まど神「帰省も休暇もあるんだよ」(296)

―――見滝原中学校―――

学生A「来週空いてる?」

学生B「ごめんその日はまだ帰省してるから」

学生A「帰省するの?じゃあいつ帰ってくる?」

リボンほむら(今日から夏休み……)

ほむら(みんな嬉しそうね)

ほむら(どうせ友達と毎日遊ぶつもりでしょう)

ほむら(ともだち……)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1374484630




まどか『すべての魔女を生まれる前に消し去りたい』



ほむら(あの子と夏休みを過ごす世界とかもあったのかしら?)

ほむら(………………)

ほむら(最近こんなことばかり考えているような気がする)

ほむら(……帰りましょう)

―――ほむホーム―――

カチャ

ほむら(鍵が開いてる?閉め忘れたのかしら)

ほむら「ただいま、まどか……」

ほむら(どうせ返事は返ってこな……)

まど神「あ、おかえり」

ほむら「」



ほむら「だめね。幻覚まで見えるわ」ゴシゴシ

まど神「いやいや」

ほむら「………………」

まど神「幻覚じゃないよー」

ほむら「え!?ほんとにいるの?」

まど神「うん」

ほむら「ほんとにまどかなの?」

まど神「まどかだよ」

ほむら「でも概念になって人間としては消えたはずじゃあ……」

まど神「そうなんだけど今日からしばらく人間に戻れるの」

ほむら「どういうこと?」

まど神「概念にも夏休みぐらいあるってことだよ」

ほむら「……わけがわからないわ」

まど神「そうかな?」

ほむら「でも嬉しい」

まど神「私もだよ」


ほむら「おかえりなさい」

まど神「ただいま、ほむらちゃん」

ほむら「でもせっかくだから実家の方にも行ってあげたら?」

まど神「いやすぐに行ったんだけどさ……」

ほむら「行ったんだけど?」

まど神「不審者と間違われて……」

ほむら「あー」

まど神「パパが『家の前に翼付きのコスプレ少女が居座っている』って警察に通報してたらしくて」

ほむら「その恰好のまま行ったのね」

まど神「導かれかけたよ。警察署まで」

ほむら「警官の理ね」

まど神「どうにか逃げてきたけど」

ほむら「逃げてきたの!?」

まど神「大丈夫、大丈夫。ちゃんと記憶消してきたから。ゴッドなデコピンで」

ほむら「……なんか逞しくなったわね」

ほむら「それでとりあえずこの家に来たと」

まど神「うん」

ほむら「で、いつまでいるの?」

まど神「できれば夏休み中は居候させてほしいかなぁ、なんて……」

ほむら「はあ……」

まど神「だ、だめかな?」

ほむら「居候はお断りよ」

まど神「そうだよね……」ショボーン


ほむら「でも同棲ならいいわよ。むしろ大歓迎よ」

まど神「そっち!?ていうかどう違うの?」

ほむら「愛があるかどうかよ」

まど神「ほむらちゃん///」

ほむら「ろくなものないけど好きに使って」

まど神「ありがと」

ほむら「じゃあさっそく日用品でも買いにいきましょうか」

まど神「あ、荷物は神界から魔法で転送させるから大丈夫だよ」

ほむら「そ、そうなの」

まど神「それ!」ボン


ほむら「………………」

まど神「どう?神って便利でしょう?」

ほむら「そうだけど……これが生活必需品?」

まど神「うん。最低限の」

ほむら「椅子が大量にあるけどこれも最低限?」

まど神「??そうだよ?」

ほむら「私には理解できないわ」

まど神「えー、人間だった頃もこのぐらい部屋に置いていたよ?」

ほむら「……気にしたら負けね」



まど神「それはそうともうお昼だね」

ほむら「まどかってお腹減るの?」

まど神「こっちに来てる間は半分人間だから減るよ」

ほむら「なら一緒何か食べましょう」

まど神「だったら私がほむらちゃんの大好物作るよ」

ほむら「頼んでいいの?」

まど神「同棲させてもらってるんだしこれぐらいするよ」

ほむら「じゃあお願い」

まど神「心つなげ~た~♪」カチャカチャ

ほむら(パンかケーキでも作ってるようね)

ほむら(私の大好物作るって言ったけど知ってるのかしら?)

まど神「守るた~め~♪」

ほむら(そもそもわたしって何が好きだったかしら……)

ほむら(あれ?)

