上条「…へ、え? ここどこだよ」御坂「は?急に何よ」(306)


上条「いや……御坂も、なんで…」

御坂「……ちょっと、大丈夫? なんか怖いわね」

上条(つか、この橋って…ひょっとして学園都市か?)


上条「フィアンマは?」


御坂「…な、なに? 本当に怖いわね急に!?」

上条(…どうなってるんだ)




○上条宅○


上条(……俺の家、部屋…)

ぼすっ

上条「あー、なんか疲れた―」

上条(久々のベッド、今までで一番ふかふかしてる気がするな)


上条「……フィアンマとか、神の右席とか、全部夢だったりすんのかな」


上条(・・・・・・・・・・まてよ、じゃあインデックスは?)


ガバッ


上条(ここの漫画棚、もっとグチャグチャしてたよな!?)

上条「スフィンクス!!」


  しーん


上条「ッ」ガタっ

上条(スフィンクスを拾った日の記念として隠してた銀のスプーンも無い…)

上条「い、インデックス!! インデックス!!??」タタッ


コンコンッ


上条「!!」



ドバンッ!!


上条「インデックス!?」

土御門「夜中に大声出して、どーしたんだにゃーカミやん」

上条「土御門? なあ、インデックスはどうなったんだ!?」


土御門「インデックス? 漫画か何かか?」

上条「・・・」

上条「何でもない、悪かったな土御門」

土御門「ん? ああ」



ずるずるっ


上条(……は、は…)

上条「なんで、気付かなかったんだろうな…」

上条「携帯もあった、それに気温でだって…」


パカッ


上条「今日、『7月19日』だ……」




上条(・・・これって、俺が過去に戻ったってことだよな)

上条(それも、俺の失くした記憶の…過去)


上条「クソ!! ってことは『いつかもわからない時』に俺はインデックスと出会うのか?」


上条(それも、『竜の息吹』とかいう魔術に俺が記憶を消されるような事態に…)

ドサッ

上条(・・・もう訳わかんねえよ)



○翌朝○


上条「まだ七時半か…でもいつまでもここに居たって何も変わらねえよな」

上条(普通に考えて過去に戻る訳が無いんだ、魔術が絡んでるとしか思えない)

上条「よし、いってきま……」


上条「・・・」ピタッ


上条(…今、なんかベランダが気になったけど)

上条「今日は晴れだし、心配はないよな」

prrrrrrrr!!

上条「おわあ!? 電話…?」



ガチャッ

上条「はい、上条です」

小萌『あ、上条ちゃーん、バカだから補習ですー♪』

上条「補習? ああ、それなんですけど…」

小萌『来ないと成績が大変な事になるので、キチンと来て下さいねー!』


ブツッ


上条(…まずはこっちが先か)



○全力で補習に励み、感動した小萌先生から早退許可を得た帰り○


土御門「おーいカミやん、今日はどうしたんだにゃー?」

青髪「せやせや! 小萌センセ―が感動するほどやったで!」

上条「ん? あー、今日は水瓶座が一番良い日なんだよ」


上条(実は未来に戻る方法を探してるなんて言えねえしな)


土御門(・・・)

上条「どうかしたのか土御門」

土御門「いや、なんでもないにゃー」



_______ウイーン__ウイーン


上条(…清掃ロボットか)



上条「・・・」ピタッ


上条(…なんか気になるよなぁ、何に対しても)

上条(やっぱ過去に来てるからか?)

上条(それだけなのかなー……)




○三沢塾前○


上条(さて、俺が今の時期に頼れそうな『魔術師』なんてのは土御門くらいだ)

上条(でも土御門じゃ信じて貰えるとは思えない、アイツが本格的に接触してきたのは天使堕としの時だしな)


上条(となるとだ、今の俺でも接触できて魔術のエキスパートといえば……)


イザード「依然、未だ信じられないな……『神の右席が私に取引を持ちかけるとは』」

上条(やっぱ知ってたか、コイツなら本当に釣られると思ってた)


上条「神の右席をどこまで知ってるのかは知らねえ、だが名前くらいは知ってるみたいだな」

イザード「……憮然、貴様が神の右席という証拠は?」



上条「勘違いするな俺『達』は取引してやるんだ、お前に指図される覚えはねえよ」

イザード「悄然、そこまで言うからには…」

上条「吸血鬼殺し、アイツを利用しなくても禁書目録を救ってやる」

イザード「・・・なに?」


上条「その代わり…それが済んだらお前の『黄金錬成』でしかできない事をやってもらう」


イザード(馬鹿な、この男は何故我が秘術を……!!)

上条「言っとくけど無駄だからな、俺の『魔術』はお前の黄金錬成を無効化できるんだ」

イザード「・・・」

上条(さ、さすがに挑発し過ぎか?)



イザード「…証拠は見せて貰おうか」

上条(!! やっぱ無理か、だったら力づくで…)


イザード「  『死ね』  」キィン


上条(!!?)ビクッ

イザード「……必然、どうやら本物らしいな、失礼した」

イザード「ではイギリスの禁書目録を直ぐに迎えに…」

上条「あー、待て待て! アイツは今この学園都市に丁度来てるんだよ」


イザード「顕然、流石は『神の右席』か」


上条(だって今から五日の間でインデックスに会って記憶を失うらしいからな)



○上条宅○


上条「はー…」ズルズルッ

上条(『二度目』つったって、アウレオルスだって相当ヤバイ魔術使ってるからなぁ……びびった)

上条(問題なのは、インデックスをどうやって見つけるかだよな)

ふらふら

上条(出来れば錬金術師とまた会いたくないし、そもそもよくあんな嘘がばれなかったよ)


ジャー!


上条(ステイルとかローラスチュアート?だっけ、あと神裂の話だと確かインデックスの『首輪』を破壊したんだよな)

上条(フィアンマはそれを利用したんだっけか・・・)



上条(うーん、記憶を失うのは避けたいよなぁ)ゴクゴク

上条「どうしたら…」

上条(ん、結構陽が落ちてるな…カーテン閉めるか)


スッ


インデックス「~~~~~!!!!」バンバンッ

上条「  」


インデックス「~~~!!」(開けて~~!!と言ってそうな顔と口)


上条「よしわかったしばらくそこにいなさい」

インデックス「~~~!??」




イン「出来ればすぐに開けて欲しかったかな」ぷんぷん

上条「はいはい、どうせお腹でも空いてたんだろ?」

イン「正解! よくわかったんだよ?」


上条「ちょっと待ってろ、今何か作って…」ピタッ


イン「どうしたの?」

上条「いや、なんか冷蔵庫の中身が全滅してるような気になっただけだ」

上条(・・・)


そろそろ失礼します



ゴトンッ


上条「ほら、野菜炒めだ」カチャッ

イン「ふわぁ…私の為に美味しく作ってくれてありがとうなんだよ!」

上条「まあ慣れてるからな」

イン「いっただっきまーす♪」ぱくぱく


上条(・・・フィアンマとか、『神の右席』がいなかったらこんな日常だったのかな)


イン「う~ん! あれだよね、さりげなく疲労回復のためにすっぱい味付けしてる所がにくいよね」がつがつ

上条「レモン汁かけてみたから疲労回復にはうってつけなのだー!」

上条(・・・)ピタッ

上条(…腐って、はいないよな? 冷蔵庫は正常に動いてるんだから)



上条「……っつか、今気付いたがなんでお前ベランダにいたんだ?」


イン「むぐぅ? んむ…屋上から屋上に飛び移ろうとしたら失敗しちゃったんだよ」

上条「お、屋上!?」

イン「うん、途中で背中を撃たれちゃったんだけどね」


上条(……なんか、聞いたことはあるような感じがするな)

上条(・・・!)ピクンッ


上条「インデックス、それはいつ起きた事なんだ? いつからお前はベランダにいた!?」

イン「ふぇ? なんで私の名前を知ってるの? 君はだれ?」


上条「おれは上条当麻だ! それより早く食え、ここを出るぞ!」



―――――――― ゴバアアアアアアッッ!!!


ステイル(……いない、既にインデックスは逃げたのか)

ステイル(?)

スタスタ

ステイル「あの子のフード…まさか、僕達の追跡を撒く囮に?」


ステイル(あり得ない、そのために『歩く教会』の一部を切り離すなんて!)


上条「よお…? バチカン以来だと久しぶりだなステイル」

ステイル「!!?」



ステイル「・・・何者だい? 見た所、君はここの学生に見えるけど」

上条「んなこと話す為に来たんじゃねえよ」

ステイル(……何なんだ、この男の余裕は)


上条(さてと、ラッキー極まりないことにインデックスを追ってるのがステイル達なのは良いけど…)


上条「なあ、どうして同じ仲間のインデックスをお前襲ってんだ?」

ステイル「!!」バッ

上条「聞けって! 上手く説明できねーけど…俺はお前達のことを『知ってる』んだよ!!」

ステイル「ハッ、ミュータント開発の薬でおかしくなってるのかい? だったら望み通り・・・!!」



―――――――― ダダダッ!!


