鎖々美「かがみがデレた」 (32)

鎖々美「かーがみ、一緒にお昼ごはん食べよっ」

かがみ「ふふ、仕方ないのです。ほら、こっち向くのですよ」

鎖々美「わぁい、かがみだいすき!」

かがみ「わたしも鎖々美さんが大好きなのです。ほら、あーん」

鎖々美「あーん!」

鎖々美「……」

鎖々美「あるぇ?」

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かがみ「どうしたのですか、和人形のごとき端麗な柳眉を驚きに歪ませて?」

鎖々美「かがみ、熱でもあるの?」ピト

かかみ「ああん。そんな可愛らしいおでこをわたしの額にくっつけないでください……。
心臓が締め付けられてキュンキュンしてしまうのです」

鎖々美「えっ? えっ? おかしいよね?」

かがみ「わたしは至っていつも通りですが」

鎖々美「ここに嘘をついている人が一人いるよ」

鎖々美「かがみ、一緒に帰ろうっ」

かがみ「ふにゃあ……もうそんな時間ですか」

鎖々美「かがみはいつも寝てるよね。もしかして、夜にあんまり寝られてないの?」

かがみ「心配には及ばんのです。頭の中で鎖々美さんを愛でていたら朝になっていた
、というだけのことですので」

鎖々美「あなたの頭の中にいるわたしが心配になってきたな」

かがみ「昨晩はですね、まず鎖々美さんを仰向けに寝かせて、その上にわたしが掛け
布団のように覆いかぶさるのです。そして首筋に優しく接吻すると、鎖々美さんは可
愛らしく身をよじらせて、とろけそうな甘い声で『もっと……ちょうだい』と——」

鎖々美「みんな! 誤解だよ! わたしたちは健全な関係だからね! わ、情雨ちゃ
ん待って、炎帝カグツチを捕食する体勢に移らないで!」

鎖々美「教室では散々だったよ。情雨ちゃんなんか、体内の神霊を全て解放する勢い
だったし」

かがみ「たとえ八百万の神々全てが敵に回ったとしても、わたしは鎖々美さんを守り
ます」

鎖々美「かっこよく宣言してくれるのはすごく嬉しいんだけどさ、かがみ。さっきは
主にわたしが食い止めていたよね」

かがみ「凛々しい鎖々美さんも素敵だったのです。激しい動きの中でパンチラもあり
ましたし……。ついててよかった、盗撮用超小型カメラっぽい機能」

鎖々美「『っぽい』とかいって誤魔化しても無駄だって気付いてるかな? はい、没
収」

かがみ「きゃっ、鎖々美さんのえっち……でも、嬉しいのです。ようやくその気にな
ってくれて」

鎖々美「え? その盗撮用超小型カメラっぽい機能はどこについているのかな?」

鎖々美「かがみ、今日はうちに遊びに来なよ。と訊くと、いつもなら『甘えないでく
ださい。この時間はタイムセールなのです』って追い払われるんだけど……」

かがみ「甘えないでください」

鎖々美「……そう、だよね。そんなに都合よくいくわけないよね」

かがみ「鎖々美さんは甘えないで。今日だけは、わたしに甘えさせてください。……
鎖々美さん、その、もしよければ、わたしの家に遊びに来ませんか……?」

鎖々美「不意打ちアンド上目遣いはすごく卑怯だってば! さっきから心拍数上がり
っ放しだよ……どうしてくれる」

鎖々美「でもどうせ、邪神家にはつるぎやたまがいるんでしょ?」

かがみ「お邪魔虫は退散したのです」

鎖々美「それ、他人を指して使うと結構失礼だからね」

かがみ「あいつらは馬に蹴られてどっか行ったのです」

鎖々美「べつに恋路じゃないんだけどな……。というかつるぎなら、むしろ応援して
きそうだけど。『ゲヘヘどんなプレイしたのかkwsk』とかいって」

かがみ「姉さんはあくどいのです。……鎖々美さんとのにゃんにゃんは、わたしのメ
モリーにだけ残って、わたしだけが楽しめればいいのです」

鎖々美「邪神の名に相応しいよこしまっぷりだね」

かがみ「邪神ではないですけどね」

鎖々美「でも確かカグツチって、古事記では母親を焼き殺しながら生まれてくるんだ
よね」

かがみ「わたしは日本書紀派なのです」

かがみ「どうぞ上がってください」

鎖々美「おじゃまします。……ほんとにつるぎとたまはいないの?」

かがみ「はい。なんでも先生の家に遊びに行くのだとか。朝帰りになるよ、とかいっ
てたのです」

鎖々美「……ごめんかがみ、急用思い出した。ちょっと帰るね」

かがみ「……」グイッ

鎖々美「か、かがみ……」

かがみ「呪々さんやみっちゃん(仮)さんもいるはずですから、あなたが心配するよ
うなことは起こらないのです」

鎖々美「でも……」

かがみ「お願いします。……たまには、二人っきりで、甘えさせてください」

鎖々美「だからそういうのは卑怯だってば……はぁ。いつもと立場、完全に逆転しち
やってるな」

かがみ「夕飯はなにをご所望ですか、鎖々美さん?」

鎖々美「かがみが作りやすいものでいいよ」

かがみ「偶の来客なのです。腕を振るわせてください」

鎖々美「じゃあね……かがみのオススメ料理にしてほしいな」

かがみ「となると、テーブルの上にわたし自身が載ることになるのですが……」

鎖々美「お皿に盛り付けられるサイズのものでお願いします」

かがみ「『改変』で小型化すればどうにか……」

鎖々美「『改変』を秘密道具みたいに使わないでよかがえもん!」

かがみ「できたのです。さあ、召し上がれ」

鎖々美「わお、すごく美味しそうなミニチュアかがみだよね。まさかほんとうに自分
を模した料理を出してくるとは」

かがみ「髪の毛の部分は焼き海苔を使っているのです」

鎖々美「それって夕飯というよりは、お昼に食べるキャラ弁だよね」

かがみ「夜はまだまだこれからだZE!、という意味を込めたのです」

鎖々美「順調にキャラを壊していってるようでなによりだよ」

かがみ「いやん……照れてしまうのです」

鎖々美「褒めてないよ。それに照れるとしたって、その照れ方はおかしいよね」

かがみ「お風呂にしますか、お風呂にしますか、それともお、ふ、ろ?」

鎖々美「連続で同じ質問してくるから、一瞬バグったのかと思ったよ。でも、かがみ
は人間だもんね。バグるなんてことないか」

かがみ「メンテナンスが、必要なのです」

鎖々美「おい! アニメで使われなかったからといって、感動シーンで使うべきセリ
フをここで使わないでよ!」

かがみ「涙を吸ってはくれないのですか? ちゅっ、て」

鎖々美「あんた今泣いてないじゃない!」

かがみ「ちゅっ、て」

鎖々美「……」

かがみ「ちゅっ」

鎖々美「もう……今回だけ、特別だからね」

 シャー

鎖々美「お風呂は別々なんだ」

かがみ『ええ。さすがにちょっと狭いですからね』

鎖々美「今のかがみなら、『むしろひっつくことができてよいのです』とかいいそう
だけどね」

かがみ『べつにわたしは、いつもと変わらないのです』

鎖々美「……」

鎖々美「うん、知ってる——だってかがみ、昼間から恥ずかしいセリフをいう度に、
顔を真っ赤にしてるんだもん」

かがみ『ふにゃ……気付いてましたか』

鎖々美「うん。どうして無理してるの? そんなにがんばってまで、どうして恥ずか
しいことをいい続けるの?」

かがみ『……鎖々美さんは、いつもと違うわたしは嫌でしたか?』

鎖々美「ううん。嫌じゃないし、むしろ嬉しいよ」

鎖々美「デレたかがみは押し倒したくなるくらい可愛いかったし、エプロン着て若妻
スタイルになったかがみは、その場で脱がしたくなるくらいに素敵だったよ」

かがみ『なんだかいやらしい評価基準なのです』

鎖々美「わたしはかがみをいやらしい目で見ているからね」

かがみ『……あなたは、最低な変態さんですね』

鎖々美「かがみだからだよ。かがみが相手じゃなかったら、わたしはいやらしい目を
向けないよ」

かがみ『素直に喜べないのですよ、まったく……』

かがみ『わたし、怖かったのです。蝦怒川さんが現れて、鎖々美さんとどんどん仲良
くなっているのを見ると、不安で夜も眠れなかったのです』

鎖々美「そんな……かがみはいつまでも、わたしにとっての一番なんだよ」

かがみ『わたしがあなたにとっての一番だとしても、やっぱり怖いのです。このまま
振り返ってくれなくなったらどうしようかと、不安なのです』

鎖々美「そんな心配いらないのに。なにがあっても、わたしはかがみが一番大切なの
に! かがみよりも大好きな人なんて、この世にいないよ」

かがみ『口ではなんとでもいえます! でも、あなたにわたしの気持ちがわかります
か!? みんなに愛されて、みんなに肯定されているあなたに!』

鎖々美「か、かがみ……」

かがみ『……ごめんなさい。取り乱してしまいました。少し、頭を冷やしてくるので
す。パジャマとかは脱衣所においておきましたので——それでは』

鎖々美「っ……」

鎖々美「この、わからずや……!」

 ガチャ

かがみ「……え?」

鎖々美「かがみ……」ユラァ

かがみ「え、ちょ、まっ……!」ドサッ

鎖々美「口でいってわからないんなら、もうこうするしかないよね」

かがみ「や、待って! ひゃんっ、水、したたってますから! 服、濡れちゃいます
から!」

鎖々美「これでもう、逃げられないよ」ガシッ

かがみ「ふにゃっ! 濡れた身体で抱きつかないでぇ! 制服、悪くなっちゃううう!」

鎖々美「かがみ、黙って」

かがみ「あぅ……」

鎖々美「わからずやなかがみが悪いんだからね……」

かがみ「な、なにする気ですか」

鎖々美「わたしはかがみが大好きだからね、かがみが嫌がるようなことはしないよ」

かがみ「……だったら、今すぐにそこをどくのです」

鎖々美「いや。だってわたしがどいたら、かがみ逃げちゃうでしょ?」

かがみ「わたしから離れないと火傷しますよ」

鎖々美「かがみは優しいから、わたしを傷付けるようなことはしないよ」

かがみ「わかったような口をきかないでください!」

鎖々美「……いやだよ。わたしはわかったような口をきく」

かがみ「わたしのことなんて、なにも知らないくせにっ」

鎖々美「かがみのことなら、なんでも知ってるよ」

かがみ「わたしの気持ちなんて、これっぽっちもわからないくせにっ」

鎖々美「かがみの気持ちなら、隅から隅まで知り尽くしているよ」

かがみ「……わたしは、心のない人形なのですよ。エラーが蓄積して、バグが飽和し
て、それでやっと、心みたいななにかができあがっただけの——ただのロボットなの
です」

鎖々美「違うよ。かがみはただのロボットなんかじゃ——」

かがみ「人間であるあなたとは、根底から違うものなのです。本質が、まったくのべ
つものなのです。だから、わたしの気持ちをわかるだなんて、そんな主張をするのは
おこがましいにも程があるのです」

鎖々美「おこがましくったって、するよ。わたしはいい続けるよ。わたしはかがみの
ことならなんでも知ってるし、かがみの気持ちは隅から隅まで理解できるよ」

かがみ「そういうのがうぜえのです、ちょこざいなのです! 分不相応をわきまえな
さい!」

鎖々美「かがみ……」ギュウ

かがみ「なっ……! さらに強く抱きつかないでください! そういうタイミングじ
ゃなかったでしょ今!?」

鎖々美「行為に持ち込んでかがみの怒りをうやむやにしちゃおう作戦。ちゅっ」

かがみ「行為ってなんっ——あ、や、くふぅ」クテ

鎖々美「首がいいんだね。……もっとしてあげる。ちゅう」

かがみ「や、や、ほんと、だめぇ……」ビクッ

鎖々美「こんなに濡らしちゃって……あん、かあいい♪」

かがみ「そ、そりゃああんた全身濡れてますからね! のしかかられたらこっちだって濡
れますよね!」

鎖々美「口ではそういうけど、身体は正直だよ。ちゅうう」

かがみ「ひっ、吸うな! なめるな!」

鎖々美「必死な抵抗もむなしく、かがみは鎖々美さんの超絶テクによって堕落するの
でした。愛でたし愛でたし」

かがみ「邪悪な漢字変換の気配がするのですよ! あっ、そんなとこ撫でないでくだ
さい!」

鎖々美「かがみ、愛裸撫優(あいらぶゆう)」

かがみ「目が、目が怖っ——ふにゃ、だめ、ほんと、あう! ふああ〜〜〜」ビクビクッ

 こうして、かがみは鎖々美さんの超絶テクによって堕落して最終的には結婚するの
でした。愛でたし愛でたし。

 Happy End!

ねむけが作用してシリアスを続けられなくなったのですよ

鎖々美「おこがましくったって、するよ。わたしはいい続けるよ。わたしはかがみの
ことならなんでも知ってるし、かがみの気持ちは隅から隅まで理解できるよ」

かがみ「そういうのがうぜえのです、ちょこざいなのです! 分不相応をわきまえな
さい!」

鎖々美「かがみ……」ギュウ

かがみ「なっ……! さらに強く抱きつかないでください! そういうタイミングじ
ゃなかったでしょ今!?」

鎖々美「……わたしに抱きつかれるのが嫌だったら、突き飛ばしちゃえばいい。最高
神の力を持たない、少し霊能力が高いだけのただの人間であるわたしを、かがみが振
り払えないわけないよ」

かがみ「そんなこと、今さら言われなくても、わかっているのですっ」

鎖々美「だよね、かがみはわかっているよね——でも、わたしが大好きだから、行動
に移せないんでしょ?」

かがみ「自惚れるな! わたしはあんたのことなんて、大っ嫌いなんですから!」

鎖々美「今朝と言ってることが正反対だよ、かがみ」

かがみ「デレモードは終了したのです! 今のわたしは鎖々美さん大嫌いモードなの
です!」

鎖々美「そういうのを世ではツンデレと呼ぶのだよ」

かがみ「黙れオタク脳! アニメとゲームに囲まれた日々を送っているくせに! ぷ
よぷよとか気持ち悪いくらいうまいくせにっ……! あ、あのときだって、蝦怒川さ
んに頼られてデレデレして……! うう……ぐす」

鎖々美「だんだん論点がずれてきてるよ」

かがみ「もう、鎖々美さんなんてしらんのです……。蝦怒川さんと仲良くデレデレし
てゴールインすればいいのです……。どうせわたしなんて、攻略対象から外れた親友
キャラなのですよ……」

鎖々美「言ったじゃない——わたしはかがみルート一直線だって」

かがみ「だったら、寄り道とかせずに、わたしに向かって一直線に突き進めばいいじ
ゃないですか」

鎖々美「かがみはわがままだね」

かがみ「たまには、わがままくらい吐露させてください。今日は、わたしが甘える日
だって、言ったじゃないですか」

鎖々美「そういえば、そうだったね。じゃあ——おいで、かがみ」

かがみ「おいでもなにも、もうあなたの腕の中なのですよ」

鎖々美「ここの床は、固くて冷たいね。……ほら、立って。向こうへ行こうよ」

かがみ「まだ、お風呂に入っていないのです」

鎖々美「いいじゃん。明日はお休みなんだから。朝、一緒にお風呂はいろ?」

かがみ「……はい」

 @

 @

 @

鎖々美「ふわぁ〜、むにゃむにゃ。おはよ、お兄ちゃん……」

かがみ「なに寝ぼけてるんですか、鎖々美さん。ここはあなたの家じゃなくて、わた
しの家なのです」

鎖々美「あー、そういえばそうだったね」

かがみ「はい、朝ご飯ができたのです」

鎖々美「ん。今いくー……あれ、」

かがみ「? どうかしたんですか?」

鎖々美「わ、わたしなんで裸なの!?」

かがみ「……あなた、覚えていないんですか。昨晩のこと。あのあと、あなた裸のま
まで寝てしまったのですよ」

鎖々美「昨晩……ま、まさか!? わたし、自分でもよくわかっていないうちに大人
の階段を上っちゃっていたの!?」

かがみ「それ違っ……!」

つるぎ「グヘヘ鎖々美、それについてkwsk」

かがみ「ね、姉さん!」

鎖々美「ご、ごめんね、つるぎ。わたしよく覚えてないの。たぶん、ネコかタチでい
ったらわたしがネコでかがみがタチだと……」

かがみ「あんたも黙るのですよ!」

たま「ママりん、大人の階段ってどうやって登るの? たま知りたいな♪」

鎖々美「た、たま……。そうだよね、たまもそろそろ思春期なんだから、教えておい
た方が……」

かがみ「唯一の純粋キャラであるたまを汚さないでください!」

神臣「く……カカロッ……かがみさん! ——いえ、邪神かがみ! ここまで来てし
まったのならもう張り合おうとはいたしません。しかし! 鎖々美さんを幸せにしな
かったら、承知しませんからねっ!!」

かがみ「先生も茶番に付き合わないでください!」

鎖々美「あのね、かがみ」

かがみ「な……、まだなにかあるんですか!?」

鎖々美「だいすき」

かがみ「あ……う……」


かがみ「わたしも大好きなのですよ、鎖々美さん」

 こうして、二人はさらに仲良くなったのでした。めでたしめでたし。

 True End!

40時間くらい前にIDが変わりましたけどいちおう1です。
イチャラブを書こうとしたけどうまくいかないのです。おやすみなさい

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