貴音「貴女様!」 P「面妖な……」 美希「ト・リ・オ、なの!」(1000)

ある朝、プロデューサーが目を覚ますと、自分が女の子になっていることに気付きました。

貴音「大丈夫です、貴女様。それは病気などではございません。多分」

美希「かっこいいハニーも可愛いハニーも、二度美味しくていいって思うな」

朝起きると、時々女の子なプロデューサーとアイドル達(その他)。

そんなお話。





       ((  V                /  ど も ぶヽ
      -   ´  ̄ `  、         ,''  っ う っ ',
   /:::          `  、      i   ち ミ ち  i
  /::::            \ ヽ       |   で キ ゃ  |
.  {::::     /    ヽ    ヽ ',      |    も 的 け  |
.  |   | | { \ ヽ  {ヽ_   ' i     |    い に る  |
  ',   | |. ィ─ヽヽヽ \\`  } |      ,   い は と  /
   j  } | |×|   \`ー ⌒ヽ7|/     ∠  の     /
  / /| V  /⌒    tj  { |\      ヽ  ゚   /
. / /:::| |  {  ヒj       | |ー`      ` ー ´
∠/:::::::| i   ,,        '' ノ |
   ノ:::::::| `∩        イ j. ∩
  /::/ ::::::i  | ト _   r‐ /:::| (ヽ | |  ) )
. / /   ヽノ r─,/7  ̄  ーヽ ヽヽj .|
.{ { ( (⊂ニ´    /__j_/ /`   ー フ  
ヽ ヽ    ヽ   /         {    /´  

女の子なら女の子で、それなりの楽しみ方があるようです。



【過去スレ】
貴音「貴女様?!」 P「面妖な……」
貴音「貴女様?!」 P「面妖な……」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1352476982/)

貴音「貴女様……」 P「面妖な……デュオ!」
貴音「貴女様……」 P「面妖な……デュオ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1354904121/)

幕間や小ネタを挟みつつ
   貴音→あずさ→真→響→亜美真美→亜美→真美→美希→千早→律子→NextStage!

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1364930352


とりあえず立ってしまった三スレ目

本編はしばらく勘弁してください、人生かかってるんです!(2013年4月3日現在)
しばらくは一発ネタや幕間、たまには安価でシチュエーション指定とか

ζ*'ヮ')ζ<短めのを時々投下できたらいいかなーって

雑談やら適当にどうぞ
質問等も随時受付中


NextStage is → ゆきぽ<ウマッテマスゥー
             Coming Soon...

                            /lヽ., 
                         / .'、 `ヽ、
                        ,' . ヽ  \ ______,..........,,__

                          l   _.>‐:'":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヽ,_
                           |. ,.r:':":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`:., _,. -- - 、.., __
                       ,/:':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:く     _ノ /
                      ,r':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::. . .:.:.:.:.:.:.:.:.:.::ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:':,...。-‐'"  /
                        /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:r:.:.:.:.:.:.:.:.:.:;.r:.:.:.ィ:.i::|:_,r'1:.:.:.:.:.: :';    ,:'
                          /:,:.:.;:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:_;rァ:.,r'ノ: ::/^"'ー=くj::..::..::.:.:.::i   ,. '
                    /;:':../:.:.:.:,r':.:.:.;.r'",r://:.:.;.'     ,':.:.:.:.:.:...::..l,r'~ ̄ ヽr'"~"' ‐、

                    //:.:.:i:.:.:.:/:.;:/_./'" ./:;/      i:.:;':.:.:.:.:.:.:./    /     ヽ
                   /1:.:.::l:.:.:/ '"  ノ^ ̄,/'    ヽ、   l:.i:.:..:.:::::.:_l  _,_   ,.-、    !- 、
_,.....,_,.r‐ー-、             j' |:.:.:.l::./ il^'' r。,_        `゜'ー- |:j1:.:.;r'" i l ...ヽ  l .... l      ヽ
  /     ヽ.                !:::::|./ `  '=ニi'     ,..。-rr-。,,_l/.!:/ __ \'ー'   `'ー'       l  い、いちおつですにゃん・・・
  .l ,....、   l,..,_            ';::::! 'i .::::::.            '=、:.ノノ. |:.l (...ヽ  `'ー ヽ、...  .r'^i   !  
ヽ, (.......l  ,r'~  `ヽ.        .ハjヽi                  .l::入`'ー'   ,、..:ヘ.__  i,_ (...ノ  ノ  
‐'  .`'ー' i' ,..、   ';       ,.:':::.::/:::i       '     .:::::.   ,l/,.l.`'ーr r'................ヽ.   r‐'"
/^   `'ーl l....`i   j     ,.::':::::/. ::::':、   ,。、__      u  .,r'.ィ^i.:.:.:.:;.|  !......................l  |
  _,、r-、.、. `'ー'   /    ,/. :./.: .:::::::::::ヽ.  `'ー-、'ーっ     /::::::::::;'.:.:.:.;i l.  ヽ................ノ   j
l  i'.............`ーi    r'    /.:.:.::::::::..::::::::::,r::::::::::i'.、    ̄  _,..。ィ':::::;:::::::::::;!:.:.:.::| \  `"' "~   /
':, ';..................j   ,'  ,.r'".:.:::::::::...:::::::::::/::::::::::::i--   -‐ '"/ ::::::::::;':::::::::: i.:.:.:.:.:i.  `'r-、,__ _,.。ィ^
 :, `'ー--‐'"  ノ,.r:':.:.::::::::::.:.:::::::::,r- 、; _::::::::_;ノ^'ー- 、...,_ /::::::::::::/:::::::::::::i :.:.:.:.:.:.   .|       l
  `'ーr、........ .-'".l.:.:.:.::::::::.:.:.:.:::::/ _/    ̄        ヽ:;___:::::/::;_::::::::::l :.:.:.:.:.:.i  ヽ,_     ノ
    l       | :::::::::.:.:.:.:::/_,rr'             ,ィ'"    `ヽ, :l.:.:.:.:.:.:.:.l    l^'ー‐'" i
    ヽ,____,..r'::.:.:.:.:.:.:.:::i_,.,_  `ヽ._          ,rr'        \:.:.:.:. ::::',.    l     l
     |    |:.:.:.:::::::::/  `'ー、 `'ー-‐ー'''ヽ- 、,...,//             \.:.:.:.:.i.   |     i
      l.     !: :::::::::;/   j'^~ヽ.`ュ., 。-ー-- 、,   i   ...,          \ :.:i   l     .i
      |    l::::::::;.';'   .レ==ァ;(.ノミ^ヽ、    ヽ、 j    `'ー 、_         `ヽ!.   .|      l
     .l     |:.:; ' /     ,r'./ l. iヘ,_ノ       Y.         ノヽ,_           \ j       l

カブトガニって顔も可愛いけどあの尻尾がちょろんって伸びてるのが可愛いんよ

ゆきぽは中身自体は出来たので、あとは書く時間
合間見ながら書いて今月中に投下できればなーという願望

GW中に投下したかったんだけど最近立て込んでたんだ、すまない
合間見てだいぶ書き進んだので数日内を夢見てる

6月8日かな?辺りからは一ヶ月でHTML化するらしいから気を付けて!

お待たせしております、早ければ今夜か明日にでも投下です
ちょいと質問、ゆきぽ編にドタバタ出演、まっこまっこりんとあまとう、どっちがいい?

>>31
まじですかそれくらいに内定ももらえないかなぁ

まこりん優勢だけどなんか思った以上に割れたので、出すぎない程度に両方出してみまふ
一応今夜投下予定ですが、全部は投下しきれないかも
難産です

当初、両方出すのはちょっと過多かな、と思ったので
どっちかに偏るなら無理して両方出すことはないかな、というのと、単純にあまとうはどれくらい受け入れられてるのかというのも兼ねたアンケートでしたん

22時くらいから始めまふ
多分今夜は途中で切り上げますがご了承ください




雪歩「Pちゃん……」 P「穴掘って埋まってますぅ!」


はーじまーるよー



カコーン......

           チチチ......

  ザァァァァァ......

       カコーン......




雪歩「えへへ、今日もいい天気。風も気持ちいいですぅ」

P「……」

(サァァァァアアア)

雪歩「風の音を聞いてると、なんだか心が澄み渡っていくみたい。……プロデューサー、聞いてますか?」

P「……えっ、ああ、ごめん。ちょっと呆けてた」ビューティーボイス

雪歩「もー、ぼーっとしちゃって。でも、うちに来るなんて珍しい……というか初めてですよね」

P「ちょっと用があってね」

雪歩「プロデューサーが来たって聞いて、驚きました。言ってくれれば、近くまでお迎えに行ったのに……」

P「あはははは」

雪歩「……? なんだか今日のプロデューサー、変ですよ?」

P「いやいや! そんなことは!」


雪歩「むー……あ、まだお茶お出ししてませんでしたぁ!」

P「そんな気を遣わなくても」

雪歩「ダメです! 初めて来てくれたのに……うぅ、気が利かない女でごめんなさいぃ……」

P「い、いやいやいやいや! そんなことないからね?!」

雪歩「急いで淹れてきます!」

(ガラッ)

(トテテテテテ)

P「……嗚呼、いい子だなぁ……」


拝啓

故郷にいらっしゃいます、父さん、母さん。お元気ですか。

Pです。

あなた方の下を離れ、いくらかの年月が流れましたが、私は私なりにやっております。

縁にも恵まれ、たくさんの人に助けられながら、やんちゃ盛り、多感な子たちを相手に奮闘しております。

これまで助けていただいた分を、少しでも次の世代に伝えてゆけたら。それだけが私の望みです。




それだけが、望みだったはずなのに。


お弟子さん「お嬢のプロデューサーが来よったやとォ」ドスドスドス

お弟子さん「野郎、どの面下げて来やがった……沈めたるわ」パキッポキッ

お弟子さん「まァ待てや。カタギに勇むこともねぇだろう」

お弟子さん「でもよォ、もし野郎がお嬢に手を出してたらと思うと……!」

(メキィッ!)

お弟子さん「……そン時は欠片も残さんよう、そのドタマ砕いたるわ……」ゴゴゴゴゴ






P「…………」ガクガクブルブル



父さん、母さん。先立つ不孝をお許しください。


~前日!~


-BGM てってってー-


P「例えば君がぁ~傷付いてぇ~♪」ダンディーボイス

P「戻りましt」ガチャッ

小鳥「プロデューサーさぁーんっ!」ガバッ!

P「こ、小鳥さん?! こんなところを貴音や律子に見られたら殺されます!」

小鳥「どどどどうしましょおおおおお」ガクガクブルブル

P(……はっはぁ~ん、また何かやらかして俺に尻拭いさせようとしてるな)

P「小鳥さん」

小鳥「なんですかぁ……」

P「俺達がやっている仕事について、考えたことはありますか?」

小鳥「は?」


アイドル。

それは夢の象徴。

観る者に夢を与え、アイドル本人もあのスポットライトを夢見る。

アイドルとはまさに、その存在そのものが夢のようなものだ。

そして俺達事務所スタッフは、そんな夢を創り上げる手助けを生業とし、誇りとし、責任を持っている。

そう、どんな些細なことでも、俺達は自分の仕事に、魂を持って向き合わなければならない。

それが、他人の『夢』に触れ、形を変えてしまう俺達の義務。



P「俺達は、目の前の困難から逃げるわけにはいかないんです」

小鳥「流石です……私、こんなこと程度で狼狽えてしまって……情けない……」シュン

P「だから小鳥さん。ミスをしてしまったのかもしれない。辛いのかもしれない。けれど、夢の一端を担う者として魂をかけて全ての人達に誠心誠意向き合わないt」

小鳥「でしたら、大丈夫ですよね! 雪歩ちゃんの親御さんからプロデューサーさんにお電話がありました!」

P「あ、もうこんな時間か。そろそろあずささん迎えに行かないとなー、すぐ迷子になるからなー」スタスタスタスタ

小鳥「ぷ・ろ・でゅ・う・さ・あ・さ・ん!!!!」ガッシ

P「はっ、放せっ! 放さんかっ!!」


小鳥「覚悟を決めましょう。手を繋いでてあげますから」

P「…………」

小鳥「……雪歩ちゃん家の番号です」

P「…………」ギュウッ

小鳥「ちゃんと握ってますよ」

P「……放さないでね?」

小鳥「いい加減腹括ってください」

P「はい……」

(ピッ...)

P「あ、ちょっと待って」

小鳥「なんです?」

P「ええと、おなかの調子が」

小鳥「さっさとかけてください」

P「はい……」


(prrrrrr)


P「恐れ入ります。私、765プロダクションの……ああ、雪歩か」

P「お父さんから電話をいただいてたみたいなんだ。代わってもらってもいいか?」チラッ

小鳥「……」


P「は、萩原さん、お久しぶりでsはっはいいいぃぃぃぃぃぃいい!!!!」ビシィッ!!

小鳥「っ?!」

P「はいっ! はいっ! か、かしこまりました! 明日、直接お伺いさせていただきます!」ヘコヘコ

P「わ、分かりました! 男子に二言はありません!!!」フカブカー

P「し、失礼いたします!」

(ピッ)


小鳥「ぷ、プロデューサーさん、い、一体何g」

(ガッ)

小鳥「やっ、ぷ、プロデューサーさん?! だ、ダメよ小鳥! こんな昼間から……!」

P「明日、雪歩の実家へ行ってくる……」

小鳥「あたしだって純真な乙女なんです! そんないきなり……へっ?」

P「お父様が、直々にお話があるそうだ……」サーッ...

小鳥「だ、大丈夫ですか? 顔が千早ちゃんの髪みたいに真っ青ですよ?」

P「……引き継ぎの用意、しないとな……」

小鳥「ぷ、プロデューサーさん! しっかりしてください!!」

P「もし俺が帰れなかったら、律子に事務所回してもらうしかないな……」ゴソゴソ

小鳥「み、身支度をして、どこへ?」

P「すみません、今日はもう帰ります。色々と身辺整理もしておきたいので……」

小鳥「……分かりました。今日の仕事は、こっちでなんとかしておきますから」

P「ご迷惑をおかけします……」



小鳥「プロデューサーさん」

P「はい……?」

小鳥「……グッドラック!」サムズアーップ


~時は戻って!~


P(そう、俺は確かに電話口で告げた。『男子に二言はない』と)

P「でもどっからどう見ても女子なんですよねぇ」ビューティーボイス

P「ふえぇ……障子の向こうから聞こえてくる声が殺気立ってるよぉ……」


お弟子さん「俺は……あの野郎だけは許すわけにいかねェ……」

P(俺が何したってんだよ……事務所に持ち込んでたアレな本は没収したけどさ……)

お弟子さん「最近、お嬢が男の名前を呟いてらっしゃるんだよ」

お弟子さん「男の、だと?!」

P(えっ)


お弟子さん「プロデューサーの奴らの名前に違いねェ……純真なお嬢を誑かしやがって!!」

お弟子さん「許せねェ……」

P(雪歩、まさかお前……俺のことを……)ドキドキ

お弟子さん「悩ましい声で呟くんだよ……そう……」

P(雪歩……俺は、俺は……"奴ら"?)


お弟子さん「冬馬とか北斗とかよ!」


P「違う!!」カッ!


お弟子さん「ん? 何か聞こえなかったか?」

P(つ、つい突っ込んでしまった!)バッ


お弟子さん「ってお前……冬馬と北斗といやァ、お嬢のライバルプロダクションのアイドルじゃねェか!」

お弟子さん「何だと?! プロデューサーの野郎……ま、まさか……お嬢を売り……!!!」

お弟子さん「っ!」ガンッ!

P(違いますううううううう多分それこの前没収したやつですうううううううう!!!!)

お弟子さん「そういや、俺も聞いたぜ……マコトとかいう奴の名前をよォ……!」

P(それは女の子ですううううううううううう!!!!!!!!)

お弟子さん「許せねェ……プロデューサーの野郎……親方に会わせる前に、ブッ殺してやる……」

P(冤罪だ……無罪だ俺は……)

お弟子さん「オウ、野郎はこの部屋にいんのか?」

お弟子さん「まずはしっかりツラを拝ませてもらおうぜ」

P(野郎はいません! ここにいるのは善良な一P子です!)


(ガラァッ!)


お弟子さん「オウ、邪魔するぜ、兄ちゃん」

P「はひィっ!!」ビシィッ!

P(アカン! このお弟子さん目が血走ってる! 殺られる!!!)

お弟子さん「ん? アンタ……」

P「はははははいっ!!!」ダラダラ


お弟子さん「こいつァ申し訳ねェ! お嬢のお友達でしたか!」


P「は、はいいぃぃい……へっ?」

お弟子さん「怖がらせちまってすいやせん……おいてめェら! どういうこった!」

お弟子さん「あ、あれ? おっかしいなァ……」

P(もしかして俺……気付かれてない?)

お弟子さん「この部屋のはず……ううん、悪かったなァ、姉ちゃん」

P(こ、コレは神のご加護か?! アイドル神様にお祈りした甲斐があったぞ!)

P「あ……は、はi」



(ガラッ)

雪歩「プロデューサー、お茶が入りましたぁ!」

P「」


お弟子さん「……ん?」

お弟子さん「プロデューサー?」

P「いやあはは、えっとその」

雪歩「あっ、皆さん。ご紹介しますね、私を担当してくれているプロデューサーのPさんですぅ」

P「信仰は死んだ」

お弟子さん「ほう、そんな趣味もあったんかィ」

お弟子さん「そうしてお嬢を騙したんじゃな……」

P「いやあははまさかそんな」

雪歩「へ? 騙す?」

P「えっとこれはつまり」

お弟子さん「おかしいと思っとったんじゃ……」

お弟子さん「男嫌いのお嬢が騙されるなんぞ……」

雪歩「え? え?」


お弟子さん「女みたいな格好をして、お嬢を誑かしたっちゅうことかい……」メキッ

雪歩「えっ、えぇぇぇええっ!? た、誑か……!?」

P「ごごご誤解ですぅ!」

お弟子さん「その気色悪い声色やめんかィッ!!」バンッ!

P「無理ですぅ!!」ビューティーボイス

お弟子さん「おいてめェ……そこを動くなよ……」スラッ

P(どどどどどドスうううううう!)


P「……」スクッ


P「三十六計逃げるに如かずぅ!!!」グルッダダダッ!


お弟子さん「あっ、野郎!!」

お弟子さん「オンドリャア待ちやがれクソガキが!」

お弟子さん「目ェひん剥かせて烏に突かせたるわ!!」


(ダダダダダ...)



雪歩「……えーと、何がどうなって……?」ポカーン


お弟子さんs「「「こんのやらあああああああ!!」」」

P「何もしてないのにいいいいいい!!!」ダダダッ


P「こ、こっちに曲がって!」


P「次を右に……ってこっちは行き止まり?!」


お弟子さん's「コンクリの中か海の中かくらいは選ばせたるわああああああ!!!」


P「あっ! えっ!? ひ、引き返したら捕ま――」




(グルッ)


(グァッ!)


P「むぐぅっ!?」


(グイッ)


(パタン)




お弟子さん「くそっ、いねェぞ! あっちか?!」

お弟子さん「絶対に逃がすな……とっ捕まえて皮剥いじまえ!」


P「ん、んむー!」

雪歩「しっ!」ギュッ

P「ゆ、雪歩?」

雪歩「静かに……声が外に漏れちゃいます……」シィーッ

P「……」コクコク

雪歩「状況は呑み込めないですけど、とりあえず不味いんですよね……?」

P「……」コクコクコクコク

雪歩「まずは何とかして外に……でもどうしよう……」キョロキョロ

P「顔とか完全に覚えられてるだろうなぁ……出たら死ぬ……」

雪歩「うーんと……あっ! そういえばこの押入れって!」

P「ん?」

雪歩「えーと、確かここにしまってあったはず……」

(ゴソゴソ)

P「雪歩、何を探して……」

雪歩「あ! ありましたぁ!」ガサッ

(バッ)

P「……そ、それは……」


お弟子さん「居たか?!」

お弟子さん「いや、こっちには――」


雪歩「ふふっ、可愛い可愛い、似合ってますぅ!」

女の子「そんなことないって……」

雪歩「あとで春香ちゃんに送ろうっと♪」カシャッ

女の子「や、やめてぇ!」


お弟子さん「お嬢!」

雪歩「はい?」

女の子「っ」ビクッ

お弟子さん「こっちにプロデューサーの野郎は来ませんでしたかィ?!」

雪歩「プロデューサーですかぁ? 見てませんけど……」

女の子「……」


お弟子さん「……あ? こっちの女、どっかで見たような……」

女の子「っ?!」ビクゥッ!

(バッ)

女の子「……」ビクビク

雪歩「やめてください、ぴぃちゃんが怖がってるじゃないですかぁ! 私の後ろに隠れちゃって……」

お弟子さん「ぴ、ぴぃちゃ……?」

女の子「ど、どうも……」コソコソ

雪歩「私のお友達ですぅ。折角遊びに来てくれたのに……うち、怖いよね……もう私となんて遊びたくないよね……」ポロッポロッ

女の子「うぅ……」ビクビク

お弟子さん「あああああすいやせんお嬢! そ、それにお友達も!」

お弟子さん「わ、わしらはすぐに消えますんで! 何か旨いもんでも出させるんで、ゆっくりしていってつかぁさい!」

お弟子さん「す、すんませんっした!!!」

(ダダダダッ...)


雪歩「……えへへ、ちょろいもんですぅ」

P「俺の知ってる雪歩はいつからこんな子になってしまったのだろうか」


P「いやー、外見を少し変えるだけでも気付かれないもんだ」ピラピラ

雪歩「その服、ちょっと前にお父さんが買ってきてくれたんですけど、私には大きくて」

P「は、萩原さんが……?」ビクビク

雪歩「へ?」

P「あああ、いや、なんでもない」

雪歩「でもプロデューサー、その服、似合ってますぅ。ショートポニーも可愛いですぅ!」

P「はは、似合ってると言われると悪い気はしないけど……なんだか雰囲気が雪歩とお揃いだな」

雪歩「お、お揃――!?」

P「お淑やかだし、澄んだ感じだし。着てるのが俺だからどうしようもないけど」

雪歩「そ、そんなことないです! プロデューサー、まるでモデルさんみたいです!」

P「そこまで言われると照れるな……」

雪歩「……お揃いかぁ……えへへ」グッ


P「しっかし、こんな男だらけの環境なのに、どうして男が苦手なんだ?」

雪歩「えっと、逆にこんな環境だから、男の人ってみんなこうなのかな、って思って……」

P「……あー」

雪歩「でも、お仕事してる内に怖い人ばかりじゃないって分かりましたし! 何よりプロデューサーが」

P「俺が?」

雪歩「っひえぇっ!? ななななんでもないですぅ!」

P「むむ?」

雪歩「え、えっと! そのお陰で、最近はお弟子さん達とも少しお話しできるようになってきたんです!」

P「おぉ、それはいいことだ」

雪歩「えへへ、見かけよりもいい人達ですよ? 頭に血が昇っちゃうと大変ですけど」

P「大変ってレベルじゃねーぞハザードだよ」


雪歩「そういえば、今日はどうしてうちに来たんですか?」

P「萩原さんに電話で呼び出されてな……」

雪歩「萩原さん……?」

P「あ、あぁ、雪歩のお父さんに」

雪歩「お父さんですか? プロデューサーが来る直前に、急な用ができたとかで車で出かけちゃいましたけど」

P「屋敷の前で擦れ違ったあの黒塗りのベンツか……」

雪歩「お父さんには私から上手く言っておきますから、今日のところは帰った方がいいと思いますぅ」

P「せやな……」


P「で、どこに向かってるんだ?」

雪歩「とりあえず、私の部屋に。出入り口を通ったら、ボディーチェックでばれると思いますから」

P「ああ……入る時もあったアレな……でもなんで雪歩の部屋なんだ」

雪歩「ココだけの話ですけど……私の部屋、お弟子さんも知らない隠し扉があるんですぅ」

P「忍者屋敷かよ」

雪歩「いざという時のために用意されていたんですけど……まさか役に立つ日が来るなんて……」

P「一体どんないざなのか気になるけど聞きたくないな」

雪歩「そこを通って、外に出ましょう」


(ガチャッ)


雪歩「ここが私の部屋ですぅ」キィッ

P「おぉ、ここが雪歩の部屋か」

雪歩「は、恥ずかしいのであんまりじろじろ見ないでくださぃ……」

P「イメージ通りの綺麗な部屋だ」

雪歩「あうぅ……でも確かに、アイドルの部屋なんて来る機会ないですよね」

雪歩「プロデューサーの部屋にはたまに遊びに行ってる子もいるみたいですけど……」

P「うんうん、アイドルの部屋なんt――」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

あずさ『今晩のお夕飯、何がいいですか~?』


響『なんだか、にぃにと一緒に寝てた頃を思い出すぞ……』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


P(…………)

P(……普通に行ってた)


雪歩「?」

P「アアイヤナンデモナイデスハイ」

雪歩「えへへ、変なプロデューサー」

P「あはははははは」




雪歩「…………ふふふふ」


P「それじゃあ早い所脱出を」

雪歩「ここならお弟子さん達も来ませんし、折角ですから少しゆっくりしていってください」

P「いやしかし、正直生きた心地が――」

雪歩「ゆっくりしていってほしいですぅ!」

P「あ、はい」

雪歩「ふんふふんふん♪ えっと、どこだったかな……?」


P(……なんなんだ、雪歩のこの浮かれ様は?)

P(何かを探してる……俺に見せたいものでも?)

P(まさかこの前の本みたいな……いや、でもいくら雪歩とて嬉々として見せつけるか?)

P「雪」

雪歩「あのぉ、プロデューサー?」ズズズ

P「は、はい?」

P(何か熱いオーラが……)

雪歩「実はこの前、真ちゃんが遊びに来たんですけど」

P「うん」

P(この気配、まさか――)



雪歩「プロデューサーには、真ちゃんと反対のことをしてあげますぅ♪」ニコッ


~数分後~


(シャリラァ~ン)


雪歩「ぷっ、プロデューサー……すっっっごく似合ってますぅ!!」

P(おお、神よ……)

雪歩「次はこっちの着物を……」

P「父さん、母さん……どうして俺はフォーマルドレスを着てるんだ……」

雪歩「! こらぁ! そんな言葉遣いダメですぅ!」

P「す、すみませんっ!」ビューティーボイス

雪歩「もっと優雅に、かつ凛々しく!」

P「え、ええ。ご、ごめんなさい、気を付けますわ」

雪歩「ふふふっ」

P(ごめんよ真……お前いつも辛かったんだな……今度可愛いフリフリの仕事取ってきてやるからな……)

雪歩「はいっ、プロデューサー、次行きますぅ! 着付けは私がしてあげますから!」

P「ふえぇ……お、お願いしますぅ……」


 <キモノ!    
     パシャッ

       ア、アハハ...>

    <ワンピース!   パシャッ

  パシャッ
        ウッ、ウゥ...>

  <オヒメサマ!   

      パシャッ
 
          ウワァァァァア!>
  パシャッ
       <ナース!
             パシャッ
       パシャッ
 
     フエェェェエン!>

 <セーラーフク!        パシャッ

        ツキニカワッテオシオキヨ!>



お弟子さん「ん、お嬢の部屋からか?」

お弟子さん「お嬢……お友達と楽しそうに……!」

お弟子さん「うっ、うぅっ……お嬢……肩身の狭い思いをさせてきちまったのに……」

お弟子さん「良かったァ……良かったァ……!」

お弟子さん「そんなお嬢の幸せをブチ壊すプロデューサーを血祭りに上げろォ!」


お弟子さんs「「「オオオオオオオオ!!!」」」


P「凶悪なUMAの雄叫びが聞こえた……」

雪歩「次はどれにしよっかなー♪」

P「雪歩お嬢様は絶好調ですし……ん?」

雪歩「? どうかしましたか?」

P「その奥にある服は?」

雪歩「これですか?」ガサガサ

P「そうそう、なんだか目についたら気になって。真っ白い……ってこれ、どこかで」

雪歩「あ」

(スッ)

雪歩「これ、初めて事務所に行った時に着ていった服……」

P「あぁ、あの時の」

雪歩「覚えてるんですか?」

P「目に入った時、見覚えがあるなぁと思ったんだけど。言われて思い出したよ」

雪歩「えへへ、懐かしいですぅ」


P「こんな奥にしまって、最近は着てないのか?」

雪歩「アイドルじゃなかった頃を象徴するような服ですから、なんとなく着てなくて」

P「ふぅん……」

雪歩「……あ、じゃあ最後にこの服、着てみませんか?」

P「え?」

雪歩「ほらほら! 早く脱いで!」

P「ま、待ってくれ、今脱ぐから」


(シュルシュル)

(キュッ)

P「……どう、かな」

雪歩「……」

P「雪歩?」

雪歩「……あっ! ご、ごめんなさい。あんまり似合ってたので、つい……」

P「い、いやぁ、それほどでも……あはは」

雪歩「真っ白で綺麗……」

P「よせよ、照れるじゃないか」ポッ

(サッ)

雪歩「雪纏い 紅く咲いたり ぴぃの華」カキカキ

P「よせよ」


(パシャッ)

P「もう満足したか? じゃあ着替えるぞ」

雪歩「はいっ! ふふふ、コレクションコレクション……♪」

P「ふぅ、疲れた……女服って着るのも脱ぐのもめんどいなぁ……」

(グッ)

P「ん、引っかかった。えっと、ここが……」

雪歩「あ、そんな姿勢になったら――」

(グラッ)

P「うぇっ!?」

雪歩「ひゃっ!?」

P「おわわわわわ!」

雪歩「きゃんっ!」


(ガタァッドタァッ!)


(ドサァッ!)



お弟子さん「ん? お嬢の部屋から大きな音が!」

お弟子さん「なんかあったんか!?」


P「いてて……って雪歩、大丈夫か?!」

雪歩「ふえぇ……だ、大丈夫ですぅ」

P「す、すまん、巻き込んじまって……怪我とかしてないか?」

雪歩「幸い、綺麗に転べたので……でも、えっと、あの……」

P「?」

雪歩「その……乗っかられてると、立てない、というか……」カァッ

(クタァッ)

雪歩「ん……」プイッ

P(お、おぉ、雪歩、なんだか色っぽいぞ……じゃなくて!)

P「あ、あぁっ!? す、すまん! すぐどくから!」

雪歩「……」ギュッ

P「……?」

雪歩「……」

P「あの」

雪歩「……」

P「なんで思いっきりホールドされてるんですか」


P「放していただけないと、どけないのです、が」

雪歩「……プロデューサーって、暖かいんですね」

P「へ?」

雪歩「私、プロデューサーが男の人の時はこんな風に触ったことないから……知りませんでした」

P「いや他のアイドルともこんな風にh――」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

貴音『可愛がって差し上げます……P……』


美希『……あはっ、キスマーク付けちゃったの』


千早『一緒に、寝てもいいです、か……?』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


P「……最低だ……俺って……」

雪歩「え?」

P「いや、なんでもないデス」プイッ

雪歩「プロデューサー、こっち見てください」

P「いやあのその」

雪歩「プロデューサー……」ジッ

P「あー、えっと、その――」


お弟子さん「プロデューサーやとォ!?」ガチャァッ!



P「」





お弟子さん「……」

P「……」ウマノーリ

雪歩「……」ウマノラーレ

お弟子さん「……オウ」

P「お、おう」

お弟子さん「……」

P「……」

雪歩「え、えっと、これは、その」


お弟子さん「てめえええええプロデューサーやったんかィィイイイイイイ!!!!!!」

P「おわあああああああああ?!」ダダダッバタンッ!

(ガチャリッ!)

雪歩「み、見つかっちゃいましたぁ!」

お弟子さん「てめェ、お嬢を脅迫して無理矢理協力させやがったな!!」

お弟子さん「野郎、お嬢を押し倒してやがった!!!」

お弟子さん「オラッ! 鍵開けやがれ!!」

P「いいいいいいいい誤解ですうううううううううう!!!」

お弟子さん「畜生、頑丈なドアだ! おい、ぶっ壊してお嬢の安全を確保しろ!」

お弟子さん「へいっ!」

P「む、無理矢理入ると雪歩の身g」

お弟子さん「なんだとこのやらああああああああああ!!!!」

雪歩「頭に血が昇ってるから逆効果ですぅ!」

P「Pour oil on the Fire!!!」


雪歩「こ、こっちですぅ!」ギィッ

P「お、おぉ、そこか隠し扉。でも服が……」

雪歩「そんなこと言ってる場合じゃないです! そのままでいいですから早くこっちに!」

P「お、おう」





(ガンッ)

(ガンッ!)

(ガンッ!!)

(バキィッ!!)


お弟子さん「オラアアアアアアアア!!!」ダダダッ

お弟子さん「?! 居ねェ! 窓から逃げやがったか?!」

お弟子さん「絶対に逃がすな! 屋敷の外にも人数回せ!!」


(カツンカツンカツン!)

P「階段で地下に潜って抜けるのか……」

雪歩「家から少し離れた場所に出るようになってるんです」

P「なんだか洞窟探検みたいでワクワクするな」

雪歩「私も一人だったら怖いけど、プロデューサーと一緒だからちょっと楽しいですぅ」

P「……追われてさえいなければな」



~暫く歩いて~



P「お、この階段を登れば外か」

雪歩「出口のところに予備の靴が何足かあるので、それを履いてきてくださいね」

P「悪いな」


(テクテク)

(ピカッ)

P「ン、隙間から光が……」

雪歩「あそこが出口です。私が先に出てみるので、合図をしたら出てきてください」

P「頼む……」

(ガチャッ)

(ギィィィ)

雪歩「……」キョロキョロ

(クルッ)

雪歩「……」サムズアーップ

P「よし……」

(ギィィ)

P「おお……再び太陽の光を浴びることができるとは……」


P「生きて出れてよかった……」

雪歩「それじゃあプロデューサー、こっちです」クイクイ

P「え? 表に出たんなら、もう一人で帰れ――」

雪歩「死にたいんですか?」ギロッ

P「ひっ!?」

雪歩「普通のルートは、多分お弟子さん達が総出で張ってるはずです。普通に帰ろうとしたら、まず捕まっちゃいます」

P「じゃ、じゃあタクシーを」

雪歩「こんなところを空車が走ってたら、勘付かれますよ」

P「ふえぇ……」

雪歩「……えっへん! でもご安心ください!」

P「へ?」

雪歩「この辺りは私の地元ですよ? 裏道小道、お任せください!」エッヘン!

P「おぉっ! 頼りになりますな、雪歩の姉御!」

雪歩「えへへ♪」グッ


―――――――――

――――――

―――



P「頼りになる。そう思っていた時期が、俺にもありました」タッタッタッ

雪歩「は、はうっ! すみません……」タッタッタッ


お弟子さん「待てやこんやらあああああああ!!!!」ドドドドド

お弟子さん「てめェがお嬢を脅して道案内させとることくらい想像できるわ!」ドドドドド

お弟子さん「ワシらが一体何年お嬢の警護をしとると思っとるんじゃ!!!」ドドドドド

お弟子さん「先回りくらい朝飯前よ!!!」ドドドドド


P「こえぇよ……ストーカーかよ……いっつも張り付かれてるのか?」タッタッタッ

雪歩「どうなんでしょう……そういえば時々、私に近づいてきた人達が慌てて逃げてくことはありましたけど……」タッタッタッ

P「そりゃ逃げるわ」


お弟子さん「チッ、埒があかねェ!」バッ

お弟子さん「やめろ、お嬢にまで当たっちまうかもしれねぇだろうが!」

お弟子さん「そんなモン出すんじゃねェ!」

P「どんなモンですか?!」


(タッタッタッタッタッ......)

P「くそう、追いつかれるゥ!」

雪歩「……! ど、どなたのか知りませんけど、お借りします!」バッ!

P「えっそれ、」

雪歩「次の角を右に!」

P「は、はいっ!」



お弟子さん「まァた曲がりやがって!」

お弟子さん「ちょこまかとォ!」ダダダッ


(ガッ!)


お弟子さん「い゙っ!?」

お弟子さん「な、何でこんなところに」

お弟子さん「溝がぁ?!」

お弟子さん「ぬわーーっっ!!」

お弟子さん「にょわー!」


(ドンガラガッシャーン!)




P「……スコップでアスファルトを掘れるようになったか」

雪歩「えへへ、ちょっとしたコツがあるんですぅ。こう、ツボを見極めて」

P「爆砕点穴かよ」


(タッタッタッ)

雪歩「撒けたかな?」

P「ふぇー、やっと一息つける……」ガクッ

雪歩「だ、大丈夫ですか?」

P「体力不足、慣れない靴に服、溜まった疲労……ここまで逃げられたのが奇跡だよ」ハァッハァッ

雪歩「うちの人達が、ご迷惑をおかけしてしまってすみません……」

P「いいよいいよ、これもプロデューサー業だ。でも雪歩、だいぶ体力付いたな」

雪歩「そうですか? えへへ、真ちゃんのお陰かな」

P「真の?」

雪歩「体力向上とダンスの特訓のために、週に何回か自主練に付き合ってもらってるんですぅ」

P「頑張ってるなぁ。でも、やり過ぎは禁物だぞ?」

雪歩「プロデューサーこそ、もう少し自分の身体を気遣ってください……」

P「……善処する」


お弟子さん「オラァ! どこにおんじゃ!!」


P「き、来たぁ!」バッ

雪歩「こ、こっちですぅ!」

P「休む暇もなしかよ!」


(ダッ)


(ドガッ!)


P「うぇっ!?」

?「おわっ!?」


(ドササッ)


翔太「冬馬くん、大丈夫?」

冬馬「いてて……てめェ、どこ見て歩いてやが――」

P「いたたた……そっちこそどこ見て歩いてんだ!」

雪歩「だ、大丈夫ですか、プロデューサー?」

冬馬「お、お前……萩原雪歩!」

翔太「あっれー、奇遇だね!」

雪歩「あ、あなたは……」


雪歩「姉ヶ崎寧々!」

冬馬「俺は凛子派だ!!」クワッ!


