P「緊急脱出装置だ」 (37)
亜美「突然ですが始まりました、にーちゃんの仕事場はいけーん!」
真美「真美たちがにーちゃんの仕事場をてってー的に調べるYO!」
亜美「まぁ、そういう名目のイタズラなわけだけど」
真美「ヒマだからね。ちかたないね」
亜美「ぬっふっふー。さぁて、にーちゃんはちゃんと仕事してるのかなー」
真美「亜美隊員! 机の上は思ったよりも片付けられてます!」
亜美「あっれー。何かあると思ったんだけど……じゃ、机の下だー!!」
真美「ではではさっそく……おおっ、ナゾのスイッチを見つけました!」
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亜美「にーちゃんの机の裏にコッソリと存在するスイッチ……」
真美「メッチャあやしいね」
P「ふふふ……」
亜美「あ、にーちゃん」
P「ついに見つかったか。それは緊急脱出装置だ」
亜美「きんきゅー?」
真美「前はこんなのなかったよね」
P「ああ。最近設置したんだ」
真美「なんでそんなものつけたの?」
P「無論、用心のためだ。うちの事務所に重大な危機が起こったとき、これを押せば速やかに且つ安全に離脱できるんだよ」
亜美「……」ウズウズ
真美「……ねぇ、にーちゃん」
P「だから、押すなよ。絶対押すなよ。押したら三日くらい帰ってこれんぞ」
亜美「さすがに言いすぎっしょー」
真美「それに、その言い方フリだよね」
亜美「てなわけでポチーっと」ポチッ
P「あっ、バ――――――
真美「に、にーちゃんが椅子ごと消えた!?」
亜美「カベ突き破って飛んでっちゃったYO!」
その後、三日ほどしてプロデューサーは帰ってきた。お土産にスペパププを持って。
春香「あ、千早ちゃんおはよう!」
千早「あら、春香おはよう」
春香「今日もクッキー持ってきたんだ。一緒に食べ――うひゃあっ!?」ツルッ
千早「春香!?」
フッカフカ
千早「春香、だいじょう……ぶ?」
春香「何コレ、すんごいふっかふかで気持ちいー」フッカフッカ
千早「これは……春香の下に柔らかそうな布団が!?」
P「ふふふ……」
千早「プロデューサー? これは一体」
P「こんな事もあろうかと! 対春香用転倒対策秘密兵器を開発しておいたんだよ!!」
春香「な、なんだってー!?」フッカフカ
千早「どういう仕組みなんですか」
P「良くぞ聞いてくれた。このシステムはまず、事務所内に配備した765個のセンサーが春香の傾きを感知する」
千早「一体どこにそんな数のセンサーが……」
P「そして一定以上の傾きが認められると転倒したと判断し、最高級羽毛布団(衝撃吸収型)を転倒予測方向へ射出するのだ!!」
春香「だからこんなに温かくて気持ちいいんですね~」ヌクヌク
千早「春香、顔がトロけてるわよ」
P「いやぁ、苦労して開発した甲斐があったな」
春香「プロデューサーさん、ありがとうございまふ~」ヌックヌク
こうして、天海春香は布団から抜け出せなくなった。
やよい「……でねー」
伊織「そうなの。だったら……」
伊織「ん……ちょっと喉が渇いたわね」
やよい「いっぱいお話したからね」
伊織「何か飲みも……なによこれ」
やよい「前からこんなのあったっけ?」
伊織「ないわよ。っていうか、ホントなんでジュースサーバーが? しかも業務用だし」
P「ふふふ……」
やよい「あ、プロデューサー! ハイターッチ!」
P・やよい「いぇい!」
伊織「で、またアンタが何か企んでるワケ?」
P「企むとは人聞きの悪い。俺は伊織や皆が喜ぶと思ってドリンクディスペンサーを用意したんだ」
伊織「他に他意はないと?」
P「無論。やよいも自由にジュース飲んでいいんだぞー」
やよい「いいんですか?」
P「勿論だ。色んな種類があるからな、好きなやつ選んでくれぃ」
伊織「アンタにしては気が利いてるようだけど、よくこんなの手に入れられたわね。レンタル?」
P「バカいえ。設計から開発まで全て自前だ。整備も俺がやる」
伊織「……それ、大丈夫なの?」
P「不安か? 衛生面も耐久性も万全だ。某所で検査してもらったが、全く問題なかった」
P「それに中のジュースは既製品だからこちらも安全だ」
伊織「なら、いいけど……ジュースばっかりなのね」
P「お茶は雪歩のがあるからな。他人の領分は侵さないさ」
やよい「ね、ね、伊織ちゃんはどれにする?」
伊織「そうね。取り合えずオレンジジュース……ふぅん、ちゃんと果汁100%なんだ」
P「喜んでくれたようで何よりだ」
後日、レパートリーについてアイドルたちによる徹底討論が行われたという。
真「……雪歩、大丈夫だよ」
雪歩「で、でも私……またあんな失敗を」
真「あんなのみんなもやってるよ」
雪歩「真ちゃんにもプロデューサーにも迷惑かけちゃったし……」
真(うーん、今日はいつもより深刻みたいだ。どうしたら……)
雪歩「やっぱりダメ! こんな私なんて穴掘って埋まってた方がっ!!」スチャッ
真「待って雪歩! 事務所の中はまずいよ!」
ガキン!
雪歩「へ?」
真「……なっ!? チタン合金すら突き抜ける雪歩の穴掘りをはねのけた!?」
P「ふふふ……」
雪歩「プロデューサー!?」
真「これは一体……」
P「雪歩の穴掘り癖を直すため、密かに事務所内の床を改装しておいたのさ!」
P「地球どころじゃなく、裏を含めた宇宙一硬い物質ヤワラカクナイでな!!」
雪歩「ヤワラカクナイ!?」
真「……そんなの、どこで手に入れたんですか」
P「そこはほら、プロデュース業の繋がりってやつかな」
雪歩「プロデュースって奥が深いんですね」
真「そこは納得していいところなの?」
P「いいか、雪歩。穴を掘って埋まりたくなる気持ちは分かる。だが、いつか穴も掘れない場面に出くわすかもしれない」
P「そんな時を想定して、俺はこれを用意した。しかし、用意しただけだ」
真「どうするかは雪歩次第だと……?」
雪歩「……分かりました。頑張って、ヤワラカクナイすらも掘れるように穴掘り道を極めてみせます!」
真「え、そっち!?」
雪歩のスコップが天元突破を果たすのはもう少し先のお話。
小鳥「……ピヨピヨ」
律子「……」カタカタ
小鳥「……ピヘヘヘヘ」
律子「……あの、小鳥さん」
小鳥「ピ!? な、何か用ですか律子さん」
律子「あまり言いたくないですが、ちゃんと仕事してます?」
小鳥「……も、勿論ですよ?」
律子「……ならいいですけど」
P「ふふふ……」
小鳥「プ、プロデューサーさん!?」
律子「そういえば、プロデューサーも最近姿を見ませんね?」
P「俺の事はいい。それよりも小鳥さん、安心してください」
小鳥「それはどういう意味でしょう?」
P「こんな事もあろうかと! 小鳥さんの勤務実態をあらゆる角度から撮影、送信するサービスを始めておきました!」
律子「さ、撮影? 送信?」
小鳥「……送信って一体……だ、誰にです?」ダラダラ
P「勿論、ご両親と社長にです」
小鳥「ピヨッ!!?」
律子「なんだってそんな大仰な……しかも親にまで」
P「小鳥さんの勤務態度に疑問を持つ匿名の相談が複数あってな。親御さんからもちゃんと仕事してるか電話で訊かれたんだよ」
P「俺は勿論、小鳥さんの潔白を信じてるので。こうして証明のためサービスを始めたんですよ」
小鳥「…………せ、せめて私にも事前連絡くらいは」ダラダラ
P「それやっちゃうと不正疑われるじゃないですかー。やだなー」アハハ
小鳥「で、ですよねー」
プルルルルルプルルルル
律子「電話ですね……はい、こちら765プロ……あぁ、小鳥さんの……はい……はい……今、代わりますね」
律子「小鳥さんのご両親から電話です」
小鳥「……あの、留守って事には」ダラダラ
高木「あー、音無君、ちょっとこっちへ来てくれないか。大事な話があるんだが」
小鳥「…………スグイキマスデス」
この後、死んだ鳥のような目で黙々と作業を続ける事務員の姿があったという。
響「おーい、ハム蔵ー!」
貴音「また行方不明になったのですか?」
響「あ、貴音。そうなんだ。この後一緒にテレビの収録があるのに困ったぞ」
貴音「では、私も一緒に探しましょう」
響「うう、貴音~、すっごく助かるぞ」
貴音「さて。ではまず……おや?」
メカヂュヂュイ!
響「お、ハム蔵そんなところにいたの……って、何だ!?」
メカヂュイ! メカヂュヂュヂュ メカヂュヂュイ メカヂュッヂュ
貴音「ひーふーみー……沢山いますね」
響「増えてる!? じゃなくて、なんか皆メカメカしいぞ!?」
P「ふふふ……」
貴音「おや、貴方様」
響「プ、プロデューサーこれは何なんだ!?」
P「ハム蔵がいなくて困っているようだな。そんな響の為に用意した秘密兵器だ」
響「秘密兵器!?」
P「その名も、メカハム蔵(×91匹)!! ハム蔵の身体能力や思考回路をトレースした最新型のハム蔵探索追尾兵器だ!」
貴音「なんと!? 貴方様はそんなものを用意していたのですか」
P「こいつらは姿を隠したハム蔵を検知し、執拗に追いかけるんだ。そして響の頭に逃げ込むよう追い詰める」
響「で、でも何でこんなに多いんだ?」
P「そこは技術力の問題だな。現代の技術でハム蔵を100%トレースする事は叶わなかったんだ」
P「今のメカハム蔵はせいぜい本物の72%くらいの実力しかない。その不足を数で補うしかなかった」
貴音「ふむ。確かによく観察してみると一体一体の動きが鈍いように見受けられます」
P「だが、数の暴力は絶対的だ。そろそろ……ほら、来た!」
ヂュヂュイ!
響「あ、ハム蔵! こっちだぞ!」
P「ふふ。無事ハム蔵と合流できたな。さ、仕事行くぞー!」
だが、ハム蔵の成長速度は著しく。一週間後、メカハム蔵は一匹残らず駆逐される。マークツーの到来は近い。
あずさ「あら?」
美希「……」
あずさ「あらあらー?」
美希「あずさについてったのが間違いだったの」
あずさ「ごめんなさい。道に迷っちゃったみたい」
美希「30分くらい前から気付いてたよ」
あずさ「どうしましょう」
美希「もうミキもここがどこなのかサッパリ……あれ、ハニーから電話」プルルル
P『ふふふ……』
美希「もしもし、ハニー?」
P『お前たち、道に迷っているようだな』
美希「なんで知ってるの?」
P『あずささんが迷った時に備えて、密かに人工衛星を打ち上げて観測させていたんだ』
あずさ「まぁ」
美希「さすがにやりすぎって思うな」
P『そう言うなよ。万が一ブラジル辺りに飛んでても、三秒で捕捉できる性能なんだぞ』
あずさ「すごいですね~」
美希「すごすぎて意味が分からないの」
P『まぁまぁ。誘導するからケータイはそのままにしといてくれ』
美希「あふぅ。助かったから良しとするの」
あずさ「それじゃ、行きましょうか」
その後、美希とはぐれたあずさを誘導するのに3時間を費やし、プロデューサーは失敗を痛感した。
スレタイ→「緊急」脱出装置
罠カード→「強制」脱出装置
なんかまぎらわしいですね
P「……ふんふふーん」カタカタ
律子「あの」
P「なんだ、律子」
律子「プロデューサー、最近本業のプロデュースがおろそかになってません?」
小鳥「はいはい! 私もそう思います!」
P「いやいや、そんな事はないだろ。ちゃんとやってるぞ」
小鳥「どっちかというと事務所の改造の方を楽しんでるように見えるんですけど」
P「まぁ、否定はしませんが……ふむ」カタカタ
小鳥「どうかしました?」
P「最近はぷちどるとかいうのがいるんですね。万が一招き入れた事を踏まえて、次は壁に対ビームコーティングを……」
律子「いつからうちの事務所は鉄壁の要塞になったんですか」
高木「ふふふ……」
P「あれ、社長? 何か用でしょうか」
高木「キミィ、最近業務が疎かになってると聞いてね」
P「まさか。プロデュースの手を抜いたりなんてしてませんよ。疑うのなら、俺の仕事風景も送信サービスしましょうか」
高木「そこまで言うつもりはないよ。ただ、事務所の改造に回す余力があるなら本業に、とは思うんだが」
律子「私も同意見です」
P「む。律子もか」
高木「そこでだ。キミが本業に精を出してもらえるよう、私も秘密兵器を持ってきたんだよ」
小鳥「社長も?」
高木「これだ」スッ
P「なんですかこれ……ってええぇ!?」
高木「キミが音無君に渡した事務所改造の経費申請だが、全部落とせないからね。自腹よろしく」
律子「……まさか、あれ全部経費計上するつもりだったんですか」
小鳥「まぁ、あんな趣味満載の魔改造、私もムリだとは思ってましたが」
高木「しばらくはタダ働きも同然だと思うが、これで本業に集中できるだろう。ハッハッハ」
P「ちょ、ちょっと待って下さい! 俺の改造案、社長は承認してくれたじゃないですか!!」
高木「キミが責任を持って勝手にやる分には構わんとは言ったが、事務所が費用を負担するとは言ってないぞ」
P「そんな……俺はてっきり、自分で開発するなら材料費は出してもらえるって事かと……」
高木「ハッハッハ、勘違いはいかんよ。キミィ」
P「」
小鳥「これ、自業自得ですよね」
律子「ええ」
P「お、終わった。俺の人生、終わった」ポチッ
ヒュゴオオオオオオオ
小鳥「あ、緊急脱出装置使いましたね」
律子「壁の修繕費増やしちゃって……まぁ、ほっとけばまたお土産持参して帰ってきますよ」
三日後、プロデューサーは涙を湛えて帰ってきた。お土産にやっぱりスペパププを持って。
終わり。
勢いで書いた。反省。
経費とかあんまり詳しくないのにオチに使ってます。
ツッコみどころ満載なのは申し訳ない。
読んでくれた方、ありがとうございます。
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