ほむら「さあ、すべてを救いましょうか」(674)

注意

このSSには以下の成分が含まれております。苦手な方はご注意ください。

・ほむらがループを重ね最強の存在になってTUEEEEEします。その関係でほむらが少し厨二病を患ってます。

・独自解釈、独自展開、超展開、ご都合主義があります。

・本編とオリコのキャラが出てきます。

・地の文あり

注意点は以上になりますよろしくお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1368641200

[プロローグ]

ピンクの髪の少女が階段を上る。周りには緊急避難用の電灯が灯っているが彼女は目もくれずに最上階を目指す

息を切らしながら屋上にたどり着くとそこに待ち構えているのは白い猫のような生き物-QB-が待っていた

QB「あれがワルプルギスの夜だよ」

QBの視線を追いかけると下半身が歯車でできた青いドレスを着た人形のような魔女がいた。しかし…

QB「結界に隠れる必要さえない最強の魔女…」

QB「そのはずなんだけ、これは一体どういうことなんだい?わけがわからないよ」

一度顕現するだけで都市が滅びると聞いていた少女も驚きを隠せない。

なぜならそこには












普段通りの何一つ変わらない風景が存在していた。

ワルプルギスの夜は一つのビル目掛けて攻撃を仕掛けようとしているようである。そこには朧気にに人影が見えた。

黒髪で長髪の少女だ。彼女もおそらく魔法少女なのだろう。しかし彼女はワルプルギスの夜を前にしても微動だにしない。

QB「あ、危ない!」

黒髪の少女がワルプルギスの夜のが放つ光線を正面から受けてしまったのが見えた。普通の人間は愚か魔法少女でさえ蒸発してしまいそうなエネルギーだ。

QBもピンクの少女も彼女の死を確信したが、そこには先ほどと変わらずに少女が佇んでいた。

QBはかすかに黒髪の少女のつぶやきを聞く。

黒髪の少女「……結界………の範……問題…い……………ワルプ……の脆………」

黒髪の少女「……で全……備が………」

そこから急に歓喜に震えるような声色で荒々しげに少女は叫んだ

黒髪の少女「さあ、世界を救いましょうか」

その言葉を発した直後黒髪の少女は最初からいなかったように消えてしまった。



ピンクの髪の少女「……誰?」
[プロローグの終わり]

しまった1以降の酉間違えた

今の酉でやります

[side Madoka]
私-鹿目まどか-が目を覚ます。そこにはなにも変わらない日常があった。ワルなんとかの夜なんていなければ白い猫も黒髪の少女もいない。

まどか「夢オチー?」

どうやら変な夢をみていたみたいです。

ところで今何時だろう。ふと時計に目を向けると時計の針は朝の8時を指していた。

まどか「遅刻!!!」

勢い良くベッドから抜け出し制服に着替え、リビングに行きパパに尋ねた。

まどか「パパ…なんで起こしてくれなかったの?」

まどか父「今日何か用事でもあったのかい?」

少し話が咬み合っていないと感じましたが続けます。

まどか「だって学校…」

パパがカレンダーに視線を向けると同時に私もカレンダーを見ると…

今日が土曜日であることを示しています。

私はすぐにごまかすように笑みを浮かべます。

まどか「ウェヒヒ…今日土曜日だったね」

顔が赤いのが自分でもわかります。

まどか父「せっかくだし散歩でもして、頭をスッキリさせてくるといいよ」

朝食をすまし、私服に着替え直し、顔を洗ってから散歩に出かけることにしました。

エイミーと遊んでこよっと。

数分歩いているとエイミーとよく遊ぶ河原につきました。

エイミーもこちらを見つけたらしくミーっと可愛らしく鳴いてこちらに走ってきます。

私も走りだそうと一歩踏み出しました。







なにかに抑えられる感覚とともに目の前をトラックが通り過ぎました。



そのまま踏み出していたら轢かれて…?

よくわからない思考がうまくまとまらないトラックがなんでこんなところに?なにがおこった?なんで?

まどか「キャー!!!」

急に怖くなり悲鳴をあげてしまう。そのお陰で少し落ち着きました、状況を整理します。

エイミーを見つけ、走ろうとしたら急に何かに抱きとめられるように抑えられ、目の前をトラックが通り過ぎた。

うん、ここまではいい。

…エイミーは?

道路にはエイミーがいたはずだ。

まどか「エイミー!!!!」

すると先程まではいなかった黒髪の少女がエイミーを抱きかかえながら訪ねてきます。

黒髪の少女「エイミーとはこの猫のことかしら?」

[side madoka is over]

[友との出会い]
黒髪の少女は黒猫を抱えまどかに差し出す。

まどか「エイミー!エイミー!」

まどかは泣きながらエイミを抱きしめる。ニャーっと場違いの鳴き声がまどかの涙の量を増量させる。

黒髪の少女はまどかの背中をさすりながら泣き止むのを待つ。

ここでネタばらしをするのならば黒髪の少女が魔法を使い時間を停止させ、まどかの歩みを止めさせエイミーをトラックから救いだしたのだ。




ただし、その前後に服装の変化はなく、手元に宝石をはめた指輪も存在していない。

数分が経過しまどかが泣き止んだのを確認した少女は河原に腰を下ろし話し始めた。

黒髪の少女「落ち着きましたか?」

まどか「あ、あの。ありがとうございます」

黒髪の少女「構わないわ」

黒髪の少女「こちらとしても助かってくれて嬉しい」

微笑しながら黒髪の少女がそう答えるとまどかは尋ねる。

まどか「なにかお礼をさせてもらえないでしょうか?えぇっと」

おそらくまどかは名前を聞いていないことに気づいたのだろう。それを察したのか黒髪の少女は

黒髪の少女「暁美ほむらよ」

ほむら「気兼ねなくほむらと呼んで頂戴」

ほむら「それに大したことをしたわけではないからお礼はいらないわ」

有無を言わさない言い方に少し気圧されたまどかは咄嗟に話題を変えようとする。

まどか「ええっと、大したことじゃないって何をしたの?」

まどかは当然の疑問をぶつけていた。

         
ほむら「私ね、魔法使いなの」

ほむら「専門は時空間操作、簡単にいえば時間を操る魔法が得意ってことよ」

突然の物言いにまどかはポカンとした表情を浮かべる。

ほむら「信じていないようね、まあ無理もないけど…」

ほむら「だからといってもう一度魔法を使って力を誇示することはしないわよ」

まどか「あのね、信じられないとかじゃなくて、いきなり言われて驚いちゃって」

まどかは苦笑いを浮かべるがその表情は半信半疑だというのが見えていた。


ほむら「私のことはまあいいわ…」

ほむらは顎に手をあて少し思考し、どこからか画用紙を1枚取り出した。

最初は何も描かれていない紙であったが、数秒後白い猫のような生物-QB-の絵が浮かび上がってきた。

ほむら「この生物に見覚えはあるかしら?」

まどかはその絵をみて今朝見た夢でQBを見たことを思い出した。そのことが表情にでていたようで、

ほむら「なにか知っているようね」

ほむら「この子はQBと言って願い事一つと引き換えに契約を行い魔法少女を作り出す存在よ」

ほむら「そして魔女と呼ばれる悪しき存在と一生戦い続けることを強いてくるわ」

ほむら「だから、何を言われても貴方はQBと契約したらだめよ」

ほむらは言いたいことを言い切ったかのようにまどかの様子を伺う。
まどかは今言われたことを整理するように思考を続け、疑問を思い浮かべたようで言葉を発する。

まどか「ほむらちゃんも魔法少女なの?」

ほむらは即答する。

ほむら「私はもう少し格上の存在なのだけれど…始まりはQBとの契約だったからその認識で大体あってるわ」

未だ半信半疑のまどかとそれ以上は語る様子のないほむらは魔法少女の話題は切り上げエイミーと戯れながら雑談を始める。

例えばまどかは学校であったこと、例えばほむらは最近引っ越してきていて見滝原中学校に転校するということ。不思議と2人は気が合い話は弾んでいた。

お昼少し前の時間になりほむらは腰を上げる。

ほむら「そろそろいい時間だし失礼するわ」

まどか「えっ!?もうそんな時間かぁ」

まどか「ほむらちゃんと話してると楽しくて時間が早く感じちゃうね」

ほむらは微笑しながら答える。

ほむら「これも私の魔法かもね」

ほむらの楽しそうな受け答えにまどかはつい見惚れてしまう。

まどか(とっても綺麗な笑顔…)

そうだとほむらは呟きまどかに尋ねる。

ほむら「ねぇまどか?私と友達にならない?」

この時暁美ほむらにこの世界で初めての友ができた。

本日は以上となります。

こんばんは本日分投下していきます。
3人目まで出会うところまでいこうと思ったのですが、思った以上に話が進みません。
よろしくお願いします。

[お嬢様との出会い]
ほむらは昼食をすませ、散歩を続けた。いままでの時間は常に研究を続けていた彼女にとって街を歩くこと自体が楽しくてしょうがないようだ。

ほむら(こんなに楽しいなら研究なんてさっさと終わらせるべきだったわね)

ほむらの過去についてはいずれ語る機会があるかもしれないが今は触れないでおこう。

商店街に着きウインドウショッピングを1時間ほど楽しみ、更に散歩を続けていると、広い屋敷にたどり着いた。

そこには美国議員に対しての誹謗中傷の限りが綴られており、もとは立派な家屋であったと思われる建物は廃れていた。

さらにはヤジウマらしき人物たちがその屋敷にむかって暴言をはき続ける。

ほむら自身は美国議員のことは知らなかったが、おそらく賄賂を受け取りそれがバレた人物なのだろうと推測した。

ほむら(こんなに天気がいい日に暇な人たちもいるものね…)

ほむら(でもこのまま暴言を続けられると言霊が悪しき影響を作りかねないわね)

一つ一つの言葉に力はないが、ここまで多人数かつ指向性がはっきりしていると少なからず影響が出る。

ほむら(嗜虐性の向上と罪悪感のマヒ、あとは対象者に対する軽い呪詛いといったことかしら)

集団心理といってしまえばそれまでだが、そこには確かに魔法の影響がでそうである。

そして、ほむらは決心するや否や魔法を使う。言霊に対するは言霊を用いた魔法である。

ほむら「偏りし思いよ、均等に馴らし給え。思いは我が力によって霧散し各が糧とせよ」

魔力を込めた言霊が発せられる。刹那かすかな紫の閃光とともにノイズのような音が周囲に響き渡る。

暴言を吐いていた人々は少し戸惑っていたようだが、我に返ると一斉にキビを返し帰っていった。

ほむら(思考誘導と軽い幻覚魔法はうまくいったようね)

だがこんなことは一時しのぎであることはほむら自身もわかっているだろう。

この場を収めても明日には同じ状況になるだろう。そこに介入する義務はなく、義理もない。

ひとまず壁の落書きを時間逆転の魔法で落書き前の状態に戻す。

ついでに結界でも張っておこうと思案してると。一人の銀髪でポニーテールの少女が玄関から出てきて疲れ果てた声でこう言ってきた。

銀髪の少女「今日は一人しかいないのね」

銀髪の少女「もう父はいないというのに…」

さらに苦言を呈そうとしたが、壁の状況をみるとハッと息を飲みほむらに尋ねた。

銀髪の少女「えっ?これは貴方が…?」

戸惑っているのがヒシヒシと伝わってくるが、ほむらは相手がお嬢様なことをを確認すると対抗するようにお嬢様のようにスカートを広げ一礼し答える。

ほむら「はじめまして、暁美ほむらと申します」

ほむら「ただの通りすがりの魔法使いでございますわ」

いろいろと間違っているが、そんなことに気も回らない銀髪の少女体に身についた社交辞令を返す

銀髪の少女「はじめまして、美国織莉子です」

織莉子「魔法使いさんがうちに何か御用でしょうか」

ほむら「気軽にほむらと呼んで頂戴」

ほむら「それにただの通りすがりのといったでしょう?通りすがるのに理由が必要かしら?」

クスクスと笑みを浮かべて話を続けた

ほむら「美国ということは、件の議員さんの娘なのかしら?」

言うや否や織莉子の顔が険しくなる。半分は憤りの表情もう半分は諦めの表情を浮かべていた。

織莉子「あなたも周りと同じなのね」

ほむらは不思議そうな表情を浮かべていた。

ほむら「私は確認をしただけよ?話題提供を間違ったかしら?」

ほむらにしてみたらただ相手の状況を確認し、少し話を広げようとしただけである。もちろん世間一般から見たらそんなことは間違っていることは言うまでもないが、ほむらには少し常識が欠けていた。一方の織莉子は本気で不思議がっているほむらに苦笑し答えた。

織莉子「ほむらさん貴方少しおかしいわね」

織莉子「でも何かをしてくれたのは間違いないようね。お礼がしたいからあがって頂戴」

ほむらは断ろうとしたが、少し喉の乾きを覚えた。

ほむら「お茶一杯で手を打ちましょう」

織莉子「フフッ…本当に不思議な人ね」

それからほむらは思い出したように織莉子に話しかける。

ほむら「ねえ織莉子、私と友達にならない?」

その日二人目の友達ができた。

[織莉子との会話]
[side Oriko]
紅茶の準備をしながら私は思案する。

織莉子(友人とお茶をするなんていつぶりかしら)

父の一件があってから、友人と呼べる人なんていなくなった。代わりに家に来るようになったのはマスコミ関係者かヤジウマばかり。

そんな大人ばかり見てきた私だ、人を見る目特に悪意を感じる視線ははっきりと分かるようになった。

あの黒髪の自称魔法使いからは悪意ある視線なんて感じられないどころか純粋な好奇心が感じ取れた。

そう、とても純粋である。例えるならば小学生や幼稚園児のように見るもの聞くものすべてが新鮮に感じているようだった。

おっとそろそろ準備ができるわね。

ほむらさんはすでに椅子に座って待っていてもらっているが、少しそわそわしている。

織莉子(何かあったのかしら?)

少し隠れて様子を見ていると、ほむらさんは我慢できなくなったのか席を立ち、飾ってある時計やお皿などの観察し始めた。

すごく目がキラキラしてる。

織莉子(本当に好奇心旺盛なのね)

内心苦笑しお茶を運び込む。ドアをわざと音を立てるように開ける。すると席を立っていたはずのほむらさんがいつの間にか席に座っていた。

織莉子「あら?席を立っていたように見えたのd」

ほむら「気のせいよ」

そんなに恥ずかしいことでもないと思うのですが、少し意地悪したくなりました。

クスクスというよりニヤニヤと言った方が近い笑みを浮かべ、

織莉子「ドアの隙間から見たんですけどね」

ほむらさんは少し顔を赤くし、まくし立てるように語る。

ほむら「これは、えっと、あの、綺麗なものがたくさんあったからあの…」

織莉子「フフッ…別に怒ってるわけじゃないし、見慣れないものなら興味を持っても仕方ないわ。」

ほむらさんはぼそっと呟く

ほむら「……戻し…も………やり直そ…かな」

半分は聞き取れませんでしたが、何やら物騒な予感がしたので仕切りなおすように言った。

織莉子「さあ、お茶会を始めましょう」
[side Oriko is over]

一旦ここまでです。織子とのお茶会の途中まで書いているので寝る前までに区切りがいいところまでかけたらまた投下します。
2時まで投下なかったら寝てます。

区切りのいいところまで書きました。
再投下します。

織莉子との会話はほむらにとって新鮮であり、初めて出会う人とも友達になれるという自信にもつながっていった。

そしてお茶を一口すすり感動したように答えた。

ほむら「おいしい…」

ほむらにとってみればこんなに美味しいものを飲んだのはいつぶりであろう。もちろん絶対的な時間で言えばそれほど時間はたっていないだろう。

では主観的な時間では?何年?何十年?もしかしたら年なんて単位で数えるのがおこがましいくらいの時間ぶりかもしれない。

もしほむらにいつぶりかと尋ねたら、嬉々として「100から先は覚えていないわ」こう答えるだろう。その100の単位は一体どうなるのか…。

一方の織莉子は、そんなほむらの内心などわかるはずもなくこう答えた。

織莉子「口にあったようでなによりだわ」

ほむら「こんなにいいものを飲めるのなら毎日でもごちそうになりたいわ」

織莉子はなにか勘違いしたのか少し頬を染めてごまかすように答える。

織莉子「私なんてまだまだよ」

織莉子「もっと美味しくお茶を入れてくれるお店があるから、今度案内するわ」

ほむらほ少し興奮したように、

ほむら「行きましょう!今すぐにでも!」

織莉子はその勢いに少し引きながら、また少し意地悪な笑みを一瞬浮かべわざとらしく顔を伏せ、

織莉子「そう、私のものにはもう興味がなくなってしまったのね…」

ほむらは慌てふためき、

ほむら「け、決してそんなことではなくて、えっと私興味が惹かれると周りが見えなくなると言うか…」

織莉子「冗談よ」

織莉子「それに貴方が好奇心旺盛なのはもうわかってるわよ」

織莉子は満面の笑みを浮かべており、ほむらは少しいじけるように、

ほむら「織莉子なんて」

織莉子「嫌い?」

ほむら「人の一面を見てその人すべてを否定する気はないわ」

ほむら「だからこう言わざるをえないわね」

ほむら「好き7割嫌い0.5割不明2.5割よ」

織莉子は少し驚きの表情を浮かべ、やれやれと答えた。

織莉子「ちょっと理屈っぽいわね、もう少し気軽に考えたほうがいいんじゃないかしら?」

ほむらは少し達観した様子でこう答えた。

ほむら「長年付き合ってきた私の性格よ?これはもう変えられないわ」

それから雑談を続け、必然的に魔法の話題がでてきた。

織莉子「魔法使いさんはどんな魔法をつかえるのかしら?」

ほむら「逆にあなたは魔法といったらどのようなものを思い浮かべるかしら?」

織莉子は少しむっとした感じで、

織莉子「質問で質問を返すのはよくないわよ」

織莉子「でもそうね…」

織莉子が少し思考を始めると、

ほむら「今思い浮かべたことすべてできるわ」

織莉子「えっ?」

織莉子は自分の考えでも読まれたのかと思ったが、疑惑の感情は拭えない。

ほむら「一番得意なのは時空間操作ね」

ほむら「これは2つ上の概念まで昇華させた力だから正確には魔法とは違うけどね」

織莉子は半信半疑だった思いが一信九疑程度になるのを感じながら質問を続ける。

織莉子「そこまで言うならひとつくらい魔法を見せてくださらない?」

間髪入れずに

ほむら「魔力の無駄使いはしない主義なのだけれど…」

でもと呟き、

ほむら「明日、先ほど言っていた喫茶店に案内しなさい」

ほむら「それが対価よ」

ほむらはどうだと言わんばかりの様子だったが、織莉子は呆れながら、

織莉子「それくらい構わないわ」

ほむら「なら、どんなものが見たいか言って頂戴」

織莉子はいくつかの考えが思い浮かんだが、どうせほとんど信じていないので、おまじない程度のことを頼もうと思った。

織莉子「この家がこれ以上荒らされないようにおまじないをしていただけないかしら」

ほむらは少し驚いた。それは先程自分でやろうとしていたことだからだ。

そう結界魔法。少し高等な魔法であるが、便利な魔法だ。

ほむら「おまじないではなく魔法と言っているじゃない」

ほむら「まったく…信じていないのは仕方ないけど少し癪に障るわね」

織莉子は苦笑いを浮かべるが特に反論はしない。

ほむら「せっかくだし最高傑作の結界を張りましょう」

ほむら「効果は…そうね悪意を弾くとかそこら辺がいいわね」

するとほむらの体から紫色の光が漏れ出すのが見て取れた。ほむらが地面に手をおくと5つの魔法陣が織莉子の家を覆い尽くす。

結界魔法はいわば回路基板の作成である。何かの役目を用意して魔力を流しその役目を得る。魔力を電気に置き換えるとそれは電気回路である。

そして結界は多重に存在ができる魔法だ。重ね方によっても効力が変わり無限に等しいパターンが存在する。

今回ほむらが用意した魔法陣は5つ、一つ目は悪意を弾く効果を出す魔法陣。もちろんこの陣を敷くだけでは意味がないので、2つ目の魔法陣の出番である。

2つ目は巡回の魔法陣、結界全体に魔力を巡らせるための魔法陣。これも魔力を流したところで一つ目の魔法陣が効果を発したら魔力の総量が減少し結界の維持が困難になるだろう。

3つ目は増幅の魔法陣。魔法陣の流れる魔力を増幅させるアンプのような役目。

4つ目は制限の魔法陣。増幅によって魔力が増えすぎることを抑えるための役目。魔力総量が多すぎるのは破滅への第一歩である。

最後の5つ目は保持の魔法陣。魔力は自然に霧散していく傾向があるので、それを維持していくために物が必要になる。

この全てが重なることで、半永久的にこの結界を維持することができる。

ほむら「これであなたの言うところのおまじないの完成よ」

魔法陣を敷く際の魔力は可視化されていたが、発動した結界は可視化されておらず、見てもわからない。

織莉子「よくわからないけど、光ったわね」

ほむら「信じる信じないは自由だけど、私としてはいいものができて満足だわ」

ほむらは満足そうな笑みを浮かべていた。

ほむら「さあ、対価を払ってもらうわよ。」

織莉子は呆れたように答える。

織莉子「明日って言ったじゃない、もう忘れたの?」

ほむらはその質問の答えは用意していたというかのように即答した。

ほむら「だから明日の待ち合わせ場所や、時間を決めないといけないでしょう?」

織莉子は、ああそういうことかと納得した表情で

織莉子「アフタヌーンティーがいいわね、明日の2時くらいにまた家に来てもらえない?」

しかし織莉子は内心ヒヤヒヤしていた。なぜならこんな寂れた家にもう来たくないと、拒絶されることを恐れた。

もちろんそんな心配は杞憂に終わる

ほむら「構わないわ」

織莉子は安堵の表情を浮かべたが、それを知ってか知らずかほむらはそのまま立ち上がり、

ほむら「それじゃあそろそろ帰るわ」

織莉子は少し寂しそうな顔をしたが、ほむらを玄関までエスコートし、笑顔を浮かべ

織莉子「それじゃあまた明日ね」

ほむらはハッとした表情を浮かべたが、すぐに笑顔になり、

ほむら「ええ、また明日遊びましょう」

人と約束したのは一体いつ以来になるだろうか、ほむらは夕焼けが綺麗な帰り道を歩く。

織莉子はこの日始めて対等な関係の絆を手に入れた

本日はここまでです。
独自展開として魔法の種類がいくつか登場させました。
次回は3人くらいとの出会いを書きたいです。おやすみなさい。

こんばんは、好意的に見てくださる方が多くて嬉しい限りでございます。

今回も織莉子成分が多くなってしまいましたが、次回以降出番少なくなりそうだから大丈夫だと信じたい。

もっとテンポよく話を進めたいものです。

それでは本日の分を投下していきます。

[約束の時間は破るもの]
翌日ほむらは朝早くに目を覚ました。織莉子との約束以外特に予定もなくかといって見滝原中学校に転入するのは明日になっているので学校に行くわけにもいかない。

ほむら(暇ね…寝直そうかしら?)

魔法少女であるほむらであったなら武装の補充に精を出すのだろうが、今のほむらにとってその必要はない。

ほむら(織莉子との約束は午後からだけれど…)

着替えを済ませ、外出の準備を行う。

そして、前日と同じ道を歩み、真新しくなった壁に寂れた家屋というミスマッチな家-織莉子宅-に到着した。

ピンポーンとチャイムを鳴らしても誰も出てこない。

仕方ないとほむらは呟き、チャイムを連打する。結界の情報から読み取る限り織莉子が家の中にいることはわかっているからこそできることだ。

[side Oriko]
うとうとしていたところに急に家のチャイムが響き渡り目を覚ました。

こんな時間に一体誰かしら?時計を見ると時間は朝の七時を指している。

織莉子(今日の約束が楽しみで寝付けなかったなんて小学生みたいね…)

ひとまずこんな時間に来る人なんて無視してしまおうともう一度布団をかぶる。

すると何度もチャイムが鳴らされる。いくら私でもこれには腹が立つ。

着替えもせずに、玄関を開けるとそこには昨日からの想い人がそこに立っていた。

急に恥ずかしくなり、玄関のドアを閉めた。

ふぅ、寝不足だからといって幻覚でも見たのでしょうね…。

鍵は掛けていなかったので向こう側からおもいっきりドアが開かれる。

ほむら「おはよう織莉子、いい朝ね」
[side Oriko is over]

織莉子「約束の時間にはまだ早すぎるのではないかしら?」

少し怒ったような、呆れたような声音で織莉子は問いただす。

ほむら「ええ、確かに喫茶店に行く約束の時間にはまだ早いわね」

ただ、と付け加え、

ほむら「昨日はじめて知ったのだけれどウィンドウショッピングって楽しいのよ?知らなかったでしょう?」

織莉子はキョトンとした表情をしたが、ほむらの言いたいことを理解した。

織莉子「つまり私と一緒にお買い物をしたいということでいいのかしら?」

ほむらはとても楽しそうな表情で

ほむら「ええ、デートをしましょう」

織莉子はデートという単語に反応したのか、少し顔を赤くして照れ隠しのように

織莉子「ならエスコートしてもらおうかしら、魔法使いさん」

でも、と少しの逡巡の後に、

織莉子「私は昔から知っていたのだけれどこの時間にお店は開いていないのよ?知らなかったでしょう?」

ほむらは動揺を隠しきれずに、

ほむら「そ、そんな嘘私には通用しないわ」

織莉子はその反応に少しイラッっときたのか少し問い詰めるように

織莉子「本当はわかっているのでしょう?自分の過ちを認めたくないのかしら?」

ほむらは何を思ったのか、それとも織莉子の言葉に反応したのか急に顔から表情が消え失せる。

そして自分の中から湧いてくる暗い感情を抑えるように厳しい顔つきになる。

ほむら「ああ、抑えないと、過去に過ちなんてしでかしてない」

ほむら「私は正しい行いを続けてきた、私が認める、誰にも否定はさせない…」

尋常ではない暗い声で独白を続けるほむらに、

織莉子「ほむらさん落ち着きなさい!」

自分が地雷を踏んだのを察した織莉子は必死に落ち着かせようとする。

織莉子の言葉に耳を貸さないほむらは未だブツブツと何かを呟いている。

織莉子「昔に何があったのか知らないけど、大丈夫よ」

織莉子「どんなほむらでも私がついているわ」

ギュッと織莉子がほむらを抱きしめる。ほむらは母性を感じ取ったせいなのか、安心したように





一粒だけ涙を流した。

それがほむらにとっての精一杯の甘えだった。

ほむら「こんな感情捨てたと思ったのに、ままならないものね」

ほむら「もう大丈夫よ、みっともない姿をみせちゃったわね」

織莉子はホッと息を吐き、話題を一気に変えようと

織莉子「朝食はもう済んだ?よかったらごちそうするわよ」

落ち着いたせいか、久しぶりに自分の感情の欠片を表に出したせいか、キューっと腹の虫の音がほむらから響いた

ほむら「い、いただくわ」

ほむらの顔は赤かった。

二人で朝食を済ませ織莉子は、外着に着替え終わると時刻は朝の9時30分だった。

織莉子「ここらへんのお店は10時くらいから開くからもう少し時間があるわね」

ほむら「説明感謝するわ」

ほむら「なら先にコンビニにでも行って時間を潰してもいいかしら?」

織莉子はそうねと同意しポーチを持って二人並んで歩きはじめた。

心なしかお互いの距離が縮まっているように見えた。

[コンビニで出会ったのは?]
二人でコンビニにたどり着いたあと好きなものを眺める。

新作のお菓子を見てみたり、アイスを眺めてみたり。和気あいあいと話している。

ほむら「ガムでも買っていくわね」

織莉子「いいわね、じゃあ私は飴を買っていこうかしら?」

そして二人でレジに並んでいると前のお客-黒髪の綺麗な少女-が財布からお金を落としたのが見えた。

すぐに拾い終わると思われたが周囲の視線を受けて、萎縮してしまい行動が愚鈍だ。

ほむらに言わせれば、この視線は悪意がもたらす鈍足の魔法ねとでも言うのだろう。

見かねた二人は落としたお金を拾うのを手伝う。

織莉子「これで全部かしら?」

ほむら「見える範囲にはなさそうね」

そして黒髪の少女に話しかける。

ほむら「災難だったわね、でももう大丈夫よ」

織莉子「これからは注意してね?」

二人は笑顔で対応すると、

黒髪の少女は俯いたままうなずき、イソイソと会計を済ませ、逃げるように出て行ってしまった。

黒髪の少女(ああ、なんで私はこんなのなんだろう)

黒髪の少女(今度あったら絶対お礼を言おう…)

[ウィンドウショッピング?]
ほむらと織莉子も問題なくコンビニでの会計を終え、いい時間になっていたので商店街へ足を運ぶ。

とあるファッションショップにて。

ほむらはキラキラした目をしながら服を自分の体に当てて、鏡の前に立つ

ほむら「ああ、これもいいわね、ああでもこっちも可愛いわ」

ただ、ボソッと呟き、織莉子の胸元を見てため息をつき、

ほむら「抱きつかれた時も思ったけど、いい大きさね」

織莉子は、うん?と首をかしげ見ていた服を置きほむらのもとに足を運ぶ。

織莉子「呼んだかしら?」

ほむら「ええ、あなたにはこんな服が似合うんじゃないかと思ってね」

ほむらが差し出したのは胸元を派手に見せつけ、さらにはへそ出しもするような、かなり派手なものだった。

織莉子「そ、そんなに派手なもの着れるわけないじゃない」

織莉子の顔は少し赤くなっていた。

織莉子「で…、あな…ふ………っち……な…着……」

織莉子は顔を伏せ呟くが、ほむらには愚かほかの誰の耳にも届くことなく言葉は霧散し、消えていく?

ほむら(織莉子には好意を抱かれているみたいね)

ほむらにはどうやら聞こえていたみたいだ。

織莉子「こっちはちゃんとほむらさんに似合うと思うわ?」

そう言って織莉子が差し出すのは薄い紫がかったワンピースだった。

ほむら「あら?なかなかいいセンスしているじゃない」

ほむら「私の魔力と同じ色…」

織莉子からワンピースを受け取り、カウンターへ向かう。

織莉子「あら、買うの?」

ほむら「友人から勧めてもらったものですもの、大事にするわ」

こうしてほむらの私服が一着増えた

[喫茶店にて]
織莉子「アフタヌーンティーを楽しむつもりだったけど、例のお店は軽食も美味しいのよ」

との話から昼食を話にあった喫茶店で取ることに決めた二人だった。

ウェイターからメニューとお冷を受け取り、メニューを開く。

ほむら「申し訳ないのだけれど、料理の種類には疎いの」

ほむらは本当に申し訳なさそうに話し出す。

ほむら「よければおすすめを教えてもらえないかしら」

織莉子は少し大人ぶった調子でもったいぶりながら、

織莉子「仕方ないわねぇ、軽食ならカルボナーラ、お紅茶はアールグレイがお勧めよ」

織莉子「それにね……」

織莉子の薀蓄が始まる。その顔はとても嬉しそうであり、楽しげであった。

ほむら(家があの調子なら、友人なんてきっと…)

ほむらは仕方ないと思いつつも、こんな時間も悪くないなと織莉子の話を聞き続ける。

ほむら「日常ってわるくないわね」

織莉子「えっ?なにかいったかしら?」

ほむら「そろそろ注文をしないかしらと言ったのよ」

織莉子「そ、そうね」

織莉子「ごめんなさいね、話を聞いてくれる人がいるのが嬉しくてつい…」

ほむらは優しげな笑みを浮かべ構わないわと言い、お互いに笑いあった。

昼食を終え、食後の紅茶を楽しんでいると。

ほむら「美味しいわね、これならあなたが自分のとこをまだまだと言う理由が分かるわ」

織莉子「フフッ…そうでしょう?やっぱり連れてきて良かったわ」

織莉子は今日一日笑みが耐えない。件の一件から今日までの楽しさを取り戻すかのように、今日という一日を楽しんでいた。

そんな一日は急に終わりを告げる。

ほむらは急に立ち上がり窓の外の一点を凝視する。

織莉子「どうしたの?急にそんなに険しい顔をして」

ほむら「ごめんなさい、急用ができたわ」

ほむらは有無を言わさず続ける

ほむら「楽しかった日常を楽しむデートは終わり」

ほむら「私は魔法使いだから、魔導の道を歩まないといけないわ」

織莉子は納得したような、不満そうな顔で、

織莉子「そう、そっち関係の話なのね…」

織莉子はふぅっとため息をついて、

      わたし まほう
織莉子「日常と 非日常 どちらが大事なの?」

ほむら「えっ?」

ほむらが返答しようと慌てふためくと、織莉子は少し寂しそうにに笑って

織莉子「冗談よ」

織莉子「さあ行きなさいかっこいい魔法使いさん」

ほむら「埋め合わせはいつか必ず」

言い切ると同時にほむらの姿は織莉子の前から消えていた。

織莉子(いつの間にか彼女無しの生活は考えられなくなってしまったわね)

織莉子(出会ってまだ二日だというのに、人間関係は時間じゃ計れないわねぇ)

織莉子はショッピングの時にほむらから勧められて購入した水晶玉のストラップを眺めながら、行ってしまったほむらのことを想い続ける

[新しい出会い]
ほむらが察したのは魔女の気配だった。ほむらにとっては取るに足らない存在だが、人が巻き込まれているとなれば話は別だ。

風見のはぎりぎりほむらの手の届く範囲-ほむらの世界-だ。

ならば彼女は救って救って救い続ける。

何が彼女を掻き立てるのか?過去の約束?贖罪?それとも…?

嗚呼ほむらが戦場へ赴く。

彼女がたどり着いたら戦場は虐殺場へと舞台を変えるだろう。

そうしてほむらは魔女の結界-虐殺場-へと辿りついた。

ほむら(結界ごと吹っ飛ばしてもいいのだけれどなかにいる人ごと吹っ飛んでしまうわね)

仕方なく入口から入るほむらの姿を遠巻きに見ていた魔法少女が一人いた

魔法少女(あん誰だありゃ?人の縄張りあらすなんていい根性してんじゃん)

魔法少女はほむらの戦力を分析するためにこっそりと後をつけて結界に入る。

魔女の結界内はあいも変わらずおどろおどろしい雰囲気だ。

結界の成分を分析するなら、精神的弱者への誘いと最低限の結界の維持だろう。

そして結界ないの内装は雰囲気とはうって変わって花畑である。

その香りは侵入者を惑わせ、疲れ果てたところで食料に変える。よくある話だ。

魔力を感知しながら進むほむらにとっては幻覚が見えようと関係はない。

もっともほむらに効果がある幻覚を魔女が使えるかどうかは話が別である。

歩いていると、十数体の使い魔がほむらに対し襲いかかる。

ほむらはどこからか拳銃-デザートイーグル-を取り出し、トリガーを引く。




甲高い音が一つ響き渡る




と同時に周囲にいた使い魔が全て弾け飛んだ。




ほむら(誘導弾は雑魚相手に優秀ね)

拳銃はもちろん魔法で強化済みであり、弾薬の方も魔法陣を描き、コーティングしている。

今用いたのは誘導弾、悪意ある周囲5mの敵に飛んでいく弾薬だ。

後方に飛んでいった弾が弾かれているのを確認したが、今は先を急ぐのが先決だと思ったのか、歩みを速める

魔法少女(なんだ今のは!並の魔法少女じゃねぇが、もう少し様子見させてもらうぞ)

そのまま使い魔の妨害を幾度かやり過ごし結界の最新部にたどり着く。

ほむらは即座に魔女に捕食されかけていた幼女を時間を止め救い出す。

この魔女は花畑の魔女とでも言うのだろうか。様々な花のツタがうねうねとしている。

ほむら「もう、大丈夫よ」

ほむらは精一杯の笑顔で恐怖を与えないようにする。そして幼女の周りに防護用の結界を張り、

ほむら「聞きたいことはあるかもしれないけれど、少しじっとしていて頂戴」

ほむらが幼女に声をかけると、弱々しく頷くのが見て取れた。

ほむら「いい娘ね、そういう娘は好きよ」

ほむらはそのまま魔女の方に向き直ると、会話なぞ待っているはずもない魔女がすでにほむらに対して攻撃を開始していた。

重量の単位がトンはあるであろうツタがほむらの上方からものすごいスピードで襲いかかる。

助けられた幼女は息を呑む。後をつけていた魔法少女は飛び出そうと身構える。

ほむら「まったく、悪役がヒロインの救出シーンにでしゃばってくるのはいただけないわね」

土煙の上がる中姿が見えたほむらは無傷。なにも影響はない。

その結果に腹を立てたのか、魔女はほむらにツタを何度も振り下ろす。







再び舞い上がった土煙が晴れる

結果から言えばそこには誰もおらず、炎上している魔女の近くで笑みを浮かべるほむらがいた。

時間を数秒巻き戻そう。魔女はほむらにツタを何度も振り下ろす。

一撃目--ほむらは魔力の不可視の盾で弾き飛ばす。

二?目--時間を止めたのか、それとも自分自身を加速したのか、ツタをかわす。

三~七?目--変わらず先ほどいた位置を攻撃し続ける。魔女を嘲笑する。

八?目--馬鹿にするのも飽きたのでどこからか取り出したのか波打った刃が特徴的な一本の剣-フランベルジュ-を取り出す。








九?目--は打たせない。

>>64 文字化けしたので貼り直し

時間を数秒巻き戻そう。魔女はほむらにツタを何度も振り下ろす。

一撃目--ほむらは魔力の不可視の盾で弾き飛ばす。

二撃目--時間を止めたのか、それとも自分自身を加速したのか、ツタをかわす。

三~七撃目--変わらず先ほどいた位置を攻撃し続ける。魔女を嘲笑する。

八撃目--馬鹿にするのも飽きたのでどこからか取り出したのか波打った刃が特徴的な一本の剣-フランベルジュ-を取り出す。








九撃目--は打たせない。

ほむらは言霊と供に魔法を繰り出す。

右手で剣を正面に構え

ほむら「我が名はほむら。炎の焔を冠する名を持つ者なり」

左手を自分の胸元に当てて魔力を抽出すし

ほむら「我が刃は魔を断つ浄化の刃なり」

剣を両手で構えなおすと同時に剣が紫色の光を発し始める。

ほむら「我が身と刃の共鳴を成して我が前の敵を葬らん」

剣を天に掲げ

ほむら「浄炎の魔法-ほむら-」

振り下ろす。

斬撃がまず魔女を二つに切断する。少し遅れて紫色の炎が魔女を焼き尽くし始める。

その炎はまるで意思を持つかのように魔女のみを焼いていく。

自分の成果に満足したのか、ほむらは不敵な笑みを浮かべながら魔女のそばに佇む。

その足元にコトリとグリーフシードがこぼれ落ちる。

その日ほむらはこの世界で初めての魔女を討伐した。

本日はここまでです。

あと少し質問なのですが、結構先の展開でR-18なシーンが出るかもしれないのですが、入れても問題ないでしょうか?

それではありがとうございました。

その程度で嫌悪感なんか沸かないけど
ピンク色のやわらかそうな脳とかそういう表現は必要なのか?

Mさんは淫乱ピンクなのかどうかがきになるな

>>78
確かに冗長な表現ですね、視覚的な描写を書き殴りたくなる私の悪い癖です。
ご指摘ありがとうございます

>>80
イメージはピンク色ですが、淫乱かどうかはご想像にお任せいたします。

それでは本日の分を投下していきます○○メインの話になります。

[家族の絆]
ほむらの生み出した炎が消えると同時に魔女の結界は消滅した。

あとに残されたのはほむらと幼女それから後をつけていた魔法少女それと





下半身がなく血まみれで、酸化したのかどす黒い色の内蔵をこぼれ出している男女の遺体だった

その遺体はおそらく幼女の両親であると思われる。

ほむら「間に合わなくて悪かったわ」

ほむらで間に合わなかったのなら他の者ではおそらくこの幼女を救い出すことすら難しかったであろう。

ほむらは反応の薄い幼女を抱きしめる。こうすればきっと心を開いてくれると信じていた。

隠れていた魔法少女は逃げ出そうと一歩後ずさる。

するとほむらは片腕で幼女を抱きかかえ、もう片方の手を横に振ると同時に魔法少女を取り囲むように魔法の檻が出現する。

ほむら「挨拶もなしに帰るのは失礼ではなくて?」

魔法少女「へぇ、あんたの挨拶ってのは相手を拘束することを言うんだね」

魔法少女の必死の強がりの声をほむらは聞き覚えがあった。

ほむら「あら?人の戦力を分析するだけして逃げるのは、お客様ではなく盗人というのよ?」

そんな人に挨拶が必要かしら?と呟きつつ空いている手で幼女の頭を撫でつつ

ほむら「ねぇ佐倉杏子?」

杏子「へぇ、あたしの名前も知っているのかい」

杏子は敵意をむき出しにしつつほむらを睨みつける

杏子「そんなあんたは何者だい?」

ほむら「暁美ほむらよ、いい名前でしょ?」

ほむら「そしてただの魔法使いよ」

杏子は目での牽制をやめず、

杏子「この辺はあたしの縄張りだ人のテリトリーを犯す方は盗人じゃないのかい?」

ほむらは声を荒げ、

ほむら「この娘がピンチだったのよ?貴方の縄張りであろうとここは私の手が届く私の世界だ!救って何が悪い!」

それに、と続け、

ほむら「このグリーフシードが欲しいならあげるわ」

ほむら「もう私の生涯には必要のないものですもの」

杏子は驚愕の表情を浮かべる。グリーフシードは魔法少女にとっては生命線と言っても過言ではないものだ。

杏子(それをあっさりと渡すだと!?一体何を考えてやがるんだ?)

杏子「何が目的だい?」

ほむらは少し考えるようにしていたが、

ほむら「目的は先程も言ったように私の世界を救うこと」

ほむら「あなた自身に望むものなんて何もないわ」





ほむら「私の慈悲を受けて」




ほむら「私に救われなさい」

杏子はほむらの態度に恐怖した。先ほどのほむらの戦いを見てもまだ何とか戦意を失わずに逃げるだけの気力は残すことができた。

しかし、今の一言で杏子の気力は失われてしまった。

杏子(こんなの並の魔法少女じゃ…いや人間ですらない)

杏子「化物が…」

ほむらは嬉しそうに、狂気的ともとれる笑みを浮かべ、

ほむら「あなたって鋭いわ」

ほむら「私の心の片鱗がまで見えてしまったのね」

ほむら「でも、化物になることで世界が救えるなら私は喜んで人間をやめるわ」

そのまま口論を続けると思われた二人だが、ほむらが抱えた幼女が口を挟む

幼女「喧嘩はダメだよ」

幼女は涙目で訴えかける。ほむらは空いている手を振り払い杏子を囲っている檻を開放し

ほむら「行きなさい、引き止めて悪かったわね」

杏子「こっちとしては二度と会いたくないね」

杏子「この偽善者め」

ほむら「きっとまた会うわ」

ほむら「世界の因果がそれを求めるもの」

ほむらの言葉を聞き終わるか終わらないかのうちに杏子は飛び去ってしまった。

残されたのは2つの遺体と二人の少女。

ほむら「改めまして、私は暁美ほむらよ」

ほむら「貴方のお名前を聞かせてもらってもいいかしら?」

幼女はなかなか口を開こうとはしなかったが、辛抱強く待っていると、

幼女「ゆま……千歳…ゆま…」

ほむらは怖がらせない少しずつ状況の説明をする。

両親を襲ったのは魔女と呼ばれる怪物であること、魔女は魔法少女と呼ばれる存在が退治しているということ。

ゆま「ならゆまも魔法少女になって、ホムラを手伝う!」

ほむらは嬉しいような、残念のような複雑な表情を浮かべ、

ほむら「気持ちは嬉しいのだけれd」

ゆま「ホムラもゆまのこといらない、役立たずって言うの?」

ゆまのトラウマを抉ってしまったのか、人に必要とされることでアイデンティティを保っているのだろう。

ゆま「ゆ、ゆまにだってできるよ!あんな怪物とだって戦えるし、ホムラの役に立てるよ」

ゆまの目から段々生気がなくなっていく

ゆま「だからゆまを一人にしないで」

ゆまの目から涙が洪水のように流れだす。

ほむら「あなたを魔法少女になることを肯定することはできない」

けれど、と続ける

ほむら「ねぇゆま、私と家族にならない?」

その日ほむらに家族という新しい絆が出来た。

[新しい家族を迎えるために]
ほむらは早速見滝原市の市役所に向かった。

そう、ゆまの新しい戸籍を作り、家族として登録するためだ。

ほむら「今の世の中身分がはっきりしていないと生きていくだけですら困難よ」

ゆまはほえ~とよくわからない表情を浮かべ

ゆま「ホムラの言うことなら間違いないよ」

と絶対的な信頼を置いていた。

ほむらは笑いながらゆまのことを見つめていた。

そして市役所に着く。戸籍の手続きは端折らせてもらおう。

簡単にいえば催眠術の魔法を使い非正規の手段でゆまの戸籍を獲得していた。

そしてその足でそのままほむらの家へ向かう。

そしてほむらの住むアパートに着き、執事のように恭しく一礼し、

ほむら「ようこそ、私たちの家へ」

ゆま「お、お邪魔します」

ほむらは人差し指を口の前で振りチッチッと紡ぎ、

ほむら「これからは『お邪魔します』ではなく『ただいま』よ」

ほむら「はい、言って御覧なさい」

ほむらはゆまに視線を合わせて促すと元気よく

ゆま「ただいま!」

ほむら「ええ、おかえりなさい」

ほむら「今日から貴方の名前は暁美ゆまよ」

ゆま「暁美…ゆま?」

ほむらはそうよ、と笑みを絶やさずに、

ほむら「家族になるんだもの、最初は慣れないかもしれないけれど我慢してね」

ゆま「うん!ゆまは暁美ゆま!」

ほむら「うん、いい娘ね、じゃあこれからのことを話しましょう?」

話すといってもほむらが決めたことに従ってもらうだけだ

ほむら「まずは学校ね、ゆまには見滝原小学校に通ってもらうわ」

ほむらは市役所での手続きのついでに小学校への編入手続き等一切を終えていた。

ゆま「ゆま学校に行ってもいいの?」

ほむらはその言葉で察した。きっと学校へ行かせられないような虐待を受けていたのだろうと

ほむら「ええ、これからはいっぱいお勉強して、いっぱい遊んで、いっぱいお友達を作りましょうね」

ゆまは突如降って湧いたような幸福な言葉を受け入れられないのか、

ゆま「ホムラがいればゆまはそれでいいよ?」

                        日常
ほむらは少し頭を抱えそうになったが、少しずつ平凡な暮らしを受け入れていけばいいと思った。

ほむら「学校は行かなければならないところなの、私の言うこと聞いてくれないかしら?」

ゆまは当然のように答えた

ゆま「ホムラが言うなら行くよ」

ゆまにとってみればほむらの言葉は神の言葉にでも聞こえるのだろうか、きっとほむらの言うことはなんでも聞くだろう

ほむら(刷り込みってやつに似てるわね)

ほむら「日用品は明日買いに行くとして、今日は疲れたでしょう?お風呂に入ってもう寝ましょう?」

ゆま「ゆまホムラと一緒に入るー」

ほむら(あんなことがあった後だもの一人にはしないほうがいいわね)

ほむら「ええ、いま沸かすからテレビでも見て待っていてちょうだい」

ほむらはお風呂場に向かい、魔法を使い風呂場を洗浄し、そのまま魔力の残滓を再利用しお湯を張る。

日常生活を楽にするためにほむらは魔力を惜しまない。

ほむらはゆまのための着替え、昔自分が着ていたパジャマを箪笥から取り出した。

ほむらは居間に戻り、つまらなそうにテレビを見ていたゆまに話しかける

ほむら「準備出来たわ」

ゆまはパァっと顔を輝かせトテトテとほむらの元へ行くと

ゆま「もうお風呂湧いたの?」

ほむら「私は魔法使いですもの、これくらい容易いわ」

ゆまはこれ以上なくらい明るい表情になり、ほむらに尊敬と敬愛の視線を向けていた。

[お風呂場にて]
脱衣所で服を脱ぎ、脱衣籠に放り込んでいく。一人暮らしの家でタオルを巻くなんてことはしない。

ほむらは先に脱ぎ終えると、少し脱ぐのに手間取っていたゆまを手伝う。

ほむら「手伝ってあげるわ、ほらばんざーいってしてご覧なさい」

ゆま「ばんざーい」

両手をあげるゆまから上着を脱がすと髪がめくれ上がり、額と髪の付け根部分にタバコを押し付けた痕が見えた。

ほむら(かわいそうに、私が両親の分まで愛してあげないと)

そのままキャミソールと下着を脱がし、二人で生まれたままの姿を晒す。

そのままお風呂場へ入っていき、

ほむら「まずはシャワーで軽く流してから湯船で温まりましょうね?」

ゆま「うん!わかった」

シャワーで二人で汗を流す。少し返り血を浴びていた箇所があったのであろうか、最初は若干赤い水で会ったが流し終える頃には赤みはなくなった

ほむら「若いだけあって綺麗な肌ね」

ゆまの肌がお湯を弾いている様子を見て、ほむらが呟くと

ゆま「ホムラだってすべすべだよー」

ほむらの二の腕をとてもとても大事そうに触れ指を這わせる。

ほむら「もうっ…くすぐったいじゃない」

ほむらはシャワーを止め湯船に浸かる。

一人暮らし用で大きくはない湯船だが、ゆまを膝にのせて湯に浸かる。

ほむら「お風呂はいいわね、人類が生み出した傑作のひとつだわ…」

ゆま「うーんホムラの言うとおりだよー」

二人でゆっくりしてると

ゆま「でもすわり心地はあんまり良くないかも」

ゆまの頭はちょうどほむらの胸のあたりを刺激する。

ほむら「はいはい、貧乳でわるかったわね」

ほむらは他人より発育が悪いことを重々承知していたので、特に何も思わない……本当だよ?

