方に心配を掛けまいとしているのだろうが……)

竜騎士(愛おしきあのお方に合わねば疲れを引き摺ったままだ、一刻も早くこの疲れを風竜様で癒さねば)

竜騎士「風竜様」



竜騎士「風竜様?」

――ゥォオォ――

竜騎士「寝ておられるのですか、風竜様」

オ オォオ――オォォォォ

竜騎士(どうにもその様だな、あの方がこんな時間から寝るとは珍しい)

竜騎士「失礼します」スッ

風竜「…………ずぅ」オォォォ…ォォオ

竜騎士(熟睡していておられるか)

竜騎士(さて…どうするか)

風竜「…………」ズゥ

竜騎士(風竜様を起こす事は問題外である、報告なら明日すればいいだろう)

風竜「…………」グゥゥ…

竜騎士(本来ならこのまま立ち去るべきだ、そうするべきなのだろうが)

風竜「…………」ゴロン

竜騎士(立ち去るべきだとは分かっているが――だが、だが!)

風竜「………むにゃ」

竜騎士「ぬぅっ!?」ピクッ


風竜「………ほ、ほっとけーき…」

竜騎士(ホットケーキを食べる夢を見ているんだろうか)

風竜「ほっとけーきがぁ……ああやめろ、やめてぇ…」

竜騎士(違うのか?食べる夢ではないのだろうか?)

風竜「うぅっぷ、やめ……ぐぅ」

竜騎士「なんと……これはなんという事だ」

風竜「………すぅ」

竜騎士(可愛過ぎるッッッ!)


竜騎士(普段は厳格さを宿す風竜様が無防備な姿を晒している…それも私だけに)

風竜「うう……ん」モゾモゾ

竜騎士(私だけが見る事が出来るのだ、私だけが、私だけがこの方の寝顔を見る事が出来るのだ!)

風竜「…………」グゥゥ

竜騎士(こんな事がばれたら何を言われるか分かったものではないが…しかし)

風竜「……………にゅぅ」ゴロゴロ

竜騎士(もうちょっとだけ、見守らせてもらっても良いだろう)

風竜「……むにゃむにゃ……」

竜騎士(ああ、何と可愛らしいのだろうか)

風竜「………」

竜騎士(この方を護るために私は何でもしないといけない…私はその為に居るのだから)

風竜「……りゅ…うきし……」

竜騎士「はっ!?なんでしょう風竜様!」ビシィッ

風竜「……竜騎士…ぃ」モゾモゾ

竜騎士(…ばれたかと冷や汗を掻いたが……寝ているのだろうか?)ダラダラ

風竜「……りゅうきし……うぅ」

竜騎士(私を呼んでいるのか?私の夢を見ているのか…?)


風竜「………な」

竜騎士(しかし、だとしたらどんな夢を)

風竜「い…………なぁ」

竜騎士(そもそも風竜様はどんな夢を見るのだろうか?)

風竜「いくな……行くなぁ……」

竜騎士「っ!?」

風竜「行かんでくれ……頼む、後生だから……!」ジワリ

竜騎士「…風竜様!?」バッ


風竜「お前が居なくなったら…我は、我は……!」ボロリ

竜騎士(風竜様…まさか、泣いておられるのか!)

風竜「…………いかんでよぉ…お願いだから、いかないで……」ボロボロ

竜騎士「風竜様」

風竜「…………りゅう、きし…」

竜騎士「私はここにおります。風竜様が「行け」というまではここにおります」

風竜「………ほんとうに…?」

竜騎士「はい、嘘はつきませんから。私は貴女の騎士なのですから」


風竜「そ………か」

竜騎士「はい。私は片時もあなたを離れません、この剣に誓って」

風竜「…………よかった……」スゥ

竜騎士「…………おやすみなさいませ」

風竜「………むにゃ」スゥスゥ

竜騎士「しつれい、致しました」ガチャリ

風竜「……………」



風竜「………りゅう、きし…」



風竜「我は、おまえのことが……」



風竜「――――――」

◆ 泉の広場 ◇

竜騎士「……くそっ、くそぉっ!」ガチャァン!

竜騎士(気付かなかった、気付けなかった!)

竜騎士(風竜様を泣かせてしまったとは竜騎士の風上にも置けぬ所業だ)

竜騎士(しかしそれではない、重要なのはそこではない)

竜騎士「風竜様の涙に気付けなかった、悲しんでいる事に気付けなかった……!」

竜騎士「なにが竜騎士だ、これではただの騎士、いやそれ以下の以下だ!」ガツンッ!

竜騎士(調子に乗っていた!竜騎士として甘んじていた!)


竜騎士「……一度、自分を引き締め直さねばならぬ、風竜様の傍に在れるのは完璧な竜騎士のみなのだから…!」グッ

竜騎士「もう二度と、あの方を悲しませては――」



竜騎士「なぜならば、なぜならば」



竜騎士(愛おしい者に涙を流させぬ、これが騎士道だからだ)



竜騎士(例えこの思いが届かずとも、想い続けるだけでもいい、これが私の騎士道だから――)

もうちょい続きを書こうとしたけれど眠気がやばい
忘れられてもおかしくないけれどごまんなさい

ネタ切れでした

でした

あと忙しくて

( ˘ω˘)スヤァ

失踪かと思ったかな、失踪してたよ!ネタ切れだよ!
でも最近某結婚できないバグゲーやったら気合いでました

書き溜めてから投下するのでやっぱり不定期です
あとなんか行ってくれるとやる気でるよ!出るよ!超出るよ!

前に書いた神娘がまとめさんに乗ってるのを見つけてコメントを貰ったのが嬉しくてつい
やる気が出てきたのでウォォン

――翌朝――

風竜「ぬっ、ぬぬぅ……」

風竜「まさかあのまま寝こけてしまうとは思わなんだ……不覚!」

風竜(いや、別に普通ならいいんじゃがのぉ…よりにもよって昨日とは)

風竜(竜騎士の奴が折角凱旋してきたのに迎え入れてやられなんだ!)

風竜(畜生!くそう!我のあほう、なんで寝てしまうのじゃ!)

風竜(我の為に戦ってくれた者を寝顔で迎えるとは何たる失態じゃ!)

風竜「もしあの時起きて居たらひょっとして……ひょっとすると!」



ほわんほわんほわん



竜騎士「風竜様、只今帰りました」ガシャッ

風竜「うむ、良く戦ってくれた」

竜騎士「此度の遠征も見事勝利を捧げる事が出来ました」

風竜「皆に伝えよ、この私がお前たちの奮闘奮戦をしかと受け取ったと」

竜騎士「はっ!」シャガッ

風竜「今宵は宴ぞ、天にすら見えるよう派手にやると良い」

竜騎士「仰せの、ままに」ズシャッ

風竜「ふふ、もうじき季節の変わり目じゃ…盛大にやるがよいぞ」

竜騎士「……風竜様」

風竜「おん?なんじゃ竜騎士」

竜騎士「ええっと、その…こんな事を聞くのは大変不遜であるとは思いますが」

風竜「構わぬから話せい、我とお前の仲ぞ」

竜騎士「……ほんとうに、宜しいのですか?」

風竜「諄いぞ、我の器の大きさを侮ってもらっては困る」バッサァ

竜騎士「では、申し上げます」

風竜「申せ」

竜騎士「…………」

風竜「…………」

竜騎士「風竜様、私と共に屋台を回りませんか?」

風竜「おおそんなことならってうぇぁぁい!?」バッサァァッ!

