沙織「沙織と!」麻子「麻子の〜」二人「「なんでも相談室〜」」 (24)




————大洗女子学園:戦車倉庫にて



麻子「……ってなんだこれ?」


沙織「もー麻子聞いてなかったの?昨日会長さんが来て『空き時間を使ってチームの皆の心のケアをするように』って言ってきたから、こうして戦車倉庫の中に相談室を作ったんじゃん」


麻子「そうだったか……?」


沙織「寝てて聞いてなかったんでしょ?『どうせなら全国大会2連覇して学園艦存続を盤石なものにしたい』って言ってたじゃない?」




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沙織「生徒会の人達、自分達が卒業した後のことも考えてくれてたんだね……ほら、麻子もしゃきっとして!みぽりん達だって別なお手伝いしてるんだから、私達も相談役頑張らないと!」


麻子「今日は戦車道の練習はいいのか?」


沙織「�号は今自動車部にオーバーホールしてもらってるからね〜筋トレくらいなら出来るんだろうけど……」


麻子「……わかった、なら頑張ろう。筋トレよりは疲れずに済みそうだ」


沙織「ん〜でもどんな相談が来るのかな?戦車のことはよくわからないけど、恋愛関係ならどんと来いだよ!」





————数十分後



磯辺「というわけで冷泉さん。今度うちのクラスで数学の小テストがあるみたいなんだけど、高得点とるにはどうすれば……」


麻子「教科書の例題を見なおせ。うちの学校の小テストは、例題の数値を変換した問題しか出ないからそれで十分だ」


磯辺「な、なるほど……」


ゴモヨ「あ、あの……操縦がうまくなるにはどうすれば……」


麻子「マニュアル通りにガチガチに考えるな、どうせ視界が狭い中運転しなきゃならないんだ、ある程度目算と感覚で動かしてればなんとかなる」


ゴモヨ「は、はぁ……」


沙織「む〜」



麻子「……なんだ沙織、うるさいぞ」


沙織「……んで……」プルプル


麻子「?」


沙織「なんで麻子ばっかり相談されて、私のところには誰も来ないの!!?」ガーッ


ゴモヨ「ひゃあっ!?」


麻子「何だいきなり……」


沙織「だっておかしくない!?せっかく相談室の看板に名前まで入れたのに……」




麻子「いつの間に作ったんだこんなの……」


ゴモヨ「確かに『沙織と麻子の』って入ってますね……」


磯辺「すごい……ビーズデコのハートマークまで入ってる……」


沙織「そりゃ〜学年主席の麻子に比べれば私は頼りないかもしれないけどさ……でも、恋の悩みとかなら得意分野だもん!!」フンスッ


麻子「……だ、そうだが。ふたりはどうだ?恋の悩みなら喜んで答えてくれるそうだぞ?」


磯辺「いや、私は今バレーボールが恋人なんで……」


ゴモヨ「ふ、不純異性交遊は校則違反ですっ!」


麻子「……だそうだ」


沙織「ああ……そう……」ガクッ




磯辺「じゃあ、私達はこのへんで……」


ゴモヨ「し、失礼します……」


沙織「ああ……行っちゃった……」


麻子「……そんなに相談を受けたいのか?」


沙織「ん〜というより、私だけなにもしてないみたいでなんかね……」


麻子「……まぁ待ってれば沙織目当ての人も来るだろうさ、気を落とすな」




沙織「麻子……」


猫田「あのう……」ヒョコッ


沙織「あれ、猫田さん?どうしたの?」


猫田「戦車道チームの相談室はこちらでいいのかな?実はご相談したいことがあって……」


麻子「まぁとりあえず座れ……」


猫田「あ、はい……」ガタン


沙織「それで、相談したいことって?」




猫田「実はボクも武部さんと同じくアマチュア無線技士の資格を取ろうと考えていて……」


沙織「ええっ、そうなの!?」


猫田「はい……ボクたちのチーム、決勝戦では全然活躍できなかったから、来年こそはチームの皆さんのお役に立ちたいと思って……」


猫田「資格があれば、遠距離でも強い電波が飛ばせるんだよね?偵察とか作戦の幅が広がるかなと……」


麻子「まぁ確かにな……」


猫田「そこで資格を持ってる武部さんに、何か試験のアドバイスをもらえればと思って」


沙織「なるほどね……」




沙織(よし!これなら私でも答えられそうだし、しっかりアドバイスしてあげないと……)


沙織「そうだね、まず試験ではね——」


麻子「2級ならば高校程度の知識水準と言われている。きちんと勉強すれば一発合格も狙える範囲だ。ただ、モールス信号など普段使い慣れてない分野の知識が要求されるからそれについては……」


沙織「——って、なんで麻子が答えちゃうのよーーっ!!」





————更に数十分後



沙織「…………」


麻子「ふぅ、ようやく一段落したな……」


沙織「結局猫田さんの後は誰も私に相談しに来なかった……何でよ……」ガックリ


麻子「いや、私に聞かれても知らんよ……」


沙織「うさぎさんチームなら誰か来ると思ったのにな……」


麻子「そういえば一年生チームは今日は備品の買い出しに行ってると聞いたな」


沙織「え〜タイミング悪いなぁ……」



麻子「もうこんな時間だし私達も片付けて帰るか」


沙織「あ、うん……」


ガタガタ、ガタン


沙織「でも麻子への相談多かったね〜10人くらい来てたかな?」


麻子「ほとんど勉強に関する相談ばかりだったがな……流石に自動車部の先輩まで聞きに来るとは思わなかったな……」


沙織「それでも答えられてた麻子もすごいよ〜」


麻子「たまたま前に本で読んだことの有る部分だったからな……」




沙織「あ〜あ、私も血液型別の恋愛運や、星座別の相性のいい式場まで幅広〜い知識を持ってるのにな……」


麻子「式場に星座の相性って…………しかし、沙織は何がきっかけでそんな風になってしまったんだ?」


沙織「そんな風って……ん〜きっかけか……」


沙織「……そだね、ちっちゃい頃の対抗心から……かな?」


麻子「……対抗心?なんだ、昔振られた子を見返すために——とかそんな理由か?そんな男子、小さい頃いたか……?」


沙織「ん〜ん、麻子への対抗心だよ?」


麻子「————へ?……私?」キョトン



沙織「そだよ〜」


麻子「な、なんでまた……」アセアセ


沙織「だって麻子ってば、小さい頃から勉強はできるわ、運動神経はいいわですごかったじゃない。幼心には『負けてたまるか〜』って思ったわけよ」


麻子「そう……なのか?」


沙織「そうだよ〜。実はあの時期の麻子ってば、クールな印象も相まって、女子全員の憧れだったんだからね〜」


沙織「……ま、朝が弱いのは昔っからだったけどねぇ」ニヤニヤ


麻子「……それがどうして今のお前の恋愛脳に繋がる?」ムスッ




沙織「恋愛脳って……さっきからひどい言われようね——まぁいいや、んで対抗心を燃やした私は


麻子に負けないスーパーウーマンになってやるぞ〜



スーパーウーマンなんだから、当然男の子にもモテモテじゃなきゃダメよね



モテるためには何をすればいいんだろ?いろいろ調べてみよう


そして現在に至る……って感じかな?」


麻子「…………」


沙織「……麻子?」



麻子「いや、何でもない……」


麻子(『手段の目的化』って、こういう事をいうのだろうな……しかし——)


麻子「『女子全員の憧れ』ってことは、沙織も……?」


沙織「えへへ〜お恥ずかしながら。ライバル意識を持ちながらも実力は認めてて……みたいな?当時はまさか、ここまで世話のやける子だとは思ってなかったけどねぇ〜」


麻子「悪かったな……」プイッ


沙織「あ〜もう冗談だってば、怒らないでよ麻子〜」


麻子「別に怒ってない……ただ……」


沙織「ただ……?」


麻子(『憧れ』か——)




沙織『も〜麻子ってば、早くしないと遅刻するよ!』


麻子『眠い……私のことは置いてっていいから……』


沙織『ダメ!遅刻ばっかりしてたら一緒に卒業できなくなっちゃうよ?ほら、ちゃんと立つ!!』グイッ


麻子『…………スマンな、沙織』



沙織『もう、甘いモノばっかり食べてると太るよ?ほら、今日は私がお夕飯作ってあげるから!台所借りるね〜』


麻子『……メニューは?』


沙織『肉じゃが!!』




麻子『沙織は毎日楽しそうだな……』


沙織『どしたのいきなり?モチロン楽しいよ?学校も……戦車道の授業も……こうやって帰りに皆で寄り道するのも!」


沙織「あ〜あ、これで隣に素敵な彼でもいてくれたらな〜』


麻子『……私じゃ不満か?』


沙織『えっ?……そうだね、恋人が出来るまでは麻子が恋人代わりでもいいかな〜』




沙織「……どしたの、麻子?」


麻子「……いや、自分に無いものを持ってる人間は輝いて見えるものだなと思ってな」


沙織「え〜何それ、自画自賛?」


麻子「……違う。『勘の鈍い友人を持つと苦労する』って話だ」


沙織「?」キョトン



ガラッ


みほ「沙織さ〜ん、麻子さ〜ん、お待たせ〜」


優花里「ただいま帰還いたしました!!」


華「あら、ちょうどおふたりの方も終わってたようですね」


沙織「みんな〜早かったね!うん、もう帰れるよ〜麻子、行こ?」


麻子「ああ……」


沙織「ゆかりん達はどんな感じだったの?確か……生徒会の書類整理の手伝いだっけ?」


優花里「はい!未処理の書類が山のようにあったのですが、ここでも西住殿が大活躍されまして……」


みほ「そ、そんなこと無いよ〜」テレッ



沙織「へ〜そうなんだぁ。こっちも麻子がすごかったんだよ!ね〜?」


麻子「ああ……」


優花里「そうなのですか?ぜひともお話をお聞きしたいです!」グイッ


華「まぁまぁ……それより、どこかに寄っていきませんか?そちらのほうがゆっくり話せるでしょうし……」


沙織「賛成〜どこがいいかな……皆、なに食べたい?」


みほ「そうだね……何がいいかな……」


沙織「商店街のスイーツショップは昨日も行ったしな〜」


麻子「…………」ジー




麻子(……しかしまぁ、鈍い相手には、どうすれば気づいてもらえるのだろな……)


麻子(そうだ、今度本人に相談してみるのもいいかもしれない。あれだけ恋愛相談をされたがってたみたいだし、無下にはされまい……)


麻子(その時の沙織の顔が見ものだな。まあ今は——)


麻子「……私はケーキが食べたい」


沙織「またケーキ!?さっきも食べてたじゃない!」


華「いいじゃありませんか、それでは、ケーキ屋に寄ってからいつもの公園にでも行きましょうか」


四人「「「「賛成—っ!!」」」」


麻子(今はとりあえず、糖分を補給するとしよう……)



おわり


以上です。


祝 新作OVA・劇場版制作決定!ということで書かせて頂きました。


劇場版は世界大会とかになるんですかね?リトルアーミーのエミちゃんが出てきてくれると嬉しいのですが……


最近はTVでも大洗町が取り上げられるようになって嬉しいです。自分の後ろ姿が写ってたのは恥ずかしかったですが(笑)

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