男「俺の師匠が可愛い」(582)

ノリと勢いで書いていきます

書き溜めなしです

この物語は完全な作り話

つまりパーフェクトフィクションです

この世の中には争いが溢れている

口論から始まり暴力にまで発展することもある

これらを一般には喧嘩という

その喧嘩にプロがいるとしたら・・・

男「・・・・・」

いきなりだが絶体絶命である

不良A「あぁ?財布持ってねーだと?」

男「わ・・・忘れて持ってないんだよ・・」

見ての通りカツアゲである

不良B「ぎゃはははははっ!!なんだその言い訳wそんなんで見逃すわけねーだろっ!!」

ドンッ!!

男「っ・・・!!」

これまた柄の悪い奴らに絡まれた

男「持ってないものh・・・」

ドカッ!!

男「ぐぅっ・・・」

不良A「ごめーん思わず殴っちゃった~」

歯で口の中を切ってしまった

口の中に血が広がる

この場所は完全に人目のないカツアゲには格好の場所だ

そして目の前にいるのは中学の頃の同級生だ

不良B「ほらほら~!早く財布出さないとボッコボコになっちゃうよぉ~?」

俺は中学まで虐められていた

だから勉強だけは頑張ってそれなりの高校に進学した

なのに・・・

奴らの学校と俺の通う学校は同じ街にあって今も現に絶体絶命だ

男「くっ・・・無い物は・・・っ」

との時・・・

不良Bがいきなり消えた

と、いうより誰かが不良Bを投げ飛ばした

不良B「ぐげぇっ!」

不良Bを投げた乱入者は素早く倒れた不良Bのみぞおちに打撃を撃ち込み不良Bは動かなくなる

不良A「お・・・おい!」

乱入者が不良Aを睨む

不良Aが乱入者に掴みかかる

次の瞬間には不良Aも地面に組み伏せられていた

男「・・・・・」

乱入者「・・・大丈夫か?」

男「あ・・・ああ」

キャップを目深にかぶっていたので分からなかったが

男「・・・女・・・?」

乱入者「・・・・」キッ

睨まれた

男「あ・・・いや・・・すごい強かったからさ・・・」

乱入者「・・・お前・・・」

乱入者ちゃんが俺の顔を覗き込む

その顔に俺も見覚えがあった

男「あ・・・たしか同じクラス・・・だよね?」

乱入者「・・・たしかそうだ。と思う。」

男「・・・?」

乱入者「だがお前の名前は知らない」

あ・・・覚えてもらって無かったのね

男「俺は剣って書いてツルギっていうんだ」

乱入者「・・・剣か。覚えられたら覚えておく」

男「あ、うん・・・」

乱入者「・・・じゃ」

乱入者ちゃんがそのまま去ろうとする

男「あ、ちょっと!名前h・・・」

颯爽と走り去ってしまった

まぁ名前は明日学校で聞けばいいや

翌日の学校

とはいえ俺も復讐が怖くてまともに出歩けない状況だ

剣「・・・・ふぅ」

友人「またあの元同級生にやられたのか?」

俺の顔には大きなアザが残っている

剣「ああ・・・でも昨日は結局助かったんだ」

友人「逃げ切ったのか?」

剣「助けてもらった」

友人「誰に?」

そういえば同じクラスの・・・

剣「・・・!?」

昨日の乱入者ちゃんは居るのだが

昨日とはイメージが違う

と、いうより違いすぎる

乱入者「・・・・・・」

昨日はかけていなかったメガネをかけていかにもインテリって感じだ

剣「あの人って・・」

友人「えっと・・・平和さん?」

剣「平和さんっていうの?」

友人「あの人誰とも喋らないからよく分からないんだよね」

俺たちは高校に入ってからまだ数ヶ月だ

頑張って新しく友達でも作らないとボッチ確定だ

剣「ひらわさん・・・か」

友人「何?気になっちゃう感じぃ?」

剣「あ、まぁ・・・」

友人「あんま喋らないけど可愛いしなぁ」

そっか・・・確かに可愛い

友人「話かけて来たら?」

剣「え・・・でもなぁ・・・」

だが昨日のお礼を言わねばなるまい

剣「・・・行くか・・・」

意を決して平和さんに近づいて話しかける

剣「お・・・おはよう・・・」

なんだこいつ・・・見たいな目で見つめられる

剣「ほら・・・昨日助けてもらった」

平和「あ~・・・あの時の」

思い出してもらえたようだ

剣「昨日はありがとう」

平和「ああ・・・」

ちょっと間が空いて

平和「ちょっといいか?」

剣「?」

平和さんに連れられて校舎裏的なところに連れて来られた

平和「頼む・・・昨日の事は忘れてくれ」

剣「へ・・・?」

平和「その・・・昨日の事が公になるとまずいんだ」

そりゃそうか

理由はどうあれ喧嘩は罰則の対象だ

剣「わかった・・・誰にも言わないよ」

平和「そうか・・・」

平和さんは少し笑った

剣「それにしても平和さん強かったよ!何か武道でもやってるの?」

平和さんは少し考えてから

平和「のどか・・・」

剣「・・・え?」

平和「名前・・・平和の和と書いてのどか」

剣「・・・名前で呼んだ方がいい?」

和「任せる・・・」

平和和・・・すごい名前だな

和「それに・・・あれは武道なんかじゃない」

剣「そうなの?」

和「あれは喧嘩。それ以上でもそれ以下でもない」

剣「・・・・?」

和「私の父は喧嘩を極めた喧嘩のプロなんだ・・・」

剣「喧嘩の・・・プロ?」

和「プロ」

何だかわからないが・・・

俺もその喧嘩のプロになったらもう奴らに怯えなくて済むのだろうか?

剣「和さんも喧嘩のプロなの?」

和「そうだ」

すごい自身だな

だが彼女の強さは本物だ

剣「俺に喧嘩を教えてくれたりとか・・・お願いできる?」

和「・・・」

何か悩みだしてしまった

和「それは・・・私の弟子になりたいという事か?」

剣「で・・・弟子!?」

なんだか大きな話になったが大方間違えていない

剣「まぁ・・・そういうことかな」

和「だったら私からも頼みがある」

和さんはうつむきながら少し恥ずかしそうに

和「私と・・・友達になってくれ・・・」

剣「友達?」

なんだか意外なお願いだった

弟子で友達か・・・

変なの

和「実は・・・私には友達というのがいなくてだな」

恥ずかしそうにもじもじしている彼女は昨日の豪快さもさっきまでのクールさもない女の子だった

和「・・・良かったら・・・友達に」

剣「わかった。友達になろう!・・・その代わりちゃんと喧嘩のやり方教えてくれよな?」

和「・・・ああ」

嬉しさを隠している様にも見えたがその表情には笑顔がにじみ出ていた

そこから和から喧嘩を教わり俺は友達との付き合い方を教える不思議な関係ができた

俺も友達は多い訳ではないが友達付き合いならそこそこしっかりやっているつもりだ

剣「じゃぁメアド教えてくれないか?」

和「め・・・めあど?」

剣「メールアドレス」

和「・・・め、メールか・・・!」

メールになぜか緊張する和

剣「まずは友達第一歩ってことで」

和「お・・・おう」

・・・・・・
翌日

和「おはよう・・・」

剣「・・・おう・・・」

現在午前5:00

和「走ろう」

この早朝に来て「走ろう」って・・・

剣「あ~・・・もしかして喧嘩の練習の一環?」

和「そうだ。師匠として来た」

ならば拒否する権限はない

剣「わかった。準備するから待ってて」

急いでジャージに着替えてランニングの準備をする

玄関を出ると和が柔軟体操をしていた

なんだかとても心惹かれる光景だった

何よりスタイルがいい

和「来たか」

剣「お待たせ」

和「行くぞ」

和はさっさと走り出してしまう

俺は柔軟体操していないが・・・

ちょっと走るくらいなら大丈夫だろう

ちょっと走るくらいなら・・・

タッタッタッタ・・・

軽快に並んで走る

朝日が眩しい

横を走る和はポニーテールにしている

これもまた可愛い

和「少し聞きたいのだが・・・」

剣「ん?」

和「と・・・友達どうしはどんな会話をするんだ?」

なかなか難しい事を聞いてくる

剣「色々と・・・昨日見たテレビとか?」

和「テレビか・・・」

和「昨日は・・・ど、どんな番組を見た?」

剣「・・・昨日はなにも見てないかな」

和「・・・私もだ」

ただ無駄にしゃべると走っているので疲れる

と・・・いうよりどこまで走るのか?

タッタッタッタッタ・・・

さっきから和のペースは落ちない

剣(走り慣れているな・・・)

早朝の街を二人は走り続けた

剣「・・・はぁ・・・はぁ・・・」

和「もうばてたのか?」

随分走っても和は息切れ一つしていない

剣「いつも・・・どのくらい・・・走ってるんだよ・・・」

和「この3倍くらいだ」

化け物かよ・・・

剣「すげえな・・・」

和「速く走るのは苦手だが長く走るのは得意だ」

体力すげぇな・・・

和「喧嘩が強くなりたいのだろ?」

剣「そ・・・そうだけど・・・」

和「喧嘩は武道じゃない。ルールも無ければ勝敗もはっきりしない」

確かに・・・

和「体力が無ければ話にならないぞ?」

俺だって強くなりたい

もう怯えながら暮らしたくない

剣「よ・・・よし!頑張る!」

和「では再開しよう」

これ面白いかな?

なんか微妙な気がする

俺たちは一通り走ったあと元の俺の家の前まで帰って来た

和「ちゃんとシャワーを浴びてから学校に行くんだぞ」

剣「わかってるよ。てか和さんこれから家まで帰るの?」

あたりはもう明るくなり人もちらほら出てきている

和「そうだが・・・?」

和「えっと・・・それと私の名前は呼び捨てでいい」

唐突な提案・・・というより要望だ

剣「あ・・・えっと・・・の、和」

和「それでいい」

和はにこりと笑った

剣「どうせなら一緒に学校いかない?」

和「え・・・?」

剣「いや、友達・・・だし?」

和「そうか・・・そうだな!」

和「また剣が変な輩にからまれないように護衛も兼ねてな」

女の子に守られるってこれほどかっこ悪い事もない

剣「まぁ・・・特に深い意味はなく普通に親睦を深めるというか・・・」

和「なら30分後にここに来る。そうしたら一緒に行こう」

剣「俺が迎えに行くけど?」

和「私の家は少し遠いからな・・・。やはり私が来よう」

遠いって・・・どのくらい?

聞く前に和は走って行ってしまった

30分が過ぎたあたりで家のインターホンが鳴った

剣「じゃぁ行ってくるわ」

母「あら?今日は誰かと一緒なの?」

鋭い母

剣「まぁね」

母「彼女とかだったら嬉しいのになぁ~」

剣「残念、師匠だ」

母「師匠?」

剣「行ってきます」

玄関を出ると髪は束ねず下ろして眼鏡をかけた学校モードの和がいた

剣「おはよう」

和「・・・?今朝それは言ったぞ?」

剣「いいんだよ。朝会ったらおはようなの」

和「そうなのか・・・。では、おはよう」

不思議な朝の挨拶を済ませ俺たちは歩き出す

剣「和ってあまり学校で誰かと話してるところ見ないよな・・・。クラスの連中苦手?」

和「苦手・・・ではないが、何を話しているのかわからない時がおおい」

剣「例えば?」

和はすこし考えてから

和「例えば・・・ゲキオコプンプン丸とは何だ?日本史の教科書にそんな武将は居なかったはずなのだが・・・」

剣「ぷっ・・・!」

思わず笑ってしまった

よし

今日は頑張って一気にかく!

さて・・・

教室

彼女は本当に女子高生なのか?

そんな風に考えてしまうほど現代の友人関係が下手だ

女生徒「平和さん今日日直だよ」

和「あ・・・そうだった。わざわざすまない」

そこで会話は終わり女生徒は離れていく

剣「そっけな・・・」

和「いつもこんな感じなんだ・・・」

和の顔は寂しそうに見えた

和「そもそも何を話せばいいかもわからないからな・・・」

本当に友達がいないようだ

剣「テレビとかなんでもいいんだよ。どんな話題でも大抵盛り上がるからな」

和「そういうものなのか・・・?」

剣「練習として俺が相手になるから何か話して」

和「そ・・・そうだな・・・」

すこし考えてから

和「・・・何を話そう・・・?」

話題が見つからなかったようだ

剣「例えばさ・・・昨日学校帰ってから何した~?とか」

和「昨日は帰ったらお父様と実戦形式の練習をして・・・」

何やら特殊な臭いがする話だ

剣「実戦形式って・・・喧嘩の?」

和「そうだ。私の師は父だからな」

どうやら特殊な家庭のようで・・・

和「貴金属を付けたチンピラとの喧嘩を想定した練習でな。ネックレスやブレスレットを有効にこちらの武器として以下に手早く回収するか」

しばらく和は生き生きと語り続けた

和「そこでとどめにボールペンで首筋を・・・」

剣「いや、もういいよ」

見るとクラスの1/3くらいの視線がこちらに集中している

剣「・・・日常会話で喧嘩の話しとかダメな?」

和「それでは私がついていける話題が・・・」

その話題には周りがついて行けないだろう・・・

剣「とりあえず勉強しよう・・・。日常会話を。俺もサポートするから」

すると和は不思議なことを言い出した

和「それは剣が私の先生になるということか?」

剣「先生ってより・・・。なんだろ・・・?」

和「むしろ私から頼みたい。私に友人との付き合い方を教えてくれ」

頼まれたよ・・・

剣「いや、俺も友達付き合い得意な訳じゃないし」

和「いや!そんなことはないぞ!」

和「・・・私も・・・剣と居ると不思議と楽しいんだ」

剣「ほぇ?」

和「それはきっと剣が友達との付き合い方が上手いからに違いない!」

一瞬ドキッとした

剣「・・・ま、まぁ・・・俺が分かる程度なら。」

和「決まりだ」

こうして師匠と先生という奇妙な関係がスタートした。

翌朝

和「おはよう」

剣「おう・・・・」

朝は本調子にならない

てか、朝は苦手だ

和「朝は苦手か?」

剣「ああ・・・眠い・・・」

和「しかし私たちは学生だ。時間は限られている」

もっともだ

剣「わぁってるよ・・・。」

ぱちんっ!

自分で頬を叩いてめを覚ます

剣「よし、行こう!」

和「よし」

二人はまだ薄暗い街を走った

たったったった・・・

軽快なリズムで二人は走る

俺も何となく昨日より余裕がある気がした

実は昨日は少し早めに寝たのだ

剣「和は普段どんな練習をしてるんだ?」

喧嘩の練習なんて聞いたことが無かっただけあってちょっと楽しみだ

和「私は基本実戦形式の模擬戦を主に練習しているな・・・」

剣「実戦形式ってことは相手は?」

和「父の弟子が主な相手だ」

おいおい・・・父親に弟子がいるのかよ

剣「お父さんは・・・強いの?」

和「あれは鬼だ。」

多分相当強いのだろう

もしかしたら鬼という表現も比喩ではないかもしれない

剣「前にお父さんと実戦形式の練習やったって言ってたけど・・・」

和「殺されかけた」

そうですか・・・・

和「練習とはいえ本気だからな」

剣「・・・・・」

和「どうした?顔色が悪いぞ?」

剣「お、御手柔らかに練習お願いします」

和「・・・?」

この先の練習が不安だ

しばらく走ると昨日のコースとは違う道に曲がった

剣「こっち行くのか?」

和「そうだ」

俺は黙って和について行った

しばらく走って坂道を駆け上がると広い場所についた

俺たちの住んでいる街が一望できる

長年この地区に住んでいたがこんな場所は知らなかった

剣「ほぉー・・・!こんな場所あったんだな」

和「よくここで兄たちと遊んだことがある」

剣「兄がいるのか?」

和「姉もいる」

そういえばこんな話するの自体初めてか

剣「やっぱお兄さんたちも強いんでしょ?」

和「兄は体が生まれつき弱いが確かに強い。姉は・・・強い」

みんな強いのね

剣「へぇ~」

和「さて、構えろ」

へ・・・?

剣「な、何を?」

和「練習だ。どんなことをしてもいい。私を倒してみろ」

いきなりだなぁ

だが、そもそもここに連れて来られた時点でそのつもりだったのかも知れない

剣「よ・・・よぉし・・・!」

俺は宇宙の果てから地球を守るために飛来した巨大な宇宙人風のファイティングポーズをとる

剣「何でもありなんだな?」

一応聞いておく

喧嘩にルールなどないと言っていたがいざとなると不安がある

和「何でもありだ。私を押し倒して犯すつもりで来い」

なんですと!?

