P「おはよう、春香」
春香「!!」ビクッ
春香「ぷ、プロデューサーさん……」
P「どうしたんだい? 身体が震えているよ」
春香「こ、来ないでください目を合わせないでください」
P「ハハ、何を言っているんだよ」
春香「!」
春香(プロデューサーさんの匂い)
春香「う……」
春香「うわあああああああああ!!!」
プッシャァァァァァ!! ビクンビクン!!
P「春香……?」
春香「ハァ、ハァ……」
春香(うう、またイっちゃった)
春香(プロデューサーさんが近くに来るとこれだもんなぁ……)
P「様子が変だけど、何かあったのかい?」
春香「だ、大丈夫です、大丈夫ですから、あっちに行って下さい」
P「そんなこと言わないでおくれ。熱でもあるんじゃないのか?」ピトッ
春香「!!!!」
春香(いつの間にか近くに来られておでこを触られた!!
イケメンのみに許されるこの行為!!)
春香「は、はぁああああああああああああああん!!!!」
ビクンッ、ビビクンッ!
春香(もうイヤ……!)
春香「ふぅ、はぁ……」グッタリ
ガチャッ
真「おっはようございまー
P「ああ、真。おはよう」
真「福山雅治!?」
真「じゃ、じゃなくて、プロデューサーですか……春香、ぐったりしてるけどどうしたの?」
春香「まこ……と……」
真「……プロデューサー。また春香に近づいたんですね?」
P「おいおい、俺が何かしたみたいな言い方はやめておくれよ」
真「春香は特別プロデューサーの匂いに弱いんだから気をつけてくださいって、
何度も言ってるのに……」
P「参ったな……ハハ」
真「……」
真(……鍛え上げたこの肉体の強さで、なんとか表には出さないようにしているけれど)
真(既にボクは、この事務所に入ったときから三回絶頂を迎えているのであった──)
春香「うぅ……」グデー
真「……」モジモジ
真(パンツがぐちょぐちょになってるのがわかる。気持ち悪いよ……)
律子「……真、春香」
真「律子……いつの間に」
律子「何度も言ってるでしょ、対策もしないで直視するからこうなるのよ。
いーい、私をよく見てなさい」
P「さっきから三人でナイショ話かい? フフ、俺も仲間に入れておくれよ」
律子「大した話じゃありませんよ。そんなことよりプロデューサー、
今度のミニライブの件ですけど……」
P「ふんふん」
……
春香「……律子さん、プロデューサーさんと普通に話してるね」
真「うん。対策って言ってたけど、何かしてるのかな」
春香「……あ! み、見てみて真! 私、今気付いちゃった」
真「え!? なになに!?」
春香「よく見たら律子さん、いつものメガネじゃなくて……」
律子「……ですので、都合を見づけて会場に゛……」キラン
春香「サングラスをかけてる……!」
真「し、しかも、鼻栓までしてるみたいだよ! さっきからときどき声が変だ!」
春香「さすが律子さん……考えてるなぁ」
……
P「……なるほど、よしわかった!
いやぁしかし、律子は本当に頼りになるな」
律子「え……? あ、甘い声で何を言っているんですか?」
P「フフ……いつも助かってるよ、ありがとう」ニコッ
律子「……! ん、ん……」
律子「んほおおおおおおおおおおお!!!!」プッシャァァァ
春香・真「あー……」
春香「律子さん……」
律子「さ、さすがに耳に入ってくる声までは防げないわよ……んっ、はぁんっ……」ピクピク
真「まだ余韻に浸ってるみたいだ……」
……
P「さて、と……それじゃあ、やよいが来たらレッスンに」
ガチャリッ
やよい「おっはようございまーっす!」
P「おっと、噂をすれば……やよい、おはよう」
やよい「あ、ぷ、プロデューサー……えへへ、おはようございます」
春香「やよい! 気をつけて!」
真「プロデューサーに近づいちゃダメだ!!!」
やよい「え? なんですかーっ?」
春香「だって……あれ?」
やよい「?」
真「やよいは……なんともないのかい?」
やよい「なんともって……?」
春香「……やよいは、プロデューサーさんに近づかれても何も感じないの?」
真「こう、なんて言ったらいいのかな……身体がビクンビクンしてくるっていうかさ」
やよい「ビクンビクン?」
春香「……! ま、真。もしかしたらやよいはまだ、アレが来てないのかも」
真「ああ! そ、そっか……プロデューサーのフェロモンがバリバリ効いちゃうのは、
すでにアレが来ている女の子だけだもんね」
……
やよい「うぅー、ビクンビクンって言うのはよくわかりませんけど……えへへ」
春香・真「……?」
やよい「プロデューサーが近くにいると、私、身体がポカポカーってしてくるんです。
それに、胸の辺りがドキドキしてきて、なんだか……うっうー! って!」
春香「やよい! こっちに来なさい!」ガバッ
やよい「え!?」
真「プロデューサーの色気に毒され始めているんだ! このままじゃマズイ!」
やよい「そ、そんなー! なんでですかー!?」
P「それじゃあ律子、レッスンに行って来るよ」
律子「はい……事務所の留守番はまかせておいてください」
バタン
……
テクテク
P「……それにしても、音無さん、大丈夫かな」
春香「……」
P「事務仕事は俺と律子でなんとか回してるけど、
鼻血出して出血多量で入院って、普通じゃないもんなぁ」
P「今度お見舞いに行ってみようか」
やよい「はいっ! 私も、それがいいかなーって
春香・真「やめてあげてください!!!!」
P「え!?」
春香「お見舞いなら私達が行きますから! プロデューサーさんは何もしないでください!」
真「小鳥さんを殺す気ですか!!!?」
~レッスンスタジオ~
春香「ふぅ……」
真「ようやくレッスン開始だね。ここならプロデューサーも入ってこないから、安心だ」
やよい「あれ? あそこにいるのは……」
美希「……けほっ、こほっ」
先生「み、美希ちゃん、大丈夫?」
春香「美希?」
真「先客がいたみたいだね。でもどうしたんだろう、様子が変だけど……」
先生「ほら、つかまって……救護室に行きましょう」
美希「はいなの……うぅ、気持ち悪い……」
春香「美希、どうしたの?」
美希「あ、みんな……」
真「具合が悪そうだけど、風邪でも引いたのかい?」
美希「……。それがね……」
……
真「……なんだって!!?」
美希「……うん。たぶん、そうなの。先月から来てないから……」
春香「み、美希が……」
「「「妊娠した……!?」」」
イケメンの定義
1.半径1メートル以内に近づいた女が突然潮を噴出す
2.目があった女は頬を真っ赤にしよだれをたらしながら腰を振り出しガクガクと痙攣したようにその場にうずくまる
3.話しかけた女の呂律が一切回らなくなり母乳を噴出しながら後ろに倒れブリッジ姿勢で耐える
4.歩くと隣を通過した女がオーガズムに達し奇声を発しながら転げまわる
アイドルの美少女力を持ってしても対抗することは出来なかったか…
春香「ちょっ、ちょちょ、ちょっと待って美希! 相手は誰なのよ!?」
美希「……プロデューサー」
真「な……!? プロデューサー、ついに美希に手を出したのか!?」
美希「ち、ちがうの! ミキはプロデューサーには何もされてないから!」
春香・真「へ?」
美希「あのね、ミキ、前にこんな夢を見たんだ……」
……
美希『うぅーん……むにゃむにゃ……』
P『美希……』
美希『あれ? プロデューサー?』
P『宿せ、俺の子を……』
美希『え……?』
美希「それからかなぁ、アレがピタっと止まっちゃったの」
真「そ、想像妊娠……?」
春香「これはもう呪いね……」
春香(そういう夢には、私にも覚えがあります。
プロデューサーさんと五分以上ふたりきりで話した日は、十中八九そういう夢を見てしまうのでした)
美希「えへへ……ミキ、この子を産むよ」
真「美希……本気かい?」
美希「うん。望まれて出来た子じゃなくても、この子は間違いなくミキの子だから」
春香「あ、アイドルはどうするのよ!?」
美希「そ、それは……」
春香「……そもそも、美希……。それはね、本当の子供じゃないんだよ?」
美希「な、なんでそんなこと言うの!?」
真「美希! 聞くんだ! それは想像妊娠といって、ちゃんと病院にいけば──」
美希「ヤ! 聞きたくない! ミキはこの子を愛してるもん!」タッ
春香「ああっ! 待って、美希!」
真「くそうっ、もう母性本能が目覚め始めてるのかっ!!」
タッタッタ
美希「ハァ、ハァ……」
美希(春香も真くんも、お祝いしてくれるって思ってたのに……!)
ガチャッ……
春香「……美希! ダメ、お願いだから待って!」
美希「待たないのー!」
真「トビラの向こうには、プロデューサーが──……」
美希「え……」
P「……あれ? 美希じゃないか」
美希「!!!!」
P「どうしたんだ、そんなに慌てて──……」
美希「あ、あ、ああ……!! うわあああああああ!!!」
ビクンビクンッ!!!
美希「ヒッヒッフー……ヒッヒッフー……!!」
<オギャー オギャー……
春香「……トビラの向こうから、産声が聞こえる」
真「生まれたんだね……」
春香「……」
真「……」
やよい「あの……」
春香「……レッスン、しよっか」
真「そうだね……」
~765プロ事務所~
P「ただいま戻りましたー」
律子「お帰りなさい」
P「おや、律子。マスクにサングラスにヘッドホンまでつけてるけど、どうしたんだ?」
春香「律子さん、まるで不審者ですよ、不審者」
律子「こうでもしないと、まともに業務が出来ないからね……あれ?」
美希「バーブー」
律子「……美希?」
美希「りっちゃ、りっちゃ!」キャッキャ
律子「……」
真「……見ての通りさ」
春香「生まれたんですよ、美希の中で、何かが」
律子「そう……おめでとう、美希」ナデナデ
美希「キャッキャ!」
やよい「えへへ、はい、美希さん……じゃなくて、美希ちゃん! ガラガラですよー」
ガラガラ……
美希「がーがー! がーがー!」パァァ
やよい「うっうー! かーわいいですーっ!」
……
P「それにしても、なんだか大変だったな」
春香「誰のせいだと思ってるんですか……」
真「そうですよ! それもこれも、プロデューサーがイケメンすぎるからいけないんだ!」
P「おいおい、何言ってるんだよ。俺なんて、ごく普通の顔だろ?」キラッ
真「えっ!? 藤木直人!?」
春香「ちがうよ真、プロデューサーさんだよ」
真「あ、ああ、そうだったね……」
律子「あんたたち、さっきから普通に話してるけど、
おまたから汁ダダ漏れだからね。ちゃんとあとで掃除しておきなさいよ」
春香「……それじゃあ私達、もう帰りますね」
P「みんな、車で駅まで送っていくよ」
春香「だ、大丈夫です。事故に合いたくなければ私達のことは放っておいてください」
P「でも……」
真「いいからいいから、それじゃ、お疲れ様でしたー! ほら、やよいも行くよ!」
やよい「あう……でも、美希ちゃんが……」
美希「やーよー……」
真「また明日、事務所で会えるから、ね!」
やよい「はい……」
……
P「……みんな、帰ったか」
律子「……」
P「なぁ、律子。俺、ちょっと相談があるんだけど……律子? おーい」
律子「え? ああごめんなさい、ヘッドホンしてたから聞こえなかったわ。
それで、なんですか?」
P「実はさ……」
律子「……みんなに、嫌われるんじゃないかって?」
P「ああ……」
律子「……はぁ~~~」
P「な、なんでため息つくんだよ。というか、背中向けてないでこっちを見て話してくれないか」
律子「それは無理です」
P「どうして……」
律子「いいですか、プロデューサー殿。あなたはもう少し、自分のことを理解するべきかと」
P「自分のこと?」
律子「そうですよ、あなたは、普通じゃないんですから」
……
律子「──この世の中には、イケメンと呼ばれる怪異が存在しています」
律子「イケメンっていうのは……>>40で書かれているようなものね。
それが、プロデューサーなんですよ」
P「な、なんだって……!?」
律子「でも少なくとも、いくつか身に覚えがあるでしょう?」
P「……、」
P「確かに、学生時代からそうだった……」
P「小学校高学年くらいからずっと、俺のまわりにいるクラスの女子とかはみんな、
常によだれを垂れ流していた」
P「高校の全校集会のときも気が付けば立っているのは男子だけだったし、
大学の講義中なんかは、俺のまわりには女子は誰も座らなかったんだ……」
律子「プロデューサー……」
P「だから俺、これまでろくに女子と喋ったこともなくて……」
律子「……、」
律子(──イケメンゆえの、悩み、か……)
P「……そうか、それだから俺は、アイドル達とも
ろくにコミュニケーションが取れないままでいたんだな」
律子「……決して、嫌われているわけではありませんよ。
ただ、あの子達もそういう年頃だから、困惑してしまうだけ……」
P「なぁ、律子。俺、どうしたらいいかな……
こんな俺は、アイドルのプロデューサーなんて向いてないんじゃないか?」
律子「まさか……やめるとでも言い出すんですか?」
P「……みんな迷惑をかけるくらいなら、いっそのこと……」
律子「……」
律子「……馬鹿ね。イケメンとはいえ、考えることまでは完璧じゃなかったみたい」
P「え?」
律子「いいですか、プロデューサー殿。あなたの存在が迷惑だなんて、誰も思っていませんよ。
それは私が保障します」
P「で、でも、実際みんなは、たまにビクついてたりするじゃないか!
今までは大きな事故もなかったけど、もしこれから先、ステージの上でそんなことがあったら」
律子「あの子達を馬鹿にしないでください。ああ見えてもプロなんですから、
ステージに立っているときにそんなヘマはしませんよ」
律子「雪歩だって、訓練だって言ってライブ中はずっとローターを装着してる。
……あなたを765プロのプロデューサーでいさせるために、努力してるんです」
P「……」
律子「……プロデューサーがみんなの為に毎日頑張ってくれてるのは、
アイドル達全員が知っているのよ。だから、自信を持ってください」
律子「自分はここにいていいんだ、って……」
P「り、律子……」
ポロポロ……
P「あ、あれ? なんだろう、涙が……う、嬉しくて、つい……」
律子「ふふ……まるで子供ね……」
P「……へ、へへ……ありがとうな、律子……」ポロポロ
律子「い、いえ……」
律子(……今の私は、万全の装備を身につけた上で背中を向けているから、
なんとかたまに絶頂を迎えるくらいで済んでいるけれど)
律子(もし、涙を流している今のプロデューサーを直視したら、大変なことになりそうね……)
……
一方その頃、事務所の外……
テクテク
小鳥「……ふふ、ようやく退院出来たわ」
小鳥「思えば長かった……プロデューサーさんと三秒目を合わせてしまったあの日から、
私はずっと病院のベッドの上で寝て過ごしていたのよ」
小鳥「みんな、どうしてるかなぁ……元気でアイドル活動をしているといいんだけど」
テクテク
小鳥「はあ、ふう……この階段を上るのも久しぶりね。やっと着いた……」
小鳥「一応、退院の挨拶をと思って事務所に来たけど、
もうこんな時間だし、みんな帰っちゃってるかしら?」
小鳥「あ、でも、律子さんならいるかな?
ふふ、よーっし、それじゃあ、こっそり入って驚かせちゃおーっと……!」
ガチャ……
小鳥「……」ソローリ
チラッ
小鳥(……あ、いたいた、律子さん……あれ?)
小鳥(パイナップルのおかげでかろうじてあの人が律子さんだっていうのはわかるけど、
どうして律子さん、あんな格好をしているのかしら。まるで不審者ね)
小鳥(それに、なんだろう……)
クンクン
小鳥(──この、事務所内に広がる、むせ返るような雄♂の香りは)
小鳥「……、……──」
小鳥「……っ! や、やばい、今一瞬、意識がトんでた……!
なに? 事務所でなにが起こっているというの……!?」
P「……あれ? 音無さんじゃないですか」
律子「え!?」
小鳥「あら、プロデューサーさ
小鳥(──それからの記憶はない)
小鳥(涙で顔をぐしゃぐしゃにしたイケメンが、そこにいた。
そこまでは覚えている。でも、気が付いたら私は──)
……
小鳥『……あれ? 河の向こうにいるのは……おばあちゃん!? おーい!』
小鳥『おばあちゃーん! あたしよー、小鳥よー!』
小鳥『え? なになに? 来るな、って……なんでー!?』
小鳥「く、くかき……」
P「お、音無さんっ!?」 律子「プロデューサー! 近づいちゃダメ!」
小鳥「くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこきくかくけけ
こかくけきかこけきかくくくききかきくこくくけくかきくこけくけくきくきこきかかか────ッ!!」
──バサァッ!
P「!? つ、翼が……」
律子「小鳥さん……鳥に……!?」
小鳥「アアアアアア────ッ!!!」
バサッ バサッ……
P「……」
律子「……」
P「……俺、明日から、マスクつけてくるよ。もうこんなこと、二度と起こさないために……」
律子「……ええ、そうしてください」
おわり
おわりです、お付き合いありがとうございました
どうしてもこれしかオチが思いつかなかった
結局やよいはどういう状態だったの?
>>80
やよいはまだアレが来ていないから、Pのフェロモンが半分しか効いてなく、
ちょっと心拍数が上がっていただけです
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