六花「勇太、私と正式に契約して欲しい」(1000)
勇太「契約?それって前に目を見たらどうとか言ってなかったか?」
六花「邪王心眼を見ただけでは仮契約に過ぎない」
勇太「だったら凸森とでも契約すればいいだろ」
六花「凸森はあくまでも私のサーバント、弟子でしかない」
勇太「はぁ……。だいたい何が違うんだよ?その契約と仮契約って」
六花「本契約を結んだ場合、出来る限り私と行動を共にしてもらう」
勇太「今でも十分だろ。登下校から部活動。クラスまで一緒じゃないか」
六花「不可視境界線に潜む敵を倒すにはそれ以上のシンクロが必要」
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勇太「つまり今以上に俺に付き纏う気か」
六花「安心して。パートナーとしての契約だから勇太と私の関係は上下関係が存在しない」
勇太「わかった。断る」
六花「どうして拒絶する?もしや既に管理局が手をうって……」
勇太「その本契約を結んだら土日祝までお前の中二病に付き合うはめになるからな」
六花「ゆうたぁ……」
勇太「そんな顔してもダメなものはダメだ」
六花「あうぅ……はっ!そうだ、ちょっと待ってて」ダッ
勇太「あっ、おい!どこ行くんだよ!俺だってもう帰るぞ」
勇太「ったく……まぁ良いか。鍵をかけて職員室に――」
くみん「だめだよ、まだまだ昼寝は始まったばかり……ムニャムニャ」
勇太「先輩、そんな所でまだ寝てたんですか……」
くみん「昼寝部は……活動…………」
勇太「先輩、起きてください。鍵閉めちゃいますよ」
くみん「そんなこと言わず……一緒に昼寝しようよぉ……」グイッ、ポフッ
勇太「うわっ……んん!?先輩、柔ら……苦しいですよ!」
くみん「でも昼寝きもちいいでしょー……暖かくて、ふわふわして……」
勇太「た、確かに暖かくて柔らかくてふかふかしてますけど……」
くみん「……むにゃ」
勇太「い、いかん……なんか本当に心地好く……」
ゴンッ!!
勇太「痛っ!!な、なんだ?黒いスーパーボール……?」
六花「ダークマター」
勇太「六花!?」
六花「勇太、私とは本契約しないのに、くみんとは本契約したのか……?」
勇太「な、何言ってんだ!これは先輩が寝ぼけて――」
くみん「だめだよまだ行っちゃ……」ギュッ
勇太「んんー!!」
六花「ゆ、ゆうたの……勇太の裏切り者」ダッ
勇太「ちょっ!……先輩、すみません!」グイッ
くみん「ふわっ……せっかく良い抱きまくらを見つけ……ムニャムニャ」
勇太「おい!ちょっと待てってば!!」
六花「……」スィー
勇太「くそっ、ローラーシューズを侮ってた!意外と早いぞアレ」
六花「残り40秒……余裕」
勇太「40秒?何の話しだ?」
駅「まもなく、二番線に電車が到着します――」
勇太「しまった、あいつあの電車に飛び乗って逃げる気か!」
六花「この距離なら私は間に合うが勇太の移動速度では無理」
勇太「確かにこのままだと……くそっ!仕方ない」
勇太「爆ぜろリアル!弾けろシナプス!バルシュメント ディス ワールド!」
六花「……っ!?」
勇太「その場でよく聞くが良い邪王心眼の使い手よ」
六花「限界まで体力を使い切り、勇太の中に眠るダークフレイムマスターが目覚めた!?」
勇太「お前は既に俺の掌の上だ」
六花「どういうこと?」
勇太「まだ気付かないか……まあ良いだろう。いずれ分かる時が来る。さらばだ!」
六花「待って、ダークフレイムマスター!」
勇太「くっ……、はっ!六花、待て!」
六花「正気に戻った?でも生身の勇太では私を捕まえ――」
駅「二番線より電車が発車いたします」プシュー
六花「そんな、私の邪王心眼は時間調度を予測していたはずなのに」
勇太「これがダークフレイムマスターの力さ」
六花「私の時間を奪ったと言うの……?」
勇太「さて、本題に入ろう。なんで逃げたりしたんだ?」
六花「……」
勇太「黙ってちゃ分からないだろ?」
六花「勇太がくみんと契約していた」
勇太「だからアレは誤解だって。だいたいあんなんで本契約にならないだろ?」
六花「勇太はあの巨大な魔翌力に酔いしれていた……私には、無いから……」
勇太「た、確かに女性の胸は魅力の一つではあるけど……」
六花「あうぅ……」
勇太「いいか、よく聞け。なにも大きい物が強いと決まってる訳じゃないだろ?」
六花「クラスの男子は大きいに越したことはないと言ってた……」
勇太「それは間違いだ!ほら、アニメとかでもデカイ奴より小さい奴のが強いとかよくあるだろ?」
六花「天下一武闘会の予選でよくあるアレ……?」
勇太「あ、ああ、それにでかい魔翌力の球を小さい魔翌力の球でブチ破るとか!」
六花「小さい方が強い?」
勇太「ああ」
六花「小さいのが最強?」
勇太「そうだ」
六花「小さいのが勇太の好み……?」
勇太「もちろん……ん?」
六花「そう……じゃあ勇太を許す」
勇太「なんだかよく分からないけど……まあ良いか」
>>10
誤爆
すまぬ……すまぬ……
>>12
真剣に読んでワロタ
六花「それじゃあ本契約」
勇太「やっぱしなきゃダメか?」
六花「当然」
勇太「……分かったよ。本契約でも何でもしてやるよ」
六花「それでは儀式を行う」
勇太「儀式?」
六花「まず私のナイフでお互いの親指を切り、流れ出た暗黒の血をお互いの血で――」
勇太「待て待て!そういう痛いのは禁止」
六花「他に簡易な儀式としては有りがちだけど口づけもある」
勇太「く、口づけってお前、」
六花「勇太が選んで。血の儀式か、口づけの儀式か」
勇太「そんなの選べる訳……あっ、ぐ、ううっ」
六花「勇太、どうした?」
勇太「また会ったな……邪王心眼」
六花「この雰囲気……勇太じゃない。ダークフレイムマスター!」
勇太「今からこの俺が言う事を、精神を研ぎ澄まし集中して聞くがいい」
六花「……っ」ゴクッ
勇太「我が身体に宿りし黒炎龍の力を持って、魔界からの下部を呼び出す」
六花「魔界……ダークフレイムマスターの力はそんな所まで……」
勇太「来い!我が下部!そしてその12の口を開き、すべてを飲み込め!!」
六花「何か来る……っ!」
駅「二番に到着いたしました電車は――」プシュー
勇太「さぁ、乗るぞ」
六花「勇太……?」
勇太「なんだよ?」
六花「凄い。私の知る限りこの時間に電車は来ないはず。と言う事はやはり魔界からの……」
勇太(電車が遅れてただけなんだけどな)
六花「そう言えば本契約」
勇太「本契約はまた今度だ」
六花「どうして?」
勇太「今日は闇の力を使い過ぎた。こんな身体で契約は危険過ぎる」
六花「なるほど。一理ある。では本契約は勇太の力が戻ってからにしよう」
勇太「危ないと言えばお前ナイフで血の儀式とか言ってたけど、そんな物持ち歩くなよ」
六花「平気。邪王心眼のある私はナイフなんて持ち歩いていない」
勇太「じゃあ血の儀式ってのは?」
六花「そんな儀式は最初から存在しない」
勇太「なんだよ。訳のわからない奴だな」
六花「勇太はさっしが悪い」
勇太「?」
また書く。六花可愛いよ六花
勇太「はぁ……やっと家に着いた。なんか今日は一日疲れたな」
六花「今日の勇太はダークフレイムマスターの力を使いすぎた」
勇太「……そうだな。じゃあまた明日」
六花「勇太。そっちじゃない」
勇太「?」
六花「これから管理局との戦闘に備え、私の家で作戦会議を行う」
勇太「それって今日じゃなきゃダメなのか?」
六花「当然」
勇太「とにかく今日は疲れた。せめて俺の家でしてくれ。くつろげないだろ」
六花「勇太の家には子供がいる。あまりにも危険」
勇太「……分かったよ。少しだけだからな」
六花「私の家は魔翌力が漂っている。勇太もきっと元気になるはず」
勇太「おじゃましまーす」
六花「勇太、お腹すいた」
勇太「お前、もうやりたい放題だな」
六花「私は邪王心眼を極める為に時間を割きすぎた。結果、料理は出来ない」
勇太「十花さんが作ってくれてないのか?」
六花「今朝、プリーステスとは大規模な戦闘が起こった」
勇太「……で、夕飯を作り置きしてくれなかったと」
六花「そういう説もある」
勇太「なら帰ってきたら謝って作ってもらえ」
六花「プリーステスは管理局の仕事でいつ帰るか分からない」
勇太「あのなぁ……俺だってそんなに料理が出来る訳じゃないぞ?」
六花「大丈夫。私よりは」
勇太「で?何を作るんだ?」
六花「幸にも食材は揃っている」
勇太「あるのは鶏肉と玉葱と卵にケチャップ……後はじゃーにお米か」
六花「すべて闇の力を注ぎ込んである」
勇太「とりあえず鶏肉を焼いて食べれば良いか」
六花「!」
勇太「な、なんだよ?」
六花「私の身体は闇の力を強く欲している。出来れば全ての食材を使いたい」
勇太「鶏肉と玉葱を焼いて……卵焼きにケチャップを」
六花「や、闇の力を増幅させるには、アシュリンスタリスが有効」
勇太「アシュリンスタリス?なんだそれ?」
六花「こちらの世界……人間界ではオムライスと呼ばれる食べ物が近いらしい」
勇太「だったら最初からそういえよ」
勇太「もう一度言っておくが、味に保証は無いからな」
六花「分かっている」
勇太「えっと……とりあえず鶏肉と玉葱を切って……」トントン
六花「おおぉ……!ゆうたかっこいい!」
勇太「いや、これくらい誰でもでき……痛っ!!」
六花「勇太、大丈夫?」
勇太「あ、ああ、ちょっと切っただけだから。って、お前が話しかけるから」
六花「あむっ……」
勇太「う、うわあぁぁ!!な、なに、なにして……」
六花「ひふふひはら、ふぁいひをふぁは」
勇太「指をくわえたまましゃべるなー!」
六花「んっ……傷口から魔翌力が漏れ出しては大変。私が口で受け止める」
勇太「絆創膏か何かあれば大丈夫だから!」
六花「私がくわえれば勇太の魔翌力が漏れにくくなる。更に私も勇太の血で魔翌力回復。一石二鳥」
勇太「……」
六花「あむ……」
勇太「……」
六花「んー……」
勇太「……」
六花「んっ……」チュパッ
勇太「お、終わった?」
六花「どうやら血は止まったらしい。後はこの魔翌力保護の」
勇太「絆創膏だ」
六花「おおぉ!」
勇太「な、なんだよ」
六花「私の体内を勇太の血が暴れ回るように駆け巡っているのが分かる!」
勇太「変な言い方するな!」
六花「凄い魔翌力……これが勇太の隠された力!……闇の炎に抱かれて[ピーーー]ー!!」
勇太「やめろ!!」
勇太「とりあえず出来たけど……」
六花「凄い!勇太、なんか黒い!!暗黒のアシュリンスタリス?」
勇太「まぁ……お前が変な事ばっか言うから」
六花「いただきます」
勇太「あっ、おい」
六花「もぐもぐ……」
勇太「……」
六花「さすが暗黒のアシュリンスタリス……ちょっと苦い」
勇太「いや、ちょっとどころじゃ無いだろ」
六花「でも大丈夫。コレを食べて魔翌力回復」
勇太「自分で作っといてなんだが、お前よくそんなの食べるな」
六花「せっかく勇太が作ってくれた料理。全て食すのは契約者として当然。それに私は美味しいと思う」
勇太「そっか。そんな風に言ってもらえると少し嬉しいな。ありがとう六花」
六花「……」モグモグ
六花「ごちそうさまでした」
勇太「本当に全部食べちゃったのか」
六花「これくらい余裕」
勇太「じゃあ飯も食ったし俺はそろそろ」
六花「食後のデザート」
勇太「まだ食うのかよ!」
六花「デザートは別空間」
勇太「いや、そこは別腹で良いだろ。って、俺はデザートなんて作れないぞ」
六花「コンビニで肉まんを買う」
勇太「もうそれデザートですら無いぞ」
六花「大丈夫。問題無い」
勇太「まぁ俺も腹は減ったし……行くか」
sageじゃない
sag「a」
コンビニ
勇太「へぇー、いろいろ種類増えたんだなぁ……」
六花「勇太は何にする気?」
勇太「うーん……よし、このイカスミ黒豚肉まんください」
店員「210円になります」
六花「イカスミ黒豚肉まん……真っ黒。いかにも暗黒な感じがする」
勇太「お前もコレにするのか?」
六花「ちょっと待って」チャリンチャリン
勇太「?」
六花「……私はプリーステスの呪縛により選択肢が限られている」
店員「お決まりでしたらどうぞ」
六花「この処女の生き血をうっすらと染み込ませた」
店員「?」
勇太「すみません、ピザまんお願いします」
店員「ピザまんですね。105円になります」
>>30
済まぬ、済まぬ
勇太「うん、美味い!」
六花「……ゆうた、私もそれ食べたい」
勇太「ん?ああ、食ってみるか?」
六花「うん。変わりに私の買った処女の生き血を染み込ま」
勇太「ピザまんだから」
六花「凄い……黒い、真っ黒」
勇太「うん。ピザまんもなかなか美味いな」
六花「ごちそうさまでした」
勇太「は?えぇ!?お前全部食ったのか?!」
六花「おかげで魔力もずいぶん回復した」
勇太「一口とかそんな感じで渡したのに……」
六花「勇太には私のをあげたから等価交換」
勇太「いや、俺のイカスミ黒豚肉まんは値段がコレの倍だったんだぞ!」
六花「私の処女まんにもそれくらいの価値はある」
勇太「処……ピザまんだ!変な略しかたするな!!」
六花「勇太は私の処女まんには210円の価値が無いと」
勇太「分かった、俺が悪かったから少し黙ってくれ」
六花「勇太」
勇太「今度はなんだ」
六花「私の処女まん美味しい?」
勇太「だから止めろって!それにもうコレは俺のだからな!」
六花「そっか……私の処女まんはもうゆうたの物だった……」
勇太「半分あげるから、お願いだからピザまんって言ってくれるか?」
六花「了解した」
六花「ふぅ。この時間帯に敵と接触せずに帰ってこれるなんて珍しい」
勇太「おじゃまします」
六花「勇太、何も言わずとも我が本拠地に来るとは成長の兆し」
勇太「あっ……しまった」
六花「では私は出かける前にセットしておいたお風呂に入ってくる」
勇太「だったら俺も帰って風呂に入るか」
六花「勇太はしばらくここで見張り。いつ敵が来るか分からない」
勇太「いや、男が部屋にいて風呂に入るのは色々とまずいだろ」
六花「どうして?」
勇太「どうしてって……」
六花「全ての武装を解除してお風呂に入っているのはあまりにも無防備で危険」
勇太「だから俺は家に戻って――」
六花「だから勇太には見張っててもらう。それじゃあ」パタン
勇太「むぅ……流石に玄関の鍵を開けたまま帰る訳にもいかないし……」
勇太「まったく……何考えてるんだあいつは……」
勇太「……まぁ何も考えてなさそうだけど」
ガチャッ
六花「おまたせ」
勇太「早いな!」
六花「危険な時間は少ない方が良い。お風呂は迅速に済ますのが常識」
勇太「あーあー、髪の毛びしょびしょじゃないか。タオルかせ」
六花「タオル?うぁっ、あうぅ……ゆうた、やさしく、やさしく拭いて……」
勇太「ったく、ほらドライヤーは?」
六花「プリーステスが使っている魔具ならあの棚に」
勇太「十花さんのって……お前は普段ドライヤー使ってないのか?」
六花「私は平気。暗黒の風で自然乾燥している」
勇太「そんな事してたら風邪ひくし、濡れたままだと頭に虫がわくぞ」
六花「虫!?」
勇太「そうだよ。せっかくの綺麗な髪がだいなしになるぞ?」
六花「ゆ、ゆうた、綺麗に乾かして」
勇太「やってるよ」
六花「そうだ、背中も、濡れたまま服着たんだった。ゆうた、背中も乾かして」
勇太「ちょっ、そんなに背中をめくったら……」
六花「ゆうたぁ……はやく……」
勇太「あー、もう!ほら、綺麗に拭いたから!」
六花「……ありがとう」
勇太「いや、なんか……こちらこそ」
もう限界。寝る、寝る……っ
処女まん期待
あと邪王真眼だな
>>51
邪王真眼わかた
勇太「それにしてもお前は一人だと本当に何も出来ないんだな」
六花「そんな事は無い。我々闇に生きる者は常に孤独を好む」
勇太「一人だと確実にすぐ死んじゃいそうだけどな」
六花「そんなこと無い……と思う」
勇太「おっと、もうこんな時間か。そろそろ帰るよ」
六花「まだ闇の宴は始まったばかり。もう少し居ると良い」
勇太「いや、もう10時前だし。十花さんだって帰って来るだろ」
六花「プリーステスは管理局からの使者として激務。今日は帰らない」
勇太「じゃあたっぷりとお前が大好きな孤独を楽しめるじゃないか」
六花「ゆ、勇太にも孤独が必要。だからもう少しいれば良い」
勇太「残念だけど俺は別に孤独が好きって訳じゃない。じゃあな」
六花「ゆうたぁ……一人は淋しい……」
勇太「孤独好きはどこ行ったんだよ」
勇太「一人は淋しいって、いつもだいたい一人だろ?」
六花「とりあえず勇太もお風呂に入れば良いと思う」
勇太「なんで俺がお前の家で風呂に入らなくちゃいけないんだよ」
六花「この空間に漂う空気は闇の者以外には毒以外の何物でも無い」
勇太「十花さんだって済んでるだろ」
六花「プリーステスは特殊なオーラでガードしている」
勇太「じゃあな」
六花「ゆ、勇太!そのまま帰ると人間界で暮らす勇太の家族が危ない」
勇太「何がどう危ないんだよ?」
六花「濃い闇のオーラに触れて……最悪死に至る」
勇太「そうか。じゃあな」
六花「あうっ……勇太、待って。そっちには防御壁がある」
勇太「おじゃましました」
六花「あうぅ……ふ、ふっふっふ、さすが勇太」ダダダッ
勇太「今度はなんだ?ドアをふさぐなよ」
六花「まさか5枚の防御壁の内、3枚まで破るとは。恐るべき魔力」
勇太「あのなぁ……」
六花「はぅっ!まさか4枚目まで突破されるとは……屈辱」
勇太「じゃあ5枚目も破って帰らせて貰うからな」
六花「そうはさせない。5枚目は私。ここを通りたければ私を倒――」
勇太「ていっ」ビシッ
六花「いたいいたぃ……ゆうた、いたい……」
六花「ゆうた、本当に帰る気……?」
勇太「それは靴を履こうとしてる人間に聞く言葉か?」
六花「ゆうた、おなかすいた」
勇太「さっき食ったばっかだろ」
六花「ゆうた、髪かわかして」
勇太「それもさっき――」
バシャバシャ
六花「ゆうた、髪がまた濡れた。闇の力で乾かして欲しい」
勇太「それくらい自分で出来るだろ」
六花「ゆうたぁ……」
勇太「お前、いい加減に――」
六花「勇太がいないと淋しい。帰らないで……」
勇太「そ、そんな顔で言われたら何か俺が悪いみたいだろ」
六花「……勇太が帰ったら泣く」
勇太「はあ?!」
六花「泣きながら勇太の家に突撃する」
勇太「やめろ!」
六花「あの時を刻む魔道刻が十時を示すまでで良い」
勇太「今は9時53分だから……分かったよ。そのかわり10時ピッタリに帰るからな」
六花「了解した」
勇太「……で、何するんだ?」
六花「とにかくお風呂に入った方が良い」
勇太「お前はどんだけ俺を風呂に入れたいんだよ」
六花「何度も言うように、この空間を漂う闇の」
勇太「わかったわかった。じゃあ風呂に入って10時になったら帰るからな」
六花「うん」
勇太「後、さっきみたいに帰りづらくなる顔や言動も禁止」
六花「魔界の神に誓って約束する」
勇太「じゃあ……」
勇太「ったく、何で俺はあいつの家で風呂に入ってんだ……」
勇太「……」
勇太「そういえば先にあいつが風呂に入ってたって事は……」
勇太「これで身体を洗って……裸でこの湯舟に浸かって……」
勇太「いや、変な事を考えるのはよそう」
勇太「……とりあえずシャワーだけ浴びて出るか」
ガチャッ
勇太「そういえばバスタオルって何処にあるんだ?」
勇太「おーい。おーい六花ー」
「…………」
勇太「あれ?おーい!バスタ」
六花「な、何か呼んだ?」ガラッ
勇太「なっ、お、お前、急に開ける奴があるか!」
六花「あ、うっ……ゆ、ご、ゆ……」
勇太「とにかく閉めてくれ、早く!」
六花「ご、ごめんなさい!」ピシャッ
勇太「いやいや、何でお前まで中に入ってんだよ!」
六花「うぁぁ、ま、間違えた、ほ、本当にごめんなさい!」ピシャッ
勇太「ビックリした……って、そうだ、バスタオルは!?」
六花「顔が燃える様に熱い……魔力が暴走している……」
勇太「分かったからバスタオルを」
六花「さっき私が使ったのがあるからそれを使うと良い」
勇太「さっき使ったって……これ随分濡れてるけど……」
六花「普通の人間では触れただけでも危険。でも勇太は私と同じ闇の属性だから平気」
勇太「分かったよ。じゃあこれ借りるから」
六花「私も少し闇からの指令があったから終わらせてくる」
勇太「はいはい。って、これさっきあいつが使ってたって事は……」
勇太「あいつの身体を拭いたタオルで俺の身体も拭くのか……?」
勇太「何処をどんな風に……バ、バカ!余計な事は考えるな!」
勇太「無心だ。無心で……」
勇太「って、無理に決まってるだろ!あいつは胸も、お尻も、た、大切な所も」
勇太「色々と拭いたであろうこのタオルを、男の俺が無心でなど……」
勇太「とにかく拭こう。余計な事はなるべく考えず……なんか良い匂いがする……」
勇太「ああー!もう!!」
で、結果
勇太「……」ギンギンッ
勇太「服も着たし、少しすれば落ち着くだろう……」ギンギンッ
六花「勇太、まだ出て来ない?」
勇太「ええ!?あ、いや、ちょっと」
六花「どうかした?」
勇太「その、あー……黒炎竜が暴れ出してな……」
六花「黒炎竜!?今出てるの?私も見てみたい!今扉を開く」グッ
勇太「うわぁ!待て待て、今は黒炎竜が暴走して危険な状態だから開けちゃだめだ!」ググッ
六花「平気、私には邪王真眼がある……から……っ」グググッ
勇太「絶ッッ対にダメだ!この黒炎竜を見たら最後、邪王真眼は耐える事が出来ても左目からお前を喰らい、やがて心の臓まで食い散らかすぞ!」ググググッ
六花「黒炎竜にはそこまでの力が……だったら私も取っておきを持ってくる」ダッ
勇太「行ったか……はぁ」
勇太「あれ?さっきのやり取りで緊張したせいか元に戻って……」
ガチャッ
勇太「おーい、六花。もう大丈夫……」
六花「勇太、竜殺しの断罪斬を持ってきた!もう安心」
勇太「お前、俺の黒炎竜を殺す気か!それにソレは高枝切りバサミだろ!」
六花「そうとも言う。それで黒炎竜は?」
勇太「ああ、なんとか封じ込めたよ」
六花「そう。少し残念。勇太の黒炎竜、この目で見てみたかった」
勇太「と、とにかく、俺は帰るからな」
六花「勇太、契約は絶対」
勇太「契約って、とつくに10時は過ぎて……あれ?9時53分……」
六花「あの魔道刻が十時を示した時に勇太が帰る契約」
勇太「あの時計……止まってないか?」
六花「あの魔道刻が十時を示したら勇太は帰る契約」
勇太「お前、俺が風呂に入ってる間に……」
六花「あの魔道刻が十時を示したら勇太は帰る契約」
また書く。くみん先輩も猫可愛い
勇太「六花、今何時だ?」
六花「九時五十三分」
勇太「そうか。じゃあ5分前は何時だった?」
六花「九時五十三分」
勇太「……じゃあ今から5分後は何時だ?」
六花「九時五十三分と思う」
勇太「思うじゃないだろ!この時計は止まってるんだから何日経っても9時53分だよ!」
六花「どうやら時空の狭間をさ迷っているらしい。今助けを呼んだ。でも明日までは時間軸を治せない」
勇太「単三電池2本入れれば時間軸は治るだろ」
六花「とりあえず勇太の布団を敷いておいた」
勇太「ちょっと待て。なんで布団を敷く必要がある」
六花「……勇太がそうしたいなら。……私は別に一緒にベッドで寝ても構わない」
勇太「違うだろ!なんで俺が泊まるみたいな感じになってるんだ」
六花「……?勇太が何を言っているのか理解出来ない」
勇太「その言葉、そっくりそのままお前に返してやるよ」
六花「勇太がお風呂に入ってる間に家族から了解は得ている。これが契約書」
勇太「はあ!?」
『勇太ももう高校生だもの。宿泊は認めてあげるけど、避妊はちゃんとするようにね♪』
勇太「あ、ああ……」
勇太「お前、母さんになんて行ったんだ」グリグリ
六花「あうぅ……ゆうた、いたぃ……」
勇太「早く答えろ」グリグリ
六花「勇太は時空の狭間をさ迷っててうちから出れないから泊まっていく。今はシャワー浴びてるって……」
勇太「お前、それは色々と誤解されるだろ!」
六花「……何を?」
勇太「あ、ああー!もう、なんか自分の家にも帰りづらくなっただろ!!」
六花「なら尚更止まっていけば良い。今宵は共に闇を楽しむとしよう」
勇太「最悪だ……どうしよう……」
六花「そうだ。これを勇太の家族から預かった。よく分からないが魔力制御装置だから必ず付けるようにって。はい」
『超うすうす!12個入』
勇太「母さん、何考えてるんだよ……」
勇太「とにかく、誤解をとくためにお前も来い」
六花「どうやって誤解をとくつもり?」
勇太「お前の口からも真実を。何も無かったと言ってもらう」
六花「しかし真実を伝えるなら、シャワーを浴びた勇太の裸を見た事実も話さなければならない」
勇太「……やっぱり見たのか」
六花「だ、大丈夫。勇太が初めてだから……その、他の人と比べたりは、えっと……」
勇太「顔を赤くして恥ずかし事を言うな。こっちも恥ずかしくて死にたくなる!」
六花「仕方ない。記憶抹消の刻印を使う。これさえ使えば今日の記憶は消える」
勇太「本当か?!……なんかもう藁にもすがる気持ちとはこういう事なんだろうな」
六花「ただしそれには時間が必要。明日の朝には効果が現れるはず」
六花「時を操る地獄の使者よ。我、3時間の記憶削除を望む。……刻印!」
勇太「なんか凄く適当な儀式だな……」
六花「これから何をする?闇の世界の話?それとも管理局に対する作戦会議?」
勇太「寝る」
六花「まだ九時五十三分なのに?」
勇太「さっさと寝て、さっさと明日に来てもらう」
六花「……つまらない」
勇太「修学旅行じゃないんだ。お前もさっさと寝ろ。おやすみ」バサッ
六花「ゆうたぁ、それじゃつまらないー」
勇太「……」
六花「ハッ、この気配、僅かだけど殺気を感じる!勇太、戦闘準備」
勇太「…………」
六花「ガキンッ!ガキンッ!!なかなかやる……コレならどう――うわあぁ!」ピョンッ
ズドン!!
勇太「ぐ……ッ!お前、なんで俺の上に飛び乗った……」
六花「敵は中々強敵。この私をここまで吹き飛ばすなんて……」
勇太「いや、今あきらかに自分で飛び乗っただろ」
六花「勇太も油断は禁物。二人で一気に片付ける」
勇太「勝手にやってろ」
六花「ギュイイイン!ガキンッ、バキーン!!この強さ……管理局の幹部クラスか!」
勇太「……」
六花「だが同じ手は食わない。この攻撃は見切っ――――なっミサイル!?くっ、避け切れ……うわぁ!」ピョンッ
ズドン!
勇太「うぐ……っ、お前……」
六花「大丈夫、これくらいかすり傷」
勇太「あー、そうか。あー、あー、分かったよ」
六花「勇太?」
勇太「下がっていろ、邪王真眼の娘」
六花「この感じ……ダークフレイムマスター!」
勇太「この俺の力、ほんの少しだけ見せてやろう」
六花「私も戦う!」
勇太「ダメだ。お前はそこで見ていろ。そして魂に刻め!我が戦いを!」
六花「……ゴクリ」
勇太「貴様か。我が眠りを妨げる者は」
六花「気をつけて、そいつはミサイルを使ってくる」
勇太「ミサイル?今俺が破壊したコレの事か?」
六花「そんな……音も無くミサイルを52個も破壊したと言うの……?」
勇太「黒炎竜の餌には丁度良い量だ。貴様には礼をくれてやる」
六花「勇太の周りに闇の力が結集している……」
勇太「よく見ていろ。これが俺の黒炎竜……邪王炎殺黒龍波!!」
六花「な、なんだか凄そうな技が!」
勇太「闇の炎に抱かれて死ね……」
六花「勇太……かっこいい……」
勇太「さあ、敵は消え去った。寝るぞ」
六花「勇太、勇太!さっきのもう一度!!」
勇太「ダーメーだ。あれは魔力を大量に消費する。そう何度も使えない」
六花「うぅー……えっと、じゃおう、えんさつこくりゅうはー!!」
勇太「……」
六花「闇の炎に、抱かれてぇ……死ねー!」
勇太「う、うるさい!」
六花「さっきの勇太、最高にかっこよかった!」
勇太「……もう寝るぞ」
六花「私、勇太のパートナーになれて幸せ」
勇太「分かったから……恥ずかしい事言うな」プイッ
六花「勇太、どうして向こう向くの?私がパートナーで嫌……?」
勇太「……別に。嫌じゃないよ」
六花「勇太、こっち向いて答えて」
勇太「…………」
六花「ゆーうーたぁー!」
勇太「あー、もう!うるさ……んんっ!?」
六花「はむっ、んっ……ぷはっ」
勇太「お、お前、今……」
六花「本契約。するの忘れてたから。これで正式なパートナー」
勇太「な、なな……」
六花「よろしく。ダークフレイムマスター」
また書く。もう勇太ママすら可愛い
凸守ちゃん可愛いよ凸守ちゃん
凸守ちゃんを守ろうの会
深夜
勇太(……眠れない。普通あんな事されたら寝れる訳ないだろ!)
六花「……」
勇太(あいつはベッドに入ったまま静かだけど寝たのか……?)
六花「…………」
勇太(顔合わせ辛いし……よし、とにかく寝るぞ。寝て忘れよう)
六花「はっ!」
勇太「」ビクッ
六花「大変な事を思い出した」
勇太「なんだよ急に。びっくりするだろ」
六花「勇太の裸を見た事を思い出した」
勇太「頼むから忘れてくれ」
六花「勇太、何故背中を向けてる?」
勇太「もう放っといてくれ」
六花「まさかそっちの方角に敵の魔力の痕跡が!?」
勇太「今はお前と顔を合わせたくないだけだ」
六花「ゆうたぁ……」
勇太「そんな声出してもダメなものはダメだ」
六花「……ゆうた、こっちにも魔力の痕跡を発見。援護を頼む」
勇太「……」
六花「ゆうた、早くこっち向いて」
勇太「寝る」
六花「ゆうたぁ……」
5分後――
六花「……ゆうた?」
勇太「……」
六花「あうぅ……ゆうた、もう限界……」モゾモゾ
勇太「うわぁ!?おま……なんでこっちの布団に入ってくるんだよ!」
六花「ま、魔界では、季節なんて存在……しない。我々は人間界の冬、寒いのは苦手……」ガタガタ
勇太「だったら自分の布団に……」
六花「勇太の布団、暖かい……流石は黒炎竜の使い手……」ガタガタ
勇太「……なぁ六花、一つ確かめたい事があるんだが」
六花「特別に、質問をひと……一つだけ許可しよう……」ガタガタ
勇太「お前、どうして肩が見えてるんだ……?」
六花「言ってる意味が、分からない……勇太にだって肩はある」ガタガタ
勇太「そう言う意味じゃなくて……なんで肩の肌が見えてるんだよ」
六花「我が身を守る、暗黒の鎧は……私のベッド……へっくち!……の上」
勇太「なんでだよ!」
六花「私は勇太と契約を結んだ。契約者は常に平等、同じ立場じゃないといけない」
勇太「それと服を脱ぐのとどう関係があるんだよ!」
六花「私は勇太の裸を見た。だから勇太も私の裸を見る。これで平等。均等が保たれる」
勇太「そこまでしなくても良いだろ!」
六花「ゆうた、さむぃ……」ガタガタ
勇太「と、とにかく風呂にでも入って暖まってこい」
六花「今は黒炎竜の力でギリギリ生命を維持。今この領域から出る事は死を意味する……」
勇太「お前なぁ……って、冷たっ!!服に手を入れるなよ!足を絡めるな!!」
六花「今は少しでも多く黒炎竜の力が必要。我慢してほしい」
勇太「……お前、いくら何でも冷えすぎじゃないか?顔色も悪いぞ」
六花「こ、これくらい……余裕……」ガタガタ
勇太「さっき生命の危機みたいな事言ってただろ」
六花「だ、大丈夫……と思う……」
勇太「……はぁ。本当に手のかかる奴だな」
六花「あぅ……」
勇太「ほら、もっとこっち来い」
六花「しかしこれ以上は勇太の黒炎竜の力が著しく低下してしまう……」
勇太「……良いことを教えてやるよ。黒炎竜の炎は一億度を超えている」
六花「一億度……!?」
勇太「そうだ。だからお前の冷えた身体くらいなんともないんだよ」
六花「勇太凄い、私の想像以上!」
勇太「分かったならさっさと来い」
六花「わかった!」ギュッ
勇太「いぃっ!冷……っ」
六花「勇太?」
勇太「ふ、ふはは、こ、この程度の冷たさ、氷の魔女との戦いに比べれば、た、たいしたこと……」
六花「あたたかい……」
勇太(冷たさに馴れてきて思い出したけど……こいつ今裸だったんだよな……)
六花「……勇太、大丈夫?」ふにっ
勇太(ううっ……小さくて華奢な割に、意外と女の子らしい所はこんなに成長してたのか……)
六花「ゆーうーたぁー!」
勇太「ハッ!な、なんだよ急に?」
六花「ずっと呼んでたのに勇太が気づかなかっただけ」
勇太「す、すまん。意識の最深部にて黒炎竜と対話していたものでな」
六花「黒炎竜と!?何て言ってたか教えて欲しい!契約者として私も知っておくべき!」
勇太「その、意外と柔ら……」
六花「意外とやわら……?」
勇太「あー……いや、思っていた以上に邪王真眼の力は強いっ驚いてたよ」
六花「おぉ……やはり邪王真眼と黒炎竜は共鳴していた……これは重要な事実」
勇太「なぁ六花、もう十分暖まっただろ?」
六花「勇太のおかげで随分魔力は回復した。そう……約半分くらい」
勇太「半分?!」
六花「黒炎竜の炎が背中まで行き渡らなかった」
勇太「そりゃあ背中は無理だろ」
六花「私が背中を向けるから黒炎竜の力を背中に集中してもらいたい」
勇太「わかったよ(その方が胸に意識がいかなくて助かるしな……)」
六花「……はい」
勇太「なにがはいなんだ?」
六花「後ろ向きでは私から勇太に密着する事は極めて困難。勇太に任せる」
勇太「う、後ろからお前に抱き着けって言うのかよ!」
六花「勇太が言ってた言葉の通り。闇の炎に抱か――」
勇太「あー、もう分かった分かった!……行くぞ!」
六花「うん」
勇太「闇の炎に抱かれて……眠れ!」ギュッ
六花「……勇太、少し違う。闇の炎に抱かれて死ね!……だったはず」
勇太「お前を助けてるのに殺してどうするんだよ。いいから眠れ」
六花「勇太の黒炎竜は本当に凄い魔力。ずっと暖かい」
勇太「この状態だと大抵の男は高温を維持するだろうな……」
六花「でも手の平は少し冷たい」
勇太「まぁ……お前を暖める為に黒炎竜の力を身体に集中させてるからな」
六花「だったら私が勇太の手だけでも暖めてあげる」
勇太「いいよそんなの。また冷えるぞ」
六花「平気。邪王真眼の力によって私の手の平は常に暖かい。魔界では太陽の手と呼ばれていた」
勇太「なんかパン職人みたいだな……」
六花「……どう?」ニギニギ
勇太「へぇー、確かに暖かいな」
六花「こうしていると落ち着く……やはり邪王真眼と黒炎竜の相性は完璧……」
勇太「……ああ、そうなのかもな」
また書く。くみん先輩の抱きまくらになりたい
朝ちゅんちゅん……
勇太「ふぁーあ……いつの間にか寝てたのか……ん?」
六花「……ゅ……た……むにゃむにゃ……」
勇太「俺は不覚にもこいつに手を握られて落ち着いてしまったのか……」
六花「んっ……ゆうた、おはよう」
勇太「うわっ!ばかお前、起き上がるなよ!!」
六花「何を慌てて……はっ!」
勇太「……あ、あんまり見て無いから、さっさと服着ろ」
六花「よ、余裕、元々見せる為に武装を解除したんだもん」
勇太「なんか口調に余裕がないから早く服着ろ」
勇太「あーあー……制服のまま寝てたからしわだらけだ」
六花「ゆ……、ゆうた、大変な事になった!」
勇太「なにがだよ」
六花「ゆうた……どうしよう……」
勇太「時計?それがどうし……9時53分!?もう2時限目が始まってるじゃないか!!」
六花「二次元?」
勇太「あああ……またななちゃんに何言われるか……」
六花「勇太、落ち着いて。まずは朝食。あとテレビで情報収集」ピッ
勇太「そんな余裕こいてる場合か!行くぞ!!」
六花「あっ、勇太、しっかりと食事を取らないと魔力が」
勇太「良いから来い!無理矢理にでも連れて行くぞ!」ズルズル
六花「朝の魔力回復がぁ……」
TV「おはようございます!ただ今の時刻、午前6時をおしらせします♪」
勇太「……はぁ」
六花「まさか時計に細工されていたとは……間違いなく管理局の仕業」
勇太「お前が昨日いじったんだろ」ビシビシッ
六花「あぅ……ゆうた、いたぃ……」
勇太「おまけに駅に着くまで気づかないし」
六花「しかしこうしてしっかり食事を取ることが出来た」
勇太「おかげで俺は散財したよ。まったく、どんだけ食うんだよ」
六花「朝食、昼食は魔力の低下を避けるためにも絶対に必須。しっかり吸収しなくてはダメ」
勇太「言っとくけど貸しだからな。奢りじゃないぞ」
六花「うぅ……っ、目が……!くっ……、記憶が断片的に消えて……」
勇太「じゃあ記憶が消える前にノートに書いとくか」
六花「あぅ……」
勇太「ほら、あんまりゆっくりしてると本当に遅刻するぞ」
六花「ゆうた、まって」
一色「おっ、今日も仲良いねぇ。お二人さん」
勇太「これのどこが仲良くみえるんだ?」
六花「勇太、お腹すいた。あの程度では私の魔力回復には到底足りない」
一色「家が近いからって普通は高校生の男女が一緒に学校に来ないだろ?」
六花「それは違う。今日は同じ家から来た」
一色「いっ……ええ!?じゃあなにか、富樫お前……小鳥遊さんを家に泊め……」
六花「それも違う。遊太が私の家に泊まった。幸にも昨日は私しかいなかったから大規模な戦闘は避ける事が出来た」
一色「私しかいなかったからって……お、お前、小鳥遊さんの家で、ふた、ふた、」
勇太「お、おちつけ!別にやましい事は何も無かったから!!」
一色「ちくしょー!富樫ばっかり良い思いしやがってー!」
勇太「だから何も無かったって!ほら、お前も言ってやれ」
六花「昨日は……」
【おさらい:昨日の二人】
勇太の裸を見る→契約と証してキス→裸で勇太の布団に入る→抱きしめたり抱きしめられる
六花「…………」カアァァ…
勇太「なんで赤くなる」
六花「ま、魔力を感知した、先に教室へ向かう」ダッ
勇太「なんで走り去る!」
一色「富樫ー……」
勇太「ま、まて、はやまるな!」
森夏「おはよー富樫くん♪」
勇太「あっ、おはよう丹生谷」
一色「丹生谷さん!?」
森夏「一色くんもおはよう」
一色「お、おはよう!」
森夏「私、学級委員長の仕事があるから先に行くね!」ニコッ
勇太「いつもご苦労さま」
一色「ハアァ……良いよな、丹生谷。優しくて頼りがいがあって、なんといってもあの外見……」
勇太「俺は本性をしってるから何とも……」
一色「なんだよその丹生谷の事は何でも知ってるみたいな発言!」
勇太「違う、これはほら、同じ部活だから!」
一色「もうお前は多分勝ち組だよ……」
くみん「おーい、富樫くーん。おっはよー」
勇太「先輩、あんまり走ると転びますよ」
一色「お前は勝ち組だよ!!」
くみん「大丈夫、大丈……、とっ、とっ、とっ……」
勇太「危ない!」
くみん「おぉー……富樫くんナイスキャッチ」
勇太「ナイスキャッチじゃないですよ。大丈夫ですか?」
くみん「なんと!これは……!」ムギューッ
勇太「あ、あの先輩?えっと……色々当たってるんですけど……」
くみん「富樫くん、暖かいねー……抱きまくらの才能あるよ」
勇太「どんな才能ですか!」
くみん「いっそ私の専用抱きまくらとして生きてみない?」
勇太「そんな人生お断りします」
くみん「うーん……残念。でも時々は抱きまくらにさせてねー。じゃあまた部活で」タッ
勇太「だから走ったら危ないって」
くみん「おっ……とっ……とっ、」
勇太「まったく……」
一色「や……闇の炎に抱かれて死ね!!」
勇太「一色!?」
一色「もしかしてさっきの人も同じ部なのか……?」
勇太「一応な。活動内容は全然違うけど」
一色「はあぁ……俺も極東なんとかって部に入ればよかったかな……」
勇太「落ち着け。あんな部はオススメしないから。それに実際は同好会で部でも無いしな」
一色「ああ、そうか。確か部活動って最低5人必要なんだっけ」
勇太「まぁ……5人いるのはいるんだけどな……」
一色「お前……まさかと思うけど、その5人目も女子じゃないだろうな!」
勇太「……」
一色「なんだよなんだよ!学年人気No.1の学級委員長と、少し変わってるけどそれと対を成す美少女の小鳥遊さんだけじゃあきたらず!」
一色「おっとり美少女の隠れ巨乳な先輩と、更にもう一人女子がいるだと!?」
勇太「だから落ち着けって!」
一色「これが落ち着いてられるか!可愛いんだろ!どうせ可愛いんだろ!!同級生か?先輩か!?」
勇太「いや、その……まだ中等部だから」
一色「こ……このロリコンめ!!」
勇太「ロリコンとか言うなよ!大体学年だって一つしか違わないし」
一色「でも先輩とか呼ばれてるんだろ!高校一年生にして、甘い声でせんぱーいとか呼ばれてるんだろ!」
勇太「呼ばれてないから!」
一色「じゃあなんて呼ばれてるんだよ」
勇太「それは……」
『ダークフレイムマスター』
勇太「……言えない」
一色「あ、ああ……うわあああ!!」
勇太「お、おい、発狂するなよ」
一色「爆ぜろリアル!弾けろシナプス!闇の炎に抱かれて死ねー!!」ダダダッ
勇太「一色!?」
勇太「やっと授業が終わった……一応部活にも顔出しとくか」ガラッ
くみん「……むにゃむにゃ」
勇太「あれ?今日は先輩だけですか?」
くみん「ふふふ……それじゃあ猫じゃなくてアルゼンチン……」
勇太「いったい何の夢を見てるんだろう……」
六花「お待たせ」
勇太「どうしたんだ?俺より早く教室を出たのに遅かったな」
六花「ここに来る途中で管理局の人間に捕まり戦闘を余儀なくされた」
森夏「数学の先生に呼び止められてたように見えたけど?」
六花「あぅ……」
勇太「あれ?丹生谷も来たんだ。って、お前あのテストだけじゃなく普段もちゃんと勉強してるんだろうな?」
六花「余裕。この邪王真眼に焼き付いた記録は永遠に消えない」
勇太「その邪王真眼はいつも眼帯で覆ってるだろうが」
六花「さすが勇太。鋭い観察力」
森夏「あの中房と仲良いんだから数学教えて貰えば良いじゃない」
六花「弟子に教えて貰うなんて師匠的に絶対無理」
森夏「あっ、そう。じゃあせいぜい赤点取って部活動が出来なくならないように頑張ったら?」
六花「ゆうたぁ……」
勇太「いちいち俺に泣き付くな!……って、そういえば凸守はどうしたんだ?」
森夏「さぁ。中房は中房で忙しいんじゃないの?」
くみん「ドーナツ……食べ……」スヤスヤ
勇太「……あのさ、凸守の事で気になる事があるんだけど」
森夏「なによ改まって」
勇太「あいつ、友達とかいるのかな?」
森夏「中二病に友達なんていないでしょ?同じ中二病でもいない限り」
勇太「そうなんだよ。実際俺もそうだったしさ……」
森夏「周りの人間は軽蔑にも似た目で見てくるのよ……思い出しただけでも死にたくなるわ……」
六花「私はそんな物感じた事は無い」
森夏「中二病が治ってから気づくのよ!」
勇太「じゃあさ、凸守の奴……いじめられたりしてないかな?」
森夏「いじめ?……私の時は変な目で見られるだけでそういうのは無かったわね」
六花「邪王真眼の力を持ってすればそんな輩は現れたりしない」
勇太「俺も同じだ。でも凸守はちょっと違うだろ?」
森夏「回りくどいわねぇ……何が言いたいのよ」
勇太「あいつ、頭良いだろ?しかもクラスでトップだぞ?」
森夏「それがどうしたのよ」
勇太「例えばだ、俺と丹生谷が難しい問題で悩んでたとするだろ?」
勇太「勉強はもちろんした。それでも解らないような超難問」
勇太「そんなとき、訳の解らない事を言いながら凸守が来るんだ。そしてサラっと答えを教えて行く」
森夏「な、なんかムカついてくるわね……」
勇太「さらに追い撃ちをかけるようにこう言うんだ」
『この程度の問題が何故解けないのデスか?』
勇太「って、本当に不思議そうな顔して……」
森夏「あー……確かに超ムカつくわね……」
勇太「嫌がらせのつもりで言ったなら凸守だって影で笑うだけだろうけど」
勇太「あいつの場合は純粋に何故問題が解らないのか聞いてるだけなんだよ。特に数学に関しては」
六花「うぅ……数学の事を考えると邪王真眼が疼きだす……」
一方 教室の凸守
凸守「プリントも終わったし、プリントの裏に魔法陣を書いてやるデス♪」
生徒A「えっと、ここの問題は……」
生徒B「多分この平行線が……」
凸守「平行世界がどうかしたデスか!?」
生徒A「えっ……?」
生徒B「言ってる意味がよく解らないけど……私たちはプリントをしてるだけで……」
凸守「? その問題なら答えは28cmデス」
生徒A「そ、そうなんだ」
凸守「この程度の問題、朝飯前デス」
生徒B「す、すごいね」
凸守「この凸守にかかれば余裕デス!なんなら他の問題も――」
生徒A「ううん、後は自分でやるから……」
生徒B「あっちで皆とやろっ」
凸守「だったら凸守も向こうで一緒に」
生徒A「でも凸守さんは私たちとレベルが違うから……」
生徒B「何言ってるか解らないし」
部室
凸守「おまたせしたデス!」
森夏「噂をすればなんとやらね」
凸守「何を言ってるデスか?」
勇太「凸守、お前はまだ中等部なんだから、その……クラスの友達と遊んでても良いんだぞ?」
凸守「ゲフフフフ……大丈夫デス!なぜなら凸守には友達などいないのデス!」
森夏「ひっ……」
勇太「お前……」
六花「我々はあくまでも闇に生きる者。人間との間に情が生まれては後々厄介になる」
凸守「デス!」
くみん「フランク……ポテト……」スヤスヤ
勇太「まぁ本人が気にしてないなら良いけど……」
森夏「あんた、いつまでもそんな事言ってたら一生後悔するわよ」
凸守「凸守にはマスターが入れば十分デス。人間の友達など必要ないのデス」
六花「さすが私のサーバント。これからもよろしく」
凸守「もちろんデス!マスター」
勇太「あれ?なんだか外が真っ暗になってきたな」
凸守「何を言ってるデスか?今日は夕方から雷雨と書いてあったではないデスか」
勇太「本当か!?俺傘なんて持ってきてないぞ」
森夏「いっけない、私も天気予報見てなかった……」
六花「不覚……」
勇太「お前はシュバルツなんとかって折りたたみ傘があるだろ」
六花「シュバルツシルトは大切な武器。雨にさらす訳にはいかない」
勇太「雨にさらしてなんぼの物だろ……」
森夏「とにかく雨が降る前に帰らなくちゃ!」
勇太「俺達も帰るぞ!」
六花「ゆうた、まって。そんなに早く走れない……」
凸守「あっ、ちょっと待つデス!部活は……」
凸守「部活……」
くみん「へへへ……そうだよ、おいしい……」
凸守「うわっ!いたデスか……こ、この状況でも寝てるなんて……ただ者じゃないデスね……」
くみん「そんな……照れちゃうよ……照れちゃうよ……えへへ……」スヤスヤ
凸守「早く起きて帰らないと雨が降るデスよ?」
くみん「んっ……んー……あれ?凸ちゃん?」
凸守「ようやく起きたデスか。もう皆帰ってしまったデスよ」
くみん「そうなんだー……凸ちゃんは帰らないの?」
凸守「私はもう少しここで魔力を高める実験をするデス!」
くみん「そっかぁ……じゃあ私ももう少し昼寝の実験をするよ。おやすみー……」パタッ
凸守「もっと魔力を高めてニョルニルハンマーの制度をあげるデス!」
凸守「ニョルニルハンマー!」
凸守「ニョルニル……ハンマー!」
くみん「むにゃむにゃ……」
一応あれな、ミョルニルハンマーな
1時間後……
凸守「ふぅ。さすがに魔力も底をついたようデス」
くみん「まだまだ……にょ……」スヤスヤ
凸守「……恐ろしい睡眠欲デスね。こら、起きるデス!もう最終下校時刻デス!」
くみん「んー……あれ?凸ちゃん?」
凸守「それはさっきやったデス。さぁ、早く帰るデスよ」
くみん「うわぁ……凄い雨だねー」
凸守「予報通り……やはりあの気象予報士とか言う人間、侮れないデス……」
くみん「凸ちゃんは傘持ってきたの?」
凸守「当然デス!」
くみん「よかったぁ。じゃあ一緒に帰ろうね、凸ちゃん」
凸守「ま、まさか、傘を持ってきて無いのデスか?」
くみん「うん♪」
凸守「傘も無いのに余裕で爆睡……こっちもなかなか侮れないデスね……」
>>164凸ちゃんマニアさんですね!失礼しました!
くみん「凸ちゃん待って待って」
凸守「置いていかないからゆっくり来れば良いデスよ」
くみん「えへへ、おまたせー。さぁ、帰ろう♪」
凸守「今日の雨には特殊な魔力を感じるデス。なるべく濡れないように気をつけるデス」
くみん「おぉ……凸ちゃんは色々詳しくてすごいねぇ」
凸守「当然デス!あ、ほら、もっとこっちに寄らないと濡れてしまいますよ」
くみん「気を使ってくれてありがとー」
凸守「べ、別にこれくらい普通デス……」
くみん「こうして凸ちゃんと二人で話すのって珍しいよねぇ」
凸守「我々はあまり人間とは話さないので仕方ないデス」
くみん「じゃあ私も魔力の勉強しようかなぁ……そうしたら凸ちゃんとも仲良くなれるかな?」
凸守「それは……分からないデス……けど、多分大丈夫デス」
凸守「そうこうしてる間に家に到着してしまったデス」
くみん「うわぁ……凸ちゃんの家綺麗だねー」
凸守「別にこれくらい普通デス」
くみん「……あれ?凸ちゃん、左肩がビショビショ」
凸守「これくらいの浸蝕、凸守の魔力ならなんとでもないデス」
くみん「私は全然濡れてないのに……やっぱり凸ちゃんは優しい子だね」
凸守「そ、そういうのはやめるデス!」
ピカッ!……ドーンッ!!
凸守「!!」
くみん「はわわ……すごい雷だったね。近くに落ちたのかな?」
凸守「な、なな、なにしてるデスか!早く中へ入るデス!!」
くみん「凸ちゃん?」
凸守「闇の住人にとって光りは最大の敵……特に雷との相性は最悪デス!!」
くみん「そうなんだ……じゃあお言葉に甘えておじゃましまーす」
また書く。凸守ちゃんはいただいていきます
くみん「すごーい……家の中まで綺麗に整頓されてるねー」
凸守「そうデスか?」
くみん「そうだ、おじゃまするんだから親御さんにも挨拶しないと」
凸守「今この家には私達しか居ないので気遣いは無用なのデス」
くみん「みんな忙しいんだねぇ」
凸守「さぁ、こっちが私の部屋デス。……おっと、少しまつデス」ピピピッ
くみん「あっ、これ六花ちゃんの家にもあるやつだ。パスワード入れないと開かないんだよねー」
凸守「そのほかにも、指紋や魔力の属性などを調べて凸守以外は勝手に入れなくしているのデス」
くみん「ハイテクなんだねー」
凸守「魔力属性適合、防御シールド解除、さぁ開くデスよ」カチャッ
くみん「おぉー。凸ちゃんのお部屋も綺麗だねー!」
凸守「マスターの部屋の様に魔力を宿すアイテムが少ないデスから、部屋がこざっぱりしてるだけデス」
くみん「そんな事ないよぉ。綺麗に整理整頓されてて女の子らしい部屋だと思うよ」
凸守「あぅ……」
くみん「あー、それ六花ちゃんも時々言うよね!照れる事ないのになぁ」
凸守「な、なんだか調子が狂うので凸守は魔力の湖に入ってくるデス!」
くみん「魔力の湖?……そっか、私のせいで濡れちゃったから風邪ひくと大変だもんね」
凸守「傘を持っていたのは凸守なのデス。だからこれは凸守の責任なのデス」
くみん「ありがとう。凸ちゃん」
凸守「な、なぜありがとうを言うデスか!それに凸守がお風呂に入る理由はこれなのデス」
くみん「やっぱり魔力の湖ってお風呂の事だったんだね」
凸守「このミョルニルハンマーの唯一の弱点が雨なのデス。地面スレスレなので泥が跳ねたりしてしまうのデス」
くみん「ほんとだ。ニョロニョロハンマーのお団子に泥がついてる」
凸守「ミョルニルハンマーなのデス!……とにかく適当にくつろいでいてくださいデス」
くみん「はぁーい」
凸守「おっと、大切な事を忘れていたデス!ちょっと待ってるデス!」ドタドタ
くみん「?」
凸守「おまたせしたデス。魔界の野草から煮出したエキスと魔力を注ぎ込んだ焼菓子デス」
くみん「うわぁー、いい香り。ハーブティーとクッキーだねー。カップもお洒落さんだ」
凸守「それではゆっくりくつろいで待ってるデス」
くみん「うん♪ごゆっくりー」
10分後
凸守「おまたせしたのデス」
くみん「おかえりー。凸ちゃん、良い枕を使ってるねー♪」
凸守「まさかベッドで横になっているとは……想像以上にくつろいでいたデス」
くみん「お茶とクッキーもごちそうさま。凄く美味しかったよ!」
凸守「なっ、あれだけの量を全て食べたのデスか?」
くみん「うん。とーっても美味しかったからつい」
凸守「あれだけの魔力を体内に宿して尚ピンピンしているとは……まさか我々と同じ種族デスか?」
くみん「凸ちゃん、あのクッキーはどこで売ってるの?」
凸守「あれは昨日、凸守が魔力を込めて練り上げた生地を焼いた物なので、市販はされて無いのデス」
くみん「えぇっ、手作りクッキーだったの?良いなー料理が上手だなんて」
凸守「他にも色々作れるデスよ。なんなら凸守が作り方を教え……あっ」
くみん「うん!是非教えてほしいよ!私、料理へたっぴだから……凸ちゃん?どうしたの?」
凸守「な、なんでも無いデス。ただ、学校で同じ様にすると皆凸守から離れて行ってしまうのデス……」
くみん「詳しい事はよくわからないけど凸ちゃんも大変なんだねぇ……」
凸守「人間の考えていることはよく分からないデス」
くみん「でも私は離れていったりしないから。色々教えてね♪」
凸守「了解しましたデス!」
もう眠気の限界。寝る
くみん「それにしても凸ちゃんの部屋って落ち着くねー♪」
凸守「基本的にどこでも落ち着いて昼寝してるようにしか思えないデス……」
くみん「いやいや、凸ちゃんの部屋は特別だよー。あっ、私にも魔力があるのかも!」
凸守「ならばこの凸守が試験をしてやるデ……な、なんデスか?ジロジロ見て」
くみん「……凸ちゃん?」
凸守「だからなんデスか?」
くみん「おぉー……頭にタオル巻いてるから誰か分からなかったよ」
凸守「いや、結構この形態で話していたデスよ!」
くみん「いっつもツインテールだから雰囲気が変わりすぎて気づかなかったよー」
凸守「くっ……なんだかよく分からないけど手強い相手のようデス……」
くみん「でも凸ちゃんって髪がすーっごく長いから頭洗うのとか大変そうだね」
凸守「この髪はミョルニルハンマーそのもの、そんな事は言ってらるないのデス!」
くみん「やっぱり改めてニョロニョロハンマーを維持するのも大変なんだねぇ」
凸守「だから、ミョルニルハンマーデス!」
くみん「髪はまだ乾かさなくて大丈夫なの?」
凸守「平気デス。この頭に巻いているタオルには特別な術を施しているので、方っておけばそのうち乾くのデスよ」
くみん「だめだよ、そんな事してたらニョロニョロハンターが傷んじゃうよ!」
凸守「もはやハンマーですらなくなってしまったデス……」
くみん「私がニョロニョロザエ門を乾かしてあげるから、こっちおいでー」
凸守「さっきからわざと間違ってないデスか?」
くみん「ドライヤーは?」
凸守「あの魔界の風が吹き荒れる魔具デスか。確かこの棚の奥に……あったデス!」
くみん「じゃあ向こう向いて座ってー。タオルも取っちゃうね」
凸守「それでは凸守もドライヤーに魔力を送り込むデス」
くみん「あらためて見ると長いねー……普段から立ってても床にまで髪がつくくらいだもんね」
凸守「実際はミョルニルハンマーの中にも髪が入っているので、解放すると床についてしまうのデス」
くみん「よーし、じゃあ少しづつ乾かしていくよー」
凸守「任せたデス!」
くみん「うわぁー、凸ちゃんって髪が細くてサラサラさんだぁ」
凸守「そうデスか?自分ではよく分からないデス……」
くみん「こうやって髪をくくって無かったらなんだかお姫様みたい♪」
凸守「ばかな事を言ってないで早く乾かすデス!」
くみん「凸ちゃんって照れると耳が赤くなるよねー♪今日発見したんだぁー」
凸守「こ、これは魔力の上昇を意味しているのであって、別にそういう訳では……」
くみん「凸ちゃんかわいい♪凸ちゃんだーいすき♪」
凸守「ひゃぁ……っ!だ、だから耳元で変な事言うなデス!」
くみん「おぉー!魔力が上昇してるよー。顔まで真っ赤だもん」
凸守「なっ……こ、これ以上は魔力の暴走を起こす可能性があるのデス!もうドライヤーは終わりにするデス!!」
くみん「あらら、まだ毛先は乾かしてなかったのに」
凸守「それなら問題ないデス。近頃ミョルニルハンマーの収まりが悪いので、少しカットするデス」
くみん「自分で切っちゃうの?」
凸守「当然デス!なぜなら私の髪には膨大なる魔力が秘められているので、人間には髪の毛一本切る事もできないデス!」
くみん「魔力って恐ろしいんだねー」
凸守「さらにこの対魔武器エクスカリバーでしか切れないのデス!シャキーン!!」
くみん「一見普通の散髪バサミだけど凄いんだね!」
凸守「あとはこの毛先を一刀両断……二刀両断?にするデス」
くみん「ああっ、だめだよ凸ちゃん!毛先を切るならハサミは縦にしなくちゃ」
凸守「どのみちミョルニルハンマーの中に隠れるから適当で平気デス」
くみん「だからだめだよぉ!上手く出来るか分からないけどハサミかして」
凸守「あっ、エクスカリバー!それは人間には手に余る代物!早く返すデスよ!」
くみん「えーっと、ハサミを縦にしてチョキチョキ……」
凸守「し、信じられないデス……エクスカリバーを持つだけでなく、凸守の髪まで切ったと言うのデスか……?」
くみん「うーん……これくらいで良いかな?」
凸守「……闇の魔力に対する抵抗力からみて……やはり我々と同じ魔族デスか!?」
くみん「ちがうよー、私はお昼寝族だと思うなぁ♪」
くみん「ねぇ、凸ちゃん……一つだけ聞いてもいい?」
凸守「な、なんデスか、あらたまって」
くみん「凸ちゃんは中学校楽しい?」
凸守「中学校デスか?……うーん、放課後はマスター達がいるから楽しいデスよ?」
くみん「凸ちゃん今日部室で友達が居ないって言ってたでしょ?」
凸守「人間との必要以上の接触は不必要な情を生み、いずれ枷となるので控えるようにしているのデス」
くみん「富樫くんやモリサマーちゃんも心配してたよー?」
凸守「しかし凸守にはマスターがついているので大丈夫デス!……と言うか、その話の時は昼寝してなかったデスか?」
くみん「昼寝はしてたけど、ぼゃーっと聞こえてたよ」
くみん「でも凸ちゃんが高校生になったら私は3年生だから……あんまり一緒に部活できないねー」
凸守「ゲフフフフ……安心するデス!こんな時の為に高等部には留年と言う制度があると聞きます!」
くみん「凸ちゃん、留年の意味わかってる?」
凸守「高等部に長く留まる裏技のような物デス!これを使えば来年はマスターと同じ学年デス!」
くみん「じゃあ私は2年も留年しなくちゃダメなのかぁー……」
凸守「当然デス!卒業するときは皆一緒デス!入学した時は違えど、卒業する時、場所は同じ時を望む!……デス!」
凸守「……留年の魔力で2年生から1年生に戻る事は出来ないデスか?」
くみん「うーん、さすがに1年生に戻る事は無いかなぁ」
凸守「そうデスか。それは残念デス」
くみん「もし皆同じ学年だったら楽しいだろうねー♪」
凸守「当たり前デス!マスターもダークフレイムマスターも、ついでに偽モリサマーもいたら楽しいに決まってるデス!」
くみん「あっ、でも私は昼寝族だけど人間だから仲良くなれないのかな……?」
凸守「そんな事無いデス!同じ部員として特例を認めるデス!」
くみん「ダメだよそんなの……せめて私にも○○マスター!みたいな肩書きがあればなぁー……」チラッ
凸守「うーむ……ムム、ムムム!!きたデス!きたデス!!ピーンときたデス!!私達はどうやら前世で繋がりがあったようなのデス」
くみん「どんな?どんなの?」ワクワク
凸守「五月七日くみんと凸守は……前世で生き別れた姉妹だったようなのデス!!」
くみん「おぉー……!」
凸守「この家に漂う闇の空気に耐え、魔力を練り上げたお菓子を食べ、凸守の髪を切った……間違いないデス!」
くみん「そっかぁ、私は凸ちゃんのお姉ちゃんだったのかー」
凸守「と言う事で、あらためてよろしくデス!……お、お姉ちゃん!」
くみん「ハアァ……初めて凸ちゃんにあだ名で呼んでもらえて感激だよぉ」
凸守「お、大袈裟デス」
くみん「うぅー……だって私だけあだ名が無かったんだもん、やっと部員として認められた気分だよ」ポロポロ
凸守「な、泣くこと無いデス、そんな泣き虫は凸守のお姉ちゃんじゃ無いデス!」
くみん「そっか、じゃあお姉ちゃんらしく……抱きしめてほお擦りー!」スリスリ
凸守「や、やめるデス!余り近づき過ぎると、ま、魔力が、」
くみん「大丈夫だよー。私は凸ちゃんのお姉ちゃんなんだからー」ムギュムギュ
凸守「ちょっ……窒息するデス、圧死す……」
くみん「ごめんね、凸ちゃん。調子に乗りすぎちゃった」
凸守「この凸守をここまで追い詰めるとは……マスターに聞いたことはありましたが、やはり姉とは危険デスね」
くみん「あれ?雨が止んでる?」
凸守「本当デス。暗くて気づかなかったデス」
くみん「もう7時前だもんねー。そろそろ帰ろうかな」
凸守「もう帰るデスか?もっとゆっくりして行けば良いデス!」
くみん「んー……でもお母さんが心配するから。また明日学校でねー♪」
凸守「……プロトコルコード!」
くみん「トルコロード?」
凸守「プロトコルコード……交換してほしいデス」
くみん「ああ、携帯のアドレスの事だ!うん、勿論いいよー。えっと……赤外線、ピッと」
凸守「きたデス!これで緊急時にいつでも連絡可能デス!」
くみん「別に緊急時じゃなくても好きな時にかけておいでー♪」
凸守「……了解デス!」
くみん「じゃあまた明日ねー。ばいばーい」
凸守「気をつけて帰るデスー!」
くみん「とりあえず凸ちゃんと仲良くなれて一安心かなぁ」
くみん「雨の日はお昼寝に向いてないから好きじゃなかったけど」
くみん「仲良くなるきっかけをくれた今日だけは感謝しなくちゃ」
ポツ……ポツ……
くみん「あれ?また雨……?今日は本当に良く降るなぁ……」
バサッ!
くみん「こんな時は折りたたみ傘ー♪今朝の天気予報ちゃんと見といて正解だったよ」
くみん「ん?メール……凸ちゃんからだ」
『一段と強い魔力の雨が降り注いでるデス!すぐに凸守の家へ引き返すデス!!』
くみん「凸ちゃんは本当にかわいいなぁ……♪コンビニで傘を買ったから大丈夫です……と、」
くみん「さて、家に帰ったら夜のお昼寝だー」
翌日
凸守「相変わらず授業は退屈デス……あぅー、早く放課後になれデスー!」
森夏「なーに独り言いってんのよ」
凸守「ハッ……偽モリサマー!」
森夏「モリサマー言うな!」
凸守「こんな中東の地まで何の用デスか?」
森夏「別に。暇だから歩いてただけよ」
凸守「暇だから中等部までくるなんて……よっぽどの暇人デスね」
森夏「うっさい!糞中房……」
生徒A「みてみて、凄い美人さんがきてる!」
生徒B「あの制服って高等部だよね?凸守さんの知り合いなのかな?」
森夏「……コホンッ。こんにちは、いつもこの馬鹿が迷惑かけてない?」
凸守「馬鹿って誰の事デスか?」
森夏「あんたよ、あんた」
生徒A「迷惑なんて、そんな事無いですよ」
生徒B「ちょっと変わってるけど……」
森夏「そう。私、一応これと同じ部活で先輩してるから、もし何かあったらいつでも言いに来てね♪」
生徒AB「……はい!」
森夏「じゃあ私は教室に帰るから」
凸守「いったい何しに来たデスか?」
六花「……凸守」
凸守「マスター!どうしたのデスか!まさか魔力反応が!!」
六花「そう。魔力の断片を辿っていたらこの教室にたどり着いた」
凸守「ムム……まったく気づかなかったデス……さすがマスター」
勇太「中等部まで来て訳の分からん事を言うな」ビシッ
六花「ゆうた、いたぃ……先輩としての威厳が……」
凸守「ダークフレイムマスターも来ていたのデスか」
勇太「ダークフレイムマスター言うな!……お前ら二人だと目茶苦茶しそうだからな。保護者だよ」
生徒A「こんどはすっごく可愛い子が来たよ!」
生徒B「でも高等部みたいだから……先輩?」
勇太「……なぁ凸守、あっちで興味深そうに見てる子に六花を紹介してやったらどうだ?」
六花「ゆうたぁ……恥ずかしい……」
勇太「我慢しろ」
凸守「こちらが、凸守の偉大なるマスター、邪王真眼の使い手なのデース!」
生徒A「じゃ、じゃお……?」
六花「そう、私はこの右目に宿りし邪王真――」
勇太「後輩への挨拶くらい普通にしろ」ビシッ
六花「人間界での名前は小鳥遊六花、しかしその招待は邪王真眼の使」
勇太「小鳥遊六花です!」ビシッ
六花「……デス」
凸守「そうなのデス!」
生徒A「あははっ、なんだか良く分からないけど楽しそうですね」
生徒B「やっぱりお二人も同じ部活なんですか?」
勇太「そうだけど……お二人『も』?」
凸守「さっき偽モリサマーもここへ来ていたのデス」
勇太「なんだ……丹生谷もやっぱり心配してたのか……」
凸守「?」
勇太「いや、なんでもない。じゃあ俺達も教室に戻るか」
六花「それでは凸守、また放課後に例の場所で」
凸守「了解したのデス!」
凸守「今日はなんだか訪問者が多くて忙しいデスね♪」
くみん「やっほー」
凸守「……お姉ちゃん!」
くみん「遊びに来たよー」
凸守「こんな中東の地まで遥々ご苦労様なのデス!」
くみん「わぁー、この教室日当たりが良くて昼寝にピッタリだねぇ」
生徒A「凸守さんのお姉ちゃんなのかな?」
生徒B「おっきぃ……」
凸守「……コホンッ、この人は凸守のお姉ちゃんなのデス」
くみん「こんにちは、五月七日くみんです♪」
生徒A「あれ?でも名字が……」
凸守「いろいろあって、昨日生き別れたお姉ちゃんと判明したのデス」
生徒B「そうなんだ……おおきいですね!」
くみん「大きい?そうかな……小さい方だと思ってたんだけど」
生徒B「どうやったらそんなに大きくなるんですか!?やっぱり揉」
くみん「うーん……心当たりは昼寝くらいかなぁ?」
生徒B「寝る子は育つ……ですね!」
くみん「そうそう♪だから高校生になったらうちの部活においでー♪凸ちゃんもいるから楽しいよー」
生徒A「私、高校生になったら凸守さんの入ってる部活に入ろうかな……」
生徒B「いいなぁ……お姉さんがこの人なら凸守さんも将来有望だよ……」
生徒A「やっぱり部活が高校生の先輩だから勉強とか教えて貰ってるの?」
凸守「そうデスね……マスターには色々と教えて貰ってるデス(魔術的な何か)」
くみん「なんだか盛り上がってるみたいだし、凸ちゃんまた放課後にねー」
凸守「了解デス!」
明日の放送で凸守が最初からクラスで人気者や、
くみんを「くみん」とか呼んじゃう恐れがあったので今のうちに急いで書いた。
また書く。みんな可愛い
ちょっと頭丸めてみる
とある病院。
勇太「301号室……301号室……っと」
勇太「小鳥遊六花……あった、ここか」
六花「その声は勇太」
勇太「……正解」ガラッ
六花「勇太、来るのが遅すぎる」
勇太「遅いも何も、昨日入院したばっかだろ」
六花「真の契約者なら真っ先に跳んで来るべき」
勇太「……ばーか」
六花「あぅ……」
勇太「……で?怪我はどうなんだよ」
六花「地底に住み着いている魔族に両足首をやられた。後、腰も少し」
勇太「ロープでベランダから下りるからだろ。自業自得だ」
六花「私だからこの程度で済んだが、生身の人間なら死んでいた」
勇太「両足捻挫したやつなんて初めて見たよ」
六花はベランダからロープで降下中、手を滑らし2階くらいの高さから落下していた。
勇太「十花さんは?」
六花「今日は管理局の仕事に戻った。昨日の分を取り返すために今日は徹夜らしい」
勇太「お前はいつくらいまで入院してるんだよ?」
六花「今日退院する」
勇太「はあ!?」
六花「今すぐに勇太とコイツがあれば百人力」
勇太「車椅子か」
六花「勇太、私をそのカーチェアーへ」
勇太「変な英語を無理矢理使おうとするな!なんだよカーチェアーって」
六花「ゆうたぁ……足がいたぃ……」
勇太「わかった、わかったよ。ほら」ヒョイッ
六花「ご苦労」
勇太「いきなり態度がでかくなるなよ。……でも本当に大丈夫なのか?」
六花「ここにいる方が危険。見たところ色んな拷問道具が揃っている」
勇太「なんだよ拷問道具って」
六花「私はこの組織に乗り込み身体の至る所に針を刺される人間を見てきた。思い出すだけでも悍ましい……」
勇太「病院なんだから注射や点滴くらいあって当然だ」
六花「とにかく危険。すぐにここを脱出する」
勇太「そんなの先生に許可とらないとダメに決まってるだろ」
看護婦「失礼しまーす」
六花「馬鹿な……っ、その扉には特殊な結界をはったはず……」
看護婦「小鳥遊さん、足首の痛みはどうですかー?」
六花「余裕。いますぐにでも退院出来る」
看護婦「ちょっとごめんなさいねー。うーん……まだ大分腫れてるみたいだけど……」
六花「よ……余裕……勇太、手を……」ギュウゥ
勇太「痛い痛い!!泣きながらしがみついて何が余裕だ!」
看護婦「お姉さんの話だと家には誰も居ないみたいだし……腫れが治まるまで入院しておいた方が」
六花「しかしこれ以上この場所にとどまっていては、管理局の者が周りの人間に危害を加えかねない」
看護婦「?」
勇太「看護婦さんを困らせるな!」ビシッ
六花「あぅ……。ゆうた、私ケガ人……」
看護婦「随分と仲が良いみたいだけど……小鳥遊さんの恋人さんかしら?」
勇太「ゲホッゲホッ!!ち、違います!俺達は恋人なんかじゃ……」
六花「勇太は恋人では無い。私の契約者」
勇太「お前もややこしい事を言うなよ!」
看護婦「あらあら、まあまあ。そうなのー!」
勇太「?」
六花「勇太とは前世でも繋がりがあった」
看護婦「ちょっと退院しても良いか先生に聞いてみるから待っててね」
勇太「聞くも何も……こんなのが一人で生活出来るわけ……」
先生「ふむふむ……足首の腫れは治まって無いですが……他は得に問題ないので大丈夫でしょう」
勇太「良いんですか!?」
先生「ただし無理に動かしたりしないで下さいね。移動の際は抱き抱えるか車椅子で移動してください」
六花「了解した」
勇太「いや、了解ってお前……十花さん今日も帰って来ないんだろ?」
看護婦「でも驚いたわ。こんなに若いのに小鳥遊さんに婚約者がいたなんて!」
勇太「婚約者!?」
先生「それではご主人、くれぐれも無理をさせないようにお願いしますよ」
六花「勇太はご主人では無い」
勇太「そ、そうですよ!俺達は」
六花「私達は常に平等なパートナー。上下関係は存在しない」
看護婦「あらあら、結婚前から尻にしかれちゃいそうね」
勇太「なんか、とんでもない誤解をされてしまった……」
六花「嘘はついていない」
勇太「やっぱり説明し直してくる」
六花「勇太、ダメ!状況がややこしくなる!」
勇太「なんでお前は入院が嫌なんだ?別に注射された後もないみたいだし……」
六花「……」ギュルルルル
勇太「……」
六花「兵糧責め……ここの食事は味も量も悪い。私の魔力回復には到底足りない」
勇太「じゃあコンビニで食べ物買ってきてやるから」
六花「……勇太の作った料理でしか回復しそうにない」
勇太「無茶言うなよ」
六花「勇太、手を」ギュッ
勇太「な、なんだよ急に……」
六花「こうしてるだけでも魔力回復……凄い、勇太の強大な魔力が私の中に入ってくる……」
勇太「だから変な言い方するなよ!」
ガタッ
看護婦「あっ、ち、違うのよ?別に覗こうとした訳じゃないの!」
勇太「」
看護婦「それじゃあ気をつけてね」
六花「世話になった」
勇太「ちゃんと挨拶くらいしろ!」ビシッ
六花「あうぅ……ありがとうございました……」
看護婦「婚約者さん、ちょっと」
勇太「だから婚約者じゃ……」
看護婦「小鳥遊さんまだ足に力が入らないと思いますから、色々とお願いしますね」
勇太「色々と……?」
看護婦「おトイレやお風呂は大変だと思いますけど協力して頑張ってください」
勇太「ええ!?」
看護婦「何事も経験ですよ!将来の奥さんの為にも頑張ってくださいね!」
六花「勇太なにをしている?」
勇太「そういえば俺がこいつの面倒見る事になってたんだった……」
六花「はぁ……やはりこの家が一番落ち着く」
勇太「手洗いうがいしとけよ」
六花「……ゆうた、あるけない」
勇太「車椅子で行けば良いだろ?」
六花「思った以上に魔力を消耗する。特に腕……」
勇太「そんな事言っても少しは我慢しなくちゃ……なんだよ、その手は」
六花「速やかにだっこを要求する」
勇太「誰がするか!」
六花「……ううっ!早く闇の聖水で浄化しなければ身体がもたない!」
勇太「闇の聖水で浄化ってなんだよ!……ああもう分かったよ」ヒョイッ
六花「おお、お姫様だっこ」
勇太「洗面台は高さがあるから風呂場のシャワーで手洗いうがいしろよ」
六花「ゆうた……」
勇太「なんだよ」
六花「おもくない?」
勇太「重い」
六花「あぅ……」
勇太「……訳ないだろ。こんなちっこいの。何いきなり女の子みたいな事言ってんだよ」
勇太「ほら、この椅子に座ってろ」
六花「了解」
勇太「えっと……コップはこれか?後ハンドソープは……」
六花「……勇太、それよりもお風呂に入りたい」
勇太「はあ!?」
六花「お風呂に入れば手洗いうがいはおろか、身体も頭も洗える」
勇太「いや、でも……ほら、捻挫の時は温めるの良くないから……」
六花「この魔力濃度の濃い魔水を浴びればたちまち良くなる」
勇太「痛みが増すだけだろ」
六花「昨日は激痛で汗をいっぱいかいた」
勇太「じゃあ……濡れたタオルで拭くとか……」
六花「勇太が私の身体をくまなく拭きたいと言うならそれでもかまわない。……ゆうたのえっち」
勇太「なんでだよ!」
また書く。モリサマーさんに罵られたい
勇太「お前、本当に風呂に入る気なのか?」
六花「本気」
勇太「後で痛みが出たとか泣き言いうなよ?」
六花「平気。私は一度も痛みに屈した事などない」
勇太「しょっちゅう涙目になってるだろ……まぁ良い。どうなっても自己責任だからな」
六花「……勇太、何処へ?」
勇太「何処って……適当に何か作っといてやるよ」
六花「しかし勇太のサポート無しではこの任務を遂行出来そうにない」
勇太「言っている意味が分からない」
六花「まず第一に座った状態から立ち上がれない」
勇太「……それで?」
六花「勇太、まずスカートと下着を脱がせて欲しい」
勇太「アホか!!」
六花「よく考えたら座ったままだと脱げない事が判明した」
勇太「そんなの俺にだってどうしようも無いだろ!」
六花「それを何とかするのが勇太の仕事」
勇太「……じゃあ膝をついて脱げば良いだろ」
六花「なるほど。さすが勇太、名案。では早速」
勇太「うわっ!待て待て!俺は風呂場の外に出るから!!」ガチャッ
六花「よいしょ……あぅっ」
勇太「……」
六花「……」
勇太「…………」
六花「勇太、緊急事態が発生した。ただちにサポートを」
勇太「なんだよもう……」
六花「ゆうたぁ……たすけて……」
勇太「なんでお前は風呂場で土下座してるんだよ」
六花「膝をついて身体を起こしたら、足首が……はうっ」
勇太「それでその四つん這いか……」
六花「でも新たな活路を見出だした。この状態なら痛くない」
勇太「相当惨めな格好だけどな」
六花「勇太、一思いに脱がせて欲しい」
勇太「お前、この状態で脱がせたら色々とまずいだろ!……あとあんまり動くな」
六花「何故?」
勇太「その……後ろから見てると見えちゃうんだよ、チラチラと……」
六花「この辱めをどうしてくれる!」
勇太「知らないよ。……とにかく起こしてやるから掴まれ」
六花「あっ……ゆうた、ゆっくり……」
六花「危ないところだった」
勇太「もう風呂は諦めて今日は寝れば良いだろ?」
六花「こうなったら仕方ない。勇太も脱いで」
勇太「お前が脱げなくてなんで俺が脱ぐんだよ」
六花「確かにこの傷は深手……しかし勇太の全力サポートがあれば乗り切れる気がする」
勇太「脱がないし乗り切れない」
六花「勇太、アダムとイブの話を知っているか?」
勇太「なんだよ急に」
六花「昔、アダムとイブは服なんて身につけてなかったらしい」
六花「しかし禁断の果実を口にし、神の怒りをかった二人は地上へ追放されてしまう」
六花「その時、神は二人に羞恥心と言う気持ちまで植え付けたらしい」
六花「今まで裸が自然だった二人だが、突然恥ずかしいと想いが生まれ、手や葉っぱで身を覆い隠したそうだ」
勇太「……それで?」
六花「さあ、脱いで」
勇太「意味が分からない」
勇太「いいか?お前は一応女だ」
六花「心得ている」
勇太「そして俺は男だ」
六花「それも理解している」
勇太「しかも出会ったのはつい最近だろ?」
六花「それは違う。私達は遠い過去から悠久の時を共にしてきた」
勇太「とにかく、男女間でこの距離感はおかしいだろ」
六花「私と勇太の間に距離感は存在しない」
勇太「でも裸なんて見られたら恥ずかしいだろ」
六花「平気。さっきも言った通り、私と勇太の間に距離感は存在しない。もはや男女などと言う関係は超越している」
勇太「じゃあもし仮に代わりに一色が手伝ってくれるって言ったらお前」
六花「邪王真眼の力をもって抹殺する」
勇太「なんで俺なんだよ」
六花「この邪王真眼が共鳴したのは勇太だけだから。勇太は私にとって特別な存在」
勇太「……なんか告白みたいに言うなよ。勘違いす――」
六花「ゆうた……」
勇太「な、なんだよ!」
六花「話が長い。早く脱がせて」
勇太「結局そこに戻るのかよ!」
六花「勇太、男らしくない。今の勇太はかっこよくない」
勇太「付き合ってられん。帰る」
六花「あわわ……ゆ、ゆうたぁー」
勇太「じゃあな」
六花「勇太、戻ってきて。勇太がいないと身動きが取れない」
勇太(まったく、少し頭を冷やすまで様子を見るか……)
六花「勇太、邪王真眼を使って勇太がそこにいるのは分かっている」
六花「…………勇太?」
六花「……ゆーうーたぁー」
六花「ゆうたゆうたゆうたゆうた!」
六花「ゆうたゆうたゆうたゆうたゆうたゆうた!」
勇太「うるさい!」
六花「やはりそこに潜んでいた」
勇太「お前、本当に俺が帰ってたら延々と呼び続けるつもりか?」
六花「そんな事はありえない」
勇太「いや、今のは延々と呼び続ける勢いだっただろ」
六花「そうじゃない。勇太が負傷している私を置いていく事が有り得ないと言った」
勇太「……あっそ」
六花「?」
勇太「なんだよ」
六花「勇太、何故赤くなる?」
勇太「う、うるさい!」
勇太「分かったよ。ちょっとこっちこい」ヒョイッ
六花「あっ勇太、何処へ行く」
勇太「ベッドだよ。あとバスタオルは何処だ?」
六花「そこの棚」
勇太「よしっ、それじゃあベッドに横になって布団を被れ」
六花「勇太、私は眠りにつくのではなく、お風呂に」
勇太「分かってるよ。だからこうやって横になれば脱ぎやすいだろ?」
六花「……確かに。でも途中までしか脱げない」
勇太「だから……仕方なく、仕方なくだからな!」
六花「?」
勇太「手伝ってやるよ。布団かけてれば見えないし」
六花「そうか。助かる」
勇太「……これか。なんか緊張してきたな」
六花「勇太、早く」
勇太「あ、ああ……よし、いくぞ」
六花「……」
勇太「我が身体に眠りし黒炎竜の力を解放する……ショーツブレイク!!」スポーン
六花「勇太、なんだかかっこいい」
勇太「さ、さすがに今回は黒炎竜の力が必要だったものでな……」
六花「さすがダークフレイムマスター。私の拘束具をあっさり除去……」
勇太「フンッ、こんな拘束具などたわいもな……」
六花「勇太?」
勇太「……黒」チラッ
六花「闇の中に生きる物として、黒を身につけるのは当然。もちろんこっちもも黒」ポイッ
勇太「ブ、ブラジ……って、お前!なんで上まで脱いでるんだよ!」
六花「上は自分でも脱げるから大丈夫」
勇太「じゃなくて、上は俺が見てない時に風呂場で着替えろよ!」
六花「過去に縛られるのは良くない。脱いでしまった物は仕方ないのだから」
勇太「それじゃあバスタオルで隠しきれないだろ」
六花「勇太、風呂場までの移動のサポートを頼む」バサッ
勇太「おまっ……布団、布団!布団をかぶれ!!」
六花「勇太、だっこ」
勇太「」
勇太「無理だろ……いきなりハードルが高すぎる」
六花「仕方ない。勇太がそこまで言うならバスタオルを前にかける」
勇太「それでも難易度が高すぎる」
六花「へっくち!にっ、うぅ……くしゃみをしたら足に激痛が……」
勇太「わ、わかったよ。ほら行くぞ」ソーッ
六花「あぅっ……勇太の手、冷たい……」
勇太「仕方ないだろ、お前が全部脱いだんだから……背中とかに手が……」
六花「すまない。世話をかける。……あっ、バスタオルが」ヒラッ
勇太「う……あ、うあぁぁぁ!!」
六花「ゆ、勇太!暴走モード!?」
勇太「もう良い、もうこのまま行く!」
六花「ご苦労」
勇太「じゃあ俺は外に出てるから。何かあったら言ってくれ……疲れた」
六花「分かった。なるべく自分でするから勇太は休むと良い」
勇太「そうさせてもらう」
勇太(……まだ手に柔らかい感触が)
勇太「あれが女の子の身体か……」ボソッ
六花「勇太!」
勇太「は、はいぃ!」
六花「サポートを」
勇太「お前、さっきなるべく自分でするって……」
六花「シャンプーに手が届かない」
勇太「分かったよ。もう開けても大丈夫か?」
六花「問題ない」
勇太「まったく…………って、少しは隠せよ!」
六花「シャンプーを頼む」
勇太「ダメだ……身体がもたん……」
六花「勇太、サポートを」
勇太「今度はなんだよ」
六花「トリートメントに手が届かない」
勇太「わかっ……だから何で隠さないんだよ!」
六花「この空間において裸でいることは常識。むしろ服を着て入っている勇太が異常」
勇太「わかったよ、ほら」
六花「感謝する」
勇太「全然休む暇が……」
六花「勇太、サポートを」
勇太「少しは自分で頑張れよ」
六花「勇太、サポートを。身体を洗うごしごしが取れない」
六花「勇太、サポートを。洗顔が取れない」
六花「勇太、サポートを」
六花「勇太、サポートを」
六花「勇太、サポ」
勇太「今度はなん……プハッ!」ザバー
六花「シャワーが龍と化し暴れ回っているからサポートを依頼した」
勇太「……」びっしょり
勇太「はぁ……一度着替えに家へ帰るぞ」
六花「それは許可出来ない」
勇太「なんでだよ」
六花「負傷した身体とこの無装備では敵に襲われた時、流石に太刀打ち出来ない」
勇太「敵なんてこないよ」
六花「来る。いや、既にいる。敵は自分の中に」
勇太「なにそれっぽい事言ってんだよ」
六花「ぐっ……邪王真眼の力を解放……今、この一時、我が足に力を与えよ!立ち上がれ……痛ッ」
勇太「お、おい!無理するなって言われてた……」
ぎゅっ
勇太「……なぜ抱き着く」
六花「勇太、さっきと違って今は本当に帰ろうとした。だから捕獲」
勇太「だから着替えするために……」
六花「勇太はここにいないとダメ」
勇太「どうしてだよ」
六花「……勇太がいないと寂しい。勇太がいないと怖い。勇太がいないと……やだ」
勇太「すぐ戻るから」
六花「ダメ。絶対に離さない。行くなら私もついて行く」
勇太「こんな状態で連れて帰れるか!」
六花「あぅ……」
勇太「分かったよ。お前が風呂から出るまで待ってやるよ……だからいい加減離れてくれ」
六花「邪王真眼の力が切れて麻酔効果が無くなった。戻れない」
勇太「まったく……世話のやける……」
六花「勇太、まだ龍の亡きがらが転がってる。足元に気をつけて」
勇太「え?……うわぁ!!」バタンッ
勇太「ってて……六花、大丈夫か!?」
六花「平気。でもおかしい。私が読んだ書物によれば、90%くらいの確率で手は胸に覆いかぶさる筈」
勇太「ラッキースケベかよ」
六花「でも勇太の手は私の腰と頭の後ろにある」
勇太「あのなぁ、この場合は漫画と違って頭や身体を守ってやるのが普通だろ」
六花「今の勇太、かっこよかった」
勇太「そーか、そーか。もっと褒めろ」
六花「勇太かっこいい!勇太男らしい!勇太……大好き」
勇太「いや、ごめん。自分で言わせといて恥ずかしくなってきたからもういいよ」
勇太「ゆっくり起こすぞ?」
六花「もう少しこのままでも良い」
勇太「いや、男女がこんな格好で抱き合ってるのはその……風紀的にNGだろ」
六花「大丈夫。この空間は外部と遮断されている」
勇太「俺だって一応男なんだ。おかしな事が起こるかもしれないだろ」
六花「おかしな事?……きっと勇太となら何でも乗り越えられる」
勇太「男女でおかしな事って言ったらあれだろ!なんだ……その、いかがわしい……」
六花「良く分からないが勇太とならかまわない」
勇太「お前、そういうのは勘違いを招くからあまり言わない方がいいぞ」
六花「大丈夫。こんな事は勇太にしか言わない」
勇太「……この話はやめだ。ほら、いい加減言うこと聞いて座れ」
六花「勇太は?」
勇太「外に出てる。お前もさっさと風呂から出ろよ。温め過ぎは良くないぞ」
六花「わかった」
ガチャッ
勇太「……」
勇太「落ち着け俺、落ち着け俺の黒炎竜!相手は六花だぞ!」
勇太「……確かに可愛いけど、でも中二病だし!可愛いけど!」
勇太「……なんで可愛いんだよあいつ!!」
六花「ゆうた……声おおきい……」
六花「勇太、バスタオル」
六花「……ゆうた?」
勇太「あ、ああ。悪い、トイレ行ってた。ほらよ」
六花「勇太、うまく拭けない。サポートを」
勇太「まったく、世話のかかる奴だな」サッサッ
六花「おぉ、ついに勇太もなれてきた」
勇太「もうなんか見慣れちゃったんだよきっと」
六花「心なしか勇太から毒気のような物が消えている」
勇太「なんだよそれ。ほら、綺麗に拭き終わったぞ」
六花「……完璧。感謝する」
勇太「感謝なんていいから、風邪ひく前にさっさと服着ろ」
六花「勇太……本当に勇太?さっきまでとまるで別人」
勇太「俺は俺だよ。たださっきと違うのは……」
六花「違うのは?」
勇太「お前が風呂に入ってる間に、俺は賢者に転職した」
六花「……ッ!だめ、勇太は暗黒騎士になる定めの筈!!」
勇太「まあ……少ししたらまた暗黒騎士になるよ」
また書く。明日には勇太は暗黒騎士
私が女子の家に行ったのは小学3年が最後です(´;ω;`)
>>271はまだ小学生3年生
勇太「それじゃあ俺も着替えてくるから」
六花「私も一緒に行く」
勇太「別に良いよ。着替えるだけだから」
六花「勇太、移動のサポートを」
勇太「手を広げても、こんなびしょびしょの服じゃ抱けるわけないだろ」
六花「仕方ない。アレを使う」
勇太「車椅子か?別にかまわないけど、本当に来てもすること無いぞ?」
六花「もしかしたら食料にありつけるかもしれない」ギュルル
勇太「そういえば腹減ってたんだったな……よし、行くか」
勇太「ただいまー」
六花「玄関から勇太の家に入るの久しぶり」
勇太「これからは玄関以外から入ろうとするなよ」
母「あら、勇太おかえ……六花ちゃん!?どうしたの!?」
六花「邪王真眼の力を得た代償として、私の身体は闇に蝕まれている。今は足だけだが、やがて命をも……」
勇太「ただの捻挫だろ」
六花「そうとも言う」
母「なんだか分からないけど大変ね……で、どうしてあんたはびしょびしょなの?」
六花「実は私の家でお風呂――」
勇太「と、通り雨だよ!!そうだ母さん、俺風呂に入ってくるからこいつを俺の部屋まで運んでやってよ!」
母「それは良いけど……通り雨なんて降ったかしら?」
母「よいしょ……っと。もし何か必要だったらリビングにいるから何でも言ってね」
六花「感謝する」
六花「…………」
六花「やはり不可視境界線があるとすればこの部屋……」
六花「……」ゴソゴソ
六花「……勇太、まだこの書物を」
六花「…………」パラパラ
六花「な……っ!こんな物が……口に入ると言うのか……?」
六花「しかしこの書物に出てくる女は皆胸が大きい」
六花「勇太は大きいのが好きな可能性が高い。私は」ムニムニ
六花「……だ、大丈夫。プリーステスも大きいから私もまだ育つ余地有り。頑張れ六花!」
勇太「なに独り言を言ってんだ……ああ!お前、それ!!」
六花「勇太、やはり人間世界に毒されている」
勇太「分かったから元に戻せ」
六花「ダメ。この書物はあまりにも危険。よって処分する」
勇太「処分って、なに」
六花「闇の炎に抱かれて……消えろ!」ポイッ
勇太「ああぁぁ!!お前、なんて事を……」
男「イテッ!!なんだコレ」
勇太「ほらみろ!通行人にあたっただろ!ちゃんと謝ってこい」
六花「あうぅ……」
一色「イテテ、何だ……うわっ!良く見たらエッチ本じゃん!ラッキー!これは神様からのプレゼントだぜー!!」
勇太「一色……」
六花「これで勇太は毒されずに済み、一色も済われた。一石二鳥」
六花「ときに勇太、一つ聞きたいことがある」
勇太「なんだよ」
六花「さっきの書物、胸が大きい女の写真ばかりだったが……その、勇太はそういうのが好みなのかと」
勇太「答える義務は無い」
六花「では質問を変える。私と丹生谷、どっちが好きか知りたい」
勇太「な、なんで丹生谷が出てくるんだよ!」
六花「おそらく丹生谷がクラスで一番胸が大きい」
勇太「なんで大きい胸が好きかどうかから、お前と丹生谷のどっちが好きかに質問が変わってるんだよ」
六花「いいから速やかに答えて」
勇太「嫌だ。それも答える義務が無い」
六花「答える義務はある」
勇太「何処に?」
六花「答えなければ、勇太がエッチな本を所持していたと勇太のお母さんに言う」
勇太「脅迫か!!」
六花「私もそんな事したくない。だから答えて」
勇太「まぁ……一般的に考えたら丹生谷だろ」
六花「あうっ……」
勇太「一般的に丹生谷は委員長で面倒見が良くて、チア部で見た目も良い。ここだけの話、この前の一色のランク付けでも一位だったらしいしな」
六花「……私は、勇太の意見を聞いている」
勇太「そんな事聞いてどうするんだよ」
六花「別にどうもしない。ただ知りたいだけ」
六花「わかった。それでは更に質問を変更する」
勇太「今度はなんだよ」
六花「勇太は一色が付けた人気投票とやらで、誰に一票を投じた」
勇太「そ、そんなの忘れた……」
六花「嘘。勇太の目が泳いでる」
勇太「もうこの話は良いだろ」
六花「良くない。勇太が誰を選んだのかを知りたい」
勇太「あの投票はたしか……」
一色『ついに完成したぞ!ランク付けが!!』
勇太『へぇー。そういえば俺は参加してなかったけど良かったのか?』
一色『なに言ってんだよ!お前は小鳥遊さん以外有り得ないから小鳥遊さんに入れといたよ!』
勇太「……言えるわけが無い」
勇太(とにかく何とか話を逸らさないと……)
六花「勇太、早く」
勇太「なぁ六花、不可視境界線ってのは見つかったのか?」
六花「今は違う話をしている。話を逸らす行為は許されない」
勇太(……ダメだったか)
母「勇太、ごはんよー!六花ちゃんも食べていくわよねー?」
六花「ゆうた、ごはん!」
勇太「ええっ、さっきまでの質問は……」
六花「そんな事より夕御飯が優先。だっこを」
勇太「お前は子供か」
六花「ゆうた、はやく」
勇太「分かったよ。ほら掴まれ」
母「あら、あらあら、あらあらあら!まぁまぁ!お姫様だっこだなんて仲良しねぇ!」
勇太「うるさいよ!」
母「ぶぅー、怒らなくても良いじゃない」
六花「……ピザ!」
母「ごめんね六花ちゃん。ちょっとバタバタしてて宅配ピザ頼んじゃったのよ」
六花「まったく問題無い。プリーステスは料理が得意だから、こういうのは久しい」
勇太「そうだ。昨日作ったきんぴらごぼうもあるけど食うか?」
六花「もちろんいただく」
母「さぁ、冷めないうちにめし上がれ」
夢葉「ただいまぁー!」
樟葉「……車椅子?」
夢葉「あー!ピザのにおいがするー!」タタタッ
夢葉「あっ、帰ったらご飯の前に手洗いうがいしなきゃダメだよ!」
夢葉「ああー!りっかがいる!!りっかー!」
六花「夢葉は将来邪王真眼を覚醒させるかもしれない身体。手洗いうがいは大切」
夢葉「はぁーい」
樟葉「あれ?じゃああの車椅子は小鳥遊さんのですか?」
六花「六花で良いと言った」
樟葉「えっと……あの車椅子は六花さんの?」
六花「実は昨晩の戦いで邪王真眼を使いすぎ、その代償に」
勇太「捻挫だよ。……ってか、微妙に設定も変わってるぞ」
母「さあ、樟葉も早く手を洗って来なさい」
母「でも両足捻挫ってすごいわねぇ……」
六花「それほどでもない」
勇太「別に褒められてないからな」
母「色々と不便でしょ?何か手伝える事があったら何でも言ってね」
六花「では早速頼みたい事がある」
母「あら、なにかしら?」
六花「この身体では誰かのサポート無しでは何かと不便。だから勇太をしばらく貸してほしい」
勇太「人を物みたいに言うなよ」ピシッ
六花「あう……っ」
母「なーんだ、そんな事ならお安いごようよ♪」
六花「ではしばらく勇太を私の家に」
勇太「母さん!」
樟葉「お母さん!!そんなのダメに……決まっ……て……」
夢葉「おねえちゃん、おーっきなこえ!ゆめははじめてきいた」
樟葉「……ごめんなさい」
母「母さんも樟葉が大声出すなんて初めてだからドキドキしちゃった」
樟葉「だ、だって、年頃の男女が一緒なのは良くない、みたいな事をお母さんが前に……」
母「そんな事言ったかしら?」
夢葉「ゆめはもりっかのおてつだいしたい!」
母「うーん……じゃあ六花ちゃんが家に泊まれば良いんじゃない?」
六花「勇太が良いなら私はかまわない」
勇太「そりゃまあ……別に」
夢葉「わぁーい♪りっかがおとまり♪」
母「よし、そうときまればお客様用の御布団とか用意しなきゃね♪ごちそうさまー」タッタッタッ
六花「ごちそうさま」
夢葉「りっかー、じゃおーしんがんのれんしゅうしよー」
六花「待って夢葉。先にここを片付けるのが先」
勇太「いいよ。ここは俺と樟葉がするから」
六花「しかし」
勇太「それに、夢葉の相手してくれてた方が助かるしな」
六花「了解した。では移動のサポートを」
勇太「はいよ」ヒョイッ
樟葉「!」
夢葉「わぁー!りっかおひめさまみたい!ゆめはもー!!」
勇太「ダメダメ、ほらこっちで六花と遊んでて」
六花「夢葉、今日から特訓を一段階レベルアップさせる。精神を集中して」
夢葉「しゅうちゅうー!」
勇太「さて、片付けるか」
樟葉「うん」
勇太「?」
樟葉「ゴミは捨てたから。洗い物だね」
勇太「樟葉?」
樟葉「なーに?」
勇太「どうかしたのか?」
樟葉「別にどうもしないけど」
勇太「だってお前、それって拗ねた時の顔だろ?」
樟葉「別に拗ねてなんかない」
勇太「いや、拗ねてるだろ。どうしたんだよ?」
樟葉「だから拗ねてないって言ってば!」
勇太「今度は怒った顔になってるぞ?」
樟葉「……早く洗い物しようよ」
樟葉「……」
勇太「……樟葉?」
樟葉「なに?」
勇太「よーし、ならこれでどうだ!」
樟葉「お、お兄ちゃん!なに!?」
勇太「そらっ、たかいたかーい!って!」
樟葉「や、やめてよ、急にどうしたの!?」
勇太「いや、昔は樟葉が怒った時はコレで機嫌が治っただろ?」
樟葉「そんなの知らないもん!」
勇太「夢葉が産まれてさ、しばらく夢葉の相手ばかりしてる時はよく拗ねてたぞ?」
樟葉「も、もういいから早く洗い物!」
勇太「こんどは恥ずかしい顔か?忙しい奴だなぁ」
樟葉「中学生にもなってあんな事されたら誰でも恥ずかしいよ……」
夢葉「おにいちゃん!ゆめはもだっこー!」
六花「勇太、私はもっと高くしてほしい」
勇太「高校生にもなってしてほしい奴がいるみたいだぞ?」
樟葉「……おにいちゃんって、顔見ただけで人の気持ちか分かるの?」
勇太「ん?」
樟葉「例えば夢葉の顔も、見ただけで分かるの?」
勇太「夢葉は口や態度に出すから顔を見なくても分かるだろ?」
樟葉「そうだね……じゃあ六花さんは?」
勇太「あいつは……何考えてるんだかサッパリ分からん」
樟葉「だったらどうして私だけ分かるの?」
勇太「そりゃこの中じゃ樟葉が一番付き合い長いからかな?」
樟葉「一番……」
勇太「それに樟葉はすぐ我慢したり隠したりするから。昔からよく様子に変化がないか注意して見てたんだよ」
樟葉「そうだったんだ……」
勇太「まぁ母さんが夜勤で居ないことが多いから、その辺の兄妹より絆が深いんだよきっと」
樟葉「なっ、なに恥ずかしい事言ってるの。もう……私、お風呂入ってくる!」
勇太「……今度は嬉しい時の顔?女心はよく分からないな」
数時間後……
六花「勇太、緊急事態。夢葉の生体反応が微弱」
夢葉「じゃお……し……むにゃむにゃ」
勇太「夢葉、寝るなら布団で寝ないと風邪ひくぞ」
六花「今日の特訓、夢葉にはまだ過酷すぎたのかもしれない」
勇太「しょうがないなぁ……御布団までだっこして運んで……って、あれ?」
六花「眠っている筈なのに手を握ったまま離さない」
勇太「よっぽどお前の事が好きなんだな」
六花「勇太も前に寝た時、私の手を朝まで離さなかった」
勇太「う、あ……、ゆ、夢葉!ほら離して、行くぞ!」
夢葉「うーん……りっか……」
六花「大丈夫。私の力を少し夢葉に授けた。これで離れていても一緒」
夢葉「……うん」スヤスヤ
勇太「なんかもう完全に姉妹だな……」
勇太「じゃあ俺達も寝るか」
六花「まだ十時、闇の宴は始まったばかり。寝るには早すぎる」
勇太「お前は一応怪我人なんだから、安静にしてなきゃダメなの」
六花「うぅっ……右目が疼く、邪王真眼が覚醒しようとしている……っ!」
勇太「母さん、六花の布団は?」
六花「ゆうたぁ……」
母「あら、もう敷いておいたわよ?」
勇太「だから何処に?」
母「どこって……勇太の部屋に決まってるでしょ?」
勇太「な、なんで!?」
母「だって一人じゃ心細いに決まってるじゃない」
勇太「母さ――」
六花「なるほど。そうとは気づかず悪いことをした」
勇太「何がだよ」
六花「つまり一般人の居ない所で、闇に関する秘密の話があると」
勇太「無いよ」
六花「急ごう勇太、今宵は満月、嫌な予感がする」
勇太の部屋
勇太「足気をつけろよ。降ろすぞ」
六花「綺麗に布団は敷かれているが……微妙に物の位置も変わっている」
勇太「そうか?」
六花「ベッドの枕元と布団の枕元にティッシュが置かれている。さっきは無かった」
勇太「……母さん」
六花「それで勇太、秘密の話とは一体……」
勇太「お前はベッドの方が良いだろ?俺は下の布団で寝るよ」
六花「はっ!まさか不可視境界線を見つけたと言うのか!?」
勇太「じゃあ電気消すぞ」カチッ
六花「部屋が突然暗闇に!一体何が……」
勇太「おやすみ」
六花「ゆうたぁ、つまらない……」
勇太「……」
六花「ゆうたぁ」
六花「シュバルツシルト!」
六花「ガキーン!」
六花「フフフ、なかなかやるではないか。ではコレはどうだ!」
六花「あれは……光の宝玉!?」
六花「クックックッ、貴様は闇の使い手。果してこれを受け止めきれるかな?」
六花「くっ……!!」
六花「くらえー!」
六花「な、なんとか交わせ……しまった!向こうには勇太が!!」
六花「フハハハハ!まんまと罠にかかりおったな!!これでダークフレイムマスターは終わりだ!」
六花「勇太、避けて!!」
ビシッ!!
六花「勇太!……こうなったら勇太の仇!!」
勇太「……うるさいし痛い!なんだこれ……丸めたティッシュ?」
六花「違う。管理局の人間が放った光の宝玉」
勇太「寝ろ!」ピシッ
六花「あぅ……」
1時間後
六花「うぅ……っ」
勇太「……」
六花「くっ……」
勇太「…………」
六花「はぁ……っ、はぁ……っ」
勇太「だからうるさいって……」
六花「……っ」
勇太「なんだ?どうかしたのか?」
六花「どうやら敵の爪に毒が塗ってあったようだ……でも心配無い……」
勇太「心配ないって顔じゃないだろ!ちょっと足見せてみろ」
六花「……んっ!」
勇太「足首が熱いな……だから風呂なんてやめとけって言ったんだ」
六花「大丈夫、昨日も……同じ……」
勇太「だから昨日は入院してたんだろ。何か冷やす物持ってくるから待ってろ」
六花「待っ……勇太、今離れるのはダメ。それよりも手を」
勇太「手?」
六花「今は、魔力の回復が……最優先……。勇太の魔力を分けてもらう……」ギュッ
勇太「お前なぁ、手を握ったからって痛みはマシにならないだろ?」
六花「そんな事ない。こうしてると気持ちが落ち着く。精神の乱れが治まれば痛みも……」
勇太「……わかったよ。お前がそう言うならこうしておいてやる」
六花「すまない……」
勇太「ん?これは……母さんが置いてくれてたのか」
六花「勇太、どうかした……?」
勇太「六花、今からお前に俺の魔力をたっぷり込めた魔力札を足に張ってやる」
六花「ま、魔力札!?」
勇太「これでお前の足も良くなる筈だ。少し冷たいが我慢しろ」
六花「冷たい……?」
勇太「そうだ。魔界の黒き炎は冷気をも放つ事ができる。お前のこの黒き炎を宿した力にも耐えられるはずだ」
六花「わかった。勇太、よろしく頼む」
勇太「我が身体に宿りし暗黒の竜、黒炎竜よ。その力の一部を邪王真眼の使い手小鳥遊六花に与えよ……ハァッ!!」ピタッ
六花「冷たい……っ、でも……勇太の魔力を感じる」
勇太「どうだ?少しはマシになったか?」
六花「勇太の魔力があれば100人力」
勇太「眠れそうか?」
六花「大丈夫。でも勇太の手からも引き続き魔力を分けて貰いたい」
勇太「お前が良いって言うまで握っといてやるよ」
六花「……勇太」
勇太「なんだ?」
六花「その体制では勇太が眠れない。私の横に寝ると良い」
勇太「良いよ。俺はお前が寝てから寝る。それに枕が無いと寝れない性格なんだよ」
六花「それなら大丈夫。何故か最初から枕が二つ置かれていた」
勇太「母さん……」
六花「こうして眠っていると思い出す」
勇太「なにを?」
六花「この前、勇太と契約をしたときの事」
勇太「……」
六花「勇太、私に本契約をして欲しい」
勇太「なっ、それなら前にしただろ……」
六花「確かに前は私からした。でも勇太からはまだしてもらっていない」
勇太「あれにどっちからとか無いだろ」
六花「あれ?」
勇太「だから、その……キスってのは別にどっちからしたとか無いだろ」
六花「キスじゃない。私がしたのは契約」
勇太「一緒だろ」
六花「違う。あれは儀式。この不完全な儀式のままではやがて大変な事になってしまう」
勇太「大変な事ってなんだよ」
六花「……爆発する」
勇太「何がだよ!」
六花「とにかく迅速に契約を」
勇太「そんな事いきなり言われて出来るか」
六花「……勇太は私と契約するのが嫌?」
勇太「そうは言ってないけど……」
六花「だったらしてほしい」
勇太「だから心の準備ってものがだな……」
六花「それなら心の準備が出来るまで待つ。私はいつでも良い。……ん」
勇太「お、お前、いきなり目をつむるな!そして顎を上げるなよ!!」
六花「……」
勇太「い、一回だけだからな!キスじゃなくて契約、キスじゃなくて契約……んっ!」
六花「……っ」
勇太「ど、どうだ、これで文句ないだろ!」
六花「唇の触れている時間が短すぎて契約が出来なかった」
勇太「なんだよそれ!俺の勇気返せよ!」
六花「勇太、もう一度」
勇太「わかった、わかったよ!なんかもう一回したら慣れた気がするし」
六花「……じゃあ、はい」
勇太(ダメだ……全然慣れない)
六花「勇太、どうした」
勇太「わ、分かってるよ。じゃあいくぞ……」
六花「んっ……ん、ぁ……ぷはっ」
勇太「こ、今度こそ大丈夫だっただろ!」
六花「途中で一度唇が離れてしまった。やり直し」
勇太「そんなに正確にしなくちゃダメなのか?」
六花「これは大切な儀式。当然」
勇太「……今度はどうだ」
六花「角度が悪くて契約には至らなかった」
勇太「今度は」
六花「少し強引すぎる……お互いの力が平等じゃなきゃダメ」
勇太「今度は」
六花「少し口は開かないと魔力のやり取りが出来ない」
勇太「今度は……って、お前、舌入れなかったか!?」
六花「これが正式な儀式の方法だったと思う……」
勇太「初耳だぞ」
六花「次からは勇太にもそうしてもらいたい」
勇太「出来るか!」
六花「ゆうた、きて……」
勇太「うっ……ああ、もうどうにでもなれ!!」ズキューン!
勇太「どうだ、これで……」
六花「……満足」
勇太「満足ってなんだよ!契約だろ!?」
六花「契……約……?」
勇太「マジかお前!本気で言ってるのか!?」
六花「勇太のおかげで一瞬だけ不可視境界線に近づけた気がする……」
勇太「なにふわふわした顔してるんだよ」
六花「不可視境界線がいくら探しても見つからない訳が分かった気がする……」
勇太「おい、六花、帰ってこーい!」
六花「不可視境界線とは、一人では見つける事が出来ない。協力が必要だった」
勇太「……」
六花「……なっ」
勇太「今度はなんだよ」
六花「勇太から魔力を吸収し過ぎたと言うのか……!?」
勇太「もう疲れたから寝る。おやすみ」
六花「……くっ、とにかく魔力の流出を止めなければ」
勇太「……」
六花「ひっ……ぁっ」
勇太「…………」
六花「どんどん、溢れ……んっ!身体が、痺れ……」
勇太「…………」
六花「このままではダメ……ッ、もう……っ、壊れてしまう……」
勇太「おい、変な声だすなよ!うるさくて眠れな……」
六花「ゆうたぁ……魔力が、押さえても、止まら……な、あっ」
勇太「」
六花「ずっと、身体の様子が……おかしい……」
勇太「無理無理無理無理!いくらなんでもそのハードルはまだ高すぎるだろ!」
六花「ゆうた……どうしたら……」
勇太「よく分からないけど、とにかくその……左手をそこから離した方が……」
六花「ダメ、この指を離し……、魔力が大量に……漏れ、出して……」
勇太「触るから漏れ出すんじゃないのか?!って言うか、それは魔力じゃない……と思うけど」
六花「しかし、保健体育の授業ではこのような現象ぁっ……んんっ、は、習わなかった。だからおそらく魔力……んっ」
勇太「じゃあもうあれだろ……もう、」
六花「胸が苦しい……鼓動が……体温も上昇……このままでは魔力が底をついて死んでしまう……」
勇太「死なないから!……死なないから、一度全部出し切れば良い」
六花「そんな事をしたら」
勇太「大丈夫だよ。俺の黒炎竜が暴れ出した時はいつもそうして静めている」
六花「魔力が尽きても死なない……?」
勇太「大丈夫だから。全部出し切って楽になれ」
六花「わ、わかった……」
勇太(俺は一体何を言っているんだ……)
六花「んっ……ここ……弱点を見つけた……」
六花「うっ……んんっ、はっ、あっ……」
勇太「……」
六花「んんーッ……はぁ、はぁ……」
勇太「…………」
六花「ゆうた……」
勇太「は、はい!」
六花「ダメ……だった……」
勇太「ダメだったって……」
六花「もう少しで、全部出し切れそうに、なる……と、身体に制御がかかってしまう……」
勇太「男女で差があるのか……?」
六花「これは恐怖……おそらく魔力が尽きてしまう事に対する恐怖だと思う……」
勇太(まずい……全く分からないぞ……)
六花「だから勇太に頼みたい……」
勇太「な、何をだ?」
六花「勇太、私の魔力を出し切るサポートを……」
勇太「そんな事言われても、俺だってよく分からないぞ」
六花「大丈夫。私が勇太の手を魔力の根源近く……弱点へと導く……」
勇太「あっ、そんないきなり――」
六花「んぁ……っ、勇太に触られると、凄い……、これも魔力の影響?」
勇太「この固い所をどうすればいいんだ……?」
六花「そこを……触っているだけで……んっ、」
勇太「こ、こうか?」
六花「やっ……ぁっ、ゆうた、優しく……ッ」
勇太「六花、大丈夫か……?」
六花「凄い……勇太の魔力が、私の一番弱い所に……身体が……」
勇太(なんか、とんでもない事になってないか?)
六花「ゆうた、どんどん、凄く……魔力が、集まって……っ」
勇太(俺の少ない知識だと……この下が……)スス…ッ
六花「ん……っ!!だ、だめ、ゆうた、そっちは……ATフィールドが……っ」
勇太「うわっ、す、すまん!」
六花「別に謝らなくて良い。でも、そのATフィールドは、まだ破ってはダメだと思う……」
勇太「本当にごめん、俺……」
六花「そのATフィールドは……勇太が暴走モードになったとき、勇太の黒炎竜で破ってもらいたい……」
勇太「六花……ってか、妙に詳しいな」
六花「これは保健体育の授業で習った」
勇太(俺はもう十分暴走モードなんだけどな……)
勇太「じゃあ続けるぞ?」
六花「勇太、その前に頼みたい事がある……」
勇太「どうした?」
六花「私はまた自己防衛で勇太の指を制御しようとするかもしれない。だから私の腕を押さえ付けて欲しい」
勇太「だんだん変な感じになってるけど大丈夫か」
六花「平気。頭の上で手を押さえ付けて続けて欲しい」
勇太「じゃあ……これで良いな?いくぞ?」
六花「今度こそ最後まで……もう時間に猶予が無い……」
六花「んっ、ぁっ……なんだか、さっきより……勇太の魔力を強く感じる……っ」
勇太(これは……Mっ気があるのか?)
六花「ゆうた……ゆうた、凄い……ゆうたの魔力が……っ」
勇太「わ、わかったから」
六花「ゆうた、ゆうた……ゆうた!」
勇太「頼むから静かにしてくれ。家族もいるんだから」
六花「ダメ……もう私の身体は……勇太の魔力に侵食され……言うことが聞かない……」
勇太「じゃあ一度止めて――」
六花「それはもっとダメ……。今止めたら……死んでしまう……」
勇太「じゃあどうするんだよ?」
六花「口を……ふさげばいい」
勇太「無理だろ。片手はこっち、片手は手を押さえてるんだから」
六花「……ゆうた」
勇太「分かったよ……その顔は契約だろ」
六花「これは契約じゃない。勇太に口づけを要求している」
六花「……っ!……ッッ!!」
勇太(なんか……なんだよこれ、どんどん溢れて)
六花「んっ……!……ッッ!!」
六花「ッッ!!……んっ!」
六花「んっ……、ん、……っ」
六花「…………ぷはっ」
勇太「終わった……のか?」
六花「ハァ……ハァ……ッ」
勇太「六花……?」
六花「不可視境界線……ついに見つけた……」
勇太「こんな時まで中二病かよ!」
六花「ゆうた……」
勇太「なんだよ」
六花「魔力をすべて出し切って疲れたから……魔力、回復」ギュッ
勇太「うわっ、い、いきなり抱き着くなよ」
六花「私から勇太の魔力を貰うだけでは足りない……勇太からも送って欲しい」
勇太「……はぁ、分かったよ。抱きしめれば良いのか?」
六花「……そう」
勇太「これでいいんだな?」ギュッ
六花「暖かい……勇太の……魔力…………」スッ……
勇太「疲れて寝たのか……?まったく……」
勇太「……どうするんだよこれ!!」ギンギンッ
翌朝
六花「んっ……」
勇太「……おはよう」
六花「勇太、すごいクマ。まさか徹夜で闇の儀式を」
勇太「精神鍛練の儀式だよ……空腹の時、目の前で焼肉を焼かれてる気分さ……」
六花「そ、それは聞くだけでも恐ろしい話……」
勇太「とりあえず……離れてもらっても良いか?」
六花「……私はこのままでもいい」
勇太「いや、トイレに行きたいんだ……ホントに……もう漏れそうなんだ……」
六花「それは緊急事態。急いで行くと良い」
勇太「ありがとう……」ヨタヨタ…
六花「勇太、漏れそうなのに何故急がない?」
勇太「腰が……伸ばせないんだよ」
六花「?」
樟葉「あっ、お兄ちゃんおはよう」
勇太「おは……よう……」
樟葉「……どうしたの?」
夢葉「りっかー!あそぼー」タタタッ
ドンッ!
樟葉「きゃっ、いたた……もう、夢葉ったら。お兄ちゃん、大丈夫――」ニギッ
勇太「ッッッッ!!!!」
魔力解放
樟葉「な、なに!?お兄ちゃん、どうしたの!?」
母「こ、この臭い!!ゆ、勇太、あんた、六花ちゃんならともかく、樟葉になんて許さないからね!」
また書く。樟葉ちゃんにヤキモチやかれたい
六花の黒パンツはスタッフが美味しくいただきました
六花「勇太、なんだか覇気が無い」
勇太「ちょっとな……」
六花「……勇太の家が何だか騒々しい。もしや追っ手が」
勇太「ああ、夏休みに父さんの赴任先のジャカルタに行くんだよ」
六花「ジャカルタ……勇太は同行するつもり?」
勇太「多分な。年に何度も会える訳じゃないから、たまには顔も見とかないと忘れそうだし」
六花「勇太は行ってはいけない」
勇太「どうしてだよ?」
六花「契約が結ばれた相手と半径100km以上離れることは出来ない」
勇太「そんな話聞いてないぞ。国内旅行も行けないじゃないか」
六花「当然の事なので説明する事を失念していた」
勇太「……で、100Km離れるとどうなるんだ?」
六花「爆発する。勇太が」
勇太「俺だけかよ」
六花「だから勇太は夏休みに家族と同行する事は出来ない。もし行くなら私も行くことになる」
勇太「無茶言うなよ。外国なんかに連れて行ける分けないだろ?」
六花「なら残念だが諦めるしかない」
勇太「さて、学校へ行く準備するか」
六花「勇太、まだ話が」
勇太「爆発なんてする分けないだろ」
六花「しかし、勇太の手相を見たところ、飛行機は危険と出ている」
勇太「どう危険なんだよ」
六花「勇太が飛行機に乗った場合、飛行機は爆発するとお告げがあった」
勇太「そうだ、お前も着替えを取りに一度家に帰らないとな」
六花「勇太は私の話を真面目に聞くべき」
勇太「そんななんでもかんでも爆発されてたまるかよ」
六花「で、でも……ジャマイカだけはダメ。勇太との相性が最悪と出てる」
勇太「そうか。行くのがジャマイカじゃなくてジャカルタで良かったよ」
六花「あぅ……間違い、ジャカルタとの相性が最悪だった」
勇太「お前、ジャカルタがどっちにあるのか知ってるのか?」
六花「……あっち」
勇太「残念、正反対のこっち側だ。出直してこい」
六花「ま、間違ってない。だって地球はまぁーるいんだもん!」
勇太「さて、仕度仕度」
六花「……ゆうたぁ」
勇太「そんな顔しても仕方ないだろ。お前もよく運命がどうこう言うし、今回はそういう運命と思って諦めろ」
六花「運命とか永遠とか……壊してでもそばにいる」
勇太「どっかで聞いたような台詞だな」
六花「ゆーうーたぁー……」
勇太「俺がいなくても凸守とかくみん先輩とか丹生谷がいるだろ?」
六花「勇太がいないと嫌」
勇太「嫌って……」
六花「勇太がいないと夏休みがつまんないんだよぉ……」
勇太「ほんと、時々キャラが崩壊するよな……」
六花「ゆうた、」
勇太「もうその話は良いだろ?……そうだ、お土産買ってきてやるよ」
六花「いらない」
勇太「じゃあどうすればいいんだよ」
六花「勇太がジャカルタへ行かない。これが唯一の解決策」
勇太「だからそれはダ――」
六花「他の事なら我慢する。でもこれだけは譲れない。勇太が遠くに行くのは嫌」
勇太「そんな事言っても……」
六花「きっと契約したから……勇太が遠くに行くと考えるだけで胸が苦しくなる」
勇太「……」
六花「そういう訳で、ジャカルタは無しの方向で」
勇太「なんで最後だけ軽い感じなんだよ」
勇太「とりあえず着替えたから、次はお前の家に行くぞ」
六花「ゆうたぁ……」
勇太「ほら車椅子に乗って」
六花「あぅ……」
勇太「……ちょっとここで待ってろ」
勇太「母さん、母さん!」
母「なに?大きな声出して」
勇太「俺やっぱりジャカルタは止めとくよ」
母「ええ!?どうしたのよ急に」
勇太「進学校は夏休みの宿題も多いから。遊んでる暇なんて無いんだよ」
母「でもせっかく父さんも楽しみにしてたのに……」
勇太「それにさ、あいつの足もどれくらいで良くなるか分からないし。一人じゃ何にも出来ないしさ……だから」
母「あらあら!まぁまぁ……そういうこと♪」
勇太「な、なんだよ」
母「分かったわ。お父さんには孫の顔が早く見れるかもーって伝えとくから♪」
勇太「なんだよそれ!」
母「もう良いからさっさと学校行ってきなさい」
勇太「さぁ、行くぞ」
六花「……わかった」
勇太「?」
勇太「よし、それじゃあ……とりあえずお前の部屋に運べば良いのか?」ヒョイッ
六花「……そう」
勇太「なんだよ、元気無いのか?」
六花「ゆうた」
勇太「ん?……んん!?」
六花「……んっ」
勇太「な、なんだよ急に……、今度は何の契約だ?」
六花「契約では無い」
勇太「じゃあなんだよ」
六花「さっきの勇太達の会話は玄関まで聞こえていた」
勇太「それとどう関係あるんだよ」
六花「分からない」
勇太「分からないってお前……」
六花「何故か分からない……でも、勇太を見ていると我慢できない衝動に襲われた。だからした」
勇太「なんだよそれ」
六花「きっと私の身体に入っている勇太の魔力が、勇太自身の魔力と強く共鳴しているから」
勇太「もうわかったから、早く着替えないと遅刻するぞ」
六花「了解した。しかし迅速に着替えるには勇太のサポートが必要」
勇太「そうだった……」
六花「勇太、スカートを」
勇太「はいよ」
六花「次は靴下を履かせて欲しい」
勇太「これで良いのか?」
六花「後はそこに掛けている上着を」
勇太「上着は自分で着れるからこれ渡したら俺は外で待ってるから。着替え終わっ」
六花「勇太、早くしないと風邪をひいてしまう」
勇太「お前、俺が部屋を出るまで脱ぐなよ!」
六花「準備完了。勇太、出撃」
勇太「なんかもう朝から疲れた……」
勇太「寒くないか?」
六花「平気。それにしても、まさかコレに自動進行機能が付いているとは……」
勇太「俺が押してるだけだ。少しは感謝しろ」ペシッ
六花「あぅ……っ」
勇太「さて、もうすぐ着くぞ」
六花「……」
勇太「なんだよ急に黙り込んで」
六花「ゆうた……」
勇太「ん?」
六花「このノーマルタイプの車椅子で登校するのは少し恥ずかしい……」
勇太「……お前にも一応恥ずかしいって感情があったんだな」
六花「せめて黒くして紋章とか黒薔薇とか!」
勇太「さぁ、行くぞ」
勇太「おはよー」
六花「……」
丹生谷「おはよ……って、ちょっと!どうしたの?」
六花「管理局との戦闘で負傷し」
勇太「捻挫したんだって」
丹生谷「そうなんだ……小鳥遊さん、困ったことがあったら言ってね」
六花「でささっそく黒のペンキと黒薔薇と紋章を」
勇太「……」ビシッ
六花「ゆうた、いたぃ……」
一色「……で、富樫が小鳥遊さんを迎えに行って学校まで連れてきたと。……かぁー!うらやましい!」
勇太「結構大変だったんだからな」
六花「迎えに来て貰ってはいない。昨日から勇太の部屋をずっと共有していた」
ざわ……っ、ざわ……っ
勇太「お、お前、変なこと言うなよ!!」
六花「変なこと?しかし嘘は言っていない」
全男子「富樫……っ!許せない……っ!」
勇太(いかん……昨日眠れなかったから……眠気が……)
六花「……!」
キンコンカンコーン
先生「では1時間目の授業はこれまで」
六花「よい……しょ」
一色「ふぁー……あ」
六花「一色、話がある」
一色「え?俺に?」
六花「勇太が寝ている間にランデブーポイントへ」
一色「ラ、ランデブー!?」
六花「場所は私が案内する。さぁ、早く」
一色「……っ!富樫、すまん。俺はお前を裏切る事になるかもしれない!」
六花「ここでいい」
一色「そ、それで話って?」
六花「一色は以前、女子のランク付けなるものをしていたはず」
一色「ああ、おかげで頭はこの有様さ……」
六花「無理は承知の上で聞く。実はその投票で勇太が誰に一票を投じたのか知りたい」
一色「……なんだ、そういうことか」
六花「?」
一色「あいつの票は小鳥遊さんに入ってるよ」
六花「……そうか」
一色「かぁー!その顔……勇太の奴うらやましすぎるだろー!!」
六花「私の顔?」
一色「じゃあ用は済んだみたいだし戻ろうか」
六花「そうだな。じきに次の戦いを始めんとする鐘が響き渡る……急ごう」
一色「?小鳥遊さんってちょっと変わってる所あるよね」
六花「一色も変わっている。私の記憶ではその頭になって随分と時が経つ。なのに何故髪が伸びない」
一色「この頭?実は気に入っててさ!って言うか、気に入ってくれてる先輩のた」
六花「そうか。では急ごう」
放課後
凸守「マ、マスター!?その身体はいったいどうしたのデスか!?」
くみん「六花ちゃん、いったい何があったの?」
六花「実は先日、管理局との戦闘にて邪王真眼を使いすぎた結果、その代償と」
勇太「捻挫ですから先輩は心配しないでください」
凸守「なんと言う……この凸守、サーバントとして失格デス!マスターのピンチに駆け付けず、恥ずかしい限りデス!!」
勇太(こいつは何を言っても聞かなさそうだから放っておこう)
凸守「マスター、どうかこの役目を果たせなかった凸守に、罪と罰を与えてくださいデス!」
六花「凸守が気にする事はない。管理局の人間は退避し、私はこうして生きているのだから」
凸守「マスター……なんと慈悲深きお言葉。この凸守、一生付いていくデス!」
丹生谷「よく言ったわ中房、だったら私が代わりに罪と罰を与えてあげる」
凸守「偽モリサマーはあっち行けデス!!」
くみん「けんかは……だめだよぉ……むにゃむにゃ」
勇太「平和だなぁ……」
ちょっとアレしてアレしたらまた書く。
凸守とくみん先輩が出てきたあたりから完全ノープランだけど
六花ちゃん可愛いからまだまだ戦えるよ!
六花「それではこれより定例会議を始める」
凸守「イエッサー!」
くみん「……」スヤスヤ
丹生谷「はぁ……」
勇太「って言うか、定例会議なんて今までしてなかっただろ」
六花「……それではこれより第一回定例会議を始める」
凸守「イエッサー!」
六花「議題は……夏休み」
凸守「夏……休み……」ゴクリ
六花「高校生と言えば夏、夏と言えば部活、部活と言えば合宿」
凸守「合宿デスか」
勇太「部費も出ないのにどうやって合宿するんだよ」
六花「第一回極東魔術昼寝結社の夏合宿を行う」
勇太「だから部費とか無いだろ?」
六花「我々、極東魔術昼寝結社の夏は部費などには頼らない」
勇太「じゃあ宿泊施設とかはどうするんだよ」
凸守「マスター、その前に何処へ行くのデスか!?」
丹生谷「日程とかは?」
六花「あ、あぅ……」
勇太(こいつノープランだったな……)
六花「日にちは……八月二日、とか……」
勇太「場所は?」
六花「山……とか、海……?」
勇太「なんで俺に聞くんだよ」
六花「とにかく、八月二日に山か海に行くことに決定した。各自用意に励むように」
凸守「ハイッ!マスター!!」
六花「発言を許可する」
凸守「凸守は夏休みに入ったらすぐにLAに行かなくてはならないので参加は無理なのデス!」
六花「……そう」
丹生谷「私もチア部の合宿があるからパス」
六花「なんと……まさかこんな所まで管理局の手回しが……?」
くみん「私も……夏休みはおばあちゃんの……田舎に帰っ……ごめんね……」ムニャムニャ
六花「あぅ……」
勇太「これは流石に無理だな」
六花「いや、まだ私と勇太がいる」
勇太「俺もやっぱりジャカルタに行こうかな」
六花「ゆうたぁ……」
勇太「冗談だよ。でも合宿は流石に無理だろ。二人で山とか海に行っても……」
頭が
六花「なら目的地を帰るまで」
勇太「それ以前に二人で合宿って言うのが無理ありすぎだから」
六花「もっと視野を広げて、二人でも楽しめる場所……」
勇太「○△公園とかで良いんじゃないか?」
六花「私達は魔力を鍛練するために合宿することを忘れてはいけない」
勇太「じゃあ何処が良いんだよ」
六花「それを今考えている。膨大な魔力が溢れるように漂っている場所が好ましい」
勇太「そんな場所あるわけ無いだろ」
六花「ハッ……!勇太、見つけた。膨大な魔力が溢れる楽園を」
勇太「だからそんな……お前、まさか」
六花「東京ディズ」
勇太「却下」
六花「どうして!あそこには夢と魔法の力が溢れていると聞いた」
勇太「入場料と交通費、それに宿泊費が無い人間には夢も魔法も与えてはくれないんだよ」
六花「そんなぁ……」
勇太「もっと近場で良いだろ?」
六花「近場なんてつま……魔力アップは見込めない」
勇太「琵琶湖でも眺めて精神鍛練すれば良いだろ」
六花「我々はテリトリーの外に出て、己自身を鍛えねばならない」
勇太「じゃあ京都とか奈良とか。この辺りなら日帰りで行けるだろ?」
六花「闇に生きる者として、神や仏が奉られている所に行くなど有り得ない」
勇太「じゃあ何処なら良いんだよ」
丹生谷「って言うか、結局あんたたち行くんだ」
六花「うー……」
勇太「特に無いなら無理して行く必要も無いだろ」
六花「おぉ!勇太、見つけた!」
勇太「一応聞くだけ聞いてやるよ」
六花「ユニバーサルスタジオジャパン!」
勇太「USJか……魔力の鍛練は何処行ったんだ?」
六花「確かに関係が無いような気はするが、今私の頭にビビビと来た。間違いない魔力を感じる」
勇太「日帰りで行けない事は無いけど……入場料はあるのか?」
六花「敵地に潜入する訓練も兼ねている」
勇太「却下。合宿までに最低1万円準備出来ないなら諦めろ」
六花「あぅ……」
六花「勇太の提示した金額を用意すれば同行してくれる?」
勇太「出来たらな」
六花「……三千円」
勇太「ダメだ」
六花「あぅ……」
勇太「確か入場料だけでも5000円くらいはかかるんだろ?交通費とかも考えたらそこは譲れない。まだ足りないくらいなんだぞ」
六花「勇太は少し厳し過ぎる……」
勇太「これが無理なら県外は諦めるしかないな」
六花「乗り越えねばならない壁は高ければ高いほどやり甲斐がある……」
勇太「強気なのは良いけどうつむきながら言うなよ」
六花「そのかわり!」
勇太「な、なんだよ」
六花「もし私がこの難題をクリアした暁には、また私を不可視境界線へ連れて行ってもらう」
勇太「不可視境界線って……」
六花「この前、勇太が」
勇太「わー!!わ、わかったから口に出すな!!」
六花「これで俄然やる気が出てきた」
凸守「マイマスター、ついに不可視境界線を見つけたデスか!?」
六花「正確には入り口と思わしき場所を発見したに過ぎない」
凸守「それは一体どこにあるのデスか!!」
六花「私達は大きな勘違いをしていた。不可視境界線は世界の何処でもなく、私達の身体を通して繋がっている」
凸守「私達の体内デスか……」
六花「その境地にたどり着くには最低でも二つの条件が必要」
凸守「二つ……」
六花「一つ目は正式なパートナー、契約者の存在。不可視境界線は一人では行けない」
六花「そして二つ目は全魔力の解放」
凸守「そんな事をしてしまったら命を落としてしまうデス!」
六花「私も最初はそう思っていた。しかし実際に体験したのだから間違いない」
凸守「その方法は……」ゴクリ
六花「それは自分達で見つけなければならない。もしかしたら私と凸守では違いがあるかも」
凸守「マスターはダークフレイムマスターと契約を交わしたのデスか?」
六花「そう。だから凸守にも将来契約者が見つかれば不可視境界線に辿り着けるかもしれない」
凸守「だったら凸守のパートナーはもう決まってるデス!」
凸守「凸守はここにいる五月七日くみんと契約するデス!」
勇太「どうして先輩となんだよ」
凸守「何をかくそう前世で凸守とは姉妹だったのデス!」
六花「それは初耳」
くみん「えへへ、私って前世では凸ちゃんのお姉さんだったみたいなの。ビックリだよねー♪」
勇太「先輩、本当にそれで良いんですか……」
くみん「うん♪凸ちゃんは可愛いし、こんな妹ならいつでも大歓迎だよー♪」
凸守「さすがは凸守のお姉ちゃんデス!」
勇太「はぁ……」
凸守「ところでマスター、契約とはどのように行うデスか?」
六花「契約は口づけで行う」
凸守「……と言う訳で、凸守の契約者になってくださいデス」
くみん「うん♪いつでもOKだよー♪」
凸守「では……」
くみん「んー……んっ♪」
凸守「おおぉぉ!身体がポカポカしてきたデス!」
くみん「私もなんだかポカポカしてきたみたい!」
六花「さすが血を分けた姉妹。一発で契約を成功させるとは」
丹生谷「ちょ、ちょっと待ってよ!契約って……じゃああなた達もしたの?」
六花「私達は血を分けた間柄では無いので苦労した」
丹生谷「苦労したって……」
六花「角度、唇を押し付ける強さ、舌の使い方、いろいろ何度も試行錯誤の末、ようやく成功に至った」
勇太「あっ、いや……お、おい!!」
丹生谷「あっ……わ、私、チア部の練習行ってくる!!」ダバダバ
凸守「それではマスター、我々も不可視境界線の手がかりを探しにいってくるデス」
くみん「いこー♪」
凸守「ではさっそく凸守の家で研究するデス!」
くみん「六花ちゃん、富樫くん、またねー」
勇太「あの二人がもし不可視境界線を見つけるような事になったら……」
六花「……」
勇太「いてっ!……なんだよいきなり」
六花「すまない。足が滑った。では我々も帰るとしよう」
勇太「足が滑ったってなんだよ」
勇太「しかし自分で言っといてなんだが、お前お金なんてどうするんだ?」
六花「仕方ない。一度プリーステスに相談してみる」
勇太(ダメそうだなこりゃ……)
六花「今日はまだ家にいるはず。勇太にも来てもらいたい」
勇太「なんで俺まで行かなくちゃダメなんだよ」
六花「交渉が決裂した場合、緊急時にこの足では逃げる事が出来ない。勇太の力が必要」
勇太「怒られる事前提かよ……」
六花「……」
勇太「分かったよ。その勇気に免じて同席だけはしてやる」
六花「勇太……死ぬときは一緒……」
勇太「そんな顔で言うなよ。本当に怖くなってきただろ」
十花「……で、話しってのは?」
六花「お……お金を……」
十花「ハッキリと言え。ハッキリと」
六花「お金を貸してほしい……」
十花「どうして」
六花「合宿に行く費用が必要」
十花「合宿?だったらそんな費用は学校から出るだろ」
六花「我々……私達の部はまだ同好会だから出ない」
十花「それで?何処へ行く気なんだ」
六花「ユニバーサルスタジオ……」
十花「……」
勇太(息苦しい……)
十花「勝手にしろ。ただしお年玉で返してもらうぞ」
六花「ほんとに!?」
十花「また分けの解らんガラクタを買うとか言い出したらお灸を据えようと思っていたが」
六花「ガラクタじゃない、魔具」
十花「まぁ旅行に行くくらいなら構わんだろう。ただし無駄遣いはするな」ヒラッ
六花「三万円!勇太、三万円!!」
十花「合宿と言うからには泊まりなんだろ?だったらそれくらいは必要だろ」
六花「この恩は忘れない!」
十花「じゃあ私はそろそろ仕事に行く。戸締まりは忘れるなよ」
六花「了解した」
勇太「とりあえず……良かったな」
六花「さっそくチケットと宿泊施設の用意を始める。勇太も最低三万円は用意するように」
勇太「俺まで!?って言うか、宿泊するのかよ」
六花「プリーステスがして良いと言った」
勇太「一応年頃の男女なのに十花さん……何考えてるんだ……」
十花「そういえば部員何人くらいで……まぁいいか。これで一般的な高校生になってくれれば良いが」
頭痛いしちょっとアレしてくる
時は流れ合宿の日
六花「勇太、勇太!」ドンドン
勇太「う、うーん…………ベランダで何やってんだお前……」
六花「速やかにここの封印を解除して」
勇太「……ふぁー」
六花「勇太、寝ちゃダメ!封印解除!」
勇太「うるさいなぁ……」カチャッ
六花「ご苦労。ではそろそろ出発の準備を」
勇太「……何時に見える」
六花「四時半」
勇太「馬鹿なのか」
六花「道中何があるか分からない。急ごう」
勇太「急ぎ過ぎだ」
六花「しかし土日は九時前には開園していると聞く。夏休みは間違いなく早いはず」
勇太「別に開園と同時じゃ無くても良いだろ」
六花「ゆうたぁ」
勇太「7時くらいになったら起きる」
六花「やっぱり、ゆうたはいじがわるぃ……」
勇太「お前もちゃんと寝て無いと体が持たないぞ」
六花「じゃあここで眠る」
勇太「え?ちょっと、入ってくるなよ」
六花「いけない。せっかくの服にシワが付いてしまう。脱いでから布団に入る」
勇太「あー、もう分かったよ!準備するから待ってろ」
六花「三十秒で準備して」
勇太「無茶言うな」ピシッ
六花「あぅっ」
勇太「なんでホームで始発の電車を待たなくちゃいけないんだよ……」
六花「朝の空気は魔力が満ちていて力がみなぎる。勇太も深呼吸するといい」
勇太「まぁ……確かに気持ちは良いけど」
六花「電車が来た」
勇太「うわー、誰も乗ってない」
六花「この列車は我々極東魔術昼寝結社の夏が乗っとった」
勇太「物騒な事言うなよ」
六花「ゆうた、ゆうた、」
勇太「なんだよ」
六花「座席に寝転んでも怒られない!」
勇太「小学生か」
六花「……」
勇太「……」
六花「…………」
勇太「いや、寝るなよ!!」
六花「はっ、いけない。危うく平行世界へ行くところだった」
六花「……」
勇太「なんだよ窓の外ばっかり眺めて」
六花「空気が……変わった……」
勇太「?」
六花「勇太、ここからは我々のテリトリー外。どんな敵がいるかもわからない」
勇太「ああ、もう県外か」
六花「気を引きしめて行こう」
勇太「思えば遠くに来たもんだ」
六花「思えば遠くに来たもんだ」
勇太「真似するなよ」
六花「勇太、お菓子が食べたい」
勇太「子供みたいな事言うお前もお前もだけど、それを予想してお菓子を持ってきてる俺もどうなんだろう」
六花「大阪」
勇太「早いな。もう大阪か」
六花「勇太、ここから先は更に気を引き締めなければならない」
勇太「また魔力がどうこう言うんだろ」
六花「すでに通勤時間。スリと引ったくりと痴漢に注意」
勇太「その通りなんだけど……なんか調子くるうな」
六花「しかし痴漢の心配はなさそうだ」
勇太「そんなね分からないだろ。お前だって可愛……いや、一応女の子なんだから」
六花「なぜなら向こうに生贄がいるから」
勇太「生贄って……」
女「ちょっと、どこ触ってるのよ!!この高貴な私の――」
六花「着いた……!」
勇太「入り口もでかいな……」
六花「な、なんだか魔力が沸いて来た!」
勇太「入園前からはしゃいでどうするんだよ」
六花「はしゃいでなどない。強大なる魔力に邪王真眼が反応しているだけ」
勇太「反応するのはいいけどまだまだ開園しないぞ」
六花「ここにこうして手を上げて立ってるだけで魔力が満ちてくる」
勇太「子供が真似するから止めろ」
少女「クックックッ……我が魂もたぎっておる」
勇太「ああ……手遅れだった……」
六花「勇太、下がって!こいつはあまりにも危険……っ」
少女「クックックッ……この我の魔力に気づくとは、貴様ただ者ではないな?」
六花「やはりその眼……真祖か」
少女「いかにも。我が名はレイシス・ヴィ・フェリシティ・煌……闇の眷属よ」
六花「私は邪王真眼の使い手、小鳥遊六花」
少女「邪王真眼?その眼帯に隠している眼の事か」
六花「邪王真眼の力はあまりにも強大。普段は封印している」
少女「強大過ぎて封印?……クックックッ、我は既に力を御している故、封印などしておらぬ」
六花「くっ……よそう以上の強敵……」
勇太「どこにでも中二病っているもんなんだな……」
六花「確かに私一人では厳しい戦い……でも私には契約者がいる」
勇太「頼むから俺を巻き込まないでくれ」
少女「契約者?それはその横にいる者の事か?」
六花「そう。勇太はダークフレイムマスター。一億度以上の暗黒の炎を操る」
少女「クックックッ……あまり頼りになりそうには見えぬわ」
六花「勇太、卑怯とか言ってられない状況。二人掛かりで総攻撃する」
勇太「勘弁してくれ」
少女「くっ……、さすがに……」
兄「こんな所で何やってんだ」
少女「クックックッ、よく来た我が半身よ」
六花「半身……?」
少女「そう。我が血を分けた半身……闇の血で繋がれた我がパートナーよ」
六花「やはり強敵……っ」
勇太「おい、なんか恐そうなのが来ちゃったぞ!」ヒソヒソ
六花「平気。昔から見た目が強そうなのはザコキャラと決まっている」
少女「あんちゃんはザコキャラとちゃうもん!!そっちのほうが弱そうなくせして!!」
六花「勇太はザコキャラじゃない!!私の知る中で最強!!」
兄「こら、こんな所でケンカするな」
勇太「お前もいい加減にしろ。相手はまだ子供なんだぞ」
六花「勇太は油断しすぎ。昔からボスキャラは小さいのが多い」
勇太「だからって小学生相手にムキになるなよ」
少女「小学生ちゃうもん!!」
女「ちょっと、さっきから何騒いで……」
六花「しまった、新手か……!」
女「なになに、なんなのこの子!?もしかしてお友達とか!?」
六花「わ、私は友達等では無い、私は邪王真眼の使い」
女「なになに?じゃおーしん??ヤダもう分けわかんないけど可愛いぃ!!」
六花「ゆ、ゆうた……変な人……」
女「そうだ、中に写真撮れる所があるらしいの!良かったら三人で……うへへ」
少女「やっ!」
六花「いやっ!」
女「やだ、二人とも照れて可愛いぃ!」
兄「もうやめとけ、二人とも怯えてるだろ。じゃあ俺達は行きます。お騒がせしました」
勇太「こちらこそ」
六花「闇の眷属……その眼が有る限り、再び巡り会うかもしれない」
勇太「それにしてもお前が他人と普通に会話出来るなんて珍しいな」
六花「なにか通じる物があったのかも知れない」
USJか...数年ウォークの某ビルで仕事してたわ、USJ関係なくww
駅降り左のスタバで毎朝コーヒー頼んでたら、店の前で俺を
見ると既に「俺用マイ」オーダー状態を作ってくれるようになって
転勤の時「栄転のお祝い」ってマグくれたの思い出すなww
毎回書いてる途中で寝落ちするから、これからは眠たくなる3歩手前くらいでストップする
リア充じゃない自分はこれからエレクトリカルオーシャンでUSJの仮想世界へ行ってくる
開園1時間前
六花「退屈……」
勇太「お前が早く来過ぎるからだろ」
六花「勇太、あっちに空きベンチを発見。ただちに現場へ向かおう」
勇太「後小1時間も立って並んでられないしな……座って待ってるか」
六花「目的地の奪取に成功。これからの戦闘に備えて鋭気を養うように」
勇太「しっかし、どこ見渡してもカップルと家族連ればっかりだな」
六花「男同士で来ているマッチョな人間も発見。ベンチで仲良く二人座っている」
勇太「あんまりジロジロ見るなよ……ふあーぁ……」
六花「勇太、なんだか眠たそう」
勇太「誰のせいだよまったく……」ウトウト…
六花「うーん……それは難題」
♂「ダーリン、眠いならワシのひざ枕で寝んさい」
♂「そうか?じゃあお言葉に甘えて」
六花「おぉ……!」
六花「ゆうた、ゆうた!」
勇太「ん……なんだ?」
六花「ここの使用を許可する」パンパン
勇太「……?」
六花「ひざ枕。勇太が眠いのが私の責任と言うなら、ここでゆっくり休むと良い」
勇太「そんな恥ずかしい事できるか」
六花「大丈夫。あっちの男達もしていた」
勇太「良いよ。ウトウトしてるだけだから……」
六花「私のひざ枕の寝心地はくみんのお墨付き」
勇太「先輩の場合は大体なんでも好評価するからな……」
六花「とにかく試すべき。諦めたらそこで試合終了」グイッ
勇太「うわっ!ちょっと!!」ムニッ
六花「どう?」
勇太「……悪くない」
六花「それだけ?」
勇太(なんだよコレ……すっごく柔らかいし、なんか良い匂いするし、肌触りも最高に気持ちいいぞ……)
六花「勇太?」
勇太「あ、ああ、そうだな」
六花「勇太はちゃんと話を聞かない。上を向いて目を見て話すべき」
勇太「上を向いてって……」
六花「そう。……フッフッフ、こうしていると勇太を見下ろせて爽快」
勇太「見上げると女の子らしく膨らみが……」
六花「?」
勇太「い、いや、なんでもない!」
六花「そうだ!勇太、約束」
勇太「約束?」
六花「合宿の費用を用意出来たら、再び不可視境界線へ連れていってくれると約束した!」
勇太「あ、ああ……そういえばそんな約束したっけ……」
六花「今日は勇太にも不可視境界線へ同行してもらいたい」
勇太「……」
六花「しかし男女では体の構造が違う。どうすれば不可視境界線へ辿り着けるか分からない」
勇太「い、いいよ俺は!……とりあえず寝る」
六花「それではつまらない……よし、勇太が寝ている間にエレクトリカルオーシャンで聞いて見る」
六花「我がパートナーの魔力により私は不可視境界線を見ることが出来た」
六花「私がパートナーに不可視境界線へ誘うにはどうすればいい?……と、」
六花「…………おお、なんと言う迅速な返信。さすがはエレクトリカルオーシャン」
997「初めまして邪王真眼さん。997と言います。まずその不可視境界線と言うのにアナタはどのようにして行ったのでしょうか?」
六花「魔力の根源より魔力の漏れを確認。パートナーにはその入り口にある硬化した部分に魔力を注いでもらった」
997「それはショーツの中と考えて宜しいですか?」
六花「はい」
997「それはお互いに交わり合えば自然と到達出来ると思いますよ」
六花「しかし、私ばかり不可視境界線へ行っていてはパートナーにも悪い。やはり同じ世界を見てもらいたい」
997「なるほど……邪王真眼さんはパートナーさんより早く果ててしまうのが心苦しいと……」
六花「よく分からないが多分そう」
997「だったらパートナーさんを邪王真眼さんが先に不可視境界線?へ連れていくのはどうでしょうか」
六花「その方法が知りたい」
997「それでは簡単に説明しますから、是非挑戦してください。まずは――――」
六花「なるほど……。ご助言感謝する」
997「お役に立てたみたいでなによりです。でわ失礼します」
六花「歯が当たらないように、唇で包み込むように、舌を使って……なかなか難そうだが必ず勇太を不可視境界線へ」
六花「一段落したら疲れた。私も少し休むとするか……」ウトウト…
勇太「うーん……暑い……なんだ、日陰だったはず……」
六花「……」スヤスヤ
勇太「おい、六花。起きろ!」
六花「ん……ゆうた、おはよう……」
勇太「おはようじゃなくて、もう周りに誰もいないぞ!」
六花「なっ!……くっ、またしても管理局の罠だったと言うのか」
勇太「普通に寝過ごしただけだろ。もう11時だし……とにかく行くか」
六花「急ぐぞ勇太!リビューバイン・バージョンIV!!」
勇太「待て待て!中でそんなものを使うな」グッ
六花「あぅ……っ」
勇太「おお……なんだか緊張してきたぞ」
六花「勇太は初めて?」
勇太「ああ、恥ずかしながら初めてでドキドキしてるよ」
六花「ならば私が案内しよう」
勇太「え?お前は来たことがあるのか?」
六花「ある。昨日、エレクトリカルオーシャンを通じて来た」ドヤッ
勇太「ああそう……」
六花「その結果、まず最初に向かうのはココ!」
勇太「ここって……出口だぞ」
六花「闇を翳した時、手に光り輝くという紋章が貰えると聞いた」
係員「再入場されるかたは手にスタンプを押させていただいてまーす」
六花「よろしく頼む」
勇太「……」
六花「そして入場したらもう一度……次はこちらの手に」
係員「は、はあ……」
六花「フッフッフ……どうだ勇太、紋章二つゲットだぜ」
勇太「あほな事してないで行くぞ」
六花「まったく……皆受かれ過ぎている。ここがどれ程の魔力に覆われているのか気付いていないのか」
勇太「さっそく訳の分からんかぶり物買ってる奴にだけは言われたくないな」
六花「この小さな帽子からは強大な魔力を感じた。だから購入」
勇太「あんまり無駄遣いす」
六花「勇太、大変!ここから凄い魔力を感じる!」
勇太「俺には甘いキャラメルの匂いしかしないけど」
六花「女主人、このキャラメルポップコーンなるアイテムを一つ」
勇太「言ってる側から……」
六花「あとこちらのバルーンと言う魔具も頂こう」
勇太「無駄遣いは止めろ」ビシッ
六花「あぅ……」
勇太「しっかし良く食う割には育たないな」
六花「管理局との戦いで大量の魔力、すなわちエネルギーを消費してしまう。だから食事は確実に取らねばならない」
勇太「……で、どのアトラクションに入るんだよ」
六花「女主人、このメープル味のポップコーンなるアイテムを一つ。あとこのバルーン」
勇太「バルーンは止めとけ」
六花「ではこのチュロスを二本頂こう」
勇太「食べ物持ってたらアトラクションに乗れないだろ」
六花「すぐに食べ終えるから平気」
勇太「それで終わりだからな」
六花「……あんな所にカレーパンが。甘い物の後にカレーパンは反則」ダッ
勇太「待て」
六花「あぅ……」
勇太「単独行動を禁止する」
六花「ゆうたぁ……」
勇太「ダメな物はダメ」
六花「ダークフレイムマスターの力は強過ぎる……もう少し優しく握ってくれないと手が痛い」
勇太「えっ?あ、すまん。これくらいで大丈夫か?」
六花「これは私と勇太を繋ぐ命の鎖。離れたら命は無い」
勇太「大袈裟過ぎるだろ……」
頭痛すぎてアレしてくる
六花可愛いなぁ…六花と結婚を前提にお付き合いしたいな。
六花と深夜近所の高台を散歩して夜景をバックに闇の眷族云々とか言いつつもラブラブな会話したい。
六花の家でエプロンつけた六花に作ってもらった黒焦げのオムレツ食べてやんわりとダメだししたい。
六花と一緒に公園で幼稚園児遊んでるの見て子供欲しいねとか言って素になった六花を真っ赤にさせたい。
六花とラブホでコスプレ六花と愛情たっぷりえっちを満喫しきって帰りに夜のモスバでアイスコーヒーときんぴらサンドでも食べてまったりと話をしたい。
六花が可愛くて切ない気分になる…六花の孤独も寂しさも全部受け止めて一緒に乗り越えて二人の人生を歩んでいきたい。
六花と結婚式を挙げて義父母と仲良くやりつつちょっとづつ大人になっていく六花の変化を楽しみながら新婚生活を送りたい。
マイホーム買って六花と一緒に大忙しで子育て頑張って子供をいい企業に就職させて六花と二人だけの中高年ライフを楽しみたい。
六花の穏やかな最期を看取って後を追うようにあの世に行きたい。
勇太「流石に夏休みだけあって人が多いな」
六花「ではそろそろお昼にしよう」
勇太「さっき散々食っただろ」
六花「……」グウゥゥゥ
勇太「お前、どんな胃袋してるんだよ……」
六花「よく考えたら今日は朝からまともな食事を取っていない」
勇太「まぁお菓子系統ばっかり食べてたからな」
六花「我が肉体は炭水化物を欲している」
勇太「分かったよ。確か向こうにレストランみたいなのがあったな」
六花「流石勇太、話が早い」
勇太「えーっと地図地図……この道をまっすぐ……」
六花「勇太、前方から人の反応あり。危ない」グイッ
勇太「おわっ……とと、すみません」
六花「地図ばかり見てないで、前も見なければ一人前の迷子とは言えない」
勇太「悪かったよ。ちゃんと気をつけて歩くから」
六花「この手が離れたら命は無いと言った筈。勇太は危機管理が出来ていない」
勇太「まだその設定生きてたのか……」
六花「私が勇太の手をしっかりと捕まえておく」ダキッ
勇太「ちょっ、お前……引っ付きすぎだろ!しがみつくなよ!」
六花「勇太の危機管理は私がしてやる。有り難く思うと良い」
勇太「だから恥ずかしいから……周りからも笑われてるだろ」
六花「……ゆ、ゆ、……ゆうた!」
勇太「なんだよ」
六花「恐竜の肉を発見!ただちに購入を!!」ダッ
勇太「……命は無いとか言ってなかったっけ」
>>535
間違えてほかの人のスレに書き込んじゃったのかとドキドキしたじゃないか
勇太「ターキーレッグっておもいっきり書いてるぞ」
六花「ご主人、恐竜の肉を4本!」
勇太「俺は1本でいいよ」
六花「勇太も?では5本頂こう」
勇太「お前……一人で4本食う気だったのか……」
六花「いや……やはり2本にしておこう」
勇太「?」
六花「資金が底をついてしまった」
勇太「まだ尽きるには早過ぎるだろ?」
六花「しかし宿泊施設に納める額を残しておかねばならない」
勇太「いくらなんだ?」
六花「一万六千五百円」
勇太「16500円って、でも半分は俺が出すんだから大丈夫だろ?」
六花「それは分かっている。つまりこれは一人分の金額」
勇太「お前……どんな部屋を取ったんだよ……」
六花「20階以上で周りを見渡せる角部屋」
六花「この恐竜の肉……鶏肉みたいな味がする」
勇太「そうだなぁ……そら飛んでる恐竜の肉だったんじゃないか?プテラノドンだっけ」
六花「なるほど……」
勇太「…………」
六花「さて、ではそろそろアトラクションとやらに参加してみるか……いや、やめておくべきか……」
勇太「お前は何しに来たんだよ。ほら、アレにでも入るぞ」
六花「ジョーズ?」
勇太「そうだ。鮫の出てくる映画なんだけどな、お前腰ぬかすなよ?」
六花「余裕。昨日動画で鮫が出てくる位置やらタイミングやらを全て把握している」
勇太「……それはダメだろ」
言ってるそばから寝落ちした。済まぬ……
六花「ジョーズ……あの程度か。やはり魂無き偽物に過ぎないな」
勇太「その割りには涙目になりながら、随分と楽しそうに悲鳴を上げてたな」
六花「悲鳴を上げてなどいない。勇太は他人と勘違いをしている」
勇太「お前が握ってた手、爪の後が残るくらい思いっきり握ってただろ」
六花「これはサバトを決行するために勇太の血を……」
勇太「もう分かったから次に行くぞ」
六花「勇太、待って」
勇太「今度はなんだよ?」
六花「あの日受けた傷の呪い……どうやらまだ解けてはいなかったらしい……」
勇太「……もしかして足が痛むのか?」
六花「少し」
勇太「もうすぐ3時か……どの辺りのホテルを取ったんだ?」
六花「ユニバーサルなんとかって……多分すぐそこ」
勇太「チェックインの時間は何時から?」
六花「三時と書いていた」
勇太「じゃあ一度ホテルに行って休むか……」
六花「しかし、三時からは悪魔の大行進があると聞いた。見てみたい」
勇太「パレードだろ……」
六花「そのような呼び方もあったかもしれない」
勇太「……じゃあ、それを見終わったら一度ここを出るからな」
六花「了解した。この紋章が有る限り、未来永劫何度でも再入場は可能」
パレード開催中
勇太「へぇー、流石にパレードってだけあって派手だな」
六花「……」
勇太「うわっ!お前、どうして死んだ魚みたいな目をしてるんだよ」
六花「思っていた物には程遠い。もっと悪魔的儀式を期待していた」
勇太「どんなパレードだよ」
六花「私が得た情報によると、地獄より復活した死霊が列を成して徘徊していた」
勇太「それってハロウィンとかバイオハザードの期間限定演出じゃないのか?」
六花「期間限定……では今は」
勇太「いないよ」
六花「……」シュン…
勇太「そんな落ち込むなよ。このパレードだって凄いだろ?」
六花「あ、あれは!勇太、見つけた!地獄よりの使者!さらに化け物を従えている!」
勇太「エルモとシュレックに謝れ」
六花「なんだか満足した」
勇太「結局アトラクションは一つしか入らなかったな」
六花「くっ……、この足にかけられた呪いさえなければ……」
勇太「まあ痛みが引いたらまた来ればいいさ」
係員「再入場をご希望の方は手にスタンプを――」
六花「おお、ついに勇太の手にも紋章が刻印された……」
勇太「さあ行くぞ」
六花「私はすでに両手に紋章を刻印されているので、今回はおでこに頼もう」
勇太「だからあほな事してないで行くぞ」ピシッ
六花「あぅ……。刻印により勇太の力も上がっている」
六花「どうやら目的地はここらしい」
勇太「めちゃくちゃ大きいホテルだな……」
六花「本日ここを制圧しに来た闇よりの使者なのだが」
従業員「いらっしゃいませ。お名前を宜しいでしょうか」
勇太「さすがプロ……中二病にも同じないとは」
六花「闇焔邪眼で予約をしている」
勇太「恥ずかしい学生のボーリングでつける名前みたいなのは止めろ!」
従業員「ダークフレイムマスター様と邪王真眼の使い手様でございますね」
六花「うむ」
勇太「止めてください、お願いします。止めてください!」
勇太「死ぬほど恥ずかしかった……」
六花「勇太、到着した」
勇太「随分と上まで来たな」
六花「おお……!勇太、見て。絶景」
勇太「へぇー。確かにこれは凄いな……ユニバーサルスタジオも全部見える」
六花「この見える景色……全てがいずれ私の手に」
勇太「ならないよ」
六花「見ろ勇太、人がまるでゴミのようだ」
勇太「それ言いたいだけだろ……って、どうしてベッドが一つなんだよ!」
六花「おかしい。確かにダブルと書いてあったはず」
勇太「ダブルだからだよ!ベッド二つの場合はツインだろ!どうするんだよ……」
六花「問題ない。一緒に寝れば良い」
勇太「お前なぁ……」
六花「それに……不可視境界線へ行くのにベッド二つは不用。一つで良い」
勇太「アレ本気だったのか……」
六花「当然。勇太、今すぐ儀式を開始する」
勇太「待て待て!さすがに明るいのはまずいだろ!なんて言うか、夜にするものだろ……よく分からないけど」
六花「なるほど。やはり闇の力を発動するのは闇に覆われし夜と言う訳か」
勇太「そ、そうだよ」
ここまで書いて寝るつもりだった。また書く
六花「これより室内の探索を始める」
勇太「探索するほど広くもないだろ」
六花「……勇太、これは罠?」
勇太「そのお菓子は食べても問題ない。美味しかったらお土産に買ってくださいって宣伝みたいなもんだ」
六花「ではコレを凸守とくみんのお土産に持ち帰るとしよう」
勇太「せめて普通にお土産を買ってやれよ」
六花「丹生谷のお土産はこのお茶。私は記念にこのボールペンを頂こう」
勇太「ボールペンはまずいだろ」
六花「お風呂を発見。総員直ちに集合せよ」
勇太「けっこう大きいお風呂だな」
六花「自動お湯張り発動。約十五分で限界値に到達予定」
勇太「もう分かったからお前はじっとしてろ」
六花「勇太、お腹がすいた」
勇太「お前、今日はそればっかりだな」
六花「このホテルに到着して約2時間経つ。魔力の補給が必要」
勇太「もうそんなに経つのか」
六花「ここにルームサービスなる物がある。この中からよりすぐりの」
勇太「ちょっと待て。確かこのホテルの一階にコンビニがあっただろ」
六花「しかしここに電話すれば、我々が出向かずとも持ってきてくれると書いている」
勇太「そういうのは高いんだよ。俺がコンビニで買ってきてやるから待ってろ」
六花「勇太、私も行こう」
勇太「ダーメーだ。お前は足が治ってないんだから大人しくしてろ。じゃあ行ってくる」パタンッ
六花「……」
勇太「エレベーターは……、あったあった。ん……電話?」
六花「もしもし。任務は順調に進んでいるか報告せよ」
勇太「今エレベーターに乗って1階に向かってるよ。何か用か?」
六花「別に用は無い」
勇太「じゃあ切るぞ」
六花「待って」
勇太「なんだよ?」
六花「用が無ければ電話をかけてはいけない規則など無いはず」
勇太「じゃあコンビニに着いたから何か食べたい物とか言ってみろ」
六花「魔界にのみ生息すると言う、伝説のド」
勇太「真面目に答えないなら電話を切る」
六花「にくまんが食べたい」
勇太「部屋の前に着いたから電話切るぞ。……ただいま」
六花「我が契約者よ。よく無傷で帰った」
勇太「適当に黒いの買ってきたぞ」
六花「さすが勇太、違いの分かる男。黒の食物は魔力を増幅させる」
勇太「あれ?お前、そこにあったお菓子食べたのか?」
六花「勇太を待っている間に魔力が低下。仕方なく凸守とくみんのお土産で魔力を回復した」
勇太「……で、今飲んでるお茶が丹生谷のお土産か」
六花「そうだ。勇太が買ってきたおにぎりをお土産にしよう」
勇太「何処の世界にコンビニのおにぎりをお土産に持って帰る奴がいるんだよ」
六花「つまり私が世界初。悪くない響き」
六花「ごちそうさまでした」
勇太「お前、結局皆のお土産用のおにぎりまで食べたな……」
六花「お腹も満たされた事だし、お風呂に入る」
勇太「あ、ああ……そっか」
六花「では先に失礼する」
勇太「そうか……もう夜なんだな」
3分後
六花「なかなか良いお湯だった」
勇太「いくらなんでも早過ぎるだろ」
六花「勇太、見て見て」
勇太「なんだ?バスローブ?」
六花「フッフッ……ローブと言えば魔法使いの必須アイテム」
勇太「いや、そんな嬉しそうな顔されても」
六花「勇太も入って魔法のローブに身を包むが良い」
勇太「そ、それじゃあ俺もお風呂に入るか」
六花「私はそれまでエレクトリカルオーシャンで情報収集でもしている」
勇太「はぁ……いかん、なんだか緊張してきたぞ……」
勇太「とにかく風呂に入って落ち着こう……」
勇太「えっと着替えのバスローブは……うっ、ええ!?
勇太「この黒い下着的な物は……」
勇太「六花、こ、これ……お前のだろ?」
六花「確かに。しかし黒き拘束具は不可視境界線へ行くときに邪魔になるので装着していない」
勇太「そう、か……」
六花「もう一度997に相談しておくとしよう」
六花「現在契約者はシャワーを浴びている。これから共に不可視境界線を探しに行く……と」
六花「…………おお、さすが997、相変わらずの高速返信」
997「さぞかし緊張していると思いますが失敗を恐れずに頑張ってください。あと――――」
六花「なるほど……やはりこの997と言う人物、ただ者では無い気がする」
七瀬「はぁ。若いって良いわねぇ……でも邪王真眼って何処かで聞いたような……」
勇太「はぁー、あったまったあったまった」
六花「手と足が左右同じタイミングで動いている。まさか新手の儀式……」
勇太(ぐっ……緊張を隠すつもりで普通を装って出てきたのに)
六花「勇太、外を」
勇太「ん?」
六花「暗くなった」
勇太「そうだな」
六花「勇太」
勇太「な、なんだよ」
六花「不可視境界線の探索を始める」
勇太「分かってるよ」
六花「早くベッドへ」
勇太「せかすなよ……じゃあ、あれだ、前みたいに」
六花「前とは違う。私が先に勇太を不可視境界線へ連れていく」
勇太「な、なな、なっ」
六花「ここで仰向けに」
勇太「あ……」
六花「第一拘束具解除……最終拘束具も解除……」
勇太「…………」
六花「これが勇太の黒炎竜……周りにはウネウネした邪悪な毛が……」
勇太「変な解説するなよ!」
六花「この先にある口の様な所から魔力が溢れ出ると思われる」
勇太「そうだよ。もう解説は良い……ぃっ!」
六花「チュウチュウ……」
勇太「ちょっと待て、お前、今何して……」
六花「魔力を吸い出そうとしたが出てこない。やはり特定の条件を満たさなければダメか」
勇太(まずいまずいまずいまずいまずい!)
六花「ゆ、勇太の黒炎竜が……反り返るようにして激しく咆哮している……!」
六花「これでは上手くくわえる事が出来ない……少し手で下方修正」グッ
勇太「う……っ」
六花「続いてフェラチオと言う儀式を始める」
勇太「お、お前、そんなの何処で……」
六花「エレクトリカルオーシャンで997と言う人物に教わった。上手く出来るか分からないがやってみる」
勇太「997?……九十九、七……まさかな」
六花「勇太の黒炎竜……凄くいい匂いがする」
勇太(そりゃ風呂場で死ぬほど洗ったから……)
六花「あむっ……」
勇太「……っ」
六花「ぷはっ……なるほど。味は無味」
勇太(この探索のされ方は辛いぞ……)
六花「舌を出して……上の歯も当たらないように……くわえる」パクッ
六花(頭を上下に動かし……時より舌で黒炎竜を刺激)
六花(可能なら奥まで深く……ここで圧力上昇。吸い込むように……)
六花「んっ、んっ……、ぷはっ、んっ……」
六花(後は……音は激しく、自分の唾液を使うように……)
六花「んっ……ぢゅっ……、ぷはっ!……なかなか難しい」
六花「勇太、どう?上手に出来てる?」
勇太「…………」
六花「勇太、枕で顔を隠すのはダメ」バッ
勇太「す、すまん、その……」
六花「答えずとも分かった。勇太の顔に気持ちいいと書いてある」
勇太「死ぬほど恥ずかしい……」
六花「熱くなってきた……武装解除」
勇太「おまえ、武装解除って中は裸だろ!」
六花「心配無い。太古より変身シーンなどで裸になるのはデフォルト」
勇太「だからってお前……」
六花「それでは私は作業を続ける……はむっ」
勇太「はうっ」
六花(何となくコツは掴めてきた。特に奥までくわえた時、勇太の黒炎竜は強く反応する)
六花「んっ……んんッ……、ゲホッ、……失敗。喉に当たって……」
勇太「……」
六花「勇太、枕は禁止したはず」バッ
勇太「枕だけは勘弁してくれ!」
六花「却下。枕は遥か彼方へ強制排除する。」ポイッ
勇太「ああ!俺の最後の砦が!」
六花「……なるほど」
勇太「な、なにが」
六花「勇太は目を見ると黒炎竜が強く反応する」
勇太「そんな事ない……ぃぃ!」
六花「更に手で握る事でも強い反応を示す。これは実に興味深い」
勇太「……殺される」
六花「ゆうた、こちらを」
勇太「ことわる……」
六花「従わぬならば黒炎竜へ更に激しい刺激を与える」
勇太「ちょっと、ストップ、分かったから!見る、見るよ!」
六花「そのまま、私から目を逸らすことは許さない」
勇太「無茶言うなよ……」
六花「もし目を逸らしたら罰を……黒炎竜を噛み切る」
勇太「怖いこと言うなよ!!」
六花「……あむっ」
勇太「……っ」
六花「ひょひ、ほほひょうひへへほははふ」
勇太「もう何言ってるか分からないし振動するから、くわえながらしゃべるなよ!」
六花「むむ……、んっ!ぢゅぶっ!ぢゅぶっ!!」
勇太「あ、ああ!悪い、調子に乗りすぎました!」
六花「んっ……勇太、不可視境界線は見えそう?」
勇太「多分……な」
六花「勇太は黒炎竜をくわえると気持ち良さそうにする」
勇太「う、うるさい」
六花「でも私は……こうして手で上下しながら、悶える勇太の顔を間近で見るのも嫌いじゃない」
勇太「お前、頼むから変な性癖の扉は開かないでくれよ……」
六花「勇太の恥ずかしがる顔、凄く良い」
六花「勇太の鼓動がとてつもなく早い」
勇太「お前の心臓だってめちゃくちゃドキドキしてるだろ。引っ付いてるから分かってるんだぞ」
六花「……」
勇太「な、なんだよ……急に黙って……」
六花「勇太は黙って見つめられると鼓動速度上昇。これは新しい発見」
勇太「……」
六花「この体制で手を動かすのに疲れてきた。少し体制を立て直す……あぅっ」
勇太「ッッ!!」
六花「足が勇太の黒炎竜に引っ掛かって……勇太、大丈夫?」
勇太「……あっ」
六花「勇太……?」
勇太「……」
六花「……」スリスリ
勇太「なぁっ……!」
六花「なるほど。黒炎竜は手や口だけでなく、足で擦っても反応する」
六花「調度手も疲れてきた所。勇太の黒炎竜、足で挟む」
勇太「もういっそ楽にしてくれ……」
六花「太股で挟み……擦るように動かす」
勇太「あっ、不可視境界線が……」
六花「勇太、頑張って。私ももっと頑張る」
勇太「すべすべで、柔らかいのが……!」
六花「勇太、早く……ぅ、さっきから、勇太の黒炎竜が、私の弱点に……」
勇太「六花、もうダメだ……!で、出る!」
六花「黒炎竜の圧力上昇、魔力放出の予兆あり。ただちに魔力吸収の体制に入る……はむっ」
勇太「お前、このタイミングで……ああっ!!」
六花「ん……んんッッ!」
勇太「あっ……これが……不可視境界線……」
六花「んー、……ん、んんッ!!」
勇太「…………」
六花「……んっ、んぐっ、……ぷはっ、ゆうたぁ……苦いし臭い……」
勇太「……」
六花「ねばねばして口に残る……良薬口に苦しとは正にこのこと……」
勇太「…………」
六花「……勇太が不可視境界線から帰って来ない」
勇太「……ハッ!」
六花「ようやく帰還したか、我が契約者よ」
勇太「何か、凄い世界が見えた気がする」
六花「恐らくそれが不可視境界線」
勇太「……おかしい」
六花「?」
勇太「普通、男は魔力を解放した後は賢者に転職するはずなんだ」
六花「恐ろしい。闇に生きる我々にとっては正に生き地獄……」
勇太「なのに俺の黒炎竜は賢者になることを拒み続けている」
六花「つまり勇太は更なる闇の境地へ」
勇太「六花、次はお前が不可視境界線へ行く番だな」
六花「どうやら私の身体も自然と勇太の魔力を受け入れる準備が出来ているらしい」
勇太「そ、そうなのか?」
六花「恐らくさっき、勇太の放出した魔力を全て飲み干したから。体内に留めて置ける魔力量を超えてしまった」
勇太「飲み干し……飲み干した!?」
勇太「とにかく、準備が出来ているなら話は早い。いくぞ」
六花「んっ……枕を」
勇太「ダメだ。お前が強制排除したんだろ?」
六花「あぅ……」
勇太「この前は布団の中だったからな。一番の弱点である部分をマジマジと見られる辱めを……」
六花「ゆうたぁ……恥ずかしい……」
勇太「な、なんだ、あれだな……その、処理とか綺麗にしてるんだな……」
六花「私は勇太みたいにウネウネした邪悪は生えていない……まだまだ未熟で恥ずかしい」
勇太「お前……、飛び級で高校に入ってきた小学生か何かか?」
六花「?」
勇太「マジか……一説では小学~中学生にかけて生えると聞いたが……」
六花「勇太、早く……」
勇太「……ここだったか?」グリッ
六花「ッッッッ!!」
勇太「確かこの辺りを……」
六花「ゆっ……た、ダメ、そんな、すぐに……」
勇太「こうだったか?あれ?」
六花「あ……ッ!勇太、ゆう……ッ、んんっ!!」
勇太「うわっ!急に暴れたらビックリする……」
六花「はぁ……、はぁ……っ」
勇太「……しまった!始めての花園に気を取られてる間に!!」
六花「……はぁ、……はぁ」
勇太「六花……?」
六花「……不可視境界線、行くの好きかもしれない」
六花「不可視境界線にたどり着くにはやはり膨大な魔力を消費してしまう」
勇太「そうだな……俺はまた魔力を放出しそうになってたけど……」ボソッ
六花「ならば……魔力吸収の抱き着き」ギュッ
勇太「ちょっ!!今刺激しないで、本当に、ああっ!!」
六花「すごい……勇太の魔力、さらに放出」
勇太「……」
六花「腹部がベトベトに」
勇太「……すまん」
六花「勇太には責任をとってもらう」
勇太「それは当たり前だろ。こうなった以上、俺だって責任は取るつもりだ」
六花「なるほど。いい心がけだ。では言葉通りお風呂場で綺麗に洗ってもらおうか」
勇太「責任を取るって……」
六花「責任をとって勇太の出した白き液体を綺麗にしてもらう」
勇太「」
六花「サッパリスッキリした。正に気分爽快」
勇太「……」ヨボヨボ
六花「勇太、元気が無いように見えるが」
勇太「さすがに、寝不足+2連発は疲れた……」
六花「ならば今日はゆっくりと休むが良い」
勇太「ああ……そうさせてもらうつもりだ……」ポテッ
六花「私も今日は少し疲れた。休むとするか」
勇太「……」
六花「それでは良い悪夢を……スヤスヤ」
勇太「寝付き良すぎだろ……」
六花「んー……むにゃむにゃ……」ゴロン
勇太「おい、もうちょっと向こうに……」
六花「ゆ……た……」ポロリ
勇太「なんだよ、夢の中まで俺が……ってポロリ!?拘束具はどうしたんだよ!」
六花「……むにゃむにゃ」
勇太「あ、ああ……」ムクムク
翌日、勇太は干からびた状態で発見された
中二病のアニメが始まるから焦った結果、六花ちゃんがとんでもない早漏になってしまった。
テレビの前で正座して待機してくる
ギャグマンガ感覚で見てたら恐ろしい目にあってしまったでござる……
森夏「まったく……今日帰ってくるって言っておいたのに」
森夏「合宿から帰ったら皆出掛けてるなんて信じられない。食べるものも無いし」
森夏「とにかくファミレスでも入って何か食べ……あっ、あれって確か小鳥遊さんのお姉さん」
十花「ん……?」
森夏「あ、こんにちわ。この前はお世話になりました!」
十花「ああ、確か六花の友達の……モリサマ……いや、ニセサマだったか……?」
森夏「森夏、丹生谷森夏です」
十花「そうか。で、こんな所で何をしている?」
森夏「じつは――――と言う訳で」
十花「なるほど。それは大変だな」
森夏(何だろう……この威圧感……)
森夏「そういう六花ちゃんのお姉さんは」
十花「十花で良い」
森夏「えっと……じゃあ十花さんは何していたんですか?」
十花「特に用はないが街を散策していた」
森夏「へ、へぇー……(か、会話が持たない……)」
十花「今日は店も休みなんだ」
森夏「そうなんですかー!わ、私も一度ああいうお店に行ってみたいんですよねぇ♪」
十花「なら今から来てみるか」
森夏「えっ……あ、でも今日は休みって……」
十花「かまわんさ。休みだから予約の客もいない」
森夏「でも今日は手持ちが……」
十花「私から誘っているんだ。お代など取るわけ無いだろ」
森夏「えーっと……でもやっぱりご迷惑だと……」
十花「気にするな」
森夏「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」
十花「しかしあれだな。モリ……森夏はしっかりしているな」
森夏「そんなこと無いですよ(今モリサマって言いかけたような……)」
十花「まったく。うちのバカにも見習うように言ってやりたいくらいだ」
森夏「でも六花ちゃんは個性的で素敵だと思いますよ!」
十花「いずれは森夏の様に育ってくれれば良いんだがな」
森夏「私だってそんな立派な人間じゃないですよ」
十花「しかし本当によく育っているな」
森夏「はい?」
十花「なんでもない。こっちの話だ」
十花「さぁ着いたぞ」
森夏「いつ見ても立派なお店……」
十花「正面は閉まっている。悪いがこっちの裏口から入ってくれ」
森夏「は、はい」
十花「適当に座ってくれ。私は着替えて来る」
森夏「とりあえずここに座って……凄い高級レストラン……これメニュー表かしら?」
十花「さて、何が食べたい?」
森夏「ひっ!……びっくりした……着替えるの早いんですね」
十花「エプロンを付けただけだからな。それで、注文は?」
森夏「私こう言う店は始めてなんで……お任せします」
十花「なるほど。作る側からすると一番の難題だな」
森夏「あっ、ご、ごめんなさい!じゃあ注文を」
十花「では今日限りのフルコースを用意する」
森夏「そんな、お気遣いなくー……って、いっちゃった……」
森夏「それにしてもこんな広い店でポツンと一人ってのも落ち着かないわね……」
十花「遅くなってすまない。待たせた」
森夏「えぇ、もう出来たんですか!?いや、むしろ早すぎますよ!」
十花「今日は中華を用意してみたんだが」
森夏「あっ、私中華料理とか好きです」
十花「まずはあんかけチャーハン」
森夏「あんかけってだけでなんだか美味しそうな感じしますよね!このあんは……」
十花「フカヒレの姿煮を使ってみたんだが」
森夏「……フカ……ヒレ」
十花「こっちは国産黒豚だけを使った餃子。あっちが燕の巣のスープ。むこうが上海ガニの――」
森夏「ま、まってください、こんなに食べきれないと思うんですけど……」
十花「そうか?六花はいつもこれくらい食べているが」
森夏「あの、ご馳走してもらっといて変な言い方ですけど、良かったら一緒に食べませんか?」
十花「私はお昼を食べたばかりだ。遠慮しておく」
森夏「そうですか……」
十花「なーに、残ったら弁当箱にでもつめてやるから持って帰れば良い」
森夏「それじゃあ……いただきまーす」
十花「……」
森夏「うん!美味しい!」
十花「…………」
森夏「あ、あの……私の顔に何かついてますか?」
十花「いや。作った料理を喜びながら食べている森夏を観察しているだけだ」
森夏「は、はぁ……」
十花「うちの六花は何故か私を警戒していてな。何を作っても美味そうに食べないんだよ」
森夏「で、でも、こうやってジッと見られながら食べるのって少し恥ずかしいですね」
十花「恥ずかしがっている森夏も可愛いと思うがな」
森夏「え……?」
十花「さぁ、早く冷めないうちに食べるといい」
森夏(十花さんってやっぱり掴み所がないというか……)
十花「しかし森夏も大変だろ」
森夏「なにがですか?」
十花「……ん。それだよ」
森夏「コレ……ですか?」
十花「周りからは羨ましがられるが、実際は大変なだけだからな」
森夏「そうですよね。大きいと肩とか凝りますから」
十花「俯せに寝ると邪魔になるし、仰向けに寝ると重い」
森夏「確かに……十花さんの胸は大変そうですね……」
十花「じきに森夏もこうなるだろう。……いや、これ以上かもな」
森夏「もう育たなくて良いんですけどね……可愛い下着も少なくなりますから」
六花「この重みから解放される瞬間はお風呂に入ったとき」
森夏「そうそう、お湯に浮かべてる時だけは解放されますよね」
十花「それだけでも無い」
森夏「他に何か良い方法とかあるんですか?」
十花「例えば……後ろからこう……持ち上げる」ワシッ
森夏「えっ……ええ!?あ、あの、」
十花「なるほど……これはなかなか」
森夏「ちょっと、あの……くすぐったい……」
十花「しかしまだまだこの程度なら軽い方だ。私のを持ってみるといい」
森夏「じゃあ……少しだけ」ワシッ
十花「……んっ」
森夏「お、おもっ!」
十花「まったく、こんなもの何の約にも立たないと言うのに」
森夏「は、はあ……」
十花「……」
森夏「あ、あの、上から手で抑えられると、胸から手が離せないんですけど」
十花「すまない、ぼーっとしていた」
森夏(何かおかしい……絶対おかしいわ……)
十花「森夏は彼氏とかいるのか?」
森夏「いえ、今は勉強と部活が忙しいので」
十花「そうか。私と同じだな」
森夏「えっ。意外です、十花さんスタイルよくて美人だからモテそうなのに」
十花「そう言う男は時々いるんだがな。どうにも気が乗らないんだ」
森夏「仕事優先しちゃう女性が最近は増えてますから」
十花「どうして女の恋人は男と世間では思われているんだろうな」
森夏「は……?」
十花「私は女の恋人は女で良いと思う」
森夏「あ、あわわ……」
十花「男なんかより、私の方が美味く女の身体を扱う自信がある」
森夏(確信した。十花さんも中二病ではないにしろ変な人だ……)
十花「どうした?食が進んで無いようだが」
森夏「あ、あはは……なんだかお腹いっぱいになっちゃって……」
十花「まだ少ししか食べていないぞ?」
森夏「ダ、ダイエット中だったりして……あと、猫舌で」
十花「ダイエットするような体型には見えないが。仕方ない、私が食べやすく冷ましてやろう」フーッ
森夏「あ、あの、あの……」
十花「さぁ、もう大丈夫だ口を開け」
森夏「あ、あーん……」パクッ
十花「どうだ?」
森夏「お、おいひい、れふ……」
十花「そうか。では次は餃子を食べさせてやろう」
森夏(ピーンチ……!ピーンチ!!)
十花「そういえば……森夏は合宿から帰ってきたばかりと言っていたな」
森夏「はい。あっ、私はチア部の合宿だったので六花ちゃん達とは違う合宿だったんですよ」
十花「そうだったのか。六花は今日から合宿と言っていたな」
森夏「USJに行くって言ってましたね!」
十花「合宿だと汗もかいただろう。どうだ、うちで汗を流していかないか?今日なら六花も帰ってこない」
森夏(汗を流すってどういう意味!?どうして小鳥遊さんがいないのが関係あるの!?)
十花「どうした?」
森夏「わ、わたし、そろそろ帰らないと!ご、ごちそうさまでした!!」ダッ
十花「むっ……逃がしたか」
十花「……手に入れづらい食材程、価値は有り、味も良い。」
十花「丹生谷森夏か……なんとしても手に入れたい食材だな」
森夏「な、なんなのよ一体……、あのまま家に行ってたら私、どうなってたの……?」
森夏「…………はッ!いけない、ダメよ森夏、何考えてるの!?」
森夏「いやあぁぁぁ!!せっかく中二病を卒業したのに、私はまた変な扉を開きそうに……!」
凸守「……あいつは街中で何やってるデスか?変な奴デス」
アンニュイな気持ちになってやった。また書く
モリサマー様は六花の事なんて呼んでたっけ……
十花の前では「六花ちゃん」だったけど、本人の前では小鳥遊さん?
森夏「私は中二病を卒業したのに……」
森夏「絶対に同じような過ちを繰り返す訳にはいかないのよ!」
森夏「男女が交際するのが常識であって、女の子同士で付き合うなんておかしいに決まってるんだから……」
森夏「きっと私は将来結婚だってするし、そのためには女の子同士なんて絶対にダメ!」
森夏「今のうちに起動修正しておかないと……」
部室
六花「これより我々は向こうの世界とこちらの世界を一時的に接続する儀式を行う」
勇太「あちらの世界ってどこの世界だよ」
六花「まずは駅前周辺にて空間の歪みを探索する」
凸守「なにやら雲行きも怪しくなってきたデス!」
六花「きっと空間の歪みが原因。時間が無い」
勇太「今日はこれから雨が降るらしいぞ」
くみん「雨はやだねぇ……むにゃむにゃ」
六花「それでは出発する。準備を」
勇太「しない。さっきこれから雨が降るって言っただろ」
六花「やむを得ない。凸守、我々だけでも探索を開始する」ダッ
凸守「了解デス!今日こそ必ず見つけてやるデス!」ダッ
1時間後……
くみん「風が……気持ちいいねー……」スヤスヤ
勇太「いるのは俺と寝てばかりの先輩。ほんと、あいつらがいないと部室は平和だな」
ガラッ
森夏「富樫くん、ちょっといい?」
勇太「?」
森夏「単刀直入に言うわ。私と付き合って欲しいんだけど」
勇太「な、な、なっ……」
森夏「今日一日だけで良いの!お願い!」
勇太「なんだ、そっちの付き合うか。びっくりした……」
森夏「うーん……こっちの付き合うでもあるけど、そっちの付き合うでもある感じかな?」
勇太「よくわからんが、この平穏な時間が無くなる事だけは分かった」
森夏「良いじゃない、一日くらい」
勇太「どうして急にそんな話になったんだよ?」
森夏「私は今、二度目の人生の分岐路にいるの。中学の時は選択をミスしてあの始末……だから今回だけはミスは許されないの」
勇太「まったく意味が分からないけど、どうして俺なんだよ」
森夏「私のを本性を知ってる男子がいないのよ」
勇太「本性って……一色とかもいるだろ」
森夏「あいつはダメ。どうせ『俺にはくみん先輩が~』とか言うに決まってるんだから」
くみん「……むにゃむにゃ」
勇太「はぁ……。で、何をすればいいんだ?」
森夏「そうねぇ……とりあえずその辺をブラブラとか?」
勇太「今日はこれから雨が降るのに外なんて歩いてたら――」
森夏「大丈夫よ。私、傘持ってるし」
勇太「俺は持ってないからもう帰りたいんだけど」
森夏「雨が降ったら傘に入れてあげるから付いてきて」
勇太「でもなぁ」
森夏「男の癖にグチグチ言わないの!ほら、行くわよ!」
勇太「あっ、ちょっと待って、引っ張るなって!」
森夏「引っ張られたく無いならシャキシャキ歩く!」
勇太「……で、俺は何すれば良いんだよ?」
森夏「そうねぇ…………はい」
勇太「何かくれるのか?」
森夏「手を繋ぐって言ってるのよ」
勇太「それはまずいだろ……それじゃまるで恋人じゃないか」
森夏「当たり前じゃない。言ったでしょ?富樫くんは今日一日私の彼氏だって」
勇太「いや、初耳だけど」
森夏「そう。じゃあ今はじめて言ったのかもね」
勇太「なんかめんどくさい事になったな……」ボソッ
森夏「良いから手を握る!はい!」
勇太「わ、わかったよ」ギュッ
森夏「そうそう、きっとこれがまともな感情」
勇太「?」
森夏「男の子と手を繋ぐとドキドキする。それが富樫くんだったとしても!」
勇太「何気に失礼じゃないか?」
森夏「この気持ちよ。この気持ちを忘れちゃいけないのよ!」
勇太「まったく話が見えて来ないんだけど……」
森夏「とにかく、富樫くんにはこれから男らしい所をいっぱい見せてもらいたいのよ!」
勇太「そんな事急に言われても」
森夏「富樫くん次第で私の人生が大きく変わるかもしれないの。お願い!」
勇太「あっ……雨」
森夏「人の話をちゃんと聞きなさい!」
勇太「けっこう降ってきたな……」
森夏「本当はこういうのは男の子の役目なんだけど……はい、傘」
勇太「ありがたいんだけどさ……手を繋いでたら真ん中で傘を持てないな」
森夏「だったら一緒に傘を持てば良いじゃない。手を重ねあって」
勇太「そこまでする必要って」
森夏「あるの!さっさと傘持って!あのデパートに入るわよ!」
凸守「結局今日も空間の歪みは見つからなかったデス。おまけに雨まで……ん?あれは……」
森夏「ほら!ちゃんと握りなさい!」
勇太「恥ずかしいって!」
凸守「間違いないデス。あれはニセサマーとダークフレイムマスター……」
凸守「まさか、二人は手を取り合ってよからぬ作戦を!?」
凸守「と、とにかくマスターに連絡を!!」
『ニセサマーとダークフレイムマスター、手を取り合い○○デパートへ』
勇太「やれやれ、やっと着いたけど少し濡れたな」
森夏「私の傘のお陰であまり濡れなかったんだから感謝してよね。って言うか、もっと濡れなさいよ!」
勇太「は?」
森夏「相合い傘をしてる男女がいたら、男は女性を雨から守るために傘を寄せて、自分は身体半分くらいびしょびしょになるもんでしょ!」
勇太「なんだよそれ……」
森夏「まあ良いわ。いっぱい歩いたら疲れちゃった。甘いものでもご馳走してよ」
勇太「なんで付き合わされてる上に、甘いものを奢らなくちゃいけないんだよ」
森夏「良いじゃない。助けると思って、ね?」
六花「わ、私は……はぁ、はぁ……アイスで、良い」
勇太「分かったよ。アイスだな……って、何やってんだよお前!?」
六花「スゥー……ハァ……凸守から丹生谷と勇太が怪しげな行動をとっていると連絡があった」
勇太「傘は?」
六花「迅速な行動に傘は不向き。でも大丈夫。体温を1000度まで上げて水を蒸発させる」
勇太「なんで靴がサンダルなんだよ」
六花「こ、これは……どうやらどこかですり替えられたらしい。おそらくは管理局の罠」
森夏「つまり、中房に私達が二人でいる情報を聞いて、なりふりかまわず一目散に走り出した訳ね」
六花「私は何か不穏な動きが無いか様子を見に来ただけ」
森夏「大丈夫よ。一日かりたらすぐ小鳥遊さんに帰すから」
勇太「人を物みたいに言うなよ」
六花「それは許可出来ない。勇太は私の契約者」
森夏「だから今日一日だけ――」
六花「ダメ。勇太は私の物」
勇太「もう完全に物扱いかよ……」
六花「とにかく勇太が今すべき事はアイスを買いに走ること」
森夏「私はクレープが食べたい!富樫くん、今日は私と付き合ってくれるって約束したわよね?」
勇太「俺はパシリかよ……かってくるからここで待ってろ」
六花「了解した」
森夏「富樫くーん、お願いねー」
森夏「……で、どうしてアイスなのよ!しかもこれ自販機で売ってるやつじゃない!!」
勇太「仕方ないだろ。クレープって高いんだからそれで我慢しろ」
森夏「だからどうしてお姉ちゃんなんだから我慢しなさいみたいになってるのよ!」
勇太「文句言わずに食ってみろよ。美味しいから」
森夏「こんなの普通のアイスじゃない……」
六花「違う。これは自販機でも一番上位に位置するプレミアムチョコレート。普通は110円だがこれは140円する高級品」
森夏「変わらないわよ!」
六花「この暗黒を思わすような漆黒のチョコレート……魔力が溢れて来る」
森夏(おいしい……)
勇太「どうだ、美味いだろ?」
森夏「美味しいかどうかは別にして、クレープが高いからアイスって言うのが彼氏らしくないと思うのよ」
勇太「仕方ないだろ。俺は丹生谷の彼氏じゃないんだから」
森夏「今日は私の彼氏役なの!小鳥遊さんも助けると思って今日一日だけ富樫くんを貸して!」
六花「そうしたいのは山々だが、契約した者は300m以上離れてはいけない決まりになっている」
勇太「前は100kmくらいじゃなかったか?」
森夏「だったら300mギリギリまで離れ――」
六花「状況は常に変わっている。今は5mが限界」
森夏「はぁ……。でも私も大人気なかったわ……富樫くんの財布の中身も気にせず色々無茶言って」
勇太「いや、分かってくれれば良いんだよ。今日の丹生谷少し疲れてるみたいだし」
森夏「変な心配かけちゃってごめんね」
六花「……っくちゅ!」
勇太「あーあー、そんなびしょびしょだから」
六花「平気、これくらい1000度まで体温を」
勇太「それはさっき聞いたから。いいからこっち来い」
六花「勇太、何処へ?」
勇太「そんな格好じゃ風邪ひくだろ。何か服と……あと靴も買ってやるから」
六花「でも勇太……お金が……」
勇太「そうだ。お金は無い!……だから安いのだぞ」
六花「……うん。コーディネートは勇太に任せる」
勇太「ならワンピースだな。あれなら上下つながってるし安そうだ」
六花「ワンピース……何だか大秘宝がありそうでカッコイイ!」
キャッキヤッ
森夏「……なにこれ」
勇太「お待たせ」
森夏「爆ぜろ爆ぜろ爆ぜろ爆ぜろ……」
勇太「丹生谷?……ほら、六花も隠れてないでこっち来い」
六花「……はずかしい」
勇太「いいから!……よいしょっ」グイッ
六花「ゆ、ゆうたぁ……」
森夏「……白っ!どこかの眠り姫みたいなワンピースね」
六花「わ、我々闇に生きる者に、白は似合わないと言ったのに……ゆうたが……」
勇太「コーディネートは任せるって言っただろ?あとはこの麦藁帽子を被せて、はい完成」パサッ
六花「ゆうた、恥ずかしい……麦藁帽子はダメ……」
勇太「そうか?いつもと違う新鮮味があってかわいいぞ」
六花「ゆ、ゆうたぁ……いじわるは良くない……」
森夏「……なにこれ」
森夏「なんか……ごめんなさい」
勇太「ん?」
森夏「私、まだ二人は付き合ってないと思ってて、富樫くんに変な事たのんじゃって……」
六花「勇太とは契約は結んではいるが、付き合っているとかそういうのではまだ無い」
勇太「だいたい俺達をどう見たら付き合ってるように見えるんだ?」
森夏(どっからどう見てもよ!)
勇太「丹生谷は少し疲れてるんだよ。今日は帰ってゆっくり休んだらどうだ?」
森夏「そうね……しばらくは彼氏とかそういう事考える気にもならないわ……」
十花「それは良いことを聞いたな」
六花「プリーステス!?」
十花「突然家を飛び出したから追ってみれば……」
森夏「もう疲れた……」
六花「勇太、ここは一時戦線を離脱する!手を!」
勇太「手?」
六花「今、我々が離れてはも良い距離は3m。手が離れては命はない!早く!」ダッ
勇太「良く分からないけど、十花さんから逃げるってのは身体が賛成してるよ!」ダッ
十花「やれやれ。勇太の奴も最近私から逃げるようになったな」
森夏「爆ぜろリア充……」
十花「六花は勇太と一緒なら帰りも心配ない。それより今は食べ頃の果実をいただくとしよう」
勇太「六花、どこまで逃げるんだよ!もう5階までくれば大丈夫だろ?」
六花「プリーステスを甘く見てはいけない。特にあの目……」
勇太「あの目?」
六花「確実に獲物を狩る者の目だった……っ」
勇太「お前がそんなに怯える程か……」
森夏「あ、あのー……」←本日の獲物
十花「どうだ?甘いものでも食べて行かないか?」←狩人
六花「と、とにかく、走れるだ……け走る……」
勇太「もうバテバテじゃないか」
六花「勇太、良い隠れがを発見。しばらく此処で身を隠す」ガラッ
勇太「身を隠すって、お前ココ車椅子の人用のトイレ――」
六花「大丈夫。私も少し前までは車椅子だった」カチャッ…
勇太「……でもこれって見つかったら袋の鼠じゃないか?」
六花「あっ……」
勇太「今気づいたのかよ。……ってか、十花さん以外に見つかってもまずいだろ。男女が同じトイレって……」
森夏「いえ、さっきアイスを食べたので……」
十花「ならケーキなんてどうだ」
森夏「ケーキ……でもそんな店ありましたか……?」
十花「私が作ろう。生地は市販の物を使うが、森夏の為に特製ケーキを」
森夏「なっ、どうして私にそこまで……」
十花「理由は簡単だ。私はお前を好いている」
森夏「わ、私達って女同士ですよ?」
十花「仕方ないだろ。男よりも森夏の方が魅力的なんだ」
森夏「で、でも私……ノーマルな性癖なので……」
十花「ならなぜ今ドキドキしている?」
森夏「そんな事……」
十花「では何故顔が赤い?」
森夏「そんなの……わかりません」
十花「ならもし私が男だったら森夏は好いてくれていたか?」
森夏「それは……とにかく分からない事ばかりで答えようが無いです」
十花「森夏は男とキスをしたことがあるか?」
森夏「なっ、な……そんなの無いです……」
十花「そうか。それは残念だな」
森夏「なにが……んんっ!?」
ズキュウゥゥゥン
十花「……んっ。男と比べて女の唇の柔らかさを理解出来ないのだからな」
森夏「……な、なに?……今の?」トロトロ
100%寝落ちするから、続きはまた次の機会にかくてへぺろ
六花×勇太ルートか十花×丹生谷ルート、紳士の皆は好きな方を選んでね
色々忙しかった。
でも脳内では六花が勇太に迫ったり、樟葉が勇太に迫ったり、十花がドMに目覚める話は出来てる。
今日は寝て明日からシコシコかくま
>>695
六花「とにかく今おかれている状況を整理する」
勇太「十花さんに怒られるのが怖くてトイレに逃げ込んだ……だろ」
六花「さすが勇太。状況をよく理解している。しかし逃げたのでは無くあくまでこれは戦略的撤退」
勇太「袋の鼠になる事が戦略的撤退なのか」
六花「とにかく作戦を立て、この危機的状況を打開する」
勇太(危機的状況って自分で言ったな)
六花「これは音姫……まさかこれ程の技術がこのトイレに設置されているとは」
勇太「押したら水の流れる音がするやつか?……って、作戦はどうなったんだよ」
六花「では各々席に着くように」
勇太「……おい」
六花「早速何か打開策が見つけたと言うのか……さすが勇太」
勇太「そうじゃなくて、立って作戦を考えろよ」
六花「どうして?」
勇太「まず俺の席が無い」
六花「ダークフレイムマスターは空気を切り取り椅子にして座ると聞いた」
勇太「それじゃただの空気椅子だろ。……あと、お前もそんな所に座るな」
六花「この席は選ばれし人間にしか座れない。しかし勇太がどうしてもと言うなら譲」
勇太「らなくていい」
六花「では何が望み?地位?名誉?」
勇太「そうやって便座に座ってると何か……あれだろ」
六花「あれ?」
勇太「だから……ほら、トイレ中みたいだから」
六花「トイレ中みたいだから?」
勇太「あぁ!もう良いよ!それよりも脱出方法を探す!」
六花「しかし勇太、今のはなかなか良い発言だった」
勇太「扉越しだと外の様子が全然分からないな……」
勇太「電気がついてるか分かるように小さな磨りガラスがあるだけか……」
勇太「一か八か飛び出すか……それとも……うーん……」
勇太「なぁ、六花。お前は何か思いつ……」
六花「やはり闇の力を解放せざるえないか」
勇太「……」
六花「勇太。どうして変な顔をしている」
勇太「お前……その膝の所にかかってるのって……」
六花「振り向きざま真っ先に下着に目をつけるとは……勇太は少しえっち」
勇太「違うだろ!この場合は俺じゃなくて、そんな格好してるお前がおかしいだろ!?」
六花「ならば逆に聞きたい。勇太はトイレで何をしている」
勇太「また訳の分からん事を……」
六花「この空間において、生理現象を済ませるのは当然の事。むしろトイレに来てウロウロしている勇太が変」
勇太「俺達は逃げ込んだだけだろ?」
六花「……」
勇太「……お、おい、急に固まるなよ」
六花「少し待って……」
チョロチョロ……
勇太「おい!!お前、え?嘘だろ?」
六花「安心して。私にはこれがついてる」
チョロチョロ
勇太「もう何してもダメだろ!いや、一応耳はふさいでるけど!」
六花「……おわった。そしてここで音姫発動!」ザバー
勇太「発動が遅すぎる……」
勇太「お前には羞恥心って物は無いのか……」
六花「残念ながらそのような感情は持ち合わせていない」
勇太「まぁ中二病のお前には羞恥心とかないよな……」
六花「おそらく400年くらいまではあった」
勇太「……でも俺の部屋でエ……書物を見た時は顔を真っ赤にしてただろ?」
六花「あ、あれは仕方がない。ああいう魔力注入と思わしき行為は他人に見せてはいけないし、見てもいけない」
勇太「お前、羞恥心の軸がぶれすぎだろ……」
六花「そんな事より打開策を………、プリーステスから連絡……?」
十花『森夏の調子が悪そうなので一度連れて変える』
六花「勇太、チャンスがきた。今ならプリーステスがいない。緊急離脱する」
書きはじめていきなり急用……
勇太「ちょっと待て、何する気だ」
六花「プリーステスは帰った。なのでこの扉を開く」
勇太「だめだめだめ!!」
六花「大丈夫」
勇太「十花さんがいなくても、お客さんに見つかったらまずいだろ!」
六花「?」
勇太「同じトイレから男女2人って、何か誤解されるだろ」
六花「どんな誤解?」
勇太「お、おかしな誤解だよ……」
六花「なるほど、分かった。では扉を開く」
勇太「待って、待って!」
六花「?」
勇太「お前がその扉を開けて二人で出たとき一般人がいるとするだろ」
六花「うん」
勇太「その客は100%小綺麗な格好したおばさんだ」
六花「どうしてそんな事が……まさかダークフレイムマスターの力?」
勇太「まあそんな所だ。そしてその招待はPTA会長……」
六花「なんだか過ごそうな組織……勇太、それは強いの?」
勇太「お前、学校でナナちゃんに勝てるか?」
六花「学校は特殊な結界で覆われた空間。いかに私と言えど勝てるかは微妙」
勇太「そんなナナちゃん達の頂点に立つのが校長先生だ」
六花「その名は知っている。確か我々の前に現れるのは年に数回」
勇太「その校長先生ですら頭が上がらないのがPTA会長だ」
六花「く……っ!まさかそれほど恐ろしい人間がこのデパートにいるとは……」
六花「……でもPTAと言う組織に見つかっても問題ない無い気がする」
勇太「奴らの眼力をナメるな。制服を見ただけで何処の学校かを瞬時に察知し、すぐさま学校に連絡を入れるんだぞ」
六花「なるほど。分からない」
勇太「それは校長を経て全教師に通達され、すぐにでも俺達をあぶり出すだろうな」
六花「ならばこの邪王真眼で対抗する!」
勇太「学校で教師への反逆。校長への反逆。PTAへの反逆。お前は停学になる」
六花「それくらい……」
勇太「停学で勉強が遅れたお前は間違いなく次の試験で欠点を取り、その結果同好会も消滅するだろうな」
六花「それは困る!」
勇太「つまり、お前がその扉を開くと言う事は、極東魔術昼寝結社の夏の未来を左右する行為と同じなんだ!」
勇太「さてと……どうしたもんかな」
六花「……魔力を、邪王真眼を解放する」
勇太「解放してどうするんだよ」
六花「PTAを倒す。そうすれば邪王真眼は学校でも最強!」
勇太(適当な説明が変に火をつけたか……)
六花「PTAに勝って校長先生を配下にし、極東魔術昼寝結社の夏を正式な部に押し上げ、数学を撤廃する!」
勇太「もう分かったから」
六花「だから魔力を解放。しかしPTAも強敵。だから勇太の魔力も必要」
勇太「俺は戦う気なんて無い」
六花「勇太は戦わなくて良い。だから魔力を私に分けて欲しい」
勇太「魔力を分けるって……」
六花「勇太の黒炎竜の白き炎……もう一度私の体内に注いで欲しい」
勇太「そ、そんな事できるか!」
六花「あきらめたらそこで試合終了」
勇太「ああいうのはほら……家とかで真っ暗な時しか出来ないから!」
六花「……なら手を」
勇太「手?こうか?」
六花「こうして手を握れば……少し魔力吸収」
勇太「じゃあこれで良いだろ?」
六花「更に……身体を密着させる事でより大きな魔力を吸収……」
勇太「おい、そんなに引っ付くなよ……」
六花「だめ。今魔力を吸収している。黒炎竜から直接貰うのとは違って時間がかかる」
勇太「……どれくらいかかるんだよ」
六花「私が満足するまで」
勇太「満足ってなんだよ!」
勇太「……」
六花「勇太、黒炎竜が……」
勇太「お、お前が魔力を奪うから、抵抗して、その、暴れてるんだろ」
六花「すまない黒炎竜。しかしこれも脱出の為、静まって」ニギッ
勇太「うわっ!ばか、握るなよ!」
六花「でも……やはり黒炎竜に直に触れると魔力が大量に」
勇太「握っても吸収出来ないから!」
六花「出来る。だって黒炎竜に触れてから私の身体が暑くなってきた」
勇太「それは……」
六花「きっと魔力が充実してきた証拠」
勇太「……なあ、いつまでこうしてる気だ?」
六花「分からない」
勇太「分からないって……」
六花「あの時、勇太の白き炎を体内に注いだ時は、もっと身体が熱くなった」
勇太「まだ言うか」
六花「勇太、こんなにも黒炎竜は暴れている……やはり私の口で」
勇太「ダメな物はダメだから。頼むよもう、揺るぎそうになる……」
六花「では口づけを」
勇太「契約ならしただろ」
六花「契約の時も身体が熱くなった。おそらく口づけにも魔力をアレする力がある」
勇太「アレって……完全に説明がめんどくさくなったんだろ」
六花「勇太、口づけを」
すこし、30分程離籍します
六花「ゆうた……」
勇太「なっ……ず、ずるいだろ!なんて言うか、その……女の顔するって言うか……」
六花「一応この世界では女と言う性別なのだから仕方ない」
勇太「む、胸を押し付けるなよ……」
六花「勇太の隠し持っている書物には胸を強調した写真が多かった……ゆうたは多分胸が好き」
勇太「別に、押し付けられても、嬉しくなんか」
六花「でも黒炎竜は激しく反応している」
勇太「だからそれは……あの、あれだ、」
六花「じゃあ手で触ってみる……?」
勇太「なっ……!」
六花「おぉ……黒炎竜がより激しく反応。勇太は胸を手で触りたい」
勇太「分かったよ、俺が悪かったから。その、もう勘弁してくれ」
六花「では口づけを」
勇太「分かったよ……」
六花「んっ……あっ、まだダメ……更に魔力吸収……んんっ」
勇太「んー!んー……!!」
六花「ぷはっ……魔力40%充填、引き続き魔力吸収……あむっ」
勇太「んー……!!」
六花「んっ……勇太、座って…………そう、今度は上から吸収……んっ」
勇太「……ッ」
六花「ん……っ、凄く身体が熱い……多分これで限界まで魔力が高まったはず」
勇太「…………」
六花「……勇太?」
勇太「……はっ!!」
六花「少し魔力を吸収し過ぎてしまったらしい」
勇太「激しすぎだろ……」
六花「それでは脱出を試みる」
勇太「俺はもう使い物になりそうもない。任せた」
六花「爆ぜろリアル、弾けろシナプス……バニッシュメント、ディス、ワールド!!」
勇太「……疲れた」
六花「見える……この周囲、半径50mの景色が……人は今16人……いや、17人か」
勇太「……」
六花「トイレに向かう人影が2つ……一人はトイレに、もう一人も今通過……」
六花「勇太!今から12秒間は誰も来ない!出るなら今!」
勇太「こうしてても仕方ない。よし、お前の邪王真眼にかけた。行くぞ」
ガチャッ
六花「脱出!!」
客「キャッ!!」
勇太「」
勇太「お前の邪王真眼はどうなってんだよ……」
六花「まさかアンチバリアを……!」
樟葉「おにいちゃん……?」
勇太「樟葉!?」
六花「なるほど。勇太の妹の樟葉だから、勇太の魔力と調和して反応が薄れてしまっていたらしい」
樟葉「えっと……何してるの?」
六花「管理局の人間から逃れる為に一時身を隠していた」
勇太「まあ色々あってな……でも樟葉で助かったよ」
樟葉「……?」
六花「勇太、もたもたしている時間は無い。PTAが我々を探している」ダッ
樟葉「PTAに?おにいちゃん達、本当に何したの……」
勇太「なんでもない、樟葉も遅くならないうちに帰るんだぞ!」ダッ
樟葉「どうして二人が同じトイレから……」
樟葉「それにこのトイレ……ほんの少し熱気があるような……」
樟葉「なんだか匂いもほんの少し……」
樟葉「まさか、ね……」
トイレ「おしっこ流し忘れてるからその匂いだね」
みか「ふんふーん♪……あっ、樟葉ちゃん、こっちこっち!」
樟葉「ごめんねみかちゃん、トイレ行ってたら遅くなっちゃって」
みか「良いよ良いよ♪いつも後から来てて、樟葉ちゃんを待つなんて初めてだったから新鮮だったし!」
樟葉「ありがと……」
みか「どうかしたの?」
樟葉「うん、ちょっとだけ……」
みか「なになに?良かったら私に相談してよ!たまには私だって樟葉ちゃんの手助けしたいもん!」
樟葉「みかちゃん……」
みか「私達小学生からの親友だし!ドーンと来てよ♪」
樟葉「私……ずっと欲しい物があったの。昔から」
みか「昔から?」
樟葉「うん。多分10年くらい前からかな」
みか「それってまだ2歳の時!?随分長い間欲しいんだねー」
樟葉「でもね、それは多分手に入らないの」
みか「どうしてなの?」
樟葉「世界中どこに行っても……それは法律で禁止されてるから」
みか「法律……うぅ、頭が痛くなる……」
樟葉「でも私は一番近くでそれを見ていられたから幸せだった。自分の物じゃなくても幸せだった……」
みか「なんだかせつないね……」
樟葉「だけど最近現れた人がそれを持って行っちゃいそうなの」
みか「法律で禁止されてるのに!?」
樟葉「ううん。法律で禁止されてるのはほんの一部だけで、殆どの人は手に入れる権利はあるの」
みか「そんなのずるいよ!!」
樟葉「私、どうしたら良いのかな……」
みか「そんなの簡単だよ!」
樟葉「簡単?」
みか「もって行かれる前に盗んじゃえば!」
樟葉「でも法律で禁止されてるんだよ?」
みか「大丈夫!よく分からないけど中学生だからぎりぎりセーフだよ!」
樟葉「中学生でも法律は守らないと……」
みか「私が保障する!樟葉ちゃんはいっぱいいっぱい頑張ってるんだから、少しくらいワガママ言っても許されるよ!」
樟葉「みかちゃん……」
みか「もし樟葉ちゃんが逮捕されたら私も一緒に一生牢屋にいてあげるから!」
樟葉「一生って……なんだか凄い重罪になってるね」
みか「そうかな?」
樟葉「あははっ、でも凄くスッキリした。ありがとうみかちゃん!」
みか「はうぅ……っ」
樟葉「みかちゃん?」
みか「なんだか樟葉ちゃんの役に立てたと思ったら涙が……」
樟葉「お礼に6階でクレープご馳走するね」
みか「わーい♪クレープクレープ♪良い匂い♪」
樟葉「じゃあ……あっ!」
みか「ん?」
樟葉「さっきトイレの前まで行って戻って来ちゃったから……ごめんねみかちゃん、先に選んでて」タッ
みか「樟葉ちゃーん……お腹痛いのかな?」
みか「でも樟葉ちゃんも大変だなぁ……おにいちゃんを好きになっちゃうなんて」
みか「あー、でも樟葉ちゃんのおにいちゃんってすっごくかっこよかったからなぁ♪」
樟葉「トイレトイレ……あった!」
六花「脱出!!」
樟葉「キャッ!」
六花「ぴゃっ!びっくりした」
樟葉「おにいちゃん達……また?」
六花「管理局から逃――」
樟葉(絶対に渡さないんだから……っ)
六花「のわっ……さすが勇太の血族。凄まじい眼力……!」
また書くよ。次は妹があにするよ
勇太「はぁ……。今日は色々ありすぎて疲れたな……」
勇太「もう12時前だしそろそろ電気消して寝るか」ピッ
コンコン…
勇太「ん?なんだ、夢葉か?」
勇太「今日も母さんは夜勤だからな……入っておいで」
樟葉「おにいちゃん、夢葉じゃないんだけど良い……?」
勇太「なんだ樟葉か。どうしたんだよ」
樟葉「あの、えーっと……なんだか眠れなくて」
勇太「夢葉はまだ小さいから分かるけど、樟葉はもう中学生だろ?」
樟葉「怖い夢見ちゃったから……、だから……一緒に寝てほしい……とか」
勇太「とかってなんだよ。……でも樟葉が誰かに頼るなんて珍しいしな。ほら、入るなら入れよ」
樟葉「いいの?」
勇太「言っとくけど俺も寝てるんだから狭いぞ」
樟葉「うん、全然大丈夫。ありがとうおにいちゃん」ゴソゴソ
樟葉「こうして寝てるとなんだか懐かしいね……」
勇太「そうだなあ。夢葉が産まれるまでは毎日のように来てたもんな」
樟葉「毎日じゃないよ。怖い夢を見た時だけだったもん」
勇太「でも一週間に6回は怖い夢見てたんだろ?」
樟葉「うぅー……」
勇太「でも樟葉が産まれてお姉ちゃんになって、お前もしっかりしたよなあ」
樟葉「何かおにいちゃんお父さんみたい」
勇太「父さんは外国、母さんは夜勤、妹は3歳……炊事洗濯を全部こなす中学生。我が妹ながら感心するよ」
樟葉「別に……おにいちゃんだって手伝ってくれてるし……」
勇太「いつもありがとうな。樟葉」ナデナデ
樟葉「はぅ……」プシュー
樟葉「……ねぇ、おにいちゃん。高校って楽しい?」
勇太「そうだな。中学と違って平凡で楽しい学校生活を送ってるから」
樟葉「でも変わった部活に入ってるよね。極東魔術……なんだっけ」
勇太「極東魔術昼寝結社の夏。意味がよく分からない同好会だよ」
樟葉「じゃあどうして入ったの?」
勇太「それは……」
樟葉「……それは?」
勇太(丹生谷が気になって入ったんだっけ……これは言えないな……)
樟葉「もしかして気になる人がいたからだったりして」
勇太「なっ!あ、いや……あれは、その」
樟葉(やっぱりそうなんだ……おにいちゃんは六花さんの事……)
勇太「あれは確かにそうかもしれないけど、違うんだよ!」
樟葉「なにが違うの?」
勇太「だからその……実際は思ってたのと全然違ったって言うか……」
樟葉「?」
勇太「同好会に入って本性を知ったら思ってたのと全然違ったんだよ」
樟葉「そうなの……?」
勇太「今は普通に友達として。少し変わってるけど悪い奴じゃないし」
樟葉(見た目と本性が違うって事は……本当の六花さんって変な事言わない真面目な人なのかな……?)
勇太「もういいだろ。こんな話」
樟葉(じゃあおにいちゃんが気になったのは変わった六花さんで……おにいちゃんが好きな人は変わった人で……)
勇太「樟葉?」
樟葉「や、闇の炎に抱かれて……消えろ……とか?」
勇太「樟葉!?」
樟葉「うーん……難しい」
勇太「大丈夫か!?しっかりしろ!!」
勇太「そういう樟葉はどうなんだよ?」
樟葉「私?」
勇太「中学生なんだから部活とかあるだろ?何部に入ったんだよ?」
樟葉「私は入ってないよ。帰宅部だから」
勇太「部活に入っておいた方が受験の時とか有利だぞ?」
樟葉「でも帰って買い物行って、夕飯の支度とか洗濯物取り入れたり忙しいから」
勇太「そうか……」
樟葉「最近はおにいちゃん部活とかで手伝ってくれないし、ますます忙しいんだから」
勇太「わ、悪い、これからはもう少し手伝うよ」
樟葉「なんて、冗談だよ。私は炊事洗濯とか好きだし。おにいちゃんも昔より今の方が良いと思うから……だから家の事は私に任せてよ」
勇太「樟葉……」ウルウル
樟葉「ちょっと、おにいちゃん……泣かないでよ」
勇太「樟葉……!」ムギュッ
樟葉「ひぁっ……ん、おにいちゃん、落ち着いて……」
勇太「本当に樟葉はよく出来た妹だ……自慢の妹だよ」ムギュムギュ
樟葉「やめてよおにいちゃん、そんな事言われたら少し恥ずかしいよ……」
勇太「でも樟葉、もしやりたい部活とかあるなら家の事は気にせず参加していいからな」
樟葉「うん……ありがとうおにいちゃん……」
勇太「俺は中学で道を踏み外した。夢葉は六花に英才教育を施されて先行き不安。だから樟葉だけでも真っ直ぐ育ってくれよ」
樟葉「分かったから、おにいちゃん……そんなにきつく抱きしめられたら、ちょっと苦しいよ……」
勇太「これが抱きしめずにいられるか!」
樟葉「まったく……おにいちゃんは仕方ないな……」ギュッ…
樟葉「こうしてるとおにいちゃんの身体が昔より凄く大きくなったのが分かる……」
勇太「そりゃ育ち盛りだからな」
樟葉「でも変わらない……おにいちゃんの匂いだ……」
勇太「なんか最近、六花も同じ様な事言ってたな」
樟葉「……むっ」ギュウゥ
勇太「痛い痛い!どうしていきなりつねるんだよ!」
樟葉「……知らない」
勇太「ええ?」
樟葉「おにいちゃんにはデリカシーが無さ過ぎるよ」
勇太「何かよく分からないけど……すまん!」
樟葉「……許してあげない」
勇太「じゃあどうしたら良いんだよ」
樟葉「許して欲しかったら……キ、キ……」
勇太「き?」
樟葉「……キスして欲しい」
勇太「キス?」
樟葉「……うん」
勇太「ああ、そうか。なんだ、そんな事で良いのか」
樟葉「そんな事!?」
勇太「じゃあするぞ」
樟葉「そ、そんないきなり、おにいちゃ……」
勇太「んっ。これで良いのか?」
樟葉「……おでこ?」
勇太「本当に昔から樟葉はコレばっかりだよな」
樟葉「そうだったの?」
勇太「覚えて無いのか?何か機嫌損ねる度にこうしたら許すって言ってたんだよ」
樟葉「そういえば……」
勇太「まぁ少し違うのはキスとちゅーくらいかな。昔はちゅーって言ってたのに」
樟葉「だって……」
勇太「ん?」
樟葉「キスとちゅーは少し違うから……」
勇太「……一緒だろ?」
樟葉「……はぁ。もう良い。寝よう」
勇太「?」
樟葉「おにいちゃんは本当に……もう」
勇太「樟葉、あんまりそっちに行くとベッドから落ちるぞ」
樟葉「大丈夫だよ」
勇太「はぁ……」
樟葉「……」
ナデナデ
樟葉「……!」
勇太「明日は一時間目から体育かあ」ナデナデ
樟葉「おにいちゃん?」
勇太「ん?」
樟葉「あっ……そうだ、私も一つ思い出した」
勇太「思い出した?」
樟葉「おにいちゃんの髪を触る癖。昔から変わらないね」
勇太「ああ、いつの間に……」
樟葉「おにいちゃんに髪を弄られたら、いつも夢葉は寝づらいんじゃないの?」
勇太「いや、夢葉の髪は触らないから大丈夫だろ」
樟葉「そうなの?」
勇太「夢葉は俺と髪質が似てるし……樟葉以外の髪を触る癖なんてないよ」
樟葉「どうして私だけ……?」
勇太「樟葉の髪は……なんて言うかサラサラしてて触り心地が良くてさ」
樟葉「そうかなあ?」
勇太「昔から好きで気づいたら触ってるんだよな」
樟葉「そっか……好きなんだ……。だったら仕方ないかな……」
勇太「触ってても良いのか?」
樟葉「だっておにいちゃん昔から好きなんでしょ?」
勇太「じゃあ遠慮なく」ナデナデ
樟葉「私もこうしておにいちゃんに髪を撫でられるの……昔から好きだったから……」
樟葉「……」スヤスヤ
勇太「ん?寝たのか?」
樟葉「おにい……ちゃん……」スヤスヤ
勇太「そういえば俺ももう一つ思い出した。樟葉は髪を撫でるとすぐに寝る!」
樟葉「……えへへ」スヤスヤ
勇太「おやすみ、樟葉」
樟葉「おにいちゃ……だいすき……」スヤスヤ
勇太「俺も大好きだから。これからもよろしくな」
樟葉「……」スヤスヤ
勇太「さて、俺も寝るか」
朝チュンチュン
樟葉「んっ……あ、そうだ、私おにいちゃんの部屋で」
勇太「すぴー……」
樟葉「相変わらず良く寝てる……」
勇太「すぴー……」
樟葉「そうだ、思い出した。おにいちゃんが知らない私だけの思い出……」
樟葉「寝てるおにいちゃんにおはようのちゅー……ほっぺにしてたんだっけ……」
樟葉「……」
樟葉「もう中学生だから……おはようのキスかな……」
勇太「すぴー……」
樟葉「おにいちゃん、おはよう」
勇太「闇の炎に~……!」クルッ
樟葉「んん……っ!?」チュッ
勇太「ん?……んん!?」
樟葉「お、お、おにいちゃん、急に動かないでよ!」
勇太「な、なんだ、朝から!?……えっ!?」
夢葉「あー!おくちとおくちでキスしてたあ!!」
勇太「夢葉!?」
母「ただいまー」
夢葉「ままー、おにいちゃんとおねえちゃんが――」ダッ
勇太「こら夢葉!ちょっと待って!!」ダッ
樟葉「ちがうの、あれはほっぺにしようとして……じゃなくて、事故だったのー!!」ダッ
また書く。そろそろスレも終わりか……
樟葉ちゃんprpr
忙しい年末を過ごしつつ、親父さんが帰ってくるまで書く
富樫家
勇太「はぁ……やっと宿題終わったか。ななちゃん連休だからって宿題出し過――」
六花「勇太、サポートを……っ」
勇太「……」
六花「勇太、勇太!」
勇太「…………」
六花「ゆうた、たすけて……」
勇太「ハァ……。お前なあ、降りれないならベランダから来ようとするなよ」ササッ
六花「実は急ぎの用があって来た」
勇太「だったら尚更玄関から来い」
六花「ついに不可視境界線、もしくはそれに通ずる場所を発見した」
勇太「へぇ。どこだよ?」
六花「ついて来れば分かる」
勇太「そうか。じゃあ俺は寝る」
六花「勇太、不可視境界線に関係する場所を発見した」
勇太「……どこだよ」
六花「ついて来れば分かる」
勇太「じゃあ寝る」
六花「勇太、不可視境界線もしくはそれに通ずる場所を発見した」
勇太「…………」
六花「勇太、不可視境界線」
勇太「わかったよ。行くよ、行けば良いんだろ!」
勇太「それで?どこに向かえば良いんだ?」
六花「向こう」
勇太「随分アバウトだな……距離は?」
六花「おそらく2、30km」
勇太「遠すぎだろ!十花さんに車で連れていって貰えよ」
六花「それは出来ない。実は発見した時にプリーステスもいたが取り合ってくれなかった」
勇太「また何か十花さんを怒らせたのか?」
六花「違う。プリーステスにその場所を知らせた所、慌ててアクセルを踏み込んだ」
勇太「?」
六花「あれは間違いなく私をあの場から遠ざけたかったから。つまりあそこには私に知られてはまずい何かが隠されている。もしくはプリーステスの苦手な何かが」
勇太「十花さんが苦手な物か……確かに少し気になるな」
六花「そうと決まれば共に先を急ごう」
勇太「自転車こいで急ぐのは俺だけ何だけどな」
一時間半後……
六花「勇太、止めて。どうやらようやく到着したらしい」
勇太「お前……ここって……」
『HOTEL 闇の巨城』
六花「改めて驚かされる。まさかこんな所に闇に通ずる城があるとは」
勇太「そりゃ十花さんも慌ててアクセル踏む訳だ」
六花「やはり管理局が私に知られてはまずい何かが!?」
勇太「帰るぞ」
六花「どうして?」
勇太「……ん」
『3時間3980円~』
六花「管理局め、まさか入場料を取ると言うのか……」
勇太「そういう事だから帰るぞ」
六花「帰らない!」
勇太「ワガママ言うなよ」
六花「目的地を目の前にして引き下がるなど、武士の風上にもおけない!」
勇太「お前は武士じゃないだろ」
六花「家に帰ったらお金は返すから……」
勇太「ダメな物はダメだ。早くしないと置いていくぞ」
六花「ゆうたぁ……」
勇太「……知らん」タッタッ
六花「……」
六花「ゆうたあー」
六花「ゆうた……本当にいなくなった……」
男「どうしたの君?こんな所で一人?フヒヒ」
六花「……」
男「そうだ。良かったら俺がココへ一緒に入っ」
勇太「すいません。こいつ俺のツレなんで」
男「ああ!?だったら貰って行くだけだボケ!」
勇太「やれやれ。これだから下界のゲスな人間は困る」
六花「その声は……ダークフレイムマスター!」
勇太「貴様、誰に戦いを挑んでいるのか分かっているのか?」
男「な、なんだ?」
六花「我々は闇より産まれし存在」
勇太「俺の黒炎竜に焼き殺されるか」
六花「私の邪王真眼によって滅っせられるか」
勇太「好きな方を選ぶが良い。行くぞ六花!」
六花・勇太「爆ぜろリアル!弾けろシナプス!バニッシュメント・ディス・ワールド!!」ゴゴゴ
男「う、うわあー!精神的にとびきりヤバい奴らだー!」
勇太「はぁ……」
六花「勇太、カッコイイ!」
ちょ
六花「きっと勇太が来てくれると信じていた」
勇太「それも今回限りだ」
六花「勇太、ここで再び巡り会う事はきっと運命だった。だから闇の巨城へ」
勇太「入らない」
六花「今日の勇太は少しケチ……」
勇太「ケチとかじゃなくて……」
六花「だったら勇太も一緒に入ってほしい」
勇太「だ、だめったらダメだ!」
六花「勇太が入ると言うまでこの場から離れない……」
勇太「そうか。じゃあ本当に先に帰るからな」
六花「……」
勇太「もう知らん。……あれ?鍵が」ガチャガチャ
六花「…………」
勇太「……六花、鍵を何処へやった」
六花「……ぷいっ」
勇太「ぷいっじゃないだろお!」グリグリ
六花「痛い、ゆうた痛い……」
勇太「早く鍵を出せよ」
六花「この鍵だけは命に変えても死守する」
勇太「お前……」
勇太「いい加減にしろよ」
六花「勇太こそいい加減に私と此処に入るべき」
勇太「高校生にこう言うところは早すぎる」
六花「勇太となら大丈夫。初めてのどんな事もきっと乗り越えられる」
勇太「お前なあ……」
女「なにあの男?女の子があんなに誘ってるのに可愛そう……」ヒソヒソ
男「流石にあれは根性無さ過ぎだろ……」ヒソヒソ
勇太「なっ、いや、違うんです、本当に――」
六花「勇太の事を悪く言うのはこの邪王真眼が許さない」
女「なに?」
六花「爆ぜろリアル、弾けろシナプ」
勇太「やめろ!あっ、すいません。お騒がせしました」
男「なんだ?……もう行こうぜ」
勇太「お前、外で知らない人にあんまりバカな事するなよ。さぁ帰るぞ」
六花「分かった……勇太、ここから離脱しよう」
勇太「なんだ。急に聞き分けが良くなったじゃないか」
六花「ここまできて引き下がるのは非常に心残り。しかし勇太に文句言う人は許せない」
六花「これ以上ここに居ては勇太がまた精神攻撃を受けてしまう」
勇太「そんな大袈裟な……」
六花「勇太がゴキブリ以下の扱いを受けてしまう」
勇太「おい」
六花「闇の巨城……次に来るときは必ず……」
勇太「まだまだ来なくて良いから」
六花「そうだ。明日、凸守と来ることにしよう」
勇太「絶対にダメだ!」
六花「では誰となら来ても良いと言うのか」
勇太「それは……将来好きな奴とかと……」
六花「それならやっぱり勇太と入る」
勇太「話聞いてたか?」
六花「私は勇太の事が好き。将来もきっと好き。だから問題無い」
勇太「じゃあ夢葉は?」
六花「夢葉も好き。将来もきっと好き。……そうか、では後日夢葉と」
勇太「絶対に却下だ。そう言う好きじゃ無くて、もっとこう……恋人とかできたら」
六花「しかし私と勇太は契約を結んでいる。そんな恋人等と言う繋がり以上の繋がりがある」
勇太「もう頭がこんがらがってきた……」
六花「ゆうた」
勇太「分かったよ、入るよ。そのかわり一番安いのだからな」
六花「おお、急に態度が前向きに……まさか闇の力にあてられて……」
勇太「一応聞いておくが、ここがどんな所か知っているのか?」
六花「それをこれから調べに行く」
勇太「だよな……」
六花「勇太?」
勇太(なんだろうこの気持ち……)
六花「勇太、見て!この車もあの車も!ナンバープレートを隠している」
勇太「そうだな」
六花「これはきっと身分を隠すための作戦……やはり此処には何か重大な秘密が……」
勇太「まぁ秘密と言えば秘密かな」
六花「勇太、勇太!何やら巨大モニターに沢山の室内の写真が!」
勇太「テンション高すぎて疲れてきた……」
六花「写真を見たところ、この部屋が一番偉い者が使っていそう」
勇太「お昼は全部屋同じ料金なのか。だったら好きな部屋選んでいいぞ」
六花「305……ゆ、勇太、矢印が光って誘われている」
勇太「分かったからさっさと行くぞ。他の人と鉢合わせたら気まずいし」
305
六花「なんと重そうな扉……高度な術式が」
勇太「分かったから」ガチャッ
六花「さ、さすが勇太。この術式をこうもあっさりと」
勇太「へぇー。結構広いんだな」
六花「あっ、勇太、だめ。私が先に探索を!」ダッ
六花「こ、これは……なんて大きなベッド。しかもふかふか」ポンポン
勇太「飛び跳ねるなよ」
六花「ふかふか!」ポーン
勇太「分かったから」
六花「こっちはお風呂……なんてサイズ。まさに王が入っていたに違いない。早速お湯を入れる」ザバザバ
勇太(なんか……緊張してきた)
六花「ではお湯がたまるまでに魔力の補充をする」
勇太「魔力の補充?」
六花「ここにメニュー表を発見した。しかも一品に限りすべて0円」
勇太「……本当だ」
六花「私はカツサンドを。勇太は?」
勇太「俺はいいよ。なんだか食欲無いし」
六花「では勇太の分も私がいただく。カツサンドとハンバーグ定食を……」
勇太(なんで俺だけ緊張してるんだよ……)
勇太「お前、良く食うな」
六花「つねに戦いの中に」
勇太「わかった。もう言うな」
六花「しかし赤い果実はなぜどんな料理にも侵入してくるのか……勇太」
勇太「食えば良いんだろ。食えば。あーん」パクッ
六花「……」
勇太(しまった……これはまた間接キス……。いやいや、俺達は今まで契約とかなんとかでもっと直接的な――)
六花「……」じぃー
勇太「な、なんだよ」
六花「勇太はよく赤い果実を食べても平気だなと観察している」じぃー
勇太「あ、あんまりこっち見るなよ」
六花「勇太の顔がほのかに赤く……やはり赤い果実の影響が出ている」
勇太「いいから!……って、うわあ!!」バタンッ
六花「勇太、大丈夫?何も無いところで転ぶなんて……やはり魔力の低下が」
勇太「近い!六花、顔が近い!」
六花「?」
~♪
六花「この音楽は死を呼ぶ魔曲!?」
勇太「風呂の湯が溜まった音楽だろ……。そうだ、俺は風呂に入る。お前はゆっくりご飯を食べてろ」
六花「了解した」
勇太「はぁ……疲れた。って言うか風呂でかいな」
勇太「ジャグジーに泡ブロ……確かにこりゃ快適だ」
六花「それだけじゃない」ガラッ
勇太「おまッ!!」
六花「なんとここにもエアー式ベッドが完備されている。さっき発見した。勇太より先に!」ドヤァ
勇太「ドヤァじゃなくて!入ってくるなよ!!」
六花「しかし此処のお風呂はハート型になっていて、二人で入れる仕様」
勇太「そうだとしても入ってくるか普通……」
六花「なるほど。お風呂でベッドに寝ると言う行為もなかなか……」
勇太「……」
六花「勇太、このボディーソープは全然泡立たない」
勇太「……そうか」
六花「それどころかヌルヌルして立つのも難し……おっ、とっ……な、」ツルッ
勇太「危ない!って、なんだこれヌルヌル!?」ツルッ
ドスン!!
六花「どうやらベッドのおかげで命拾いしたらしい。これからはお風呂にエアー式ベッドは必須」
勇太「お前、何で体洗ったんだよ……転んだひょうしに中味全部ぶちまけたぞ……」
六花「分からない。でも体中ヌルヌル……起き上がるのも難しい……ッ!」ツルッ
もにゅっ
六花「これは想像以上に危険……ベッドのツルツルと体のヌルヌルで身動きが取れない」
勇太「……六花、頼むからこの状態でしがみつかないでくれ」
六花「なんとかシャワーまで手が届けば……」
勇太(まずい、まずいまずいまずい……)
六花「何か掴まる物があれば…………こ、これは」
勇太「胸が、六花……胸が」
六花「勇太、もう大丈夫。少し黒炎竜を握らせてもらう」
勇太「握るってお前……握る!?」
六花「握ったままバランスをとって……手を伸ば……あっ、手が」ニュルッ
勇太「あっ!」ビュル
六花「……ぎゃふん」バタッ
勇太「……」
六花「……」
勇太「……六花、大丈夫か」
六花「計算通り転んだ勢いでシャワーの元に到着。直ちに洗い流す」シャワワー
勇太「やっとヌルヌルから解放されたか……」
六花「でも勇太の周りのヌルヌルがはなかなか取れない」
六花「勇太の黒炎竜が小さく……もうこの場には反応するような敵は居ないと言う事?」
勇太「悟りの境地。六花、先に上がっていたまえ」
六花「なんだか勇太から優しいオーラが……」
勇太(目をつむって……五感全てで空気を感じるのです……)
六花「私は一足先に上がって探索を続け……ッ」ツルッ
勇太「まだ足元が綺麗になりきっていない。ゆっくりと歩――」
もにゅ
六花「危ない……勇太がここに立って居なかったら転んでいた」ギュッ
勇太「五感で……」
六花「それでは今度こそ先に上がって探索を始める」
勇太「五感で……感じてしまった……」ビンッ
帰ってきた。また続き書く
もう少し、もう少し
今日は絶対書くつもりだったのに、アニメ見て壁殴ってたらこんな時間か……
わかる。あんなにできた中学一年生なんて奇跡
勇太「おまたせ。なんだ、またバスローブ着てるのか」
六花「随分遅かっ……勇太?」
勇太「なんだよ。不思議そうな顔して」
六花「勇太から邪悪な気が更に消えている」
勇太「ああ、賢者だからな」
六花「勇太は賢者になっちゃだめ。奴らは我々にとって敵」
勇太「今まで賢者と思ってたのはさ、精々僧侶だったんだよ」
六花「?」
勇太「一度目に僧侶になり、その先にある二連発目でようやく賢者になれるんだ」
六花「なんだか分からないけど勇太はダークフレイムマスター。賢者になんてなってはいけない」
勇太「無茶言うなよ。これは言わば強制的に転職して――」
六花「勇太、かえってきて!」グイッ
勇太「……六花、胸が……バスローブがはだけてるぞ」
六花「ゆうた、かえってきて。我が魂の叫びに答えよ!」
勇太「だ、だから胸元がさっきからチラチラ……」ムクムク
六花「おぉ、黒炎竜が邪王真眼に共鳴している」ジィー
勇太「」ビコンッ
勇太「それで?何か面白そうな物でも見つけたのか?」
六花「部屋の中を隈なく探索したところ、謎の小袋を発見した」
勇太「それってお前……」
コンドーム「はい」
六花「早速開封してみる」
勇太「ま、まてまて!」
六花「……勇太はこれが何か知っているの?」
勇太「それは……あの、えっとだな……」
六花「そんなに悩まずとも開封すれば全て分かる」ビリッ
勇太「だから待てってば!それはあれだ、俺の装備品で……」
六花「勇太の装備品?でも何処にどうやって?」
勇太「だから……こ、黒炎竜に……」
六花「黒炎竜の装備品!?すごい、そんな物がここにあるなんて……やはり侮れない」
勇太「そうだな。だからそれはお前が開けなくても良いん――」
六花「見たい」
勇太「ん?」
六花「勇太が黒炎竜にコレを装備している所を見てみたい!」
勇太「おおぅ……」
六花「封印解除」ビリビリ
勇太「……」
六花「丸い……ゴム状の装備品」
勇太「で、でもさ、さっき言った通りコレは装備品であって拘束具じゃないんだぞ?」
六花「つまり暴走を制御するのでは無く、暴走してから装備する」
勇太「そうだ」
六花「なら問題なさそう」
勇太「……」ギンギンッ
六花「勇太、早く装備を」
勇太「分かったよ。付けるからお前はあっち向いてろ」
六花「どうして?」
勇太「……なんか恥ずかしいから」
六花「でもどんな物でも装備する瞬間が一番カッコイイと決まっている」
勇太「もう何プレイだよこれ……」
勇太「わ、我が黒炎竜に最強装備、コンドムを装備させる。とくとその目に焼き付けるがいい!」
六花「……!」キラキラ
勇太「こい、コンドム!」
六花「すごい、このコンドムが勇太の黒炎竜を見事に包み込んだ」
勇太「こ、これはプラグスーツのような物で、装着したさいにフィットするように出来て……」
六花「それで!」
勇太「……何が?」
六花「だから、それで黒炎竜を包み込んだらどうなるの?」
勇太「どうって……避妊出来るようになるとしか……」
六花「?」
勇太「し、白き炎は知ってるだろ?」
六花「知っている。勇太の黒炎竜から飛び出す液体状の炎」
勇太「それを封印するための道具と言うか……」
六花「どうして封印するの?」
勇太「それは、体内に入ったら……妊娠するかも知れないから……」
六花「なるほど……白き炎には人間で言う精子と似たような性質が」
勇太「精……!?お前、なな、な……」
六花「昔学校で習った。男性の精子と女性の卵子が引っ付くと子供が出来る」
勇太「そ、そう……」
六花「勇太……」
勇太「なんだ?」
六花「勇太の赤ちゃん……できたかもしれない」
勇太「は、はあ!?ええ!?」
六花「前に、勇太の白き炎……飲んだから」
勇太「あ、ああ、大丈夫だよ。飲んだくらいなら妊娠なんてしないはずだから」
六花「でもお腹の近くに卵子は有る。飲んだ白き炎がお腹に入って赤ちゃんが……」
勇太「口から入っても妊娠しないから安心しろ」
六花「じゃあ何処から入ったら赤ちゃんが出来るの?」
勇太「なんか今日はアグレッシブに質問してくるな……」
勇太「……」
六花「やっぱり私には勇太の赤ちゃんが」
勇太「違う違う!だから、お前の、あー……えっと、魔力の根源だっけ」
六花「うん」
勇太「そこに入ったら妊娠するかも……って話だ」
六花「なるほど。勇太の黒炎竜から放たれた白き炎を、私の魔力の根源で受け止める」
勇太「そうそう」
六花「二人の魔力が合わさり新しい魔力が生まれ、やがてそれは赤ちゃんとなり……つまり赤ちゃんは二人の魔力の結晶」
勇太「もうそれで良いから」
六花「でもそれだと理解できない事がある」
勇太「今度はなんだよ」
六花「このコンドムを装着すると白き炎が封じられて赤ちゃんが出来ない」
勇太「まあ……赤ちゃんが出来ないようにする道具だから」
六花「だったらどうして精子と卵子を近づけようとするの?」
勇太「ぐぬぬ……」
勇太「それは気持ち良……じゃなくて、スポーツだよスポーツ!」
六花「スポーツ?」
勇太「そう!子作りって言うのは相当体力を使うんだ。だから体を鍛える感じで……な」
六花「スポーツは苦手……どんな事をするの?」
勇太「…………」
六花「勇太?」
勇太「だあぁ!!もう考えるのがめんどくさくなってきた!だから率直に言う!」
六花「?」
勇太「黒炎竜を魔力の根源に出し入れすると、子作りと同時に凄まじい快楽を得る事が出来るらしい。その快感だけを得る為にするんだよ」
六花「白き炎だけでなく、勇太の黒炎竜そのものが……魔力の根源の中に?」
勇太「そうだ」
六花「……スポーツは嫌い」
勇太「知ってるよ」
六花「でも、そのスポーツは少し興味がある……」
勇太「ええっ!?」
六花「お風呂に入った時から、魔力の根源がずっと疼いている」
勇太「疼いているってお前……」
六花「お風呂から出て勇太を待ってる間も……ずっとずっと、魔力が抑えられない」
勇太「り、六花?」
六花「何故か分からない。でも……多分私のココは勇太の黒炎竜を欲している」
六花「勇太の黒炎竜を見て疼きが酷くなった」
六花「この疼きを静める事が出来るのは……多分勇太の黒炎竜だけ……だと思う」
勇太「でもこういう事は、恋人とか、その先の夫婦がするものだから……」
六花「大丈夫。我々はパートナーとして契約している。そんな関係よりも深い関係」
勇太「……それでもダメだ。さっき言った通り恋人や夫婦じゃなくちゃ、契約者じゃダメなんだよ」
六花「ゆうた……」
勇太「だから六花、俺を格下げしろ」
六花「格下げ?」
勇太「今から俺はお前の契約者じゃなく、ただの恋人になりたい」
六花「……」
勇太「……ダメか?」
六花「契約者が最上級の関係……」
勇太「分かってるよ」
六花「でも、恋人から夫婦を歩んで……また契約者になってくれるなら考えても良い……」
勇太「分かった。また契約者になる。だから恋人になってくれないか?」
六花「……うん」
勇太「じゃああれだ……キスでもしてみるか」
六花「……契約の口づけ?」
勇太「違う。もう契約者じゃないからただのキスだ」
六花「……はずかしい」
勇太「今更!?」
六花「契約者と違って恋人としてするのは……ただの愛を確かめる行為」
勇太「や、やめろよ。なんか勢いで言ったのにドキドキしてきただろ」
六花「……電気消してするなら良い」
勇太「電気だな。確か枕元にボタンが……うわっ、なんだこれ。ボタンありすぎて……」
六花「すぅー……はぁ……」
勇太「これはラジオで玄関ライト……部屋の電気は……これか!」カチッ
六花「真っ暗」
勇太「よし、じゃあ改めて――」
六花「待って。勇太、このまま……」
勇太「このまま?」
六花「ベッドに寝転んだまま……してみたい」
勇太「わ、わかった。じゃあいくぞ」
六花「勇太からしてもらうのは……なんだかドキドキする」
勇太「恥ずかしいからもう何も言うな!……んん!」
六花「……ゆうた」
勇太(キスの最中にも喋……え?どうやって?)
六花「そこは鼻」
勇太「ええ!?す、すまん、明るい所から急に真っ暗だったから!」
六花「……仕方ない。ならやはり私が……んっ」
勇太「んん!?」
六花「ん……ちゅ、んっ……ぷはっ」
勇太「お前……よく場所とか分かったな……」
六花「邪王真眼は最強」ドヤッ
勇太「なるほど……眼帯をしてたから片目は闇に慣れてたのか」
六花「闇に慣れてたのか……ってちょっとカッコイイ」
勇太「じゃあ……するか」
六花「……私はこういう行為には経験が無い。勇太に任せる」
勇太「お、俺だって初めてだよ!」
六花「でも勇太にはこういう知識が沢山ありそう。あの書物」
勇太「わ、わかったから、もうあれは忘れろ!」
六花「私はどうすれば良い?」
勇太「まずは……バスローブ脱いでもらって良いか?」
六花「了解した……」シュルシュル
勇太「だいぶ目が慣れてきたな……」
六花「……次は」
勇太「じゃあ横になって……足は少し開いて膝はたてて」
六花「こ、こう……?」
勇太「えっと、多分そんな感じかな……」
六花「……勇太、あまりジロジロ見ちゃダメ」
勇太「でも、するまえによく濡らさないと入らないから」
六花「大丈夫。お風呂とさっきのキスで……黒炎竜を受け入れる準備は整っているはず……」
勇太「そんな……うわっ、本当に……」クチュッ
六花「んっ、勇太……触っちゃダメ……」
勇太「触っちゃダメって、これからコレ入れるのに大丈夫か……」
勇太「……よし。さらば童貞!」グッ
六花「ッッッ!!」ビクッ
勇太「な……かなか、入らない……」ググッ
六花「あっ、うっ……ぐぅ、い、痛い……勇太、痛い……っ!」
勇太「ええ!?ちょっと待って、すぐに抜くから!」
六花「はっ、はぁっ、痛い、いたい……っ」
勇太「大丈夫か六花?もう抜いたから」
六花「ゆうたぁ……いたぃ……」
勇太「まだ先を少し入れただけなのに、そんなに痛いのか……」
六花「勇太の魔力が、強大過ぎる……のかも……」
勇太「今日はやめとこうか?」
六花「……大丈夫。もう一度、今度は我慢する」
勇太「我慢って……じゃあ体勢を変えてみるか」
勇太「そうそう、後ろ向きで四つん這いになって」
六花「ゆうた、これ恥ずかしい……」
勇太「少しだけ我慢してくれ。あとは入れ……」
六花「……んっ!あっ、んん!ゆうた、待って、ダメッ」
勇太「悪い、やっぱり痛かったか?」
六花「違う、そうじゃなくて……」
勇太「?」
六花「そっちは……違うから……魔力の根源はもう少し前にある」
勇太「もう少し前?……あ、うわあああ!す、すまん、本当に、後ろからだと何処かよく分からなくて!」
六花「勇太が欲しいならいずれあげても良い……でも今日はダメ」
勇太「じゃ、じゃあ改めて……こっちだな」グッ
六花「ッッ!!」
勇太「六花、大丈夫か?」
六花「よ……余裕……っ」ウルウル
勇太「いや、全然ダメだろ……」
六花「……」
勇太「そんなに落ち込むなよ」
六花「私の魔力では勇太を満足させる事が出来なかった……」
勇太「だから気にするなって」
六花「勇太、やっぱりもう一度!」
勇太「いや、今日はもうやめとこう」
六花「あぅ……」
勇太「一日に何度もお前の辛そうな顔なんて見たくないからな」
六花「勇太が優しいのはうれしい……でも、」
勇太「魔力の漏れは止まらない……だろ」クチュ
六花「んっ……ゆうた……」
勇太「ゆっくりでいいよ。少しずつで。それまでは手で六花の魔力の暴走を静めてやるから」
六花「了解……した……。わ、私も……勇太を、あうっ……満足、んんっ!……手と、口、あっ、ゃ……んんっ!」
勇太「何言ってるか分からないぞ?」
六花「やっぱり、ゆぅ……た、は……んんっ、いじわる……」
勇太「我慢しなくて良いから。もう全部出していいぞ」
六花「ま、魔力……か、ぁっ、ん……解放……んん――ッッ!!」ビクンッ
勇太「最後まで中二病か」
六花「……ゆうた」
勇太「ん?」
六花「ずっと……聞きたかったことがある」
勇太「なんだよ」
六花「勇太は……勇太は……」
勇太「?」
六花「勇太は丹生谷の事が……好き?」
勇太「はあ!?」
六花「部を設立した時、勇太は入ってくれなかった。でも丹生谷が入ると聞いた途端に態度が一変して入部した」
六花「これは勇太が丹生谷目当てで入部したと考えるのが一般的考え……」
勇太「えっと……その話しは今するべきだったのか?」
六花「私は……ずっと気になっていた……丹生谷も書物の人間も皆大きい……胸とか……」
勇太「……はぁ。確かにそうだよ。俺は丹生谷が気になって部に入った。その通りだ」
六花「あぅ……」
勇太「でもな、丹生谷の本性を良く知って、六花の事を良く知って……」
六花「ゆうた?……はぅ!ゆうた、急に抱きしめたらビックリする……」
勇太「今はこの手の中に収まる感じが、お前だけが好きだよ」
六花「私は胸も大きくは無いけど、それでも……」
勇太「言っただろ。今は手に収まるくらいが好きだって」
六花「……勇太はロリコン」
勇太「おい!」
勇太「うわっ、もう外は薄暗いな。……なんか3時間もあっと言う間だったな」
六花「しかしその3時間で私達の関係は大きく変化した」
勇太「……」
六花「……」
勇太「顔真っ赤にして何言ってんだよ」
六花「勇太こそ、太ももに挟まれて白き炎を大量に」
勇太「わわ、悪かったよ!!帰るぞ。……ほら!」スッ
六花「?」
勇太「こ、恋人なら、手を繋ぐくらい普通だろ」
六花「うん……了解した」ニギッ
勇太「さぁ、買い物して帰るか」
六花「今日はカレーが食べたい」
勇太「カレーかぁ。って、お前うちで食っていく気か?」
六花「違う。今日はプリーステスがいない。だから勇太が私の家で作る」
勇太「はぁ……分かったよ。じゃあ材料も多めに買って……うちの分を作ってからな」
六花「じゃあカレーを食べたら……またさっきの練習をする」
勇太「お、おう」
六花「ゆうた、早く買って早く食べていっぱい練習する!」
勇太「わかったから大声出すなよ!」
もうこのスレは持たない!みんな逃げるんだ!!
次書くときはまたスレ立てる。
好きなカップリング教えてね!
スレを埋めるのも紳士の嗜み
六花「勇太、はやく」
勇太「そんなに急ぐなよ」
六花「でも我慢できない。身体が勇太を欲している」
勇太「だからそういう事を大声で言うな!まだホテル街なのに……」
凸守「おや?マスターとダークフレイムマスターではないデスか」
勇太「うわっ!……って、なんだお前か。…………ええ!?」
六花「凸守、まさかこんな所で出会うとは」
凸守「実は先日この辺りに強大な魔力を秘めた城を発見したデス!」
六花「そこならたった今探索してきた」
凸守「さすがマスター!では凸守も早速探索してくるデス!」
勇太「まてまて!お前、まだ中学生だろ!」
凸守「何を言っているデスか?そんなの当然デス」
勇太「お前にはまだ早すぎる」
凸守「この男も強大な魔力を感じ、共に戦ってくれるから大丈夫なのデス!」
勇太「……この人は知り合いか?」
男「あ、ああ……あばば……」
凸守「知り合ったのはさっきデスが、実は名を守本と言って、凸守と同じ名に【守】を持つ男なのデス!しかも前世は魔導師で凸守と共に――」
勇太「この人の名前は守本なんかじゃないぞ」
凸守「何を言い出すデスか?」
勇太「この人は中学の時の担任で名前は――」
男「すまん!」ダッ
凸守「逃げたデス!さては管理局の人間による罠だったようデス!」
勇太「これからは知らない人にホイホイ付いて行くなよ」
凸守「余計なお世話デス」
勇太「あのなぁ、本当に酷い目にあってからじゃ遅いんだぞ?」
凸守「酷い目ってなんデスか?」
勇太「それは……こういう所に連れ込まれたり……」
凸守「凸守は乗り込もうとしていただけデス」
勇太「怖い大人に追い回されて、泣きながら逃げることになるかも知れないだろ!」
凸守「実際、大人が子供を追い回している場面なんて見たこと無いデス」
勇太「お前なあ……」
森夏「た、たすけてー!!」ダダダッ
勇太「ほら見ろ。まさに目の前を泣け叫びながら走ってるじゃないか」
凸守「あいつは何をやってるデスか……」
森夏「えっ、嘘!富樫くん!?」
勇太「どうしたんだよ」
森夏「お願い、助けて。追い回されてるの!」
勇太「ええ!?本当か?」
森夏「車で連れて来られて……降りたらホテル街で……私怖くて……」
勇太「……わかった。とにかく逃げよう。話しの続きはその後で――」
「ふん、この私から逃げれると思っ……」
森夏「助けて!」
勇太「何してるんですか、十花さん……」
森夏「私も軽率だったの。でもまさかいきなりホテルに行くなんて思ってなくて……」
十花「実にまずい展開だな」
勇太「何冷静にまずそうな顔してるんですか!普通に犯罪の一方手前ですよ!」
十花「姉としての威厳が」
勇太「もう人としての最低限の威厳すら失いかけてますよ!!」
六花「お姉ちゃん……何してるの……?」
勇太「ほら、六花もなんか変な感じになっちゃってますよ!!」
十花「勇太、この場を上手くやり過ごす方法は無いか?」
勇太「ありませんよ!!」
凸守「なんと凄まじいツッコミの嵐……ダークフレイムマスター……凄い、凄すぎるデス……ッ!」ジュンッ
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