千早「明日はお休み?」(75)
千早「え……っと。それは、私がオフという意味ではなく」
P「ああ。765プロ自体がお休みという意味だ」
千早「プロデューサーも、音無さんもですか?」
P「もちろん、社長もだな。765プロの全員がお休みだ。来ても誰もいないし、事務所の鍵も閉まってるから」
千早「え」
P「明日は千早は、誰かと遊びにでも行くか、家でゆっくりすること」
千早「しかし、急に言われましても私は……」
P「ゆっくりすること。分かったな?」
千早「……はい」
小鳥「……いいんですか? あんな嘘ついちゃって」
P「しょうがないじゃないですか。最近の千早はどう考えてもオーバーワークなんですから」
小鳥「確かに、そうですよね。千早ちゃん、自分がオフの日でも毎日事務所に来るか、レッスン場借りてましたし」
P「あいつ、頑固ですから。こうでも言わないと休まないでしょうしね」
小鳥「……似たもの同士なんですね」
P「似たもの同士ですか? 俺と千早が? まっさかぁ」
小鳥「だってプロデューサーさん、ああ言っておきながら明日もお仕事なさる気でしょう?」
P「うぐっ。なんでそれを……」
小鳥「分かりますよ。私がどれだけ一緒にお仕事してると思ってるんですか」
P「いや、これはですね。自分が好きでやってることですから、その」
小鳥「はいはい、分かってますよ。お体に障らない限りは、止めたりしません」
P「それから、このことは千早には……」
小鳥「言いませんとも」
P「良かった……」
小鳥(私でも分かるようなことが、千早ちゃんに分からないはずがないですしね)
~翌日~
P「」かたかた
P「」かたかた
P「……」
P「」かたかたかた
きぃぃ
千早「……」
ひょこっ
千早(やっぱり……)
千早「……プロデューサー」
P「……」かたか、た
P「……今日は休みって伝えたはずだぞ、千早」
千早「その言葉、そっくりそのままお返しします」
P「参ったな……。音無さん、喋っちゃったのか?」
千早「音無さん、ですか?」
P「あれ、違うのか?」
千早「何のことを言っているのか分かりませんが……。いきなりあんなことを言われれば、ふつう気付きます」
千早「プロデューサーが無理やり私を休ませようとしている、と」
P「……」
千早「……そもそも、事務所が空になるようなことがあるとは思えませんし」
P「……そっか。ばれてたか」
P「でも、今日は帰れ」
千早「嫌です」
P「……」
千早「……」
P「帰って、やす 千早「嫌です」」
P「……」
千早「……」
P「参ったな。自分でも分かってるだろ? 最近の千早は、根を詰めすぎだ」
千早「ええ、それは分かっています。ですが、プロデューサーはもっと肝心なことを分かっていません」
P「?」
千早「プロデューサーだって、今日は休みだと言いながら事務所に来ているじゃないですか」
P「いや、それはだな……。どうせ家に居ても、寝るだけで終わっちゃいそうだし」
千早「私だって同じです。私には……。歌しか、ありませんから」
P「……」
千早「ですから。私は今日、事務所に『休みに』来たんです」
P「……は?」
千早「私とプロデューサーは、仕事のパートナーなんでしょう?」
P「……まあ、そうだな」
千早「でしたら、プロデューサーがお仕事をなさるのなら、私もせめて事務所に居たい。……そう思っただけのことです」
千早「ここなら、トレーニングをしないまでも雑誌や楽譜、番組の録画なども見られますから」
千早「こうして、充実した『休み』を過ごしに来ただけのことです」
P「……」
千早「駄目……ですか?」
P「……」
P「……俺は、仕事中だぞ?」
千早「はい」
P「質問に答えたりとかは、あまりしてあげられないかもしれないし」
千早「分かっています」
P「もしかしたら、夕方までかかってしまうかも」
千早「関係ありません」
P「世間一般で言う休みとはほど遠い休日になるぞ?」
千早「元々そのつもりです」
P「……」
千早「……」
P「……はあ。分かったよ。もし何かあったら呼んでくれ」
千早「はい。お仕事の邪魔にならないようには心がけます」
千早(……良かった)
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「ん。んー……」かた、かた
千早「……」
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「……なあ、何を読んでるんだ?」
千早「これですか? この前、春香がインタビューを受けたという雑誌です」
P「ああ、この前の」
千早「はい。たまたまそこに置いてあったものですから」
P「そっか」
千早「はい」
P「……」
千早「……」
