魔王をたおすっちゃ (72)

なんか書こうか考えたが
思いつかねーので避難所で書いてたちんちくりんを

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俺が魔王討伐を始めたのは、桜が咲き誇る、春の頃であった。

日も昇った朝方、母が優しい声で、深い眠りにつく俺を呼び起こした。

「ああああ、起きなさい」

「ああ」

多少、ぶっきらぼうに返事をして、俺は朝を迎えた。運命の日の朝を…

運命の日。その理由は、今日が俺の16歳の誕生日で、この国の成人を迎えたからだ。
そして、何より、俺が、勇者の血族だからだ。

そう、俺は今日から…
魔王討伐の旅に出なければならない

「王さまが呼んでいるわ、急いで準備をして、お城に向かいなさい」

「ああ、わかってるよ」

母は、寂し気な顔を浮かべながらも、俺を急かした。

準備を終えて、旅立とうとすると、母が、いってらっしゃい、体に気をつけてね。涙を浮かばせながら声をかけた。

「ああ、いってくる」

それが、俺たち親子が交わした……
最後の会話となった。

重苦しい城門を潜り抜け、城内に入ると、騎士団長を名乗る壮年の男に、 王の間へと案内された。

ー王の間ー

「おお、良くきた。勇者んんんんの息子」

勇者んんんん、かつて、この大陸一の勇者と呼ばれた男。
俺が、幼い頃に、魔王討伐の旅に出て…命を落とした。

「新たな勇者の旅立ちの為に、微力ながらも餞別を用意した。受け取るがよい」

礼を言い、餞別を受ると、俺は城を後にした。

然し、勇者に対する一国の王の餞別が、100Gに鉄の剣。
魔王討伐の餞別にしては、正直、貧相と言わざる得ない。

だが、理由は簡単だ。


王は、俺に期待をしていないからだ。

勇者の血族と言えども、所詮は、16の小僧。それに、別段、実績があるわけでも無い。
表面上は兎も角、本心は、魔王を倒せるとは思ってないだろう。

重要なのは、民の希望作りと、兵の士気向上の為に『勇者』が旅立つという事実だけ…


(俺たち家族の人生を何だと思ってやがる)

故郷には帰らず、『勇者』を演じ、出来るだけ、長く旅を続けろという事か…… 命が果てるまでッ!

『冗談じゃない!俺は必ず故郷へ帰るッ!
そして、また…必ず母さんと暮らしてみせる!』

(魔王ぐらい、倒してやるさ。オヤジの仇も取ってやる)

勇者の頭に浮かんだ、故郷に一人残した母の姿。
その光景が、勇者の冷えた心に、火を灯した。


魔王打倒という名の灯火を……

この日の為に、欠かさず訓練をしてきた勇者にとって、近辺の魔物は相手にならない。
然し、一人旅には、限界がある。それを理解している勇者は、仲間を得る為、ある場所へと向かっていた。

ーハケンの酒場ー

冒険者が集う酒場。
女店主のハケンが、色んな職業の冒険者を紹介してくれる場所だ。

「三名程、連れて行きたいんだけど、誰かいる?」

「あなた、ツイてるわね。丁度、三人いるわ」

一人目は女賢者。
煙草を吹かし、口数も少なく、一見、賢者とは思えない女性だ。

だが、旅を初めて直ぐに、賢者という実力者を得たのは幸運だ。

二人目は女僧侶。
礼儀が正しく、僧侶を絵に書いたような人だ。

仮死状態なら蘇生させてくれる、頼もしい存在だ。 僧侶を得たのも幸運だった。

三人目は女戦士。
俺より、非力という珍しい戦士。不安に思ったが、驚いた事に、魔法の心得があるとの事。


最初、ハケンの言った通り、俺はツイていたらしい。俺は、仲間達を連れ、酒場を後にした。

おぇぇぇ、超休憩っす

仲間達と共に討伐の旅を始めてから、しばらく経った、ある日の事。
俺達は、戦士の故郷の村へと、向かっていた。

「お母さんとお父さん、元気にしてるかな」

故郷の両親を思い、喜ぶ戦士、正直、俺は羨ましい気持ちで一杯だった。




村へ着くまでは…

村へ着いた、俺たちが見たものは、荒れ果てた、村の姿だった…

「無事かもしれない。あんたの家はどこ?急ぐよ」

普段、無口な賢者が、放心する、戦士に喝を入れた

戦士に案内され、急ぎ、家に向かった。
そして、戦士の家で見た景色は、想像を絶する光景だった。
「おかあさん!おとうさん!」

賢者に促され、俺たちは、戦士を部屋に残し、家を出た。

近隣のモンスターに襲われたのであろう、旅の途中に何度か遭遇した事がある。

親を呼ぶ、戦士の泣き声が、外にいる、俺たちにまで聴こえてきた。


俺は、魔王討伐を改めて誓った…

しばらく経ち、戦士は落ち着きを取り戻した。

俺たちは、戦士の両親の墓を造り、村を後にした。


「勇者…絶対に魔王を倒そうね」

戦士は、そう語りかけてきた。

ああ、『みんなで』必ず倒そう。

俺は力強く答え、他の仲間も、それに応じた。

俺たちが、真に団結した瞬間だった

某ダンジョン。
勇者たちは、伝説の賢人の杖が眠る、ダンジョンに潜入していた。

「やっと着いたな」強靭なモンスターの集団に数多くの難解な罠
それらに、悪戦苦闘しながらも、俺たちは、最深部へと辿り着いた。

最深部の祭壇に、伝説の杖が祀ってあった。
杖へと近づくと、突然、頭の中に声が響いた。

『待て!』

それは、杖に眠る、賢人の意識が、語りかけてきたものだった。

賢人は、杖を得たいなら、賢者一人で祭壇に上がって来いと言ってきた。
「何かの試練か」賢者は了承し、一人、祭壇へ向かった。

祭壇へと続く階段の前で、突然、床が光り、何かが現れた。

突然の光景に、俺は目を疑った。

「父さん……」

ズタ袋を被った、筋骨隆々の男。見間違える訳がない。
あれは父だ。昔と全く…
(全く変わってないぞ…あれから、十年近く経ってるのに)

疑惑が俺の頭によぎった

「感情に流されない、流石は勇者だな」

賢人が、俺に語りかけてきた

「あの父は偽物なのか?」賢人に問いかける。
「本物ではない、然し、偽物とも言い切れない。あの男は人のトラウマが生み出す幻影だ」
賢人は、俺の問いに、そう答えた。

「トラウマか……なら、あの父は、俺が生み出した幻影って事か」

賢人は否定した
「それは違う。あの男を生み出したのは、あの若き賢者だ」

「んんんん様…」父の幻影は、攻撃などせず、その場に佇んでいるだけだが、賢者は、萎縮し怯えきっていた。
「賢者さん、どうしたんですか!?」
「その人は、一体だれなの!」

普段の彼女からは想像もつかない姿に、僧侶と戦士は、心配そうに声をかける。

今、賢人の声は、俺にしか聞こえてないらしい。だが、一体、なぜ賢者のトラウマに、父が関係しているんだ?

