わたし「ばれんたいんでー?」 (8)

わたし「人類がゆるやかな滅びを得て幾百年。ついにわたし達は母なる星の代表的種族ではなくなり、旧人類と呼ばれるようになりました」

わたし「今や新たな人類は妖精さんと呼ばれる小さな人。ふしぎで、色々できて、卓越した技術力を持つちょっぴり間抜けな甘いもの大好きさんです」

わたし「そして、わたしは旧人類と新人類の間を取り持つ役目を与えられた、国家公務員の調停官などをやっとります」

わたし「ああ……今日は2月14日。なにやらあま~いイベントがあったような気がする」

わたし「そう、確かバレンタインデー! ええ、学舎時代にそんなイベントがあるようなないようなことを、本で読んだ気がしないでもない」

わたし「えーっと、灰色の脳細胞をフル活動させるに、確か>>4を異性にプレゼントするでしたね」

処女

わたし「そうそう、確か処女をプレゼントするんでした」

Y「ちょーっと待った! 冷静になって考えてみろよ」

わたし「わっ。いつの間に」

Y「いつもなにも最初からいたじゃないか。今日はこっちで仕事があるもんだからさ」

わたし「じゃあ、なんでここでサボってるわけ?」

Y「アンタは知らないかもしれないが、バレンタインってのは女子が集まって何かする行事なんだよ」

わたし「異性に処女をプレゼントする行事でしょ」

Y「待て待て待て。誕生日一緒の人が山ほど増えるだろ、それ」

わたし「そうとも限らないと思うけれど」

Y「全く下品この上ないな。……フッ、下品なのにこの上ないと?」

わたし「ひとりで笑ってる……」

 Yは自爆していましたが、わたしには面白さが一切伝わりません。

わたし「ともあれ処女ですよ。Y、あなたはバレンタインを利用して処女をあげたい人とかいないんですか?」

Y「私か? いや、生憎だがリア充の調停官ではないもので」

わたし「それってわたしのこと?」

Y「ああ、アンタ以外に誰がいるって言うんだ。自分の事務所に男を二人も囲っておいて……にくい女!」

わたし「男を二人って、おじいさんと助手さんでしょーが」

 助手さんはともかく、おじいさんはいわば身内の人間。
 おじいさんが“囲っている”人間にカウントされるのだとすれば、大家族など年中ハーレムなわけです。
 いえ、大家族など今の世の中では幻想ですが。

Y「ま、私はバレンタインを利用して子作りを奨励する目的でこっちに来たんだ。協力してくれよ、現地調停官さん」

わたし「うーん……まあ、里の便利屋さんとしては断る理由がありませんね」

Y「そうだそうだ。あと、国家公務員ではなく国際公務員な」

わたし「はいはい。で、手始めに何をするんです?」

Y「>>11

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