久「私は団体戦に出たいのよ!!」京太郎「俺には関係ない」(476)

※京太郎は宮永姉妹と幼馴染

※京太郎は久や照と同年代

※京太郎が主人公っぽい

※照が咲ポジション。あとポンコツクールデレだと思う

※清澄高校が舞台。主な登場人物は京太郎、久、照(高校1年)

※咲ちゃん(中学2年)は出るけど、わかめ(中学3年)、和、優希(中学2年)、ムロマホ(中学1年)はでません

全て問題ない人は読んでもオーケー。


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出てこないから関係ないんだけど、マホは小学生だな

俺と照は中学校が一緒で、中学一年の時、他人に対して無愛想で無関心な照の事を気にかけて積極的に関わっていくうちに、照が俺に懐くようになった。

中学三年のある日、照の両親が別居する事となり、母親によって照が無理矢理東京に連れて行かれると、咲から聞いた俺は、宮永家から出て行こうとする照を引きとめた。
照はその時、泣きながら俺にしがみついて東京に行きたくないと、告白してきた。
俺は照の母親を説得し、照が長野に残れるように頼み込んだ。
照の母親は俺の説得より、泣きながら俺の腕にしがみつく照を見て、あきらめたように溜息をついた。

照の母「麻雀に強くなりたいなら、東京に行くべきよ」

照「東京に…京太郎はいないから…」グスグス

俺は照の頭を撫でながら泣き止むのを待った。
確かに俺と照は仲のいい友達だから、照がそう言ってくれるのは嬉しかった。
そんな風に言うと、少し気の抜けたような、少し怒ったような顔で、何故か俺は「バカ」って言われた。

なんで罵られたのか、意味がわからん。

その後、俺の高校進路は実家から少し遠い工業高校にするつもりだったが、照が俺と一緒に清澄高校に行きたいと言ってきたので、進学先を家から近い清澄高校に変える事となった。
少し勉強を頑張らないと入れなかったが、照がつきっきりで俺に勉強を教えてくれたから、俺も成績が上がり、浪人する事無く清澄高校に入学できる事となった。

その時、宮永家で勉強の息抜きでやった麻雀は照と、照の妹の咲の二人が異常に強くて、俺と照の父親は常に最下位争いとハコ回避が日常となっていた。

>>2
すまない。てっきり原作は中三だと思ってた。

そして、俺と照は無事に清澄高校に入学して1ヶ月。
学校が近いって素晴らしい。何気に重要なファクターだよな、通学距離って。

照「京太郎、待って」

京太郎「相変わらず歩くのが遅いな、照は」

照「京太郎が速過ぎるんだ」ムスッ

京太郎「だから遅刻しそうじゃない日はいっつも照に合わせてるだろ?」

照「むぅ。だけど、今日は絶対に速過ぎだと思う」

京太郎「そりゃ、遅刻しそうだからな」

照「うそ!?それじゃ急がないと!!」

京太郎「そうだな。照は走った方がいい」

京太郎「俺は自分のペースで歩けば間に合うけど」

照「…じゃ、じゃあ、私も歩くペースをあげる!!」

京太郎「走った方が確実だろ?」

照「は、走ったら、京太郎と一緒に登校できないし…」

京太郎「じゃあ、照が走るのに俺が合わせてやるよ。そうすれば一緒に学校に行けるだろ?」

照「あ、ああ」////

京太郎「ほらっ、手を握れ」

照「……」ギュッ

京太郎「行こう」

照「…うん」////

俺と照が手を繋いで、走って、清澄高校の校門を駆け抜ける。
今の時間は8時17分。
ホームルーム開始が8時25分なので、照のペースにあわせて歩いてたら少し危なかった。

俺と照は同じクラスだが、さすがに教室まで一緒に手を繋いで行く事はさすがにない。
俺が照の手を放すと、照は少し自分の手を見つめ、少し何かを考えて、結局、片手で持ってた鞄を両腕で抱え込む。

クラスに到着した俺と照。
俺の席は窓際の後ろから二番目。照の席は廊下側の前から三番目。
位置的には結構離れているが、俺が席に着くと照はトテトテとやってきて、俺の机の上に腰掛けて、ホームルームが始まるまで、少しの時間だが本を読み始める。
俺は話題があれば照に話しかけるが、なければこのまま朝のホームルームが始まるまで、基本放置である。

京太郎「そういえばもう1ヶ月は経つけど、照は部活どこに入るか決めたのか?」

照「うん。文芸部に入ろうかなって…」

京太郎「麻雀部じゃなくてか?」

照「清澄高校は麻雀部がないから」

京太郎「そうなのか。残念だったな、照」

照「別にどうでもいい。麻雀よりも京太郎と一緒にいる方が楽しい」ボソボソ

京太郎「ん?何か言ったか」

照「べ、別に…」

京太郎「そっか」

京太郎「まあ、俺も照といる方が楽しいけどな」

照「……!!」////

照「聞こえてたの!?」

京太郎「これだけ近けりゃ、聞こえるだろ」

照「…京太郎のバカ」

京太郎「安心しろ。自覚はある」

朝のショートホームルームが始まり、俺と照は普通に授業を受けている。
照からは勉強と麻雀を教わってるけど、勉強はなんとか身についてるが、麻雀の方はからっきしだ。
役は覚えたが、点数計算がいまいちわからん。

午前中の授業が終わり、昼休みになった。
俺はいつものように照を連れて食堂に向かう。

照「京太郎。食堂ってことは…」

京太郎「おう。今日もレディースランチ、頼むわ」

照「しょうがないな、京太郎は」

京太郎「そもそもレディースランチが美味いのが悪いんだ。俺のせいじゃねぇ」

照「意味がわからないから」

京太郎「照は昼飯、どうするんだ?」

照「私は家からお弁当を持ってきているから」

京太郎「まさか照の手作り弁当!?」

照「…違う。作ったのは咲」

京太郎「なんだ、いつもの咲ちゃん弁当か」

照「わ、私だってやれば出来る!!」

京太郎「そーだな」

照「くっ…。その全く信用していない、気の抜けた返事が腹立つ」

京太郎「じゃあ、今度、俺に弁当を作ってきてくれよ。そしたら信用するからさ」

照「わ、私が、京太郎に、お弁当を…作る!?」

何故か狼狽しまくった照はレディースランチではなく普通の日替わり定食を買って来て、自分の前に定食を置いて、何故かそのまま食べ始めた。

京太郎「ちょ、俺のレディースランチは?」

照「…え?」

照「……」

照「…す、すまない」////

京太郎「ま、まあ、気にするな。人間誰でも間違えるから」

京太郎(何をどう間違えたら、こういう間違え方をするんだ?)

俺は隣の席に座ると、照が途中まで食べた日替わり定食を食べ始める。

照「…あ」

京太郎「どうした?食べたいおかずがあるなら、咲ちゃん弁当のおかずとトレードだぞ?」モグモグ

照「……」

照「な、なんでもない」

京太郎「…?そっか」モグモグ

照(私が使ってた箸で京太郎が定食を食べてる…)

照(…こ、これは、か、間接キスというやつじゃないか)////

俺は日替わり定食を食べながら、制服のポケットに忍ばせておいた携帯ゲーム機を取り出す。
携帯ゲーム機の電源を入れて、テーブルの上において、左手だけでボタンを操作する。

照「京太郎。それは?」

京太郎「ああ、麻雀ゲームだ。とりあえず照の親父さんと最下位争いするのはコリゴリだからな」

京太郎「少しでも腕を上げて、毎回トップの照はともかく、せめて万年2位の咲ちゃんより上の順位に行く」

照「咲より上は無理だと思うよ。一応、京太郎相手だから、咲も空気読んで接待プレイしてるし」

京太郎「咲ちゃんが接待プレイって…マジかよ」

照「多分、本気でやれば私と互角か、それ以上」

京太郎「照以上って、俺、絶対勝てねぇじゃねぇか。凹むわー、マジで凹むわー」

照「まあ、私もさらに本気を出せば簡単にトップの座は渡さない」

京太郎「ま、まあ、俺と照の親父さんが超弱いから仕方ないか」

照「それは否定しない」

京太郎「そこは慰めるトコじゃね?」

照「…慰めてほしい?」

京太郎「いや。そのうち、実力で照からトップを奪うから、いまはいいや」

照「京太郎。…待ってるから、頑張ってね」ニコッ

京太郎「おう」

俺は昼飯を食べながら、携帯ゲーム、照との雑談をこなす。
照はたまに『その場合は3索をきるべき』とか、『捨て牌を見れば4、7筒で受ける方がいい』とか、口を突っ込んでくるが、何故俺にはそうなるのかがわからない。
だが照のアドバイスは的確で、ゲーム麻雀とはいえ、今日、初めてトップを取る事ができた。

京太郎「さすが照」

照「まあ、ゲーム機だから難易度は緩いだろうし、大した事はない」

京太郎「これを照のアドバイスなしで1位が取れるようになれば、俺も強くなったという証拠になるはず」

京太郎「その時に改めて、宮永姉妹に麻雀勝負を申し込む事にしよう」

照「……」

京太郎「どうした?」

照「…それまで、京太郎との麻雀はおあずけ?」

京太郎「さすがに今の俺は弱いからな。せめて、照に認められるくらいの強さがないと、一緒に麻雀やってもつまんねぇだろ?」

照「京太郎と一緒なら…そんな事ない」

照「私も、咲も、京太郎とやる麻雀は楽しい」

京太郎「接待プレイしてるのにか!?」

照「私にとって強い相手なら咲がいる。咲にとって強い相手なら私がいる」

照「でも、私も咲も気兼ねなく打てるのは父さんか京太郎しかいない」

京太郎「そうか。それじゃあ、今週の日曜日にでもまた照の家に打ちに行くかな?」

照「そうしてくれると嬉しい。咲もきっと喜ぶ」

それにしても、照以上に気弱で内気な咲ちゃんが照以上の麻雀の打ち手だとは思わなかった。
本気を出した咲ちゃんとか見たいような見たくないような。

少しボーっとしながら、惰性で麻雀ゲームをやっているとふと背後に気配を感じた。
照の気配じゃない。横にいるし。
照もそれに気付いたのか、俺の背後に視線を送る。
俺も照に続いて、首を傾けて視線だけを後ろに送る。

そこには人懐っこい笑みを浮かべた茶髪の少女がいた。

久「あなたたち、ひょっとして麻雀が好き?」

京太郎「…それなりかな?」

照「……」

京太郎「ちなみに絶賛勉強中だ」ホレッ

俺の背後に立つ茶髪の少女。
スカーフの色を見ると、俺や照と同じ1年生のようだ。
少し緊張した表情で唇をパクパクさせている。何か喋ろうとしてるんだろう。
俺と照は彼女の言葉を待った。
彼女はなんとか声を絞り出す。

久「えーっと、私は1年の竹井久。…興味があるなら、麻雀部に入ってみない?」

京太郎「俺は1年の須賀京太郎。こっちは同じクラスの…」

照「…宮永照だ」

久「よろしく」

京太郎「照は部活に未所属だが、文芸部に入る予定だ」

久「…そ、そうなんだ」

竹井久と名乗った彼女は、照が文芸部に入るとわかった瞬間、あからさまに残念そうな顔をした。

麻雀部?
確か、照は清澄高校に麻雀部はないと言ってたよな。
だったら、この竹井久が麻雀部を新しく創部、または復活させたって事か。
まあ、どうでもいいんだが。

確か高校生麻雀大会は個人戦と団体戦がある。
多分、新しく動き始めた麻雀部で団体戦が足りなくてメンバー勧誘に来たんだろう。
俺には目もくれてないし、きっと間違いない。

まあ、すでにメンバーが3、4人くらいいて、頭数あわせ程度で、照が部活の掛け持ちでやっていいなら、俺もそれを止める理由は無い。
そう思って、竹井久に声をかける。

京太郎「竹井って言ったっけ?団体戦のメンバー、何人足りてないんだ?」

久「…よ、4人」

京太郎「4人?」

京太郎「団体戦って5人でやるんじゃなかったのか?」

久「そうよ。だから、4人足りないの」

京太郎(麻雀部はこいつ以外、誰もいないってことか)

照「…京太郎」

京太郎「ん?」

照「京太郎が麻雀部に入れって言うなら、私は入ってもいい」

久「ホント!?」

竹井が眼の色変えて、照の手を握ってくる。
照は慌てて竹井の手を振り払い、俺の学生服の袖をギュッと摘んでくる。

竹井はそれを見て、俺と照の仲を勘違いしたのだろう。
『将を射んと欲すれば先ず馬を射よ』といった感じで、今度は照ではなく俺の手を握ってきた。

久「私、本当に困ってるの!!よかったら、須賀君、麻雀部に入らない!?」

京太郎「俺が?」

照「…!!」ムッ

京太郎「言っとくが俺は麻雀、弱いぞ」

久「いいの、いいの!!全然構わないわ」

久(須賀君が入部すれば、この子は間違いなく入部する!!私の目に狂いはないわ!!)

京太郎「……」

京太郎「なあ、竹井」

久「なぁに、須賀君?」

京太郎「一つ聞いていいか?」

久「答えられる事ならね」

京太郎「麻雀部で団体戦に出場したいんだよな?」

久「そうよ」

京太郎「人数が揃ってないなら、個人戦に出ればいいんじゃないか?」

久「私は団体戦に出たいのよ!!」

京太郎「いや、竹井の都合は知らんけど」

久「……」

京太郎「おっ。もうこんな時間か」

京太郎「照。教室に戻るか」

照「……」コクッ

久「ま、待って。よかったら、須賀君だけでも入部してくれないかな?」

京太郎「断る」

久「なんで!?」

京太郎「頭数だけ揃えて、出場だけが目的の団体戦に出ようとしてる麻雀部に魅力を感じないからだ」

久「か、勝つ気はあるわ!!メンバーを揃えて、頑張って特訓して…」

京太郎「だったら麻雀に興味のある部員が自然に入ってくるのを待ってろよ」

久「……」

京太郎「だけど今はすでに5月の中旬」

京太郎「麻雀に興味のある奴がいれば、竹井の麻雀部に入ってくれてるんだろうが、それがないって事はこの学校に麻雀部に入りたいって思ってる奴がいないって事だろ?」

久「しょうがないじゃない!!麻雀強い子はみんな風越か他の強豪校に行っちゃうんだから!!」

京太郎「そういう事だ。俺が言いたいのは麻雀に興味がない奴らを無理矢理誘うなって事だ」

久「須賀君、ゲーム麻雀やってたじゃない…」

京太郎「ゲームだろ、たかが」

久「……」

京太郎「行くぞ、照」

照「……」コクッ

食堂を後にした俺と照。
照は黙って、俺の後ろをついてくる。
それはいつもどおりだが、今日は何故か照の様子が違った。

照「…京太郎」

京太郎「ん?」

照「竹井さん、大丈夫かな?」

京太郎「さあな」

京太郎「……」

京太郎「照は…」

照「なに、京太郎?」

京太郎「…悪い。なんでもない」

照「……」

照「…京太郎が竹井さんの事、気にかけてるなら、麻雀部に入ってもいいよ」

京太郎「…気にかけてないよ」

照「そう」

俺が竹井を気にかけてるんじゃない。
照が竹井を気にかけてる。俺はそんな気がした。他人に対して、無愛想で無関心な照がだ。
それは悪い事じゃない。いや、全然いい事だと思う。

だけど…。

照「…京太郎?」

京太郎「麻雀部に入るかどうかは照の好きにしろ」

照「……」

京太郎「俺に言われたから、とか、そういうんじゃなくて、照の意思で決めるんだ」

照「……」

照「…わかった」

照は俺の目をしっかりと見据え、いつもの興味のなさそうな目ではなく、意思の感じられる強い目で、口を開いた。

照「私は麻雀部に入部する」

京太郎「…そうか」

照「……」

京太郎「……」

照「……」チラッ

京太郎「…チッ」プイッ

照「……」ァゥァゥ

京太郎「冗談だよ」ナデナデ

照「……」ホッ

京太郎「照が入部するなら、俺も入部するよ。部活、決めてなくて暇だったし」

照「……」パアアァ

京太郎「じゃあ、放課後に麻雀部の部室に行ってみるとするか」

照「ああ」コクッ

今日は短いですがここまでです。

更新は月~金のみ。

そして投下量も少ない。

それが基本スタンス。

俺と照は放課後、入部届けを持って旧校舎にある麻雀部に訪れた。
ノックをせずに扉を開けると、雀卓の椅子に座ってた竹井が丸めていた背中をビクリと伸ばし、こっちに振り返る。

驚いたような顔で、俺と照の顔を交互に見てくる。

久「…ど、どうして?」

京太郎「照が麻雀部に入りたいって言ったからな。俺はその付き添いだ」

照「入部届けは持ってきた。部長は竹井さんでいいのか?」

久「うん…。で、でも、本当に良かったの?」

照「かまわない」

京太郎「それにしても汚い部室だな」

久「そ、掃除はしたんだけどね」

京太郎「掃除してこれか」

久「何、その上から目線」ムッ

京太郎「部室にあるのは全自動雀卓が一つに、本棚と…机、ホワイトボードか」

照「本も古くて傷んでる。それに巻数が揃ってないのもある」

京太郎「その雀卓は動くのか?」

久「一応、私が初日に動くのは確認したわ」

京太郎「竹井。雀卓の電源を入れてくれ」

久「ん」ポチッ

京太郎「……」ピッ

ガーッガシャン

京太郎「…くっ、これはひどい」

久「え?」

照「どうした?」ヒョコッ

京太郎「え?ちょ、なんでわかんないの?」

久「何がよ…」

照「京太郎が何を言いたいか、私にもわからない」

京太郎「指紋だらけじゃねぇか、この雀牌!!拭けよ、手入れしろよ、気になるだろ!!」

久「え?あ、そうね。言われてみれば、前の部員が使ってそのまんまっぽかったし、綺麗にした方がいいわよね」

照「あ、ああ、そうだな」

京太郎「何年前の指紋だよ、全く」

久「えーっと、確か麻雀部が廃部になったのが去年だから、まだ一年も経ってないわよ」

京太郎「勝ち誇るなよ」

照「半年くらい?」

京太郎「いや、もう時間はどうでもいいから」

俺は竹井の対面側の椅子に座り、手入れ用の布巾で雀牌を一つずつ拭き始める。
照は本棚から一冊の本を取り出し、俺の下家側の椅子に腰をかけて、本を読み始める。
久は少し嬉しそうに照に視線を送るが、照は気付かない。

まあ、待望の新入部員(団体戦メンバー)だから気持ちはわからんでもないが。

そして、久は手持ち無沙汰なのか、俺の雀牌の手入れをずっと見てる。

京太郎「……」キュキュ

久「……。手馴れてるわね」

京太郎「一応、照ん家にある雀牌の手入れは最近だと何故か俺の仕事だしな。そりゃ、慣れて当然だろ」

照「…最下位の罰ゲームだから仕方がない」

京太郎「ほほう。じゃあ、次から部室の雀牌掃除は麻雀で決めるか?」

照「私は問題ない」

久「まあ、私も別に構わないけど」

京太郎「……」

京太郎「あ、悪い。待った、今のなし」

京太郎「よく考えたら、俺、麻雀弱いから、そのルールだと俺の仕事になっちまう」

照「じゃあ、麻雀でその日1位をたくさん取った部員が雀牌を掃除する人を決めるって言うのはどう?」

久「異議あり。私が1位を取れば宮永さんか須賀君の二択だけど、宮永さんか須賀君が勝った場合は私の一択になるから、私の掃除の回数が増えるわ」

京太郎「何でそうなるんだよ?俺はどっちに掃除させても構わないぞ」

久「まあ、須賀君はそうかもしれないけど…」

照「大丈夫。京太郎にえこひいきはしない」

久「本当かしら?」ニヤニヤ

照「本当」

照「だって毎日、京太郎と竹井さんの二人を交互に選ぶから」

久「へ、へえ~、宮永さんは私から毎日トップを取れるつもりなんだ?」

照「つもりじゃない。確実に取る」

久「中学でどれだけやってたかしらないけど、よほど自信があるみたいね」

照「小学校、中学校では家族麻雀以外は打ってない」

京太郎「何、言ってるんだ。俺とも打ってるだろ」

照「…京太郎はわ、私の、家族みたいなもの。だから、家族麻雀に含まれる」////

京太郎(まあ、世話の焼ける妹みたいな感じだもんな、照って)

照(…なんか違う事考えられてる気がする)

俺には見えないが、照と竹井の間で火花のようなものが散っているんだろう。
照も(教室の休み時間と比較して)珍しく饒舌になってるし、竹井も照に馴染んでる。
麻雀部に入部した事で色々といい兆候になってきてる気はする。

久「それじゃあ、勝負する?」

照「かまわない」

京太郎「お前ら、盛り上がるのはいいけど、まず手伝ってくれ」

久「あ…、うん」

照「……」コクッ

三人で椅子に座りながら雀牌を拭いていく。
照や竹井は慣れた手つきで雀牌をつかむが、手入れははあまり手馴れていない。

そりゃ、そうだ。
雀牌の手入れなんて、普通の人はあまりやらない。
俺は慣れてるけどな。

久「そういえばさー」キュッキュッ

京太郎「んー?」キュキュ

照「…どうした?」キュッキュッ

久「なんで、麻雀部に入る気になってくれたの?」キュッキュッ

久「宮永さんはともかく、須賀君は入部するのを嫌がってたようにも思えるんだけど?」キュッキュッ

京太郎「照の麻雀部の入部は照が決めた事。俺が入部したのは放課後が暇だったからだ」キュキュ

久「あれだけ私の事をボロクソに罵っても、暇なら入部するんだ?」キュッキュッ

京太郎「あれはお前が悪い」キュキュ

久「なんで私が悪いのよ!?」

京太郎「俺を利用して照を入部させる方向に持ってこうとしただろ?」キュキュ

久「…う」

照「…本当?」

久「……」

久「バレてたんだ…」

京太郎「普通に考えればあれだけ個人戦より団体戦って言ってた竹井が俺に興味を示すのがおかしいだろ」キュキュ

久「そうよねー。ごめんね」

照「……」ホッ

京太郎「俺を利用して照を篭絡しようとしたそのやり方に腹が立ったが、あの時は俺も言い過ぎた」キュキュ

照「そうだったんだ…」

久「あー、…うん。…それは、本当にごめん」

照「いや、理由がわかれば気にしない」

照(京太郎に興味があって迫ったわけじゃないなら、全然いい)

京太郎「ところで二人とも…」キュキュ

照「なに?」

久「どうしたの?」

京太郎「手が止まってるぞ。口だけじゃなくて手も動かせ」

照「京太郎は小姑」

久「意外に細かい男ね、須賀君って」

久「そんなんじゃ宮永さんに嫌われちゃうわよ?」

照「ななな、なんで、私が!?」アセアセ

京太郎「別にどうでもいいから」キュキュ

照「よくない!京太郎に嫌われるのは困る」

京太郎「安心しろ。嫌わないから残りの雀牌も拭いてくれ」キュキュ

照「…うん」////コクッ

久(宮永さんは須賀君を完全に意識してるけど、須賀君はどうなのかしら?態度には出てないけど…)

京太郎「ほら、竹井も手を動かす」キュキュ

久「しょうがないわね」

京太郎「文句を言ってんじゃねぇ」キュキュ

雀牌の手入れを終えた俺は部室を見渡し、入り口と反対側の大きな窓を開ける。
入り口の扉を開けていれば風が通り抜けて、気持ちいいんだろうな。

京太郎「へえ。ここからだといい眺めだな」

京太郎「それにベランダっぽくなってるし、雨の降ってない日は外でもくつろげるな」

久「気に入ってくれて何よりだわ」

久「これであと3人…か」

京太郎「麻雀部に入ってくれそうな奴の当てはあるのか」

久「あったらとっくの昔に入れてるけどね」

京太郎「そりゃあそうか」

久「帰宅部で麻雀やりそうな子を片っ端から勧誘した方がいいかな?」

京太郎「それは構わないが、今日みたいなやり方はするなよ」

久「わかったてるわ。須賀君にへそ曲げられたら、宮永さんにも影響が出そうだしね」

京太郎「まあ、あいつとは中学からずっと一緒だったからな」

久(んー、なんか反応が薄いなぁ。須賀君が宮永さんの事をどう思ってるのか、気になるなぁ)

京太郎「とりあえず出来ればあと1人はほしいな」

久「え?足りないのは3人なんだけど?」

京太郎「そうじゃなくて」

照「あと1人いれば麻雀が打てる。三麻は全国大会で採用されていないから」

久「そういえばそうね…。このままじゃ練習も出来ないのよね」

京太郎「……」

照「……」

照「…練習だけなら、1人心当たりはある」

久「練習だけ?入部はしてくれないの?」

照「入部は無理。まだ中学2年だから」

京太郎「それって…」

照「咲なら大丈夫。私と京太郎でお願いすれば、ここにも来てくれるはず」

久「…咲、さん?」

京太郎「宮永咲。照の妹でとりあえず俺より強い事は保証できる」

照「咲は強い」

久「宮永さんの妹で、宮永咲ちゃん…か」

照「今日はもう遅い。事情を説明して、咲は明日連れてくる」

京太郎「照。俺も今日はお前ん家行くわ。事情を一緒に説明した方がいいだろ」

照「……」コクッ

久「そうね、妹さんの件はお願いしていいかしら。部員探しは私が続けてやるけど、すぐに揃うわけじゃないしね」

照「……」コクッ

今日も短いですがここまでです。

次回は来週更新予定。

JC咲ってことはこんな感じの咲たんか
テス
http://i.imgur.com/IBlHf.jpg

>>71
『三元物質』で三元牌が集まるとかかな

やだ、このスレ・・・
ホモしかいないじゃない・・・

>>63
中二なのでさらにロリ化で。

>>75
SOA

>>76
大沼プロが三角関係だっていいじゃない。だって人間だもの。 みつお

ちょっと暇が出来たので投下してみる。

麻雀部を後にした俺と照は照の家に向かっていた。
部活に入った事で帰宅時間が遅くなり、俺と照は珍しく帰宅中に夕日を見ることになった。

照「京太郎。夕日が綺麗」

京太郎「何言ってるんだ、照の方が綺麗だよ」

照「京太郎…そんな風に言われると…恥ずかしい」

京太郎「恥ずかしい事なんか何にもないだろ。事実なんだし」

照「京太郎…」

京太郎「照…」グイッ

照「あ…」

照(あ、あ、…京太郎の顔が近づいて、目を閉じて、…このままじゃキスされる…)ギュッ

照「……」

照「…………」

照「………………」

照(まだ?)

京太郎「照?おい、照」

照「……」

照「…は!?」

京太郎「どうしたんだ、さっきからボーっとして?」

照「……」

照「京太郎。夕日が綺麗」

京太郎「そうだな。夕日なんて久しぶりに見たよ」

京太郎「このサンライトはなんていうか、俺的に感慨深いものがあるな」

照「……」

照「…やっぱりそうだよね」ガックシ

京太郎「ん?」

照「なんでもない。京太郎はやっぱり京太郎」

京太郎「なんだそりゃ?」

京太郎「そういや、照は大会とか出るのか?」

照「人数が揃えば出られる」

京太郎「あー、そうじゃなくて、個人戦の方な」

照「…個人戦は別にどうでもいい」

京太郎「なんだ、出ないのか。照なら県大会くらいはいいとこいけそうな気もするんだけどな」

照「……」

照「京太郎が私の個人戦を見たいなら出る」

京太郎「まあ、それはお前の意志で決めろって…言いたいところだけど、俺は照がどこまでいけるのか見てみたいな」

照「だったら出る」

京太郎「正直、照はどのあたりまでなら通用すると思う?」

照「わからないけど、全国には魔物がいるという」

照「その人達次第だと思う」

京太郎「案外、照も魔物だったりしてな」

照「私は違う。麻雀に自信はあるが、普通に強いだけ」

京太郎「自分で強いって言っちゃうか、照は」

照「麻雀が強い人は相手を見れば、どのくらいの強さかわかるという。私も見れば相手の強さがわかる」

京太郎「マジか」

京太郎「俺は全然わからないんだが」

照「京太郎は麻雀が弱いから」クスッ

京太郎「俺の事はいいんだよ」

照「だから、私や咲が強いのも、竹井さんがそこそこ強いのもわかる」

京太郎「へえ」

照「そしてきっと県大会や全国大会は私が敵わないと思うような相手もきっといるはず」

京太郎「…そうだな」

京太郎「咲ちゃん以外に照と本気で麻雀出来る奴がいれば、きっと楽しいんだろうな」

照「でも…」

京太郎「でも?」

照「京太郎が強くなって私とずっと麻雀をやってくれれば、私はそれが一番楽しい」

京太郎「まあ、それは頑張るわ」

京太郎「ん?」

照「どうしたの?京太郎」

京太郎「俺の鞄もって、ちょっとそこで待ってろ」

照「待って、京太郎。どこに行くの?」

京太郎「いいからここで待ってろ。すぐに戻ってくるから」

照「…うん」

タタタタッ

京太郎「……」

京太郎「おい、あんた達、何やってんだ?」

俺が声を掛けたのはどこかの高校の女生徒4人。
正確には1人の女生徒を囲むように立ってる3人。

風越女子A「なに、あんた?」

風越女子B「ナンパなら他所に行ってくれない」

風越女子C「でも、ちょっとイケメンっぽくない?」

美穂子「…うっ」

京太郎「とりあえずその子を掴んでる手を放してやれよ」

風越女子A「はぁ?あんたには関係ないでしょ」グイッ

美穂子「あっ!!」

風越女子B「もしかして福路の彼氏君?」

風越女子C「福路ってウザイくせに男受けは良さそうよね。まあ、ウザイ女がいいって変わり者もいるのかもね」

京太郎「その子の事は知らないけど、よってたかって集団で苛めてるんじゃねーよ」

美穂子「……」

風越女子A「知らないなら、口出してこないでよ」

風越女子B「それにこれは虐めじゃなくて、生意気な後輩への教育的指導ってやつよ」

京太郎「指導するならもうちょっと優しくやってやれよ」

風越女子C「充分優しくしてるっての」

風越女子A「とりあえずあんた、消えてくれない?無関係なやつにうちらの指導方針に口出してほしくないんだけど」ギリギリッ

美穂子「うあっ…」

京太郎「やめろって言ってんだろ!!」ガシッ

風越女子A「はっ!!あんた、女に手を上げるつもり?」

京太郎「そうしてほしいなら、今すぐにでも殴ってやるけど?」ギリギリギリッ

風越女子A「ぎゃあっ!!う、腕が…」

京太郎「……」パッ

ドサッ

風越女子B「ちょっと、大丈夫!?」

風越女子C「うわっ、掴まれた所が真っ赤になってる…」

京太郎「次にこんな事してるの見かけたらこの程度じゃ済まさないぞ」ギロッ

風越女子A「ひいっ!!」ダダダダッ

風越女子C「あ、待ってよ!!」ダダダダッ

風越女子B「くそっ!!福路、あんた、明日も部室で待ってるからね」ダダダダッ

美穂子「……」

京太郎「……」

京太郎「大丈夫か?」

美穂子「すいません。…大丈夫です」

京太郎「なんか部活の先輩っぽかったけど、もしかして余計な事しちゃったか?」

美穂子「…いつもの事なので…も、問題…ない、です」ポロポロ

京太郎「な、おい!?なんで泣くんだよ、なんか俺、本当に不味い事やったのか!?」

美穂子「いえ、…私の事を、心配してくれる、人がいると、思ったら、…嬉しくて…」ポロポロ

京太郎「……」

美穂子「うあああああああん」ポロポロ

俺は見ず知らずの彼女が溜め込んできた感情を吐き出す姿を見て、思わずその小さな肩を抱き寄せた。
ビックリした彼女は俺の顔を見上げるが、俺が彼女の頭を優しく撫でると、彼女は少しの間、俺の胸の中でワンワンと泣き続けた。
しばらくすると落ち着いたのか、小さな嗚咽が途切れ、泣き止んだ。

