モバP「プロデューサーになって、甘い汁を吸ってやる!」 (40)



P「ようやく、俺をプロデューサーとして雇ってくれる事務所が見つかった」

P「プロデューサーの権力で、アイドルとあれやこれやしてやるぜ……!」

P「しかし、それが事務所側にバレたら、クビになってしまう。外面は良くしないとな」

ガチャ

P「おはようございます。今日からよろしくお願いします!」




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千川ちひろ「おはようございますっ! 新しいプロデューサーさんですね? 話は聞いてますよ」

P「お世話になります。それで、さっそくですが、俺の担当するアイドルは」

ちひろ「いません」

P「はい?」

ちひろ「実はうち、つい最近発足した事務所でして……今、スカウトさんがアイドルを探してるところなんです」

P「そ、そうなんですか」

P(くそ、まさか新規の事務所だったとは! スカウトなんて待っていられない、俺が好みの子を連れてきてやる!)

P「なら、俺も探してきますよ、アイドルの原石を!」

ちひろ「え、ちょっと、プロデューサーさん!? ――行っちゃった」





P「さて、押しに弱そうで、可愛い子は……いた!」

P(制服を着てるし、学生だな。黒髪で長髪、そして一人。根暗で弱気に違いないっ)

P「よし、スカウトだ。……ん?」

「――ね、暇でしょ? 付き合ってよ」

渋谷凛「……暇じゃないから。どっかいって」

P「ま、まずい、先を越された!?」

P(いや、ひるんでどうする。俺は悪徳プロデューサーになる男、強引に割って入ってやれ)




「面倒くせえな、いいから来いよ!」

凛「痛っ、離して!」

P「その子は俺が先に見つけたんだぞ、離れろ!」

バキッ

「ぎゃ」

P「あ、やべ、勢い余って殴ってしまった!? ――おい、起きろって、悪徳でも、さすがに傷害沙汰はまずいって!」

凛「た、助けてくれたの?」

P「なに、なんの話? それより、こいつを起こすのを手伝ってくれよ!」

凛「……そいつは起こさなくていいと思う」

P「そ、そう? 俺、訴えられないかな?」

凛「訴えられても、私が証言してあげるよ」

P「マジで!? いやぁ、よかった……」

凛「……ありがと。そっちはその気がなかったかもしれないけど、助かったから」

P「お、おう」




P(待てよ、ちょっとパニックになってたが、そうえば、俺はこの子をスカウトしようとしたんじゃないか!)

P(しかし、彼女からすれば、俺は目の前で男を一人殴り飛ばしてるわけだし、印象が悪いかもしれない)

P(それにこの子、意外と気が強そうだ。ここは言葉を少なく、颯爽と去ってしまおう)

凛「その……お礼がしたいんだけど」

P「これを受け取ってくれ」

凛「これって、名刺……」

P「縁が会ったら、また会おう」

凛「え、だから、お礼――は、速い……」

凛「××プロダクション……アイドルの、事務所?」

凛「……アイドル、か」




ちひろ「すごいです、プロデューサーさん! 凛ちゃんを筆頭に、どんどん候補生をスカウトしてきちゃうなんてっ」

P「プロデューサーとして、当然ですよ」

P(頭に悪徳、がつくけどな……くっくっく)

P「こうもうまくいくとは、やっぱり今は悪魔が微笑む時代なんだ!」

ちひろ「わ、急にどうしたんですか!」

P「く、口に出てましたか! ほ、ほら、好きな台詞が、つい口から、ね?」

ちひろ「ふふ、おかしな人ですねっ」にっこり

P(悪魔じゃなくて、事務員を笑わせてしまったぜ)

ちひろ「そうだ、プロデューサーさんは、どの候補生を担当したいですか」

P「……そうですね」

P(やっぱり、色々したいから、複数がいいな。けど、多すぎると手が回らなくなるし)

P「三人のユニットで、順に――」




P「ようやく、担当アイドルを持つことができた……」

P「これで俺は、プロデューサーの権力を振りかざし、あれやこれやできるんだ!」

P「くっくっく、今日がユニットとの顔合わせだ。芸能界の厳しさを、味あわせてやらないとな」

ガチャッ

P「おはよう、諸君!」



凛「あ、あんたが私のプロデューサー?」 

本田未央「およ、どしたのしぶりん。なんだか焦ってない?」

凛「ちょっと驚いただけだから。それだけ」

未央「へー、ふーん、そーなんだ? ――あ、プロデューサーじゃん! よろしくねっ」

島村卯月「プロデューサーさんが担当だったんですか。一生懸命頑張りますから、よろしくお願いしますね!」

未央「あれ、しまむーもプロデューサーにスカウトされたの?」

卯月「未央ちゃんも? じゃあ、もしかして、凛ちゃんも……」

凛「私は、スカウトされたというか……お礼というか」

未央「おお!? これはなにかありそうですなー?」

P「おい、話を聞いてくれ」





P(俺好みの女の子を集めたユニットだ。楽しみで仕方がないぜ)

P「三人とも、トップアイドルになるためには、なにが必要だと思う」

未央「なんか、プロデューサーっぽいね!」

P「茶化すな! ほら、言ってみろ」

未央「やっぱり、ファンからの声援かな」

凛「本人の努力とか」

卯月「頑張ることですね!」

未央「しまむー、しぶりんと被ってますぜ……」

卯月「あ、ごめんね、凛ちゃん」

凛「別に気にしないけど」

P「話を聞けっての! どれもあるかもしれないが、もっとも大事なのは」

P「お前たちに仕事をとってくる、プロデューサーへの、ま――」




P(待てよ。枕営業って、俺が仕事を渡すから、成立するんだよな)

P(今の俺は新米だし、渡せる仕事はゼロ。つまり、アイドルも俺におべっかを使わないんじゃ……)

未央「どうしたの、プロデューサー。まの次は?」

P「え、あー、その、ま、ま……まことの信頼だ!」

卯月「大事ですよね!」

凛「……いいこと言うね」

P「そ、そうだろう? 俺が仕事を渡すのは、お前たちを信頼してるからだ。その信頼に、応えてくれなきゃな!」

P(なんとか誤魔化せたが、このままじゃダメだ! 早く、回せる仕事をとってこなくては)

卯月「良い人でよかったねー」

未央「うんうん、大人にしては熱血っぽいし!」

凛「……まあ、悪くないかな」




ちひろ「三人とも、人気になりましたね……これもプロデューサーさんのおかげです!」

P「いやいや、あいつらの実力ですよ」

P(……ちきしょー! 結局、手を出せないまま、とんとん拍子に人気になってしまった)

P(どんだけ地力があったんだよ。今となっては、俺が仕事を回さなくても、勝手に仕事が舞い込んでくる状態だ)

P(俺に枕営業をする必要がないアイドルの担当なんて、してても仕方がないじゃないか!)

ちひろ「ぷ、プロデューサーさん? 苦虫を噛み潰して味わい尽くしたような顔をしてますよ!?」

ちひろ「――あ、そうえば、凛ちゃんが呼んでましたよ? 行ってあげたらどうですか」

P「凛が?」




凛「――好き、です。私と……付き合ってください」

P(なんでこうなったんだ!?)

P「凛、気持ちは嬉しいが、お前はアイドルだぞ」

凛「そうだけど今は、プロデューサーの、気持ちだけを聞かせて」

P「俺はプロデューサーで、お前と付き合うわけには」

P(でも、アイドルと付き合うっていうのは、悪徳プロデューサーの特権、か)

P(いやいや、それはあくまで元アイドルだ。現役アイドルと付き合ったら、プロデューサーでいられないじゃないか!)




凛「立場とかじゃないって、言ってるでしょ……!」

P「すまない、凛。俺はプロデューサーでいたいんだ」

凛「そんな」

P「お前を輝かせてやれたのも、俺がプロデューサーだったからだ。だから、これを辞めるわけにはいかない」

凛「……そっか、そうだよね。プロデューサーは、プロデューサーだもん」

P(な、なんとかなった?)




P「すみません、ちひろさん。俺はもう、ここにはいれません」

ちひろ「え、ど、どうしたんですか!」

P(凛と気まずいし、なにより甘い汁が吸えないからな。悪く思うなよ、ちひろさん!)

P「ここでやれることは、もうやり尽したんです。俺は新しい環境で、アイドルを輝かせたい」

ちひろ「……ふふ、プロデュース馬鹿なんですね」

P(いつまでそう思っていられるか、見ものってもんだぜ)

ちひろ「時々、遊びにきてくださいね? みんな、プロデューサーさんが大好きですから」

P「ええ、もちろん!」

P(その時は芸能界の、裏の人種になっているはずだがな。くっくっく!)




「新しいプロデューサーか。君に担当してほしいのは、ライブバトルで負け続きの、猫キャラアイドルで」

P「任せてください!」

P(夜のネコナデ声を出させてやるぜ)



前川みく「新しいプロデューサーさんかにゃ? みくは気まぐれな猫だから、そう簡単には懐かないからねっ」



みく「みくのこといっぱいほめてくれるし優しいし、みくはもうPチャンが大好きにゃあ。ほんとだにゃ!」

P(あれぇ?)




「うちの経営はもうボロボロでね。それというのも、あのアイドルが入ってからで」

P「俺という福の神が入ったからには、心配ご無用です」

P(そのアイドルにとっては、疫病神かもしれないがな!)



白菊ほたる「私はこんな不幸体質ですけど、ファンの人を幸せにしたいんです……!」



ほたる「私わかったんです。今まで不幸だったのは、プロデューサーさんと逢うために運を使い果たしていたのかも、なんて……」

P(な、なぜだ!)






鷹富士茄子「ふふっ、一緒に初詣なんて、何だかデートみたいですね」

P「どなた!?」






佐久間まゆ「まゆ、Pさんにプロデュースしてもらうために来たんですよ。うふ、ステキですよね……これって運命?」

P「だから、誰なのっ!?」





P「だ、ダメだぁ……どのアイドルも、手を出す前に人気アイドルに」

P「――そうだ、今度は自分で事務所を作ればいいんだ」

P「お金だけは妙に溜まったし、プロデューサー兼社長として、もっと前の候補生の段階で手を出してやるぜ!」




凛「プロデューサー、今度は逃がさないからね」

卯月「凛ちゃんが移籍するって言うから、ついて来ました!」

未央「同じく! また未央ちゃんをよろしくね、プロデューサー?」

みく「みくを手懐けたのはPチャンにゃんだから、責任とってよね!」

ほたる「プロデューサーさんは、私の幸運ですから、一緒にいてほしくて……」

茄子「新しい事務所なのに、賑やかですね~」

まゆ「まゆとPさんは、赤い糸で繋がってますから、離れちゃダメですよぉ?」





P「来るアイドル、来るアイドル、人気アイドルばかり……」

P「誰か、俺をプロデューサーにして、甘い汁を吸わせてくれぇええええ!」






                                    おしまい



たまにはギャグというか、ゲスなプロデューサーを書いてみたかったんです、はい

呼んでくれてありがとでした

依頼だしてきます

おまけ

P「そうだ、事務員へのセクハラだって、悪徳じゃないのか」

P「さっそく、今日面接予定の事務員に、圧迫面接を」



ちひろ「よろしくお願いします、プロデューサーさんっ」

P「あの、ちひろさん、どうしてここに?」

カチッ

『ようやく、担当アイドルを持つことができた……』

『これで俺は、プロデューサーの権力を振りかざし、あれやこれやできるんだ!』

『くっくっく、今日がユニットとの顔合わせだ。芸能界の厳しさを、味あわせてやらないとな』

P「え」

ちひろ「今は悪魔が微笑む時代、でしたよね。プロデューサーさん?」にっこり

P「……はい」





                               ほんとにおわり

渋谷凛(15)
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本田未央(15)
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島村卯月(17)
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前川みく(15)
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白菊ほたる(13)
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鷹富士茄子(20)
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佐久間まゆ(16)
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他のssを紹介してくれませんか?


>>36 どうも、自分のスレに張り付く、作者の鑑です

モバP「幸子たちから買い物に誘われた」

豊川風花「ナースさんの衣装ですか……」

モバP「そして輝子は」

渋谷凛「プロデューサーも、ご飯くらい誘ってくれれば良いのに」

最近だとこんな感じ

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