さやか「魔法少女まどか☆マギカ」レヴィ「THE GEARS OF DESTINY!」2(963)



まどか「はじまります!」



このSSは
「魔法少女まどか☆マギカ」
「魔法少女リリカルなのはA’s PORTABLE -THE GEARS OF DESTINY-」
のクロスSSです。

また、
「ほむら「魔法少女まどか☆マギカ THE GEARS OF DESTINY」」
の2スレ目です。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1348057059

----翌日 見滝原中学校・教室 2限目・理科----

まどか(さやかちゃん・・・)

さやか「ZZZ」フラフラ

まどか(起きてる・・・確かに起きてるけど・・・)

まどか(それは『起き上がってる』って意味だよ!)

さやか「ZZZ」フラフラ

仁美(よくバランスを保っていられますわね・・・)

さやか「ZZZ」コクッコクッ

恭介(横揺れから縦揺れに変わった・・・!)

さやか「ZZZ」コクッコクッ

ほむら(手鏡だと見づらいけど、見事な船の漕ぎようね・・・)

さやか「ZZZ」フラフラ

恭介(また横揺れに戻った・・・)

教師「よし、じゃあ美樹。問3の答えは何だ?」

まどか(えぇ!?)
仁美(キテシマいましたわ!)
恭介(これはマズい!)
ほむら(あーあ・・・)

さやか「ZZZ」フラフラ

教師「おい、美樹!」

まどか「さ、さやかちゃん!」ヒソヒソ

さやか「ふえっ?」ビクッ

仁美「3ヘクトパスカルですわ」ヒソヒソ

さやか「ひゃいっ!しゃんみりばーりゅれしゅ」フラフラ

教師「ん・・・?」

教師「3ミリバール・・・?」

仁美(単位ぃ!)

教師「残念だが、それでは不正解だ。廊下に・・・と思ったが、なんだか体調が悪そうだな」

教師「このクラスの保健委員は誰だ?」

まどか「はいっ!わたしです!」ガタッ

教師「すまんが美樹を保健室まで連れて行ってやってくれ」

まどか「はい。さやかちゃん、行こう?」

さやか「ZZZ」フラフラ

仁美(さやかさん・・・)
恭介(さやか・・・)
ほむら(一昔前なら正解だったのに・・・)

----休み時間 見滝原中学校・教室----

仁美「まどかさん、さやかさんの様子はどうでしたか?」

まどか「うん、寝不足だって。今は保健室で寝てるよ」

恭介「朝は元気だと思ったけど、無理してたのかな・・・」

仁美「・・・」

ほむら「まぁ、漫画やテレビの見すぎで夜更かしでもしたんでしょう」

ほむら「きっと放課後には元気になっているわ」

恭介「そうだといいんだけど」

仁美「さやかさん・・・」

----放課後 見滝原中学校・教室----

まどか「さやかちゃん、戻ってこなかったね・・・」

仁美「お昼休みに見に行ったときも起きる気配がありませんでしたわね」

ほむら「でも流石にもう起こさないと。保健室に行きましょう」

恭介「僕も行くよ」

仁美「上条君、女性の寝顔は簡単に殿方に見せてはいけませんのよ」

恭介「そ、そうかい?ゴメン。デリカシーに欠けてたかな?」

仁美「お気をつけくださいね」

恭介(授業中にずっと見てた気もするけど・・・)

まどか「上条君が心配してたって、伝えておくよ」

恭介「ありがとう。鹿目さん」

仁美「私も一緒に保健室に行きたいのですが、お稽古の時間が・・・」

ほむら「構わないわ。私たちだけで行きましょう」

まどか「うんっ!」

恭介「それじゃ、僕も帰るね」

仁美「上条君、途中まで一緒に行きましょうか」

恭介「うん、いいよ」

----見滝原中学校・保健室----

さやか「ZZZ」スピー

まどか「まだ寝てる・・・」

ほむら「今日の特訓は中止ね」

まどか「さやかちゃん、無理してるのかな・・・」

ほむら「今日だけではなく、しばらく様子を見る方がいいかもしれないわね」

まどか「うん・・・」

ほむら「巴さんに電話しましょう」

カチカチ

ほむら「・・・」

プルルルル プルルルル プツッ

マミ『は、はい・・・?どちらさまですか?』

ほむら「?」

『イタズラ電話ではないのか?』

『そのような通信は受け取らない方がよろしいかと』

『ボクがビシッっと言ってあげるよ!』

まどか「どうしたの?」

ほむら「良く分からないわ・・・」

ほむら「私よ、巴さん」

マミ『???』

『もういい、貸せっ!』

ディアーチェ『誰だ貴様は!なぜマミの番号を知っている!』

ほむら「あっ・・・!」

ほむら「私よ、王様。暁美ほむらよ」

ディアーチェ『なんだ黒色か』

『えっ、暁美さん?どうして私の番号を知ってるのかしら?』
『誰にも教えた事がなかったのに・・・』

『マミ、それは通信機器の意味を成さないのでは・・・』

ディアーチェ『何の用だ?』

ほむら「巴さんに、さやかの特訓は中止だって伝えてちょうだい」

ディアーチェ『ふむ、よかろう』

ほむら「私の練習はするけど、とりあえずさやかは中止ってことでお願いね」

ディアーチェ『うむ』

プツッ

まどか「何があったの?」

ほむら「ちょっとウッカリしていただけよ」

まどか「?」

ほむら(そういえばこの時間軸だと番号交換してなかったわ)

ほむら「それじゃ、あとは保健の先生に任せて行きましょうか」

まどか「うん・・・さやかちゃん、早く元気になるといいな・・・」

ほむら「大丈夫よ。回復がウリなんだから、すぐ良くなるわ」

まどか「うん・・・」

さやか「いちまん・・・にせん・・・」スピー

まどか「さやかちゃん、起きたの?」

ほむら「寝言・・・?」

さやか「あと・・・さんぜん・・・」スピー

まどか「?」

ほむら「何の数かしら?」

----見滝原市・河川敷 橋の下----

ほむら「お待たせ。さぁ、始めましょう」

ディアーチェ「待て黒色。その前にここに手を当てろ」

ほむら「紫天の書に・・・?これは何かしら?」

ディアーチェ「対魔女用のプログラムだ。ただ、ロックが掛かっていて使えぬ」

シュテル「王、既に発見されていたのですか?」

ディアーチェ「言うのが遅れたな。先日発見したが使えない状態にあるのだ」

ほむら「とりあえず手を当てればいいのね?」

ディアーチェ「うむ」

スッ

カチッ

ほむら「これでいいかしら?」

ディアーチェ「問題ない」

シュテル「これは・・・」

シュテル「・・・」

ディアーチェ「なぜか魔法少女の魔力に反応するのだ。心当たりはないか?」

シュテル「・・・」

ディアーチェ「おい、シュテル?」

シュテル「はっ・・・申し訳ありません」

シュテル「どうやら起動に一定量の魔力が必要なようです」

ディアーチェ「ほぅ?」

シュテル「この分ですと・・・後二人分程必要ですね」

ほむら「二人って・・・」

シュテル「キョウコと・・・あと誰か一人ですね」

ディアーチェ「ならばそれも探さなくてはならぬか・・・」

ほむら「先が思いやられるわね・・・」

ほむら「そういえば、あれは何かしら?」

ディアーチェ「む?」

マミ「いい、レヴィちゃん?戦闘には気品も必要なのよ!」

マミ「ステップはこう!はい、いちに!いちにっ!」

レヴィ「とりゃぁ!せいっ!」

マミ「違うわ!こうよ!」

まどか「マミさん格好いい!」


ほむら「一緒に来たはずのまどかの声がしないと思ったらあっちに行ってるし・・・」

シュテル「なんでも戦闘訓練だとか」

ほむら「悪いけど、必要な訓練には見えないわね・・・」

----見滝原中学校・保健室----

さやか「・・・むにゃ」

さやか「・・・あれ?」ムクッ

保健医「あら?起きた?」

さやか「あれ?先生・・・?じゃあ保健室・・・?」

保健医「随分と疲れてるみたいね、ちゃんと毎日寝てる?」

さやか「え・・・はい・・・」

保健医「それならいいんだけど、暁美さんや鹿目さんも心配してたわよ」

さやか「・・・」

保健医「あとそれから、『今日の練習は休み』って暁美さんが」

さやか「あ・・・」

保健医「部活か何かかしら?」

さやか「はい、そんなところです」

本日の投下はこれで終了です。
次の投下再開は金曜か土曜の夜を予定しています。

前スレに関しましてはHTML依頼を出しておきます。
新スレ以降の経緯とご説明は前スレに書かせて頂きました。

重ね重ね申し訳ありません。

寝る前に読み返したら誤字が・・・

>>21
「以降」⇒「移行」です。

なんか武装錬金思い出した

オレはマミさんの黄金の美脚に挟まrおや?誰かきたようだ

あとさやかの寝言って創世のアクエリオンのOPだよな
一万と二千年前から愛してるー三千年すぎた頃から~ってやつだよな?

時間も遅いですが、投下を再開します。

>>23,24
武装錬金要素がどこにあるかと思ったらダンスレッスンがそれっぽい感じでしょうか?
レヴィは踊りながら戦うのに向いてそうな気がします。髪が長いから映えるでしょうし。

>>25-27
さやかの寝言は素振りの回数です。
アクエリオンの歌は好きですが、ここでは関係ないです・・・

----見滝原市・河川敷 橋の下----

ほむら「ば・・・バルカンレイドっ!」

タタタタタン

マミ「しっかり技名を言わないとだめよ!」

シュテル「命中精度が低いですね・・・」

シュテル「今はデバッグモード起動で消費が抑えられていますが、実践では魔力が持たなくなりますよ」

ほむら「そうは言っても、叫びながら撃つのは難しいのよ」

まどか「ほむらちゃん、がんばってー!」

シュテル「次の魔力ターゲットを作ります、ファイネストカノンで撃ってください」

ほむら「くっ・・・も、もうヤケよ!」


ディアーチェ「むぅ・・・することがないな・・・」

レヴィ「よっ!ほっ!」

ディアーチェ「レヴィ、いつまでその踊りを続けているのだ・・・」

レヴィ「折角マミマミが教えてくれたんだもん、練習しないと」

ディアーチェ「やれやれ・・・」

ディアーチェ「我は少し散策してくる。後は任せたぞ」

レヴィ「うん!」

----見滝原市・通学路----

さやか「はぁ・・・」

さやか「こんな時間まで保健室で寝ちゃうなんて・・・」

さやか「毎朝の素振りとマミさんの特訓の両立は無理だったのかなぁ・・・」

さやか「でも、強くならないと護れるものも護れなくなっちゃう・・・」

さやか「もっと頑張らないと・・・!」

さやか「よーしっ!帰ったら素振りだ素振りっ!」

さやか「あれ・・・?」

--------

杏子「・・・」キョロキョロ

タッタッタッタッ

--------

さやか「あいつ・・・!また何か企んでるんじゃ・・・」

さやか「追いかけてみよう!」

----見滝原市・上条家前----

さやか「ここって・・・恭介の家・・・」

--------

杏子「・・・」キョロキョロ

--------


さやか「まさか、恭介に何かする気なんじゃ!」

--------


杏子「・・・ここもそうなのかな」

さやか「ちょっとっ!」

杏子「!?」

さやか「ここで何してんの!」

杏子「あ・・・アンタ・・・さやか、だっけか?」

さやか「そうだけど、名乗ったっけ?」

杏子「いや・・・」

さやか「ここはあたしの幼馴染の家なの!アンタが何の用があって来てるのよ!」

杏子「あ、アタシが何しようが勝手だろ!」

さやか「まさか恭介に手を出そうってんじゃないでしょうね!」

さやか「場合によっちゃ、力づくでも帰ってもらうわよ!」

杏子「別にそんなんじゃねーよ」

杏子「・・・」

杏子「それよりアンタさ、まだ正義の味方とか言っちゃってるの?」

さやか「・・・当たり前でしょ」

杏子「悪い事は言わないからさ、もうやめときなって」

杏子「アンタのためを思って忠告してやってるんだ」

さやか「なによ!この間とは全然態度が違うわね!」

杏子「っ!」

さやか「アンタに・・・あたしの何が分かるってのよ!」

杏子「・・・じゃあそっちはあたしの事が分かるのかよ」

さやか「は?」

杏子「何でもねーよ。それより、おっぱじめる気なんだろ?」

杏子「ここじゃ人目につきそうだ、場所を変えようか」

----見滝原市・陸橋上----

さやか「ここなら邪魔は入らないでしょ」

さやか「この間のようには行かないよ!」

杏子「・・・なぁ」

さやか「ん?」

杏子「アンタ、ここに見覚えはないか?」

さやか「あるに決まってるでしょ。自分の住んでる街なんだから!」

杏子「そうじゃなくて・・・いや、もういいや」

杏子「それじゃ、はじめようじゃねーか」

----見滝原市・陸橋付近----

ディアーチェ「む?」

ディアーチェ「あれは青色・・・?と赤色ではないか!」

ディアーチェ「チッ!戦闘を始めおった!」

ディアーチェ「何故あやつらは、こうも好戦的なのだ!」

ディアーチェ「青色の今の実力では赤色に勝てる訳がなかろう・・・!」

ディアーチェ「・・・」

ディアーチェ「なんと手の掛かる奴等だ!」

タッタッタッタッ

----見滝原市・陸橋上----

さやか「スクワルタトーレ!」


さやかは手にしたサーベルで縦横無尽に斬りつける

剣の軌跡は青い閃光となって一瞬だけ宙に残る


杏子「っと!」


予想外の鋭い攻撃に、思わず杏子は後ろに飛びのく


杏子(剣速も身のこなしも、この間とは段違いだ)

杏子(一体どんな練習をしたんだコイツ・・・)

杏子(だけど、まぁ・・・)

さやか「まだまだぁ!」


杏子を追うように、一気に距離をつめるさやか

そのまま斬りつけるが、杏子の槍に止められてしまう


杏子「まだ、あたしに敵うレベルじゃないね!」

さやか「ぐっ!」


そのまま押し戻され、今度はさやかが後ろに飛びのいて距離を取る

さやか(強い・・・)

さやか(あれだけ特訓したのにまだ追いつけない・・・)

杏子「もう終わりかい?」


槍を回転させながら杏子が迫ってくる


さやか「っ・・・!」

杏子「安心しな。命までは取らないよっ!」


槍を構えて杏子が突っ込んでくる、が・・・


ディアーチェ「そこまでだぁ!」


すんでの所で歩道橋を駆け上がってきたディアーチェが叫んで静止する

杏子「あん時のガキ・・・またお前かよ!」

さやか「王様・・・」

ディアーチェ「青色ぉ!何度言わせるつもりだ!」

ディアーチェ「我らは赤色と協力するつもりなのだぞ!」

ディアーチェ「戦ってどうするのだ!」

さやか「そう言っても・・・」

杏子「はんっ!それこそ何度言わせるつもりだよ」

杏子「あたしはあんた達の仲間にはならないよ」

ディアーチェ「そうか・・・ならば、無理にでも来てもらうぞ!」

紫天の書を開いてディアーチェが構える

そのページが紫色に光ったかと思うと

杏子の体が光に包まれ、徐々に光の粒子となって紫天の書に吸い込まれていく


杏子「なっ!?」

ディアーチェ「何をしても無駄だ。抵抗できる類の魔法ではないぞ」

杏子「くそっ!それなら・・・!」


杏子は目の前に居たさやかにしがみ付く


さやか「え!?ちょ、何すんの!」

杏子「アンタも道連れだ」

さやか「えぇ!?」


するとさやかの体も光に包まれ、杏子と一緒に徐々に吸い込まれていく


ディアーチェ「なんとぉ!?」

ディアーチェ「待て、待つのだ!し、しまった止まらぬ!」


どんどんと二人の体が光となって紫天の書に吸い込まれ


杏子「ぐっ!」

さやか「うそでしょおおおおお!?」


その場から完全に消え去った


ディアーチェ「・・・」


本を振っても、魔法を解除しても

二人は出てこなかった


ディアーチェ「なんと・・・ぉ・・・」

----夜 マミホーム・リビング----

マミ「・・・ごめんなさい、もう一度言ってもらえるかしら?」

ディアーチェ「赤色を無理に連れて来ようとしたのだが、手違いで紫天の書から出せなくなったのだ」

マミ「・・・」

まどか「さやかちゃんも・・・?」

ディアーチェ「わ、我のせいではないぞ!赤色が青色に突然しがみついたのだ!」

ほむら「出す方法はないの?」

レヴィ「どう?シュテるん?」

シュテル「今調べましたが・・・」

シュテル「別々に取り込んだのでしたらまだしも、同時でしたのでエラーが出ているようです」

シュテル「下手に外部から手を出すと、取り返しのつかない事になる可能性があります」

マミ「た、たとえば・・・?」

シュテル「二人が一つの人格に融合してしまったり・・・」

まどか「さや子ちゃん!?」

ほむら「なんともエグいわね・・・」

シュテル「取り込まれた二人が、外に出たいと強く願えば出られるでしょうが・・・」

レヴィ「難しいよね、多分・・・」

ほむら「どういうこと・・・?」

ディアーチェ「取り込んでいる間は、本人が望むような世界の夢を見せる仕組みなのだ」

マミ「紅茶やケーキが沢山置いてある、絵本の中のみたいな世界とか?」

レヴィ「そうなったら、ボクだったら出られない・・・」

シュテル「本来ならそういった動作なのですが、この状態ですと正常に機能しているのかは・・・」

マミ「・・・」

ほむら「何はともあれ、本人達次第と言う事かしら?」

ディアーチェ「うむ・・・」

シュテル「方法は検討しますが、難しいかと」

まどか「大丈夫・・・さやかちゃんならきっと出て来られるよ」

本日の投下はこれで終了です。

ちょっとしたネタバレになるのですが、これから先しばらくは場面転換が多くなります。
ですので、毎日とまでは行きませんが、
高頻度・少レスの更新にシフトチェンジしようと思います。
(そっちの方が多分場面整理がしやすいので・・・)

次の投下再開は月曜日の、普段より大分遅い時間帯を予定しています。
初期みたいに高頻度でバリバリ落とせるように生活が落ち着くのはいつのことやら・・・


あんこちゃんはデジャヴの正体を確かめようとしてたのかね?

帰宅しましたので投下を再開します。


>>49
あんこちゃんはそんな感じの思惑で動いてます。
これについては今後、また話が出てくる予定です。

ほむら「とりあえず、放っておいたら行方不明扱いになってしまうわね・・・」

シュテル「病気や怪我や不幸な事でない、家庭の事情と言う事にしましょう」

まどか「何それ・・・?」

シュテル「しばらく学校を休んでも大丈夫になる魔法の言葉です」

まどか「?」

マミ「でも、美樹さんのご家族は・・・」

ほむら「2、3日なら誰かの家に泊まっている事にできるでしょうけど、それ以上は・・・」

まどか「さやかちゃんのお家って、そういう事は結構許してくれるよ?」

ほむら「え?」

まどか「毎日電話で連絡入れれば、1週間ぐらいなら大丈夫だと思う・・・」

マミ「そうなの・・・?」

シュテル「しかし、サヤカが居ないと連絡をする人物が居ません」

まどか「わたしがやるよ!」

まどか「さやかちゃんとは付き合いが長いし、お家の人も信用してくれると思う」

まどか「こんな事しかできないけど、その間にさやかちゃん達を何とかしてあげて!」

ほむら「まどか・・・」

シュテル「分かりました」

ディアーチェ「認めたくはないが我にも責任があるからな、力を尽くそう」

~~紫天の記憶 過去の佐倉教会・庭~~

??「お姉ちゃん?」

   「ん・・・?」

??「お姉ちゃんってば!」

   「あ、あぁ・・・ごめん。考え事してたんだ」

??「もう!早く落ち葉集めて戻らないと、焚き火が消えちゃうよ!」

   「うん、それじゃ早く戻ろうか」

   「モモ」

モモ「うん!」

杏子の父「さぁ、お芋が焼けたよ」

モモ「わぁ、おいしそう!」

杏子の父「二人とも、神様に感謝していただくんだよ?」

   「はーい!」

モモ「えへへ・・・いただきまーす!」パクッ

モモ「熱っ!」

   「ほら、モモは慌てすぎなんだよ。貸して。冷ましてあげる」

モモ「うぅー・・・」

杏子の父「ははっ。さやかはモモに優しいね」

さやか「モモはたった一人の妹だもん、当たり前だよ」

~~紫天の記憶 過去のコンサートホール(小学生時代)~~

さやかの父「ほら、次が恭介君の番だよ」

  「あっ・・・」

  (恭介のバイオリン・・・)

  (凄く優しい音がする・・・)

  (ずっと、ずっと聞いていたいような・・・そんな音だな・・・)

さやかの父「来て良かったな。杏子」

杏子「うん・・・」

非常に短いですが本日はこれで終了です。

次の投稿予定は明日の夜を予定しています。

帰宅しましたので投下を再開します。


バグのせいです。
きっと食べすぎだと思います。

----翌朝 見滝原中学校・教室----
----さやか行方不明2日目----

ガラッ

恭介「はぁ・・・はぁ・・・」

恭介「あれ?さやか・・・?」

仁美「あら、上条君?もう少しで遅刻でしたわね」

まどか「あっ!」

まどか「ゴメンね上条君。さやかちゃん、今日お休みなんだって」

恭介「そうなのかい?」

まどか「うん。さやかちゃんから連絡貰ってたんだけど、上条君に伝え忘れてて・・・」

恭介「いや、いいんだ。そういう事なら仕方ないよ」

まどか「本当にごめんね・・・」

仁美「それにしても、やはり体調がよろしくないのでしょうか」

ほむら「いいえ。病気や怪我や不幸な事でない、家庭の事情らしいわ」

仁美「そうですか・・・」

--------

----

--

和子「そういう訳で、美樹さんはご家庭の事情で何日か学校をお休みするそうです」

和子「でも、病気や怪我や不幸な事があってお休みする訳ではないという事ですから」

和子「心配しなくても大丈夫です」

まどか(本当に通じた!?)

ほむら(魔法の言葉って凄いわ)

和子「美樹さんがお休みの間、ノートとプリントは・・・」

まどか「あ・・・」

仁美「はいっ!私がやりますわ!」

まどか「仁美ちゃん・・・?」

和子「志筑さん、それじゃよろしくね?」

仁美「はいっ!」

まどか「仁美ちゃん・・・?」

----放課後 見滝原市・河川敷 橋の下----
----さやか行方不明2日目----

マミ「そう・・・それなら学校のことはしばらく平気そうね」

ほむら「本の方はどうなの?」

シュテル「解析を続けた結果、二人は過去の夢を見続けていることが判明しました」

まどか「過去?」

ディアーチェ「どうやら想いの込もった記憶を断片的に見続けているようなのだ」

ほむら「・・・」

まどか「え?でも、それなら夢だって気付いて出てこられるんじゃ・・・」

レヴィ「ううん。なんだかね、夢だって気付いてないみたいなんだ」

まどか「そんな・・・」

ほむら「とりあえず、最初に言っていたように二人が一人になるような事はないのね?」

シュテル「はい」

シュテル「ですが、普通に自分の記憶を見ているにしては妙な反応が・・・」

マミ「?」

シュテル「もしかすると、何かまだ不都合が起こっているのかもしれません」

ほむら「どうすればいいのかしらね・・・」

~~紫天の記憶 過去の佐倉教会・講堂~~

杏子の父「汝、よき心を忘るべからず」

杏子の父「さあ、共に感謝し祈りましょう」

パチパチパチパチ

杏子の父「それでは、主のお導きを・・・」

信者「主のお導きを・・・」

--------

----

--

さやか「父さん、お疲れ様!」

さやか「今日も素晴らしいお話だったって、信者の皆さんが・・・」

杏子の父「・・・」

さやか「父さん・・・?」

杏子の父「さやかか・・・」

杏子の父「あんな話じゃ、本当に苦しんでいる人々を救う事ができない・・・」

杏子の父「そう思ってね・・・」

さやか「それって、さっき信者の方々に説いていた話のこと?」

杏子の父「ああ・・・」

さやか「どうして・・・」

杏子の父「私はね、経典の文言はもう古いと思うんだ」

杏子の父「今の時代の人々を救うためには、新しい信仰が必要だ・・・」

杏子の父「この新聞を見てみなさい。世の中には、こんなにも絶望が溢れている」

杏子の父「いまこそ、新しい教えが必要なんだ・・・」

杏子の父「しかし、それを私が説いても受け入れてもらえるとは限らない・・・」

さやか「あたし・・・父さんの言ってる事正しいと思うよ・・・」

さやか「だから、思い切って言ってみようよ!」

杏子の父「本当にそう思うかい、さやか?」

さやか「うん。きっとみんな分かってくれるよ!」

~~紫天の記憶 過去の上条家・恭介の部屋(小学生時代)~~

恭介「ねえ、杏子。折角遊びに来たんだから、一緒にゲームしようよ!」

杏子「うん・・・」ペラッ

恭介「杏子ってば!」

杏子「うん・・・」ペラッ

恭介「聞いてるの?」

杏子「うん・・・」ペラッ

恭介「杏子!」

杏子「ん?あ、ゴメン恭介」

恭介「杏子はうちに来るといつもヒーローの本を読んでるね」

杏子「だって格好良いし、悪い奴を倒す正義の味方って凄いじゃん」

恭介「・・・」

恭介「・・・杏子はさ、ヒーローみたいな強い人が好きなの?」

杏子「勿論さ!こんな風に悪い奴をやっつけられたらいいのに!」

恭介「そっか・・・」

杏子「そんなことより、またバイオリン弾いてくれよ!」

恭介「杏子は何のためにうちに来てるんだよ・・・」

本日の投下はこれで終了です。
次の投下再開は明日の夜を予定しています。

ほむらが病みっぱなしだったらほむらが入っちゃってたのかな

帰宅しましたので投下を再開します。


>>69,70
精神状態的には本編フェイトと微妙に近い(悩んでる所とか)ので、
ありえたかもしれませんね。

----見滝原市・河川敷 橋の下----
----さやか行方不明2日目----

ほむら「バルカンレイド!」

タタタタタン

マミ「すごいわ!1日でこんなに上手くなるなんて!」

ほむら「・・・元々拳銃の扱いには慣れているから」

まどか「それでも凄いよほむらちゃん!」

シュテル「では次は・・・」ゴソゴソ

シュテル「この缶を上に投げますので単発の弾丸で跳ね飛ばし、滞空させ続けて下さい」

ほむら「・・・今なんて?」

シュテル「リフティングと考えていただければ良いかと」

マミ「いきなり難易度が上がったわねぇ・・・」

シュテル「ターゲッティングの練習です。目標は100回としましょう」

ほむら「無茶言わないで!出来る筈ないでしょう!?」

まどか「ほむらちゃん、頑張って」

ほむら「さぁ、やるわよ!早く投げて頂戴」

マミ「今、暁美さんの発言の前後関係がなかったような・・・」

~~紫天の記憶 過去の佐倉教会・講堂~~

杏子の父「主は、よき心をお救い下さります。」

杏子の父「それを教えたもうた主への感謝の心を忘れては・・・」

杏子の父「忘れては・・・」

信者達「?」

ザワザワ

杏子の父「・・・」

信者達「どうされたんだ?」

杏子の父「皆さん。私はこれから、私の言葉で皆さんに話をしようと思うのです」

信者達「どういうことだ・・・?」

杏子の父「今私が皆さんに語った話では、本当に苦しんでいる人々を救う事は出来ないのです」

杏子の父「もう・・・経典に書かれた文言は古いのです!」

--------

----

--

さやか「父さん、上手く行ったかな・・・?」

信者達「お前は何を言ってるんだ!」

さやか「・・・え?」

信者達「お前は自分が神になるつもりか!」

信者達「これ以上、お前の話など聞いていられない!」

さやか「どうして・・・みんな・・・」

さやか「席を立たないで!」

さやか「父さんの話を聞いてよ!」

杏子の父「・・・」

さやか「そんな・・・誰も聞いてくれないなんて・・・」

さやか「どうして・・・」

~~紫天の記憶 過去の見滝原市・公園(小学生時代)~~

男子A「やーい!また鹿目が泣いたぞー!」

まどか「やめて・・・もうやめてよぉ・・・」

男子B「お前泣いてばっかりじゃーん!」

男子C「やーい泣き虫ー!」

まどか「うぅ・・・」


杏子「こらー!おまえらー!」

男子A「やべっ!またアイツきたよ!」

男子C「逃げろー!」

タッタッタッタッ

杏子「あいつら・・・またまどかの事をイジメやがって・・・」

まどか「ぐすっ・・・杏子ちゃん、ありがとう・・・」

杏子「あぁ、ほら。涙拭けって」

まどか「・・・」ゴシゴシ

杏子「今度見つけたら仕返ししてやるからな!」

まどか「ごめんね、杏子ちゃん。わたし、泣き虫だから迷惑ばっかり掛けて・・・」

杏子「いいっていいって。まどかの事はあたしが護るからさ」

杏子「またイジメられたら、あたしに言いなよ?」

まどか「うん・・・」

まどか「なんだか杏子ちゃんって、正義の味方みたいだね」

杏子「へへっ。そうかな?」

まどか「うん、いつもありがとう!」

本日の投下はこれで終了です。

次の投下再開は明日の夜を予定しています。

帰宅しましたので投下を再開します。

----夜 マミホーム・リビング----
----さやか行方不明2日目----

シュテル「射撃や砲撃のレクチャー、ですか?」

マミ「えぇ。王様にお願いしたんだけど、シュテルちゃんの方が適任だって言うから」

マミ「実際、前に魔女の結界で見たのは凄かったし・・・お願いできないかしら?」

シュテル「構いませんが・・・マミの砲撃は充分に熟達していると思うのですが?」

マミ「ティロ・フィナーレは連発できないし、マスケットを使う技は汎用性があんまり高くないのよ」

マミ「連発は構造上無理だけど、もっと上手く使いこなせないかなって思って・・・」

シュテル「なるほど、パイロシューターの様な誘導弾を使いたいのですね?」

マミ「そうね、一番は確かにそれかも・・・」

シュテル「分かりました。魔導師流の技術で宜しければお教えしましょう」

マミ「良かった。ありがとう、シュテルちゃん」

~~紫天の記憶 過去の佐倉教会・講堂~~

杏子の父「あれから一週間・・・誰も来なくなってしまった・・・」

さやか「・・・」

杏子の父「協会の方針に背いただと・・・?」

杏子の父「なぜ、この私が本部から破門されなければならないんだ・・・」

杏子の父「いったい私が何をしたと言うんだ・・・」

さやか「父さん・・・」

さやか(まさか・・・こんな事になるなんて・・・)

モモ「お腹すいたぁ・・・」

さやか「ちょっと待ってて。裏庭に野イチゴがなっているのを見たから・・・」

モモ「また野イチゴかぁ・・・」

さやか「何?不満?」

モモ「だって、いっぱい食べないとお腹が膨れないもの・・・」

さやか「じゃあさ、その分沢山摘んでこよう?」

モモ「う、うん・・・」

杏子の父「さやか・・・すまない、お前に迷惑掛けて・・・」

さやか「いいよ。妹の面倒を見るのはお姉ちゃんの役目だから」

~~紫天の記憶 過去の見滝原市・通学路(小学生時代)~~

まどか「杏子ちゃん、その怪我・・・」

杏子「なんでもないから、心配すんなって」

まどか「何でもなくなんかないよ!」

杏子「・・・」

まどか「わたし、知ってるんだよ?」

まどか「杏子ちゃんがわたしを庇ったせいで、イジメられてるの・・・」

杏子「まどかのことは関係ないよ」

まどか「そんな事・・・」

杏子「あたしは相手が無抵抗なのをいいことに、ちょっかい出したりする奴が大嫌いなんだ」

杏子「だからあいつらをブン殴った。まどかは関係ない」

まどか「だって、最初にイジメられてたのはわたしで・・・」

杏子「だから違うって!」

杏子「心配するな!あたしは強いんだから、ちょっとぐらい平気さ」

杏子「今度あいつらが何かしてきたら、また殴り返してやるよ!」

まどか「杏子ちゃん・・・」

短いですが、本日の投下はこれで終了です。
次の投下は日曜の夜を予定しています。

投下を再開します。

----翌日 見滝原中学校・教室----
----さやか行方不明3日目----

恭介「・・・」

仁美「上条君、さやかさんの事が心配ですか?」

恭介「志筑さん・・・」

恭介「そうだね。怪我や病気じゃないって言うけど、学校を休むような用事みたいだし」

恭介「気にならない、って言ったら嘘になるかな・・・」

仁美「そうですか・・・」

恭介「そういえば、小学校の頃にもこんな事があったっけ・・・」

仁美「・・・」

恭介「あの時、僕はさやかの事に気付いてあげられなかった・・・」

恭介「いつも一緒に居たのに、我ながら情けなかったよ」

恭介「怪我をしてても、『なんでもない』の一点張りだったからね」

恭介「クラス会で議題になって解決するまで知らなかったよ・・・」

仁美「さやかさんはお強い方です。きっと上条君に心配をかけたくなかったんだと思いますわ」

恭介「そうなのかな・・・」

恭介「でも、強く見えてもさやかは女の子だ」

恭介「きっと支えてあげる人が必要になってくると思うんだ」

仁美「あら上条君、女の子は支えが無ければ何も出来ないほど弱くはないんですわよ?」

恭介「ははっ、ごめん。ちょっと失礼だったかな?」

仁美「ふふっ、ほんの少しだけ失礼でしたわね」

仁美「ただ、支えてくれる人が居れば人は強くなれるというのは事実でしょうけれど」

恭介「そうだね」

仁美「ですが、今のさやかさんは男女関係なく人気がありますから・・・」

仁美「上条君のそんな心配は無用だと思いますわ」

恭介「うん、それならいいんだ」

仁美「・・・」

仁美「ところで・・・」

仁美「上条君は、さやかさんの事をどう思われてますか?」

恭介「え・・・?僕かい?僕は・・・」

~~紫天の記憶 過去の見滝原市・商店街~~

さやか「おなかが・・・すいた・・・」

さやか「いや、あたしはいいんだ・・・でも、モモはもう限界だ・・・」

さやか「誰か・・・せめてモモにだけでも食べさせてあげて・・・」

さやか「・・・あ」

さやか「リンゴ・・・」

さやか「あれさえあれば・・・」

パシッ

店主「あっ、万引き!待てこらー!」

--------

----

--

タッタッタッタッ

さやか「はぁ・・・はぁ・・・」

ガッ

ドサッ

さやか「あっ・・・!」

店主「このガキ!」

さやか「放せ!ぅあああー!放せー!」

さやか「これはあたしのだ!あたしの物なんだ!」

店主「何言ってる!ざけやがって!」

バシッ

さやか「返せ!返せよ!」

さやか「妹に・・・モモに持ってってやるんだ・・・」

さやか「う・・・うぅぅぅぅぅ・・・」

さやか「なんで・・・なんで・・・」

さやか「誰か・・・誰でもいい、父さんを救って・・・」

QB「・・・救ってあげられる方法が一つだけあるよ」

さやか「あんたは・・・前にも見た・・・たしかQBって・・・」

QB「僕と契約して魔法少女になれば、君の願い事を一つだけ叶えてあげるよ」

QB「君の父親を救う事だって、造作もない話さ」

QB「どうだい?」

さやか「・・・」

さやか「・・・助けて」

さやか「あたしの父さんを助けて・・・」

さやか「みんなが・・・父さんの話を真剣に聞いてくれますように・・・」

QB「聞き届けよう。それが君の望みだね?」

QB「契約は成立だ!」

~~紫天の記憶 美樹ハウス・リビング(中学生時代)~~

杏子「えっ・・・?」

さやかの母「だから、恭介君が車に撥ねられたって・・・」

杏子「そんな・・・恭介は無事なのか・・・?」

さやかの母「命に別状はないらしいけど、手足に大怪我を負ったらしいの・・・」

杏子「それじゃバイオリンは・・・」

さやかの母「大丈夫よ。ちゃんと治るだろうから」

杏子「そっか・・・そうだよな・・・」

杏子「大丈夫・・・恭介は大丈夫・・・」

本日の投下はこれで終了です。

次の投下再開は明日の夜を予定しています。

帰宅しましたので投下を再開します。

----夕方 見滝原市・河川敷 橋の下----
----さやか行方不明3日目----

ほむら「くっ・・・」

バシュッ カンッ バシュッ カンッ

シュテル「33・・・34・・・」

バシュッ スカッ

ほむら「あっ!」

カンッ カラカラカラ

シュテル「34回ですね」

ほむら「駄目ね・・・集中力が持たないわ」

シュテル「期間を考えれば充分過ぎる程の上達かと」

まどか「ほむらちゃん、お疲れ様!」

マミ「動く的をあれだけ狙えるなんて、大したものよ?」

ほむら「まだまだよ・・・」

まどか「ねぇ、ほむらちゃん疲れたでしょ?」

まどか「実は今日ね、疲れが取れるものを作ってきたんだよ」

ほむら「何かしら?」

ゴソゴソ

マミ「タッパー?」

まどか「はいっ!レモンのハチミツ漬けだよ!」

パカッ

ほむら「これは・・・」

シュテル「・・・」

マミ「・・・」

ほむら(まるごと・・・レモン・・・!)

まどか「練習って凄く疲れると思って・・・」

まどか「わたしはこんな事しかできないけど、頑張って作ったんだ!」

まどか「さっ、食べて食べて!」

ほむら(断れない・・・断れないわ・・・でも・・・)

まどか「良かったら、シュテルちゃんやマミさんも食べて!」

シュテル「いえ・・・その、私は・・・その、レモンアレルギー?ですので・・・」

マミ「あ・・・の・・・実はこの間レモンティーを飲みすぎたせいで、レモンはお医者様に止められてるの」

まどか「そっか・・・それじゃ仕方ないですね・・・」

まどか「それじゃほむらちゃん、全部食べて大丈夫だよ!」

ほむら(全部!?5,6個あるのだけど!)

ほむら「その・・・」

まどか「やっぱり迷惑だったかな・・・?」

ほむら「っ!」

ほむら「頂くわ」

まどか「あ・・・うんっ!沢山食べてね!」

まどか「はいっ!フォーク!」

ほむら「・・・」

ザクッ モグモグモグ



----マミホーム・リビング----

ディアーチェ「む?」

レヴィ「どうしたの、王様?」

ディアーチェ「いや、黒色の叫び声が聞こえた気がしたのだが・・・?」

レヴィ「気のせいじゃない?ボクには聞こえなかったよ?」

ディアーチェ「ふむ・・・まぁ良い・・・」

ディアーチェ「さてレヴィ、紫天の書の検索を続けるぞ。魔力を送ってくれ」

レヴィ「任せてよ!」

ディアーチェ「上手くあの二人を捕まえられればいいのだが・・・」

~~紫天の記憶 過去のハコの魔女・結界最深部~~
~~H.N.ELLY(KIRSTEN)~~

魔女目掛けて手にした槍を全力で投げつける


さやか「ブチ抜けえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


放たれた槍は魔女を貫通し、結界の彼方へと消えていった


さやか「ふぅ・・・」

QB「お疲れ様、さやか。初めての戦いにしては上出来だよ」

さやか「そうかな?」

QB「最初の戦いで魔女を倒せる子はほとんど居ないからね」

さやか「へへっ」

さやか「信者の方も父さんの話を聞いてくれるようになったし」

さやか「もっと話を聞いてくれる人が増えれば、世の中はもっと良くなっていくはずだよ」

さやか「そして、悪い事をする魔女はあたしが倒す」

さやか「父さんは表から、あたしは裏から世界を救うんだ」

さやか「さしずめ、正義の味方ってところかな」

QB「僕としては魔女を倒してくれるなら、なんでもいいんだけどね」

~~紫天の記憶 ショッピングモール 工事中区域 南区域~~

杏子「まどか!こんなところに来て何してんだ!」

まどか「誰かが呼ぶ声がしたの」

杏子「誰かって・・・こんな所でか?」

レヴィ「ちょっとちょっと、そこの人!」

杏子「!?」

レヴィ「ここは危ないよ、どっか行った行った!」

まどか「小学生・・・?」

杏子「黒いレオタードにマント・・・凄い格好だなぁ。何だ?ヒーローごっこでもしてんのか?」

杏子(この子も小さい頃のあたしみたいに、正義の味方に憧れてんのかな?)

レヴィ「むっ、本当に危ないんだぞ!」

杏子「あー、はいはい。悪の秘密結社の戦闘員でも来るのかい?」

杏子(もしそんな憧れがあるなら、何があってもくじけないで頑張って貰いたいね)

まどか「私を呼んだのはあなたなの?」

レヴィ「何が?」

杏子「ほら、こんなところで遊んでたら、それこそ危ないぞ」

レヴィ「遊んでなんかないよ!」

レヴィ「ボクの名前はレヴィ。雷刃の復讐者《レヴィ・ザ・スラッシャー》!」

レヴィ「ここに魔女が出るって聞いたから、探してるんだ」

杏子「へぇ、魔女かぁ。じゃあレヴィは魔法少女って所か?」

レヴィ「ん?君は魔女を知ってるの?」

杏子「おうっ、あたしは何でも知ってるんだぞ!」

レヴィ「流石ぁ!やっぱり水色や赤いのに悪い奴は居ない!」

杏子「ははっ、あんたは水色だもんな」

杏子(何か違うみたいだが、ちょっと親近感が沸くな)

まどか「結局誰に呼ばれたんだろう?」

本日の投下はこれで終了です。

次の投下再開は明日の夜を予定しています。

帰宅しましたので投下を再開します。

----夜 マミホーム・リビング----
----さやか行方不明3日目----

シュテル「魔法制御において重要なのは主に集中力です」

シュテル「射出した魔法に対して精神で働きかけ、動きをコントロールするのです」

シュテル「通常、魔導師の場合はデバイスによる補助がありますが」

シュテル「魔法少女についてはそのようなサポートが得られないと思っていいでしょう」

マミ「それだと集中力はかなり重要になりそうね」

シュテル「はい」

マミ「集中力を上げるトレーニングねぇ・・・」

マミ「座禅とかかしら?」

シュテル「ホムラと同じトレーニングでしばらくは大丈夫かと」

マミ「なるほど・・・」

マミ「それにしても、変わったトレーニング法よね」

シュテル「効果は保障済みです」

シュテル「ちなみに、100回打ち上げた後にゴミ箱に入れるまでがトレーニングです」

マミ「妙にエコロジーね・・・」

~~紫天の記憶 過去の佐倉教会・講堂~~

さやか「これは・・・」

さやか「そんなバカな。どうしてうちに魔女が!」

QB「教会の中に入り込んだみたいだね」

QB「やはり歪みが・・・」

さやか「父さん!母さん!モモ!」

さやか「っ・・・!」

さやか「父さん、包丁なんて持って何してるの!」

杏子の父「邪魔をするんじゃない!さやか!うああああ!」

さやか「なんでこんなことを!」

杏子の父「みんな覚悟は出来ているんだ。もう未練など・・・ないからね」

モモ「パパと・・・ママについてく・・・」

さやか「みんなして、何バカな事言ってるのさ!」

杏子の父「さやか、お前も一緒に死のう」

QB「ダメだ。完全に取り込まれている」

さやか「魔女の口づけ・・・」

QB「早く彼らを気絶させて、急いで魔女を退治しよう」

さやか「分かった・・・みんなゴメン!」

バシッ

さやか「あたしの家族をこんな目に合わせて・・・許さない!」

~~紫天の記憶 美樹ハウス・杏子の部屋~~

杏子「・・・」

QB「やぁ、杏子」

杏子「・・・なんだQBか」

QB「どうしたんだい、そんなに深刻な顔をして?」

杏子「なんでもねぇよ・・・」

QB「悩み事があるなら僕に話してみたらどうかな?力になれるかもしれない」

杏子「・・・」

QB「美樹さやかの事かい?」

杏子「あいつ・・・許せない・・・」

杏子「レヴィにあんなことして・・・」

杏子「だけど、それよりもっと自分が許せないんだ」

QB「どういう事かな?」

杏子「レヴィとあいつが戦ってる間、あたしは見てることしか出来なかった」

杏子「いや、それだけじゃない。みんなが魔女と戦ってるときだって・・・」

杏子「レヴィが魔女に殺されるかもしれないっていうのに、何も出来なかった・・・」

QB「君は戦う力を望んでいるのかい?」

杏子「あたしが契約したら、あのさやかって奴に勝てるのか?」

QB「それは君の努力次第だね」

杏子「・・・願いが決まったらすぐ契約するよ」

QB「そうか。じゃあ決まったらすぐに呼んでよ、杏子」

本日の投下はこれで終了です。

次の投下再開は明日の夜を予定しています。

体調不良につき、本日の投下は中止致します。

あぁ、書き忘れた・・・

次の投下再開は日曜の夜あたりを予定しています。
生活がどんどん忙しくなるのは仕様なんだろうか・・・

投下を再開します。

----翌朝 見滝原中学校・教室----
----さやか行方不明4日目----

ほむら「・・・けふっ」

ほむら(レモンがまだ効いてるわね・・・)

ほむら(しばらく食事は軽くて良さそうだわ・・・)

まどか「ほむらちゃん、どうしたの?」

ほむら「なんでもな・・・けふっ・・・いわ」

まどか「?」

ほむら「それよりまどか、レモンだけれど・・・」

まどか「あっ、気に入ってもらえたかな?今日も作ってきたんだ!」

ほむら「!?」

まどか「うぇひひ。そんなに気に入ってくれたなら、毎日作ってくるよ?」

ほむら「そ、そう・・・ありがとう、まどか」

ほむら(後でさり気なく、レモンはスライスすることを教えましょう・・・)

~~紫天の記憶 過去の銀の魔女・結界最深部~~
~~GISELA~~

魔女は鋼鉄で出来た巨大な腕でさやかを押し潰そうと迫ってくる

しかし、結界内には既にさやかの魔法によって創られた幻影で一杯だった

魔女の攻撃は本物のさやかに当たることなく空を切る


さやか「あたしの家族に手を出した報いだよ!」

さやか「終わりだあああぁ!」


手にした槍を薙ぎ、幾重にも魔女を切り刻む

眩いばかりに輝いていた銀の体は、音を立てて崩れていった

~~紫天の記憶 過去の佐倉教会・講堂~~

さやか「はぁ・・・はぁ・・・」

さやか「よし、魔女は倒せた。あとは父さん達が起きる前に・・・」

杏子の父「む・・・う・・・?」

杏子の父「さやか?どうしたんだ、その姿は?」

さやか「と、父さん!?」

さやか(しまった・・・今更服を戻せないし・・・)

杏子の父「私は気絶していたのか?なぜ・・・」

さやか(どうしよう・・・どう誤魔化したら・・・)

杏子の父「何が起きたんだ?さやかは知っているのか?」

杏子の父「その姿はいったい何なんだ?」

さやか「・・・」

杏子の父「答えなさい、さやか」

さやか「父さん・・・よく聞いて欲しいんだ・・・」

さやか「あたしね・・・魔法少女なんだ」

杏子の父「ま、魔法・・・?」

さやか「魔法少女はね、契約を結んで魔女と戦う運命となるの代わりに」

さやか「願いを一つだけ叶えてもらえるの」

杏子の父「魔女だって?」

さやか「なんていったら良いかな・・・父さんがいつも言ってる絶望の塊のような・・・」

杏子の父「それとお前が戦っていたと言うのか?」

さやか「うん・・・」

杏子の父「もしや、お前が夜な夜な出歩いていたのは・・・」

さやか「うん・・・」

杏子の父「いや、そんな事・・・にわかには信じられん」

杏子の父「自分の娘が魔女と戦っていたなど・・・」

杏子の父「しかし、さやかは嘘をつくような子では・・・」

さやか「・・・」

杏子の父「そうだ、事実だとしたら・・・」

杏子の父「さやか、お前は何を願ったというのだ?」

杏子の父「お前が魔女と戦うことになってまで叶えたかった願いと言うのは・・・」

さやか「それは・・・」

杏子の父「まさか人に言えないようなことなのか?」

さやか「あたしは・・・皆に、父さんの話を真剣に聞いて欲しいと願ったの」

杏子の父「・・・」

さやか(言っちゃった、でも・・・分かってもらえるよね・・・?)




杏子の父「・・・なんということだ」




杏子の父「私の話を・・・誰もが真剣に聞く・・・だと・・・?」

杏子の父「皆、心から賛同してくれたわけじゃなかったのか・・・」

さやか「え・・・え・・・?」

杏子の父「さやか、来なさい・・・お前が何をしたのか、その目で見ていなさい」

~~紫天の記憶 見滝原病院・上条恭介の病室~~

杏子「恭介・・・どうして自殺なんて・・・」

杏子「契約の事、恭介に相談しにきたらこんな事になってるなんて・・・」

恭介「・・・」

杏子「あたし・・・幼馴染とか言って浮かれてたけど」

杏子「恭介のこと何も分かってあげてなかったのかな・・・」

杏子「あたしのせいだ・・・あたしが毎日お見舞いに来てれば、こんな事にならなかったかもしれないのに・・・」

恭介「うっ・・・」

杏子「恭介!」

恭介「ここは・・・杏子・・・?」

杏子「恭介!どうしてあんな事をしたんだ!」

恭介「僕は生きてるのか・・・?なんで・・・」

杏子「なぁ・・・教えてくれよ・・・」

恭介「・・・」

恭介「僕は、もう生きてる意味なんてないんだ・・・」

杏子「何言ってんだよ!恭介にはバイオリンがあるじゃないか」

杏子「怪我が治ればまた好きなだけバイオリンを弾けるだろ?」

恭介「治らないんだよ・・・」

杏子「・・・なんだって?」

恭介「昨日、医者から言われたんだ」

恭介「僕の左手は現代の医学では治せない」

恭介「奇跡か魔法でもない限り・・・二度と動くようにはならないんだ・・・」

杏子「そんな・・・」

恭介「だからもう・・・生きてたって・・・」

恭介「バイオリンのない人生なんて・・・」

杏子「あるよ・・・」

恭介「・・・」

杏子「奇跡も、魔法も。あるんだ!」

本日の投下はこれで終了です。
皆さんも体調管理には気をつけましょう。

書き忘れていましたが、
イメージとして記憶内のさやかは杏子魔法少女服です。
赤い服のさやかをイメージしてください。

http://mup.vip2ch.com/up/vipper35410.jpg
杏子の魔法少女服さやかとさやかの魔法少女服杏子のイメージはこんなんかな?

すみません、生きてます。
納期の魔女との戦いが発生してるのでちょっと書き込めませんでした・・・

少し時間を置いてから投下を再開します。(1回分ですけど・・・)


>>145
丁度こんな感じですね。
自分で言ったものの、服と髪の色が違うとやっぱり違和感ありますよね。

よかった生きてたか
マミられてなくてなにより

----夕方 見滝原市・河川敷 橋の下----
----さやか行方不明4日目----

まどか「お疲れ様!はいっ、ほむらちゃん!」

ほむら「・・・・・・・・・・・・・・・頂くわ」

ディアーチェ「これは何だ?」

まどか「レモンのハチミツ漬けだよ。王様達も食べてみて!」

レヴィ「でも丸ごと・・・」

シュテル「王、お待ちください!」

ディアーチェ「ふむ・・・」

ザクッ モグモグモグ

ディアーチェ「ぐふっ!?」

マミ「王様!?」

レヴィ「王様ぁ!」

ディアーチェ「何だこれは!何のヒネリもない、そのままのレモンではないか!」

ディアーチェ「これは切った物を漬けるのではないのか!?」

まどか「あっ、そうだったかも・・・」

レヴィ「特訓して疲れた後にこれを食べるのはきついね・・・」

ほむら「・・・」

まどか「ご、ごめんねほむらちゃん!わたし、勘違いしてて・・・」

ほむら「大丈夫よ、まどか。気持ちは伝わったわ」

まどか「ほむらちゃん・・・」

マミ「愛、ね・・・」

~~紫天の記憶 過去の見滝原市・繁華街~~

杏子の父「みなさん、聞いて欲しい!」

ザワザワ

杏子の父「この世に神など居ない!絶望こそが唯一の道しるべなのだ!」

さやか「と・・・父さん!?どうしてそんな事を・・・」

さやか「誰も聞いてくれるはず・・・」

信者達「おぉ・・・なんて素晴らしいんだ・・・」

さやか「えっ?」

信者達「彼の言葉には真実がある」

信者達「この世に神など居ない!」

信者達「絶望こそが、唯一の道しるべなんだ!」

ワーワー

杏子の父「なんということだ・・・これでは・・・」

杏子の父「これでは、私自身が・・・悪魔のようではないか!」

さやか「あたしは・・・そんなつもりじゃ・・・」

杏子の父「ふざけるなぁ!」

杏子の父「私は騙されていた!」

杏子の父「お前こそが、魔女だ!人心を惑わす魔女め!」

さやか「あ・・・・あ・・・・」

信者達「魔女め!」
信者達「あいつが魔女だ!」
信者達「人心を惑わす魔女め!」

さやか「やめて・・・・やめてえぇぇぇぇぇぇ!」

~~紫天の記憶 過去の見滝原市・病院屋上~~

QB「願い事は決まったかい?」

杏子「あぁ・・・」

QB「それじゃ聞こうか。君はどんな祈りでソウルジェムを輝かせるのかな?」

杏子「恭介の怪我をなかった事にしてくれ!」

杏子「あいつのあんな姿、もう見て居たくないんだよ・・・」

杏子「バイオリンさえ弾けるようになれば、きっと生きる希望をまた持てるはずなんだ!」

QB「上条恭介の怪我の治療ということでいいのかな?」

杏子「違う、そうじゃない。怪我をなかったことにして欲しいんだ」

QB「同じ事じゃないのかい?」

杏子「全然違うよ」

QB「僕としてはどっちでもいいんだけどね」

QB「ただ、事故が起こった事自体は無かった事には出来ないけどいいかな?」

杏子「勿論さ」

QB「それじゃ、契約は成立だ!」

QB「さぁ、受け取るといい。それが君の運命だ」

本日の投下はこれで終了です。
次の投下は未定となってしまいますが、1週間以内で考えています。


>>147
ご心配おかけしました。
あやうくパクッとされそうにはなりましたが大丈夫です。

投下を再開します。

----夜 マミホーム・リビング----
----さやか行方不明4日目----

ディアーチェ「全く・・・とんだ目に会ったわ」

マミ「王様、大丈夫?」

ディアーチェ「あの程度なら問題ない」

レヴィ「でも、流石にあれはボクは食べたくないや・・・」

シュテル「ちゃんとした調理法で作ったものならきっとおいしいはずですよ」

レヴィ「それだったら食べてみたいかなー」

ディアーチェ「まぁ、それはまた今度だな」

ディアーチェ「さて、夕食にするぞ」

~~紫天の記憶 過去の佐倉教会・講堂~~

さやか(あれから父さんは変わってしまった・・・)

さやか(酒びたりになって、人に説法するのをやめて・・・)

ガチャ

さやか「はぁ・・・」

さやか「ただい・・・ま!?」

さやか「何これ・・・血だまり!?」

さやか「母さん!?モモ!?」

さやか「二人とも血まみれじゃない・・・」

さやか「誰が・・・誰がこんな事を・・・」

さやか「っ・・・!」

さやか「と・・・父さん・・・!」

さやか(首を・・・吊って・・・)

さやか「あ・・・・あああ・・・・」

さやか「-----------------!!」

さやか(あぁ、そうだ・・・)

さやか(あたしがあんな願いをしたから、こんな事になったんだ・・・)

さやか(何が正義の味方だよ・・・)

さやか(結局、あたしは皆を苦しめただけだったんだ・・・)

さやか(誰かのために何かをするなんて、間違ってるんだ・・・)

さやか(自分のために力を使うなら、全部が自業自得で済ませられる)

さやか(そうだ・・・もう自分のためだけに生きよう・・・)

さやか(正義の味方なんて、居ないんだから・・・)

~~紫天の記憶 落書きの使い魔・半結界内部~~

杏子「待てー!」

使い魔「ダダダダダー!」

杏子「くそっ、速い・・・」

タッタッタ

杏子「見失った・・・」

杏子「くっ、あの使い魔が誰かを襲ったら・・・」

ギャァァァ

杏子「!?」

さやか「待ってたよ・・・」

杏子「お前・・・この間の!今の叫び声・・・は・・・?」

さやか「悪いけど、邪魔になりそうだから使い魔は片付けさせてもらった・・・よ・・・?」

杏子「あれ・・・さやか?」

さやか「ありゃ・・・あんたは・・・」

~~紫天の書内部・???~~

杏子「あれ?場所が変わった・・・?」

杏子「変身も解けてる・・・」

さやか「ここどこ・・・?」

さやか「真っ暗で何もない・・・」

さやか「確か・・・あんたを止めようとして、それで・・・?」

杏子「あたしはあいつの手を治す為に契約して・・・」

杏子「そうだ、思い出した!」

杏子「あのガキの持ってる本に吸い込まれたんだ!」

さやか「あーっ!あんたよくもやってくれたわね!」

杏子「しょーがねーだろ!」

さやか「しょうがなくないでしょ!なんであたしまで巻き込むわけ!?」

杏子「分かった、分かったから。謝るからとりあえず落ち着けよ」

さやか「むぅー・・・」

杏子「とりあえず、そういう話だとここは本の中なのか?」

さやか「王様の本って滅茶苦茶だからね、ありえない話じゃないよ・・・」

杏子「何モンだよアイツ・・・レヴィの仲間か?」

さやか「なんでレヴィの事を知って・・・」

さやか「って、前に戦ったときに名乗ってたっけ」

杏子「いや・・・それもあるけど・・・」

杏子「多分、あんたの記憶だと思う・・・バラバラで少しずつだけど、それを今まで見てたんだ・・・」

杏子「今、さやかに会った弾みで記憶だって気付けたんだけどな」

さやか「それじゃ、もしかして今まであたしが見てたのって・・・」

杏子「・・・そうか、やっぱりあんたも見ちまったんだな」

さやか「あれって・・・」

杏子「そういうことさ・・・」

さやか「あんな事が・・・」

杏子「・・・」

さやか「ゴメン・・・あたし、自分の事ばっかりでアンタがそう言う理由を考えてなかった・・・」

杏子「いいよ。確かにそっちから見たら得体の知れない嫌な奴だったろうしな」

杏子「あたしもさやかの事情は知らなかったし、お互い様としようぜ?」

さやか「・・・」

杏子「な?もう分かったろ?」

杏子「誰かのために戦う正義の味方なんて、ロクなことにならないんだ」

杏子「いつかきっとアンタも後悔する時が来る・・・」

さやか「・・・」

さやか「アンタの事、色々と誤解してた・・・それは謝るよ・・・」

さやか「でもね、あたしは後悔しない。どんな事があっても前を見続けたい」

杏子「そんな事・・・!」

さやか「あたしはこの力で、みんなを護りたいんだ!」

さやか「それに・・・諦めちゃったアンタの分も、あたしは正義の味方で居続けたいから・・・」

杏子「あたしが・・・諦めた・・・?」

さやか「本当は今でも正義の味方で居続けたかったんじゃない?」

杏子「そんな事あるわけ・・・」

さやか「・・・そっか。ゴメン、あたしの勘違いかもね」

杏子「・・・」

さやか「あのさ・・・」

さやか「本に取り込まれる前、王様が言ってたこと覚えてる?」

杏子「王様・・・?あぁ、あのガキか」

杏子「仲間になれって話かい?」

さやか「うん、それ・・・」

杏子「何度も言うが、あたしはあんた達の仲間にはならない」

さやか「1回だけでいいから。ワプルギルスの夜と戦うときだけ、一緒に戦ってくれない?」

杏子「ワプルギルス・・・?」

さやか「なんか、凄く強い魔女らしいんだよ」

杏子「それ、ワルプルギスの夜のことじゃないのか?」

さやか「あぁ、そうだ。それそれ」

さやか「あと半月ちょっとぐらいで、そいつが見滝原に来るらしいんだよ」

杏子「なんでそんな事が分かるんだ?」

さやか「えっと・・・なんでだろ?」

杏子「はぁ!?」

さやか「あたしはマミさんから聞いたんだけど、マミさんがなんで知ってるかは分からないや」

杏子「あんたは・・・」

さやか「なんていうか、やっぱり杏子は信頼できる気がするんだよね」

杏子「・・・」

さやか「虫のいいお願いだって分かってるけど、考えてもらえないかな?」

杏子「あたしは・・・」

パァァァァ

杏子「なんだ!?」

さやか「体が光って・・・?」

本日の投下はこれで終了です。

次の投下はなるべく1週間以内に行う予定です。

早めに帰宅できたので、短め予定ですが投下を再開します。

----マミホーム・ベッドルーム----
----さやか行方不明4日目----

さやか「・・・?」

杏子「ここは・・・マミの家だな」

さやか「え?」

杏子「外に出られたのか・・・?」

さやか「ど、どうだろ?」

杏子「・・・これは」

さやか「ん?何それ?クマのぬいぐるみ?」

杏子「・・・」

杏子「さやか、さっきの話だけど・・・」

さやか「ん?」

杏子「あたしは仲間にならない。もう、マミと一緒に戦うなんて出来ないからさ・・・」

さやか「え・・・」

杏子「あたしはマミと一緒に居たくないし、マミだってきっとそう思ってるだろ」

さやか「そんなこと・・・」

杏子「あるのさ。なんなら今からマミに聞いてみるかい?」

杏子「この時間なら家に戻ってるはずさ」

さやか「・・・」

ガラッ

----マミホーム・リビング----

マミ「あぁー!私のエビフライがぁ!」


杏子「はっ?」

さやか「え?」


レヴィ「違うよ!ボクが先に取ったんだよ!」

マミ「余ったのはちゃんと半分にしようって言ったじゃない!」

レヴィ「早いもの勝ちだよー」

マミ「そのエビフライありきでご飯を残してあるのよ!譲れないわ!」

ディアーチェ「二人とも喧しいぞ!」

シュテル「賑やかな事は良き事です」

レヴィ「あむっ、もぐもぐもぐもぐ」

マミ「!?」

レヴィ「ごちそうさまっ!」

マミ「あ・・・あぁぁぁぁぁ・・・」

シュテル「レヴィ、お行儀が悪いですよ」

レヴィ「おいしかったぁ」

マミ「エビフライが・・・私のエビフライが・・・」

ディアーチェ「・・・」

ディアーチェ「ほれ、我のを一つ恵んでやる。そう気を落とすな」

マミ「お・・・王様・・・!」

レヴィ「良かったね、マミマミ!」

シュテル「レヴィ、次からはちゃんと約束を守るのですよ?」

レヴィ「はーい!」

マミ「さて、それじゃおいしいうちに」

マミ「いただきまー・・・す・・・?」

杏子「マミ・・・」

さやか「マミさん・・・」

マミ「え・・・?」

シュテル「おや、二人とも外に出られましたか」

ディアーチェ「おぉ、ようやく出てきたか!」

マミ「い・・・いつからそこに?」

さやか「エビフライの話から、ですかね・・・」

マミ「・・・」

杏子「はぁ・・・何だか白けちまったね。今日は帰るよ」

さやか「えっ?仲間になる話は・・・?」

杏子「・・・あんた達だけで頑張ってくれ」

さやか「そんな・・・」

杏子「じゃあな・・・」

パタン

さやか「杏子・・・」

マミ「見られた・・・後輩に見られた・・・折角築いたイメージが・・・」

--------

----

--

マミ「はい、食後の紅茶よ」

ディアーチェ「うむ」

シュテル「良き香りです」

マミ「ケーキはないけど、良かったら美樹さんも飲んで行って?」

さやか「あ、はい。それじゃ折角なんで・・・」

レヴィ「おいしー」ゴクゴク

マミ「とりあえず、無事に出てこられたみたいで良かったわ」

さやか「すみません、なんだか心配掛けちゃったみたいで・・・」

マミ「いいのよ。鹿目さんや暁美さんにも後でちゃんと連絡するのよ?」

さやか「はい!」

シュテル「体に違和感などはありませんか?」

ディアーチェ「何かあれば、もう一度取り込んで調整してやらんこともないぞ?」

さやか「いや、もう一回は・・・」

さやか「とりあえず、今のところは何ともないかな?」

さやか「杏子的な感覚が、まだちょっと残っている気がするけど・・・」

マミ「佐倉さんの感触?」

レヴィ「?」

マミ「美樹さん、本の中で何を・・・?」

さやか「え?」

マミ「ダメよっ!そんな、まだ私たちには早いわ!」

さやか「ねぇ、マミさんって家ではこんな感じなの?」

ディアーチェ「うむ」

シュテル「比較的リラックスしていますね」

さやか「はぁ・・・?」

シュテル「それはさておき、本の中で何があったのか教えていただけますか?」

さやか「あぁ、実はさ・・・」

本日の投下はこれで終了です。
次の投下再開は土日ぐらいを予定しています。

投下を再開します。

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--

ディアーチェ「ふむ・・・やはり異常が起きていたようだな」

シュテル「かなり危険な症状でしたね。何事も無く出てこられて安心しました」

さやか「え?なんかマズかったの・・・?」

シュテル「他者の記憶を参照する事により、記憶混濁が起こる可能性がありました」

さやか「うわっ、怖いなぁ・・・」

レヴィ「オリジナルが取り込まれた時とは状況が違うしねー」

マミ「でも、こうしてちゃんと出てこられたのだから大丈夫なのよね?」

シュテル「そうですね・・・」

シュテル「少し紫天の書を調べてみましたが、今は正常に動作していますので」

シュテル「サヤカの方も問題はないかと思います」

さやか「それなら一安心かなぁ」

ディアーチェ「だが、取り込まれたことにより疲労しているはずだ」

ディアーチェ「しばらくはゆっくり休む事だな」

さやか「あぁ、うん。心配してくれてありがとうね」

ディアーチェ「ふんっ、我にも多少の責はあるからな。少しはすまぬと思っていたところだ」

さやか「お?ちょっとデレた?」

ディアーチェ「・・・」スッ

さやか「あ、はい。本の角は勘弁してください・・・」

マミ「あの、美樹さん・・・」

さやか「はい、なんでしょう?」

マミ「佐倉さんの記憶を見たのよね?」

さやか「はい。全部って訳じゃないですけど、ある程度は」

マミ「佐倉さんが私の事、どう思っていたか・・・知りたいの・・・」

ディアーチェ「む?」

さやか「それが・・・マミさんの事は何も・・・」

マミ「そう・・・」

シュテル「かなりランダムに抽出されていたようです。仕方ない事かと」

レヴィ「バグが出てたならしょうがないよね」

さやか「あいつもマミさんに対して思うところがあるみたいですけど、何かあったんですか?」

マミ「・・・」

さやか「あぁっ、すみません・・・言いづらい事なら・・・」

マミ「昔ね、佐倉さんとはコンビを組んでいたの」

さやか「え・・・?」

マミ「魔女と戦っているときに助けたのがきっかけで、魔法少女について色々教えてあげたの」

マミ「丁度今の美樹さんのような感じね」

さやか「・・・」

マミ「二人で使い魔や魔女を倒して・・・」

マミ「結界に取り込まれた人を助けた時なんかは、凄く喜んでいたわ」

マミ「でもね、ある日突然それは終わってしまったの」

さやか「それって・・・」

マミ「佐倉さんが、『使い魔を狩るのをやめて、魔女だけ狙おう』って言い出したの・・・」

マミ「当然反対したわ。でも、それで佐倉さんとは仲違いして・・・それっきりね・・・」

シュテル「なるほど、使い魔はグリーフシードを落とさないと聞きます」

シュテル「単純な効率で見れば的確かと」

ディアーチェ「確かに。必要の無い事に魔力を割く必要は無いな」

マミ「でも、使い魔だって人を襲うわ。私はそれを見過ごす事なんて出来ない」

さやか「そう・・・ですね・・・」

マミ「その時は何故佐倉さんがそんな事を言い出したのか、全く分からなかったわ」

マミ「でも次の日テレビで佐倉さんのご家族のことを知って、とても後悔したの・・・」

マミ「佐倉さんが辛い思いをしていたのに、力になってあげられなかった・・・」

マミ「あの子が辛いときに、強く当たってしまった・・・」

マミ「きっと嫌われてしまったと思うわ・・・」

マミ「だからね、少しでも佐倉さんの気持ちをわかってあげられたら」

マミ「もしかしたら歩み寄れるんじゃないかって、そう思って・・・」

さやか「マミさん・・・」

マミ「ごめんなさいね。こんな話をしてしまって・・・」

さやか「いやいや、あたしが聞いたんですから」

さやか「それに、凄く大切な話じゃないですか!」

マミ「でも・・・」

さやか「あいつもやっぱりマミさんの事が気になるみたいですよ」

さやか「多分、本当は仲直りしたいんだと思います」

マミ「そうなのかしら・・・?」

さやか「なんとなくですけど・・・あたしはそう思いました」

マミ「そっか・・・」

シュテル「ところでサヤカ、そろそろ帰宅しなくて大丈夫ですか?」

さやか「へ?うおっ!こんな時間!?」

さやか「そういえば今日何日!?」

マミ「明日からお休みよ」

さやか「そんなに経ってたのか・・・」

マミ「一応ご家族には私の家に泊まっていると伝えてあるわ」

マミ「早く帰って安心させてあげてね」

さやか「はい」

----マミホーム・玄関----

さやか「それじゃ、お邪魔しましたー」

マミ「えぇ・・・あ、そうだ」

マミ「美樹さん、週明けまで特訓はお休みしましょうか」

さやか「え?」

マミ「暁美さんから聞いたんだけど、最近疲れているらしいじゃない」

さやか「あー、まぁ・・・」

マミ「だからお休みして、体調を戻してからまた特訓を始めましょ?」

さやか「で、でも・・・特訓しないと・・・」

マミ「大丈夫よ。休む事も特訓のうちだから」

さやか「・・・はい」

パタン

マミ「・・・ふぅ」

マミ「上手く乗り切れたわね」

ガチャ

さやか「あ、マミさん」

マミ「な、なにかしら?」

さやか「さっきのマミさん、凄く可愛かったですよ」

さやか「もっとあんな風な所を出していくべきですよ!」

マミ「・・・」

さやか「それじゃ、失礼します。おやすみなさい」

パタン

マミ「ダメだった・・・どうしよう・・・」

----深夜 美樹ハウス・さやかの部屋----

さやか「あー・・・久しぶりの自分の部屋は落ち着くなぁ・・・」

さやか「休むのも特訓のうち・・・か・・・」

さやか「そんな事言ってられないよ・・・」

さやか「記憶の中で見た杏子は凄く強かった・・・」

さやか「あれは確かにあたしだったけど、でも強さそのものは杏子だった・・・」

さやか「やっぱりこのままじゃダメだ、もっともっと努力しないと」

さやか「マミさんやほむら、まどかに心配掛けてられない」

さやか「今よりももっと、ずっと強くなるんだ・・・!」

----同じ頃 風見野市・鉄塔----

杏子「・・・」

杏子「正義の味方・・・か・・・」

杏子「もう遅いんだよ。あたしにはな・・・」

杏子「マミの奴にもきっと嫌われてるだろうしな」

杏子「・・・」

杏子「あたしがあげたクマのぬいぐるみなんて、とっとと捨てちまえばいいのにさ・・・」

杏子「はぁ・・・」

杏子「そういえば・・・夢に見た場所がまさかあいつの幼馴染の家だったなんて・・・」

杏子「何なんだよ一体。やっぱりあいつとは何かあるのか?」

杏子「思いだせ・・・思い出せ、あたし・・・!」

QB「やぁ、杏子。久しぶりだね」

杏子「ぁん?」

QB「ずっと姿を見なかったから心配していたよ。どこへ行っていたんだい?」

杏子「さーな・・・」

杏子「今、考え事をしてるんだよ。邪魔しないで欲しいんだけど」

QB「なにを考えてるんだい?良かったら力になれるかもしれないよ?」

杏子「あんたは誰にでもそんな事を言うんだな」

QB「何の事かな?」

杏子「ま、別に人に言うほどの事じゃないさ」

QB「そうか。気が向いたら話してくれれば相談にのるよ」

杏子「気が向かないから安心しな」

QB「やれやれ・・・」

本日の投下はこれで終了です。

次の投下再開は週の中ごろ、無理なようならまた土日ぐらいを予定しています。

ほんの少しですが投下します。

----翌朝4:00 美樹ハウスのあるマンション・屋上----

さやか「おぉ、ちょっと時間を早めたら街の雰囲気が大分違う・・・」

さやか「早起きも悪いもんじゃないよねー」

さやか「さて・・・素振りを始めようかと思ったけど、そろそろ違う事もやりたいかな」

さやか「うーん、強くなるために必要な事といえば何だろう?」

さやか「・・・」

さやか「武器、か・・・?」

さやか「そういえば前にレヴィに武器を見せてもらったの忘れてた・・・」

さやか「どんな感じだったかなぁ」

さやか(確か・・・刃を魔力で作ってて・・・)

さやか(柄から魔力を噴出させてた・・・)

さやか(あたしはきっと、まだ同じことは出来ないだろうし)

さやか(サーベルの刃に魔力を纏わせる感じで・・・)

さやか(イメージ・・・イメージ・・・)

さやか「むむむむむ・・・・」

さやか「・・・」

さやか「ダメかぁ・・・やっぱりいきなりは無理だよね」

さやか「って・・・」

さやか「気持ち刃が青いような?」

さやか「ううーん?」

さやか「自分じゃ分からないし、誰かに見て貰おうかなぁ」

----午前中 マミホーム・リビング----

ディアーチェ「それで、何故我が見てやらねばならぬのだ?」

さやか「いやぁ、来たら居たのが王様だったからさ」

ディアーチェ「我は休めと申したはずだが?」

さやか「休んでるから大丈夫だって。ちょっと武器を見てもらうだけだから!」

さやか(本当は素振りしてから来たんだけど・・・)

ディアーチェ「全く・・・」

さやか「そういえばマミさんやレヴィ達はどうしたの?」

ディアーチェ「マミは自分の特訓に行った。レヴィたちはその付き添いだ」

さやか「王様は行かなかったの?」

ディアーチェ「昨日まで紫天の書の検索をしていたからな。少し疲れた」

さやか「へぇ・・・」

ディアーチェ「そういうことだ。やるならさっさとしろ」

さやか「何だかんだ言っても、付き合ってくれる辺り優しいよね」

ディアーチェ「ほぅ、今すぐ帰りたいと申すか?」

さやか「ご、ごめんって。それじゃお願い!」

ディアーチェ「うむ」

--------

----

--

さやか「むむむむ・・・」

ディアーチェ「ふむ?」

さやか「おっ?さっきより色が濃い気がする」

ディアーチェ「確かに、先日蒐集した魔力と同種の物が武器に通っているようだな」

さやか「蒐集?」

ディアーチェ「貴様から魔力を貰ったのだ」

さやか「そんなことしたっけ?」

ディアーチェ「紫天の書のページに触れた事があったであろう?」

ディアーチェ「本来はプログラムの解除のためだが、蒐集扱いになっているな」

さやか「へぇ・・・」

ディアーチェ「これだけで強度が上がるかは分からんが、目論見としては達成しているな」

さやか「本当はレヴィみたいに、全部魔力で作れたら折れたりしないからいいんだけどね」

ディアーチェ「レヴィは特別製だ。シンプルな構造である分、出力が大きい」

ディアーチェ「そうそう真似出来るとは思わぬほうがいい」

さやか「まぁ、あたしはあたしのやり方でやるよ」

ディアーチェ「うむ」

ディアーチェ「どれ、折角だ。強度を見てやる」

キィン

ディアーチェ「我のシールドを斬りつけてみろ」

さやか「え?いやいや、弾かれて終わりだって!」

ディアーチェ「どの程度の衝撃かは計ることができる。ほれ、さっさとせんか!」

さやか「むぅ・・・」

さやか「てぇい!」

ザクッ

ディアーチェ「なっ!?」

さやか「えっ!?ちょっ!?斬りつけたら刃先が刺さって抜けない・・・!」

グイグイ

ディアーチェ「待て、無理に引き抜こうとするな!今シールドを消す」

キィン

さやか「おぉ・・・ビックリしたぁ」

ディアーチェ「まさか僅かとはいえ、シールドを通すとは・・・」

さやか「もしかして、凄く攻撃力上がってるとか?」

ディアーチェ「いや、衝撃はほとんどなかった。むしろ・・・」

ディアーチェ「ふむ・・・少し解析してやろう。明日にでもまた聞きに来い」

さやか「うん、分かった。ありがとね!」

ディアーチェ「うむ」

本日の投下はこれで終了です。

次の投下予定は次の土日の予定ですが、
時間の都合がつけば週の中ごろにするかもしれません。

張った伏線はきっと忘れた頃に回収されるはずです・・・
職場でも風邪が流行ってるので気をつけたいところです。

投下を再開します。

----見滝原市・河川敷 橋の下----

マミ「ダメ・・・暁美さん、やめて!こないで!」

ほむら「巴さん・・・こんなに沢山出して。どういうつもりなの」

マミ「これは・・・仕方ないじゃない!」

シュテル「23・・・17・・・24・・・18・・・」

まどか「わっ・・・わっ・・・ダメだよ!」

ほむら「もうダメ・・・これ以上は・・・!」

マミ「暁美さん、それ以上こっちに来たら・・・!」

レヴィ「危ない!」

ほむら「きゃっ!」コケッ

マミ「きゃぁ!?」ドサッ

まどか「二人とも大丈夫!?」

ほむら「えぇ・・・転んだ時に巴さんを巻き込んでしまったけど・・・」

マミ「私が投げ捨てたマスケットが原因だから仕方ないわね・・・」

シュテル「それぞれの缶の打ち上げ回数はホムラが27回、マミが21回ですね」

ほむら「あんなに沢山銃を捨てなくても・・・」

マミ「1挺で1発しか撃てないから・・・」

ほむら(そういえばそうだったわね・・・)

まどか「最初はあんなに離れた位置に居たのに、どんどん近寄って行っちゃったね・・・」

レヴィ「二人とも仲がいいんだね」

ほむら「・・・そうね」

マミ「うーん・・・」

マミ「毎回銃を消していたら、缶を撃つのが間に合わないし・・・」

シュテル「マミには不向きなトレーニングだったかもしれませんね」

まどか「あの・・・」

シュテル「はい?」

まどか「二人一緒じゃなくて、交代にやったらダメなの?」

シュテル「!」

マミ「そういえばそうね・・・」

レヴィ「順番にやればぶつかることはないもんね」

--------

----

--

ほむら「あぁ・・・落としてしまったわ・・・」

シュテル「37回ですね」

ほむら「まだまだね・・・」

マミ「そんな事無いわ。これだけできるって凄い事よ」

レヴィ「マミマミは20回ぐらいしか出来ないからね」

マミ「うぅ・・・」

まどか「二人ともお疲れ様!」

まどか「今日はちゃんと切ったレモンを持ってきたんだよ!」

カパッ

マミ「・・・」

シュテル「・・・」

レヴィ「おぉ!これがちゃんと作った奴なのかー!」

まどか「そうだよ。よかったらレヴィちゃんも食べて!」

レヴィ「うん!」

ほむら「・・・」

ほむら(真っ二つレモンだこれ)

レヴィ「いただきまーす!」

マミ「レヴィちゃん、ま・・・」

レヴィ「」モグモグ

マミ「って・・・、って遅かったわ」

レヴィ「」ビクッ

シュテル「レヴィ・・・?」

まどか「レヴィちゃん?」

レヴィ「・・・」

ほむら「これ、立ったまま気絶してるわ・・・」

まどか「えっ!?」

マミ「大変!横にさせないと!」

シュテル「レヴィ、しっかりしてください。レヴィ!」

レヴィ「・・・」

まどか「そんな・・・ちゃんと切ったのにどうして・・・」

ほむら「まどか・・・」

ほむら「切り方がちょっとその・・・アバウトすぎるというか・・・」

まどか「そっかぁ・・・」

ほむら「大丈夫よ。貴女の気持ちはちゃんと伝わってるから」

まどか「うん・・・」


シュテル「マミ、水を!」

マミ「えぇ!」

レヴィ「・・・」

--------

----

--


レヴィ「うーん、うーん・・・」

ほむら「うなされているわね」

シュテル「余程ショックだったのでしょう」

まどか「ごめんね、レヴィちゃん・・・」

マミ「仕方ないわ。今日のところは・・・」

ピリッ

マミ「!?」

ほむら「これは!」

まどか「どうしたの?」

シュテル「魔女ですか?」

ほむら「えぇ、結構近いわね」

まどか「ま、魔女!?」ビクッ

シュテル「マドカ、どうかしたのですか?」

ほむら「無理も無いわ。2回も怖い目に会っているのだもの」

まどか「ごめんね・・・みんなは戦ってるのに、わたしだけ怖がっちゃって・・・」

マミ「いいのよ、鹿目さん。普通に暮らしている人を護るのが私達の役目なんだから」

ほむら「そうよ。何があっても絶対に護ってあげるから安心して」

まどか「うん・・・」

マミ「さて、魔女退治に行くとして・・・レヴィちゃんをこのままにはしておけないわね」

ほむら「確かに心配ね」

シュテル「状況から考えて、マドカに残ってもらうのが適切かと」

まどか「うん、レヴィちゃんのことは任せて」

ほむら「でもまどかだけだと前みたいな事があると困るわね。一応私もここに残るわ」

マミ「待って」

ほむら「何かしら?」

マミ「早いうちにに暁美さんは新しい武器を試しておいた方がいいと思うの」

ほむら「それもそうね・・・」

マミ「私がここに残るから、シュテルちゃんと二人で行ってもらえないかしら?」

シュテル「構いません」

ほむら「私だけだと正直不安だけど、シュテルが居れば何とかなりそうね」

マミ「とは言っても無理はしないでね?」

シュテル「はい」

ほむら「それじゃ、行きましょうか」

まどか「二人とも、気をつけてね」

タッタッタッタッ

まどか「・・・」

マミ「大丈夫よ。シュテルちゃんは勿論、暁美さんだって心配要らない位に強いんだから」

まどか「はい・・・」

マミ「さて、と」

マミ「居るんでしょう?出てきて!」

まどか「えっ!?」

スッ

QB「流石マミだね。僕の気配を察知できるなんて」

まどか「きゅ、QB!?」

マミ「気配に気付いたわけじゃないわ」

QB「へぇ・・・」

マミ「あなたならこのタイミングで鹿目さんを狙ってくる。そんな気がしたから」

QB「なるほどね」

マミ「シュテルちゃんから聞いたわ。あなたの事、魔法少女の事」

マミ「あなたは宇宙人なの?私たち魔法少女を利用していたの?」

QB「マミはずっと一緒に暮らしてきた僕よりも、彼女の言った事を信用するのかい?」

マミ「いいから答えて!」チャキッ

まどか「マミさん?」

QB「やれやれ・・・マミに銃口を向けられる日が来るとはね」

QB「まあ、君達から見たら僕が宇宙人というのは間違った認識ではないね」

QB「ただ、君達を利用しているというのは違うよ。僕達は君達と共存関係にあると言ってもいい」

マミ「そう・・・」

QB「分かってもらえたかな?」

マミ「ごめんなさい。もうQBのことは信用できそうに無いわ」

QB「そうか・・・」

QB「僕は君と何年も一緒に居たのにね」

QB「彼女達、魔導師の言葉はそんなにも信用に足るものだったのかな?」

マミ「違うわ。シュテルちゃんの話は確かにショックで、すぐ信じられるような事じゃなかった」

QB「それなら・・・」

マミ「でもね、QBのことはもっと信じられないの」

QB「それは何故だい?」

マミ「・・・それこそ話して理解できるような事でもないわ」

マミ「本当はそれだって信じたくなかった・・・QBを信じて居たかったから」

QB「マミ、君の言ってる事の意味がわからないよ?」

マミ「もう話すことはないわ。帰って」

マミ「そしてこれ以上私たちの前に姿を見せないで」

QB「僕はまどかに話があるんだけどな」

マミ「見逃してあげるって言ってるの。伝わらなかったかしら?」チャキッ

QB「・・・仕方ない。今日のところは諦めるよ」

まどか「QB!」

QB「なんだい?」

まどか「私が魔法少女になったら、世界が滅んじゃうって本当なの?」

QB「・・・」

QB「君がそうしたくないのなら、そんな事は起こらないよ」

まどか「・・・」

QB「それじゃ、マミに撃たれたくはないから失礼するよ」

スッ

まどか「・・・」

マミ「・・・」

マミ「・・・っく・・・ううう・・・」

まどか「マミさん?」

マミ「うぅぅぅぅ・・・キュゥべぇ・・・キュゥべぇ・・・」ポロポロ

マミ「信じたかったのに・・・信じて居たかったのに・・・」

マミ「うぅぅ・・・・」

まどか「マミさん・・・」

マミ「うぅ・・・ひっく・・・」

まどか「わたし達、ずっとマミさんと友達です」

マミ「ぐすっ・・・うん・・・」

まどか「王様たちだって居ます。みんなマミさんと一緒です」

マミ「うん・・・」

まどか「だから、そんなに悲しい顔をしないでください・・・」

マミ「うん・・・うん・・・」

本日の投下はこれで終了です。
次の投下は来週の土日、可能なら週の中ごろを予定しています。

投下を再開します。

----ALBERTINE----

魔女「キャッキャッ」


魔女が地面にクレヨンで絵を書き、使い魔を実体化させていく


使い魔「ダダダダダダー!」


生み出された使い魔はすぐさま動き出し、

ほむらに目掛けてオモチャのミサイルで攻撃してくる

ほむらは攻撃を察知し、左手の盾の上にシールドを展開して攻撃を防ぐ

見た目に反して、かなりの威力を持っているはずのミサイル攻撃も

シールド越しにはほとんど衝撃が伝わってこない


ほむら(硬い・・・)

ほむら(彼女達の魔法だと、これほどの防御力が得られるのね)


思考を巡らせていると、紅い光が煌き

一瞬で使い魔が消滅する

シュテル「制圧完了です」

ほむら「ありがとう、シュテル。助かるわ」


シュテルが空中から援護射撃をしてくれたのだ


結界に入ってこの魔女だと気付いた時、ほむらはこの戦い方を提案した

つまり、本体の魔女はほむらが狙って使い魔はシュテルが倒すという方法だ

シュテルのカートリッジの問題もあったが、

この魔女には面倒な特性がある事を知っていたからだった

ほむら(出てくる事が少ない魔女で、あまり戦ったことは無いけど・・・)

ほむら(でも、こいつの行動は単純なパターンだから分かるものなのよね)


ほむら「そこっ!バルカンレイド!」

魔女「フェェ!?」


積み木を積み上げて作ったお城の柱を狙って撃つ

すると使い魔に気を取られていた隙に見失った魔女が、跳び上がって出てくる


まず第一に、使い魔に戦わせて自分はその間に隠れてしまう

ほむら「隠れ切れなくて残念だったわね」


出てきた魔女に再度、銃口を向ける

と、その瞬間


魔女「ウエェェェェェェェェェェェン!!ウエェェェェェェェェェェェン!!」


不気味な声を発して魔女が泣き出した


シュテル「こ、これは・・・!」

ほむら「シュテル!距離を取って!近くに居るのは良くないわ!」

ほむらの忠告を聞き、シュテルは少しばかり後方に移動する


第二に、泣き声により攻撃してくる相手の戦意を削ぐ


原理そのものは分からないが、魔女の泣き声を聞くと戦意が喪失してしまう

だが・・・


ほむら「ごめんなさい。私にそれは通用しないの」


冷たく言い放ち、手にしたフィアンマ・エテルナのトリガーを引き絞る

ほむら「行くわよ、ありったけ!」

ほむら「ファイネストカノン!!」


銃口から巨大な魔力の弾丸が射出され、渦を巻きながら魔女に迫る


魔女「フエェ!?」


弾丸はそのまま魔女を貫通し、結界の壁にぶつかって大きな亀裂を作って消滅した


ほむら「巴さんやさやかになら効いたかもしれないわね」


その言葉を待たずして、グリーフシードを残して魔女は崩れ落ちていった

シュテル「見事な戦いでした」

ほむら「ありがとう。サポート、とても助かったわ」

シュテル「ありがとうございます」

ほむら「それにしても・・・フォーミュラ・エルトリアって凄いのね」

ほむら「使い魔の攻撃を受けても何ともなかったわ」

シュテル「いえ、それはホムラの力でしょう」

ほむら「私の?」

シュテル「どうやらホムラは護る事に長けているようです」

シュテル「それが防御力と言う形で魔導に現れたのかと」

ほむら「・・・」

ほむら(まどかを護る私、か・・・)

シュテル「どうかしましたか?」

ほむら「いいえ、なんでもないわ」

ほむら「魔力消費もそんなに多くないみたいだし、実戦でも大丈夫そうね」

シュテル「そのようですね」

シュテル「ただ、無茶な使い方をするとデバイスが故障する可能性もあります」

シュテル「それを常に心に留めて置いてください」

ほむら「えぇ、分かったわ」

ほむら「そういえば・・・」

シュテル「はい、なんでしょうか?」

ほむら「これが貴女達と同じ魔法なら、私も飛ぶことが出来るのかしら?」

シュテル「どうでしょうか。空戦機動については生まれつきの資質が大きく関わってきますので・・・」

シュテル「厳しいようですが、ホムラには元々魔導の資質がありませんので望み薄かと」

ほむら「そう、残念ね・・・」

ほむら「ワルプルギスと戦う上で、飛ぶ事ができるなら心強かったのだけれど・・・」

シュテル「空戦は不可能でも代用の方法はあります。後でそちらをお教えしましょう」

ほむら「ありがとう。助かるわ」

----夕方・見滝原市 市街地----

ほむら「結界が消えたわね」

シュテル「では、マドカ達のところへ戻りましょうか」

ほむら「えぇ。時間も時間だし、一旦集まったらすぐ解散かしらね」

シュテル「はい。ならばホムラはそのまま帰宅しても・・・」

ほむら「いいえ。まどかが心配だから戻るわ」

シュテル「分かりました」

ほむら「・・・あら?」


--------

さやか「はっ・・・はっ・・・はっ・・・」タッタッタッタッ

--------


ほむら(今、道路の反対側を走っていたのはさやか・・・?)

ほむら(本からは出られて、今日は休んでいるはずじゃ?)

本日の投下はこれで終了です。
次は来週の日曜日になると思います。

Oh...
乙が沢山付いてる。閲覧ありがとうございます。

それでは投下を再開します。

----見滝原市・河川敷 橋の下----

マミ「もう落ち着いたから大丈夫よ」

まどか「はい」

マミ「ごめんなさいね。みっともない所を見せちゃって・・・」

まどか「えっ、そんなこと・・・」

マミ「先輩だから、もっとしっかりしていないといけないのにね」

まどか「その・・・」

まどか「わたしじゃ頼りないかもしれないですけど」

まどか「マミさんさえよかったら、もっともっとわたしに頼ってください!」

マミ「鹿目さん・・・」

まどか「契約は出来ないですけど、それでも・・・もしかしたら何かできるかもしれません」

まどか「ほんの少しでもマミさんの助けになれるなら嬉しいな、って・・・」

マミ「・・・」

まどか「ご、ごめんなさい。迷惑ですよね?」

マミ「いいえ、そんな事無いわ。凄く嬉しい・・・」

マミ「あ・・・」

まどか「?」

マミ「やだな・・・何だかまた涙が出てきちゃった・・・」ポロポロ

まどか「よかったらこのハンカチ使ってください!」

マミ「ありがとう・・・」スッ

マミ「もう少し、鹿目さんや他のみんなにも頼ってもいいのかしら・・・?」

まどか「はい!」

まどか「ほむらちゃんや、さやかちゃんだってきっとそう思ってます!」

マミ「そっか・・・」

レヴィ「う・・・ううーん・・・」

レヴィ「あれ?ボクどうしたんだっけ?シュテるんは?」

まどか「あっ、レヴィちゃん起きたんだね。さっきはごめんね・・・」

レヴィ「?」

マミ「ふふっ、口直しに後でみんなでおいしいお菓子でも食べましょうか」ニコッ

レヴィ「???」

レヴィ「なんでマミマミはそんなに楽しそうなの?」

----マミホーム・リビング----

レヴィ「おいしー!」モグモグ

まどか「よかったぁ!これ、わたしのお勧めなんだよ?」

ディアーチェ「帰ってくるなり茶会とは・・・いつもの事とはいえ、飽きぬものだな」

ほむら「そう言いつつも、王様だって食べてるじゃない」

ディアーチェ「これは・・・貴様らが買ってきたから仕方なくだな・・・」

シュテル「やむを得ませんね」モグモグ

マミ「楽しいことは、何度やっても楽しいのよ」

マミ「ほら暁美さん、良かったら私の分も食べて?」

ほむら「え?えぇ・・・?」

ニャーン

レヴィ「ん?」

ニャーンニャーン

シュテル「ねこ・・・?」

ほむら「まどかの携帯にさやかからメールが来たのよ」

まどか「うん、そうだけど。ほむらちゃん、さやかちゃんだってよく分かったね?」

まどか「さやかちゃんとは電話が多いから、あんまりこの着信音って鳴らないのに・・・」

ほむら「気にしないで」

まどか「え?うん・・・?」

マミ「それで、美樹さんはなんて?」

まどか「えっと・・・今日は来られないみたいです」

マミ「そう・・・」

まどか「大丈夫ですよ!ケーキはまたいつでも一緒に食べられますから!」

マミ「えぇ、そうよね。また明日にでも一緒に楽しみましょう!」

ほむら「明日って・・・」

ほむら(相変わらず良く食べるわね・・・)

ほむら(なのに栄養は全て一部に集約されるから太らない・・・)

ほむら(反則よ・・・反則だわ・・・)

ほむら「くっ・・・!」

まどか「ほむらちゃん?」

ディアーチェ「そういえば、先程さやかが・・・」

マミ「美樹さんが?」

ディアーチェ「いや、すまぬ。気にするでない」

マミ「・・・?変な王様?」

まどか(あれ?さやかちゃんの呼び方変わった?)

----同じ頃 見滝原市・公園----

さやか「はっ・・・はっ・・・はっ・・・」タッタッタッタッ

さやか「ふぅー・・・ちょっと休憩っと!」

さやか「結構走ったなぁ・・・あと少しで見滝原一周かな」

さやか「やっぱり体力もかなり上がってるし、特訓すればもっと走れるようになれそうだね」

さやか「時間もないし、ちょっとぐらい無茶してでも頑張らないと!」

さやか「よーっし・・・・っととと!?」フラッ

「あぶねぇ!」
「危ない!」

ガシッ

さやか「あ、すみません!足がふらついちゃって・・・!」

仁美「いえいえ、転ばなくて何よりでしたわ」

仁美「あら?今もう一人支えてくださった方が居たような・・・?」

さやか「仁美!?」

仁美「まあ!さやかさ・・・ん・・・」

仁美「!?」

さやか「ありがとう、支えてくれて。転んじゃう所だったよ」

仁美「い・・・いえ・・・それはいいのですが・・・」

仁美「さやかさん、顔色が酷く悪いですわ。いまのふらつきといい、一体何をしていたのですか?」

さやか「ん?マラソン・・・かな?」

仁美「そんな状態でマラソンだなんて、いけませんわ!せめてそこのベンチで少し休みましょう!」グイッ

さやか「ちょ、ちょっと!大丈夫だってば!」

仁美「そんな顔色で何を言ってるんですの!」グイグイ

さやか「えぇー?」

--------

----

--

仁美「冷たいお茶を買ってきましたわ。さぁ、飲んでください」

さやか「ありがと。でも、そんな心配しなくても・・・」プシッ ゴクゴク

仁美「久しぶりに会うなりそんな顔色をしていれば、心配にもなります」

さやか(あ、そっか。1週間ぐらい会ってないことになってるんだっけ?)

仁美「ご家庭の事情というのはもう大丈夫なのですか?」

さやか「え?」

さやか「あぁー!ごめんごめん。もう大丈夫だよ」

さやか「そういう仁美こそどうなのさ?」

さやか「こないだ変な事件に巻き込まれたんでしょ?」

仁美「その事なら・・・怪我も治った上に、あの後何も起きていませんし」

仁美「もう大丈夫ですわ」

さやか「へぇ・・・それなら一安心だけど・・・」

仁美「心配・・・してくださっていたのですか?」

さやか「何言ってんの、当たり前でしょ!」

仁美「あ・・・」

仁美「い、いえ、そんな事より話を逸らさないでください!」

さやか「いや、逸らしたわけじゃ・・・」

仁美「突然さやかさんが来なくなってしまって、みなさん心配していたんですよ」

さやか「週明けからはちゃんと学校行けるって、大丈夫だよ」

仁美「本当にみんな心配していて・・・」



仁美「上条君も・・・」



さやか「恭介が・・・?」

仁美「えぇ、とても気にされてました」

さやか「そっか・・・」

仁美「はい・・・」

さやか「・・・」

仁美「・・・」

さやか「・・・」

仁美「さやかさんは・・・」

さやか「ん?」

仁美「さやかさんは、上条君の事をどう思っているのですか?」

さやか「どう、って?」

仁美「好きか、そうでないのか」

さやか「すっ!すすすすすっ!?」

さやか「いやいやいや、恭介は単なる幼馴染と言うかなんというか・・・」

仁美「本当にそれだけですか?」

さやか「う・・・うん・・・」

仁美「そうですか・・・」

さやか「仁美?」

仁美「・・・」

仁美「・・・さやかさんがそう言うのなら、まだ私にも勝ち目はあるのですね」ボソッ

さやか「えっ?」

仁美「それではさやかさん、私これからまたお稽古ありますのでこれで」

仁美「また週明けにまた学校でお会いしましょうね?」

クルッ スタスタスタ

さやか「あ・・・」

さやか「・・・」

さやか「そんな・・・仁美も恭介の事が・・・?」

本日の投下はこれで終了です。
次の投下再開は来週の週末予定です。

昨日見つけて今日追いついた。
ほむほむってば、デバイスの操作に慣れたら、ティロフィナーレの応用で砲撃系習得できるよね?
ディ○インバ○ターとか。自称凡人の二丁の拳銃でアレを撃ったんだから、ほむらのデバイスでも調整次第で撃てそうな気がする

>>274
長編となってしまっているのに、ありがとうございます。

凡人さんが使ったのは☆の方じゃないかな?
vividとかForceを全部見てるわけじゃないので、そっちで使っていたらすみません。

一応ほむらの技はあと2、3個ぐらい増やすつもりです。

では、1日遅れてしまいましたが投下を再開します。
少量の更新ですがご容赦ください。

----見滝原市・路上----

まどか「ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「何かしら?」

まどか「ほむらちゃんは、王様たちの用事が済んだらどこか別の町に行っちゃうって・・・」

まどか「前にそう言ってたよね・・・?」

ほむら「そうね・・・そのつもりよ・・・」

まどか「ほむらちゃんがそう決めたなら、仕方ないと思うんだけど」

まどか「でもね、もし・・・もし良かったら・・・」

まどか「王様たちの用事が済んでも、この町に残って欲しいの」

ほむら「・・・」

まどか「ごねんね。わがままなお願いだって分かってるんだけど・・・」

まどか「折角お友達になれたのに、どこかに行っちゃうなんて寂しいよ・・・」

ほむら「まどか・・・」

まどか「それにね、マミさんの事も・・・」

ほむら「?」

まどか「マミさんね、今までQBと一緒に過ごしてきたのにQBがわたし達を騙してたって分かって」

まどか「これで王様たちが元の世界に帰っちゃったらマミさんが可哀想だよ・・・」

ほむら「貴女やさやかが居るじゃない、大丈夫よ」

まどか「でも、それでも・・・」

ほむら「・・・」

ほむら「分かったわ。ちょっと考えてみる事にするわね」

まどか「!」

まどか「ありがとう、ほむらちゃん!」

----ほむホーム----

ほむら「・・・」

ほむら「まどか・・・」

ほむら「やっぱり私はこの町にいる事は出来ないの」

ほむら「私の祈りによる契約の期限は、ワルプルギスの夜を倒すまで」

ほむら「それを超えれば魔法が使えなくなる、そのはずだった・・・」

ほむら「でもね、今思えばきっとそれは言い訳に過ぎなかったのね」

コトッ

ほむら「このツーショットの写真のまどか・・・」

ほむら「自分の身を省みずに、大切に取っておいたグリーフシードで私を助けてくれたまどか・・・」

ほむら「ここから始まって、何度も何度もまどかを苦しめて・・・時にはこの手で殺してきた・・・」

ほむら「きっと私が傍に居れば、いつかまたまどかを苦しめてしまうかもしれない・・・」

ほむら「私はそれがとても怖くて仕方が無いの・・・」

ほむら「必ずまどかの事は助けてみせる。でも、その後は・・・」

ほむら「まどかと約束したから、命を絶つようなことはしない」

ほむら「でも、やっぱり一緒には居られないの・・・」

ほむら「まどか・・・こんな弱い私でゴメンなさい・・・」

ほむら「そして、直接打ち明ける事もできなくてゴメンなさい・・・」

----夜 美樹ハウス・さやかの部屋----

さやか「仁美が恭介の事を・・・」

さやか「そんな感じ、今まで一度もなかったけど」

さやか「さっき言ってたことを考えると・・・やっぱりそうだよね・・・」

さやか「あたしは・・・どうしたらいいんだろう?」

さやか「恭介のことは、好き・・・だけど」

さやか「告白する勇気がもてないよ・・・だって断られたりしたら今までどおりの関係にだって戻れない・・・」

さやか「でも、こうしてるうちに仁美が恭介に告白しちゃうかも・・・」

さやか「どうしよう・・・」

さやか「仁美だって大切な友達だから、無理に諦めてもらうなんて事も出来ないし」

さやか「あたしたち、どうして同じ人を好きになっちゃったのかな・・・」

----深夜 マミホームのあるマンション・屋上----

シュテル「・・・」

シュテル「仮に未来を知っているとしたら、望まぬ結果を避けられるでしょうか?」

シュテル「・・・でしょうね。知っていたとしても未来は刻一刻と変化する」

シュテル「未来を知るものが与えた影響が、未来を変える・・・」

シュテル「つまるところ、未来を知っているあなたでも・・・望む結果を得ることは難儀な事です」

シュテル「・・・構いません。それがユーリの望みであれば、私はそれを果たすだけです」

シュテル「それにユーリは・・・誰かの助けになる事を心から喜んでいます」

シュテル「我らが自由を手にしたその時から、ずっとそう望んでいましたので」

シュテル「えぇ・・・そうです」

シュテル「それに、王にとっても・・・この経験、無駄にはなりませんので」

シュテル「そうですね」

シュテル「では、また明日」

本日の投下はこれで終了です。
次の投下再開は日曜を予定しています。

☆は魔力よりも資質の比重が高いですよね。
なのはなら収束資質。
闇の書さんが使った時は、拡散資質に引きずられて大範囲魔法になってましたし。

ともあれ、投下を再開します。

~~誰かの夢の中で~~

「こんな終わり方にならないように、歴史を変えられるって・・・言ってたよね・・・?」

「・・・」

「QBに騙される前の馬鹿なわたしを、助けてあげてくれないかな・・・?」

「約束するわ、絶対に貴女を救ってみせる!何度繰り返す事になったとしても!絶対に貴女を護ってみせる!」

「良かった・・・ううあああっ!?」

「----さん!」

「もうひとつ、頼んでいい・・・?」

「・・・!」

「わたし、魔女にはなりたくない・・・」

「・・・」

「嫌な事や、悲しい事もたくさんあったけど・・・護りたいものだって、沢山この世界にはあったから・・・」

「--かっ!」

「----ちゃん・・・やっと名前で呼んでくれたね・・・嬉しい・・・な・・・」

「・・・っ!」

チャッ

「う゛う゛う゛う゛ああああああ-------------!!」

----翌朝 まどホーム・まどかの部屋----

まどか「ああああああああああああああああ!?」

ガバッ

まどか「あ・・・れ・・・?」

まどか「夢・・・?」

まどか「何だろ・・・凄く怖いような・・・悲しいような・・・そんな夢だったような・・・?」

まどか「・・・どんな夢だったか思い出せないや」

まどか「最近こういう事が多い気がする・・・」

まどか「何だろう?何かあるのかな?」

----夕方 見滝原市・河川敷 橋の下----

シュテル「それでは、昨日言っていた空戦の代用方法を説明しましょう」

ほむら「えぇ、お願いするわ」

シュテル「魔法を使うときの魔法陣・・・」

シュテル「ホムラの物は正式名称をフォーミュラプレートと言います」

シュテル「これを空中に発生させ、その上に乗るだけです」

ほむら「それだけ?」

シュテル「はい。フォーミュラプレートを含む各魔導の魔法陣には、ある一定の物理干渉能力があります」

シュテル「シールド系の魔法はそれを強化し、攻撃を防ぐための障壁としているのです」

シュテル「そのため、個人の体重を支えるぐらいは問題ありません」

ほむら「聞くだけだと簡単そうね」

シュテル「魔導中級者なら使える技能ですので。まぁ、向き不向きはありますが・・・」

ほむら「資質って大切なのね・・・」

シュテル「それはありますが、一番大切なのは弛まぬ努力でしょう」

シュテル「さぁ、では練習を始めましょうか」

--------

----

--

シュテル「良い感じです、なるべく魔力の放出を安定させてください」

ほむら「思ったよりは何とかなりそうね・・・」

マミ「あら?暁美さんの魔法って魔法陣でそんな事まで出来るのね」

シュテル「練習中ですが、かなり見込みはありそうです」

ほむら「巴さん・・・缶の打ち上げは休憩かしら?」

マミ「ふふっ・・・甘いわね、暁美さん」

ほむら「?」

マミ「100回達成したわ!」

シュテル「!?」

ほむら「なんですって!?」

ディアーチェ「阿呆が!あれは無効であろう」

マミ「そんな事ないわよ!」

シュテル「どういうことでしょうか?」

まどか「銃を100本出して纏めて・・・わっ!ほむらちゃんが浮いてる!?」

シュテル「・・・」

ほむら「反則だわ・・・」

ディアーチェ「ちなみに、缶は木っ端微塵になったぞ」

ほむら「ソウルジェムは大丈夫なの?かなり消費したんじゃ?」

マミ「威力は抑えてあるから大丈夫よ」

シュテル「ですが、集中力のトレーニングですのでそういった事はあまり・・・」

マミ「うぅ・・・」

シュテル「そもそも、誘導弾を使えるようにするための練習ですので・・・」

シュテル「今までと同じような方法では、新たな技術は身に付きませんよ?」

マミ「はい・・・」

ほむら「先を越されたかと思ったわ・・・」

まどか「ところで、ほむらちゃん・・・あの・・・」

ほむら「?」

まどか「そんな高い位置だと・・・その・・・下着が・・・」

ほむら「っ!?」バッ

フッ

マミ「魔法陣が消えた!?」

ほむら「きゃぁ!?」

ドサッ

まどか「ほむらちゃん!?」

ディアーチェ「莫迦者!空中で集中力を切らす奴があるか!」

ほむら「痛たたた・・・」

まどか「ごめんね!わたしのせいで・・・」

ほむら「気にしないで・・・というか、集中力を切らしたら消えるのね・・・」

シュテル「すみません、説明しておくべきでした」

ほむら「大丈夫よ・・・ただ、高い所だと危険ね」

シュテル「万一、高所で同じ事が起きた場合は落ち着いて魔法陣を再展開させてください」

ほむら「分かったわ・・・」

シュテル「それにしても、今のは突然の事で仕方ありませんが・・・」

シュテル「私の予想よりホムラとデバイスの相性が良いようです」

ディアーチェ「ほぅ?」

マミ「フィアンマ・エテルナは暁美さんの為に作ったのだから普通じゃないの?」

シュテル「正直な所、何度か微調整が必要だと思っていました」

まどか「そのデバイスっていうの、結構繊細なんだ?」

ディアーチェ「我らの様に生まれた時から共にあるならともかく・・・」

ディアーチェ「調整しないでうまく使いこなすというのはなかなかの物だぞ」

ほむら「そう・・・」

ほむら「何だか実感が湧かないけど、戦っていく上では心強いわね」

シュテル「これなら、もう一段階上に進んでも良さそうですね」

ほむら「もう一段階?」

シュテル「はい。フルドライブバーストの習得を視野に入れてもいいでしょう」

まどか「フル・・・ドライブ・・・?」

ディアーチェ「我のジャガーノートやシュテルのルシフェリオンブレイカーの様な技だ」

ディアーチェ「大量の魔力を消費する故、多様は出来ぬが切り札となりうる」

マミ「つまり最終必殺技ね?」

シュテル「はい」

ほむら「最終必殺技・・・」

ほむら(なんだか、どんどん巴さんに近づいていく気がするわ)

マミ「それなら、また格好良い名前を考えないといけないわね!」

まどか「はいっ!頑張って考えましょうね!」

ほむら「・・・」ハァ

シュテル「残念ですが、この技には既に名前があります」

ディアーチェ「む?」

ほむら「名前があるって、どういうことかしら?」

シュテル「ある魔導師の・・・私の超えるべき宿敵の技です」

シュテル「攻防一体の魔導の奥義」

シュテル「太陽を司る神・・・高みを行くもの・・・」

シュテル「その名を冠する技、きっとホムラに相応しき物となるでしょう」

マミ「何だか凄そうね・・・」

ほむら「それで、何て技なのかしら?」

シュテル「その名は・・・」

本日の投下はこれで終了です。

次の投下再開は来週の土日を予定しています。

今日月曜日でしたね・・・日曜と勘違いしてました。

そしてほむらの新技が期待されているという。
申し訳ありませんが、新技はもうしばらくお待ちください。

投下を再開します。

----その頃 美樹ハウス・さやかの部屋----

さやか「んんっ・・・」

さやか(・・・今何時?)

さやか(4時か・・・そろそろ起きないと・・・)

さやか(えっ?)

さやか「夕・・・方・・・?」

さやか(そんな・・・目覚ましのアラーム、全然気付かなかった・・・)

さやか(それに、いつもはどんなに遅くても10時には目が覚めるのに)

さやか(いや、そんな事より・・・)

さやか「起きないと・・・」グッ

さやか(うっ・・・体が・・・重い・・・)

さやか(まるで水の中に居るみたいだ・・・)

さやか(それにダルい・・・)

さやか(アレはまだ先だし・・・)

さやか(どうしちゃったのさ、あたしの体は・・・)

さやか(今日1日ぐらい休んでも・・・)

さやか(いやいや、正義の味方に休みなんて・・・)

さやか(せめて、軽くランニングだけでもいいからトレーニングしないと・・・)

----見滝原市・公園----

さやか「はっ・・・・・・・はっ・・・・・・・」タッ タッ タッ

さやか「はぁ・・・はぁ・・・」

さやか(やめておけばよかった・・・ちょっと走っただけでこれか・・・)

さやか「っ!?」フラッ

さやか(やばっ、倒れる・・・)

「危ない!」

ガシッ

さやか(また誰かが助けて・・・仁美・・・?)

恭介「大丈夫ですか!?」

さやか「・・・」

恭介「さやか?さやかじゃないか!」

さやか(恭介・・・?)

恭介「大丈夫!?とりあえずそこのベンチへ!」

--------

----

--

恭介「落ち着いたかい?」

さやか「うん、もうだいじょうぶ・・・」

恭介「顔色もよくないみたいだし・・・」

恭介「どこへ行くつもりだったのかは分からないけど、今日は家に帰った方がいいよ」

恭介「送っていくから・・・立てる?」

さやか「ごめん、それはちょっと待って・・・」

恭介「うん、無理しないでよ?」

さやか「恭介って・・・今日はバイオリンの練習じゃないの?」

恭介「え?」

恭介「あぁ・・・先生の所に行ったんだけど急用で居なくてさ」

恭介「家で練習しようと思って帰る途中さ」

さやか「そう・・・」

恭介「でも帰って来てよかったよ。こうしてさやかを助けられたしね」

さやか「うん・・・」

恭介「最近体調も良くなかったみたいだし、無理しないでよ?」

さやか「うん・・・」

ピリッ

さやか「っ!」ガタッ

さやか(この感覚・・・魔女探しをしてたときに感じてたこれって・・・)

さやか(まさか近くに魔女か使い魔が・・・?)

恭介「さやか!そんなに急に立とうとしたら駄目だよ!」

恭介「ほら、座って」

さやか「・・・」

さやか(あぁ・・・あたしはダメな奴だ・・・)

さやか(恭介の優しさに触れていたくて・・・魔女を探しにいこうとしないなんて・・・)

--------

----

--

さやか(恭介・・・あたしの幼馴染・・・)

さやか(きっと、あたしの好きな人・・・)

さやか(もちろん恭介のバイオリンは好きだけど、でもやっぱりあたしは恭介が好きなんだろうな)

さやか(でも仁美も・・・)

さやか(あたしはどうしたらいいのかな)

さやか(告白すればいいの・・・?)

さやか(でも、それでもし断られたら・・・)

さやか(今の関係もなくなっちゃうんだろうな・・・)

さやか(・・・どうしたらいいか分からないや)

さやか(恭介は、あたしのことをどう思ってくれてるのかな)

恭介「さやか?」

さやか「・・・ごめん、もう大丈夫だから」

恭介「本当かい?」

さやか「うん、ありがと」

さやか「どうしても行かないといけない所もあるから・・・」

恭介「それじゃ仕方ないけど・・・ちゃんと休むんだよ?」

さやか「やること終わったらちゃんと家に帰るから・・・」

恭介「分かった。それじゃまたね」

さやか「うん」

----見滝原市・住宅街----

さやか(さっき反応を感じてからおよそ20分・・・)

さやか(今は反応を感じない)

さやか(でも、そう遠くに行っちゃったわけじゃないはず・・・)

さやか(早く・・・早く見つけなきゃ!)

さやか「はっ・・・・はっ・・・」

さやか「体・・・重いなぁ・・・走るとすぐに息が上がっちゃうや・・・」

----見滝原市・公園----

さやか「見つけた・・・」

さやか(結局公園の反対側に居たなんて・・・)

さやか(時間を無駄にしちゃった・・・早く倒さなきゃ)

----影の使い魔・半結界内部----

さやか「この結界の感じ・・・使い魔かな」

さやか(こないだの感じだとで杏子は邪魔してこないだろうし・・・さっさと済ませよう)

さやか「使い魔の結界にしてはちょっと広め・・・かな?」

さやか「パッと見、使い魔が見当たらないし・・・探すしかないか」

カツッ

カツッ

さやか(静かな結界・・・物音一つしない・・・)

カツッ

さやか(あたしの足音だけが響くだけだ・・・)

さやか(それに・・・景色の一部に色がない・・・)

カツッ

さやか(ところどころ、黒く塗り潰されてるみたい・・・)

さやか(何だろう・・・凄く悲しい景色だな・・・)

カツッ

さやか(これが使い魔なら、魔女は真っ黒な結界なのかな?)

カツッ

カツッ

さやか(・・・)

カツッ

カツッ

さやか(使い魔が見当たらない・・・)

さやか(確か・・・前にマミさんに聞いたときは・・・)

さやか「っ!」

さやか「そうだ!使い魔がすぐに見当たらない時は、既に誰かが襲われている事が多いって!」

カッカッカッカッ

さやか「急いで探さないと!」

さやか「あたし・・・あたし・・・あんなことしてる場合じゃなかった・・・」

さやか「何してるのよ・・・正義の味方でしょうが・・・!」

カッカッカッカッ

--------

----

--

カッカッカッカッ

さやか「人が倒れてる!」

さやか「あたし・・・なんてことを・・・」

「う・・・うぅ・・・」

さやか「まだ生きてる・・・!良かった・・・」

さやか「すみません!大丈夫ですか!?」

「う・・・」








恭介「だ・・・れ・・・?さっきの・・・人・・・?」

さやか「きょう・・・すけ・・・?」








恭介「・・・」

さやか「嘘・・・嘘・・・嘘でしょ・・・」

さやか「なんで恭介がこんな所に・・・?」

さやか「だって、さっき・・・またね、って言って分かれて・・・」

さやか「ははっ・・・ははははっ・・・」

さやか「あははははははははははははっ!」








さやか「あああああああああああああああああああああああああ!!!」







本日の投下はこれで終了です。
来週は年末進行的な関係で投下が出来ないかもしれません。

次回の投下が来年になってしまうかもしれません、申し訳ないです。

仕事とか実家とかから戻ってきました。
お正月はゆっくり書き溜め出来ました。

投下を再開します。



『間に合え・・・!』


--------

----

--


さやかの叫びに反応するかのように、地面から使い魔が1匹、また1匹と浮かび上がってくる

蛇の形に影絵を切り出したかのような使い魔達は、黒い波となってさやかに襲い掛かる


さやか「うあああああああああ!!」


さやかは躊躇することなくその波に飛び込み、次々と使い魔を斬り伏せていく

先程までの体の気だるさは消えて、あるいは感じなくなっていた

今日までの特訓で、さやかの戦闘能力は契約当初からは比べ物にならないほど上昇していた

それでも、群となった使い魔達の中に飛び込み

我武者羅にサーベルを振るい続けるうちに、段々と体は傷ついていく


それすらも感じてないかのように、決して怯まずに戦う

まるで猛獣のように



その場に現れた使い魔を全て倒すのに、それ程時間は掛からなかった

さやか「はぁ・・・はぁ・・・」

さやか「・・・はぁ」


普段のハードワークによる疲労

ここ数日の精神的なプレッシャー

そしてたった今目にした悲劇


それらを受け、肉体的な疲労と精神的な疲労が極限まで達した状態で使い魔と戦い

暴れて、全滅させた


目の前の敵が全て消えたことにより、さやかの中で張り詰めていた緊張の糸が途切れてしまう

そのせいで、結界がまだ消えていないのに僅かな時間だけさやかの思考が停止する


その瞬間だった

さやか「がっ・・・あっ・・・!?」


音もなく背後の地面から現れた使い魔の尾が、さやかの胸の中央を貫いた


さやか「ぐうっ・・・!?」


突然の奇襲に理解が追いつかず、混乱するさやか


さやか「ああああああっ!」


一瞬遅れて使い魔に背後から攻撃されたことを理解する

胸を貫かれた苦痛が遅れてやってくる

さやか「・・・っ傷を!」


パニックになりながらも、何とか魔法で怪我を消そうとする

しかし、使い魔の尾がまだ刺さっている上に

混乱しているせいでうまく魔法が扱えない


さやか「くっ・・・あ・・・」


徐々に意識が薄れ、視界がボヤけてくる


その時、


「馬鹿野郎!何やってんださやか!」


突如現れた赤い影が使い魔を貫く

影で出来た蛇は、さやかに刺さっていた尾と共に消滅した


支えを失ったさやかは、地面に倒れこむ



杏子「何油断してんだよ!」

さやか「杏・・・子・・・?」

杏子「なんだよ、大怪我してるじゃんか!」

さやか「このぐらい・・・大した事ないから・・・」

杏子「あぁ!もういいから、ここはあたしに任せな!」

杏子「さやかは怪我を治してな。得意なんだろ?」

杏子「そっちの坊やだってまだ死んじゃいない。助かるはずだ!」

さやか「恭介・・・」


さやかは自分の怪我など構わず、体を引き摺って恭介に擦り寄る


杏子「・・・頼む、間に合ってくれ」

杏子「二人とも死ぬんじゃねーぞ」


黒く塗り潰された結界は未だ消えておらず、

杏子が構えると同時に、またしても使い魔達が地面から湧いて来る


杏子「はぁ・・・使い魔なんて倒したって何の得もしないんだけど」

杏子「せめて退屈しのぎにはなってよね」

そう言うや、槍を構えて使い魔達の群れの中に飛び込む

飛び込んだ時に突き刺して、1匹


刺した使い魔が消滅するのを待たず、槍を横へ薙ぐ

槍の刃に裂かれて、3匹


槍を振るった勢いをそのままに、背後に迫った使い魔に回し蹴りを浴びせる

踵が頭部を砕いて、1匹


脚が地に着き、体勢を持ち直した所で槍を多節に分割して振り回す

勢いよく襲い来る関節に討たれ、2匹

先端の刃に首を刎ねられて、1匹

また関節に討たれて、3匹


常に使い魔達の位置を把握し、無駄な動きをせずに次々と倒していく

彼女自身が考えた戦い方なのか

もしくは『誰か』を参考にしているのか

ただ言えるのは、

それはまるで一連なりの舞踏のようだった


杏子「なんだ、もう終わりか」

杏子「退屈しのぎにすらならなかったじゃん」


分割した槍を元の形状に戻し、手から消失させる

それと同時に結界は消滅していった

----見滝原市・公園----

杏子「さやか!」

さやか「・・・」

杏子「おい、生きてんだろ。何か言いなよ」

さやか「・・・ごめん」

杏子「はぁ・・・そっちの坊やは?」

恭介「うぅ・・・」

さやか「気を失ってるだけ・・・多分、すぐに目が覚めるはず」

杏子「まぁ、なんだ」

さやか「・・・」

杏子「ちょっと運が悪かったんだよ。使い魔があんなに群れてる事なんて滅多にないからさ」

さやか「・・・」

杏子「坊やは生きてたんだし、良かったじゃんか」

さやか「・・・」

杏子「いきなり気持ちを切り替えるのは難しいと思うけど」

杏子「さやかの魔法がなかったら、坊やは死んでた」

さやか「・・・」ビクッ

杏子「それだけは間違っちゃいないよ」

さやか「あたし、行かなきゃ・・・」フラッ

杏子「え?おい!」

さやか「今日は助かったよ・・・今度お礼するから・・・」

杏子「待て待て!使い魔や魔女と戦ったらソウルジェムを確認する癖は付けとけ!」

さやか「・・・」スッ

杏子「んー?ちょっと濁ってるな」

杏子「グリーフシードは持ってんの?」

さやか「マミさんから・・・魔法少女になったお祝いに貰ったやつが1個だけ・・・」

杏子「じゃあ浄化しておくんだね。肝心なときに魔法が使えなかったら困るからな」

さやか「・・・」シュウウウウ

杏子「思ってたより濁ってたな。そのグリーフシードはもう使えなさそうだ」

杏子「あとでQBに会って回収してもらいなよ」

さやか「・・・杏子はあいつの正体を知らないんだね」

杏子「は?」

さやか「なんでもない。じゃあもう行くから・・・」

杏子「待てって!そんなに急いでまでどこへ行くんだよ!」

さやか「魔女を・・・殺しに・・・」

杏子「おい・・・」

さやか「絶対に・・・許さない・・・絶対・・・」

杏子「ちょ・・・!」

恭介「う・・・ぅぅ・・・」

杏子「さやか!?あぁもう、こっちの坊やも放っておけないし!」

杏子「さやか!さやかぁ!」

----見滝原市・商店街----

レヴィ「お肉!」

レヴィ「たまご!」

レヴィ「今日はおいしいオムライスー」

レヴィ「えーっと、あとは何を買えばいいのかな?」

ゴソゴソ ペラッ

レヴィ「タマネギ・・・?とピーマン・・・?」

レヴィ「なんだっけこれ?」

レヴィ「野菜とかはエルトリアの名前と違うから良く分からないんだよなぁ・・・」

レヴィ「あ、メモに見た目も書いてあった!」

レヴィ「むむっ・・・」

レヴィ「あー!」

レヴィ「このピーマンとかいうのは苦いやつだ!食べられないよ!」

レヴィ「これは買わないでおこう、っと」

レヴィ「ん?あれ?」


--------

さやか「・・・」ウロウロ

--------


レヴィ「さやか?」

レヴィ「おーい!さやかー!」


--------

さやか「殺す・・・魔女を・・・」

--------


レヴィ「行っちゃった・・・気付かなかったのかな?」

レヴィ「ま、いっか」

----夜 マミホーム・リビング----

ディアーチェ「ふむ・・・」

シュテル「おや?王、調べ物ですか?」

ディアーチェ「少しな。魔法少女の魔力を分析しておった」

シュテル「そうですか」

シュテル「それで、何か分かりましたか?」

ディアーチェ「今の所はなんとも言えぬ」

シュテル「サポート致しましょうか?」

ディアーチェ「いや、我だけで問題ない」

ディアーチェ「とはいえ、些か疲れたな」

シュテル「では、飲み物をお持ちします」

ディアーチェ「うむ」


ディアーチェ「そういえば・・・今日来るように言ったが、さやかは来なかったな」

----深夜 ???----

さやか「ここにも居ない・・・」

さやか「次はあっちへ・・・」

QB「やぁ、さやか」

さやか「・・・何の用?」

QB「そんなに警戒しないで欲しいな」

QB「君のサポートとアドバイスをしに来たんだ」

さやか「今更あんたの言う事を聞くとでも思ったの?」

QB「やれやれ。マミといい、君といい・・・嫌われたものだね」

QB「まぁ、話を聞いておいて損はないと思うよ」

QB「その前に、使ったグリーフシードは預かるよ。それは危ないものだからね」

本日の投下はこれで終了です。
次の投下再開は週の中ごろを予定しています。

投下を再開します。

----翌朝 見滝原中学校・教室----

ほむら「さやかが休みですって?」

恭介「う、うん。昨日会ったから、今日は来ると思ったんだ」

恭介「でも待ち合わせ場所にも来なくて、携帯に電話しても出なくて」

仁美「さやかさん・・・おととい会ったときはちゃんと来ると言っていましたのに」

恭介「そういえば、確かに体調が悪そうだったから・・・」

恭介「そのせい・・・なのかな?」

仁美「・・・」

ほむら(これは・・・何か良くない兆候かしら?)

ほむら(放課後に様子を見に行くべきね)

まどか「ほむらちゃーん!」

ほむら「どうしたの、まどか?」

まどか「先生がね、まだ書類が変だから直して欲しいって」

ほむら「また?」

まどか「なんか、誕生日が事前に貰った書類と違うんだって」

ほむら(誕生日が思い出せなくて、まどかの誕生日を書いたのはやっぱりマズかったわね)

ほむら「すぐ行くわ。職員室かしら?」

まどか「うん、一緒にいこ?」

ほむら(いつだったかしら、誕生日?)

まどか「ほら、ほむらちゃん早く!授業始まっちゃうよ!」

ほむら「えぇ、今行くわ」

ガラッ

恭介「さやか・・・もう1週間ぐらい学校に来てないね」

仁美「えぇ・・・」

仁美「・・・」

仁美「上条君」

恭介「ん?どうしたの、志筑さん?」

仁美「放課後・・・お話したいことがあります」

仁美「お時間、よろしいですか?」

恭介「構わないけど・・・何の話かな?」

仁美「大切な・・・とても大切なお話です」

----放課後 見滝原市・河川敷 橋の下----

マミ「はぁっ!それっ!」バシュッ バシュッ

ディアーチェ「ほぅ、今日は長く続くな」

シュテル「・・・」

マミ「えいっ!・・・あっ」

カンッ カラカラカラ

レヴィ「あー!惜しい!」

マミ「落としちゃった・・・」

マミ「シュテルちゃん、今のは何回だった?」

シュテル「・・・」

マミ「シュテルちゃん?」

シュテル「あ、はい。なんでしょうか?」

ディアーチェ「缶の打ち上げ回数だ。今のは記録更新ではないか?」

マミ「ちょっと自信があるわよ」

シュテル「・・・」

シュテル「すみません、数えていませんでした」

マミ「えぇっ!?」

レヴィ「ボク数えてたよ!多分3回よりは多い!」

マミ「ありがとう、レヴィちゃん。気持ちは受け取っておくわね」

ディアーチェ「どうしたシュテル?朝から落ち着きが無いが、何かあったのか?」

マミ「そういえばそうね。何か探しているの?」

シュテル「いえ・・・何でもありません」

ディアーチェ「ふむ?」

----その頃 美樹ハウスのあるマンション前----

まどか「え?」

『あの子ったら、突然まどかちゃんの家に泊まるなんて言って・・・』

『ごめんなさい。いきなりで迷惑だったでしょう?』

『先輩の家にお世話になったばかりだっていうのに・・・』

まどか「い、いえ。うちは大丈夫でしたから」

まどか「その・・・それでさやかちゃんは?」

『まだ帰ってないのよ。いつもみたいにどこか寄り道してるのかしらね』

『そのあたり、まどかちゃんのほうが詳しいと思うんだけど・・・』

まどか「ちょっと探してみます。ありがとうございました」

『見つけたら早く帰るように伝えて頂戴ね。それじゃ』

プツッ

まどか「ほむらちゃん・・・」

ほむら「えぇ・・・今のインターホンのさやかの母親の様子、嘘を言っている感じではないわ」

まどか「さやかちゃん・・・お家に帰ってないの?」

まどか「電話にも出ないなんて変だよ・・・」

まどか「もしかして何かあったんじゃ・・・」

ほむら「そう考えるのはまだ早いわ。何かの理由で巴さんの家とかに居たのかも・・・」

ほむら「確認してみましょう」

まどか「う、うん!マミさんに電話してみるね」

----見滝原市・河川敷 橋の下----

ユメー ヲ カナーエーテー ヒトリーデー

マミ「!?」

ディアーチェ「マミ、通信機が鳴っておるぞ」

マミ「わわわ、わかってるわよ!」

シュテル「応答しなくてよろしいのですか?」

マミ「取るわ!取るわよ!」

レヴィ「?」

マミ「大丈夫・・・電話を取るだけ・・・携帯とはいえ、電話を取るだけ・・・」

ピッ

マミ「はっ、ひゃぃ!」

まどか『あ、マミさんですか?』

マミ「ど、どちらさまでしょうか?」

まどか『え?わたしですよ、わたし!』

まどか『マミさん、どうかしたんですか?』

マミ(どうしよう・・・誰だか分からないわ・・・)

マミ(王様助けて!)チラッ

ディアーチェ「なんだ?我の顔に何かついているのか?」

マミ(気付いてよぉ・・・)

まどか『実は、さやかちゃんが昨日からお家に帰っていないらしくて』

マミ(落ち着くのよマミ、この電話番号を知っているのは・・・)

まどか『もしかしたら何かに巻き込まれたのかも知れないと思って』

マミ(王様、シュテルちゃん、レヴィちゃん、暁美さん、鹿目さん、美樹さん)

まどか『でも、もしかしたらマミさんの家にいるのかもしれないとも思って』

マミ(そのうち王様たちはここにいるから除外)

まどか『マミさんの家にいるなら、学校に来ないのは変なんですけど・・・』

マミ(そうなると残りは・・・)

まどか『何か理由があるのかもしれない、って・・・そっちにさやかちゃんは居ますか?』

マミ(えっと・・・えっと・・・)

まどか『マミさん?聞いてますか?マミさん?』

マミ「は、はい!聞いてます!いくら振り込めばいいですか!?」

まどか『違います!そんな話じゃありません!』

まどか『さやかちゃんの話ですよ!』

マミ(あっ、鹿目さんだわ!)

マミ「どうしたの鹿目さん?美樹さんがどうかしたの?」

まどか『だから、さやかちゃんが昨日からお家に帰ってないんです!』

マミ「なんですって!?」

マミ(良かった、合ってたわ)

まどか『やっぱりマミさんのおうちには居ないんですね・・・』

マミ「えぇ。本から出てきた後、うちから出て行ったっきりよ」

まどか『そんな・・・』

まどか『まさかさやかちゃん、魔女にやられて・・・』

マミ「そう決めるのは早いわ。とりあえず探してみましょう」

まどか『は、はい!』

マミ「私たちは町の西側を探すわ。鹿目さんたちは東側を」

まどか『分かりました!』

ピッ

シュテル「どうかしましたか?」

マミ「美樹さんの行方が分からないらしいの」

シュテル「それは・・・!」

マミ「今から探すわ。お願い、みんなも手伝って!」

シュテル「分かりました」

ディアーチェ「さやかなら、一昨日マミの家に来たぞ」

マミ「え?」

ディアーチェ「少し頼まれごとをな」

ディアーチェ「それについて、先ほどある程度目処が立った所だ」

レヴィ「あっ、ボクも昨日さやかを見たよ!」

シュテル「レヴィ、どこで見たか覚えていますか?」

レヴィ「えっと、買い物の途中で見たから・・・」

マミ「商店街ね」

シュテル「急ぎましょう!良くない事が起こっているかもしれません!」

マミ「えぇ、手分けして探してすぐに見つけましょう!」

本日の投下はこれで終了です。

次の投下は週末の連休中を予定しています。

マミさん初着信か?
普段はメールチラシしか来てないんだろうな

シュテるんが、自暴自棄と化したさやかをパイロシューター(指先から)喰らわせる展開にひっそり期待

マミさんの携帯のやり取りにワロタwwww

ぱんつめくれぇー

>>384-385
前にも1回着信シーンありましたね。
携帯の着信って「自分あてへの着信」ですから、
初めて携帯持ったときとかは着信があるとちょっと嬉しかったり。

>>385-386
(そうか、そんな展開もアリか・・・・)
とりあえず、そういったレスとかそんなに気にしないので大丈夫です。
偽フラグと正フラグがごちゃごちゃ出てたりしますが、
ジャストミートな展開予想レスがあっても、突き進むしかなかったり。

>>387
あれってファントムブレイザーらしいですね。
それにしてもパンツめくるのはいろいろアウト過ぎる。


投下を再開します。

----見滝原市・住宅街----

タッタッタッタッ

ほむら(油断していた・・・)

ほむら(今までのループと違う環境や、新しい魔法に浮かれていて)

ほむら(さやかの事を警戒していなかった・・・)

ほむら(しっかりしなさいよ、私)

ほむら(力だけで解決できるなら、まどかが契約してしまってやり直しになることだってもっと少なかったはず)

ほむら(大切なのはまどかの交友関係や周囲の環境なのに・・・)

ほむら(とりあえず、現時点で仁美には動きは見られない・・・と思う)

ほむら(だとしたら単に魔女との戦いで怪我を負って動けないという可能性も・・・)

ほむら(いえ、現時点のさやかの魔法を考えればそれはないわね)

ほむら(いったい何があったっていうの・・・)

まどか「ま・・・まって・・・ほむらちゃん・・・」

ほむら「まどか!ごめんなさい・・・つい夢中で・・・」

まどか「はぁ・・・はぁ・・・」

まどか「ごめんね、わたし体力が無いから・・・走ってもすぐ疲れちゃて・・・」

ほむら「いいえ。私も考えが足りなかったわ」

ほむら「走っていたら重要な手がかりを見落とすかもしれない」

ほむら「ここからは歩いて探しましょう」

まどか「う・・・うん・・・」

ほむら「とりあえず・・・さやかを探しつつ、状況を整理しましょう」

まどか「そうだね。何か分かることがあるかもしれないし・・・」

ほむら「私たちが最後にさやかに会ったのは・・・先週の初め、保健室だったかしら?」

まどか「うん、そうだよ」

ほむら「その後、さやかは王様の紫天の書に取り込まれてしまったわ」

ほむら「出てきたのは、巴さんの話によると先週の休み前の夕方」

ほむら「そして巴さんは、休みの間は体を休めるようにさやかに言ったそうよ」

まどか「うん・・・」

ほむら「ただ・・・これは見間違いかもしれないのだけれど」

ほむら「おととい、私は魔女を倒した後にさやかを見たかもしれないの」

まどか「え?」

ほむら「ジャージ姿でランニングをしていたわ」

まどか「でも、マミさんは体を休めるようにって言ったんでしょ?」

ほむら「そうよ」

まどか「まさかさやかちゃん・・・また、無茶して・・・」

ほむら「・・・考えられなくは無いわね」

まどか「じゃあ、もしかしてそのせいで調子が悪くて魔女や使い魔に・・・?」

ほむら「そう考えるのは早いわ」

ほむら「ただ、さやかの魔法で疲労を治療することが出来るかは分からないし」

ほむら「戦った後に疲れて身動きが取れないといった可能性はありそうね」

まどか「急いで探さないと・・・!」

ほむら「えぇ、そうね」

ほむら(最後に見たとき、ソウルジェムはそれほど濁っていなかった)

ほむら(一週間ほど前のことだから、あまり期待は出来ないけど)

ほむら(魔女化だけは・・・魔女化だけはしていないで、さやか!)

ほむら「あら?あっちから走ってくるのは・・・」

杏子「あれ?お前、確か前にさやかと一緒に居た・・・」

ほむら「佐倉杏子・・・!」

杏子「なんであたしの名前を・・・ってマミから聞いたのか」

杏子「いや、そんなことはどうでもいい」

杏子「頼む!あたしの頼みを聞いてくれないか?」

まどか「どうしたの?」

杏子「あんたらの仲間にならないかって誘いを断って、いまさら都合のいい頼みだとは思う」

杏子「でも、でも・・・」

杏子「さやかがヤバいんだ。頼む!助けてくれよ!」

ほむら「っ!?」

杏子「助けてくれるならあんたらの仲間だって何だってなってやる!だから!」

ほむら「詳しく話しなさい!」

--------

----

--

ほむら「そう、使い魔に上条恭介が・・・」

杏子「あぁ、さやかの魔法で助かったみたいだけどな」

ほむら「上条恭介にそんな様子はなかったわね」

まどか「どうしてなんだろう?」

ほむら「夢か何かだと思っているんじゃないかしら?」

ほむら「あるいは、襲われたショックで少しだけ記憶が飛んでいるか・・・」

杏子「でさ・・・そのあと、さやかの様子が変になっちまって・・・」

まどか「変、って?」

杏子「なんつーか・・・うわごとみたいに魔女を殺すって呟いて」

杏子「そのままフラフラとどっかに行っちまったんだ」

杏子「それで昨日から探してたんだけど、見つからなくて・・・」

ほむら「まずいわ・・・」

ほむら(明らかに魔女化の傾向がある。いえ、もしかしたら既に・・・)

まどか「い、急がないと!」

杏子「あぁ、でも手がかりがまったく無いんだ。どうしたらいいか・・・」

ほむら「その話の通りなら、さやかは魔女や使い魔を倒し続けているはず」

ほむら「ソウルジェムで反応を追いましょう」

杏子「あぁ、そっか。そうだな!」

ほむら(最悪魔女化していたとしても・・・それなら見つけられるはずだから・・・)

まどか「急ごう、ほむらちゃん!」

ほむら「えぇ!」

杏子「あたしは建物の屋上とかから見渡しつつ探してみる。あんたらは地上を」

まどか「分かったよ!」

杏子「さやかが無茶して取り返しがつかなくなる前に助けるんだ!」

----ショッピングモール・ハンバーガーショップ----

恭介「久しぶりだなぁ。ここに来るのも」

仁美「上条君はこういった場所にはあまり来ないのですか?」

恭介「そうだね。多分、小さい頃に両親やさやかと一緒に来て以来だよ」

仁美「そうですか・・・」

恭介「それで志筑さん、話って?」

仁美「・・・」

恭介「悩みの相談とかなら、僕よりもさやかとか鹿目さんの方がいいんじゃないかな?」

仁美「いえ、今日は悩み相談ではありませんの」

恭介「そうなのかい?それじゃ、どんな用で?」

仁美「・・・」

仁美「上条君は、さやかさんのことをどう想われていますか?」

恭介「えっ!?」

恭介「その・・・ど、どうって言われてもなぁ・・・」

仁美「・・・」

仁美「私・・・」

仁美「本日は告白をするために上条君をお呼びしましたの」

恭介「こ、告白・・・?」

短くて申し訳ないのですが、本日の投下はこれで終了です。

次の投下再開は、週末の予定です。
可能なら週の中ごろに投下します。

投下が途絶えてしまってすみません。
どうして仕事って奴は急に忙しくなるんでしょう。

投下を再開します。

----夜 見滝原市・電波塔付近----

さやか「見つけた・・・」

さやか「あの使い魔と同じ反応」

さやか「こいつが、こいつのせいで!」

さやか「絶対に殺してやる!」

--------

----

--

レヴィ「!」

レヴィ「魔女の結界だ!」

レヴィ「これ、入り口が開いてる・・・」

レヴィ「誰かが入ってるのかな?」

レヴィ「まさか、さやか?」

レヴィ「・・・行ってみよう」

----影の魔女・結界内部----

レヴィ「うわっ、なにこれ!真っ黒だよ!」

レヴィ「変な結界だなぁ」

レヴィ「とりあえず、魔女を探してみようかな」

レヴィ「どっちに行けばいいんだろう?」

----見滝原市・繁華街 裏路地----

マミ「はぁ・・・はぁ・・・」

マミ「このあたりにも居なさそうね・・・」

マミ「後はどこを探せばいいのか・・・」

マミ「・・・駅?」

マミ「そう、確かあれは駅だったはず・・・」

マミ「でも・・・そんな事あるはずが・・・」

マミ「・・・」

マミ「他に手がかりもないし・・・アテになるかは分からないけど、行ってみましょう」

----見滝原市・上空----

シュテル「飛んで探してはみたものの、サヤカは見当たりませんね・・・」

シュテル「困りました。せめて魔女の反応が分かれば良かったのですが」

シュテル「彼女も見当たりませんし・・・」

シュテル「これはサヤカに何かあって、そちらに付きっ切りという可能性が高いですね」

シュテル「時間がありません、急がないと・・・」

----影の魔女・結界深部----

レヴィ「ふぃぃ・・・」

レヴィ「使い魔がいっぱいいるなぁ」

レヴィ「倒しても倒してもキリがないよ」

レヴィ「魔女は見つからないし、どうしよう」

レヴィ「もしかして、迷子?」

レヴィ「いやいやいや、ボクはそんなに子供じゃないぞぉ!」


ゴソゴソ

レヴィ「えっと残りが・・・普通のカートリッジが2発とローダー1個」

レヴィ「魔女用のカートリッジが3発かぁ」

レヴィ「ずいぶん使っちゃったな」

レヴィ「いったん戻って王様やシュテるんと一緒に来たほうがいいかな」

レヴィ「ん?あれって・・・」

レヴィ「やった、階段だ!じゃあこの先に魔女が居るんだ!」

----見滝原市・住宅街----

まどか「暗くなっちゃったね・・・」

ほむら「・・・まどか、今日のところは家に帰りなさい」

ほむら「あとは私だけで探すわ」

まどか「ダメだよ!」

まどか「さやかちゃんが大変なことになってるかもしれないのに、そんなことできない!」

まどか「わたしが居ても邪魔にしかならないかもしれないけど・・・」

まどか「でもお願い、ほむらちゃん!わたしも一緒に連れて行って!」

ほむら「まどか、気持ちは分かるわ。でも、まどかのご家族が心配するから・・・」

まどか「あのね、実は・・・」

まどか「お友達が風邪をひいちゃって、看病するから遅くなるって・・・」

まどか「さっきパパにメールしちゃったんだ」

ほむら「まどか、貴女・・・」

まどか「嘘ついちゃった・・・悪い子かな?」

まどか「そうね、少しだけ・・・悪い子ね」

まどか「うぇひひ。それじゃ、絶対さやかちゃんを見つけないとね」

まどか「そうしないと、悪い子になった意味がないもん」

ほむら「そうね、がんばりましょう」

----影の魔女・結界最深部----
----ELSAMARIA----


レヴィ「な・・・何これ・・・?」


魔女の部屋に入ったレヴィが目にしたもの

それは、魔女のものと思われる大量の触手の残骸と


さやか「あぁ、レヴィか・・・遅かったね。今、丁度魔女を殺したところだよ」


自らの血で全身が真っ赤に染まったさやかの姿だった


さやか「弱かったな、こいつ。ただ沢山の手を伸ばして攻撃してくるだけ・・・」


そう言うと手にしていた魔女の亡骸を投げ捨てる


さやか「それとも、戦い方の『コツ』を知ったあたしが強くなっただけかな??」

レヴィ「さやか・・・?」


さやかが口元にだけ笑みを浮かべると同時に、

魔女の亡骸と結界はグリーフシードを残して崩れていった

----見滝原市・電波塔付近----

さやか「次の魔女を殺さないと・・・」

レヴィ「さやか・・・」

さやか「あぁ?この怪我?」

さやか「別に大したことないよ。あたしの魔法で、ほら」

キィィィィィ

さやか「すぐ消えるから・・・」

さやか「それより、もっと魔女を殺さないといけないんだから・・・」

さやか「そこ、どいてよ」

レヴィ「ダメだよ!」

レヴィ「今のさやかはなんか変だよ!」

レヴィ「怪我をして良いわけないって、自分を大事にしないといけないって!」

レヴィ「さやかがボクに言ったんじゃないか!」

レヴィ「それなのに・・・さやかの嘘つき!」

さやか「・・・」

レヴィ「魔女退治だってみんなでやったほうがいいに決まってるよ!」

レヴィ「だから、ちょっと休憩してマミマミたちの所に戻ろうよ」

さやか「・・・」

レヴィ「それに、さやかはボクたちと違うんだ!」

レヴィ「そんな戦い方をしてたら体がもたなくなっちゃう!」

さやか「自分たちが特別だって言い方だよね、それ」

さやか「なんか、嫌な言い方だね」

レヴィ「ボクたちは・・・」

さやか「・・・いいからどいてよ」

レヴィ「っ!」

レヴィ「どかない!力づくでもここでさやかを止める!」

本日の投下はこれで終了です。
次回からさやか VS レヴィです。

投下再開は週末を予定しています。

投下を再開します。

うわ、重いなぁ。
やりづらい・・・


----見滝原市・公園----

杏子「ダメだ、見つからない・・・」

杏子「どこに行ったんだよ、さやか」

杏子「まだ探してない場所・・・どこかあったか・・・?」

杏子「駅と・・・あとそうだ、電波塔の辺りだ!」

杏子「行ってみよう!」


----見滝原市・電波塔付近----


さやかの踏み込みをレヴィが破砕斧フォームのバルニフィカスの柄で受け止める


レヴィ「くっ!」

さやか「そっちが力づくで来るのなら、あたしも全力で抵抗するよ」


予想よりさやかの打ち込みが鋭く、レヴィは焦って距離を取る


レヴィ「バルニフィカス!カートリッジロード!」


掛け声と共にバルニフィカスのギミックが動作し、魔力カートリッジを読み込む

デバイスに滞りなく魔力が充填され、それがそのままレヴィの左手に集中する


レヴィ「いけぇ!電刃衝!二連発!」


レヴィの手から2回に渡り、計8発の魔力弾が放たれ、

それらは少し空中を漂ってから槍状に変化してさやかに向かっていく


さやか「・・・」


さやかは少し驚いた表情をしたが、すぐにまた無表情に戻る


そして、レヴィの放った魔力弾に向き合い


さやか「はあぁぁぁぁぁ!」


手にしたサーベルで次々とそれを叩き落していく


1発・・・2発・・・

5発目までをサーベルで全て打ち落とし

6発目と7発目はそれぞれ両足を掠める



そして8発目は空いている左手を突き出し、その掌に突き刺さる形で受け止めた


レヴィ「えっ!?」

さやか「・・・」

レヴィ「ご、ごめんさやか!そんな止め方をするなんて思わなくて!」

さやか「・・・」

レヴィ「痛かったでしょ?もう戦うのはやめて、休憩しようよ!」

さやか「・・・・ははっ」

レヴィ「さやか・・・?」


さやか「あっはははははははは!」

さやか「凄い!やっぱりこれ凄いよ!」

さやか「全然痛くない、痛くないんだ!」

さやか「その気になれば完全に消しちゃえるんだ。痛みだって・・・」


さやかの手に刺さった魔力弾が消滅する

その跡には傷を負った形跡さえ無かった


まるで最初から怪我なんて負わなかったかのように


さやか「怪我だって!」

レヴィ「そんな・・・」


----見滝原市・駅付近----

マミ「ダメ・・・駅にも居なかったわ・・・」

マミ「あとはどこを探したらいいのか、見当もつかない・・・」

ほむら「巴さん!」

マミ「暁美さん、それに鹿目さんも。美樹さんは見つかった?」

まどか「ごめんなさい、まだ・・・」

ほむら「さやかの行きそうな場所は大体探したのだけれど、見つからなかったわ」

マミ「そう・・・」


ほむら「駅には・・・?」

マミ「居るかと思ったのだけど・・・やっぱり居なかったわ」

マミ「もう探す場所はほとんど残ってないかも」

まどか「あと、あるとしたら風見野の方かな?」

ほむら「そうね・・・」

ほむら「工場地帯や電波塔のあたりはまだ探していないわね」

ほむら「ちょっと遠いけど行ってみましょう」

まどか「うん、がんばろう!」


マミ「そうと決まれば、急がないとね」

ほむら「えぇ」

ほむら「そういえば巴さん、『居るかと思った』って・・・?」

マミ「ちょっと、ね・・・」

ほむら「・・・」

----見滝原市・電波塔付近----


レヴィ・ザ・スラッシャーという魔導師には弱点がある


挙げれば多く出るかもしれないが、大まかに言えば3つ


ひとつは、その性格に起因する搦め手への弱さ

素直、悪く言うなら単純なその思考はトラップや騙まし討ちにとても弱い

以前の杏子との戦いで、多節槍にアッサリつかまったのもこれが原因だ


ひとつは、その超高機動力を得るために犠牲となった防御力

影すら踏ませないと自負する程のその速度は、次元世界広しと言えども並ぶ者は少ない

だが、その分装甲が薄く

ある魔導師曰く『素肌で戦っているようなもの』とのこと


ひとつは、その高出力を原因とする燃費の悪さ

魔力量に関しては時空管理局のエースクラスの魔力を持っているレヴィ

しかし魔力の制御は苦手であり、一つ一つの技を放つにあたっての使用量もかなりのものである

そのため長期戦は苦手で、魔力カートリッジでサポートしつつ短期戦を行うのが常である



つまり、魔力カートリッジが少ない状態で長期戦をするいうこと

それはレヴィにとってかなり不利な条件であるということだ


レヴィ「バルニフィカス!ファイアリングロック、オン!」


さやかの異常な行動を目にしたレヴィは、すぐにデバイスの非殺傷設定を行う


本当は軽い傷を負わせて行動不能にする予定だった

その為に、先ほどの攻撃は威力や弾速を低めにして放った

多少の怪我や痛みは、冷静さを取り戻すキッカケになると思ったからだ


だが、さやかのあの様子だと怪我を負わせた分だけさやかが追い詰められていく

レヴィの中の何かはそう感じ取っていた


さやか「・・・お願い、どいてよ」

さやか「魔女を・・・魔女を殺さないと。そうしないと、あたし!」


サーベルを構えてレヴィに向かって突っ込む


レヴィ「絶対にどかないから!」


それを受け止めようとするレヴィ


さやか「ふっ!」


一瞬、さやかの体が沈み込み

そのまま飛び上がって宙を舞う


レヴィ「わわっ!」


虚を突かれて慌てるレヴィに、さやかが頭上から斬りかかる

しかしレヴィの反応が早く、そのサーベルは空を斬る


そのままお互いに、斬る、防ぐ、斬る、避けるの応酬が始まる


普段の状態ならレヴィが負ける道理は無い

いくらさやかが強くなったからと言って、この短期間の鍛錬ではレヴィに追いつくはずもないからだ


しかし、レヴィは魔女の結界を迷っている間に魔力とカートリッジを大量に消費していた

大出力を支える大量の魔力は、大幅に削られている状態だ


さらに言えば、レヴィはさやかを僅かにでも傷つけないようにしており

対するさやかはレヴィに対して遠慮していない

そんな差もあった


さやかの攻撃に対応しきれなくなり、レヴィが一旦距離を離す


レヴィ「バルニフィカス、カートリッジロード」

レヴィ「バルニフィカス・スライサー!光翼斬!」


素早くデバイスを鎌状に変形し、巨大な円状斬撃を放つ


しかし、さやかはそれすらも両手で受け止める


さやか「痛みや怪我を気にしないってのは凄いね。無敵になった気分だよ」


デバイスの非殺傷設定というものは、

魔力による衝撃で相手の行動不能や失神を狙うものである

そういった意味で痛みを感じない今のさやかには、まったく通用する物ではなかった


レヴィ「くっ・・・」


レヴィは素早くデバイスのシリンダーを解放、薬莢を排出

クイックローダーで新しいカートリッジを補充した


レヴィ「こんなに・・・こんなにつまんない戦いなんて初めてだよ・・・」

レヴィ「本気で・・・さやかと戦わないとダメなの・・・?」

レヴィ「・・・」

レヴィ「よし・・・」


レヴィ「カートリッジ、トリプルロード!」

レヴィ「バルニフィカス・ブレイバー!」

レヴィ「襲撃服《スラッシュスーツ》、パージ!スプライトフォーム!」


掛け声と共にデバイスは巨大な光剣へ、

服はより速度を追及したインナーのみの形状に変形する

そして手足には高速起動をサポートするための水色の小さな羽根が輝く


さやか「本気、か・・・」

さやか「いいよ!あたしが強くなったところ、見せてあげる!」

投下を再開します。
週の中盤の投下はやっぱり難しい・・・

----見滝原市・市内----

杏子「くそっ!遠い・・・!」

杏子「これでもし、電波塔に居なかったら・・・?」

杏子「いや、もう他にほとんど探す場所が無いんだ」

杏子「居なかったら・・・そのときは駅だな」

杏子「さやか・・・」

----見滝原市・電波塔付近----

さやか「くっ!」

レヴィ「てぇい!」


先程とは形勢が逆転し、レヴィがさやかを追い詰める形になった

着ていたバリアジャケットを大幅に切り離し、速度のみを追求した形状の服になったレヴィ

その速度は先程までとは比較にならない

さやか「はぁ・・・はぁ・・・」


そして、ついにさやかに疲労の色が出始めた


レヴィ「あと・・・少し・・・」


痛みや怪我に対しては無敵でも疲労はするようで

このまま休むことなく攻撃を続け、さやかを疲労による行動不能に持ち込もうとレヴィは画策する

レヴィ「たああああぁ!」


レヴィがさやかに突っ込む

さやかはそれに対して身構えるが、目の前で残像残像となってレヴィの姿が消滅する


さやか「消えっ・・・」


その言葉を言い切る前に、さやかの脳裏にレヴィと初めて会った時の事が浮かんだ


さやか「後ろっ!」

レヴィ「!?」


思わぬさやかの反応に、後ろから攻撃しようとしていたレヴィが一瞬戸惑う

その一瞬の隙を突き、さやかはレヴィの斬撃線から外れる


レヴィの攻撃は空振りする


さやか「あぁぁぁぁぁぁぁ!」


レヴィの体勢が崩れた隙に、さやかがレヴィに攻撃を仕掛ける


渾身の力でサーベルを振り下ろす


その刀身は先程までの銀の刃とは異なり、まるで深海のような暗い蒼に染まっていた


レヴィは体勢を立て直すも、回避が間に合わないと判断し




手にした光剣でさやかの攻撃を受け止める

----見滝原市・上空----

シュテル「この魔力反応は・・・」

シュテル『レヴィ!聞こえますか?』

シュテル「通信が通らない・・・?」

シュテル「いえ、気づいていないだけですか。集中すると周りが見えなくなるのは悪い癖ですね」

ディアーチェ「シュテル!ここに居たか!」

シュテル「王・・・」

ディアーチェ「貴様も気づいたか?レヴィが・・・」

シュテル「えぇ、何かと戦っています」


ディアーチェ「うむ。相手は恐らく・・・」

シュテル「さやか・・・でしょう」

ディアーチェ「いかん!すぐ止めに行くぞ!」

シュテル「しかし王・・・今までの特訓を見るにさやか相手なら問題は・・・」

ディアーチェ「ダメだ!さやかと戦ってはいかん!」

ディアーチェ「魔力分析をした結果分かったのだ。あやつの攻撃は!」

シュテル「それは・・・どういうことでしょうか?」

ディアーチェ「説明は後だ!取り返しがつかなくなる前に止めるぞ!」


----見滝原市・電波塔付近----

レヴィ「うわぁぁぁぁぁ!?」

さやか「・・・え?」


さやかの振り下ろしたサーベルは、レヴィが攻撃を止めようとした光剣の刃を粉々に打ち砕き

レヴィの体を大きく切り裂いていた


レヴィなら自分の攻撃ぐらい、全て受けとめられる

さやかは心のどこかでそう思っていた

だが、手にしたサーベルはそんな想いすら粉々に打ち砕いた


レヴィ「そん・・・な・・・」


レヴィは武器を落とし、その場に倒れる


さやか「レヴィ・・・?」

さやか「冗談・・・でしょ・・・?」

さやか「あたしを・・・止めるんでしょ?」

さやか「ねえ・・・立ってよ・・・」

さやか「そんな冗談は・・・もういいから・・・」


地面に倒れたレヴィは全く動かない

そしてその下には、見ればすぐ致死量だと分かるほどの血溜まりが出来ている


さやか「・・・!」

さやか「あ・・・あたし・・・あたし・・・!」


さやかはレヴィに駆け寄り、抱き起こす


レヴィ「う・・・」

さやか「今、傷を消すから!」

さやか「お願い!死なないでレヴィ!」

キィィィィィ


さやか「嘘・・・なんで?」

さやか「なんで傷が消えないの!?」

レヴィ「さや・・・か・・・?」

さやか「レヴィ!待ってて!すぐ・・・すぐ治すから!」

レヴィ「・・・」

さやか「レヴィ!レヴィー!」

さやか「あたし、なんて事を!」

さやか「人を・・・殺しちゃうなんて・・・」

本日の投下はこれで終了です。

次の投下再開は週末を予定しています。

Oh...

危うく円環される所だった。
それにしても、慌てているとロクなことがないですね。

投下を再開します。


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杏子「さやかー!」

杏子「さやかー!」

杏子「居ないか・・・」

杏子「ん?あれ、グリーフシードか?何で落ちてんだ?」

杏子「誰か魔女を倒して、落ちてるのに気づかずに帰ったのか?」

杏子「いや、そんなヘマする奴なんて・・・」

杏子「・・・何だあれ?」

杏子「血だ!しかもあんなに!」


レヴィ「う・・・誰・・・?」

杏子「レヴィ?お前、レヴィか!」

レヴィ「さやか・・・戻って・・・きたの?」

杏子「さやか?さやかが居たのか?」

杏子「いや、そんなことより傷を治療しねーと!」

タッタッタッタッ

ほむら「今こっちから声が・・・」

まどか「あっ!あれ!」

マミ「佐倉さん?」


杏子「マミ!良かった、あんた治療得意だったろ?」

杏子「レヴィを助けてくれ!」

まどか「え?レヴィちゃん・・?」

まどか「っ!」

ほむら「これは・・・」

マミ「佐倉さん・・・貴女・・・なんてことを・・・」

杏子「ち、違う!あたしじゃない!」

杏子「あたしが見つけたときには既に何かにやられてたんだ!」


マミ「・・・」

マミ「分かったわ、信じる」

マミ「それに言い合いをしている場合じゃないわね」

マミ「診せて」

杏子「あ、あぁ・・・」

まどか「マミさん、レヴィちゃん・・・大丈夫ですよね?」

ほむら「・・・」

マミ「・・・」


パァァァァァ

まどか「死んじゃったり・・・しないですよね?」

杏子「マミ!早く治してやってくれよ!」

マミ「やってるわよ!!」

マミ「でも・・・傷が・・・傷が全然塞がらないの!!」

まどか「そんな・・・どうして・・・それじゃレヴィちゃんが死んじゃう!」

ほむら「まどか・・・」

ほむら「これだけの出血をしていては・・・傷が塞がったとしても、もう助からないわ」


まどか「嘘っ!なんで!どうしてレヴィちゃんが・・・こんな酷い目に・・・」

杏子「このグリーフシードが落ちてたんだ・・・」

杏子「多分、魔女と相打ちで・・・」

マミ「ごめんなさい、レヴィちゃん・・・」

マミ「私たちがもっと早く来ていれば・・・来ていれば・・・」

まどか「いやっ、いやだよ!レヴィちゃん、死なないで!」

ほむら「まどか・・・」

ディアーチェ「煩いぞリボン。静かにしろ」

シュテル「王、この状況ではやむを得ないかと」


マミ「王様・・・シュテルちゃんも・・・」

ディアーチェ「マミも手を止めろ。いくら治療したところで無駄だ」

マミ「・・・どうしてそんな酷いことを言えるの?」

ディアーチェ「事実だ。魔法少女の魔法では我らの治療は出来ぬ」

ほむら「仲間が死に掛けているというのに、随分と冷静なのね」

シュテル「仲間だからこそ、です」

ディアーチェ「我が臣下がそう易々と死んでなるものか!」

杏子「それじゃ、もしかして助かるのか!?」

まどか「お願い王様!レヴィちゃんを助けてあげて!」

ディアーチェ「貴様等に言われるまでも無いわ」


シュテル「レヴィ、躯体を破棄して再起動です。できますね?」

レヴィ「シュテ・・・るん・・・」

レヴィ「さやかを・・・助けて・・・」

シュテル「もちろんです。安心してください」

レヴィ「これね・・・魔女に・・・やられちゃったんだ・・・」

レヴィ「油断しちゃって・・・」

シュテル「そうですか・・・油断は悪い癖です、ちゃんと治しましょう」

レヴィ「さやかが・・・助けてくれて・・・でも、歩いてどこかに行っちゃった・・・」

シュテル「分かりました」


レヴィ「さや・・・か・・・何か・・・変だった・・・から」

フッ

杏子「なっ!?」

マミ「消えた・・・?」

ほむら「これは・・・」

まどか「いやっ!レヴィちゃん!レヴィちゃん!」

ディアーチェ「騒ぐな!紫天の書に戻って再起動を行っているだけだ。数日あれば復帰する」

ほむら「再起動・・・?」

マミ「王様たち・・・もしかして人間じゃないの?」

シュテル「説明は後です。サヤカを探しましょう」


シュテル「レヴィが破損後すぐに再起動をせずに、待っていてまで何かを伝えようとしました」

シュテル「恐らくサヤカの身に異変が起こっているのかと」

ほむら「っ!」

杏子「早く探さねーと!」

ディアーチェ「・・・許さんぞ」

ディアーチェ「あの裂傷・・・間違いない・・・」

まどか「王様・・・?」

ディアーチェ「我が臣下を傷つけた罪、必ずや償わせてやるからな!」


----見滝原市・電波塔付近----

ディアーチェ「シュテル、行くぞ!付いて来い!」

シュテル「はい」

バッ

杏子「飛んだ!?」

マミ「待って!王様!」

シュテル「申し訳ありません、私は王と共に行きます」

シュテル「ホムラ達も再び地上での捜索をお願いします」

ほむら「分かったわ」


ほむら「それにしても・・・王様はあれほど怒っているのに、貴女は冷静なのね」

シュテル「もちろん、私とて思うところはあります」

シュテル「ですが、王のサポートが我が勤め。こんな時だからこそ冷静にならねばなりません」

ほむら「強いわね・・・」

シュテル「ありがとうございます」

バッ

杏子「こっちも飛んだ!?」

杏子「とんでもないな、あいつ等・・・」


マミ「佐倉さん、貴女も美樹さんを探していたのね」

杏子「・・・」

マミ「美樹さんが見つかって、状況が落ち着いたら話したいことがあるの」

マミ「いいかしら?」

杏子「・・・あたしは一人でさやかを探すから」

タッタッタッタッ

マミ「佐倉さん!」

マミ「・・・やっぱりまた仲良くするなんて無理なのかしら」


ほむら「とりあえず・・・」

ほむら「まどか、貴女はもう帰ったほうがいいわ」

まどか「ううん・・・」フルフル

まどか「私も、さやかちゃんを探すよ」

ほむら「これ以上はダメよ」

まどか「でもっ!」

ほむら「さっきまでとは状況が変わったの!」

ほむら「貴女は・・・もしさやかが死んでいたとして、それを受け入れられるの?」

まどか「・・・っ!」


ほむら「ごめんなさい。でも、最早ありえないことじゃないの」

マミ「そうよ、鹿目さん」

まどか「マミさんまで・・・」

マミ「レヴィちゃんにあれほどの重症を負わせた魔女なら・・・」

マミ「それを助けた美樹さんも無事で済むはずがない・・・」

ほむら「・・・」

まどか「でもっ、さやかちゃんには怪我を消す魔法が!」

マミ「魔力が尽きた可能性もあるわ・・・」

まどか「・・・」

ほむら「まどか、お願い分かって・・・」


まどか「・・・それでも」

まどか「それでもわたしは一緒に行くよ!」

マミ「・・・」

マミ「分かったわ。一緒に行きましょう」

ほむら「巴さん!?」

マミ「ここで問答している時間が惜しいわ」

マミ「ただね、鹿目さん。ひとつ約束して?」

マミ「もし、美樹さんに何が起きていたとしても・・・鹿目さんは自分をしっかり持つのよ?」

まどか「分かりました・・・」

ほむら「巴さん、貴女もしかして・・・」

マミ「さぁ、急ぎましょう。一刻を争う事態なのは間違いないわ!」

本日の投下はこれで終了です。
次の投下は来週の予定です。

ちなみに、補足事項ですが
杏子が発見したグリーフシードはさやかがフルボッコにしたエルザさんの物です。

我、って
>シュテル「ですが、王のサポートが我が勤め。こんな時だからこそ冷静にならねばなりません」
ここかな?

ここは所謂、「来たぞ我らのウルトラマン」的なニュアンスなので気にしないでください。


投下を再開します。


----見滝原市・上空----

ディアーチェ「くっ!奴め、どこへ行きおった!」

シュテル「王、落ち着いてください」

ディアーチェ「これが落ち着いていられるか!」

ディアーチェ「レヴィが奴に斬られたのだぞ!」

シュテル「やはり、あれはサヤカが・・・」

ディアーチェ「その通りだ!」

ディアーチェ「急ぐぞ!見つけて償いをさせてやる!」

シュテル「・・・」

シュテル(ユーリを助けたときも私とレヴィが戦闘不能になりましたが)

シュテル(そのときもこんな感じだったのでしょうか?)

シュテル(だとしたら、あの時お世話になった面子には苦労を掛けましたね)


----見滝原市・駅付近----

杏子「はぁ・・・はぁ・・・」

杏子「さやか・・・どこ行っちまったんだよ」


「いいんスか?あの子、放っておいて」


杏子「ん?」


男A「あーいうのは構わないほうがいいんだって」

男B「そりゃ、ショウさんが言うならそうなんでしょうけど」

男A「ありゃどう見たって訳ありだ」


男B「見れば分かりますって。血塗れでベンチに座ってるなんて尋常じゃないッスよ」

男A「そんな女は構わない方がいいんだよ」

男A「こっちの身に何が起きるか分かったもんじゃない」

男B「それは実体験ッスか?」

男A「まーな」

杏子「ちょっと、あんたら!」

男A「ぁん?なんだい嬢ちゃん?」

杏子「そいつが今どこにいるか教えてくれ!」


----見滝原市・路上----

ほむら「思いつく限りの場所はもう探し終えた・・・」

ほむら「まどか、他にどこか心当たりはある?」

まどか「えっと・・・あとは上条君の家とか・・・?」

まどか「でも、もし緊急事態なら上条君に心配させたくないだろうし」

まどか「家に行くわけないよね」

ほむら「そうね・・・」

QB「どうやら困っているようだね」

まどか「ひっ!QB!?」

ほむら「何の用かしら?」


QB「君たちが困っているからね。魔法少女のサポートも僕の役目さ」

ほむら「どの口が・・・!」

マミ「待って、暁美さん」

ほむら「巴さん・・・」

マミ「QB、もう姿を見せないでって言った筈だけど?」

QB「すぐに退散するよ。でも、さやかの居場所を知りたいんじゃないのかな?」

まどか「さやかちゃんがどこにいるのか知ってるの!?」

ほむら「知っているならさっさと吐いて、それで失せなさい」

QB「やれやれ・・・」

マミ「美樹さんはどこ?」


QB「駅構内のベンチに座っているよ。大分衰弱しているようだ」

QB「急いだほうがいいんじゃないかな?」

マミ「なんですって!?」

QB「さて、僕は退散しよう。無意味に撃たれて体が使い物にならなくなっては勿体無いからね」

QB「そうそう。使ったグリーフシードの処理は僕にしか出来ない」

QB「君達は僕と会いたくないみたいだけど、必要になったら呼んでくれて構わないよ」

QB「それじゃ、失礼するよ」

ヒョイッ

マミ「・・・」

まどか「早く行こう!」

ほむら「えぇ、急がないと」


----見滝原市・駅構内----

杏子「はぁ・・・はぁ・・・」

杏子「やっと見つけた・・・」

タッタッ

杏子「街中探し回っちゃったよ」

さやか「悪いね・・・手間掛けさせちゃって・・・」

杏子「なんだよ・・・らしくないじゃんかよ?」

杏子「正義の味方なんだろ?堂々としてなよ」


さやか「そんなもの・・・もうどうでもよくなっちゃったからね・・・」

さやか「結局あたしは、正義の味方になって何を護りたかったのか」

さやか「もう何もかも、訳わかんなくなっちゃった・・・」

杏子「おい・・・」

さやか「・・・」

スッ

杏子「っ・・・!」

杏子「そのソウルジェム・・・もうほとんど真っ黒じゃんか・・・」


さやか「いつか言ってたよね。正義の味方なんて、ロクな事にならないって」

さやか「今なら良く分かるよ・・・」

さやか「確かにあたしは、正義の味方として何人かの人を助けた・・・助けたんだと思う」

さやか「でも結局、一番護りたかった人は護れなくて・・・」

さやか「挙句、大切な友達すら自分の手で・・・」

杏子「さやか・・・」


さやか「しかもその事が怖くなって、あたしは逃げたんだ・・・」

さやか「こんな正義の味方なんているはずないよ」

杏子「それは・・・」

さやか「きっと・・・誰かを護った分、大切な何かを失わなければならない」

さやか「あたし達魔法少女って・・・そんな仕組みだったんだね・・・」

さやか「正義の味方なんて・・・無理だったんだ・・・」

杏子「・・・!」
















さやか「あたしって、ほんとバカ・・・」

短いですが本日の投下はこれで終了です。
次の投下再開は来週になると思います。

投下を再開します。


『そんなことないよ!』






さやか「っ!?」

杏子「お前・・・」


レヴィ「はぁ・・・はぁ・・・」フラッ


さやか「レヴィ・・・?よかった・・・生きて・・・」

杏子「お前・・・再起動って奴で休んでたんじゃないのかよ!」

レヴィ「へへっ・・・無理に出てきちゃった」

さやか「あたし・・・」

レヴィ「もう、いっかい・・・」

さやか「え?」


レヴィ「今度は・・・負けないから、もう一回・・・」

レヴィ「戦おう・・・よ」

さやか「レヴィ?」

レヴィ「今度は、負けない・・・から・・・」

レヴィ「ちゃんと・・・とめるから・・・」

レヴィ「それで・・・終わったら・・・」

レヴィ「また一緒に・・・」

レヴィ「お菓子食べて・・・友達・・・だから・・・」

フラッ

杏子「おっと!」

ガシッ

杏子「無茶な事しやがって・・・」


さやか「・・・」

杏子「どうすんだ、これから?」

さやか「・・・どうしたらいいのよ」

さやか「無茶な事をして大怪我させた相手にまで心配かけて・・・」

さやか「でも、最初の頃に何がしかったかなんて思い出せなくて」

さやか「正義の味方だって、続けてる資格なんか・・・」

杏子「・・・甘えるなよ」


さやか「・・・杏子?」

杏子「何がしたいか思い出せない?資格がない?」

杏子「なんでそれで諦めちゃうんだよ!」

杏子「誰だって間違うことはあるじゃんか!」

杏子「でも、まだ誰も死んでない!」

杏子「あの坊やだって、レヴィだって無事だったんだ!」

杏子「まだやり直せるはずだろ・・・」


杏子「誰かを傷つけたなら、その倍の数の誰かを護れよ!」

杏子「正義の味方を名乗ったんだろ?」

杏子「なんですぐに諦めるんだよ!」

杏子「あたしがなれなかった、正義の味方になってくれよ!」

杏子「一瞬でも、あたしに夢を見せた責任を取れよ!」

杏子「はぁ・・・はぁ・・・」

さやか「杏子・・・あんた・・・」

杏子「さやかは・・・あたしの希望なんだよ・・・」

さやか「・・・」


杏子「あたしは、もう言いたいことは言った」

杏子「レヴィはあたしが安全な場所まで連れてってやるよ」

杏子「さやか、あとはあんた次第さ」

さやか「あたしは・・・」

杏子「よっ、と」

ヒョイッ

タッタッタッタッ


----見滝原市・駅付近----

ほむら「もうすぐ駅よ!」

マミ「待って暁美さん、あれ・・・」

ほむら「佐倉杏子・・・?」

まどか「抱えてるの、レヴィちゃんだよ!」

杏子「マミ・・・それにあんたら・・・」

ほむら「さやかは、さやかはどうなったの!?」

杏子「さーな・・・」

マミ「早く美樹さんの所へ!」

マミ「あっ、でもレヴィちゃんのことも心配だし」

マミ「どうしたら・・・」


まどか「見て!あっちから来るの、さやかちゃんだよ!」

ほむら「!?」

さやか「・・・」

タッタッタッタッ

ほむら「さやか!ソウルジェムは大丈夫なの!?見せて!」

さやか「これ・・・」

マミ「全く濁ってないわね」

さやか「グリーフシードで浄化したんです、ほら」

さやか「大分使っちゃいましたけど、多分もうちょっとは使えると思いますよ」

ほむら「よかった・・・」


まどか「さやかちゃん、わたしさやかちゃんの事が心配で・・・」

まどか「ずっと心配で・・・」

まどか「ぐすっ・・・ふえええぇぇぇ・・・」

さやか「ごめん、まどか・・・」

まどか「さやかちゃーん・・・」

さやか「みんなもごめん。心配掛けちゃって・・・」

さやか「身勝手な話だけど・・・」

さやか「もう少しだけ正義の味方、がんばってみる」


マミ「そう・・・私で良ければ、今までのように頼りにしてね?」

さやか「はい」

マミ「さて、と・・・」

杏子「・・・」

マミ「みんな疲れたでしょう?私の家で軽くお茶でもしましょうか」

杏子「マミ・・・」

マミ「もちろん佐倉さんも、ね?」


ほむら(とりあえず、さやかに関しては一安心といった所ね・・・)

ほむら(詳しい状況を目にする事がなかったけれど)

ほむら(かなりギリギリの状態だった事は間違いない)

ほむら(今回は運が良かった・・・)

ほむら(でも、これから先も幸運が続くとは限らない)

ほむら(気をつけないと・・・)


----見滝原市・上空----

ディアーチェ「ぬぅ!見つからんぞ!」

シュテル「王、今一度探しなおしましょう」

ディアーチェ「シュテル、ワイドエリアサーチだ!」

シュテル「出来ません」

ディアーチェ「くっ・・・止むを得ん、今度は地上に降りて走って探すぞ」

シュテル「はい」

シュテル「・・・おや?」

ディアーチェ「どうした?」

シュテル「どうやら事態が収束したようです」

ディアーチェ「なんだと?」


----???----

QB「なるほどね。持ちこたえた、と言っていいのかな?」

QB「あの状況だと確実に呪いは進行していたはずなんだけどね」

QB「やはり魔法少女は条理を覆す存在という事かな?」

QB「でも、その奇跡の種は分かったよ」

QB「そしてそれが今後は続かないという事もね」

QB「それにしても、こんなにも穢れを溜め込んだ物を見るのは初めてだよ」

QB「一体どれだけの穢れを吸ったのか、見当も付かない」

QB「ただ、流石にこれ以上は使えないから手放したんだろうね」

ポイッ パクッ

QB「きゅっぷぃ」

本日の投下はこれで終了です。
次回の投下は来週の予定です。

何気に今回登場人物が多い・・・
既に出てきたうちで、キリエ以外総登場という。

ちょっと見返したら、杏子が松岡修三に見えてきちゃった。

投下を再開します。


----マミホーム・リビング----

ガチャッ

マミ「レヴィちゃんをベッドに寝かせてきたわ」

マミ「傷は塞がっていたけど、あとは王様たちに任せるしかないわね」

まどか「よかった・・・」

マミ「さて、と・・・」

ほむら「・・・」

さやか「・・・」

杏子「・・・」

マミ(く、空気が重い・・・)


さやか「・・・あの」

ほむら「何かしら?」

さやか「みんな本当にゴメン・・・」

さやか「謝っても許してもらえるとは思ってないけど・・・」

さやか「特にレヴィには・・・」

まどか「?」

ほむら「どういうこと?」

さやか「それが・・・」


バターンッ

ディアーチェ「さやかぁぁぁぁぁぁ!見つけたぞ!」

杏子「なっ、なんだぁ!?」

シュテル「王、落ち着いてください」

ディアーチェ「落ち着けるか!こやつがレヴィを斬ったのだぞ!」

まどか「えっ!?」

マミ「嘘でしょ・・・?美樹さんが?」

ディアーチェ「嘘など申すか!あの裂傷は間違いない!」

ほむら「さやか、本当なの?」

さやか「うん・・・全部説明するよ」


--------

----

--


まどか「そんな・・・」

マミ「美樹さんが、レヴィちゃんを・・・?」

さやか「バカみたいだよね・・・」

さやか「自分で勝手に暴走して、あたしを想って止めてくれようとした相手を傷つけて・・・」

杏子「・・・」

ほむら「ちょっと待って」

シュテル「どうしました?」


ほむら「今の話が本当だとすると、レヴィの剣をさやかが砕いたのよね?」

シュテル「そうなりますね」

ほむら「さやかには悪いけど、あのサーベルではレヴィの剣には傷ひとつ付かないんじゃないかしら?」

ほむら「何度か見たけれど・・・相当な出力よね、あの剣は」

マミ「そういえば・・・」

ディアーチェ「我が説明してやろう」

ディアーチェ「貴様ら魔法少女の魔力は、我らの魔力に干渉する力が強いようだ」

マミ「あの日の魔女みたいに、吸収したりするの?」

ディアーチェ「違うな。魔女はそうだが、魔法少女はむしろ反発する力が強い」

ディアーチェ「魔女は吸収。魔法少女は反発といった具合だな」

マミ「・・・」


ディアーチェ「実に忌々しい・・・我らを何だと思っておる・・・」

ほむら「つまり、魔法少女の魔力の干渉能力が高いせいで魔導師の魔力で出来た刃を砕いたと?」

ディアーチェ「そうだ」

ディアーチェ「特にこやつは、刃に魔力を纏う方法を覚えたようだからな」

さやか「うん・・・」

さやか「あの時・・・心が限界まで濁っていって・・・」

さやか「訳が分からないうちに、使ってたんだと思う・・・」

まどか「・・・」

シュテル「ふむ・・・」

マミ「表裏一体、って所ね・・・」


さやか「あとは、痛覚遮断を使ってたんです」

まどか「痛覚遮断?」

ほむら「貴女、どこでそれを覚えたの?」

さやか「魔女を探してるときにQBが来て、教えてくれたんだ」

さやか「いい方法があるって・・・」

マミ「・・・」

ほむら「なるほど、それと治癒魔法を併用していたのならレヴィと戦えたのも納得できるわ」

ほむら「魔力の続く限りは無敵といったところね」

ほむら「ただ・・・」

さやか「うん、もう使わないよ。あんなことは二度と嫌だからさ・・・」


ディアーチェ「さて・・・」

ディアーチェ「もう良かろう、覚悟は出来たか?」

さやか「・・・!」

マミ「待って、王様!」

まどか「さやかちゃんをどうするの!?」

ディアーチェ「我が臣下を傷つけたのだ。その命でもって償いをしてもらう」

マミ「確かにそうだけど・・・でも・・・」

ディアーチェ「マミ、貴様は止めるのか?」

杏子「あたしからも頼む」

杏子「確かにさやかのやったことは良くない事だけど、でも・・・」

ディアーチェ「ダメだ」


ほむら「いくらなんでもそれは・・・」

さやか「いいよ。みんな、ゴメン・・・」

さやか「王様の大切な仲間を傷つけたんだし、当然だよね」

まどか「さやかちゃん・・・」

シュテル「王、お待ちください」

ディアーチェ「何だシュテル。まさか貴様もやめろと申すか?」

シュテル「いえ、ここはレヴィの判断を優先するべきではないかと」

ディアーチェ「む・・・」

シュテル「直接的な被害を受けたのはレヴィですので」

ディアーチェ「だが・・・」


シュテル「皆、冷静ではありません」

シュテル「サヤカも、頭を冷やす時間は必要かと」

ディアーチェ「・・・よかろう」

さやか「・・・」

マミ「良かった・・・」

まどか「王様、ありがとう・・・」

ディアーチェ「見逃すとは言っておらぬ。せいぜいレヴィが戻ってきたら機嫌を取る事だな」

ほむら「あ、レヴィだけど・・・」

シュテル「さて、サヤカ。少し宜しいでしょうか?」

さやか「?」


シュテル「ここではなんですので、別室へ」

さやか「え?うん・・・」

バタン

ディアーチェ「何だ?」

ほむら「何か秘密の話し合いかしら?」

マミ「さあ・・・?」

まどか「シュテルちゃん?」

杏子「よく分かんないけどさ、とりあえずあたしは・・・」



「ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」



ほむら「」ビクッ

まどか「ひっ!?」

ディアーチェ「何事だ!?」


「ちょ、やめっ!」

「ぎにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



杏子「今のって・・・」

マミ「美樹さんの悲鳴よね・・・?」


--------

----

--

マミ「静かになったわ・・・」

杏子「まさか、死んじまったんじゃ・・・」

バタン

シュテル「お待たせしました、それでは話の続きを・・・」

ディアーチェ「シュテル、今何を?」

まどか「さ・・・さやかちゃんは・・・?」

シュテル「少し頭を冷やしていただきました」

マミ「一体何をすればあんな叫び声が・・・」

ほむら「やっぱり怒ってたんじゃない」


ほむら「ところで、さっき言いそびれたのだけど」

ほむら「レヴィがあっちの部屋のベッドで寝ているわ」

ディアーチェ「何だと!?」

シュテル「レヴィは再起動をしているはずですが・・・」

杏子「なんか、さやかの為に無理して出てきちまったみたいなんだ」

ディアーチェ「シュテル、様子を見に行くぞ」

シュテル「はい」

バタン


まどか「レヴィちゃん、大丈夫かな?」

杏子「きっと大丈夫だ・・・きっと・・・」

マミ「あの・・・佐倉さん」

杏子「・・・」

マミ「少し、お話ししない?」

杏子「あたしはレヴィが心配だから来ただけだよ」

杏子「大丈夫だって分かれば、退散するさ・・・」

マミ「でも・・・」


ほむら「話ぐらいなら聞いてくれてもいいんじゃないかしら?」

ほむら「さやかの事だって、気にしてくれていたんでしょう?」

ほむら「昔の自分と似ているから・・・」

杏子「なんで昔の事を・・・マミから聞いたのか?」

ほむら「貴女はここで私たちと共に行動する道を選ばなければ、きっと後悔するわ」

杏子「言ってくれるね」

杏子「分かった。それじゃ話だけは聞いてやるよ」

ほむら「賢明ね」

ほむら「それじゃまどか、私たちはさやかの様子を見に行きましょう」

まどか「う、うん・・・」

パタン

本日の投下はこれで終了です。
次の投下は来週を目処に考えていますが、
ちょっと予定があるのでもしかしたら投下できないかもしれません。

先週の更新が出来なかったのも、横浜アリーナって奴のせいなんだ。
3期は新作だそうで、王様たちの出番は絶望的に・・・

レスが多くてビックリしていますが、
皆さんが強く興味を寄せているまどかに関しては既に扱いは決まっています。
それがずっと戦わずに平和の象徴となるのか、
デバイスを手にして桃色の核兵器を撃つのか、
契約して概念となるのかは現在はお答えできません。
その結果がご期待に沿えるかは分かりませんが、納得いただければと思っています。

予想等に関しては色々書いていただいて大丈夫です。
あたりが出ても予定通りかくつもりです。

長くなりましたが、投下を再開します。


マミ「・・・」

杏子「・・・」

マミ「・・・あの」
杏子「・・・あのさ」

マミ「あ、えっと!」

杏子「いや、ごめん。話・・・聞くよ」

マミ「その・・・」

マミ「ごめんなさい!」

杏子「は!?」


マミ「私、佐倉さんが辛い思いをしてるときに力になってあげられなかった」

マミ「佐倉さんがどんな想いで『魔女だけを狙おう』って言い出したのかを考えもしないで・・・」

マミ「謝っても取り返しの付かない事だけど」

マミ「それでも・・・ごめんなさい・・・」

杏子「あたしの家族の事、知ってたのか・・・」

マミ「地方局のニュースで見たの。もっと早く知っていればあんな態度なんて・・・」

杏子「マミは悪くない。あれはあたしが言い出したことなんだからさ」

マミ「でも、ご家族の事だって私がもっとしっかりしていれば相談に乗れたかもしれないのに」


杏子「家族の事だって自業自得さ」

杏子「あたしが歪んだ願いを叶えたせいで、あんな事になっちまったんだ」

マミ「でも・・・」

杏子「だからマミは何も悪くないんだって」

マミ「・・・」

杏子「話は終わり?」

杏子「それじゃ、あたしはもう帰るから・・・」

杏子「見滝原からも出て行くし、もう会うこともないだろうね」

マミ「そんな急に・・・」


杏子「じゃーな、さやかの面倒見てやってくれよ」

マミ「待って、佐倉さん!」

杏子「・・・」

マミ「お願い。もう一度、一緒に戦いましょう?」

マミ「二人で・・・ううん、みんなで一緒に戦いたいの」

杏子「・・・」

マミ「勿論、使い魔も倒す事にはなるけど・・・」

マミ「あっ、それなら佐倉さんは魔女と戦うときだけでもいいから一緒に・・・」

マミ「グリーフシードだってみんなできちんと分けて・・・」

杏子「どうして・・・」

マミ「えっ?」


杏子「どうしてそんなに優しくするんだよ・・・」

マミ「どうしてって・・・」

杏子「今更マミと一緒に戦う事なんて出来ないんだよ!」

杏子「あたしはマミの事を裏切ったんだ」

杏子「いろんな事を教えてくれて、優しくしてくれて」

杏子「でも、そんなマミに酷い事を言って逃げて・・・」

杏子「それで、悪いことだって色々しちゃったんだ」

杏子「使い魔だって沢山見逃した・・・」

杏子「もう、マミみたいな魔法少女にはなれないんだよ!」


杏子「だから、あたしはさやかにそれを託したんだ」

杏子「託して・・・あたしはまた一人になるつもりだったのに」

杏子「それなのに・・・そんなに優しくされたら・・・」

杏子「こんなあたしでも、またマミと一緒に戦っていいのかなって思っちゃうじゃんか」

マミ「・・・」

杏子「ごめん、変な事言った。もう帰るから・・・」

マミ「違うの・・・」

杏子「は?」

マミ「私、多分・・・佐倉さんに優しくしたかったんじゃないの・・・」

杏子「どういうこと?」


マミ「私ね、最初に佐倉さんと会ったとき・・・寂しかったの」

マミ「人を護るために戦って、でも出会ってきた他の魔法少女たちには理解されなくて」

マミ「でも佐倉さんは違った。誰かを助けるために戦ってたから」

マミ「だから、私が一人にならないために佐倉さんに戦い方やいろんなことを教えたの」

マミ「そうして慕ってくれたら、きっと一緒に戦い続けられると思ったから・・・」

杏子「・・・」

マミ「佐倉さんとお別れした時だってそう・・・」

マミ「何より、自分が一人になることが怖かったの」


マミ「そんな事を考えてるつもりはなかった」

マミ「だけど、きっと心のどこかではずっとそんな事を考えてた・・・」

杏子「マミ・・・」

マミ「今、佐倉さんに謝ったのだって」

マミ「きっと、自分の心を赦す為で・・・」

マミ「佐倉さんとまた一緒に戦いたいと思ってるのも」

マミ「沢山仲間を作って、どんな事があっても一人になりたくない。そんな想いからなんだと思うわ・・・」

マミ「佐倉さんの事なんて全然考えてない、ズルい先輩よね・・・」

杏子「あたしは・・・そうは思わないけど・・・」


杏子「だって、マミがどんな事を考えてたのかは分からない」

杏子「でも、あたしはマミに優しくされて嬉しかった・・・」

マミ「佐倉さん・・・」

杏子「それに誰だって、自分を良く見せたいのは当たり前だ」

杏子「自分の周りに誰も居なくて寂しいのだってそうさ」

杏子「だからマミはズルいなんて思わない」

マミ「ごめんなさい、ありがとう・・・」


マミ「ねぇ、佐倉さん。お願い、もう一度私と一緒に戦って?」

杏子「いいのか?悪いことだってやってきたのに・・・」

マミ「私は、佐倉さんとも一緒に戦いたいの」

杏子「・・・分かったよ」

杏子「一人ぼっちは、寂しいもんな」

マミ「うん・・・」

杏子「じゃあなんだ・・・よろしくな、マミ」

マミ「よろしくね、佐倉さん」




杏子「・・・あれ?」

杏子(もしかして、あたしはマミの話に乗せられたのか!?)

杏子(ま、いっか・・・)


----マミホーム・客室----

さやか「うぅぅぅぅ・・・・」

まどか「さやかちゃん大丈夫?」

ほむら「一体何をされたのよ?」

さやか「ツボを・・・ツボを・・・」

ほむら「ツボ?」

まどか「指圧、ってことかな?」

さやか「体がダルくて動かない・・・」

まどか「さやかちゃん、最近疲れてたもんね」

ほむら「・・・」


ほむら「さやか、ちょっといいかしら?」

さやか「あー、はい。なんでしょう・・・」

ほむら「貴女、巴さんとの練習メニューの他に何かしていたわね?」

さやか「素振りとかランニングとか色々・・・」

ほむら「どのぐらいやっていたの?」

さやか「それは・・・」

ほむら「言いなさい!」

さやか「多いときは20000本以上・・・」

さやか「ランニングも見滝原一周ぐらい・・・」

まどか「えっ!そんなに!?」

ほむら「呆れた・・・」


ほむら「それじゃ授業中もずっと寝ていて当然よ」

まどか「ダメだよさやかちゃん、無理したら・・・」

さやか「でも、みんな強いから努力しないと足手まといになっちゃうし・・・」

ほむら「いきなり強くなろうとしても無理に決まっているでしょう」

ほむら「いくら魔法少女でもそんな無茶をしたら、強くなるどころか倒れてしまうわよ」

さやか「身にしみてます・・・」

ほむら「前にも言ったと思うけど、何かあったら相談しなさい」

さやか「はい・・・」


まどか「ごめんねさやかちゃん。私、さやかちゃんの悩みに気付いてあげられなくて・・・」

さやか「いやいや。あたしが言わなかっただけだから、まどかは気にしないで」

まどか「お詫びに今度から疲れが取れるもの作ってくるからね!」

さやか「ありがとう、まどか・・・」

ほむら(疲れが取れるものって、あれね・・・)

ほむら(王様に何かされるより先に、死ぬんじゃないかしら)


----マミホーム・ベッドルーム----

レヴィ「ZZZ」スピー

ディアーチェ「紫天の書のログを追ってみたが、どうやら傷は治っているようだな」

ディアーチェ「無理な再起動で体力を使って、それを癒すために寝ているだけか」

シュテル「そのようですね」

ディアーチェ「しかし何だこれは?」

ディアーチェ「不自然な程大量のリソースと魔力を使用しているぞ」

ディアーチェ「どうやればこれ程の物を用意できるのだ?」

シュテル「見滝原を含めた広域からかき集めたのでしょうね」

シュテル「その証拠に、この周辺のリソースがほとんど使用できません」


ディアーチェ「ふむ・・・なるほど確かにそんな感じだな」

シュテル「周辺魔力については余裕がありますが、リソースは・・・」

ディアーチェ「断片がそれなりに残ってはいるが・・・」

ディアーチェ「断片では再起動は無理だな、ならばこの量では我らの現状を維持するのが限界か」

シュテル「はい。今後、もし我々が倒れれば・・・」

シュテル「しばらく見滝原での再起動は出来ませんね」

シュテル「出来たとしても、遠い場所・・・」

シュテル「下手をしたら縁のある海鳴市あたりで再構成されてもおかしくありませんね」


ディアーチェ「レヴィが無事だったのだ。そのぐらいは仕方ない」

ディアーチェ「それに、再起動をする事態にならねば問題あるまい」

シュテル「そうですね」

シュテル「ところで王、サヤカの件ですが・・・」

ディアーチェ「分かっておる。先程は我もいささか熱くなりすぎた」

ディアーチェ「相応の罰は受けてもらうとして、命までは取るまい」

シュテル「はい」


ディアーチェ「むっ、そういえば・・・」

シュテル「はい、なんでしょうか?」

ディアーチェ「先程の話から推察するに、レヴィは我らより早くあやつの居所を突き止めたようだが」

ディアーチェ「シュテル、これは貴様の差し金か?」

シュテル「それは・・・」

ディアーチェ「またか・・・」

ディアーチェ「まぁ良い。貴様を信じて余計な詮索をしないでおいてやろう」

シュテル「ありがとうございます」


----マミホーム・リビング----

マミ「・・・といった感じかしら」

マミ「これが今までの経緯とか、大雑把な流れよ」

杏子「別世界から来た魔法少女ねぇ・・・」

マミ「本人たちは魔導師とか魔導騎士と名乗っているわ」

杏子「それに、聞いてはいたけどワルプルギスの夜か・・・」

杏子「思ってたより面倒な話だな」

杏子「QBの正体ってのも意外だったな」

マミ「えぇ・・・」

杏子「まぁ、QBの事は前から変だと思ってたし」

杏子「むしろ納得した気がする」

マミ「佐倉さんは強いわね」

杏子「ん、まぁ契約しちゃった以上は元には戻れないからな」

マミ「そうよね・・・戻れない、ものね・・・」


ガチャッ

ディアーチェ「む、赤色。まだ居たのか?」

杏子「これから一緒に戦う事になった。よろしくな」

シュテル「そうですか。よろしくお願いします」

ディアーチェ「ふむ。精々、我の足を引っ張らぬよう気をつけろ」

杏子「はいはい・・・」

マミ「レヴィちゃんの様子はどう?」

シュテル「問題ありません」

シュテル「詳しい話はホムラ達も含めて・・・」


ガチャッ

ほむら「巴さん、さやかのことだけど・・・」

マミ「あら?どうかしたの?」

まどか「なんだか疲労が出て動けないみたいで・・・」

まどか「迷惑でなければ泊めてあげて欲しいんです」

ディアーチェ「むっ」ピクッ

シュテル「やはりそうなりましたか」

マミ「えぇ、いいわよ。」

ディアーチェ「我は反対だ!あやつと同じ屋根の下で寝られるか!」

シュテル「王・・・」

マミ「一晩だけだから、お願い王様」

ディアーチェ「ぐっ・・・ぬぬぬぬぬ・・・・」

お仕事はやっぱり忙しかったっていうね。

投下を再開します。


--------

----

--

シュテル「さて、新しくキョウコが加わりましたので」

シュテル「改めて話をしましょうか」

まどか「よろしくね、杏子ちゃん」

杏子「あぁ、よろしくな」

杏子「他のみんなも、名前や話はマミから聞いたよ」

杏子「迷惑掛けちまったけど、これから取り戻すからよろしく頼む」

シュテル「はい、こちらこそ」


マミ「それでシュテルちゃん、聞きたいことがあるのだけど・・・」

シュテル「はい」

マミ「王様やシュテルちゃん、レヴィちゃんは・・・その・・・」

ほむら「再起動とか、普通じゃないわ。あれは何なの?」

ディアーチェ「我は話すつもりもなかったのだが、まぁ良かろう」

ディアーチェ「シュテル、説明を」

シュテル「はい」

シュテル「端的に言いますと、我々は人間ではありません」

まどか「!?」


シュテル「もっと言ってしまえば、生命体ですらありません」

マミ「生き物じゃ・・・ない?」

杏子「あたしには普通の人間にしか見えないな」

ほむら「とてもじゃないけど、生きているようにしか見えないわね」

杏子「だよなぁ。まさかゾンビじゃあるまいし・・・」

ほむら「・・・」

シュテル「端的に言いますと・・・」

シュテル「紫天の書を構成するプログラム構造体、それが我々の正体です」

まどか「プログラム・・・ってコンピューターとかの?」

シュテル「そうですね、似たようなものかと」


シュテル「古代ベルカの技術によって生み出され、事情により最近まで活動を停止していました」

シュテル「ですが、とある事件により活動を再開し・・・そして自由を得たのです」

マミ「信じられない・・・」

マミ「どう見ても人間の子供、そのものだわ」

ディアーチェ「残念だが、この姿は我の本来のものではない」

ディアーチェ「我等はプログラムゆえ実体を持たぬ」

ディアーチェ「実体化する際に、たまたまデータにあった都合の良さそうな連中の身体データを参照しただけだ」


杏子「魔法少女や魔女が居るんだから、ある程度の事じゃ驚かないつもりだったけど」

杏子「あたしの知らない事ってのはまだまだあるもんだね・・・」

ほむら「それじゃ、再起動というのは・・・」

シュテル「はい。文字通り活動している躯体を破棄して紫天の書に戻り」

シュテル「再度、躯体を構築しなおす事です」

ほむら「それは・・・どんな大怪我であっても死なないという事かしら?」

シュテル「躯体と紫天の書を同時に破壊されない限りは不死身と言えるかと」

シュテル「あぁ、プログラムの構造自体に影響を及ぼすほどの攻撃を受けた場合も消滅しますね」

まどか「死んじゃう、ってことだよね・・・?」

シュテル「はい」


ほむら「それでも、かなり戦闘向けと言える存在なのね」

シュテル「元は戦争のための兵器として開発されたのでしょうしね」

マミ「・・・」

ディアーチェ「どうしたマミ?」

ディアーチェ「我が貴様の思っていたような存在ではなくて、失望したか?」

マミ「ううん、違うの」

マミ「生き物じゃない、って言われて確かに驚いたけれど」

マミ「王様もレヴィちゃんも、シュテルちゃんも」

マミ「みんな笑ったり怒ったり、お互いに助け合ったり」

マミ「おいしいご飯を食べて、寝て、遊んで・・・」

マミ「それって、もう『生きてる』ってことじゃないかなって」

シュテル「・・・」


マミ「正体や生まれがどうであっても、私はそう思うわ」

まどか「わたしもそう思います!」

まどか「だって、わたし達と何も違わないのに・・・」

ディアーチェ「そう思うのならそれで構わん」

ディアーチェ「生命体であろうがなかろうが、瑣末な問題よ」

ディアーチェ「我は我だ。それ以外の何者でもない」

マミ「えぇ、そうね」

マミ「王様たちは、みんな大切な私のお友達よ」

ディアーチェ「・・・」ハァ

ほむら(あら、怒らないわ。珍しい・・・)


シュテル「とりあえず、そのような事情もありますので」

シュテル「レヴィに関しては問題ありません」

シュテル「時間が経てば、お腹をすかせて起きて来るでしょう」

杏子「あんだけ大怪我してたのに、恐ろしい話だな・・・」

ディアーチェ「本来はあれほど早く再起動は終わらないのだが」

ディアーチェ「どうやったのか、見滝原を含めた広域のリソースと魔力をかき集めて使ったようだからな」

ほむら「リソース?」

シュテル「我々の躯体を構築する要素と思って頂ければ良いかと」

シュテル「レヴィの再起動の結果、この周辺のリソースがほぼ底を突いた状態です」

まどか「え?それじゃあ・・・」


シュテル「仮に再起動が必要なほどの損傷を負った場合、リソースが回復するまで見滝原では復帰できません」

マミ「本当に死んでしまう、ってこと・・・?」

シュテル「いえ、躯体が構築できないため紫天の書から出ることが出来なくなります」

シュテル「それでも無理に実体化しようとすれば、遥か遠くに出現する可能性があります」

杏子「残機0ってことか?」

シュテル「違いますが、戦闘不能状態という意味では近いかもしれませんね」

ほむら「なるほど・・・」

ディアーチェ「まぁ、問題あるまい」

ディアーチェ「ユーリを除き、我にそこまでの損傷を負わせることなどできる相手などおらぬからな」

ほむら「相変わらずの自信ね・・・」


杏子「さて、話も終わったことだし・・・あたしは今日は帰るとするよ」

マミ「佐倉さんも泊まっていったらどう?」

杏子「いや、今日はいいよ」

ほむら「どうせ野宿なんだし、泊まらせてもらえばいいのに」

杏子「なっ!?お前なんで知ってるんだよ!」

マミ「佐倉さん、貴女・・・」

まどか「杏子ちゃん、おうちはどうしたの?」

杏子「あ、いや・・・大丈夫だって」

杏子「本当に困ったらマミを頼らせてもらうから、な?」

マミ「私はいつでも構わないけど、無茶だけはダメよ?」

杏子「分かってるって」


----見滝原市・路上----

まどか「わっ・・・空だけじゃなくて電気がほとんど消えてて街まで真っ暗・・・」

まどか「こんな遅い時間まで外に出てたの初めてかも」

ほむら「家までは私が送り届けるから大丈夫よ、まどか」

まどか「ごめんね、ほむらちゃん」

ほむら「いいのよ。貴女が危ない目に会う方がずっと嫌だもの」

杏子「ま、こんな時間にもなれば危ない奴の一人や二人は居てもおかしくないからな」

まどか「ねぇ、杏子ちゃんは本当に野宿なの?」

杏子「ちょっとした事情でさ、あたしもマミみたいに一人っきりなのさ」

まどか「そんな・・・」


まどか「良かったら今日はわたしのお家に・・・」

まどか「パパにお願いすればそのぐらいならなんとかなるから」

杏子「いや、マミにも言ったけど今日はいいんだよ」

杏子「ちょっと寄らないといけない所があるからさ」

まどか「そっか・・・」

ほむら「何か用事かしら?」

杏子「まぁ、次に会うときに分かるさ」

ほむら「そう・・・」


杏子「あっ、そういや詳しい話をしてなかったよな」

杏子「マミの奴は昔みたいに、夕方から魔女退治をしてるのか?」

ほむら「えぇ。ただ、今は全員で特訓をしているからその後に街を回っているわ」

杏子「へぇ。マミの奴まで特訓ね・・・」

まどか「放課後に川原の端の下でやってるんだよ!」

杏子「そんじゃ、あたしも明日からは寄らせてもらうよ」

杏子「一緒に戦う事になったのに、あたしだけサボってたんじゃ居心地が悪そうだ」

ほむら「えぇ、歓迎するわ」

ほむら(やはり、杏子は仲間に引き入れると雰囲気が変わるわね)

ほむら(根はいい子、なのね・・・)


杏子「おっと、あたしは風見野だからあっちだ」

まどか「うん、また明日ね。杏子ちゃん」

ほむら「放課後に待っているわ」

杏子「おーう」


ほむら「さぁ、私たちも行きましょう?」

まどか「うん!」

まどか「・・・あれ?」





まどか「そこ・・・誰かいるの?」



ほむら「まどか?どうしたの?」

ほむら「早く帰らないと。これ以上ご家族を心配させてはいけないわ」

まどか「あ、うん」

まどか「気のせい、かな?」



『・・・・・・』

少し短めですが、本日の投下はこれで終了です。
また、ここで一区切りとなります(何章だったか・・・)。

次回の投下は来週の予定です。

投下を再開します、って書こうとしたら地震が起きてビックリした。


投下を再開します。


----翌朝 マミホーム・リビング----

さやか「あの、ですね・・・」

さやか「凄く悪い事をしたって自覚はあるんだ」

さやか「一歩間違えたらレヴィは死んでた訳だし」

さやか「自分勝手な事をして、みんなにも心配かけたしね」

さやか「ただね、シュテルに無理矢理やられた指圧とかで結構疲れも抜けて」

さやか「なんていうかお腹も空いてるんです」


さやか「朝ごはんが生の食パン半分とハムが1枚って酷いよ・・・」


ディアーチェ「貴様、食事を出してもらえただけありがたいと思わんのか?」

ディアーチェ「我はまだ貴様を赦した訳ではないのだぞ」

さやか「はい、すみません・・・」

マミ「王様・・・意地悪しないであげて?」

マミ「その話はレヴィちゃんの判断に任せるって、昨日の夜に決まったでしょ?」

ディアーチェ「ふんっ!」

コトッ

さやか「おぉ、トーストが!」

ディアーチェ「追加で卵を焼いてきてやる、待っていろ」

さやか「ありがとう!」


マミ「良かったわね、美樹さん」

さやか「はいっ」

さやか「ところでマミさん」

マミ「何?」

さやか「その何枚も積んであるトースト、全部食べるんですか?」

マミ「え?」

マミ「えぇ、そのつもりだけど・・・」

さやか「ボウルみたいな器に盛ってあるサラダも、大量にある卵焼きもですか?」

マミ「そう・・・だけど・・・?」

さやか「・・・」

さやか(魔女退治でかなり動いてるだろうし、あのぐらい普通なのかな?)

さやか(でもって、消費できない分の栄養は全部胸に行ってるんだろうなぁ)


ガチャッ

レヴィ「ねむねむ・・・」

シュテル「レヴィ、目を開かないと転びますよ」

レヴィ「んんー・・・」

さやか「レヴィ!」ガタッ

レヴィ「んあ、さやかぁ?」

さやか「ゴメン!」

レヴィ「・・・」


さやか「あたし、レヴィに謝っても謝りきれない事しちゃった」

さやか「あたしがバカだったせいで、みんなにも心配かけて」

さやか「無茶をしてるところを止めようとしてくれたレヴィにも、あんなことして・・・」

さやか「許してもらえるとは思ってない、だけど!」

さやか「あたしにできる償いはなんでもするから」

さやか「だから、えっと・・・なんていうか」

さやか「ごめん、レヴィ!」

レヴィ「・・・」

さやか「レヴィ?」


レヴィ「ケーキ・・・」

さやか「へっ!?」

レヴィ「後でケーキ買ってくれたら許す!」

さやか「ケーキ!?」

さやか「そ、それでいいの?」

レヴィ「うん」

さやか「分かった、学校が終わったら凄くおいしいケーキを買ってくるよ」

さやか「あたしとレヴィとの約束!」

レヴィ「へへっ」


マミ「えっと・・・レヴィちゃん、それで美樹さんを許してくれるの?」

レヴィ「うん、ボクあんまり気にしてないし」

マミ「・・・」

ディアーチェ「まぁ、ユーリにも一度腹を貫かれたからな」

さやか「うぇ!?」

ディアーチェ「ほれ、ハムエッグにしてきてやったぞ。レヴィの分もある」

シュテル「王、私とレヴィは串刺しにされた2度目があります」

マミ「!?」


ディアーチェ「おぉ、そうだったな」

さやか「軽っ・・・あたしらと感覚が違う・・・」

さやか「というか、それならなんで昨日はあんなに怒ってたのさ」

ディアーチェ「莫迦者。それとこれとは話が違うだろうが!」

さやか「あ、はい・・・」

マミ「と、とりあえず冷めちゃう前にご飯を食べましょう?」

マミ「ほらレヴィちゃん、サラダ取ってあげる!」

レヴィ「うん!」

シュテル「では私はトーストから頂きましょう」

さやか「!?」


さやか「あれってマミさんの分じゃなくて、みんなで分けるやつだったのか!」

マミ「なっ!?」

マミ「一人でこんなに食べられるわけないでしょ!」

さやか「ヤバっ!声に出てた・・・」

ディアーチェ「喧しい!さっさと食べろ!遅刻するぞ!」

さやか「は、はいっ!いただきます!」


----見滝原中学校・教室----

さやか「おっはようー!」

まどか「さやかちゃん!」


ガヤガヤ

「えっ、美樹さん?」
「マジだ、美樹が登校してきたぞ」
「もう用事は大丈夫なのかな?」
「やっぱり美樹さんが居るとクラスが明るくなるよねー」


さやか「いやー。みんなごめんね、急に休んで心配させちゃってさ」

さやか「でも、もう大丈夫だから!」

恭介「さやか、心配したよ!」

さやか「あ、恭介・・・」

さやか「ごめん、今朝はどうしても一緒に学校に来られない事情があって・・・」

恭介「そんな事は構わないよ」

恭介「そもそも、僕からお願いした事なんだからさやかは気にしなくていいのに」

さやか「でも、連絡とかも出来なかったし・・・」

さやか「そのかわり、明日からはまた一緒に登校出来るからね」

恭介「あ・・・」

恭介「そのことなんだけど・・・」

恭介「・・・」

恭介「さやか、ごめんちょっとこっちへ・・・」


さやか「どうしたの?教室の隅にわざわざ移動して?」

恭介「実は、今日の放課後に大切な話があるんだ」

さやか「え?」

恭介「時間は掛からないから、いいかな?」

さやか「今日の放課後は用事が・・・」

恭介「本当に少し時間を取ってくれればいいんだ」

恭介「大切な話だから・・・」

さやか「う・・・うん・・・」


仁美「・・・」

ほむら(さやかと上条恭介、何の話を・・・)

ほむら(仁美の様子もおかしい・・・)

ほむら(昨日の今日だし・・・油断しないほうがいいわね)


----授業中----

さやか(恭介、改まって何の話だろう・・・?)

さやか(まさか告白!?)

さやか(って、ないない)

さやか(多分、恭介には単なる幼馴染にしか思われてないだろうし)

さやか(あ、バイオリンを聞かせてくれる話かな?)

さやか(でも、それじゃそんなに改まってする話じゃないだろうし・・・)

さやか(うーん・・・)


さやか(・・・)

さやか(恭介、か・・・)

さやか(仁美も恭介のことが好きなんだよね・・・)

さやか(あたしには見滝原を護る役目があるし)

さやか(どうしたらいいんだろう?)

さやか(恭介の事は好きだけど)

さやか(でも、もし恭介と付き合えたとして・・・)

さやか(仁美や、魔法少女の事はどうしたらいいのかな)

さやか(どれも、あたしにとっては大切な物・・・)

さやか(何にも決められないや・・・)

本日の投下はこれで終了です。
次の投下は来週の予定です。


----放課後 見滝原中学校・教室----

さやか(もう放課後になっちゃった・・・)

恭介「さやか」

さやか「恭介・・・」

恭介「ここだとちょっと話せないから、外に移動したいんだけどいいかな?」

さやか「えっと、朝も言った通り用事があるから」

さやか「あんまり時間が・・・」

恭介「うん、分かってる。じゃあ急ごうか」

ほむら「待って」

さやか「ほむら?」


恭介「暁美さん?それと鹿目さんも。どうしたんだい?」

まどか「あ、その・・・」

ほむら「私たちも一緒に行っていいかしら?」

さやか「へ?」

ほむら「私たちはさやかの友達?だもの、一緒に話を聞いてもいいと思うけれど」

さやか「ちょっと待って、今なんで疑問系だったの」

恭介「・・・」

まどか「上条君、いいかな?」

恭介「ゴメン、悪いけど二人には遠慮して欲しいんだ」

恭介「これは僕たちの話だから」


ほむら(くっ、やっぱり無理だったわね・・・)

恭介「さぁ、さやか。行こう?」

さやか「え?うん・・・」

ほむら(まずいわ。嫌な予感がする)

ほむら(こちらがダメなら一応、仁美の動向を・・・)


ほむら(・・・いない!?)

まどか「ほむらちゃん、さやかちゃんたち行っちゃったよ?」

まどか「その・・・本当に大変なことが起きるの?」

ほむら「えぇ、そうよ」

ほむら「仕方ないわ。コッソリ後を付けましょう」

まどか「う、うん・・・」


----見滝原市・路上----

ほむら(付けてきたものの、変わった様子はない・・・)

ほむら(軽い談笑で笑い合ったりもしているし)

ほむら(気にしすぎだったのかしら?)

ほむら(それにしても、あまり来たことがない場所まで来たわね)

まどか「内緒で尾行なんて、いいのかな?」

ほむら「大丈夫よ。魔法少女ともなれば、このぐらい日常茶飯事だから」

まどか「そ、そうなんだ・・・」


杏子「・・・」

杏子「何やってんだあんたら?」

ほむら「!?」ビクッ

まどか「杏子ちゃん!?」

杏子「えっと、まどかと・・・ほむらだっけ?」

杏子「コソコソと・・・まるで泥棒してるみたいじゃん」

まどか「えっと、その・・・」

杏子「あたしが言うのもなんだけど、悪い事を考えてるならやめておきな」

杏子「悪い事ってのは最後の最後に自分に帰ってくるんだぜ?」

ほむら「違うわ。私たちはさやかを尾行していただけよ」

杏子「充分悪い事じゃねーか・・・」


杏子「というか、さやかなんてどこにも居ないけど?」

まどか「えっ!?」

ほむら「しまった!見失った!?」

ほむら(このあたりは土地勘がない・・・)

ほむら(探すことは無理そうね・・・)

杏子「残念だったね。んじゃ、諦めてあたしと一緒にマミの家まで行こうか」

まどか「マミさんのおうちに?」

杏子「あぁ、お土産持ってきたんだ」

ジャラッ

ほむら「その袋は?」

杏子「後でのお楽しみ、ってね」

ほむら「・・・」

ほむら(さっきまでのさやかのあの様子・・・)

ほむら(やっぱり、気にしすぎだったのかしら?)


----マミホーム・リビング----

マミ「家で佐倉さんを待っていて良かったわ」

マミ「いつもみたいに橋の下まで行っていたら、すれ違いになっていたわね」

杏子「まぁ、そんときはそん時さ」

ディアーチェ「それで、赤色。その包みの中身は何だ?」

レヴィ「お菓子?」

杏子「違うよ、これさ」

ザラザラザラ

マミ「グリーフシード・・・こんなにいっぱいどうしたの?」

シュテル「かなりの量ですね」


杏子「あたしが今まで集めた全部さ」

杏子「これから必要になってくると思ってね、みんなで使おうと思って持ってきたんだ」

ほむら「なるほど、用事ってこれを取りに行っていたのね」

杏子「あぁ、隠し場所から全部持ってきたんだ」

まどか「杏子ちゃんって凄いんだね」

ディアーチェ「ふむ、今日から少し試そうと思っていたことがあってな」

ディアーチェ「これはなかなか都合がいい」

ディアーチェ「赤色、褒めてつかわすぞ」

杏子「はいはい」


マミ「試したいことって?」

ディアーチェ「さやかが来たら説明してやる」

レヴィ「ケーキも食べないとね!」

マミ「そういえば、美樹さんは?一緒じゃなかったの?」

まどか「あ、えっと・・・」

まどか「多分、後で来るはずです!」

シュテル「では、時間が空いていますし」

シュテル「ホムラ、以前説明したフルドライブバーストの練習をしましょう」

ほむら「え?ここで?」

シュテル「はい、客室を使いましょう」


----見滝原市・街外れの喫茶店----

ガチャッ

カランカラン

恭介「ここさ」

さやか「へぇ、こんな場所にこんなレトロな喫茶店があったんだ・・・」

さやか(あ、ケーキのテイクアウトが出来る)

さやか(色々揃ってるし、こっちに来て良かったかも)


恭介「えっと・・・」

仁美「お待ちしておりましたわ。さやかさん、恭介さん」

さやか「仁美!?」

恭介「遅くなってごめん、仁美さん。ちょっと暁美さん達と話をしていたから」

仁美「構いませんわ」

仁美「さぁ、奥の席を取ってありますからそちらへ」

さやか「・・・どういうこと?」


--------

----

--

さやか(どうして仁美が・・・?)

さやか(それに、なんで二人は隣同士で座って・・・)

仁美「恭介さんからお話があると聞いて来たのに、私が居るのが不思議ですか?」

さやか「あ、えっと・・・」

恭介「変に誤解されるのも嫌だったから、わざと言わなかったんだ」

恭介「黙っていてゴメン、さやか」


さやか「え、その・・・話って・・・?」

仁美「・・・」

仁美「私と恭介さん、二人から」

仁美「さやかさんにお話があります」

恭介「・・・」

さやか「嘘・・・」

少し短めですが、本日の投下はこれで終了です。
次の投下は来週の予定です。

もうちょっとすればバトルシーンだ。頑張ろう・・・

投下を再開します。


----マミホーム・客室----

シュテル「そうです、その感じです」

ほむら「くっ・・・」パァァァァ

まどか「ほむらちゃん、がんばって!」

ほむら「ぐ・・・」パァァァァァ

シュテル「そこまで。一旦休憩しましょう」

ほむら「ふぅ・・・」

ほむら「魔力を少しずつ全身から砲身の先に集めるだけなのに、難しいわね・・・」


シュテル「単なる魔力収束ではありませんからね」

シュテル「もう一度説明しますが、この技は魔力収束と魔力拡散が重要です」

シュテル「単なる収束ではなく、収束した魔力の一部を適度に圧縮して拡散させ続けなければなりません」

シュテル「収束しただけでは発動時に効率的な魔力の炸裂が行えないのです」

シュテル「ですので、収束を行いつつ拡散させるイメージを創り上げる必要があります」

ほむら「言うだけなら楽なものよね・・・」

まどか「大丈夫!ほむらちゃんならできるよ!」

ほむら「ありがとう、まどか。頑張って完成させてみせるわ」

まどか「うん!」

シュテル「・・・」


ほむら「それにしても、やっぱりこのデバイスというものは便利よね」

ほむら「貴女達の魔法について知識が無くても、ちゃんと魔法を使えるのだから」

シュテル「ホムラのデバイスに関しては、それ程サポートを行ってくれる物ではありませんよ」

シュテル「高度なデバイスになると、自律思考を行って魔法を使用してくれる物までありますので」

まどか「魔法って凄いんだね」

シュテル「資質さえあれば、魔導の未経験者がいきなり高度な戦いを行う事も可能です」

まどか「へぇ・・・」


シュテル「ホムラのデバイスは、ミッドチルダ式の部品を使ってフォーミュラ・エルトリアをエミュレートしていますので」

シュテル「急ぎでそこまで高度なデバイスは用意できませんでした」

シュテル「申し訳ありません」

ほむら「謝らないで、シュテル」

ほむら「これで充分助かっているのだから、そんな事をされては立つ瀬が無いわ」

シュテル「はい」

シュテル「そういえば、今の話で思い出しました」

シュテル「こちらの地図を」


ほむら「これは・・・?」

まどか「喫茶・翠屋?」

ほむら「何の地図かしら?」

シュテル「私達がエルトリアに帰った後、もしデバイスに異常があるようでしたらそこを訪ね」

シュテル「そして、『末の妹に会いたい』と店長に伝えてください」

ほむら「それはどういう意味が?」

シュテル「その人物の友人が、私の師匠ですので」

シュテル「ほむらのデバイスを診せれば自分が作った物だと分かり、修理してくれるはずです」


ほむら「そうなのね、助かるわ」

まどか「あっ、聞いた事があると思ったけど」

まどか「このお店、前にテレビで紹介されてた『街の小さな名店』って所だよ!」

ほむら「へぇ・・・」

シュテル「それは知りませんでした。なるほど・・・」

まどか「ちょっと遠いけど、今度行ってみようかなぁ」


----マミホーム・リビング----

ディアーチェ「ふむ、古代ベルカ語だとそこは・・・」

マミ「意味は勿論として、やっぱり語感も重要だと思うの」

マミ「あとはやっぱり閃き、かしら?」

レヴィ「ボクは叫んだ感じが気持ちいいのが好きだなぁ」

マミ「そこも気をつけないとダメよね」

杏子「どうでもいいから、あたしの必殺技を考え続けるのはやめてくれ・・・」

マミ「え?どうして?」


杏子「どうしてって言われても・・・」

マミ「ダメよ佐倉さん、ロッソファンタズマが使えないと聞いた以上は放っては置けないわ」

マミ「魔法少女たるもの、必殺技は必要よ!」

杏子「いや・・・」

ディアーチェ「全く・・・技の一つも無いで、よく今まで戦ってこられたものだ」

ディアーチェ「流石の我も呆れたぞ」

レヴィ「必殺技はいっぱい持ってないとね!」

杏子「あたしが変なのか・・・?」

杏子「いやいや、そんな事無いはずだ!」

杏子「さやか、早く来てくれ・・・」


ガチャ

ほむら「ふぅ、いい練習になったわ」

まどか「あれ?みんなで何してたんですか?」

マミ「佐倉さんの必殺技を考えていたのよ」

シュテル「必殺技ですか」

ディアーチェ「くくっ、我らにかかれば造作も無いことよ」

まどか「わたしも混ぜてください!」

杏子「!?」


レヴィ「いいよー!リボンちゃんも一緒に考えよう!」

杏子「お、おいほむら!あんたも技名なんて叫ばないよな?」

ほむら「私は・・・」

ほむら「・・・」

ほむら「いいえ、勿論叫ぶわ。魔法少女として常識よ」

杏子「どういうことだおい・・・」

ほむら(貴女だけ逃げるなんて真似はさせないわ。道連れよ、杏子)


杏子「そうだ!シュテル、だっけか?あんたは叫ばないよな?」

シュテル「全力全開で叫びますが」

杏子「なんてこった・・・」

マミ「大丈夫よ、佐倉さん。ちゃんと格好いい名前を考えるから安心して」

まどか「みんなで頑張りましょう!」

杏子「仲間になるんじゃなかった・・・」


ピンポーン

まどか「あっ、さやかちゃんかな?」

杏子「助かった!」

マミ「開いてるわよー!」

ほむら「それじゃ、少しゆっくりしたら特訓かしら?」

ディアーチェ「やむを得ん、技名はまた後日だな」

レヴィ「それまでにいっぱい考えておかないと!」


ガチャ

さやか「ごめん、遅くなって・・・」

シュテル「おや?」

さやか「レヴィ、これ約束のケーキ・・・買ってきたから・・・」

レヴィ「う、うん・・・?」

まどか「さやかちゃん?」

杏子「どうしたんだよ、元気ないじゃん?」

さやか「・・・」


ほむら(まさか・・・)

ほむら「上条恭介と何を話したの!?」

さやか「えっと・・・ごめん、言えないよ」

ほむら「言いなさい!」

さやか「でも・・・」

マミ「美樹さん、みんな貴女の事が心配なのよ?」

マミ「話し辛い事かも知れないけれど、悩んでいるなら話を聞くわよ?」

さやか「・・・」

さやか「実は・・・」

半端な位置ですみません。本日の投下はこれで終了です。
次の投下はGWという事もあって、なるべく来週より前にするつもりですが、
ちょっと忙しいというのもあるので確実ではないです。
がんばります。

投下を再開します。


----少し前 見滝原市・街外れの喫茶店----

仁美「私と恭介さん、二人から」

仁美「さやかさんにお話があります」

恭介「・・・」

さやか「嘘・・・」

恭介「何だか緊張してきちゃったな」


仁美「あら?昨日の言葉は嘘でしたの?」

恭介「違うよ。僕の本心だよ。」

仁美「それなら、ここまで来て隠すわけにはいきませんわ」

恭介「そうだね」

恭介「さやか」

仁美「さやかさん」

さやか「いや・・・っ!」


恭介「ずっと好きだったんだ、僕と付き合ってくれ!」
仁美「貴女の事が好きです。私と一緒に居てください!」




さやか「やめて!」

さやか「・・・え?」


さやか「ちょ!?待って、ゴメンもう一回いい?」

仁美「あら?告白を聞き逃すなんて、失礼ですわよ?」

さやか「そうじゃなくて、意味が分からなかったっていうか・・・」

恭介「いやぁ、とうとう言っちゃったよ」

さやか「だって恭介、ずっとそんな素振りなんてなかったのに・・・」

恭介「告白して断られたら、今の関係だってなくなるかもしれないからね」

恭介「怖くてそんな事できなかったよ」


恭介「それに、さやかはヒーローみたいな人が好きなんだろ?」

恭介「僕とは似ても似つかないからね」

恭介「仁美さんが焚きつけてくれなかったらずっと言い出せなかったよ」

さやか「そうだ、仁美も!」

さやか「恭介以上に訳わかんないよ!」

さやか「あたし達、女同士だよ!?」

仁美「さやかさんは格好いいですから問題ありませんわ」

さやか「あるでしょ・・・」


仁美「私だって、随分と悩みました」

仁美「間違ってると何度も何度も思いました」

仁美「さやかさんには恭介さんという幼馴染だっていますし」

仁美「叶わぬ恋なら、いっそ想いを捨てようとも・・・」

仁美「ですが先日、さやかさんが恭介さんをどう思っているのかを聞いて」

仁美「私にも、もしかしたら希望があるかもしれないと」

さやか「その・・・どうだろう?」

恭介「昨日ね、僕は仁美さんに呼び出されたんだ」


さやか「そうなの?」

仁美「はい。恭介さんがさやかさんをどう思っているのかを知りたかったので」

仁美「私がさやかさんの事を慕っているという告白を聞いてもらいましたの」

恭介「そのとき、僕も決心したんだ」

恭介「告白が出来なくて、唯一さやかを喜ばせることが出来たバイオリンも失って絶望していた僕だけど」

恭介「さやかの言う通り・・・いや、さやかが起してくれた奇跡で手が治ったんだ」

恭介「だから、一度死んだ気になって思い切ってみようと思ってね」

さやか「き、奇跡って・・・別にあたしは何も」


恭介「僕だって馬鹿じゃないよ」

恭介「さやかが励ましてくれた後で、本当に奇跡が起きたんだ」

恭介「あれはさやかが起してくれた奇跡だって、そう思ってる」

さやか「・・・」

仁美「そして二人で話し合い、さやかさんの意思に全てを任せる事にしました」

恭介「重要なのは僕たちの意見じゃないからね」

仁美「勿論、今すぐに答えを出していただかなくても構いません」

恭介「うん、僕たちはいつまでだって待つよ」


さやか「いや、っていうかさ」

さやか「二人とも名前で呼び合ってるし、仲もいいみたいだし・・・その、二人で付き合ったら・・・?」

恭介「仁美さんには悪いけど、ちょっと無いかな」
仁美「世界が100週廻ったとしてもありえませんわ」

さやか「えぇー・・・」


----時間は現在戻り マミホーム・リビング----

さやか「・・・って事に」

ほむら「・・・」

ほむら「ノロケじゃないの!」

さやか「いや、だから言いづらかったんだよね」

さやか「一応、返事は保留にしてもらってるんだけど・・・」

まどか「ねぇ、ねぇ!それで、さやかちゃんはなんて返事するの?」

さやか「まどかは随分とグイグイ来るね・・・」


まどか「だって、わたし告白とかされた事ないからどんな感じなのかなって」

まどか「1回ぐらいは告白されたりとか、ラブレター貰ったりとかしてみたいなぁ・・・」

ほむら「!」

マミ「告白って・・・幼馴染と同性の友達が同時にって・・・」

マミ「えぇ・・・!?」

ディアーチェ「何だマミは?どうかしたのか?」

杏子「いやまぁ・・・普通はそういう反応するよな。あたしも結構驚いてるし」


シュテル「同性という所は気にする点では無いのでは」

さやか「いや、一番気にする箇所でしょ」

レヴィ「え?でも、オリジナルとなの・・・」

ディアーチェ「別にどうでもよかろう」

ディアーチェ「さぁ、揃った所で特訓へ行くぞ!」

マミ「え、えぇ・・・分かったわ」

レヴィ「あ、待ってよ王様!ケーキ食べてから行こうよ!」

シュテル「そうですね。一息ついてからにしましょうか」

ディアーチェ「む、ならばさっさと済ますぞ」


杏子「なぁ、さやか」

さやか「ん?何?」

杏子「さやかは、その・・・技名とか叫ばないよな?」

さやか「何言ってんの?」

さやか「杏子と戦ったときも叫んでたじゃん」

杏子「はっ、そういえば!?」

さやか「魔法少女ってそういうもんじゃないの?」

杏子「そう・・・なのか・・・?」

さやか「違うの?」

杏子「違う・・・いや、でも叫んで無いのはあたしだけみたいだし・・・?」

杏子「どういうことだ・・・」

本日の投下はこれで終了です。
次回の投下は一応来週の予定です。

>>689
だから、その二人のやりとりをもっと詳しく描写してくれないかねレヴィさん、と言っているのだよ

面識ないけどカリムとか?
あの人のレアスキルは預言だよな

契約はどうなんでしょうね?
そもそも人間しか契約できないルールも明確化されていないし、案外感情さえあれば可能かも?

協力者については、基本的に本編以外で言及するつもりもなかったのですが、
>>700
残念ながらStSのキャラの可能性は0です。
カリムさんの魔法って、良く当たる占い程度ですよね・・・切ない。
ちなみにStSではシャッハが好きです。


一応週末に投下予定でしたが、>>690の方がそういう事いうから、思いついちゃったじゃないですか。
番外編を投下します。



~~番外編・シュテルの独り言?~~



シュテル「はい?」

シュテル「レヴィのオリジナルともう一人についてですか?」

シュテル「えぇ、まぁ・・・差し支えありませんのでお話してもよろしいですが」

シュテル「興味があると?」

シュテル「はぁ・・・?」


シュテル「分かりました。では簡単にですがご説明しましょうか」

シュテル「レヴィのオリジナルともう一人、そちらは私のオリジナルですね」

シュテル「その二人は傍から見ていても非常に仲がいいですね」

シュテル「そうですね・・・では簡単なエピソードでも・・・」

シュテル「あれは我々がユーリを助け出し、少し経ってからの話です」


--------

----

--


----アースラ艦内・食堂----

茶髪の少女「はい、あーんっ!」

金髪の少女「い、いいよ!一人で食べられるよ」

茶髪「えー!こうやって食べたほうがおいしいんだよ?」

金髪「だ、だって・・・ほら、見られてるから・・・」

オッドアイの少女「大丈夫、気にしないで続けて続けてー」

金髪「えぇ!?」


シュテル「おや?」

レヴィ「何やってんのー?」

茶髪「あ、聞いてよシュテル!お菓子を食べさせてあげようとしたんだけど、嫌がられちゃって・・・」

金髪「恥ずかしくて無理だよ・・・」

レヴィ「オリジナルに食べさせてあげるの?」

茶髪「うんっ!」


シュテル「・・・?」

シュテル「見た所健康そうですし、自分で食べられるのでは?」

茶髪「あーもー、シュテルも分かってないなぁ」

シュテル「?」

茶髪「仲が良い友達はそうするの。そっちの方がおいしく食べられるんだよ!」

レヴィ「へぇー」

茶髪「ということで・・・はい、あーん」

金髪「うぅ・・・」


シュテル「ところで、彼女達の娘であるあなたは接触を控えるように言われているはずでは?」

オッドアイ「はい、だから見てるだけなのです」

オッドアイ「未来のママたちもあんな感じだから、ちょっと安心しました」

レヴィ「そっか、二人の娘なんだっけ?」

オッドアイ「そうですよー」

オッドアイ「そういえば二人とも、この時代から付き合っちゃったりしてるのかな?」

オッドアイ「だったら、どっちから告白したんだろー?」

レヴィ「こくはく?」

シュテル「ふむ。地球ではそういった形も不自然ではないのですね」


金髪「や、やめてってば!」ガタッ

茶髪「そこまで嫌ならしょうがないかぁ・・・」

金髪「あ・・・」

金髪「その、誰も見てない所でならいいよ?」

茶髪「本当!?」

茶髪「じゃあ私が使ってる休憩室いこっ!」

茶髪「う、うん」

オッドアイ「~♪」ニヤニヤ


レヴィ「なんか必死だったね」

シュテル「あれほど勧めるという事は、余程おいしくなるのでしょう」

レヴィ「そっかー」

レヴィ「シュテるん。今度やってみようか?」

シュテル「そうですね。では、機会があれば」

オッドアイ「ほほぅ、こっちもですか・・・」ニヤニヤ


--------

----

--


シュテル「といった感じですね」

シュテル「はい?味はおいしくなったかですか?」

シュテル「そういえば、それっきりでまだ試していませんでした」

シュテル「ふむ、私とレヴィの仲が良いか・・・ですか?」


シュテル「そうですね、昔から共に在りますし」

シュテル「王のために忠義を尽くすという共通の目的もあります」

シュテル「それなりに仲は良いかと」

シュテル「え?違う?」

シュテル「そうですか。難しいですね」

シュテル「今後の課題としておきましょうか」


シュテル「・・・はい?」

シュテル「あの二人の仲が良いか不安だと」

シュテル「なるほど・・・」

シュテル「私が見るに、充分仲がいいと思いますが」

シュテル「以前私が魔女から助け出したときも、お互いを守ろうとしていましたから」

シュテル「良き関係を築けているように見えます」

シュテル「ふむ、確かに・・・」

シュテル「貴女も受け入れてもらえるといいですね」

シュテル「では、そのために最後まで頑張るとしましょうか」



~~番外編・シュテルの独り言? おわり~~


本日の投下は終了です。

本編につきましてはいつも通り週末予定ではありますが、
なんだか不穏な空気が職場を包んでおります。
なるべく頑張ります。

一応、なのは側のキャラの名前に関しては、
名乗る、呼ばれるまでは基本的に出さないスタンス(のつもり)です。
今回無名が3人居るので、???ではなくて外見的特徴になりました。
はやてだったら「車椅子の少女」とかになる感じです。

投下を再開します。


----見滝原市・河川敷 橋の下----

マミ「そういえば、今日は特別な事をするって言っていたけれど?」

ディアーチェ「うむ」

ディアーチェ「その前に、赤色」

杏子「ん?」

ディアーチェ「この本のページに触れ」

杏子「何だこれ?」

スッ

カチッ

ディアーチェ「プログラム起動までこれであと一人か」

シュテル「はい」

マミ「佐倉さん、やっぱり貴女も選ばれし・・・」

杏子「?」


ディアーチェ「さて、我は考えた。やはり実戦に勝る修行は無いと」

ディアーチェ「考えてみれば我らや、我の知る中で程々に強かった者共も実戦で腕を磨いてきている」

ディアーチェ「よって、今日から実戦形式で特訓を行う!」

ディアーチェ「都合よく赤色がグリーフシードを大量に持ってきた。これで貴様らの魔力は心配要らぬからな」

ほむら「いきなりそう言っても、そう都合よくポンポンと魔女や使い魔が出てくる訳じゃないわよ?」

ディアーチェ「その点は大丈夫だ」


さやか「まさか、シュテルやレヴィと戦えってんじゃないでしょうね?」

さやか「言っとくけど、もうあたしがレヴィに勝つなんて無理だからね」

レヴィ「今度は負けないって約束したもんね!」

シュテル「王、まさか・・・」

ディアーチェ「うむ、そのまさかだ」

ディアーチェ「魔力がほぼ戻った今なら容易い事よ」

マミ「何か手があるの?」


ディアーチェ「貴様らの相手として最も相応しい者共を用意してやろう」

さやか「どゆこと?」

ディアーチェ「まぁ見ていろ」

ディアーチェ「まずは結界を張る!」

杏子「結界?魔女の結界か?」

まどか「ま、魔女・・・?」ビクッ

ディアーチェ「広域結界、展開!」


----ベルカ式結界内部・河川敷 橋の下----

まどか「えっ!?」

マミ「これは・・・」

ほむら「空の色が変わった・・・?」

ほむら「それに、さっきまで聞こえていた車の音なんかも聞こえなくなったわ」

シュテル「ベルカ式の結界です。魔力で創った独立した世界と思っていただければ宜しいかと」

ディアーチェ「地形を消す事もできたがな、とりあえず現実世界そのままにしておいた」

さやか「なんでもありすぎでしょ・・・」

シュテル「人も居ませんので、存分に戦えますよ」

レヴィ「これね、すごいんだよ!」

レヴィ「建物とか壊しちゃっても、全然平気なんだ!」


杏子「んで、こんな大層なものまで用意してくれて」

杏子「一体誰と戦うってんだ?」

マミ「私たちが戦う相手として相応しい、って」

マミ「魔女ぐらいしか浮かばないのだけれど?」

ディアーチェ「それも今用意する、変身して待っていろ」

ほむら「用意・・・?」

ディアーチェ「出でよっ!闇の欠片達よ!」

ズッ

ズズズズズ

さやか「地面から何かが?」

マミ「嘘・・・これって・・・」


闇の欠片 ほむら「もう、誰にも頼らない・・・」


闇の欠片 マミ「誰か助けて・・・」


闇の欠片 さやか「みんなをを護らないと・・・」


闇の欠片 杏子「いいぜ、一緒に居てやるよ」

>>729 訂正です
×
闇の欠片 さやか「みんなをを護らないと・・・」


闇の欠片 さやか「みんなを護らないと・・・」


ほむら「!?」

杏子「なっ!?あたし達!?」

まどか「どういうこと!?」

レヴィ「闇の欠片かぁ。ボク、こいつら苦手なんだよなー・・・」

ディアーチェ「リソースの断片を使って欠片を生成してやった」

ディアーチェ「しかも、貴様らの記憶から再生できる範囲で『最高のコンディション』の状態だぞ」

シュテル「ふむ」


ディアーチェ「こやつらと対等に張り合えるようになるまで必死に戦え!」

ディアーチェ「まずは常に己の最大の力を発揮できるようになるのだ」

さやか「良く分からないけど無茶苦茶過ぎでしょ!」

ほむら「来るわよ!」

マミ「待ってはくれなさそうね。みんな、とにかく自分を相手にしましょう!」

杏子「分かった!」


マミ「自分と戦う事になるなんて、思ってもみなかったわ」

闇マミ「・・・」カチャッ

マミ「銃まで一緒・・・」

マミ「いいわ。本物の力、見せてあげる!」


そう言うと、マミも一挺のマスケット銃を取り出して構える

それと同時にお互いにまず1発、引き金を引く


魔力で構成された銃弾は、それぞれがぶつかり合って炸裂する


マミ「今っ、レガーレ・アスタヴァリア!」

闇マミ「この程度っ!」


銃弾が炸裂した衝撃で巻き上がる砂埃

それに乗じてすかさずリボンで拘束を試みるマミ

しかし、闇の欠片は軽やかなステップでそれらを難なく避ける


闇マミ「行くわよ!!」


マミのリボン拘束の間を突き、闇の欠片が宙に大量のマスケット銃を配置する


マミ「なら、こっちも!」


同じくマミも大量のマスケット銃を配置する


マミ「パロットラ・」
闇マミ「マギカ・」
マミ「エドゥ・」
闇マミ「インフィニータ!」


先ほどの銃撃の同様、お互いが全弾を同時に発射する

しかし、今度は先ほどとは違った


マミ「!?」


弾幕のぶつかり合う嵐を抜け、数発の銃弾がマミの体を掠めていった


マミ(嘘・・・競り負けた・・・!?)

マミ(あっちの方が僅かに威力が高いのかしら?)

マミ(いえ、それともマスケット銃の数?)

マミ(ともかく、それだと長期戦ではいずれ押し切られてしまうわね)


マミは不利を悟ると、高威力の技で一気に勝負を決めてしまうのが最善と判断する


マミ「一気に決めさせて貰うわよ!」

闇マミ「っ!」




マミ「ティロ・フィ-----!?」


マミは巨大な大砲を生成し、砲撃を行おうとした

だが、体が動かない


手足は勿論、頭から指先一つに至るまで

一切動かすことが出来ない


マミ「なっ・・・これは!?」


突然の事態に驚きつつも、すぐさま状況を理解する


マミ「ワイヤー?」


マミの体中からワイヤーのような細い糸が地面に伸び、マミの体を固定している

それらは結界内の光を受けて、薄い黄色に輝く


マミ「まさかリボンを?こんなに細く!?」

闇マミ「油断したわね。私が拘束魔法を使わないとでも思ったかしら?」

マミ「くっ・・・」

闇マミ「レガーレ・レティナーレ」

闇マミ「本来は罠に使うものだけど、こうやって指定した地面から出して相手を拘束する事もできるの」

マミ「どうして・・・こんな技、私知らないわ!」

本日の投下はこれで終了です。
戦闘前で切ると短すぎてしまうため、マミ戦だけ・・・

次の投下予定は来週の予定です。
予定・・・です・・・

プログラム起動メンバーは、現状ではお答えできません。
申し訳ない・・・

ただ、現在の起動メンバー4人が魔法少女であるように、
最後の一人も魔法少女です。

予定は未定。でしたが危ない所だった・・・
投下を再開します。


杏子「ほらほらっ!あたしの偽者って割には弱いんじゃないの?」

闇杏子「チッ!」


槍を多節に分割し、鞭のように打ち付けて闇の欠片を追い詰めていく杏子

闇の欠片は槍で防ぐものの防戦一方となり、徐々に後退していく


杏子「どうした!反撃してこないのかい?」


更に勢いをあげて攻撃を続ける杏子


杏子「そらよっ!」

闇杏子「ぐ・・・」


槍による防御の上から相手に回し蹴りを浴びせる杏子

闇の欠片はそのまま吹き飛ばされ、河川敷端の壁に激突する


闇杏子「うあっ!」

杏子「はぁ・・・これが最高のコンディションってやらのあたし?」

杏子「てんで弱いじゃん。バカにされたもんだね」

闇杏子「・・・」


杏子「ま、安心しな。倒さなきゃいけないみたいだけど、命までは取りはしないよ」

杏子「ちょっと眠っててもらうだけさ!」


分割していた槍を戻し、闇の欠片へと突進する

勿論、相手を殺さないために槍の石突側を前にする


闇杏子「・・・ロッソ」

杏子「!?」


槍が触れる寸前、闇の欠片の様子がおかしい事に気付く杏子

だが、勢いがついた状態では止まれない


闇杏子「ファンタズマ!」

杏子「しまった!」


杏子の攻撃は相手をすり抜け、壁に突き刺さる

今までその場で倒れていた闇の欠片は跡形もなく消えていた


杏子(あたしの戦ってたあれは幻覚か?)

杏子(いや、最初は確かに手応えがあった)

杏子(いつの間に入れ替わったんだ!?)


闇杏子1「惜しかったね」

闇杏子2「壁に追い詰めたつもりだったんだろうけど、」

闇杏子3「追い詰められてたのはあんたの方だったってことさ」

闇杏子4「これだけの幻覚、どれが本物か分かるかい?」

闇杏子5「さ、今度はこっちが責める番さ」

闇杏子6「あたしが限界まで磨き上げた幻覚魔法」

闇杏子7「どんな魔法少女だって見抜けるはずはないけどね」


突然背後に現れた大勢の闇の欠片に囲まれる杏子

今度は杏子が壁に追い詰められる形となる


杏子「は・・・ははっ」

杏子「どういうことだよ。どれが幻覚か全然わかんねー」

杏子「いや、そんな事は小さい問題か・・・」

杏子(こいつ・・・)

杏子(技名を叫びやがった!)


闇さやか「・・・」

さやか「・・・」

さやか(どう攻めて来る・・・?)

闇さやか「・・・ふあぁ、ねむ」

さやか「!」ビクッ

闇さやか「座ってよう、っと」

さやか「なっ!?」


さやか「ちょっと、あんた!」

闇さやか「ん?」

さやか「目の前に武器を構えてる相手が居るのに、なんでそんな油断してるのよ!」

闇さやか「あー・・・」

さやか「あんた、あたしと戦うために出てきたんじゃないの?」

闇さやか「あたしさ、自分より圧倒的に弱い相手とは戦わないようにしてるんだよね」

さやか「は?」


闇さやか「手加減するのが苦手でさ、あんまり無理されると怪我させちゃうんだよ」

闇さやか「使い魔や魔女ならいいんだけど、やっぱり魔法少女相手だと後味悪いじゃん?」

闇さやか「だから、そういう相手とはなるべく話し合いで解決したいんだ」

闇さやか「グリーフシードなら少しくらいは分けてあげられるし」

闇さやか「街の平和が第一だから、別に縄張り内で魔女を倒してくれても構わないよ」

闇さやか「何なら使い魔は倒さなくてもいいよ。あたしがサッと片付ければ済む話だから」

さやか「何これ、本当にあたし・・・?」

さやか「っていうか、戦わないんじゃ特訓の意味がないでしょ!」

さやか「相手しなさいよ!」


闇さやか「はぁ・・・そんじゃ、稽古つけてあげますか」


座っていた闇の欠片が立ち上がる


闇さやか「いいよ、おいで」

さやか「おいで、って。武器も持ってない相手に攻撃できるはずないでしょ!」

闇さやか「そういう話じゃないんだけどな・・・」

闇さやか「あぁ、そうか稽古だっけ」


闇さやか「んー・・・」

闇さやか「そんじゃ、まず構えだけど」

さやか「・・・?」

闇さやか「重心がかなり上にあって不安定だよね。もっと腰を落として」

闇さやか「あと、脚に向けてる意識がちょっと疎かなんじゃない?」

闇さやか「それじゃ、何かあってもすぐ行動に繋げられないよ」

闇さやか「サーベルの握りも甘い。強い攻撃受けたら落としちゃうよ?」

闇さやか「武器なしで戦えるなら、それでもいいけどね」

闇さやか「それと、全身そうなんだけど・・・特に左側が隙だらけだね。殺してくれって言ってるようなもんだよ」


さやか「こ・・・のやろー!」


闇の欠片に苛立ち、さやかが斬りかかる


闇さやか「だから、それじゃダメなんだって」


闇の欠片はさやかの斬撃を、刃の腹を左手の甲で押して逸らして受け流す

そして間髪入れずにさやかの顎を右拳で打ち上げる


さやか「!?!?!?」


さやかの体は綺麗に浮き上がり、放物線を描いて後方に飛んでいき


さやか「ぐえっ!?」


そしてそのまま地面に落下する


闇さやか「だから言ったじゃん・・・」

さやか「ぐ・・・このっ!」


意識が朦朧としつつも立ち上がり、サーベルを構える

その刃は空の色ような鮮やかな蒼に染まっている


さやか「これなら・・・っ!」

闇さやか「甘いんだって」


闇の欠片は右手に小刀のような短いサーベルを出すや、一瞬でさやかとの間合いを詰める


さやか「うっ!?」


あまりの素早さに萎縮するさやか

その手のサーベルを、闇の欠片は自分のサーベルで打ち払う

さやかの手からサーベルが離れ、宙を舞って地面に突き刺さる


闇さやか「ほらね、こんな短い剣で払われただけで手放したでしょ?」

闇さやか「まぁ、折れなかったのは大したもんだよ。いい強度だね」

さやか「そん・・・な・・・」


そのままさやかは膝から崩れ落ち、地面に倒れる


闇さやか「あちゃー、またやっちゃった」

闇さやか「顎打ちぬいたのが今頃来たかぁ」


闇ほむら「・・・」

ほむら(最高のコンディションの私)

ほむら(と、いうことは戦い方は・・・)

闇ほむら「・・・」


闇の欠片が右手を盾に添える


ほむら「!」


危険を察知してほむらは前面にシールドを張る

その瞬間、強い負荷がシールドに掛かる


ほむら「くっ・・・!」

ほむら(発射の動きが見えなかった)

ほむら(時間を止めて攻撃されたのね)

ほむら(この威力は・・・分隊支援火器かしら?)

ほむら「というか、時間を止めてくる相手にどうやって戦えばいいのよ!」


闇ほむら「思ったよりも硬いわね」

闇ほむら「これならどうかしら?」


そう言うと、ほむらの目前から闇の欠片の姿が消えた


ほむら(また時間停止!)

ほむら(しまった、防御できない場所から攻撃されたら・・・)

ほむら(下手な武器だとソウルジェムが割れ・・・っ!?)


そんな考えが頭をよぎった瞬間、足元の地面が爆発してほむらは宙に投げ出される


ほむら「きゃっ!?」


そのまま地面に落ち、勢い良く地面を転がる


ほむら「う・・・っ」

ほむら(今のは一体・・・対人地雷・・・?いえ、ロケットランチャーかしら?)


爆風により河川敷の砂利や土が巻き上げられ、視界が遮られる


ほむら(まずいわ。勝てる見込みが無い・・・)

ほむら(どうすれば・・・)


倒れたまま、ほむらが対策を考えていると

土煙が舞い上がっている前方から大量の砂利を巻き上げるような音が聞こえてくる



ほむら(この音・・・段々近づいてきて・・・)

ほむら(砂利の音がするということは、地面を移動している物?)


ほむら(まさか!)


咄嗟に起き上がり、そのまま横に飛ぶほむら

直後、今まで立っていた位置を大型のタンクローリーが通過していく


闇ほむら「外したっ!」

闇ほむら「方向転換よ!」


タンクローリーは更に大量の砂利を散らしながらほむらの居る方向に向き直る


ほむら「まずいわ・・・」


タンクローリーと反対方向を向き、走って距離を取ろうとする


闇ほむら「まどかは必ず私が護る!」

ほむら「何か・・・何か手を考えないと!」

本日の投下はこれで終了です。
杏子、さやか、ほむら戦。
強さの理由は今後の話で説明が入ります。

次の投下予定は来週、です・・・
来週・・・だったらいいな・・・

投下を再開します。
本日の投下は短めになります。


まどか「わわわっ!みんなやられちゃうよ!?」

ディアーチェ「ふむ、妙だな・・・」

シュテル「王、どうかされましたか?」

ディアーチェ「闇の欠片を見ていて思ったのだが・・・あやつら、あんなに強かったか?」

レヴィ「そういえば・・・」

ディアーチェ「あれでは、まるで別人だ」

シュテル「別人・・・」


まどか「ねぇ、王様!みんなやられちゃうよ!」

ディアーチェ「案ずるな。命までは取られることは無かろう」

まどか「だって、ほむらちゃんなんかトラックに追いかけられてるんだよ!?」

ディアーチェ「黒色はあの程度では死なぬ」

ディアーチェ「それに、我がこうして見張っている。あまりに危険なようなら直ぐに欠片を消す」

まどか「でも・・・」

ディアーチェ「あぁもう、喧しい!気が散るわ!」

ディアーチェ「適当なリボンの欠片も出してやる。貴様はそれと端で話でもしていろ!」

まどか「うぅ・・・」

レヴィ「ボクも休んでよう、っと」


まどか「はぁ・・・」

レヴィ「王様が大丈夫だって言うんだから大丈夫だよ、安心して!」

まどか「うん・・・」

ズッ

ズズズズズ


まどか「わっ、本当にもう一人のわたし・・・が・・・!?」

闇まどか「もう・・・やだよぉ・・・」

まどか「えっ!?」

まどか「ま、魔法少女!?」


魔法少女の格好をした闇の欠片は、まどかに向かって弓を引く


レヴィ「危ないっ!」

まどか「きゃぁ!?」


矢が放たれる寸前、咄嗟にレヴィが割って入り

破砕斧フォームのバルニフィカスで、まどかに向かって放たれた矢を叩き落す


ディアーチェ「何事だ!?」

シュテル「これは・・・!」

レヴィ「王様、消して消して!欠片全部消して!」


----見滝原市・河川敷 橋の下----

マミ「拘束が消えた・・・偽者も・・・」

杏子「結界って奴が消えたのか」

ほむら「タンクローリーも消えた・・・危なかったわ」

さやか「う、うーん・・・あれ?あたしは?」

杏子「なんだって突然消えちまったんだ?」

マミ「王様が消したのかしら?」

ほむら「あれは・・・?」

ほむら「!?」

ほむら「まどか!」


レヴィ「リボンちゃん大丈夫?立てる?」

まどか「ご、ごめん。ビックリしすぎて力が抜けちゃって・・・」

レヴィ「それにしても危なかったぁ」

まどか「レヴィちゃん、守ってくれてありがとう」

レヴィ「へへっ!」

タッタッタッタッ

ほむら「まどか!何かあったの!?」

まどか「えと、なんでもないよ。大丈夫だから・・・」

ほむら「シュテル、まどかに一体何があったの?」

シュテル「それは・・・」


ディアーチェ「我がリボンの欠片を出したのだ。だがあれは・・・」

シュテル「・・・」

ほむら「欠片ってさっきの?」

レヴィ「あれ、魔法少女だったよね?武器持ってたし」

ほむら「!?」


ほむら「まどかが魔法少女に・・・」

まどか「契約してないのに、なんでだろ?」

まどか「私の妄想、とか?」

ディアーチェ「いや、それはありえぬ」

ディアーチェ「闇の欠片は紫天の書に集められた魔力から記憶を手繰り寄せ」

ディアーチェ「そこからリソースの断片を用いて実体化している」

ディアーチェ「そのプロセスゆえ、実在した事の記憶以外の欠片は出てくるはずが無いのだ」


タッタッタッタッ

マミ「鹿目さん、大丈夫?」

まどか「はい、心配かけてごめんなさい」

マミ「すぐに様子を見に来たかったんだけど、美樹さんもフラフラで」

マミ「佐倉さんが介抱してくれているから、二人が落ち着いたら今日の特訓は中止して解散しましょう」

ほむら「そうね・・・」


ディアーチェ「待て、一旦全員でマミの家に戻るぞ」

ディアーチェ「今出てきた断片達は明らかに不自然だ」

ディアーチェ「貴様らに話を聞きたい」

マミ「・・・分かったわ」

シュテル「・・・」

ほむら「・・・」

短くて申し訳ないのですが、本日の投下はこれで終了です。
次の投下は来週の予定です。

投下を待っていてくれる人が居るというのは励みになります。
レスありがとうございます。

投下を再開します。


----マミホーム・リビング----

さやか「うぅ、まだ頭がグラグラする・・・」

杏子「魔法で回復できないのか?」

さやか「怪我なら消せるけど、こういうのはダメみたい」

まどか「さやかちゃん、大丈夫?」

さやか「ちょっとしんどいかも・・・」

マミ「はい。アイスティーよ、少しスッキリすると思うわ」

さやか「ありがとうございますー」

レヴィ「ボクも飲むー!」


さやか「っていうか、あんなのあたしじゃなくて別の何かだよ・・・」

マミ「美樹さんもそうだったの?」

杏子「なんだ?相手が変だったのは、あたしだけじゃなかったのか?」

ディアーチェ「それを今から貴様らに聞こうと思ったところだ」

シュテル「王、それは・・・」

ほむら「・・・」


マミ「その前に、王様。ちょっといいかしら?」

ディアーチェ「なんだ?」

マミ「あのね、魔法で何かする前はちゃんと説明して欲しいの」

ディアーチェ「む・・・」

マミ「王様たちにとっては当たり前の事かもしれないけど、やっぱり私達にとっては驚くことが多いし」

マミ「今回だって危ない事が起きたんだから、ね?」

ディアーチェ「ふむ」

ディアーチェ「分かった、気をつけよう」


ディアーチェ「それはそれとして、だ!」

ディアーチェ「まずは先ほどの相手がどうだったか聞こうではないか」

さやか「あたしの格好をした偽者でしたー。あたしあんなに強くないでーす・・・」

マミ「私もそんな感じね。知らない技を使ってきたし、調子が良い悪いという状態ではなかったわ」

杏子「あたしもそんな感じだな。どんなに調子が良くても、使えない技を使ってきた」

ほむら「・・・私も同じよ」

まどか「わたしは・・・その、よく分かんないや・・・」

まどか「なんで魔法少女のわたしが出てきたんだろう?」

レヴィ「変だよね。イメージで欠片が作れるなら、もっと強いボクと戦えるのに!」

シュテル「・・・」


ディアーチェ「やはり貴様らも違和感を感じていたようだな」

ディアーチェ「だが、闇の欠片は実在した事のある記憶からしか生成されないのも事実だ」

マミ「そういえば、あの偽者ってどういう原理で出しているの?」

ディアーチェ「闇の欠片か?」

マミ「闇の欠片って言うのね。あんなに精巧な偽者が突然出てきて驚いたわ」

ディアーチェ「ふむ」


ディアーチェ「リボンには説明したが、あれらは集めた魔力から記憶を手繰り寄せて生成しているのだ」

ディアーチェ「本人の記憶だけではなく、他人から見た記憶も含まれるのだがな」

ディアーチェ「その記憶を基として、先日話したリソースの断片を用いて実体化させている」

ディアーチェ「記憶により行動を行う、木偶人形だとでも思っておけば良い」

杏子「じゃあさ、その記憶って奴を見れば何か分かるんじゃないのか?」

ディアーチェ「いや、我は欠片を作り出せるが、集めた魔力の記憶の中まで覗ける訳ではない」

ディアーチェ「不本意ながら貴様らの記憶が頼りなのだ」

まどか「そう言われても・・・そもそも、わたしは魔力自体持ってないし・・・」

マミ「思い当たる節もないものね・・・」

ほむら「・・・」


ディアーチェ「あとは、貴様らの中の誰かが欠片に関与できる魔法を持っている可能性があるな」

さやか「そんな事できるの?」

ディアーチェ「出来るとは思えんが、我らの魔法とは系統が異なるからな」

ディアーチェ「考えに入れておく必要もあるだろう」

杏子「とは言ってもなぁ。突然出てきた相手を魔法でどうこうってのは難しいんじゃないか?」

杏子「みんな負けないように戦うのだけで精一杯だったんじゃないか?」

まどか「わたし見てたけど、そういう感じはなかったよ」

まどか「多分・・・」

レヴィ「ボクも見てたー!でも、みんなやられてたからなぁ」


シュテル「王・・・」

ディアーチェ「シュテル、約束だから貴様には聞かぬ」

ディアーチェ「だが、不確定な要因は可能な限り排除しなくてはならんのだ」

ディアーチェ「この街に来てから不自然な事が何度も起きておる」

ディアーチェ「なるべくならその原因を突き止めておくべきだと思ってな」

シュテル「しかし・・・」

ほむら「もういいわ、シュテル・・・」

シュテル「ホムラ・・・」

まどか「ほむらちゃん?」


ほむら「シュテルが何故私のことを知っているのかは分からない」

ほむら「でも、もういいわ。私からみんなに話すから」

ほむら「本当なら、もっと早く・・・」

ほむら「こんな良好な関係を築けた時点で話しておくべきだったのよ」

さやか「どういうこと?」

ほむら「私が臆病だった、それだけよ」

さやか「?」

ほむら「さやかにはもっと頼るように言っていたのに、私はきっと逃げていたのね」


マミ「それじゃ、もしかして暁美さんの固有魔法で偽者の強化を?」

ほむら「違うわ」

ほむら「私の固有魔法は時間操作・・・」

ほむら「そう、私は未来から来たの」

まどか「未来、から?」

さやか「それってレヴィたちと同じってこと?」


マミ「じゃあ暁美さんもエルトリアから・・・?」

ディアーチェ「何?」

ディアーチェ「我は貴様のような民を見た覚えは無いぞ」

レヴィ「ボクもいろんな人と会ってるけど、ほむほむとは会った事ないかな」

ほむら「えぇ、私は王様達とは違うわ」

杏子「よく分からないな。つまり、どういうことなんだ?」

シュテル「・・・」


ほむら「どの世界、というのなら・・・」

ほむら「私は見滝原の未来から来たことになるわね」

まどか「!?」

さやか「それじゃ、実はあたし達の中の誰かの子供とかだったり?」

ほむら「いいえ、未来と言っても1ヶ月・・・」

ほむら「今からだと2週間後ぐらいの未来ね」

杏子「それって、未来ってほど未来じゃないな・・・」


レヴィ「寝て起きてちょっと遊んだらを繰り返せば、すぐそのぐらい経っちゃうよね」

マミ「つまり、暁美さんは何かの事情があって再来週の未来から時間を遡ってきたのかしら?」

ほむら「そうよ」

ディアーチェ「成程な。ならば、あの欠片は黒色の記憶から再生されたものか」

ディアーチェ「それなら本人達に覚えが無い技を使ってくるのも頷ける」

ディアーチェ「む、いや待て」

ほむら「何かしら?」


ディアーチェ「ただ時間を遡っただけなら、貴様の記憶にある他の連中の強さは今とそうは変わるまい」

ディアーチェ「時間移動について、まだ何か隠しているな?」

ほむら「そう言われても・・・」

ほむら「何故か繰り返すごとに状況が違っていて・・・」

ほむら「環境や、いろんなことが少しずつが変わってしまうの」

ほむら「だから、厳密には時間移動ではないのかも知れないわ」

杏子「ん?なぁ、今繰り返すって言ったか?」

ほむら「えぇ、どうかしたかしら?」

マミ「その・・・暁美さんは1回だけ未来から戻ってきたわけじゃないの?」


ほむら「いいえ、私の魔法は何度でも時間を遡る事が出来るの」

ほむら「それが契約の願いを達成するために必要な事だから」

ほむら「だから、目的が達成できなかったら過去に戻る事を繰り返したわ・・・」

さやか「それって、何回くらい・・・?」

ほむら「・・・」

ほむら「もう覚えていないわ」

まどか「そんなに沢山・・・」


ディアーチェ「なるほど、その経験の中にある全ての記憶で最も強い者の欠片が出てきたか」

シュテル「時間に関わる魔法は難しいものです」

シュテル「それはどんな系統の魔法でも同じ事」

シュテル「何らかの要因により、変化が生じるのは充分あり得ることです」

レヴィ「へぇ・・・」

さやか「ちなみにさ、どのぐらい過去に戻れるの?」

ほむら「さっきも少し言ったけれど、戻れる時間は契約した時間からおよそ1ヶ月」

ほむら「転校してきた数日ほど前に戻れるわ」


マミ「つまり、暁美さんは目的のために何度もこの1ヶ月間を繰り返しているのね?」

ほむら「そうよ」

さやか「1ヶ月だけをずっとかぁ・・・」

まどか「その目的、って?」

ほむら「それは・・・」

ほむら「・・・」

杏子「おいおい、なんでそこでだんまりなんだよ」


さやか「2週間後・・・」

さやか「もしかしてワルプルギスの夜の事?」

ほむら「!?」

レヴィ「あっ!」

マミ「あっ!」

ディアーチェ「むっ」

まどか「え?」

杏子「?」

さやか「あれ・・・あたし何かマズい事言った?」


まどか「そのワルプルギスの夜、って何?」

杏子「魔法少女に伝わる、超弩級の魔女さ」

杏子「結界なんか張る必要ないぐらい強くて、街なんかあっという間に滅茶苦茶にしちまうって話さ」

まどか「そんな魔女が来るの・・・?」

マミ「鹿目さんに心配を掛けない様に秘密にしていたんだけど・・・」

さやか「あ・・・」

さやか「ご、ごめんなさいマミさん!あたし、つい・・・」


レヴィ「まぁ、ボクはリボンちゃんだけ仲間外れにするのは良くないなって思ってたけど」

ほむら「言ってしまったものは仕方ないわ・・・」

さやか「ごめん・・・」

まどか「でも、何だか納得しちゃったかも」

まどか「みんなが、なんであんなに頑張って特訓してるのかなって」

まどか「実はちょっと疑問だったんだ」

杏子「確かに、元から強いマミが鍛え直すなんてよっぽどの事だからな」

マミ「そうね。隠しておくにはちょっと不自然だったかもしれないわね」

若干半端な部分ではありますが、本日の投下はこれで終了です。
来週は若干不明瞭ではありますが、最繁忙期は抜けたはずなので前のようなペースに戻れると思います。

戻れたらいいな・・・


そういえば1周年が経過してしまいました。
予想より長引いてしまった・・・
読んでくださっている方の為にも継続して更新できるように頑張ります。

読んでいただいてる方々に心配掛けてしまって申し訳ないです。
少量ですが投下を再開します。


さやか「でもさ、みんなで掛かればそんな魔女なんてあっという間に倒せちゃうって!」

レヴィ「そうだよね。何ならボクだけで倒しちゃうよ!」

マミ「・・・」

ディアーチェ「ふむ」

杏子「いや、話はそう単純じゃないんじゃない?」

ほむら「・・・」


さやか「え?どゆこと?」

杏子「考えてもみなよ。そんな簡単にワルプルギスが倒せるなら、どうしてほむらはここに居るんだよ」

まどか「あ・・・」

まどか「そっか、魔女が倒せなかったからまた時間を戻して・・・それでここに居るんだよね?」

さやか「じゃあ沢山繰り返したのに、1回も勝てなかったってこと・・・?」

マミ「或いは、勝てたとしても暁美さんがその結果に納得できなかったとかかしら?」

レヴィ「倒せたら勝ちなのに、また時間を戻しちゃうの?」


マミ「例えば倒せたところで仲間の誰かが死んでしまったりしたら・・・」

マミ「私だったら全員が無事な状態で倒せるまでやり直すと思うわ」

さやか「ってことはつまり・・・」

さやか「毎回必ず、あたし達の中の誰かが死んじゃうの?」

杏子「相手はあのワルプルギスだし、全員が全員無事ってのは難しいんだろうね」

まどか「そんな・・・」


ディアーチェ「奴がどれほど強いかは想像も付かぬ」

ディアーチェ「だが我らがそのような輩にどうこうされるとは思えぬ」

ディアーチェ「黒色、どうなのだ?」

ほむら「そうね、ちゃんと説明するわ」

ほむら「ただ、どこから説明したらいいのか・・・」

シュテル「そのような場合は、まず結論から言うべきかと」

ほむら「そうね・・・」


ほむら「さっきの話でも出た通り、どんな好条件であってもワルプルギスに勝つことはほぼ不可能だったわ」

マミ「好条件っていうのは、私たち魔法少女4人と王様たちの全員で戦ったってことかしら?」

ほむら「いいえ、これまでの繰り返しの中での最高の条件というのは私たち魔法少女が全員で戦った時の事ね」

レヴィ「ボクたちは?」

ほむら「王様やレヴィ、シュテルは今まで出会ったことが無いわ」

ほむら「繰り返しの中で時々、今ここに居ない魔法少女と出会うこともあったし」

ほむら「そういった感じの、繰り返すごとの誤差のようなものだとは思っているけど・・・」


ディアーチェ「ふむ。だがまぁ、我らが居れば心配は要らぬ」

ディアーチェ「暴走したユーリと比べればワルプルギスの夜とやらも、取るに足らぬ相手には違いないだろうからな」

ディアーチェ「喜べ黒色。我らが居るからには貴様の時間旅行はここで仕舞いだ」

マミ「でも王様ってまだ魔女と戦えな・・・」

ディアーチェ「仕舞いだ」

マミ「・・・」


ほむら「固有魔法が使えない以上、どのみち私はもう繰り返すことが出来ない・・・」

ほむら「この世界に賭けるしか無いわ」

杏子「なるほどね、あんたも魔法を失くしたクチか・・・」

ほむら「・・・」

さやか「あ、1個質問していいかな?」

ほむら「何かしら?」


さやか「『ほぼ』不可能、ってことは勝てたこともあるんだよね?」

ほむら「・・・」

さやか「ありゃ?」

ほむら「あるわ・・・でも・・・」

杏子「なんだ、歯切れが悪いな?」

まどか「ねぇ、それってもしかして・・・」

シュテル「・・・」

まどか「わたしが契約したって事?」

ほむら「・・・」


ディアーチェ「成程な。リボンが契約すれば倒すことは容易いか」

マミ「その代わり、ワルプルギスの夜が倒せても鹿目さんの因果が世界を・・・」

さやか「そっか、だから必死になって契約を止めてたわけね」

杏子「いくらワルプルギスが倒せたとしても、それじゃ意味ないね」

まどか「わたしが・・・」


ほむら「まどか、何度も言うようだけれど・・・」

まどか「う、うん・・・そんな結末、絶対だめだよね」

まどか「わたしは契約しちゃいけないんだ・・・」

ほむら「・・・」

ディアーチェ「ともあれ、先程の様な欠片が出現した理由は分かった」

ディアーチェ「仕掛けさえ分かればむしろ好都合だな」

ディアーチェ「己の成長の先に居る者との戦い、普通に特訓するより何倍も成長できるであろう」

本日の投下はこれで終了です。
いつも応援ありがとうございます。

自分でもエタったと思った・・・
なんかほんと待たせて申し訳ないです・・・

少し時間が取れるので投下していきます。


さやか「あ、そういえばさ」

ディアーチェ「なんだ?」

さやか「あの欠片達も一緒にワルプルギスと戦えばいいんじゃない?」

さやか「ものすごく心強いと思うんだけど」

マミ「確かに・・・単純に考えて戦力は2倍以上になるわよね」

レヴィ「あー、それ危ないよー」

さやか「え?」


ディアーチェ「あれらは完全に我の制御下にあるわけではないのだ」

ディアーチェ「出現時にある程度の方向付けは可能だが、基本的には再生された記憶に沿って行動する」

ディアーチェ「ゆえに、先程のリボンの欠片のように思わぬ行動をとる事もある」

杏子「あぶねー話だな、おい・・・」

ほむら「そんなものと戦わせられていたのね・・・」

ディアーチェ「目の届く範囲ならすぐに消せば済むのだがな。戦闘中ではそうも行くまい」

シュテル「不測の事態を考慮すると、欠片を参戦させると勝率は下がりますね」

さやか「そっか、残念だなぁ」


マミ「私たちがあの欠片たちと同じぐらい強くなるしかないのね・・・」

さやか「無理がある・・・」

ほむら「王様、もうちょっとこう・・・私たちの強さに合わせることは出来ないのかしら?」

レヴィ「えー、なんで?強い相手のほうが面白いのに」

ほむら「あまりにも強さに差があると、かえって特訓にならないんじゃないかしら?」

ディアーチェ「ふむ、一理あるが・・・」

ディアーチェ「だが、我の見立てではさやか以外は欠片が強すぎるということは無いように思えるが?」

マミ「そうかしら?」


シュテル「私も見ていましたが、今のままでも問題ないように思えます。サヤカ以外は」

さやか「あたしを強調するなー!」

まどか「元気出して、さやかちゃん」

さやか「まどかぁ・・・」

まどか「さやかちゃんも、そのぐらい強くなっちゃえばいいんだよ!」

さやか「まどかまで・・・」

杏子「まぁ、相手はワルプルギスだからな。そのぐらい強くなけりゃ、戦えないだろうな」

さやか「むぅ・・・」


ディアーチェ「無論、あまりに強さに開きがあるようなら調節するが」

ディアーチェ「とりあえずこのままで進めてみようぞ」

さやか「えー・・・」

ディアーチェ「ククッ・・・さやかは欠片に嬲られつつ、強さを磨くといい」

さやか「嬲られるって言った・・・」

ほむら(王様、悪い顔してるわね・・・)

マミ(当然といえば当然だけど・・・レヴィちゃんの件、やっぱり根に持っているのね・・・)

とりあえず一旦ここまでにします。
夜にまた時間が取れましたら再投下します。

まだ1ヶ月ほど忙しい状況が続きますけど、そのあとは何とか・・・

投下を再開します。


さやか「そういえばさ、なんで欠片ってやつのあたしはあんなに強いのさ?」

ほむら「え?」

さやか「だって今のあたしと強さが違いすぎるじゃん」

さやか「1日で1年分の特訓が出来るような場所で鍛えてたりしたわけ?」

ほむら「あぁ・・・」

マミ「見ている余裕がなかったのだけれど、そんなに違ったの?」

シュテル「戦闘開始から、およそ8秒ほどでサヤカが負けました」

レヴィ「割と一方的だったね」

まどか「うん・・・」

杏子「さやか・・・」

さやか「し、仕方ないでしょ!」


ほむら「一番強かったさやか・・・なら、恐らく前週のさやかね」

ほむら「契約の時期が大幅に違っていて、小学生の頃に魔法少女になったという話よ」

ほむら「なんでも、友達と遊んでいたら魔女の結界に迷い込んでしまったとか」

さやか「へぇ・・・」

ほむら「巴さんが『美樹先輩』と呼ぶぐらいだったし、ベテランでとても頼りになったわ」

ほむら「杏子とは対等に話していたけれど、やっぱりどこかみんなを引っ張っていく感じがあったわね」

さやか「相当強かったんだろうなぁ・・・」

杏子「それでもワルプルギスには勝てないのか・・・」


ほむら「そうね・・・ワルプルギス・・・には・・・?」

ほむら「・・・?」

まどか「ほむらちゃん?」

レヴィ「どうしたの、ほむほむ?」

マミ「もしかして、勝てたパターンなのかしら?」

ほむら「いえ、それが・・・」

ディアーチェ「何だハッキリせんな。勝てたのか負けたのか、どちらなのだ?」

ほむら「ちょっと記憶が・・・」


ほむら「途中まで、全員揃っていて・・・さやかも強いし、これならいけると思って・・・」

ほむら「それから・・・?」

杏子「ほむら?」

ほむら「思い出せない・・・何があったのか・・・」

マミ「暁美さん、大丈夫?」

ほむら「ダメだわ・・・ほとんど思い出せない」

さやか「え?」

ほむら「途中までの記憶は全員が揃っていて、でもその後ワルプルギスと戦ったのは私だけ・・・」

ほむら「その間に何があったのか思い出せない・・・」


まどか「ほむらちゃん・・・」

レヴィ「じゃあ、ワルプルギスにも負けちゃったの?」

ほむら「ダメ・・・それも思い出せないわ・・・」

ほむら「ワルプルギスとの戦いも、途中から記憶が曖昧で・・・」

ほむら「ハッキリと覚えているのは気絶から起きた後だけだわ」

マミ「気絶?」

ほむら「ワルプルギスの攻撃を受けたせいだと思うのだけど、気を失っていたみたいで・・・」

ほむら「起きたら空は晴れていて・・・でも、まどかも他のみんなも居なくて・・・」


マミ「ワルプルギスの夜は自然災害として扱われる、と聞いたことがあるけど・・・」

マミ「それなら、空が晴れていたのだったら・・・」

杏子「勝った、ってことか?」

ディアーチェ「なんだ、一人で勝てるのか?」

ほむら「いいえ・・・普通に戦っていたらまず無理だわ」

杏子「だよな。最強の魔女だし・・・」

ほむら「ごめんなさい。ちょっと記憶が混乱しているだけだと思う」

ほむら「大した問題ではないわ」


マミ「もしかして、暁美さんが気絶している間に誰かがワルプルギスを倒したんじゃないかしら?」

シュテル「・・・」

ほむら「まさか、そんなこと・・・」

杏子「そういう奴の心当たりはないのか?」

ほむら「ないわ」

まどか「・・・わたし、でもないよね」

さやか「契約したら世界終わっちゃうって話だからねぇ・・・」

ほむら「その可能性はないと思うわ」

マミ「そう・・・」


さやか「あー・・・ごめん、あたしのせいで何だか変な話に・・・」

ほむら「構わないわ。多分だけど、気絶したときに頭でも打って記憶が飛んだんでしょうし」

杏子「それ『構わないわ』で済ませていい話じゃないっしょ・・・」

ほむら「・・・」

ほむら「と、ともかく!さやかについてはキャリアが違いすぎるから追いつくのは難しそうね」

さやか「うむぅ・・・」

杏子「ま、自分の完成形が見られるならいいんじゃない?」

杏子「そのほうが鍛えやすいしさ」

マミ「そうね。私達も欠片から学ぶことは多そうだし」

マミ「王様、明日からもお願いね?」

ディアーチェ「うむ、言われずともそのつもりだ」

今日はこれで投下終了です。
次の投下は未定ですが、今回のような間を空けることがないようにがんばります。

何だかんだで1ヶ月あいてしまった・・・
一応落ち着いてきてはいるのですが、まだちょっと忙しい時期が続きそう・・・


投下を再開します。


まどか「あ、そろそろ帰らないと」

レヴィ「え?まだ夕方だよ?」

まどか「うん。でもね、最近ちょっと帰りが遅かったからパパが心配してるの」

マミ「鹿目さんのご家族を心配させてもいけないし、今日は解散にしましょうか」

マミ「私はこの後パトロールに行くつもりだけど、みんなはどうする?」

さやか「あたし行きます!体調もだいぶ良くなったしね」

杏子「それじゃ、あたしも付いていこうかな」

まどか「みんな、気をつけてね」

さやか「任せといて!」


まどか「そうだ!さやかちゃん、よかったらこれ食べて」

コトッ

まどか「少しは元気が出ると思うんだ」

さやか「ん?何これ?タッパー?」

杏子「食べ物か?あたしも食べていい?」

まどか「勿論だよ!」

マミ「!」ビクッ

シュテル「・・・」

ほむら「・・・!」

ディアーチェ「む・・・」

レヴィ「!?」


マミ「あの、えと・・・!」

マミ「と、ところで暁美さんはこの後どうするのかしら!?」

ほむら「えっ!?」

ほむら「そ、そうね、ちょっとワルプルギスとの戦いの事で話があるから少し時間いいかしら?」

まどか「ごめんね、わたしはもう時間が・・・」

ほむら「いいのよ、まどか。それよりまだ危険があるかもしれないから送っていかないと・・・」

レヴィ「それじゃ、ボクが送っていくよ。話はあとでシュテるんから聞くから!」

まどか「え?でも・・・」

レヴィ「いいからいいから!それじゃ行こう、ほら早くっ!」

グイグイ

まどか「ちょっと待って、引っ張らないで・・・」

まどか「あれ?そっちは窓だよ・・・?もしかして飛んでいくんじゃ・・・」


ガラッ

まどか「飛んでいくなんて聞いてないよ!?心の準備が・・・」

レヴィ「いっくよー!」

バッ

まどか「ひゃああぁぁぁ!?」

ほむら「ま、まどかぁぁぁぁ!?」

シュテル(レヴィ、珍しく焦っていましたね)

ディアーチェ(あやつ・・・そんなにこのタッパーの中身が嫌なのか・・・)

マミ「鹿目さんを抱えて飛んで行ったけれど、あれ大丈夫なのかしら?」

シュテル「一人ぐらいでしたら問題ありません」

マミ「そう・・・でもちょっと怖そうね・・・」


カパッ

さやか「お?レモンのハチミツ漬けかぁ」

さやか「まどかってば、なんだかマネージャーみたいだなー」

杏子「特訓で体使ったし、先に食べちゃおうか」

さやか「賛成ー。いっただきまーす」

ほむら「あっ!」

ディアーチェ「待てさやか!」

さやか「・・・」モグモグ

マミ「遅かったわ・・・」

杏子「?」


さやか「ゴッフッ!?」

杏子「さやか!?」

シュテル「いけない!すぐに水を!」

さやか「ゴホッゴホッ・・・!」

マミ「美樹さん!水よ!」

さやか「・・・!」ゴクゴク

さやか「何これ酸っぱ!見た目ちゃんとしてるのに酸っぱっ!」

ほむら「・・・多分、丸ごと漬け込んだものを輪切りにしたのね」

マミ「惜しいわね・・・」

シュテル「本人も見ていないことですし、残念ですが廃棄するしか」

杏子「待てよ!食べ物を粗末にするな!」


マミ「これはもはや食べ物ではないわ・・・人の命を奪う、哀しき化学兵器よ」

杏子「だからって捨てることは・・・!」モグモグ

杏子「ゴッフッ!?」

ディアーチェ「貴様、皆の話を聞いていなかったのか!?」

杏子「ぐ・・・でも捨てちゃうのは・・・」

ほむら「貸しなさい、杏子」

マミ「暁美さん・・・?」

さやか「何をするつもり・・・まさか・・・」

ほむら「まどかが一生懸命作ったのよ。捨てるなんてこと出来ないわ!」

さやか「ほむらぁぁぁぁぁ!」


----夕方 まどホーム・玄関前----

スタッ

レヴィ「到着、っと!」

まどか「し、死ぬかと思った・・・」

レヴィ「もー。ちゃんと案内してくれないから回り道しちゃったよ」

まどか「だって、あんな高い場所飛んでるのに道案内なんて無理だよ・・・」

レヴィ「むー・・・」

まどか「でも、送ってくれてありがとう。レヴィちゃん」

レヴィ「うん!また明日も送ってあげるからね!」


まどか「う・・・それはちょっと遠慮しちゃうかも・・・」

レヴィ「そっかぁ」

レヴィ「じゃあボクはマミマミのところに帰るから。じゃねー!」

まどか「うん、また明日ね」

レヴィ「よっ、と。スプライト、ゴー!」

シュバッ

まどか「レヴィちゃん、高い所怖くないんだなぁ・・・」


ガチャ

知久「まどか?」

まどか「パパ、ただいまー」

知久「話し声が聞こえたけど、お友達も一緒かい?」

まどか「あ、えっと。一緒に帰ってきたんだけど、もう行っちゃったよ」

知久「そっか」

知久「そろそろ暗くなるから入りなさい」

知久「ママももうすぐ帰ってくるし、ご飯も出来てるよ」

まどか「はーい!」


まどか「・・・?」

まどか「レヴィちゃん?」

まどか「あれ・・・?」

まどか「今・・・誰か居たような・・・?」

知久「まどか?どうしたんだい?」

まどか「・・・」

まどか「ゴメン、パパ。何だか気のせいだったみたい」

知久「?」

まどか「今日のご飯は何かなー?」

知久「今日はまどかの好きなクリームシチューにしたよ」

まどか「本当?楽しみだなー」

パタン


『・・・』

短いですがそろそろ寝なくてはいけないので、本日の投下は終了です。

なんというかお待ち頂いてる方、申し訳ありません・・・
もうちょっとすると余裕が出るはずなのでちゃんと進められるはず・・・

11月中に全く投下できないとか、うちの職場チートすぎる・・・

投下を再開します。


----同刻 マミホーム・リビング----

ほむら「・・・!」

杏子「すげぇ・・・食べ切った・・・」

さやか「あれをあれだけ食べて涙目で済むんだ・・・」

マミ「暁美さん、水よ!早く飲んで!」

ほむら「・・・!」ゴクゴク

ほむら「ふぅ・・・」

シュテル「お見事でした」

ディアーチェ「貴様、なかなかやりおるな・・・」


ほむら「さて、ワルプルギスとの戦いについての話だったわね」

さやか「切り替え早いね・・・」

ディアーチェ「奴と戦う上で何かあるのか?」

マミ「気を付けておく事とかの打ち合わせ、といった所かしら?」

ほむら「ワルプルギスの攻撃傾向や戦い方については追々説明するわ」

ほむら「今回話しておきたいことは別の事」

ほむら「まどかの事よ」

杏子「戦いに付いて来てもらう訳にいかないし、どこかに隠れててもらうんじゃないのか?」

シュテル「それが適切だとは思いますが」


ほむら「今までの経験上、ワルプルギスが現れる少し前に非難警告が出るわ」

ほむら「スーパーセル出現による、避難所への移動を促すものね」

さやか「スーパーセル?」

シュテル「回転する継続した上昇気流域を伴った、単一セルで構成される非常に激しい嵐のことを指してそう呼びます」

杏子「嵐・・・台風ってことか?」

マミ「近いけれど、スーパーセルはもっと局所的で更に激しいものだと思った方がいいわね」

ディアーチェ「単なる風や雨であろう。それが注意点か?」

ほむら「いいえ。まどかにも避難所に行ってもらうことになるけれど、問題はその後よ」

さやか「?」


ほむら「私たちは川沿いを中心に戦う事になるけれど、その間は当然まどかから目が離れる」

ほむら「その隙にインキュベーターの口車に乗せられて、契約してしまう可能性があるの」

さやか「考えすぎじゃない?まどかだって、自分の契約がどういう結果を呼ぶか分かってるんだし」

マミ「鹿目さんは暁美さんとの約束を破るような子には見えないけど・・・」

ほむら「普通なら絶対大丈夫と信じられる。ただ・・・」

ほむら「もし力及ばず、私たちがピンチに陥ってしまったら」

ほむら「あの子はきっと契約してしまう・・・」

さやか「そんな事は・・・いや、なくはないのかな・・・」

さやか「まどかなら、あたし達を助けるために契約しちゃうかもしれない・・・」

シュテル「決断を迫られる状況で、インキュベーターの話術に乗せられてしまえば可能性はありますね」

杏子「へぇ・・・」


ディアーチェ「何を考えてるのだ、あのリボンは・・・」

マミ「目の前の事を放っては置けないのよ、きっと・・・」

ほむら「目の前で誰かが苦しんでいるのを見過ごせない、優しい子なのよ」

ほむら「でも、まどかが契約するのは絶対に駄目・・・」

ほむら「そうなったら一番悲しい思いをするのはあの子だわ・・・」

さやか「・・・?」

さやか「あのさ、もしかしてほむらってまどかと何かあったの?」

ほむら「・・・」


さやか「なんていうのかな」

さやか「なんかあたし達とは別の視点でまどかを見てるっていうか・・・」

さやか「うーん、上手く言えないや」

シュテル「・・・」

マミ「そう言われてみれば・・・」

ほむら「相変わらず鋭いわね、貴女は」

ほむら「さっきは言えなかったけれど・・・」

ほむら「いえ、今までずっと誰にも言わなかった私の契約の理由」

ほむら「今の貴女達になら、話してもいいかもしれないわね・・・」


--------

----

--

ほむら「契約する前の私は、体が弱くて内向的で」

ほむら「友達と呼べるような相手は誰も居なかったわ」

さやか「ぜんっぜん想像できない・・・」

杏子「まぁ、静かに聴こうぜ」


ほむら「だから見滝原に転校して来てもきっと一人だと思っていたわ」

ほむら「でも、そんな私に話しかけてきてくれたのがまどかだったの」

ほむら「その時のまどかは既に契約していて、魔法少女だったわ」

ディアーチェ「契約すると世界が滅ぶのではなかったのか?」

ほむら「確かにそういう事実もあるわ」

ほむら「ただ、詳しい事は話せないけど、魔法少女になったらすぐ世界が滅ぶというわけでもないの」

デュアーチェ「ふむ・・・」


ほむら「魔女に襲われそうになっていた私を、巴さんと二人で助けてくれて」

ほむら「それから3人で一緒に行動することが多くなったの」

マミ「私も、なのね」

さやか(あれ?あたしは・・・?)

ほむら「魔女探索についていったり、一緒に買い物をしたり・・・」

ほむら「何もかもが初めての体験で、凄く楽しかったわ」

ほむら「でもそれは長く続かなかった」

ほむら「しばらくして、ワルプルギスが街に来た」

ほむら「まどかと巴さんは町を守るために二人で戦って・・・」

杏子「・・・」

ほむら「二人とも死んだわ」

マミ「・・・!」


ほむら「被害者こそ少なかったものの、街は全壊」

ほむら「私はその中でまどかを一生懸命探した」

ほむら「数時間探して、見つかったのは冷たくなったまどかの亡骸だったわ」

ほむら「世の中にはこんなに酷い事があるのかと、悲しくて涙が止まらなかった・・・」

ほむら「そこにアイツが現れたの」

ほむら「『契約すればどんな願いでも叶う』ってね」

杏子「QBか・・・」


ほむら「元々、魔法少女の勧誘は受けていたけれど願いが決まっていなくて契約は保留していて・・・」

ほむら「だから私はそこで契約する事にしたの」

ほむら「『まどかを護れるわたしになりたい、出会いをやり直したい』」

ほむら「そう願って、ね・・・」

マミ「・・・?」

マミ「あれ?私は?」


ほむら「その願いから生まれた魔法が時間遡行」

ほむら「その副産物として時間停止の魔法も手に入れたわ」

マミ「あの、暁美さん・・・私は・・・?」

ディアーチェ「静かにせんか!」

マミ「私・・・」

ほむら「その次の週では私とまどか、巴さんでワルプルギスと戦ったわ」

シュテル「・・・」

ほむら「でも勝てなかった。結局、まどかは私を庇って死んでしまったわ」

ほむら「だからまたやり直したの」

杏子「便利だなそれ・・・」


ほむら「何度やり直してもまどかが死ぬ運命は変えられなかった・・・」

ほむら「そして、何度目かのやり直しのときにまどかが言ったの」

ほむら「『わたしを助けて』って」

ほむら「だから私は、もうまどかに契約させないことにしたわ」

ほむら「徹底的にインキュベーターをまどかから遠ざけたり、使い魔や魔女の危険を排除したり」

ほむら「だけどそれでも運命は変わらなかった・・・」

杏子「なるほどね・・・」

杏子「で、魔法が使えなくなって時間が戻せなくなった今回が最後のチャンスって訳か」

ほむら「そうよ」


ほむら「だから、改めて言うわ」

ほむら「みんなの力を貸して欲しい」

ほむら「私は死んでも構わない。でも、まどかだけは助けたいの」

ほむら「お願い・・・」

さやか「・・・」

さやか「死んでも構わない、って言うけど」

さやか「ほむらが死んだら、まどかは契約しちゃうんじゃない?」

ほむら「それは・・・」


さやか「まどかもみんなも、全員揃って生き残ってワルプルギスも倒す!」

さやか「で、いいんじゃない?」

杏子「確かにな。誰か死んじまったらハッピーエンドってやつにはならないしな」

ほむら「・・・そうね」

ほむら「訂正するわ。みんなで生きてワルプルギスを倒すために力を貸して欲しい」

さやか「うんっ!それなら良し!」

杏子「ま、最初からそのつもりだったけどな」


さやか「マミさんもいいですよね?」

さやか「・・・あれ?マミさん?」

シュテル「そこの隅で壁に向かって体育座りをしてますが」

マミ「・・・」

さやか「マミさん?」

ほむら「巴・・・さん?」

マミ「私の事は大切じゃなかったの・・・?」

ほむら「え?あ、いや・・・」


ほむら「巴さんはなんというか、頼れる先輩というか」

ほむら「私が護るというのもおこがましかったというか・・・」

マミ「・・・」

杏子「あーもー。めんどくさい奴だな・・・」

杏子「別にほむらはマミの事が大切じゃなかったとは言ってなかったろ」

マミ「・・・」

杏子「まぁ、なんだ・・・ほら。」


杏子「あたしはマミにいろんな事を教えてもらったし、一時は仲違いもしたけど」

杏子「それでもまた受け入れてくれたマミのことは・・・なんていうか大切に思ってる・・・けど・・・」

さやか(恥ずかしさで真っ赤になってる・・・なんか意外かも)

ディアーチェ「ふむ・・・」

マミ「佐倉さん・・・」

杏子「だからほら・・・元気出せよ」


マミ「あの・・・ごめんなさい」

マミ「ちょっと拗ねてみたかっただけで、実はそんなに気にしては・・・」

杏子「!?」

杏子「その・・・いや、あたしは・・・」

マミ「ふふっ。大切に思ってくれてありがとう、佐倉さん」

杏子「あ・・・えっと・・・」

杏子「はい・・・」


さやか「さて・・・杏子の告白タイムも終わった事だし、そろそろパトロールに行っちゃいますか」

杏子「なっ!?ちげーよ!」

マミ「えっ・・・?」

杏子「あ、いや違くないけど・・・いや、やっぱり違う・・・でもやっぱり・・・」

ほむら「流石の貴女も、こういう時は動揺するのね」

杏子「余計なお世話だ!」


ディアーチェ「今更とはいえ、なんとも騒がしい連中か・・・」

シュテル「良いのではないでしょうか」

シュテル「それに、この光景を見ていると彼女達の事を思い出して少し安心するのです」

ディアーチェ「子鴉らをか?」

ディアーチェ「確かにとにかく騒がしい連中だったことは確かだが・・・」

シュテル「それが仲の良い証拠ということでしょう」

ディアーチェ「しかし安心とはどういうことだ?我には不安要素にしか見えぬぞ」


シュテル「そうですね・・・自分でも不思議です」

シュテル「しかし、彼女達がその力と絆でユーリの運命を開いた事も事実ですから」

シュテル「それと重ねて見ているのかもしれませんね」

ディアーチェ「どうだか・・・やはり我にはよく分からぬな」

シュテル「そうですか・・・」


ディアーチェ「さて、そろそろ夕食の仕込みを始めるとするか」

シュテル「でしたら手伝いを・・・」

ディアーチェ「いらぬ。今日は欠片の件で我も少し疲れた」

ディアーチェ「簡単なもので済ませるつもりだ」

シュテル「そうですか」

ディアーチェ「どれ、米はどれほど残っていたか・・・」

ガチャ

パタン


シュテル「・・・」

シュテル「運命を切り開くには力と絆、そのどちらも必要となることでしょう」

シュテル「力も備わってきました。あとはより高みを目指して研磨するのみ」

シュテル「絆もそれなりに育まれてきています」

シュテル「しかし、まだ運命の歯車が一つ・・・足りませんか・・・」

シュテル「あとは、彼女次第という事でしょうね・・・」

本日の投下はこれで終了です。

一応書き溜めはしてあるのですが、投下する時間がなかなか取れず・・・
本当に申し訳ないです。

投下を再開します。


----夜 まどホーム・まどかの部屋----

まどか「ワルプルギスの夜・・・かぁ・・・」

まどか「・・・」


コンコン


まどか「?」

まどか「ベランダに誰か・・・?」

QB「僕だよ、まどか」

まどか「きゅっ、QB!?」


QB「入ってもいいかい?」

まどか「駄目に決まってるでしょ!」

QB「なら、こうして窓越しに話をさせてもらうよ」

まどか「・・・また、わたしを騙して魔女の結界に連れて行くつもりなの?」

QB「騙すだなんて・・・」

QB「あの時は周囲に魔法少女が誰も居なかったからね」

QB「魔法少女の資質を持っていて、契約可能な君に教えるしかなかったんだ」


QB「暁美ほむらが居るには居たけど、何故か逆方向にどんどん歩いて行ってしまったしね」

QB「あそこは付近に公営の団地があった。仮に魔女を放置していたら大きな被害が出たかもしれない」

QB「君だってそれは本意ではないだろう?」

まどか「でも・・・」

QB「結果として君を危険な目に会わせてしまった事については謝罪するよ」

まどか「・・・」


QB「ところで・・・」

QB「少し様子を見に来ただけだったんだけど、何か悩んでるみたいだね」

まどか「・・・QBには関係ないよ」

QB「・・・」

QB「自分だけ戦いに加われない事を悩んでいるのかい?」

まどか「っ!」

まどか「どうして・・・」


QB「これでも魔法少女候補の子を沢山見てきているからね」

QB「統計的に考えて、そうなのかと思ったのさ」

QB「そういう子は今までにも大勢いたからね」

QB「それに、さっきワルプルギスの夜の名前を口にしていたしね」

まどか「聞いてたの・・・?」

QB「故意ではなかったんだけどね、聞こえてしまったんだ」

QB「みんなが戦おうとしているのに、自分だけ置いていかれるのはやっぱり嫌なのかい?」

QB「どう考えても、避難していた方が君の身は安全だと思うけど」

まどか「だって・・・」


まどか「わたしだけ逃げてる間にもし・・・もしみんなの身になにかあったら・・・」

まどか「そんなの、わたしが助かったって嬉しくも何ともないよ・・・」

QB「なるほどね。確かにそういう考えをする子も多かったよ」

QB「正直な所、僕にはよく分からないけれどね」

まどか「・・・」

QB「ともあれ、それが悩みの原因だとすれば解決するのは簡単な話だ」

まどか「契約・・・」


QB「そうさ。契約して魔法少女となり、戦う力を手に入れればいい」

QB「君の資質があればどんな魔女が相手だろうと恐れるに足りない」

QB「一緒に戦う仲間の安全も保障されたようなものさ」

まどか「・・・」

QB「でも、僕は契約を無理強いしたりはできない。決めるのは君自身だ」

QB「どうする、まどか?」

まどか「だって・・・わたしが契約したら世界が・・・」

QB「前に少し話したけれど、君が望まなければそんな事は起きないはずだよ」

QB「契約自体がそんな結果を生むなんて事は聞いたことがない」

まどか「でも、ほむらちゃんが・・・」


QB「契約自体を行っているのは僕だよ。少なくとも彼女よりは色々詳しいはずさ」

まどか「だって、ほむらちゃんは未来から来て・・・そんな結末を見てるって・・・」

QB「未来からだって?」

まどか「あっ・・・!」

QB「なるほど」

QB「僕が彼女と契約した覚えがないのはそのせいだったみたいだね」

まどか「・・・」


QB「でも、彼女はどうあっても君に契約して欲しくないようだからね」

QB「もしかすると事実を誇張して話しているのかもしれないよ?」

まどか「・・・ほむらちゃんが嘘を言ってるって事?」

QB「分かり易い言い方をするとそうなるね」

まどか「ほむらちゃんは嘘なんてつかないよ!」

QB「そうかい?」

まどか「そうだよ!」


QB「けれど、彼女が嘘を言っていると考えた方が自然な・・・」

まどか「もうやめて!ほむらちゃんの事を悪く言わないで!」

QB「まどか?」

まどか「わたしはほむらちゃんと約束したの、絶対に契約しないって!」

まどか「だからQBが何て言っても契約しないよ!」

QB「それじゃ君は戦いに・・・」


シャーッ

QB『あっ!』

まどか「もう帰って!」

QB『まどか、カーテンを閉めないで僕の話をちゃんと聞いてくれないかい?』

まどか「知らない!」

QB『まどかー、ねぇってば。カーテンを開けてよ』

まどか「・・・」

QB『まどかー、ま

まどか「・・・」

まどか「・・・あれ?」


シャーッ

まどか「窓の外から居なく・・・なってる?」

まどか「帰ってくれたのかな?」

まどか「何だか疲れちゃった。もう寝よう、っと・・・」


----同じ頃 ほむホーム・リビング----

ほむら「魔力を収束させながら・・・拡散・・・」

ほむら「・・・」

キィィィィィ

ほむら「・・・くっ」

ほむら「ふぅ・・・やっぱり難しいわね」

ほむら「けれど、この魔法が使えるようになれば戦いも有利になるはず」

ほむら「もっと魔力を制御するための練習をしないといけないわね」

ほむら「よし、もう一度・・・」


----同じ頃 マミホーム・リビング----

ガチャ

マミ「ただいま」

ディアーチェ「む、早かったな?」

マミ「40回まで缶の打ち上げが出来るようになったから、キリのいいところで引き上げようと思って」

マミ「でも、やっぱりマンションの屋上だと風が強くてやりづらかったわ」

ディアーチェ「明日、また結界を張ってやる。そこで好きなだけやるといい」

マミ「そうね。ありがとう、王様」

ディアーチェ「うむ」


マミ「ところで二人は?」

ディアーチェ「シュテルとレヴィなら寝室でカートリッジを作成している」

マミ「あぁ・・・」

ディアーチェ「作成の手間はあるが、あれは非常に便利な物だからな」

ディアーチェ「手が空いたときになるべく数を作っておいたほうが良いのだ」

マミ「カートリッジ、か・・・」

ディアーチェ「有事の際には連続して読み込むことで、自身の限界以上の魔力を使う事もできるからな」

マミ「何だか体に悪そうね・・・」

ディアーチェ「そのような事をするのは余程余裕のないときに限られるがな」

マミ「へぇ・・・」


ディアーチェ「ところでマミよ」

マミ「何かしら?」

ディアーチェ「あの杏子とやらは・・・」

ディアーチェ「・・・」

ディアーチェ「いや、なんでもない。気にするな」

マミ「?」

ディアーチェ「我はもう寝る、貴様も朝が弱いならもう寝ろ」

マミ「え?えぇ・・・おやすみなさい、王様」

ディアーチェ「うむ」

今日の投下はこれで終了です。
なんとか年内にもう1回投下できました・・・
応援してくださった方、ありがとうございます。



・補足
>>921
効果音はカーテンの開閉する音です。エイミーが居て威嚇したわけではありません。
二重カッコはテレパシーではなく、カーテンを隔ててQBが喋っているだけです。

すみません。
投下を再開します。


----翌日 ベルカ式結界内部・河川敷----

マミ「っ・・・!」バシュッ バシュッ

ほむら「51・・・52・・・」

マミ「あっ!」

カンッ カラカラカラ

マミ「缶を落としちゃったわ・・・」

ほむら「惜しかったわね。じゃあ交代しましょう」

マミ「えぇ、100回目指して頑張ってね。暁美さん」


杏子「いいか?戦うときは、まず相手がどんな間合いの攻撃をしてくるかを見極めるんだ」

さやか「ふむふむ・・・」

杏子「その上で、相手の攻撃の間合いを外して自分の得意な間合いに持っていくようにする」

さやか「ふむふむ・・・」


ディアーチェ「おーい、貴様ら!基礎トレーニングはそこまでだ」

ディアーチェ「そろそろ欠片を出してやるから準備しろ!」


まどか「みんな頑張ってるなぁ・・・」

シュテル「目的が一層明確になりましたので、特訓にも身が入っているのかと」

まどか「そっかぁ・・・」

レヴィ「まだ時間はあるけど、どうせなら強くなったほうが楽しめるしねー」

シュテル「レヴィ、次はこのカートンのカートリッジに魔力を詰めてください」

レヴィ「うんっ!じゃあ特訓の邪魔にならないようにあっちでやってるね!」

シュテル「はい」


まどか「・・・」

まどか「ねぇ、シュテルちゃん」

シュテル「何でしょうか?」

まどか「その・・・ほむらちゃんが持ってる武器なんだけど」

まどか「同じのをもう1つ作れないかなー、って・・・」

シュテル「何に使うつもりですか?」

まどか「あの・・・えっと・・・」

シュテル「・・・」


シュテル「ルシフェリオン、ヒートヘッド・セットアップ」

ガコッ

シュテル「これを」

まどか「えっ?」

シュテル「持ってみてください」

まどか「う、うん」

ガシャッ

まどか「わっ、結構重いんだね」


シュテル「リラックスして、手と杖に意識を集中してください」

まどか「うん」

まどか「・・・!」

シュテル「この先端部の宝玉、これがデバイスのコアなのですが」

シュテル「魔力が込められれば込められるほど、鮮やかな光を放ちます」

まどか「・・・」

まどか「真っ黒・・・」

シュテル「残念ですが、マドカには魔導の才はないようです」

まどか「!?」


まどか「そんな・・・」

シュテル「この世界の人間は、極めて特異な例を除いてそうだと聞きます」

シュテル「そう気を落す必要はないかと」

シュテル「ホムラも、魔法少女の魔力を変換して使用しているに過ぎませんから」

まどか「でも・・・」

シュテル「戦線に立ちたいという気持ちは分かります」

まどか「っ!」

まどか「やっぱりバレちゃうよね・・・」

シュテル「他にデバイスの使い道もありませんから」

まどか「・・・」


シュテル「勿論、魔力が低くとも戦うことは可能です」

シュテル「そして、鍛錬により魔力が増えることは充分ありえます」

まどか「それなら・・・!」

シュテル「ですがそれには相応の年月と努力が必要ですので・・・」

シュテル「来たるべき戦いには間に合わないでしょう」

まどか「そっか・・・」


シュテル「月並みですが、今まで通り自分に出来る事をしたほうが良いかと思います」

シュテル「応援してくれる者がいるだけで、随分と心強いものですよ」

まどか「うん・・・」

まどか「じゃあ、みんなの応援してくるね・・・」

シュテル「はい」

タッタッタッタッ


シュテル「・・・」

レヴィ「シュテるーん!終わったよー」

シュテル「・・・」

レヴィ「シュテるん?」

シュテル「あぁ、すみません。では次はこちらのプログラムカートリッジをお願いします」

レヴィ「うんっ」

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