ビュォォォオゥ ビュゥゥゥゥッ

竜騎士「風竜様、幾ら驚かれたからと言って宮を吹き飛ばそうとするのは」

風竜「わわわ分かっておるわい!ちょっとばかし予想を超えていただけじゃ!」

竜騎士「予想を…いえ、気分を損ねたならば申し訳ありません」ペコ

風竜「ええい頭を下げるな!お前は竜騎士であろう!」

竜騎士「はっ」


風竜「……こほん、して竜騎士よ」

竜騎士「はい」

風竜「なぜ唐突に、そのような事を言うのじゃ」

竜騎士「個人的に、色々と考えた結果です」

風竜「ほう」

竜騎士「風竜様の領土で行われる祭事であるのに風竜様はそれを見る事が叶いません」

風竜「当たり前じゃ、ひょっとするとくしゃみして荒らしてしまうかもしれんからな」

竜騎士「当然です、当然ではあります……ですが」

風竜「納得がいかんと」

竜騎士「その通りです」

風竜「しかしのぉ…だからと言ってどうしようも無いのじゃ」

竜騎士「承知しております、ですが」

風竜「ですが、なんぞ?」

竜騎士「私は、風竜様と祭りを見たいのです」

風竜「……竜騎士」

竜騎士「貴女と共に祭りの灯りを見たいのです、隣立って屋台を回りたいのです」

風竜「………そうか」

竜騎士「……気の迷いです」

風竜「………」

竜騎士「………」

風竜「……のぉ」

竜騎士「なんでしょう」

風竜「我もな、お主と共に祭りを見たい」

竜騎士「…風竜様……!」

風竜「竜騎士……っ」

竜騎士「私は、貴女の事が――



ほわんほわんほわん



風竜「ぬぉぉぉぉぉっ!」バババッシャァァァ

風竜「いかんっ、いかんぞぉっ!」ゴロンゴロン

風竜「そんな事いかん、いかんっ!」カァァッ

風竜「うぉぉぉぉぉ!」バッサバッサ

竜騎士「………」ブワワッ

風竜「うぉぉぉぉぉ!?」ドギャーン

竜騎士「……風竜様、遂にご乱心を…」

風竜「違う、違うぞ竜騎士よ…これは何かの間違いじゃ」

竜騎士「しかし風竜様、今の乱心っぷりは」

風竜「違うっ、誤解じゃ…おい竜騎士聞け!誤解じゃ、話をきけぇっ!」

竜騎士「風竜様」

風竜「竜騎士」

竜騎士「分かっておりますよ」ニッコリ

風竜「絶対分かっておらぬであろう!?」バッサァァッ

萌え要素増やしたい、デレ要素増やしたい
それに竜娘じゃなくて龍って事をもうちょっと出したい
体格差萌え、風竜様の体格はお好みで

続きがありますけど時間なので眠くてかけながががが
( ˘ω˘)スヤァ

竜騎士「風竜様は本当に子供のようなお方」

風竜「まったくもう、お前はもうちょい我に敬意を持つべきじゃと思う」

竜騎士「持っておりますよ」

風竜「本当かの?」

竜騎士「ええ、本当です」

風竜「どのぐらいじゃ?」

竜騎士「風竜様を裏切るぐらいであれば四肢を引き裂かれた方がましなレベルで」

風竜「うむ…喩えが物騒すぎるがよいとしよう」

竜騎士「これぐらいでないと信じてもらえないかと」

風竜「この戯けが」


竜騎士「そもそも竜騎士が仕える竜に対して不敬を働く訳がないでしょうに」

風竜(お主の言動は不敬じゃないのじゃろか)

竜騎士「あくまで一線は弁えております」

風竜「ナチュラルに心を読むでない」

竜騎士「竜騎士ですもの、心ぐらい読めます」

風竜「おかしいのぉ、そんな力は無かった筈じゃが」

竜騎士「嘘です」

風竜「嘘か」

竜騎士「風竜様は顔に出ます」

風竜「やっぱり不敬じゃないのかのぉ?」

竜騎士「………」

風竜「なんじゃ、神妙な顔をしおって」

竜騎士「……どうすれば、貴女を護れるかと思いまして」

風竜「うむ?現に護られておるじゃろうが」

竜騎士「形式上はです、あくまでも」

風竜「ふむ」

竜騎士「ですが人と竜…それも神竜ともなればその力の差は天と地ほど、私程度では幾ら貴女の守護を受けていても神竜を相手にすればひとたまりもないでしょう」

風竜「その物言い、戦争の匂いを嗅ぎ取ったか?」

竜騎士「例えの話です、ですがありうる話でもあります」

風竜「……確かに、ありえないと言えば嘘になるの」

竜騎士「神竜と戦えるのは神竜です、私では出る幕はない」

風竜「まあ、その時になったら我の勇姿をとくと見せてやるぞ」

竜騎士「違うのです」

風竜「なに?」

竜騎士「私は、貴女に傷ついてもらいたくない、どんな傷であろうともです」

風竜「それは…贅沢な話じゃの、戦争において傷つきたく無いなぞ」

竜騎士「分かっております、夢見事だとは分かっておりますが…やはり」

風竜「我を傷つけたくはないと」

竜騎士「ええ」


風竜「……甘え事だな」

竜騎士「存じています、風竜様が傷つけばその分民は守られるでしょう」

風竜「いざという時には我が傷ついてでも民を護る、それが神竜の使命ぞ」

竜騎士「風竜様を傷つけたくはない、けれども民が死ぬのもごめんです」

風竜「ままならぬものだな、どうにも」

竜騎士「両方を成し遂げたい、これほど甘い事がこの世に在りましょうか」

風竜「そして此の世に甘い事なんて何一つないのじゃ」

竜騎士「全くもってその通り」




竜騎士「だからこそ、だからこそ私は強くなりたいのです」

風竜(……む)

竜騎士「民が一人でも死なぬよう、傷つかぬよう、貴女の出番が少しでも減るように」

風竜「代わりに自らが傷ついたとしてもか」

竜騎士「それでも、いやそれが竜騎士としての役割だと思っております」

風竜(良い目じゃな…強く、そして危うさの無いしっかりとした目付きじゃ)

竜騎士「私の背には国一番の騎士としてのプライドが掛かっております、そして風竜様の名もかかっておりますので」

風竜(そんな目で見られるとなんじゃ、照れるんじゃが。いかん、顔がにやけてしまう)

竜騎士(やはり間近で見ると風竜様は美形だ、美しいとはこの事なのだな…うむ)


風竜「竜騎士よ」

竜騎士「はっ」

風竜「ならばこの傷を見よ」バサァッ

竜騎士「これは……なんと痛々しい」

風竜「三百年前に付けられた傷ぞ、流石にちと痛かったがそれでも我はこの傷を誇っておる」

竜騎士「確かに名誉傷と言うものはありますが、一体これはどこで付けられたのでしょう」

風竜「その代の竜騎士を護った傷ぞ、お蔭でそいつは生き残った」

竜騎士「……ッ!」

風竜「良いか竜騎士よ、確かに竜を護るのはお前達の役割でもある…あるが、こちらの事も考えよ」

竜騎士「風竜様の事、ですか」

風竜「残される側の事も考えよ、竜騎士という神竜にとって大切な存在を失う…その意味も考えよ」

竜騎士(……もしや、あの時の涙はそれを)

風竜「ただ護られるだけ、ただ民や兵士が死んでいくのを見ているだけ、力はあれどそれを振るわせてもらえない…のぉ、これは中々胸が痛むのじゃ」

竜騎士「私は貴女に傷ついてもらいたくないのです」

風竜「知ってはおるがお主、やっぱり頑固者よな」

竜騎士「理解していますよ、勿論」

風竜「んま、戦争が起こらなきゃこんな事も考えんでいいんじゃがな!」

竜騎士「最近は大きな戦争も起こりませんし、野良魔物は多いですがいい訓練になります」

風竜「いつか戦争は起こるじゃろ、じゃが今は平気じゃからな」

竜騎士「呑気な事で」

風竜「呑気でなきゃ竜はやれんの」

竜騎士「では、戦争が起きぬ事を祈っておきましょう」

風竜「それもそうじゃな、起きないに限る」





風竜(私は、お前が傷ついたり無理をするところを見たくはないのじゃがな)

竜騎士(私は、好きな者が傷つき苦しむのを見るよりは自分が傷つく方を選ぶだろう)

超寒い 忙しい
風竜様は体温高そう、絶対高い
爬虫類とかそんなのじゃない、理想

( ˘ω˘)スヤァ

竜騎士「メリークリスマスです風竜様」

風竜「……は?」

竜騎士「メリークリスマスです」

風竜「お、おう…なんじゃそれは」

竜騎士「三つほど隣国ではそのような祭りがあるらしいですよ」

風竜「なんと、メリークリスマスたる祭りが?」

竜騎士「クリスマスです」

風竜「クリスマスと」

竜騎士「ええ、クリスマスが」

遅れて申し訳ないと思ってるけれど
ごめんなさい、モチべがないとこれ系かけないのごめんなさい!
ルンファク4やってあばば

司祭「竜騎士様」

竜騎士「どうした、そんなに慌てて」

司祭「風龍様があなたを呼ぶようにと」

竜騎士「む、そうか……感謝する」

司祭「いえ、司祭として当然の事です」

竜騎士(風龍様が?また話し相手を求めているのだろうか)

司祭(竜騎士様…あんなに真面目な顔を)ポッ

竜騎士「……どうした、私の顔に何かついているのか」

司祭「いっ、いえいえ!なんでもありません!」

竜騎士「そうか」

風龍「………」ウツラウツラ

竜騎士「風龍様」

風龍「……むにゃ」グーグー

竜騎士「…風龍様」

風龍「………」カクン

竜騎士「寝ておられるのですか」

風龍「………」

竜騎士「そうですか」

風龍「りゅー…きしぃ……」

竜騎士「はい、私はここにおりますとも」

風龍「そーかぁ…ふふ」ニヘッ

竜騎士(可愛い)

――――――

――――


風龍「……………はっ!?」

竜騎士「おはようございます」

風龍「おほぉっ!?お、おはよう竜騎士!今日もイケメンよの!」

竜騎士「は?」

風龍「あっ」

竜騎士「………」

風龍「………」

竜騎士「……風龍様」

風龍「い、いやいや…これは世事であってだな…」

竜騎士「起き掛けに冗談を言えるほど余裕があるとは」

風龍「はうっ!?」


竜騎士「あれだけ私を待たせておきながらこの体たらく…」

風龍「待て、お前はどれぐらい待ったのじゃ!?」

竜騎士「ざっと三時間は」

風龍「さんじかん!?」

竜騎士「ええ、ここで待っていました」

風龍「そ、そりゃすまなんだ…」

竜騎士(不埒にもその首のモフモフをモフモフしてたとか言えないが)

風龍「う、うぅむ…我が呼んだのもあるがそのぉ…なんじゃ」

竜騎士(あ、怯える風龍様可愛い…)

風龍「そちの事を考えているうちに…いやいや今のは無しじゃ!冗談じゃ!」

竜騎士(やはりあのチャームポイントの角を触りたいものだ…どうすればいいか)

風龍「……おーい?」

竜騎士「あっはい、最近パン屋の娘がイチャイチャを隠さなくなってきましたね」

風龍「そういう事じゃないわい!」バァンッ

竜騎士「暴れるのは良いですがまた宮殿を壊さないようにしてくださいよ」

風龍「っぐ……うぅぅ…っ」

竜騎士「この間話していたらいきなり暴れ出して結構尋常じゃなかったんですから…」

風龍「わ、悪かったのぉ!」

竜騎士「一体何があったのかは聞きませんが…」

風龍「あれはお主も悪いのじゃ…うん」

竜騎士「私が」

風龍「うむ」

竜騎士「……思い当りませんが」

風龍「……はぁ」

竜騎士「……しかし、まぁそれは置いておいて」

風龍「うむ」

竜騎士「私を呼んだ意味をお聞きしたいのですが」

風龍「おお、それはの…話し相手が欲しかったからじゃ」

竜騎士「……ふむ」

風龍「近頃暇でのぉ、どうにもこうにも持て余していて」

竜騎士「はい、では風龍様」

風龍「そちは町の者達と仲が非常に良いじゃろ、だから――」




竜騎士「――私を呼んだ意味を、お聞きしたいのですが」




風龍「――……くく、分るか」

竜騎士「分かりますよ、長い付き合いですし」

竜騎士「…あなた、何かあった時には目を離すじゃないですか」

風龍「分からいでか」

竜騎士「分かりますよ、長い付き合いですから」

風龍「ほんの十数年そこらじゃがの」

竜騎士「ええ、十二分すぎる年月です」

風龍「……さいでか」

竜騎士「ええ」

風龍「いや、我としてはそれを知っただけでも十分ぞ」

竜騎士「…はい?」

風龍「本当に、それだけのつもりでそちを呼んだ」

竜騎士「……すると、あれですか」

風龍「はて?」

竜騎士「私はそれだけの為に今まで待っていたと」

風龍「……あっ」

竜騎士「それだけの為に、またされたと?」

風龍「そ、そりゃそうなるが」

竜騎士「…風龍様」

風龍「ひゅいっ!?」

竜騎士「……一週間おやつ抜きです」

風龍「そっ、そんな御無体な!?」

風龍「頼む、それだけは堪忍してくれ…この通りじゃ!」バサッ

竜騎士「ダメです、今回の事は多少頭に来ました」

風龍「理由があったのじゃ!」

竜騎士「ほう?理由を言って頂けないと」

風龍「そ、それは…今は言えん」

竜騎士「でしたらやはりおやつは抜きですね」

風龍「……そ、そうか…」シュン

竜騎士「……」

風龍「……」シューン

竜騎士「……反省が見られるので今回は免除しましょう」

風龍「そ、そうか!?」パァァッ

竜騎士(かわいい)

竜騎士「風龍様に無礼を働く訳にはいかないのです、しょうがないですね」

風龍「それにしてはお前、我のおやつを抜きにしようと…」

竜騎士「何か?」

風龍「なんでもない!」

竜騎士「しかしながら…ふむ」

風龍「なんじゃ」

竜騎士「……いつかは理由をお聞かせ願いたいものです」

風龍「…そうか?」

竜騎士「ええ、あなたの行為に理由ない事はありませんから」

風龍「それにしてはお前、我のおやつを……」

竜騎士「三時間の恨みです」

風龍「うっ」

竜騎士「……信じてますから」

風龍「何をじゃ?」

竜騎士「あなたの言葉、あなたの動き、そのすべての意味がある事を」

風龍「そんなに、期待されても困るのだがのぉ…」

竜騎士「いいえ、あなたはこの世界の神なのですから」

風龍「……」

竜騎士「この国という名の世界の神、風の国の根、それがあなたなのです」

風龍「……そうか」

竜騎士「私は、あなたに全てを任せているのですから」

風龍「…そう、か…」

暫くものを書く環境に無かったので物凄くしばらくぶりです
なので超ぼつぼつとになります、あと保守し続けてくれてありがとう
(なんでそんな覚えていてくれたのか分からんです)


竜騎士「……ん」カツカツ

衛士長「おお、竜騎士殿!」ガッガッ

竜騎士「衛士長殿!相も変わらずの活躍ぶり、宮でもお聞きしております」

衛士長「いやなに、たかが小僧っこを締めてやっただけですわ!」カラカラ

竜騎士「ふふ、それ以外にも大層な人気っぷりだとか」

衛士長「女に人気があればよかったのですがなァ…ガキ共ばかりで」

竜騎士「オヤジの名は伊達ではありませんな」

衛士長「よせやい、こちとらこれ以上ガキが増えちゃ困りますわ!はっはっは!」

竜騎士「ええ、もう一人増える予定で?」

衛士長「……話が早いですな、いやに」

竜騎士「ええ、もう何度か噂が足をつけて走ってくるもので」

衛士長「……ったく、あいつらときたらもう…言わんでも良いのに」ポリポリ

竜騎士「奥方はあいも変わらずで」

衛士長「ええもう…腹が重くなった分尻も重くなりまして!」

竜騎士「それにしては、随分と良い顔をしている」

衛士長「分かりますか」

竜騎士「ええ、とっても」

衛士長「はっはっは…いやなぁ、照れます」

竜騎士「流石に何カ月かは言っておりませんで」

衛士長「もう七カ月になりますか…ですなぁ」

竜騎士「そんなに」

衛士長「ええ、早いもんですな」

竜騎士「なるほどなぁ…」

衛士長「………」

竜騎士「どうしました?」

衛士長「竜騎士殿は…その、腰を落ち着けるとかは…」

竜騎士「はて、それは十二分に落ち着いておりますが」

衛士長「はぁ…単刀直入に言わせていただきましょう、難しい話ですが」

竜騎士「はい」

衛士長「婚約を、そろそろなさる年頃…いえ考える年頃であります」

竜騎士「………」

衛士長「失礼を承知で話しております、しかしこれは個人的な話ではござらんのです」

竜騎士「分かっております、分っているが故」

衛士長「しかし、やはり…難しいものですな」

竜騎士「ええ」

衛士長「竜騎士の婚約は、一回の兵…いえ、場合によっては一国の王を凌駕する事案になり得る」

竜騎士「……神は龍を作り、土地を授け”ここに国を定めよ”と言った」

衛士長「神は同じくして人を作り、土地に授け”ここに国を造れ”と言った…この世界の子全てが諳んじられる一説ですな」

竜騎士「ええ、龍は神の代理であり…神無き此の世では神と等しい」

衛士長「そして、龍と深い繋がりを授けられた竜騎士も同じ様に…我らとしては神の遣いも同じなのに御座います」

竜騎士「竜騎士は龍より庇護と、力と、責務を与えられるのです…しかしもとはと言えば龍とは違い人の体に人の心、私も人です」

衛士長「それ故竜騎士の婚約事情と言いましては一大事、どの国も共通で抱えるデリケートな問題故に」

竜騎士「難しいものですね」

衛士長「ええ、私のような一介の兵士ではとてもとても」

竜騎士「……私も、決めかねているのですよ」

衛士長「相手を?」

竜騎士「どうするかを、ですね」

衛士長「確かに、竜騎士は世襲制ではございませぬ。龍が選んだ者が竜騎士になると言うのは風が吹くのと同じ、炎が燃えるのと同じ事」

竜騎士「しかしながら…婚約をしないと言うのは、それもそれで」

衛士長「殆どの者にとってはその選択自体が意味を成さぬことなのです、お判りでしょう?」

竜騎士「ははは…誘惑に耐えきるのが辛くはなってきました…」

衛士長「そうです、竜騎士はその立場故に非常にモテる…あなたは顔立ちも良いのでなおさらでしょう」

竜騎士「御明察です、果たして竜騎士の妻の位が欲しいのか――そうなのでしょうが」

衛士長「そこはあなた次第、立場に囚われない妻を娶るか、妥協するか…まぁより取り見取りでしょうが」

竜騎士「その話題になると男衆からの視線が痛いのです」

衛士長「それもまた竜騎士の宿命ですな、はっはっは!」バシバシ

竜騎士「重いですね…下手すれば何よりも」

衛士長「そんな視線をすべて無視すると言う事は反感を買う、色恋に置いて人は予想外の怨嗟も力も発揮するものです」

竜騎士「それは…身をもって知っております」

衛士長「身に覚えのない決闘を申し込まれた事は?」

竜騎士「数え切れないほど、龍の庇護を受けた者には勝てぬ筈なのに」

衛士長「それでも、男には戦わねばならぬ時があるのですよ」

竜騎士「……ええ、そうですね」

衛士長「くく…竜騎士殿も複雑な事情を持つものですなぁ」

竜騎士「はて…?何の事でしょう」

衛士長「ふむ、一先ずは置いておきましょう…婚約しないと言う事は女共は勿論、男共の反感も当然買う」

竜騎士「最初はなぜかと思っていましたが――今はなんとなく」

衛士長「男と言うのは、女の悲しむ顔をさせる者を許せぬのですよ」

衛士長「ですので、『婚約をしない』という選択肢自体大抵の場合意味を成さぬのです」

竜騎士「ええと…婚約をしなかった竜騎士は、確か…五人」

衛士長「全世界、全歴史において五人――異常な少なさです」

竜騎士「私は…婚約をしますが」

衛士長「本当ですか?」

竜騎士「……何を言いたいのでしょう」

衛士長「あなたは悩んでいる、本来なら悩むはずの無いところで悩んでいる」

竜騎士「そ、それは…」

衛士長「歴代の中で唯一茨とも言える道を歩んだ五人…なぜ彼らは、彼女らはそれを選んだのでしょう、その道に走らずとも好かったのに」

竜騎士「…愛せる者が居なかったから?」

衛士長「あるいは、許されぬ者を愛してしまったからでしょうな」

竜騎士「………参りましたね」

衛士長「”彼ら”は人知れず誓ったのでしょう、茨の道を歩く為の衣服として」

竜騎士「……そうなのでしょうね、それが楽でない道である事を知っていても」

衛士長「あなたも、その道を選びかけている…と言う事ですな」

竜騎士「どこまで御見通しですか」

衛士長「あなたが風龍様の事を語る時、そりゃもう目が輝いていますからな」

竜騎士「ばればれですか……はぁ」

衛士長「安心なされ、私以外多分ばれてないでしょう…多分」

竜騎士「知られたら一大事ですからね…もう少し、隠したいものですが」

衛士長「そうしていただきたいものですな、他国に知られたらどう突かれるか分かったものではございません」

竜騎士「善処します」

衛士長「……個人的には応援したいところですがな」

衛士長「んまぁ、他愛ない話もここまでに致しましょう…竜騎士殿」

竜騎士「衛士長殿には昔から敵いませんね…はは」

衛士長「人生経験では簡単に負けませんわ、くく」

竜騎士「私は幸せ者だ、剣術の師には恵まれないが心の師にはよく恵まれる」

衛士長「……その認められるのが、あなたの強さでしょうよ」

竜騎士「ええ、ですので敵にも敬意は忘れずに…ですよ」

衛士長「違いない」

竜騎士「ええ、違いない」

衛士長(しかしどうするか…王に報告?いや、出来る筈もないなこれは…)

