ミカサ「なんで……」(556)

※キャラ崩壊注意

ミカサ「なんで……なんで……」

エレン「おい、帰ろうぜ?」

ミカサ「なんでマフラーなの?なんでギュッて抱きしめてくれないの?寒いの!」

エレン「は……?」

ミカサ「私は誘拐された」

ミカサ「私はとても傷ついている」

ミカサ「そしてとても寒い。凍えそうだ」

ミカサ「ので」

ミカサ「抱きしめて欲しい。いや、抱きしめろ」

エレン「……えっ、マフラーあげただろ」

ミカサ「それはとても美しい行為だ。だけど抱きしめてくれないのは残酷だ」

エレン「なにこいつ……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1370002989

ミカサ「私の心を奪ったのは大きい。エレンは家族になるべき」

エレン「だから一緒に暮らすんだろ?」

グリシャ「エレン、ミカサは両親を殺されてとても傷ついている。だからきっとぬくもりがほしいんだろう」

エレン「だからマフラーあげたじゃないか」

グリシャ「ハグは安心感をもたらす医学的なものがある。今は抱きしめてあげなさい」

エレン「あーもう……ほら!」

ギュッ

ミカサ「はわわ!……とてもあったかい」

グリシャ(微笑ましいな)

ミカサ「ずっと一緒……」

エレン「なんか言ったか?」

ミカサ「なんでもない」

エレン「ミカサが来てから異様に母さんが明るい」

カルラ「あら、もう洗い物をしてくれたの?さすがミカサねー」

ミカサ「任せてお義母さん、私は家事が大好き」

ミカサ「とてもテキパキと動くことができる」

ミカサ「ので」

ミカサ「お義母さんはそこでくつろいで見てると良い」

カルラ「ミカサ可愛いーあなたがエレンのお嫁さんになってくれたら良いわぁ」

ミカサ「既に妻です」

ミカサ(計画通り。私はなんでも出来る。エレンのお義母さんとお義父さんの好感度も支配できる)

エレン(ミカサがたまに恐い)

ミカサ「エレンどこに行くの?おままごとしよ?」

エレン「やだよ、だいたいお前のままごとリアル過ぎるんだよ」

ミカサ「普通だと思う」

エレン「普通のままごとで巨人が攻めて来て母さんが食われる間際に、エレンと結婚してあげてねミカサ!二人で末永く暮らすのよー!なんて設定にすんなよ!」

ミカサ「ごめんなさい。私は欲望が抑制できていなかった」

エレン「不吉にもほどがあんだろうが」

ミカサ「ああ……まただ」

エレン「……またかよ」

ミカサ「また頭痛がする……」

ミカサ「ので」

ミカサ「抱きしめてほしい」

エレン「お前さぁ……それ本当に頭痛か?」

ミカサ「うん。間違いない、ので早くして」

エレン「やめろよ!袖が伸びちゃうだろ!」

ミカサ「うー……」

エレン「ほら」

ミカサ「ほふっ!とても美しい行為だぁ///」

エレン(なんか段々とこいつの精神年齢が下がって行ってる気がする)

ミカサ(いい人生だ……お母さん、お父さん。ミカサは元気だよ)

すみません。一回中断します。なんとなく真面目なもの書いてたから遊びたくなりました。

基本ほのぼのです。また後で書きます。

投下します。

皆さんレスありがとうございます。

エレン「母さん、アルミンと遊んでくるから」

カルラ「あらミカサは一緒じゃないのね」

エレン「うん、なんか父さんと一緒に出かけた」

カルラ「そうなの?珍しいこともあるものね。あの子エレンにべったりなのに」

エレン「たまには解放してくれないと」

――――

グリシャ「いやー助かったよミカサ。最近は仕事で忙しくてカルラとの結婚記念日忘れるところだった」

ミカサ「気にしないで。私は家族が喜ぶ顔がみたいだけ」

グリシャ「しかし、よく知っていたね」

ミカサ「おばさんに聞いた。エレンに関することは大小問わず記憶済み」

アルミン「あれ?今日はミカサと一緒じゃないんだね」

エレン「アルミンも母さんもなんなんだよ……なにか?俺とミカサはセット品かなんかか……」

アルミン「そりゃまぁ……最初が最初だけにね」

エレン「お、おう……そういえばそうだな……」

――回想――

エレン「よう!アルミン、こいつミカサ。家に住むことになったからよろしくな」

アルミン「僕アルミン・アルレルト、エレンと同じ年だよ。よろしくね」

ミカサ「私はミカサ・アッカーマン。あっ、ミカサ・イェーガーと呼んでも問題ない。いや、呼ぶべき」

エレン「なに言てんだお前」

アルミン(変わった子なのかな)

エレン「アルミンはすげー勉強熱心で色々知ってんだぜ」

ミカサ「それは興味深い。私はエレンのことなら不眠不休で学べるけど」

エレン「しかもな!壁の外のことが書いた本とかも持ってんだぜ」

アルミン「ちょっとエレン!声が大きいよ!?」

エレン「あっ、わりぃ……つい興奮しちまった」

ミカサ「うん。わかるわかる。私も興奮する。誰のって?もう!」

アルミン(毎回後半部ボソッと凄いこと口にしてるんだけど)

アルミン(それ以前に、なんでずっと手を繋いでんのこの二人は)

アルミン「ところでさ、なんで二人は手を繋いでるの」

ミカサ「お目が高い」

エレン「ああ、なんかこいつよく頭痛がすんだよ。まぁ、色々あって家に来たから仕方ないんだろうけど」

アルミン「頭痛?」

エレン「おう、親父がいう分には精神的に不安定だろうから、出来るだけ優しくしてやれってさ」

アルミン「手を繋がないと頭痛がする奇病なの?」

ミカサ「繋いでいると精神的に落ち着くから頭痛が出ない。半分冗談だったけど」

アルミン「な、なるほど」

エレン「まぁ、こんなもんで頭痛出ないなら良いよ。ハグしなくて済むし」

アルミン「ごめん。どんどん頭痛関係ないよね?」

ミカサ「……」

エレン「えっ?そういうもんか?」

アルミン「多分……」

アルミン(こわっ!ミカサの目こわっ!ああ……知ってる僕は知ってる……おじいちゃんの本で学んだ。これは地雷を踏んだってやつだ)

ミカサ「いたたっ……まただ」

エレン「はぁ!?手繋いでるだろ」

ミカサ「アルミンの頭痛という言葉に反応した頭痛かもしれない」

アルミン(うわっ、嘘くさ)

エレン「しかたねぇな……」

ミカサ「ほっ///頭痛が楽になる」

アルミン(なんだこれ)

アルミン(ミカサ・アッカーマン。見た目は可愛い女の子。だが実際はあらゆる者の予想を駆逐しつくし、平然と驚きをプレゼントする存在(友達))

――――

エレン「いやーそんなこともあったな」

アルミン「ビックリしたよ」

エレン「まぁ、暑くなったりして手繋いでるのも邪魔くさくなったから、改善するよう努力させて今は無いけどな」

アルミン「エレンも苦労したんだね」

――夕方――

エレン「ただいまー」

ミカサ「おかえりーアルミンと遊んでたの?」

エレン「おう」

グリシャ「おかえりエレン。お前を待ってたんだよ」

エレン「俺を?あれ、今日はなんか夕飯が豪華だね」

カルラ「お父さんが材料を買って来てくれたのよ」

グリシャ「私とカルラの結婚記念の祝いだ。本当は明後日なんだが、明日から内地に診療が入ってな。」

エレン「おぉ、二人ともおめでとう」

グリシャ「ミカサから言われるまでうっかり忘れていたんだがな」

エレン「ミカサやるな!」

ミカサ「エレンに褒められた///嬉しい」

カルラ「さぁ、皆で食べましょう」

――夜・寝室――

エレン「今日はミカサのお手柄だったな。二人とも笑ってたし」

ミカサ「エレンも楽しそうに見えた」

エレン「お前もな」

ミカサ「自分の表情はわからないから、エレンからそう見えたら良かった」

ミカサ「明日は家の手伝いをしてから私もアルミンと遊びたい」

エレン「そうだな。アルミンもミカサがいないの不思議に思ってたから三人で遊ぶか」

ミカサ「うん。そうしよう」

エレン「ところで、何で俺のベッドに普通に入ってんの」

ミカサ「今日は良いことをした。だからご褒美がほしい」

エレン「普通なんか物とかじゃないのかよ」

ミカサ「エレンがいれば良い」

エレン「変わってんなぁ……まぁいいや。寝るぞ」

ミカサ「うん。おやすみ」

ミカサ(今日は良い夢が見れそうだ)

区切れたのでここまで。また今日夕方くらいに投下します。

読んだくれた方ありがとうございます。

区切れたので予定より早めですが投下します。

レス頂けて嬉しいです。

――翌日――

エレン「ミカサー薪拾い行こうぜー」

ミカサ「うん」

エレン「母さん行ってくる」

カルラ「二人とも無理しないようにね」

――――

エレン「薪拾いも良い訓練になるからな」

ミカサ「エレンはやっぱり壁の外に出たいの?」

エレン「当たり前だろ!こんな壁の中で家畜みたいに生きて死ぬのなんか嫌だ」

ミカサ「私はエレンに危ない目に遭ってほしくないだけ」

エレン「またそれかよ」

ミカサ「大事な夫だから」

エレン「ん?」

ミカサ「ん?」

エレン「いや聞き間違いか」

ミカサ「おかしなエレン」

ミカサ(エレンは意志が堅い。そういうとこも好きだけどただ従順に従うだけでは妻として飽きられる)

ミカサ(そして私の脳をフル活用した結果、エレンはおばさんが大好きだ。ほどほどに厳しく、時々優しい。そうなりつつ一緒にいて支える立場が最善)

ミカサ(おじさんに医術を学び、おばさんにエレン好みの母性を学び、自他共に認められるようにする)

エレン「なぁ、ミカサたまに顔が恐いんだがなに考えてんだ?」

ミカサ「私は少しだけ怒ってる。エレンが命を大事にしないから」

エレン「お前は俺の母ちゃんかよ……」

ミカサ(実に順調である)

ミカサ「はっ!待ってエレン!アルミンの泣き声がする」

エレン「なに!どこからだよ、こんな大通りで人も沢山なのに」

ミカサ「エレンに褒められそうなことは、数キロ先の針を落とした音でも聞き逃さないように聴覚を支配している」


エレン「お、おう……で、どこだよ」

ミカサ「こっち!」

――――

アルミン「なんで君達はすぐに殴るんだよ!」

悪ガキA「うっせぇ異端者が」

悪ガキB「ちょっと頭良いからって調子にのんなよ」

エレン「うわ!本当だった。どんだけ大通りから離れてんだよ……じゃねぇや、お前らアルミンになにしてんだ!」

悪ガキC「また来た!はっ、ミカサもいる!」

悪ガキABC「逃げろーー!!」

エレン「へへっ!俺にビビりやがった」

アルミン「いや、ミカサだろ……そりゃ悪ガキAがエレンを殴ったの見て立ったまま地面ぶち抜けばトラウマになるよ」

エレン「そういえば、最初の日も素足で板床ぶち抜いたよな」

アルミン(日常的かよ)

ミカサ「あの時は私を救いに来てくれたエレンがピンチだったから。普段はか弱い女の子」

エレン「まぁ確かに」

アルミン(か弱い女の子が普通に地面ぶち抜く世界なら巨人も駆逐し終わってんだろ)

エレン「じゃあなアルミン。薪拾い終わったら遊び行くから」

アルミン「うん。わかった。さっきはありがとう」

エレン「いいって」

――――

ミカサ「……」

エレン「なんだよ」

ミカサ「……言わずともわかっても良いと思う」

エレン「……だいたいわかってるけど大通りだろうが」

ミカサ(公的に示せるチャンスを。照れ屋さんなエレン)

――薪のとこ――

エレン「ほら……」

ギュッ

ミカサ「ほふぅ……これは格別」

エレン(こいつこのまま成長しないよな……?)

――――

エレン「アルミンー薪拾い終わったから来たぞー」

「……」

ミカサ「返事がない。留守だろうか」

エレン「まじかよ、なんか用事でも出来たのか」

エレン「仕方ないな帰るか」

ミカサ「わかった」

アルミン「あっ!ごめんごめん。おじいちゃんの本で知らないやつを見つけてさ」

エレン「おっ居たのか。どんな本?」

アルミン「なんか昔の女の人が載ってる本?」

エレン「これは!うぎゃああああああ!!目が!目があああ」

アルミン「ミカサなにを!?」

ミカサ「捨てて」

アルミン「えっ!おじいちゃんのだし……」

ミカサ「捨てなさい」

アルミン「でも……それより目潰しされてエレンが苦しんでるけど」

ミカサ「妻としての制裁。エレンは行動を間違えた」

エレン「うぐぅ……いてぇ……」

ミカサ「貸して」

アルミン「あっ!」

ミカサ「これはまだアルミンにもエレンにも早い、のぉぉぉぉぉぉぉぉでぇぇぇぇぇぇ!!」

アルミン「ああっ!!本が川に!」

ミカサ「環境には悪い。私がしたことは悪いことかもしれない。けれど純真無垢なエレンを守る為だから許して神様」

アルミン「ああ……」

エレン「あっ、治ってきた」

――――

エレン「くそぉ……まじでなんだったんだよ。目が治ったらアルミンは泣いて今日はもう遊べないとか言うし」

ミカサ「そういう気分は誰にでもある。友達なら察してあげることも大切」

エレン「つーかあの本はなんだったんだよ」

ミカサ「エレン!!」

エレン「はい!?」

ミカサ「忘れなさい。じゃないとおばさんにエレンがあの本を見た(未遂)ことをおばさんに言う」

エレン「えっ!」

ミカサ「きっと恐ろしい……例えば真っ赤になるまでおしりぺんぺんをされてしまう……」

エレン「やだよ!ミカサ忘れるから母さんに言わないでくれ」

ミカサ「それでいい」

――数日後――

エレン「最近ミカサがベタベタしてこないんだよ」

アルミン「良かったじゃないか。もしかして寂しいの?」

エレン「いや、そうじゃないけど。母さんをずっと観察してたり、親父に医学的なこととか色々教わったりしてるみたいなんだよな」

アルミン「ミカサは医者になりたいの?」

エレン「よくわからん。まぁ、俺達の壁外への夢にとやかく言われないから良いさ」

アルミン「僕から言っててなんだけど本当に壁の外に行く気?」

エレン「当たり前だろ!怖じ気づいたのかよ」

アルミン「それも少しはあるけど……」

アルミン(エレンに有害な本ってだけであれなら……壁外にそそのかしたなんて思われたら……)

ミカサ「おじさん、次は薬のことを教えて」

グリシャ「ミカサは本当に勉強熱心だな。人体の構造や応急措置の仕方は覚えてしまったし、将来はお医者さんになりたいのかい?」

ミカサ「ううん。私の計算上、エレンはほぼ100%壁外に行きたいと言う。つまり訓練兵、そして調査兵団に入りたいと言う」

グリシャ「そうなのかい?」

ミカサ「間違いない。だから後々役立つ知識を学ぶのは無駄にならない。まして名医のおじさんがいるから」

グリシャ「名医だなんて、ミカサは良い子だね」

ミカサ(着実に順調)

ミカサ(エレン、離れてる時間は寂しいけどあなたの為だから私は我慢する)

――845――

ミカサ「エレン起きて、起きないと……キ、キスを///」

エレン「ん……ミカサお前髪の毛伸びてないか?」

ミカサ「!?なにを言ってるのエレン!まさか他の女の子と間違え……いやありえない!」

ミカサ「それよりなんで泣いてるの?」

エレン「えっ、なんでだろなんか長い夢を見てたような」

ミカサ「私はいた!?隣にいた!?もしくは将来の夢で指輪はめていて、あなたー朝よー起きてー巨人来ちゃうわよーみたいな」

エレン「……お前あのままむしろ酷く成長したよな」

ミカサ「理由もなく泣くなんて……いやある。私がいる以上、日常的なストレスなどは考えられない。恐らくよほど悲しい夢を見たのだろう」

エレン「そうなのかな」

ミカサ「間違いない。きっと私と3日会えなかったような夢に違いない」

エレン「それくらいじゃ泣かねぇよ」

ミカサ「……私は泣くよ?」

エレン(いかん!ハグ病が出る!)

ハンネス「なに泣いてんだエレン?ミカサにでも泣かされたか」

エレン「ハンネスさん!」

エレン(ナイス!酒くせぇけどナイスタイミングだ!!)

エレン「また昼間っから酒かよ!巨人きたらどうすんだよ!親父が油断したら危ないってよ!駐屯兵団やめて壁工事団にしろよ!家畜みたいだ!!行くぞミカサ!」

ハンネス「」

ミカサ「うん。行こう」

エレン「まったく酔っ払いが」

エレン(ふぅ、一先ずハグ病は回避したな)

ミカサ「エレン、調査兵団はダメだよ?あと誤魔化されないからね」

エレン「お、お前――」

カンカンカン

エレン「おぉ!英雄の凱旋だ!!」

ミカサ(慌てるエレンが可愛い)

キース「なんの成果も得られませんでした……」

「おいおい、税(ry」

エレン「この!!」

「あいたっ!なにしやがんだクソガキ!!」

ミカサ「エレン!」

エレン「はい!」

ミカサ「まったく!人に暴力ふるっちゃダメでしょ!!」

エレン「やめろよミカサ!裏路地に引きずってきてハグしながら説教とか!」

ミカサ「調査兵団に入りたい気持ちは変わった!?」

エレン「変わってないけど放せよ!恥ずかしいだろ」

ミカサ「まったく」

ミカサ(予想の範囲内だから別に動揺してないけど)

エレン「ただいま」

カルラ「おかえりなさい遅かったのね」

ミカサ「エレンが調査兵団に入りたいって」

カルラ「エレン!なにを考えてるの!?」

グリシャ(おお……ミカサの予想が当たっている)

ミカサ(言った通りでしょ、おじさん)

グリシャ(したり顔のミカサが少し恐い……)

カルラ「ダメだからね!調査兵団なんて」

エレン「なんでだよ!」

カルラ「何人死んでると思ってるの!そんな危ないことは許しません」

グリシャ(おお、修羅場だ)

グリシャ「なんで壁の外に出たいんだ?」

エレン「それは(ry」

グリシャ「なるほど。わかった。戻ったら地下室の秘密を見せてやろう」

カルラ「ちょっとあなた!?」

グリシャ「人の探求心は抑えられるものじゃないよ。それにミカサも一緒なら大丈夫だ」

カルラ「あら、ミカサも一緒なの?なら大丈夫ね」

エレン「なんでだよ!」

カルラ「それは……ねぇ」

エレン「ちくしょぉぉぉ!!俺だって強いんだ!」

カルラ「あら、ミカサあの子をよろしくね」

ミカサ「もちろん!」

エレン「くそっ、ミカサだけ信用されすぎなんだよ。あっアルミンだ」

悪ガキB「悔しかったら殴ってみろよ」

アルミン「そんなの君達と一緒じゃないか!僕の言ってることを認めて言い返せないから殴るしかないんだろ」

悪ガキA「このやろう!!」

エレン「何してんだろこらぁぁぁ!!」

悪ガキC「エレンだ!ミカサはいないぞ!」

悪ガキABC「やっちまえ!」

――――

アルミン(どうしよう……エレンがボコボコにされてる)

アルミン「あ、あれは!!」

ミカサ「何をしているの」

ミカサ「エレンを捜しに来てみれば」

その日、アルミンと悪ガキ達は思い出した。ミカサ・アッカーマンという少女の恐怖を。これから起こる一方的な暴力を。

ミカサ「あなた達三人が、エレンを痛めつけることが当然だと思っているなら」

ミカサ「きっと理解してもらえるだろう」

ミカサ「三人の犠牲によって、私の怒りが発散されることを」

悪ガキABC「にげろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

ミカサ「私からどうやって逃げるの?」

悪ガキABC「ぎゃあああああ!!」

アルミン(これは夢だ夢なんだ)

アルミン(あっ、考えることを放棄しよう)

――――

エレン「いてて……俺どうして」

アルミン「あっ、起きたね。エレンは僕を助けてくれようとして悪ガキ達に気絶させられたんだ」

ミカサ「エレン大丈夫?一先ず応急措置は完璧にした」

エレン「おぉ……ありがとな」

ミカサ「お礼はハグで良いんだよ?」

エレン「はは……悪ガキ達は?」

アルミン「ボクハシラナイ、ナニモミテイナイ」

ミカサ「エレンは知る必要がない」

エレン「なんだよそれ……」

エレン「そういえば!なんで調査兵団に入りたいこと親に言ったんだよミカサ」

アルミン「えっ!」

ミカサ「家族に隠し事は良くない」

アルミン「それでなんて?」

エレン「……」

アルミン「やっぱり反対されたんだね」

エレン「ミカサと一緒なら良いって……」

アルミン「えっ!ああ、それなら……うん」

エレン「お前まで納得すんなよ!!」

ミカサ「ずっと一緒」

エレン「お前もぉぉ!!」

ドォォォォン

エレン「なんだ!地震!?」

アルミン「ま、まさか!」

エレン「おいアルミン!」

ミカサ(私の直感が警鐘を鳴らしている。何事にも対処できる状態にしておくべき)

アルミン「そんな……あの壁は50mだぞ……」

エレン「巨人……だ。動くぞ!」

ミカサ(あの動作、いけない。来る)

ドゴォォォ!!