剣「お、おお!?」

和「まぁ万が一本当に私を倒せたらだが」

舐められてるな・・・

仮にも俺は男・・・!いや、仮ではなく男!

ここでやらなければ!!

変な闘志が燃え始める

剣「どぉぉぉりゃぁぁぁぁ!!」

勢いよく和に突進した

あの細い体ならパワーで勝てると踏んだのだ

直後、俺の視界はグルンと回った

ドシャッ・・・!

剣「あ・・・・?」

目の前には朝の空

そして背中の痛み

和「弱いぞ」

俺は一瞬で投げ飛ばされた

剣「うっそぉ・・・」

ゆっくり立ち上がると和が何だか残念そうな顔をしている

和「もう少しがんばれ・・・」

がんばれ・・・この場合は激励ではなく『不合格』とほぼ同じ意味をもつ

剣「も、もう一回だ!」

和「いいだろう」

再び宇宙人風ファイティングポーズをとる

むやみやたらに突っ込んでもダメだ

もっと頭を使ってインテリジェンスに考えてジーニアスな戦法で・・・

すると和が動いた

いや、その動きすら俺は捉えられなかった

一気に間合いがつまり再び視界が回る

ゴンッ!!!

地面に強く後頭部を打ち付けた

剣「・・・っ~!?」

視界が一瞬ノイズが走ったように揺れた

和「空きだらけだ」

そうか・・・宇宙人のファイティングポーズは空きだらけなのか・・・

剣「ま・・・まだまだぁっ!」

よろけながら立ち上がる

このまま素直に負けを認める訳にはいかない

和「うん、いいぞ。その気持ちこそ勝利への鍵だ」

何がいいのかさっぱりだ

和「父が言っていた。喧嘩に明確な勝敗がない以上自分が負けを認めない限り負けではない・・・と」

なるほど・・・喧嘩に明確な勝敗はないか

剣「よぉし!!もう一回だ!!」

再び突進する

和「だが・・・」

突進した俺の足元を片足で払われる

その動作だけで俺はすっ転んだ

和「それだけでは一向に勝てないがな」

俺は地面に激突した

そこで俺の意識は途切れた

・・・・・

剣「・・・・あれ?」

目が覚めたら俺は短い草の上に倒れていた

もう日が高く登っている

剣「やばっ!!」ガバッ

飛び起きると隣に和もいた

というより寝ていた

腕時計をみるともう学校が始まっている時間だ

剣「ちょ・・・和!起きろ!」

和「ん・・・?・・・気がついたのか・・・?」

目をこするその仕草がかw・・・ってそうじゃない!

剣「学校は!?」

和「・・・・あ」

二名遅刻決定

ゴールでんウィーク中に完結させるぞ!(目標)

結局俺たちが学校についたのは1時間目が終わった頃だった

友人「おっそいぞ」

剣「寝坊だ」

友人「平和とか?」

和「そうだ」

友人「・・・・・」

剣「・・・・」

なんてやり取りをして和はさっさと自分の席に着いた

友人「お前・・・平和と付き合ってるのか?」

剣「そんなんじゃねぇよ」

喧嘩の師匠だなんて言えない

なぜか?

そりゃぁきっと和だって今まで黙っていたのは・・・あれ?

友人「・・・・どうした?」

剣「和っていつも一人だよな・・・」

友人「そうだな・・・っていつの間に名前で呼び合う仲になったのよぉっ!」

なんて軽く流れてしまったこの話が意外にも重い話だったなんて俺は考えもしなかった

再び時間が飛んで昼休み

友人「おい剣!飯買いに行くぞ」

剣「一人で行けばいいじゃん」

友人「俺って一人でトイレ行けないタイプじゃん?」

剣「いや、知らんし。てか一人で行けないのかよ」

友人「連れションと同じ感覚で行こうぜ」

剣「俺は連れションしないしそんなのりで飯買いに行きたくないし」

友人「まきぞ~・・・お?」

剣「なんだよ・・・?」

友人「あれって平和じゃね?」

見ると和が複数の女子と一緒に歩いている

剣「なんだ。友達いるんじゃん」

友人「ちげーよ・・・」

友人は真面目な顔をしていた

友人「あいつらいっつもグループでイジメしてる奴らだ」

イジメ・・・?それに和が関わってるのか?

剣「和はイジメなんてするような奴じゃ・・・」

友人「馬鹿野郎・・・あれは明らかに平和がやられてるパターンだろ」

和がイジメられてる・・・?

むしろそっちの方がありえないパターンだ

剣「そんな馬鹿な。だって和は・・・」

そういえば俺は和のことをあまり知らない

知ってるのは喧嘩が強いことと、真面目でいい奴ってだけだ

友人「剣?」

剣「・・・本当に・・・イジメられてるのか?」

友人「いや、わかんねーけど。・・・その可能性が高そうだなって」

和は喧嘩は強いが人付き合いが苦手な節はあった

そういう奴ほどイジメる側からしたらいい標的なのかもしれない

剣「もし・・・本当にイジメられてるなら・・・」

友人「落ち着けって、ここは様子見だ。」

剣「・・・・」

友人「俺も幾つか当たってみるから」

まだ知り合ってそんなに経たない友人がとても頼もしく感じられた

剣「お前・・・ありがとうな」

友人「その代わり俺の名前早く憶えろ」

更新のペース早くしないと終わらんな・・・

ゴールでんウィーク中はハイペースで書きますんで

書き込めない?

書き込めた

・・・・・・
放課後

剣「たけしたけしたけしたけしたけし・・・」

和「おうっ・・・?どうした?」

剣「お、たけしか」

和「私は和だが」

剣「・・・・そうだな。すまんかった」

頭の中で和のことと、友人の名前『たけし』のことを交互に考えていたらどこかで混線してしまったようだ

和「たけしって誰だ?」

剣「ほら、いつも俺と一緒にいる奴」

和「あ~・・・あいつか」

俺は今もう一つ考えていたことを聞くべきか迷った

剣「あのさ・・・」

和「なんだ?」

剣「その・・・」

中々言葉が出ない

剣「えっと・・・そのぉ・・・」

言えっ!!俺、早く言えっ!!

和「なんだ?」

剣「・・・飯いかないか・・・?」

言えなかった

そりゃそうだ

いきなりお前いじめられてるだろなんて聞けるわけがない

和「外食・・・ということか?」

剣「そんな大層なもんじゃないって」

俺は何を言ってるんだ・・・

和「ふ、普通の学生ならそういうことをするのか?」

何でこいつ緊張してんだ?

剣「まぁ普通だわな」

和「ふっふふ、普通か・・・」

なんか笑ってる様にも見えるが・・・

剣「ど、どうする?」

和「い、行きます」

ギクシャクしながらも俺たちは一緒に夕食を取ることになった

・・・・・・
結局俺たちはファミレスに来た

和「こっ・・・これ全部頼めるのか!?」

剣「流石にそれは高い。せめて何品かにしてくれ」

和「わかった」

よくわからんがすごいはしゃいでいる気がする

和「ドリンクバーって飲み放題なのか!?」

いや、完全にはしゃいでいる

和「これでは店の儲けがないぞ」

剣「そこは大丈夫だろ」

和「そういうものなのか?」

剣「そんなもんだ」

和「このボタンはなんだ?」

呼び出しのボタンを指差して楽しそうに聞いてくる

剣「自爆スイッチだ」

和「じっ・・・自爆!?」

なんか信じたww

剣「最近物騒だろ?そのために自爆スイッチがついているんだ」

和「な、なにが爆発するんだ?」

剣「この店だろ」

和「おぉぅ・・・」

和はそーっと呼び出しボタンを遠ざけた

なんか面白い

剣「注文決まったか?」

和「決まった」

剣「じゃぁ・・・」

呼び出しボタンを押した

和「・・・!?」

ぴろりろりろ~・・・

和「・・・・・爆発・・・?」

とっさに頭を守ってテーブルの下に隠れた和が不思議そうにキョロキョロしている

剣「・・・」

和「お・・・おい、剣・・・爆発は?」

だめだwwこいつ面白いww

剣「ごめん、爆発なんて嘘。本当はよb・・・」

ズシャッ!!

玉に激痛・・・

テーブルの下から玉を殴られたようだ

和「・・・次そんなことしたら許さん」

剣「お・・・おぅ・・・」

ウエイター「あの・・・ご注文は?」

ウエイターの兄ちゃんにカッコ悪い所を見られた

ウエイター「ってあれ?」

和「あ・・・」

ウエイター「和じゃん!」

剣「え?知り合い?」

和「ま・・・まぁ・・・」

ウエイター「知り合いなんてもんじゃないじゃん!」

なんかすげー親しそうな・・・

ウエイター「ってかお前もこんな所来るんだなぁ~」

和「つ、剣に誘われて」

ウエイター「ほっひょぉ!君が剣くんなんだぁ!」

なんか話が勝手に進んでいる

剣「えっと・・・あなたは?」

ウエイター「俺は和の父親だ」

剣「うえぇぇぇぇぇ!?」

若い・・・!

若すぎるだろ!?

俺より少し年上にしか見えないこのイケメンが和の父親なのか!?

和「違う、兄だ。兄の悟だ」

悟「あら、もうバラしちゃうのか。」

剣「・・・・」

なんか面倒くさそうな奴が登場したなぁ

悟「改めまして、和の兄の悟です。サトちゃんって呼んでね」

剣「てか兄妹居たんだ・・・」

悟「あれ?聞いてないの?俺のもう一個上に姉もいるよ」

聞いてねぇ~

和「いや・・・いずれ伝えようかと」

剣「いや、別に良いんだけどさ・・・」

「こらっ!!バイト!!真面目にやれ!」

店の奥から髭もじゃのおっさんが叫んでいる

悟「おわっと・・・やべ!ご注文は?」

注文を伝えると

悟「え・・・和それだけでいいの?」

和は正直十分すぎるほどのメニューを注文していたのだが

悟は変な顔で和を心配している

悟「体調が悪いのか?お腹痛いとか?」

なんかすごい心配されている

悟「もっとたのまないのか?お金だったら俺がおごってやるから心配すんな」

普段はもっと食べるのだろうか・・・?

和は顔を赤くしてうつむいている

悟「ほら、いつもならご飯三合は食べるじゃん」

剣「マジで!?」

三合って・・・一人で!?

悟「まじよ、おおまじ!だからどこか調子悪いのかなって・・・」

和「・・・・っ!」

あ・・・なんか泣いてる・・・

和「兄さんなんて嫌いだっ!!」

ダッ!!

席を立って店を出て行ってしまった

剣「え・・・ええ!?」

悟「やっべ!怒らせちゃった!」

すかさず俺も後を追う

剣「お、おじゃましました!」

悟「あ、うん。またおいで~・・・」

走って追いかけるが・・・

剣「は・・・速い・・・」

いや、実際速いのではなく速度が落ちないのだ

一か八か・・・

剣「くぉりゃっ!!」

全力疾走!

みるみる二人の距離が縮む

そして・・・

剣「のどかっ!!」

肩を掴んだ!

振り向かれた!

足を払われた!

走っていた勢いのまま投げられた!

俺は飛んだ!

意識も飛んだ・・・

・・・・・

剣「・・・・・ん?」

目が覚めたら俺は公園のベンチに横になっていた

目の前には・・・

和の顔があった

和「・・・スー・・・スー・・・」

どうやら寝てるようだ

さっきまでないていたのか目の周りが赤い

剣「ん?」

よく考えると今のこの状況は・・・

膝枕!?

頭の下には和の太もも・・・

剣「なんだ・・・俺は死んだのか・・・」

だってもう天国にいるし・・・

そうだ、きっと死んだんだ・・・

悟「目は覚めたかい?」

暗くなった公園の砂場に悟さんがいた

剣「え・・・まぁ・・・」

体を起こしながら怪我がないことを確認する

悟「ごめんね。俺のせいで君にも和にも迷惑かけりゃって」

どうやらさっきの言動を反省しているようだ

悟「和が泣きながら店に帰ってきた時は何事かと思ったよ」

その後悟さんはバイトを切り上げて俺をここまで運んでくれたらしい

悟「和もそうとう謝ってたけど悪いのは俺だ。いろいろとごめんね」

剣「大丈夫です」

となりで座ったまま寝ていた和が隣に座っていた俺の肩に頭を乗せる形でおっかかる

悟「和の友達って本当に居なくってね。・・・ほら和って無愛想じゃん?」

これは・・・終わるのか?

剣「無愛想・・・まぁ人付き合いは得意じゃなさそうですけど」

悟「昔っからあんな感じでね・・・。高校に入ってからは特に元気が無かったんだ」

それってやっぱりいじめがあるってことなのか?

悟「でも最近時々ご機嫌なときがあってね。」

悟「弟子が出来たって喜んでたよ」

弟子・・・あ、俺か!

剣「そうなんですか・・・」

悟「あと弟子が先生になったとか。」

先生・・・か

剣「俺・・・まだ和に何もしてやれてないんです・・・」

悟「それは先生としてかな?」

俺は黙って頷く

遅くなって申し訳ない

なんかでっかい規制があったみたいだね

剣「俺・・・そもそもそんな友達付き合いうまい訳じゃなくて」

悟「そうじゃないと思うよ」

剣「え?」

悟はさっきまでのヘラヘラした感じではなく急に真面目になって俺を見ていた

悟「和は不器用だからさ・・・素直に友達になってくれって言えないんだよ。それに君と一緒にいるだけで友達との付き合い方はしっかり学んでいると思うしね」

剣「そ、そうですか・・・?」

その時・・・

チンピラA「お?その子彼女?」

いきなり変な奴らが話しかけてきた

チンピラB「おいおいお前見境なさすぎだろww」

チンピラA「だってかわいいじゃんw」

何だこいつら・・・

チンピラA「ねぇ?彼女なの?」

剣「違う・・・けど」

チンピラA「彼女じゃないってよ!」

チンピラC「えwマジでwwゲットのチャンスじゃん!」

和「ん・・・?」

和が起きた

チンピラA「ねぇ!一緒に遊ばない?」

和「なんだこいつら?」

チンピラC「ぶっはwwこいつらだってww」

和「なんなんだ?」

剣「ぶっちゃけ絡まれた・・・って感じ?」

チンピラA「男、お前には用はないからwねぇ彼女遊ばない?」

和「断る。」

チンピラB「振られてやんのww」

ゲラゲラと君の悪い輩だ

その時悟がチンピラAの腕をつかんで

悟「やめてよ。うるさいし」

チンピラA「ああ?なんだてめ?」

悟「うっせぇから失せろって言ってんだよ」

悟の顔は笑っていたが・・・

チンピラC「こいつ喧嘩売ってんじゃね?」

チンピラA「まじかww」

チンピラAは何処かに電話をかけはじめた

チンピラA「あ、もしもし?ちょっと来てくんね?」

剣「やばいって、なんか仲間呼んでるみたいだし!」

しかし和は全く動じない

そりゃぁ和は強いけど複数相手なんて部が悪すぎる

それなのにこの兄妹ったら全く動じない

和「大丈夫だ。今回私は何もしない」

え・・・?

和「何やら兄さんがやる気らしいしな」

お兄様も強いのだろうか・・・?

そんなことを考えてるうちに近くにいたのだろうか10数人のチンピラが公園に大集合していた

チンピラA「あれ?なんで逃げなかったのww」

悟「たった15人か・・・」

チンピラH「こいつらボコれはいいのか?」

チンピラA「そうそう、女いがい二人ともボコっていいよ」

ちょ・・・俺も攻撃対象なんだ・・・

青い顔をしていると

和「心配ない。兄は私より強い」

まじか・・・でも和が何もしないって事は15対1じゃないか

悟「最初に言っておく。これは喧嘩だ。武器を使おうが卑怯な攻撃だろうが・・・何でもありだ。」

そんなこという前からナイフやらいろんな武器をチンピラは持っている

剣「絶対やばいって」

悟「さぁ、かかって来な」

笑顔で悟は言った

「「「うおおぉぉぉ!!」」」

よくあるなんとか戦隊とかライダーでも複数対1はみるが

あのシーン実はよく見ると1対1を連続しているだけだ

百人組手とかそんな感じ

今の状況はまさに・・・リンチ

数の暴力とはこういうことだ

和「よく見ておけ・・・あれが・・・」

悟の動きはまさに疾風だった

敵の攻撃をするりと避けて一瞬でとどめを刺す

攻撃を仕掛けている筈のチンピラ達が自ら隙を作っているようにさえ見える

剣「つ・・・つえぇ・・・」

和「あれは兄さんの『烈風拳』だ。あんな動きについていける奴はまず居ないだろう」

剣「和より強いのか?」

和「段違いだ」

その短いやり取りのうちに悟はほとんどのチンピラを戦闘不能にしていた

チンピラC「こ・・・こいつ化け物だっ!!」

残りは走って逃げて行った

悟「一昨日来やがればーか!」

流石は和の兄・・・

単にふざけた奴では無かったのだ

悟「いやぁ~久々で・・・」

悟が倒れる

剣「ちょっ・・・!大丈夫ですか!?」

悟「俺・・・生まれつき体が弱くてね・・・。ちょっと激しく動いただけでこんな感じ・・・」

和「剣、済まないが一緒に兄さんを家まで運んでくれないか?」

剣「え・・・ああ、分かった」

二人で両側から悟を支える

悟「こりゃもうダメかもな・・・。烈風拳は封印かも・・・」

剣「でもすごいカッコ良かったです。」

悟「本当に?」

剣「はい」

悟「あ~俺も剣くんみたいな弟子が欲しいなぁ~」

和「剣は私の弟子だ」

悟「わかってるよ~」

それから俺はどれくらい歩いただろうか・・・?

気がつくと高級住宅街に来ていた

剣「もしかして・・・平和家ってすごいお金持ち?」

悟「そだよ~」

一体どれが平和家なのか・・・?

この辺はどこもかしこも豪邸ばかりだ

そもそもこんな高級住宅街にくること自体が無かったのでさっきから緊張しっぱなしだ

悟「あ、剣くん。もう歩けるから大丈夫だよ」

剣「あ、そうっすか」

悟を下ろす

ぶっちゃけ疲れた

悟「なんかこんな風に歩いてると俺たちカップルみたいだね」

和「男どうしでも交際することがあるのか?」

悟「そんなん日常茶飯事よ」

剣「てきとーなこと言わんで下さい」

和「ふぅむ・・・」

悟「大丈夫だって!和の彼氏とったりしないよ~!」

和「いや!彼氏などではない!」

剣「そんなに強く否定しなくても・・・」

そんなこんなで前を歩いていた悟と和の足が一件の豪邸の前で止まった

でっかい門をくぐって和風庭園をずんずん進んで行く

剣「お・・・俺も入って来ちゃっていいの?」

和「大丈夫だ。うちは弟子も家族の一員というスタンスだからな」

剣「おぉぅ・・・」

この家の庭が、池が、植木が・・・すべてが俺を威圧してくるような感覚だ

「あ、お帰り」

広すぎる庭(玄関にはまだたどり着かない)のすみに女性が立っていた

きっと和の姉なのだろう

悟「いやぁ~久々に本気だしちゃったらなんか疲れちゃって~」

和「ばてた兄さんをそこまで剣が運んでくれたんだ」

女性は俺を見つけると

女性「あなたが和ちゃんのお弟子さん?」

剣「あ・・・どうも諸刃 剣(もろは つるぎ)です。和し・・・師匠に喧嘩を教えてもらってます」

和「師匠なんてつけなくていい」

なんか和が照れてる

悟「剣くん苗字諸刃っていうんだ~」

もしかしてもう苗字でてたかな・・・?

既に出てたらすまん

女性「じゃぁお父さんに合わせるの?」

剣「えっ?」

和「そのつもりだ」

悟「じゃあ俺は静ねーちゃんよんでくっから!」

女性「あ、静ちゃんなら今日はお仕事行ってるわよ」

ん?

悟「じゃあねーちゃん不参加ってことで」

剣「あ、あの・・・」

悟「なに?」

剣「一体何人兄妹なんですか?」

悟「三人」

三人か・・・

あれ?

剣「えーっと・・・和が一番末っ子・・・だよね?」

和「そうだ」

剣「その一個上の兄が・・・悟さん」

悟「いぇす」

剣「そして・・・・」

この女性は・・・?

女性「で、悟ちゃんの上に静ちゃんっていうお姉さんもいるのよ」

だからあんたは・・・?

剣「ええっと・・・失礼ですがあなたは?」

女性「あ、私?申し遅れました。その三兄妹の母です」

え~・・・・

ええ~・・・・

ええっっっっ!?

わ・か・い!?

あれ・・・この反応前にもしたような・・・

剣「わかったぞ!本当はお姉さんですね!」

主に立ち絵と背景から構成されるあの人気裁判ゲーム張りの指差し

そしてドヤ顔

和母「あら~うれしいこと言ってくれるわね~」

凄く嬉しそうにニコニコしている

剣「あ・・・あれ?」

和「何を言う?本当に母だぞ?」

剣「ないない」

悟「いや・・・マジで」

剣「ないない」

俺は既に現実から逃げ始めていた

とりあえず母なのか姉なのか(まだ疑っている)わからん女性が俺たちに合流し4人でお屋敷の庭の中を歩いて行く

俺は緊張のあまり小動物のように3人について行った

剣「ま・・・まだか?」

和「まだだ」

剣「お、おい・・・もう帰ろうぜ」

悟「ここまで来たんだからお父さんに挨拶して行かなくちゃね」

剣「・・・・」ガクブルガクブル

遠くからドカドカドカ!!って感じの音が聞こえる

剣「何だ・・・?」

和「稽古の音だ」

剣「稽古・・・?」

音は次第に大きくなって行く

しばらく進むと・・・

剣「でっけぇ・・・」

大きな和風の建物があった

少し離れたここからでも凄まじい爆音が響いている

悟「さ、はいろ」

剣「入って良いんですか?」

和「お前はもう平和流喧嘩術の門弟だからな」

知らぬ間に物凄い肩書き?がついている

ガラガラ

引き戸を開けると爆音はより一層凄まじくなった

ドガガガガッ!!!

剣「うわっ!?」

「やめーいっ!!!」

音が一斉に止んだ

「10分休憩!休憩の後1対1の実戦形式稽古!」

「「「はいっ!!!」」」

すっげー迫力だ・・・

「ん?なんだ?」

ごっついおっさんがこっちに気がついて歩いて来た

和「私の弟子を連れて来ました」

「ほぅ・・・」

おっさんは岩石魔人というか・・・ゴリラというか・・・とにかくそんな感じのおっさんだった

和父「和の父だ」

剣「あ・・・諸刃・・・剣です」

物凄い威圧で顔を直視できない

和父「おい!岩石!!」

岩石「はいっ!」

これまたごっついおっさんが呼ばれて近寄ってくる

和父「こやつを少し試してやれ」

剣「え・・・!?」

和「待ってください!」

和が割り込んできた

和「剣にはまだ殆ど戦闘術を教えて居ません!今岩石さんの相手をさせたら・・・」

和父「だから試すのだ・・・」

和「しかし!」

悟「お父さん・・・流石に無理があります!」

なんだか俺は物凄い擁護されているみたいだ

岩石「どうなさいますか?」

和父「構わん。」

和「お父様っ!!」

岩石「御嬢大丈夫です。殺しはしません」

和「ぐっ・・・!」

これ以上和もかばえないらしい

俺は覚悟を決めなければならなくなった

・・・・・・

おそらくここの門下生達が見守る中、俺の初稽古が始まった

岩石「10分だ・・・」

剣「え・・・?」

岩石「10分耐えたらお前の勝ちにしてやる」

そのくらいのハンデもらわないとやってらんない

剣「お・・・お願いします!」

一か八か・・・特攻あるのみ!!

俺は勢い良く床を蹴り岩石に組みかかった

剣「おおおおりゃぁぁぁ!!」

岩石「ふんっ!!」

次の瞬間には視界が上下逆転しそのまま俺は投げ飛ばされた

ドガッ!!

道場の壁に背中から激突し呼吸がつまる

剣「がはっ・・・!!」

「「「ああ~っ!!」」」

周りからよく分からない声が上がる

岩石「勝負あり・・・だな」

くっそ・・・この程度でダウンしたら・・・和に合わせる顔がない!

まだ何も教えてもらってないけど!

身体だけは頑丈だってことを証明してやる!!

俺は再び立ち上がった

背中と左腕に痛みが走る

岩石「立つか・・・」

岩石がゆっくり近づいてくる

俺はウルトラなんとかのファイティングポーズをとる

一瞬のうちに近づいた岩石に腕を取られ頭上に軽々持ち上げられる

剣「う・・・うそっ!!」

そのまま床に叩きつけるつもりだろうか・・・?

流石にそれを食らったら死ぬ

和「剣っ!!」

和の叫びが聞こえた

その時・・・

俺の中で何かが吹っ切れた

剣「おぉぉぉぉぉぉっ!!!」

空いていた左手で岩石が着ていた道着の襟をつかんで床に叩きつけられる寸前に昆虫のごとくしがみついた

おんぶの前後逆の状態で岩石にしがみつく

岩石「なんだっ!こいつ!?」

必死に引き剥がそうとするが俺は四肢をフルに使って岩石の顔面にへばりついた

・・・・・

剣の奇想天外な粘りに私たちは度肝を抜かれた

悟「なんて奴だ・・・」

和父「だが・・・アリだ」

和「お父様・・・」

父が笑っている

和「しかしあのままでは埒が明かないぞ・・・」

すると・・・岩石さんの動きがなんだか慌て出した

「どうしたんだ?」

「岩石さんなんか苦しそうだぞ!」

悟「そうか!」

和「兄さん?」

悟「剣くんは岩石さんの呼吸を封じている!!」

和「あっ・・・!」

鼻も口も剣が塞いでいるので呼吸が出来ずに岩石さんは苦しんでいるのだ

悟「なんて外道な・・・」

ザッ

父が立ち上がった

和「お父様・・・どこへ?」

和父「家に戻る・・・。奴は合格だ」

和「・・・はい!」

程なくして岩石さんはギブアップした

・・・・・

剣「だ~っ・・・死ぬかと思った!」

「まさかあんな外道な技を使うなんて・・・」

「なんて新入りだ・・・」

「センスのかけらもない」

門下生達に散々な言われようだ

すると呼吸を整えた岩石がドスドスと足音を立てながら近づいてくる

絶対に怒ってるだろうな・・・

あんな外道技つかったんだし・・・

岩石のは手を差し出した

それは拳でも平手うちでもなく握手だった

岩石「お前さんの使った手段。確かに外道だが・・・この世界、喧嘩を極める世界ならアリな手段だ」

剣「あ・・・えっと・・・」

とりあえず怒ってるなさそうだ・・・

俺は岩石のごっつい手を握り返した

岩石「ようこそ・・・。お前さん名前は?」

剣「剣です。諸刃 剣」

岩石「剣か・・・よろしくな!」

なんだかんだで俺の初稽古はうまく行った

はずだった

「剣は悟さんの弟子なんだろ?」

剣「いや・・・和・・・師匠の」

「え・・・?」

「え・・・?」

剣「え・・・?」

どうやら和に入門を志願する者は沢山居たようだが全て断られていたらしい

志願した理由はわからないがともかく人気なのだ

その和に唯一弟子入りできた俺は一時避難のラッシュを浴び続けた

翌日

剣「おはよー!」

和「ん、おはよう」

ここのところ毎朝一緒に登校している

どっちが言い出した訳でもないが一緒に登校するのが習慣になりつつある

剣「いて・・・」

昨日のダメージが残っているせいか全身が軋むように痛い

和「大丈夫か?」

剣「ああ、骨折れてないのが奇跡なくらいだ」

和「一応技の受け方は教えたつもりだったのだが・・・」

それで散々俺をぶん投げてくれた訳だ

剣「あのおっさんの投げ方と和の投げ方じゃぁ全然違うじゃないか」

和「ほぉ・・・!違いが分かるか?」

なんか驚かれた

剣「なんて言うか・・・。おっさんのは怪力ゴリラドーン!って感じで。和のはピタゴラスイッチ的な?」

和の顔が「なにいってんだこいつ」みたいな顔になった

和「わからんが多分正解だ」

やっぱり伝わって無かった

和「私の投げ方は主に相手の勢いと力、自分の体制を利用して投げる方法だ」

剣「そう!それがピタゴラスイッチ」

和「岩石さんの投げ方は力で相手を叩きつける。シンプルだが腕力が無いと出来ない」

剣「それが怪力ゴリラ!」

和「怪力ゴリラっ・・・ぷっ!」

なんかうけた

剣「怪力ゴリラ怪力ゴリラ怪力ゴリラ」

和「や、やめろ・・・」

おそらく再び岩石の顔が思い浮かんだのだろう

和「・・・ぷっ・・・!!」

いつ書くの?

今でしょ!

幽霊のときとかより更新遅いけど忙しいのか

まぁ俺には怪力ゴリラな投げ方は出来ない

やはり師匠である和のピタゴラスイッチを学んだ方がいいだろう

剣「そういや悟さんの技には名前があったね・・・疾風ビュンビュン丸だっけ?」

和「烈風拳だ」

剣「和の技には名前ないの?」

和「・・・激流拳・・・だったかな」

剣「曖昧なのかよ」

和「父の師匠が適当に考えた名前らしい。だから大した意味はない」

ん・・・?父の師匠?

剣「親父さんはどんな技を使うんだ?」

和「全部で4つ。烈風拳、雷光脚、激流拳、そして獣王剛覇拳だ」

剣「最後のやつやばそう」

和「そのとおり、やばい」

剣「やばいのか」

和「やばい。・・・死ぬくらいやばい」

剣「それはやばいわぁ・・・」

ほどなくして学校に到着した

>>186
やばいぞ

すっげー忙しい

イソプロピル・・・

しばしまたれよ

ノリと勢いの勢いが全くなくなってしまったことを反省している

事は玄関で起こった

剣「でさ、やっぱりしゃちほこは・・・」

下駄箱を開けて靴を取り出す

そして中を隅々までチェック

なぜかって?

もしかしたらラブレターでも入ってないかな!?的な希望だ

見ると和がまだうちばきを履いていない

剣「どした?」

和「・・・・・」

なんだか青い顔をしながら少し考え込んでいるようだ

剣「のd・・・」

和「しまった・・・!今日は家で予定があったんだ・・・!」

なんかバレバレの嘘で帰ろうとする和

剣「お、おい和!」

和の腕をつかむ

一瞬また投げ飛ばされるかな?と思ったが振り返った和は・・・

泣いていた

そして和の下駄箱を開ける

なるほど・・・

剣「こういうことよくあるのか?」

なるべく優しくたずねる

和「・・・・」コクン

和は黙って頷いた

和「しかし・・・私は何も悪いことなんて・・・」

そもそも和がいじめられる理由が分からん

あれか?可愛いから嫉妬してるのか?

