女「あはは……男くんのニオイだぁ……♪」(56)

女「えへへ、すっごぉい」

男「あー緊張する……」

女「どうして?」

男「部屋に女の子入れるの初めてだからさ……」

女「そうなんだぁ……えへへ、良かったー」

男「何が?」

女「男くんの初めての人で♪」

男「そ、その言い方はなんだか……あはは」

男「まあ、ゆっくりしてよ」

女「うん、しちゃうしちゃう!」

男「お茶持ってくるから、ゆっくりしておいて」

女「はーいっ」

がちゃっ

女「……ふふ、行ったね」

女「それじゃあ、お部屋の検査しちゃおーっと!」

女「でもでも……すーはー……」

女「うふふっ、いいにおい~」

女「体がぜーんぶ男くんのニオイになっちゃうよぉ……」

女「えへへ、床も……壁も……」

女「もちろん机もっ!」

女「はぁはぁ……よ、ヨダレ止まんなーい……」

女「ハッ! イケナイイケナイ」

女「目的を見失いそうになった! えへへっ」

女「男くんのお部屋は何があるのかなー?」

女「まずは……ベッド!」

女「むむっ!」

女「うはぁっ、男くんのベッドぉ……すっごくいいにおいっ」

女「こうやって毛布に包まったら……」

女「うひゃぁ……幸せなにおいぃ……」

女「もうこのまま死んじゃいたいよぅ……」

女「枕! うわああああ!」

女「スゴイスゴイっっ……このまま持ち帰って使いたいくらいっ!」

女「あぅ……幸せぇ」

女「べ、ベッドで悶え死にそう……」

女「って、このままじゃイケナイよ!」

女「で、でもこの中から出られそうにない……」

女「ど、どうしよう……うぅ」

女「ベッドの下ー!」

女「むむむ、エッチな本無しかぁ」

女「あれれーここにはないのかなぁ?」

女「もしかして、男くんは私に一途なのかなぁ……あははっ」

女「それならすっごく嬉しいなぁ」

女「でも……まだ告白もキスもしてないのに」

女「もしかして、今日は特別な日になっちゃうかも……?」

がちゃっ

男「おまたせー」

女「うわっ!? お、おかえりなさーいっ!」

男「あれ、汗かいてる?」

女「ええ?」

女(はうっ、さっき毛布に包まってたから……)

男「熱があるのかな?」

女「だ、大丈夫だよ! 全然! むしろ元気だから!」

男「そっか、良かった」

女「えへへ……だから気にしなくていいよ?」

男「気にするよ。だって俺の家だし」

男「女ちゃんに何かあったら大変だもん」

女(はうっ、男くん素敵な台詞……駄目だよぉ)

男「とりあえず、お茶」

女「うんっ!」

女「こ、これって男くんが使ってるコップ?」

男「そうだよ。お客様用は母さんの用事で使っちゃったからさ」

男「ごめん、嫌だったかな?」

女「ううんっ! 全然っ!」

男「……女ちゃん?」

女「な、なに?」

男「ヨダレ垂れてるよ?」

女「!」じゅるっ

女「にひひっ気にしなくていいよー」

男「う、うん」

女「いただきますっ」

ゴクッゴクッ

女「んっー美味しいー!」

女「これ、男くんが入れてくれたでしょ?」

男「えっ、どうしてわかったの?」

女「うふふわかるよー」

女(すっごくわずかだけど、コップに温もりが残ってるからね♪)

男「あはは、凄いなぁ」

女「えへへ、だって私男くんのこと……」

男「!」

女「こと……琴の音色が聴きたいなぁ~」

男「あはは、俺、琴弾けないよ」

女「あ、そ、そうなんだ! 残念!」

女(うわうわぁぁ……今の完全なるミスだよ! 何してんの自分っ!)

男「……そ、それじゃあ」

女(あうっ、ついにこの時が?)

女(ううっ、私、大人になっちゃうんだ……男くんので……)

女「うんっ、準備できてるよ」

男「じゃあ、早速」

ゴソゴソっ

女「きゃっ……」

男「どうしたの?」

女「な、なんでもないよー」

女(なんてうまくいくわけないよねー)

女(今日は勉強教えてあげるだけだし……期待しすぎだよ私……)

女(でも、これでくっついても大丈夫だよね?)

男「よいしょっ」

女「!?」

女(ななな、真ん前!?)

女(これじゃあ密着できない!)

女(あうう、男くん気を遣いすぎだよぉ)

女(私なんてボロ雑巾くらいに思っててくれてもいいのにぃ)

男「うーん、早速わからないや」

女「どこどこ?」

男「ここなんだけど……」

女「えーっと……」

女「!」

女(うわわぁ、男くんの文字可愛いっ!)

女(男の子らしいけど、ちょっとふにゃってしてて……うふふっ)

女「え、えっとね、ここをこうして……」

男「おお、なるほど」

女「で、こうすればオッケー!」

男「うわーわかりやすい! 女ちゃん教え上手だね」

女「えっ……そ、そうかなぁ……」

女(誉めるの上手だなぁ)

女(えへへ、男くん、私が誉められて伸びるタイプってわかってくれてるんだぁ……♪)

男「あ……ごめん、ちょっとトイレ行くね」

女「あ、うんっ」

がちゃっ ばたんっ

女「ふふふ……」

女「次はクローゼット開けちゃうぞぉ」

女「えへへ、きっとクローゼットもお洋服がいっぱいで」

女「男くんのニオイもいっぱいいっぱいなんだろうなぁ♪」

女「さてさて……ふふふっ」

女「オープンっ!」

バサバサバサッ

女「……」

女「……」

女「……」

女「……」

女「……」

女「……」

女「……」

女「……」

女「……」

女「……」

女「……」

女「……え?」

女「なにこれ……このピンクの……」

女「女の人が写ってる……」

女「あれれー……」

女「どうしてこんなのがあるのかな?」

女「あれ?」

女「おかしいなぁ」

女「男くん言ったはずだよねぇ?」

女「女の子を初めて部屋に入れたって、言ってたよねえ?」

女「じゃあこの女の子達はなーに?」

女「どうして半裸で男くんを誘惑してるのかなー?」ビリビリッ

女「んー嫉妬なんてダメだよー!」

ビリビリッ

女「もう、私ったらいけない!」

ビリビリッ

女「なんか一瞬自分が自分じゃないみたいだったなぁー」

ビリビリッ

女「よーっし、気を取り直して……」

ビリビリッビリッ

女「クローゼットを調べよー!」

女「……あれれー?」

?「……」

女「誰かな?」

?「……お兄ちゃんの、友達?」

女「こんなところで隠れてなにしてるの?」

妹「わ、私、妹ですっ。お兄ちゃんの友達が来るって言ってたから」

女「どうして女の子がいるのかなぁ?」

妹「あ、あの……」

妹(し、視線を合わせてくれない……)

女「男くん嘘つきだなー」

妹「あの……」

女「黙ってくれるかな?」

妹「あっ……ご、ごめんなさい」

女「ふーん……妹なの?」

女「確かに男くんに似てるなぁー」

妹「そ、そうですか?」

女「……でも女の子には変わりないよね?」

妹「っ……」

妹(もしかしてこの人……お兄ちゃんを取るつもり?)

妹(サセナイ……サセナイ……)

女「とりあえず、このゴミどうにかしないとね」

妹「な、なんですか?」

女「んー? ただのゴミだよ」

妹「……?」

女「妹ちゃんも、ゴミだよ?」

妹「!」

女「なんてね♪ 嘘嘘っ」

女「男くんの大事な妹さんだもんねー」

女「んー、ちょっとだけ男くんのニオイするし♪」

妹「……」

女「可愛い……でもね」

女「男くんは渡さないよ?」

妹「え、な、なに言ってるんですか……?」

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