にこ「ミーティング」 (31)

にこ「……それではミーティングを始めます」

海未「待ってください、ニコ。まだ全員揃っていませんよ」

凛「そもそも何でいきなりミーティングなの?」

ことり「穂乃果ちゃんと絵里ちゃん、あと真姫ちゃんがまだ来てないよね」

花陽「三人揃って遅刻……?」

にこ「……その三人にはこのミーティングの件は知らせてないわ」

海未「それは一体どういう……?」

希「……なるほど」

凛「なるほどって希ちゃんは何か知ってるの?」

希「……真姫ちゃん、エリチ、穂乃果ちゃん」

ことり「あ……もしかして、この前の総選挙の順位?」

花陽「本当だ、上位の三人がいない……」

海未「……と、いうことは」

にこ「……始めるわ」

にこ「今、ことりが言ったように今回の議題はその上位三人についてよ」

海未「……」

ことり「……っ」

花陽「……」

希「……」

凛「……何? この緊張感」

にこ「みんなもわかってるみたいだけど……、正直悔しい……絶対に認めたくない……!」

にこ「でも……もはや目を背けることなんか出来ない事態なの」

ことり「……ことり、最下位だったな」

希「……ウチも中間含めてずっと下の方」

にこ「待って! ニコが言いたいのはそういうことじゃなくて」

凛「ニコちゃんはいいよ……だって今までもずっと上位グループにいたんだし」

にこ「今回に限ってはあんたの方が上だったでしょ?」

凛「今回に限って……か、はは……」

花陽「センター……かぁ……、花陽には想像することもおこがましすぎるよ……」

にこ「そう、それよ」

花陽「へ?」

にこ「そのセンターについてなんだけど……今回の6thシングルのセンターは誰だったっけ?」

凛「それはもちろん1位の真姫ちゃんだよ? 忘れちゃったの?」

ことり「ニコちゃん……いくら認めたくないからって現実逃避は」

にこ「してないわよ!!」

海未「さっきからニコが何を言いたいのか全くわからないのですが……」

にこ「6thシングルでのセンター投票という名目の第五回総選挙……その曲の『Music S.T.A.R.T!!』であの三人が目立つのは仕方のないことよ」

花陽「うん……みんなそのセンターを狙ってたんだもんね」

希「……」

にこ「問題はカップリングの方……」

ことり「『LOVELESS WORLD』のこと?」

にこ「……そう」

凛「格好いい曲だったよねー」

花陽「うん! あの三人に合ってるっていうか」

にこ「その曲のセンターは果たして誰だったのか……」

凛「え?」

花陽「それは勿論……」

海未「絵里……ですか?」

にこ「……」

希「……はい」

ことり「えぇっ!?」

花陽「じょ、冗談……だよね?」

凛「またまたー! いつものボケなんでしょー? 凛がつっこんであげるねー! そんなわけあるかー」

希「……ふふ、これはね……冗談でもボケでもないんよ」

海未「の、希……」

希「正真正銘『LOVELESS WORLD』のセンターはウチやった……」

ことり「でも……ラストサビの一番良いところって穂乃果ちゃんたち三人がソロで歌ってたよね?」

海未「最後のハモりも強烈なインパクトがありました」

希「おかしな話や……ほんま……」

にこ「今までの総選挙の後のシングルと、そのカップリングについて調べてみたわ」

海未「ふむ……」

にこ「やはり総選挙で上位に入った子はカップリングでセンターはやってないのよ」

凛「でも今回のも希ちゃんがセンターってことなら何もおかしくないってことだよねー?」

にこ「名目上ではね……でもいくら何でも今回のは酷すぎる!!」

希「もう、いいんよ……ニコっち……」

海未「……確かに、少し優遇されすぎという気もしますね」

ことり「4th LIVEのポスターでも前の方に描かれてたしね……」

凛「でもその絵だったらニコちゃんも真姫ちゃんのバーターとして」

にこ「誰がバーターよ!!」

花陽「みんなで頑張ってきたつもりだったのに、いつの間にかこんなに差つけられてたんだ……」

凛「センターってどんな気分なんだろ……」

希「確かこの中にもナンバリングでセンターやったことある人がおるやろ?」

海未「ことりが『Wonderful Rush』のセンターで、ニコが『夏色えがおで1,2,jump!』のセンターでしたよね?」

ことり「……うん。たった一つ前のシングルのことなのにどうしていきなり1位から最下位になっちゃったんだろ……ぐすっ」

海未「それは……」

希「ニコっちは夏色で結構目立ってたんやない?」

にこ「……ニコの勘違いかしら? 真姫ちゃんが最初のサビ、センターで楽しそうに踊ってた気がするんだけど」

花陽「あ……」

海未「もはや手の届かない存在になりつつあるのかもしれませんね……」

花陽「穂乃果ちゃんとか神々しすぎて時々、眩しく見えちゃうもん……」

凛「凛、もうあの方たちのファンになろうかなー」

ことり「ことりは穂乃果ちゃんを応援したい!」

希「ウチからしてみれば何でエリチがあの位置におるんか不思議でしょうがないんよ」

海未「と、言いますと?」

希「いや、あの第五回総選挙ってアニメ効果がかなり関わってきとると思うんやけど……」

希「正直言うて、あのエリチは印象は決して良くないんやない?」

にこ「まぁ、最初の内はニコたちのこと邪魔してたわけだしね」

花陽「ギャップが良かったのかも……」

凛「うんうん、普段悪いことしてる人がたまーに良いことするとすごくよい人に見えるっていうしねー」

ことり「もしかして絵里ちゃんはそれを見越して!?」

希「そ、そんな……ウチはあんな性格悪いエリチの横でいつも愛想振りまいてたっていうのに……」

海未「かしこくてかわいい、歌も踊りも上手くて人気もある……もう手に負えません……」

ことり「歌といえばあの三人はみんなとっても上手だよね?」

花陽「アイドルだから当然、歌の上手さも重要だよ……!」

にこ「歌……」

希「歌、か……」

ことり「ことりも上手いかって聞かれたら……そんなことないよね……」

凛「凛も下手じゃないんだけど……」

花陽「花陽も歌うのは好きだけど自信ないよぉ……」

海未(私はあの三人に負けてはいないと思いますが、とてもそんなことを言えない雰囲気……)

にこ「と、とにかく! 一旦、歌のことから離れましょう!!」

希「賛成ー!」

にこ「昔の人はこう言ったそうよ、敵を知り己を知れば百戦危うからず……と」

ことり「……?」

希「穂乃果ちゃんたち神スリーの神がかっている所を分析して自分らも何とかしてあやかろう~!のコーナー!! いえーい!!」

凛「いえーい!」

海未「……ヤケになってません?」

希「じゃあみんなでエリチの人気があるであろう要素を上げていこか」

ことり「かしこい♪」

凛「可愛い♪」

花陽「歌が上手」

海未「スタイルが良い」

希「面倒見が良くて、大人の色気?」

にこ「……金髪で目立つ」

ことり「ダンスが上手い」

凛「生徒会長」

花陽「厳しいけど……時々優しい」

海未「……色白」

希「ウチの親友」

にこ「ど、同級生……!」

ことり「先輩?」

凛「もっと先輩!」

花陽「え、えっと……えっと……同じ学校の」

にこ「ストーップ!! もういいわ」

花陽「は、はい……すみません……」

希「一通りみんなが出してくれたものについて考えてみよか。 まず、賢いについて意見のある人は?」

海未「はい。確かに賢いに越したことはないのですが、私たちアイドルにとってそれほど重要なこととは思えません」

希「ちょっとお馬鹿な方が可愛いって思ってくれる人もおるってのが事実やしな」

にこ「ただ頭がいいから人気ってのもおかしな話よね」

凛「じゃあ賢さは関係ないっことで」

花陽「可愛さもみんな一人一人違った魅力があるから一概には言えないんじゃいかなぁ?」

にこ「その通りね! ニコの可愛さと絵里ちゃんの可愛さじゃジャンルというかベクトルが違うと思うし」

ことり(ベクトル……?)

にこ「歌はもうどうしようもないとして……」

ことり「あ、開き直ってる」

海未「容姿に関する意見ですが……金髪、色白、スタイルの良さとあります」

希「三分の二で海未ちゃんが出したやつやけどな……でもエリチの容姿はかなりの武器や」

花陽「ちょっと高校生離れしてるっていうか……」

凛「完璧超人だにゃー」

にこ「ロシア人の血が流れてるのがズルいのよ!」

ことり「身長も一番高いし、スラッとしてるし、胸だって大きい……はは、勝てるわけないよね」

海未「はい……いくら考えても絵里に勝っている所など思い付きません」

にこ「……」

希「……」

凛「……」

花陽「……」

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