竜騎士(……茨の道を歩むことは構わん、だが…裏切る事が出来るかは、またわからないな)

衛士長(まったく、国一番の二枚目でもある彼が人に興味を示さんとは…神様も意地が悪い)

竜騎士(私が竜騎士でなければよかったのか?いや…違うな、それでは風龍様の寵愛を――ふふ、悩ましい)

衛士長「ま、悩んでいていても仕方ありませんや…一杯ひっかけに行きましょう」

竜騎士「職務中ではないのですか…いつもの事ですが」

衛士長「そういう竜騎士殿も休んでるところを見た事がありませんな」

竜騎士「風龍様が健在な限り、私に休みはないのです」

衛士長「それ即ち、毎日が休日に等しいと言う事ですな」

竜騎士「……その理屈は分かりませんよ?」

衛士長「ま、ま…いいじゃないですか、丁度私の交代の時期ですし」

竜騎士「おや、確かにもうこんな時間…」

衛士長「竜騎士殿、では市街の見物にでも参りましょう…それならば風龍様の逆鱗も触れんでしょう」

竜騎士「まぁ、それならば大丈夫でしょう…ご一緒させていただきます」

――――――

―――


衛士長「……まぁ、見物と言ってもこの高台からになりますな」

竜騎士「ここ以外のどこから見ればよいのでしょう」

衛士長「宮に住むものならば、”市街”と言えば皆ここからの景色を想像するものです」

竜騎士「お蔭でなにかあった時に説明しやすい」ククッ

衛士長「まったくもって…竜騎士殿、どうです」

竜騎士「それは、なにがでしょう」

衛士長「この街を見てですよ、流石にここからだと喧騒は伝わってきませんが…」

竜騎士「……活気がありますね、それも昔より遥かに」

衛士長「人同士の戦争が無いに等しくなってから、増え始めましたな」

竜騎士「ええ、民からも安寧が感じられます…皆穏やかな顔をしている」

衛士長「なんでか下町のガキが私の剣を習いに来ましてな…学ばなくても良い事なのに」

竜騎士「果たして、そうなのでしょうか?」

衛士長「おや、竜騎士殿は違うと?」ニヤリ

竜騎士「あなたも意地が悪い、調べているはずでしょう…火の国の様子を」チラッ

衛士長「……流石ですな、少々意地の悪い事を聞いたのは申し訳ありません」

竜騎士「先の大戦でも文字通り火蓋を切る一因になったかの国が、再びきな臭くなってきている」

衛士長「炎龍様は大層気性の激しいお方…昔に比べて大人しくなったとは言われているものの」

竜騎士「老獪さを増したと言う意味では周辺諸国にとってはまたこれが厄介なもんですね…はぁ」

衛士長「いずれにせよ戦争がなくなるなんてありませんや、そういうもんです」

竜騎士「衛士長殿は…そうでしたね、国境付近の生まれで」

衛士長「ええ、産まれた時は丁度ドンパチやってる時でしてな」

竜騎士「……恨みましたか、国を」

衛士長「当時は…恨みましたな、懐かしい話です」

衛士長「この歳になると悟るもんです、戦争はなくなりませんわ」

竜騎士「……ええ」

衛士長「あなたもそうでしょう、知っているはずです。人の戦争はいつまでも無くならない」

竜騎士「不本意ですがね、なくなって欲しいですが…そう、なくならないでしょう」

衛士長「やりたくないではないのです、やらねばならぬことも…ある」

竜騎士「幾ら今は平和でも…それは産まれるもの、良く存じています」

衛士長「溜まる水は淀んでいきます、押し流さねばならない時は来るでしょう」

竜騎士「……そうですね、それが国の為になります」

衛士長「いずれ腐敗は始まるでしょうな、対策は出来るでしょうが…」

竜騎士「人は利権に群がるものです、当たり前の話ですが…何とも言えませんね」

衛士長「………」

竜騎士「………」

衛士長「竜騎士殿は、どう思いますか?」

竜騎士「はて、なにについてでしょう」

衛士長「人について、ですな」

竜騎士「人に…また難しい事を聞く」

衛士長「存じております、しかしながら…私はあなたに聞きたい、神の代理たるあなたに」

竜騎士「ただの人間ですよ、私は」

衛士長「ははは、それが詭弁である事を分かっているくせに臆病事を言いなさる…龍に選ばれた時点で、あなたはただの人ではいられんのですよ」

竜騎士「それもまた、存じていますが…まったくもって」

衛士長「難しい事だとは思います、ですが…いや失敬、もう分かり切ってる事でしたな」

竜騎士「改めて言われると、耳が痛い…まったく」

一応最後までの筋道は立てたけれど、その影響でほんわか成分は薄れるかもです
ごめんなさいって唐突に言ってみたり、今更だったり

衛士長「利に群がり、欲に生きる、情を捨てられずに過ちを繰り返し、恩を忘れて争いを引き起こす」

竜騎士「群れねばならぬ弱さを持ち、何度もその弱さを忘れる愚かな生物」

衛士長「それが人、群れて知恵を絞る事で生き延びて来たに過ぎない存在」

竜騎士「……我々も、その一員ですがね」

衛士長「まったくもって、これだけ嫌な存在なのに…なぜか嫌と思えない」

竜騎士「我々が人であるからでしょうか」

衛士長「そうかもしれません、しかし…おや、もう日が暮れる」

竜騎士「む、早く帰らねばなりませぬ………おや、あれは?」

衛士長「ええ、私が今日あなたをここに呼んだ理由ですな…近頃街で噂になっておりまして」

竜騎士「最近忙しくて降りる暇がありませんでした…しかし、あの光は一体…」

衛士長「電気です」

竜騎士「電気?」

衛士長「ええ、最近開発された技術らしく…風龍様の庇護を受けずとも消えぬ炎を灯せるとか」

竜騎士「バカな!?そんな奇跡じみている事が出来るのですか?」

衛士長「私も最初は目と耳を疑いましたが…確かにそうです、雨に濡れても消えぬ炎でした」

竜騎士「……なんと、信じられない……」

衛士長「今は技術が発展途上、私には原理は分かりませんがどうにも電気を溜めてうんたらかんたらで…今は実用は出来ぬそうです」

竜騎士「そうですか…しかし、恐ろしい技術です」

衛士長「まるで魔術の…いえ、魔術よりも上等なものであることは間違いありようもない」

竜騎士「この技術、他に知って居る者は?

衛士長「風龍様には伝えておりませぬ、いずれ実用にこぎつけそうになった時にサプライズとして提供するとか…」

竜騎士「……ふむ」

衛士長「どうしました、難しい顔ですな」

竜騎士「……あなたも人が悪い」

衛士長「……ええ」

竜騎士「これについては……いや、伺いをたてに行く必要もないようだ」

衛士長「なに…ああ、確かにそのようで」

司祭長「これはこれはお二方、どのような用事で…いや、世辞はいりますまい」

竜騎士「司祭長、あなたもあれを」

司祭長「ええ、ここのところ毎日あれを」

竜騎士「新技術に目を見張る…訳でもないと」

司祭長「あまりからかいなさるな…私は冗談が苦手で」

衛士長「ここのところ毎日、二人であれを見ていたのですよ」

司祭長「ええ、そこで竜騎士様の意見を聞こうと」

竜騎士「私の?」

司祭長「ええ、無論…この場において最も重い発言を下せるのはあなたの他ありますまい」

竜騎士「この件に関しては、最も見識が深いのはあなただと思いますが」

司祭長「分かっているでしょう、この事情について私よりも発言権があるのは…」

衛士長「風龍様と最も近いあなたしかおらんのですよ、竜騎士殿」

竜騎士「……”遍く奇跡はすべて神の賜物”…」

司祭長「”魔術もまた等しく、龍の力が齎す奇跡の欠片”……」

竜騎士「この世のすべての事象は神、ひいては龍の力の一端に過ぎません…しかしあれは」

司祭長「ええ、紛う事無くその断りから外れる外道の法――本来であれば風龍様の目に触れる前に葬るべき忌まわしい技術」

衛士長「本来であれば…いや、その仕事はこの中で言えば私か兵士長ものでしょう。お二方は風龍様に直接かかわる役職故に」

司祭長「なぜ、職務を怠ったのか――そう問い詰められれば良かったのですが」

竜騎士「覚えておいでですか、司祭長」

司祭長「忘らいでか…風龍様も全く無茶をおっしゃる」

衛士長「ふむ、私は上から”関わるな”とだけ通知が来たのみで…どのような事情があるかは知らぬのです」




風龍『人の業、人の技、全てそれは神ではなく人の起こす奇跡。干渉するなかれ、見守り育てよ、その目を踏み潰すことは罷りならん』





竜騎士「そう風龍様が仰ったのですよ」

司祭長「幾ら我々でも…我々だからこそ、風龍様に従わざるを得ないのです」

衛士長「ははぁ…なるほど、あの方らしい」

竜騎士「寛容すぎるのです…はぁ」

司祭長「この件があの方を脅かさねば良いのですが」

竜騎士「ええ、まったくもってその通り」

衛士長「難しいもんですなぁ…」

竜騎士「難しい、しかし…私はこう思うのです、無駄に考えても仕方ないと」

司祭長「その通りなのやもしれませぬ、考えても仕方ない事…そうとも思えて仕方ない」

衛士長「はっはっは…確かに! 流れ始めた川はせき止める事は出来ませぬ」

司祭長「堰を造ろうとも水は流れ続ける、やがて大きくなれば容易に氾濫するでしょう」

竜騎士「我々に出来る事は最早、見守るのみなのかもしれません」



衛士長「然り。世界は動き、全ては人の踊るがまま」

司祭長「然り。世界は踊り、全ては神の天秤の上に」

竜騎士「然り。世界は唄い、全ては龍の導くがまま」



司祭長「どうなろうと、変化せぬ世界などないのでしょう…それが果たしていい方向なのかはさておくとして」

衛士長「ははは! それは変わった後の世界に問うものですな」

竜騎士「変化はきゅうに起こるものではないのでしょう…あの光もそう、変化の兆しなのですから」

衛士長「そうと決まれば飲みに行きましょうや、お二方」

竜騎士「風龍様がその…機嫌が悪いので」

司祭長「まあまあ、ならばいっしょに飲みに行きましょう…余計に」

衛士長「あの方は昔から機嫌を直すには二通りですわ…即ち徹底的に宥めるか、嵐が過ぎるのを待つか」

竜騎士「そう言えば司祭長、酒は大丈夫なのです?」

衛士長「何を知らんのですか竜騎士殿、彼は国一番の”ざる”ですぞ」

竜騎士「えっ、ええっ!? いつも酔った気配がなかったのはその…」

衛士長「そういう事ですな!」

司祭長「なに、少しは酔いますぞ…少しですが」

竜騎士「私はその…酒は」

衛士長「なーになに、店と言っても私の知り合いです…無礼講無礼講」

司祭長「中々美味い料理がありますから安心するとよいでしょう」

司祭長「兵士長殿も呼びましょうか」

竜騎士「待ってください、彼は相当な酒豪」

衛士長「……行きますな?」

司祭長「行かんでも良いですが…来てほしくはありますな」

竜騎士「ぐぅっ…」

衛士長「噂をすれば影ぞ、おーい!」

兵士長「んっ、その声は衛士長殿…どうもどうも」

衛士長「どうも兵士長殿、噂に聞きますは相変わらずの剛腕ぶり」

兵士長「なに、なに…それで一杯やりますかな?」

司祭長「無論、今日は特別の主賓が降りますぞ」

兵士長「ほぉ…! 竜騎士殿はいつも逃げてばかりでした、捕まえて頂き光栄扱く」

竜騎士「待ってください、待って…」

兵士長「良し! 善は急げぞ、衛士長殿!」ヒョイッ

衛士長「ほい来たどっこい!」ヒョイッ

司祭長「はっはっは、二人がかりとはいえ竜騎士様を担ぐとは…」

竜騎士「待ってください! 私はそんな酒に強くないのです!」

衛士長「何を嘘を、この前樽を悠々と空にしていたではありませんか」

竜騎士「あなた方は樽を三つほど個人で開けてたじゃないですかっ!?」

兵士長「気のせいですぞ」

衛士長「気のせいですな」

竜騎士「た……助けて風龍様ーっ!」




風龍「くしゅっ…なんじゃ、嫌な予感がする」

風龍「ま、まさかあいつの身に何かが!?」バサッ

風龍「……いや良い…あやつなぞ好きにすればよい!」

風龍(あやつがいかんのじゃ…我の前で婚約者の話なぞ!)バシーンバシーン

風龍(あやつの事は仕方ないにしても…いや仕方なくはないが!)

風龍「我の好きな者をあれ程情熱的に聞かんでも…」ポッ

風龍「……いかんいかんっ!我は怒っておるのじゃ!」ウガーッ

風龍(仕方なくはあるとは思っておる…龍同士の婚約なぞ歴史上両手にあるかないかじゃ…)

風龍(しかし…)シュン

風龍「……寝るか」ゴロン

風龍「………」

風龍「……りゅうきしぃ…」ゴロゴロ

風龍「我にかまえぇ、好きだと言ってくれぇ…」ゴロゴロ

風龍「………寂しいぞぉ」

風龍「………ぐぅ」ムニャムニャ

誤字 >>497「光栄扱く」→「光栄至極」

いきなり設定コーナー

竜騎士(20代):騎士団長(龍に従う部隊)
容姿はご想像にお任せ、ただし超イケメン
正直ラノベの主人公並のハイスペックチート、爆発しろ
物凄くモテるが本人は風龍様一筋、残念なイケメン

兵士長(40代):兵士団長(王に従う部隊)
彫りの深い容姿、昔はモテたらしいが職場結婚した
気さくな親父だが当然エリート、文武両道を地で往く男
最近娘から衣服を一緒に洗濯しないでくれと言われてショックな親父

衛士長(40代):衛士団長(街の警邏やら色々熟す)
地方の出だがすったもんだあって王都に居着いた、恐らく嫁さんが原因
頭はよろしくないが部下思いではある、強面で黙ってると子供が泣く
最近後継者について考えだした隠居希望の親父

司祭長(推定70代):そのまんま(所謂神主やら坊さん)
出自不明の腹が見えない好々爺、風龍への忠誠は高い
多分宮殿の中で一番年寄、けれどもまだまだハッスルな爺さん


※この設定が本編で使われることは多分ありません

なお全員野郎です、なんでこんな設定を考えたんだろう
寝ます

竜騎士「………」ペラッ

風龍「………」ジーッ

竜騎士「……ふむ」

風龍「………」バッサバッサ

竜騎士「………」ペラッ

風龍「……ふぁぁ…」チラッ

竜騎士「………」

風龍「………」チラッチラッ

竜騎士「む……」ペラッ

風龍(ええい竜騎士め、本にかまけて我を無視するとは!)イライラ

風龍(本を読むのはまだ良いにしても…我を無視する事は無かろう!)

風龍「のぉ、竜騎士ぃ……」チラッ

竜騎士「………」ジッ

風龍「くっ……!」

風龍(なんじゃ? 我よりもその本の方が魅力的であるのか?)

風龍(おのれ! 我と言うものがありながら浮気者!二股!凛々しい!惚れる!)ピクピクッ

風龍(……しかしやはり…ああいった真面目な顔も映えるよのぉ…)

風龍(我が人であれば…いや、考えるまい)

風龍「竜騎士ぃ? りゅーきしぃ~?」バンバンバン

竜騎士「……むむ」

風龍(こやつっ……!)ピクッピクッ

竜騎士「………」




竜騎士「……”人の道は孰れ天へと続く”」

風龍「……っ!?」ビクッ

竜騎士「あ……すみません、集中していまして」

風龍「い、いや良いのじゃ…それより風が強くないか?」アセアセ

竜騎士「そうですね、頁が飛びそうでおさえるのが精一杯でした…窓を締めさせましょう」

風龍(な…なんじゃ今のは、あやつの声でないみたいだったぞ…)

司祭「――畏まりました、しかし本日はそれ程風量も多くないとは思いますが…」

竜騎士「ふむ…しかし私は本を読むので精一杯でな」

司祭「ふむ……なるほど」クスリ

竜騎士「いかがされたか」

司祭「では暫く閉じているとしましょう、あまり閉じすぎると空気が淀む故に」

竜騎士「ああ、頼む」

風龍(気のせいなのか?)

竜騎士「……どうされました?」

風龍「……ところで、その本はなんじゃの? やけに古臭いが」

竜騎士「ふむ…創世書の第四巻と言えば伝わるでしょうか」

風龍「古き騎士の項じゃな」

竜騎士「ええ、初代竜騎士と呼ばれる男の項です」

風龍「しかし…ああ、お前にとっては尊敬する者だったか」

竜騎士「ええ、神話の人間ですが…なんだか尊敬と言うよりも、共感できる部分があって」

風龍「ほう? では彼について話しをしようではないか」

竜騎士「しかし風龍様、あなたは初代竜騎士の伝説を知っているのではないでしょうか?」

風龍「良いではないか、我はお前と話がしたいのじゃ」

竜騎士「畏まりました…そうですね。彼の生い立ちは太古、各国が不毛な領土争いをしていた時の事でしたね」

風龍「幾ら我でもそこまで昔は…そうさの」

竜騎士「ええ、竜騎士の制度と言うのは創世より神に決められていたのではなく。寧ろ統治の為の仕組みと言われております」

風龍「その書物がいつ書かれたのかは知らぬが、我にとっては”そうすべきこと”として…天啓と言うのじゃろうかの、これは」

竜騎士「ええ、神は人同士で争い疲弊するうちに悪神が作り出した魔の者共が力を付ける事を警戒したのです」

風龍「確かに、あやつらは賢しい…知能を持って小賢しく動き回る」

竜騎士「そこでまず神は、一体の龍と一人の人間で世を治めさせた」

風龍「”世を原初の形に戻せ”と神は命ず……じゃったか」

竜騎士「ええ、その後彼がその使命の通りに世を一つにまとめ上げた時。神は国の数だけ龍を遣わせたと言われておりますな」

風龍「一つに戻した世を、神の采配で分け与えたと――ホットケーキじゃな」

竜騎士「茶化さないで下さい」

風龍「す、すまん」

竜騎士(なるほど、ホットケーキは分けて食す大きさと覚えておこう)

竜騎士「神に与えられた使命を、龍と共に全うした彼は――いや、その後はようとして知れんのです」

風龍「風の噂でも『身を投げた』だの『異世界へと渡った』だの聞いたのぉ」

竜騎士「ええ、この書にも彼の最後は記されておらんのです」

風龍「不思議な事じゃ」

竜騎士「まったくもって…風龍様は何か知っているかと」

風龍「知らん」

竜騎士「……ですよね」

風龍「あやつの事なぞ知る筈も無かろうよ…所詮は神話の住人じゃ」

竜騎士「ふむ…しかし、本当に空想の人間ともつかんのです」

風龍「『竜騎士伝承』じゃろう?」

竜騎士「ええ、世界各地には確かに彼の足跡、痕跡がある――そして彼が成しただろう奇跡も」

風龍「そりゃぁあれじゃろ、龍の力であろう?」

竜騎士「そうとも言います」

竜騎士「そして彼についての記述…すなわちこの書の最後には彼が最後に残した誰かに当てた言葉がありまして」

風龍「……”人は孰れ天へと続く”?」

竜騎士「それは中途の文です、正確に全文を上げれば――」



『悪を働けば奈落へと続く道、善を働けば極楽へと続く道

 されども悪事のみを企てる者はおらず、善行のみを働く者もおらず

 人が辿る道はそれ即ち天への道、時に外れ、時に迷い、時に立ち止まれどそれは等しく

 全ての人は孰れ天へと続く、人は天から落ちて、再び彼の地へと向かう』 



竜騎士「果たしてそんな国があるのかは分かりません、ですが……」

風龍「……もう良い」

竜騎士「飽きましたか」

風龍「……ああ」

竜騎士「不思議なことに、彼がこの言葉を“誰に”言ったかは分からんのです」

風龍「そうなのかの?」

竜騎士「ええ、しかしなぜか創世記にはこの文のみが記されており…学者たちの間では議論の的になっているそうですよ」

風龍「ほぉーん…しかしそんな言葉なぞ幾らでもあるじゃろ」

竜騎士「ええ、しかしこの文には色々とおかしな点があるんですよね」

風龍「ふむ…確かに、出自不明にしては最も目立つ場所に記されておるな」

竜騎士「創作の線もありますが、しかしこの発言を抜粋する意味も分からんのです」

風龍「んまぁ…当時何が考えられていたかなぞ知らんじゃろ」

竜騎士「やけに突っぱねてますね」

風龍「昔の事を考えていると頭が痛くなるのじゃ、如何せん年寄りじゃしのぉ」

竜騎士「何を言っておりますか」

風龍「本気じゃぞ?今だってそう…寿命は近いやもしれんな」

竜騎士「近頃盛んに空を飛びたがっているあなたがですか?」

風龍「……む、むぅ…」

竜騎士「他にも甘い者が食いたいと強請ったり…それと背伸びしたら竜宮を半壊させたり」

風龍「そ、その件についてはすまなく思っておるのじゃ!」

竜騎士「………風龍様」ジトッ

風龍「お、おう…」タジタジ

竜騎士「寿命が近いなぞ、冗談でも言わないで下さい」

風龍「……すまんかった」

竜騎士「あなたがそういう事で、心配する人は思うよりも遥かに多いのですから」

風龍「…………知っておるよ」

―――――

―――

竜騎士(あれから、風龍様は黙りこくってしまった)

竜騎士(それがどんな理由なのかは分からないが、私はあの場所を出るしか出来なかった)

竜騎士(私は何も知らない、なにも理解できない)

竜騎士(それしか分らないのが、辛い)

竜騎士(……学者たちの間でなぜ、あの文のあて先が議論されているか…本当に知らないのだろうか)

竜騎士(あの文の一番最後、本当に数文字だけ…それだけで、この文の意味が全く異なると言うのに)

竜騎士(妻子を持たず、浮ついた話が一片たりとも載らない彼が残した最後のの言葉)

竜騎士「―――――『この文を』―――」





『この文を、愛しいお前に捧げる』

無駄に痛かろうと格好つけるのは私の趣味です
厨二で悪いか 寝ます



……………………

…………


風龍「………」

「―――――――」

風龍「……ふむ」ムニャ

「――――、―――――!」

風龍「……なんじゃ騒々しい…?」

「――騒々しいとは、酷いな」

風龍「……お主は」

「…お主?珍しい呼び方だな」

風龍「ああいや…お前さん、か」

「相変わらずキミは変な事を言う時があるんだね」

風龍「龍だからの」

「そうか、そうか」

「今日はどんな夢を見たんだい?」

風龍(夢…否、我は”こっち”が夢だと言う事は知っておる)

「随分と寝こけていたけど、良い夢でも見たのかい?」

風龍「……中々良い夢じゃった」

「ふーん、へぇー」

風龍「なんじゃ」

「嫉妬しちゃうな、なんだかつれないし」

風龍「阿呆、あまり構うと調子に乗るからじゃろ」

「ダメ?」

風龍「駄目じゃ」

「けち」

風龍「知らんわ」

「……そうか」

風龍(記憶が正しければ、ここは…いや、ここで我は……)

「……なぁ龍よ、約束をしないか?」

風龍「あ? 約束?」

「約束だ、指切りは出来ないが」

風龍「お、おぉ…そりゃそうじゃが、一体何を」

「…………」

風龍「…………」

「ずっと考えてたんだ、あの時から」

風龍「…ずっと」

「ああ、ずっとずっと…自分の中で答えを探していた」

風龍「答えは出たのか?」

「出てない、出そうもない」

風龍「……そうか」

「だから龍よ、約束をしよう」

風龍「そう簡単に約束は出来ぬ、なんの約束か言ってみよ」

「これはそう、■■の約束」

風龍「■■の、約束」

「そう、確証はないけれど予感がするんだ…約束をしておけばいいって」

風龍「お主の勘は、よく当たる…いやな程に」

「ああ知っているさ…だからそれに従う、約束をするって」

風龍「そんな突拍子の無い事を言われたところで実行は出来ぬぞ? 我とて不可能はある」

「簡単な事さ、本当に簡単で意識しなくても良い事」

風龍「……ならば言ってみよ、言うだけなら何も無し」

「ああ、龍よ約束をしよう」



「■■■■■■■」

風龍(……っ!?)ズキィッ

「それだけでいい」

風龍(あたま、が……っ!)ズキズキッ

「それだけを約束してくれればいい」

風龍(そうか…我は、そうか――)

「なぁ龍よ、約束してくれるか?」

風龍「…………」

「…………」

風龍「■■、■■■■■」




「ああ、約束する」

…………

……………………

風龍「ああ、そうじゃな……っ!?」ガバッ

風龍「……夢か、いや…夢である事は分かっておったのじゃが」

風龍「…あ奴め、妙な事を言うから妙な夢を見た」





風龍「いや、これは夢ではないな」

風龍「これは――いや、今となっては瑣末事か」





風龍「――本当にか?」

風龍「本当に、瑣末事なのか?」

竜騎士「……あ、風龍様起きましたか」

風龍「ぬぉっ!? お、お主…いや、今日は呼んでおらんぞ!?」

竜騎士「いえいえ、本日の遠征のご報告に上がった次第です」

風龍「そうか…ほう、今日の貢物はその花か?」

竜騎士「中々綺麗でしょう、我が国のある地方に一面の花畑が自生しているらしいですよ」

風龍「ほぉ……マーガレットじゃったか?」

竜騎士「いえ、違うらしいです」

風龍「ふむ? 何やらあの花と似ている気はするが…」

竜騎士「名前が難しくて…えっと、クリサン……なんでしたか」

風龍「それぐらい覚えておけい」

竜騎士「申し訳ありません、一目見て気に入ってしまったので…今日はこの花だと」

風龍(……まぁ、良いか。今は今で昔は昔じゃ)

土曜まで更新できません

あれ、このスレ開始したの一年以上前…うち更新していた時期が…

( ˘ω˘)スヤァ

風龍「…………」ソワソワ

竜騎士「……」

風龍「………」ウズウズウズ

竜騎士「……あの」

風龍「な、なんじゃ…?」

竜騎士「ええ、先程から露骨にそわそわとしているので」

風龍「分かってしまうか…ううむ」

竜騎士「そりゃ勿論、毎年の事ですから」

風龍「この時期になるとのぉ、ついつい気もそぞろになる…」

竜騎士「まぁ、分らんでもないですが」

風龍「どうじゃ、街の様子は」

竜騎士「ええ、風龍様がそこらに居るようです」

風龍「なんじゃ、我と同じか」

竜騎士「皆、仕事に手がつかぬ感じで…ええ」

こんばんは、作者です

事情があって随分と長い間PC環境から離れておりました。
ここまで保守してくださってありがとうございます、本当に申し訳ありません。
ですが考えてみても、どのような事を書こうとしていたのだか分からなくなってしまいました。
ですので、これ以上このSSを書けるのか分かりません、申し訳なく…なんと申したらいいのかもわからず。

どのようにするかはまだ考えておりませんが、PC環境にどうにか復帰できたのでとりあえず現状を伝えた次第です。

誠に申し訳がありません、保守していてくださった方々。
そして心待ちにしてくださっていた方々になんと言ったらいいか分かりません。
ですが今後の展開をどうしたかったのかさっぱりと思い出せないので、この話は非常に中途半端でありますがここで終ってしまうでしょう。

情けない話です、今度もし執筆する事がありましたらきちんとプロットを書き上げておきたいと痛烈に感じました。

ありがとうございます…本当に

最期でありますが、拙作の神娘についてどなたか自分で書いたと主張しているのを見かけたので。
一応私の酉でツイッターの方を作っておきました、恐らく呟く事はないと思いますが一応の為です。

それでは失礼いたします、また機会があればどうぞよろしくお願いいたします。

最期にもう一つ
人外萌え増えろ! 美少女擬人化でいいから! 増えろ!
ただ原型のままイチャこらさせようとすると物凄く苦労する羽目になるぞ!

妖怪でもなんでもいいから皆ではやらせよう人外萌えの輪!

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