男「……やっとこの場所に帰って来られた」
男「小学校の時に引っ越して以来だな」
男「五年ぶりになるのかな。いや、高校生になったら一人暮らしするって言ってみて正解だったな」
男「昔仲良かった奴に会いてえなー、友に女さんに……」
幼馴染『ありがとう男くん。ボクのことしんじてくれたの、男くんだけ。男くん、だいすき』
幼馴染『でもごめんね。うさぎさんみんな殺しちゃったの、ボクなの』
幼馴染『とうばんめんどうだったから、よなかにしのびこんでね、えだをめにさしたり、うでちぎったりしたの』
幼馴染『だまっててね? ね? しんじてるよ、男くん」クスクス
男「……あいつにも、会わないとな」
男「よっ!」
友「本当に戻ってきたんだな。同じクラスで嬉しいぜ」
男「へへっ、今月から俺一人暮らしなんだよな」
友「マジかよ女連れ込み放題じゃねーか」
男「声でかいって、俺まで下品に見られるからやめてくれよ」
友「そっ、その言い方は棘があるぞ」
男「小学校同じ奴って他に誰かいる?」
友「この高校にはそんなきてないかな。女の奴と……うん、女ぐらいかな」
男「ん? なんで目を逸らすんだ?」
友「へ? い、いやなんでもねーよ」
男「お前……今日俺の家に来る気かよ」
友「おうよ。昔からお前が一人暮らしをしたら敷居を跨ぐ最初の人間になると決めていたんだ」
男「どんな限定的な決意だよそれ」
友「歩いてここから何分くらいだ?」
男「んー……だいたい十五分?」
?「…………」
男「あ、あそこの娘も俺らのところの制服だな。可愛いな……ああいう娘と同じクラスになれたらやっぱり楽しいだろな」
友「のっ喉! 喉乾いたからちっとジュース買うわ。ちょっと待ってくれ!」
男「おいおいもっと早めに言えよ。もう通り過ぎてんじゃねーか」
友「わりぃわりぃ」
友「で、トーキョーの中学校はどうだったよ?」シャカシャカ
男「お前、なんでペットボトル振ってんの?」
友「炭酸を逃がしてるのさ。俺、炭酸飲料苦手なんだよな」
男「ああ、そっか」
(なんであいつコーラ買ったんだろ)
友「そういうことよ。頭いいだろ?」
(なんで俺、コーラ買ったんだろ)
男(さっきの女の子、見失っちゃったな)キョロキョロ
友「何探してんだ?」
男「いやほらさっきの……あ」
?「…………」
男(いつの間にか俺たちの後ろを歩いてる? 道にでも迷ってんのかな?」
男「ねえ、キミ」タッタッタッ
?「!」
友「おいっ男!」
?「わ、私に何か……?」
男「いや、同じところ回ってたみたいだったから、道に迷ってるんじゃあないかと思ってさ」
?「……大丈夫、です」タッタッタッ
男「あ、ちょっと……行っちゃったか」
友「ほっとけって、早くお前の家行こうぜ」
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