そして、訪れた少し長い沈黙。

俺は彼女が落ち着いた事を確認すると、彼女の体をゆっくり離し、落ちている彼女の鞄を拾い上げる。

京太郎「ほらっ」

美穂子「ありがとうございます。…えっと」グスッ

京太郎「あ、俺は須賀京太郎。清澄高校の1年生だ」

京太郎(じっくり見るとこの人、かなり可愛いし、胸もでけぇな…)

美穂子「須賀京太郎さん。…私は風越女子1年の福路美穂子といいます」

京太郎「1年!?」

美穂子「はい。須賀さんと私、同じ学年なんですね」

京太郎(あの大きさで照や竹井と同じ1年だというのか!?てっきり年上だと思ったんだが…)

京太郎(それにしても…不公平だな、神様って)

美穂子「…須賀さん?」

京太郎「へ?」

美穂子「どうしたんですか、ボーっとして」

京太郎「いや、すまん。なんでもない」

京太郎「あ、…福路さん」

美穂子「な、なんですか?」

京太郎「右目、閉じてるけど大丈夫?」

美穂子「あ…これは、…大丈夫です」

美穂子「癖というか、こうしないと…」

美穂子(色の違う目を見られると、きっと気持ち悪がられるから…)

京太郎「右の瞼は開くんだな?本当に大丈夫か、少し確認した方がいいんじゃないか?」

美穂子「……」

美穂子「大丈夫です。本当に…」

京太郎「まあ、本人が言うなら大丈夫なのかもしれないけど」

美穂子「でも、心配してくれてありがとうございます…」

京太郎「だけど、余計な事して出しゃばったみたいで、本当にすまない」

美穂子「大丈夫です。…ウザがられるのには慣れてるので」

京太郎「いやいや、全然ウザくないだろ。つーか、むしろ可愛いだろ」

美穂子「か、可愛いって…わ、私の事ですか!?」

京太郎「ここにいるのは俺と福路さんだけだからな。さすがに壁や地面に向かって可愛いとかは思ったことないし」

美穂子「…そ、そうですよね」////

京太郎「でも、学校の先輩に苛められてるのはなんとかしないといけないよな」

美穂子「……」

京太郎「とりあえずは教師に相談だな。部活の顧問とかにも言った方がいいだろうな」

美穂子「…あ、あの、…」

京太郎「ん?」

美穂子「な、なんで、そんなに親身になってくれるんですか?」

美穂子「それも今日会ったばかりの私なんかに…」

京太郎「理由は無いけど、しいて言うなら、助けてやりたいと思ったから、だな」

京太郎「苛められてる奴を見て見ぬふりする薄情な人間に出来てないんだよ」

美穂子「…その、ありがとう…ございます」

京太郎「例なんかいらないって。それより、携帯電話とか持ってるか?」

美穂子「え、ええ、一応、持ってます」

美穂子「使うのは苦手ですけど…」

京太郎「それじゃあ、コレ、俺の連絡先。困った事があればかけてきてくれ」

美穂子「…で、でも…」

京太郎「さっきの先輩とかが今日みたいな事してきたら、須賀京太郎が殴りにくるぞって脅しかけとけば、きっと福路さんを痛い目にあわせようなんて思わないよ」

美穂子「お、脅しですか?」

京太郎「まあ、あいつらの去り際にも脅しといたから大丈夫だとは思うけど」

美穂子「……」

京太郎「とりあえず、担任と顧問に相談したらいいと思う。あと、部活のキャプテンとか部長とか、そういう偉い人な」

京太郎「そういうポジションの人は部員が困ってたら助けてくれるから」

美穂子「…わかりました。頑張って相談してみます」

京太郎「おう、がんばれ」

美穂子「あ、そういえば私の電話番号を…」

京太郎(そういや、あれから結構時間たってるな。照もほっとけないし、戻るか)

京太郎「おっと、悪い。俺、急いで戻らないと」

美穂子「…あ」

京太郎「じゃあ、気をつけて帰るんだぞ」タタタタッ

京太郎「何かあったら電話してくれ。すぐに駆けつけるからな!!」タタタタッ

美穂子「……」

美穂子「…須賀…京太郎さん」////

今日も短いですがここまでです。

次は月曜日で。

た、田中(今宮女子)と永森(東福寺)も3年ですよ…(震え)

あと、おもちの嫌いな京太郎なんていません。

俺は照を残してきた場所に戻ると、照は少し寂しそうに夕日を眺めている。
夕日の光に照らされる照の姿を見て、俺は静かに近づいて、そっと照の肩に手を置く。
急に肩に感触を感じた照はビクリと肩を震わせ、少し脅えたように振り返る。
振り返った先に俺の顔を確認すると、安心したような笑顔を浮かべた。

照「…京太郎」

京太郎「すまん。遅くなった」

照「大丈夫。京太郎は戻ってくるって言ったから、信じて待ってた」

京太郎「そ、そうか」

照「でも、30分はすぐじゃない」ムスッ

京太郎「いや、それは、うん。本当に悪かった」

京太郎「お詫びに何でもするから許してくれ」

ピクッ

照「…なんでも?」

京太郎「あ…」

京太郎「何でもって言ったけど、やっぱり…」

照「この期に及んでまた嘘をつくの?」

京太郎「うぐっ」

京太郎「わかったよ!!男、須賀京太郎に二言はない!!」

京太郎「何でも聞いてやらぁ!!」

照(…キス…してって言ったらしてくれる?)

照「……」////

照「それじゃあ…」

京太郎「な、なんだ!?」

照「き…」ボソッ

京太郎「き?」

照「……」

照「…………」

照「…か、貸しにしておく」

照「す、凄い事を考えて、京太郎にやらせる…」

京太郎「凄い事って、あんまり無茶な事はやらせんなよ」

照「だ、大丈夫。これは私の覚悟の問題だから」

京太郎「覚悟が必要な事って、どんだけすげぇ事やらせる気なんだ?」

照「とにかく早く家に帰ろう。あまり遅いと家で麻雀する時間がなくなる」

京太郎「ちょ、今日、麻雀するのかよ!?」

照「京太郎が家に来るときは必ず麻雀をする。それが宮永家のルール」

京太郎「無茶苦茶なルールだな、おい」

照「気にしない」

俺と照が照の家につく頃には少し暗くなりはじめ、時間も7時を回っていた。
今から麻雀すれば、早くても8時だ。
そうなったら、照の家で飯食わせてもらおう。
だって、俺の家はここから30分は歩くんだぜ。夜飯の時間が9時にずれ込むのは流石に勘弁してほしいからな。

照「ただいま」

咲「お姉ちゃん、お帰り」テテテテッ

京太郎「おっす、咲ちゃん」

咲「はわっ!!京ちゃん!!なんで!?」

照「麻雀をしに来てくれた」

京太郎「違うだろ」

照「違う事はない。麻雀はする」

京太郎「…とにかく入るぞ」

照「どうぞ」

咲「京ちゃん、こっちこっち!!」グイグイ

京太郎「咲ちゃんも何気に麻雀部屋に連れて行こうとしない」

照「咲、父さんは?」

咲「リビングでテレビ見てるよ」

照「夜御飯は?」

咲「お姉ちゃんが帰ってきてから、出前を頼むって言ってたよ」

照「また出前…」

咲「父さんは今日はお寿司が食べたい気分だって言ってた」

照「…そうだ。京太郎は何が食べたい?」

京太郎「俺?俺は食えるならなんでもいいよ。まあ、しいて言うなら丼物がいいかな。カツ丼とか天丼とか」

照「咲。今日はお寿司じゃなくて丼物にするから」

京太郎「え?」

咲「わかったよ、お姉ちゃん!!じゃあ私は親子丼にするね」

照「私はうな重。父さんは玉子丼でいいから」

咲「じゃあ、いつもの所に電話しておくね」

照「お願い」

京太郎(何気に親父さんの扱いが悲惨だよな、この家)

照は制服を着替えに、咲ちゃんは夜飯の出前の電話をかけに、麻雀部屋から出て行った。
俺は扉から一番遠い席に座ると、照たちと入れ替わるように照の父親が麻雀部屋に入ってきた。

照の父「おや、京太郎君。平日に来るなんて珍しいね」

京太郎「まあ、少し咲きちゃんとしたい話があったんで」

照の父「ふぅん。京太郎君は照よりも咲の方がよかったのかな?」

京太郎「言おうとしてる言葉の意図は何となくわかりますが、そういうのじゃないですよ」

照の父「なんだ、残念だね。まあ、京太郎君なら照と咲、どっちでも構わないんだが」

照の父「あ、両方は駄目だよ?倫理的に」

京太郎「喋ってる内容がおかしいですよ、親父さん」

照の父「親父さんって他人行儀な呼び方をしなくてもいいんだよ、京太郎君」

照の父「父さんとか、パパとか、娘さんを僕にくださいとか」

京太郎「何もかもおかしいです、親父さん」

照の父親とよくわからない会話をしていると、私服に着替えた照と、電話を終えた咲ちゃんが戻ってきた。
照の私服は少しサイズの大きい赤いTシャツと、ローライズの短パンジーンズ。
咲ちゃんはピンクのスウェットシャツに赤いスカート。

照「京太郎。おまたせ」

咲「京ちゃん!!今日も麻雀するの?」

京太郎「まあ、照も乗り気だし、夜御飯も食わしてくれるみたいだし、1局は打ってくよ」

咲「やった。京ちゃんと麻雀ができるよ」

照の父「父さん、見たいテレビがあるんだけど」

照「録画して見ればいい」

咲「それより麻雀しよ、麻雀」

京太郎「ん、ああ」

照の父「ぐすん」

照「さて…」

京太郎「ん?」

咲「どうしたの、お姉ちゃん?座らないと麻雀できないよ」

照「……」

照「宮永家恒例賭博麻雀大会ーっ。どんどんぱふぱふー(棒)」

京太郎「は?」

咲「え!?賭博って…ひょっとしてお小遣い賭けるの?私、それはやだよ」

照「母さんがいなくなってから金銭賭博は禁止してるので、お小遣いは賭けません」

照「賭けるのは京太郎とデートする権利です」

咲「え!?」

照の父「なん…だと!?」

京太郎「何、言ってるんだ?お前は」

照「今回の麻雀、3回の合計でトータルトップの人は京太郎とデートが出来ます」

咲「お姉ちゃん、ずるいよ!!それだといっつも1位とってるお姉ちゃんが京ちゃんとデートできるだけだよね?」

照「だったら咲も本気で来ればいい。今日はそのための麻雀だから」

咲「でも…」チラッ

京太郎「ん?」

照「大丈夫。京太郎も咲の本気を見たがってるから、問題ない」

照「いつものようなプレイだと、お姉ちゃんが京太郎とデートする。遊園地とか映画館とか行く」

京太郎「マジで何言ってるんだ、お前」

照の父「そうか。照と咲のどっちかが総合トップなら京太郎君とデートできるのか」

照の父「じゃあ、父さんが優勝したらどうなるのかな?」

照「父さんが京太郎とデートできる」

京太郎「なんてひでぇ罰ゲームだ」

照「安心していい。宮永家は京太郎の事が大好きだから。父さんも例外じゃない」

京太郎「安心できる要素は一つもない。むしろ、色んな意味で不安だ」

京太郎「あと、照のお袋さんには俺めっちゃ嫌われてるけどな」

照「それは…ごめん」

京太郎「謝らなくていいよ。気にしてないし」

照の父「そうか、京太郎君とデートか。まあ、悪くないな」

京太郎「いや、それはマジで勘弁してください」

京太郎「ていうか、俺がトータルでトップの場合はどうなるんだ?」

照「ありえないけど一応説明すると、私と咲の二人と一緒にデートが出来ます」

咲「やったね、京ちゃん」

京太郎「いや、おかしいだろ」

照の父「ああ、確かにおかしい。そこにお父さんも加えてくれないと」

照「仕方がない。京太郎がトータルトップの場合は私と咲と父さんの三人と一緒にデートが出来ます」

咲「京ちゃん、お得だね」

京太郎「あれ?これを変だと感じる俺がおかしいのか?」

照「問題ない。適当に喋ってたけど、トータルトップは私と咲のどっちかになる」

照「父さんに京太郎のデート権を手に入れることは不可能だから」

照の父「くっ、そんな親不孝な娘に育てた覚えはないのに…。父さん、悲しいなぁ」

照「とにかく、咲。本気でこないと、お姉ちゃんが許さない」

照「本気を出さなかったら、京太郎とのデートでキ…」

照(さすがに麻雀でキスまで要求するのは良くないか。それに咲も京太郎とキスするとか言い出すと、それは私が困る)

照「腕を組んでもらう」

京太郎(腕を組むって、その程度じゃ脅しにもならないだろ)

咲「そんなの駄目だよ!!それなら私も本気出すよ!!」

咲「それで、京ちゃんとデートして、膝枕してもらうもん!!」

照「咲…!!なんて恐ろしい子…」

京太郎(なんていうか微笑ましい姉妹だな、お前ら)

照の父「じゃあ、父さんが京太郎君とデートしたらカップル専用ドリンクでも一緒に飲むとしよう」

照・咲「その手があった!!父さん、ずるい!!」

京太郎(ていうか、デートもドリンクも男同士でやる事じゃねぇ)

照「それじゃあ、まず最初の半荘を始める」

京太郎「おう…。って、最初の半荘?」

照「?今日は半荘3回するから」

京太郎「半荘3回もやったら10時くらいまでは時間が掛かるだろ。さすがにそんなに遅くまで照ん家にいるのは不味いだろ!?」

照「でも、1回だけだと咲の強さをわかってもらえない」

照「10回くらいは麻雀をやりたいけど、流石に明日も学校あるからそこまでは出来ない」

照「だから、3回」

京太郎「でもなぁ…10時まわると、俺が家につくのが11時前くらいだろ?それはちょっときついんだが」

照「ならうちに泊まっていけばいい。父さんの部屋に母さんのベッドがあるから、そこを使えばいい」

京太郎「今は使ってないとはいえ、女の人のベッドで寝るのは抵抗があるな」

照の父「なんなら、父さんのベッドで一緒に寝るかい?」

京太郎「却下で。とりあえずソファで寝させてください」

咲「じゃあ、今日は咲も京ちゃんと一緒に寝る!!」

京太郎「何言ってるんだよ、咲ちゃん。それはさすがによくないだろ」

照「ああ、よくない。最初に京太郎と一緒に寝るのは、この私だから」

咲「お姉ちゃん、ずるい!!」

京太郎「お前と寝るのはもっとよくないだろ」

照の父「じゃあ、最初は父さんが一緒に寝ようじゃないか」

京太郎「とりあえず、みんな黙れな?」

京太郎「とにかく、遅くなったら泊まらせてはもらうけど、寝るのは一人で寝かせてくれ。頼むから」

照「京太郎がそういうなら仕方がない」

咲「寝る前に色々とお話したかったけど、また今度にするね」

照「そうだな」

京太郎「おう。お喋りはまた今度な」

京太郎(まあ、照や咲ちゃんに限ってエッチな事は考えてないだろうが、さすがに照や咲ちゃんに近くで寝られたら俺の方が意識するからな)

照の父「父さんは母さんと別居してから身体が疼いて仕方がないんだが…」

京太郎(そんな事言われると怖くて眠れないだろ)

京太郎「そ、それじゃあ、麻雀をはじめるとするか」

照「……」コクッ

席順は俺、照、照の親父さん、咲ちゃんという順番で席決め等は特にしない。
照と咲ちゃんが俺の隣に座ろうとするので、宮永家の麻雀では自然にこういう席順になったのだ。
照と咲ちゃん、俺と照の親父さんが入れ替わる事はあっても、照や咲ちゃんが対面にくることはまずない。
まあ、どの席に座っても勝ち負けが変わるわけじゃないので、席はどこでもいいんだけど。

最初の半荘。
照の親ではじまった東1局は普段、あまり大きい動きを見せない咲ちゃんが俺からポンした牌をさらに嶺上開花であがった。
珍しい手で上がったなと、その時は思ったが、その認識はすぐに改められることになった。

次の親は照の親父さん。
照が3順目でツモのみという手で、親を即効で流す。

照は一度上がると、その後が手がつけられない状態になる。
照は安手で上がる事が多いが、だが、その後の連荘率がとにかく高いのだ。
そして、連荘してる間は高い手で上がってくることも少なくない。
だから、照が上がると、すぐに連荘を止めないと大変な事になるのだ。

だが、ここで今までの宮永家麻雀を思い出すと、照の連荘を一番多く止めていたのは咲ちゃんだった気がする。
俺は早い手作りが上手く行かない事が多く、なきまくって最後は役なしというグダグダな展開が多いが、その中でも浮いた牌を咲ちゃんが安手であがったりするのだ。

だが、今日の照はちょっと違う。
打牌を選ぶのに慎重になってるようにも見える。
咲ちゃんが強いと言ってるのが照なのだから、それはわかる気もするんだが、今の所、俺には咲ちゃんにその片鱗は全く見えない。

咲ちゃんの親も照が8順目で立直ツモであがり、俺の親も11順目に三色ドラ1で照の親父さんを直撃。
ここまでは完全に照のペースだ。

そして、南場の照の親。
さすがに親で連荘されるのは不味いから、俺も早上がりを目指そうとするが、配牌は良くない。いや、どっちかっていうと悪い。

そして、ここで上がったのはまたしても照。
七対子ドラ2で俺を直撃。残りの点棒がやばくなってきた。親ッパネや子の倍満直撃を食らうと、その場で終了だ。

だが、そんな心配を他所に照の親を流したのは咲ちゃんだった。
嶺上開花ツモのみという安手であっさりとあがった。

次の照の親父さんの親では、珍しく俺の配牌がよく、筒子がたくさん来ていた。
なきまくって混一聴牌までもっていき、咲ちゃんがカンした事で、さらに筒子のドラが増えた。
そして、久しぶりの俺のあがり。混一役牌ドラ5の倍満である。

京太郎「おっしゃ、来たぜ、倍満!!」

照「……」

照(咲に上手くやられてしまったか…)

咲(これで京ちゃんがとぶ心配はなくなったね。父さんは…まあとばしてもいいか)

最初の半荘。今は南2局がちょうど終わったところ。
俺は点を取り戻し、30000点くらいになったが、依然トップは36000点くらいの照。
咲ちゃんは23000点程度で、照の親父さんは最下位で11000点。
そして、あと残りは咲ちゃんの親と俺の親の2回だけ。

この親番でもう一度あがれれば宮永家麻雀で俺が初トップを取れるかもしれないと思うと、俄然やる気が出てきた。
あ、照や咲ちゃんとのデートは別にしてだ。
とりあえず俺の事が眼中にない宮永家の連中に目に物見せてやるぜ。

今日も短いですがここまでです。

あと、『照の父』って打とうとしたら『照の乳』って普通に出てきた。
自分のPCは相当にヤバイ。

いいわけ。
wikiで『咲の父』って書いてあったから『照の父』って書いた。他意や伏線とかはない。
まあ、気になる人もいるみたいなので、以降は『宮永父』で統一します。

あと、このスレにホモを期待するのはやめるのです!ぼくたち!

南3局の咲ちゃんの親が始まろうとしたとき、夜御飯の出前が届いた。
さすがに放っておくわけにいかないので、麻雀は一時中断。
照と咲ちゃんでそれを受け取り、二人は麻雀部屋に注文した品を運んできた。

宮永父「あれ?丼って…、父さんはお寿司を食べたいって言わなかったっけ?」

照「咲から聞いた」

宮永父「じゃあ、なんで?」

照「京太郎が丼物を食べたいって言ったから」

京太郎「俺のせい!?」

照「違う。私も丼物を食べたくなったから、多数決で丼物にした」

宮永父「ちょ…咲はお寿司の方がいいよな!?」

咲「私はどっちでもいいけど、京ちゃんに喜んで欲しかったから」

宮永父「ううぅ…父さんは悲しいよ。大事な娘が二人ともお父さんの事を嫌いだなんて…涙が出てきそうだ」

咲「ち、違うよ、父さん!!私は父さんの事も好きだから!!」

宮永父「ほんとかい!?嬉しいなぁ。咲に嫌われてなくてホント良かったよ」

宮永父「照もなんだかんだ言いつつ、実は父さんの事好きだし、いい娘を持ったよ」

照「私は普通」

宮永父「え?父さんの事、普通って…」

照「普通」

おもちは期待できますか?

宮永父「じゃあ京太郎君の事は」

照「…み、宮永家は京太郎の事はみんな大好き」

照「だ、だから、私も大好き」////

咲「私も京ちゃんは大好きだよ!!」ニコッ

京太郎「お、おう」

宮永父「じゃあ、父さんの事は?」

照「普通」

咲「好きだよ」

宮永父「……」

京太郎「……」

照「……」

咲「……」

宮永父「…とりあえずご飯食べようか」

京太郎「は、はあ、なんか俺のせいですんません」

宮永父「いや、京太郎君は気にしなくていいよ。父さんは照や咲が喜ぶなら何をされても構わないしね、ははっ」

京太郎(今にも泣き出しそうだよ、親父さん)

京太郎(でもこんな時、俺にどんな言葉を掛けろっていうんだよ。ちくしょう)

テンションの低くなった親父さんをしり目に俺はカツ丼を食べ始める。
ちなみに俺は麻雀を打ちながら、またはゲーム麻雀やネット麻雀しながら飯が食べられるタイプだが、照や咲ちゃんは違う。
一度、御飯を食べながら麻雀をやっていたが、結局麻雀が終わるまでは手付かずで、暖かい御飯が冷たくなってしまうという事があったので、宮永家では麻雀と御飯は同時進行することはない。

咲「あ」

京太郎「ん?どうした、咲ちゃん」モグモグ

咲「京ちゃん、ほっぺに御飯粒ついてるよ」

京太郎「え?どこ?」

咲「ここだよ」ヒョイ、パク

京太郎「サンキュー、咲ちゃん」

咲「えへへ」

照「ちょ…」

京太郎「あ、咲ちゃんもほっぺたに御飯粒ついてるぞ」

咲「うそ?京ちゃん、とって」

京太郎「おう」ヒョイ、パク

咲「ありがとー、京ちゃん」

照「……」グヌヌ

>>164
すまない。おもちイベントはないんだ
普通のありきたりなSSなんだ。本当にすまない

照「……」

照「……」ペタペタ

京太郎「それにしてもここのカツ丼はいつ食っても美味いな」

京太郎「ん、照?」

照「どうしたの?京太郎」

京太郎「ちょ、お前、口のまわりが御飯粒だらけだぞ!?」

照「京太郎、とって」

京太郎「いや、泥棒の髭みたいにそんだけ御飯粒ついてたら、拭いた方が早いだろ」

照「……」ガーン

京太郎「ほら、顔をこっちに向けろ」

照「…うん」

京太郎「どんな食べ方したら、こんな風に御飯粒がつくんだよ。お前は子供か」ゴシゴシ

照「…ごめん」

京太郎「全く…」

照(…作戦失敗)

京太郎「ほらっ、きれいになった」

照(次はどうしよう…)

京太郎「ん、お前、顎にもついてるぞ」

照「え」

京太郎「ほら、ここ」ヒョイ、パク

照「…あ」////

京太郎「ん?」

照「ありがとう、京太郎」

夜御飯を食べ終わった俺達は麻雀を再開する。
南3局で咲ちゃんの親。
今回も俺の配牌はよく、3萬の刻子と2索と南の対子がある。南が鳴ければ役になるし、早目に上がれそうだ。

と、思っていたのも最初だけ。
5順目なのに全く手が進んでいない。

宮永父(うーん、南が2枚あるのに全くでないなぁ。もしかして、僕以外の誰かが2枚持っているんだろうか?)

京太郎(誰だよ、早く南を鳴かせろよ)

照(京太郎も父さんも聴牌の気配はない。咲もまだ聴牌はしていない)

咲(お姉ちゃんが聴牌したみたいだけど、どの牌も嫌な予感は全然しないから、当たり牌は握ってないよね、きっと)

結局南3局は照がタンピンで俺を直撃。
だが、俺にはまだラス親が残っている。

と思っていたが、南4局もやはり駄目。
配牌が悪く、聴牌までがかなり遠そうである。
とりあえず、鳴いて進めようにも、鳴ける牌を誰も捨ててくれない。

照(京太郎と父さんは聴牌してない。咲は聴牌してるけど、待ちは筒子の両面待ち)

照(ドラは私が3枚持ってるし、咲の手にドラはない)

照(ダマテンのままなら直撃を食らっても多分逆転はされない)

照(咲は最初から索子を中心に捨てているし、この7索は咲に通る)タン

咲「カン!!」

照「しまった!!」

咲「ツモ」

咲「嶺上開花、三色同刻、ドラが一つ。8000です」

照「やられたか。そういえば責任払いだったな」

最初の半荘は咲ちゃんが31000でトップ、照が30000で俺が28000、照の親父さんが11000という結果に終わった。
ウマはないので今の所、咲ちゃん+21、照±0、俺-2、照の親父さん-19となっている。
僅差とはいえ、咲ちゃんのトップは初めて見た。あと、照が振り込むのも久しぶりに見た気がする。
そして何より、俺がここまで点数を残して半荘が終わるのも何気に初めてかもしれない。

照「やってくれたな」

咲「京ちゃんとのデートが賭かってるからね」

照「だが、私も負けられないぞ」

宮永父「父さんも負けられないなぁ」

京太郎(この人はどこまで本気で喋ってるんだ?)

二回目の半荘は咲ちゃんがノッてきたのか終始咲ちゃんのペースで進んだ。
そして照は放銃する事もなかったが、あがる事も殆どなかった。

二回目の半荘の結果は咲ちゃんが+34、照が-2、照の親父さんが-11、俺が-21となった。

京太郎「すげぇな、咲ちゃん。独走だな」

咲「京ちゃんとのデートが楽しみだから」////

京太郎(2回トップ取られたら咲ちゃんのトータルトップは揺るぎそうにないか)

宮永父「父さんのトータルトップはなくなったか…」

京太郎「いや、最初から無理だってわかるでしょう」

照(今の所、咲は+55、私は-2か)

照(次の半荘でまだ逆転は可能だ)

今日はさらに短いですがここまでです。

自分は京太郎厨じゃないんだ
だから父さんは照や咲ほど絡ませる気はないんだ。すまん

三回目の半荘は再び照の起家で始まった。

東1局。
7順目に咲ちゃんが聴牌して立直を掛けてきたが、それを照が親の立直で追いかける。

咲(うそ!?お姉ちゃんが東1局から攻めてきた!?)

照(さっきの半荘は全ての局を見に回らせてもらった。そして今の咲の強さは完全に把握した)

咲「うぅ…」タン

照「ロン。立直一発で2900」ジャラララ

照(そして、この半荘で咲の2回分の収支を上回る)

咲(もしかしてさっきの半荘でお姉ちゃんが殆ど上がらなかったのは最後の半荘にかけてたって事!?)

咲ちゃんはいきなりの放銃にかなりビックリしていた。
そんなに驚くほどの事かと思ったが、親に振り込めばそりゃショックには違いないか。

東1局1本場。
8順目で照が親父さんからの当たり牌を見逃し、七対子でツモあがりした。
これはやばい。照の連荘がはじまってしまった。

東1局2本場。
親父さんは手がよくないのか渋い顔をしている。
俺もたぶん他の人から見たら同じような表情をしてると思う。
ようするに手はあまりよくないって事だ。

照は相変わらずの無表情。
咲ちゃんは照を警戒してるのか、少し表情が硬い。
手がいいのか悪いのか表情からは全くわからない。

なるほど、表情か。表情の変化がわかりにくいと聴牌を悟られにくいな。
今度、麻雀部で試してみよう。

そして、鳴ける牌がないのか、鳴こうとしないのかはわからないが、誰も鳴かないまま淡々と牌が切られていく。

京太郎(このままノーテンで親、流れてくれないかな?)タン

照「……」タン

宮永父「うーん…」タン

咲「……」スッ

咲(これでようやく聴牌だ。あとはこの9萬をカンしたら嶺上牌であがれるし、お姉ちゃんの連荘を止める事ができるね)タン

照「ロン」

咲「え!?」

照「タンピン、ドラ1で5800は6400」ジャラララ

咲(普段ならお姉ちゃんの聴牌になんとなく気づけるのに、今日は全然気づけないよぅ)

咲(と、とにかくお姉ちゃんに振り込まないようにしないと…。うぅっ…)

照(咲のやつ、だいぶ焦ってるようだな)

照(それはそうだ。今日の私は本気度が全然違う)

照(咲は普段から靴下を脱いだ状態で打ってるが、私も普段は本気を出さないように靴下を履いて強さを調整しているからな)

照(そして今日の私は靴下から解放されて一味違うぞ。その私についてこられるか?咲!!)ドヤァッ

京太郎(なんであんなドヤ顔してるんだ、照のやつは…)

京太郎厨だけど宮永父とよりは姉妹や久との絡みが見たいです(ノンケ)

東1局3本場。
開始早々に照がダブ東を鳴き、さらにドラである8筒もポンした。

さすがに親の満貫手とわかっていて振り込むわけにはいかないので、ここは俺なりに慎重に打つ事にした。
親父さんもはじまって間もないのに現物を出してくる。

だが、俺や親父さんが消極的なのに対して、咲ちゃんだけは違った。
危険そうな初牌を躊躇なくきっている。

咲(わからないけど、この牌はお姉ちゃんに通りそうな気がする)タン

照「……」

宮永父(その牌は通るのか。だったら父さんもコレだな)タン

照(さすがに警戒している咲から出あがりを期待するのは難しいか)

照(だが…)ギュルルルルルルッ

照「ツモ。ダブ東、ドラ3で4000オールの4300だ」ジャラララ

照(警戒しているだけじゃ私は止められんぞ)

>>200
そういう人たちばかりならこのスレは平和なんですがね

東1局4本場は照がツモ、タンヤオ、三暗刻、三色同刻の跳満であがり、俺と親父さんは持ち点が仲良く原点の半分くらいになった。
いや、それよりも咲ちゃんの点棒が残り3300しかなくなっている。
東1局でなんでここまで差がつくんだというくらいに、圧倒的だ。

ていうか、咲ちゃんの強さを見に来たはずなのに、今のところ、照が圧倒的過ぎて、さっきまでのそれなりに強かった咲ちゃんの印象がほとんど消えかかってる。
普段はここまでへこむ事がない咲ちゃんだけに悔しいんだろうなと思い、少し咲ちゃんの顔を見るが、咲ちゃんは特に気にした様子もなく、なぜか落ち着いている。
さっきまでショックを受けた表情だったのとは打って変わってだ。

咲(やっぱり当たり牌はそれとそれだったんだ)

咲(お姉ちゃんが普段より急に強くなってびっくりしたけど、打ち方自体は変わってないね)

咲(だったら、次は倍満を狙ってくるだろうし、捨て牌に気をつけてれば振り込むことはないよね)

東1局5本場は終盤に照が立直をかけてくるが、咲ちゃんが嶺上開花、ツモで照の親をあっさり流す。

照(さすがに咲相手じゃ倍満を作る時間はなかったか)

咲(これでお姉ちゃんの親は流れたけど、この点数じゃとばされるのは時間の問題だよね)

咲(なんとか持ち直さないと…)

京太郎(ようやく照の親が終わったか。さすがに5連荘は長かったな)

京太郎(うわ…もう10時回ってるのかよ)

京太郎(終わるのは11時ころだな、こりゃ…)ハァ

東2局は親父さんが親。特に何もなく、すぐに照がツモのみで流す。

そして東3局は咲ちゃんの親。
だが、もしかしたらさっきのようにまた照が連続和了するのかと思ったが、咲ちゃんがポンからの加槓での嶺上開花のみで親を防衛する。

東3局1本場は照がタンヤオ、ドラ1で俺を直撃。咲ちゃんの親は連荘できずに流された。

東4局は待ちに待った俺の親だったが、暫く空気だった親父さんが食いタンでこれまた俺を直撃し、何もできずに俺の親番は流れてしまった。

とりあえず南場に突入するが、ここで焼き鳥なのは俺だけ。
放銃回数も何気に多いし、気づけば最下位に転落していた。

京太郎(なんかいつものパターンになってきたな)

南1局は照が平和を親父さんに直撃。

南1局1本場は照がツモタンで、2本場は立直、タンヤオ、一盃口で連荘する。また、東1局みたいに長引くのかと、諦めていた。

だが、南1局3本場では咲ちゃんが対々和をツモあがりしてあっさりと照の親を流す。
照の連続和了は続く事が多いが、照の親はもう残ってないし、照が連続であがってもあと3回までなら多分とばされることはないだろう。

南2局は照がタンヤオを俺に直撃する。
やばい。とばされることはないと思っていたけど、そんな事はなかった。

南3局も照が鳴き混一色をツモあがりし、俺の点棒は残り2500。
ちなみに今の時点で照は84700、咲ちゃんが7700、親父さんが5100となってる。照のやつ、マジで圧倒的だ。

どのみち南4局で終わるんだが、ハコシタで終わるのだけはなんとしても避けたい。
最後に満貫直撃や跳満さえツモられなければ、俺は生き延びて半荘を終わることができる。
正直、志は低いが、毎回のように勝てなければ、こう考えるようになっても仕方ないと思わないか?

照(もうすぐで決着。京太郎とのデートは私が貰った)ゴゴゴッ

咲(お姉ちゃん…)

そして最後の半荘の南4局。
咲ちゃんの親が残ってない以上、照の勝利が確定しているが、何故か照は少し渋い顔をしていた。
そして、負けているはずの咲ちゃんは小さく笑みを浮かべている。

その時、俺は二人の表情がそうなる理由が全く理解できなかった。

そして、この後、俺はとんでもないものを目撃する事になるのだった。

咲「その7索、ポンです」ニコッ

照「……」

京太郎(咲ちゃんの麻雀で負けててもくさらず諦めない姿勢は俺も見習わないといけないなあ)タン

咲「その1筒もポンです」

京太郎「ああ」スッ

京太郎(咲ちゃん、対々和狙いか?)タン

照「……」スッ

照(くっ…私も聴牌していたが…咲の鳴きでこの順目であがりに届かなかったか)タン

宮永父「……」スッ、タン

咲「……」ゴゴゴゴゴッ

咲「……」スッ

咲「カン!」カコン

照(…ここまでか)

咲「7索を加槓です」カン

京太郎(嶺上牌で2連続カンか)

咲「1筒も加槓です」カン

京太郎(また、嶺上牌で加槓!?すげぇな、三槓子なんて初めて見たぜ。あがれたら…)

咲「もいっこカン!」カコン

京太郎「な…」

咲「ツモ。四槓子、8000、16000です」

京太郎「ま、幻の役満…」

照(…やってくれたな、咲)

幻の役満といわれる四槓子を目の当たりにした俺は思わず興奮して勢いよく立ち上がる。
咲ちゃんが一瞬、体をビクリと震わせたが、俺は自分であがったわけでもないのに、手の震えが止まらない。
四槓子なんて、正直、ゲーム麻雀でもお目にかかったことはないし。

京太郎「すげぇな、咲ちゃん!!四槓子ってすげぇレアな役満なんだぜ、写メ撮っとこう、写メ」

咲「い、いいよぉ、京ちゃん。役満はあがってもいつも崩してたけど、今回は事情が事情だし…」

京太郎「マジか!?すげぇや、咲ちゃん!!もうすげぇとかそんなん通り越して、プロレベルじゃね?いや、プロより強いんじゃないか?」

咲「褒めすぎだよ、京ちゃん」

照「……」

京太郎「照もガッカリするなって。咲ちゃんが強いって言ったのは照の方だし、いや、でも、流石に照の方が連荘はしてたし、総合的にはまだ照の方が強かったりするんじゃないのか?」

照「京太郎。これを見て」

京太郎「これって…さっきの半荘の結果じゃないか」

京太郎「照+67、咲ちゃん+10、親父さん-33、俺-44…。そういや、俺、最後の最後でハコシタになったんだな」

照「問題はそこじゃない」

京太郎「いや、まあ、照にとったらどうでもいいかもしれないが、俺にとったらちょっとは悲しいんだぜ」

照「トータルの結果を見ればわかる」

京太郎「トータルの結果?」

京太郎「えーっと俺が-2、-21、-45で-68か」

京太郎「親父さんが-19、-11、-29で-59って…」

照「今日の麻雀牌の手入れは京太郎に決定」

京太郎「ううっ、こんなに夜遅くてもやらせんのかよ」

照「それはともかく私と咲の結果を見て」

京太郎「いや、マジでトータルトップのやつとデートするのか、俺?」

照「いいから」

京太郎「お、おう」

京太郎「照が±0、-2、+67で+65で、咲ちゃんが+21、+34、+10で…+65!?」

咲「やったね、お姉ちゃん!!2人とも京ちゃんとデートができるよ」

京太郎「二人ともトップだなんて、こんな事も起きるんだな…」

照「偶然じゃない。それは咲が狙ってやった」

京太郎「え…」

照「咲は点数調整が得意。京太郎は気づいてないかもしれないけど、京太郎とやる時はいつも最後に±0になるようにあがってる」

咲「お、お姉ちゃん!!」

京太郎「確かに咲ちゃんって大きな負けも大きな勝ちもあんまりなかったから、言われてみればそんな気もするな」

照「麻雀において圧倒的な力がなければ、点数の調整なんてまずできない。私にだって無理」

京太郎「照にもできないのか?」

照「大体の調整はできるけど、咲のレベルでの調整は私にも無理」

京太郎「…マジか」

照「今日は私も本気で望んだ。でも結果はこのとおり。私は咲に勝てなかった」

京太郎「勝てなかったって、引き分けじゃ…」

照「それは咲が引き分けを狙った結果。私は咲に対して勝ちにいこうとした」

照「だけど、咲の狙い通りになった以上、私の勝ちとはいえない」

咲「…お姉ちゃん。…ごめんなさい」

京太郎「……」

照「誤る必要はない」

照「今の私は咲より弱いけど、私は高校で麻雀部に入って、強い人たちと戦って、今よりもっと強くなる」

照「そして、咲よりも強くなる」ニコッ

咲「お姉ちゃん…」

照「咲も今のままで満足して強くならなかったら、すぐに私が追い越すから」

京太郎「そういえば、咲ちゃん。その麻雀部のことで咲ちゃんにお願いがあるんだけど、いいかな?」

咲「私に?」

照「ああ。実はその麻雀部というのが人手不足で3人しかいない。京太郎を入れても団体戦はおろか練習で4人打ちも出来ないのが現状だ」

京太郎「4人打ちはともかく団体戦のメンバーに俺を入れるな」

照「それで咲が暇な時でいいから、清澄高校の麻雀部に麻雀を打ちに来てほしいんだ」

京太郎(無視された…)

咲「え…でも、そんな事していいの?」

京太郎「とりあえず学校は関係者以外は立ち入り禁止だけど、照の妹だから、関係者って事で入っていいんじゃないか?」

照「もし、無断の侵入が心配なら私の制服を貸す」

京太郎「そうだな。照と咲ちゃんはあんまり体型変わんないし、それでもいいんじゃないか?」

照「…くっ!!今は咲と体型が変わらないかもしれないが、2年後には胸も大きくなっているはずだ」

京太郎(2年後も同じ事を言ってそうな気がするのは何故だろう)

咲「お姉ちゃんと京ちゃんのお願いなら、いいよ。それなら明日から行ったらいいのかな?」

京太郎「そうしてくれると助かる」

咲「毎日、京ちゃんと麻雀が打てるんだね」

京太郎「そうだな」

宮永父「そうなると家で打つ機会は減りそうだね。仕方ないかもしれないけど、京太郎君が来なくなるのは父さん、寂しいなぁ」

京太郎「…ま、まあ、休みの日とかは来たりするんで、前とそんなに変わらないですよ」

宮永父「本当かい?」ニコッ

京太郎「そんなに喜ばれると色々と不安なんですが」

京太郎「もう11時回ってるのか」

宮永父「どうする?京太郎君、泊まっていくかい?」

京太郎「すいませんけど、お願いできますか?」

宮永父「わかった。それじゃあ、来客用の布団を一式出すとしよう」

京太郎「ありがとうございます」

宮永父「京太郎君は親御さんが心配しないように電話だけでも入れておいた方がいい」

宮永父「あと、照と咲はお風呂に入ってきなさい」

照「…わかった」

咲「はーい」

照「京太郎…」

京太郎「ん?」

照「覗いたら駄目だから…」

京太郎「安心しろ。照の貧相な体なんか頼まれても覗かないから」

照「……」ムッ

京太郎「とりあえず寝る前に麻雀牌の手入れやっとくから、さっさと風呂に入って来い」

照「…わかった」

宮永父「京太郎君」

京太郎「なんですか?」

宮永父「照と咲が風呂から出たら父さんと一緒に風呂に入らないか?」

京太郎「風呂は明日の朝、家に帰ってから入るんで結構です」

今日も短いですがここまでです。

そして、次回はお泊りイベントを書きます。

俺は宮永家の電話を借りて、親父に今日は照の家に泊まる事を伝えると、それを聞いた親父は少し黙り込んで、一言だけ喋った。

須賀父『お泊りか。じゃあ、避妊はちゃんとしろよ』

京太郎「ば、何言ってんだ、照にはそんな事しねーよ!!」

須賀父『あほう!!ゴムくらいはつけろ、まだ高校生だろ。お前ら!!ナマは駄目だぞ、ナマは!!』

京太郎「そんな事ってゴムの話じゃねぇ!!アレの方だ、ボケ親父!!」

須賀父『アレ?アレってなんだ?ん~』

京太郎「と、惚けんなよ、アレって言ったらアレだろ」////

須賀父『照れるなよ、童帝』

京太郎「うるせえ!!電話、切るぞ」

須賀父『おめでとう、脱・童帝』

京太郎「死ね!!」ガチャッ

京太郎「全くうちのクソ親父は…」

照「京太郎」

京太郎「おわっ!?」

京太郎「て、照!?お前、なんで!?いつの間に後ろにいたんだ…?」

照「部屋に寝巻きを取りに行ってた。来たのは京太郎が電話をかけてる最中」

京太郎「…ど、どこまで聞いた?」

照「電話、切るぞ、死ねって言ってたのは聞こえた」

京太郎「そ、そうか」

京太郎(ゴムとかアレとか聞かれなくてよかった…)

照「それじゃあ、お風呂に行くから」

京太郎「おう」

照「……」テクテク

パサッ

京太郎「おい、照、着替えが落ちたぞ」

照「……」テクテク、ガラッ

京太郎「聞こえなかったのか?それにしても寝巻きの上を落として、よく気づかなかったな、あいつは」

咲「お姉ちゃん、待ってよー。私もお風呂に入るー」

京太郎「あ、咲ちゃん。ちょうどいいところに」

咲「どうしたの?京ちゃん」

京太郎「この寝巻き、照が落としてったんだ。風呂に行くついでに持っていってやってくれないか?」

咲「うん、わかったよ」

京太郎「それじゃあ、今日も罰ゲームするか」

咲「ごめんね、京ちゃん」

京太郎「気にしなくていいさ。いつもの事だし」

京太郎「それより早く風呂に入ってきなよ」

咲「うん」

ガラッ

照「きゃあっ!!…って、なんで咲?」

咲「お姉ちゃん、はい、寝巻き」

照「え?何で咲がこれを持って入ってくるの?」

咲「そこで京ちゃんに頼まれたからだよ」

照「咲」

咲「なに?お姉ちゃん」

照「空気を読んでほしかった」

咲「ごめん。よくわからないよ」

照「せっかくバスタオルと湯気で上手く見えないように準備してたのに色々と台無し」

咲「湯気?」

照「とりあえず風呂に入ろう」

咲「うん」

自分でも思うが宮永家の麻雀部屋で雀牌の手入れをする姿が何故かさまになっている。
夏休みは雀荘でアルバイトでもやってみるかな?

京太郎「……」キュキュ

京太郎「……」キュキュ

京太郎「…はあ」キュキュ

京太郎「……」キュキュ

ガチャッ

照「京太郎。ご苦労様」ホカホカ

京太郎「なんだ、もう風呂からあがったのか?」

照「京太郎もお風呂に入っていけばいい」

京太郎「いいよ、別に」

京太郎「さすがに照の親父さんと一緒に入るスペースはないし、正直、別の意味で親父さんとは一緒には入りたくないし」

照「そう思って、父さんは今すでにお風呂に入ってもらってる」

照「12時30分を回るけど、お風呂には入った方がいい」

京太郎「え?ひょっとして、俺、なんか臭ってる?」

照「そういうわけじゃないけど、お風呂に入るべき」

京太郎「まあ、よくわからんが、一人で入れるなら、風呂を借りるかな?」

照「そう、京太郎もそうやってちゃんと空気を読んでほしい」

京太郎「?」

京太郎「あ、そうだ、照」

照「なに?」

京太郎「俺、学校に行く前に家に一回戻りたいから、朝6時30分頃に起こしてくれないか?」

照「わかった。6時30分に京太郎を起こす」

ガチャッ

宮永父「京太郎君。父さんもお風呂から上がったよ」ホカホカ

京太郎「親父さん、早過ぎる!?」

宮永父「まあ、京太郎君を待たせるわけにいかないからね」

宮永父「今日は夜も遅いし、風呂は早目に済ませたんだ」

京太郎「なんかすいません」

宮永父「いやいや、洗う所はちゃんと洗ったし、別に誤らなくてもいいよ」

京太郎「……」

京太郎(親父さんの言葉に言葉以外の意味が含まれてるような気がするのは、俺の気のせいなのか?)

俺は結局、風呂を借りる事にし、脱衣所に向かう。
その途中、冷蔵庫からオレンジジュースを出して飲んでいる咲ちゃんを発見する。

京太郎「こんな時間にそんなもの飲むんだ?」

咲「うん。ちょっと喉が渇いちゃって」

京太郎「夜中にトイレに行きたくなるぞ」

咲「大丈夫だよ。ちょっとしか飲んでないもん」

京太郎「ふうん?」

京太郎「まあ、俺もあとでお茶でも飲むかな」

京太郎「それじゃあ、俺、風呂に入ってくるわ。おやすみ、咲ちゃん」

咲「おやすみなさい、京ちゃん」

今日はここまでです。
投下量が日に日に短くなってます。

>>夏休みは雀荘でアルバイト
ペロッ、これはまこフラグ!?
風評被害者のまこさんに救いをオナシャス!

>>249

残念ながらわかめは出ないんです。
咲ちゃん以外の下級生は某高校キャラを除いてほぼ出ません。

俺は風呂に入ってる最中、頻りに咲ちゃん以外の誰かが入ってくるんじゃないかと怯えながら湯船に浸かっていたが、そんな事はなかった。

京太郎「さすがにそんな非常識な事はないか」

京太郎「さて、あがるか」

ガラッ

京太郎「……」キョロキョロ

京太郎「よし、脱衣所にもいないな」

京太郎「とりあえず明日は部活でハコにならないように頑張るか」

京太郎「それにしても色々あったせいか今日は疲れたな」

京太郎「5時間しか寝られないけど、仕方ないか」

ガラッ

照「京太郎」

京太郎「照!?」

京太郎「何してんだよ、お前」

照「京太郎がお風呂からあがるのを待ってた」

京太郎「ま、待ってた、って…?」

照「咲もお父さんも寝かしつけた。今起きてるのは私と京太郎の二人だけ」

京太郎「ちょ、…お前、何言ってるんだ!?」

照「京太郎に気分よく寝てもらいたくて…」

京太郎「……」ゴクッ

京太郎(ま、まさか…)

照「お風呂あがりにやることといえば、これしかない」

京太郎「ま、まだ、早いだろ、そんな事するのは」

照「大丈夫。京太郎はじっとしててくればいい」

照「私に任せて」ニコッ

京太郎(ま、まさか、照のやつ、本気か!?)

照「京太郎の布団でしよう」

京太郎「い、いや、照、俺の布団って、不味くないか?つーか、そもそもここでやるのはよくないだろ」

照「いいから」

京太郎「いや、よくねーだろ!!」

照「大丈夫。京太郎を気持ちよくさせる自信はある」

京太郎「いやいや、俺が大丈夫じゃねーよ!!」

京太郎「なんでそんなにやる気満々なんだよ!!」

照「とにかく布団の上に寝て」

京太郎「め、目がマジなんですけど…」

照「早く寝て」

京太郎(も、もう、逃げられそうにない…)ゴロン

照「仰向けじゃない。うつ伏せ」

京太郎「うつ伏せ?」

照「お風呂あがりのマッサージは基本うつ伏せ」

京太郎「マッサージ?」

照「マッサージ」

京太郎「お、おう、マッサージね」ゴロン

照「京太郎のために頑張る」

京太郎(よかった。俺の盛大な勘違いだけど、変な事にならなくてよかった)

照のマッサージは確かに気持ちよく、ウトウトとし始め、いつの間にか眠りについていた。

照「あ、…京太郎、眠った?」

照「マッサージ中に寝るのは気持ちよかった証拠」

照「京太郎の身体は正直」

照「……」

照「春だけど風邪引かないように布団はかぶせた方がいいか」バサッ

照「……」

照「おやすみのチュウとかしてみたい…」////

照「……」

照「京太郎が寝てる時にするのはちょっと寂しい」

照「いつか京太郎が起きてる時に…き、キスをしたいな」////

照「…おやすみ、京太郎」

ふと、目が覚めたら部屋は真っ暗だった。
マッサージしてくれてた照も部屋に戻ったのか、リビングには誰もいない。

携帯電話で時間を確認する。
3時30分頃。
2時間くらいは寝てたのか。

京太郎「とりあえず言うだけあってマッサージは気持ちよかったな。いつの間にか寝てたし」

京太郎「うつ伏せじゃなかったら朝まで爆睡してただろうな」

京太郎「とりあえずもう1回寝るか」ゴロン

仰向けになった俺はすぐに睡魔に襲われ、再び眠りにつく。

トテトテ

咲「おトイレ、おトイレ…」

咲「ちょっとしか飲んでないのに…」

咲「ううっ…漏れちゃうよぉ」

ジャー

咲「すっきりした。これでお布団に戻れるよ」

咲「…それにしても暗いよぉ」

咲「……」

咲「あ」

咲「京ちゃんの布団がめくれてる」

咲「大の字になって、寝相が悪いなぁ」

咲「とりあえずお布団かけてあげるね」

咲「……」

咲「お姉ちゃんはいつも京ちゃんと一緒だし、今日くらいはいいよね」モゾモゾ

咲「わっ、京ちゃんの顔がこんなに近くに」

咲「えへへっ」

咲「京ちゃんの腕枕だぁ」

咲「おやすみなさい、京ちゃん」

京太郎「…ぅん」

今日はここまでです。

今週はちょっと更新出来そうにありません

来週の火曜日か水曜日あたりに投下します

照「6時30分になった」

照「京太郎、時間だ。ほら、起きて」ユサユサ

京太郎「うぅん…あと5分、…いや、10分」

照「駄目。ちゃんと6時30分に起こしてって言ったから」ユサユサ

京太郎「ねみー」zzz

照「…どうしたら起きてくれるの?」

京太郎「むにゃむにゃ…照がおはようのチュウとかしてくれれば起きれそうな気がする」zzz

照「!!」////

照「きょ、京太郎がそこまで言うなら…」

京太郎「むにゃ。ホッペでいいから、おはようのチュウしてくれよ」zzz

照「…京太郎がそれで起きるなら、私も覚悟を決める」

照「…ん、んー」////

照「……」

照「…………」

照「はっ!?」ガバッ

照「……」

照「…夢?」

照「…それにしても妙にリアルな夢だった」

照「でも…」

照「もしかしたら京太郎はおはようのチュウがないと本当に起きないかもしれない」

照「……」////

照「時間は…6時15分か」

照「よし、顔を洗って歯磨きをしよう」

照「うん。ばっちり」

照「リップクリームも塗ったし、京太郎を起こすちょうどいい時間」

照「……」トテトテ

照「…!?」

照「京太郎の布団に…なんで咲が!?」

照「…どうして」

京太郎「……」zzz

咲「……」スースー

照「咲、ずるい…」

京太郎「…むにゃ」

照(幸せそうな顔で寝てる京太郎…)

京太郎「…照~」

照「!?」

京太郎「…全国大会…優勝…やったな~」ダキッ

照(それ、私じゃない)グヌヌ

照(……)

照(でも…そんな嬉しそうな顔で私の夢を見てるんだね)

照(はっ!?咲が抱きしめられてるって事は、夢の中では私が抱きしめられてる!?)////

京太郎「…すげぇよ、照~」

咲「…ぅぅん…」

咲「あ、…お姉ちゃん、おはよう」

照「…咲、いつの間にここで寝てたの?」

咲「あ…」

咲「えっと、うん。夜中におトイレに行った後、なんとなく京ちゃんのお布団に潜りこんじゃった」

照(京太郎が咲と一緒に寝たわけじゃないのか)

照「なら、駄目だけど仕方ない」

照「とりあえず咲は布団から出て」

咲「えー?もうちょっとだけいいでしょー?」

照「駄目。私も京太郎と寝る」

咲「やだよー。せっかく京ちゃんに抱きしめられてるのにー」ムー

照「私だって京太郎にギュってしてもらいたい」ムッ

咲「そうだ。反対側が空いてるよ」

照「駄目。腕が両方とも咲の方にあるから、そっちの方がいい」

咲「私もこっちがいいもん」

京太郎「…何言ってるんだ、お前ら」

照「京太郎!?」

咲「京ちゃん、おはよう」

京太郎「んふぁあああっ」

京太郎「おお。おはよう、照、咲ちゃん」

照「京太郎。なんで起きたの?」

京太郎「そりゃ起きるだろ。俺の近くでこんなにキャッキャ話てたら」

京太郎「それになんか左腕が疲れてるんだが」

咲「あ。ごめんね、京ちゃん」

京太郎「……」

京太郎「え?」

咲「?」

照「?」

京太郎「…なんで俺、咲ちゃんを抱きながら寝てたんだ!?」

咲「あ、それは私が京ちゃんが寝てる間に潜り込んだんだけど…」

照「次回のお泊りの時は私の番だから」

京太郎「ちょ、ちょっと待て。なんていうか色々と不味いだろ」

京太郎「と、とにかく、照の親父さんが来る前に…」

宮永父「おはよう、京太郎君」

京太郎「はいいいいいっ!!」バサッ

咲「わぷっ!?」

宮永父「ん?どうしたんだい?」

京太郎「い、いえ、なんでもありません!!」

宮永父「そっか。昨日は一応、僕の寝室の鍵は開けておいたんだがね」

京太郎「…ソウデスカ」

宮永父「とりあえず朝はパンと牛乳でいいかな?」

京太郎「い、いえ、お構いなく」

京太郎「教科書を取りに一度、家に戻らないといけないから、朝飯は家で食べますんで」

宮永父「そうか。それなら仕方ないな」

宮永父「そうだ、照。玄関まで新聞を取ってきてくれないか」

照「…自分で取りに行って」

宮永父「ううっ、照は最近冷たいなぁ」トボトボ

京太郎「行ったか?」

照「行った」

京太郎「はぁ。一時はどうなることかと思ったな」バサッ

咲「ぷはっ!!ひどいよ、京ちゃん!!」ガバッ

京太郎「ああ、ごめんごめん」

京太郎「流石に咲ちゃんと一緒に寝てた所を親父さんに見られるわけにはいかなかったし」

咲「私は別にかまわないけどね、京ちゃんとなら」

照「それは駄目」

咲「えー」

京太郎「ほらっ、咲ちゃん、早く布団から出てくれ」

咲「せっかく京ちゃんが暖めてくれた布団なのにぃ」

京太郎「とりあえず俺も布団から出るか」バサッ

照「……」////

咲「……」////

京太郎「ん?」

照「そ、その格好は…」////

京太郎「制服のズボンだけど?」

咲「な、なんで上に何も着てないの!?」////

京太郎「なんでって言われても、普段、寝る時は全裸なんだが、さすがに照ん家でそれは不味いかと思って、ズボンだけは穿いて寝てたんだが…」

照「きょ、京太郎のエッチ」////

京太郎「なんでだ!?」

今日はここまでです。

いったん、家に戻って朝飯を食って、学校に向かう。
俺の大雑把なプランにミスはなかったはずだが、何故か登校時間がかなりおしている。
何故なら。

京太郎「うおおおおおおおっ!!」ギコギコ

照「京太郎。頑張って」

京太郎「照ぅっ!!誰のせいでこんな事になったと思ってんだよ!?」ギコギコ

照「?」

京太郎「お前だよ、お前!!」ギコギコ

京太郎「先に学校に行ってろって言ったのに、お前がうちに来るとか言い出すから!!」ギコギコ

京太郎「そのせいで自転車を使わないと間に合わなくなったんだろ!!」ギコギコ

照「でも、私は京太郎と一緒に登校したかったから」

京太郎「時と場合によるだろ!!」ギコギコ

照「気にしたら負けだから」

京太郎「ちょっとは気にしろぉぉぉっ!!」ギコギコ

照(それに自転車の二人乗りでこんな風に京太郎に密着できる機会は滅多にないし)

照「たまには…いいよね?」

京太郎「なんか言ったかあ?」ギコギコ

照「別に言ってないよ」

京太郎「もうちょっとで坂があるからしっかりつかまってろよ!!」ギコギコ

照「うん」ギュッ

京太郎「うおおおおおおっ!!スピードアーップ!!」ギコギコギコギコ

京太郎「ぜはー、ぜはー」ヨロヨロ

照「京太郎。お疲れ様」

京太郎「なんとか間に合ったぜ…」

一太「やあ、おはよう。須賀君、宮永さん」

京太郎「うーっす、内木」

照「…おはよう」

一太「今日も二人は仲良く登校か。うらやましいなあ」

京太郎「今日の俺がどれだけ疲れてるか知らないからそう思うんだろ」

京太郎「言っとくが一時間目は高確率で寝れる自信があるぜ」

一太「一時間目は体育だよ」

京太郎「…そうだったっけ?」

照「頑張って、京太郎」

結局、どの授業でも寝る事が出来なかった。
寝ようとしたら何故か教師に見つかり、ウトウトする事さえ許されなかった。

昼休みに寝ようとしたら、今日に限って内木達が面白い漫画の話を聞かせてきやがった。
その漫画は確かに面白そうだったので、近いうちに立ち読みに行こう。

午後の授業が終わり、机に突っ伏していると、掃除当番の奴が俺を叩き起こして教室から放り出してくれやがった。

仕方がないのでフラフラと部室に寝に行くことにした。

ガチャッ

久「やっほー」

照「竹井さん」

京太郎「……」グター

久「うふふふっ」

照「…どうした?」

久「ううん。ちゃんと部員がいるんだなって思って、嬉しくなってね」

照「そういえば私達が入部するまでは竹井さん1人だけだったな」

久「でも、今は1人じゃない。それが実感できて嬉しいのよ」

照「だけど、ここで満足してたら駄目」

久「そうね。団体戦に出るにはあと3人必要だもんね」

照「入部してくれそうな人はいた?」

久「ううん。残念ながら今日はいなかったわ」

久「帰宅部の上級生とかもあたってみたけど全然駄目ね」

京太郎「んあ?」

京太郎「おっす、竹井」

久「え?今頃?」

京太郎「わりぃ。俺、超疲れてるんだわ」グター

照「一時間目の体育の授業が野球だったから京太郎、張り切ってたよね」

京太郎「野球は楽しいからな。ピッチャーだったし」

照「3人連続で相手を三振にさせたのはすごくかっこ良かった」

久「それって凄いの?」

京太郎「3人連続が3回だからそれなりだな。相手チームに野球部とかいなかったし」

照「でも、女子の声にいちいち反応する京太郎はかっこ悪い」

久「あー。なんとなく想像できるわ」

京太郎「俺の事はどうでもいいから」

京太郎「他の授業でも寝られなかったし、マジで疲れてるから寝かせてくれ」グター

久「体育の野球で頑張りすぎて疲れたって…須賀君ってあんまり体力はない方?」

照「そんな事はない」

照「昨日、私の家に泊まって私と京太郎は遅くまで起きてたから疲れてるのは仕方ない」

久「へ?」

久「須賀君が宮永さんの家に…」

照「夜遅くまで3回したから疲れても仕方がない」

久「…3回!?」////

照「どうしたの?竹井さん」

久「う、ううん!!な、なんでもないわ」

久(須賀君って宮永さんにそっけない態度取ってるけど、やる事はやってるのね)

久(それにしても…)

久「そ、そんなにしたんだ…」

照「もっとしたかったけど、学校のある日はあまり出来ないから」

久「そ、そうよね?」

久「み、宮永さんはこういうの話すのは平気な方なんだ…」

照「?」

久「そ、そういえば、今日は宮永さんの妹さんは来てくれるのかしら?」

照「一応、学校が終わったからこっちに来るってメールはあった」

久「宮永さんの中学校って…」

照「ここから少し離れてるけど、まっすぐ歩いて20分くらい」

久「メールがあったのはいつ頃?」

照「1時間くらい前」

久「……」

照「……」

久「…迎えに行かなくて大丈夫?」

照「大丈夫。…たぶん」

京太郎「…じゃないだろ。…多分」ムクッ

久「そうよね。1時間も前にメールがあったのにまだ来てないって事は、何かがあったって事だから」

京太郎「咲ちゃんは多分、迷子だ」

久「え?」

京太郎「だから迷子」

久「……。まっすぐ歩いて20分の距離を?」

京太郎「言っとくが、照と咲ちゃんが二人で遊びに行くと、高確率でダブル迷子になるからな」

照「…そんな事ない」

京太郎「そうだな。悪かった」

京太郎「照の場合は咲ちゃんと違って迷子というよりぶらり旅だからな」

京太郎「散歩に出かけてるのに、気がつけば市外に出てることもしばしばだしな」

久「こわっ。何それ」

照「京太郎は旅が嫌い?」

京太郎「いや。好き嫌い以前に、公園に散歩に行って、途中で旅に変化するお前がおかしいからな」

久「でも、須賀君の話が本当だとすると、宮永さんの妹さんは迷子に?」

京太郎「そうだろうな。着いたら連絡するってメールが入ってたのに、連絡がないって事はすなわち迷子って事だろ」

照「それなら探しに行こう」

京太郎「探すのは俺1人でする」

照「どうして?みんなで探した方が早く見つかる」

久「そうよね。…って、あー、なるほど」

照「?」

京太郎「照が探しに行くと、ミイラ取りがミイラに、もとい迷子捜索が迷子になるからな」

照「京太郎は私を馬鹿にしすぎ」

京太郎「だけどなぁ」

久「じゃあ、宮永さんは私と一緒に探しにいかない?」

照「竹井さんと?」

久「ほら、私って宮永さんの妹の顔を知らないわけだし。一緒にいた方が何かと都合が良くない?」

京太郎「それなら大丈夫か」

照「ううっ…。京太郎が私を信用してくれない」

京太郎「何言ってるんだ。照の迷子力を信用してるから心配してるんだろ」

照「もっと別の理由で心配してほしい」

久「とにかく、早く妹さんを探しに行かないと」

京太郎「そうだな」

照「……」コクッ

今日はここまでです。

現状報告

最近は仕事が忙しくて帰りが遅いので全然書けません。
運がよければ明日。明日がなければ来週の火曜か水曜あたりに投下します。

今日も仕事で遅くなりましたが、
少し進んだので少量ですが投下します。

京太郎「その前に電話をしてみるか。咲ちゃんのいる場所に目立つ建物とかがあれば探しやすいしな」ピッピッピッ

照「うん」

prrrr、prrrr、prrrr、……

久「…出ないわね」

京太郎「……」

照「…何か、あったのかもしれない」

京太郎「……」

京太郎「照と竹井は学校の周囲を探してくれ。俺は中学校に行って、咲ちゃんの足取りを何とか追ってみる」

照「京太郎…」

京太郎「心配するな。俺は迷子の宮永姉妹を見つけるエキスパートだぜ」

京太郎「咲ちゃんのこともすぐに見つけてやるよ」

照「…お願い」

京太郎「任せとけ」

久「それじゃあ、宮永さん、私たちも探しに行こう」

照「ああ」

俺は自転車に乗って、中学校へ向かう。
中学校に近づくにつれて、下校中の中学生達とすれ違う。
そんな中、俺の事に気づいた中学校の時の後輩たちが声をかけてくる。

DQN中坊三年「あ、須賀先輩。ちーっす」

真面目中坊二年「お久しぶりです、須賀先輩」

普通中坊二年「どうしたんです?須賀先輩、慌ててるみたいですけど」

不良中坊三年「困り事っすか?須賀先輩」

不良中坊一年「先輩、誰っすか?この高校生」

不良中坊三年「あー、お前ら一年が知らんのは無理もないか」

不良中坊三年「去年のうちの卒業生で、中学校抗争に終止符を打ってくれた伝説の須賀京太郎先輩だ」

不良中坊一年「こ、この人が!?」

不良中坊三年「ああ。俺らや他所中の奴らに争う事の虚しさと、おもちの素晴らしさを広め、『おもちに貴賎なし』の名言を残した須賀先輩だ」

不良中坊一年「すげぇ!!伝説の先輩が目の前に…」

DQN中坊三年「二、三年の男子生徒は殆どが須賀先輩の事を慕ってるぜ」

真面目中坊二年「おもちの伝道師。それが須賀先輩だ」

京太郎「やめれ、お前ら」

普通中坊二年「それで何か探してるみたいですけど、何かあったんですか?」

京太郎「……」キョロキョロ

京太郎「お前らの中に二年の咲ちゃ…、宮永咲って子がどこに歩いていったか、わかる奴はいるか?」

DQN中坊三年「すんません。その子の事はわかんねっす」

不良中坊三年「俺らもわからないっす」

真面目中坊二年「僕も見てませんね」

普通中坊二年「俺も見てないです」

京太郎「そうか。悪かったな、手間取らせて」

不良中坊三年「いえ!!そんな事ないです」

不良中坊三年「必要なら俺ら、集められる奴ら全員集めて、宮永咲って子を探させますけど?」

京太郎「いや、いい」

京太郎(さすがにただの迷子にそこまで大事にするわけにいかないしな)

美少女二年「キョータロー先輩」

京太郎「ん?」

美少女二年「サキーなら校門を出て、真っ直ぐ歩いていくのを見たけど」

京太郎「マジか?ありがとうな!!」

美少女二年「気にしなくていいよー。キョータロー先輩」

京太郎「それじゃ、もう一っ走り行くとするか」ギコギコ

美少女二年「よくわかんないけどキョータロー先輩にかまってもらえるサキーが羨ましーな」

美少女二年「そうだ。今度、サキーに仲介してもらって、キョータロー先輩を紹介してもらおっと」

不良中坊一年(男子だけじゃなく、学校で美少女と名高い先輩にも好かれてるなんて、須賀京太郎先輩は凄すぎる!!)

今日はここまでです。
明日はもっと投下できるようにがんばります。

仕事場の人数が減って気力と時間が削られた
一ヶ月もあいてしまいましたが、とりあえず少量投下します

京太郎「……」ギコギコ

京太郎「……」ギコギコ

京太郎「…咲ちゃんが真っ直ぐ歩いてるならそろそろ見えてきてもおかしくないんだが…」ギコギコ

京太郎「多分、知らない間に曲がってるんだろうなぁ」ギコギコ

京太郎「……」ギコギコ

京太郎「もう一回、携帯に電話を入れてみるか」ギコギコ
ピッピッピッ

京太郎「……」ギコギコ

prrrr、prrrr、prrrr、……

京太郎「…出ない、か」

prrrr、pi

京太郎「!!」

京太郎「もしもし?」

『……』

京太郎「咲ちゃん?」

『…もしもし』

京太郎「え?」

京太郎(女の声だけど、咲ちゃんじゃない?)

『…ああ、この携帯電話の持ち主の知り合いか?』

京太郎「…誰ですか?」

『つい先ほどこの携帯電話を拾ったんだが』

『無断で電話に出るのは良くないと思ったが、見て見ぬ振りをするのもどうかと思ってな』

京太郎「…そうですか」

京太郎(咲ちゃんも放っとけないけど、咲ちゃんの携帯電話も放っておけないな)

京太郎「えっと…、それじゃあ、その携帯電話を引き取りに行きたいんですけど」

『今からか?それまでここで待てと言うのか?私も暇じゃないんだが』

京太郎「…そうですか、すいません。それなら近くの交番に預けてもらえますか?あとで本人と一緒に取りにいきますから」

『……』

京太郎「……」

『……』

京太郎「あ、あの?」

『…悪いが、この近くに交番はない』

『時間の無駄になるが仕方ない。私はここで待っているから、取りに来ればいい』

京太郎「はあ、わかりました。ちょっと今、本人と一緒にいないから、俺が取りに行きますね」

『わかった。ここは大通り近くの商店街の北側の出口付近だ』

京太郎「ここからだと自転車で5分くらいですかね」

『そうか。なら、早く取りに来てくれ』

京太郎「わかりました。すぐに行きます」ギコギコ

pi

京太郎「それにしてもここから大通り近くの商店街って、ガラの悪い連中の溜り場が多いし、大丈夫かな…咲ちゃん」ギコギコ

京太郎「……」ギコギコ

京太郎「北側の出口付近ってあのあたりだけど、電話を拾ってくれた人がどんな人なのか聞くのを忘れてたな」キョロキョロ

京太郎「とりあえず大人っぽい女の人の声だったけど、それらしい女性はいないな」

京太郎「…もう一度、電話をしてみるか?」

???「須賀…京太郎君」

京太郎「え?」クルッ

清澄女子A「……」ジッ

京太郎(あれ?この子、うちの学校の女生徒?)

清澄女子A(偶然拾った携帯電話のお陰でまた須賀君と話が出来るとは…)ジッ

清澄女子A(電話の待ち受け画面で須賀君と仲良く写ってた女の子のツーショットを見て、思わず電話じゃ苛立ってしまったが、まだ挽回できるはず…)ジッ

清澄女子A(でも、どう話しかけたらいいんだろう?)ジッ

京太郎(なんで俺、睨まれてるんだ?)

清澄女子A(とりあえず携帯電話を返して、喋るきっかけを作る…)

清澄女子A「……」スッ

京太郎「あ、咲ちゃんの携帯電話…」

清澄女子A「…そこで拾った」

京太郎「あ、君がさっきの電話の人か。でも、なんで携帯電話の通話相手が俺だってわかったんですか?」

清澄女子A「電話の着信履歴に『京ちゃん』と書かれていて、待ち受け画面に君と女の子が写っていたからな」

清澄女子A「君の事は知っていたし、多分『京ちゃん』が須賀京太郎なのだろうとすぐにわかった」

清澄女子A(君と私は去年のインターミドルの県予選のあの日に出会っている)

清澄女子A(君は忘れているかもしれないが、私は君の事もあの日の事も鮮明に覚えている)

京太郎「俺の事を知ってるって…?」

清澄女子A「…お、同じ学校の隣のクラスの男子で、君は色々と目立っているからな。知っていても不思議はないだろう」

京太郎「え?俺、そんなに目立ってる?」

清澄女子A「うちのクラスの女子連中は一時間目の君の活躍ぶりで話題が持ちきりだったぞ」

清澄女子A(私はあまりクラスメイトと馴染めていないから、その話題に参加したくても出来なかったがな)

京太郎「そうなのか。照れるな」

清澄女子A「そ、それじゃ、携帯電話の持ち主に返しておいてくれ」

京太郎「ああ、ありがとう」

清澄女子A(ああっ、しまった!!ここで携帯電話を返してしまったら、彼との会話も終わってしまう!!)

京太郎「……」

京太郎「そういえば隣のクラスって事は君も1年生なんだな」

清澄女子A「…だったらなんだ?」

京太郎「いや、君みたいな可愛い子がいたなんて、全然気づかなくて。ははっ」

清澄女子A「…!!」

清澄女子A(可愛いって…私の事がか!?可愛いなんて初めて言われた!!)////

京太郎(あー、よくわからんが顔を真っ赤にして怒ってるっぽいな)

京太郎(見た目は大人っぽいから、同学年の照や竹井と比べると年上にしか見えないし、子供っぽく言われたのが嫌だったのか?)

京太郎「とりあえず、すまん」

清澄女子A「え?」

京太郎「……」

清澄女子A「……」

清澄女子A(とりあえず彼にとって私は知り合いの携帯電話を拾ってくれた『女生徒A』という程度の認識だから、会話が弾まないのは仕方ないか)

清澄女子A(こんな事ならもっと女子高生らしい会話を鍛えておけばよかった)

清澄女子A「じゃ、じゃあ、私は帰らせてもらうぞ」

京太郎「あ。えっと、改めて持ち主と一緒にお礼とか言いたいし、よければ名前とか聞かせてくれないか?」

清澄女子A「……」

京太郎「嫌なら無理にとはいわないけど」

清澄女子A「弘世…菫だ」

京太郎「弘世菫さんか。ありがとう、弘世さん」

菫「き、気にしなくていい」

京太郎(それにしても咲ちゃんはどこに行ったんだ?)

一太「おや、須賀君じゃないか。珍しいね、家の方向は違うのにこんな所で会うなんて」

友人A「な…、須賀の奴、弘世さんと一緒…だと?」

友人B「須賀ぁっ!!てめぇは宮永さんだけじゃ飽き足らず弘世さんにまで手ぇ出してんのかよ!?」

京太郎「は?」

友人A「この須賀野郎!!爆発しろ!!」

友人B「俺がもてないのはどう考えてもお前が悪い!!」

京太郎「何言ってんだ、お前らは」

京太郎「弘世さんは落し物を拾ってくれただけだ」

京太郎「そもそも会話したのも初めてだし、顔も名前も今日初めて知ったんだぞ」

菫「…!!」

菫(須賀君はやはり覚えてないのか?あの日の事を…)

友人A「なんだ、そういう事か」

友人B「どうも、弘世さん。俺、須賀君の親友で、友人Bっていいます。弘世さんのためなら何でもしますから」ズイッ

友人A「僕は須賀君の心の友で友人Aです。弘世さんの命令なら何でも聞きますから」ズイッ

菫「あ…、はあ」

京太郎「お前らって奴は…」

一太「……」

友人B「あれ?内木は何か言わなくていいのか?」

友人A「弘世さんと喋れる機会なんか滅多にないんだぞ」

一太「いや、だって僕、中学生以下にしか興味ないし」

京太郎「そ、そうっすか」

咲「あ、京ちゃん!!」テテテッ

京太郎「って…、咲ちゃん!?」

咲「京ちゃんの学校が全然見つからないから、すっごい心配したんだよ」プクー

京太郎「…その言葉はソックリそのまま咲ちゃんに返すよ」

一太「どストライクぅっ!!」

咲「えっ!?」ビクゥッ

一太「初めまして、僕、須賀君とブラザーソウルをやってる内木一太っていいます。以後、お見知りおきを」ハァハァ

京太郎(冗談だと思ったけど、ガチでロリコンだったか…)

咲「…ぅぅっ、助けて京ちゃん…」ササッ

京太郎「悪いな、内木。咲ちゃんは人見知りだから、あんまり鼻息荒くして近寄らんでくれ」

京太郎「正直、咲ちゃんじゃなくても、今のお前は怖いから」

一太「つれない事言うなよ、ブラザー」

京太郎「誰がブラザーだ」

咲「きょ、京ちゃん。私、その、携帯電話をどこかで落としちゃったみたいで…」

京太郎「おう、それならここにある」

咲「あ。私の携帯電話!!京ちゃんが見つけてくれたの?」

咲「さすが京ちゃんだね」

京太郎「迷子のケータイを見つけたのは俺じゃねぇ。そこのお姉さんだ」

菫「……」

菫(近くで見ると小さくて可愛らしい子だな。この子は須賀君と一体、どういう関係なんだ?)

咲「あ…」

菫「あ…?」

咲「…ありがとうございます」ペコッ

菫「いや、気にしなくていい。偶然拾っただけだから」

友人A「優しい弘世さんも素敵だ」

友人B「謙虚な弘世さんも最高だ」

一太「笑顔の咲ちゃんが至高過ぎる」

京太郎「お前らって奴は…」

今日はここまでです
一応、年末にかけて暇になるらしいので近いうちに投下します

乙っす
待ち受け画面のツーショットは照とかな?

年末にかけて暇になるというのがデマだった事にがっかり

>>400
咲ちゃんケータイの待ち受けは宮永家リビングにて、私服の咲ちゃんが私服の京太郎にあすなろ抱きしてる感じで

京太郎「とにかく学校に戻るとすか」

一太「学校に戻るって?今からか?」

京太郎「ん?ああ、部活しに戻るだけだ」

友人A「あれ?須賀って確か帰宅部じゃなかったっけ?」

京太郎「ん、ああ、一昨日まではな。昨日から麻雀部に入ったんだよ」

菫(麻雀部だと!?)

友人B「麻雀部?うちにそんなのあったか?」

京太郎「去年で廃部になったけど、今年、復活させた奴がいてさ。照が入部するから、俺もその付き添いで入部したってわけだが」

一太「へえ、宮永さんが麻雀部に入部したんだ」

菫(宮永…照?)

京太郎「ほら、咲ちゃん。自転車の後ろに乗って」

咲「うん!!」

京太郎「それじゃあ、弘世さん。携帯電話拾ってくれて、ありがとうな」

咲「本当にありがとうございました」

菫「…あ、ああ」

京太郎「それじゃ、しっかり掴まってろよ」

咲「うん!!」

京太郎「それじゃあ、みんな、また明日な」

友人A「ああ」

友人B「おう」

菫(須賀君にあんなにくっついて…。わ、私にはあれは無理だな)

一太(俺も咲ちゃんにあんな感じでくっつかれたいなぁ)

菫「……」

菫(それにしても…入学後に清澄高校に麻雀部はないと知った時はショックだったが、復活していたのか)

菫(そして須賀君が麻雀部に入っている)

菫(とりあえず明日、麻雀部に行ってみよう)

菫(私も一学生雀士として大会に出られるなら出ておきたいし…)

菫(決して、須賀君が入部してるから行ってみたいというのではないぞ)

菫(……)

菫(何故、私は自分に言い訳しているのだ?…全く)

友人A「弘世さんが須賀を見送って心ここにあらずって感じだな」スガ、モゲロ

友人B「なんで須賀ばっかり」バクハツシロ

一太「咲ちゃん…」

友人A「こいつも心ここにあらずだな」

友人B「まあ、こいつは通常運転だな」

俺は自転車に咲ちゃんを乗せて、清澄高校へ戻った。
麻雀部の部室に着いたのは夕方の6時過ぎだった。

京太郎「ただいまー」

久「おかえりなさい」

照「咲!!」

咲「…ご、ごめん、お姉ちゃん。遅くなっちゃった」

照「そんなのはどうでもいい」

咲「え…?」

照「無事でよかった…」

咲「ううっ、本当にごめんね」

照「謝らなくていい。悪いのは咲が迷子になりやすいのを考慮してなかった私の責任」

咲「お姉ちゃん…」

京太郎「迷子になりやすいのはお前もだけどな」

照「うぅっ…。京太郎は私の姉としての威厳を台無しにする発言をするのは良くないと思う」

京太郎「気にすんな。威厳なんて元から無いだろ?」

照「ひどい」

京太郎「まあ、色々あったけど、咲ちゃんも無事だったんだし、よしとしとこうぜ」

照「…うん」

久「この子が宮永さんの妹の咲ちゃんね」

咲「あ、あの…」

久「初めまして。清澄高校麻雀部の竹井久。あなたのお姉さんと同じ1年生よ」

咲「あ、えっと、宮永咲です。中学2年生です」

京太郎「俺、麻雀部の須賀京太郎。高校1年生な」

久「それは知ってるから」

照「宮永照。高校1年生で麻雀部」

久「それも知ってるから」

久「それにしても咲ちゃんってさ」

咲「え?な、なんですか?」

久「なんか小動物みたいで可愛いわね」

咲「ええっ!?」

京太郎「それはなんとなくわかるな」

照「私の妹だから可愛いのは当然」

咲「ぅぅっ…京ちゃんやお姉ちゃんまで」////

久「本当は麻雀したかったけど、もう遅いし、今日の部活は終わりね」

咲「本当にごめんなさい…」

京太郎「気にするなって。麻雀は明日以降もいつでも出来るしな」

照「うん。今日もまだ家で出来るし」

京太郎「いや、さすがに今日はやらんぞ」

照「え…?」

咲「嘘…?」

京太郎「なんで二人ともこの世の終わりみたいな顔してるんだよ」

京太郎「とにかく今日はこれでおしまい。麻雀は明日、それで決定だから」

照「京太郎は強引過ぎる」

京太郎「いやいや、普段のお前の方がよっぽど強引だっての」

咲「京ちゃんと麻雀打ちたかったよぉ」

京太郎「明日打とうな、明日」ナデナデ

咲「うん。じゃあ、明日の楽しみに取っとくね」

京太郎「おう」

久「そういえば須賀君。ちょっとお願いがあるんだけどいいかしら?」

京太郎「どうした?」

久「物置にデスクトップパソコンがあったんだけど、私、パソコンの繋ぎ方とか設定とかよくわかんなくて、出来るなら須賀君やってくれない?」

京太郎「デスクトップパソコン?パソコンなんかなんに使うんだ?」

久「牌譜の整理やネト麻ね。一応、先輩達の牌譜もCDに記録してあったし、パソコンをつなげば見られるんじゃないかしら?」

京太郎「ふぅん。なら、明日にでもやっとくか」

久「さすが男の子、頼りになるわね」

京太郎「褒めても何にもでないぞ」

久「それは残念ね」

久「それじゃあ、鍵は私が閉めて帰るから」

照「ああ」

京太郎「戸締りよろしく」

久「咲ちゃん、明日からよろしくね」

咲「は、はいっ!!」

京太郎「じゃあ、帰るか」

照「うん」

京太郎「じゃあ、自転車とってくるか」

咲「えっと、京ちゃん。帰りも自転車の後ろに乗せてくれるの?」

照「ちょっと待って。私も乗りたい」

咲「じゃあ、三人で乗ればいいよね?」

京太郎「さすがにそれはお勧めできないな」

照「え…?京太郎は私達を捨てて帰るつもり?」

咲「やだよぅ。私、京ちゃんと一緒に帰りたい」

京太郎「捨てて帰らないから。一緒に帰るから」

照「じゃあ頑張って私と咲で荷台に乗る?」

咲「私、前の籠でもいいよ」

京太郎「自転車に三人で乗るという考えを捨ててくれ」

照「……」

咲「……」

照「私が自転車を漕いで、咲が荷台、京太郎は…走って着いてくる?」

京太郎「何気に酷いな、お前」

咲「京ちゃんが自転車を全力で漕いで、私とお姉ちゃんが京ちゃんを全力で追っかけるの?」

京太郎「俺は鬼か」

京太郎「そうじゃなくて、みんなで歩いて帰ればいいだろ。自転車は俺が押して帰るから」

照「なるほど。その考えは無かった」

咲「さすが京ちゃん」

京太郎「いや、最初に思いつくだろ、普通」

京太郎「あと、咲ちゃん」

咲「なに?京ちゃん」

京太郎「明日は中学校まで迎えに行くから、校門前で待っててくれよな」

咲「え?京ちゃんが迎えに来てくれるの?やった」

京太郎「さすがに今日みたいな酷い迷子にはならないかもしれないけど、中学校から直接清澄高校に行くルートをちゃんと覚えとかないと、遠回りするかもしれないしな」

咲「うぅっ、私が方向音痴でごめんね」

京太郎「だから明日、授業が終わったら俺のケータイにメールを入れてくれ。俺も迎えに行く少し前にメールを入れるから」

咲「うん、わかったよ」

照(咲と京太郎の会話の比率が多いから、私と京太郎の会話の比率が減ってる…)

照「…京太郎」

京太郎「ん?どうした、照」

照「……」

照「…何か話して?」

京太郎「…意味がわからねぇ」

咲「あ。そういえば昨日読んだ本なんだけどね」

京太郎「おう」

照(…くすん)

今日はここまでです
今年はあと一回くらい(土曜か月曜)更新予定で

照と咲ちゃんを送った後、先日のように宮永家の家族麻雀に引きずりこまれそうになったが、流石に二日連続で朝帰りは良くない。
いや、一日だけでも良くないんだが。

照と咲ちゃんを宥め、俺は自分の家に向かう。

家に戻った俺はガレージに自転車を止め、玄関の扉を開けるとニヤニヤしながら親父がリビングの扉からこちらの様子を伺っていた。

京太郎「…何やってんだよ、親父」

須賀父「なんだ、お前1人か?」

京太郎「当たり前だろ。学校から帰ってきただけだしな」

須賀父「照ちゃんは一緒じゃないのか」

京太郎「なんでそこで照の名前が出てくるんだ?」

須賀父「……」ハァ、ヤレヤレ、コノヘタレハ

京太郎「なんでそんな哀れみの篭った目で見られてるんだ、俺は」

須賀父「俺の息子なのに駄目な奴だな、お前は」

京太郎「何が駄目なんだよ」

須賀父「ま、期待してた話は聞けそうにないし、とりあえず部屋に戻っていいぞ」

京太郎「いや、意味が全然わかんねぇし」

俺はリビングで寛ぐペットのカピバラを撫でると、不思議そうな表情で俺を見上げるカピバラに、もしかして、俺、カピバラに存在を忘れられてるんじゃと一抹の不安を抱きながらもリビングを後にする。

二階の自分の部屋に戻るとネト麻をはじめる為にパソコンの電源を入れる。
宮永家では当たり前だが、ネト麻でもトップを取ったことはない。だが何回かは2位をとった事がある。
だから、そのうちトップも取れるだろうと思ってる。

京太郎「とりあえず晩飯の前に一局打っとくか」

【きょーたろー】さんが入室しました。

【TOHKA】『やっと人数が揃いましたわね』

【かまぼこ】『わははー。ようやく打てるぞー』

【のどっち】『それでは始めましょう』

京太郎「おっ、【TOHKA】さんと【のどっち】さんとかいるのか。こりゃ、2位も厳しいか」

一回目の対局後。
結局、序盤から【TOHKA】さんと【のどっち】さんに振込み、4位を定位置にし、点棒を奪還することなく、終わってしまった。

【きょーたろー】『ううっ、また負けた』

【かまぼこ】『まー、前から何回か打ってるけど、【きょーたろー】さんは他の人が立直しても絶対に降りてないよなー?』

【きょーたろー】『いやいや、結構降りてるつもりなんだけどなー』

【かまぼこ】『そうなのかー?私の明らかな染め手の立直にいきなり字牌を放ってるのに、あれは降りてるのかー?』

【TOHKA】『そんな話はどうでもいいですから、さっさと次、始めますわよ』

【きょーたろー】『あ、悪い悪い』

その後、3回半荘を打ち、合計4回連続4位という宮永家麻雀と似たような情けない結果に終わった。

【のどっち】『それでは私はこれで失礼します』

【のどっち】さんが退室しました。

【TOHKA】『【のどっち】が終わるのなら、私も終わっておきましょう。時間もかなり遅いですし』

【TOHKA】さんが退室しました。

【かまぼこ】『いやー、【のどっち】さんも【TOHKA】さんも凄かったなー』

【きょーたろー】『ああ、全然、振り込まないし、【のどっち】さんは特にツモから打牌まで全然時間かけてないのにな』

【かまぼこ】『そーいえば、【きょーたろー】さんは知ってるかー?』

【きょーたろー】『ん?何をですか?』

【かまぼこ】『【のどっち】は運営スタッフが用意したプログラムらしいぞー』

【きょーたろー】『マジかよ!?確かに判断速度が速すぎるとは思ってたけど…』

【かまぼこ】『とりあえず噂だけどなー』

【きょーたろー】『ネト麻中の会話も全然ないし、あながち本当なのかもな』

【かまぼこ】『そだなー。【TOHKA】さんも打ち方は似てるけど、なんか目立とうとするし、よく喋るしなー』

【きょーたろー】『多分、【TOHKA】さんってリアルでも目立ちたがりなんでしょうね』

【かまぼこ】『えっと、この後、【きょーたろー】さんはどうするー?』

【きょーたろー】『どうするっていうのは?』

【かまぼこ】『二人じゃ麻雀できないぞー』

【きょーたろー】『ああ、どうするって麻雀の事か』

【かまぼこ】『それ以外ないだろー』

【きょーたろー】『んー。晩飯食ってないから、俺も終わっとく』

【かまぼこ】『そっか。それじゃー、私も落ちとくかー』

【きょーたろー】『おう。お疲れさん』

【かまぼこ】『そーいや、【きょーたろー】さんはオフ会(長野)参加できるんだっけ?』

【きょーたろー】『オフ会?ああ、そういや、そんな話あったな』

【かまぼこ】『【のどっち】さんと【かじゅ】さんは来ないけど、【TOHKA】さんは来るし、【カツ丼】さんや【すてるす】さん、【素晴】さんも来るらしーぞ』

【きょーたろー】『今週の日曜10時に長野駅でしたっけ?多分、いけると思いますよ』

【かまぼこ】『そーかー。それじゃー楽しみにしとくなー』

【きょーたろー】『ああ。俺も楽しみにしておくよ』

京太郎「さて、遅くなったけど晩飯でも食うか」

京太郎「お袋ー。今日の晩飯はー?」

須賀母「あれ?京太郎、晩御飯食べてなかったの?」

京太郎「え?」

須賀母「お父さんが京太郎の分はいらないって言ってたから、てっきり外で食べたものだと思ったんだけど?」

京太郎「いやいや、食ってねーし。てか、親父ぃっ!!」

須賀父「何、カリカリ怒ってんだよ。オメーが帰ってくるなり、さっさと自分の部屋に篭るからわりーんだろ」

京太郎「じゃあ、晩飯の時に呼んでくれよ!!」

須賀父「呼んだに決まってんだろ」

京太郎「呼んだって、マジでか?聞こえなかったぞ」

須賀父「ちょー小声で呼んだからな」

京太郎「…このクソ親父が」

須賀父「ああ?握りこぶしなんか作っちゃって、ひょっとしてやんのか?言っとくが殴り合いでお前に負けるほど体力も腕力も落ちてねぇからな」

京太郎「ぬぐっ…」

須賀父「へいへい、ピッチャービビッてる」

京太郎「ピッチャーじゃねぇ」

須賀母「で、京太郎はどうするの?晩御飯食べるなら、玉子くらいなら焼くわよ」

京太郎「ちなみに今日の晩御飯は何だったの?」

須賀母「紫蘇トンカツと野菜炒めに茄子の味噌汁よ」

京太郎「トンカツとか野菜炒めは残ってないの?」

須賀母「京太郎君の分はお父さんが食べちゃったから残ってないわね」

京太郎「……」

須賀父「京太郎」

京太郎「…なんだよ」

須賀父「母さんの紫蘇トンカツはちょー美味かったぞ」

京太郎(このクソ親父が…)

須賀母「で、どうするの?」

京太郎「…玉子焼いてくれ」

すばらは福岡行ってないのか

今年はここまでです
来年は投下ペースを上げたいですが、きっと上がらないと思います

それではみなさん、よいお年を

>>452
このスレではまだ行ってないです

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