火憐「ああ?こんな豪雪の中兄ちゃんが外に出た?」 (7)

月火「そうなんだよ火憐ちゃん、物凄い階段を降りる音にびっくりしてリビングを出たらお兄ちゃんが物凄い形相で廊下を横切って私の呼びかけに全く反応せずに外に出ちゃった」

火憐「それってなんかとんでねーことに兄ちゃんは巻き込まれてるんじゃねーかな」

月火「でなければこんな自殺行為とも言えることはしないもんね」

火憐「あたしも兄ちゃんの手伝いをしたいとこだけどこんな中外に出て宛のない捜索活動はさすがにやべーからな」

月火「さすがに火憐ちゃんといえど至る所に凍傷を作って帰って来るのが落ちだろうね」

火憐「よし、そうと決まったらテレビ見ながら暖かいお茶を飲んでヌクヌクしてるに限るぜっ!」

月火「じゃあ、あたしはお茶を用意してるからテレビ見てまっててよ」

火憐「サンキュー月火ちゃんっ」

月火「はい、お待たせ」

火憐「おっ、やっぱ月火ちゃんはわかってるよなあたしのことっ、レモンティーにしっかりレモンが入ってるっ」

月火「火憐ちゃんは基本はサバサバしてるけど意外なところで繊細があるもんね」

火憐「月火ちゃんってぜってーいいお嫁さんになるよな、あたしが男だったらこんなことされたら100パーセント惚れてる」

月火「そんなことないと思うけどね、でも火憐ちゃんにそういって貰えるとなんだか嬉しいよ」

火憐「へへー身体があったまるーっ!」

火憐「おっ?今ニュースの生実況で兄ちゃんが写ってなかった?月火ちゃん?」

月火「んー」

月火「あっ!!ほんとだっ!お兄ちゃんだ」

火憐「だよなだよなっ、でも今実況されてるとこは埼玉の大宮だぞ、なんであんなとこに兄ちゃんいんだ?」

月火「よくわかんないけどとにかくお兄ちゃんに電話してみようよっ」

火憐「確かにそうだ、事情はどうあれは兄ちゃんに聞くのが一番早いっ!」

プルプル

プルプル

火憐「でねえか、予想はしてたけどなんだか益々不安になってきたな」

月火「しかも寄りにもよってここから一時間はかかる大宮だからねー、お兄ちゃんの交友関係ならここらへんのことだとばかり思ってたけど…」

火憐「大宮かー、どうする月火ちゃん?あたしは居ても立っても居られなくなったから大宮までひとっ走りしてくるけど月火ちゃんは来るか?」

月火「私もお兄ちゃんの手助けをしたいのは山々なんだけど生憎火憐ちゃんみたいに身体を鍛えてる訳じゃないから流石に走るのは無理だよ」

火憐「そうか、ならあたしの背中に乗って行くか?月火ちゃん程度の重さなら綿を背おって走ることと対して変わらないからな」

月火「ん~、火憐ちゃんが大丈夫だっていうなら行こうかな」

火憐「へへー、任せとけっ!日頃から丹念に丹念を重ね作り上げられた肉体を存分に発揮する時が来たぜ!月火ちゃんや兄ちゃんのためと来たら燃え上がるってもんだっ」

火憐「うおおおおおぁっ!!!」

月火「うわあああああ」

火憐「んぉ?大丈夫か?月火ちゃん?」


月火「だっ大丈夫だよ、それよりすっすごいね火憐ちゃん、膝くらいまで雪が積もってるのにまるで雪がそこにないかの様な走りっぷりだよ」

火憐「そうかっ?でも思ってたより雪って重くてうっとおしいな、雪を蹴り飛ばして走るとどうしても脚に雪や少し解けたシャーベット状の氷が付着して足がどんどん重く動かなくなってきやがる」

月火「それってやっぱり私は家にいた法がいいんじゃないかな?」

火憐「いや、大丈夫だぜ月火ちゃん、こんな積雪40cmの雪道でも後10時間は全力で走ってられるからなっ!」

月火「それは流石に無理じゃないかなー」

火憐「火憐ちゃんをなめんなよーっ!うおおおお」

月火「うわあああああ」

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