モバP「……」ジラーチ「……」(522)
モバマスSS
ポケモンSS
って言ってもモバマスの世界で物語りは繰り広げられます。
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事務所
モバP「なんだこれ?」
モバP「箱……でいいのか?」
モバP「でも、郵便物ではなさそうだな」
モバP「おそらくちひろさんのものだろうなー……」
モバP「一体なんだろう」
モバP「……」キョロキョロ
モバP「ちょっとだけなら中を見ても大丈夫だよな?」
モバP(もしかしたらスタドリが大量に入ってるかもしれないし)
モバP「では早速」
モバP「ドリャ」パカ
モバP「……?」
モバP「紫の結晶?」
モバP「紙があるけど、念のため読んでみるか」
モバP「ジラーチの取り扱い説明書?」
モバP「なになに……」
モバP「ジラーチは清らかな声で歌をきかせてあげると1000年のねむりからめをさまします?」
モバP「ジラーチっていうのはこの結晶の名前でいいのか?」
モバP「変った名前だな。こういうのには疎いけどアメジストってやつではないのか……」
モバP「それに千年の眠りからさめるって何だよ」
モバP「まぁ、それはどうでもいいから、続きを読もう」
モバP「えーと……ジラーチは三つだけ人の願いを年でも叶えてくれる……ね」
モバP「ん? 人の願いを叶える?」
モバP「もしこれがちひろさんのものでこの説明文が本当だとしたら」
訂正
モバP「えーと……ジラーチは三つだけ人の願いをなんでも叶えてくれる……ね」
モバP「……」
モバP「いやいやいや」
モバP「どうせ胡散臭いなにかだろう」
モバP「でも」
モバP「仮にこれが本当だとしたら」
モバP「ちょっと不味くないか?」
モバP「ちひろさんが叶えたいような願い事って」
億万長者
モバP「とか」
世界征服
モバP「だったり」
モバP「とにかくやばそうなものをお願いしそうだよな……」
モバP「念のためちひろさんに電話を入れてみるか」
トゥルルルルル
ガチャ
モバP「あ、もしもしプロデューサーですけど」
ちひろ『もしもしーおはようございます』
ちひろ『あれ? 私もしかして今日勘違いしてましたか?』
モバP「いやいや。今日はちひろさん休みだよ」
ちひろ『じゃあ、仕事上のトラブルで?』
モバP「それも心配ない」
モバP「ちょっと聞きたいことがあって」
ちひろ『なんでしょうか』
モバP「事務所にある箱についてなんだけど……」
ちひろ『あー、あれですか』
モバP「やっぱりちひろさんの?」
ちひろ『はい。でも正直怪しげな人物から渡されたものでどうも触れなくて……』
モバP「え」
ちひろ『無料で譲ってくれるって言ったのでついつい譲ってもらっちゃったものなんです』
モバP「……」
ちひろ『もしかして、モバPさんあれほしいんですか? なら、あげますよ」
モバP「いや! 俺は――」
ちひろ『よかったよかった。これでまた一つ不良債権が減って』
ちひろ『それじゃ、電話切りますね』
ガチャン
ツーツー
モバP(一方的だ……)
モバP「……」チラ
モバP「触ってないって事はこの箱の中身も知らないってことだよな」
モバP「でも、どうするか……」
モバP「これがもしいわくつきのやばい奴だったらどう処分すればいいんだよ」
モバP「困ったなぁ……」
モバP「取りあえず家に持ち帰っていろいろと調べてみるか」
自宅
モバP「うーん。パソコンで検索してもそれっぽい情報はないなー」
モバP「頼りになるのはこの説明書だけか」
モバP「えーっと。歌を歌えば眠りから覚めるとか書かれてたよな」
モバP「ちょっと試しにやってみるか」
モバP「……災いの目覚めとかって落ちはないよな?」
モバP「暇つぶしでやったことが世界の終わりに繋がったとかになったら嫌だぞ……?」
モバP「まぁ、取り合えず歌ってみるか」
モバP「ふふ、こう見えても俺はプロデューサー界の小林幸子って呼ばれてるからな」
モバP「歌には多少の自信はある」
モバP「それではいってみよう!」
モバP「~♪」
破滅の歌
ドンドン!
モバP「ヒ!」
隣人『うっせーよ下手くそ!』
モバP「……」シュン
モバP「結局うんともすんとも言わなかったな」
モバP「はぁ……」
モバP「なんか疲れた。寝よう」
モバP「あぁ、そういえばこれどこに置いておこう」
モバP「面倒だからバックの中に詰め込んでおくか」ゴソゴソ
ドサ
モバP(ねよねよ)
翌日
モバP「うーん?」ガバ
モバP「やべ! もうこんな時間じゃねーか!」
モバP「今日は俺が事務所開けなきゃなんねーから急がないと!」
タッタッタッタ
モバP(あれ? やけにかばんが重いな)
モバP「ま、いっか」
事務所
モバP「ふー。なんとか九時ジャストにギリギリ到着だな」
モバP「もちろん誰もいねーよな」
モバP「さてさて、書類整理でも――ん?」
モバP「やっば! ジラーチ持ってきちゃったじゃん!」
モバP「あー、だから重かったのか……」
モバP「しょうがないな。適当に飾っておくか」
モバP「こんな感じでいいかな?」
モバP「うん。形は歪だけどインテリアとしては悪くないな」
ガチャ
モバP「?」
モバP(こんな時間から誰だ?)
木場「おはよう」
モバP「あれ? 木場さんじゃないですか」
モバP「確か、今日は午前中に歌の収録でしたよね?」
木場「あぁ。でもその前に君にその歌を聞いてもらおうと思ってね」
モバP「それまたどうして」
木場「君に聞いてもらいたいからだ」
木場「そんな理由じゃだめか?」
モバP「!」キュン
モバP(木場さんの言葉に男だけど一瞬ときめいてしまった……)
木場「ダメか?」
モバP「そんなことないですよ!」
モバP「是非、聞かせていただきます」
木場「わかった」
モバP(木場さんは間違いなくうちの事務所でトップの歌唱力だからな……)
モバP(ん? だとすると……)
木場「それではいくよ」
モバP「あ、はい」
木場「~♪」
モバP(さすが、海外帰りは違うな……)
モバP(音が綺麗と言うか……)
モバP(これと比べると昨日の俺は本当に酷かったな)
木場「こんなところかな」
モバP「」パチパチ
モバP「いやー、さすがですね」
木場「そんなことないさ」
木場「それじゃ、いろいろとスッキリしたから私はもう行かせてもらうよ」
木場「君は珍しく今日一日事務処理だからしっかり仕事をしてくれよ?」
モバP「わかってますって」
木場「心配はしていないがね」
ガチャン
モバP「あーあ。これでまた一人か」
モバP「そういえば」
モバP「あんだけ綺麗な歌を聞かせたんだからジラーチが反応しているはずだ」
モバP「もし、反応していなかったらやっぱりただの石だったって事になるけど」
モバP「どれどれ……」
モバP「って、やっぱなにも起こってないし」
モバP「やっぱただのガラクタだったのか?」
キュイーーーーン
モバP「ん? うわ! まぶし――」
モバP(ジラーチの発光が収まるとそこにいたのは)
モバP「にん……ぎょう?」
ジラーチ「……」
モバP「なんか羽みたいのついてるし」
モバP「なんなんだよこれ」
モバP「ちょっとだけ触ってみるか」
モバP「……柔らかいな」
モバP(よく見ると可愛らしい顔してるし)
モバP「だ、抱いてみても大丈夫だよな?」ヒョイ
モバP「うわ……軽いな」
ジラーチ『……ん?』
モバP「お、起きたのか!?」
モバP(あれ? でも今の言葉脳に直接届いたような気が……)
ジラーチ『だぁれ?』
モバP(やっぱりだ。口が動いてない。え、エスパーかなにかなのか?)
ジラーチ『ねぇねぇ。きいてる?」
モバP「わ、悪い」
モバP「俺の名前はモバPって言うんだ」
ジラーチ『もばP?』
モバP「そ、そうだ」
ジラーチ『もばP! もばP、もばP、もばP!』
モバP「いや、繰り返さなくていいから」
ジラーチ『そう……』シュン
モバP「お、落ち込むなよ」
モバP(すげぇ罪悪感、感じたんですけど)
モバP(あ、そういえばなにか願い事を叶えて貰えるんだったな)
モバP(でも、本当に叶えてくれるのか?)
モバP「ジラーチ。お前願い事を叶えてくれるって言うのは本当なのか?」
ジラーチ『ねがいごと……?』
ジラーチ『うん! ぼく、もばPのねがいごとなんでもかなえる!』
モバP「じゃ、じゃあさ」
モバP(ど、どうしよ。なにも考えてなかったけど……)
モバP(ここはてきとうになにか頼んでおくか)
モバP(本当に叶えてくれるかどうかはわからないしな)
モバP「ぎゃ……ギャルのパンティをくれーっ!」
ジラーチ「ぎゃるのぱんてぃ?」
ジラーチ「……」キラン
モバP「今短冊みたいのが光ったけど……」
モバP「なにも起こらないな」
モバP「そ、そうだよな。願い事がなんでも叶うなんてそんな上手い話ないよな!」アハハ
ポテリ
モバP「ん?」
モバP「こ、これは!」
モバP「絹パン!」
モバP「しかも、まだ暖かい!」
モバP「ぬ、ぬくもりがあるぞ!」
ジラーチ『ぎゃるのぱんてぃぎゃるのぱんてぃ!』キャッキャッキャッキャ
モバP「ぎゃるのパンティ! ギャルのパンティ!」
モバP「すげぇよジラーチ!」
――一方その頃――
通学路
美嘉(あーあ。学校面倒くさいなー)
美嘉(でも、明日は! プロデューサーと一緒にお仕事があるから頑張るぞ★)
シュン
美嘉(あ、あれ?)
美嘉(あ、アタシ今朝しっかり穿いてきたよね?)
美嘉(やけに股がスースーするっていうか……)サワサワ
美嘉(やば……本当に穿いてきてないじゃん!)
―――
モバP「よっしゃぁぁー!」パンツヲニギリシメテガッツポーズ
ジラーチ『もばP、おおよろこび! ぼくもうれしい!』
モバP「ありがとうジラーチ! まっこと……ありがとう……」グスン
モバP(アイドルに手を出せない分欲求が堪ってて余計に喜びが倍になってしまった)
モバP「俺はついに手に入れたんだ! ひゃっはー!」
ドサ
モバP「え」
凛「なにやってるのプロデューサー……」
モバP「あ……(察し)」
凛「……」
ジラーチ「……」スヤスヤ
モバP(ジラーチの野郎。あれからすぐに寝やがって……)正座
モバP(しかも現在は凛の腕の中でグッスリだ)
凛「説明して」
モバP「いや、あのですね」
モバP「おれ自身よくわかってないというか……」
凛「じゃあ、ここをはっきりさせようか」
凛「これは盗んだものなのそうじゃないの?」
モバP「盗んだなんてとんでもない!」
モバP「それはそこにいるジラーチが俺の願い事を叶えてくれて出てきたものなんだよ」
凛「この子が?」
モバP「だから、誰のものかはわからない」
モバP「わかっているのはギャルのパンティだってことだけ」
凛「ふーん」
凛「まぁ、この子が一体なんなのか願い事が叶うとかわけのわからないことは置いておいて」
モバP「え?」
凛「プロデューサーが女の子のパンツを欲した件について詳しく掘り下げてようよ」
モバP「ちょ! やめろよ!」
凛「大体なんでそんなしょうもないことを叶えようとしたの?」
モバP「……パンツが欲しかったからです」
凛「プロデューサーならアイドルの女の子に頼んでみれば誰かしらOKくれたんじゃないの?」
モバP「アイドルにそんなこといえねーよ」
凛「そう……」
凛「……」
モバP「……」
モバP(空気が重い)
凛「ねぇ……そんなにほしいんだったら……」
凛「わ、私のあげてもいいよ?」
モバP「え!?」
凛「だ、だって!」
凛「自分のプロデューサーが誰のものかわからないパンツの匂いを嗅ぐくらいなら……その……」
凛「嫌だけど、まだ誰のものかわかってるものを嗅いでもらう方が安心できると言うか」
モバP「いや、別におれは嗅ごうと思って欲しがったわけじゃないんだけどな?」
モバP(いつもクールな凛が頬を赤らめてそんなことを言うのは凄くいい絵なんだけど……)
モバP「気持ちは嬉しいんだけどさすがにアイドルの私物はちょっと……」
凛「不満?」ムス
モバP(いきなりいつもの調子に戻るし……)
モバP「不満ではないけどばれたら不味くないか?」
凛「さっきのパンツのほうがよっぽど不味いと思うけど?」
モバP「すいませんでした」
モバP「とりあえず! 俺はアイドルのパンツには手を出さない」
モバP「もし、そこにあるパンツがアイドルのものだったら俺は自害してもいいね」
凛「決意は固いんだね」
モバP「あぁ。そうだ」
凛「はぁ……わかった」
凛「その代わり他の人のパンツでも取ったりして匂いを嗅がないでね」
モバP「いや、だから匂いは嗅がないって」
凛「じゃあ、話を変えるけど、この子はなに?」
モバP(やっと話を変えてくれた)
モバP「俺にもよくわからないんだ」
モバP「ちひろさんから譲り受けた石が突然変化してその子になったとしか言いようがないな」
凛「ちひろさんの?」
モバP「おう。もしかしたら宇宙人かもしれないな。わっはっは」
凛「ちひろさんのものだったらそれもありえるよね」
モバP「だからこそ、怖いんだよなー」
凛「そういえば、あのスタミナドリンクってなんなの?」
モバP「不思議と元気の出る謎ドリンク」
凛「もうやめなよ。あんな怪しいドリンク飲むの」
モバP「それがあれがないと苛苛したりして仕事に集中出来ないときがあるんだよ」
凛(依存性のあるやばいやつなんじゃ……)
凛「でも可愛いよね。ふふ」チョンチョン
ジラーチ「……」
モバP「なんで寝ちゃったんだろうな」
凛「さぁ? 可愛いからいいじゃん」
モバP(結構凛って可愛いもの好きなんだよな)
モバP(犬とか好きだしこういう愛くるしいものに惹かれるのか)
凛「願いがどうとかって言ってたけどあれってなんなの?」
モバP「えっと、あれは……」
モバP「ジラーチ……っていうのはこいつの名前なんだけど」
モバP「ジラーチは人の願いを三つだけ叶えてくれるんだよ」
凛「へー。そうなんだ」
モバP「俺が一つしちゃったから後二つだけ願い事が言えるな」
モバP「凛もなにかしてみるか?」
凛「私は……いいよ」
モバP「? どうしてだ? 凛にも叶えたい夢とかあるだろ?」
凛「そういうのは自分の力で叶えたいの」
凛「アイドルとしてトップになること……そして、恋愛も」
モバP「恋愛!? お前今誰か気になってる人とかいるのか!」スク
モバP「でも、それはアイドルとしてダメだと俺は思うんだけど……」
モバP「あー、いやいや! アイドルとして自覚を持って交際するなら俺は別に構わないんだぞ?」
モバP「ただ、心配っていうか……」
凛「……」
モバP「悪かった。口出し、し過ぎたか?」
凛「誰が正座解いていいって言った?」
モバP「え?」
凛「正座!」
モバP「はい!」正座
モバP(怒らせちゃったか……)
凛(なんもわかってない……)ムス
凛「まぁいいよ」
凛「今までのことを整理してみると」
凛「ジラーチが一体どんな生物なのかはわかっていない」
凛「けど、願い事は叶えてくれる不思議な生き物」
凛「これでいいんだよね?」
モバP「おう」
凛「だとすると……」
凛「この子は外に出せないね」
モバP「なんでだ?」
凛「未確認生物。しかも願い事を叶えてくれる生物」
凛「世間に出たら間違いなくモルモットにされるよ?」
凛「それはちょっとかわいそうでしょ」
モバP「た、確かに」
モバP「じゃあ、事務所に置いておくって事か?」
凛「そういうこと」
モバP「でも、それじゃ、アイドルたちにはばれてちゃうな……」
凛「ばれたとしてもみんな口が固いから大丈夫でしょ」
モバP「確かに守秘義務はきっちり守る連中だけど……」
凛「願い事の件は伏せておいて教えてあげればきっと誰も悪さしないよ」
凛「とくにちひろさんには願い事の件は絶対ダメ」
モバP「それはわかってる」
訂正
モバP「でも、それじゃ、アイドルたちにはばれちゃうな……」
凛「それにうちの事務所の人たちは変った人が多いのと柔軟性はあるからすぐに受け入れてくれるはずだよ」
モバP「そうだなー」
凛「今日はプロデューサーは一日事務所にいるんでしょ?」
モバP「おう」
凛「だったら来たみんなにいろいろ説明してあげてよ」
モバP「わかった」
凛「それじゃ、私はモデルの仕事に行ってくるから」
モバP「一人で大丈夫か?」
凛「担当Pがいなくても大丈夫だって」
凛「はい。じゃあジラーチ」
モバP「はいよ」
凛「起こさないでよ?」
凛「じゃあね」
ガチャン
モバP「ふー。とりあえず。なんとか凌げたな」
ジラーチ『……ん?』
モバP「お? 起きたか」
ジラーチ『ぎゃるのぱんてぃ?』
モバP「その件はもう忘れてもらっていい」
ジラーチ『そう……』
モバP「まずはいろいろと教えてあげなきゃな」
ジラーチ『なにをー?』
モバP「そうだな……」
モバP(ここがどういうところなのか。俺がどんな人間なのか。そんなの説明してもわからないだろうな)
モバP(とりあえず、ここには人が大勢出入りすることだけ教えておくか)
モバP「ここにはたくさんの女の子が入り浸るんだけど……」
モバP「みんなたぶん、ジラーチを見たら驚くと思うんだ」
モバP「でも、みんなとってもいい子だから大丈夫」
モバP「きっと仲良くできる」
ジラーチ『たくさん?』
モバP「あぁ、たくさんだ」
ジラーチ『みんなともだちになれる?』
モバP「友達? ……ジラーチが頑張ればなれるかもな」
ジラーチ『ほんとう? じゃあ、僕、頑張るよ!」
モバP「おう。頑張れ」
ジラーチ『もばPはともだち?』
モバP「俺か? そうだな。友達だ!」
ジラーチ『もばPともだち! ともだち、ともだちー!』キャッキャッキャ
モバP「そうだ。お前に聞いておきたいことがあったんだ」
モバP「なぁ、お前の正体ってなんなんだ?」
ジラーチ『ぼくのしょうたい?』
ジラーチ『ずーっとねむってたからよくおぼえてないよ……』
モバP「そうか……なら、仕方ないな」
ガチャ
ちひろ「おはようございまーす」
モバP「ゲェ!」
ちひろ「なんですか? おかしな声あげて……」
ちひろ「ってそれ一体なんですか!?」
ジラーチ『だーれ?』
モバP(あー、一番誤魔化すのが面倒な相手が来た……)
モバP「お、俺が拾ってきた……動物だよ」
ちひろ「ど、動物!?」
ちひろ「でも、そんなのみたことないですよ!?」
モバP「み、未確認生物なんだよ」
モバP「もしくはつちのこみたいに幻の生物」
モバP「それで、発見したのはいいけど世間にこれがばれるといろいろと面倒じゃん?」
モバP「こいつも実験用のなにかにされる恐れもあるからここの事務所で飼う? ことにしたんだよ」
モバP「ほら、だって可哀想でしょ?」
ちひろ「道徳的にはそうなんでしょうけど、怖くないですか?」
ちひろ「だって、もしかしたら危害加えそうじゃないですか」
モバP「そんなわけないだろ! 見てみろよこの愛らしい目を!」
ジラーチ「」キラキラ
ちひろ「う……」
ちひろ「で、でも社長がなんて言うかですよ?」
モバP「社長には俺から伝えておく。だから大丈夫だ」
ちひろ「むー」
ちひろ「ダメですってそんな危ないもの!」
モバP「なんでだよ。こんなにも可愛いじゃん」
ちひろ「そうかもしれませんけど……あ」
モバP「どうかした?」
ちひろ「こういう、未確認なものを捕まえて売るといくらで売れるんですかね?」
モバP「え」
ちひろ「非公開でお偉いさん方に向けてオークションをすれば何億、いや。それ以上の値が――」
モバP「な、なに考えてるんだよ!」
ちひろ「いやだな! 冗談ですよ!」
ちひろ「わかりました♪ ここに置いておくのを許可します♪」
モバP「怪しい了承の仕方だな……」
ちひろ「気のせいですよ!」
ちひろ「よろしくねー。えっとー」
モバP「じ、ジラーチです」
ちひろ「ジラーチちゃん♪」ニコ
ジラーチ『怖い……』ピタ
モバP「背中に隠れなくても大丈夫……あー。やっぱそのまま隠れてたほうがいいかも」
ちひろ「今脳内で声が! これは思った以上の値が!」ボソボソ
モバP「そんなことより。仕事するぞ仕事」
ちひろ「わかってますって♪」
モバP「それから、もし事務所内からいなくなってたらちひろさんを抹殺するから」
ちひろ「い、いやですね。そんな物騒な」
モバP(まぁ、元はといえばちひろさんのものなんだけど)
モバP(あの人の手の中でジラーチが目覚めなくてよかった……)
モバP「……」カタカタ
ちひろ「……」カタカタ
モバP(ちひろさんって仕事中は凄く真面目でいい人なのになー)
モバP(もったいない)
ジラーチ『ねぇねぇ。なにやってるの?』
モバP「これは『仕事』っていって俺が食べていくのにやらなきゃいけないことなんだ」
ジラーチ『しごと?』
モバP「そうそう。こうやってるときは集中してるからあまり喋りかけないようにな」
ジラーチ『うん! わかったよ!』
モバP「……」カタカタ
ちひろ「……」カタカタ
ジラーチ「……」
ジラーチ『ねぇねぇ。ぼくもなにか、しごとない?」
モバP「え!? そうだな……」
モバP「確かここに年少組ようの……あった!」ゴソゴソ
モバP「ほら。この折り紙で折るお仕事をしててくれ」
ジラーチ『おる?』
モバP「折り方はそこの紙の中に入ってるからそれを参考にするんだ」
ジラーチ『わかったよ!』ヒュー
モバP(あいつ飛ぶこともできるんだな……)
ちひろ(い、今飛んだよ! これはもっと値がつりあがりそうな予感……)
モバP「ふー」
モバP(どうやらジラーチは向こうの部屋で大人しく遊んでるみたいだな)
モバP(けど……)
モバP(なんだか弟が出来たみたいで楽しいなー)
モバP(一人っ子だったしああいう無邪気で可愛い弟が欲しかった時期があったな)
ガチャ
モバP「ん?」
莉嘉「やっほー☆」
モバP「莉嘉?」
モバP「あぁ、今日はドラマの撮影だったな」
モバP「ごめんなー。やらなきゃいけない書類が大量にあって付き添いいけなくて」
莉嘉「全然問題ないよー!」
莉嘉「でもぉ、今回のドラマはちょい出の役だったけどー」
莉嘉「次はもっと大きな役をとってきてね!」
モバP「精進します」
モバP「そうだ。もし、休むんだったら向こうの部屋使っていいから」
莉嘉「かしこまりー☆」スタスタ
莉嘉「♪」
ジラーチ『ぎゃるのぱんてぃぎゃるのぱんてぃ!』キャッキャッキャ
莉嘉「え」
莉嘉(ビリビリになった折り紙とパンツを被ったわけの分からないのが一匹?)
莉嘉「あ、あははー! がおー☆」
ジラーチ『? だーれ?』
莉嘉「それはこっちの台詞!」
ジラーチ『ぼく、ジラーチ!」
莉嘉「アタシは莉嘉、よろしくねー☆」
ジラーチ『りかーりかー!』キャッキャッキャ
莉嘉(いろいろと疑問点が多いけど……可愛いから気にしなくてもいっか☆)
莉嘉「ところでさー」
ジラーチ『んー?』
莉嘉「その頭のはなに?」
ジラーチ『もばPの!』
莉嘉「モバP君の?」
莉嘉「うーん。でもそれって……」
莉嘉「お姉ちゃんのパンツ、だよね?」
ジラーチ「?」
莉嘉「も、モバP君に聞いてみよっと!」
モバP「どうしたんだ莉嘉」
莉嘉「モバP君。お姉ちゃんのパンツぱくった?」
モバP「なに言ってるんだよお前! そんなわけないだろ!」
ちひろ「?」
モバP「ちょっとこっち来い!」
モバP「なにを根拠にそんなこといってるんだよ」ヒソヒソ
莉嘉「向こうの部屋にいた子が被ってたパンツ。あれ、お姉ちゃんのだよ?」
モバP「え」
モバP「ジラーチに会ったのか?」
莉嘉「うん☆」
モバP「……」スタスタ
ジラーチ『もばP! ひさしぶりー』
モバP「莉嘉、お前が言ってるのはこれのことか?」
莉嘉「そうだよP君!」
莉嘉「この使い方や柄とか……」
莉嘉「間違いなくお姉ちゃんのだよ☆」
モバP「……」
モバP「お前の姉の名前は城ヶ崎美嘉で合ってるよな?」ピクピク
莉嘉「そうだよ?」
モバP「うちの事務所の」プルプル
莉嘉「? うん!」
モバP「アイドルの」ワナワナ
莉嘉「どうしたの? P君おかしいよ?」
莉嘉「それより、盗んじゃったの?」
莉嘉「言ってくれれば盗まなくてもお姉ちゃんなら貸してくれるのに!」
莉嘉「それに、特別アタシのも付けちゃうよ☆」
モバP(ギャルのパンティ……)
モバP(ギャル=美嘉)
モバP「ぬぉぉぉぉ!」
莉嘉「きゃ!」
モバP「ジラーチ! 願いだ! 願い事を聞いてくれ!」
モバP「俺を……殺してくれ!」
モバP「体だけでなく魂もだ! 輪廻転生出来ないくらいまで粉々に俺の魂を砕いてくれ!」
ジラーチ『んー?』
莉嘉「な、なに言ってるの!?」
莉嘉「P君ダメだってば!」
莉嘉「P君死んだらみんな悲しいよ!?」ガシ
モバP「離せ莉嘉! 俺は……俺は七つの大罪を背負ってしまったんだ!」
莉嘉「よくわかんないよ!」
莉嘉「大体、罪って言ってもお姉ちゃんなら罪にカウントしないって!」
莉嘉「むしろ喜ぶと思うよ!」
モバP「本人がどう思うのかが重要なんじゃない!」
モバP「俺がどう思うかが重要なんだ!」
モバP「くそ! ジラーチが殺してくれないんだったら!」
モバP「とう!」
莉嘉「あ!」
モバP「アイキャンフライ!」
パリーン!
莉嘉「ここ8階だよー!」
―――
モバP「……」
ちひろ「もぉ、なんで飛び降りなんてしたんですか?」
ジラーチ『だいじょーぶー?』
ちひろ「きらりちゃんが下で受け止めてくれなかったら死んでましたよ?」
きらり「危なかったにぃ!」
モバP「タナトスが俺を見捨てた……」
ちひろ「なんですかその中二病は」
ちひろ「じゃあ、きらりちゃん後は私に任せてください。今日はもうお疲れでしょ?」
きらり「了解ー☆ Pちゃん最後にきらりんぱわーいるぅ?」
モバP「……」
きらり「わかった! それじゃ、きらりんぱわー、――」
モバP「いらないって!」
ちひろ「きらりちゃーん。ややこしくなるから帰ろうねー」ガシ
きらり「にょわー!」ズルズル
バタン
ちひろ「ふー」
モバP「……莉嘉は?」
ちひろ「美嘉ちゃんに報告したいことがあるとかで帰っちゃいましたよ?」
モバP「うわぁぁぁ!」
ちひろ(なにがあったのかはわからないけど……これはもうダメそう)
ちひろ(あのままご臨終しててくればいろいろと事は楽に進んだけど……)
ちひろ(このまま落ち込んでもらっててもきっと隙をつけば――)
モバP「」ピク
モバP(ちひろさんのあの顔……)
モバP(あれは悪いことをするときの表情だ!)
モバP(長い付き合いの俺ならわかる!)
モバP(もしかして俺が落ち込んでる間になにかしようとしてるんじゃ……)
モバP(これは落ち込んでいられない!)
モバP(もう過ぎたことはしょうがない。あれは事故なんだ)
モバP(ノーカウントノーカウント)
モバP(野球で例えるならファールだ)
モバP(空振り三振したわけではない)
モバP(自分を納得させるためにわけのわからないたとえをし始めたが俺は冷静だ)
モバP(よし。切り替えよう)
モバP「さぁ、仕事を始めようかちひろさん」キリ
ちひろ「え!?」
モバP「HAHAHA、くよくよしてても仕方ないよな?」ファサ
モバP「ふふ、休憩はこのくらいにして頑張ろうか」キラリン
ジラーチ『もばPかっこいい!」
モバP「ありがとう」
ちひろ(かっこいいというか無理してるに近いんじゃ……)
ちひろ(でも、立ち直ったみたい……)
ちひろ(はぁ……折角のチャンスがぁぁ)
モバP(ちひろさん。お前の思い通りになると思ったら大間違いだ!)
ガチャ
モバP「ん? もう七時も回ってるのに誰だ?」
美波「おはようございます」
ちひろ「美波ちゃん?」
美波「今度やるドラマの台本を取りに来ました」
モバP「あぁ、あれか」
モバP「ちょっと待っててー」
モバP「確か、新田ちゃん幼妻の役なんだよなぁ」
美波「からかわないでくださいよ」アハハ
モバP「くそー。いいなー。夫役の人」
美波「え?」
モバP「だって新田ちゃんみたいなのが妻役だったら嬉しいなんてもんじゃないだろう」
美波「そ、そうなんですか……」モジモジ
モバP(若くてエロい新田ちゃんだったらもう気が気じゃないだろう。常識的に考えて)
ちひろ「なんなら練習がてら二人でなんちゃって新婚夫婦でもやりますか?」
モバP「え!?」
美波「む、無理ですよ! 俳優さんとかなら出来ますけど、プロデューサーさんは恥ずかしいです!」
ちひろ「こんなんで恥ずかしがってたら本番できないよ?」
美波「そ、そうですけど……」
モバP「嫌がってるんだしやめないか?」
美波「……いえ、やります!」
モバP「ほ、本当にいいのか?」
美波「やってみせます!」
美波「よろしくおねがいしますね? プロデューサーさん♪」
モバP「お、おう」
美波「その前に……そちらは一体なんなんでしょうか?」
ジラーチ「?」
モバP「あ、忘れてた」
――説明中――
美波「へぇ。そうなんですかー」
ジラーチ『よろしくーよろしくー♪』
美波「よろしくね、ジラーチちゃん」ニコ
ちひろ「面白そうですし、ジラーチちゃんを子供役に置いてみますか?」
モバP「こ、子供みたいですけどさすがに厳しくないですか?」
ジラーチ『ぼく、やるー!』
ちひろ「本人は乗り気ですよ?」
モバP「はぁ……わかりました」
ちひろ「役柄とかは特に考えずほとんど素でやってくださいね」
モバP「はぁ!? そこに台本があるんだからそれにのっとれば――」
ちひろ「それじゃ、面白くないです」
モバP「……」
ちひろ「考える時間を与えたくないのでスタートです!」
美波「えぇ!?」
ちひろ「ジラーチちゃん。美波ちゃんのことはママって呼んでね?」
ジラーチ『うん!』
――
ジラーチ『ママー』ヒュー
美波「そんなに急いで飛んで来なくてもママはいなくなんないよー」ニコニコ
モバP「ジラーチは甘えん坊だなー」
美波「そうですね」
ちひろ「ほらそこ! 肩に手とか回す!」ヒソヒソ
モバP(そ、そこまでやるのかよ!)
モバP「……」ス
美波「あ……///」
モバP(なんで色気をそうやって出すかな!)
モバP(肩に手を回しただけじゃん!)
モバP(やばい。すげー、ドキドキしてる)
モバP「こ、こうしてるとこいつが出来た夜のことを思い出すな」
美波「え!?」
ちひろ「はいストップー!」
モバP「……」
ちひろ「下ネタはまずいですよー」
美波「わ、私は大丈夫ですけど……」
モバP「頼む。もう終らせてくれ。あの雰囲気に俺は耐えられない」
ちひろ「情けないですねー」
ジラーチ『ママーママー!』
美波「それはもう終ったから戻してもいいよ?」
ジラーチ『もどす?』
美波「今度は、美波って呼んで」
ジラーチ『……ママー!ママー!』
美波「は、恥ずかしいからやめてよ!」
ちひろ「どうやらそれが気に入ったみたいですね」
美波「えぇ!?」
ちひろ「ちなみにジラーチちゃん」
ちひろ「モバPさんのことをパパって呼んでみてごらん」ヒソヒソ
ジラーチ『もばPを?』
モバP「馬鹿! やめろよ!」
ジラーチ『ぱぱー』
モバP「あー、もう余計にややこしくなった」
ガチャ
モバP「え」
愛梨「パパとママってどういうことですか?」プルプル
モバP「愛梨!? こ、これは違うんだ!」
愛梨「まさか二人が……」
愛梨「今夜はお赤飯ですね!」タッタッタッタ
モバP「なんちゅう捨て台詞を残してるんだよ!」タッタッタ
自宅
モバP「はぁ……もう今日一日ですげー疲れたな」
モバP「ジラーチを事務所で寝かしつけるのも大変だったし」
モバP「今日は風呂は行ったらもう寝よ」
モバP「っと、その前に。ジラーチの説明書をもう一度ちゃんと読もう」
モバP「最初の部分しかよんでなかったからな」
モバP「どこに置いたっけなー」ゴソゴソ
モバP(愛梨の誤解解くのに時間が掛かったのがなければもうちょっとだけ疲労は抑えられたな)
モバP(あいつも勘違い多いから本当に手が掛かる……)
モバP「あった」
モバP「どれどれ……」
モバP「ふむふむ」
モバP「案外どうでもいい事しか書かれてないんだな……」
モバP「ん?」
モバP(ここの最後の文章……)
モバP「ジラーチは目覚めてから七日経つとまた千年の眠りにつく……?」
モバP「え? つまり、あいつはあと一週間もすればまた石に戻るのか?」
モバP「おいおい……そうなのかよ」
一日目 終了
次に書くのは千年後、もしくは一年後じゃダメですかね?
うーん。じゃあ、この一週間のうちに書き上げるように頑張りますか。
なるべく、時間のあるときに書いちゃいたいのでこのまま二日目突入しまーす
二日目
モバP(やばいな……あいつ七日間しか起きてられないのか)
モバP(俺自身それは構わないけど、もし事務所内で仲良くなったやつがいれば別れが辛くなるだろうし)
モバP(この情報も教えておくべきかなー)
モバP(まぁ、現在俺はもっとやばい状況下にいるんだが)
美嘉「……」
モバP(この様子じゃ、絶対莉嘉教えやがったな……)
モバP「はぁ……」
―― 一方その頃――
事務所
ちひろ(モバPさんのいない今がチャンス!)
ちひろ(ジラーチちゃんと仲良くなって警戒心を解いてもらおう!)
ちひろ(そうして、最終的には私のものにして……ぐふふ)
ちひろ「ジラーチちゃんちょっといい?」
ジラーチ「……」プイ
ちひろ「あれ?」
ジラーチ『ちひろ。嫌い』
ちひろ「えぇぇ!」
ちひろ(ど、どういうことなの……)
ちひろ(昨日は警戒してただけなのになぜ今はここまで好感度が……)
ちひろ(選択ミスをしたわけではないはず。その前に選択をすることすら始まってないし)
ちひろ「どうしてなのかなー」ピクピク
ジラーチ『もばPいってたよ。ちひろはひどいひとだって』
ちひろ「え」
ジラーチ『だから、ちひろとはともだちにならない』プイ
ちひろ(も、モバPさんどれだけ私のことを信用してないんだ……)
ちひろ(私はただ! ジラーチちゃんをここに押し込めておくよりかは、お金持ちの広いお部屋に連れて行かれたほうがいいに決まってるから行動しようとしてるだけなのに)
ちひろ「も、モバPさんのは全部嘘。ウソウソ」
ジラーチ「……」プイ
ちひろ「ど、どうしよう」ボソ
ガチャ
ちひろ「あれ? 誰だろう」
杏「おはよー」
ちひろ「あ、杏ちゃん!?」
ちひろ「今日の仕事確か夕方からだったよね!?」
ちひろ「なのになんでこんな時間に……」
杏「そんなに驚かなくてもいいじゃん」
杏「たまたま仕事場が事務所のすぐそばだから早めに来て携帯ゲーム機でもやろうと思っただけだよ」
杏「次遅刻すると仕事前にもらえる飴玉の量が減っちゃうから最近はちょっとだけ頑張ってるんだー」
ちひろ「あ、杏ちゃんの口から頑張るなんて言葉が……」
ちひろ「飴玉の力恐るべし」
ちひろ(あの杏ちゃんが遅刻しないために余裕をもってくるなんて……)
ちひろ(モバPさん。やっぱりアイドルの使い方わかってるなー)
ちひろ(鈍感だけど)
杏「それよりさ」
杏「そこにいる生物はなに?」
ちひろ「あー、これは――」
杏「やっぱいいよ。聞くの面倒だし。どうせ危害は加えないんでしょ?」
ちひろ「う、うん」
ちひろ(でも、やっぱなんも変ってないんだね)
杏「あーあ。今日の仕事休みたいなー」ソファヘダイブ
杏「でも、ここまで来ちゃったからには帰る方が面倒だよね」
杏「飴玉のためにも頑張るか」
杏「早速積みゲー消化しないと」
ピコピコピコ
ジラーチ「……」ジー
杏「……」チラ
ピコピコ
ジラーチ「……」ジー
杏「あぁもう! なんかよう?」
ジラーチ『なにやってるのー?』
杏「ゲーム。見てわからない?」
ジラーチ『げーむ?』
杏「そう。ゲーム。忙しいから邪魔しないでよね」
ジラーチ『うん……』シュン
杏「……」
ピコピコピコ
ジラーチ「……」ジー
杏「……見る?」
ジラーチ『うん!』
杏「じゃあ、杏の膝の上乗って」
ジラーチ『こう?』
杏「そうすれば見れるよね」
ジラーチ『見える見えるー!』
杏「あーそう。よかったね」
杏「全く……なんで杏がこんなこと」ブツブツ
ちひろ(ああは言ってるけど、嬉しそうに世話してるように見えるのは気のせいじゃないはず)クスクス
一時間後
杏「プロデューサーはさーちょっと働きすぎなんだよね」
ジラーチ『でも、とってもたのしそうだよ?』
杏「あの人は人外だよ。仕事が楽しいとか杏には考えられないね」
ジラーチ『おしごとしたくない?」
杏「出来ることならね。今日の仕事も行きたくないなー」
ジラーチ『そのねがいごとぼくがかなえてあげる!」
杏「ほ、ほんとう!?」
ジラーチ『うん♪』
杏「……でもいいや」
ジラーチ『どうして?』
杏「仕事は嫌いだし、やりたくないんだけどプロデューサーが汗水垂らして頑張ってとってきたものだから、それを無にするのはどうかと思って」
杏「いやいや、言ってても結局仕事しちゃうのはそれが原因なのかも。なんて」
杏「手っ取り早い話あの人が杏の仕事量を減らせば問題ないとおもうだよね」
ジラーチ『じゃあ、願い事やめる?』
杏「ん。そうする」
ガチャ ドン!
モバP「杏!?」
杏「ちょ!? 急になにさ」
モバP「か、体でも悪いのか!?」
モバP「お前が仕事前、しかも何時間も前に家を出るなんて……」
モバP「ちひろさんから連絡があったときは俺がおかしくなったのかと」
杏「都市伝説が本当だったみたいに言わないでよ!」
杏「大体、こうさせてるのはプロデューサーじゃん」
モバP「確かにそうだけど……」
ちひろ「美嘉ちゃんの付き添いが終った瞬間。こうして飛んできたんですか?」
モバP「いてもたってもいられなくてな」
モバP(実際のところ美嘉と一緒にいるのが辛かっただけだけど)
モバP「でも、事実だったみたいで驚いたな……」
モバP「よし杏! ちょっと早いけど現場に向かうぞ!」
杏「え!? ちょっと所じゃないよ! まだ全然余裕だよ!」
モバP「早めに言ってスタッフを驚かせてやろう」ガシ
杏「うわ! 離せ! 杏はまだ仕事にはいかないー!」
モバP「それじゃ、ちひろさん行ってきますね」
ちひろ「はい」ニッコリ
杏「人の話を――」
ガシャン
ジラーチ『あんず、もばPのことすき?」
ちひろ「きっとね。それだけじゃなくてここの事務所の子はみんな好きだと思うよ」
ちひろ「あの暖かい人柄に触れてね」
―――
モバP(ふー。やっと大人しくなった)
杏「ねぇねぇ。プロデューサー。ジャケットのポケットにあるものなに?」
モバP「ポケット?」ゴソゴソ
モバP「あれ、本当だ。なにかの……包みみたいだな」
杏「もしかして飴玉!?」
モバP「それはない」
杏「……」シュン
モバP(でも、なにか入ってるな?)
モバP「開けてみよ」シュル
モバP(紙切れが一枚? しかも柄つきのいかにも女の子っぽいやつ)
『私たちのを使ってください』
ギャルのパンティ二枚セット
モバP(……)
モバP(美嘉のやつ俺がジャケット脱いだときゴソゴソやってたのはこれか)
モバP(一行だけでしかも敬語ってところが辛い……)ホロリ
杏「な、なんで泣いてるの?」
モバP「俺はこの呪縛から解放されることはないのか……」
明日頑張って書きます。
ちひろ「……」カタカタ
ジラーチ「……」
ちひろ(さて、どうしようかな……)
ちひろ(お腹も空いてるころだろうし餌でもあげてみようかな?)
ちひろ「ジラーチちゃーん」
ちひろ「ここにポッキーがあるんだけど食べる?」
ジラーチ『あやしいひとからものはもらっちゃいけないってもばP、いってた』プイ
ちひろ「怪しい!?」
ちひろ「ジラーチちゃーん? 私は怪しくないですよー?」
ジラーチ『こわい……』
ちひろ「がっくし」
ちひろ(でも、無視されなかっただけでも進展かな)
ガチャ
ちひろ「ん?」
智絵里「おはようございます……」
ちひろ「智絵里ちゃん? 今日はどうしたの?」
智絵里「Pさんに会いに来ました」
ちひろ「ご、ごめんね。今日モバPさんいないんだ……」
智絵里「えぇ!? そ、そんな……」ウルウル
智絵里「今日、折角Pさんのために四葉のクローバーを採ってきたのに」シュン
ジラーチ『だーれ?』
智絵里「……?」
智絵里「わわわ!」タッタッタッタ
ちひろ「逃げなくても大丈夫だよ!」
智絵里「……」ソー
ちひろ「物影からみなくても平気平気」
智絵里「本当ですか?」
ちひろ「この子はね――」
智絵里「ジラーチ……さんですか?」
ちひろ「そうそう」
智絵里「えっと……は、初めまして」
ジラーチ『はじめましてー』キャッキャッキャ
智絵里「こ、この後はどうすれば……」オドオド
ちひろ「普通にうちの年少組に接するような感じで大丈夫だよ?」
智絵里「わ、わかりました。少しだけお話してみます」
智絵里「その……なにをしましょうか?」
ジラーチ『なにするのー?』
智絵里「な、なにかやりたいお遊びとかありますか?」
ジラーチ『おあそびー?』
智絵里「うん」
ジラーチ『じゃあ、おりがみー!』
智絵里「折り紙ですか?」
ジラーチ『そうだよー。ぼく、それがやりたいんだー』
智絵里「わ、わかりました。ちょっとだけ待っててください」
一時間後
智絵里「ここはこうやって……こう折るんだよ」
ジラーチ『できたできたー!』
智絵里「ふふ」パチパチ
ちひろ(膝の上でジラーチを抱えてる智絵里ちゃん可愛い!)
ちひろ(しかも、慣れてきたのか喋り方もフランクになってるし!)
ちひろ(写真写真♪)
ちひろ(でも、智絵里ちゃんの癒し効果を最大に引き出してるのはジラーチちゃんのおかげだよね)
ちひろ(……)
ちひろ(やっぱ、売り飛ばすのはやめにしよう!)
ちひろ(計画を変更して……)
ちひろ(ずっと事務所にいてもらうことにしよう)
ちひろ(そして、アイドルが可愛くジラーチちゃんと戯れてるところの顔のアップを撮って……)
ちひろ(その生写真をこれでもかというくらい値を吊り上げてオークションで売りさばこう!)
ちひろ(モバPさんのブロックの硬さとジラーチちゃんの私に対しての心象を考えればこれがベストな稼ぎ方のはず……)
ちひろ(わざわざリスクを犯す必要もないし!)
ちひろ(それに、こっちのほうが半永久的に稼げるしお得よね♪)
ちひろ(まぁ、写真を撮る際はジラーチちゃんが映らないようにするけど)
ちひろ(えっと、設定金額は……あの子らのファンだとアイドルの笑顔を十万で買うって言う人はいっぱいるはずよね)
ちひろ(じゃあ、最初は十万に設定して――)
ジラーチ『なんだかちひろ。こわいかおしてるよ?」
智絵里「きっとお仕事のことだよ」
智絵里「あ、そうだ。これ……あげる」
ジラーチ『なーに?』
智絵里「四葉のクローバー。幸せになれるんだよ」ニコ
ジラーチ『しあわせ?』
智絵里「うん。そうだよ」
智絵里「本当はPさんにあげたかったんだけど……」
智絵里「特別にあげるね」
ジラーチ『しあわせ、しあわせー! アハハ」キャッキャッキャ
ちひろ(あぁ……智絵里ちゃんが物怖じせずに喋ってる……)
ちひろ(小動物系同士の会話。癒される)
ガチャ ドン
みく「にゃー! ちひろちゃんきいたにゃ!」
ちひろ「みくちゃん!?」
智絵里「え……?」
みく「可愛い生き物が事務所にいるって聞いたにゃ!」
ちひろ(もう知ってる子は知ってるんだ……)
みく「だから、ちょっと近くまできたから確認しにきたにゃ」
みく「それでどれにゃ!」
ジラーチ『ん?』
智絵里「た、たぶんこの子ですけど……」
みく「これ……にゃ?」
ちひろ「そうだよ」
みく「か、可愛いにゃ!」
みく「智絵里ちゃん! 少しだけみくに貸してほしいにゃ!」
智絵里「え……? だ、ダメです……!」
ちひろ(珍しく智絵里ちゃんが人の言うことを聞かない……)
みく「にゃ? ちょっとだけにゃ! すぐに返すにゃ!」
智絵里「い……いやです」プイ
みく「酷いにゃー!」
みく「貸すにゃ」ギュウ
智絵里「ダメですー……」ギュウ
ジラーチ『い、いたいよ……』
ちひろ(二人にジラーチちゃんが引っ張られてる!)
ジラーチ『……ふ!』キラリン
シュン
ちひろ「え!?」
ちひろ「あれ? ど、どうして!?」
ちひろ「さ、三人ともいなくなっちゃった……」
―――
みく「……にゃ? ここはどこにゃ」
みく(う、このにおい!)
板前「ヘイラッシャイ!」
みく「お、お寿司屋さんにゃーーーー!」
みく「う……」フラ
パタリ
―――
車内
モバP(ふー。杏がおとなしくしてくれてよかった)
モバP(杏が仕事している間に友紀の死球式を見に行かないとな)
シュン
ドスン
モバP「おわ!?」
キキー
モバP「だ、誰だ!?」
ジラーチ『うー……」
智絵里「こ、ここは?」
訂正
モバP(杏が仕事している間に友紀の始球式を見に行かないとな)
デッドボール前提かw
>>167
ご、誤字だったんですよ(震え声)
モバP「ち、智絵里!? ジラーチ!? どうしてここに……」
智絵里「P、Pさん? え?あれ?だって……私さっきまで……」
ジラーチ『もばPだぁ! わーい!』キャッキャ
モバP「ど、どうなってるんだ?」
モバP「智絵里、ジラーチになにか願い事をしたか?」
智絵里「し、してないです……」
智絵里「みくさんとジラーチさんの取り合いしてたらいつの間にかここに……」
モバP「そうか……」
モバP(ジラーチに願い事を叶える以外になにか能力が備わっているのか?)
モバP(…・・・まだまだ謎は多そうだな)
モバP「わかった。智絵里携帯持ってるか?」
智絵里「は、はい」
モバP「今日は俺と一緒に野球を見に行くから帰るのが遅くなるって伝えてくれ」
智絵里「え!? そ、それって……」
モバP「友紀の始球式の仕事を見に行かなきゃいけないんだけど、智絵里を送ってからじゃ間に合わないんだ」
モバP「だから、野球の試合が終ったら家に帰すことになるけど大丈夫か?」
智絵里「そういうことだったんですか……」シュン
訂正
モバP「親に、今日は俺と一緒に野球を見に行くから帰るのが遅くなるって伝えてくれ
智絵里「私は大丈夫です……」
モバP「ごめんな」
ジラーチ『やきゅう?』
モバP「そういえば、ジラーチもいたな」
モバP(って! もしかしたら結構やばい状況じゃん)
モバP(ど、どうするかな……)
モバP(友紀の仕事を見るのにこいつは連れて行けない)
モバP(けど、車内に置いておいてもきっと出てきちゃうだろう)
モバP「やべぇな……」
モバP(そ、そういえばバックが確かそこに……)チラ
モバP(あった!)
モバP「ジラーチ。野球見てみたいか?」
ジラーチ『うん!』
モバP「じゃあ、さ。ちょっと窮屈だけど、外に出るときはあそこの中に入ることになるんだけど……」
モバP「でも、野球はちゃんと見れるから!」
ジラーチ『わかった! おとなしくしてる!』
モバP(ふー。とりあえずこれで一先ず安心かな)
モバP「智絵里、目的地まで時間が掛かるから待ってろよ」
智絵里「はぃ……」
モバP「……」
智絵里「……」
智絵里(Pさんと二人っきり……ではないけど事務所の子が誰もいないチャンス……)
智絵里(二人っきりになれる機会なんてなかなかなかったからどうしていいのかわからないけど……)
智絵里(よ、よし!)
智絵里「P、Pしゃん!」裏声
モバP「ど、どうした?」
智絵里(は、恥ずかしい……)カァ
モバP「なにか言いたい事でもあるのか?」
智絵里「は、はい。一応……」
智絵里「えっと。Pさんはいつも頑張っていて、え、偉いですから」
智絵里「そ、その……私からご、ご褒美をあげちゃいます!」
モバP「ご褒美?」
智絵里「はい。でも……あげようと思ってたものを友達にあげてしまったので手元に今それが無いんです」
モバP「それは残念だな」
智絵里「け、けど。……今すぐに渡せるものがあります」
モバP「?」
智絵里「そ、それじゃあ……えい!」チュ
モバP「!」
モバP「お前! 後ろからホッペにキスしたのか!?」
キキー
モバP「あ、やば! 運転中だった!」
ジラーチ『わー! ゆれるゆれるー』キャッキャッキャ
智絵里「……」ガバ
モバP(あ、置いてあった毛布に包まりやがった)
智絵里(恥ずかしくて顔見せられないよ……)カァ
―――
スタジアム 駐車場
モバP「ほら、智絵里。早く出て来い」
智絵里「わ、私はいいんでジラーチさんといってきてください」
モバP「はぁ……わかったよ」
ジラーチ『いくいくー!』ゴソゴソ
モバP「カバンの中ではあんまり動くなよ」
ジラーチ『うん!』
モバP「それじゃ、智絵里行ってくるからな」
友紀「おぉ! プロデューサー!」
モバP「リハ大丈夫だったか?」
友紀「そりゃもうバッチしだよ!」
友紀「投球練習したときのカーブのキレがやばかったんだよ!」
モバP「はいはい。始球式ではストレート投げてくれよな」
友紀「わかってるって。けど、私の消える魔球が炸裂するよ!」
モバP「だからいらないことするなよ!」
スタジアム ビップルーム
モバP「全く友紀のやつ……」
モバP「まぁ、あいつのことだからしっかりやってくれるとは思うけど」
モバP「ほら、ここには人がいないからもう出てきてもいいぞ」
ジラーチ『わーい! やきゅうどれー?』
モバP「今から始まるからな」
モバP「ここはバックネット側に作られたビップルームだからよく試合が見れるぞー」
モバP「その前に、友紀の消える魔球()を見せてもらうけどな」
ジラーチ『きえるー?』
マウンド
友紀「よっしゃー! いくよ!」
バッター(アイドルかなんだかわかんないけどよ)
バッター(あんなちゃらちゃらしたやつの始球式のバッターとか嫌だねー)
バッター(いいところにボールが来たらスタンドに放り込んでやろ)
友紀「おーし! ワインドアップからのー!」ズサ
友紀「大リーグボール二号!」ズシャァ
バッター(お、ちょうど得意なコースにいい球)
バッター(こりゃ、ホームランだな)
シュン
ブルン
バッター「あれ?」
友紀「う、うそ! 本当に消えた!」
友紀「でも、しっかりボールはキャッチャーミットに……」
ス、ストライック
観客
ザワザワザワ
友紀「あ、あはは……」
――
ジラーチ『きえたきえたー!』キャッキャッキャ
モバP「今のジラーチがやったのか!?」
ジラーチ『うんうん!』
モバP「……」
モバP(ジラーチは物質を瞬間移動させることが出来るのか?)
モバP(だとすれば、あの思い出したくも無い美嘉の件も納得がいく……)
モバP(これで一つ。謎が解けたな)
――
事務所
モバP「ふー。美嘉の仕事も終り。杏の仕事も終り。智絵里も無事家に届けて」
モバP「もうなにもせずに帰れると思ったのに……あんたらは一体なにしに来たんだよ!」
ドンチャン ドンチャン
早苗「お酒飲むために決まってるじゃーん!」
楓「ふふ、今夜はたっぷり付き合ってもらいますよー」
友紀「日本酒! 日本酒はどこだー!」
川島さん「お疲れのようね。わかるわ」
志乃「硬いこと言わずに飲みましょ」
礼子「大人の魅力について語ってあげるから大丈夫よ」
ジラーチ『みりょくみりょくー! あはは」キャッキャッキャ
モバP「どうしてこうなった……」
モバP「しかもみんな酔ってるし……」
モバP「事務所は溜まり場じゃないんですってば!」
川島「あんなにいい仮眠室があるのに勿体無いわね」
モバP「あれはあんたらみたいなアル中のためにあるものじゃないんです!」
早苗「アル中とは聞き捨てならないなー。お姉さん怒っちゃうぞー!」
礼子「そうよ。それに私は酔ってないわ」
志乃「私も」
モバP「く……俺一人じゃ太刀打ちできない……」
ちひろ「モバPさん」
モバP「ちひろさん! 帰ってたんじゃなかったのか?」
ちひろ「そんなわけないじゃないですかー」トロン
モバP「あ」
モバP「もしかして……かなり酔ってる?」
ちひろ「そんなことないですよー」
ちひろ「それより、モバPさんも飲みましょうよー」ダキ
モバP「ちょっと! 絶対酔ってるだろ」
ちひろ「えへへー」
友紀「おうおう! お二人さんあついねー!」
楓「ヒューヒュー(棒)」
モバP「煽るな!」
ジラーチ『あついねぇー! あはは』
モバP「ほら! ジラーチが変なこと覚えた!」
早苗「誰だー! そんなことをしたのは! お姉さんが逮捕しちゃうぞー」
モバP「ちひろさんです!」
早苗「お前か!」ビシ
モバP「なんで俺を指してるんですか!」
モバP(こ、このままだと俺のライフがゼロになる……)
モバP(なんとかしないと……)
訂正
モバP「ちひろさんです!」×
モバP「友紀です!」○
モバP(この際ここで飲まれるのは仕方ない!)
モバP(やつらはおそらく朝まで飲んでるだろう)
モバP(明日仕事がないことをいいことに……)
モバP(すると、戸締り係りの俺は戸締りが出来なくなり帰れなくなる)
モバP(そうなるとここに泊まるしかない!)
モバP(そして、俺は明日も仕事があるからもう寝たいんだ!)
モバP「……」チラ
モバP(おそらく、礼子さん志乃さん川島さんは仲良く三人で飲んでいるだろう)
モバP(俺に絡んでくることはないはずだ)
モバP(すると、俺の安眠を妨害してきそうなのは……)
モバP(早苗さん、楓さん、友紀、ちひろさん)
モバP(この四人で間違いない)
モバP(まぁ、物は試しだ。切り出してみよう)
モバP「ここにいるのは構いませんけど、俺はもう寝ますよ」
モバP「明日も朝から仕事があるし」
川島さん「そうなの? それは残念ね」
礼子「もう寝ちゃうのかしら」
志乃「折角いい酒があるのにもったいないわ」
モバP(この三人はやっぱり無理に引きとめようとはしない)
モバP(問題なのは……)
早苗「こらー! 先に寝るなんて許さないぞ!」
楓「ふふ、夜はまだまだ長いですよ」
友紀「まだまだ物足りないよー! 飲んじゃえ飲んじゃえ!」
ちひろ「いがないでぐだざーい」ダキ グスン
モバP(ほらな)
ジラーチ『みんなもばPだいすき!』
モバP(今その言葉は嬉しくない)
モバP「とにかく! 俺は飲みません!」
友紀「そんなつれないこと言わないでよー」ガシ
モバP「うわ! 酒くさ!」
友紀「今更ー?」
早苗「大丈夫。そのうち君も臭くなるから!」
モバP「飲まないですって!」
楓「まぁまぁ」
モバP「そんなこといって俺に日本酒が入ったグラスを渡さないでください!」
ちひろ「ほらー。ジラーチちゃーん。ジュースですよー」トローン
ジラーチ「……」グビグビ
モバP「え」
ジラーチ『ぷはぁ!』
ジラーチ『……』トローン
モバP「ち、ちひろさん。なに飲ませたんですか?」
ちひろ「ジュースですよー」トローン
モバP「どっからどうみてもお酒でしょそれ!」
ちひろ「それよりモバPさーん。このスタドリとお酒で割った飲み物いかがですかー?」
モバP「やばいやつだろ!」
モバP「くそ!」
モバP「ジラーチ! だ、大丈夫か? 頭とか痛くないか?」
ジラーチ『ん……?』
ジラーチ『あは……あははは! あははは!』
モバP「げ!」
ジラーチ『みんなもとのすがたになれーもとのすがたになれー」ヒュー キラン
シュン シュン シュン シュン シュン シュン シュン
友紀「わ! 洋服なくなった!」
早苗「こ、これは想定外だなー」
楓「ハダカのメダカ……ふふ」
ちひろ「モバPさんが野獣になっちゃったー」
モバP「お、俺がやったわけじゃ――って俺のもなくなってるし!」
モバP(やばい! 俺はパンツ一枚で他のみんなはブラとパンツだけって状況は非情にまずい!)
礼子「マジックかしら」
川島さん「わからないわ」
志乃「涼しくなったわね」
早苗「よーし! こうなったらみんなで襲っちゃうぞー!」ダイブ
モバP「え!? ちょっと!」
友紀「私のキャッチャーミットはあいてるよ!」
モバP「アイドルがなんてこと言ってるんだよ!」
楓「それー」
モバP「せめてやる気出してください!あ! 嘘です! やる気出さないでいいです!」
ちひろ「ひゃっはー! 粗チンは消毒だー!」
モバP「なに言ってるんだよ!」
礼子「大人の魅力――」
モバP「か、勘弁してください!」
川島さん「若い子には勝てないけど、一応手入れはしっかりしてるのよ?」
モバP「知ってますからやめてください!」
志乃「わかめ――」
モバP「その下ネタは絶対に言ってはダメです!」
モバP(あーもう! 俺は絶対に寝てみせる!)
モバP(こいつらを片付けたら俺は必ず寝るんだー!)
ジラーチ「……」スヤスヤ
ジラーチ『みんな……たのしそう……』
ジラーチ「……」スヤスヤ
――
チュンチュンチュン
友紀「くかー」
早苗「がぁー」
ちひろ「……」スヤスヤ
楓「……」ヘクション
川島さん「アンチ……エイジング……」
礼子「……」
志乃「……酒」
モバP「はぁ……はぁ……これでやっと、眠れる」
モバP「おやすみなさい」
バタン
ガチャ ドン
モバP(くそ! まだ俺を寝かせてくれないのか!)
モバP「誰だ!」
まゆ「……」
モバP「へ?」
まゆ「うふ」
モバP「そ、そういえばまゆは今日の朝早い時間からニュース番組出る予定だったな……」
モバP「あはは……はは」
まゆ「うふふふ」
モバP「あははは!」
まゆ「うふ……」ポロリ
モバP「え?」
モバP(こわく……ない?)
モバP(それに泣いてる?)
まゆ「……」ショボン
まゆ「まゆ逝きますねぇ……」トボトボ
モバP「ちょっとまて! お前はどこに行こうとしてるんだよ!」
モバP「聞いてるのかよ! おい!」
二日目 end
三日目からは一日の物語の量を少しだけ減らします。
そうじゃないと完結できない(涙)
三日目
りいな「おはようございまーす」
りいな「あれ? 誰もいない?」スタスタ
モバP「……」スヤスヤ
りいな「うわ! び、びっくりしたー」
りいな(つ、疲れてるのかな?)
りいな「し、しかも両目見開きながら寝てるし……」
りいな「一応、風引いちゃうから毛布かけてあげよ」
りいな「これでよし」
りいな「じゃ、今日はギターの教材でも読んでよっと」
りいな「♪」
ジラーチ「……」ジー
りいな「え? だ、誰?」
ジラーチ『ぼく、ジラーチ!』
りいな(事務所に来た可愛い生き物ってこれのこと?)
りいな(確かに可愛いけど……)
りいな(本当に見たことも無い生き物)
りいな「わ、私の名前は多田李衣菜っていいます」
りいな「ろ、ロックなアイドルです……ってなに畏まってるんだろ」
ジラーチ『ろっくー?』
りいな「そう。ロックなアイドル。ギターを弾いたりして舞台でクールに振舞うんだぜ!」
りいな「だから、か、かわいいなんてとてもじゃないけど興味なんてないんだけど……」チラ
りいな「……」
りいな「ちょっとだけ抱かせてもらってもいい?」
ジラーチ『いいよー』
りいな「お、思いの外柔らかい……」ダキ
りいな「可愛い」ボソ
りいな「ハ!」
りいな「いけないいけない」
りいな「私はロックなアイドルだった……」
りいな「これじゃ、またなつきちに笑われちゃう」
ジラーチ『ねぇねぇ。ろっくについてくわしくおしえてよー』
りいな「え。ろ、ロックについて詳しく?」
りいな「それはあれだよ。ロックっていうのはね」
りいな「こう……なんていうのかな」アセアセ
夏樹「あれ? だりーじゃん。どうしたんだ?」
りいな「な、なつきち!」
りいな「どこにいたの?」
夏樹「ちょっとだけ仮眠室を借りてたんだよ」
夏樹「だりー、ジラーチとはもう仲良くなったのか?」
りいな「いや、さっきあったばっかだし……」
りいな「それよりさ! ジラーチにロックを教えてあげてよ!」
夏樹「ロックを?」
りいな「そ、そう。私が教えるのでもよかったんだけど……」
りいな「ここはあえてなつきちにお願いしようかと」
夏樹「なにがあえてなのか全然わかんねーよ」
夏樹「ほんと、にわかだなぁ……」ボソ
りいな「なんか言った?」
夏樹「いやなんも」
夏樹「ジラーチ。ロックについて知りたいのか?」
ジラーチ『うん!』
夏樹「そうだなー。ロックは口で説明するより感じたほうが分かりやすいと思うぜ」
りいな「そ、ソウダヨネー。ロックハクチジャセツメイデキナイヨネー」
夏樹「ちょっと待ってろ。ギター取ってくるから」
――
夏樹「おっし。それじゃあ、聞かせてやるぜ」
ガシャン~ガシャン~♪
夏樹「こんなもんか」
ジラーチ『かっこいいかっこいい』キャッキャッキャ
夏樹「なんか熱いものが込み上げてきただろ?」
夏樹「それがロックだ」
りいな「そ、そうだよ(便乗)」
夏樹(ったく、だりーは……)
ジラーチ『ぼくも、ろっくになるー!』
夏樹「なら、やってみるか?」
りいな「でも、ジラーチじゃ、ギターは弾けないよ?」
夏樹「確か、倉庫にレッスン用の小さなキーボードがあったはずだぜ」
夏樹「それを使わせてやろう」
夏樹「だりー、一緒に取りにいくぞ」
りいな「了解!」
――
夏樹「ほら、持ってきたぜ」
ジラーチ『どうするの?」
夏樹「ここに鍵盤があるだろ? ここを押すと……」
ドー♪
ジラーチ『なったなった!」
夏樹「ここを押すだけでなるからお前にも簡単にできるぜ」
ジラーチ『わかった! やってみる」
りいな「まぁ、どうせてきとうな音なんだろうけどね」
ジラーチ『いくよー』
~♪
りいな(あぁ、やっぱり)
夏樹「……」ジーン
夏樹「す、すげぇ……ロックだぜ」
りいな「えぇ!?」
夏樹「ジラーチ! もっと、もっと聞かせてくれ!」
ジラーチ『うん!』
りいな「ソ、ソウダネー。ロックダネー」
りいな(ロックってよくわからない……)
――
ガチャン ドン
薫「せんせぇいるー!」
薫「あれ、返事が無いよ?」
千枝「本当だ……どこにもいないね」
仁奈「そうでごぜーますね」
雪美「モバP……いる……感じる」
薫「? どこにいるのー?」
舞「み、みんな! いたよ!」
モバP「……」スヤスヤ
仁奈「め、目を開けながらねてやがります」
薫「こ、怖い……」
雪美「モバP……疲れてる……そっとしおく……」
千枝「そ、そうだよ! きっと疲れてこんな風になっちゃってるんだよ!」
舞「そ、そうなのかな?」
仁奈「とりあえず、そっとしておいたほうがいいかもしれねーです」
薫「じゃ、じゃあ、向こうで大人しく遊ぼうよ!」
一同『賛成ー』
舞「それじゃあ、なにして遊ぶ?」
千枝「ち、千枝いいこと思いついたよ!」
仁奈「なんでごぜーますか?」
千枝「プロデューサーさんになにかプレゼントをしようよ!」
雪美「贈り物……」
薫「でも、かおるお金持ってないよ?」
千枝「それは大丈夫。みんなで今あるものでプレゼントするの!」
千枝「例えば……お手紙とか!」
仁奈「手紙でごぜーますか?」
舞「それなら今すぐに渡せるね」
雪美「どうせなら……もっとモバPが喜びそうなもの……ない?」
薫「せんせぇが喜びそうなもの?」
千枝「なにかあったかな……」
ジラーチ『みんな、なにやってるのー?』
薫「うわー!」タッタッタ
舞「きゃー!」タッタッタ
千枝「な、なに!?」
仁奈「な、なんでやがりますか!?」
ジラーチ『ぼく、ジラーチ!』
雪美「……大丈夫……危なく……ない」
薫「ほ、ほんとう?」
ガチャ ドン
ちひろ(あー、夕方出勤なのに頭が痛い……)
ちひろ(昨日の記憶もほとんど無いし……)
ちひろ「あれ? どうしたのみんな?」
千枝「こ、これについて説明してほしいです!」
ちひろ「あぁ、ジラーチちゃんね。それは――」
仁奈「そうだったでごぜーますか」
舞「よろしくね。ジラーチさん」
薫「よろしくー!」
千枝「ち、千枝も!」
雪美「……よろしく」
ジラーチ『ねぇねぇ、みんな、ぼくのともだちになってくれるー?』
薫「友達? うん! いいよ!」
仁奈「仕方ないでごぜーます。なってやるですよ」
千枝「千枝も友達になりたいよ!」
舞「私も私もー!」
雪美「みんな……友達……」ニコ
ジラーチ『やったーやった!』
ちひろ「それじゃ、私は仕事あるから、みんなジラーチちゃんと遊んでてね」
一同『はーい』
千枝「話の続きだけどどうする?」
薫「せんせぇの喜びそうなものってなにかあったかな……」
ジラーチ『もばP、ぎゃるのぱんてぃだいすき!』
舞「ぎゃるの?」
仁奈「ぱんてぃでごぜーますか?」
千枝「な、なにそれ?」
薫「まず、ぎゃるってなんだろう……」
舞「私もわからないよ……
雪美「ギャル……美嘉……」
千枝「美嘉さん……あーなるほど!」
仁奈「ああいうのが好きでいやがるんですね」
薫「じゃあ、次にぱんてぃって?」
千枝「これは普通にパンツのことじゃないかな?」
舞「ぱ、パンツ!?」
ジラーチ『ぱんてぃぱんてぃ!』
雪美「モバP……すきなの?」
ジラーチ『うん! すきすきー!』
千枝「そんなぁ……」
舞「じゃあ、私達のパンツをプレゼントすれば喜んでくれるのかな?」
薫「でも、『ギャルの』なんだよね? かおるたちのあげても喜ぶかな……」
雪美「……わからない」
千枝「だったら! 千枝たちがギャルになろうよ!」
仁奈「ギャルになるでごぜーますか?」
千枝「うん! そうすれば喜んでもらえると思うの!」
薫「さんせーい! でも、ぎゃるになるためにはどうすれば……」
舞「やっぱ化粧とかかな?」
雪美「……確か事務所に……化粧セットが……」
千枝「じゃあ、取ってくるね!」
ジラーチ『ぼくもけしょうするー!』
――
モバP「あー。気がついたら寝てたし……」
ちひろ「結局、まゆちゃんの付き添いはやったんですね」
モバP「慰めるの大変だったんだぞ?」
ちひろ「あはは……それはそうと、昨日の私……どうでしたか?}
モバP「黙秘」
ちひろ「そんなに酷かったんですか」ズーン
モバP「さ、さてと! 俺はあいつらとでも遊んでくるかな!」スタスタ
ちひろ「……」グスン
モバP「おーい。みんななにして遊んで――」
モバP「え」
薫「せんせぇみてみて! どう? ぎゃるっぽいかな?」
舞「よくできてますか?」
雪美「ふふ……」
仁奈「どうでごぜーますか」
千枝「お、大人っぽいですかね?」
ジラーチ『おとなっぽいー?」キャッキャッキャ
モバP「お、お前ら一体なにやってるんだよ!」
モバP(か、顔が悲惨なことになってる……)
モバP(これじゃ化粧をしないほうが百億倍ましだ!)
薫「せんせぇぎゃるのパンツがほしいんでしょ!」
モバP「え」
ジラーチ『ぎゃるのぱんてぃぎゃるのぱんてぃ!』
薫「だからみんなでギャルになってみたの!」
薫「これでかおるたちのパンツもほしくなったー?」
薫「はい。これ、かおるのパンツだよ!」ヒョイ
モバP「……」プルプル
雪美「どうかした……?」
千枝「顔、真っ青ですよ? 大丈夫ですか?」
モバP「いや……みんなの純粋さが汚れた俺の心に突き刺さってな……」ホロリ
モバP「うわぁぁぁ」
仁奈「な、なに泣いてやがるんですか!」
薫「せんせぇが泣いちゃった!」
モバP「あれはほんの出来心だったんだ!」
モバP「ちょっとした心の迷いがどうしてこんな……」
モバP「俺はもう生きていられない!」タッタッタ
パリーン
舞「あぁ! ここ八階ですよー!」
―――
モバP「う……ここは」
ちひろ「事務所ですよ」
モバP「そうか……また俺は死ねなかったのか……」
ちひろ「なに言ってるんですか死んだらダメですよ」
ちひろ「きらりちゃんがビルの壁を駆け上ってキャッチしてくれなかったら死んでたんですからね?」
モバP「その、きらりは?」
ちひろ「用事があるとかで帰っちゃいましたよ?」
モバP「くそ……今度は邪魔しないように言いつけておかないと」
ちひろ「それより、仕事がたまっているんで片付けてください」
モバP「おう……」
ちひろ「……」カタカタ
モバP「……」カタカタ
ガチャ ドン
鷺沢文香「おはよう……ございます」
モバP「おはよう。こんな時間にどうしたんだ?」
文香「用事と言うわけではありません……ただ来ただけです」
モバP「そうか。ならゆっくりしてくれ」
モバP「俺も仕事が終ったら話し相手になってやるから」
モバP「あ。話すよりも本を読んでたほうがいいか?」
文香「いえ……大丈夫です」スタスタ
モバP「そうか。ならソファに座っててくれ」
文香(本当はこの前貸した推理小説の感想をききたかったんだけど……)
文香(仕事が終るのを待とう)
ギシ
文香「……」ペラペラ
文香(あ、この本面白い)
文香「……」ペラペラ
ジラーチ『……』ジー
文香「……」ペラペラ
ジラーチ『ねぇ。なにみてるの?』
文香「……」ペラペラ
ジラーチ『聞いてる?』
文香「あ……」
文香「ど、どちら様でしょうか?」
ジラーチ『ぼく、ジラーチ!」
文香「ジラーチさん?」
ジラーチ『うん!』
文香「はぁ……?」
文香(生き物、だよね)
文香「ほ、本は……お好きですか?」
ジラーチ『ほん?』
文香「知らないんですか?」
ジラーチ『うん……ごめん……』シュン
文香「知らないんだったら……あの、読んでみますか?」
ジラーチ『いいの!?』
文香「はい」
文香「じゃあ、こっちに来てください」
ジラーチ『うん!』
文香「ど、どうですか? 見えますか?」
ジラーチ『……んー?』
ジラーチ『よめないよぉ』ショボン
文香「字……ってことですか?」
ジラーチ『そうだよ……』
文香「……わかりました」
文香「は、恥ずかしいですけど私が音読します」
ジラーチ『おんどく?』
文香「声に出して読むんです」
ジラーチ『わかった! きかせてきかせてー!』
文香「えっと。まずは」
文香「『コナン、ワシはもう限界じゃ。もう開発出来る体力は残っていないんじゃ』」
文香「『バーロー! そんな弱気になるなって!』」
ジラーチ『バーロー?』
文香「馬鹿野郎の短縮語のようです」
ジラーチ『ふーん』
文香「続けますね」
文香「『ワシは……もうおとなのおもちゃを開発するのに自分で実験する体力がもう残されてないんじゃよ!』」
文香「『なら、俺が実験台になってやるから! 博士のグッズを待っている男たちは何万人もいるんだぞ!』」
ジラーチ『おとなのおもちゃ?』
文香「さぁ……私にもよくわかりません。今度調べてみます」
文香「『それでもワシは作れないんじゃ』」
文香「『どうしてだよ!』」
文香「『……新一よ。ワシは実はゲイなんじゃ……』」
文香「『なん……だと……』」
文香「『だから、今度からは男同士で遊べるものを作っていきた――』」
文香「……」パタン
ジラーチ『どうして閉じちゃうの?』
文香「別の本にしましょう。最初は普通でしたけどおかしくなり始めたので」
ジラーチ『そうなの?』
文香「はい」
文香「確かここにプロデューサーさんがよく本を買ってきて保存してたはずです」ゴソゴソ
文香「あった。桃太郎ですかね?」
文香「事務所に小さな子がたくさんいるんで買ってきたんでしょう」
文香「これを読みますか?」
ジラーチ『うん! そうするー!』
文香「じゃあ、読みますね」ニコ
文香「むかーしむかし。あるところに――」
――
モバP(よし。仕事終わり。文香と喋るか)スタスタ
モバP「ん?」
ジラーチ「……」スヤスヤ
文香「……」ナデナデ
モバP「寝かしつけてくれたのか?」
文香「ぷ、プロデューサーさん」ビク
モバP「悪い悪い」
モバP「ありがとうな」
文香「……はい」
モバP「そういえばこの前借りた小説。面白かったぞ」
文香「ほ、本当ですか!?」
文香「あれは――」
モバP(すげぇ、いきいきしてる)
モバP(普段は全然喋らないくせに本になるとこんなにも変るんだな……)
――
モバP「ふー。今日も長い一日が終った」
モバP「ん?」
モバP「家に明かりがついてる……」
モバP「誰かいるのか?」
モバP(戸締りはちゃんとしたし泥棒じゃないはずだ」
モバP(だとすると、もしものときようにアイドル達に合鍵を渡しておいてたから……)
モバP(うちのアイドルの子か?)
ガチャ
モバP「おーい。誰か――ってうわ!」
モワーン
モバP「なんだ……このリビングから漂う負のオーラは……」
モバP「おーい? 誰もいないのかー?」
シクシクシクシク
モバP「泣き声?」スタスタ
まゆ「……」
モバP「まゆ! おまえ、どうして……」
まゆ「あ……」ゴシゴシ
まゆ「まゆ、ちょっと心配になったので家にきただけなんですよぉ」
まゆ「私とPさんの愛情を確かめるために……」
まゆ「そしたらこんなものが……」
モバP「え?」
パンツ二枚
昨晩一緒にいた酔っ払いアイドルたちの洋服一式
モバP「」
まゆ「どういうことか説明してもらえますー?」
モバP「やっぱりあのとき死んでおけば……」
モバP「くそ!」
三日目終了
四日目
事務所
モバP「とりあえずこれで打ち合わせは終了」
モバP「なにか質問はあるか?」
菜々「ないでーす☆」
モバP「よし。じゃあ、もう帰っていいぞ」
菜々「……」ジー
ジラーチ『あはは!』キャッキャッキャ
菜々「プロデューサー! 菜々いいこと考えちゃいました!」
モバP「急にどうしたんだ?」
菜々「ジラーチちゃんを菜々にください!」
モバP「はぁ?」
菜々「ジラーチちゃんをウサミン星の生物って言えばみんな菜々のこと信じてくれるからです!」
モバP「はいはい。みみみんみみみんうーさみん」
菜々「菜々は真面目ですよ!」
モバP「あげるわけないだろ?」
菜々「そ、そこをなんとか! レンタルでもいいんです!」
モバP「……」
菜々「キャハ!」キラン
モバP「うわキツ」
菜々「ま、真顔でそんなこと言わないでくださいよ!」
モバP「どんなことしてもジラーチは貸さないぞ」
菜々「うー……」
ジラーチ『なにしてるのー?』
モバP「なんでもないからあっちにいってよーな」
菜々「じ、ジラーチちゃん! ほら、教えたやつやってみて!」
ジラーチ『んー?』
ジラーチ『うさみんぱわーでーめるへーんちぇーんじ?』
菜々「そ、そう!」
菜々「ほら! プロデューサー! どうですか!?」
モバP「確かに可愛いけど……」
モバP「それとこれとは別だろ」
菜々「えー!」
菜々「じゃあ、次のやってみて!」
ジラーチ『つぎのー?』
ジラーチ『うさみんせいから……えーっと……おぼえられないよ』ショボン
モバP「……」
菜々「ジラーチちゃん! 菜々がしっかり教えたじゃないですか!」
モバP「あーもう! しつこいぞ!」
モバP「ジラーチの存在が明るみに出たら面倒になるから勘弁してくれ!」
モバP(あと数日でそんなことはなくなるけどな)
菜々「えー……」
モバP「大体、ウサミン星は実在するんだろ?」
モバP「わざわざそんなことしなくたっていいだろう」
菜々「た、確かにそうですけど……」シュン
ジラーチ『ななだいじょうぶー?」
菜々「……今の菜々に優しくしないでください」ホロリ
菜々「年取ると涙腺が……ハ!」
モバP「菜々さん。実際のところ実年齢いくつなんですか?」
モバP「事務所も把握しきれてないってやばいんですよ」
菜々「なんで急に敬語になってるんですか!?」
菜々「菜々はリアルJKですよ! 今時の女の子ですよ!」
モバP「今時の女の子が今時なんて言葉なかなか使うとは思わないんですけど……」
菜々「つ、使いますって!」
菜々「ほら! この髪型とかナウいですよね!?
モバP「ナウ……い?」
菜々「ま、ママがよく使ってた言葉なんですよ……」
ジラーチ『なうい?』
菜々「復唱しないで!」
モバP(まぁ、菜々さんもジラーチと同様人間の枠を外れた存在だよな)
モバP(そういえば、うちの事務所って人間やめちゃったような子がいっぱいいるな……)
モバP(そう考えるとジラーチがここに来たのも必然かぁ)
菜々「うーん。じゃあ仕方ないですけど菜々諦めます」
モバP「そうしてください」
菜々「その代わり、その敬語をやめてくださいよ!」
モバP「……わかった」
モバP「でも、菜々。本当の年齢を言う気はないのか?」
菜々「だから。何度も言わせないでください」
菜々「菜々はピチピチの17歳ですよ?」
菜々「まだまだブルマが似合います!」
モバP「最近の体育はブルマでやってないんだぞ?」
菜々「……ウサミン星ではブルマが体育の正装なんです」
モバP「便利な言葉だな。ウサミン星」
菜々「べ、便利なんて! 違いますよ! 事実なんです!」
モバP「本当かー?」
菜々「菜々はうそはつきません!」
モバP「はい、ダウトー」
菜々「だから違いますって!」
ジラーチ『なな、うそつき?』
菜々「この人の言葉を信じちゃだめ!」
モバP「そっちが年齢を言わないのであればこっちにも手があるぞ」
菜々「え?」
モバP「ジラーチ」ボソ
ジラーチ『なーに?』
モバP「俺がヒソヒソ声で喋ってもお前の声は菜々に聞こえちゃうから頷くだけにしてくれ」
ジラーチ「」コク
菜々「な、なにやってるんですか?」
モバP「ジラーチ。菜々さんの年齢を教えてくれ」
モバP「これは願い事だ。頼んだ」
ジラーチ「」コク
ジラーチ「……ふ!」キラン
モバP「指で教えてくれ」
ジラーチ「」ピッピ
モバP「えぇ!?」
モバP(お、おい待て。その年齢って……)
モバP(うちの事務所の中で最年長にならないか?)
菜々「どうかしました?」
モバP「菜々……いや。菜々さん」
菜々「なにあらたまってるんですか……」
モバP「菜々さんの年齢って○○才なんですか?」
菜々「……」
菜々「なんで……知ってるんですか?」
モバP「企業秘密です」
菜々「……へぇー」ゴソゴソ
モバP「菜々さん。この年齢はまずいですよ」
菜々「たしかにそうかもしれませんねー」
菜々「でも……無かったことにすれば大丈夫ですよね?」キラーン
モバP「と、トンカチ!? ど、どっからそんなの」
菜々「これを携帯するのは乙女の嗜みですよ」
モバP「そんな乙女は認めない!」
菜々「それじゃあプロデューサー」
菜々「ウサミンパワーでメルヘンチェーンジ!」
モバP「ちょ――」
ゴツン
バタリ
菜々「消去完了」
ジラーチ『……」ブルブル
菜々「さっきみたことは黙っててくださいねー?」ニコ
ジラーチ「」ブンブン
菜々「キャハ! それじゃ、菜々はもう帰りますねー!」
モバP「う……ここは?」
亜里沙「気付きましたか?」
モバP「亜里沙……さん?」
亜里沙「おねぼうさんはだめだぞー」グリグリ
モバP「いてて……ホッペに人差し指を押し込まないでください」
モバP「確か俺……菜々と打ち合わせをしてて……」
モバP「それが終って……あれ?」
モバP「その後、どうしてたっけ……」
亜里沙「ありさ先生が来たころにはもう夢の中でしたよ?」
モバP「……そうですか」ガバ
モバP「すいません。わざわざ膝枕までしてもらって」
モバP「もう大丈夫です!」
亜里沙「ふふ、もっと寝てても大丈夫でしたよー」ニコニコ
ジラーチ「……」ブルブル
モバP「ん? どうしたんだジラーチ」
ジラーチ『……なんでもない』
モバP「そうだ。ジラーチ。俺が菜々と打ち合わせが終った後どうしてたか見てないか?」
ジラーチ『!』ビク
ジラーチ『ぼ、ぼくなにも見てない!』
モバP「そ、そうか」
モバP「亜里沙さん。俺今から仕事入ってるんでジラーチの面倒頼めますか?」
亜里沙「ありさ先生の得意分野ですよ。任せてくださいね!」
亜里沙「はーい。ジラーチちゃーんありさ先生と一緒に遊びましょうねー」
ジラーチ『う、うん!」
モバP「それじゃ、よろしくお願いします」
ジラーチ『もばPがんばってねー!』パチパチ
モバP「おう」
亜里沙「それじゃ、ありさ先生とウサコちゃんとおうたをうたいましょうねー♪」
ジラーチ『おうたー?』
亜里沙「うん。じゃあ、ありさ先生が先に歌うからそれにあわせてうたってね」
ジラーチ『わかったぁ!』
亜里沙「いくよー」
亜里沙「かーえーるーのーうーたーがー、はいうたってみましょう」ニコ
ジラーチ『かーえーるーのーうーたーがー」
亜里沙「よくできましたー! 次はー」
亜里沙「きーこーえーてーくーるーよー」
ジラーチ「きーこーえーてーくーるーよー」キャッキャッキャ
ガチャ ドン
蘭子「煩わしい太陽ね(おはよう!)」
亜里沙「あら? もう一人お友達が来たようだよー」
ジラーチ『ともだちー?』
蘭子「天帝の祖ではないか……」(ありさ先生どうしたんですか?)
亜里沙「ジラーチちゃんと一緒に遊んでいるんだよ」
ジラーチ『あそびあそびー!』
蘭子「この地獄の番人は一体……(な、なんですかこれ?)」
亜里沙「P君のお友達だって」
蘭子「下僕の眷属!?(プロデューサーさんのお友達?)」
蘭子「貴様、真名を示せ(お名前はなんていうんですか?)」
ジラーチ『ん?』
亜里沙「お名前を聞きたいみたいだよ」
ジラーチ『ぼく、ジラーチ!』
蘭子「ジラーチ……良い真名だ(ジラーチっていうんですか……いい名前ですね!)」
亜里沙「じゃあ、蘭子ちゃんも一緒におうたをうたおうねー」
蘭子「セイレーンの伊吹?(歌ですか?)」
亜里沙「うん。ありさ先生の後に続いて歌ってね」
亜里沙「かーえーるーのーうーたーがー」
ジラーチ『かーえーるーのーうーたーがー』
蘭子「ヘーケートーのうーぶごえー」
亜里沙「ん?」
亜里沙「きーこーえーてーくーるーよ」
ジラーチ『きーこーえーてーくーるーよ」
蘭子「はーめーつーのーあーいーず」
亜里沙「……」
亜里沙「クヮ クヮ クヮ クヮ」
ジラーチ『クヮ クヮ クヮ クヮ』
蘭子「世界は絶望の淵に沈んでいく!」
亜里沙「ありさ先生こんな問題児初めて……」グスン
亜里沙「ちゃんとお歌をうたってくれないなんて」
亜里沙「ウサコちゃんも悲しんでる」
蘭子「誤解だ! 天帝の祖!」(そ、そういうつもりじゃないです!)
ジラーチ『いっしょにおうた、うたおうよー」
亜里沙「次はちゃんと歌ってくれる?」
蘭子「真実の口に我が手を入れてもかまわぬ」(はい! 大丈夫です!)
亜里沙「わかった……じゃあもう一回! ありさ先生とウサコちゃんと一緒にうたいましょうねー♪」
亜里沙「えーっと。これを歌おうか!」
亜里沙「ゆきやこんこ あられやこんこ♪」
ジラーチ『ゆきやこんこ あられやこんこ♪』
蘭子「白銀の世界の中九尾が舞う♪」
亜里沙「……」
亜里沙「降っては降っては ずんずん積もる♪」
蘭子「人の束が築かれていく♪」
ジラーチ『ひとのたばがきずかれていく♪』
亜里沙「……」グスン
亜里沙「やっぱりちゃんと歌ってくれないじゃない!」タッタッタッタ
蘭子「待つんだ天帝の祖!」(これは癖なんですよー!)タッタッタッタ
モバP(なんだあいつら? サバトでもやってるのか?)
ジラーチ『おもしろいおもしろい!』キャッキャッキャ
亜里沙「P君。ありさ先生自信なくしちゃった……」グスン
モバP「大丈夫ですって。蘭子はもともとそういう子ですから」
蘭子「ご、ごめんなさい……」
ジラーチ『ありさ、だいじょうぶ?』
亜里沙「ごめんねジラーチちゃん」
亜里沙「ありさ先生もう大丈夫だよ!」
蘭子「ほ、ほんとうですか?」
モバP「蘭子、次は癖とか無しで歌えよ?」
蘭子「はい……」シュン
亜里沙「よーし! 次はP君も一緒にやりましょうねー♪」
モバP「俺も!?」
ジラーチ『わーいもばPいっしょいっしょ♪」キャッキャッキャ
モバP「……わかりました」
亜里沙「なに歌おうかな……」
ジラーチ『ぼく、みんなにうたってもらいたいうたがあるんだー』
モバP「なんだ?」
ジラーチ『むかし……ぼくがねむるまえにきいたきょく……』
ジラーチ『みんなにやってもらってもいい……?』
亜里沙「ありさ先生は構いませんよー」
蘭子「我が――私も、構いません」
ジラーチ『ありがとう!』
ジラーチ『はみんぐしかわからないけどあわせてねー』
小さきもの ハミング
ジラーチ「~♪」
亜里沙「~♪」
蘭子「~♪」
モバP「~♪」
ジラーチ『みんな、ありがとう!』ニコニコ
モバP「心地いい音色だったな……」
亜里沙「ありさ先生、今度子守唄に使ってみようかと検討しています」
蘭子「妖精のハープの旋律!」(綺麗な音でしたねー)
モバP「んー。なんか溜まってたストレスが多少解消されたかも」
亜里沙「じゃ、P君。そろそろありさ先生はお仕事があるから」
モバP「わかりました。蘭子もそろそろラジオの収録だろ?」
蘭子「時空の狭間に取り残される!」(あぁ! このままだと遅刻しちゃう!)バタバタ
モバP「急ぎすぎて転ぶなよー!」
――
晴「おいモバP。今日こそお前に勝ってやるからな」
モバP「……」カタカタ
晴「聞いてるのかよ!」
晴「早くウイイレやろーぜ!」
モバP「ちょ、ちょっと待ってろ。まだ仕事が終ってないから」
晴「んなもん後にしろよ」
モバP「急ぎなんだよ……」
晴「俺は57戦57敗なんだぞ! そんな悠長なこと言ってられるかよ!」
モバP(あー。晴の負けず嫌いがここまで面倒だとは……)
モバP(てきとうに負けてやればよかったな)
モバP「わかった。ただし条件がある」
晴「なんだよ」
モバP「そこにいるジラーチに勝ったら対戦してやるよ?」
晴「はぁ? あいつゲーム出来んのかよ」
モバP「やってみればわかる」
晴「……おい。そこのやつ」
ジラーチ『なーに?』
晴「ちょっと来い」
ジラーチ『うん!』
晴「やるぞ」
ジラーチ『なにを?』
晴「モバPのでもいいから携帯ゲーム機持ってるか?」
ジラーチ『これのことー?」
晴「それだ。今からそれで俺とウイイレで対戦するぞ」
ジラーチ『わーい! やるやるー!」
晴(本当に大丈夫かよ……)
ジラーチ『これではるともともだちー』
晴「は?」
ジラーチ『ん? 違うのー……?』ショボン
晴「……」チ
晴「はいはい友達友達」
晴「ったく餓鬼の相手じゃねーんだからよ」ボソ
ピコピコ
晴「……」
ジラーチ「……」
晴(ん? まさか……)
晴「おいお前。日本代表で俺とやるのかよ」
ジラーチ『ダメ?』
晴「いや、そんなことはねーけど」
晴(俺はスペイン代表でやってるんだぞ?)
晴(まぁいいか。これでひょいひょいと勝ってすぐモバPの野郎と対戦だ)
コテハン戻すの忘れてた。
ピコピコ
晴「……」
ジラーチ「……」
サァゼンハンノスタートデス
晴(軽く捻ってやるかな)
ピコピコ
晴「は……?」
ジラーチ「……」
ピコピコ
晴「ちょ、お前!」
ジラーチ「……」
ピコピコ
晴「ぐぬぬ!」
ジラーチ「……」
シアイシュウリョウノホイッスルデス
晴「うわー負けやがった!」
晴「なんでそんなに強いんだよ!」
ジラーチ『かったかったー!』
晴「モバP! どうしてこいつこんなにつえーんだよ!」
モバP「そりゃ、俺が鍛えたからだろ……」
晴「はぁ!?」
モバP「寝る前とかに一緒にやってたからな」
モバP「いやー、飲み込みが早くてびっくりだった。わっはっは」
晴「ふざけんな!」
モバP「頑張って勝てよー」
晴「こ、この野郎……」
晴「いいぜ。勝ってやるよ!」
晴「もう一度勝負だ!」
ジラーチ『うん!』
晴「次はぜってぇまけねー」
ジラーチ『まけないまけないー!』
30分後
晴「くそ!」
ジラーチ「……」
1時間後
晴「アナログスティックの調子がわりーな……」
ジラーチ「……」
二時間後
晴「……」
ジラーチ「……」
二時間半後
晴「……」グスン
ジラーチ「……」
晴「ふざけんじゃねぇぇぇ!」
ジラーチ「」ビク
晴「こうなったらリアルファイトだ!」
モバP(晴が向こうの部屋で格ゲーで負けた不良みたいなこと言ってやがる……)
晴「ここのイスとかソファやらテーブルどけるから待ってろ!」
ジラーチ『う、うん……』
晴「こんぐらいスペース確保できれば大丈夫だろ」
晴「おい。今俺の足元にボールがあるだろ?」
ジラーチ『なにやるのー?』
晴「いいから聞いてろって」
晴「ここのボールを俺から奪うゲームだ」
晴「俺から奪ったらお前の勝ち。どうだ簡単だろ?」
ジラーチ『わかった!』
晴「モバP! 仕事やりながらでいいからこっち来てジャッジ頼む!」
モバP「はいはい」
晴(ゲームでは勝てなかったけどこれなら勝てるだろ)
モバP「その前に一つルールを」
晴「なんだよ」
モバP「晴からボールを取るとき足を使わなくても取られたら勝ちってことでいいか?」
晴「? 手を使わなければかまわねーけど……」
モバP「よし。今言ったな」
晴「は?」
モバP「それじゃあ、試合開始」
晴「きゅ、きゅうだな」
モバP(晴のやつ負けたな)
モバP「ジラーチ好きにやっていいぞ」
ジラーチ「……ふ!」キラン
シュン
晴「え」
ジラーチ『とったとったー!』キャッキャッキャ
モバP「ジラーチの勝ち」
晴「な、なんだよ今の!」
モバP「なんでもいいだろ。負けは負けなんだから」
モバP「さ、仕事仕事」
晴「納得いかねーよ!」
モバP「はぁ……」
モバP「やってたものが、ウイイレからイナズマイレブンに変っただけだろ?」
晴「なんだよそれ!」
モバP「はいはい。解散」
晴「……」ショボン
モバP「……わかったよ」
モバP「その代わり一戦だけだぞ?」
晴「ほ、本当か!?」
モバP「ほら」
晴「お、おう!」
晴「へへ」
――
?「……」
?「もうすぐだ……」
?「待っていろジラーチ」
?「俺の願いを必ず叶えてもらうからな……」
?「ふふふ」バサ
今日はここまで
モバP「……」カタカタ
小梅「ね、ねぇ……Pさん……一緒に映画、見る……?」クイクイ
モバP「おわ! び、びっくりさせるなよ……」
小梅「ご、ごめん……」
比奈「小梅ちゃん。プロデューサー忙しいからあとにするッスよー」
モバP「ごめんな。小梅。比奈の言う通りなんだ。後にしてくれるか?」
小梅「……はい」シュン
比奈「……」
比奈「漫画を描きながらでいいならアタシが一緒に見てあげるッスよ」
小梅「ほ、ほんと!」
比奈「嘘は言わないッス」
小梅「さ、早速……!」クイ
比奈「あー、袖引っ張らなくても大丈夫ッスよー」
モバP「あー、ついでにジラーチにも見せてやってくれ。退屈そうだから」
ジラーチ『みるみるー!』ヒュー
小梅「ジラーチも……一緒……ふふふ」
比奈「テレビの前まで来たのはいいっスけどなにをみるんスか?」
小梅「家の近くの……DVD屋さんにあった……やつ、です」
比奈「見たこともないパッケージッスね」
小梅「う、うん。だから……気になってて」
比奈「本当に変ってるッスね」
比奈「パッケージに何も描かれてなくて黒一色じゃないッスか」
ジラーチ『おもしろいのー?』
比奈「それは見てみないとわからないッスねー」
小梅「う、うん。じゃあ……た、頼みました」
比奈「え? なんでアタシに渡すんスか?」
小梅「これの、やり方……わからないです」
比奈「?」
比奈「ちょっと貸してみるっスよ」
パカ
比奈「あ、これVHSじゃないッスか」
ジラーチ『ぶいえいちえすー?』
小梅「な、なん……ですか?」
比奈「一昔前のビデオテープッスよ」
比奈「今ここにある機器じゃ見るのは不可能ッスね」
小梅「そ、そんなぁ……」
比奈「残念ッスねー……」
ジラーチ『みれないのー?』
比奈「そうッスね」
ジラーチ『そっかー……』シュン
比奈「どうするッスか? なにか変りのビデオでもみるッスか?」
小梅「もう……持ってきて、ないです」
比奈「そうッスか」
ジラーチ『じゃあ、これであそぼうよ!』
比奈「なんッスか? それ」
小梅「木……箱?」
比奈「なんかお札とかいっぱい貼ってあるっスね」
小梅「……」キラキラ
比奈「これ、誰のッスか?」
ジラーチ『ちひろの!』
比奈「ちひろさんのッスかー?」
比奈(絶対面倒なものじゃないッスかー)
ジラーチ『ぼく、これのなかみがしりたい!』
比奈「でも、勝手に開けるのはまずくないッスか?」
ジラーチ『おこられるー……?』シュン
比奈「たぶんそうッス」
比奈「けど、アタシも気になるッスから中を見て見るッスよー」
小梅「わ、私も……気に、なる……!」ワクワク
ジラーチ『うん! みんなでみるー!」
比奈「赤信号。みんなで渡ればこわくないっス」
比奈(けど、この箱そこそこ大きいッスね)
比奈(小物ではないと考えるッスと……人形が入りそうッスね)
比奈「もしかして、ここに入ってるのって呪いの人形とかッスかね?」
小梅「の、呪いの……」キラキラ
ジラーチ『にんぎょうー?』
比奈「外見も禍々しいッスしおそらく……」
比奈「ちひろさんのことッスから呪いは乙女の嗜みくらいにたぶん思ってるッスよ」
比奈「アタシの推測ですと、これを誰かに無理矢理押し付けて人形に呪わせる算段とか企てているッスよー」
小梅「わ、私が……ほ、ほしい……!」
比奈「小梅ちゃんはアイドルだからそれは無理ッスよ」
比奈「個人的に障害物になる相手とかに送りつけるはずッス」
小梅「お、おそろしい……」
ジラーチ『ちひろ。やっぱわるいひと』
比奈「まぁ、とりあえず中を見てみないことにはわからないッス」
比奈「それじゃ」
小梅「……」ワクワク
ジラーチ『……』ドキドキ
比奈「開けるッスよー」
パカ
小梅「……?」
比奈「……ノートッスか?」
ジラーチ『のーとー?』
小梅「に、人形は……」
比奈「どうやら違ったようッスね」
小梅「……」シュン
比奈「一応、アタシが見て見るッス」
ペラペラ
比奈(なにかの……落書き?)
比奈(いや、設定集ッスかね?)
比奈(魔弾? 封じられた右目? グングニル? ちゅ、中二くさい単語っスねー)
比奈(武器に関してはめちゃくちゃ張り切って絵とか書いてるッスね)
比奈(こんなの大人になってから読んだら間違いなく悶絶ものッス)
比奈(あ、後ろにしっかり名前が書かれているッス)
2-4組 モバP
比奈「」
比奈「……」プルプル
小梅「か、顔……真っ青、です」
ジラーチ『だいじょうーぶー?』
比奈「これは、封印指定ッス」
小梅「?」
比奈(やばいッスよ。これ。中には短編小説なんて書かれてるッス)
比奈(ちひろさんの意図がやっとわかったッスよ)
比奈(きっとこのネタを利用してプロデューサーさんからスタドリを大量購入させることッス)
比奈「やっぱりパンドラの箱だったッスね」
比奈「これは供養しなきゃなんないッス」
ジラーチ『くよう?』
比奈「そうッス。けど、今すぐには無理ッスからどっかに隠しておくッスよ」
比奈(これがプロデューサーさんを悲しませない唯一の方法ッス)
比奈「じゃあ、ここに……と。これで大丈夫なはずッス」
比奈「それじゃ、今からすぐそこにあるレンタルショップでDVDを借りてくるッスよ」
小梅「……い、いいんですか?」
ジラーチ『やったやったー!』
比奈「その代わりあのノートのことは忘れるッス」
小梅「」コクコク
ジラーチ『はーい』
――
蘭子「……」ゴソゴソ
蘭子(あれ? 私が置いておいた本が見当たらないよー)
蘭子(どうしよう……今月のお小遣いで買った楽しみの本だったのに)アセアセ
蘭子(どこにもないよー……)シュン
蘭子「ん……?」
蘭子「あ、あった!」
蘭子(よ、よかったぁ……)
蘭子(あれ? でもここになにかノートみたいのがある……)
ガチャ ドン
モバP「ふー。今日も後は事務処理だけかー」
モバP「比較的に楽な一日で本当。よかった」
モバP「あれ? 蘭子?」
蘭子「我が下僕よ!」(プロデューサーさん!)キラキラ
モバP「お、おう? どうしたんだそんなに張り切って」
蘭子「刮目せよ!」
モバP「なんだこれ? ノート?」
モバP(随分古めかしいノートだな)
モバP(あれ? でもどっかで見たことあるような……)
蘭子「我が下僕が古の巻物の持ち主だったとは……」(プロデューサーさんもこういうの好きなんですね!)
モバP「え」
モバP「お、俺はそんなノート知らないぞ!」
モバP「ちょっと、貸してみろ!」
モバP「……」
ペラペラ
モバP「……」アセアセ
ペラペラ
モバP「あ……」
パタン
モバP「……」テクテク
蘭子「下僕?」(プロデューサーさん?)
モバP「……」カキカキ
蘭子(なに書いてるんだろう…・・・)
モバP「……」スタスタ
ガチャ バタン!
蘭子「?」
蘭子(紙を読んでみよう……)
『旅に出ます。探さないでください』
蘭子「プ……」
蘭子「プロデューサーさーん! 行かないでくださいー!」涙目
四日目。終了
森久保
押忍にゃん
五日目
有香「押忍!」
ジラーチ『おす!』
モバP(有香がジラーチの面倒みててくれるのは本当に助かる)カタカタ
モバP(少しうるさいのは弱点だけど)
有香「ここの腕の動きはこう!」シュ
ジラーチ『こう!』シュ
有香「うん! 上手い上手い!」
ジラーチ『ほめられたほめられたー』キャッキャッキャ
有香「さぁ! 乃々ちゃんも一緒にやろ?」
乃々「あの……あ、あたし……空手とか、その」
有香「?」
乃々「あの、だから……あたしには……体育系のノリとか、むーりぃー…」
有香「じゃあ慣れようよ!」
乃々「え」
ジラーチ『なれるなれるー!」
モバP(乃々も有香とある程度一緒にいて元気を分け与えてもらったほうがいいだろ)
乃々「……」チラ
モバP(視線送られてるけど無視無視)
モバP(趣味がポエム作りと少女マンガ集めのお前には理解できない領域だろうけど頑張れ!)
有香「じゃあ、まずは型から覚えようね!」
乃々「そ、その…話聞いてましたか…? あの、もう帰りたいです……」
有香「大丈夫! 簡単だから!」
ジラーチ『かんたんー!』
乃々「あの…その…えーっと…」
ジラーチ『やらないのー……?』ウルウル
乃々「……」
乃々「一回だけ……なら」
有香「押忍! それじゃ、私の後についてきてね」
ジラーチ『うん!』
乃々(帰りたい)
有香「押忍!」シュ
ジラーチ『おす!』
乃々「…お…・・・す……」ヘナヘナ
有香「押忍!」シュ
ジラーチ『おす!』
乃々「………」ヘナヘナ
有香「乃々ちゃん! 声出てない!」
ジラーチ『でてない! でてない!』
有香「押忍!」シュ
ジラーチ『おす!』
乃々「お……す」ヘナヘナ
有香「声小さいよ!」
有香「もっと腰を落として……こう!」シュ
乃々「お、おす……!」シュ
ジラーチ『いいかんじーいいかんじー!』キャッキャッキャ
乃々「……」
有香「どうしたの?」
乃々「帰る!」タッタッタッタ
有香「あ!」
ガチャ ドン
有香「? 気合が足りなかったのかな?」
ジラーチ『ののいっちゃたねー』
有香「仕方ないから二人で稽古しようか」
ジラーチ『うん!』
モバP(あーあ。やっぱりダメだったか)
乃々「……」テクテク
乃々「空手とかむーりぃー……」
乃々(やっぱダメだった)
乃々(家に帰ったら漫画読も)
?「ひ、ひったくりです!」
乃々「?」
ダッダッダッダッダ
男「どけ! 邪魔だ!」
乃々「え…その…あの」
乃々(こ、このままじゃぶつかっちゃう)
乃々(確か姿勢を低くして)ス
乃々(突き出すようにこう……)
男「くそ! どけってんだよ!」
乃々(拳を打ち出す)
乃々「押忍!」シュ
メキ
急所にあたった!
男「ぐへ……」パタリ
乃々「あ、あれ…? あの…その…大丈夫ですか?」
ちひろ「の、乃々ちゃん!」
乃々「あ…ち、ちひろさん」
ちひろ「よかッたぁー。乃々ちゃんがひったくりを捕まえてくれたんだね。ありがと!」
乃々(褒められた)
乃々「あの…その…あたしは…」テレテレ
ちひろ「さてと……」ニコニコ
男「う……」ムク
ちひろ「こいつをどうしましょ!」ニコ
男「ヒ!」
ちひろ「私のお金に手を出そうとしたんですから……」
ちひろ「それ相応の報いは必要よね♪」
ちひろ「知ってますー?」
ちひろ「人間の臓器やらって……全部で4000万以上で売れるんですよ」ニコ
男「……」ガタガタ
ちひろ「ちょっと、私の家に来てもらうことになるんですけど、問題ないですよね!」
男「た、助けてくれ!」
ちひろ「私は――」
乃々「……」
乃々(事務所に戻ってもう一度教えてもらお……)
大槻唯
たまみちゃん
きの子
ガチャ ドン
モバP「ちひろさん遅刻」
ちひろ「わかってますよー」
ちひろ「ちょっとひったくりにあったんです?」
モバP「えぇ!? 大丈夫だったか!?」
ちひろ「はい♪ 私は平気でしたよ」
モバP「いや、相手が」
ちひろ「……」
訂正
ちひろ「ちょっとひったくりにあったんです」
ちひろ「人聞きの悪いこと言わないでくださいよ!」
モバP「じゃあ、相手は無傷だったか?」
ちひろ「はい。もちろんです」
ちひろ「脅したりはしましたけど、体に傷はありません!」
モバP(『体は』……ね)
ちひろ「最終的に泣き始めちゃって警察に連れて行くの大変だったんですよ?」
モバP「それは災難だったな」
ちひろ「そういえばジラーチちゃんはどこですか?」
モバP「向こうの部屋で輝子と遊んでる」
ちひろ「あーそうだったんですか」
モバP「珠美も一緒にいるんで大丈夫だ」
ちひろ「また変った組み合わせですね……」
モバP「珠美は座禅しているだけ会話はないけどな」
ちひろ「なるほど……」
輝子「キノコーキノコーボッチノコーホシショウコー♪ でも、今は二人ー…フヒヒ」
ジラーチ『きのこーきのこー♪』
珠美「……」
輝子「トモダチートモダチー…フフ」
ジラーチ『ともだち!』
輝子「じゃ、じゃあ」
輝子「キノコとの会話の仕方を教える」
ジラーチ『かいわー?』
輝子「そう、会話…フヒ」
ガチャ ドン
唯「ちゃーす! おぉ! これが噂に聞くジラーチちゃんー?」
唯「可愛いなぁー! いいね!」
輝子「あぁ……存在が……」
ジラーチ『だぁれ?』
唯「ゆいだよー☆ キャンディ食べるー?」
ジラーチ『いるー!』
唯「うーん。じゃあ、どれがいいかな……」
唯「これ! これあげるよー!」
ジラーチ『わーい! きゃんでぃーきゃんでぃー!』
唯「きゃ~! 可愛いねー☆」
珠美「ちょっと! 静かにしてください! 今集中してたんですよ!」
唯「えー? そうは見えなかったよー?」
珠美「それでも、集中してたんです!」
唯「そんなこといって……どりゃ☆」ガシ
珠美「うわ、ちょっと! 抱きつかないでください!」
唯「おりゃおりゃー♪」コチョコチョ
珠美「あひゃっ、うひゃひゃひゃ~! ジラーチ助けて!」
ジラーチ『おりゃおりゃー』コチョコチョ
珠美「!」
輝子「……フヒ」
珠美「はぁ……はぁ……」
珠美「二人とも! そこに直ってください!」
唯「えー。どうしてー」
ジラーチ『どうしてどうして?』
珠美「どうしてもこうしてもじゃありません。どうしてあんなことをしたんですか」
唯「だって小さくって可愛かったんだもーん☆」
珠美「い、今身長の話は関係ないです!」
ジラーチ『ちっちゃいちっちゃい!』
珠美「ち、ちびじゃない!」
輝子「キノコーキノコーボッチノコーホシショウコー……」ボソボソ
唯「ちびっこじゃーん」
珠美「ちびっこちゃうし!」
珠美「だったら、輝子ちゃんだって仲間じゃないですか!」
輝子「!」
輝子「な、仲間……や、やった……」
唯「あれ? いたのー?」
輝子「ちゃ、ちゃんと居ましたけど……」
唯「ごめーん☆ 気付かなかった」
モバP「唯、珠美ちょっといいか?」
唯「Pちゃんー!」
珠美「P殿!」
輝子「あ……」
モバP「今から仕事の打ち合わせするから来い」
唯「もー☆ 仕事なんかより、二人でもっと楽しいことしようよ!」
唯「ぜったぁい楽しませるから!」
モバP「……お、おう」
珠美「い、今頬赤く染めませんでしたか!?」
モバP「染めてねーよ!」
輝子「ふ、二人っきりだな……フヒヒ」
ジラーチ『そうだねぇ……』
ジラーチ『ぼく、きーぼーどであそぶ!』
輝子「そ、そうか……」
ジラーチ『♪』
ドー♪ レー♪ ミー♪
輝子「……」
輝子「ゴートゥーヘールッ!!!!」
ジラーチ「」ビクン
輝子「ど、どう……?」
ジラーチ『ろ、ろっくー?』
輝子「ど、どうだろう……フヒヒ」
輝子「結構…いい感じだな」
輝子「これで、注目間違いないし…フフ」
輝子「フヒヒヒヒフハハッアッハッハ!!! これだよ! これ! こういうの! そう! も、求めてた! 私!
アッハッハッハ! シイタケ! エリンギ! ブナシメジ! キノコ!」
ジラーチ『こ、こわい……』
ちひろ「あれ? 輝子ちゃん!? テンション高いねー! これで私とも喋れるかな?」
輝子「……」
ちひろ「ん?」
輝子「こ、言葉のキャッチボールはまだ早い……フヒヒ」モジモジ
ちひろ「そ、そうなんだ……」
ジラーチ『……』ブルブル
ナターリア
薫
事務所
ナターリア「おスシ♪ おスシ♪」モグモグ
薫「わーい! かおるこんなに美味しいおすし食べたことないよー!」モグモグ
ジラーチ『おいしーおいしー♪』モグモグ
モバP「お前ら社長のポケットマネーで食えてるんだから感謝しろよ」
社長「いやいや。大したことじゃないよ」
社長「今日は二人とも頑張ってくれたからね。ご褒美だ」
ナターリア「しゃっちょサンありがとネ!」
薫「社長さん! ありがとうございます」ペコリ
ジラーチ『ありがとーう♪』
モバP「でも、本当に良かったんですか? わざわざジラーチの分まで」
社長「なーに。構わないさ。君は少しちひろさんを見習ったほうがいいよ」
ちひろ「……!」パクパクパク
モバP「うわぁ……」
社長「はっはっはっは。あそこまでくるとむしろ清清しいだろー?」
社長「君も遠慮せずにたべたまえ」
モバP「ありがとうございます」
ナターリア「そのマグロ! ナターリアのだヨ!」
ちひろ「先に食べたほうに優先権があるんです!」
モバP「ちひろさん。大人げないぞ」
社長「そんなに慌てなくてもまだあるからゆっくり食べなさい」
薫「あぁ! ジラーチちゃん零してるよ」フキフキ
ジラーチ『ごめん……』シュン
モバP「薫はジラーチのお姉さんだな」
薫「かおるがお姉さん?」
モバP「おう」
ジラーチ『おねえさんー?』
モバP「あぁそうだ」
薫「かおるがおねえさん……」
薫「うん! せんせぇ! かおるがんばるよ!」
ジラーチ『がんばれーがんばれー』キャッキャッキャ
モバP「頼んだぞー」
薫「じゃあ、ここはかおるがおねえさんらしく文字をジラーチちゃんに教えるね」
ジラーチ『文字…?』
薫「かおるは学校で教わってるからジラーチちゃんにも教えられるよ?」
ジラーチ『おそわるおそわるー!』
薫「今日はかおるがせんせぇだね!」
ジラーチ『せんせー♪』
薫「えっと……まずは……なにから教えたらいいんだろう……」
モバP「五十音図でも覚えさせたらどうだ?」
薫「! せんせぇやっぱ凄いね」
モバP「今はお前が先生なんだろ?」
薫「あ、そうだった……」
薫「じゃあ、早速やってみようよ!」
ジラーチ『やるやる!』
薫「ここはこうして……」カキカキ
ジラーチ『うんうん』
モバP(これが薫にいい影響をあたえればいいけどな)
ナターリア「プロデューサー! ナターリアもカンジ覚えたヨ!」
モバP「本当か? どれ、書いてみろ」
ナターリア「ふふ……コウ!」カキカキ
『鮪』
モバP「おぉ! よくもこんな難しい漢字覚えられたなー」
ナターリア「ヘヘン。ナターリア、毎日ベンキョウしてるヨ?」
モバP(俺が漢字のドリルを買ってやった成果出たか……)ホロリ
モバP「他にはなにを覚えたんだ」
ナターリア「他にはネ……これ!」カキカキ
『鮭』
モバP「ん……?」
ナターリア「どうしたノ?」
モバP「もう一個書いてみてくれないか?」
ナターリア「? いいヨ」
モバP(こいつもしかして……)
ナターリア「……」カキカキ
ナターリア「ほレ!」
『海栗』
モバP「おまえ! これ全部スシのネタじゃねーか!」
ナターリア「アハハ、そうだネ!」
モバP「ちゃんとドリルやってるのか?」
ナターリア「やってる……ヨ?」
モバP「これ読んでみろ」カキカキ
『訝る』
ナターリア「……忘れちゃっタ☆」テヘ
モバP「……じゃあ、これ」カキカキ
『茨』
ナターリア「……忘れちゃっタ☆」テヘ
モバP「お前絶対やってないだろ!」
ナターリア「アハハ……どっかいっちゃッたノ」
モバP「ったく……」
社長「はっはっは。君も大変だねー」
モバP「いえいえ。楽しいですよ」
社長「アイドルの面倒を見るのに一苦労だってのに、その上ジラーチもだろー?」
社長「体は壊さないでくれよ」
モバP「はい」
モバP「社長もジラーチと喋ってみますか?」
社長「私はいいよ。あまり子供には好かれないようなのでね」
モバP「そうですか……」
モバP「みんなジラーチをほしがったりして大変だったりするんですよ?」
社長「はっはっは。そうなのか」
社長「私は面倒をみきれないからそんなことは思わないが……」
社長「けど……」
モバP「どうしたんですか?」
社長「ジラーチの能力はほしいかもしれないね」ボソ
モバP「え……?」
モバP(俺、社長にジラーチの秘密を教えてたっけ……)
社長「さぁさぁ。君も飲みたまえ」
モバP「あ……はい」
モバP(まぁ……いいか)
薫「せんせぇ! ジラーチが書いた文字見てみてよ!」
モバP「どれどれー?」
モバP「お、しっかりかけてるな」
モバP「薫の教え方がいいからだな」
薫「えへへ……褒められた」ニコニコ
ジラーチ『ほめてほめてー!』
モバP「ジラーチも偉いな」
ジラーチ『アハハ』キャッキャッキャ
ちひろ「う……食べ過ぎた……」
ちひろ「モバPさん助けてください……」
モバP「……」
モバP「みんなー。こんな大人になるなよー」
薫「はーい」
ナターリア「はーイ!」
ジラーチ『はーいはーい!』
ちひろ「ちょ、ちょっと!」
モバP「自業自得だろー?」
ちひろ「鬼! 私だって食べたくて食べたわけじゃないんです!」
ちひろ「お寿司が私に食べてもらいたそうにしてたからしょうがなく食べたんです」
ナターリア「おスシは喋らないヨ?」
薫「し、知らなかった……お寿司って喋るんだ……」
モバP「薫。そうじゃないからな」
ジラーチ『ともだちになれるー?』
モバP「なれねーから!」
ジラーチ『そっかぁ……』シュン
ちひろ「みんなー。お寿司は喋るんだよー」
モバP「嘘教えるなよ!」
モバP「大体、ちひろさんならいつでも回ってないお寿司とか食べられるだろ」
ちひろ「あまいですね」
モバP「は?」
ちひろ「人のお金で食べるからいいんですよ!」
ちひろ「いつもより10倍は美味しいです!」
ちひろ「みんなもね! おごってもらったときとかは遠慮しちゃだめだよ!」
モバP「ふざけんな! なに吹き込んでるんだよ!」
ガヤガヤガヤ
社長「いやー。それにしてもうちの事務所は賑やかでいいねー」
モバP「あ! 逃げるな!」
モバP「てか、食いすぎて動けなかったんじゃないのかよ!」
ちひろ「喋ったら消化されました!」
ナターリア「ちひろ動きにキレがあるネ!」
薫「せんせぇがんばってー!」
ジラーチ『ぼくもまざるー!』
社長「……」
社長「壁は……多いぞモバP君」ボソ
五日目 終了
六日目
ちひろ「……」カタカタ
ちひろ「ふー。こんなものかな」
ちひろ「モバPさん幸子ちゃんの付き添いでいないから仕事多くて大変……」
ジラーチ『ねぇねぇちひろ! ぼくってかわいい?』
ちひろ「…・・・え?」
ジラーチ『?』
ちひろ(出会った当初に比べて会話してくれるようにはなったけど……)
ちひろ(今の発言なに?)
ちひろ「きゅ、急にどうしたの?」
ジラーチ『さちこがずっといってた」
ちひろ「どういうこと?」
ジラーチ『うーん。あさにね。いたの』
ちひろ「幸子ちゃんが?」
ジラーチ『うん!』
ジラーチ『そのときに……』
――
幸子「ぼくには叶いませんけどあなたも可愛いですね!」ドヤァ
ジラーチ『?』
幸子「ぼくって可愛いですよね!」
ジラーチ『んー?」
幸子「……もう一度いいますよ?」
幸子「ぼくって可愛いですよね!」
ジラーチ『?』
幸子「ぼ、ぼくって……」ウルウル
モバP「なに、無理矢理可愛いって言わせようとしてるんだよ」
幸子「! ち、違いますよ!」
幸子「プロデューサーさんはそんなこともわからないんですか!」
モバP「はぁ……」
モバP「ジラーチ。可愛いって言ってやれよ」
ジラーチ『さちこ、かわいい!』
幸子「……と、当然ですね。ぼくは可愛いので!」
モバP(こんなんでも喜ぶのかよ)
ジラーチ『ぼくもかわいいー?』
幸子「ぼくには叶いませんけどかわいいですよ!」
ジラーチ『やったー!』
幸子「それから、ぼくが一番プロデューサーさんに好かれています!」
ジラーチ『そうなのー?』
モバP「ソウダナー」
訂正
幸子「ぼくにはかなわないですけどかわいいですよ!」
幸子「つまり、プロデューサーの独占権はぼくにあります」ガシ
モバP「いや、その理屈はおかしい」
幸子「ど、どうしてですか?」
モバP「とりあえず、俺の腕から離れてくれ」
幸子「だ、だめですよ」
ジラーチ『……いやー』ガシ
モバP「ジラーチ? お前までどうしたんだよ」
幸子「む? ぼくと張り合うつもりですか?」
ジラーチ『もばP! わたさない!』
モバP「はぁ!?」
幸子「プロデューサーはぼくとがいいようなので離れてください!」
ジラーチ『ぼくー!』
モバP「お、おい幸子。大人気ないぞ?」
モバP「ここは大人しく離れるという……」
幸子「プロデューサーはぼくと離れたいんですか!」ウルウル
モバP(うわぁ……拗ねられるとこの後の仕事やりにくいんだよな……)
モバP「はぁ……」
幸子「ここはどちらが可愛いのかプロデューサーさんに決めてもらいましょう!」
ジラーチ『ぼく、かわいいー?』
幸子「ぼくのほうがかわいいですよね!」
モバP「いや、二人とも可愛い」
幸子「ふざけないでください!」
モバP「ですよねー」
モバP(この後の仕事のことを考えれば幸子を選ぶしかないよなー)
モバP「じゃあ、幸子で」
幸子「!」
幸子「ふ、ふふ。やっぱりぼくのほうが可愛かったんですね!」ドヤァ
ジラーチ「……」シュン
幸子「ほら。さっさと離れてください」
ジラーチ「……ふ!」キラン
シュン
モバP「あれ!? 幸子!?」
モバP「ジラーチ、お前どこやったんだよ!?」
ジラーチ『しらない』プイ
モバP「どうするんだよ! このままじゃ仕事いけないんだぞ!」
ジラーチ『……しらないもん』
モバP「はぁ? 言えって!」
ジラーチ「……」
モバP(黙秘権かよ……)
モバP「ジラーチ! 俺は遊びで言ってるんじゃない!」
モバP「いい加減にしないと怒るぞ!」
ジラーチ『もうおこってる……』
モバP「そりゃ怒るだろ!」
ジラーチ『……いや』
モバP「意地でも言わないのかよ……」
ジラーチ『……』ヒュー
モバP(飛んでいきやがったし……)
モバP「もう遊んでやらないからな!」タッタッタッタ
モバP(なに餓鬼みたいなこと言ってるんだよ俺)
モバP(まぁ、いい。とりあえず幸子を探すか)
――
ちひろ「あらら。喧嘩しちゃったんだ」
ジラーチ『うん……』
ちひろ「大丈夫だよ。落ち込まなくても。モバPさんが帰ってきたら一緒にごめんなさいしようね?」
ジラーチ『ほんと?』
ちひろ「うん。モバPさんもきっと謝れば許してくれるから」
ジラーチ『わかったぁ……』
ちひろ「じゃあ、ちょっと心配だから連絡してみるね」
リアル一週間で投稿するのかと
>>423
諸事情により早めに終らせなきゃいけなくなったんですよ……
明後日からいろいろと忙しくなってしまうので。
トゥルルルルル
ガチャ
ちひろ「あ、もしもし」
モバP『ちひろさん?』
ちひろ「幸子ちゃん見つかりました?」
モバP『ジラーチに聞いたのか……」
ちひろ「はい」
モバP『幸子なら無事見つかったよ」
ちひろ「どこでですか?」
モバP『工事現場にいてもう大変だったんだよー』
ちひろ「工事現場……」
モバP『おう。しかも、なんだか幸子、職人の人達と仲良くなってて餌付けされてたよ』
ちひろ「餌付けって……動物じゃないんですから」
ちひろ「とりあえずは仕事には間に合ったんですね」
モバP『なんとか』
ちひろ「なら安心しました。それから……」
ちひろ「ジラーチちゃんの件なんですけど怒ってます?」
モバP『……まだ怒ってるよ』
モバP『それに、このくらいしないとあいつも反省しないだろ」
ちひろ「いや、ジラーチちゃんまだ幼い感じですし――」
モバP『切るぞ』
ガチャ ツーツー
ちひろ「あらら……」
ちひろ(モバPさん。仕事に関しては鬼だからなー……)
ジラーチ『おこってたー?』
ちひろ「え、えっとー……お、怒ってたけどきっと大丈夫だよ!」
ジラーチ『……』シュン
ちひろ「あっちゃー……」
ガチャ ドカン!
ちひろ「!?」
ちひろ「誰ですか!?」
黒服の男A「動くな」ガチャ
ちひろ(拳銃――!?)
黒服の男B「大人しくしていろ」
ちひろ「一体なんのつもりですか……」
黒服の男A「いいから喋るな」
ちひろ(な、なに?)
ジラーチ『?』
カツカツカツ
仮面の男「ジラーチにテレポートを使われると厄介だ。先に眠らせろ」
ちひろ(だ、誰?)
黒服の男B「了解しました」
ちひろ「ちょ、ちょっと!」
黒服の男B「ほら、眠ってろ」プシュー
ジラーチ『う……』パタリ
ジラーチ『……』スヤスヤ
ちひろ「ジラーチちゃんが目的……?」
黒服の男A「お前には関係のない!」
ちひろ「……いいんですか?」
黒服の男B「あ?」
ちひろ「こう見えても私、強いんですよ?」
訂正
黒服の男A「お前には関係ない!」
黒服の男A「ハンドガン相手に素手で勝負するのか?」
ちひろ「はい」ス
黒服の男B「ムダに構えが様だな……」
仮面の男「お前らやめておけ。千川は普通に強い」
ちひろ(なんで私の名前知ってるの?)
仮面の男「こいつはお小遣い集めと称して高校生時代賞金の掛かった犯罪者を何人も捕まえてきている」
ちひろ「いやー! なんでそのこと知ってるんですか!」
ちひろ「そんなの知ってるの付き合いの長いモバPさんと社長くらいですよ!」
黒服の男A「じゃ、じゃあどうすればいいんだよ……」
ちひろ「そうですよ。私に拳銃を向けようがなにしようが勝てませんよ」
仮面の男「簡単な話だ」
ちひろ「?」
仮面の男「ここに一億円ある」ドサ
ちひろ「きゃー! 本当ですか!?」
ちひろ「さっきから手元に持っていたアタッシュケースは現金が入っていたんですね!」
仮面の男「くれてやる」ヒョイ
ちひろ「ウッヒョー! 偽者じゃない札束だー!」
ちひろ「これがあれば――」
仮面の男「……」
仮面の男「ジラーチをつれてこい」
黒服の男「おう」
事務所前
モバP(ったく。ジラーチのやつ)
モバP(なにも仕事前の幸子を瞬間移動させるなんて……)
モバP(ちょっときつく言っておかないとダメだな)
モバP(……)
モバP(でも、あいつと一緒にいられるのは今日含めてあと二日なんだよな……)
モバP(……今頃反省していることだろ)
ガチャ ドン
ちひろ「う……」
モバP「!」
モバP「どうしたんだちひろさん!」
ちひろ「すいません。モバPさんジラーチちゃんが……」
モバP「ジラーチがどうしたんだ!?」
ちひろ「何者かに連れ去られてしまいました……グフ」
モバP「本当か!?」
ちひろ「はい……私も応戦しようとしたんですけど……これにやられてしまい」
モバP「げん……きん?」
ちひろ「すいません。後は頼みまし……た!」ガク
モバP「ちひろさん!」
モバP(くそ! この現金を目の前にしてテンションを上げすぎて力尽きてしまったか!)
モバP「い、一体誰がこんなことを……。考えてる暇はないか」タッタッタ
ガチャ ドン
モバP「……」ハァハァ
モバP「闇雲に走って探しても仕方ないか!」
モバP(落ち着け俺……)
モバP(頭を働かせるんだ)
モバP(おそらく犯人はジラーチの能力を知っている人間)
モバP(そして、ちひろさんの弱点を知っている人間だ)
モバP(……でも、ジラーチの秘密を知っているのは俺しかいない……)
モバP「いや……」
モバP「もしかしたら一人だけいたはずだ……」
モバP「けど、そんなはずはない!」
モバP「でも、可能性はそれしか――」
ガツ
モバP「ガ!」ドサ
モバP(後頭部を強打された!)
モバP「だれ……だ」
モバP「う……」パタリ
ちひろ「……は!」
ちひろ「私どれくらい眠ってたんだろ!」
ちひろ「やばい……そろそろ今日一日が終わりそう」
ガチャ ドン
社長「大変だちひろ君!」
ちひろ「社長!?」
社長「モバP君がなにものかに連れ去られた!」
ちひろ「え!? ジラーチちゃんの次はモバPさんですか!?」
ちひろ「なんで……!」タッタッタッタ
社長「おわ!」
ちひろ「どいてください!」
ガチャ ドン
社長「社長をおいていくなんてまったく酷いなぁ……」
社長「モバP君とちひろさんは誰が犯人なのか検討はついているのかな?」
社長「おそらく、わからないはずだろう」
社長「果たして……答えに辿り着くことが出来るのかな?」
社長「ヒントはあまりあげてないから、自力で犯人を突き止めるのは無理だろうけどね」
社長「さてさて、どうなることやら……」
訂正
社長「モバP君とちひろ君は誰が犯人なのか検討はついているのかな?」
六日目 end
七日目
真夜中 1時
ちひろ「……」ハァハァ
ちひろ「ど、どうすればいいの」
トゥルルル
ちひろ「?」
ちひろ「誰だろ」ピ
晶葉『私だ』
ちひろ「晶葉ちゃん!?」
ちひろ「なんで私の電話番号」
晶葉『そんなことは後回しだ。至急私のラボまで来てくれ」
ちひろ「え、ちょっと! 今何時だと思ってるの!」
晶葉『いいからすぐにだ! 助手を助けるためにも、早くしろ」
ちひろ「!」
ガチャ ツーツー
ちひろ「いってみるしかないみたい」
――
晶葉「よく来てくれたな……」
ちひろ「……どうしてモバPさんが連れ去られたことを知っているの?」
晶葉「モバPには発信機をつけていてな」
晶葉「それで気づいたんだよ」
ちひろ「居場所がわかっているんですか!?」
ちひろ「……でもどうして発信機なんて」
晶葉「……私情だ。気にするな」
ちひろ(凄く気になる)
晶葉「モバPは今。群馬の山奥にいる」
ちひろ「群馬!?」
晶葉「驚くことも無いだろう。本気を出せばここから数時間の距離じゃないか」
ちひろ「確かにそうだけど……」
晶葉「まぁ、場所なんていうのはどうでもいいんだ」
晶葉「その前にいろいろと私に教えてくれないか?」
ちひろ「う、うん」
カクカクシカジカ
晶葉「なるほどな……わかった」
ちひろ「これからどうするの?」
晶葉「モバPの安否確認と奪還だ」
ちひろ「生きているのかどうかはわからないの?」
晶葉「発信機をつけただけからな。安否まではわからない」
晶葉「今、私のロボットを飛ばし確認させているところだ」
晶葉「生きていると仮定して……モバPを奪還する作戦を考える」
ちひろ「……いえ。作戦を立てる必要はないよ」
晶葉「なんだって?」
ちひろ「私が、正面突破で連れ戻すから!」
晶葉「その理由は?」
ちひろ「だって、こんな危ないことをやれるのは私だけだから……」
ちひろ「どうせ警察に通報したってすぐには動いてくれないし」
ちひろ「それに、私がもっとしっかりしていればこんなことにはならなかったしね!」
晶葉「そうか……なら任せよう」
晶葉「しかし、丸腰で行くのは危険だ。私が開発したスーツを着ていくといい」
ちひろ「スーツ?」
晶葉「これだ」
ちひろ「……レ、レオタード!?」
晶葉「あぁ。それはちひろ用のやつだ」
ちひろ「これをきるとどうなるの?」
晶葉「スーパーマンのように強くなれるんだ」
ちひろ「スーパーマンのように?」
晶葉「そうだ。これを着れば最高速度が出ている電車だって素手で止めることが可能だろう」
晶葉「元々の着ている人物の戦闘力の大きさによってスーツは真価をはっきるする仕組みになっているから。ちひろなら使いこなせるだろう」
ちひろ「で、でもこのデザインはちょっと……」
晶葉「他にもいくつがあるがちひろのサイズで作ってあるのはそれしかないんだ」
晶葉「我慢してくれ」
ちひろ「……うん」
晶葉「それから行く前に……」
晶葉「犯人は一体誰なのかが気になるな」
ちひろ「え? そんなの私たちが知らないような悪の結社のようなものじゃ」
晶葉「そんなわけないだろ。ちひろの話を聞く限りだと身内の可能性が高い」
ちひろ「そ、そうかな?」
晶葉「容疑者としては社長が上がる」
ちひろ「え? どうして」
晶葉「ちひろの過去を知っているのは社長だけだろう?」
ちひろ「そ、そうだけど……」
ちひろ「でも私はさっき会ったばっかりだよ?」
晶葉「人を使っている可能性を考えろ」
晶葉「もしくは、自分の疑いを晴らすためにわざと会っているのかもしれないぞ」
晶葉「仮面の下は社長だった。現状これで間違いないだろう」
ちひろ「な、なるほど……」
晶葉「しかし、なぜジラーチを連れ去ったのかが気になるな……」
ちひろ「社長も私のように大金欲しさに連れ去ったのかも!」
晶葉「……そうだろうか」
ちひろ「え?」
晶葉「だって、大金でお前を釣ったんだろ? ならお金には困っていないはずだぞ」
ちひろ「じゃあ、相手はなんでジラーチちゃんを……」
晶葉「全くわからない」
晶葉「まぁ、いい。おそらくまだ証拠が揃っていないからだろう」
晶葉「ちひろ。今すぐ群馬に急行してくれ」
ちひろ「了解!」
晶葉「それから、モバPが囚われている屋敷の見取り図だ」
ちひろ「モバPさん屋敷に囚われてたの?」
晶葉「そうだ。この屋敷の大きさからいって相当の富豪のようだな」
ちひろ「……わかったありがとう! 行ってくるね!」
晶葉「まぁ、待て。そう焦るな」
ちひろ「だって」
晶葉「今からスパイグッズを支給するぞ」
ちひろ「スパイグッズ!」キラキラ
――
屋敷 最深部
モバP「う……ここは」
仮面の男「目覚めたか」
モバP「……誰だ! お前!」
仮面の男「なにを言ってるんだ?」
仮面の男「お前にはもうわかっているはずだ。今更そんなことを聞くな」
モバP「わかっている?」
仮面の男「いや、感じている。のほうが正確かもな」
モバP「なに言ってるんだよ!」
モバP「この野郎!」ス
ガシャガシャ
モバP「た、立てない!? 鎖で繋がれているのか!」
仮面の男「そう。焦るな」
仮面の男「あれを見てみろ」
ジラーチ「……」スヤスヤ
モバP「ジラーチ!」
モバP「お前……やっぱりジラーチを連れ去ったやつか!」
仮面の男「そうだ」
モバP「……どうして俺まで連れて来たんだ?」
仮面の男「途端に冷静になったな」
仮面の男「この状況じゃ手出しが出来ないのをしっかりと理解出来たか」
仮面の男「そうだな。教えてやろう。お前は俺の一番の理解者だ。そのくらいはいいだろう」
モバP「理解者? ふざけんな! お前と会ったのは初めてだ!」
仮面の男「初めて会った? そんなことはないはずだ」
仮面の男「それは俺の仮面の下を見てから言うんだな」
モバP「だったら、そのふざけた仮面をすぐに取れよ」
仮面の男「話が終ってからな」
モバP「……」
仮面の男「お前をここにどうして連れて来たか……だったな」
仮面の男「ジラーチに言うことを聞かせるためだ」
仮面の男「おそらく、今ではもうジラーチはお前の願い事しか叶えないだろう」
モバP「じゃあ、俺をここに連れて来たのは無理矢理にでも自分の願いを叶えるためか?」
仮面の男「そうだ。お前の口から俺の願いを言ってくれればジラーチは願いを叶える」
モバP「生憎だが、俺はどんなことをされてもジラーチにお前の願いを叶えさせることはないからな」
仮面の男「ふふふ、しかしこういうのはどうだろう」
モバP「……?」
黒服の男A「……ふ!」
ゴツ
モバP「ツ!」
仮面の男「どうだ? 金属バットで横腹を殴打された気分は」
コレジャナイ感がすごい
仮面の男「これをジラーチに見せればいやでも俺の願い事を叶えるはずだ」
モバP「ゲホッゲホ」
モバP「……この、外道!」
仮面の男「なんとでも言え」
仮面の男「それじゃあ、次はジラーチが一体どういうものなのかを説明しよう」
仮面の男「言っとくが俺はお前よりも詳しいぞ?」
モバP「なんだと?」
仮面の男「なにしろ俺もジラーチのパートナーだったからな」
モバP「ぱーとなー?」
>>459
つまらんか。すまんな
仮面の男「そうだ」
仮面の男「まぁ、そんなのはどうでもいい。ジラーチについてだ」
仮面の男「あいつは俺らの世界にはない。異界の生物だ」
仮面の男「ポケモン……というのだがな」
仮面の男「やつはそれなんだ」
モバP「ポケモン?」
仮面の男「千年に一度目覚める、変ったポケモンだ。価値は相当だぞ」
仮面の男「さらに、あいつは願い事を叶えてくれる……っていうのは知ってるな」
モバP「お前はその願い事を使ってなにがしたいんだ?」
仮面の男「……お前なら知っているはずだ」
モバP「さっきから言ってる意味がわからないぞ?」
仮面の男「だったら教えてやる」
仮面の男「俺の願いは――」
モバP(なんだ? 億万長者か? 世界征服か? または世界滅亡か?)
仮面の男「ギャルのパンティを手に入れることだ!」
モバP「……は?」
――
群馬某所
屋敷 裏側の壁付近
ちひろ「ふー」
ちひろ「正面突破とは言ったけどやっぱり極力ばれないで進むほうがいいよね」
ちひろ「それにしても大きなお屋敷だなー」
ザーザー
晶葉『ちひろ聞こえるか」
ちひろ「ばっちり」
晶葉『じゃあ、ワイヤーを使って壁をよじ登ってくれ』
晶葉『出て行く前に渡しておいただろ?」
ちひろ「わかってるって」シュル
ピシューン ガシ
ちひろ「しっかり突き刺さってるね」ギュギュ
ちひろ「これから壁を登るから」
ちひろ「……」ヨジヨジ
ちひろ(なんかスパイアクションみたいで楽しくなってきちゃった!)
ちひろ「よし、上れたよ」
晶葉『わかった。それじゃ、少しだけ待っいてくれ』
ちひろ「?」
ドガーン!
ウーンウーンウーン!
ちひろ(正面玄関のほうで爆発!?)
男A「正面玄関のほうだ! 急げ!」
ダッダッダッダ
ちひろ(ここからだと爆風と砂塵でなにが起こったのかよくわからない……)
ちひろ(やっと、砂塵が収まった……)
ちひろ(ん? あれって……)
きらり「……」ポキポキ
木場「きらり君。随分派手に城門を吹き飛ばしたな」
ちひろ「げ! きらりちゃん!?」
晶葉『あぁ、スケットに来てもらった』
ちひろ「き、聞いてないよ!」
晶葉『ちひろ一人では不安だったからな。やつらには囮になってもらう』
晶葉『なーに。心配はないあいつらにもスーツは配ってある』
晶葉『死ぬなんてことはないだろう』
ちひろ「あ、危なくない?」
晶葉『大丈夫だ。あの二人の戦闘力も並外れている』
ちひろ「……そうなんだ」
ちひろ「後、一つ聞いていい?」
晶葉『なんでも聞いてくれていいぞ』
ちひろ「なんであの二人のは黒いスーツに黒いハット。黒いグローブなのに私はレオタードなの?」
晶葉『……』
晶葉『匠の遊び心だ』
男A「見つけたぞ! やれ!」
木場「どうするきらり君。右は私、左は君でいいかな?」
きらり「……」コク
木場「素手であの大きな城門を破壊したときからだが、気合が入っているな」
木場「それじゃ、任せたぞ」
晶葉『……ちひろ。早く行くぞ』
ちひろ「……はい」
タッタッタ
晶葉『警備隊はさっきの騒ぎで全員正面玄関にではからっている』
晶葉『いっきにモバPのいる部屋までいくぞ!』
ちひろ「うん!」
――
モバP「お前……なに言ってるんだよ」
仮面の男「わからないか? 仕方ない。仮面を取ってやろう」ス
モバP「……! な、なんでだよ……」
ガチャン ドン
ちひろ「モバPさん大丈夫……ですか?」
ちひろ「あれ? え?」
ちひろ「な、なんで……モバPさんが二人居るんですか?」
仮面の男「ちひろさんか……」
仮面の男「ジラーチのことを教えてやらないと話にならないだろう」
ちひろ「ジラーチちゃんについて?」
仮面の男「ジラーチは――」
ちひろ「願い事を叶えてくれる!?」
仮面の男「あぁそうだ。
モバP「……」
仮面の男「なぜ、俺がここに存在しているのか説明してやる」
仮面の男「まず、そこにいるモバPと俺は同一人物だ」
仮面の男「そっくりさんとかそういうのではない」
モバP「じゃあ、なんだって言うんだよ」
仮面の男「俺は、ここの世界以外に存在していたモバPだ」
モバP「はぁ? どういう意味だ」
仮面の男「世界っていうのはいくつも枝分かれしているんだ」
仮面の男「一つの選択、分岐で何百兆にも世界は樹形図のように分かれていく」
仮面の男「例えば、モバPがプロデューサーにならなかった世界線。ちひろさんが事務員にならなかった世界線。っていうのがこの時間と平行して存在する」
仮面の男「そして、俺はここの世界線とは別の世界線にいるモバPだ」
ちひろ「?」
仮面の男「なに。理解してもらおうとは思っていない」
モバP「わかった。その話が本当だとしよう」
モバP「だったら、お前はどうやって俺のいる世界にやってきたんだ?」
仮面の男「ジラーチの力を使ってだ」
モバP「はぁ!? だったらわざわざここの世界に来てまでジラーチにお願いすることはないだろ……」
仮面の男「確かにそうだ……しかし、俺のいた世界線では俺の願い事が叶えられなかったんだ」
モバP「ギャルのパンティ……」
仮面「俺はジラーチと会ったとき真っ先にそのことをお願いした」
仮面の男「しかし、最悪の結果で俺の願いは叶えられることになった……」
モバP「は?」
仮面の男「俺の世界線ではな……若いギャルが死滅した世界になっているんだよ」
仮面の男「ギャルというのは若い娘を指す言葉だが……」
仮面の男「俺の言ってるのはケバくて髪を盛っているような女子っていうのは言わなくてもわかるよな?」
モバP「……」コク
仮面の男「俺の世界では若い子の間には大和撫子系女子が流行ってしまってな」
仮面の男「日本に若いギャルというものがいなくなってしまったんだよ……」
仮面の男「日本は清楚系に溢れ、ギャルっぽい格好をする子は若い娘の中には一人もいなくなった……」
モバP「ちょっと待てよ? 最悪な結果であれ、お前の願い事は叶えられたんだろ?」
モバP「ギャルの死滅した世界なら願い事は叶えられないはずだ」
仮面の男「話を聞け。『若い子』のギャルが死滅したんだよ」
モバP「ってことは……」
仮面の男「そうだ。俺がお願いして出てきたパンツは」
仮面の男「40歳のババァの下着だったんだよ」
モバP「」
仮面の男「錯乱した俺は清楚系しかいないアイドル事務所をやめて家に閉じこもってしまった」
モバP(たぶん、俺なら同じことになっているはずだ)
仮面の男「しかし、働かなければお金は手に入らない」
仮面の男「だから、ジラーチに一千億俺にくれとお願いしたんだ」
ちひろ「一千億!」
モバP「ちひろさん。黙ってて」
仮面の男「だが、お金はいくらあっても俺の心は満たされなかったんだ」
仮面の男「すると、俺は次にこんなお願いをした」
仮面の男「可愛いギャルのいる世界に俺を連れていってくれと」
モバP「そして、お前はここに来た……というわけか」
仮面の男「お金を持ち込みつつな」
モバP「だったらその大金でギャルからパンツの一枚くらいもらえばいいじゃないか」
仮面の男「それじゃあだめなんだ」
モバP「?」
仮面の男「俺がほしいのは美少女ギャルのパンティ! そこらにいるギャルには興味ない」
モバP「うわぁ……」
仮面の男「具体的には、年齢17歳で身長162cm体重43の埼玉生まれのギャルだ」
モバP「随分とピンポイントだな……」
モバP「ん? 待てよ。そのプロフィールって……」
ガチャ ドン!
美嘉「プロデューサー! 大丈夫!?」
ちひろ「美嘉ちゃん!?」
モバP「美嘉! お前……どうしてここに……」
仮面の男「!」
美嘉「なにってプロデューサーが心配で……あれ? ふ、二人いる?」
仮面の男「すいません! お名前は?」
美嘉「あれ? ん? な、なに言ってるのプロデューサー?」
仮面の男「お名前は!」
美嘉「じょ、城ヶ崎美嘉だけど……」
仮面の男「年齢は!」
美嘉「1、17」
仮面の男「身長は!?」
美嘉「162……」
仮面の男「体重は?」
美嘉「43だよ?」
仮面の男「最後に、出身地は?」
美嘉「埼玉だけど……」
美嘉「なに言ってるのプロデューサー?」
美嘉「プロフィールくらい覚えてるでしょ?」
美嘉「しかもなんで二人――」
仮面の男「……」ポタポタ
美嘉「ちょっと! なんで泣いてるの!?」
仮面の男「……」ドゲザ
美嘉「え?」
仮面の男「パンツを……ください」
美嘉「」
美嘉「な、なに言ってるのプロデューサー! この前あげたじゃん!」
ちひろ「……どういうことですか?」
モバP「……ちひろさん。目が怖い」
仮面の男「ど、どうか。俺にパンツをお恵みください」
美嘉「そ、そんなこと言われたって今手元にないよ……」
仮面の男「今穿いているので構いません! いや、むしろ穿いているほうがいいです!」
美嘉「は、はぁ!?」シュボン
モバP(我ながらここまで変態だったんだな。俺って)
モバP(でも悔しい。痛いほどあいつの気持ちがわかる)
モバP(まぁ、俺の場合、アイドルのは嫌だけど)
モバP「美嘉。俺からもお願いだ。パンツをそいつにあげてくれ」
美嘉「そっちにいるプロデューサーまで!」
美嘉「……」
美嘉「も、もぉ……わ、わかったよ……」
仮面の男「ほ、本当ですか!?」
ちひろ(モバPさん二人に言われたら断れないよね……)
美嘉「ま、待ってて今脱ぐから……」
美嘉「///」
ヌギヌギ
ちひろ(モバPさんの見ている目の前で脱ぐの!?)
仮面の男(この背徳感は! たまらない!)
モバP(み、見ないようにしよう……)
美嘉「はい……これ」ヒョイ
仮面の男「ありがたや……」
仮面の男「では早速」
仮面の男「」クンカクンカ
美嘉「」
モバP「」
ちひろ「」
モバP「お、お前! なにやってるんだよ!」
美嘉「プロデューサーがし、下着の匂いを」ポカーン
仮面の男「我が生涯に一片の悔いなし」
モバP「お、おい!」
ちひろ「……気絶してます」
ジラーチ『ん……?』
モバP「じ、ジラーチ!」タッタ
ガシャリ
モバP「く! 鎖が!」
パリン
ちひろ「これで動けるようになりましたよ」
モバP「ちひろさん……いまどうやって」
ちひろ「ささ。ジラーチちゃんの元へ」
モバP「……わかった」タッタッタ
モバP「大丈夫か? どこか具合の悪いところとかないか?」
ジラーチ『もばP-?』
ジラーチ『……大丈夫だよー』
モバP(心なしか少し元気がないな……)
モバP「起きた直前でわるいんだけどよ。俺の願いを叶えてくれるか?」
ジラーチ『うん……いいよー』
モバP「あそこにいる俺そっくりの男を元の世界に戻してやってくれ」
ジラーチ『わかったぁ……』
ジラーチ「……ふ!」キラン
仮面の男「……」ピクピク
シュン
訂正
モバP「起きた直後でわるいんだけどよ。俺の願いを叶えてくれるか?」
モバP「……」
モバP「これで一件落着……か?」
ちひろ「わ、私たち一体なにをしにここに来たんでしたっけ」
モバP「……忘れた」
ちひろ「ですよねー」
黒服の男A「消えたか」
黒服の男B「ったく。茶番に付き合わせやがって」
ちひろ(あ……いたんだ)
黒服の男A「確かあいつが残した金は全額俺らがもらっていいことになってたよな?」
黒服の男B「早速、回収しに行くぞ」
ちひろ「待ってください」
黒服の男A「あぁん?」
ちひろ「そのお金私がもらってあげます」ニッコリ
黒服の男B「ふざけん――」
バギボギ
黒服の男B「……」シーン
黒服の男A「ひ、ヒィ!」
ちひろ「お金のありか……教えてくれますよね?」
モバP(ちひろさんは相変わらずだな……)
美嘉「プロデューサーが……」プシュー
モバP(美嘉は壊れてるし)
モバP「なぁ……ジラーチ。外に出ないか?」
ジラーチ『うん……』
モバP「……」
モバP「俺の腕の中に来い」
ジラーチ『……』ヒュー
モバP(本当にもうお終い……なんだよな)
――
モバP「さすが群馬。星空が綺麗だな」
ジラーチ『きれい! きれい!』キャッキャッキャ
モバP「お前は本当に無邪気だな……」クス
モバP「なぁ、最初会ったとき覚えてるか?」
ジラーチ『うん』
モバP「最初にしたお願いは本当に馬鹿なお願いだった」
ジラーチ『ぎゃるのぱんてぃぎゃるのぱんてぃ!』
モバP「……今はその言葉さらに傷つくから勘弁してくれ」
ジラーチ『そっかぁ……』
モバP「あれから俺らの一週間が始まったんだよな」
モバP「長いようで短い一週間だったよ……」
モバP「莉嘉に衝撃の事実を聞かされて窓から飛び降りたこともあったな」
モバP「次はなんだっけ?」
モバP「あぁそうだ。新田ちゃんと家族ごっこもしたな」
モバP「そして、友紀の始球式や夜の飲み会」
モバP「年少組みとの交流。あとは……もうたくさんあり過ぎておぼえてねーや」
ジラーチ『たのしかったよ……?』
ジラーチ『ぼく、とっても、とってもたのしかった!』
モバP「そうか…良かったなぁ」ナデナデ
モバP「そうだ。幸子のやつな……」
モバP「まだ謝ってなかったな」
モバP「ごめん!」ペコリ
ジラーチ『ぼくもわるかったよぉ……』
モバP「あのとき本当に二人とも優劣つけられないくらい可愛かったんだ」
モバP「ただ、仕事で幸子が言うこと聞かなくなるからあそこはああいっただけで」
モバP「ほんと……ごめん」
モバP「俺、お前の気持ち全然考えないで怒鳴って……」
モバP「ごめん……ごめん」
ジラーチ『あやまらないでー……』
ジラーチ『なかなおりしよー?』
モバP「あぁ。そうだな」
モバP「次はもっと気をつけるから」
モバP「だから、仲直りだ!」
ジラーチ『うん! ぼくもつぎはわがままいわないよ!」
モバP「……」ガシ
ジラーチ『……くるしいよぉ』
モバP「ほんのちょっとだけでいいから……」
モバP「このままでいさせてくれよ」
モバP「……ありがとう。もう大丈夫だ」パ
ジラーチ『うん……』
モバP「もう寝るのか?」
ジラーチ『うん。ぼく、とってもねむいんだー……』
ジラーチ『さいごにうたをきかせてよ。ぼくがおしえたあのうた』
モバP「あぁ。わかった」
モバP「~♪」
小さきもの
http://www.youtube.com/watch?v=0KJvNW52m_Y
――
モバP(俺自身それは構わないけど、もし事務所内で仲良くなったやつがいれば別れが辛くなるだろうし)
――
モバP(なに言ってるんだよ俺! 俺が一番……別れが辛くなってるじゃねーかよ!)
――
モバP「次はもっと気をつけるから」
モバP「だから、仲直りだ!」
ジラーチ『うん! ぼくもつぎはわがままいわないよ!」
――
モバP(つぎってなんだよ! もうつぎなんてねーじゃねーかよ!)
ジラーチ『ありがとう……じゃあ、もうねむるね』
モバP「ま、待ってくれ! まだ伝えてないことがたくさんあるんだよ!」
モバP「お前との一週間楽しかった! そりゃもうびっくりするくらい!」
モバP「だから、もっと一緒に遊ぼう! ほら、海とかさ!」
モバP「遊園地とか、お前見たことないだろ! すげぇ楽しいぞきっと!」
ジラーチ『うん。またこんどね』
モバP「こんどってなんだよ! いつのことだよ!」
モバP「……」
モバP「……子供みたいなこといって悪かった」
ジラーチ『みんなにたのしかったってつたえておいてね』
モバP「あぁ。わかった」
ジラーチ『ありがとう! ほんとうにぼく、たのしかったよ!」
ジラーチ『またいつかあおうね!』
モバP「いつか、絶対会おうな」
ジラーチ『ばいばい!』
モバP「ばい……ばい」グスン
モバP「ば……い」
モバP「ば……」
モバP「……」
三十分後
モバP「……」グス
モバP「事務所に戻るか」
モバP「今日の仕事まだ終ってなかったからな」
――
ガチャ ドン
社長「やぁ。お帰り」
モバP「社長? どうしてここに」
社長「なに言ってるんだい? 全部知ってるんだろ?」
モバP「……」
社長「そう。あの石をちひろ君に渡したのは私だ」
モバP「やっぱりそうだったんですか。あの犯人が社長じゃなかったら、そうだと思ってましたよ」
社長「いやねー? 一族の家宝っていうのかな? 一千年前の物なんだけどね」
社長「嘘か本当かはわからないけど異世界から来た物なんだってさ」
モバP「どうしてそんなものをちひろさんに渡したんですか」
社長「先祖様の遺言でね。来る時期が来たらジラーチのパートナーに相応しい人物に渡せって言われていたんだ」
モバP「それがちひろさん?」
社長「いやいや。二人で悩んだんだけどね? 結局ジラーチは君のことを選んだようだよ」
モバP「はい?」
社長「遺言に渡す瞬間素顔がばれちゃだめってのもあったんだよね」
社長「で、君ならまずばれるから。だから、ちひろさんを最初は選んだんだよ」
社長「でも、ジラーチはそれを良しとしなかった」
モバP「ちひろさんが俺にジラーチを渡したのはただの偶然だったわけではなかったと?」
社長「そう。あれはジラーチの意思によるものだったんだ」
モバP「……パートナーっていうのはどうやって決めるものなんですか」
社長「最初は私が決めて……その後ジラーチの意志で決定されるものなんだ」
モバP「じゃあ、さっきのは冗談じゃなく本当ですか?」
社長「あぁ。そうだ」
モバP「でもいいんですか? 俺にそのことをばらしちゃって」
社長「なーに。遺言には渡すときは素顔をばれちゃいけないだけであって」
社長「その後はなにも言われてなかったからね」
モバP「そうですか……」
社長「それじゃ、私はこれで失礼するよ」
社長「あ、そうそう」
社長「君の引き出しの中、開けてみなよ」
社長「サプライズが待ってるはずだから」
社長「……」スタスタ
社長「君はまだ若い。別れが辛いのは必然だよ」
ガチャ ドン
モバP「?」
モバP(引き出しの中?)
ガラガラガラ
モバP「こ、これって……」
『だいすぎだよ! かおるにかきがた。おしえもらっだ! これらもがんがってね! じらーぢ』
モバP(文字の横にあるのは俺とジラーチの似顔絵か?)
モバP「……下手くそな文字……てんてんいらないところにつけちゃってるし」
モバP「絵も……なんだよこれ。ほとんど誰だかわかんねーじゃん」
モバP「それに、なんか滲んでるし……」ウルウル
モバP「あーあ。こんな下手くそな贈り物いらねーな。捨てておくか」
モバP「……」
モバP「くそ……くそ!」ポタポタ
モバP「なんでこんなに悲しいんだよ!」
モバP「なんで……こ、ん……なに」グス
モバP「えっぐ……グズ……」
外
社長「……なんだか可哀想なことしちゃったねー」
社長「まぁ、彼も一皮向けて仕事にせいをだすだろう」
社長「強くなれよ。プロデューサー」
参考
アイドルマスターシンデレラガールズ
劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 七夜の願い星 ジラーチ
――
三ヵ月後
モバP「うわ! ね、寝坊!」
バタバタ
モバP「やっば寝癖直してる時間……ねーよ」
モバP「ご飯は向こうで取ればいいよな!」
モバP「よし! 準備OK! 家を出るか!」タッタッタ
モバP「おっとその前に……」
モバP(俺は自分の部屋に飾られた似顔絵が書かれた絵に向かって)
モバP「それじゃ、今日も一日頑張ってきます!」ピシ
end
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