勇者「心は折らない」 (4)
SSを書くのは二度目です。
文才はなく、展開も要所要所しか考えてません。つまりほぼ行き当たりバッタリです。
>>1はハッピーエンド至上主義です。
まだ不慣れな点がありますが指摘していただけると幸いです。
では始めたいと思います。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1392563431
「今ここに、新たな勇者が誕生した!」
王様の言葉が広場に響き渡ると一気に歓声が包み込んだ。
「勇者様、バンザーイ!」 「今度こそ、世界が救われるんだ!」「ゆうしゃさま、がんばってー!」
他にも様々な声が聞こえる。ここにいるだけじゃない、世界中の人の希望を背負って今から僕は旅をするんだ。
「辛く、苦しい時もあるだろう。しかし、世界の平和のために尽力して欲しい」
「はい、私にお任せください」
嘘だ。本当はもう今すぐ逃げ出してしまいたい。
「頼もしい言葉だ。これは路銀にするといい。受け取ってくれ」
言うと、側近が拳ほどのパンパンに膨らんだ皮袋と鞘に入った剣を手渡してきた。
「ありがとうございます」
「いや、顔を上げてくれ。これから命をかけて旅をする者には少ない額だが、それで精一杯なのだ。すまないな……」
王様の申し訳なさそうな言葉を聞きながら、さっきもらった剣と皮袋を腰に提げる。
「はい、存じております。ではそろそろ行って参ります」
「うむ……必ず帰ってくるのだぞ」
「……はい、それでは」
重い音を立てて門が閉じる。これから過酷な旅が始まるのだと思うと足どころか身体中が震えてしまいそうになる。
「町の外には初めて出るな……噂ではそこら中に魔物がはびこってるって聞いたんだけど」
実際に目の当たりにするとまさに平和そのものだった。草木はざわざわと風に揺れ暖かな陽光が降り注ぐ。
「父さんも、ここを通って行ったんだろうな……」
自分の家は代々、勇者を勤めてきたらしい。
勇者は16歳になると魔王を倒すという使命を果たすために街に遺伝子を遺して旅に出ることになる。僕はその10代目だ。
「行くか……」
そんな事を思っていると、不意に草むらがガサッと音を立てた。
「なんだ……?」
草むらが突然揺れた事を訝しんでいると禍々しい雰囲気の四人組が姿を現してきた。
「……ようやく来たな」
「こいつが今代の勇者か? 随分とひ弱そうじゃねぇか!」
「これなら疲弊した私たちでもすぐに殺せるわ。むしろ私たちが来た意味はあったのかしら」
「無駄口は慎め。とっとと済ませるぞ」
「な、なんだよあんたたちは……」
体が勝手に震える……さっきから冷や汗が止まらない……! 街から一歩出ただけでこれだなんてさっきの平和だなと思った気持ちを返せよちくしょう!
「……我ら魔王軍は先代勇者に酷くやられてしまってね。なんとか殺したが魔王様も意識不明の状態。だから今のうちに芽を摘んでおこうと思ってね」
「そういうことだ。恨みはないが死んでもらおう」
言うが早いかリーダー格と思われる黒髪男が飛びかかってきた!……ってやけに遅いな。これなら避けられると思ったが、自分の動きも鈍い。これが走馬灯というやつか。まさか16歳で見ることになるとは思わなかったな。
というか、本当に遅いな。まだそこにいるの? 恐いから早くしてくれない? つーかいくら走馬灯だからって遅すぎるでしょう。なんかおかしくない?
「間に合ったでござる!」
助かったのか……? 突然出てきた男は黒髪の男を退けて俺を守るように四人と対峙している……
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