響「プロデューサーがラノベ馬鹿にしてくる」 (55)

響「~♪」

小鳥「あら、響ちゃん。何読んでるの?」

響「これか? これは、昨日発売の『歌姫の都-ARCADIA OF DIVA-』5巻だぞ! このシリーズお気に入りなんだ!」

小鳥「ライトノベル? 良いわよね、時間がなくても割とサクッと読めるし」

響「フェブアリア・ミーコストゥムとスケイスィー・スプリュートの恋の行方が気になって夜も眠れないぞ」

小鳥「お気に入りの本って、続きが気になると止まらなくなるわよね」

響「だから新刊がでるとすぐ買っちゃうんだー」

ガチャ

P「只今戻りました」

響「」ビクッ

小鳥「あら、プロデューサーさん。おかえりなさい」

P「外は寒いですね、雪も……ん? 響、何を隠してるんだ?」

響「な、なんでもないぞ!」

P「……またラノベか?」

響「だったらなんだよ! 自分が読むものは自分の勝手でしょ!」

P「ラノベなんて豚が読むモノだろwwwwwww」

響「」カチン

響「なんだよ! いっつもいっつも自分が好きな本馬鹿にして!」

P「どうせ「○○くん好きー!」「え?なんだって?」みたいな難聴主人公のハーレムものなんだろ?wwwww」

P「そんなもんブヒブヒ言いながら読んでる奴らしか居ねえよwwwwwまともなやつはそんなもん読まねえもんwwwww」

小鳥「」

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響「作者とファンに失礼だぞ! 第一これはハーレムものじゃないし! ちゃんとしたファンタジー小説だぞ!」

P「小説?wwwww パードゥン?wwwww ただ気取ってるだけで文章に何の説得力もない薄っぺらい下品な作品ばっかじゃねえかラノベなんてwwwww」

響「プロデューサーはラノベの何がわかってるんだよ! 一回でも読んだことあるのか?」

P「読まなくても気持ち悪いのはわかるしwwwww」

響「……ッ!」ギリギリ

響「もういい! 自分レッスン行ってくるからな!」

ガチャ バタン

小鳥「」

P「さて、仕事するか」

小鳥「……え?」





響「ムカつくぞ!」

真「なんでプロデューサーって響にだけはあんな感じなんだろうね」

春香「真が少女漫画読んでても特に反応しないのにね」

響「自分が馬鹿にされるのもムカつくけど、自分が好きなもの馬鹿にされると余計にむかつくぞ……!」

真「ところで僕もよく分からないんだけど、ラノベってなんなの?」

春香「そういえば私も詳しくは知らないかも」

響「ラノベっていうのは、ライトノベルの略だぞ。実は定義が曖昧で、どういう小説をラノベと呼ぶかは厳密に決まってないんだ」

真「そうなの?」

春香「じゃあ、なんでプロデューサーさんがあんなに毛嫌いしてるのかよく分かんないね」

響「一応、世間一般的には、若い人向けで表紙や挿絵にアニメ系の絵が使われてるもの、って思われてるぞ」

春香「本屋で良く見かけるよね」

真「でもその考え方だと、表紙や挿絵を変えるだけでラノベになったりそうじゃなくなったりするよね」

響「そうなんだよね。だから、きっとプロデューサーは中身も見ずに絵とか評判とかで言いがかりを付けてるんだぞ!」

真「……なんでプロデューサーはそこまでムキになるんだろうね?」

響「分かんないぞ……もしかしたら、自分が嫌いだから適当に理由つけておちょくってるだけかも知れないし……」

春香「それは……ないんじゃないかな?」

響「今の間は何だ?」

春香「無いと思うよ」

響「いや、改めて断言されても困るんだけど」

真「とりあえず、今の説明じゃあんまり分からなかったからさ、今度なにか貸してくれない?」

響「お、いいぞ! ファンタジーとか恋愛ものとかリクエストある?」

真「恋愛ものが良いなあ」

春香「あ、私も借りていい? 出来ればどこにでも居る普通の高校生が主人公のやつがいいなあ」

響「春香、実はラノベ知ってたりしないよね?」

春香「え? どういうこと?」

響「いや、分からないならいいんだけど……」

春香「?」

響「じゃあ、明日持ってくるね!」

真「うん! 楽しみにしてるよ」





~数日後・事務所~

真「この間借りたやつ、面白かったよ」

響「でしょ?」

真「オータムン・リッチーがかっこ良すぎるよ……!」

響「死闘の末倒した敵組織の女幹部が、実は女装したイトコだって分かったシーンは絶望感でゾクゾク来たぞ」

真「続きは?」

響「あるぞ!」

真「やーりぃ! じゃあ、また借り――」

ガチャ

P「只今戻りました」

響「」ビクッ

真「!」サッ

P「ん? なにやってるんだ、二人とも」

響「ぷ、プロデューサーには関係ないでしょ!」

P「……まさか、真にラノベの話してたんじゃないだろうな」

真(なんで無駄に勘がいいんだよこの人……)

響「だったらなんだ! 趣味の話してちゃ悪いのか?」

P「趣味?wwwww ラノベ読むのが?wwwww 読んでる頭がピンク色の豚ばっかり読んでる本が趣味なんて高尚なもんになるわけないだろwwwww」

真「」

真(思ったよりもプロデューサーはひどかったようだ……)

響「人の趣味なんて人それぞれだろ! いいかげんにしてよ!」

P「教養ない奴は読んで面白いかもしれないけど、ある程度読書したり教養ある人にはつまんないんだよwwwww全体的に薄っぺらいし、言葉がそれっぽい雰囲気だそうとしてます!感がすげえ鼻につくしwwwww」

響「楽しんでる人は楽しんでる人で良いだろ! プロデューサーが気に入らないだけで読んでるファンまで貶すなんて最低だぞ!」

P「馬鹿のくせにナルシズムが文章ににじみ出てて臭い作者のファンなんてろくな奴らじゃないだろwwwww」

響「」カチン

真「」カチン

真「……プロデューサー」

P「なんだ? 真。ああ、そこのラノベ豚から離れたほうがいいぞー」

響「なっ……!」

真「いい加減に……」ガチャ

春香「響ちゃーん! これの続き貸して! 早急に!」

春香「……あれ、何この空気。もしかして私、やっちゃった……?」

真「……いや、ある意味ナイスタイミングだったよ。ありがと――」

P「Haaaaaaaaaaaaaaaaaan!?」

響「!?」

春香「!?」

真「今まで聞いたことのない声が!?」

P「春香までラノベなんて人生経験皆無のリアルじゃ陰キャの癖にちょっとばかし萌え豚にチヤホヤされて自分は才能があると勘違いしてそうな薄っぺらいナルシズム丸出しの文章読んでるのかよぉおおおおおお!!!」

P「失望したぞ、春香」

春香「え、えぇ?」

響「プロデューサーのこのラノベに対する異様なまでの執着はなんなんだ……」

真「段々怖くなってきたんだけど、僕」

P「どうせ「俺はどこにでも居る普通の高校生!」とか言っておきながら実は最強でしたとか、何もろくな事やってないのに周りから「好き好きー!」言われるハーレムものなんだろ?」

P「あーあ……くっだらね……そんなもん本屋に並べんなよ……喜ぶのラノベしか読んだこと無い中学生ばっかりだぞ……」

春香「…………」

春香「それはそうと響ちゃん、続き貸してー」

響「えっ」

真「えっ」

春香「え?」

響「いや、うん、良いけど……持ってきてるし」

春香「もう続きが気になっちゃって、ネットでネタバレ読みそうになっちゃったよー」

真(……? プロデューサーが動かない?)

春香「また読み終わったら続き貸してね」

響「う、うん」チラッ

P「…………」

響(なんでプロデューサーは喋らなくなったんだ……?)

真「あ、そうだ。実はこの間借りたやつ読み終わってから、一冊だけ自分で買ってみたんだ」

響「そうなのか? どんなの?」

真「なんかアニメにもなったっていう有名っぽいやつ」

P「あぁん?」

響「」ビクッ

真「」ビクッ

P「アニメ?wwwww ラノベ原作のアニメとか誰得だよwwwwwそれだったら昔の糞画質のアニメ再放送した方がよっぽどマシだろwwwww」

響(さりげなく昔のアニメまで貶し始めたぞ)

真「」ムカッ

真「アニメになるってことは一定の人気があるってことなんですから、作品のファンが得するじゃないですか!」

P「ラノベ読んでブヒブヒ言ってるだけのファンなんて相手にしてどうすんだよwwwwwどうせ女が男に「好き好きー」って言って男が「なんて言ったんだ?」とか難聴こじらせて」

P「どんどん話を先延ばしにしてれば、文章が稚拙でも喜ぶな奴ばっかだぞ?wwwww」

真「またそうやって決めつけて――」

春香「あ、そうだ。今日私クッキー焼いてきたんだー」ドジャァーン

春香「はい、真あーん」

真「え、ちょ、春香?」

春香「あーん」

真「……あーん」パクッ

P「…………」

春香「はい、響ちゃんもあーん」

響「えっ、あ、あーん……」モグモグ

春香「プロデューサーさんも一個どうですか?」

P「え、あ、お、おう」ヒョイパク

響(? またプロデューサーが騒がないぞ)

春香「あ、そろそろ時間ですね。じゃあプロデューサーさん、レッスン行ってきますね」

春香「ほら、二人とも、行こ?」

響「う、うん」

真「あ、響、これ持ってったほうが」ガサ

響「そうだね。置いていったら危なそうだし」

ガチャ バタン

P「……仕事するか」





真「それにしても、なんで突然クッキーの話なんか……」

春香「プロデューサーさんの話に一々反応してたら駄目だよ?」

真「え?」

響「どういうことだ?」

春香「プロデューサーさんはね、多分『読者様』『評論家様』なんだと思う」

響「読者様?」

真「なにそれ」

春香「読者様とか評論家様っていうのは、ネットとかで的はずれな批評とか、作品に関係ない誹謗中傷を感想と称して発言したりする人のことなんだけど」

春香「大体そういう人って、無視されるとそれ以上続けないんだよ」

響「あ、だからさっきも……」

春香「うん、私が反応しなかったから途中から突っかかってこなくなったし、真の時も話が別の話題に移ったからそれ以上続かなかったでしょ?」

真「ってことは、今度からあんな風に話しかけられたら」

響「全力でスルーすればいいってこと?」

春香「そうだね」

春香「ネットでは良く見かけるよ、評論家様。詳しくもないのに洋楽の話ばっかりして、無意味に邦楽馬鹿にする人とかね」

響「へー……」

春香「そう、これは私の経験に基づいた決断……」

真「……春香?」

春香「邦楽を馬鹿にし、あろうことか私の名前を上げて「こんな歌唱力でも売れるんだから邦楽はクソ」とか言い放ったあの名無し……!」

響「春香? 目が怖いぞ……?」

春香「私は怒りと悲しみを抑えて反論も書き込まなかったのに、私のファンの皆様方が反応してしまったせいで、評論家様が調子に乗って……!」

春香「だからアレには反応してはいけないとあれほど!」ドォン

真(今日の春香なんだか怖いや)

響(自分だったら反論書き込んじゃいそうだぞ……そんなことされたら)

春香「というわけで、変なコト言われても無視しよう? そうすればきっと収まるから」

真「それで収まるなら、そうするしかないか」

響「自分も感情的にならないようにしないとな」





~数日後・事務所~

P「学生時代に教室の隅っこで寝たふりしてたやつが頭の中でしてた妄想みたいな文章を面白い(キリッとかwwwwww」

響「」ツーン
――――――――――――
P「ラノベ絶賛してるやつはどういう顔と頭してんだ?wwwww 一回親の顔が見たいわwwwww」

響「あそこでクイーン・アーズベルトが……」

真「プリンセス・アミルネとの別れのシーンが……」
――――――――――――
雪歩「響ちゃん、これありがとうね。面白かったよ」

響「それは良かったぞ! 雪歩はこういうメルヘンチックなやつ好きだと思ったんだ!」

伊織「ちょっと真! これの続きアンタが持ってるんでしょ?」

真「読み終わったら返すからそれまで待ってよ!」

P「…………」
――――――――――――
真美「おんや? 兄ちゃんの下に何か落ちてますなあ」

真美「」キョロキョロ

真美「んっふっふ~、これは見ちゃっても良いっしょ→」ヒョイ

真美「……これって」

真美「はるるん……これは、はるるんに渡すべきだと思うんだ……」

春香「? なに、真美?」

真美「これ」スッ

春香「……! これって……!」

真美「うん。名前、兄ちゃんだよね……」





真美「その応募小説作品講評って紙……」

作者さんは某まとめサイトの※欄から着想でも得たのでしょうかな?

春香「……プロデューサーさん、小説書いてたんだね」

真美「でも評価ひどいよ。見てるこっちが悲しくなるくらい」

春香「うん……ここまで言うかってほどこき下ろされてる」

春香(ていうかこれ……プロデューサーさんがいつも言ってるセリフと大体おんなじ……)

真美「もしかしてさ、兄ちゃんって……本当はラノベ好きだったんじゃないかな」

春香「かもしれないね……」

真美「今、あんなにラノベのことを目の敵にしてたのって、やっぱり……」

春香「……これは、秘密にしておこう。きっと、プロデューサーさんも知られたくないことだろうし」

真美「でも、真美は言われたこと無いけど、ひびきんとかまこちんがひどいこと言われてるの聞いたよ?」

真美「あんなこと言う兄ちゃんは、このくらいのことバラされてもしょうがないYO」

春香「……じゃあ、響ちゃんに決めてもらおっか」

春香「響ちゃんは前からプロデューサーさんに色々言われてたし、響ちゃんがこのことを皆に言いふらしてうっぷんを晴らしたいなら私は何も言わない」

春香「でも多分、響ちゃんはそうしないと思うけどね」

真美「……なんで?」

春香「響ちゃんから借りた本、癖がつくほど読まれてるページがあったから」

春香「主人公が、復讐は何も生まない、ってありきたりなセリフを言うシーンのページだった」

――――――――――――
――――――
―――
響「これは秘密にしておくぞ」

真美「うあー……はるるんの言ったとおりだった」

春香「ね?」

響「プロデューサーがなんであんなにラノベを毛嫌いしてるのか分かっただけで十分だぞ」

響「自分だって、もしアイドルとして売れないまま終わったりしたら、それもこんなにきついこと言われてたりしたら、売れてるアイドルの子を妬んだりしたかもしれないし」

響「そう考えるとプロデューサーのあの言動だって可愛いもんだぞ」

真美「……流石ひびきん沖縄の子、海のように深い懐ですなあ」

響「沖縄関係ないと思うぞ」

響「まあ、最近はプロデューサーも落ち着いてきたし、このまま何事もなかったようになればそれでお終いさー」

春香「そうだね、そうなるのが一番だよ」

真美「……んじゃ、これは元の場所に戻してくるね」

春香「プロデューサーさんに見つからないようにね」

真美「兄ちゃんは今日社長に捕まって、酔いつぶれても帰れない地獄の飲み会に参加する予定だから帰ってこないよ」

春香「じゃあ大丈夫だね」

真美「じゃーねー」

響「…………」

春香「どうしたの? 響ちゃん」

響「いや、プロデューサーはあの紙一枚で、夢を諦めちゃったのかなと思って」

春香「……そう、なんだろうね」

響「もしそこで諦めずに、頑張ってたら、どうなってたのかな」

春香「少なくとも、私たちのプロデューサーではなかったかもね」

響「……それはなんとなく嫌だなぁ」

春香「? ちょっと意外かも、響ちゃんあんなにひどいこと言われてたのに」

響「いや、確かにプロデューサーはそんなに好きじゃないぞ。けど仕事はちゃんとしてくれるし、プロデューサーが居て面白かったことも何回かあったし」

春香「んー、それは私も同じかな。アレさえ無ければ普通の、それこそどこにでも居るサラリーマンって感じだしね」

響「春香ぁ、普通のサラリーマンはアイドルを9人も同時にプロデュースしたりしないぞー」

春香「それもそっか。あはは」

響「ははは」

響(その後、プロデューサーは自分がラノベを読んでても何も言ってこなくなった)

響(反応がないから、言うだけ無駄だって分かったのかもしれない)

響(本当にこの対応で合ってたかは自分には分からないけど、少なくとも今、自分とプロデューサーは前みたいな険悪な関係じゃない)

響(なら、それだけで十分なんじゃないかな、と思ったり)

P「おい、響。次は雑誌の取材だから、先に車乗っとけー」

響「分かったz――」

美希「全く、小鳥は分かってないのwwwww」

響「!?」

小鳥「な、天むす美味しいじゃない」

美希「おにぎりは塩にぎり一択なのwwwww天むすなんて貧乏飯邪道なのwwwww」

響「……なんか、あれはただの中二病な気がするし、いっか……」

響(そんなこんなで、765プロは基本平和だぞ!)

 ……END?

>>20の言うとおり、というか、http://morikinoko.com/archives/51880448.html#commentsの※13がまさに私です

私も自分で書いておいて何を言うんだって感じですが、このSSの春香のような大人になりたいです。なれてませんが。自分から煽りにいってしまってますが。

こんな作品にお目通しいただきありがとうございました。

森きのこさんには是非このSSをまとめて欲しいんだお( ^ω^)
妖怪プロ野球名鑑が反応してくれればなお良しだお( ^ω^)
そして私が喫茶アイドルの作者だと気づいてくれればもう言うことなしだお( ^ω^)

その妖怪プロ野球名鑑とはなんだ?あ、まとめさん、俺ひびきんの髪の毛色で

>>29
http://morikinoko.com/archives/cat_50052665.html
で長文批判コメを連投してる荒らしのこと。P×アイドルの恋愛色が強いSSにはよく出没するよ

ああいう荒らしが来るとなにがいやかって
コメ欄が荒らしへのレス一色になって
ssへの感想が全くなくなることなんだよな

>>32
一般読者にも春香さんのような大人の対応が強いられてくるねえ

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