恵美「もし魔王がイケメンだったら」(86)

真奥「今からバイトに行ってくる」

芦屋「お気をつけて行ってらっしゃいませ」


真奥「さあ行くぞ!我が愛騎デュラハン号!!!」

デュラハン号「デュオオオオオン」


女性A「あの車かっこいいねー」

女性B「見た?ちょーかっこいい人が乗ってたよー」

女性C「えへへ。実はあの人、毎日ここを通るんだー。だから私も毎日ここを通ってる」

女性D「うん。私もー私もー」



真奥(エンテ・イスラで悪魔のような勇者に追いつめられた俺は-----)

真奥(略)

真奥(というわけで、最初に契約したままのボロアパートに暮らしている)

☆回想中~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


真奥「芦屋!バイトを見つけたぞ!」

芦屋「ほすと…ですか?」

真奥「ああ!お酒を飲んで愛想笑いをすればお金が貰えるらしい!」

芦屋「…とても怪しいのですが…そもそも大学も出ていない私達が採用されるのですか?」

真奥「実は木崎さんという人にスカウトされたんだ。もちろんお前もだ」


☆回想終了~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


真奥(あれから約1年。俺はすぐにNo.1になり、No.2だった芦屋には魔力調査の為に仕事を辞めさせた)

☆回想中~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


真奥「金はあるが魔力がない…」

芦屋「すみません。魔力の痕跡のような物はあるのですが、調査が進んでおらず…」

真奥「まあいい。俺には別の作戦がある」

芦屋「えっ?」

真奥「日本…いや、地球上の女性を虜にする自信が俺にはある!」

芦屋「ま、まさかっ!」

真奥「ああ、俺はホスト店を全国に展開し…日本を征服し…」

真奥「俺は…俺は!!」

芦屋「…」

真奥「ホスト王に俺はなる!!!」

芦屋「て、天才すぎる!」


☆回想終了~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


真奥(男は金で雇えばいい。地球というこの異世界は、金さえあれば何でもできるから簡単だ)

真奥「雨か…急に降ってきたな」


真奥「ん?あれは…」

デュラハン号「キキーッ」


真奥「よかったらこれ」

??「え?傘?」

真奥「急に降ってきたから、困ってるんじゃないかなって」

??「いいんですか?こんなに良さそうな傘」

真奥「君が濡れて嫌な思いをするのに比べたら、安いもんさ」

??「え?あっその…」

真奥「ああ、かっこいい事を言ったけどさ、傘一本余って困ってたんだ。だから使ってくれると嬉しいし…」

真奥「ほら、一日一膳っていうでしょ?俺に何か一つ良い事やらせてよ」


??「わかりました。お言葉に甘えます。本当にありがとうございます」

真奥「うん。じゃあ、俺仕事あるから行くね」

??「その…何かお礼をさせてください」

真奥「うーん…そうだな。じゃあ」

スッ

??「名刺?」

真奥「俺、ここで働いてるんだ。もし良かったら来てよ。サービスするから」

??「ほす…と?…わかりました。必ず伺います」

真奥「うん」

??「あの…傘、本当にありがとうございます」ペコッ

真奥「じゃあ、気を付けて」


デュラハン号「ブオオオオオン」


??「何…今のすっごい違和感…」

??「…」

??「もしかして…これが恋?」

■夜

木崎「サタンくん。ご指名だよ」

真奥「はい。ご指名ありがとうございます。サタンです…って、夕方の…」

恵美「あ、あの、傘ありがとうございました。それで…その…」

真奥「わざわざ店まで来てくれたんだ。ありがとう」

恵美「あの…その…こういう店は初めてで…どうしたらいいやら…あははは」

真奥「うんうん。緊張しないで。一緒にお酒飲みながら、お喋りして楽しむ場所だからさ」

恵美「そ、そうなんですね。ちょっとドキドキしますね」

真奥「あははは。もしかして、俺が隣にいるからかな~?」

恵美「ち、違いますよっ。もうサタンさんったら」

真奥「あはは。違っちゃったかー」

真奥「あっ、そうだ」

恵美「はい?」

真奥「今日は俺のおごりだから。たくさん楽しんで行ってね」

恵美「そ、そんな!傘のお礼に来たのに」

真奥「いいって。そのかわり、また今度遊びにきてよ。で、出来れば俺を指名してくれたら嬉しいな~って」

恵美「…わかりました!絶対に遊びに来ますんで」

真奥「うん。いつまでも待ってるから」

恵美「はい!」

■数ヵ月後

真奥「さーて、今日もいっぱい働いたぞ。帰るか」

真奥「って、あれは…」

真奥「恵美!?」


恵美「!?」

恵美「さ、サタンさん!?」

真奥「どうしたの?こんな夜道に…危険だよ?」

恵美「そ、その…」

恵美(い、言えない…悪魔に襲われたなんて…)

恵美(しかも、強い魔力を近くに感じた…たぶん、あれは魔王サタン…)

真奥「って、擦り傷が一杯!大丈夫!?」

恵美(でも、この人…サタンさんを頼ったら、この人に危害が…)


真奥「…病院に行くには大げさか…ほら、車乗って。俺の家が近くだからさ」

恵美(でもでも…いいよね。もう一人は疲れちゃった…)

恵美(この人になら…頼ってもいいよね…)

真奥「おーい、恵美ー?恵美ー?」

 
……………………………………………


芦屋「この人が以前お話していた…」

真奥「ああ、俺の一番のお友達(一番貢いでくれたお客様)」

恵美「そ、そんな一番なんて…」


真奥「でも、ごめんね。こんなボロアパートで」

恵美「正直驚きました。サタンさんって良い家に住んでそうなイメージで」

真奥「ははは。実はここの大家さんが怖くてさ。契約したのはいいけど、離してくれ…解約してくれないんだ」

恵美「そうなんですね。まぁ、離したくない気持ちはわかりますが…」

芦屋「ええ。サタン様の美貌にも困ったものです」

恵美「いえいえ、あなたもすっごくカッコいいですよ」

芦屋「アルシエルと呼んでください。あの店ではそう名乗ってましたので」

恵美「はい。アルシエルさん」

恵美(結局、終電も終わっちゃって、泊まらせてもらった…)

恵美(ドキドキで眠れない…こんなに緊張したのは魔王城を攻めて以来…)

恵美(うぅ…やばい。美容院とか行ってくればよかった)

恵美(もうちょっと可愛い服もあったのに…もうっ私ってば。本当に肝心な時に!)


真奥「グガーグガー」Zzzz

芦屋「スースー」Zzzz


恵美(えへへ。他の誰も知らないサタンさんとアルシエルさんの寝顔を堪能しちゃおう♪)

恵美(って、エミリア!浮気はダメよ!)


恵美(私はサタンさん一筋なんだからっ!)

 
……………………………………………


■数ヵ月後


恵美「はぁ~…お金がない」

恵美「もう貸してくれる金融もないし…」

恵美「うぅ…会いたいよ。サタンさんに会いたいよ…」

恵美「だからって、家に行ったらストーカー扱いされちゃうかもだし…」

恵美「はぁ~」


恵美「…」

恵美「あれ?アルシエルさん?」

芦屋「!?」ビクッ

恵美「こんな所で何をしているんですか?」

芦屋「え、恵美さん!?」

恵美「うふふ。変な芦屋さん。まるで尾行しているみたいですよ」

芦屋「い、いえ…その!」

恵美「あら?何を見ているのかしら…」


恵美「なっ!?」


恵美「サタンさんが…他の女と一緒にカフェで!?」

芦屋(すいません。魔王様~)

恵美「あの女の子は誰なんですか!?」

恵美「ま、ままままままままさか!かかかかかかかかーーーーー!?」

芦屋「落ちついてください。彼女ではありません」

恵美「じゃ、じゃあ、あれは!?」

芦屋「何か悩み事があるらしく、サタンさんが相談に乗ってあげているとの事です」

恵美「ま、まさかデデデエデデデートおおおおおおおおお!?」

芦屋「落ちついてください。みんな見てます」

恵美「うらやま…違うっ!」

芦屋「…え、えーと?」


恵美(相手の女性…明らかに気合を入れているファッション…それに…)

恵美「大きいわね」ボソッ

芦屋「え?」

恵美「何でもありません!さあカフェに潜入して偵察しますよ!」

芦屋「え?恵美さん!?」

 
……………………………………………


千穂「私…真奥さんの事が…」



恵美「やめなさい!!」


千穂「す…え?」

真奥「え、恵美!?」

恵美「この人はあなたに相応しくないわ」

千穂「いきなり出てきて何を言ってるんですか!?」

千穂「お姉さんは一体何なんですか!?」


恵美「私はサタンさんの一番の友達よ。そう一番の」


千穂「ぷっ。サタンさんの本名は『真奥貞夫』さんって言うんですよ」

恵美「…え」

千穂「そんな事も知らないのに『一番』ですか~へぇ~」

恵美「あ…ぁ…」

千穂「そもそもサタンさんって『源氏名』ですよね?」

千穂「ああー、お店のお客さんですか?…ふふっ」

恵美「そうよ!でも私はサタンさんに友達って言って貰ったのよ」


千穂「そんなの誰にでも言いますよー。ちなみに今の一番は私ですから」

恵美「なっ!?」


千穂「私が真奥さんに一番貢いでるんです!だから本名も知ってます」

千穂「そう。私が一番だからあなたが出る幕は無いんですよ?」

恵美「ぐっぐぐぐぐぐ」

千穂「あなたが何番か知りませんが、さっさとお帰り下さい」

千穂「もう、あなたは真奥さんの1番じゃないので」


恵美「…あなた何歳?」

千穂「え?」

恵美「あなた未成年でしょ!そんな人がホストって何を考えているの!?」

千穂「わ、私は自分で稼いだお金で真奥さんと遊んでいるんです!」

恵美「だからって未成年が行っていい場所じゃ!」

真奥「ふ、二人とも落ちつい…」


ゴゴゴゴッゴゴッゴゴゴゴゴゴ


芦屋「地震!?」

 
……………………………………………



真奥「はぁ…今日は疲れた」

芦屋「もーーーーしわけありません!」

芦屋「魔王様に命をお救いいただき、なんとお詫びをしてよいものやらあああ」

真奥「いいって。それよりも女ってこえーな」

芦屋「ふぇ?」

真奥「地震で瓦礫が崩れて…あの二人だけの空間が出来て…」

真奥「それでもずっとケンカしているとか…」

真奥「まあ、俺が魔王状態になっても気付かれなかったから良かったけどさ」

■次の日の朝


恵美「サタンさん…」

真奥「わざわざ家まで来てくれて…どうかしたの?」

恵美「あ、あの…私…はっきりしないと嫌な性格で…だから、その…」

恵美「…」

真奥「恵美?」

恵美「やっぱり、無し!いいです。ごめんなさい」ダダダダダ


真奥「おい恵美!この階段!」

恵美「…え?」

恵美「すいません」

真奥「ごめんな。包帯とかなくて…すぐにアルシエルも帰ってくると思うから」

恵美「本当にすいません」

真奥「…そのさ。今日は何のためにわざわざここまで来てくれたの?」

恵美「………………………お金だけの関係なのかなって?」

真奥「え?」

恵美「私、サタンさんが一番の友達って言ってくれ本当に嬉しかったんです」

恵美「でも、私がお金がなくなって…一回も会って貰えなくて…」

恵美「お金がなくなった私なんて…サタンさんは興味もないのかなって…」

真奥「はぁ~………ねえ、本音を言っていいかな?」

恵美「はい。覚悟はしています」


真奥「バーカ」


恵美「…え?」

真奥「俺は恵美の家も電話番号も知らない。だから恵美が来てくれないと、連絡も出来ないんだよ」

恵美「…あっ」

真奥「ったく、俺がどれだけ心配したと思ってるんだ?」

恵美「え?心配してくれたんですか?」

真奥「当たり前だろ?あんなに毎日来てくれてたのに、急に来なくなるし」

真奥「それに俺もお前といると楽しかったしさ」

恵美「…え?」


真奥「俺、真奥貞夫って言うんだ。何かこういうのも恥ずかしいけど、改めてよろしく」

恵美「は、はい。よろしくお願いします!真奥さん!」

真奥「あと、これ俺の電話番号とメアド」

恵美「えっ!?」

真奥「他のみんなには黙っといてよ。これは恵美にしか教えないんだからさ」

恵美「え?そ、それって…」

真奥「ああ、恵美の事を大切に思ってるって事」

恵美「…嬉しい。私も…真奥さんの事、大切に思ってますから」


真奥「そっか。へへっ、なんか恥ずかしいな」

恵美「えへへ。でも嬉しいです」

芦屋「…あ、あのー」


真奥「あ、芦屋と…」

千穂「あはははは。ですよねー。結局私ってこういう役回りって、なんとなくわかってましたからー」

真奥「千穂ちゃん!?」

千穂「一番貢いだのに私には電話番号もメアドも教えてくれなかったのに…」

千穂「やっぱり、お金じゃダメなんですね…さようなら!」ダダダダ

真奥「待てくれ!」

芦屋「お金さん!?」



千穂(初恋だったと思う…)

千穂(クラスの男子と比べてカッコ良くて…)

千穂(初めて見た時、電撃が走って…運命の出会いと思ってた…)

千穂(彼を手に入れる為なら、どんな事もするつもりだったのに…)


千穂(でも、もうどうしたらいいか、わかんないよ)





???「これはこれは喰らい甲斐のある…」

千穂「え?」

>>48
訂正

真奥「待てくれ!」

↓↓↓↓↓↓

真奥「待ってくれ!」

ドカーン


真奥「あっちで爆発音!?」

芦屋「佐々木さんを追っていたら…」

恵美「あ…あれはっ!」


漆原「これはこれは勇者エミリア…となりのイケメン達は君の彼氏かい?」

真奥「なっ!?」

芦屋「なんだこのイケメンは!?」

恵美「ち、違うのよ。真奥さん!私はこんな紫色の髪の人なんか知らないわ!」


恵美(でも、焼きもちをやく真奥さんも見てみたいかな~)

真奥(ルシフェル…それにエミリアだと!?)

芦屋(このイケメンを魔王様のホストで世界征服計画に投入すれば…世界征服が!)

漆原「僕だよ。ルシフェルだ。人間の姿だとわかりにくいかな?」

恵美「なっ!?」

芦屋(源氏名『ルシフェル』…小悪魔な感じの接客業…これはイケる!)

真奥(どうやら、俺達が魔王だと気付いてないみたいだな)

オルバ「あまり派手にやるな。どこに魔王が潜伏しているかわからないのだからな」

恵美「オルバ!?」

芦屋(このジジイは使えんな)

真奥(ちっ。完全に後手に周っちまった。エミリアの存在に気付かなかった俺の失態だ)

オルバ「ほう。エミリア。両手に花とは…まったく、うらやま…けしからん」

漆原「はぁー?何だよそれ。お前、そっちの気があるの?」

オルバ「『英雄色を好む』という言葉あるだろう?」

漆原「だからって、男も好むってどうなの!?」

恵美(真奥さん達を逃がさなきゃ)


漆原「というか、僕寒気がするんですけど。もうお前とは一緒の部屋にはいられない」

オルバ「何を言っている。既に貴様の処女…いやなんでもない」

漆原「ちょっ!僕が眠っている間に何をやったんだよ!?」

オルバ「ナニをやっただと!?やめろっ。こんな公衆の面前で!」

漆原「あはははあははははははは。全員敵認定」

恵美「も、もしかして、魔王討伐の冒険の間に私達の貞操も!?」

漆原「…冥土の土産に話してあげなよ」

オルバ「私は小さいのは好まん。アルバは良かったが」

恵美「ふーん。そう…あなた達…死にたいのね」

漆原「え?僕?僕も?」

オルバ「こう見えても催眠魔術は得意でな」

恵美「誰も聞いてないわ!」

真奥「え、えーと…」

恵美「ごめんなさい。私、本当にあなた達と出会えてよかった」

真奥「へ?」

恵美「あとで記憶を消すから…本当の私を真奥さんに見てほしいな」

真奥「へ?」


恵美「顕現せよ!我が力、魔を滅ぼさんがためっ!」

芦屋(聖剣だと!?ま、まさか!?)

恵美「私は勇者。世界が変わっても、その真実は変わらない!」

恵美「驚いた?」

真奥「…ああ」

恵美「でも、これが本当の私なの。だから…」

真奥「大丈夫。怖くない」

恵美「ありがとう。それだけで私戦える」

真奥「…本当は俺も戦いたいが…」

恵美「大丈夫よ。私は勇者。真奥さんが気にすることじゃないわ」

真奥「そっか。じゃあ気を付けて行ってこい」

恵美「うん!」

芦屋「魔王様!ど、どうしたら」ボソボソ

真奥「こっそりルシフェルを捕獲するぞ」

芦屋「なるほど、ホスト大作戦ですねっ!」

真奥「…あいつごと俺の魔力にするためだ」




恵美「悪魔大元帥ルシフェル!畜生オルバ!」

恵美「世界中の女性に対する、あなた達の罪を今日私が断罪する!」



漆原「へぇ~。全力が出せない癖に強気だね…楽しみだ」

恵美「…オルバは?」

漆原「殺したよ?」

恵美「そう…じゃあ、今度はあなたを倒すわ!」

漆原「くくくくくくく。ははははははは。この人質が見えないのかい?」

真奥「千穂ちゃん!?」


恵美「知らないわ!そんな女!」

漆原「そうだよね。そうだよね。これで手が出せない…何っ!?」

真奥「やべっ。人質の価値がなくなったからって、千穂ちゃんを投げやがった!」

グギッ

真奥「うっ。千穂ちゃんを受け止めたら…足が折れたあああああ!!!!」

真奥「痛ってえええええ!」

芦屋「魔王様、大丈夫ですか!?」

千穂「真奥さん…ごめんなさい」

真奥「千穂ちゃん。痛くなかった?」

千穂「真奥さんのお陰で…でも、『ちーちゃん』って呼んで欲しかった…」

真奥「それはまた今度お店で…」

千穂「えへへ、そんな律儀な真奥さんも好きです…」ガクッ

芦屋「!?」

真奥「大丈夫。気を失っただけだ」

恵美「天光炎斬!!!!!」

漆原「うっ!」

漆原(何なんだよこいつ。全力を出せない癖に強すぎる…こうなったら)

漆原「はあっ!!!」


恵美「そんな攻撃、通用しないわ!!!」

漆原「そうだよね。君には通用しないよね?」


漆原「でも、後ろの二人はどうかな?」


恵美「ま、まさか…」


真奥「…」
芦屋「…」

女性D「キャーーーー。イケメンさんがーーーー」

女性C「サタンさーーーーーん!!!」

恵美「ま、真奥さーーーーーーーーん!?」

漆原「あはははははははは。顔が完全に焼けちゃった」

漆原「あれみたい、ヴォルデモート?あはははははは」

恵美「あ、ああああああ」ヘナヘナ


漆原「ふっ、やはりあの男が君のアキレス腱だったみたいだね」

漆原「でも、殺してない僕やっさしいいいいいいいいいい」

漆原「でもでも、顔が能面みたいだから、前みたいな生活はできないだろうけどおおおおおお」

漆原「あはははははははははははは」


真奥「何がおかしい?」

漆原「………………………へ?」

芦屋「どうした?さっきまでの勢いは…笑えよ。ルシフェル」


漆原「アルシエル…それに…」

恵美「魔王…サタン!?」

漆原「な、何で?」

真奥「貴様が俺達の顔を焼いてくれて助かった…お陰で周りの女性に絶望と恐怖が生まれ…」

芦屋「…」

真奥「それを全部俺が喰ったわけだ」

芦屋「魔力供給感謝します」


真奥「おしおきの時間だ」

漆原「あ…あわああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


ドカーーーーン


漆原「」

真奥「やべっ。派手に壊し過ぎた」

恵美(真奥さんが…いえ、真奥が魔王サタンだったなんて…)

芦屋「魔王様、エンテ・イスラに帰りましょう。今ならエミリアもいません」

真奥「…」

恵美(もう聖法気も少ない…魔王は完全な状態…ど、どうすれば…)


真奥「アルシエル、力を貸せ。ルシフェルが派手にやったからな。直すぞ」

芦屋「ハッ…え?」

恵美「え?」

真奥「世話になったこの世界に迷惑はかけられない。もう一度言う。力を貸せ」

芦屋「…ふっ。わかりました」

恵美「えぇ!?」

 
……………………………………………


恵美「って、ばっかじゃないの!?」

真奥「す、すまん」

芦屋「勇者ごときが私に触れるな!」


恵美「人間の傷を治してから、魔力を使いなさいよ!」

真奥「いや、この体の事を忘れていた」

芦屋「エンテ・イスラなら自然と治りますしね」

真奥「ああ、その通りだ」

芦屋「というか、おいエミリア、敬語はどうした?」


恵美「何で私があなた達なんかに敬語を使わないといけなの!?」

真奥「ですよねー」

 
……………………………………………


漆原「せっかくこっちの世界ではイケメンだったのにー」

芦屋「うるさい、普通の顔になれただけありがたく思え」

真奥「あーあ、治療費に貯金、全部使っちまったな」

芦屋「そもそも何ですかあの医者は!」

真奥「仕方ねーだろ。俺達の顔を治せるのが闇医者しかいなかったんだから」

芦屋「だからと言って、金額が法外すぎます!」

真奥「まあ、顔が元に戻れば文句なかったんだけどな」


恵美「あははははは。あなた達にはその間抜け面がお似合いね」

真奥「ちっ。うっせえな」

真奥「あっ、俺はバイトの時間だ」

漆原「マグロナルド?安い時給でよく働くね~」

真奥「うっせえ。ホスト以外の仕事で木崎さんが拾ってくれたんだ。恩返しするしかないだろ!」

芦屋「さすが魔王様です」

恵美「魔王が恩返しとか…ぷっ」


真奥「じゃあ、行ってくる!」

芦屋「魔王様お気をつけて!」

真奥「さあ行くぞ!我が愛騎デュラハン弐号!!!」

デュラハン弐号「チャリンチャリン」



恵美「ちょっと待って!」

真奥「ん?何だ?」


恵美「うやむやになったから…ちゃんと言っておくんだけど…」

真奥「?」


恵美「私とあんたは勇者と魔王で、殺して殺される関係よ!」

恵美「だから、この前の関係は無し!幻想!過ちよ!忘れなさい!」

真奥「ああそれか。当たり前だ」

真奥「そもそも、俺達はお互いの本音を知らなかったわけだしな」

恵美「そう!その通りよ!だから全部無し!」


真奥「じゃあな、俺行くわ」

恵美「私も仕事。さよなら」


真奥「ああ、そうだ。恵美」

恵美「何?」

真奥「お前との数ヶ月、悪くなかったぞ」

恵美「…」

真奥「ん?どうした?」

恵美「だから…忘れろって言ったでしょ!この大バカやろうーーーーー!!!!」


真奥「顔真っ赤で可愛いぞ?」

恵美「殺すっ!絶対に殺してやるわ!」

真奥「ははははははは♪」








       終わり

これにて終わりになります。
こんな時間まで読んでくれた人がいたらありがとうございました!
また機会があればよろしくお願いします!

■おまけ


真奥「そういえば、お前何でここにいんの?」

恵美「いや…その…アパート解約しちゃって…」

真奥「あ?」

恵美「ほら、私とはお金の関係なの?って話あったじゃない」

真奥「ああ」

恵美「それで、もしあんたがお金の関係って言うなら、私、死のうかなって」

真奥「はあ!?」

恵美「もし、あんたが違う関係って言うなら、無理矢理ここに住もうかなって」

真奥「おい…」

恵美「わかってるわよ!私がおかしいって事!でも、それだけそれだけ好…何でもないわ!」

真奥「ああー、仕方ねーな。住む場所決まるまで面倒みてやるよ」

恵美「ぐっぐぐぐぐぐぐ」

真奥「怖い顔すんなって。ただし、部屋を借りるまでだぞ」

恵美「お金ないの…」

真奥「え?」

恵美「敷金も礼金も払うお金がないの!!」

真奥「…貸さんぞ」

恵美「わかってるわよ!だからちょっとだけ長くなるけど…」


恵美「お、お世話になります」

真奥「…」ニヤニヤ

恵美「魔王に頭を下げるなんて、屈辱だわ…」

真奥「へいへい」



       本当に終わり

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