・>>1は厨二
・禁書×まどかマギカ
・禁書側が妙に平和
・公式の魔女図鑑からのネタが多い
・台本形式で地の文あり
・キャラがいろいろ崩壊してる
・あの方のおかげで設定崩壊がはなはだしい
・稚拙で遅筆
・風斬可愛い
よーしやるかー
「神様でも、なんでもいい」
「私はみんなの希望を、絶望で終わらせたくない」
神ならぬ身にて天上の意思にたどり着くか
いや・・・・・”意思”そのものになるか
鹿目まどか。
――――ふふ
今回も駄目だった
彼女を救えなかった
彼女は魔女になった
また繰り返す
何度も、何度も
たった一つの”幻想”を手に入れるため
見慣れた天井、見慣れた人、見慣れた最期
私はいつ、この繰り返しから逃れられるのだろうか?
第一話「庭園への侵入者」
”人工天使”風斬氷華は困惑していた。
風斬「ここ……どこだろう」
ロシアで起きた第三次世界大戦の終結後、なんやかんやあって打ち止め、番外個体を含む妹達、そして彼女の保護者たちとそれなりに親交を深め、虚数学区からでることが多くなったのだが、まさかこんなわけの分からない空間に突然飛ばされるとは思わなかった。
風斬「学園都市、じゃないよね・・・・・・なんか気持悪い場所だなあ・・・・・・」
風斬「それに、なんだろうこの感覚……」
何か糸のようなものに絡めとられている、そんな違和感。
風斬「とりあえず、人を探さないと・・・・・・」スタスタ
いざとなればヒューズ化すればいいし何とかなるだろう、そう思いながら彼女は結界の奥へと進んでいく。
風斬「あ・・・・・・誰か居る」
しばらく進んだところで、彼女は二人組を見つける。
「何よあいつ。今度はコスプレで通り魔かよ! つーか何それ、ぬいぐるみじゃないよね? 生き物?」
「わかんない。わかんないけど…この子、助けなきゃ」
「ふーん・・・・・・あれ? 非常口は?どこよここ」
「変だよ、ここ。どんどん道が変わっていく」
「あーもう、どうなってんのさ!」
風斬(遠くて何言ってるのか聞こえないけど・・・・・・あの子達も迷ったのかな?)
「やだっ、何かいる!」
「冗談だよね?私、悪い夢でも見てるんだよね?ねえ、まどか!」
風斬「……何、あれ」
彼女の目に映るのは、一つの”化け物”
蝶の羽とところどころに薔薇をはやしたような形のそれが、触手を二人に伸ばす。
風斬「っ……助けないと!」
風斬氷華の髪色が金へと変化し、頭上に光り輝く円環が、背中には光り輝く翼が出現。
『ヒューズ=カザキリ』となった彼女が紫電を撒き散らしながら、背中の光り輝く翼で化け物をなぎ倒す。
化け物の体が、まるでかき消すように霧散する。
同時に不可解な空間が消える。
風斬「あ、あれ・・・・・・戻った・・・・・・?」
案外あっけなく終わったことに、しばし彼女は拍子抜けする。
風斬「……大丈夫でしたか?」
「え・・・・・・」
「あ・・・・・・はい」
「あら・・・・・・? 魔女の反応があったと思ったのだけれど・・・・・・」
風斬「魔女・・・・・・?」
――――科学と魔法が交わるとき、物語が終わる
魔女<GERTRUD(ゲルトルート)>
『薔薇園の魔女 性質は不信』
なによりも薔薇が大事。その力の全ては美しい薔薇のために。
結界に迷い込んだ人間の生命力を奪い薔薇に分け与えているが、人間に結界内を踏み荒らされることは大嫌い。
いくら導入とはいえ少し少なすぎたか
まあいいや、またなー(^-^)ノ
・・・・・・を……に統一したほうがいいと思う。
俺得メンツだったから思わず突っ込んでしまった。
無視して構わない。
期待。
>>19
言われるまで気づかなかったぜ! サンキュー!
ほむほむに翼が生えて「さて、神を助けに行くわよ」なんて展開でもよかったかもしれない。
そして魔法少女にフラグを・・・・・・ああ、青が・・・・・・
馬鹿なこと言ってないで投下するぜー
◆◆◇
私は困惑していた
その理由は、インキュベーターを撃ちもらし、まどかとの接触を許してしまったことでも、美樹さやかに突然消火器をぶちまけられたことでもない
いつものように始まり、いつものように続いていくはずのループに現れた、一つの”イレギュラー”
頭上には虹色の円環、背中には光る翼
その姿は、まるで
「天、使――?」
不可解な雷撃が、魔女を”消す”
彼女が放つ、眩い光
希望の光とでも、いうのだろうか
◇◇◆
風斬「魔女・・・・・・ってなんなんですか?」
「その前に、この子の治療をしていいかしら?」
少女が宝石のようなものをぬいぐるみ(?)にかざす。
すると、宝石から光が差し、みるみるうちにぬいぐるみ(?)の傷が治っていく。
「ありがとうマミ、助かったよ」
風斬「しゃ、しゃべった!?」
「そんなに驚かなくても・・・・・・この子はキュゥべえ、私のお友達よ」
マミ「そして私は巴マミ、そこの二人と同じ見滝原中学の三年生なのだけれど……」
マミ「あなたは・・・・・・見ない制服ね」
風斬「は、はあ・・・・・・」
しゃべるぬいぐるみ(?)を友達と言い張るのはどうなのだろうか、と思ったがさすがに口には出さないでおく。
風斬「そんなことより、さっきの化け物は……」
QB「それについては、僕から説明するよ」
QB「その前に、鹿目まどか、それと美樹さやか」
さやか「へっ? 何で、私たちの名前を・・・・・・」
QB「君たちにお願いがあって来たんだ」
まどか「お…おねがい?」
QB「うん。僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ」
さやか「け、契約?」
まどか「魔法少女?」
彼女たちの疑問に答えるように、キュゥべえが話を続ける。
QB「僕は、君たちの願いごとをなんでもひとつ叶えてあげる」
QB「なんだってかまわない。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」
QB「でも、それと引き換えに出来上がるのがソウルジェム」
QB「この石を手にしたものは、魔女と戦う使命を課されるんだ」
さやか「魔女ってのは?」
QB「願いから産まれるのが魔法少女だとすれば、魔女は呪いから産まれた存在なんだ」
QB「魔法少女が希望を振りまくように、魔女は絶望を蒔き散らす」
QB「しかもその姿は、普通の人間には見えないから性質が悪い」
QB「不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみ、そういう災いの種を世界にもたらしているんだ」
QB「魔女は常に結界の奥に隠れ潜んで、決して人前には姿を現さないからね」
QB「さっき君たちが迷い込んだ迷路のような場所がそうだよ」
さやか「ってことは、さっきの変なのが魔女ってこと?」
QB「そういうことさ」
風斬「……願いを対価に、戦うことを強要するの?」
QB「まあ、言ってしまえばそうだね。でも選ぶのは君たちさ、僕は強制しない」
風斬「そんなの・・・・・・詭弁じゃない」
風斬「目の前に奇跡をぶら下げて・・・・・・」
マミ「ね、ねえ」
マミが風斬の話を遮るように疑問を挟み込む。
マミ「あなたたち、魔女を見たのでしょう?」
マミ「魔女がどうなったか、教えてくれない? 途中で反応が消えちゃって……」
QB「あれ、君が倒したんじゃないのかい?」
マミ「いえ・・・・・・私が来たときにはもう……」
さやか「え・・・・・・だって・・・・・・」
まどか「う、うん・・・・・・」
三人が、風斬に視線を集中させる。
ここで自分があれを倒したことを告げれば、自分が相応の力を持った存在であることを明かすことになる。
風斬「・・・・・・」
先程は緊急事態だったため、やむなく力を使ったが、この状況はあまり好ましくない。
マミ「えっ、と・・・・・・あなたは魔法少女じゃないのよね?」
これ以上、話を長引かせるわけにはいかない。
どうあがいても、自分は”化け物”であることに変わりはないのだから。
その上、彼女たちは能力者ですらない、完全な一般人なのだから。
風斬「・・・・・・変なこと言ってごめんなさい」
風斬「ただ、人を巻き込むということの意味をよく知っておいて下さい」
早口で要点だけを告げる。
マミ「え? あ、ちょ・・・・・・」
風斬「それじゃ、私はこれで……」
まどか「あ! ま、待って下さい!」
風斬「?」
まどか「あの、助けてくれてありがとうございます。えっと……」
さやか「あ、あたしも! 助けてくれてありがとうございます!」
風斬「・・・・・・今度からは、気をつけてね」
精一杯の笑顔を残し、小走りでその場を立ち去る。
まどか「あ……行っちゃった……」
さやか「すごい……」
まどか「そうだね……」
さやか「すごいおっぱい……」
まどか「さやかちゃん……」
マミ(負けたわ……)
QB「・・・・・・」
ほむら(……)
風斬「なんだったんだろう……魔女とか魔法少女とか」
風斬「もっとちゃんと聞いておくべきだったかな……」
風斬「……でも、私みたいな化け物と関わるのはあまり良くないよね」
風斬「駄目だな・・・・・・こんな考え方じゃまたあの子に怒られる」ハァ
風斬(とりあえず、早く戻らないと・・・・・・騒ぎになってたりしないといいけどなあ・・・・・・)
「そこのあなた」
風斬「え? な、なんでしょう?」
「少し、いいかしら」
風斬「は、はい……」
ほむら「私は暁美ほむら、巴マミと同じ魔法少女よ」ファサッ
風斬「あなたも……魔法少女……」
ほむら「ええ」
ファストフード店店内
風斬「えっと・・・・・・暁美さん。話っていうのは……」
ほむら「ほむらでいいわ」
風斬「そ、そう? なんか、かっこいい名前だね」
ほむら「・・・・・・褒めても何もでないわよ」
風斬「あ、いや・・・・・・そういうのじゃなくて・・・・・・」
ほむら「冗談よ」
ほむら(いつものくせでタメ口だけど・・・・・・いいのかしら)
ほむら「・・・・・・」チラッ
風斬「?」ボイーン
ほむら「・・・・・・ごめんなさい」
風斬「え? な、なにが?」
ほむら「敬語も使えないナイチチでごめんなさい・・・・・・」ズーン
風斬「(ナイチチ?)い、いいよそういうの、気にしないから」
風斬「あんまり他人行儀すぎるのも・・・・・・ね?」ニコッ
ほむら「そう、たすかるわ。えっと……」
風斬「氷華、風斬氷華」
ほむら「あなたの名前もかっこいいじゃない」
風斬「そ、そう・・・・・・かな。えへへ・・・・・・」
ほむら「ところで風斬氷華、あなたに聞きたいことがあるわ」
風斬(フルネーム・・・・・・)
ほむらの他人行儀な応対に少しばかり寂しさを感じるが、会ったばかりなので仕方ないと諦める。
風斬「・・・・・・聞きたいこと?」
ほむら「ええ。まず、あなたはどこから来たのかしら」
風斬「うーん・・・・・・ここからは、だいぶ離れてるかな」
ほむら「いつまでここに?」
風斬「さあ・・・・・・ちょっと私は”特別”だから」
ほむら「特別?」
風斬「・・・・・・詳しくは話せないの、ごめんね」
ほむら「そう・・・・・・」
ほむら「なら、キュゥべえのこと、どう思うかしら」
風斬「・・・・・・ちょっと、信用できないかな」
風斬「そもそも何かすらわからないし・・・・・・」
風斬「でもどうして? あなたもあの子と契約したんじゃないの?」
ほむら「……そうね。だからこそ、あいつが何を考えているのかも知っている」
風斬「そうなんだ……じゃあ、あの人も」
ほむら「ええ、彼女も騙されているわ」
風斬「じゃあ、助けないと!」
ほむら「…………」
風斬「あ・・・・・・えーっと・・・・・・」
口をついて出た言葉に、しばし動揺する。
不思議な右手を持ったあの少年に、少し影響されたのかもしれない。
ほむら「あなたは、優しいのね」
ほむら「彼女を救うのは難しい」
ほむら(いえ・・・・・・不可能ね)
風斬「それで・・・・・・私に協力を?」
ほむら「それは・・・・・・」
風斬「・・・・・・」
ほむら「・・・・・・」
ほむら「・・・・・・違うわ」
風斬「え?」
ほむら「私が言いたいことは一つ。今後一切、私たちに関わらないで」
風斬「どうして……」
ほむら「無関係な人間は巻き込むべきじゃない」
風斬「そ、それは……」
ほむら「話はそれだけよ、もう会うことはないでしょう」
風斬「ちょ、ちょっと!」
さっさと立ち上がって店から出てしまったほむらを追う。
しかし、彼女の姿を捉えることはできなかった。
風斬「いない……あの一瞬でどうやって・・・・・・」
風斬「・・・・・・近付くな、か」
風斬はしばし逡巡する。
魔法少女、魔女、そしてキュゥべえ。
何もかもがわからないことばかり。
風斬「でも・・・・・・放って置くなんてできない」
知識も、知恵もない。だが力はある。
ならば、今一度行動してみよう。あの少年のように。
風斬「……よし!」
そんな彼女を見つめる影が一つ。
(おや、今のは……まさかとは思いますが、噂の天使様?)
(なんでグンm・・・・・・ゲフンゲフン、見滝原市にいるんだよ)
(これは上位個体に連絡する必要がありますね)
「――と、ミサカ10430号はひとりごちます」
◇◆◆
『もう誰にも頼らない』
そう決めたはずなのに
『希望は絶望に変わる』
わかりきったことなのに
私は彼女に、何を求めようとしたのだろうか
◆◇◇
風斬「やっぱり、一旦戻ろう」
先程の決意はどこへやら、しばらく町をうろついた後に彼女は帰ることを選択した。
一人でいてもどうにもならない、誰かしら助っ人が必要だ、というのが結論である。
ただ単に心細いというのもあるが。
人気のない場所にてヒューズ化し、上空へと飛ぶ。
力場の干渉が弱まるにつれ、体がその姿を保てなくなり、分解していく。
何度も経験したことだが、やはり慣れるものではない。
風斬「仕方ないよね・・・・・・帰るためだもん」
そして体が完全に分解され、学園都市内部にて再構成される、はずなのだが。
風斬「きゃっ!」ドサッ
「わわっ!」
風斬「あいたたた……戻れたかな……」
「あ……さっきの……」
風斬「え……あ、あれ? 戻れてない……」
まどか「あ、あの……大丈夫ですか?」
まどか「さっきは本当に、ありがとうございました」ペコリ
空間からいきなり人が現れたというのに、案外普通の対応である。
魔法少女という非現実を知ったからだろうか。
風斬としては、余計な詮索をされないので好都合でもある。
風斬「いいよ、気にしないで。怪我とかなかった?」
まどか「はい、大丈夫です」
風斬「そっか・・・・・・」
風斬(どうしよう、魔法少女について話そうかな・・・・・・)
風斬(なんでかわからないけど、帰れないし・・・・・・)
風斬(・・・・・・あれ? じゃあどうしてここに現出したんだろう)
まどか「?」
風斬(この子が原因・・・・・・? まさか・・・・・・)
まどか「ええと・・・・・・」
風斬「・・・・・・」ジー
まどか「あの・・・・・・なにかついてますか?」
風斬「・・・・・・あ、ご、ごめんなさい! そういうわけじゃないの」
風斬(どうしよう・・・・・・本当に人間ですか?なんて聞けないし・・・・・・)
まどか「?」
風斬「・・・・・・いきなり驚かせてごめんね、それじゃ」
まどか「あ、あの!」
その場を逃げるように去ろうとする風斬を呼び止める。
まどか「名前、教えてもらってもいいですか?」
風斬「名前?」
まどか「は、はい!」
風斬「・・・・・・うん、私は――」
***
名前を教える。
名前を覚えてもらえる。
それだけのことだけど、少しうれしくなった。
ほむら(風斬氷華・・・・・・まどかと一体何を話しているのかしら)
ほむら(あ、別れた)
ほむら(どちらを追うべきかしら・・・・・・)
そのとき、視界の端に白い影が映る。
ほむら(インキュベーターね・・・・・・仕方ない、今日はまどかを優先しましょう)
ほむら「風斬氷華・・・・・・敵ではなさそうだけど・・・・・・」
魔女を倒した不可解な力に、あの姿。
もし敵に回るようなことがあれば、厄介どころの問題ではない。
かつて『魔法少女狩り』というイレギュラーが発生した時のことを思い返す。
そういえば、彼女は今夜どこで過ごすのだろうか?という素朴な疑問が浮かび上がった。
ほむら(まあ、ホテルにでも泊まるのでしょう)
風斬「現出しっぱなしって・・・・・・こんなのおかしいよ・・・・・・」
風斬「うう・・・・・・お金なんてないし・・・・・・」
風斬「不幸だよぉ・・・・・・」
彼女は一人寂しく、夜の見滝原を歩く。
第二話「正体不明」
――了
とある幕間の人物紹介
・風斬氷華
虚数学区を抜けたと思ったらそこは魔女の結界だった。といった感じで見滝原市に突然現出した。
彼女の正体は、AIM拡散力場が人の形を取ったものである。
データ上の能力は「正体不明<カウンターストップ>」
巨乳、爆乳・・・・・・もはや魔乳である。マミさんの存在感が薄れる。
学園都市に帰れないで困惑。でも名前を覚えてくれる人が増えてちょっぴりうれしい。
ちなみにロシアでの戦争後、化け物の知り合いが増えた。
それに加え、妹達関連で友達が増えている。もう一人ぼっちじゃない!
サブタイの存在を忘れるという悲劇。
神兄様見ながら睡魔と戦いながらとうかするもんじゃないね
調子に乗って登場人物紹介とかやっちゃったけど大丈夫か?
まあいいや
またなー(^0^)ノ
しかも三点リーダー直せてねーし!
ちくしょー!
/_/ : : : : : : : : |: : : : : : : : : : : : : `○: : : :\
.′ ,. : :|_i_:ノ: : |、__\: : :\: : :i : : \: : : : :
;__/ : :|: :!/| : : | \: : :ヽ--:ヘ: :|: :|: : i \: : :
|: : :|: : :i : | : :r-ヘ :| ∧: : :|\| ∨: :|: : | \
′: |: : :i : |\| ∨ { \| } : :|: : |
. : / |: : :i:ト| 厂 ̄ 、 ,ハ:r'⌒Z、
ノイ : :|: : 从 / `'ー--‐'' ,厂 ̄\ \
|: : : 、: : lハ` ̄´ ∠つ /{ ノ ( },ハ }
|: |: : :\{:人 ..イ_/`>.'⌒.ノ },ノ
|/|: : : : : : : :`≧=ァ=;=ァ=≦ア´ / 厂「
| : : /: : : :/ 〈 `{___/__/ i_}
| : / : :/\ \_,//O /,ハ | :|
.ノイ :/ V`≦._{ ト、_{ Ю} ∧: |
∨ __r‐く|_ \ ーノノノ /: : :|
__}_,{ /ノ ( ∨ `77 ,/ : : ;ハ|
‐┼‐ ``{ '⌒ }ー'⌒'¨´/ / ハ: : :/
__ ∠{`ー‐く\ /__ {__ノ}/ }/ ヽ
ゆ \ /{_/ ̄| \ ´ ̄}
`匸不、/| l | \ _,ノ う
/ | | | \
そして俺の技術では無理だった
・前回までのあらすじ
/ :: : : :/::::::::::::::::ハ:::::::::::::::::::}:::::::::::::::::::::::{ ノ、::::::::::::::\
{/ . :::::::::::!::::::::::::::/ V::::::::::::::::}、::::::::::::::::::::::`::.イ \:::::::::::::ヽ
//::::::!:::::::i::::::::イ::/ ヾV:::::::::::}ヽ:::::::::::::}:::::::::::::l ヽ::::::::::.....、
ノ/::!:::::!:::::::!:::::::ハ::! _ノ ヾー-L:_:} ヽ:::::::::i::::::ヽ::::\_ '、:::::::::::::ハ
//:::!::::::!::::::L:::ナ{:「´ ヽヾハ:::「`ー-:::L:::::::::::\! ̄´ V:::::::::::ハ
、 /:::::::::{:::::::!::::::ハVxrてハ` V-ナミx、V::ハ::::::::::::::\ V:::::::::::::}
 ̄ー‐ '´ l:::!::::::::!::::l 〃仏rソ} ヽ / 仏{ヾハヾj /::::::イ}`:! ̄´ }::::::::::::::} 「学園都市に帰れない……」
l:::ハ::::::ハハ ┴┴'' ナ⌒'{、 `‐┴'' '〃ヽ::/::::ハ }::::::::::::::l
//:::::\:ハ ヾ、 ///// ノ' l \ ///// ノ ノ:::::':::::::ハ |::::::::::::::}
//:::::::::::::\、ー、  ̄ ̄  ̄ ̄ナ:´:::::::::::::::::::ハ l::::::::::::::}
/::::/::::::/:::::::::`:::\ , 、 /:::::::::::::::::::::::::::::ヽ |:::::::::::::l
//::::::::/::::::::::::::::::::::`丶 <::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::\ }::::::::::::}
/ ´ /::::::::/ ̄ ー > / \`丶 ´ノ ヾ<  ̄ ̄ ヽ:::::ヽ`ヽ::ヽ }::::::::::::j
´ /:::::::/ 丶 丶 >< } ` / ,:::ハ `ヽ}:::::::::::j
/::/:/ ヽ 〉 /:::::::::ヽ / / ;:::::ヽ /::::::::::::j
/:://::::{ 丶 丶 ハ::::::::::ハ / / }::::::::\/::::::::::::/
終わり
第二話「妹達と制服と」
「……んぅ」
眩い朝陽が、少女の意識を覚醒させる。
「……ふああ……結局一晩過ごしちゃったな」
少女は何もない空間から眼鏡を取り出して、身につける。
「……外で」
複雑な表情を浮かべながらも立ち上がり、伸びをする。
「寝床の確保って、大変なんだ……」
などと人間くさいことを考えながら、人工天使こと風斬氷華の一日が始まる。
ちなみに、彼女が今いるのはとある学校の屋上である。
とある学校と言っても、ピンク髪の合法ロリが教師をしている某校ではない。
まどかと別れた後、あてもなく町をさまよっていた彼女は仕方なく野宿することを決めた。
別に眠る必要はないのだが、これが人間らしくあることを望む彼女らしさでもある。
余談だが、深夜徘徊には危険がつきもので、途中ホストにしつこく絡まれたりしたが適当に沈めておいた。
『正体不明』による肉体強化は偉大である。
そして偶然目に付いた学校に侵入し、屋上をしばし拝借することになったわけだ。
さしもの学校も、まさか1ジャンプで屋上にたどり着く存在がいるとは想定していなかったらしい。
『正体不明』による肉体強化は偉大である。
「誰か来る前に退散しないと……」
屋上の柵にもたれかかり、階下の様子を見てみる。
既に登校してくる生徒がちらほらと見受けられた。
「あ……どうしよう……」
「う~ん……ここから飛び降りて退散、とはいかないよね……」
「騒ぎになるのは避けないといけないし……」
(学園都市にいた時みたいに、都合が悪くなったら姿を消したりできないもんね……)
「私って、ほんとバカだ……」ハァ
(今度からはもう少し後先考えて動こう……)
談笑しながら登校する生徒たちを眺めながら、ここからの脱出方法を考える。
「……」
(楽しそうだなー……混ざりたいなー)
(あ……でも今なら普通の人間に見えるから大丈夫かも?)
至って普通の人間なのに輪に入れない人種というものは存在するのだが、それは人工天使には関係のない話。
しばらくその光景を眺めていた彼女の頭に一つの考えが思い浮かぶ。
「……そうだ!」
「よし、変身完了!」
変身といっても、別に天使化したわけではない。
単に、いつも着ている霧が丘の制服をこの学校の制服に変更しただけである。
「これで怪しまれないはず!」フンス
やはり<人工天使 ヒューズ☆カザキリ>は伊達じゃなかった、AIMの力は偉大である。
くるりと一回転して、着心地を確かめる。
「ちょっと……短いような……」
いつもの学生服に比べて遥かに短いスカートに少しばかり困惑する。
一応高校生だろとかそういったツッコミは受け付けない。
ついでに参考画像もないのでご容赦いただきたい。
「とりあえず、ここから出よう」
校舎に続く扉に手をかける、が
「……」ガチャガチャ
「あ、あれ……」ガチャガチャ
当然、開くわけがない。
「……よっ、と……もう少し……」ガチャガチャ
「……えいっ!」バキンッ
「……あ……………」
『正体不明』による肉体強化は偉大である。
とりあえず、見なかったふりをしてしばし学校を練り歩くことにする。
知り合いもいないし、身バレもしない。
せっかくなので、人間らしい生活をもう少し楽しもうという魂胆だ。
(でも、この制服どっかで見たような……)
「きゃっ」ドンッ
「あ、ご、ごめんなさい! 考えことをしていて……」
「い、いえ……こちらこそ申し訳ありません」
そういうと緑髪の少女は一礼し、去っていった。
いつもならぶつかろうが何しようがスルーされる存在の彼女。
だが今は違う。
(誰にも無視されない、みんなに認識してもらえる)
(それはとってもうれしいなって思ってしまうのでした……)ジーン
小さな幸せをかみ締めるのはいいが、完全に当初の目的を忘れてしまっている。
これは氷華ちゃん、完全に舞い上がっちゃってますね。
====
===
==
=
さやか「ねえねえまどか」
まどか「どうしたの? さやかちゃん」
さやか「例の体験ツアーについてなんだけどさ……どうする?」
まどか「う~ん……」
風斬氷華に窮地を救われた二人の少女、美樹さやかと鹿目まどか。
彼女たちはあの後、巴マミとキュゥべえに魔法少女についてより詳しい説明を受けていた。
その上で、キュゥべえが魔法少女体験ツアーなるものを提案したのだ。
さやか「無理強いはしないってマミさんも言ってたしな~」
まどか「そうだね……結構危ないみたいだし」
さやか「でも、願い事が何でも叶う、ってのはやっぱ魅力的だな~」
まどか「願い事、かあ……」
さやか「あ、そういえばさ」
まどか「?」
さやか「あの人、いったいなんだったろうね」
まどか「氷華さんのこと?」
さやか「へー、そんな名前なんだ」
さやか「……って、なんで知ってるのさ」
まどか「ええと……昨日の夜、空からいきなり現れて……」
さやか「そ、空ぁ!? やっぱりすごい人だったんだ……」
さやか「本当は天界から落ちてきた天使様だったりして」ニシシ
まどか「それは……さすがにないと思うよ……たぶん……」
さやか「あはは、じょーだんじょーだん」
さやか「じゃあさ、このツアーのこと言ったの?」
まどか「言っといたほうがよかったかな……?」
さやか「う~ん」
さやか「まあ、またあたしたちがピンチになったら颯爽と現れるかもね」
まどか「そうだといいね」
さやか「うん、ちゃんとお礼も言いたいし」
「風斬氷華なら、もう会うことはないわ」
ほむら「はあ……私が狙っていたのはキュゥべえよ」
さやか「どうしてキュゥべえを狙うのさ」
ほむら「アイツは悪魔よ。人を絶望に引きずりこむ」
さやか「ふ~ん……なんでそう言えるの?」
ほむら「……風斬氷華、彼女もキュゥべえにはあまりいい反応をしていなかったように見えるけど」
さやか「はぐらかさないで、今はあんたの意見を聞いてんの」
ほむら「……無駄なところで鋭いわね」
さやか「どういう意味よ」
ほむら「さあ?」
さやか「こいつ……」イライラ
まどか「じゃ、じゃあさ、ほむらちゃんもついてくれば?」
さやか「ちょっ、まどか!?」
まどか「ほむらちゃんだって、ベテランさんなんでしょ?」
まどか「二人がいれば安全……だよね?」
ほむら「…………遠慮しておくわ、巴マミとは馬が合わないのよ」
ほむら「ともかく、馬鹿なことは考えないことね」
まどか「え……あ、行っちゃった……」
さやか「ほんっと嫌なやつ!」
まどか「そうかなあ……」
さやか「ま、転校生はどうでもいいや」
まどか「……」
さやか「う~ん、氷華さん、か……また今度ちゃんとお礼言いたいなあ」
まどか「う、うん……そうだね……」
さやか「実はまだその辺にいて、さやかちゃんと運命の再開をしちゃうかも?」
まどか「まさか~……」
「~♪」
まどか「あ」
さやか「あ」
風斬「え?」
まどか「……」
さやか「……」
風斬「……」
風斬「ご……」
さやか「ご……?」
風斬「ごめんなさーーい!」ダダダダダ
さやか「なにがっ!?」
まどか(足速いなー)
さやか「もしかして私たち、避けられてる……?」
まどか「でも、私とは普通に話してくれたよ?」
さやか「じゃあ避けられてるのはあたし!?」ガーン
ほむら「ついでに言うと、私とも普通に話してくれたわ」ファサッ
さやか「あんたはわざわざ言いに来なくていいから!!」
====
===
==
=
風斬「こ、ここまで来れば……」
風斬「まさかあの子達がいるなんて……」
「ちょいちょい」
風斬「ひゃっ!?」
「さっきから何やってるんですか、とミサカは何故かこの中学校の制服のコスプレをした天使様を生暖かい目で見つめながら問いかけます」
風斬「ごごごごめんなさい! って……」
「どうも」
風斬「え、えっと……妹達さん、だよね」
ミサカ10430号「ええ。初めまして、ミサカは10430号ですよと自己紹介をします」
風斬「あ……ど、どうも……いつもお世話になってます……」ペコリ
ミサカ10430号「おおう、なんて腰の低いお方なんだ、天使ちゃんまじ天使」
風斬「は、はあ……」
ミサカ10430号「ふむ……実物をみたのは初めてですが……豊満な肉体……そして黒髪眼鏡……」
風斬「え……え……?」
ミサカ10430号(混乱しているようだ……よし……この流れなら言える)
ミサカ10430号「天使様!」
風斬「は、はいっ!?」ビクッ
ミサカ10430号「サインください!!!、とミサカは用意していた色紙を押し付けます」バッ
風斬「え、ええ!?」
ミサカ10430号「……」
風斬「……」ドキドキ
ミサカ10430号「……」
風斬「え、ええと……」
ミサカ10430号「普通に名前書いただけですやん」ビシッ
風斬「……仕方ないじゃないですか……いきなりサインとか言われても……」
風斬「私人間じゃないから……」ズーン
ミサカ10430号(それ今関係なくね、とミサカは心中でツッコミを入れます)
ミサカ10430号「ま、まあ、天使様直筆色紙が貰えただけでよしとしましょう、とミサカはこれを自慢する算段を立てながらつぶやきます」
風斬「は、はあ……」
ミサカ10430号(あれ? ってことは天使様のサイン初体験奪っちゃったカンジ?)
ミサカ10430号(っべーこれ一生大事にしようまじで)
風斬「あの……10430号さんも、ここの生徒さんなんですか?」
ミサカ10430号「そんな他人行儀にしなくても、と敬語キャラなんてミサカ達だけでいいだろという本心を微笑の裏に隠します」
風斬「本心だだ漏れだよ……」
ミサカ10430号「まあまあ。それはさておき、第一の回答ですが、ミサカはここの生徒ではありませんよ、とミサカは神の力でも降りてきそうな口調で答えます」
風斬「え……でもその制服……」
ミサカ10430号「これは……まあ、趣味みたいなものですね」
ミサカ10430号「ミサカはあくまでクローンなので学校には通えません」
ミサカ10430号「だから、せめて気分だけでも……とミサカは複雑な事情を告げます」
風斬「そうなんだ……」
ミサカ10430号(趣味は趣味でも保護者の趣味とは言えない)
ミサカ10430号「まあミサカのことはともかく、天使様はこんなところで何を?」
風斬「わ、私!?……え~っと……」
風斬「……あ、そうだ。聞きたいことがあるの」
ミサカ10430号「どうぞどうぞ、何でも答えますよ」
風斬「うん……実はね……」
ミサカ10430号「なるほど、魔女に魔法少女ですか……」
風斬「うん……何か知ってないかな?」
ミサカ10430号「残念ながら……」
風斬「そう……」
ミサカ10430号「ただ、それが本当ならあまり勧められた行為ではありませんね」
風斬「やっぱり、そう思う?」
ミサカ10430号「目の前に無敵という餌を吊り下げられて、危うく出口のない迷路に陥りそうになった人物を知っていますからね」
風斬「それって……」
ミサカ10430号「ただ、彼はもう繰り返さない、そうミサカたちは信じています」
風斬「……」
ミサカ10430号「まあ、今更あと一万体倒したところでどうこうなるとは思えないですしね、とミサカは薄笑いを浮かべながら現実的な意見を述べます」
風斬(なんというか、ドライだなぁ……)
ミサカ10430号「……おっと、もうこんな時間ですか、とミサカはそろそろ病院に帰る時間であることを伝えます」
風斬「病院?」
ミサカ10430号「ええ、一応体の調整もしないといけませんからね」
ミサカ10430号「そうそう、ミサカはこの病院にいるので、何かあれば来てください、とミサカは天使様に渡すために昨日寝ずに作ってきた地図を天使様に手渡し……ふむ……柔らかい……」ギュッ
風斬「あ、あの……」
ミサカ10430号「おっと……危うく一線を越えるところでした……フフフ」ニタアァ
風斬「え………」ドンビキ
ミサカ10430号(やっべー、20000号の気持ちがわからないでもないわー)
ミサカ10430号「……では、こちらでも色々調べてみます、とミサカは別れを名残惜しみながらも手を振ります。手洗えねーやこれ」
風斬「あ……うん、よろしく……」フリフリ
ミサカ10430号「たまにはMNWにも顔を出してくださいねーー!」ブンブン
風斬(それはできれば遠慮したいなあ……)
「……」
10430号が去った後、彼女が渡した地図を見る。
それは完璧に病院”の”地図であった。
病院”への”地図ではないが。
「……何しに来たんだろう………」
人生とはうまくいかないものだ、と風斬氷華は思った。
とある幕間の妹達
ミサカ10430号
風斬氷華を天使様と呼ぶ個体
少し天使様が好きなだけの普通の個体
一方とか上条とかに左右されない個体
お姉さまも翼を生やせると聞いて自分でも生やせないか頑張る個体
少し天使様が好きなだけの普通の個体
「天界個体(ミサカエンジェル)」という二つ名を(脳内で)持つ
少し天使様が以下略
見滝原中学の制服を来た風斬ちゃんと天使派妹達をだしたかっただけでした。
後悔なんて、あるわけない。
反省はしている。
予想以上に彼が出てくるのが遅れて、しばらく風斬無双が続いていくが、まあ生暖かい目で見守ってあげてくれ。
またなー
)ノ
今更だけど>>62と>>63の間にこれを入れ忘れてた
続きのほうはテストが一段落したら……少々お待ちください
まどか「ほむらちゃん……」
さやか「げっ、転校生」
「彼女にはもう私たちに関わらないように釘を刺しておいたわ」
さやか「……なんでそんなことしたのさ」
「彼女は私たち魔法少女とは関係ない存在なのよ」
「むやみやたらと巻き込んでいいものではないわ」
まどか「で……でも、氷華さんすごい強かったよ?」
さやか「そうそう、こう……バババーって!」
ほむら「……もう少し頭のいい表現をしなさいよ」ハァ
さやか「う、うるさい!」
ほむら「ともかく、私たちに関わって碌な目にはあわないわ」
ほむら「それはあなたたちも同じよ。巴マミについていくのはやめておきなさい」
ほむら「魔女との戦いは命がけなのよ、興味本位で首を突っ込むものではないわ」
さやか「別に興味本位とかじゃ……」
まどか「ほむらちゃん……もしかして私たちのこと、心配してくれてる?」
ほむら「………」
さやか「通り魔まがいのことをしてまどかを襲ったくせに、よく言うよ」
ほむら「あの状況でどうやったらそんな風に勘違いできるのかしら」
ほむら「馬鹿とかそういうレベルを超えてるわね、美樹さやか」
さやか「なぁっ!」
まどか「さ、さやかちゃん、喧嘩はダメだよ!」
さやか「で、でもさあ」
まどか「ほむらちゃんも……」
禁書クロスが増えてきたこの現状、このスレのウリは何か本気出して考えてみたらおっぱいだった。
頭がティロティロしてきたので俺はそこで考えるのをやめた。
クロスって難しいな……
前回までのあらすじ
先生「今日はみなさんに大事なお話があります。心して聞くように」
先生「反射を破るには、どうすればいいですか?」
先生「はい、中沢君!」
中沢「えっ、えっと…反射膜を逆算し、反射の対象になっていない物質を変質させて攻撃すればいいんじゃないかと」
先生「その通り!」
先生「女子のみなさんは、『反射される前に手を引けばいい』とか抜かす脳筋な男とは交際しないように!」
まどか「先生またダメだったんだね……」
さやか「いやいや、反射膜って何さ」
先生「はい、あとそれから、今日はみなさんにお知らせがあります」
先生「実は屋上に続く扉が破壊されていることが分かりました」
さやか「なにそれこわい」
先生「まさかとは思いますが、変質者が校内をうろついている可能性があります。十分注意するように!」
さやか「それって……」
まどか「まさか……」
ほむら(風斬氷華ね……)
風斬「へくちっ!」
風斬「誰か噂でもしてるのかなあ……」
職員「そこの君、今は授業中だぞ。早く教室へ……」
風斬「あっ、ご、ごめんなさ~い!!」ダダダダダ
職員「ちょっ、早っ!?」
終わり
「収穫なし、か……」
ミサカ10430号と別れた後、”人工天使”こと風斬氷華は見滝原中学のトイレにこもっていた。
当初は授業中でもお構いなしに校舎をうろついていたのだが、職員に見つかって面倒なことになりそうだったので授業中はおとなしくしておくことにしたのだ。
結果、授業が始まればトイレにこもり、休み時間になれば校内を練り歩き、何か情報がないか探し回る。
まるで不良か不登校児みたいな学校生活を送っていた。
といっても、”魔法少女”についておおっぴらに語っている人間などいないのだが……
と、ここまではあくまで建前。
本音としては、単に"外"の普通の学校生活を味わいたかっただけである。
しかし、現実はそううまくいかない。
「……コレジャナイ……これは私が求めた学生生活じゃない……」ブツブツ
「素直に病院探せばよかったかも……」ハァ
だが、こうなればもはや意地である。
「で、でも、せっかく変装までしたんだし……ただでは帰らないもん!」
「いや、わけがわからないよ」
風斬「うひゃあ!?」
QB「やあ、風斬氷華。きみは一体何をしてるんだい?」
風斬「あ、あなたは……昨日の……」
QB「トイレを出たり入ったり……まどかやさやかの姿が見えると全力で逃げてみたり……」
風斬「……ほっといてください」
QB「ぼっちなのかい?」
風斬「私の全力を持って、あなたのその体を捻り切りますよ?」
QB「図星なんだね」
風斬「……」
今すぐヒューズ・カザキリとなってこの小生意気な生物を消し飛ばしてやろうか、彼女は本気でそう考えた。
この学校どころか、見滝原市ごと吹き飛ぶ可能性があるので実行はしないが。
風斬「それで、一体何の用ですか?」ムスッ
QB「単刀直入に言おう、君の目的が知りたい」
風斬「目的……特にありません」
まさか、家に帰れなくなりました、なんて情けない理由を話すわけにもいかない。
QB「嘘だね、そうならこんな馬鹿げた真似はしないはずだ」
風斬「だとしても、あなたに話す必要はありません」イラッ
QB「そうかい。ならもう一つ」
風斬「なんですか?」(早く出てってくれないかなあ……)
明確な悪意を持って接してくれれば、こちらもそれ相応の対応ができる。
だが、目の前の生物からはそんなものは全く感じられない。
まるで壁と話しているかのような奇妙さが風斬を襲う。
QB「君は一体何なんだい?」
風斬「……!」
風斬(気づかれた……?)
QB「まどか達に聞いたけど、君は魔女を"消し飛ばした"そうじゃないか」
QB「魔女どころか魔法少女すら知らないはずの君が、だ」
QB「僕も長年彼女たちのサポートをしてきたけど、こんな事例は始めてだよ」
風斬「……だったら、どうなんですか?」
QB「はっきり言って、暁美ほむらだけでなく君というイレギュラーまでもが存在するこの現状は、僕らにとって好ましくない」
風斬「……あの子が、イレギュラー?」
QB「そうだよ、僕は彼女と契約した覚えがない」
QB「けれど彼女は紛れもなく魔法少女だ」
QB「僕ら以外にこの技術を持ち込んだ存在があるのかと思ったけど……」
風斬(持ち込んだ……?)
QB「さて、そろそろ僕の質問に答えてくれないかな?」
風斬「……私は風斬氷華、それだけです」
QB「答えになってないよ」
風斬「なってますよ、十分に」
ヒューズ=カザキリ。
風斬氷華をベースに、AIM拡散力場の集合体を部分的に展開させて構築される人工天使。
学園都市最深部に眠る情報、”ドラゴン”に関わる存在。
恐らく、目の前の生物が欲しがっている情報はこれだろう、そう彼女はあたりをつける。
QB「…………」
風斬「それに、相手が何物か知りたかったらまず自分から答えを示すべきだと思います」
QB「……」
目の前の生物を不思議生物で済ますほど、風斬氷華は甘くない。
自らもとある目的のために作られ、力を持ちすぎた”化物”である以上。
QB「そうだ、放課後マミがあの二人を連れて魔女退治に行くそうだよ」
これ以上の議論は無駄と判断したのか、キュゥべえが突如話を変える。
風斬「……! どうして、そんな……!」
QB「マミはずっと一人で戦ってきたからね、仲間が欲しいのさ」
QB「そのためならどんなことでもするんじゃないかな?」
QB「さすがにわざと魔女のところまで誘導して重傷を負わせ、助ける見返りに僕と契約させるなんてことはしないだろうけど」
風斬「……!」
QB「まあ、君には関係ないことだよね」
QB「それじゃあ僕はこれで失礼するよ」
風斬「待っ……」
風斬の静止も聞かず、キュゥべえは去っていく。
風斬「…………そんなやり方って……おかしいですよ……」
風斬(でも……あの子の言ってることが本当だとすれば……)
まさか、とは思う。
だが、彼女は、風斬氷華は、とてもよく知っている。
一人であることの寂しさを、誰にも存在を認めてもらえない悲しさを。
巴マミという少女のことはよく知らない。
風斬(だけど、もし変な入れ知恵をされてしまったら?)
あの生き物の目的も所属も分からない以上、積極的に関わるべきでないのも確か。
わざわざあちらから接触して来た挙句、情報を与えるような真似をした理由もわからない。
だが、風斬のほうとしても元いた場所に帰れない現状を打破する鍵が鹿目まどかにあると思われる以上、彼女たちから目を離すのは得策ではない。
風斬「……う~ん……私について調べたいのかな……」
風斬「……うう~ん」
結局、答えが出ないまま昼休みを知らせるチャイムが鳴り響いた。
風斬「これ以上考えても仕方ないや……気を取り直して、散歩でもしよう」
―――――
――――
―――
――
―
ほむら(風斬氷華……何故この学校に……)
まどかたちの昼食の誘いを断り、風斬を探すほむら。
ほむら(やはり、まどかが目的なのかしら)
昨晩、まどかと話していた彼女の姿を思い出す。
ほむら(まどかに危害を加えるようなそぶりはなかった……)
ほむら(でも、もし私の障害になるというのなら、排除しなければならない)
ほむら(できれば穏便に済ませたいのだけれど……)
そんな時、彼女の目に一人寂しく歩く風斬の姿が映る。
ほむら「……本当に何がやりたいのかしら」ハァ
ほむら(でも、これは好都合だわ、話ができるかもしれない)
ほむら(たとえ逃げられたとしても、私には魔法があるし)
ただ、念には念を、ということで気配を消してひっそりと近づいていく。
風斬「……」スタスタ
ほむら(……)ソロソロ
風斬「……」ピタッ
ほむら(……?)
風斬「……はぁ」
ほむら「どうしたのかしら」
風斬「えっ!……あ」
ほむら「ちょ、ちょっと! お願いだから逃げようとしないで頂戴、少し話が聞きたいだけだから」
風斬「ご、ごめんなさい! ドアを壊したのは私です!」
ほむら「やっぱりあなただったのね……ひそかに大騒ぎよ」
風斬「やっぱり……」
ほむら「というか、その服……」
風斬「あ、これは……その……」
ほむら「……まあいいわ、私が聞きたいのはそんなことじゃないの」
風斬「?」
ほむら「あなたがいまだここにとどまっている理由よ」
風斬「そ、それは……」
ほむら「『私たちにかかわるな』そう言っておいたはずよ」
風斬「そうなんだけど……ちょっとそうもいかない理由があって……」
ほむら「理由?」
風斬「うん……ちょっと訳ありで、家に帰れなくなっちゃったの」
ほむら「……そんなくだらない理由で?」
風斬「うっ……し、仕方ないじゃない……実際そうなんだから……」
ほむら「……まどかと接触した理由は?」
風斬「まどか……? ピンク色の髪の女の子のこと?」
ほむら「ええ」
風斬「あれは……現出した先にいたというか……なんというか……」
ほむら「どういうこと?」
風斬「え、え~と……」
ほむら「……」
風斬「ごめんなさい……詳しくは……ちょっと……」
ほむら「どうして?」
風斬「あなたが私を巻き込みたくないように、私もあなたを巻き込みたくないから……」
風斬(話しても信じてもらえないだろうし……)
ほむら「……」
風斬「……」
はあ、とため息をつく。
風斬が申し訳なさそうな表情を浮かべる。
ほむら(そっちが悪いわけでもないのに……)
誰かに似ているな、ふとそう思った。
ほむら「……まどかをどうこうしようという気はないのね?」
風斬「う、うん……」
ほむら「そう、ならいいわ」
風斬「あ、ありがとう……ごめんね、迷惑かけてるみたいで」
ほむら「いえ……こちらこそ疑ってごめんなさい」
風斬「……友達思いなんだね」
ほむら「違うわ。これは……そういうのじゃないの」
風斬「……」クスッ
ほむら「ともかく、あなたは今何かしらの理由で帰れない」
風斬「うん……それで、その理由にあの子が関わってるかもしれないの」
ほむら「まどかが……?」
風斬「なんでかはわからないけれど……」
ほむら「そう……それで、あなたは今からどうするの?」
風斬「しばらくはこの辺に留まって、帰る方法を探してみるよ。それに……」
ほむら「それに?」
風斬「……あのしゃべるぬいぐるみも気になるし」
ほむら「どうして?」
風斬「実は……」
風斬が、先ほどのキュゥべえとの会話をほむらに伝える。
ほむら「アイツが……そんなことを……」
風斬が無言でうなずく。
ほむら「あなた……本当にいったい……」
ほむらの言葉に、風斬が表情を歪ませる。
ほむら「あ、ごめんなさい……そういうわけじゃないの」
風斬「いいよ」
仕方ない、と小さくつぶやき、風斬が無理に笑顔を作る。
ほむら(基本的にイレギュラーにはノータッチのはずのアイツらがこんな反応を示すなんて)
ほむら(でも、これは好都合かもしれないわね。もしかしたら、アイツらとの『交渉材料』になり得るかもしれない)
ほむら「ねえ」
風斬「ん?」
ほむら「しばらく、私と行動を共にしない?」
自分のことながら、よくもここまで下種い考えをもてるものだ。
心の中で自嘲しながら、顔面には精一杯の笑みを貼り付ける。
風斬「え、で、でも……」
ほむら「あなたも、味方は多いほうがいいでしょう?」
味方、という言葉に反応したのか風斬の表情が一瞬明るくなる。
だが、すぐにまた難しい顔をする。
風斬「でも……」
ほむら「目的は大体一致してるはずよ」
風斬「そういうことなら……お願いしようかな」
ほむら「ええ、こちらこそよろしくお願いするわ」
手を差し出し、握手を交わす。
◇ ◆ ◇
無邪気に笑う風斬の影に、昔の自分を見た気がした
◆ ◇ ◆
―放課後―
結局、さやかとまどかは好奇心には勝てずに巴マミの魔女退治へとついていくことになった。
ほむらのほうも、風斬を連れて行く以上、彼女たちに強くは言えなかった。
結局、風斬とほむらをふくめた5人で魔女退治へ行くことに。
だが、魔法少女が二人揃っていながら、なかなか魔女が見つからない。
日が落ち、あたりが暗くなる。
マミ「こっちね……」
マミが示したのは、街灯が少ししか灯っていないくらい裏路地。
ほむら(魔女の位置がいつもと違う……今までこんな暗がりにいたことはなかった)
QB「……」
ほむら(相手が相手だけに、まずいわね)
これまでの経験から、今度の相手は闇に潜む魔女。
明かりがあればそれほどでもない相手である。
ほむら「気をつけて、視界が十分に確保できな――」
ほむらが言い終わる前に、景色がぐにゃりと曲がる。
街灯が破壊され、光が消滅。
マミ「え……っ!?」
まどか「やっ、なにっ!?」
さやか「あ、あれ?」
風斬「景色が……」
五人が引きずりこまれた結界は、深い深い闇。
魔法で視力を強化した二人や、『正体不明』の恩恵を受けることのできる風斬ですら満足に視界が確保できないほど。
ただの一般人でしかないまどかとさやかにとっては額面どおり一寸先は闇状態である。
QB「どうやら、あちらのほうが一手早かったみたいだね」
ほむら「っ……みんな、私たちから離れないで!」
マミ「暁美さんの言うとおりね……でも、まさかこちらが引きずり込まれるなんて」
風斬「暗くて何も見えない……」
マミ「これじゃあ、まともに戦えないわ」
ほむら「閃光弾を使うわ、恐らく光に弱いでしょうし」
ほむら(というか、実際そうなのだけれど)
マミ「そうね……お願いするわ」
ほむらが目を凝らし、暗闇を凝視する。
闇の中に、うごめく影を一つ発見。
ほむら「みんな、目を塞いで!」カキンッ
ほむらの声に、4人が目を塞ぐ。
それに続き、まばゆい光があたりを照らす。
その光に耐えられなくなったのか、大きな黒い影が姿を現す。
ほむら「今よ!」
マミのリボンが巨大な銃を形成する。
マミ「ティロ・フィナーレ!」
マミの一撃が影を貫く。
まどか「すご~い」
さやか「マミさんかっこいい!」
マミ「ふふ、見世物じゃないのよ」
ほむら「そうね、間違っても憧れを抱くような存在じゃないわ」
マミ「……」
まどか「……あれ?」
さやか「まだ暗いままなんだけど……」
QB「どうやら、あれは使い魔が生み出した幻影みたいだね」
その場にいる人間が、早く言えよ、という視線をキュゥべえに向ける。
風斬「じゃあ、本体はまだ……」
突如、ほむらが黒い影に拘束される。
ほむら「!」
マミ「暁美さん……!?」
見計らったように大量の使い魔たちがマミを襲撃。
マミ「もう、しつこいわね!」
さやか「な、何が起こってるの!?」
まどか「ほむらちゃん、大丈夫!?」
ほむら「くっ……このままじゃ……」ギリギリ
ほむら(甘かった……いつもはもう少し明るい所で戦うから楽勝だったのに……)
QB「これはまずいね。誰か他に戦力がいれば……」
ほむら(……まさか、アイツが……!?)
ほむら「!? か……は……っ」
ほむらの体を魔女がさらに締め付ける。
マミ「暁美さん! もう少し耐えて!」
ほむらに声をかけながら、使い魔たちをマスケット銃で排除していくが、いかんせん視界が悪いのと使い魔たちの見せる偽の幻影によってそれほど数は減らせていない。
まどかとさやかを庇いながら戦っているのも影響している。
まどか「このままじゃ……」
さやか「氷華さん! 前のババーってなるやつでなんとかしてくださいよ!」
風斬「……」
背後に感じる『インキュベーター』の存在に一瞬の逡巡。
こんな状況になっても覚悟が決まらない自分に嫌気がさす。
まどか「……」
助けを求める二人の視線。
風斬(迷ってる場合じゃない)
ぐっとこぶしを握り締め、一歩踏み出す。
風斬「光があれば……いいんですね?」
言うや否や、風斬が闇の中へと跳躍。
マミ「か、風斬さん!?」
刹那、紫電が闇を切り裂き、光る翼が顕現する。
風斬氷華が『人工天使』ヒューズ=カザキリへと変身した合図。
”説明不能の雷光のような力”
巻き込まれた使い魔達が文字通り消し飛ぶ。
その光に、本物の魔女の姿が照らされる。
さやか「おお! さっすが~」
まどか「……綺麗」
マミ「すごいわね……」
ほむら「……」
舞台の役者たちが、彼女の”登場”を歓迎する。
QB(……)
舞台の監督が、彼女の”設置”を確認する。
風斬氷華は役者として、
ヒューズ=カザキリは装置として、
――この舞台に参加する
<人工天使>ヒューズ=カザキリ
その役割は「照明」
彼女は役者であり、装置である。
その光は暗く沈んだ舞台を照らし、役者たちの視野を広める。
だがその光は、未熟な役者たちには少し眩し過ぎるかもしれない。
舞台に電気がつくまでこんなに時間がかかるなんて。
せっかく考えたサブタイも入れ忘れるしちょっとグダグダだけど夏だし仕方ない。
次回らへんからこじつけが多くなってきて頭がティロティロしてくること間違いないのでみなさんお大事に。
ノ では
勢いが大事だよな
「尨犬は気付かずに飛び込んだが、今や事情が変わってしまい、悪魔は閉じ込められたというわけです」
「では何故出て行かないのだ?」
「我々悪魔にも規則がありまして、入るときは自由なのだが、出るときは縛られた身なのです」
――メフィストとファウスト。書斎にて
闇を照らす翼――その力は、人の意思
それは、感情を持たない彼らには理解できない力。
――8月28日
『全世界的な魂の変遷』
魂そのものに影響を与えたこの現象は、魔法少女たちにも影響を与えた。
ソウルジェムからの魂の流出、及び本来の肉体への返還現象が感知されたため、ソウルジェムの防壁を一時的に強化。
魂の流出は防いだものの、副次的な影響として魔女化の進行が大幅に遅延する結果に。
――10月30日
『”世界の悪意そのもの”に対する攻撃』
魔女を生み出し、固定化する人の悪意そのものへの攻撃。
この現象により、一時的に魔女がその姿を保てなくなり、魔女を倒さなくともグリーフシードが取得できる状況が発生。
立て続けに起こった二つの謎の現象。
どちらも、インキュベーターの”エネルギー回収システム”そのものには影響を及ぼさなかったため、彼らが積極的に対処することはなかった。
だが、二つの事象には共通して『彼らが解析できない莫大なエネルギー』が影響していることが判明している。
それに加え、ここ最近現れたイレギュラー達
魔法少女でありながら、契約した記録がない少女。暁美ほむら
どこにでもいる普通の少女でありながら、強大な資質を持つ少女。鹿目まどか
そして、全てが謎に包まれた存在である風斬氷華
一過性のものとして見過ごすには不確定要素が大きすぎる。
”調査ノ必要アリ”
インキュベーター
”託卵器”もまた、自らの思惑のために動き始める。
「人工天使―Magia Anti―」
暗闇の魔女が光に照らされ、もがき苦しむ。
罪を裁く天使のようだ、とふと彼女は――概念となり消えいく運命を背負った少女は――思った。
風斬「今です!」
その言葉に反応し、いつものようにマミがリボンで魔女を拘束しようとする、が
マミ「えっ……どうして?」
マミ(拘束魔法が、発動しない……)
ほむら「何をやってるの!」
魔女の拘束から解かれたほむらが逃げようとする魔女を追いかける。
ほむら(あまり使いたくはないけど……)
魔法で時間を停止させようとする、しかし
ほむら「っ……?」
時間の流れがせき止められることはなく、ただ無情にも過ぎていく。
結局、魔女は風斬の生み出した翼と同じ素材の剣に貫かれ、消滅した。
あっけない幕切れ。
それは同時に、始まりの合図。
まどか「お、終わった……」
マミ「間一髪だったわね……風斬さんがいなかったらどうなってたことか」
ほむら(確かにものすごい力だった……”夜”に対抗できるかもしれない)
さやか「言ったじゃん! バババーってなるって」
ボワチュール・リュミエール
マミ「さしずめ『雷光輝翼』と言ったところかしら」マミーン
風斬(厳密には雷じゃないんだけどなぁ)
ほむら「……怪我はない?」
例のようにドヤ顔をかますマミを無視して、ほむらは二人に問いかける。
まどか「う、うん」
さやか「へーきへーき……つっても、暗くて何があったのかさっぱりだったけど……」
マミ(スルーされた……)
マミ「でも、どうして魔法がうまく発動しなかったのかしら」
QB「どうやら、彼女が居ると魔法の一部がうまく作動しないみたいだね」
ほむら「……どういうこと?」
QB「彼女が”あの姿”になった途端に結界に何かしらの魔力的な圧迫がかかった」
QB「その結果魔力が循環不全を起こした。おそらくそれが原因で一部の魔法が使えなくなったんだろう」
さやか「なんで?」
QB「そこまでは分からないよ。直接彼女に聞いてみないとね」
風斬「……」
思い当たる節がないわけでもない。
『0930事件』:9月30日に発生した、神の右席「前方のヴェント」の学園都市への侵攻。
その侵攻を食い止めるために使用された、学園都市の対魔術師用の切り札であるヒューズ=カザキリの能力。
それは『虚数学区』の一部を出現させることで界へ術的な圧迫をかけ、魔力の循環不全を発生させる機能である。
それと類似した現象が先程、魔女の結界内にて発生した。
マミ「ということは、風斬さんに協力してもらうのは……」
QB「お勧めしないね」
さやか「な、なんだってーー!」
マミ「……そう」
QB「そもそもの問題として、風斬氷華」
QB「君は、人間じゃないね」
風斬「……っ」
マミ「えっ?」
さやか「ど、どういうことさ?」
ほむら(あんな翼生やしといて今更普通の人だとか言われたほうが驚くと思うのだけれど)
まどか(何もないところから現れたし……)
QB「さっきの戦いを通して幾つか分かったことがある」
QB「君の肉体は人の意識の集合体のようなもので、その体の作りは魔女と非常によく似ている」
風斬氷華の体を構成しているもの、AIM拡散力場。
能力者が無自覚に発する微弱な力のフィールド全般を指す。
それは能力者の「自分だけの現実」、いわば妄想や信じる力に直接繋がるものである。
QB「だからこそ、魔女の存在を根本から破壊してしまうし、当然魔女はグリーフシードを落とすことなく消えてしまう」
対して魔女を構成するのは、魂を失った少女の絶望や、人々の悪意や絶望といった負の意思。
結界は魔女がかつて求めた世界、「自分だけの理想の世界」の慣れ果て。
QB(実際には、グリーフシードごと破壊してるんだけどね)
風斬「……」
QB「非常に厄介だよ、君は」
ほむら(それはまずい……グリーフシードがなければソウルジェムの穢れを浄化することができない)
ほむら(いくらストックがあるとはいえ、いずれそれも枯渇する)
ほむら(でも、それなら何も伝えずに風斬氷華を放置しておけば、簡単にエネルギーが回収できるはずなのに……)
インキュベーターに視線をやる。
相変わらずの気持悪い無表情は、何を考えているか掴ませない。
さやか「でもさー、別にGSが無くても魔女を倒せるのならいいんじゃないの?」
ほむら(こいつ……)
少しまずい流れだ、そうほむらは思った。
何故グリーフシードが必要なのか、何故それが見返り足り得るのか。
それを詳しく伝えようとすれば、あの真実にいずれたどり着く。
ほむら(また殺されかけるのはごめんだわ……まあ、どうせあれがうまくはぐらかすでしょうけど……)
マミ「それはダメよ!」
だが、そんな彼女の予想は意外な形で外れた。
さやか「ど、どうしてですか?」
突然の大声に驚きながらも、さやかがマミに尋ねる。
マミ「そ、それは……」
ほむら(巴マミ……まさか気付いていたというの?)
マミ「ほ、ほら……変身できなくなっちゃうかもしれないじゃない、ね?」
QB「まあ、そうだね」
マミ「それに……」
言葉を続けようとしたマミに、ほむらが掴みかかる。
まどか「ほむらちゃん?」
マミ「ど、どうしたの暁美さん?」
ほむら「……答えなさい、巴マミ。あなたは私たちが最期どうなるか、気付いているの?」
マミ「な、何を……」
ほむら「まさか、まさかとは思うわ。でもそうだとすれば、あの時の説明もつく」
ほむら「そうよ、本当に狂っていたのなら私たちをあんなに効率よく殺そうなんて思えないはずだわ」
まどか「殺す……?」
さやか「何訳わかんないこと言ってんのさ! マミさんに謝りなよ、マミさん優しいから許してくれるって!」
ほむら「ソウルジェムが濁りきればどうなるか……考えなかったわけじゃないはずよ」
ほむら(そうでなくとも、先程の反応からして何かしら良くない状態になることはわかっているはず)
マミ「!」
ほむら「答えなさい巴マミ! 」
マミ「し、知らないわ! 私は何も……」
QB「暁美ほむら、君は知っているというのかい?」
ほむら「……ええ、知っているわ。何もかもね」
QB「なるほど、やはり君も危険なイレギュラーのようだ」
QB「もっとも、それが正しい情報とは限らないけどね」
ほむら(相変わらず一言多いヤツね)
QB「それに今は君ではなく、彼女のほうが優先事項だ」
インキュベーターが風斬のほうへと向き直る。
風斬「……」
QB「人工的に作られた魂、そしてあの力……それがあれば」
突如、銃声。
インキュベーターの首から上が吹き飛ぶ。
ほむら「もういいわ、細かいことは後回し……最初からこうしておけばよかったのよ」
ほむらが右手に持った散弾銃、SPAS15を盾に収納する。
さやか「う……え……」
まどか「な……なんで……」
マミ「あなた、よくも……」
ほむら「無駄よ、どうせすぐ新しい個体が来るわ」
マミ「個体……? さっきからあなた一体……」
ほむら「行きましょう、風斬氷華。あなたに聞きたいことが山ほどあるわ」
風斬「えっ……あ、うん」
マミ「ちょ、ちょっと!」
その声に風斬が一瞬留まるが、すぐにほむらに促され、小さくお辞儀をして去っていった。
マミ「なんなのよ……一体……」
二人を追うにしても、キュゥべえの死体をそのままにはしておけない。
マミ「……あら?」
だが、既にそこに死体は存在しなかった。
さやかとまどかに視線を送るが、青ざめた顔で首を横に振るだけ。
その様子に、マミがさらに困惑する。
ソウルジェムが濁りきればどうなるのか
魔法少女は最期どうなるのか
魔女とは一体なんなのか
そもそも彼らキュゥべえは一体何者なのか
目を背け、心の奥底にしまいこんでいた疑問が、再度照らし出される。
マミ「……今日はもう遅いわ。これで解散にしましょう」
さやか「え……あ、はい……」
まどか「わかりました……」
二人の返事を聞き終える前に、マミは何もいわずに去っていく。
まどか「大丈夫かな……マミさん」
さやか「……」
⇒⇒⇒⇒⇒
⇒⇒⇒
⇒
「あのクソガキ……下らねェことを三下とシスターに吹き込みやがって……」
自販機でブラックコーヒーを購入しながら、白い少年は一人ごちる。
「クソ御門の野郎まで出張ってきやがったのはどォいう流れなンだよ……」
ハァ、とため息をつきコーヒーを一気にあおる。
「……まァまァだな」
というか、なかなかうまい。
これなら、わざわざ”外”に来た甲斐もあるというものだ。
実際は、半ば強制的に送られてきたのだが。
最初、「あんなもの迎えにいけるのはオマエくらいだにゃー」とか言われ、学園都市を放り出された時はうっかり翼が滑って裸にアロハシャツのふざけたグラサン野郎を消し飛ばすところだった。
「まァいい、アイツらにも風斬にもメチャクチャでけェ借りがあるしな」
面倒ごとはお断りだが、受けた恩はきっちり返す。
この少年はそういうことはきっちりしていた。
「まずは”妹達”からあたるか……クソガキから連絡もいってるみてェだしな」
カツ、カツと現代的なデザインの杖を鳴らしながら、少年は進む。
⇒
⇒⇒⇒
⇒⇒⇒⇒⇒
本文ここまで
以下おまけ
とある幕間の魔女図鑑
魔女<SULEIKA(ズライカ)>
『暗闇の魔女 性質は妄想』
闇が深ければ深いほどその力は増す。
完全な暗闇の中においてはほぼ無敵だが、灯りの多い現代ではそれほど恐れる魔女ではない。
<次回>
ほむら「そういえば、あなたはどこで過ごしているの?」
風斬「えっ……外……かな……」
ほむら「あなたねえ……仕方ない、今日はもう遅いから泊まっていきなさい」
風斬「えっ!? い、いいの!?」
設定が破綻しつつあるし、頭もティロってきたでしょう
次回はおっぱいの話して終わりです、マジで
じゃ、また
<前回までのあらすじ>
『時間遡行者』暁美ほむらと行動を共にすることを決めた『人工天使』風斬氷華。
だが同時に、彼女は魔法少女たちにも悪影響を与える存在であった。
また、その過程で巴マミの心の奥底に眠る疑念が再度照らし出される。
一方でインキュベーターは風斬について調査を開始。
そんな折、学園都市から風斬を連れ戻すため、あの男が派遣された。
「氷と焔と」
風斬「ごめんね……私のせいで大変なことになっちゃったみたいで」
ほむら「あなたのせいではないわ」
そう、風斬のせいではない。
巻き込んだのは自分なのだから、そうほむらは思う。
風斬「そうだね………ごめんね」
ほむら「二回も謝らなくても……」
風斬「ううん、違うの。その……」
ほむら「……」
風斬「私が……」
ほむら「人間ではない、ということについてかしら?」
風斬「う、うん……」
ほむら「別に気にしてはいないわ。誰にでも、話したくないことはあるでしょう」
風斬「でも……やっぱり黙ってるのは……よくないかな、って……」
ほむら「……」
風斬「……私は……あの子の言うとおり人間じゃない……化け物……だから」
ほむら「奇遇ね、私もよ」
風斬「……え?」
ほむら(いえ……どちらかというと、化物になりかけのほうが近いかもしれない。まあ、似たようなものね)
ほむら「私たち魔法少女も、すでに人間ではないわ」
風斬「それって、どういう……」
ほむら「……詳しい話は、私の家でしましょう。あまり外で話すような内容でもないわ」
風斬「そ、それって、大丈夫なの?」
ほむら「それはこちらの台詞よ。今からだと遅くなるけど……」
風斬「あ……私は、こっちでは一人だから……」
ほむら「じゃあ、こちらには知り合いはいないのね?」
風斬「うん。もとからそんなに知り合いも多くないし……」
そこまで聞いていない、と思ったが黙っておくことにする。
それよりも気になるのは、知り合いがいない彼女がここでどうやって過ごしているのかということ。
ほむら「そういえば、あなたはどこで過ごしているの?」
風斬「えっ? 外……かな……?」
ほむら「そ、それって……野宿ってこと?」
風斬「う、う~ん……そうなるのかなあ……」
ほむら「お金とかは?」
風斬「え、えっと……あはは……」
笑って誤魔化す風斬を見て、ため息をつく。
ほむら「あなたねえ……仕方ない、今日はもう遅いから泊まっていきなさい」
風斬「えっ!? い、いいの!?」
風斬の表情がぱっと明るくなる。
ほむら「いくらあなたがあんな力を持っているとしても、一応は女性なんだから……」
風斬「で、でも……お家の人とかに迷惑なんじゃ……」
ほむら(家族……か)
顔を思い出すのにも一苦労なほど疎遠になってしまった親。
ほむら「……それはないわ。どうせ、家に帰っても一人だし」
風斬「あ……ごめんね……」
ほむら「どうしてあなたが謝るのよ……私が勝手に話したことなのに」
風斬「そうだね……ごめん……じゃなくて……」
ほむら「……はあ」
どうして彼女は、これほど臆病なのだろうか。
あれほどの力を持っているというのに。
風斬「ご……ごめんね……?」
ほむら「もっとしっかりしなさい。風斬氷華なんて……かっこいい名前を持っているのだから」
風斬「え、あ……うん……ありがとう」
しばらく他愛ない話を続けていると、自宅についた。
会話の内容も至って普通。
ただ、学校生活の話になると風斬はとても興味深そうにあれやこれやと尋ねてきた。
(こうして、普通に人と談笑するなんていつぶりかしら)
まどかたちと普通に会話を交わすこともないわけではない。
だけどその会話には、いつも何かが足りない。
上辺だけの、中身のない会話。
何度も同じ時を繰り返し、その度に塗り固めてきた嘘でできた自分。
それがまどか達と話しているのを遠くから見ている、そんな感覚。
もし"夜"を超えることができれば、しがらみのない、至って普通な会話を彼女達と交わすことができるのだろうか。
何も隠すことなく、ただ一人の暁美ほむらという人として、彼女達とまた笑いあえるのだろうか。
(……どうせ、"夜"を越えた先に私の居場所はないのに)
自嘲し、甘い幻想を振り払う。
風斬「お、お邪魔します……」
風斬(な、なんだか……変な部屋……)
風斬(あの振り子みたいなのは一体……)
ほむら「遠慮することはないわ。一人暮らしだから」
玄関でもたついている風斬に声をかける。
実際は遠慮でも何でもなく、単に変わったレイアウトの部屋に困惑しているだけだったのだが。
風斬「そ、そうなんだ……さ、寂しくないの……?」
ほむら「ええ、もう慣れたわ」
風斬「……そう」
ほむら「……」
風斬「え、えっと……」
ほむら「さっきの話の続きをしましょう」
ほむら「あ……う、うん……」
ほむら「私たち魔法少女は、願い事を対価にしてキュゥべえと契約する」
ほむら「その結果できあがるのが、ソウルジェム」
そう言ってほむらは、紫に輝く宝石を指輪から出現させる。
ほむら「これは……私の魂そのもの。つまり、これこそが私自身なの」
ほむら「こちらの体は……ただの外付けのハードディスクみたいなものなのよ」
ほむら「キュゥべえは……アイツ達は、この事実を告げないまま私たちを魔法少女にした……」
風斬「そんな!……酷いよ、そんなの……!」
ほむら「これが、私たち魔法少女が人間でないという所以よ」
風斬「……」
風斬が、怒っているような、悲しんでいるような、複雑な表情を浮かべる。
どこから見ても、彼女は人間にしか見えない。
ほむら「……それで、あなたの話も聞きたいのだけれど……」
風斬「あ……うん……」
ほむら「……どうしても、というのなら強制はしないわ」
風斬「……ううん、ちゃんと話すよ」
そう言ってこちらを見るその顔には、決意のようなものが伺える。
ほむら「そう……それはありがたいわ」
風斬「じゃあ……どうしよう……口で説明するよりは見てもらったほうが早いかな……」
ほむら「見る……? 室内であの羽を出すのはちょっと……」
風斬「あ、そうじゃないの……少しだけ私を”崩そう”かなって……」
ほむら「”崩す”?」
風斬「うん……銃を貸してもらえないかな?」
ほむら「……何をするつもり?」
風斬「少し、ね」
ほむら「……わかったわ」
大方、体の一部分を傷つけて尋常ならざる再生能力でも披露するのだろう、ほむらは予想する。
そのくらいなら、見慣れている。
風斬「ありがとう……音とか、大丈夫かな?」
ほむら「問題ないわ。この部屋には特殊な結界をはってあるから」
風斬「じゃあ……いくね」
風斬が、大きく一度深呼吸をする。
そして、銃口を頭部に押し当て、迷うことなく引き金を引いた。
ほむら「な! 何を……?」
銃声、そして、風斬の頭部が”半壊する”
あるはずのものがない、空っぽの体。
怪しく光る三角柱だけが、その存在を主張していた。
ほむら「あなた……一体……」
風斬「……AIM拡散力場の集合体、それが私」
話し続ける間も徐々に顔が復元されていく。
まるで、石膏を塗り固めるように。
ほむら「……AIM?」
風斬「何て言ったらいいのかな……能力者の思念体、みたいなもの……って言ってもわからないよね」
ほむら「能力者……噂に聞いたことはあったけど……」
ほむら(でも、そうだとすればアイツの言ったこともわからなくもない)
魔女と体のつくりが似ている、そんな白い生物の言葉を思い出す。
風斬「あはは……驚いた?」
苦笑する風斬の顔は、何事もなかったかのようにすっかり元通りになっていた。
ほむら「当然よ……」
風斬「ご、ごめんね…………」
ほむら「確かに、私とあなたは出会って日が浅い。でも目の前でいきなりあんなことをされたら誰でも驚くし、心配するでしょう?」
風斬「大丈夫だよ……私は、死なないから……」
ほむら「そういうことを言ってるんじゃないわ……ほかにやりようがあったでしょう?」
風斬「わ、私馬鹿だから……ごめんね……」
ほむら「今度からああいうのは禁止よ、いいわね?」
風斬「は、はい……」
ほむら「まったく……それじゃあ、今後のことを話し合いましょうか」
風斬「え? で、でも……」
ほむら「? 何か問題でもあるの?」
風斬「い、いいの? 私は化物だし……それに、あの姿になればあなたたちに迷惑かけちゃうんだよ?」
ほむら「だから、それについて話し合うのよ」
風斬「で、でも……」
ほむら「確かに最初は驚いたけど、それであなたを拒絶する理由にはならないわ」
風斬「え……」
ほむら「それに、私には立ち止まれない理由がある」
ほむら「あなたが自分のことをどう思ってるのかは知らないけど、私にとってあなたは風斬氷華だわ」
ほむら「それ以上でも、それ以下でもない」
風斬「……」
ほむら「……あなたは自分が思っている以上に人間だわ」
ほむら(今の私なんかより、ずっと、ね)
風斬「あ、ありがとう……」
ほむら「いえ……もう少し気のきいたことを言えればいいのだけれど……」
風斬「そ、そんなことないよ! すっごく励まされたし……うれしかったから……」
ほむら「そう? それは……よかったわ」ホッ
風斬「……やさしいんだね」
ほむら「……そんなこと……ないわ」
風斬「……ほむらは……どうして戦っているの?」
ほむら「……守りたい人がいるの」
ほむら「何もできない、無力な私を変えてくれた、大切なお友達」
風斬「友達……」
ほむら「ええ。そのために私は戦う、戦い続ける」
風斬「ずっと、一人で?」
ほむら「ええ」
風斬「……寂しくないの?」
ほむら「寂しくなんかないわ……もう、慣れっこだから」
風斬「…………嘘……だよね……」
ほむら「……」
風斬「本当に寂しくないと思ってるなら、そんな顔しない……と思うから……」
ほむら「それは……」
そんなことはない、今の私ならそう自信を持ってそう言い切れるだろう。
だが、暁美ほむら――気弱で、鈍くて、孤独を嫌う本当の自分、心の奥底にしまいこんだ本当の私は、どう思うだろうか。
風斬「え、えっと!……こっちにいる間は……私は、あなたのそばにいるから……」
俯き、黙りきってしまったほむらに風斬が慌てて声をかける。
風斬「ううん……それだけじゃない……帰る方法が見つかっても、できる限りあなたのそばにいて、力になりたい」
ほむら「風斬氷華……」
風斬「その……えっと……迷惑かも知れないけど……でも……きっと、役に立つ、と思うから……」
ほむら「どうして? あなたにはなんの得もないはずよ」
風斬「えっと……私のことを泊めてくれたし……それに、私のことを受け入れてくれたから……」
風斬「えへへ……ごめんね、私馬鹿だから……でも、あなたは悪い人じゃなさそうだし、仲良くしたい。そう思うの」
ほむら「……違うわ。ただ私はあなたを利用しようとしていただけよ」
風斬「でも、それは友達を助けるためなんだよね?」
ほむら「それは……そうだけれど……」
風斬「だったら、気にすることなんかないよ。むしろ、私が役に立てるなら、それはとってもうれしいな」
やさしい笑顔を浮かべる風斬に、ほむらは言葉を失う。
ほむら「……ごめんなさい」
風斬「あ、謝らなくてもいいよ……それに、あなたの気持はよくわかるから……」
ほむら「そうなの?」
風斬「……私にも、とても大切な友達がいるの」
風斬「その子も私を受け入れてくれた、化物の私を友達だと言ってくれた」
風斬「でもその子は、いつも誰かに狙われる立場だった」
ほむら「……その子は、どうなったの?」
風斬「まだいろいろ大変みたいだけど……今はもう大丈夫。たまに顔もあわせてるし」
ほむら「……そう……うらやましいわ」
風斬「だから、あなたのお友達も助けてあげたい」
風斬「……私じゃ、頼りないかもだけれど」
えへへ、と風斬が苦笑する。
ほむら「……いいえ、とても心強いわ」
風斬「えへへ、よかった」
優しい笑顔を浮かべたまま、ほむらの目をまっすぐに見つめる。
風斬「友達を助けるために頑張るほむらを助けたい……そんな理由じゃ、駄目かな?」
ほむら「……駄目なわけ……ないじゃない……」
ほむら「でも……」
風斬「そ、それでね!」
風斬「それで……もしよかったら……その……」
それまでの表情を一転、風斬がその豊満な胸の前で両手の人差し指を合わせ、若干上目遣いで何か言いたげな視線をほむらに向ける。
ほむら「な、何かしら?」
風斬「えっと……その……」
ほむら「?」
風斬「お、お友達になって欲しいな!……なんて……」
ほむら「……え?」
風斬「あ、い、いやならいいの! えっと、お友達じゃなくても仲良くなれたらいいなあとかそんなことを思ってるだけだから!!」
真っ赤な顔の前で手をぶんぶんとふる風斬をみて、ほむらは思わず噴き出してしまった。
風斬「わ、笑うことないじゃない……」
ほむら「ふふ……ごめんなさい、どんなことを言われるのかと思ったから……」
だが、それで緊張の糸がほぐれたのか、ほむらの顔にも自然と優しい笑顔が浮かぶ。
ほむら「……これからよろしくね、氷華」
風斬「じゃ、じゃあ」
ほむら「その……私も友人は多いほうではないけど……」
風斬「う、うん! よろしくね、ほむら!」
『時間遡行者』と『人工天使』
友に救われ、友を救いたいと願った二人。
彼女達の絆とともに、夜の闇も深まって行く。
友達のために戦火に身を投じる二人が手を組めばあんな淫獣など怖くない(キリッ
おっぱいと第一位はもうちょっと待ってね
次回は「第一位」と「巴マミ」二人の憂鬱と最強不在の学園都市をお送りします
多分。
なんかおかしいと思ったらハードウェアか、これは恥ずかしい。訂正thx
今回は風ほむの朝チュンから始まり一部を除きギャグテイストでお送りします。
翌朝
ほむら「ここは……いったい……」
目を覚ましたほむらは不思議な空間にいた
見渡す限り真っ白な、なにもない空間
「やあ、ほむら」
ほむら「インキュベーター……あなたの仕業ね」
QB「君がいるとまどかといつまでたっても契約できないからね」
ほむら「そこで僕らもある作戦を実行することにした」
ほむら「作戦?」
QB「カモンブラザー!!」
QBs「キュキューン!!」ゾロゾロ
ほむら「……気色悪っ」
QB「なんとでも言うんだね。さあ、やっておしまい!」
QBs「イエッサー!」バババッ
ほむら「な、なにを……」
QB「我ら白き悪魔に抱かれて死に行くがいい!」
ほむら「きゃっ! ちょっと、飛びつかないでよ暑苦しい!」
QB「暑苦しいだけで済むといつから錯覚していた?」
ほむら「何を……!?」
ほむら「お、押しつぶされる……」ギュウギュウ
QB ニヤリ
ほむら「い、息が……」
―――
――
―
ほむら「ほむー! ほむー!」バタバタ
ほむら「ぷはっ」
ほむら「……夢?」
息苦しさから開放された彼女の目に映るのは、自分の顔を胸あたりでがっちりホールドしている、人工天使こと風斬氷華。
ほむら「なるほど……これが息苦しさの原因だったのね……」
風斬の幸せそうな寝顔を見て、彼女は忌ま忌ましいわね、と呟く。
どうしてこんな状況になったのか……ほむらは昨夜の出来事を思い出す。
ほむら「たしか二人でお風呂に入ったのよね……」
その時彼我の圧倒的な戦力差を認識させられ、SGがちょっと濁った。
(※初回限定版に特典映像として収録予定)
ほむら「巴マミのときもあんな敗北感はなかったわ……」
風斬「えへへ……ほむにゃん……」
ほむら「ほむにゃんってな……ほむっ!?」
風斬がだらしなく表情を緩めた(アヘ顔ではない)かと思うと、再度その豊満な胸にほむらの顔を埋める。
ほむら「ほむー!!」
こうして彼女はその命を風斬氷華の胸の中で散らすこととなったのだ。おわり
ほむら「……川の向こうで人魚の魔女が手招きしてたわ……」ゼェゼェ
と思ったら生きていた。さすがは魔法少女である。
ほむら「……大きければそれだけ被弾面積が増えるということを思い知らせてあげるわ!」
ほむらが大きく、口をあける。
ほむら「がぶり」
ほむらのかみつく攻撃。
風斬「!!!?? みぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!!」
効果は抜群だ。
爽やかな朝に、人工天使の叫び声が響き渡る
ほむら「……あなたと友達になっても、そのけしからんおっぱいとは一生友達になれそうにないわ」
風斬「ひ、酷い……」ヒリヒリ
―――――
―――
―
時間は少し巻き戻る。
風斬氷華と暁美ほむら、二人がぎこちないながらも友情を深めている頃、誰もいない部屋で一人、巴マミは思い悩んでいた。
(魔法少女に魔女、ソウルジェム……そして、キュゥべえ……)
(考えてみれば、知らないことだらけかもしれない)
(ソウルジェムが濁り切れば願いの効力が切れるものとばかり思っていたのだけれど……)
彼女の願いは『助けて欲しい』
その願いのおかげで、彼女は今もこうして生きていられる。
逆にいえば、その効力がなくなれば死んでしまうということ。
(でも、暁美さんのあの反応……)
もしそれだけなら、あんな反応をするとは思えない。
(そういえば、暁美さんの願いごとっていったいなんなのかしら……)
ふと窓に目を向ける。
映るのは、難しい顔をしている自分。
「あの子のことも……全然知らないのよね」
何故、新たに魔法少女が増えることにあれ程嫌悪感を示すのか
何故、キュゥべえに対して強い敵対心を持っているのか
(……知りたくない、と言ったほうがいいわね)
「やあ、マミ。どうしたんだい?」
誰もいないはずの部屋に、聞き慣れたはずの声。
マミ「キュ、キュゥべえ!? 無事だったの?」
QB「僕が君を置いて一人で消えるわけにはいかないからね」
マミ「よ、よかった……でも、どうやって……」
QB「そんなことよりマミ、風斬氷華について話がしたいんだ」
死んだはずの友人と感動的な再開、というわけにはいかない。
そもそも、彼らインキュベーターにそのような感情はない。
ただ、用件を伝えにきただけである。
マミ「風斬さん? あの人のことは暁美さんに聞いたほうが……」
QB「人じゃないよ。彼女はとても危険な『兵器』だ」
QB「あの技術の出自はわからないけど、僕らに対抗するために作られたのだろうね」
マミ「ちょ、ちょっと待って。話が全然見えてこないのだけれど……」
QB「君も経験しただろう? 彼女は君たち魔法少女に仇為す存在だといっても過言はないさ」
マミ「だ、だからってそんな言い方……」
QB「もしかしたら暁美ほむらと組んで君たちに襲いかかる可能性がないとはいえないよ」
マミ「そうかしら……」
QB「まどかが契約してくれたら、彼女に対抗し得る戦力になるんだけど」
マミ「駄目よ……そんなことであの子を契約させられないわ」
QB「僕は君に死んでほしくないから、こんなアドバイスをしてるんだけどなあ」
マミ「……その気持ちはうれしいわ、とっても。でも駄目よ、彼女を私たちの都合で巻き込むのはよくないわ」
QB「なら仕方ないね。じゃあ僕はまどかのところへ行って来るよ」
マミ「ま、待って。その前に、少しいいかしら?」
QB「なんだい?」
マミがキュゥべえの顔をまっすぐに見つめる。
その表情からは、やはり何も感じ取れない。
マミ「……あなたたちはいったいどこから来たのか」
マミ「そして」
マミ「ソウルジェムとは一体何なのか……そろそろきちんと話してほしいの」
QB「それはまどかが契約したときにまた話すよ」
マミ「……え」
QB「何度も説明するのは手間がかかるだろう?」
マミ「で、でも……」
QB「それじゃあ僕は行くよ。まどかたちにもこのことを知らせないといけないからね」
マミになど構ってられないとでもいうふうに、キュゥべえがさっさと出て行ってしまう。
マミ「……何をそんなに慌てているのかしら……」
マミ(私は、あなたのことをお友達だと思っている)
たとえ姿形は違っても、見えないところでは繋がっている。
そう思っていた、いや、思わざるを得なかっただけかもしれない。
そうでないと、自分はどうしようもなく一人なのだと思い知らされてしまう気がしたから。
マミ(あなたはどう思っているの?)
マミ「……キュゥべえ」
『魔法少女は結局一人ぼっちなんだ』
以前、共に戦っていた魔法少女の言葉を思い出す。
家族のために祈り、そして家族を壊してしまった少女。
彼女は元気だろうか。
会いたいと言えば嘘になる、けれど、会いたくないと言っても嘘になる。
マミ「……あの子は会いたくないでしょうけど」
彼女のように、暁美ほむらにも何か事情があるのかもしれない。
マミ(だけど、それを知るのは怖い)
知ってしまえば、後戻りができなくなる。
魔法少女が希望だけでできているという幻想が崩れてしまう。
そしてそれは、自分に返って来る。
両親を見捨て、自分だけ生き残り、その罪を贖うように魔女を殺し続けているという現実。
「……いつまで」
やっぱり、一人は嫌いだ
「いつまで……続ければいいのかしら」
だって、余計なことを考えてしまうから
◆◇◆
⇒⇒⇒
⇒⇒
⇒
――見滝原市立病院
「上位個体から連絡は受けてましたが、まさか本当に第一位自ら現れるとは思いませんでした。とミサカは少しばかり驚きます」
「化物を迎えに行けるのは化物だけってなァ」
「お前みたいなのと一緒にすんなよ」
「えっ」
「せっかくなのでもう少し天使様とお話したかったのですが……」
「……風斬の場所はわかンねェのか?」
「様をつけろよ虐殺モヤシ」
「えっ、なンで」
「さすがに居場所まではわかりませんね、とミサカはMNWのショボさに嘆きます」
「それ打ち止めが聞いたら泣くぞ」
「天使様にはミサカお手製のこの病院の地図を謙譲したんですけどねえ、とミサカはあの時触れた手から伝わるロマンチックがレベル5」
「大丈夫かオマエ? いやマジで」
「はっ、まさか地図が読めないとか……?」
「いや違ェだろ、あとこの病院の地図ってなンだよ。この病院にたどり着く地図を渡してやれよ」
「!……そこに気付くとは……さすが第一位……」
「オマエバカかバカだなバカなンですねェ?」
「ふむ……ということはここに天使様は来ない……?」
「スルースキルだけはレベル5だなオマエ……まあ、しばらく待ってたら来るンじゃねェの? こンだけデケェとこだしな」
「マジで? それどこ情報よ?」
「ベクトル情報だ」
「なら安心ですね」
「あ、ハイ」
「では、天使様のご尊顔を拝見する前に予習をしておきましょう」
「オマエ本当に大丈夫か? いい学習装置紹介してやろうか? あと予習ってなンだよ」
「もちろん天使様についてに決まってるじゃないですか。常識じゃないですか」
「そンな常識はオレだけじゃなく世間一般に通用しねェよ」
「というわけでロシアでの天使様のご活躍及び最近割と平和になった学園都市における天使様の日常生活について語ってください、とミサカは第一位にお願いします」
「なにがというわけなンだよ。イヤに決まってンだろめンどくせェ」
「は?」
「なにコイツこえェ」
「……あー、下々のクローンごときに天使様の情報は渡せない、と?」
「なンでそうなる」
「翼も生やせない低脳クローンがしゃしゃるんじゃねぇ、といったところでしょうか」
「そこまで言ってねェ、言ってねェから!」
「ちょっと待ってください今こそ練習の成果を見せますから、とミサカは演算を開始します」
「いやいや何する気だよ」
「見てわかりませンか? 電撃で翼を形成するンですよ」
「オイ口調変わってンぞ! どっからオレの演算パターン入手しやがった!?」
「MNWはアナタの演算補助をしてるンですよ? これくらい造作も無い、とミサカは可能と不可能を再設定しながら答えます」バリバリ
「造作もあるだろォが! ンなことできンの約一万人の中でオマエだけだ!!」
「ほかのクローンと同じ遺伝子を持ちながら翼持つ者へと進化した個体――『天界個体』です、とミサカは自己紹介をします」キリッ
「それ絶対流行らねェから! あとここ病院だからな!?」
「確かに電気はやばいですね。ですがミサカにも意地というものがあります、とミサカは目の前の条件をリスト化しその壁を取り払いながら」
「よしわかった、わかったからさっさと能力をおさめやがれ」
「やっと話す気になりましたか、とミサカは強情な第一位に呆れます」
「オレのせいかよ」
「さあ、夜通し天使様の魅力について存分に語ってください!!」
「オレの睡眠時間はどこいったンですかねェ!?」
「睡眠のベクトルを操作すればどうとでもなるでしょうが」
「ワケがわかンねェよ!」
「いいじゃないですか、ミサカなんて滅多に天使様に会えないんですよ? この一生に一度のチャンス、逃すわけがありません」
「ンなこと知らねェよ……」
「言ってませんからね。さあ早く語ってくださいとミサカはもし第一位が逃げたら上位個体にないことないこと吹き込む決心を心に秘めながら期待に胸躍らせます」
「オマエといい1が5つ並ぶ個体といい打ち止めの前に製造された奴といい……どォしてこうなった……不幸だ……」
この下らない押し問答ののち、結局一方通行はミサカ10430号の天使(風斬氷華)談義に夜通し付き合わされた。
詳細な能力の考察や普段の生活について、その体の構成についてなどといった本スレでやってくださいと言いたくなるような考察から、あのけしからん胸の二つの塊には何が詰まっているのかなどといったくだらない与太話まで。
延々と話し続けるクローンを前に、学園都市最強はその能力をフル活用して眠気を吹き飛ばしていた。
ただひたすら風斬氷華の魅力について話し続け、そして風斬氷華について一方通行が知っていることを根掘り葉掘り聞いてくるミサカ10430号。
あまりにもしつこいので「オマエには血も涙もねェのか!?」と口走ったところ「ミサカはクローンだから感情がないんですよ!」とものすごい笑顔で返された。
その反応を見て彼は「あ、こりゃ駄目だわ」と思ったのである。
それ以降のことはよく覚えていない。
眠気がやばすぎて一周回って超ウルトラハイテンションになって二人で天使様をたたえる踊り(ミサカ10430号作)を踊って病院のスタッフにめちゃくちゃ怒られたような気がする。
気がつけば外は明るくなっていた。
(初日からこンなンで大丈夫かよォ……)
風斬氷華を迎えにきたと思ったら妹達と漫才を繰り広げていた。
一体ここに何しに来たんだ。
「くそ眠い……」
そう、彼はとても眠い。
だが一周回っておかしくなったテンションは彼に惰眠を貪ることを許さない。
ちなみに彼を一晩中振り回したクローン体は「レポートをまとめる」といって自室に引きこもっていった。
一体どこに提出するのだろうか。
一人残された彼はひたすらコーヒーをガブ飲みしながら充電にいそしんでいた。
ついでに看護士に患者と間違われた、不幸だ。
「腹減ったな……」
軽食でもとろう。
そう思って席を立つと同時に、再度10430号が現れた。
いつも以上に虚ろな目が、彼に向けられる。
いつ「実験を開始します」と言い出してもおかしくないほどの無表情。
「……なンだよ」
「第一次レポート添削を開始します……添削者は所定の位置に……」
何が彼女をここまで駆り立てるのだろうか。
とりあえず、無事風斬に会えたら今度からこの周辺に近づくなと言っておこう。
そう彼は決心した。
⇒
⇒⇒
⇒⇒⇒
―――
――
―
――学園都市中心部。通称『窓のないビル』
「第一位に外出許可を出すとはな、何を考えている?」
金髪にサングラス、アロハシャツの派手な少年が、見た目にそぐわない口調で問う。
「ヒューズ=カザキリがいなくなると私も困るのだよ。あれはそう簡単に作れるものではない」
声の主は、培養液で満たされた装置に浮かぶ人物。
男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える人間――学園都市統括理事長 アレイスター=クロウリー。
土御門「だが、第一位がいないと知れるとこの都市にまた厄介なことが起こるぞ」
アレイスター「誰が起こすのかね? 暗部はもはやほぼ機能しておらず、『あちら側』もそれどころではないのだろう?」
土御門「やはり知っていたか。ステイルから連絡があった。『原典が立ち読みされた』とな」
土御門「ふざけているのかと思ったが、あいつがそんな冗談を言うとは思えん」
アレイスター「やはりな。”彼ら”は彼女をあちら側の技術だと勘違いしたか」
土御門「”彼ら”だと……?」
アレイスター「この星ではないまたどこか別の星の住人、とでもいえばわかるだろう」
土御門「……宇宙人とでも言いたいのか、貴様は」
アレイスター「好きに受け取りたまえ」
土御門「……ふん。だとしても、原典をそう簡単に盗み読みされては……」
アレイスター「安心したまえ、彼らが原典を得たところで、それはただの紙切れでしかない」
土御門「魔術が使えない、ということか?」
アレイスター「使える理由がないと思うがね」
アレイスター「同じように、彼らがどれほどの科学力を持っていたとしても『自分だけの現実』を持つことはできんよ」
アレイスター「AIMの技術そのものを利用することはできるだろうが、それでは不十分だ」
土御門「……今度は何を企んでいる。アレイスター」
アレイスター「今回のことは善行だよ」
土御門「そんな虚言を信じるとでも思うのか?」
アレイスター「信じる信じないにかかわらず、君が動くことはしばらくないだろう」
アレイスター「彼らは所詮決められたプログラムに沿って動くことしかしない端末だ。ここに被害が及ぶことはまずない」
土御門「……そううまくいくといいがな」
その言葉に、アレイスターは薄い笑みを浮かべるだけだった。
これ以上話しても無駄だと悟ったのか、土御門が彼に背を向け歩き出す。
「……”ここ”にはね」
小さく、容器の中の人間がつぶやく。
【今日のNGシーン】
土御門「第一位に外出許可を出すとはな、何を考えている?」
アレイスター「相手が異星人だからだ」
土御門「……それとアイツに何の関係がある」
アレイスター「第一位のTシャツの柄は?」
土御門「ウルトラマン!!」
アレイスター「そういうことだ」
結標(どういうことよ)
土御門「なるほどな。それなら納得がいく」
結標「でも、異星人相手ならウルトラセブンよね」
アレ・土「……」
【杏子ちゃんの楽しい次回予告!】
_________________________________
| やめろ!魔女シャルロッテの第二形態に、ソウルジェムを噛み砕かれたら |
| キュゥべえとの契約で繋がってるマミの魂までぶっ壊れちまう! |
│ お願いだ、死なないでくれマミ!アンタが今ここで倒れたら、 │
│ まどかやさやかとの約束はどうなっちまうんだ? │
│ 首はまだつながってる。ここを耐えれば、魔女に勝てるんだぞ! │
│ 次回、「巴マミ 死す」。 マギカスタンバイ! . |
|_________________________________|
/: }三.|::|三≧==≦三≧、 |::|
/:.:.:.\≠|::| : : : : : : : : : : : :.:.:|::|ヽ
.′ : /:.: .|::| : : /|: : :/ : : 、: :.:.|::| ',
.ノイ: :/:.:/:.: .|::|:/ !:.;/ヽ.:i\: : :|::| :
|: :.:.:.′ .,'|::| \i/ ヽj/ ヽ|::|ノ
|: {⌒i八{ |::| ┃ ┃ |::|
| : 、_,. .|::| _ ノ|::|
|: : /: : :` |::|_=─‐┴┴=≦ __|::|
|: / : : : (___)) 〈()〉 (_(__)
|/|: : : : / ヽ/ .人 ヽ、
| : : :/|: / /'⌒Y⌒マヘ.
.ノイ}/从:{ /^ト-u个-u}_;}
, -(-、 `⌒`ーl、___〕___〕
{:: .} `ー‐┴─┘
`ー‐'
QB「マジかよ」
杏子「嘘だよ」
終わり。
上の次回予告の元ネタがわからない人はググってね!
初Jane……ども……状態なんできちんととうかできてるか少し心配。
地の文が増えて読みにくくなってるかもしれん、すまんな
小ネタ書くの楽しいけどもし邪魔なら心にとどめておくことにする。
でもきっとお前らなら真顔でワロタwwwwwwってレスしてくれると信じてるよ。
またねー
杏子ちゃんをへそ責めしてたらこんな時間になってた
何を言ってるのかうんたらかんたら
というわけで予告どおりシャル戦です
いつもと同じ日常
何度も繰り返してきた日々
風斬氷華というイレギュラーがいても、それ自体に特に大きな変化は無かった。
ほむら(今日は美樹さやかが上条恭介のお見舞いに行き、そこでグリーフシードを見つける)
だけど私の心境には、少し変化があった。
ほむら(今度はもう少し、頑張ってみよう)
はじめから希望なんて持たなければ、絶望しないのかもしれない。
だけど、もう一度だけ
風斬「それじゃ、いこっか」
ほむら「ええ」
巴マミをどうやって説得するか――私の一番苦手な分野だ、うまくいくだろうか?
ほむら(・・・・・・洗脳系の能力でもあれば楽なのだけれど)
リモコンで他人を動かす能力があればいいのに、そんな下らないことを考えながら今日も一日が始まる。
「崩壊の序曲」
―見滝原市立総合病院―
まどか「上条くんとは……」
さやか「会えなかったよ、タイミングが悪かったみたい」
まどか「そっか……」
さやか「……」
まどか「……」
さやか「そういやさ、キュゥべえがまた来たんだって?」
まどか「う、うん……氷華さんに気をつけろ、って……」
さやか「あの人に? なんで?」
まどか「『ぼくたちに敵対する勢力の可能性が高い。だとすれば君にも被害が及ぶかもしれない』って……」
さやか「まじで?……そんな風には見えなかったけどなあ」
まどか「その後はいつも通り、契約しないか、って」
さやか「あいつはまた……」
まどか「……!」
さやか「ん、どうしたの?」
まどか「……ねえ、さやかちゃん……」
さやか「こ、これって……」
まどか「グリーフシード……だよね……」
QB「まずいね、孵化しかかってる」ヌッ
さやか「うわっ! あんたいつから……」
まどか「ど、どうしよう! ほむらちゃん……とは連絡とれないし……」
さやか「まどか! マミさんを呼んでおいて!」
そう言ってさやかは結界へと入っていく
さやか「さ、さやかちゃん!?」
QB「さやかは僕に任せて」
それだけ言うと、キュゥべえも彼女の後を追って行った。
―――
――
―
しばらく後、連絡を受けたマミが病院へと到着した。
まどかを連れて結界へと進む彼女のもとに、人影が二つ。
厳密には、どちらも人ではないが。
ほむら「巴マミ、この魔女は私がやるわ」
開口早々、彼女が口にしたのは、交渉でも、説得でもない。
ただの宣言。
マミ「暁美さんと……風斬さんね」
風斬「あ……こ、こんにちわ……」
まどか「こ、こんにちわ」
ほむら「あなたは手を引いて、グリーフシードなら譲るから」
マミ「そうもいかないわ、美樹さんを迎えにいかないといけないの」
マミ「だから」
ほむら「彼女のことは私たちに任せてくれればいい」
一緒に行きましょう、そう言いかけたマミの言葉を遮るように、ほむらが畳み掛ける。
ほむら「今のあなたじゃ、無駄死にするだけよ」
マミ「……どういうことかしら」
ほむら「この魔女は今までのとは違う」
マミ「私では力不足ということ?」
ほむら「それは……」
マミ「……やっぱり、信用できないわ」
言い淀むほむらを、マミのリボンが拘束する。
ほむら「っ!? こんなことをしてる場合じゃ……」
マミ「風斬さん、あなたもよ」
風斬「え……きゃっ!」
ことの推移を心配そうに見守っていた風斬も、不意をつかれ、なす術も無く拘束される。
マミ「おとなしくしていたら帰りには開放してあげるわ」
ほむら「ま、待ちなさい! 巴マミ!」
風斬(……これは、仕方ないかも……)
マミ「行きましょう、鹿目さん」
まどか「え、えっと……はい……」
縛られ、吊るされた二人を背に、マミとまどかが結界の奥へと進んで行く。
風斬「……」
ほむら「……いつもこう」
風斬「あれは、ほむらの言い方も悪いよ……」
ほむら「……わかってるわ」
ほむら「でも、どう言えばいいかわからないの」
風斬「そっか……」
ほむら(今更、あなたのことが心配でした、なんて虫のいいこといえるわけないし……)
風斬「……私も、横で見てるだけだったから人のことは言えないけど……」
ほむら「……そんなことないわ」
風斬「……ごめんね」
ほむら「いえ……」
風斬「……どうしよう」
ほむら「……」
頑張ろうと思った矢先にこれである。
やっぱり、自分には誰かを助ける力なんてないのだろうか?
ほむらの心を、ネガティブな思考が支配していく。
―――
――
―
まどか「……」
マミ「……」
まどか「あの……マミさん……」
マミ「暁美さんのことが心配?」
まどか「あ……いえ……その……」
マミ「無駄死になんて、ひどいわよね」
まどか「え……えっと……ほむらちゃんも、悪気があって言ったわけじゃないと思うんです……」
マミ「……鹿目さんは、やさしいのね」
まどか「そんなこと……ないですよ」
マミ「ちょっと、やりすぎちゃったかな」
まどか「あれは……ほむらちゃんの言い方も酷かったと思います」
マミ「じゃあ、やっぱり悪気があったのかしら」
まどか「あ、いえ……そうじゃなくて……」
マミのいたずらな質問に、まどかが答えに窮する。
マミ「冗談よ、からかってごめんなさい」
マミ「そうね……私のほうがお姉さんなんだから、ちゃんとあの子の話を聞いてあげるくらいしてあげるべきだったわ」
まどか「じゃ、じゃあ」
マミ「ここの魔女を倒し終わったら、お詫びも兼ねてあの子の話をみんなで聞きましょう」
そういうとマミは振り返り、ウィンクを交えながら冗談めかして続けた。
マミ「もちろん、おいしいケーキを食べながら、ね」
まどか「は、はい!」
マミ「だからそれまで、契約はお預けね。暁美さんに怒られちゃうわ」
まどか「てへへ、ちょっと残念かも」
すべての疑問から目をそむけ、ただひたすらに魔女を倒していた。
それだけが、私がここにいられる理由だから。
だから、彼女がキュゥべえを、魔法少女を否定したとき、とても怖かった。
まるで自分自身が、否定されているかのように。
そして私は彼女を避けた。
いや、彼女から逃げたといったほうがいいのかもしれない。
けれど、私はもう一人じゃない。
こんな私でも慕ってくれる二人の後輩がいる。
そして昨夜の、キュゥべえの不可解な行動。
彼女――暁美さんのいうことを聞いたうえで、判断を下そう。
「話せば、わかってくれるわよね」
そうしてみんなで手を取り合って戦う、そんな素敵な未来。
さやか「マミさん!」
まどか「さやかちゃん、大丈夫?」
マミ「お待たせ、美樹さん」
さやか「た、助かった……」
マミ「もう、無茶しすぎよ」
さやか「あはは……」
QB「彼女は来ていないのかい?」
マミ「……キュゥべえ」
見慣れたはずの無表情な顔が、少し不気味に見えた。
マミ「暁美さんなら、入口で吊られてるわ」
さやか「つ、吊られてる?」
QB「風斬氷華は?」
マミ「彼女も同じよ」
さやか「な、なんで氷華さんまで……」
マミ「ふふ、私もすこし大人げなかったかしら」
さやか「笑い事じゃない気もするんですけど……」
マミ「う……そ、そうかも知れないわね……」
まどか「なら、早く魔女を倒してほむらちゃん達を迎えに行きましょうよ!」
さやか「へ、何の話?」
まどか「てへへ、さやかちゃんには内緒♪」
マミ「ええ、そうね……一気に決めるわ!」
さやか「よくわかんないけど、やっちゃえマミさん!!」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
光り輝く銃弾が、人形の姿を模した魔女を貫く
そして
黒い執着が、牙を剥いた
マミ「――え」
―――
――
―
風斬「……ほむらは、あの人のこと嫌いなの?」
ほむら「……わからないわ」
風斬「わからない?」
ほむら「ええ……でも……」
虚空を眺める。
脳裏に浮かぶのは、古い記憶。
ほむら「もう一度、あの人と……」
もう戻らない、優しい幻想。
風斬「ほむら……」
ほむら「……」
近付けば、彼女は真実に触れ、壊れてしまう
離れれば、彼女は虚偽の中で、壊れてしまう
ほむら「いつから……いつからこんなに冷たくなっちゃったんだろう、私は……」
風斬「……そんなことないよ」
ほむら「わからないわ、あなたには」
自己嫌悪は悪意のこもった言葉となり、他人に突き刺さる。
風斬「本当に心が冷たい人なら、誰かのために頑張れない、私はそう思う」
ほむら「……気休めね」
風斬「……そうかも、しれないけど……」
ほむら「……」
風斬「それじゃあ、諦めるの?」
ほむら「それは……」
風斬「……こ、のっ……くっ……」
風斬が拘束から逃れようともがく。
ほむら「無駄なことはやめなさい……動けば余計締め付けるようになってるわ」
風斬「大丈夫……これくらい……!」
風斬が動くたび、拘束がどんどんきつくなっていき、AIMで構成されている体ににひびがはいる。
それでも、彼女はもがくことをやめない。
ほむら「やめなさい……あなたが苦しむ必要なんてないわ」
風斬「私は、ほむらを助けたい、だから、やめない」
ほむら「……」
風斬「……あの人と、ゆっくり話し合おう。そうしたらきっと、わかってくれるから……っ!」
風斬の全身が、ビキビキと嫌な音をたてる。
ヒューズ=カザキリとならなくても、彼女には『正体不明<カウンターストップ>』という能力がある。
常人では出せない様な身体能力・再生能力を持つことができる能力。
さらに、ある程度の力を加えられると大きく力が増大する特徴がある。
ほむら「……氷華……私は……」
風斬「く……う……ああああああっ!!」
風斬が、力任せに拘束を引きちぎる。
風斬「や、やった……ふう……」
ほむら「……馬鹿力ね」
風斬「そ、そんな言い方……しないでよ……」
ほむら「ご、ごめんなさい」
風斬「もう……じゃあ、いまからそっちの拘束も解くから」
ほむら「私はいいわ。それより氷華、あなたは先に行って」
風斬「駄目だよ、それじゃあ。ちゃんとほむらが、自分の口で伝えないと、ね?」
ほむら「……それは……そうね……」
風斬「……喧嘩しない友達関係なんて、ないんだよ」
少し的外れな言葉だったが、それでも今のほむらには嬉しかった。
ほむら「……ありがとう」
風斬「えへへ、どういたしまして」
◇◆◇
黒く細長い胴体
白く、道化師のような顔面
先ほどまでの、人形のような姿とは違う、気味の悪い姿。魔女の本体
それは一瞬でマミの頭上まで移動し、大きく口をあけた
ゆっくりと、目の前の光景がスローモーで再生される
まどかもさやかも、声が出せないまま、ただ茫然とその光景を眺めるしかできない
キュゥべえは、いつもの無表情を崩さぬまま、ただ無言
誰も声を発しない、静寂。
その静寂を切り裂いて、この場にとても不似合いな電子音が一つ。
それはまるで、”何かのスイッチを入れたような音”であった。
次に彼女たちが聞いたのは轟!と風が荒れる音。
そして彼女たちが見たのは、その風に巻き込まれ、派手に吹き飛ぶ魔女の姿。
「オマエがこのワケわかンねェ空間の持ち主か」
その風の発生源であり、声の主は、白い少年。
髪も、肌も、透き通るように白く、ただその瞳だけが血のように紅く光っていた。
「こちとら寝不足で機嫌が悪いンだよ」
杖を収納し、コキリ、と首を鳴らす。
そう、彼は非常に機嫌が悪かった。
立場上ないがしろにできないのをいいことに、妹達のわけのわからない話に延々と付き合わされ、ほぼ睡眠をとれていないこと。
「やっと解放されたと思ったらこのザマたァ、笑えねェな」
そして、この不思議な空間に渦巻く意志のようなもの。
それはつまり、人の悪意。
「……気に入らねェ」
昔、自分がいたところを嫌でも思い出してしまう。
気分転換に黒い服を着てきたのは失敗だったな、と少しばかり後悔。
「色々気になることはあるが……細けェことは後回しだ」
ニヤリ、と嗜虐的な笑み。
確かに、あまり心地のいい場所ではない。
だが、どこか楽しい。
ある少女を救い、守るための戦いではなく、ただ純粋な戦闘。
「スクラップの時間だぜェ――」
久方ぶりの破壊を、『最強』としての本能が歓迎する。
4本の竜巻を、背中に接続。戦闘態勢。
「――恵方巻の化物さンよォォォォォォォ!!!」
舞台に現れた、最凶の乱入者
学園都市Level5
序列第一位
『一方通行』
――”最強”が、魔女と戦闘を開始する。
<序列第一位>一方通行
その性質は「破壊」
何者であっても、彼を止めることは不可能である。
突如舞台に乱入し、舞台の備品を、装置を、そして悲劇の脚本すら破壊する。
それでも役者は演じ続ける。演目が悲劇である限り。
やっと一方通行さんが舞台に上がったよ
しばらく地の文多いよ
またねー
シリアスなんてなかった
【前回までのあらすじ】
,-‐- 、
,..-──- 、 i `ヽ、 マミマミしようと思ったら……なんやコイツは
-‐ 、_ ,.:::':::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ、 | 、─ '
`゙'ー- 、,∠:::::::::::::::;.-‐-v' ⌒`ヽ,‐、ヽ.j ┌.’
テ , , _,., 二> ゙、:、lヽ===========
゙ー‐''"´`'7"::`''"´::::::;:ゝ ___ ゝ ‐'ニヽ.弋l |
/:::::::::::::::::::::{ //‐゙i |l .il i. l |
/:::::::::::::::::::::::;-゙ | | l ・.l l.ー'ノ ! | |
/::::::::::::::::::::::::( . : : : ..!ヽー'ノ ,...._,-'゙Lノ.: :| |
/::::::::::::::::::::::::::丶: : : : : :`ー' (_,ひJ : : :| |
i:::::::::::::::::::::::::::::::::7 : : : : _ ./| | lヽ======
.l::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ ∠-‐-` i‐/ | | | |
l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ー''、 ,、__ノ/ | | ``ー┬───┬
|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ー─';;:.ィ | | | | │
.|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: √ ̄ | | | | │
.|:::::::::::::/"⌒i:::::::::::::::::::::::::::丿 ``━━━━━━.| | │━
.|:::::::::::::! ノ:::::::::::( )::::/ | | │
─'──‐゙─'────"───────────────| | │─
____| | │_
'、ヽ ヽ───‐┘
ヽ!二二二二二二二二二
【一方通行】
_ _
,´ノ从 ヽ
ノノリ从从〉
/i, 半i>
┣ l 〒l!
┃ |__l_j
【解説】
レベル5の一人にして第一位である、学園都市最強の超能力者。すなわち学園都市最高の頭脳の持ち主。
運動量・熱量・光・電気量etcといったあらゆるベクトル(向き)を観測し、触れただけで変換する能力を持つ。
ちなみに後二回変身を残している。
現出の頻度が高くなった風斬を含め、昔からは考えられないほどに交友関係が広くなった。
今一番欲しいものは一人でゆっくりできる時間。
見滝原に来た理由は風斬の回収……
なのだが10430号の意味不明な話を延々と聞かされた挙句結界に巻き込まれた
たまには羽を伸ばそうと思って気分転換に衣装を黒に変えたのにこの仕打ち
ご機嫌が斜めどころの話じゃない
現在、魔女と戦闘中
上記のこともあって完全にブッ飛んじまった状態である。最高にハイってやつだ!
終わり
「魔女ども、道を開けろ! 悪魔の若君のお通りだ!」
――メフィストフェレス。ブロッケン山にて
一方通行が魔女に飛び掛り、同時に、魔女も彼めがけ突進する。
空中で彼らはぶつかり、彼の反射膜に触れた魔女が『反射』される。
だが、それと同時に一方通行も押しのけられる。
「チッ……ベクトルの操作がうまくできねェな、反射できなくもねェのが救いか」
反射幕に触れた異物を感知し、彼の脳内で様々な情報の波が迸る。
(ヤツの攻撃自体は『既存の物理法則』で説明できる、いわばただの体当たりだ)
『魔術』を含め今までに触れた様々なものと魔女の体表面を比較する。
(だが、ヤツ自体の構成要素が不可解だな……逆に言えば、ソイツを解析できりゃどうとでもなるってワケか)
当然だが、完全に同調する物体は無い。
「……ハッ、おもしれェじゃねェか」
"一方通行"によるコンマ1秒にも満たない『解析』が終了。
一度着地し、態勢を立て直す。
魔女のほうも同様に、こちらの出方を伺ってるようだ。
マミ「あ、あの……」
一方通行「あン?」
マミ「あなたは一体……」
一方通行「なンだオマエ、まだいたのかよ。邪魔だからのいてろ」
マミ「じゃ、邪魔!?」
一方通行「戦闘中にぼーっと座ってンじゃねェよ」
マミ「し、仕方ないじゃない! 腰が抜けちゃったんだから……」
一方通行「……はァ?」
顔を赤らめて俯くマミを見て「めんどくせェ……」とつぶやく。
そんな彼の耳に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
ほむらと風斬が到着したとき、すでに戦闘は開始していた。
魔女の本体が既に出現していることに、ほむらが焦る。
ほむら「巴さ……!!」
やっぱり救えなかったのか。
脳裏に一瞬、嫌な考えがよぎる。
ほむら「よかった……生きてる……」
地面に座り込むマミを確認し、ほっと胸をなでおろす。
風斬「あれは……一方通行さん!?」
ほむら「知り合いなの?」
風斬「う……うん……」
一方通行「風斬か、ちょうどイイところに来やがったな」
風斬「え……な、なんでここに……」
一方通行「パス」
風斬「へ?」
マミ「え?」
風斬の言葉を無視し、彼女に未だ呆然としたままのマミを投げて渡す。
マミ「きゃああああ!?」
風斬「あ、危ない!」
風斬が慌てて彼女の体を受け止める。
ほむら「なんてむちゃくちゃなの……」
一方通行「呆けてンじゃねェよ。邪魔だ、そこで寝てろ」
風斬「だ、大丈夫?」
マミ「え、ええ……」
一方通行「オイ、手を出すンじゃねェぞ。ちょうどサンドバックが欲しかったところだ」
風斬「は……はあ……」
ほむら「待って、私も」
風斬「あ、だ、ダメだよ!」
ほむら「ど、どうして?」
風斬「えっと……気が済むまで暴れさせてあげてください……」
ほむら「……でも」
風斬「お願い……」
ほむら「そ、そう……」
まさか巻き込まれることは無いと思うが、下手に手を出すと後が怖いので放っておこう。
そう風斬は決心した
一方通行「さァてと……来いよ恵方巻き、本物の”化け物”の立ち振る舞いってヤツを教えてやるぜ」
一方通行の言葉に答えるように、魔女が再度突進。
一方通行「なンだなンだなンなンですかァ!? バカの一つ覚えみたいによォ!!」
一方通行が地面を強く蹴る。
一方通行「もう少し楽しませてみろよ!」
それだけのことで地面が深く抉れ、散弾と化したそれが魔女を襲う。
一方通行「ぼーっとしてンじゃねェぞ三下ァァァァ!!!」
石の雨に阻まれ、空中で動きを停止した魔女に一方通行が接触。
両手で体表面に触れ、解析を開始
『一方通行』の本来の力である『自身が観測した現象から逆算して、限りなく本物に近い推論を導き出す』能力により、魔女の構成要素を推測し、それを元に反射膜を設定しなおす。
一方通行「キヒッ」
乾いた笑みが『最強』の口から漏れる。
魔女が体を捩り、一方通行を引き剥がそうとする。
一方通行「ざァァァァンねンでしたァァァ!!」
魔女の顔面に、一方通行の右拳がクリーンヒット。
魔女の体がノーバウンドで派手に吹き飛び、結界の壁に激しく衝突。
戦闘というよりは、もはや暴力の一方通行。
魔女への恐怖はどこへやら、一方通行以外の5人はただ呆然とその光景を眺めていた。
ほむら「……魔女ってあんなに飛んだり跳ねたりするものだったかしら……」
一方通行「あはぎゃはっ! 怪獣らしく火とか光線とか出してみろよォ!」
一方通行の猛攻は止まらない。
結界内の奇妙なオブジェやそのへんを漂っていた使い魔さえも能力で加速し、魔女に投げつける。
一方通行「あァ楽しい! 楽しい的当てゲームだなァオイ!!」
投げるものが無くなれば魔女に接近し、殴る蹴るの暴行を加える。
さらに第一位はそれだけでは飽き足らず、魔女の体を解体しにかかる。
その猛攻から、魔女が必死に逃れようとする
だが
一方通行「遅ェなァ」
未知の敵に興奮が最高潮まで達している一方通行がそれを許すはずもない
一方通行「オマエそンな速度じゃ、百年遅ェっつってンだよ」
すぐに距離を詰め、魔女を殴打し、裂き、抉る。
一方通行「どォしたどォしたァ! 喰われるだけの恵方巻きになってンじゃねェぞ!」
一方通行「狩人を楽しませる恵方巻きになってみせろよォォォ!!!」
さやか「んなむちゃくちゃな」
ほむら「同感ね」
風斬「あ、あはは……」
まどか「こんなの絶対おかしいよ……」
マミ「頭がティロティロしてきたわ」
QB「わけがわからないよ」
一方通行「さァァァァて、仕上げと行きますかァァァァ!」
魔女が弱ってきたのを確認し、一旦距離をとる。
そして宙を仰ぐように、一方通行が両手を広げた。
一方通行「圧縮、圧縮、空気を、圧縮ゥゥ!!」
一方通行の両手から空気が渦巻き、圧縮され、プラズマの塊へと変わってゆく。
さやか「……元気玉?」
ふと呟くさやかの言葉を受け、ほむらが氷華に視線を送る
風斬「ち、違うと……思う」
元気のベクトル操作なんてできるのだろうか
彼ならやりねないが……
一方通行「消し飛びやがれェ!」
呆然と眺める彼女たちの目前で、魔女の体がプラズマに巻き込まれ、消し飛ぶ。
さやか「やった?」
ほむら「まだよ」
だが魔女のほうもなかなかしぶとく、頭部だけで一方通行に喰らいつこうとする。
一方通行「なかなか頑張るねェ!」
一方通行が大きく開いた魔女の口に飛び込み、つっかえ棒のような体制になる。
当然、反射が働いているため魔女の口が閉ざされることはない。
一方通行が魔女の口内で体を屈め、再度伸ばす。
奇怪な音を撒き散らしながら、魔女の頭部がチーズのように綺麗に上下真っ二つに裂けた。
一方通行「おーおー、おしゃぶり上手なツラになりやがって」
上下真っ二つに別れた魔女の頭部をその辺に放り投げながら、愉快そうに呟いた。
一方通行「翼を出すまでもなかったが……まァこんなもんか」
着地し、辺りを見回す。
一方通行「……景色が戻らねェな」
QB「魔女は魔法少女でしか倒せないからね」
一方通行「あン?」
ほむら「っ!」
一方通行が投げ捨てた魔女の残骸が再生しつつあるのを視認。
ほむらが慌てて銃器を取り出すが、それよりも早くマミの銃弾が魔女を撃ち抜いた。
魔女がグリーフシードへと姿を変え、結界が消滅する。
―――
――
―
さやか「お、終わった……?」
まどか「よね……?」
ほむら「そうみたいね……」
マミ「……」
ほむら「……大丈夫? 怪我は無い?」
マミ「ええ……大丈夫よ」
ほむら「……さっきは、ごめんなさい」
マミ「え?」
ほむら「その……酷いことを言ってしまって……」
マミ「ああ……気にしてないわ」
マミ「それに……あなたの話を聞かなかったこちらも悪いんだし……」
ほむら「……そう言ってもらえると、助かるわ」
マミ「それに……氷華さんも、ごめんなさい……頭に血が登ってしまって……」
氷華「ううん、気にしてないよ」
さやか「……なんかあったの?」
まどか「うん、ちょっとね」
さやか(なんだろうこの疎外感)
一方通行「オイ、帰ンぞ。人工天使」
一方通行(なんでこいつこんな格好なんだ?)
風斬「あ、一方通行さん……え、えっと……それは……」
風斬(黒色の服も持ってたんだ……)
一方通行「……あァ、そういや帰れねェンだったか」
昨夜の10430号との会話を思い出す
あれで実は必要な情報は伝えていたのだ
当然、魔法少女のことも
一方通行「ってこたァ、そこのおかしなコスプレした奴らが噂の『魔法少女』ってわけか?」
マミ「おかしな……」
ほむら「コスプレ……」
まどか「に、似合ってるよ二人とも!」
さやか「それ励ましになってないよね」
風斬「え、えーと……そうなりますね……」
一方通行「……なンつーか、メルヘンすぎるだろ」
マミ「巴マミです、さっきは助かりました……」ペコリ
一方通行「マスケット銃なンて時代遅れなもン使ってるからだボケ」
マミ「……気に入ってるのに」グスッ
まどか「あ、か、鹿目まどかです」ペコリ
一方通行「おう」
さやか「え、えーっと、美樹さやかちゃんでーす!」
一方通行「本編は無理でもスピンオフなら活躍できそうだな」
さやか「それどういう意味ですかね」
ほむら「……あ、暁美ほむら……です……」
一方通行「……」
ほむら「……」コソコソ
一方通行「なンで風斬の後ろに隠れてやがる」
ほむら「……と、特に理由は……ないです……ないわ」
風斬「だ、大丈夫だよほむら……顔は凶悪だけど根はイイ人だから!」
一方通行「オイ」
風斬「取って食べたりはしないよ……ですよね?」
一方通行「オマエはオレをなンだと思ってンだよ! さすがのオレも人を食ったことは……」
風斬「……」
一方通行(……指ガムはどうなンだ?)
ほむら「……」
一方通行「……まァそれは置いといてだな」
風斬「今の間はなんですか!?」
一方通行「うるせェ、グレーだ。うン、グレーだ」
風斬「何がですか!?」
一方通行「いいから話を進めやがれ!!」クワッ
ほむら サッ
風斬「駄目ですよ、ほむらが怖がってるじゃないですか!」
一方通行「知らねェよ!!」
さやか「つーかあんた、何でそんなにビビッてんのさ」
ほむら「お、男の人は苦手なのよ……」
まどか「ほむらちゃんにも弱点があったんだね……」
マミ「今までのイメージが崩れていくわ」
さやか「確かに凶悪な顔だもんねー」アハハ
一方通行「どォも愉快な死体になりてェらしいな」
さやか「すみません」
一方通行「チッ……ンで、オマエは一体なんなんだ?」ヒョイ
QB「僕が見えるのかい?」
一方通行「その言い方だと何かしらのステルス機構がついてるみてェだな。だがオレの”反射”にそンなチャチな仕掛けは通じねェぞ」
一方通行「ついでにオマエが何者かも調べさせて……?」
風斬「どうしましたか?」
一方通行(なンだコイツ……構成物質の中に未知の物質が混じってやがる)
一方通行(だが、あのメルヘン野郎のとはまた違う……もっと”現実に即した”つくりだ)
一方通行(どっかのバカが開発した遠隔操作もしくは自立思考型の兵器かと思ったが……)
一方通行(かといって魔術でもねェ……クソッ、全然わかンねェぞ)
一方通行「……オマエ、”どこの技術”だ」
QB「……」
マミ「えっと、その子はキュゥべえって言って……」
一方通行「名前なンざどォでもいい。重要なのはコイツが何かってことだ」
マミ「妖精さんじゃないの?」
さやか「えっ」
風斬(それはない)
一方通行「チッ、役に立たねェな……」
ほむら「……私たちはそれと契約して、魔法少女になったの」
一方通行「なるほどなァ……オマエ、本当にこの星の生き物か?」
マミ「えっ」
まどか「う、宇宙人、とか?」
さやか「まっさか~」
風斬「……確かに……それなら、納得がいきますけど……」
ほむら「……」
一方通行「5秒以内に答えろ、じゃねェとミンチだ」
QB「……凄いね、そんなことまで分かるのか」
一方通行「ハッ、学園都市最強は伊達じゃねぇよ」
QB「学園都市、ね。なるほど……」
一方通行「あァ?」
QB「この星の生き物じゃない、というのが他惑星から来たということを表すのなら、君の言ってることは正しいね」
なんか中途半端かもだけど本文ここまでだよ
とある幕間の魔女図鑑
魔女<CHARLOTTE(シャルロッテ)>
『お菓子の魔女 性質は執着』
,-‐- 、
,..-──- 、 i `ヽ、
-‐ 、_ ,.:::':::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ、 | 、─ '
`゙'ー- 、,∠:::::::::::::::;.-‐-v' ⌒`ヽ,‐、ヽ.j ┌.’
テ , , _,., 二> ゙、:、lヽ=======ヘ==== 。 。 o 。
゙ー‐''"´`'7"::`''"´::::::;:ゝ ___ ゝ /,' ̄ ̄ .l | ヘ Σ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 'ニヽ 。
/:::::::::::::::::::::{ // ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.| | ろ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄//‐゙i |l .il i
/:::::::::::::::::::::::;-゙ | | | | Σ | | l ・.l___l.ー'ノ !
/::::::::::::::::::::::::( . u: : ..!l | | ) !ヽー'ノ o 。
/::::::::::::::::::::::::::丶: : : : : :`ー――――――| | ⌒―――――――― `ー' 。. | | o
i:::::::::::::::::::::::::::::::::7 : : : : _ /| | |ヽ======/l 。| | 。
.l:::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ ∠-‐-` i‐/ | | | | | | 。 .| | 。
l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ー''、. ,、__ノ/ | | ``ー┬───┬‐' ' | |
|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ー─';;:.ィ | | | | │ | |
.|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: √ ̄ .| | | | │ | |
.|:::::::::::::/"⌒i::::::::::::::::::::::::::丿 .``━━━━━━| | │━━━━━'
.|:::::::::::::! ノ:::::::::::( )::::/ | | │
─'──‐゙─'────"───────────────.| | │─
マミったという単語のもととなった偉大な魔女
「結界の中で菓子食いながら大好物のチーズの到来を心待ちにしていたらモヤシがきてボコられたあげく豆腐に撃ち抜かれた」
ヘルシーな食生活を心がけましょう
シャルちゃんのご冥福をお祈りします
たとえ誰に理解されなくとも、男の人に弱い中身メガほむなほむほむが僕は好きです
前回のあらすじ
一方通行「ベクトルスマーッシュ!!」
シャル「ぐわああああ!!」
多分こんな感じ
ちなみに今回はちょっと展開が駆け足かも
ソウルジェム
「固形魂魄」
一方通行「へェ……ずいぶン正直に話すじゃねェか」
QB「黙っている理由も特にないしね」
一方通行「キュゥべえとかいうふざけた名前も偽物だろォが」
QB「そうとも言えるし、そうでないとも言える。一応、本質を表すと言う点では、『インキュベーター』が僕らの本名さ」
一方通行「ならインなンとか、オマエらは宇宙から魔女っつゥ怪物を持ち込ンだクソッたれな宇宙生物ってことでイインだな?」
QB「まさか、魔女を生み出すのは君たち地球人だよ」
QB「願いから生まれ、希望を振りまくのが魔法少女」
QB「そして呪いから生まれ、絶望を蒔き散らすのが魔女さ」
ほむら「でも、あなたたちがこの星に来なければ魔女は現れなかったのじゃないかしら」
一方通行「……となると、魔女を生み出すシステムを持ち込ンだわけか」
QB「……」
一方通行「おやおやァ? 違うなら違うって言ってイインだぜェ?」
QB「……まあ、訂正するほどの間違いはないね」
一方通行「……テメェ、イイ度胸してンじゃねェか。ブチ殺される覚悟はイイか?」
QB「どうしてだい? このシステムは君たちにとっても――」
一方通行「イイこと教えてやるぜ、クソ野郎」
一方通行「ここは地球だ、胡散臭ェ宇宙人の侵入はお断りってなァ」
一方通行の脳内で膨大な量の演算が行われ、それを補助するために首のチョーカーがフル稼働
QB(これは……)
キュゥべえをつかむ右手に、足元から伝わる力、すなわち自転のエネルギーを集中させる。
一方通行「元の星に、帰りやがれェェェェェ!!」
一方通行が大きく振りかぶり、キュゥべえを”射出”する。
QB「わけが」
自転のエネルギーをその小さな身に受け、極限まで加速されたQBは重力を振り切る。
そして、遥か上空で燃え尽きた。
一方通行「ハッ、楽勝じゃねェか。宇宙人」
ほむら「……一匹倒したところで無駄なあがきですよ……すぐにスペアが補充されるので……」
一方通行「スペアだと?」
ほむら「え、ええ……ほぼ無限に……」
一方通行「マジかよ……二万体倒したらクリア、ってこたァねェよな」
はァ、と一方通行がため息をつく。
風斬「え、え~と、つまりどういうことですか?」
一方通行「大方、アイツらが魔女とやらを生み出すシステムをこの星に持ち込ンで、その尻拭いをコイツらにさせてるってとこだろ」
一方通行「チッ、自分で出したゴミくれェ自分で処理しやがれってンだ」
ほむら「……」
風斬「でも、なんでそんなことをしたんでしょうか……」
一方通行「地球侵略でもするつもりだったンじゃねェか? どォでもイイけどな」
一方通行「ンなことより、オマエは大丈夫なのかよ」
風斬「わ、私ですか? 特に何も問題はないですけど……」
一方通行「ここから出られねェ理由は?」
風斬「そ、それが……わからないんです……」
一方通行「……あのヘンテコ地球外生命体に何かされてるのかもしれねェな」
風斬「そ、そうですか?」
一方通行「少し調べるぞ」
風斬「え?」
一方通行がおもむろに風斬に近づき、彼女の顔を両手で包む。
突然の出来事にその場に居た全員が言葉を失う。
風斬「ひゃっ! え、ええと、え?」
一方通行(柔らけェな……AIM拡散力場の集合体とは思えねェ)
風斬「あ、あ、あく、一方通行さん……?」
一方通行「すぐ終わる」
自身の能力を駆使し、風斬の体に異常が無いか調べる一方通行
対して風斬のほうは、何か言いたげに口をパクパクさせながらも、おとなしく彼の為すがままにされていた。
一方通行(……確かにAIM拡散力場の集合体なのは間違いねェ)
一方通行(だが、それだけじゃねェ。『何かしらの力』が混ざってやがる)
風斬「あ、あう……」
風斬から手を離し、しばし考え込む一方通行
風斬「え、えと……」
一方通行「……オマエを構成している力場に、何かしらの力が介入してやがる」
一方通行「それが何かはわからねェが、どうもオマエの体を縛り付ける糸のような働きをしてるみてェだな」
風斬「は、はあ……」
一方通行「ソイツを取り除けばどうにかなりそうだ」
風斬「……」
一方通行「だがそれがなにかわからねェな……」
風斬「そ、そうですか……じゃなくて!」
一方通行「あン?」
風斬「そ、そういうことをするなら前もって言ってくださいよ!」
一方通行「調べるって言ったじゃねェか」
顔を真っ赤にしてまくし立てる風斬に対し、一方通行は涼しい顔で対応する。
風斬「わ、わかりませんよ……それだけじゃ……」
一方通行「そォか、悪かった」
風斬はまだ何かブツブツといっているが、相手をしてもキリがないのでほうっておく。
風斬「……どうして私の周りの男の人はこうなんだろう……」
周りの男の人といっても、親しいのはあと一人くらいしかいない
しかもそれがツンツン頭のフラグクラッシャーな時点でお察しくださいのレベルなのだが……
一方通行「ンで、オマエらはどうなンだ?」
スイッチを通常モードに切り替え、先程の光景をなんともいえない表情で眺めていた少女たちに話を振る。
マミ「ど、どうって……」
ほむら「……」
一方通行「宇宙人と何かしらの契約を取り交わし、『魔法』を扱う能力を得た」
一方通行「そう考えると、オマエらの体にも”何かしらの細工”がされてると考えるのは自然だろォが」
ほむら「……」
一方通行の言葉を受け、ほむらがソウルジェムを出現させる。
ほむら「契約の対価に、私たちの魂は体から抜かれ、このソウルジェムへと生成される……」
一方通行「魂、だと? ならオマエの体にはなにが入ってンだ?」
ほむら「……中身の無い、ただのハードウェアです」
ほむらが横目でマミの様子を見やる。
ショックを受けた様子だったが、どこか納得したような表情でもあった。
一方通行(『身体の乗り換え』と『魔力による身体の強化』が同時にできるってわけか……すげェ技術だな)
ふと”新入生”との戦闘を思い出す。
自身をコアとして様々な駆動鎧を状況に応じて使い分ける”シルバークロース”
身体そのものに様々なオプションを設置し、その能力を極限まで強化した”黒夜海鳥”
これは”新入生”を率いていた二人の最終到達地点ともいえる。
一方通行「なるほどな、”兵器”としちゃァ便利なつくりだ」
風斬「あ、一方通行さん! そんな言い方は……」
一方通行「オレ達高位の能力者だって、脳に電極ブッ刺されたりしてさんざん弄繰り回されたあげくやっと使えるようになる」
風斬「そ、それは……」
一方通行「原石でさえ調整ナシってわけにはいかねェ、力ってのはそういうもンだ」
一方通行「それに、生身のまま戦うわけにはいかねェだろ」
風斬「……」
マミ「……証拠は、あるの?」
一方通行「……?」
さやか「マミさんの言うとおりだよ……キュゥべえは一言もそんなこと言ってなかったし。あんたが勝手に話を作っただけじゃないの?」
一方通行(ナルホドな……情報を与えずに契約を迫ったってわけか)
ほむら「……」
さやか「大体、マミさんが知らないことを何であんたが知ってんのさ」
まどか「さ、さやかちゃん……」
風斬「た、確かに……そう、だけど……嘘は言ってないと思う……」
さやか「……」
マミ「あなたのことを信じてないわけではないの。でも、やっぱりこういうことは……」
一方通行「まァ……ソイツらの言うとおりだな」
風斬「一方通行さんまで……そんな……」
まどか「でも、証拠なんて……どうやって……」
ほむら「ソウルジェムから肉体が100m離れると、私は"死ぬ"わ」
マミ「……!」
さやか「嘘……でしょ」
ほむら「嘘かどうか、確かめてみて」
まどか「で、でも……そんなことしたらほむらちゃんが……」
ほむら「大丈夫よ、また圏内に戻れば元通りになるから」
まどか「で、でも……」
ほむら「氷華、お願いできるかしら」
風斬「……わかった」
ほむら「……ごめんなさい。こんなことをさせてしまって」
風斬「……ううん……気にしないで」
ほむら「……巴マミ、私の死亡確認はあなたがおこなって」
マミ「私が?」
ほむら「ええ……この二人には、荷が重すぎるわ」
マミ「そうね……わかったわ」
風斬がほむらのソウルジェムを持ち、こちらを窺いながらもゆっくりとその場を離れる。
ほむら「……」
ほむら(やっぱり、怖いわね……)
遠ざかる風斬の背中を見ながら、迫り来る”死”に備える。
心配そうに見守っていたまどかが、ほむらに手をのばす。
そこで、彼女の意識は途切れた
マミ「……!」
慌ててマミが彼女の体を抱きとめる
まどか「ほむらちゃん!」
さやか「嘘……」
まどか「ほむらちゃん! しっかりして!」
さやか「……な、何かの冗談だよね……だって……」
一方通行「騒ぐンじゃねェ。オイ、さっさと脈拍と呼吸を調べろ」
マミ「……ええ」
二人が混乱したことで逆に落ち着けたのか、マミが冷静にほむらの呼吸や脈拍などを調べる。
マミ「……信じたくはないけれど……事実なのね」
さやか「……嘘……でしょ」
まどか「ひ、氷華さん、早く、早くソウルジェムを、ほむらちゃんが……」
風斬「……私には、詳しいことはわからない」
ソウルジェムをほむらの手に優しく握らせながら、風斬が言葉を紡ぐ。
風斬「でも、この子は本当にあなたたちを救おうとしてる」
風斬「それだけは……わかって欲しいの……」
マミ「……私も、少し考え方を変えないといけないみたいね」
風斬「……一方通行さん」
一方通行「……」
風斬「帰る方法を探すのは……今はできません……」
一方通行「……」
風斬「すみません……わがままだってことはわかってます」
風斬「この子も……ほむらも、大切な友達だから」
一方通行「……チッ……勝手にしやがれ」
風斬「……すみません」
一方通行「ただし、オマエだけ残すわけにはいかねェ」
風斬「え?」
一方通行「オレもこっちに残る」
一方通行「学園都市の情勢にもよるが、オマエを連れ帰るまで帰るわけにはいかねェからな」
風斬「あ、ありがとうございます!」
一方通行「勘違いすンじゃねェぞ。オマエにはでかい借りがあるからだ。じゃなけりゃ、第一位お手製の愉快なオブジェにして学園都市に宅配してるところだ」
風斬「ご、ごめんなさい……」
一方通行「……まァ、オマエとやりあって無事で済むたァ思えないけどな」
その言葉と宿泊先だけ言い残して、彼はさっさと去ってしまった。
一方通行(チッ……ガラにもねェことを……)
―――
――
―
どうも、釈然としない
宿泊先のホテルの一室で、一方通行は先程の出来事について考えていた。
魔女を創るシステムを持ち込み、一方でそれを潰すための魔法少女という兵器を産み出す。
その行為に、何の意味があるのか。
『インキュベーター』の目的はなんなのか。
一方通行(『托卵機』か、あるいは他の意味を表すのか……)
一方通行(いや……そもそも全然関係ねェ可能性もある)
何にしても、情報が少なすぎる。
一方通行(あの黒いの、ほむらとか言ったか……アイツは何か知ってるみてェだが……あの様子じゃ簡単には話さねェだろォな……)
まあ、"そういうこと"は風斬に任せればいいだろう、と彼は考える。
そして、ある人物に連絡をとるために携帯電話を取り出す。
一方通行「……ここまでやる義理もねぇが、宇宙人相手にドンパチってのも悪くねぇ」
数回のコール。
目的の人物が電話に出る。
土御門『よう、”外”の気分はどうだ? 一方通行』
一方通行「何も変わンねェよ。ンなことより、めンどくせェことになった」
土御門『めんどくさい、だと? お前がか?』
一方通行「あァ、とてつもなくメルヘンなことになってやがる」
土御門『もったいぶるな、さっさと言え』
一方通行「……魔法少女と接触した」
土御門『……』
一方通行「……」
土御門『……笑えない冗談だな』
一方通行「チッ……冗談を言うためにオマエに電話なンざしねェよ」
土御門『それで、何が問題なんだ?』
一方通行「理由はわからねェが、風斬がこの町から出られねェ。その上、宇宙人のおまけつきだ」
土御門『宇宙人だと?』
一方通行「なンだ、ソッチには食いつくのかよ」
土御門『いや……』
一方通行「あン?」
土御門『……詳しく聞かせろ』
………
……
…
土御門『魔法少女に魔女。そして地球外生命体、か……』
一方通行「天使とやりあったかと思えば次は宇宙大戦争ってのも、シャレにならねェな」
土御門『確かに面倒だ。それに……』
一方通行「……?」
土御門『今回のこと、間違いなくアレイスターも一枚噛んでいる』
一方通行「チッ……やっぱりな」
土御門『気をつけろよ。今回は事情がいつもと違う』
一方通行「ハッ……オレを誰だと思ってやがる」
土御門『……ま、それもそうだな。一応、こっちでもそれなりに情報は集めておく』
一方通行「あァ、悪ぃな」
土御門『そこはありがとうございます、だにゃー』
一方通行「……」ピッ
一方通行「……寝るか」
―――
――
―
土御門「……切りやがった」
土御門「まあいい……それにしても、魔法少女とはな」
先程の一方通行との会話で得られた情報をまとめなおす。
魔女
魔法少女
地球外の生命体
土御門(キーワードはこの三つ)
地球外の生命体に関しては、宇宙開発の施設がある第二三学区をあたるのが妥当だろう
他の二つに関しては、”あちら側”のほうが詳しいはずだ
土御門「魔女といえば、やはりアイツ、か」
携帯を操作し、ある番号へと発信する。
土御門「……よう、おっひさー」
『……何の用だい? 僕は今タバコを吸うので忙しいんだが』
土御門「まあそう言うな。ところでお前さん、実は魔法少女だったりするのかにゃー?」
『……』ブツッ
土御門「ちょっ」
土御門「…………切りやがった」
シスコン軍曹さんとステイルさんじゅうよんさいに連絡がいったところで今回は終了だ
そして始まる小ネタ
風斬「思ったんですけど……一方通行さんって、やっぱりロリコンなんじゃ……」
一方通行「喧嘩売ってンのかテメェ」
風斬「だ、だって……こんなこと(>>280らへん)しても平気ですし……」
一方通行「だからってオレがロリコンになる理由にはならねェだろォが!!??」
まどか「……」
ほむら「……」
一方通行「オイ待てそこの二人何ひいてやがる」
風斬「MNWのローカルルールにも『あの人はロリコンだから希望を持ってはいけない』って書いてありましたし……」
一方通行「ローカルルールってなンなンですかァ!? っていうかMNWかよ!?」
風斬「あ、でも中学生もババア扱いだって書いてありましたよ」
さやか「うわあ……」
マミ「まあ、でも……安心ね」
一方通行「ラァァァァァァァァストオォォォォォダァァァァァ!!!!!!!!!!!!」
『ミサカは電波の届かないところにいますってミサカはミサカは――』
一方通行「チクショオォォォォォォォ!!!!!!!!!」
ほむら「本編とは関係ないわよ」
まどか「フィクションだね!」
一方通行「みンな騙されてる……打ち止めに騙されてるンだ……!」
ソウルジェムに禁書っぽい当て字考えたけどあれが限界だった
MNWのローカルルールは破ってはいけない(戒め)
風斬「なんだか!」
マミ「しっくり!」
仁美「くる!」
詢子「メンツ!」
とかあったりしないかな?w
絶望が希望になったら一方さんはなにを壊してるんだww
てとす
>>331
やっちまった……ちくせう
よし、久しぶりに投下するか
友情とは何なのか
友人とは何なのか
悪魔と友達ごっこをするだけの傀儡には分からない
私が欲しかったのは、友達なのか
―――
――
―
QB「聞かれなかったからさ。 知らなければ知らないままで、何の不都合もないからね」
何故、私たちに隠していたのか
そう質問したマミに対して、白い宇宙生物はいつもの無表情を崩さないまま、淡々と答えを返す
風斬「聞かれなかったって……そんな理屈通るわけ……」
QB「むしろ便利だろう?」
QB「心臓が破れても、ありったけの血を抜かれても、その身体は魔力で修理すれば、すぐまた動くようになる」
QB「ソウルジェムさえ砕かれない限り、君たちは無敵だよ」
QB「弱点だらけの人体よりも、余程戦いでは有利じゃないか」
マミ「……」
さやか「だからって、そんなの……まるで、ゾンビみたいな……」
まどか「さ、さやかちゃん……」
さやか「っ……ご、ごめん、その、あたし……」
ほむら「いいわ、事実のようなものだもの」
マミ「……ええ」
さやか「……ごめん、二人とも」
QB「君たちはいつもそうだね。 事実をありのままに伝えると、決まって同じ反応をする」
QB「訳が分からないよ。 どうして人間はそんなに、魂の在処にこだわるんだい?」
風斬「……そのことを最初に伝えなかったのは、やましいことだと自覚してたからじゃないんですか?」
QB「どう受け取ってもらっても構わないよ。 僕らがこの事実を伝えなかったのは効率を重視した結果だしね」
QB「それに、本来ならマミはあの時の事故で死んでいるんだよ?」
QB「どちらを選んでも、死体であることに変わりはないんじゃないんかな。 もっとも、魔法少女を死体と言うのは少し語弊があるけれどね」
マミ「……」
さやか「っ……あんたねえ!」
まどか「ひどいよ、そんな言い方ってないよ!」
ほむら「無駄よ、二人とも。 こいつはこういう奴なのよ」
QB「やれやれ……」
マミ「……」
ほむら「……」
マミ「……紅茶を入れてくるわ。 みんなも、喉が乾いたでしょ?」
弱々しい笑顔を浮かべ、マミがキッチンへと向かう
まどか「マミさん……」
さやか「あんた、何とも思わないの?」
QB「まあ、君達との契約がうまくいきそうにないとは思っているよ」
まどか「そういうことじゃなくて……」
さやか「こいつ……」
風斬「なんだか、怒る気にもなれない……」
ほむら「……彼女の様子を見てくるわ」
さやか「あたしも行くよ」
まどか「わ、わたしも!」
ほむら「いえ、あなたたちはここで待っていて」
まどか「でも……」
ほむら「……お願い、少し二人で話したいの」
まどか「……うん」
さやか「まあ……わかったよ」
QB「いいのかい?」
さやか「ここにあんたがいること?」
風斬「いいわけないじゃない」
QB「いや、そういうことじゃなくて……彼女達を二人っきりにすることだよ」
まどか「あなたが行くよりは何万倍もましだと思う」
さやか「そうだー、かえれかえれー」
QB「やれやれ……えらく嫌われたものだね」
さやか「自分を騙そうとした相手をどうやって好きになるのよ……」
QB「騙そうとしたつもりはないんだけどね、嘘をついた覚えはないし」
風斬「でも、伝えるべき情報を伝えていなかった」
QB「この世には、気付かないままのほうが良かった真実などいくらでもあるだろう?」
QB「長年魔法少女をやってきたマミだってこの事実に気付かなかったんだ。 繰り返すけれど、別に知らなくても不都合はないと思うよ」
さやか「……どんな理由があれ、胸の内を曝け出せないってのは……とても悲しいことだと思うよ」
QB「残念ながら、僕らには君達のように感情があるわけじゃないからね」
QB「それに、“情報を伝えていない”という点では……暁美ほむら、そして風斬氷華、君も同じじゃないのかい?」
まどか「あ……あの時の……」
暗闇の魔女との戦闘時に彼が告げた、“風斬氷華は人間ではない”という言葉を思い出す
風斬「……」
さやか「それとこれとは話が違うんじゃないかな……」
QB「あまり変わらないと思うよ。 僕も聞かれれば答える用意はあったわけだし」
まどか「……話を逸らすのがうまいんだね」
QB「そうかい? そんなつもりはないんだけどなあ」
風斬「……私はほむらに話した、自分がどんなつくりで、どんな存在かということを」
風斬「もちろん、この子たちにも話してもいいと思ってる。 でも、あなたは別」
QB「なるほどね。 だったら君は暁美ほむらについても知ってるのかい?」
風斬「……うん、もちろん」
QB「そうか……まどか、さやか、ほむらと出会ったのはいつのことだい?」
まどか「……? 転校してきた時が初めてだけど……」
さやか「それがどうかしたの?」
QB「さあね。 ただ不思議に思っただけさ」
風斬「……?」
QB「そもそもおかしいと思わないのかい? 長い間魔法少女を続けてきたマミでさえ気付かなかった事実を彼女が知ってるという事が」
まどか「そ、それは……」
QB「まあ、実際はそれだけじゃないみたいだけどね……それに、まるでどこに魔女が現れるのか前もって知っているような動きも見せていたしね」
さやか「勘がいいとかじゃないの?」
QB「こちらに来て日が浅いのにこの町の地理にも詳しいようだけど」
さやか「下調べを念入りにしていたとか?」
QB「病人であるはずの彼女がかい?」
さやか「それはあんたと契約したから……」
QB「僕は彼女と契約した覚えはないんだけどなあ」
まどか「で、でもほむらちゃんは現に魔法少女なんでしょ?」
QB「そうだね、だからこそ疑問が残る」
QB「……さて、風斬氷華。 君はこの疑問に答え得る回答を持っているのかい?」
風斬「そ、それは……」
QB「やはりそうか。 彼女は君にも話していないようだね」
風斬「……そ、それでも、私はあの子の助けになるって決めたの」
QB「彼女の目的がわからない以上、いい判断とは思えないよ」
さやか「う……言われてみると確かに……」
まどか「き、きっと悪いことじゃないと思うよ……うん……」
風斬「……目的なら、知ってる」
QB「……」
風斬「友達を助けるんだ、って、そう言ってたから……」
QB「それを証明する術がない以上、彼女の虚言であるとも言える」
風斬「……そんなこと、ない」
風斬「守りたい友達がいる、そういったあの子の顔はとても辛そうで、寂しそうだった」
風斬「でも……どこか懐かしげで、誇らしかった」
風斬「だから私は、あの子は……ほむらは嘘をついてないって、そう言える」
まどか「……氷華さん」
QB「なるほどね、でもそれは君の言い分でしかない」
さやか「まあ……確かに……」
風斬「……」
QB「……」
白い生命体が窓際へと移動する
QB「ところで、先ほどの彼……一方通行といったかな?」
風斬「……いきなり何を」
QB「彼の能力を補助しているものがこの近くにもいるようだね」
風斬「!?……なっ」
QB「なるほどね……ありがとう、氷華」
彼の体が景色に溶け込んでいく
「君の反応で確信が持てたよ」――その言葉を残し、その場から消え去った
まどか「消えた……?」
風斬(ミサカネットワークに気付かれた? でも、それでどうにかできるような人たちじゃないはず……)
さやか「……あー、もう! いろいろあって頭がこんがらがっちゃうよ!」
まどか「うん……わたしもちょっと……」
風斬(一応、一方通行さんに伝えといたほうがいいかな)
◆◇◆
何度繰り返しても、この雰囲気に慣れることはない
私はただ、真実を伝えているだけなのに
手元のティーカップを眺めたまま静止している、巴マミ
彼女にどう声をかけていいのかわからないまま、私は呆然と立ち尽くしていた
「……どうしたの?」
視線を手元から動かさないまま、彼女が私に問う
「……」
言葉が出ない
何も思いつかない
「ごめんなさい、少し考えことをしていたから。 すぐに淹れるわね」
「……あの」
彼女が顔を上げ、視線と視線がぶつかる
開きかけた口を閉じ、彼女の視線から逃げるように俯く
「……大丈夫よ、確かにちょっとショックだったけどね」
「そう……」
嘘だ
彼女にとって魔法少女が、そして”キュゥべえ”がどれほど心の支えになっていたか、私は知っている
そしてその『幻想』が壊れたとき、彼女がどうなるかも
「なら、いいわ」
『……ほむらは、あの人のこと嫌いなの?』
今なら、違うと言い切れる。この人も私に何かを与えてくれた人だから
「これで分かったでしょう? あの二人を魔法少女にするわけにはいかない」
「……ええ、そうね」
彼女の表情に浮かぶのは、大きな落胆
当然だ、誰よりも仲間を欲しがっていたのだから
強がっていても――とても、とても寂しがりやな少女なのだから
「その代わり……」
同じ魔法少女としてあなたの傍にいると、あなたの支えになってあげる
そう言えば、彼女は救われるのだろうか
私には、そんな資格も勇気もないのに
「その代わり?」
「今度から共闘……というのはどうかしら?」
「……ふふ、嬉しい提案ね」
彼女が手を差し出す
「こちらからもお願いするわ、暁美さん」
だから、と彼女が言葉をつなぐ
「そんな泣きそうな顔しないで、ね?」
「……地顔よ」
小さく微笑む彼女の手を、強く握った
◆◇◆
マミ「あの……病院でのことはごめんなさいね」
ほむら「いいわ、私の言い方も悪かったのだし」
マミ「確かに……ちょっと傷付いたかな」
ほむら「ご……ごめんなさい……」
マミ「そんなに素直になられると、逆に困っちゃうわ」クスッ
ほむら「……悪かったわね、素直じゃなくて」ムスッ
マミ「怒っちゃった?」
ほむら「怒ってない」
マミ「そう、ならよかったわ」クスクス
ほむら「むぅ……」
マミ「……ところで、ソウルジェムについてなんだけど」
ほむら「ええ……」
マミ「彼が……キュゥべえが話していないことは、まだ他にもあるの?」
ほむら「もちろんよ……ただ、それを話すことはできない」
マミ「どうして?」
ほむら「……口にするのもおぞましい、と言ったら?」
マミ「そ……それは聞きたくないわね……」
ほむら「でも、いつかは話すことになると思う。 その時は覚悟しておいてください」
マミ「え、ええ……」
マミ「それにしても……まさか魔法少女にこんな秘密があったなんてね」
ほむら「……私も初めて聞いた……いえ、見た時は、驚きました」
マミ「あなたも大変だったのね……」
ほむら「私は慣れてるから……でも……」
マミ「大丈夫、心配しすぎよ……ただ……」
ほむら「?」
マミ「やっばり、思ってしまうわね……」
マミ「結局私は、動く死体でしかないのかな、って……」
ほむら「そんなこと……」
さやか「そんなことないですよ!」
マミ「み、美樹さん?」
まどか「だ、ダメだよさやかちゃん……」
ほむら「あなたたち、いつから……」
さやか「細かいことは気にするなー!」
まどか「キュゥべえがどっか行っちゃって……」アハハ
風斬「そ、それで様子を見にきたの……覗き見とかそんなんじゃ……ない、うん」
さやか「それはともかく、マミさん!」
さやか「あいつの言うことなんか気にしちゃ駄目ですよ!」
ほむら「人のことをゾンビ呼ばわりした口でよく言うわね」ハァ
さやか「うっ!」ギクッ
まどか「あ、あはは……」
さやか「あ、あれは……謝ったじゃん……」
ほむら「ええ、全然気にしてないから問題ないわよ。 あなたのことだし」
さやか「どういう意味よ……」
マミ「まあ、美樹さんらしいわね」
さやか「ちょっ!? マミさんまで!」
マミ「ふふ、冗談よ」クスッ
ほむら「あなたもゾンビになりたくなければ契約はしないことね」
さやか「あんた、根に持つタイプ?」
ほむら「さあ?」
風斬(喧嘩するほど仲がいい……かな……?)
マミ「はいはい、喧嘩しないの。 でも、暁美さんの言う通りね……」
風斬「他にも何か隠してそう……」
ほむら「ええ、その通りよ」
まどか「ほむらちゃんは知ってるの?」
ほむら「……一応は」
さやか「もったいぶらずに教えて欲しいんだけど」
ほむら「聞かないほうがいいわ……特に、巴マミはね」
マミ「……もしかして、いろいろと手遅れだったり?」
ほむら「……」
マミ「どうして黙るのよ……」
ほむら「ごめんなさい……」
マミ「怒ってるわけじゃないわ……あなたも同じ魔法少女なのだし、立場は同じだもん」
さやか「でもさ、何でマミさんが知ってないことをあんたが知ってるの?」
ほむら「……いずれ話すわ」
さやか「いずれって、いつなのさ……」
風斬「きっといつか話してくれるよ、ね?」
ほむら「もちろんよ」
さやか「いや、でも……」
まどか「わたしも気になるけど……そんなに、急がなくてもいいと思う」
さやか「……二人がそう言うのなら、まあ、許してやろう」
ほむら「何様なのよ……」
さやか「調子のりました」テヘッ
まどか「……うん、まあ……うん」
さやか「ごめん……」
ほむら「とりあえず、しばらくは共同で魔女狩りね」
マミ「そうね……あの、風斬さん達はどうするの?」
風斬「力になれるなら……なりたいと思う」
ほむら「ええ、是非お願いするわ」
マミ「それはうれしいのだけれど……その……」
風斬「私が何なのか、やっぱり気になるよね……」
マミ「……」
風斬「あの子……キュゥべえが言うように、私は人間じゃない」
ほむらに話したように、風斬が自らのつくりについて簡単に説明する
マミ「力場の集合体……人工天使……」
まどか「わけが……」
さやか「わからないよ……」
ほむら「とりあえず、顔面を吹き飛ばしても大丈夫だったわ」
さやか「そんなバイオレンスなこと言われても困るよ」
風斬「じゃあ……やってみる?」
さやか「やめて!」
マミ「と、ともかく……すごいのはわかったわ」
まどか「えっと……どうしてここに来たとかは……」
風斬「全然わからないの……」
ほむら「もう一人、あの男の人について聞いていいかしら?」
風斬「一方通行さん?」
さやか「外人?」
マミ「粒子加速器?」
まどか「えっと、赤い果物で……」
ほむら「それはアセロラ」
さやか「まどか、大喜利じゃないよ」
まどか「……」
風斬「一方通行さんも協力してくれると思う……見た目はあんなだけど、今は悪い人じゃないし……」
さやか(言動もちょっとあれだったような……)
マミ「いいのかしら……無関係な人を巻き込んで」
ほむら「魔女退治体験ツアー……」ボソッ
マミ「あ、あれは……二人は無関係じゃなかったし、私が言い出したことじゃないし……」
まどか「結局、行くのを決めたのはわたしたちだからね……」アハハ
ほむら「ちょっとした冗談よ」ファサッ
さやか「氷華さんを巻き込んだのはあんただけどね」
ほむら「……」
風斬「私が言い出したことだから……ほむらは悪くないよ」
マミ「こちらとしても、協力してくれる人が増えるのは嬉しいわ」
風斬「私も、お友達が増えるならすっごい嬉しいな」
マミ「友達……ふふ、そうね」
風斬「うん……いつまでいられるかわからないけれど、よろしくね。 ほむら、さやか、まどか、マミさん」ニコッ
まどか「はい、よろしくお願いします」
さやか「いやー、この短期間に美人と三人も知り合いになっちゃうなんて、これがモテ期ってやつ?」
ほむら「……私も?」
さやか「まーね。 悔しいけどみてくれはいいし」
ほむら「……おだてても、何も出ないわよ」
まどか「そうかな? わたしもほむらちゃんは美人だと思うよ」
ほむら「そ、そうかしら……」
さやか「おお……あの転校生が照れてらっしゃる……」
ほむら「て、照れてるわけじゃないわ……ただちょっと、恥ずかしいというか……」
さやか「転校生にこんな一面があったとは……」
まどか「てへへ、なんだかうれしいな」
マミ「あ……あの……風斬さん?」
風斬「どうしたの?」
マミ「私も……呼び捨てでいいです」
さやか「マミさん……」
まどか「マミさん……」
ほむら「巴さん……」
マミ「暁美さんまで!?」
―――
――
―
「“魔術”という概念を知ってしまった以上、今回のことを馬鹿げたことと切り捨てるのは無理がある――ミサカ10430号はそう判断します」
見滝原市立総合病院。割り当てられた自室にて、少女が呟く。
話し相手の姿は見えない、かといって電話をしているわけでもない。
ミサカネットワーク、一万体近い『超電磁砲』のクローンが形成する脳波リンク。
それを通し、彼女は他の個体と会話をしているのだ。
「先程第一位から連絡があり、こちらにしばらく滞在するということです、つまり」
第一位、学園都市最強を冠する少年、一方通行。
とある事情で能力を失いかけた彼の演算補助をしているのも、このミサカネットワークである。
「何かしら不都合が在ったと考えるべきでしょう。 もちろん、我が愛しの天使様絡みで」
彼女が天使と呼ぶ存在、風斬氷華。
このネットワークは彼女とも深い関係がある。
「では、そちらも念のため警戒を……まあ、さすがにそんな怪しい契約を結んでしまう個体はいないと思いますが……」
『願いって何でも叶うんですか? 例えばセロリたんの処j』
何か聞こえたような気がしたが、無視して接続を切る
「全く……そんな簡単に願いが叶えば苦労はしない、そうミサカは思うのですが……」
もし願いが叶うのなら、自分は何を願うのだろうか。
(まあ、無駄なことですね。 そんな都合のいい話などあるはずがありません)
窓の向こうの景色を眺めながら、しばし物思いに耽る。
「なるほど、なにかしらの方法で、一種の脳波ネットワークを構築しているのか」
先程からミサカ10430号を観察していた彼が、誰とも無く呟く。
だが、すぐ近くにいるはずの彼女にその声は届かない。
それどころか、彼の白い猫のような身体も、澄み切った真紅の瞳も彼女には視認できない。
(僕らインキュベーターと似たような構造、とも言えるね)
学園都市の外部協力機関の一つであるこの病院には、『ミサカ10430号』についての資料が厳重な警備の元、保管されている。
最も、彼らインキュベーターにとって警備などあってないようなものなのだが
そこに書かれていたのは、主に彼女がクローンであることと、それに付随する身体的な問題。
機密保持のため、『欠陥電気』としての能力について詳しくは触れられていない。
能力についての詳細な情報はそう簡単には手に入らない。
学園都市の総合データベース、『書庫』へとハッキングでもしないかぎり
◆◇◆
「……私と、さやかさんはお友達です」
「奇跡か、魔法でもない限り……治らないんだ!」
「恵方巻きの次はパソコンかよ」
次回「白い憧憬と黒い後悔」
◆◇◆
vipで違うネタ書いてたら危うく落ちるところだったなんていえない
今度は近いうちに来ようと思います
マミさんがアイドルになると聞きそのネタで書き溜め始めたが気がつくとゲームが発売していた
PSPをもっていない俺は隙だらけだった
―翌日―
仁美「今日は用事が特にないので、ご一緒に帰れますわ♪」
まどか「あ、仁美ちゃん……」
さやか「あー……ごめん! 今日はちょっと……」
仁美「そうですの……」シュン
さやか「実はこっちでもいろいろあって……しばらく一緒に帰れそうにないんだ」
まどか「ごめんね、仁美ちゃん」
仁美「いえ……それなら仕方ないですわ」
さやか「悪いね……じゃあ、また明日」
まどか「またね、仁美ちゃん」
仁美「あ、あの!」
さやか「ん、どうしたの?」
仁美「……いえ、なんでもないですわ。お気をつけて……」
さやか「仁美に悪いことしちゃったかな」
まどか「でも、仕方ないよね……こればっかりは……」
さやか「だよね……」
まどか「ほむらちゃんたちはパトロールで忙しそうだし……」
さやか「……なんか、手伝えないのかな」
まどか「さやかちゃん、契約は……」
さやか「ああいや、そういうのじゃなくてさ。今のあたしたちにできることはないのかなー、って」
まどか「そっか……」
さやか「……」
まどか「……全然、思いつかないや」
さやか「……だね」
まどさや「「はあ……」」
さやか「氷華さんなら、何かいい考えがあるかな」
まどか「今度聞いてみよう?」
さやか「そうだね……とりあえず、あたしは恭介のところに行ってくるよ、まどかは?」
まどか「わたしは……晩ご飯のおつかいかな」
さやか「りょーかい、それじゃ!」タッ
まどか「またねー」バイバイ
―――
――
―
さやかとまどかの背中を見送り、仁美が彼女達から少し遅れて教室を出る。
「……」
あの二人は、何かを隠している。
それは間違いない。
だが、そのことを責めるわけじゃない。
話したい時に、話してくれればいい。
(相談になら、いつでも乗りますのに……)
それでも、二人に頼られていないという現状はあまり気分がよくなかった。
あの二人が、親友だからこそ。
『本当にそう思ってるの?』
「……!」
頭の中で、悪魔の声がした。
『あなたは彼女達を、本当は友達でも何でもないと思ってるんじゃないの?』
(……そんなこと、ありませんわ)
『上条恭介に告白しない言い訳に、美樹さやかを使っているだけじゃないの?』
(……)
ずっと昔から側にいた
ずっと昔から彼を支えていた
自分では手に入れることのできない、幼馴染という立ち位置
『そこに立つ美樹さやかがいれば、彼女と親友ごっこをしていれば、上条恭介への想いを見て見ぬ振りすることができる』
違う
そんなことはない
「……私と、さやかさんはお友達です」
『何も知らないくせに』
そう、何も知らない
だって、言ってくれないのだから
もしかしたら、親友だと思っていたのはこちらだけだったのかもしれない
友人とは、友情とは、一体何なのだろうか
『箱入り娘のお嬢様』には、所詮理解できないことなのだろうか
こんな悩みなど、消え去ればいいのに。
そしてみんなで
「……素敵な世界へ、行きましょう」
箱の魔女が、彼女を誘う
◇◆◇
―――
――
―
これで、これでやっと、彼の笑顔が見られる
――大切な、大切な、幼馴染の笑顔が
「恭介ー、CD持ってきたよー!」
そう思っていたのに
「……」
「……恭介?」
「……さやかは、僕をいじめてるのかい?」
「え……?」
どうして、人は夢から醒めるのだろう
「何で今でもまだ、僕に音楽なんか聴かせるんだ。嫌がらせのつもりなのか?」
「だって恭介、音楽好きだから…」
「もう聴きたくなんかないんだよ! 自分で弾けもしない曲、ただ聴いてるだけなんて!」
魔法も、奇跡もある
「動かないんだ…もう、痛みさえ感じない。こんな手なんてっ」
「大丈夫だよ。きっと何とかなるよ。諦めなければきっと、いつか…」
「もう演奏は諦めろってさ……先生から直々に言われたよ。 今の医学じゃ無理だって、僕の手はもう二度と動かない……」
「奇跡か、魔法でもない限り……治らないんだ!」
だけど、それを手に入れる勇気が、今のあたしにはなかった
少ねえ。
ひとみんと恭介って何考えてたんだとかこのSSには直接関係しないけどあんまみの過去とかすごい気になるね
おやすみ
この年になると、誕生日が来ても憂鬱になるだけというね
まどか「……」
晩ご飯の材料を買いにスーパーまでやって来た鹿目まどか
彼女はそこで驚愕の光景を目にする
一方通行「あン? オマエ……昨日のピンクか」
まどか「(ピンク……)ど、どうも……あの、それ……」
一方通行「コーヒーがどォかしたのかよ」
まどか「なんで、そんなにいっぱい……」
一方通行「飲む以外に何かあンのか」
まどか(……ええー)
一方通行「コンビニで売り切れてたンだ、仕方ねェだろ」
まどか「はあ……」
一方通行「……」ガシャガシャ
まどか(とてつもない量買ってる……)
まどか「あの……」
一方通行「やらねェぞ」
まどか「いや、そうじゃなくて……氷華さんのことなんですけど……」
一方通行「風斬がどォかしたのか?」
まどか「いえ……その……」
一方通行「……オマエが何を心配してるのかは知らねェが、アイツは“善人”だ、紛れもなくな」
まどか「……」
一方通行「俺が言うのもなンだが……仲良くしといて損はねェな」
まどか「わたしも、そう思います……でも……」
一方通行「アイツが生まれた理由を知らねェわけじゃねェが、それがアイツという人間を判断する材料にはならねェ。 少なくとも、オレにとってはな」
まどか「……なるほど」
一方通行「チッ……下らねェこと考えてねェでアイツと仲良くしてりゃいいンだよ」
まどか「はあ……そうします……」
一方通行「ふン……」
まどか(確かに、悪い人じゃない……かな?)
まどか「……あれ、仁美ちゃん?」
仁美「~♪」
一方通行「あァ?」
まどか「なんだろう……様子が……」
一方通行「……オマエの知り合いは、踊りながら街を闊歩するのが趣味なのか?」
まどか「ち、ちがうと……思う……あれ?」
一方通行(……ミドレンジャーは海藻系か)
まどか「……っ、魔女の口づけ……!?」
一方通行「なンだその愉快なネーミングは」
まどか「ま、魔女に魅せられた人につく模様なんです!」
一方通行「ってこたァ、アイツは魔女の生贄……ってワケか」
まどか「お、追わないと!」タッ
一方通行「……チッ」
まどか「仁美ちゃん!」
仁美「あら、まどかさん」
まどか「どこ行くの……? 早く帰らないと……」
仁美「素敵な場所、ですわ」
まどか「素敵な場所って……あ、待ってよ!」
一方通行「オイ、コイツについて行きゃァ魔女にお目にかかれるンだよなァ?」
まどか「えっ? た、多分……」
一方通行「ハッ、なら話は簡単じゃねェか」
まどか「えっ?」
―――
――
―
―廃工場―
一方通行「葬式会場でもやってンのかよ……陰気すぎンだろォが」
まどか「魔女は心の弱った人を狙うって……」
一方通行「この緑も何かしら悩んでるってわけか」
まどか「……仁美ちゃん」
一方通行(やっぱ影の薄さか……それとも頭に載ってるワカメの発育でも悪くなったか?)
まどか「あれは……」
一方通行(そういや頭に花を載せてるヤツがいたな……巷ではなンか載せるのがトレンドなのか?)
一方通行「あァ?……なんだ、ただの洗剤かよ」
まどか「で、でもあれ混ぜたら危ないってママが……」
一方通行「えらく家庭的な集団自殺だなオイ」
まどか「そ、そんなこと言ってる場合じゃないですよ……」
一方通行「もっとなンかこう……ないのかねェ……」
チョーカーに手を回し、スイッチを入れる。
足元の地面を軽く蹴ると、まるで意思でもあるかのように劇物で満たされたバケツがひとりでに工場の外へと飛び出していった。
一方通行「まァ、これで愉快な自殺ショーは閉幕ってわけだ……さて、どっかで高みの見物を決め込ンでるショーの主催者様にアイサツしてやらねェとな」
まどか「……」
一方通行「オイ、バカみてェに大口開けてつっ立ってンじゃねェぞ」
まどか「へっ!? は、はいっ」
一方通行「風斬でも誰でもイイからコイツらをどうにかできるヤツを呼ンどけ。 オレは親玉をやる」
まどか「じゃ、じゃあわたしも……」
一方通行「オマエが来たところで何にもなりゃしねェよ。 背伸びしたところで天井に頭ぶつけンのがオチだ」
まどか「……」
一方通行「テメェはテメェのできることをしろってこった」
まどか「……はい」
まどかが外へと出て行くのを確認し、操られている群衆へと向き直る。
一方通行「チッ……本体がドコにいるのかわかンねェな」
一方通行(仕方ねェ……魔女を見つけられるヤツが来るまで適当に時間稼ぎでもしとくか)
もしかたらそこらに入り口があるかも知れない、そう思いつつ一歩前進。
同時に群集の歩みが停止し、その向こう側に魔方陣のような模様が出現する。
一方通行「……ハッ、お誘いどォも」
迷うことなくその模様に向かい、結界内へと侵入する。
片翼の、歪な天使らしき使い魔。
そして――
「恵方巻きの次はパソコンかよ、もう少しマジカルでリリカルな姿はなかったのかァ?」
使い魔たちが少年を捕らえようと襲い掛かるが、彼の能力によって全て反射される。
「……オイオイ、遊びにきたわけじゃねェンだ」
杖を収納し、ゆっくりと魔女へと歩み寄る。
「コレで終わりってンなら、遠慮なく叩き潰させてもらうぜ」
使い魔たちが散開、同時に魔女のモニターが映像を写す。
いつの間に変化したのか、使い魔たちの頭部もモニターのように変化していた。
「ンだァ? 超楽しいB級映画でも見せてあげますってかァ?」
不審に思った少年が歩みを止め、映像を注視。
そこに映し出されたのは、見慣れた風景。
幾度と無く訪れた、殺風景な操車場。
ゴーグルをかけた無表情な少女が何事か呟き、次の場面で肉塊へと変化する。
ソレを嗤いながら見下ろす白い少年。
同じ映像が、行為が、延々と繰り返される
無表情な少女 人形 死体
腕がはずれ足がはじけとび内部から爆散し内臓をあたりに撒き散らし脳髄が地面を叩き赤いシミが白い少年を穢す
いくら壊しても壊しても壊しても壊しても壊しても壊しても壊しても壊しても壊しても壊しても終わらない殺戮
少年は狂ったように破壊を続け、最期には一際幼い少女へと手を伸ばし
モノ言わぬ肉の塊が増える
「あァ……イイねェ……最ッ高に最低な映像だァ……」
画面から現れた少女のような魔女がケタケタと哂う。
「……で、ソレだけか?」
少年の背面を中心に、魔女が支配しているはずの空間が揺らぐ。
危険を感じたのか、魔女の声が止み、再度ただの箱へと戻る。
「悪ィが……もうその手のネタはアイツがやったあとなンだよ」
目つきと口の悪い、彼女たちの末妹を思い浮かべる。
「ゴミクズが……」
結界全体が大きく揺れ、使い魔たちがざわめく
「オレの勘に、障ってンじゃねェぞォォォォォ!!!!!」
ノイズ
雑音に潜む殺意が翼を象り
「――ブチ、殺す」
暴力的な黒の渦が、魔女を、使い魔を、結界さえも塗りつぶした
「……チッ、やりすぎたか」
結界が消し飛び、見慣れた風景が目に入る。
あたりを見回し、先程まで操られていた者たちが無事なのを確認。
ほっとため息をつく
(変な映像見せられてブチ切れて一般人巻き込ンじゃいました、じゃァシャレにならねェからな……)
後始末は警察か救急にでも任せておけばいいだろう
スイッチを切り、その場を後にする。
そこへ風斬、マミ、ほむらを連れたまどかが到着する。
「一方通行さん! 魔女は!?」
そう尋ねる風斬に対し、一言。
「……ご愁傷様でェす」
<次回予告>
「オイオイ、学園都市のセキュリティはどうなってンだ」 ――二色の翼を持つ少年
「それでもやっぱり、あいつの演奏をもう一度聞きたい」 ――恋慕を糧に、奇跡を求める少女
「てめぇばっかり楽しんでんじゃねぇよ」 ――翼をもがれた反逆者
本編はここまで
以下ひとみんを出すに当たってやりたかったネタ
<<NGシーン>>
まどかが外へと出て行くのを確認し、操られている群衆へと向き直る。
「チッ……本体がドコにいるのかわかンねェな」
(仕方ねェ……魔女を見つけられるヤツが来るまで適当に時間稼ぎでもしとくか)
もしかたらそこらに入り口があるかも知れない、そう思いつつ一歩前進。
それにあわせ、群集の中から一人の少女――志筑仁美が彼のほうへと歩み寄ってきた。
「……やめとけ、つっても無駄なンだろォな」
どうするものかと逡巡し、彼女から目を離した刹那
少女が音速の二倍を超える速度で踏み込み、少年の眼前まで移動。
少年の腹部に重い衝撃。
身体くの字に折れ曲がり、肺から空気が流出。
華奢な身体がゴルフボールのように吹き飛び、廃工場の天井へと着弾、落下。
「がはっ!?」
(反射が……!?)
困惑しながらも少年が立ち上がり、攻撃に備える。
だがそれも無駄。 彼が少女を確認したときにはすでに腹部が衝撃を感じていた。
「ごっ……」
前進に伝わる衝撃によって骨が悲鳴を上げる。
「があああああああああああああああ!!!!」
激痛を口から吐き出しながら、再度少年の身体が吹き飛び、壁へと叩きつけられる。
「……クッ……木原神拳だとォ……?」
「いけませんわ……あのようなチャチなものと一緒にされては……」
「チッ……」
「あなたの能力はベクトル操作……ですが、反射膜を突き破ればその能力は意味を持たない……」
「なンだと……? そンなことが……」
(いや、エイワスや天使と戦ったとき、確かにオレの反射は意味を成さなかった……)
「どうぞ、お立ちになって?」
「ナメやがって……」
少年が立ち上がろうとするが、途中でその動きを止める。
(待て……なンでわざわざ立ち上がらせる……? 倒れたままでも追撃すりゃァイイじゃねェか)
余裕の表れか? いや違う、先程までの攻撃パターンを思い出し、彼は一つの結論にたどり着く。
(……一か八かだ)
少し動かすだけで悲鳴を上げる体を押さえ込み、真っ直ぐに少女を見据える。
「……ふっ」
柔らかな笑みを浮かべ、少女が消失。 刹那、眼前に出現。
目にも留まらぬスピードで拳が飛来する。だが――
「なっ……」
「はッ……予想通りか」
その拳が彼の体に届くことは叶わず、いとも簡単に払われてしまう。
「くっ!」
少女が呻き、後退。
「やっぱりな……オマエが反射を破れるは腹パンのときだけだ」
「……よくおわかりになられましたね」
その通りです、と一呼吸置き
「私の所属は『神と相席』……」
「合席だと……? ヤベェなオイ」
「ええ、ヤバイですわよ」
「右席はなンかこう……右に座ってなンか仕えてる的なカンジだったが……相席はヤベェな」
「ええ、ヤバイですわよ」
「なンつーか、神と気心の知れたカンジっつーか……ヤベェな」
「ええ、ヤバイですわよ」
「『あ、ツレがいるンで~』つったらそのツレが神様だったみてェな……ヤベェな」
「ええ、ヤバイですわよ」
「……」
「……」
「ヤベェな……」
「ええ……」
仁美「ヤバイですわよ」
一方通行「いつまでやるンだコレ」
エリー(出番まだかなあ)
おわり
あっちこっちいってみんなが忘れた頃ぐらいにこのスレは最終回を迎える
多分。
もし二人が実の姉妹だったら
メガほむら「お姉ちゃんの・・・・胸って、私よりも大きいよね・・・」風斬「ま、まだ成長期だからね!い、いつか、ほむらも大きくなるよ!」
メガほむら「ありがとう・・・お姉ちゃん・・・」
みたいな。やりとりがあるのか・・・胸熱!
( ゚∀゚ ):. _
r'⌒と、j ヽ
ノ ,.ィ' `ヽ. /
/ i!./
(_,. //
く.,_`^''ー-、_,,..ノ/
【これまでのあらすじ】
___
/::::::::::::::::::::..ヽ,,
/..::::::::::::::::::::::::::::::...ヽ
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ヽ
/.:::: :::::::::::: ::::::::::::::::::::::: ::::::: l ミンチより酷い……
/:::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::: :::::: ::::. }
--,,._ ,,l:::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::: ::::::::::::::: l . ____
( :::::;;;;''''l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::rl::::i'lri:::://. `; ┌──┬────────┐
\;;;;;;;;;;:::;l:::::::::::::: :::::::: ;:::::::iヽ:::l l:.l l l:rl:l_;;;;;:, / │ │┌───────\
/'"~~~;;i:::l' ''l:::::::::::::l'i:::::::::`;,ヽl ll l l''/;;;;;..~~ヽ │ ││ \ \
ヽ____/l:::::l/''''l::::::::::i i:::::::::/`````/,i:.i ) │ ││ \ \
/:::::::::/;i# ''l: ::::l' 'l: ::/ . # ,/;;:::::;.:~--‐'' . .│ ││ ~│ ̄ ̄ ̄ ̄~~│
/.:::: ::: :::l 丶l::::i\l::/ ._/ \'';;:;;\ │ ││ ....::::;;;│::::::::::..... │
/ ::::::::::::::::::::丶 ヽ/ v'《 \ ヽ::::::;..\ │ ││.......:::::::;;;;;;;;│::::::::::::::::::::::::::│
;l:::::::::::::::::::::::/ヽ ヽ, \ \ ヽ:::::;;.ヽ │.,,::::;;;;││____/ _____/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~'└──┴─────────┘
/:::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::\
~''''''---------------''''~
◆◇◆
何で恭介なのよ。私の指なんて、いくら動いてたって、何の役にも立たないのに
何で私じゃなくて、恭介なの?
もしも私の願い事で、恭介の体が治ったとして、それを恭介はどう思うの?
ありがとうって言われて、それだけ?
――それとも、それ以上のことを言って欲しいの?
「あたしって…嫌な子だ」
◆◇◆
携帯の着信を告げる音、まどかからだ
こんな夜遅くにどうしたのだろう、不思議に思いながら電話を取る。
「どうしたのー? こんな夜遅くに?」
心配をかけないように、できるだけ明るめの第一声。
『さやかちゃん、仁美ちゃんが……』
「え……?」
仁美が魔女に襲われた。
まどかはそう言った。
『でも心配しないで、二人とも大丈夫だから』
病院でマミさんを助けたあの人がまた助けてくれたらしい。
ほっとすると同時に、恐怖がこみ上げる。
もしあの人がいなかったら、もし誰も二人を助けなかったら――私は二人の親友を、同時に失くしていたかもしれない
『さやかちゃんも気をつけてね……』
「うん……わかった、じゃあね」
あたしが魔法少女になれば
美樹さやかの魂を差し出せば
恭介の腕は治る
友達を守ることができる
なのに
「……本当に、嫌な子だ」
後一歩が、踏み出せないでいる。
―――
――
―
「ふあぁぁ…あ、はしたない。ごめんあそばせ」
「どうしたのよ仁美。寝不足?」
「ええ、昨夜は病院やら警察やらで夜遅くまで」
「えー、何かあったの?」
「何だか私、夢遊病っていうのか。それも同じような症状の方が大勢いて。気がついたら、みんなで同じ場所に倒れていたんですの」
夢遊病。 本当はそんな簡単に済む出来事じゃないのに
「はは、何それ?」
「お医者様は集団幻覚だとか何とか…。今日も放課後に精密検査に行かなくてはなりませんの。はあ、面倒くさいわ…」
幻覚。 幻じゃない、あれは現実なのに
「そんな事なら、学校休んじゃえばいいのに」
「ダメですわ。それではまるで本当に病気みたいで、家の者がますます心配してしまいますもの」
「さっすが優等生!偉いわー」
そっか、何も知らない人たちには、ただの幻想物語でしかないんだ
「そういえばさやかさん、上条くんと何かありましたの?」
あたしが契約して恭介の腕を治しても、あいつはそのことを知るわけが無い、知りようが無い、信じてもくれないだろう。
「……いや、何もないよ?」
「そうですか……随分と気にしてたようですので」
「……そっか」
それでも、あたしは――
放課後、相変わらず忙しい仁美と別れ、まどかとともにマミさんの家へと向かう
まどか「……本当に良かった、仁美ちゃんに何も無くて」
さやか「うん、そうだね」
まどか「でも、これでしばらく安心だね」
さやか「え?」
まどか「この町にはマミさんもほむらちゃんもいる、氷華さんたちだっているから」
さやか「……」
まどか「一方通行さんも、いい人みたいだし」
まどかが柔らかく笑う。
こういう何気ない仕草が、この子はとても可愛らしい。
さやか「……まどかは」
まどか「?」
他人に戦うことを押し付けて。 それでいいのか
さやか「……いや、なんでもない」
言えるわけが無い。
まどかは、とても優しい、いるだけで場を和ませてくれる“女の子”だ。
あたしみたいなのとは違って……
―――
――
―
まどか「あ、ほむらちゃん」
目的地のマンション。 その玄関で転校生と鉢合わせする。
まどか「どこ行ってたの……探したんだよ?」
ほむら「ごめんなさい、魔女がいないか少し見回っていたの。 巴さんはお茶会の用意で忙しいでしょ?」
転校生が、マミさんのことをたまに名字で呼ぶようになった。
心なしか、口調も柔らかくなった気がする。
まどか「そっか……でもそれなら言って欲しかったな」
ほむら「だって……言えばついて来そうだから……特に彼女はね」
さやか「えっ……あ、いや、さすがにそこまで迷惑はかけないよ」
まどか「さやかちゃんもそれくらい空気は読むよ……」
ほむら「ふふ、そうかもね」
さやか「……」
ほむら「……? 何かあったの?」
さやか「……ん? いや、なにもないけど……」
まどか「いつもなら何か言い返すところなのに……」
さやか「えっ、あー……と、ともかく早くマミさんの家に行っちゃおうぜー!」
まどほむ「「?」」
さやか「お邪魔しまーす!」
まどか「こんにちわ」
マミ「いらっしゃい、三人とも。 それと暁美さん、パトロールお疲れ様」
ほむら「あなたがいつもやってることをやっただけよ」
マミ「それでもありがたいわ。 どうだった?」
ほむら「特に問題は無いわね……三体も魔女を倒したのだから、当然といえば当然だけど」
マミ「そう、良かった……さ、中に入って。 今日はチーズケーキよ」
まどか「てへへ、楽しみだな~」
ほむら「うん……そうだね」
さやか「……」
マミ「どうしたの、美樹さん。 もしかしてチーズケーキは嫌い?」
さやか「え……そんなことは全然ないけど……」
マミ「そう? ならいいんだけど……何だか元気がないみたいだから」
さやか「……やだなー、さやかちゃんはいつでも元気百倍ですよー」
ほむら「マイナスも百倍になるのね」
まどか「それじゃあただの浮き沈みの激しい人だよ……」
さやか「細かいことは気にしないでよ……」
風斬「こんにちわ、三人とも」
リビングで氷華さんたちが私たちを出迎える
一方通行、そう名乗った男の人もそこにいた
出会った時と同じ仏頂面を携えて。
ほむら「あら、二人とも来てたのね」
風斬「うん、まだ話したいこともあるし」
まどか(学校とかどうしてるんだろう……)
一方通行「オレにはねェンだがな」
風斬「で、でも……一緒に戦うわけだし……」
一方通行「別に仲良くヒーローごっこするために残ったわけじゃねェよ。 コッチは勝手にやるからソッチも勝手にやりゃあイイだろ」
風斬「で、でも……情報も少ないですし……それに、一方通行さんだけだと……その……」
一方通行「ンだよ、まさかこのオレが無様にあのわけわかンねェ魔女とやらに喰い殺されるかもしれねェ、とか言うンじゃねェだろォな」
風斬「いえ……逆にやり過ぎないか心配で……」
一方通行「オイ、どういう意味だよそりゃァ……まァ、確かにオマエの言うことも一理ある」
風斬「そ、そうですよね! やっぱり、みんなで協力したほうが……」
一方通行「つゥわけで風斬、オマエがその情報源になれ」
風斬「……はい?」
一方通行「呑み込みが悪ィな、パイプ役になれっつってンだよ」
風斬「は、はあ……別にそれは構わないですけど……」
マミさんがキッチンから戻ってきたところで、話が一時中断する
チーズケーキにした理由は彼があまり甘い物が好きじゃないから、ということらしい
一方通行「余計に気を回す必要はねェよ。 まァ、一応礼は言っといてやる」
マミ「そんなこと……命を助けていただいた、せめてものお礼です」
まどか「あ、あの! わたしも、昨日はありがとうございました!」
一方通行「……アレは勝手にオマエらが助かっただけだ。 オレはなンもしてねェよ」
ほむら「……私からも、お礼を言います。 ありがとうございました」
一方通行「あァ? なンでオマエまで……」
さやか「いやいや、二人が助かったのは一方通行さんのおかげっすよー! 仁美まで助けてもらったしねー」
一方通行「チッ……別にそういう意図でやったわけじゃねェよ」
風斬「ごめんね、この人わりとシャイなの」
一方通行「なンだよその愛情溢れた言い回しは……オマエはオレの保護者かなンかか」
風斬「え? えっと……ここには打ち止めもいないし……」
一方通行「はァ? なンでアイツの名前が出てくるンですかねェ」
風斬「だ、だって、いつものならあの子がフォローに回るじゃないですか?」
一方通行「オマエの目にはオレとアイツがどう映ってンだよ……」
風斬「え?……うーん……」
一方通行「いや、やっぱイイわ。 聞きたくねェ」
一方通行「ンなことより、オマエの扱いについて決める必要がある」
風斬「扱いって……物じゃないんですから……」
一方通行「ただの物ならここまで頭を悩ませる必要はねェンだけどな」
マミ「でも、その通りね……このまま、ってわけにもいかないでしょうし……」
ほむら「しばらくは私の家にいてもらっても構わないわ」
風斬「い、いいのかな……迷惑じゃない?」
ほむら「まさか、むしろ歓迎するわ」
マミ「一人暮らしだと、やっぱり人が恋しくなるもの」
風斬「そ、そっか……じゃ、じゃあ! マミのところには一方通行さんが」
一方通行「なンでやねン」ズビシッ
風斬「あう」
一方通行「言っとくがオレはコッチにかかりきり、ってワケにもいかねェからな」
風斬「うう……そうなんですか?」
一方通行「まァな。 今回の件、すこしばかり“面倒なヤツら”が噛んでるみてェだ」
風斬「なるほど……でも、それって……」
一方通行「オマエの想像通りだろォな。 オレの周りにいるとそれだけ巻き込まれる可能性が高くなる」
さやか(何者なんだこの人)
一方通行「逆にオマエはその立場上、そう簡単に手を出せるような存在じゃねェ。 ってことは、コッチの件はオマエに任せるのが一番手っ取り早いってワケだ」
風斬「ふむふむ……」
一方通行「つゥわけだ、このニート天使様をオマエらに預けるから、好きなだけこき使いやがれ」
ほむら「ええ、そうさせてもらうわ」
さやか「天使なのにニートとはこれいかに」
風斬「ニ、ニートじゃないですよ!」
一方通行「たまに出てきたと思ったら学校に行くわけでもなく妹達やらと遊び呆けてるヤツの言うセリフじゃねェな」
風斬「うっ、な、なんでそれを……」
さやか「本当だったのかい!」
風斬「え、え~と……あはは……」
一方通行「コッチには司令塔がついてンだよボケ。 暴食シスターだけじゃなく最近はアイテムのほうにも顔を出してるとか聞いたぞ」
風斬「そ、それは……映画好きな妹達の友人繋がりで……」
一方通行「ホラ見ろ遊ンでばっかじゃねェか。 芳川もびっくりのニートっぷり発揮してンじゃねェぞ働けAIM」
風斬「そ、それは……えっと……あ、でも勉強はしてますよ!」
一方通行「なンの勉強だよ」
風斬「根性の勉強を……」
一方通行「ンだよその使途不明な知識第一位の座に収まりそうな勉強は……」
まどか「勉強でどうにかなるもんじゃないんじゃ……」
マミ「私たちとは違う常識の中で生きているのかもしれないわね……」
風斬「え、えっと……これも妹達の一人から紹介されて……ナンバーセブンさんっていう……」
一方通行「オマエ本当に顔広ェなァ!? ナンバーセブンとか会ったことも見たこともねェよ!」
風斬「いい人ですよ? 今度紹介しましょうか?」
一方通行「いらねェよ、絶対ろくなことになりゃしねェ……はァ、この調子だと第五位やあの第六位とも面識ありそうだな」
風斬「あ、第五位さんならこの前御坂さんたちと遊んだ時に……」
一方通行「わかったもうイイ、オレが悪かった」
一方通行(コイツは一体ドコへ向かってンだよ……あのメルヘン野郎とも実は面識ありましたとか言い出すンじゃねェだろォな)
風斬「そ、それじゃあこの話は置いといて……具体的に私はどうすれば……」
一方通行「しばらくはコイツらの手伝いだな。 馬車馬のごとく働いてろ、いい経験だ」
風斬「馬って……確かに重い荷物を運ぶことはできますけど……」
一方通行「たとえだアホ。 まァ、その過程で“それなりに役立つ情報”を入手しとけ」
一方通行「じゃねェと一生このままだ」
まどか「そういえば……氷華さん帰れないだったっけ……」
マミ「そうなの? でも、どうしてそんなことに……」
さやか「うーむ、ずっとこっちにいる、ってわけにもいかないもんね」
風斬「た、確かに……」
ほむら「……」
一方通行「そォいうことだ。 何か現状を打破できるような『イベント』がありゃいいンだが……」
さやか「ラスボス出現とか?」
まどか「さやかちゃん、ゲームじゃないんだから……」
ほむら「……およそ三週間後に、ワルプルギスの夜がここにやってくるわ」
聞きなれない言葉を、転校生が口にした
彼女はどこまで、"知っている"のだろう
◇◆◇
――ジャッジメント 第177支部
「初春、状況はどうですの?」
「わかりません、としか答えようが無いですね」
「わからない、というのが許される状況じゃ――」
「だって仕方ないじゃないですか! こんなの、見たことも聞いたこともありませんよ!」
「……? 話が見えませんわね、わかるように説明してもらいたいんですの」
「説明、といわれても……えっと、ただのハッキングなら、対抗する手立てはあります……でも、これはそんなもんじゃない」
「こんなの、まるで……生き物がそのままネットワークを闊歩してるようなもんですよ……」
「……ともかく、事態が重大なのはわかりましたの」
「新しい能力者……? でも、こんなのは……」
「『書庫』にアクセスして調べるのは……」
「ダメですよ、今まさにその『書庫』が被害を受けています」
「……マジですの?」
「マジです大マジですの。 ……外部からの接続を一気に切断しないと、防げないかも……」
「はあ……戦争が終わってようやっと落ち着いてきたところだといいますのに……」
「……案外と、無茶をしてくれる」
男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える『人間』が、呟く。
――この日、学園都市は『孤立』した
∧∧ ∩
( ´∀`)/ ∧∧ ∩
⊂ ノ ( ´∀`)/
(つ ノ ⊂ ノ ∧∧ ∩
(ノ (つ ノ ( ´∀`)/
(ノ ⊂ ノ
(つ ノ ∧∧ ∩<また来週会いましょう
(ノ ( ´∀`)/
/ └-(____/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<⌒/ヽ___
/<_/____/
<これまでのあらすじ>
魔法少女の美樹さやかはある日、夜道で魔女に襲われるも突如現れた謎の少女に救われる。
「いつもニコニコあなたの隣に這い寄るAIM、ヒューズ・カザキリです!」
その少女は、自分がAIMの塊そのものであると語り、また自身が人工天使であること、さやかが魔女に狙われており、自分が護衛として派遣されたことなどを告げるのだった。
仁美「みなさん、今日は何の日か知っていますか?」
さやか「なんなのいきなり」
ほむら「突然ね」
一方通行「七夕ならもう終わったぞ」
仁美「その通り七夕ですわ。 一年に一度、織姫とひと星が活躍する日ですわ」
一方通行「イヤもう終わってるからな、それにひと星ってなンだよ。 彦星な」
仁美「というわけで、今日の主役は不肖この私(わたくし)、志筑仁美が勤めさせてもらいますわ!」
一方通行「オイ、アイツなンとかしろよ。 人の話を聞きやしねェ」
さやか「すみません、ちょっと天然なところがありまして……」
第77話 「ひと星ですの!」
仁美「はい、ではここにみなさんの願い事を書いた短冊があります」
一方通行「オイィ!? どうやって入手しやがった!?」
仁美「それでは第一位さんの短冊を見てみましょう」
一方通行「オマエ……舐めた真似してくれンじゃねェか、覚悟は――」
仁美「せいっ!!」ズドムッ
一方通行「ごっ、がァァァァァァァ!?!?」
さやか「ああっ! 一方通行さんが死んだ!」
ほむら「容赦ないわね」
仁美「それでは中身を見てみましょう……」ピラッ
『家内安全』
仁美「……」
さやか「……」
ほむら「……」
仁美「非常にコメントしづらいですわ。 では次」
さやか「いや、もう少しなんかあるでしょ」
仁美「さくさく行きましょう。 次はさやかさんのですわ」
さやか「ええーあたしのー!? なんか恥ずかしいから見ないで欲しいな~~」
仁美「じゃあ見ないでおきましょう」
ほむら「そうね」
さやか「ちょ、ちょっと! そこは『そうはいきませんわ!』とか言うところでしょ!?」
仁美「さやかさん、誘い受けは嫌われますわ」
ほむら「うざいものね」
さやか「あれ、あたし虐められてる?」
仁美「まあ冗談はさておき。 早速中身を拝見」ピラッ
『恭介ともっと仲良くなる』
仁美「……」
ほむら「……」
さやか「えっ、何その反応。 ひゅーひゅーお熱いねー、とかないの?」
ほむら「……もう少し踏み込んだ願いにしてもいいんじゃないかしら」
仁美「お嫁さんになる、くらい言って欲しいものです」
さやか「よ、よよよ嫁って! あ、あたしたちまだ中学生だしそういうのはもっと大きくなってから……」
ほむら「そんなんだからとられるのよ」
仁美「相手が自滅してくれるとこっちときてもやりやすいものです」
さやか「どういう意味よ」
仁美「はい、では次」
まどか「あれ、みんな何してるの?」
仁美「あらまどかさん、ちょうどいいところに」
さやか「仁美がちょっとね」
ほむら「まどかも短冊を?」
まどか「うん、そうだよ」
仁美「何を書かれたのでしょうか?」
まどか「み、見せるのはちょっと恥ずかしいかな……」
さやか「まどかのことだから可愛らしい願いなんだろうなあ」
仁美「まどかさん、大人しく見せたほうが身のためですわ」
ほむら「一体何があなたを突き動かしてるのよ」
まどか「そんな脅さなくても普通に見せるよ……」
仁美「ふふ、賢明ですわ。 では失礼して」ピラッ
『みんなが幸せに暮らせますように』
さやか「まどからしい」
ほむら「そうね、優しい願いだわ」
まどか「そ、そうかな……てへへ」
仁美「みんなのことを考えるわたしかっこいい……」ボソッ
まどか「……」ピクッ
ほむら「ちょ、ちょっと……」
仁美「……自分より他人を優先しちゃうヒーローなわたし」ボソッ
まどか「……」
さやか「あーあー……」
まどか「仁美ちゃん、少し二人きりで話そうか?」
仁美「望むところですわ」
ほむら「やめなさい」
風斬「どうしたの……? 何だか、空気が張り詰めてるけど……」
さやか「氷華さん! ナイスタイミング!」
仁美「あらあら本編の主人公さん。 素直にその手の短冊を渡した方が身のためですわよ」
ほむら「完全に脅しにかかってるじゃない」
風斬「え、えっと……見ても、あんまり面白くないと思う、けど……」
仁美「それはこちらが決めることですわ」
風斬「う、うん……はい、どうぞ」
さやか「すみませんうちの仁美がご迷惑を……」
風斬「い、いいよ、気にしないで……こういうの、憧れだったし……」
仁美「それではご開帳」ピラッ
『友達がたくさんできますように』
仁美「……」
風斬「あ、改めて見ると……少し、恥ずかしいな……」
ほむら「……」
風斬「でも、他に思いつかなかったから……」
さやか「……」
風斬「私、ずっと一人で、友達なんて出来ないと思ってたし……」
まどか「……」
風斬「……あの、何でそんな哀しい目で私を見るの……?」
さやか「だ、大丈夫ですよ! 原作でもまた出番あります、だから友達もできるかもしれないですよ!」
風斬「そういう話の持って行き方はやめようよ」
ほむら「ええ、一人ぼっちのままフェードアウトってことはないと思うわ」
風斬「ちゃんとインデックスっていう友達がいるから……」
まどか「元気だしてください!」
風斬「別に落ち込んでないよ……」
仁美「錬金術士と一緒に出てきた方よりは今後の活躍が見込まれますわ」
風斬「誰のこと言ってるのかわからないよ……」
仁美「それではシャレにならない願いが出たところで次にいきましょう」
風斬「……ほむらだって似たようなものじゃない」
ほむら「私まで巻き込まないでくれるかしら」
さやか「確かにどっちも友達一人しかいないもんね」
風斬「……」
ほむら「……」
まどか「さやかちゃん……」
さやか「ごめん、ツッコミが入るかと思ってた。 だからそんな泣きそうな顔しないで」
仁美「ほむらさんの短冊ですわ。 中身は……」
ほむら「ちょ、ちょっと! どこから手に入れたのよ!?」
仁美「次元連結システムを応用して他の時間軸から」
さやか「わけがわからないよ」
ほむら「か、返しなさい! それは――」
仁美「せいっ!」ボグウッ
ほむら「ほむゔっ!?」
まどか「うわぁ」
ほむら「……」ガクッ
仁美「ではでは中身を拝見……」
『胸を大きくしたい』
さやか「ああ……」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「ち、違うのよ……それは、ちょっとした冗談のつもりで……」
風斬「あんまり大きくても邪魔なだけだけどね……」
ほむら「しね!」
風斬「ひ、酷い……」
まどか「今のは氷華さんが悪いと思う」
風斬「そ、そんなあ……」
仁美「ふっふっふ、安心してくださいほむらさん」
ほむら「……?」
仁美「こちらには、秘策があります!」ババーン
さやか「秘策?」
仁美「はい、ほむらさんの胸を大きくする秘策です」
ほむら「な、何ですって!? 本当なの!?」
仁美「ええ、私にお任せください」
さやか(嫌な予感しかしない)
仁美「では皆さん、ほむらさんから離れてください」
仁美「準備はいいでしょうか? ほむらさん」
ほむら「え、ええ……」ドキドキ
まどか(仁美ちゃんが 持ってるのって……)
さやか(紅茶だよね。 豊胸成分でもあるのかな)
仁美「それじゃあ行きますわ」
ほむら「っ……」
仁美「そぉい!」バッシャァァ
ほむら「あっづぁぁぁぁぁ!?!?」
さやか「容赦なくぶっかけたぁぁぁ!?」
まどか「ほ、ほむらちゃん!」
風斬「だ、大丈夫!?」
さやか「ちょっと仁美! あんた何てことを……」
仁美「ほむらさん」
ほむら「な、何、よ……」
仁美「熱膨張って知ってますか?」
ほむら「……」
さやか「……」
まどか「……」
風斬「……」
仁美「……ふっ」
さやか「……もしかして、それが言いたいがためにこんなことを?」
仁美「はい」
ほむり「……」ズズズズ
まどか「ああっ! ほむらちゃんがちょっと魔女になってる!?」
風斬「も、戻って来てー!」
仁美「ではそろそろお別れの時間が近付いて来ましたのでさらっと他の方々の短冊を見て行きましょう」
さやか「何事もなかったかのように続けやがった」
『常識の通じないかっこいい復活をしたい』
仁美「野心に溢れてますね。 この方には後で冷蔵庫を送っておきましょう」
『復活したいってわけよ!』
仁美「このインフレで復活してももう一度同じ目にあうだけだと思いますわ」
『戦いを求める私としては、もう一度暗部に戻りたい』
仁美「中学生のよくかかる病気ですね、荒んだ心を癒す猫耳をプレゼントしておきましょう」
『根性』
仁美「わけがわかりませんわ」
さやか「それには同意するよ」
仁美「まあ、こんなところでしょうか」
さやか「やっと終わるのか……」
まどか「そういえば、仁美ちゃんの願いは何だったの?」
仁美「どうでもいいですわ、そんなこと」
さやか「いや、全然良くないからね」
仁美「ふふ、私の短冊はここにあります。 見たいのなら私を倒して……あら?」
ほむら「……」ニヤリ
仁美「……ない」
ほむら「ふ、ふふふ……」
仁美「な、何を……何をしたんですか!? ほむらさんッ!」
ほむら「……甘いわね志筑仁美……私のスタンド“ホムリリー”は既にあなたの短冊を奪っているッ!!」
仁美「なッ、何ィ~~~ッ!?」
ほむら「そしてその中身は! 『大切な友達といつまでも仲良く過ごしたい』、そう書かれている!」
仁美「くっ……その通りですわ……」
さやか「仁美……あんた……」
まどか「仁美ちゃん……」
仁美「……私、いつも習い事で、みなさんと遊ぶ時間がとれませんから……」
仁美「それでも、せっかくできた友達ですし、ずっと仲良くしていきたい……そう思ってるんです」
さやか「……まったく、あんたって子は……」
まどか「大丈夫、ずっと友達でいよう?」
仁美「まどかさん……さやかさん……ありがとうございます……」グスッ
風斬「ふふ、良かったね」
仁美「そ、それで……氷華さん……」
風斬「どうしたの?」
仁美「もしよろしければ……氷華さんともお友達になりたいのですが……」
風斬「えっ……い、いいの?」
仁美「はい、もちろんです」
風斬「……もちろん、大歓迎だよ。 宜しくね、仁美」
仁美「氷華さん……! はい、よろしくお願いしますわ……」
さやか「……いやー、良かったよかった」
まどか「てへへ、万事解決、だね!」
ほむら(……私は?)
一方通行「なンだなンだなンなンですかァ!? この感動的な終わり方はよォ!」
風斬「あ、一方通行さん」
まどか「いたんだ……」
一方通行「人のこと地球の裏側まで殴り飛ばしておいて自分だけハッピーエンドってかァ? イイねイイね最ッ高だねェ! オマエいい悪党だなァ!」
さやか「どんだけ飛んでるんだよ」
仁美「はあ……失敗、失敗。 まさかさっきので殺し損ねるなんて……本当に、何やってるんでしょうね、私は」
一方通行「悪ィが……手加減はナシだ。 本気で潰させてもらうぜ、志ィィィィィィ筑くゥゥゥゥゥゥゥン!!」
仁美「ええ、私も本気でまいりますわ……アァァァァァァクセラレェェェタァァァァ!!」
風斬「喧嘩は、やめなさーい!!」バリバリ
仁美通行「「ギャァァァァァァァァ!!!」」
さやか「あーあ、黒焦げ」
まどか「こんな終わり方ってないよ」
ほむら(巴マミと佐倉杏子とあの白いのの出番はないのね……)
<次回予告>
限界までSAN値が下がったさやかがついに魔女化してしまった
その混乱に乗じて『神と相席』のメンバー、志筑仁美(とテッラ)が学園都市へと侵攻する
彼女(とテッラ)を止めるためにこの俺、上条当麻は腹パン対決をすることになった
だが紳士の俺は女の子の顔面は殴れても腹は殴れない!
「顔面はダメなのかよ!」
「ダメですねー」
そしてとうとう、俺は仁美の猛攻の前に倒れてしまう
そんな時、頭の中に声が
――力が欲しいか。 だったら僕と契約して、魔法少女(?)になってよ!
その言葉に答えた俺は魔法少女となった!
いくぜ志筑仁美、お前を倒して一ヶ月ごとに生徒が死ぬ謎の現象を止めてやる!
そして俺は変身の際ソウルジェムを右手で触ってしまい三度目の死を迎えた
次回 ぶち殺せ! とある魔法少女とうま☆マギカさん!:Another 最終話「俺ってホント不幸」
魔術と科学と魔法と現象と俺とテッラが交わるとき、物語は終わってる
―――
――
―
ミサカ10430号「……ん」
ミサカ10430号「……」ムクリ
ミサカ10430号「なんだか、変な夢を見ていた気がします、とミサカは寝ぼけ眼をこすりながら呟きます」
ミサカ10430号「おや、上位個体から連絡が……」
ミサカ10430号「……これは……第一位を呼ばなければいけないようですね」
ミサカ10430号「しかし……本当に変な夢を見ていた気がします、とミサカは思い出したいような思い出したくないような不思議な感覚に苛まれます」
QB(クローンでも夢は見るんだなあ)
夢オチなら安心して寝られる
おはようございました
さやか「『ワルプルギスの夜』……何、それ?」
マミ「とてつもなく強大な魔女……そうキュゥべえには聞いてるわ」
ほむら「ええ、その通りよ。 並みの魔法少女では太刀打ちできないほどに強大な魔女。 結界に隠れる必要が無いほどに、ね」
まどか「そ、それじゃあ……この町が危ないんじゃ……」
ほむら「……ええ」
一方通行(『ファウスト』にでてくるアレか……ファウストと言やァ、まさかとは思うが……)
さやか「……あのさ、なんであんたがそんなこと知ってんの?」
ほむら「統計よ」
さやか「統計って何の統計なのさ? もう少し詳しく話してくれてもいいんじゃないの?」
ほむら「……」
風斬「ほむら……」
マミ「暁美さん、ワルプルギスの夜とは戦ったことがあるの?」
ほむら「有るとも言えるし、無いとも言えるわ」
さやか「何だよその曖昧な返しは。 もう少し分かりやすく説明してよ」
伝えるべき部分をぼかしてのらりくらりと追求を交わす姿勢のほむらに、さやかが食って掛かる
まどか「さ、さやかちゃん……」
まどかが場を収めようとさやかに声をかけながら、ほむらのほうを見やる
これまでの言動と感情が何一つ読み取れない仮面のような表情が相まって、ほむらとあの白い生物が重なって見える
マミ「……確かに、美樹さんの言うことももっともね」
風斬「そ、それは……でも……」
まどか「え、あ、えっと……」
ほむら「……」
マミ「だけど、他に情報源が無い以上、暁美さんを信じるしかないわ」
さやか「それは……わかってるけど……」
マミ「……ごめんなさい。 私にもう少し知識があればよかったのだけど……」
さやか「え、あ、いや……」
ほむら「気に病むことはないわ。 悪いのは私たちに何も伝えていないあいつらなのだし」
まどか「そ、そうですよ! マミさんは何も……」
マミ「……悪い、か。 そう、よね……」
さやか「……」
一方通行「……オイ、その情報は正しいンだろォな」
風斬「あ、一方通行さんまで……」
ほむら「ええ……間違いないです」
一方通行「ならソレでイイ。 オマエがなンでそンなことを知ってるとかは興味ねェからな」
風斬「あ、そ、そうですか……」
一方通行「その情報が信用に値するならそれでいいンだよ。 ソイツ自身が信頼に値するかどうかなンざ最初から気にしてねェ」
さやか「う、う~ん……」
ほむら「こちらとしても、そのほうが助かるわ」
一方通行「……風斬、解かってると思うがオマエの仕事はこの情報の信憑性の確認だ」
風斬「へっ? は、はあ……了解、です」
一方通行「偽の情報掴まされなけりゃそれでいい。 どう動くかくれェは自分で決める」
風斬「な、なるほど……」
一方通行「ってェわけだ。 下らねェガキの喧嘩はまた今度にしやがれ」
さやか「喧嘩とかそういうのじゃ……」
一方通行「それよりも問題はワルプルギスの夜とかいうヤツだ。 ソイツはどの程度の強さなンだ?」
ほむら「……見滝原一帯を破壊する程度には……」
まどか「み、見滝原が壊れちゃうの……? それってすっごく強いんじゃ……」
一方通行「こンなちンけな町を破壊する程度なのか? タカが知れてるな」
まどか「え?」
一方通行「あン?」
風斬「む、無敵なんですよ! 多分!」
一方通行「ハードルあげてどォすンだよ」
ほむら「確かに……とてつもなくしぶといのは確かだわ」
風斬「ほ、ほら!」
一方通行「何でちょっとしたり顔なンだよ。 いざとなりゃァ宇宙空間までぶっ飛ばせばイイだろ」
風斬「う、宇宙でも活動できたり、とてつもなく射程の長いビームを撃ってきたりとか?」
一方通行「反射ァ」
風斬「反射無効です!」
一方通行「翼」
風斬「そ、それは……反則です!」
一方通行「存在自体がイエローカードぶっ飛ばして真っ赤のオマエの言えたことじゃねェよ」
風斬「あう……わ、私は……ほら、ヒューズ化できないかもですから……」
一方通行「結界を持たねェつってンだからなンの束縛もねェだろ」
風斬「うっ……ま、負けました……」
一方通行「まだ戦ってねェからな?」
アレ
一方通行「つゥかそもそもの話、オレとオマエでどうにかできない存在なンざ天使くらいだろ……」
風斬「ああ、アレですか……」
ロシアでの戦闘を思い出し、二人が遠い目をする
マミ「と、とにかく……とても強い存在には変わりないわね」
一方通行(三週間か……わりと間があるな)
ほむら「ええ、そうね。 戦力は多いに越したことはないけど……」
まどか「……」
風斬「だ、大丈夫……だよ、うん。 私もいるし、一方通行さんもいるから……」
一方通行「……まァな」
一方通行(コイツもあの三下と同じタイプの人種だ、どうせ最後まで付き合うンだろォな……)
さやか「……あ、あのさ」
それまで何か考え込んでいたらしいさやかが口を開いた
さやか「願い事って、他人のためにも使えるのかな」
マミ「他の人に……? 多分、できると思うけど……」
さやか「例えば……例えばの話なんだけどさ。 私なんかより余程困っている人が居て、その人の為に願い事をするのは……」
まどか「それって上条君のこと?」
さやか「た、例え話だって言ってるじゃんか!」
一方通行(こっちでも上条かよ)
ほむら「……」
マミ「そうね……でも、あまり関心できた話じゃないわ。他人の願いを叶えるのなら、なおのこと自分の望みをはっきりさせておかないと」
風斬「自分の望み、か……難しい話だね……」
マミ「美樹さん、あなたは彼に夢を叶えてほしいの? それとも、彼の夢を叶えた恩人になりたいの?」
さやか「そ、それは……」
風斬「……たとえ、願いが叶うとしても……やっぱり、ずっと戦い続けるっていうのは……苦しいし、辛いと思う」
マミ「ええ……そうね。 魔法少女になると、上条君って子と会う機会も少なくなるでしょうし」
さやか「……」
ほむら「彼女の言う通りよ、美樹さやか。 そんなことで契約するべきではないわ」
顔を伏せて落ち込んでいた様子のさやかが顔を上げ、ほむらを睨みつける
さやか「……そんなことって、どういう意味よ」
ほむら「……」
一方のほむらはばつが悪そうに視線を逸らし、黙りこくってしまった
重い沈黙が場を支配する
風斬とまどかは両者の間に視線を行き交わし、ただ事態の推移を見守ることしかできない
マミは何か考え込んでいる様子で、言葉を発しない
そして学園都市で一番の頭脳を持つ男は
一方通行(……悪くねェ)
我関せずと言った体でチーズケーキを頬張っていた
風斬「あ、一方通行さんはどう思うんですか?」
一方通行「あン? なンでオレに聞くンだよ、勝手にすりゃイイじゃねェか」
風斬「そ、そうですけど……でも……」
一方通行「ようはオマエの知らないところで勝手にオマエの願いを叶えてやったから感謝しろってコトだろ?」
さやか「ち、違いますよ! あたしはそんな、見返りとかそういうの求めてるわけじゃないし……」
一方通行「余計性質が悪ィじゃねェか」
マミ「……美樹さん、その子にはこのことを言うつもりは?」
さやか「言えるわけ、無いですよ……」
マミ「それは、信じてもらえないから?」
さやか「当然ですよ……あたしだって、まだ半信半疑なのに……」
風斬「それだけじゃ……ないんじゃないかな」
さやか「え……」
一方通行「まァ、いつ死ンじまうかわかンねェしな」
さやか「……」
風斬「二人の関係は全然知らない。 でも、さやかはその人のことを大切に思ってて、向こうもきっと、そうなんだよね」
さやか「……」
まどか「上条くんとさやかちゃんって、昔から仲がよくって、お互いがお互いのことを本当に大切に思ってて、まるで兄弟みたいだったじゃない?」
ここぞとばかりにまどかが口を開く
さやか「まどか……」
まどか「だから、もし腕が治ったとしても、さやかちゃんがいなくなっちゃったりしたらさ……上条くん、寂しがると思うな」
さやか「……そう、かな」
まどか「うん、きっとそうだよ」
ほむら「……」
一方通行「自分から殺し合いに身を投じるンだ、半端な覚悟じゃ務まらねェよ」
ほむら「……魔女の結界内で死んでしまうと、死体なんて残らないのよ」
さやか「う……」
一方通行「もっとも、ソレに見合う覚悟があるのなら止める理由なンざ存在しようが無ェけどな」
選択肢を取り上げる必要はない、一方通行がそう付け足す
さやか「……みんなの言いたいことはわかる。 でも、さ」
ぽつり、と小さな一言
さやか「それでもやっぱり、あいつの演奏をもう一度聞きたい」
力強く、言い切る
さやか「そしてもう一度、昔みたいに笑って……」
そこで言葉を飲み込む
さやか(……ううん、笑いかけて欲しい)
さやか「そう思うのは……やっぱり、いけないことなのかな」
まどか「……さやかちゃん」
マミ「そんなことないわ。 それだけ誰かのことを想えるというのは、とても素敵なことよ」
マミ「でも、だからこそよく考えて欲しいの。 キュゥべえが……」
マミの言葉が途切れ、表情が曇る
マミ「……あの子が私たちに何かを隠してるとわかった以上、当初とは事情が違うのだから」
さやか「うん……そっか……」
風斬(……あんなのでも、この子にとっては、大切な……)
人の形をしていても、結局は化け物の域を出ない自分を友と呼んでくれる人がいる
同じように、巴マミという少女にとっても、彼はおそらくそういう存在であったのだろうと風斬氷華は考える
風斬(……なんとも思わないのかな、あの子)
ほむら「その通りよ。 あんな奴から奇跡を貰い受けるべきではないわ」
マミ「……」
ほむらの言葉を受け、マミの表情が暗く沈む
まどかがたしなめるような視線をほむらに向けるが、ほむらはそれに気付かない
さやか「じゃあ、あんたはどうなのさ」
ほむら「私は、他に選択肢が……」
そこまで言いかけ、ううん、とかぶりを振り
ほむら「……他に選択肢を思いつくほど、聡明ではなかったのよ」
蚊の鳴くような声で、ぽつり、と呟く
再度、重い沈黙が場を支配する
マミ「……美樹さん、あなたは私たちと違って考える時間が有る」
さやか「……はい」
マミ「鹿目さんも同じよ?」
まどか「は、はい……」
ほむら「ダメよ、それは……」
マミ「暁美さん、クラスメイトを心配する気持はよくわかるわ」
一方通行「単に足手まといが増えンのが気に入らねェンじゃねェのか」
風斬「一方通行さん……さすがにそれはないと思いますよ、多分……」
さやか「言われてみればそうかも知れない……」
ほむら「……誰もそんなことは言ってないわよ」
まどか「あ、あはは……」
マミ「……もし、魔法少女になるというのなら、私は全力であなたたちをサポートするわ」
マミ「もちろん、暁美さんもそうよね?」
ほむら「……できるかぎりのことは、ね」
風斬「わ、私たちも協力するよ!」
一方通行「ナチュラルにオレを巻き込ンでンじゃねェよ」
風斬「あ、あの……ここは空気を読んでもらえると……」
一方通行「テメェ……」
一方通行がそれだけで人を殺してしまいそうな鋭い視線を風斬に突き刺す
その視線から逃れようと目を逸らす風斬を見て、諦めとあきれの入り混じったため息をつく
場の雰囲気が、少しだけ和やかになった
おやすみ!
変な場所で切ってることに今更気づく
マミ「どうしても願いを叶えたいというのなら、その時は私たちを呼んで欲しい。 そうすれば暁美さんも事情を話してくれると思うから」
ほむら「え?」
さやか「鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔になってますけど」
まどか(ほむ鉄砲……)
マミ「駄目かしら?」
ほむら「駄目、とは言わないけど……」
ほむらがマミに視線をやる
マミ「え……わ、私?」
ほむら「……魔法少女にとっては重過ぎる真実よ。 とくにあなたみたいなのにはね」
マミ「わ、私は大丈夫よ……何がきても覚悟はできてるわ、うん」
ほむら「本当?」
マミ「え、ええ……」
ほむら「本当に本当?」
マミ「も、もちろんよ……」
風斬「もっと信用してあげようよ……」
ほむら「……約束よ、何を聞いても取り乱さない、と」
マミ「は、はい……」
風斬「……あ、あれをすればいいんじゃないかな?」
ほむら「あれ?」
風斬「えっと……指きりげんまん……」
頭に手を当て、続きを思い出そうとする風斬にまどかが続く
まどか「うそついたら♪」
風斬「ぶちこーろす♪」
にこやかに言い放った一言に、場が凍りつく
さやか「違うよ! そんなストレートに殺意を露にしてないから!」
風斬「え……そ、そうだっけ……」
一方通行(いいぜ、お前が約束を破るってンなら、まずはそのうそつきをブチ殺す!ってのは……ねェな)
まどか「はりせんぼんのーます、ゆびきった。 だよね」
風斬「そ、そうだったんだ……」
マミ「ま、まあ……いいかも知れないわね」
風斬「でも、結局死んじゃうんだから変わらないんじゃ……」
ほむら「変わるわよ」
さやか「変わるよ!」
風斬「……はい」
一方通行(なンだかンだで案外うまくまとまるもンだな……ン? メールか)
一方通行(10430号か、何の用事で……)
一方通行「……」
風斬「どうしたんですか? 一方通行さん」
一方通行「……少し用事ができた」
ほむら「……?」
一方通行「風斬、オマエはコイツの所に世話になってンだな?」
一方通行が顎でほむらを指し示す
風斬「え、あ……はい……そのつもりですけど……」
一方通行「ならイイ。 何かあった時にオマエの居場所がわからねェと不便だからな」
風斬「は、はあ……」
マミ「あ、じゃあ……」
一方通行「オレのことはいい、それより今はやるべきことがあるだろォが」
立ち上がりかけたマミを言葉で制し、一方通行がその場を後にする
なかなか悪くなかった、とケーキの感想だけを残して
さやか「行っちゃった」
風斬「それじゃあ……ゆびきりを……」
ほむら「……本当にやるの?」
風斬「む、無理にとは言わないけど……」
マミ「ふふ、確かに少し恥ずかしいかもね」
そう言いながらも、乗り気な様子で手を差し出す
ほむら「もう……仕方ないわね」
ほむらも同じように手を差し出し、小指と小指を絡めた
ゆびきりげんまん♪
うそついたら♪
ぶちk
だから違うって!!
あ……ご、ごめんなさい……
―――
――
―
まどか「ごちそうさまでした、マミさん」
さやか「いやー、ケーキも紅茶もめちゃうまでしたよー」
マミ「ふふ、それは良かったわ」
ほむら「……巴マミ、さっきのことなんだけれど」
マミ「大丈夫よ、ぶち殺されちゃたまらないもの」
いたずらな笑顔を風斬に向ける
風斬「も、もうさすがに覚えたよ……」
まどか「ブチころしちゃうのはひどいと思うな……」
まどかが苦笑し、風斬が頬を膨らませる
ほむら「そう……なら、いいわ」
さやか「……あ、あのさ」
ほむら「何かしら」
さやか「あー、いや……その、あんたの言いたいこともわかるんだけどさ」
でも、と言葉をつなげる
さやか「やっぱり、諦められないんだよね」
ほむら「……それは」
ほむらが何かを言いかけ、途中でやめる
風斬が心配そうな面持ちでほむらを見やる
ほむら「……良く考えて欲しい、今の私から言えるのは、それだけよ」
マミ「そうね、間違ってもはずみなんかで契約しちゃ駄目よ?」
さやか「わ、わかってますってばー!」
まどか「……うーん」
さやか「まどか! あんたあたしのこと信じてないなー!」
そういって、いつもやってるようにさやかがまどかにじゃれつく
風斬(……仲良いんだなあ)
しばらく話した後、まどかとさやかが連れ立って帰宅していく
マミ「暁美さん」
同じように帰ろうとしたほむらの背中に、言葉が投げかけられる
マミ「美樹さんは、きっと悔しいと思うのよ」
ほむら「悔しい?」
ほむらがマミのほうへ振り返り、首をかしげる
マミ「ええ。 大切な人を助けられる『奇跡』が目の前にあって、自分はそれを手にする力があるのに、足踏みせざるを得ない」
マミの言葉を聞き、ほむらが合点の言った表情を浮かべる
ほむら「……そう、ね……」
マミ「……思い当たる節があるみたいね」
風斬「そっか……ほむらも……」
ほむら「……」
マミ「……この話はこれでおしまい。 それじゃあ、明日も頑張って魔女を倒しましょう」
ほむらの気持ちを察したのか、マミが明るく冗談めかして、それでいて力強く言葉を紡ぐ
マミ「美樹さんや鹿目さんたちが、安心してこの町で暮らせるようにもね」
ほむら「……ええ」
ほむらがうなずき、風斬を含めた三人が穏やかな笑顔を浮かべる
風斬とほむらが去り、一人静けさの支配する部屋へと戻る
さっきまで人がたくさんいたからだろうか、いつもより部屋が広く見える
「……誰かのため、か」
独りつぶやいた言葉は、だれにも受け止められることなく虚空に溶けて行った
――誰かのために祈るなんて、彼女は今でもそう思ってるのだろうか
―――
――
―
「わざわざ呼び出して何の用だ? 下らねェ用事ならはっ倒すぞ」
「下らないかどうかはそちらの受け取り方しだいです、少なくともミサカにとってはそれなりに重大な出来事でしたが」
「オマエにとって、ねェ……風斬のことなら何も話すことはねェぞ」
「天使様のことなら何でも知ってますってか? 調子にのんなよモヤシが、ちぎるぞコラ」
「お、おう」
「まあ、それは置いといて。 確かに天使様の近況も知りたいですが、そちらはミサカ自らの手で調べていくので問題ないです、とミサカは既に天使様の居場所を把握していることを仄めかします」
「……程ほどにしとけよ」
「わかってます。 それでは本題ですが……簡単にまとめると、『書庫』に何者かが侵入しました」
「オイオイ、学園都市のセキュリティはどうなってンだ」
「その影響で、情報の流出を恐れた理事会は学園都市を封鎖」
「――現在、学園都市は完全に世界から孤立した状況です、とミサカは現状を報告します」
「そこまでするほどのもンかよ……内部はどうなってンだ?」
「詳しいことは不明です。 ただ、あなたに帰還命令が出ています」
「だろォな。 さすがにこの状態でオレを外に出しておくほどアイツらもバカじゃねェ」
「というわけで、騒動が落ち着いた明日の夜にでも出発してください」
「なンでだよ、今すぐ帰ればイイじゃねェか」
「一応あなたは天使様の監視役という名目でここにいるんですよ、とミサカは本来の任務を告げます」
「……初耳だな」
「というわけで、代わりの人物が来るらしいのでその人に監視の任務を受け継いでから帰還してください」
「代わりだと?」
「はい、代わりです」
「……クソが、イヤな予感しかしねェぞ」
気が付けばハロウィンが終わってた
このまま今年も終わりそうな勢い
次回は多分二週間後くらい
/ \
/ ヽ
∧_.ィ _ _ ,
/ ´ ./´ ノ  ̄ ‐- ,____ ′ 、__人_人_人_人_人_人_人_
/ / / / ィニニニニヽ ` ヽ} ) (
イ / / / _ ヽ /=ミ、 〉 ) やめて! (
ノノ -‐<〃/ .、 〃 r 芹` ' ___ / ) (
< く〃 v/ ニ {{. {;;以 ´7ハヽ.′ ⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
∠. {{ `コ } `。 / 、 以;;} ノ{
ノハ. { ( ///// /////" |
\\ ⌒ ' /
\ rf ̄ /
liТ1 { | \―――――- . _, ヽ /
. V|八 \ `ー―――- V/ 〃
rハ ` 、 、__ , / ┌────────────────┐
/ \:\ >‐-\ イ │ │
/ \:\ `ー- -‐< \ │ 僕に治させる気なんだね? │
│ │
└────────────────┘
) (
) (
) 本編みたいに!! (
) (
) (
) (
⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
年明けには更新するつもりだったのにいろいろありまして
申し訳がない
学園都市の暗部は、確かに解体された
――だからと言って、この都市の後ろめたい部分が消え去るわけがない
「……おもしろそうだな。いいぜ、のってやる」
今までずっと光の当たらない場所で、他人の血肉をすすりながら生きながらえてきたクズどもを表の世界に放すなんざ、馬鹿げてる
「ちょっとでかけてくるぜ、ジイさん」
カエル顔をした医者に外出の意を告げる
当然良い顔はしなかったが、こんな辛気臭いとこに閉じ込められるのはもうたくさんだ
少しばかり、羽を伸ばさせてもらうとしよう
―――
――
―
―
――
―――
「結局ついてきちゃったけど……どうしよう、やっぱり……」
魔女の口づけを受けた人間を追って、さやかは人気のない建物へと辿り着く
近年急速に発展してきた見滝原には、一方でこういった場所が少なくない
周りを見回すと、同じように口づけを受けたと思われる人間が何人か集まっていた
彼らは何かを求めるように、階段をゆっくりと上がっていく
(……これ、絶対やばいよね……仕方ない)
知り合いに連絡しようにも、今は授業中だ。少なくともまどかは携帯の電源を切っているだろう
それに、今から連絡して間に合うとは思えない
「……キュゥべえ、いるんでしょ?」
虚空に向かって話しかける
さやかの予想とは裏腹に、答えは返ってこない
「……あれ?」
そうこうしてるうちに、彼女を含めた一行は屋上へと出る
「うそでしょ……なんで肝心な時にいないんだよ! もう!」
憤慨する彼女を尻目に、彼らは歩みを進める
屋上の柵はところどころ欠けており、その役目を為していなかった
「ス、ストップストッーーーープ!!」
彼らの前に回り込み、何とか自殺を阻止しようとする
だが、女子中学生の非力さで止められるわけもない
(……や、やばいやばいやばい、このままじゃあたしまで落ちちゃう!)
「キュゥべえ!いるんでしょ、早く来なさいよ! 魔法少女にでもなんでもなってやるから!」
魂を抜かれるという事実に、恐怖を感じないわけではない
だが、彼らを見捨てるという行為を、美樹さやかの正義感が許すはずがなかった
「ちょっと!なんで出てこないのよ! ああっ、ちょっと待って!」
身を乗り出そうとした一人の体にしがみつき、その動きを止める
「もー!なんでどいつもこいつも自分を大切にしないんだよ!」
ずるずると体を引きずられながらも、さやかが叫ぶ
直後、骨が何か硬いものに打たれるような音と共に、さやかを引きずっていた人間が倒れる
「えっ……」
「オイ、今魔法少女って言いやがったな?」
顔を上げる。声の主は、茶髪にホスト風の服を着た青年だった
「……は、はい……」
「はっ、こいつはついてやがる。 まさか一発ビンゴとはな」
言いながら、青年は周りの人間を殴り倒していく
男女関係なく、とても洗練された動きで
「……すげぇな、『病み上がり』のくせにこの動きとはな。 やっぱただのジジイじゃなかったってわけか」
「ちょ、ちょっと!」
「やりすぎとか言ってくれるなよ。 こっちはコイツらを止める義理もメリットもねぇんだ」
「そ、そうだけど……」
「それより、『魔法少女』について聞かせ――」
「!」
強風が音を掻き消し、空間が裂け――光が二人を飲み込む
…
……
………
「……やれやれ」
二人がいなくなったのと入れ替わるように、白い獣がその場に姿を現す
「よりによってこのタイミングとはね、契約のチャンスを逃してしまったじゃないか」
偶然か、それとも誰かが仕組んだものか――まあ、それは些細なことだ
超能力者とはいえ、単体ならシステムそのものには何の影響も与えない、無価値なものだ
それで鹿目まどかの契約に何かしらの障害が出たとしても、結局は自分たちのやることには何の影響もない
だが、それ以外にもイレギュラー、それもこちらに敵対心を持っている者が多くなれば、こちらの動き方も少し変わってくる
例えば今回、彼に見つからないように行動したように
「口裏合わせでもしたのかな、“もう一つ”の方も動いているみたいだし」
風斬氷華と暁美ほむらの出現を皮切りに、事態は大きく推移した
交渉だけで事を収めるのは、もはや至難の業だろう
「まあいいや、とりあえずは――お手並み拝見、といったところかな?」
その言葉を残し、まるで元から何も存在していなかったかのように、白い獣がいなくなる
………
……
…
―
――
―――
「う……ここは……」
二人が呑み込まれた先は、まるで美術館のような結界
展示されている絵は、どれもこれもが禍々しく、人の死を切り取ったようなものばかり
「魔女の結界……?そんな……!」
さやかが一歩踏み出した瞬間、アラームが館内に鳴り響き、同時に巨大な“何か”が姿を現す
紫色のでっぷりと太った体に、豚のような顔
背丈は彼女の三倍以上はあるだろうか
“それ”――この結界の主である魔女の使い魔は、大きく咆哮し、手に持った大槌を振りかぶった
「――っ!?」
思わず目を瞑り、手でそれを防ごうとする
――やられる
だが、いつまでたっても衝撃は来ない
「……クソが、人のセリフを遮ってんじゃねぇよ」
その言葉に、恐る恐る目を開けると、とても幻想的な光景が広がっていた
そう、幻想的と言わざるを得ない……この世界に“似つかわしく無い”光景
この世のものとは思えない、純白の翼が大槌を受け止めている
その翼の持ち主は、先程の青年
「ムカついた、愉快な死体に変えてやるよ――“化け物”」
“最強”という太陽に近づき過ぎた挙句、希望と共に全ての翼を手折られた男
――学園都市第二位、垣根帝督が舞台へと上る
/ : /: : : : /: /:./:!: : : :./: : : :/: :! : | \ : : : : : ヽ
′/: : :|: /: /-/:十-、:/: : : :/:-┼: |、 ゝ : ヽ: : i
|: :i: : : :| :| / /|: /!: : /: ://: : /|: / ヽ ミ : : |: : |
|: :|: :i : | :|:|斗≠=ミ// /: :斗=≠ミ. ミ\|: : | そういえば、あすなろ市にも電撃使いがいるみたいね
|: :|: :i : |八Y´ んir个 /:/´ んr心{ }ヽ∨: : | それも私と同じように同性に好かれてるんだって
│ |: :i :∧ハ 弋てソ / 弋てソ ル∨: : : !
∨|: :i∧小 ー ′ ー ('^ハ: : : : | きっと主人公張りの活躍をして、
ヽ| 八(∧ゝ"" ""ノ⌒)ノ : : : | スピンオフとかも作られちゃうくらいすごい子に違いないわ
|: i :\.ヘ、 -、 ^´/: : : :i: |
|: i: : /: ̄\_ ‘ー' /i⌒´i : : : : !│
|: i: :,': : i : :( \ . ィ : : i: : : ! : /: :.i八
,: :|: |: :.:.i : :.iヽ ヽ>‐ ´ ト、: |: : i: ∨: : /:iハ
/ :ノ:│: :.|: : :| ∧ Y_ r‐、ノ \{: : |.:/{: : :{ノ/ \
// i八: : {ヽ/ } ト、/ヽノ 〉、∧八 : :∨
/ r┬'─ヘ{'〈 j / ヘ〉 /|:::`ー∨\: ヽ、
/|:::!:::::::::::::::::::|\ 〈 /厂 〕 //|:::::::::::::::::::::`ヽ\
新約6巻とかずマギ完結おめでとうございます(今更)
スレタイでネタバレしてますが垣根さん、白くないです
だいたい新約はいったあたりの時間で考えてるので、本編とは矛盾すると思います
まさか白くなるとは思わなんだ
では来週
何とか前回のを忘れないくらいの間で更新していきたいと思います……
―――
――
―
10430号「貴方のハートにビリビリずっきゅん☆レディオノイズの電撃検診はっじまるよーっ!」ビリッ☆
恭介「……」
突如現れ、わけのわからないことを言い出した“ミサカ”(ナース服)に上条恭介が何とも言えない表情を浮かべる
10430号「ノリが悪いですね、そんなのだから彼女にもフラれるんですよ、とミサカはガチで引かれたことに対する衝撃をうまく隠しながらポーカーフェースを装います」
恭介「……はい?」
10430号「おや、先程ここを飛び出して行った女の子がいたではないですか」
恭介「さやかは……違いますよ、そんなんじゃなくて……」
10430号「えっ……じゃあ、もしかして……セ」
恭介「ただの幼馴染です」
何かとてつもなく嫌な予感がしたので先に答えておく
10430号「……幼馴染にしては、すこし甲斐甲斐しすぎる気もしないではないですが。 まあいいでしょう、ミサカには一生理解できることでもないですし」
恭介「?」
10430号「なんにせよ、仲直りはしておいたほうがいいですよ。 女心は複雑ですからね、とミサカは人並みの役に立たないアドバイスでお茶を濁します」
恭介「役に立たないって言っちゃってるじゃないか……」
10430号「まあ、“私個人”としては……」
途中まで言いかけた10430号の襟が、かなりの力で後ろに引っ張られる。
慌てて彼女が振り向くと、そこには大柄の看護師の姿が
10430号「……これはこれは、こんにちわゴリさん」
ひきつった笑みを浮かべたまま、10430号が答える
「だれがゴリさんだ! いや、すまんね上条さん、この子がまた……」
恭介「いえ……」
10430号がその看護師に引きずられるように外へ連れ出されていく。
恭介(何だったんだいったい……)
10430号「上条恭介」
扉まで来たところで、彼女が再度口を開く
10430号「あなたはまだ、一分の一ですよ」
少なくとも、あの子にとっては――その言葉を最後に、彼女の姿は閉まる扉の向こうへと消えていった。
「……なんなんだよ、本当に」
一人残された少年が呟く
仲直り、なんてできるわけがない
どうせ自分には、もう何もないのだから
――自分はまだここにいて良い。 そう言って欲しいだけなのかもしれない
―――
――
―
「電撃検診も、しばらくお預けですね」
ひとしきり怒られた後、10430号があてがわれた自室へと戻る
上条恭介との会話を思い出しながら、PCを起動させる。
二万分の一、18万円の人形である自分と、どこまでも特別な存在である彼
最初は、自分のよく知っている姓だから、それとなく調べたに過ぎない
今では、純粋に彼の行く末に興味がある
本当に無力な人間は、喪失をどう乗り越えるのだろうか
(……自己投影の一種、かもしれない)
「死ぬ理由」を奪われた自分と
「生きる理由」を奪われた彼
彼が乗り越えられるのなら……自分も、もしかしたら――
空虚な希望だと、もう一人の自分があざ笑う
いや、一人ではない
一万と、31が嘲笑するのだ
本来なら、学園都市と繋がっているこの端末も、学園都市が封鎖された現状では役に立たない。
もっとも、ミサカネットワークを介しての情報のやり取りの方は何の支障もないのだが
「『書庫』をはじめとした学園都市そのものへのハッキング……そちらも気になりますが……」
画面には風斬氷華、いや、ヒューザー=カザキリについての情報など、“表”では入手不可能な情報が映し出される。
「……魔法少女」
第一位から大体の話は聞いている
そのうえで、さまざまな情報を調べ上げた
「学園都市は、本当に何でも研究していますね……」
ではまた早いうちに
季節の移り変わりだからみんな体調を整えて健康な生活を送ろうね!
予告だけ投下
「死ね――かずみ!」
「まずい、ソウルジェムが――っ!」
一つの悲劇が生まれようとするとき
「『七閃』!」
救われぬ者へと、救いの手が差し伸べられる
「ここで使えば『右手』は暫く再生できないんだぞ?」
――元『神の右席』 フィアンマ
「やかましいこのド素人がっ!!」
――『聖人』 神裂火織
「今は彼女の言うとおりにしておくべきだね」
――『“魔女狩りの王”の主』 ステイル=マグヌス
「あなたたちは、一体……」
「『魔術師』でいいよ。 細かいことは気にしないほうがいい」
あすなろ市に現れた三人の『魔術師』
「ここに、悪魔……貴女たちが『インキュベーター』と呼ぶモノに対抗する手段がある、と」
「インキュベーター? 何だそりゃ」
その目的は――
「この街には、何やら記憶操作を行う結界が展開されてるようだな……ところで、そいつは何だ?」
「オイラが見えんのかよ、オッサン」
――“人工グリーフシード”、ジュゥべえ
“悪魔”には二種類ある
一つは、天上から落ちながらも、天上の者と等しき力を持つ者
一つは、天上とは全く別の力で、天上の者と等しき力を持つに至った者
そして彼ら――インキュベーターは、後者である
またの名を、『メフィストフェレス』
「今こそ『魔術』は『魔法』の呪縛より解き放たれる時なりけるのよ」
「奴らが学園都市に気を取られている今こそが、好機」
「私はお前たちを、プレイアデス聖団を、絶対に許さない!」
「人間風情が!」
見滝原に吹き荒れる、二つの呪い
「もう嫌なんだ! 友達が傷付くのを見たくない」
“オリジナル”が慟哭し
「やめましょう? 辛いだけよ、こんなの……」
罪に塗れた真実が
「ミチルに帰ってきて欲しい。 でも、それが果たして……」
無垢なる悪意を身に纏い
「……違うんだ、ボクたちのミチルじゃないんだ」
彼女を襲う
「もう一度、作り直せばいい……ジュゥべえが完成してから……」
――それでも彼女は、抗う
「アタシを信じろとは言わない……だけど、かずみはかずみだ!」
「ワイヤーに電流を走らせれば!」
「『七閃』――“雷走”」
「バケツパフェ、お待ちいたしました」
「……世界は広いな」
「準備は良くって? マグヌス君」
魔術と魔法が交差する時
「元々僕の魔法だぞ、御崎海香」
物語は、始まる
「――『魔女狩りの王』!!」
そして現れる、最大の敵
「『忘却』か……やれやれ、システムへの影響は少なくはなさそうだ」
そこにわずかでも、希望があるのなら……
「わたし、決めた――魔法少女になる」
「よう、オイラはジュゥべえ。 ヨロシクな、アニキ!」
「魔法少女かずみ☆マギカ」×「とある魔術の禁書目録」
海香「魔術師?」 ステイル「ま、そうだね」 カオル「何しに来たのさ」
10月10日 公開予定。
ではまた近いうちに
4月30日だし投下
―見滝原、某所―
10430号「集まりましたね。 では、現状の確認でもしましょうか」
垣根「待ちやがれ。 そこの牛乳女はいったい何なんだよ」
風斬「う、牛、ち、乳って……ひ、ひどい……」
10430号「『俺の搾乳に常識は通用しねえ』とでも言いたいのですか? 少し自重というものを学んでほしいものです、とミサカはため息をつきます」
一方通行「オマエが自重しろよ」
垣根「……見たところ、『コッチ側』の人間とは思えねえが」
一方通行(さすがにコイツも風斬のことまでは知らなかったみてェだな)
風斬「え、えっと、か、風斬氷華です……よろしくお願いします」
垣根「そんな月並みな挨拶いらねぇんだよボケ。 所属とか、そういうのあるだろ……」
深々とお辞儀をする風斬に対し、あきれたような口調で言葉を投げかける
風斬「所属、ですか……多分、まだ霧ヶ丘女学院に籍はあると思いますけど……」
垣根「……そうかよ」
もはや言葉も出ない、といった様子の垣根に対し、風斬がきょとんとした表情を浮かべる
10430号「ミサカからも一ついいでしょうか?
風斬「は、はい……どうぞ」
10430号「胸のサイズをお願いします」
風斬「へ? え、えっと……じ」
一方通行「オイ待て答えよォとしてンじゃねェよ、これ以上この場の空気を澱ませてどォすンだ」
10430号「チッ、とミサカは舌打ちます、チッ……」チッ
垣根「もうこいつ他のに変えてもらえよ、一万体近く余ってんだろ」
10430号「冗談はここまでにして、現状の整理をしておきましょう、とミサカは話を進めます」
一方通行「誰のせいで話が進まないと思ってンだ」
10430号「まずは当面の脅威である『魔女』に関してですが、確認されたのは4体……そこの第二位が接触したのも合わせると5体、ですね」
風斬「バラがたくさんあったところにいたものと、暗がりにいたのは私がヒューズ化して倒しました」
垣根(ヒューズ……か、まさかな)
一方通行「三体目のデケェ恵方巻きはオレが袋叩きにしたが……」
10430号「何か問題でも?」
一方通行「止めは刺せなかった……つっても、次に出てきたテレビかパソコンかなンかのバケモノは黒翼で消し飛ンじまったけどな」
垣根「で、俺の前に出てきたのがヘンテコな像みたいなヤツってか。 少しバリエーションに富みすぎだろ」
一方通行「逃してンじゃねェよボケ」
垣根「やばくなったら退くくらいのことを考える程度の知性は有してるってわかっただけでもいいじゃねぇかクソ野郎」
10430号「はいはい、喧嘩は学園都市でやってくださいね、とミサカは二人をなだめます」
一方通行「……」
垣根「チッ……」
風斬「あ、あの……お二人はいったいどういう……?」
一方通行「昔やり合ったことがある程度のもンだ。 オマエが気にするよォなことでもねェよ」
垣根「いいから話を進めろ、こっちは何も情報無しに放り出されたんだ」
10430号「先にそちらの現状をこちらに伝えてもらえるのなら」
垣根「俺の現状だと?」
一方通行「そもそも、病み上がりのオマエが戦力として期待できンのかよ」
垣根「俺を一度殺したお前が、今ものうのうとこの俺の目の前でのほほんとしてやがる、それで大体わかるだろうが」
憎々しげに吐き捨て、言葉を続ける
垣根「肉体はほぼ全壊、その上何故か学園都市のクズどもは俺の修復作業を“途中で止めやがった”。 その後はあのジジイに丸投げと来やがった」
10430号(冥土返しは何でもやってますね)
垣根「確かに再生自体は当初の予定より前倒しになったが……おかげでつまらねぇ入院生活の挙句、未現物質の『放出制限』付きだ。――これで満足かよ」
一方通行「……途中で止めた、だと?」
垣根「俺に飽きたか、俺を使わざるを得なくなったか……何にせよ愉快な死体決定だ、クソ」
一方通行「それはそれは……ご愁傷様でェす」
垣根「誰のせいだと思ってやがる……」
一方通行「喧嘩を売ってきたのはソッチじゃねェか」
垣根「ふん、テメェだって結局あの時の俺と似たようなことやってんじゃねーか」
一方通行「結果だけ取り出して語るんじゃねェよ」
風斬「あ、あの……それくらいに、しておきましょうよ……その、一方通行さんもすごいですけど、復活した垣根さんもすごいですし……」
垣根「慰めてるのか憐れんでるのか馬鹿にしてるのかどれなんだよ」
10430号「慰めてるに決まってるじゃないですか、とミサカは天使様の肩を持ちます」
垣根「そうかよ。 それにしても、何なんだよこのおちゃらけた雰囲気は……」
一方通行「……まァ、気持ちは分からないでもねェが……じきに慣れる」
垣根「真人間になりましたアピールでもしたいのか? 勘違いするな、お前も俺と同じ殺人鬼のクズなんだよ」
一方通行「ソイツはどォも」
まるで手応えのない一方通行の返しに、垣根が苛立たしげに本日何度目かわからない舌打ちをする
垣根(ろくな確認作業もせずに来た結果がこれか。 やる気をそがれるってレベルじゃねえな……)
10430号「第一位を呼び戻す一方で、あなたをこちらに送り込んだ理由もよくわからないですね」
風斬「命令を出す人も、いろいろ大変なんでしょうね……」
垣根「どうでもいいだろんなこと、それよりさっさとやるべきことを示せよ」
10430号「それを伝えにやってきたのではないのですか?、とミサカは予想外の質問に驚きを隠せません」
垣根「はぁ? 俺は何も知らねえぞ」
一方通行「……オマエ、単に学園都市を追い出されただけじゃねェのか?」
一方通行がつぶやき、それを受けて垣根が言葉を失う
風斬「た、たぶんあれですよ! 一方通行さんと仲直りを」
垣根「あるわけねえだろバカ」
一方通行「あるわけねェだろアホ」
見事にハモったTOP2の返事に、風斬が縮こまる
10430号「こちらとしては『魔法少女という脅威に対処しろ』程度のことしか伝えられていません」
風斬「脅威、ですか……?」
一方通行「出元のよくわかンねェ能力を持ったガキが管理もされずにその辺歩いてると考えりゃァ、わからなくもねェな」
垣根「にしちゃぁ、力を入れすぎだと思うがな」
―――
――
―
第一位、第二位、人工天使、クローン
バラエティに富んだ会合だったな、と垣根帝督は一人思う
結局、何も得るものはなかった
「いや……何もわからないのが分かっただけでも良しとするか」
ベッドに体を投げ出す
第一位、という言葉につられてやってきたは良いが……
「……どうしようもねぇな」
恨みがないわけではない、殺意は当然ある
だが、それを実行に移すには枷が多すぎる
「くそ……こんなことなら寝てるべきだったか」
苛立ちよりも、呆れが先に来る
――まあいい、あいつとの決着以上に、もっと解決すべき問題はほかにいくらでもある
牙を抜かれたのは、自分か、それとも向こうか
恐らくは、両方共がそうなのだろう
(……情けねぇな、LEVEL5が)
割と洒落にならないレベルで不完全な垣根さんですが、まあカブトムシが成虫になる前にさなぎの中から連れ出されたみたいなもんです
ではまた今度
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : `: . 、
/::::. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
{:::::::::::::::. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.
∨::::::::::::::::::::::::::::::::..: : : : : : : : : : : : : : :i
/`丶::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. : : : : : ノ ̄\
./ `/ー-::_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::._: イ{ \
/ / // / ̄/ ̄ / ̄ ̄{ ∨リ∧ ',
./ / // 厶/ / | ‘ i '.
/ / /⌒ //ー< l | |
/}/ /{ i /_彡' i i_ | |
/ / /∧ | , ィテ斥ト、 / ∨ `| | ,
i/ // /∧! ,′__}刈 i __, ∨リ , |
' // /厂 | ! 、`ー゚' 〃⌒ヾ// | 次回から学園都市編ってわけよ!
///_/イ ,ノ| ! ´´ { // / i
// / /イi分、 、_ ′ // // ,
/ / ノ i \ ゝニエフ , イ/ // /
/ i ' | ,、___ -=≦{∨ // /
i /i | / リ / / / i/-、 __/
/:.:! il / / / ' ,イ _ / | |.:.:.:}  ̄`丶
:.:.:.:. {′/ / // /く:.:.:∨ |l | {:.:./ \
.:.:.:.∨ / / / / 〉 :.:| |i | ∨ \
.:.:.:./ / / / / /:.:.:.:.| |i | i i
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません