平塚「……すまん、聞き間違いかもしれないからもう一度言ってくれないか?」
八幡「俺の第一希望は先生のヒモです」
平塚「ふざけてるのか?私をからかうつもりなら殴るが?」
八幡「第二希望は先生のペットです。飼ってもらう代わりに先生を癒すため何でもします」
平塚「……ほう、何でも…………いやいや、ダメだダメだ」
八幡「第三希望は先生の性奴隷です」
平塚「…………」
八幡「……第三希望まで頑張って考えてきたんですが、ダメでしょうか?」
平塚「…………」
八幡「…………」
平塚「……一晩待っててくれ。明日また今日と同じ時間に来い」
八幡「?!」
次の日
平塚「……よく来たな」
八幡「先生が明日また来いって言ったんじゃないですか」
平塚「まぁ、それは……それとして、だ。とりあえず座って楽にしていいぞ」
八幡「はい」
平塚「第一希望が私のヒモ、第二希望がペット、第三希望が……うん」
八幡「性奴隷です」
平塚「…………」
八幡「せいどれいです」
平塚「……二度も言わんでいい」
八幡「すみません、聞こえていなかったのかと」
平塚「それよりなんだが」
八幡「はい」
平塚「…………昨日なんでもするって言ったよな?私の聞き間違い出なければ言ったはずだ。
これはただの興味、いや教師として把握すべき確認なんだがどこまでしてくれるんだ?ん?」
八幡「え、えっと……すごい食いついてきますね」
第一第二第三どれでいくべきか
平塚「何でもいいのか?何されても文句言わんのだな?」
八幡「あの……なんでも、は流石に言い過ぎたかもしれません」
平塚「男が一度言ったことを翻すのか?あまり好ましくないな」
八幡「最初に言ったとおり第一希望は先生のヒモなので、俺は楽したいです」
平塚「……お前という奴は」
八幡「例えばですけど私の代わりに働けーとか、稼いでこーいとか言われたら元も子もないんですよ」
平塚「まぁ、確かに」
八幡「あくまでペットの代わりとしての範囲で何でも、です」
平塚「ふむ」
八幡「元専業主婦希望として家事くらいはしますしマッサージしろとかでもいいですし」
平塚「ほう!」
八幡「散歩の気持ちで外に連れ出すくらいならちゃんとつきて行きます」
平塚「そ、それはあれか?」
八幡「なんでしょう」
平塚「かっ、かか彼氏みたいな感じでデートしちゃってもよかったりするのか?」
八幡「いいと思います」
平塚「いいんだな?」
八幡「ただし彼女に奢る彼氏みたいなことはお金ないので無理ですね」
平塚「そうか……」
八幡「基本ヒモやペットの方向ですので」
平塚「……じゃあアレか?お小遣いとかあげればより彼氏らしくできるか?」
八幡「…………まぁ、お金があれば奢ったり誕生日プレゼントあげたりできますけど」
平塚「けど?何か問題あるのか?」
八幡「……ヒモ希望の分際でなんですけど、自分の金で自分にプレゼントされて先生は嬉しいですか?」
平塚「は?嬉しいに決まってるだろ?」
八幡(……嬉しいのか)
平塚「比企谷、あのな。プレゼントに大切なのは値段じゃないぞ?」
八幡「…………」
平塚「誰が送ってくれたか、どんな気持ちを込めて送ったかだ。お金を使えば気持ちがこもるわけじゃない」ドヤッ
八幡「……俺、今日から先生に対してもっと優しくなれそうです」
平塚「しかし、第一希望がヒモか」
八幡「ヒモです」
平塚「ヒモかぁ、正直あんまりいい印象しないな……」
八幡「専業主婦といえば聞こえがいいですけど、年上の女性に養われ目的ならもうヒモじゃないですか」
平塚「お前が世間体を気にしないならいいが」
八幡「先生に嫌われなければ他からどう思われようが構いませんよ」
平塚「っ……お前は、よくそんなことを言えるな…………ふふ、そうかそうか」
八幡「先生はヒモには反対ですか?」
平塚「反対ではないが……ヒモ…………ヒモかぁ……」
――――――
―――――――――
平塚「ただいまー」
八幡「あ、先生おかえり」
平塚「こら比企谷、下の名前で呼べって言ってるだろ」
八幡「あっ……ごめん静、でも静も苗字で読んじゃってるぞ」
平塚「ふふ、なんだか奉仕部の時に戻った気分だな」
八幡「あの時、静のヒモになりたいって書いて本当に良かったよ」
平塚「……わ、私も……お前がこうしていてくれるだけどすごく幸せだ」
八幡「静……」
平塚「八幡……」
八幡「あっ奉仕部といえばさ、由比ヶ浜が久々に会いたいって言われたんだ」
平塚「えっ」
八幡「お金がないまま会うわけにもいかないしさ、ちょっとだけ、ちょっとだけお願い。頼むよ静」
平塚「でっ、でもお小遣いは一昨日あげたばかりで……」
八幡「……あー、静のために昨日さ、パチンコで増やさそうとしたんだけど運が悪くてさ」
平塚「もう使ったのか!?」
八幡「静にプレゼントあげたかったんだ!でもあと少し足らなくてさ!本当だって!」
平塚「……わかった、わかったよ。降ろしてないから財布にある二万でいいか?」
八幡「ありがとう静愛してる!そろそろ待ち合わせの時間かだから!今日はすぐ帰るから!」ダッ
平塚「あっ……待って、八幡待って……!」
―――――――――
――――――
平塚「八幡、浮気は許さんぞ」ガシッ
八幡「えっ」
平塚「あと、あとパチンコもダメだ。ギャンブルもやめてくれ頼む」ユサユサ
八幡「落ち着いてください先生!俺はまだ未成年です!パチンコ屋とか入れませんって!!」
平塚「え、あ…………そうか……でもダメだからな約束だからな」
八幡「わかりました……いきなり名前で呼びつけられたびっくりしましたよ」
平塚「……わっ、忘れろ!今のはミスだ!誰にだって間違いはあるだろ!」
八幡「ま、まぁ先生をお母さんと呼んじゃう例とか耳にしますからね!わかります!」
平塚「ああまったく、話がそれたじゃないか」
八幡「……でも将来的にはそういう風に呼ばれたりするのかな」ボソッ
平塚(比企谷も手間は掛かるがちゃんと言えば聞く、だから今からでも私好み育てれば……えへへ)
平塚(……となると、第二希望のペットか……ペット……)
平塚「比企谷よ」
八幡「はい!」
平塚「ペットとは何だ?」
八幡「それは何ゆえペットがペットとして存在するのかという話でしょうか?」
平塚「質問が悪かった、私のペットとはどんなペットだ?」
八幡「えっ、じゃあ……犬で」
平塚「犬か?犬でなのか?」
八幡「先生の従順な犬です、猫といえば猫にもなります」
平塚「そ、そうか…………犬かぁ……」
――――――
―――――――――
平塚「うー寒い寒い、残って色々片付けてたら遅くなってしまった。早く家に入ろう(棒読み)」ガチャガチャ
ダダダダッ
平塚「ん?」
平塚「ただいまー帰ったぞー」ガチャッ
八幡「おかえりなさいわん!」
平塚「おおっ、まだ起きてたのか」
八幡「ご主人様を待ってたわん!」
平塚「わざわざ出迎えまでしてくれて、可愛いやつめ……よしよし」ナデナデ
八幡「えへへ!ペットとして当然ですわん!ご主人様の荷物を持つわん!」
平塚「荷物はそうだな、その辺りに置いといてくれていい。寒いからコタツいこうな」
八幡「ご主人様?寒いのですわん?」
平塚「ん?ああ、外は寒かったからなー」
八幡「ご主人様っ!」ギュッ
平塚「なっ!?い、いきなり抱きつくな!」
八幡「大好きなご主人様を温めますわん!」
平塚「あはは、やめてくれ、やめなって八幡。温まった、十分温まったから!」
八幡「ご主人様っ!ご主人様っ!」ペロペロ
平塚「ふふ、まったく……八幡は甘えん坊の寂しがりやだな」ナデナデ
―――――――――
――――――
平塚「お前だれだ!」ガシッ
八幡「に、2年F組!比企谷八幡です!」
平塚「比企谷!そこまで犬じゃなくていい!多少の我が侭はご主人様に言っていいから!」ユサユサ
八幡「お、落ち着いてください!話の流れがまったくわからないんですが!というかご主人様って何だ!」
平塚「……はぁはぁ……」
八幡「……先生、つらいことがあったんなら話くらい聞きますけど」
平塚「比企谷」
八幡「はい」
平塚「人間としての誇りを持て、お前はお前が思うような人間じゃない。私は一人の人間としてそのままのお前が好きだ」
八幡「ありがとうございます、物凄くいい台詞が物凄く失礼に感じるのは気のせいでしょうか」
平塚「……はぁ」
八幡「性奴隷」
平塚「…………」
八幡「性奴隷」
平塚「……何度も言わんでいい」
八幡「なんか意図的に性奴隷から目を背けてるようなのでダメなのかと」
平塚「ダメに決まってるだろ!むしろお前は何でいいと思ったんだ!」
八幡「いやいや、先生考えてみてください。先生の想像しているものと違いますって」
平塚「何が違う、えっちなことをするんだろマセガキが」
八幡「――――先生は離婚の原因って何だと思いますか?」
平塚「えっ、いきなり何だ」
八幡「ご、よん、さん」
平塚「か、数えるな!それは、あれだ、ほら、浮気……浮気とかだろ?」
八幡「性格の不一致が一番多く、性関係、金銭関連、DV問題など様々あります」
平塚「ふむふむ」
八幡「財布の紐は先生が持ちますし俺は先生を殴りませんしむしろ俺が殴られてます」
平塚「待て、それじゃ私がDV振るってるみたいじゃないか」
八幡「今まで殴られても耐えてきたようにこれからも耐えてみせます」
平塚「で、でもそこまで本気で殴ってるわけじゃ……お前が言うこと聞けば……あ、ダメだDVっぽく聞こえる」
八幡「そこで問題なのが性関係です」
平塚「なぜ?」
八幡「子供ができてから性行為をしなくなったり女性から言い出しづらいこともありセックスレスになる夫婦が多いそうです」
平塚「セックスレス……」
八幡「だからこそ先に俺が先生の性奴隷という関係になることで離婚の危険性を回避できるんですよ」
平塚「そ、そういうものか?」
八幡「そうです!恥ずかしくて言えなかったり遠まわしなサインをしたりする必要がありません!」
平塚「えっと」
八幡「したくなったらしたい!私がしたいんだからお前は黙って言うとおりにしろとするのが俺の考える夫婦円満の形です!」
平塚「ふ、夫婦円満……」
平塚「夫婦円満か、比企谷はそこまで考えてたのか……」
八幡「対等ではなく俺が下です、俺が先生を慎ましく支えてみせますよ」
平塚「……そうか、すまなかった。私は表面的なことしか考えてなかったようだ」
八幡「わかっていただけたようでなによりです」
平塚「でも性奴隷……性奴隷とは…………う~む……」
――――――
―――――――――
平塚「……ただいま」
八幡「あ、おかりなさい静。今ご飯つくってますから待っててください」
平塚「八幡」ギュッ
八幡「? どうしました? いま料理つくってるから危な……」
平塚「したい」
八幡「え?」
平塚「料理なんて後でいい、今すぐお前と……」
八幡「……わかりました、でもここでは……せめて部屋へ行きましょう」
平塚「……ベッドの上だ、好きにしていいんだよな」
八幡「……はい……静、今日なにかあったんですか?」
平塚「ちょっと仕事で嫌なことがあって忘れたい気分なんだ」
八幡「嫌なことを忘れたいから、ですか」
平塚「いつもみたいに忘れさせて欲しい。何も考えられなくして欲しい、ダメか?」
八幡「……いえ、静がしたいのなら俺は構いませんよ」
平塚「…………ありがとう」チュッ
八幡「んっ……」
平塚「…………」
八幡「…………」
平塚「……どうしたんだ?」
八幡「静の、静のしたいようにしてくれて大丈夫ですよ」
平塚「…………なぁ八幡?次は何をするんだ?このドラマとかでもそういうシーンはカットされてるから……お前がしてくれ」
八幡「それはできない、先生の想像の範囲を越える要求には答えられない」
平塚「ぐぬぬ……」
―――――――――
――――――
平塚「わからんな」
八幡「そうですか」
平塚「比企谷、お前は何になりたいんだ?私は頭が痛くなってきたぞ」
八幡「そう難しく考えなければいいんじゃないですか?」
平塚「……働きたくない働きたくないとばかり言って、何もしなきゃ満足は得られんぞ?幸せになる気はないのか?」
八幡「俺は先生と居られたら満足ですよ」
平塚「…………」
八幡「幸せになれると思います、多分」
平塚「…………」
八幡「…………」
平塚「……プロポーズと受け取るぞ?」
八幡「進路希望表を出したときからプロポーズしてるようなもんじゃないですか」
平塚「そうか、そうだよな」
平塚「比企谷」
八幡「はい」
平塚「お前の希望はなんとなくわかった気がする」
八幡「なんとなく、ですか」
平塚「どれも上手く想像できんからな、お前が滅茶苦茶なことを書くからだ」
八幡「すみません」
平塚「だから、明日また今日と同じ時間に来い」
八幡「はい、またですか」
平塚「ただし外泊する用意を持ってくること、まぁ明日は必要なものを優先しておけ」
八幡「それは……」
平塚「進路希望など所詮は希望だ。現実は将来なんぞどうなるかわからん」
八幡「…………」
平塚「だがお前の希望を叶えるための努力はしてやる、私の大切な可愛い生徒だからな。明日からよろしく頼むぞ?」
八幡「はい!」
おわり
全部とか1つずつとか無茶を叶えた俺えらい、がんばった、ねる
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