真ジャンル「素直ヒート」(39)

女「男ォォォォォッ!!愛してるぞォォォォォッ!!」

男「喧しい」

女「つれないぞ男ォォォォォ!!だがそんなところも好きだァァァァァ!!」

男「うるさいな……」

男「うわ、今日雪すげぇな……」

女「寒いィィィィィィ!!!暖めてくれ男ォォォォォ!!!」

男「今から雪かきせにゃならんから無理だな」

女「雪かきか!!雪かきなら私に任せておけッ!!」

男「おいおい、女の細腕じゃ雪かきなんて難儀だr……」

女「食らえッッッ必・殺!!!大雪山落としィィィィィィィィィィィィ!!!!!!」

ドザザザザザザザザァァァァァ!!!!!

男「!?」

女「ふうっ!!いい汗かいたぞ!!」

男「……今度から雪かきはお前に頼むわ」

男「……後輩からラブレターをもらってしまった」

女「で、つきあうの?」

男「挙げ句こいつにバレてしまった」

女「どうなの?返事待ってるんじゃない?やっぱ返事も手紙なの?」

男「っていうか、女はいいのか?俺と後輩がつきあっても」

女「よくはない!よくはないけど男が付き合いたいなら仕方ないっ!」

男「なんだよそれ……」



~翌日~

女「後輩さん、いますかっ!?」

後輩「えっ、はい、私です……けど」

ザワザワ

女「私……」

女「私も男が好きっ!だから後輩さんはライバルよ!正々堂々、恨みっこなしだらねっ!」

こうですかわかりません

女「男ォォォォォ!!キスしよォォォォォ!!今ッここでッ!!」

男「うん、それ無理」

女「なんでだァァァァァ!!?」

男「人目もあるのにそんなこと出来るか」

女「愛とはなんだ!?ためらわないことさ!!」

女「二の足踏んでるとあっという間におじいちゃんだぞ!!!さぁ、今こそ!!!」ンーッ

男「お前が捨てた物はためらいと女らしさだと気付け」

女「流れ星に三回願い事言うと叶うってよく聞くよな!!」

男「ああ」

女「思ったんだけど、なんで流れ星だけ特別なんだ!?もしかしたら普通の星でも願い事叶えてくれるんじゃないか!?」

男「そらお前、希少性が違うからだろ」

女「男と付き合えますように!!!男と付き合えますように!!!男と付き合えますように!!!」

男「っておーい……人の話を聞く気ゼロか」

女「三回言ったぞ!!!付き合ってくれ男ォォォォォ!!!」

男「趣旨変わってんだろが」

女「むぐぅ……やっぱり流れ星じゃないと効果ないのかァァァァァ!!」

男「それ以前の問題だ」

女「うぉぉぉぉぉぉ!!!」

男「なんだ、うるっさいな……」

女「男、見ろ!!猫いるぞ、猫!!」

猫<ニャーン

男「あぁ、いるな。猫好きなのか?」

女「大好きだぞ!!!だけどあんまり触れないから、余計触りたくて仕方なくなるんだ!!!」

男「ふーん……」

女「おお!!見ろ!!モッコモコだぞ、触り心地良さそうだぞ!!!」

男「……一つ聞くが、まさかお前猫触る時に、今みたいな大声出してるんじゃないか?」

女「当たり前だァァァァァ!!相手に私の存在を知ってもらわなきゃ意味がないだろォォォォォ!!」

男「そりゃ猫も全力で逃げるわ」

女「男ォォォォォ!!!抱きしめさせてくれェェェェェェ!!!」

男「心の底からお断りする」

女「なんでだァァァァァ!!好きあってる者同士が抱擁も出来ないなんて!!」

男「お前なぁ……いっつも遠くから走ってきて、タックルするみたいに俺に飛びついてくるだろ?」

女「おう!!!」

男「こないだ十字路で俺に抱きつこうとして、飛び出してきた原付を逆に撥ね飛ばしたのはどこのどいつだ?」

女「それは私だ!!!」

男「だろ?そんな殺人タックルに体をさらす、俺の身にもなれ」

女「愛があればどんな障害も屁でもないだろォォォォォ!!私はいつでも準備オーケーだぞォォォォォ!!」

男「力加減覚えるまでハグも抱っこも禁止だ、バカ」

女「男ォォォォォ!!!」ドドドドドドドドド…

友「おー、今日もヒートさん元気だなぁ」

男「こっちとしちゃあちったぁ静かにしてほしいもんだがな」

友「そう言うなよ、ホントは満更でもないんだろ?」

男「あいつの殺人タックルを受けてそこまで言ってやれる自信はないな」

女「何話してるんだァァァァァ!!私も混ぜてくれェェェェェェ!!」ドドドドドドドドド…

男「しょうがない。対女用秘密兵器を出すか……」

友「ちゅうと?」

男「……せいっ!!」ポフッ

女「むがぁっ!?」ドドドドドドドドド、ピタッ

男「その肉まん、買ったばっかだけどお前にやるわ。味わって食えよ」

女「あっちぃ!?あっちぃよ男……あっちッ!!!」

男「それ食べ終わるまで喋るんじゃないぞー」