ほむら(よく考えてみれば入院食以外の記憶がない!)ガーン

まど神「よしあとは焼くだけ」

―――しばらくして―――

まど神「できたよー」

ほむら「なにができたのかしら?」

まど神「手作りカロリーメイトだよ。大好物でしょ」

ほむら「おい」

まど神「どうしたの?」

ほむら「なんでカロリーメイトなの!?しかもわざわざ手作りで!」

まど神「やっぱり本家の大○製薬が作ったものの方がよかった?」

ほむら「そういう問題じゃないわよ。大体どこ情報よ、私の好物がカロリーメイトって」

まど神「なんとなく」

ほむら「なんとなくって……」グーー


ほむら「///」

まど神「ティヒヒ、体は素直だね」

ほむら「まあせっかく作ってくれたんだし、ありがたくもらうわ」

まど神「そうだよ。お昼だし」

ほむら「いただきます」

まど神「私も食べよ」


ほむら「………………」モソモソ

まど神「………………」サクサク

ほむら「……すごく美味しいわね」

まど神「全ての過去未来宇宙のレシピを調べたからね」

ほむら「欲を言えば私の好物もそれぐらいちゃんと調べてほしかったわね」

まど神「いやだってほむらちゃんといえばカロリーメイトでしょ」

ほむら「だからどこ情報よ!それ!」

まど神「なんとなくだよ」




ほむら「ごちそうさま」

まど神「お粗末様。じゃあお皿洗っとくね」

ほむら「じゃあお願い」

まど神「天上の祈り!!」シュワー


ほむら「」

まど神「よし、おわり」

ほむら「なにそれ?」

まど神「穢れとか汚れを落とす魔法。ついでにソウルジャムも浄化できるよ」

ほむら「……グリーフシードってなんだったのかしら」

ほむら「ところでいまソウルジ“ャ”ムって言わなかった?」

まど神「なんのことかな?」

ほむら「ソウルジェムの言い間違いよね」

まど神「神が間違いなんてするわけないじゃん」

ほむら「いやでも」

まど神「ほむらちゃん」

ほむら「ん?」

まど神「前頭葉にゴッドなデコピンしてあげようか?」ニコッ

ほむら「夏休みを満喫する前に宿題をやりましょう!!!」

ほむら「ということで私はこれから宿題をするわ」

まど神「うん、えらいね」

ほむら「さっさと終わらしてまどかと遊び倒したいのもあるし」

まど神「ウェヒヒ///」

ほむら「とりあえず国語からやるわ」

まど神「頑張って。わからないところあったら呼んでね」

ほむら「ありがとう」

―――1時間後―――

ほむら「えーっと……」

まど神「どこがわからないの?」

ほむら「このときの筆者の気持ち……」

まど神「そのときの芥川龍之介さんの気持ち?ちょっと本人に聞いてくる」ヒュン

ほむら「ちょ……」


ヒュン

まど神「『お腹が痛かった』だって」

ほむら「絶対正解と違うわよね」




ほむら「どうにか終わった……」

まど神「おつかれー」

ほむら「さすがに疲れたわ」

まど神「それにしても人間の体ってほんとすぐ疲れるね。私も少し疲れたよ」

ほむら「悪いわね手伝わせて」

まど神「全然。むしろ久々の疲労感で新鮮だよ」

ほむら「久々?」

まど神「13842986543年ぶりだよ。あのときは結構疲れたよ」

ほむら「いつよ!」

まど神「うちゅーそーせーして、びっくばーんした時」

ほむら「あー……」

ほむら「なんだかいろいろと疲れたしお昼寝でもするわ」

まど神「わかった」
 
ほむら「どこか行くときは置手紙でも置いていってちょうだいね」

まど神「うん、じゃあおやすみ」

ほむら「おやすみ」

まど神「ウェヒヒ、置手紙を残さないで外出するイタズラでもしてみよっかな」

まど神「どんな反応するだろう?」

まど神「………………」

まど神「マジ泣きされそう……」


まど神「一人で外出するのはまだやめとこうかな、うん」

まど神「よし、ほむらちゃんの寝顔でも見にいこ」

ほむら「まど……かぁ……zzz」スースー

まど神「寝顔可愛いな」

まど神「髪もきれい」スー

ほむら「ん……」

ほむら「うーん……」ゴロン

まど神「ちょっと暑そうだね」

まど神「翼で扇いであげよ」バサー

ほむら「zzz」

まど神「それにしても人が寝ているのを見てるとこっちも眠たくなってくるね」

―――――
――


まど神「zzz」

ほむら「zzz」

―――4時(?)―――

ほむら「zzz……うーん、よく寝た」

まど神「ウェヒヒ……zzz」

ほむら「………………」

ほむら「いつの間にか隣でまどかも気持ちよさそうに寝ている……」

ほむら「ところでいま何時かしら?」

ほむら「時計、時計。あ、まだ4時だわ」

ほむら「いつもの魔獣狩りの時間までまだあるわね」

まど神「ふぁあ……ほむらちゃんおはよー……zzz」

ほむら「おはようってまだ夕方よ」

まど神「でもー、わたしの腹時計は明け方だよー」ポケー

ほむら「なに寝ぼけているの。そろそろ起きないと夜寝れなくなるわよ」

まど神「神が間違いなんてするわけないじゃーん」

ほむら「そういえばやけに涼しい……」

ほむら「まさか!」

時計『 A M 4:00』

ほむら「」

まど神「ほらね」

ほむら「……わたし半日も寝てたの?」

まど神「うん、気抜けすぎだよ」

ほむら「でもそういうあなたも寝てたんでしょう?」

まど神「失礼な!わたしはちゃんといろいろやっていたよ!」

ほむら「いろいろって?」

まど神「いろいろはいろいろだよ」

ほむら「具体的に」

まど神「半日かけて体力の回復と疲労の除去と目をつぶることと、あとは……」

ほむら「……要するにあなたもずっと寝てたってことね」





まど神「ところでさっき魔獣狩りとか言ってたけど……」

ほむら「見事にすっぽかしたわ」

まど神「だよねー」

ほむら「杏子とマミからメールがたくさん来てるわ」

まど神「それならさっき『女神と半日添い寝してた。めんご☆ティヒヒ』って返信しておいたから大丈夫」

ほむら「ちょっと待て」

まど神「ん?」

ほむら「……あなたってそんな自由人だったかしら?」

まど神「だって神になったし」

ほむら「ちょっとは自重しなさい」

まど神「えー」

ほむら「あとで2人にお詫びと訂正のメールも送らないと」



ポチポチ ピッ

ほむら「さてわたしはお風呂に入ってくるわ」

まど神「うん」

ほむら「入ってる間も勝手に携帯とかいじらないでね」

まど神「うん?」

ほむら「どうしたの?」

まど神「ほむらちゃんは入浴中わたしに待ってろって言いたいの?」

ほむら「そうよ」

まど神「せっかく同棲しているのに?」

ほむら「そうだけど……あっ!」

まど神「やっと気づいた」

ほむら「ごめんなさい。先に入りたかったのね」

まど神「違うよ!」

まど神「同棲+お風呂+女の子同士の簡単な問題だよ!さすがにわかるよね!?」

ほむら「お風呂掃除の当番の話?」

まど神「なんでそうなるの!?」

ほむら「これでも一生懸命考えたんだけど……」

まど神「……もういいよ」

ほむら「そう?」

まど神「先に入るね!」プイ

ほむら「?ごゆっくり」

―――脱衣所―――

まど神「久々のお風呂だからほむらちゃんと入りたかったのに……」ブツブツ

まど神「あそこまで言ってなんで気づかないかな?」

まど神「もしかしてほんとは気づいていたりとか……」

まど神「……そんなわけないか」

―――風呂場―――

チャポン

まど神「ふう///」

まど神「気持ちいいね、ほむらちゃん」

まど神「『そうねまどか』ファサー」

まど神「背中の洗いっこしよ」

まど神「『背中どころか全身洗ってあげるわ』ゴシゴシ」

まど神「ちょ、ほむらちゃん///やめて、くすぐったい///」

まど神「『やめてって言ってるわりに……」

まど神「………………」

まど神「空しい……」





まど神「そろそろ体洗おっと」ザバー

ほむら「じゃあ背中どころか全身洗ってあげるわ」

まど神「優しくしてね///……ってほむらちゃん!?」

ほむら「そうよ?」

まど神「いつの間に!?」

ほむら「私と一緒にお風呂に入りたかったんでしょう?だから来たのよ」

まど神「まさかわかってたの?」

ほむら「ええ、さすがに気づくわ」

まど神「そ、そうだよね」

ほむら「なに?そんなに意外かしら?」

まど神「だって……だいたいどのあたりから気づいていたの?」

ほむら「『ほむらちゃんは入浴中わたしに待ってろって言いたいの?』あたりから気づいていたわ」

まど神「え」

ほむら「ふざけてわからない振りしたら真に受けて魔女化しそうな顔になって少し怖かったわ」

まど神「」

ほむら「でもだんだん面白くなってきて……」

まど神「………………」

ほむら「足し算の問題が出てきたあたりから笑いこらえるので必死だったわ」

まど神「……………///」

ほむら「おかげで必死に何かを伝えようとするまどかの姿も可愛いと再認識できたわ」

まど神「………………」プルプル

まど神「…………る」

ほむら「へ?」

まど神「祟ってやる!!」

ほむら「呪ってやるじゃなくて?」

まど神「神を冒涜して!もう許さないんだから!!極刑だよ!!!」

ほむら「字面は恐ろしいけど、持ってるスポンジと風呂桶のせいで全く迫力がないわよ」

まど神「うるさいよ!!もとはと言えばほむらちゃんが……」


ド ン


まど神「ひっ!」

イマ ナンジダト オモッテンダ シズカニシロ



まど神「……壁ドン、だよね?」

ほむら「そのようね」

まど神「初めて聞いた……」

ほむら「あの、ここ一応集合住宅だから音には気をつけて」

