凛 「厳しくて優しい先輩」 (25)

海未「ここは、この文法を使うんですよ。…、というか、さっきも同じこと言いませんでしたか?」

凛「え?なんのことかにゃ…?」

海未「まぁいいです。凛は英語が苦手だってっていましたしね」

凛「なんで英語なんて…。もうもうイヤだにゃ~」

海未「勉強を教えてくれと頼んだのは凛でしょう?」

凛「うっ、それは…」

海未「テストまであと少しです。頑張りましょう」

凛「…うん」

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海未「とは言いましたが、ずいぶんとやりましたし、少し休憩しましょうか」

凛「休憩?!」

海未「その元気は休憩したら勉強にも回すんですよ…?」

凛「それは難しい相談だにゃ…」

海未「はい?今なんと?」(ギリ

凛「な、何も言ってないにゃ!」

海未「そうですか。ではおいしいほむまんを凛にあげましょう」

凛「ねぇ、海未ちゃん。海未ちゃんって穂乃果ちゃんの幼馴染だからいつも食べてるんじゃないの?」

海未「まぁそうですね。それが何か?」

凛「飽きないの?」

海未「なぜでしょうね…飽きないんですよ。あ、凛がいつも花陽のおにぎりを食べているのと
   同じ感覚だと思ってもらえばいいかもしれません」

凛「なるほど!すごくよく分かったにゃ!」

海未「その花陽なんですが、どうして今日はその花陽と勉強しなかったのですか?」

凛「う~ん…。えっと…」(ズズッ

海未「こら、凛!音を立ててお茶を飲まないでください!」

凛「ひぃっ!」

海未「…。すいません。それで、どうしてです?」

凛「凛にも気を遣ったりすることはあるにゃ~」

海未「…?どういうことです?」

凛「えっ?海未ちゃん知らないの?」

海未「何を、です?」

凛「さすが鈍感海未ちゃん…。」

海未「そういえば、私よくそういわれるんですよ…。どうしてでしょう」

凛「…。」(もうこれはダメだにゃ

海未「…な、何か言ってくださいよ!」

凛「えっとね、真姫ちゃんとかよちん、付き合ってるの」

海未「はぁ、そうなのですか。全く分からなかったですね」

凛「あんなにイチャイチャしていたのに…」

海未「いや…最近仲がいいなぁ、とは思ってたんです!本当ですよ!」

凛「そ、そう…。それで、凛が気を遣って…。」

海未「それで、私のところに来たと」

凛「そうなるにゃ」

海未「それ…。恐らく花陽と真姫が不安がりますよ。何かしたんじゃないかって」

凛「え?凛は二人のためにしているだけだよ?」

海未「いや…。いつも三人でいたじゃないですか。しかも凛は花陽に今までべったりでしたよね?」

海未「その関係がもしいきなり変わってしまったら…。あの二人は困惑するのでは?」

凛「ねぇ、海未ちゃん。それぐらい凛にだって分かるよ」

海未「なら…。勉強ならまたいつでも教えますから早く二人のところへ…」

凛「それが出来る凛じゃないからこうしてるんだにゃ」

海未「…え?」

凛「もう…。海未ちゃんってやっぱり鈍感だよ」

海未「凛?私にも分かるように…」

海未「それはどういう…」

凛「凛ね、その通りにゃ。かよちんにべったり」

海未「……」

凛「二人は応援しなくちゃいけないのに…。凛はそれができない。だってかよちんが好きだもん」

凛「あ、あの二人にはないしょにゃ。きっと迷惑かけちゃう」

海未「そ、そんな…」

凛「さ、休憩は終わり。ねぇ、海未ちゃん、続きからまた勉強教えてほしいにゃ。
  凛から勉強したいだなんて、偉いでしょ?」(ニコ

海未「…りません」

凛「…へ?」

海未「そんな勉強に意味はありません!」

凛「ひぃ!?」

海未「もういいです。私のやる気がそがれました」

凛「そんなぁ…」

海未「今日はとことん凛の話を聞くことにします」

凛「…どういうこと?」

海未「全く…。見てられませんよ。さぁ、どこからでも話してください。あなたが楽になるように」

海未「何も気にしなくていいですから。すべて聞きます。話がごちゃごちゃだろうと2人の愚痴だろうと。
   いっそ、花陽のことを私に教えてください。一人で溜め込むのは…辛いですよ」

凛「でも…」

海未「私は知っているんですよ、凛。悩みを話したい人に話せなかった人を」

海未「私でよければ、さぁはけ口にしてください」



海未「まさか花陽の良さだけで二時間とは…」

凛「…。すっきりしたにゃ。ありがとう海未ちゃん」

海未「いえいえ。しかし花陽は可愛いですね」(うっとり

凛「そうなんだにゃ」(うっとり

海未「さて、落ち着いたようですね、なら良かった」

凛「うん!」

海未「なら、明日からはみっちり勉強ですね。今日はそんなに進んでなかったですし…」

凛「…鬼だにゃ」

海未「竹刀が必要なようですね?」

凛「ひぃ!」

海未「ふふっ、冗談ですよ。また何かあったら力になりますからね?」

凛「海未ちゃんって厳しいのか優しいのか全く分からないにゃ…」



海未「さぁ凛。テストはどうでしたか?」

凛「海未ちゃんのおかげで今までで一番いい点数を英語でとれたにゃ!」

海未「それは良かった。しかし…テストが終わってしまいましたね」

凛「…?嬉しくないのかにゃ?」

海未「…凛、また放課後にあの二人に向き合わなくてはいけないのですよ?」

海未「今までは私との勉強という大義名分がありましたけど…。もう私のもとに居る理由がありません」

凛「…」(大義名分?ラーメンのお店か何かかにゃ?

海未「大丈夫ですか?」

凛「うん!海未ちゃんのおかげでどうにかなりそう!」

海未「あ、私実はほかのメンバーに連絡を入れていまして…。今なら部室は花陽と真姫だけのはずです」

凛「…ありがと、海未ちゃん」

海未「いえいえ。私のしたいことですから」

凛「そうと決まれば突撃にゃ~!」(ダダダッ

海未「ふぅ…。頑張るのですよ、凛。全く、どうしてこんなに愛らしいのでしょう?」

ことり「へぇ…練習の始まりが遅いと思ったらそんなことが…」

海未「こ、ことり…?いつからそこに?」

ことり「テストはどうでしたか?ってあたりかなぁ?」

海未「最初からじゃないですか!いるならいると…」

ことり「ごめんね海未ちゃん…。でも急にシリアスな話になっちゃって私邪魔かなぁって…」

海未「…そうだったのですか」

ことり「でも、海未ちゃんが凛ちゃんにメロメロだなんて驚きだなぁ~」

海未「な、何を言っているのですか?!べ、別にそんな関係じゃ…」

ことり「じゃあ、なんで凛ちゃんを愛らしいっていったのぉ?」

海未「なんでって…。かわいらしい後輩のひとりだからですよ。でもその中でも、一番ギャップが強い
   というか…。元気なように見えて、実は色んなことを考えて、普通の女の子の悩みを持っていて…」

海未「なんというか、こう守ってあげたいというか。あ、なでなでしてやりたいですね!」

ことり「…ふつう後輩一人にそこまで思う?」

海未「?」

ことり「じゃあ真姫ちゃんはどう思ってるの?」(ダメだこりゃ…

海未「真姫、ですか?花陽とは幸せになってほしいですけど…。やっぱり凛と気まずくならないでほしいですね。
   恋敵と気まずくならない、だなんて難しいでしょうけど…。もともと凛だって嫌いじゃないはずですし」

ことり「…かよちゃんは?」

海未「今度は花陽ですか?幼馴染と気まずくなるなんて私には耐えられませんから、花陽とは仲良くやってほしいです。
   しかしなぜ凛ほどの人がいながら真姫と付き合っているのでしょう?あ、別に真姫がダメとか
   そういうのではないんですよ!」

ことり「…。ねぇ、海未ちゃん、わざとやってる?」

海未「何を、です?」

ことり「おかしいなぁ、私、真姫ちゃんとかよちゃんの話を聞いたのに、凛ちゃんの話ばっかり」

ことり「…凛ちゃんが好きなんでしょ?」

海未「…」(カァッ

ことり「やっとわかった?もう、海未ちゃんってば自分の気持ちにまで鈍感なんだねっ」

ことり「…ねぇ、海未ちゃん、気づいたんならこれからどうするの?」

海未「どうする、とは?」

ことり「凛ちゃんの心の傷を利用するのか、しないのか、はたまた別の道を選ぶかってことだよぉ」

海未「利用だなんてそんなっ…」

ことり「失恋したところで優しく助けてくれた先輩。うん、十分狙えると思うよ」

海未「私はそんなつもりじゃ…」

ことり「うん、それは知ってる」

海未「なら…」

ことり「凛ちゃんの問題を解決してあげたい、そうでしょ?あ、邪魔者のことりは飛んでいきますね~」

ことり「こころは今未来~あなたにある~♪」(スタスタ

海未「い、いったいなんだったのでしょう…。」

海未「私が選ぶ道、それは…」



凛「ねぇ、かよちん」

花陽「ん?どうしたの凛ちゃん?」

凛「最近真姫ちゃんとはうまくやってる?」

花陽「うん!この前もね、私が知らないような所にエスコートしてくれて…えへへ」

凛「そっか、なら良かったにゃ!」

花陽「あ、でも凛ちゃんもないがしろにするつもりは無いから、その…」(オロオロ

凛「もう、かよちんてばそこまで気にしなくていいよ」

凛「大丈夫、幸せなかよちんを見るのは、凛も幸せにゃ」

花陽「ありがと、凛ちゃん」

凛「でもね、凛ちょっとだけ迷惑なこと言ってもいい?」

花陽「迷惑だなんてっ…どうしたの?」

凛「えっとね、凛も、かよちんのこと大好きなの。真姫ちゃんより」

花陽「…?」

凛「だからね、かよちん。凛と付き合ってほしいの」

花陽「…。ごめんね凛ちゃん、ちょっとだけ分かってた」

凛「だと思ってたにゃ」

花陽「確証がないまま…聞けなくて。でも…今の私の気持ちは変わらない」

花陽「だから凛ちゃん、私、もっと迷惑なこと言ってもいいかな?」

凛「…?」

花陽「ずぅっと、友達で居てくれないかな…」

凛「うん、分かった!言われなくたってそうするにゃ!あ、真姫ちゃんが校門で待ってるんだって」

凛「やっぱり、どうなってもかよちんはかよちんだにゃ。早くいってあげて?」

花陽「ごめんね、凛ちゃん…」

凛「…」

海未「…お疲れさまでした、凛」

凛「うぅ…海未ちゃぁん…」

海未「ごめんなさい、急に告白しろなんて」

凛「いいの、凛多分これをしなきゃ前に進めなかったから」

凛「凛の問題はこれですべて解決にゃ」

海未「いえ、まだすべてではありませんよ」

凛「…へ?」

海未「まだ凛が傷ついているじゃないですか。…さぁ、今は泣きたいだけ泣いてください。
   私の肩でよければ、ですけど」

海未「凛ほどの長い時間だった恋が終わったのに、泣かないで耐えられるわけがないはずです。
   泣かないほうが絶対に体に悪いですよ…?」

凛「…」

海未「あなたがどれだけ辛い思いをしたか、それはあの花陽よりも分かっているつもりです。
   だから…。もう休んでもいいんですよ?」

凛「海未ちゃんから休めなんて言われるの久しぶりにゃ」

海未「…そんなに厳しかったですか?まぁいいです。今は何を言っても許してあげますから」

凛「う、うわぁぁぁん!!」

海未「…。」(ポンポン

海未「…」(ことり、あなたが言っていた解決とは、こういうことなのですか?結局凛を泣かせてしまいました。
      情けない先輩ですね

海未(少なくとも、凛には幸せになってほしいです。…好きなんですから

海未(その幸せに私と生きていく道があるのであれば、それが私の一番の幸せです。でも、今はまだ。

海未(もう少しだけ、このままで。

終われ

以上です。読んでくださった方、支援してくださった方、ありがとうございました!
なんか、俺が海未ちゃんを書くと常にそこらの男よりイケメンなんですがどうしたらいいでしょうか…?
ちゃんと海未ちゃん可愛くなってます?

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