照「長野に帰省した」 (43)

インターハイが終了してしばらく経った夏休み

白糸台

照「インハイ終わったから部室の空気も落ち着いたね。」

菫「そうだな。

団体優勝は清澄にもっていかれたが、照が個人戦優勝したおかげで、士気の高いまま来年を迎えられるだろうよ。

今は熱しすぎず冷めすぎずでいいさ。」

照「うん。」

菫「私達は私達で、進路とか決めなきゃな。」

照「そうだね。

でも、私、その前にしなきゃいけないことがある…」

菫「?」

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照「一度、長野に帰る。」

菫「へぇ、今まで長期休暇でも帰省はしなかったのに。

やっぱりインハイ後に清澄の妹さんと話せたおかげか?」

照「…ん。咲とはお話できるようになったけど、きっかけを掴んでるうちに、家族に会いに行ったほうがいいかなって…」

菫「いいことじゃないか。立派だよ、『お姉ちゃん』。」

照「もう!」

長野駅

照「ふぅ…久しぶりだな、この景色」

オネエチャーン

照「?」

咲「お姉ちゃん、お帰りなさい!」

照「咲…わざわざ迎えに来てくれたの?」

咲「うん、電車の時間は聞いてたから。お父さんに車を出してもらって…」

界「おかえり、照。」

照「お父さん……ただいま!」

界「疲れただろ?荷物持つよ。さあ、車に乗って。」

照「ありがとう」

宮永家

咲「とうちゃーく!」

界「さて、照も帰って来たことだし、お茶でも入れて、一休み…ん?」

照「……」ピタッ

咲「立ち止まってどうしたの?お姉ちゃん?」

照「ん…本当に帰ってきたんだな…って。

改めて…ただいま、咲、お父さん。」

界「ああ、おかえり!」
咲「おかえりなさい、お姉ちゃん!」

界「咲、悪いけど、紅茶とお菓子、用意してきてくれ」

咲「うん」トテテ

界「照はまず一休みしてて」

照「ありがとう、お父さん」

界「それにしても、また照にお父さんって呼んでもらえるなんてな」

照「何いってるの。お父さんは…お父さんだよ」

界「すまんな…俺がしっかりしてれば、母さんだって出ていかなかっただろうに。

照と咲が喧嘩したとき、俺も仕事で忙しいって言い訳して、全部母さんに押し付けちまった。

愛想尽かされても仕方ない父親だよ。

母さんだけじゃない、お前や咲にも寂しい思いさせて、すまなかった」

照「そんなことない。
私が咲と仲違いしちゃったのは、私達の問題だし、お母さんだって、東京で暮らしてても、咲やお父さんのこと気にしてたんだよ…」

照「本当は、お母さんも一緒に連れてこようと思ったんだよ。

でも、お母さん、まだ帰る決心がつかないみたいで…」

界「ありがとな…照」



咲「はーい、お茶とお菓子が用意できたよ!」

照「お菓子!!」

界「そうだ、言い忘れるところだった。

照と咲に渡すものがあるんだった。」

照 咲「?」

界「はい、二人の子供の頃のお年玉…な。

通帳の口座に貯めてあるから、お前達の将来のために使ってほしい。」

咲「えっ!?」

界「といっても、二人から勝った分だからな、そんなに多くはないが。」

照「ただ、まきあげてただけじゃなかったの?」

界「当たり前だ。どんな鬼親だよ!!

ったく、せっかく母さんと相談して、合法的(?)に貯金させようとしたのに、お前らときたら、どんどん強くなるんだから…」

咲「そんな遠回りなことしなくても…」

界「まぁおかげでインターハイ優勝レベルの力がついたんだから。」

照「もー」

界「そういえば白糸台での話とか聞かせてくれないか?」

咲「あ、そーだね。強豪校の部活ってどんなだったの?」

照「えーっと、まず団体戦出場用のチームが学内にいくつかあって、その対抗に勝ち抜いたチームが……

説明中

照「って感じかな?あとは営業スマイルの練習、かな」

咲「あははっ、そんな練習もあるの?」

照「うん、私はインタビュー受けることが多いから、練習させられた。」

界「はははっ、もしかして雑誌の写真とかも練習したのか?」

咲「お父さん、お姉ちゃんの特集が載ってる雑誌、全部チェックしてるもんね。」キャッキャッ

照「もー、恥ずかしいよ。」ニコニコ

界「そうだ、照も帰ってきたことだし、明日はみんなで買い物にでもいくか。」

咲「ほんと!?」

界「照もこっちは久しぶりだから、見ときたいところとかあるんじゃないか?」

照「…う、うん」

咲「どうしたの?お姉ちゃん?」

照「ほんとはね…東京に行って、白糸台に入学した後は、もうこの家に帰らないつもりだった…

麻雀のプロになって、お母さんと二人で暮らして、長野には帰らないって思ってたの…」

咲「…ッ!?」

界「…」

照「でも、咲が全国大会まで追いかけて来てくれて、またお話できて…

それで意を決して、今日帰って来て、お父さんともお話してたら…

やっぱり…やっぱりここは私の家なんだな、って…」グスン

咲「あ、当たり前だよぉ」グスッ

界「そうだな…俺も、母さんに戻ってきてもらえるように…

っと、そういえば照、母さんに無事に着いたって連絡いれといたほうがよくないか。」

照「そうだった、電話電話」

夕方

照「咲、ご飯つくるの手伝うよ。」

咲「ありがとう。お姉ちゃん。」

照「何を作るの?」

咲「マーボー豆腐だよ」

照「おぉ、美味しそう。
任せて!私はエプロンをつければ、侍女式自動人形のごとく家事をこなしてみせる一一以上。」

咲「あ、お姉ちゃんも東京で料理とかしてたの?」

照「ううん。白糸台は寮だから食堂がある。」

咲(あ、これはまずいな)
「じゃあお姉ちゃん、食器出して並べてね」

照「うん」

翌日

界「よーし買い物終わり!」

咲「いっぱい買ったね」

照「おみやげも問題無し」

界「よーし。ドライブも買い物も済んだし、帰りますか。

っても、東京ほど店はなかったから、照には物足りなかったかな?」

照「そんなことない。懐かしい場所にも行けたし、みんなで出かけられるのがうれしいよ。」

照「ところでお父さん、さっき何買ってたの?」

界「あぁ、母さんの好きなお菓子だよ。
お土産に渡してくれな。」

照「うん!」

咲「ふふっ、お父さん優しーい。」

照「そうだ、咲。
今日も晩御飯つくるの手伝うね。結局昨日はお皿出して並べるのと、盛り付けしかしてないし。」

咲「そ、それで十分だよ。お姉ちゃん。」

その夜

電話口にて

照「うん…明日には帰る予定。
白糸台の寮に戻る前に、お母さんのところに行くから。」

宮永母「そう…お父さんや咲とは仲良くできた?」

照「うん、とっても楽しかったよ。あ、咲にかわるね。」

宮永母「えぇ、お願い。」

咲「あ、もしもし…お、お母さん?」

宮永母「あぁ…咲…久しぶりね」

咲「うん…あの…」

宮永母「インターハイ、見てたわよ。頑張ったね、すごいわ、咲。」

咲「…っ、ありがとう!ありがとう、お母さん!」

宮永母「寂しい思いさせちゃってごめんね。」

宮永母「照とは仲良くできた?」

咲「うん、いっぱいお話できたよ。お父さんともね、一緒に買い物に行って、お姉ちゃん、すごく楽しそうだった。」

宮永母「そう、よかった…あなた達姉妹が仲直りできて…」

咲「お母さんも…」

宮永母「?」

咲「お母さんも、こっちに顔出してくれると嬉しいな。

そうだ、お父さんと話す?」

宮永母「あ…いえ…
ううん、そうね、ちょっと代わってもらえる?」

界「あー、その…久しぶり、だな」

宮永母「ええ」

界「その…こんなこと言う資格ないかもしれんが、元気でやってるか?」

宮永母「何とかね。ねぇ、照のこと、ありがとうね」

界「何言ってるんだ。照は帰省しただけで、俺は照と咲を連れて買い物にいっただけさ。

今まで何もしてやれなかったんだ、まだまだ足りねえくらいだろ。照にも…君にも。」

宮永母「ん…そんなことないでしょう…白糸台の学費とか出してくれたじゃない」

界「それこそ、娘のためなんだ、当たり前だろ!」

宮永母「…あ、ありがと…

ねぇ、咲がね、『お母さんも長野に顔を出してほしい』って言うのよ。」

界「………俺もだ」

宮永母「……もう少し落ち着いたら、ね。待っててくれる。」

界「ああ、俺からも会いに行くよ。咲きを連れて、な。

君にちゃんと謝りたいしな。これからのこと、話し合いたい。」

宮永母「ええ、待ってるわよ」

界「あ、そうだ。
君の好きな杏(あんず)のお菓子な…

あれ、照に土産としてもたせるから、後で食べてくれ」

宮永母「あ、覚えててくれたんだ…」

界「当たり前だ!」


というその時…

オネエチャン、ソレオカアサンヘノオミヤゲダヨ!

エッ!?モグモグ


界「……」

宮永母「……」

界「まあ、今度俺自身がもって行くよ。」

宮永母「クスッ、そうね。」ニコ


カン

界さんがいつも鬼畜扱いされるので、中の人(まさやん)のファンの俺は、救いをあげたかった。

でも救いすぎて、このままだと3人目の子供が出来ちゃいそうな…

ともかく宮永家に幸あれ。

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