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「……あれ」かた
千早「……」ぺらっ
P「間違えたかな……」かたかたかたかた
千早「……」ぺらっ
千早「……プロデューサーは、何をなさっているんですか?」
P「ん、これか? この前のイベントの報告書をまとめてるところだ」
千早「この前のというと、あの大きな会場での」
P「そうそう。よく分かったな」
千早「この雑誌で、春香も言っていますから。とても楽しかった、と」
P「そうなのか? それは良かった。普段より大きなイベントだったからな」
千早「はい。……私も、同じ気持ちです」
P「そうか」
千早「ええ」
P「……」
千早「……」
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」
P「」かたかたかた
千早「……」
P「」かたかたかた
千早「……」ぺら
P「……そういえば、千早」
千早「はい」
P「今日、昼ご飯はどうするつもりだ?」
千早「……まだ、特に何も考えていません」
P「そっか。今日はたるき亭がお休みだから、俺は店屋物でも取ろうと思ってたんだが、千早もそうするか?」
千早「そうですか。では、それで」
P「んじゃ、電話の横にメニューがあるから。頼みたいものを決めておくといい」
千早「電話の、横……。これですか?」
P「あ、そっちじゃなくて……。そうそう、その緑のやつ」
千早「これですね。……ちなみに、プロデューサーは何を注文なさるんですか?」
P「俺か? いつもはてんぷらそばかきつねそばで悩む所だけど……。今日はきつねそばな気分かな」
千早「きつねそば、ですか」
P「ん。おすすめだ」
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P(……今度は、音楽雑誌を読み始めたのか)
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「……あれ」
千早「……」ぺらっ
P「……どこやったっけな」がさごそ
千早「……」
P「……ない」がさがさ
千早「……何をお探しなんですか?」
P「んー……。目薬が見つからないんだ」
千早「プロデューサーの目薬、というと……。あの、青いキャップのですか?」
P「そうそう。ドライアイの予防にと思って、いつも持ち歩いているんだが……。まあ、急いで必要なものでもないし気にしないでくれ」
千早「はあ」
P「悪いな、邪魔して」
千早「いえ」
P「ついでに冷蔵庫から飲み物を取ってくるけど、千早は何か飲むか?」
千早「では、お茶を」
P「お茶な」がちゃっ
千早「すみません」
P「気にするな、ついでだから。……あれ、缶コーヒーがない」
千早「そういえば、昨日音無さんが切らしたと言っていたような」
P「そっかー。なら、俺もお茶にするかな。はい、千早の分」すっ
千早「ありがとうございます」
P「」かたかたかた
千早「……」
P「」かたかたかた
千早「……」こくこく
P「」かたかたかた
千早「……」
P「」かたかたかた
千早「……」こくん
P「」かたかたかた
千早「……」こく
P「」かたかたかた
千早「……」ちら
P「」かたかたかた
千早「……」
P「んー」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「よし、っと」かたかた、たん
千早「……」
千早「終わったんですか?」
P「ん、まあキリのいいところまで」
千早「そうですか。お疲れさまです」
P「ちょうどいいから、少し早いけどお昼を取ろうと思うんだが。千早は、おなか空いてるか?」
千早「ええ、少し。届くまでの時間もあるでしょうし、私もそれで構いません」
P「そっか。もう何を頼むかは決めたのか?」
千早「私は、普通のざるそばでいいです」
P「……遠慮しなくていいんだぞ」
千早「そうですか? では……。てんぷらそばで」
P「ん、分かった」
~・~
\きつねそばとてんぷらそば、合わせて1600円になりまーす!/
P「はい、1600円……。ちょうどで」
\ありがとうございましたー!/
ぱたん
P「ふう。じゃあ、さっそく食べるとするか」
千早「はい。私も少しお腹が空いてしまいました」
P&千早「いただきます」
ぱきん
P「」ずるずる
千早「……」つるつる
P「」ずるずる
千早「……」つるつる
P「」ずるずる
千早「……」つるつる
P「」ずるずる
千早「……」つるつる
P「」ずるずる
千早「……」つるつる
P「」ずるずる
千早「……」つるつる
P「」ずるずる
千早「……」つるつる
P「」ずるずる
千早「……何だか、変な感じがしますね」
P「変?」
千早「いえ……。なんと言いますか」
千早「この広い事務所でプロデューサーと2人でおそばを食べている、というのが」
千早「普段からすると、なかなか無い状況のような、そんな気がして……」
P「んー、まあなあ。いつもは大抵、音無さんか誰かがいるわけだし」
P「……というか」
千早「?」
P「そもそも、今日千早がここにいること自体がイレギュラーだからなあ」
千早「……それ、プロデューサーにも同じことが言えるはずです、と昨日も言いましたよね」
P「それを言われると弱いけどさ」
千早「はい」
P「」ずるずる
千早「……」つるつる
P「」ずるずる
千早「……」つるつる
P「」ずるずる
千早「……」つるつる
P「」ずるずる
千早「……」つるつる
P「」ずるずる
千早「……」つるつる
P「」ずるずる
千早「……」つるつる
P「」ずるずる
千早「……」つるつる
P「」ずるずる
千早「……あの」
prrrr prrrr
P「おっと、電話だ。悪い」
千早「いえ。どうぞ」
P「もしもし、大変お待たせいたしました。こちら765プロです」
千早「……」つるつる
P「はい。……はい。ええ」
千早「……」つる
P「はい。えっ、本当ですか!?」
千早「……」
P「2人か、3人……。はい。はい」
千早「……」
P「分かりました。1時に、そちらの会議室ですね。すぐに伺います」
千早「……」ずるずるずる
P「はい。では、後ほど」
千早「」つるつる
がちゃ
千早「……仕事のお電話ですか?」
P「ああ。どうやらある番組のアイドル枠に病欠が出たみたいで、そこに765プロから何人か使ってもらえるみたいだ」
P「その打ち合わせのために、ちょっと今から出なくちゃいけなくなった」
千早「そうですか」
P「ごめんな。千早1人になるけど、これ」
ちゃらっ
千早「鍵、ですか?」
P「事務所の合鍵。多分戻ってくるまでそんなにかからないけど、もし帰りたくなったらいつ帰っても構わないから、戸締りだけはしておいてくれ」
千早「はあ。合鍵なんて、そんなに簡単に預けてしまっていいんですか?」
P「まあ、ほんとはいけないんだろうけど……。千早のことは、信用してるから」
千早「そうですか。……まあ多分、私は帰りませんけれど」
P「それならそれでいいんだ。もしもでいいから」
千早「分かりました」
P「じゃあ、行ってくるな」
千早「あ、ちょっと待ってください」
P「すまん、時間ないから。話ならまたあとで」
千早「いえ、そうではなく」
ひょい
千早「肩に、糸くずがついていました。身だしなみには気をつけてください」
P「す、すまん。それじゃ、行ってくる」
千早「はい。お気をつけて」
P「……っと、そうだ」
千早「何ですか?」
P「俺の油揚げ、残ってるけど食べるんじゃないぞ。冷めてもおいしいんだから」
千早「……心配しなくても、食べませんから。早く行ってください」
P「頼んだぞー」ひらひら
ぱたん
千早「……全く」
千早「…………」
千早「……」つるつる
千早「……」つるつる
千早「……」
千早「……」つるつる
千早「……」つるつる
千早「……」つるつる
千早「……」つるつる
千早「……」つるつる
千早「……」つるっ
千早「……ごちそうさまでした」ぱん
千早「……」
千早「……」
千早「……」
千早「……」
千早「……」
千早「……そうだ、プロデューサーのぶんはラップに包んでおかないと」
千早「……」じいっ
千早「……」
千早「……」
千早「……」
千早「……」
千早「……」
千早「……」
千早「……」
千早「……ふぁ」
千早(次は、私もきつねそばにしようかしら)
千早「……」ぺらっ
千早「……」
千早「……」ぺらっ
千早「……」
千早「……」ぺらっ
千早「……」ぺらっ
千早「……」
千早「……」ぺらっ
千早(……そうだ、そういえば)
千早「……ええと」がさごそ
千早「一番近いのは……。あそこね」
千早「戸締りをしっかりして……」
千早「行って、きます」
きぃ
ばたん
がちゃ
~・~
がちゃがちゃ、がたん
がちゃ
P「ただいまー……。って、言ってはみたけど」
しぃん
P「ま、鍵閉まってたから分かってたけどな。何時間か経っちゃってるし」
P「それでも、千早が帰る気になったならよかった」
P「出演も決まったし、ナイスタイミングで電話が来たことに感謝しないとな」
P「さて、それじゃ食べそびれた昼飯でも……」
たん、たん、たん
P「階段を上る音? また誰か来たのか……?」
がちゃ
千早「プロデューサー……。戻っていたんですね」
P「千早……。お前、帰ったんじゃ」
千早「まさか。少し買い物に行っていただけです」
P「そうなのか……。鍵がかかってたから帰ったのかと思ったよ」
千早「戸締りはしっかり、と言われましたから」
千早「あ、お昼ですが。まだ食べていないなら冷蔵庫に残りを入れておきましたので」
P「ああ。ありがとう」
千早「それと、缶コーヒー。買い足しておきましたので、お好きなときに」
P「千早が買ってきたのか? ……悪いな、いくらだった?」
千早「いえ、ついででしたから」
P「ついで?」
千早「ええ、ついでです。ですから、気にしないでください」
P「いや、でも」
千早「本当にいいですから、店屋物のお代の代わりだとでも思ってください」
P「え」
千早「経費では、落ちないんでしょう?」
P「気付かれてたのか。参ったな」
~・~
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」
P「」かたかたかた
千早「……」
P「」かたかたかた
千早「……」
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」
P「」かたかたかた
千早「……」
P「」かたかたかた
千早「……あ、あの」
P「どうした?」
千早「……先ほど、目薬がないと仰ってましたが」
P「ああ、そうそう。結局まだ見つかってないんだ」
千早「もしよろしければ、私のをお使いになりますか?」
P「千早のを?」
千早「ええ。たまたま、同じものを持っていましたから。これ、ですよね?」すっ
P「んー……。厳密に言うと、同じではないんだけど」
千早「えっ」
P「まあ、目薬なんて似たものも多いから。貰っていいなら貰うけど……。いいのか? 見たところほとんど新品みたいだけど」
千早「え、ええ。私は構いません」
P「そうか。ありがとう」
ぽたっ
P「~~っ! やっぱり効くなぁ」
千早「そんなに効くものなんですか? 少し、お疲れなのでは……」
P「いやいや、このタイプはこういうもんなんだよ。だから千早もこれにしたんじゃないのか?」
千早「え? ええ、そうですね」
P「ありがとう、ちょっとリフレッシュできたよ」
千早「それは良かったです。では、片付けますね」
P「あれ、千早は差さないのか?」
千早「……え」
P「てっきり、自分が差すから出してきたのかと」
千早「……いえ。私は、特に疲れていませんし」
P「それでも、差せるうちに差しとくといいぞ。目の疲れって、気付きにくいからな」
千早「いえ、しかし……」
P「……?」
千早「……分かりました」
千早「……」すぅっ、はぁっ
千早「……では、いきます」ぐっ
P「いや、そんなに身構えなくても」
ぽた、ぽたっ
千早「~~~~っ!!」
P「……大丈夫か、千早?」
千早「だ、だいじょうぶ、です」
P「ならいいけど……」
千早(……め、目薬ってこんなに刺激の強いものだったのね)
P「おーい?」
千早「大丈夫ですから、気になさらないで、ください……」
P「」かたかたかた
千早「……」しゃかしゃか
P「」かたかたかた
千早「……」しゃかしゃか
P「」かたかたかた
千早「……」しゃかしゃか
P「」かたかたかた
千早「……」しゃかしゃか
P(今度は音楽を聴き始めたのか)
P「」かたかたかた
千早「……」しゃかしゃか
P「」
千早「……」しゃかしゃか
P「」ちらっ
千早「……」しゃかしゃか
P「んー……」かたかたかた
千早「……」ちら
P「」かたかたかた
千早「……」しゃかしゃか
千早「……」
P「」かたかたかた
千早「……」しゃか
千早「……」ぱちっ
P「」かたかたかた
千早「……ふぅ」
P「……あれ、やめちゃうのか?」
千早「えっ? ……ええ。少し聴きたい曲があっただけですから」
P「そっか」
千早「はい」
千早「プロデューサー。……ええと、その」
P「どうした?」
千早「……すみません。何を言おうとしていたのか、忘れてしまいました」
P「はは、よくあるよな。千早がそんなことを言うのは、珍しい気もするけど」
千早「そうですか?」
P「ああ。ま、俺の個人的な意見だけどな」
千早「それは、私が変わっているという意味なのでしょうか」
P「違う違う。単に、千早は何かを言いよどんだりするイメージがないってだけだ」
千早「それはいいことなのかどうか……」
P「まあ、いいことなんじゃないか?」
P「そういえばさ、千早」
千早「はい」
P「最近、事務所のみんなとはどうだ?」
千早「どう、と言いますと」
P「ん? どうって言ったら、ほら……。仲良くしてるか、とか。調子が悪そうな子はいないか、とか」
千早「調子が悪そうな人は……。あまり、感じません。どちらかというと、全員上り調子という気がします」
P「そっか。それならよかった」
千早「きっと、プロデューサーのおかげですね」
P「いやいや。それほどでも」
千早「……ふふっ。そこは普通、否定するところなのでは?」
P「かもな。でも、千早からお褒めの言葉をいただくとは思わなかったからさ」
千早「わ、私だって人を褒めることくらいあります」
P「わかってるわかってる」
千早「……むう。私って、そんなに無愛想に見えるんでしょうか」
P「そんなことないだろ。初めて会ったときはそう感じることもあったけど……。特に最近は、昔とは全然変わってきてるんじゃないか」
千早「……はい。それは自分でも思います」
P「春香たちのおかげかな?」
千早「ええ、きっと。春香はこんな私にも、優しくしてくれますから」
千早「春香や、律子。高槻さん。この事務所のみんなに会えて、本当によかったと思います」
P「そっか。じゃあ、明日は何かいいことがあるかもしれないな」
千早「明日、ですか? どうして……。あ」
P「そう。お前の誕生日だろ? きっとみんな、すごい気合いを入れて準備していると思うぞ」
千早「すっかり忘れていました……」
P「え、忘れてたのか? しまった、それならサプライズにして、驚かせるべきだった……!」
千早「相変わらず、肝心なところが抜けていますね」
P「うわー……。悔やんでも悔やみきれないな、これ」
千早「……大丈夫です。嬉しいという気持ちに、きっと変わりはありませんから」
P「違うんだよ。折角の、千早の驚いた顔が見られるチャンスを逃してしまったと思うと……!」
千早「もう。なんですか、それは」
千早「……ふふっ」
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「ん、んー」
千早「……」ぺらっ
P「」ぐっ、ぐっ
千早「……」ぺらっ
P「」ぐるんぐるん
千早「……」
千早「……あの」
P「?」
千早「肩が、凝っているんですか?」
P「ん、まあ……。パソコンとにらめっこしてると、どうしてもな」
P「ストレッチとか、一応するようにはしてるんだけどなあ」
千早「そう、ですか。それでは」すっ
P「?」
とん、とん、とん
P「!」
千早「……本当ですね。すごく、肩、固くなっています」
P「千早、お前……」
千早「こうすると、少しでも楽になると聞きました。……合っていますか?」
P「いや、合ってる……。もう少し強くても、いいかもしれない」
千早「もう少し強く、ですね。分かりました」
とん、とん、とん、とん
P「ぁぁぁ……」
千早「くすっ。なんですか、今の変な声」
P「いや、ほんとに気持ちいいんだって……」
千早「そうですか。それなら、よかったです」
P「あー、肩たたきかぁ。もしも俺に……。……っと」
千早「もしも、なんですか?」
P「……いや、何でもない」
千早「そうですか」
P「ああ」
千早「……」
P「……」
千早「プロデューサー」
P「何だ?」
千早「……優しいんですね」
P「……そんなことないよ」
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかたかたかた
千早「……」ぺらっ
P「」かたかたかたかたかたかたかた!
千早「……」
P「」かたかたかた、たんっ!!
千早「……?」
P「いよっし、終わった!」
千早「もう、終わったんですか?」
P「もともと、今日は溜まってた報告書を上げるだけのつもりだったからな。ちょっと予定外で外出しちゃったけど」
千早「そうですか。お疲れ様です」ぱたん
P「うわ、もう外完全に暗くなっちゃってるな、もう少し早く終わらせるはずだったのに」
千早「本当ですね」
P「……」
千早「……」
P「……なあ、千早」
千早「何ですか?」
P「本当にこんな休日でよかったのか?」
千早「……どういう意味か、分かりません」
P「結局、大したこともできていないじゃないか」
千早「それは、そうかもしれませんけれど」
P「せっかく、リフレッシュする時間をとったんだからさ。もっと何かしたいことがあったんじゃないか?」
千早「そう言われましても、急には思いつきませんし」
千早「それに、ひとりきりであの部屋にいるよりは、きっと充実した一日ですから」
P「ここに居ても、ほとんど一人で過ごしてるようなものだったと思うけど」
千早「そんなこと、ありません」
P「そうか? ……なら、いいのかな」
千早「はい。今日はこれ以上ない、私にとっての休日でしたよ」
P「そうか。じゃあ、その締めくくりくらいは、ちゃんと二人で」
千早「?」
P「どこか、おいしいものでも食べに行くか?」
千早「……!」
千早「はいっ」
おわり
明日、もとい今日は千早の誕生日ですよー
誕生日ssはきっと他の方が書かれると思うので、それらの宣伝がてら、たまにはのんびり系を
個人的にはこのくらいの距離感の千早が好きです
コミック蒼い鳥とか、いい感じの千早でしたよね(すてま)
お付き合いいただいた方がもしいらっしゃれば、本当にありがとうございました
おやすみなさい
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません