『先日確認されたISを起動できる男子、織斑一夏君のIS学園入学が迫っています。日本政府は彼の処遇について……』
鏡で見慣れた顔が、ワイドショーを賑わせている。俺は無性にイラッとしてテレビを切った。人の気持ちも知らずに勝手に報道すんな。
だがいくら嘆いても、現状は変わらない。
俺の人生はまさについ先日、詰んでしまったのだ。
女性にしか仕えない世界最強の兵器、IS。
何の因果か、俺はその超兵器を男でありながら起動させてしまった。
当然俺の扱いは宙に浮き、日本国籍なのかすら怪しいザマだ。
最終的に、いかなる国家や組織からの干渉を断ち、決定までのリミットを先伸ばしにするという魂胆から――俺はIS学園に通うことになった。
IS学園っていうのはIS操縦者を育成するための機関だ。
もちろん、俺以外に男でISを動かせる人間はいない。俺は唯一の男子生徒となった。
自分で言うのもなんだが、この環境に期待をする人だって少なくはないだろう。
で。
で、だ。
VIP扱いの俺は厳重警備の中ヘリで送ってもらった後、こうして校舎の外に突っ立ってる。お見送りはヘリポートまで。
一夏「……」
箒「何か用か? 織斑、正直そんなに見つめられても、困る」
偶然にも再会した、このファースト幼馴染の成長に驚嘆する。
以前から美人だったが、最後に見た小学生のころの記憶と比較しても驚くべき相貌に成長していた。艶やかに光沢を返す長髪は宵闇のように深く引き込まれそうで、鼻立ちの整った顔なんて熟練の人形師が設計したんじゃないかと思えるほど完璧だ。制服越しにも分かる抜群のプロポーションは街中なら誰もが足を止めて振り返るレベル。
箒「その目で見られると、困るな。その……」
彼女は俺から目をぷいと逸らす。
箒「そんな産業廃棄物みたいな目で見られるとこっちの精神まで病んでしまいそうだ、止めてくれ。くり貫いてきちんとした施設に送るべきか?」
ファースト幼馴染は氷の女王にジョグレス進化していた。
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一夏「……ほ、うっ……篠ノ之? なんか、ナチュラルに俺の目を埋め立てようとしなかったか?」
箒「そんな存在してるだけで周囲に放射線を撒き散らすような害悪は排除するべきだろう?」
そう言って髪をかき上げ、箒は柔らかに微笑んだ。爽やかな風も相まって芸術画のようなワンシーン。
箒「安心しろ、有史以来、人々の生活に害を及ぼすものはいずれ廃滅する運命にある」
一夏「俺の目が死んでいることを歴史規模で語られてもなぁ……」
箒「お前の名はいずれ教科書に載るに違いない。それほどのことをお前は成し遂げた」
お、なんかまともに褒められている気がする。そう言われると照れるな。
なんか気恥ずかしくなって頭をがしがしと掻く。そんな俺に対し箒は言葉を続けた。
箒「有名人になって下手に恥をさらして生きる希望を失うより、今のうちに埋まっておいたほうがいいだろう?」
違った。全然褒めてなかった。なんなのこの幼馴染切れ味がちょっとバグってませんかねぇ。切れちゃうよ堪忍袋とか俺とこいつの縁とか。むしろ現在進行形で切り離されてる途中だけど。能動態と受動態では天と地ほどの差があることに注意。
箒「あ、目だけじゃなくていつのまにか本体も含めていたな……すまない」
一夏「いや、ははは、さすがに生き埋めはないよな」
箒「もちろんだ。お前などを埋めてしまった深刻な土壌汚染が発生して、近隣の水産業に打撃を与えかねない」
どんだけ高密度の有害物質体に含んでんだよ俺。むしろ今こうして地に足をつけているのが危ないぐらいだろ。あ、だから死ねって言ってるのか……
一夏納得。いや納得したら埋め立てかよ。どんな罠だこれ。
箒「初日から遅刻はしたくないからな。ほら行くぞ織斑。お前小学校のころ雨の日にこけて遅刻した時、服装汚れすぎで『マッドメン』のあだ名をつけられたのを忘れたか」
一夏「イヤアアアアアアアヤメテエエエエエエエエ」
トラウマを掘り起こしてくるクール幼馴染。
耳をふさいでのた打ち回る俺を引きずって、彼女は一年一組の教室まで歩いていった。
というか初日にしてラスボスクラスの天敵と遭遇しちゃったんですけど大丈夫ですかねぇ。
山田先生「皆さん、IS学園にようこそ!」
俺の席は教卓のまん前、最前列ド真ん中だった。おいやめろ。人から視線浴びるの苦手なんだよ。
