P「若年性アルツハイマー?」 (447)
ガチャ
春香「ただいまー」
P「おかえりー」
春香「あれ?プロデューサーさんまだいたんですか?」
P「まだいた、とは……?」
春香「え?今日は響ちゃんの撮影の方観に行くって言ってませんでした?」
P「あっ!忘れてた!」
春香「早く行かないと響ちゃんすねちゃいますよー」
P「まだ間に合うな……。ありがとう春香! 行ってくる!!」
春香「気をつけてくださいねー!」
ガチャ タッタッタッタ
春香「最近プロデューサさんは働きすぎじゃないですかねー」
小鳥「最近疲れてるのかミスが多くなってきてるのよねぇ」
春香「プロデューサーさんが頑張ってるんだから私も頑張らないと!!」
小鳥「私もプロデューサさんの負担が少しでも減るように頑張らなくちゃ!」
数日後
ガチャ
やよい「あのー、プロデューサー?」
P「どうした?やよい?」
やよい「まだ…ですか?」
P「え……?なにが?」
やよい「プロデューサーが家まで送っていってやるから先に車で待ってろって言いましたよね?」
P「あっ!悪い! 何故だか途中までしか終わってない書類がいっぱい出てきて……」
やよい「プロデューサーは最近働き過ぎじゃないですか?」
P「心配してくれてるのか?」
やよい「はい…… 皆さんも心配してますよ?」
P「そうか…… 皆に心配かけて、俺はまだまだ半人前だなぁ……」
やよい「そんなことないです! プロデューサーのおかげで最近仕事が増えてきて、いっぱい、いーっぱい感謝してるんですよ!」
P「やよいはやさしいなぁ」ナデナデ
やよい「えへへ… 本当に、無理しないでくださいね」
P「わかったよ… ほんとごめんな」ナデナデ
やよい「……」
小鳥「……」
小鳥(そろそろ律子さんと社長に相談するべきね……)
律子「私も……おかしいとは思ってたんですよ」
真「ボクも、この前迎えに来てくれなくてテレビ局から帰れなかったんだよねー。 あの時は寂しかった……」
社長「ふむ…… 仕事に支障を来すまでなのはイカンね……」
小鳥「どうにかプロデューサーさんにお休みをあげられませんかね?」
社長「そうだな…… 彼に負担を押し付けすぎたようだ」
千早「最近のプロデューサーは労働基準法も何も関係ないくらい働いてましたよね」
真美「ブロック記号、ってやつだね」
亜美「なな、なんと我が765プロがあのブロック記号だったなんて!」
貴音「それを言うならブラック企業、ですよ」
亜美真美「そうともいうね!」
伊織「とにかく! 疲れたからってミスされたらたまったもんじゃないわ! それなら一日や二日休んでもらったほうがマシよ!」
社長「わかった。 皆には負担をかけることになると思うが……」
ガチャ
P「ただ今戻りました!」
社長「ちょうどよかった、キミに話がある」
P「話……ですか?」
社長「そうだ、キミは明日から二日間しっかりと休息を取ってもらう」
P「休息、ってそんな急に言われましても……」
社長「これも業務のうちだと思ってくれ」
P「でも、皆が……」
社長「これは皆がキミを心配して私に話してくれたことだ」
P「そ、そうだったんですか……」
社長「なに、心配するな。 キミがいなくても二日くらいどうにかなるさ。 私もフォローする」
P「ありがとうございます…… 皆、すまない……本当にありがとう……」
響「しっかり休むんだぞ! 前みたいに自分のこと忘れられるのはもう嫌だからな!」
P「あのときはすまなかったな……」
美希「ミキも、ハニーが体壊すのは嫌だから二日は我慢するの!」
P「美希……」
P「じゃあ、律子、小鳥さん、社長、この二日間皆をお願いします!」
律子「任せといてくださいよ!!」
小鳥「しっかり休んでくださいね!」
社長「フフフ…… 久しぶりに腕が鳴るな」
次の日
律子「じゃあ皆それぞれ今日の予定は確認したわね!」
一同「はーい!!」
律子「じゃあプロデューサーに心配かけないためにも頑張るわよ!」
一同「おーーっ!」
ガチャ
P「おはよー」
一同「!?」
やられたwww
P「って、なんで皆こんなに揃ってるんだ?」
一同「…………」
P(なんなんだこの沈黙は……)
春香「あ、あの…なんで……」
P「どうした春香?俺がいたらおかしいことでもあるのか?」
一同「…………」
P「えっ? ど、どうして皆そんな目で俺を見るんだ?」
律子「何しに…来たんですか……?」
P「何しにって……もちろん仕事に……」
伊織「アンタそれ本気で言ってんの!?」
P「えっ!?」
亜美「兄ちゃん……それはさすがに……」
真美「ちょっとやばいんじゃないかな……」
P「ちょっとまて、皆が何を言っているかわからないんだけど……」
律子「いいですかプロデューサー。落ち着いて、昨日のことを思い出してください」
P「昨日の、こと……」
P「昨日は…… えっと……」
P「…………あれ?」
P「ちょっとまってくれ、えーっと……」
P「そうだ!○×テレビで打ち合わせをして……」
P「それから…… えっと……」
P「なんだこれ…… おかしい…… えっと…………」
伊織「もういいわ」
P「まってくれ! もう少しで……」
伊織「いい病院を紹介するわ。いきましょう」
P「病院って…… 何言ってるんだ伊織は…… なあ律子?」
律子「いきましょうプロデューサー」
P「おいおい律子まで……」
P「どうしたって言うんだ……」チラッ
真「っ!」ビクッ
P「なあ……真?」
真「あっ…… えっと…… あの…………」
真「っ……」フイッ
P「真……?」
P「春香!」
春香「……」フイッ
P「貴音!」
貴音「あなた様、もう……」フイッ
P「くそっ…… おかしいのは…俺か…………」
P「なんなんだこれは…… チクショウ……」
とりあえず書きためはここまで
今からゆっくり書きます
次の日 病室
P「あー……皆、いるか?」
律子「全員集まってます」
P「じゃあ聞いてくれ……」
P「俺は…もうお前らのプロデューサーは続けられない」
美希「なっ…」
P「若年性アルツハイマーだった」
美希「ハニーがいなくなるなんてヤ!」
P「悪い…… 今の俺では皆に迷惑をかけてしまうんだ」
美希「絶対ヤなの! ハニーが辞めるのならミキも辞めるの!」
P「ごめんな、美希」
美希「ダメ! 謝っちゃだめなの!」
律子「コラ、美希!」
美希「絶対、ぜーったいヤなの!!!」
P「美希…… 本当に…ごめっ……」
律子「美希!!」
美希「っ……」ハッ
美希(ハニー……泣いてる……?)
美希「……ごめんなさい…なの……」
P「いや、俺が、悪いんだ……」
美希「ハニーはなんにも悪くないの……」
P「皆!聞いてくれ!」
P「俺は今から様々なものを忘れていく」
P「考えたくはないが、もしかしたらお前たちのことも……」
P「だから!」
P「全員、俺が忘れられないようなアイドルになってくれ!」
P「お前たちは俺がいなくても輝ける!今以上に!」
P「俺のために、これからも頑張ってくれないか……?」
春香「プロデューサーの…ためですか……」
P「そうだ、もう俺の人生の楽しみはお前たちしか残ってない」
P「プレッシャーになるかもしれないが…… 辛い時は俺のことを…思い出してくれたらうれしい」
P「今度からはテレビの向こう側で、お前たちの多くのファンの一人として、お前たちを応援するから……」
響「わかったさ! 頑張るから自分のこと忘れるんじゃないぞプロデューサー!」
貴音「月まで名の轟くあいどるとなってみせましょう」
やよい「プロデューサーさんのためならもっと頑張れるようなきがします!」
伊織「このスーパーアイドル伊織ちゃんのこと忘れたら承知しないんだからね!」
亜美「またイタズラしに来るから覚悟しといてよ!」
真美「クフフ…恐怖を刻みつけてあげるよ」