まど神「……なんかもう冷めちゃったよ」

ほむら「よかった」

まど神「それに壁ドンはもういやだ。なんか怖かった」

ほむら「壁ドンって神の祟りも鎮めることができるのね」


まど神「今度こそ体洗お」

ほむら「じゃあもっとこっちに来て」

まど神「ふぇ?」

ほむら「さっき全身洗うって言ったじゃない」

まど神「そういえばそんなこと言ってたね。お願い」

ほむら「それにしてもきれいな肌ね」ゴシゴシ

まど神「ティヒヒ///、ほむらちゃんこそ真っ白できれいだよ」

ほむら「病的に血色が悪いだけだと……」

まど神「病的?そのわりには随分もちもちした肌だね」プニ

ほむら「ちょっと、頬っぺた突かないで///」

まど神「ほむらちゃんの頬っぺたって頬ずりしやすいんだよね」

ほむら「どこからの情報よ」ゴシゴシ

まど神「なんとなく」

ほむら「また……」

ほむら「背中側おわったからこっち向いて」

まど神「よいしょ」

ほむら「そんなに近寄らなくても洗えるわよ?」ゴシゴシ

まど神「向かい合ってるんだし、ほむらちゃんも洗ってあげるよ」ゴシゴシ

ほむら「………………」

まど神「どうしたの?」ゴシゴシ

ほむら「……手馴れているわね」

まど神「たっくんを洗ってあげたりしてたから」

ほむら「あ」

まど神「もしかして変な想像してた?」

ほむら「べ、別に」

まど神「ふーん」ニコニコ

ほむら「体は終わったわね」

まど神「あとは髪だね」

ほむら「まどかって髪洗うの大変そうね」ワシャワシャ

まど神「いまはほむらちゃんより長いから大変だよ」ワシャワシャ



ほむら「やっと湯船につかれる……」

まど神「結構時間たっちゃったね」

ほむら「誰かさんが早朝から壁ドンされるまで怒ったりしてたからよ」

まど神「ティヒヒ」

ほむら「それにしても……」

まど神「ん?」

ほむら「いくら中学生といっても、なんで2人とも湯船に入れてるのかしらね?」

まど神「見滝原の建物とか家具って不思議だよねー。サイズとかがおかしいもん」

ほむら「まあ、この家自体かなりおかしいけど」

まど神「でもおかげでほむらちゃんと一緒にお風呂入れてる」

ほむら「まどか///」

まど神「すごく嬉しいよ。むこうでも同世代の神ってあまりいないし」

ほむら「わたしもずっと入院してたから新鮮よ」


まど神「あと、ほむらちゃんと一緒だと胸の大きさで劣等感持たなくて済むし」

ほむら「………………」

ほむら「」ゴゴゴゴ

まど神「ちょ、ジェムが濁ってる!!」

ほむら「……もうこの世界に希望なんてないんだわ」

まど神「諦めるのはまだ早いよっ!!」

ほむら「あぁ、絶望して魔女になりそう……まどか、早くソウルジェムを砕きに来て……」

まど神「どこに向かってしゃべってるの!?まどかはこっちにいるよ!?」

ほむら「まどか……早く……」

まど神「大丈夫、10月26日までにはきっと大きくなってるから!!!ねっ?!」


ほむら「………………」

まど神「お?」

ほむら「……それほんと?」

まど神「ほんと(いやまだわからないけど……)」

―――風呂あがり―――

まど神「気持ちよかった」ホカホカ

ほむら「どちらかというと楽しかったわ」ホカホカ

まど神「たまにはああやって騒ぎながらの入浴もいいね」

ほむら「近所からしたら朝っぱらから迷惑でしょうけど」

まど神「朝ご飯も食べたけど、まだ6時前だね」

ほむら「年寄りみたいな生活ね」


まど神「……ところでほむらちゃん、今から時間ある?」

ほむら「あるけど、なにか用?」

まど神「お出かけしよ。ちょっと気になることがあるから」

ほむら「?いいけど……」

―――高架下―――

ほむら「ここって……」

まど神「1回目の時間遡行でゴルフクラブの練習したところだよ」

ほむら「ここでなにをするの?」

まど神「弓矢の特訓」

ほむら「あなたが?」

まど神「ほむらちゃんのだよ」

ほむら「気遣いはうれしいけど、わざわざ特訓なんて必要ないわ」

まど神「ほんとに?」

ほむら「ええ」

まど神「ほむらちゃんってほんとにちゃんと弓使いこなせてる?」

ほむら「…………ええ」

まど神「じゃあなんでこの前の魔獣狩りのとき時限爆弾も一緒に用意してたの?」

ほむら「……余っていたからよ」

まど神「ほんとに?」

ほむら「ほんとよ」

まど神「見栄張らなくていいんだよ?」

ほむら「………………」

ほむら「ごめんなさい。ほんとはあまり使いこなせてないわ」

まど神「やっぱり」

ほむら「どうもしっくりこなくて」

まど神「まあ無理もないよ。改変後に突然武器が変わってたんだもんね」

ほむら「たまに残ってる銃とかに頼ってしまうわ」

まど神「でも銃の弾もうほとんどないんでしょう?」

ほむら「そう……ね……」

まど神「じゃあ一緒に弓矢の練習するしかないね」

ほむら「その、付き合ってくれてありがとう」

まど神「いいよいいよ。これぐらい」




まど神「じゃあさっそく特訓開始だよ。むこうに空き缶を置いたから射抜いてみて」

ほむら「結構遠いけどこれぐらい……」ギリリリリリ…



ヒュン、カランカラン……



ほむら「できたわ」

まど神「外れだよ」

ほむら「え、ちゃんと空き缶を射抜いたわよ?」

まど神「なに言ってるの、ほむらちゃん」

ほむら「?」

まど神「プルトップを撃ち抜くんだよ」

ほむら「」

ほむら「冗談よね?」

まど神「冗談じゃないよ。これぐらいできるようにならないと」

ほむら「先が思いやられる……」

まど神「あと狙うのいちいち長すぎだよ」

ほむら「あ、はい」


まど神「いい?まず左手を伸ばす」

ほむら「伸ばしたわ」

まど神「右手に魔力をこめて矢を出す」シュィィイイン

ほむら「出したわ(まどかの魔力の量がおかしい……)」シュイン

まど神「そして魔力を増幅させながら弓を引く」ギリリリ

ほむら「よいしょっと」ギリリリ

まど神「そんなに力まかせじゃだめだよ」

ほむら「こう?」ギリリリ

まど神「なんか違う……もう一回やって」

ほむら「わかったわ」



――――――
――



ほむら「こ、こうかしら?」

まど神「ちがーう!もう一回!!」

ほむら「えー」

―――数時間後―――

ほむら「ぜぇ……ぜぇ……」

まど神「さすがに一旦やめて休憩する?」

ほむら「いいえっ!」

まど神「じゃあもう一回だけやろっか」

ほむら「今度こそ……」シュイーン

ほむら「当たれ!」ギリリ



ヒュン   カツン



まど神「お!?当たった?」

ほむら「はぁはぁ、当たったわ……プルトップ……」

まど神「ほんとに当てたんだ。すごいよ!!」

ほむら「あなたのおかげよ」

まど神「ウェヒヒ」

ほむら「ところで……」

まど神「ん?」

ほむら「“ほんとに”ってどういうこと?」

まど神「えっ!?別になんでもないよ。うん」

ほむら「ふーん……」


まど神「別に無理な目標言っとけば永遠練習させとけるなんて考えてなかったよ!」

ほむら「おいこら」

まど神「で、でも上達したじゃん。それも一気に」

ほむら「まあ、そうだけど……」

まど神「すぐにスプレットアローとかも使えるようになるよ」

ほむら「そううまくいくかしら?」

まど神「もしかしたらそのうちシューティングスターも使えるように……」

ほむら「地球が滅ぶわ」

まど神「そっか。そうだよね」


ほむら「でもスプレットアローは使えるようになりたいわね」

まど神「あれ便利だったよ。勝手に追尾してくれるんだもん」

ほむら「それって矢って言えるの?小型ミサイルじゃない」

まど神「弓から撃てばなんでも矢だよ」






ほむら「もうすぐお昼だけどどうする?」

まど神「おいしい料理が食べれるところ知ってるからそこ行こ」

ほむら「……なんかいやな予感がする」

まど神「どうして?」

ほむら「“店”じゃなくて“料理が食べれるところ”って時点で怪しすぎるわ」

まど神「……鋭いね」

ほむら「どうせ巴マミの家とかでしょう」

まど神「バレてたんだ」

ほむら「もういいわ。わたしが決めるわ」

まど神「はいはーい」

――――――
――



まど神「ところで結局どこに向かってるの?」

ほむら「秘密よ」

まど神「えー」

ほむら「でもあなたの大好物が食べれる場所よ」

まど神「?」

―――鹿目家―――

ほむら「ここよ」

まど神「」

ほむら「なに固まっているの?入るわよ」

まど神「ちょ、ちょっと待って」

ほむら「なにを待つの?」

まど神「また通報される……」

ほむら「わたしの友達っていえば大丈夫よ」

まど神「それでも……」

ピンポーン

知久『どちらさまでしょうか?』

ほむら「暁美です」

知久『今開けるね』



ガチャ

知久「いやー、暑かっただろ……」

まど神「………………」

知久「えっと……君は?」

ほむら「ごめんなさい、今日は友達も連れて来たの」

知久「……どういうお友達だい?昨日見かけたような気がするけど」

まど神「あ、あの……」

ほむら「この娘は平行世界ではあなたたちの長女で、今は神をやってるわ」

まど神「」

知久「はい?」

ほむら「宇宙創成もしたそうよ」

知久「それほんと?」

ほむら「事実です」ファサー

知久「いや、まどかに聞いてるんだけど」

まど神「ほんとだよ……ですよ」


知久「……とりあえず2人とも入って」

まど神(えー)

知久「涼しいところで水と塩分とれば頭もちゃんと回るようになるよ」

まど神(熱中症と勘違いされてるよ!!)

ほむら「おじゃましまーす」

まど神「ただ……御邪魔します」

知久「座っといて。飲み物持ってくるから」



ほむら「普通に入れてもらえたわね」

まど神「多分病人をほっとけなかっただけだと思う」

ほむら「結果オーライよ。まどかは通報されるほうがよかったの?」

まど神「やめてよ」

まど神「それにしても懐かしいなぁ」

ほむら「家が?」

まど神「おうちもだけどパパが」

ほむら「……でもまどかのこと覚えてないのよね」

まど神「なにいってるの。奇跡はあるよ」

ほむら「なんのことかしら?」

まど神「え!?気づかなかったの?」

ほむら「だからなにが?」

まど神「ティヒヒ、ならいいや」

ほむら「?」






知久「飲み物持ってきたよ」

ほむら「いつもありがとう」

まど神「おいしそー」

知久「ちょっとしょっぱいかもしれないけどちゃんと飲んでね」

まど神「はーい」

ほむら「………………」ゴクゴク

知久「話を戻すけど、この子が神様?」

ほむら「そうよ」

まど神「元人間だけど」

知久「えっと、名前まだ聞いてなかったけどなんていうの?」

まど神「まどか。でもさっき玄関で『まどか』って呼んでましたよ」



知久「あはは、冗談は…………あれ??」



ほむら「そういえば……」

まど神「ウェヒヒ」

知久「え???なんで?????」

まど神「パパならちょっとぐらい覚えててくれるって信じてたよ」

知久「ちょっと待ってくれないか」

ほむら「さすがに混乱するわよね」

知久「まどかは元人間」

まど神「うん、中学2年生まで」

知久「人間のころはうちの娘だった」

まど神「うん」


知久「……心当たりが多い」

ほむら「え……」

まど神「やっぱり少し記憶が残ってるね」

知久「……たつや、おいで」

たつや「なぁに?」

知久「このおねえさん誰かわかる?」

たつや「ほむあー」

ほむら「いや、わたしじゃなくてこっち」

まど神「わたしだよー」

たつや「ねぇーちゃ?ねぇーちゃ!!」

まど神「そうだよ。よく言えたねー」

知久「………………」

知久「………………」

たつや「パパー」

知久「……ん?」

たつや「おひるまだー?」

知久「え?もうこんな時間!?ごめんよ、いま作るから待ってて」

知久「君たちもお昼まだ?」

ほむら「ええ」

知久「食べていくよね?こんな時間だし」

まど神「うん」

ほむら「手伝います」

知久「いつもありがとう。えっと、まどかちゃんはたつやの相手頼んでいい?」

まど神「任せて、慣れてるから」

まど神「ティヒヒ」ナデナデ

たつや「ティヒヒ」

トントン

ほむら「笑い方、血のつながりを感じますね」

知久「そうだね。そっくり」


まど神「お絵かき?上手くになったね」

たつや「もっと。うまくなりたい」

まど神「うーん……今度ピカソさんでも連れてきてあげる」

たつや「やったー」


ジューーー

ほむら、知久「」

知久「できたよ」ホカホカ

たつや「おいしそ。あーん」

まど神「こら、食べる前にいただきますしないと」

たつや「あーい、いただきます」

まど神「いただきます。ん、懐かしい味だ」

知久「よかった」

まど神「あー、この味付け大好き」

知久「なぜか好みがわかったからね」

ほむら「特訓おわりのご飯は最高だわ」ガツガツ

たつや「ほむあねーちゃ、すごーい」

知久「まどかちゃんっていくつ?同級生?」

まど神「うん」

知久「じゃあたつやと年が11歳も離れてるんだ」

ほむら「でも実年齢137億歳以上よ」

知久「え」

まど神「ほむらちゃんこそループ中の時間足したら大人でしょ?」

知久「え?え?」

ほむら「そういえばそうだったわね」


知久「いまのは聞かなかったことにしよう……」






ほむら「ごちそうさま」

知久「お粗末さま」

まど神「ごちそうさま」

知久「……なんだかまどかにごちそうさまって言われるとしっくりくる」

まど神「ウェヒヒ」


知久「飲み物用意するから適当にくつろいでて」

ほむら「わかり……っ!?」

まど神「……来たね」

知久「どうしたんだい?」

ほむら「すみません、急用が……お邪魔しました」ガチャ

知久「そ、そうかい」

バタン

ほむら「なんでこのタイミングで魔獣の反応がでるのよ!」

まど神「せっかくいい感じにだらけてたのに」

ほむら「もうさっさと狩りましょう」

まど神「うん、任せたよ」

ほむら「……あれ?」

まど神「どうしたの?ポカンとして」

ほむら「まどかは魔獣退治しないの?」

まど神「そうだよ。ていうか攻撃できない」

ほむら「なんで」

まど神「魔獣のことまで現世に干渉すると浮気ばっかしている先輩の神様に怒られる」

ほむら「そうなの……」

まど神「大丈夫!特訓したんだから」

ほむら「そうよね。うん」

まど神「ほら、もうすぐ魔獣の群れだよ」




マミ「あら、暁美さん。今日はちゃんと起きて来たのね」バン

ほむら「昨日は悪かったわね」

杏子「口動かす前に手を動かせよ」ザシュ

ほむら「はいはい」シュイーン

まど神「がんばってほむらちゃん」


杏子「……誰だよお前」

ほむら「まどk……」ギリリリ

まど神「半日添い寝してた女神だよ」

ほむら「」

マミ「ふーん……」バン

ほむら「……残念な子を見るような目で見ないでくれるかしら」

杏子「魔獣退治にウエディングドレス姿の自称女神同伴とか舐めてるだろ」

ほむら「彼女も一応魔法少女よ」

マミ「え?新しい魔法少女?初耳だけど」

まど神「たしかに魔法少女だけど魔獣に攻撃できないよ。だからみんながんばって」

ほむら「ちょ……」

杏子「やっぱりお前ら舐めてるだろ」ズバン

ほむら「いろいろ事情があるのよ」ヒュン

まど神「そうだよ」




ほむら「それにしても今日は多いわね」ヒュン

マミ「まったく、キリがない」シュルル

ほむら「範囲攻撃できる魔法がほしくなってくるわね」ヒュン、ヒュン

杏子「ほむら、さっきから矢ばっか撃ってるけど、いつもの爆弾はどうした?忘れたのか?」

ほむら「持ってきてないわ」

マミ「え!?」

まど神「これからは弓矢メインで戦うんだよ」

杏子「大丈夫なのかよ……」

ほむら「猛特訓したから大丈夫よ」

―――しばらくして―――

ほむら「く……」ボロボロ

まど神「大丈夫?いま治すからね」

杏子、マミ「………………」


マミ「たしかに命中精度は以前よりすごくあがってたわ」

まど神「百発百中でしたね」

杏子「だけど精度が上がったところで威力不足がカバーできていないからなぁ」

まど神「魔力が少ないのが問題なのかな?」

マミ「そうでしょうね」

杏子「ほむら、もっと矢に魔力込めれねえのか?」

ほむら「あれ以上はソウルジェムがもたないわ」

まど神「うーん……」

まど神「ほむらちゃん、とりあえず家に帰って休も。立てる?」

ほむら「……なんとか」フラッ

まど神「まだふらつくみたいだね。一回座って」

ほむら「こう?」

まど神「よいしょっと」

ほむら「ちょっと、お姫様抱っこはやめて///」

まど神「じゃあお先に帰りまーす」バサァァアアア





マミ「……飛んで行ってしまったわね」

杏子「結局だれだったんだ?あいつ」

マミ「えっと……女神?」

杏子「たしかにすげえ魔力だったけど……あれがか?」

マミ「女神っていうイメージとは程遠かったわね」

杏子「初対面なのにやけに馴れ馴れしかったしよ」

マミ「でもなぜか違和感がなかった……そう思わない?」

杏子「ああ。ほんと変な奴だったな」






バッサバッサ

ほむら「もう歩けるから降ろして!」

まど神「怪我人なんだから遠慮しなくていいんだよ」

ほむら「だいたいなんでわざわざ飛ぶのよ!」

まど神「え?だってそのほうがかっこいいじゃん」

ほむら「そんな理由で魔法少女でも落ちたら即死するような高度を飛ばないで」

まど神「大丈夫。ほむらちゃんなら死んでも特別に生き返らせてあげるから」

ほむら「やめて」



まど神「よし、ほむホームに到着だよ」

ほむら「恐かった……」ガクガク




まど神「さて、だいぶ回復したようだし対策考えるよ」

ほむら「なんの?」

まど神「火力不足の」

ほむら「あー……」

まど神「このままじゃさすがにまずいよ」

ほむら「爆弾の併用は……」

まど神「だめ」

ほむら「」



ほむら「なんでそこまで弓矢にこだわるの?」

まど神「だってわたしが弓矢好きだから」

ほむら「はぁ……」

まど神「………………」

ほむら「え!?それだけの理由!?」

まど神「そうだよ?」

まど神「それに爆弾で戦う魔法少女ってどうなの?」

ほむら「最初から使ってたから疑問に思わなかったわ」

まど神「ちょっとは疑問持とうよ」

ほむら「でもいまさら爆弾以外で火力不足を補う方法って言われても……」

まど神「マミさんだって最初はリボンだけで戦ってたんだよ」

ほむら「そういえばそうね」

まど神「きっとほむらちゃんにも何かいい方法があるよ」

ほむら「うーん……」



ほむら「!」

まど神「なにか案が浮かんだの!?」

ほむら「矢の先に爆弾くくりつければ……」

まど神「却下!!」

ほむら「矢の後ろにロケットエンジンつんで速度を底上げして貫通力を……」

まど神「却下っ!!!!」

―――しばらくして―――

ほむら「矢の先に硫酸入れたビンを……」

まど神「魔獣って酸で溶けるの?」

ほむら「ぐ……」


まど神「もういいよ」

ほむら「でも……」

まど神「こうなったら奥の手を使うよ」

ほむら「奥の手?そんなものあったの?」

まど神「成功するかどうかさえわからないけど」

ほむら「なにそれこわい」

まど神「大丈夫。成功すれば火力どころか全ステータスが数倍になるよ」

ほむら「余計にこわいわよ」






カァー   カァー

ほむら「もう外が暗くなりはじめたわね」

まど神「結構長いこと話し込んでたみたいだね」

ほむら「まどかが却下ばかりするから」

まど神「え……わたしのせい?」

ほむら「冗談よ」

まど神「もう///」

ほむら「真剣に考えてくれてちゃんと感謝してるわよ」

まど神「でも考え過ぎてお腹減ったよ」

ほむら「わたしもよ」

まど神「とりあえず火力強化のはなしは一旦ここまでにして夕飯にしよ」

ほむら「ええ」

まど神「そーめんでも茹でるね」

ほむら「いいわね」

まど神「あ、そうだ」

ほむら「なに?」

まど神「料理中は絶っ対にのぞかないでね!!」ゴゴゴゴゴ

ほむら「え、はい」

―――キッチン―――

まど神「えっと……こうやって……」シュルルル

まど神「お皿にのせて……よし、できた」

まど神「そーめんに見える……よね?」

まど神「そもそもこれって人間が食べても大丈夫なのかな?」

まど神「………………」

まど神「まあ、どうにかなるでしょ」

まど神「だってわたし神さまだし、きっと大丈夫」



まど神「できたよー」

ほむら「ずいぶん時間かけてたみたいね」

まど神「ちょっとね……はい、こっちがほむらちゃんの分」ゴトッ

ほむら「あら?そーめんって大皿に盛るものって思ってたんだけど」

まど神「ウェヒヒ……」


ほむら「いただきます」

まど神「いただきまーす」

ほむら「!」

まど神「どうしたの?」

ほむら「気のせいかしら……そーめんが一瞬光って見えたような……」

まど神「(やばい、バレる)なに言ってるの、疲れてるんだよ」

ほむら「……そうよね」

まど神「………………」ジーーーッ

ほむら「ん…………」チュルルル

まど神「!」

ほむら「よく冷えてておいしい」

まど神「おいしいの?」

ほむら「そうよ?」

まど神「へぇ……」

ほむら「なによ」

まど神「なんでもないよ」





ほむら「ごちそうさま」

まど神「ごちそうさま」

ほむら「今日はさっさとお風呂に入って早めに寝ましょう」

まど神「そうだね」

―――翌朝―――

ピピピピピ

ほむら「………………」ムクッ

まど神「あとぉ……5ふぅん……」


バサァ

ほむら「ん?」

ほむら「なにか白いものが見えたような気が……」

ほむら「………………」

ほむら「気のせいよね。顔でも洗って目を覚まさないと……」フラフラ

―――洗面所―――

ジャブジャブ

ほむら(なぜかしら?昨夜から体がおかしい)

ほむら(まるで体中から魔翌力が湧いてくるみたい)

ほむら(そういえば昨日のそーめんって光ってたわよね)

ほむら(……わたし何されたのかしら?)

バサァ

ほむら(あとで女神さまを問いただしましょう)

バサバサァ

ほむら(さっきからバサバサうるさいわね)

