ニコ「にこにーって呼んでラブにこっ♪」
にこ「……」
絵里「……一体どういうことなのかしら」
真姫「意味わかんない」
海未「夢ですね。もう今日は解散しましょうか」
ことり「海未ちゃん、現実を見ないとダメだよ」
花陽「双子のお姉さん、だったり?」
凛「ドッペルゲンガーとか!」
希「スピリチュアルやね」
絵里「えっと……あなたのお名前は?」
ニコ「えぇ~? 絵里ちゃんひどいにこ。にこはにこだよぉ、にっこにっこにー♪」
絵里「……だそうよ?」
にこ「そうじゃないでしょ! なんで納得してんのよ!」
絵里「納得はしてないけど……でもにこそっくりだし」
にこ「どーこがにこそっくりよ! こんな狙いすましたあざとすぎるキャラ! どう見てもパチモノでしょうが!」
真姫「あざといのはにこちゃんもでしょ」
ことり「一応どっちもにこちゃんみたいだよ?」
海未「ただにこと呼ぶだけでは区別がつきませんね」
真姫「じゃあこうしましょ。ちんちくりんな方と可愛い方」
にこ「誰がちんちくりんよっ!」
真姫「反応するってことは自覚あるのね」
にこ「し、しまった……!」
ニコ「じゃあにこが可愛い方? やだぁ、にこ照れちゃうよぉ」
にこ「気持ち悪い声出してんじゃないわよ! あんたがちんちくりんに決まってるでしょ!」
穂乃果「舞台のときのにこちゃんと普段のおバカなにこちゃんに分かれちゃったんだね」
にこ「今普通にバカって言ったでしょ」
希「でも髪を結ぶ位置を変えるだけでこうも印象が変わるんやねぇ」
花陽「少し大人っぽく見えるね」
凛「普段のにこちゃんは小学生にしか見えないにゃー」
真姫「見た目だけじゃないわ。騒がしくないのも好印象ね」
ニコ「真姫ちゃんに褒められちゃった。にこ、うれしぃー♪」
にこ「だからその媚びた態度やめなさいよ!」
ことり「にこちゃんもたまにやってるような……」
希「キャラ被ってるから焦ってるんやね」
絵里「問題はこの2人のにこをどうするかよ」
にこ「どうするってなによ。こんなやつさっさと追い出しなさいよ」
絵里「そうは言ってもねぇ……少し性格は違うけど、どちらもにこであることは間違いないし」
花陽「本当に双子の姉妹じゃないの? にこちゃん」
にこ「いないわよ」
海未「じゃあ一体こちらのにこは誰なんですか」
ニコ「にこはにこだよ? 海未ちゃん」
海未「……埒があきませんね」
にこ「なんでそんな悩んでんのよ! にこが本物に決まってるでしょうが! あんたたち今までにこのなにを見てたのよ!」
ことり「んー……ドジなところ?」
穂乃果「ハンバーガー盗もうとしたところ」
真姫「腹筋もろくにできなかったところとか?」
希「テスト勉強で泣きそうになってたにこっち」
にこ「もうちょっと良いとこを挙げなさいよ!」
海未「にこの良いところですか……難しいですね」
凛「あったっけ?」
にこ「もういいわよ! あんたたちに期待したにこがバカだったわ!」
にこ「とにかく! 本物はにこなんだからあんたは出ていきなさい!」
ニコ「それは困るにこー」
にこ「うっさい! もう練習はじめるんだからあんたは邪魔なの!」
ニコ「……うわぁ~ん、真姫ちゃん助けてにこぉ」
真姫「え、ええっ!? なんで私!?」
ニコ「真姫ちゃん、にこもここにいていいよね?」
真姫「ちょ、ちょっと、あんまりくっつかないでよ……」
ニコ「真姫ちゃんはにこのこと嫌い? いなくなってほしい?」
真姫「き、嫌いじゃないけど……」
ニコ「にこ、真姫ちゃんと一緒にいたいにこー……」
真姫「……別ににこちゃんが2人いても問題ないし、このままでいいんじゃない?」
にこ「なに丸めこまれてんのよ!」
真姫「追い出すなんてにこちゃんがかわいそうでしょ」
ニコ「わぁい、真姫ちゃんありがとー! にこ、真姫ちゃんのこと大好きにこー♪」
真姫(か、可愛い……)
にこ「なに鼻の下伸ばしてんのよ」
凛「真姫ちゃん、デレデレにゃー」
真姫「そ、そんなことないわよ!」
希「にこっちに抱きつかれて喜んでるんやね」
真姫「違うって言ってんでしょ!」
絵里「それで? 結局どうするの?」
にこ「そいつを追い出す」
真姫「一緒に練習する」
にこ「はぁーっ!? 本気で言ってんの!? フォーメーションとかどうすんのよ!」
真姫「にこちゃんこそ本気で言ってるの? この子もにこちゃんなのよ。追い出すなんて非情なことができるわけないでしょ」
にこ「……なーんかそっちのにこにはやけに優しいのね、真姫ちゃん」
真姫「べ、別にそういうわけじゃ……」
にこ「ふーん……」
真姫「今日くらいにこちゃんが2人で交代しながらやれば大丈夫よ。エリーもそう思うでしょ?」
絵里「え? それはどうかしら……」
真姫「にこちゃんのペアは私だし、ちゃんとこの子のフォローもするから」
絵里「だからって……見学じゃダメなの?」
真姫「それじゃあ仲間はずれにしてるみたいじゃない」
絵里「そんなことないと思うけど」
真姫「そ、それに! この子の方があっちのにこちゃんよりも素直だし、練習もうまくいくかもしれないわ!」
希「真姫ちゃん、それはまずいんやないかな?」
真姫「え?」
にこ「……もういいわよ」
希「あちゃー……」
にこ「にこはもう帰るから、そいつを入れた9人で練習すれば」
真姫「な、なんでよ。そろそろライブも近いんだし練習はしなきゃダメよ」
にこ「真姫ちゃんがそれ言うんだ」
真姫「どういう意味……」
にこ「そいつの方が練習捗るんでしょ。だったらにこいらないじゃん」
真姫「そ、そうは言ってないでしょ」
にこ「にこにはそうとしか聞こえなかったけど、まぁいいわ。じゃあね」
真姫「ま、待ってよ」
にこ「真姫ちゃんなんて大嫌い」
真姫「え……」
にこ「じゃあね。みんな練習頑張ってね」
希「あーあ……真姫ちゃん、やってしもたなあ」
凛「まさしくマジギレって感じだったにゃ」
穂乃果「にこちゃん、本気で怒るとプンスカしないんだね」
真姫「な、なによ……私はただ、こっちのにこちゃんのことを考えて……」
海未「でも言い過ぎたのはわかるでしょう?」
真姫「……わかるけど」
希「可愛いにこっちの肩を持ちすぎたんよ。あれじゃにこっちも拗ねちゃうて」
凛「しかもデレデレだったし」
真姫「デレデレじゃない!」
花陽「真姫ちゃん、はやく謝りに行かないと……!」
真姫「わ、わかってるわよ」
希「ビビッてるんやね」
凛「大嫌いって言われてショックだったんだにゃ」
真姫「っ……」
絵里「2人とも余計なこと言わないの。真姫、はやいとこ謝らないと余計言い辛くなるわよ?」
穂乃果「ありがとうとごめんなさいはちゃんと言わないとダメだよ、真姫ちゃん」
海未「穂乃果にしては良いことを言いましたね」
穂乃果「海未ちゃんひどっ!」
真姫「でも、謝っても許してくれなかったら……」
ニコ「大丈夫にこ」
真姫「にこちゃん……」
ニコ「にこが真姫ちゃんのこと嫌いなはずないもん。あれはつい勢いで言っちゃっただけにこ」
希「にこっち単純やからね」
絵里「いちいち水差さないの」
ニコ「きっと真姫ちゃんに迎えに来てほしいって思ってるにこ。たぶん……屋上かな?」
真姫「……わかったわ。行ってみる」
ニコ「にこのこと、よろしくね」
真姫「……にこちゃん」
にこ「……なに? あんたもサボり?」
真姫「そんなわけないでしょ。にこちゃんを連れ戻しに来たのよ。部長がサボりなんてダメなんだから」
にこ「にこならあっちがいるでしょ。真姫ちゃんのお気に入りのあいつが」
真姫「にこちゃんも出なきゃダメよ。1日サボったら取り戻すのに3日はかかるんだから」
にこ「別にいいわよ。もう全部あっちのにこに任せれば。真姫ちゃんだってそれがお望みでしょ?」
真姫「アイドル大好きのにこちゃんには無理よ、諦められるはずないわ」
にこ「知ったふうなこと言ってんじゃないわよ」
にこ「もう話しててもイラつくだけだから、さっさと戻りなよ。練習はじまるでしょ」
真姫「にこちゃん、さっきはごめんね」
にこ「なによ急に」
真姫「さっきは私が悪かったわ。だから、ごめん」
にこ「べっつにー? にこは気にしてないし、謝られてもねぇ。真姫ちゃんはあのにこと仲良くしてたら? 素直な子が好きなんでしょ?」
真姫「にこちゃん、もしかしてヤキモチ?」
にこ「なんでそうなんのよ! どんだけおめでたい頭してんのよ!」
真姫「たしかにあのにこちゃんは素直だし、正直にこちゃんより可愛いと思うわ」
にこ「やっぱりあんたにこのことバカにしに来たわけ?」
真姫「もしにこちゃんともっと仲良くなったら、あんなふうに好きとか言ってくれるのかと思うと嬉しかったわ」
にこ「言わないわよ。言うわけないでしょ」
真姫「わからないじゃない? もしかしたらあれ以上に積極的だったりするかも」
にこ「だったらなんだっていうのよ」
真姫「だからね、私はそんなにこちゃんを見るためにも、にこちゃんとアイドル活動続けたいの」
にこ「好きにすればいいでしょ。あっちのにこだったらきっと今すぐにでも──」
真姫「にこちゃんじゃなきゃイヤなの」
にこ「……」
真姫「さっきはひどいこと言って本当にごめんなさい。もうあんなこと言わないから、だからお願い……アイドルやめるなんて言わないで、にこちゃん」
にこ「あのさ……」
真姫「なに?」
にこ「真姫ちゃんってさぁ、ああいうあざといのがタイプなわけ?」
真姫「え? 別にタイプってわけじゃないわよ」
にこ「でもメロメロだったじゃん」
真姫「そ、そんなことないわよ!」
にこ「どうかなー。真姫ちゃん世間知らずだから、ああいうのにすぐ騙されちゃいそう」
真姫「ありえない!」
にこ「不安ねぇ……不安だからにこがついてあげてないとダメかな」
真姫「はぁ……?」
にこ「しょうがないから真姫ちゃんのそばにいてあげるって言ってんの。真姫ちゃんが変なやつに騙されないように」
真姫「にこちゃん……にこちゃんって本当に素直じゃないのね」
にこ「うっさい。お互い様でしょ。さっさと戻って練習はじめるわよ。みんな迷惑してるわ」
にこ「あ、タンマ」
真姫「どうかしたの?」
にこ「……少しだけよ?」
真姫「え? なにが?」
にこ「真姫ちゃん……好き」
真姫「ヴェ、ヴェェェェッ!? い、いきなりなに言って……!?」
にこ「これくらい言っとかないと、真姫ちゃんまた他の子に鼻の下伸ばすでしょ」
真姫「だ、だからって急に……な、なんなのよ、もう」
にこ「これ以上はもっと仲良くなったらね」
真姫「こ、これ以上……っ!?」
にこ「だからぁ……チューとか、そういうの。あんまり言わせないでよ、バカ……少しだけって言ったのに」
真姫(やばいどうしようにこちゃん可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い)
穂乃果「あ、戻ってきた!」
海未「仲直りできたみたいですね」
にこ「まぁね。迷惑かけちゃってごめんね」
希「それはええんやけど……ふーん、へぇー」
にこ「なによ」
希「にこっち、したのは仲直りだけなん?」
にこ「あんたなに言って──」
真姫「な、なんにもしてないわよっ! 本当にしてないんだからっ!」
希「……じゃあそういうことにしといてあげよか」
真姫「な、なによぉっ! してないって言ってるでしょぉ!」
希「つまり、したかったけどできなかったと」
真姫「ち、ちちち、ちがっ……!」
にこ「バカ……そうやってムキになるからからかわれるのよ」
にこ「あれ? そういえば……あいつは?」
真姫「あ、たしかに……もう1人のにこちゃんはどこ行ったの?」
絵里「それが、いつの間にかいなくなっちゃったのよ」
にこ「はぁ?」
海未「本当に絵里の言うとおりなんです。気づいたら影も形もなくなっていて……」
ことり「校内は探したんだけど、見つからなかったの」
真姫「なんだったのかしら……まさか本当にドッペルゲンガー?」
にこ「んー……にこはなんとなくわかった」
真姫「なんなの?」
にこ「えへへ、それはぁ……秘密にこー♪」
おわり
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