雪歩「えっ……」

翔太「えっ……」

冬馬「あっ、いやっ……」


P「……」プルプル


冬馬「おい、ぶつかったお前……って、お前……」

P「……」

冬馬「P子! P子だよな?! そんな服着てたから気付かなかったぜ!」

雪歩(うわぁ……露骨に嬉しそう……)

翔太(ちょっとキモい)

P「……」

冬馬「いやっ、なんというか、その、すげぇ似合ってるし……一瞬どこのお嬢様かと……」

P「……」

冬馬「あぁっ!? い、いや、わりぃ! 怪我してないか?! ほら、掴ま」

P「黙れピピン」

冬馬「えっ」


雪歩「ぷ、プロデューサー……?」

P「……こちとら生きるか死ぬかの瀬戸際だってのに……」ジトッ

冬馬「いっ……」

P「なのにペラペラペラペラと」

雪歩「プロデューサー!」

翔太「地が出てる地が出てる!」

P「はっ?!」

冬馬「……」

P「あっ、天ヶ瀬さん! お、お久しぶりですぅ……てへっ☆」

翔太(手遅れだ……)

雪歩(手遅れですぅ……)


お弟子さん「どこじゃあああああああ!!!」



翔太「えっ、何この野太いUMAの叫び声は」

P「あっ、忘れてた!」


お弟子さん「見つけたぞこの野郎!!」

P「アカン」

雪歩「逃げないと! で、でもあんなに近くにぃ!」

P「……そうだ、名案がある」

雪歩「名案?」

P「……」ジーッ

翔太「な、なんだか嫌な予感……」


(スゥゥゥゥゥゥウ)


P「キャーーーーーッ! ジュピターの天ヶ瀬冬馬クンよぉーーーーーっ!!」


お弟子さん「何ィ?!」

お弟子さん「天ヶ瀬……冬馬やとォ?!」

お弟子さん「この野郎よくもお嬢をおおおおお!!!」


P「俺は速攻魔法、スケープゴートを発動するぜ! 行くぞ、雪歩!」ダダダッ

翔太「え、えぇーーっ!? 酷いよ二人ともぉーっ!」

雪歩「で、でもこのくらいじゃ時間稼ぎにも……!」ダダダッ

P「ふふふ、誰が冬馬を囮にしたと言った?」

雪歩「へ?」


(ドドドドドドド)


雪歩「あ、あれは……!」


     <トウマクン?!

          ドコドコ!?>

<ア、ショウタキュンモイルワ!

            キャーーーッ!>

   <エ、チョットマッテボクタチハウワーッ!


P「ジュピターファンによって形成される……命名、肉の壁!」

雪歩「す、すごい数ですぅ……」

P「あんなに群がられちゃ、お弟子さん方も思うように動けまいて。肉に飲まれよ!」オツカレサマデス


お弟子さん「畜生……こんなにカタギが居たんじゃ……!」

お弟子さん「ええい、コイツはこの際どうでもええ! 早くお嬢達を追いかけるんじゃ!」

お弟子さん「しかし、この道は通れませんぜ!」

お弟子さん「おのれええええええ!!」


P「事が収まったら、冬馬への誤解も解いてあげて」

雪歩「誤解?」

P「……後で話すよ」


―――――――――

――――――

―――


P「……あれからお弟子さんに全く会わないな」

雪歩「今度こそ、完全に撒けたみたいですね」

P「そして、この見覚えのある道を抜ければ……!」


(プァーン)


P「駅だーーーっ!」

雪歩「長い道のりでしたぁ……」

P「僕にはまだ帰れるところがあるんだ。こんなに嬉しいことはない」

P「行こう、雪歩!」

(ギュッ)

雪歩「あ……」

P「? どうした?」

雪歩「暖かい……」ボソッ

P「?」

雪歩「あっ! い、いえ、何でもないですぅ」


雪歩「……」

P「さて、それじゃあ駅へ……って雪歩」

雪歩「は、はい?」

P「立ち止まられたら歩けないんだが」

雪歩「……」

P「……ゆーきほー?」

雪歩「だ、ダメです!」

P「へ?」

雪歩「ほ、ほらっ、あそこの男の人……」

P「ん、あの駅の前に立ってる人か。知り合いか?」

雪歩「お弟子さんです」

P「え゙っ」


雪歩「先回り、されてたみたいですね」

P「と、いうことは……」

雪歩「多分、駅の中にはもっと沢山居ると思います」

P「あのままシャッター閉まらないかなー箱詰めになってくれないかなー」

雪歩「プロデューサーがドラム缶でコンクリ詰めになる方が早そうですぅ」

P「東京湾ですか!?」

雪歩「場所くらい選ばせてもらえるかもしれません、ふふふっ」

P「なんで楽しそうなんですか!?」

雪歩「こっちの商店街を抜けたところに、タクシーが止まるエリアがあるんです。行きましょう!」グイッ

P「答えてくれないんですか!?」

雪歩「さぁさ、れっつごー♪」

アレな感じですが、朝が早いので今日はここまで
明日の夜は投下できるか微妙なところ……少なくとも明後日には終わりまふ
一発で終わらなくてゴメンネ

やはり今夜は投下できないす、申し訳ない
明日をお待ちください

ごめん、体調が悪うござんす
良くなれば投下するけど、日付変わっても投下なかったら、今夜はないと思ってくれ
誠に申し訳ない

風邪じゃないと信じてる

投下は今夜は遅めかも
眠い方は起きてからどうぞ

夜も更けてまいりました
ちょっと落ち着いたので、こんな時間だけど作業しながらゆったり投下
終わると思う、多分


~商店街~


P「へぇ、結構賑わってるんだね」

雪歩「はいっ、昔からの個人商店も、新しく出店してきた会社も、同じ商店街として協力し合ってるんです」

P「仲良きことは、美しきことかな」コワイロ

雪歩「えへへ、そうですね。本当に」ニコニコ

P「嬉しそうだねぇ。行きつけの店とかないの?」

雪歩「あ……それは、えっと……」

           ヒソヒソ
<ネェ、アソコニイルノッテ...

        モシカシテ...>
   ヒソヒソ

雪歩「……」

P「? どうした、雪歩?」

雪歩「……その……」

P「?」チラッ

 <!

     !>

(サササッ)

P「……ん」


雪歩「その、ごめんなさい! 行きつけのお店、今日はお休みみた――」

P「……」ポンポン

雪歩「ふぇっ?」

P「ん」ナデナデ

雪歩「あの」

P「ん!」ナデナデ

雪歩「その」

P「ん!!」ナデナデ

雪歩「あ、あうぅ……」

P「じゃあ新しい店を開拓しようか」グイッ

雪歩「えっ!? ちょ、ちょっとプロデューサー!」

P「手を繋いだのは雪歩でしょ。ほら行くよ」ダッ

雪歩「ま、待ってください!」


P「どうしたの、どっか行きたい店でもある?」

雪歩「いえ、そうじゃなくて、その……」

P「言いたいことがあるならハッキリ言う」

雪歩「……その、本当は」チラッ

 <ウワッ、メガアッタ!

     アノコ、アソコノ...>

(サササッ)

雪歩「……この辺りでは私、怖がられてるんです。お店に入ると、迷惑をかけちゃいますぅ……」

P「ふぅん」

雪歩「実はさっきの行きつけのお店、っていうのも嘘で……ごめんなさい」

P「そっかそっか」

雪歩「それにほらっ、急がないとお弟子さんたちに見つかっちゃうかもしれません! 早くここを抜け」

P「あ! あそこのお茶屋さんって行ったことある?」

雪歩「私の話聞いてましたか!?」クワッ!


P「まーまー。気持ちは分かるよ。私も怖がられてた頃があったしね」

雪歩「え?」

P「雪歩と初めて会った頃」

雪歩「そそそそそれはぁ!?」

P「あははは。でもさ」

P「少しずつ話して、距離が近づいて、今はこうして手を繋いでるでしょ?」

(ギュッ)

雪歩「あ……」

P「ま、今は女の子だからちょっとズルだけど」

雪歩「はい……」

P「確かにどうしても合わない人っていうのはいるし、絶対に相容れない人が居るのも事実だけど」

P「ここの人達はまだ、雪歩のことを知らないでしょ?」

雪歩「……」

P「地元が大好きなのに、仲良くできないなんて寂しいじゃない。雪歩チャレンジだよ、雪歩チャレンジ」

雪歩「はぅ……」

P「ほら、今日は私が一緒にいてあげるから」


雪歩「……このお茶屋さんは、結構昔からあるんです。前はよく、お母さんと来ていたんですけど……」

雪歩「店主だったお婆ちゃんがご隠居してから継いだ娘さんが、私達のことを怖がっちゃって」

P「疎遠になっちゃったわけね」

雪歩「はい……」

P「うむ、雪歩チャレンジにはもってこいの舞台ですな」

雪歩「うぅ……でもやっぱり、お店にご迷惑が――」

P「じゃかしぃ!!」

雪歩「ひぅっ?!」ビクゥッ!

       ビクッ!
<?!
      !?>
  ビクッ!

P「あれ? 驚いちゃった?」

雪歩「い、いきなりはやめてください、ぷろでゅーさぁ!」エグッ

P「強くなったと思ったけど、やっぱり雪歩は雪歩だなぁ」


(ガラガラッ)

店主「いらっしゃいま――」

P「こんにちはー」

雪歩「こ、こんにちは……」

店主「っ……い、いらっしゃいませ……」ビクビク


雪歩「は、はぅ……やっぱり怖がられてるよぅ……」

P「最初は仕方ないよ。これからこれから」

雪歩「うぅ……」


P「色んな茶葉があるんですね」

店主「え、えぇ。曾祖父の代から生業にしておりまして」

P「こんなにあるとどれを選んだらいいのかな……ね、雪歩?」

雪歩「ひぇっ!?」ビクッ

店主「っ」ビクッ

雪歩「えっと、えっと……」


P(頑張れ、雪歩!)

雪歩「う、うぅ、やっぱり怖がられてるよぅ……私なんていない方がいいよね……」ボソボソ

店主「……」

(ギシッギシッ)

P「あれ? 店の奥から誰かが」

雪歩「あ……」

ご隠居「あらあらまぁまぁ、お若いお客さんだこと」

店主「お、お母さん!」

ご隠居「……んん? そっちの子は……もしかして、萩原さんのとこの子かい?」

雪歩「お、お婆ちゃん……お久しぶりですぅ!」

ご隠居「久しぶりに店の様子を見に来てみたら、珍しいお客さんじゃないか。隣はお友達かい?」

P「ええ、まぁ。こんにちは」

ご隠居「はい、こんにちは。……お前ねぇ、お客さんが来てるってのに、なんて顔してるんだい!」

店主「えっと、その……」チラッ

雪歩「……」


ご隠居「……お前、まさかまだ怖いからどうこうとか考えてるんじゃないだろうね!」

店主「ええっと、そんなことはないのよ、お母さん?」

ご隠居「だまらっしゃい! こんないい子にそんな目向けてるんじゃないよ!」

店主「ご、ごめんなさい!」

ご隠居「今時はみんなそんなんだから、見てくれが綺麗な大会社の安物茶が売れるんだよ!」

店主「ごめんなさぁい!」



P「……やはりいつの世も、おっかあが一番怖いんだよねぇ」

雪歩「あ、あの、お取込み中すみません……お茶、ですけれど」

店主「は、はいっ?」

P「うん?」




音葉「……」フゥ.....



音葉「……」スッ



伊吹「聴き終えたみたい」

アヤ「結局、大した反応は見られなかったなー」

菜々「当然ですっ! 電波なんていうけど、ナナの歌だって普通の曲ですからね!」

伊吹「まあとりあえず、ネタばらしに行こうか」

申し訳ありません、誤爆しました

>>123
誤爆者は鉄拳制さi……ゲフンゲフン
どんまいです!


雪歩「プロっ……ええと、ぴぃちゃんはお茶に、特別なこだわりとかはないですよね?」

P「ええ、まぁ」

雪歩「じゃあ、このお店には色んな種類の美味しいお茶がありますけれど、『お茶買った!』って気分になれる、玉露を選んでみましょうか」

P「雪歩がそう言うならそうしてみよっか」

雪歩「はいっ! あの、この茶葉、ちょっと試飲してみてもいいですか?」

店主「え、えぇ。では今から淹れてまいりますので」ガタッ

雪歩「いえ、その厚かましいとは思うんですけれど……」

ご隠居「ああ、自分で淹れるかい? なら、こっちにおいで」ギィッ

雪歩「すみません、お邪魔しますぅ」トテテッ

P(雪歩……)


―――――――――

――――――

―――


(カチャカチャ)


雪歩「みなさん、どうぞ」

P「ありがとう」

店主「ありがとうございます……」

(フワァッ)

P「あ、いい香り……ちょっと海苔みたいな気も。じゃあいただきます」

(ゴクッ)

P「……思ったより熱くないんだね。それにしても、凄くまろやかで甘い……」

ご隠居「こりゃたまげた。昔からお茶が好きな子だとは思ってたけど、上手く淹れる様になったもんだねぇ」

店主「凄い……温度調節も完璧だわ……私だってここまで上手くは……」

雪歩「いかがですか?」

P「何だろう……すごくホッとする。お茶の緑が身体の中を巡るみたい」

雪歩「えへへ、気に入ってもらえたみたいで良かったですぅ……」ニコニコ

店主「……」

ご隠居「こんなに美味しいお茶を淹れられる子が、あたしらに何か悪さをすると、まだ思うかい?」


店主「……私だって、老舗の葉茶屋の店主よ。飲めば、淹れた人の心くらい分かるわ」

店主「澄みきった、それでいて慈愛に溢れた、綺麗な心」

雪歩「店主さん……」

店主「でも、負けん気が強いのに、ちょっと気が弱い子」

雪歩「て、店主さぁん!」

P「大当たりじゃない」

雪歩「う、うぅ……ぴぃちゃんまで……」

P「じゃ、この玉露買っていきます」

ご隠居「ふぇっふぇっふぇ、毎度あり」


P「じゃ、そろそろ行こっか」

雪歩「あ、はいっ」

(ガラッ)

店主「あの!」

雪歩「?」クルッ

店主「……ごめんなさい。私、あなたのことを誤解してたわ」

雪歩「い、いえっ! そ、そんな……私の家、やっぱり、怖いですし……」

店主「……お付きの人達に、睨まないでって一言言ってもらえると嬉しいかな」

雪歩「ごごごごめんなさぁい!」

店主「ふふふ、冗談よ。また、いつでも買いに来て」

雪歩「……! 是非っ!」



P「雪歩チャレンジ、成功、だね」

雪歩「はい!」


(テクテク)

雪歩「さっきはちょっと丁寧に淹れましたけど、普通に淹れても美味しいお茶ですから、心配しないでくださいね」

P「ほっ……実は買ってからどうしようかと」

雪歩「ふふふっ。良かったら、他にも色んなお茶を試してみてください」

P「いつも一方的に出してもらってるだけだからねぇ。今日みたいに色んなお茶に囲まれて、自分で選んで飲んでみるのもいいかも」

雪歩「そうですぅ! それに、もし玉露の丁寧な淹れ方を知りたかったら」

雪歩「そ、その……私が、プロデューサーの家に行って……つ、付きっ切りで――」




「わんっ!」




雪歩「ひゃあああああああ犬うううううううっ!?!?」ビクビクビクゥッ!!

P「うぐぅっ!」


(キュッ)

P「ゆ、雪歩! だ、抱き着くのはいいけど首は、首はぁっ!」

雪歩「す、すみません!」パッ

P「けほっ……うー、一体どこの犬だい……」


「ご、ごめんなさーい!」タッタッタッ


真「だ、大丈夫でし……って雪歩?」

雪歩「あれっ、真ちゃん?」

真「そう言えばここって雪歩の家の近くかぁ。……ってあれ? そっちにいるのって……」

P「キャハッ☆ ラブリー17歳!」

真「うわキツ」

P「うるさい可哀想だろ!」

真「いえ今可哀想なのはボクの目の前に居る乙女装束ですよ」

休憩
もし寝落ちして戻ってこれなかったら続きは夜か明日なの……

申し訳ない、朝が早いので、やっぱり今夜は投下できないす

続きをなかなか投下できなくて申し訳ない
今しばらくお待ちください

お待たせしております
諸事情で止まっておりましたが、今夜で終わらせ

……る予定だったのですが、すんません朝から大事な用があるので、明日帰ってきたら最後まで投下します

目処が立った時点で報告した方がいいかと思って
前にこまめに報告して欲しいという意見もあったので

やっと帰れました
遅い時間ですが続きを


(タッタッタッ)

響「ま、真、ちょっと待って……」ゼェゼェ

P「あら、響もいたの」

響「あっ、プロデューサー……おはよ……」ゼェゼェ

P「もう午後だよ」

雪歩「真ちゃんと二人で走ってたの?」

響「うん。この時間帯によくいぬ美とランニングしてるって話したら……」ゼェゼェ

真「ボクも最近この時間が多いし、一緒に走らないかって誘ったんだ」

雪歩「それで三人で走ってたんだね」

いぬ美「わぉんっ!」

雪歩「ひぅっ!」


響「真のペースは速すぎるよ」

真「響こそ、そんなペースだから響チャレンジゴールできないんだよ」

いぬ美「おんっ」

響「ぐぬぬ……いぬ美もそう思うのか……」

P「ダンスは響の方が一枚上手だけど、持久力は真に軍配、かな」

(ガシャコンッ)

雪歩「はいっ、二人とも」テテテッ

響「あっ、スポーツドリンク!」

真「わざわざありがとう、雪歩」

雪歩「えへへ」グッ


(ドドドドドドド......)


響「ん? あっちが何だか騒がしいね」

真「何だろうね、雪h――あれっ!?」

響「二人ともいないぞ……」


(ダダダダダッ)

お弟子さん「姉ちゃん! たった今その犬にビビった女の子がいなかったか!?」

いぬ美「わぉんわぉんっ」

響「ショートカットの女の子?」

真「それならあっちの方に……」

お弟子さん「おう、デート中に悪いな、兄ちゃん姉ちゃん! オラ行くぞ!」


(ダダダダダダダッ......)


真「に、兄ちゃん……」ガクッ

P「大丈夫、私達は真の女の子なとこ、いっぱい知ってるから!」ニッコリ

雪歩「かっこいい真ちゃんもいいけど、可愛い真ちゃんも大好きだよ!」ニコニコ

真「うん、言葉は嬉しいんだけど、そろそろ屋根の上から降りてきなよ。二人ともそんなに身軽だったっけ」

響「今ならDaレート1.5倍が活きるね」


(トタトタンッ)

P「いやいやお恥ずかしい所を」

雪歩「私、ダンス苦手でしたけど、少し自信が付きそうですぅ」


真「雪歩雪歩」コソコソ

雪歩「なんですかぁ?」ヒソヒソ

真「さっきのって、お弟子さん達だよね? なんで追われてたの?」コソコソ

雪歩「えっと、それは、その……」ヒソヒソ

真「もしかして……お忍びデート?」コソコソ

雪歩「でっ……?! ち、違うよぉ!」


響「ん? どうしたんだ?」

P「何々? 何かあった?」チラッ

雪歩「な、何でもありません! 何でもありませんからぁ!」


雪歩「そ、そんなのじゃないよぉ!」ヒソヒソ

真「えー、絶対アタリだと思ったんだけどなぁ」ポリポリ

雪歩「もう、美希ちゃんじゃないんだから……ドリンクちょっとちょうだい」

真「はいっ」スッ

雪歩「んくっんくっ……」

真「じゃあ……駆け落ち?」ティンッ

雪歩「けふぅ!」

真「うわぁっ!」ピシャァッ!

響「雪歩さんがドリンクを噴いた!」

P「謝れ、菊地真!」

響「雪歩さんに謝れ!」

いぬ美「おんおんっ!」

真「えっ、あっ、うん……ごめん……」


雪歩「もうっ! 変なこと言わないで!」ヒソヒソ

真「ボクは憧れるけどなぁ、駆け落ち」コソコソ

雪歩「ぷ……プロデューサーとでも……?」ヒソヒソ

真「うーん、まぁ悪くはないんじゃないかな。父さんの下から連れ出してくれないかなぁ、プロデューサー……」コソコソ

P「だからさっきからなんでチラチラこっちを見るの」

真「なんでもないです」

雪歩「うちから……プロデューサーが連れ出してくれる……」ドキドキ

響「はっ! そういやみんなのご飯買わないといけないんだった!」

真「ああ、ならボクも付き合うよ。雪歩、プロデューサー、それじゃ!」

P「私達も行かなきゃ。じゃあ二人とも、また事務所で」

雪歩「でもどっちかというと、私が連れ出してる……」ガクゥッ


―――――――――

――――――

―――


P「いやー、二人が声かけられた時はヒヤッとしたなぁ。早く帰らないと」

雪歩「そうですね。プロデューサーとお別れなのは、ちょっと残念ですけど……」

P「え?」

雪歩「い、いえ、何でもないですぅ!」ビクッ

P「気になるなぁ……あれ?」


(カンカンカンカン)


P「何か組み立ててるね。ステージかな?」

雪歩「そういえば、ミニライブのイベントがあるって聞きました。若い人にも商店街に来てもらおうということで」

P「というだけの割には、やけにみんな気合が入ってるけど」

雪歩「この話を聞いた隣町の商店街が対抗意識燃やしたみたいで、あちらでも同じようなイベントをやってるそうです」

P「ははぁ、そりゃあ気合も入るわけね。フェスみたいなものか」

雪歩「上手く行くといいなぁ……」ジーッ

P「これをきっかけに賑わうといいね」

雪歩「はいっ!」


<ザワ......

ザワ......>


雪歩「……あれ? どうしたのかな……」

P「すいませーん! 何かあったんですか?」

スタッフ「いや、その……」

スタッフ「来る予定だったアイドルの人達が来れなくなっちゃったみたいで……」

雪歩「……!」

スタッフ「あああ! どうするんだ、折角ここまで準備したのに……代わりの人を……!」

スタッフ「無理だよ、時間がなさ過ぎる……」

スタッフ「後出しの隣町にいいとこ全部持ってかれちまうよ……」

雪歩「……」


P「それはまずいね……雪歩?」

雪歩「……」

P「雪歩」

雪歩「はわっ!? す、すみません! ボーっとしてて……」

P「嘘つき。言いたいことがあるんでしょ?」

雪歩「え?! え、えっと……でも、急がないとお弟子さん達が……」

P「いいからいいから」

雪歩「っ……あの……いえ、でもやっぱり……」

P「シャキッとする!」バンッ!

雪歩「ひぁっ!? え、えっと、その……」チラッ

P「……何とかしてあげたいのね?」

雪歩「……はい」

P「ふふっ、その顔見た時から、腹は括ってるよ」

雪歩「プロデューサー……」



P「あの、ちょっといいですか」

スタッフ「すみません、今それどころじゃ――」

P「ご心配なく。『お仕事』の話、ですよ♪」


P「よっし、話はついた。雪歩はさっきの二人を探してきて。多分スーパーにいるでしょ」

雪歩「はいっ!」タッタッタッ

P「さて、と。あ、パソコンと電話、お借りしますね」

スタッフ「は、はい」

P「よっはっ」ポパピプペ


(prrrrrrガチャッ)


律子『はい、こちら765プロダクションでございます』

P「りっちゃーん、はろろーん」

律子『……どちら様?』

P「つれないなぁ、姫だよ姫ぇ」

律子『あー、小鳥さんが心配してましたよ。生きてたんですね』

P「ひどい……ここに至るまでに聞くも涙、語るも涙の」

律子『はいはい、あなたは殺しても死なないでしょ。事務所に電話ってことは、何か仕事がらみですか?』

P「そそ、ちょっと急な案件で。今から言う曲のオケを私のPCアドレスに送ってくれない?」

律子『いいですけど……ライブでもやるんですか?』

P「まぁね。よろしく、りっちゃん♪」

律子『はいはい』

P「あ、あと今諸事情で携帯使えないから、何か連絡の際には今かけてる番号にお願い」

律子『……ホントに何してたんですか、姫』


P「こっちは良し、と」ガチャッ

(タッタッタッ)

雪歩「お待たせしましたぁ!」

真「お手伝いなら、任せてくださいよ!」

響「自分達に出来る事ならなんでもするさ!」

いぬ美「わぉんっ!」

P「いぬ美はいい」

いぬ美「くぅーん……」

P「ざっと雪歩から聞いただろうけど、ドタキャンで空いた穴を、私達で埋めるよ」

雪歩「ご、ごめんね。オフなのに巻き込んじゃって……」

真「いいよいいよ。むしろワクワクするね!」

響「最近は結構大きい仕事ばかりだったから、こういう出演って随分久しぶりだなー」


ザワ...

       ザワ...

   ザワ...


P「開始時間過ぎてるからざわついてるな……もう少し準備にかかりそうなんだが、稼げる?」

雪歩「わ、私が何とかします!」

P「よっし、気合入ってるね。それじゃあ雪歩、頼んだよ」

雪歩「頑張りますっ!」グッ

P「二人はフォローをお願いね」

真・響「「はいっ!」」

雪歩「そういえば、隣町とはフェスみたいな状態なんですよね」

P「私服な分、見た目ではあまりごまかせない。みんなの実力を見せつけてあげなさい!」

P「ま、勝ち負けは決めようがないけどね」

三人「「「じゃあ、行ってきます!」」」

P「任せたよ!」




スタッフ「でも、あの萩原組の娘だろ……?」

スタッフ「売れっ子アイドルが出てくれるのはありがたいけど……正直、怖いよな……」

P「大丈夫ですよ」

スタッフ「?」

P「あの子は……みなさんと同じくらい、この地元が大好きですから」


ザワ...

       ザワ...

   ザワ...


(タッタッタッ!)


雪歩『っこっ、こんにちはぁーっ!』


<!

     ?!>


雪歩『え、えっと、ライブを楽しみに来てくれた皆さん、ごめんなさい!』

雪歩『本来出演するはずだった人達が、急な事情で来れなくなってしまったので……』

雪歩『だ、代理で今回、出演させていただきますぅ!』


<...アレ、ハギワラグミノ...

      ショウテンガイモ、ツナガッテルノカヨ...>

<ヨノナカネ カオカオカネカナノヨ

         チャカモ、オドシモ、アルンダヨ>

真「っ」

雪歩「いいの、二人とも」

響「でも、あんな言い方……」

雪歩「仕方ないんだよ。うち、怖がられてるから」

真「でも!」

雪歩「でも」

響「?」

雪歩「ここで……伝えるから。私の気持ち」


(スゥッ)


P「ええ、そっちに繋いでください。今オケも繋ぎます」

P「機材セッティングやるなんて久しぶり……ああもう! 音出ないし!」

スタッフ「す、すみません。機材が古い上に、セッティングなんかも先方がやる予定だったので……」

P「なんとか少しでも早く完了させましょう!」

(チラッ)

P「さて、雪歩。何をするつもりかな?」




雪歩「……」

真「雪歩、まだオケ出ないのに何を――」





 ――Kosmos,Cosmos 跳び出してゆく


 ――無限と宇宙の彼方






真「アカペラ……? しかもバラード調で」


P「おや……千早の真似かな。いつの間に……」





 ――Kosmos,Cosmos もう止まれない


 ――イメージを塗り替えて


 ――ユラリ フワリ 花のようにユメが咲いて


 ――キラリ光の列すり抜けたら二人


 ――Access to the future


 ――Reason and the nature






響「なんだか……眠くなってきちゃった……」

真「ちょ、ちょっと! これからステージなのに!」

響「う、うん、分かってるけど……いつだっけ、前にもこんな感じで寝た気が……」





 ――つながるハートに伝わる鼓動が乗り越えたデジタル


 ――マイナス100度の世界で何も聴こえないけど ほら


 ――またボクとキミを導いたビーム


 ――ステキな出来事を探してブーム






スタッフ達「「……」」ボーッ

P「ほらほら、何手を休めてるんですか」

スタッフ「はっ!」

スタッフ「す、すみません!」

P「ふふっ、でも、分かったでしょう?」

スタッフ「え?」

P「あの歌声が、本来のあの子です。家は……まぁ色々ありますけど、あの子は怖くなんてないですよ」

P「きっと、聴いてる他の人達にも、伝わってるはずです」



雪歩(今のこの歌声は)


 ――Kosmos,Cosmos 跳び出してゆく


雪歩(ここにいる皆さんのためだけに贈る、私の心です)


 ――冷たい宇宙の遥か


雪歩(……届いてるかな)


 ――Kosmos,Cosmos もう戻れない


雪歩(独りよがりかな)


 ――スピードを踏み込んで


雪歩(でも)


 ――ヒラリ フラリ 惑星と巡る極彩色


雪歩(どう思われても)


 ――ハラリ語り継いだ物語と未来


雪歩(生まれ育ったこの町が、私は大好きだから)




雪歩『――Access to the future  Reason and the nature』


雪歩『Nexus for the future』


雪歩『Season and the nature……』




雪歩「はぁっ……」

真「雪歩、すごい汗だよ」

響「思わず聞き惚れちゃったぞ。大丈夫?」

真「寝そうだったくせに」

響「う、うるさいなー」

雪歩「わ、私は大丈夫! そ、それより次は――」

真「その前に、雪歩」

雪歩「え?」

響「前を見て、前」

雪歩「え……」

    パチ
           パチ
パチ            パチ 
       パチ
            パチ
   パチ           パチ
         パチ
 パチ          パチ
      パチ
             

雪歩「あ……!」

真「みんな、段々聴き入ってたよ」

響「でも雪歩も完全に歌に入り込んじゃってさ。見えてなかったでしょ」

雪歩(プロデューサー!)バッ


P「……」ニコッ


雪歩「う……」ポロッ

真「ちょ、ちょっと! 泣いちゃってどうするのさ!」

響「まだまだライブはこれからだぞ!」

雪歩「うん……うん……! 頑張らないとね……!」ゴシゴシ


真『皆さんっ、どうです、うちの天使は!』

雪歩『ま、真ちゃん?! 天使なんて……』ゴシゴシ

響『そこのカップルー、いちゃついてる暇はないぞー』

雪歩『か、カップルだなんて!』

いぬ美「わぉーんっ!」

響『いぬ美もお似合いだって言ってるぞ』

真『それじゃあボクが彼氏役じゃないか!』

(アハハハハハッ!)

雪歩『……さてっ! えっと、音は……?』


P「オッケー!」グッ


雪歩『はいっ! それじゃあ、ちょっとバタバタしちゃいましたけど……ミニライブ、楽しんでくださぁいっ!』


(ワアアアアアアアッ!)


P「よし、あとはこのリストを順番に回すだけです」フゥ

スタッフ「す、すみません、助かりました!」

スタッフ「あとは、何事もなくイベントが終われれば……」

P「いいんだけど……って、あれは……!」



お弟子さん「こっちからお嬢の声が!」

お弟子さん「あそこか?!」

(ザワザワ)

P(今ステージ前に来られたら、全部水の泡に……!)

P「……はぁ」


お弟子さん「……ん?」

お弟子さん「こ、この野郎……!」

P「……」

お弟子さん「ブッ殺してやr」

P「ここでは勘弁してください!」ドゲザァッ!

お弟子さん「あ……?」

P「萩原さん……いえ、雪歩にとって、今はとても大事な瞬間なんです!」

P「私はどうなってもいいですから……どうか、ここより先に進まないでください!」

お弟子さん「ワシらがお嬢のステージを邪魔するはずがないじゃろがィ」

P(そうじゃない……今は近づかれるだけでもアウト……!)

P(折角いいムードなのに、怖い印象が蘇ったら……!)

P「お願いします! どうか、お話なら他所で……!」

お弟子さん「てめェ、モノを頼める立場か、おいィ?!」


雪歩『二曲目は三人でお送りしました!』

真『雪歩、ダンス上達したよね』

雪歩『えへへ、そうかな?』

響『でも、やっぱり自分達と比べるとまだまだだな。何か所か足元がおぼつかなかったぞ』

雪歩『うぅ……つ、ツートップの二人と比べられたら誰だって負けちゃうよぅ……』


響「……あれ?」

雪歩「どうしたの、響ちゃん?」

響「あそこ……」


お弟子さん「~~」

P「~~」


雪歩「……っ!」

真「あいつらっ!」

響「でも、自分達ステージ上だぞ!? どうしよう、ゆき、ほ……?」


(バッ!)



雪歩『やめてくださぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああい!!!!』キィ-z_ン!!



真・響「「?!?!」」


P・お弟子さんs「「!?!??!」」




P「雪歩……?」

お弟子さん「お、お嬢! これは、お嬢のために」


雪歩『そんなこと、私頼んでません!』


雪歩『何で……何で、みんなを怖がらせるんですか!』

雪歩『あなた達が、あなた達が怖がらせるから!』

雪歩『私はみんなと仲良くしたいのに!』

雪歩『この町が大好きなのに!』

雪歩『みんな大好きなのに!』

雪歩『誰とも、誰とも話せないんです!』


雪歩『今日だって、プロデューサーを追い回して!』

雪歩『何でですか? 何で、そんなことするんですか?』

雪歩『プロデューサーは、心から私に親切にしてくれます!』

雪歩『プロデューサーが居たから、真ちゃんにも、響ちゃんにも会えて』

雪歩『765プロのみんなに会って、アイドルになって、色んな経験をして、成長して!』

雪歩『恩返ししなきゃいけないのに……迷惑かけちゃうじゃないですかぁ……』

雪歩『こんなことじゃ……プロデューサーにまで、嫌われちゃうじゃないですかぁ……』


雪歩『お願い、です……もう、私を、一人にしないでください……』


お弟子さん「……」

P「……?」

お弟子さん「お嬢が……そんなことお考えになっとったなんて……」

お弟子さん「お、俺達ァ……」

お弟子さん「何を……」ガクゥッ


(トボトボトボトボ...)


P「なんだか悪いことしたかな……」


(タッタッタッ)


雪歩「ぷろでゅーさぁ!」ギュゥッ!

P「ぴっ」

雪歩「ごめんなさい……ごめんなさい! お願いです……私のこと、嫌いにならないでください……!」

P「ダ、ダイジョウブダヨ、キライニナンテナラナイヨ」

雪歩「ほっ、本当ですかぁっ!?」ウルウル

P「ホ、ホントウダカラ」

P「クビヲシメナイデクレルト、ウレシイカナーッテ」

雪歩「えっ」パッ


P「げほっ……もう、アイドルがステージを放り出すんじゃないの……」

雪歩「だ、だって……」

P「私なら大丈夫だから。それに、みんな待ってるよ?」チラッ

雪歩「え……」


店主「ほら、頑張って!」

ご隠居「みんな、あんたの声を待ってるよ」


雪歩「あ……」


<ツヅキマダー?

       イイコウジョウダッタヨ!>

<ユキポオオオオオオオオオオオオオオ!!

       シスタードリラー!>


P「早く続きをね。最後まで一気に突っ走っちゃいなさい!」

雪歩「……はいっ!」

(タッタッタッタッ......)


P「強くなったねぇ、雪歩……小さい頃とは見違えるようだよ」ホロリ

P「あらやだ、歳を取ると涙腺が緩くて」ラブリー17サイ!

スタッフ「あ、あの……」

P「?」

スタッフ「今日は、本当にありがとうございます!」

スタッフ「なんとお礼を言ったらいいか……」

P「労いの言葉ならあの子達にかけてあげてください。私は機械弄ってただけですから」ニコッ

スタッフ「は、はい」

スタッフ「それと……えっと、その……」モジモジ

P「何です?」

スタッフ「かっ……彼氏とか、居ますか……?」

P「えへへ、カレシはいないんだぁ」

スタッフ「……!」パァァァアッ

P「こういう者ですので」メンキョショウ

スタッフ「ごぷっ」

スタッフ「」

P「この世界は、残酷なんだ」


雪歩『それじゃあ、次が最後の曲です!』

真『ミニライブって早いね』

響『なんだかあっという間だったぞ』

雪歩『聴いてください』


雪歩『「何度も言えるよ」』


『知られたい知られたくない ウラハラ乙女心――』


雪歩(夢みたい。私の歌を、地元のみんなが聴いてくれてる)


『きっと 今から 変れる――』


雪歩(ずっと家に閉じこもってたら、きっと、こんな風には……)


『そっとね わたしを見守ってくれるよね――』


雪歩(……そっか)


『誰よりもあなたを見てたよ――』


雪歩(駆け落ちなんて、そんな大それたことじゃないけど)


『誰よりもあなたが大好き――』


雪歩(ずっとずっと前に、私のことを連れ出してくれてたんですね)


――何度も言えるよ 大好きだよ♪


雪歩(プロデューサー)




(ワアアアアアアアアアァァァァァァァァァ..................)


――――――――――

――――――

―――


スタッフ「お疲れ、さま、でした……」

スタッフ「ありがとう、ございました……」

P「おっつかれーー!」ブンブンッ



真「ふぅ、いい汗かいたぁ」

響「雪歩、今日は超頑張ったな!」

P「うん、みんな合格点ね」

雪歩「はうぅ……サイン攻めのお陰でもみくちゃにされちゃいました……」フラフラ

P「なに、それだけみんなとの距離が縮まったってことじゃない」

雪歩「えへへ……」

響「よっし、それじゃあ自分達は帰るぞ! いぬ美、だーっしゅ!」ダッ!

いぬ美「わぉぉん!」タタッ

真「えっ、ちょ、ちょっと待ってよ!」ダッ!

響「ふっふっふ! 真よりも持久力があるとこ、見せてやるぞ!」

真「な、何ィ?! ま、負けないぞ! それじゃあ二人とも、また!」


(ダダダダダダダ......)


P「……元気な子たちね」

雪歩「本当ですぅ……私、なんて……」

(フラッ)

P「っとと!」ダキッ

雪歩「はぅ……」

P「もう、無理しちゃって」

雪歩「えへへ……体力無くなっちゃっても、プロデューサーが支えてくれますから」ギュッ

P「ありゃりゃ、甘えん坊だ」

雪歩「今日はいっぱい頑張りましたから……これくらい、してもらってもいいですよね……?」

P「うん、いいよ」ナデナデ

雪歩「ふぁ……」


雪歩「……あの、プロデューサー」

P「うん?」

雪歩「ありがとうございます」

P「ああ、気にしないで。今日は私も迷惑かけちゃったし――」

雪歩「それだけじゃなくて」

P「?」

雪歩「私を、"外"に連れ出してくれて、ありがとうございます」

P「引きこもりだったものねぇ。絵理ちゃんほどじゃないけど」

雪歩「プロデューサーが連れ出してくれたから、今の私は、ここにいるんです」

雪歩「これからも、もっと色んなこと、教えてください」

P「アイドルが努力をすれば、それに100%で応えるのがプロデューサーの仕事だからね」

雪歩「くすっ、じゃあ私も、もっといっぱいいっぱい頑張らないと、ですね」

P「そうだねぇ。差し当たって、私が最初に頑張らなきゃいけないのは」



P「……この後の服の回収と、萩原さんとの面談かな」

雪歩「あっ」


P「うぅ、戻りたくないなぁ……流石にお弟子さんに殺されることはもうないだろうけれども……」

雪歩「大丈夫ですぅ。私がついてますから」

P「……萩原さん、何の用なのかなぁ……」

雪歩「プロデューサーが正座をすると、お父さんはおもむろに日本刀へ手を伸ばし」

P「やめて!」

雪歩「えへ、ちょっとしたいじわるですぅ」


P「……じゃ、行きましょうか」

雪歩「はい」スッ

P「?」

雪歩「手、繋いでてあげますから」ギュッ

P「……小鳥さんに聞いた?」

雪歩「え? 何をですか?」

P「いや、聞いてないならいいです」

雪歩「……」


(ギュウウウウウウウウウウウウウ)


P「いたたたたたたたたたたた!!!!」

雪歩「ふんっ」

P「ゆ、雪歩ぉ……」

雪歩「……ふふっ、さ、帰りましょう!」



――――――――――――

―――――――

―――


―――

―――――――

――――――――――――


~一方、隣町商店街にて~


スタッフ「お疲れ様でした!」

北斗「チャオ☆」


翔太「隣町ドタキャンあったらしいけど、765プロが穴を埋めて事無きを得たらしいね」

北斗「へぇ。エンジェルちゃん達も大変だ」

翔太「はぁ……大変だったのは僕らだよ……」

北斗「二人も、今日はお疲れ様」

翔太「ホントだよ。ファンの子には追い回されるし、プロデューサーさんのことはバレちゃうし、冬馬くんはこの調子だし……」

冬馬「…………」

北斗「ライブ内容はギリギリ及第点だったけど、だいぶ応えてるみたいだね」

翔太「そりゃね……あーあ、遊ぶネタが減r……冬馬くん、かわいそー」

北斗「まぁ冬馬、そう気を落とさないで――」

冬馬「……くねぇ」

北斗「え?」


冬馬「P子に罵声を浴びせられた時、悪くなかった……いや、むしろ、熱い何かすら感じた」

翔太「へ……」

冬馬「こんなこと、一度たりともなかった。P子の新しい魅力を見つけちまったのか……?!」

北斗「……全然気づいてない」

翔太「みたいだね」

冬馬「ああっ、畜生! あの時、録音でもしておけば……!」

翔太「いよいよもって僕達のリーダー、気持ち悪くなってきたよ」

北斗「俺達は帰ろうか」テクテク

翔太「そだね。ばいばい、冬馬くん」テクテク


冬馬「恐ろしい……恐ろしい女だぜ、P子……! ……ン、二人はどこに行ったんだ?」



~翌日!~


(ダダダダダッガタッズテッドテッ!)

