男「今回の裁判での論点は、近年流行り出した伝染病の特効薬の副作用がどの程度かということですね」
上司「ああ、君の初裁判だからぜひ花を持たせてやりたい」
上司「何しろ君は十年に一度の逸材、うちの期待の新人だからな」ハッハッハ
男「薬学の知識は皆無なのですが大丈夫でしょうか?」
上司「今から積み込むしかないだろう。本は借りてきてやった」ドサッ
男「うっわ……これぜんぶ読むんですか」
上司「当然だ。死んだ被害者の家族の無念をはらすため頑張るんだろ?」
男「うぐぐ……」
上司「そうそう、秘密兵器を用意しておいてやったぞ」
少女「…………」
男「秘密兵器? この子が?」
上司「うむ、可愛いだろう。長期に渡り彼女に投薬を続け、その衰弱の過程を記して証拠として突きつけてやればいい」
少女「…………?」キョトン
男「そ、そんな非人道的なことが許されるんですか?」
上司「問題ない。健康に害はないとされている薬じゃあないか」
上司「大量に接種させるわけでもない」
男「しかし……」
上司「殺すわけでもない、大丈夫だ。勝つために手段は選ぶな」
男「でも……かなり非難されますよ」
上司「非難が怖くて弁護士が務まるもんか。いざとなればお菓子と間違えていたようだとでも言えばいい」
上司「一部の団体から嫌がらせは受けるだろうが……法律としては何ら問題ない」
男「それでも割り切れませんよ、こんな罪のない子に……」
上司「これはな、君の甘さを断つための試練でもあるんだ」
上司「あの子の世話はお前に任せたぞ。たまに事務所に連れてきてくれ」
男「は、はい」
上司「……余計な情は持つなよ」
男「…………」
上司「今日から記録をつけてくれよ」
上司「問題の薬をとりあえず一ヶ月分渡しておく」
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