「それは、お前の父の死の原因に、賢者が関わっているからだ」

どういうことだ。俺は、賢人の言葉に動揺を隠せなかった。「奴の心に触れ、分かった事だ」賢人は続けた。

賢人曰わく、神童と呼ばれた彼女は、弱冠10歳で賢者職に就き、俺と同じ16歳の時に、父の旅に同行した。

そして、魔王決戦の時。
父は、賢者を庇い、魔王と相討ち、命を落とした。
魔王は、その時の傷が原因で、長い眠りにつき。賢者は命からがら助かった。

父さんと賢者にそんな事が…俺は言葉を失った。

「罪滅ぼしのつもりか、賢者は幼いお前を守る為、お前の住む国の近隣の凶悪な魔物を、単身駆逐していった」

「!!」

「俺の住む国が安定していたのは、賢者が命懸けで闘っていたからなのか……」

「まさか…この旅に同行したのもっ!?」

「左様、偶然ではない。全て、お前を守り通す為だ」

俺の心は決まっていた

父の幻に、憔悴しきった賢者の元へ、歩み寄ろうとする俺を、賢人が制止した。
「杖を手に入れられるのは、心の壁を乗り越えた者だけ。手を出す事はならん」

「手は出さないさ」俺は、そう言い放つと、迷うことなく賢者の元へ向かった。

強く賢者に呼びかけると、賢者は自我を取り戻したようだ。

「父さんとの事、聞いたよ」そう言うと、賢者は目を逸らした。しかし、俺は構わず話を続けた。

「それと、賢者が俺を子供の頃から、ずっと守ってくれた事もな」
「!」その言葉を聞いた賢者は、驚いた顔で、俺を見返した。

有難うな。俺は感謝の言葉を伝えた。然し、賢者は無言のままだ。

「もう、父さんはいない。あれは偽物だ。それに……母さんも、俺も恨んじゃいないよ」

それでも、賢者は何も言わなかった。

今の賢者に、下手な慰めは効果が無かった。俺は思いの丈を、賢者にぶつける事にした。

「あんたは、此処で、泣き腐って死ぬつもりか!?俺を『守る』んじゃなかったのか!?」
賢者が、『守る』という言葉に、僅かに反応した。

「一緒に旅しなきゃ守れないだろ?だから、さっさと杖をとって来なよ」
僧侶と戦士も賢者に声をかけた。

賢者の目に光が戻った。小さく、笑い。立ち上がる。

賢者は堂々と、杖の元へ歩を進める。んんんんの幻影の前で立ち止まると、幻影に、感謝と謝罪と、ああああを守るとの誓いの言葉を伝えた。

そして、幻は消え去った。

賢者は『一人』階段を登っていった。
そして…賢者は伝説の杖を手に入れた。

「『一人』だから問題ないだろ?」俺は、賢人に語りかけた。「確かにな」賢人は、そう答えた。心なしか、満足そうに聞こえた。


杖を手に入れた俺たちは、ダンジョンを後にした。



(有難う…ああああ)

俺たちは、古の巨人の斧など、順調に伝説の武具を集めていった。
そして残るは、勇者の剣。

勇者の剣とは、天に住まう龍神に『認められた』勇者が授かる剣らしい…

認められる以前に、天に住まう龍神に、どうやって会うのか?
得た情報に、頭を悩ましていたら、突如「多分、大丈夫だと思います…」僧侶が驚きの言葉を発した。

曰わく、あくまでも噂だが、聖職者たちの聖地『大神殿』に、龍神の住まう場所へと続く道があるとの事だ。

「大神殿か、信憑性が高そうだな。何より、他に情報もないし、行ってみるか」

俺たちは、大神殿へと向かった。

ー大神殿内部ー

現在、俺たちは、大司教の元へ案内されている。俺たちの活躍は、かなり広まっており、お陰で、大司教との面会も楽に叶った。

「御活躍の程、耳にしております。遙々よく来てくれました。勇者様」

お互い挨拶を済ますと、早速、俺は本題を切り出した。「大司教様は龍神の住まう場所への道を御存知ですか?」
大司教の顔色が変わった。「何故、そのような事を?」

俺たちは、勇者の剣の件を、大司教に丁寧に説明した。
「……わかりました。龍神様の住まう場所への道に、ご案内しましょう」

俺たちは龍神の元へ向かった。

俺たちは、神殿内部の秘密の部屋へと案内された。
大司教に促され、魔法陣を踏んだ、その瞬間…
一瞬で、別の場所へと移動していた。此処が、一目で『天空』だとわかる場所だった。

目の前の巨大な建物に入ると、声が聞こえてきた。

『良く来たな』

目の前に、途轍もなく巨大な、光り輝く龍が現れた。

『我が龍神だ。お主が来るのを待っていたぞ』

「待っていた?俺たちが来るのをわかっていたのか?」『左様。多少、先の未来なら、予知が可能でな』
流石、神だけあって、とんでもないな。

『早速だが勇者よ、お前の資質を試させて貰おう』「ああ、その為に来たからな」
『なに、固くなる必要はない、心の中を覗くだけだ。我の近くへ来い』

勇者は悪趣味な試練だと思いながらも、龍神の元へ近付いた。

『それでは……いくぞ』

『ふむ、なる程な』「結果はどうだい?お気に召しましたかね?」
俺が、そう問いかけると、龍神が答えた。『勇者としての資質は申し分ない。剣を授けよう』「そうですか」
『これが勇者の剣だ。受け取るが良い』
ああああは勇者の剣を手に入れた。

「それでは、これで…」
『待て』「?何か他に用が」
『そうだ、まだ渡す物がある』
龍神は、そう言うと、俺に、もう一つ剣を渡した。

刃がない…こんな物を渡して、なんになるんだ。
『その『剣』は、真に必要な時に目覚める。目覚めない事を祈るがな…』
「??」『今は分からなくて良い。大事に持っておけ』

どんな物でも、龍神が授けた物だ。只の道具では無いだろう。龍神の言葉を頭の隅に置き、俺は仲間の下へ戻った。


準備は整った。
待っていろよ……魔王!!

魔王の居城へと向かう道すがら、聞き覚えのある声が、俺を呼んだ。「お待ち下さい!勇者殿」

声の主は、旅立ちの日、俺を王の下へと案内した、騎士団長だった。

一体、彼は、何故こんな場所に?
俺が疑問を投げつける前に、彼が俺に言葉を投げかけた…
その言葉は、一瞬で俺の心を凍らせた。


母さんが……死んだ?

母さんは、俺が旅立った後、直ぐ、病に侵され、日に日に弱り、先月に亡くなったそうだ。

俺は必死に状況を理解した…
そして、目の前の騎士団長に、怒りをぶつけた。

何故、助けなかった?何故、知らせなかった?何故、今頃…
彼は悪くない。頭ではわかっていた。

だが、騎士団長は何も言い返さずに、黙って俺の叫びを聞いていた。

そんな俺を仲間たちが制止した。

そして、俺の精神状態が不安定な為、魔王討伐は日を改める事になった。
騎士団長は、俺に詫びを言った後に、あるものを俺に手渡した。


それは…母からの手紙だった。

母さんからの手紙を読んだ。
(母さんの字だ…)

手紙の内容は、俺に知らせないでくれと頼んだのは、母さん自身だった。
それは、俺の足手まといになりたくないという思いからだった。
そして…誰も恨んではならない。悲しむ必要はない。前を向き、使命を果たしなさい。
愛する息子、ああああ。

「母さん……」


落ち着きを取り戻した俺は、騎士団長に謝罪をした。
それでも彼は、知らせなかった事を、俺に詫びた。

(見ていてくれ、母さん。)

騎士団長は、俺たちに別れを告げ、国に帰っていった。

(そうだ。戦士も賢者も悲しみに立ち向かった。俺だけ腐る訳にはいかない)

「みんな!すまなかった」

「勇者…」

「俺は、もう下を向かない…必ず、魔王を倒してみせる。
だから……改めてみんなに頼む!俺に力を貸してくれ!!」

みんなは笑顔で頷いた。


いざ、行かん
魔王との決戦の場へ

ーー魔王の居城ーー

長い道のりだった。ついに俺たちは、此処にたどり着いた。
「みんな、行くぞ」
俺たちは、魔王の本拠地へ足を踏み入れた。

城内には、今まで見たこともない、凶悪な魔物や罠に満ち溢れていた…

苦戦を強いられたが、支え合い、それら全てを突破した。
そして…魔王の待つ最上階へと辿り着いた。

『はっはっはっはっはっ…遂に此処まで辿り着いたか、勇者ああああ』

遂に、勇者たちの旅の最終目標である男が姿を現した。


勇者「現れたな…『魔王』!!」

「勝負だ!魔王!」
俺は魔王に剣を向け、仲間たちも、戦闘態勢に入った。然し、そんな俺たちを前に、魔王は悠然と椅子に座り、話し始めた。

『まあ、待て。余と闘いたければ、先ずは前座を倒してからにしてもらおう』魔王が下劣な笑みを浮かべる

「前座だと?」俺は、何か悪い予感を感じた。『そうだ、余の忠実な配下…』

魔王は、そう言い放ち指を鳴らした。
勇者たちの眼前に漆黒の稲妻と共に、人影が現れた。

『元勇者んんんん!貴様の父親だ!!』

父さん…なのか?いや!賢人の時と同様に、幻影、或いは魔王が造った偽物。
しかし…よくも父さんの偽物を!

「そんな偽物で、俺たちを揺さぶってるつもりか!」俺は魔王に、怒りを込めて言い放った。

魔王は不敵に笑った。『偽物だと?その男が死んだ場所が、何処だと思っている?
当然、その女は本物と理解ているよ』

魔王は賢者を指差した。

「あの胸の傷は…私を庇った時に出来た傷……」賢者は震えながら、そう言った。

「まさか、じゃあ、あれは本物の…父さん……なのか」

『そうだ!!あの時点で貴様の父親は、まだ生きていたのだよ!
それを、余が見つけ、改造したのだ……意識を消した。生きた屍とな!!』

魔王の笑い声が響き渡る

魔王が発した事実に言葉を失った。それは、賢者も同様だった。「んんんん様…」
(賢者…)今、賢者はショックを受けている。ここで俺まで下を向いたら……

俺は決心をした。

「みんな、ここは俺に任せてくれ」

「ああああ!?何を言ってるの!」我に返った賢者が、俺を制止する。

「ただの親子喧嘩さ。賢者はみんなと一緒に休んでてくれ」
俺の意図を察した僧侶と戦士が、賢者を連れて後ろへ下がった。

「父さん…いくぜ!」


悲しみに満ちた『親子喧嘩』が始まった

勝負は互角だった。(このままじゃ埒があかない)そして、両者共に、同じ結論に達した。
(必殺の一撃で決めるしかない!)

んんんんは、斧に闘気を込め、更に、魔法剣の要領で、炎の呪文を纏わせた。

対する、ああああも同様に剣に闘気を込める。更に、天空から光を剣に落とし纏わせる。
それは、勇者のみが使える最強の呪文であった。


お互いの準備が終わり、遂に、勝負が決する瞬間(とき)がきた。

真正面からお互いに突撃し、交差した。

勝ったのは……ああああだった。

んんんんは光に包まれ、徐々に消滅していく。

消え去る瞬間…

「強くなったな……ああああ……後は、任せたぞ」

『父』は後ろで消え去っていった。
だが、『勇者』は振り返らなかった。然し、小さな声で呟いた…

「ああ、分かっているよ。父さん」


『息子』の頬に、一筋の涙が零れ落ちる。

『はっはっはっはっは!』魔王が大声で笑い出す。
『随分残酷な勇者がいたものだ!実の父親を、躊躇わず[ピーーー]とはな!!』

「この…外道め!」仲間たちは、涙を流し、怒りに震えていた。
「好きに言わせておけ」俺は、全く気にする素振りを見せず、みんなに、そう伝えた。
『みんな』は、当事者である筈の俺が、一番冷静だったのに、驚いていた。
そして、一番驚いていたのは、魔王だった。
『なんだと?』言葉の真意が分からぬ魔王に、俺は言った

「こんなふざけた事も、今日で終わりだからな」

『どういう事だ?』
「わからないか?今日、俺たちは、平和な世界を手に入れる。今みたいな事が起こらない、世界をな…
何故なら……俺たちが貴様を倒すからだ!!!」


遂に、世界の存亡を賭けた闘いの火蓋が切られた…

『はっはっはっはっは!』魔王が大声で笑い出す。
『随分残酷な勇者がいたものだ!実の父親を躊躇わず殺すとはな!』

「この外道め!」仲間たちは、涙を流し、怒りに震えていた。
「好きに言わせておけ」俺は、全く気にする素振りを見せず、みんなに、そう伝えた。
『みんな』は、当事者である筈の俺が冷静だったのに、驚いていた。
そして、一番驚いていたのは、魔王だった。

さーせんwwwwwwsagaわすれましたwwwwww
>>48は無かった事にしてくださいwwwwww

『なんだと?』言葉の真意が分からぬ魔王に、俺は言った。

「こんなふざけた事も今日で終わりだからな」

『どういう事だ?』
「わからないか?今日、俺たちは、平和な世界を手に入れる。今みたいな事が起こらない、世界をな…
何故なら、今から俺たちが……貴様を倒すからだ!!!」


遂に、世界の存亡を賭けた闘いの火蓋が切られた…

武道と魔術。両者を神域のレベル迄に極めた魔王との闘いは、想像を絶するものだった。
『ふふふ。この程度か?勇者ああああ』
(強い!ここまでとは!だが、まだ望みはある…
俺の必殺剣さえ決まれば…)

『父を葬った必殺の一撃。試してみるか?』

「……」この状況下、それしか手だてがない。同じ考えに至った奴は、俺を挑発した。

(それしかないなら…)
「やってやるさ」


俺は、必殺剣の準備に入った。

剣に天から光の呪文を落とす瞬間…
俺の目前に、巨大な火球が迫っていた。
『馬鹿め!この隙を見逃すと思ったか!?』巨大火球は魔王の必殺の呪文であった。
(くそっ!万事休すか!)火球が直前まで迫り、諦めかけた時…

俺の前に賢者が飛び出していた。

その刹那、賢者の声が聞こえた


「あなたを『守る』そう言ったでしょう。」

俺が、賢者の名を叫ぶ前に、僧侶が叫んでいた。「今よっ!勇者ぁぁ!!」
瞬時に頭の中で理解した。初めてできた魔王の『隙』
賢者が命懸けでくれた『好機』…

(無駄には出来ない!!)
俺は全力で魔王に突撃した。

初めて魔王の狼狽える顔を見た。
そして、俺は……


魔王の心臓を貫いた。

魔王は『たおれた』
俺は、喜びの感情など忘れていた。賢者の事で、頭が一杯だった。
俺は、真っ先に賢者の下へ駆け寄った。
「賢者は無事なのか!?」俺は、僧侶に問いかける。
「何とか蘇生には成功しました。
ですが、危険な状態には変わりません。
だから、早く外に出ましょう!」

「わかった!」



賢者を連れ、外へ出ようとする、俺たちの後ろで、不気味な影が動き出す。

「危ない!勇者!」
突如、戦士が叫び、立ち上がる。俺の後ろに、心臓を突き刺された筈の魔王が迫っていた。

戦士が、俺を狙った魔王の拳を、斧で受け止めてくれた。

『はぁ…はぁ…よくも』立ち上がった魔王だが、虫の息だった。

「こんな死に損ない、私一人で大丈夫。ここは任せて!」

戦士が、この場は自分に任せ、俺たちに脱出を促した。

然し、『舐めるなよ!』魔王の、もう片方の拳が、戦士を打ち抜く、戦士は重傷を負ってしまった。

(まだ、こんな力が…)


勇者は、一つの決断をした。

「僧侶!二人を連れて逃げろ!」勇者は、単身、魔王立ち向かった。

たった一人で魔王に!?その姿を見て、僧侶は拒絶の意思を示そうとしたが…
危険な状態の賢者。命に別状は無いが、重傷の戦士。
その二人を見つめると、黙って指示に従った。

「必ず…必ず!生きて帰って下さい!」

「ああ!」



永きに渡る『勇者』と『魔王』の宿命。
その宿命の終わりが、刻一刻と近付いていた…

『父と同じく、己を犠牲にし、仲間を逃すか…親子揃って愚かだな』魔王が嘲笑する。

「犠牲?一匹の死に損ないを始末するだけだ。死ぬ訳ないだろ」俺は、負けじと言い返した。

『ふふふ。死に損ないか…確かにな』
魔王は、不気味な程に冷静だった。

『今の余は、死を待つばかりの死に損ないだ…『この体』ではな!!』
魔王は両手を合わせた。そして…魔王の体は闇に包また。

魔王は、見る見るうちに、巨大な得体の知れない化物へと変貌していった。


この威圧感…さっきまで闘っていた『人間』の姿に似た魔王とは、比較にならない強さだと、俺は、本能で理解した。

(なんて強さだ!手も足も出ないなんて)
魔王は、転生の秘術で、破壊神へと生まれ変わったのだ。

『この秘術を使う羽目に無るとはな…流石は勇者と言ったところか』

(何とかして、奴に必殺剣を…)だが、先程と違い、勇者は孤独の身。必殺剣を決めるのは絶望的だった。

その時、魔王が…
『ふふふ。必殺剣…使わせてやろうか?』

「何だと!?」

魔王は、勇者に必殺剣を使うよう、促した。「どうせ罠だろ?」
『罠?この神の体に、そのような小細工など不要。
準備を許すだけではなく、その一撃、受けてやるわ』

「何だと!?」魔王の罠か、絶対の自信か、どちらにしろ、勇者の選択は一つだった。

(罠かも知れない…でも、このまま黙っていても仕方ない)


勇者は必殺剣の構えをとった

魔王の宣言どおり、必殺剣の準備が、無事に終わった。
(後は決めるだけだ…)
「いくぞ!魔王!」
勇者は、魔王に突撃していった。
そして、勇者の剣が、魔王に直撃した。その時…

勇者の剣が砕け散った。

固まる勇者…。魔王は、その『隙』を見逃さなかった。


魔王の痛恨の一撃が、勇者に直撃した。

『力の差を理解したか?』

魔王が、満面の笑みで勇者に語りかける。
瀕死の勇者…
(俺は、ここまでなのか?)勇者は絶望に打ちひしがれていた。(必殺剣も通じない。剣も無くなった。もう、駄目だ)
その時、勇者の頭に、聞き覚えのある声が響く。

「ああああ、起きなさい」

(か、母さん)母の声が聞こえた気がした。それを切欠に、旅の思い出が、走馬灯のように駆け巡った。
(ここで、俺が諦めたら、世界は絶望に包まれてしまう。
俺は……俺は…最後まで…下を向かない!!)


両親、仲間、大切な人たちへの思いが、勇者を奮い立たせた。

『まだ、立ち上がるか』
立ち上がる勇者の姿を見て、余裕の態度は崩さなかったが、驚いた様子だった。

(立ち上がっても…今の俺には武器がない、どうすれば…いや!諦めるな!)

その時、勇者の懐から、光が溢れ出した…

勇者が、光り輝く、物を取り出した。
それは、龍神から授かった、光り輝く『柄』だった。


『そ……それは!!』

その『柄』を見た魔王が、大きく動揺した。


転生後の魔王が…

『それは…神の剣!何故、貴様が…
まさか、龍神が持っていたのか』魔王が激しく狼狽える。

「神の剣?」勇者は手にした『柄』を見つめると、一瞬で剣の『意思』が頭に流れ込んできた。

そして、俺は理解をした。この剣を使うと………

「俺は死ぬのか」


『くくく…知っていたか!そうだ、剣を使えば死ぬ!
そんな馬鹿、この世に居るまい!』


「俺は……そんな馬鹿なんだよ」


ああああは笑って答えた。

俺は柄を天に向けた。
柄から、天まで届く巨大な光の柱が生まれ、巨大な光の剣を形成した。

「きれい…」

光の柱は、魔王の居城から脱出し、少し離れた場所にいた、僧侶たちの目にも見えていた。

魔王は、柄から放たれる、膨大な光により、動きを封じられていた。

『よせ…止めろ!死ぬのが怖くないのか!?』

「怖いよ」俺は、そう、答えながらも、止める気配を見せなかった。

『何故だ!?何故そこまで!?』

「言ったろ?今日、俺たちは、平和な世界を手に入れる。
お前を倒してな!!」

俺は、魔王に向けて剣を振った…
動きの封じられた魔王を、巨大な光剣が襲う。

『やっ……やめろぉぉぉぉぉぉぉ!!』
魔王の断末魔の叫び。
辺りを巨大な光が包み込んだ…

魔王は居城と共に、この世から完全に消え去った…



そして…俺も……

そして、世界は平和を手に入れた。

激戦の後に、仲間たちは、勇者を必死に捜したが、見つからなかった。
各国も協力し、大規模な捜索隊を派遣したが、結果は変わらなかった。



『勇者ああああ』
彼の名前は、命を懸けて、世界を救った英雄として、後世へと語り継がれていった。

ーー天界ーー

『天界』其処は、正しき心を持つ者が、その生涯を終えた時に訪れる場所。

「みんな、良かったな」平和な下界の様子、仲間たちを見つめて、俺は安堵する。

魔王を倒した事。平和を掴んだ事。そして、死んでしまった事…
様々な事が、頭をよぎった。

そんな事を一人考えていると、後ろから人の気配を感じた。

俺は、即座に振り返った。そこに居たのは……

「おかえり、ああああ」


ああああの目には、涙が溢れていた……



「ただいま」






~fin~

やっと終わった
誤字だらけうぇwwwwww

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