律子「これまた騒々しいわね……」

P「記録更新じゃないか?」ダンディーボイス


(バタァンッ!)

春香「なななななんですかあれぇーーーっ!!!!」ブワッ

P「アレってドレだ」

律子「アレのことじゃないですかね」

P「ああ。アレのことか?」

春香「ドレですか?!」

P「お前がアレっつったんだよ……ボケ老人みたいな指示語トーキングはやめろ」

(カツカツカツカツ)

春香「あああアレですよ、アレ!」

(シャッ!)


ザワ......

       ザワ......

   ザワ......


春香「なんで事務所の前で果てしなく仁義ない戦いみたいな方々が土下座してるんですか!!」ビシィッ!


(ズラァッ!)


P「え? そりゃお前……筋を通す為じゃないのか」

春香「そういうことじゃなくてぇ!」

(サッ)

P「ほら、お菓子でも食べて落ち着けよ」

春香「わ、ありがとうございます!」

(モグモグ)

春香「どうしたんですか、これ?」

P「外の方々にもらった」

春香「きゃあああああ!?」バシィンッ!

P「?! なんで叩かれたんだ!?」

春香「だって……だって!!!」


(ギィッ)

律子「二人とも、うるさい」

P・春香「「はい」」


お弟子さん「きっ、昨日はすいやせんでしたァーーーっ!!!」

お弟子さん「どうか、どうかあっしの指で勘弁してつかぁさい!」

お弟子さん「旦那だったとはつゆ知らず……!」


春香「……すごく物騒な声が聞こえてくるんですけど」

P「さぁ?」

春香「旦那とか言ってるんですけど」

P「なんだろうね」モッシャモッシャ

春香「プロデューサーさんですよね早く追い払ってくださいよぉ!」カッ

(ペシッ)

春香「あいたっ」

律子「うるさい。二度目」

春香「理不尽なぁ……」


(ガチャッ)

雪歩「プロデューサー、律子さん。玉露が入りましたよ……って春香ちゃん、おはよう」ニコッ

春香「ゆ、雪歩ぉ……あの外の人達って……」

雪歩「え、まだいるんですか? もう……」カチャカチャ

(テクテク)

春香「えっ、雪歩、拡声器なんて持って何を……」


(ガラッ!)


雪歩『こらぁーーーっ! 帰りなさぁーーーいっ!!』


お弟子さん達「す、すんませんっしたぁーーー!!」ダダダダダダッ!


春香「……」ポカーン

雪歩「ふぅ。きれいきれい」

春香「え……え?!」

律子「ありがとね、雪歩」

春香「え、ちょ」

雪歩「いえいえ。うちの人達がご迷惑をおかけしてしまって、すみません」ペコリ

P「雪歩は働き者だなぁ」

雪歩「えへへ♪」

春香「私が……私がおかしいの……?」


P「あ、そうだそうだ。雪歩に返さないとな」ガサガサ

雪歩「え?」

P「昨日借りた服。ちゃんと夜間クリーニングに出しておいたからさ。はい」スッ

雪歩「あ、はい」

雪歩「……」

P「雪歩?」

雪歩「……あの、プロデューサー。ご迷惑でなければ、その服、貰っていただけませんか?」

P「俺がか?」

雪歩「その、昨日着てた時……プロデューサー、私なんかよりも、とってもお似合いでしたから」クスッ

P「確かに着心地良かったし、デザインも好きだけど……」

春香「……それ、着てたんですか…………?」ジトーッ

P「昨日はP子ちゃんだったの!」

春香「ほっ、一瞬焦っちゃいました」

P「俺をなんだと思ってるんだ……」


雪歩「それに、"今の私"はプロデューサーに導いてもらった私です」

雪歩「"今の私"がどんな贈り物をしても、貰ったお小遣いでプレゼントを買うようなものですから」

雪歩「過去の私との決別と、導いてもらっていない私からのプレゼント、です」

雪歩「……えっと、ご迷惑、ですか?」

P「そんなことないさ。嬉しいよ」

雪歩「良かったぁ……」ホッ

P「ただ、訂正が二つあるな」

雪歩「え……?」

P「一つ。雪歩の方が似合ってる。それは間違いない」

雪歩「そ、そんなことないですよぅ! 昨日のファッションショーの時だって……」

春香「えっ、何それ何それ!?」

雪歩「あっ、春香ちゃんにも後で画像あげるね!」

春香「やったぁ!」

P「やめろォ!」


P「……ゴホン。えー、二つ。訂正とも違うけどな」

P「今、小遣いからプレゼント買うみたいで気が引けるなら、胸張ってプレゼントを送れるくらいの実力をつけること」

P「期待してますよ、お嬢」ニヤッ

雪歩「え……えぇ~~~~!!!?」

律子「そうですねぇ。事務所としては、まだまだ上を目指していただかないと!」

雪歩「あ、あわわわわわ! 責任重大ですぅ!」

春香「ファイトだよ、雪歩!」

P「お前もだよリボン」

春香「ぎくっ!」

雪歩「……はいっ、分かりました。胸を張って、プロデューサーにプレゼントを贈れるように、頑張ります!」

P「よし、いい子だ」ナデナデ

雪歩「えへへ」

春香「プロデューサーさん! 私も頑張りますよ!」

P「当たり前だろ、何言ってんだ」

春香「かっかー……」ショボン


(prrrrrrr)


雪歩「あ、真ちゃんから電話だ。ちょっと出てきますね」ピッ

P「ほいほい」

雪歩「もしもし、真ちゃん?」ガチャッ

(バタン)


律子「あ、そう言えばプロデューサー、一つ聞きたいんですけど」

P「うん?」

律子「さっき『旦那』って呼ばれてたの、何なんですか?」

春香「え、知らないんですか? 私、律子さんに聞こうと思ってたんですけど」

律子「知らないわよ、萩原組のお弟子さんに旦那呼ばわりされてるなんて。初耳だわ」

P「……あー、えっと、その……」

律子「その?」

P「……昔やんちゃしてた頃、萩原さんには度々お世話になっておりまして……」

春香「へっ」

律子「……初耳だわ」

P「あはははは! その、若気の至りというか、ね?」


律子「……昨日呼び出されてたのは」

P「いやぁ……その……『雪歩を頼む』、と……」

春香「」

律子「……深い意味はないですよね?」

P「ないといいなァ」

律子「プロデューサーとして、ですよね?」

P「だといいなァ」

P「あ、さっき春香が食ってたお菓子、お弟子さんじゃなくて、その時に萩原さんに昨日の詫びも兼ねて貰ったやつだった」

春香「きゃぁぁぁぁぁああああ!?」バシィンッ!!

P「痛いっ!!!」


(バシィンッ!!)



\イタイッ!!!/



雪歩「!?」

真『どうしたの?』

雪歩「ううん、すごい音とプロデューサーの悲鳴が……」

真『いつものことでしょ。あっ、プロデューサーと言えばさぁ』

雪歩「うん」

真『結局、雪歩はプロデューサーが好きなの?』

雪歩「けふぅっ!」

真『だ、大丈夫!?』

雪歩「けほっけほっ……えっ、えぇ?? ど、どういう……」

真『言葉通りだけど』

雪歩「え、えーとね……どうなのかな」

真『へぇ?』

雪歩「これまで、男の人を意識したことなんて一度もなかったし……」


真『否定はしないんだ?』

雪歩「男の人を好きになるって言うことが分からないから、違うかどうかも分からない、かな」

真『そっか。じゃあ女の人なプロデューサーは?』

雪歩「えっ」

真『こう、ファッションショーやってる時に、ティンッと来たりとか……』

雪歩「……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

雪歩『……プロデューサーって、暖かいんですね』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

雪歩「……」

真『なワケないか。ごめんごめん。小鳥さんに毒されてるのかなぁ……それともあの電球替えの時……』ブツブツ

雪歩「……」

真『まぁ気にしないでよ、雪歩。……雪歩?』

雪歩「……」

真『ねぇちょっと雪歩、ごめん、怒ってる? あn』

(ピッ)

雪歩「……」




雪歩「……えっ……?」ダラダラ






雪歩編おわわ
To Be Continued...

丸二週間近くというとんでもない長期に渡ってしまい、申し訳ございませんでした
ついでにめっちゃ文量も大増量で申し訳ございませんでした
ゴメンナサイ、ゴメンナサイ

次はいおりんやね
また囲炉裏にでもするか……

なんとなく幕間をのんびり即興投下してみる



ちょびっと幕間 『ソイツの名は……』

はーじまーるよー


(パンパンッ)

律子「ちょっとー、居る人集まってー」


千早「あら、なにかしら」

伊織「どうしたのよ」

小鳥「あ、もしかして紹介ですか?」キィッ

律子「ええ、社長から頼まれて」

貴音「紹介……?」

伊織「誰か来たの?」

律子「んー、今いるのはこれだけか」

小鳥「もういらっしゃってるんですか?」

律子「ええ、隣の会議室で待ってもらってます」


亜美「とうっ!」ダダッ

律子「ふんっ!」ガシィッ

亜美「ああんりっちゃん! いいじゃんどうせ紹介するんだからさぁー」

律子「そうよ、どうせ紹介するんだから少しくらい待ちなさい」

亜美「へぇーい……」

千早「もしかして、新しいアイドル候補生かしら……?」

伊織「まさか社長、また連れてきたの? いい加減回らなくなるわよ」

小鳥「違う違う。そういう意味ではこれまでより楽になる……のかしら?」

貴音「はて……そうなると……運営・指導側の人間、でしょうか」

小鳥「ぴんぽーん! 貴音ちゃん、正解!」

律子「……ま、どうなるかは始まってみないと、って感じですけどね」


律子「それじゃ、自己紹介してもらいましょうか。どうぞー」ガチャッ

「は、はいっ」

(テクテク)


赤羽根「えっと、○○プロダクションでプロデューサーをやっております、赤羽根です」

律子「社長の知り合いがやってる事務所のプロデューサーさんでね。武者修行ということで、出向という形で765プロで働くことになったのよ」

赤羽根「その、まだ駆け出しで至らないところも多いと思うけど……」

赤羽根「勉強のためだけじゃなくて、この事務所のみんながもっと大きくなれる様に頑張るから、よろしくな!」

小鳥「うんうん、気合は十分ですね」

律子「さ、みんなも挨拶して」

千早「如月千早です。よろしく」

伊織「初めましてっ! 私、水瀬伊織って言います! えへへっ、よろしくお願いしますねっ」

亜美「いおりんこんなとこで猫かぶりしなくていいじゃん。テレビ放映されるわけでもないし」

伊織「それもそうね」ケロッ

亜美「それにもうとっくに本性はバレ――」

伊織「な・ん・で・す・っ・て・ぇ・?!」グリグリ

亜美「うあうあ~!」


赤羽根「はは……やっぱりテレビで見るのとは印象が違いますね」

律子「そりゃそうですよ。ほら、貴音も挨拶して」

貴音「初めまして。四条貴音と申します。赤羽根殿は、醤油、豚骨、味噌、塩、あるいはまた別の、どの派でございましょう?」

赤羽根「……へ?」

貴音「ですから――」

律子「ストップ。落ち着きなさい、いきなり距離を縮めすぎよ」

貴音「むぅ、一時とはいえ同じ事務所の仲間。腹を割って打ち解けようと思ったのですが……」

律子「誰が胃袋の好みを言えと言った。ラーメン星人基準で考えるんじゃないわよ」

赤羽根「あはは。四条さんはテレビなんかとあまり印象が変わらないね」

貴音「貴音、で構いません」

亜美「あ、亜美も亜美でいいよー! 双子の片割れ、双海亜美! 今は真美いないけど、よろよろー☆」

赤羽根「ああ、よろしく。みんな名前でフランクに話した方が良いのかな」

千早「萩原さんだけ気を付けた方が良いかもしれないですね」

赤羽根「萩原さん?」


(ガチャッ)

雪歩「ただいま戻りましたぁ」

伊織「あら、噂をすれば」

雪歩「へ?」ジー

赤羽根「……」

雪歩「……」

赤羽根「その……初めまして」

雪歩「……」

(スチャッ)

赤羽根「? なんで拡声器を構えて――」

765プロ勢「「「!」」」バッ

赤羽根「え、何でみんな耳を塞いd」


雪歩『男の人ぉーーーーー?!?!』ビリビリッ!


赤羽根「」キィ-z_ン


シバラクシテ


雪歩「さ、さっきはごめんなさい。私、萩原雪歩って言いますぅ」

赤羽根「赤羽根です。よろしく」スッ

雪歩「……」

赤羽根「……う、うん。ごめん、男の人が苦手なんだね」

5m

雪歩「は、はい……」

律子「うん、頑張ったわね、雪歩。お茶淹れてもらってもいいかしら」

雪歩「分かりました。すみません、赤羽根さん」

赤羽根「いやいや」

(トテテッ)

律子「……まぁこんな感じでひと癖もふた癖もある子が多いけど、よろしくお願いします」

赤羽根「こ、こちらこそ、いきなりお邪魔してすみません。皆さんの力になれるように、頑張ります!」


小鳥「残念ながら今日は外に出てていませんけど、今度、うちのプロデューサーにも挨拶させますね」

赤羽根「あ、Pさんですよね!」

律子「知ってるんですか?」

赤羽根「いえ、直接の面識はありませんが……Pさんと言えば、この765プロ繁栄の立役者とも言われてますからね」

赤羽根「敏腕プロデューサーを目指す者として、憧れの一つですよ」

律子「……ふぅーん……私もそれなりに結果出してるんですけどねー……」

赤羽根「も、勿論、秋月さんのことも尊敬してます!」

律子「律子でいいですってば」

小鳥「今日は事務所に戻ってきませんけれど、明日以降はちゃんと会えると思いますから」

赤羽根「はいっ、楽しみです!」


~翌日~


赤羽根「今日はPさん来てるのかなぁ……」

赤羽根「早くお会いして、色々とお聞きしたいな」

赤羽根「よしっ! 心機一転、頑張ろう!」

(ガチャッ)

赤羽根「おはようございます!」


響「あれ?」

美希「お客さん?」


赤羽根「」


響「あ……あー、あの時の……」

美希「あれ? どっかで見たことある気がするの」

赤羽根「あ、あはは……その、お久しぶり……」

小鳥「あ、おはようございます。あれ? 二人は知り合い?」

響「知り合いというか、そのー」

美希「あ、思い出した! げーのーかいで沈んじゃいそうな人なの!」

赤羽根「」

響「前に思いっきり勧誘受けちゃって」ポリポリ

赤羽根「ごめん……本当にごめん……」

小鳥「ま、まぁまぁ! 面白い出会いだったと思えば、ね?!」


赤羽根「それで、Pさんは……?」

小鳥「まだ来てないのかしら。そろそろ来ると思うけど――」

(ガチャッ)

P「うぃーっすおはよう」ダンディーボイス

美希「あ、ハニーおはようなの」

響「はいさーい」

P「はいさーい、みんな」

小鳥「あ、プロデューサーさん。あのー」チラッ

P「どうしました?」チラッ


赤羽根「……!」


P「あ、そういえば社長が武者修行を受け入れたって……」

P(ン?)

P「君、どこかで……?」


赤羽根「お、お会いできて光栄です! Pさん!!」

P「え? あ、はい」

赤羽根「うちの事務所でも散々聞かされたんです、Pさんの伝説!」

P「で、伝説?」

赤羽根「まだ小さかった765プロダクションをまとめ上げ、小規模ながらも芸能界屈指のアイドル達を擁するまでに育て上げた名プロデューサー……」

P「て、照れるなぁ」

赤羽根「短い間ですが、ご教授のほど、よろしくお願いいたします!」フカブカ

P「はっはっは! おう、赤羽根君! 頑張っていこう!」

響(誉められていい気になってる……)

美希(ハニー、ちょろすぎるの……)

小鳥(でもたぶん赤羽根さんも本気よね……)

P・赤羽根「「あっはっはっはっは!」」


三人(((めんどくさそう……)))



貴音「…………」ジーッ


~更に数日経って~


赤羽根「Pさん、この場合……」

P「ああ、ここをこうした方がスケジュールが……」

赤羽根「成程……」カキカキ

P「その間にこっちにも回れるだろう? あそこの人は結構そういうの気にするからな」

赤羽根「でしたら、その間に……」カキカキ


真美「兄ちゃん達、超真剣だね」

真「二人とも、仕事に対する姿勢は真面目だから……」

小鳥「それだけならいいんだけど……」


P「いやぁ、赤羽根君やっぱり才能あるよ! 俺なんかより全然!」

赤羽根「そんなことありませんよ! Pさんはもう、俺の中でレジェンドですから!」

P・赤羽根「「あっはっはっは!」」


三人「「「めんどくさい……」」」


P「よし、真、営業行くぞ。今日は赤羽根君も同行するから」

真「あ、はい」

赤羽根「よろしく、真」

真「はいっ、バリバリ頑張りますっ!」


真美「その調子で二人に挟まれてもバリバリ頑張ってね」ボソッ

小鳥「ハイテンションな男の世界に置いていかれないようにね」ボソッ

真「は、はい……」ハァ...

P「いってきまーす」ガチャッ

(バタン)


真美「兄ちゃんって一人っ子なのかなぁ」

小鳥「どうして?」

真美「ほら、一人っ子が弟とか妹とかみたいな人できるとあんな感じじゃん?」

小鳥「あー」


春香「おはようございまーす」ガチャッ

あずさ「おはようございます~」

やよい「うっうー! 今日も頑張りますよー!」

小鳥「あ、三人ともおはよう」

真美「兄ちゃん達と入れ違いだねー」

やよい「えーっ、そうなんですか? 残念ですー……」

あずさ「あらあら~。今日も赤羽根さんと?」

小鳥「ええ、真ちゃんの付き添いで」

春香「うー、最近プロデューサーさん、赤羽根さんに構ってばかりだよぅ」

あずさ「私も、最近お出かけとかしてないですし……」

小鳥「まぁ、お仕事だから、ね?」

真美「でも、結構夜も一緒に呑みに行ったり、オフも勉強がてら出かけたりしてるっぽいよ?」

小鳥「……」ポワァン


小鳥(お、落ち着くのよ小鳥。二人とも男性なんだから、別に出し抜かれたりしたわけじゃ……男性?)

小鳥(……赤羽根さんって、結構イケメンの部類よね)


小鳥「プロデューサーさんと赤羽根さんが、二人で……」ボーッ

やよい「小鳥さん、どうしたんですかぁ?」

春香「やよい……」スッ

やよい「ふぇ?」

春香「そっとしておいてあげて……」

真美「いつもならりっちゃんのゲンコツが落ちてるとこだけど……」

あずさ「今はちょっぴり、気持ちが分かりますから……」


小鳥(休日、仲睦まじい二人……)

小鳥(いえ! へ、平日の呑みだって、もしかしたらそのまま夜の闇に……!)

小鳥「あ……あぁぁぁぁぁああああ!!!」ガクガク


やよい「こ、小鳥さん!?」

小鳥「な、なんてこと……まさか、同僚のリアルな日常の中にこんな光景が垣間見える日が来るなんて……!」ブルブル

春香「小鳥さん、そろそろ黙りましょうか」

小鳥「ピヨッ!?」

真美「ところどころ駄々漏れだよピヨちゃん」

あずさ「流石に口にするのは……」

小鳥「えっうそっ!?」

やよい「プロデューサーと赤羽根さんが、二人でなんなんですか?」キョトン

小鳥「……いえ、何でもないわ」

春香「あ、やよいの純真な顔を見て一瞬で賢者タイムに」


あずさ「……でも、やっぱりあそこまで仲良くしてると気になる気持ちも分かります」

小鳥「うんうん」

春香「……私は信じてます。プロデューサーさんは、普通の人だって」

やよい「普通じゃないとどうなんですか?」

三人「「「な、なんでもないです!」」」




~現実~

P「いやぁ、この前見てきたライブ、凄かったよなぁ!」

赤羽根「まさか、あんな回し方をするなんて……考えもしませんでした!」

P「そうそう、この間行った呑み屋の店長に聞いたんだけどさ、△△プロの人も常連らしいんだよ」

赤羽根「本当ですか?! 是非一度お会いしたいです!」

P「よっしゃ! それじゃあ今週も冒険だぞ!」

赤羽根「はいっ!」

真「助けて……同業の話をしてるはずなのに欠片も入る余地がない……」シクシク


~そんなある日~


赤羽根「んー、ここはこうして……」カタカタ

小鳥「大分慣れてきましたね」コトッ

赤羽根「ようやくまともにお手伝いできるようになってきましたよ。お茶、ありがとうございます」

小鳥「いえ、淹れたのは、ほら」ユビサシ

赤羽根「?」チラッ


雪歩「……」コソコソ


赤羽根「ありがとう」ニコッ

雪歩「は、はい……」サッ

赤羽根「まだ怖がられてますね」

小鳥「最初の頃に比べれば、全然」


赤羽根「今日はPさんは?」

小鳥「多分後から来ると思います。午前中に営業に出て行ったから……」

赤羽根「そうですか」カタカタ

小鳥「あ、そうだ」ティンッ

赤羽根「なんです?」

小鳥「私、ちょっと社長のお手伝いで外出なきゃいけないんです」

小鳥「雪歩ちゃんもそろそろお仕事に行っちゃうので、プロデューサーさんが来るまで、お留守番お願いできますか?」

赤羽根「分かりました。俺はもう、今日一日内勤なので」

小鳥「ありがとうございます! じゃあ雪歩ちゃん、行きましょうか」

雪歩「はい。……えっと、行ってきます」

赤羽根「うん、行ってらっしゃい」


(カタカタ)

赤羽根「765プロに来てまだ日は浅いけど、色んなことを学んだな」

赤羽根「最初は体のいい追い出しかとも思ったけど、この話を受けて良かった」

赤羽根「よしっ! 事務所のためにも765プロのためにも、俺のためにも、頑張ろう!」グッ

(カタ...)

赤羽根「そういや喉が渇いたなぁ」ギィッ

(ガチャリ)

赤羽根「あー……冷蔵庫の中何もないな……水を……いや……」

赤羽根「Pさんは鍵持ってるはずだし……ちょっとコンビニで買ってこよう」ガチャッ

(バタン)


――――――――

―――――

――


(テクテク)

赤羽根「何なんだ、真っ961人に冷たい飲み物は買い占められたって……嫌がらせか……」

赤羽根「熱いコーヒー飲む気分でもないし……水飲むかな……」

(バシャァッ!)

おばさん「あら、ごめんなさい!」

赤羽根「……」ビシャビシャ

おばさん「見てなくて……クリーニング代の弁償を」

赤羽根「いえ、お構いなく……」ビシャビシャテクテク

おばさん「あ……」

おばさん「……不幸そうな人だったわねぇ……」


赤羽根「水飲むとは言ったけど、誰も浴びたいなんて言ってないのに……」ビシャビシャテクテク

赤羽根「仕方ない、シャワー浴びないと」

(ガチャッ)

赤羽根「ふぅ」

赤羽根「さて、シャワー室に」

(ガチャッ)

赤羽根(……あれ?)

赤羽根(そういやなんで玄関の鍵、開いてたんだ?)


(バッタリ)


P「あ」ビューティーボイス

赤羽根「あ」


P(鍵かけ忘れてた)

P「ごめんごめん、今すぐ出――」

赤羽根「っっっ!?!??!」

(ドタタタタッ!)

(バタンッ!)

P「? 何慌ててんだ、アイツ」

P「あっ、そういえばこっちの時に会うのって美希の時以来か」

P「そんなに嫌かな、裸。気持ち悪がられてる?」

P「……自分で言うのもなんだけど、割と自信あるのに」ハァ


赤羽根「……」ドキドキ


赤羽根(だ、誰だ今の!?)ドキドキ

赤羽根(いや……)

赤羽根(俺はこの女の子を知っている!いや!このまなざしとこの髪型を知っている! )

赤羽根(P子さん……!)ガクガクブルブル

赤羽根(すっかり失念していた、この事務所にはもう一人のプロデューサーが居たことを!)

赤羽根(業界でも神出鬼没……掴みどころのないイレギュラー……!)

赤羽根(お……)


赤羽根(思いっきり……見てしまった……)


P「どうしたの、シャワー使おうと思った?」ビューティーボイス

赤羽根「うわぁっ!?」

P「もう着てるよ」

赤羽根「そ、そこで水をかけられてしまって……」

P「ああ、それでずぶ濡れなのね。ほらほら脱げって」グイッ

赤羽根「ひ、一人で出来ますから! シャワーお借りします!」ダダダッ

(バタンッ)

P「ろ、露骨に避けられた……」

P「……もしかして、嫌われた?!」ガーン


(ザァァァァァア)

赤羽根「なんて言い訳しよう……絶対怒ってるよな……」

(ガチャッ)

P「ずぶ濡れだろうから、着替え置いとくよー。事務所ので悪いけど」

赤羽根「い、いえ! ありがとうございます」

(バタン)

赤羽根「……」

赤羽根「ダメだ、やっぱりさっきの光景を思い出してしまう……」

赤羽根「……俺も男なんだな……」ハァ


(ガチャッ)

赤羽根「着替え、ありがとうございます……」

P「おー、お疲れ。サイズ大丈夫?」

赤羽根「ええ、大丈夫です……」

P「……」ジーッ

赤羽根(き、気まずい……!)

P「そういやこうして(この状態で)会うのは美希の時以来だよね」

赤羽根「そ、そうですね。美希と一緒にいた時以来ですね」

P「あっはっは! あの時も響の時も、赤羽根君面白かったねぇ」

赤羽根(あれ? 怒ってないのか……?)

赤羽根「あの……怒ってないんですか?」

P「え?」

赤羽根「その……見てしまったこと」

P「え、なんでよ、気持ち悪い」

赤羽根「えっ」


P「なんかいきなり改まって言われると変な気分だな……ま、俺と赤羽根君の仲じゃないの」

赤羽根「は、はぁ」

P「そんな気まずそうにしないで、ほらっ!」ズイッ

赤羽根(わぁっ!?)

赤羽根(ゆ、湯上りのP子さん……さ、さっきの光景を否応なしに連想してしまう!)

(ポンッ)

赤羽根「っ!?」ビクッ

P「ただ認めて、次の糧にすれば良い。それが大人の特権だよ、赤羽根クン♪」

赤羽根「……」

P「はっはっはっは! というわけで、おねーさんはちょっとこのまま別の営業行ってくるわ。小鳥さん帰ってきたら伝えといてー」ヒラヒラ

赤羽根「あ、はい……」

P「そんじゃ、いってきまーす」ガチャッ

(バタン)

赤羽根「……」ボーッ


~数日後~


(カタカタ)

赤羽根「ふぅ、一休み、と……」

赤羽根「……」ポーッ


律子「……最近、どうしたの?」

千早「時々、思い出したように物思いに耽って……」

小鳥「仕事はちゃんとこなしてくれてるので、支障はないんですけど」


赤羽根「……はぁ」


律子「悩み事かしら」

千早「それとなく聞いてみましょうか」

小鳥「千早ちゃん、無理しないで。あなたほど『それとなく』からほど遠い人もいないんだから」

千早「そんなことないです。見ててください」テクテク

小鳥「本当かしら……」

律子「いえ、無理でしょ」


千早「赤羽根さん」

赤羽根「……ん? ああ、千早か。何か用かい?」

千早「最近、時々ぽけーっとしてらっしゃいますけど、何か悩み事ですか?」


律子・小鳥((案の定ド直球だーー!!))


赤羽根「えっ?! い、いやっ、悩み事とかじゃ……」アセアセ

千早「短い期間ですが、私も、同じ事務所の仲間です。少しでも力になれれば」

赤羽根「ありがとう。でも、大丈夫。本当に悩み事とかじゃないんだ」

千早「……そうですか。変に勘繰ってしまい、すみません」ペコリ

赤羽根「いや、ありがとう。俺も気を引き締めないとな」


千早「悩み事ではないそうです」

律子・小鳥「「ダメだよあんた!!」」カッ!


貴音「……悩み事ではありません」フラリ

小鳥「貴音ちゃん……?」

貴音「あの表情の正体、私は知っています」

律子「なんですって!?」

貴音「その正体は……」

千早「……」ゴクリ


貴音「……恋、です」


三人「「「……!!!!」」」


小鳥「そ、そう言われてみれば……!」

千早「確かに、律子が時折、不意にプロデューサーに向ける視線に似ている気も――」

律子「わーーーっ!!! わーーーーーっ!!!!!」

小鳥(今更隠そうとしても……)

貴音「しかし、これはゆゆしき事態です」

小鳥「……はっ! ま、不味いわよこの事態は!」

律子「……なるほど、どうにかしないといけないですね」

千早「え? 別にいいじゃない、アイドルでもないんだから好きに恋愛すれば」

律子「いいえ。千早、考えてみて。この環境で、恋愛対象として最も可能性が高い相手を……」

千早「……!」ハッ

小鳥「そうなのよ、千早ちゃん……」

貴音「赤羽根殿の恋の相手は――」


小鳥「プロ 三人「「「アイドルである可能性が高い!」」」」



律子「……」

小鳥「……」

千早「……」

小鳥「あの」

貴音「……」ジトッ

小鳥「いえ……あの、ごめんなさい……」


小鳥「で、でもプロデューサーさん(♀)に憧れてるっていう可能性もあるじゃないですか!」

律子「確かに、可能性はありますけど……」


(ガチャッ)

P「おっす」ダンディーボイス

赤羽根「あ、Pさん。こんにちは」

P「捗ってる?」

赤羽根「ええ、まずまずです」


千早「……違うみたいね。平然としてるわ」

小鳥「うっ、うぅっ……」

律子「ま、今はいくら詮索しても分からないわね。暫く様子をみましょう」



貴音「……」


―――――――――

――――――

―――



小鳥「それじゃあ私も帰りますから、最後の戸締りお願いしますね」

赤羽根「はい、お疲れ様です」

小鳥「お疲れ様ですー」

(バタン)

赤羽根「さて、早い内に終わらせよう」カタカタ

(カタ...)

赤羽根「……はぁ」

赤羽根「P子さんの声と笑顔が……頭から離れない……」

赤羽根「俺は中学生か……!」ガクゥッ


「何を迷うことがあるのです?」


赤羽根「っ誰かいるのか?」バッ

(スゥッ)

貴音「私ですよ、赤羽根殿」

赤羽根「貴音か……」


貴音「どなたのことを思い浮かべていたのですか?」ニコッ

赤羽根「お、俺は、何も……」

貴音「隠さなくても良いのです。私には分かっているのですから」

貴音「最初はアイドルの誰かかとも思ったのですが、違うのでしょう?」

赤羽根「本当に、見透かされてるみたいだよ」

貴音「私も、同じような表情をする時があります故」

赤羽根「……この前、名前を呼ばれて」

_________

『赤羽根クン♪』

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

赤羽根「理屈じゃないんだな……ドキッとしちゃってさ」

貴音「ふふ。恋とは往々にして、そのようなものだと聞き及びます」

赤羽根「裏表がない、というか。明るくてさ、人懐っこいんだ」

貴音「魅力的な人なのですね」

赤羽根「ああ」

貴音「私も、似た方を知っております」ニコッ

赤羽根「……もしかして」

貴音「ふふ。とっぷしぃくれっと、でございます」シーッ


貴音「人を想う気持ちに、制約や禁則などありません」

貴音「自分に素直になること。それから、次のことを考えましょう」

赤羽根「そう、だな。ありがとう、貴音」

貴音「いえ。『敵に塩を送る』のは、今回限りでございますから」

赤羽根「とっぷしぃくれっと、だったんじゃ?」

貴音「! 私としたことが……つい、口を滑らせてしまったようです」

赤羽根「そっか……『制約や禁則などない』。説得力があるよ」

貴音「お互い、頑張りましょう」ニコッ

赤羽根「ああ」ニコッ


赤羽根「……そうだ、礼じゃないけど、ラーメンでも奢ろうか」ギィッ

貴音「?! まことでございますか?!」

赤羽根「どこでもいいさ。仕事もひと段落ついたし、俺もお腹が空いてさ」

貴音「では、参りましょう……二十郎へ……!」

赤羽根「二十郎か。名前は知ってるけど、行ったことないな。頼み方が特殊なんだっけ?」

貴音「ご心配なく。私が注文しますから、同じように頼んでいただければ問題ありません」

赤羽根「それは心強い。頼むよ」


~翌日~


赤羽根「うっぷす……」ヨロヨロ

真美「うっぷす?」

春香「『oops』。英語で『おっと!』って意味だよ」ドヤッ

律子「いえ、あれは単なる食べ過ぎの呻き声でしょ」

春香「うぅ」


響「朝っぱらからそんなに食べたのか?」

赤羽根「いや……昨日貴音と食べた二十郎が……もたれて……」ガクッ

伊織「貴音の注文をそのまま真似たって……アンタ死ぬ気?」

貴音「初心者だと仰るので、いつもよりは少な目にしたのですが……」


(ガチャッ)

P「おはよー」ビューティーボイス

赤羽根「っ!?」ガバッ

真美「おーっ、今日は姉ちゃんだー!」ダキッ

亜美「真美は前方から行け、亜美は後方を押さえる!」

真美「りょーかいっ!」

P「はっはー、今日も威勢がいいな二匹ともー」

亜美真美「「匹ってなにさ!」」

あずさ「ほらほら、二人とも。プロデューサーさんが動けないわよー」グイィ

真「朝っぱらから邪魔しない。ほらほら」

亜美真美「「うあー!」」


赤羽根(P子さん……そうだ、覚悟を決めろ、俺……!)

赤羽根「……」チラッ

貴音「……」コクリ

赤羽根(ありがとう、貴音。後押ししてくれて)

赤羽根「……あの」

P「ん? 俺?」

赤羽根「ちょっとお話があるので、屋上にいいですか?」

P「ここで聞かれたら不味い話か?」

赤羽根「ええ、少し……」

P「はいはい、了解」

赤羽根「ちょっと失礼しますね」ガチャッ


(バタン)


律子「……まさか……」

小鳥「赤羽根さん……!」

千早「本当に……プロデューサーを……」


美希「え? 二人とも何しに行ったの?」

やよい「赤羽根さん、すごく真剣な顔をしてましたー」

雪歩「思いつめたというか、覚悟を決めたというか……」


小鳥(……はっ?!)

小鳥「た、貴音ちゃん! 多分、これはそういう意味ではなくて……!」

貴音「焦らずとも、私は理解しておりますよ、小鳥嬢」

小鳥「貴音ちゃん……」ホッ

貴音「昨日、赤羽根殿と直接、言葉を交わしました故」

小鳥「」

貴音「その上で、この機会はお譲りしたのです」

貴音「あくまで、公平に戦わねば、誰も幸せにはなれませんから」ニコッ

小鳥「た、貴音ちゃん……」


貴音(頑張るのですよ、赤羽根殿……)


(ヒュウウウウウ)


P「あー、風が気持ちいー」ビューティーボイス

赤羽根「……」

P「で、話って?」

赤羽根「……あのっ」

赤羽根「っ……」

P「?」


赤羽根(何を今更迷ってるんだ! 覚悟を、決めたじゃないか!)

赤羽根(彼女にも後押ししてもらって、なんだこの様は!)

赤羽根(確かに、俺はいざという時にヘマをする時もあるし、ヘタレてるところもある)

赤羽根(……でも)

赤羽根(ここで逃げたら……)

赤羽根(それは、彼女への冒涜にもなる!)


赤羽根「……あの、P子さん!」


P「へ?」

赤羽根「俺、前から言いたかったことが――」クワッ!

P「いや、ちょっと待て」

赤羽根「え?」ピタッ

P「今なんて言った?」

赤羽根「あの、俺、前から言いたかっ」

P「いや、その前」

赤羽根「……あの、P子さん」

P「あれっ、お前知らなかったっけ?」


赤羽根「えっ」


P「あー、その顔知らなかったのか。てっきりもう伝わってるもんだとばかり」ポリポリ

赤羽根「えっ?」

P「そっかそっか。考えてみりゃ、俺の口から言ってなかったもんな。無理ないか」

赤羽根「あの、仰ってる意味がよく……」


P「細かい事情は省くけど、俺、Pなんだわ」


赤羽根「」


(コソコソ)

小鳥「赤羽根さんの表情……図星だったみたいね……」ヒョコッ

千早「流石にあれは哀れね……」ヒョコッ

律子「心中、あまり察するモノがあるわ……」ヒョコッ

貴音(……てっきり、知った上での想いかと思っておりました)ヒョコッ

小鳥「……戻りましょうか……」

三人「「「……はい」」」


赤羽根「あ、あは……冗談が、すぎますよ……」

P「いやぁ、自分でもよく分かってないんだけどさ、時々こうなっちゃうんだよね」

赤羽根「いや、あの……」

P「ほらコレ」


| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| 免許証   |
|_____|


赤羽根「そ、それはただPさんの免許証を持ってるだけで……」

P「疑り深いやつだなぁ。ほら」ピラッ


| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| 診療記録 |
|_____|


赤羽根「   」


P「そりゃシャワーの時もビックリするわな。で、話ってなんだったんだ?」

赤羽根「あ……その……ああいう時に、もう少し恥じらいを持ってほしいというか……」

P「あー、確かに事務所内じゃ言いづらいな。特に俺を別人だと思ってたなら」

赤羽根「」グサッ

P「まぁほら、俺も結構恥ずかしかったりはするんだぞ? ただ、お前だからあんまり気にならなくてさ」

赤羽根「あは、あはは……そう言っていただけると、嬉しいですね……」グサグサ

P「何にせよ、混乱させちゃって悪いな」

赤羽根「いえ、お気になさらないでください……俺、事務所に戻りますね……」フラフラ

P「おいおい、大丈夫か? 足元がフラついてるぞ」

赤羽根「ご心配なく……」フラフラ


P「アイツ、何がそんなにショックだったんだ?」

P「……まさか」

P「ははは! まさかなぁ!」



<ズルッ



<ウワァードダダダダダダッドッタァン!



\リツコサン! ウエカラ アカバネサンガ!/



P「……まさかな」


―――――――――

――――――

―――



~夜~


赤羽根「…………」

貴音「その、なんと申し上げたら良いのか……」

赤羽根「……いつまでも、凹んではいられないな」

貴音「え?」

赤羽根「よしっ! また心機一転、プロデュース業を頑張ろう!」パンッ

貴音「赤羽根殿……」

赤羽根「はは、俺だって大人だよ。正直、ダメージはかなりあるけど……」

赤羽根「だからって、泣き事ばかり言っていられないしな」

赤羽根「俺の心配よりも、貴音は自分が頑張らないとな」

貴音「も、勿論でございます。トップアイドルを目指し、これからも――」

赤羽根「それだけじゃなくて」

貴音「?」

赤羽根「……誰かに取られるんじゃないか、Pさん」

貴音「……!」


赤羽根「落ち着いて冷静に見回してると、他にもちらほら、ね。見えてくるよ」

貴音「……そうですね」

赤羽根「貴音だけを贔屓するってわけじゃないけど、貴音も俺のこと、応援してくれたしさ」

赤羽根「……結果はああだったけど」ドヨーン

貴音(赤羽根殿、完全に引き摺っているのですね)

赤羽根「出向の期間はまだまだあるし、ここで潰れてたらみんなに迷惑かけちゃうからね」ニコッ

貴音「赤羽根殿……」


赤羽根「俺はまだ書類が残ってるからさ。帰ってしっかり休んでくれ」

貴音「……はい。では、お先に失礼いたします」

赤羽根「ああ、またな」

(ガチャッ)

(バタン)

赤羽根「…………」


赤羽根「……死にたい……」ガクゥッ




――この事件から暫くの間、小鳥、律子、千早、貴音――

――それに、雰囲気から薄らと勘付いた一部の者は、彼への気遣いに余念がなかったという――

――彼はすぐに立ち直ったように見えたものの、時折、一人で涙を流していた――

――頑張れ、青年! 君の才能は折り紙つきだ! ちょっと運がないだけだ!――

――いつかきっと、多分……ええ、多分、良いことがあると思います。多分――

――ちなみに、当のプロデューサーさんは平常運転でした――

                             (語り:音無小鳥)


(テクテクテク)

貴音「赤羽根殿には気の毒なことをしてしまいましたね……」

貴音「……おや?」

P「あら、貴音じゃない」ビューティーボイス

貴音「お帰りでしょうか?」

P「事務所に戻ってきちゃったけど、考えてみたら今日直帰の日だったの思い出して」

貴音「成程。では、一緒に帰りましょう」

P「はいはい」


(テクテク)

貴音「こうして帰るのも、久方ぶりのような気が致します」

P「最近は赤羽根君の教育も多かったし、貴音には一人で行かせてたしね」

貴音「……」

(ギュッ)

P「? どうしたの、いきなり後ろから抱き着いて」

貴音「……最近、貴女様は赤羽根殿に構い過ぎです」

P「そう?」

貴音「はい。皆、寂しがっております」

P「えー、貴音だけじゃなくて?」

貴音「そそそ、そのようなことは!」

P「ほんとかなー?」ナデナデ

貴音「……うぅ……貴女様はいけずでございます……」


P「よし、帰ろっか」

貴音「貴女様の家に」

(ピタッ)

P「……来たいの?」

貴音「いけませんか……?」ウルッ

P「……変なコトはナシね」プイッ

貴音「……! 貴女様ぁっ!」ギュゥッ

P「あ、歩きづらいから!」

貴音「では、早く参りましょう!」ウキウキ

P「はいはい……現金な子ねぇ……」


貴音「貴女様、もうお食事はとられましたか?」

P「いや、まだだよ」

貴音「でしたら、にじゅ――」

P「お断りします」

貴音「……でしたら、貴女様の手料理を食べさせていただきたく」

P「んー……何がいいかなぁ」

貴音「ふふっ、貴女様が作るものでしたら、なんでも」

P「言ったね? 何を出しても文句言わないでよ」

貴音「はい。貴女様と、食卓を共にできるのでしたら」

P「はぁー……食費がかさむなぁ……まぁいっか」テクテク

貴音「貴女様の手料理……まこと、楽しみです」


「さぁ、帰りましょう」


おわり

単発投下したついでに筆が進んだから書いてみたら、ちょびっとどころじゃねぇ、初期の本編並の長さだった
そんな幕間、羽根Pルート、フラグぶち折り編
羽根Pの出向期間はもうちょっと続くんじゃよ、本編でも出向は続いてるよ
あと僕別に羽根P嫌いじゃないからね、むしろキャラとしては好きだからね、運がないだけで

最後の方イイ話っぽくまとめたけど、事務所では羽根Pが屍になっています
読んでくれた方ありがとうございました

OUT:アカバネ
IN:シカバネ

かわいそうに……俺は応援してるからな!
そして貴音「ご心配なく。私が注文しますから、同じように頼んでいただければ問題ありません」
赤羽根「それは心強い。頼むよ」
この時俺は笑いながら羽根P!そのフラグだけはダメだ!wwwwと口に出してた

ようやく就活が終わりそうで安堵の日々
ここ最近は短編投下してました、すんません
近々いおりんもやる予定なので、今しばらくお待ちを

お暇でしたら、適当に質問とか感想とか雑談とかでも何でもどうぞ
何かあればお答えしますんで
まみちは書いてくる

まみちはと言ったな。すまん、ありゃ嘘だった
思ったより筆進まんかった

ごめぬ、まみちはは投下してないす

うっうーゴメンネ、最近スランプ気味で何も進まんのや
いおりんも止まってるし幕間貴音も止まってるし他の短編もいくつか並行で止まってるし

なんか前にも聞いた気がするけれど、もし最終的にかかる期間が同じだとしたら、間隔あいて一気に投下と、コンスタントに少しずつ投下と、読む側としてはどっちがいいのかしら

このスレは基本まとめに載ってないし、人によっては一気読みの方が好きかなーって
私なんかも見る側だとそうやし
でも全体的にはやっぱコンスタントな方がいいのかな

それじゃあ早速今夜から試してみます
可能な限り日刊で

“可能な限り”だかんね兄ちゃん!
一日あたりどれくらい書けるかはやってみないと分からんけど、一週間以内に一本終わればいいかなぁ
とりあえず今日の分はもう少ししたら投下
書き溜めてないのでスローペースでふ




伊織「ぷ、ぷろりん?」 P「にひひっ♪」


はーじまーるよー



(タッタッタッ)

響「ふーんふふーんふーん♪」

響「夏も近づいてきて、良い風だなー」

響「実家を思い出すなぁ……」

(カンカンカン)

響「よっし、今日も頑張ろっと!」

(ガチャァッ)

響「はいさーい! おは――」


【事務所】


伊織「きぃーーーーっ!? な、何ですってぇ?!??!」

P「いえいえェ~? お金持ちのお嬢サマに、庶民の暮らしぶりが理解できるのかなァ~って思っただけでェ~?」ダンディーボイス

伊織「あ、あからさまに人を煽ってぇ……!」ワナワナ

P「じゃあ伊織サン、この前のオフの日は何をしておいでで?」

伊織「この前は……ちょっとパリまで買い物に……」

P「何平然と華の都に行ってんだよ羨ましい! 土産は!?」

伊織「は? アンタなんかにあるわけないじゃない。お菓子ならもうみんなで食べたわよ」

P「きぃーーーーっ!!」



響「……」

千早「? どうしたの、そんなところに突っ立って」

響「……なんだこれ」

千早「ええ、うん……我那覇さんが入ってくる少し前のことなのだけど……」


~十分前~


(フワッ)

P「んー、種類が違うのは分かるが」

伊織「それだけ?」

P「香水なんて似たようなもんだろう……あ、ドンキで似たような匂いを嗅いだ気がする」

伊織「はぁぁぁあ?! よりにもよってディスカウントショップに並んでるようなのと一緒にするんじゃないわよ!!」

P「そんなに高級なのか」

伊織「ま、アンタなんかが手にする機会はまずないでしょうね」ドヤッ

P「俺は俗世に塗れて楽しければいーんだよ、世間知らずのお嬢サマ」ニヤッ

伊織「……私だって今時の流行や普通の楽しみ方くらい把握してるわよ」

P「どうかなぁ~、私の方がよっぽど今時の女の子を把握してるんじゃないかな~?」ビューティーコワイロ

伊織「……」

P「……」


(ゴゴゴゴゴゴゴ)


伊織「何でもかんでも事務所の子にやってもらってるカマ男が何言ってるのかしら」

P「宣材撮る時のあのセンスで流行を把握してるとか笑いがこみあげてくるな」

伊織「……」ゴゴゴゴゴ

P「……」ゴゴゴゴゴ

(スッ)

赤羽根「あ、あの、ほら、二人とも仲良く仲良く……」

伊織「ホモは黙ってて!」

赤羽根「」ピシィッ!

P「おー庶民への辛辣な一言。そんなんだから事務所外に友達ができないんじゃないですかぁ?」

伊織「な……なななな!!!?」

P「お、図星?」

伊織「そんなワケないでしょ!? ととと友達くらいたっくさんいるわよ!!」

P「社交パーティーで知り合った金持ち仲間?」

伊織「普通の友達に決まってるでしょ!!」

P「へぇー、いおりんに普通の友達なんていたんだー、意外~」


(ガチャッ)


響「はいさーい!」


千早「……というようなことがあって」

響「だから赤羽根プロデューサー死んでるのか」

赤羽根「」

千早「そっとしておいてあげましょう」

響「それにしてもプロデューサー、子どもすぎるぞ……」


(バンッ!)

伊織「と、兎に角っ! 私だって普通の友達くらいいるし、普通な庶民的な事だって人並に知ってるわよ!!」ガタァッ!

P「ほほう。じゃあその友達と遊んだ時の話でも聞かせてくれ」ニヤニヤ

伊織「こ、ここ最近忙しくて会ってなかったから、覚えてないわ」プイッ

P「はぁー、やっぱりいおりんの見栄っ張りだったかー。まぁ環境も環境だし仕方ないかなぁ~」ニヤニヤ

伊織「う、うぐぐぐぐ……わ、分かったわよ……!」


伊織「今度のオフ、その友達と遊んでくるから! そ、そしたら写メとかいっぱい撮って見せつけてやるわよ!!」カッ!


P「お、言ったな? くっくっく、楽しみにしているぞ、水瀬伊織よ……!」

伊織「あ、アンタこそ見せつけられて吠え面かくんじゃないわよ! ばーかばーか!!」


響「小学生の喧嘩だよコレ……」

千早「でも、ちょっと気になるわよね」

響「え?」

千早「オフの水瀬さんの、友達との過ごし方」

響「……確かにすごく気になるぞ」


P「あれか? もしかして友達料とか払ってるのか?」

伊織「んなワケないでしょ! こんの……!」ガシッ


千早「み、水瀬さん! そのコップはまだ水が入って――」


伊織「ばかーーーーー!!!!」

(ブンッ!)

P「ふん、その程度の速度、避けるのは容易い!」サッ!


(ガチャァッ)

律子「はぁ、やれやれ。もー疲れたぁ」

P「あっ」

伊織「あっ」

律子「へ? 何コレ――」




(バシャッ)


律子「……」ニコニコビシャビシャ

P「……」

伊織「……」

律子「二人とも、何か言うことは?」

P・伊織「「ゴメンナサイ」」



(ゴチンゴチンッ!)



\コラァーーーッ!!!/


<キョウイチニチ、プロデューサードノハ ワタシノドレイデスヨ

                 エッ>



伊織「うぅ……酷い目に遭ったわ」ヒリヒリ

響「うわー、たんこぶ痛そう……」

伊織「あの馬鹿プロデューサー……キッチリ見返してやるんだから!」

千早「ところで、水瀬さんの友達ってどんな人なの?」

伊織「えっ」

響「あ、自分も気になるぞ! どんなことしてるのかとかどうして知り合ったのかとか!」

伊織「え、えっと、それは……その……」

千早・響「「……」」ワクワク

伊織「……い、今はちょっと殴られたせいか頭回らないから、今度遊んだら聞かせてあげるわ」

千早「分かったわ。どんな人なのかしら……」ワクワク

響「写真撮ってきてね! 楽しみにしてるから!」ワクワク

伊織「は、はは……」


【伊織の部屋】


(バフッ)

伊織「い、言えない……実は友達いないなんて……」モフッ

伊織「なんであの二人はあんなにワクワクしてるのよ……それに、あの馬鹿は見返してやらないと気が済まないわ!」

伊織「でも、学校の知り合いはお金持ちばかりだし……しょ、庶民の暮らしなんて分からないわよ……」

伊織「こ、こうなったら適当な人間を金で連れてきてどうにか!」

伊織「……う~っ! ダメよダメよダメよそんなの絶対!」バタバタ

伊織「……」ピタッ

伊織「……どうしよ……」ハァ


伊織「次のオフは……」ペラッ

伊織「……明日じゃない!」

伊織「ということは、明後日までにどうにか既成事実を作らないと……!」

伊織「え、え?! ど、どうすればいいのよ! 分かんないわよ!」

伊織「し、新堂に聞くしか……」

伊織「……」

伊織「……違うわ、そうじゃないでしょ、水瀬伊織」

伊織「自分で言い出したことなんだから。誰の手も借りず、自分の力で何とかする!」

伊織「よし……こうなったら、やるしかないわね……」


伊織「私は明日、友達を作る!!!!」ドンッ!


伊織「そうと決まれば作戦よ!」

伊織「まず、私だってバレちゃダメよね。街中で混乱が発生するかもしれないし」

伊織「なら、会話とかしても正体がバレない様に変装しないと……」

伊織「……」

伊織「というか、それ以前に」


伊織「友達ってどうやって作るのよおおおおおおおお!!!!」



ヨオオオオオオ......
ヨオオオオオオ......
     ヨオオオオオオ......


伊織「そうと決まれば作戦よ!」

伊織「まず、私だってバレちゃダメよね。街中で混乱が発生するかもしれないし」

伊織「なら、会話とかしても正体がバレない様に変装しないと……」

伊織「……」

伊織「というか、それ以前に」


伊織「友達ってどうやって作るのよおおおおおおおお!!!!」



ヨオオオオオオ......
   ヨオオオオオオ......
     ヨオオオオオオ......


~翌日~


伊織「結局、何も作戦を思いつかないまま街中に出てきちゃった……」ハァ

伊織「とりあえず、変装はしたけど」

伊織「……」キョロキョロ

(シーン)

伊織「ふーん、前髪下ろしただけでも気付かれなくなるものね」

伊織「ま、これなら知り合いでもなければそう簡単にはバレないかしら」

(ドンッ)

伊織「あっ、ごめんなさい」

男性「ああ、ごめんよ」テクテク

伊織「……ふぅ」

伊織「今の人、持ってた携帯の待ち受け思いっきり私の画像だったんだけど……変装は成功みたいね」


伊織「……さて、本題だけど」

伊織「友達ってどうやって作るのかしら……」

とりあえず今日はここまで
今回のいおりんは初心にかえってシンプルな感じで

ちょっとこれから用事があるので、今日は遅くなります
ちょびっとでも投下はしまふ

申し訳ない、今帰ってきました
朝が早いので少し寝ます……
午後に今日の分も投下しまする

帰宅が遅くなってしまった
相変わらず書き溜めなしでゆっくりですが投下


伊織「そこで問題よ!」

伊織「この状況でどうやって友達を作るか? 3択-一つだけ選びなさい」


・答え①美少女の伊織ちゃんは突如名案がひらめく。

・答え②親切で心が清らかな人が声をかけてくれる。

・答え③友達はできない。現実は非情である。


伊織「①は難しいわね。そもそも作り方が分からないし」

伊織「②を選びたいところだけれど……そんな都合のいいことないわよね」

伊織「③はダメ、絶対に認めないわ」


伊織「難しい問題ね……賞金1000万円レベルよコレ……」


伊織「冷静に考えたら、こんな街中でどうやって友達なんて作るのよ……」

伊織「あああああもう! あの馬鹿プロデューサーのせいよ!」

伊織「なんでこの伊織ちゃんがこんなことで悩まなきゃいけないのよおおおおお!!!」


(ザワッ)


伊織「……あれ?」


<オイ、イマイオリッテ

      ソウイヤドッカデミタコトアルキガ...>

<エッ、モシカシテ765プロノ?

      イヤ、アノコエハマチガイナイ!>


伊織「あ、せっかくの変装が水の泡……」


「あそこにいるの、アイドルの水瀬伊織じゃないか!?」

「いおりーん!」

「罵ってー!!」

「踏んでください!!」

「いおりんのオレンジジュースgkgk!!」


(ドドドドドドドド!!!)


「「「「待ってーーー!」」」」ダダダダダッッ


伊織「………」



答え②親切で心が清らかな人が声をかけてくれる。



(クルッ)

伊織「逃げるのよォォォーーーーーッ」


<イオリィィィィィィイイン!!!


伊織「なんで私のファン層ってあんなのばっかりなのかしら……応援してくれるのはありがたいけど」タッタッタッ

伊織「はぁ、他のみんなが羨ま――」タッタッタッ

伊織「――大体ロクなもんじゃなかったわね」タッタッタッ


伊織「それにしてもしつこいわね! そのバイタリティを他で活かしなさいよ変態!」タッタッタッ


<アリガトウゴザイマァァァァアアス!!!


伊織「いやぁ!? 加速してる!」タタタタッ!

伊織「どんどん距離が詰められてる! あの熱気に捕まったら……」ゾクッ!

伊織「走るのよ、水瀬伊織。ダンスレッスンの成果を見せる時じゃない!」


(タッタッタッ)

伊織「はぁっはぁっはぁ……なんとか撒けたかしら」ゼェゼェ

伊織「馬鹿じゃないの……せっかく買った服が汗だくよ……」パタパタ

伊織「ジュースでも飲も……」


伊織「えーと、何にしようかしら」

(ガシャコンッ)

伊織「前の人はコーラを買ってるわね。美味しいのかしら……」


<アッ、イタゾー!


伊織「うそっ! もう見つかったの!?」

伊織「逃げなきゃ……」

(ズルッ)

伊織「きゃあっ!?」ドテッ

伊織「いたた……」


伊織「あ、捕まっちゃ――」

(ポイッ)

伊織「え?」

(コロコロコロ)


<マッテェェェエ


(ガシッ)

(グラッ)


<オワッ、カンヲフンデ

      オイッ! コロブナ!>

<トマレナイ!

      ウワァァァァア!!>


(ドンガラガッシャーン!)


伊織「……ナイスストラーイク」


(ガシッ)

伊織「え?」

「ほら、立って」

伊織「あ、うん」

「逃げましょ」タッタッタッ

伊織「え、あ、はい!」タッタッタッ


(タッタッタッ)

「ここまで来れば大丈夫かな?」

伊織「多分、大丈夫……」ハァハァ

「なんだか結構な大人数に追われてたみたいね。追っかけか何か?」

伊織(う、ここでアイドルだとバレるのも面倒かしら)

伊織「いえ、そういうわけでは」

「え、じゃあナンパの集団か何か? 怖いねぇ……」

伊織「あ、あはは、そんなところでしょうか……」


P「まぁともあれ、逃げ切れてよかったよかった」ビューティーボイス


~時は戻って数時間前~


P「ふぃー、久しぶりのオフだー」ビューティーボイス

P「さて、今日は家でダラダラと……」

P「そういや、伊織はどんな友達を紹介してくれるのかな、楽しみだ。フフフ」

P「……」

P「でも、もし予想外に伊織が普通の友達と普通に遊んだり若者文化に理解があったりしたら……」

P「……」


P「恥かくの俺じゃないか!」


P「散々煽ったけど俺も全く分からんぞ」

P「く、くそぅ、きっと伊織のことだ。そんなことになったら……」


伊織『あら、プロデューサー? あれだけ豪語しておいて、そんなことも知らなかったの?』クスクス

P『ぐぬぬ』

伊織『そんなんでよく伊織ちゃんに大きい口を叩けたものね。無知って怖いわねぇ』

P『ぐぬぬ……』

伊織『おーっほっほっほっほ!』

P『ぐぬぬぬぬ……!』



P「そんな未来、断じて認められーーーん!!!」



P「こうなったら若者文化をマスターし、この頃はやりの女の子になるわ!」CV.マエカワヨウコ

P「そんなわけで敵情視察だ。今日は街に出るとするか」

P「最近、人目が気になるんだよな……変装に気合入れないと」チャカチャカ


P「で、街に出たものの」

P「暑い……」パタパタ

P「考えてみたら朝起きてから何も飲んでないや……」

P「コーラ飲も……」ガシャコンッ


<アッ、イタゾー!


P「ん?」

「うそっ! もう見つかったの!?」

「逃げなきゃ……きゃあっ!?」ドテッ

P「ありゃ、痛そう。というかなんだアレ、ストーカー集団か何かか?」

「いたた……」

P「うーん、コレ放っておいたら不味いよねぇ」


P「よっと」ポイッ

「え?」

(コロコロコロ)


<ウワァァァァア!!


(ドンガラガッシャーン!)


「……ナイスストラーイク」

P「Yes!」グッ!

P(とりあえず連れて逃げるか)ガシッ

「え?」

P「ほら、立って」

「あ、うん」

P「逃げましょ」タッタッタッ

「え、あ、はい!」タッタッタッ

P(んー、この子、雰囲気は全然違うけど伊織に似てるなー。……伊織か?)


~現在に戻って~


P「どっかで見たことあるような気がするんだよね……」

伊織「!」ギクッ!

P「いお」

伊織「た、助けていただいてありがとうございます。私、伊尾瀬みなりっていいます」

P「あ、みなりちゃんって言うんだ。アイドルの水瀬伊織に似てるって言われない?」

伊織「ええ、よく言われます。私はあんなに可愛くないですけれど……」

P(謙虚な子だ……伊織に爪の垢を煎じて飲ませたい)

伊織(ば、バレてない、わよね? こんなところで家の社交マナーが役立つなんて……)


伊織「ええと、あなたは?」

P「あー、私は天月ちかって言うの」

P(春香、千早……お前たちの力を借りるぞ!)

伊織(んー、そこはかとなく馬鹿プロデューサーに似てるわね……

伊織(って、恩人に対して何失礼なことを考えてるのかしら)

伊織「ありがとうございました、ちかさん」

P「いえいえ、困ってる時はお互い様、ってね」


伊織・P((この人、いい人だ!))



伊織・P → スキル『節穴』取得

伊織 → 技能『社交マナー』取得

P → ステータス『偽名の偽名』取得

とりあえず今日はここまで
次が思いつかなかったら明日(今日)は投下できないかも
ゴメンネ

日刊目標とか言っておきながら早速隔日になりかかってますねアカン
日付が変わる頃に投下しまふ

今夜もゆっくりと投下開始


P「みなりちゃん、何か予定とかあるんじゃないの? 追われない様に送ってくけど」

伊織「いえ、ちかさんこそ……私のことならお気になさらず」

P「いやー、あはは。特に予定もなく出て来ただけだから」

伊織「そうなんですか? 私も、特に用はなくて……」

(サンサンサン タイヨウノヒカリー)

P「……暑いね」

伊織「……暑いですね」

P(コーラ飲み損ねたし……その上走ったし……)

伊織(そういや飲み物買おうとしてたんだったわ……)

P「……何か飲む?」

伊織「そうですね、立ちっぱなしもなんなので……」


~喫茶店バージェス~


伊織「涼しい……」

店員「ご注文は?」

P「あー、生き返るぅ……私はアイスコーヒーで」

伊織「じゃあ、私はオレンジジュースで」

店員「かしこまりました」


P「あっつぅ。こんな日に走るもんじゃないね……」

伊織「ホントよ……全く、この私を走らせるなんて、あいつら……」

P「え?」

伊織「あっ、いえっ! ただの独り言ですよ、ふふふ!」

P「そう?」

伊織(いい人だけど、調子狂うわね……馬鹿プロデューサーと話してるみたい……)

P(やっぱり伊織に似てるなぁ)


P「なんとなくブラブラしてたの?」

伊織「はい。家に籠ってるのも良くないと思って……ちかさんは?」

P「私もそんなところかな」

伊織「でも、こんなに暑いと参ってしまいますよね」

P「ホントだよもう。誰かと一緒ならともかく、一人でこんな日差しの下は……」グデーッ

伊織「……!」


答え①美少女の伊織ちゃんは突如名案がひらめく。


伊織「あ、あのっ!」

P「はい?」

伊織「もしよかったら……」


(カランカラン)


店員「ありがとうございましたー」


伊織「すみません、奢ってもらっちゃって」

P「いいのいいの。お姉さんに任せておきなさいって」

P(ふっ、社長にボーナス貰ったから余裕だぜ)

伊織(多分私の方がいっぱい持ってるけど)

P「さて、しかし旅は道連れ世は情けとは言ったものの」

伊織「やることない二人が揃っても、やっぱり特にやることはないですね」

P「そうね、あはは……」

伊織(まぁ、やることがないというか)

P(そもそも何をしたらいいのか分からんのだよ……)


P(だがしかし、今目の前にいるのは、イマドキの女の子!)

伊織(このチャンスを活かして、イマドキの若者事情をマスターするのよ!)

P(そのためには、それとな~くみなりちゃんに動いてもらわないと……)


P「みなりちゃんって、普段遊ぶ時とか何してるの?」

伊織「え゙っ」

伊織(普段……普段何してたっけ!?)

伊織「えーっと……」


水瀬伊織の一週間のスケジュール例

・月曜日 レッスン後、収録
・火曜日 学校、放課後は高槻家の手伝い
・水曜日 収録
・木曜日 学校、放課後はレッスンの後、高槻家の手伝い
・金曜日 学校、放課後はレッスン
・土曜日 レッスン
・日曜日 高槻家の手伝い


伊織(……通い妻ね)

伊織「その……あまり、遊んではいないですね」


P「えー、まだ若いのに。習い事とかしてるの?」

伊織「ま、まぁそんなところですね……ちかさんは?」

P「えーっと、休みの日は……」

_______________________________

春香『味見係、お願いしますねっ!』

あずさ『あ、プロデューサーさん。新しいお店、見つけました~』

貴音『貴女様。本日は麺屋めぐりの日でございます。さぁ、さぁ!』

美希『もしもしハニー? 確か今日オフだし、ミキとデートしy』ピッ

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

P(……基本飲み食いしてるか家でゴロゴロしてるだけだな)

P「えーと、友達とお茶したりとか……」


伊織「平日はどうしてるんですか? 放課後とか」

P「平日は仕事だからねぇ。せいぜい同僚と呑みに行くくらい? 放課後とか懐かしいよ」

伊織「え゙っ?!」

P「ん?」

伊織「しゃ、社会人だったの!?」

P「え、そうだけど」

伊織「ウソ……どう見ても高校生か大学生にしか見えないわよ!」

P「よく言われるねー。短大卒と一緒にいると妹扱いされたりね……」

伊織「そんな……社会人じゃ参考にならないじゃない……!」

P「?」



P「それにしても」

伊織「?」

P「素になると、大分雰囲気変わるねぇ」

伊織「?!」


伊織「あっ、えっと、べ、別にそういうのじゃないんです!」アセアセ

P「気にしてないよ。仕事柄、そういうのうっすら分かってたしさ」

伊織「はぁ……」

P「ま、私の目も節穴じゃない、ってことよ」ドヤッ

伊織(正体まではバレてないでしょうね……?)

P(ますます伊織に似てんなぁ……)フシアナ

伊織「まぁ、その……恩人相手に、生意気な態度を取るわけにも、って思って」

P「そんなこと気にしなくていいよ。普段からナマイキなの、一杯相手にしてるから」

伊織「ナマイキなのって、どんな?」

P「んー、やたらと上から目線だったり、金持ちの感覚でモノを言ったり、額が眩しかったり……」

伊織「……」ゲシッ

P「痛ぁっ!? な、なんで足踏んだの?!」

伊織「え、あっ!? つ、つい衝動的に……」


―――――――――――――

―――――――――

―――――




P「つまり、私にイマドキの若者の暮らしぶりを教えてもらおうと思っていたと」

伊織「そういうこと」


P(どうしよう……この子同じこと考えてるやん……)

P(何とかして力になってあげたいけど、おっちゃん何も知らんのや)


伊織(あああもう無理よ無理! 折角勇気を出して声をかけたのに!)

伊織(上手く行ったと思ったのに、どうしてこうなるワケ?!)


伊織「あああ……もうどうにもならないわ……大人しくアイツに嘲笑われるしかないの……!?」

P「……よし、ならば、手段は一つ!」

伊織「え?」

P「実地研修だよ、みなりクン!」

伊織「じっち、けんしゅう?」


P「みなりクン、知識は他人任せに得るのが全てではない――」

P「時には自ら足を運び、情報を得ることが大切なのです!」

伊織「!」

P「と、いう様なことが某弁当漫画に書いてあった」

伊織「一気に説得力が失せたわね……」

P「いつの間にやら完全にタメ口に」

伊織「そ、その方が良いって言ったのはアンタじゃない!」

P「いやー、私は嬉しいけどね?」

伊織「初対面なのにホンットに調子が狂うわね……!」

P「初対面の相手にも親しくなってもらえないと、商売あがったりだからね」

伊織「ふぅん……営業とか?」

P「ま、そんなところ」


P「さて、若者の生態を探るには」

伊織「UMAじゃないんだから……」

P「みなりクンにとっては、未確認生命体も同然だと思うけど」

伊織「ぐうの音も出ないわ」

P「まずは若者がいる場所に繰り出し、様子を観察しましょう」

伊織「駅前辺りがいいかしら」

P「まずは駅のカフェから監視してみますか」


(アリガトウゴザイマシター)


P「そういえば何も食べてなかった。お腹空いた」

伊織「私のホットドッグ、半分食べる?」

P「ううん、いいよ。あとで何か買うから」

伊織「そう?」

P「さて……ではここからじっくりと観察しますか……」

伊織「! 早速いたわ。待ち合わせみたいね」


ともみ「まだかな……」キョロキョロ


P「見たところ、高校生くらいかな?」

伊織「……なんか見覚えがあるわね」


りん「ごっめ~ん!」

ともみ「あ、来た。まぁ、数分程度だし」

りん「ボスだったら有無を言わさず張り手が来るとこだねー」


P「お、歩き出した。追いかけて観察しよう」

伊織「どこかで見たことあるのよね……」


りん「この服かわいー!」

ともみ「あ、このハーフパンツいいかも」


P「若者の行動その一、ファッション巡り」コソッ

伊織「うん、実に若者らしいわね」モシャモシャ

P「……美味しそうだね、そのホットドッグ」

伊織「……やっぱり半分食べる?」

P「いや、自分で言ったことには責任を――」

伊織「じゃあ食べちゃお」パクッ

P「――!」ジワッ

伊織「泣くくらいなら見栄張るんじゃないわよ……」


伊織「でも」ジーッ

P「ん?」

伊織「こんな観察してて、本当に友達ができるの?」ジーッ

P「え? できるわけないじゃない」

伊織「はぁっ!?」ギロッ!

P「そんな急に友達を作ろうって方が無理な話だって。じゃあナンパでもする?」

伊織「し、しないわよ!」

P「なら、人が良さそうな子達探して、事情を話して一緒に写真撮ってもらってさ。あとは適当に話を作るのが一番現実的だと思うけど」

伊織「うぐ……悔しいけど、確かにそうね……」

P「そんな方針で行こうと思うんだけど、あの子たちはどう?」


ともみ「ここで買うの?」

りん「どーしよっかなぁ~……悩むわぁ~……」


伊織「うーん……ツインテールの方がめんどくさそう……」


ともみ「買うなら早く選ばないと……」

りん「えー、もうちょっと待ってよー」

ともみ「あ、ボスだ」

りん「え?」クルッ

麗華「誰がボスよ、誰が」


伊織「今来た人も見覚えが……」

P「お、メンバーが揃ったのかな? さぁ、イマドキの若者らしい買い物を ―― 」


麗華「何をチンタラしてるのよ」

りん「いやー、なかなか選べなくてさぁ」

麗華「はぁ……店員さん、ここからここまで全部ください」


伊織・P「「」」

べ、別に悲しんでなんかねーし
嬉しいから今夜も投下するなんてこれっぽっちも考えてねーし

りん「マジで?! 太っ腹ぁ!」ギュッ

麗華「うるさいわね。時間がもったいないからこうしただけよ。別に、普段頑張ってるからとかじゃ――」

ともみ「素直じゃないなぁ」

麗華「黙りなさい!」


P「あれどう見ても普通じゃないでしょ!?」

伊織「ああ……見覚えがあるわけだわ……」ボソッ


麗華「ん?」

ともみ「どうかしたの?」

麗華「あそこにいるのって……」


P「あれ?! あの普通じゃない人がこっちに来る……」

伊織(……! 気づかれた?!)

伊織「ち、ちかさん! ちょっとオレンジジュース買ってきて!」

P「え、どうしたの急に」

伊織「い・い・か・ら!」クワッ!

P「は、はい!」

(タッタッタッタッ)

ごめん投下しようと思ってたのに二回も寝落ちしてた
許してください


麗華「……何やってんのよ、伊織。ストーカーの真似事?」

伊織「……ええと、あなたのこととか知らないですし何のことだかさっぱりです」プイッ

麗華「はぁ? その程度の変装で私を騙せるとでも思ってんの?」

伊織「うぐ……な、何で私だって気付いたのよ」

麗華「前髪下ろしたくらいで気付かないとでも思ったワケ? 馬鹿にしてるわね、昔から何回見たと思ってんだよ」

伊織「ぐぬぬ……」

麗華「で、なんでストーカーの真似事なんてしてたの」

伊織「ふ、ふんっ! アンタの知ったことじゃないわ」

麗華「前髪ぱっつんにしてやろうか」チャキチャキ

伊織「アンタなんでハサミ持ってんのよ?! 言うわよ、言うからそんな髪型になんてしないで!」

麗華「さりげなく人の前髪ディスってんじゃねーぞ伊織……!」ゴゴゴゴゴ


カクカクシカジカ!


麗華「……は? お前友達いないの?」

伊織「失礼な言い方すんじゃないわよ!」

麗華「うわー……悲惨……」

伊織「こンの……! そういうアンタはどうなのよ!」

麗華「私?」チラッ


りん「ねー、ボスぅ、まだー?」

ともみ「いいじゃない、知り合いみたいだし」


麗華「…………ま、アイツらは」

伊織「あ。あの二人はナシで」

麗華「良い友達だよ……ってはぁ?!」

伊織「そりゃ私だって事務所には友達くらいいるわよ。事務所外での普通の友達よ」


麗華「そ、そんなもん! いるに決まって――」

__________________________

『麗華様!』

『東豪寺様、ごきげんよう』

『お荷物、お持ちいたしますわ!』

『麗華様、わたくしめをいつでもお使いくださいまし!』

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

麗華「…………あれ?」

伊織「その表情……気付いてしまったようね、勝ち組故の孤独に……」

麗華「あれぇっ?!」

伊織「そう、あなたは事務所がなくなってしまえば、一人きりの存在なのよ……!」

麗華「……えっ、おい、ちょっと待って!」

伊織「とりあえず、アンタじゃ参考にならないことは良く分かったわ。それじゃ」テクテクテク

麗華「えっ……まっ、あっ……」



麗華「あああああああああ?!」


(タッタッタッ)

ともみ「どうしたの?」

麗華「私……友達いなかったんだ……」

りん「なーに落ち込んでんの? うちらがいるじゃんっ☆」

麗華「りん……でも、もし事務所が潰れたら……」

ともみ「ほら、元気出して。潰れたって、私達は一緒だから」

麗華「ともみ……!」

りん「縁起の悪いこと言ってないでさ、早く遊びに行こーよ!」

ともみ「そんな顔してると、幸運も逃げちゃうよ?」

麗華「うぅ……二人とも、大好きだ……!」


(ジーッ)


麗華「……はっ!?」


伊織「……」ジーッ


麗華「……」ダラダラ

伊織「うん、私は知ってるから。アンタが根は良いヤツだって」

麗華「だ、黙れぇっ!!」

伊織「今度の共演収録でのトークが楽しみね、公式パッドちゃん」

麗華「いっ」



麗華「いおりいいいいいいいいいいいい!!!!!!!」



伊織「おーっほっほっほっほ!」


\オーッホッホッホッホ!/



(ガシャコンッ)

P「ん? どこからか聞き覚えのある声が……」

伊織「あー面白かった」タッタッタッ

伊織「……面白かったけど、まるで鏡見てるみたいで気が滅入ってきた」

P「あ、おかえり。さっきの子達、知り合いだったの?」

伊織「……まぁね。友達じゃないけど」

P「はい、ジュース。なら写真だけでも撮ってもらえばよかったのに」

伊織「あんな奴に頭下げるくらいなら舌噛み切って死ぬわ」ゴクゴク

P「さっき最初に会った時の清純なイメージがどんどん消えてくねー、みなりちゃん」

伊織「アイドルなんて仮面を被ってナンボよ」

P「えっ、アイドル?」

伊織「っ!? た、例えばの話よ、例えばの! 女なんてみんなそうでしょ!?」

P「えっ、あ、うん、多分……」

とりあえず今夜はここまで
就活がひと段落ついたのでもっと投下ペース上げたいし他のも書きたい
ぷちますEDの前髪いおりんまじ天使
グッバイホッモ

すまぬ、疲労が半端無くて投下できませぬ
その分、明日は多めに投下します

予定がないはずだったのにまさかのブッコミで帰宅なう
しばらくしたら投下します

なーんで定期的にホモが湧くんですかね……(困惑)
ところで、チョイ役でモバマスやグリマスのキャラが出るのは問題ないすかね
勿論、キャラ知らないと全く分からないとかいう内容にはせんけど

グリマスは765プロだし大丈夫かと、モバマスは微妙
765プロの話なのに関係ないモバマスだすなと毛嫌いする人もいるし俺は気にしないけどね

そんなに深く関わらせるつもりはないけれど、所々の脇役として回しやすいのよねー、知ってる人はクスッとしてくれるかもだし
名無しモブってなんか出し辛くて
まぁもうジュピターも876も魔王も出しちゃってるけど

アンケートは今日いっぱい受け付けてるのでよろよろ→


伊織「あーもう上手くいくビジョンが見えないわ」

P「そんなんじゃ先が思いやられるね。まだ糸口も掴んでないのに」

伊織「わ、分かってるわよ……」

P「どれ、気分転換に若者の遊びでもしに行きますか」

伊織「若者の遊び?」

P「若者の遊び文化を知りつつ、実際に遊んでる若者の様子も観察できる、一石二鳥の場所よ」


【ゲームセンター】


伊織「何かと思ったらゲームセンターじゃない」

P「来たことある?」

伊織「んー……ないかも」

P「色んなゲームがあるよ。クレーンゲームを始めとした景品モノとか、音楽に合わせて遊ぶやつとか、シューティングとかレースとか」

伊織「テレビゲームが大きくなったのとは違うの?」

P「んー、ゲーム内容自体は同じようなのも多いけど、決定的に違うのは操作方法かな」

P「テレビゲームだと共通のコントローラーで遊ぶのが殆どだけど、ゲームセンターのはそれぞれのジャンルや、モノによってはそのゲーム専用の操作機器があったりね」

伊織「ま、聞くより見た方が早そうね」

P「うん、それじゃ、レッツ観察!」


涼「ゲームセンターなんて久しぶりです」

真「さぁて、今日も力試ししてみよっかな」


(コソコソ)

P「さて、若者を発見したが……」

伊織「……アレって……」ボソッ

P(涼と)

伊織(真よねぇ)

P・伊織((……参考にしていいのだろうか、コレ))


涼「真さん、何やるんですか?」

真「そりゃあもちろん! ゲームセンターと言ったらコレでしょ!」ビシィッ!

涼「パンチングマシーン……?」


真「ほらほらっ! 涼、気合入れて!」バシィッ!

涼「痛っ!? や、やりますからぁ! ……えいっ!」バコンッ

<62kg>

涼「や、やったぁ! 僕、62キロも出ましたよ!」

真「……」ポンッ

涼「ふふふ、僕だってやれば……」

真「……ふっ!」バコォッ!

<143kg>

涼「だ、ダブルスコア……」

真「やり方次第ではまだまだ出るけど……涼は、もう少し鍛えようか」ニッコリ


伊織「あ、ダメだわコレ。コレも参考にならないタイプね」

伊織(というかああ言った手前、相談しづらいってのもあるけど、うちの事務所は参考にならないって言うのが今日出て来た一番の理由だし……)

P「別の人を探しましょ」

P(せめて春香とか雪歩とかならなぁ……)


P「おっ、あそこは普通の女の子じゃない?」

伊織「うん、見覚えもないわ」

P「きっと彼女達こそ、イマドキの女子高生に違いないね!」

伊織「じっくりと拝ませていただきましょうか」


夢子「……」

彩音「……」


P「機械の前でヘッドホン付けて、凄く真剣な表情をしてる……」

伊織「緊迫した空気……一体何が始まるの……」


『レディー』

夢子「……」

『ゴー』

彩音「!」

伊織「あーもう上手くいくビジョンが見えないわ」が伊織「あーもう上手くいくピジョンが見えないわ」にみえた(笑)


(カチカチカチカチカチカチカチカカカカッガッガッ)


P「む、無表情なのに指先が異常な速度で!」

伊織「ちょっと怖いんだけど……」

P「でもきっと、これがイマドキの普通なんじゃない?」

伊織「いつの間にか日本も修羅の国と化してたのね……」


夢子「…………」カチカチカチカチカチカチッカチチチチチッ

彩音「…………」カカカッカチカチッカチッカチャチャチャチャ


P「もしかしたら……私達、想像以上に普通の若者から離れてたのかもね……」

伊織「次行きましょう次」

伊織(今度、こっそり特訓しておこうかしら)


(キャイキャイ)

伊織「あっちで楽しそうに騒いでるわね」

P「ん、何人かでクレーンゲームをやってるみたいね。高校生かな」

伊織「景品を掬って取るやつ?」

P「そうそう」


<モウチョット、モウチョット!

     アー、オチチャッタァ>

<アハハ、オシカッタネー!


伊織「……なんでかしら」

P「何が?」

伊織「なんで景品取れなかったのにすごく楽しそうなの? 操作を楽しむようなゲームでもないのに……ワケわかんない」

P「多分あの子たちの場合、景品を取るのが目的じゃないからね」

伊織「? あのゲーム、他にも何か仕掛けがあるの?」

P「うーんと、そういうことじゃなくてね」


P「あのクレーンゲームは、みんなでワイワイするための橋渡しをしてるんだよ」

伊織「橋渡し?」

P「緊張とか喜びとか悔しさとか楽しさとか。一緒の時間を過ごして同じ気持ちを体験することで、他人との距離を縮める」

P「その感覚の共有を、あの子達は楽しんでたんじゃないかな。習い事だっけ? そこの友達とは、そういう経験ない?」

伊織「……」

伊織(一緒にレッスンして……無名の事務所から這い上がって……ステージの上でみんなで光を浴びて――)

伊織「……あるわ。沢山、沢山」

P「ふふ、でしょう? そういう通じ合いを経て、友達になって、一緒に楽しく過ごすんだよね」

伊織「理屈は分かるけど、でも……」

P「じゃ、一回やってみる?」

伊織「え、何を?」

P「クレーンゲーム」


(チャリン)

伊織「この→と↑を順番に押して、クレーンを移動させればいいのね?」

P「そうそう。頑張ってねー」

伊織「こんなの簡単よ。まず→」

(グイイイイン)

伊織「次は↑」

(グイイイイイイン)

伊織「っと。ほら、さっさと拾いなさい。この伊尾瀬みなりちゃんのために」

P「クレーンに何を偉そうにしてんの……」

(ウィイイイイイン)

(スカッ)

伊織「あれ?」

P「ぴったりだと思っても、意外とズレてるんだよね」

伊織「仕方ないわね……もう一回よ」チャリン


伊織「今度はピッタリね」

(ウィイイイイイン)

伊織「うん、景品の輪っかをピッタリ挟み込んで……」

(ポテッ)

P「あー、持ち上がんないね」

伊織「ええええええええ?! ウソでしょ?!」

P「ところがどっこい……夢じゃありません……! 現実です……! これが現実……!」

伊織「ちょっと店長呼んできなさいよ! このゲーム壊れてるわよ!!」

P「こういうゲームなの。弱いアームで、運よく輪っかで持ち上げるか、あるいは景品を上手くクレーンでずらして滑り落とすかするの」

伊織「はぁ!? 何それ! 詐欺もいいとこよ!!」

P「じゃあ諦めて負けを認める?」

伊織「……やるわよ!」


伊織「次こそは輪っかを……」

(ポテッ)

伊織「きいいいいいいい!!」

~~~~~~~~~~~~~~

P「ほら、角に引っかけて」

伊織「ホントにこんなので……」ブツブツ

(ズルッ)

伊織「!」

(ポテッ)

伊織「あああもう!!」

~~~~~~~~~~~~~~

P「もうちょっと右じゃない?」

伊織「いいえ、ココよココ」

(ズルズルッ)

P「おぉっ」

伊織「よし、いい調子よ!」

(ポテッ)

P「惜しいっ!」

伊織「あああああああん! もーーー!! もーーーーー!!!」


伊織「う、うぐ……次で、最後にするわ……」チャリンッ

P「これまでの感じだと、さっきのより少し手前で止めれば……」

伊織「やってみる……」カチッ

(グィィィィィィイン)

P「次は……」

伊織「軽めに……」カチッ

(グィィィン)

(ウィィィィィイン)

P「いけっ!」

伊織「そう、そのまま、まっすぐ……!」

(ズル...)

P「……」

(ズル...)

伊織「……!」




(ガコンッ)


伊織「あ……」

伊織「と、取れた……」

(ゴソゴソ)

伊織「やった……やったわ、ちか!」バッ!

P「ナイスファイト、みなりちゃん!」

伊織「ふふふ、どうよクレーンゲーム! ざまあないわね! このみなりちゃんに楯突こうなんて十年早いのよ!」

P「みなりちゃん、はいターッチ!」

(パチンッ!)

伊織・P「「いえいっ♪」」



P(自然にやっちゃったけど、意外と有名なんだな、やよいのはいタッチ)

伊織(自然に反応しちゃったけど、意外と有名なのね、やよいのはいタッチ)


伊織「思ったよりも楽しかったわ、クレーンゲーム」

P「それはなによりで」

伊織「でも、一人だったらこんなに白熱しなかったでしょうね」

P「そういうこと。今の若い子には、こういう遊び方もあるのよ」

伊織「ちかが言ってたこと、なんとなく分かったわ」

P「伝わったなら良かった。どう? その景品は」

伊織「……不ッ細工なぬいぐるみね」ダンゲン

P「と、取っておいてなかなかに辛辣な一言だね」

伊織「……でも……」

(ギュッ)

伊織「……なんだか愛着が湧いてきたわ。苦労したからなのか、その………………アンタと一緒に取ったからなのかは分からないけど」ボソッ

P「後半尻すぼみで良く聞こえなかったんだけど」

伊織「な、何でもないわよ、馬鹿! ほらっ、次行くわよ次!」


P「ゲームセンター出て、次はどこに行こうかな」

伊織「そうね……もう少しイマドキの子が沢山いるような場所を見てみたいんだけど……」

P「どこがいいかなぁ……」

(グゥゥゥゥ)

P「……失敬」

伊織「そういえば、さっきホットドッグを物欲しそうに眺めてたわね」

P「我が胃袋はとどまることを知らず……」グゥゥゥゥゥ

伊織「何か食べながら考えましょうか」

P「YES、それ名案」グゥゥゥゥゥ

今日はここまでー

冷静に考えたらグリマスは使えないや
ここだと響貴音までの小規模プロダクションってことになっとるし
モバマス苦手な人って、通行人Aみたいな感じでもやっぱり「うーん」って気持ちになっちゃうかな
避けた方がええか

P(子)がアイドル候補にいいかもって感じで場所と時間を覚えておくためのキャラとすれば?
いずれアイドル候補生としていおりん達の後輩に・・・・とか

乙です。いおりんクレーンゲームにムキになってマジカワイイ


モバマス出演が毛嫌いされてるって初めて聞いたな
むしろどう共演するのか楽しみなんだが

夢子と彩音は弐寺でもしてたの?

>>415
よく違う作品を出すなキモいとか言われるらしい
実物を何回かみたことあるがどうやら同じアイマス作品でもモバマスはモバマスでグリマスはグリマスと違う作品と考えてるらしい
モバマスに765プロ出てるから同じだと思うんだけどね

投下は例によって遅い時間に

なるほど、グリマスは在野状態でならいけるか
モバマスはやっぱり離れてる印象なのかな

>>416
指かもしれないよ!

なんという再度寝落ち
投下しまふ


(テクテク)


P「! クレープ屋発見!」タタタッ

伊織「あ、ちょっと待ちなさいよ!」タタタッ

P「待てない! 食べたい!」ダダダッ

伊織「は、走るなぁ!!」ダダダッ


店員「いらっしゃいませー」

P「あ、暑い……」ダラダラ

伊織「だ、だからぁ……ばっかじゃないのぉ……!」ダラダラ

P「みなりちゃん何にする?」

伊織「んー……オレンジ生クリームで」

店員「かしこまりました」

P「じゃあ私は……」


P「苺チョコ生クリームにキウイとバニラアイスとレアチーズケーキとブルーベリーソースと」

伊織「ちょちょちょちょぉっ!?」

P「え? 何か不味かった?」ビクッ

伊織「そんなに食べられるの!?」

P「余裕だけど」

伊織「その……太るとか気にならない?」

P「食べても食べても太らないんだなーこれが」

伊織(律子が聞いたら眼鏡が割れそうな台詞ね……)

P「そういうの気にするんだ?」

伊織「そりゃ私だって女の子だし……って何言わせるのよ!」

P「大丈夫大丈夫、この体格ならもうちょっと食べても」ムニムニ

伊織「こらぁーーーっ!?」ペシィンッ!


P「叩かれた……」ジンジン

伊織「よくもまぁさっき知り合ったばかりの相手の脇腹をいきなり掴めるわね……!」

P「めんごめんご。あ、それに桃とラズベリーソースも」

伊織「まだ足すの!?」

P「甘いの大好きなのさ~」

店員「ええと、申し訳ありません。具材が乗り切らないです……」

P「あっ」

伊織「当たり前じゃないの、馬鹿」

P「うぅ……桃とラズベリー……」

伊織「……はぁ。それ、私のオレンジの方に足してください」

店員「かしこまりました」

P「!?」


店員「お待たせしましたー」

P「どうもー。はい、お会計」

店員「ありがとうございました!」


P「はい、みなりちゃん」

伊織「ありがと。そこのテーブルで食べましょ」

P「よっこいしょっと」スッ

伊織「オヤジくさ……」

P「だって疲れたんだもん。暑いし」

伊織「アンタが店を見つけた途端走り出すからよ!」ダラダラ

P「ふぉふぇんふぁふぁい」

伊織「食べ始めてんじゃないわよ!!」


伊織「ったく……子供じゃないんだから……」

P「子供はどっちですかねー」パクパク

伊織「………………なんですって?」ニコッ

P「だって中学生だし」

伊織「アンタ精神年齢大して変わらないでしょ!」

P「さっきのクレーンゲームの時を思い出すなァ~。必死な顔してガラスに頬貼り付けちゃって」

伊織「だ、だだだだって! ああでもしないと角度がちゃんと見えないし!」

P「んっふっふ~、みなりちゃんの新しい一面が見えたよぉ~」ムシャムシャ

伊織「うぐ、うぐぐ……!」ギリギリ


P「うーん、クレープおいしー!」パァァァッ

伊織「ああもう、口の周りにベタベタとクリームを付けて……」ゴソゴソ

P「んー! クレープはやっぱりいいですなぁ」

伊織「えいっ」カシャッ

P「ん!?」

伊織「ぷぷっ、凄い間抜け面ね。これは永久保存モノだわ」

P「何故撮った?!」

伊織「ほら御覧なさいよ」スッ

P「あー?! 消して!」バッ

伊織「嫌よ」サッ

P「み、みなりぃーーーっ!!」

伊織「私のことを馬鹿にした仕返しよ」フフン

1スレ目から読んでたら追いついてしまった…

>>428
ゴメンネ、早く新しいの読めるように頑張るからネ

すまん、今夜はグロッキー
明日投下する

ちーちゃんの時にまとめないでねって言ったけど、落ち着いたんで取り消しで
とはいえ、その前からまとめられてないのでいらぬ心配だった

出がけ前にちょびっとだけ投下


P「ああぁぁぁぁ……恥が永久保存された……」

伊織「……何よ、そんなに落ち込まなくたっていいでしょ」

P「じゃあ画像消してくれる?」ウルウル

伊織「嫌よ」ニッコリ

P「ガッデム! あああぁぁぁぁあ……」

伊織「……ったく。ちょっとこっち向きなさい」

P「なんだー」ジトッ

伊織「口開けて」

P「あー」

(スッ)

P「ん?」モグッ

P「んん?」ムグムグ

伊織「どう? 桃とラズベリー、それにオマケのオレンジの味は」

P「おいちい……」ムグムグ


伊織「ほら、情けない顔してんじゃないわよ。いい歳して」

P「ありがと……ってもしかして」ムグムグ

伊織「ん?」

P「私にくれるためにわざわざトッピングしてくれたの?」

伊織「っ! べ、別にそう言うわけじゃ!」

P「みなりちゃんは優しい子だなぁ~!」ナデナデ

伊織「こらぁっ! みなりちゃんのこと子ども扱いするなって言ったばかりでしょ!?」

P「だってお子様だし」ニコッ

(カシャッ)

P「あーっ?! また撮ったーー!!?」

伊織「自業自得よ。それにいいじゃない、ほら」

(スッ)

伊織「相変わらずクリーム付けてるけど、まぁ、いい笑顔よ」

P「……ギリ許す」


P「ん~」ピッピッ

伊織「食べながら携帯操作なんて行儀が悪いわよ。何してるの?」

P「次の目的地探しだよ」

伊織「へー、何か思いついた?」

P「うん。近くの高校にでも行ってみようかと思ってね」

伊織「高校に?」モグモグ

P「学校見学やってるとこなら、合法的に入れるからね」

伊織「成程。で、あった?」

P「おー、近くで一校、常時見学OKの公立高校があったよ」

伊織「決まりね。食べ終わったら見に行ってみましょ」


P「休日だから授業はないけど、部活動が盛んらしいから、生徒はそれなりにいるハズ」

伊織「ちなみにどんな部活があるのかしら」

P「んー、野球部とかサッカー部とか茶道部とか生物部とか……」

伊織「オーソドックスね」

P「もやし部」

伊織「……は?」

P「えー、『当部では様々な種類のもやしの栽培・研究、また、調理レシピの探究を行っています』」

伊織「誰よ、そんなピンポイントな部活を創設したのは」

P「『当部は創部50周年を迎える歴史ある部です』」

伊織「どこの時代にも変人はいるのね」

P「よし、行ってみようか!」スクッ

伊織「えっ、もやし部に?!」

P「いや、高校にだよ」

伊織「あぁ……」

昨日投下できなくてごめんね
次をどう繋ぐかで迷い中
今日も投下できないかも


伊織「歩いてすぐのところ?」

P「んー、10分くらいかな」

伊織「この炎天下の中、また歩かなきゃいけないのね……」

P「さぁ、気合入れてキビキビ歩きましょう!」

伊織「暑苦しいから黙って……」

P「ぐすっ、ひどぉい……」

伊織「泣きたいのはお互い様よ……」

うわああああ書き溜めたの間違えて上書きして消えてもうた……
ごめん明日か明後日頑張る……
最近立て込んでてすまぬ
でもどうしてホモが湧くんですかね……

類友って類の覚えが無いんですがそれは……

なかなか進められなくてごめーんね
内容は決まったので、あとは時間があれば
水曜までちょいと忙しいので、しばしご辛抱を

良くないことは続く、というのは本当ですね……
再開はもう少し遅れそうです
本当に申し訳ない

ごめん、身内の不幸ばかりはどうしようもない
期末もまずいし、なかなか再開できないです
申し訳ない

すみません
ここひと月近く、SSを書けるような状態ではありませんでした
だいぶ持ち直してきたので、近々再開します

明日の夜、時間があれば投下します
お待たせしてすみませんでした

今帰宅しました
少し片付けることがあるので、投下はかなり遅いかもです
眠い方は明日の朝にどうぞ

すんません、気付いたらソファーの上で昼でした
今日は大丈夫です、ハイ

来ちゃってごめんなさい
ゆっくり投下


(キャイキャイ)


P「あ、女子高生だ」チラッ

伊織「お巡りさん、こっちです」スッ

P「酷い!」

伊織「でも確かに女子高生が増えてきたわね。すぐ近くかしら」

P「そこの角を曲がったとこに門が……あった!」

伊織「ああ、ココが門ね。コレ、いきなり入っていいの?」

P「守衛室で話を通せばいいのかな?」

伊織「あそこかしら。門の横の」

P「おぉー、厳ついおじ様が立ってる。声かけてみよっと」


P「すみませーん。学校見学したいんですけど……」

守衛「あ、でしたらこの入校証を服に付けて入ってください。玄関の右手に来客用のスリッパなどありますので」

P「ありがとうございまぁす」

守衛「こちらにお名前を。保護者の方ですか?」

P「はい。この子が学校を見学してみたいって。おいで、みなりちゃん」

伊織「こんにちは」

守衛「はい、こんにちは。じゃあこの入校証を付けて下さいねー」

伊織「はぁい」

守衛「ではお姉さんと一緒に、ごゆっくりどうぞー」

伊織「……はぁい」


P「見かけによらず物腰の柔らかなおっちゃんだったね」

伊織「お姉さん、ねぇ……」ジトッ

P「ん? 私がお姉ちゃんじゃ不満かな?」

伊織「不満に決まってるじゃない。断固として認められないわ」

P「ごめんね……みなりちゃん、私のことお姉ちゃんだって認めてくれないよね……だって、私達は親同士が再婚して義理の姉妹になっただけの」

伊織「勝手に新設定作ってるんじゃないわよ!」

P「みなりちゃんがお姉ちゃんだって認めてくれるように、頑張るからねっ!」グッ

伊織「あっそ。勝手に頑張って頂戴」

P「それじゃあ早速、お姉ちゃんらしく手でも繋いで――」

伊織「せいっ」ゴスッ

P「うぐぅっ! え、えるぼー……」


(テクテク)

伊織「ふぅん。これが公立の学校? ま、思ったよりは綺麗ね」

P「げほっげほっ……白いリノリウムの床って、なんか病院みたいだね」

伊織「でも減点よ。階段の枠の端に、埃が残ってるわ」ツツッ

P「姑……」

伊織「全く、ここの清掃担当はどこの会社かしら? 絶対に使わない様にしないと」

P「へ? 会社?」

伊織「そうよ。お金貰ってるのに手を抜いてるなんて許せないわ」

P「会社になんて頼んでないよ」

伊織「? じゃあどうしてるのよ」

P「生徒が掃除するんだよ。当たり前でしょ」

伊織「えっ、冗談でしょ?」

P「いや、当たり前でしょ」

伊織「うそ……」


伊織「……校舎全体?」

P「うん、基本的には。ほら、これ、掃除用具入れてるロッカー」ガチャッ

伊織「」

P「おーい、生きてるぅー?」

伊織「ちょっと三途の川を渡りかけてたわ……久しぶりにカルチャーショック……」

P「掃除当番すらないのね、お金持ちの学校は」

伊織「うちの学校なんて、登校前のチェック時に埃が落ちてようものなら担当者はクビよ」

P「うへぇ、おそロシア……あ、ちょいとお花摘みに。おほほほほ」

伊織「……一周回って下品よ。はぁ、じゃあ待ってるわ」


伊織「まったく、もう少し言い方を考えなさいよね。オヤジくさい……」

伊織「はぁ、この伊織ちゃんを待たせるなんて、いいご身分よね」

伊織「……それにしても遅いわねぇ……」

伊織「って、あれ? 窓の向こうに見えるのって……」


「……」テクテク


伊織「あんの馬鹿……! 人を待たせておいて何を暢気に校舎の反対側を歩いてるのよ……!」

伊織「ちょっと待ちなさぁぁぁああい!!!」

(ダダダダダッ!)




P「ふぅ。お待たせ……って、あら? みなりちゃーん、どこー?」


(タッタッタッタッ)

伊織「ま、待ちなさいって言ってるでしょぉ!」

「……」

伊織「こんの……! 無視するんじゃないわよぉ!」

(ガッ)

女生徒「きゃっ?! な、何!?」

伊織「……あれ?」

女生徒「だ、誰……?」

伊織「……誰?」

女生徒「え?」

伊織「え?」


―――――――――

――――――

―――


伊織「あぁもう、人違いなんて恥かいたわ……」タッタッタッ

伊織「ちかのこと待たせちゃってるかもしれないわね。早く戻らないと」タッタッタッ

伊織「待ってた場所には……いないわね」

伊織「まさか、まだトイレに入ってるのかしら」ガチャッ

伊織「……誰もいない」

伊織「……もおおおおおお!! なんなのよおおおおお!!!!」


【ちかちゃんサイド】


P「はぁ、みなりちゃんどこ行ったんだろう。靴はあるから、帰ってはないんだよねぇ」

P「うーむ、一体どこに……」

(トントン)

P「ん?」

紗代子「どうかなさいましたか?」

P「ほ? ここの生徒さん?」

紗代子「はい。高山紗代子と申します。何かお困りでしたらお手伝いを……」

P「いやぁあはは。実は妹と見学に来てるんだけど、はぐれちゃって」

紗代子「そ、それは大変! わ、私も手伝いますから、早く見つけてあげましょう!」

P「結構しっかりしてる子だから慌てなくても大丈夫よ」

紗代子「そ、そうですか?」

P「でも、手伝ってくれるのならありがたいかな。お願いしてもいい?」

紗代子「はいっ! 任せてください!」


P「ちょっと離れた隙にいなくなっちゃってねー」ピッピッ

紗代子「どんな子ですか? 友達にもメールで聞いてみますね」

P「ありがとー、こんな感じの子」スッ

紗代子「……なんですか、この隠し撮り気味の怪しい写真」

P「ちょっとした復讐を」

紗代子「深くは突っ込まないでおきますね……ええと、髪型は……これ、今日の写真ですか?」ピッピッ

P「うん、服装もコレ」

紗代子「分かりました。うーん、誰かに似てるなぁ……」ピッピッ

P「ごめんねー、面倒かけちゃって」

紗代子「いえいえ、お気になさらないでください」

一旦中断
戻ってくるかは微妙ですが、出来れば戻ってきます

ちょっと遅いけどまこにゃんおめでとう

明日(今日)の夜、帰宅後に体力があれば投下します
いおりん終わったらしばらく、長らく止まってた個別幕間やると思います
やよいごめんねうっうー

すみません、今帰宅しました
流石にこのまま投下は難しいので、仮眠とってきます……

こんな遅くですが、もう少ししたら投下しまs
夜行性で申し訳ない


【みなりちゃんサイド】


伊織「……」


エレナ「アッハハ~! お姉さんとはぐれちゃうなんて、ドジっ子さんだネ! でも、ワタシが来たからには大丈夫!」バンッ!


伊織(どうしようコレ)

エレナ「あっという間に見つけ出して、お姉さんと再会! 感動の嵐だヨー!」

伊織(感動の無風地帯が形成されることは間違いないわね)

エレナ「どーしたの? そんなに眉間にシワを寄せてたら、幸運が逃げてっちゃうヨー?」

伊織「い、いえ、ちょっと辛い過去を思い出して……」

エレナ「そうなの? 一人じゃないヨ、ワタシが付いてるから!」ビシィッ!

伊織(ああもうちょっとめんどくさそうな人を装ったのに突っ込んでくるのね!)

伊織「あ、ありがとうございます……」


エレナ「困ったときはお互い様――」

(♪ボクガーチカーラニーーーナァッテーアゲールヨー)

伊織「っ」

エレナ「って、あれあれ? メールだ。えーっと」ピッ

エレナ「あっ、お姉さんも君のこと探してるっぽいヨー」


伊織「見つかるの早いわよ!!!」カッ!!


伊織「はっ?!」バッ

エレナ「……」

伊織(い、いけない、ついいつものノリで……)チラッ

伊織「す、すみません、いきなり失礼な言葉遣――」

エレナ「うんっ! ナイスツッコミ!」ビシィッ!

伊織「……気を使ってた私が馬鹿だったわ……」

エレナ「?」ニコニコ


エレナ「お姉さんの方は、ワタシの友達が一緒にいるみたい」

伊織「すみません、ご迷惑をおかけして」

エレナ「そんな他人行儀にならなくていいヨー。ワタシ的にはさっきのノリでOK!」ビシィッ!

伊織(うーん……このノリ、なんか苦手ね……)

エレナ「音楽室で待ち合わせたから、連れてってあげるヨ!」

伊織「ええ、ありがとうございます」

エレナ「だーかーらー! もぉっとさっきみたいにー!」プニプニ

伊織「か、仮にも初対面の方に対して……」

エレナ「ほらほらー」プニプニ

伊織「失礼な……」

エレナ「うーん、最近の子って発育いいんだネー」プニプニ

伊織「何しとるんじゃああああああああ!!!!」カッ!

エレナ「ひゃーん♪」


伊織「疲れた……早く家に帰りたい……」

エレナ「まーまー。ワタシと一緒にいるのも、もう少しの辛抱だから!」

伊織「自覚あるんならやめなさいよ……」

エレナ「アッハハ~」

(ガチャッ)

エレナ「ココが音楽室だヨ」

伊織「誰もいないじゃないの」

エレナ「隣の準備室かも」

(ガチャッ)

エレナ「まだ来てないのかな?」

伊織「はぁ、疲れた……」

エレナ「あ、じゃあそこの椅子に座って待ってていいヨ! ワタシ、ちょっと廊下見てくるネ」

伊織「はぁい……」

(バタン)


伊織「やっと静かになったわ……」

(キョロキョロ)

伊織「ふぅん、小さい学校にしては、そこそこ楽器があるのね」

伊織「あ、メトロノーム」

伊織「……」キョロキョロ

伊織「ていっ」ツンッ

(カチッカチッカチッカチッ)

伊織「……」チチチチ

(カチカチカチカチカチカチカチカチ)

伊織「ふふふふふ」

伊織「……」

伊織「疲れてるのね、私……」


エレナ「うーんと、どこにいるのかなー」

先生「あら、島原さん。練習はもう終わり?」

エレナ「うん、今日はもう終わりだヨ! 紗代子見なかった?」

先生「高山さんなら、さっき階段のところで見かけたわ」

エレナ「ありがとー!」ダダダッ

先生「こらぁーーっ! 廊下は走らない!! ……って、音楽室も準備室も開けっ放しじゃない!」

先生「全くあの子はもう……しっかり鍵をしておかないと」ガチャンッ

先生「めんどいわねぇ、休日の見回りなんて……」テクテクテク


(ガチャンッ)

伊織「あ、戻ってきたのかしら」

(シーン)

伊織「……ん? 誰も来ない」

伊織「私、鍵なんてかけてないわよねぇ」テクテク

(ガッ)

伊織「……あれ?」

(ガギッガッ)

伊織「ええと……鍵、かけられた?」

伊織「ま、まぁ問題ないわ。普通に開ければ――」

伊織「……内鍵、壊れてる?」

伊織「…………」



伊織「…………あれ? 閉じ込められた?」


伊織「一体誰が閉め――」

(フッ)

伊織「で、電気まで?!」

伊織「えっ、ななな、何が起きてるのよ?!」

(カチッカチッカチッ)

伊織「め、メトロノーム? 止めたはずなのに……」

(カチッカチッカチッ)

伊織「えっ、こっちからも?」

(カチカチカチ)

伊織「あっちからも……しかも、少しずつ速く……」

     (カチカチカチカチカチ)
(カチカチカチカチ)
         (カチカチカチカチカチカチカチ)

伊織「ちょっとちょっと! 何よこれぇ?! だ、誰かいるの!?」


(カカカカカカカカカカカ)

伊織「い、悪戯は、やめ――」

(ピトォッ)

伊織「ひっ――!?」


――お前も、メトロノームにしてやろうか!――


伊織「蝋人形でしょうがぁぁあああ!」ドスッ!


――ぐふぅっ!――


伊織「……あれ? 殴れた」

P「きゅう……」

伊織「って、この馬鹿!」

P「イイのを貰っちゃった……げふっ」ガクッ

伊織「アンタ、そろそろ本気ではっ倒すわよ……!」

P「恐かった?」

伊織「知らないわよ!」


(アレ? カギカカッテル)


P「あ、戻ってきたね」

伊織「彼女たちが鍵を掛けたわけじゃないみたいね。早く開けてくれないかしら」

P「またメトロノームの精に襲われちゃうもんね」

伊織「次に現れたら二度と音を出せない様にしてやるだけよ」グッ

P「ミ、ミナリサン、首を握らないで……」


(……)

(モウカエッチャッタンジャナイ?)

(ソウカモネ。ソレジャアワタシタチモ―)


P・伊織「「開けてええええええええ!!!!!」」ドンドンドンドンドン!!!




エレナ「アハハ、先生に言うの忘れちゃってたヨ、ごめんネ!」

伊織「あんなところで夜を過ごすなんてごめんよ……」

P「閉じ込められてたら社会的に死ぬところだった……」

紗代子「ご、ごめんなさい!」

今日はここまで
なんだかダラダラ伸びてしまってるなぁ……まさかの三万字越えか

いおりん編むずいん?
なんか他のに比べてかなり長く感じるけど

>>531
最初の頃に比べると、ストーリーよりもキャラが先に来てるので、若干難しいというのはあります
それに回を重ねるごとに設定が立ってきたり、小説を書くようなテンションになって来たりしてるため、勢いで書いてた初期よりも描写が細かくなる傾向が
あとは単に色々あって期間が開いてしまったので、イメージがまとまらない感じです、申し訳ない

間違いなくこのスレでは終わりませんね、ハイ
いろいろ誕生日過ぎてったけど、一番私と誕生日近い小鳥さんおめでとう
しばらくインターネットのないところに行くので、投下できるのはまだ先です
ごめんなさいね

インターネット作ればいいんじゃね

ちょっと今回の行き先は万が一があるので、もし1ヶ月音沙汰がなかったら、残念ながら万が一があったと思ってください

>>540
それは来年春からや

>>541
おまえもしかして同業者か、頑張れよ
影ながら応援してる

ネカフェ探せばいいじゃなイカ

シリア行くんけえ

なんとか無事に帰ってこれました
嘘です、脚ぶっ壊しました也
少し周囲が落ち着いたら再開します

>>542
来年春からそうかも
ただ、厳密には専門は違うと思う

>>543
ネカフェなんて贅沢なものは存在しません

>>544
シリアではなかったです、そこまでデンジャーじゃないDEATH


P「ともあれ、会えて良かった良かった」

紗代子「お役に立てたようで良かったです」

エレナ「もうお姉さんから目を離しちゃダメだヨー?」

P「そうだヨー、みなりはすぐに迷子になっちゃうんだからー」

伊織「ま、迷子じゃないわ。放浪よ」

P「ありゃまぁ強がっちゃってー」

エレナ「寂しかったくせにー」

P「心配だったくせにー」

エレナ「内心泣きそうだったくせにー」

P・エレナ「「くせにー♪」」ツンツン

伊織「だああああああああああああ!!!!!」クワッ!

P・エレナ「「ひゃーん♪」」


伊織「で、なんで音楽室に?」

エレナ「持ち物持って帰るのにちょうどよかったからネー」ヒョイッ

P「部活か何か?」

紗代子「はい。実は私達、ダンス部やってて」

エレナ「エレナ達はツートップを張る腕前だヨ!」

P「へー、ダンス上手いんだ。何人くらいいるの?」

エレナ「二人」

伊織「そりゃツートップに決まってるでしょうが!」

エレナ「うーん、攻撃的なツッコミって新鮮だヨー♪」

紗代子「まぁ、ダンス部というのも名ばかりなんですけど……」

エレナ「事実上のアイドル研究会だしネ」

伊織「……」ビクッ


P「アイドルマニアか何か?」

紗代子「いえ、そういうのではなく……」

エレナ「自分達が目指しちゃおうって部活だヨ!」

P「成程、それでダンス部を隠れ蓑にしてるわけね」

エレナ「ワタシはアイドル部でいいんじゃない?って言ったんだけど」

紗代子「それじゃ通らないよ高校の部活は……人数不足だって温情で見逃してもらったんだから……」

P「あはは、なんとも生きづらそうね。じゃあ、そこに置いてあるCDは練習中の曲?」

紗代子「はい、今度文化祭の時にやろうと思って」

エレナ「鋭意レッスン中だヨ!」ヒョイッスッ

P「へー、何をやってるのか、ナ……」ヒョイッ

伊織「? 何固まってるの……ヨ……?」



P・伊織「「す、SMOKY THRILLぅ!?」」ビクゥッ!


紗代子「はい。私達、竜宮小町に憧れてて……特にエレナは……」

エレナ「水瀬伊織の大ファンなんだヨーーーーっ!!!」

伊織「いっ!?」ビクビクゥッ

P「そ、そんなに水瀬伊織の歌やキャラが好きなの?」

紗代子「そう言えば理由ってちゃんと聞いたことないかも。そうなの?」

エレナ「うーんと、それもあるけど……だって……」


エレナ「凄くいいカンジで突っ込んでくれそうだからネ!!」


伊織(決めたわ。こいつには二度と突っ込まない)


伊織「でも神様。一度だけ突っ込ませて」

エレナ「ワタシは何度でもカモンだヨ!」

伊織「なんでわざわざ三人編制の曲を選んだのよ!」ベシィッ!

エレナ「ひゃーん♪」

紗代子「あー……まぁそうなりますよね」

P「そんなに竜宮小町がやりたかったの?」

紗代子「何曲か候補はあったんですけど、エレナが……」

エレナ「だって最後のいおりんのポーズがすっごく可愛いんだヨ!」カッ!

紗代子「……って」ハァ



(ガシッ)


エレナ「へ?」

P「……かる」

エレナ「!」ピクッ

P「分かるヨその気持ちっ!!」ギュッ!

エレナ「同志ヨーーーっ!!」ギュッ!


伊織「アホだわこいつら」

紗代子「アホですねこの二人」


P「で、実際できるの?」

エレナ「ん? 見てみる?」

紗代子「え、今からやるの!?」

伊織「ちょっと興味あるわ」

紗代子「ま、まだ人に見せるようなレベルじゃ……」

エレナ「もー! 折角お客さんがいるのに、そんなんじゃ勿体ないヨ! ダメならダメで、それも勉強だヨ!」

P「うん、それは一理あるね」

紗代子「ん……」

伊織「で、どうするの?」

紗代子「……」

(チャッ)

エレナ「おーっ! 紗代子が眼鏡外したヨ!」

紗代子「分かりました。精一杯、やらせていただきます!」キッ

リアルタイム遭遇!ガタッ


P「演目は、SMOKY THRILL。このプレイヤー使っていいかな?」

紗代子「あ、はいっ!」

伊織(さて、私達にどこまで似せられるかしら?)

P「ミュージック、スタート!」カチッ


(ススッ)

エレナ・紗代子「「……っ」」スゥッ


『『……知らぬが 仏ほぉっとけなぁい♪』』クルクルッ

『『くちびるポーカーフェイス♪』』

エレナ『ヨ! 灯台♪』ウィンクッ

紗代子『もと暗し Do you know♪』ニコッ

『『噂のFunky girl♪』』


(テーンテテーンテテーンテテーンテッ♪)


P「へぇ……上手いもんだねぇ。とても素人の付け焼刃には見えないなぁ」

伊織「確かに……でも、振付が結構違――」

伊織(……って、あれ?)


紗代子『さすらうペテン師のあ・お・い・吐息♪』

伊織「ごめん、ちょっとストップ!」

エレナ「Ah……っていいところだったのにぃ~」

紗代子「ええと、何か不味い点でもありましたか?」

伊織「不味いというか、ええと、今更なんだけど」


伊織「SMOKY THRILL、二人編制の振付ってあったかしら?」


エレナ「え? ワタシ達が知る限りではなかったヨ」

P「えっ、そうだっけ!?」

伊織「……えっ、もしかして」

紗代子「はい、その……勝手に調整しながら……」

伊織「……自力で作ったの?」

紗代子「見様見真似で……。変な所、ありましたか? まだ第三者には見せたことがなくて」

P「ああ、微妙な違和感はそのせいかぁ……」

伊織「変な所、全くないわけではないけれど……」

伊織(でも、素人がここまでアレンジを加えて……?)

