にこ「なんて、って……」

絵里「おかしなこと言ってたかしら」

穂乃果「『おしっこ行ってくる』って」

凛「ああ～……」

にこ「言われてみれば、そうだったわね」

海未「…いいんですか？」

穂乃果「小学生までならまだしも、いい年してトイレのこと『おしっこ』って言うんだよ！」

凛「そこまでいけないかﾆｬｰ」

絵里「確かに、あまり良くないかもしれないわね」

にこ「今まで気にした事なかったから、盲点だったわ…」

穂乃果「あのことりちゃんが、だよ！　に…　凛ちゃんとかなら言っててもおかしくないけど」

凛「変なとこで引き合いに出さないで！」

にこ「ちょっとことりのイメージには合わないかな……」

真姫（あんたが一番言っててもおかしくないと思うけど…）

絵里（にこちゃんも言っててもおかしくないけど）

穂乃果（にこちゃんだと冗談で済まなそうだから思い留まった）

海未「私たちが気になり出したのは中学に上がった頃からでしょうか」

穂乃果「それ以来何度か注意してきたんだよ！」

絵里「しかし結果は芳しくないようね…」

海未「あんまりキツく言ってもかわいそうですし」

真姫「かといってやんわり言ってると、こういうのってなかなか通じないのよね」

凛「真姫ちゃん『やんわり』なんて言葉知ってたﾆｬ！？」

真姫「当たり前でしょ！」

　ｶﾞﾗｯ
花陽「お待たせしました」

ことり「盛り上がってたみたいだけど、何の話してたの？」

一同「」ｷﾞｸｯ

穂乃果「に、にこちゃんが初めてタンポン入れたんだって！」

にこ「そ、そうそう！　でももう無理だわ～　8本入り買って損しちゃった」

ことり「最初はそうだよね～」

穂乃果（…危なかった……）

真姫（こんな時はとりあえずにこのせいにしとけば無難ね）

にこ（というか穂乃果はなんで知ってんのよ……）

ことり「じゃあさっきの続き、始めようか！」

絵里「ええと……　どこまで話したかしら……」

——別の日——

にこ「今日、ことりは？」

穂乃果「掃除当番だからちょっと遅くなるよ」

絵里「まだ言ってるの？」

海未「今日も言ってました……」

穂乃果「どうしよう、高校卒業したら共学の大学行くかもしれないんだよ！」

穂乃果「周りに男の子たちのいるとこでも平気で『おしっこ』とか言いそうだよ！」

にこ「ちょっと気が早いと思うけど、けっこう深刻よね……」

凛「なんとかしてうまく教えてあげたいﾆｬｰ」

花陽「何の話？」

凛「かよちんは昨日いなかったﾆｬ」

穂乃果「ことりちゃんがトイレに行く時、『おしっこしてくる』って言うの」

海未「それをやめさせたくて…」

花陽「えっ……」

穂乃果「」

花陽「…ダメかな、おし　　穂乃果「ちょっと待ったあああ！！！」

凛「かよちんもおしっこ派だったﾆｬ！？」

真姫「あんた気付いてなかったの？」

凛「う～ん…　何度か聞いた事あるような……」

絵里「意識してないとそんなものよね」

凛「でも、かよちんがおトイレって言ってるのも聞いた覚えあるﾆｬ！」

花陽「うん……　いつもじゃないけど…」

海未「割合としてはどのくらいかしら」

花陽「そんなの数えてないよ～…」

穂乃果「でもよかった、ことりちゃんみたいにおしっこ率100%じゃなかったんだね！」

にこ「やな『率』だなぁ……」

花陽「でも、そうだよね。おしっこはちょっと恥ずかしいかな……」

穂乃果「うんちょっとじゃないよね」

海未「いつも聞いてる側からすると、相当恥ずかしいです」

花陽「そこまで！？　……あの、凛ちゃん…」

凛「……そこまで、かも……」

花陽「……」

凛「…あの、でも凛も気にならなかったし、あんまり……」

花陽「……」

花陽「…うおぉああぁぁ……！！！」ｸﾞｼｬｸﾞｼｬｸﾞｼｬ

凛「かよちん！？　かよちん落ち着くﾆｬｰ！」

花陽「…今までのいろんなことを思い出して」

花陽「『私あの時、おしっこって言ってたんだっけ？』って思うと……」

花陽「おおぉぉぉ……」ｸﾞｼｬｸﾞｼｬ

にこ「気を確かに！　そんなかきむしったら髪の毛乱れちゃうよ！」

絵里「ひとまずこの話はよしましょう。二次被害が出るわ」

花陽「ありがとう、絵里ちゃん…」

穂乃果「そうだよ、花陽ちゃんまで苦しむ事ないよ！」

穂乃果「…おしっこ言っちゃったものはしょうがないんだし」

花陽「おおぉ……」ｸﾞｼｬｸﾞｼｬｶﾞｼｶﾞｼ

凛「穂乃果ちゃん！　かよちんいじめたら許さないﾆｬ！」

真姫「これがことりにも襲いかかることになるのね…」

海未「しかも、おしっこ率100%ですから……」

にこ「おそろしいことになりそうね」

よく考えたら、これだとことりちゃんに「おしっこ」って言わせられないことに気付いた

絵里「もうすぐことりも来るでしょう。気持ちを切り替えないと」

海未「ぎくしゃくしてたら変に思わそうですしね」

凛「そうなっちゃったら大変ﾆｬ！」

　ｶﾞﾗｯ
ことり「ごめんね、遅くなっちゃった！」

ことり「？　何の話してたの？」

穂乃果「ロシアでは日本食全般を『ヤキトリ』って言うんだって！」

絵里「そ、そうなのよ！　ヤキトリヤっていうレストランが有名でね。面白い豆知識でしょ？」

ことり「どうしてそうなったの……？」

にこ（え、ホントに言うの？）

絵里（穂乃果はなんでそんなこと知ってるのよ……）

——練習のあと——

にこ「さっきダンスの練習してて、ちょっと気になったんだけど…」

ことり「ゴメン、ちょっと待ってて。おしっ」

穂乃果「待ってことりちゃん！」

ことり「え、でもさっきからずっと我慢してて…」

穂乃果「にこちゃんだって、区切りがいいとこまで言うの我慢してたんだよ！」

にこ「いや、別に行ってからでも…　あ」

にこ「うん、そうね！　すぐ済ますから！」

ことり「じゃあちょっとだけ……」