ステイル「馬鹿が、正面を切って『魔術師』のボクに喧嘩を挑むなど…!」ゴォッ

ステイル「Fortis931――― 安心して良い、一瞬で消し炭にしてやるよミュータント」


上条(・・・良かった、コイツが…)

上条「『いつも通り』でな・・・!!」


ステイル「 【Kenaz,PurisazNaupizGebo】 !!」
       『炎よ、巨人に苦痛の贈り物を』 


――――――― ギュオオオオオオオオ!!!


上条「ラァッ!!」バキンッ

ステイル「!!?」

上条「どうしたよ! 『あっちの』お前なら俺に間髪入れず炎剣振り回してたろうが!!」






ステイル「クソ…!」ゴバァッ


上条「おせえ!!」ブンッ


―――――― バキンッ!!!


ステイル(馬鹿な、僕の炎剣を…!)

ステイル(……待て、コイツがただの一般人じゃないことは明白…なら『魔術師』に対する武器か能力を持っていてもおかしくない)


ステイル(本気で殺る・・・!!)ヒュッ


上条「『イノケンティウス』なら無駄だぜ…?」

ステイル「な…に…?」




上条「部屋の外、見たかよ? 聞こえてたかよ?」

ステイル「外・・・」


<ジリリリリリリリリリ………


ステイル「…?」

上条「天草式の連中に、神裂、そしてお前自身からも聞いたよ……」

上条「お前、カードの前はコピー用紙使ってルーンを大量生産してたらしいな?」


ステイル「な……何故それを!?」



上条「お前の魔術は、言っちまえば『炎剣』以外は全部下準備しなきゃまともに使えねえ」

スタスタ

上条「だから、この建物全体にルーンをばら撒いてると俺は確信した」

上条「火災報知機はインデックスを先に逃がして作動させた、……大変だったぜ? ボタン押すだけの作業教えるの」


ステイル「お、お前は一体・・・!!」


上条「上条当麻だよ、覚えとけヘタレ魔術師」ブンッ



―――――――― ドゴンッ!!


―――――――― ドサッ




上条(…ふう、コピー用紙に使われてるインクが『学園都市製』だったら水なんかじゃ落ちなかったかもな)

上条(まあコイツが学園都市好きじゃないのは知ってたから、火災報知機のシャワーでルーンの紙を消せたけど)


上条「……インデックス、いるか?」スッ


イン「あ、あなた何者なの…!?」

上条「何でもねえよ、ただのすこーし不幸な高校生だっつの」


上条(クーデターとか戦争に巻き込まれるくらいのな)





○しばらくして○


ステイル「………ぐ…」クラッ

ステイル「!!」ギチッ


上条「よーし、次は腕捲ってくれ」

イン「うん」スッ

上条「・・・無いな、となるとやっぱ一度全身見てみないと」


ステイル「その子に一体何をしてる貴様ァッ!!」

上条「うお!? 急になんだよステイル」


一応言っとくけどステイルと最後に会ったのはロンドンな!
上条さんバチカンには一度も行ったこと無いはずだから

>>59
やっちまった・・・



ステイル「急になんだだと…貴様、それ以上彼女に手を出せばどうなるか……!!」

イン「・・・」じっ


上条「……終わったら、呼んでくれないか」スッ

ステイル「なに?」

上条「おれは少し出かける、もしお前が俺と連絡取る気になったら『三沢塾』に来てくれ」

ステイル「待て、貴様には聞きたい事が山ほど!!」


イン「 すている 」


ステイル「・・・え?」

上条「じゃあな」ガチャンッ



ステイル「………フン、馬鹿な男だ」

ステイル「僕達魔術師を甘く見ているとは思わないか、魔道図書館」ニヤッ


イン「…ごまかしても駄目なんだよ、とうまから聞いたもん」

ステイル「へえ? 一体何を聞いたって?」

イン「馬鹿にしても無駄だよ、さっきの反応で大体わかったんだよ」

ステイル(・・・あの男、一体何を吹き込んだ)


イン「ねえ、私はひとりぼっちじゃなかったんだよね?」


ステイル「っ!!?」ドキッ





○三沢塾○


イザード「唖然…一体何を言っているのか些か理解が追いつかないのだが」

上条「だから、インデックスを救ったら、俺を10月30日に飛ばして欲しい」

イザード「・・・そこに一体どのような目的が?」

上条(だー!! そんなの俺が聞きたいぐらいだあああああ!!!!)


イザード「…失礼、少々待ってて貰おう」スッ


上条(あの鍼……まさか黄金錬成を使う気か?)




イザード「『3時間後に少年をここへ』」キィンッ



上条「は?」

フッ



フッ


上条「??」スタッ

イザード「断然……これ程の術式、どうやら『更なる調整』が必要らしい」

上条「何をしたんだ?」

イザード「貴方を三時間後に飛ばしたつもりだったが…どうやら1時間と14分47秒が限界らしい」


上条「嘘だろ!? お前の魔術ってこの世界の完全シミュレートだとかで頭で思い描いた事は何でも出来るんじゃ…」

イザード「・・・やはりもうしばらくは『三沢塾生徒を使う』必要がありそうだ」


上条(…使う、って!! 忘れてた・・・コイツの黄金錬成って…)


右手はどうした

上条当麻以外の世界が加速したとすればよいのではなかろうか(提案)



>>69 原理としては、イザードの魔術はなんか脳内シミュレート的な物なので『上条の周囲の時間経過した世界』みたいな感じです

   ・・・つまり、『まあ右手でも打ち消せないもの』と思って下さいw(>>71GJ)


・・・・・・・・すいません、寝てました

ここ最近寝てなかったもので……すいません



上条「……なあ、お前って人間は作れるのか?」


イザード「必然、単純な人形程度なら以前の私にも作れる」

上条「だったら三沢塾の生徒を利用するなよ、あいつらだって・・・」

イザード「?」

上条(くそ、あんま迂闊なことも言えないし……)


上条(神の右席…あいつらが目指す中にあったものは…)


上条「……三沢塾の人間達も、『信仰』を一番に考えてたんじゃ?」

イザード「間然、何が言いたい」

上条(だああああ、なんて言えば良いんだ!)


姫神「……イザード」スッ


上条「!」


イザード「失礼、…どうかしたのか」

姫神「・・・その人が?」

上条(そうか、姫神はイザードと取引してたんだっけ)


姫神「……私は中に戻る」

イザード「?…」


姫神(・・・)



イザード「寛然、それで何かあるのか?」

上条「そ、そうだ…お前はもう目的の為に三沢塾を利用する必要無いんじゃないか?」

イザード「解せないな」

上条「なんでだよ」


イザード「……未来に行きたいのはそちらではなかったか」


上条「そうだけど……」



上条「インデックスがそこまで堕ちたお前を見て…以前みたいな関係に戻れると思うか?」

イザード「!!」


上条「アウレオルス=イザード、お前が学園都市や魔術サイドにバレるのは8月になってからだ」

上条「今ならまだ戻れる、今ならまだお前にもインデックスの隣に立てる…!!」


イザード「………」

イザード「当然、錬金術師としての悲願を果たした完璧な私を見れば・・・」

上条「そうやって『もう1人の』お前も最後まで自分に言い訳して、最後は自分から壊れていったよ」

イザード「……貴様、何者だ」


上条「上条当麻だよ、…あと少し不幸な高校生」






<ザッ


ステイル「すまないね、こちらも一応パートナーには話をとお…さ……」

神裂「……隠秘記録官のイザード? 何故あなたがここに…!!」


上条「神裂!」

神裂「? 何故名前を・・・」

ステイル「さあね」


イザード「憮然、どういう事か尋ねたい」チラッ

上条「あー…いや、勝手なのは分かってるけど……お前達全員が必要だったからさ…ね?」




イン「・・・」すぅ


上条「なんか悪いな、本当に眠らせて貰って」

イザード「当然、この程度で良いのなら」


神裂(…ステイル、私にはこれから始まる事が何度聞いても理解出来ないのですが)

ステイル(僕もだよ、どっちみち上条当麻の言う言葉が嘘か真実か確かめたいから仕方ない)

神裂(……インデックスの脳は後4日が限界なのは分かってますか?)

ステイル(ああ、でも今すぐ終われるなら試す価値はある)


上条「よし、今イザードの魔術でインデックスの周囲200mを人払いにしてもらった」

神裂「まさか…どうやって?」


イザード「当然、応える意味は無い筈だが?」

神裂(…やれやれ、どうやら上条の問題が終わったらこちらを片づける必要がありますね)




上条(・・・緊張、つーか…怖くなってきた)


上条「神裂、インデックスの体中を見てくれ」

神裂「何故ですか」

上条「インデックスの体のどっかに、『俺でも触れられる魔術』があるはずなんだ」


上条(……フィアンマとか、ローラ=スチュアートの言ってた意味を考えるとな)


神裂「わかりましたが、『あなた達』は外に出ていてくれますか」

上条「えっ?」

ステイル「それは僕にも理解出来ないな、何故だい?」

イザード(当然、私は外で待たせてもらおう)スタスタ



神裂「……女の子が着替えてる様を見たいんですか?」


ステイル「…」

上条「・・・」



○上条宅・外○


上条「……なんか、割と奇妙な感じがする」


ステイル「何がだい?」シュボッ

イザード「悄然、私達が2人並んでいる姿のことだろう」

ステイル「…改めて思うが、上条当麻は何故そこまで僕達に詳しいんだ」


上条「まあ……そこは全部終わってから言うよ」

上条(『未来から来た』、なんて漫画みてーな話し信じられねえだろうしな)


上条「・・・」チラッ




ステイル「……ふぅ」スー

イザード「必然、煙を人に向けて吐くな」

ステイル「まだ煙が嫌いなのか、幼いな」

イザード「……」プスッ

――― キィンッ

ステイル(ん? 煙がイザードを避けているようにも見えるな)



上条(俺の時も、こんな風になれてたら良かったのにな)





神裂「……上条当麻、どうやらあなたの目測通りでした」

上条「!」


神裂「ステイル、ルーンはあなたの専門でしたね」

ステイル「僕の出番だと?」

神裂「はい」


ステイル(……何もかも、この男の言う通りか)


上条「?」




イン「…っ」かぱっ


神裂「この、喉の奥…」

ステイル「・・・ッ!!」

上条「どうなんだ?」


ステイル「……見たことも無い形式だが、イギリス清教独特の『癖』を感じる」

ステイル「最大主教の仕業だ・・・!!」

神裂「……上条当麻、どうやらあなたに借りが出来たようですね」

上条「やめとけよ、土御門に後でいじられるぞ」


神裂(・・・土御門まで知っていますか)

ステイル(じつはこの男、イギリス清教なんじゃないか)




イザード「…どうするのだ? 私の『黄金錬成』なら消せるやもしれん」

上条「あー、それが出来るなら頼みてーけど、『聖域の秘術』ってなんだ?」

イザード「? ……魔術的に神聖、かつあらゆる魔術を許さない聖域を指すが」

上条「・・・知ってるからにはお前の『ソレ』、効かないんだろ?」


ステイル「インデックスのルーンには聖域の力があると?」

上条「そこまでは知らないけどよ、なんか……『そんな感じ』な気がする」


イザード「顕然、ではどうする」

上条「俺がやる」スッ

神裂「大丈夫なのですか?」


上条「・・・」ピタッ




上条「…大丈夫だって」


上条(今……『体が死ぬ』感覚がした)

神裂「では・・・」くいっ

イン「……っ」かぱっ


上条(何だろう…?)すっ


――――― ぐっ


上条(『思い出す』事は出来ないけど、『知識』で知ってる……)


――――― ずっ


上条「………そうか、俺………」


――――― バギィインッッ!!!!


上条「ッッ」ビリビリッ

神裂「上条当麻!!」ガシッ


上条「……今まで、お前がどんな顔してても安心してた理由が今わかったよ」




上条「『この時の上条当麻』はきっと、お前のそんな顔を見て……きっとショックを受けたんだ」

神裂「・・・インデックス?」

ステイル(これは……!!)

イザード(・・・)




禁書目録【 ――――― 警告、第三章第二節…Index-Librorum-Prohibitotorum――――― 禁書目録の『首輪』、 】

     【 第1から第三まで全結界の貫通を確認、再生準備…失敗、『首輪』の自己再生は不可能 】


禁書目録【 現状、10万3000冊の『書庫』の保護のため、侵入者の迎撃を優先します 】



上条(そりゃあびっくりするよな…この目……)

ギリッ


上条(フィアンマに操られてた時のと同じだ・・・!!)




イザード「……」チャラッ


ガシャァッ


イザード「当然、もはや不要……私の『黄金錬成』は『この瞬間』の為だけに作り上げたのだ!!」

ステイル「世界最高の錬金術師昇格おめでとうさん、だがまずは実力を見せて貰うよ」

ステイル『【最強の名を示せ】――――― !!』


ゴォオオオオオオオッッ!!


ステイル「…あらかじめ撒いたルーンは2万枚、不足ではないはずだ」


神裂(・・・)チャキッ

神裂「随分かかってしまいましたが・・・あなたの為に名乗る時が来ましたね、インデックス」


神裂『【救われぬ者に救いの手を】――――― !』




禁書目録【 ――――― 侵入者複数に対する最も有効な魔術の組み込みに成功、これより特定魔術『聖ジョージの聖域』を発動 】

禁書目録【 侵入者を『破壊』します 】




上条(はは、クーデターの時みたいな気分になってきた)

上条(でも、『この時の俺』は今の俺以上の気持ちで…もっと高ぶってて、もっと勇ましくて…)

上条「・・・負けてらんねぇよな、『上条当麻』ァァッ!!!」




イザード「『対象者の周囲に防御結界を5重』、『それらを魔術的高速に』!!」


ステイル「続け!!イノケンティウス!!」

神裂「『唯閃』――――― !」


禁書目録【―――――       、       。      ――――― 】



―――――――――― バッギィィィンッッッ!!!!



イノケンティウス【・・・・!!】ギュオオオオッ

ステイル「こ、これは…!?」

神裂「『竜王の殺息』……これほどまでの魔術が使えるとは…!」


上条「ど、竜王の殺息!? ……あれがッ…!」



禁書目録【――――― 炎の術式の逆算結果をもとに、対抗魔術を発動】


―――――――――― ゴッッッッッッ!!!!!!!!!


ステイル(な・・・僕のイノケンティウスを瞬時に無効化した!!?)



―――――――――― ヒュッッン―――――――――― !!


神裂「ハァッ!!!」

ドゴォォオオッッ!!!


禁書目録【―――――    ―――――】ギロッ


神裂(『歩く教会』の防御結界のせいで『唯閃』が効かない!!)ズザアッ


神裂「イザード!!」

イザード「……ッ」チラッ



イザード「『少年を禁書目録の背後へ』!!」



上条「ッ!!」フッ


禁書目録【 ――――― 『金色のアルスマグナ』による空間干渉を感知、『聖ジョージの聖域』の応用によりこれを強制切断します 】


――――― バリィンッ!!!


上条「な……ッ!!?」ズダンッ




禁書目録【――――― !】


上条(め、目の前かよ…!!!!)



―――――――――― ゴッッッッ!!!!



上条「ぐぐ…ァアアアアアア!!!」ブンッ

ズボオオッッ!!!


神裂(『竜王の殺息』の軌道を・・・無理矢理曲げた?)


ステイル「何をしてる錬金術師!! 今だ!!」

イザード「当然ッッ!!  『少年以外の全ての時間を一時停止』・・・!!  」



―――――――――― キィンッ


上条(なるほど、どうせ『不完全』だもんな!!)ダッ


―――――――――― バリィンッッ!!



禁書目録【 ――――― 警告、即座に『竜王の殺息』の照準を侵入者に・・・



 



上条「その、ふざけた幻想を・・・!!」ダッ


禁書目録【 向け…… 




――――― パキンッ



禁書目録【・・・けい…こ・・・く……】フラッ


上条「っ、と」ガシッ


上条(……終わっ…た)





上条「…はは、終わったぜ?」スッ

神裂「危ない―――――!!」


上条「え…?」


フワッ

上条(…この羽、前にもどこかで・・・・・・



イザード「ッッ!!」ドンッ

上条「おわっ!?」ドシャッ

イン「っ」ドサッ



―――――――――― ズドンッ…ドドドドドドドドドドドドドドッッッ!!!!



ビチャッ

上条「は…?」

上条「イ………イザードぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」



イザード「・・・ッ……」スッ


イン「・・・」


イザード(…なんて安らかで……疲れ切った顔をしているのだ…)

イザード(でも…もう、この少女は・・・)

ガクンッ



上条「クソ!! どうしたら…!」

<ピーポーピーポー

ステイル「イザードの『黄金錬成』が解けて、辺りにいた学生が救急車でも呼んだらしいね」

神裂「一応私に出来る限りの回復魔術は行います! 上条当麻は下がって!」


上条「イザード…!」



○とある病院○


冥土帰「……なんとか手は尽くしたんだけどね、残念だけど」

上条「…そんな」

冥土帰「うん、脳細胞がかなりやられたせいで日常の会話や生活、計算なんかに支障が出るみたいなんだ」

上条「え?」


冥土帰「でも僕にはちょっとした『心当たり』があってね、そこに話を聞いてなんとかするよ」


上条「あいつ生きてるんですか!」

冥土帰「僕を誰だと思ってるんだい、医者は人を救うのが仕事だからね」


効果音ばっかりで戦闘で何が起きてるのかさっぱりわからんwwww



○数日後○


イザード「……すまないな」

神裂「いえ、このくらいなら」

コトッ

イザード「…必然、そろそろ上条当麻が来る頃だ」

神裂「ええ、では私はこれで」スタスタ


イザード(………)スッ




上条「よお、来たぜ」ガラッ


イザード「……上条当麻、こっちに来てくれ」スッ

上条「?」

ガシッ

イザード「・・・」

上条「おいおい、上条さんにそっちの趣味は無いぜ?」

イザード「私が今着けているグローブは、一時的に触れた人間の『映像』を映せる」

上条「え?」


イザード「必然、感謝の印だ…これで飛ばせる」



イザード「『少年を10月30日へ飛ばせ』」キィンッ


上条「待っ…!!

フッ


>>111戦闘開始→ステイル・神裂攻撃も効かず→アウレオルスが上条をペンデックスの後ろに飛ばして奇襲しようとするが見破られて逆に目の前に→竜王の息吹を零距離で撃たれるも右手でかろうじて防ぐ→時間を止める→その間に倒す→羽がいっぱい降ってくる→アウレオウスが身を挺して守る→記憶喪失
たぶん







―――――――――― フッ




虚空から突如上条当麻は現れた。

ようやくあの『戦場』へ戻ったと思った、そして彼はその瞳を周囲へ走らせた。



「…へ、え? ここどこだよ」



ザリッ、という砂利を踏む音が鳴った。

しかし上条自身はそれすら不自然に思った、『本来』ならその音…砂利があること事体有り得ない。


――――― 目の前にぶら下がる、ボロボロになった『第七学区』の看板。


そして目の前に広がる光景は余りにも上条当麻を混乱させるには充分と言えた。





「学園都市が・・・廃墟になってる………?」




あちこちに立てられた『一方通行』の赤い文字の立て札が、更に彼を困惑させて行く。


なんかもうすいません、何がって言われると最初から地の文にしなかったことが…

>>111
すいません…すいません…

>>115
記憶喪失以外はその通りです、ありがとうございます

もう…今夜また…戻ってきます……

この後は…別の……なので…

(実は戦闘苦手なんです…)ぼそっ

アウレオルスの黄金錬成で・・・なんですけど、ずっと黄金錬成の仕組み考えてたら未来に飛ばすなんて不可能だと気づいて…

急遽即席の『タイムテレビ』的なオリジナル魔具を使って「未来ってこんなんなのかー」をイザードに理解させて無理矢理可能にさせました

正直、理屈をまとめろと言われると涙と汗が目から溢れそうなのでこのへんで勘弁を…ww

タイムパラドックス物はプロが書いても矛盾が生じ易いうえに上条だからよけいに考察好きが騒ぎやすい… 考察好き、ハッ俺のことかorz 暫くROMしとかんと≫1が書きにくかろう

>>136
いやいやなんだかんだ嬉しいので大丈夫ですよww


こ、ここまで人が来ると思ってなかった…驚愕の極みです…頑張りますw



上条「……っ」


思わず腰から下の力が一瞬で抜けた。

脱力とも違う、その感覚にはなんとなく覚えがあった。


上条(悪夢…だよな)

上条(上条さん特有の『不幸な夢』でも見てて、イザードの魔術で戻れば夢から覚めるんじゃ・・・)


しかし彼は理解している。

本当はわかっている。



上条「……ここ、どこだよ!!」



赤い文字で『一方通行』と書かれた立て札が並ぶ廃墟の中、上条当麻は叫ぶ。

彼はこの悪夢(幻想)を壊せるのか…?



○旧第七学区○


上条(・・・クソ、どうなってんだよ)ガラガラッ

上条(ここ、多分俺のいた寮だよな……瓦礫じゃねえか)


上条「携帯……」パカッ


上条(充電してねえ…)

上条(………でも、さっきからあちこちに立てられてるこの『立て札』)スッ


上条(『一方通行』って…『どっちで読めばいいんだ?』)




上条(……)

上条「おーい!! 誰かいねえのか!!」


ダッ!


上条(他の学区は!? 学園都市全体が廃墟になってんのか!?)タタタッ

上条(なんで未来が変わってるんだよ! 過去でイザードとかに拘ったからか!?)

上条「誰か!!」



「 止まって下さい 」

ガシッ


上条「ッ!!?」ビタッ


なんでイザード呼びなん?



「動いた瞬間、喉を切り裂きます」


上条「・・・」

上条(スキルアウト…? にしちゃ丁寧な・・・)


「今から言う質問に答えて下さい、『何者か』、『誰の味方か』、『能力名は』?」


上条「…上条当麻、高校生……誰の味方でもないし能力もない」

「……無能力者ですか、何故ここを走っていたんです?」

上条「事情があって…探してたんだ、人を」


「……こちら『査楽』、レベル0の高校生を発見しました」


上条(…無線?)


査楽「こっちを向いて良いですよ、危害を加えるつもりはありません」

>>155 こちらの事故ですw)


上条「なあ、お前も学園都市の人間なのか?」

査楽「?」

上条「…あー、なんでもない」

査楽「そうですか、じゃあ僕の後をついて来て下さい」スッ


上条(味方……か? レベル0じゃなかったら殺すつもりだったのか?)


査楽「今からそちらに戻ります、ポイントDに着いたらあなたの能力で飛ばして下さい」カチッ


<『わかった』ザッ


査楽(やれやれ)





○しばらく歩いて○


査楽(・・・)キョロキョロ

上条(? 警戒した方がいいのか)チラッ


査楽「大丈夫みたいですね、上条さんこっちです」スッ

上条「ん? その黄色い線の丸の中に入れば良いのか」

査楽「ええ」


スタッ


査楽「さて、と」スタッ



―――――――――― フッ




―――――――――― フッ


上条「おわっ…!!」ドシャッ

「にょわー!?」ドサッ


査楽「……結標さん、少し高くないですか?」スタンッ

結標「あら、3mくらいなんてことないでしょ」

査楽「目の前で起きてる衝突事故はどうするんですか…」


上条「いてて……不幸だ」

佐天「あ、あのすいません! 大丈夫ですか!」

上条「ああ、別に怪我はないよ、そっちこそ怪我ねえか?」


佐天「・・・」


上条「?」



佐天「……この人、見たことありません?…」

上条「え?」


結標「動いたら死ぬわよ」スチャッ

査楽「む、結標さん!」

結標「あなた…この男を知ってるの?」


佐天「あ、えぇっと…その、なんとなくであって特に意味は・・・!」


上条(……とことん意味がわからなくなってるんじゃねえか? 俺のいる世界)


反応を楽しみにしている>>1のために
上条さんが10月30日に来るまでの原作との相違点

もちろん上条さんがいないこと

アウレオルスが演算補助無しの一方通行状態からどうやって回復したのかなぁ…?

はてさてどうまとめていくつもりか期待

上条さんをムーブポイントで飛ばすのは無理だろ
右手置いてきたらならわかるが

>>161>>162

( ゚Д゚)ヤベッ………

おまけを言えばテレポーター同士はテレポート出来ない。査楽てあの査楽だよね?だからテレポートシステムが完成していて査楽をテレポートするために結標が位相だけ調整したで俺は脳内補完した。
突っ込み入っても皆さん優しいから頑張れ









●  ●  ●  ●  ●  ●





食蜂「……なんでそんなストーリーにしたの?」

結標「なんとなくよ、この男何故か私の能力で飛ばせないし」

査楽(何故に佐天さんと顔馴染みの設定・・・いや、むしろそこまで細かく記憶を操れる食蜂さんの方が凄い)


上条「……zzZ」


食蜂「まあとりあえずは普通に運ぶしかないよね」

結標「よろしく査楽」

査楽「……なんとなくそんな気はしてました」


>>169 その手があった… )



●地下街●


結標「ただいま、なんか無能力者を1人連れてきた」

垣根「は?」

結標「……無能力者よ、旧第七学区の近くをうろついてたの」


フレンダ「それって結局なんの安全性も無いよね、明らかに怪しいよね」


結標「別にいいじゃない? 私達の使いっ走りにはなってもらうわ」

垣根「……駄目に決まってるだろ」


査楽「向こうの部屋に置いてきました」フッ


垣根「後ろに来るなよキメぇな」

査楽「はいはい」



<「ったく、何で俺の後ろばっか来るんだてめえ」

<「他の人はみんな壁なんですよ、背後」



食蜂(さて…一応眠らせてるけど、念の為記憶は読ませてもらうわね~)ススッ

上条「・・・zzZ」

食蜂(ん~……)


食蜂(・・・む?)

食蜂(ッ……これって…)


海原「どうかしたんですか?」

食蜂「・・・」

>>170
悪いことは言わんがこれはなかったことにしとけ… 詳しくは6巻の地下街上条さんと美琴が会う前の状況だ



海原「あれ、なんか見たことありますね彼」

食蜂「結標も同じようなこと(記憶操作指定の時)を言ってたよ…」

海原「自分は……夏休みの最後ですかね、その時に色々あったんですけど」


食蜂「腕の皮を剥がされたんだ…痛そう」

海原「あ、記憶読みましたか」

食蜂「ふーん…でも今の記憶見た感じだと、御坂ちゃんも知ってるんじゃない?」


海原「そうですね、ちょっと聞きに『行ってくれますか』?」

食蜂「了解☆」


海原(……随分久しぶりですね、名前も知りませんけど)


上条「・・・zzZ」

>>173 記憶系は確かアウレオルスのが効いてたような…?)


コンコンッ

食蜂「入っちゃうからねー」ガチャッ


御坂「大体分かってはいたわよ、どうせ断っても入るんでしょ」


食蜂「……」

御坂「? 何よ」

食蜂「あなたにお客さんが垣根達の所に来てるからねー」スタスタ


御坂(??)




御坂「垣根ー、アンタん所に私のお客さんが来てるって?」

垣根「あ? お前の知り合いなのかあの無能力者」

御坂「無能力者? 佐天さん?」


査楽「佐天さんは向こうにいますけど違います、確か『上条』とかいう……」

御坂「!!?」


バッ


査楽「・・・僕何かいいましたかね?」

垣根「お前がキモいからだろ」


ちょいまた出かけてきます

黄金練成レベルだと効果が強すぎて打ち消せないけど念話能力のあってレベル3だったら打ち消せるってことなんかね
だったら食蜂くらいの精神系能力者なら問題ないと思う

>>177
いってらー

シェリーの襲撃のさい風紀委員の精神感応系の能力者がテレパスで避難をアナウンスするが全く聞こえていない。直接注意しに来て力を使うが無効化されている。

ただいま、といってもすぐまたでかけてすぐ戻って来る

>>179>>180

風紀委員の彼女の能力は『糸電話のような念話』であって、脳に直接作用するものではなかったと思います。

だから食蜂の能力なら直接効くかな~と・・・
まあアウレオルスの場合は黄金錬成のチート性能のおかげで効いてるだけかもしれませんし、食蜂の能力も無効化される可能性はありますよね



御坂(嘘…なんでコイツがいるのよ!?)


上条「・・・zzZ」

御坂「ちょ、ちょっと……」ゆさゆさ

上条「……zzZ」

御坂「起きなさいよ!!」べチンッ


食蜂「あ、催眠解く?」


御坂「さっさと解きなさいよ!」

食蜂(……本当に起こしていいのか悩むけどね)

>>181
推測域に過ぎないけどみさきちが御坂に能力を使用した際
御坂は電磁バリアで防いだけど支配下に置かれる代わりに頭痛の様な副作用が起きたから直接脳に作用するんだと思うよ
黄金練成で記憶を消した時も脳に直接だったから効果があった。頭に右手が触れると解除されたけど



上条「ふぁ……あれ? 廃墟になった学園都市は?」


御坂「馬鹿、まだ廃墟になり切ってないわよ」

上条「ん…み、御坂!? お前……なんでここに?」

御坂「こっちが聞きたい事があるのよ! いい? よく聞いて」

上条「な、なんだよ」



御坂「アンタ、なんで生きてるのよ……!!」



上条「・・・」

上条「え? 何だよそれ…またそういう不思議ネタで俺を驚かせようってのか?」



御坂「……ッ」チラッ

食蜂「記憶の改竄はしてないからね」

御坂「…こいつの最後の記憶は?」

上条「は? もしかして、そいつ俺の記憶が見れるのか」


食蜂「上条当麻、彼の記憶は間違いなく『10月30日の、今日』まであるよ?……明らかにおかしな点があるけど」


御坂「おかしな点って何よ」

上条(……まさか)

食蜂「彼は一方通行が『絶対能力』を手に入れてない頃の上条当麻、・・・うん、翼も黒いし」


御坂「…え、ごめん……アンタ何言ってるわけ?」

上条「俺を見るな」



●事情を説明して●


御坂「…信じられる訳ないじゃない、そんなの」

食蜂「でも何となく理解は出来るかもね、それに……」チラッ

上条「?」

食蜂「……あなた達2人の記憶を見てみてわかったし」




垣根「そいつ、一方通行の『最後の敵』として殺された奴だろ」



食蜂「でも違うみたい、彼の世界では『アレ』が無かったから」

海原「興味深いですね、未来から来たんですか?」

御坂「海原、アンタは向こう行ってて」

海原「はいはい」




上条「なあ…」


御坂「ねえ、じゃあアイツは何なの!? 『アイツ』じゃないアイツって何よ!」

食蜂「おーちーつーいーてー☆」ガクンガクン

垣根「どうせ生き残りの能力者じゃねえのか? まだ『肉体変化』持ってた奴は殺されて無いんだろ」


上条「おい・・・」


垣根「第一、こんな奴ほっとけよ、意味無いだろがこの程度の事で議論しても」

御坂「良くない! もしかしたらアイツなら…」

食蜂「どうかな? 近づく事も出来ないんじゃない?」


上条「いい加減にしやがれてめえらッッ!!!!」バンッ




上条「俺は元の所に帰らねえといけないんだよ!! こんな所でうだうだ言ってられないんだよ!!」

上条「ああそうだよ、俺は元の世界に帰る為に回りくどい事したりしてた!!」

上条「でも…全部夢だと思ってたんだよ!! 帰って俺が戦わなきゃいけない奴と戦って…」


垣根「オイ、その辺にしてくれないか?」

ガシッ

上条「ッ」

御坂「ちょっと、垣根アンタ…!」

垣根「・・・周り見ろ御坂」

御坂「…!」ピクッ




佐天「あの……大丈夫ですか」

結標「向こう行ってなさい」


<「なあ、アイツどうしたんだ?」
<「…しらねえよ」
<「……アイツ見たことあんぞ」
<「あのお兄さんどうしたの?」
<「心配ないじゃんよ」


   ざわ・・ざわ・・・


御坂「・・・」

垣根「今、まともに一方通行から守れるのは俺達だけだって事を忘れんな」スッ

上条「っ…」


垣根「チッ、気分悪いな」スタスタ


上条(・・・)



●その夜●


海原「いやー、そうでしたそうでした! 『魔術師』から助けていただいたんでした!」

上条「……海原、だよな?」

海原「はいそうですよ」

上条「…カンニングしてた方っぽいな」


海原(何故それを…!?)


上条「なあ、お前知ってるんだろ? この街に何が起きたのか……」

海原「ええ、そりゃ勿論」


海原「ですが、『街』ではなく『世界』ですけどね」

上条「世界?」



海原「じゃあどこから説明しましょうか…上条さんはどこまで知ってます? 『一方通行』について」

上条「知ってるのか、アイツのこと」

海原「そりゃね、彼の名前は世界中に知られてる」

上条「!?」


海原「彼は―――――― 『絶対能力進化実験』で…レベル6へ到達したんです 」


上条「な…何でだよ!?」

上条「アイツを俺が倒して、それで実験は終わったんじゃ……っ」

海原「?」


海原「『その後、【樹形図の設計者】を使って新たなプログラムを作った』はずですが…」





ガタンッ!!


海原「だ、大丈夫ですか!? 急に倒れたりして・・・」

上条「……な…なんで【樹形図の設計者】が…あるんだよ?」

上条「あれって撃墜されたんだろ? だから代わりなんて……」


海原「ですから、撃墜事体されてません」


上条(・・・何なんだよそれ)


神埼「申し訳ありません、畳を外して竜王の殺息を空に上げるのを忘れてました」

イカ「私は悪くないんだよ!」


海原「ふむ……どうやらそこから説明すべきでしょうか」

査楽「垣根がうるさいと言ってましたよ」フッ


海原「丁度良いですね、暗部にいた彼の方がよく知っているでしょう」

査楽「ん?」

上条「…俺が一方通行を倒したあと、どうなったんだ」

査楽「ああ、そんな事が聞きたいんですか」


査楽「『幻想殺し』、というのがあなただったそうですが…それに敗北した一方通行に対し、一時期は学園都市では最強ではなくなりました」

査楽「しかし、上層部に問い合わせ再び【樹形図の設計者】を使用する機会を得た『天井亜雄』は――――――」


上条(……ここから、というより【樹形図の設計者】が破壊されてないところから違うのか)




査楽「―――――― 『幻想殺し』という一方通行に対抗出来る能力を含めた戦闘プログラムを作り出したんです」


上条「・・・なあ、御坂妹達は?」

査楽「え?」

上条「『妹達』だよ、どうなったんだ?」

査楽「……」チラッ


海原「……」フルフル


査楽「それは後で話しましょう、えーと…プログラムを作った所でしたか」

ゴトッ

上条「パソコン?」

査楽「詳しくは僕の友人の『馬場芳郎』のパソコンです…上層部からのデータは全て彼が管理してましたから」

上条「そいつは?」

査楽「死にました」

上条(・・・)



カタカタ・・・カタンッ


査楽「・・・出ました、これです」スッ

上条「・・・・・・」



―――――― 8月22日、第1032次実験にて『一方通行』が偶然居合わせた『幻想殺し』と戦闘。

―――――― 結果、敗北。

―――――― その後、今回の『量産異能者計画』にて最高責任者、また立案者でもある天井亜雄の申請により【樹形図の設計者】の使用を許可される。

―――――― 【樹形図の設計者】は『幻想殺し』や、その他全体の一方通行に対抗出来る能力者を演算に含んだ結果を出す。

―――――― その演算結果はこれまでの結果とは違い、異常に速い時間で完了出来るものであり、これを天井亜雄研究員は実行した。

―――――― その内容は、『幻想殺しの周囲にいる能力者を中心とした戦闘』と『レベル5級能力者2名との戦闘』・・・


―――――― そして、『幻想殺し』を最後に抹殺する事。



上条(……なん・・・だって?)


一瞬出かけて来る

(そんな・・・w)


上条「・・・・・・」カチッ

上条(この写真……シェリーか?)


―――――― 9月1日、学園都市に侵入した魔術師を『一方通行』が殺害。

―――――― その後『統括理事長』の特殊な操作により『 偶然 』、反学園都市派の『土御門元春』と戦闘。

―――――― 結果、『一方通行』の勝利。


上条「土御門が…!?」

査楽「知り合いだったんですか?」

上条「……隣の部屋に住んでたし、同じクラスだった」


―――――― 9月5日、風紀委員所属の『白井黒子』と戦闘、勝利。

―――――― 9月7日、学園都市第7位、『削板軍覇』と戦闘、勝利。

―――――― 9月12日、学園都市に侵入した魔術師『エツァリ』に勝利。




上条(…ッ、黒子まで)カチッ




―――――― 9月16日、『妹達』の1032号と『本名不明の青い髪の高校生』2人と戦闘、軽傷を負うも勝利。

―――――― 9月19日、『統括理事長』から緊急の指令が出る。


上条(?)


―――――― 一方通行に『幻想殺し』を負わせ、『猟犬部隊』により『幻想殺し』とその他魔術師を外野へ。

―――――― ローマ正教の魔術師と戦闘、勝利。


上条(…そうか、この日って大覇星祭だから……オリアナか!!)


カチッ


―――――― 9月30日、突如襲来した魔術師に対抗するため『統括理事長』がプランを更に進行させ、『結標淡希』と『木原数多』と戦闘させる。

―――――― 『結標淡希』逃走、『木原数多』逃走。

―――――― しかし必要な数値が揃い、『一方通行』の能力に新たなスキルを付加。

―――――― これにより魔術師を撃破。



<「査楽、ちょっと来るじゃんよー」


査楽「あ、ちょっと行ってきますので見てて下さい」

上条「ああ……」


―――――― 10月2日、フランスのアビニョンにて『テロリスト』を撃破。

―――――― 10月9日、学園都市にて『アイテム』所属『絹旗最愛』、『滝壺理后』を撃破。

―――――― 続いて『メンバー』の魔術師、『ブロック』の『佐久辰彦』、『山手晃』を撃破。


―――――― 『スクール』、『垣根提督』以外を撃破、『垣根提督』は逃走。


上条(垣根って…さっきの奴か?)


―――――― 10月11日、『妹達』を8人撃破、その直後に超電磁砲『御坂美琴』と『幻想殺し』、魔術師二名と戦闘。


上条(・・・・・・・・!!!!)






―――――― 結果、『御坂美琴』以外を撃破……『一方通行』のレベルシフトが完了する。







上条「・・・」カチッ

上条(?)カチッカチッ


海原「どうやらそこで学園都市は終わったそうですね」

上条「…何が起きたんだよ」

海原「今のレポート、魔術師なんてものが幾つか表記されてましたよね?」

上条「・・・そうだな」


海原「はは、信じられないかもしれませんが……『世界中の魔術師とそれに関係する物』が全て消滅したんです」

上条「……なに?」

海原「『絶対能力』を得た一方通行は絶大な『何か』を世界に広げ、それのせいで教会や聖職者、『魔法や魔術』が消えたんです」




海原「……当然全世界は大混乱、日本にはあちこちから学園都市に対する宣戦布告が突き付けられます」

上条「なんでそうなるんだよ…学園都市が何をしたんだよ!」

海原「さあ?」スッ


海原「どうせその半日後に、宣戦布告した国の2つくらいが一方通行に潰されたんですから」

上条「……」

上条(フィアンマより、・・・いや、多分フィアンマもそれで死んでるのか?)

上条(じゃあエリザリーナ共和国の奴らも、イギリスのお姫様達も?)


海原「…ふう、少し何か飲みましょう? 何かいりますか」


上条(・・・)フルフル

海原「そうですか」スタスタ


上条(……『絶対能力』の一方通行……)











―――――――――――― 「よォ、何してンだ?」







―――――――――――― 「あァ…何だ? 聞こえねェな……」



―――――― グシャッべキッ・・ゴリッ



―――――――――――― 「あ゛は ♪ 弱ッえェ」



―――――――――――― 「コイツの能力は…つッまンねェな……窒素を操るだけか」



―――――――――――― 「ってか、これ以上強くなっても意味無いか……なァ? 『麦野』 」





麦野「うんうん♪ 一方通行がそれ以上強くなってもどうせ誰も勝てないじゃン?」




―――――――――――― 「・・・そォか、そォだなァ・・・」



・・・何時間かかってるんだ

こ、ここで終了します・・・

えっ……もうなんか色々と
インデックスはどうなったんだ?

>>213

一方通行の絶対化による『人工天界』の発動で……逝きました。

>>215
もうバラすんかい

>>217
描写する気がなかったので…ほら、インデペンデンス好きに怒られたくないし……

すいません



上条「いっただきまーす」

上条(……あれ、このホットドックって?)もぐもぐ


垣根「美味いなこれ、どこで盗って来たやつだ?」

査楽「ぬ、盗んでませんよ! 向こうで売ってたのを買って来ました」

上条(向こうのって、他の人達が固まってるエリアか)チラッ


査楽「ただ、異様に高くて…一個20000円でした」


<「『シスターズ・ドック』は食べませんかー、今なら美味しいホットドックが食べれますよ…とミサカ20000号は20000円のホットドック片手に笑顔で呼びかけます」



垣根「高ぇのは我慢しろ、どうせ金なんか持ってても意味ねえだろ」

上条「今なんか聞き慣れた口調の奴がいた気がするな・・・」



~~第二ブロック~~


御坂「……まさかアンタが作ってたとは、驚きだわ」

20000号「知らなかったのですか」

御坂「そりゃ…最近は『第七学区』の事とかで忙しかったから、地下に戻ってくるのは久しぶりよ」


フレンダ「あ、見つけた見つけた」タタッ


御坂「フレンダ、何か用?」

フレンダ「聞いたんだけどさ、結局どうなったのよ? 例の無能力者!」

御坂「……知らないわ、なんかよくわかんないことばっかよ」

フレンダ「えぇー、はっきりしないなぁ」




フレンダ「んでんでー、じゃあ無能力者ってどこに今いるの?」

御坂「はあ? アンタあの馬鹿に何か聞きたい事でもあるの?」

フレンダ「んーん、結局はただの好奇心ってわけだけど」


御坂「……はあ、なんかアイツ疲れてるみたいだし、少し様子見てからにしなさいよ?」

スッ

御坂「向こう…垣根の横の部屋にいるツンツン頭がそうよ」

フレンダ「ふーん、オッケー」




フレンダ「やっほー、無能力者クン」ひょこっ


上条「んあ? なんだお前」

フレンダ「ああいいからいいから、気にしないで食べてて良いよ」

上条(・・・変な子)もぐもぐ

フレンダ「ふーん…こんなのが一回は一方通行に勝てたんだー」


上条「…余計なお世話だ」もぐもぐ


フレンダ「でも結局、一体どんな技使って一方通行に勝てたの? 『無能力者』の筈なのに」

上条「別に、殴り飛ばしただけ」

フレンダ「……あー、『木原』とか『第六位』みたいなもんかな?」

上条「知らねえよ! なんで初対面の人間に食ってる姿マジマジとみられなきゃなんねーんだ!!」



黄泉川「お、いたいたじゃんよーフレンダ~」

手塩「向こうで、話があるから、来て欲しい」


フレンダ「うげっ、なんで良いタイミングなのに……」

黄泉川「訳わかんね―事言ってないで来るじゃん、『警備員』二人を相手に職務放棄は見逃さないじゃんよ」

フレンダ「わかったって! もう…これでも元暗部なのに……」


<「キリキリ歩くじゃんよー」

<「え、なんで手錠するの?」

<「雰囲気」



上条「・・・なんつーか、所々緊張感無いなここ」




食蜂「どう、少しは慣れたかな?」

上条「ん…アンタか」

食蜂「ふふ、貴方の記憶を覗いてからずっと興味津津なのよねー☆」

上条「記憶を読むって……お前『超能力者』かなにかなのか?」


食蜂「まあね、これでも常盤台中学の女王とも……

上条「たまに思うんだけどさ、恥ずかしくねえのかそういうの」



食蜂「・・・全然?」

上条「そうか」

上条(…多分今の間は自覚してんだろーな、御坂の奴も恥ずかしいって前に言ってたんだし)




上条「まあ要するに、お前はレベル5なんだろ?」ガサガサッ

食蜂「その通り、記憶の改竄も読心も読み取りも催眠もおまかせ~ってね」

上条「ふぅん…ん? お前さ、俺の記憶を『全部』読めたのか?」


食蜂「え? 断片的な物しか見てないけど」

上条(……つまり、全部見れるといえば見れるのか)


上条「じゃあ俺の子供の時…違うな、『7月20日』を見れるか?」

食蜂「多分出来るよ、日付も分かってるんだしね☆」


スッ


食蜂(・・・)

上条(なんか、記憶を読み取られてるってのも変な感じがするな)




食蜂「?」ピクンッ

上条「どうした」



バギィンッ!!



食蜂「ひゃっ…!?」ドサッ

上条「いっでええええ!!」ズキンッ


食蜂「……な、なにいまの」




上条「ッッづぅ……!! おい、何したんだ今の!?」

食蜂「こ、こればっかりは知らない…! ただ、記憶が『真っ黒』な上に変な男というか女というか……」

上条「男? 女? 何が見えたんだよ」

食蜂「・・・分からない、どっちにも見えるけど…その人が出たと思ったら急に今…」


上条(……今の音からして、『幻想殺し』が反応したのか?)

上条(右手は触れてないのに…?)




●数時間後●


垣根「消灯だ、全員寝るかランプ点けるかしろ」

<「子供達は手塩の所に集まって、レベル3以上の能力者は固まって寝るじゃんよ」

<「佐天さん、向こうで寝よう?」

<「はい、御坂さんと一緒の方が安心ですし」



上条(……ランプって、水力発電のやつか)

カチッ

上条「…海原を探すか、アイツ飲み物取りに行って戻ってきてねえしな」スタスタ




<「・・・?」

<「~~!?」


上条(お、海原か)スタスタ



結標「…呆れた、アンタまだそんなこと……!」

海原「しかし…!」


上条「・・・」

上条「悪い、取り込み中か」

海原「上条さん…!!」




海原「あ、あの…今の聞いてました?」

上条「いや、聞こえてなかったけど…なんだ何かあったのか」

結標「別に、大した事じゃないわ」


結標「……そろそろ寝ましょ、明日は陽が昇る前にはここを出るんだから」

海原「え? あ……」

スタスタ

上条(・・・??)


海原「ふう、それじゃあ上条さんは垣根さんの横の部屋で寝て下さい…自分はレベルの低い中学生以下の集団の見張りですから」

上条「え、おい! 一方通行の話は…?」

海原「すいません、今はそんな気になれないんです…明日教えます」


こっち終了

えー……
出来れば番宣みたいな真似は追い詰められない限りしたくないので、

「……俺はお前が欲しい」 「え?」
上条「…へ、え? ここどこだよ」御坂「は?急に何よ」
侍「………アリアハン?」


だけで勘弁して下さい



●翌朝●


上条(……)ムクッ

上条(なんか凄い疲れた感じがする、頭も痛い…)


コンコンッ


上条「開いてるぞ?」

御坂「あら、起きてたのね、てっきりまだ夢の中だと思ってたわよ」

上条「……確かにまだ頭がぼーっとしてる」

御坂「顔洗ったら向こうの部屋に来て、この後今日の行動について説明するから」


上条(・・・元の世界に、いつになったら戻れるんだろうな)




●垣根達の部屋●


垣根「強能力者と大能力者の奴らは集まったな、そこに置いてある資料を全員取れ」

査楽「……レベル3からレベル4合わせても、たったの8人ですか…」

結標「むしろこれだけ居る事に感謝すべきね、逃走重視で考えるなら十分な戦力よ」


海原「フレンダさん、そちらは先日の資料ですから…」

フレンダ「あ、本当だ」ガサガサ

20000号「…・・・今回の作戦も御坂が活躍出来そうですね」



上条「あー・・・お邪魔しまーす」

垣根「勝手に入って来るんじゃねえよ、何の用だ」



御坂「私が呼んだのよ、今日の作戦には絶対コイツの協力が必要だしね」

垣根「…いいや駄目だ、信用以前に足手まといだ」


査楽「確かにそうかもしれませんね、彼は私の能力では飛ばせませんし」

結標「……同感ね、テレポートが使えなきゃ徒歩の移動になるわよ」

御坂「・・・」


上条「別に俺は一緒に行かなくても良いって! そもそも今から何をする気なんだよ」


垣根「資料に大体は書いてある、どうせ連れて行けないんだからそれでも読んでろ」

上条(ったく、酷い扱いだな俺……海原には聞きたい事もあんのに)ガサッ




―――― 第23学区見取り図。

―――― 侵入経路、機材表。

―――― 担当能力者・・・



上条「……なんだ? これ」

御坂「第23学区の宇宙開発センターよ、知ってるでしょ」

上条「そうじゃなくて、この内容って『樹形図の設計者』と情報送受信する機材を破壊するってことだろ!?」


垣根「問題あるのか」

上条「無い訳ねえだろ! 施設ごと爆破しようとしてんじゃねえかこれ!!」ガサッ

垣根「……問題あるのか?」


海原「すいません、彼にはまだ色々教えて無くて…」

上条「?」



御坂「……ちょっと来なさい、海原も!」グイッ

海原「な、何故に自分も!?」

上条「いだだ!! 髪掴むな!」



< ダダダッ


垣根「……チッ、結標、頼む」

結標「わかったわ、少し高めに飛ばすわよ」

垣根「構わねえ」


垣根(・・・一方通行が俺に気付くのに10分もかからねえ、ここからが肝心だな)





―――――― フッ






上条「いでで……それで、一体何なんだよ」

御坂「まず、どうせアンタがさっき言おうとしていたのは『他の無関係な人間も巻き込まれる』とかでしょ」

上条「そうだけど…」


御坂(……)チラッ

海原(はいはい…説明なら自分の方が得意ですからね)


海原「まず、この街のあちこちに何か立てられてるのにあなたは気づきませんでしたか?」

上条「『一方通行』って書かれた? あれって何だ? 一方通行に学園都市が戦いを挑んだみたいなもんか?」

海原「逆ですね」

上条「逆?」



海原「無能力者……いや、大半の学園都市の学生たちは一方通行の味方になろうとしたんです」




上条「味方って……」

御坂「大方、『無敵』になった一方通行に勝てる訳ないと思ったんでしょうね」

海原「ええ……あのアメリカ合衆国すら数時間で潰したような敵ですから」


上条(実際そんな化け物に勝てる訳も無いよな)


上条「で、それと今回のとどう関係があるんだ?」

海原「つまり一方通行は数万の能力者を使って、学園都市を支配したんです」

海原「ですが彼も万能ではありません、故に彼から逃げればそれで済む話だったんですが…」


御坂「監視衛星に加え、反乱分子の動きを確実に掴んでくる『樹形図の設計者』があるのよ」


上条(まさか・・・)

海原「それらも合わさった彼の支配を逃れられるのは地下ぐらいのものでした……」


海原「今回の作戦は、この地下から逃げ出して外部の機関の元へ行く為に必要なんです」

御坂「監視衛星と『樹形図の設計者』を使えなくするのにね」




上条「じゃあ、もしかして施設にいるのって……」

御坂「一方通行側に付いた能力者と、統括理事会の兵よ」

上条「・・・」


海原「分かっていただけましたか? 自分達が生き残る為には相手を殺すつもりじゃないといけない事に」


上条「……」

御坂「アンタが辛いなら無理に連れて行こうとは思わない、・・・信じた訳じゃないけど、別の世界から来たアンタには関係無いんだから」

上条(……別の世界、)


上条「・・・」




御坂「……行くわよ海原、私達も行かないと」スッ

海原「良いのですか?」

御坂「無理よ、アイツに残酷な事は出来ない…私がよく知ってる」


スタスタ


海原「・・・」スタスタ



<バタンッ


上条(・・・クソ、もう何も考えたくねえ)



―――――― カツッ、カツッ。


・・・清掃が行き届かなくなった施設の薄汚れた通路を、足音が蹂躙する。

その音は微弱ながらも静電気が出す小さな物も混じっていた。

全身から強い電気が、見えないシールドのように覆っているのだ。


10月終わりの、寒くなる時期にも拘らず薄いフワッとした服を着た『超能力者』は静かに笑った。


麦野「……ひっさしぶりじゃない、垣根ェ?」


薄汚れた通路は麦野から先には続いていない。

その先は凄まじい噴煙と、蹴散らされた能力者達が転がっている。



そして、一本だけ高く突き出ている鉄骨の上には垣根提督が立っていた。



垣根「よお、ビッチ臭は相変わらずみたいだな」


不敵に、間違いなく嘲笑うように、見下しきった目で彼は応えた。

つまり、余裕。




麦野(派手に散らかしてあるケド、『翼』は出してないみたいね)


恐らく文字通り蹴散らされたのだろう。

辺りに倒れている能力者や兵はいずれも弱者、『大能力者』1人に匹敵するかしないか程度でしかない。

そんな実力の彼等が麦野と肩を並べる垣根に勝てる筈も無い。


と、そう考えていた麦野の周囲がオレンジ色の球体によって吹き飛んだ。


ゴバッッッ!! という爆音が垣根の立つ鉄骨を揺さぶる。


垣根「……何だよ、そりゃ」

揺れ動く鉄骨の上で、垣根は呟いた。


彼の眼前には、麦野を中心に展開されたオレンジ色のに光る『何か』が通路を吹き飛ばしていた。

麦野は平然と応える。


麦野「ただの自動防御だけど、そんなに珍しいかよォ?」


垣根の繰り出した『攻撃』を防いだ麦野は、口が裂ける程に笑った。


こっちは今日は終了、

いえ、流石にやりますよw



垣根提督の能力は、使い方さえ誤らなければかつての一方通行を遥かに上回る事が可能だ。

そして……垣根提督や御坂美琴達の能力者は、誰よりも自信の能力を理解しているが故に誤る事は無い。

しかし、垣根はそれ以前に麦野が言った自動防御という言葉に反応してしまう。


垣根(あの『原子崩し』は自動防御なんて真似は出来ない筈、どういう仕掛けだ?)


垣根が麦野と対峙したのはつい最近。

それから現在までの間に成長したと言うのか、と垣根は考える。

直後に、



彼を中心とした全方位から青白い閃光が迸るまでは。



垣根「・・・ッ!!」




雷、いや、もはや落雷や稲妻のそれと同じ轟音が辺りを激しく揺さぶった。


衝撃波は無い。

麦野の光線は見事に360°から放たれたせいで爆発的威力は内側に押さえ込まれたのだ。

垣根が立っていた筈の鉄骨はドロドロに溶け、淡いオレンジ色の炎と共に吹き荒れている。

恐ろしい程の熱波がその空間を襲ったのがよくわかる。


しかし垣根は再びそんな鉄骨の上に降臨する。


垣根「……舐めた真似をするな、テメェ」

麦野「ヒャッハ! そのメルヘンチックな翼が無きゃなーンにも出来ない癖に、喚いてんじゃねえよォ!?」


―――――― シパァンッッ!!


刹那に垣根の背中から純白の翼が片翼だけ伸び、麦野が立つ通路含む施設を数十mに渡って両断した。


そしてそれが開始の合図かのように、垣根の姿と麦野の姿はその場から消えた。


どうやら不幸な事態になったようなので、明日の午前まで止めます



凄まじい地響きを感じながら、査楽と御坂の2人は狭い通路を並んで走っていた。


現存の味方能力者でこれ程の騒ぎを起こせるのは垣根ぐらいのもの、つまり垣根が本気を出す程の相手の出現。

そこまで考えた御坂と査楽は全力で走っていた。

万が一、垣根が交戦している相手が一方通行だったなら・・・


御坂(時間が無い、早く通信室から施設全体を破壊しないと……!!)

御坂の額を汗が流れ落ちる。


本当なら査楽という瞬間移動能力者がいるのだが、彼の移動基準は他者を使ったものである。

垣根が雑魚を一掃した後では基準となる『他者』がいないため、瞬間移動出来ないのだ。

査楽は自身の能力の無能さに歯噛みしながら御坂に叫ぶ。


査楽「あと数ブロック先の通路を抜けた所が通信室です!!」

御坂「あとちょっとぉぉぉぉ!!」


自身を少しでも高める為に御坂は吠える。

まるで何かに怯えるように。





――――――  火 柱  。



御坂達が走っている建物の僅か50m離れた広大な駐車場の中心から、まるで神の裁きを連想させる火柱が上がった。

その火柱の中から、 カツッ と革靴がアスファルトをわざと鳴らす音が鳴る。

栗毛色の髪はまるで乱れていなく、女性らしい柔らかな肌も傷一つ付いていない。

やがてその人間は業火より進み出た。


麦野「……逃げ足は早いじゃん」

垣根「テメェがのろいんだ、余裕かましてんじゃねえよ」

麦野「あーあ、せっかくイカしてた顔とか服は台無しだね」


・・・麦野と対峙する垣根の表情が曇る。

麦野と反して垣根の姿はボロボロだったからだ。





垣根(……コイツ、まさか『多重能力』にでも目覚めたのか?)

そう思わざるを得ない状況。


普段の垣根ならば何かしらの種があると気づく、だが今の状況は別なのだ。


垣根(…………)


パァンッ!! と垣根の背後の翼が一斉に爆発する。

翼にある羽の一枚一枚が水晶のように透き通った刃となり、突風と共に二本の杭として麦野に向けて射られた。

突風は翼の羽を介する事によって、『超爆発性のある風』へと変貌を遂げる。

それらの一撃が、音速に匹敵する速度で駆けるのだ。


麦野「……っ」


麦野が笑う。




ゴバァァアアアアアアッッ!!!


射出された翼は確実に麦野のいた位置を吹き飛ばした。

しかし直後に垣根は射出した翼を根元から細かい羽にして切り離した。

弾けるかのように、ほぼ同時に新しい翼を出した垣根は瞬時にその姿を翼で覆い隠し・・・



―――――― 『垣根が向いていた逆方向からの一撃を防いだ』。



凄まじい青白い閃光が雨のように降り注ぐ中、垣根は翼の庇護の中で舌打ちする。


垣根(チッ、『また瞬間移動しやがった』……更にはこの秒間50発の連射性能……ッ)

垣根(他に協力者がいる可能性は……無いな、瞬間移動能力者はそうそういない)


そこまで考えた垣根の背後が再び弾ける。

遊びは終わりだと、宣言するかのように純白の翼が更に二本展開されたのだ。



―――――― ゴンッッッ!!


二本の翼は淡い光を纏った羽を太陽光を通して振るう。

その瞬間に『回折』した太陽光は微弱な質量を持った光と化すのだ。

光の速度で撃ち放された垣根の光線はその一撃だけで駐車場を崩落させた。


粉砕されたアスファルトの瓦礫が飛び散り、凄まじい衝撃波が辺りを粉々に破壊した。

……にも関わらず、垣根の表情は初めて驚愕の色に染まる。


麦野「  つ・か・ま・え・た  」


翼によって守られている筈の垣根に麦野の全身が密着する。

吐息がかかるのも気にせず、麦野は続けて言った。

小さく、薄く笑いながら。


「死ね」


直後、純白の翼が内側から青白い閃光で爆発した。





―――――― 御坂と査楽は、凄まじい煙が上がる中やっと息ついた。



御坂の触れている壁は軽く焦げている。

何があったかなど、問うまでもなかった。


御坂「……ギリギリ、施設を使い物にならない位には出来たわね」

ズルズル、と御坂は床に腰を下ろした。


査楽「後は結標さんに御坂さんを飛ばして貰ってから、御坂さんの背後に移動するだけで逃走は完了ですね」


御坂「なんていうか……早く行くわよ、静かになったって事は垣根が離脱したか死んだかのどっちかだろうし」

査楽「不吉なことを言わないで下さいよ……」




御坂「あー、査楽の方の携帯使って結標に連絡して」

査楽「何故です?」

御坂「今の能力使った時に壊れたわ」

査楽「なるほど……え」


スッ


査楽「…あー、どうやらこっちも壊れたみたいです」

御坂「ちょっと、嘘? 結標に連絡取れないじゃない」

査楽「えぇ、こちらに言われても……」



結標「…………」スタッ


麦野「……む、結標……良い所に来たわね」

結標「ずっとアンタを見てたんだから、タイミングが良いのは当然でしょ」

麦野「あはは……全身が、麻痺してるんだけど……なんで?」

結標「ごめんなさい、まさか『海原』が裏切るとは思わなかったのよ」


麦野「この全身の感覚は海原のせいってわけね……ッ」

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