P(こりゃ……思った以上に出来る子達みたいねぇ)


伊織(でも……確かに頑張ってはいるけど)

伊織「やっぱり、独力では限界があるわ」

紗代子「……」

エレナ「えーっ! 頑張れば何とかなるヨ!」

P「いや――」

伊織「あんた達のために、はっきり言うと」

P「ん……」


伊織「二人で続けても、それ以上上手くはなれないわ」


エレナ「それは……」

紗代子「……」

>>562
ゴメンネ、寝る前のちょびっとだからこれだけ


あ、ちなみに一応ゲームではSMOKY THRILLの二人振付もあります
このお話の中ではまだないということで

それとエレナの二人称は相手の名前カタカナやった、ここからはそれでいくので手前は脳内補完しといてくださいすんません

良いか、君らが先読みすればするほど可能性が狭まるのだ
だからやめろください(白目

今夜は投下なしですごめんね
おやすみ

・毒があるので変なとこで食べると割と危険
・実はあまり美味しくないという説も
・国内では天然記念物なので愛でることが難しい
・抱きしめると痛い

こんなもんすかね……
明日からまた投下するっぽいよ


じゃあ投下する前にカブトガニのいいところを原稿用紙5枚分に書き連ねてみて

>>576
愛情を文字数で代弁させるのは二流のやることだと思っている(キリッ

ちょっと投下します


伊織「上手な素人でいいなら、そのままでもいいんじゃない?」

伊織「でも、満足のいく出来を目指したいなら、そのままじゃ意味がないわ」

伊織「こんなにアレンジにも拘るくらいだもの。目指したいところは、もっと上でしょ?」

伊織「お互いに教え合えるレベルならまだしも、二人とも自分のことで手一杯。相手が見えてない」

伊織「もう一度言うわよ。独力では、限界があるわ」


紗代子「……その通りです。二人だけでは、これ以上上手くなれないと思います」

紗代子「けれど、この学校には指導できるような人もいないし……」

伊織「は? この学校?」

紗代子「え?」

エレナ「ん?」


伊織「どこかの事務所なり養成所なりにでも通えばいいじゃないの」


紗代子「……えええええええ?!」

伊織「え? それを目指してる部活なんでしょ?」

紗代子「め、目指してるとは言いましたけど! ほ、本当にアイドルになろうってわけじゃ……!」

エレナ「それ名案だヨ!」

紗代子「えっ!?」

伊織「いや、こんな当たり前のことで驚かれても」

エレナ「そうと決まれば、早速どこか探さないと!」

紗代子「いやいやいやいや! そんな急に言われても!」

伊織「そうよ。今更入ったとこで文化祭に間に合うわけないでしょ」

エレナ「ゔっ」


伊織「はぁ。ま、今後のことはおいおい考えてもらうとして……文化祭は付け焼刃で何とかするしかないわね」

紗代子「でも、現時点じゃあれ以上はやりようが……」

伊織「何言ってんのよ! 私の曲を使う以上、妥協なんて許さないんだから!」カッ!

エレナ「……あれ?」

伊織「ちょっと、ちか。……ちか!」

(ガチャッ)

P「あー、ごめんごめん。ちょっと電話してて」バタン

伊織「勝手にいなくなるんじゃないわよ! 髪留めかヘアバンドか何か持ってない?」

P「ん、あるよ。はい」ゴソゴソ

伊織「ありがと」シュルシュル


紗代子「……え」

エレナ「……ま、まさか……」



伊織「光栄に思いなさい! この私自らが、直々にしごいてあげるわ!」ドッギャァーz_ン!!


エレナ「と、言うか……」

紗代子「あなた、まさか……」

P「……」チョンチョン

紗代子・エレナ「「?」」

P「……」シーッ

紗代子・エレナ「「……」」


伊織「? 三人して、そこでコソコソと何をしてるのよ」

紗代子「いいえ、何でもないです」

エレナ「ちょっと蚊がいただけだヨ」

P「もう潰したから安心してー」

おわー未だに見つけて追いかけてくれる人とかいるんだなぁ
感想とか貰えてめっさ嬉しいですありがとう
急減速で投下遅くてごめぬね……
もうすぐいおりん終わるからねごめぬね


伊織「まぁいいわ。それじゃ、レッスン開始するわよ!」

紗代子「えっ、今から?!」

エレナ「やるやるやる! 全力でやるヨ!」パァァァッ!


(サッサトキガエル!)

(ソノマエニセンセイニイワナキャ...)


P「あらまぁやる気出しちゃって……」


(prrrrrr...)

P「ん? 電話だ」ピッ

P「ノックしてもしもォ~し?」

あずさ『あ、プロデューサーさんですか?』

P「お、あずさ。どしたの?」

あずさ『あら、今日はそっちなんですか? なら今からお茶にでも……じゃなくて』

P「お茶はまた今度ね」

あずさ『はい♪ あの……伊織ちゃんの居場所、知りませんか?』

P「伊織の?」チラッ


伊織「~~」カッ!!!

紗代子・エレナ「「?!」」ビクゥッ!


P「……知らないなぁ」

あずさ『ちょっと沈黙がありましたけど』

P「知らないなぁ」


P「でもどうして? 今日は伊織、オフじゃなかったっけ」

あずさ『ちょっと打ち合わせの約束をしていたんですけど、連絡が取れなくて……』

P「あー……」

P(夢中になって着信に気付いてないなありゃ)

P「えっと……」


伊織「ああもう、足元!」

紗代子「あわわっ?!」

エレナ「アハハ、転んでるぅー!」

伊織「アンタはやりすぎなのよ」ジロッ

エレナ「てへ」


P「……急を要する打ち合わせかな?」

あずさ『いえ、別にさほど』

P「じゃあ、今日のところは許してあげてくれないかな」

あずさ『もうっ、やっぱり何か知ってるんじゃないですか』

P「ごめんごめん、今度埋め合わせするから……ね?」

あずさ『じゃあ、この前話したお店を奢ってください』

P「はい喜んでェ」


(ピッ)

P「予約しとかないと……全く、手間かけさせてくれるなぁ」


伊織「そうそう、そんな感じ……ああもうなんでそうなるのよぉ!」

紗代子「あ、足……絡まって……」

エレナ「いお……みなりちゃん、スパルタだネー」


P「……でも、ま」

P「せっかく楽しそうにやってるし」

P「たまにはこんな風に、ね」


伊織「……っあははっ、すごい転び方したわね」

紗代子「わ、笑い事じゃあ……」

エレナ「アーッハッハッハ! フフフフフアハハハハ!」

伊織「エレナも盛大に転んだでしょ!」


P「……うん。仲良きことは美しきことかな」

伊織「……ってちょっとタンマ。ストップ」

伊織「エレナ」

エレナ「?」キョトン

伊織「アンタ、ちょっと一回センター踊ってみなさい」

紗代子「え? センターを?」

エレナ「わかったヨー」

P「?」


(ズッタタンダダダッタターン)

P「ほー」

伊織「……ストップ」

紗代子「何か……?」

エレナ「これがどうしたの?」

伊織「…………どうしたもこうしたも……」ワナワナ


伊織「そっちはほぼ完璧にできてんじゃないのどーゆーことよ!!!」


エレナ「アハハ、好きで毎日練習してたら覚えちゃった」

紗代子「エレナ、頑張ってたんですよー。来る日も来る日もDVDを見ながら……あ、昨日も」


伊織「その熱意をこっちに割きなさいっつってんのよバカーーっ!!!」

P「みなりちゃんこわぁい」

伊織「アンタは黙ってなさい!!」カッ!!!

P「はい喜んでェ」


伊織「……ちなみに、まさかとは思うけど」

紗代子「……あはは」プイッ

伊織「ど・お・し・て・目を逸らすのよ!」

紗代子「いやぁ……エレナの相手をしてたら……その……」

伊織「……あずさ? 亜美?」

紗代子「……あずささん……」

伊織「こらぁぁぁぁぁああ!!」グニニニニニ

紗代子「ひぃーん!」

エレナ「アッハッハッハ!」

伊織「でも一番はアンタよ!!」クワッ!

エレナ「ひゃーん♪」


P「うーんナルホドナルホド」フムフム

伊織「何よ、部外者は引っ込んでなさい!」

P「じゃあみなりちゃんレフト入って、三人でやってごらん」

伊織「だから……ってはァっ?! なんでいきなり!?」

P「え? みなりちゃん……まさか……」

伊織「ッ出来るわよ! この私ができないワケないでしょ! やってやろうじゃないの!」

P(ちょろい)



エレナ「準備オッケーだヨ!」

紗代子「こっちもです!」

伊織「ほら、やるならさっさと始めなさいよ!」

P「そんじゃーかけるよー」

P「スタート!」カチッ

ごめんね、用事があって途中で切り上げてた
ホモは帰ってくれないか!


『『『……知らぬが 仏ほぉっとけなぁい♪』』』クルクルッ

『『『くちびるポーカーフェイス♪』』』

『『『Yo! 灯台♪』』』
 
『『『もと暗し Do you know♪』』』

『『『噂のFunky girl♪』』』


(テーンテテーンテテーンテテーンテッ♪)



P「お手並み拝見、かな」


エレナ『忍び込まれたあたしの心♪』

『『やっぶーれっかぶれの夜♪』』

エレナ『解き放つ罠 油断は大敵♪』

紗代子『さすらうペテン師の青い吐息♪』

(((Ah...)))

伊織『手がかりにI wanna 恋どろぼ♪』

(((Oh!)))

エレナ『射止めるなら 覚悟に酔いどれ……♪』



P「みなりんの恋どろぼKAWAII!」

伊織「……」ニッコォ

P「口チャックしm@s」


『『『女は 天下のまわりもの♪』』』

伊織(……確かに、言うだけあるわ)

『『『痺れるくーびーれぇー♪』』』

伊織(人前で披露しても、さほど問題ないレベル……)

『『『言わぬが 花となり散りる♪』』』

伊織(でも……でもそれだけに……)

『『『秘めたる身体♪』』』

伊織(なんでこいつら三人構成なんて練習してんのよホントにバカなの?!)


伊織「うーっ♪」ギンッ!


P「何も言ってませんけど!?」ビクゥッ


伊織『甘く見たらば 真っ逆さま Fly away♪』

伊織(……ったく)

紗代子『絡まるスリル チャージ♪』

伊織(楽しそうに踊っちゃって……)

エレナ『夜更かしの猫 惑わす♪』

伊織(さっきよりも全然、顔が輝いてるわよ)


『『『さよなら……一昨日おいで……♪』』』

伊織(はぁ……仕方ないわね)

『『『Oh、さらば……あわよくば又……♪』』』

伊織(いっちょ、この伊織ちゃんが手伝ってあげますか!)


P(ん、あの子……その気になったかなー、あの顔は)


『『『アゥ!』』』


『『『……知らぬが 仏ほぉっとけなぁい♪』』』

(タンックイックイッグイッ!)

『『『くちびるポーカーフェイス♪』』』

(クイッスゥーッ)

『『『Yo! 灯台♪』』』
 
『『『もと暗し Do you know♪』』』

(トットッスイスイ)

『『『ギリギリで! おあずけ Funky girl♪』』』ウィンクッ!


紗代子「……っはぁっ!」

エレナ「ぜ、全力で踊り切ったヨ……」

伊織「ふん。ま、悪くないんじゃないの?」

紗代子「わ……ほとんど息切れしてない……」

伊織「当たり前じゃない。ステージでどれだけ踊ってると……あっ!」バッ

紗代子「……ふふふ」

エレナ「……アハハ」

伊織「な、何よぉ!? 何がおかしいのよ二人とも!」


P「はい、よくできました」パチパチ

紗代子「あ、ありがとうございます!」

エレナ「ワタシたち、チョー頑張ったヨ!」

P「うんうん、頑張ってたな」

P「それに……み・な・り・ちゃ・ん、も」

伊織「……!」ビクゥッ!

伊織「……アンタ……」

P「ん、どーしたの、そんな怖い目して」

伊織「……何でもないわよ馬鹿!」

紗代子「ふふふっ」

?!
昨日で一周年だったのか……
最初は単発スレだったのにどうしてこうなった

生きてます、と生存報告
未だメビウスの輪から抜け出すに至らず
ごめんぶとがに


伊織「アンタ達、気付いてたのね……」

P「何に?」

エレナ「何が何やら~」

伊織「……」

紗代子「み、みなりさん?」

伊織「……潮時、かしらね」

エレナ「へ?」


(ズイッ)


伊織「二人とも、楽しかった?」ニコッ

紗代子「え? はい、とっても……」

エレナ「とーーーっても楽しかったヨ! もう久々に爆発した気分!」

伊織「二人構成でやってた時、不満そうだったものね」クスッ

エレナ「あう」

伊織「……にひひっ、折角やるんなら全力で楽しめなきゃ。勿体ないわ」

紗代子「い……みなりさん……」


伊織「とりあえず、よくできました」

P「良かったね、みなり先生のお墨付きだよ」

エレナ「いやぁ……エヘヘ」

紗代子「頑張った甲斐がありました!」

(タンッ)

伊織「それじゃ……頑張った二人に、私から一曲贈ろうかしら」クルッ

紗代子「歌、ですか?」

エレナ「えっ!? 聴く! 聴くヨ!」グアッ!

P「落ち着きなさいエレナちゃん。何歌うの?」

伊織「とっておきのを、ね。音源ないからアカペラだけど」

エレナ「!」ワクワク



伊織「それじゃあ、聴かせてあげる」

伊織「……聴いてください。私の歌を」


(トン、トン、トン)


(スゥッ)


『……いつものように空を翔けてた――』

『ずっとずっと――』

『どこまでも続く世界――』



紗代子「私は、初めて聴く曲です」

エレナ「この曲……」

紗代子「エレナ、知ってるの?」



『いろんなことが起きてる街は――』

『スピードについて行くだけで――』

『もう……精一杯――』



P「フタリの記憶、かぁ。あまり有名じゃないからね。紗代子ちゃんは知らなくても無理ないかな」



『そんな時、見つけた――』

『ボロボロになったキミ――』


『なぜそんなに悲しいほど――』

『ココロに傷、負ってるの――?』



紗代子「すごい……歌が心に訴えかけてくる……」

P「エレナちゃんは……っと、お邪魔かな」

エレナ「……」



『夢や希望打ち砕かれて――』

『諦めたんだね――』



(フワァッ)


エレナ「あっ、窓から風が」

紗代子「髪留めが取れちゃう……」


(ファサァッ)




『ボクがチカラになってあげるよ――』



エレナ「髪の毛が、風でなびいて……」



『キミの全てはここで終わりじゃない――』



紗代子「すごく、綺麗……」



『以前の自分はリライトしよう――』



P「……」

P(二人へのメッセージ……?)



『嬉しいことで――』


『楽しいことで――』


伊織「……っふぅ。フタリの記憶、でした」

(ペコリ)

伊織「いかがだったかしら?」

紗代子「いかがも何も、もう何から口にしたらいいのか……」

エレナ「あれ?」

紗代子「どうしたの、エレナ」

エレナ「いや、ううん……」


伊織「どうだった、ちか?」

P「あっ、へっ、私?」

伊織「そうよ。アンタ以外に誰がいるのよ」

P「うん、良かったよ、すごく」

伊織「そう……」

P「最後に良いもの聴かせてもらったよ」

紗代子「はい! 最高の贈り物でした!」

エレナ「……」

紗代子「? さっきからどうしたの?」

エレナ「な、何でもないヨ」


P「そろそろ帰るかなぁ……っと、そうだ。二人にこれをあげよう」ゴソゴソ

(ピッピッ)

紗代子「……名刺?」

エレナ「オー、カッコイー」

P「トレーナーさんに話を通しておくからさ。もし本気でやる気があるなら、養成所に通うだけ通ってみなよ」

紗代子「え、えええ、いいんですか!? し、しかも、765プロって今や名うての……」

P「いつもなら軽い審査をしてるんだけど……いやもう、さっき見せてもらってバッチリだし」

エレナ「あれ? この名刺、名前がチカじゃなくて……」

紗代子「シーッ!」

エレナ「あ、そうだった!」バッ


P「いや……」

紗代子・エレナ「「?」」

P「もう意味はないみたいだよ」チラッ


(シィーーン)


紗代子「あれ? みなりさんがいない」


(ヒュォォォォォオ)


エレナ「ドア、開いてるヨ」

P(『潮時』、ね)

エレナ「ねぇ、チカ」

P「ん、ハイなんでしょ?」

エレナ「ミナリさ、わざと続き歌わなかったよネ?」

紗代子「わざと?」

P「……多分ね」

紗代子「どんな歌詞なんですか?」

エレナ「あの続きは……」

お待たせしておりました、やっとメビウスの輪から抜け出せたっぽいです
ダラダラと長くなってしまったいおりん編も次回投下で完結デス
もうしばらくお付き合いください

申し訳ねえ、年内に終わらせたかったんですが……師走って忙しいですね
ちょっくら有明のビッグイベントで本売ってきます

ごめんよ、アイマスではないんだ
数人で出してるしがない創作小説サークルです
ほぼ身内向けの極少数発行でした

明けた
実は喪中なのでおめでとうとは言わない

気が付いたら卒論提出一週間前だよ何も書いてないねアハハハハハ
もう少しお待ちください

なんとか卒論終わったよ!
やったね貴音ちゃん!

読み返してるとかホントありがとうございますこんなにダラダラしちゃってるのに
羽根Pは765に他事務所から出向中という扱いですヨ
上手くいけばこの週末の間に投下します


―――――――――

――――――

―――




(タッタッタッ)


P「ここで普通なら追いかける時、急いで帰り道の方へ向かうわけだけれど」

P「私は敏腕プロデューサー。あの子の性格はよぉく分かってる」


(...~♪)


P「捻くれ娘が行く先は……」


伊織「ずっとずっと、一緒にいられたら、いいね……」


P「みーつけた」

伊織「……思ってたより早いのね」

P「プロですから」


P「どこかの迷子女王のお陰で人探しは得意なのよね」

伊織「ああ……なるほどね」

P「ま、へそ曲がりの考える事なんてお見通しよ」

伊織「ふぅん……伊達にプロデューサーやってないわね」

P「あら、私褒められてる?」

伊織「別に。褒めて欲しいの?」

P「超褒めて欲しいの」

伊織「馬鹿じゃないの……はぁ。よくできました」

P「ありがたきしあわせー」

すんません、寝落ちした上に起きた後はずっと寒中見舞い書いてました
今夜こそ投下しきります


伊織「元気が戻ってきて良かった――」

P「続きを歌うなら二人に聴かせてあげればいいのに」

伊織「あの二人はこれから頑張るんだから。こんな歌詞、聴かせちゃダメでしょ」

P「ふーーーん。私ならいいわけだ」

伊織「……そうね。アンタなら、聴かせてあげるのにちょうどいいかもね」

P「私のためにリサイタル開いてくれるなんて感激ー」

伊織「光栄に思いなさいよ」

P「ははー、ありがたきしあわせー」


伊織「……ねぇ」

P「ん?」

伊織「私、がんばってきたわよね」

P「そうねぇ、今日は私達フタリでがんばったねぇ」

伊織「みんなにバレない様に……」

伊織「知らないことも、いっぱいやってみて……」

伊織「私なりに、一生懸命やったわ」

P「クレーンゲームとかホントムキになってたもんね」

伊織「う、うっさいわね」

P「いやいや、楽しんでもらえたなら、お姉さん何よりですよ?」

伊織「うるさい」


伊織「切っ掛けは些細な見栄っ張りだったけど……私も、心のどこかでずっと思ってたのよ」

P「自分には友達がいないって?」

伊織「……まぁ、それもそうね」

P「こ、ここは突っ込んでほしかったかなーって」

伊織「シリアスな空気に勝手にねじ込んできて何言ってんのよ。馬鹿」

P「ごめんちゃい……」

伊織「……はぁ」


(クルッ)

伊織「ここまで後ろを振り返らずに、ずっと必死に駆け上がってきた」

伊織「兎に角、認めて欲しかった。私だってやればできるんだって」

P「認められた結果は沢山出てるじゃないの」

伊織「そうね。いっぱい認められてきたわ。『私』ではなく、『アイドル』として」

伊織「私という人格が認められたわけじゃない。私が被ってた『アイドル』という皮が認められたに過ぎないわ」

P「それじゃあご不満?」

伊織「まさか! 大満足よ。少なくとも、アイドルとして活動している身としては、ね」

P「そうでない身としては満足できない?」

伊織「……満足とか、そういう話とも違うわね。気付いちゃったのよ、私」



伊織「私は空っぽで、皮を剥いだら何も残らないって」


伊織「私が築いてきた結果も、努力も、友達も。全部アイドルとしての狭い世界の中にしかない」

伊織「もしアイドルじゃなくなったら、家に引きこもってシャルルとお話しするくらいしかやることがないわ」

P「そ、そこまでじゃないんじゃないかなーって」

伊織「ま、ちょっと大げさだけど。でも他のみんなは、それぞれ外の世界への繋がりを持ってる」

伊織「それに対して、私はどう? 外の世界への繋がりなんて、一切ない」

P「んー……」

伊織「家が家だから仕方ないけど……だから、アイドルを始めてから知った世の中は、知らないことだらけだった」

P「候補生になったばかりの頃とか、逆ギレしまくってたもんね」

伊織「ホントよね。大人になったものだわ、私も」

P「まー歳を考えれば当たり前なんだけど」

伊織「子ども扱いするんじゃないわよ」

P「十分お子様じゃないの、背伸びしない」

伊織「うぐ……」


伊織「だけど、今日は本当に楽しかった。私にも、アイドル以外に世界との繋がりができたみたいで」

P「“みたい”?」

伊織「……うん。“みたい”」



伊織「でも、それも終わり」


伊織「そろそろ来るんだね――」

伊織「最後の週末が――」


P「歌も随分上手くなったね」

伊織「千早やあずさほどじゃないわ。まだまだよ」

P「へー、ご同僚さんは千早さんにあずささんって言うんだ」

伊織「ったく、いつまでそんな三文芝居やってんのよ」

P「三文芝居?」

伊織「……『でも、それも終わり』なんて歌ったけど、芝居どころか最初から始まってすらいなかった」

伊織「『伊尾瀬みなり』なんて人間、存在しないんだもの」

伊織「『天月ちか』だってそうでしょ?」

P「……」


伊織「ま、出し物としては悪くなかったわ。息抜きにはなったし」ノビーッ

P「ちょっといいかなー?」カモンカモン

伊織「ん? 何よ」

(テッテッテッ)

伊織「まだ私に何か用が――」

P「ていっ」

(ビシィッ!)

伊織「痛ぁっ!? ちょっと! なんでいきなりデコピンすんのよ!!?」

P「ごちゃごちゃとややっこしい事ばかり考えて……中学生の内からそんな悲観的に生きるんじゃないの! 馬鹿みなり!」

伊織「なっ!? ば、馬鹿って何よ! それに私は……!」

P「『伊尾瀬みなり』、でしょ」

伊織「っ」

P「私、初対面だからその名前しか分からないな~。こんな前髪ぱっつんの女の子なんて知らないし~」

伊織「分かってるくせにいけしゃあしゃあと……」

P「誰でもいいよ。今のあなたはみなりちゃんなんだから」

伊織「え?」


P「もしかしたらあなたはどこかのお金持ちの娘で、どこかのプロダクションでアイドルやってて、何とか小町とかいうユニットに入ってるかもしれないけど」

伊織「……露骨にぺらぺらと……」

P「でも、今はそんなの関係ない。今の私にとっては伊尾瀬みなりだし、さっきの二人にとっても伊尾瀬みなり」

伊織「……あ」

P「どうせまだまだ人生長いし、本来のあなたの世界もどんどん広がっていくと思うけど」

P「いいんじゃない? たまには“みなり”として息抜きしながら、外の世界と繋がっていけば」

伊織「みなり、として……」

P「一般庶民のみなりちゃんなら、あっという間に友達も増えるよ、きっと」

伊織「……そうかしら」

P「そうだと思うよ?」


伊織「でも、みなりっていう皮が増えるだけじゃ……」

P「名前は違っても、思うようにやればいい。そしたらそれはきっと、あなた自身」

伊織「……本当にそう思う? ちか」

ちか「うんうん、思う思う」

伊織「……はぁ。やっぱり私もまだまだ単純な子どもね」

みなり「こんな子ども騙しみたいな言葉に言いくるめられてるんじゃあね」

ちか「いいんだよ、人間単純で素直な方が生きてて楽しいって」

みなり「それもそうね。みなりでいる時くらい、少しはそうしてみようかしら」

ちか「いつもそうしていいと思うけど」

みなり「……私にもプライドってもんがあるのよ」

ちか「まぁ、プライドも大切だよねぇ」


ちか「あ、そう言えば」

みなり「何?」

ちか「リサイタル、続きやってくれないの?」

みなり「はぁ? アンタ、自分がここまで何言ってたか覚えてる?」

ちか「……進路相談?」

みなり「ここで続き歌っちゃったら全部台無しでしょ、この馬鹿!」カッ!

ちか「ん? 台無しってことは、つまり……この続きの歌詞の内容がみなりん的には歌いたくないということで……」

みなり「……あれ?」

ちか「続きは確か……『ボクが空に帰る』『何も言わずにサヨナラ』『つらくなるから全て還す』……」

みなり「あっ、あーーーっ!?」

ちか「あらあらあらあらぁ?? みなりん的には、私とつらい別れをしたくないという――」

みなり「だだだだだ黙りなさい馬鹿ぁぁぁああ!!!」ガシィッ!

ちか「キミと出会えてすごく嬉しかったな」ニッコリ

みなり「変態! ド変態! 変態大人!!!」ユッサユッサユッサ

ちか「うふふふーのふー」


みなり「……はぁ、疲れた」

(ガコンッ)

ちか「ハーイ、オレンジジュースパァス」ポイッ

みなり「……よく知ってるわね、初対面のくせに」パシッ

ちか「エスパー?」

みなり「うっさい」ゴクゴク

ちか「あ、そういえば放っておいていいの?」

みなり「ん?」ゴクゴク

ちか「大切なお友達お二人、置いてけぼりにしたまんまになってるけど」

みなり「っ!?」ブーーーッ!!

ちか「うわぁっ! 汚い!」

みなり「げほっげほっ……あ、え、あ! ど、どうしよう!?」

ちか「慌てすぎだって……」

みなり「でも私、二人に失礼なことして、もし嫌われたら……!」

ちか「全くもう」


ちか「こんなこともあろうかと」ピラッ

みなり「これは……?」

ちか「二人のアドレスと番号。聞いとい――」

みなり「寄越しなさい!」バッ!

ちか「へぶっ!?」

みなり「え、ええと?! 090……」ポパピプペ

ちか「う、うぐぐぉ……鳩尾ぃ……」


(prrrrrr……)

(ガチャッ)


紗代子『もしもし?』

みなり「さ、紗代子!? ご、ごめんなさい、いきなりいなくなったりして――!」

紗代子『あ、みなりさんですか? いえ、お気になさら――へぶっ!』

エレナ『ミナリ、勝手にいなくなっちゃダメでしょ!』

みなり「ごごご、ごめんなさい!」

エレナ『……なーんちゃって♪ もっと高圧的なミナリの方がらしいヨー』

みなり「高圧的って何よ!」カッ!

エレナ『ひゃーん♪』



ちか「あっちも大丈夫みたいね。良かった良かった」


(ピッ)


ちか「もういいの?」

みなり「ええ」

ちか「何話した?」

みなり「……来週のオフ、一緒に遊ぶことになったわ」

ちか「おー、一歩前進! いいよいいよ~」ナデナデ

みなり「子ども扱いするんじゃないわよ!」キーッ!

ちか「あはは。それじゃ、今日は帰ろうか」

みなり「ふーっふーっ……はぁ。ええと、駅はどっちだったかしら……」


ちか「……あっ、そうそう」

みなり「何よ、まだ何か――」クルッ

ちか「ちょっとおでこ出ーしてっと。さっきのデコピン、痛かった?」ファサッ

みなり「痛かったわよ! あんないきなり――」

(チュッ)

みなり「……は?」

ちか「痛いの痛いのー、飛んでけー♪」

みなり「…………」



みなり「…………?!」ボンッ!


みなり「あ、ああああアンタ……!!」

ちか「なんか今の私、凄くお姉さんっぽくない?」キリッ

みなり「何がお姉さんっぽいよ! このオネエ!!」

ちか「」ピシィッ!

みなり「このいお……みなりちゃんの額に易々と口づけして……!」

ちか「」

みなり「ほら、さっさと帰るわよ!」

ちか「」

みなり「固まってないで歩きなさい!」

ちか「」

みなり「……はぁ。ったく、世話の焼ける大人なんだから……」ポパピプペ

伊織「あ、新堂? 今日のオフは終了よ。ちょっと荷物があるから、車回してちょうだい」


(ピッ)


伊織「あーぁ。楽しい一日が終わっちゃったわ」

P「」

伊織「……楽しかったわよ、ばーか」

P「」

伊織「聞いちゃいないわね、この変態」

(ポフッ)

伊織「新堂が来るまでの間だけ、伊織ちゃんの膝を貸してあげるわ」

伊織「……にひひっ。ばーか♪」

P「」



―――――――――

――――――

―――

寝落ち?とりま乙ん


~翌日!~


(フレーフレーガンバレ! サァイコウ♪)


響「おーい伊織! 携帯なってるぞー」

伊織「ん、貸してー」

響「はい。……って、エレナって誰だ?」

伊織「人の携帯覗くんじゃないわよ。友達よ、友達」ピッピッ

響「ごめんごめん、たまたま目に入っちゃって。そっかー、友達か」

伊織「そ、友達」ピッピッ

響「友達……」




響「ええええええええええええ!??!?!」

伊織「耳元でうっさい!!」キーン


響「と、友達?! ねぇねぇ見せて見せて! どんなメールしてるの!?」

伊織「ああもう! ひっつくんじゃないわよ!」

(ガチャッ)

千早「我那覇さん、うるさい。音源聴いてるからもう少し静かに……」

響「伊織の友達だって!」

千早「詳しく聞かせてもらいましょうか」スッ

伊織「ああもう次から次へと……ほら、画像」スッ

響「し、知らない女の子だ……」

千早「そう……水瀬さん、あなたにもやっと友達が……」ホロリ

伊織「千早にだけは言われたくない台詞だわ……」


響「でも、これで自分たちも安心できるな」ホロリ

伊織「さ、最初からいるって言ってたでしょ」

赤羽根「ん? 伊織に友達ができたのか? 良い事じゃないか」キィッ

伊織「ホモは黙ってて」

赤羽根「」ピシィッ!

響「石化の呪文だ……」

千早「石になってる……」


伊織「あ、そうそう。律子ー!」

律子「なにー? 働いてるんだからあんまり呼びつけないでよー」カタカタ

伊織「ここのスケジュールなんだけど、空けられないかしら」テクテク

律子「どこどこ? えーと、ここは……うん、大したスケジュールじゃないから、今からなら変更がきくわ」

伊織「そう。じゃあ悪いんだけど、そこはオフでお願い」

律子「いいけど……珍しいわね。伊織がオフを欲しがるなんて」

伊織「……ちょっと友達の文化祭を手伝いに行くのよ」


律子「友達ィ!?」ガタァッ!

伊織「何よ、律子までそんな反応するワケ!?」

律子「あ、いえ、うん、ごめんなさい……うん、伊織もやっと……」ホロリ

伊織「ふざけんじゃないわよ! この事務所何人保護者がいるのよ!?」

律子「まぁ冗談はさておき……文化祭って、派手なことしないでしょうね? 一応人気アイドルなんだから」

伊織「大丈夫よ。この前、変装すれば滅多なことがなければバレないって分かったから」

律子「そう……ま、伊織がそう言うなら心配いらないか」

伊織「分かってるじゃない」


(フレーフレーガンバレ! サァイコウ♪)


律子「またメール?」

伊織「そうみたいね」ピッピッ

律子「……ちか? それも友達?」

伊織「……まぁ、うん」


(ガチャッ)

P「はろろーん、うっうー! おはようございますー」ダンディーボイス

千早「あ、おはようございます」スススッ

P「……おはよう」スススッ

千早「……どうして逃げるんですか?」スススッ

P「千早、TPOだ。TPOをわきまえろ」スススッ

律子「ほう、わきまえたら何をするんでしょうか」スススッ

P「まて、律子。誤解だ。やましいことは何も言っていない」スススッ

響「ん? 何だコレ、こうすればいいのか?」スススッ

P「響、これはカバディじゃない」スススッ

律子「響ちゃんどいてそいつ殺せない」スススッ

P「この動き……律子?!」スススッ


伊織「……平和ね、この事務所は」ピッピッ


(ティロリロリン♪)


P「お、メールだ」スッ

律子「誰からですか?」

P「目が怖いぜりっちゃん……友達だ、友達」

響「伊尾瀬みなり……? 女の名前、だよね?」

P「ああんもう、響ちゃんったらこんな時ばっかり鋭い」

律子「ほう……」ゴゴゴゴゴ

P「律子が殺意の波動に……! いや待て、なんてことはない普通の友達……」

千早「でもそれ、プロデューサーが女性時のために用意した携帯ですよね」ジトーッ

P「あ、いや深い意味はなくてね? 単に」

律子「ほおおおおおおおわざわざ密会用に使っているというわけですね」スススッ

P「いやたまたまこっちの携帯を使う知り合いなだけでそもそも密会も何も俺は独り身――」

律子「問答無用」ガッ!


     天


P「がふっ……瞬獄、殺……」ガクッ


P「くそ……出社早々えらい目にあった……俺なんも悪いことしてないのに……」

伊織「日頃の行いじゃない? はい、コーヒー」スッ

P「俺、日頃から大分頑張ってるんだけど……サンキュ」

伊織「……まぁ、そうね」ストン

P「……」

伊織「……」

P「なぁ、伊織」ズズッ

伊織「何よ?」チョコン

P「なんかすげーナチュラルに当たり前のようにしてるけど、何故他にもソファー空いてるのに隣へ?」

伊織「別に? 深い意味はないわ」

P「……ないんだよね?」

伊織「ええ、これっぽっちも」


律子「…………」

千早「…………」


P「どこかからか熱い視線を感じるんだけど、特に弁解の必要もないよね?」

伊織「ないと思うわよ、私としては」

P「信じていいんだな? その言葉、信じていいんだねいおりん!?」

伊織「さぁ? 神様にでも聞いてみたら?」

P「おお、神よ。どうか哀れな子羊を救いた――」

(ガチャッ)

P「神が救いの手を!?」


貴音「おはようございま……はて、この面妖な空気は?」


P「ああん、神様のいけずゥ」


貴音「プロデューサー。これはどういうことでしょう?」ニッコリ

P「あっ、なんか新鮮。貴音にプロデューサーって呼ばれるのなんか新鮮!」

律子「話を逸らそうったって無駄ですよ、プロデューサー殿」

千早「どうして水瀬さんは良くて私は駄目なんですか? プロデューサー、プロデューサー」

P「あっ、収拾つかないやつだコレ。赤羽根くん! 助けて!」

赤羽根「」

P「なんでキミまた石になってるの?! 誰か! 誰か彼に解呪の呪文を!」

貴音「観念なさいませ、あなた様」ガシィッ

P「あ、たわわな感触が背中に……じゃない! なんかこういうの久しぶりな気がする!」


<サテ、カクゴハイイデスカ、プロデューサードノ

         イエ、ヨクナイデス、サー>

<デハコレヨリ、ケイヲシッコウシマス。チハヤケイムカン

       ワカリマシタ、リツコサイバンチョウ>

<タ、タカネ、ハナセ、ハナシテク...ギャーーー!!




伊織「ふん、みんなだけで楽しそうにしてるから罰が当たったのよ」

響「妬いてるのか?」

伊織「ち、違うわよ! そういうのじゃないんだから、本当に!」

響「えー?」

伊織「……そうよ。そういうのとは違うの。純粋に……」

響「ふーーーーーーん」ニヤニヤ

伊織「ちょっと、何よその薄ら笑いは」

響「ふふーん。何でもないぞー」ニヘラ

伊織「こンの……!」グニーッ

響「ひ、ひはひひはひ!」


伊織「……さて、と」パッ

響「うがっ!? いたた……」

伊織「ほら律子、そろそろ収録行かなきゃ」

律子「え? ああ、そうね」

伊織「千早はレッスンでしょ。遅れるわよ」

千早「あ、もうそんな時間」

伊織「貴音は……今日オフじゃなかったっけ? 何でいるのよ」

貴音「不穏な空気を察したもので」

伊織「あっそ……ほら、いつまでも寝てるんじゃないわよ!」ガンッ!

赤羽根「おぁっ!? お、おはよう?」

伊織「ふぅ。それと、プロデューサー」

P「死ぬかと思った……ん?」

伊織「さっきのメールの件、よろしくね」

P「はいはい」

伊織「それじゃ、行ってくるわ」ガチャッ

律子「伊織、ちょっと待って!」ダダダッ

「「「「「行ってらっしゃーい」」」」」

(バタン)


響「何か頼まれごと?」

P「まぁね」ピッピッピッ

貴音「プロデューサー、もしや不埒な……」

P「お前は万年発情期か。違うって言ってるでしょうが。ええと、送信、っと」


(フレーフレーガンバレ! サァイコウ♪)

(ピッ)


from:ちか
sub:空けといたよ
本文:文化祭の日、問題なくオフ取れたヨ~♪
人を呼びつけるからには、最高のステージにしてネ☆


伊織「……今事務所で打ってるのかと思うとちょっとキモいわね」ボソッ

律子「何か言った?」

伊織「ううん、なんでもないわ」


伊織「さーて、今日もファンに最高の伊織ちゃんを見せつけるとしますか!」






伊織編おわわ
To Be Continued...

シンプルにやろうと思った結果が何故か半年以上だよ!
本当に申し訳ございませんでした
いつの間にか最初の頃の倍以上の長さになってるね……

伊織編は他のに比べて長く(多く)感じるの
やよい編楽しみ乙

>>696さんに乙です♪
伊織編終わったんだね、自分タイミングが良かったんだな!と言わせて欲しいです
後エレナが可愛い ぜひ友達になって欲しい

乙ってくれた方々、ありがとうございますー
むしろこんなに時間がかかったのに読んでくださいましてお疲れ様です

>>681,>>697
休憩がてらラーメン食べてた
実際めちゃくちゃ長いです
間が空いちゃうと、書きたいことが細かくなったり帳尻合わせ長引いたりしちゃって……

>>698
そう思ってもらえたなら何よりです
ミリマスキャラ出すのはやってみたい反面、ちょっと怖かったんで

背徳の掟編……かな!

カブトガニいじめんな!

えー、しばらくはまこりん以来止まってた幕間をやっていこうかと
新年度始まると忙しいので、なるべく年度内に進められればいいなー

          , - ‐ 一―――ー - 、
        /:::::::::::::::// i i ヽ:::::::::::::\
        /::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、
      /:::::::::::l:::::::::::::::::::::l::::i::::::::::::::::::::::l:::::::::ヽ、
     /:::::::::::::ヽ!!::::!_::|::l::::||:::!l_:_::::|_!:l:i/_:::::::::::ヽ、
    /::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::ヽ
    i:::::::::::::::l:::-ィヒラュ::i:::::i::,イテッ-::::l:::::::::::::::::i
    |:::::::::::::::l::::::` ̄ ´、::l:::::l::::,:: ̄:´:::::::l:::::::::::::::::|
    l:::::::::::::/!:::::\::::::/:ヽ_ '::ヽ:::::::/:::::l::::::::::::::::/
    !::::::::::/|::::::::::::Yイェエエェ ゝY::::::::::|\::::::::::/
     ヽ/  }:::::::::::::l:::ヽ二ン::::::l::::::::::::{  \ノ
         /ヘ,,:::::::::::::::_|_:::::::::::::::::::イヾ
           '/'冫レ~l|lili|l~ベ=ミ'ヾ`
               |lili|
               .|ii|

      |             .|ii|           i    !
                l  .|!|
        i       |!. .|!| _         |   ,|
       ,i -─ '''"" /|!|\`""'''ー- i,、   !
     |/____/  ||  \____\ ,|  フォン
    /.  \  ξ/  ̄ |  ̄ ̄\ σ /  ヘ!
    |  |  \/   ;゙ ,.'"゙':     \/     |
    ヘ  i  ,/\    、`,. '゙    /\  !  /
     \|/ ο \i____/ α \i!/

         ̄ ̄ ̄ ̄\i η / ̄ ̄ ̄ ̄
        `"'' ‐- ..,_|\/,,.. -‐ ''"´




相変わらず深夜ですがなんとなく投下ー



ちょびっと幕間 『彼女は甘えん坊』

はーじまーるよー


P「んー、久しぶりに一人っきりのオフかぁ」ビューティーボイス

P「とりあえず街に出たはいいものの、なんか落ち着かない」

チャラ男「ヘイ彼女! 一人ィ?」

P「うんっ、一人だよっ♪」キャピッ

チャラ男「ヘヘッ、だったら俺とさぁ……」

P「付き合ってくれるの?」メンキョショウ

チャラ男「申し訳ございませんでした」ダダダッ!

P「ふぅ。最近の若いのは根性がないな……ん?」



「……」ボーッ



P「おや、見覚えのある子がいるぞぉ?」

P「……ふむ、暇つぶしには丁度良さそうだ」


「……」ボーッ

(スッ)

「っ!?」

P「だーれだっ?」

「えっ、あっ、だ、誰だ?! 敵か!?」

P「何の敵だよ。俺だ俺」

(サッ)

響「なんだ……プロデューサーかぁ。その声、いきなりだとまだ慣れないぞ……」ホッ

P「びっくりした?」

響「驚いたに決まってるだろ! いきなり何すんだよ!」ウガーッ!

P「なぁに、ちょっとした遊び心だって。怒らないで怒らないで」


P「何を一人で黄昏てんの。久しぶりのオフでしょうに」

響「うーん……なんかここしばらくずっと忙しかったし、誰かと一緒だったからさ」

響「いきなりオフ貰っても、何したらいいか分かんなくて」

P「大分重症だな……でもちょっと分かるかも」

響「プロデューサーもオフでしょ? 何してるの?」

P「いや、いきなりオフ貰って、何したらいいか分かんなくて」

響「ははっ、プロデューサーも自分と同じだね」

P「いやね? 普段なら知り合い誘って飲みに行ったりなんなりするんだけれども……」

P「……朝起きたらね? こうなわけですよ。何も出来ん」ビューティーボイス

響「あぁ……」

P「最近は無駄にテクも身についてきて……寄せて上げるゥー」タプンッ

響「それ、絶対に千早の前でやらないでね。絶対やらないでね!?」


P「まぁ暇してる時に、面白そうな玩具を見つけたというスンポーさ」

響「人のこと玩具呼ばわりしないでほしいぞ……」

P「だってねぇ。ちんまくてサイズちょうどいいし、なんか暖かいし」ワシャワシャ

響「うがー! 人の髪の毛で遊ぶなぁーー!!」ババッ

P「そーれそーれ」ワシャシャシャシャシャ

響「や、やめてよねぇn……」


P「ん?」ピタッ

響「っ!」ババッ!

P「なんか言った?」

響「や、やめてよねって言っただけだぞ!!?」フルフルフル

P「ほう、本気でケンカしたら、プロデューサーが自分に敵うはずないだろ?って言いたいのかこいつぅー!」ワシャワシャワシャワシャ

響「うぎゃー! 違うってばぁ!」グワングワングワン

どうでもいいことだが
このPの男版・女版のCVってそれぞれ誰を想定してるんだろう・・・


響「うぅ……目が回った……」

P「そういや一人っきり?」

響「え? 自分が三人四人に見える? 病院行く?」

P「ちゃうわ。やることないオフだったらペットの相手でもしてるのかなーと思って」

響「……えっと」

P「……またか?」

響「…………」

P「またいぬ美にクーデター起こされたのか!?」

響「違う! ハム蔵だぞ!!」カッ!

P「……またか」

響「はっ!? ゆ、誘導尋問だなんて非人道的な!」

P「いや大分自爆だよキミ」


P「で、部屋をハム蔵率いるアニマル軍団に占拠されて追い出されたと」

響「うぅ……」

P「それで一人、路頭に迷ってたわけだ」

響「返す言葉もございません……」

P「……仕方ない、優しいお姉さんが響ちゃんを拾ってあげようかな」

響「ほっ、本当か!?」

P「暇だったしね」

響「三食昼寝付きで好きなモノ買ってくれるのか?!」キラキラ

P「オウお前、その言葉を部屋に帰ってペット達に言うてみい」

響「うぐ……な、なら三食散歩付き! あ、あと一日一回ブラッシング!」

P「お前はホモ・サピエンスの端くれとしてその待遇に何の疑問も抱かないのか」


(テクテク)

P「学校の友達と遊んだりしないの?」

響「うーん、なんとなくそういう気分でもなくて」

P(伊織と違って一応遊ぶ友達はいるんだな……)

響「……ねぇ、なんか失礼なこと考えてない?」

P「考えてないよ、響には」シレッ

響「ホントかな……」

(ヴヴヴッ)

響「あ、メールだ」スッ

P「事務所の誰かか?」

響(……あ、学校の子からだ。暇だったら遊ぼう、かぁ……)


響「……」

P「響?」

響「あ、ううん、なんでもないよ。ただのメール」

響(『ちょっと今日は忙しいかな』、と……折角誘ってくれたのにごめんね)

響「……ん」シマイシマイ

P「お誘いとかじゃないの?」

響「ううん。ただの連絡だった」

(ギュッ)

P「わわっ! いきなり腕引っ掴んだりして、どうしたの」

響「んーん。なんでもないぞー」

P「視線が泳いでますが……」

響「えへへ、何でもないってば」のワの


響「ねぇn……ねぇねぇ、どっか連れてってよー」グイグイ

P「んー? 今から行けるところねぇ……どこかあったかな」

響「まぁ、自分はこのままブラブラ散歩してるだけでもいいんだけど」

P「エコロジーなやつめ……」

響「何処に行っても楽しめるから、結構お得だぞ」

P「まぁ散策は俺も好きだよ」

響「プロデューサーって、リードで繋いでおかないとすぐにどっか行っちゃいそうだよね」

P「犬か。そしてその言葉はそっくり返そう」

響「じ、自分はそんなことないぞ?」

P「さて、それはどうかな? 放っておくといつの間にかいなくなりそうだし」

P「……」

P「響さん?」チラッ

(シーン)

P「早速いなくなってるじゃないですか!」


響「……」ボケーッ

P「全く、ちょっと目を離すともうコレなんだからねぇ」

響「あっ、いやっ、今はちょっとたまたま気になっただけで……」

P「して、何をご覧になっていたのかしらん?」チラッ

響「えーっと」

P「……ふむ、ネックレスかな?」

響「その……」

P「隠すな隠すな。響も女の子だもんな、そういうのに憧れたりもするよね」

響「うー……まぁ、そうなんだけどさ……」

P「へー、可愛いネックレス。カッコいい系が好みだと思ってたよ」

響「そういうのもいいけど……なんだか、凄く惹かれたんだ」

P「ふむ……安くはないね」

響「うん。だからちょっと自分には買えないなぁ。あはは、もっと人気にならないとね!」


P「しばし待たれよ」ビシッ

響「んえ? う、うん」

P「しばし待たれよォーーーヨォーヨォーヨォーーー」タッタッタッ

響「わざわざセルフエコーしなくても……」




~3分後~



P「たっだいまー」テッテッテッ

響「おかえりー。いきなり店に入ってってどうしたんだ?」

P「はいよ」チャチャッ

響「え、え? な、何するんだ?! じ、自分を絞殺するつもりか!?」

P「何が悲しゅうて担当アイドルを殺さにゃならんのだアホ」


P「よし、できたっと」

響「え、え!? 何が?! 自分を笑い者にする準備がか!?」ブルブル

P「な、何に怯えているんだ……不憫な子や……ほれ、そこの窓ガラスに映ってみ」

響「く、首回りに仕掛けがあるのか? ど、どんなドッキリ……」


(チャリッ)


響「……あ」


P「うんうん、似合ってるじゃないの」

響「これって……」

P「前回の響チャレンジが見事成功したお祝い。視聴率も番組中ピークだったらしいよ」

響「え、でも、このネックレス結構高くて……」

P「私服漁りがひと段落して、また懐に余裕が出てきたからね。子どもは気にしなくていいの」チョンッ

響「あうっ」

P「ご褒美を兼ねた、私からのプレゼント」

響「プロデューサー……」

P「大切にしてね?」

響「……うんっ! ありがとっ! えへへ」


(サァーーッカコーンッ)


P「お、ベンチがある」

響「ちょっと座ってく?」

P「いいよー。丁度池が見えるし、のんびり休憩しようか」

響「自分達、やることもないしね」

P「ブランコおじさんみたいな言い方しないでほしいかな……」

響「ほらほら、隣空いてるぞー!」バンバン

P「はいはい、急かさなくても座りますから」


(サァーーッカコーンッ)


P「プチ庭園みたいな感じかね。ししおどしの音がなかなか風流ですな」

響「うん」

P「うーん、適度な日光がポカポカして眠くなるねぇ」

響「うん……」

P「……眠いでしょ?」

響「う……はっ!? ぜ、全然っ! 自分、全然眠くないぞっ!」ブンブンッ

P「でも目元がトローンとしているけれども」

響「う……」

P「眠いでしょ?」

響「……うん……」コックリ


(トサッ)

響「へ?」

P「ほら、膝貸してあげるから。しばらく寝ちゃっていいよ」

響「でも、その……」

P「私なら大丈夫だから。響、いっつも体張ってるもんね。疲れが溜まってるんじゃない?」

響「うー……」

P「私の膝も、捨てたもんじゃないでしょう?」

響「うん、柔らかくて……寝心地いい……」

P「ほらほら……あなたはだんだん眠くなぁる……」

響「眠く……」

P「あなたはだんだん眠くなぁる……」ナデナデ

響「ねむ……」



響「……すぴー」

P「寝つきいいなぁ」


P「さて、しばらくのんびりと過ごすかな……」


美希「あれ? 見覚えのある二人なの」

P「しーっ。今丁度寝付いたとこだから」

美希「あっ……ごめんね」

響「すぅ……」

P「美希、そろそろレッスンの時間じゃない?」

美希「うん。行く前にちょっとだけカモ先生とお話しに来たんだよ」


P「……ここからレッスン場まで、割とあるよね? 間に合うの?」

美希「間に合わないよ?」シレッ

P「星井美希、貴様……プロデューサーの目の前でヌケヌケといい度胸しとるなァ……」

美希「でもハニーは響を寝かしつけてるから、そこからは動けないの」

P「うがっ!? し、しまった! この知能犯め!」

美希「うるさくすると起きちゃうよ?」

美希(一度寝たらなかなか起きないけど)

P「っ!」バッ

響「すぅ……すぅ……」

P「……ふぅ」

美希「慌ててるハニーも可愛いの」ホクホク


美希「響、ぐっすりだね」

P「最近、疲れが溜まってたみたいだからね」

美希「むー……ミキも疲れたら響みたいに甘えさせてくれるのかな?」

P「これ、甘えてるのかな?」

美希「響の寝顔、とっても甘々で幸せそうなの」

響「んー……すぴー」

美希「……ずるいって思うな」

P「あー分かった分かった。今度機会があったら甘やかしてあげるから」

美希「ぜーったい約束だよ?」

P「はいはい」


美希「でも、ちょっと安心したの」

P「何が?」

美希「響ね、最近、なんだか寂しそうにしてたもん。ホームシックかも」

P「……ちょっと最近、放っておき過ぎたかな」

美希「何が?」

P「んーん。こっちの話」

(ナデナデ)

響「んー……えへ……」

美希「う、羨ましいの……」

P「ほら、いい加減レッスン行きなさい。電話で律子を呼ぶくらいは出来るんだけど?」

美希「?! い、行ってきますなのぉーーー!!」ダダダダダッ!

P「って、静かにしろって言ったのに……ま、起きてないからいいけど」


P「それにしても……」

響「んー……」

P「安らかな寝顔だ……」

P「えいっ」ムニー

響「うー……」

P「……はっ!? つい柔らかそうなほっぺたを見てたら……!」

響「んー……すぅ……」

P「ほっ……」

響「……ねー……」

P「ん?」

響「……ねーねー……」ムニャムニャ

P「……」

P「それは反則でしょう、響……」ナデナデ

響「ふふ……」ムニャムニャ

P「ホントに、寂しがり屋の多い事務所だなぁ」









律子「……くしょんっ! 誰かに噂されてるのかしら……」

亜美「兄ちゃんじゃないのー?」

律子「だだだだまらっしゃぁい!!」


――――――――――

――――――

―――


響「……んー。ふわぁ……」ムクリ

P「おやおや、目が覚めた?」

響「んー……ねーねー……」ゴシゴシ

P「うん?」

響「……って、うわぁっ!? ち、ちが、えっと、その!」

P「どうしたの、慌てなくてもねーねーだよ」

響「っ」

P「そんな慌てなくてもいいから。今日は響のねーねーだから」

響「あ、あう……その……」

P「どうしたの、顔真っ赤にして」

響「えっと……自分、寝言とか言ってた?」

P「……ふふふっ」クスクス

響「そ、その顔! 言ってた! 言ってたんでしょ!?」

P「さぁ? ねーねーは知らないなぁ」

響「はははハズカシイってばぁーー!」


響「すっかり暗くなってきてる……」

P「随分ぐっすりだったからねぇ」

響「帰らなきゃ……って自分、帰れないんだった!」ウガーッ!

P「仕方ないなぁ。ねーねーも一緒についてってあげるから、みんなに許してもらいなさい」

響「……ついてきてくれるの?」ギュッ

P「ねーねーだからね、今日は」

響「そっか……ねーねー、だもんね」

P「ほら響、帰ろう?」

響「……うんっ!」


P「帰りがけ、みんなにご馳走買っていかないとね」

響「プロ……ねーねーにも、自分がごちそうするぞ!」

P「そりゃ楽しみだ。何が食べられるのかな?」

響「えへへ、それは帰ってからのお楽しみだぞー!」

P「今から期待に胸が高鳴るねぇ」

響「……そ、それで……」

P「ん?」

響「ご飯のあと……また一緒に寝てくれる?」ギュッ

P「んー……明日はお仕事なんだよねぇ」

響「うー……」


P「……そうだねぇ……明け方早めに起こしてくれるなら、ね?」

響「……! うんっ! 起こしてあげるぞ!」

P「それじゃ、一緒に寝よっか」

響「うんっ、ねーねー!」ウキウキ

P「ふふふっ」





P(この時、私はすっかり失念していたのです――)

P(朝を迎えた時、どのような反応と所業が私を待っているのかを――)



おわり

>>727
特別想定はしてなかったなぁ
なんとなく、女verはクール可愛い系お姉さんVoice?

しばらくはこんな感じでまったりと幕間を
本編に比べてネタも少なめで平坦なので退屈かもしれませんが、しばしお付き合い下さいマセ
それがしばらく続いたらやよい突入します

ごめんね、あずささんの幕間はもう終わってるの

本編と同じ順番でやってるから、りっちゃんはそのうち来ます
今夜はちょっとお休みのつもり

ここ見てる方にいらっしゃるかは分かりませんが、当スレは受験生の皆様を応援しています。
頑張ってネ。



ちょびっと幕間 『バースデー』

はーじまーるよー


(ドッドッドッドッドッ!)

P「だーれだァ事務所を走っとるのはー」ビューティーボイス

(ガラッ!)

小鳥「間に合った!?」●REC

P「……」カタカタ

小鳥「……」ジジジジ

P「何してるんすか」

小鳥「大正義ぴーたかを録画しようと」ジジジジ

P「そういやNO MORE映画泥棒、立体化しましたね」スクッ

小鳥「食玩でしたっけ。なんでいきなり?」ジジジジ

P「つまりだな……」


P「盗撮するヤツはデストローイ」メシッメキメキッ

小鳥「あ、あんっ! ぎ、ギブギブギブ! コブラツイストは駄目! 小鳥折れちゃう!」メシメシメシッ


P「で、急にカメラなんて構えて……なんもありませんよ?」ポイッ

小鳥「うきゃっ!? いたたぁ……」ドテッ

P「そもそも貴音はオフだし、わざわざ事務所になんて」

小鳥「またまたぁ。プロデューサーさん、今日はお楽しみなんでしょう??」コノーコノー

P「女になったからってそういつもいつも誰かの相手してるわけじゃないですよ。遊女じゃないんだから……」ヤレヤレ

小鳥「でも、今日は特別じゃないですかー?」ニヤニヤウフフ

P「特別ねぇ……香水替えたくらいですかね」

小鳥「あっ、だからいつもとちょっと違うんですね……って、プロデューサーさん?」オソルオソル

P「なんですか?」カタカタ

小鳥「まさかとは思いますけど……わざとですよね?」

P「?」カタカタ

小鳥「……ええと、そういえばプロデューサーさんも今日オフですよね。どうして事務所に?」

P「いやー、社長や律子は休めって言ってくれたんですけど、ちょっと書類が残ってたの思い出して」

P「あはは、家でゴロゴロしててもあんまり休んだ気がしないんで、のんびり書類でも片付けようかと」

小鳥「…………」サーッ


P「? どうしたんですか、そんな真っ青な顔して」

小鳥「あ、あのー……本当に、お気づきでない?」

P「なんかまずいことしましたかね」

小鳥「まことでございますか?」

P「ええ、まことでございま……ん?」

小鳥「……携帯開いて、日付を確認してください」

P「えっと……1月21日…………………え」ピシィッ

小鳥「……」

P「え、えっと……つまり、今日は……」

小鳥「はい……」



小鳥「貴音ちゃんの、誕生日です」

P「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっぁあああああああ!?!?!?!」


P「え、ちょっと待って! ついこないだ伊織と暑い中遊びに行ったよね!?」

小鳥「えっなにそれくわしく」

P「ハッ!?」バッ

小鳥「まぁその件は追々事情聴取するとして……プロデューサーさん、その疑問にお答えしましょう」

P「教えてくれ、小鳥! 俺達の身に何が起こっているんだ!?」

小鳥「答えは簡単です。私達は、この世界はサザエさん時空なのです!」

P「道理で四季が滅茶苦茶なワケだ!」


P「俺ァてっきり、この日本国がグランドラインを航海中なのかと……」

小鳥「って、そんなことはどうでもいいですよ! なんでみんながオフを勧めてたのか分かってなかったんですか!?」

P「ま、全く分かってなかった……」

小鳥「あんなに露骨だったのにですか!?」

P「わ、分かるわけないだろ!? 変なことといえば、貴音がここ数日異常にウキウキしながらどこに行こうかと呟きながらガイドブックを見ていたくらいで……」

小鳥「気付けこの間抜け」


P「うわぁ……スケジュール帳に花丸マークで『貴』って書いてある……」

小鳥「そこまでしておいてなんで貴音ちゃんのバースデーを忘れるんですか!」

P「4番、バースデー」

小鳥「それはイースラーです」

P「ことりん、ナイスツッコミ! 世代だもんね!」サムズアーップ

小鳥「殴り倒しますよ。ってことは、何も準備してないんですね!?」

P「えっと、それは、あの、えっと!」アセアセ

小鳥「も、もし今貴音ちゃんが事務所に来たら……!」

P「……来たら……?」

小鳥「貴音ちゃんは……滅亡する!」

P「な、何だってーーー!?(AA略)」


~イメージ映像~


貴音「貴女様! 私、今日という日を楽しみにしてまいりました!」

P「すまないな、貴音……すっかり忘れていたんだ……」クールビューティーボイス

貴音「な……なんと! 私は、私はその程度の存在だったのですね!!」オヨヨ

P「ち、違うんだ貴音! たまたま、忘れてしまっただけで……!」スッ

貴音「触れるでない、この下郎が!」ビシィッ!

P「げ、下郎!?」

貴音「私、心底愛想が尽きました。さらば、ごきげんよう」サッ

P「ま、待ってくれ貴音!」

黒井「ハーッハッハッハッハ! 貴音ちゃん、こォんなド三流ダメプロデューサー率いる貧乏プロダクションなぞ捨てて、961で天下を取るのだ!」

貴音「そういたしましょう、黒井殿」

黒井「では、さらばだド三流カマプロデューサー! アデュー!」

P「貴音ぇぇぇぇぇぇぇええ!!!」

黒井「ウィーッウィッウィッウィッウィッ!」


~イメージここまで~


P「黒井このクソ野郎がぁぁぁっぁああああ!!!!」

小鳥「?!」ビクゥッ!




黒井「……ウィッシュ!」

冬馬「どうしたんだよオッサン、風邪か?」

黒井「ふん。どこぞの三流事務所が私のことを妬んでいるのだろう」

北斗「案外、恨みを持った誰かに呪いでもかけられたんじゃないですか?」

黒井「……………………馬鹿なことを言うな」

翔太「クロちゃん、顔真っ青だよ」

黒井「大丈夫、大丈夫だ……ちゃんと初詣も行ったし、各種ご利益系も万全だ」

冬馬「意外と信心深いんだな」


P「はぁっはぁっはぁっ、想像とはいえ許さんぞあの偽ブルジョワ……すみません、取り乱しました」

小鳥「ほら、落ち着いてください。どうぞお茶でも」スッ

P「あはは、ありがとうございます」ゴクゴク

小鳥「さて……急いで言い訳を考えないとですね」

P「しまったなぁ……今事務所に来られたりしたら、もう開き出来ないですよ」

小鳥・P「「あはははははは」」


(ガチャッ)


貴音「お疲れ様です」

P「」ブーーーッ!


P「はぁっはぁっはぁっ、想像とはいえ許さんぞあの偽ブルジョワ……すみません、取り乱しました」

小鳥「ほら、落ち着いてください。どうぞお茶でも」スッ

P「あはは、ありがとうございます」ゴクゴク

小鳥「さて……急いで言い訳を考えないとですね」

P「しまったなぁ……今事務所に来られたりしたら、申し開き出来ないですよ」

小鳥・P「「あはははははは」」


(ガチャッ)


貴音「お疲れ様です」

P「」ブーーーッ!


貴音「ぷ、プロデューサー!? 大丈夫ですか!」タタタッ

P「げほっげほっ……た、貴音、確か今日はオフだろう?」

貴音「ええ。そして、貴女様もオフだと伺っております」ウキウキ

P(う、ウゥッ! なんて澄んだ、コーラルの海のような瞳……!)

小鳥(一点の曇りもない清らかなまなざし……!)

貴音「さぁプロデューサー……いえ、貴女様! 今から二人で外へと参りましょう。私、今日のために色々と」イソイソ

小鳥(ぷ、プロデューサーさん! 早く逃げ――)

P「ダメよ私これ以上あなたの綺麗な瞳を見ていられないわ!」ダダダッ!

貴音「あ、貴女様ぁーーー?!」

P「脱兎のごとく!」ガチャァッ!

貴音「お待ちください!」ガチャァッ!


(ダダダダダダダダ......)


(ヒュオォォォ)


小鳥「……行っちゃった」

(バサァァァッ!)

小鳥「あぁぁっ書類の山が!?」

小鳥「……片付けなきゃ」


(ダダダダダダダダ)


貴音「どうしてお逃げになるのですか貴女様!」ダダダッ

P「見ないで! 私をそんな目で見ないで!」ダダダッ

貴音「くっ! 地下道からホームセンターへ逃げ込むおつもりですか!」

P「人が多い所なら撒きやすいでしょ!」

貴音「複雑な道を……気を抜いたら見失ってしまいます……!」

P「なんとしても逃げ切らなければ……!」ダダダッ

貴音「お待ちください、貴女様ぁーーっ!」ダダダッ





\...アラー、ドノミチデショウカー?/

\アズササンソッチジャ...アァモウ! ミウシナッタ!/


貴音「聞き覚えのある声が……気のせいでしょうか」ダダダッ

P「知らない知らないちか知らないもん」ダダダッ

貴音「ちか……?」スゥッ

P「こ、怖い!? そんな能面みたいな顔やめて!? 彼女とかじゃないから!!」ダダダッ

貴音「そうでございますか……ならば詳しくは捕まえてからじっくりと!」ダダダッ

P「くぅっ、肉の壁で躱すしかない!」グイグイ

貴音「うっ! ここは遊戯用具売り場!? しかし、人ごみに負けるわけには……!」グイグイ

P「追ってくるぅー!」グイグイ

貴音「何故お逃げになるのですか!!」グイグイ





\ネェネェ、シンサクノシユウダイアルヨー/

\アッ、ホントダ...ッテ、ネエチャンドコーー!?/


P「ぬおおおおおなんのおおおおお」ダダダッ

貴音「この気迫……ただならぬ理由があるとお見受けしました。ならば、私も意地でも辿り着きます!」ダダダッ

P「ならば次は……これを躱せるかァーーーーッ!?」ザザザッ

貴音「ここは……スーパー!」

P「特売に飢えた主婦の嵐を切り抜けてみせよ!」

貴音「負けません! 私のこの想い、この程度ではあああああ!!」グイグイグイッ!





\タマゴオヒトリサマフタツダッテ...テツダッテ!/

\ハァ、シカタナイワネ...マ、イイデショ/


P「ふっ、この猛攻も切り抜けるなんて……やるじゃない、貴音!」ダダダッ

貴音「私は貴女様を想う限り無敵なのです。この程度、どうということはありません!」ダダダッ

P「くっくっく……その強がりが果たして、どこまで続くかな……?」

貴音「この命、燃え尽きるまで!」

P「いや死ななくていいからね」

P「さぁ次は家具エリア! 慌ててると足の小指をぶつけて酷い目に遭うよ!」

貴音「レッスンで身に付けた体裁き……この程度!」スイッスイッスイッ





\コノマクラ、ヤワラカイノ...ムニャムニャ/

\ネ、ネテルバアイジャ...イタァッ!?/


P「どんな時でも、決して諦めるな、貴音」ダダダッ

貴音「プロデューサー……!」ダダダッ

P「貴音……私について来い」

貴音「くっ、衣服が所狭しと……!」

P「決して諦めるな。自分の感覚を信じろ」

貴音「絶対に追いついてみせます、貴女様……!」





\ウウン、ゼッタイコッチガニアウヨ! ホラホラ!/

\フ、フタリガイッチャウヨ! マッテ、マッテー!/


P「ホームセンターを抜けたか……!」ダダダッ

貴音「どうしてお逃げになるのですか!」ダダダッ

P「野次馬は自分たちのことしか考えていない! だから撒くと宣言した!」

貴音「人のことを野次馬などと!」

P「私、プロデューサーが認定しようというのだ、貴音!」

貴音「エゴですそれは!」





\ヨシッ、ミウシナワズニホームセンターヲ...ワキャッ!?/ドンガラガッシャン

\チョットマエデコロバナ...ンアーッ!?/ドンガラガッシャン


(タッタッタッ)


貴音「はぁっはぁっ……!」ダダダッ

P「よ、よくついてきたね、貴音……」ダダダッ

貴音「貴女様こそ……よくぞここまで走り通せましたね……」

P「っはぁっはぁっ……」

貴音「ですが……」


(ジリッ)


貴音「それもここまで……!」ズイッ

P「お、追いつかれたね……」ゼェゼェ


貴音「……何故逃げ続けていたのですか?」

P「えーっと、それは……」ゼェゼェ

貴音「いえ……見当はついております。恐らく……忘れていたのでしょう、私の誕生日であることを」

P「ま、待って……」ゼェゼェ

貴音「途中から、分かってはおりました……おかしいとは思っていたのです」

貴音「ですが、意地になってしまい……申し訳ございませんでした」

P「はぁっはぁっ……待て……」ゼェゼェ

貴音「私は、所詮その程度であったということ。大人しく、自宅へ帰ることといたしましょう……」

P「ま……」ゼェゼェ

貴音「ご迷惑をおかけしました。それでは、ご機嫌よ――」

P「待てって言ってんでしょ人の話聞きなさい」ビシィッッ!

貴音「ぴっ」


貴音「貴女様……ちょっぷは痛いのです……」ヒリヒリ

P「人が必死に呼吸調えてるのに勝手に話を進めるからだっての」

貴音「し、失礼いたしました」

P「ったく……私が誕生日忘れるわけないでしょうが……」ハァ

貴音「………………え?」

P「事務所に来るだろうと思って待ってたら、小鳥さんに見つかるんだもん」

P「それに、ぞろぞろと見学者もついてきてたし」

貴音「……つまり、先ほどまでのは……」

P「だから、野次馬を撒くためだって言ったじゃない」

貴音「……演技だったのですね?」

P「当たり前じゃないの」

貴音「つまり、私の誕生日を覚えていていただけたのですね?」

P「プロデューサーたるもの、そうやすやすと大事なスケジュールは忘れないの」

貴音「そうですね……以前私とのらぁめんでぇとの約束を忘れていたのは、たまたまでございますね」

P「」


貴音「……」

P「……貴音?」

貴音「……」ブワッ

P「えっ!? ど、どうして泣くの!? アレそんなにショックだった!? ごめんなさい!!!」

貴音「いえ、てっきり、てっきり……軽んじられているのかと思い……安心したら、涙が……」グスッ

P「あ、ああ、そういうことか……意外に泣き虫なんだから。ほらほら」ゴシゴシ

貴音「はい……」

P「ごめんね、回りくどいことして。こういうの人に見られるの、あんまり好きじゃないんだよ。恥ずかしくてさ」ゴソゴソ

P「はい、プレゼント」スッ

貴音「開けてもよろしいですか?」

P「ええ、どうぞ」

貴音「はいっ!」ゴソゴソ


貴音「一体何が……」ゴソゴソ

P「それは開けてのお楽しみ」

(ファサッ)

(ピリッ)

貴音「これは……!」


貴音「ご家庭二十郎セット!!!」カッ!


(スッ)

貴音「? 耳元に何かが……」

(ヒヤッ)

貴音「この冷たい感触……」

P「反対もつけて……どうかな? はい、鏡」スッ

(キラッ)

貴音「これは……イヤリング?」


P「うん、似合ってるよ、貴音」

貴音「こういった装飾品はあまり身に付けないのですが……ふふっ、不思議な感じがいたします」

P「気に入らないかな?」

貴音「とんでもございません」

P「そう、なら良かった」ニコッ

貴音「貴女様……」

P「本当は事務所でサッと渡す予定だったけど、大騒ぎになるのも嫌だったし……」

貴音「ふふっ、照れ屋な割にはろまんちっくな渡し方をするのですね」

P「気を引くアイテムが二十郎じゃあロマンもへったくれもないけどね」

貴音「そんなことございません」フルフル

P「あはは。喜んでもらえたかな?」

貴音「ええ、二十郎セット、まことに嬉しく思います! あ、イヤリングも」

P「やめーや二十郎の方が嬉しいとかお姉さん割と立ち直れないから」


P「まじか……私の給料の意義とは……」

貴音「じょ、冗談でございます! 冗談でございます故!」

(ヴヴヴッ)

P「ん、電話だ。ちょっと失礼」

貴音「はい」

(ピッ)

P「もしもーし?」

P「……ああはいはい、え? うん、ああ、分かった分かった」ピッ


貴音「どなたでしょう?」

P「詮索しないしない。ほら、そこからの眺め、とっても綺麗だよ」

貴音「確かに……今気づきましたが、小高い丘だったのですね。最初からここでお渡しくださるつもりだったのでしょうか?」

P「いやいや、逃げた末の偶然よ」

P「なんで今からお見せするのも、私は一切知らなかったの。偶然偶然」

貴音「はて……?」

P「はー、結局逃げ切れてなかったのね……そこの柵から下、覗いてご覧」

貴音「下を……?」チラッ

貴音「……!」


貴音「皆が、看板を……」



あずさ『貴』

律子『音』

亜美『、』

真美『誕』

やよい『生』

伊織『日』

美希『お』

響『め』

雪歩『で』

真『と』

春香『う』

千早『!』



貴音「たかね、たんじょうびおめでとう!……」

P「だってさ」


小鳥「もう、苦労しちゃいましたよ」

貴音「小鳥嬢?!」クルッ

小鳥「看板文字は事務所の二階から見てもらうだけの予定だったのに」

P「あー、それで最近、みんなして何か口裏合わせてる風だったのね。言ってくれれば手伝ったのに」

小鳥「え? だってお二人のムフフな御姿はそれはそれでこっそり見たいですし」

P「やっぱり野次馬じゃねぇか」

小鳥「まぁまぁ、終わったことですよ。さあ貴音ちゃん、今のお気持ちはどうですか?」●REC

貴音「まこと、心が温かいです」

小鳥「ふふっ、なら良かったわ。みんなのスケジュール調整するの、大変だったんだから」

(スッ)

高木「随分と無茶を振ってくれたものだよ」

P「社長まで巻き込んでたんですか……」


高木「さ、私が写真を撮ろう。二人とも、もう少し寄りたまえ」

P「あー、どうもすみません」

貴音「この辺りでよろしいでしょうか?」

高木「ああ、大丈夫だ。それでは、はい、ポー――」

貴音「いえ、しばしお待ちを……」

P「ん?」

(ゴソゴソ)

貴音「前を向いていただけますか?」

P「ん? はいはい」スッ

(ヒヤッ)

P「おや?」

貴音「ふふ、片方は貴女様がお付けください」

P「あらまぁ……ペアイヤリングになっちゃった」

貴音「良く似合っておいでですよ、貴女様」

P「複雑すぎるわ……」


高木「ははは、仲良きことは美しきこと哉!

小鳥「……」ギリギリ

高木「……それでは、改めて撮ろう」

P「お願いします」

高木「はい、ポーズ!」


(グイッ)

P「わっ!?」

貴音「ふふっ」ギュッ


(パシャッ!)



おわり

そんなわけで寝る直前になって誕生日だったことを思い出したので即興誕生日でした
別に貴音だけが特別なわけじゃないです、書いてないだけでみんなの誕生日もわーきゃーわーきゃー何かしらやってます、きっと
おやすみ

一般入試が待ってるよ

貴音「あなた様、続きはまだでしょうか?」

貴音「早くしないと私はこのカブトガニを食してしまいそうです」ジュルリ

カブトガニ「(ビクビク)」

ちょっと立て込んでるから週明けまで待ってネ

カブトエビ→カブトムシ→カブトガニ→カブトガミ(GOD)
ちょっとリアルの用事が伸びました
すみませんが、投下は早くても週中頃かも

そしてちょっとした好奇心で質問です
ここまでスレでやってきた本編及び幕間の中で、どの話が一番好きでしたか?
お暇な方は、繋ぎにでもどうぞ
得票一位は、関連した幕間一個やるかも

投下が空いてて申し訳ない
ちょっくら飛行機乗ってきます
ひと月反応なければ黙祷捧げといてください

全て壊すんだ!(のワの)

>>853
あ!あんたは!……誰だっけ?(すっとぼけ)
そして残り約22時間10分で捧げなくてはならなくなる



「バレバレバレ! バレンタイン!」

はーじまーるよー


【さらば妹よ】


P「……」ペラッ


亜美「あ、姉ちゃんだ。おはy」

真美「……っ?!」バババッ

亜美「もががっ!?」


P「ん? 今亜美の声が……」ビューティーボイス


真美「あ、あわわわわ……」コソコソッ

亜美「むーっむーっ!」

真美「あ、亜美! 静かにしてよ!」グググッ!

亜美「んんんっ!!」ビクンッ!

真美「ね、姉ちゃんが読んでるアレって……ねぇ、亜美! ……亜美?」

亜美「…………」

真美「亜美……姉ちゃんが読んでるアレ……お菓子のレシピ本だよね……?!」

亜美「…………」


【乙女の一大事】


真美「やばいっしょ……バレンタインに女の子がお菓子の本を読むなんて、理由は一つ……!」


真美「姉ちゃん、誰かにチョコあげるつもりだよ!!」バァ-z_ン!


亜美「…………」

真美「い、一体誰に……ま、まさか、あまとう!? そんなのダメだよ姉ちゃん!」

亜美「…………」ダラーン

真美「よいしょっと」

亜美「…………」ズルズル

真美「だだだ、誰かに知らせなきゃー!」ズルズル

亜美「…………」ズルズル


【事務員は見た】


小鳥「ええと、頼まれてたのはこれと……あら?」


真美「どうしよ……やばいよコレ……」ズルズル

亜美「…………」グタァッ


小鳥「……!?」

小鳥(えっ、何がやばいの!?)


真美「やだよ……(姉ちゃんをあまとうに取られて)もう遊べなくなっちゃうよ……」

亜美「…………」ズルズル


小鳥「…………」




小鳥「(前科持ちになって)もう遊べなくなっちゃうよ!?」ドッギャァ-z_ン!!


【嗚呼、思い出の日々よ】


美希「あれ? 真美……?!」

真美「うあーん! ミキミキー!」ズルズル

亜美「…………」グタァッ

美希「ど、どうしたの、真美……?」

真美「姉ちゃんが……姉ちゃんがぁ!」

美希「……」


『泣いている真美』

   ↓

『動かない亜美』

   ↓

『それよりも深刻なハニー』

   ↓

『ハニーとの別れ』



P『ははっ、美希ー』

P『こっちだよー、おいでー、おいでー』

アハハハハハ...
  アハハハハハ...
    アハハハハハ...


【恋せよ一途に】


美希「……」

真美「うあうあ~! 姉ちゃんがお菓子の本読んでるんだよ! 絶対あまとうにあげるっぽいよ~!」

美希「……」

真美「……ミキミキ、聞いてる?」

美希「……ハニィィィィィィィイイイイイ!!!!!」

真美「うわっ!?」

(ダダダダダダッ!)

真美「……ミキミキ、必死な顔してたね……そだよね、そりゃ……」ガシッ

亜美「…………」グタァッ

真美「あまとうに取られるなんて、許せないもん」ズルズル

亜美「…………」ズルズル


【ミキ式地対P誘導弾】


P「ええと、湯煎したら、少しずつ生地に加えて……」


<....ニィィィィイィィィイイイイ


P「……向こうから何か聞こえるな」

美希「ハニィィィイィィィィイイイイ!!!!!」ダダダダダッ

P「げっ、美希?!」ゴソゴソッ

美希「ハニーーーーッ!!!」ダッ!!

P「おいなんで頭から突っ込んdごふぅっ!」メコッ

美希「や! ミキはハニーとずっと一緒だもん! ミキを残して勝手に死ぬなんて許さないの!」フルフル

P「わ、わが生涯に、全片の……悔い、しか……」ガクッ

美希「はにいいいいいいい!!!!!!!!!」


【旅路は続く】


真美「とりあえずミサイルが飛んでったから足止めはできるはず……」

真美「真美の力で、姉ちゃんの目を覚まさせてあげないと!」グッ

亜美「…………」グタァッ

伊織「あら、真美……って、それどうしたのよ」

雪歩「亜美ちゃん、瞳孔が開いてない……?」

真美「これ? うーんとね、さっき、つい勢いで、ガッとやっちゃって……」

伊織・雪歩「「ガッとやっちゃって?!」」

伊織「や、やっちゃったって、まさか……殺っ……」

雪歩「どっち!?」

真美「え?」

雪歩「殺っちゃったの!? 犯っちゃったの!? どっち?!」

伊織「どっちって、え?」

真美「多分ゆきぴょんが思ってるどっちでもないと思うよ」


【呼ばれず飛び出て】


雪歩「ち、違うの、いつも二人をそんな目で見てるわけじゃ、たまたま最近そういう本を読んで」

真美「姉ちゃんがあまとうにチョコをあげようとしてるんだよ!」

伊織「へぇ、あの奥手な馬鹿プロデューサーが…………は?」

真美「うん」

伊織「……だだだだダメよそんなの!! 一応、仮にもアイツ男でしょ!?」

雪歩「違うの、私ね、小鳥さんにいつも言ってるんだよ? 二人をそういう目で見ちゃダメだって。でも、でも私!」

真美「でも、姉ちゃんは、今、姉ちゃんなんだよ……」

伊織「そんな……な、なんとしてでも止めるのよ!!」


真「恋する乙女の悩みと聞いて!」バァ-z_ン!


真美「でも、具体的にどうやって……」

伊織「最悪、あのキザ男……女を縛り上げて隔離するわ」

真「ははは、無視はよくないよ、二人とも。ボクが傷付いちゃうから」

雪歩「だって卑怯だと思う! あの本を読んだ直後を見計らったようなタイミングで! だって! だって二人の愛は!」


【混迷は深まるばかり】


千早「今日も頑張らないと」

響「千早、最近は歌以外のお仕事も一生懸命だね」

千早「ふふっ、プロデューサーに力を貰ってるから」

響「へぇ、自分も分けてもらいたい、ぞ……?」


美希「ハニー! どうして、どうしてぇ……!」ヘタッ

P「」グタァッ


千早「美希、どうしたの……って、プロデューサー?」

美希「ハニーが……ハニーが、死んじゃったの……」ポロポロ

響「えっ」

千早「」ピシィッ!


【真実はいつも一つ】


響「えっ!? ど、どういうこと!?」

美希「真美が、ハニーが大変だって言うから、来てみたら……」※言ってません

美希「ハニー、死んじゃったのぉ……!」グスッ

響「う、嘘だよね? プロデューサー……プロデューサー!」

千早「」

響「い、一体、誰がこんなことを……!」

美希「そういえば、真美が、あまとうがどうとか……」※言いました


(ビキィッ!)


響「ひゃっ……!?」

千早「……天ヶ瀬、冬馬……」


【さらば妹よ(十回ぶり二度目)】


真「プロデューサーがぁ?」

真美「そーだよ! 今はミキミキが引き止めてると思うけど、このままじゃ……!」

真(……あれ?)

真「プロデューサー、そういやこの前、何か言ってたような……」

伊織「ほらっ! 雪歩もいつまでもウジウジしてるんじゃないわよ!」

雪歩「犬ですぅ……雪歩は、薄汚れてみっともない雌犬なんですぅ……」

真美「と、兎に角! みんなで姉ちゃんを引き留めようよ!」

伊織「そうね、こうしちゃいられないわ。ほらっ、行くわよ!」ガチャッ

真「えぇっ、ボクも?」

真美「当たり前っしょ! 姉ちゃんが取られてもいいの!? ほら、行くよゆきぴょん」ズルズル

雪歩「ふえぇ……」ズリズリ

真「はぁ、勘違いだと思うけどなぁ……」バタン



亜美「…………」シーン


【エンジェルリツコ】


律子「もー、あずささん、勝手にいなくなっちゃダメじゃないですか」ガチャッ

あずさ「すみません、小さな子に引っ張られてしまって、ついつい……」バタン

律子「でもその衣装、あずささんが着るとエンジェルというよりは女神ですね」

あずさ「ちょ、ちょっとこの歳であのイベントは恥ずかしかったです……着替えてきますね~」キィッ

律子「はーい」

(バタン)

律子「……」

律子「……」キョロキョロ

律子「小道具の魔法のステッキ……」カチャッ

律子「可愛いわね……」

律子「……」クルクル

エンジェルリツコ「ミラクルピラルクキリキリマイ☆ エンジェルリツコ、ただ今参上☆」キャピッ


亜美「……」

エンジェルリツコ「ハッ?!」


【あなたは太陽のRitsuko Angel】


エンジェルリツコ「……亜美?」

亜美「……」

エンジェルリツコ「ね、寝てるのかしら?」

亜美「……」

エンジェルリツコ「う、うん。聞いてないならいいのよ」

亜美「……」

エンジェルリツコ「さ、さぁて、お仕事に戻らないt」


亜美「まぶしすぎるYO! say,Yeah Yeah!」ガバッダダダッッ!


秋月律子「ああああああああああ!!!!!」


【真相は闇の中】


あずさ「律子さん、どこに行っちゃったのかしら……あら?」


美希「ばに゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙……」ヒックエグッ

P「」

あずさ「修羅場……?」

美希「ばに゙ぃ゙がじん゙じゃ゙っ゙だの゙ぉ゙……」

あずさ「あらあら」

P「」

あずさ「起きてくださーい」ペチペチ

P「」

あずさ「朝ですよー?」ペチペチ

P「」

あずさ「……この前、私の部屋で一緒にご飯を食べた時……」ボソッ

P「ひゃいっ!!」ガバッ!

あずさ「おはようございます♪」

美希「……なんなのなの」


【ドラマチック・ザ・二人】


美希「ハニー! 生きてて良かったのー!」ガバッ

P「はっはっは。殺しても死なない生きた化石ことP子ですわ」

あずさ「ほら、美希ちゃん。そんなしがみついてたら、プロデューサーさんも苦しいわよ?」

美希「や! 絶対に放さないの!」

P「私には果たさなければならない使命があるの。だから……」

美希「やなの! そう言ってハニー、また遠くに行っちゃう!」

P「美希……」

美希「ハニー……」

あずさ(まぁ、いい雰囲気?)


【気のせいだった】


亜美「どいたどいたーーー!!」ダダダダダダダッ!

P「ぐへぇっ!」ドグォッ!

美希「ハニーーー!!?」

律子「あむぃむわちぬわすわぁぁぁあああい!!!!」ダダダダダダダッ!

美希「えっなんなのなあふぅっ!?」ドグォッ!

あずさ「り、律子さんの膝が的確に美希ちゃんの鳩尾へ!」

亜美「おおっと飛距離飛型共に申し分ない出来! コレは高得点が期待できるっしょ!」

美希「わ、わが生涯……ハニーの膝で、死ねるなら……」ガクッ

亜美「姉ちゃんの方が先に死んでるけど」

P「」


【乙女のヒミツ】


律子「ん、何か弾き飛ばしたかな……あっ、亜美待ちなさい!」

亜美「尊い犠牲の上に、亜美は生きるのだ……あばよ~りっつぁ~ん♪」ガチャッ

(バタンッ!)

律子「あーーーっ!! 逃げられた!」

あずさ「亜美ちゃん、また悪戯ですか?」

律子「えっ」

あずさ「律子さん、随分怒ってるみたいですし……なんなら私からも」

律子「い、いいえ!! な、なんでもない、です……」

あずさ「そうですか?」

律子「なんでもっ……ないですっ……!」ギリギリ


【乙女のヒミツⅡ】


あずさ「この二人、どうしましょう?」


P「」

美希「」


律子「美希の方はお願いします。ほらっ、プロデューサー姫、起きてください!」ユッサユッサ

P「う、うーん、律子……はっ! この俺の口元から聞こえてくる美声は誰?!」

律子「何寝惚けてるんですか。ほら、せっかく小鳥さんや春香にやよいも手伝ってくれてるんですから、さっさとやりましょう」

P「えーと、なんだっけ……?」

律子「チョコ、作るんでしょうが!」グリグリグリ

P「アッ、そうだそうだ! そんな言い伝えもありまし痛い痛い律子さん痛いです」

あずさ「チョコ、ですか?」

律子「あっ」

P「あー、みんなには内緒でお願いしますね」

あずさ「分かりました」

P「特に外部には」

あずさ「分かりました……?」


【プロデューサーの野望】


あずさ「何か隠してると思ったら、それだったんですね」

P「フフフ……コレは聖戦である! 我が手によりし甘美なる供物……」

P「これを捧げられし偶像。彼の神達はたちまちその魅惑の美味に蕩け、骨抜きにされるであろう……」

律子「甘いものでみんなを労おうってことです」

あずさ「そうなんですか? 楽しみですね~」

律子「まぁプロモーションも兼ねてますからね」

あずさ「プロモーション?」

P「……本当にやるの?」

律子「はい、バッチリ」ニッコリ

P「律子様の仰せのままに……」

律子「ほら、三人が待ってますから。行きますよ」ガチャッ

P「仰せのままに……」バタン

あずさ「いってらっしゃいませー」


【おいてけぼり】


(ガチャァッ!)

貴音「ただいま、参りました!」ドヤァッ!


<ニイチャンヲ トメナイト...

     アマガセトウマコロスベシ。ジヒハナイ>

<ア、アミチャン、イキテタノ!?

     アミハホロビヌ。ナンドデモヨミガエルッショ!>


貴音「……」モッシャモッシャ

響「あ、貴音。おはよう」

貴音「響。私、実はこの事務所に居場所はないのでしょうか?」モッシャモッシャ

響「ああ、うん。大丈夫。自分もよく分からないから」


【そういう文化】


響「ところで、その口のものは……」

貴音「バレンタインとは真良き日ですね。ちょこれいとが食べ放題とは」モッシャモッシャ

響「いや、そういう日じゃないんだけど……」

貴音「何処へ行ってもちょこれいと。そして値段は安く、時に無料で配ってさえ」

響「……まさかその手の袋……まさか!?」

貴音「ここまでいただくのに、十回近く並び直しました」

響「友達から『この人、響ちゃんの事務所の人だよね?』って珍獣の如く写メが送られてたのはそのせいか……」

貴音「ふふ。有名税というものでしょうか」

響「……もしかして、今もそういうの期待してドヤ顔で事務所に?」

貴音「食べ物行事とくれば、私!!」ドヤァッ!

響「お呼びじゃないぞ」

一旦中断です。一か月遅れのバレンタイン。

長い間留守にしてました。お久しぶりです。
帰ってきて報告しようと思ってたら速報が鯖落ちしてて、復旧する前に再び離脱せざるを得ない羽目になってしまいました。
自分で一か月とか言っておきながら超ギリギリでした。死んでない死んでない。

ちょっとこの後用事があるので再開は夜か明日以降になります。
数日経ったらまたしばらくここに来れない日々が……それまでに終わるかな……。
とりあえず生存報告まで。

あなた様!生きておられましたか!お大事(?)にね

この事務所にいたら毎日が楽しくて飽きることはなく人生毎日ハッピーなんだろうな
それはそうとしてあなた様四日後はホワイトデーですが時空を1ヶ月跳ばすのですか?
それにしてもP(女版)はあずささんの家でナニをしたのか

お疲れ様です
続きですが、明日から空を越えて異国の地へ旅立つので、またもや時間が空いてしまいます
すみません
帰ってくるまで一週間強なので、その頃にロシア系の飛行機が残念なことになっていたら御冥福をお祈りください

帰ってきました、無事に
……PCをモスクワに置き去りにしてしまった以外は

そんなわけで、環境がなくなったので投下が著しく遅くなるというかまたしばらくおやすみします
ゴメンナサイ、ゴメンナサイ

ウフフ、こっそり書き溜めてた別のSSやらなんやらもまとめて全部消えたのは痛いですねウフフ

ごめんね兄(c)、書き溜め吹っ飛んで思い出すのが地味に大変なんだ……
そして新生活忙しくて時間と体力が足りない

いやー、予定もホント未定です、申し訳ない
最近めっきり忙しくて、空いた時間も別のものの進行に当てざるを得なくて

あと手書きはダメなんです
書いてる間に何を書こうとしてたか忘れてしまって

ご無沙汰しております。
なんとPCがモスクワから帰ってきました。やったね!
しかしながら、私生活が忙しくて投下している暇がなかなか作れないです。
もうしばしお待ちください、申し訳ない。


貴音「最近、私の出番がとんと見当たらないのですが」

春香「気のせいですよ。クッキー食べます?」ガサゴソ

貴音「! 気のせいだったようです!」


そんなわけで長引いててすみません
土日にもし時間が取れれば、投下したいなと思っています
予定は未定!

ホントは昨日一昨日のつもりでしたが、いろいろ溜まってたタスク片付けてたら週末が終わってしまった……
近いうちに投下はしますん

まずはバレンタイン(夏)を終えてから、幕間ちょっとやって、やよい→小鳥さんっていこうかなーって


【想いを馳せる】


貴音「なんと……想い人にちょこれいとを……」

響「一応そういうメルヘンの象徴だから、バリバリと貪るのはあんまり良くないと思うぞ」

貴音「あなた様……」ムシャムシャ

響「ああもう口の周りにチョコいっぱいつけて!」フキフキ

貴音「貴音はお慕い申しております……」モシャモシャ

響「そういう人にあげる日だからね? そしてせめて口のものを飲みこんでから言おうよ」フキフキ

貴音「今頃あなた様も、私のことを想っているのでしょうね……」モッシャモッシャ

響「顔赤いけど、まさかウィスキーボンボンで酔ったとかそんなベタな話じゃないよね」フキフキ

(ゴクン)

貴音「ああ……私が口にしたちょこれいとが、あなた様の中に……」ウットリ

響「グロいぞ」


【やよ's キッチン】


やよい「みなさーん! こーんばーんはー!」

P・律子「「こーんばーんはー」」

やよい「今日はバレンタインです! みんなで美味しいチョコケーキを作って、ぷれぜんとしましょー!」

P・律子「「おー!」」

やよい「うっうー! なんだかみんなで作るのって、ワクワクしますー!」

P「そうだねやよい、なんか事務所の方から負のオーラを受信した気がするけど気にしないことにするよ」

律子「本当にやよいはいい子ね。やよいのお陰できっと美味しいチョコケーキが作れるわ」

やよい「私、精一杯がんばりますね! それじゃあ、はい、たーっち!」

P・律子・やよい「「「いぇいっ♪」」」パァンッ!



春香「教えるの私なんですけどね……」ポツン


【究極超人リッチャン】


やよい「それじゃあはじめましょー!」

春香「じゃあまずチョコを湯煎して……」

P「直火にかけちゃダメぇ!」

春香「卵白でメレンゲを作って……」

やよい「あ、黄身がべちゃっとしちゃいましたね」

春香「粉類を、練りすぎない程度にさっくり混ぜて……」

P「とろろ! これとろろじゃないから!!」



春香「律子さん。ちょっと横で見学してましょうか」

律子「はい」


【実食】


やよい「できましたー!」

P「おぉ、思ったよりもまともな見栄え」

春香「皆さん! さっそく味見ですよ、味見!」

(モグッ)

やよい「おいひーれふー!」モグモグ

春香「もうちょっと焼き時間短くてもよかったかなぁ?」

P「甘さ控えめでしっとりビター。美味しいねえ、りっちゃん?」モグモグ

律子「……はい、美味しいです。とっても、とっても、ビターで……」


【天海春香、一世一代の頑張り物語を】


春香「えへへ。プロデューサーさん、上手くいってよかったですね! 私、プロデューサーさんのために一生懸命――」

律子「さ、さて、弾の補充はできましたね」グスッ

P「さあて涙目のりっちゃんを見ることもできたし、事務所に配りに行きましょ」スッ

律子「……」ガシッ!

P「はっ、放せッ! 放さんかッ!!」ジタバタ

律子「何のために保健所やらなんやらに面倒な手続き通した上に醜態まで晒したと思ってるんですか」グスッ

P「嫌だーっ! その一線は、その一線だけはあああああ!!!」ジタバタジタバタ

律子「往生際が悪い」グッ

P「きゅっ」ビクンッ!

律子「ほら、行きますよ姫」ズルズル

P「」ズルズル


春香「……一生懸命、頑張り、まし、た……」


【可愛いあの娘はナイスガイ】


春香「あはは……私、頑張ったのにな……」

やよい「……」

春香「プロデューサーさんのためにって……ううん、そうだよ」

春香「プロデューサーさんのためにしてあげたかっただけで、感謝されたかったわけじゃ……あはは……」ツツゥッ

やよい「……」

(ポンポン)

春香「……やよい……?」

やよい「……私は知ってます。春香さんはがんばりまし……がんばったぜ、べいべー」グッ

春香「や、やよいさん……!」

やよい「おれに、ついてこいよ!」サムズアーップ!

春香「やよいさん!!」


【キラーマシンCHIHAYA】


千早「……」ギロッ

通行人「!?」ビクゥッ!

千早「……」ギロッ

通行人「……」ビクビク

千早「……」ギロッ!

強面のおじさん「オウ、姉ちゃん。怖ェ目つきしてるじゃねえか。何か文句でもあるんか、おォ?」

千早「……」ギンッ!

強面のおじさん「オ、オウ、随分睨んでくれるじゃねェか」

千早「……」ズズズズズ

強面のおじさん「……な、なんか知らんが悪かった。そ、それじゃあ、俺は急ぐからな……」スススッ

千早「……アマガセ、トウマ……」ギリッ...!


【しかし止める勇気はなかった】


伊織「千早、親の仇を見つけたような表情で飛び出していったけど大丈夫かしら」

雪歩「でね、二人は誓い合うんだよ? 『例え許されない恋だとしても、亜美たちはずっと一緒だよ』って。その言葉を聞いて真美ちゃんはね」

真「うーん、あの千早にはボクも勝てる気がしないな」

真美「だいじょーぶだよ、ほら、『三本のちは矢』って諺あるじゃん」

伊織「無いわよ」

真美「『千早一人はすぐに折れる。千早が二人いてもちょっと力を加えると折れてしまう。でも、千早が三人いれば』……」

真「千早が、」

伊織「三人いたら……」

雪歩「『そんなこと言われなくても、真美は、ずっと一緒だから』って」

真美「やだよ千早お姉ちゃん三人は確実に持て余すよ」


【三本のちは矢】


千早A「私、歌しか歌いたくないわ」

千早Aは歌しか歌いませんでした。


千早B「何のためにバラエティに出るんですか?」

千早Bはバラエティに出ることを拒否しました。


千早C「たくさんの人に知ってもらって、歌を聴いてもらう……それに、歌以外で人を楽しませるのも、いいことだと知ったから」

千早Cは王道の売れっ子コースを歩み始めました。


真美「こうして、千早A&Bは泣かず飛ばずで引退、千早Cは歌姫と呼ばれるようになりましたとさ」

伊織「それは三匹の子豚よ」


【ハギワラユキホ新劇場版:破】


真「とりあえずプロデューサーを探しに出てみたはいいものの……」

伊織「ついでに千早も回収しないとね」

雪歩「真美ちゃん。私ね、もっと素直になっていいと思う。きっと亜美ちゃんも待ってるよ」

真美「ねえいおりんどうしよう。ゆきぴょんが現実の境界を越えようとしてるっぽいよ」

伊織「人の域に留めておいた雪歩が 本来の姿を取り戻していく……」

真「夢と現実を紡ぎ、欲望の巨大なうねりの中で、自らを妄想の疑縮体に変身させているんだ」

伊織「純粋に小鳥の願いを叶える、ただそれだけのために」


小鳥「……へっくち! だ、誰かがあたしのことを生き遅れとか言ってる気がするわ……!」

今日はここまで
このスレ内で終わるといいな!


【小鳥、あなた疲れてるのよ】


小鳥「って、そんなことボヤいてる場合じゃないわ!」


小鳥「真美ちゃんが、亜美ちゃんを殺しちゃった……!」


小鳥「は、早くプロデューサーさん達に伝えないと……!」グスッ

小鳥「ごめんね、亜美ちゃん、真美ちゃん……止めてあげることがでなくt」


亜美「もー、真美ったら亜美を置いてくなんてひどいっしょー」テテテッ


小鳥「……」

小鳥「……」ゴシゴシゴシゴシ

(シィ-z_ン)

小鳥「……ふふふ、幻覚に幻聴なんて……あたしも大分参ってるみたいね……」


【走る走る、音無】


小鳥「急いで!」タタタッッッ!

小鳥「プロデューサーさんに……!」タッタッタッ!

小鳥「伝えな……」テテテ...

小鳥「きゃ……」ゼェゼェゼェ...


響「ん? ぴよ子、玄関の前で立ち尽くしてどうしたんだ?」

小鳥「はなっ、し、かけっ……」ゼェゼェゼェ...


小鳥(アラサー体力ッ……!!)ゼェゼェゼェ...


【マラトンの戦い】


小鳥(く、口惜しいけれど、あたしの体力には限界がある……)ゼェゼェ

小鳥「と、時に響ちゃん……エウクレスという人物を知っているかしら?」

響「ん、いきなりなんだ? えーと、聞いたことあるような無いような……」

小鳥「かつてギリシアとペルシアが戦った時、味方を勢いづけるために自軍ギリシアの勝利を町へ伝えるため

、約40kmを走り切って絶命されたとされる英雄よ……」ゼェゼェ

響「それがどうしたの?」

小鳥「響ちゃん、あなたにね、765プロのエウクレスになってほしいの……!」ゼェゼェ

響「遠まわしに死ねって言ってるのか?!」

小鳥「違うの! 私では40kmを走りきり、プロデューサーさんにメッセージを伝えることはできない……」ギリッ

小鳥「でも……でも、あなたなら……どんな困難も、走り抜けることができる……!」

響「……!!」ピクッ!


【我ら勝てり】


響「よくわかんないけど……分かったよ、ぴよ子!」ガシッ!

小鳥「響ちゃん……!」

響「大丈夫、全部自分に任せて。この響チャレンジ、命を賭してでも、成功させるさ……!」

小鳥「ありがとう……ありがとう……!」

響「それじゃあ、行ってくるよ! 死ぬなよ、ぴよ子……!」ガチャッダダダダッ!

小鳥「響ちゃんこそ……ウッ」ガクッ

貴音「……」モグモグ


貴音「して、小鳥嬢。響はどこに何を伝えに行ったのでしょう?」モッシャモッシャ

小鳥「……あら?」


【ビーム輝くフラッシュバックに奴の影】


響「……って!」タッタッタッ!

響「走り始めてはみたけど、プロデューサーがどこにいるか分からないぞー!」ウガー!

(ドンッ!)

響「いてっ!」

???「いってェ!」

冬馬「どこ見て走ってんだ、この!」

響「あ、甘八つ橋落雁!」

冬馬「八つ橋も落雁も、甘味はいいモンだよな……ってちげェよ!」クワッ!

響「なんだかんだで毎回ノってくれるお前は嫌いじゃないぞ」


【追跡者】


冬馬「そうかいありがとよ……で、何を急いでたんだ?」

響「ちょっと人探してて……あ! そういやプロデューサー見なかった?」

冬馬「プロデューサー? あのフラフラ男なら見てないぜ」

響(あ、そういや今日はねーねーの日だっけ)

響「ああ、違った違った。プロデューサーじゃなくてP子――」

冬馬「うぇっ!?!??!」ズザザザッ!

響「!? じ、自分なんかまずいこと言ったか!?」アセアセ

冬馬「し、知らねえよ?! 別に朝から追いかけててさっき見失って探してたとか、そんなことは……!」アセアセ

響「ねぇところでさ、自分、P子探す前に行く場所ができたんだけどさ」


【水面下の裏工作】


響「えーっと、交番の位置は……」ピッピッ

冬馬「で、出来心だったんだ! 朝偶然見かけたから、つい……!」

響「次やったら本人にバラした上で週刊誌にタレコミするからね」

冬馬「ほ、本人にだけは……!」

響(多分知ってるけどね、本人)

響「それで、最後はどこで見かけたの?」

冬馬「それが……探してる途中で、こんなビラを見つけてよ」ピラッ

響「へ? えーと、何々……?」


『765プロの謎アイドル、衝撃のデビューCD手売り販売会!』


響「ふーん、こんなことしてたんだ……って、え?」


響「ええええええええええええええええ!??!?!」


【プロデューサーとは何だったのか】


P「ね、ねーぇりっちゃぁん……本気でやるの?」

律子「レッスンを重ねてノリノリで収録してたのはどこの誰ですか」

P「CDはいいのCDは! 媚び媚びの手売りも百歩譲る! なぁんでこうさぁ!」


(フリフリキャッピィ-z_ン☆)


P「猫耳フリフリメイド服ってアホかァーーーっ!!!」バァンッ!!


P「男だよ! 私紛いなりにも一応男の子ですよ! 健全な! 真にでもやらせときなさい!!」バンバン!

律子「健全……?」

P「そこ! 聞き直さなくていい泣きそうだから! いずれにしたってこんな変態じみた衣装……!」

律子「あれ? その衣装の考案者はどこのどなたでしたっけ」

P「そっ……」ピコピコ

律子「そして、屈辱の水底で、その衣装を着させられたのは誰でしたっけね」

P「……」フリフリピョコンッ

律子「ほんと、いい趣味してますよね」

P「……ガンバリマッス」フリフリピコピコ

ここまで

このペースなら平日も投下できれば今週中に終わりそう?
あっちのスレも進めないと……時間が足りぬ時間が足りぬ


【第六感】


貴音「……!」キュピィン!

あずさ「あら、窓の外を見つめてどうしたの?」

貴音「何かが私を呼ぶのです。あの方のもとへ誘おうと」モッシャモッシャ

あずさ「貴音ちゃんの勘って、いつも鋭いのよねぇ」

貴音「きっと何かが……プロデューサーのもとへ行かなければ……」フラァッ

あずさ「っとと、危ないわよ、貴音ちゃん? まともに歩けないでしょう」

貴音「で、ですが、あずさ――」


<プップー


貴音「……たくしぃ?」

あずさ「でもね、私の女の勘も、捨てたものじゃないのよ?」


【明治大正昭和平成】


(ブロロロロロ...)

貴音「まこと、この世の中も便利になったものですね……」

あずさ「貴音ちゃんが生まれる前からあるでしょう?」

あずさ(……あったのよね?)

貴音「……便利になったものですね」

あずさ(わざわざ言い直したわ……)

貴音「そう、かつての……かつての……」

あずさ(あれかしら、一生懸命冗談を……)

貴音「牛車の全盛期が懐かしく感じます」

あずさ「平安?」


【町内の車窓から】


あずさ「って、あら?」


亜美「……」ブンブン


貴音「亜美が手を振っていますね」

あずさ「ホワイトボードを片手に何か書いてるわねぇ」


亜美「……」ゴソゴソ

『ヘイ、タクシー!』バッ


貴音「……」

あずさ「……」


貴・あ「「通過で」」


【複雑な乙女心】


(ブロロロロロ...)

亜美「二人ともひどいっしょ、亜美を無視するなんてー」

貴音「ふふふ、冗談ですよ」

あずさ「亜美ちゃんを無視するはずないじゃない」

亜美「お姫ちんはさておき……あずさお姉ちゃんいいセーカクになってきたね……」

あずさ「あらあら、そうかしら~?」

亜美「思いっきり兄ちゃんの影響受けてるね……」

あずさ「もう、影響だなんてそんな……ふふっ」

貴音「……」ガンッ!

亜美「いたぁっ!? なんで亜美の脛蹴ったの!? ってかお姫ちん酒っぽ!」

貴音「……」ガンッ!

亜美「黙りますっ!」


【その瞳に映るものは】


亜美「で、タクシー降りたのはいいけどさ」キョロキョロ

<イラッシャーセー!

      コウカカイトリオコシクダサーイ!>

<シンハツバイノCDデスヨー!

      タイムセールハアトイチジカン!>

亜美「姉ちゃんの影も形もないじゃん」キョロキョロ

あずさ「貴音ちゃんの勘によると、この辺りにいるらしいのだけど……」キョロキョロ

貴音「貴女様……どこにいるのですか……」フラフラ


貴音「……はて?」


亜美「お姫ちん何か見つけた……の……?」

あずさ「えっと……あれは……」


【一方事務所では】


小鳥「ふー、休んだらなんとか体力も戻ってきたわ……」

小鳥「毎日ランニングでもしようかしら……」

小鳥「そして、ランニングを続けるうちにちょっと良いなって感じの人と出会って……」

小鳥「一緒に走るようになっちゃったりして……」

小鳥「そして、いつしかその男性を……」

小鳥「……」

小鳥「プロデューサーさんに、紹介して……」

小鳥「二人は、いつしか深い仲に……!」クワッ!

小鳥「……いける! これで夏の新刊はいけるわ!! というか欲しい!!!」カッ!


やよい「こんにちはー!」ガチャッ

小鳥「ひゃあああああああっ!?」


【若年性なんとか】


小鳥「ああ、神よ……この汚れた御魂を救い給え……」ブルブル

春香「また変なこと考えてたんですか……」バタン

小鳥「許して……許して下さい……」

やよい「小鳥さん、よくわかんないですけど、そんなに謝らなくていいんですよ?」ナデナデ

小鳥「か、神はここにいた!」

春香「で、事務所は誰もいないんですか?」キョロキョロ

小鳥「ええ、さっきまで貴音ちゃんとあずささんがいたけど、出かけちゃったわね」

やよい「そーなんですかー」

春香「プロデューサーさんがCD売るの、みんなで手伝いに行こうかなって思ってたんですけど」

小鳥「……」

小鳥「あ、それでいなかったのね」ポンッ

春香「事務員がそれでこの事務所大丈夫なんですか?」


【忍び寄る魔の手】


(ズル...)


小鳥「だ、大丈夫よ! 心配しないで!」


(ズル...ズル...)


春香「でも、ホントは小鳥さん、売り子行くとか言ってませんでしたっけ?」


(ズルズル...ズル...)


小鳥「そっ、それは! その……ね?」アタフタ

やよい「……?」

春香「もう、小鳥さんしっかりして下さいよ……やよい?」

やよい「あ、ごめんなさい。何か、変な音がした気がして……」

春香「変な……音?」


【おそいかかってきた!】


(ヒュッ!)

(ピトォッ)


春香「ひっ!?」ゾクゥッ!!

春香「やああっぁぁあああ!!!??」ビクゥッ!!

小鳥「は、春香ちゃん!?」

やよい「春香さん!!」

春香「やだあああ首元に!!」ジタバタ!


<ナノォ...


春香「何かがぁぁぁあぁ……って、なのぉ?」ピタッ

小鳥「えっと、ソファーの裏から、手が……」


美希「な、のぉ……」プルプルプルプル


春・小「「み、美希(ちゃん)が死にかけてるーー!!」」


【顔面セーブ(W杯エディション)】


美希「酷い目にあったの」

やよい「いきなり鳩尾は痛そうです……」

美希「ほんととばっちりで痛かったの……謝罪と賠償を要求する構えなの……」

小鳥「でも見つけられてよかったわ。もう少しで鍵して出てっちゃうとこだったから」

美希「? みんなどっか行くの?」

春香「うん、ちょっと売り子手伝いに。美希も行く?」

美希「んー……ミキは疲れたから、このままソファーでグータラお留守番してるね」

小鳥「そう? じゃあプロデューサーさんのCDはもらってきてあげるから、お留守番よろしk」

(ガバァッッベシィンッ!!)

小鳥「ぴっ!?」

美希「売り子ってハニーのCDなの!? 行く!!!」

小鳥「……」

美希「……小鳥、なんで顔に雑誌くっつけてるの? 面白くないよ」

小鳥「言うに事欠いてこの金色毛虫は」

ホンジツココマデ
ノリと勢いの日常編なので少しキャラ崩壊気味
でも気にしない


【アッシー君】


(ガチャッ)

小鳥「それじゃ、販売場所に行きましょうか」

やよい「ついてこいよー!」ウッウー!

春香「やよいさん、お供します!」

美希「あ、でもミキ、今電車賃ないかも」

小鳥「ふっふっふ……美希ちゃん、心配はいらないわ」

小鳥「何故なら……!」

(バッ!)

小鳥「赤羽根さんが車中待機してくれているのです!」

赤羽根「……」グタァーッ

美希「……生きてる?」

小鳥「赤羽根さぁぁぁぁあああああん!?!?」


【セルフサービス】


(ブロロロロロロ)

赤羽根「す、すみません……ガソリン節約のためにエンジン切ってたら……」

春香「開けた瞬間むわっとしましたもん……あんな車内にいたら死んじゃいますよ!」

やよい「だいじょーぶですか?」

赤羽根「お陰様でなんとか……水買ってきてくれてありがとな」

春香「いえいえ」


小鳥「結局、あたしが運転するのね……」ブロロロロロ

美希「楽しようとした罰なの」


【役得】


赤羽根「……ところで……」

春香「はい?」

赤羽根「その……どうして……」

(フニョン)

赤羽根「……膝枕?」

春香「だって赤羽根さん、座るのも辛そうだったので……」

赤羽根「いや、その……だ、大丈夫! もう大丈夫!」スッ

やよい「赤羽根さん、春香さんの膝、気持ちよかったですか?」

赤羽根「ああ、柔らかくてどんな枕よりも……って何を言ってるんだ俺は!」

やよい「膝枕……」

春香「あはは、なんだか繰り返し言われると照れちゃうな。でも、体調戻ったみたいで良かったです」


小鳥「ッ……」ギリリリリ...

美希「小鳥大丈夫? 噛み締め過ぎて唇から血が出てるの」


【みんな仲良し765プロ】


春香「みんな事務所にいなかったですけど、プロデューサーさんのこと教えたんですか?」

小鳥「ええ、教え――」

小鳥「……」

小鳥「……てへ、小鳥忘れちゃったかも☆」

美希「歳考えて」

小鳥「この金色毛虫」

やよい「プロデューサー、みんなのために折角頑張ってたのに……」ショボン

小鳥「うぅっ!」グサッ!

美希「ねえ赤い人どう思う? この扱いの差」

赤羽根「ああ……これが765プロの縮図なんだな、って」


【さまようちはや】


小鳥「さて、そろそろだから適当なコインパーキングに――」

美希「あれ? あそこ歩いてるの千早さんなの」

やよい「あ、ほんとですー。お一人でどうしたんでしょう?」


千早「……」フラァフラァ


春香「千早ちゃん亡霊みたい……」

赤羽根「さまようよろいか……」

小鳥「あくま系を血統に配合すればあくまのきし……」

やよい「さまようよろい?」

小鳥「?! し、知らないの!?」

赤羽根「これが……ジェネレーションギャップ……」


【対する平均年齢最年少部隊】


真美「ほら早くしてよ! 姉ちゃんがお嫁に行っちゃうよー!」

伊織「ま、真何トロトロしてんのよ! 早くしないとちかが!!」

真「は? ちか? というか伊織まで何を本気になってるのさ……」ハァ

雪歩「でもそんな真ちゃんも、心の中では揺らいでるの。『伊織とは遊びのつもりだったのに……ボク、どうして……?』」

伊織「真そいつ殴っていいわよ」

真「やめてよ伊織、今ボクは良心の呵責と報復への恐怖を盾にして何とか自分を抑えてるんだから」

真美「ゆきぴょんって下手に手出しできないから性質が悪いよね」

雪歩「タチ……?」

雪歩「ち……違いますぅ! 黒井社長がネコなんですぅ!!」

伊織「なんか別スイッチ入ったわよ」


【ターゲット・ロックオン】


(テクテク)

真美「ん……? あそこにいるのって……」


冬馬「……」テクテク


真美「あ、あまとうだァーーーー!!!」

伊織「見つけたの!?」

真「あ、ホントだ」

雪歩「冬馬くんは勿論受けだよ。でもヘタレ攻めもありなのかな。ねぇ真ちゃん、どう思う?」

真「サンドバッグになってボクの正拳突きを受けてくれないかなぁ」


【幸せな夢】


冬馬「手売り販売か……握手とか、できんのかな……」

響「まぁあまりにも混んでなければできるんじゃないかな」

冬馬「いつも聴いてるって伝えてよ……『ありがとうございます!』なんて微笑まれて……」

冬馬「言いながら、少しアイツは頬を染めるんだ。そして、そっとその手を握って……」

響「甘太郎、ギャルゲーのやりすぎだぞ」

冬馬「俺は言う。これからも、ずっとその声を聴かせてくれ、と。アイツは僅かに涙を浮かべながら頷くんだ」

響「まずいよこれ思ったより深刻だぞ自分の手には負えない」


【サーチアンドデストロイ、サーチアンドデストロイだ】


真美「そうはさせないぜあまとう団! 行けぇまこちん! メガトンパンチ!」

真「石破! 天驚ォ拳!!」ヒュッ!

冬馬「何だお前らいきなり何しに来うぐォっ!?」ドフッ!

響「あ、甘太郎!?」

真「ヒート……!」グググッ

冬馬「ま、待っt」

真「エンドゥ!!」ズンッ!!

冬馬「俺が何をしたあぁぁぁげふぅっ!!」ドッパァ-z_!!

響「あまたろおおおおお!! 思い返すと色々やったぞお前!!!」

冬馬「神は……死んだ……」ガクッ

今日はここまで
最早このスレのテンションを逸脱して単発スレのノリ
まさかの4スレ目はこちらです

貴音「貴女様ぁ……」ヒック P「面妖な……」 伊織「カルテット、よ!」
貴音「貴女様ぁ……」ヒック P「面妖な……」 伊織「カルテット、よ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1403717159/)

最近なかなかまとまって投下できてませんが、お暇な方はご賞味ください

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きのHalさん   2013年11月06日 (水) 23:54:14   ID: gN5w1lTl

このシリーズは大好きなので早く続きを書けくださいお願いします(◎#◎)

2 :  SS好きのHalさん   2013年11月13日 (水) 22:19:07   ID: 8JBBysqE

更新キター!
(*≧∀≦*)

3 :  SS好きの774さん   2014年03月24日 (月) 04:25:47   ID: 28btvD_j

何てことだ…でも、更新頑張ってください!!

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom