夜、とある病院の一室。
恭介「集まったか、諸君」
俺の眼の前に揃った一同に向けて、そんな言葉を放つ。
来ヶ谷「うむ、見ての通りだ恭介氏」
小毬「こ、こんなところでこんな時間に集まって大丈夫なんですかね」
クド「なんだか悪い事をしているような気がするのです……」
気弱組二人が、早速そんなことを言い始める。
恭介「心配するな、小毬、能美」
小毬「ふえ?」
クド「わふ?」
そんな二人を安心させる為に、こう言ってやる。
恭介「悪い事をしている『ような気がする』のではない。悪い事をしている『のだ』っ!!」
グッと握りこぶしを作って、はっきりと言い切る。
小毬「え、えぇぇっ!?」
クド「そ、それはその、よろしいのでしょうか、そんなことをしてしまっていて!?」
恭介「そりゃあお前、悪い事をしているんだからよろしくはないだろう」
真人「すげぇ、言い切ったぞこいつ」
来ヶ谷「一体何を始めようと言うのだ、恭介氏?」
美魚「深夜の病院で若い男女が密会……ありです」
葉留佳「悪だくみの匂いがしますなぁ。トラブルメーカーの血が騒ぐってもんですよ」
恭介「残念ながら三枝。お前が求めているようなことでない」
葉留佳「えーなにそれつまんなーい!じゃあなんなんですか?」
恭介「題して、リトルバスターズ!季節外れの大怪談大会ー!はいうるさくならない程度に拍手ー!」
俺の呼びかけに、申し訳程度に小毬と能美だけが答える。
恭介「なんだお前ら!ノリが悪過ぎるぞっ!」
真人「いや……全く話についていけてないんだが……」
謙吾「あ、あぁ……俺も真人に同意だ。本当に何を始めようと言うんだ?」
恭介「考えても見ろお前ら!理樹と鈴にこうして救われた命だぞ!一分一秒がもったいないと思わないのか!?」
小毬「恭介さんが壊れた……」
クド「わ、わふ……でも、言ってる事はなんとなくわかるような気がしないでもないのです……」
恭介「そして、だ!あいつらが頑張ったにもかかわらず。我らリトルバスターズは理樹と鈴二人を残してこうして無様に入院だ!滑稽だろ!?」
真人「……それ、俺達が悪いのか?」
謙吾「い、いや……俺たちに非はない……はず、だ、多分、恐らく」
恭介「あいつらは俺達が退院して来る日を今か今かと待ちわびているはずだ!いざ俺達の中の誰かが退院して学校に行ってみろ!あの二人になんの手土産もなく、だ!!どう思われる!?」
葉留佳「いや、どーも思われないんじゃないです?退院したんだーおかえりーって迎えてくれると思いますケド」
美魚「第一、わたしたちは怪我人ですよ?手土産のひとつも期待されても困ってしまうのですが」
恭介「そう、そこだよ西園!実際俺達は、なんの手土産も持つこと無く帰る羽目になるんだ!!情けないとは思わないか!?」
来ヶ谷「うむ、情けない。実に情けないぞ!!」
真人「え、情けねえのか?」
謙吾「な、情けないことはないと思うが……多分、恐らく」
恭介「だからこそ!手土産が用意出来ないからこそ!せめて土産話のひとつでも持ち帰るのが礼儀だと思わないか!?」
来ヶ谷「うむ、それがあの二人に対する最低限の礼儀と言うものだろう
真人「怪我人って何なんだろうな」
謙吾「俺もよくわからなくなってきた……」
小毬「え、えーと……つまり、どゆこと?」
恭介「そこで、だ!俺からお前たちに、ミッションを与える!」
真人「有無を言わさない展開になってきたぞ」
謙吾「ある意味、いつも通りと言えばいつも通りだがな」
恭介「実はな。これは風の噂に聞いた話だが…この病院、出るらしいぞ」
真人「は……?」
謙吾「で、出る……とは、一体何がだ?」
恭介「出ると言えば、そりゃ幽霊だろう」
小毬「お、おおおおおおおおお化けさんですかっ!?」
クド「お、おんりょーなのです!?や、厄払い、厄払いをしなければならないのですー!?」
美魚「あ、あの……いたずらに霊を刺激するようなことはしない方がよろしいかと思うのですが……」
恭介「まぁ待て、俺の話を聞けお前ら」
慌てる一同を制し、話を続ける。
恭介「俺も噂程度にしか聞いていないからどこまでが真実かは定かではないのだが……」
そう前置き、本題に入る。
恭介「その幽霊の行動は至ってシンプルだ。ふらりとどこからともなく現れ、ヒトデの彫刻を渡し、そして去って行く。ただひと言、『姉を祝え』、とだけ残してだ」
真人「……なんか、シンプルな話だからこそ妙なリアリティがあるな……」
謙吾「リアリティ、あるか……?」
美魚「何故ヒトデなのでしょうか?」
葉留佳「姉を祝えってのもなんだか微妙に話が通じてなくない?」
来ヶ谷「そもそもその幽霊ははっきりと姿が見えるものなのか?」
クド「ヒトデ……すたーふぃっしゅのことでしょうか?」
小毬「うーん?ヒトデさんの彫刻って言っても、それだけ見たらただのお星様の彫刻にしか見えないような気がするような?」
真人「ま、待て待て、いっぺんに色々疑問を出すな!あ、頭が……」
恭介「何度も言うようだが、俺も噂で聞いたに過ぎない。故に、この話が真実かどうかもわからない」
葉留佳「なんだか雲を掴むような話デスね」
来ヶ谷「うむ、葉留佳君の言うとおりだ。話が全体的にふんわりとしていて、とても掴みどころのない話だ。ただの噂のようにしか思えないな」
恭介「俺も最初はそう思っていた。だが、火の無い所に煙は立たないと言うだろう?」
美魚「それはまぁ、そうですが……」
恭介「理樹や鈴への土産話として、この噂を追及したいと俺は思っている。どうだ?」
真人「どう……って言われてもなあ」
謙吾「追及する事自体は反対ではないが、どう追及したらいいのかがイマイチ判然としないな」
小毬「こ、こわくない幽霊さんなら大丈夫かなー?と思うけど……」
クド「わ、わたしも神北さんに同意です。お、おんりょーはこわいですけど、恭介さんの話ではそれほどこわくなさそうなので……」
美魚「気になる点はいくつかありますが、少々興味はありますね」
葉留佳「おもしろそーじゃん!あたしは賛成!幽霊の正体を暴いてやろーじゃないですか!」
来ヶ谷「入院中のいい暇つぶしにはなるな。わたしも賛成だ」
恭介「よし、決まりだな。何かわかったら俺に知らせてくれ。いい土産話になるといいな。賛成多数で話がまとまったところで、今夜は解散とする。各自、頑張ってくれ!」
最後に俺のひと言で、今夜の締めの言葉とした。
思いつきで立てたクラナドとリトバスのクロスです
クラナド側から出て来るのは風子と公子さんと芳野さんのみになる予定です
よろしければお付き合いください
このSSまとめへのコメント
いや、続けろよ。
面白いぞ。乙