だったらなおさらたちが悪い

和「・・・・」

剣「俺が助けるよ」

和「・・・え?」

剣「俺がちゃんと助ける。」

和をお姫様抱っこで持ち上げる

和「ちょ・・・剣!?」

剣「うちばきがないならしょうがねぇ。俺が席まで運んでやる」

幸い日頃のトレーニングのおかげで和を軽々持ち上げられた

和は必死にスカートを抑えながらいろいろわめいていたが教室につく頃には大人しくなっていた

ここまでの道のり視線が集まっていた気がするがそんなのかんけいない

俺は足で勢いよく扉をあけた

剣「うぉっす!」

元気良くあさの挨拶

同級生男「おはようなg・・・なにやってんだ?」

クラス中が入り口の俺たちに気がついた

なかから高い叫び?が上がる

「え!?平和さんと諸刃くんって付き合ってたの!?」

剣「違うこいつのうちばきが隠されてさ」

「まじで!?女子の上履きを隠すなんて・・・だれだ!?そんな変態!!」

「まじで付き合ってるの!?」

和「まぁ・・・詳しくは言えないが特別な仲だ」

「キャー!!」

ちらっといじめ女子グループを見ると何やら悔しそうなツラをしてる

和の席にゆっくり下ろすと

和「あ・・・ありがと」

なに顔を真っ赤にしてやがんだ

剣「これも修行のうちだな」

たけし「剣」

友人としてしか認知されていなかったこいつはたけしという名前だ

最近覚えた

剣「おう、おはよう」

たけしが上履きを差し出した

和のものだ

たけし「今朝あいつらがこそこそ掃除用具いれでなんかやってるなと思ったらそれがあった」

たけしが上履きを見つけてくれたらしい

剣「サンキュ」

俺は上履きを受け取ってちょっと匂いをかいだ

剣「・・・女子って俺たちとは根本から何か違うよな?・・・成分?」

直後和にぶん殴られた

ちょっと忙しい週間なのだが

待ってくれているなら少し書くべし

実は俺はいじめられっ子だった

たかられたこともあれば今の和見たいに物を隠されたりもあった

だからこそ今の和は見捨てられない

剣「反撃するぞ」

和「ん?」

今は昼時

二人で机を合わせて飯を食っていたところだ

和「反撃というのは相手の攻撃を受けてから攻撃することだぞ?私はまだ何もお前に攻撃をしていないが・・・」

剣「そうじゃない。あのうちばきを隠したクズどもに反撃をするんだ」

和「!?」

和「しかしだな・・・実力行使に出たりしたら私やお前は退学に・・・」

オロオロしながらどうにか俺を止めようとする和

剣「だいじょぶだ。目には目を、歯には歯を・・・嫌がらせには?」

和「・・・だが私は姑息な行為は嫌いだ・・・」

根っからの真面目ちゃんだな・・・こいつ

剣「だいじょぶだって。さっきも言ったじゃん反撃だって」

和「反撃・・・」

剣「反撃ってよりもカウンターかな・・・」

和「・・・私は・・・」

和「剣を・・・先生を信じるぞ」

そうだったな。俺は友達付き合いの先生なんかも請け負ってたな

ならなおさら今の和は放置できない

下校時

剣「嫌がらせのリーダーは屑沢と悪井の二人なんだな?」

たけし「おう・・・てかなにするわけ?」

剣「嫌がらせってのはな、失敗したらエスカレートして第二、第三とあるもんなんだ」

たけし「ほぉ・・・」

剣「そこでカウンターを食らわしてやるわけよ」

たけし「なるほど・・・で?どうするんだ?」

剣「和は毎日教科書全部もちかえる真面目ちゃんだからな。標的は靴か机しかないわけだ」

和「で・・・私の上履きを隠すのか?」

剣「いや、まぁ俺に任せなって」

普通に帰り支度をして帰る

どうやらもう屑沢も悪井も帰ったようだ

剣「ここで・・・」

帰り道

剣の右頬が真っ赤に腫れている

和の靴をまた嗅ごうとしたら殴られたのだ

たけし「お前もこりないね・・・」

剣「なんかいい匂いだったんだもん・・・」

和「変態」

ちゃんとトラップは仕掛けた

あとはせいぜいしっかり引っかかってくれることを祈るだけだ

剣「ふひっ・・・ふひひひ」

和「・・・変態・・・」

平和家

剣「え?今日の修行は悟さんに教わるの?」

和「すまないな。私も自分の修行があるので度々兄や姉に見てもらうことがあるかもしれん」

剣「大変なんだな」

和「おまえもすぐに大変になるさ」

なんか怖い

和「じゃああとは任せた」

悟「まかされて!」

剣「じゃぁな・・・」

和「・・・うん・・・」

悟「じゃー俺と楽しく修行しよっか!」

いじめっ子の名前を実際にありそうな名前にしたくないのよ

もし屑沢さんや悪井さんがいたらごめんね

くーるー

ベシッ!

剣「ぺぎゃっ!!」

ゲシッ!!

剣「ぱぎゃっ!!」

道場では剣がフルボッコにされていた

というより1対応1の練習で剣が弱すぎるのだ

剣「くっそ・・・まだまだっ!!」

烈風拳の門弟の中でも最弱らしい男が相手なのだが

それなりに訓練を積んでいるのでやはり強い

シュババッ!

烈風拳独特の素早さで右腕を絡め取られる

そのまま投げのモーションに入ろうとする門弟

剣「おんりゃぁっ!!」

剣はほぼ無我夢中で手足を動かした

門弟「のわっ!?」

ドターンッ!!

剣「うぅっ・・・」

目を開けると道場の天井が見えた

剣「また負けた・・・」

すると剣が倒れている床が動いた

いや・・・剣の下に門弟が先に倒れていたのだ

剣「わわっ!・・・すみません!」

門弟「いや、まさかあの体制から投げられるとは」

悟「あれ?和はまだ攻撃は教えてないって言ってたのに」

どうやら俺は投げられているうちに無意識に投げ方を覚えたらしい

剣「ちゃんと練習になってたんだな・・・」

それだけじゃない

今まで毎日やってきたランニングとかも基礎体力や筋力がついてきたので成果がではじめている

悟「そのうち烈風拳まで覚えちゃうかもね~」

ヘラヘラしながら悟は言っていたが・・・

悟は半分本気だった

剣にはセンスがある

正直弟子に取りたいほどに

悟「でも剣くんは和のものだしね~」

剣「・・・はぁ・・・?」

剣の練習はつづく

ほんとだ!
間違えてた

剣宅

「起きろ」

剣「ぐか~・・・」

「起きろ!」

剣「ふが~・・・」

「お・き・ろっ!!」

剣「んがぁ・・・?」

剣は巨大なバームクーヘンの森でヘラクレスオオカブトとかくれんぼをする夢から覚めた

和「おはよう」

剣「あ・・・うん、おはよう」

なんか和が俺の家にいる・・・

まだ夢の中なんだな・・・

さて、もう一度ヘラクレスに・・・

剣「あれ・・・?」

和「どうした?」

剣「どうやって忍びこんだ?」

なぜ和がいるのか・・・?

和「今日はやけに出てくるのが遅かったので呼び鈴を鳴らしたら剣のお母様が出て来てな」

あとはだいたい分かった

和「なんだかよくわからんうちにここに通された」

時計を見るともうランニングの時間を過ぎている

剣「やべっ!ごめんな!」

和「別に構わない。昨日はずいぶん痛めつけられたみたいだしな」

俺の顔や身体にはアザがたくさんできている

剣「えっと・・・もう時間的にも余裕ないけど」

和「そうだな・・・じゃぁ朝の練習は無しにして夕方その分キツイのを」

剣「うげぇ・・・」

ガチャ

剣母「和ちゃんご飯食べていく?」

ノックも無しに母がズケズケ入ってくる

和「いえ・・・これからまた家に戻らなくてはいけないので」

剣母「あら、そうなの?」

和「制服に着替えたりしなくてはなりませんし」

剣母「なら仕方ないわね」

和「お気遣いありがとうございます」

剣母「和ちゃんはどのあたりに住んでるのかしら?」

和「望金町(和の家がある高級住宅街)です」

剣母「あらら?もしかしてお嬢様なの」

剣「そーだよ。和のうちはちょー金持ちなんだ」

剣母「あんたにはもったいない彼女ね」

剣「彼女じゃねーし」

剣母「彼女にしちゃいなさいよ。ま、あんたには無理かもだけど」

剣「なっ・・・!」

剣母「あーあ、どうしてうちの子はこんなにフツメンなのかしら」

剣「フツメンなのは半分母さんのせいでもあるだろ!」

剣母「はんっ!母さんににたらもっと綺麗な顔立ちしてるわ!」

剣「なんでそんなに自分の顔に自身があるんだよ!そもそもドモホルンリンク○でドーピングしてるくせに!」

剣母「ドモホルンリンク○は気休めにしかなりませーん!実際CMでもスポットライトガンガンでしわごまかしてるだけよ!」

剣「謝れー!!全国のドモホルンリンク○愛用者と関係者に謝れー!」

和「あの・・・」

剣「ドモホルンリンク○は研究者が汗水流して作り上げた最高傑作なんだよ!その研究者までばかにする気かー!!」

剣母「結局人間老いには勝てないのよ!ドモホルンリンク○だろうがオロナミン○だろうが気休めなのよ!!」

剣「オロナミン○は関係ないだろー!!俺は好きなんだぞ!オロナミン○!!」

剣母「あんなんCCレモ○の濃いバージョンじゃない!そんなに濃いジュースが飲みたかったらファン○飲みなさいファン○!!」

剣「俺は胃がよえーからたくさん飲めねぇんだよ!!少量に旨さを凝縮したオロナミン○が一番なんだ!!」

和「一旦・・・帰るから・・・」

謎の争いの中和は静かに去って行った

その後もう一度和がうちにきた

流石にもう待たせる訳にもいかなかったので俺は家の前で待っていた

和「おはよう」

剣「うっす」

学校モードの和をみてふと疑問が浮かんだ

剣「なんでいつもみたいに髪束ねないんだ?」

和「ああ・・・」

髪をいじりながら和は

和「束ねたほうが・・・好きか?」

好きかと聞かれてもな・・・

剣「まぁ、俺は束ねた方が可愛いと思うけどな」

特に深い意味は無かったが「可愛い」という言葉は少しストレートすぎた

和「かわっ・・・かわ・・・」

剣「あ、時間ないから早く行こう。今日はトラップの具合いが気になるしな」

和「かわ・・・」

学校についたら案の定・・・

和「また無い・・・」

和の上履きは無かった

剣「かかった」ニヤリ

和「は?」

トラップの内容を知らない和はポカンと俺を見つめている

そろっとネタバラシだ

剣「よし、教室いくぞ」

昨日と同様和の背中としr・・・腰の下の方に手を回しヒョイと持ち上げる

和「あ、ちょっ・・・剣!」

昨日とは違い腰や肘に痛みが走った

昨日の練習のせいだ

時間が時間なだけあって注目の的になりながら俺たちは教室についた

教室の入り口にたかしがいた

たけし「たけしな」

間違えたたけしだ

剣「靴は?」

たけし「さっき女子トイレでなんかやってたからそこにあると思う」

剣「さんきゅ」

再び足で扉を開ける

剣「おはようなぎ!!」

「おはようさぎ」

どっからともなく返事が帰って来た

見ると葛沢と悪井がニヤニヤしながらこっちを見ている

待ってろ、今その顔を悔しさで歪ませてやるからな

生化学の試験は糖質と脂質も入るよね?

余裕があったら前回の講義の資料送ってください

>>260は気にしないでください

実は試験期間でね・・・

あと二日で終わりなわけだけど

今日は書けないけど明日なら!

あとVIPで描いてもらったやつ
結構自分の中の和に近いきがする
http://i.imgur.com/Jj5ZAuT.jpg
http://i.imgur.com/mp4ITmy.jpg
上がアグレッシブ和
下が学校版和

和「つ、剣・・・」

和が心配そうな顔を向けてくる

こんな顔もするんだな・・・

それはさておき

トラップの成果はもう目に見えている

葛沢・・・お前がうちばきを履いている時点でな

剣「なぁ葛沢・・・靴のことなんだけど」

葛沢「なっ・・・!?なによ!?」

和「・・・!?」

葛沢は予想以上にキョドっている

悪井「な、なによ!平和さんの靴なんて知らないわよ!」

剣「だれもそんなこと聞いてねーよ」

葛沢「ならなんなのよ!」

剣「靴・・・返してもらえないかな?」

葛沢「だから靴なんてしらないっての!!」

悪井「なんなのさっきから!」

剣「いや、それ。その靴何だけど」

俺が指差したのは

葛沢の靴だ

葛沢「・・・は?」

剣「それ葛沢さんのじゃないよね」

葛沢「え・・・?」

慌てて靴の名前を確認する

悪井「うそ・・・・」

靴の土踏まずがわの横に小さく

『平和 和』

葛沢「な・・・なんでっ!?」

剣「知らないよ。でもそれは和のうちばきだよね。」

剣「返してよ」

慌てて靴を脱ぎ、俺に投げつけるように渡した

俺はおもむろに靴へ顔を近づけ

剣「す~・・・は~・・・うん!和のだ!」

和「ばかっ!!」

殴られた

当の葛沢は女子トイレにソックスのまま駆け込んで

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」

なんか悲鳴が聞こえたが・・・

知らん☆

剣「な?うまくいったろ?」

和「まぁ・・・そうだな」

なんだかうかない顔だ

剣「なんか不満か?」

和「なんだか卑怯な気がしてな・・・」

確かに和だけだったらこんな卑怯な反撃はしなかっただろう

でも相手も卑怯な手をつかってくるんだ

おあいこじゃないか

そんな風に俺は甘っちょろい考えで行動してしまったのだった

続きは家に帰ってから

・・・・・
葛沢「あ~ミスったなぁ~」

靴を一生懸命洗って乾かしてるところだ

悪井「きっと平和が靴を入れ替えてたんだよ」

すっかり勘違いして和のせいになってしまっている

葛沢「私もお姫様抱っこで教室まで運んでくれる彼氏がほしぃ~」

悪井「・・・諸刃くんか・・・」

葛沢「いやいや、あいつは平和の彼氏じゃん」

悪井「ひらめいた!」

また一波乱ありそうな・・・

放課後

剣「え?明日は練習無しなの?」

和「毎日練習じゃキツイからな。お父様が休めと・・・」

剣「へぇ~」

和「だから・・・その・・・」

和の言いたいことは分かった

剣「遊びに行こうってか?」

和「そ、そう・・・」

こういう時、和はやけに消極的なんだよな・・・

剣「いいよ。何処へでもお供するぜ!」

和「あ・・・ありがとう」

安堵したように和が微笑む

この顔に俺は弱いのがなんとなく分かってきた

こいと言われたので

翌朝

剣母「あんたやけに早起きね」

普段休日は昼頃まで寝ているのだが今朝は違った

剣「約束があんだよ」

剣母「和ちゃん?」

ニヤニヤしながら聞いてくる

剣「そーだよ」

剣母「告ったのかい?」

剣「そーゆんじゃねぇって」

だが・・・実際どうなのだろうか?

俺自身和に好意がない訳ではない

てか、ぶっちゃけ好きだ

でも今の関係で満足しているのも確かだ

剣「これ以上仲が進展することは無いだろうし」

剣母「?」

pcからかけるかな?

まず第一の問題が起きた

着て行く服がない

普段は制服で過ごしていたせいもあって私服にまったくって言っていいほど執着がないのだ

そのせいでまともな服がない

剣「どうしよう…」

剣母「服がないのかい?」

剣「ない…。やばいな」

まぁTシャツとGパンでいいよな

目玉おやじがプリントされただっさいシャツをきて家をでる

待ち合わせをしている

なぜかいつも通り家の前ではなく近所の『やすし公園(やっぱりワインは喉越しでしょ!すげーさすがアッコさん!白ワイン水みたいに飲んでる!公園の略』で待ち合わせしてある。

言い出したのは和の方だ

こういうのも新鮮でいいなぁとか考えながら公園まで散歩気分で歩いていく

しばらくして公園に到着した

剣「のd・・・おぉっ!?」

私服の和はすっげー可愛かった

いや、まじで

そしてなぜか練習の時みたいなポニーテールである。

以降これを『アクティブもーど』とよぼう

和「お・・・おはよう」

剣「お・・・おう」

なんだろう・・・

この普段とは違うシチュで交わす毎日の挨拶・・・

嫌いじゃないわ!

剣「それ・・・」

和「か、髪型か・・・?・・・剣がこっちの方がいいって・・・」

俺は悔やんだ

なぜだ・・・

なぜなんだ・・・

なぜこの最高のシチュに目玉おやじのTシャツなんて・・・

恥ずかしくって腕組みをほどけない

剣「そういう服・・・着るんだな」

今日の和は薄い青のワンピースを着ている

いいとこの御嬢さんみたいだ

いや、実際そうなんだが

和「姉からもらったんだ・・・。遊びに行くと言ったらすごい剣幕でこれを着て行けって・・・」

姉か・・・

俺のあったあの人が姉でないとすればまだあったことのない人物だ(ちなみに剣があったのは本当に和の母なのだが)

剣「遊びにって・・・どこ行くんだ?」

和「それがな、私はそういう方面にまったく詳しくないんだ。そこで剣に友達同士ではどんなところに遊びに行くのかおしえてもらいたくてな・・・」

なんだ、そういいうことか

剣「わかった!なら俺に任せてもらう!」

和「ああ、心強い!」

こうして俺たちの休日は始まった

とりあえず駅まで歩きながら行先を決めることにした

剣「オーソドックスなのは映画とかかな」

和「映画か・・・」

剣「なんか見たい映画とかある?」

和「う~ん・・・特に・・・」

剣「最近見た映画とかは?どんなジャンルが好きなんだ?」

和「最近見たのは・・・兄さんが借りてきた『会うと零時 ビョンビョン』だな」

剣「そ・・・そっか・・・」

映画の路線は却下になった

剣「他には・・・買い物とかかな?」

和「何を買うんだ?」

剣「特に何とかはない。ぶらぶら散策して気に入ったら買う。ただそれだけ」

和「おお、なんかいい・・・!」

ヒットしたのでとりあえず少し離れたところにある超大型ショッピングモールに行くことにした

電車に乗るのは久しぶりだ

自動改札なんか緊張してしまう

和「人がいっぱいだな・・・」

剣「休日だからな」

俺たちが乗った電車はなぜかガラガラだった

一車両に俺と和とばあさんが二人だけだ

おそるべし・・・田舎鉄道

和はなんだか落ち着かない様子だ

剣「どうした?」

和「すまない・・・ちょっと楽しくてな。つい・・・」

さっきからそわそわしっぱなしだ

剣「電車のマナーって知ってるか?」

和「マナー?」

剣「電車の中ではな・・・電子機器を使ってはいけないんだ」

和「確かに携帯電話を使ってはいけないとよく聞くが」

剣「電車の中で電子機器を使うと電車の超電力の影響をもろに受けて・・・」

和「もろに受けて・・・?」

剣「爆発する」

和「・・・・・・・・・・・」

和、絶句

剣「なんてのはうそだ。心臓とかにペースメーカー入れてる人とかいるからな。そういうひとに配慮しt・・・」

和「ばかっ!!」

また殴られた

電車のなかで和はとても楽しそうだ

俺も楽しい

だが本番はこれからだ

電車が目的の駅についた

和「おお、都会だ」

すこし俺たちが住んでいる町よりでかい

まぁ都会の部類に入るであろう

前を小走りで走る和のポニーテールがまるで犬が尻尾を振るみたいに揺れる

楽しそうでなによりだ

この駅からバスに少し乗ってショッピングモールに到着した

和「こんなところがあったんだな・・・」

剣「結構うちの学校の連中もきてるらしいぞ」

和「知らなかったのは私だけか・・・」

剣「まぁいいじゃんか。こうして今来てるんだから」

和「そうだな」

剣「まずは・・・」

その時俺は無意識に和の手を取っていた

和「あ・・・」

剣「ほら、早くしないと今日中に回りきれないかもしんないぞ」

和「あ、ああ」

俺たちは本屋、CDショップ・・・そのたいろんなところを回った

それぞれの店に入るたびお互いの新たな一面がみれて楽しかった

そして今はアクセサリーショップに来ていた

だが俺たちの目は普通の客の目ではなかった

和「このタイプのネックレスは十分武器として活用できる」

剣「なるほど・・・」

和「もし相手がつけていたならそれをつかめば十分活用できるだろう」

剣「首をしめるのか?」

和「簡単にいうとそうだ」

剣「なるほど・・・」

和「アクセサリーは十分武器になりうる。普段から自然に携帯できる武器であり、相手がつけてた場合弱点にもなる」

剣「武器として使えるものは何でも利用しろってことか」

和「喧嘩に反則も何もない。武器の使用もありだ」

剣「いかに相手より優位な状況を作るか・・・それが重要って悟さんも言ってた」

和「だんだんと喧嘩の極意がわかってきたじゃないか」

剣「おかげさまで」

和「私も含め兄妹みなアクセサリーはあまりつけない。以前門弟の一人がピアスをむしりとられ悲惨な状態になってたしな」

剣「おぉう・・・」

剣「じゃぁこういうのなら大丈夫か?」

俺が手に持っているのはキラキラと綺麗なヘアゴムだ

和「そうだな・・・ひぱって飛ばして目に当てるくらいしか使い方が思い浮かばないな」

剣「じゃぁこれなら買ったらつけてくれるか?」

和「買う・・・のか?」

剣「なんか買ってあげたいけどどれも武器になりそうだしな・・・。いや、ほしいのがあるならそれでもいいが」

和「買ってくれるのか?」

剣「おうよ」

和は結局俺が選んだヘアゴムを選んだ

和「ありがとう・・・大切にする」

剣「おう。腹減ったし飯にしようぜ」

俺にとって小さな贈り物だったのだが

和にとってはとても大切な贈り物だった

もうねるわね

また明日~

フィクションは嫌いかね?(ムスカ風)

俺は和に対して一つ大きな疑問があった

それを今日聞こうと思って家を出たのだがなんだかムード?がよくない

今目の前でスーパージャイアントラーメンを30分以内に食べきろうとしている和を見つめながら(驚愕の表情で)いつ聞こうか考えていた

和「ずずずーっ・・・!」

ガタン・・・

和「ふぅ・・・ごちそうさま」

「すげぇぇぇぇ!!」

「初のスーパージャイアントラーメン完食者だ!」

「一体このほっそいねーちゃんのどこに入ったんだ!?」

集まっていた野次たちの拍手喝采

このスーパーなんとかラーメンは通常の5倍の大盛りラーメンらしい

それを30分以内に食べきればラーメン代をちゃらにしてくれた上で1万円贈呈らしい

店主「いやぁ・・・参ったよ・・・」

完全放心状態の店主の手から一万円札を奪い去るとラーメン屋を後にした

剣「よく食べるとは聞いていたけど・・・」

すると和は悲しそうな顔で

和「よく食べる女は・・・嫌いか?」

剣「いや、そんなことないけど・・・」

この細い体のどこにあのでかいどんぶりの中身が割り振られたのか分からない

青狸の(∫exp[-πx^2/4]dx)×2次元ポケットみたいなところにしまったのではないか?

時間はまだ昼過ぎだ

遊ぶにはまだ時間がある

和「そうだ。買いたいものがあった」

剣「買いたいもの?」

和「いこう」

手をいきなりつかんで走り出す和

楽しそうでなによりだ

うーっす

腕を引っ張られながら俺は思った

もし犬を買っていたらこんな感じで散歩するのかな・・・と

俺たちはそのまま電車にのり結局近所まで帰ってきた

剣「なんだよ?買いたいものって」

和「これの礼とは違うが剣に渡したいものがあってな」

そういって入って行くのは近所の呉服屋(高級そうなので)だ

剣「ちょっ・・・俺は別に服に興味は・・・」

店主「お!平和んとこの末っ子じゃねぇか!」

和「こんにちは」

知り合い・・・なのだろうか?

店主「あれだろ?彼氏だろ?」

俺を指差して自信満々で店主は決めつける

和「違います。弟子です」

店主「弟子・・・?おお、そういうことか!出来てるぞ!」

何の話だか全くついていけない

店主が店の奥に方に引っ込んだ

剣「知り合い・・・なの?」

和「お父様の昔ながらの友人だ。今でもいろいろと関わりがある」

剣「へぇ~」

そういやこの店主と和の親父さんは同じくらいの年に見えなくもない

実際このくらい老けるとよくわからんが

店主「これだ!」

店主が何かの包をもって帰ってきた

剣「なに?」

和「平和家に伝わるそれぞれの流派には共通の正装というものがある。平和家にとって喧嘩は神聖な決闘でもあるからな」

和「そういう時にこれを着るんだ」

広げられたそれは柔道着に形は似ているが生地はもっと薄く色は濃紺

そして右の方に緑色のワッペン?がついている

剣「かっこいいじゃん!」

店主「着てみな!細かい調整をしないといけないからな」

着てみると凄く軽い

そして動きやすい

剣「なんか内ポケットがたくさんあるんだけど」

和「喧嘩には武器もありだからな。そこに武器を仕込むのだ」

剣「おぉぅ・・・」

機能性に優れた戦闘服ということか

剣「このワッペンは?」

和「激流拳を学ぶ者の印だ。激流拳をマスターした暁にはそのワッペンを別のものに変える」

マスターって・・・どんだけ難しいのだろう?

剣「なんかこれでいっちょ戦ってみたくなったな!」

和「それを着て戦う時は命を賭して戦うときのみだ。まぁ、それを着ることは私ですら殆どないがな」

ってことはただの飾りってことかよ

つまんね

俺は店主に正装を紙袋にいれてもらい二人は店を後にした

しばらく歩くといつ時やの公園に着いた

剣「和・・・」

和「なんだ?」

剣「一つ聞きたい事があるんだ」

和「答えられる事なら答えよう」

俺は一回深呼吸をすると話を切り出した

剣「和はなんであんな奴らにいいようにされてるんだ?」

あんな奴ら・・・誰とは言わなかったが和も分かってくれたはずだ

和「それは・・・私が弱いからだ」

剣「和は十分強いじゃんか!あんな奴らワンパンで黙らせられるだろ?」

和はしばらくだまったままだ

和「それは・・・強さではない」

剣「え?」

和「喧嘩が強いから・・・その人は強者、その理屈は現代社会においては通用しない」

剣「喧嘩が強けりゃ無敵じゃんか!俺だってそのために喧嘩が強くなりたいわけだし!」

和は真っ直ぐ俺の目を見つめている

その視線は俺の心の中まで見透かしているような真っ直ぐな視線だった

和「暴力は一番早い手段だ。しかしその後に残るのは孤独だ」

剣「孤独・・・?」

和「暴力は周りのすべての人を寄せつけなくしてしまう・・・。それは嫌いな人も、好きな人も全てだ・・・」

まるで自分が体験したことのように和は語る

いや、もしかしたら本当に体験したことなのかもしれない

だから和は学校で喧嘩の事を秘密にしていたのだ

和「私は一人でも大丈夫だと思っていた。しかしそうじゃなかった・・・」

和「剣に会って・・・話して、笑って・・・もう一人は嫌だと思った」

剣「和・・・」

和「うまく言えないが・・・私がなりたい強い人は剣みたいな人なんだ」

剣「・・・俺?」

和「剣は強い。喧嘩は弱いがな」

剣「なんだよ・・・これから喧嘩も強くなるっての!」

和「だからお願いだ・・・私に剣の強さを教えてくれ」

剣「俺は和が思ってるほど強くないけど?」

和「剣の強さは私が知っている」

こりゃ暴力なしで和に対する嫌がらせをどうにかしないとだな

剣「それじゃ、これからもよろしくな!師匠!」

和「こちらこそ・・・!先生!」

こうして俺たちの休日は終わった

どんだけ干し椎茸好きなんだよ

翌日

その日は朝から練習だった

剣「おおりゃぁぁっ!!」

和「あまい」

ズテッ!

剣「くっそ!まだまだっ!!」

和「動きがとろいっ!」

ズダンッ!

剣「いてっ!」

さっきからずっとこんな感じで投げられっぱなしなわけだ

剣「なんで思い通りに身体が動かないんだ・・・?」

和「・・・剣、それで考えてるのか?」

剣「一応攻撃のイメージ的なのはあるけど」

和「今のお前の動きは幼稚園児の喧嘩レベルだ」

剣「幼稚園・・・」

和「喧嘩にルールはないと言ったがセオリーはある」

剣「セオリー?」

和「まず超初歩的なことだが迂闊に飛び込まない」

剣「先手必勝じゃないの?」

和「じゃない」

剣「じゃぁ後手必勝?」

和「・・・・・」

喧嘩は身体だけでなく頭も使わなくてはならないらしい

和「まず必勝なんてない。どんな戦いにも可能性と危険性はあるんだ」

剣「なるほど・・・」

和「私だっていつも負けると思ってお父様と稽古している訳ではない。いつか超えてやるという意思をだな・・・」

剣「そんなに親父さん強いの?」

和「・・・あれは人の限界を超えている」

前から聞いていたが相当強いんだな

剣「よしっ!俺もいつかそのすげー親父さんすら超えて見せる!」

和「・・・うちの家訓にな・・・」

剣「ん?なんの話し?」

和「いや、なんでもない」

最近来ないなー

>>383
忙しいのよ・・・
今日は書くからゆるして

それからしばらく屑沢も悪井も何もしてこなかった。

俺はてっきりもう和は助かった。そんな風に考えて安心しきっていた。

和宅

剣「でぇぇぇやぁぁっ!!」

無駄のない動きで相手の腕を絡めとる

悟弟子A「なにっ!?」

振りほどこうと抵抗されるが逆にそのモーションを利用し床に組み伏せる

剣「はっ!!」

とどめに後頭部に肘打・・・・

和「やめ!!」

勝負ありだ

和が止めなければ仕留められただろう

剣「ありがとうございました」

悟弟子A「あ、ありがとうございました・・・」

悟「いやー、どんどん強くなっていくね。」

自分でも実感がある

俺は確実に強くなっている

でもまぁ、まだ一回も和には勝ったことないけど

和「やはり私の教え方がいいのだな」

やけに自信過剰な発言が気になるがその通りだ

剣「このままなら和にもいずれ勝っちゃうかもな!」

和「私に勝つなど10年早いわ」

悟弟子B「剣!今度は俺が相手だ!」

和の弟子は未だ俺一人なのでここの門下生ほとんどに名前を覚えられた

剣「よぉし!」

喧嘩のやり方も大体マスターしてきた

まず開戦の前に敵の装備を確認する

悟弟子Bは指輪やネックレスなどアクセサリーはしていない

武器が隠せるとしたら道着の袖くらいだが・・・

喧嘩に開戦の合図などない

攻めたら、攻められたら始まりなのだ

互いに睨み合い隙を探る

今の俺はウルトラ男のようなファイティングポーズはとらない

あのポーズは意外に空きだらけなのだ

勝負は拮抗した

互いに疲労し動きが鈍る

しかし、俺はスタミナには自身があった

相手が隙を見せた瞬間に飛びかかる

次の瞬間・・・

悟弟子Bの姿が消えた

剣「やべっ!」

これは烈風拳

素早さに特化した悟の系統だ

後ろに回りこまれた

和「やめ!」

ブワッと後頭部、首筋当たりに風が当たる

今の一撃で俺は負けていた

剣「くっそ・・・!負けた!」

和「また忘れてるぞ」

剣「え・・・ああ・・・そうだった」

俺はこの頃良く注意されてた事を思い出した

剣「よっ!」

飛び起きた俺はすかさず

剣「もう一度お願いします!」

悟弟子B「いいだろう」

再び向かい合う二人

緊張感が戻ってくる

今度の俺は全く動かない

隙も見せない

悟弟子Bは痺れを切らし飛び込んできた

悟弟子B「どぉぉぉぉぉ!!」

凄まじいラッシュだ

俺はそれをすべていなす

攻撃の後には必ず隙が残る

今の悟弟子Bの隙はほぼ無いといってもいいレベルだが・・・

相手が放つ拳、蹴り、掴みを全ていなす

一見複雑そうだが原理は簡単な力学だ

そうしているうちに・・・

悟弟子B「はぁっ・・・!はぁっ・・・!」

一撃一撃が遅く隙が大きくなって来た

剣(今だ!)

相手の攻撃に合わせて身を引く

悟弟子B「なにっ!?」

隙が極限まで大きくなった

剣「はぁぁぁっ!!」

素早く全身のバネ使い右手の平を突き出す

的確に悟弟子Bの鳩尾に叩き込んだ

和「やm・・・」

悟弟子Bの身体が後ろから強い引力で引かれたように飛んだ

悟弟子B「ぐおぉぉぉっ!?」

素早く悟弟子Bを追いかけたが・・・

悟弟子B「・・・・」

剣「やべ・・・」

勝負あり・・・なのだが

和「剣、やめと言ったはずだが?」

剣「いや、あのモーションで止めるとか無理でしょ!」

悟「いつやるの?」

剣「いまd・・・そうじゃなくって!」

和「問答無用!!」

後ろから後ろ襟を掴まれ・・・

剣「あ、その技の対処方教えてもらってn・・・」

ビターンッ!!

投げられた

ちょいと聞きたいんだが

今回みたいに長い話と姫と男みたいに短いのどっちが好き?

なるほどありがとう

翌朝

和「起きろ!」

剣「うわぁっ!?」

和の一喝で目を覚ます

楽しそうに笑い声をあげて笑う和

剣「今日もかよ・・・」

このところ和は約束の時間より早く来て俺をこんな感じで起こしにくるのだ

和「さ、早く練習を・・・」

剣「いや、まって!せめて着替えたりさせて!」

和「なんだ、まだ着替えてないのか?」

剣「今起きたばっかりだっての!」

和「早く着替えろ」

剣「分かってるよ・・・」

寝巻きのシャツに手をかけて・・・

剣「・・・なんで見てるの?」

和「見てなんかいない。待っているんだ」

別に和に着替えを見られて嫌な訳ではないが・・・

着替えづらい

和「早くしろー。早くしないと私が着替えさせるぞ」

剣「わかってるけど・・・」

仕方ないので一気に着替える

和「結構いい体つきになってきたな」

剣「見るな変態」

和「褒めたのだが・・・」

ちゃちゃっと練習着に着替えると和が俺の脱いだ服をたたんでいてくれていた

剣「あ、悪いな。ありがとう」

和「いや、気にするな・・・」

和はおもむろに剣の脱いだシャツに顔を近づけ・・・

剣「ちょ!」

和「・・・剣の匂いだ」

いつぞやの逆だな・・・と思った剣だった

二人は玄関を出ていつものランニングに入る

距離はだんだんと長くなり最初の頃の2倍程走るようになった

タッタッタッタ・・・

二人のリズムは狂うことなく同じテンポで並んで走る

そして着いたのは二人の練習場

剣「よしっ!まずは軽く一手合わせ!」

和「いいだろう」

程よく温まった身体はいつでも戦闘準備OKだ

ピリピリと互いの隙を伺い合う針詰めた空気

剣「おりゃっ!!」

先に動いたのは剣だった

素早く相手に反撃の隙を与えないようラッシュする

それが剣の作戦だった

しかし、和は完璧にそれらを処理する

剣の攻撃は和にかすりもしない

剣「くそっ!なんでっ!」

その一瞬で腕を掴まれた

和「もらった」

投げのモーションに入る和

剣「させるかっ!!」

なにも考えずにとった行動だった

とっさに手を払い和の拘束から逃れた

どてっ!

剣「いてっ!」

和「・・・よく逃げたな」

剣「偶然だって」

和は内心驚いているようd・・・

和が素早く動いた

そして寸止めされた拳は俺の鳩尾に・・・

和「だが戦いは最後まで気を抜いてはいけない」

剣「・・・勉強になります」

今日も負けてしまった

さて、つづけますか!

時は少し飛んでお昼休み

剣「和って弱点とかないわけ?」

和「ある」

剣「なになに?」

和「弱点を自分からさらすバカはいないだろう」

その通りだ

だが、俺もここで引き下がれない

剣「ハンデくれよー」

和「自分で探れ。」

剣「にんじん」

和「・・・食べられるか。ということか?」

剣「そう」

和「余裕だ」

剣「ピーマン」

和「バカにするな」

記憶を深く掘り起こす

なにか和が苦手そうにしてたもの・・・

剣「あ!なす」

和「・・・よ・・・よゆー・・・」

ビンゴだ!

剣「ナスか!あなたナスなのね!」

和「わっ私はナスッではない!!」

超うろたえてるww

剣「今度はナスを頭に括り付けて和と戦おうっと!」

和「・・・憎しみを込めて殴れるぞ」

剣「どんだけナス嫌いなんだよ」

和「色、形、味、名前すべてが悪だ」

剣「悪ではない」

和「いや、悪だ。悪魔の作物だ。」

よっぽど嫌いらしい

和「なぜ人類はあんな紫色の気色悪い作物を栽培するんだ!?」

剣「とりあえずナス農家さんにあやまれ」

すると・・・

屑沢「平和さん、ちょっといい?」

剣「っ?!」

このごろおとなしかった屑沢が和に話しかけてきた!?

和「な、何のようなんだ?」

俺と和は一気に警戒モードに入る

屑沢「今までのこと・・・謝ろうと思って・・・」

剣「・・・」

反省した・・・のか?

和「私は気にしていない。もう済んだことだ」

教室の入り口には悪井もいた

二人ともシュンとして反省しているように見えた

屑沢「私たちっ・・・平和さんに酷いことして・・・」

ボロボロ泣き出した

和「ちょっ・・・屑沢さん」

はたから見たら俺たちが泣かしたみたいになってる

屑沢「ごめんね・・・本当にごめんね・・・」

和「もう済んだことだから・・・」

どうやら本当に反省したみたいだ

屑沢「こんな私たちだけど・・・友達になってくれない?」

おいおい・・・そこまで発展するか

和「あ、まぁ・・・友達・・・」

なに嬉しそうににやにやしてんだよ

こうして屑沢、そのあとに同じように謝ってきた悪井は和と仲直りして友達になった・・・

放課後

剣「う~ん・・・」

和「まだ疑っているのか?」

剣「あたりまえじゃんか。あいつらお前に相当酷いことしてたんだぜ?簡単に改心するかな・・・」

和「泣きながら謝ってたから大丈夫だ」

その安易な考え方がまずい気がするが・・・

屑沢「和ちゃ~ん!」

剣「の、和ちゃん・・・!?」

屑沢「ねぇ!一緒に帰らない?」

和「え・・・えっと・・・」

和がドン引きしてるのにも構わず

悪井「一緒に帰ろうよ!ともだちでしょ!」

和「あ・・・ああ、そうしよう。な、剣?」

剣「ん?・・・ああ、そうだな」

すると・・・

悪井「え~女の子同士の付き合いなのに諸刃くんはついてきちゃうの~?」

剣「え・・・?」

屑沢「いつも一緒に帰ってるんでしょ?今日くらい私たちに譲ってよ~」

悪い予感しかしない・・・

剣「いや・・・でも・・・」

和「大丈夫だ剣・・・。ただ、一緒に帰るだけだから・・・」

本当に帰るだけ・・・なのか?

仕方なく俺が譲ることになった

悪井「あそこのたこ焼きおいしいんだよ~」

和「へ・・・へぇ・・・」

屑沢「そうだ!一緒に食べに行こうよ!」

和「そ、そうしよう・・・」

離れていく3人の後ろ姿を俺はしばらく眺めていた

このまますべて解決すれば・・・

そんな風に願いながら

和宅

剣「いきますよ!」

悟「いいよ!」

今日は悟さんとの実践練習

結局和はあのあと帰ってきてからすぐに自分の練習に入ってしまい話せなかった

剣「おおりゃっ!!!」

悟「もっとよく見て当てるんだ!」

俺の攻撃は全く当たらない

体が弱く少ししか稽古できない悟さんの貴重な時間をもらったんだ

全力でやならなくては!

拳、蹴り、掴み、それらを組み合わせて仕掛けるが悟には当たらない

悟「落ち着いて・・・冷静に見極めろ!次の動きを予想するんだ!」

簡単に言うがそれができたら苦労しない

剣「はぁ・・・はぁ・・・」

案の定すぐにばててしまった

悟「焦りすぎだね・・・」

視界から悟の姿が消えた

このモーションの後には・・・

その時、俺の中で何かが閃いた

右足で強く床を蹴って飛び上がる

腰をひねりながら右足で何もないはずの真後ろの空間に蹴りを繰り出す

今まで俺が対戦してきた烈風拳の相手は姿が見えなくなると大抵後ろから攻撃が飛んできた

うまくいってくれ・・・!

体が空中で回転し、後ろが見えた

そこには・・・

上体を後ろにそらして俺の蹴りを回避した悟がいた

俺はそのまま慣性に従って回転を続ける

とてつもなく大きな隙が生まれ悟に後ろから首筋に軽く手を当てられた

悟「勝負あり・・・だね」

結局俺の行動はすべて読まれていたのだ

しかし

「今のよかったぞ!」

「惜しかったな!でもいい線行ってた!」

周りで見ていた烈風拳の門弟たちから称賛の嵐だ

悟「今のは危なかったなぁ~!よく後ろに動いたってわかったね」

剣「勘ですよ。今までもこのパターンでずっと負けっぱなしでしたから」

静「確かに良い蹴りだったわね」

突然見知らぬ女性が割り込んできた

悟「あ、姉ちゃん」

剣「ほぇ・・・?」

あまりにも急な登場に俺はフリーズしてしまった

静「ねぇ?この子悟の弟子なの?」

悟「いや、和の弟子兼彼氏」

剣「かっかかかか彼氏ではないですっ!」

「素直に認めちまえよ」

「和ちゃんがかわいそうだぞ」

門弟たちも言いたい放題だ

静「あ~君が新しい弟の剣くんね」

話がどんどん進んでいく

剣「いや、本当にまだ彼氏じゃ・・・」

静「まだってことはいずれなるのね!?」

俺は直感で分かった

俺はこの人苦手だ

悟「こんな時間にどうしたの?」

静「喧嘩よ。ケンカ」

門弟の一人がこっそり耳打ちして教えてくれた

この人は和や悟の実の姉の静さん

もう結婚して嫁いだのだがたまにこうして夫婦喧嘩して帰ってくるらしい

その喧嘩したご主人の命がしんぱいだ・・・とか

静「で、旦那をほっといて和はどうしたの?」

悟「あいつも自分の修業があるからね。たまに俺がこうやって面倒見てるわけ」

剣「そういえば・・・なんで和は自分の修業をするのに悟さんは自分の修業しないんですか?」

悟「うぐっ・・・」

なにやら聞かれたくないことだったらしい

静「悟はただサボってるだけよ」

悟「ち、ちげーし!こうやってみんなと切磋琢磨して修業してるし!」

俺はてっきり体が弱いからだと思っていたが・・・

ただのサボりか

悟「親父はマジで稽古になるとやべーんだ・・・」

悟の怯えかたからすると相当厳しいらしい

それに耐えてる和ってやっぱすげえな・・・

静「私もしばらくこっちに厄介になるから面倒見てあげるわよっ!剣君!」

剣「あははは・・・」

なんだろう・・・周りの門弟たちが俺に向かって手を合わせてる気がする

なにそれ?

俺もしかして相当やばいことになってる?

その日は結局和には会えずに帰ることになった

まぁ明日の朝になれば会えるしな

翌朝

剣「・・・んっ・・・のぉぉぉ・・・」

大きく伸びをして起きる

どうやらまだ和は来てないらしい

時計を見ると約束の時間の10分まえだ

・・・あれ?

今日はびっくり目覚ましはなしなのか・・・

少し残念だ

着替えて家の前に出て準備運動をして和を待つ

待つ・・・

ずいぶん待ったが・・・来ない

剣「寝坊か・・・?」

和にもこういう日もあるのだろう

仕方がないので一人で走った

しかしその後登校時間になっても和は来なかった

風邪でもひいたのだろうか?

仕方なく一人で学校に行くことにした

剣「一人での登校はずいぶん久しぶりだな・・・」

すっごくさびしい感じだ

だが・・・

学校につくと和がいた

剣「・・・あれ?」

一瞬目があったがばつが悪そうに眼をそらされた

なんなんだ?

いつも通り和の席の隣まで行き

剣「おはよう」

和「ああ・・・」

そっけないな

剣「どうしたんだ?朝の練習にも来てくれないし・・・。」

和「・・・すまないが今は話かけないでくれ」

剣「え・・・」

何がどうなってるのか全く理解できない

剣「なんで・・・」

和「すまない・・・」

何やら事情がありそうだったのでここは引き下がることにした

昼になって飯に誘おうとしたら

屑沢「和ちゃん!一緒にお昼食べよ~!」

和「うん・・・」

先を越された

たかしが声をかけてきた

たけし「おい・・・大丈夫なのかよ?あれ・・・」

昨日の出来事を説明しながら二人で昼を食べた

たけし「う~ん・・・それってなんか怪しすぎるだろ」

剣「だよな」

そっけない和のことは言わなかったがやはりそのこともなにか関係がありそうだ

たけし「まぁ・・・俺もいろいろ探ってみるよ」

剣「探るっていつもどうやってんだ?」

たけし「女の子にきいたりする」

剣「お前と口きいてくれる子いるのか?」

たけし「失礼な。彼女もちゃんといるわ」

剣「しね」

たけし「なn・・・」

しかしこの後和のそっけない態度はしばらく続いた

和と話せなくなってから一週間が経った

和がいないだけで俺には結構ダメージがでかかった

静「ほらほらぁ!しっかり走んないと鞭打ちだよ!!」

剣「ひぎぃぃぃぃ・・・」

その間の稽古は悟と静さんが見てくれているが・・・

静「前のラップより2秒遅い!」

パシンッ!!

剣「ぎゃぁぁぁぁ!!!」

見ての通り地獄です

悟「姉ちゃん・・・剣君死んじゃうから・・・」

静「あらやだ。私ったらつい楽しくって」

悟弟子A「剣・・・大丈夫か?」

剣「もうやだ・・・静さん怖い・・・」

たけしの話では和と屑悪コンビの仲は良好でいじめとかは特にないらしい

静「剣くん・・・」

その日はほぼ全部の門下生が集まる夕食会だった

和の姿はやはりなかった

一人でさみしく料理をつっついているとき静さんが声をかけてきた

剣「なんですか?」

練習の時以外の静さんは優しい

静「言いにくいんだけどね・・・」

言いにくいこと?

静「和はもう剣くんに激流拳を教える気はないみたいなの・・・」

ん・・・?

それはつまり・・・

剣「俺は・・・破門ってことですか?」

静「そう・・・なってしまうわね」

何てことだ・・・

ことは俺の思っている以上に深刻な事態だった

剣「俺は・・・どうなるんですか?」

静「剣君に選べる道は2つ・・・このまま平和道場をやめてしまうか、流派を変えて私か悟、もしくはお父さんに弟子入りする」

剣「・・・もう絶対に和には教えてもらえないってことですか・・・?」

静さんもつらそうに眼を伏せている

これではあまりに一方的だ

俺は確かに喧嘩が強くなりたいために和に弟子入りした

その目的のためなら別に師匠が変わったって問題はない・・・

わけではない!

剣「和と話をさせてもらえませんか?」

静「メールや伝言じゃだめなのね?」

剣「はい」

俺は説得してなんとか思いとどまってもらいたいと考えていた

もし、説得がだめなら・・・最後の手段も考えてある

何にせよ当たって砕けろだ!

砕けたくないが・・・

静さんは母屋のほうに行ったまましばらく帰ってこなかった

そして

静さんが帰ってきた

静「和は庭で待ってるわ・・・」

剣「ありがとうございます」

俺は立ち上がって庭に向かった

静「がんばって・・・」

剣「はい」

平和亭の庭はあほみたいに広いので庭のどこで待っているのか聞くべきだったと後悔した

ほどなくして見慣れたポニーテールが目に入った

庭の池の畔にたっている

剣「和!」

和はゆっくり振り返った

剣「なんで・・・いきなり破門なんだ?俺、なにか気に障ることしたかな?」

きっと和にだって深い理由があるはずなんだ

剣「だったら俺全力で謝るかr・・・」

和「そうじゃないんだ!」

やっと和の声が聴けた・・・が・・・

和「私にはもう剣の師匠では居れないんだ・・・」

剣「どうして・・・?」

和「剣には感謝している・・・でも・・・」

なにかとても深い事情があるみたいだ・・・

剣「屑沢と悪井がなにかかかわってるのか・・・?」

和「・・・」

肯定も否定もしない

和「悪いがもう・・・」

和には何か強い決意があるみたいだ

和はなかなかの頑固者だからな

こうなったらもう埒があかない

最後の手段にでる

大きく息を吸って・・・

剣「和・・・!お前に勝負を挑む!!」

和「な・・・何を言って・・・?」

剣「決闘だ!俺が勝ったら破門の理由もすべて話してもらうぞ!」

和「つ、剣?」

剣「お前が勝ったら俺はお前の目の前から消えてやる!」

一方的に破門を突き付けられた仕返しだ

剣「一週間後の早朝にいつもの練習場所で!」

返事も聞かずに走り去る

翌日から俺も和のことを気にしなくなった

一週間のうちにどれだけ練習しても和には勝てる気がしない

でも俺には秘策があった

和の弱点・・・

ナスではない

確証はないがそれがきっと和の弱点だと信じている

悟「激流拳の対策?」

剣「何かないですか?」

悟「対策ねぇ・・・」

静「それって剣君が一番わかってるんじゃない?」

剣「え~・・・」

マスターできていれば弱点も対策もわかるのだろうが・・・

剣「攻めてこない相手とかやりずらいですけど・・・」

静「それよ!」

剣「攻めないんですか?」

静「一撃必殺にすべてをかける戦闘スタイル・・・まさに私の雷光脚の出番じゃない!」

らいこう・・・ああ、前に和から聞いた流派の一つだ

静はその達人らしい

静「でも一週間で扱えるような技ではないわ」

剣「ですよね」

悟「・・・混ぜよう」

静「え?」

悟「流派を混ぜるんだよ!いろんなベースに和から教わった激流拳、攻撃する時のモーションは烈風拳。そして肝心の攻撃自体は雷光脚!」

なんだかとんでもないことを言っている気がする

静「それぞれの流派の最低限の基本を組み合わせて擬似的な新流派にするのね?」

悟「そゆこと」

静さん
頭文字のS
ドSのS
門弟みんな
ドM達

それから俺の修行は特殊な構成になっていった
場所はいつもの練習場
ここはこの兄姉にとっても昔馴染みの場所らしい


雷光脚の修行

剣「おりゃぁぁ!!雷光脚ッ!!」

ベシンッ!!

静「弱い!!」

静のつま先がケツの○に刺さる

剣「おぉうぅ!!」

悟が居ないので静を止める人は居ない

剣「くっ・・・雷光脚!!!」

俺が蹴っているのは全く何も巻いていないただの樹木なので強く蹴ると足が痛い

ベシンッ!!

静「弱い!!!」

今度の蹴りはタダの蹴りでは無かった

キィィィンッ!!!

甲高い音がしたかと思えば俺のケツに凄まじい衝撃が・・・

剣「うわぁぁっ!?」

さすが一撃必殺の流派だ

一番ダメージが軽減されるはずの尻へのダメージでも意識が飛んでしまった

静「ほら!早く起きな!」

剣「・・・・」

烈風拳の修行

悟「姉ちゃんに随分痛めつけられたみたいだね」

剣「おれあのひとにがて・・・」

悟「俺も姉ちゃんには昔っからいじめられっぱなしだもん。・・・俺もにがて」

悟「それは置いといて・・・烈風拳の身のこなしを重点的に教えるからね」

剣「お願いします!」

悟「じゃ、みんなよろしく」

「「「「うっす!!」」」」

数人の悟弟子が立ち上がって俺の両腕を後ろで縛り上げた

剣「ちょ・・・何するんですか!?」

悟「両腕を使わずに身のこなしだけで彼らの攻撃を避ける練習・・・はじめ!」

「「「「うぉらぁぁぁ!!!」」」」

剣「うわぁぁぁぁぁ!!!!」

両腕を使わず・・・すなわち激流拳を封印して攻撃を回避する

剣「そんなの無理だぁぁぁぁ!!!!」

どがっばきっずどどどどどっ!!!

悟「ごめんよ・・・剣くん・・・。でも君が強くなるためだから・・・」

こんなハードな練習続くはずがない・・・

と、思っていたのだが

決闘2日前

剣「どぉぉぉりゃぁぁぁ!!!」

ビュンッ!!!

バシンッ!!!

静弟子「ぐぉぉぉっ!?」

静弟子は見事に吹っ飛んで地面を転がる

静弟子「ぐっ・・・男の蹴りは嫌いだ・・・」

静「随分いい感じになってるじゃない」

剣「おかげさまで」

足の皮が厚くなったのか?
蹴り方が上手くなったのか?

威力も格段に上がり足もそんなに痛くなくなった

静「相手が和だからね・・・油断は出来ないわよ!」

剣「はい!」

静「ふぅ・・・私も旦那と仲直りしないとね・・・」

剣「旦那さんはどんな人なんですか?」

静「う~ん・・・真っ直ぐで・・・不器用な人かな?」

悟「いい人だよ。親父の試練にも耐えたし」

試練・・・?

剣「試練ってなんですか?」

静「この家の決まりでね、結婚する時にお父さんが試練を出すの」

剣「・・・へぇ・・・」

悟「あの時は100人の弟子と翔吾さんの決闘だっけ?」

翔吾・・・それが静の旦那の名前らしい

剣「旦那さんも強いんですね・・・」

静「私より弱いけどね。私の弟子だし」

悟「剣くんと和の関係みたいな感じだね」

いや、100人を相手にしたのなら相当強いだろ

静「剣くんもちゃんと強くならないと和をゲットできないよ~!」

剣「ポケ○ンみたいに言わんで下さいよ」

悟「さ、次は僕の修行だ!」

剣の前には10人ほどの悟弟子

剣は両腕を縛られた状態

悟「始め!」

「「「「うおぉぉぉぉぉ」」」」

剣「よし・・・こい!」

先頭の弟子に静仕込みの蹴りを食らわせる

攻撃を避け、その動きのまま攻撃に転じるのが随分上手くなった

と、自分で実感できる

流石に弟子達は手加減をして烈風拳は使わないもののこれだけの人数を相手に出来るだけで十分だ

悟「・・・・そこまで!」

ストップウォッチを見ていた悟から終了の合図がでる

剣「はぁ・・・・はぁ・・・・」

悟「剣くん・・・・」

剣「なんですか・・・?」

悟「上出来っ!!」

親指を立てて満面の笑顔の悟

「よくここまで仕上げたよな」

「これなら和ちゃん相手にいい勝負できるんじゃねぇか?」

みんなからもいい評価をもらえた

時刻はとっくに深夜のレベルだ

剣「みなさんこんな時間までありがとうございました」

悟「明日は僕と姉ちゃんとの実戦練習だよ」

ついに・・・仕上げだ!

翌朝

朝は自己流で激流拳の練習をしている

今まで和から教わった基礎練習しか出来ないが・・・

ザッ

草を踏む音が聞こえた

とっさに木の影に隠れる

何で隠れたのか自分でもわからなかったが

そこに現れたのは・・・和だった

いつものポニーテールがなんだか懐かしい

和「・・・・」

何を考えているんだろう・・・?

和はしゃがみこんで芝の上を手で撫でる

和「あいつ・・・ちゃんとここで練習してるんだな・・・」

あいつ・・・それはおそらく俺のことだ

和「・・・すまないな・・・剣・・・」

本当だったら飛び出したかったが・・・

俺は思い留まった

決闘の下見なのか?

まさか俺に会いに来たとか?

むしろ闇討ち目的?

いろんな考えが浮かんだが和の姿をみたらどうでも良くなってしまった

俺は絶対に彼女を取り戻す

そう再び決心した

その日の夜

剣「おおぉぉっ!!」

静との全力での戦い

静の雷光脚は確かに戦いづらい

だが、一撃必殺は烈風拳で上手く回避する

静「さっきから上手く避けるわね・・・!」

剣「・・・・っ!」

向こうはまだ余裕があって話せているが俺は極限まで集中しているため無駄なことは考えられない

静の雷光脚は攻撃後の隙が唯一の突破口だが・・・

静には全く隙がない

こんなの反則だ

静「えぇいっ!!」

キィィィンッ!!!

再び雷光脚

避けてばかりではラチがあかない

こちらもしかける!

雷光脚の範囲から逃げずにむしろ距離を詰める

静「え!?」

凄まじい威力の蹴りをつま先に近いところで当てられたらダメージはでかいが足の付け根に近づくにつれ威力は落ちる・・・はず!

左手をガードに当てて蹴りを太腿の部分で受ける

衝撃は予想以上だったが体制を崩すほどではない

片足で体をささえている静の軸足を払う

バランスを崩して隙が生まれた

剣「どぉぉぉっ!!!」

俺はすかさず雷光脚を放つ

威力は静のものと比べものにならないほど弱いが

バランスを崩した静は回避出来ずに俺の雷光脚をもろに受けた

静「ぐぅっ・・・!」

静は膝をついた

静「・・・参ったわ。よく雷光脚の対処法がわかったわね・・・」

無意識だったが今のが対処法だったらしい

静「威力も申し分ない・・・合格よ」

ただ、静の雷光脚は確実に手加減されていた

この人が本気になったら俺の骨が大変なことになっていたはずだ

男「変な女の子を拾った」
http://minnanohimatubushi.2chblog.jp/lite/archives/1833460.html

男「住めば都と言うが住んだらお化け屋敷だった」
http://minnanohimatubushi.2chblog.jp/lite/archives/1834501.html

これでしょ?

悟「さて、次は僕だ」

少しの休憩を挟んでから向かい合う二人

悟「手加減はしないよ」

剣「はい!お願いします!」

空気が一気にピリピリしたものにかわる

悟「和は昔から純粋だったんだ」

剣「・・・・?」

こんなに殺気を放ちながらもいつも通りに語りかけてくる・・・

この人はやっぱり普通じゃない

悟「君が和に相応しいか・・・」

その瞬間何かを感じとった

剣(来るっ!)

悟「見極めさせてもらう!!」ダッ

とっさにガードをした瞬間にはもう目の前にはいない

すぐに後ろから殺気を感じた

とっさに身を引いてかわす

俺がもといた場所を悟の蹴りが走る

悟は激流拳で受け流せないようにいろんな方向から攻撃をしかけてくる

こちらも避けるのが精一杯だ

悟「はぁぁっ!!」

悟の一撃離脱戦法は凡人には真似できない超高度な技だ

これを破るのはずいぶん大変そうだ

剣「そこだ!」

動きを見切って放った雷光脚は紙一重でかわされる

剣(このままでは・・・)

必死に和から教わった事を思い出し策をねる

なにか・・・なにか突破口が・・・

あった・・・!

俺は全身の力を抜きいわゆる棒立ちの状態になった

静「え!?」

「なんだ?」

「もう諦めちまうのか!?」

悟「・・・・」

目を瞑り全神経をキリキリと尖らせる

入って来る感覚は臭いと音のみ

目でみるから惑わされる

周りの門弟たちのざわめき

静の息づかい

そして・・・

悟が地面を蹴った音・・・!

剣「そこだっ!!」

全身のバネをフルに使い全力の雷光脚を放つ

キィィィィンッ!!

悟「なっ!?」

雷光脚は悟のわき腹にめり込み・・・

吹っ飛ばした

元々体重が軽めな悟は予想以上に吹っ飛び地面を転がった

静「悟!」

みな慌てて悟に駆け寄る

悟「うぐっ・・・いやぁ・・・効いたよ・・・。最高の一撃だった・・・」

すぐに身を起こしたからダメージはそこまでではないようだ

悟「君があの構えを使うなんて・・・」

剣「和に教えて貰ったんです。俺もやって見るのは初めてだったんで博打でしたけど」

静「あの構えはお父さんしか出来なかった静動の構えなのよ」

剣「静動・・・?」

悟「明日和に対抗できそうな技を身につけたね・・・」

剣「はい!」

そして・・・決戦

翌日

この日は土曜日。朝からいつ雨が降ってもおかしくない不安定な天気だった

悟「剣くん・・・大丈夫かい?」

朝から平和道場で軽く体を動かすつもりで来たら悟が付き合ってくれていた

剣「大丈夫です・・・」

実際大丈夫ではなかったのだがこうでも言っておかないと俺の心が折れてしまいそうだった

剣「和は・・・?」

悟「朝から気合いれて練習してるよ」

やはり流石は和だ

自分に驕らず最後の最後まで頑張っているのだ

決闘の時刻は今日の正午

それまでできる限りの調整をしなくては・・・

正午

場所はいつもの丘の上の原っぱ・・・俺たちの練習場

俺達がついたときにはすでに和と静がいた

和「剣・・・」

剣「約束は前に話した通り・・・俺が勝ったら破門は取り消しだ」

和「私が勝ったら・・・」

剣「和の望む通り・・・」

和「いいだろう・・・」

和は赤紫色の正装を着ていた

その肩には今まで見たことのなかった激流拳をマスターした証のワッペンがついている

静「剣君・・・これ」

静に一つの紙袋を渡される

和「武器か・・・?」

武器もOKなルールなのだが今回は何も持ってこなかった

紙袋の中身は・・・

俺の正装だ

Tシャツを脱いで正装を羽織る

その肩には・・・

和「剣・・・それは・・・!?」

激流拳のワッペンの下に雷光脚、烈風拳の非マスターワッペンがついている

静が昨夜つけてくれたものだ

剣「俺じゃぁお前には勝てない・・・ましてやお前の激流拳でぶつかり合ったんじゃぁなおさらだ」

前の帯をきつく結んで鉢巻きで前髪をかきあげる

剣「これがお前のスタイルだ」

悟「僕たちも剣君と同じ思いだってことさ」

静「あなたは本心から剣君を拒絶できていない。きっと何かあなたを縛っているものがある」

和「・・・」

剣「さぁ・・・始めようぜ」

和が相手の練習は何度もやってきたが今回は久々ということもあってか緊張している

ゴロロロロ・・・

遠くで雷の音が聞こえた

もうすぐ雨が降りそうだ

ピリピリとした空気の中、互いに隙を探り合う


和「・・・行くぞ・・・!」

和が動いた

シュババババッ!!

すさまじい蹴りや拳のラッシュ

それを激流拳の受け流しでかわす

いつもよりキレがよくスピードが速い

これが和の本気なのか・・・

その時、一瞬・・・ほんの一瞬小さな隙ができた

その隙を俺は見逃さなかった

剣「でぇやぁっ!!」

雷光脚が走る

だが、和の胸をかすめ空撃ちにおわってしまう

今度は俺が大きな隙を作ってしまった

すかさず和が攻撃を仕掛けてくる

剣「まだまだっ・・・!」

とっさに烈風拳の回避運動でその攻撃を回避し、距離をとる

和「・・・以前の剣ならここでダウンだったな」

剣「・・・だな、でも俺だって負けられないんだ」

すぐに構えなおし向かい合う

ポツ・・・ポツ・・・

雨が降り出した

剣「でぇぇぇぇぃっ!!!」

仕掛けてはかわされ・・・・仕掛けられてはかわし・・・

和「はぁぁっ!!」

決闘が始まって30分ほどたって雨が本降りになりだした

ザー・・・

剣「はぁ・・・はぁ・・・」

こちらのスタミナはそろそろ限界に来ていた

和「はっ!」

和が地面をけって接近する

とっさに雷光脚でカウンターを試みるが失敗した

腕をつかまれ・・・

和「えぇいっ!!」

投げられた

数瞬の間の無重力みたいな間隔の後俺は背中から地面に激突した

剣「ぐぁっ!」

意識がもうろうとする・・・

和「勝負・・・ありだな・・」

和の声が聞こえた・・・

雨が顔を叩く・・・

剣「まだ・・・だ・・・!」

疲れ果てた四肢に再び力を込める

ここからはもう気合しかない

和「っ!?しぶとい奴っ!」

再び和が俺の腕をとり投げ飛ばす

今度は受け身が取れずに顔面から地面に激突する

和「もう・・・あきらm・・」

俺はまた立ち上がった

剣「・・・まだ・・・だ・・・」

脳への衝撃の影響なのか思考が定まらない

でも俺の中で『立ち上がらなければいけない』という命令が強く残り続けた

和「っ・・・!?もうお前に勝ち目は・・・」

疲労困憊し、もはやまともな攻撃ができるとは自分でも思わなかったが・・・

剣「俺が・・・負けを認めない限り・・・俺が立ち上がる限り・・・」

剣「俺は・・・負けないっ!!!」

限界のはずの四肢に力が戻る

剣「っ!」

ぬかるんだ地面を強く蹴る

和に向かって全力で走る

これが最後のチャンスだ!

その勢いのまま地面を蹴り宙に飛びあがる

体が硬いせいで不格好だったが俺の渾身のとび蹴りだった

和も予期せぬ攻撃に両腕でガードするしかなかった

二人はその場に倒れる

泥だらけになりながら二人はまだまだ立ち上がる

剣「うおぉっ!!」

和「あぁっ!!」

和が俺の袖をつかみ投げようとする

その動きはあまりに不安定で・・・

剣「させるか・・・!」

俺がもがいたら崩れた

ドシャッ!!

俺は地面に落ち、和はその場に倒れこんだ

仰向けに倒れた俺はもう限界だった・・・

もう起き上がれない

なのに・・・

和「・・・っ」

和は立ち上がった

剣「・・・くそ・・・」

やっぱり師匠は強かった

勝てるかもなんて甘い考えだった

剣「とどめを・・・そうしないと俺は負けれない・・・」

ザー・・・・

雨が目に入る・・・

和が俺の横に膝をつく

そして右腕を振り上げた・・・

振り上げられた右腕はまっすぐ俺の胸に叩きつけられた

いや、この表現では強すぎる

もっと優しく・・・ほぼ乗せたに近かった

剣「・・・和?」

和は泣いていた・・・

まぁ実際雨なのか涙なのかわからなかったんだけど

和「こんなしぶとい奴・・・いくら倒したって無駄じゃじゃないか・・・」

剣「・・・和」

和「私が・・・私が弱かった・・・お前を・・・剣を信じられなかった・・・」

何を言っているんだ?

和「私の負けだ・・・」

ポツ・・・ポツ・・・

雨が弱まりだした

剣「ってことは・・・」

和「私には剣が必要だ・・・。頼む・・・これからもずっと一緒に・・・」

あれ?俺が勝った・・・?

剣「破門は・・・なし?」

和「ああ、すまなかった・・・許してくれ」

剣「俺も・・・こうして和と本気でぶつかり合ってわかった」

ノリと勢いで言ってしまおう

剣「俺は和が好きだ・・・。」

和「・・・私も剣が好きだ」

弱い雨が顔にあたる

その雨空を和の顔が遮った

今までにないくらいの至近距離

和が顔を近づけてくる

そういうシチュだよね!?

これってそーゆー場面だよね!?

俺はパニックを抑えながら軽く頭を持ち上げる

そして・・・

悟「うわわっ・・・退散退散・・・」

静「ばかっ!静によ・・・この雰囲気を壊さないよーに・・・」

二人はさそくさと逃げ出した

いや・・・完全に忘れてたけど・・・

見ると和も顔を真っ赤にしながらそちらを見ている

和「・・・っ!!」

照れ隠しなのか和は思いっきり俺の鳩尾をぶん殴った

剣「ぐぼはぁっ!!」

ああ・・・・

意識が遠のく・・・

「剣!・・・剣ぃ!!」

和が叫んでいる声が遠くなり

俺の意識は完全に途絶えた

どうやら和は屑沢と悪井に脅されていて俺とこれ以上接触するなら俺を酷い目にあわすとかなんとか

和も自分が標的になるならまだしも俺が標的になるのは避けたかったらしい

俺も何も知らなかったことを悔やんだ

和「でももう大丈夫だ。剣は強いからな」

剣「おうよ」

和「・・・またあの二人とは友達でなくなってしまうのかな・・・?」

あんな二人でも、仮の友情でも、和にとっては大切な友達なのだろうか?

剣「・・・あの二人はむりかもなぁ・・・」

和「そうか・・・」

残念そうな顔の和

剣「でも友達はまだまだ作れるからな」

和「・・・そうか?」

剣「よゆーだって!いまの和は魅力たっぷりだからな!」

和「あ、ああ」

きっと和なら大丈夫だ

すぐにいい友達ができるさ

ただ悩みの種は・・・

あのしつこい二人だ

そして翌々日

剣「おはよう」

和「お・・・おはよう」

朝の練習が再開された

和「一度勝ったとはいえあれはまぐれだ」

剣「そんな!」

和「私がもっと剣を憎んでいたら私が勝っていた」

確かにそうかもしんないけど・・・

剣「でもっ!」

和「剣・・・察してくれ・・・」

剣「あ・・・あ~・・・」

これは俺に対する言い訳ではなく師匠としての自分自身に対する言い訳なのか

剣「・・・まぁもう一回やったら勝てる気しねーしな」

和「・・・」

剣「よしっ!久々に稽古お願いしますわ!師匠!」

和「・・・わかった!」ニコッ

久しぶりにみた和の笑顔

剣「でぇぇいっ!!」

こうして二人で練習している時間が幸せなんだなって実感した

和「そんな付け焼刃な雷光脚!!」

足を簡単に掴まれバランスを崩される

ドテッ

剣「いてぇ!」

和「もう同じ手は通用しないぞ?どうする?」

とび起きて再び構える

剣「何度でも突破口を探すまでよ!」

烈風拳、雷光脚、そして激流拳のブレンド拳で和を翻弄する

余談だがあの決闘の後、静は「若い二人のラブラブパワーを分けてもらったから仲直りしに帰る」と帰ってしまった

雷光脚をこれ以上学べないのが残念だ

和「どうした?そんな攻撃では私に当たらないぞ!」

剣「でぇぇいっ!!」

俺の攻撃をクルリとまわって回避した和

その髪が突然ほどけた

和「あ・・・!」

練習が中断し和が屈んだ

剣「ど、どうした?」

和「・・・これ」

和の手の中には俺がいつかあげたヘアゴムだった

剣「あ~、切れちゃってるね」

和「すまない・・・大切にしていたつもりなのだが・・・」

剣「安物だったからな、しょうがないって」

と、言ってはみたものの和はずいぶん落ち込んでしまっていた

剣「また買えばいいさ。今度はヘアゴム以外でもいいぞ」

和「・・・一緒に買い物に?」

剣「そうだな。一緒に行こうか」

和が嬉しそうな顔をする

和「ありがとう、剣」

いつもの和が帰ってきた

学校

剣「おはよ」

たけし「おはよぉ・・・お?今日は夫婦そろってんのな」

剣「おうよ。」

和「夫婦ではっ・・・」

女子1「あ、平和さん」

和「ん?」

女子1「これ、日誌。今日日直でしょ?」

和「ああ、そうだった。わざわざありがとう」

女子1「いえいえ~」

そのまま去って行ってしまう・・・かと思った女子1が

女子1「平和さんって駅前のたこ焼き屋行ったことある?」

和「え・・・?」

女子1「ほら!あの最近噂の」

和「あ、行ったことある・・・」

女子1「どうだった?」

和「・・・正直に言っていいのか?」

女子1「もちろん」

和「まずかった・・・」

女子1「やっぱり!あそこ全然おいしくないよね!」

なんか話が盛り上がってきたので和を置いて自分の席に着いた

女子1「なんかべっちょりっていうか」

和「水分が多すぎて気持ち悪かった」

女子1「そうそう!なんか秘伝のたれとか言ってるけど」

和「あれは味が濃いだけだ。うまみがない」

女子1「わかってるぅぅぅぅ!!」

和「えっ!?」ビクッ

女子1「やっぱり平和さんもまずいって!」

女子2「やっぱり?なんで人気なんだろね~?」

なんだかちゃんと輪の中に入っているようだ

女子2「でも、三丁目のたこ焼き屋はおいしいんだよ」

女子1「三丁目?」

女子2「今度行こうよ」

女子1「いいね~」

女子2「平和さんも行こ?」

平和「いいの?」

女子1「もちろん彼氏連れてきてもいいのよ」

平和「か、彼氏?」

女子2「諸刃くん」

なんか俺がはなしに出た来たぞ・・・

女子2「あー!そうしたら彼氏なし私だけじゃん!」

女子1「ほっほっほ!早く作りなさいよ~」

たけしが俺の肩を叩いて耳打ちしてきた

たけし「どうやら一緒にたこ焼き屋行くことになりそうだな」

剣「は?」

女子1はたけしの彼女だったらしい

剣「てか、俺まだ和に告ったわけじゃないんだけど」

たけし「ならとっとこ告っちまえよ。実質もう付き合ってるも同然なんだからさ」

でも一応師匠だしなぁ・・・

やっぱり告るタイミングは俺が激流拳をマスターしてからだ

それまでは飽くまで師匠と弟子だ

その時、俺は修業で高められた殺気センサーに引っかかるものを感じて振り返った

剣「・・・屑沢、悪井・・・」

たけし「ん?あいつらとはもういざこざ無いんだろ?」

剣「大有りだ。最悪の状況だよ」

そう言って俺は立ち上がった

たけし「べんじょか?だったら俺も・・・」

剣「便所じゃねぇし、だとしても連れションなんて嫌だからな」

そのまま屑悪コンビに向かっていく

俺に気が付いて逃げようとする二人に大きめの声で言った

剣「俺を標的にするんだろ?だったらそっちも覚悟決めろよ?」

二人の動きが止まった

剣「俺は差し違える覚悟はできている」

二人はそのまま立ち去った

和はそのまま友達の輪の中に溶け込んでいった

和自身自覚していないかもしれないがずいぶんと明るくなった

そのせいで人が寄ってくるようになったのだ

和の笑顔がクラスの中でも見られるようになった

和「剣、ありがとう」

剣「ん?」

それは学校からの帰り道のことだった

和「剣のおかげで最近初めて学校が楽しいと思うようになった」

剣「そうか、それはいいことだな。・・・でも俺何もしてないぞ?}

和「いや、剣が私を変えてくれたんだ・・・」

そういう風に言ってもらえるとなかなかに照れる

和「だから・・・最後に助けてほしい」

剣「助け?」

和が携帯でメールを見せてくる

屑沢からのメールだ

内容は・・・

『今日の午後の7時に学校に来てね』

としか書いてない

剣「明らかになんかの罠だね」

和「私は・・・あの二人とも友達でいたい」

剣「本気かよ」

和「本気だ」

和「相手が罠を張ったときは相手が一番油断する時だ」

剣「つまり・・・今がチャンスだと?」

和「だがこれは喧嘩の話だ・・・ひと付き合いとなると自信がない・・・」

剣「わかった・・・この罠、引っかかってやろうぜ」

どんな罠なのかわからないが・・・爆発とか集中砲火とかじゃなければ死なないと思う

今日の7時・・・ここですべての決着をつけてやる!

さて、ここは7時ちょっと前の学校

学校の門はすでにしまっているのだが簡単に侵入できてしまう

この学校大丈夫なのか?

よくリア充カップルがいろいろやってるらしいが

そこには屑沢と悪井、そして10人ほどの他校の不良男子たちだ

屑沢「いい?ここに平和って子が来るからその子を軽く痛めつけちゃって」

流石屑沢

男子A「なんかそいつに恨みでもあんの?」

屑沢「いろいろね」

悪井「ちょっと痛めつけるだけでいいから」

男子A「へー」

男子B「なぁ?俺いいこと思いついちゃったんだけど」

男子C「おれもー」

屑沢「なによ?」

男子C「そんな奴凹るよりこの二人で遊んだほうがおもろくね?」

悪井「え・・・?」

屑沢「そ・・・そういうのはこれから来る・・・」

男子D「そいつも後で参加ってことで・・・」

屑沢と悪井がとっさに逃げ出す

剣「大体状況が分かったな」

和「ああ」

実は罠だと知っていた俺たちはあの後すぐに学校に戻りずっと張っていたのだった

その間のウフフキャッキャな場面は割愛させてもらう

剣「さて・・・俺はこのまま見過ごせないから一応助けに行くけど・・・」

和はそうはいかない

助けに行けば和の正体がばれてしまう

しかもよりによってあの二人に

和「私も行く」

答えはあっさり返ってきた

しかし・・・和は震えていた

剣「大丈夫か?」

和「・・・少し怖い」

和「でも、友達のためだ・・・」

あんな奴らでも友達と呼べる和

剣「そんな和が大好きだ」

和「行こう・・・!」

俺たちは飛び出した

案の定二人はつかまっていた

相手は10人くらいいる

このゲス共なら思いっきりぶちのめしても大丈夫だ

一番後ろの不良を俺が蹴り飛ばす

不良J「ぐぎゃっ!!」

不良D「なんだ!?」

突然の出来事にうろたえる不良たち

その間にも次々とちぎっては投げちぎっては投げ

よく考えたら俺は複数相手の喧嘩を習っていなかった

不良の一人に全力で雷光脚をぶちかます

不良H「ぶぎゃぁっ!」

確実に一撃で相手を再起不能にする和に対し俺は複数回攻撃しないと相手を倒せない

そこがやっぱり格が違うと思った

屑沢「あ・・・和ちゃん・・・?」

やっぱり気が付いた

和の動きが一瞬止まった

こうして数人倒したら残りの4人ほどが逃げ出した

和「追う必要はない」

ここで俺の初めての実戦が終わった

和は無傷だったが俺は何度が食らったため体の所々が痛かった

剣「あのs・・・」

屑沢「・・・和ちゃんでしょ?」

和は屑沢の方を向かない

悪井「・・・・」

和「剣、行こう」

剣「あ、ああ」

駆け出した和を追って俺たちは学校を後にした

公園

剣「・・・大丈夫か?」

和「なんか色々と吹っ切れた・・・」

どうやら大丈夫そうだ

剣「やっぱ和は強いな」

和「・・・当たり前だ」

剣「痛ぇ~・・・」

和「血が・・・」

和が俺の口元をハンカチで拭って・・・

剣「あでででっ!!」

和「あんな奴らでも群ればやっかいだからな」

そしてその一週間後

和の正体は言いふらされなかった

それどころか・・・

平和道場

屑沢「やぁっ!!」

悪井「とぉっ!!」

こいつらも和に弟子入りしやがった

和「そんなフニャフニャな蹴りじゃだめだ」

剣「そうだ」

悪井「剣は黙っててよ」

剣「んだとぉ!?俺は兄弟子だぞ!」

屑沢「流派浮気してるくせに」

剣「ぐぬぬ・・・」

屑沢「剣なんてほっといて続きやろ!」

剣「呼び捨てすんなよな!!」

こんな感じで和の問題は解決したわけだ

さらに数日後の下校時

今日は和が友達と買い物に行ったので俺一人で帰ることになった

不良A「お?剣じゃね?」

不良B「本当だ。いつかのお礼してやろうぜ」

めんどくさいのに会った

不良A「なぁ剣?ちょっと金貸してくんねww」

相変わらずヘラヘラした奴らだ

剣「残念だけど今週末買い物に行く予定があってな。それは無理だ」

堂々とした態度に一瞬圧倒される不良たち

不良A「おお、でかい態度とるようにばったじゃねぇか」

不良B「これは~ちょっと痛い目にあって貰わないとだめだね~」

不良が俺の肩に手を置いた

すかさずばげ飛ばして差し上げる

ずでっ!!

不良B「いてぇっ!!」

剣「喧嘩だったら相手になるぜ?」

不良の仲間が集まり6対1になる

こんなに集まられたら・・・

5分くらいかかっちゃうかな?

剣「さ、練習相手になってもらおうかな」

6分後

不良Aを残し全員再起不能だ

不良A「な・・・」

剣「お前もやるか?」

不良A「・・・どういうことだ・・・?なんでそんなに強く・・・!?」

剣「師匠から習ったんだよ・・・喧嘩をな」

不良A「し、師匠・・・?」

剣「そう、俺の師匠は強くて」

剣「可愛いんだぜ」

それ以来不良たちは俺に近寄らなくなった



終わり

最後に

喧嘩はよくないのでやらないように

あと決闘は犯罪です

次に書こうと思っているのが2つあります

一つ目はまた平凡な男と特殊な女の子の話です
だいたいの筋道は考えてあるので短いです

もう一つはバトル?系です
こっちは本当にノリと勢いに任せて終わりが見えない感じです

どっちがいいですか?

では短い方から行きます

書くときになったらまた新しいスレ立てるので良かったら読んでください

和「・・・大丈夫か?剣・・・」

剣「おう!」

剣の肩には3つの流派をマスターした証が輝いていた

門弟「では!前門弟300人対諸刃の剣!対抗試合を開始する!!」

剣「諸刃の剣って言わんでください」

ドドンッ!!

太鼓の合図で一斉に門弟が剣に襲いかかる

和が剣のものになってしまう事を回避するべく全力の奴らばかりだ

剣「すぅー・・・・」

息を大きく吸い込み・・・

ダッ!

門弟たちに向かって走る

その勢いにのって

剣「真・雷光脚!!」

3人ほどの門弟が直撃を受けて吹き飛ぶ

それでも焼け石に水だが・・・

「うおぉぉぉ!!!」

和「剣!!殺しちゃダメだぞ!!」

和も心配する方が違うと思うのだが・・・

門弟を千切っては投げ千切っては投げ

悟「おぉぅ・・・まさに鬼神って感じ」

雄叫びに混じって悲鳴が聞こえてくる

剣は確実にかつ素早く敵を倒して行く

岩石「剣!!俺が相手だ!!」

剣「どぉぉりゃぁぁ!!」

・・・・・

そしてついに

剣「でぇいっ!!」

「ぐぼぁっ!!」

これで299人目のはずだ・・・

剣「あれ?一人たりねーんだけど?」

和父「最後の一人は・・・」

剣「え・・・・?」

いくら強くなった剣でも和の父は剣が10人居ないと敵わない

今の剣の肩には3つのマスターの印と一つ・・・

和父の流派獣王剛覇拳の門弟の証がついている

和父も今では剣の師匠の一人なのだ

和父「こいつだ」

そこにはいつの間にか準備をしていた・・・

和「よし!いくぞ!」

剣「ちょ・・・なんで和が!?」

和「私より弱い奴を夫になどしたくない!」

ごもっとも

剣「んじゃ・・・勝負だ!」

和「全力でこい!!」

終わり

適当に書きました

多分本編から数年経ったような気がします

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom