貴音「このらぁめん、美味しくありません……」(143)

貴音「なんといいますか、『味』が無い」

貴音「それどころか苦みばかりで、とてもではないですが、食べられません」

貴音「……」

貴音「帰って、かっぷらぁめんでも食べることにしましょうか」スッ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1374974795

貴音「えぇと、①粉末すぅぷを入れる②かやくをいれる」

貴音「③熱湯を、内側の線まで入れる」

貴音「内側の線、ですか」

貴音「……」

貴音「少な目にしましょう」ドボドボ

貴音「それでは……いただきます」

貴音「はふはふ」ズルズル

貴音「……」モグモグ

貴音「この味噌らぁめん、味噌の深みが足りていませんね」

貴音「ここは、自家製味噌を加えることにしましょう」ボトボト

貴音「はふはふ」ズルズル

貴音「……」モグモグ

貴音「真、美味です」ウットリ

貴音「おはようございます」ガチャ

春香「あっ、貴音さん、おはようございます!!」

貴音「おはようございます、今日も素敵な笑顔ですね」

春香「そっ、そんな、素敵だなんて……あっ、あのあのっ、クッキー食べますか!?」

貴音「よいのですか、ありがとうございます……」バリッ

貴音「……」モグモグ

春香「ど、どうですか?」

貴音「あの、真に申しあげにくいのですが、このくっきぃ、味が」

亜美「あぁー、お姫ちんがはるるんのクッキー食べてるYO!」

真美「ずるいぞお姫ちん、真美たちにもちょ→だい!」

春香「はい、どーぞ!」

亜美「やった→」バリバリ

真美「いっただっきま→す!!」バリバリ

亜美「おいちい!さっすがはるるん!!」

真美「よっ、お菓子作りの天才!日本一のリボンっ娘!!」

春香「あ、あっははは、そんな、照れちゃうよぉ~」

貴音「……」

春香「……貴音さん?」

貴音(どういうことでしょうか、わたくしは、苦みしか感じなかったというのに……)

貴音(あまつさえ、『不味い』とすら、思ってしまったのに)

貴音(亜美や真美は確かに『美味しい』と)

貴音「……」

P「おぉ、ここにいたのか貴音!」

貴音「プロデューサー」

P「なにしてるんだ、早く準備しろ、今日は食レポの収録だろう!」

貴音「も、申し訳ありません、わたくしとしたことが、失念しておりました……」

P「まぁまだ時間あるし、落ち着いて準備して来いよ」

貴音「……はい」

店主「へい、おまちどお!」ドン

貴音「濃厚な香りが食欲をそそります、豚骨の旨みがすぅぷに凝縮されている事を教えてくれているようですね」

貴音「それでは、いただきます」パチッ

貴音「まずは、すぅぷからいただきましょうか、香りに負けず劣らず濃厚です……」ズズズッ

貴音「うっ……」

貴音(なんでしょう、得も言われぬ不快感が口の中に……苦みが、強すぎる)

貴音(今にも、吐き戻してしまいそうな程の苦みしか感じられません、しかし、撮影である以上吐き出すわけには……)

監督「カアァット!」

貴音「!!」

監督「ちょっと困るよ貴音ちゃん……食レポなのに、食べ物の前でしかめっ面して固まられちゃあ」

P「す、すみません!」

貴音「……」

監督「ウチの番組は貴音ちゃんの、一口目からの当意即妙なコメントがウリなんだから、しっかり頼むよ?」スタスタ

貴音「……はい」

P「どうしたんだ、具合でも悪いのか?」

貴音「い、いえ、決してそのようなことは……」

貴音(今、わたくしが『らぁめんに味が無い』と言えば、撮影はそれで終わりかもしれません)

貴音(ですが、それは同時に、わたくしの番組に穴があく事を意味します、そして)

貴音(この仕事を私にくれたプロデューサーの顔に泥を塗ることにもなりかねません……それだけは避けなければ)

貴音「……ちょっぴり、すぅぷが熱かったかも、しれません」

P「そ、そうなのか、ちょっと監督さんに伝えてくるから待っててくれ!」ダダッ

貴音「……」

監督「やっぱしな!俺もここに来たとき舌火傷しちゃったしな、女の子にはちときついかなって思ってたんだよ」ガハハハハ

P「そ、そうだったんですか!(よ、良かった……)」アハハハ

監督「ごめんマスター、ちょっぴりスープ冷ましてちょうだい!」

店主「……あいよ」

P「よかったな貴音、スープ、冷ましてもらえることになったぞ!」

貴音「は、はい、ありがとうございます……」

監督「さぁ、今度こそ頼むよ、貴音ちゃん」

貴音「で、では、四条貴音、いかせていただきます……」





結局、その日の収録がうまくいくことはありませんでした
わたくしは最後まで、わたくしが抱える想いを誰にも打ち上げることが出来ず
ただただ、己のふがいなさに悶々とするだけなのでした……

貴音「申し訳ありません、あなた様、わたくしが至らないばっかりに恥をかかせてしまいました……」

P「気にするな、こういう時だってあるさ」

貴音「し、しかしっ」

P「大丈夫だって、ほら、軟膏買ってきたから使ってくれ!」

貴音「あなた様……」

P「舌の火傷はつらいよなぁ、俺もちっちゃいころおでんにがっついて火傷してからはトラウマものだよ」アハハ

貴音「ありがとう、ございます」

P「よっし、じゃあな貴音、また明日!」ブゥーン

貴音「……」

『おいちい!さっすがはるるん!!』

貴音「……」

『ちょっと困るよ貴音ちゃん……食レポなのに、食べ物の前でしかめっ面して固まられちゃあ』

貴音「……」ギュッ

『わ、わたくしは大丈夫ですから、も、もう一度お願いいたします!』

『でもねぇ、こう何度もだんまりをされちゃあ、もう終わりにするしか無いじゃないのさ』

貴音「……」ギリリッ

『も、申し訳ありません!貴音にもう一度チャンスを……』

『分かんないかなぁ、こっちも暇じゃないんだから……さっ、撤収急いで、次の現場行くぞー』

貴音「あなた様、わたくしは、わたくしは……」ジワッ





貴音「……おはようございます」ガチャ

響「はいさい貴音……って、どうしたんだうかない顔して」

貴音「いえ、何でもありませんよ……」

響「もしかして、昨日のことか?」

貴音「!!」

響「プロデューサーに聞いたぞ、元気出してほしいさー!」

貴音「響……」

響「もう、しょぼくれた貴音なんか見たくないぞ、これでも食べて元気出してよ!」ガサゴソ

貴音「これは……?」

響「サーターアンダギーだぞっ!」ニコッ

貴音「気持ちは嬉しいのですが、わたくし、今舌が……」

響「大丈夫、しっとり目に作っておいたから、しみないはずだぞ!」エッヘン

貴音「プロデューサーは、そのようなことまで……」

響「大分心配してたぞ、『あの貴音が、らぁめんを前に固まるくらい痛いんだから相当だろ』って」

貴音「……」

響「……あの、いらなかったら、食べなくてもいいからね?」

貴音「そんな、せっかくの響からの贈り物、食べないわけには参りません、ありがたくいただきます」パクッ

貴音「……」モグモグ

響「どうしたの……口に合わなかった?」

貴音「……」モグモ…グ…

響「……?」

貴音「……」ダダダッ

響「あっ、待って貴音、どこ行くんだー!?」

亜美「ひびきんのドーナッツ、もーらいっ!」ヒョイパクッ

真美「違うよ亜美、これ『サンタさんアンラッキー』っていうお菓子だYO→」ヒョイパクッ

響「それを言うならサーターアンダギーだぞ!それにこれは貴音の……って」

響「うぎゃー、貴音のこと見失っちゃったぞ!!」



貴音「うぇ……おえぇぇ……」ビチャビチャ

貴音「げほっ……げほっ……」

貴音「この苦み、一体、何なのでしょうか、昨日よりも強くなって……うっ」

貴音「おえっ……げえぇっ」ビチャビチャ

『うがー!勝手に食べちゃダメだって言ってるだろー!』

『ひびきんのサーターアンダギーうますぎるのが悪いっしょ→』

貴音「……」

貴音「……」ガチャ

響「あ、貴音おかえり、どこに行ってたの?」

貴音「えぇ、その、花を摘みに行っておりました」

響「なぁーんだ、ダッシュでいなくなるからどうかしたのかと思っちゃった」

貴音「心配をかけてしまったようですね、許してください、響」

響「あはは、大丈夫、別に気にしてないさー……でさ、自分のサーターアンダギーなんだけど」

貴音「……真、美味でした」

響「あ、ありがと……でね、その、さっきまでいっぱいあったんだけど」

貴音「……亜美と、真美ですか、中にいても聞こえておりましたよ」

響「うぅ……」

貴音「大丈夫ですよ、響、貴女の気持ちは十分に伝わってきましたから」

響「それならいいんだけど……また今度作ってくるからね!」

貴音「はい、楽しみにしていますよ」

響「うんっ!それじゃあ自分、これからレッスンだから、またね!」ガチャ

貴音「……」

貴音「わたくしは、何を安堵しているのでしょうか」

貴音「『食べなくて済んだ』など、響に対する冒涜にほかならないというのに……」ギリリ

貴音「……」

P「おーい、貴音ー」

貴音「!!」

P「どうしたんだよ、おっかない顔して」

貴音「あなた様……」

P「もしかして、昨日のことか?……気にするなって、軟膏、使ってくれたか?」

貴音「……はい、だいぶ良くなりました」

P「そうか!だったら昼にらぁめんでも食いに行くか!舌に優しい冷やし麺の店見つけて来たからさ」

貴音「……大変申し訳ないのですが、わたくし、今日は食欲が無いのです」

P「そうか……体調が悪いなら今日のレッスンはキャンセルしておくが」

貴音「いえ、それには及びません……そろそろ行こうと思っておりましたから」

P「無理はするなよ、ほら、これあげるよ」

貴音「これは……」

P「新作のスポーツドリンク、スポンサーからの差し入れだ」

貴音「はぁ……」

P「なんでも、ビタミンが豊富で体にいいらしい。ちょっと酸っぱいが疲労回復に効果大だそうだ」

貴音「そうなのですか……」

トレーナー「いっちにーさーんしー」パンパン

貴音「はぁっ……はぁっ……」キュッキュッ

トレーナー「ストップ……どうしたの、具合でも悪いの?」

貴音「はぁ……はぁ……そ、そのようなことは……」

トレーナー「じゃあなんでこんなに動きが悪いのかしら……今日はここまでね」

貴音「……はい」

トレーナー「しっかり水分補給はしておくのよ……それじゃ、お疲れ様でした」ガチャ

貴音「……」

貴音「気付けば、昨日から何も口にしていませんでした……正確には、できなかったなのでしょうが」

貴音「……」

貴音「いただいたスポーツドリンクを……」カシャ

貴音「……」コポコポ

貴音「ぐぅっ……おえっ」バシャッ

貴音「な、何なのでしょうか、おぞましい酸味と苦みが同時に……ぐっ、げえぇ」ビチャビチャ

トレーナー「た、貴音ちゃん……?」

貴音「!!」

貴音「……」

P「……」

貴音「あの、申し訳ありません、わたくしのために」

P「気にするな」

貴音「はい」

P「なぁ貴音、お前、無理してないか」

貴音「えっ」

P「お前、この間から何も食べてないんだろう」

貴音「何故それを……」

P「俺を誰だと思ってるんだ、お前のプロデューサーだぞ」

貴音「……お見通し、なのですね」

P(ホントは、貴音の吐しゃ物に固形のものが入ってないってトレーナーさんが教えてくれたんだが)

P(それにしても、吐しゃ物に胆汁が混じるほど胃に何も入っていないのに、何故貴音に食欲がないのだろう)

P(胃が空だというなら、食べ物に原因があるとは思えない、むしろ原因は貴音の身体にあるはず)

P「貴音、ちょっと車止めるぞ」

貴音「はい、構いませんよ」

P「えーと……貴音、口、開けてもらえるか?」

貴音「あ、あなた様、一体何をするつもりで」

P「いいから、早く」

貴音「は、はい……」ンアッ

貴音「……」

P「貴音、このまま病院に行くぞ」

貴音「なっ……どうして」

P「どうしてって、お前、舌なんか火傷してないじゃないか」

貴音「そ、そのようなことは、きっとあなた様から頂いた軟膏が」

P「いい加減にしろ!これ以上、無理するんじゃない」

貴音「む、無理など、わたくしは、わたくしは……」ジワッ

P「ごめんな、お前の不調に気付いてやれなかった俺を許してくれ」

貴音「あなた様……」

P「良かったら、話してくれないか、一体どこが悪いのか」

貴音「……はい」



わたくしは、全てを打ち明けました
プロデューサーは、何故そんなことを黙っていたのかとわたくしを叱責なさいました
その後で、何度も謝罪を繰り返し、泣きながらわたくしを抱擁して下さったのです

P「急性の、味覚障害か……」

貴音「自分でもわかっていたのかもしれません。しかし、わたくし自身が味覚障害であることを認めてしまえば」

P「とりあえず、食レポ中は常に嘘をつき続けることになるな」

貴音「……嘘を貫き通す自信は、わたくしにはありません、きっといつか、番組にてぼろをだしてしまうでしょう」

P「そうなれば、番組に支障をきたし、自分の番組、ひいては事務所の皆に迷惑を掛けることになりかねない、そう思ったのか」

貴音「……はい」

P「だったら、どうして早く言ってくれなかったんだ?収録前なら手の打ちようはあったろうに」

貴音「それは、その……」

貴音「……」

貴音「あなた様は、いけずです」

P「?」

貴音「あの、一つお願いがあるのですが」

P「どうした?俺に叶えられることならなんでもするぞ」

貴音「はい……その、病院のことなのですが」

P「まさか、明日の食レポの撮り直しの後にしろなんて言うわけじゃないだろうな」

貴音「……」

P「バカ言うな、それはダメだ」

貴音「……しかし、この食レポの仕事は、あなた様がわたくしのためにとって来て下さった初のれぎゅらぁ番組です」

P「……」

貴音「もし、この後わたくしの身になにかあったら、明日の収録にて、この番組は終わってしまうかもしれません」

P「貴音……」

貴音「それだけは、決して避けたいのです、あなた様」

P「味が、わからないんじゃないのか」

貴音「大丈夫です、あの店のらぁめんの香りは覚えておりますゆえ、明日までに感想を見繕って参ります」

P「……」

貴音「どうか、よろしくお願いいたします」

P「……わかったよ、ただし、無理はしないこと」

貴音「ありがとう、ございます」

店主「へい、おまちどお!」ドン

貴音「……」ゴクリ

貴音「濃厚な香りが食欲をそそります、豚骨の旨みがすぅぷに凝縮されている事を教えてくれているようですね……」

貴音「……」

貴音「それでは、いただきます」パチッ

貴音「……」

貴音「まずは、すぅぷからいただきましょうか、香りに負けず劣らず濃厚です……」ズズズ

貴音「……」

貴音「次は、麺をいただきましょう」ズルズルッ

貴音「……」

貴音「……お粗末様でした」

P「やった、やったぞ!……すみません、カメラ止めてください!」

P「貴音っ。やったぞ貴音……よくやったな」

貴音「あな、プロデューサー……」

P「ホントによかった……頑張ったな、貴音」ガシッ

貴音「あ、あの、皆が見ておりますが……」

P「え、あっ、ああ、あの、あははははははは……」

貴音「プロデューサーにあるまじき行いですよ、お慎みください」フフフ

P「すまん、お前がやりきったことが本当に嬉しくて、嬉しくて……」

貴音「落ち着いてくださいまし、プロデューサー、それにまだ、収録は終わっておりませんよ」

監督「その通りだよ、貴音ちゃん」

P「!!」

P「か、監督……そ、そうですよね、ラストのシーン撮らないといけませんでし」

監督「いやぁ、それがさぁ……今撮った映像、見て欲しいんだけどさ」ピッ

貴音「こ、これは……」

P「……」

監督「言いたいこと、わかってくれたかなぁ?」

P「ま、まさか!」

監督「もちろん、取り直しだよ……こんな顔して食べてたら宣伝にならないでしょ」

P「ちょ、ちょっと待ってください。貴音は」

監督「大丈夫、普段の貴音ちゃんなら、ラーメンの一杯や百杯は余裕でしょ?」

P「で、でもっ」

監督「もぉ、スープは冷ましておくように言っておいてあげるから、そんなに心配しないでよ!」ガハハハ

P「ち、違うんです、貴音は」

監督「それじゃ、ちょっと休んだら次行くから、準備よろしくねー」スタスタ

P「くっ……」

貴音「……」

監督「よっしゃ、それじゃ、食べるところからもう一回!」

貴音「……」

監督「準備いいかい、貴音ちゃん!」

貴音「……」コクッ

監督「3、2、1……スタート!」

貴音「それでは、いただきます」パチッ

P「貴音……」

貴音「まずは、すぅぷからいただきましょう……」ズズズッ

貴音「うっ……」

貴音(今までに感じたことのない、凶悪な不快感と吐き気が……顔、笑わなければ、同じ結果になってしまう)

貴音「次は、麺をいただきましょう」ニコッ

監督「お、いい顔だ、スープを覚ましたのが効いてるみたいだねっ」

P「うぅ、貴音……」

貴音「……」ズルズル

貴音「……」モグモグ

貴音「……」ズルズル

貴音「……」モグモグ

監督「うんうん、いい食いっぷりだ、これならいけそうかな」

P「貴音……」

貴音「……」ズル…ズ…ズ…

貴音「……」モグ…モグ…

貴音「……」ズ…ズ…ズ……

貴音「……」モグ…モ…グ…

監督「なんか、食べるの遅くなってきてるなー、頑張れ―」

P「……」

貴音「……」ズ…ズ……

貴音「……」モ…グ…



貴音「……おえっ、ぐえぇぇぇ!!」ビチャビチャビチャビチャ!!

貴音「……申し訳ありません、あなた様」

P「……いいんだ、貴音、お前はよく頑張ったよ、謝る必要はないさ」

貴音「わたくしの仕事が、一つ減ってしまいました、何よりも大切な仕事が……」

P「……」

貴音「それに、わたくしのせいで、あなた様に恥を……わたくしは、もう、終わりなのかもしれません」

P「何を言うんだ、高々、食レポの仕事ぐらい、また取ってきてやるからさ」

貴音「……高々、ですか」

P「……まぁ、今はなにより休むことを最優先してくれ」

貴音「はい」

P「しかし良かったな、たいしたことなくて……栄養が偏ってただけだから、この点滴ですぐ治るって言うし」

貴音「……」

P「またすぐラーメンも食べれるようになるさ……今度は食べすぎないようにしなきゃいけないけどな、あはは」

貴音「……」

気付けばわたくしは、病院にて床についておりました

聞くところによれば、すでに種々の検査などは終了した様子です

……ただの亜鉛不足やら、かっぷらぁめんの食べすぎやら、ストレスやら、様々に要因はあるようでしたが

この味覚障害は一過性のもので、この点滴を数日も続ければ、問題なく治るそうで

物を食べられないわたくしのために、点滴という手段を選んでくださったプロデューサーの心遣いが

より一層、わたくしの惨めさに拍車をかけておりました


P「じゃあな貴音、俺、そろそろ、他のやつのところにも行ってやらなくちゃいけないから……」

貴音「申し訳ありま」

P「ストップ、もう謝るな、お前は悪くないんだから、な」ナデナデ

貴音「……はい」

P「じゃあな、くれぐれも気に病むんじゃないぞ!」

貴音「……」




このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom