絵理「Amour?」 (19)
“愛”ってなんだろう。
今、顔を上げ、目の前の人物と目を合わせるだけでも、その眼差しに愛はあるのだろうか。
絵理「ねえ…愛って何だと思う…?」
愛「私ですよ!!」
その眼差しの主が愛だった。
でもそうじゃない。
涼「急にどうしたの?難しい事考えて」
絵理「ちょっと、気になって…」
涼「愛、か…」
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涼「絵理ちゃんは人に愛されるのと人を愛するのってどっちが大事だと思う?」
絵理「そんなの選べない…。みんなに愛されてるからここにいるし、愛するから誰かの支えになれる…から?」
涼「あはは…。そうだよね。選べないよね。私も同じだよ」
涼「でも、愛されてるとか愛してるとかってどうやって分かるのかな?」
絵理「それは…どうしてだろう…」
愛「あたしは挨拶されると愛されてるな!って思います!!」
絵理「挨拶?」
愛「はい!おはようとかおやすみとか!」
愛「いただきますって言うのも同じです!命をいただくって事だから、愛もいただきます!!」
涼「私は愛ちゃんの言う事ちょっと分かるなぁ」
愛「そうですよね!」
涼「ありがとう、とか。相手の気持ちが伝わると愛されてるなって思うよね」
絵理「じゃあ、愛するって何…?」
涼「うーん…絵理ちゃんは好きな人とかっていないの?」
絵理「す、好きな人って…。意中の相手って事…?」
絵理「特に…そういうのは考えた事ないかな…?」
涼「そっか…。でも、私たちの事は好き?」
絵理「うん。もちろん。二人とも大好きだよ」
愛「私も絵理さんも涼さんも大好きですよ!」
涼「要するに絵理ちゃんは愛することっていうのがどういうことか知りたいんだね?」
絵理「うん…。そうなのかな…?」
涼「じゃあ付き合おうか」
絵理「えっ!?で、でも…涼さんは…その、女性だし…。確かにそういう恋愛もなくはないけど…」
涼「えっ!あのっ、そのっ!ぼっ、私じゃなくて!」
涼「ま、待ってね。今律子姉ちゃんに聞いてみる」
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絵理「というわけで、付き合ってください…?これでいい?」
涼「うん!OKだよ!」
P「待って、俺がOKじゃないんだけど!?」
涼「プロデューサーさんなら女の子の事たくさん知ってそうだし…」
P「まあウチも個性的なの多いしな」
涼「それに、歳も近いし話しやすいと思います」
P「近いって言っても8つくらい離れてるだろ」
涼「まあ、絵理ちゃんをお願いします」
P「うーん、まあいいけど…」
涼「本当ですか!?よかったね、絵理ちゃん」
絵理「うん…。えっと…じゃあ屈んでください」
P「ん?こうか?」
絵理「はい、そのままでお願いします…」
頬にキスをした。プロデューサーさんも涼さんも驚いている。
P「ななななな、ねゃ、にゃにを!?」
涼「えええええ絵理ちゃん!?いきなりキスは早いよ!」
絵理「わ、私だって恥ずかしかった。でも…恋人って普通にこうするものだと思ってたから…」
P「そういうのは本当に好きな人にしなさい!」
絵理「本当に好きじゃない人と恋人になるの…?」
P「ダメだこいつ」
涼「絵理ちゃんとプロデューサーさんは偽者の恋人なんだから、そんなに過激な事はしなくてもいいの!」
絵理「偽者?」
涼さんとプロデューサーさんにこってり叱られた。
私なりにいろいろ調べてみた結果だったけど、ダメだったみたい…?
涼「ああ…もうこんな時間。そろそろ仕事だから私は行くね。後は二人で楽しんで」
絵理「うん。じゃあね、涼さん」
P「で、どうするんだ?どこか行くか?」
絵理「デート?」
P「まあ、そうだな」
絵理「じゃあ、映画とか?」
P「無難だな」
映画を見て、食事をして、公園で休憩をして
同じことを愛ちゃんや涼さんともしたことがある。プロデューサーさんが隣にいても違いが分からない。
友達=恋人?それじゃあ私は愛ちゃんや涼さんとも恋人同士?
そんな訳はない。
辺りもだんだん薄暗くなってきた。
P「次、どこか行くか?」
絵理「そろそろ帰りたい…です」
P「そうか…。じゃあ送っていくよ」
P「この辺に住んでるのか。俺の住んでるマンションから見えるな」
絵理「プロデューサーさんもこの辺りなんですか?」
P「ほら、あそこのマンションだよ」
絵理「ボロボロ…」
P「ああ…そうなんだよ。あそこだいぶ古くてさ。まあ安いから仕方ない!我慢だ我慢!」
絵理「あ、ここです…」
P「そうか、じゃあ…ここでお別れだな…」
絵理「よかったら…上がっていってください」
P「え?」
絵理「今日1日付き合ってくれたお礼です。今日だけでも暖かいところで過ごしてほしいなって…」
P(いや待て。親御さんもいるハズだ…。俺みたいなやつが来たら追い帰すに違いない)
P(追い帰されなかったとして、もし泊まっていくようなことになっても間違いなんて起きるわけない)
P「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかなー。なーんて、はは」
絵理「どうぞ、散らかってますけど」
P「お、お邪魔しまーす」
P「あれ?親御さん、出かけてるのか?」
絵理「あ、親はいないので…」
P「そ、そうなのか…。一人暮らしか。すごいな…」
P「それにしても本当に散らかってるな…。ちょっと掃除しようか…」
絵理「それには触らないで!」
P「ビックゥゥゥウン!」
絵理「あ、ご、ごめんなさい…今お茶出してきますね…」
今日は泊まっていくように誘ってみた。
プロデューサーさんは遠慮していたけど、結局私が押し切ってプロデューサーさんが泊まっていくことになった。
恋人は一つ屋根の下で一緒に寝るって書いてあったから……。
食事を済ませ、お風呂も済ませ、床に就き二人で眠った。
プロデューサーさんの顔はすごく赤かった。
私も…知らず知らずのうちに…
目が覚めた。時計は23:58分。
隣にプロデューサーさんは寝ていない。
不安になり、布団を何度もめくったけど、どこにもいない。
その時、玄関のドアが開く音がした。
P「あ、起きてたのか」
絵理「こんな時間に…どこに?」
P「さっき目が覚めてさ、キミのプロフィールを見てたら、今日誕生日なんだって?おめでとう」
P「それで…プレゼントを買いに行ったんだけど…」
絵理「もう…誕生日終わっちゃいましたよ…」
P「そうか…ごめんな…。もっと早く気づいていれば…」
絵理「その箱…」
P「ん。これか…これはな…」
指輪…?どうして…?
P「一目惚れだ。結婚してくれ。絵理」
絵理「……」
P「ダメか…?」
絵理「私…プロデューサーさんの事好きなんだと思います…」
絵理「だけど…結婚はできません…」
絵理「私はアイドルだから…」
P「そうか…」
絵理「だから、最後にもう一度ステージに立たせてください…」
プロデューサーさんとの1日だけの偽物の恋人。
それは本当の恋。だったのかな…?分からない。分からないけど、これからもっと愛が深まればいいなと思う…。
絵理「これが…私の最後の曲…」
絵理「1日だけの、特別な恋…」
絵理「その想いをそのまま歌詞にしました…」
絵理「『クロスワード』」
終わり
終わりです。
クロスワード。良曲ですよね。大好きです。
ギリギリで間に合わせようとしたのは、Angel Beats!の23:50って曲からの発想です。
少し過ぎちゃったけど絵理ちゃん誕生日おめでとう!生まれて来てくれてありがとう!結婚してけれ!
実は(もう日付け変わってるから)昨日の深夜にも絵理誕のSSを挙げていまして。
絵理「Shiny Smile」
絵理「Shiny Smile」 - SSまとめ速報
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こちらもよろしくお願いします。
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