人の輪に中心にいる人間は輪の中には混ざれないってラノベゲフンゲフン文学作品で言ってたけど、そもそも輪に近づいたことのない俺からすればどっちみち変わらん。
輪の人間は、内側を見てればさぞ楽しいのだろう。だが連中は時々こぞって振り返って、輪には入れていない人間をあざ笑う。どうしてこっちに来ないんだ。こっちはもっと楽しいのに。そしてその疑問が、輪の外の人間は自分たちに劣っているという優越感にすり替わっていく。
まあ俺だってまったく注目を集めたことがないわけじゃない。授業中に発言したらみんなクスクス笑いながら見守ってくれたぜ。俺がどもる確率90%と降水確率なら折り畳み傘が必須のレベル。
教室で寝た振りをしてる時とかは視線浴びてし写メだって撮られたことある。『織斑君起きないーww』『死んでんじゃねww』なんて歓声も受けた。もはやジャニーズが俺をスカウトしに来るのも時間の問題。
山田先生「織斑君、織斑君!」
一夏「はい?」
輝かしい栄光の軌跡を振り返っていると、いつの間にか自己紹介の順番が俺にまで回ってきていた。
涙目の先生に頼まれて、やれやれと立ち上がる。
自己紹介ごときで戸惑うのはレベルの低いぼっちだ。訓練されたぼっちは秒速で終える。
ここでいちかのパーフェクト自己紹介講座。
①個人情報の開示は必要最低限に留めましょう。後の話題の芽を摘むことに繋がります。
②声量は抑えて、声も低めにしましょう。第一印象を暗めに設定できます。
③注意すべきは表情です。ポジション的に一部の生徒からしか見えませんが、視線を上げてたり下手にキリッとした顔をしていると誤解されかねません。視線はしっかりと手元、または机に落としましょう。
これで君も新学年ぼっちスタート間違い無しだ。需要あんのかよこれ。
一夏「織斑一夏です。今日からこの学校に通うことになりました。一年間よろしくお願いします」ボソボソ
あっやべ予想以上の重圧に声が出なかった。
多分俺より後ろの席の子にはほとんど聞こえてないんだろうなぁ……
ざわめきが広がっちえく教室の中、俺の左方面、最前列窓際に座る箒が、曇りない眼で見てきているのが妙に気恥ずかしかった。
授業はまあ予想できた通りハードだ。
休み時間も無言を貫き続け、俺の声帯がきちんと役割を果たしてくれるか怪しい。喋らなさ過ぎたらこうなるよな。中学の修学旅行とか喉が三日間有給とってましたよ。まあ雑談に関しては普段から開店休業中だけどな。
明日から始まるIS実習に期待しつつ、次の授業『IS理論学』なる、文系まっしぐらだった俺としては拒否反応が激しく出る教科の予習を確認する。
慣性の法則を応用したPICとか空間を擬似的三次元グラフに見立てて飛行する訓練方法とかヤバい生きていける気がしない。クロス・グリッド・ターンとかなんだよ語感がオサレすぎだろ。図を見てもこんな機動がなぜできるのかまったく分からん。
セシリア「ちょっとよろしくて?」
一夏「ん?」
目の前に、金髪の美少女がたたずんでいた。意志の強そうな瞳が俺を射抜く。電流でも流されたみたいに体が動かなくなる。なにこれ金縛り?
え……ちょっ、フラグ? どっかでフラグ立てたっけ俺?
セシリア「まあ何ですのその冴えない応答は! 先ほどの自己紹介といい、」
一夏「あ、や、すまん今ちょっとあれがあれなんでほらあれで」
やばいテンパってきた。なんでいきなりこの子俺に絡んできてんだよ怖ぇーよ。
セシリア「このイギリス代表候補生、セシリア・オルコットがわざわざ話しかけてあげているのですから、少しは礼節を伴った行動をしてはどうですの?」
一夏「あ、はい」
普通に頷いてしまった。このタイプの人苦手です。話し聞いてくれないんですもの。まあ俺が何か話そうとしても大体聞き逃されるか耳に届かないか俺がどもるかなんだけど。そろそろ時代はテレパシーに移行すべき。すると俺の脳内妄想がダダ漏れして社会的に死ぬのか。俺マジ詰んでるな……
セシリア「大体あなたはなぜ自分がこの神聖な地に平然と入ってきて……んっ、授業のようですわね。次の休み時間も逃げないようにしなさい」
俺が何か言うのも待たずに彼女は席に戻っていった。
IS理論学は、一組担任の俺の実姉である織斑千冬が担当する。彼女がこの学園に勤めていることは大分前から聞かされていた。
千冬「よーし全員いるな。今からクラスの代表を一人選出する」
クラスの代表か。トーナメントとかに出てメディアに露出したりすんのかな。
もしそうなら是非お断りしたい。目立つのは好きじゃないし、そもそもニュースに流れた時点で俺の中学での評判がネットに流失して大変なことになったんだから。
というわけで期待に満ちたまなざしを織斑先生に向けてみる。
千冬「織斑、やれ」
問答無用かよ。
セシリア「お、お待ちになってください織斑先生っ!? こんな野蛮な人種を代表にするなんておかしいですわ!」
そーだそーだ言ってやれオルコット! 俺は働きたくないんだ! ていうか勝てる気がしないし。素人同然なんだぞこっちは。
セシリア「こんな下等生物、劣等存在にクラスの代表を努めさせるなど末代までの恥ですわ! 皆さんはそれが我慢できますの!?」
……あれ? 俺の想像以上にこいつヤバイこと言ってないか。一応イギリスの代表候補生、それなりの立場を持った人間なんだよな? これ外交問題に発展したりしないよな、おい。
一夏「ちょ、ちょっと待ってくれ」
席を立って俺も話に参加する。オルコットがギロリとにらんで来た。怖ぇぇぇ。
一夏「織斑先生、どうして俺なんですか? 俺より、代表候補生という肩書きを持った、より適任の人間がいませんか?」
千冬「ダメだ。お前はすぐに行われるであろうクラス代表トーナメントに参加してもらう」
なんで、とは言えない。男性操縦者である俺のデータを各国は喉から手が出るほど欲しがっているはずだ。
なら確かに、必然的に俺をクラス代表にしてしまえばいい。
セシリア「そこが我慢なりませんのっ! このような極東の……」
マズい。これ以上は、アウトだ。
一夏「俺はオルコットが俺より強いと思っています」
彼女のセリフを無理やり遮る。
一夏「だから……もし彼女が俺より弱いのなら、そのときは、俺がクラス代表になります」
千冬「ほう? して、どうやってどちらが優れているのかを決めるんだ?」
一夏「それは……」
セシリア「決闘ですわ!」
振り返れば、オルコットが俺に人差し指をビシィと突きつけている。おい、人をむやみに指差すなって母ちゃんから習わなかったのかよ。
千冬「異存はないな?」
一夏「くっ……」
ある、けど、それは言えない。
ここはあらゆる組織の干渉を受けないって? そんなものは有名無実だ。もしクラスの誰かが、オルコットの発言を録音しててアップロードしてみろ。イギリスへの非難は出るだろうし、オルコットの首が切られることにもつながりかねない。失言で失脚する人間は日本で見慣れた。
そして俺はそれを防ぎたい。
オルコットのためじゃない。一組からすぐに問題児が出たなんてことになれば、千冬姉の沽券にもかかわりかねない。
なるべく穏便に一年間過ごす。それが俺の目標だ。目標だってのに一発目からこの大騒ぎとか笑えない。癒しが欲しいよ……スーパーニチアサタイムが遠い。
一夏「……いいぜ。決闘だ。勝ったほうがクラス代表だ!」
俺はそう言って腹をくくった。
今回はここまでです。
一夏に少し八幡成分、箒に雪乃成分を混ぜてみた作品です。
気づいた方もいるかもしれませんが、千冬にも平塚先生成分が多少混ざっています。
次回で鈴登場までやります。
2期決まったし投下します。
偉そうなことを言ってみたはいいが、俺はISというものをほとんど知らない。
知識自体はある程度教科書から吸い上げているものの、実際に動かすとなると大きく話が違うぜ。
入学試験の先生相手の模擬戦一回こっきりが起動経験だ。噂だとオルコットはその教官相手に勝ってるらしいしこれは俺マズいぞ。
箒「……それで、どうしたんだそんなみっともない顔をぶら下げて」
一夏「あー? いやちょっと、オルコットのことでな」
箒「いやらしい表情だな。一体オルコットの何を考えていたんだ?」
ひどい言いがかりだった。おい、お前女性専用車両とか率先して賛成してるタイプの人間だろ。むしろ男性専用車両を作れよ。
まあこういう美人が言ってたら不思議と説得力がある。そういう男からの視線に慣れてそうだしな。
一夏「実際問題、代表候補生っていうのがどんくらい強いのかが分からん。初心者が有段者に挑むみたいなもんか?」
イメージは上条さんVS科学サイド一位とかか。ん? 俺勝てるんじゃね?
まあ俺の右手は幻想打ち殺すどころか画面越しの幻想を見て上下に動くタイプだけど。むしろ現実に打ちのめされるレベル。あ、エア友達とかの幻想なら殺せそう。
箒「お前は徒手空拳の人間が猛虎に勝てると思うか?」
一夏「……マジかよ」
オルコットって虎なの? 俺食われちゃうの?
これは俺が虎になって対抗するしかないな。あれなら親友が通りかかって草むらで泣きながら事の推移を語っちゃうから。
箒「安心しろ、私ならお前の妻も子供もしっかり保護した上でハンターに依頼してお前のことを狩ってもらうから」
親友ポジションがいないのが最大の欠点。おい致命傷じゃねえか。いい加減こいつのセリフにパッチ当ててくれよ。バグってて久方ぶりの幼馴染にデレがないんだけど。
一夏「頼む。ISについて何か知ってることがあったら教えてくれ」
箒「……いや、だ。力になれるだろうが、なりたくない」
一夏「なんでだよ」
箒「ISは嫌いだ」
それきり、箒は窓の外に目を向けてしまった。
……悪いこと聞いちまったかな。
となると独力でイギリス代表候補生に勝たなくてはならない。難しいとは思っていたけど、さっきの説明を聞く限り無理っぽいな。
まあ元々代表候補生とかやる気なかったし別にいいけどよ。
にしてもIS学園、授業がノートとかじゃなくて電子黒板にデータ保存テキストエディタとかレベル高すぎだろ。
こういったハイテク機器はいじってるだけでテンション上がってくる。最高だよなこういうの。最近の100均とか歩いてるだけでふわふわしてくる。それで視線感じて我に返って死にたくなる。
今とかひどいぞ。こんなに視線にさらされて本当に死にたい。おい休み時間ってなんだよ授業中よりキツイんだけど。全然休めねぇよ。
早く授業始まらないかなーとそわそわしていると、ガラリと教室の扉が開いた。
今から始まるのはIS理論学。俺の鬼門だ。
山田先生「はぁい皆さん、席に着いてくださいね。授業を始めますよ~」
MAXコーヒー並みに甘ったるい声が響く。糖分が欲しいとは思ったが、我慢するしかなかった。
俺の席の近くで突っ立っていた箒が、そそくさと席に戻っていく。
エディタシステムを起動させる。気合を入れなければ、寝てしまう。
や、やっと終わった……授業つらすぎだろ。
PICとやらの理論についての講義を頭に叩き込み、すでに足元はふらふらだ。色々見て回りたいところはあるが、ひとまずは糖分を摂取したい。
自販機を探してみたが広すぎて見当たらないので、食堂を当たってみる。昼飯もここで食べたが、ドリンクメニューは詳しく見ていない。
一夏「MAXコーヒーがない……だと……」
箒「あるわけないだろうバカかお前」
なんでいるんだよこいつ。こえぇ。背中にくっついてたりしないよな。稲川さんにテレビで語られちゃうかも。
箒「ふん、気づいていなかったのか?」
一夏「ああ……あの集団にまぎれてたのか」
チラリと目をやる。明らかに隠れ切れていない数の女子生徒が、物陰からこちらをのぞきこんでいた……あっみんな慌てて隠れた。
俺のこと珍妙な動物だと思って追い回して楽しいんですかね? 俺が環境に敏感な生物だったらストレスで死んじゃう。
一夏「んじゃこのカフェオレのロング缶ください」
おばちゃん「あいよ」
カウンターにコトンと置かれた缶を握る。
適当な席に二人で座って、一息ついた。なんだかんだこいつと一緒に行動することが多いな。
プルタブを開けるとミルクの甘い香りが鼻腔をくすぐった。
一夏「ふはぁ……」
箒「そんなに美味しいのか?」
一夏「飲むか?」
箒「死ね」
箒を横に連れ添って歩く。さっきの発言はなかったことにしたい。本当に思い出すだけでヤバい。部屋に戻って枕に顔埋めてゴロゴロ転がってしまう。
一夏「なあ、悪かったって。機嫌直してくれよ」
箒「別に気を悪くしてなどいない。お前の飲みかけなんて飲めば私の胃袋が溶けてしまうかもしれないからな、劇物を避けるのは当然だ」
もう俺の唾液は劇物どころか強烈な酸性でも持ってるみたいになってた。なんなの俺そんなに廃棄物っぽいの? 織斑一夏、イメージ図はベトベトン。
にしても俺の背後に一定の距離を保って着いてくる連中がうっとうしい。正面から言う勇気はないがやめてほしい。
俺が箒のご機嫌取りをしているのを聞いて好き勝手に言ってそうでこえぇよ。
一夏「……ここが寮か?」
箒「ああ。さっさと入れ」
やっぱり不機嫌そうな声色だ。
箒「最初に言っておくが、お前は一人部屋だ」
一夏「当たり前だろ」
箒「だから私以外は入れるな。漏れなく例外なくだ」
……当たり前だろ、とは言えない。
確かに姉さんからある程度の注意を受けてはいる。端的な単語で表すなら、ハニートラップというやつだ。
この中に1人、と勢いよく言いたいがどこからか怒られそうなのでやめておく。
一夏「なんでお前はいいんだよ」
箒「私がお前に体術で負けたことがあったか?」
そういう問題じゃないだろ。ふざけんな。
無言で視線を刺すが、どこ吹く風とばかりに箒は歩き出した。俺の幼馴染は相手の気持ちを汲み取れない。
そんなんだから俺以外の話し相手を作り損ねるんだよ……まあ一番話し相手いなくてヤバいのは俺だけど。箒が休み時間音楽とか聴き始めたら即死レベル。
箒「万が一の時も考えろ。お前一人の問題じゃないんだ」
一夏「やばいと思ったが性欲を抑えられなかったって言っとく」
箒「…………」
あ、ヤバイこの視線はヤバイ。本当に俺のことを捨てられたアルミ缶レベルに扱ってる。
アルミ缶なめんなよ。リサイクル率は目を見張るものがあるんだぞ。
箒「アルミ缶自体を作るのには、ボーキサイトからアルミナ、アルミニウムに変換するまで大量の電力が必要だがな。せっかくだからお前も一回低温で融かされてリサイクルされてこい。通常の3%の電力で済むぞ」
それよりお前の言葉の低温ぶりに凍りつきそうです。誰かファンヒーター持って来い。
一夏「どうにかしてISを使えないもんなのか?」
荷物を部屋に置いて、俺は食堂に向かった。途中で箒が壁に寄りかかっていて合流。待っていてくれたのかと甘い考えは捨てた。完全にこいつ監視役だ。姉さんから言いつけられているに違いない。
箒「書類を提出すれば可能だ。今のうちに予約しておけ。相手は専用機、少しでも抗いたいなら時間を積め」
つってもよ、俺からすればそれこそ悪あがきみたいなもんじゃないのか。
勝ってみたいという気持ちはあるが難しい。そもそも戦いを挑んだ理由だって勝つためとかじゃなくてとにかくオルコットを黙らせるためだし。あ、俺が勝てば黙ってくれるのか。
箒「男なら少しはプライドを持て。お前は様々な意思を背負っているということを忘れるな」
一夏「……そうおだてられてもねぇ」
箒「お前の双肩にすべてのフナムシの意地がかかっているんだぞ」
一夏「俺フナムシ代表かよ」
上げて落とされた。高等テクニックにもほどがある。
ひとまずやはりISに触れなければ話にならない。
どうにかこうにか訓練機を使えるようにしなきゃな。
箒「……その、だな……一夏」
一夏「あ? んだよ」
サラダにフォークをグサグサ刺しながら、箒はそっぽを向いている。
なんだか言いにくそうにしてるな。言いたいことはダムみたいに放出しまくりなこいつにしては珍しい。
箒「専用機、なら」
「やーっと見つけた」
聞きなれた声に思わず振りかえる。
相も変わらず俺を背後から見ていた連中もびくっと震えた。その連中の前に、そいつは立っていた。
一夏「鈴……」
鈴「なによこいつら、あんたのファン?」
小柄な少女からの無遠慮な視線にビビったのか、そそくさと退散していく。
かなりシュールだぞお前ら。手乗りタイガーは格が違ったな。
鈴「久しぶりね」
一夏「……鈴、お前、いたのか」
鈴「あんたとは違うクラスだけどね。二組よ二組。まあ壁ひとつ挟むだけかー」
そう言って彼女は快活に笑った。制服改造しすぎだろなんで肩出てんだよ。どこで袖とジャケットがつながってるのかも分からん。寒々しいわ。
まあこいつぐらい元気なら問題ないか。元気さに関しては三千世界で一等取れるレベル。
箒「……おい、一夏。どちらさまだ?」
一夏「ん? ああ、お前が転校しちまってから入れ替わりに転入してきた子だ
鈴「凰鈴音っていうの、よろしく。あと……」
睨むような目つきで鈴を見ている箒。その氷の視線をものともせずに鈴は俺の手を握った。
鈴「久しぶりの一夏の手、あったかいなっ」
一夏「……クッソ可愛いなコンチクショウ」
きゅぴーんと鈴の目が輝いた。
鈴「あ、今のあたし的にポイント高い!」
これさえなけりゃ可愛いんだがなあ。
残念な妹を見る気分で、俺ははしゃぐ鈴の頭をなでりなでりしてやった。
今回はここで終わりです。
鈴は……まあ誰ポジか一発でバレたと思います。ガハマさん?誰それパララギ君の彼女?
連休中は三日間ともホワイト出社だから楽しいなあ…(白目)
俺の部屋のベッドふかふかすぎワロタ
これが俺のだって思い出すのに時間かかったわ
時間できたし投下します。
端的に言えば、見込みはないということらしい。
鈴「何よ、入学して一発目の騒動があんたVSイギリスの第三世代機? 無理無理、マジでやめたほうがいいって」
一夏「全否定かよ……中学のときは俺だってやる時はやる奴だったろ」
鈴「そうね、昼休みの放送でアニソンメドレーかけて『DJオタムラ』の異名をとったほどだもんね」
一夏「ウワアアアアアアアアアアアヤメロオオオオオオオオオオ」
本気で腹が痛くなってきた。テーブルに顔を押し付けて必死に喘ぐ。オタムラのオタはオタクのオタ、ムラ……? おい誰の苗字だよ聞いたことねえぞ四文字でムラの二文字がつく苗字とか。名乗り上げろ。
箒「お前、中学に上がってもそんなんだったのか」
一夏「その目で見るのやめてください、死んでしまいます」
致死性の冷気をこめた視線がグサグサ刺さってきた。
すげぇよ……小中通して俺の黒歴史がコンプリートされちゃうよ……
箒「安心しろ、お前はまずこの世に生を受けた時点で黒歴史が始まっている」
一夏「俺史を丸ごと黒歴史扱いしないでくれ」
もはや存在そのものが鬱陶しいレベル。ハイメガキャノン(心理)でも生身で受け止めてやんよ!
箒「そもそもお前は在り方からしてだな」
鈴「まーまー、それ以上はさすがにかわいそうでしょ!」
割り込んできたのは、小5からの付き合いの幼馴染二号。技の一号と力の二号か……きりもみキックとか食らったら即死しちゃうから勘弁してほしい。キック以上に口先からのダメージがやばいんだけどな。
鈴「一夏のいじめられてる時の泣き顔は確かに可愛いけどね」
一夏「おい、今の発言はアウトだろ。ぼっち保護法違反だぞ」
鈴「聞いたことないわよそんな法律……日本ってそんなにぼっちにやさしい国だったっけ?」
一夏「バッカお前、日本ほどぼっち向けの国はないから。電車の中の静けさとかあんなんお一人様向けじゃねえか。逆にあの空間で騒いでる連中が冷たい視線を向けられ排斥されるのが普通になってるし、ぼっちは至高の存在。論理的に考えて公共の場で最も似つかわしい作法を自然体で行えるぼっちは日本人の鑑ということだ」
箒「別にそれは万国共通なのでは……」
インドネシアの乗車率500%を見ると日本は本当に恵まれていると思いました(小並感)
鈴「こいつは無駄にハイスペックだし大抵のことなら本気出せばやってのけるわよ、ただ性格が全てをマイナス変換してるだけで」
箒「致命傷だな。可能性にあふれた産業廃棄物とかどう扱えばいいんだ」
ダブル幼馴染が冷たい視線を向けてくる。やめて! V3が誕生しちゃう! あれならライダーマンは千冬姉でいいだろ、実質生身で怪人と戦うとかあの人ぐらいじゃないとできない。
鈴「でも今回ばっかりは無理ね。地力の差とか云々以前に、積み上げてきたものが違いすぎる」
一夏「……人間が虎に挑むみたいなもんって言われたけど」
鈴「まあ外れではないわね。あんたアサルトライフルで戦闘機撃ち落とせる?」
一夏「難易度格段に跳ね上がってんぞ」
鈴「そんだけ難しいってことよ。相手が第二世代機だったら機体の相性によっては多少やれたかもしれないけど」
機体の相性、か。専用機はそういうものを全て無意味にするだけの力があると、こいつは暗にそう言っている。
一夏「もうあきらめたほうがいいな。今から土下座すれば許してくれっかな」
プライドの低さには定評があるんだぜ。
そう言うと、二人とも呆れたようにため息をついた。
箒「お前、少しは男としてのプライドを持ったらどうだ? こんなのが全世界の男性を代表していると思うだけで人口の半数がかわいそうになってくるぞ」
鈴「ごめんねー、こいつ昔っからこんなんだから」
勝手に身内面すんな。確かに妹分として扱ってきてはいるが、そういうのは、お前が謝るべきことじゃない。そう何度も言っているはずだ。
箒「いや別にお前が謝ることでは……というか、お前、これとどういう関係なんだ?」
これって何だよついに物扱いかよ。
鈴「幼馴染よ、小5からの付き合い。アンタは?」
箒「……恥ずかしながら、幼馴染だ」
鈴「あらまあ」
一夏「お前が恥ずかしがることじゃないだろ……」
俺とのかかわりってどんだけステータスに影響与えてんの? 俺とかかわるだけでSAN値が削られたりすんの? どうでもいいけどSAN値ピンチはあざとすぎて逆に好きになれない。
鈴「決闘っていつよ」
一夏「確か明後日のはずだ」
鈴「んじゃ明日だけでもあがいてみましょ。ほら、訓練機の使用許可の申請に行くわよ」
一夏「オイバカッ、食後のミルクコーヒーが……ッ」
俺の服を引っ張って、鈴は廊下をずんずん進んでいく。呆れたような表情の箒はその場に居座っていた。まだ飲み終わっていないコーヒーが……まだ残っているのに……!
一夏「せめて飲みかけのコーヒーを持って行かせてくれ、あれ一日に一回飲まなきゃ寝れないんだ」
鈴「完全に中毒じゃない……あ、良かったじゃない持ってきてくれたわよ」
あん? 振り返ると、確かにロング缶を持って箒が歩いてきていた。少しうつむきがちで表情が読めない。
一夏「ありがとな。お前も来るか?」
箒「い、いや、いい……申請は、ラファールにしておけ……じゃあな」
それだけ言うと箒は走り去って行ってしまった。コーヒーだけ握らされポカンとする俺と鈴。
鈴「なんだったのよ」
一夏「さぁ……ん?」
コーヒーを一口。何か違和感。
少し、いつもより甘い気がした。
翌日、もあっさり過ぎ去って決闘当日。
千冬「これがお前の専用機だ」
一夏「聞いてねえ……」
なんだこの超展開。どんなラノベだよ。ご都合主義にもほどがあんだろ。
ピットには一機のISが鎮座している。主に纏われるのを待つ武者鎧のように、寡黙に、不敵に。
千冬「名前はお前がつけろ」
一夏「……これが専用機か」
昨日のラファールとどう違うんだろうか。どう動くんだろうか。どんな攻撃ができるのだろうか。
あれ。
なんで俺、こんなに。
こんなにISのことばっかり考えてるんだろう。あんなに嫌いなのにあんなに振り回されたのにそれでも乗ろうとして俺は俺は俺は何がしたい俺は何が何のためにどうしてここにどうなんでなんでどうして
『一人ぼっちはさびしいもんね』
声が、聞こえる。
引き込まれる――
第二回モンド・クロッゾ決勝戦。
あの日、俺は。
俺はこいつと。
千冬「おい、何を呆けている。試合が始まるぞ」
一夏「負けない」
千冬「は?」
観客席をズーム。箒と鈴は並んですわり、俺の登場を今か今かと待っている。
一夏「俺は、負けない」
身に纏う鎧のおかげで分かった。
俺は負けるわけにはいかない。
千冬「お前……」
一夏「……ずっと負け続けてきたんだ、ちょっとぐらい勝ってもいいだろ」
カタパルトに接地。あとは射出されるのを待つだけ。
記憶が瞬時にフラッシュバックする。俺が俺である所以。
一夏「行ってきます、姉さん」
空へ飛び立つ。
正直すまんかった。
次回からは平常運転に戻します。
やはりぼっちは誰もいなさそうな時間にひっそりと投下する。
というわけで投下。バトル適当なのは仕様です。
一夏「悪い。待たせたな」
セシリア「一体全体、レディを待たせるなんてどうしつけられていのですか?」
一夏「姉さんから知らない人との約束は無理に守るなって言われてんだ」
セシリア「……」
ビキバキとオルコットの頬が引きつっている。
第三世代機とやらは特殊な兵器を搭載しているらしい。オルコットの場合は知らんが、鈴は見えない砲撃をしてきやがった。マジで痛かったんだけど。見えない攻撃とかなんだよ口先かよ。言葉のナイフに比べたらまだマシだったけど。
千冬『ではこれより、クラス代表決定戦を開始する!』
観客席から爆発的な歓声。暇人多すぎだろバカか。俺が負け散るのを見物しにきたのかよ。この第一の関門難易度高すぎて笑えない。オイ呂布連れてこい、増援に漂流物がいないと勝てないって。
一夏「じゃあ」
セシリア「終わらせましょうか」
ブザーが鳴る。
セシリア「踊りなさい、このブルー・ティアーズの奏でるワルツで!」
ビュンビュンと、何か飛んできた。
青いそれはそれぞれ独立して飛び回っている。ファンネルか何かか?俺のユニコーンとは相性が悪いが大丈夫か?……まあこのIS、NT-Dとか搭載されてねえけど。
一夏「っと」
それぞれがビームを撃ってくる。時代はファングなんだよ、イノベイターに目覚めてからやり直せ。
セシリア「なっ、初見でよくかわしますわね!」
一夏「あいにく、周りの状況をよく見るのには慣れてんだ」
それしか時間の潰し方を知らなかったからな。
休み時間の度に群れる連中は絶対時間を損してる。一人で虫の音を聞き、風に触れることがどんだけ心地いいか知らないだろ。ちなみに俺はこのおかげで成績も伸びて志望校に合格しました。結果はごらんのザマだが。
セシリア「このっ! このっ! どうして落ちないんですの!?」
一夏「クラスで浮いてる俺が落ちるわけねーだろッ!!」
武器を呼ぶ。長刀一本。
俺を取り囲むビットの射線上から逃れオルコットの眼前に躍り出る。
セシリア「ふっ、ブルー・ティアーズはもう二機ありましてよ!」
ミサイルが発射される。近い。間に合うか。
一夏「訓練されたぼっちは想定外の事態にもうろたえない」
ミサイルから逃げない。ギリギリで避け、すれ違う。
セシリア「は?」
呆然とする彼女めがけて、俺は唯一の武器を突き出した。
千冬「で、相打ちか」
一夏「面目ない、っていうか俺がんばったほうなんじゃ……」
ほぼゼロ距離のインファイトに持ち込んだ俺は、まずライフルを叩き切ってからすき放題に暴れていた。
するとどうだ、後ろから180度ターンしてきたミサイルたちが突っ込んできて、俺とオルコットとまとめて吹き飛ばした。直撃した俺と余波を受けたオルコットは共にエネルギーゼロとなり、そのまま墜落したのだ。
箒「はたから見ていて実に中身の薄い試合だったな。相手は無論だが特にお前がひど……」
鈴「ほらスポーツドリンク! あんた温めのが好きだったでしょ!」
ピットでベンチに座り休んでいた俺に、鈴が駆け寄ってきてボトルを手渡す。
セリフをさぎられた箒はどこか不服そうにピコピコ動くツインテールを眺めている。おい目が怖ぇ。人のこと言えねえぞ。
一夏「ああ、サンキュ」
気遣いできるじゃねーか。気心の知れた相手というのだろうか。
鈴「今のあたし的にポイント高い!」
一夏「これさえなけりゃあな」
ポイント貯めて何かあるのかよ。業務提携してるワケじゃねえからファミマ行っても使えねえぞそのポイント。
千冬「何か吹っ切れたようだな」
一夏「ん、ああ。『白式』のおかげだな」
待機形態のガントレットを撫でる。戦闘が終わってからやっと初期化・最適化が完了した。
千冬「しろしき?」
一夏「こいつの名前。俺がつけたわけじゃないけど」
ずっと前からついていた名前だけどな。
箒「……おい、聞いているのか」
と、不機嫌そうな表情で箒が俺の顔を覗き込んできた。オイオイ近い近い。何かいい香りするし。
箒「お前の太刀筋だが、見ていられないレベルだったぞ。いくら空中とはいえもっとやりようがあるだろう」
一夏「仕方ねえだろ、踏み込む地面がないんだ、重心移動が思うようにいかねえ」
箒「PICを応用すれば感覚的な足場は作れるのだが」
超上級者向けっぽいアドバイスが出てきた。こんなのをポンと出してくるあたりこの幼馴染はえげつない。
鈴「そんぐらい代表候補生なら簡単にできるわよー?」
一夏「俺代表候補生じゃねえし、つかそこまで強くなる必要もねえし」
鈴「ま、PICの扱いなら多少は教えてあげられるわよ。これからは放課後つきっきりのレッスンね。あ、今のあたし的にポイント高くない!?」
千冬「姉的にはポイント低いな」
鈴「!?」
箒「!?」
俺の話を聞けよ。
箒「……まずは剣の振るい方から習え。剣道場に来い、きっと部長がよく指導してくれる」
一夏「って、お前がやるんじゃねえのかよ」
箒「なぜお前などのために私が骨を折らねばならないのだ。まだ台所掃除をするほうが生産的だ」
鈴「ゴキブリ退治とかね」
そうかい、じゃあ早く火星に行ってきてくれ。アドルフさんを助けてくれたら言うことねえよ。
鈴「まあ一夏も見知らぬ人といきなりっていうのも戸惑うだろうし、ひとまずはISの基礎的な操縦からね! じゃないとあたしに勝てないわよ~?」
一夏「ちょ、ちょっと待て。なんで俺とお前が戦うことになってんだ?」
そう聞くと、鈴はあきれた様に俺を指差してきた。
鈴「あんたは一組の代表。あたしは二組の代表。じゃあ今度のクラス対抗戦で戦うのは当然でしょ?」
箒「お前、二組の代表だったのか……」
自慢げに胸を張る鈴。箒の前でそれをやっても正直かわいそうになるだけなんだがな……
箒「……何か不埒なことを考えている表情だな」
鈴「……一夏、今のはあたし的にポイント低いわよ」
二人とも自分の胸元を両手で隠してスススッと距離をとっていく。オイ! 勝手に心読むなよ! サトラレか何かだと勘違いしちゃうだろ! まあ俺の知能レベルからしてありえないのはお察しだが。
千冬「おい小娘ども、いつまでハシャいでいる」
箒「すみません、この不良部品をどう処理するか決まらないもので……」
一夏「なあ、ナチュラルに俺を社会の歯車として不適格ってなじるのはやめろよ。傷ついちゃうだろ」
鈴「あんた傷つく余地あったの? もう傷だらけにしたと思ったんだけど」
一夏「自覚あんなら大概にしとけよ」
鈴「あ、556!?」
一夏「修理用品じゃねえからあれ!」
こいつらは俺のことを何だと思っているんだ……消耗品か? ストレス発散用の百均グッズか?
千冬「クラス対抗戦は一週間後に開催される。その時まで待て」
箒「……少しは剣道場に顔を見せに来い。いや私がいないのをきちんと確認しろよ、目が合うだけでやる気がそがれていく」
鈴「んじゃー明日からはあたしとアリーナで特訓ね! 敵に塩を送るって代表候補生的にポイント高い!」
一夏「いやクラス代表的にはポイント低いからなそれ。……おーい箒さん? 何帰ろうとしてんだよ?」
箒「うるさい。今日はもう先にシャワー浴びて寝る。お前はそいつと一緒に腐り落ちてろ」
発言の刺々しさはいつもどおりだが、声色が若干冷静じゃなかった。
どうかしたのかよ、ったく。自分の心境を全然明らかにしないからなあいつ。
鈴「……ねえ一夏」
一夏「あん?」
鈴「あの子、なんでシャワーの話をしたの?」
一夏「そりゃ俺と同じ部屋だから」
鈴「…………ポイント低いわ、それ」ボソッ
今回はここまでです。
はまちもいいけどみんなデート・ア・ライブ見よう(ステマ)
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モップうぜえ