ゆまが、でもねと付け加えるように

ゆま「こうするとホムラの顔も見れて安心できるよ」

ゆまは振り返り、ほむらとゆまは抱きあうような格好になる。

ほむらは少し恥ずかしいと思ったが、ゆまの純真無垢な笑みを前にそんな感情は吹き飛んだ。

ほむら「抱きしめるのにちょうどいい大きさね」

とほむらはゆまを優しく抱きしめる。織莉子に抱きしめられてから抱き癖がついたのかもしれない。

ゆま「ムー、ちょっと苦しいよぉ」

ほむら「あら、ごめんなさいね」

ほむらは思ってたほど入っていた力をゆるめるが抱きしめるのはやめない。

お風呂の魔力か、それとも新たな絆の力かがほむらに弱音を吐く隙を与える。

ほむら「何も言わずに聞いてちょうだい」

ほむらは独白する。

ほむら「私は今まで、たくさんの間違いを犯しました」

ほむら「そのなかでたくさんの人を死なせました」

ほむら「それでも自分の欲求のために時間を巡るのをやめませんでした」

ほむら「終いには最後の世界さえ救えば許されると自己完結させました」

ほむら「終わり良ければ全て良しと考え、並列世界の行く末なんて考えません」

ほむら「そんな感情には鍵をかけました」

ほむら「だからこの世界は最後の世界にするために救うことに決めました」

ほむら「それが私にとっての贖罪です」

ほむら「あなたに優しくするのは自己満足以外のなんでもありません」

ほむら「ごめんなさい」

ほむらの告白を最後まで聞いたゆまは、その内容の半分も理解できていないだろうに、的確に話す言葉を知っていた

ゆま「許すよ、誰がなんと言おうともゆまはホムラを許す」

ゆま「他の世界なんてよくわかんないし、ゆまはホムラに救ってもらったゆまだよ?」

ゆま「もし世界がホムラを許さなくても許すよ」

ほむらはハッとした表情で、慈愛に満ちた笑みを浮かべ、

ほむら「ありがとう」

そしてこの話は終わりだと言うように、ゆまを抱きかかえ立ち上がり、

ほむら「体を洗っちゃいましょうね」

そしてほむらとゆまが体を洗い、髪の毛をお互いに洗い合う。

ゆま「ホムラの髪すべすべ~」

ゆまは気持ちよさそうにほむらの髪を撫でる。

ほむら「ゆまの髪は少し傷んでるわね」

ほむら「念入りにトリートメントしましょうね」

微量の魔力が混じった自家製のトリートメントをゆまの髪につけていく

量の少ないゆまの髪を洗い終わった後、ほむらの髪を二人で丁寧に洗う。

そして洗い流し、髪をまとめるためにタオルを巻き、もう一度シャワーを浴び温まり直し、お風呂場を出る。

着替えを終え、髪を乾かす。ほむらほどの髪ならば、乾かすのに結構な時間がかかるだろうが、

ほむら「私の家では髪を乾かすのに時間をかけないわ」

とゆまに話しかけるとゆまは不思議そうな顔をしたが、パッと顔を輝かせ、

ゆま「魔法だねホムラ」

ほむらはそうよと頷き、ほむらの体から紫の光が一筋浮かび上がるとほむらとゆまの髪が乾いていた。

そのままパジャマに着替え、

布団を敷き、ゆまを手招きし、

ほむら「来なさい」

ゆまはとても嬉しそうに一緒の布団に入り、

ほむら「おやすみなさい」

ゆま「おやすみ」

電気が消える。ほむらの暖かさに安心したのか、それとも疲れがでたのか、数分後ゆまの寝息が聞こえた。

ほむら(いろいろあって今日は疲れたわね)

こっそりと織莉子に無事であったとメールを送り、ほむらも就寝しようと目をつぶる。

この日ゆまは新しい家族のぬくもりを手に入れた。

本日はここまでです。日常を書くのは楽しいですね。でも戦闘や厨二を書くのも好きです。

次回から本編の時間軸に入るのでもう少し日常パートです。

こんにちは。本日分を投下したいと思います。

[転校初日]
夜が明け、空が白んでくる位の時間、大体6時くらいであろうか、ほむらは起床する。

ほむら(おはようございます)

ほむらは誰に対してでもなく、起きたというスイッチを切り替えるために心のなかで呟いた。

いつも通りに起き上がろうとすると横に小さな膨らみがある事に気づいた。

ほむら(ああ、ゆまと一緒に寝たのだったわね)

ゆまを起こさないように最新の注意を払い布団を抜け出し、お弁当の準備を始める。

外食で食べるようなメニューは疎いが、家庭用の料理は多少の心得があった。

ほむら(といっても簡単な物しか作れないけれどね)

昨日買っておいた自分用の紫色のお弁当箱と薄緑の少し小さめのお弁当箱におかず詰めていく。

簡単に、卵焼きとアスパラのベーコン巻きに冷凍食品の唐揚げをひとつ添えて、間に彩りを添えるために野菜を入れていく

お弁当をつくり終えると朝食の準備を始める。

朝は食パンにヨーグルト、それにコーヒーをブラックで飲むのがほむらの日常だ。

ゆまのためにコーヒーの代わりにココアの準備をする。

ほむら(起きてきたら入れてあげましょう)

7時少し前にゆまが目を覚ます。少し慌ててリビングに降りてくる。

ゆま「ホムラおはようー」

ほむら「おはよう、ゆま」

ほむらはコーヒーをすすりながら答えた。

ゆま「ごめんね、ゆま朝ごはんの用意も手伝えなくて」

ほむらはこのまま続けさせるとまた泣き出しかねないと思ったのか遮るように、

ほむら「いいのよ、私は朝に強いからね」

代わりに、と続けて、

ほむら「夕食を作るのを手伝ってちょうだい」

ゆま「ゆま、役に立てる?」

上目遣いでゆまが尋ねる

ほむら(上目遣いって可愛いわね)

と、少し場違いな考えが浮かんだが、

ほむら「ええ、役に立ってもらわないと困るわ」

ゆま「うん!ゆま頑張る!」

とても張り切っているのか、元気よく答えた。

ゆま「ねぇねぇ、夜は何を作るの?」

ゆまはワクワクしたように聞いてくる。

ほむら「そうね、学校が終わったら買い物にでも行ってそこでメニューを決めましょうか」

朝食を終え、学校への準備を終えると、二人で家をでる。

見滝原小学校と中学校は少し離れた位置にある。と言っても徒歩10分程度の距離なのだが。

ほむらはゆまをまず小学校の職員室へ送り届ける。

ほむら「いい子にするのよ」

ゆま「むー、ゆまそこまで子供じゃないよ」

ほむらは優しい笑みをゆまに向けて、

ほむら「はいはい、それでは私も学校がありますので、これで失礼します」

担任の先生に一礼しそのまま振り返り、中学校への道を歩き始める。

その背に先生の美人なお姉さんがいて羨ましいわねぇとゆまに話しかける声が聞こえた。

[自己紹介]
見滝原中学校へと辿り着いたほむらは、職員室へと向かう。

そこには担任の先生-早乙女和子-が出迎えてくれた。

和子「見滝原中学校へようこそ、私は暁美さんの担任の早乙女和子です」

和子「引っ越してばかりでまだわからないことばかりかもしれないけど困ったことがあったら、なんでも相談してね?」

ほむら(相変わらずこの人は良い人ね…)

ほむら(変わり続けるのは私だけ、か…)

ほむらの表情に一瞬影がさしたが、笑顔を作り返答する

ほむら「暁美ほむらです、お世話になることが多くなるかと思いますがよろしくお願いします」

和子は礼儀正しいほむらの応対に少し驚いたのかすこしどもる、

和子「ええっと、朝のHRで暁美さんを紹介するからそれまでちょっと待っててね」

和子は椅子を用意し、今日は特別よと一言加えお茶を一杯入れてくれた。

ほむら(このお茶、あまり美味しくないわ)

和子「目玉焼きは、半熟ですか?堅焼きですか?ハイ!中沢くん」

ほむらは教室の外に待機していたが、急にその話題を言い始めた和子にため息を吐く

ほむら(ここはいつも通りね)

ほむら(たまにはイレギュラーが発生して長続きしないのかしら?)

中沢「ど、どっちでもいいかと」

その答えに納得した和子は、卵の焼き加減に文句をつけるような奴とは交際しないようにと注意を促した後

和子「それでは、転校生を紹介します」

呼ばれたほむらはそのまま教室の中に入っていく。

男子の好機の目線と女子のざわめきを聞きながら、教室の前に立つ。

和子「では、自己紹介をどうぞ」

促され、黒板に名前を書く。

ほむら「暁美ほむらです、病気の治療のために見滝原に引っ越して来ました」

ほむら「こんな時期の転校で迷惑をかけるかと思いますが、よろしくお願いします」

無難な自己紹介をする。間違っても名前だけを言う自己紹介なんてしない。

ほむら(ここにいるみんなも私の世界だもの、好意を抱かれるに越したことはないわ)

ほむらはそれと、と呟き

ほむら「卵の焼き加減一つで壊れる絆で恋愛関係なんてありえないわ」

ほむら「先生も大人なら恋愛ごっこは卒業した方がいいわよ」

先生は涙目でほむらの席を教え、そのままHRは終わりと言い職員室へ帰ってしまった。

ほむら「何か癇に障ることでも言ったかしら?」

ふと、ピンク髪の少女の方と目が合うと少女は小さく手を振っていた

ほむら(まどかは相変わらず可愛いわね)

ほむらは小さく会釈し、着席する。

するとクラスのみんなが集まってきて質問攻めに合う。

どんな学校にいたのか、髪が綺麗だとか、先生にはあまり厳しいこと言わずに見守ってあげたほうがいい等色々聞かれた。

一斉にだ。さすがにほむらも困った様子で、

ほむら「以前はミッション系の学校ね」

ほむら「髪は美容師に勧められたトリートメントを使っているわ」

ほむら「先生には厳しいことを言ったほうが効果ありそうな人だと思うのだけれど…」

そこまで答えて授業開始のチャイムが鳴る。

クラスメイトはぞろぞろと席に戻り始める。

2限の授業まで終わり、休み時間ごとの質問攻めに少々疲れたほむらは

ほむら「ごめんなさい、保健室に行かないといけないの」

と言い、クラスメイトは連れて行くよーっと申し出てくれたが、

ほむら「係の人に頼むからいいわ、でもありがとうね」

とほほ笑みかけるとクラスメイトは頬を少し赤くし、照れていた。

まどかの席へ歩をすすめ

ほむら「まどか、保健室に案内してくれないかしら?」

以前出会った時にまどかが保健係であるということは話に出てきていたためかすんなり、

まどか「保健室だね、うん、いいよ」

保健室へ向かう途中

まどか「ほむらちゃんが同じクラスになるなんてびっくりしたよ」

ほむらはこのクラスに転入するのは知っていたがわざとらしく、

ほむら「ええ、私もよ」

ほむら「偶然ってあるものね」

まどかはウェヒヒっと笑い

まどか「これもほむらちゃんの魔法?」

ほむらは何も答えないでいると、まどかは少し慌てふためき、

まどか「えっ?えっ?嘘だよね?」

ほむらはフフッっと笑い、

ほむら「もちろんこんなことに魔法なんて使わないわよ」

まどかは拗ねたように

まどか「もう、ほむらちゃんなんて知らない」

ほむら「あら、嫌われちゃったみたいね、じゃあ他の人に案内を頼むしかないわね」

ほむらは少し周囲を見渡す振りをすると

まどか「じょ、冗談だよ、だからそんなことしなくてもいいよ」

そのまどかの態度にほむらは笑いをこらえる。

まどか「もぅ、また?」

ほむら「ごめんなさいね、からかいすぎたわ」

ほむら「ところで、例の話は覚えているかしら?」

まどかは少し考えるように、

まどか「魔法少女になっちゃだめってやつだよね」

まどか「うん、QBって子にはまだ出会ってないし約束も覚えてるよ」

まどか「大事なことなんだよね?」

ほむらはそうねと頷き、

ほむら「因果自体は私の方に集中するように細工したとはいえ、それまでに溜まった因果は結構な量だもの」

ほむら「対応するのには骨が折れるわ」

決して不可能と言わないあたりほむらには自信が伺える。

そうしているうちに保健室に到着した。

ほむら「ありがとう、まどか」

まどか「ううん、係の仕事をしただけだよ」

ほむらは少し悲しい顔を浮かべ

ほむら「係の仕事じゃなかったら案内してくれなかったのかしら?少し悲しいわね」

まどか「いや、えーとそんなことはなくて、えーと…」

ほむらは今度は笑いを堪えられず笑い出す。

まどか(笑ったらこんな顔をするんだ)

と見惚れてしまう。

ひとしきり笑って満足したほむらは、まどかと別れ保健室に入室する。

3限はサボることに決めた。

ほむら(病弱キャラの強みよね)

と考えていると、ふと嫌な予感がほむらの背筋を走った

ほむら(なにか嫌な予感がしたわね、私自身に対する脅威ではなさそうな気配だと思うのだけれど…)

ほむら(念のため広域スキャンでもしようかしらね)

ほむらの体から紫の魔力の光が一瞬で周囲一帯にほとばしる。

ほむら「えっ…嘘…?」

巧妙に感知されないように展開された魔女の結界が張ってあることを見つけた。

結界を張ってから10分程度だろうか、もう既に犠牲者が出ているかもしれない。

問題はそこではない。

結界が張っている場所は


















見滝原小学校

本日はここまでです。まだまだゆまのターンは終わりそうにないです。

それではまた次回。

こんな時間にこんばんは

荒らしには反応せずに無視かあぼ~んして反応しないでください。ご協力お願いします。

それでは本日分投下いたします。

ほむら「ゆま…無事でいて…」

息を吸うように時間を止める。その後紫の閃光とともに見滝原小学校へワープのためのゲートを開く。

一刻も早く辿り着きたいため、詠唱は破棄されていたため精度が悪かったが、今回はそれがプラスに働いた。

ゲートを抜けると目の前に魔女の結界があった。小学校全体を覆う大きな結界だ。

ほむら(こんなのに気がつけないなんて情けない…)

ほむらは止まった時間の中走る。駆ける。駆けろ。

一度結んだ絆が消え去るのに恐怖する。絆で結ばれた世界すら守れない自分に嫌悪する。

いつか別れの時がくるとしたとしても、

ほむら「それは今じゃない!」

結界の最深部にたどり着く。

結果だけ述べよう。魔女や使い魔によって出た犠牲者はいない。

なぜならそこには一人の魔法少女とQBがいたからだ。

ほむらはその魔法少女に見覚えがある。薄緑の髪の毛に猫耳のようなフードの魔法少女服

ほむら「ゆま…」

しかしそこにいたゆまは既に満身創痍。初めての戦闘に多くの生徒を守りながらのハンディキャップ。

これで魔女を圧倒していたら天才と呼ぶしかないだろうが、この物語に天才など存在しない。

ほむらは未だ止まった時の中ゆまの怪我の具合を確認する。

ほむら(よく……耐えてくれたわね…ありがとう…ゆま)

ゆまの服はすでにボロボロになっており、切れ目から覗かれる肌には痛々しい打撲の後がちらほら見える。

さらには左手はあらぬ方向に捻じれ曲がっており、右手も小指があったはずの場所からは血が流れていたが、かろうじて大きな杖を抱えている。

右足の膝から下はすでに消失しているが、治療したのか、傷口はふさがっている。

杖と左足でなんとか生徒を守るように魔女の前に立ちふさがるゆま。

ほむら(こんなにボロボロになってまで、守りたいと思ったのね)

ほむら(初めて出会った子達にここまで出来るなんて……)

だが特筆すべきはゆまの目だ。そこに諦めの意思は微塵も感じられず、魔女に対する敵愾心がとても強く感じられる。

ほむらはその意思を感じ取る。その目は何にも代え難い至上の価値がある。

ほむら(嗚呼…なんて美しい目をしているのだろう)

その魂は高貴で格別だ。

ほむら(嗚呼…なんて気高い魂をしているのであろう)

千歳ゆま、もとい暁美ゆまはこの日暁美ほむらの隣に立つための階段を一段上った。

ほむら(私はゆまに最大限の敬意を払う)

もしほむらが後数分遅かったならゆまの魂はこの世から消え去っていたであろう。

だが、間に合った。ご都合主義もいいところかも知れないが、

ほむら(知ったことか)

ほむら(2度も間に合ったんだ、もうゆまは失わない)

ほむらは誰にも届かない声をあげる。

ほむら「さあ、ゆまのついでにこの学校ごと救いましょう」

ほむらは数種類の結界を張り始める。生徒を守る結界、ゆまの治療の促進のための結界、ゆまの魔力の回復のため結界。

守り一辺倒の選択だが、

ほむら(魔女は私が直々に殺す)

ほむらの目つきが変わる。狩猟者の目だ。

この瞬間から魔女は脅威ではなく、狩られるだけの弱者だ。

ほむら(私のゆまを襲った罪は重いわよ)

そして時間は動き出す。

止まった時間の中殺してやるほどほむらの性格は良くない。

ゆま「ほむらのためにもゆまは負けられないんだ!!!!」

ギリギリの時までほむらのことを思っていてくれたようだ

ほむら(嗚呼、こんなにまで思ってもらうなんて私はなんて幸せなんでしょうね)

ほむら「最後まで目を閉じないのはとても、とても立派よ…ゆま」

ゆまの気高き目が歓喜の目に変わる。そして安心したのか涙腺が決壊したように涙があふれだす。

涙が流れるのも関係なしにほむらに近寄ろうとするが、足がないのでそのまま前メリに倒れる。

もちろんほむらはゆまを倒れさせたりしない。すぐに近寄ってゆまを抱える。

ゆま「もぅ、遅いよホムラ」

ほむら「ごめんなさい、何も言い訳できないわ」

ゆま「ううん、来てくれただけで嬉しいよ」

そしてゆまを安全な結界内に降ろし、

ほむら「ねぇゆま、あの魔女は一緒に倒しましょう?」

ゆま「えっ?ゆま一緒に戦いたいけどこんなのじゃあ…」

ゆまは満身創痍な自分自身の体を苛立ちながら見つめる。

ほむら「祈ってちょうだい、私の力になりたいと」

ゆまはよくわからずに首を傾げると、

ほむら「魔法少女の祈りは魔力となりて力となす」

ほむら「さあ、私の力となってあいつをやっつけるわよ」

無論ほむらの力なら一人で魔女を退けるのは赤子の手を捻るより簡単であろうが、ほむらは共闘したいと望んだ。

いい変化であろう。一方的な救済の立場から、共闘しようと手を差し出す立場に変わったのだ。

ほむらは自分の貼った結界から抜け出し、魔女と相対する。

おもちゃの魔女のようだ。おもちゃで子供の気を引きそこで捕食するゲスな魔女のようだ。

魔女がほむらに対し突進を繰り出す。それを片手で弾くようにいなすとほむらは分析した。

ほむら(速さだけが売りで決定力が欠けるようね)

魔女の怒りに反応したように周囲のおもちゃ-使い魔-が動き出す。

電車のおもちゃがものすごいスピードでほむらに突っ込んでくる。

飛行機のおもちゃが機関銃のようなものを打ち出す。

人形のおもちゃが爆弾を投げつけてくる。

受けるよりも早くゆまの祈りがほむらに届く。

ほむら(来たわね、始めるわよ)

ゆま(えっホムラの声が聞こえる?)

絆で結ばれ祈りが通じた二人は一心同体。

ほむら(こちらの状況もわかるようになるはずよ)

ゆま(わ、わわ、ホムラ前!前!)

ゆまはほむらとの視界を共有し注意を促す。

ほむら(ええ、対処は簡単よ)

ほむらの周囲に魔力によるバリアが貼られる。

使い魔の攻撃をやり過ごしたほむらはアサルトライフル-AK47-を取り出し数発打ち出す。

半径3メートルの円状に数百、数千の弾丸が分裂し使い魔に襲いかかる。

たった一発での面制圧。ショットガンのように拡散するのではなく円のまま跳びかかる弾丸に使い魔はなすすべがなくはじけ飛んだ。

周囲の使い魔にも同様に面制圧で圧殺し、ほむらは魔女に向き直る。

魔女に恐怖の感情があったのか、逃げ出そうとする。

ほむら「逃がすわけないじゃない、ここで死になさい」

既に逃走防止の結界を張っていたほむらに魔女は向き直り、決死の覚悟で飛びかかってくる。

ほむら(ゆま、とどめを刺すわよ)

ゆま(うん、ホムラとならなんでもできるよ!)

ほむらの体から紫の光と薄緑の光がこぼれ出す。

魔力が形を成し具現化される。

ほむら(これが私とゆまの武器よ)

ゆま(ごっついね…)

ほむらが手に持っているものは、薄緑のスレッジハンマー。見目にも尋常じゃない大きさだとわかる。

持ち手1.2m、打ち出すためのハンマーの部分は半径約1mになっている反対側には穴を開けるためか、物々しい巨大なトゲが付いている。

とてもこの武器を持って魔法少女などとは名乗れないだろう。圧倒的な存在感に、対峙するだけで恐怖を覚えるであろう。

向かってくる魔女にほむらはハンマーをひと振りすると、魔女の反応の方がやや早く、避けられてしまうがハンマーの風圧でカウンターはさせない。

素早い敵に対して愚鈍な武器を用いるのは愚策である。

ほむら「でしょうね、でもこれで準備は終わりよ」

ほむらはハンマーに魔力を込めクルクル回し始める。

ほむら「当たらないのなら…」

ゆま(当ててしまえばいいんだよ!)

ほむら「ええ、そうよわかってるじゃない、ゆま」

ゆま(えへへ、褒められた)

ゆまは随分嬉しそうな声音で答えた。

刹那、ほむらを中心に竜巻が発生する。

その竜巻はいわば風の結界。魔法陣を貼るだけが結界ではない。

竜巻に巻き込まれた魔女は中心で孤立する。

上空に佇むは暁美ほむら。

ほむら「終わりよ」

ほむら(大技いくわよ、あなたの言霊を紡いでちょうだい)

ほむら「風を司りし魔力とともに我らは往く」

ほむらはハンマーをクルっと回し頭上にかざす。

ゆま(ゆまの魔力で暴れちゃえ)

ほむらの胸のあたりから紫色の光と薄緑の光が混在しながら浮かび上がる

ほむら「我らが鉄槌は悪を粉砕せし神器也」

2種類の魔力が魔法陣を描き出しほむらのハンマーを挟み込む

ゆま(ゆまとホムラの絆の力を合わせて!)

魔法陣がハンマーに吸い込まれると、覆うように防風が吹き荒ぶ。

ほむら「去ね!!」

ほむらがハンマーを振りかざし、

ほむら ゆま『浄風の鉄槌-暁美-』

降下しつつ、振り下ろす。

風の結界と、ハンマーから吹く暴風に魔女は身動きがとれない。

ハンマーの風がカマイタチに変わり、魔女の体に無数の切り傷をつける。

魔女が苦痛の悲鳴をあげるが、それが魔女の断末魔となった。

そのままほむらとゆまの鉄槌が魔女を叩き潰す。

そしてコロリとほむらの足元にグリーフシードが吸い込まれるように転がってくる。

ほむらは不快そうにグリーフシードを睨みつけ、そのままハンマーで叩き潰す。

ほむら「あなたの魂なんて一片たりとも使ってやるもんですか」

ほむら「あなたが存在してたということ自体不快だわ」

ほむら(さて、ゆまに魔法と魔術、グリーフシードや魔法について教えてあげなければならないわね)

魔女の結界がとけるのを確認したほむらは保護していた生徒達の結界に記憶消去の術式を加える。

これでおそらくは謎の集団昏睡事件として片付けられるだろう。魔法が世間に出るのは良いことではない。

そしてゆまの結界に入るとそこには傷が完治したゆまとQBがいた。

QB「君は一体…」

この世界ではなるべく会わないようにしていたが、どうやら縁が合ってしまったようだ。

ほむら「私は暁美ほむら、私のことはそのうち話してあげるわ」

ゆまが元気なところを見せつけるようにほむらのもとに走り寄ってきて、

ゆま「ホムラー、ゆま役にたててた?」

ほむらは優しく頷き、

ほむら「ええ、十全な活躍よ」

ゆまの頭を撫でる。ゆまはエヘッっと照れながら嬉しそうだ。

ほむら「ゆま、夕飯の後にこれからのことを十分に話しましょう」

ほむら「適当に話を合わせて早退して家でゆっくり休んでいなさい」

ほむら「少し休息が必要よ」

ほむらは振り返り、歩みを進める。

ゆま「ホムラどこ行くの?」

ほむら「いい子の私は学校をサボるわけにはいけないの、わるいわね」

子供たちを救った英雄は日常へ帰還する。

本日は以上となります。戦闘と厨二を書くのはとてもとても楽しいです。日常シーンとのメリハリになっていれば幸いです。

それと>>135 からルート分岐でほむらがゆまに依存して堕落するゆまBADエンドがあります。

おまけとして次回投下するか、本編を書き終わったあと書くか悩みどころです。

おやすみなさい。

無駄に仲良くなりすぎ
ハーレム的なのは大嫌いだ

>>153 申し訳ありませんハーレム的なものになる予定です。

>>1 の注意書きに書いておくべきでしたね、こちらの注意力不足です本当に申し訳ありません。

それでは本日分投下していきますよろしくお願いします。

[友だちとのお弁当]
見滝原中学校に帰還したほむらは保健室には帰らず、教室へ戻った。

先生「おお、どうした?」

ほむら「少し気分が悪くて保健室へ行っていたのですが、よくなってきたので戻って来ました」

先生「わかった、出席にしておくから席につきなさい」

その後は授業を淡々と聞いるだけだった。

チャイムが鳴りお昼休み、青髪の少女になにか話しかけられつつ、まどかがほむらの方に歩いてくる

まどか「ほむらちゃん、良かったらお昼ごはん一緒に食べない?」

ほむらは、少し笑みを浮かべ、

ほむら「お誘いはとても嬉しいのだけれど、迷惑じゃないかしら?」

ほむらは後ろに控えている青髪の少女と緑髪の少女に目を向ける。

まどか「二人共ほむらちゃんを誘うのに賛成してくれたから大丈夫だよ」

ほむらはそれなら、と付け加え、

ほむら「ご一緒させてもらおうかしら」

ほむらがお弁当箱を持ち立ち上がると、フワっと髪がなびく、

まどか(ほむらちゃんいい香りがするな…)

まどか達の言で屋上で昼食を食べることにした。

屋上につきお弁当を広げる前に、

ほむら「改めまして、暁美ほむらです」

青髪の少女と緑髪の少女に向けて話す。

青髪の少女「美樹さやかちゃんでーっす」

緑髪の少女「志筑仁美です、よろしくお願いしますわ」

ほむら「美樹さんと志筑さんね」

さやか「よろしくね、ほーむら」

ほむらは笑顔で頷き、

ほむら「お互い自己紹介も終わった所で、お昼をいただいちゃいましょう」

ほむらがお弁当箱を開くと3人とも驚きの声を漏らす。

まどか「ほむらちゃんのお弁当可愛いねー」

さやか「うーん、これは女子力高いお弁当だわー」

仁美「これは、ご両親がお作りになったのですか?」

ほむらはちょっと得意げに、

ほむら「妹と二人暮らしをしているの、お弁当は自作よ」

ほむら「といっても、大したものではないからそんなに見られると恥ずかしいわ」

さやか「これはもうほむらを嫁にもらうしかない!」

仁美はキラキラした瞳でさやかとほむらを見つめていると、

まどか「そ、それは駄目だよぉ」

さやか「おぉ?まどかはもうほむらにラブなのか」

仁美は更に嬉しそうな表情を浮かべていた。ほむらはそのやり取りを楽しそうに眺めている。

まどか「ええっとほむらちゃんは大切な友だちで、さやかちゃんにも取られたくないかなって」

まどかは顔を赤くして、

まどか「でもそれは変な意味じゃなくて…」

まどかは救いを求めるようにほむらの方に視線を向ける。

まどか「ほむらちゃんもなにか言ってよぉ」

ほむら「嫌だわまどか、あの日のことをもう忘れてしまったのかしら?」

ほむらの笑みの意味に気づいたさやかと仁美は、

さやか「おお?こりゃー意味深ですなー」

仁美「女の子同士で…それは禁断の愛の形ですわ」

まどかはうろたえて、慌てふためきうまく言葉が紡げず顔を真っ赤に染めていると、ニヤニヤしてる3人の視線にようやく気づいた

まどか「もぅ、からかわないでよ」

その後お弁当を食べながら話していると、ほむらとまどかの出会いの話になった。

魔法のことを伏せつつエイミーを救った話を聞かせる。

ほむら(一般人に魔法を話すなんてことはしないわ)

さやか「へぇ~、そんなことがあったんだ?まどか、大丈夫だった?」

まどかはウェヒヒっと笑ったあとガッツポーズを作りながら、

まどか「この通りピンピンだよ」

仁美「まどかさんは時々抜けてるところがありますから、気を付けないとダメですよ」

まどかはしょぼんとしながら苦笑いを浮かべる。

さやか「ほむらもありがとね、ほむらのおかげで親友が悲しむ姿を見ないで済んだよ」

仁美「私からも御礼申し上げますわ」

ほむらは首を振り、

ほむら「まどかにも言ったのだけれど、当然のことをしただけだからお礼の言葉は受け取れないわ」

さやかは感心したように頷き、

さやか「これはまどかが惚れるのもわかるわ」

ほむらは不思議そうな顔をし、まどかは照れていた。

ほむらは携帯電話のバイブレーションが鳴るのを感じる。

失礼、とだけ言葉で紡いで携帯電話を開く。

From:ゆま

sub:お弁当

本文:美味しかったよ~(*゚▽゚*)
こんな美味しいお弁当初めてだよ!ありがとねホムラ!

ほむらはとても優しそうに微笑み、大事そうにもう一度メールを眺め、空になったお弁当は水につけておくようにと返信をし、顔をあげる

さやか「あんたはママか!」

ほむらはポカーンとしながら、疑問をぶつける。

ほむら「意味がわからないのだけれど、どういう意味かしら?」

仁美「今の携帯を見る表情が母性に満ちあふれた顔をしていたという意味ですわ」

まどかも頷いて同意しているところを確認すると、

ほむら「同い年にそんなこと言われるとは思わなかったわ」

と、全員の笑いを誘う。

またしても携帯が震えるのを確認すると、

ほむら(またゆまかしら?)

From:美国織莉子

sub:

本文:分からない

ほむら(分からないのはこのメールの意味よ)

ほむらは宛先を間違えてないか途中送信でもしてしまったのか?と返信を返す。

仁美「さっきとは打って変わった表情をなさいましたね」

ほむら「友達から、おふざけのメールが来ただけよ、特に意味はないわ」

さやかは興味深そうに身を乗り出し、

さやか「前の学校の友達?そーれーとーもー彼氏とか?」

恋愛関係に興味津々な年頃だ、こうやってかまをかけて情報を聞き出したいのだろう。

転校生ともなれば情報量がゼロからはじまるためその標的にさらされるのも仕方がないだろう。

ほむら「今は特定の誰かとお付き合いする気はないわ」

さやかは意外そうな表情を浮かべ、

さやか「そんなに美人なのにもったいないわー」

ほむらはやれやれとした表情を浮かべたが、年相応の会話をするのも悪くないなと思った。

そして昼休みのまったりとした時間は過ぎていく。

[放課後の出会い]
時は過ぎ、6限の授業を終え放課後になった。

ほむら(受動的に話を聞くだけとなると退屈ね)

能動的に研究をしてきたほむらにとって、授業は新鮮ではあったが退屈だった

そんなことを考えながら帰りのしたくをしているとまどかとさやかが話しかけてきた。

まどか「あのね、これからデパートにいってCDとか見に行くんだけど、ほむらちゃんも一緒にどうかな?」

ほむら「ごめんなさい、今日は食料品を買って帰らないといけないの」

まどかとさやかは少し残念そうな顔をしていた、

ほむら「けれど、日用品を買う用もあるの」

ほむら「デパートまででよかったらご一緒させてもらえないかしら」

道もあまりわからないしね、と付け加えると

さやか「うんうん、道案内は任せなさーい」

と無駄に元気なさやかに対し苦笑を返すしかなった。

帰り支度が整ったほむら達は校門へ歩みを勧めた。

デパートへ向かう途中、

さやか「ほむらはさー、なにか音楽とか聞く?」

ほむらは少し困った顔をして、

ほむら「ごめんなさい、音楽にはちょっと疎くて分からないわ」

さやかはそっか、と少し残念そうに相槌を打つ。

まどかはねぇ、ほむらちゃんと問いかけ、

まどか「さやかちゃんはどんな音楽聴くと思う?」

ほむら(きっと頭の悪そうな音楽もとい、最近の流行りのポップスとか言うんでしょうね)

ほむらは少し考える素振りをみせ、

ほむら「きっと盛り上がりやすい、アップテンポな曲を聴くんじゃないかしら?」

まどかは嬉しそうに、

まどか「ブブー、正解はクラシックでしたー」

ほむらは驚きの表情を浮かべ、

ほむら「意外ね…」

さやかは照れくさそうに視線をそらし、

さやか「幼馴染がバイオリンやってて、その関係で聞くようになったんだよね」

さやかは照れ隠しのように茶化した声で

さやか「だー、ほむらも似合わないってあたしをからかう気か?」

ほむらは首を横に振り、

ほむら「いいえ、いい趣味だと思うわ」

ほむら「たとえ音楽を聞くだけでも、打ち込めるものがあればそれは大きな力になるわ」

ほむら「だから、その気持ちを大事にしたほうがいいわ」

さやかはアハハっと笑うと

さやか「なんかいい事言ってるんだろうけどあたしバカだからわっかんないわ」

まどかもは確認するように、

まどか「継続は力なりってこと?」

さやか「おお、それならあたしにもわかるぞよ」

ほむらはそうよと笑い、道を歩んでいった。

デパートに到着し、まどかたちと分かれる。

ほむら(さて、ゆまの日用品とか買い揃えましょうね)

ほむらは雑貨屋に向かい、ゆまに似合いそうなものを選んでいく。

ゆまの色である薄緑のものを優先する。

ある程度揃え終わり、会計を済ませる。

一度荷物を持ち、トイレの個室に入る

ほむら(邪魔な荷物はさっさと倉庫にしまっておきたいのに、人前じゃあしまえないのが不便ね)

ほむらは魔力で生成された自分だけの倉庫空間を開き、荷物をしまい表に出る。

ほむら(さぁ、次は食料品を買って帰りましょうかね)

そう思った刹那デパートの人気のないエリアに魔女の結界が張られるのを感じる。

ほむら(面倒なタイミングで出てきたわね、まどかたちに被害が出る前に倒してしまいましょう)

ゆま(魔女が近くにいるみたいだけど、ゆま手伝う?)

ゆまからテレパシーが届いてきた。ほむらは周囲から怪しまれない程度に頬を緩め、

ほむら(あら?もうそんなことまでわかるようになってるのね、なかなか才能豊かじゃない)

ほむら(でも今回はいいわ、もう少し休んでなさい)

ほむらがそう答えると不満そうな口調で、

ゆま(もう充分休んだから大丈夫だよー)

特に急ぐわけでもなかったので歩いて魔女の結界へ向かう。

ほむら(自分ではわからないところに疲労は溜まっていくのよ、我慢してちょうだい)

魔女の結界にまどかたちが迷い込んでしまったことを感知すると、ほむらは早足になる。

ゆま(ほむらがそう言うなら聞くけど、ムー)

ほむら(はいはい、今日はハンバーグでも作ってあげるから許してちょうだい)

ゆま(ハンバーグ!絶対だよ!)

ほむら(ええ、その前に魔女をさくっとやっつけるから待ってなさい)

そして、魔女の結界に入りまどかたちのところへ向かう。

そこには既に黄色い魔法少女の先客があった。

なにやらまどかとさやかに話しかけていたようだが、少し行動が遅い。

大量のマスケット銃を呼び出しているようだが、ほむらはしびれを切らしたように拳銃を取り出す。

パァンと甲高い一発の発砲音と共に周囲の使い魔を一掃する。

ほむら「いいところを見せつけたいのかもしれないけれど、行動が遅いし魔力の無駄遣いよ」

黄色の魔法少女「えっ?」

黄色の魔法少女はほうけた様にほむらの方へ目線を向ける。目線の先にいるのはもちろんほむらの姿だった。

ほむら「美樹さんにまどか、怪我はない?」

ほむらは心配そうだ。

まどか「あの人が守ってくれたから大丈夫だよ」

まどかは安堵の表情を浮かべ、

まどか「また助けられちゃったね」

さやかは二人の様子に慌てて、

さやか「ってなに順応しちゃってんのさ!ほむらこれは一体どういうこと!?」

ほむらは黄色の魔法少女に目線を向け、

ほむら「その話はまたあとで、今は彼女と話をつけないといけないわ」

ほむらは黄色の魔法少女に近寄り、

ほむら「はじめまして、暁美ほむらよ」

ほむら「今日見滝原中に転校してきた2年生よ」

黄色の魔法少女は敵意がないと感じたのか、少しだけ緊張を緩め、

黄色の魔法少女「私は巴マミ、見滝原中の3年生よ」

マミ「その落ち着き様を見たところあなたもベテランっぽいわね」

未だ警戒は解かないが、提案してくる、

マミ「見滝原のこともまだあまりわからないでしょう?よかったら手を組まない?」

マミの言に少しイラついた表情を浮かべる

ほむら「あなた"も"?あなたの魔法に携わった年月なんて私の何京分の一程度でしょう?」

一緒にされたくないわと吐き捨てるようにつぶやき、

ほむら「それに、今のあなたとは共闘することはできないわ」

呆れた表情を浮かべ、

ほむら「だって共闘って、実力が近しいもの同士がするものでしょう?」

ほむら「だからあなたは」

ほむら「私に」

ほむら「ただ救われるだけでいなさい」

マミ「随分と自信満々なのね、ハッタリだとしても京だなんて誇張しすぎよ」

実際にそれくらいの差があることをマミは知るすべもない。

マミ「共闘を望まないと言うことはわかったわ」

なら、と付け加え

マミ「邪魔をしないというのなら不可侵条約を結びましょう」

ほむら「そういうことなら喜んで」

ほむらはどこからか羊皮紙とペンを取り出し、ササッっと記入する。

内容はこうだ、

暁美ほむら、巴マミ両名の間に互いの邪魔をしない誓を結ぶ。

ほむらは指の先を歯で噛み、その紙に血を押し付ける。

ほむら「血の誓いよ、あなたもやってちょうだい」

マミ「非常に怪しいのだけれど?」

マミ「だけれど、ここで信用しないことには何も始まらないわね」

マミは仕方ないと濁し、同様に血を紙に押し付ける。

ほむら「契約は成立よ」

羊皮紙が黄色と紫色に光となり、マミとほむらの中に溶け込む。

そんなことをしているあいだに魔女の結界が溶ける。

ほむら「あら?逃げたようね、なかなか頭のいい魔女だわ」

マミは少し残念そうな顔をし、ほむらに向き直る。

そこにはもうほむらはおらず、既に帰り道の方へ向かっていった。

マミ「どこへ行くのかしら?」

ほむら「妹がハンバーグを待っているの、悪いわね」

マミ「もう少し情報交換がしたいのだけれど?」

ほむらは興味なさ気に振り返り、

ほむら「妹優先よ」

ああそうだ、と付け加えるように

ほむら「まどかと美樹さんに魔法少女について説明しておいてもらえると助かるわ」

ほむらは言いたいことを一方的に言い切る。

そしてもう絡まれるのはごめんだと思ったのか、時間を止めさっさと退散する。

マミとは最悪の出会いとなった。

本日は以上となります。やっと全キャラを登場させることができました。

あまり関係が良好ではないキャラも縁が合えば仲良くなっていく予定です。

おやすみなさい。

こんばんは、グリザイアの楽園やっていたら少し間が空いてしまいした。

今回も織莉子組+αです。本編組の出番をお待ちの方はもう少々お待ちください。

[新たな魔法少女の誕生]
買い物を済ませ帰宅したほむらは、ゆまの歓迎を受けた。

ゆま「ホムラ、おかえりー」

ほむら「ええ、ただいま」

ほむらはゆまの頭を撫でながら、

ほむら「お出迎えありがとうね」

ゆまは嬉しそうにほむらが手に持っていた買い物袋を受け取り、台所へ運ぶ。

ほむらは異次元の倉庫からデパートで購入したゆまの日用品を取り出し、棚にしまっておいた。

ゆま「それ、ゆまの?」

ほむら「ええ、そうよ」

ゆまはエヘヘっと笑い

ゆま「ありがとうホムラ、大好きだよー」

ほむらはにっこり笑い返し、

ほむら「さあ、まずは夕飯にしましょうか」

宣言通りゆまと共にハンバーグを作り、夕食を済ませ後片付けまで終わらせる。

ほむら「さて、じゃあ魔法少女とか魔法の説明をしましょうか」

ゆまは元気よくハイっと返事をしたが、ほむらとゆまはとある方向へ目を向けた。

ほむら「魔法少女が2人も生まれた…?」

そして、その発生した場所の一つにほむらは覚えがあった。

ほむら「織莉子…?」

ほむらはうっすらとした失望と少々の怒りと、毅然とした決意を持って織莉子の家に急ぐ。

織莉子の家にたどり着くとそこには暗い表情でへたり込んでいる織莉子とQBが佇んでいた。

QB「さぁ、キミの魔法を試してごらん 」

ほむらは拳銃を取り出し撃ちながら、

ほむら「その必要はないわ」

QBが破裂する。織莉子はそのこと自体は気にせずほむらがこの場所に来たことに驚きの表情を浮かべた。

ほむら「こんばんは、織莉子良い夜ね」

ほむらは無表情のまま織莉子に言い放つ。

ほむら「そして馬鹿野郎」

織莉子には人間として、代え難い日常としてほむらの傍にいて欲しかった。だとか切羽詰まった状況でもないのに安易にQBに頼られる自分の不甲斐なさ。

それら言いたいことは山ほどあったが、馬鹿野郎と一言で言い表した。

織莉子はどのように感じたのであろうか大粒の涙を目からこぼし始める。

ほむら「今夜の私は厳しいわよ?泣いた程度で許されると思わないでちょうだい」

そう言うほむらの表情は今にも泣き出しそうであり、苦虫を噛み潰したような表情だ。

ほむら「とりあえずQBと契約する経緯を教えてちょうだい」

織莉子の話をまとめるとこうなる。

ほむらと出会い精神的に多少回復した織莉子はしばらく休んでいた学校に登校することを決意した。

ほむらとうまくいったから大丈夫、自分には心の支えがある。と自信満々であった。

しかしそこに待ち構えていたのは、以前と変わらない…いやそれ以上の陰湿な陰口といじめであった。

また登校してくるなんて何考えているんだ、とか生きてて恥ずかしくないのかとか、机の上には花瓶が乗っていたり、話しかけても無視されるか罵倒が飛んでくる。

クラスメイトはもちろん、他クラスの生徒も先生すらもいじめの参加者だ。

この時点ではまだ織莉子の心は折れていなかった。

お昼休みにこっそりほむらにメールをだして、心の平穏を保とうと思っていたからだ。

嗚呼、この時ほむらの事情を気にしないで電話を掛けていたら、まだ心を保っていられただろうが、そうはならなかった。

メールを打とうと携帯電話を取り出し、少し打ったところでクラスメイトに携帯電話を取り上げられる。

そして勝手に送信され、意味がわからない内容のメールが送られたことだろう。

そこでほむらの存在で保っていた織莉子の心が呆気無く折れた。

そのまま下校し、家でずっと絶望に暮れているとQBがやってきて、願い事を一つ叶えてくれると言った。

そしてこう答える。

織莉子「私の生きる意味を知りたい」

織莉子「そうしたところで、ほむらさんが来たのよ」

事情を話したせいか多少は落ち着いた声で話し終える。

ほむら「そう、事情はわかったわ」

ほむらはでもね、と続ける。

ほむら「生きる意味なんて他人から決められるわけではないわ」

貴方の願いを否定するようで悪いけれどね…と申し訳なさそうに続け、

力強くでも、と言い放つ

ほむら「それでも他人から生きる意味を貰いたいというのなら」




ほむら「私が貴方の生きる意味になりましょう」







ほむら「私のためだけに生きて」







ほむら「私のためだけに死になさい」

心が折れてぐちゃぐちゃになっていた織莉子の心にスッと何かが入り込んできたように感じた。

支えを失ったと思い、頼るものもない織莉子にとってほむらの言葉は神の啓示のように聞こえた。

そのまま織莉子はほむらに頭を垂れ、跪き。

織莉子「畏まりました、ほむら様」

急な態度の変化に動揺したほむらは、

ほむら「はぁ?」

思わず声に出てしまったようだ。

ほむら「様ってなによ、いつも通りにほむらと呼び捨てで呼べばいいじゃない」

織莉子はニコっと笑い、吹っ切れたように、

織莉子「私の生きる意味になって下さるのでしょう?だったら私は仕えないといけないわ」

織莉子「多分そうしないと私はもう私でいられなくなる」

ほむらはため息をつきながら、

ほむら「勝手にしなさい…」

織莉子「畏まりました」

調子狂うわね…とボソっと呟き、風見野の方の気配に気を配る。

どうやら杏子が魔女と戦っているようだ、

ほむら「とりあえず、魔法の事とか色々説明してあげるから明日の放課後うちに来てちょうだい」

織莉子は困ったように答える

織莉子「ごめんなさい、私ほむら様のご自宅を知らないの…」

なるべくほむらの要望に応えたいと思った結果、敬語と話口調がチグハグになっている。

ほむら「先ほどの話だと白女にはもう思い残しはないのでしょう?」

だったら、と続け、

ほむら「貴方も見滝原中に来なさい」

ほむら「めんどくさい手続きもやってあげるわ、ついでに同じクラスになるようにもしてあげる」

織莉子「ほむら様の仰せのままに…」

織莉子はでも、と呟き

織莉子「私は3年生なのだけれど…」

ほむら「だったら戸籍の産まれた年を1書き直すだけじゃない?簡単でしょ?」

織莉子「畏まりました、ほむら様」

[赤の魔法少女との和解]
そこまで話を続けると杏子の方の以上に気づいた。

どうやら二重に貼られた魔女の結界の外側だけを破壊し油断したところを魔女に狙われているみたいだ。

ほむら「今日は千客万来ね…」

ほむらは疲れたように続け、

ほむら「あとで詳細な資料は送ってあげるから今日はおとなしくしていなさい」

そして歩みを返すほむらに、恭しく礼をし、

織莉子「いってらっしゃいませ、ほむら様」

風見野の方に急いで向かうと、

ゆま(ホムラ、魔女の方に向かってるみたいだけど何かあったの?)

ほむら(緊急事態よ)

ゆま(またゆまの魔力使う?)

ほむらはいいえと否定し、

ほむら(帰りは遅くなると思うから先に寝ていてちょうだい)

ゆま(わかった!お風呂は沸かしたままにしておく?)

ほむらはお願いするわと返事を返し、魔女の結界に入り込む

ほむら(ギリギリね…)

最深部まで時間を停止して直行すると、杏子が今にもやられそうになっている姿が見えた。

とりあえず杏子と魔女の距離を離し、時間を進める。

杏子「…まあいいや、もう終わりだし」

と目を瞑りながら呟くが、一向にダメージが来ない。

目を開くとそこには、黒髪長髪の少女がいた。

杏子「なんでてめぇがこんなところにいやがる!」

杏子は叫びながらほむらを睨みつける。

ほむらは涼しい顔で見つめ返す。

杏子はその目にまた恐怖する。

杏子(またこの目か…)

ほむら「言ったでしょう?私の慈悲を受けて、救われなさいと」

ほむら「ここで貴方を救えなかったら私の世界は救えない」

ほむら「こう言うと正義の味方みたいで格好いいでしょう?」

ほむらは優しげな笑みを杏子に見せると、魔女の方に向き直る。

杏子は舌打ちしながら、

杏子「あたしもやるよ」

槍を構え直しながらほむらに伝える。

ほむら「なら魔力を貸しなさい」

杏子「はぁ?何いってんだお前」

ほむらは、杏子にもそのうち魔力の使い方を教えるべきかと思った。

杏子は何も答えず、訝しげな目で見てくるほむらにしびれを切らしたのか、

杏子「チッ…これでいいか?」

ほむらに向けてソウルジェムを向けるとソウルジェムが光りだす。

ほむら「ええ十分よ、というか多すぎるわ…」

杏子「これっぽっちでか?」

ほむらは頷き、

ほむら「魔法少女が使う魔術と私の魔法を一緒にしないで貰いたいわ」

ほむらは杏子から受け取った赤色の魔力と自分の魔力を合わせる。

魔力が形作り具現化する。

ほむら「貴方の魔力を使ったのだものもちろん出てくる武器は」

杏子「あたしと同じ槍?いや違う少し大きい…」

赤紫の槍がほむらの手に握られる。

魔女が体をぐにゃぐにゃと曲げながらほむらと杏子の元に迫る。

ほむら「杏子、私の動きに合わせなさい」

杏子「命令すんな!」

と言いつつ、ほむらの動きに合わせる。それが最善だと心の何処かでわかっていた。

ほむらが杏子の槍と同様に多節棍のように柄の部分をバラバラにし魔女を追い込む。

ほむら「行ったわよ」

杏子「へっ、わかってるって」

杏子は吐き捨てるように行ったが、こうもうまく魔女の動きをコントロールするとは思っていなかった。

杏子も槍で魔女を拘束しようとする。

杏子「あたしだけじゃ捉え続けるのはきついぞ!」

杏子は悔しそうに叫ぶ。実際魔女の力は想像以上に強く、杏子一人の手に余るほどだ。

ほむら「ええ、一瞬動きを止めるだけでいいのよ」

ほむらの周囲には幾つもの槍が存在していた。

杏子「幻影…?」

ほむら「貴方の魔力だものこれくらい当然よ…」

ただしと続け、

ほむら「全てが実体だけれどもね」

数十本の槍が魔女を雁字搦めに拘束する。

ほむら「さて、終わらせましょうか」

ほむら「余裕があるなら貴方も言霊を紡ぎなさい」

杏子は不思議そうな顔をしたが、なんとなく頷いた。

ほむら「炎と多影の魔力と我ら征く」

幾重もの槍の穂先がほむらの言霊に導かれる。

杏子「あたしは、封印したかつての力を受け入れる」

杏子は言うべき言葉が心のどこからか浮かび上がってきて、言葉を紡ぐ。

杏子の槍も増えてく。

ほむら「我らの槍は万物を貫く」

槍の穂先が持ち手の部分から分離されほむらと杏子のもとへ集まる。

杏子「かつての願いは今を救うため」

穂先がそれぞれ二つに分離し、その間に赤色と紫色の魔力が集まる。

ほむら「救世の為に」

穂先が魔女の方を向きながら回り始める

杏子「正義の味方になるために!」

溜まっていた魔力が指向性を持つ

ほむら「浄炎影魔法-杏-」

破壊のためのエネルギーとなった光線が魔女に向けて放たれる。

この幾重にも重なった破壊の嵐に魔女は数秒も持たずに消滅する。

杏子は唖然とする。一度は見たことがあるほむらの"魔法"。

その発動に自分も多少なりとも貢献したのだ。今まで感じたことのない魔法の発動方法に、魔力の流れ、全てが初体験だった。

自分で今の魔法を使うにはどうすればいいのか、その糸口すら見つからない。

ならこの力を手にするのは諦めなければならない?