女「あっちぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!?」ジタバタ

友「なんという鬼畜の所業……」

うちの母が喧しくて困る。

母はよく歌を唄う。そして俺は母が唄う歌のことが、わりと嫌いではなかった。

最初はふんふんと鼻歌を唄っていたはずなのに、次第に熱唱していく様が面白いのだ。

その熱のこもり様は母そのものといった風だが、時として突っ込みたくなるほど声量が大きくなっている時がある。

どうやらアップテンポで激しい曲を口ずさんでいると、そうなってしまうらしい。

そういう時は必ずと言っていいほど、歌に合わせて身体まで動いてノリノリである。

ちょっと声抑えた方がいいんじゃないの、と俺が言うと、母は好きな歌も唄えないこんな世の中じゃ、とわざとらしく嘆く。

そうした後に、俺にも唄えと誘いをかけ、断りきれなかった俺と大合唱するのが定番となっている。

母とのデュエットに食われ気味になりながら、それでも俺は悪い気分ではなかった。

・古いアルバムに



男「ん……おぉ、懐かしい」

女「どーした男ォォォォォ!!」

男「見ろよこれ、幼稚園時代のアルバムだ」

女「おぉっ!!懐かしいなぁ!!」

男「思えばお前ともこの頃からの付き合いか……長い腐れ縁だな」

女「腐れ縁じゃないぞォォォォォ!!人はそれを運命と呼ぶんだァァァァァ!!」

男「お、見ろよ。この写真珍しくお前が泣いてんぞ」

女「ホントだ!!なんでだろな!!」

男「あー、思い出した。これ卒園式の時だ。お前小学校も一緒だって言ってるのに、話全然聞かずに号泣してたんだよな」

女「そうだったか?でも、男と離ればなれになるならそれくらい泣くかもな!!」

男「同じ状況になったら今でも泣きそうだよな、お前」

女「当たり前だァァァァァ!!!男と別れるのに泣かいでか!!!」

男「全面肯定かよ。少しは成長しろ」

・やれやれ系男子


男友「なぁ、男ってさぁ、ラノベとかのやれやれ系主人公っぽくね?」
女友「何、そのやれやれ系って?」
男友「まぁ簡単に説明すっと、人生達観してるようなクールな奴ってこと」
女友「あー、確かにそういうとこあるわよねぇ。誰に対してもドライっていうか、一線引いてるみたいな」
男友「だろ?ああいう奴がモテるのは漫画の中だけだと思ってたんだけどなぁー」
女友「モテるって言ってもヒートからだけでしょ?現実はそんなに甘くないわよ」
男友「まぁな。やれやれ系って一歩間違うとただの冷たい奴だしな」
女 「そんなことないぞォォォォォォォォォォ!!!!」
男友「あ、ヒートさん」
女友「あんたどっから出てきたのよ……」
女 「男の話題とあらばどこにでも現れる!!!それに男はやれやれ系なんかじゃないぞ!!!」
女友「でもあんた、毎日つれなくされて涙目じゃない」
女 「あれはただの照れ隠しだ!!!二人きりの時はちゃんと私に優しいし、甘えさせたりもしてくれるぞ!!!」
男友「えー、マジかよ……」
女友「それはそれで意外な話ねぇ」
女 「それにキスだって、身体が蕩けそうになるようなのを舌を絡めながら……」
男 「それ以上余計なことを言うな!!」スパァーンッ
女 「あいたぁッ!?」
男 「ホンットにお前はあることないことべらべらと……今ヒートが言ったのは全部嘘だからな!!」
男友(嘘じゃないな、これは)
女友(絶対やることヤッてるわね)

・横断歩道の対岸から


男「……」テクテク
女「あ!!男だ!!おーい、男ォォォォォ!!!」
男「ん?うわ、女だ……」
女「今いくから待ってろォォォォォォォォォォ!!!」ドドドド
男「ば、バカ!!信号赤だぞ!?」


ーーーキキィッ、ドォンッ!!


男「うわああああ!?ヒートが轢かれたァッ!!」
男「おいっ、生きてるかヒート!?返事しろ!!」
女「うーん……あれ?」ムクッ
男「普通に立ち上がった……?」
女「あははは!!車が来るの見えてなかったぞ!!失敗失敗!!」テヘペロッ
男「おま……十メートルは飛ばされたのになんでかすり傷一つないんだよ……」
女「なんでって、受け身とったから大丈夫に決まってるだろ?こう、くるんって!!」
男「いやその理屈はおかしい」
.

・マニキュア


女「男ー!!ほら見てくれ、女友にマニキュア塗ってもらったんだ!!」

男「ほー、すごいな。あいつこんなことも出来るのか」

女「すっごいかわいいよな!!私が自分でやるとこうはならないぞ!!」

男「お前超絶不器用だもんな……」

女「赤は情熱の赤!!そして愛情の赤なんだぞ!!知ってたか!?」

男「なるほど、つまりお前の愛情や情熱は爪の先ほどしかないと」

女「違ァァァァァう!!!わざとそんなこと言うなよォォォォォ!!!」

男(やっぱこいつからかうと面白いなー)

.

・エネルギー容量


男「唐突に思ったが、お前と俺とはエネルギーの容量からして違うような気がする」

女「なんだそれは!!どういう意味だ!?」

男「俺は基本的にダウナーでインドア派だが、お前はアッパーでアウトドア派だろ?そもそも釣り合うはずがないと思うんだ」

女「そんな馬鹿な!?男と私はこれほどまでにお似合いだというのに!!」

男「水と油は混じり合うことはないんだよ。それに、もし万が一……いや、億が一程度でも、お前が俺に遠慮するような関係はお断りだしな」

女「なぁんだ!!男はそんな心配してたのか!!」

女「心配しなくても、男がマイナスなら私はプラス!!そーさつされていい感じになるに決まってる!!」

男「そーさつじゃなくて相殺な」

女「だからそんなに構えないで私ともっとイチャイチャすればいいじゃないか!!」ギュウゥゥゥ!!

男「分かったから離れろ、暑苦しい」

>>32
クールビューティーに憧れる

>>33

女「ふーはははははっ!!私を見ろ、男!!」

男「……どうした、眼でも悪くしたか」

女「ちっがーーーーーう!!!これはそういうアレじゃなくてお洒落メガネだ!!!」

男「似合わないのに背伸びしてるガキみたいにしか見えないぞ」

女「そんなことあるかァァァァァァ!!!男のとお揃いにしたんだぞ!!!」

男「ホントだ、よくよく見れば俺が使ってるのと一緒だ」

女「男に似合うのなら私にも似合う!!それがこの世の道理!!」

男「いやその理屈はおかしい」

女「おかしくなどなぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!これで私もクールビューティの仲間入りだァァァァァァ!!!」

男「……なぁヒート。今度お前に似合うメガネ探しにいくか?」

女「フゥーハハァー……へ?」

男「あまりに似合わなすぎて不憫に思えてきたから」

女「つ……つまりはメガネ屋デートということか!!!合点承知だ!!!」

男「なぜそうなる……」

・歳の差ヒート

女「兄ちゃーん!!男兄ちゃーーーーーん!!」

男「ん……ヒートか。今から学校か?」

女「そうだよ!!兄ちゃんは仕事?」

男「見りゃ分かるだろう。今から通勤快速乗って、地獄の営業回り開始だよ」

女「うわー、なんかよく分かんないけど大変そうだね!それじゃあ元気出るように、いってらっしゃいのちゅーしてあげよっか?」

男「お前なぁ……いい歳してそう子供みたいなこと言うなっての」

男「あのな、ヒート。確かに俺は小学生のころからお前を可愛がってたし、今でも可愛いと思ってるよ?」

男「でも、それとこれとは話が別。JKに手なんか出したら俺みたいなオッサンはすぐ縄かけられちまうんだぜ?」

女「兄ちゃんはオッサンじゃないよ!!まだまだ若いよ!!ビンビンだよ!!」

男「三十路まであと三年っきゃないのにオッサンじゃないだと?」

女「そうだよ!!それにいざとなったら、兄ちゃんが私を嫁にもらえばいいんだよ!!」

男「そういうことは料理洗濯家事炊事を俺以上にこなせるようになってから言いなさい」

女「むーっ……屁理屈こねる兄ちゃんにはこーだ!!!」ムギュ

男「ちょ、おまっ、抱きつくな!!駅員見てるだろが、おいっ!!」

女「男ォォォォォォ!!!お弁当もってきたぞォォォォォォ!!!」

男「ん。いつもサンキュな」

女「お代わりはいるか!?熱々の番茶も淹れてあるぞ!!」

男「お代わりって、まだ最初の一口も食べてないし……」

女「あーんしてやるから遠慮なく食べろ!!あァァァァァァン!!!」

男「全然落ち着いて食べれねぇ……」

女「男ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!手を出せぇぇぇぇぇぇ!!」ドドドドドド

男「……なんだ?」パッ

女「イェーイ!!ハイタッチー!!」パァンッ

男「おっ……おい、なんだそのアメリカナイズされたノリは?」

女「かーらーのー!!」パシッ

男「!?」

女「へへーん!!こうしたら男も恥ずかしがらずに手を繋いでくれるよなっ!!」ニギニギ

.

男「お、おい、止めんか」

女「止めないよーだ!!」ギュギューッ

男「……とうっ」グリッ

女「あいだぁぁぁぁぁぁ!?か、関節極ってるぞぉぉぉぉぉ!?」バタバタ

男「あ、悪い。さすがに少しやり過ぎたか」パッ

女「ふーっ……男は油断も隙もないな!!」

男「いやそれこっちの台詞だから」

女「次からはもっとナチュラルに男と手をつなぐ方法を考えとくからな!!」

男(……アホ可愛いなぁ、こいつは)

.

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