ほむら「まどかー、室内で羽ばたくのはやめてちょうだい」



まど神「」ポカーン

ほむら「あれ?まどかじゃないの?じゃあ一体何の音?」バサバサ

まど神「ほむらちゃん……背中から真っ白な翼が生えてるよ……」

ほむら「え!?」クル

バサバサ

ほむら「」

まど神「えっと、似合ってるよ?」

ほむら「……まどか、昨日のそーめんに何入れたの!?」

まど神「なんのことかな?」

ほむら「そーめんが光るわけないでしょう!!」

まど神「ひっ!」

ほむら「答えなさい!」

まど神「わかった、話すよ。だから落ち着いて」

ほむら「全部話してもらうわよ」



まど神「えっと昨日そーめんって言って出してたものの正体なんだけど」

ほむら「なんなのいったい?」

まど神「あれ実は因果の糸なの」

ほむら「はい?」

まど神「因果の糸そのもの」

ほむら「」

まど神「因果の糸を直接体内に取り込めば魔力も増えるかなーって思いついて」

ほむら「思いつき……」

まど神「だから他の魔法少女から回収した因果の糸に麺つゆと薬味かけて夕飯に出したの」

ほむら「まさか自分の因果に麺つゆかけられるとは思ってなかったでしょうね」

まど神「ティヒヒ……」

ほむら「で?いまの私の魔力はどのくらいあるの?」バサァ

まど神「有史以来から数えても指折りだよ」

ほむら「半端ないわね」バサバサァ

まど神「……怒ってる、よね?」

ほむら「当たり前でしょう」

まど神「ごめんね」

ほむら「………………」



ほむら「でもいいわ」

まど神「え?」

ほむら「私のためにやってくれたんでしょう」

まど神「ま、まあ……」

ほむら「強引すぎる気もするけど、一応感謝するわ」

ほむら「それよりこの翼どうしましょう?」

まど神「わたしの場合は魔力を一瞬抑えたら引っ込むよ」

ほむら「やってみるわ」

フッ……

ほむら「引っ込んだわ」

まど神「引っ込んだというより消えたね」





ほむら「朝ごはん、まだだったわね」クルッ

まど神「あ」

ほむら「え?」

まど神「服が破けているよ」

ほむら「どこ?」

まど神「背中のところ。ちょうど翼が生えてた場所」

ほむら「あー……」サスサス

まど神「変身しないまま勝手に翼が出ていたんだね」

ほむら「もうそれ魔力の暴発じゃない」

まど神「そのうち慣れるよ。現に引込めれたんだから」

ほむら「善処するわ」


ほむら「ところで破けた服どうしましょう?」

まど神「貸して。転送して修理してもらうから」

ほむら「そんなのもできるのね」

まど神「裁縫の得意な知り合いがいるの」

ほむら「手芸部の人?」

まど神「違うよ。でも敬愛に満ちたとってもいい娘なの」

ほむら「へえ、会ってみたいわね」

まど神「でもほむらちゃんと考え方が真逆だからやめたほうがいいよ」

ほむら「そうなの……」






まど神「朝ごはん食べ終わったけど何する?」

ほむら「宿題」

まど神「真面目だね。なにやるの?」

ほむら「天体観測とか地理とかいろいろ残ってるわ」

まど神「天体観測?それなら……」ヌギヌギ

ほむら「え?え?」


まど神「はい、これ使って」

ほむら「な、なんでドレス脱いでるの??」

まど神「よく見て。このドレス裏地が宇宙なの」

ほむら「あ」

まど神「これなら昼でも天体観測できるでしょ」

ほむら「か、感謝するわ///」




モゾモゾ……

ほむら「星が多い……」カキカキ

まど神「ほむらちゃん、その星は地上からじゃ見えないからスケッチしなくていいと思う」

ほむら「そう」ゴシゴシ

まど神「あと、この星はまだ発見されてないからこれも消そう」

ほむら「ええ、ところでベガってどれ?」

まど神「これ」

モゾモゾ





QB「………………」ジーッ

―――マミの家―――

QB「ただいま」ピョン

マミ「おかえり。暁美さんの様子どうだった?ちゃんと家に帰れてた?」

QB「聞きたいのかい?」

マミ「ええ、なにが起きていたの?」

QB「下着姿でドレスの中に顔を潜り込ませながら中で何かしていたよ」

マミ「え?」

QB「もう一人ピンク髪の少女もいて、彼女もいっしょに潜り込んでいた」

マミ「」

QB「僕にもわけがわからないよ」



マミ「もしかして昨日の怪我が原因?」

QB「頭部を負傷して奇怪な行動に出る事例はあるね」

マミ「メールしてみましょう」ポチポチ

カワシタヤクソク、ワスレナイヨ♪

まど神「携帯鳴ってるよ」

ほむら「わかったわ。勝手に返信とかしないでよね」

まど神「もうしないよ」

ほむら「マミから?」ピッ



ほむら「………………」ピクピク

まど神「ほむらちゃん?」

ほむら「こ、これ……どう思う……くく……」プルプル

まど神「どれどれ?」

To 暁美ほむら
From 巴マミ

頭の怪我だいじょうぶ?

※記入ミスにより>>189再投下





To  暁美ほむら
From 巴マミ
Sub 無題
 
頭の怪我だいじょうぶ?





まど神「えーっ!?その役はマミさんでしょ!!」

ほむら「大声出すと、また壁ドンされる……くくっ、わよ……」

まど神「こんなの、ティヒ……ぜ、絶対おかしいよ、ウェヒヒ……」

ほむら「もしかして前世の記憶?」

まど神「『夢の中でマミったような』みたいな?」

ほむら「ちょ……ふふ、やめて……」


まど神「ほら早く返信しないと」

ほむら「ダメだわ……手が震えてうまく押せない」ポチ、スカ

まど神「わたしが打とうか?」

ほむら「お、お願い」

まど神「あたまは無事ですっと……」ポチポチ

ほむら「かわりにお腹が痛い」

まど神「送信!」ピッ

―――マミの家―――

サールティ オルア イー♪ アマリィチェ カンティア マッサ エスティアー♪

QB「マミ、返事が来たようだよ」

マミ「大丈夫だったのかしら」ピッ





To  巴マミ
From 暁美ほむら
Sub 私はほむほむ派の女神です!!
 
頭と胴体はちゃんと繋がってます
というか無傷です
そちらも気をつけてください





マミ「?」

QB「?」






ほむら「わたしたち朝からなにやってるのかしら」

まど神「笑い疲れたよ」

ヒュン

まど神「あ、服届いたよ」

ほむら「もう!?」

まど神「ちゃんときれいに直ってるよ」

ほむら「ほんとだわ」


ほむら「どうやって直したのかしら?あのビリビリ状態から」

まど神「ほんとうまいでしょ」

ほむら「ほんとね」

まど神「だっていつもキュゥべえのぬいぐるみをチクチク作ってるような娘だもん」

ほむら「え」

まど神「キュゥべえ大好きっ娘。魔女化してもキュゥべえのマネしてたもん」

ほむら「……たしかに真逆ね」

―――しばらくして―――

まど神「!」

ほむら「!」

まど神「魔獣だね」

マミ『暁美さん。あなたの家の近くに……』

ほむら「ええ、わかってるわ」

杏子『いま向かってるけど時間がかかる。お前らだけで耐えれるか?』

まど神「大丈夫!行くよ!!」

ほむら「あぁ、待って!服着て!!また通報されるわよ」

まど神「ごめんごめん。あ、ドレスから微かにほむらちゃんの匂いがする」

ほむら「まどかったら///」

杏子『』





マミ『……佐倉さん、急ぎましょう』

杏子『……ああ』




ほむら「とりあえず上から全体を見回しましょう」バサァ

まど神「そうだね」バサァ

ほむら「翼があるって便利だわ」

まど神「ウェヒヒ、でしょ」

ほむら「索敵も楽だわ」



まど神「魔獣の数はそこまで多くないね」

ほむら「スプレットアロー撃ってみようかしら」

まど神「やってみなよ。いまのほむらちゃんなら100本同時に撃つことも余裕だよ」

ほむら「魔獣100体もいないわよ……」


ほむら「矢を出して……」シュィィィィイイイイイイイインンン

まど神「そうそう、全体を狙ってね」

ほむら「わかったわ」ギリリリリ

まど神「よし、いいかんじ」

ほむら「行け!」バシュシュシュン

ドスッ   グサッ   ボキッ   パラパラ……


ほむら「え、一撃で全滅!?」

まど神「やったね。勢いあまって矢が貫通してるよ」

ほむら「因果ってすごいわね」


ほむら「あれ?」

まど神「どうしたの?」

ほむら「矢が貫通した?」

まど神「した」

ほむら「そのまま飛んでいった?」

まど神「いった」

ほむら「魔獣の後ろに建物があったような……」


ヒューン……

ドカァアン   グシャ

ドンガラガッシャァァアアン


まど神、ほむら「」

パラパラ

まど神「どうしよう……」

ほむら「どうしましょう……」

まど神「……!」

ほむら「どうしたの?もしかして解決法が……」

まど神「ごめん、ほむらちゃん。わたし一回神界に帰るね」

ほむら「え」

まど神「先輩に呼び出されたの」

ほむら「じゃあこれどうするの!?」

まど神「ごめんね……ほんとにごめん……」

ほむら「はい?」

まど神「5日もすれば帰ってくるから」バサバサ

ほむら「待って!まどかぁー!!」



ほむら「行っちゃった……」ポツーン

杏子「おまえ……」

ほむら「あ……」

マミ「これはいったいどういうことか説明してくれる?」ゴゴゴゴ

ほむら「」

―――5日後―――

まど神「ただいま……」ゲッソリ

ほむら「おかえり。1日過ぎてるわよ」

まど神「説教が長引いたんだよ。死ぬほど怒られた」

ほむら「浮気癖の酷い先輩に?」

まど神「違うよ。また別の神」

ほむら「どんなこと言われたの?」

まど神「『矢を放つときは目標と射線をよく確認させろ!!』って言われた」

ほむら「しっかりした人ね」

まど神「そうでもないよ。結構ドジだよ」

ほむら「え?」

まど神「この前うっかり恋人を流木と見間違えて弓矢で誤射して殺しちゃってたよ、その先輩」

ほむら「ドジってレベル?」

まど神「あと他の神様にも怒られて、天罰とかいろいろ課せられたよ」

ほむら「天罰!?」

まど神「うん……」

ほむら「どんなの!?まさか存在消されるとか……」

まど神「下界からいい女を連れて来いとか、浮気探知機作れとか……」

ほむら「はい?」

まど神「なんでもいいからお土産買ってこいとか……」


ほむら「……ちょっとでも心配したわたしが馬鹿だったわ」

まど神「ひどいよ!真剣に悩んでいるのに!」

ほむら「なんで真剣に悩むのよ」

まど神「だって他はともかく浮気探知機とか無理だよ。一回作ろうとしたけど」

ほむら「一応やってみたのね」

まど神「でもはんだ付けがうまくできなくて……」

ほむら「技術の授業?」

ほむら「むしろはんだ付けさえうまくできればどうにかなるの?」

まど神「うん」

ほむら「じゃあ、あとで手伝うわ。得意だから」

まど神「ほんと!?」

ほむら「爆弾の起爆回路作るうちに得意になったの」

まど神「あれってそこまで手作りだったんだ……」





まど神「とまあ、おふざけはこのあたりにして……」

ほむら「そうね。真剣に対策考えないとね」

まど神「誤射は危険だからね」

ほむら「でも具体的にどうしましょう?」

まど神「矢に込める魔力を抑えるってのは……」

ほむら「前までの魔力量が悲惨すぎて抑えるなんてしたことないわ」

まど神「うーん……」

ほむら「というか勝手に魔力が湧いてくるわ」

まど神「余分な魔力をどこかに逃がすっていうのは」

ほむら「……わたしなんのためにそーめん食べたの?」

まど神「いまさらだけど1食分の因果は多すぎたみたい。一口でよかったかも」

ほむら「後の祭り……」

まど神「だって初めてだったんだもん」


ほむら「でもよく考えたら適当に逃がすのはいいかもしれないわ」

まど神「でしょ?」

ほむら「抑えるよりは簡単そう」

まど神「じゃあ開けたところにでも行ってやってみよう」

ほむら「今度なにか壊したらまずいものね」

―――岩砂漠―――

まど神「というわけでやってきました」

ほむら「……岩しかないわね。どこよここ」

まど神「細かいことは気にしないで」

ほむら「でもここなら万が一なにか起きても被害はでないわね」

まど神「そうだよ。だから遠慮なく魔力を垂れ流……じゃなかった解放してね」

ほむら「こうかしら?」





ゴゴゴゴゴゴ……





まど神「わー、かっこいい!」

ほむら「え?なに!?」

まど神「後ろを向いて」

ほむら「?」クル

ゴゴゴゴゴ……

まど神「やっぱりほむらちゃんは白い翼より黒い翼の方が似合うね」

ほむら「」ゴゴゴゴ

ほむら「魔女結界に見えるんだけど……」ゴゴゴゴ

まど神「いろんな娘の魔女になる直前に回収した因果だから魔女っぽくなっちゃうのかもね」

ほむら「あ、バラ見えた」

まど神「よく見るといろいろ浮かんでるね」



ほむら「これだけ魔力を放出したらさすがに矢の威力も落ちるでしょ」

まど神「早速岩に撃ってみよっか」

ほむら「あれ?」シュイーン

まど神「そう」

ほむら「どうかしら?」ギリリ……バシュン

ヒューン…………ボコッ

コロコロ……

まど神「うん、表面が少し砕けただけみたい」

ほむら「丁度いいぐらいの威力ね」

まど神「これならいけるね」


ほむら「あ、そうだわ」

まど神「なに?」

ほむら「マミに対策を直接見せるかカメラに撮ってこないといけないんだった」

まど神「過剰な威力の矢の対策?」

ほむら「ええ」

まど神「じゃあ、もう一回やってみよっか。わたしがビデオカメラで撮るから」

ほむら「お願……!!」

まど神「!!」

まど神「遠いけど魔獣の反応だね」

ほむら「それも10体以上いるわね」

まど神「でも丁度いいじゃん」

ほむら「そうね」

まど神「行ってみよ」





―――数十分後―――

ほむら「やっと魔獣が見えてきた……」

まど神「結構歩いたね」

ほむら「ほんとにどこなのよ、ここ?」

まど神「秘密」

ほむら「もう」




まど神「カメラの準備できたよー」

ほむら「じゃあ行ってくるわ」

まど神「いってらっしゃい」





ほむら(大きな群れね)ザッザッザッザッ

ほむら(少し前のわたしなら敵わなかったでしょうね)

ほむら(………………)

ほむら(……余計なこと考えてないで、そろそろ翼を出しましょう)ゴゴゴゴゴ

まど神『がんばって』

ほむら「ふふ…………」

ゴゴゴゴゴゴゴ……

ギリリリ……バシュン、バシュシュン






ほむら「ただいま」

まど神「おかえり、かっこよかったよ」

ほむら「ありがとう」



ほむら「それでどうだった?ちゃんと撮れた?」

まど神「それが……」

ほむら「え、なにか問題でも起きたの?」

まど神「黒い翼が広がりすぎて、ほむらちゃんがあまり写ってないの」

ほむら「えー」

まど神「というか後半の画面ほぼ黒い翼」

ほむら「」

ほむら「撮りなおす?」

まど神「それもありだけど、これってマミさんに見せるんだよね?」

ほむら「ええ」

まど神「なら合成でどうにか誤魔化せるよ」

ほむら「おい」

まど神「それに今から帰り始めないと夜になるよ」

ほむら「……それは、まずいわね」

まど神「でしょ?じゃあ帰ろ」

―――ほむらの家―――

まど神「ただいま」

ほむら「疲れたわね」



まど神「マミさん向けに編集しとくから、ほむらちゃんははんだ付けをお願い」

ほむら「(マミ向けってなに?)そういえばそういう約束だったわね」

まど神「しっかりしてよ。大妻神様に奉納するものなんだから」

ほむら「奉納品が浮気探知機の時点で……」

まど神「それは言っちゃだめ!」

ほむら「あ、はい……」

まど神「そういうわけだからお願いね」

ほむら「図面とかは?」

まど神「これ。ちゃんと書いてあるとおりに作ってね」

ほむら「ええ(手書き……)」

―――私室―――

ほむら「これをここに挿して……」グイ

ほむら「溶接して……」ジュー

ほむら「これはこっちに挿して……」スポッ

ほむら「スピーカーのコードをつないでっと……」ギュッ

ほむら「カバーをつければ……よし、完成」

ほむら「………………」

ほむら「……手作りラジオにしか見えないのは気のせいかしら?」

ほむら「ためしにスイッチを入れてみましょう」カチ

探知機『ピピピピピ!!また浮気だよ!!ピピピピピ!!また浮気だよ!!』

ほむら「」

ガチャ

まど神「できた?」

ほむら「できたからスイッチ入れたら、早速探知したわ」

探知機「ピピピピピ!!」

まど神「ティヒヒ、さすが先輩……ブレないね」

ほむら「ここはブレなさいよ」

まど神「春以外は基本的にずっと浮気してるから」

ほむら「どんな神さまよ……ん?」

まど神「どうしたの?」

ほむら「年中浮気してるのわかってるのに探知機って必要?」

まど神「あ……」

ほむら「浮気妨害機の方がよかったんじゃない?」

まど神「でも“探知機作れって”頼まれたんだし」

ほむら「まあ、困るのは注文した本人だからどうでもいいけど」






まど神「そうそう、こっちもマミさん向けのビデオの編集おわったよ」

ほむら「マミ向けってなんなの?」

まど神「見ればわかるよ」

ほむら「じゃあ見せて」

まど神「はーい」ピッ




   ―――Don’t forget
    Always ,somewhere,
 Someone  is  fighting  for  you

 ―――As long as remember for her.
     you’re not alone.





ザッザッザッザッザッザッザッ……

ほむら「………………」ゴゴゴゴゴゴゴ

『ガンバッテ』

ほむら「!」

ほむら「ふふふ……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……









ほむら「」

まど神「どう?これならマミさんも大喜びだよ」

ほむら「え?なに?マミは外国語が入っていれば何でも大喜びすると思ってるの?」

まど神「うん」

ほむら「うんって……」

まど神「だってマミさんだし」

ほむら「これ絶対怒られるわよ」

まど神「なんで?」

ほむら「それに肝心の矢を撃ってるシーンが皆無なんだけど」

まど神「大丈夫、大丈夫」

ほむら「その根拠のない自信はどこから来るのよ」

まど神「根拠?神編集だよ、その動画」

ほむら「違う意味ででしょ」

まど神「ウェヒヒ、大丈夫。両方の意味でだよ」

ほむら「大丈夫な気がしないわ」


まど神「なにはともあれできたことだし、さっそくマミさんのところに転送しとくね」

ほむら「ちょ、待っt」

まど神「はい完了」ヒュン

ほむら「」



まど神「あれ?」

ほむら「どうしたのよ……」

まど神「間違えて編集前のディスクも送っちゃったみたい」

ほむら「むしろそっちのほうがいいわよ」






トメドーナクー♪ キザマーレーター♪

まど神「携帯鳴ってるよ」

ほむら「だれ?まさか……」

まど神「マミさんからだよ」

ほむら「いやな予感がする」ポチポチ



ほむら「今すぐ来なさいだって……」

まど神「?」

ほむら「“?”じゃないわよ」

まど神「もしかして転送したディスクが頭にでも当たったのかな?」

ほむら「違うと思う」

まど神「じゃあ、何の用だろ?」

ほむら「大体予想はつくけど……行ってくるわ……」

まど神「いってらっしゃい」

―――マミの家―――

ほむら「来たわよ」

マミ「上がって」


マミ「確認するけどこの2つの動画暁美さんのものよね?」

ほむら「ええ、矢の過剰威力対策を映したものよ」

杏子「マジかよ……」

マミ「ついさっき突然降ってきたのよ」

ほむら「なんかごめんなさい」


マミ「それはいいわよ。それより……」

杏子「この動画撮ってるとき近くに誰かいたのか?」

ほむら「まどかがいたわ。ときどき声が入ってるでしょ。“がんばって”とか」

杏子、マミ「………………」

ほむら「??ついでに言うと撮影と編集もやってくれたわ」

杏子「また、まどかか……」

マミ「暁美さん……」

ほむら「どうしたの?2人とも?」

杏子「最近おさまっていたと思ってたんだけどなぁ」

マミ「提案なんだけど少しのあいだ魔獣退治休んだら?」

ほむら「え?」

杏子「というか休め」

ほむら「え?え??」



ほむら「ちょっと待って、どういうこと!?」

マミ「暁美さんの記憶では“がんばって”って言う声が入っているのよね?」

ほむら「そうよ!」






杏子「……ほむら、そんなもの入ってねえよ」






ほむら「嘘よ!」

マミ「映ってるのは魔獣と暁美さんと暁美さんの黒い翼だけよ」

杏子「いきなり何もないところに話しかけたりしてるしよ」

ほむら「見せて!絶対写映ってるはずよ!」

杏子「また、まどかか……」

マミ「暁美さん……」

ほむら「どうしたの?2人とも?」

杏子「最近おさまっていたと思ってたんだけどなぁ」

マミ「提案なんだけど少しのあいだ魔獣退治休んだら?」

ほむら「え?」

杏子「というか休め」

ほむら「え?え??」



ほむら「ちょっと待って、どういうこと!?」

マミ「暁美さんの記憶では“がんばって”って言う声が入っているのよね?」

ほむら「そうよ!」






杏子「……ほむら、よく聞け。そんな声はいってねえよ」






ほむら「うそよ!」

マミ「映ってるのは魔獣と暁美さんと暁美さんの黒い翼だけよ」

杏子「いきなり何もないところに話しかけたりしてるしよ」

ほむら「見せて!絶対写映ってるはずよ!」




      ―――Don’t forget
      Always ,somewhere,
   Someone  is  fighting  for  you

   ―――As long as remember for her.
      you’re not alone.





ザッザッザッザッザッザッザッ……

ほむら「………………」ゴゴゴゴゴゴゴ



ほむら「!」

ほむら「ふふふ……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……




ほむら「……なんでまどかの声が消えてるの!?」

マミ、杏子「………………」

ほむら「……まさか!!ごめんなさい、帰るわ」

マミ「え!?」

杏子「は!?」

ガチャ

ほむら「騒いでごめんなさい」

杏子「お、おい」

バタン



マミ「今度はどうしたらいいのかしら……」

杏子「また前みたいに地道に慰めるしかねえだろ」

マミ「それにしても……」

杏子「ん?」

マミ「まどかさんってひどい娘ね。暁美さんをあんなに苦しめて」

杏子「本当にいたらの話だけどな」






―――ほむらの家―――

ほむら「ぜえ……ぜえ……」

ガチャ

ほむら「まど……か……」フラフラ



まど神「ど、どうしたの!?」

ほむら「よかった、消えてない」

まど神「!」

ほむら「マミに送った動画からまどかの存在が消えていたの」

まど神「……もうそこまで進んでいたんだ」

ほむら「え……」

まど神「ごめんね」

ほむら「どういうこと!?」

まど神「全部はなすね……」



まど神「最初に言ったよね『概念にも夏休みぐらいあるってことだよ』って」

ほむら「ええ」

まど神「夏休みがあれば始業式もあるんだよ」

ほむら「そう……なの……」


まど神「わたしは本来ここにいたらいけない存在なの」

まど神「でもどうにか頑張って、条件付きなら帰省してもいいってことになったの」

ほむら「その条件って……」

まど神「わたしがこの世界に来ていた証やその間の記憶の抹消」

ほむら「でもわたしは……」

まど神「あ、ほむらちゃんは別だよ。能力と願いの内容的に」

まど神「でももうマミさんも杏子ちゃんもパパ達も覚えていないと思う」

ほむら「そんなひどい……」

まど神「ティヒヒ、大丈夫!2回目だから!」

まど神「そして楽しくて時間がたつのを忘れてたけど、もうすぐ始業式なの」

ほむら「いつ?」

まど神「0時」

ほむら「あと21時間!?」

まど神「うんん、現地時間の0時だからあと3時間ぐらい」

ほむら「え!?」



まど神「黙っていてごめんね」

ほむら「なんで」

まど神「でも休暇中に好き放題できるっていいよ」

ほむら「え……」

まど神「だってふざけたメール送ろうが、一般人の前で魔法使おうが、

どうせなかったことにされるんだよ」

ほむら「………………」

まど神「警察に通報されて署まで導かれかけても、

    杏子ちゃんとマミさんの前で電波なこといっても
    
全部なかったことになるんだよ」

ほむら「………………」

まど神「パパが玄関で無意識に名前で……まどかって呼んでくれたことも、
    
たつやが見えない友達の“まどか”じゃなくてお姉ちゃんって呼んだごとも、

    全部……グスッ……消え……うぅ……で……ヒック……」ボタボタ

ほむら「……無理しないで」

まど神「なんで、みんな……微かに覚えているの?改変されたグスッはずなのに」

ほむら「あなたが……大切なのよ」


まど神「でも、その人たちにまた記憶の抹消が……」

ほむら「あなたの家族は1回目の抹消を耐えれたのよ。何度くりかえしても大丈夫よ」

まど神「でも……」

ほむら「それにある先輩はこう言ったわ『魔法少女は夢と希望を叶える』って」

まど神「それって……」

ほむら「魔法少女のあなたが諦めてどうするの?」

まど神「………………」

まど神「ティヒヒ、ありがとう……」

ほむら「どういたしまして」

まど神「もう大丈夫」

ほむら「よかった」

まど神「おかげで秋の仕事は頑張れそうだよ」





―――3時間後―――

ほむら「冬は帰ってくるの?」

まど神「多分休みがあったはず」

ほむら「待ってるわ」

まど神「うん」


ほむら「……そろそろね」

まど神「そうだね……」







まど神「じゃあ元気でね」











―――河原―――

たつや「うー……」カキカキ

ほむら「また、まどか描いてるの?」

たつや「ちがう、ねーちゃ!」カキカキ

ほむら「!」

たつや「ねーちゃ!」


詢子「あ、ほむらちゃん……」

ほむら「おばさん」

詢子「たつや最近になってまどかのこと姉ちゃんって呼び始めたんだ」

ほむら「へぇ……」

詢子「知久になにかあったのかって聞いても笑って誤魔化されるし」

ほむら「そうなんですか」

詢子「ほむらちゃん何か知ってる?」

ほむら「まあ……」

詢子「え!?」

ほむら「おばさんのいない間に長女が帰省してきた、それだけです」

詢子「そっか……見てみたかったな……」

ほむら「また帰ってきますよ」

詢子「冬はちゃんと休暇とるとするか」

ほむら「そのほうがいいと思います」





―――夜―――

QB「ふーん、そんなことがあったんだ……」

ほむら「信じてないでしょう?」

QB「おもしろい仮説だと思うよ」

ほむら「証拠があるものは仮説とは言わないわ」

QB「……確かに君の魔力がある日を境に急増したのも事実だね」

QB「因果ごと素質があがるなんて前代未聞だよ」

ほむら「そーめんのおかげよ」

QB「素麺?」

ほむら「あなたにも今度食べさせてあげるわ」

QB「?」





QB「今日もつくづく瘴気が濃いね」

ほむら「そうね」

QB「魔獣が次々湧いてきて、いくら倒してもきりがない」

ほむら「こっちの魔力も無尽蔵だから問題ないわ」

QB「……そうだったね」

ほむら「行くわよ」バッ

ヒュゥゥゥゥゥウウウウウウウ……

ほむら(悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界だけど)

ほむら(だとしてもここはあの娘が帰ってくる場所)

バサァアアア

ほむら(それを忘れたりしない)

ゴゴゴゴゴゴゴ……

ほむら(だからわたしは……)


フユヤスミ マデ ガンバッテ……


ほむら「!!」ギリリリリ

ほむら(戦い続ける)バシュン







おしまい


まど神「永遠にお休みをもらったよ」ティヒヒ
ほむら「それってクb」
まど神「お休みだよ」

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