「か、壁が破壊された!!」

「巨人が入ってくるぞ!逃げろぉぉ!!」

アルミン「ああ!!二人とも逃げ、あれミカサは?」

エレン「破片が家のほうに!母さん!!」

エレン「母さん!あれ、ミカサ?」

ミカサ「エレン安心して。おばさんは助けた」

エレン「ミカサ!すげぇな!!」

ミカサ「家は大破したけど」

カルラ「そんなこと良いわ。早く逃げましょう」

エレン「うん!」

――――

ハンネス「あれ!誰もいねぇ!?巨人きたぁぁぁ!!」

――船着き場――

カルラ「本当ミカサのおかげで命拾いしたわ」

エレン「ミカサ本当にありがとう!」

ギュッ

ミカサ「はわっ!エレン、人が一杯だよ」

エレン「今は良いんだよ」

カルラ(微笑ましい)

この日、ウォールマリアは陥落した。

エレン「駆逐してやる……一匹、残らず!!」

ミカサ「うん!!」

ここまで。また近々投下します。

投下します。

――ウォール・ローゼ内――

エレン「……」

ミカサ「おーきて起きてーエレンー」

カルラ「あら?まだ寝てたの?それよりあの人はいったいどこに居るのかしら」

ミカサ「起きて!」

エレン「げふっ!飛び乗んな!」

ミカサ「この状況でよく寝れるね、とエレンの図太さに感心してしまう」

エレン「いや、なんか夢で親父に会ってたような」

カルラ「あの人に?」

エレン「うん。たぶん」

ミカサ「そんな気配はしなかったけど。いや、もしかしておじさんに事情があって私達を眠らせてエレンに会った可能性もある」

ミカサ「薬には記憶障害を故意に起こさせるものもあるから」

エレン「そ、そうか」

ミカサ「それより、食料貰ってきたよ」

エレン「お前いつの間に」

ミカサ「言ったよはず、エレンに褒められそうなことは抜かりない」

カルラ「沢山のパンにチーズまで?おかしいわね……並んでる人を見たけどパン一つくらいだったような」

ミカサ「それは、私の戦利品」

エレン「お前何かと戦ったのかよ。まさか……他人から強奪してきたとかじゃないだろうな」

ミカサ「まさか、そんなこと私がするわけない。これは少し前に……」

――少し前――

ミカサ(列には並んで見たけど退屈だなぁ)

キース(ウォール・マリアが陥落し避難民がいると聞いたが……グリシャの家族は無事だろうか)

ミカサ(あっ、少しだけ進んだ)

オッサン「なぁ、そこのお嬢ちゃん。ウォール・マリアから避難してきた子かい?」

ミカサ「私?そうだよ」

オッサン「食べ物に困ってるなら、おじさんが沢山食べさせてあげようか?お父さんとお母さんは?」

ミカサ「いない(この列にならんでない的な)」

オッサン「じゃあ、こっちにおいで」

ミカサ(見るからに怪しい。けど、ごはん沢山持ってけばエレンに喜ばれる)

ミカサ「うん」

キース(む?あの男と少女まるで似とらんな。まさか地下街で人身売買をしている輩では……少し後をつけるか)

――――

オッサン「さぁ、入って入って」

ミカサ(多数の気配は無い。けど油断は出来ない)

ミカサ「食べ物が一杯ある」

オッサン「食べさせてあげるよ!けど代金は身体で払ってもらうけどね」

ミカサ「ふんっ!!」

オッサン「ごふぁ!」

オッサン「」

ミカサ「ありがとう。一杯貰って行くね」

――――

キース「無表情のまま、腹部に打撃一発で大人を気絶させただと……これが逸材というやつか……」

ミカサ「ということがありました」

カルラ「」

エレン「お前……何を目指してるんだ……?」

ミカサ「安心して食べて」

エレン「……」

アルミン「エレンーミカサーこれどうぞって……あれ!?こんなにパンをどうしたの!」

エレン「ミカサがやってくれました」

アルミン「ああ、ミカサか」

ミカサ「はい。アルミンにもあげる」

アルミン「ありがとう」

キース「いた!そこの少女」

ミカサ「まさかさっきの変態の仲間?」

キース「違う。断じて違うぞ」

ミカサ「知らない人には変わり無い」

カルラ「あら?どこかで……」

キース「貴女はまさか、グリシャの?」

カルラ「ああ、やっぱり。どこかで見たことのあるお顔だと」

キース「皆さんウォール・マリアから避難してこられたのですな。して、グリシャの奴は?」

カルラ「それがどこにも……」

キース「なるほど、しかし奴なら無事でしょう」

カルラ「そうだと良いですが……ところでミカサになにか御用が?」

キース「ミカサというのか。いくつだね?」

ミカサ「10歳」

キース「まだ10歳だと……末恐ろしい。今でも大概だが」

エレン「おっさんミカサを馬鹿にしてんのかよ!?」

キース「そっちの子は」

カルラ「息子のエレンです」

キース「なるほど、なかなか強い目をしている。君達は12歳になったら訓練兵を志願すると良い」

エレン「えっ!俺ら才能あんのか!?」

キース「良い素質止まりだな。本人次第では輝き、または腐る」

エレン「俺、絶対調査兵団に入るんだ!」

ミカサ「私もエレンと同じ」

キース「ほう、勇ましいことだ。しかし、現実はとても厳しく残酷だ」

エレン「そんなの根性で乗り越えてやる!」

ミカサ「エレンがいれば私は大丈夫」

キース「良いことだ。励みなさい。そしてそっちの少年」

アルミン「はい!?僕ですか?」

キース「二人に比べると素質自体は見劣りするが、とても利発そうな顔をしている」

アルミン「そんな……僕なんか」

キース「兵士は腕っぷしだけで大成するものではない。それは頭に入れときなさい」

アルミン「はい!」

キース「長くなったが、これから君達子供にも辛い時期が訪れる。負けないことだ」

エレン「はい!俺は絶対にウォール・マリアに帰るんだ!」

ミカサ「エレンが望むなら」

アルミン「はは……二人は凄いな」

キース「カルラさん、グリシャの奴はこちらでも捜そう。これが私の住所だ。困ったことがあれば頼ってくれ」

カルラ「ありがとうございます。あの人のこともよろしくお願いします」

キース「では、失礼する」

――――

エレン「あのおっちゃん顔は恐いけど良い奴っぽかったな」

カルラ「こら、そんなこと言ったらダメでしょう」

――それから数日後――

エレン「開拓地ってなんだよ」

ミカサ「荒れ地を切り開き田んぼや畑にした場所」

エレン「そういう意味じゃない!」

カルラ「エレン、これは仕方ないことなの。私達が、避難民だからといって特別扱いはされない。皆が働かなければ食料はずっと足りないままなのよ」

エレン「……そんなのわかってるよ。けど、なんで母さんとは別の場所なのさ」

カルラ「振り分けは私達個人の意見で決められないの。ミカサとアルミンが一緒なら寂しくないでしょ?」

エレン「まぁ、一人よりは良いけど」

――――

カルラ「アルミン、ミカサ。エレンをお願いね」

エレン「うっさいなーさっさと行けよ。恥ずかしいだろ」

アルミン「エレンってば……」

ミカサ「強がる時は寂しさの裏返し」

エレン「ミカサ!?」

カルラ「ふふっ、元気で怪我に気をつけてね」

エレン「ああ……、またな」

ミカサ「おばさんも気をつけて」

アルミン「僕らも頑張るからおばさんも元気で」

――――

エレン「俺らも行くか」

ミカサ「うん」

アルミン「そうだね」

――開拓地――

エレン「想像以上の荒地だな」

アルミン「仕方ないよ。こんな場所でも開拓しなきゃ食料が足りないんだ」

ミカサ「初日は草むしりだって」

――――

エレン「手がいってぇ……」

アルミン「これは地味にキツいね」

ミカサ「まだ初日、そしていつまで続くかはわからない」

エレン「それもこれも、巨人共のせいだ。あいつらさえ居なければ……絶対に駆逐してやる!」

ミカサ「今は草を駆逐して」

エレン「わかってるよ!こんなもん余裕だ!」

アルミン「エレン、無茶は駄目だよ!?」

ミカサ(エレンが可愛い)

――1ヶ月後――

エレン「だー!やっと今日の作業も終りだ」

アルミン「最初から比べるとだいぶ慣れてきたね。手はマメだらけだけど」

エレン「こんだけ動いてんのに全然筋肉付かないな」

アルミン「運動量と食事の量が比例してないからね……そういえばミカサは?」

エレン「あいつなら風呂だよ。ちゃんとした風呂の開放なんか不定期だから楽しみにしてたな」

アルミン「ミカサもなんだかんだで女の子なんだね」

――――

ミカサ「戻った」

アルミン「おかえり、エレンなら疲れて先に寝ちゃったよ」

ミカサ「そう、なら私も寝よう」

アルミン「当たり前のようにエレンに引っ付くんだね……」

ミカサ「今日は寒い。アルミンもくっついて寝ればいい」

アルミン「僕も!?」

ミカサ「?寒いと風邪をひく。そうなったら大変。だからくっついたら良い」

アルミン「えっと、じゃあそうする……」

ミカサ「うん」

アルミン「確かにあったかいや」

ここまで、また近々投下します。

読んでもらえると嬉しいです。

レスありがとうございます。投下。

――3ヶ月後――

アルミン「ひぃぃぃぃ!!」

エレン「アルミンどうした!?」

アルミン「あ、あれ!」

エレン「なんだカエルかよ……ちょっとでかいけど、どこにでもいるだろ」

アルミン「苦手なんだよ……」

ミカサ「カエル、貴重な食料だ。逃がさない」

アルミン「ミカサ!?」

ミカサ「確保した。焼いて食べると美味しい」

エレン「そうなのか?じゃあ食おうぜ。でも火がないな」

ミカサ「心配ない。火打ち石がある」

エレン「なんで持ってんだよ……」

ミカサ「細かいことを気にしたら負け」

ミカサ「幸い、枯れ草は余る程一杯ある」カチッカチッ

エレン「おっ、もう着いた」

ミカサ「そして串状にした木を刺したカエルを立て置く」

エレン「もう少し火力が欲しいよな」

ミカサ「草は一杯ある」

アルミン(本当に焼いてますけど)

――――

ミカサ「焼けた」

エレン「見た目はまんまカエルだな」

ミカサ「仕方ない」

エレン「けど、でかいカエルだし3人で分けれるな」

アルミン「えっ!僕は要らないよ?」

ミカサ「遠慮しなくていい」

エレン「おー、お前綺麗に3等分したな」

ミカサ「できる子。はい、エレン」

エレン「サンキュー」

ミカサ「はい、アルミン」

アルミン「……」

ミカサ「どうしたの?冷えちゃう」

エレン「あっ、美味いな。肉っぽい」

ミカサ「アルミン」

アルミン(僕はまた逃げるのか、変わりたいんじゃなかったのか)

アルミン(たかがカエルだろ!しかも友達が焼いてくれたんだ!頼んでないけど)

アルミン「もらうよ!」ガブッ

アルミン「あっ、美味い」

ミカサ「食べず嫌いは人生の損」

エレン「アルミンの食わず嫌い1つ克服だな」

アルミン「うん、予想外だった。カエルって美味しいんだね」

ミカサ「食べられるカエルもいるけど、触れただけで神経が麻痺したり死ぬカエルもいるから注意」

アルミン「えっ」

ミカサ「カラフルで綺麗なカエルに多い。吹き矢などの先端に塗って毒矢にしたりもするらしい」

エレン「そんなの良く知ってるな」

ミカサ「エレンと居ない寂しい時間に頑張っておじさんから学んだ。だから暗殺もばっちこい」

アルミン(なぜだろう)

エレン(ミカサが言うと冗談に聞こえない)

エレン「食い終わったし午後の作業にかかるか」

アルミン「そうだね。それに作業が終われば今日は男性のお風呂開放日だ」

エレン「そうだったな、まぁ皆で入るからはしゃぐと拳骨くらうけど」

アルミン「エレンはバシャバシャやって怒られてたね」

エレン「ちょっとはしゃいだだけなのにな」

アルミン「まぁ、お湯も大切だから仕方ないよ」

ミカサ「私も入りたい」

エレン「は?お前女の子だろうが」

ミカサ「///」

アルミン(異性だと思われたのが嬉しかったのかミカサ。でも本当にそのままのことを言っただけだと思うよ)

――夜――

エレン「じゃあ俺ら風呂行ってくるから」

ミカサ「行ってらっしゃい」

エレン「アルミン風呂場まで競走しようぜ」

アルミン「あっ!待ってよエレン」

ミカサ(二人は行った。実は女の子1人だけは危なかったりする)

ミカサ(しかし、邪な気配は察知できるし護身用の得物もあるから平気)

ミカサ(ので、思考に耽ることが可能)

ミカサ(何か作業以外でお金や食べ物を得る手段は無いものだろうか)

ミカサ(幸運なことに私は身体を完璧に支配して疲労を抑えることが出来る)

ミカサ(余った時間に出来て尚且つ効率的なもの……浮かばない)

ミカサ(巷の現状を踏まえてみよう。まず、人が余っている。食糧難である。犯罪行為が横行している。そして私達は開拓地)

ミカサ(大人が賭けポーカーをしてるのは見るけど、無表情と言われるから強いかもしれない)

ミカサ(……私の人生は運が良いとは言えないからやめよう)

ミカサ(思い出したら悲しい。エレンにハグされたい。まだかな)

――――

エレン「ふぃー、良い風呂だったぜ」

アルミン「あの時間だけはやっぱりホッとするね」

エレン「そうだな、ん?」

アルミン「どうしたの?」

エレン「いや、ミカサが……あれは久しぶりに見るハグ病オーラだ」

アルミン「あれって治ったんじゃないの?」

エレン「うーん、まぁ行くか」

ミカサ(この歩幅と匂いと息づかいはエレン)

エレン「おい、どうした?」

ミカサ「少しだけ昔を思い出したら悲しくなった」

エレン「仕方ねーなぁ」ダキッ

ミカサ「ありがとう……エレン」

エレン「気にすんな」

エレン(やや包容力が上がっている。少ししおらしいほうがエレンは好みなのだろうか。これは今後の参考になる)

エレン「風呂上がりで風邪引きたくないし寝るぞ」

ミカサ「うん」

ミカサ(お風呂上がりのエレンの匂いも良い)

ミカサ(作業は疲れないけど、冷静にエレンを分析できるのだからその時間はエレンの為に使おう)

ミカサ(私としたことが道を間違えるべきだった)

――それからの開拓地生活――

ミカサ「ヘビを捕まえたから焼いてみた」

エレン「食おうぜ」

ミカサ「うん」

アルミン「ヘビは食べれるようになったけど、やっぱり独特だよね」

ミカサ「贅沢はダメ」ザクザク

ミカサ「はい。エレン、アルミン」

エレン「うん、なかなか」

アルミン「前のよりは」

ミカサ「身が締まってる」

エレン「結構、野生ので腹ふくれるな」

アルミン「憲兵の見回りにバレなきゃね」

ミカサ「これが生きる知恵」

アルミン「へっくし!」

エレン「風邪か?」

アルミン「ちょっと寒かったから」

ミカサ「……」

ミカサ「これ貸してあげる」

アルミン「マフラー良いの?」

ミカサ「エレンに貰った宝物だけど、それはあくまでも物」

ミカサ「エレンが居るから良い。それに友達が風邪をひいてはいけない」

アルミン「はは、ありがとうミカサ」

エレン「お前のそういう友達想いなところは良いと思うぞ」

ミカサ「褒められた///」

エレン「年が明けたな。母さん達は元気にしてるかな」

アルミン「僕の方も、けど便りがないのは元気な証拠とも言うしさ」

エレン「だと良いけどさ」

ミカサ(二人が寂しそう。ここは私の出番)

ミカサ「今日は肌寒い。ここ最近で一番寒い)

ミカサ「そんな日だから二人は家族を思い出して感傷的になっている」

ミカサ「ので」

ミカサ「二人にハグをする」

ミカサ「アルミンから」ダキッ

アルミン「ミカサ!?……ありがとう」

ミカサ「良い」

ミカサ「次にエレン」ダキッ

エレン「いつもと逆だな」

ミカサ「うん」

次から多分シリアス混じりなのでここまでで区切ります。

読んでくれた方ありがとうございます。

>>101 ミスした。

×エレン(やや包容力~
○ミカサ(やや包容力~

でした。

>>101 またミスしてる……

×道を間違えるべきだった
〇道を間違えるところだった

です。

個人の解釈だし、批判するつもりは全くないことを先に言っておくけど、自分の肉体を支配できるというのは、
人間の脳が無意識にかけているリミッターを、意識して解除することができるということじゃないかな。
オリンピックの重量挙げ選手みたいな。だから疲労はあると思う。本筋とは全く関係ないレスごめんww

>>113
SS書く前には原作やwikiとか見たりしてるので作者本人が筋力のリミッター云々、骨格云々は見てますが、それを題材にした無双系SSは他の人がもう書いてたので同じことしてもつまらないから一応変えてます。

あと基本的にほのぼのゆるくで進行していくのですみません……。

投下して行きます。

――――

「おい、聞いたか?」

「ああ……領土奪還に俺達が駆り出されるって話だろ」

「逃げないか……?」

「どこにだよ。俺達を誰が守ってくれるんだよ」

「……」

エレン「最近大人達の様子がおかしくないか?」

アルミン「……」

エレン「どうした?アルミン」

アルミン「多分最近噂になってることが原因だよ」

エレン「噂って?」

アルミン「……口にしたくない」

ミカサ「エレン、時が来ればわかる」

エレン「?」

――3日後――

憲兵「中央政府よりウォール・マリアからの避難民達へ重大な発表がある」

エレン「重大な発表ってなんだろうな?とりあえず皆のとこ行こうぜ」

アルミン「そうだね」

ミカサ「……」

エレン「おお、改めて見ると人多かったんだな」

アルミン「顔は覚えないほうが良いよ、きっと」

エレン「どういう意味だよアルミン」

アルミン「ミカサ、もしもの時はエレンを」

ミカサ「わかってる。無茶はさせない」

エレン「お前ら二人してなんだよ……」

エレン「おぉ!アルミン、ミカサ!領土奪還作戦だってよ!人類は巨人に立ち向かう気なんだ」

アルミン「……」

ミカサ「……」

エレン「どうしたんだよ!なんでそんな暗い顔してんだよ」

ミカサ「エレン」

エレン「なんだよ」

ミカサ「エレンが英雄だと言った調査兵団の現実をもう忘れたの?」

エレン「えっ」

アルミン「厳しい訓練をした調査兵団ですら巨人には多大な犠牲を伴う。それなのに、何の訓練もしていない人々がどうやって巨人を倒せるのさ」

エレン「あ……えっ」

ミカサ「エレンは馬鹿じゃない。これ以上言わなくても理解できるはず」

エレン「なんだよそれ……最初から勝つ気なんてないのかよ……」

アルミン「人間同士の共倒れを防ぐには最善なんだろうね」

エレン「待てよ!なら母さんもかよ!」

アルミン「わからないよ。でも割合的には大人のが多いから」

ミカサ「それに、わかっても私達にはどうすることも出来ない。監視の任を受けた兵士もいる」

アルミン「当日になればわかるよ……遅いけど」

エレン「……くそっ」

――領土奪還作戦当日――

エレン「母さん!母さん!どこにいるんだよ!」

ミカサ「エレン、この人の数じゃ……」

エレン「黙ってろよ!居ないなら居ないほうが良いんだよ!でも、居るならせめて一言……」

ミカサ「エレン……」

エレン「母さん!俺だよ!エレンだよ!!」

――――
――


アルミン「おばさんには会えた?」

エレン「……」

ミカサ「居なかった、と思う。でもわからない……この人数では」

アルミン「そうか、僕は両親に会えた。別れも言えたよ」

アルミン「これで従軍した皆は政府的に勇敢な者になるんだよね。けど、憲兵は指示をするだけで戦場に出向いたのは調査兵団や住民だけ……」

ミカサ「アルミン……」

アルミン「泣くな。これは仕方のないことなんだ。父さんも母さんも人類の為に身を投して戦うんだからって……」

アルミン「何で二人とも死ぬのが目に見えてるのに笑って……なんで……裏切られたようなものなのに……」

――――

アルミン「戻った生存者の中におばさんの姿はなかったね」

エレン「ああ……」

ミカサ「アルミンの両親も」

アルミン「……別に、予想通りだったけどね」

アルミン「これで食糧難は改善されると思うよ、人がこれだけ沢山死ねば」

ミカサ「そんな言い方をしてはいけない」

アルミン「事実じゃないか!こんなの巨人を利用した虐殺と同じじゃないか!」

ミカサ「落ち着いて」ギュッ

アルミン「ミカサ?なんで手を握って」

ミカサ「あなたの両親はあなたの未来に希望があることを信じて戦った」

ミカサ「私達に出来るのは、皆の犠牲の上に生かされていることを忘れずに、精一杯生き抜くこと」

ミカサ「泣き言を口にするだけでは何も変わらない」

アルミン「ミカサ……」

ミカサ「三人でしっかり生き抜こう」

アルミン「……うん」

エレン「巨人がいるからこんなことが起きるんだ。全部あいつらのせいだ」

エレン「俺は訓練兵に志願する、誰よりも強くなって巨人共を駆逐してやる」

アルミン「僕も……訓練兵に志願する。こんな政府はおかしいといくら口にしても、今のままじゃ何もできやしない」

ミカサ「私は聞かなくてもわかるよね」

エレン「なんだろうな。お前のは聞くまでもなくわかってた」

アルミン「僕もわかってた」

ミカサ「エレンも」ギュッ

ミカサ「三人で目指そう」

エレン「ああ」

アルミン「うん」

ミカサ「でも、アルミンはもっと体力を付けたほうがいい」

アルミン「手厳しいなぁ……はは」

――12歳までの開拓地――

エレン「おい、その石は一人じゃ無理だろ」

アルミン「このくらい大丈夫……ぬぬっ!ああ!」

エレン「アルミン!」

アルミン「いてて……」

エレン「無茶すんなよ」

アルミン「でも、あれを見たら……」

ミカサ「……」

ミカサ「……」ググッ

ミカサ「……」ポイッ

エレン「あ、ああ……でもほらミカサだから」

アルミン「ミカサだけどさ、僕だって努力すれば出来るはずだ」

エレン「無理して骨折でもしたら大変だろ」

アルミン「うん……気をつけるよ」

ミカサ「ヘビとかカエルだけじゃなく草花や虫にも挑戦しよう」

アルミン「えっ!」

エレン「……少しは食糧も渡るようになったしそこまでしなくても良くないか?」

アルミン「そうだよ」

ミカサ「甘い。兵士はどんな訓練があるかわからない。現地調達で生き延びなくてはいけない場面が来るかもしれない」

アルミン「あるかもしれないけど、さぁ……」

ミカサ「今から慣れていれば生存率が高まる」

ミカサ「ので」

ミカサ「イモムシから行こう」スッ

アルミン「ぎゃあああああ!」

ミカサ「アルミン逃げるのは良くない」タタタッ

アルミン「ほんっとに無理だから!ほんっと無理!」ダダダッ

エレン「アルミンは全力で逃げてるのにミカサは顔色1つ変えてないな」

アルミン「見てないで助けてよエレン!」

ミカサ(アルミン面白い)

エレン「おーいアルミンが本当に嫌がってるからやめてやれよ」

ミカサ「わかった。仕方ない。エレンにあげる」

エレン「俺かよ!」

ミカサ「焼いてあるから大丈夫」グッ

エレン「んぐっ!」モグッ

アルミン「あっ、食べさせられた」

エレン「……普通、だな」

アルミン「普通なんだ……」

エレン「見ろよ、この腕の筋肉」

アルミン「結構付いたね筋肉」

エレン「だろ?これならミカサに腕相撲も勝てるはず」

アルミン「それはどうだろ……」

アルミン(全く勝てる気がしない)

エレン「ミカサー腕相撲しようぜー」

ミカサ「良いけど」

エレン「アルミン掛け声やってくれ」

アルミン「じゃあ、レディー……ゴーッ!」

ゴンッ

ミカサ「……」

エレン「……」

エレン「いってぇぇぇぇぇ!!」

ミカサ「まだまだ」

アルミン(瞬殺って)

ミカサ「エレンこれを使うと良い」

エレン「……」

ミカサ「エレン?」

エレン「……」スタスタ

ミカサ「……」

ミカサ「アルミン」

アルミン「どうしたの?」

ミカサ「エレンの手袋が破けてたから修繕したの渡そうとしたら無視された。どうしよう」

アルミン「ああ……」

アルミン(腕相撲で負けなのが悔しかったからってちょっと子供っぽいよ……)

アルミン「あまり気にすることもないような」

ミカサ「どうしよう。ねぇどうしよう。私はエレンに嫌われた?ねぇアルミンどうしよう」

アルミン「えっ!えぇ……」

アルミン「ねぇエレン、ミカサをなんで無視したの?」

エレン「……なんていうか男としてのプライドがな」

アルミン「わからなくもないけど、無視は良くないと思うよ。それにミカサは君の手袋まで縫ってくれたんだしさ」

エレン「……」

アルミン「世界の終わりみたいな顔してたよ?」

エレン「あーもう!悪かったよ謝ってくるよ」

アルミン「それが良いよ。ミカサのことだしきっとすぐ仲直り出来ると思う」

エレン「ミカサ」

ミカサ「エレン!」

エレン「……なんだ、その、さっきは無視して悪かったな」

ミカサ「怒ってたの?」

エレン「腕相撲で女の子に負けたのがちょっとな……少しは強くなった自信があったし」

ミカサ「……ハグ」

エレン「えー……謝っただろ」

ミカサ「私はとても傷ついた。とてもとても傷ついたので、ハグをしてくれないと許してあげない」

エレン(無視するんじゃなかった)

エレン「これで良いかよ」ダキッ

ミカサ「もう無視しないでほしい」

エレン「わかったよ……」

アルミン(円満解決でよろしい)

――時は流れて入団式前日――

エレン「いよいよ明日だな。これで開拓地での作業ともおさらばだ」

ミカサ「でも、訓練に耐えられなかったり適性が無いと判断されたら逆戻り」

エレン「俺達三人なら大丈夫に決まってるって」

アルミン「二人は大丈夫かもしれないけど、僕はどうだろ」

エレン「何心配してんだよ!アルミンだって根性あるんだから大丈夫に決まってるだろ」

ミカサ「アルミンは一人じゃない」

アルミン「そうだよね……二人と一緒なんだ。うん、絶対に耐えぬいてみせるよ」

エレン「その意気だ!」

ここまでです。読んでくれた方はありがとうございます。

また近々投下して行きます。

投下してきます。

――当日――

ミカサ「忘れ物はない?」

エレン「大丈夫だって!母ちゃんかお前は」

ミカサ「アルミンは?」

アルミン「僕も大丈夫だよ」

ミカサ「なら行こう」

――――
――


エレン「着いたな!おー俺らと年が近そうなのが一杯だ」

アルミン「世論が反転したからね。でもほとんどが憲兵団か駐屯兵団狙いだと思うよ」

エレン「それでも俺は調査兵団一択だ。その為にここに来たんだからな」

ミカサ「立ち止まってると邪魔になる」

エレン「おっ、そうだな」

教官「新規訓練兵志願者の受付はここだ!」

教官「受付と事前に申告してあった採寸の訓練服を受け取った者は、振り分けられた宿舎にて速やかに着替えを済ませるように!」

エレン「列が男女に別れてんな」

アルミン「宿舎も男女別だろうからミカサとはしばらく別行動だね」

ミカサ「アルミンがいるから心配無いと思うけど、エレン問題を起こしたらダメ」

エレン「んなことするか!さっさと女子の列に並べよ」

ミカサ「うん。また後で」

エレン「もうちょっと早く来れば良かったか」

アルミン「受付人数に定員があるわけじゃないから、待つのも大事だよ」

エレン「だな」

教官「次の者」

ライナー「ライナー・ブラウンです」

教官「ライナー……これだな。ではこれが訓練服だ」

ライナー「はい」スタスタ

ライナー「待たせたなベルトルト」

ベルトルト「待ってはないけど、少し億劫だね」

ライナー「気にするな。これも任務だ。俺達は今日から兵士として生きる」

ベルトルト「うん」

ミカサ(エレン達はあと20人程後。さすがに女子は少ないのか早い)

ミカサ(オドオドしてる子もいれば、雰囲気がある子もいる)

教官「次の者」

アニ「アニ・レオンハートです」
教官「レオンハート……これだな。それが訓練服だ」

アニ「どうも」

ミカサ(あの子……周りと違う。できる)

次の者「はわっ!はい!えっとサシャ・ブラウスです!」

教官「サシャ……これか。訓練服だ」

サシャ「はい!」

ミカサ(元気な子。でもなぜ食べながら並んでたんだろう)

――宿舎――

エレン「おー、ちゃんとした建物だな」

アルミン「寝床も開拓地の冷たい床とは違うね」

エレン「だな、俺のは……あったここだ」

アルミン「一緒のとこだね。早く着替えよう」

エレン「そうするか」ガサゴソ

エレン「おお!なんかかっけー!」

アルミン「マークが違うだけで兵士と変わらないね」

エレン「サイズも丁度で着やすいし動きやすいな、これ」

アルミン「有事の際に手間取るといけないし、訓練しやすいように計算されてるんだよ」

エレン「兵士って気がするな!」

ミカサ(同性と共同生活は初めて)

ミカサ(私のは……ここか)

アニ(共同生活か。わかってたことだけど少し面倒くさいね)

クリスタ(どうしよ……人前で着替えるのは少し恥ずかしいな)

ミカサ「……」ヌギヌギ

ミカサ(視線を感じる。知らない者同士なら当然か)

サシャ(あの子引き締まっとんね)

アニ(ただ者じゃない……)

クリスタ(わぁ、堂々と脱ぎだした。私も見習わないと……)

ミカサ(……動きやすそうだ)

教官「着替えた者は速やかに広場に集合!ちんたらするな!貴様らの訓練兵生活はもう始まっているぞ!!」

エレン「急ごうぜアルミン!」

アルミン「うん!」

――――

ミカサ「遅かったね。二人とも似合ってる」

エレン「ミカサもな」

アルミン「似合ってるよ」

アルミン(ミカサが凛々しい)

教官「指示された者の順に列に並べ!その後は待機して待つように!担当教官の挨拶がある!」

エレン(いよいよだな)

教官「よし、整列を確認した。訓練兵は壇上に注目!」

教官「これから諸君等が兵士となるに当たって基本中の基本であり信条となる敬礼を教える!ではやれ」

「はっ!」

教官「これは公に心臓を捧げるという意味を持つ!深く頭に刻み込むように!」

コニー(心臓って左だよな?あれって右か?ん?左?)

ユミル(あほらし、それより私が捜してる奴はどいつかね)

ライナー(心臓を捧げるねぇ、あの日の人類を見てるからか酷く滑稽に思えるな)

キース「只今より!104期訓練兵団の入団式を始める!!」

エレン(あれ、あのおっさん2年前の……もしかして母さんのことを知ってるんじゃ)

エレン(いや、俺は巨人を駆逐する兵士になる為にここに来たんだ。今はそれだけを考えよう)

ミカサ(あの時の人だ。教官だったんだ。もしかして、だからあの日私達に言葉をかけたのかもしれない)

キース「これから貴様等訓練兵に問い掛けをしていく!腑抜けた声で答えてみろ!容赦はせん!」

エレン(アルミンが言われてんな)

ミカサ(私も言わされるのかな。なんて言おう)

ミカサ(アルミンみたいに人類の勝利……というわけではない。かと言ってエレンを死なせないためです……)

ミカサ(怒られそうだからやめとこう。あっ順番きた)

キース(む、この子は……全体的に逞しさを増している。女性に対して適した評価かはわからんが)

ミカサ(あれ、目が合ったのに何も言われなかった。エレンも言われてない)

ミカサ(もしや黒髪の子は言われない?無いか)

エレン(あいつ右に心臓あんのかな。世の中広いな)

ミカサ(あの子、さっきも列で食べてた子だ。美味しそうに芋を食べてる。可愛い)

アルミン(何も言われてない人達は何というか貫禄があるな。やわな顔をしてないというか)

エレン(スゲーあの女天然ってやつか)

ミカサ(天然ボケな女の子はエレン的にどうなんだろう。今度試してみよう)

ジャン(やっぱりこんだけ集まると馬鹿もいるもんだな)

コニー(芋はねーよ芋は)

キース「一名稀に見るバカがいたが、来たばかりの訓練兵が食糧を盗めるとはある意味驚きでもある」

キース「だが真似しよう等と思うなよ」

ジャン(しねぇよ)

エレン(あいつ教官を驚かせるとか凄い奴だったのか)

ミカサ(エレンが変なことを考えてる気がする)

コニー(あの女の村って狩猟民族だよな。だからか?それにしたってバカだろ)

クリスタ(あの子夜ご飯抜きなんだ。かわいそうだよね……私がご飯を我慢すればあの子は喜んでくれるかな)

――――
――


エレン「結構、訓練所って広かったんだな」ヌギヌギ

アルミン「式の後に案内されて一通りは覚えたけど、確かに広かったね」ヌギヌギ

エレン「着替え済ませたら飯だ飯、大して疲れなくても食えるってのは良いもんだな」

アルミン「明日からが不安だけどね……」

エレン「大丈夫だって!」

ライナー(どいつもこいつも、流されてここに来たのが丸わかりする面をしてやがる。こんなのと3年も一緒だとはな)

ミカサ(早く着替えて二人の所に行こう)ヌギッバサッ

クリスタ(潔い脱ぎっぷり、やっぱり名前呼ばれなかった人達は違うなぁ)

ユミル(この中に居るのかねぇ、それっぽい奴の目星は付けてるけど)

アニ(さっさと着替えよ。これから3年間か、長いね)

ミカサ(よし、畳み終わったし明日の用意も大丈夫。行こう)スタスタ

ミーナ(……なぜかこの部屋のメンバーだけ独特な気がする……。でも、きっと話せば良い人達なはず。そうに違いない)

ミカサ(ん?なぜエレン達が囲まれているのだろう。まさかトラブル)スタスタ

ミカサ「二人ともどうしたの?」

アルミン「ミカサ、えっとコニーとかマルコが巨人のことをエレンに聞いて」

ミカサ(心臓が右の人がコニーで王様好きがマルコか)

ミカサ「なるほど。でも入り口で話してると邪魔になる。皆も中に入ったほうが良い」

エレン「そうだな」

――――

ミカサ(質素だけど開拓地よりはまし)モグモグ

ミカサ(相変わらずエレンが問い詰められてる。巨人なんかの話が面白いのかな)

ライナー(あいつ、あの日の生き残りか。大口叩く馬鹿か自殺志願者か)

ベルトルト(こうやって他人が自分達のことを口にするのは不思議だな)

クリスタ(パンをばれないように……)コソッ

ユミル(こいつ)

アルミン(……ああ、またエレンが喧嘩しそうだ)

ミカサ(やれやれ。根本的には変わらない)

ミカサ(殴り合いの喧嘩になったらどうやって止めようか。上手くやらないとエレンが拗ねてしまう。そこが問題、加減が難しい)

ミカサ(一先ず何事も無く収まった)

ミカサ(内地好きなジャンって人に黒髪を褒められた。良い人だ)

ミカサ(けど、エレンには長いと危ないと言われた)ゴソゴソ

ミーナ(隣の子がなにかゴソゴソしてる。探し物かな?一緒に探してあげればきっかけに)

ミカサ(あった)チャキッ

ミーナ(ハサミを探してたのか)

ミカサ(切ろう)ジョキッ

ミーナ「えっ!?」

ミカサ「?」

ミーナ「えっと、いきなり髪の毛切り出してどうしたの?」

ミカサ「長いと言われたから切ってる」

ミーナ「は?」

ミーナ「事情はわかったけど鏡も無しでしかもベッドで切ったらダメでしょ」チョキチョキ

ミカサ「盲点だった」

ミーナ(変わった子なのかな)

ミーナ「結構長さ変わったけどこれくらいで良い?」

ミカサ「うん。ありがとう。あなたは良い人だ」

ミーナ「これから共同生活する訳だし助け合わないと。タオル払うね」

ミカサ「ありがとう」

ミーナ「ところでエレンって彼氏?」

ミカサ「今は家族、将来も家族」

ミーナ「えっと、仲良しってこと?」

ミカサ「その解釈で良い」

――翌日――

アルミン「おはようミカサ、あれ?髪を切ったの?」

ミカサ「おはようアルミン。ミーナに切ってもらった」

アルミン「早速友達が出来たんだ。良かったね」

ミーナ「うん。彼女は良い人」

エレン「おう」

ミカサ「おはようエレン」チラッ

エレン「なんだどうした?」

アルミン「……髪」ボソッ

エレン「髪?ああ、ミカサ髪切ったんだな」

ミカサ「うん!」

アルミン(やれやれ、もう少し女の子として意識してあげれば良いのに)

キース「今日は立体機動の適性検査だ。こんな簡単なことが出来ん奴は要らん、開拓地に移ってもらう」

アルミン(なかなか……でもいけそうだ)プルプル

ミカサ(アルミンは大丈夫そう)ビシッ

コニー(たいして難しくない。こんなんばっかなら楽なんだがなぁ)プルプル

サシャ(あの曇はお芋に見える。あっちはパン……お腹空いてきた)プルル

クリスタ(む、ず……かし)プルプルプルッ

ミカサ(さて、エレンはどうだろう)

エレン「」イナバウアー

ミカサ(えっ)

アルミン(そんな!エレンがまさか!)

キース「なにをしている!エレン・イェーガー!!」

エレン(嘘だろ?皆出来てだろ……なんで俺が出来ないんだよ)

エレン(なんで笑われてんだ俺)

キース「もう良い下ろせ」

エレン「待ってください教官!」

ミカサ「異議あり!私のエレンがこんな簡単なことが出来ない訳がありません!きっと機材の異常か何かです!」

キース「お、おう……そういうなら誰か機材を交換してやれ」

エレン「あっ、できた」ピタッ

ミカサ「やっぱり!」

キース「金具の故障だ。今後の改善項目に入れなければな」

エレン「なら俺の適性検査は……」

キース「問題ない。訓練に励め」

エレン「よし!」

アルミン「やったねミカサ!エレンがどうだ!って目で言ってるよ」

ミカサ「違う。あれは流石将来の嫁、よく気づいてくれたありがとうって言ってる」

アルミン「そっ、そう……」

アルミン(たまにミカサが自分を抑制出来てないのが怖い)

ジャン(私のエレンってなんだよ!なんだよ!ちくしょう!)

ここまで。また書いたら投下します。

読んでくれた方ありがとうございます。

レスして頂けてとても嬉しいです。ありがとうございます。

投下してきます。

――営庭――

キース「これからは基礎体力の向上、姿勢制御の反復、及び座学を初めとする兵士に必要な知識技術を学んでもらう」

エレン(なんだ、すぐに実技じゃないのかよ)

アルミン(体力か……周りを見回しても皆やりそうだなぁ)

キース「あからさまにすぐ実技じゃないのかという顔をした者が見られるが」

エレン(バレた)

キース「貴様ら訓練兵は赤子と同じ、好奇心だけは人一倍あるが、使い方の解らぬ刃物を与えれば死に至る場合もある」

キース「故にこちらが貴様らに使わせても良いと判断する日までその機会は無い」

ミカサ(体力はアルミンが心配。エレンはどちらかといえば座学方面が心配)

キース「もちろん、貴様等の中には上位10位内を見据えている者がいるように」

ジャン(俺だな。何がなんでも勝ち取る)

キース「訓練生活では、実力における差別化を顕著に示していく」

キース「その結果生まれる劣等感や不満から、同期間のトラブルや、必要以上に無理をしてリタイアするケースも多い」

ユミル(話がなげぇ、んなもんどこの世界も同じじゃないか)

キース「だが、我々が求めているのはそれら全てを乗り越える強靭な精神力と、兵士としての確かな素養を持ち合わせた者である」

エレン(なんだろうな。駐屯兵団の奴ら見てるからかイマイチ素直に受け止められねぇな)

ライナー(無駄に堅苦しいもんだな)

アニ(御大層に)

クリスタ(強靭な精神力かぁ……)

コニー(えーっと……要は獲物は競争だから何か色々頑張れってことだよな……?)

サシャ(美味しい物食べれたらなんだって良いんですけど)

キース「さて、これまで言ったことは建前だ」

キース「貴様らは私達教官から指示されたことを死ぬ気でこなせば良い。出来なければ去る、これだけだ。貴様らの足りない頭でも解りやすいだろう」

エレン(そう言われたほうがごちゃごちゃ考えずに済むな)

コニー(最初からそう言ってくれよ……)

ユミル(なかなかクセのある教官だな。綺麗事ばっかりな奴よりはやりやすそうだ)

アルミン(死ぬ気……死なない為に技術を身に付けるのと矛盾するような気がするけど)

キース「では走れ。最低1時間だ」

エレン(そんなん余裕だろ)

ミカサ(走る……悩む)

キース「そこからは各自の限界と思った所で辞めて良い。罰則は無い」

ジャン(おいおい、いやに楽じゃねぇか。こりゃなにかあるな)

ライナー(何を見られるのかによるな。走りながら観察するか)

ベルトルト(……どうしよう。あまり目立たないようにするか)

キース「では、走れ!」

「「「「「はっ!」」」」」

キース(どんな人間性が見られるか楽しみだ)

「こんな簡単なので良いんだな」

「私語はダメだろ」

「良いんじゃね?罰則無いって言ってたし」

「それもそうか、ははは」

エレン(あいつら真面目に走る気無いのか)

アルミン(本当に体力を見るだけかも知れないけど、最低1時間、罰則は無いってのが気になる)

ミカサ(ペースはいつでも変えられるから二人に合わせよう)

ジャン(あの野郎より先には止まらん、他のはどうでも良い)

サシャ(まーたー走るー……昨日沢山走りましたよぉ)

キース「30分経過!!」

エレン(半分か。結構前の方に来たな)

ジャン(教官はただ見てるだけか?どこか別の場所で観察されてる気配はないが)

ライナー(無駄口叩いてた奴等も少しは減ったか。だらしねぇな)

ベルトルト(普通に走ってたら前の方に……どうしよう」

ユミル(内地の人間ならそろそろへばってんだろ。後続組か?)

アルミン(まだ大丈夫。開拓地でずっと身体を動かしてたおかげかな)

ミカサ(……アルミンのペースが少しだけ落ちた)

キース「1時間経過!!」

「あー……やっと終わった」

「久しぶりにこんなに走ったわ」

「疲れたー」

「もう無理……」

アニ「……」ピタッ スタスタ

アニ(どうせ観察されてるんだろうけど、走るだけで点数になるわけない。馬鹿らしい)

ライナー(アニらしいな)

ベルトルト(……まだ走るか)

キース(半数といった所か。余力がありながらも走るのを止める者)

キース(淡々とノルマのみこなす者、純粋に体力面で問題がある者か)

キース「1時間半経過!!」

「ギブ……」

「足痛い……もういいや」

アルミン「ハァ……ハァ……」

クリスタ「ゼェ……ハァ……」

キース(更に減ったな。ペースもまちまちだ。あの二人は……クリスタ・レンズとアルミン・アルレルトだったか)

エレン(アルミンが遅れてる?いや、あいつはそんなにやわな奴じゃない)

ミカサ「アルミン大丈夫?」

アルミン「えっ!ミカサいつの間に」

ミカサ「私達が先頭」

アルミン「はは……僕は周回遅れか」

ミカサ「これは自分との戦いだから励ますくらいしか出来ないけれど、アルミン頑張って」

アルミン「うん……ハァ……ハァ……」

ミカサ(私が傍にいてもプレッシャーになるだけ。ここは抜く)タタッ

エレン「おい、アルミン!お前は根性あんだから負けんなよ!?」

アルミン「エレン……うん!」

エレン「じゃあ行くな。ミカサをトップにしたままなのも悔しいし」タタタッ

アルミン「ああ、ハァハァ……」

アルミン(やっぱり二人は凄いな……)

クリスタ「ゼェ……ゼェ……」

「あの最後尾の子大丈夫かあれ」

「なんかフラフラしてんだけど」

「顔可愛いし倒れたら介抱してやろうかな」

「お前下心丸出しじゃん……」

ユミル(昨日の偽善女か。あんなフラフラしてまで走るとかバカずゃねぇの)

クリスタ「ハァ……ハァ……」

ユミル「おい」

クリスタ「えっ……」

ユミル「お前もう無理だろ。さっさと止まれよ目障りだから」

クリスタ「ごめん……」

ユミル「私は健気です。こんなに頑張って走ってますとでも思われたいのか?」

クリスタ「……」

ユミル「そういうの見てると気持ち悪いんだよ」

クリスタ「ごめ……あっ」ドテッ

ユミル「チッ、ほら行くぞ」ガシッ

クリスタ「ありがとう」

キース(必要以上に他人の目を気にする者、他人が言い憎い言葉をはっきり言える者か)

キース(時間帯的には、なんの信念も持たない人間には残りにくい時間になってきたな)

キース「2時間経過!」

ミカサ(芋の女の子走るの好きなのかな)

サシャ(あれ?私なんで走ってるんでしょう。というよりこの子のペース早いですね)

エレン(なんでだ……ミカサはともかくこの芋女も凄いな)

ジャン(こいつ、いつまで走るんだよ……)

マルコ(やるなぁ、確かジャン・キルシュタインだったか)

ライナー(あいつら口だけじゃなかったのか)

ベルトルト(……だいぶ減ったな。次で抜けよう)

キース「2時間半経過!」

コニー「だー!もういい!」

アルミン「ハァ……ハァ……」ドサッ

エレン「おい!アルミン!?」

ミカサ「任せて」ドギュッ!

エレン「は?」

キース(いかんな)ダッ

ミカサ「アルミン、今運ぶ」

アルミン「ミ、カサ……」

ミカサ「喋らなくて良い」ヨイショ スタスタ

ミカサ「教官、アルレルト訓練兵をお願いします」

キース「わ、わかった」

ミカサ「戻ります」タタタッ

サシャ(なんであの子……)

ジャン(逆走じゃなくて1周回って教官より早いんだよ)

エレン(ミカサ、俺時々お前がわからない)

ミカサ(?なぜ皆私を見ているのだろう)

ベルトルト(皆があの子に注目してるし抜けよう)

ライナー(ベルトルトも離脱か)

マルコ(ミカサ・アッカーマン……何者なんだろう)

――――

アルミン「う……うーん」

キース「気が付いたか、アッカーマン訓練兵が貴様を運んでくれたのだ。礼はしておけ」

キース「3時間経過!」

マルコ「もう充分かな……」

ライナー(そろそろ辞めるか。あのミカサって女を観察してみるのも悪くない)

ミカサ(あとは芋の子とジャンとエレン)

サシャ「あの……」

ミカサ「なに?芋の子」

サシャ「芋の子!?サシャですよ!サシャ・ブラウスです」

ミカサ「サシャ、私はミカサ。なに?」

サシャ「もしかして全然疲れてません?」

ミカサ「うん」

サシャ「やっぱりですか……」

サシャ「やっぱり凄い人はいるんですねぇ」

ミカサ「あなたも凄い」

サシャ「私がですか!?」

ミカサ「うん。2日連続で走ってる」

サシャ「ですよね!私なんで走ってるんでしょ」

ミカサ「走るのが好き?」

サシャ「そうでも無いですけど、ミカサはどうしてですか?」

ミカサ「エレンが走ってる」

サシャ「ん?」

ミカサ「後ろ。エレンが走ってるから走ってる」

サシャ「えーっと……それはつまり、後ろの彼が走るのやめたらやめる?てことですか?」

ミカサ「うん」

サシャ(……よくわかりません。けど、後ろの彼は必死にミカサを抜かそうとしてるのがちょっと可哀想)

ミカサ「あなた面白い」

サシャ「えっ!?」

ミカサ「表情が豊富」

サシャ「あっ、はぁ……」

エレン(なんで前の二人は余裕なんだよ!)

ジャン(こいつもさっさと止まれよ!!)

ジャン「おい!」

エレン「なんだよ。訓練中だろ?」

ジャン「お前そんなちんたら走ってて巨人倒せんのかよ」

エレン「はぁ!?」

ジャン「女の後をちんたら走ってて巨人なんか倒せるのかねぇ」

エレン「お前喧嘩売ってんのかよ!!」

ジャン「悔しかったら抜いてみろよ」ダッ

エレン「待てこら!!」ダッ

サシャ「うわぁ!ビックリした……急にどうしたんですかね」

ミカサ「気にする必要はない。すぐに終わる」

――――
――


――夕食――

アルミン「で、結局ミカサの予測通りに二人とも走り疲れて倒れた、と」

エレン「おう……同時にな」

ミカサ「二人とも頑張ってた」

エレン「お前結局最後まで走ってたらしいな」

ミカサ「エレンが止まったから私も止まった」

アルミン(ミカサはブレないなぁ)

ジャン「おい、俺は負けてないからな」

エレン「俺だって負けてねぇ」

ジャン「どうだかねぇ、お前のが先に倒れた気がするが」

エレン「はぁ!?ふざけんなよ!」ガタッ

ジャン「図星だから怒ってやんの、だっせー」

エレン「お前なぁ!!」

ミカサ「やめなさい」ダキッ

エレン「ちょっ!場所考えろよ!?」

ミーナ「わぁ、ミカサ大胆///」

サシャ「おぉ!」

エレン「皆が見てるから抱きつくなっての!」

ミカサ「私は止めただけ」

エレン「止め方を選べ!」

ジャン「……」

ジャン(なんでだ……)

ジャン(なんで俺は二人が抱き……)

アルミン(おぉ……ジャンの表情が凍りついている。これはまさか……いや、間違いないな)

エレン「離せっての!」

ミカサ「……仕方ない」

ジャン(あっ、離れてる)

ジャン(こりゃあれだ。きっと走りすぎで幻覚見たんだ。やっべー幻覚やべーわ)

――宿舎――

ライナー「今日観察してみたがミカサって女のポテンシャルは凄いな」

ベルトルト「そうだね。ある程度注意しておいた方がいいかも」

ライナー「そうだな」

――――

エレン「今日は疲れたな、明日も訓練だし寝ようぜ」

アルミン「ああ、そうだね」

アルミン(やっぱり体力面を意識していかないとな……)

――――

ジャン(今日のは幻覚)

ジャン(ああ、幻覚だ。負けるな俺!目指すぞ憲兵!)

ジャン(寝よ)

ミーナ「あのさ?やっぱりミカサとエレンってそういう関係なの?」

ミカサ「私とエレンは家族」

ミーナ「でも皆の前であんな大胆に抱きつくのは」

ミカサ「ダメ?」

ミーナ「その、二人とも訓練兵だし……風紀的な?」

ミカサ「エレンに迷惑がかかるなら気をつける」

ミーナ「人前はやめた方が良いと思うかな」

ミカサ「うっかりだった」

ミカサ「チャンスを逃してはいけないと欲望のまま行動してしまった……気をつける」

ミーナ「ははは……」

クリスタ「あの……」

ユミル「なんだよ」

クリスタ「今日はその……」

ユミル「なんでお前そんなオドオドしてんの?小動物かなんかなわけ?」

クリスタ「ごめんなさい……今日はありがとう」

ユミル「はいよ」

クリスタ「あと、えっと」

ユミル「まだなんかあんのかよ」

クリスタ「その、ちゃんと名乗れてなかったから、えっと……私はクリスタです」

ユミル「そう呼んでほしいのか?」

クリスタ「うん」

ユミル「なら呼んでやる。私はユミルな」

クリスタ「ユミル、よろしくね」

ユミル「あぁ」

――――

キース(今期は粒揃い。グリシャの息子もなかなかの根性を持っていた)

キース(しかし、ミカサ・アッカーマン……インパクトが凄すぎて他の者の細かな評価を忘れてしまったではないか)

――――

ミカサ「ジャン、ハグハグ」

ジャン「おいおい、皆見てんだろ」

ミカサ「……ハグハグ」

ジャン「仕方ない奴だな」ダキッ

ミカサ「……」

ジャン「髪の毛が……ジョリジョリ」

コニー「やぁ」

ジャン「ぎゃあああああ!」

エレン「うるせぇ……」

ジャン「最悪だ……最悪の夢だ……ちくしょうが」

終わりです。また書きます。

読んでくれた方ありがとうございます。

レスありがとうございます。

投下していきます。

――翌日――

ミカサ「……」パチッ

ミカサ(目が覚めても隣にエレンはいない)

ミカサ(なんで男女で別れてるんだろう。一緒で良いのに)

ミーナ「あの……」

ミカサ「おはよう」

ミーナ「おはよう、じゃなくて抱きしめられてて起きれなかったり……」

ミカサ「これはうっかり。エレンと寝る時の癖が出てしまった」

ミーナ「一緒に寝てたの?」

ミカサ「アルミンとも寝ていた」

ミーナ「えぇ!?」

ミカサ「なんで驚くの?」

ミーナ「そりゃ驚くよ!」

クリスタ(起きたら凄い会話が聞こえてきた……)

ユミル(朝っぱらからなんて話だよ)

サシャ「蒸かした芋です……教官がパン……」

アニ(寝言が理解できない)

ミカサ「開拓地は寒かった。だから風邪をひかないように一緒に寝ていただけ」

ミーナ「あ……そういう意味」

ミカサ「それ以外に意味が?」

ミーナ「いやいや、私の勘違いだから気にしないで!さっ、起きよう!」

ミカサ「?うん」

ミカサ「……」ヌギヌギ

ミーナ「今日って座学だけだから、訓練服要らないんだよね?」ヌギヌギ

ミカサ「そう聞いてる」テキパキ

ミカサ「着替えた」

ミーナ「早いよ!」

ミカサ「早いの?」

ミーナ「うっ、私が遅いだけなのかな」

ミカサ「朝食まで時間はまだあるから大丈夫」

ミーナ「待ってくれるんだ。ありがとう」

ミカサ「友達は大切にしなさいって言われた」

ミーナ「友達か、ちょっと照れるね」

ミカサ「ミーナは可愛い」

ミーナ「え!?」

ミカサ「なに?」

ミーナ(気のせいかな?あっ、着替終わってた)

ミーナ「行こうか」

ミカサ「うん」

ユミル「おい、クリスタ行くぞ」

クリスタ「あっ、待って……寝癖が」

ユミル「んなもん気にしてんなよ。自意識過剰か?」

クリスタ「ごめん……」

ユミル「チッ、つーか芋女もいつまで寝てんだよ」ゲシッ

サシャ「へぶっ!」

ユミル「さっさと起きねぇとお前の好きな朝飯が無くなるぞ」

サシャ「……」シュパッ

サシャ「終わりました!」

ユミル「無駄に早いわ!」

サシャ「ごはんが私を呼んでます!」ダダダダッ

ユミル「なんなんだあいつは……」

クリスタ「はは……」

アニ(騒がしいやつら)スタスタ

ユミル「あいつ名前なんて言ったっけ」

クリスタ「えっと、アニ?」

ユミル「マイペースつーか我関せずつーか、暗いよな」

クリスタ「そういうの言ったらダメだよ……」

ユミル「はいはい、良い子良い子。飯行くぞ」ワシャワシャ

クリスタ「あぁ!整えたのに……」

――食堂――

ミカサ「おはようエレン、アルミン」

ミーナ「おはよう二人共」

エレン「おう、おはよう」

アルミン「おはよう」

サシャ「ミカサ!隣座って良いですか?」

ミカサ「……」

サシャ「ミカサどうしました?」

ミカサ「……誰?」

サシャ「そんな!昨日最後まで一緒に走った仲なのに!?」

ミカサ「冗談。しっぽがなかったから」

サシャ「しっぽですか?」

ミカサ「髪型が凄いことになってる」

サシャ「あぁー!昨日ほどいたまま寝て、朝ごはんが無くなると思って結ぶの忘れてました!」

ミカサ「なるほど」

サシャ「これでOKですよね」キュッ

ミカサ「サシャだ。元気なイメージで良い」

サシャ「ありがとうございます。ちょっと照れますね」

アルミン(わりとミカサは仲良くやってるみたいだ)モグモグ

エレン(ミカサも友達が出来たか。俺とかアルミンべったりじゃないのも良いことだな)モグモグ

ミカサ(またエレンがほっぺに付けてる)ジー モグモグ

――別席――

ライナー「お前他の女子と食わないのか?」

アニ「どこで食べようが私の勝手でしょ。わざわざ絡みに来たの?」

ライナー「そういうわけじゃないが。適度に混ざっとかないと女は色々面倒だろ」

ベルトルト「まぁまぁ、アニにはアニのペースがあるんだから……」

アニ「あんたらはどうなの?」

ライナー「あぁ、俺は積極的に絡む。ベルトルトは客観的な立場で受け身で接することに決めたぞ」

アニ「そう。あんたバカだから染まり過ぎないように気をつけなよ」

ライナー「わかってるさ」

――別席――

コニー「今日から座学だってよ……運動とかだけなら楽なのにな」

ジャン「そんなことがあるわけねぇだろうが」

コニー「頭使ってこう……なんかすんの苦手なんだよ」

ジャン「バカそうだもんなお前。まぁ、全員が最初なのは同じなんだからお前でもなんとかなんじゃね?」

コニー「だと良いけどなぁ」

マルコ「解んなかったら助け合えば良いよ」

コニー「マルコ良いこと言うな!ジャンとは大違いだ」

ジャン「はっはっは、良い奴と思われる気なんてねぇし問題ないねぇ」

カーンカーン

ミカサ「時間だ。一度戻って筆記具や教材を持って来ないと」スタスタ

ミーナ「そうだね。遅れると大変」スタスタ

サシャ「あっ!待ってくださいよ」

エレン「俺達も行こうぜアルミン」

アルミン「うん」

アルミン(座学かー知らないことを知るのはワクワクするな)

ユミル「私らも行くぞクリスタ」

クリスタ「あっ、待って食器をちゃんと置かないと」

ユミル「んなもん、どうせ洗うんだから適当で良いんだよ。さっさとしろよ」グイッ

クリスタ「わかったから行くから引っ張らないでよ」

――――

教官「全員席に着いとるな?」

「「「「「はっ!」」」」

教官「よろしい。君達にはこれから兵士として必要不可欠な素養を身に付けてもらう」

教官「わからないことがあればその都度挙手するように」

エレン(最初は人類の歴史か楽しみだ。わからんとこはメモだな)

アルミン(おぉ、エレンが知識欲に瞳を輝かせてる)

ミカサ(エレンが隣、風向きで匂いがする。抑制、抑制、今は授業中。講義に集中すれば雑念は払えるはず)

教官「で、あるからして人類は現在に至る生活様式を造り上げてきたわけである」

エレン(おぉ、やっぱり昔から皆苦労して来たんだな。その歴史を含めて、簡単にぶち壊した巨人共はやっぱり存在しちゃいけねぇ害悪だな)

ミカサ(雑念を払う為に、教官の言葉を一言一句覚えてしまった)

アルミン(本で読んでた知識とあまり誤差は無いかな。教材を見て思ったけど、あまり興味を持って欲しくない所は意図的に削ってる感じがする)

カーンカーン

教官「これで午前中の講義は終りだ。午後からは明日行われる兵站行進で背負う背嚢の中身について学んでもらう」

アルミン(兵站行進か……少し憂鬱だな)

ミカサ(休憩ならハグしても……でも人前か)

エレン(ミカサから発病オーラが見え隠れしてる。我慢を覚えたのは良いことだ)

サシャ(はっ!いつの間にか食べたい物を書いてた……無意識って恐ろしいです)

アニ(横の子がチラチラこっち見てたけどなんだったんだろ)

ミーナ「あの」

アニ(話しかけてきた)

アニ「なに?さっきからチラチラ見てたけど」

ミーナ「あはは、肩のとこに糸屑付いてたんだけど。講義中に私語したら怒られるかなって」

アニ「えっ」パッパッ

ミーナ「そこじゃない、取ったげるね」スッ

アニ「……どうも」

ミーナ「部屋が同室だけど初めて喋るよね」

アニ「うん」

ミーナ「これから3年間も一緒だしせっかくなら仲良くやろうね」

アニ「……そうだね」

ライナー(ほほう。あのアニにも話しかけて来る奴がいたか)

コニー「おぉ!お前見かけゴツいのにノートは綺麗にまとめてんだな。意外だわ」

ライナー(こいつは……バカそうだからそこまで考えて喋る必要もないか)

ライナー「意外とはなんだ。俺は読みにくいと後で困るから丁寧に書いただけだ」

コニー「俺のなんかこんなだぜ」

ライナー「……お前それ読めるのか?」

コニー「もちろん!」

ライナー(明るいバカだな)

ベルトルト(こうやって見るとある程度のグループがもう出来てるな。どんどん減って行くんだろうけど)

ユミル「ふぁー眠い授業だったこと。明日は兵站行進か、何人開拓地に移動を希望するかね」

クリスタ「そんなに大変なのかな……」

ユミル「ただ走るだけでフラフラしてた軟弱ちゃんにはキツいかもな」

クリスタ「……」

ユミル「そんな深刻そうな面すんなよ、1時間でバテてたヘタレもいんだからさ」

クリスタ「体力無いのは本当のことだから……頑張らないと」

――午後――

教官「後ろまで背嚢は回ったようだな」

教官「では、これから中身の説明をしていく。足りない物が1つでもあった場合は申告するように」

アルミン(重い……これを背負って長時間を走るのか)

エレン(アルミンが不安そうだな)

ミカサ(なんか一杯入ってる。想像よりは軽かった)

サシャ(食べ物の匂いがします。携帯食ってやつですかね)クンクン

クリスタ(これを背負うんだ……)

ユミル(おうおう、クリスタちゃんの顔が真っ青で面白いこと)

教官「以上だ。背嚢の中身はどれも常にアクシデントが伴う現場において限りなく重要なものばかりである」

教官「その事を深く頭に刻み込んで今後の訓練を受けるように」

ミカサ(ナイフとかも入っていた。食料の現地調達しやすくて良い)

サシャ(我慢した!私は携帯食を食べたくなった衝動を我慢しましたよ!)

ミーナ「さて、アニ一緒に戻ろ?」

アニ「良いけど……」

ミーナ「色んな人と話したかったんだよねー」

アニ(しまった。きっかけを与えるとグイグイ絡んでくるタイプだったのかな……)

ミカサ「アルミンどうしたの?」

アルミン「えっ?あぁ、明日の兵站行進がちょっと不安でさ。ほら、僕皆よりも体力無いから」

ミカサ「不安になっても仕方ない。訓練兵は全力を尽くすだけ」

エレン「そうだぞ、お前は他の奴等が適当に流したりしてた中でぶっ倒れるまで走り続けたんだから。もう少し自信持てよ!」

アルミン「そうかな……」

アルミン(そうは言われても、二人は凄いからきっと本当の意味で共感はしてもらえないだろう。あぁ……性格悪いなぁ僕)

ミカサ(……アルミンの表情が暗い。ここは何か冗談を)

ミカサ「……」

ミカサ「アルミン」

アルミン「なに?」

ミカサ「あまり考え込むとキース教官みたいになる」

アルミン「えっ?」

ミカサ「禿げる」

アルミン「えぇっ!!」

エレン「お前いきなり何言い出すんだよ……」

ミカサ「冗談のつもりだったけど、失敗した?」

エレン「冗談ってお前なぁ……さすがに笑えねぇよ」

ミカサ「そう……」シュン

アルミン(ミカサはきっと僕の表情を見て言ったんだろうな)

アルミン(冗談はちょっと笑えなかったけど、友達を心配させたらダメだ)

アルミン「ごめんね。ちょっと楽になったよ」

ミカサ「良かった」

エレン「なんの話だ?それより夜飯まで時間あるから水汲み終わらせとこうぜ。飯の後にやるのも面倒くさいだろ」

アルミン「そうだね」

ミカサ「うん」

ミカサ(はっ!水汲みは外。アルミンはもう私達を理解してるからハグのチャンス!)

エレン「お前なんで水汲みなんて面倒なことすんのに楽しそうなわけ?」

ミカサ「特に理由は無い」

アルミン(なんだろう。何かを期待してるようにも思えるけど)

――――

ミカサ「……」

エレン「なんだ皆考えることは同じかよ」

アルミン「結構な人数がいるね」

ミカサ「……うん」

アルミン(あからさまにミカサが残念そうだけど、なんでだろ」

ミカサ(人が一杯……)

ミカサ(人前でハグしたりするのはエレンにも迷惑がかかる)

ミカサ(また我慢)シュン

おしまい。また近日中に投下します。

ここまで読んでくれた方ありがとうございます。

レス感謝です。投下していきます。

――翌日――

ミカサ「……」

ミーナ「ミカサ朝から元気ないけど大丈夫?」

ミカサ「……うん。大丈夫」

ミーナ(そうは見えないんだけどなぁ……)

アルミン(靴は大丈夫。怖いのは靴擦れやマメだって書いてたし)

エレン「アルミン走り抜いてやろうな」

アルミン「うん」

ユミル「お前チビだから背嚢が凄くでかく見えるな」

クリスタ「こ、これから身長は伸びるんだよ!?」

ユミル「どうだかねぇ」

クリスタ「なんで意地悪ばかり言うの!もう!」

ユミル「ははは、そんだけ元気がありゃ大丈夫だな」

キース「注目!これより兵站行進を始める!隊列を乱すことは許さん!死ぬ気で走れ!」

「「「「「はっ」」」」」

キース「では進め!!」

アルミン(始まった……営庭のような整地された場所とは全然違うんだろうな)

ミカサ(エレンともアルミンとも隊列が違う。寂しい)

ジャン(よっしゃ!ミカサと同じ隊列だ!良いところ見せるチャンス)

ミーナ「頑張ろうね、アニ」

アニ「うん」

アニ(隊列まで同じとはね)

エレン(道がガタガタで走りにくいな)

「くそっ、なんだよこれ……全然レベルがちげぇ」

「足が痛いよ」

「なめてたわ……きっつ」

キース「隊列が乱れているぞ!!もうバテたのか!?」

ライナー(今で15分くらいか。自分のペースで走れず、20キロ以上の背嚢とこの悪路じゃ大量の脱落者が出るだろうな)

キース「立ち止まるな!どれだけ軟弱なんだ貴様らは!!」

ユミル(教官様がお怒りだこと、まぁ、さっきから隊列がガタガタだしな)

アルミン(考えるな!ついていくことだけに集中するんだ)

ベルトルト(隣の子、アルミンだったっけ。ペースは遅れ始めたけど必死に食いついてるな)

コニー(へへっ、やっぱりこういう身体を動かしてるほうが楽で良いな)

サシャ(これお昼は携帯食食べれたりするんでしょうか……美味しいのかな)

ジャン(なんでミカサは顔色一つ変わらないんだ……)

ミカサ(前の人が遅い。でも隊列を乱したらいけない。もっとセーブして走る)

エレン(隊列乱すなって言われても、どんどん脱落者が出て隊列自体が無くなってきたんだが)

ライナー(やはりある程度残る顔ぶれは決まって来てるな)

キース(まだ時期を誤ったか……いや、今年は志願者が多いだけでそう感じるだけだろう)

キース(しかし、このまま走らせても逆に効率が悪いか。前者の遅れからペースを乱されている者も中には見える)

キース(それは怪我にも繋がる。もう少し先で一度隊列を組み直す必要があるな)

――――

キース「止まれ!隊列を再編成する!指示された者から順に列に並ぶように」

アルミン(少し休憩が出来るのか……助かった)

ユミル「おい、少し水飲んどけ。顔色が良くないぞ」

クリスタ「うん……ハァ……」ゴクッ

アニ「ねぇ」

ミーナ「なに?」

アニ「足痛めてるでしょ、さっきから走り方がおかしいよ」

ミーナ「あはは、靴が合ってなかったのかな……」

アニ「まだ時間あるみたいだから、靴脱いで見せて」

ミーナ「えっ」

アニ「早く」

ミーナ「う、うん」

アニ「うん。軽かったからこれでマシなはずだよ」

ミーナ「ありがとう。あっ、本当に楽だ」

アニ「応急措置でしかないから、酷くなりそうならリタイアした方が良いよ」

ミーナ「うん。アニって慣れてるんだね」

アニ「昔から怪我をすることが多かったから自然とね」

ミーナ「そうなんだ。頑張れるところまで頑張ってみる」

アニ「無理しない程度にね」

ミーナ「うん!」

アニ(……何やってんだろ。ほっとけば良いはずなのに)

キース「次!アッカーマン訓練兵……アッカーマン訓練兵はどこだ!?」

エレン「ミカサのやつどこに行ったんだ?」

ミカサ「戻りました」シュタッ

キース「貴様なぜ……ヘビを持っている?」

ミカサ「呼ばれるまでの時間があり、獲物を見つけたので」

キース「数分でか」

ミカサ「はい。このヘビは太くて栄養価もあります」

サシャ(か、狩人としても凄いとは)

キース「……休憩中として見逃すが、勝手な行動は控えるように」

ミカサ「はい」

ミカサ(皆で食べよ)

ジャン「な、なぁ……ヘビなんか食うのか?」

ミカサ「エレンもアルミンも食べる」

ジャン(なんだと……ウォール・マリアの奴らスゲーな)

ミカサ「食べたい?」

ジャン「えっ!お、おう!もちろん!」

ミカサ「ならあとで分ける」

ジャン「た、楽しみだな……はは」

ジャン(なにやってんの俺!!ヘビなんか食べたこともないだろ!」

ジャン「いや、しかしそんなもんすら食べられないヘタレだと思われたくないしな……)

ジャン(それにあの野郎すら食えるんだから食うしかないだろうが!)

キース「隊列の組み直しは完了だ!行進開始!」

「「「「「「はっ!」」」」」

キース(20キロ以上の重りを背負って数分足らずで野生のヘビを仕留めるとは……本当に何者だ)

ミカサ(休憩中なら良いって言われたからあとでまた捜そう)

ジャン(ヘビ肉……生じゃないよな。焼くんだよな……)

サシャ(良いなぁ、私も狩りしたい)

アルミン(この状況下で獲物まで仕留めるなんて……そのタフさ分けて欲しいよ……)

ミーナ「痛ッ!!」バシャッ

アニ「大丈夫?傷口が開いたんでしょ」

ミーナ「そうみたい……あちゃー水溜まりでビシャビシャ……最悪」

アニ「……教官!」

教官「どうした訓練兵、トラブルか?」

アニ「負傷兵です。これ以上走らせるのは無理かと」

教官「そうか。なら荷台に乗りなさい」

アニ「ほら、立って」

ミーナ「うん。ごめんね、迷惑かけて」

アニ「……」

アニ「あとはお願いします」

教官「うむ」

ミーナ「頑張ってね、アニ」

アニ「うん」

ライナー「後ろがスッキリしちまったな」

ベルトルト「そうだね。結構な人数が、荷台に乗せられてスタートに戻ったり、道端に倒れたりしたからね」

ライナー「夜食は席に困らなそうだ」

ベルトルト「かもね」

エレン「お前ら凄いな……余裕なのか?」

ライナー「余裕ってわけじゃないが、へばる程でもないな」

ベルトルト「君のツレが一番凄いと思うけど……」

エレン「ミカサか、悔しいけどあいつは凄いからな。それが身近にいるからこっちもやる気が出るんだが」

ライナー「まぁ、お前をライバル視してる奴もいるがな」

エレン「誰だよ」

ライナー「ジャンの奴だ。誰が見てもわかるだろ」

エレン「ジャンか、そういえば今ミカサと並走してんだよなあいつ。俺も負けられん」

ベルトルト(隊列乱しちゃいけないんだから並走してるのは当然な気がするんだけど……)

ライナー(目的意識も高く、根性もある。こいつ伸びるんだろうな)

キース「後続組遅れているぞ!隊列を乱すな!死ぬ気で走らんか!」

アルミン「ハァ……ハァ……」

クリスタ「ゼェ……ハァ……」

ユミル(チッ、やはり遅れてんな。倒れてないだけマシだが)

キース(うーむ。走ろうという気概は感じるが肉体面がついていかんというところか)

キース「アルレルト、レンズ訓練兵!もう少しで休憩ポイントだ!気力を保て!!」

アルミン(あと少し……あと少し!!)

クリスタ(負けない……走る……絶対走る)

ユミル(目は死んでないな、これなら倒れることはないか)

キース「1時間の休憩だ!各自昼食、怪我の治療を済ませ午後に備えよ」

ミカサ「教官」

キース「なんだ?アッカーマン」

ミカサ「狩りをしてもよろしいですか」

キース「……先程ヘビを確保したのではないのか」

ミカサ「せっかくの山なので」

キース「……休憩中ならかまわんが」

ミカサ「ありがとうございます」シュパッ

キース「……もう居なくなったな」

サシャ「やっとごはんです!ひゃっふーい!」ガサゴソ

サシャ「いただきまーす!」ガリッ

サシャ「……ほとんど味がないです」

キース「携帯食などそんなものだ。必要なカロリーの補給を目的としているのだからな」

サシャ「そうなんですね……」シュン

サシャ「……」ガリッボリボリ

サシャ(お肉が恋しい……)グスン

キース(毎度のことながら、携帯食にガッカリした表情の訓練兵が多数見られるな。何人去って行くことか)

エレン「不味いな……」ボリボリ

アルミン「美味しくは無いね……でも食べなきゃ死ぬ」ボリボリ

エレン「だな……」

ユミル「大丈夫かお前」

クリスタ「う、うん……休憩が合って助かった」

ユミル「吐くかもしれんが、メシと水分は摂れよ?」

クリスタ「そうする……」

ジャン「まっず!こんなんが毎日続くのかよ、最悪だぜ」

マルコ「確かにね……」

ライナー「侘しい食事だな」

ベルトルト「こんなものでしょ。訓練兵の食事なんて」

ライナー「そうか、そうだよな」

アニ(不味い……)

アニ(リタイア組も今頃昼食かな)

ミカサ「アッカーマン訓練兵戻りました」

キース「あぁ、ああ!?」

ミカサ「?」

エレン「ミカサ!?お前なんで両手に何匹もヘビ持ってんだよ」

ミカサ「7匹、ラッキーセブン」

エレン「そういうことじゃなくて訓練中だろうが!」

キース「いや、私が許可したからそれは良いが……」

キース(7匹とは……)

ミカサ「2匹は今、残りは夕食に提供したいのですが」

キース「かまわん。肉に変わりはない。皆も喜ぶだろう」

キース「イェーガー訓練兵支度を手伝ってやれ」

エレン「はっ!」

アルミン「ミカサまたヘビを捕ったらんだね。僕も手伝うよ」

ミカサ「ありがとう、アルミン」

ジャン(なんで普通に慣れてんのこいつら……)

サシャ「私も手伝うので一口食べたいです!」

ミカサ「うん」

コニー「なんかスゲー奴らだな……」

マルコ「そうだね、逞しく見えるよ……」

アニ(ヘビか、お父さんに食べさせられたことがあったね)

――――

ミカサ「焼けました」

キース「そうか、ヘビを昼食として食べたい奴は手を上げろ!ただしかなり好き嫌いが別れる独特なものだ」

キース「午後の訓練に不安があるものはやめたほうが良いかもな」

キース「……やはり少数だな」

ミカサ「挙手した人の分切り分ける」ザクザク

エレン「もらうな」

ミカサ「うん」

アルミン「僕も」

ミカサ「はい」

サシャ「私もです!」

ミカサ「大きいのあげる」

ライナー「これは……なかなか。ベルトルトはいらんのか?」モグモグ

ベルトルト「僕は良いよ……」

ユミル「お前も手上げたんだから早く食えよ。体力つくぞ」モグモグ

クリスタ「……にょろにょろだよね?」

ユミル「にょろにょろだ」

クリスタ「……ッ」ガブッ

クリスタ「……」モグモグ プルプルプルプル

ユミル(……なんでこいつ涙目になって震えながら食べてんの?マゾなのかこいつ)

クリスタ(ニオイがぁ!!でも体力体力……)

ミカサ「はい、ジャン」

ジャン「お、おう!サンキューな!」

ジャン(よーし!俺は食うぜ!俺はヘビを食う!なんだこんなもん。どうってことねーよ)

アルミン(うわぁ、昔の僕を見てるみたいだ)

ジャン(えぇーい!)バクッモグモグ

ジャン(ニオイする、弾力が半端ない)モグモグ

ジャン(でも、吐かねぇぞ!俺はジャンだ!吐かねぇ!)

サシャ「ミカサ!携帯食なんかより美味しかったです!ありがとうございます!」

ミカサ「良かった」

エレン「皆なかなか喜んでたな。教官公認だったわけだし良くやった」ナデナデ

ミカサ「ほわっ!久しぶりで嬉しい///」

アルミン(良かったねミカサ)

ジャン(よーし!食いきったぁぁぁぁぁ!!)

アルミン(ジャンもやりきったんだね。僕だけでも拍手を送るよ)

ライナー「お前ってヘビが似合うよな」

アニ「……どういう意味?」モグモグ

ライナー「なんだろう。きゃーきゃー騒ぐイメージじゃないから想像通りって意味だな」

アニ「……あっそ」

――訓練後――

ベルトルト「今日のでまた訓練兵が減ったらしいよ」

ライナー「予想通りだな」

ベルトルト「アニは?」

ライナー「医務室だ」

ベルトルト「えっ!怪我したの!?」

ライナー「あいつがそんなヘマをするわけないだろ」

――――

ミーナ「心配して来てくれたの?」

アニ「一応」

ミーナ「ありがとう」

アニ「……夕食には付き添ってあげる」

ミーナ「ふふ、ありがとうアニ」

アニ(ありがとう、か)

――夕食――

ミカサ「皆からの視線を感じる」

アルミン「それは仕方ないよ。ヘビを捕ったのがミカサだって皆に伝わってるから」

ミカサ「本当は鳥も捕ろうとした」

アルミン「えっ!」

ミカサ「けど、両手で塞がってたから諦めた」

アルミン(塞がってなかったら捕ってたのかな……いや、まさか……でもミカサだからなぁ)

エレン「お前、色々凄いよ……」

ミカサ「褒められた///」

ミカサ(今日は頭も撫でてもらえたし、褒められた。良い1日だ)

サシャ(ヘビ肉でもお肉はお肉です!!)モグモグガツガツ

コニー(なんだろう……こいつと同じテーブルだと食欲が無くなるわ……)

マルコ「お昼は遠慮したけど、普通に食べれるね」モグモグ

ジャン「そうだな。なんか慣れたわ」モグモグ

ベルトルト「……ライナーあげる」

ライナー「おっ、食わんのか?美味いのに」モグモグ

ミーナ「アニはイメージ通りだね……」

アニ「……」モグモグ

アニ(そんなにヘビ食べるイメージなのかな私)

ユミル「……いい加減慣れろよ」

クリスタ「だってにょろにょろだよ!?」

ユミル「にょろにょろなのはわかったから。調理されてあんまり原型……はあるけど、味は普通に食えるんだからパクっといけよ」

クリスタ「にょろにょろ……」

クリスタル「……」パクッ モグモグ

ユミル(昼間みたいに震えてないな。ちょっとつまらん)

クリスタ(体力、体力……)モグモグ

――――

キース「……今期の訓練兵は色々な意味で退屈せんな」

ここまでです。また投下します。読んでくれた方ありがとうございます。

おぉ……想像以上のレス嬉しいです。

ヘビとカエルは普通に食べれたので使ってみました。バッタは無いですが、ハチは美味しかったです。

投下していきます。

――姿勢制御――

キース「本日も姿勢制御の反復だ。始め!!」

ミカサ(この時間はずーっとエレンを眺めていられる貴重な時間)プルッ

ジャン(ミカサは相変わらずブレがない……だが、俺も負けてねぇ)プルッ

サシャ(休日ミカサを誘って狩りにでも……お肉……むふふ)プルッ

コニー(午後からは技巧か……また面倒くさいんだろうな)プルッ

エレン(この組レベル高いな!なんでこんなに動かないんだコイツら)

キース「次の組!!」

ライナー(この時間は楽でいい。本格的な立体機動の時間は別だろうが)プルッ

ベルトルト(やってる組に集まる視線が苦手だ……)プルッ

ミーナ(周りが上手い……たすけてー)プルプルプルプル

アニ(ミーナは必死そうだね)プルッ

エレン(ライナーとベルトルト身長も体重もあるのに上手いよなぁ)

アルミン(次は僕の番だ……体力関係ないのが救いかな)

ミカサ(次はエレンとアルミンだ。応援しよ)

キース「次!!」

エレン(やっぱりピタッとはいかんな……)プルルッ

アルミン(エレンが明らかに上達してる)プルプルッ

ユミル(この時間はサボれて良いわ)プルッ

マルコ(うん。だいぶ進歩した実感が出てきた)プルッ

ジャン(あいつは可もなく不可もなくってところか。注視すんのは数人程度だな)

ミカサ(さすがエレンとアルミン日に日に上達してる)

クリスタ(やっぱりユミルってあまり目立たないけど才能あるんだ)

キース「次!!」

クリスタ(集中……集中……)プルプルプルプルッ

ダズ(こんなもん余裕だぜ)プルプルプルプルプルプルッ

ユミル(クリスタとダズが並ぶと……美少女とおっさ……くふっ)

ライナー「……」ジー

ベルトルト(……なにを見てるんだ?そんなに注視する相手がいる組には見えないが)

ミカサ(そっとエレンの隣をキープ)

エレン(いつの間にかミカサが隣にいた)

キース(徐々にだが全体的に上手くはなっている)

キース(この分なら予定よりは早く次の段階に移れるかもしれんな)

――午後・技巧術――

教官「技巧術では、立体機動装置を中心として様々な兵器類の取り扱い方法を学んでもらう」

教官「火薬等を使用する場合もあるので、細心の注意を払うように」

ライナー(ここは後の為にもよく学んでおかんとな)

コニー(大砲とか撃ったりすんのかな)

教官「なお、定期的な試験が行われることが比較的多い科目なので、その点でも気をつけることだ」

コニー(おぉ……撃ったりとか以前の難関だった……)

教官「というわけで、本日は立体機動装置の根本的な知識から学んでもらう」

アルミン(ワクワクしてきた)

教官「俗に言う、立体機動装置とはアンへル・アールトネンが開発した対巨人戦用装置一式のことである」

エレン(開発者の人には感謝しなくちゃな。巨人をぶっ殺せる道具を生み出してくれたんだから)

ミカサ(エレンの横顔が輝いている。カッコいい)

クリスタ(開発者の名前とか試験に出そうだよね。メモメモ)

――――

教官「――という風に口頭で説明されても分かりにくいだろうが、立体機動の実習と並行して学ぶようになれば、より理解しやすくなるだろう」

エレン(早くその日が来ねぇかな)

コニー(……ほとんどちんぷんかんぷんだった。まずい……)

ジャン(よし、今のところ問題ないな。知識面でも誰にも負けたくねぇ。口先だけの奴が一番無様だからな)

ベルトルト(本格的な内部機構に関しては開示しないのだろうか。いや、まだわからないな)

――講義後――

サシャ「今日も1日おしまいです!あとはごはんです!」

ユミル「……お前の脳みそにはメシのことしか無いのか?」

サシャ「ごはんが楽しみじゃないんですか!?」

ユミル「そこまで楽しみにできる程のもん出ないだろ。なぁ、クリスタ」

クリスタ「でも、ちゃんと食べられるだけありがたいよ」

ユミル「かーっ、模範的だなぁ」

サシャ「ごはんは大切ですよ!」

ユミル「やれやれ、バカは本当気楽で良いな」

コニー「勉強教えてくれ!」

マルコ「えっと……今日の復習ってこと?」

コニー「そう!」

マルコ「別に良いけど、自分の為にもなるし」

コニー「さすがマルコだな!」

ジャン「俺も教えてやろうか?」

コニー「いいよ。お前バカにしそうだから」

ジャン「なっ!?人の親切心を!」

マルコ「はは……それなら3人でやろう。コニーもそれで良いだろ?」

コニー「マルコがそう言うなら仕方ないけどよ」

ジャン「この野郎……」

ライナー「どう思った?」

ベルトルト「何とも言えないかな。実際に手にしてみないと」

ライナー「だよな」

ベルトルト「うん」

アニ「何してるの」

ライナー「アニか。いや、時々は戦士らしい考えに戻しとかないとな」

アニ「相変わらず愚直というか、ベルトルトは平気に見えるけど」

ベルトルト「……僕は最初から踏み込もうとはしてないから」

ライナー「お前もわりと兵士染みてきたじゃないか」

アニ「私はそんなに単純じゃないよ」

エレン「今日の講義は面白かったな!巨人共に対抗できる技術!」

アルミン「そうだね。エレンも凄く真剣に聞いてたし」

エレン「そりゃ一番必要になる知識だからな」

ミカサ(興奮気味なエレンも良い)

ミカサ(一番興味があることは巨人関連だと理解はしているけど、それだけが全てでは危うい気がする)

アルミン(いつになくミカサがエレンに対して邪念の無い真剣な眼差しを向けてる。なにかを考えているんだろうか)

――夕食――

エレン「今日はいつもよりさらに少ないな」

アルミン「本当だね。やっぱりその日の訓練内容で変わるのかな」

エレン「そうかもな。今日は特に動いてないから、まぁ充分か」

サシャ(……いつもより少ない。お肉……)モグモグ

ミカサ(サシャが珍しくひっそり食べてる。明日は雨かな)

ミカサ(馬術訓練楽しみにしてたのに)モグモグ

サシャ(やっぱり足りない。これは……深夜に行くしかないですね)

――水汲み――

アルミン「そういえば講義の後で何か真剣な顔してたけど悩み事?」

ミカサ「えっ?」

アルミン「エレン関係だとは思うけど。本人はライナー達と先に戻ったし悩み事ならなにか役に立てるかなって」

ミカサ「エレンの事で合ってる。巨人の事になると、判りやすく感情が揺れ動くのが不安になる時がある」

ミカサ「エレンは頑固で色々と危なっかしいから」

アルミン(ミカサもエレンのことに関してはあまり変わらないような……)

アルミン「うーん……エレンの頑固さも知ってるし目的も知ってるから、ミカサが不安を感じるのもわかるけど」

ミカサ「うん」

アルミン「それを踏まえて、ちゃんと否定するとこは否定してあげたら良いんじゃないかな」

ミカサ「なるほど」

アルミン「優しくしすぎたり肯定するだけが相手の為になるわけじゃないし」

アルミン「ちゃんと自分を大事に想ってくれてる人がいると思えば、いざという時の歯止めになると思うよ」

アルミン「エレンのことだからお前は俺の母ちゃんかーとか言いそうだけど」

ミカサ「それでエレンがより良く生きていけるならそうしよう」

アルミン「はは、少しエレンが羨ましいよ」

ミカサ「どうして?」

アルミン「そこまで自分のことで悩んでくれる人は稀だと思う。特に今は……」

ミカサ「矛盾してる」

アルミン「矛盾?」

ミカサ「アルミン自分のことで悩んでくれる人は稀だと言った。けど、私の表情に気付いて共に悩んでくれた」

ミカサ「アルミンは稀な人に入ると思う。なのになぜ羨ましいの?」

アルミン「えっ……それは」

ミカサ「私はエレンだけを心配するわけじゃない。エレンもそれはきっと同じ」

ミカサ「私達とは別みたいな寂しいことを言わないで」

アルミン「……うん」

ミカサ「変なことを言ったアルミンには罰として無理難題を出す」

アルミン「えっ!?」

ミカサ「夜にエレンと離れて寝るのが寂しい。解決策をお願い」

アルミン「そ、それはミカサらしい無理難題だね……はは。どうしたら良いかな……」

ミカサ「ちょっとした冗談。将来はずっと一緒だから今は我慢する」

アルミン「ははは、もう決まってるんだ」

ミカサ「うん」

アルミン(一瞬の迷いも無い即答……これが兵士に必要な判断力か)

アルミン(僕一人で何考えてるんだろう)

ミカサ「アルミンは時々、距離感を感じさせることを言動の時がある。エレンも寂しく感じると思う」

ミカサ「ので」

ミカサ「もっと……」

アルミン「ごめんね。これからは無くしていけるようにする」

ミカサ「それが良い」

アルミン「じゃあ戻ろうか」

ミカサ「うん」

――深夜――

サシャ(皆さん寝静まりましたね。今の内に)コソコソッ

ミカサ(気配を感じた)パチッ

ミカサ(サシャの寝息がしない)スタッ

ミカサ(夕食時の静かさから察するに……確信した)

――――
――


サシャ(むふふ、侵入成功です。さーて何がありますかね)

「貴様なにをしている」

サシャ「ひっ!!」

ミカサ「やっぱりいた」

サシャ「ミ、ミカサ!?」

ミカサ「確保した。これより連れ戻す」ガシッ

サシャ「そんな!ちょっと待ってぇぇぇ」

――――

サシャ「……」グスン

ミカサ「盗むのはいけない」

サシャ「でもお腹が……」

ミカサ「皆一緒。寝れば問題ない」

サシャ「……それはわかりましたけど、なんで私は抱きしめられてるんでしょう」

ミカサ「また盗むに行きそうだから。あとエレンの代わり」

サシャ「さらっと凄いこと言った気がしますよ!?」

ミカサ「おやすみ」ギュッ

サシャ「……マジですか」

サシャ(力強っ!抜け出せる気がしない!!)

ここまでです。また書き貯めたら投下していきます。

読んでくれた方感謝です。

レス感謝です。他のスレ完結させたりで短いですが投下して行きます。

――翌朝――

ミカサ「……」パチッ

サシャ「……芋……せめて芋ぉ……」

ミカサ(起床までもう少し余裕がある。自分の寝床に戻ろう)ムクッ

ミカサ(サシャのおヘソ出てる。毛布を掛け直しておこう)スッ

ミカサ「……」スタスタ

ユミル(早起きな奴だ。その気配で起きたけど)

ミカサ「……」モゾモゾ

ユミル(しかし、なぜサシャの寝床から?)

ミカサ(今日は馬術がある。お馬パカパカ?パカラッパカラッ?どっちだろう)

――――

ミカサ「……」シュパッ ババッ

ミカサ「着替えた。ミーナ行こ……」

ミーナ「ごめんね。アニ待ってるから先に行ってて?」

ミカサ「わかった」

ミカサ(ならサシャを起こそ……)

ユミル「起きろーメシだぞ」

サシャ「ごはん!!昨日食べれなかったから今日こそは!」シュバッ ダダダダッ

ユミル「起こしてやったんだからなんか言ってけよ……」

クリスタ「はは……サシャらしいよね」

ミカサ(サシャも先に行った。仕方ない一人で行こう)

ミカサ(私はもっと外向的になるべきだろうか)トボトボ

ミカサ(なんだかんだでエレンとアルミンは周りと仲良くやってるみたいだ)トボトボ

ミカサ(私が一人でいると心配されてしまうのではないだろうか)トボトボ

ミカサ(いっそのこと同性だったら良かった。そしたら家族としても友達としてもずっと側に居れる)トボトボ

ミカサ(でも結婚が出来ない!!これは試練に違いない。自力で友達作りをしなくては)トボトボ

ユミル「あいつなんで朝っぱらから辛気臭い顔してんだ?」

クリスタ「ミカサ?なにかあったのかな?」

――食堂――

アルミン「あっ、ミカサ来たみたいだよ」

エレン「ん?珍しく一人か」

アルミン「みたいだね。ミーナと仲良かった気がしたけど」

エレン「あとサシャか?」

サシャ「ごはん!ごはん!!」ガツガツガツ モグモグ!

コニー「なぁ、サシャって猛獣かなにかなのか?」

ジャン「知らんが……尋常じゃなく空腹だったんじゃねぇか?」

マルコ「朝から凄いのが見れたね……」

エレン「なんかサシャってスゲーな」

アルミン「そうだね……」

ミカサ(エレンとアルミンを発見。アルミンが手招きしてるけど)

ミカサ(朝食を共にするのも友達作りの大事なキッカケになるのではないだろうか)

エレン「あいつ立ち止まってなにしてんだ?」

アルミン「さぁ?考え事?」

ユミル「おい」

ミカサ「?」

ユミル「メシ食う場所に困ってんなら私らの所空いてんぞ」

クリスタ「一緒に食べない?」

ミカサ(これはお誘い!?)

ミカサ「じゃあ、座らせてもらう」

エレン「なんか珍しい奴らのとこに座ったな」

アルミン「そうだね。初めて見る組み合わせかも」

エレン「何にしろ女同士の付き合いが上手くやれてるってことだろ」モグモグ

アルミン「そうだね。ミカサって同世代の女友達いなかったもんね」モグモグ

エレン「まぁ、3人行動ばかりだったからな」モグモグ

アルミン「繋がりが増えるのは良いことだね」

エレン「あぁ、良いことだ。母さんみたいに世話も焼かれずに済むしな」

アルミン「それが本音なんだね……」

クリスタ「ちゃんとした会話するの初めてだよね」

クリスタ「私はクリスタでこっちがユミル。同室だけど覚えてくれてる?」

ミカサ「うん。私はミカサ、改めてよろしく」

クリスタ「うん。よろしくね!」

ユミル「で、ありゃどっちがお前の男なんだ?」

ミカサ「男?」

ユミル「さっき見てた金髪の優男と、黒髪の目付き悪い野郎だよ。喧嘩でもして気まずかったんじゃないのか?」

ミカサ「私が二人と喧嘩する理由はない」

ユミル「ふーん、私の読み違いか」

ミカサ「それに、二人にはちゃんと名前がある」

ユミル「名前?別に覚える必要を感じないね。黒髪はまぁ根性ありそうだが」

ユミル「金髪の方はすぐにでも逃げ出しちまいそうだしな」

クリスタ「ちょっとユミル……」

ミカサ「アルミンは絶対に逃げ出さない」

ユミル「そうか?私にはそう思えないけどな」

ミカサ「……」

クリスタ(ミカサ怒ってる?)

クリスタ「二人ともごはんは仲良く食べよう?ねっ?」

ミカサ「うん」モグモグ

ユミル(なんだ食ってかかって来ないのか)

ミカサ「ごちそうさま」スッ

クリスタ「あっ、ミカサ……」

ミカサ「ユミル」

ユミル「なんだよ」

ミカサ「私はあなたが悪い人とは思えない」

ユミル「は?」

ミカサ「私が立ち尽くしてる時に声をかけて誘ってくれたのはあなただ」

ユミル「ただの気まぐれだけどな」

ミカサ「それと、口が悪い人の相手はエレンで慣れてる」

ミカサ「ので」

ミカサ「これからも仲良くしてほしい。そして、二人の名前を覚えてくれると嬉しい」

ユミル「変な奴だな」

ミカサ「?」

ユミル「よく恥ずかしげもなくそんなこと言えるなってことだ」

ミカサ「仲良くしてほしいと言うのが恥ずかしいの?」

ユミル「あーもう!調子狂うからさっさと行けよ」シッシッ

ミカサ「うん」スタスタ

クリスタ「ふふっ」

ユミル「なに笑ってんだよ」

クリスタ「ミカサの方が一枚上手だったね」

ユミル「お前が笑うことかぁ?」ムニー

クリスタ「いふぁいよ!ほっへふままないへよ!」

ユミル「笑った罰だ」

ユミル(ミカサか、無表情な上によくわからん奴だな)

短いけどここまで。読んでくれた方ありがとうございます。

投下していきます。レスありがとうございます。

――馬術訓練――

教官「本日は馬術訓練である。出身地や環境によって、馬に慣れ親しんでいた者もそうでない者もいると思うが」

教官「馬術は兵士に必要不可欠なもの且つ、相手は同じ生き物なので真摯な姿勢で学ぶように」

エレン「やっぱり馬ってカッコいいよな」

アルミン「近くだと凄く大きく感じるね」

ライナー「町育ちだと馬と接することが少ないのか?」

エレン「まぁな、町中で目にすることはあっても直に接することはなかった」

ライナー「なるほどな」

サシャ「わぁ、どの子も大切に育てられてますね」

ミカサ「詳しいの?」

サシャ「そりゃあ、狩猟で生活してましたから。馬とは本当に小さな頃から繋がりがありました」

ミカサ「狩猟民族と聞いた。私も山育ち」

サシャ「やっぱり!だから身体能力がずば抜けてたんですね!主に何を狩って?」

ミカサ「狩りはしてなかった。野菜とか育てるのを手伝っていた」

サシャ「えっ、そうですか……」

サシャ(てっきり弓を手に山奥を駆け回ってたと思ったのに)

教官「まずは班ごとに与えられた馬の前に集まれ」

「「「「「「はっ!」」」」」

教官「うむ。では私が乗り方の見本を見せる。それに倣い班内で決めた順番で馬に跨がるように」

スッ グッ ストッ

エレン(おぉ、さすが教官見事なもんだな)

アルミン(馬も落ち着いてるなぁ、真似すれば大丈夫だ)

ミカサ(覚えた)

教官「次に降りる際だが、雑にやらないことが基本だ」

サシャ(お父さんにも言われたなぁ、なんだか懐かしい)

教官「ここの馬達は比較的おとなしい。仮に落ちても大怪我をすることはないから恐がらずにやることだ」

エレン「俺たちの班はコニーからだったな」

コニー「おう、馬には村で慣れてるから余裕だぜ」

スッ グッ ストッ

コニー「よしよし、良い子だ。お前は賢いな」

エレン「おー!スゲーなコニー」

アルミン「本当に慣れてるんだね」

コニー「あぁ、それにここの馬達は皆良い馬ばかりだぞ」

エレン「そんなことまでわかるんだな。すげぇ」

マルコ「あいたっ!」ドスンッ

ジャン「おいおい、訓練所の馬にすら乗れないんじゃ憲兵団になんか行けねぇぞ?」

マルコ「馬が動いてさ……いてて」

ジャン「お、おい大丈夫かよ?どっか痛めたのか?」

マルコ「いや、尻を打っただけで一時的だろ」

ジャン「なるほどな」

マルコ「もう一回、頼む乗せてくれ」ナデナデ

マルコ「動かないでくれよ……」

スッ グッ ストッ

マルコ「よし!いけた。ありがとうな乗せてくれて」

アニ「……」

スッ グッ ストッ

アニ「……」ナデナデ

ミーナ「おぉ、難なく乗れたね」

アニ「一応お父さんから教わったりしてたから」

ミーナ「良いお父さんなんだね。私は今日が乗馬初めてだから凄い緊張してる」

アニ「そんなに心配しなくてもこの子は素直だよ」

ミーナ「それなら安心かな、綺麗な目をしてるもんね」

アニ「……そうだね。動物は綺麗な目をしてると思うよ」

グッ スッ トンッ

アニ「交代」

ベルトルト「……」

ミカサ「……」

ダズ(この班会話がねぇ)

トーマス「上手いもんだなベルトルト、慣れてるのか?」

ベルトルト「えっ、あっ、うん。村で乗ってたから」

トーマス「なるほど。身長もあるから馬に乗るとさまになるな」

ベルトルト「そうかな……」

ミカサ(馬のしっぽ……やっぱりサシャの髪型に似てる)

ベルトルト(ミカサが馬を凝視してるけど、なんだろ?……まぁいいや、交代しよう)

サシャ「良い子良い子」ナデナデ

ユミル「ふーん、上手いもんだな」

サシャ「この子は耳が前を向いたままですから落ち着いてますね」

ユミル「耳で機嫌が判るのか?」

サシャ「耳だけじゃないですけど、馬はほとんど全身で感情を表現するんです。たぶん教官も教えてくれると思いますよ」

ユミル「サシャもただの食い意地張ったバカってだけじゃないんだな」

サシャ「あれ?名前覚えてたんですか?」

ユミル「うっせ芋女」

サシャ「あれ!?」

エレン「次は俺だな」

コニー「あんまり勢いつけるなよ?」

エレン「わかってるって……うわっ」ドスンッ

コニー「言わんこっちゃねぇ」

エレン「いてぇ……避けやがった」

ジャン「おやー?顔が恐くて馬に逃げられたのか?だっせぇなぁ」

エレン「なんだとこの……」

マルコ「おい、ジャン」

ジャン「悔しかったら早く乗れよ俺みたいに」

エレン「お前は馬面だから仲間と思われてさぞ簡単だったろうさ」

ライナー「ぶふっ!」

ジャン「なんだとコラ!!」

アルミン「エレンもやめようよ……」

エレン「最初に絡んで来たのはあいつだろ」

コニー「お前らが騒ぐから馬が不安がってんだろ……よしよし、怖くないぞ」

ライナー「そんなに馬に詳しいわけじゃないが、上手く乗りたいなら騒ぐのはタブーだ。馬はバカじゃないからな」

エレン「そうか……悪かった。次は乗せてくれよ」

コニー「落ち着いてきたな。やってみ」

エレン「あぁ」

スッ グッ ストン

エレン「乗れた!ありがとうなお前」ナデナデ

ジャン「けっ、乗れやがった。つまんね」

マルコ「お前なんでそんなにエレンにだけ絡むんだよ。他の奴とは普通にやってるのに」

ジャン「別に訓練兵全員と仲よしこよしでいなきゃいけねぇ訳じゃないだろ」

マルコ「それはそうだけど」

ジャン「陰でコソコソ言うわけじゃあるまいし、本人も言い返してんだから問題ないだろ」

マルコ「うーん……まぁ、お前が卑怯者じゃないのは判るんだが仲間なんだからさ」

ジャン「わかったわかった」

教官(やれやれ、例年通り騒がしい班や上手い下手が見事に別れているな)

ミカサ「……」

トーマス「えっと……ミカサだっけ?お前もやっぱり経験者なのか?」

ミカサ「今日が初めて」

教官(なんと……確かこの子は教官達の間で噂の訓練兵だったな。馬術のセンスまで持ち合わせているとは……)

ベルトルト(教官の目がミカサに釘付けだ。初心者ってレベルじゃないってことか)

ベルトルト(やっぱり色々な意味でこの子は要注意だな)

教官「さて、一巡したようなので次は歩法の訓練に移る」

教官「本日は常歩と速歩だ。この二つが基本であり、そこから難易度が上がっていく」

教官「まずは常歩からの手本を見せる」

教官「姿勢はまっすぐに、前を見て鐙にしっかりと足をかける。走り出す時はかかとで馬の腹部を蹴り合図をする」

教官「そして、止まる時には手綱を引くこと。基本で大事なのは自分がリーダーであることをしっかりと馬に伝えることだ」

教官「そして、歩きだすとこんな感じになる」

トコトコトコトコ

エレン(馬がゆっくり歩く感じか?あんまり速くないな)

アルミン(簡単そうに見えるけど……姿勢を保ったままなのは難しいんだろうな)

ミカサ(しっぽがフリフリしてる。可愛い)

サシャ(あぁ、最初は蹴ったりするのが可哀想で苦戦したなぁ……しかしさすがは教官です。馬が安心しきって従ってますね)

マルコ(動いてる時に落ちたらさっきのより痛いんだろうな)

教官「騎手には軽く揺れが伝わる程度なので恐がらずに姿勢を保つこと。次に速歩」

タッタッタッタッタッ

教官「常歩より速度は上がり、揺れも強くなる。狩猟経験者には一番慣れている歩法だとは思うがな」

ユミル「そうなのか?」

サシャ「そう言われたらそうですね。弓を使う時にはあのくらいかもです」

ユミル「なるほどな」

教官「では、経験者を補助として未経験者から馬に乗って実践するように」

「「「「「はっ!」」」」」

アルミン「じゃあ僕からやるね」

コニー「おう、補助は任せとけ」

エレン「頑張れよアルミン」

アルミン「うん!」

アルミン(えっと……姿勢を正しく、手綱を握って鞍も鐙も大丈夫。よし)トントン

アルミン「あれ?」

コニー「たぶん合図が弱いんだ」

アルミン「なるほど」トンットンッ

ブルルッ トトトッ

アルミン「やった、歩いてくれた」

トコトコトコトコ

アルミン「教官は軽い揺れって言ったけど結構……」

クリスタ「……」

サシャ「あれ?クリスタ普通に速歩も出来てましたね」

クリスタ「えっ、あっ」

クリスタ(しまった)

ユミル「お前体力も無いし、どう見ても山村育ちって感じじゃないが、どこかで習ったりしたのか?」

サシャ「そうですね。最初から馬に慣れてる感じでしたけど」

ユミル「……もしかして良いとこの出か?」

クリスタ「まさか!その、たまたまだよ……あまり動物には嫌われないから」

サシャ「神様ですもんね!」

クリスタ「そんな……はは」

ユミル「……」

「きゃあああああ!誰かあああああ!」

エレン「なんだ?」

コニー「まずいぞ!あの女を乗せた馬暴走してる」

教官「おい!手綱から手を放すんじゃないぞ!?」

ライナー「チッ!」

ジャン「おいライナー!?」

マルコ「凄いな、もう教官の馬に追いつきそうだ」

ジャン「あいつあんなに速く馬を走らせられたのか」

教官「む!訓練兵か」

ライナー「お手伝いします!俺が進行を防ぐので教官はその隙に」

教官「そうだな」

ライナー(もう少しだな)

ライナー「今だ」

ヒヒイーン!

教官「速度が落ちた。今なら移れる!」バッ

「教官!」

教官「よし、もう大丈夫だ。安心して良い」

ライナー(なんとかいけたな)

――――

教官「ブラウン訓練兵だったな、咄嗟の判断と協力感謝する」

ライナー「いや、丁度馬に乗ってましたから」

「あの、ありがとう」

ライナー「あぁ、怪我がなくて良かったな」

教官(思っても行動に移せるかは別物だが……今期は楽しみだな)

――――

エレン「今日のライナーはカッコ良かったな!なんか助けた後の対応も兵士って感じでさ!」

ライナー「よせよせ、あれくらい誰でもやれるって」

マルコ「いや、思ってもなかなか出来ないと思うよ」

アルミン「うん!確かにカッコ良かった」

ライナー「そ、そうか?まぁ、この話は終いだ!むず痒くて仕方ない」

ベルトルト「……」

ベルトルト(即行動に移すのは悪いとは言えないけど、何故だろう……いやに不安を感じる)

アニ(ライナーの奴、見てるこっちがハラハラすることをしないでほしいね)

ミカサ「アニ」

アニ「ん?」

ミカサ「厩舎の掃除当番表見てない?今日は私達の班」

アニ「そうなんだ。見てなかったごめん」

サシャ「ミカサーアニー行きますよー」

アニ「あの子も?」

ミカサ「うん。あとマルコ、ベルトルト、トーマス」

アニ「なるほど」

ミカサ「行こう?」

アニ「うん」

アニ(ベルトルトのヤツも同じ班か、ライナーのこと話しとこう)

――厩舎――

教官「――手順は以上だ。これは馬術訓練の一貫である。手を抜かずしっかりやること」

「「「「「はっ!」」」」」

教官「済んだら呼びに来なさい」スタスタ

マルコ「よし、テキパキやろうか」

トーマス「そうだな」

サシャ「まずは掃除から、それが済んだら馬達に餌と水ですね」

――――

アニ「あのさ」ザッザッ

ベルトルト「なに?」ザザッ

アニ「ライナーだけど、少しは自重するように言ってよ」

ベルトルト「言ってもライナーはライナーらしくしか行動しないと思う」

アニ「それはわかるけど」

ベルトルト「中にはライナーに憧れるような目で見てる訓練兵もいるから」

アニ「あいつに憧れる?あんたが冗談言うとは思わなかったよ」

ベルトルト「……一応、注意はしておくよ」

アニ「うん」

ベルトルト(……こう言われても、やっぱり成るようにしかならないんだろうけど)

ベルトルト(いつかもしライナーが変わっても、きっとアニは変わらないだろう。二人いれば大丈夫なはずだ)

ミカサ「干し草をモシャモシャ食べてる」

サシャ「馬は餌も水も大量ですよ」

ミカサ「やっぱりしっぽがあると皆食いしん坊」チラッ

サシャ「あっ!今私を見ましたね!?」

ミカサ「見てない」

サシャ「絶対見ました!」

ミカサ「食いしん坊じゃないの?」

サシャ「違いますよ!」

ミカサ「夕食のパンあげようと思ったけど」

サシャ「ミカサ大好きです!」ダキッ

ミカサ「嘘」

サシャ「しょんなああああ!」

ミカサ「やっぱり食いしん坊」

サシャ「嘘はいけないんですよ!?」

マルコ「賑やかだなぁ……」

ここまでです。読んでくれた方ありがとうございます。

また近い内に投下します。

レス感謝です。書き貯めをミスで消してしまい散々でした。

――数日後――

キース「以上で本日の兵站行進は終了するが、クソみてぇなウスノロが多々見られてる」

キース「明日は休日だが、貴様に本当の休みは無いと思え!」

キース「いいか!一日でも無駄に過ごせば痛い目を見るのは自分自身だ」

キース「では解散!!」

「「「「はっ!」」」」

エレン「おいアルミン大丈夫か?」

アルミン「うん……」

アルミン(遅れる顔ぶれが決まってしまってる。少しでもそこから抜け出す努力をしなきゃ)

――夕食――

サシャ「ミカサー明日の予定は何かありますかー?」

ミカサ「エレンと一緒にいる」

サシャ「あちゃーもう予定入ってましたか」

ミカサ「エレン次第」

エレン「おい、そんな約束もしてないし勝手に決めんな」

ミカサ「エレンは何するの?」

エレン「とりあえず午前中は寮の片付けとかやってあとは決めてないな」

ミカサ「なら、午後から一緒にいたい」

エレン「やだよ。だいたいサシャが先に誘ってくれてんだからそっちに付き合えよ」

ミカサ「サシャとは同性だし部屋も同じ、休日くらいはエレンと居たい」

エレン「そんなことより、サシャは何か予定あったんだろ?」

サシャ「そうです。山に狩りに行かないかなぁと」

ミカサ「狩り?」

サシャ「そうです。ミカサは教官から一目置かれてるみたいですから許可が出やすいかなって」

エレン「良いじゃないか。なんか獲物狩って来てくれよ」

ミカサ「エレンも一緒に行けば良い」

エレン「やっぱりそう来るよな」

エレン「アルミンも行かないか?」

アルミン「えっ、何が?」

エレン「聞いてなかったのか?アルミンにしては珍しいな」

アルミン「ごめん、少しうとうとしちゃって」

サシャ「ここ最近はひたすら兵站行進とかでしたからね」

エレン「なら無理か?」

サシャ「体力が無い時に山中は自殺行為に等しいですから」

アルミン「明日の予定かな?僕は少しだけ休みたいかな……」

ミカサ「それも正しい選択。アルミンは頑張っていたから」

アルミン「……」

エレン「やっぱり俺いいわ」

ミカサ「なぜ?どうして?理解出来ない」ズイッ

エレン「お、おう……」

ジャン(あんの野郎近すぎんだろうが!!しかも聞こえたが羨ましい誘いを断るだと!?)

エレン「だって女二人と俺一人とか……アルミンが参加なら良かったけど」

ミカサ「なら二人きりで行こう」

エレン「おい」

サシャ「なら適当に誰か男の子誘えば良いんじゃ無いですか?」

ミカサ「今日のサシャは冴えてる」

ジャン(チャンスか)

エレン「誰かねぇ」

ジャン「おい、俺が付き合ってやるよ」

エレン「お前は無いわ」

ジャン「あぁ!?」

ジャン「なんで俺が無いんだよ」

エレン「お前やけに俺に絡んでくるし」

ミカサ「……」ジーッ

ジャン「そ、それはほら男同士のコミュニケーションのな」

エレン「初耳だ。それにそんなの無くてもアルミンとは仲良くやってる」

ミカサ「……」ジーッ

ジャン「とにかく俺を誘えよ!」

エレン「えー」

サシャ「わかりました!ジャンはとてもお腹が空いてるから、獲物を自分で捕りたいんですよね」

ジャン「えっ、あぁ」

エレン「なんだよ、お前も食い意地張ってただけかよ。それならそうと先に言えよな」

ジャン「なら良いのか?」

エレン「良いんじゃね?捕れるかどうかは俺にはわからんが」

ミカサ「エレンが良いなら良い」

サシャ「じゃあ食べ終わったら教官に許可貰いに行きましょう」

ジャン「まだだったのかよ」

サシャ「ジャン」チョイチョイ

ジャン「なんだよ」

サシャ「パンください」

ジャン「はぁ?」

サシャ「フォローしましたから」ボソッ

ジャン「……」

ジャン(こいつ意外にしたたかだな)

――――

ジャン「俺らも行くぞ」

エレン「サシャとミカサだけじゃダメなのかよ」

ミカサ(ジャン良い判断。エレンと近くに居れる)

サシャ「さー行きましょう」

エレン「だそうだからアルミンは先に戻っといてくれ」

アルミン「うん」

ジャン「さっさと行くぞ」

エレン「おう」

ミカサ(並んで歩けるだけで安心する)

サシャ「えーっと教官室はどこでしたっけ」

ジャン「お前食糧庫は初日に覚えたくせにそういうのは覚え無いのかよ」

教官「は?」

ミカサ「狩りの許可をください」

教官「狩りとは?」

ミカサ「山で狩りをしたいので許可をください」

教官「……」

ジャン「だーっ!そんな大雑把過ぎるので伝わるか」

サシャ「た、たしかに」

エレン(あれ……こいつ俺にはわりと流暢に話してたはずだが)

ミカサ「……」シュン

キース「何の騒ぎだ貴様ら」

教官「あぁ、何かの狩りをしたいらしいが要領を得なくてな」

キース「狩りだと?」

キース「なるほど。しかし許可はできんな」

ジャン(普通に考えればなそうなるわな)

サシャ「えぇ……」

キース「確かに訓練所が所有する山中には野生の動物も多い。狩りもできるだろう」

キース「だが熊や猪などに遭遇すれば最悪死ぬ」

エレン(熊ってあれか?なんかでかい奴か)

ミカサ(そういえばお父さんも言ってた)

キース「死ぬ覚悟で行くなら話はまた別だがな」

ジャン(訓練ならまだしもそんなんで死にたくはねぇなぁ)

キース(まぁアッカーマンと、ある種の野生を感じるブラウス訓練兵がいるなら問題が無い気がするが)

サシャ「教官!」

キース「なんだブラウス」

サシャ「私は狩猟で生活してる村の出で、幼少から山の知識も獣の知識も叩き込まれています」

キース(その他の常識も叩き込んでおいて欲しかったものだが)

サシャ「さらに!このミカサは山育ちです!(野菜育ててた子ですが)」

ジャン(あぁ、だからか)

エレン(そういえば山に家が在ったな)

キース「間違いないか?アッカーマン」

ミカサ「はい。山育ちです(嘘はついてない)」

キース「なら午前から正午まで、こちらが渡す装備、及び指定の衣服で行動するなら許可を出そう」

エレン(おぉ、なんか知らんが許可が出た)

ジャン(意外にゆるいのかこの訓練所)

サシャ「ありがとうございます!むしろしっかり時間決まってるほうが安心です」

キース「ならば私に付いてこい」

サシャ「はい!やったー!」

ジャン「はしゃぐなよ……」

キース「訓練兵の貴様らに銃器の類いは渡せん。ただし救援弾だけは別だ。使わないで済むようにしてほしいがな」

キース「そして熊避けの鈴とサバイバルナイフ、地図にコンパスだ」

サシャ「わかりました!」

キース「しかしわからんな」

サシャ「何がでしょうか?」

キース「なぜ、休日に危険を冒してまで山に入ろうとするのか。前例が無いぞ」

サシャ「それは狩猟の民が何故獲物を狩るかということでしょうか?」

ジャン(ちげぇだろ!バカかこの芋女)

キース「……まぁいい。精々自分達が喰われないことだ」

――――

サシャ「じゃあ明日は早起きしてくださいよ!?」

ジャン「いや朝飯の時間決まってんだろ」

ミカサ「休日だから皆もゆっくり」

エレン「俺も早起きはなぁ」

サシャ「むぅぅ、これだから街育ちの子達は」

ジャン「村育ちの朝は早いってか?」

サシャ「狩りをする前日は興奮して寝れないもんですよ!」

エレン「別に俺ら狩猟で生きてきてないからなぁ」

ミカサ「エレン時間で生きてきたから」

ジャン(幻聴だ)

サシャ「あっ、でも朝ごはんも大切ですよね。しっかり食べて行かないと」

ミカサ「それが良い」

エレン「どうせ蛇かカエルくらいは捕れるだろ」

ジャン「お前の前提おかしいぞ」

ミカサ「どっちも美味しい」

ジャン「たしかに美味いよな!」

サシャ(ジャンってもっと賢い人だと思ったんですけどね)

エレン「いい加減寮に戻るぞ」

ミカサ「……」クイックイッ

エレン「袖を引っ張るなよ……明日は一緒だろ」

ミカサ「……うん」

サシャ(乙女ですねぇ)

――男子寮――

ジャン「おいエレン、寝坊すんなよ?」

エレン「しねぇよ。お前どんだけ楽しみにしてんだよ」

ジャン「お、お前なぁ!」

エレン「なんだよ」

ジャン(なんでこいつはミカサと行動できるのに冷めきってんだよ……サシャはどうでもいいとして)

エレン「なんも無いなら俺は寝るぞ。やることも無いしな」

ジャン「けっ!寝ろ寝ろ」

エレン「おう、おやすみ」

ジャン(俺ももう寝るか。山とかぶっちゃけ未体験だしな)

――女子寮――

ユミル「お前ら遅かったな。まーたなんか教官に怒られてたのか?」

サシャ「違いますよ!明日の狩りの許可をもらってたんです」

ユミル「狩りだぁ?ミカサもかよ」

ミカサ「うん。エレンとジャンも一緒」

ユミル「あらあらまぁまぁ、男女4人で仲良くってか?お盛んだねぇ」

クリスタ「そういうことは言わない方が……」

ユミル「おやー?クリスタちゃんはどんなことを想像したんですかねぇ」ツンツン

サシャ「ユミルが悪い顔してますね……」

ユミル「ほーれほれ言ってみー?」ツンツン

クリスタ「うぅ……」

ミカサ「ユミル、クリスタが困ってる」

クリスタ「ミカサ」

ユミル「ハハハ良かったな、ミカサに庇ってもらって。さーって寝るかな」

ミカサ「私もそろそろ寝る」

サシャ「今日は食糧庫に行かないからちゃんと自分の所で寝てくださいね」

ミカサ「わかってる。おやすみ」

サシャ「おやすみなさい!明日は絶対に獲物をゲットしましょうね」

ミカサ「そうだね」

――翌朝――

サシャ「朝でーす!」ガバッ

ミーナ「えぇ……今日休日でしょ……」

ユミル「……サシャが早起きとは」

ミカサ「おはよう」

サシャ「起きましたねミカサ!」

ミカサ「サシャ騒ぎすぎると皆に迷惑」

サシャ「はっ!皆さんすみません……」

クリスタ「おはよう皆」

ユミル「お前も起こされた口か」

アニ(……休日なのに早い子達)

ミカサ「支度を済ませよう」

サシャ「そうしましょう!」

――食堂――

サシャ「あの二人はー」キョロキョロ

ミカサ「まだ来てない」

サシャ「遅刻ですね!あれだけ言ったのにー!」

ミカサ「私達が早いだけ。一番乗りだから」

サシャ「あはは……そうみたいですね」

エレン「うわっ、本当にもう居た」

ジャン「俺の言った通りだろ?サシャはバカだからな」

サシャ「第一声がバカって酷いですね!」

ミカサ「エレンおはよう。アルミンは?」

エレン「おう、アルミンならまだ寝てたからそのまま来た」

――――

サシャ「あっ、パンは残してくださいね」

ミカサ「え!?」ガタッ

ジャン「俺ら今日死ぬのか!?」ガタッ

エレン「サシャどうしたんだよ!ミカサすら驚いてんだろうが!」ガタッ

サシャ「……いまさらなんですけど、私ってそんな思われ方なんですね」

サシャ「じゃなくて。山でトラブルがあった場合と獣に遭遇した時の対策用にですよ」

ジャン「あ、あぁ……ビックリさせんなよ」

ミカサ「エレン怖かった」クイッ

エレン「無表情で言われてもな。あと袖を引っ張るなよ、スープ飲めないだろ」

――――
――


サシャ「さて!準備万端ですね!」

ミカサ「うん」

ジャン「休日に訓練服着んのもなぁ」

エレン「なんか訓練しに行く気分だな」

サシャ「二人とも山をなめてますね?素人が軽装で登ろうもんなら本当に死にますよ」

ジャン「お前が言ってもなんだかなぁ」

キース「なら私が言ってやろうか、キルシュタイン」

ジャン「教官!?」

キース「何を驚いている。出発時刻は昨夜確認したはずだが」

ジャン(そうだったわ)

キース「精々、用心することだ」

ジャン「は、はい!」

サシャ「では出発です!」

中断。狩り編は夜か明日投下します。

投下します。

――山の入口――

サシャ「教官から許可された山はここですね。うん、地図でも間違い無いです」

エレン「意外に歩いたな」

ジャン「まさか山の入口でもうへばったのかよ」

エレン「そんなわけねぇだろうが」

ミカサ「やめなさい」

サシャ「はいはい、無駄な体力を使わずに入りますよ。ほとんど獣道らしいですから足下気を付けてくださいね」

ジャン「あのよ……毒蛇とかいないよな?」

サシャ「どうでしょう、この辺はわかりませんね」

ジャン「そうか……」

サシャ「うーんと渓流がありますね。一先ずそちらを目指しましょう」

エレン「あれ?山奥じゃないのか?」

ジャン「バカだな。あれだろ?飲み水の確保だろ」

ミカサ「魚狙いかも」

サシャ「飲み水は持って来てるので充分ですよ。それに山の生水なんかお腹壊しちゃいますよ」

エレン「だってさ」

ジャン「し、知ってたからな!」

サシャ「ちょっとジャン静かにしてくださいよ」

ジャン「わりぃ……」

ミカサ(山を登るエレンかっこいい)

サシャ「本当は寒い時期が一番なんですけどねぇ」ザクザク

ジャン「なんでだよ、今みたいに大して暑くも寒くもない時期が楽なんじゃないのか」

ミカサ(私が最後尾。横2列ならエレンの隣を歩けるけどお互いに木々で怪我をするかもしれない……悩む)

サシャ「寒い時期になる前に沢山食べて獲物が肥えてますし、味も違いますよ」

ジャン「ほう」

エレン(先導しながら邪魔になりそうなの斬り落としてる、さすがに山に慣れてるからか。そしてミカサの視線を感じる……)

――――

サシャ「水音がしますね」

ミカサ「確かに」

ジャン「そうか?お前ら耳良いな」

エレン「俺も聞こえないな」

サシャ(本当に野菜作ってただけなんでしょうか。驚きの身体能力です)

ミカサ「あっちの方」

サシャ「そうですね。行きましょう」

エレン「俺達必要か?」

ジャン「それを言うなよ。俺もお前も山は素人だろ?仕方ねぇよ」

エレン(なんかミカサも野菜とか作ってただけで、特に山に詳しいとか聞いた覚えが無いんだが)

ジャン「お、見えた。さっさと行こうぜ」

サシャ「待ってください」キョロキョロ

ジャン「なんだよ。お前が水辺探してたんだろ」

サシャ「大丈夫みたいなので行きましょう」

ジャン「無視すんなよ!」

ミカサ「ジャン、サシャは水を飲みに来てる獣がいないのを確認していた」

ジャン「お、おう。そうなのか」

エレン「なんでミカサはわかったんだよ」

ミカサ「勘」

エレン「ちょっと感心したのを返せ」

ミカサ「感心された///」

ジャン(よし、行こう)

サシャ「疲れたり怪我をしたりした人はいませんか?」

ミカサ「大丈夫」

ジャン「このくらいで疲れるかよ」

エレン「だな」

サシャ「じゃあ、とりあえず渓流釣りをしたい人!」

ジャン「はぁ?狩りって熊とか猪を狩りに来たんじゃないのかよ」

サシャ「川魚も美味しいですよ。あとは山菜やキノコ類に見つけたら蜂の巣とか」

ジャン「いや、だから……熊とか猪をだな」

サシャ「そのつもりで、猪とかまぁ山の生き物を狩ってすぐ渓流で血抜きできるように来たんですが……」

ジャン(やっべ、普通に生々しい理由だったわ)

サシャ「その……」

ミカサ「どうしたの?」

エレン「やっぱりあれか?銃とかないと無理とかか」

サシャ「弓矢忘れて来ちゃいました!てへっ」

ジャン「返しに困るわ」

エレン「狩猟民族って弁当忘れたみたいなノリで言うんだな」

ミカサ「なるほどこれが天然のドジ、勉強になる」

ジャン「えっ、てことは猪とかに出くわしたらどうすんだよ」

サシャ「うーん……とりあえず額ぶん殴って気絶させてから一思いに心臓刺し殺せば大丈夫ですかね?」

ミカサ(なぜだろう、出来る気がする)

エレン(よく考えたらそんな光景あったな)

ジャン「バカか!無理に決まってんだろうが!」

サシャ「そうですか?私あまり大きくなかったですがありますよ」

ジャン「あんのかよ」

サシャ「とりあえず新しい足跡も木々に爪痕もなかったからまぁ大丈夫かと」

ジャン「……」

サシャ「とりあえず竿を作りましょう。そこら辺にあるしなりそうな木の棒に」ガサゴソ

サシャ「これを先端に結んで、釣り針を付けてあとはそこら辺の虫でいけますよ」

ジャン「アバウトだな、おい」

サシャ「ジャンは細かいですね!そんなことばかり気にしてるとモテませんよ?私達の村なら一番人気ないタイプですね」

ジャン「別にモテたくもねぇよ!」

ジャン(だいたい……)チラッ

ミカサ「エレン、これなんか良さそう」

エレン「おう」

ジャン「チッ……」

――――

ジャン「良さそうな木の棒がねぇぞ」

サシャ「あんまり離れないでくださいよ」

ジャン「うっせぇ!あいつより絶対沢山釣り上げるんだから丈夫そうなの探して……」

サシャ「やれやれ、男の子はこれだから」

ジャン「お、おい……あそこ見ろよ」

サシャ「なんですか?」

ジャン「あれ蜂の巣ってやつだよな」

サシャ「でか!なんですかあれ!ジャンお手柄ですよ!」

ジャン「は?」

サシャ「蜂の巣採りましょうよ」

ジャン「今なんと?」

サシャ「いや、ミカサ達は釣りをしてるから私達は蜂の巣を採りましょうよ」

ジャン「危ないだろ?」

サシャ「大丈夫ですよ。とりあえず煙で燻したら蜂は止まりますから」

ジャン「本当か?」

サシャ「はい、狩猟の民は嘘つきません」

ジャン「……」

~~~~~~

ミカサ「きゃー!ジャンこんな大きな蜂の巣採るなんてすごーい!」

ジャン「別にこんなもん簡単だ」

~~~~~~

ジャン「よし!やるぞ!!」

サシャ(なんか変な間がありましたね)

ミカサ「……」ハグハグ

エレン「あっ、かかった」

ミカサ「さすがエレンは筋が良い」

エレン「お前も俺に後ろから抱きついてないで釣りすれば?」

ミカサ「とりあえず10匹程掴んで生け簀化した場所に確保してある」

エレン(こ、こいついったい……)

ミカサ「……」ハグハグ スリスリ

エレン「サシャ達戻って来ないけどまだ木の棒見つからないのか」

ミカサ「お昼まで見つからなくても問題ないと思う」ピッタリ

エレン「釣れた」

ジャン「これで良いんだろうな!?」

サシャ「大丈夫です。しばらくしたら飛んでるのがいなくなるはずですから」

ジャン「しかしお前火起こし上手かったな」

サシャ「必要な技術ですからね。まぁ、熊とかには意味ないですが」

ジャン「そうなのか」

サシャ「ちゃんと袋も用意してますから、頑張って採って来てください」

ジャン「おう任せとけ」

ジャン「とはならねぇよ!お前火種運ぶのも俺だったろうがよ!?」

サシャ「ノリノリだったくせに」

ジャン「恐怖から来るテンションだっただけだよ!」

――――

サシャ「そろそろです」

ジャン「よしお互い完全に皮膚の露出無いな?」

サシャ「バッチリです!」

ジャン「ちゃんと袋広げとけよ?」

サシャ「はい!」

ジャン「いくぞ!おらああああ!」ガシッ ヒョイ ポイッ

サシャ「早く!早く!」

ジャン「あとちょっと!よし縛れ」ヒョイ

サシャ「はい!」シュルシュルキュッ

ジャン「よし行くぞ!」

プスッ

ジャン「あいたっ!腕の隙間から刺された!」

サシャ「我慢してください!走りますよ!」

ジャン「くそぉぉぉぉ!」

ミカサ(足音がする。そろそろ離れないと)シュン

エレン「釣れたぜ。ん?ジャンの声がするな」

ジャン「いって!あっいってぇ!また刺された!俺になんの恨みがあんだよ!」

サシャ「巣の恨みですかね」

ジャン「てめぇも刺されろやぁ!」

サシャ「うわぁ、ダメですよそういうこと言ったら」

ジャン「やべぇよ……毒有ったらどうすんだよ」

サシャ「泣き言を言わずに走ったほうが良いですよ!」

ジャン「わかってるっつうの!!」

エレン「お前らなにそんな慌ててんだよ」

ジャン「うっせぇバカ!こっちは命の危機なんだよ!」

ミカサ(あれは?蜂かな)スッ

ミカサ「……」シュッ

パン

サシャ「は、蜂に小石をぶつけた!?」

エレン「すげぇなミカサ」

ジャン「追手は死んだけど……いてぇよ」

ミカサ「……」スタスタ ヒョイ

ミカサ「大丈夫。腫れることはあっても危険な毒はない蜂だから。飲み水でゆすいで冷やすと良い」

ジャン「まじかよ……良かった」

サシャ「知ってましたけどね」

ジャン「てんめぇぇぇ!!」

――数十分後――

ジャン「ジンジンする……」

サシャ「情けない、貴様そんな軟弱さで憲兵団に行こうというのか」

ジャン「……教官の真似したつもりか?」

サシャ「わかりました?私物真似の才能あるんですかね」

ジャン「ねぇよ」

サシャ「ご機嫌斜めですね」

ジャン「誰のせいだよ!?」

サシャ「はい、川の水を袋に汲んであげましたから。そっちのぬるくなったやつ貸してください」

ジャン「ふん」スッ

エレン「また釣れた。おーいジャン大丈夫か?」

ジャン「お前に心配されたら腫れが増しそうだ」

エレン「そんなことが言えるなら大丈夫そうだな」

ジャン「死に際でも言ってやるよ」

ミカサ「頭痛や目眩、吐き気はない?」

ジャン「ん?あぁ」

ミカサ「熱は」スッ ピトッ

ジャン「おまっ!なにを」

ミカサ「エレンと変わらない平熱。腫れはだいたい1日で引くはずだから今は我慢」

ジャン「お、おう」

エレン(そういえばミカサは親父から色々教わってたんだったな)

サシャ「しかし、まぁよくこれだけの魚を……」

ミカサ「運が良かった」

サシャ「あれですかね?訓練所の所有だから釣りとかする人が居ないからでしょうか」

ミカサ「そうかもしれない。もしくはエレンが魚すら引き寄せる罪な男だから」

サシャ「そ、そうですか……」

サシャ(たまにミカサがよくわからない時がありますね。その対象のエレンはマイペースで釣りしてますし)

ジャン「つーか魚食わねぇの?」

サシャ「あっ、それナイスです。そうしましょう」

ミカサ「火起こししよう」

――――

サシャ「魚が焼けましたね」

ミカサ「うん。川魚はしっかり焼かないと恐い」

エレン「普通に美味いぞ?」ムシャムシャ

ジャン「久しぶりにまともな魚食った気がするわ」ムシャムシャ

サシャ「あぁ!二人とも早いですよ!」

エレン「さっさと食べて帰らないと教官にまた走らされるぞ」

サシャ「それは勘弁ですね。あっ、美味しい」ムシャムシャ

ミカサ「さすがに釣りたてなだけはある」モグモグ

エレン「お前掴んでたよな」ムシャムシャ

サシャ「さて食べ終わりましたし、急ぎましょうか」

エレン「ミカサ、そっちの袋持ってくれ」

ミカサ「うん」

ジャン「火も完全に消したぞ」

サシャ「OKです。ちゃんと石で隠して見た目は自然のままですね」

ジャン「そこまで気にする必要があんのかねぇ」

サシャ「まぁ、どのみちニオイとかは残りますが。あくまでも私達はよそ者ですから」

ジャン「なんか狩猟民族は自分らの土地だとか考えてそうだったがな」

サシャ「あとでぶん殴りますね」

ジャン「おい!?」

――――

サシャ「ちゃんと道なりに斬って来たから迷う心配は無いですね」

エレン「結構山も面白かったな」

ジャン「俺は散々だったけどな」

ミカサ(今までの分ハグハグできた)

サシャ「今度は寒い時期に来ますか?こんな簡単にはまず歩けませんけど」

ジャン「その時期まで訓練兵としてお前残ってんのかよ」

サシャ「この中だとジャンが一番居なくなってそうなんですけどね」

ジャン「なんだとてめぇ!俺は上位に入って内地に行くんだよ」

サシャ「野心丸出しですね」

ガサガサ

ジャン「ん?」

エレン「どうしたんだよ」

ジャン「なんか音がしなかったか?」

ミカサ「あっちの茂みから」

ガサガサ ヒョコ

エレン「うわ!なんだあれ」

サシャ「あっ、やばい」

子熊「……」

エレン「おぉ!可愛いなこいつ!」スッ

サシャ「ダメです!!」

エレン「えっ」

サシャ(新しい足跡は進路にない、匂いもしない)クンクン

サシャ「走ってください!」

ジャン「お前いきなりなんなんだよ!」

サシャ「走らんかい!!」

ジャン「……」ビクッ

――――
――


サシャ「なんとか皆さん無事ですね」

エレン「ちょっと!ミカサ降ろせよ」

ミカサ「ごめん。親熊の気配を感じたからつい」

ジャン「お前エレン担いであの速さかよ……」

ミカサ「エレンを守るためなら本気出す」

サシャ「エレン」

エレン「なんだよ」

サシャ「あれは子熊です。たいがい近くに親熊がいます」

サシャ「仮にあの瞬間あなたが触れていたら親は殺しにかかります」

エレン「そうなのか……」

サシャ「そうなれば私達も殺されない為に全力で抵抗するしかありません」

ミカサ「エレンが危険なら私は殺る。なんとしても」

サシャ「ですが、そのきっかけは山に入り子熊に触れようと近づいた人間のせいです」

エレン「……」

サシャ「親が死んだ子熊も死ぬしかなくなります。後味悪いでしょ?」

エレン「知らなかったとはいえ軽率だった」

サシャ「いえいえ、今回は何事も無く済みましたからね。さて急ぎましょうか」

エレン「あぁ」

ジャン(狩猟民族なりのルールがあんのかね。それか案外色々考えてる奴なのかもな)

――――
――


サシャ「はい!到着しました。とりあえず教官に報告と食材を渡しに行きましょう」

ミカサ「うん。ジャンは医務室で念のために診てもらったほうがいい」

ジャン「そうするか。明日からの訓練に響いても困るし」

エレン「あれ、あの走ってるのアルミンか?」

サシャ「あっ、本当ですね。自主トレでしょうか」

ミカサ「静養してるはずなのに」

エレン「俺ちょっと行ってくるわ。これ頼む」

ジャン「あっ、おい!俺は怪我人だぞこら!」

用事で中断します。夜また投下します。

レス感謝。投下します。

アルミン「ハァハァ……」

アルミン(悪路でも無く背嚢も無い状態なんだからもっと走れるようにならないと……)

エレン「おーい!アルミン何してんだよ」

アルミン(エレンか)

アルミン(意外に早かったんだ。けど山登りしたりしてきたわりに疲れてなさそうだ)

エレン「あれ?聞こえてないのか。しかし一人っきりでずっと走ってたのか」キョロキョロ

エレン「他には誰もいないもんな」

アルミン(そういえば今どのくらい走ってるんだっけ)

エレン「荷物は別にここに置いといていいか」

エレン「よし」タタッ

アルミン「ハァ……ハァ……」

エレン「よっ、俺も一緒に走っていいか?」

アルミン「えっ、うん」

エレン「戻ったらアルミンが走ってるのが見えてさ、今日は休んどくって聞いたから見間違いかとも思ったんだけど」

アルミン「ちょっとね……」

エレン「そうそう、山で色々な物捕ってきたからさ夕食楽しみにしとけよ?」

エレン「いつもの味気ないスープとかじゃないはずだ」

アルミン「そっか」

――――

エレン「でさ!ジャンの奴は相変わらず憎まれ口ばかりで、人が心配してんのにさぁ、まぁあいつらしいけど」

アルミン「ハァ……ハァ……」

エレン「サシャは色々気配りしてたり、俺の知らないこと知ってたりして凄かった」

アルミン(ペース合わされてる……)

エレン「ミカサは訓練所外だったからか、昔みたいにベタベタしてたけど、ジャンの診察したりしてスゲーなぁって」

アルミン「あのさぁ!」ピタッ

エレン「なんだよ、いきなり大声出して……」ピタッ

アルミン「ペース合わせたりしないでよ」

エレン「えっ」

アルミン「僕はギリギリで走ってるけど、エレンならもっと速いだろ」

エレン「そんなの考えてなかったよ。ただその……今までほとんど3人だったし、今日はアルミン居なかったからさ」

エレン「なんか気に障ったならごめん」

アルミン(……そうだ。エレンは他人より優位だからどうとかなんか考えない)

アルミン(自分が卑屈に考えただけで八つ当たりするなんて……最低だ)

エレン「えっと……」

アルミン「ごめん!」

エレン「アルミン?」

アルミン「最近兵站行進とかずっと遅れてばかりだったから……自分のせいなのにエレンに八つ当たりして」

エレン「いや、俺も悪かったよ。今日はサシャにも怒られたしな」

アルミン「エレンがサシャに?聞きたいな。山でのことをちゃんと」

エレン「そうか?じゃあ少し休憩するか」

アルミン「そうだね。そういえば走りっぱなしで水も飲んでなかった」

エレン「いや、危ないだろ」

アルミン「はは……」

――図書室――

ユミル「……」

クリスタ「本読まないの?さっきから外を眺めてたけど」

ユミル「人のことよりちゃんと課題のやってるか?体力無くて座学もダメなら救いようが無いぞ」

クリスタ「やってるけど、ここ解らない」

ユミル「じゃあ解るように努力しなきゃな」

クリスタ「むぅ」

ユミル「悩み抜いて無理なら助けてやるよ」

クリスタ「頑張る」

ユミル(……金髪の方は確かアルミンだったか。案外残るかもな)

――――

サシャ「では失礼しました」

ミカサ「教官達驚いてた」

サシャ「時間も守ってなんのお叱りも無し!完璧ですね」

ジャン「じゃあ俺医務室行くからな」

サシャ「はい!ありがとうございました」

ミカサ「じゃあ私もエレンの所に」

サシャ「待ってください」ガシッ

ミカサ「どうしたの?」

サシャ「少し二人で話したいことがあります」

ミカサ「良いけど?」

サシャ「じゃあ少し移動しましょう」

ミカサ「うん」

――――

サシャ「この辺で良いでしょう。さて素直に白状してもらいましょうかね」

ミカサ「なにを?」

サシャ「またまたー白々しいですよー私とジャンがいない間大自然の中で、それも人目のない二人きりの空間」

サシャ「エレンとなにかあったでしょ!?」

ミカサ「えっ///」

サシャ「これは珍しい赤面!さぁどんなノロケ話が!?」

ミカサ「そんなことは何も……それに、私とエレンは家族」

サシャ「ほー、ふーん、へぇー」

ミカサ「ほ、本当に」

サシャ「おかしいですねぇ、あんなに寝言でエレン、エレン言ってたのに?」

ミカサ「!?」

サシャ「だからどうせエレンも誘うだろうと夕食時に話を出したんですけど?」

ミカサ「エレンはあくまでも家族で……将来は夫」

ミカサ「の、ので」

ミカサ「その、今日は何も無かった///」

サシャ「あれー……村のおばちゃんが山ん中で好いとぅ男女ば二人きりなりゃ一発よぉ言うてたのに……」

ミカサ「え?」

サシャ「あっ!すみません!今のは忘れてください」

ミカサ「それに、エレンは巨人の駆逐が最優先」

サシャ「それは……」

ミカサ「今は傍に居れれば満足。寂しい時もあるけど」

サシャ「ミカサ」

ミカサ「だから今日エレンと二人の時間をくれたサシャには感謝している」

「サシャ「ごめんなさい!あの夜、食糧庫から連れ戻されたし、ちょっとくらいからかえるかなとか思ってました!」

サシャ「私二人の応援しますね!」

ミカサ「ありがとう。でも、食糧庫から盗むのはダメ」

サシャ「えー……」

――医務室――

医官「これで良い。針も残っていなかったからな。明日からの訓練にも差し支えない」

ジャン「ありがとうございます」

医官「今夜は疼くかも知れんが、立派な兵士になるにはこれくらい我慢できないとな」

ジャン「はい。では失礼します」

医官「うむ」

ガチャ バタン

ジャン(良かった。訓練に出れないとか最悪だからな)

マルコ「あれ、ジャンどっか怪我したのか?」

ジャン「ちょっとな。まぁ夕飯楽しみにしとけや」

――夕食――

コニー「おぉ!スープにちゃんとした魚の身がある!」

ジャン「……」

マルコ「えっと、お前が言ってたのこれか……?」

ジャン「まんま蜂に……幼虫じゃないか」

ジャン「それに……巣!!」

コニー「スープ美味い!出汁が出てていつものうっすいスープじゃねぇ」

ライナー「蜂も美味いぞ?カリッカリッしてな」モグモグ

ベルトルト「ライナーあげるよ……」

ライナー「お前好き嫌い多いなぁ、そんなんじゃ兵士になれんぞ」

ベルトルト「……」

アルミン「これがエレン達の収穫かぁ、蜂の子美味しいね」モグモグ

エレン「ジャンの奴が主に頑張ってたらしい。あっ、美味いな」モグモグ

ミカサ「うん。ジャンは凄い」

ジャン「……」ピクッ

ジャン(周り見てもわりと喜んでる奴らいるし、ミカサにも少しは認められたか。悪い気はしねぇ)パクッ

ジャン「人を刺しやがったくせに美味いじゃねぇか」モグモグ

コニー「何言ってんだ?蜂の巣も蜂も幼虫も村じゃ普通に食うぞ?」モグモグ

マルコ「たしかに美味い」モグモグ

サシャ「美味しい!上手く食材を活かしてくれてます」モグモグ

ミーナ「美味しいね」モグモグ

アニ「そうだね」モグモグ

ユミル「なかなか良い収穫だったみたいだな」モグモグ

サシャ「はい!ミカサとエレンが魚や山菜やキノコ!私とジャンで蜂の巣を頑張りました」

ジャン「おいこら!蜂はほとんど俺だろうが!」

サシャ「そーですねーあー美味しい」モグモグ

ジャン「腹立つわぁ!」

サシャ「ジャンが恐いですーユミル助けてください」

ユミル「……勝手にやってろよ」モグモグ

クリスタ「……」

アニ「あんた何してるの?」

クリスタ「えっ!あっ、あの蜂って毒があるんじゃ」

アニ「調理してあるから大丈夫だと思うよ」

クリスタ「そうだよね!」

ユミル「わっかんねーぞ?クリスタのだけ毒があるかもなぁ」

クリスタ「えっ!」

ユミル「なーんて嘘だよ。毒なんか無いって」

クリスタ「そうだよね!?」

ユミル「あぁ、嘘はつかないよ」

アニ(なら最初からからかわなければいいのに……)

クリスタ「……」パクッ

ユミル「あぁ!!」

クリスタ「んぐっ!」ゴクッ

ユミル「やばいぞクリスタ!その蜂の子は毒だ!」

クリスタ「えぇ!飲んじゃったのに」ウルッ

ユミル「あーぁ……」

クリスタ「どうしよう……どうしよう……」オロオロ

ユミル「ぷっ……ダハハハッ慌てすぎ!冗談だよ冗談」

クリスタ「ユミルゥ……」ウルウル

ユミル「やっぱりクリスタからかうのは面白いな」

アニ「……良い性格してるよあんた」

「あの子達ウォール・マリアからの避難民だっけ」

「サシャとジャンは違ったと思うけど」

「入団式でいきなり芋食い出したり、堂々と野心丸出しだった奴だろ?」

「あいつらは良いかもしれんがゲテモノ出されてもなぁ」

「やっぱり外側だった奴らは味覚や文化が違うのかもな」

「まぁ、初日からあんなこと口にする奴らだから仕方ないだろ」

アニ「……」

ユミル(わざわざ人がいる場所で言うとは、退屈しなさそうだな)

サシャ「……」

一区切りです。読んでくれた方ありがとうございます。

レス感謝。投下します。

――2ヶ月後――

ミカサ「狩りに行った日の翌日から、やけにサシャがよそよそしいというか距離を感じる」

アルミン「そうなの?食堂とかで見てる分には変わった風に見えないけど」

ミカサ「なにか違う」

エレン「気にしすぎだろ。無視されたりしてるわけじゃないなら気にする必要もないんじゃないか?」

ミカサ「うーん」

エレン「それにお前って、たまに突拍子も無いことするから。気付かない内になんかしたんじゃないか?」

ミカサ「なにか……」

エレン「それにあのサシャだぞ?どうせミカサがパンくれなかったからーとかだろ」

アルミン「エレン……それはサシャに失礼だよ……」

ミカサ(そんなことは無かったし、わりと普通に話はしている)

エレン「それより!いよいよ明日から立体機動装置使わせてくれるんだ!頑張ろうぜ」

アルミン「そうだね。やっぱり訓練も一際難しいんだろうけど」

ミカサ「エレンは周りが見えないことがよくあるから。特に注意が必要」

エレン「う、うっせー。言われなくてもわかってるよ」

――夜――

サシャ「さーて、明日からはさらにお腹空きそうですからもう寝ます!」

ユミル「お前の基準は本当に幸せそうで良いな」

サシャ「?」

ユミル「深い意味は無いよ」

サシャ「おやすみなさい!」

ユミル「おやすみ」

ミカサ(寮でもサシャは普通、私の考えすぎか。寝よう)

ユミル(ミカサがなんか気にしてるっぽかったが)

ユミル(気のせいか。それにあの日から特になんもないしな)

クリスタ「ユミルおやすみ」

ユミル「あぁ、おやすみ」

――翌日――

キース「貴様ら訓練兵がここに来て、今日で2ヶ月と僅かばかりの月日が経った」

キース「逃げだした者も多くいたが、今日からが始まりだ!立体機動装置の実習を開始する!」

エレン(やっとここまで来た!やっとだ!!)

アルミン(技巧や座学で立体機動装置を手にしたことはあったけど、実際に身に着けると重いな)

ミカサ(エレンの立体機動装置を着けた姿もカッコイイ)

キース「今から一時間だけ練習の時間をやる。短時間で感覚を掴み取れ」

エレン「感覚を掴めって言われてもなぁ」

「えっ、指示あれだけかよ」

「教官やる気ないんじゃね?」

アルミン「皆困ってるね」

キース「何をしている貴様ら。周囲の木々や岩壁に打ち込むなりして訓練せんか!」

キース「貴様らは、巨人を目の前にどこに打ち込め!なにをしろと指示を待つのか!!」

キース「それに、一時間後にはあの崖を登らせるからな」

エレン「マジかよ」

アルミン「あの崖ってほとんど垂直じゃないか……」

キース「安心しろ。命綱は用意してある」

「なんだそれなら……」

「どんなスパルタかと思ったわ」

キース「だが、あの崖は人類を取り囲む壁よりも低い」

キース「そして実際の現場に命綱等無い。この程度で臆する奴はさっさと消え失せろ」

ジャン(誰があんな崖ごときでビビるかよ)

ジャン(それにトリガーの感覚も全体的な感覚もそんなに難しいもんじゃねぇ。楽勝だ)

コニー(理屈わかんねぇぇ!けど、体感でなんとかなるよな)

――――

パシュウウ ガキッ

アルミン「よし刺さった。次はこっちで」

ギュイイイイイイ

アルミン「うわっ!うわわ!思った以上にはやっ!」キュッキュッ

アルミン「危なかった……木に激突するとこだった」

ダズ「おえぇぇ、浮遊感と速さの緩急で……」

ミーナ「痛っ!!アンカー外れた」

「がはっ!」

「おいあいつ落ちたぞ!!」

アルミン「周りも必死だ……エレンは」

エレン「がはっ!!」ドシン

アルミン「エレン!!大丈夫!?」

エレン「いてて……やっぱり難しいな」

アルミン「ほとんどが苦戦してるからね。ミカサは」キョロキョロ

エレン「あいつならあそこだ」

アルミン「えっ!もうあんな高い木の上部に」

エレン「ミカサだけじゃない。ライナーやベルトルト、ジャンやコニーもだ」

アルミン「凄い……やっぱり才能ってあるんだね」

エレン「だな。だけどそんなことを気にするより、今は一回でも多くアンカーを打つ」

アルミン「そうだね……お互い頑張ろう」

エレン(こっちが遅いのか?いや考えてるからミスるのか)

アルミン「怖くない、怖くなんかない……」

ミカサ(二人とも頑張ってる。けど、頼られるまでは自分の技術を磨く。中途半端で教えるのは死ぬ確率を上げるだけ)

アニ(少しトリガーが合ってないかな。調整しよ)

ミーナ「あいた!もう!なんでこんなに難しいの」

アニ「……勢いより恐怖心が勝って操作が遅れてる」ボソッ

ミーナ「アニ?」

アニ「意識しすぎないほうがいいかもね」

ミーナ「うん!」

――一時間後・崖の上――

キース「では、2班10人ごと命綱を装着後、所定の位置まで降下してもらう」

キース「まず1、2班用意しろ」

コニー「うへぇ……初っぱなかよ」

マルコ「俺もだよ」

サシャ「頑張ってくださいねミカサ」

ミカサ「……うん」

ミーナ「アニ気をつけてね」

アニ「うん」

ライナー(あいつ怪我したりしなきゃ良いがな)

ベルトルト「……」

エレン「いきなりミカサか。でも何故かあいつだと不安が無い」

アルミン「確かに」

キース「配置に着いたようだな。まずは岩壁にアンカーを打ち込み壁に対し垂直に立て」

「えっ……よじ登る感じじゃないのかよ」

「この命綱大丈夫だろうな……」

コニー(こうか?おっ、出来た出来た。やっぱり俺天才だわ)ピタッ

ミカサ「……」ピタッ

アルミン「凄いねミカサ……なんの表情も変わらない」

エレン「あいつは大抵のことでは驚かないからな」

マルコ(なかなか難しい)

アニ(足場が脆くて崩れそう)

キース「では開始する!」

ミカサ(登り方の指定は無い。そして、チンタラやれば良いというものじゃないはず……なら」

ミカサ「……」パシュッ ガキッ トン パシュッ ガキッ トン

エレン「あいつほとんど壁に触れてない……」

アルミン「というかもう登りきりそうなんだけど……」

ミカサ「終わりました」

キース(速いな……。命綱があるとはいえ、足場の不安定な岩壁から大きく離れるのに、最初は恐怖心があるものだが)

コニー「あいつスゲーな……」

マルコ(不安定な足場、高さ、アンカーが外れるかもしれない不安)

マルコ(命綱がちゃんと機能するかわからない不安……それらが無いのか)

アニ(でも登る時のガス消費抑えるならあれが良いのかな)

「こ、こぇーよ……」

キース「おい貴様!岩壁に張り付く訓練じゃないぞ!!」

「そんなこと言われても……」

キース「あいつの命綱を切れ」

アルミン「!?」

教官「闇討ちですね」

エレン「闇討ち……?」

教官「……」ザクッ

「えっ、命綱が!」

コニー「あいつの命綱切れたぞ!」

マルコ「事故か!?」

アニ(目立ちたくもないし、今のうちに上がろ)パシュッ

ライナー「おっ、アニが上がったな」

ベルトルト「無事みたいだね」

「ちょっ、アンカーが抜け!うわああああああ」ドボーン

マルコ「教官!!一名落下しました!!」

キース「問題無い。命綱なら我々が切った」

コニー「は!?」

キース「全員よく頭に入れておけ!命綱などなんの意味もない!それに頼るとああなる」

クリスタ「命綱切られるとか怖いよ……」

ユミル「普通にやれば切られやしないだろ。ビビって立ち止まってるとやられるかもな」

クリスタ「なのかな……」

コニー「よし!登った!!」

マルコ(なんとか登れたけど、結構ガスの消費が大きいな)

――――

ベルトルト「また一人落ちたね」

ライナー「下は谷川だし、大丈夫だろ」

ベルトルト「……」

キース「次!用意しろ!チンタラやっていたら日が暮れてしまうぞ!!」

――――
――


キース「次!!降下しろ」

エレン「やっと俺か」

アルミン「頑張ろうね」

キース「開始!!」

エレン(最速はミカサ……悔しいけどジャンの奴も早かった。共通点はこの状況を怖れず、大胆に進んでいたこと)パシュッ ガキッ

エレン(あいつらに出来るんだ!俺も!!)

教官「あの子、アンカーを打ち込む選別がイマイチですね」

キース「飛び出た才覚は無いな。ただ周りに負けたくなくて無茶をしているようにも見える」

キース「よし命綱を切れ」

エレン「あとちょっと……」

ヒュッ

エレン「えっ、俺の命綱?」

アルミン(エレン……早いけど、見てるこっちがヒヤヒヤするよ……)

カンッ

エレン「嘘だろ!?アンカーが刺さら……うわあああああ!」

アルミン「エレェェェン!!」

ミカサ「エレン!?」ダッ

キース「ならんぞアッカーマン!!あれしきの事態すら対応出来ないような奴はいらんのだ!」

ミカサ「くっ、エレン……」

エレン(どうすれば!今ならまだ岩壁に間に合うか!?)

エレン「くそっ!!刺され!」パシュッ

ガキッ

エレン(刺さったけど!反対側が間に合わっ)

ガンッ!

エレン「うぐっ!!」

アルミン「エレン!!大丈夫か!?」

ミカサ「エレン……」

エレン「いてぇ……咄嗟に受け身取らなきゃヤバかった」

キース(パニックにならず冷静に対応したか。なかなかの精神力を持っているな)

キース「助けに行ってやれ」

教官「はい」

アルミン「……やっと登れた」

ミカサ「アルミン良かった。お疲れさま」

アルミン「エレンは無事だよ。大怪我はしてないみたい」

ミカサ「……良かった」

――訓練後――

エレン「いてぇ……身体の右側がズキズキする」

ミカサ「……無茶しないでほしい」

アルミン「でも、医官は骨に異常無いって言ってたし良かったね」

エレン「俺って意外に頑丈な骨してんだな」

ミカサ「そういう問題ではない」

エレン「まぁまぁ、大怪我したわけじゃないんだからそんな恐い顔すんなって」

ミカサ「……」

アルミン(自分を心配してくれる女の子に恐い顔とか言っちゃうのがエレンらしいな)

――入団・三ヶ月後――

ミカサ(○月○日。今日から日記を付けることにした)

(立体機動の訓練が追加されてから皆の怪我が増えるようになっていった。今日も一人が頭を打って意識を失っている)

ミカサ(幸運なことに、私は怪我を一度もしていない)

ミカサ(教官達にも期待されているらしい。視線を感じることが前よりも増えた)

ミカサ(だからこそなのか、色々な問題も起きている)

ミカサ(やはり集団生活や目立つことは良悪どちらの物事ももたらすらしい)

――蘇生術――

教官「本日は、緊急時の人体蘇生法について学んでもらう」

ミカサ(おじさんに教わったやり方なら……エレンとキ、キスが……)

教官「まずは見本だ。人形を使う。応答の有無を確認後、口に耳を近づけ呼吸の有無の確認。そして心音と脈を取る」

教官「それらが微弱や、無い場合は一刻も早く蘇生術を実施すること。早さとの勝負だ」

エレン(巨人に喰われたら蘇生術も何も無い気がするんだが)

アルミン(ミカサがあからさまにしょんぼりしてる。まさか人形じゃないと思ったのかな)

教官「胸の真ん中に両手を重ねて肘を真っ直ぐに強く、継続的に圧迫すること。1分間に100回が理想だ」

教官「女性等が行う場合、相手の身体を心配したり、力がちゃんと伝わらなかったり」

教官「体力的に圧迫の強さが維持できないこともあるので、出来れば数人で、2分単位の交代をしながらやることが望ましい」

クリスタ(しっかり覚えとかないと)

ユミル(あほらし。巨人がうようよいるような現場でそんなことやってたら巻き添えで皆喰われるっての)

教官「――以上で説明は終りだ。ハッキリ言ってしまえば、現場ではそうそう都合の良い場合はない」

教官「仮に出来たとして心臓の圧迫くらいだろう。それでも確実に助かるわけではない。ただ兵士として必要な知識であることに違いは無い」

教官「では実際にやってもらう」

「「「「「はっ!」」」」」

アルミン「ふっ、ふっ」グッグッ

アルミン(激しい動作とかじゃないけど結構疲れるな)

エレン「……」グッグッ

エレン(なんか右から視線を感じる)

ミカサ(エレンに圧迫されてる人形が羨ましい)グッグッ

ミカサ「……」

――ミカサ脳内――

エレン「おいミカサ!目を覚ませよ!俺と結婚してくれるんだろ!!」グッグッ

ミカサ「……」

エレン「ミカサ!目を覚ましてくれよ……お前がいないとどうやって生きていけばいいのかわからないだろ!」グッグッ

エレン「ミカサ!ミカサ!俺を一人にしないでくれよ……」グッグッ

ミカサ「エ、レ……」

エレン「ミカサ良かった」ギュッ チュッ

――――

ミカサ「うふ///うふふ///」ゴキャ

ミカサ「あ」

教官「お、おい!強く圧迫しろと言ったが人形を破壊して良いとは言ってないぞ!?」

ミカサ「すみません……」

教官「さすがに人形を破壊するような圧迫は人体にも良くないから気をつけなさい」

ミカサ「はい」

エレン「お前なにやってんだよ……」

ミカサ「エレンのこと考えてたらつい……」

エレン「えっ、俺って人形壊すくらいムカつくことしたのか……?」

ミカサ「逆///でも秘密」

エレン「なんでも良いけど気をつけろよな。(人形が)心配だから」

ミカサ「えっ///」

とりあえずここまでです。また投下します。読んでくれた方はありがとうございます。

レス感謝。投下します。

――格闘術――

キース「今日の格闘術訓練では木短刀を使用する。暴漢役に対し、鎮圧側は対処、得物の奪取までを行うこと」

エレン(またこの訓練か。立体機動の訓練ばっかのが良い気がするんだがな)

ミカサ(来た。嬉しい訓練だ)

アルミン(この訓練って完全に骨休め扱いになってるんだよね)

キース「実際の刃物ではないが、しっかりと対処法を学ぶように。では始め!」

ミカサ「エレン、私と組もう」

エレン「えー……またかよ」

ミカサ「うん」

ミカサ「どっちから?」

エレン「じゃあ俺が暴漢役からな」

ミカサ「わかった」

エレン「行くぞ!」ダッ

ミカサ(軌道が読みやすい。ここかな)ガシッ メキッ

エレン「痛い!技でもなんでもない力押し!!」ポロッ

ミカサ「木短刀落ちた。あとは鎮圧」ギュッ

エレン「おい!?」

ミカサ「はい。鎮圧///」ギュッ

エレン「離れろよ!?」

ミカサ「///」ギュッ

ミカサ(貴重な時間を逃す手はない)

エレン「くっ!このっ!力強いな相変わらず!!」

エレン「……次はお前が暴漢役な」

ミカサ「うん」

エレン(ぜってぇ一泡吹かせてやる……)

ミカサ「行く」シャッ

エレン「はやっ!!」

ミカサ「はい。エレンは刺された。罰としてハグ」ギュッ

エレン「どっちでも一緒かよ!しかも教官の視界まで絶対計算してやがる」

ミカサ「///」ギュッ

アルミン(ミカサは今日もブレ無いなぁ)

マルコ「アルミンよそ見してると危ないよ」

アルミン「ごめん。相変わらずの光景だったから」

ジャン(訓練中にイチャイチャしやがって……まぁこんなもん訓練に入らねぇだろうけど)

トーマス「あいつら仲良いよな」

ジャン「あぁ?」

トーマス「いや、エレンとミカサだよ」

ジャン「けっ」

トーマス「次はジャンが暴漢役だぞ」

ジャン「こんなもん適当に流しとけば良いんだって。教官もこっち見てないしな」

トーマス「まぁ確かに。他の訓練がキツいからな」

ジャン「そうそう。要領よく上手くやるのが一番賢いんだよ」

エレン「頭きた!いい加減俺にも勝たせろよ」

ミカサ「手加減した方がいいの?」

エレン「はぁ!?」

ミカサ「わかった。エレンが手加減してほしいのならそうしよう」

エレン「こんの……全力だ!手加減なんかしたら許さないからな!!」

ミカサ(子供みたいにムキになるエレン可愛い)

エレン「ほらさっさと来いよ!」

ミカサ「わかった」シャッ

エレン(もう目が慣れたからな!ここだ!)スカッ

エレン「あれ?」

ミカサ「フェイント」ギュッ

エレン「くそっ!!」

マルコ「少し休憩しよう」

アルミン「うん」

エレン「痛い痛い!肘が痛い!!」

ミカサ「エレンの動きは読みやすい」ギリギリ

エレン「痛いから!お前どんだけ力強いんだよ!!」

アルミン「うわぁ……」

マルコ「ミカサは容赦無いな……」

アルミン「いや多分あれでもじゃれてるつもりなんだよ。あの二人にはね」

マルコ「そうなんだ……」

ミカサ(ちょっと涙目になってるエレンが可愛い)

エレン「放せ!交代だ交代!!」

ライナー「鈍るといかんからな殺す気で来い」

ベルトルト「そんな必要ある?」

ライナー「どんな場合があるかわからないだろ。それにお前にしかこんなことは言えないしな」

ベルトルト「そうかもしれないけど。僕達はその……目立つのはダメじゃないか」

ライナー「お前は相変わらず心配性だな。だが、確かに戦士なら今はそれが得策か」

ベルトルト「うん」

ライナー「なんで熱っぽくなってんだろうな。環境に毒されて来ちまってるのか。気をつけないとな」

ベルトルト「うん。僕達は戦士なんだから」

クリスタ「行くよ!」ダッ

ユミル「お前さぁ……なんで目を瞑るんだよ」パシッ

クリスタ「えっと……怪我させたら怖いから」

ユミル「そんなので怪我させられる程、私は鈍臭くねぇよ」

クリスタ「向いてないのかな……」

ユミル「これは訓練なんだ。だいたいな?本物の刃物で人を傷つけなきゃいいんだから、恐がらずに思いっきりやれよ」

クリスタ「それはそうなんだけど……やっぱりその……」

ユミル「手がかかる奴だ」

アニ「はい交代」

ミーナ「また簡単に奪われた」

アニ「別に流せば良いんだよ。真面目にやってる奴らのほうが少ないんだから」

ミーナ「それは、そうだけど」

アニ「無意味なんだよ、真面目にやってもね」

エレン「もう1回だこの野郎!」

ミカサ「エレン、少しは攻め方を変えたほうがいい」

エレン「うるせぇな!俺には俺のやり方があるんだよ!」

ミーナ「えっと……すごい真面目に取り組んでるペアもいるね」

アニ「……そうだね」

ミカサ「降参?なら、おとなしくハグされればいい」

エレン(こうなったら奇襲から、別の攻め手でミカサを負かす)ダッ

ミカサ「同じ手は」

エレン「ハグしてやるよ」ギュッ

ミカサ「あう///」

エレン「隙あり!!」シュルッ

ミカサ「あっ、マフラーが……」

エレン「へへーん!一本取ったぜ」

アルミン(目的が変わってるじゃないか。そして幼稚くさいよ……)

ミカサ「……」

エレン「あれ?ミカサどうした?」

ミカサ「……私はとても傷ついた」

エレン「は?いや冗「とても!とても傷ついた」

ミカサ「ので」

ミカサ「いますぐ私の首に巻き直してハグして。いや、しなさい」

エレン「ごめんなさい」パサッ ギュッ

ミカサ「……許す///」ギュッ

アルミン(ミカサの完全勝利じゃないか。いや、まぁエレンが墓穴掘っただけなんだけどさ)

マルコ「次はアルミンが暴漢役だ」

アルミン「うん」

ミカサ「///」ギュッ

エレン(浅はかだった……)

女1「またあの子達イチャイチャしてるんだけど」

男1「あー、あいつって教官達に一目置かれてる女だろ?」

女2「だから好き勝手やってんの?苛つくわ」

男2「なんかやれば?ほらマフラーとか大事みたいだし」

女1「それ良いかも」

サシャ「……」

コニー「どうかしたか芋女」

サシャ「いえ、別に。あと芋女って!私はサシャ・ブラウスですよ」

コニー「いや知ってるが」

サシャ「名前で呼んでください!」

コニー「おぉ、わりぃ」

ユミル(色々なバカがいるなぁ)

キース「これで本日の格闘術訓練は終了だ。次の兵法講義に遅れぬように」

「「「「「はっ!」」」」」

エレン「ミカサ、前から思ってたが座学の時はさすがにマフラー外せよ?」

ミカサ「……寒い」

エレン「いや、室内だから」

ミカサ「わかった」

アルミン(今日は満足したのかミカサが素直だ)

――女子寮――

ミカサ(ちゃんと綺麗に畳む)

サシャ「あの、マフラー外しちゃうんですか?」

ミカサ「うん。座学だから」

サシャ「なるほど……」

女1「マフラー外してた。チャンスじゃん」

女2「ねぇ、やっぱりやめない……?」

女1「ビビる必要無いって。相手は同じ女なんだし」

女2「そうだけど……」

――――

女1「あとはこれを……」

女2「早くしないと講義に遅れるよ?」

女1「わかってるよ、うるさいなぁ」

アニ(忘れ物した。ん?あの子達なにを)

アニ(手に持ってるのって確か)

アニ「……」

アニ(行っちゃった。私も早く行かないと遅れる)

――兵法講義――

教官「全員着席したか」

女1「すみません遅れました!」

女2「遅れました」

アニ「物を取りに戻ってました」

教官「早く座りなさい」

サシャ(あの二人って……)

男2「まさかマジでやったのか?」ボソッ

女1「うん。バッチリ」ボソッ

女2「私は止めたんだけど……」ボソッ

女1「今さら良い子ぶらないでよ」ボソッ

男1「お前性格悪すぎー」ボソッ

ユミル(あーぁ、精神が餓鬼の奴らは躊躇いが無いのかね)

――講義後・女子寮――

ミカサ(今日も1日おしまい。あとは水汲みと夕食)

ミカサ「……あれ」

ミカサ「えっ」

ミカサ「なんで……」

ミカサ「なんでマフラーが無いの、ちゃんとベッドの上に畳んで置いたのに!」

クリスタ「どうしたの?ミカサ」

ミカサ「マフラーが無いの、大切なエレンから貰ったマフラーが無いの!!」

クリスタ「落ち着いて。よく探してみよ?」

ミカサ「……うん」

クリスタ「寮内に置いたなら寮内にあるはずだよ?」

ミカサ「うん」

――――

ミカサ「……無い。どこにも無い」

クリスタ「えっと……」

ミカサ「うわあああああん!なんで!なんでマフラーが無いの!」

クリスタ「ミカサ落ち着いて……」

ミーナ「こっちも無かったよ」

ハンナ「……見つからないね」

ミカサ「うぐ……どこ行ったのマフラー……」グスッ

ユミル「……」スッ

アニ「……」スッ

クリスタ「ユミル、アニ一緒に探してあげてよ」

ユミル「うーん、まぁちょっと」

アニ「……」スタスタ

――裏庭――

サシャ「あの……ミカサのマフラー返してあげてください……泣いてたじゃないですか」

女1「はぁ?なにそれ。私たちが盗んだっての?証拠は?」

男1「そうそう、証拠も無いのに犯人扱いは良くないよ」

サシャ「……それは」

男2「なんなのお前、証拠が無いんだから黙って消えろよ」

サシャ「あの……でも……」

女2「やっぱり返したほうが」ボソッ

女1「黙ってて」

ユミル「おー、こんな場所にいた」

アニ「よくわかったね」

ユミル「暗い奴らは暗い所が好きってな」

男1「なんだよお前ら」

ユミル「サシャも気付いてたんだな。そういう行動は嫌いじゃないぞ」

サシャ「ユミル……」

ユミル「でさーさっさと返してくんね?夕食もあるし、ミカサも泣き止ませないといけない。お前らに割く時間は無いんだよ」

男2「ぞろぞろとうるせぇんだよ!!」ブンッ

アニ「……」シュッ

男2「がはっ!!」ズダン

アニ「時間の無駄は好きじゃないんだ。さっさと渡しなよ」

ユミル「おー、スゲー。まっ、賢く解決しようぜ?いくらバカでも解るだろ?」

女2「あの、これ……」スッ

女1「ちょっと!?」

ユミル「ん、ほらサシャ。ミカサに渡してやれ」

サシャ「は、はい!」ダッ

ユミル「盗まねぇと死ぬ時もあるから盗みが完全に悪いとは言わないが。次は、見合わない結末になるからな」

アニ「……」スタスタ

ユミル「まっ、お前らの名前も知らないんだが。じゃあなー」スタスタ

男1「あいつら何者だよ」

女2「目が、全然違ってた」

女1「悔しいけど、もう関わらないのが無難だね……」

――女子寮――

ミカサ「うっく……ぐすっ……」

クリスタ「大丈夫だって。皆探してくれてるから」

サシャ「ミカサ!!」

ミカサ「……サシャ、それ!」

サシャ(あっ、理由どうしよう……何も考えてなかった……)

サシャ「こ、これ風で飛ばされて外の木に引っかかってました!!」

クリスタ(窓閉まってなかったっけ。そもそも飛ぶ?)

ミカサ「サシャありがとう!うわあああああん!」ギュッ

サシャ「えっ、あっ、ど、どう致しまして」

――夕食――

ミカサ「サシャにパンあげる」

サシャ「本当ですか!?」

ミカサ「うん。マフラーの恩人だから」

サシャ「あっ、それは……」チラッ

ユミル(黙ってろ)

サシャ「あっ、ありがたく」

ミカサ「うん」

エレン「珍しいな。ミカサがパンをサシャに分けるなんて」

ミカサ「マフラーの恩返し」

エレン「なんのことだよ」

アルミン「まぁ、女子達にも色々あるんじゃない?」

エレン「そういうもんか」

ユミル「しかし、アニが動くとはな。そういうのに我関せずなタイプかと」

アニ「……別に、くだらないことをしてる奴らが嫌いなだけ」

ユミル「ふーん。まっ、意外な奴の意外な一面を見れたし、比較的平和に収束したから私は良いんだがな」

アニ「あんたも結構お節介好きなんだね」

ユミル「私は自分のしたいように生きてるだけだ。それが一番楽しんで生きてるって気がするしな」

アニ「そういう風に見えるよ」

ユミル「そりゃ良いことだ」

〇月〇日

ミカサ(今日は、格闘術の訓練でエレンと一杯触れ合うことが出来た。とても満足だ)

ミカサ(兵法講義が終わって、寮に戻ってマフラーが無くなっていた時は視界が真っ暗になった)

ミカサ(久しぶりにたくさん泣いた気がする。皆が探してくれたのは本当に嬉しかった)

ミカサ(迷惑をかけてしまった自覚はある。何かでちゃんと返さないと)

ミカサ(マフラーを見つけてくれたサシャとは、狩りの日以来少し距離を感じていたので本当に嬉しかった)

ミカサ(この世界は悲しいことも嬉しいこともちゃんとある)

ここまで。読んでくれた方ありがとうございます。

完結ではないです。展開浮かばないからやり直したり書き貯めしたりしてます。

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