スザク「カレンにリフレイン極めたら幼児退行してしまった。困ったぞ」(210)

スザク「君が喋らないというなら、もうこれしか方法がないんだ!!」

カレン「やめて!!」

スザク「ゼロはルルーシュなのか?!」

カレン「しらないって言ってるでしょ!!」

スザク「じゃあ、やっぱりこれで……」

カレン「くっ……!!」

スザク「カレン……」

カレン「やるならやりなさいよ!!」

スザク「……いいんだな?」

カレン「……あ、やっぱり、ダメ―――」

プスッ

カレン「あ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1337652353(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)

スザク「さあ、カレン。喋ってもらうぞ」

カレン「……」

スザク(はっ。こんな物に頼って聞き出そうなんて……)

スザク(これじゃあルルーシュと一緒じゃないか……!!)

スザク「すまない、カレン。僕が―――」

カレン「おにいちゃん?」

スザク「え?」

カレン「お兄ちゃん、みてみてー。テストで100点とれたよー」

スザク「カ、レン……?」

カレン「いつもみたいに頭なでなでしてー」

スザク(薬の分量を間違えたか……?)

スザク「カレン、あの……」

カレン「お兄ちゃん、どうしたの?」

スザク「僕は君の兄じゃない」

カレン「え……」

スザク「僕は枢木スザクといって……」

カレン「どうして……そんな意地悪言うの……?」

スザク「意地悪じゃない」

カレン「うっ……ぐすっ……お兄ちゃん……カレンのこと……嫌いになったの……?」

スザク「違う!!嫌いとかそういうことじゃない!!」

カレン「じゃあ……好き?」

スザク「……それも違う」

カレン「うぅ……」

スザク「泣くな!!」

カレン「うえぇぇん……おにいちゃんがおこったぁ……」

スザク「くっ……どうして……こんなことに……」

スザク「どうしたらいい……どうしたら……」

カレン「うぇぇん……うぐっ……」

スザク「そろそろ定例会議の時間だな」

カレン「……」ギュッ

スザク「な……」

カレン「お兄ちゃん……どこにもいかないで……」

スザク「カレン、離すんだ」

カレン「……」フルフル

スザク「ダメだ。僕には仕事がある……!!」ググッ

カレン「いやぁ……!!」ギュゥゥ

スザク(なんて握力……!!流石はカレンだ)

カレン「いかないで……お兄ちゃん……」

スザク「カレン……いい加減にするんだ……!!」

カレン「ひっ」

カレン「お兄ちゃん……どうして……?」

スザク「僕は君の兄じゃない」

カレン「うそうそ!!お兄ちゃんはカレンのお兄ちゃんだよ!!」

スザク「いいから離すんだ!!!」

カレン「ひぐっ」ビクッ

スザク「……また様子は見に来る」

カレン「お兄ちゃん!!!まって!!まってぇぇ!!!」

スザク「……」スタスタ

カレン「おにいちゃん!!!おにいちゃん!!!」

スザク(僕のミスとは言え……大変なことになった)

スザク(でも、リフレインは時間が経てば効果が薄くなるはず)

スザク(しばらくすれば落ち着くだろう)

カレン「おにいちゃぁぁん……いやぁぁ……」

スザク「……」

会議室

ナナリー「では、以上で定例会議を終わります」

ジノ「スザク。少し付き合って欲しいことがあるんだけど。この後、時間あるか?」

スザク「ああ、構わないよ」

ナナリー「スザクさん」

スザク「なんでしょうか?」

ナナリー「カレンさんとお話をしたいのですが、いいですか?」

スザク「それは勿論―――」

スザク(いけない!!カレンは今……!!)

スザク「申し訳ありませんが、今面会はできません」

ナナリー「え?」

スザク「ジノ。急用を思い出した。すまない」

ジノ「あ、ああ」

スザク(カレンの状態を確認しておかないと……!!)

隔離部屋

スザク「……」

カレン「……」

スザク「……カレン?」

カレン「え……」

スザク「気分はどう―――」

カレン「おにいちゃぁん!!!おにいちゃぁぁん!!!」

スザク「なっ……!?」

スザク(まだ、薬の効力は残っているのか……)

カレン「おにいちゃん!!カレン、いい子になるよ!!だから嫌いにならないで!!おねがい!!」

スザク「……」

カレン「ちゃんと早起きする!!歯磨きもする!!ピーマンもたべる!!だから嫌いにならないでぇ!!」

スザク「カレン……」

カレン「おにいちゃぁぁん……」ウルウル

スザク(このままではカレンの精神に重大な後遺症を残してしまうかもしれない……!!)

スザク(そうなればゼロの情報はもう引き出すことができない)

カレン「おにいちゃぁぁん……ぐすっ……」

スザク「カレン。悪かったよ」

カレン「お兄ちゃん?」

スザク「寂しかっただろ?」

カレン「うん……うんっ……」

スザク「よしよし……カレンは強いな」ナデナデ

カレン「お兄ちゃん……♪」

スザク「テストで満点取ったんだな」

カレン「うんっ!」

スザク「すごいじゃないか。よくがんばったな」

カレン「えへへ……次もがんばるから。ナデナデしてね?」

スザク「ああ、勿論だよ」

スザク(今はカレンに合わせて、僕が兄を演じるしかない……!!)

スザク「そうなのか」

カレン「それでね、友達が―――」

ジノ「スザクー、ここにいたのか」

スザク「……!?」

カレン「ダレ?」

スザク「ど、どうしたんだい?」

ジノ「いや、ちょっとな。私もその捕虜には興味があるから」

スザク「そ、そうなのか……」

カレン「お兄ちゃんのお友達?」

スザク「カレン……?!」

ジノ「お兄ちゃん?」

スザク「あ、いや……!!」

カレン「こんにちは。私、紅月カレンっていいます。いつもお兄ちゃんがお世話になっています」

スザク「やめるんだ!!カレン!!」

ジノ「……」

カレン「でも、お母さんはいつも「お世話になっている人にはちゃんと挨拶しなさい」って」

スザク「それは確かに大切なことだけど……」

ジノ「おい」

スザク「……」

ジノ「スザク、何をしたんだ」

スザク「……」

ジノ「答えてくれ」

スザク「これ、は……」

ジノ「まさか……」

スザク「えっと……」

カレン「お兄ちゃん、どうしたの?」

ジノ「スザク!!」

スザク「……す、すまない!!勢いで……!!」

ジノ「捕虜を使って兄妹ごっことは……恥ずかしいと思わないのか!!!」

スザク「すまない!!僕もこうなるなんて思わなかったんだ!!!」

ジノ「なんて……羨ましい……!!」

スザク「反省している」

ジノ「私にも一声かけてくれてもよかっただろう!!!」

スザク「だが!!どうしても結果が欲しかったんだ!!」

ジノ「結果だと……。こんな可愛い捕虜を妹にすることがお前の求めていた結果か!!?」

スザク「違う!!決して本気だったわけじゃない!!」

ジノ「見損なったぞ……」

スザク「……」

カレン「お兄ちゃんをいじめないで!!!」

ジノ「!?」

スザク「カレン……」

カレン「お兄ちゃんに酷いこといわないで!!お兄ちゃんが困ってる!!」

ジノ「徹底しているな……。僅か数日でここまで調教したのか」

スザク「想像以上の効果だ。僕自身も驚いている」

ジノ「スザク……君にそんな才能があったなんて……驚きを隠せない」

スザク「こんなことをするつもりは……」

カレン「お兄ちゃん……泣かないで……」ギュッ

スザク「泣かないよ。こんなことで」

カレン「お兄ちゃんにはカレンがついてるからね」

スザク「ありがとう」ナデナデ

ジノ「……!!」

スザク「ジノ。僕を軽蔑してくれても構わない。だけど、僕は必死なんだ!!」

ジノ「そうなのか……」

スザク「ああ」

カレン「お兄ちゃん……お兄ちゃん……」スリスリ

ジノ「スザク……なら、頼みたいことがある……」

カレン「なんだ?」

ジノ「君の力で……アールストレイム卿を私の妹にできないか?!」

スザク「え?そんなの無理だよ」

ジノ「何故!?」

スザク「いや、常識的に考えて無理だよ、ジノ」

ジノ「だが、カレンは妹になっているじゃないか!!」

スザク「これは不可抗力だから」

カレン「お兄ちゃん……だーいすき……」

ジノ「不可抗力でも……同じ手段を用いれば……できるんじゃないのか?!」

スザク「ジノ……それだけはできない」

ジノ「どうして?」

スザク「アーニャをジノの妹にする意味がない」

ジノ「いや……確かにそうだが……。でも、それならスザクにカレンを妹にする理由がないじゃないか」

スザク「だから、これは事故だ。何も妹にしたくて―――」

カレン「お兄ちゃん……カレンのこと……きらい?」

スザク「好きだよ?」ナデナデ

カレン「……よかった」ギュッ

ジノ「スザク……!!」ギリッ

スザク「ごめん、ジノ。君の願いは叶えられない。諦めてくれ」

ジノ「くっ……」

カレン「お兄ちゃん、今度お兄ちゃんにお弁当作ってあげたいんだけど……」

スザク「嬉しいけど、そんな気を遣わなくてもいいよ、カレン?」

カレン「違う!!」

スザク「え?」

カレン「あ、たしが……作りたいの……お兄ちゃんのために……」モジモジ

スザク「そうか。カレンは本当にいい子だ」

カレン「お兄ちゃん……」

ジノ「スザク……」

スザク「僕はもう少しカレンの様子を見ておくよ」

ジノ「そうか……」

スザク「うん」

ジノ「それじゃあ、また後で……」

スザク「わかった」

カレン「さようなら」

廊下

ジノ「……」ガンッ!!

ナナリー「……あの」

ジノ「ナナリー総督?!」

アーニャ「どうかした?」

ジノ「いや。なんでもない」

ナナリー「カレンさんの様子はどうでしたか?」

アーニャ「見に行ったんでしょ?」

ジノ「ああ……」

ナナリー「スザクさんは何かを隠しているようでしたけど」

ジノ「枢木卿は捕虜と楽しそうにしていましたよ」

ナナリー「そうなのですか?」

アーニャ「じゃあ、面会しても問題なし?」

ジノ「……まあ……大丈夫だと思う」

ナナリー「よかった。もしかしたら体調を崩したのではないかと心配していたんです。では、カレンさんに会いにいきましょう」

隔離部屋

カレン「それでね、それでね」

スザク「うん」

スザク(ダメだ……効果が切れる様子がない)

スザク(量が多すぎたか……?いや、でも飽く迄自白させる分量しか……)

ナナリー「スザクさん」

スザク「ナ、ナナリー!?」

アーニャ「私もいる」

スザク「ど、どうされたのですか?」

ナナリー「少しカレンさんとお話がしたくて」

カレン「え?誰?」

スザク「申し訳ありませんが!!現在、捕虜はまともに会話できる状態ではありません!!」

ナナリー「どうしてですか?」

スザク「目下、調査中です!!」

アーニャ「大変。すぐにメディカルチェックをするべき」

ナナリー「そうですね。カレンさん」

カレン「なに?」

ナナリー「今すぐ医療班をここに呼びますから、少し待っていてください」

カレン「えっと……あなたは―――」

スザク(まずい……!!そんなことをすればリフレインが投与されたことが明るみになる……!!)

スザク(そうなれば……ナナリーは……!!)

ナナリー『スザクさん……最低ですね……幻滅しました。ラウンズから降りてもらうよう、お父様に言いつけます』

スザク(そうなっては……ルルーシュを売ってまでここまで上り詰めたのに……!!全てが無に帰す……!!)

ナナリー「アーニャさん、急いで呼んできてもらえますか?」

アーニャ「了解しました」

スザク「待ってくれ!!アーニャ!!」

アーニャ「なに?」

スザク「僕が直接、捕虜を連れて行くよ」

アーニャ「そう?」

スザク「ああ。任せてくれ」

スザク「さあ、行こうか、カレン」

カレン「おさんぽ?」

スザク「ああ、そうだ」

カレン「わーい」

ナナリー「あの……カレンさん?」

カレン「なに?」

ナナリー「本当にカレンさんですか?」

カレン「あなた、誰?」

ナナリー「え?」

スザク「カレン!!急ぐんだ!!」

カレン「う、うん!」

アーニャ「……?」

スザク「では、失礼します!!アーニャ!!総督を頼んだ!!」

ナナリー「スザクさん……?」

アーニャ「なんか変……」

庭園

カレン「お兄ちゃん!!お花が綺麗だよ!!」

スザク「そうだな」

スザク(勢いで外に連れ出してしまったけど……どうする……)

カレン「ふんふーん♪」

スザク(このままでは僕の立場が危うい……)

スザク(これ以上、カレンを傍に置いておくのは危険すぎるか……!!)

スザク「……」

カレン「お兄ちゃん、あの雲お魚みたいで面白いよー」

スザク「そうだね」

スザク(そうだ……)

スザク「……」トゥルルル

ルルーシュ『―――どうした?』

スザク「ルルーシュ。相談があるんだ」

ルルーシュ『どうした、改まって』

スザク「カレンを返したい」

ルルーシュ『カレン?誰だそれは?』

スザク「……すまない。いきなり言っても混乱するよな」

スザク(この程度じゃダメか)

ルルーシュ『なんの話だ?』

スザク「ルルーシュに会わせたい女性がいるんだ」

ルルーシュ『お前が俺にぴったりな彼女でも紹介してくれるのか?』

スザク「そう思ってくれて構わないよ」

ルルーシュ『珍しいこともあるものだな』

スザク「で、会ってくれないかな?」

ルルーシュ『折角の話だけど、俺はそういうの苦手なんだ』

スザク「頼む。女性のほうも是非といっている」

ルルーシュ『だけどな』

スザク「会うだけでいい。頼む」

ルルーシュ『そこまでいうなら……会うだけだぞ?』

スザク「ありがとう」

ルルーシュ『どこで会う?』

スザク「そうだな……。じゃあ、枢木神社でいいか?」

ルルーシュ『……わかった。明日になるけど構わないな?」

スザク「勿論」

ルルーシュ『よし。それじゃあ、明日の昼に』

スザク「うん」

ルルーシュ『楽しみにしている。お前のセンスがどれほどのものかな』

スザク「あはは。あまり期待しないでくれ」

ルルーシュ『ふん……』

スザク「……」ピッ

カレン「お兄ちゃん?誰と電話してたの?」

スザク「僕の親友にね」

カレン「お兄ちゃんの親友?それって扇さん?」

スザク(この状態のカレンをルルーシュに会わせれば、きっと何か反応があるはず。それでゼロかどうか判る……!)

イカルガ艦内 ルルーシュの部屋

ルルーシュ「……」ピッ

ルルーシュ「スザク……」

C.C.「どうかしたのか?」

ルルーシュ「スザクがカレンを返したいといってきた」

C.C.「罠だな」

ルルーシュ「だろうな。恐らくカレンに何かしらの細工を施しているに違いない」

C.C.「細工?」

ルルーシュ「例えば……リフレインを投与し、俺と邂逅させる」

C.C.「そうなればカレンが何か口走るかもしれないな」

ルルーシュ「まぁ、スザクがそこまでするとは思いたくないがな」

C.C.「そうだった場合は……?」

ルルーシュ「……」

C.C.「まあ、がんばれ」

ルルーシュ「言われずとも。それにカレンを取り返すチャンスであることは間違いないからな」

翌日 枢木神社

ルルーシュ「……」

スザク「ルルーシュ、お待たせ」

ルルーシュ「ああ」

スザク「ごめん」

ルルーシュ「なにがだ?」

スザク「いや、こんなところに呼び出して」

ルルーシュ「そうだな。合コンならもっと気の利いた場所があったろうに」

スザク「そうだね」

ルルーシュ(スザク……何を企んでいる……)

スザク「じゃあ、早速呼ぶよ」

ルルーシュ「緊張するな」

スザク「おーい、カレン」

カレン「……」スタスタ

ルルーシュ(カレン……)

カレン「えっと……」

スザク「……」

ルルーシュ「初めまして、カレンさん」

スザク(僕はカレンに取り返しのつかないことをした!!ならば、もう結果を得るしかないんだ!!)

スザク(たとえ……ルルーシュと同じ過ちを犯してでも……僕は……!!)

カレン「あなた……誰?」

ルルーシュ「……!」

スザク「なに……!?」

カレン「お兄ちゃんの親友だっていうから……扇さんだと思ったのに」

スザク「カレン、ルルーシュを知らないのか?」

カレン「う、うん……ルルーシュって誰?」

スザク「な……」

ルルーシュ(演技には見えない。カレンも……動揺しているスザクも……)

ルルーシュ(どういうことだ……。それにスザクのことをお兄ちゃんだと……?)

スザク(そういえばナナリーのこともカレンの記憶からは欠落していた。今のカレンは戻りすぎているのか?!)

ルルーシュ「スザク、えっと彼女を俺に紹介したいってことでいいんだよな?」

スザク「あ、ああ……そうなんだけど……」

カレン「お兄ちゃん?」

ルルーシュ「お兄ちゃんって、お前の妹には到底見えないが……どういうことだ?」

スザク「これは……」

カレン「初めまして、ルルーシュさん。私は紅月カレンって言います」

ルルーシュ「よろしく」

スザク(くっ……ここまで堕ちても結果がついてこないなんて……!!)

ルルーシュ「……」

カレン「お兄ちゃんがいつもお世話になっています」

ルルーシュ(この目……どこかで……)

スザク(どうする……このままじゃ何も得られない……!!)

カレン「ルルーシュさんはお兄ちゃんと仲よしなんですか?」

ルルーシュ「ああ。古い付き合いだ」

カレン「へえ……。全然知らなかったなぁ」

ルルーシュ「ところでカレンさん」

カレン「なんですか?」

ルルーシュ「俺の質問に答えてくれますか?」

カレン「え―――」キュィィン

カレン「はい」

スザク「ルルーシュ、何を」

ルルーシュ「何、初めてあったんだ色々質問させてくれよ」

スザク「それは……そうだけど……」

ルルーシュ(カレンには俺の質問に答えるよう一年前にギアスをかけたからな……くくく……)

ルルーシュ「年齢は?」

カレン「12歳です」

ルルーシュ「12歳?」

スザク「あ……?!」

ルルーシュ「とてもそんな幼い年齢には見えないが……」

スザク(まずい……怪しまれる……!!どうしたら……!!)

ルルーシュ「スザクとは本当に兄妹なのか?」

カレン「私のお兄ちゃんはスザクじゃないです」

スザク「ルルーシュ!!ごめん!!もういいかな!?」

ルルーシュ「待ってくれ。この人、少し様子がおかしいぞ」

スザク「そ、そうみたいだ!!だからもう―――」

ルルーシュ「じゃあ。君とスザクの関係は?」

カレン「……」

ルルーシュ(なんだこれは……?どうなっている……?)

スザク「ルルーシュ!!カレンはちょっと体調が悪いみたいだから」

ルルーシュ「どこか具合が悪いのか?」

カレン「どこも。いたって健康です」

ルルーシュ「だそうだが?」

スザク「ちょっと待ってくれ!!えっと……!!あの……!!」

ルルーシュ「あの男に何かされたのか?」

カレン「注射されました」

スザク「なっ……!?」

ルルーシュ「注射?」

スザク「ルルーシュ!!もう時間だ!!ここまでにしよう!!」

ルルーシュ「スザク、何を慌てている」

スザク「慌ててなんて……!!だけど!!もう終わりにしよう!!ルルーシュ!!!」

ルルーシュ「もう少しだけ質問させてくれ」

スザク「……」

ルルーシュ(カレンの言動……スザクの動揺……リフレインか……!!)

スザク(まずい……このままじゃ……!!)

ルルーシュ(この場でカレンの回収は不可能だな。だが、情報は得た)

ルルーシュ「今、付き合っている男性はいますか?」

カレン「いいえ」

ルルーシュ「好きな人は?」

カレン「お兄ちゃんです」

スザク(ルルーシュ……怪しんでいないのか……?)

ルルーシュ「ありがとう」

カレン「―――え?」

ルルーシュ「スザク、時間は大丈夫か?」

スザク「あ、ああ……」

カレン「お兄ちゃん、どうしたの?」

ルルーシュ「スザク、確かに魅力的な女性ではあるけど、どうやらお前にぞっこん見たいだぞ?」

スザク「そうだな」

ルルーシュ「全く。見せつけにきたかっただけか?」

スザク「そういうつもりはなかったんだけど」

ルルーシュ「時間をとらせて悪かったな」

スザク「いや……僕のほうこそ」

ルルーシュ「それじゃあ、また。カレンさん」

カレン「はい」

ルルーシュ(スザク……カレンは返してもらう……!!必ずな……!!)

カレン「ルルーシュ……さん……」

数日後 隔離部屋

スザク「はぁ……」

カレン「お兄ちゃん!!」

スザク「カレン」

カレン「今日もお仕事大変なの?」

スザク「あ、ああ」

カレン「がんばってね、お兄ちゃん」

スザク「ありがとう」

スザク(カレンの症状が改善される様子が無い)

スザク(僕の責任だけに誰にも相談できない……。どうする、ナナリーも疑い出しているし……)

スザク(僕は……)

カレン「お兄ちゃん?」

スザク「ごめん……カレン……」ギュッ

カレン「お兄ちゃん?どうしたの?泣かないで……」ギュッ

スザク「すまない……本当に……すまない……」

廊下

スザク「どうにかしないと……どうにか……」

スザク「いっそのことセシルさんに……」

ジノ「スザク!!」

スザク「どうした?」

ジノ「来てくれ」

スザク「え?」

ジノ「ゼロから直接連絡が入った」

スザク「連絡?」

ジノ「お前を名指しで」

スザク「……わかった」

スザク(なんだ……?僕に一体、なんのようだ……)

ジノ「ところで……まだ、カレンとは妹プレイをしているのか?」

スザク「え?あ……まあ……捕虜の間は僕の妹でいてもらおうかなって」

ジノ「……」ギリッ

提督の部屋

スザク「失礼いたします」

ナナリー「スザクさん、お待ちしていました」

スザク「……あの」

モニター『やあ、枢木スザク』

スザク(ゼロ……いや、ルルーシュか……)

ゼロ『久しぶりだな』

スザク「なんの用だ」

ゼロ『先日、奪われたものを返してもらおうと思ってな』

ナナリー「カレンさんですか?」

ゼロ『流石はナナリー総督。察しがいいな』

スザク「そんなこと了承するとでも思っているのか?」

ゼロ『いいや。思っていない。だが、数分後には君は意見を変えざるを得ないだろう』

スザク「なんだと?」

ゼロ『この……シスコンがぁぁ!!!!』

スザク「なっ……?!」

ナナリー「な、なんですか!?いきなり?!」

ゼロ『これは失礼しました』

スザク「なんの言いがかりだ。僕には妹なんて―――」

ゼロ『君の過去については調べさせてもらっている。確かに君に妹にあたる人物はいない』

スザク「ああ。そうだ」

ゼロ『だが幼少の頃……しばらくの間、君はそこのナナリー総督の傍にいたらしいな?』

スザク「それがなんだ?」

ゼロ『そして、キョウト六家の神楽耶様……』

神楽耶『はぁーい。スザクさん、お久しぶりです。貴方にこの怨嗟が届くのをずっと待っていますわ』

スザク「何が言いたい?」

ゼロ『君の周りには年下の女の子がいた。そうだな?』

スザク「そうだ」

ゼロ『……そこで発症させてしまったんだろう……シスコン……いや、ロリコンを』

スザク「言いがかりだ!!!」

ゼロ『果たしてそうかな?』

ズザク「なんだと……!?」

ナナリー「スザクさんはそのようなお人ではありません!」

ゼロ『黙っていただきましょう。ナナリー総督。貴方の証言はなんの説得力もありませんから』

ナナリー「ど、どうして……」

ゼロ『貴方は兄であるルルーシュ・ヴィ・ブリタニアと枢木スザク両名を信頼している』

ナナリー「は、はい」

ゼロ『だから、貴方は決定的な物証が無い限り、否定しようとするからです。客観的な意見はまず言えないはず』

ナナリー「それは……」

ゼロ『だから、貴方には黙っていてもらいます。私と枢木スザクの問答が終了するまでね』

ナナリー「……」

スザク「ゼロ、それは暴言だ。ナイトオブラウンズに向かっての発言とは思えないな」

ゼロ『ナイトオブラウンズ?ふはははは!!貴様、厚顔無恥という言葉を知っているか?』

スザク「貴様……!!」

ゼロ『ロリコンにそんな肩書きなど不要だ!!さっさと取り下げてもらおうか!!』

スザク「カレンの返還と何の関係がある!?」

ゼロ『あるな。そのような性癖を持つ貴様の傍に置いておくことなどできないからだ』

スザク「僕はロリコンじゃない!!それにカレンはどうみても立派な女性だ!!」

ゼロ『そうだろうな。ああ、確かにカレンは成熟した女といえる……ただ、体はという点だけだがな』

スザク「体……だけ?」

ナナリー「お言葉ですがカレンさんは中身も立派なかたです」

ゼロ『違うな。間違っているぞ。カレンの見た目を確かに女性そのものだが、中身は違う』

スザク「なんだと?」

ゼロ『カレンには慕っていた兄がいた。その兄は志半ばで戦死したがな』

スザク(レジスタンスか……)

ゼロ『ナナリー総督。ここで貴方は共感できるでしょう?―――甘えたい盛りに大好きな兄を失ったカレンの心境が』

ナナリー「あ……」

ゼロ『カレンはな、スザク?お兄ちゃんに甘えたかったんだよ』

スザク「……!!」

ゼロ『彼女の心は今でも兄を求めている。そう……カレンはまだまだ甘えたい年頃!!言うなればブラコンだっ!!!』

スザク「そうだったのか……」

スザク(まさか、リフレインの効力が失われないのは……そういう心の病を患っていたから……?)

ゼロ『カレンの精神年齢はまだ子どもの時代を彷徨っている。普段は強い自分という仮面をつけているがな』

ナナリー「確かにカレンさんにお兄様がいたことは聞いています。ですが、それとこれとはなんの関係もありません」

ゼロ『いや、ある。何故なら、カレンの心は幼少期に留まっているからな』

スザク「ゼロ……お前は……!!」

ゼロ『スザク……君はそうしたカレンの幼さを利用し、そして彼女が捕虜という圧倒的不利な立場を利用して……』

ゼロ『卑猥なことを企てているのではないか?』

スザク「……!!」

ナナリー「スザクさんはそのようなことしません!!訂正してください!!!」

ゼロ『黙っていろ!!ナナリー!!!』

ナナリー「ひっ……」ビクッ

ゼロ『答えろ!!スザァク!!!カレンに何かしたのかぁ!!』

スザク「し、していない!!僕はナイトオブラウンズとして……いや、男としてそのように卑劣な行いはしていない!!」

ゼロ『よし……。では、カレンを目の前につれて来てもらおうか。証明してもらわなくてはな』

スザク「その必要はない」

ゼロ『ほう?』

スザク「どうして僕が君に従わなくてはならないんだ」

ゼロ『ふっ……そうだな。だが、君は連れてこなければならない』

スザク「なに……?」

ゼロ『君の隣では疑心暗鬼に囚われた少女がいるからな』

スザク「……!?」

ナナリー「……」

スザク「ナナリー……まさか……!?」

ナナリー「いえ……私はスザクさんを信じています!!!」

スザク「ナナリー……ありがとう」

ゼロ『……なるほど。この程度では揺るがないと』

スザク「もういいだろう。何を言われても僕は従わない」

ゼロ『では、ここで話者を交代しましょうか。―――神楽耶様』

神楽耶『はぁーい』

スザク「神楽耶……!!」

神楽耶『スザクさん。忘れもしません。あれは……10年前でしょうか』

スザク「……?」

神楽耶『貴方はよく私の体を舐めまわしてくださいましたよね?』

スザク「なに!?」

ナナリー「え……?」

神楽耶『まだ、物の道理すら分からなかった私は貴方の下劣極まりない行為に何の疑問も持ちませんでした』

スザク「やめろ!!なんの話だ!!!」

神楽耶『反省しているのなら、土下座してくださいませんこと?思い出すだけでも……未だに吐き気と寒気が……ぶるぶる』

スザク「やめろと言っている!!!」

ナナリー「スザク……さん……」

スザク「ナナリー!!あれは嘘だ!!!僕はそんなことをした覚えはない!!」

神楽耶『被害者がこうして羞恥に耐えながら告白しているのに白を切るというのですね……なんて酷い……』

スザク「黙ってくれ!!!」

神楽耶『まあ……本当に卑劣なお方ですのね……怖いですわ……ぶるぶる……寒気が……ぶるぶる……』

スザク「ぶるぶるって口で言っているだけじゃないか!!!」

ナナリー「スザクさん……」

スザク「信じてくれ、ナナリー!!僕はそんなことするわけないじゃないか!!」

ゼロ『ありがとうございます、神楽耶様』

スザク「ゼロ!!」

ゼロ『なんだ?変質者め』

スザク「僕はそんなことしていない!!君が……お前がいわせたんだろう!!!」

ゼロ『仮にそうだとしても、君に証明できるのか?自分の身が潔白であることを!!!』

スザク「うっ……!?」

ゼロ『それにナナリー総督も心当たりがあるのでは?』

ナナリー「え?」

ゼロ『例えば……よくおんぶさせて欲しいと言われたりだとか……』

ナナリー「あ……」

スザク「違う!!それは親友であるルルーシュが疲れているだろうからって……代わってあげようとしただけだ!!!」

ゼロ『仮にそうだとしても、君に証明できるのか?自分の身が潔白であることを!!!できないだろうがぁ!!!』ダンッ

スザク「それは……できない!!だけど……!!」

ゼロ『だけど?』

スザク「ナナリーはよく知っている!!僕がそんなことをするはずがないと!!」

ゼロ『まさかあの人があんなことをするなんて……という台詞は逮捕された変質者の知人がよくいうぞ』

スザク「ゼロ……おまえはぁぁ……!!」

ゼロ『さぁ、カレンをここへ連れて来てもらおうか』

スザク「……できない!!」

ゼロ『貴様はバカか?今ここで強硬な態度を貫くことは、自分の首を絞めているだけだぞ?』

スザク「それは……」

ナナリー「スザクさん」

スザク「ナナリー……」

ナナリー「ゼロに証明してあげましょう。スザクさんがそのような人ではないことを」

ゼロ『だそうだ?』

スザク「しかし!!」

ナナリー「連れてきてください」

スザク「ナナリー?!僕を信じられないのか!?」

ナナリー「信じています。だからこそ、ゼロにスザクさんの人柄を立証させたいんです」

スザク「それは……」

ゼロ『まさか君ほどの男が総督の命令に背くのか?どれだけ疚しいことを抱えているのか、流石の私も想像の外だな』

スザク「ゼロ……!!」ギリッ

ゼロ『どうする?ここで俺に屈し、自身の信頼を取り戻すか。それとも命令を無視し、総督に疑念を抱かせ続けるか』

ゼロ『好きなほうを選べ!!!スザァク!!!』

スザク「……っ」

スザク(どちらにしても……僕は……詰んでいる……!!!)

ゼロ『どうした?命令に従い、私を論破してみろ』

ナナリー「スザクさん」

神楽耶『スザクさん』

ゼロ『スザク』

スザク「……できない……できない!!!それだけは絶対にできない!!!」

ゼロ『……』

スザク「これはテロリストに屈するのと同じだ!!!それだけは許すわけにはいかない!!!」

ゼロ『なるほど……では、ヴァインベルグ卿』

ジノ「……」

スザク「ジノ?!どうしてここに!?」

ゼロ『私が名指ししたのはお前とヴァインベルグ卿、そしてナナリー総督の三人だ』

スザク「なんだって?!」

ゼロ『おかしいとは思わなかったか?何故、私が直接こうして現れたのに謁見するものが少ないのではないかとな』

スザク「それは……」

ゼロ『私はまずナナリー総督に直接コンタクトを取った。皇室チャンネルでな』

スザク「それは……皇室の人間しか知らないはず……!!やはり、お前は……!!」

ゼロ『それについてはナナリー総督も薄々感づいているだろう。だが、今の問題はそこではない』

ジノ「そうだな……」

スザク「ジノ……?」

ジノ「今、ゼロの正体は問題じゃない。スザク、お前が捕虜に対して何をしたかだ」

スザク「!?」

ゼロ『ナナリー総督にカレンの近況を訊ねた。だが、答えは分からないだった』

スザク「くっ……君は……」

ゼロ『ナナリー総督も気にしているようだ。カレンと全く会わせない君の態度には』

ナナリー「ごめんなさい」

スザク「そういうことか……初めから……」

ゼロ『無論、彼女はしきりこう言っていた。カレンの健康状態がよくないからあわせてくれないのだろうと、な』

ゼロ『だが、会えないからこそ枢木スザクに対して疑惑を持つのは至極当然のこと。だからこそ、こういう状況を作ることができた』

スザク「ルルーシュ……!!」

ゼロ『ふははは。なんのことかな?私はゼロ!!世界を壊し、想像する男だ』

スザク「こんなことをするなんて君はやはり……外道だ!!!」

ゼロ『ほう?』

スザク「こんなやりかた間違っている!!!君は……いや、お前だけは絶対に許さない!!ユフィを……僕を裏切った!!」

スザク「騙して……嘘をついて……僕は……俺は君を[ピーーー]!!」

ゼロ『話題を摩り替えるな。さっさとカレンをこの場につれてこい』

ナナリー「スザクさん、お願いします」

>80
訂正

ゼロ『ナナリー総督にカレンの近況を訊ねた。だが、答えは分からないだった』

スザク「くっ……君は……」

ゼロ『ナナリー総督も気にしているようだ。カレンと全く会わせない君の態度には』

ナナリー「ごめんなさい」

スザク「そういうことか……初めから……」

ゼロ『無論、彼女はしきりこう言っていた。カレンの健康状態がよくないからあわせてくれないのだろうと、な』

ゼロ『だが、会えないからこそ枢木スザクに対して疑惑を持つのは至極当然のこと。だからこそ、こういう状況を作ることができた』

スザク「ルルーシュ……!!」

ゼロ『ふははは。なんのことかな?私はゼロ!!世界を壊し、想像する男だ』

スザク「こんなことをするなんて君はやはり……外道だ!!!」

ゼロ『ほう?』

スザク「こんなやりかた間違っている!!!君は……いや、お前だけは絶対に許さない!!ユフィを……僕を裏切った!!」

スザク「騙して……嘘をついて……僕は……俺は君を殺す!!」

ゼロ『話題を摩り替えるな。さっさとカレンをこの場につれてこい』

ナナリー「スザクさん、お願いします」

今更ながら
>スザク「ごめん……カレン……」ギュッ
おいてめぇ

スザク「テロリストに屈することはできない!!何度も言わせるな!!」

ゼロ『分かった。では、ヴァインベルグ卿』

ジノ「なんだ?」

ゼロ『ナイトオブラウンズの汚名を晴らすためだ、連れてきてくれるな?』

ジノ「……いいだろう」

スザク「!?」

ゼロ『頼んだ』

ジノ「待っていろ」

スザク「ジノ!!テロリストの要求を聞くことは許されない!!」

ジノ「スザク、ゼロは確かに返還を求めてはいるが、今は目の前に連れてこいとしか言っていない」

ジノ「こちらに不利益はないだろ?」

スザク「いや、テロリストの要求に応えるのはなんであっても―――」

ジノ「スザク。じゃあ、説明してくれ。どうしてカレンにお兄ちゃんと呼ばせていたのか」

スザク「ジノ!!」

ナナリー「スザクさん……やっぱり……」

スザク(ルルーシュ……この状況は君が狙った通りなのか……!!)

ゼロ『……』

スザク「……」ギリッ

ジノ「いいな?」

スザク「……ああ」

ジノ「よし」

スザク「僕が連れてくる」

ジノ「え?」

ナナリー「スザクさん」

ゼロ『ほう?』

スザク「僕がケジメをつける」

ゼロ『ふん。流石だ。私が見込んだ男』

スザク「……」スタスタ

ジノ「スザク……」

ゼロ『……』

隔離部屋

カレン「……」

スザク「カレン」

カレン「え?」

スザク「こっちにきてくれ」

カレン「気安く触らないで」

スザク「え……」

カレン「あんた……本当に最低ね……」

スザク「まさか……」

カレン「やっと正気に戻れたわ……」

スザク「……」

カレン「どうしてあたしがあんたのことをお兄ちゃんだなんて……反吐がでる……」

スザク「よかった……本当によかった……」ウルウル

カレン「こっちはちっともよくない!!!」ドゴォ

スザク「うごぉ!?」

カレン「はぁ……もう……二度と……あんなことしないで……」

スザク「……すまない……本当に……」

カレン「ふん……ほら、あんたに手を出したんだ。早く極刑にしたら?」

スザク「それはできない」

カレン「……っ」

スザク「悪いのは僕だ。事故とはいえ君に酷いことを―――」

カレン「ふざけるなぁ!!!」バキィ

スザク「がっ!?」

カレン「酷いこと……?あたしにあんな夢を見せて……!!死ね!!!」ウルウル

スザク「カレン……」

カレン「お兄ちゃんはもういないのに……いないのに……うぅ……うぐっ……」ポロポロ

スザク「すまない……」

カレン「謝るなら!!もう一度お兄ちゃんにあわせてよ!!!」

スザク「カレン。リフレインはもうだめだ。使えないよ」

カレン「そういう意味じゃないっ!!!あんた頭わいてんのぉ!?」ドゴォ!!

スザク「うげぇ!?」

カレン「はぁ……はぁ……」

スザク「くっ……君にはいくら謝罪してもし足りないことは分かっている」

カレン「……ふん。あんたのことなんて、大嫌い」

スザク「カレン。一緒に来て欲しい」

カレン「……」

スザク「ゼロが君を連れて来いって」

カレン「ゼロが?」

スザク「ああ」

カレン「……ふぅん」

スザク「来てくれるな?」

カレン「いいけど、あたしは言うからね?あんたが一体、何をしたのかを」

スザク「それは困る」

カレン「……」

スザク「さあ、行こうか」

>スザク「それは困る」
おいこら

廊下

カレン「どういう状況なのかぐらいは教えて欲しいわね」

スザク「僕にロリコン疑惑がかけられた」

カレン「は?」

スザク「君が事故とはいえ僕のことをお兄ちゃんと呼称していたこと」

カレン「事故で片付ける気なの?」

スザク「そして昔、謂れの無い痴漢行為を暴露された」

カレン「痴漢?」

スザク「幼少のとき皇神楽耶の体を舐めまわしたといわれた」

カレン「うわぁ」

スザク「違う!!僕はそんなことしない!!」

カレン「で、あたしがお兄ちゃんって呼んでたからそういう性癖があるって思われたのね?いい気味だわ」

スザク「だから、君にはきちんと証言して欲しい。あれは……僕を困らせるために言っていたと―――」

カレン「ふんっ!!!」ドゴォ

スザク「ごはぁ!?―――ど、どうして殴る!?」

カレン「あんた……あれだけのことして全てを隠すの?」

スザク「それで丸く収まるじゃないか!!誰も傷つかない!!」

カレン「……」

スザク「カレン……頼む……。今ここで僕は倒れるわけにはいかないんだ」

スザク「僕はもう決めたから。全てを手に入れるためには結果が必要なんだって」

スザク「ルルーシュを皇帝陛下に売ったときにそう決めたんだ!!」

スザク「僕はブリタニアを中から変えてみせる。からなず!!」

カレン「……」

スザク「……お願いだ。カレン」

カレン「……テロリストに頭まで下げるの?」

スザク「枢木スザクの願いだ」

カレン「また薬で黙らせればいいのに」

スザク「もう過ちを繰る返すわけにはいかない。だから……!!」

カレン「……そう。そこまで言うなら……」

スザク「ありがとう!!カレン!!今日の夕食はいつもよりグレードを上げることを約束するよ!!」

総督の部屋

スザク「連れてきました」

ナナリー「カレンさん」

ジノ「来たか」

カレン「……」

ゼロ『カレン……』

ナナリー「カレンさん……あの……」

カレン「……ナナリー。心配かけたね」

ナナリー「カレンさん、なんとも無いんですか?」

カレン「うん。私は平気」

ナナリー「よかった」

ゼロ『カレン、私のことが分かるか?』

カレン「ゼロ。黒の騎士団のリーダー、ゼロ」

ゼロ『……』

スザク「ゼロ。カレンは見ての通り正常だ。これで疑いは晴れただろ?」

ジノ「そうなのか」

スザク「あれは僕を困らせるために―――」

カレン「全部、お兄ちゃんに教わりました」

ナナリー「え?!」

ジノ「……!」

スザク「カレン!!」

ゼロ『ほう?お兄ちゃんにか?』

カレン「うんっ」

スザク「カレン!!何を言っているんだ?!」

カレン「お兄ちゃん?どうしたの?怖い……」

スザク(まさか……リフレインの効果が再発?いや……今、カレンはナナリーをしっかりと認識していた……)

スザク「カレン!!下手は演技はやめるんだ!!!」

カレン「演技ってなんのこと?変なお兄ちゃん」

ゼロ『なるほど……枢木スザク。これで君の容疑はより黒くなったな』

スザク「違う!!これは罠だ!!僕を陥れるための!!!さっきまでは正気だったんだ!!」

ゼロ『……』

ナナリー「……」

ジノ「スザク……」

スザク「ジノ!!信じてくれ!!」

ナナリー「スザクさん……」

スザク「ナナリー!!君なら分かってくれるはずだ!!」

ゼロ『お前、今なんと口走ったか分からないのか?』

スザク「え?」

ゼロ『さっきまでは正気だった、と言ったんだぞ?』

スザク「……」

カレン「おにいちゃん?どうしたの?」

ゼロ『つまりお前は正気ではないときのカレンを知っているわけだな?』

ナナリー「スザクさん。私が面会しているときのカレンさんは普通でした」

ジノ「お前は面会を許さなくなったから、その事実を知っているのはスザク、お前だけということだぞ?」

スザク「……!!」

皇族ってブラコンやシスコンがデフォなん?

>>123
ナナリーは「お兄様がいればそれでいい」がデフォ
ルルーシュは「ナナリーこそ我が命」

ゼロ『ついにボロが出たな。枢木スザク』

スザク「違う!僕は……!!」

ジノ「言い訳か?」

ナナリー「スザクさん……」

スザク「待ってくれ!!正気でなかったことは認める!!だが、それがなんだ!?」

ゼロ『カレンが正気でないときに、このように枢木スザクの妹だと誤認させていたのだろうが!!』

スザク「していない!!」

カレン「お兄ちゃん?」

ゼロ『これが証拠だ』

スザク「カレン!!やめるんだ!!どうしてこんなことをする!!」

カレン「どうしてって……私はお兄ちゃんの妹だし……」

スザク「僕は枢木スザクだ!!君の兄ではない!!」

カレン「ど、どうしてそんなこというの……?」

ジノ「スザク、見苦しいぞ」

スザク(こんなことで終わるわけにはいかない。僕の目指すところはナイトオブワンの位なんだ……!!)

ゼロ『さあ、ナナリー総督。これで分かってもらえただろう。この男は捕虜を玩具のように扱う卑劣な兵士だった』

ナナリー「……」

ゼロ『紅月カレンの返還を求めよう』

ナナリー「ですが……」

ゼロ『彼女は真に遺憾ながら、もう戦士……いや人ではない』

ナナリー「!?」

カレン「お兄ちゃん?大丈夫?」

スザク「……」

ゼロ『一人の欲望により精神を歪ませてしまった。まともな思考など望めるべくも無い』

ナナリー「そうですね」

ゼロ『心が壊死した者を使うほど、私は外道ではない。最も、民を率いるからこそ人の道から外れることは許されないがな』

ナナリー「ゼロ……。信じてよろしいのですね?」

ゼロ『無論だ。もうそちら側に置いておくことはできない。またいつカレンが野獣の餌になるかわからないからな』

ナナリー「……そうですね。私の目が届かないところでそういう行為があるのであれば、貴方にカレンさんをお返ししたほうがいいと思えます」

ゼロ『ご理解いただき感謝する』

ジノ「それがいいな。私も賛成です」

ナナリー「ありがとうございます、ジノさん」

カレン(ふん。スザク、自業自得よ。死ぬことよりも苦しい生き方をしたらいい)

ゼロ『では、早速―――』

スザク「ハハハ……」

カレン「お兄ちゃん?」

スザク「アハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

ゼロ『なんだ?』

ナナリー「スザクさん?」

ジノ「ど、どうした?!」

スザク「アハハハハハハハ!!!!!!」

ゼロ『気でも触れたか』

スザク「違う」

ゼロ『なに……?』

スザク「僕はナイトオブワンになる。そのためならば結果を求める。ルルーシュを皇帝陛下に差し出したとき、そう決めたんだ!!!」

ゼロ『ふん。貴様にとっては最悪の結果になっただな』

スザク「カレンは君には渡せない!!―――ルルーシュ!!!」

ゼロ『何のことだ?』

スザク「ナナリーも薄々気がついているんだろう?ゼロが皇室チャンネルでこちらに会談を持ちかけた時点で」

ナナリー「それは……でも……」

ゼロ『確証のないことだな』

スザク「君もらしくないな、ルルーシュ」

ゼロ『……』

スザク「先ほど、君は確かに言ったぞ。―――カレンが正気でないときに、このように枢木スザクの妹だと誤認させていた、と」

ゼロ『それがなんだ?』

スザク「何故、それを知っている?」

ゼロ『それは今まさにカレンがそういう状態だからだ』

スザク「そうじゃない。どうして君は僕が誰にも会わせなかったときのカレンの状態まで知っているかということだ」

ゼロ『……!?』

スザク「そもそも君は僕を初めからシスコン呼ばわりして、ロリコンとまで罵った!!どうしてカレンが幼児退行をしていると思ったんだ!!?」

ゼロ『それは……』

スザク「もし君が僕のことをロリコンだと思うなら、『妹と誤認させる』という行為が頭に浮かぶだろうか」

ゼロ『ふ、ふん……浮かぶな』

スザク「それは君もシスコンだからじゃないか?」

ゼロ『違う!!何を出鱈目なことをぉ!!』

ジノ「なにが言いたいんだ、スザク」

スザク「僕はこの状態のカレンについて誰にも詳細を語っていない。一人を除いては」

ナナリー「一人……?」

スザク「いや……語っていないというより、彼は明らかに感付いていたはず。ルルーシュなら」

ゼロ『……』

スザク「ルルーシュは幼児退行したカレンを見ている。しかも、質問もいくつかしていた」

スザク「カレンが僕のことを妹だと勘違いしていると知ることが出来たのは……ルルーシュだけだ!!」

ジノ「つまり……ゼロが……」

スザク「ルルーシュ……もう言い逃れはできないはずだ。仮面を取れ」

ゼロ『ふふふ……ふはははははははは!!!!!』

ルルーシュ『スザク……』

スザク「ルルーシュ……!!」

ジノ「あのランペルージ卿が……?!」

ナナリー「お兄様……なのですね……」

ルルーシュ『そうだ』

カレン(ルルーシュ……)

ルルーシュ『だが、正体が分かったところでどうする?公言するのか?』

スザク「取引だ。今回は君を見逃す。その代わり、引き続きカレンは捕虜としてこちらで預かる」

ルルーシュ『予想通りだな。しかし、それを快諾すると思うのか?貴様のような変質者に対して』

スザク「それは君も同じだ」

ルルーシュ『言ってくれるな……』

スザク「幼児退行したカレンを君に渡せるわけがない!!!ロリコンでシスコンのルルーシュには!!」

ジノ「なにぃ!?」

ナナリー「え……」

ルルーシュ『スザァァァク!!!!戯言もいい加減にしろ!!!』

スザク「この際、僕にかけられた疑惑はいい。もう払拭する術がないからね」

ルルーシュ『貴様……』

スザク「だけど、自分のことを棚上げして僕を貶めたことだけは許さない!!」

ジノ「ゼロ……お前もなのか」

ルルーシュ『ふん。言いがかりも甚だしいな』

スザク「そうかな?―――君はよくナナリーをおんぶしていた」

ルルーシュ『昔の話だな』

スザク「ナナリーと一緒にお風呂にも入っていた」

ルルーシュ『目の見えない妹を世話するためだ』

スザク「ナナリーと一緒のベッドで寝ていた」

ルルーシュ『兄として添い寝するのは当然だろうが』

スザク「兄だから?じゃあ、訊こうか、ルルーシュ!!―――どうしてその役目を誰にも譲ろうとしなかった!!!」

ルルーシュ『それがどうした?兄が妹の面倒をみるのは―――』

スザク「少なからず世話人がいるのに、食事、入浴、下の処理まで君がやるのはあまりにも行き過ぎている!!!」

ルルーシュ『黙れ!!兄として当たり前の愛情だ!!!』

カレン「……」

ジノ「……」

スザク「ナナリーはまだ幼かった。だから、きっとただの優しい兄としか映らなかったんだろう」

スザク「だけど、少し見方を変えれば、ただの変態だ!!」

ルルーシュ『言いたいことはそれだけか、スザァク!!!』

スザク「ナナリー、どう思っている?」

ナナリー「え?」

スザク「不自然だとは感じなかったか?」

ナナリー「いいえ。そんなことはありません。お兄様は懸命に私に尽くしてくれていました」

スザク「そうか」

ルルーシュ『これが答えだスザク。ナナリーは当時のことを感謝している』

スザク「……」

ルルーシュ『読みが甘かったな?』

スザク「ナナリー?それは最近まで続いていたのか?」

ナナリー「え……」

スザク「どうなんだ?」

ナナリー「咲世子さんがいるので……」

スザク「いないときもあっただろう」

ナナリー「……」

スザク「そのときは?」

ナナリー「お兄様に……」

スザク「……どうやら、答えはでたな」

ルルーシュ『別におかしなことは無いだろうが』

スザク「いや。君がやる必要なんてどこにもない」

ルルーシュ『なんだと?』

スザク「そればかりか、ナナリーの年齢を考えればしようとは思わないはず」

ルルーシュ『バカか。俺しかいないのに―――』

スザク「では、何故咲世子さんの代わりを呼ばないんだ?」

ルルーシュ『……資金の問題だ』

スザク「アッシュフォード家の使用人ならいつでも協力してくれたはずだ。何故、そうしない?」

ルルーシュ『迷惑をかけるわけには―――』

スザク「ナナリーのことだぞ!!君は所詮、兄という立場を利用してナナリーの裸体を視姦していただけだ!!」

ルルーシュ『だまれ!!根拠のないことを!!!』

ナナリー「そうです!!お兄様はそのような下心なんて……!!」

スザク「ナナリー。君はルルーシュを信頼しすぎている。だからこそ、ルルーシュの隠し事を察することができなかったんだ」

ナナリー「それは……」

ルルーシュ『スザク……。この変態が……!!』

スザク「テロリストには屈しない。そういったはずだ」

ジノ「まて、スザク。ランペルージ卿がシスコンだからって……」

スザク「問題だよ」

ジノ「どうして?ナナリー総督に対してだけだろ、そういう変態行為をするのは」

スザク「ナナリーとは血が繋がっていたからこそ、一線を踏み越えることはなかった。だけど、カレンは違う!!」

スザク「あの豊満な肉体でシスコンのルルーシュに対し、お兄ちゃんなどと甘い声で迫れば、ルルーシュが何をするかは分からない」

ルルーシュ『何もしない!!!貴様ぁ!!!』

スザク「それを今ここで証明できるのか、ルルーシュ!!できないはずだぁ!!!」

ルルーシュ『スザク……!!!』

スザク「だから、カレンは返せない」

ジノ「おいおい……」

ナナリー「ですが、スザクさんの傍に置いておくことも……」

ルルーシュ『そうだ。少なくともそちらには預けられないな』

スザク「こちらなら問題ない。僕を監視しておけばいいだけの話だ。君に渡したときのほうが危ない。僕たちの目が一切届かないから」

ジノ「そうだな……」

ナナリー「では……カレンはこのまま……ここに―――」

カレン「待って」

ルルーシュ『カレン……』

カレン「ナナリー。今、正気に戻ったから」

ナナリー「え?」

カレン「もうあたしは大丈夫」

ナナリー「そうなんですか?」

スザク「……正気に戻ったのか、カレン。なら、君を返す理由はなくなったな」

ルルーシュ『な……!?』

カレン「ちょっと!?」

スザク「カレンが正気ならこちらにいても問題はない」

ルルーシュ『貴様……カレンを誘導したのか……!!』

スザク「……」

カレン(しまった……!!)

ルルーシュ『貴様!!!』

スザク「僕に浴びせられた汚名は今後、ゆっくりと洗い流していく」

ルルーシュ『おのれ……!!スザァク!!!』

スザク「屈しない。屈するわけにはいかないんだ、ルルーシュ!!!」

ジノ「待て!!スザク、お前はカレンを手元に置いて、また同じような手段で妹プレイをするつもりじゃないだろうな?」

スザク「だから、僕には監視をつけておけばいい。それで解決だ」

カレン「あぁ……ごめん……ルルーシュ……あたしの所為で……」

ルルーシュ『……』

ナナリー「そ、そうですね……では、カレンさんは現状維持で……」

スザク「そういうわけだ。ルルーシュ、今回は誰にも公言しないと約束しよう」

ナナリー「お兄様……できれば、もうこんなことは―――」

ルルーシュ『―――ヴァインベルグ卿』

ジノ「なんだ?」

ルルーシュ『ふははは。君から面白い単語を聞けた。妹プレイとはな……くくく……』

ジノ「え?」

ルルーシュ『どうやってスザクがカレンに妹と誤認させたか、知りたくはないか?』

ジノ「それは……まあ……」

ルルーシュ『簡単だ』

スザク「ルルーシュ……!!」

ルルーシュ『幼児退行させてやばればいい。カレンの場合、本当に兄がいたから尚のこと容易だったのだろう』

ジノ「どうやって幼児退行させるんだ?」

ルルーシュ『あるだろ。そのような魔法の薬が』

ナナリー「え……もしかして……カレンさんが正気を失ったのって……」

スザク「やめろ!!!ルルーシュ!!これ以上、罪を重ねるな!!!」

カレン「そう……あたしはリフレインを投与されたの」

ナナリー「な……!」

スザク「カレン!!!どうして……!!!」

カレン「もうバレてるし」

ジノ「スザク……まさか……」

ルルーシュ『リフレインで女性の精神だけを幼児化させ、そして自分は妹だと認識させる』

ルルーシュ『まさに悪魔のような方法だな!!!』

スザク「ルルーシュゥゥゥゥ!!!!」

ジノ「……私が間違っていた。そんな手段で得た妹などに価値はない」

スザク「違うんだ!!あれは事故なんだ!!」

カレン「事故で薬を投与できるの?」

スザク「僕にそんな気はなかった!!」

ナナリー「カレンのいるところまでリフレインを持っていったことだけでも……重大な問題です」

スザク「くっ……!!」

ジノ「スザク、見下げ果てた」

ルルーシュ『さあ、ナナリー。もういいだろう?』

ナナリー「……そうですね」

スザク「カレンは返さないぞ!!」

ルルーシュ『バカか。もうそんな次元の話じゃないんだよ』

スザク「なに……?」

ナナリー「スザクさん。カレンさんにした行為は、捕虜に対する扱いの度を越えています」

スザク「……!」

ナナリー「然るべき処分が必要でしょう」

ルルーシュ『くくく……』

スザク「ルルーシュ……君は……!!」

ゼロ『私はゼロ。世界を壊し、想像する男だ』

スザク(このままでは……失墜する……僕は……!!)

ゼロ『カレンはこの際、諦めよう。だが、お前には制裁を加えないとな、スザク』

スザク「ルルーシュ!!!ルルーシュゥゥゥ!!!」

ゼロ『私はゼロだ。ルルーシュではない』

ジノ「では、これで」

ゼロ『ナナリー総督。カレンに対しては……』

ナナリー「はい。ご心配なさらずに。もう同じ過ちは起きないように尽力します」

ゼロ『カレン』

カレン「はい」

ゼロ『待っていろ』

カレン「はいっ」

スザク「……」

ジノ「行こうか、スザク」

スザク「……」

ナナリー「ジノさん……」

ジノ「……そうだな。またあとでな」

ゼロ『寛大な処置に感謝する』

ナナリー「ゼロ……さようなら……」

スザク「ハハハ……ハハハハハハハハハハ!!!!!!!」

ゼロ『終わったな』

スザク「そうだな」

ゼロ『お前にならナナリーを任せられると思ったんだが……』

スザク「……ルルーシュ」

ゼロ『なんだ』

スザク「でも、いいものだったよ。妹になったカレンは」

カレン「え?」

ゼロ『ほう?』

スザク「僕には妹なんていないから、とても新鮮な気分だった」

カレン「スザク……」

スザク「あのままのカレンを望んでいたからこそ、秘密にしていたのかもしれない」

ゼロ『そうか』

スザク「……妹っていいね」

ゼロ『……だろ?』

カレン「……」

スザク「カレンが妹になってくれて嬉しかったよ」

カレン「あ、そう……」

ゼロ『ナナリーに対しても同じような視線を向けていたのか?』

スザク「否定はしない。心のどこかではナナリーに兄を呼ばれることを期待していたと思うよ」

ゼロ『ふん……』

スザク「でも……もうそれは絶望的になった……」

ゼロ『そうだな。お前は社会的に死ぬ」

スザク「死ぬ……?」

ゼロ『ああ。現在の地位にはいられないだろう』

スザク(そうだ……死ぬなら……いや……死ぬわけにはいかない……ここまで来て……!!!)

カレン「ま、自分の蒔いた種だからね」

スザク「……」キュィィン

ゼロ『スザク?』

スザク「……僕は生きる。死ぬことは許されない」

ゼロ『何を言っている?』

スザク「現状では死ぬだろう。だけど……!!!」

ゼロ『まて!!スザク!!』

スザク「俺は生きる!!!うおぉぉぉぉ!!!!」ダダダッ

カレン「スザク!?」

ゼロ(まさか……俺のかけたギアスを逆手にとったのか……?!大した精神力だよ、お前は……!!)

ゼロ『カレン!!スザクのあとを追え!!恐らくとんでもないことをするつもりだ!!』

カレン「わ、わかった!!」ダダッ

ゼロ(スザク……!!)

ゼロ(まさか……お前……!!)

スザク「生きる!!絶対に死なない!!ギアスが俺にそう言っている!!」

カレン「スザク!!何するつもり?!」

スザク「このままだと僕だけが死ぬ!!だが、全員が死人になればどうだ!!」

カレン「は?!」

スザク「全員が同じ立場になれば解決だ!!そのためにはリフレインがいる!!!」

カレン「ちょっと!!あんた、まさか……!!」

技術部

ニーナ「……」カタカタ

スザク「ニーナ」

ニーナ「え?」

スザク「至急、作って欲しいものがある」

ニーナ「なに?」

スザク「散布弾だ」

ニーナ「散布……?」

スザク「これを撒くために」

ニーナ「それ……リフレイン……?」

スザク「呼吸器官から入るだけでも効果があることは知っている」

ニーナ「戦術兵器として使うの?」

スザク「戦場でばら撒けばかなり効果があると思う」

ニーナ「なら、リフレイン事態にも色々と改良を加えないと。このままじゃ、ナイトメアの内部まで行き届かないだろうし」

スザク「頼んだよ」

数日後 隔離部屋

カレン「……あ」

ナナリー「カレンさん」

カレン「スザクは!?」

ナナリー「あれから特に……」

カレン「絶対に目を離しちゃだめだからね」

ナナリー「はい。―――ですが、近日中に大きな争いが起こりそうで」

カレン「え?」

ナナリー「中華連邦と黒の騎士団がこちらに侵攻してくるとの情報が」

カレン「そうなの……」

ナナリー「はい」

カレン「じゃあ、ゼロも……」

ナナリー「きっと……」

カレン(ルルーシュ……早く助けにきて……このままじゃスザクに……)

ゼロの部屋

ルルーシュ「よし。全ての準備が整った」

C.C.「カレンとナナリーの救出に出るのか?」

ルルーシュ「ああ。もはやスザクは危険人物。あいつの下に二人を置いておくことなどできないからな」

C.C.「中華連邦と黒の騎士団はその囮にするわけか。エリア11への侵攻がただのブラフとはな」

ルルーシュ「ナナリーとカレンのためだ」

C.C.「ふふ、すばらしいよ、ルルーシュ」

ルルーシュ「さてと……時間だな」

C.C.「いくのか」

ルルーシュ「必ずブリタニアの……いや、スザクの手から二人を救いだす」

ゼロ「―――この私が!!!」

C.C.「行こうか」

ゼロ「ああ」

ゼロ(待っていろ、スザク!!)

ゼロ(カレンを……そして、ナナリーは……俺が……!!)

エリア11上空

ゼロ「……」

藤堂『ゼロ、いつでもいける』

扇『ブリタニア軍は星刻率いる中華連邦軍と交戦中』

カレン『ゼロ』

ゼロ「よし。機は熟した。―――黒の騎士団!!進軍を開始する!!」

『『了解!!』』

ゼロ「藤堂!侵攻ルートは頭に入っているな!?」

藤堂『ああ。無論だ』

ゼロ「戦果に期待する」

ゼロ「あとは……」

ロロ『ゼロ』

ゼロ「侵入経路は確保したか」

ロロ『大丈夫だよ。咲世子も一緒だから』

ゼロ「ふはははは。ここまでは順調。第一条件はクリアだな。俺も行くとするか」

ランスロット格納庫

スザク「来たか、ゼロ」

ロイド「これ、本当に付けるの?」

ニーナ「スザクの要望ですし」

ロイド「でもね……これ、ある意味、フレイヤよりも凶悪だよ?」

ニーナ「これでゼロを……ふふふふ」

セシル「スザクくん、いいの?」

スザク「これは飽く迄も抑止力のための武装です」

ニーナ「スザク!!」

スザク「ニーナ、ありがとう。でも、これは使わないよ」

ニーナ「どうして?!これでゼロを倒すんでしょ!?」

スザク「……行って来る」

ニーナ「スザク!!待ちなさいよ!!」

ロイド「……どう思う?」

セシル「使われない事を祈るしか……」

隔離室

カレン「……ん?」

兵士「……」

カレン「な、なによ?」

兵士「どうやらゼロがお前を奪還しにきたようだ」

カレン「え!?」

兵士「……悪いがここで死んでもらう」

カレン「ちょっと……!!」

兵士「う―――」

カレン「……え?」

咲世子「紅月カレン様」

カレン「えっと……」

咲世子「お迎えにあがりました。行きましょう」

カレン「……」

咲世子「ゼロ様がお待ちです」

格納庫

咲世子「こちらです」

カレン「これって……紅蓮!?でも、ちょっと形が違うような」

咲世子「Superlative Extruder Interlocked Technology Exclusive Nexus」

カレン「はい?」

咲世子「ええと……聖天八極式と呼べばいいのでしょうか?」

カレン「私に聞かれても……」

咲世子「とにかくこれに乗ってゼロ様の援護を」

カレン「言われなくも。貴方はどうするの?」

咲世子「私にはまだ仕事がありますから」

カレン「仕事って?」

咲世子「ナナリー様をお迎えしにいかなくてはなりませんので」

カレン「そう」

咲世子「ご武運を」

カレン「ありがとう、咲世子さん。気をつけて」

エリア11 上空

ルキアーノ『ゼェェロ!!お前の一番大事なものはなんだぁ!?』

ゼロ「くぅぅ!!!」

ゼロ(このままでは……!!)

カレン『ゼロ!!』

ゼロ「ん?」

カレン『吸血鬼様!!消えろぉ!!!』

ルキアーノ『なに……!?これはぁ!?』

カレン『おわりだぁ!!ブリタニアァ!!!』

ルキアーノ『この猿がぁぁぁぁ!!!!!!』

ドォォォン!!

カレン『ゼロ』

ゼロ「無事だったか」

カレン『はい』

ゼロ(あとはナナリーだけか。よし、いける!!)

スザク『そこまでだ!!カレン!!』

カレン『スザク……!!』

ゼロ「来たか、諸悪の根源め!!」

カレン『アンタに受けた陵辱の数々、絶対に許さない!!』

スザク『大人しく投降するんだ』

ゼロ「随分と強気だな」

スザク『今、このランスロットには強力な戦術兵器が搭載されている。君たちに勝ち目はないよ』

ゼロ「戦術兵器だと?」

カレン『ふん。下らないね。そんな脅しで屈したりなんか』

スザク『リフレイン散布弾』

ゼロ「……なに?」

カレン『は?』

スザク『発射後、気化したリフレインが空気中に散布される。その範囲は半径20キロ。吸った者は皆等しくリフレインの症状が出る』

ゼロ「な、なんだそれは?!」

カレン『スザク!!アンタ、ついに日本を盾にしたってわけ!?堕ちるとこまで堕ちたね!!!』

スザク『僕は君にリフレインを投与してから堕ちた!!だからこそ、引き返せない!!!』

カレン『ふざけるなぁ!!!』

ゼロ(恐らくスザクの発言に嘘はない。あれだけのことをしたあとだ、そういうことを考えてもおかしくはない)

スザク『ゼロ!!カレン!!大人しくするんだ!!幼児退行したいのか?!』

ゼロ「それは諸刃の剣だな。貴様、同胞すらも犠牲にするのか?!」

スザク『そうだ』

ゼロ「……!?」

カレン『スザク……!!』

スザク『結果を手にするためだ!!』

ゼロ「ちぃ!!―――カレン!!」

カレン『はい!!』

ゼロ「奴にそんなものを撃たせるな!!」

カレン『分かりました!!―――スザク!!覚悟ぉ!!!』

スザク『くっ……!!やはりこうなるのか?!』

ゼロ(まだナナリーがいるんだ……!!ここでそんな悪魔のような兵器を使わせてたまるか……!!)

カレン『はぁ!!』ガキィン

スザク『くっ!?―――カレン!!君はまだこんなことをするのか?!』

カレン『アンタなんかに言われたくない!!!このド変態!!ロリコンがぁ!!!』

スザク『僕はロリコンじゃない!!!』

ニーナ『スザク!!早くリフレイン弾を使って!!!それでゼロを倒すの!!』

スザク『できない……!!それだけは!!』

ニーナ『幼児退行したゼロを民衆の前に晒して、笑い者にしてやりましょうよ!!スザク!!!』

スザク『だけど……!!これは飽く迄も脅しだ!!』

カレン『つかまえたぁ!!!』

スザク『右腕が!!』

カレン『輻射波動だぁ!!!』

スザク『パージする!!』ガチャン

ゼロ「カレン!!追い詰めようとするな!!一気に叩け!!」

カレン『はい!!』

ニーナ『スザク!!使って!!お願い!!!』

ゼロ(咲世子……!!ナナリーはまだか……!!!)

咲世子『ルルーシュ様、ナナリー様を発見しました』

ゼロ「咲世子!?でかした!!」

咲世子『今から救出に向かいます』

ゼロ「迅速に頼む!」

ゼロ(よし……!!前提条件はクリアされた!!あとは……時間との戦いか!!)

カレン『はぁ!!!』ザンッ

スザク『うぁ!?』

ニーナ『スザク!!』

スザク『くそ……!!』

カレン『これで終わりだぁ!!!お兄ちゃん!!!』

スザク『ここで……僕は……死ぬ……!!』キュィィン

スザク『―――いや!!死ねない!!』

カレン『え……!!』

スザク『俺は生きる!!生きるために……これをぉぉぉ……!!!!』

ゼロ「まさか!!!」

カレン『スザク!!やめてぇぇぇ!!!』

スザク『うおぉぉぉぉ!!!!!』

ゼロ「まずい!!!まだナナリーがぁ!!!」

カレン『スザク!!!あんたはぁぁぁぁ!!!!!』

スザク『発射!!』

カレン『各員!!この場から緊急退避を!!!』

ゼロ「まて!!ナナリーが!!まだここにはナナリーがぁぁぁ!!!!」

ギルフォード『姫様ぁぁぁぁ!!!』

ゼロ「ギルフォード!?」

ギルフォード『お逃げください!!姫様ぁぁ!!!』

ゼロ「まて!!俺はコーネリアではない!!やめろぉ!!!」

スザク『ハハハハハハハハハハハ!!!!!!!』

カレン『退却してください!!!たいきゃく!!!』

ゼロ『ナナリィィィィィィ!!!!!!』

数時間後 上空

カレン『……』

藤堂『何がどうなった?』

千葉『わかりません』

藤堂『ゼロ、状況を』

ゼロ「……」

藤堂『ゼロ!!』

ゼロ「ナナリー総督は……?」

扇『まだ分からない。ランスロットが謎の兵器を使用する直前、総督府から脱出艇が確認されたが……それに乗っているかは……』

ゼロ「脱出艇……?」

ジェレミア『ゼロ様、どうされますか?』

ゼロ「探せ」

ジェレミア『はっ』

扇『にしてもブリタニア軍が静か過ぎる。あの兵器は一体なんだ……?』

藤堂『まさか生物兵器の類では……?だとしたら今動くのは危険かもしれない。扇、各員にガスマスクを装備しろと伝えろ』

ジェレミア『さて……どこに……』

ジェレミア『ん……?』

スザク「……」

ジェレミア「君だったか」

スザク「……」

ジェレミア「君と私は不思議な縁がある―――ん?!」

スザク「ジェレミア卿……」

ジェレミア「これは……一体……?」

ミレイ「ルルーシュ……私と婚約してくれる……?」ギュッ

スザク「これがリフレイン弾の威力です」

ジェレミア「その貴婦人は……」

スザク「ミレイ会長だけではない。このトウキョウ租界に住むほとんどの人は……」

ジェレミア「なんと!?は、はやくナナリー様を探さなくては!!!」ダダダッ

ミレイ「貴方が……いいって言えば……その……」モジモジ

スザク「ハハ……ハハハハハハハハ!!!!!!!ハーッハッハッハッハッハッハ!!!!!」

ジェレミア「人の気配がする……」

咲世子「……」

ジェレミア「貴方は……」

咲世子「ミレイ様、ルルーシュ様に想いを伝えなくていいのですか?」

ジェレミア「もう……正気ではないか……」

ナナリー「お兄様……」

ジェレミア「ん!?ナナリー様?!ご無事でしたか?!」

シュナイゼル「よしよし。どうしたんだい?」

ジェレミア「……!!」

ナナリー「お兄様……大好きです……」スリスリ

シュナイゼル「コーネリアは甘えん坊だね」ナデナデ

ジェレミア「……ナナリー様、こちらへ」

ナナリー「だ、だれですか!?やめてください!!離して!!」

シュナイゼル「僕のコーネリアをどこへ連れていくというのかな?」

ジェレミア「……」

ゼロ「ナナリー……」

ナナリー「お兄様……お兄様……」ギュゥゥ

シュナイゼル「ハハハハ」

ジェレミア「私が見つけたときにはもう……」

ゼロ「ナナリー!!俺だ!!俺が兄、ルルーシュだ!!」

ナナリー「え?」

ルルーシュ「ナナリー!!」

ナナリー「……私のお兄様は、ここに居ます」

シュナイゼル「はははは」

ルルーシュ「違う!!いや、確かに兄だが……!!」

ナナリー「お兄様、今日はユフィ姉さまが遊んでくれたんですよ?」

シュナイゼル「そうか、よかったね、コーネリア」

ルルーシュ「こっちにこい!!ナナリー!!!」

ナナリー「いやぁ!!!」

シュナイゼル「コーネリアに乱暴はやめるんだ」

カレン「ルルーシュ……」

ロロ「兄さん。もうナナリーは……」

ルルーシュ「ナナリー!!俺だ!!分からないのか?!」

ナナリー「お兄様……守ってください」

シュナイゼル「コーネリアが怖がっている。もうやめてくれ」

ルルーシュ「どうして……!!どうしてぇ……!!!」

ジェレミア「ルルーシュ様、ここは一度旗艦のほうへ」

ルルーシュ「そ、そうだな……。ナナリーは無傷だ……治療すれば……」

スザク「無駄だ」

ルルーシュ「スザク……?!」

スザク「このリフレインはニーナが改良したもの。その効力は今までの比じゃない」

カレン「スザク……!!」

スザク「もう元に戻ることは……」

カレン「アンタは……最低だ!!屑だ!!」

スザク「……」

ルルーシュ「スザク……シュナイゼルまで幼児退行させてはブリタニアは終わりだな」

スザク「……そうだろうね」

ルルーシュ「どうするつもりだ……これから」

スザク「ペンドラゴンにも今から打ち込むよ」

ジェレミア「なに!?」

カレン「それってブリタニアの……?!」

スザク「僕は決めた。全てを……壊す」

ルルーシュ「お前……」

スザク「ここまでしてしまった僕の責任だ。……武力による変革を行うよ」

ルルーシュ「スザク……まさか……」

スザク「……世界を幼児退行させる」

ルルーシュ「……!?」

カレン「ちょっと……」

スザク「ロリコンと呼ぶなら呼べばいい。変態と罵るなら罵ればいい。僕は……もう……あとには退けないから」

ルルーシュ「そんなことしてなにになる!!その後の世界のことを考えろ!!バカか貴様!!」

スザク「じゃあ、どうすればいい!!どうやったら……僕はこの責任を取ることができるんだ!!」

ルルーシュ「責任だと?甘ったれるな!!」

スザク「……!」

ルルーシュ「貴様の蛮行を洗い流すことなどできない!!」

スザク「だから、僕は……!!」

ルルーシュ「世界を壊すのか。俺とは違う方法で!!」

スザク「そうだ」

ルルーシュ「違うな。間違っているぞ」

スザク「え……」

ルルーシュ「お前のやることはただ一つ……元に戻す方法を見つけ出すことだろうが!!」

スザク「そうか……そうかも……しれないな」

ルルーシュ「そうするなら俺も協力する」

スザク「え……」

カレン「ルルーシュ……!!どうして!?」

スザク「許して……くれるのか?」

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