暦30近い、アラサーの私は嘘をつきました。
小鳥「チュン・・・チチチ・・・チュ」
小鳥「ぴー・・・ぴぃ!!!のたまごぉ!!!」
ぽんぽぽぽん!!!
年増かわいいよ年増
P「じゃあ俺にキスの味を教えてくださいよ」
小鳥「えっ」
めでたしめでたしぴよ
今の時代、アラサーで未婚なんて腐るほどいるでしょう。
私の友達だって、結婚した人など一握りです。
つまり選ばれた人間しか結婚できていません。
しかし、少数なグループが選ばれた側だとするならば、私もまた選ばれた人間なのかもしれません。
名誉ある……いや、不名誉ある称号。
アラサー処女。
アラサーで未婚なら腐るほどいるでしょう。
ですが、私はアラサーで処女。それに加えて年齢=彼氏なしでもあります。
これが選ばれた人間でないなら、なんなんでしょう?
本当に……この不名誉なら称号はいつ取り外せるのでしょう……
しかし、中高生のように簡単には捨てるわけにはいかない。
アラサー処女は呪いの防具のような物だけど、一部には尋常じゃない人気を誇っている……はずなんです。
一発逆転を狙うなら、失ってはいけない物のはず。
まっ、実際には怖いだけなんですけどね。テヘッ
とは言っても、私には時間がありません。タイムリミットは押し迫っています。
どんどんアグレッシブに動いていかなけらばいけないのです。
小鳥ファイトー!
「プロデューサーさん、この後暇ですか?」
おう暇だよ
「この後ですか? いいですよ、どこで飲みますか?」
彼は我が事務所のプロデューサーさんです。唯一の男性社員でもあります。
そして私の片恋相手でもあるんです。デヘヘ
職場が同じ事をいい事に、良くお酒のお供をしています。
地の利を生かしているんです。私って戦略上手なんですよ。
「んー。どうしましょう」
「俺はどこでもいいですよ」
「じゃあ──」
P宅でえっち
「音無さんて、変な所知ってますよね」
「そんな事ないですよ」
「いや、こういう所に来るイメージじゃなかったので」
「そ、そうです、ちょっとだけ、お、大人な町かもしれないですけど」
現在、私とプロデューサーさんは私の指定したお店に向かっている所です。
そのお店の場所が少し特殊で、道中にはラブホ! ラブホ!! ラブホ!!!ラブホ満載なんです。
何故こんな場所のお店に行くか?
完全に私の戦略です。ありがとうございます。
しかしこの初心な反応……
はは~ん、こいつ童貞だな。処女をこじらせている私には直ぐに分かりました。
なるほどなるほど、これまでの居酒屋デートで私を家に送りながらも何もしなかった理由が良く分かりました。
ここはお姉さんとしてエスコートが必要みたいですね。ぐへへ
「あっ、あそこですか?」
「そうです。さっ、入りましょう♪」
第一ラウンドの開始です。
乾杯の掛け声とグラスとグラスが触れる音。
そして喉越し。
「ぷっは~、仕事後のビールはおいしいですね」
「この為に仕事を頑張ったって感じですよね」
「さすがはプロデューサーさん分かってますねー」
「はは」
「さぁ、ドンドン飲みましょう。ほらプロデューサーさんグイッと」
プロデューサーさんはグイッとビールを飲み干して、美味いと一言。
「ほらほら、どんどん行きましょう」
「おっとっと、すいません」
こんな風に、プロデューサーさんのジョッキを空にしないよう減っては足して減っては足しての繰り替えし。
お酒が進むように、濃い味のおつまみも常時補填。
「すいませーん、串盛り合わせ。それと焼酎お願いします」
「焼酎ですか? いいですね」
「プロデューサーさん焼酎好きですよね」
色々な種類のお酒でちゃんぽん。
全てはプロデューサーをベロベロに酔わせる作戦。
・
・
・
「だからですねー、私は結婚が出来ないんじゃなくてーしないだけなんですよー」
「わ、わかりましたから」
「あぁー信じてないでしょー! ホントですよー。結婚しようと思えばスパーですよ」
「信じてますって」
「いーや、その目は信じていない目です」
「そんな事言われてもどうしようもないですよ」
「じゃあ、これでどうですかー」
プロデューサーさんの腕を付かみ、スムーズに自分の胸に。
んっ……
「お、音無さん何をするんですか!?」
プロデューサーさんは驚いて、猫のようにすぐに手を引っ込めてしまう。
「らーって、プロデューサーさんが信じないからー」
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