穂乃果「穂乃果から愛をこめて!」 (36)

穂乃果「う、海未ちゃん!」

海未「何ですか?」

穂乃果「今日は何の日か知ってるかな?」

海未「えーっと……何の日でしたっけ」

穂乃果「……もらう側は余裕そうだね」

海未「?」

穂乃果「とにかく! 今日は放課後空けといてね!」

海未「いつも空いてますが……」

穂乃果「知らなかった」

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穂乃果(あー……きっと海未ちゃんいっぱいチョコもらうんだろうなぁ)

海未「どうしました?」

穂乃果「なんでもないよーだ」

海未「……穂乃果、怒らせてしまいましたか?」

穂乃果「え、あ、そうじゃなくて……」

穂乃果「別に怒ってないよ、ごめんね」

海未「そうでしたか……よかった」

穂乃果「放課後、楽しみにしててね」

海未「はい」

穂乃果(……流れでこう言っちゃったけど、どうしよう)





海未「えっ? これ全部私に?」

ことり「うん、後輩の子とか……花陽ちゃんと凛ちゃんのもあるよ」

海未「2人もくれたんですか……ですがくれた人がわからないとなるとお返しができませんね」

穂乃果(あ、あんなにたくさん……)

穂乃果(でもライバルがいる方が燃える……!)

穂乃果「……あとは渡す勇気さえあればなぁ」

穂乃果(簡単に放課後の約束しちゃったけど……まだ覚悟が)

海未「そういえば今日はバレンタインでしたね」

ことり「だから……私からもチョコ、どうぞ!」

海未「ありがとうございます。ホワイトデーには何を返しましょうか……」

ことり「私は海未ちゃん自身がリボンをつけてきてくれれば……」

海未「リボンですか? 似合いますかね……?」

ことり「海未ちゃんは何でも似合うにきまってるよ!」

海未「そうですか?」

ことり「もちろんっ!」

ことり「……ね、穂乃果ちゃん」

穂乃果(ことりちゃん……がんばれってことだよね)

穂乃果「よーし……」

海未「……」





海未「どうしましょう……穂乃果に嫌われてしまったかもしれません」

希「あらら、どうしたん。かわいい顔が台無しやで?」

海未「うぅ」

希「はい、ハンカチ」

海未「ありがとうございます……」

絵里「穂乃果が海未を嫌うなんて……ねぇ?」

希「そうやなぁ……普通は考えられないよなぁ」

海未「チョコくれないんですよ」

希「なるほど」

絵里「……穂乃果ねぇ」

海未「うわーん」

希「よしよし」

絵里「放課後呼ばれてるんでしょ? その時に……って言っていいのかしら、これ」

海未「はっ……ということは私に別れを切り出すため……!?」

絵里「どこに別れる要素あったのよ」

希「もっと明るく考えよ?」

海未「お先真っ暗です」

絵里「今はもうネカディブまっしぐらだから何言っても仕方ないのかもね」

希「えりち大人やな」

絵里「私はもらってるからね」

希「……えっ」

絵里「ん?」

希「だ、だれから?」

絵里「生徒会の子」

希「……海未ちゃんどうしよう、ウチ出遅れたみたいや……」

海未「希……」

絵里「何2人で盛り上がってるの、私も混ぜなさいよー」

希「えりちのうらぎりものー……」

絵里「?」




海未(穂乃果……毎年いつも、だれよりも早く渡してくれたのに……)

海未「はぁ……」

ことり「どうしたの海未ちゃん、元気ないよ?」

海未「ああ、なんでもないんですよ」

ことり「……そっか」

海未(くっ、私に勇気さえあれば……)

海未「……私のヘタレ」

穂乃果「!?」

海未(そういえば最近穂乃果が冷たかったような……)

海未(用事があるからーとか、今日は急いでるからーとか)

海未(いつもはことりと一緒に作ってるのに今年はことりしかくれない……)

海未「はぁ……」

穂乃果「……」

ことり「……放課後、はやく来ないかなぁ」




真姫「私にチョコ?」

凛「うん! かよちんと凛、2人で作ったチョコにゃー」

花陽「お口にあうといいんだけど……」

真姫「ん、ありがたくいただくわ」

凛「おお、真姫ちゃん素直?」

真姫「べ、別にそういうわけじゃなくって……」

花陽「ありがとう真姫ちゃん」

真姫「……はいはい」

凛「実はね、このチョコ特別製なんだよ」

真姫「ふーん」

凛「あれ? 興味なさげ……」

真姫「教えて、って言っても教えてくれないんでしょ?」

凛「もちろん!」

真姫「だったら無駄に詮索する必要はないわ」

花陽「……真姫ちゃん」

真姫「なによ」

花陽「あ、何か言っちゃった?」

真姫「私の名前、呼んだじゃない」

凛「もしかしてかよちん、うれしい?」

花陽「え、あ……うん」

凛「やっぱりー」

真姫「何がうれしいって言うの?」

花陽「それはそのー……真姫ちゃんが気づいてないならいいかなー、なんて」

真姫「?」

凛「真姫ちゃん、そんなに大事そうに持ってたら溶けちゃうにゃ」

真姫「あ」

花陽「り、凛ちゃん!」

真姫「……そういうこと」





にこ「はい、今日は私から特別なプレゼントがありまーす」

絵里「何? まさかチョコ?」

にこ「……そこはボケるところでしょ? ねー、穂乃果」

穂乃果「……」

にこ「……?」

ことり「に、にこちゃんってお菓子作りもできたんだぁ」

にこ「もちろんよ。それでみんなにあげようと思ったんだけど、ことりも?」

ことり「うん、みんなにはいっぱいお世話になってるから」

ことり「でも多く作りすぎちゃって……」

希「ふふふ、大丈夫やで。その気になればウチが全部食べるから」

凛「凛もー!」

絵里「ふふ、みんな食いしん坊ね」

海未「……」

花陽「海未ちゃん大丈夫? つらそうだけど……」

海未「大したことはありません」

真姫「絶対嘘でしょ、それ」

凛「穂乃果ちゃんからチョコもらってないから心配なんじゃないかにゃー?」

海未「」

穂乃果「」

絵里「凛、あなた……」

希「……恐ろしい子っ!」

凛「?」

にこ「とーにーかーく、ありがたく思いなさい。そして3倍返しで頼むわね」

花陽「……量かな?」

にこ「なんでそうなるのよ」




絵里「おいしい……口の中に広がるまろやかな苦味……そして後から来る甘味!」

にこ「でしょ?」

絵里「いや、ことりのだけど」

にこ「何よもう……」

希「うーん! これは何個でもいけそうやな」

にこ「1人3個って言われたじゃない」

ことり「にこちゃんも、はい……あーん」

にこ「あーん……」

にこ「……おいしい」

凛「それは凛たちの」

にこ「ややこしい!」

にこ「……ていうかこれってアルコール入れてない?」

花陽「アルコール濃度はすごく低いから、たくさん食べなければ大丈夫って書いたあったよぉ」

にこ「まぁそんなものよね、こんなので酔うわけ……」

真姫「……」

希「真姫ちゃん目が据わってるやん」

真姫「……ろんなわけないれしょ」

ことり「酔ってる……」

花陽「ご、ごめんね真姫ちゃん……横になった方がいいのかな?」

凛「こういうときはお水を……」

真姫「りん」

凛「なに?」

真姫「はなよ」

花陽「えっ?」

真姫「……だいすき」

凛「!?」

花陽「ま、真姫ちゃん!?」

にこ「デレた」

希「デレた」

真姫「……ふふふ」

ことり「え、絵里ちゃん見た……?」

絵里「ええ……真姫があんな風に笑うなんて」

希「よーし、この隙にえりちの鞄にチョコをしのばせて……」

絵里「真姫、もう1回笑ってみて」

真姫「なんれよ」

ことり「1回だけだから!」

真姫「いやよ」

絵里「そこをなんとか」

ことり「まだチョコのストックがあるよ!」

絵里「真姫食べて」

にこ「……本当に気付いてないわよ」

希「……渡そうと思ってなかったハートマークの方入れよか」

花陽「……そういえば海未ちゃんと穂乃果ちゃんは?」

凛「さっき屋上に行くって言ってたけど……2人きりにしたほうがいいよね」

花陽「そうだね」





穂乃果「海未ちゃん、受け取ってほしいものがあります」

海未「……はい」

穂乃果「こ、これです!」

海未「……ノート、ですか?」

穂乃果「あっ、間違えた……えっと、これ!」

海未「……これはまさか」

穂乃果「チョコです……」

海未「穂乃果……ありがとう」

穂乃果「ゆ、勇気が出なくって遅れちゃったけど……」

海未「でもどうして今年だけ?」

穂乃果「……初めてだから」

海未「え?」

穂乃果「初めて1人で作ったから……自信なくて」

海未「……そうでしたか」

海未「食べてもいいですか?」

穂乃果「い、いいよ」

海未「では遠慮なく……あ」

穂乃果「あ! 割れちゃってる……」

穂乃果「せっかく作ったのに……」

海未「……じゃあ2人で半分こにしましょう」

穂乃果「えっ?」

海未「ふふ、出来が悪いものは食べたくありませんからね。穂乃果には毒味をしてもらいましょう」

穂乃果「えへへ……海未ちゃんひどーい」

海未「渡すのが遅いからです」

穂乃果「もー!」

海未「はやく食べないと私が先に食べてしまいますよ?」

穂乃果「それもダメ」





真姫「……」

にこ「真姫ちゃんは酔うと恐ろしいわね」

希「今は寝てるからいいものの……」

凛「……」

花陽「……」

ことり「……」

絵里「……」

希「被害者は4人やな」

にこ「あんな無邪気な笑顔で『だいすき』とか言うんだからねぇ……」

希「にこっちうれしそうにしてたけど」

にこ「うるさいわね、希こそ骨抜きにされてたじゃない」

希「そんなん幻想やもん。ウチはえりち一筋やし」

絵里「え?」

希「しまった」






      おわり

間に合った
ほのうみ(ryは近日投下予定
時間とれなくてすまん

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