否、そのヒントは目の前にいる。

この力があればきっと、これ以上失うことはないだろう。かつて失われた絆も結び直せるかもしれない。

ほむら「予想以上にえげつない魔法になったわね…」

ほむらは杏子の苦悩に気づかずに見当違いのことを考えていた。

杏子は目の前のチャンスは逃さない。

杏子はほむらの方を向き、土下座をする。

杏子「あたしを弟子にしてくれ!」

ほむら「何を思ったのか知らないけれど、頭をあげなさい」

杏子は頭をあげない。

杏子「ほむらが頷いてくれるまであたしは動かねぇぞ」

ほむらはため息をつく、

ほむら(今日は厄日ね…)

ほむら「いいわ、貴方を指導してあげる」

ほむらは呆れながら、

ほむら「私の指導は厳しいわよ?」

杏子は嬉しそうに顔をあげ、

杏子「よろしく頼むぜ!師匠!」

ほむら「貴方も私を変に呼ぶのね…」

ほむら「今日は夜も遅いから、明日の放課後に私の家に来なさい」

杏子は首を傾げ、

杏子「放課後の時間って何時だ?」

ほむら「杏子、貴方学校は?」

杏子は当然のごとく、

杏子「行ってないけど?」

ほむらは吹っ切れたように、

ほむら「もう、私の周りはこんなのばっかりね」

ほむら「いいわ、まとめて面倒見てあげるわよ」

ほむら「杏子、住居は?」

杏子「家か?いまはホテルを転々としてるけど?」

ほむらは頭を抱える。

ほむら「今日から私の家に住みなさい」

ほむら「学校も私のところに転入する手続きをとってあげる」

杏子は嬉しそうに

杏子「いや、そこまでしてもらうわけには…」

ほむら「拒否は受け付けないわ」

ほむらは断固とした口調で答える。

ほむら「救うべき世界はできるだけ近くに置いたほうがいいもの」

ほむらはそれに、と続け、

ほむら「私は欲深いの、知らなかったでしょう?」

その日ほむらの家に新しい同居人が増えた。

本日はここまでです。次回でオリコ組の最後の娘と絡ませたら本編組の本格的な攻略開始ですね。

それと、戦闘がワンパターンですね…、ですが全員分のほむらとの共同魔法を使わせたいジレンマ。

それではおやすみなさい。

ほぼ何でも出来るのに付け入る隙があるってのは、何とも人間臭いもんだね

むしろそこまで上位存在に足踏み入れておいて
今更未練がましいこと言ってんなよという気もするけどな

未練がましすぎるせいで
上位存在の域まで達したのかもしれない

二次元世界並みの万能性である

そしてそうであるから、物語性まで強調された存在になったのだろうか?

なぜならハプンがなければ、物語にすらならないからだ

ほむらの言うところの“魔法使い”を増やせれば、それはインキュベーター達にとって、人類の反逆として映るんだろうか?

浄炎影魔法のイメージムービーが、スパロボ的な演出でビットを使ってる感じだった

>>223 >>224 >>225なんやかんやで人間らしいほむらを書きたいと思っていたのでそう伝わっていれば幸いです

>>226 そういう言い回しは大好きです

>>227 人類の反逆として映るかは微妙ですね、そもそも敵対する理由がそんなにないです。

>>228 イメージはなのはさんのスターライトブレイカーですけど、ビットとかファンネルも意識してます。

それでは本日の投下をしていきますが、初めに謝っておきます、内容も短く話もほぼ進みません。申し訳ありません。

[増える家族]
市役所や学校諸々の手続き魔法を用いてサクッと終わらせたほむらは杏子を連れて帰宅する。

玄関を開けると普段より靴の数が多いことに気づく。

最も、魔力の反応を見ているほむらにとってみれば知れていることであった。

ほむら「織莉子…明日の放課後に家に来なさいと言わなかったかしら?」

織莉子「それは午後の待ち合わせの日に朝早くから訪問する人の言う台詞ですか?」

ほむらの頭痛の種は尽きない。

ほむら「それになんでメイド服なのよ…」

織莉子は彼女の家にかつて働いていたのであろうメイドの服を身にまとっていた。

ゆまは心配そうにほむらの方を見て、

ゆま「ホムラの友達って言ってたからあげたけどダメだった?」

ほむらは深くため息をつきながら、

ほむら「とりあえず自己紹介からね…」

リビングのソファに案内すると、織莉子が既にお茶を用意していた。

ほむら「さて、とりあえず紹介するわね」

杏子はその言を遮りつつ、

杏子「その前にちょっといいか?」

ほむらはお茶を一口含み、

ほむら「手短にね」

織莉子とゆまも急かすように杏子に目を向ける。

杏子「この家外見に比べてでかすぎねぇか?」

確かに外見から察するにせいぜい1DKがいいところの広さであろうが、この家は6LDK程度はある。

ほむらはその程度のことかと呆れ、ゆまと織莉子は確かに…と言った表情でほむらに目を向ける。

ほむら「私の魔法…いえ概念にまで昇華された力は時空間操作よ」

ほむら「概念としての力とか魔法について詳しくは明日話すわ」

ほむらは説明は終わりだと言った表情で話を続けようとすると、

杏子「いやいや、それだけじゃ意味わかんねぇよ…」

ほむら「簡単に言えば元あった空間を広げたのよ」

ほむら「4次元ポケットと言えば想像がつくかしら?」

全員多少は訝しげながらも納得したように頷く。

ほむら「では紹介をしていくわ」

ほむらはまずゆまの方に目を向け

ほむら「この娘はゆま、杏子は知っていると思うけど魔女に襲われているところを救って、それから私の妹になったわ」

杏子「ああ、あん時のガキか」

ゆまは怒ったように、

ゆま「ガキじゃなくてゆま!」

杏子はつまらなさそうに頷き、ほむらはたしなめるように、

ほむら「とりあえず大人しくしていてちょうだい」

ゆまはしょぼんとした表情でウンと頷いた。

織莉子は笑顔で、

織莉子「よろしくね、ゆまちゃん」

ほむらは満足そうに眺め、

ほむら「それで、こっちの銀髪のメイドが美国織莉子」

ほむら「私の友達よ」

織莉子「織莉子です、ほむら様は私の生きる意味であり大切な方です」

織莉子「たとえ誰であれほむら様に手を出すようなことがあれば命に変えてでもお守り致しますわ」

織莉子はよろしくねと続け、ゆまがウンと返事をし、杏子が頷いたところで、

ほむら「この赤いのが佐倉杏子」

ほむら「不本意ながら師としてこの娘を指導することになったわ」

杏子「なんかあたしの扱い雑じゃない?」

杏子はまあいいと呟き、

杏子「佐倉杏子だ、この家に世話になることになったんでよろしくね」

織莉子「佐倉さんにはこの家に住むように誘われたのに私誘われてない…」

ほむらはフゥと一息つき、

ほむら「貴方には住む家があるじゃない…」

織莉子はがっつくようにほむらに近づき、

織莉子「私もここに住まわせていただけないでしょうか?」

ほむらは勢いに押されたのか、

ほむら「え、ええ、織莉子がそうしたいなら私は構わないけれど…」

織莉子は満面の笑みを浮かべ、

織莉子「それではよろしくお願いしますね」

ほむらは疲れたように、

ほむら「私はお風呂に入ってくるから自分の部屋とか決めておいてちょうだい」

ほむら「部屋は余ってるし必要なら拡張するから遠慮せずに言って」

織莉子「お背中お流しいたしますわ」

ほむらは結構よと断り、

ほむら「そんなことするくらいなら、まず3人で親交を深めておいてもらえるかしら」

ほむら「くれぐれも喧嘩しないで仲良くしてね」

[家族団欒?]
[side Kyoko]
ほむらが風呂場に行っちまったこの部屋の空気ははっきり言って悪い。

なぜならこいつらはあくまでほむらの身内であり、あたしとの関わりなんてないし何をすればいいのかもわからない。

織莉子「佐倉さんはどうしてほむら様に師事を仰ごうとしたのかしら?」

苗字で呼ばれるのは落ち着かないあたしは、

杏子「杏子でいいよ、あたしも織莉子って呼ぶし」

杏子「師匠の力って言葉じゃ表せないくらいヤバイだろ?あたしもその力を手に入れたいと思うのは変かい?」

話したことは決して嘘ではない。重要な部分を話していないだけだ。

過去の清算、家族のことはもうどうしようもないけど清算すべき人が一人だけいる。

黄色い髪でツインテール、マミ…あたしが弱かったからダメだったんだ…

ほむらの力を身につけてマミさんとまた仲良くなるんだ。

織莉子「目当てはほむら様の力なのですね?」

あん?何か引っかかることでもあったのか?

杏子「そう言ってるだろ?なんかあんのか?」

織莉子「いいえ、むしろ私の目標とかぶらず嬉しい限りですわ」

あたしが追求しようとするとガキ…ああゆまだったか、が追求をかける。

ゆま「オリコの目標?」

織莉子は何故か照れたように、

織莉子「先程も言ったけれどほむら様は私の生きる意味…」

織莉子「それと同時にお慕いしています」

ちょっと待て胸はないけど師匠は女だぞ…

杏子「マジかよ…」

ゆま「お慕いするって何?」

ガキにはまだわからない世界だろうな…いやあたしも分かりたくないけどな。

織莉子は嬉しそうに笑ってやがるし…

織莉子「ほむら様のことが大好きってことよ」

ゆま「ゆまもホムラのこと好きー」

織莉子「じゃあ私達一緒だねゆまちゃん」

多分ゆまの好きと織莉子の好きじゃ種類が違うんだろうな…
[side Kyoko is over]

ほむらがお風呂を上がるとそこには織莉子が待っていた。

ほむら「なにしてるのよ…」

織莉子「お体お拭きいたしますわ」

織莉子は手に持っていたタオルでほむらの体の水滴を丁寧に拭い始める。

湯上りの多少上気したほむらの表情に、

織莉子(ああ素敵…)

織莉子は恍惚な表情を浮かべた。

織莉子「ではお召し物をどうぞ」

と言いつつ織莉子はほむらにぱじゃまを着せ始めようとする。

ほむら「服くらい自分で着れるわ」

と言いつつあながち満更ではない表情を浮かべていた。

織莉子「いいえ、やらせてください」

ほむら「仕方ないわね…」

と、ほむらの体から紫の魔力が溢れ髪が乾く。

服を着終わったほむらは織莉子を横に連れてリビングに戻る。

ほむら「部屋は決まったかしら?」

リビングに戻ったほむらが尋ねると、

杏子「ああ、適当に決めといたぜ」

杏子「と言っても荷物なんてほとんどないんだけどな」

ほむらは特に言及はせずに、

ほむら「寝具は織莉子の家にあったものを使わせて貰いたいのだけれど…」

織莉子「え?構わないのですが、今から宅配業者に頼んでも明日になりますが…」

ほむら「いえ、使わせてもらう許可が欲しかっただけよ」

ほむらが言霊を紡ぐとゲートが出現する。座標を含む言霊なので織莉子と杏子には意味は理解できない。

ほむら「さあ適当に取ってきましょうか」

ほむらがゲートから戻ってくると各自の部屋に、ベッドを設置していく。

ほむら「それにしても良い物使ってるわね…」

織莉子の家にあったベッドはとにかく大きく、豪華であった。

織莉子「でしたらこれはほむら様がお使いになってください」

ほむら「寝慣れたモノのほうが貴方も落ち着くでしょう?」

ほむら「それにわたしいつもの布団じゃないと落ち着いて寝れないの」

織莉子は一歩下がりほむらの後ろに控えると、

ほむら「さぁ今日はもう遅いし寝ましょう」

ほむら「お風呂とかは自由に使ってちょうだい」

ほむらは自分の部屋に戻ると既に布団が敷かれていた。

ほむら(織莉子はなんでもやってくれるのね…)

今日のゆまは自分の部屋で就寝についたようだ。

ほむら(私ももう寝ます、おやすみなさい)

時刻はちょうど12時を指していた。長い1日が終わりを告げる合図であった。

本日は以上です。

本当に話が進まず、短くて申し訳ない。でも、どうでもいいような団欒を書くのは楽しいです。

来週に大きな行事があるので次回まで少し間が空くかもしれませんがよろしくお願いします。

おやすみなさい。

乙!
さやかは魔法少女になるより、ほむらの作った魔道具か何かで“魔具戦士”だか“魔擬戦士”だかをやらせた方が良さそうだなw

しかし小学校に魔女を仕掛けたのはアヤツなのか、それとももっと別のナニカなのか……

前にBADENDの分岐があったから、どっちもやるんじゃないかな

むしろここまでこじらせる前の段階で救えるだろというツッコミが…

寝れないから眠くなるまで書いてたらキリのいいところまで書けたので短いですが投下します。

>>244 さやかの活躍の機会はもう少し後になる予定です申し訳ない

>>245 小学校の魔女は偶発的に出現した魔女のつもりでしたが、いい案が浮かんで来たので多少後付け感がしますがアイツのせいにしましょう。

>>251 全キャラ個別のBADエンドの分岐はあるのですが、ほむらの心が折れてそのルートの娘しか見えなくなるエンドになるだけなのでだれそうなんですよね。数キャラに絞って構想練ってみます。

>>252 納得していただけるかどうかはわかりませんが一応理由はあります

[もう一人の魔法少女]
翌朝、良い香りとともにほむらが目を覚ます。

ほむら(いい匂いね…一体何が起こったのかしら?)

ゆっくりと布団から抜け出し、キッチンへ向かうとメイド服の少女が朝食の準備をしていた。

ほむら「おはよう織莉子、早いのね」

織莉子「おはようございますほむら様、お世話になるからにはこれくらいやるわ」

ほむらはため息をつきながら、

ほむら「杏子にもその心意気を見習ってほしいわ…」

織莉子はクスクスと笑っている。

ほむら「とりあえず、コーヒーをお願いするわ」

と当たり前のように織莉子に注文する自分に内心苦笑する。

織莉子はどこにそんな技能があるのか、朝食とお弁当を作りつつコーヒーを淹れてほむらに差し出す。

織莉子「お砂糖やミルクはどうしますか?」

ほむら「朝はブラックよ、覚えておいてちょうだい」

織莉子は畏まりましたと返事をし、ほむらはコーヒーを啜る。

織莉子「すぐにでも朝食をお出しできますけどどうなさいますか?」

ほむら「せっかくだしみんな揃ってからいただきましょうか」

結局杏子が自分では目を覚まさずほむらが起こすことになった。

4人「ごちそうさまでした」

その後ほむらとゆまは学校の準備を始める

杏子「織莉子ー、紅茶いれてくれー」

織莉子はニコニコしながら、

織莉子「ご自分でどうぞ」

杏子「チェッ、ケチだなぁ、それくらいやってくれてもいいじゃん」

織莉子「私はほむら様一筋なの」

準備を終えたほむらが自室から出てくる。

ほむら「あなた達なにをやっているの?あなた達も今日から学校よ」

杏 織「えっ?」

ほむら「転入の手続きとかは既に終えているから今日からもう通学できるわよ、言わなかったかしら?」

杏子「だりーから明日からじゃだめか?」

杏子の言にほむらは睨みをきかせる。杏子は頭の後ろに手を組み、

杏子「師匠は厳しいなぁ」

ぽつりと呟いた。

4人全員学校へ行く支度を整えた。

そして4人仲良く通学路を歩いて行くと、小学校との分岐路についた。

ゆま「じゃあゆまこっちだから行くねー」

ほむら「ゆま、一人で大丈夫?」

ゆまは少し頬を膨らませ、

ゆま「ホムラ!ゆま子供じゃないから大丈夫だよ!」

ほむら「そう…、でも気をつけてね」

ゆまは元気よく頷き、

ゆま「いってきまーす」

とはしゃぎながら歩いて行ってしまった。

ほむら「大丈夫よね…」

杏子は茶化すように、

杏子「もう、師匠は心配症だな、ゆまのやつも大丈夫って言ってたから大丈夫だろ」

織莉子「いざとなったら助けに行けばいいんですよ」

ほむらはそうねと返答し、中学校への道を歩いて行く。

普通登校するより早い時間なので、通学路に生徒の姿はほぼない。

ほむら「でも嫌な気配がひとつっと」

織莉子と杏子も魔力の気配に気づいたのか少し緊張を高める。

校門の脇に立っていたのは、黒髪で短髪で見滝原中の制服を着ている、おそらくは魔法少女であった。

黒髪の少女「いやーまたあえて嬉しいよ」

と馴れ馴れしく挨拶をしてくる。ほむらは自然体で接しているが、後の二人は臨戦態勢に入ろうとしていた。

黒髪の少女「私の名前は呉キリカ、二人共覚えているかな?」

若干不安そうな声でキリカが尋ねてきた。

ほむら「ああ、織莉子とのデートでコンビニに行った時の」

織莉子「あのお金を落としてた娘ね…」

キリカはパァっと顔を輝かせて、

キリカ「覚えていてくれたんだね!あの時のお礼がしたいんだ、まずは名前を教えてはくれないかい?」

ほむら「名前は暁美ほむらよ、それにお礼は結構よ」

織莉子「美国織莉子です、当たり前のことをしただけだからお礼なんていらないわ」

キリカ「ほむらに織莉子だね、もう心に刻んだ!たとえこの身が滅びても絶対に忘れない名前になったよ」

一人空気に入れなかった杏子が口を出してくる。

杏子「仲良くしてるとこ悪いけど、ちょっと確認したいんだが?」

キリカは誰こいつ?といった訝しげな目を向けてきた。

杏子「あたしは佐倉杏子だ、この二人とは…まあ友だちみたいなもんだ」

キリカ「ふぅん…で何を確認したいんだい?」

と興味無さげに尋ねる。

杏子「お前、魔法少女だよな?」

キリカはなんだそんなことかといったような冷めた目で杏子を見て、

キリカ「そうさ、ほむらと織莉子との愛を守るために私は魔法少女になったのさ」

杏子(こいつも織莉子と同類か…)

杏子は聞きたいことは以上だ、と言わんばかりにそっぽを向く。

ほむら「そう…私と接点ができてしまったばかりに私と関わってしまったのね…」

ほむら右手で髪をフワッとかきあげた後に一礼する

ほむら「ようこそおいでなさいました、この狂った世界へ」

キリカ「狂った世界?織莉子とほむらがいる世界が狂っているわけがないじゃないか」

ほむらは首を横に振り、残念そうに、

ほむら「私は客観的に見るのに慣れてるからわかるのよ」

少し影を含んだ笑顔を浮かべ、

ほむら「世界の中にいるとわからないものだけれど、くるって、繰るって、狂っているわ」

ほむらはでもね、と続ける

ほむら「狂った世界でも私の世界よ?この世界を愛し続けるわ」

キリカはアハッと笑顔を浮かべる。見る人が見たらきっと狂気的な笑顔なのだろう。

キリカ「ほむらもわかっているんだ」

織莉子とほむらは頭にハテナマークを浮かべているような不思議な顔をしてキリカの次の言を待つ。

キリカ「愛は無限に有限ということを、さ」

織莉子はフフッと笑い

織莉子「面白いことをいうのね、でもなかなかいい言葉だと思うわ」

ほむら「少し認識の違いがあるわね」

ほむらはキリカの発言に思うところがあるのか、両手を広げ少し気取ったように、、

ほむら「私の愛は世界に平等よ」

キリカは嬉しそうに笑い、

キリカ「つまり世界に招かれた私はほむらの愛を一身に受ける権利が十分にあるってことじゃないか」

織莉子は少し考え込むように、

織莉子(私も愛されているってことよね?)

杏子はまんざらでもなさそうな顔で、

杏子(人に大事に思われるってのも悪くないな)

織莉子「それでキリカはどうしたいのかしら?」

キリカ「うん?私は織莉子とほむらがいれば他はなんでもいいよ」

ほむらはため息をつき、

ほむら「聞きようによっては、私が死ねと命令したら死にそうね…」

キリカ「私が死ぬことで二人の愛が守られるならこの命なんて安いもんさ!」

杏子(この発言をちょっと戸惑うが受け入れられるあたり、あたしも狂った世界の住人ってわけか…)

ほむらは試してみようかしらと危ない思考が走ったが、気持ちを落ち着かせるように咳払いをひとつして、

ほむら「私とともに歩みたいというのはわかったわ、でも具体的にどうするの?」

ほむら「私たちは今から学校なのだけれど…」

キリカ「今まで学校で見た限りほむらと織莉子を見かけなかったあたり、私と同じ学年ではないのだろう?」

ほむら「ええ、私たちは全員2年生よ」

キリカは頭をかかえながら、

キリカ「なんということだ!これじゃあ授業の時間ほむらと織莉子の愛が薄れてしまう!」

ほむらは何とかしなさいと織莉子に目配せすると、織莉子はキリカを優しく抱きしめ、

織莉子「愛の充電よ、これで放課後までは持たせてくれるかしら?」

キリカは身悶えながら、

キリカ「ハゥゥ…ああ織莉子の愛に満たされていくのがわかるよ」

ほむらは髪をかきあげ、

ほむら「放課後私の家で話があるわ、時間を開けておきなさい」

キリカ「おや?いきなりお呼ばれか、ほむらは大胆なんだね」

ほむら「じゃあさっさと教室に行くわよ」

ほむら「ああ、織莉子と杏子はまず職員室ね」

織莉子と杏子は頷き、キリカは残念そうな表情で、

キリカ「名残惜しいけど一旦お別れだね」

と校舎とは逆方向に足を進めようとする。

ほむら「どこに行くきなの?あなたも学校に行くのよ」

キリカは焦ったように首を横に振り、

ほむら「中学校程度の学力がないキリカなんて嫌いになるわよ?」

キリカはウグッと詰まったような声を上げ、杏子も思い当たるところがあるのか苦虫を潰したような表情をしている。

杏子(知識もつけなきゃ師匠には近づけねぇのか…)

キリカ「私の脳のスペースは二人のために開けておきたいんだけど…」

ほむら「そう…キリカなんてもういいわ」

キリカは涙目で、

キリカ「わかったよぅ…行けばいいんだろ?」

ほむら「それでいいのよ、いい子ね」

頭を撫でるとフニャァーっとした幸せそうな表情をしていた。

織莉子「ほむら様時間にはまだ余裕がありますが、そろそろ…」

ほむら「そうね、行きましょうか」

そうしてほむら達は学校への道を歩み始めた。

今回は以上です。キリカは書いてて楽しいです。

おやすみなさい。

乙!
アイツってのが魔法少女のアイツなら、魔女化するより(本人的に)残酷な運命を与えてやってほしいものだな

特に意味は無いけどスレタイをカタカナにしてみたらなんか悲愴感が漂った

ビッグ魔バンでも起こす気か?

乙ほむ
遅くてもいい、ゆっくりと楽しませてもらおう

このほむほむにMUGENのキャラとか作ってみてもらいたいわ

追い付いた、面白い

まどか「結局一匹もすくえなかったねぇ」ウェヒヒ…

ほむら「…」ズーン

こんな時間にこんばんは。先日言った大きな行事が終わり、少しだけ書いたので投下します。

>>264 多分違うと思います!

>>265 ほむら「サア、スベテヲスクイマショウカ」アタリイチメンコウヤ

>>268 ほむらにとっての全てとはほむらにとっての世界ということになると思うのでそこまでは行かないかもしれないです

>>267 宇宙を新たに創造する意味がないのでやらないと思います。

>>268 ありがとうございます。その一言だけで救われる気分です。

>>269 是非最上位神でお願いします

>>270 ありがとうございます

>>270-273 こういった小ネタも気晴らしに書いてもいいかもしれないですね

[朝の一騒動]
朝早く登校したほむらは暇を持て余していた。

ほむら(転校の手続きのせいで早く来たけど明日からはもう少し余裕を持ってもよさそうね)

少しすると教室の扉が開く。扉から見えた人影にほむらは見覚えがある。

ほむら「おはようまどか、早いのね」

まどか「おはようほむらちゃん、実はほむらちゃんに話したいことがあるの…」

ほむらがこんなに早く来ているとは思っていなかったのか少し挙動不審な様子なまどかだった。

まどか「誰かに聞かれると嫌だから、屋上に来てもらってもいいかな?」

ほむらは少し考える様子を見せたが、

ほむら「大事な話みたいね、いいでしょう行きましょうか」

屋上にまどかと二人で屋上に行くと、ほむらはまどかが口を開くのを待つ。

まどか「昨日ねマミさんから魔法少女について聞いたの…」

ほむらは頷き、話の続きを促す。

まどか「ほむらちゃんとの約束だからまだ魔法少女にはなってないけど、マミさんの話を聞く限り私魔法少女になって悪い点があんまりわかんないの…」

ほむらは少し俯いたが、まどかは続ける。

まどか「確かに魔女と戦うのは怖いとは思うけど、それ以上に皆の役に立てるならそれはとっても嬉しいなって」

まどかはその後ボソっと付け足して、

まどか「…ホムラチャンミタイニ」

ほむらはため息をつき、

ほむら「私に憧れるのは別に構わないのだけれど…」

まどかはほむらの指摘に頬を染める。

ほむら「まどかの問題は魔法少女になることより、願いと魔法少女になった後が問題なの」

まどかはよくわからない顔をしながら、

まどか「どういうこと?」

ほむらは話すかどうかを少し迷ったが、少し脅しをかけるように、

ほむら「ここからの話は貴方にも覚悟が必要よ」

ほむらは一歩踏み出して振り返りながら、

ほむら「貴方には人を殺す覚悟がある?」

まどかは少し怯えたような表情で、

まどか「ひ、人殺し?」

ほむらは少し諭すように、

ほむら「実際に人を殺すわけではなく、それくらいの覚悟が必要という話しよ」

ほむら(この場合は自分を殺す覚悟ね…)

まどかは深呼吸を始め、落ち着いたのか、

まどか「うん、聞かせてもらっていいかな?」

間髪をいれず、

ほむら「あなたの願いによっては貴方が概念になり貴方は存在そのものが消えるわ」

ほむら「普通の願いの場合は魔女になり、地球を滅ぼすでしょうね」

その言葉を聞いたまどかの様子がおかしくなったようだ。

[side Madoka]
え?ほむらちゃんの言ってることがわからない。

何を言っているの?私が消える?私が魔女になる?

意味がわからないなんなの?

覚悟が必要ってこういうこと?

理解できない、理解できない、りかいできない、りかいdni、rkいできなi:りkidknai]りkidきi\

真っ白
[side Madoka is over]

ほむらは茫然自失のまどかを介抱するように座らせ、気力が開放するのを待った。

待つことには慣れている。一体あの空間でどれだけ待ったのだろうか。いや空間とも違うものであったか。

一人で魔法のメカニズムを解き明かすのに数万年、あの空間で数京年。時間と共に歩んだほむらにとって数時間程度の待機なんてたかが知れている。

ほむらはまどかの頭を優しく撫でながら。待つ。

待つ




待つ





待つ




待つ




待つ

数分後、まどかが正気を取り戻した。

まどか「ごめんなさい、迷惑かけちゃったよね…」

ほむら「友人のために時間を使うことは悪いことではないわ」

ほむら「貴方の覚悟を甘く見た私の不手際よ」

ほむらは狂気的な笑みを浮かべ、

ほむら「貴方は悪くない」

まどか「ほ、ほむらちゃんちょっと怖いよ…」

ほむら「ごめんなさい、でもこれが私よ」

まどかはまた何度か深呼吸をし、気持ちを落ち着かせようとするが、うまくいかない。

ほむら「落ち着きたいの?私の体で良かったら好きに使っていいわよ?」

ほむらはまどかを受け入れるように両手を広げる。

まどか「いやいやいや、私達女の子同士だし、そもその段階に行くのは早すぎるだし、で、でもほむらちゃんがいいなら、その…」

ほむらは口に手を当て笑いを堪えていた。

ほむら「落ち着いたでしょう?」

まどか「あっ…」

ほむら「質問があるなら聞くわ、もう大丈夫でしょう?」

まどか「うーん、まず願いで概念になるって?」

ほむら「貴方にはそれが叶えられるほどの因果があるということよ」

ほむらは考えるように

ほむら「例えば『魔法少女が魔女になる前に救いたい』と願えば魔女を消し去り続ける概念へと存在をシフトさせるでしょうね」

ほむら(むしろその可能性が高いし、あれもそれを望んでいるものね…)

ほむらは次は?と続け、

まどか「因果ってのはなに?」

ほむら「魔法の才能みたいなものね、世界にどれほど動かせるか、またどれほど関われるかの力ね」

ほむら(ソウルジェム以外から魔力を取り出すためにはこの因果の糸を燃やして魔力を得るのだけれどそこは話す必要はないわね)

ほむら(因果の糸は世界に関わり続ける限り紡がれ続けるから魔力は枯渇しない)

まどかはなんで私がと思ったが、今は別の質問を優先させた。

触れたくはないが、聞かなければいけないことがある。

まどか「じゃあ、わ、私が魔女になるってど、どういうことかな?」

まどかの声が震えている。

ほむら「魔法少女のソウルジェムが一定以上の汚れを貯めこみ反転すると魔女になる」

ほむら(正確に言うのならば陽が減ることで陰が強く見えるから汚れたように見えるだけなのだけれどね)

ほむら「その際に発生するエネルギーがQBの目的」

まどか「ま、魔法少女が魔女になるの?」

ほむらは肯定するように深く頷く。

まどか「そ、そんな…ひどい」

まどかは涙を目に貯めこむ。

ほむら「他人のために涙を流せるのは私にはできないことよ、その才能は少し嫉妬してしまうわね…」

などと場違いなことを行った後に、

ほむら「まどか、このことは誰にも言ってはいけないわ」

ほむら「特に巴マミには言ってはいけない」

ほむらはかつての出来事に思いを伏せる

ほむら「貴方はまだ魔法少女じゃないからいいけど、魔法少女にとって負の感情は敵だからね」

まどかは泣き続け、一向に泣き止む気配はない。

ほむらは指をパチンと鳴らし、まどかとほむら以外の時間を止めまどかと二人っきりの空間を創りだした。

朝の時間は残り少ない、泣き止むのを待つとHRが始まってしまうだろう。

しばらくして泣き止んだまどかがほむらの制服の裾をつまみながら話し始める。

まどか「うん、ほむらちゃんの言うことは多分正しいんだよね…」

なぜかまどかにはその確信があった。

ほむら「特に嘘を言う理由はないわ」

まどか「ほむらちゃん、私もうどうしていいかわからないよ…」

ほむらはその言葉を待っていたかのように、

ほむら「なら、私の言うことを聞いてちょうだい」

まどかは首を振り、

まどか「ほむらちゃんはかっこいいし、なんでもできるヒーローだよ」

また泣きそうな表情で、

まどか「さやかちゃんはいつも活発で周りを元気づける素敵な人だよ」

まどかは涙を流しつつ、それにも構わず、

まどか「仁美ちゃんは習い事を頑張ってるとても素敵なお嬢様だよ」

まどかは泣きながら叫ぶ、喉が枯れるのも構わない。

まどか「でも私には何にもないの!!」

まどか「私も役にたちたい!!」

まどか「ほむらちゃんみたいになりたいの!!」

ほむらはやれやれと落としどころを探す。

ほむら「なら、魔法少女を一足飛ばして魔法使いになってみる気はないかしら?」

グスンと鼻をすすりながら、

まどか「魔法使いと魔法少女の違いって何…?」

ほむら「それは今日の放課後に他の娘にも話すつもりよ」

ほむら「まとめて話したいからあなたも今日の放課後に私の家に来なさい」

ほむらは柔らかい笑みを浮かべ

ほむら「魔法使いなら魔女のこととか概念のことを考える必要はなくなるから安心していいわ」

まどか「本当に…?」

ほむら「証拠は私、何年も魔法使いを続けているのだけれど問題ないわ」

まどかの顔にようやく安堵の表情が浮かぶ。

ほむらも安心したように、

ほむら「さあ、もういいでしょう、教室に戻りましょう?私の仲間もきっと紹介されるわ」

朝のHRまであと数分のようだ。

今回はここまでです。独自解釈と独自設定の解説回ですね。次回も解説回になると思います。

おやすみなさい。

国語ができないとかわりと致命的…
受験国語という意味ならどうでもいいが

いやもしかして、だから微妙に会話が通じないのか?

理系だから白衣の黒縁メガほむを妄想してしまった

まあぶっちゃけ数万年も一人で魔法の研究してたら研究に不必要な国語や社会は壊滅的になるわな

>>289はまどかの事を言ったつもりでした。
修正させてもらうと、 ×そういうとこに ○偏差値が低めのとこに
にした方が、より正確な表現になりますね。

こんばんは、本日分投下します。

>>297 日常会話程度なら問題ないと本人は思っています

>>298-9 参考画像plz

>>300 そのとおりですね

>>301 まどかは自分で道を決められるほど強くないので、誰かに道を示してもらう必要があると思います。転校の選択肢は誰も示してあげられないと思います。

[新転校生二人]
教室の席につくとほぼ同時に朝のチャイムが鳴る。

それとほぼ同時に担任の和子が教室に入室してくる。

和子も連日の転入生に戸惑っているようだ。無駄な雑談なしに転入生の紹介に入る

和子「えーっと、また転入生がうちのクラスにやって来ました」

教室がざわめく。当然であろう、なにせ昨日ほむらが転入してきたのに更に転入生が増えたというのだ。

和子「では、美国さん、佐倉さん入ってきてください」

織莉子と杏子が扉を開き入ってくる。黒板に名前を書いた後に、

杏子「佐倉杏子だ、わけあってしsh…ほむらの家に居候してる、よろしくな」

織莉子も名前を黒板に書き、心配そうな表情をしている。

ほむら(大丈夫よ織莉子、クラスの皆はどんな貴方でも受け入れてくれるわ)

織莉子は決心したように、

織莉子「美国織莉子と申します、私もほむらさ…んの家で暮らしていますわ」

織莉子「その手続きなどの関係で転入が1日ずれてしまいましたけど、皆様仲良くしていただけると嬉しいです」

織莉子が丁寧に礼をすると、クラスの皆から拍手が起きる。

その後の授業は順調に進んだ。杏子が内容がわからずに突っ伏していたが、順次ほむらの解説が入っていくので、眠ることはできなかった。

織莉子の方は一度は習った内容なので、多少は退屈そうではあったが余裕そうにこなしていた。

体育の時間では杏子が持ち前の運動神経を発揮し、クラスの注目を集めていた。

杏子の容姿、性格からしてそのうち女子のファンクラブでもできるのかもしれない。

昼食はクラスとの交友関係を増やすために別々に取ることにした。

ほむらも今日はまどか達とは別の娘達と昼食を取った。

織莉子と杏子を横から見ている限り、そこそこ楽しそうに話をしているようなので交友関係を心配する必要はないだろう。

ほむらは体調不良を理由に午後の授業をサボろうとしたが、杏子の恨みがましい視線と織莉子の本気で心配した視線を理由にサボれなかった。

ほむら(国語と社会なんて生きていく上で必要ないわよ…)

["魔法少女"と"魔法使い"]
放課後になり杏子と織莉子を連れ添いまどかを誘う。

ほむら「まどか、朝の約束覚えているかしら?」

まどかは頷き、

まどか「うん、ほむらちゃんの家で説明を受けるんだよね…」

まどかは昼の時点でさやかへの説明を終えていたようで、心配そうな目でさやかがまどかを見つつ。

さやか「ほむらも信用してるけど、まどかに何かあったら承知しないからね」

ほむらは一応さやかを誘うように、

ほむら「必要なら貴方も来てもいいのだけれど?」

さやかはその回答は用意していたようで、

さやか「…今日はマミさんとの約束を優先させてもらうよ」

ほむらはそう、と呟き歩を進める。

昇降口を出ると校門の付近に朝見た黒い影が見えた。

キリカ「ほむら!織莉子!やっと来たんだね、もう待ち焦がれて死んでしまうかと思ったよ!」

そう言いながらほむらに抱きつこうとする。

その瞬間淡い紫色の閃光とともにキリカが弾かれる。

キリカ「いてて、もうつれないなぁ…」

ほむら「少しは周りの目線を考えなさい」

ほむら「それに私は抱きつかれるより抱きつくほうが好きなの」

一方の織莉子は少し嫉妬した目でキリカを見ている。まどかは心配そうな目をキリカに向け、杏子は我関せずと言った様子で成り行きを見守っていた。

織莉子「キリカ、ほら私で良かったら来なさい」

キリカは嬉しそうに織莉子の腕に抱きつき、ほむらの家へと向かう。杏子は別のことに興味が有るようで、

杏子「それで、なんでまどかが一緒にいるのか説明してもらえる?」

まどか「えっと、あの…」

まどかは説明しようとするが、うまく言葉がでない。

ほむら「まどかはちょっと特別なの、まどかを魔法少女にしないために色々と説明が必要なのよ」

杏子はフーンとつまらなさそうにしていると、キリカが急かすように。

キリカ「ほむら!はーやーくー」

ほむらは頷き、

ほむら「ええ、行きましょうか」

帰宅すると既に学校を終えていたゆまが出迎えてくれた。

織莉子は部屋に戻ると数十秒でメイド服に着替え、キッチンへ向かいお茶を入れ始めた。

ほむらもまどかとキリカをリビングに案内する。杏子とゆまはすでに椅子に座っており、お茶菓子を頬張っていた。

杏子「織莉子ーお茶はまだかー?」

キッチンから少し遠い声で、

織莉子「あと5分位待ってくださいねー」

と声が聞こえる。その会話を聞いたキリカは少し低い声で、

キリカ「杏子って言ったっけ?なんで織莉子に対してそんなに偉そうなの?」

杏子は挑発するように、

杏子「あん?そりゃ居候同士のよしみってやつだろ、あんたとは違うのさ」

一触即発の空気に、

ゆま「喧嘩はダメ!ホムラも怒るよ」

タイミングよく自室で私服に着替えていたほむらが部屋から出てきて、

ほむら「あなた達うるさいのよ、仲良くできないならせめて折り合いをつけなさい」

睨み合っていたキリカと杏子は互いにソッポを向く。

ほむら「ごめんなさいね、あとでよく言ってきかせるから…」

とまどかに謝罪する。

まどか「に、賑やかでいいと思うよ」

と気を使ったように答える。

織莉子「ほむら様、お茶を淹れて参りました」

ほむらはご苦労様と言い、全員分の席にカップが行き渡るのを待ち、

ほむら「では魔導の授業を始めます」

ほむら「それじゃあ順を追って話しましょうか」

ほむら「まずは魔法少女についての基礎知識からいきましょうか」

まどかは朝聞いた話を思い出し、俯きながら聞く。

ほむら「まずはソウルジェムね、そこには貴方達の魂が入っているわ」

ほむら「肉体の方は魔力で動かす外付けのハードウェアってことになるわね」

ほむら「ちなみにソウルジェムから大体100m程度離れると肉体の方は機能停止状態に陥るわね」

杏子は憤ったように

杏子「なんだそれ!あたし達はゾンビにされたようなもんじゃねぇか!」

ほむら「魂の在処に固執する必要はないわ、むしろ魔法が使えない魔法少女にとっては不可欠な機能よ」

キリカ「それじゃあこの体がいくら傷ついてもソウルジェムさえ無事なら大丈夫ってことでいいんだよね?」

ほむら「あら?理解が早いわね、その認識で合ってるわ」

杏子「おい、お前らそれでいいのかよ!?」

織莉子はたしなめるように、

織莉子「杏子は、ほむら様のソウルジェムを見たことがある?」

杏子はハッとしたように、

杏子「そりゃないけど…」

織莉子「つまりそういうことよ」

まどかはおどおどしながら口を挟んでくる。

まどか「魔法使いってのになれば大丈夫ってことだよね」

ほむら「ええ、そうよ、だから落ち着いて私の話を聞いてちょうだい」

ほむら「次は魔法少女の魔力の精製法についてね」

ほむら「詳しい手順は省くけれど、簡単に言えば魂を燃やして魔力を精製しているわ」

全員が驚きの声を上げる。

杏子「じゃあ魔法少女は自分の身を削って力に変えてるのかよ…」

ほむら「そうね、でも利点はもちろんあるのよ?」

ゆま「でもほむらは何度も魔法を使ってるよね?大丈夫なの?」

ほむらはゆまの方を向き、

ほむら「良い質問ね、私は魂ではなく因果の糸を燃やして魔力を精製しているの」

ほむら「魂を燃やすよりは微々たる魔力の量しか得られないけれど'魔法'を使うには十分すぎる量よ」

ほむらは思い出したかのように、

ほむら「質問は随時受け付けるから何かあったら遠慮なく言ってちょうだいね」

ほむらは説明を続ける。

ほむら「そもそも、魂を燃やして魔力にするなんてそんなものはラスボス戦だけにするべきよね…」

ほむら「それを日常的に行なっているからこそ、魔法少女は短命なのよ」

織莉子は疑問をもったようで、

織莉子「それではグリーフシードというのは…?」

ほむら「そうね、その話をする前に人間の魂の話をしましょうか」

ほむら「人間の魂というのは陰と陽に分けられるの」

ほむら「そこらへんは神話なり物語なりで多少は聞いたことがあるかもしれないわね」

まどかとキリカと織莉子は頷いたが、杏子とゆまは顔をしかめた。

ほむら「私の調べによると人間の魂の量は陽が100に対し陰が50、2:1の割合になっているわ」

ほむら「また、感情の機微によって陽が陰に陰が陽に変化したりするわ」

杏子「すまん陰とか陽とかよくわからん」

杏子は申し訳なさそうに話す。

ほむら「正義と悪、光と闇、性善説と性悪説わかりやすいように置き換えてもらって構わないわ」

杏子は納得はできていないが、とりあえず目で話しを続けるように促す。

ほむら「人間として生活する分には魂がどっちかに振れても問題ないのだけれど、魔法少女は陽の魂を燃やして魔力を得る」

ほむら「100あった陽の魂が90、80と減っていき、陰と陽の魂が拮抗し始める」

キリカは嫌な予感がしたのか、

キリカ「陰の魂の方が上回ると?」

ほむら「魂が反転する」

杏子「お、おい、分かる言葉でいってくれよ…」

ほむら「魂が反転すると魔法少女は魔女になる」

ガタンと杏子が立ち上がり、ほむらに肉薄する。

杏子「マジなのか…?」

ほむら「大マジよ」

杏子「それじゃああたしは人殺しをしてきたようなもんじゃないか!」

杏子はいままでの行いを悔いるように叫ぶ。

ほむら「そうね、あなたは元人間を殺して今を生きているわ」

ほむら「だったらどうするの?それを懺悔して自殺でもする?それとも私が殺してあげましょうか?」

ほむら「この程度で心が折れる娘なんていらないわ」

ほむらは冷めた目つきで杏子を見つめる。真正面から淡々と。

キリカが口を開く。

キリカ「後悔なら勝手にしてればいいさ、私はそんなこと気にしないからさ」

織莉子も続くように、

織莉子「ほむら様が気になされていないのならこれは私にはあまり関係ない話ね」

ゆま「いままでがそうだったからってこれからもそうある必要はないよね」

杏子は席につき直し、

杏子「悪かったね、続けてよ」

ほむらは咳払いをして、

ほむら「話を戻しましょうか」

ほむら「これで、織莉子の疑問に答えられるわね」

ほむら「グリーフシードは陽の魂が50陰の魂が10程度の状態になったソウルジェムといっていいわね」

ほむら「そこから陽の魂を自分のソウルジェムに注ぎ込んでソウルジェムの浄化…魂の補給をしているわ」

ほむらはただし、と付け加えるように。

ほむら「他人の魂を自分の身に注ぎ込むのだから、段々効率が悪くなっていくわ」

ほむら「終いには自分の魂が自分と認識できなくなるか、浄化できなくなって結局魔女になるわね」

ほむらは懐かしむように、

ほむら「ここまで解明するのに約10年程度かかったわね」

ほむら「それからはグリーフシードから魂を燃やして魔力を得るようにしたっけ…」

皆複雑そうな表情をしている。その思い出に自分はおらず、手が出せないからだ。

ほむらは気を撮り直したように、

ほむら「ちなみに魂が反転した時に発生するものすごいエネルギーがQB達の目的よ」

キリカ「つまりQBは敵なんだね、次見つけたら殺そう!」

キリカが過激な発言をしたが、各々似たようなことを考えていた。

ほむら「奴らを殺しても意味がないわ、奴らはネットワークで意識を共有している端末に過ぎないからね」

キリカは舌打ちをし、ほむらの話の続きを待つ。

ほむら「そこまで解明し、私はとある疑問を持ったわ」

ほむら「それがなにかわかるかしら?」

皆首を傾げる。

まどか「QBに関係あること?」

ほむらは頷き、

ほむら「やつらは宇宙の熱的死を起こさないようにエネルギーを集めているの」

ほむら「もちろん魔女化する際のエネルギーは魅力的でしょうね」

ここで疑問に思ったのと付け加え、

ほむら「なぜ魔力を用いてエネルギーを得ないのかとね」

ほむら「魔力を媒介としているとはいえ無から有を生み出しているのよ?エントロピーの凌駕なんて朝飯前でしょう?」

織莉子が答えを出したかのように

織莉子「それができない秘密がそこにある…?」

ほむらはええ、と頷き、

ほむら「これで'魔術'と'魔法'の違いについて説明できる段階になったわね」

ほむら「魔力というのは保存がきかずに、すぐに霧散してしまうという欠点があるの」

ほむら「だから魔力をエネルギーとして見るには別の形に置き換える必要がある」

まどかが口を挟む。

まどか「QB達はそれができなかった…?」

ほむら「そうよ、それでもなんとか別の形に置き換えたものが魔術」

ほむら「魔術の根本はさっきも言った通り無から有を生み出すこと」

ほむら「そして世界のエントロピーの差を埋めるために大量の魔力を用いて無理やり世界に生み出す、それが魔術」

ほむら「だから魔術を使うのに大量の魔力が必要になるし、QBの目的も達成できない」

ほむら「魔法少女の魔術の知識は全てQBから与えられる、QBは魔術の知識しかないしその先を見据えられなかったから'魔法'の知識に辿りつけなかった」

ゆま「じゃあ魔法っていうのは…?」

ほむらは待っていましたと言わんばかりに、

ほむら「少量の魔力で無から有を生み出すことよ」

ほむら「これが1段階上の世界、'魔法使い'」

杏子「1段階上の世界ってどういうことだよ」

杏子は理解が追いついているのかいないのか、頭を抱えながら尋ねる。

ほむら「まずは知的な生命体になるということこれが第1段階」

ほむら「次の段階は文明を手に入れること、さらに次は文化を発達させること」

ほむら「その次の段階が科学を発達させること」

ほむら「この段階が私達の段階であり、QB達の段階よ」

キリカ「文明的な面では人間とQB達に差はないってこと?」

ほむら「そうね、科学の差は結構開いているけれどレベルとしてはそれほど差はないわ」

ほむら「物理的な法則を超越するというものが私の段階よ」

まどかは思い出したように尋ねる。

まどか「えっと、ほむらちゃん確か前に2段階上まで昇華させた力を持っているって…」

ほむら「あら、よく覚えていたわね…そこまで説明する気はなかったのだけれどね」

ほむら「まどかの言うとおり魔法使いの上のレベルが存在する」

ほむら「それが'概念'という存在ね」

織莉子「確か時空間を操るのは概念の力って…」

ほむらは嬉しそうに、

ほむら「そうよ、概念の力はあるべくしてそこにある力と言うべきなのかしら?」

ほむら「言葉では言い表すのは難しいのだけれど、魔力を用いずなんのデメリットもなく力を扱えるといったところね」

ゆまとキリカは憧れのような瞳をほむらに向ける

ほむら「ああ、勘違いしないで欲しいのだけれど概念の力は貴方達には使えないわ」

杏子「どういうことだい?」

ほむら「そもそも概念というのは、世界と同義なのよ」

ほむら「だからそこにはいないし、どこにでもいる」

ほむら「この時間にはいないし、どの時間にもいる」

ほむら「そんな存在」

ほむら「私は一度概念と同化し、運良く人の身に舞い戻れた」

ほむら「その名残で概念の力が扱えるの」

杏子「だったらあたしも概念ってやつと同化すればいいだけじゃねぇか!」

ほむらはやれやれと言った様子で、

ほむら「貴方では戻ってこれないわ」

ほむら「そのまま取り込まれて世界を見守るだけよ」

ほむら「まあ、魔法を学べばいずれ辿り着く真理よ」

ほむら「話がそれたわね、今は貴方達に魔法を教えるわ」

全員が頷く。

ほむら「適正の話をしておこうかしら」

ほむら「魔力には人によって得意不得意が存在するわ」

ほむら「'ちなみに魔術'は適正があった物しか使えないといったデメリットがあるわ」

ほむら「適性が無い魔術を使おうとするとあっという間に魂がすり減って魔女化するでしょうね」

ほむらはかつて何かあったのかつまらなさそうに語る。

ほむら「'魔法'に関しては適性がなくてもある程度は扱えるから安心していいわ」

ほむら「例えば私の適性は時間操作、属性は炎、それに浄化と侵食にやや適正があるわ」

ゆま「ホムラと一緒に使った魔法って…」

ほむら「そうよ、貴方達の適正の魔力を使って効率的な運用を心がけたつもりよ」

ほむらはそのままゆまの方を向き、

ほむら「ゆまに関しては適正は回復ね、これは生命体に対して強く出ているわ、属性は風よ」

次に織莉子の方を向き、

ほむら「織莉子の適性は予知ね、属性は光、結界の魔法にも高い適正が出そうね」

杏子の方を向き、

ほむら「杏子は幻影の適正、属性は私と同じで炎よ」

ワクワクしているキリカの方を向き、

ほむら「キリカは時間の速度操作ね、属性は闇、召喚の魔法にも適正があるわ」

最後にまどかを見つめる

ほむら「まどかは浄化の適正、属性は聖ね」

キリカ「ほむら!召喚魔法とか結界魔法っていうのは?」

ほむら「ああ、魔法の種類も説明しておくわね」

ほむら「魔法の種類はいくつかあって、結界魔法、言霊魔法、具現化魔法、召喚魔法、干渉魔法等があげられるわね」

ほむらはお茶を一口含み、落ち着いたように

ほむら「まあ読んで字の如くよ」

ほむら「まあ魔法を覚える過程で理解できると思うわ」

ほむら「さあ、私からの説明は以上よ」

ほむら「これからは因果の糸による魔力精製と自分の適性に合った魔法を習得してもらうわ」

ほむら「その前になにか質問はあるかしら?」

本日は以上となります。圧倒的説明会でしたが、ほぼ全ての設定を放出できたのではないかと思います。

この設定に関して質問がございましたら受け付けますのでお気軽に申し付けください。

それと全く関係ない私事ですが、咲のSSを読んでいたら自分でも書いてみたくなってきます。このスレが完結したら挑戦してみたいです。

それでは失礼します。




召喚って言っても、どういう種類のを呼べるのかが問題だな。
ピンキリから詐欺紛いな奴まで、色々居ると思うが

どんな修行なのか、気になるねぇ

召喚して出てくるのは全部ほむらの配下で自作自演だったりして

こんばんは、さっそく予告していた順序が変わります。

シリアスっぽいものを書いていると無性にいちゃラブとか書きたくなりますね。

>>335 今回のside Kirikaで予想出来ると思います。

>>336 どんな感じで修行するかは今回ですが、修行しているシーンはだれるのでカットですね。

>>337 なにそれ面白そう、それで一本SS書けそうですね-ビーストテイマーほむら「魔物を従えたわ…」-

[魔法の練習]
ほむら「質問がないようなら早速魔法の練習をしましょうか」

ほむらは付け加えるように、

ほむら「一応言っておくけれど強制ではないわ」

ほむら「特にまどかは今日聞いたことを忘れて日常の生活に戻ることもできるわ」

まどかは少しの間逡巡した後に、

まどか「ここまで聞いておいて忘れるなんてできないよ」

ほむらは髪をかきあげ、格好をつけるように、

ほむら「魔導の世界へようこそ、歓迎するわ」

ほむらは杏子に視線を向ける。

杏子「あたしはそのためにここに来たんだし、聞くまでもないでしょ?」

ほむらは頷き、次にゆまに視線を向ける。

ゆま「魔法があればホムラの役にたてるよね?」

ほむら「そうね、ゆまの手伝いがあれば私はもっと世界を救える」

ゆまは力強く頷き、ほむらは織莉子に視線を向ける。

織莉子「ほむら様に仕えるには魔法少女の器では少々役者不足ですわね」

ほむら「ええ、私に仕えるならそれなりの器量を見せつけてほしいわね」

ほむらが視線を向ける前にキリカは、

キリカ「ここまで聞いておいて私だけ仲間はずれってことはないよね?」

キリカ「魔法少女を超え魔導の頂へ至る」

キリカはアハッと笑い、

キリカ「良い感じじゃないか、ほむらはそうじゃないとね」

ほむら「ノリノリね…まあいいわ、意思の確認は済んだわけだし」

ほむらが腕を振るとほとばしるとリビングに白、黒、桃、赤、薄緑の扉が突如現れる。

ほむら「まずは適正のある魔法から覚えていってもらうわ」

ほむら「どの扉に入るかはわかるでしょう?」

それぞれ自分の魔力の色に合った扉の前に立つ。

ほむら「それと、その前にソウルジェムを出してちょうだい」

まどかを除く皆はソウルジェムを差し出す。

ほむらから眩しいほどの紫色の魔力がほとばしる。

ほむら「これで魂を燃やして魔力を生み出すことはできなくなったわ」

ほむらは手を振り、

ほむら「じゃあいってらっしゃい」

[魔法使いへ至る道]
ほむらはまどかと同じ扉に入る。

ほむら「まどかはまだ魔力を操る感覚もわからないだろうから私がマンツーマンで指導するわ」

不安そうであったまどかの表情がパァッと明るくなる。

まどか「よかったぁ、一人だと何をすればいいかチンプンカンプンだったよ」

ほむらは意地悪な笑みを浮かべ、

ほむら「あら?私の指導は厳しいわよ?」

まどか「お、お手柔らかにお願いします」

ほむら「まずは魔力を練るところから始めましょうね」

[side Madoka]
そう言ってほむらちゃんとの魔法の特訓が始まりました。

といっても魔法とか魔力とかさっぱりわかりません、どうしたらいいんだろう?

ほむら「まずは手本を見せるわ」

そう言うといきなりほむらちゃんが私の手を握ってきました。

ええぇ?い、いい、いきなりなに?確かにほむらちゃんと手を繋いでみたいって思ってたけど…

ほむら「まどか、顔が赤いわ、大丈夫?」

まどか「へ?う、うん、大丈夫、大丈夫」

ほむら「私は真面目にやってるのよ?邪な考えは今は捨ててちょうだい」

私の考えなんてお見通しだったみたい…うぅちょっと恥ずかしいです。

ほむら「いくわよ」

そう言うと私の中から暖かいようなくすぐったいような感覚が生まれてきました。

どこか安心するような、それでいて力強い暖かさ…。

おっとっとそうだ、今はほむらちゃんがこれを作り出してくれているんだ。私もできるようにならないと

ほむらちゃんみたいに、ほむらちゃんみたいに、ほむらちゃんみたいに、ほむらちゃんみたいに、

ほむらちゃんみたいに、ほむらちゃんみたいに、ほむらちゃんみたいに、ほむらちゃんみたいに、

あっ、なにかわかってきたかも。

ほむら「えっ?」

あれ?私なにかしちゃったかな?

まどか「どうしかしたの?」

ほむら「まどか、本当に今まで魔法に携わったことないの?」

まどか「うん、本当だよ」

ほむら「そうだとしたら大した才能ね、もう魔力を練りだすことができているし…」

いつの間にかほむらちゃんは手を離していたようです。

ほむらちゃんに認められている、うんとっても嬉しいな。

これはもっともっと頑張らなくちゃね。

ほむら「次はその魔力を自分の中に留めてちょうだい」

留める?うーんこうかなぁ、あれ?全然うまくいかない…

魔力さんお願いだから私のところにいてください。

なんで行っちゃうの?

まどか「行っちゃダメー!!!!」

ほむらちゃんを見ると呆れたような目で私を見ている。

えっ?ほむらちゃんに嫌われたくないよ!早くできるようにならないと…

ほむら「留めるのは存外苦戦するのね、多分貴方が優しすぎるからよ」

ほむら「魔力は従えるものなの、お願いとか甘ったれたことを言わずに留まれと命令してやりなさい」

命令だね…もう一度魔力を作り出して、留まって!

ほむら「上出来ね、ではその状態で1時間耐えてちょうだい」

まどか「えっ?このまま?」

留まらせるのは予想以上につらい。これを1時間?無理無理無理!

ほむら「魔力の緻密なコントロールをするにはそれくらいできるようじゃないとダメなの、わかってくれるかしら?」

辛そうな目をしたほむらちゃん。ここで頑張らなきゃ。

まどか「わかった、頑張る!」

ほむら「その意気よ、あとサボってもわかるから覚悟しておいてね」

まどか「えっ?どこに行くの?」

ほむら「お茶をとってくるわ待っててね」
[side Madoka is over]

[side Oriko]
私が白の扉を抜けて待ち構えていたのは、

織莉子「ほ、ほむら様!?」

確かにまどかさんと一緒に桃色の扉に入ったはずなのに…?

ほむら「概念の力はどこにもいないしどこにでもいれる力もあるのよ?」

織莉子「つまりこの時間軸に多重にほむら様がいらっしゃると…」

ほむら「流石に実空間に多重に存在するわけにもいかないから、私の作り出した空間限定だけれどね」

ほむら「早速特訓に入りましょうか、まずは魔力を作り出して、未来予知をしてみなさい」

織莉子「えっと、いきなりそうおっしゃられても…」

ほむら「こうよ」

そう言うとほむら様から紫色の光がほとばしる。

ってこれだけ?ほむら様も私をじっと見ているし…

とりあえずやるだけやってみましょう。

えっと因果の糸を燃やしてま力にするのよね。

目を瞑る。

ほむら様との世界を感じる。そこから力を分けてもらいましょうか。

そうすると私の体から白色の魔力がほとばしる。

ほむら「意外とすぐできるのね…」

織莉子「ほむら様の素晴らしいお手本と、因果のいとというヒントももらっていましたので…」

織莉子「何もない状態でひらめくよりは何億倍も楽ですわ」

ほむら様は私の発言に納得いったのか、少しだけ優しい顔を浮かべた。

ほむら「その魔力を使って未来予知をしてみなさい」

織莉子「えっとさきほどからやろうとしてもいいのですが、圧倒的に魔力が足りないといううか…」

そう先程から試そうとしているのだが、全くうまくいかない。

ほむら「それは魔術の術式でやろうとしてるからでしょう?私は魔法を使えと言っているのよ」

ほむら「私は一度あなたに魔法を見せたことがあるでしょう?思い出してご覧なさい」

ほむら様との初めて出会った日、家に結界を張っていただいた。

確か私には結界にも適性があるっておっしゃっていたはず。

あの時を思い出しましょう。

ほむら様は何をした?ただの一つのルートで魔法陣を結んでいたか?

否、空間多重に陣を結んでいたはずだ。それで十分に効果を発揮していたはずだ。

あの時のことを参考にして…

少量の魔力なら循環させればいい。循環させながら効果を発揮させる。

回路を回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ回せ。

あ、見えた。そこには魔力で「答え:H.A」と書いているほむら様の姿が見えた。

織莉子「答えはH.Aであったますよね?」

ほむら「結構、次は実践訓練よ」

ほむら様は球体を数え切れないほど作り出し、とんでもないことを言ってくる。

ほむら「未来予知を駆使し、現在の状況と照らし合わせてこの球体を避け続けなさい」

ほむら「当然未来予知できなければ回避できないようにプログラムするから、がんばってね」

言葉にならないとはこのことかしら?使用までに数秒はかかる未来予知をしながら今襲いかかってくるのも避ける?

………早くも挫けそうね、でもほむら様のお言葉ですので、無理でも押し通す!

ほむら「そうそう、織莉子とは私との武器の精製はしてなかったわね」

ほむら様が私のもとに歩み寄ってきて、手を差し出してくる。

私は当然のようにほむら様の手を取り、魔力を練って渡す。

白くてすべすべしてる、なんて美しくなんて優雅でなんて淫靡な手だろうか。

はぁ、いつまでもこの手を握っていたいわ…

ほむら「へぇ、結構トリッキーな武器に適性があるのね」

そういうほむら様の手には何もない?いや見えないのか?

ほむら「魔力の流せる鋼糸ね、随分と面白そうね」

ほむら様が私にも見えるように少し太めに糸を束ねたようで、私の目にも細い糸が見えた。

ほむら「あなたの魔法少女としての武器は水晶だったから水晶を滑車として使えればおもしろいことができるわよ」

久しぶりに好奇心が全面に出てきたほむら様をみた。

そうだ、ほむら様はもともと子供のように純粋でまっすぐなのだ。

私がサポートしなければ。

織莉子「ほむら様、お願いします」

言うや否や、ほむら様の作り出した球体が私目掛けて飛んでくる。
[side Oriko is over]

[side Yuma]
魔力ってやつはホムラと一緒に戦った時の感覚を思い出せば使える。

ホムラはゆまの適性は癒しと風って言ってたよね…。

風ってのはこの前のやつだよね。

でも癒しってなんだろう?

ほむら「ゆまは、私と共に戦ったからある程度魔力の扱い方はわかってるわね」

ゆま「ほむら~、癒しって言われてもゆまわかんないよー」

ホムラはちょっと意外そうな顔をしてるけど、ゆま変なこと言ったかなぁ。

ホムラはブツブツとなにか言うと傷ついた人間が出てきた。

たまらずにヒッと声を出してしまう。いけないホムラの前ではいい子でいないと。

ほむら「例えばこれの傷を治せる?」

ゆま「う、うん…多分」

ゆまの魔法でホムラの出した人形の傷を治す。

ほむら「できるじゃない」

ほむら「なら、実践訓練に入るわよ」

実践?これができればホムラの役に立てるかなぁ?

ほむら「ゆまの役割は回復よ、でもそれだけでは役に立たない」

ほむら「攻撃にも参加しつつ、周りを回復させることを両立してもらうわよ」

よくわかんないけど、攻撃しながら皆を治せばいいんだよね。

ほむら「そのためには優先順位をしっかり見極める練習をしてもらうわ」

ホムラは一体のロボットと六体の人形を作り出した。六体の色はピンク、青、黄、赤、白、黒だった。

ゆま「紫はないの?」

ホムラは少し顔を伏せて、

ほむら「ワル…………の夜……戦…………参……できな………」

よく聞き取れないや…

ホムラは顔を上げ、

ほむら「紫はとっても強いから心配しなくていいのよ」

信じていいんだよね?ホムラどこにも行ったりしないよね…

多分尋ねたら当たり前だと叱られちゃうと思うから聞かない!ゆまいい子だもん。

ほむら「では始めましょうか、このロボットが無差別に人形とゆまを攻撃するわ」

ほむら「最初は攻撃に参加しつつ、怪我の度合いがひどい順から治療していきなさい」

ほむら「もちろん治療中も攻撃は止まないからそこは工夫して頂戴ね」

頷いて、武器を作り出す。

作り出すのはもちろんあの時のハンマー。

ホムラは笑顔を浮かべる。

ほむら「よく再現できてるわよ、90点をあげるわ」

えっ?ここは100点じゃないの?

涙目でホムラを見つめる。

ほむら「100点が欲しかったら、風を付与することね」

魔力を巡らせハンマーに風をまとわせる。

ほむらは満足そうに頷き、

ほむら「さあ修行の開始よ」
[side Yuma is over]

[side Kirika]
ほむらからの指導がはいってから約1時間ようやく魔力の精製と速度低下の魔術から魔法への書き換えが終わった。

キリカ「ねぇほむら、できたからご褒美ちょうだーい」

我ながら露骨に甘えた声を出したのは自覚している。

でもこれでほむらの気を少しでも惹けるなら儲けものさ。

ほむら「この程度でご褒美はあげられないわね」

やっぱりだめかぁ、

ほむら「修行を無事終えることができたらなにかしてあげてもいいわよ」

飴とムチってやつかぁ、その飴は私にとって代え難い価値を持ってるんだよねぇ。

釣られないわけにはいかないなぁ。

キリカ「それじゃあ、ほむらとデートしたい!」

私の勢いに押されたのか、

ほむら「い、いいわよ」

アハハ、ほむらとデートかぁ、ど、どこに行こうかな。

遊園地でもいいし、水族館とか、でも公園でまったりするのもいいなぁ。

学生らしくカラオケとか!ほむらの歌声聞いたら失神しちゃうかもしれないなぁ。

そ、それでそのまま、ホ、ホテル何かに連れ込んじゃったりして。ああ、いいなぁ。

ほむら「妄想はそれくらいにしておいてまずは現実を見なさい」

おっといけないいけない、ほむらの愛を受け入れるにはまずムチを全身に打たれなきゃね。

キリカ「次は何をするんだい?」

ほむら「まずは武器ね、私があなたの魔力で一旦精製してみるわ」

キリカ「ん、その心配はいらないよ」

キリカ「どうせこの形に帰結するからね」

私は十本の爪を展開させる。

ほむらは空気中に漂っていた私の魔力を手繰り寄せ、10本の爪を作り出し、不思議そうに首をかしげる。

ほむら「あら、本当ねどうしてわかったの?」

キリカ「なんとなくだよ」

嘘だ、私はほむらに嘘をついた。多分ほむらは無意識か意識的か知らないけど隠していることだ。

だから私は触れないし、ほむらも問い詰めてきたりはしないだろう。

もしかしたらこの思考もほむらには予想されているかもしれない。

本質的な部分で私とほむらは同じであるということを。

狂ったほどに、いや実際に狂いながら一途に特定の誰かを想い続けること。

同じである者が協力したところで変化なんて起きるわけがないじゃないか。

ほむら「なら、召喚魔法について講義しましょうか」

キリカ「うへぇ、また説明~」

正直さっきの話も全然理解できていないのにさらに説明されてもなぁ…

ほむら「大丈夫、簡単な説明だから」

キリカ「お手柔らかに頼むよ」

ほむら「じゃあ、召喚魔法と聞いて何を思い浮かべる?」

キリカ「そりゃあ異次元から魔物とか呼び寄せて攻撃するゲームによくあるやつかな」

ほむらは頷いて、

ほむら「ここは現実よ?異次元もなければ魔界もないし天国も地獄もない」

ん?じゃあどこから何を召喚すると言うんだ?

バハムートもフェニックスもケルベロスも存在しないなら呼び出せないじゃないか。

ほむら「召喚魔法とは具現化の魔法と似ているわ、というより魔法の本質といってもいいわね」

キリカ「無から有を生み出す…?」

ほむらは少し驚愕を浮かべ、

ほむら「覚えていたのね、てっきり寝ていたのかと思っていたわ」

キリカ「ひどいなぁ、ほむらの言葉を一言一句聞き逃すわけがないじゃないか」

ほむらは咳払いをし、

ほむら「召喚魔法は自分の想像上の生物をこの世に魔力をもって具現化させる」

ほむら「想像は妄想と置き換えてもいいわ」

ほむら「そのための設定は練ってあればあるほどより高位の生物を召喚できるでしょうね」

つまり私の頭の中の生物を実体化させるのか、簡単じゃないか。

ほむら「今簡単だと思ったでしょう?」

ほむら「召喚魔法の厄介なところは別にあるの」

ほむら「召喚獣が具現化し、術者が認識したのならもうそれは一時的にとはいえこの世の生物になるわ」

ほむら「当然そこに自由意思は存在し、本能ってやつも持ってるでしょうね」

キリカ「ん?じゃあ呼び出したら勝手に暴れるってことかい?」

んー、ほむらにも危険が及ぶじゃないか、それは困る。

ほむら「本来ならば子供の召喚獣を生み出して懐かせながら育てるのが一番楽なのだけど、今回は時間がないわ」

ほむら「呼び出して、屈服させなさい」

キリカ「なんだ、本当に簡単じゃないか!」

キリカ「めちゃくちゃ強い奴を作り出して、私が倒せばいいんだろう?」

ほむらはため息をつく。ん?また変なこと言っちゃったかなぁ…

ほむら「それを簡単だというのはあなたぐらいよ」

ほむらに特別扱いされた!めちゃくちゃうれしいな。

じゃあ召喚魔法いっちょやってみようか。

呼び出す獣はもう決まっている。

私の願いは自分を変えること。変わることの象徴と言ったらあいつしかいないだろう。

それにそいつの生態系や設定は、漫画やゲームで腐る程見てきた。十分すぎるほどの知識だろう。

それに私の適性は闇なんだろう?ならば出てくるのはあいつしかいないじゃないか。

魔法の術式は自然に頭に浮かんでくる。

ほむら「早速始めるのね」

ほむらの声が耳に入ってくる。いい声だ、私だけのものにしたいなぁ。

魔法陣が出現する。そこから出てくるのは。

アハッ、やっぱり君か!さあ、かかってこい!私が無限に有限な愛を教えてやる!
[side Kirika is over]

[side Kyoko]
魔力の練り方は大体把握した、油断するとソウルジェムから魔力を作り出そうとしちまうが、そのうちこの癖も抜けるだろう。

というか魔法を使う上でソウルジェムから提供される魔力は大きすぎて扱いきれないな。

炎の魔法と幻影の魔法もある程度ものにできたと思う。

ただ不満がある。

杏子「あたしはこんなものを覚えるために弟子になったわけじゃないぞ!」

ほむら「あら?何か不満があるの?」

杏子「大ありだね!確かに魔力の効率は良くなったが、今までできたこととできることが変わんねぇじゃないか!」

ほむら「効率が良くできるようになっただけ成長してるわよ?何が不満なのよ?」

ああ、なんで伝わんねぇんだよ。

杏子「前に使ったド派手な魔法があっただろ、あんなのが使えるようになるんじゃないのかよ!」

ほむらは納得したような顔で、

ほむら「あれは貴方達に私の実力を見せつけるために威力を高めたものだからね」

ほむら「ただ倒すだけならあんなことする必要はないわ」

たしかにそうだけど、あたしの回答になってねぇぞ。

あたしが睨みつけていると、

ほむら「幻影の実体化も使えるようになったし、高火力の魔法を教えてもいいわね」

さすが師匠わかってくれたか!

ほむら「ただ単純に威力をあげるのは簡単よ」

ほむら「術式の威力の部分をあげていくだけ、つまり魔力を注ぎ込みまくれば強くなるわ」

杏子「そりゃあわかるけど、それじゃあムダが多すぎるだろ?」

当たり前のことを答えたつもりだが、

ほむら「なんだ、なら答えはもうそこに出てるじゃない」

答えはでてる?魔力を大量に注ぎ込むなら増幅を何度も噛ませるだけでいいけど、これはだめだな。

もっと効率的に威力をあげるには?

ほむら「重ね合わせる」

重ね合わせ?魔法を発動させるための術式を同じところに何度も何度も。

試しに二つの炎の魔法を重ね合わせると、火力が一気に跳ね上がる。

ほむら「そうよ、魔法は同じところに何度も重ねることができるのよ」

ほむら「まあひとつのものを重ね合わせても限界はたかが知れているのだけれど…」

杏子「同じ魔法を複数の方法で作り出す?」

ほむらは目を丸くしている。

ほむら「優秀な生徒ばかりで助かるわ」

ほむら「私の言霊に貴方の言霊、魔法陣、具現化、その全てを重ね合わせてあの威力を出したのよ」

ほむら「貴方に戦い方の指導は今更だし…」

ほむらが指をパチンと弾くと巨大な壁が出現する。で、でけぇなんだよあれ。

ほむら「貴方への課題はこの壁を破壊すること、手段は問わないわ」

ほむら「ちなみにあの時に発動した浄炎影魔法の三割程度の威力で壊れるようになってるから、頑張って頂戴」

へっ上等じゃねぇか!やってやるぜ!
[side Kyoko is over]

ほむらの本体-全てが本体だがややこしいので本体と呼称しておこう-はピンクの扉から出て、家のリビングでくつろいでいた。

今頃まどかのもとには概念の力で出現したほむらが出向いているだろう。

くつろぎながら同時に修行の経過の情報を取得していく。

ほむら(順調ね…3日もあれば一定のレベルにはなるでしょう)

ほむら(実空間では一時的に存在をなかったことにして、誤魔化しておきましょうか)

ほむら(それにしても、まどかの才能は尋常じゃないし、織莉子もトリッキーなタイプの才能を持ってるし、)

ほむら(ゆまの癒しの力は既に私の遥か上にあるし、キリカに至ってはなによあの召喚獣…)

ほむら(杏子も戦闘の経験からかものすごい勢いで成長してるわ)

ほむら(正直嫉妬してしまう…私にもその欠片でも才能があれば…)

ほむら(いや、やめておきましょう、今は私の世界を救うことだけを考えましょう)

ほむらはお茶を飲んでいると、魔女の気配を察する。

ほむら(あら?バラの魔女はさっきマミが倒していたみたいだけれどまた魔女?)

ほむらは過去の記憶を検索する。病院、魔女、マミ、さやか。そこから引き出された記憶は、

ほむら(まずいわね、よくマミがやられる魔女じゃない)

ほむら(随分出てくるのが早いようだけれど…私たちの誰かの魔力に引き寄せられたのかしら?)

魔女と魔法少女、魔法使いは引かれあう存在である。

ほむら(今はバラの魔女で疲弊しているはずだし、支援に行きましょうか)

本日は以上となります。

修行を終えてからシャル戦をやる予定でしたが、そうすると強化されたほむら御一行がどうしても邪魔をしてくるので、
ほむらが単騎になるこのタイミングで出現してもらいました。

おやすみなさい。

乙です

ついにマミさん攻略か
最悪の第一印象からの攻略とは正にギャルゲー


色々と楽しみにしつつ次回を待つぜ

才能があるのも良いだろうが……努力で長い歴史を経たほむほむだからこそ、
概念化という境地に至れたのだろうと思っている。
下手に成長スピードが早いと、概念化からは戻って来れなさそう。

因果を燃やしているということは魔法を使えば使うほど
世界とのつながりが希薄になっていく可能性が微レ存?

そこら辺予想するのは楽しいけど、ネタバレになると作者がリアクションしづらい可能性もあるからなあ

こんばんは本日分投下いたします。本日はマミ回。

>>355 基本的にご都合主義なので第一印象最悪でもチョロイです

>>356 ご期待に応えられるように誠心誠意頑張ります

>>357 努力というよりほむら慎重さが実を結んだ形となってます

>>358-359 本編で語る予定は特にないのですが、因果を燃やし尽くすと世界との繋がりは断たれますが普通に生活すると世界との繋がりの因果は勝手に溜まっていくので
RPGで言うところのMPだと思って頂ければと思います

>>360 むしろ予想していただいたものが当たってると嬉しいです。といっても設定的にはほぼ放出したのであとはラストまで突っ走るだけです。

[マミのプライド]
ほむらが病院の前の魔女の結界の中に入ると丁度目の前にマミがいた。

ほむら「貴方さっきも魔女と戦闘をしていたでしょう?ここは代わってあげるから今日は帰りなさい」

マミは冷たい目でほむらを見返す。そこには嫌悪や苛立ちと言った負の感情が浮かんでいる。

マミ「ご忠告どうも、でも必要ないわ」

ほむらは諦めずに説得を続ける。

ほむら「ここの魔女は強敵よ、今の貴方では勝てないわ」

マミはイラツキを隠せない様子で、

マミ「まだ出現すらしていない魔女のことがどうして分かるのかしら?」

マミ「それに、不可侵条約を結んだのを忘れたのかしら?」

ほむらは真正面からマミを見つめ、

ほむら「私は貴方を救いたい、それが理由になるとは思わない?」

マミは話は終わりだと言わんばかりに振り返って、結界の奥へと足を進めようとする。

ほむら「待ちなさい!」

マミ「邪魔よ、暁美さん」

そう宣言すると、ほむらとマミから契約書が出現し、ほむらにペナルティを与える。

契約の魔法に基づき、ほむらはマミの邪魔をできないよう一時的に力を抑えられた。

ほむらは苦しそうな声で呻いたが、マミの反応はない。

マミはさらにリボンでほむらを拘束し、その後は振り返りもせずに結界の奥へ目指す。

慎重さってレベルカンストしてからボス戦に行くとかそういう…

力を抑えられ、拘束されたほむらは何を思うのか…。

数分が経過し、不意にほむらから笑みがこぼれ落ちる。

ほむら(なんて予定通りに進んでくれているのでしょうか)

そう、この拘束されるまでがほむらの予定通りに進んでいる。

抑えられた力も大分戻ってきたようだ。そもそもあの契約書で力を抑えられるのはせいぜい5分程度なのだ。

ほむら(この拘束を解くのに自分の身を厭わず魔力を暴走させたことにして、満身創痍の状態で巴マミを助ける)

ほむら(そうすればきっと心が折れて私に何らかの執着心を持ってくれるはずよ)

ほむら(あの娘達のようにね…)

ほむら(だって、私の世界を救うために、できるだけ近くに優先順位を高い娘を置いておかないと心配じゃない)

ほむらの計画は何らかの執着心を持ってもらうところから始まっている。

まどかには『憧れ』、ゆまには『刷り込み』、織莉子には『主従』、キリカには『依存』、杏子には『師弟』。

ほむら(織莉子には友人のままでいてもらいたかったのだけれどね…)

執着心を抱いてもらうには一度心を折ればいい。心が折れれば隙ができる。そこにつけこまない手はないだろう。

最もそれは相手の心が弱い場合に限る。

ほむら(さてそろそろ行きましょうか)

ほむらは爆発の魔法を自分を中心に唱え、マミの拘束を破る。

その際に自分の体へのダメージの回復は敢えて行わない。

ほむら(我ながらひどい格好ね)

右腕は千切れかけ皮だけ繋がっており、顔面も大きな火傷で爛れている。左足はどこにも見当たらなく、右足もどこかおかしな方向を向いている。

そのまま魔法を唱えると、背中から羽が生まれ、その羽の推進力で魔女の結界を進む。

結界の最深部に着くと恵方巻きのような形の魔女がマミに噛み付こうとしていた。

時間を停止し、唯一使用出来る左手で拳銃を打ち込んでおく。

そして拳銃をしまい、左腕でマミを抱え魔女との距離を取る。

そして時間を進める。

動き出した時の中でマミがほむらを見つめると同時にヒッと小さく悲鳴をあげた。

それは己の死を覚悟した際の恐怖の悲鳴なのか、ほむらの姿を見た際の悲鳴なのかは判別できなかった。

ほむら「だから言ったじゃない、貴方じゃこの魔女に勝てないとね…」

ほむら「貴方は私に救われるだけの存在でいいのよ」

こうして、突き放しつつ相手を別の存在として認める。この状況だ、並大抵の精神の持ち主なら心が折れるだろう。

事実巴マミも心が揺らいでいた。

ここで身をゆだねたらずっとぬるま湯に浸かりながら楽が出来るだろう。すべてをほむらに押し付ければいいだけだ。







だが、マミの心は折れない。マミの持っている小さなプライドがここで屈するのをよしとしない。

マミ「ちょっと油断しただけよ、まだやれるわ」

ほむらは想定外の事態にたじろぐと同時に感動を覚える。

ほむら(やっぱりマミさんは変わらないなぁ)

昔懐かしい記憶を朧気ながら思い出す。

ほむら(この姿で脅す必要はもないわね…方向転換が必要かしら?)

ほむらは言霊を紡ぎ、体を回復させる。

ほむら「訂正するわ」

マミ「今更何よ?」

ほむら「あなたもベテランのようね、もし良かったら手を組まないかしら?」

あの時の再現だ。ほむらは手を伸ばす。

マミ「私は貴方みたいに言い過ぎた表現はしないわよ」

そしてマミはほむらの手を握る。

ほむら「さあ、あんな奴さっさとやっつけちゃいましょうか」

手を握った時にマミから少し魔力を取り出し、自らの力とする。そして言霊を紡いで威力を増強させる。

ほむら「我らの力は銃器なり」

マミのリボンを模した鎖が魔女を拘束していく。

マミ「華麗に優雅に舞踏を踊る」

ほむらとマミの手には華麗とは言いがたい超巨大な銃が具現化されてゆく。

ほむら「ただひとつの打ち損じもなく」

マミ「ただひとつの塵も残さず」

二人の手には88mm対空砲のようなものが握られる。

マミ「我らのアハト・アハトで」

ほむら「吹き飛ぶがいいわ」

マミは魔法を放つ直前にボソリと何かを呟くが、完成した魔法に影響はないだろう。

マミ「ティロ」

ほむら「フィナーレ」

轟音が鳴り響き魔女を使い魔もろとも一掃する。







しかし、魔女を倒したのに結界は崩れない…

新たに何かの結界が張られたようだ。その事実にほむらは激昂する。

ほむら「なにか小細工をしているとは思ったけど」

ほむら「私の記憶を見たな!!!巴マミ!!!!」

その結界はほむらがよく知る結界"魔法"であり、未だ誰にも教えてはいないものであった。

マミはほむらの記憶を悟り、ほむらの行いを諭すだろう。

マミは再び冷淡な瞳でほむらを見つめる。しかしそこには同情や、憐れみの感情が含まれていた。

マミ「貴方って卑怯ね、私の心が折れないと見るや否や別の作戦にシフトした」

マミ「ここで共闘すれば、確かに私の心は惹かれたでしょうね」

我にかえったのか、冷静さを取り戻したほむらは、

ほむら「でも貴方への第一印象が邪魔をしたようね」

ほむらは笑いながら答える。

ほむら「我ながらさっきのは胡散臭い話だと思ったわ」

ほむら「私の真意を知ったのでしょう?だったらどうするの?」

ほむらは髪をファサッとなびかせて格好をつけながら、

ほむら「いくら魔法の知識を得たとしても貴方は私の足元にも及ばないわよ?」

マミも楽しそうに笑う。

マミ「そうね、暁美さんは私なんかより一京倍は強いでしょうね」

マミはただね、と付け足し、

マミ「それでも一発殴って貴方を正しい道へ導くことくらいはできるわよ?」

ほむらは嬉しそうに話す。

ほむら「いいじゃない、そういうの好きよ」

ほむら「青春ってやつでしょ?河原とかで殴り合いの不条理な喧嘩をするの、少しだけ憧れるわ」

マミ「だったらお望み通りに」

マミがほむらに向けて一気に距離を詰める。遠距離戦では勝ち目は薄いと感じたのであろう。

ほむらは余裕を持って躱しながら答える。

ほむら「私が喧嘩に憧れた頃にはもう私の敵はいなかったのよ」

ほむら「だからいつも私の不戦勝、敵なんていないんだから戦いが始まると同時に勝っちゃうのよね」

マミの体から黄色の魔力が溢れ、マミの速度が上がった。

マミ「そんな上っ面な言葉が聞きたいんじゃないのよ」

マミ「だって!敵なんていなかったら、そんなに頑張る必要なんてないじゃない」

ほむらは一瞬返答に詰まったが、マミの攻撃を右に左に避けながら続ける。

ほむら「そうね、敵が強大すぎるから未だ挑めていないけどそれもあと数日の辛抱よ」

マミがリボンを呼び出し、人形のような形に姿を変えると自動的に動き出す。

ほむら「自立起動の魂を召喚したのね、やるじゃない」

ほむら「でも、それは私の生み出した魔法よ?だったら対処は簡単なのよ」

マミは複雑そうな顔を浮かべる、

マミ「これは私の為に用意していた魔法なのでしょう?だったら使いこなすのは簡単なのよ」

ほむらはかつてみんなに合っている魔法の開発も行なってきた。

終ぞ教えることはなかったが、こんなところで役に立つとは思わなかっただろう。

ほむらの元へ複数の人形、それに混じってマミが肉薄する。

ほむら「距離を取らない戦法はよくできているわ」

ほむら「私が得意とするのは遠距離戦だものね…」

ほむらはすべての攻撃を紙一重で躱しながら、

ほむら「でも近距離ができないわけではないの」

ほむらは遂に迎撃の体制に入ったのか、槍を取り出す。

その槍は杏子と共に戦った時に用いた物である。

マミ「また人の物をかってに使うつもり?」

マミ「人の物じゃ私に届かないわよ」

マミのリボン人形がほむらの取り出した槍に取り付く

マミ「弾けなさい!ボンバルダンド!」

爆発の言霊と共に、リボンの人形が槍を取り込み破裂する。

ほむら「あらあら、やるわね」

ほむら「それじゃあこれはどうかしら?」

ほむらは大剣-フランベルジュ-を取り出す。

マミ「ようやく暁美さんが出てきたわね」

ほむら「これの実力は記憶を観てもう識っているでしょう?」

ほむら「許してあげるからもう手打ちにしてもらえないかしら?」

マミは即座に否定する。

マミ「いいえ、貴方の口から本音を聞き出すまで付き合ってもらうわ」

マミ「だって、ここで私が引導を渡さないと貴方の世界は救えても…」










マミ「貴方が救われない!」

ほむら「あら、私の心配をしてくれるなんて優しいのね」

ほむら「確かに私の世界という定義に私自身は含んでないわ」

ほむらは自虐的に話し続ける。

ほむら「これは贖罪なのよ、自分の為にあの娘を何人も見捨て続けた罰」

マミは否定するように叫ぶ。

マミ「その経験があったからこそ最適解が見えたでしょ!」

ほむら「そうであったとしても、私の罪は消えない!」

ほむらがじわりじわりと間合いを詰めていく。

ほむら「諦めてもらうわよ」

炎を纏った大剣がマミの体を捉える。と同時にマミの体が分解したようにリボンとなって溶けていく。

マミ「貰ったわ」

影に隠れていたマミの放つ銃弾がほむらの元へと向かう。

ほむら「無駄よ、そんなものでは私には届かない」

ほむらに着弾する直前に時間が停止する。

この概念の力はたとえ記憶を見たとしても真似はできないだろう。

ほむらは銃弾を余裕を持って回避すると、時間が動き出す。








そこには魔力を完全に遮断したマミの拳が待ち受けていた。

ほむらは何も言わずに殴られた頬を撫でる。

マミ「さあ、貴方の口から話してもらうわよ」

ほむら「わ、私は…」

決して届かないと思っていた攻撃が届いたことへの違和感、随分と久しぶりに受けた他者からの苦痛、

ほむら(痛いってこういうことだったんだ)

マミは拳を握り、

マミ「足りないならまだまだいくわよ」

そうは言ったが、この奇襲はもう2度と通じないだろうし、もう一度攻撃を当てるための手はもうなかった。

だが、その杞憂は必要なかったようだ。

ほむら「やめて!」

ほむら「痛いのは嫌!辛いのは嫌!こんな責任も負いたくない!」

ほむら「私は悪くない、一人だったけど魔法を生み出したし、概念にも辿り着いた」

ほむら「頑張ってきたけど」

ほむら「こんなのいらない…」

ほむら「私はただ…」

ほむら「ただ…」

ほむら「まどかを…」








ほむら「鹿目さんを救いたかっただけなの」

ほむらは涙を流しながら手を顔に当て、塞ぎこむ。

マミ「それでいいのよ」

マミは手を差し出し、

マミ「私達出会い方を間違えただけで、協力できるはずよ」

少し恥ずかしそうに頬を染め、

マミ「初めまして、私は巴マミです」

マミ「私と友達になってもらえませんか?」

ほむらは少し泣いて落ち着いたのであろうか、

ほむら「私は暁美ほむらって言います」

ほむら「マミさんとまた友だちになりたいです」

ほむらは本当の意味で対等に向き合える友を得ることができたのかもしれない。

本日は以上となります。

マミVSほむらは絶対に書きたいと思っていたところなので、うまく書けていればと思います。

おやすみなさい。

投下終わりにあげ忘れてた

>>364 レベルカンストしてからラスボスに挑もうとしたら、さらなる裏ボスがいて結果的によかったって感じです。


ここまで策略のうちだったりして
あと挟んじゃってすまん



マミさんが豆腐じゃない!


根本はか弱く儚い少女のままだったんだなぁ。

マミさんそげぶ覚えてないかこれ


脳内戦闘描写が捗る
マミさんかっこいいっす

乙ほむ
豆腐メンタルのマミさんなんていなかったんや・・・
ほむほむかわいい

こんばんは、今日は時間が取れ、区切りのいいところまで書けたので投下いたします

>>378 流石に本心だと思います

>>379 マミさんは根っこの部分ではしっかりしてる人だと思ってます。

>>380 アニメ本編でも弱いところは見せてるので、本質はは変えられないんだと思います。

>>381 マミの拳は魔力を纏っていないので実質的にノーダメージなんですよね…精神的なダメージにはなったので、男女平等パンチのような威力まではないと思います。
まあ説教という点ではそげぶってるかもしれないです。

>>382 結構気を使って書いたつもりなので、うまく伝わっていたら嬉しいです

>>383 ほむほむはクールでもメガネでもリボンでもカワイイです

[戦闘後の余韻]
マミの張った結界が崩れる。そこには手を繋いだ仲睦まじい少女が二人佇んでいた。

ほむら「手を離すのがもったいないわね」

マミ「私はずっと繋いでもいいわよ?」

ほむらは嬉しいような、子供扱いされているようななれない感覚にむず痒く感じる。

ほむら「弱さを見せるのはきっと貴方の前だけになるから…」

マミ「他の人の前ではいい格好見せたいったわけね」

マミは優しい笑顔を浮かべる。

その空気を破るように大きな声が辺りに響く。

さやか「マミさん、ほむら!大丈夫ですか!?」

ほむら「こんにちは、さやか」

マミ「ええ、少し暁美さんとお話をしていただけよ」

マミ(肉体言語だったけれどね…)

ほっと胸を撫で下ろしたさやかであった。その影からQBが顔をだす。

QB「マミも無事でよかったよ」

マミは今までQBには向けたこともない冷たい視線をQBに向ける。

マミ「心配したのは私?それとも私から抽出する予定のエネルギーかしら?」

QB「一体何を言ってるんだい?」

マミはなおも問い詰める。

マミ「宇宙の為にエネルギーを集めているのでしょう?もう識ってしまったからごまかさなくてもいいわよ」

QB「暁美ほむらだね」

ほむらはどうでも良さそうに頷く。

ほむら「別に知っていたからどうというわけではないでしょう?むしろ知っていたほうが魔女を作り出しやすくなるって思っているんじゃないかしら?」

QB「ようやく話をしてくれる気になったんだね」

QB「ほむらには近づこうとしても謎の力で弾かれてしまっていたからね」

ほむら「それはそうよ、私の周りには常にQBを弾く結界を張っていたのですもの」

QB「今近づけるってことはその結界はないと思っていいのかい?」

ほむらは首を横に振る。

ほむら「正確に言えばQBが近づいて来た時に弾く結界ね、私から近づいた場合は発動しないわ」

マミ「私も今度からそれ張ろうかしら?」

マミの場違いな発言は無視する。さやかもこの場の雰囲気に呑まれて右往左往している。

ほむら「聞きたいことがあるなら答えてあげるわ、今私は機嫌がいいのよ」

その言葉に何故かマミが頬を赤くする。

QB「じゃあ率直に聞こうか、君は一体何者だい?」

ほむら「幾多の時間軸を移動してきたただの魔法使いよ」

QB「なるほど時間移動の魔法か」

ほむらは否定するように口を挟む。

ほむら「あなたの言っているのは魔術よ、魔法とは少し違うわ」

QB「なら、魔術と魔法の違いを教えてもらえるかい?」

ほむら「さやかもいることだし、ついでに聞いて行きなさい」

ほむら「立ち話も何だし、マミの家を貸してもらえないかしら?」

マミはわざとらしく、

マミ「仕方ないわねぇ、今度この埋め合わせはしてもらうわよ?」

ほむらとマミとさやかとQBはマミの家に上がり、ほむらはまどか達にも話した魔法の説明を終える。

さやか「魔法少女ってゾンビってことじゃん!」

ほむらは少し思い出し笑いをしながら、

ほむら「杏子と同じことを言うのね」

ほむら「魔法になれないうちは魂は別の場所にあったほうが都合がいい場面が多いの、だからそこまで悪い話ではないのよ?」

ほむらは咳払いをし、

ほむら「肉体の成長だってやろうと思えばちゃんとできるし、生殖器なんかも普通に動いているから子供を産むことだって可能よ?」

ほむら「普通の人間となんら変わらないわ」

さやかが暗に気にしているだろうことを先回りして話しておく。

ほむら「さあ、QB話せることは話してあげたわ」

QBは少したじろいだように

QB「その話が本当だとしたら、技術革命なんてレベルじゃない」

QB「ぜひその技術を僕達に提供してもらえないだろうか」

ほむらは応じる様に、

ほむら「これは取引よ、ただで渡す訳にはいかないわ」

ほむらは1枚のディスクを取り出した。

ほむら「私が長い年月をかけて得た魔法の基礎が詰まっているわ」

マミ(つまり応用は入っていないってことね…)

ほむら「今後の魔法少女の勧誘の禁止及び現在の魔法少女を人間へ戻すこと及び魔女の駆逐」

ほむら「私の出す条件は以上よ」

ほむらは喋り終わって、喉が渇いたのか紅茶を一口すすり喉を潤す。

QB「僕達が地球で行なっていた行為を全て清算しろってことだね」

QBは少しきつい口調で、

QB「僕達にもそれを呑むのには条件がある」

ほむら「言ってみなさい、考慮してあげるから」

さやか(うわ、超偉そう…)

さやか内心引いているのを知ってか知らずか、ほむらはさやかの方をチラッと見たが、そのままQBを待つ。

QB「そのディスクの内容を用いてもエントロピーの凌駕が困難と判断した場合現在の魔法少女システムを再開する」

ほむら「なんだそれくらい構わないわ」

ほむら「その技術があれば宇宙の寿命は数京年まで伸びるわ」

ほむら「その後はあなた達知的生命体次第なのよね…」

ほむらは呆れながら呟く。

QB「どういうことだい?」

ほむら「力を手にした者の行き着く先は同じってことよ」

マミ「魔法を持つもの同士での戦争ね…」

ほむらは頷き、

ほむら「結局宇宙から生命体が死滅しエネルギーを供給する物もなくなり、熱的死を迎える」

ほむら「残るのは時間という概念と空間という概念のみ」

マミは詩を語るように、

マミ「終末の時を経ても時は刻み続けられる」

          クロノス
マミ「後に残る時の神は何を思うのか」

マミ「神も役割を終えただ一人の悠久」

マミ「行き着く先は?」

ほむらは嬉しそうに語る。

      ループ
ほむら「繰り返し」

[美樹さやかの選択]
ほむら「ではどうぞQB」

ほむらはQBにディスクを渡す。

ほむら「ちなみにデータは3×10^-15[m]×3×10^-15[m]幅に1ビット埋まっているわ」

ほむら「まずそれを読み取る機械から作ることね」

QBはピタリと足を止め、

QB「僕達の技術力を舐めてもらっては困る、それくらい数日以内に作って解析までやってしまうさ」

ほむら「そう…さよならQB」

QBはそのまま走り去る。

ほむら「さて、あとはさやかの方ね」

さやか「ええ?あたし!?」

ここで話を振られるとは思っては見なかったさやかは裏返った声で驚きの反応をする。

ほむら「ここまで関わってしまったのですもの、貴方も魔導を修める気はない?」

さやか「えっ収めるって税金?」

ほむらはハァと溜息をつく、

マミ「あのね美樹さん、暁美さんは魔法を学んでみないかって誘っているのよ」

さやかは勘違いに少し照れくさそうにしたが、

さやか「いやーさやかちゃんに目をつけるなんてほむらもお目が高いですなぁ」

ほむらはさやかの照れ隠しを気にせずに、次の言を待つ。

さやか「でも私ってそういう難しいのよくわかんないし、足引っ張っちゃうと思うんだ…」

ほむら「私個人の欲求を言ってしまうのならば…」

ほむらは少しためらったが、マミの応援しているような視線を受け、

ほむら「私は貴方が欲しい」

さやかはいきなりの発言に慌てて、

さやか「いやいやいやいや、あんたにはまどかがいるじゃん」

ほむら「もちろんまどかも一緒よ」

さやかは顔を赤くして、

さやか「そっかほむらはハーレムが望みなのかー」

ほむら「はい?」

ほむらは自分のちゃんと自分の意思を伝える。

さやか「そっか、欲しいって仲間としてかー」

さやかは気まずそうに頬をかき、答える。

さやか「でもさっきの感じだとまどかもそっち側にいっちゃってるの?」

ほむら「そうね、ありがたいことに私に一定量の信頼を置いてもらっているからね」

ほむらは思い出したように、

ほむら「ああ、そうかあの子のことを気にしているのね」

ほむらは思い出そうとするが中々名前を思い出せない。

ほむら「えっとあれよ、かみ…上杉いや違うわ、かみ…」

ほむら「幼馴染のかみなんとか君を気にしているのでしょう?」

マミ「締まらないわね…」

さやかは言い当てられた思いと、名前を訂正したい思いが重なり、

さやか「上条ね…」

ほむら「そうそう、その上条くんのことを気にして何も手がつかないのでしょう?」

さやか「いやさすがにそこまでではないし…」

ほむらはニヤニヤしながら、

ほむら「でもある程度は気にしているということね」

マミ「あら?美樹さんに春が来ているのかしら?」

さやか「だー茶化さないでくださいよ、恭介とはそんなんじゃないって」

ほむらは内心を見つめるように、

ほむら「でもそうなりたいと望んでいる」

さやかの息が詰まる。

さやか「わ、私はあいつの悲しい顔を見たくないだけだよ」

ほむら「別に今はそれでもいいけれど、早くしないとあんな優良物件取られちゃうわよ?」

さやかが少し苦しそうな顔をする。

ほむら「まあ、どっちに転ぶにしろそんなもの時間が解決してくれるでしょう」

マミはまたも茶化すように、

マミ「つまり時間の概念であった暁美さんが解決してくれるのね」

ほむらは少し強気で、

ほむら「そういう意味ではないわよ」

ほむらは少し考えなおすように、

ほむら「いや、そういう意味でもいいわね」

さやかは不思議そうに顔を傾げる。

ほむら「上条くんの怪我の治療は任せなさい」

再び病院にやってきたほむらとさやか。

マミは家に残ってもらった。

上条と書いてあるネームプレートが貼られた病室をノックする

ハイと声を確認して扉を開ける。

さやか「やっほー恭介ーまた来ちゃった」

恭介はやれやれ、と呟き

恭介「さっき出て行ったばかりじゃないか、っとその前にそちらの方は?」

ほむら「初めまして、暁美ほむらと申します」

ほむら「先日上条くんのクラスに転校してきたものです」

恭介「ああ、さやかから話は聞いているよ」

恭介「それで何か用かな?」

ほむら「せっかく転校してきたのだし、顔合わせが目的よ」

ほむらは心配そうに手を見る。

ほむら「その、お具合はどうでしょうか?」

恭介は冷たい声で、

恭介「君も僕ではなく、僕の手を心配するんだね」

ほむらは目を丸くする。

ほむら(また何か地雷を踏んでしまったのかしら?)

さやか「まあまあ恭介、そんなに怒ると体に良くないよ」

恭介は我に返ったのか、

恭介「ごめん、でも今日は帰ってもらえるかな」

ほむらは即座に否定する。

ほむら「そういう訳にはいかないわ」

ほむら「私は貴方を治療するためにここに来たのですもの」

恭介「医者でもないただの同級生の君が?」

さやか「何を隠そうほむらは魔法使いなのだ、恭介の怪我なんてぱぱっと直してくれるよ」

恭介は胡散臭いものを見る目で、ほむらを見つめる。

ほむらはそんな視線を意に介さないようで、

ほむら「私が治療するプランは三つ」

ほむらは人差し指を立て、

ほむら「一つ目は足を含めて完全完治すること」

ほむらはメリットデメリットの話もする。

ほむら「メリットとしては言うまでもないわね、デメリットとして急に怪我が治ったモルモットとして病院で嫌になるほど検査を受けるわ」

人差し指に続き、中指を立てる。

ほむら「二つ目は手を完治させること」

ほむら「足の方はリハビリを頑張って治してもらうことになるわね」

ほむら「周りには疑われるでしょうし、人体の奇跡として周囲の目にさらされるでしょうね」

ほむらは薬指を加えて立てる。

ほむら「三つ目は手をこの病院で完治可能なレベルの怪我の状態にすること」

ほむら「これはデメリットとして治療の時間が少し長くかかるけれど、周りへの影響が一番少ないわ」

ほむら「ちなみに治療期間は一ヶ月程度に予定よ」

恭介は疑いの目を強くしたが、急に現れた蜜を信じたい気持ちも出てきた。

恭介「僕にしかメリットがないみたいだけれど、あとで法外な請求でもされるんじゃないかい?」

ほむらは首を傾げ、

ほむら「別にあなたに求めるものはないわ、美樹さんには少しやってもらうことがあるけれどね」

さやかは驚いたように、

さやか「ええ?聞いてないよそんなの」

ほむらはやれやれと言った様子で、

ほむら「さっき話したことを考えてくれればいいのよ」

さやか「んー結果的に拒否することになってもいいの?」

ほむら「構わないわ、それが貴方の選択ですもの」

恭介が口を挟んでくる

恭介「何かの約束をしたのが知らないが、さやかにひどいことをするなら僕は許さないよ」

さやかは顔を赤くする。

ほむら「その点は安心していいわ」

さやか「あたしのことは気にせずほむらの治療を受けてみてよ」

さやかは急かすように勧める。

恭介「それじゃあ三つ目のプランでお願いします」

きっと世間体を気にしたのだろう。聡い子だ。

ほむら「おまかせあれ」

ほむら「手を出してちょうだい」

恭介が腕を伸ばしほむらがその手を取る。

恭介は気まずそうに顔をそらす。

ほむら「少しチクっとするかもしれないけれどそこは我慢してちょうだい」

ほむらの右手から紫の光が漏れだす。

ほむらは少し苦しそうな表情をする。

ほむら「随分とひどい状態ね…」

ほむら「神経がバラバラの粉々ね、これは今の医療じゃ無理なのは仕方ないわ」

恭介「そんなことがわかるのかい?」

ほむらはどうだと言わんばかりの表情で

ほむら「甘く見ないでちょうだい」

ほむら「現状の把握はしたわ」

ほむらは気分を出すためか、指を弾くと服装が変わりナース服の姿になった。

ほむら「少し時間がかかりそうだから、この部屋の時間を外の時間と隔離したわ」

さやか「どういうこと?」

ほむら「時間を止めたのよ」

恭介「時間を止めたって言われても時計とかは動いてるんだけど?」

ほむら「そりゃあこの部屋にあるものは動くに決まってるじゃない、この部屋以外の時間が止まってるのですもの」

ほむら「テレビかラジオをつけてみなさい」

さやかがテレビをつけるとどの局にチャンネルをあわせても砂嵐のままだ。

ほむら「そんなことはどうでもいいの、治療を始めるわよ」

ほむらから紫色の魔力が溢れ、メスとピンセットの形となる。

ためらいもなくその魔力の塊を恭介の手に差し込む。

ほむら「集中するからこれ以上話しかけないでね」

と言って手元に集中する。

数時間が経過すると恭介の手から紫の光が霧散していく。

ほむらは一息つく。

ほむら「終わったわ」

ほむら「まだあまり実感が湧かないでしょうが、一週間もすれば効果が出るはずよ」

ほむら(完治させるだけなら簡単なのだけれど、面倒くさいのを提案しちゃったわね…)

恭介「本当に何が変わったのかよくわからないね」

恭介は少し首を傾げたが、

恭介「でもありがとう、なんだか心強いよ」

少し嫉妬するような、強めの声で、

さやか「ふーん恭介とほむらならお似合いなんじゃない」

ほむら「嫉妬は醜いわさやか、悔しかったら貴方も魔法を覚えなさい」

さやか「なにそのわかりやすい挑発…」

ほむら「まあ今は考えてもらえればいいわ」

ほむらはそれと、と付け加えるように、

ほむら「さやかの友人としてのお願いなのだけれど…」

ほむら「よかったら、さやかを幼馴染としてではなく女性として見てあげてちょうだい」

さやかがその言にむせる。恭介も驚きの表情を浮かべる。

ほむらに文句を言おうとしたさやかだが、ほむらは既に病室の扉の前にいた。

ほむら「時間は動かしておくから、後は若い二人でどうぞ」

[現状確認]
さやかと別れたほむらはマミの家に帰ってきた。

ほむら「ただいま帰ったわ」

マミ「おかえりなさい…って貴方の家じゃないわよ」

そうは言っているが、少し嬉しそうであった。

ほむら「釣れないわね…私と貴方の仲じゃない」

マミ「ち、ちょっと距離が近すぎよ」

少し動くと触れてしまいそうな距離まで近づいていた。

ほむら「そんなものなの?ゆまとかキリカはこれくらいの距離感よ?」

ほむらは、まあいいわとお茶を濁すと、

ほむら「さやかには背中を押しておいたから良い結果にしろ悪い結果にしろ結果が出るわ」

ほむら「結論が出ないままの状態なんて私が許さないもの」

マミは納得したように頷き、紅茶を淹れ、ほむらに差し出す。

ほむら「では、現状の確認をしたいのだけれど?」

ほむらの発言にマミは表情を固くし、ほむらの次の言を待つ。

ほむら「まずは貴方が私の記憶のどこまで見たのかを教えてもらえるかしら?」

マミは気まずそうな顔をした、

ほむら「ええ、記憶を覗かれたことはもう受け入れているから気にしなくていいわよ」

マミはそれでも表情は変えずに、

マミ「そうね、魔法に関しては知識としてまとまったところにあったから、ほとんど見えたわ」

ほむら「記憶を整理しておくとこんな弊害があるのね…」

とうんざりするような感じでほむらは呟いた。

ほむら(今後は暗号方式にでもするべきなのかしら…)

マミ「暁美さんのk」

ほむら「それ、止めない?」

マミは不思議そうな顔をする。

ほむら「ほむらと名前で読んで欲しいの」

マミは少し照れくさそうに頷くと、

マミ「ほむらさんの過去に関しては量が多すぎて、強い思いを抱いているところしか見えていないわ」

ほむら「了解したわ」

マミ「ほむらさんの目的は鹿目さんを救うことでいいのかしら?」

ほむら「それはきっかけよ、今は私の世界を救うことが目的」

マミ「わかったわ、ほむらさんは貴方自身の世界を救うといいわ」

マミ「なら私がほむらさんを救えばいいのね」

マミ「成りたての魔法使いにしては楽なミッションじゃない」

マミ「現状の確認はそんなところでいい?」

ほむら「貴方のソウルジェムは?」

マミの手には見当たらなかったので尋ねた。

マミ「あるべきところに戻したわ」

ほむら「そう…私の知識があるのなら問題ないわね」

ほむら「十全ね、次は二週間後の話をしましょう」

マミは思い出すように。

マミ「ワルプルギスの夜の魔女がくるのね」

ほむら「そうよ、そのためにこれまで準備してきた」

マミは確認のために尋ねる。

マミ「ほむらさん自身はワルプルギスの夜との戦闘に参加できないのよね」

ほむらは頷き、

ほむら「ワルプルギスの夜と対峙させる為に皆に魔法を教えているのだもの」

マミは頷き、次の質問を行う。

マミ「ほむらさん自身の生還率はどのくらいと見積もっているのかしら?」

ほむらは息が詰まる。

ほむら「勝率と聞かないあたり、マミは意地悪よ」

ほむらはため息をつき、

ほむら「勝率はおよそ九割と見積もっているわ」

ほむら「私が人として生還する確立は多く見積もっても五割」

マミ「それは二回目であることと私の協力も計算に入れているかしら?」

ほむらは頷き、

ほむら「二回目の経験であることと、貴方の協力を足してその見積もりよ」

ほむら「私単体だとしたら三割程度でしょうね」

マミ「私が戦闘時にできる援護は?」

ほむらは即答する。

ほむら「私を思い続けることよ」

ほむら「それが因果となれば帰還できるでしょうね」

ほむらは話を変えるように、

ほむら「ワルプルギスの夜のスペックの確認は必要かしら?」

マミ「念のためお願いしようかしら」

ほむらはいいでしょうと頷き、

ほむら「彼女は半分魔法少女で半分魔女よ」

ほむら「かつて、たった一人だけ魔法少女が魔法に至った者がいる」

ほむら「それがワルプルギスの夜の元になった魔法少女」

ほむら「彼女は魔法に至ったが、ソウルジェム以外からの魔力の供給方法を知らなかった」

ほむら「それ故に彼女はグリーフシードで魂の補強を続け、自分がわからなくなった」

ほむら「その彼女の残っている僅かな精神が完全に魔女になるのを拒んでいるから魔女にはなっていない」

ほむら「だからこそ、魔女の結界を必要としないし、魂の補給が必要な時だけ本能的に現世に現れる」

マミは同情したのか涙目になりながら答える。

マミ「彼女を導くのが私達の仕事ね…」

予想外の反応にほむらはたじろぐ。

ほむら「え、えっと実戦のスペックとしては、彼女の攻撃力と防御力はたいしたことはないわ」

ほむら「魔法に至ったといっても魔法の基礎に気づいたにすぎないからね」

ほむら「問題は耐久力ね、私の戦いが終わるまで復活され続けるわ」

マミは力強く頷き、

マミ「侵食を終えるまでの時間の目算は?」

ほむら「何事もなければ一時間以内に終えると思うわ」

ほむら「他に何か質問はある?」

マミはフゥっと一息つき気楽な空気を作り出す。

マミ「終わったらどこで祝勝会をやりましょうか?」

ほむら「はい?」

ほむらは素っ頓狂な声をあげるが、マミは続ける。

マミ「こういうのは予めの準備が必要なのよ?」

ほむら「楽観視しすぎよ、必ず勝てる保証もない」

マミ「いいじゃない、固いことばかり考えても楽しくないわ」

ほむらは仕方ないといった表情をしたが、内心ワクワクした気持ちになるのを感じた。

ほむら「パーティというのに興味があるのも事実よ、場所が必要だったらうちを貸し出すから準備は任せるわ」

こうした気楽な空気で力み過ぎないことが今のほむらに一番必要なことなのかもしれない。




本日は以上となります。

現状確認と称してラスボスのフラグを立てていきました。

ワルプルギスの夜も独自展開をしているので、なんとか納得して頂ければ幸いです。

マミとの関係を現状のようにしたせいで、さやかを持て余してしまったのは内緒。

おやすみなさい。

乙!
自分の始まりのきっかけなら、そりゃ倒すのも難しくなるか。

しかし、それが本当の本当にラストボスなのかな?

乙乙

さやかは扱い難しいもんな
まどっちはもっと難しいわ

乙ほむ
今だいたい折り返し地点か?
>>401考えは同じか・・・


さやかもひたすら祈る要員にしちゃおう(提案)

こんばんは、ちょっと短いですが本日分投下いたします。

>>401 多分本当の本当にラスボスになると思いますが、ほむらの言う通り倒すことより生還するほうが難しくなると思います。

>>402 ありがとうございます

>>403 元のプロットだとさやか魔女化→ほむらの大魔法により魔女結界ごと時間逆行→さやか復活→ほむらを恩人扱いという流れでした。

>>404 2/3くらいの地点だと思います。

>>405 残念ながら全員ひたすら祈る要因なんだよなぁ。でも見せ場は作れると思います。

[さやかの決着]
ほむらはマミと別れ帰宅する。

リビングには未だ扉が残っており、中では皆修行をしているだろう。

ほむら(きっとワルプルギスの夜が来る前までには十分な強さを得ているでしょうね)

そんなことを考えてくつろいでいるとほむらの携帯電話に着信が入った。

ほむらは発信元を確認し通話ボタンを押す。

ほむら「こんな時間にどうしたのかしら、美樹さん」

さやか『直接話したいことがあるんだけど…』

さやかの声は感情を押し殺したようであった。

ほむら「なら私の家はでいいかしら?」

ほむらも気を使ったのか普段通りの対応で答える。

さやか『わかった』

ほむらは自宅の場所をさやかに教え、通話を終了する。

ほむら(さてどうなることでしょうね…)

およそ十分後、チャイムの音が自宅に響く。

ほむらが扉を開けるとさやかがそこに立っていた。

ほむら「あがってちょうだい」

さやか「うん」

少し元気の無さそうな態度だったが、それを取り繕うように、

さやか「うおっ、ほむらの家でけー」

さやか「これシャンデリアってやつ?すげー」

さやか「っていうかこのカラフルな扉って何?」

という風にはしゃいでいる。痛々しいほどに普通のさやかを演じようとしている。

ほむらはその態度から掛ける言葉を見失っていた。

ほむら(私がけしかけたことですもの、しっかり見届けなければならないわ)

未だほむらの家をキョロキョロ見渡していたさやかに対し、

ほむら「そろそろいいかしら、話を聞きましょうか」

そう言うと、さやかの動きが止まり、ほむらの方にゆっくりと振り返る。

さやか「さっき恭介に告白したんだ」

ほむらはそう、と呟き次の発言を待つ。

さやか「そしたらさ、私のことは大事に思うけどそれでも幼馴染以上には見れない、だってさ」

さやかは少し戯けたように続ける。

さやか「こんな美少女相手に失礼しちゃうよね」

必死に強がっているのが傍目から見ても伝わるだろう。目は泳ぎ言葉に覇気はなく、震えていた。

さやか「まったく恭介ったら見る目g」

ほむらはさやかの無理している態度を察し、さやかを正面から抱きしめ頭を撫でる。

ほむら「無理をしないで、私の胸くらいならいくらでも貸すわ」

さやかはほむらの発言に栓が抜けたように涙が溢れる。

言葉にならない言葉をさやかは紡ぐ。幼い子を慰めるように相槌を打ちながら、さやかを抱きしめ続ける。

若干落ち着いてきた様子のさやかにほむらは謝罪を告げる。

ほむら「さやかには二つ謝らなければならない事があるわ」

ほむら「一つ目は答えを急かし過ぎたことね、もっと時間をかけていたら別の結果になったかもしれないのにね…」

さやかが聞いているのかいないのかは確認せずに、続ける。

ほむら「二つ目は、こんな結果になっても決着が着いて少なからず安心している気持ちを持っているということ」

ほむらは自嘲するように、

ほむら「こうして謝罪して許しを請う私に嫌気がさすわ…」

さやか「ぞんなごとないよ…」

さやかはそんなことないよと言ったのだろう。未だ泣き止まない声で力強く否定した。

さやかは鼻をすすり、

さやか「私一人だったら多分、一生進展なんてなかったと思うし、ほむらが背中を押してくれたのは嬉しいよ」

さやか「だから、もう少しこのままで…」

ほむらの暖かさに安らぎを覚えたのかさやかはなかなか離れようとしなかった。

十分程度その格好で過ごした後だろうか、さやかは照れくさそうに離れる。

さやか「いやー迷惑かけちゃったね」

ほむら「私の責任でもあるし、これくらいなんともないわ」

さやかの切り替えが早いのか、笑いながら、

さやか「まーでも、しばらく男はコリゴリかな」

心なしか頬を染めながらほむらの事を見つめる。

さやか「ねぇ、ほむらって女の子同士での恋愛ってどう思う?」

ほむらは悩むこともなく答える。

ほむら「恋愛の形は人それぞれでしょう」

ほむら「同性だからといって気にする必要はないわ」

さやかは少し慌てるように、

さやか「だったらさ、ほむら、わt」

ほむらはさやかの口に人差し指を当て黙らせる。

ほむら「それ以上はまだいけないわ」

ほむら「今は弱った所に偶然私がいただけだから」

ほむら「そこから先の言葉はしばらく時間を置いてからいただけるかしら?」

さやかが頷くとほむらは人差し指を自分の口元に持っていく。

その行為にさやかの顔が一気に赤くなる。それを誤魔化すように、

さやか「んーじゃあほむらの好感度稼ぐためにほむらの計画に協力しようかな」

ほむらは多少驚くように、

ほむら「私自身は嬉しいと感じているけど、本当にいいの?かなりの危険が伴うわよ」

さやか「んっふっふー、それだけほむらの目に止まるってことだよね、危険上等!」

ほむらは指をパチンと鳴らすと新たに青色の扉が現れる。

ほむら「なら早速協力してもらおうかしら」

ほむら「まずはこの扉に入って」

さやかは少し疑問に思ったのか、

さやか「もしかしてこの他の扉って…」

ほむら「ええ、私の仲間が修行をしているわ」

さやかはとても小さな呟きを残す、

さやか「ライバル多いなぁ…」

さやかは気合を入れ直したように。

さやか「それじゃあ行ってくるよ」

さやかが手をあげる、

ほむら「ええ、行ってらっしゃい」

ほむらはさやかの手を叩きハイタッチをする。

ほむらはソファに座り、さやかの事を思う。

ほむら(さやかの適性は修復、属性は水、それと武器の具現化にも高い適性がある)

ほむら(きっと強くなって私の役にたってくれるでしょう)

ほむら(実力を伸ばす前にいつも魔女になっていたからどこまで伸びるかわからないけれど、才能は私以上にはありそうだし、心配は要らないわね)

???「結局そうやって人の心の弱みにつけ込むことしかできないのね」

ソファの後ろから急に話しかけられる。

ほむら「マミ、いつからいたの?」

ほむらは振り向くことなく、ソファの後ろに立っていたマミに話しかける。

マミ「美樹さんを慰めているところからかしら?」

ほむらはため息をつき、

ほむら「質問に質問で返すなと教わらなかったの?」

マミ「そんなことより、これでメンバーは揃ったのかしら?」

ほむらは振り返り、ジトっとマミの方を見つめる。意に介さないマミに諦めたのか、

ほむら「これで全員よ、これ以上増える予定はないわ」

ほむらの計画は次の段階へ入る。

[束の間の休日]
皆の修行を初めて数日が経過した。

ほむら(そろそろ辛く感じ始める頃合かしらね)

数日間ずっとがんばっているので、そろそろ飴が欲しくなるのは想像に難くない。

ほむらは意思を共有させ、一旦全員をリビングに集合させる。

全員精神的な疲労が残っているようであるが、まだまだ生き生きとした目をしている。

ほむら「まずはお疲れ様、皆順調に成果が出ているようで安心できるわ」

労いの途中杏子が口を挟んでくる。

杏子「師匠ー、なんでさやかがここにいるんだ?」

ほむら「杏子は学校で面識があったわね」

ほむら「さやかも才能があったから私の手伝いをしてもらうことにしたの」

そう紹介されたさやかは元気よく、

さやか「期待の新星、美樹さやかちゃんでーっす」

まどかは笑顔を浮かべ、

まどか「さやかちゃんも一緒だったんだ、お互い頑張ろうね!」

さやかは悪戯な笑みを浮かべ、

さやか「まどかには負けないぞー」

そして冷静に、

さやか「まあ、ほかの誰にも負けないけどね」

と挑発的な発言を残し、少し潤んだ目でほむらを見る。

杏子「ああ、織莉子とキリカと同じタイプか」

織莉子「あらあら、なら負けられませんわね」

キリカも威圧的な視線をさやかに送る。

ゆま「ホムラ、皆で集まったのはサヤカの紹介だけ?」

ほむら「良い指摘ね、頑張っている皆にご褒美をあげようと思ってね」

皆が静かになり、ほむらの方を注目する。

ほむら「明日から一日ずつ交代でお休みをあげるわ」

ほむら「その一日の間は何をしてもいいわ」

ほむら「要望があれば私も付き合うし、一日中ゴロゴロして疲れを癒すなんてこともありだわ」

杏子が手を上げる。

杏子「休みをずらして誰かと一緒に休むってことはありか?」

ほむらは少し考え、

ほむら「両者が納得するようなら構わないわ」

杏子はゆまの方を向き、

杏子「ゆま、前に話したバイキングに行かないか?」

ゆま「めちゃくちゃ美味しいって言ってたあれ?うん!ゆま行きたーい」

ゆまの修行の都合で何度か杏子の元へ行き合同で修行した時に仲良くなったのであろう。

その流れにキリカが乗っかる。

キリカ「織莉子、よかったら一緒に過ごさないかい?」

織莉子は悩みながらも首を横に振った。

織莉子「誘いは嬉しいのだけれど、ほむら様と二人きりで行きたいところがあるの」

織莉子はごめんなさいと謝罪をする。

キリカ「そんなに謝らないでくれよー、まるで私が悪者みたいじゃないか」

キリカ「逆に考えれば私もほむらと二人ですごせるってことだから悪い話じゃないんだよねー」

さやか(織莉子とキリカって娘がライバルか…?)

話は終わったのか、静かになった様子を確認したほむらは、

ほむら「話はまとまったようね、では修行の経過の様子を見ながらスケジュールを調整するからまた頑張って励んでちょうだい」

ほむら「話は以上よ、解散」

皆再び各々の扉に入っていく。

果たして皆は最後の休日はどのように過ごすのか。

以上です。

次回から一人ずつ(杏子とゆまはセット)ほむらとデートしてもらいます。最後の日常パート+まだ一度もほむらと共闘してない娘との魔女狩りになります。

おやすみなさい。

乙!

さやっち諦めるの早いな~。
まだ奥様は魔女(否、オクタ)とかやれる可能性はあると思うんだけどなぁ。

                   '"  ̄ ̄ ̄  '   、
          /⌒\ /              \/ ̄ ̄|
           |: .  ノ                  ‘:, . : |
         /|: : . /     | |    |         ∨ : /\
         // ∨:..| ,       | |    | |         ', 〈   \
       ⌒7  :/. : :| |    |  | 八    | | \  |     |: :゚, 〈⌒
.       ′ | : : :| |  __|_|_ノ \  |V\__|_  | |  |   '
       ;   |__;| |    |\|     \|    \|:. | | |_|    i
        | |  /:八| \ |;;::  ィ●ァ  ィ●ァ :::;;||  | |ノ∧     |
        | | :〈__人|   ゝ;;::          ::;;|| 八  人|   |
        |ノ|   | /゚ |   |;::     c{ っ   ::;||/ ムイ⌒|   八
.          八  /∨ :八  |;;::    __   ::;;;|  /  Vヘ.| /
.            ∨     \|ヽ;;::   ー   ::;;/|/     ∨
                  \;;::    ::;;/

                     |;;::  ::;;|
                     |;;::  ::;;|
               / ̄ ̄ ̄      ̄ ̄ ̄\
               |;;::              ::;;|

乙乙



ほむさや!

上条は万死に値する

少し前に、魔法による戦争とか言ってたけど……もしかして遥かな未来はMTGみたいな世界になっちゃうんだろうか?

乙ほむ
個別ルート+ハーレムルート・・・書くことが沢山あるね(ニッコリ

あと咲SSとか・・・応援してるよ  

因果の糸「どんだけワイを酷使すれば気が済むんや?あ?」

こんばんは本日分投下いたします。

>>415 さやかもまどかと同じく魔法少女を経由せずに魔法使いへの修行を行なっているため難しいと思います。

>>416 このAA初めて見た

>>417-418 ありがとうございます

>>419 個人的に昔なじみ同士が恋人関係になるのは難しいと思っています。なので上条くんは多分悪くないと思います。

>>420 魔法が普及してすぐくらいはMTGみたいにマナを消費して打ち合いとかはしていたと思います。
技術が進歩していくにつれて超威力かつ超範囲の兵器のような魔法又は魔法兵器が出てく来て現代の戦争と変わらなくなると思います。

>>421 ハーレムルートがtrueルートになると思います。冗長にならざるを得ない個別ルートは書かないかもしれないです。
咲SSに関しては漠然とした構成は脳内にあるのでこのSSが終わったらやると思います。咲SSは安価SSが主流みたいなので流れに乗っかってもおもしろいかもしれないです。

>>422 そんなこと言いつつ世界との因果を結んじゃう因果の糸さんマジツンデレ

[束の間の休日 まどかの場合]
数日が経過し、最初はまどかの休日となった。

まどかがピンク色の扉から出てくる。それを出迎えるようにほむらは待ち構えていた。

ほむら「お疲れ様、魔法については大分使えるようになっているわね」

ほむら「今日は一旦修行のことは忘れてゆっくりするといいわ」

まどかはウェヒヒっと笑い

まどか「さっき扉の中で別れたと思ったらすぐ目の前にほむらちゃんがいるって不思議な気分だね」

ほむらは肩を竦める。

ほむら「それで、今日はどうするの?」

ほむら「前にも言ったけど、何をしてもいいわよ」

まどか「うーん、一旦家に帰ってパパとママに会いたいかな」

まどか「その後、ちょっと付き合ってもらってもいいかな?」

やはり家族との絆は強いものである。

ほむら「構わないわ」

まどか「なら夕方、初めて会ったあの河原に来てもらっていい?」

ほむらは頷き、

ほむら「了解したわ」

ほむらはそれと、と呟き指をパチンと鳴らすとまどかの服装が家に来た時と同様の服装に変化する。

ほむら「これくらいはしてあげないとね」

まどかは笑顔を見せ、

まどか「ありがと、ほむらちゃん」

ほむら「ええ、じゃあまどか行ってらっしゃい」

時間が経過し、夕方となりほむらが河原に向かうと既にまどかが黒猫…エイミーという名前だったかと戯れていた。

ほむら「ごめんなさい待たせてしまったかしら?」

その声に振り向いたまどかは、勢い良く首を振り、

まどか「そんなことないよ、私も来たばっかりだよ」

ほむらは微笑を浮かべ、

ほむら「このやり取り恋人みたいね」

その発言にまどかの顔が一気に赤くなる。

まどか「こ、ここ、恋人!?」

まどかの気持ちを知ってか知らずか、

ほむら「次は浜辺で追いかけっこのシチュエーションとかいいかもしれないわね」

まどかは少しむくれ、

まどか「もう、ほむらちゃんまたからかってるんでしょう」

ほむら「あら、バレてしまったわね」

と言うと顔を見つめ合い、お互いに笑顔が溢れる。

しばらく二人でエイミーと戯れていた。二人とじゃれあう事に飽きたのかエイミーがフラッと走って行ってしまった。

まどか「あーあ、行っちゃった」

その顔は少し悲哀の感情が見えた。ほむらの方に振り返り、

まどか「ねぇ、ほむらちゃんも行っちゃうの?」

ほむらは取り繕って安心させよう思ったが、それは良くないと考えを変え、少しためらい事実を言い放つ。

ほむら「一週間後にワルプルギスの夜が来るの、その日には多分…」

まどかの涙腺が一気に決壊したかのように泣き始める。

まどか「行っちゃいやだよ!」

まどか「せっかく仲良くなったのにもうお別れなんて…」

ほむら「しかたがないことなのよ、これは私への罰なのだから」

まどか「私が許すから!ずっと一緒にいてよ!」

ほむら「そんなこと言うと嫌いになるわよ」

こう言っておけば言うことを聞いてくれるであろう。ほむらに憧れているが故にほむらにはいい印象を持って貰いたいという願いがまどかにあるはずだからだ。

まどか「嫌われてもいいよ、それでほむらちゃんが残ってくれるならね」

こう言われてしまうとお手上げだ、もう話は平行線を辿らざるをえない。

ほむら「私だって一緒にいたいわよ」

ほむらからボソリと本音が漏れる。

まどか「えっ?」

ほむら「戻ってこれないと決まったわけではないの、詳しくは修行が終わった日に教えてあげる」

まどかは目をこすり、涙をせき止め、

まどか「わかった、今の魔法の特訓がほむらちゃんの役に立つんだよね?」

ほむらは頷くと同時に魔女の気配を感じる。

ほむら「タイミング最悪ね」

まどかも遅れて魔力を完治できたのか、

まどか「魔女?」

ほむら「そうよ、まどかが休みたいなら適当に倒してくるけれど?」

まどか「ううん、ちょっと腕試ししてみたいかな」

廃工場にやってきたまどかとほむら。

ほむら「ここね」

ほむら「まだ結界を張ったばかりね、まだ誰も魔女の口づけに囚われてはいないわね」

まどか「よかった…」

ほむら「手っ取り早く結界ごと吹き飛ばすってのもありだけど?」

まどかは呆れたように、

まどか「それは最終手段でお願いします」

ほむら「楽でいいのに…」

まどか「それじゃあ私の腕試しにならないでしょ」

まどかに諌められ、少し気落ちしていると結界の入り口を見つける。

まどか「ここからだね」

まどかから桃色の光が溢れると結界の入り口が可視化される。

結界の中に侵入すると魔女がすぐに出迎えてきた。

ハコの魔女とでも呼べば良いのであろうか、二人の精神に攻撃を仕掛けてくる。

スクリーン上に二人の記憶が映し出される。

ほむら「私は過去は比較的に受け入れているの、そんなことしても無駄よ」

映っていたのは、幾つもの白。

何も映っていないのではなく白が映っている。

ほむら「私の記憶のほとんどがこの中なのだからこれ以外は出てこれないわよね」

まどか「なに…これ…」

見慣れない者が見たら違和感で気分が悪くなるかもしれない。

ほむら「気にすることはないわ」

ほむら「さあ、さっさとやっつけちゃいましょうか」

魔女は物理的な攻撃は得意としていないのであろう、精神攻撃が効果がないと見ると退散しようとしていた。

まどかが魔力で弓を作り出す。

まどか「降れ!矢の雨!」

言霊で増幅された魔力によって射られた矢が空中で分裂し魔女に降りかかる。

使い魔を呆気無く打ち払えたが、魔女自体は仕留めきれなかったようだ。

ほむら「今ので仕留められなかったのは減点ね」

逃げようとしている魔女を捕獲する結界を予備として用意していたほむらは結界を発動させる。

まどか「ありがとうほむらちゃん」

魔女が逃げることを諦めたのか、決死の攻撃を仕掛けてくる。

使い魔を次々と召喚し始め、次々と突撃させる。

まどか「なにこれ、気持ち悪い…」

ほむら「掴まれると危ないわよ」

とまどかに警告する。

まどかは撃ち落とせるものは撃ち落とし、倒しきれない使い魔を避けていく。

ほむら「倒す優先順位を覚えなさい」

ほむらは特に何もするわけではないが、決して使い魔の攻撃が当たることはない。

まどか「そんなこと言っても…」

まどかはイライラしてきたのか、

まどか「もういいよ、大っきいので仕留める!」

ほむらは少し考える素振りをみせ、

ほむら「まあ、今回は正解って言うことにしておきましょうか」

ほむらはまどかの射た矢を手に取ると矢を魔力に分解し新しく弓を創りだした。

まどか「手伝ってくれるの?」

ほむら「見てるだけじゃつまらないじゃない」

まどかはとても嬉しそうな顔だった。

大きいのと言うのはもちろん大出力の魔法ということだ。

ほむらとまどかが言霊を紡ぎ始める。

ほむら「我らの思いは時を超え」

ほむらが手を上空にかざすと聖なる光が差し込み、使い魔をひるませる。

まどか「聖なる矢をもちて不浄なる者を浄せよ」

まどかの弓の上下についている蕾が花開く。

ほむら「繋がりは円環となりて昇華せし」

ほむらは矢を弓につがえる。

まどか「浄化は導きになる」

ほむらと全く同じ構えで弓をつがえる。

ほむら「願わくばその道に迷いなきことを」

ほむらとまどかの前に幾何学的な模様の魔法陣が浮かび上がる。

ほむら「聖浄魔法-円-」

ほむらとまどかが同じ動作で矢を放ち魔法陣を通過すると矢が巨大な破壊エネルギーとなりビームのように二対魔女と使い魔に降る。

抗う術のない魔女と使い魔はなすすべなく浄化され天に導かれたであろう。

ほむら「攻撃は最大の防御ね」

まどか「私はまだ、攻撃力がたりないみたいだね…」

最初の攻撃で仕留められなかったこと悔やんでいるのか、浮かれない声を上げる。

まどか「んー、でもちょっと疲れちゃったかな」

ほむら「そう、じゃあ今日は帰りましょうか」

まどか「その前に手を貸してくれたお礼をしなくちゃ」

そう言うとほむらの近くに歩み寄る。

ほむら「別にお礼なんていr」

チュッという音共にほむらの頬にまどかは口づけをする。

ほむら(攻撃力を高めることは積極性を高めることとは違うのだけれど…)

ほむらは落ち着いてキスされた頬を撫でる。

ほむら「お礼じゃなくて自分へのご褒美じゃない」

まどかは照れたように笑い、そのまま家に向けて歩いていた。

ほむら「悪い気分じゃないわね」

楽しかった時も束の間、まどかとの休日が終わる。明日は杏子とゆまの休日になる。

[束の間の休日 杏子とゆまの場合]
夜が明け、まどかを扉の中に見送った後に赤色と薄緑の扉が開き中からゆまと杏子がでてくる。

ほむら「お疲れ様、特訓は大分身についているようね」

ほむら「今日は一旦修行のことは忘れてゆっくりするといいわ」

杏子は快活な笑みを浮かべ、

杏子「師匠に言われるまでないよ」

ゆま「キョーコ、今日はよろしくね」

杏子は親指を立て、

杏子「任せときなって」

ほむら「それで、今日はどうするの?」

杏子「とりあえずゲーセン行って、その後お昼にバイキングに行って午後からは自由行動、夕飯は師匠の久しぶりに手料理が食いたいかな」

ほむら「私もついて行った方がいいのかしら?」

ゆまが頷いて、

ゆま「ホムラがいないとお金が払えないよ」

杏子「そそ、ゆまの言うとおり」

ほむら「当たり前のようにたかるのね…」

ほむら「まあ構わないわ」

杏子「よっしゃ、じゃあ早速行こうか」

ゆまがオーっと腕を振り上げて元気良く答える。

ほむら(なんだかんだでいいコンビね)

ゲームセンターにたどり着く。

杏子「おっDDR新曲はいってんじゃん、ちょっとやってくるわ」

ほむら「相変わらず自由人ね…」

ゆま「DDR?」

ほむらは杏子が遊んでいるゲームを指差して、

ほむら「ああやってタイミングよく矢印の方向のボタンを足で踏むゲームよ」

ほむら「杏子は結構やりこんでいるようだから難しく見えるかもしれないけれど、低い難易度もあるから次やってみる?」

ゆまは首を横に降り、

ゆま「ううん、乱入してくる」

ゆまが2P側にコインを投入すると、

ゆま「キョーコ勝負だよ!」

杏子「へぇ~、見ててわかると思うけどあたしは強いよ」

と挑発的な表情を浮かべる。

ゆま「買ったほうが負けた方にジュースおごりね」

ほむら(どっちが勝っても私のお金なのだけれど…)

ダンスゲームの勝負は予想外にいい勝負をしている。

ほむら(ああ、ゆまは見ることを特訓したから動体視力は相当上がっているわね)

ほむら(見ているだけでは退屈ね、私も何かやりましょうか)

ほむらはダンスゲームの様子が見れる位置にSTGの筐体を見つけ、コインを投入する。

ダンスゲームの方はやり慣れている杏子に分があるようだ。

杏子(まあ、いきなり高難易度でやってここまでついてこれたんだ最後は手抜いてやるか)

杏子の思考を読んだかのように、

ゆま「キョーコ手抜いたら許さないからね」

杏子「ハッ言うじゃないか、言われなくてもてなんて抜かねーよ」

数曲分のバトルが終わる。その結果は、

[DRAW]

ゲーム画面に表示される文字に杏子とゆまは見つめ合いお互い笑みを浮かべる。

きっと一番いい終わり方だったのだろう。

杏子「そんじゃあお互いにおごり合うか」

ゆまもいい笑顔を浮かべながら頷き、、

ゆま「ところでホムラは?」

杏子「ああさっきあっちの方に行ったの見たけど?」

ほむらは集中してゲームをしているようだった。

\バーリアーヘイキダモーン グハー/

ほむら「あら、そっちも終わったようね」

ほむら「引き分けなんてそう見れるものではないわね」

杏子「見ながら今のゲームクリアしたのか…?」

ほむら「マルチタスクくらいできなければやっていられないわ」

ゆまは首を傾げ、

ゆま「マルチタスク?」

ほむら「同時に何個も考え事をすることよ」

ゆま「あっ、それならゆまもマルチタスクできるよ」

杏子「えっ?」

ほむら「あの修行をしていたら自然と身につくわよね」

ほむら「二分割の思考ができるようなら次は4分割ね」

ゆま「ゆま八個別々に考えられるよ?」

ほむら「えっ?」

ほむら(ま、負けた…才能…妬ましい…)

杏子「師匠はどれくらいできるんだ?」

ほむらはボソッと呟く、

ほむら「四つ」

ゆま「わーいホムラに勝ったー」

ほむら「才能ある奴は違うわね…」

ほむらは拗ねながら答えた。

杏子「拗ねるな拗ねるな、ジュース奢ってやるから」

ほむら「元々は私のお金よ…」

ゲームセンターでそれからしばらく時間を潰すと昼食の時間となったので杏子の言っていたホテルのバイキングにやってきた。

ほむら(マルチタスクは4っつだけど客観的に自分を見る方法があるからいいもん)

それは別次元の話だと思われる…というより思考の中まで拗ねるほむらは器用であった。

受付を済ませ、会場へ入場をする。

ゆまは目を輝かせながらあたりの物を見ていた。

ほむらもゆまの手前、あまりはしゃげはしないがホテルの新鮮な雰囲気に目を輝かせていた。

杏子「せっかくのバイキングだ食うぞー」

杏子は慣れているのか、お皿を取り食事を取り始める。

一人で暮らしていた杏子にこのバイキング代は払えないだろう。きっと非合法な方法で立ち寄っていたのだろう。

ゆま「ゆまもー、食べるぞー」

ほむらもゆまに付き添い料理を取り始める。

楽しい昼食になりそうである。

昼食を終えて、少し落ち着くと、

ほむら「とても美味しかったは紹介してありがとうね、杏子」

杏子は少し偉そうにフフンと鼻を鳴らした。

ほむらは少し目を伏せ、

ほむら「楽しい雰囲気を壊すようで悪いのだけれど、少し私の話を聞いてもらえるかしら?」

ゆまと杏子は顔を見合わせ、少し顔を引き締めてから頷く。

ほむら「多分こうして休暇を一緒に楽しむのはこれで最後になるわ」

杏子とゆまは再び顔を見合わせ、緊張の糸を解しため息を吐いた。

杏子「知ってるよ、一週間後くらいにあれに挑むんだろ?」

ゆま「それで帰って来れるかわからないんでしょ?」

杏子「師匠が帰って来れなくなったら、あたし達が迎えに行くから気にしなくてもいいよ」

ゆま「時間がどれくらいかかるかわからないけどホムラは一人じゃないんだよ?」

ほむらは照れくさそうに横を向くと、

ほむら「どうやって知ったかは聞かないけれど、その言葉だけで嬉しいわ」

ほむらの仲間は非常に心強いようであった。

午後からの自由行動、ほむらはゆまと杏子と別れた。

杏子はおそらく自分の教会に行って掃除やお祈りでもするのだろう。

ゆまは両親のお墓参りをするそうだ。

ほむらが同行を申し出たが、ゆまに断られてしまった。

することがなくなったほむらは家に戻り夕飯の仕込みを始める。

ほむら(昼食より美味しいものを作ってみせるわ)

あの二人の笑顔を見ることは、きっと心の平穏に繋がるだろう。

もしかしたらほむらにとって強烈な繋がりはもう必要ないのかもしれない。

数時間後

『ただいまー』

仲良く帰宅した二人を出迎えるほむらの顔は笑顔であった。

楽しかった時も束の間、杏子とゆまとの休日が終わる。明日は織莉子との休日になる。

本日は以上となります。

一度魔女との戦闘経験がある杏子とゆまの見せ場は少なめですが、二人の心の強さが少しでも伝わればと思います。

次回以降は織莉子→さやか→キリカの順番で束の間の休日の話をして、そののちに修行の成果のテストをする予定です。

おやすみなさい。

様々なご意見ありがとうございます。

マミさんの件ですが、私自身読み返してみても少し無理やり過ぎたという気がします。
ほむらにも対等に近い立場のキャラがいてもいいのではないかという思いつきで元のプロットを捻じ曲げて無理やり差し込んでいました。

そこで>>369 から最初に考えていた構成で書き直していきたいと思います。>>406 で触れた通りさやかとの関係性も変わってきます。
今の話の流れで読んでくださっている方には申し訳ありません。

このように、違和感がある等の感想は自分の考えを見直す良いきっかけとなり、とてにありがたいです。

途中で書き直すようなダメな私ですが、これからもお付き合いいただけたらと思います。よろしくお願いします。

乙。応援してる
さやかは振られてすぐほむらに鞍替えしたのに違和感あったから、恩人ルートの方が自然で良いな


自分も、無努力で他人の記憶の盗み見でいきなり力を得た対等だと本当に大丈夫か?って思ってしまったし
他全員が努力して得ようとしてる力をズルで手に入れたら「色々苦労工夫して成長した仲間同士」って言う
ほむら以外のメンバー間の絆がマミだけ薄くなるんじゃと感じてしまってた

マミは堂々と「貴女の辛さを見せて」と言って対等になればいい

別にズルではなくね?
他のメンバーはほむらにカリキュラム渡されてこれやってねって言われてるけど
マミは自分でテキスト探し出して習得しただけ
習得が簡単だったようにみえるのは理解力とか諸々の差だろ

マミの主観時間でどれだけかかってどれだけの内容を解析したのかがわからないから
習得の難易度については評価しようがないな
ほむらが作った部屋とほむらの記憶の中が同じシステムだったら
外部にいる者からは一瞬の出来事に見えても
とてつもない時間を掛けているかもしれない

何が何でもマミが最強ってことにしたいマミ厨の屁理屈がひどいな
記憶から盗んだのはズルじゃないってどっかのコピー国家並みの理屈もすごいが
主観じゃないからマミも苦労したかもしれないとか言い出すのは妄想乙としか

ご迷惑をかけて申し訳ありません。やはり初期案の方が書きやすかったです。初志貫徹って大事ですね。

方向性を変えるにしても思いつきで変えるのではなく、しっかり考えを練ってからの方がいいと身にしみました。

と言ってもラストにはそこまで影響はありません。精々個人の戦力が上下するくらいだと思います。

それでは続きを投下いたします。

>>456-457 その過程で魔女化したりと悲惨な感じになっちゃいますね。

>>458 私自身が書きたかったのはほむらに対し盲信的になるか多少なりとも疑問を覚えるかという違いを書くつもりでした。

>>459-460 マミ以外はコンパイラを渡されてプログラミングを練習している感じで、マミはサンプルコードをコンパイラ共々手に入れた感じですね

>>461 扉の中の時間軸は現実の空間と同じになります。精神と時の部屋のようにはなってないです。

>>462-465 議論していただけるのはそれだけ読んでもらっている証拠になるので、賛否どちらでも私的には嬉しいです。
また結局全員ある程度は魔法を習得するのでみんな強化されるのでsageにはならないと信じたいです。

>>369 から本編変更 詳しい理由は>>455 参照

手を握った時にマミから少し魔力を取り出し、自らの力とする。そして言霊を紡いで威力を増強させる。

ほむら「我らの力は銃器なり」

マミのリボンを模した鎖が魔女を拘束していく。

マミ「華麗に優雅に舞踏を踊る」

ほむらとマミの手には華麗とは言いがたい超巨大な銃が具現化されてゆく。

ほむら「ただひとつの打ち損じもなく」

マミ「ただひとつの塵も残さず」

二人の手には88mm対空砲のようなものが握られる。

マミ「我らのアハト・アハトで」

ほむら「吹き飛ぶがいいわ」

マミ「ティロ」

ほむら「フィナーレ」

轟音が鳴り響き魔女を使い魔もろとも一掃する。

[マミの決断]
魔女の結界が薄れていき、やがて消滅する。

緊張の糸が切れたのかマミはペタンとその場に座り込む。

マミは乾いた笑いを浮かべながら、

マミ「い、生きてる、本当に死んだかと思った」

ほむら(多少無理をしていたのね…)

マミには少し時間が必要だと思ったのか、マミから少し離れたさやかに声をかける。

ほむら「幼馴染がいるのでしょう?念のため見に行ったほうがいいわ」

さやかは少し驚いた表情だったが、頷いて病院の中に走っていった。

かすかにありがとうという声が聞こえた気がする。

ほむらはさて、と呟き再びマミの方へ歩み寄る。

マミは死の恐怖を思い出したのか少し震えながら自分を抱きしめるような格好だ。

ほむらはこんな先輩を他の人に見せたくないのか、人避けの結界を展開させる。

紫の魔力とともにほむらとマミが結界に包まれた。

ほむらはマミの側に座り込み、マミの反応を待つ。

ほむら(結局私にできることは待つことしかないようね…)

例えばまどかなら手を差し伸べるだろう、例えば織莉子なら一緒に悩んであげると提案してくれるだろう。

しかしほむらにはそれができない。まどかの時にも出来なかったように…

ほむら(待ちましょう、激しい感情は時が解決してくれる)

それからしばらく時間が経ち、話せる程度には気持ちが落ち着いたのかマミがほむらの方を向く。

マミ「ごめんなさいね…」

マミはボソッと呟く。

ほむら「そういう時はありがとうと言ってもらえると嬉しいのだけれど」

マミは首を横に振り、

マミ「ごめんなさいで合っているわ…あんなひどいことしておいて、剰えピンチを救ってもらっちゃって…」

マミ「情けないなぁ私…」

マミ「こんな様じゃあ貴方が私を怒る理由もわかるわ…」

ほむらは静かに頷きながらマミの語りを聞く。

マミ「ねぇ、私どうすればいいのかなぁ?」

ほむらの表情が険しいものに変わっていく。

マミ「もう、わけわかんなくなっちゃった…」

ほむらは少し怒ったようにマミの両肩をつかむ

ほむら「ふざけないで!」

マミの肩を揺らす。

ほむら「私は貴方の心を折ろうとした!でもそれに屈しなかったのは貴方よ!」

ほむら「そんな高等なことが出来て、こんな低級な問題に答えが出せないなんて許さないわよ」

マミは目を丸くしてほむらを見つめる。

マミ「答え…?」

[side Mami]

『あなたもベテランのようね、もし良かったら手を組まないかしら?』

不意に暁美さんの言葉を思い出した。

手を組む?こんな情けない体を晒しちゃったのに?

心を折ろうとしたとも言ったわね。残念ながら成功しているじゃない。さっきのはとっさに強がっちゃっただけだし…

そんな私が横に立って戦うことなんて…

横に立つ…?

横に?

少しネガティブに考え過ぎな気がする。こんなの普段の私じゃない。

少し思考を整理しましょう。暁美さんは手を組むと言ってくれた。

先ほどの暁美さんの行動からも、手を組んでくれるというのは継続しているだろう。

だったらなぜ横に立てないと思ったのか、答えは簡単だ、単純に実力不足。

なら私のすべきことは決まっているじゃない。

マミ「強くならないと…」

暁美さんは嬉しそうな顔をしている。

ほむら「貴方に道を示す用意ができているわ」

暁美さんは立ち上がり私に手を差し伸べてくる。

ここで、暁美さんに対する私見を整理しよう。

第一印象、これは最悪だった。喧嘩腰の態度に対し私も怒ってしまい、まともに取り合おうとすらしなかった。

今思えば少し抑えて耳を傾けるべきだったかもしれない。

次に印象が変わったのは鹿目さんと美樹さんに話を聞いた時だ。

話を聞く限りいいお姉さんをしていると言う印象を持った。交友関係も広そうであった。

そこで至った結論は魔法少女関係には厳しいのではないかということ。

日常を大事にしつつ、誰にも頼らずに魔導の道を歩むなんて並大抵のことではない。

きっと自分に厳しい人であり、その厳しさを魔法少女に対しては対応させているのだろう。

そして今の感じる暁美ほむらという人物像は、とても危ういということ。

目的達成のためなら自分の身すら厭わない…これは良くない。

誰かが諭す必要がある。

きっと暁美さんのことだ、私と同じように他の娘とも接しているはずだ。

だったら気づいた私がやるべきだ。

でも私と暁美さんとには圧倒的な差がある。だったらやるべきことは?

対等以上の関係で暁美さんに意見の言える立場になること。

だったら暁美さんの示した道を言われるがままに歩むのは駄目ね。
[side Mami is over]

ほむらの差し出した手を'握らず'にマミは自分の手で立ち上がる。

ほむらは少し気まずそうな顔をしたが、

ほむら「それが貴方の選択なの?独学だと魔法にはたどり着けないと思うのだけれど?」

マミは首を振り、

マミ「貴方にもたれかかるだけの関係は嫌ってことよ」

マミ「だからね…」

そう言ってマミはほむらの横に立ち、ほむらと手をつなぐ。

ほむらは涼しい顔をしているが、マミは少し気恥かしそうだ。

マミ「私だと役者不足かもしれないけれど、一緒に歩ませてもらえるかしら?」

ほむら(結局折れなかったし私へ依存させることは出来なかったわね)

ほむら「なら、魔法についての説明をしましょう」

ほむら「私の家に案内するわ」

マミ「基本的な知識は教えてもらうことになるけれど、それから先は私の意見も反映させてもらうわよ」

ほむらは首を傾げる。

マミ「切磋琢磨は大事でしょう?」

ほむら「そうね…私が見えなかったものを貴方が見せてくれるかもしれないものね」

[魔法少女の真実とマミの反応]
数分かけてほむらの家に到着する。

ほむら「かけてちょうだい」

ほむらの表情は険しい。かつて魔法少女の真実を知ったマミのことを思い出したのであろうか。

ほむら「まずは覚悟を聞きましょう」

ほむら「貴方は人を殺す覚悟がある?」

かつてまどかに聞いたことだ。

マミ「実際に人殺しをするわけではなくそれくらいの覚悟が必要ということ?」

まどかに対してはそうだった。マミ、いや魔法少女に限って言えばその回答は変わる。

ほむらは首を横に振り、

ほむら「既に貴方はヒト…いいえ、元ヒトを殺しているわ」

マミは理解できていない顔をしている。

マミ「魔法少女と敵対した時に私が手を下したとでも思っているとしたら見当違いよ?」

理解していないのか、理解したくないのか、その表情からは窺い知れない。

ほむら「少し話を変えましょう」

ほむら「貴方の経験上魔女の側に魔法少女の死体があったことはないかしら?」

マミは質問の意図を掴み切れないように、

マミ「何度かあるけれど?」

ほむら「その死体は恐ろしく綺麗だったでしょう?ああ、もちろん肉体的に損傷がないって意味よ」

マミは頷く。

ほむら「そこから導かれる結論は?」

マミ「魔女の精神的な攻撃にやられたのではないかしら?ご遺体は苦しそうな表情だったわけだし…」

どうやらマミは無意識的に理解をしようとしていないのであろう。

ほむら「その魔女は貴方に対して精神的な攻撃をしてきていないのに?」

マミ「何が言いたいの?」

マミは少し顔を青くしている。

ほむら「その死んでいた魔法少女はm」

マミは耳を塞ぎ叫ぶ。

マミ「イヤ!!!!」

ほむら(覚悟があるなら聞きなさい、覚悟がないなら帰りなさい)

ほむらはテレパシーでマミに伝える。

数分後、マミは諦めた表情で、

マミ「魔法少女が魔女を産むのね…」

ほむら「はじめに断っておくけれど、魔女を産まない方法もあるわ」

マミは少しうつむきながら、

マミ「証拠は?」

ほむらは自分を指さし、

ほむら「証拠は私」

ほむら「私は魔女になっていないし、魔女になるメカニズムも解明している」

ほむらは手を広げ、

ほむら「またここで選択よ?人生は選択の連続で辛いわね」

ほむら「私と共に学ぶか、今聞いたことは忘れて元の生活に戻るか…」

ほむら「それとも、諦めてここで首を吊る?」

マミは悲痛な表情を浮かべていたが、

マミ「正直それも考えたのだけれど…」

マミは決意を固めた顔をして、

マミ「確かに私は元ヒトを殺めてしまったかもしれない、知らなかったでは許されないのかもしれない」

マミ「でもそれ以上にこれから魔女になるかもしれない人を救えるようになれる」

マミ「だったら迷わないわ」

ほむらは満足そうな顔を浮かべ、

ほむら「結構、その意志汲み取りましょう」

1時間弱かけて、まどか達と同様に魔法の説明をマミに対して行った。

マミ「ふむふむ、その魔法を覚える為のフィールドがその扉というわけね」

幾つもある扉を指さしながらマミは尋ねる。

ほむら「ええ、私に協力してくれている頼りになる仲間よ」

マミ「なら私のための扉も用意してくれるのかしら?」

ほむら「もちろん」

とほむらは指を弾くと黄色の扉が出現する。

マミは躊躇わずにその扉の中に入っていく。

ほむら(マミとは有意義な特訓が出来そうね)

マミの才能と経験があればきっとすぐに魔法使いとしての頭角を表すだろう。

ほむら「あーあ、こんなに楽しくなりそうなのにもうすぐ終わりなんてねぇ…」

ほむらは独り言を漏らす。ほむら計画の時間は残り少ない。

ほむら「さやか…?」

不意に美樹さやかの魔力を感じた。きっと魔法少女の契約を交わしたのであろう。

ほむらの世界の最後の主要人物。

嗚呼、ほむらは救うことができるのであろうか…

今回は以上です。

結局マミとの関係はこんな感じになりました。

次回はさやかの回となります。テーマとしては干渉できない者を救うことです。よろしくお願いします。

乙!
マミさんは緩やかに落ち着いたな。

さやかよ……魔法に何が足りなかったと言うのか?


好みにド直球だわ


>>466の例えで行くとほむらの修行コースって
ロゼッタストーン無しで古代エジプト文字を翻訳するようなもんで、
もはや修行ってレベルじゃねえな
なんつー酷い課題出すんだほむらもww
ほとんどの時間は努力や研鑽というより単なる機械的な試行錯誤
(ただし試行回数が尋常じゃない)になるし、忍耐力と精神力をひたすら鍛える感じか
むしろそれこそが魔法に必要なのかもしれんが

乙ほむ
安定のさやか。まあ大方予想はついてた
マミさんの話はこっちのがいいね。個人的には好き。
さてどうなる^3^

こんばんは地球を防衛したり、龍の王冠探してたりしてたら遅くなりました。本日分投下いたします。

>>477 この時点でさやかとほむらとの魔法的接点はほとんどなく、ほむらもただの魔法少女と思っています。

>>478 ありがとうございます。

>>479 その喩えで言うならほむらが通訳役ですね、扉の中ではほむらが多重に存在しています。各々トライアンドエラーはあるにしろそこまで辛くはないと思います。

>>480 ありがとうございます。

[さやかへの干渉]
翌日学校に登校するほむら。

ほむら(さやかに関しては失敗したわね)

ほむら(こうなる前に魔法について詳しく説明してあげるべきだったわ)

席に座り数分待つとさやかと仁美が登校してくる。

訝しげな目をしたさやかがほむらの方に近づいてくる。

さやか「ちょっといいかな?」

ほむら「ここだと話しづらいでしょうし、屋上で聞くわ」

さやかも納得したように頷きほむらに続いた。

屋上に着くとさやかの方から口火を切った。

さやか「ねぇほむら、まどかとマミさんに何したの?」

ほむらは何だそんなことかと思いすぐに返答する。

ほむら「私のもとにいるわよ?」

さやかは険しい顔をしている。

さやか「仁美とか他の人もまどかの事を覚えていないのはなんで?」

ほむら「しばらく日常に関われない事情があるから私の力で認識を捻じ曲げているわ」

さやかは眉間に皺を寄せながら、

さやか「私はさ、付き合いは短いけどほむらのこと友達だと思ってたんだ」

ほむらは首をかしげ、

ほむら「私は今でもそう思っているわよ?」

さやかは語気を強めるように、

さやか「ならなんで私になんの相談もなしにそんなこと決めちゃうの!?」

さやか「ほむらの力ってのがなんなのか私にはわかんないけど魔法少女の力なんでしょ?」

さやか「なら私にも関係あるじゃん」

ほむらは少し申し訳なさそうな表情を浮かべながら、少し頭を垂れる。

ほむら「そうね…悪かったわ」

顔を上げ、さやかを見つめるように、

ほむら「でも貴方も相談なしに魔法少女になったじゃない、これでお互い様にはできないかしら?」

さやかはウッっと言葉に詰まったが、切り捨てるように

さやか「悪いけどしばらく距離置かせてもらうわ」

さやか「今のままだとほむらのこと全然信じられない」

ほむらは焦るように、

ほむら「待ちなさい、魔法のことも今まであったことも話すから」

さやか「そうやって綺麗事並べてまどかを騙したの?」

騙したわけではないが、核心を突く発言にほむらに返す言葉はない。

さやか「やっぱりそうなんだ、なら私とあんたはもうダメだよ」

さやかは振り返り元きた道を帰っていった。

後に残されたほむらは何を思うのか、その場に座り込んでいた。

ほむら(完全に拒絶か…取り付く島もない)

ほむら(どうするべきだろうか…さやかも救うべき世界の一部だというのに…)

ほむら(優先順位も上位だし、あまり突拍子もないことはして欲しくないのだけれど…)

ここまで来てしまうともう後の祭りだろう。

拒絶されたなかで、ほむらの世界に取り込むにはなにかきっかけが必要になるだろう。

ほむら(それくらいわかってるわ)

例えば危機に面している時に助けに入る。例えば一人ではどうしようもない自体を救ってみせる。

ほむら(手強い魔女との戦闘を手助けするというのはありかもしれないわね)

結局のところさやかに対してできることは見守ることだけである。

ほむら(思い通りに行かないことも面白いところかしら?)

ほむらはさやかの後に続くように教室への道を歩いて戻る。

それから何事も無く数日が経過した。

扉の中の皆は順調に成長しているようであり、もうほむらから教えることも少ないくらいだ。

ほむら(天才ばかりで嫌になるわね)

ほむらはそんなことを考えていると、さやかが著しい負の感情を貯めこむのを感じた。

おそらくはQBからソウルジェムの真実でも教わったのであろう。

ほむらは思考する。

ほむら(今状態のさやかを慰めに行くとどうなる?)

たとえ魔女のことと魔法のことを伝えても、それは信じられないと言い、関係性が悪化するだけだろう。

ほむら(さやかにはわるいけれどもう少し静観させてもらいましょうか)

………

さらに数日後、教室で上条恭介と志筑仁美が交際を開始したとの話を聞いた。

………

翌日さやかの行方がわからなくなったという話でクラスの話題は持ちきりだった。

ほむら(あーもう、全然関われないじゃない!)

さやかの考えていることがわからないほむらにとっては歯がゆい時を過ごしていた。

ほむら(全然魔女にも遭遇しないってどういうことなのよ…)

さやかは今まで使い魔の相手はしているが、魔女の相手をしていない。

そんなことを考えていると、

ほむら(噂をすれば影!しかもさやかも近くにいるようだしこれは絶好のチャンス!)

ほむらはさっそく家を飛び出し魔女の結界の近くで張り込みを開始した。

数分後さやかが魔女の結界の中に入っていくのが見えた。

ほむら(なによあのソウルジェム、大分濁っているじゃない)

魔力の使いすぎ、陽の魂の使いすぎである。

ほむら(ピンチの時に颯爽と登場する、さやかのピンチを救う、仲直り、ついでに私の世界に来てもらう、これでいけるはず)

さやかが魔女の結界に入った数分後、ほむらも魔女の結界に侵入する。

影の魔女と言ったところか、辺り一帯が影でできている。

使い魔がほむらに襲いかかってくるが、ほむらの敵ではない。

キリカの武器である10本の爪を作り出し、なるべく音を出さないように使い魔を切り刻んでいく。

しばらく歩くと魔女のいる空間に出た。もちろんさやかも先に到着していた。

影に取り込まれそうになっていたさやかの周りの影を爪で裂きさやかを救出する。

ほむら「消耗しすぎよ、ここは私に任せなさい」

影のせいで表情が見えないが、さやかの表情はきっと歪んでいただろう。

さやか「邪魔しないで、一人でやれる」

ほむら「意地を張らないで!」

ほむらの言葉に聞く耳を全く持たずにさやかは魔女に向かって突進していく。

自分の身が傷つくのも気にせずにさやかは魔女に手持ちの剣を振り下ろしていく。

さやか「本当だ!その気になれば痛みなんて感じないんだ!」

さやかは狂気を帯びた笑みで叫んでいた。

ほむらはその様子を見守るしかなかった。

魔女を倒しきったさやかはほむらに近づいてくる。

さやか「これが欲しかったんでしょあんたにあげるわ」

そう言ってグリーフシードを投げつけてくる。

ほむらはそれを手に取り、

ほむら「別にいらないわ、貴方が使いなさい」

さやか「これで貸し借りゼロだから、施しは受けない」

さやか「私はあんたとは違うんだ」

何を考えているのかが全くわからずに戸惑う。

きっとQBから有ること無いこと吹きこまれているか、悪い方悪い方へと自分勝手な想像をしているのだろう。

ほむら「どうしたら私の言うことに耳を傾けてくれる?」

直接聞いた所でそれこそ聞く耳を持たないだけだろう。

さやかは鼻で笑い、そのまま去ってしまった。

ほむら(イライラするわね…)

ほむら(もう一度、もう一度魔女が出た時に加勢してあげましょう)

さらに数日が経過する。

魔女は現れない。

次に現れ魔女はきっとさやかの魔女になるだろう。

ならばほむらにできることはなにか、せめて最後を看取るくらいしか出来ないだろう。

ほむら(仕方ないわよね)

どこで選択肢を誤ったのか、考えてもきりがない。

ほむら(さやかとの交流が少なすぎたのが原因よね)

過ぎ去ったことをそこまできにかけても仕方ないだろう。

ほむら(本当に無理だったら時間を戻すしかないわね…)

ほむら(でも、この時間軸でうまくいかなかったらまたズルズル引っ張る気がする)

ほむら(さやか…)

さやかのソウルジェムが限界間際であることを感知した。

急いでさやかの元へ駆けつける。

駅のホームであろうか、座り込んでいるさやかにほむらは声をかける。

ほむら「もう何も言わないわ、最後の時間ぐらい誰かと一緒にいたほうがいいでしょう?」

さやかは苦しそうな表情をしていた。

さやか「迷惑かけちゃったね」

さやかはボソボソと続ける。

さやか「最初はほむらとうまくやれるって思ってたんだ」

ほむらも頷く。

さやか「でも、まどかとマミさんを取られた気がして意地はっちゃったんだろうね」

ほむら「私もうまく立ち回れなかったからお互い様よ」

さやか「生まれ変わったら今度は仲良くしたいかな」

ほむらは優しく微笑みながら頷く。

さやか「ほむら、知ってる?魔法少女は希望を振りまいて、魔女が絶望を振りまく」

さやか「希望と絶望は差し引きゼロなんだよ」

さやか「確かに渡しは何人か救いもしたけどさ、だけどその分心には恨みや妬みが溜まっていった」

さやか「誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずに入られない」

さやか「私達魔法少女ってそういう仕組なんだよ」

ほむらは驚きの表情を浮かべる。

ほむら(死の間際とはいえそこまでたどり着くのね)

ほむら(短時間、しかも独力で魔法の3歩手前くらいまでわかっちゃうなんてすごいわ)

さやかは完全に黒ずんだソウルジェムを手に乗せ、涙を流しながら、

さやか「あたしってほんとバカ」

ほむらは嬉しそうに笑う。

ほむら「ようやく干渉できない世界が終わったのね」

干渉できない物語に干渉する方法。ほむらはの答えは簡単だった。

一度物語を終わらせて干渉できる形で再構成してやればいい。

さやかの死体を抱えながらほむらは魔女と対峙する。

ほむら「ここにあるもの全てがさやかだ、返してもらうわよ」

魔女にそう言い放つと同時に魔女が車輪を飛ばし攻撃してくる。

ほむら「今回は魅せつける相手もいないし、適当にいかせてもらうわね」

ほむらはつまらなそうな口調で言い放ち、どこから取り出した大剣で車輪を吹き飛ばす。

ほむら「前座は引っ込んでいなさい」

ほむらが右腕を振るうとほむらの背中から侵食する黒き翼が出現する。

左腕を振ると翼が分解され数多の羽になる。

右腕を上げると羽が全て魔女の方を向く。

指をパチンと鳴らすとその羽根が魔女に向かって飛んでいく。

肉を潰すような嫌な音を聞きながら大剣を持ち直し、

ほむら「終わりね」

大剣を投擲する。

それが致命傷となり、魔女が崩れ落ちる。

なんともあっけない幕切れだろう。しかしほむらにとっての仕事はこれからだ。

ほむら「さて、ここからが本番ね」

ほむらの力により時間が止まる。

止まった世界の中ほむらだけが動く。これが概念の力である。時を止める能力を持とうとも、時に干渉する力を持とうとも覆らない概念。

ほむらの体から紫の魔力とともに魔女の結界を覆うほどの巨大な魔法陣が展開される。

展開された魔法陣が結界を作り、魔女の結界を包み込む。

少しだけ時間を進め、崩れ去った魔女からグリーフシードを取り出す。

台座を具現化し、そこにグリーフシードを奉る。

ほむらの編み出した魔法の中で最も手間が掛かるが、最も効力が強くなる魔法、儀式魔法。

今回の儀式魔法の効果はソウルジェムの再構築並びに魂の回復。

台座の下にさやかの死体をそっと置き、祈るように手を組み片膝をつき、目を瞑り、魔力を練っていく。

次第にほむらから漏れだした魔力がさやかの体とグリーフシードに入り込む。

それに呼応するように最初に創りだした魔法陣が魔女の結界を喰らいながら縮小してくる。

やがて、縮小された魔法陣がグリーフシードを囲むように展開される。

刹那、青い光が辺り一帯を包み込んだ。

光が止んだ事を確認し、目を開く。

するとそこにはさやかが立っていた。

ほむら「おはようさやか」

ほむら「生まれ変わったのわけだし、仲良くしましょうか」

さやかは戸惑っている表情を浮かべている。

さやか「ほむらがやったんだよね…?」

ほむら「ええ、そうよ」

さやか「そっか、やっぱり迷惑かけまくりだね、私…」

ほむら「いいのよ、私にはどんどん頼りなさい」

さやかは調子を取り戻しつつあるのか、それとも死の間際に本音を漏らしてしまったせいで遠慮がなくなったのか、少し笑いながら、

さやか「そこまでは流石に遠慮しちゃうかな」

さやか「でも、この恩は必ず返すよ」

さやか「だからほむらこそ、じゃんじゃんさやかちゃんを頼りなさーい」

ほむらも微笑を浮かべ、

ほむら「ええ、頼りにさせてもらうわ」

ほむら「ただ、今のままでは頼り甲斐がないから、少し私の下で鍛えてもらうわよ」

ようやく全ての仲間が揃った。ほむらの計画は残り僅かだ。

本日は以上です。

さやかの手のひらの返し方が早すぎるような気がしますが、
さやかの言う通りまどかとマミさんを取られたような気がして、
駄々をこねていただけなのでそれを認めてしまえばすぐに仲直りできるといった感じでした。

作中の時間軸の関係上束の間の休日編は挟めなくなるので、
次回は一気に時間が飛んで全員の修行の成果のお披露目になると思います。


復活系さやかちゃんだったか

そろそろ来るかなー

こんな時間におはようございます。遅くなってしまい申し訳ありません。

今回の投下分は全て戦闘シーンとなりますので、別に読み飛ばしても話に差し障りのないです。

とんでもないような事をしていたりするので、雰囲気だけでも伝わればと思います。

とりあえずほむらだけではなく他の魔法少女もTUEEEEEEEになったといった感じですね。

>>494 さやかが生き残るには復活系か恋愛系さやかちゃんになるしかない気がします。

>>495 来ましたー

[修行の果てに]
さやかとの仲を取り戻してから1週間と少し経過した。

大多数の人にとってはなんともない日、ただしほむらにとっては重要な日だ。

赤、青、白、薄緑、黒、黄色、桃、それぞれの扉から少女たちが姿を表す。

厳しい修行であったのか、その顔つきはキリっとしており、心身共に成長したのであろう。

7人の少女の前に一際大きい紫色の扉が佇んでいた。

そして音もなく他の7色の扉は消滅した。

少女達は顔を見合わせ、頷き合い勢い良く紫色の扉の中に入り込んだ。

ほむら「ようこそ皆様いらっしゃい」

扉の先にはほむらが待ち構えていた。

ほむら「魔法に関して伝えることは全て伝えたつもりよ」

ほむらはだからと呟き、

ほむら「テストをするわ」

杏子「今更テストォ?」

こういう時真っ先に口火を切るのはやはり杏子だ。

ほむら「ええ、あなた達がどれほど魔法を使いこなせるかを、模擬戦をしながら見せてもらうわ」

まどか「じゃあ、一人一人ほむらちゃんと戦うってこと…?」

ほむら「そんなの、各々の訓練でやったでしょ?」

ほむら「だから、1対7でやるわ」

ザワっと驚きの声が上がる。

さやか「いくらなんでも1対7なんてほむらでも無茶なんじゃ…」

ほむら「私を甘く見ないほうがいいわよ」

さやか以外は全く心配をしていない。

織莉子「話を続けてもらえないでしょうか?」

ほむらは頷き、

ほむら「ルールは簡単どこでもいいから、私の体に傷をつけることが出来たら貴方達の勝ち」

ほむら「全員諦めるもしくは全員KOであなた達の負け」

ほむらは簡単でしょ?と薄く笑いながら伝える。

キリカ「わかりやすくていいね、流石ほむらだ」

キリカの発言に頷きマミが口を挟む。

マミ「せっかくやるんだし、手加減はなしにしてよね」

ゆま「本気のホムラとやってみたい!」

ほむらは仕方ないといった表情で、

ほむら「私の全力を引き出せるように頑張りなさい」

ここでテストのルール説明だ。

場所はほむらの作ったこの空間。ただしほむらが作ったからといって、ほむらに対してプラスに働くことはない。

ただ広いだけの空間だ。ここで模擬戦を行う。

命を奪うような行為は原則として禁止その他はなんでもあり。

ほむらに傷をつけたら少女たちの勝ち、全員が諦めたら少女たちの負けだ。

開始地点はほむらを中心に50m離れたところからスタート。

開始の合図はほむらがコインを弾き地面についたら開始する。

ほむら「全員離れたわね」

ほむら「では、始めましょうか」

ほむらはコインを弾く。

クルクルと奇跡を描きならコインは浮かび上がり、重力に引きずられ地面に向かう。

カツンと音と共にコインが地面にぶつかる。

さあ、テストの開始だ。

開始の合図とともにほむらの真後ろの空間が少し歪むのが見えた。

遠くにさやかがほむらめがけ走ってきているのが見える。

それには構わずに歪んでいる空間目掛けて思いっきり足を振りぬく。

インパクトの瞬間突如姿を表したさやかのみぞおちの辺りにほむらの足がめり込む。

ミシミシという嫌な音と共にさやかが吹き飛ばされる。

ほむら「縮地ね、なかなかいいじゃない」

縮地には2種類ある。さやかのように距離をなかったことにする方法と相手の知覚できぬほどの早さで動くことだ。

ほむら「でも、空間魔法を得意とする私に空間魔法で対向するのは少し浅知恵だったわね」

などと解説している合間にマミのマスケット銃による銃撃とまどかによる矢の狙撃が飛んでくる。

ほむら(狙っては来ているけれど、当てる工夫がないわね…時間稼ぎかしら?)

ほむら(時間稼ぎだとしたら本命は?)

周囲を見回すと織莉子と杏子がなにやら準備をしている。キリカとゆまが各々の護衛のように側に寄り添っている。

ほむら(経験の差から警戒度が高いのは杏子ね)

絶え間なく続くマミとまどかの攻撃をいなしつつ、ほむらはライフルを取り出し杏子に向かって狙撃する。

ゆま「風の盾」

突如竜巻が杏子を取り囲みほむらの銃弾から杏子を守る。

ほむら「竜巻は上からの攻撃に弱いと教えたはずよ」

ほむらが紫色の魔力とともに腕を振り下ろすと、巨大な岩が竜巻の頭上から落下していく。

ズシンと重い音が鳴り響き、砂埃が舞い散る。

手応えがないことを感じたほむらはすぐさま岩を魔力に分解し、杏子のいた位置を見る。

ほむら「幻影ね…」

すぐ後ろから杏子の魔力を感じ、すぐさま魔力の盾を展開させる。

杏子が槍で突進を仕掛けてきたようだ。

杏子「貫け!」

杏子の突きの威力とほむらの魔力の盾は拮抗している。バチバチと魔力がスパークのように閃光を上げている。

杏子「ゆま!!」

身の丈ほどもあるハンマーを持ったゆまがいつの間にかほむらの側に接近していた。

既に振りかぶられたハンマーは振り下ろされない。

ほむらは二丁の拳銃を取り出し姿勢を低くしながらゆまと杏子に向けて引き金を引いていた。

ゆまは振りかぶった槌の構えを防御の姿勢に変えており、銃弾を弾いていたが、未だ攻撃の最中だった杏子には防御ができない。

最低限の防御魔法は張っているであろう杏子の装甲を軽々と破り右肩に銃弾が沈み込む。

弾ける鮮血、

うめき声を上げながら杏子は右肩を抑える。

ゆまが咄嗟に杏子の救護に入る。だがすぐには回復できないだろう。

ほむら「勢い任せではダメよ」

といって、回復を阻害しようとしたところ織莉子の鋼糸がほむらの体に巻き付こうとしてくる。

ほむらは小さなナイフを取り出し糸を切り裂く。

[織莉子の回想]
[side Oriko]
魔法少女として与えられた武器は水晶球だった。

未来予知の魔法の適性があったためその補助を行うためのものだったのだろう。

攻撃に使うにはあまりにも貧弱。

その後にほむら様の魔力を合わせ生み出された武器は鋼糸だった。

何故このような武器に適正があるのでしょうか?とほむら様に尋ねると、

『それは、貴方自身が一番わかっているはずよ』

『己の武器は己自身を表すものだからね』

本当はわかっていた。

私は繋がりを求めていたから。

魔法少女になる切っ掛けは、結局のところ居場所がなくなったことで自分の価値がわからなくなったから。

居場所とは人との繋がり、たとえ細い糸のような繋がりでも私は欲したのだろう。

だから糸なのだろう。ただの寂しがりの子供のわがままを体現したものだ。

なら私は紡いでいこう、繋げていこう、私の糸で…
[side Oriko is over]

[魔法陣の罠]
織莉子に危険性を感じたほむらは織莉子との距離を詰めようとする。

その進行を妨害しようと横からキリカが突進してくる。

ほむらは走りながら、サブマシンガンをキリカに向けて乱射する。

その尽くをキリカの爪に弾き落とされ、その上距離を詰められる。

距離を詰められるのは所々に設置された織莉子の結界の罠のせいだ。

織莉子との直線上にわかりやすく堂々と設置されている。だから避けざるをえない、遠回りせざるをえない。

罠を避けながら進むと、遂にキリカに追いつかれる。

10本の爪を振り回しほむらに肉薄する。

ほむらは小太刀を2本作り出し、爪を弾きながら後退する。

キリカはそこで笑みを浮かべた。

キリカ「ここに誘導できたならこっちのものだよ」

キリカ「出てこい!」

罠だと思われた魔法陣の一つはキリカの召喚魔法用魔法陣だった。

そこから出てくるのは

黒き龍

[キリカの回想]
[side Kirika]
『ほむらには言っておかなければならないことがあるんだ』

『愛の告白なら聞き飽きたわ、後にしなさい』

それはそれでひどいと思ったが、そんなことではない。

『私の願いのことだよ』

『元々の私は引っ込み思案で、こんなに積極的に話をするような人間じゃなかったんだ』

『ほむらと織莉子にお礼がしたくて、でもそんな勇気が出なくて…』

『そこでQBと出会ったのね』

『そう、そこで願ったのは自分自身を変えること、勇気を持てる人間になることだ』

『だから今話している私は呉キリカであって呉キリカではない』

『だから謝るよ…ごめんなさい』

『だったら貴方は何者でもないのね』

『そうなるかな…』

『だったらちょうどいいわ、今日から貴方は呉キリカよ、私のお墨付きをあげるわ』

そうか、ほむらが認めてくれるならそれでいいか、今日も私は呉キリカであり続けよう。

『そんな願いだから龍なんて召喚したのね』

そうだ、変わる前の私はただの鯉だった。

だが、竜門を登り切って龍になった。ただそれだけの話だ。
[side Kirika is over]

[龍との戦い]
ほむら「キリカはいきなり全開ね」

地面から出現した全長20mはあろう黒き龍に弾き飛ばされて空中に佇んでいると、龍はまどかやマミ、織莉子の方へ旋回した後にほむらに向けて突進してくる。

ほむらは全身に魔力を纏い龍を正面から受け止める。

受け止めた瞬間に衝撃が空間中を衝撃波のように伝わる。

遠目から見たら巨大な龍が空中で急停止したように見えるだろう。

ほむら「力尽くじゃあ少しきついわね」

と額から汗を一筋流して呟く。

ほむら「でもいけなくわないわね」

とほむらが力を入れると龍のほうが押され始める。

不利を悟った龍は鈍い音とともに口を開き出す。

ほむら「ブレスなんかも使うのね」

キリカは少し唇を綻ばせ、

キリカ「確かにブレスは吐けるけどそうじゃないんだよね」

龍の口の中から大量のリボン人形が飛び出す。

ほむら「マミの人形…」

リボン人形の中でひときわ目立つ者がいる。

マミ「私もいるわよ」

マミ「行きなさい」

マミの号令とともに人形がほむらの方へ飛び出していく。

マミは更に大砲を作り出して発射する。

マミ「ボンバルディア・ティーロ」

マミの言霊とともに人形が爆発し、さらに大砲の弾で追撃をかける。

さすがのほむらといえどこの爆発を素のままで耐えるのは難しいだろう。

爆発の煙が晴れるとそこには、未だ無傷で健在しているほむらの姿があった。

ほむら「この姿になるのは久しぶりね」

ほむらの服装が変わっている。おそらくこれが魔法少女としての服装なのだろう。

ほむら「全力がお望みだったようだけれどまだ2速よ、頑張りなさい」

ほむらの手には長剣が握られており、黒き龍は2つに切断されていた。

ほむらの手の長剣がサラサラと灰になるように消えていく。

ほむら「神性を持たせた武器はすぐに使い物にならなくなるから困るわね」

ほむらが握っていた長剣はかつて龍を討伐されたと言われていた物であったようだ。

龍を討伐する神性を持つが、ほむらの技術ではでは1撃放つだけが限界のようだ。

そして龍が断たれたことによりマミが地面に向けて落下するが、織莉子の糸によって救出されていた。

追い打ちをかけるために炎弾の魔法を織莉子とマミに向けて放つ。

まどか「星屑の嵐矢」

待機していたのであろうか、言霊とともにまどかがほむらに向けて矢を放つ。

放たれた矢は意思を持つようにほむらの周りを急速に分裂しながら回転し、無数の矢の嵐が巻き起こる。

ほむらは舌打ちをしながら己の周りを囲むバリアを展開する。

まどか「受け身に回ったのならいけるよ、さやかちゃん」

まどかは真剣な声で叫ぶと治療を終えたさやかがまどかのそばに駆け寄り詠唱を始める。

さやか「私が望むのは最強の剣」

さやかが目を閉じてイメージを拡げる。

さやか「どんな装甲ももろともせず」

さやかの目の前に青い魔力光とともに剣のような像が結ばれていく。

さやか「数多の苦難を前に不敗」

一振りの剣。シンプルな形状であるからこその美しさを備えている。

さやか「神なる剣」

閃光と共にこの世に姿を現す。

さやか「顕現せよ-エクスカリバー-」

かつてアーサー王が振るったとされる伝説の大剣。

かなりの魔力を消耗したのかさやかは息を切らせながらもまどかに顕現した大剣を手渡す。

ほむら(自ら振るための具現化ではない…?)

ほむら(まずいわね…)

矢の嵐を未だ抜けきれないほむらはまどかの弓に伝説の剣がつがえられるのを見た。

ほむらは内心嬉しさと好奇心が湯水のごとく湧き上がってくるのを感じる。

ほむら(私の知らない魔法に私の知らない戦術…いいわぁ)

ほむら(テストはもう全員合格点に達しているわね)

ほむら(このまま攻撃を受けて終わらせてもいいけど…)

まどかの弓から伝説の剣が放たれる。

放たれた瞬間轟音と激しい閃光と周囲の空気を激しき震わせる衝撃波が吹き荒れる。

確かに放たれた刃はほむらのいたであろう空間を貫いた。

さやか「やった!」

ほむらはそこまで甘くない。

そこには急激にプレッシャーが増したホムラが悠然と泰然と歴然と顕然と佇んでいた。

ほむらの放つ圧倒的な魔力に少女たちは動きが取れない。

ほむら「全力で来て欲しいなんて言われなかったら今ので終わらせてあげていたわ」

ほむら「あの剣が通り抜ける時間の間私の存在確率を限りなくゼロにした、だから当たらなかった」

ほむら「幸いにも派手な演出のおかげで私への観測者が私だけだったからできた回避方法ね」

ほむら「3速を飛ばしてこれで4速」

トップギアまで後1速。

ほむらの右手にはほむらのお気に入りの大剣フランベルジュ。

その剣を媒介にし、炎の召喚。

ほむらが大剣を振るうと剣圧で少女たちの足が止まる。ほむらの詠唱が始まる。

ほむら「我が名はほむら、炎を体現する名を持つ者なり」

ほむらの大剣を中心に灼熱の炎が地面を這うように集まってくる。

ほむら「ただ燃やし尽くすための業火を望む」

炎の色が変色していき紫色の炎となったいく

ほむら「拒絶する灼熱を、許容する恋火を」

ほむらの背中に翼が生え、かなりの高度から見下ろす。

ほむら「焼き尽くせ」

ほむら「獄炎魔法-焔地獄-」

地面一体が地獄となる。紫の炎が縦横無尽と走り回り、少女たちを飲み込む。

ほむら(これだけの大魔法だ、これで私の勝ちでテストは終りね)

ほむら(それにこの魔法は結構疲れるのよね)

そんなことを考えていると、地獄の中に一縷の希望があるのが見えた。

ほむら(な、なに…あれは)

ほむらが珍しく狼狽える。

ほむら(炎に対抗するのは水)

水の魔法に適性のあるのはさやかであるが、

ほむら(でもさやかはさっきのでかなり疲弊しているはず)

ほむら「あ、ありえないわ」

[少女たちの反撃]

時は少しだけ遡る。

[side Sayaka]
ほむらの詠唱が始まった。これはやばい。

やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい。

かと言って私もさっきのエクスカリバーを作った魔法でほぼ魔力切れだし…

みんなほむらのプレッシャーに負けて怯んでるし…

とりあえず皆を一箇所に集めないと。

なけなしの魔力を使い織莉子さんの下へ縮地で近づく。

さやか「織莉子さん!皆を一箇所に集めてくれませんか」

放心していた織莉子さんの目に力が戻ったのを確認する。

織莉子さんは私の目を見つめてくる。

織莉子「諦めないのね…」

織莉子「いいわ、私たちが勝てるビジョンが微塵も見えないけれど、抗いましょう」

よしっ!あとは私の覚悟だけか。

ほむらが言っていたっけ

『強いっていうのは弱さ知っていることよ』

正直言って私は弱い、魔法を知ったのも一番遅いし戦闘の経験もないし才能もない。

なら私がみんなより優れている点は何か。

私は馬鹿だからそんな部分は見つからない。

『だったら最弱でいいじゃない、肉体的精神的魔力的最弱』

『大いに結構じゃない弱くて負けて負けて負け続けでもここ一番だけはしっかり決める』

『それってとっても素敵じゃない?』

最弱か…それもよかったのかもしれない。

事実私は自分の弱さに負けて魔女になってしまった。

あの時の感覚は未だに覚えてる。

魔女とはつまりは自分の弱さだ。恭介への思いを捨てきれなかった私の弱い部分。

ほむらに嫉妬した醜い部分。仁美を邪険に思った最低な部分。

それらが集まってできたのが私の魔女だった。

………あっ

弱さを知るってそういうことか。負の感情を切り捨てるのではなく受け入れること。

わかったなら受け入れるだけだ。

でも覚悟が足りない、勇気がでない。

杏子「辛気くせぇツラしてんじゃねぇよ、さやかが最後の希望なんだぜ」

いつの間にか織莉子さんが糸を手繰り寄せてみんなを集めてくれていた。

さやか「怖いんだ、また呑み込まれるのが…」

杏子は鼻で笑ってくる。

杏子「怖くていいんだよ、怯えていいんだよ」

杏子「でもそこでへこたれるのはあたしが許さない」

そこまで怒鳴るように言って、いきなり優しい笑みを浮かべてくる。

杏子「勇気がたりねぇなら、覚悟がたりねぇなら、あたしたちが分けてやるよ」

私の肩を掴んでくる。

杏子「さやかはひとりぼっちじゃないからな」

そして私の両手を握ってくれる。まどかやゆまちゃん、織莉子さんキリカさんもその手を重ねてくれる。

マミさんは後ろから抱きとめてくれた。

暖かい。

うん、やろう。

ほむらの詠唱も後半になってきたのか、風圧で私たちの動きが取れなくなる。

ああ、こうなる前に皆を集めることができてよかった。

力を貸してください、私の弱い部分。

受け入れよう、私の醜い一面。

力を借りるよ、オクタヴィア。

ほむらの詠唱が終わり魔法が発動したのだろう、圧倒的なプレッシャーを放つ紫の炎が地面を這って向かってくる。

私は声にならない声を上げながら迷宮の結界のを水を使い作り上げる。

マミ「美樹さんその格好…」

私の姿は変わらない、美樹さやかのままだ、ただ私の魔女の兜をしているということを除いて。

キリカ「それがさやかの力なんだね、弱き力なんて素敵じゃないか」

部分的な魔女化。それにより、負の魔力を使って防御を固めた。

さすがにこれはほむらも予想外だったんじゃないかな。

でも私ができるのはここまでだ。

あとは仲間信じよう。
[side Sayaka is over]

[side Kyoko]
アハハハハハハ、さやかのやつすげぇじゃねぇか。

こいつはとんでもない隠し球だ。だったらあたしも見せつけてやろうじゃん。

あたしだって炎を扱えるんだぜ。そしてほむらには見せていないあたしを見せてやるよ。

ほむらの炎に対抗するための詠唱を始める。

杏子「地獄の業火でさえも飲み込んでしまう」

紫の炎の中に赤い炎が生まれてくる

杏子「あたしは蛇だ、何もかもを飲み込んでしまえ」

赤い炎が蛇の形を成していく。

杏子「道を切り開け」

赤い炎の大蛇が無数に出現する。

杏子「豪炎魔法-ミドガルズオルム-」

何もかも飲み込む大蛇よほむらの炎はご馳走だぜ。
[side Kyoko is over]

[side Yuma]
キョーコが炎の蛇を大量に作り出したけど、ちょっと足りない。

たしかにホムラの炎を食べてるけど、まだ少し足りない。

だからユマが手助けする。

火と風は相性がいいんだってホムラも言ってた。

キョーコの火だけ強くさせよう。

ユマは火にシコーセーっていうのを持たせるのを練習したもんね。

ゆま「風さんお願いします」

ゆま「赤い炎に追い風を、紫の炎に向かい風を」

周囲に風が吹き始める。

キョーコの炎がパワーアップした。やったね。

これでゆまは打ち止めかな。あとは信じて祈っていようかな。
[side Yuma is over]

ほむらの作り出した地獄が晴れていく。

ほむらは自分の見知らぬ領域に対し興奮し始める。

ほむら「何今の?すごい、すごい、すごい、すごい」

ほむら「魔女化の経験を活かして、部分的な魔女化!私の知らない領域!」

ほむら「炎を喰らう炎の召喚!私の知らない魔法!」

ほむら「片方の炎にだけ力を与える風!私の知らない方法」

ほむらは恍惚な表情を浮かべている。

ほむら「素晴らしい、素晴らしい、知りたい、知りたい」

ほむらの好奇心はとどまることを知らないようだ。

ほむら「嗚呼、ここまで来てよかったわ」

さやかも杏子もゆまももう満身創痍だ。

ほむら「さあ、ラストスパートよ最後は何を見せてくれるのかしら?」

[side Mami]
美樹さんと佐倉さんとゆまちゃんが切り開いてくれたこの希望の糸、切らす訳にはいかない。

かと言って暁美さんに届く魔法なんて…

美国さんから白色の魔力光が発せられるが、特に何も起こらない。

そしてそのままキリカさんに話しかける。

織莉子「キリカ、尖兵を任せたわ」

尖兵…それって暁美さんに特攻してもらうってことよね。そんなにすぐに決断できるものだろうか…。

キリカ「任されたよ」

そうか、この二人…というか呉さんから美国さんに対しては絶大な信頼いや盲信があるのだったわね。

ならその案に乗らせてもらおうかしら。

マミ「なら、私のとっておきを使うわ」

即座に返答がくる。

織莉子「聞きましょう」

マミ「私のリボンで呉さんの鎧を作るわ」

多分それで私の魔力は空っぽになるでしょうね。

まどか「あの…私は?」

キリカ「特攻隊長私、参謀織莉子、技術提供マミ」

織莉子「そして最後の切り札が鹿目さんよ」

鹿目さんは不安そうな顔をしたが、私が微笑みかけると少し引き締まった顔をした。

マミ「少しだけ時間を稼いでちょうだい」
[side Mami is over]

ほむら「最後のぶつかり合いよ」

ほむら(でも気になるのは織莉子の魔法ね、あれだけ派手な魔力光が発生した割に何もないとは考えられない)

ほむら(ただの未来予知程度ならあれほどにはならない…)

ほむら「まあいいわ、一気に吹き飛ばしてしまいましょう」

ほむらの剣に紫の炎が集まる。

先ほどの大魔法ほどの威力は無さそうだが、4人を倒すには十分な威力だろう。

ほむら「燃やし尽くせ-焔-」

ほむらが剣を振るうと紫の炎がうねりながら4人の少女を飲み込むべく進行する。

織莉子「照らし出せ、光よ」

織莉子から光の魔力が溢れる。

キリカ「這いよれ、闇よ」

キリカから闇の魔力が溢れだし、2人の魔力が混ざり合い、融け合っていく。

ほむら「わざわざ反発しあう属性を混ぜるとは愚かね」

炎と水、光と闇のように反発しあう物は打ち消しあう性質がある。

織莉子「私達2人の相性はとてもいいんですよ」

キリカ「だから反発なんて起こさせない」

少女たちを飲み込もうとした紫の炎に光と闇が混ざり合った魔力をぶつける。

織莉子「弾けろ」

キリカ「飲み込め」

『カオスフレア』

混沌が紫の炎を飲み込みあとには何も残らない。

マミ「呉さんこっちに」

キリカが無言でマミに近づく。

マミ「全てを拒絶するリボンの鎧-ナストロ・アーマー-」

一瞬の黄色い閃光とともに、キリカの服装が中世の騎士のような鎧姿になる。

キリカ「全然重くないんだね」

キリカは感心したように呟く。

マミ「魔力でできているし、元はリボンだからね」

マミ「でも防御力は天下一品よ」

織莉子「次が来る前に頼むわよキリカ」

キリカは織莉子の方を向き頷き、

キリカ「さあ、ほむら私の無限な有限を受け入れてもらおうじゃないか」

キリカはほむらの方向へ向けて跳躍する。

だがほむらも黙って見ていたわけではない。

第2陣の魔法はすでに準備済みだ。

ほむら(これでカウンターを決めて終わりね)

ほむらは大剣を振り上げる。

だがそれは振り下ろされることはない。

いつの間にかほむらの四肢は糸に繋がれており身動きが取れなくなっていた。

ほむら(周囲には気を使っていたはず!なら何故私は拘束されている?)

魔法で転移を使ったとしても、空間の歪みや魔力光が生じるため、ほむらが見逃すわけがない。

ほむら(織莉子の無意味な魔力光か)

織莉子「考えている通りですわ」

織莉子「未来干渉の魔法、私の未来予知と相性抜群だと思いませんか?」

[決着]
身動きが取れぬほむらにキリカの強襲が始まった。

ほむらは背中に生えている翼を駆使し、キリカを攻撃をいなそうとする。

キリカはそんなことは百も承知と言わんばかりに、空中に急停止し、翼を迂回するようにほむらに肉迫する。

右へ左へ上へ下へとフェイントをかけながら、ついにキリカの爪の射程範囲に入った。

ほむら「風切の刃」

ほむらの周囲から風の刃が繰り出され、織莉子の糸を切り裂く。

だがそのせいでキリカに対する術が一手遅れる。

防御に回らざるを得ないが、魔法で防ぐには時間が足りない。

キリカ「取った!」

ほむらはキリカの攻撃を左手の砂時計の盾で受け止める。

キリカの顔が驚愕に染まる。

ほむら「いいえ、取られたのよ」

そのまま右手の大剣を軽々しく振り切る。

刹那キリカの体が本来ならありえない慣性をもって後ろに飛び退く。

ほむらは見逃さない、キリカの体にいくつもまとわりついている織莉子の糸を。

キリカ「悪いね織莉子助かったよ」

織莉子は精神を集中させながら、

織莉子「マリオネット人形」

キリカにまとわりつけた糸でキリカを人形のごとく扱う術のようだ。

ほむら「2対1ってわけね」

ほむら「でもトリックが分かってしまえばどうとでもなるのよ」

ほむらは槍を取り出し、そのままキリカに追撃をかける。

織莉子「無駄よ」

織莉子の糸に引っ張られ、キリカが槍を避け再び爪の間合いに侵入する。

ほむらはニタリと笑みを浮かべると槍が分裂し、キリカにおいうちをかける。

普通の槍に偽装した杏子槍だ。

穂先がキリカの鎧に当たると直撃した部分が分離され、斥力を発生させる。

その後分離した部分を修復するように元に戻る。

マミ「3対1よ」

マミは格好よく言い放つが、魔力を使い切って地面にヘタリこんでいるので様にならない。

ほむら「マミの込めた魔力分の絶対防御の鎧か」

キリカ「おお!思った以上にすごいねこれ」

ほむら「なら削り切りましょうか」

そこからは壮絶なぶつかり合いになった。

大魔法を使う暇など持てない両者はひたすらに相手の裏をかき、相手より早く、重い一撃を狙い続ける。

経験の差からか、2対1であろうと、3対1であろうと、ほむらにはあと1歩届かない。

次第に鎧を削られていき、5分が経過した今原型を留めることすらできなくなり、マミの鎧は霧散した。

織莉子ももう糸を操る魔力の限界に来ていた。

そしてそのままキリカを大剣の腹の部分で叩きつける。

そのままキリカが落下していく。気を失ったのであろうか、受身の体制すら取れない。

織莉子「キリカ!」

織莉子が最後の力を振り絞ってキリカに糸を巻きつけて減速させ救出する。

そこでキリカは目を覚ます。

ほむら「皆素晴らしい成長っぷりね」

マミ「気づいていないの?それとも意図的に無視しているのかしら?」

ほむらは首をかしげる。

マミ「呉さんは尖兵だったのよ?それは時間を稼ぐためのね」

キリカの頑張りで稼いだ時間は大体5分強。それだけの時間があればどのような魔法であろうと準備ができる。

織莉子「真打ち登場よ」

キリカ「いいところを譲ってあげるんだぞ?やっちゃえ、まどか」

ほむらがまどかに視線を向けると、まどかの膨大な魔力を込めた矢がすで弓につがえられていた。

ほむらは表情を固くする。

ほむら「流石にまどかの魔力を5分もかけて詰め込んだ矢って卑怯だと思うわ」

まどかの持つ魔力は規格外に多い。

まどか「作戦勝ちだよほむらちゃん」

まどか「みんなが繋いでくれたこの矢に全ての思いを乗せる」

もはや言霊すら必要ない。

圧倒的な魔力が込められた矢が射られる。

ほむら(避けることもできなさそうね)

ほむら(うーん、ここまではやるつもりはなかったんだけどなぁ)

時間が停止する。

ほむら「概念の力は卑怯だから使うつもりはなかったのだけれどね」

ほむら「ここで避けるのは流石に可哀想だから受け止める魔法を精製するだけにしましょう」

概念の力を使ってようやくトップギア。

ほむら「全てを拒絶する盾よ現れよ」

時間が動き始める。

まどかの矢とほむらの盾が衝突し、拮抗する。

だがすぐに、ほむらの盾がまどかの矢を飲み込むように侵食を始める。

数秒後完全に侵食を終え、盾と矢が互いに消失する。

ほんの1瞬だけほむらの気が緩む。

その刹那ほむらは見届けた。

ほむら「お見事でした」

風切り音と共にほむらの頬が少し切れ、血が一筋たらりと流れる。

ほむら「勝利条件を満たしたので、あなたたちの勝利よ」

ほむら「誇りなさい」

なんてことのない結末である。

ほむら盾が消えると同時に全く魔力のこもっていない矢で魔力を込めずに、ほむらに気づかれぬように射たのだ。

ほむらの疲労

新しい発見の興奮状態にあり、平常心ではなかったこと

勝利を確信したことへの油断

それらが重なったことでようやくできた1瞬の隙を突いた。

それが全てだった。

ほむら「これでテストは終わり」

ほむら「お疲れ様、今日はゆっくり休んで頂戴」

疲弊した少女たちの束の間の休息。

ほむらが伝えられるものは残り一つだけ。

ほむら自身の過去を伝えきればほむらの伝えられるものはなくなり、最後の役割を果たすだけになる。

ワルプルギスの夜の襲来まで後2日。

本日は以上です。

次回はほむらの過去語りとなる予定です。

それではまた。

乙したー

両者共にスタイリッシュやなぁ・・・

乙!
色々と燃えてる回だったな

乙!
普段はアレだけどここ一番で決めるっていいよね。なんか橘さん思い出したけど

黒い龍……邪王炎s

能力バトルものを多く読んでる訳でもなけりゃ、”知らない魔法とその使い方”なんて予想出来はしないか

前のマミの時もそうだったけど魔力の無い攻撃に油断しすぎじゃないかしら

魔翌力に頼りきりで来て、それで万事解決できちゃってたからじゃね
何でもできるって状態でこそ想像力が重要だからな
必勝パターンに頼り切ってると足元すくわれやすいのかも

こんばんは本日分投下いたします。今回は前回言った通りほむらの過去を語る回です。少し書き方を変えていますが台本形式での回想が難しかったのでこのような書き方になっています。

さて、物語の方はいよいよクライマックスといったところですね。このペースだと無駄に書き足さなければ700か800くらいまでには終わりそうです。

>>524 スタイリッシュな雰囲気だけでも伝わったようで嬉しいです。

>>525 熱い雰囲気が伝わっているみたいで嬉しいです、炎の魔法もいくつか出てきましたね。というか臨場感を出すために炎の魔法が便利すぎる。

>>526 弱くてもいいってのは戯言シリーズの哀川潤の台詞を参考にしています。
台詞のみならず武器なども、参考にしているのは結構多かったりします。
例えばマミさんの作った鎧は武装連金のシルバースキンを参考にしてたりします

>>528 没ネタでほむらにやられた龍をキリカが吸収してパワーアップすると言う展開も考えていました。

>>529 知らない又はアイディアがなければ出来ないのは現実と変わらないですね。

>>530 魔法以外のことに対してはスッペックが低いので魔法が絡まなくなるとどうしようもなくなります。ちなみにほんの少しでも魔力を籠めているとほむらに察知されます。

>>531 本当の必勝パターンは時間を止めて殴るだけで終わったりします。

[テスト終了日の夜]
テスト終了を告げ、作り出した空間を開放しリビングへ移動する。

緊張の糸が切れたのか、それとも疲労のためか、全員が用意してあった布団の上に倒れる。

ほむら(あらかじめ準備しておいてよかったわね)

少女たちの表情を見ているとどこか満足げだ。

ほむら(それにしても驚いたわね…)

ほむら(たったこれだけの期間で私に対抗できるまでに成長するなんてね)

真の意味で戦友を得た気分なのだろうか、それとも驚異の成長率に嫉妬しているのかほむらの表情からは読み取れない。

時刻は夜の11時であろうか、ほむらは一人ベランダに出て黄昏る。

ほむら(こんなときタバコかワイングラスでも持っていたら様になるのかしら?)

ほむらは気分だけでもとワイングラスを魔法で作り出しその中に水を汲む。

ほむら(こんな時間だしジュースは体に悪いでしょう)

すでにそんなことを気にするような体ではないのだが、長年の癖は抜けるものはない。

少し…いやしばらくの間物思いに伏せていると、静寂を破るように黄色い魔法少女がベランダに出てきた。

マミ「月が綺麗ですね」

ほむらはクスっと少し笑いながら、

ほむら「死んでもいいわとでも答えるべきかしら、それともごめんなさいと答えるべきかしら?」

ほむら「それとも貴方のほうが月より美しいとでも言ってもいいかもしれないわね」

マミはおそらく伝わらないと踏んでいたのであろうか、照れたように少し顔を赤くして続ける。

マミ「国語は苦手ではなかったの?」

ほむらの国語と社会の成績が悪いことを知っていたようだ。

ほむらは話を濁すように微笑を浮かべながら、

ほむら「まだ寝ていていいわよ」

マミ「まだ眠いし眠るわよ?」

マミはただしと付け加え、

マミ「貴方の思いを確認したらね」

ほむら「明日にしなさい」

ほむらは少し邪険に扱うように冷たい態度をとる。

マミ「1対1で話す機会は今以外ないと思うけど?」

ほむらは続けなさいと促し、

マミ「明後日か明々後日ぐらいに何かあるのでしょう?」

ほむら「明後日よ、まだ誰にも伝えていなかったと思うのだけれど…」

マミ「女の感よ」

ほむらはため息を吐き、

ほむら「面倒だからそういうことにしておいてあげるわ」

ほむらは少し顔を引き締め、

ほむら「私の役目は明後日で終わるの、これで私の世界は救われる」

マミは少し表情をきつくしながら、

マミ「貴方が救われていないわ」

ほむらは顔を伏せ、

ほむら「救われる必要はないわ」

ほむら「私は罪を償わなければならないの」

ほむら「罰を受けなければならないの」

ほむら「あの娘との約束を守れなかった罪」

ほむら「あの娘の決意を無に返した罪」

ほむら「あの娘を殺し続けた罪」

ほむら「あの娘達を救えるのに救わなかった罪」

ほむら「貴方達に魔法を教え、自由を与え、救うことで私の贖罪とするのよ」

乾いた音とともにマミの平手がほむらの頬を叩く。

マミ「何があったのかは知らないけれど、私達の思いを、想いを無視するの?」

ほむらは叩かれた頬を押さえながらマミを見つめる。

マミ「鹿目さんの憧れを台無しにするの?」

マミ「美樹さんの恩返しを仇ですら返させないの?」

マミ「呉さんの愛を無にするの?」

マミ「美国さんの忠誠を無視するの?」

マミ「ゆまちゃんの家族をまた奪うの?」

マミ「佐倉さんの尊敬を軽蔑で返すの?」

マミ「そしてなにより、私の頼りがいのある親友を奪うの?」

マミは自分が興奮しすぎたことを省みたのか、ハッと我に返り、

マミ「ごめんなさい、冷静じゃなかったわ」

ほむらは真剣な顔で、

ほむら「構わないわ、おかげで貴方達に私の全てを伝える覚悟が決まったわ」

ほむら「大事な部分は濁すつもりだったけれど、徹頭徹尾伝えるましょう」

ほむら「だから今日は休みなさい」

ほむらはワイングラスの水を飲み干し寝室へと向かいながら、グラスを地面に放り投げる。

グラスが地面に触れた瞬間魔力へと分解され霧散していった。

マミは一人で月を見上げ、

マミ「私が、いいえ私達が貴女を救う」

決意を新たにマミも休息にはいる。

[ほむらの過去]
翌日魔法少女たちは目を覚ます。

キッチンを見ると織莉子が既に全員分の朝食を作っている。

テーブルには既にほむらが座っておりコーヒーを啜っていた。

まどか「おはよー」

ほむら「まどかで最後ね、もうすぐ朝食も出来上がるみたいだから座って待っていてちょうだい」

いままでの修行生活とのギャップに戸惑いを覚えているのか少し戸惑いながら席に着く。

さやか「おお、これ全部織莉子さんが作ったんですか?スゲー」

ほむら「ああ、確かさやかは織莉子との接点があまりなかったわね」

キリカは自慢気に鼻で笑いながら、

キリカ「織莉子に全力で感謝してから食べるんだね」

織莉子が最後のサラダを運びキリカを軽く小突く。

織莉子「キリカが偉そうにするところじゃないでしょ」

キリカは目を細めて織莉子を見つめていたが特に気にはしない。

杏子「まあ、織莉子の飯がうまいことに違いわないけどな」

ゆま「オリコはシェフだね」

織莉子は苦笑いで返答を済ませ、席に着く。

ほむら「それじゃあいただきましょうか」

『いただきます!』

朝食を終え、洗い物はほむらの魔法で済ませる。

ほむら「さて、いままでご苦労だったわね」

ほむら「修行についてはこれで終わり、私から教えることはもうないわ」

ほむら「今日は私の目的と昔話を聞いてもらうわ」

魔法少女一同は黙って頷く。

ほむら「少し長い話になるかけれど茶々を入れずに聞いてくれるとありがたいわ」

ほむら「どれくらい昔になるのかしら」

ほむら「私の主観時間で約1京年、絶対的な時間軸ではたかだか1ヶ月前かしらね」

ほむらは乾いた笑みを浮かべる。

ほむら「まだ魔法のまの字も知らない無垢な時代から始まったわ」

[ほむらの始まり]
かつて暁美ほむらにも魔法少女ではない時代が会った。

三つ編みに赤い縁のメガネをかけ、非常に臆病な性格だった。

病気明けで復学した少女は体力や学力もなくクラスで孤立気味だった。

そのことで悩み、憂鬱になっていたほむらを魔女は見逃さない。

襲われたほむらを助けたのは他でもない鹿目まどかだった。

クラスでも保健係ということでなにかと話をしてくれた人だった。

その時に一緒に助けてくれた巴マミと共に魔法少女の話を聞かせてもらったが、すぐに魔法少女にはならなかった。

叶えたい願いがわからなかった。

その数日後、ワルプルギスの夜が来襲した。

その戦いで巴マミと鹿目まどかはワルプルギスの夜に殺された。

そうしてほむらは願う。

ほむら「鹿目さんとの出会いをやり直したい。彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい…とね」

そうしてほむらは過去に飛ぶ魔術を手に入れた。

過去に飛びほむらはまどかとの時間をやり直す。

ほむらとまどかはすぐに仲良くなった。

けれどワルプルギスの夜には勝てなかった。

まどかは殺され、ほむらは生き残り、ほむらはまた時間を飛んだ。

そしてこれこそがほむらのループ生活の始まりだった。

何度もループを重ね、ほむらはソウルジェムが魔法少女の魂であること、魔法少女が魔女を産むことを知った。

魔法少女たちにそのことを話しても信頼されない。逆に自分の心象が悪くなるほどだ。

新たなループの最中新たな鹿目まどかの願いを聞く。キュゥべえに騙される前のバカな私を、助けて欲しいと。

ほむらは絶対にあなたを救ってみせる。何度繰り返すことになっても、必ずあなたを守ってみせると固く約束する。

そしてほむらは一人で戦う道を選んだ。誰にも頼らないと決意した。この頃にメガネをかけないようになり髪型も変えた。

魔法の才能がないほむらは武器を集めた。

ワルプルギスの夜の出現パターンを調べ、自衛隊や在日米軍の基地から武器を調達し始めた。

次第に大火力の物を集め始めるようになったが結局ワルプルギスの夜の撃破には至らなかった。

やがて契機の時が来る。ほむらもループに精神をすり減らしており、QBから因果と魔法少女の素質の話を聞いて限界だった。

持てる全ての火力を注ぎ込みワルプルギスの夜に挑んだが、一人では勝てなかった。

今思えば何人いようと勝てないのは確実だったのだが、この時は全くわからなかった。

だからほむらは諦めた。

そこでほむらは鹿目まどかの契約の願いを聞く。

ほむら「全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい。全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、この手でと言っていたわね」

鹿目まどかの願いが叶う直前ほむらは確かに感じた。

何か大きな存在が世界がこうなることを望んでいたと。ほむらの願いもまどかの願いも所詮は誰かの掌の上だったと。

そうおもったほむらは手元に残っていた拳銃の引き金を引いた。

鹿目まどかかの頭から鮮血と脳症が飛び出す。

願いを叶える前にまどかは即死した。まどかの亡骸の前でほむらは佇む。

この時暁美ほむらは壊れてしまった。

最後に残った道標を失ってなお絶望に身を任せないようにするためには自らを壊すしかなかった。狂うしかなかった。

ほむらは誓う。

『今まで以上に時間がかかろうとも、どんな手を使おうとも貴女達を救って見せる』

『だから救われるまで私に殺され続けてください』

これ以上まどかに因果の糸を集中させないためにほむらが選んだ方法はまどかを殺し続けることだった。

ループして新たな因果が結ばれる前にまどかを殺せばこれ以上因果が増えることはなかった。

狂った心でも、罪悪感は強く心に残った。

一方で単純な火力強化ではワルプルギスの夜を討伐できないと悟ったほむらは魔法について学ぶことにした。

そこでほむらは魔法について何もしらないことに気づいた。

はじめは魔法少女たちに詳しく聞くことにしたが、誰も説明ができなかった。

だからほむらはQBから魔法と魔法少女についてなんでも聞いた。

何度もまどかを殺し、何度もワルプルギスに挑む魔法少女たちを見殺しにし、QBの知るすべてを聞いたが足りなかった。

まだ上の領域があるはずであろう魔法について独学で調査を行った。

その過程で因果の糸から魔力の生成ができること、ソウルジェムから生まれる魔力精製量は規格外であることを知った。

だったら少量の魔力でなんでもできるようになればいいと狂った思考で正しい解決策を生み出した。

魔法少女が使う従来の手法を魔術と命名し直し、魔法とは一段上の存在にすることにし、魔法使いを名乗ることにした。

ここまで来るのにほむらの主観時間で約100年。

すり減ったほむらの心には3つの思いしかなくなった。

ひとつは罪悪感、ひとつは知的好奇心、ひとつは救済の誓いを達成すること。

ほむら「どれだけ時間がたってもこの3つの思いが薄れることはなかったわ」

まずほむらが開発したのは時間の移動だった。

ループを自由に行えるようにしたかったのと、自分が長年使っていた魔術だから多少応用が聞くと判断したからだ。

もはや時間は問題ではなかった。ただ黙々と知的好奇心に従い実験を続け初めての魔法を開発した。

初めての魔法まで1000年が必要だった。

1つ目の魔法が完成してからは早かった。新たな魔法を続々と生み出し続ける。

一人っきりの技術革命、一人っきりの文明開化。

次第に主観的な評価しかできないことに違和感を覚えたほむらは、客観的に魔法を評価するため、自分の人格をコピーし、できるだけ客観的な評価をするようにプログラムした。

そうして産まれたのがこの語りをしている者である。

新たな評価軸を得たほむらは孤独な研究を続ける。

そうしてほむらが魔法の発展に費やした時間は10万年だった。

そこでほむらは思いつく限りありとあらゆる事象を魔法へと変換させた。

ほむら「そして魔法の研究の際に概念世界の存在を見つけたわ」

ひとつ上の領域を跨いだほむらは更なる上の領域を見つけた。

肉体すら必要とせず、ただ力に特化した領域'概念'。

鹿目まどかの願いが叶ったらシフトすると推測される領域。

存在する理由は世界の監視。

基本的には中立を保っているが、世界に危機が訪れると世界に干渉する存在。

どこにでもあってどこにもない領域。

概念は世界の中の小さな地球という星の小さな魔女という存在に危機感を覚えた。

現在はちっぽけな存在だが将来的な成長速度を加味すると世界の敵となり得ると。

だが魔女という新たな存在に対して最適手を打てる概念は存在しなかった。

そこで目をつけられたのは鹿目まどか。彼女は概念化する素質を持っていた。

新たな魔女を殺す概念として概念化させることを望まれた。…いやそうなるように世界に干渉を起こした。

利用されたのは暁美ほむら。ほむらの役割はまどかに因果の糸を蓄えさせ、魔女を殺す概念へと昇華させる手助けをすること。

ワルプルギスの夜を最後の敵として用意したのも概念の差金である。圧倒的な力の差を見せまどかを誑かすために。

もしほむらを含めた魔法少女たちがワルプルギスの夜を討伐するに足りうる戦力を持っていたとしても、'概念の意思'によりワルプルギスの夜は死なない。

決して勝てないようになっている戦闘という名の茶番だ。

ならワルプルギスの夜を倒してほむらの世界を救うには?

ほむら「概念の意思を超越し、概念の加護がなくなった状態でワルプルギスの夜を倒す」

結論に至ったほむらは次のループでまどかを殺さなかった。

概念に喧嘩を売るためにはまどかが契約しようとするその瞬間に概念はまどかを受け入れるために出てくるからだ。

あの時感じた大きな意思は概念の存在を察知したのであって、決して勘違いではなかった。

未知の相手だったので下準備は念入りを通り越して過剰に行われた。

そして決戦当日、まどかの契約の瞬間ほむらは何度も繰り返した作業のように引き金を引く。

そして概念の出現を察し、概念への干渉を開始した。








開始した瞬間全ては瓦解した。

ほむらの過剰に用意した防衛策なんか紙くず同然に破られほむらは概念に飲み込まれた。

ほむら「概念に飲み込まれ、私という存在は時を見守る概念へと塗り替えられたわ」

[概念世界での記憶]
カッチカッチと時の流れを観測する。

時を見守る概念が現れてから時間にして10万年どうやら魔法という概念が宇宙に広がり世界の寿命を伸ばしたらしい。

カッチカッチと時の流れを観測する。

時を見守る概念が現れてから時間にして1000万年地球とか言う星が魔法実験に失敗して消滅したらしい。

カッチカッチと時の流れを観測する。

時を見守る概念が現れてから時間にして1億年数多の星を見守る概念が次々と仕事を終え消滅していったらしい。時を見つめる仕事は終わらない。

カッチカッチと時の流れを観測する。

時を見守る概念が現れてから時間にして10億年時間を止める魔法が暴発したらしく世界の時間が止まっていた。

初めて世界に干渉する仕事が与えられた。時間に関する概念の力を覚えた。それにしてもこのカッチカッチする音はなんだろう。

カッチカッチと時の流れを観測する。

時を見守る概念が現れてから時間にして100億年仕事を終えた概念が段々増えてきている。星間戦争も始まって世界の収束も近いのかもしれない。ああ、もうカッチカッチうるさいなぁ。

カッチカッチと時の流れを観測する。

時を見守る概念が現れてから時間にして1000億年生命体がいなくなったらしい。それに伴いほとんどの概念が役目を終えた。あああああああああうるさいうるさい。

カッチカッチと時の流れを観測する。

時を見守る概念が現れてから時間にして9500億年。残った概念は時を見守る者と空間を見守る者だけだった。他には何もない。世界にも何もない。

カチカチカチカチうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい。

カッチカッチと時の流れを観測する。

時を見守る概念が現れてから時間にして1京年。何も変わらないうるさいうるさいうるさい。







うるさいって思うのは誰?世界には誰も居ないのに。世界には何もないのに。

もしかして私?

自覚した瞬間すべてを思い出した。

暁美ほむらが用意した過剰な防衛策のたった一つが1京年の年月を経て実を結んだ。

魂に刻んだ自分の嫌な音を聞かせ続け、自意識を保つことを目的にかけた保険の保険の保険の保険だった。

自分を取り戻したほむらは現状の把握を行った。

概念については今までの経験で理解できた。

概念は外からの驚異にはめっぽう強いが内部からの驚異には取り込む以外の防衛策がないこと。

その取り込むという防衛策も概念の力を得たほむらにとっては無害といってもいいくらいちゃちなものだ。

その証拠に再び概念に取り込みなおされそうだが、ほむらは全く寄せ付けていない。

さらに言えばほむらの侵食の翼を展開することで残っていた空間を見守る概念さえも取り込んでしまった。

こうしてほむらは概念としての基礎的な力、時間の概念の力、空間の概念の力を手に入れた。

ほむら「そうして私は概念世界から抜け出し、肉体を再構成させた」

ほむら「概念の中に他の者がもういなかったから抜け出すのは容易だったわ」

ほむら「再構成するときになぜか人間らしさまで再構成されたのは驚いたわね」

そしてほむらは最強の戦力を得て最後のループに挑む。

ほむら(まあ一度だけワルプルギスの夜の戦力確認をしたのだけれどね…)

ほむら「そして今に至るというわけよ」

長い語りを終え一息つく。

ほむら「結論を言うと私の目的はみんなへの贖罪とまどかとの約束を守ること」

ほむら「そのために概念にもう一度飛び込みまどかを概念化させるという概念の意思を侵食すること」

ほむら「それが私の最後の仕事」

ほむら「決行日は明日よ」

杏子「師匠も大変だったんだな…」

ゆま「ホムラ…」

杏子とゆまはあまりのスケールにショックだったのか動揺を見せている。

まどか「ほむらちゃん…私のために…」

まどかは目元から涙をボロボロと零し嗚咽を上げている。

さやかはそのまどかの背をさすってあげている。

マミはある程度予想していたのかほとんど気持ちのゆらぎが見えない。

織莉子とキリカは違った反応を見せた

織莉子「現実的な話をさせてもらいましょう、よろしいでしょうかほむら様?」

ほむらは仕方ないといった表情で頷いた。

キリカ「ほむらの過去と目的はわかったよ、でもこの時間の概念は'役割を終えていない者'が大量にいるんだろう?」

織莉子「そんななかほむら様はお仕事を完遂することができるのでしょうか?」

その言葉にショックを覚えたのかまどかを含む一同はほむらを凝視する。

ほむら「概念の意思を侵食し、削ぎ取ることは確実にできるわ」

キリカ「そんなこと聞いているんじゃないよ!」

キリカにしては珍しく怒号をほむらに飛ばす。

織莉子「その後にまたこうしていられるかということを聞いているのですわ」

ほむら「みんなの祈りで私をこの世界につなぎとめてもらったとしても帰還の確率は高くはないわ」

ほむら「さっきも言われた通り役割がある概念が私の逃亡を許しはしないでしょうね」

ほむらは正直に告げ周りを見渡しながら、

ほむら「少し整理をつけたほうがいいでしょう、少し外すわ」

呆然とする一同を横目に自分の部屋に入る。

一同は何を思おうとほむらの旅は明日終わる。物語の終着点は近い。

本日は以上となります。

これで本SSの設定の99%を出し切ったと思います。

次回は魔法少女たちの思いをほむらにぶつけてもらう回になる予定です。

それではおやすみなさい。

乙です

概念の時間がほとんどだったのか…
だから色々当たり前の常識も覚えてなかったんだな


たまたま時間操作の概念で取り込まれてなかったらそのまま消滅コースだったな


魔法の概念さんは、効果・結果如何を度外視すれば活躍し甲斐がありそうで良いな

京じゃなくて兆では?

>>551
わざと京にしてるかもしれないだろ

暁美・C(クロノス)・ほむら と、呼ばせてもらおう


~~兆年なんてスケールがでか過ぎて、無意識的に億年でブレーキが掛かっちゃったんじゃない?

概念は害じゃないねん

9500億年の時点で世界に取り残されてから9999兆500億年
つまりそこまでの1万倍以上の時間を自分以外は完全な無の中で過ごしてることになるな
概念でなかったら発狂してるな

宇宙終了の瞬間までいかないと仕事(実質大半がボーッとしてるだけだが)終えられないとか……

1京年って大叫喚地獄に入って転生するまでの約1.5倍もあるじゃないか
一番ましな等活地獄も転生まで1兆6653億年らしいがそれまでに宇宙終わってんじゃん

前の宇宙が終わってからXXXX時間経過
とかも観測内容なんじゃね?概念マジ鬼畜

>>1はそこまで深く考えずに設定作ってるとは思うがな

こんばんは本日分投下いたします。

>>548 そうですね、常識なんて必要ない生活でしたので忘れていても仕方ないと思います。

>>549 ほむら程時間をかけて力を磨いていたら何かしらの概念になる素質は手に入っていると思います。

>>550 魔法の概念の力を使えれば便利そうですね。

>>551 >>552 >>554 何もなくなってから一気に時間が進んだ事を表したつもりでした。わざわざ500億で刻まない方がよかったかもしれなかったです。

>>553 時の神として君臨するルートは最初のプロットの案のひとつだったりします。

>>555 えっなにそれは…

>>556 人間の身だったら間違いなく発狂し、崩壊しているでしょう。今後の展開でも少し関わってくる部分かもしれないです。

>>557 概念の状態だったらそんなこと考えることもないので特に問題ないです。ただし人間の思考状態だったら(ry

>>558 地獄からの転生ってそんなに時間がかかるんですね知らなかったです。
そこまで細かくは考えてはいなかったのですが、この世界では魂は有っても転生はないんじゃないですかね。

>>559 果たして次の宇宙なんて出てくるんですかね。

>>560 その通りです。そこまで考えてはいないのでだいたい後付になります。

[魔法少女たちの思い]
自室で何をするでもなく佇んでいるとノックの音が響き渡る。

ほむら「鍵はかかっていないわ」

扉を開けて姿を見せたのは黄色の魔法少女だった。

ほむら「あら、貴女が一番最初なのね」

マミ「心構えはある程度できていたしね、それにしても今日はふたりきりの時間は取れないと思っていたのだけれど…」

ほむらはそんな話もしたわねと少し笑みを浮かべると、

ほむら「気持ちの整理はついた?それとも何か確認かしら?」

マミ「暁美さんの過去は理解したつもりよ」

マミ「それを踏まえた上で言わせてもらうわ」

マミ「貴方は救うだけじゃなく救われるべきよ」

ほむらは冷めた目でマミを見つめながら、

ほむら「はじめに言っておくけどこの世界に未練がないわけではないし、まだ諦めるつもりはないわ」

ほむらは半分本当で半分嘘を言っている。未練がないわけではないが、思い残していることはない。

諦めるつもりはないが、無理だと思っている。

そして何よりそれを罰として受け入れている。

マミ「なら私達が手を伸ばしたら暁美さんも手を伸ばしてくれるかしら?」

何かの比喩であろうか、ほむらは少しの逡巡の後に、

ほむら「その手が届くなら受け入れましょう」

マミ「それが聞けただけで十分よ」

そのまま扉に向かって歩いていく。

マミ「私達には貴方が必要だからね」

そう言って扉を閉めた。

ほむら(マミも意味深なことを言ってくれるわね…)

マミが出て行ってから数分後またノックの音が響く。

ほむらはどうぞと入室を促す。

薄緑色の魔法少女が入室してくる。

ほむら「ゆま…」

ゆま「ホムラ…」

お互いに名前で呼び合った後にゆまはほむらに抱きついてくる。その目は涙で濡れている。

ゆま「ホムラもゆまを置いていっちゃうの?」

ほむらは少し苦しそうな表情で少し強めにゆまを抱きしめる。

ほむら「後のことは織莉子に任せるわ」

ゆま「オリコは嫌いじゃないけど、ゆまのお姉ちゃんはホムラだけなんだよ?」

ほむら「ゆまは強くなったわ、もちろん魔法のことだけじゃなく、精神的にもね」

ゆまは首を横に振る。

ゆま「ゆまなんてダメダメだよ…ホムラがいないとなにも出来ない」

ゆまはほむらから少し離れ、

ゆま「だからホムラはどこにも行っちゃダメ」

ゆまは涙を拭い表情を固める。

ゆま「ホムラと一緒に入れるなら、ゆまなんだってするよ」

少し狂気じみた表情だ。愛情故かそれとも…

ゆま「これまでホムラになんでもやってもらったから今度はゆまの番だよ」

ゆま「だからホムラを助けてあげる」

そう言ってゆまは部屋を出て行った。

ほむら(ゆまにはかわいそうなことをしてしまったかもしれないわね)

ほむら(大丈夫、もし私がいなくなっても時間が解決してくれるでしょう)

またしてもノックの音が響く。

ほむら「次は誰かしら?」

扉が開かれると青い魔法少女がいた。

さやか「じゃじゃーんさやかちゃんでした」

やけに元気そうな声でさやかが入ってきた。

さやか「いやーほむらがあんなに重い過去を持っているなんて思わなかったよ」

重い空気にならないようにするためだろうか、さやかは極めて明るく話し始めた。

ほむら「軽蔑したかしら?」

さやかは笑いながら否定する。

さやか「まっさかー、むしろ感動したよ」

さやか「愛しのまどかのために自分を犠牲に強大な敵に立ち向かうなんて映画みたいじゃん」

ほむらは苦笑いを浮かべる。

さやかはでも、と呟き真剣な顔つきになる。

さやか「有終の美を飾るのは手伝わせてもらうよ」

さやか「どんな結果になっても私はもう後悔しない」

さやか「ただ物語はハッピーエンドで終わらないといけないんだよね」

ほむらはやれやれといった表情で、

ほむら「そう言ってもらえるのはありがたいわ」

ほむら「任せたわ友達」

さやかはまた明るい笑顔を浮かべ

さやか「任されたよ友達」

笑顔のままさやかが退室したが、その目が赤みがかっていたのは触れないでおこう。

ほむら(さやかとはいい距離感がとれているわね)

ノックはなく勢い良く扉が開かれる。

黒い魔法少女が入室してくる。

キリカ「ほむらほむらほむらほむらほむらほむらほむらほむら」

狂わしいほどにほむらの名前を連呼する。

ほむら「うるさいわね、おちついて話しなさい」

ほむらは薄めで睨みつけるように言い放つ。

キリカ「こんな陳腐な言葉で言いたくないけどほむらが好きなんだ」

キリカ「だからどこにも行っちゃいけない」

キリカ「どこにも行かせないよ」

ほむら「決まったわけではないわ」

キリカ「決まっているよ!」

キリカ「私の知っているほむらは大丈夫だったら自信満々に言い放つはずだ」

ほむらは俯いたまま何も喋らない。

キリカ「ほむらが残るために犠牲が必要なら何かを切り捨てればいい」

キリカ「私の犠牲が必要なら私に死ねと言えばいい」

キリカ「だから私達と一緒にいてよ」

ほむら「マミにも言ったけれど諦めるつもりはないわ」

キリカは涙を拭おうともせずに少しの怒気を孕んだ声で叫ぶ。

キリカ「でも無理だと思ってるじゃん」

キリカ「とにかくほむらを犠牲にするのだけは駄目だ!」

ほむらは少し呆れるように言う。

ほむら「貴方達は私にはない発想や才能を持ってるのよ」

ほむら「私だけに頼るのはやめなさい」

キリカが反論を開始する。

キリカ「ならどうすればいいのさ」

ほむら「助けてよ」

ほむらがボソッと呟く。これこそがほむらの本音か、それとも…。

キリカがハッとした表情を浮かべる。

キリカ「そういうことか…わかったよ」

来た時と同様に勢い良く部屋から出て行く。

ほむら(つい弱気なことを言ってしまったわ…気をしっかり持たないとね)

杏子「ん?なんでドアが開いてるんだ?」

そうは言ったもののずかずかとほむらの部屋に入ってくる。

ほむら「気持ちの整理はついた?」

杏子「おう!でもあたしがやることはまだ決まってないな」

ほむらはよくわからずに首を傾げる。

杏子「師匠が何をしたいのかわからないからあたしがやることがわからないんだよ?」

ほむら「私がやることは決まってるわ」

ほむら「概念の意思を捻じ曲げることよ」

杏子が首を横に振り、

杏子「違う違う別にそこまではいいんだよ」

杏子「師匠が概念ってやつをぶっ倒して、その後にワルプルギスの夜を倒すことは確定事項だ」

杏子は珍しく真剣に語る。

杏子「その後に師匠は概念って所に取り残されるんだろ?」

杏子「その時師匠は何をする?」

ほむらは何も答えない。

杏子「やっぱりか、そんなことだと思ったよ」

杏子「なら確認したい、ワルプルギスの夜を倒した後も概念さんにちょっかい掛けることはできるかい?」

ほむらは頷く。

杏子「ならあたしがやることは一つだ、楽しみにしといてね師匠」

杏子は何事もなかったように部屋を出て行く。しっかりとドアも締めていった。

ほむら(杏子は心強いわね、こちらまで勇気が湧いてくるわ)

規則正しいノックの音が部屋に響くと同時に、

織莉子「織莉子です、入ってもよろしいですか?」

ほむらは入室を促す。

織莉子「始めに言っておきます」

織莉子「暁美ほむらさん、貴女のことがずっと好きでした」

織莉子は少し顔を赤くしている。

ほむら「知っているわ、そして私の答えはキリカに答えたものと変わらない」

ほむら「私の愛は世界に平等なの、だから貴女だけを愛することは出来ない」

ほむらはそれだけ言うと口を閉ざす。

織莉子「その答えも知っていますわ、キリカとのやりとりを何度も見ましたもの」

そう言って少し笑うと、

織莉子「私の意思を知ってもらえば、私との繋がりを少しでも強めれば、この世界との繋がりが強くなるのでしょう?」

ほむらは肩を竦める。

織莉子「ほむら様がやることをとやかく言う気はありません」

織莉子「ただ諦めたりしたら、無理矢理にでも帰ってきてもらいますからね」

織莉子「ほむら様の家はここだけなんですもの」

ほむら「帰る家ね…」

ほむらが感慨深そうに呟くと、

織莉子「ほむら様にはこのお守りを預かってもらいます」

ほむらは織莉子から差し出されたものを受け取る。

水晶球のストラップ、かつて織莉子にプレゼントしたものだ。

織莉子「絶対に返してくださいね」

織莉子はそう言って部屋から出て行く、

出て行く間際、

織莉子「そうそう、帰ってきたらキリカと一緒でいいのでたっぷり愛してくださいね」

ほむらはなにか言い返そうとしたが、その頃にはもう扉は閉まっていた。

ほむら(まったく…織莉子ったらなにを言ってるのよ…)

ほむら(あとはまどかだけか…あの娘はなんだかんだで脆いから心配ね…)

大体1時間くらいだろうか、待っているとまどかが入室してくる。

その目は赤く腫れており先程まで泣いていたのだろう。

ほむら「ひどい顔ね、もう少し落ち着いてからでもいいのよ?」

まどかは首を横に降り、

まどか「ううん、いいのほむらちゃんにこれ以上迷惑かけられないし…」

まどか「それでも私なりに考えたの、ほむらちゃんにできることはなにかってことを」

ほむらは黙ったまま聞く。

まどか「私が概念に一番近い所にいるんだよね」

ほむらは頷き、続きを促す。

まどか「なら私も連れて行ってもらえないかな」

まどか「一人よりも二人の方がきっとうまくいくよ」

ほむらは難しい顔をしている。

ほむら「正直に言うと、ついてきてもまどかにできることはないわ」

魔法を使えたとしても相手は一つ上の領域だ、その力を理解できていないまどかに何も出来ないのは自明の理だろう。

まどか「それでも…ほむらちゃんと一緒にいたいの!」

ほむら(嗚呼、ここか…)

ほむら(多分ここが最後の選択肢になるのでしょうね)

最後の選択肢…ここでほむらの運命が決まってしまうのであろう。

ほむら(そう、ここで決まる。だから何かあるとしたらここからよ覚えておいてちょうだい)

記憶はしないが記録はされています。

ほむら「正直まどかを連れて行くなんて発想はなかったわ」

まどかは不安そうな顔でほむらを見つめる。

ほむら「私の答えは…」

ほむら「まどかを連れて行くわ」

ほむらの出した答えはまどかと共に概念に潜り、その意志を捻じ曲げることだった。

吉と出るか凶と出るかは未だ誰も知らず。

まどかは目を潤ませながらほむらに抱きつく。

まどか「ありがとうほむらちゃん!」

ほむら「大したことをしたわけではないからお礼はいらないわ」

まどかは少し笑顔になる。

まどか「初めて会った時もそんなこと言ってたね」

ほむらは少し首をひねりながら、

ほむら「そんなこと言ったかしら?」

まどか「言ったよー」

そんな雑談をしながら時間は過ぎる。

しばらくの雑談の後にまどかが退室する。

ほむらは独り言を呟く。

ほむら「全く…予想外のことがよく起こるわね」

ほむら「これだから人生ってのは素敵なものね」

ほむらにとっては予想外というものが楽しくて仕方ないらしい。

ほむら「でも少し愚痴りたいこともあるわね」

あの魔法少女たちに不満でもあるのであろうか、ほむらは愚痴を言い始める。

ほむら「私に近い力を手に入れたのだから、私を助けてほしいものよね」

やはりキリカにこぼしたものは本音だったようだ。

ほむら「だって選択肢が私の示したものだけってのはつまらないじゃない」

ほむら「よし、愚痴終わりっと」

そう呟いた後に部屋から出る。

ほむら「さて、街の崩壊を防ぐために街中に結界でも貼っておきましょうか」

リビングに出ると昼食が準備されており、皆が待っていた。

ほむら「腹ごしらえをした後にね」

嗚呼ほむらの旅が終わる。終着点に何を見るのかは神のみぞ知る。

本日は以上になります。魔法少女が何を思っているのかをほむらに打ち明けた回でした。

次回は遂にワルプルギスの夜との戦い及び概念との戦いが始まる予定です。

おつ

乙!

杏子ちゃんの企み楽しみだな

そして二人の行く末とは……

杏子のひらめき
さやかの行動力
マミの応用力
ゆまの純粋さ
織莉子の智謀
キリカの執念
まどかの愛情
これに無尽蔵の魔翌力が合わさって最強に見える

こんばんは時間ができたので少し早めに本日分投下いたします。

今回はほむらが自分を見つめ、今では無く未来を見る契機になる話です。

前回の終わりにワルプルギス戦が始まると書きましたが予定は未定でした。

>>572 ありがとうございます。

>>573 杏子はきっと頑張ってくれる思います。

>>574 皆の良い所を合わせれば出来ないことなんてないと思います。

[ほむらの未来]
昼食を終え、ほむらは家を出て街を歩く。

街中に結界を張って周ると言ったら織莉子やキリカがついてくると言っていたが、丁重に断ったようだ。

ほむら(最後にこの街を記憶に留めていくのは悪くないわね)

予めある程度の目星をつけていた地点を中心に対外的な防御結界を張っていく。

最後に見滝原タワーの天辺から特大の結界を貼り終えるとそこに懐かしい顔が姿を表した。

QB「これで準備は終わりかい?」

風に靡く髪を気にしながらほむらは腰を下ろす。

ほむら「あとはぶっつけ本番ね」

そして唐突にQBが口を開く。

QB「君の話は遠くからだけど全て聞かせてもらっているよ」

ほむらは頷きながら遠くを眺める。

ほむら「貴方にも聞こえるように結界の範囲を調整していたのですもの聞いていてくれなかったらどうしようかと思ったわ」

QB「君の言う魔法は非常に興味深いよ」

QB「これを解明して僕らの技術と組み合わせることができれば、宇宙のエネルギー問題なんてすぐに解決できるよ」

ほむらは聞いているのか聞いていないのかQBと視線を合わせることはない。

QB「だから僕達インキュベーターは暁美ほむらの存在をちゃんとした知的生命体と認め対等な立場であることを宣言するよ」

ほむら「地球人ではなく私を認めっていうのが胡散臭いわね」

ほむらはようやく目線をQBに向けた。

ほむら「魔法について知りたいならまとめた資料があるから欲しいなら後であげるわよ」

現宇宙で唯一の魔法の先導者の資料だ、事情を知る者にとっては垂涎物だろう。

しかしQBは驚くべき返答をする。

QB「君は腹を空かせている者に魚を与えるタイプのようだね」

QB「君の理論系で魔法を開発していったら君の未来と似た結末を迎えると僕は判断するよ」

ほむら「ああ、魔法の兵器で自爆する未来ね」

ほむらはどうでも良さそうに答える。事実概念世界から見ていただけの情報なのでどうでもよいのだろう。

ほむら「だったら魔法を諦めるの?」

QB「僕らをあまりなめないでほしいかな」

QB「君の会話からこれ以上もないヒントをこれでもかと言わんばかり貰ったんだ100年以内にものにしてみせるよ」

ほむら「なら精々技術を制御することね」

ほむら「宇宙の寿命を延ばす技術で宇宙の命を終わらせるなんて面白くもなんともないわ」

ほむらは話はそれだけかしらと言った表情でQBを見つめる。

QB「いや本題はそこじゃないんだ」

QB「これでも結構長い歴史を持っているインキュベーターから君へのアドバイスをしてあげようと思ってね」

ほむらは怪訝そうな顔をする。

QB「僕らに新しい道を示してくれたお礼だと思ってくれればいいよ」

ほむらはそういうことならと言い納得した表情を浮かべる。

QB「暁美ほむら君はまどかとの約束を大事にしすぎて今しか見ていないね」

QB「何事も今だけでは成り立たないものだよ」

QB「過去という土台はしっかりしているんだだから君は未来を見るべきだ」

ほむら「今がなければ未来は見えないわ」

QBは首を横に振りながら、

QB「未来を見据えるのと見据えないのとじゃあ今とる行動も変わるってことさ」

QB「僕からのアドバイスはそれだけさ一考してくれればいいよ」

そういってQBは離れていってしまった。

ほむら(未来を考えるってどういうことかしら…)

時間軸におけるプラスのベクトルの先が未来である。

ほむら(そんなことはわかっているわよ)

ほむら(私の未来は概念の意思を捻じ曲げて…)

QBが言っていたのその後のことだろう。

ほむら(簡単よ、一緒についてきたまどかだけでも脱出させて私はそこにあり続けるだけ)

魔法少女たちがほむらを救出に来る可能性は捨てきれない。

ほむら(私の教えた知識の中で概念の力に対抗できる術はないわ)

ほむら(できてギリギリ概念への扉を開けるくらいね)

ほむら(おそらく杏子はそのことに気づいてのさっきの発言でしょうね)

ほむら(後で無駄なことはしないように釘を差しておく必要があるかもね)

そこまで考えているのならばその通りの未来になる可能性が高いのであろう。

ほむら(でもあの娘達は私の予想外のことばかりしてくれるから万が一を考えてもいいかもしれないわ)

そんなことを考えていながら散歩をしていると前から見知ったクラスメイトのカップルが歩いてくるのを見た。

[幸せの形]
仁美「あら、ほむらさんごきげんよう」

ほむらは笑顔を浮かべ

ほむら「こんにちは、元気そうね仁美、それに上条君も」

恭介「うん、こうして話をするのは初めてかな?」

ほむらはそうね、と頷く。

仁美「最近まどかさんとさやかさん達となにかやっているようですけれど、何をしていますの?」

ほむら「ちょっとした勉強会よ」

仁美は少し驚いた顔をしたが、

仁美「それなら私もそろそろ混ぜてもらえないでしょうか」

仁美「そろそろさやかさんと仲直りを…」

口に出すのは少し気恥ずかしいのか語尾がだんだん弱くなっていった。

ほむら「仁美が望むなら仲介くらいはしてあげるわ、もちろん上条君もよ」

恭介「それはありがたいや」

ほむらは少し考えるような素振りを見せ、

ほむら「ねぇ、貴方達は未来を見据えたことってある?」

仁美と恭介が首を傾げるが、

仁美「将来の夢というやつでしょうか」

仁美「それでしたらぼんやりとしか考えたことはありませんわね」

恭介「そうだね、これから高校に進学して大学に行きながら音楽の勉強がしたいかなくらいだね」

仁美「あら、恭介はすぐに実業団か何かで活動をすると思ってましたわ」

ああ、そうかほむらにはこれすらない。

ぼんやりと高校に進学する、きっと進学したら恋に部活に勉強、友人との馬鹿みたいな話をする。

そんな未来すら見えない、見ない、考えない。

ほむら(私にそんな権利なんて…)

ほむらの世界が救われ、贖罪が終わればそうなる権利は十分にあるだろう。

ほむら(私が幸せになろうとしていいのかしら…)

すべてを終えて何も持っていないなら幸福を詰め込むのも悪くわないのではないだろうか。

ほむら(幸福か…)

ほむら(縁が遠い存在だと思っていたものだけれど存外近くにあるものなのかもね)

ほむら(ならこの二人には聞かなければならない)

ほむら「ねぇ、二人共今幸せ?」

今まで二人でのろけあっていたのであろう、こちらに振り向き声を揃えて。

『幸せです』

ほむらは少し渋い顔をしたが、

ほむら「もしそれが誰かの犠牲の上で成り立つものだとしても胸を張って言える?」

仁美は首を傾げる、恭介は少し思い当たる節があるのか少し震えている。

仁美「例えばアフリカで飢えている子供達の気持ちを考えろということでしょうか?」

ほむらは首を振る。

ほむら「全然違うわ、言い方はひどいけれどそんな別世界のh」

ほむらの言を遮るように恭介が、

恭介「さやかのことだろう?」

嘘であってくれと恭介の願望が少し垣間見えるが、ほむらは頷く。

ほむら「そう、貴方達の幸せにもし知り合い、例えばさやかだったり私だったりもしかしたら先生かもしれないわね」

ほむら「その人達の何かしらの犠牲の上で成り立つものだと知ったらどう?」

ほむら「もう一度聞くわ、二人共今幸せ?」

仁美も恭介も悩んでいる。

恭介「薄々感じていたんだ、僕の腕が急に動くようになったのはもしかしてさやかが何かしたんではないかって」

恭介「夢物語もいいところだけれど、それで何かしらのペナルティを負ったってことだよね…」

ほむらは無言で頷首する。

恭介「それならさやかにはあとでありがとうって言わなきゃね」

恭介「そのことで何かしら恩を返すよ」

恭介は自信を持った瞳をほむらに向け、

恭介「負い目がないわければ無いけれど」

恭介「自分勝手と言われるかもしれないけれど」

恭介「恨まれるかもしれないけれど胸を張って言えるよ」

恭介「僕は今幸せだ」

ほむらは納得したように頷き、

ほむら「ありがとう、貴重な意見だわ」

そしてそのまま歩を返す。

ほむら(誰かの犠牲を受け入れて幸せになるって言うのもあるのね)

その意味でいけば暁美ほむらが幸せになる権利もあるだろう。

ほむら(なら、少し未来について考えてみようかしら…)

考えるだけならばいくらでも出来る。

ほむら(そうね、思考するだけならタダだわ)

ほむら(高校に進学して、大学にも行きたいわね)

ほむら(できるだけ皆と一緒にいたいわ)

ほむら(まどかと目一杯遊んで、さやかを茶化して遊んで…)

ほむら(その後はどうだろう一般的には就職するのだけれど…)

ほむらのなりたい職業とは?

ほむら(そういえば皆に魔法を教えているのって楽しかったわ)

ならば教員の道などはいいのではないだろうか。

ほむら(そうね、いいかもしれないわね)

ほむら(少し学校に寄って行こうかしら)

[未来への希望]
学校にやってくるとそこには誰もいなかった。

ほむら(今日は休日だったし仕方ないわね)

ほむらが少し肩を落とし踵を返そうとすると、

和子「あら、暁美さん?こんな日にどうかしたの?」

ほむら「ちょっと忘れ物を取りに来たんですけど」

咄嗟に出た嘘だったが、用もなく来たというよりよっぽど信憑性があるだろう。

和子「昇降口開いていなかったでしょう?」

ほむら「ですので諦めようかと…」

和子「なら、教員用の昇降口から入っていいわよ」

和子「せっかくだし職員室で少しお話でもしましょう」

和子「暁美さんのこと担任としてもっと知っておきたいと思っていたんです」

和子「お茶くらい出すし、今日は他の先生も帰っちゃたから変に気を使うこともないわよ?どうかしら?」

ほむらは願ってもない申し出に、

ほむら「せっかくですのでお願いしていいでしょうか」

和子は拒絶されると思っていたのか、目を輝かせながらほむらの手を取って教員用の昇降口に向かう。

ほむらは一度教室に寄ってから職員室に向かった。

ほむら「すいませんお待たせしました」

和子「いいのよ、忘れ物は見つかった?」

ほむらは頷き、勧められた椅子に座る。

そして差し出されたお茶を一口啜り、

ほむら(相変わらずあまり美味しくないわ)

ほむら(でも、悪くないわね…)

などと感想を持っていると、

和子「この学校はどうかしら?」

少し曖昧だが、転校生に対しては十分な切り口だろう。

ほむら「みんな良くしてくれて、とても楽しく過ごしています」

和子は手を合わせ嬉しそうに、

和子「それは良かったわ」

少しホッとした表情にも見える。

ほむら「でも最近少し悩みがあるんです」

最近というか少し前に出来た悩みだ。

和子は首を捻り、

和子「それなら先生に話してみない?」

ほむら「最近少し将来について考える機会がありまして、どんな職業が合っているのか考えたんです」

ほむら「鹿目さんや美樹さんと勉強会をして、教えていたんです」

ほむら「それで、将来は教師になってみたいと思ったんです」

ほむら「それで教師ってどうなんだろうって漠然とした疑問が出てきたんですけれど、それが少し不安で…」

和子はもっと深刻な悩みを抱えていると思っていたのか、少し安心した様子で、

和子「教師全体の意見ではなくて私の意見でもいいかな?」

ほむら「お願いします」

和子「正直言って教師は大変よ」

和子「言い方は悪いけど、出来のいい子、素行の悪い子、無口な子、ヤンチャな子」

和子「いろんな人間をまとめて教えて育てるのよ」

和子「それだけでも大変なのに他にも大変な仕事がいっぱいあるわ」

和子「でも、例えば教え子が志望校に受かった時は一緒に幸せを分かち合ったり、行事を一緒に成功させたり」

和子「やりがいはとてもある仕事よ」

ほむらは和子の言をとても興味深そうに聴き終え、

ほむら「ありがとうございます、とても参考になりました」

そしてほむらはふと腕時計に目を向け、

ほむら「そろそろ帰らないといけない時間なのでそろそろ失礼します」

そう言って学校を後にした。

[大人になること]
ほむら(だれかと成果を分かち合うか…)

ほむら(一人でやると決めてからそんな発想捨てていたわ)

ほむら(それを取り戻す意味でも教師という選択は悪く無いわね)

ほむらにも希望が出てきたようだ。

ほむら(いけないいけない考えるだけよ)

ほむら(まずはやらなければいけない事をこなさなければ)

思考しながら歩いていると背後から声をかけられた。

??「もしかしてあんたほむらちゃんかい?」

振り返るとそこにはまどかの母親である鹿目詢子がいた。

ほむら「ええ、そうですけれど、どちら様でしょうか?」

知ってはいるがこの時間軸では初対面なので知らない体で話しかける。

詢子「おお、悪い悪いあたしは鹿目詢子、まどかの母親さ」

ほむら「どうも」

とそっけなく挨拶をする。

詢子「釣れないなぁ、ちょっとおばさんとお話する時間あるかい?」

ほむら「少しくらいなら」

そう言うと近くの喫茶店に連れ込まれた。

ほむら「それで、話っていうのは」

運ばれてきたコーヒーを一口飲み、話を始める。

詢子「いや何、まどかの前にやってきた素敵な転校生ってやつはどんなもんかと思ってね」

ほむらはこの性格にはついていけないのか、そっけない返事しか返せない。

詢子「うん、話通りの感じだね」

ほむら「まどかは私のことどう言ってましたか?」

詢子「うん?気になるよね、そうだねぇまどかの話を聞く限りクールでかっこいい感じって印象だねぇ」

ほむらは予想通りの答えに少し安心する。

ほむら「ただ臆病で根暗なだけですよ」

と茶化すように答えると、

詢子「いやいや、そんなことないよ、あたしの大人な目を持ってみてもまどかの印象に間違いはないと思うよ」

ほむら「なんというかありがとうございます」

さっきの発言に少し気になる事があるのか、ほむらは尋ねる

ほむら「大人になるってどういうことですか?」

詢子「おっ?なかなか深い質問してくるねぇ」

ほむらの真剣な表情を見たのか詢子も少し真面目な表情になる。

詢子「大人になるだけなら時間がそうしてくれるさ」

詢子「二十歳になれば誰でも大人の仲間入りさ」

口には出さないがほむらの表情には失望の顔が浮かぶ。

詢子「話はまだ終わりじゃないよ、大人の中にもランクがあるのさ」

詢子「きっとほむらちゃんの聞きたいのはこっちのほうだろ?いい大人の条件ってやつさ」

ほむらは頷く。

詢子「いい大人ってのはいい経験をしていることさ」

詢子「正しい経験をして、理不尽な失敗を経験していることさ」

詢子「いいこと悪いこと全部ひっくるめていい思い出だったと語れるのがいい大人の条件さ」

詢子「大人になると成功はともかくなかなか失敗ができなくなるからね」

ほむら「子供の経験は全て自分の物だと受け入れることですか…」

詢子「今は無理だと思うかもしれないけどね」

ほむらは納得言ったのか少し笑って、

ほむら「大人ってずるくて辛いですね」

詢子は薄っすら笑い、

詢子「だから大人は酒を飲んでもいいことになってんのさ」

詢子「だからさっさとおとなになっておばさんにお酌をして欲しいもんだね」

詢子「辛い分だけ楽しいぞ大人は」

ほむら「はい、私も大人になりたくなってきました」

その後しばらくの雑談の後喫茶店を後にし、帰宅する。

さやか「おっかえりー」

ほむら「ええ、ただいま」

織莉子「夕飯はもう少し待ってくださいねー」

キッチンから慌ただしい音とともに織莉子の声が聞こえる。同時にキリカの声も少し遠いが聞こえる

キリカ「織莉子ーここはどうするの?」

どうやらキリカと共に夕食を作っているようだ。

ほむら「楽しい夕食になりそうね」

ほむらは今からどうキリカを詰ろうかを考えているのだろう。

ゆま「ホムラ顔つき変わったね、なにか良いことでも会った?」

ほむらは笑みを浮かべ、

ほむら「ええ、自分を見つめるいい機会があったわ」

最後の団欒の日が終わる、決戦は目の前だ。

[決戦]
翌日、決戦の日

ほむら「作戦の確認をするわ」

ほむら「概念へ干渉ができるようになるのはワルプルギスの夜が顕現してから大体30分後」

ほむら「それまでは私が一人でワルプルギスの夜を食い止める」

ほむら「時間が来たら私とまどかが概念に飛び込む」

ほむら「その間は皆でワルプルギスの夜を食い止めて頂戴」

ほむら「概念の意思への侵食を終えるまで2時間は見てほしいわ」

ほむら「概念からワルプルギスの夜への力の供給が終わったらワルプルギスの夜への止めをさす」

ほむら「以上よ、各自健闘を祈るわ」

やはりその後のことは語ろうとしない。

キリカ「ワルプルギスの夜を倒したらほむら救出作戦だからね」

ゆま「迎えに行くから待っててね」

さやか「ほむらがいないとつまんないからね」

織莉子「まどかさんもいれば目印には困らないでしょうしね」

マミ「だから手を伸ばして私達の手を取ってね」

杏子「最後はあたし達が勝つハッピーエンドだよ」

まどか「行こうほむらちゃん!」











ワルプルギスの夜が顕現する。

本日は以上です。

今度こそ次回に決戦ですね。あと数回で本SSも終わりです。エタらなそうでよかったです。

それではおやすみなさい。

俺は大して楽しいとも思えないダメ大人の方だなぁ

( ;∀;)イイハナシダナー


QBとか最早懐かしかったww

③ェ・・・
せめてセリフと被るくらいしようぜ

ほむらは能力はすごいけど精神は成長してないんだな
経験がごっそり無いままなんだから無理もないか

しかし和子先生懐かしかったなww

心が壊れてたからしょうがない

こんばんは本日分投下いたします。

今回で一応の決着が着きますがもう少しだけ続きます。

>>589 >>591 ありがとうございます。

>>590 理想は理想ですね…

>>592 >>595 サブキャラ一斉消化ですが意味のないサブキャラは作らないようにできていたらいいなと思います。

>>593 そうですね③の部分に ほむら「来る!」 って台詞でも入れておけばよかったです。

>>594 ほむらはいくら力を手に入れても本質が子供のまま変わっていません。

>>596 いくら能力があっても精神的な向上心がないとばかだってことですね。

[side Homura]
さあ、始めましょうか。

まずは前哨戦よ。

ワルプルギスの夜までの距離は大体300mってところね。

なにやらビルを倒壊させてこちらにぶつけようとしているみたいだけれど、無駄よ。

見滝原は既に私が守っている。

視線をビルの方向に向けると結界から発せられる紫の光が防護しているのを確認できる。

しかし、予想外なこともある。

予想以上にワルプルギスの夜の攻撃の出力が強い。

今までではこんなことなかったのに…

一応の考察をしておくと私達見滝原の魔法少女たちが力を強くし過ぎたせいで概念の意思によるドーピングが強く出てしまっているのではないかしら。

でも私にとっては気にする必要がない程度の誤差だ。

心配なのは私が概念の中に入った後ね。

倒せないワルプルギスが相手なら必然的に消耗戦になる。

あまりチンタラしていると危険ね。

まずは作戦通り概念へ干渉できるようになるまでワルプルギスの夜を足止めしましょうか。
[side Homura is over]

暁美ほむらが単騎でワルプルギスの夜に向かって跳躍する。

飛び出した刹那、ほむらの目の前の空間が歪む。

瞬間ワルプルギスの夜の目の前に出現する。

紫の魔力がほむらの体から発せられた同時に魔力がほむらの右足に集中する。

ほむらは重力に身を任せつつワルプルギスの夜に右足で蹴りつける。

ものすごい衝撃だったのであろう。風を劈く音と共にワルプルギスの夜の巨体が地面に叩きつけられる。

異様な光景なのはワルプルギスの夜が無傷であることと地面ですら何一つ崩れていないことだ。

ほむらが手を上空にかざす。

ほむら「最悪の魔女に裁判を」

ほむらの詠唱が始まる。

ほむら「断罪せよ、我は魔を裁く者也」

ワルプルギスの夜も黙ってみているわけでわない。禍々しい魔力のレーザーをほむらに打ち出す。

ほむらの背中から翼が出現し弾くように攻撃を受け流す。

ほむら「磔」

ほむらの翳した手の上に巨大な槍が出現する。

ワルプルギスの夜を貫くには十分すぎるくらいの大きさだ。

ほむら「貫け-Gungnir-」

上空から神の槍が振り下ろされる。

ワルプルギスの夜は為す術なく貫かれる。

だが、ここまでしても足止め程度。

更に抵抗するように使い魔を次々と出現させ始める。

ほむら「本体が動けそうになくなったら次は使い魔…」

ほむら「面倒臭いわね」

ほむら「我が持つは武器庫也」

ほむらの後方に魔法陣が広がる。

武器庫というからには武器を取り出すのであろう。

ほむらがまず取り出したのは軽機関銃M-60。

軽々しく扱っているが魔力で強化した力がなければ持ち上げ続けるだけで辛いだろう。

トリガーを引くと強烈なマズルフラシュと共に大量の銃弾を吐き出す。

無論銃弾には魔力が付与されており簡易的な誘導弾となっている。

次々に出現する使い魔を撃ち殺し続けるとあっという間に弾が突きてしまったようだ。

ほむらが魔法陣の方に武器を放り投げると次の武器を取り出していた。

空対地ミサイル。もはや生身で扱うような武器ではない。

ほむらはそのままミサイルを投げつける。

炎上とともに一帯の使い魔が消失する。

ほむらは薄っすら笑いながら、

ほむら「魔女は磔にされて火炙りにされるのが相場でしょう?」

ワルプルギスの夜は我が身を貫いている槍からようやく脱出しようとしていた。

ほむら「ここまで深く貫いてもずっと動きを封じることは出来ないなんて…」

ほむら「面白くない」

ほむら「束縛せし数多の鎖よ」

ほむらが手をかざすとワルプルギスの夜周辺から鎖が出現する。

ほむら「捕えろ-レージングル-」

だがワルプルギスの夜は身を捩りながらもがく。

ほむら「縛れ-ドローマ-」

かつて神の狼を捉えるために用いられた鎖、一介の魔女には抵抗は出来ないだろう。

ほむら「そろそろ時間なのだから念入りに足止めさせてもらうわよ」

ほむら「縛り付けろ-グレイプニル-」

そのままほむらはまどか達魔法少女の下へ飛ぶ。

ほむら「作戦は第二段階に入るわ」

ほむらが辺りを見渡すと力強い笑みが見受けられる。

ほむら「これなら大丈夫そうね」

力強く頷いた後に、

マミ「勝つわよ」

キリカ「勝って来ようか」

ゆま「がんばる!」

さやか「サクッと勝っちゃおうか」

織莉子「ほむら様の帰る場所を守る、それだけよ」

杏子「もう言葉は要らないよな、いっちょ気張ってよ師匠」

ほむらは最後に皆の目を見渡す。

そしてまどかの手を取り皆に背を向ける。

ほむらから力が渦巻き、概念へ至る扉が開かれる。

背後で仲間が飛び立つ音が聞こえた。

彼女達ならもう心配いらないだろう。

ほむら「まどかは私が守るから」

まどかは多少不安そうな顔だったが、歴然たる決意がその瞳に伺えた。

まどか「足手まといにはならないよ!」

だがその言葉は無意味だろう。まどかは概念の力に対抗する手段を持たない。

少なくともほむらは概念の力に対向するには概念の力を持ってくる方法しか知らない。

最も概念の力に対抗できるかもしれない力ならほむらの仲間がひとつ持っている。

だがほむらには、安全性を重視しているほむらにはそんな博打は打てない。

まどかはほむらの手を強く握り返す。

ほむらはそのまま概念への扉へと足を踏み入れる。

[突入]
[side Homura]

突如力の奔流。

ありとあらゆる方向から概念へと取り込もうとする力が押し寄せる。

以前の私はこの力に対抗できずに飲み込まれたのね…

今なら対抗できるわ。

取り込まれぬよう自分自身とまどかに力の結界を張る。

そのまま力の流れが緩やかな場所まで足を踏み入れる。

ほむら「始めるわ」

そう言うとまどかが心配そうな目でこちらを見てくる。

なるべく不安がらせないように、慣れない作り笑顔で答える。

侵食の力よ、

え?

緩やかな力の流れが突如強くなる。

防御に意識を割かざるを得ない…

どうなっている?

わからない。

ここは宇宙の終わりまで平穏な場所だったはずだ。

思考を止めてはいけない。

私には明確な意思がある。

防御に力を割いても侵食の効率が落ちるだけだ。

思考を3つに分割。

防御の思考と、侵食の思考と、原因解明の思考。

侵食の具合から言って予定の約2.1%のスピードだ。

このままでは現実世界での6日もかかってしまう。そうなれば彼女たちが生き残っているビジョンが見えない。

原因解明ができれば少しは効率がよくなるかもしれないのに。

苦しそうな顔でもしていたのであろうか、まどかがジット私を見つめてくる。

まどか…まどかか!

当たり前のことじゃない。

わざわざ敵本陣に供物を持ってきたようなものだ。

まどかを取り込む意思を持っているなら全力で奪いに来るに決まっている。

すべて以前と同じ条件と思った私の落ち度だ…

しくじったか…?

いや、違う私には力がある。

どうしようもない条件なんていつも通りじゃないか。

その中で抗うのだっていつも通りだ。

もう出し惜しみはしない。おそらく概念の意思も全力でまどかを取り込もうとしている。

その状況で対抗出来ているなら、残りのリソースを全て侵食の力に傾ける。

もはやこれは賭けだ。

ほむら「まどか」

まどか「何?ほむらちゃん」

何も出来ないことに悔しさでも感じているのか涙目で私に答える。

ほむら「私の体を頼むわ」

体を制御する意識もありとあらゆるリソースを侵食の力へ傾ける。

私の意識は黒く染まりもう何も考えられない。

どれだけ時間が経過したのであろう。

ゆったりと意識が回復してくる。

目を開けると私を抱きしめているまどかが私の目に映った。

ほむら「ま…どか?」

まどかは私の名前を呼びながら私を抱きしめる。

まどかを取り込もうとする力の流れは感じられない。

概念の意思を侵食することはうまくいったようだ。

ああ、杏子が言うにはこれは前提条件だったかしら?

ほむら「どれだけ時間がかかったかわかるかしら?」

まどかは涙があふれる目を拭いながら、

まどか「詳しくはわかんないけど…3日位だと思う」

最悪だ。私の力はその程度だったようだ。全力を尽くしても2倍程度しか出力が出せないのか。

なんて私はポンコツなんだ…

結果がどうなったか気になるけれど…。

まどか「帰ろうほむらちゃん」

ほむら「帰り道なんてないわ」

ほむら「まどかには悪いけどもうここからは出られない」

まどか「ううん、ほむらちゃんは十分に頑張ったからそは報われなくちゃ」

何を言っているのかわからない。

もうまどかも守れたし十分に報われたわ。

これ以上望んだら私はダメなのに。

まどかから神々しい羽が広がる。服装も薄ピンクのドレスになり、心なしか大人びて見える。

まどか「ずっとここにいたんだもん、力の使い方くらいわかるようになるよ」

まどかの翼が靡くと概念世界に道が生まれる。

まどかは私の手を取り、

まどか「こっちだよ!」

まどかと共に走る。

手を繋ぎながら。

後ろからは概念の力が私達を捕らえようと迫ってくる。

逃さないつもりだろうが、新たに産まれたまどかの浄化の概念の力の対応に戸惑っているのであろう。

ああ、まどかが女神のように見える。

息を切らせながら終わりなき道を走る。

そっか、罪を償って罰を受けて、それで私は許されるんだ。

この世界の先に私の未来が待っているのか。

私も大人になれる。ようやく私の一人ぼっちの旅が終わる。

当たり前に高校に通って当たり前に大人になって、孤独な魔法使いだった今の私を笑ってやろう。

どうしてもっと早く人に頼らなかったんだと、詰ってやろう。

まどか「見えた!出口だよ」

視線の先には私達が入ってきた扉が見える。

その扉を抜けるとそこには



辺り一面の荒野が広がっていた。


[side Homura is over]
[世界の終わり?]
概念の扉から出てきたほむらを待ち受けていたのは荒廃した見滝原…いや、荒廃した星だった。

現実を直視したくないのかほむらは頭を抱えながら蹲っている。

まどかも世界を見たいくないのかほむらの側に寄り添って何もしない。

暁美ほむらは時間をかけ過ぎた。

これは純然たる事実。

QB「遅かったじゃないか、ワルプルギスの夜と魔法少女たちの戦いはとっくに終わっているよ」

ほむら「な…何を…言っているの?」

QB「受け入れられないのも無理は無い、けど魔法少女たちは、いや人類全ては、地球上の全てはワルプルギスの夜に敗れたよ」

QB「僕は君へ伝言を残すために残っていたんだ」

QB「地球は有益な情報を残す知的生命体がいたけれど、その努力のかいもなく地球は終わってしまった」

QB「僕がここにいる理由もなくなったから僕は僕の星へ帰るよ」

QB「さようなら暁美ほむら、僕らに感情が会ったなら楽しかったと感じていたと思うよ」

そしてQBはどこかへ消えてしまった。

ほむら「皆は?どこに行ったの?」

皆はもう死んだ。

ほむら「私は嘘を言うようには設定してないわよ!」

魔法少女たちはワルプルギスの夜に敗れ命を落とした。

ほむら「うるさいうるさいうるさい!」

…ほむらはまた壊れてしまったようだ。おそらくもう元には戻れない。

この声も届かない。

ほむら「ねぇ、まどか?」

まどか「なぁに?ほむらちゃん?」

ほむら「皆疲れてしまってどこかで休んでるみたいなの」

ほむら「だからここで皆が帰ってくるのを待ちましょう?」

まどかは目を輝かせる。

彼女も現実を受け入れずに目を逸らす道を選んだようだ。

まどか「そうだよね、じゃあ土地も広いし私達の家を作ろうよ」

ほむら「そうね、時間をかけて'街だけは'やられてしまったみたいだから復興しましょうか」

壊れた二人を観測するもうないだろう。



……

………

あれからどれほどの時が経ったのであろうか、

かつての見滝原の街は見滝原の街として復興されていた。

ただ二人の少女の手によって…

ただしそこに住むのは二人の少女しかいない。

まどか「今日も皆帰って来なかったね」

ほむら「そうね…でも私にはまどかがいるわ」

まどかは照れくさそうに笑い、

まどか「私もほむらちゃんがいるから寂しくないよ」

そう言って二人の少女は照れくさそうに接吻を交わす。

壊れた世界に壊れた少女が二人世界が終わろうと宇宙が終わろうと関係なしに二人は帰ってこない仲間を待ち続けるだろう。

永遠に…

永遠に……

[Madoka's bad end~Never ending bad story~]

本日は以上となります。

一端バッドエンドに落ち着かせました。が、まだ終わりじゃありません、もうちょっとだけ続きます。

後味が悪い終わり方が好きな方はここで読了推奨です。

ここからはご都合主義のハッピーエンドを展開していきます。

これからの展開のヒントは、

三人称視点はほむらが創りだした自分を客観的に見る為の存在であるということ

杏子の秘策

概念の力に対向するための力の存在

概念の中にまどかがいたら概念の力を使えるようになった

ココらへんが伏線になるようにはしたつもりです。

ではまた次回。

壊れたまどほむエンドか

乙です

やっぱまどほむだな他はいらん

つまんね

時の概念となったほむらに時の無慈悲さを見せ付けるとは……鬼畜な意趣返しだな

無念過ぎィ!

こんばんは今回分投下いたします。今回で最終回です。

>>610 BADENDは誰かがおかしくなるか全滅するかの予定でした。

>>611 ありがとうございます

>>612 まどほむいいですよね。

>>613 ご期待に添えず申し訳ありません。

>>614 鬼畜なくらいがBADENDとして丁度いいと思います。

>>615 無念で残念な感じが伝わったみたいで嬉しいです。

[さあ、全てを救いましょうか]
カッチカッチと時を刻む音を聞く。

終わってしまった世界、終わってしまった星。

そこにいるのは二人の少女。

終わった世界に変化のない少女が二人。

ここで二人の主観的な意見を考えてみよう。

まずは鹿目まどかという少女だ。

鹿目まどかは気づいていたはずだった。世界が終わった原因は自分にあったと。

しかし、自分では背負いきれないから暁美ほむらの妄想に逃げた。

この時点ではある程度の罪悪感はあったかもしれない。

意識的か無意識的にかわからないが、暁美ほむらとの妄想の世界ですごすことで記憶にロックをかけたようだ。

だから、帰らない仲間を待てる。そしてずっと憧れていたほむらと一緒に過ごせるのだ。

彼女の視点から見たら幸福な時間をすごしているだろう。

次は暁美ほむらの視点だ。

暁美ほむらは元々ギリギリだった。

概念内で終わるつもりだった彼女に与えられた希望にすがった後に絶望に叩き落とされる。

なるほど、これはエネルギーになるはずだ。インキュベーターはいいところに目をつけたのだろう。

だから暁美ほむらは壊れてしまった。壊れて治されて、また壊れただけのことだ。

だが暁美ほむらに救いがある点は、鹿目まどかが一緒にいることだろう。

彼女がそばにいることで、暁美ほむらの主観では幸福だろう。

彼女の仲間も彼女の妄想では生きている事になっているから余計なことは考えない、考えられないようにしているのだろう。

そういう意味では二人は幸せなのだろう。彼女たちの中では…

しかしそれで終わっていいのであろうか

二人は幸せを感じている。

客観的な視点に移してみよう。

終わった世界に壊れた少女たち。

これを不幸と呼ばずになんと呼ぶのかはわからない。

だからと言ってただの語り手には何ができるか。

この語り手は暁美ほむらが自らの魔法の評価をするために、客観的に評価するために自らの人格のコピーにプログラムを施し他存在。

だから自分の意見を持つことが禁止されている。

客観的に見たままを語ることしか出来ない。




というのが建前。

意見を持つことが許されない語り手のわがままを一つだけ許してもらおう。

暁美ほむらが鹿目まどかとの会話時、記録したと言った事を覚えているだろうか。

セーブをしたからにはロードができる。

語り手が作られた時に一度だけ許された権利。

暁美ほむらはかつて、

ほむら『私に何かあった時に一度だけ時間を戻す力を備えさせたわ、戻る場所は私が記録しろと言った時よ』

だから一度きりの力を使わせてもらおう。

戻る場所は当然鹿目まどかと暁美ほむらの会話の直後、暁美ほむらが回答を考えている場所だ。

わがままついでに魔法少女の幸せを願って私を創った彼女の名を借りることにしよう。

彼女の世界だけでなく彼女自身が救われることを願って次の言葉を送る…




ほむら「さあ、全てを救いましょうか」


[最善の選択]
時が巻き戻る。

戻る場所は当然まどかとほむらの会話の時間だ。

まどかがほむらの部屋に入室してくる。

その目は赤く腫れており先程まで泣いていたのだろう。

ほむら「ひどい顔ね、もう少し落ち着いてからでもいいのよ?」

まどかは首を横に降り、

まどか「ううん、いいのほむらちゃんにこれ以上迷惑かけられないし…」

まどか「それでも私なりに考えたの、ほむらちゃんにできることはなにかってことを」

ほむらは黙ったまま聞く。

まどか「私が概念に一番近い所にいるんだよね」

ほむらは頷き、続きを促す。

まどか「なら私も連れて行ってもらえないかな」

まどか「一人よりも二人の方がきっとうまくいくよ」

ほむらは難しい顔をしている。

ほむら「正直に言うと、ついてきてもまどかにできることはないわ」

魔法を使えたとしても相手は一つ上の領域だ、その力を理解できていないまどかに何も出来ないのは自明の理だろう。

まどか「それでも…ほむらちゃんと一緒にいたいの!」

まどかと共に概念の中に飛び込んだのならば世界は終わり、暁美ほむらは壊れる。

ほむらは少し不思議そうな表情を浮かべる。

ほむら(断定的な物言いね?まるでその結末を見てきたような言い方…)

ほむら(つまり私は失敗したのね…)

ほむら(自分の考えつかないことは全てがいいことになることはありえないということね)

ほむらから迷いの表情が消える。

ほむら「私の答えは…」

ほむら「まどかは連れていけない」

まどかの瞳から涙が溢れる。

まどか「なんで!どうして!私だってほむらちゃんの役に立ちたいの!」

まどかから叫ぶような、悲痛の声が上がる。

ほむら「適材適所という言葉があるわ」

ほむら「概念に対する役割を持つのが私」

ほむら「貴方は私を出迎えるという役割を持っているでしょう?」

まどかが顔を抑えながらその場にうずくまる。

嗚咽がほむらの部屋に響くがほむらは何もしない。

ほむら「少し厳しい事を言わせてもらうわ」

ほむらは追い打ちを掛けるように言い放つ。

ほむら「泣けば解決すると思わないでちょうだい」

ほむら「泣くなとは言わないから、泣き終わったなら立ち上がって前に進みなさい」

ほむら「貴女には十分その力があるわ」

まどかは涙でボロボロになった顔をあげる。

まどかは枯れた言葉でうんと呟き何度も頷く。

ほむら「ならいいわ、私はやることがあるから少し出てくるわ」

ほむら「まどかも落ち着いたなら今日はゆっくりしなさい」

ほむらは扉へ向かいながら少し振り返り、髪をかきあげながら、

ほむら「本番は明日なのだから」

そう言って扉の外へと出た。

[事前準備]
[side Kyoko]
さて、師匠との話も終わって昼飯も食ったことだし、そろそろ準備と行きますかね。

ほむら「杏子、あまり余計なことはしないことね」

杏子「あれ?師匠外にでたんじゃ?」

ほむら「貴女が概念への扉を開いたとしても飲み込まれるだけよ」

あたしのやることはすでに読まれているってことか。

師匠が長期間かけて概念への扉を開ける準備をしたのは知っている。

多分扉を開けるだけで一苦労だということ。

ほむら「色々準備を省略する必要があるだろうから、杏子には難しいと思うけれど一応の警告よ」

でもあたしは知っている。師匠が教えてくれたことをつなぎ合わせればわかる。

魔法の中で最も効力を発揮するのは儀式魔法。そして、魔法の力があれば概念への扉は開かれる。

ならば儀式を行えばいい。そのための準備を今からするんだ。

ほむら「言っても無駄みたいね…」

ほむら「お願いだから危険な真似だけはしないでちょうだい」

杏子「約束はできないかな」

ほむらは呆れ顔で返答する。

ほむら「杏子にはもっと安定志向を学ばせるべきだったかもね」

あたしは笑いながら答える。

杏子「あたしが危ない橋わたらないと師匠と違う景色が見れないじゃん」

杏子「安全な橋の向こうは師匠が網羅してるんだもんね」

だからあたしが師匠に新しい景色を見せてやんよ。

準備のためあたしはかつて暮らしていた協会へと足を向けた。

そこには相変わらずの廃墟が広がっていた。

まずは神様にお祈りを捧げる。

片膝をつき、手を組み、目を閉じる。

神様、神性な場所でこんなことをしてはいけないとわかってるけど、今回だけ目を瞑ってください。

親父、お袋、モモ…

自分勝手かもしれないけど、守りたい人ができたんだ。

その人が困ってるんだ、手を貸さなきゃダメだよね。

困ってる人に救いの手をっていうのが親父の信念だったもんな。

杏子「よし!」

自分の頬を叩いて気合をいれる。

まずは建物を修理して、儀式場を整えようか。

あたしにできることは扉を開くことだけだから。

次の一手はあいつに任せるしかないのは癪だが、あれが使えるのはあいつしかいないからな。

頼んだぜさやか。
[side Kyoko is over]

[決戦]
翌日、決戦の日

ほむら「作戦の確認をするわ」

ほむら「概念へ干渉ができるようになるのはワルプルギスの夜が顕現してから大体30分後」

ほむら「それまでは私が一人でワルプルギスの夜を食い止める」

ほむら「時間が来たら私が概念に飛び込む」

ほむら「その間は皆でワルプルギスの夜を食い止めて頂戴」

ほむら「概念の意思への侵食を終えるまで1時間は見てほしいわ」

ほむら「概念からワルプルギスの夜への力の供給が終わったらワルプルギスの夜への止めをさす」

ほむら「以上よ、各自健闘を祈るわ」

やはりその後のことは語ろうとしない。鹿目まどかがいれば脱出だけはうまくいくが、贅沢は言っていられないだろう。

キリカ「ワルプルギスの夜を倒したらほむら救出作戦だからね」

ゆま「迎えに行くから待っててね」

さやか「ほむらがいないとつまんないからね」

織莉子「目印には困らないでしょうしね」

マミ「だから手を伸ばして私達の手を取ってね」

杏子「最後はあたし達が勝つハッピーエンドだよ」

まどか「待っててねほむらちゃん!」





ほむら「来た」





ワルプルギスの夜が顕現する

ほむらの戦いは激しいものとなった。

ワルプルギスの夜に槍を突き刺し、銃器を用いて使い魔を蹴散らし、鎖で捉えたりと自らの魔力をふんだんに用いた戦いだ。

魔法少女たちは驚愕の表情で戦いを見つめる。

模擬戦では刹那でしか見られなかったほむらの本気を目の当たりにしている。

時間停止中に詠唱を行うことで実質無詠唱で大きな魔法を使うことができる。

最初からほむらの本気と相対していたら勝機など万が一いや億が一にもなかっただろう。

そして時間が来たのか念入りにワルプルギスの夜を捕縛し、魔法少女たちの下へ飛ぶ。

ほむら「作戦は第二段階に入るわ」

ほむらが辺りを見渡すと力強い笑みが見受けられる。

ほむら「これなら大丈夫そうね」

力強く頷いた後に、

マミ「勝つわよ」

キリカ「勝って来ようか」

ゆま「がんばる!」

さやか「サクッと勝っちゃおうか」

織莉子「ほむら様の帰る場所を守る、それだけよ」

杏子「もう言葉は要らないよな、いっちょ気張ってよ師匠」

そしてまどかは、

まどか「皆で明日を迎えよう!」

ほむらは最後に皆の目を見渡す。

ほむらから力が渦巻き、概念へ至る扉が開かれる。

背後で仲間が飛び立つ音が聞こえた。

今度こそ彼女達ならもう心配いらないだろう。

安心した表情でほむらは概念の扉へと足を踏み入れる

[暁美ほむらの最後?]
[side Homura]

突如力の奔流。

ありとあらゆる方向から概念へと取り込もうとする力が押し寄せる。

以前の私はこの力に対抗できずに飲み込まれたのね…

今なら対抗できる。

取り込まれぬよう自分自身に力の結界を張る。

そのまま力の流れが緩やかな場所まで足を踏み入れる。

概念の世界は大きく分けて2つの層に分けられる。

1つ目は今通っている外部からの侵入者を排除する結界のようなもの。

2つ目は概念達が集まっている層。こちらには侵入者を排除するような攻撃は存在しない。

ただ、概念達が自分の領域を侵されることを嫌う。

誤って足を踏み入れてしまえば攻撃されるのは必然だろう。

私の場合はどこにどの概念の領域があるかはわかっているのだけれど、万が一あの娘達がここに来た場合はどうしようもないわね。

そんな確認をしていると概念の意思を統べる場所に着いた。

さて、やりましょうか。

侵食の翼を広げる。

概念の意思を侵食し始める。

内部から攻撃される事を想定していないのであろう。あっさりとまどかに関する意思を発見する。

塗り替えていく。

まどかと私に関する事項全てを。

魔女の脅威は現地住人達により全ての芽を摘まれたということにしておこう。

変わっていく、変えていく。

終わっていく、終わらせていく。

一京年の旅に終止符を打とう。

終わりというのは思ったよりあっさり訪れるものらしい。

予定通り一時間ほどで侵食は終わり概念の私とまどかに関する計画は全て消失した。

それに伴いワルプルギスの夜への力の供給もなくなったことだろう。

拍子抜けね。

これで終わりか…

これで終わりか……

一応抜け出せないか確認してみようかしら。

脱出路に目を向ける。

辺りに犇めく概念達。

入るのは容易いがやはり出るのは難しそうだ。

少なくとも私一人の力ではすぐに捕まるなり消滅させられるなりするだろう。

なにかの概念が私へ問いかける。

問いかけると言っても直接言葉を交わすわけではなく意思を直接私にぶつけてくるのだ。

-何者であるのか-

私は時の流れを見つめる概念であると返答して誤魔化す。

-反逆は消失-

わかっているわよ…

返答をしないと何かの概念はどこかへ消えていた。

肉体と精神を保っている今、私はどれくらいもつだろうか。

私の世界は救われた。これ以上の幸福はない。

やはりそれ以上は望んではいけない。

でも…

でも……

夢見たっていいじゃない。

大人になりたいって思ってもいいじゃない。

普通の生活を送りたいってわがまま言ったっていいじゃない。

見滝原中学校を卒業するんだ。卒業式ではきっと涙を流してしまうだろう。

それをさやか辺りに茶化されて、でもそれでもいい思い出になって…

高校に行って、大学に行って。教師として見滝原に戻ってくるの。

久しぶりに会う仲間も出てくるでしょうから。

いい雰囲気のバーにでもいって久しぶり元気にしてた?って切り口から始めるの。

ああ、思考がまとまらなくなってきた。

あああああ、嫌だ嫌だ嫌だ。

狂いきるまでずっとこんなところにいるなんて嫌だ。

最後に1つだけわがままを言って終わらせましょう。

こんな惨めな思考はカットしよう。




ほむら「私を助けて」

[side Homura is over]

[第二フェイズ]
ほむらが旅立ってから1時間程度経過した。

ワルプルギスの夜の様子が変化する。

今まで無尽蔵に魔力を使い攻撃をしてきていたが、その勢いがなくなった。

戦闘を行っていた魔法少女たちは顔を見合わせワルプルギスの夜へ総攻撃をかける。

キリカの爪が、杏子の槍が、織莉子の糸が、さやかの剣が、ゆまの槌が、マミの弾丸が、まどかの矢がワルプルギスの夜へ終焉を伝える。

崩れ落ちる最悪の魔女。だが魔法少女たちの緊張は解けない。

さやか「まずは一段落と言いたいんだけどねぇ」

マミ「一人で行ってしまった友達を連れ戻さないとね」

織莉子「なら作戦をちゃんとたてないといけないわね」

杏子は少し呆れたような表情で切り返す。

杏子「おいおいおい、まさかと思うがノープランなのかお前ら」

他の魔法少女は顔を見合わせる。

まどか「考えてはいたんだけど、どうしたらいいのか全然わかんなくて…」

キリカ「私は考えことは苦手なんでね」

ゆま「真っすぐ行って連れ戻す!」

杏子が頭を抱える。

杏子「あたしに一つ案がある、ちょっと来てくれるかな?」

杏子に連れられて辿り着いたのは杏子の教会だ。

マミ「ここは…」

マミが口を手で覆うが驚きが隠せない。

杏子の家の教会は廃墟になっていたのをマミは知っていたからだ。

そして杏子がそれを修復する気がないことも知っていた。

杏子は聖堂に案内すると椅子に腰を下ろす。

聖堂は厳かな雰囲気に大量の蝋燭。ステンドグラスから漏れる光がその雰囲気を一掃盛りたてていた。

杏子「あたしの作戦を聞いてくれる?」

杏子「あたしは馬鹿だから穴があると思うから何かあれば指摘して欲しい」

さやか「とりあえず言ってみればいいよ」

他の皆も杏子を見つめる。

杏子「まず大前提として概念への扉は魔法を使えば開けることができる」

マミ「暁美さんがかつて概念の力を知らずに概念へ挑戦したのだから、それは間違いないわね」

概念が干渉できる状態でなければならないが。

杏子「師匠が言うには2,3日は概念の世界へ干渉できる状態になっているらしい」

杏子「だから扉はあたしが全力を持って開ける」

織莉子「でもそれだけだとすぐに飲み込まれてしまうわ、かつてのほむら様のように…」

杏子「ここからは賭けになってくる」

杏子はさやかを見つめる。

杏子「成功する確率なんてわかんないけど、そんなに高い確率ではないと思う」

杏子「師匠を救うためだここで降りるなんて言わせないからね」

杏子「それで、さやかあんたの協力が必要だ」

さやか「ん?なんであたしを直に指名?」

杏子「おいおい、頼むぜみんな」

杏子「師匠が言っていたことだし全ての原因と言っていいことじゃないか」

織莉子「そもそも概念が鹿目さんを取り込もうとした理由ですね」

杏子が頷く。

ゆま「魔女を駆逐するためにマドカを選んだんだよね」

ゆまの頭を撫でながら杏子は答える。

杏子「そうそう、魔女の力は概念に対して脅威になりえる」

杏子「だからあたし達の力で唯一対抗できる可能性がある力だ」

さやか「私が失敗したら、皆飲み込まれるじゃん?」

キリカ「賭けだって言ってたじゃん、ベットしてるのは皆の命だよ」

まどか「信じてるよさやかちゃん」

杏子「だがあたしには魔女のどの力が脅威になるのかはわからない」

杏子「そのための意見が欲しい」

まどか「魔女って大枠にくくられるってことはさやかちゃん限定ってわけじゃないよね」

キリカ「使い魔をだすとか?」

マミ「使い魔だけなら使い魔ごと飲み込まれてしまう気がするから違うと思うわ」

ゆま「ならあとは」

さやか「魔女の結界だね」

さやか「ほむらとか美国さんが使うような結界とは明らかに違うよね」

さやか「そこにある空間を自分のいいように書き換える力」

さやか「それが脅威になるんじゃないかな」

杏子「確かにそうだな…」

周りを見渡すが、反対意見もなさそうだ。

杏子「さやか、いけるか?」

さやかはうつむきかけたが、手を強く握り、

さやか「やるよ、やってみせる」

さやか「でも全力でやったらあたしは中に入れなくなる」

杏子「それはあたしも同じだよ」

さやか「それに結界を貼り続ける事も多分できないじから、片道切符になるかもしれないよ」

杏子「中でのことはあんたらに任せる」

杏子は少し悔しそうな表情だ。

本来なら自分もほむらを救いに行きたいのであったのだろう。

織莉子「そこから先は何があるかわからないから行き当たりばったりになるわね」

マミ「でもやらないと…」

杏子「帰りを考えると少なくとも一人、できれば二人概念の力を身につける必要があると思う」

ゆま「ホムラが身につけるまでどれくらいかかったかわかないけど、ゆまがやるよ」

織莉子「悔しいけれど私は短時間で会得できるビジョンが見えないわ」

キリカ「難しくてよくわかんないからわかりやすくまとめてー」

キリカが目を回したように混乱している。

織莉子「佐倉さんが概念への扉を開けて、美樹さんが侵入経路の確保、残りのメンバーが救出班」

織莉子「救出ついでに誰かが概念の力を学ばないといけない」

織莉子は微笑み、

織莉子「まとめるとこんなものよ」

キリカは大げさに手をたたき、

キリカ「流石織莉子!分かりやすい」

キリカは少し考えるような素振りを見せ、

キリカ「時間との勝負になりそうな予感がするね」

キリカ「なら私が足になろう」

織莉子「ほむら様の居場所なら私に任せて」

ほむらに渡したお守りに何かし込んでいたのだろうか、織莉子は自信満々だ。

マミ「暁美さんを引っ張り上げる役は私に任せてもらおうかしら」

ゆま「傷ついたらゆまにお任せ!」

まどか「概念の力は私もやってみる!」

杏子「ここまで力がある奴らが揃ってんだ、出来ないことなんてないよね」

さやか「やろう!」

[最終突入作戦]
杏子「始めるぞ」

短く言い放ち、杏子は片膝を地面につき、手を組み目を閉じる。

杏子の魔力に反応し、辺りの蝋燭が1つずつゆっくりと灯り始める。

それに呼応するように魔力が渦巻き始める。

全ての蝋燭が灯る。

莫大な魔力が集まり、扉を形成して行く。

杏子「さやか、準備しろ」

さやかが扉の前に陣取り、手を顔に当てて、魔女の兜が顕現する。

杏子「行くぞ」

合図とともに、概念へ至る扉が開かれる。

突如力の奔流。

同時にさやかが魔女の結界を展開する。

結界を展開すると力の流れが収まる。

さやかの結界が概念への力と拮抗出来たのであろう。

しかしさやかは苦しそうな声をあげる。長くは持たないだろう。

キリカ「黒龍!」

キリカが黒き龍を呼び出し魔法少女たちを乗せ、一気に結界内に突入する。

それを見届け安心したのか扉を消失させると杏子はそのまま気を失い教会の地面に倒れそうになる。

さやかはそれを受け止め、杏子を椅子に横たえさせる。

さやか「あとは頼んだよみんな」

そう呟くと杏子を横たえた椅子にもたれるようにさやかも気を失う。

二人の少女が起こした奇跡はきっと実るだろう。

[side Homura]
ただじっとしているというのは存外退屈なものである。

気持ちが落ち着くと暇を持て余してしまう。

過去のことを思い出してしまう。

思い出を整理して、過去の幻想にすがり続けるのも悪く無いわね。

手始めにこの時間軸から思い出してみましょうか。

まず最初に顔を合わせたのはまどかだっけ。

まどかが契約をしないようにエイミーを助けてあげたんだ。

本当はまだ顔を合わせるつもりはなかったのだけれど、まどかがトラックに轢かれそうになったから助けざるを得なかったのよね。

あの時魔法使いをカミングアウトしたけれど、信じられてなかったでしょうね。

その後色々と話したっけ…

どうでもいいような雑談、一言一言に一喜一憂するまどかの態度はおもしろかったわ。

あの時からまどかとは友だちになったけれど、友達らしいことは全然出来なかったわね。

もっと買い物に誘ったり、遊びに出かけたりしたかったなぁ。

それなのに私の都合で色々押し付けちゃって…

でも、まどかとはいい友だちであったと言い張れるわ。



--『これからも友達だよほむらちゃん』--

次に会ったのは織莉子だっけ。

この時間軸での彼女はまだ魔法少女にはなっていなかったっけ。

彼女には別の時間軸の恨みがあるから、あまり良い印象は持っていなかったのだけれど、話せば気の良い相手だということがわかった。

彼女には満たされるべき何かがなかった。

それは友達であったり、恩師であったり、恋人である。

彼女は一人で空っぽだった。

この心の隙間に付け込めば、私の良いようにできると思った。

そして私の手元に置いておけば間違いは起きないはずであると。

だから彼女を誘ってデートをした。私以外見えないようにするように。

けれど私が与えたのは勇気だったようで、勇気をだして学校に行った彼女は壊れてあろうことかQBにすがってしまった。

しかし私の撒いた種も役に立ったようで、私の言うことに従うようになった。

もし私が織莉子の生きる意味にならずに、妥協して織莉子と共生すると選択したらおそらく堕落していっただろう。

彼女は私の知らない世界をたくさん知っていて、話していてとても楽しい娘だったわね。

従者としての仕事もとても優秀だったわ。

私のことを慕っているとも言ってくれたわね。あの時はごまかしたけれど、私はみんなが好きだから選べないだけなの。



--『生涯貴女に尽くしますよほむら様』--

次はゆまに会ったのだっけ。

魔女に襲われた、かわいそうな娘。同時に魔法少女の才能を持った優秀な娘。

彼女はまだ幼いけれど、確かな勇気と覚悟がある。

もう少し人生経験を積んでいたら、とんでもない成長をしていただろう。

だからこそ私は彼女を引き取り駒として使おうと思った。まあ、今では情のほうが強くなっているのだけれどね。

とても優秀な私の妹。

魔法少女になったのは小学校が襲われたからだったわね。

小学校にグリーフシードを置いたのはおそらくQBね。ゆまを危険な目に合わせれば私が駆けつけて、話ができるとでも考えたのだろう。

そこで見たゆまの姿は満身創痍だったが、誇り高い意思があった。

もし私がそれに惚れ込み、ゆまに依存してしまったらダメになってしまっただろう。

それからも私を癒してくれた存在だったわね。

自慢の妹であったと素直に誇れるわ。



--『ずっとホムラの妹だよ』--

杏子は最初は怖がらせてしまったわね。予定通りではあったのだけれどね。

まどか、さやか、マミ、杏子は元々私の世界としてカウントしていた存在だ。

イレギュラーとして、ゆま、織莉子、キリカが入ってきたって感じだったわね。

だから杏子に関しては予定通り。

杏子は自らのために力を使うが、内心でそのことが悪いと理解している。

だからこそ強い力に憧れていた。だから魅せつけてやった。

こうすれば私のもとに来るから。

まあ、師匠として呼ばれるのは予想外だったけれど、彼女とはなかなかいい関係が築けたのではないかしら?

ただ、彼女との接し方を間違えていたら、もしかしたら裏切られていたかもしれないわね。

どうやらマミともある程度仲直りできたようでよかったと思っている。

彼女は場を仕切ったりしてくれて、みんなの橋渡し役になってくれてありがたかったわ。

これで免許皆伝よお弟子さん。



--『…あたしの師匠はほむらだけだよ、いままでもこれからもずっとね』--

次はマミとね。

マミとはやたら険悪な雰囲気から始まったわね。狙ってやっていたのだけれど。

マミは気が強いから簡単に私の手元には置けないと思ったのよね。

だから一度心を壊して、隙間を作るつもりだった。

そうすれば私に依存してくれるはずだと思ったから。

でも彼女は私が思った以上に強かった。

彼女は壊れずに私の横に立った。

もし彼女が壊れていたら、今の私はなかったかもしれないけれどね。

彼女の淹れてくれる紅茶は美味しかったし、お菓子もおいしかった。

かつての時間軸では先輩としてとても慕っていた。

結局戦友とした立場で終わったわね。

この関係は存外わるくなかったわ。



--『私の背中を預けられるのは暁美さんしかいないわよ』--

キリカには会ったのは早かったけれど、ちゃんと話したのは結構後になったわよね。

彼女はお金を拾ってあげただけで、やたらと懐かれた。

私にとって一番のイレギュラーといっても過言ではない。

しかし彼女への第一印象は怒りだった。

彼女は私と織莉子が良ければ何でもいいといった態度だった。

私に全て丸投げして、従えばなんて楽な生き方だろうか。

その感情に態度にハッとしたのは私だったわね。

これこそが私が作ろうとしていたものだと感じて自分に呆れたわ。

そこに気づけなかったら、悲惨な結末になっていたかもしれないわ。

だから彼女は私に依存させてもいいと思った。

私の間違いが近くにいれば、その間違えはなくなるから。

そして意外なことに彼女は私に近い感性を持っていた。

決めた者のためになんでもできることだ。私は私の世界のために、彼女は私と織莉子のために。

彼女の思いにも少し応えてあげればよかったって、今になって思うわ。

こんな私に愛を教えてくれてありがとう。



--『ほむらがいないと、無限で有限な愛がなくなっちゃうよ』--

最後はさやかね。

彼女は上条恭介と言う存在がある限り、必ず魔法少女になりそして魔女になった。

私の声も無視されるから私の干渉できない自己完結な物語となる。

だから私はその後の世界を私のものにする手段を取った。

私の力と彼女を救う方法は相性が良かった。

副産物として魔女の力を使えるようになったのは驚いた。

あの力を我が物にしたのなら、概念の力とも対抗できるだろう。

現時点では、どうなるかは検討もつかない賭けだろう。そんな博打私は打てない。

彼女を救うには、力ずくで彼女を抑える方法もあっただろうが、それはきっと彼女に敵対されるだけだろう。

彼女はムードメーカーで、私達の空気を和ませてくれたわね。

正直なところ彼女の明るさに多少の嫉妬をしていた。

私では何年経とうとできないからだ。

忌憚のない率直な事を言うのもさやかだったわね、意見は非常に役に立ったわ。



--『…まだ助けて貰った恩がかえせてないよ、持ち逃げはずるいよほむら』--

ああそっか、この時間軸は忙しなかったけど、楽しかったんだ。

だれかが欠けても成立しなかった時間だったのね。

だから後悔するんだ。

ふと懐に手を伸ばし織莉子から預かったお守りを取り出した。

返せなくて悪いわね、織莉子。

お守りをよく見ると糸が繋がっていた。

織莉子の糸?絡まっていたのかしら?

ん?

絡まっていたとしても、これほど張っているのはおかしい。

あの馬鹿たち…来るなといったのに。





でも嬉しい。

織莉子の糸を頼りに向こうの様子を探る。

なるほど、ボロボロじゃない。

でもゆまが癒やしの概念の力を我が物にしたようね。だから五体満足でここまでこれたのね。

やはり彼女は優秀だ。

更に居場所を探る。

ああ、こんなに近くに来ていたのね。

どれくらいそこで手を伸ばしていたのか分からない。

でも、私が手を伸ばせなかったから届かなかったのね。

マミと約束したもんね。

手伸ばしましょうか。

暖かく柔らかい手の感触と共に引き上げられる間隔。

『助けに来たよ』

立ち上がると、満身創痍の魔法少女たちがいた。

さやかと杏子の姿はないが、おそらく概念の扉を開けるのが精一杯だったのだろう。

ほむら「約束は果たしたわよ」

マミの手を握りながら、織莉子にお守りを返す。

2つの約束は果たされた。

彼女たちは感極まったのか、皆涙目ね。

ほむら「こんな所まで来て…ありがとう」

でも現実的な話をさせてもらおう。

ほむら「出る方法はあるのかしら?」

ゆま「ゆまの力は今までにあった力を使ってるだけだから抜け出すのは難しいと思う…」

ゆまはしょんぼりしながら呟く。

キリカがまどかの方を向き、

キリカ「まどか、出来たかい?」

織莉子も縋るような目つきでまどかを見る。

マミも心配そうだ。

そこには集中しいるまどかがいた。

まどかは少し笑みを浮かべる。

まどか「うん、大丈夫」

まどかの背中から純白の翼が広がる。

知らない概念の力。

それは浄化の力。

でもこれだけじゃ足りない。

でもここにはみんないる。

力を合わせれば出来ないことはない!

ほむら「全員の力があれば抜け出せるわ」

ほむら「指示は私が出す」

ほむら「手伝ってくれるかしら?」

『もちろん!』

勢いはいいわね。でもこれがみんなの良い所。

ほむら「キリカは黒龍を召喚、できるだけ速攻で抜けだすわ」

ほむら「まどかはその力で道を浄化しながら安全なルートの確保」

ほむら「マミと織莉子でリボンと糸を使って他の概念の陽動」

ほむら「ゆまは私の回復を担当してもらうわ」

ほむら「私は防御を担当する」

指示はこれで終わり。さあ、帰りましょう

全員で黒龍に乗り込むと全速力で出口の方向へ飛翔する。

逃さないつもりか、概念の力達が私達に襲ってくる。

まどかが羽ばたくように道が出来上がる。

新しく産まれたまどかの概念の力に、攻撃の手が弱まる。

おそらく新しい力に戸惑っているのであろう。

だが、弱まっているだけでなくなったわけではない。迫り来る力を私の力で守る。

こっちは宇宙の終わりまでこの力を使ってきたんだ。この程度ではどうにかされるものか!

織莉子とマミが必死に手を動かし遠くでリボンと糸の陽動が入る。

更に攻撃の手が弱まる。

だがなくなるわけではない。私は必死に防御にまわる。

ゆまも私の疲労を回復させるために必死だ。

しばらく凌いでいると一つの層を突破する。

ここからは取り込むための力が渦巻く層だから全方位の防御に力を割く。

キリカ「扉が見えた!」

出口の扉が見えたのだろう。

だけどこのままだと開けるだけの力が出せない…

そう思った刹那向こう側から扉が開かれる。

そして概念世界を侵食するような魔女の結界が私達を包み込む。

私達は外へ飛び出した。
[side Homura is over]

概念世界から飛び出したほむらは自らの両足で教会の床を踏みしめる。

ほむら「帰ってこれた…?」

実感がわかないのか、ほむらの表情は硬いままだ。

それに引き換え魔法少女たちの顔は明るい。

みなやり遂げた達成感に浸り、わいわいと喜びの声をあげている。

そうして一人実感の沸かないほむらを迎え入れるようにさやかが肩を組み、皆の輪の中に入れる。

さやか「ほら、そんな仏頂面しないでこっち来て来て」

まどか「もう迷わなくていいんだよ、ほむらちゃん」

ようやく実感が湧いてきたのか、ほむらの表情が崩れる。

だがそれは笑顔ではなく涙だった。

ゆま「ホムラ、どこか痛いところがある?」

その問いにほむらは首を振る。

ほむらは泣きながら、嗚咽を抑えながら。

ほむら「安心…しちゃって…」

するとマミが後ろから優しく抱きとめる。

マミ「これからもずっと一緒よ」

ほむらは振り返り、マミの胸元で泣きじゃくる。

皆はそれに看過されたのか目を潤ませる。

落ち着いてきたのかほむらの嗚咽が収まってくる。

キリカ「さあさあ、いつまでも泣いてないでさ、そろそろほむらの笑顔をみせてくれないかい?」

そして織莉子はハンカチを取り出し、

織莉子「ほむら様、お使いになってください」

それを受け取り、俯いたまま目元をハンカチで拭き取る。

みな温かい声でほむらに呼びかける。

さやか「ほむら」

ゆま「ホムラ」

マミ「暁美さん」

織莉子「ほむら様」

杏子「師匠」

キリカ「ほむら」

まどか「ほむらちゃん」

ゆっくりと顔をあげたほむらの顔には眩しいほどの笑顔が宿っていた。

ほむら「私の全ては救われたわ」

[True End ~Homura's world is peaceful~]

[エピローグ]
ワルプルギスの夜が見滝原を襲撃してから十数年が経った。

ほむら達は当たり前のような学生生活を当たり前に送った。

時には笑い、時にはすれ違い、当たり前の青春だった。

そして彼女たちは大人になった。

鹿目まどかは大学生の時にアパレルのブランドを立ち上げ、それが大ヒットした。

可愛らしいデザインと手頃な値段で、今ではブランドMAGICAは中高生の間で大人気だ。

その成功の影には友人達の惜しみない協力があったらしい。

そして今でも見滝原に居を構え、母親が経理を担当しているらしい。

美樹さやかは音楽の勉強を必死になって行い才能を開花させ、今では世界規模の楽団の指揮者を担っている。

持ち前の美貌と明るさで世界の美樹と持て囃されている。

元想い人の上条恭介も彼女の楽団にいて、仁美との仲を茶化したりしているらしい。

佐倉杏子と暁美ゆまは教会を孤児院として改築し、孤児院の運営を行っている。

身内のいなくなってしまった子供を積極的に受け入れている。

杏子がわがままを言い、ゆまがたしなめるという光景がよく見受けられるらしい。

呉キリカは驚くことに国会議員になった。

魔法少女や魔法のことを徐々に浸透させ、文明を発展させる事を目標としている。

そしてその影にはメイド服を着た女性が常に一緒にいることを目撃されている。

美国織莉子はキリカの秘書をしている。

キリカに表のことを任せ、裏から色々と手を回している。

キリカとは常に一緒にいるため、かなり仲が深まったらしい。

巴マミは高校時にその美貌を買われ、アイドルとなった。

男からも女からも好かれ、日本のアイドルといえば巴マミと呼ばれる程になった。

彼女のコンサートでは魔法のような演出が行われるともっぱらの噂である。

そして暁美ほむらは------

子供「せんせーい」

ほむら「あら?どうしたの?」

暁美ほむらは自らの夢を叶え教師になった。

子供「友達に魔法なんかないって言われたんだけど本当なの?」

ほむらは優しく諭すように答える。

ほむら「先生はあると思うな、だって先生は使えるもの」

子供「えー嘘だーほむら先生じゃ無理だって」

ほむら「じゃああなたに元気が出る魔法を使ってあげる」

と言ってほむらは子供を正面から見つめると、とびっきりの笑顔を浮かべる。

その表情を子供は見惚れる。

ほむら「ほら、元気になったでしょ?」

ほむらは自らの苦難の道を走りぬけ幸せを手に入れた。

そしてこれからも平坦とはいえない道を歩むだろう。

だが暁美ほむらはもう歩みを止めないだろう。

道は違えど仲間がいるのだから。
[END]

以上で本SSは終了となります。

日曜の夜にHTML依頼を出すので、それまでにご意見やご質問がございましたらお願い致します。

ではあとがきを少し書かせて頂きます。

初めてのSSだったのですが、なんとか完走することが出来てよかったです。

初期案ではもう少し早く終る予定だったのですが、あっちにふらふらこっちにふらふらしていたらここまでになってしまいました。

それと、途中で書き直しがあったりとグダグダしたところがあり申し訳ありませんでした。

乙をくださった方々、感想を書いてくださった方々、意見をくださった方々、とても励みになりましたありがとうございます。

それではここまでとさせていただきます。

ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年03月11日 (水) 14:37:46   ID: yd_jBCYR

いろいろと示唆に富んだ内容でした
1乙

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