千早「テレビの向こうのプロデューサーまで、絶対私の歌、届けてみせますから」
P「皆……」
P(よく……涙をこらえてくれたな……)
P「皆、強くなったな」
美希「ハニーのおかげなの」
P「そうか…… 今まで頑張った甲斐があったよ……」ポロポロ
あずさ「あらあら、泣いちゃダメですよ~」
春香「そうですよ! 皆我慢してるんですから!」
P「わ、悪い!」
真「これで今生の別れってことでもないんですしね!」
ワイワイ
雪歩「…………」
律子(自分がいなくなるっていうのに…… こんな雰囲気にできるなんて……)
律子(やっぱりプロデューサーはすごいです)
社長「じゃあそろそろ時間だ」
小鳥「また来ますからね」
P「はい!ありがとうございます!」
P「じゃあ皆、頑張ってくれよな!」
一同「はい!」
ガラガラ
パタン
P(それから数週間がたち……)
P(皆頑張っているという知らせを聞いては、親のような気持ちで喜んでいた)
P(俺がいなくても765プロは順調に前に進んでいた)
P(……ただ、一人を除いては)
コンコン
P「どうぞ」
ガラガラ
雪歩「こんにちは」
P「おっ?きてくれたのか!」
雪歩「偶然時間があきましたから」
P「ありがとう! 最近調子はどうだ?」
雪歩「皆頑張ってますよ」
P「新しいプロデューサーはどうだ?うまくいってるか?」
雪歩「まあ……前ほどではないですが…… うまくやってます」
P「そうかそうか!よかった!」
P(俺は知っていた)
P(雪歩が新しいプロデューサーに心を開けていないことを)
雪歩「皆、プロデューサーのために、って張り切ってますよ!」
P(皆……か……)
P「雪歩、時間はどれくらい大丈夫なんだ?」
雪歩「30分くらいですかね。 みんなもきたいって言ってたんですけど……」
P「そうかそうか、俺の言葉がそんなに効いてたのはうれしいなぁ」
雪歩「私たち、プロデューサーが好きですから」
P「あっはっは! 照れるなぁ!!」
雪歩「プロデューサーはこれからどうするんですか?」
P「んー…… とりあえずはこの病院にお世話になるかな」
P「俺ぐらいの歳でアルツハイマーって結構希なケースらしいからさ、データ取るために格安でここにおいてくれるらしいよ」
雪歩「その後は……?」
P「そうだな……俺の貯金もそんなに多くはないし…… 生活補助受けながらなんとか……」
雪歩「お金がなくなったら?」ジッ
P「うっ…… ま、まぁ、なんとかするよ……」
雪歩「プロデューサー…… 自分から死ぬのは、だめですよ?」ジッ
P(見透かされていた…か……)
P「雪歩、お前強い目をするようになったなぁ……」
雪歩「ご家族とかは……?」
P「実はな、俺のオヤジもアルツハイマーなんだ」
雪歩「えっ……?」
P「やっぱ遺伝なんだろうな……」
P「オヤジの介護に追われてるお袋にこれ以上迷惑はかけられないし」
雪歩「そんな……」
P「俺は誰にも、誰にも迷惑はかけたくないんだ」
雪歩「でもっ、もしよければっ……」
P「雪歩にも、だ……」
雪歩「そう、ですか……」
P「悪いな、心配かけて」
雪歩「いえ……」
P(その後は他愛もない話をして雪歩は帰った)
P(そしてその一週間後)
コンコン
P「どうぞ」
雪歩「えへへ またきちゃいました」ガラガラ
P「雪歩? 仕事は大丈夫なのか……?」
雪歩「えっと… 今日は偶然収録がお休みになって……」
P「本当は?」
雪歩「っ……!?」
雪歩「……やっぱりプロデューサーには隠し事できないですね」
P「新しいプロデューサーとうまくやって行けてないんだろ?」
雪歩「新プロデューサーのせいではなくて…… 元から私はアイドルに向いてなかったんですよ」
P「そんなことない! 雪歩は俺の認めたアイドルなんだから!」
雪歩「今までの私はプロデューサーがいたからやってこれたんです……」
P「そうだ!社長に頼んで女性のプロデューサーを探してきてもらおう!」
雪歩「私のために事務所の手間と時間とお金を無駄にするくらいなら…やめます……」
P「なぁ、俺は765プロの誰ひとりとしてかけて欲しくないんだ」
雪歩「プロデューサーがかけましたよ」
P「うっ…… 痛いとこつくなぁ……」
P「でも雪歩にはそういう強かな面もあるってことを俺はファンのみんなに知ってもらいたい」
雪歩「でも…… 私にはそれを伝える能力がなくて……」
P「なら特別レッスンだ!」
雪歩「特別、ですか……」
P「そうだ! 俺もまだ765プロの一員として、雪歩にできるだけのことをしたいと思う!」
雪歩「プロデューサーとなら……頑張れる気がします」
P「そうか!これをみてくれ!」
雪歩「なんですか、これ?」
P「音読は脳にいいらしいんでな、いろんな種類の台本を音読してるんだ」
雪歩「なるほどっ」
P「で、演技の幅を増やすために……まずは落語だ!」
雪歩「落語……?」
P「雪歩は落語を聞いたことがあるか?」
雪歩「あっ、父が好きなのでたまに……」
P「そうか!あの噺家たちの話、凄いと思わないか?」
雪歩「確かに…… 話に聞き入ってしまう魅力と明確に場面を頭に浮かばせるほどの表現力……」
P「そうだ、それは確実に雪歩の演技の幅を広げてくれる!」
P「これから時間があるときは俺のところで特別レッスンだ!」
雪歩「はい!!」
P(そうして雪歩は俺のところへ足繁く通い、演技は少しずつ上達していった)
P(そして、俺の病状も…………)
真「最近雪歩元気になったよねぇ」
春香「新しいプロデューさんにも慣れてきて仕事も増えてきたしねぇ」
真「ってか最近イヤホンつけてよく何か聴いてるけど何聴いてるんだろ?」
春香「……」ジーッ
雪歩「ふむふむ……」
春香「えーいっ!」スッポーン
真「は、春香!?」
雪歩「ひあぁ!?」
春香「ん?落語?」
真「……? 雪歩落語好きだったっけ?」
雪歩「それは……えっと……」
雪歩「かくかくしかじか」
春香「えーっ! そんなにプロデューサーさんのところいってたの!?」
真「ずるいなぁ雪歩はー」ニヤニヤ
雪歩「で、でも最近は全然行けてなくて……」
P(最近来ないな…… アイツ……)
P(でも、それはいいことなんだ……)
P(あいつは俺なんかに縛られてるようじゃいけない)
二ヶ月後
雪歩「ハッ…ハッ…ハッ……」タッタッタッタ
雪歩「やった、やりましたよ、プロデューサー!」タッタッタ
「病院ないでは走らないでくださーい」
雪歩「あっ、すみません!」
雪歩「やっと、やっと……!」
コンコン
雪歩「…………」ドキドキ
ドウゾー
雪歩「お久しぶりです!」ガラガラ
P「おっ! よく来てくれたな! えっと……」
雪歩「っ!」
P「あ…… 待ってくれ、その……」
雪歩「だ、大丈夫…ですよ……」
P「あぁ…… あぁ…… すまんっ……」
雪歩「ゆっくり、ゆっくりでいいですからね」ニコッ
P「うぁ… ぐすっ…… 俺は…… 俺はッッ……!」
雪歩「……」ギュッ
P「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
雪歩「私が誰だかわかります?」ギュッ
P「あぁ、わかる、765プロの仲間で……」
P「あぁ… ダメだ…… 俺は……」
雪歩「私あなたにお礼を言いに来たんです」
P「やめてくれ! そんな資格俺にはない!」
雪歩「いえっ、私が言いたいので!」
P「うぐっ…… ぐすっ……」
雪歩「私はあなたのおかげでドラマの主演を演じることとなりました」
雪歩「おなたは私を救ってくれました」
雪歩「本当に、ありがとうございます……」
P「ごめん、ごめんな……」
雪歩「わたしはお礼言ってるのに謝らないでくださいよ」
P「あぁ、おめでとう……」
P「でも、今は少し、一人にしてくれないか?」
雪歩「分かりました、10分後にまたきます」ニコッ
ガラガラ
雪歩(あぁ、覚悟はしていたけど)
雪歩「やっぱり辛いよ……」グスッ
ガラガラ
雪歩「十分、たちましたよ」
P「ごめん、やっぱりキミの名前、思い出せない」
雪歩「そうですか」
雪歩「……萩原、雪歩です」
P「そうだ! 雪歩! 雪歩雪歩! もう忘れない!」
雪歩「はいっ!」ニコッ
P「雪歩と二人でレッスンしたことはちゃんと覚えてるんだ、よかった、ほんとによかったな」
雪歩「あらためて、ありがとうございます」
雪歩「でも、これからここに来れることは少なくなると思います」
P「そうか……」
雪歩「それでも、私のこと、覚えていてくれますか?」
P「あぁ、忘れない、絶対にだ! 今日みたいな思いをまたするのは絶対に嫌だからな」
雪歩「フフ、ありがとうございます」
雪歩(それは、とても嬉しい言葉だった……)
雪歩(絶対に叶わないことだとしても……)
雪歩(それから私は芝居に打ち込んだ)
雪歩(一年以上休みのない日が続いたが)
雪歩(プロデューサーとしていた『特別レッスン』だけは今も続けている)
雪歩(そして時は経ち……)
~~~~~~
コンコン
P「どうぞー」
P(誰だろう? とても綺麗な人だ)
??「お久しぶりです」
P「えーっと、どちら様ですか?」
??「やっぱり覚えていませんか…… わかっていても心にズシリとくるものがありますね……」
P「ごめんなさい……」
??「いいえ、しょうがないことです。私はあなたの元同僚の秋月律子です」
P「はぁ、こんにちは」
律子「あなたに渡したいものがあってきました」
P「なんでしょう?」
律子「これです」
P「これは……?」
律子「765プロのアイドルたちの資料です」
P「765……? なんだか聞き覚えのある響きのような気がする……」
律子「ホントですか! それは良かった!!」
P「でも、どうしてこれを……?」
律子「あなたはそれを持って置かなくてはいけないんです」
P「は、はぁ……」
律子「まぁ、いずれわかりますよ」
P(そして、秋月さんはよくわからない話をたくさんして帰っていった)
P(でもそれは何故か退屈ではなく、ずっと聴いていたかった)
P(そしてしばらくは秋月さんの持ってきた資料を眺める日が続いた)
コンコン
P「はーい」
ガラガラ
??「こんにちは~」
P(誰だろう? とても綺麗な人だ)
P「こんにちは」
??「お久しぶりです~」
P「えーっと、どちら様ですか?」
??「さぁ~? だぁ~れだ?」
P「えっ……」
??「あっ!引かないでくださいよ!」
P「えっと……」
??「うふふ、思い出してくれるまで待ちますよ~」
P「あっ!」
??「思い出してくれました~?」
P「ちょっと待ってください……」ペラペラ
P「えーっと…… あった!」
P「三浦、あずささんですね?」
あずさ「せいか~い!」
P「今日はどうしたんですか?」
あずさ「私、アイドル引退するんでお世話になったプロデューサーさんに挨拶を、と思いまして」
P「俺、あなたみたいな人をお世話してたんですか?」
あずさ「そりゃあ、もうたくさん~」
P「三浦さんはどうして引退を?」
あずさ「私、結婚するんです」
P「おぉ、おめでとうございます!」
あずさ「ありがとうございます~」
あずさ「私の旦那さん、あなたにとってもよく似てるんですよ?」
P「えっ……///」
あずさ「うふふ。プロデューサーさん、今までありがとうございました」
P「これからもお幸せに過ごしてください」
あずさ「ありがとうございます。 ではさようなら~」
P「さようなら」
P「あっ、三浦さん!」
あずさ「はい?」
P「えっと…… 出口は部屋を出て左にまっすぐです」
あずさ「っ!!」
あずさ「……ありがとうございます」ニコッ
P「あっ……はい、お気を付けて」
ガラガラ
P(俺はどうして最後にあんなことを……?)
コンコン
P(最近来客がおおいなぁ)
P「はーい」
ガラガラ
??「こんにちはーっ!」
P(誰だろう? とても綺麗…いや、可愛い人だ)
P「こんにちは」
??「お久しぶりですプロデューサー!」
P「えーっと、どちら様ですか?」
??「うぅ~、やっぱり忘れちゃってるんですね」
P「ご、ごめん……」
??「プロデューサーさん!」
P「ん?」
??「ハイ!」
??「ターッチ!!」パチーン
P(……? なんだ?手がかってに……)
??「私、高槻やよいっていいますー!」
P「高槻さん、今日は何しに?」
やよい「私、アイドル引退するんで挨拶にきたんです!」
P「ああ、君もか…… 君も結婚するの?」
やよい「け、結婚って……/// 私は勉強のためですよ!」
P「そうか、えらいな」ナデナデ
やよい「っ!!」
P「あ、ごめん!急に!!」
やよい「いえっ… 大丈夫…ですっ……」
P「でも泣いてるじゃないか!!」
やよい「えっ?」ポロポロ
やよい「え、えっと、なんでだろ……」ゴシゴシ
やよい「プロデューサーに頭なでてもらうの久しぶりで、安心したのかもしれません……」ポロポロ
P「そうか……」
やよい「今までプロデューサーのためにって頑張ってきたからずっと褒めてもらいたかったのかも……」ポロポロ
P「ゴメンな……」ナデナデ
やよい「あの日もこうやってなでてくれましたよね……」
やよい「もう少し、このまま撫でてもらっててもいいですか?」
P「わかった……」ナデナデ
P(俺は目の前の小さな女の子の頭を撫でてやることしかできない自分を情けなく思えた)
―――――
やよい「ありがとうございました!プロデューサー!元気でました!」
P「よかった! 勉強頑張れよ!」
やよい「はい!」
P「あと、ひとつ聞きたいんだが、765プロのアイドルってもう皆辞めていくのか?」
やよい「いえ、皆さん最前線で活躍しているトップアイドルなのでまだまだやめないと思います!」
P「そうか……」
やよい「あっ、でも一人……」
P「ん……?」
やよい「一人だけ、あなたの前に現れる人がいるかもしれません」
やよい「その時は…… 優しくしてあげてくださいね」
P「うん、わかった」
やよい「じゃあ、さようなら!」
P「さようなら」
テクテク
クルッ
タッタッタ
P「えっ?」
チュッ
やよい「えへへ…… ありがとうございました!」ガルーン
P「あっ…… うん……///」ボー
ガラガラ
タッタッタッタ
やよい(さようなら、私の初恋)
P「……」ボー
P「俺は昔どんな人間だったんだ……?」
P(頬がまだ熱い……)サスサス
P(それにしてもあの子のいっていた『もう一人』って……)
数週間後
??(ここに来るのはいつぶりだろう)
??「すぅーー はぁーーー」
コンコン
??「失礼します」
P「えっと……君は…… 萩原さん?」
雪歩「っ!?」
雪歩「なんで……?」
P「えっと…… 誰かがもう一人来るかもしれないって言ってたから…… 資料眺めてたんだ」
雪歩「あっ…… そうですか」
P「ん?誰から聞いたんだっけ? まぁいいか」
雪歩「体調はどうですか?」
P「うーん…… 前まで出来てたはずのことができなくなっててイライラすることはあるけど……それ以外は普通だ」
雪歩「よかった……」
P「萩原さんも引退するのか?」
雪歩「えっと、それは……」
雪歩「まだ決めかねてるんです」
P「どうして?」
雪歩「私がやめるとたくさんの人に迷惑がかかっちゃうから」
P(ん? なんだろうこの気持ち……)
雪歩「でも、最近お仕事も減ってきて…… そろそろ潮時なんですかね?」
P「そんなことない!」
雪歩「!?」
P「……と思うぞ?」
雪歩「でも、私なんてダメダメで…… 昨日も私のミスで撮影遅れちゃったし……」
P「そんなこときにするなよ」
P「キミはもっとやれる……気がするんだ」
雪歩「でも……」
P「でも、キミが本当にやめたいんならやめればいい」
P「他の誰かなんて気にすることはないと思うんだ」
雪歩「プロデューサー?」
P「ってなんだろう、なんだか偉そうなこといってごめんな」
P「何故だか言葉が溢れてくるんだ……」
雪歩(それは紛れもない、あの頃のプロデューサーの言葉だった)
雪歩「じゃあ私、もうちょっと頑張ってみようと思います」
P「そうか! 頑張れよ!!」
雪歩「はい!」
雪歩「それと…… これ、受け取ってください!」
P「これは?」
雪歩「私たちのライブのチケットです!見に来てくださいね!」
P「うん! わかった!! 絶対見に行く!!」
P(そして、そのチケットに書かれていた日、迎えが来た)
小鳥「こんにちは~ 私はちょくちょくお見舞い来てたんだけど覚えてます?」
P「いえ……すみません」
小鳥「忘れられるのもなれてますよ! では、いきましょう」
P(たどり着いた席はなんだか特別な席のようだった)
小鳥「こんなに特等席で見られるだなんてなかなかありませんよ!」
P「はぁ……」
P(人が多いところは苦手だ。 知らない人ばっかりで)
ガコンッ
P「うわっ! 暗いっ!」
小鳥「大丈夫です! 始まりますよ!」
ワァァーーーー
P(なんだろうこの曲)
P(とっても心が躍る……)
P(そして…… とてもキラキラしてる)
ワァワァーーー
P(そこから先は夢中にステージを見入っていた)
P(気づいたら俺は…… 泣いていたようだった)
春香「今日はみんな、ありがとーーー!」
ワアアアアアア
P「終わり…… ですか?」
小鳥「ライブは終わりましたけど…… まだお楽しみはありますよ」
P「えっ?」
小鳥「楽屋へいきましょう」
小鳥「っていうかこれが今日のメインです」
P「でも、俺は何も覚えていなくて……」
小鳥「みんな、それを知った上であなたに会いたいと言ってるんです」
P「えっ……」
小鳥「あってあげてください」ペコリ
P「そんな、頭をあげてください」
小鳥「あなたが行くというまで頭をあげません」
P「わかった、行きます、行きますよ!」
小鳥「ありがとうございます」ニコォ
コンコン
小鳥「みんなお疲れー!」
亜美「おっすぴよちゃーーん!」
小鳥「あずささんとやよいちゃんもきてたんですか!」
ワイワイ ザワザワ
P「あの……」
シーン
美希「は、ハニー……」
支援(´;ω;`)ブワッ
P「えっと…… 皆さんのライブとても良かったです」
真「このステージの基礎をつくりあげたのは…… あなたなんですよ」
響「そうだぞ! だからそんな他人行儀な言い方はやめるさ!」
P「あっ…… えっと……」
美希「いつもみたいに!!」
P「えっ!?」ビクッ
美希「いつもみたいに『お疲れ!今日もよかったぞ!』ってほめてよ!!」
律子「美希っ……」
美希「その言葉を聴きたくてっ…… ミキはっっ……」
律子「やめなさいっ」
美希「あなたのために頑張ってきたんだよ!!」
P「っ―――――」
P(何かが……繋がった気がした……)
律子「ごめんなさい、プロデュー……サー?」
P「今まで苦労かけたな、皆」
支援(´;ω;`)ブワッ
美希「っ……!?」
P「お前たちは俺が言ったことをずっと守って、俺のために頑張ってくれてたんだな」
春香「プロデューサーさん……?」
P「ありがとう…… そして、ごめん……」
貴音「あなた様っ……!」
P「貴音は、貴音だけの魅力を持っていて…… それを突き通す姿がとってもカッコイイんだ」
P「いつも冷静沈着でお月様のようにみんなを見守っている、そんな貴音でこれからもいてくれ」
貴音「あなた、さまぁ……」ボロボロ
P「でも、ラーメンの食べすぎは気をつけろよ?」
P「響は…… 対照的に太陽のような笑顔が魅力だ!」
響「うん…… うんっ……」ボロボロ
P「人間も動物も皆引き寄せられるその笑顔でこれからも765プロを照らしてくれ!」
響「言われなくてもっ…… 自分は完璧なんだからなっ……」グスッ
P「亜美、真美」
P「お前たち、おっきくなったな」
亜美「にいちゃぁぁん」ポロポロ
真美「うぁぁぁん」ポロポロ
P「これからの765プロにはお前たちの若い力が必要不可欠だ!だから……」
亜美「わがってるよぉ」ポロポロ
真美「にいちゃんがいなくなっても頑張れるよぉぉ」ポロポロ
P「そうか、その言葉で安心したよ」
P「千早の歌は、もう世界の裏側にまで届くよ」
千早「でも…… たった一人に届かなければ……」ヒック
P「しっかり、届いてたぞ」
千早「ぷろでゅーさぁぁ」ボロボロ
P「ごめんな今まで……」
千早「ふぇーん」ポロポロ
P「あずささんは…… もう手を引いてくれる人を見つけたんでしたね」
あずさ「はい……」
P「これからはその運命の人と迷わないように手を取り合ってくださいね」
あずさ「はいっ……」ポロポロポロ
P「お幸せに」
P「やよいは…… クククッ」
やよい「なっ、なんですかぁ」ポロポロ
P「もっといい人見つけろよな!」
やよい「あうぅ……」ポロポロ
P「おつかれさん」
P「真は…… 熱くなると周りが見えなくなるところがあるからなぁ」
真「えへへ…… ボクだって成長したんですよ!」ヒック
P「そうだな…… 可愛くなったよ」
真「っ~~」ボンッ
P「美希…… ごめんな」
美希「ううん、謝らなくてもいいの。 今までハニーのおかげでがんばれてたんだから」
P「これからは…… 俺に縛られないで生きろ」
美希「うん……ハニーと話せてよかったの」ポロポロ
P「名実ともにスーパーアイドルになったな、伊織」
伊織「あったりまえじゃない」ポロポロ
P「お前もこれからの765プロをひっぱていかなければならない」
P「伊織ならできると信じてるぞ」
伊織「あったりまえ…… あったりまえよぉぉ」ポロポロ
P「律子…… お前には本当に迷惑かけたな」
律子「ほんとですよぉ」ヒック
P「これからも…… 俺たちの765プロを任せてもいいか?」
律子「まっかせてください!」ポロポロ
P「春香、お前はいつも無理しすぎるからな」
P「俺のせいでいっぱい無理しただろ?」
春香「へっちゃら…ですよぉ……」ポロポロ
P「そうか…… もう春香はトップアイドルだもんな!」
春香「はいっ!」ボロボロ
P「小鳥さんは早く結婚してください」
小鳥「ぴよっ!?」
P「皆、心配してますよ」
小鳥「もうっ! プロデューサーさんっ!」
P「ありがとうございました。貴女がいなければ今の765プロはなかったと思います」
小鳥「もう… ぷろでゅーさーさぁぁん」ポロポロ
P「雪歩……ほら、覚えてただろ?」
雪歩「プロデューサーっ……」ヒック
P「チケット、ありがとうな。また皆に会えたのは雪歩のおかげだ」
雪歩「いえ…… こちらこそ、感謝でいっぱいです……」ポロポロ
P「皆! 本当に輝いてた!」
P「お前たちは俺の人生の誇りだ!」
P「今日のステージは本当に最高だった」
P「みんな……あり…が……」ドサッ
「プロデューサー!?」
「救急車!救急車!!」
………………
…………
……
…
雪歩(プロデューサーはあれ以来私たちのことを思い出すこともなく)
雪歩(症状は急速に悪化していった)
雪歩(そして私は…………)
雪歩「ごはんですよー」
P「……」ボー
雪歩「またライブのDVDみてたんですか」
雪歩(プロデューサーをうちに引き取り)
雪歩(プロデューサーのお世話をしながらほそぼそと女優業は続けています)
雪歩(大好きな人と一緒に入れるのなら)
雪歩(これで私は幸せです……)
「……ゆき…ほ」
「あり…が…とう…… ご…めん……な」
『彼』の最後の言葉は彼女には届かないままだった
END
くぅ塚
最後グダった
今度からちゃんと最後まで考えてスレたてるわ
読んでくれた人サンクス
おやすみんごす
正直あずささんに帰り道教えるあたりがピークだった
ああいう雰囲気で終わらせたかった……
乙
このSSまとめへのコメント
病院であずささんと別れた所でガチで泣いた……
とてもいいSSでした!