ID:cB4FnTgB0
代行ありがとうございます
落ちちゃったみたいなのでキリのいいとこから再開するっす
郁乃「だんご」恭子「さん」漫「きょーだい」 - SSまとめ速報
(http://www.logsoku.com/r/news4vip/1363697611/)
↑落ちたの
――恭子の部屋
恭子「Zzz」
ガタンガタン…
恭子「Zzz」
ガタガタ…ガタッ…
恭子「…ん……んう…?」Zzz
ガタガタンッ!ガタンッ!!
恭子「…うるさ……なんやねん…朝っぱらから…」ウトウト
ガチャ
恭子「…」
漫「ふう…これは、えっと…こっちに…」
恭子「…なにしとんねん」
漫「ひゃう!」
漫「…なんや、恭子ねえちゃんか…おはよう」
恭子「おはようやないわ、ガタガタガタガタ何やっとんねん…」
漫「あ、起こしてもうた…?」
恭子「そう聞こえへんかったか?」
漫「あ、あはは……ごめんなさい」
恭子「…まあ、ええけど」
漫「ほら、今日みんな来るやろ?やからその、ちょっとは片付けとこ思て…」
恭子「随分いまさらな話やな」
漫「こ、このまえは急やったからノーカンやん!」
恭子「ふーん…」
漫「恭子ねえちゃん、あの、手伝ってくれたり…」
恭子「ノーやな 郁乃さん起こしてもうたら、わたしまで怒られるし」
漫「郁乃ねえちゃんならもう出かけたで?」
恭子「え?」
漫「先週と同じ、人と会う約束がある言うて」
恭子「…へえ」
漫「結構お洒落して行ったで えらいベッピンさんやった」
恭子「…晩ごはんは?」
漫「あとでメールするって」
恭子「…」
漫「なあ恭子ねえちゃん……やっぱこれ、デートやんな?」
恭子「どうでもええ」
漫「えー嘘やって」
恭子「…なんかあったら」
漫「うん?」
恭子「なんか、わたしらが知らんとあかんようなことがあったら、言うやろ 郁乃さんも」
漫「それは…そやな」コクン
恭子「やから漫ちゃんは自分のやることやればええねん、テスト勉強とかな」
漫「…はーい」
恭子「…そういえば、このまえ買って余ったチョコがあるんやけど」
漫「ほえ?」
――恭子の部屋
恭子「…」カリカリ
恭子「…」カリカリ
恭子(…そろそろ来る頃やろか)
ピンポーン
恭子「!」
「はーい、いま出まーす」
恭子「…」
「どうぞ、入って入って」
「お、おじゃまします」
「おじゃましますっ」
恭子「…」スクッ
「おじゃましまーす」
恭子「…」テクテク
ガチャ
恭子「いらっしゃい」ヒョコ
佳織「お、おじゃまします」ペコッ
恭子(ええと…佳織ちゃんと…)
小蒔「おじゃましますっ」ペコン
恭子(小蒔ちゃんと…)
純「…ども」ペコ
恭子「……井上純」
純「え?」
恭子「…あ」
漫「え、なに、知りあいなん?」
純「いや、そんなことは…ないっすよね?」
恭子「う、うん、知りあいちゃうくて…」
佳織&小蒔「??」
純「えっと…もしかして、俺のファン?」
恭子「は!?ふぁ、ファンちゃうわ!!」
純「うわー、あれ見られてたのかー…」
恭子「…なんか、ごめん」
純「いや、謝られてもつらいっつーか…ははっ」
漫「へえ、そんなんやるならうちらも呼んでくれたらよかったのに」
純「あー…勉強するっつってたからさ」
小蒔「それでも見たかったですよ?」
純「……俺は見られたくなかったの」
佳織「…?」
純「負けると思ってたからな、ぶっちゃけ」
恭子「…へえ?」
純「ちげーよ!ダヴァンが強いの!なんたってアメリカ人だからな!」
恭子「らしいな」
純「はあー…かっこわりいなあ…」
恭子「べつに、かっこ悪いことあらへん」
純「へ?……どうも」…ペコ
佳織「…」キョロ…
恭子「ん…どうしたん?」
佳織「えっ?え、ええと…なんか、このまえ来た時とは、お部屋、ちょっと違ってるなあ、って…」
恭子「ああ」
小蒔「…? そうなんですか?」
漫「そやで!お片付けしたんや!」
佳織「え?…ええと、ごめんね、わざわざ」
小蒔「あ、時計があっちに動いてますねっ!」
恭子(…時計はもともとそこにあったで)
純「えっと…俺が言うのもなんだけどよ…」
漫「うん?」
純「その暇があったら勉強したほうがよくねーか…?」
漫「はっ…!」
恭子(ほんとになんやな、バスケしとったんやし……まあわたしはそれを見に行ってたんやけど)
漫「こ、これから取り返すからええんや!まずは環境整備から入らんと!」
純「え…ごめん、もういっかい頼むわ」
漫「同じく…」
佳織「え、ええとね、これを求めるには先にこっちを出さなきゃダメでしょ?だから、この公式を使って…」
恭子「…」コーヒーゴク
小蒔「解けましたっ」
純「え!?マジ?」
漫「待って、置いてかんといて!」
恭子「……」ゴク、ゴク
純「なあ…もしかして、もうカホウテイリは使わねーのか…?」
小蒔「つかいませんっ」どんっ
漫「ほんま!!?一生懸命覚えたのに…」
佳織「え、ううん、この問題では使わないけど、まだ忘れちゃダメだよ…?」
恭子(壮絶やな……もうちょっと勉強見たればよかった)
恭子「…」
恭子(…晩ごはん、そろそろ作らんと)
漫&佳織&小蒔&純「いただきまーす」
恭子「召しあがれ」
純「うまっ、なんだこれ」
漫「やろやろ!」
佳織「あの、すいません、またごはん戴いてしまって…」
恭子「うん?ええよええよ、何人分作るんもそんな変わらんし」
小蒔「おかわりいただけますかっ」
純「はやっ!」
小蒔「えへへ」
恭子「はい、どうぞ」
小蒔「ありがとうございますっ」
漫「そういえば郁乃ねえちゃんは?メール来とった?」
恭子「いや連絡ないで、いちおう郁乃さんの分は取っといてるけど」
漫「ふうん?そうなんや」
純「ん、他にも家族がいんの?」
漫「うん、いちばん上のおねえちゃんがおるで」
純「へえ…お姉ちゃんか」
漫「めっちゃ美人やねん!」
純「おまえ、そういうの結構ためらいなく言うよな」
漫「ほえ?」
恭子「アホやからな」
漫「なんで!?」
純「はははっ!」
恭子「なあ、わたしもいっこ訊いてええ?」
純「ん、なんすか?」
恭子「ほかの二人はなんとなく分かるんやけど、えっと…井上さん、と漫ちゃんがどういうかんじで友だちになるんやろと、思ってな」
純「純でいいっすよ」
恭子「じゃあ…純ちゃん、と漫ちゃん、あんま接点無さそうやんか」
漫「そんなことないで、なんで知り合ったかハッキリ憶えとるもん」
純「ああ、俺もだな」
恭子「へえ…?」
漫「うちらの出会いと言ったら、あそこやんな」
純「ああ、あそこだな」
漫&純「追試会場!!」
恭子「……」
漫「ほら、前回のテストボロボロやったやん、うち追々試までやる羽目になって」
純「俺は追々々試までいったな…すっげえ面倒だった」
漫「それで、追試の教室で何度か会ってるうちに、なかようなって」
純「漫が佳織に助けてもらってるのを横で見てるうちに、こっちのふたりとも仲良くなって…」
純「俺、佳織がいなかったらまだ追試受けてたかも」
恭子「…」
佳織「あ、あはは…」
恭子「…よかったやん」…ニコ
漫「あ、う、うちができないんは数学だけやけど、純ちゃんは国語もできへんのやで!」
純「な!?漫だって体育できないだろ!」
佳織「それじゃあ、おじゃましました」ペコッ
小蒔「ごちそうさまでしたっ」ペコン
恭子「うん、また来てな」
純「漫、あしたの数学勝負だからな」
漫「わかっとる、負けへんで」
純「ふっ、どうかな…今回俺は赤点とる気がしないぜ?」
漫「奇遇やな、うちもや…!」
小蒔「わあ、わたしも混ぜてくださいっ」
純「いや……小蒔はダメだ…」
漫「そやな……小蒔ちゃんにはこの勝負は過酷すぎるで…」
小蒔「??」
恭子(…逃げた)
純「じゃあ、負けたらアイスおごりだからな!」フリフリ
漫「うん、じゃあ、またあした」フリフリッ
――――…………
恭子「…ふう、洗いもの終わり」
恭子「結構遅くなってもうたな…漫ちゃんも寝たし、わたしもはよ寝よ…」
恭子「…」
恭子(郁乃さんに置き手紙とか、要るやろか)
恭子(晩の残りは冷蔵庫に入れといたけど…)
恭子「…」
恭子「…」メモ用紙ハガシ
恭子「…」カキカキ
恭子「まあ、食べて来とるんやろうけど…」
『晩の残り、冷蔵庫にあるんで、食べるんならどうぞ 遅なるんやったら連絡くだ
恭子「…これは、ええか」ケシケシ
『晩の残り、冷蔵庫にあるんで、食べるんならどうぞ 恭子』
恭子「…寝よ」
ガチャガチャ
恭子「…!」
ガチャガチャ
恭子「…郁乃さん?」
ガチャッ…キイィ…
郁乃「…」
恭子「…おかえりなさい」
郁乃「…」
郁乃「ただいま~」ニコーッ
恭子「遅かったやないですか、連絡もないし…晩のメールする言うてたって、漫ちゃんから聞いてたんですけど…?」
郁乃「うん、ごめんね~」
恭子「…ごめんやないですよ、もう」
郁乃「ごめんね~っ」ダキッ
恭子「ちょっ!?」
郁乃「ごえんね~」ギューッ
恭子「わ、酒くさっ…いくらなんでも飲みす……ぎ?」
郁乃「…」ギュー…
恭子「…郁乃さん?」
郁乃「…」フル、フル
恭子「あの、いっかい、はなれて…」
郁乃「…」ギュウゥ…
恭子「いくの、さん?」
郁乃「…」
恭子「…!」
郁乃「……」
恭子「…は、え?」
「は、の…」
なんやこれ、意味わからん
「…ふ、あ、あの」
あかんわ、くち、乾いてうまく回らんし
「いくの、さん…?」
ぎゅう、と押しつけられた顔の、
郁乃さんの、目があるあたりが、つめたい
「……なんで」
つめたい
「泣いとるん、ですか」
やっとの思いで訊いとんのに、返事はなくて、
わたしももう、何も言えそうになくて、
服に郁乃さんの涙が染みこんで、
郁乃さんより、ずっと、震えてしまう
…………
郁乃「ふう……ごめんね、恭子ちゃん」
恭子「……」
恭子「……え」
郁乃「あはは、だいじょうぶ、もうだいじょうぶや」パッ
郁乃「怖がらせてもうたね、ごめんね」ナデ
恭子「…あ、あの」
郁乃「なんでもない、なんでもないで……やから、心配せんでええよ」
恭子「郁乃さ……」
郁乃「もう寝え、明日からテストやろ?」
郁乃「…おやすみ」ニコ
ガチャン
恭子「……」
恭子「…なんやそれ」
――――…………
…………
郁乃「ふう……ごめんね、恭子ちゃん」
恭子「……」
恭子「……え」
郁乃「あはは、だいじょうぶ、もうだいじょうぶや」パッ
郁乃「怖がらせてもうたね、ごめんね」ナデ
恭子「…あ、あの」
郁乃「なんでもない、なんでもないで……やから、心配せんでええよ」
恭子「……」
郁乃「もう寝え、明日からテストやろ?」
郁乃「…おやすみ」ニコ
ガチャン
恭子「……」
恭子「…なんやそれ」
――――…………
しえん
おねえちゃん、おねえちゃん
「なあに、恭子ちゃん」
おかあさんって、どんなひとやったん?
「お母さん?」
うん、うちのおかあさん
「やさしい人やったよ~」
やさしい?
「うん 恭子ちゃんのお母さんが、すわって、お洗濯ものを畳んでて」
うん
「うちが勝手に隠れて、『もういーよ』って言うの」
かくれんぼ?
「そうそう」
それで、それで?
「そしたらね、うちのこと探してくれるんや、お洗濯もの置いて」
へえええ…
「恭子ちゃん…さみしい?」
? さみしないで
「…そっか えらい、えらいな」
えへへへ
「恭子ちゃん、お姉ちゃんとかくれんぼする?」
する!
「ふふ、じゃあ、恭子ちゃんが鬼さんね」
うん!
「もういーよ」
うん!おねえちゃん、どこや
……
おねえちゃん?
……
…おねえちゃん、どこ?
……………………
漫「おはよう、恭子ねえちゃん」
恭子「…うん」
漫「ん、どしたん?元気ないで?」
恭子「…べつに」
漫「あ、テストが心配で眠れなかったとか?」
恭子「漫ちゃんやないんから」
漫「残念、今回うちはなんの心配もなく眠れたで!」
恭子「…やな夢みただけや」
漫「へ、夢?」
恭子「やから、なんでもないんやって」
漫「…? ならええんやけど」
郁乃「おはよう恭子ちゃん」
恭子「…おはようございます」
郁乃「ごはん出来とるで~」
漫「あ、そや!恭子ねえちゃん、いま郁乃ねえちゃんと話しとったんやけどな!」
恭子「…」
漫「恭子ねえちゃん?」
恭子「聞いとるで」
漫「そう?じゃあ…えっとな、今度テスト終わったら、3人で東京行かん?って」
恭子「…東京?」
漫「そや!東京シライトシーランド!」
恭子「…なんでまた」
郁乃「面白そうやろ~?」
恭子「…」
漫「な?行こ、恭子ねえちゃん!」
恭子「…わたしは、ええよ」
漫「え!?な、なんで?」
恭子「べつに……遊園地ではしゃぐほど子どもやないし ふたりで行ってきたら?」
漫「で、でも…」
郁乃「わかってへんな~恭子ちゃん」
それは本当に東京なのか
恭子「……なんですか?」
郁乃「遊園地はアトラクションを楽しむものやないで、なあ、漫ちゃん」
漫「え、えっと、うん!そやそや!」
郁乃「誰かと行くのを楽しむもんや、せやろ、漫ちゃん」
漫「うん、そう!そやで!さすが郁乃ねえちゃん!」
恭子「…」
郁乃「な?やから一緒に行こ?恭子ちゃん」
漫「そやそや!一緒に行こ!」
恭子「…」
恭子「…分かりましたよ」…ハァ
漫「やった!」
恭子「ただし、条件付きや」
漫「…え?」
恭子「漫ちゃんが今回のテストでひとつも赤点取らんかったら、付いていったる」
――――…………
――教室
花子「なんつーか、やっぱテストってムズいよな…」フッ
ゆみ「悟ったな」
花子「あーあ、帰ったらまた勉強かー」
智葉「まあそう言うな、始まってしまえばあっという間に終わるさ」
花子「やめて!」
智葉「へ?」
花子「終わった気になっちゃうから!終わった気になって家帰ってもやらなくなっちゃうから!」
智葉「あ、ああ…」
ゆみ「どれだけ自制心がないんだ…」
花子「やらなかったらホントに手つかずになっちゃうんだって!」
智葉「そうか…悪かったな」
ゆみ「智葉、謝る必要はない」
智葉「ん、そうなのか?」
花子「なー恭子、明日の古典なんだけどさー」
恭子「…」
花子「恭子?」
恭子「え?」
花子「え、じゃねーよ、どしたのぼーっとして」
恭子「…えっと」
ゆみ「なんだ、寝不足か?」
恭子「え、ううん、そうやなくて…」
花子「…?」
恭子「…やな夢みてん」
智葉「夢?」
花子「なんだそれ?」
恭子「…いや、なんでもない」
花子「…?」
ゆみ「なんだ、気がかりでもあるのか…?」
恭子「気がかり……ん、そう、かも」
智葉「なんだ、ハッキリしないな?」
花子「わかった!なんかよく分かんないけどもやもやしてて、テストできなかったんだろ!」
花子「分かるわかる!わたしもなーんかどうでもいいこと考えちゃってさー、ちょっと寝不足だったりしてさー」
恭子「いや、テストはできた」
花子「…そっか」
恭子「そう……普通にできた…寝れたし」
花子「……そっか」ズーン
恭子「…」
恭子「わたし、薄情なんかな」
花子「へ?そんなわけねーじゃん」
恭子「…!」
花子「うん?」
恭子「……ありがと」
恭子「ちょっと、元気出たわ」
――――…………
郁乃「晩ご飯できたで~」
恭子「…」
恭子(やっぱり…いつも通り)
漫「わーありがとなー、郁乃ねえちゃん」
恭子「…すいません、当番代わってもらってもうて」
郁乃「ええよええよ~テスト期間やもの」
漫「いっただきまーす!」
恭子「いただきます」
漫「おいしー!郁乃ねえちゃん、最近お料理の腕グイグイあげてへん?」
郁乃「ん~、そう?」
漫「せやって!なあ、恭子ねえちゃん!」
恭子「うん、たしかに」
郁乃「えへへ~」
恭子「…」
漫「いいなあー…うちもテスト終わったらお料理の練習しようかなあー…」
恭子「…お料理もええけど、そのテ
漫「!」ビクッ
恭子「…ストは、どうなん?」
恭子(動揺しすぎやろ…ビクッて…)
漫「あ…その、えっと…」目ソラシ
郁乃「あら~?赤点回避も難しそうなん?」
漫「そ、それは…先生の気分次第というか…」
恭子「いや…漫ちゃんの実力次第やろ」
漫「は、配点勝負やねん!問1に比重があればうちの勝ち!問2に比重があれば…」
恭子「…」
郁乃「あはは、大問単位でできたりできなかったりするようじゃダメやん~」
漫「!」グサッ
恭子(あ…今のは入ったな)
漫「きょ、恭子ねえちゃ…」
恭子「ん?条件は変えへんで?」
漫「そ、そんな…」
恭子「そんなもこんなもあるかいな、赤点取ったら東京はいかへん」
郁乃「は~い、ここでおねえちゃんから提案がありまーす」
漫「!」
恭子「…なんですか?」
郁乃「追加ルールや」
恭子「却下です」
郁乃「まあまあ、初日で結果が出てもうたんじゃおもろないやん」
郁乃「それに、今のルールは不公平や」
恭子「…不公平?」
郁乃「だってそやろ?漫ちゃんだけが頑張らなあかんルールやん、ずっこいで~」
恭子「…まあ、言われてみれば」
郁乃「せやから、ルール追加や!恭子ちゃんのテスト最低点が漫ちゃんのテスト最高点より下やったら、一緒にシライトシーランドに行く!」
郁乃「どう?」
――――…………
――教室・テスト最終日
恭子「…」
恭子(なんやこれ…)
恭子(なんやこれ!!)
恭子「…」ペラッ、ペラッ
恭子「…」…ハァ
恭子(……なめてたわ、福与先生)
恭子(なんやこれ、現国ってこんなんやったか…たしかにこれ現代なんやろうけど…)
恭子(わけわからん…なんやこの文章…どういうところから持ってきとんのかすらサッパリや…)
恭子(あかん、メゲる…)
恭子「……ん?」
恭子(なんや、隅っこに小っちゃくなんか書いてある…)
『諦めたらそこで試合終了だよっ』
恭子(……)
恭子(やかましいわ!!)
うむ
花子「はあ……やっと終わったな、テスト……」ズーン
ゆみ「…まあ、そう落ち込むな 現国はできたやつのほうが少ないと思うぞ…」
恭子「ゆみも若干落ち込んどるな…わたしもやけど…」
智葉「ん、わたしはそこそこできたな」
ゆみ「な!?」
恭子「え、智葉、あれできたんか!?」
智葉「あ、ああ…」
智葉「…すこし恥ずかしいんだが、ああいう文章は好きで、たまに読んでいるのでな」カァ
ゆみ「いや、恥ずかしがるようなことではないが…」
恭子「でも…かなり意外やな…」
智葉「よ、よせ…やはり恥ずかしい…」カアァ
花子「よしっ!落ち込みタイム終わり!テスト終わったー!!」
ゆみ「さすがの切り替えの早さだな…」
恭子「ほんま、見習わなな…」
花子「あれ行こうぜ、テスト前に言ってたあれ、だんご屋!」
ガイトさんかわいい
タイトルのだんごってこれか?
――だんご屋「うたちゃん」まえ
ゆみ「ふう、やはりここの本屋の品揃えはいいが…ありすぎるのも困りものだな」
智葉「まあ、ついつい買ってしまうからな」
花子「あー、参考書選びつっかれたー…」クター
恭子(まさか単語帳すらまだ持ってへんかったとは…)
花子「うん?どうかした?」
恭子「い、いや、なんもあらへん」
花子「??」
智葉「じゃあ、入るか」
ガラガラ
シロ「…いらっしゃいませ」
智葉「ああ」
花子「え、シロ!?」
シロ「……花子」
ゆみ「…? なんだ、知りあいなのか?」
花子「え、えっと、1年の時……だっけ?」
シロ「うん」コクン
花子「そう、1年の時にクラスメイトだったの!」
恭子「へえ」
花子「うわーひさしぶりだなー!元気?つーかなんでシロがバイトとかしてんの?ありえなくね?」
シロ「……お金欲しさに」
花子「なにそれ!?いちばんありえないんだけど!」ケラケラ
シロ「大学から、独り暮らしするから…」
花子「へええー、なるほどそれでかー」
シロ「…ご注文は?」
智葉「ん、そうだな…みんな、決めたか?」
ゆみ「いや、任せるよ」
恭子「そやな、うちら初めてやし」
智葉「そうか? じゃあ…ゴマとみたらしの串を、4本ずつ」
シロ「はい …そこの腰かけ、お使いください」
シロ「どうぞ…」コト
智葉「ああ、どうも」
花子「サンキュー!」
シロ「ごゆっくり」
ゆみ「なるほど、これが」
恭子「確かに、おいしそうやな」
花子「いったただきまーす」パクッ
花子「! うっま!やばい、超うまい!」
恭子「いただきます」パク
恭子「…ほんまや、おいしい」
咏「でしょでしょー?」ヒョコン
恭子「ひゃっ!」ビクッ
花子「あはははは、恭子ビビりすぎ!」
智葉「店主」
恭子「て、てんしゅ…?」
智葉「ああ、店主の三尋木さんだ」
咏「ごひいきにー」フリフリ
智葉「しかし、出てくるなんて珍しい」
咏「いやあ、常連さんの声がしたもんでねぃ」
咏「シロちゃーん、お茶ちょうだい」フリフリ
シロ「はい」
花子「おお…シロがキリキリ働いてる…」マジマジ
ゆみ「このだんご、三尋木さんがつくってるんですか?」
咏「そだよー?ほら食べて食べて」
ゆみ「いただきます」パク
咏「わたしも食べよっかな シロちゃーん」フリフリ
シロ「はい」
智葉「仕事はいいんですか?」
咏「んー?ちょっと休憩?」
恭子「…」ジー
咏「まだかなまだかなー」フリフリ
恭子(このひと…ちょっと郁乃さんに似てる)ジー
咏「…ん?どしたの?」
恭子「あ…いや、なんでも」
恭子(でもやっぱ、だいぶちゃうな…当たりまえやけど)
咏「…??」
シロ「お待たせしました」コト
咏「ごくろうさーん シロちゃんも休憩していいよー」
シロ「…」コクン
シロ「みなさんも、お茶どうぞ」コト
花子「おおーありがとなー」
ゆみ「え…いいんですか?」
咏「いいのいいのー だんごに合うお茶選んでるんだぜぃ」
花子「うーまっ!」
咏「でしょー?」フリフリ
シロ「…」グデーン
恭子「おお…見事な休憩っぷりや」
ゆみ「圧巻だな…」
花子「おおーやっぱシロだな ちょっと安心したわ」
智葉「そうだ、家にもいくつか買って帰りたいんだが…」
花子「お、じゃあわたしも」
シロ「…」…ムク
咏「あーそのままでいーよ、わたしやるから」
咏「ささ、何をおいくつ?」フリフリ
智葉「ん、そうだな…」
咏「さっきのお茶もセットにできるよー?」
花子「マジで!」
恭子「…」財布パカ
恭子(…参考書、買いすぎてもうたかな)
――――…………
恭子「ただいま」
漫「おかえり、恭子ねえちゃん」
恭子「なんや、もう帰ってたんか」
漫「え、えっと…うん」
恭子「…」
漫「…」
恭子「…なに?」
漫「へえっ?」
恭子「いや…なんや、言いたいことがありそうやから」
漫「あ、あはは…分かるんか、すごいなあ、恭子ねえちゃん…」
恭子「……で、なんやねん」
漫「え?あー…あんな?」
恭子「うん」
漫「えと、その……」
恭子「…?」
恭子「…漫ちゃん?」
漫「あ、あのっ!」
恭子「う、うん…」
漫「……あした、遊びいかへん?」
恭子「……へ?」
漫「郁乃ねえちゃんは用事があるっちゅーから、ひ、ひさしぶりに、ふたりで!」
漫「テストも終わったことやし!明日お休みやし、ちょっと街出て遊ぼ?な?ええやろ?」
恭子「え…うん、ええけど…」
漫「! やった!」
恭子「…?」
恭子(それ言うためにモジモジしてたん…?)
漫「えへへ、どこ行こか?」
恭子「…誘ったのに、行きたいとことかないんか?」
漫「え?あ、ああ、そやね…ええと、じゃあ、映画とか…?」
――――…………
――映画館
久『ねえ、探偵さん…探偵というのは、つらい仕事ね』
美穂子『…』
久『だって、謎があれば、解かずにいられないんでしょう?』
恭子「…」ジー
恭子(まさか探偵モノを選ぶとはなあ…漫ちゃん、こういうの好きやったんか?)
久『それともいままで、解かずにおいた謎もあったりするのかしら』
美穂子『いいえ…謎を解くのが、探偵の役目ですから』
美穂子『どんな事件でも解決します、どんな犯人でも追いつめます』
久『…それがわたしでも?』
美穂子『…例外はありません』
美穂子『上埜さん、あなたが……犯人です』…ポロッ
久『綺麗な目……あなた、もっともっといい探偵になるわ、きっと』
恭子(おお…ええシーンや…)
美穂子『ううっ……上埜さん…』ポロポロ
恭子「ふう、終わった終わった」
漫「…」
恭子「結構ええ映画やったな」
漫「え……うん、そやね」
恭子「…?」
恭子(あれ、あんま好きやなかったんか…?)
漫「さ、次!次どこ行こか!」
漫「ゲームセンター?洋服屋さん?それとももう一本映画みよか!」
恭子「…とりあえず、映画もう一本は嫌や」
漫「あはは、冗談やって!」
恭子「…」
恭子(なんやこのテンション…急に)
漫「それじゃあ、お洋服みて、ゲーセン行って、晩ごはん食べて帰ろか」
恭子「…そやな」
漫「うん、きまりっ!さ、行こ行こっ!」
――「カツ丼」まえ
恭子(晩ごはんて…ここかいな)
漫「藤田さんち来るんも割と久しぶりやなあ…ね、恭子ねえちゃん」
恭子「ええと…うん」
恭子(ま、ここがええっちゅーんなら、ええか)
ガラガラ
靖子「いらっしゃ……おお、なんだ、珍しいな」
漫「えへへ」
恭子「どうも」
靖子「あ、でも恭子はこのまえ来たんだっけ?」
漫「え!?」
恭子「まあ…友だちに連れられて」
漫「そうなん!?え、えっと、ごめん」
恭子「いや、ええよ、別に」
靖子「…? まあ座れよ、こっち」
靖子「ご注文は?」水コトン
漫「味噌チャーシュー!」
恭子「塩ネギで」
靖子「はいよ」
漫「あ、大盛りで!」
靖子「おう」
漫「…食べきれるやろか」
恭子「不安なら大盛やめとけばええのに」
漫「でもチャレンジしたいやん!」
恭子「…」…ハァ
靖子「ははは、なんなら特盛りにするか?」
漫「!!? い、いや……それは…」
恭子「やめとき」
靖子「そういや、きょう郁乃は?」
漫「なんや、やっておきたいお仕事があるんやって」
漫「へえ、純ちゃんここに来たことあるんや」
靖子「ああ、白パツの子だろ?一週間くらい前かな、なんか外国人っぽい子と一緒に来てたな」
漫「へええ…純ちゃん意外とぐろーばるやなあ…」
恭子「…」
靖子「そんで外国人のほうが常連になった」
漫「外国人のほうが!?」
靖子「そうそう、なんか日本のラーメン文化がどうとかって、まあ悪い気はしないよな」ニシシ
漫「へええ…この店も意外とコクサイテキやなあ…」
恭子「…」
恭子(おんなじこと言うとるし)
漫「あ、うち、ちょっとトイレ」
靖子「おう、トイレはそっち行って…」
漫「あはは、わかっとるって うちやって結構な常連さんやで?」
靖子「ははっ、そりゃまあそうだ!」
恭子「…」
支援
靖子「しかし、おまえらも大きくなったよな…わたしが店出したのがだいたい5年前だから…」
恭子「漫ちゃんなんか小学生ですね」
靖子「こんなちっこかったもんな、恭子だってチンチクリンだったし」
恭子「…」
靖子「郁乃が忙しくてごはん作れない日とか、よく来てたよなあ 最近はそうでもないのか?」
恭子「ごはん当番制になったんですよ、何年か前に」
靖子「あー成程ね、そりゃそうか そりゃちょっと、さみしい気もするけどな」
恭子「…」
靖子「でもまあ、元気そうでよかったよ」
恭子「…」
恭子「…あの、靖子さん」
靖子「ん?」
恭子「郁乃さん、最近なんかありました?」
靖子「え、郁乃?」
恭子「…」コクン
靖子「ん…よく分からんな、なんでそんなこと訊くんだ?」
恭子「…なんや最近、郁乃さんちょっと変で…」
靖子「郁乃が変なのは、それこそ昔からだけどな」
恭子「いや…そういうんやなくて…」
靖子「っていうと?」
恭子「…」
靖子「なんだ?」
恭子「……」
恭子「…泣いとったから」
靖子「……は?」
恭子「…」
靖子「泣いてたって…郁乃が?おまえそれ見たのか?」
恭子「…」コクン
靖子「はああ……そりゃ驚いた」
恭子「…やから、靖子さんならなんか知っとるんやないかと思って」
靖子「うーん……なんか、ねえ…」
恭子「なんでもええんです、ささいなことでもええし…」
靖子「…」
恭子「色恋沙汰…とかでも」
靖子「…恭子、おまえ、軽く感づいてるんじゃないか?」
恭子「誰かと、その…付きあっとるん、ですか、郁乃さん」
靖子「……まあ、おまえ相手に隠す理由もないな」
恭子「…じゃあ」
靖子「付きあってる人がいるとは、聞いてるよ」
恭子「やっぱり…」
靖子「だが、ずいぶん前にちょっと聞いたくらいで、近況なんかはわたしも知らないぞ」
靖子「いい人だとは言ってたがな」
恭子「そんなん!」
靖子「…」
恭子「……すいません…でも、そんなん……分からんやないですか」
靖子「…恭子」
恭子「郁乃さんが泣くなんて、思いもせんかった…」
恭子「それなのに…なにがあったんかも話してくれへんなんて、おかしいやん…」
靖子「…」
恭子「もしかしたら…もしかしたらその付きあってる相手っちゅーのが、なんか…!」
靖子「そこまでにしとけ」
恭子「……なんでですか」
靖子「ダダこねるな、分からないわけじゃないんだろ?」
恭子「…」
靖子「そんな八つ当たりにもなってないようなこと言ってなんになるんだ?おまえはそんなことをうだうだ心配してるのか?」
靖子「そうじゃないだろ」
恭子「…意味わからんし」
靖子「はあ…相変わらず、へんなとこでガンコだな、おまえは」
恭子「…」
靖子「…仕方ないな じゃあ、おまえが本当に分かってなさそうなこと…ひとつだけ言ってやるよ」
恭子「…なんですか」
靖子「わたしがさっき驚いたって言ったのはな、郁乃が泣いたことに対してじゃあないんだよ」
恭子「…?」
靖子「別に、泣くだろ、郁乃だって」
恭子「…でも」
靖子「だから、驚いたってのは…郁乃が、おまえの前で泣いたってこと」
恭子「…!」
靖子「郁乃ともなんだかんだで長いけどな…泣いたんだろうなと思ったことはあっても、泣いてるとこを見たことはないんだよ」
靖子「あいつ……家族の前では泣くんだな」
恭子「……」
靖子「…この話はここまでだな」
漫「なになに、なんの話しとるん?」ヒョコン
恭子「…!」ビクッ
靖子「ちょっとおまえのテストの話をな」
漫「ほえっ!?」
漫「ふう、おなかいっぱいや」
恭子「やっぱ食べ過ぎやって…」
漫「ええんやって、高校生やもん!」
恭子「なんやそれ…」
漫「えへへへ、ごちそうさま」
靖子「おう、また来いよ」
漫「はいっ」
靖子「恭子もな」
恭子「…まあ、気がむいたら」
靖子「あっはははは!」
恭子「ごちそうさま」
ガラガラ
恭子「…」フー
漫「恭子ねえちゃん、手、つなご?」
恭子「…は?なんで?」
漫「ええやん、家までの間だけやって」
恭子「…」
漫「な?」
恭子「…別にええけど」
漫「へへっ」ギュッ
恭子「…?」
恭子(やっぱ今日、ちょっとテンション高いんかな…)
漫「いつ以来やろね、こんなふうに手、つないで帰るん」
恭子「さあなあ」
漫「ちっちゃいころは、ようこうして一緒に帰ったやん」
恭子「…憶えてへん」
漫「えー嘘やって」
恭子「…」
漫「……え、ほんまに憶えてへんの?」
恭子「嘘や」
漫「もー…なんで嘘つくん?」
恭子「ん…なんでやろ?」
漫「そのうち誰にも信じてもらえなくなってまうで」
恭子「そんなポンポン嘘ついとるわけやないし」
漫「えー、ほんまに?」
恭子「ちゅーか、漫ちゃんか花子くらいにしか、つかへんしな」
漫「厳選されとる!」
恭子「なんど嘘ついても信じそうやから」
漫「しかもそんな理由!?」
恭子「…ふふっ」
漫「むー…なにがおかしいん?」
恭子「わからへん、ふふっ、あはははは」
漫「恭子ねえちゃんはいっつもそうや…そうやって、うちのことからかって…」
恭子「あははは ごめんごめん」
漫「……」
恭子「ごめんて、そう怒らんで」
漫「…怒ってへん」
恭子「怒ってるやん」
漫「怒ってへんて……ただ…」
恭子「…? ただ?」
漫「あの…さ、恭子ねえちゃん」
恭子「うん」
漫「いっこ、訊いてええ?」
恭子「なに?」
漫「……郁乃ねえちゃんと、なんかあったん?」
恭子「え…?」
漫「…ちょっと前から、おかしいやん、ふたりとも」
恭子「…そんなこと」
漫「あるやんか…なんや、ギクシャクしとるっちゅーか……やから、なんかあったんちゃうかな、って」
恭子「…」
恭子「……ずっと」
漫「…え?」
恭子「ずっと…それを訊きたかったんか?」
漫「…」
恭子「昨日から…ずっと…?」
漫「……ケンカしとるんやったら、嫌やから」
恭子「…」
漫「ねえちゃんたちがケンカするんは、うち、嫌やから」
恭子「……アホやな」
漫「…」
恭子「してへんよ…ケンカなんか」
漫「……ほんま?」
恭子「ほんまや、これは嘘やない」
漫「…」
恭子「嘘やないって」
恭子「信じられへん?」
漫「…ううん」
恭子「…」
漫「してへんなら、ええんや」
恭子「…してへん」
漫「うん」
恭子「…」
漫「よかった…ほんまに、よかった」ニコ
恭子「…漫ちゃん」
漫「なあ、恭子ねえちゃん」
恭子「ん?」
漫「また、ふたりで遊ぼな?」
恭子「…うん」
漫「約束やで」
恭子「うん…約束」
――恭子の部屋
恭子「…」
恭子「…」…ハァ
恭子(漫ちゃんに心配させてたとはなあ…)
恭子(なんや、メゲるわ)
恭子「…」
恭子(すっとぼけてるようで、よう見てるっちゅーか…)
恭子(ちょっと前までこんくらいのガキんちょったのにな)
恭子「…」
恭子「…靖子さんか、わたしは」
恭子「寝よ寝よ…今日はもう、さすがに疲れたわ」布団ガバッ
恭子「…」
恭子(いまさら…つられたみたいに、手ぇふるえとる…)
恭子(……なんやねんほんま)ハァ
――――…………
――教室
恒子「はーい、座った座った!テスト返しの時間だよー」
花子「うーわ…返ってくんなよー…」
恒子「まーまー、ちゃんとひとりひとり懇切丁寧にあたたかいコメントしてあげるからー」
花子「かえってやだよ…」
恭子「…」…ハァ
恒子「では点の低い順に呼んでいきますっ!」
花子「は!?」
恒子「じょーだんじょーだん、名前順ね…つってもあんま変わんないけど、浅見ちゃん!」
花子「……はい」
恒子「んっと…浅見ちゃんはー…」
花子「…」ゴクリ
恒子「……まあ、こういう日もあるよ」目ソラシ…
花子「なにそれ!?」
恒子「どんまいっ」
恒子「えっと、次はー…」
ゆみ「…」ズーン
恭子「…」
恭子(ゆみ、落ちこんどんなあ…そんな悪かったんやろか)
ゆみ「…」ズドーン
恭子(どんだけやねん、それ…)
恭子「…」…ハァ
恒子「はい次ー、ふっかい溜息ついてた末原ちゃん!」
恭子「! は、はいっ」
恒子「カムカムっ」
恭子「…はい」
恒子「末原ちゃんはねー…えーと」
恭子「…」ゴク
恒子「んー、自分で思ってるよりは悪くないと思うよ?」
恭子「ほえ?」
>恭子「ほえ?」
かわいい
恭子「……あ」
恭子(ほんまや、思ったほど悪ない…)
恒子「ね?」
恭子「…あんま、そういうこと言わんでください」
恒子「もー照れちゃって!じゃ次ね 次はー…」
恭子「…」スワリ
恭子(ほんま、ちょっと予想外やな…これ、漫ちゃんの最高点より上かもしれんで)
恭子「…どないしよ」ボソッ
花子「ん、どしたの恭子」
恭子「…なんでもない」
花子「えーなんだよ、教えろよー」
恒子「はいそこ喋らなーい、10点下げちゃうよ?」
花子「! すいませんでした!!」
恭子「…」
――――…………
漫「え、条件撤廃?」
恭子「そや」
漫「え、えっと…つまり、テストの点関係なく…」
恭子「シライトシーランドやろ?行ったるよ」
漫「…」ポカーン
漫「…」
漫「やったあああああああ!!!」
恭子「…」フー
郁乃「へえ、恭子ちゃん優しいなあ~」
恭子「…」
郁乃「で、なんでなん?テスト失敗しちゃったん?」
恭子「べつに…むしろ、ダメやと思ってたのが、結構ええ点で帰ってきたくらいで」
郁乃「…? やったらなんで?」
恭子「…そんなん、テストぜんぶ返ってくるの待つんもアホらしいし…それに、頑張っとったのは知ってますからね」
恭子「あんまり意地悪するんも気が引けただけですよ」
郁乃「あら~ほんまに優しいんやね」
恭子「そんな…べつにわたしは…」
郁乃「えらいえらい~」ナデナデ
恭子「…」
恭子「そんで、その日程なんですけど」
郁乃「ん~?」
漫「え、土日やないん?」
恭子「それでもええけど…郁乃さん、金曜会社お休みでしたよね」
郁乃「うん、なんかの振り替えで、うちの会社はお休みやけど」
漫「でも学校あるやん」
恭子「どうせ今週はテスト返しばっかやろ?」
漫「うん、そやけど…」
恭子「じゃあ、そんなんサボって平日に行ったほうが、空いとるんやないか?」
郁乃「ま、そうやね」
恭子「やったら、金曜にしませんか?」
漫「え、ええと…できるんならそうしたいけど…ええの?郁乃ねえちゃん」
郁乃「ん~…ええんやない?空いとるほうがお得やし~」
漫「!」
漫「郁乃ねえちゃんが許してくれるんなら、それで行こ!」
恭子「決まりやな」
漫「じゃあじゃあ、金曜の朝に出発な!」
恭子「朝っちゅーか、早朝やな 開園前に着きたいし」
漫「うんっ、そやな」
郁乃「えらい気合の入りっぷりやな~」
恭子「郁乃さんかって、楽しみにしとるんでしょう?」
郁乃「まあそやけど……恭子ちゃん、ほんまはなんかあったん?」
恭子「いや…ほんとにそういうんやなくて…ただ」
郁乃「…」
恭子「パーッと遊びたい気分なんですよ、わたしも」
――――…………
――シライトシーランドまえ
漫「つ……つ……」
漫「着いたああああああーっ!!!」
郁乃「ほらほら、あんまはしゃいでると転ぶで~?」
恭子「なんとか開園前に着きましたね」
郁乃「そやね~やっぱ東京って遠いわ」
漫「あわあわマウスおるんかな?」キョロキョロ
恭子「なか入らんとおらんやろ」
郁乃「チケットとフリーパス買ってくるね~」
恭子「あ…お願いします」
漫「なあなあ、まずどれに乗るん?」
恭子「そやなあ…混むまえに人気そうなん乗れたらええけどな」
漫「ダッシュやな!」
恭子「まあ、どうせ全部は回れんし、乗りたいのから乗ってこ」
漫「うんっ!」
――てるてるのコークスクリューマウンテン
煌『すばら!よくいらっしゃいましたね!』
漫「わあ、お人形がしゃべっとるで!」
恭子「凝ってるなあ」
玄『えへへ、来てくれると思ってたんだ』
郁乃「どういう設定なんやっけ、このジェットコースター」
恭子「ええと、山でなんやイタズラ好きの雀士妖精が悪さしとるんで、てるてるがそれを辞めさせにいくっていう」
郁乃「へえ~この子ら妖精なんか~」
煌『まだまだ、イタズラはやめませんよ?』
玄『そうだよ、てるてるが遊んでくれないとやめないよっ』
怜『というわけや、てるてる』
照『……わかった』
ガシャコン
漫「え、なんの音?」
怜『来るで…コークスクリューや!』
ガシャコン…ビューン! ギュルルルルルルルルルルルルルルル
漫「わああああああああああああああっ!!!」
恭子「ひっ…ちょっ、まっ…!!」
郁乃「あはははははは!こらおもろいな~!」
ギュルルルルルルルルルルルルル
漫「あかん、あかんて、これあかんて!!」
煌『わー、どーすんでしょこれ…』
郁乃「あはははははは!斜めに上がるで!!」
恭子「は!?ちょおまって!!」
玄『すごーい、竜巻みたいだよっ』
ギュルルルルルルルル…ビューン!
漫「やああああああああああああああああっ!!!」
恭子「ちょ、飛んどる!?嘘やろ!!?」
怜『だいじょうぶ…飛んでる気がしてるだけやから…』ゴホッ
郁乃「あははははははは!あがったんやから今度は落ちるで~!!」
――シャープシューターマニア
菫『ようこそ、シャープシューター訓練生の諸君…早速だが、シャープシュートの練習を始めよう』
漫「これはあんま怖くないやつやね!」
郁乃「えっと、このメガネをかけるん?」
恭子「そう、そんで3Dで出てくるキャラが持っとる的を射るんです」
郁乃「ほえ~3Dってやっぱ流行ってるんやね~」
菫『さあ、みんな弓を構えて…妖精たちが持ってる的に当ててくれ』
菫『くれぐれも妖精たちに当てないように気を付けてくれよ』
漫「はーい」
美子『…』ヒョコ
漫「でたっ」バンバン
恭子「…」バン
ドンッ
漫「わあ、恭子ねえちゃん上手やなあ」
恭子「ちょろいでこんなん」フフッ
恭子「くっ、なんやこの妖精…!」バンバン
宥『…』ヒョイ、ヒョイ
漫「ぜんぜん当たらへん!」バンバン
宥『…』ヒョイ、ヒョイ
郁乃「ば~ん」バン
ドンッ
宥『わあ、当てられちゃった…』ヒョイン
漫「わああ、郁乃ねえちゃん、一発やん!」
郁乃「ふっふっふ~ちょろいで~こんなん」
恭子「…」ムッ
泉『よっしゃ、躱しまくったるで!』ヒョコン
恭子「! きたっ!」バンバン
ドンッ
泉『は…!?』バタッ
郁乃「あ~妖精さん撃ったらあかんのやで~?」
――たかみーのハーヴェストハント
尭深『フルーツ…たべたいなあ』
尭深『そうだ そろそろハーヴェストタイムだから、穫りに行こう』
ガチャンガチャン
漫「おお、これはほんまに平和なやつや…!」
郁乃「たかみーちゃん、かわいいな」
恭子「あ、ヒツジや」
仁美『そこなお嬢さん、どちらへ行かれるんで?』
尭深『フルーツを穫りに…』
仁美『ほーう、そっちは崖やけん、気を付けて』
恭子「え…?」
漫「ちょ、また怖いのくるんやないのこれ?」
郁乃「ん~それもええけど」
ガチャンガチャン
尭深『ほんとに崖だ…どうしよう』
セーラ『なになに、困っとんの?』
恭子「!」
尭深『ライオンさん…』
セーラ『崖ならぴょーいと跳び越えちゃえばええやん』
憧『みんなアンタみたいにバカ体力じゃないのよ…』
尭深『魔女さんも、こんにちは』
漫「わ、いっぱい出てきたで」
憧『しょーがないなー、わたしが魔法で橋を架けてあげるわよ』
キラキラリーン
恭子「おお…」
郁乃「あら、綺麗な橋~」
尭深『ありがとう、魔女さん』
憧『その代わり、フルーツちょっと分けてよね』
セーラ『俺も食べにいこっかな』ピョーイ
ガチャンガチャン
――海底2万マイルフィッシング
浩子『海底に沈んだ都市にすむ人魚のデータを取ってきてもらうで!』
灼『乗って、ボーリング号…射出する』
郁乃「う~ん、ちょお狭いなあ」
漫「なあなあ、なんでこんな丸っこい潜水艦なんやろな?」
恭子「どの方向からの力にも耐えるボディにするには球体が理想形やからやな」
漫「おお…!なるほどなー」
恭子(…適当に言ったんやけど)
灼『発射っ!』ビューン
チャポン!
漫「わ、海に入ったで!」
郁乃「ん~…?真っ暗やな」
誠子『さあ、深海の冒険だ!手元のライトを操作して周りを照らしてくれ!』
誠子『なにか見つけたらわたしがそれを釣り上げるから!』
恭子「え…操作できるんライトだけなん?」
恭子「…」ガチャガチャ
誠子『ヒット!これは…ワカメだな』
浩子『うまい…!うまいで、お前らのデータ!』
漫「これはちょっと…おもんないで…」
恭子「そやな…」ガチャガチャ
郁乃「あ!人魚やない?」
哩『釣り人さん、わたしを釣り上げられっと?』スイー
誠子『速い…!みんな、ライトを!あの人魚を照らして!』
恭子「え、どっちや?」
郁乃「ほらほら貸して~」グイッ
恭子「ちょ、狭いんですからそんな無理やり…!」グーッ
漫「あ、あっち!あっちに逃げたで!」グググ
郁乃「え、どこどこ~?」グイー
誠子『くっ…やはり人魚はそこらの魚とは違う…!』
恭子「郁乃さん、近…そんな押さんでくださいって!」グググーッ
――あわあわ城まえ・夜
恭子「ふう、だいたい目玉のアトラクションは乗れたんちゃいますか」
郁乃「そやな~、あとはおみやげ買っていかななあ」
漫「あ!ふたりとも見て見て!あわあわマウス!」
恭子「ん…」
郁乃「あ、ほんま お~い!」
淡「ハーイ!わたしあわあわ、アハッ!」
郁乃「お写真ええですか~?」
淡「いいよー、思い出くらいくれてやるっ」
恭子(…なんやそれ)
漫「わ、わ、この髪ほんものなん!?」
淡「ほんものだよっ!ほらっ」フワーッ
漫「わー!すごい!」
郁乃「すいませ~ん、写真撮ってもらってええですか?」
健夜「え?ああ、いいですよ」
すこやん誰と来たのかな?(すっとぼけ)
恭子「あ…すいません」
健夜「いえいえ」
漫「やあっ」ダキッ
恭子「え、漫ちゃん…!?」
郁乃「ええやんええやん、腕組むくらい」
恭子「そら…ええですけど」
郁乃「ほら、もっと寄って~」ギュッ
淡「おおーっ、仲いいねー」
漫「ふふへ」ギューッ
恭子「…」カァ
郁乃「恭子ちゃん、笑わな」
恭子「ん…」
健夜「撮りますよー、1足す1はー?」
漫&郁乃&淡「にーっ!!」
パシャッ
――かえりの車
漫「…」Zzz
郁乃「ぐっすりやね~」プニプニ
恭子「まあ…朝も早かったですからね」
郁乃「恭子ちゃんは寝んでええの?」
恭子「…まだねむないですし」
郁乃「わたしに気ぃつこうてくれとるんやったらええよ?」
恭子「…そんなんちゃいますて」
郁乃「ふふっ、そう?」
恭子「…」
郁乃「それじゃあ話し相手してもらおかな~」
恭子「…別にええですけど」
郁乃「漫ちゃんのお洋服、これ新しいやつやんな?」
恭子「ああ、このまえ買いものしたんですわ、ふたりで」
郁乃「へえ~」
恭子「なんですか?」
郁乃「ん~ん、もうふたりも、こういう服選ぶような歳なんやな~って…ちょっと前までわたしが買うてきてあげた服着とったのにね」
恭子「ずいぶん昔のはなしやないですか、それ」
郁乃「そう?わたしにとっては、ほんとに、ちょびっと前やで?」
恭子「…靖子さんも、似たようなこと言ってましたね」
郁乃「あははは、やっぱわたしとか靖子から見たらそうなんやな~」
郁乃「ほんと、懐かしいわ」
恭子「…」
郁乃「……ねえ、恭子ちゃん」
恭子「…なんですか」
郁乃「きょう、ありがとね」
恭子「…」
郁乃「おかげで楽しかったで、すっごく」
恭子「……」
恭子「…どういたしまして」
恭子「ん……ふああ…」
郁乃「あら?もうさすがに眠い?」
恭子「…まあ」
郁乃「べつに寝ちゃってええよ、家近なったら起こしたるから」
恭子「ん…どうも」
郁乃「おやすみ~」
恭子「…」
郁乃「ぱしゃぱしゃっ」パシャッ
恭子「…なに撮っとるんですか?」
郁乃「ん~?寝顔?」
恭子「…まあ好きにしたらええですよ」
郁乃「ほう、珍しく素直やなあ~漫ちゃんも撮っとこ~」パシャパシャ
恭子「…」
恭子(…うるさ)
――――…………
や、やっぱへんやって、おねえちゃん…
「ん~、なにが?」
なにがって…やって…
「あ!きょーこねえちゃん!いくのねえちゃん!」
!!
「漫ちゃーん ほら、恭子ちゃんも手ぇ振ったらええやん」
う、うちはええ…
「も~…どうしたん、ほんと」
ええもんはええんやって!
「きょーこねえちゃん?」
……じゅぎょうさんかんなんて、きらいや
「…どうして?」
やって…みんな、おねえちゃんのことみて…へんなかおするで…
「…恭子ちゃん」
うち…おねえちゃんがいやなきもちになるん、いやや…
「恭子ちゃん」
……
「おねえちゃんは、嫌な気持ちになんてなってへんよ」
…うそや
「嘘やないよ、ほんとや」
うそやって!
「恭子ちゃん…恭子ちゃんは、漫ちゃんの授業参観、いや?」
え…?
「きょーこねえちゃん、きょーこねえちゃんっ」
「ほら、漫ちゃん、あんな嬉しそうや」
……
「おねえちゃんは、漫ちゃんや恭子ちゃんが嬉しそうにしとったら、嬉しいで」
「恭子ちゃんは、そうやないん?」
……
「きょーこねえちゃん、みとってね!」
「誰にも、恥ずかしく思うことあらへん」
「うちらが家族なんは、嘘んこやないんやから」
……
「やろ?」
…うん
「ほら、始まったで」
あ……すずちゃん、あてられとる…
「そやね 見とったらんとね」
…がんばれ
「え…うーんと、えっと…」
頑張れ…!
「んんっと……あ、じゅうにや!」
!! 漫ちゃん、正解しましたよ!すごいで、すごい、漫ちゃん!
すごいですよね、ねえ、郁乃さん!ねえ、郁乃さんってば
……………………
――恭子の部屋
恭子「……んあ…」
恭子「ん……もうお昼やん…」ウトウト
恭子「…」ウトウト
恭子「みんなもう起きとんのかな…」フラッ
恭子「…」
恭子「……からだ重っ」
ガチャ
恭子「…誰も起きてへんのか」
恭子「…」
恭子(…なんや、えらい静かにかんじるな)
恭子「…コーヒー淹れよ」
恭子(…どっか行ってこよかな)
恭子「あ……そや」ガサゴソ
――本屋「嶺上堂書店」
恭子「…」キョロキョロ
恭子(…なんか面白い本あるかな)
恭子「ん……これ」ヒョイ
恭子「…」ペラペラ
恭子「うん、ええかも…買ってこかな」
恭子「ほかには…」キョロキョロ
ゆみ「すいません、小説を探しているんですが」
咲「はい、どんな小説ですか?」
恭子「……ん?」
ゆみ「それが…文の一部しか分からなくて…」
咲「だいじょうぶですよ ええと、どんな文ですか?」
ゆみ「これなんですが…」ペラッ
恭子「…ゆみ?」
ゆみ「ひゃあっ!?」
ゆみ「な…なんだ、恭子か」
恭子「ごめん…驚かす気はなかったんやけど」
ゆみ「いや…いいんだ」
咲「あ、あの」
ゆみ「! はいっ」
咲「お探しの本、取り扱ってますのでご案内します」
ゆみ「は、はい…どうも」
咲「こちらです」
恭子「ゆみ、なんの本探しとるん?」
ゆみ「いや、その…」
咲「あ、こちらのプリント、お返しします」ペラッ
ゆみ「あ…はい」
恭子「ん…?あれ、これ、このまえの…?」
ゆみ「…」
咲「ええと、たしかこの辺りに……あった!」
咲「こちらだと思うんですが、お確かめいただけますか?」
ゆみ「はい」ペラ、ペラ
ゆみ「…はい、これです」
咲「よかった」パァッ
ゆみ「ありがとうございます」
咲「い、いえっ では、失礼します」ペッコリン
恭子「へえ…この前の現国の、こんな本なんや」ヒョイ
ゆみ「…」
恭子「ゆみ、実は気に入ってたん?」
ゆみ「いや…そういうわけではないんだ」
恭子「…?」
ゆみ「むしろ…テストでボロボロにやられて、一刻も早く忘れたいくらいだったんだが…」
ゆみ「それなのになんとなく、無性に、気になってしまって…」
恭子「…」
ゆみ「へ、変だと思うか…?」
恭子「…」
ゆみ「…」カァ
恭子(照れとるし…なんや、ちょっとおもろい)
恭子「…べつに、ぜんぜん変やないやろ」ヒョイ
ゆみ「!」
恭子「それに…うん」ペラペラ
恭子「これ…わたしも買おかな」
ゆみ「!?」
恭子「こうしてみると、結構面白そうやん」
ゆみ「そう!そうなんだ!じっくり読んでみると結構面白そうで…――はっ!」
恭子「…」
ゆみ「あ…いや、その…」
恭子「やっぱ、結構気に入っとんたやな」フフッ
ゆみ「…」カアァ
恭子「あはは、そんな照れるようなことやないって」
恭子「それで、ゆみはその本買いにきたん?」
ゆみ「いや…じつはこっちはついででな」
恭子「…ほんまに?」ニヤ
ゆみ「なんだその顔は…本当だよ、本命はこっちだ」ヒョイ
恭子「…?」
恭子「あ…それ、グッピーの?」
ゆみ「前も話したがグッピーを飼い始めたんでな、とりあえずの情報はネットで調べてたんだが、それだけというのも少し心許ないしな」
ゆみ「それで一冊、飼育本の類を置いておこうということになったんだ」
恭子「へええ、ちょっと見せてもらってええ?」
ゆみ「ああ」
恭子「…おお」ペラ、ペラ
恭子「なんちゅーか、やっぱ綺麗やな」
ゆみ「綺麗なのは、みんなオスなんだ」
恭子「? そうなん?」
ゆみ「ああ こっちの、すこし地味なのがメスだ」ペラッ
支援
恭子「ほんま、結構地味やな」
ゆみ「うちにいるのはメスのほうが多いんだがな」
恭子「へえ ……ん、なんやこれ」
ゆみ「ん、どうした?」
恭子「いや、この写真のメス…おなかぷっくりしとるから」
ゆみ「ああ それは子どもが生まれる前だな」
恭子「? 魚やのに、妊娠するん?」
ゆみ「いや、妊娠とは違うな」
恭子「…?」
ゆみ「グッピーはおなかのなかに卵があって、そこで受精して、それを孵すんだ」
恭子「へええ…」
ゆみ「卵胎生というやつだな だからまあ、妊娠とは別物なんだが…すこし親近感は湧くか?」
恭子「…うん」コクン
ゆみ「うちのも、もう数か月したら母親になるかもな」フフッ
恭子「へええ…」
――街
ゆみ「ほう、家族でシライトシーランドか」
恭子「うん、漫ちゃんと郁乃さんが行きたがってな」
ゆみ「ははは、いいじゃないか、恭子も楽しんだんだろう?」
恭子「まあ…そやな」
ゆみ「わたしも小さいころに行ったな、懐かしいよ」
恭子「今度おみやげ持ってくな」
ゆみ「ああ、楽しみにしておこう」
恭子「あ…わたし寄ってくとこあるから」
ゆみ「ん、そうか」
恭子「じゃあ、また」フリ
ゆみ「ああ」フリ
恭子「…」
恭子「…さて」
恭子(今日、おるかな)
――コンビニ
ソフィア「お、恭子 いらっしゃいませ」
恭子「ん」カゴコトン
ソフィア「もうテスト終わった?」
恭子「うん、だいたい帰ってきたくらいやな」
ソフィア「そっか 肉まんは?」
恭子「ん、もらうわ」
ソフィア「まいどー、いくつ?」
恭子「んー…みっつ」
ソフィア「ほいほい」
恭子「ソフィア、バイトいつまで?」
ソフィア「え?もう数分であがるけど」
恭子「そか、よかったらちょっと話さへん?」
ソフィア「…?」
恭子「おみやげ、持ってきたんや」
――街
ソフィア「へえー、シライトシーランドか」
恭子「うん、これそのおみやげ」
ソフィア「なんか悪いな、サンキュー」
恭子「ただのチョコやけどな」
ソフィア「いや嬉しいって いつ行ってきたんだ?」
恭子「きのう」
ソフィア「お、学校は?」
恭子「…サボった」
ソフィア「へえええー」
恭子「…なに?」
ソフィア「いやー、やるじゃんと思って」
ソフィア「中学の頃は真面目ちゃんだったのになー」
恭子「…」
ソフィア「あっはっは、照れんな照れんな!」
ソフィア「それで?相手はどんな奴なんだよ」
恭子「ほえ?」
ソフィア「いやだから、彼氏?デートに行ってきたんだろ?」
恭子「は!?ちゃうわ!そんなんやないって!」
ソフィア「あーはいはい、まだお付き合いはしてないと」
恭子「一緒にいったんは家族やって!」
ソフィア「へ?ああ……あー、そうなの?」
恭子「デートで学校サボったりせんわ、不良やんか!」
ソフィア「まあそうか、たしかにちょっと驚いたもんなあ…あの恭子が!?って」
恭子「どのわたしでもせんて、そんなこと」
ソフィア「あははごめんごめん」
ソフィア「だってほら、シライトシーランドって結構なデートスポットだろ」
恭子「そらまあ…たしかにカップルも多かったけど…」
ソフィア「へえー、平日でも?」
恭子「…うん」
ソフィア「はー、さすがシライトシーランドだな」
恭子「…」
ソフィア「テレビでやってたんだけどよー、あわあわマウスと一緒に写真撮ったカップルは……恭子?」
恭子「! な、なに?」
ソフィア「いや、なんか考え込んでるみたいだったから…どうかしたか?」
恭子「う、ううん、なんも」
ソフィア「…?」
恭子「なんや、ボーっとしてもうて…昨日の今日やからな」
ソフィア「ふーん…?」
恭子「そんで、なんやっけ、あわあわマウス?」
ソフィア「そうそう、一緒に写真撮ってもらったカップルは幸せになるとか言われてんだって」
恭子「…へえ」
ソフィア「ベタな噂だよなあ」
恭子「うん、まあ…アホみたいな話やな」
――――…………
恭子「ただいま」ガチャ
漫「おかえりー、どっか行ってたん?」
恭子「ん、ちょっと友だちに、おみやげ渡しにな」
漫「へええ…うちなんか疲れたから一日寝とったで」
恭子「わたしも明日はそうするわ…さすがにクタクタや」
郁乃「あはは、今日くらい大人しくしとったらよかったのに~」ヒョコン
恭子「そうなんですけど…なんとなく、気が向いてもうて」
郁乃「ごはん当番替わったろうか?」
恭子「ええんですか…?郁乃さんも疲れとるんじゃ…」
郁乃「わたしも一日寝とったからな~もう元気バリバリやで」
恭子「じゃあ…お願いできますか、明日わたしやるんで」
郁乃「りょうか~い」
漫「あ、そや、さっき郁乃ねえちゃんが言っとったんやけど」
恭子「うん?」
漫「きのう撮った写真、写真立てかなんか買ってきて入れよっか、って」
恭子「写真立て?現像かなんかするんか?」
漫「うん、なんやデジカメで撮った写真も、お店でプリントしてもらえるらしくて」
郁乃「思い出によさそうやろ~」
恭子「…」
漫「? 恭子ねえちゃん?どうかしたん?」
恭子「いや…そんなら写真立てもむこうで買っとけばよかったかなあって」
漫「!」
郁乃「そうそう~」
恭子「気付いとったんですか」
郁乃「うん、失敗したなあ、って…珍しく」
恭子「…自分で珍しくとか言うんですか」
郁乃「ふふ~、本気で凹んどるサインやで~」
恭子「めんどくさ…」
郁乃「ま、やから責任もって、ちゃんとええ代わりの見つけて来たるね~」エヘン
――――…………
――学校・昼休み
花子「えー!学校サボってシライトシーランド行ってきたのかよ!!」
恭子「ちょ、声大きいて」
花子「いいないいなー恭子だけずりーなー!」
智葉「デートか?」
恭子「いや家族と…ちゅーか、そんなデートスポットとして押されとんの?」
花子「そりゃー泣く子も黙る天下のシライトだからな!」
ゆみ「泣く子も黙るところでデートはしたくないが…」
恭子「これ、おみやげ」
花子「お、なになに、あわあわマウスの付け耳とか?」
恭子「花子にはそれ」
花子「え……マジで?」
恭子「…も、ええかと思ったけど、今回はチョコにしたで」
花子「よかったー…付け耳だったら付けなきゃいけないかんじだったもんなー…」
恭子(…結構本気で考えたけどな)
花子「で、で、楽しかったの?」
恭子「ん…まあ、割と」
花子「うひゃー、素直じゃねー」ケラケラ
恭子「…うるさいわ」
智葉「わたしも、コークスクリューコースターとやらに一回乗ってみたいんだが」
恭子「!!」ビクッ
花子「お?なになにどしたの?」
恭子「こ…こーくすくりゅーこーすたーは…」カタカタ
ゆみ「そんなに怖いのか…」
恭子「しぬかとおもったで…」カタカタ
智葉「ほう…それは、血が騒ぐな」
花子「あはは、どういうキャラだよ」
ゆみ「しかし東京か…遠かったんじゃないか?」
恭子「うん、まあ結構早起きやったな 郁乃さんが車借りてきてくれて…」
花子「おおー、気合入ってんなー」
しえん
漫「じゃじゃーん、きょうはスズ特製かに玉や!」
郁乃「おお~」パチパチ
恭子「…」
漫「あ、味見はしたで!」
恭子「なら安心やな」
郁乃「こ~ら、意地悪せえへんの」ツンッ
恭子「あうっ……ごめんなさい」
漫「あはは、恭子ねえちゃん子どもみたい」
恭子「…」…ジイッ
漫「うっ……ごめん」
恭子「…」ジーッ
漫「ごめんて、そう睨まんで…」
郁乃「はい、そこまでそこまで~ごはんはなかよう食べなあかんで」
郁乃「いただきます」
恭子「…いただきます」
郁乃「ごちそうさま~」
恭子「ごちそうさま」
漫「おそまつさまー」
郁乃「漫ちゃん、お料理上手んなったなあ」
漫「えへへへ」
恭子「ほんまに練習したん?」
漫「え、んーと…練習ちゅーか、まえ小蒔ちゃんちで食べたのが美味しかったから、ちょっと真似してみてん」
恭子「へええ」
郁乃「あ、そやった」
恭子「…? なんですか?」
郁乃「このまえ話しとった、写真立てなんやけどな」
漫「! 買ってきたん?」
郁乃「うん、たまたま寄ったとこでええの見つけたから、つい買ってもうて~」
漫「見せてみせて!」
郁乃「はーい、ちょっと待っててな」
漫「なあなあ、どんなんやろ?」
恭子「さあなあ」
郁乃「おまたせ~」ヒョコン
漫「わー、どれどれ!」
郁乃「じゃーん!」
漫「おおーっ!おしゃれかわいい!」
恭子「…おお」
恭子(思ってたよりすっとしてて…結構ええかも)
郁乃「な、ええかんじやろ?」
漫「うんっ」
恭子「…ええと思います」
郁乃「やあん、恭子ちゃんに褒められると嬉しくなってまうな~」
漫「はよ写真入れてみたいなあー」
郁乃「…と言うと思って~じゃじゃーん!」
漫「!!」
恭子「へえ、プリントもしてきたんですか」
郁乃「ふふ~仕事帰りにな」
漫「さすが郁乃ねえちゃんや!」
郁乃「もっと言うて~」
漫「さすがや!できるおんなや!!」
郁乃「あは~」
恭子「…はよ入れてみましょうよ」ハァ
郁乃「そやね、はい、じゃあこれ」パスッ
恭子「え?わたしが入れるんですか?」
郁乃「恭子ちゃんがいちばん楽しみにしてそうやったからね~」
恭子「なっ!?」
漫「あははっ、ほんまやね」
恭子「そんなこと、わたしはべつに…――はぁ」
恭子「まあええですよ…入れればええんでしょう、入れれば」
郁乃「うん お願いな~」
恭子「…」
恭子(自分ちのこと、こんなふうに言うんもアレやけど…結構ええ写真かも)
恭子(それに、ほんまにこの写真に合う写真立て買うてきてくれたんやな、郁乃さん)
郁乃「恭子ちゃん?」
恭子「いま入れます」
恭子「…」スー…チャッ
恭子(もっとちゃんと、笑えばよかったやろか)
漫「わああ、これええなあ」
郁乃「ほんまやね」
漫「ふへへ」
恭子「どしたん?」
漫「恭子ねえちゃん、ええ顔しとるね」フフッ
恭子「…そうか?」
漫「そうやって!すっごい恭子ねえちゃんらしいもん!」
恭子「ん……ありがと」
漫「なあなあ、ここ置こ?電話ん横っ」
恭子「うん」コトン
郁乃「おお~ええかんじやね」
恭子「ですね」
漫「わああ、け、ケータイとってこよっ」
恭子「…なんで?」
漫「写メ撮ろうと思て!」
恭子「…写真の写メ撮るんか」
漫「うんっ、そんでみんなに自慢すんねん」
恭子「まあ、好きにしたらええけど」
漫「そーするっ」タッタッタッ
ガチャッ
恭子「…」
恭子「そんな走るようなことでもないのに……ねえ、郁乃さ…」
恭子「……え」
郁乃「…」
恭子「え…いくの、さん…?」
恭子(なんで……なんでそんな……)
郁乃「…」
恭子(そんな、哀しそうな目…)
恭子「…」…ゴクン
恭子「あ、あのっ、郁乃さ
ガチャッ
漫「持ってきた!ついでに恭子ねえちゃんのも取ってきたで!はいっ」
恭子「え、いや……ちゅーか勝手に…!」
郁乃「…まあ、持ってきてくれたんやから、ピポンと撮ったったらええや~ん」
恭子「…」
郁乃「な?」
恭子「…そうですね」
漫「えいっ!」カシャッ
――恭子の部屋・深夜
恭子「…」ゴロン
恭子「…」
恭子「…なんやねん、もう」
恭子「…」
恭子「…」ゴロ、ゴロ
恭子「…」ゴロゴロゴロ
恭子「…」
恭子「……はぁ」
恭子「…」
恭子「…」
キイィィ…
恭子「…?」
恭子(……ドアの音?)
恭子(誰か、廊下出とんの…?)
郁乃「…」…キイィ
郁乃「…」
郁乃「……うん…やっぱ、ええ写真やな…撮ってくれたひとにも感謝せんと…」
郁乃「……」
郁乃「…」…ポロッ
郁乃「……うぅ…うええ…」ポロ、ポロ
郁乃「…ううぇ……」ポロポロ
…ガチャ
郁乃「!」ビクッ
恭子「…」
郁乃「……恭子ちゃん」
郁乃「なんや…まだ起きとっ
恭子「郁乃さん」
郁乃「…」
恭子「なにしとるんですか…?」
郁乃「なにって……べつに、なんも」
恭子「…」
郁乃「ちょっとのど渇いてもうたから、おみず飲みに来ただけやって」ニコー
恭子「…そうですか」
郁乃「うん、ごめんね起こしてもうて~」
恭子「…」
郁乃「じゃあ、わたしももう寝るから」
恭子「…そうやって」
郁乃「…」
恭子「また、独りでこそこそ泣くわけですか」
郁乃「…」
郁乃「…なんや、突っかかる言いかたやね~」
恭子「ちゃうんですか?」
郁乃「…」
恭子「なんで…なんで隠すんですか……郁乃さん…」
郁乃「…」
恭子「なにがあったんか……話してくれたらええやないですか…」
郁乃「…」
恭子「一緒の家におって、なんで隠れて泣かれなあかんの……なあ…なんでや郁乃さん」
郁乃「…」
恭子「なんでや、郁乃さんっ…!」
郁乃「……」
恭子「…」
郁乃「……そんなん」
郁乃「そんなん、しゃーないやん」
恭子「……なにがですか」
郁乃「やって、そやろ」
郁乃「そんな、なんでもかんでも話せるわけやないやんか…!」
恭子「…!」
郁乃「言えへんことやってあるわ、そんなん、家族にでも……漫ちゃんにでも、恭子ちゃんにでもあるわ!」
恭子「なんやそれ…!」
郁乃「だってそやろが!じゃあ恭子ちゃんは、漫ちゃんに隠しごとひとつないって言えるんか!」
恭子「!!」
郁乃「わたしに、なんもかも包み隠さず生きとるんか!そんなこと、そんなこと全然ないくせに…!」
郁乃「そんなん、恭子ちゃんが構ってほしいってだけやんか!」
恭子「……やったら」
郁乃「…」
恭子「やったら……あれも嘘ですか…」
郁乃「…なにがや」
恭子「言うたやないか……郁乃さんが言うたんや…心配、せなあかんようなことがあったら……うちらに言うって…」
郁乃「…!」
恭子「真っ先に言うって…!言うたんやないですか!あれは嘘やったんか!!」
郁乃「……」
漫「な……なにしとんの…」
恭子&郁乃「!!」
恭子「す…すずちゃん…」
漫「なあ……ふたりとも、なにしとんの…」
恭子「…え、ちゃ、ちゃうて……これは」
郁乃「なんでもあらへん」
恭子「え…」
漫「嘘や!ふたりとも、すごい声出しとったやんか!」
郁乃「やから、なんでもないって」
恭子「ちょっと……郁乃さん…」
漫「そんな…やって」
郁乃「なんもないで なんもないから、もう寝え」
恭子「なっ…郁乃さんっ!」
郁乃「……大きい声出さんでよ」
郁乃「それとも…なんか、あるんか?恭子ちゃん」
恭子「…っ!!」
郁乃「……ないなら、恭子ちゃんも寝え」
恭子「……そう、ですね」
郁乃「…」
恭子「やったらもうええわ…!」
漫「きょ、きょうこねえちゃん…」
恭子「…漫ちゃんももう寝え、付きあったって意味ないで」
郁乃「お互いさまやろ」
恭子「おやすみなさい!」
漫「待って、恭子ねえちゃんっ…!」
恭子「明日のごはん、要りませんからっ!!」
ガチャンッ!!
――恭子の部屋
…コン、コン
恭子「…」
「恭子ねえちゃん…朝やで」
恭子「…」
「…起きて、学校いかな」
恭子「…ええ」
「ええって…」
恭子「……今日はええ」
「…そっか」
恭子「…」
「じゃあ、うち行ってくるで、なんかあったらメールして」
恭子「…うん」
…ガチャ
恭子「…」
恭子「……ん…ふああ」
恭子「…いつのまにか寝てたんか」
恭子「…」
恭子「…」グー…
恭子(もうとっくにお昼過ぎやん…)
恭子「…」
恭子「……情けな」…ハァ
恭子「…」スクッ
恭子(カップ麺かなんかあったやろ、たしか…それ食べて、そんで…)
恭子「…」
恭子(……どっか、ぶらつこか)ガチャ…
恭子「…あ、ケータイ」
恭子「……」
恭子「…置いてこ」
…ガチャ
――映画館
透華『な…いったい、何が起こってるんですの…!?』
和『れ、れいせいになってください…おばけなんて、そんな、そんなオカルト…』
透華『そうはいいましても、現に…!』
モモ『……っす ……っす』
和『ひいっ!?』
ムロ「お、おいマホ、だいじょうぶか…?」
マホ「こ……こわいですー…」ブルブルブルブル
恭子「…」ボーッ
透華『ほら、声がしたじゃありませんか!これでもありえないと…』
モモ『……ろっす』
和『え…?』
モモ『報いを受けろっすー!!』ドドーン
マホ「やあああああああああああっ!!!!」
恭子「…」ボーッ
恭子「…」テクテク
恭子(…ぜんぜん頭に入らんかったな)
恭子(前の席の叫んでた子のほうが憶えとるくらいやわ…)
恭子「はあ…損した」
恭子「…」
恭子(このまえの漫ちゃんも、きっとこんな気分やったんやろなあ…)
恭子「…もう夕がたんなるな」
恭子(ふたりとも、家に帰っとるんやろか…)
恭子「…」
恭子「…」…ハァ
恭子「帰りたないな」
恭子(どっか、暇潰せるとこないか…)キョロ、キョロ
恭子(どっか…暇潰せて、ストレスも潰せるようなとこ…)キョロキョロ
恭子「…」
恭子「……あ」
――ゲーセン
恭子(入ってみたはええけど…)
ジャカジャカジャカジャカ
恭子(……うるさ)…ハァ
恭子(このまえ漫ちゃんと来たときはそんな気にならんかったんやけどな…)
恭子「…」キョロ
恭子「ん…これ、テレビで見たな」
恭子「…」
恭子「やってみよか」チャリーン
『曲を選ぶドン!』
恭子「…随分いっぱいあるんやな」ドン、ドン
恭子(知らん曲も多いけど……ん)
『でーもーあきらめたーらおーわーりー』
恭子「…これでええか、簡単そうやし」ドン
『始めるドン!』
恭子「……」
『あきらめたーらおーわーりー』
恭子「…」ドン
『きもーちをーリセットしてー』
恭子「…」ドン
『もどーるばーしょーでー ワンモァーペー』
恭子「…」ドンドンドン
『いーま ちょっとだーけ』
恭子「…」ドン、ドン
『めーを あけたらせーめてー』
恭子「…」ドン、ドン
――でも、だいじょうぶやで
恭子「…」ドン、ドン
――ほんとに、心配してもらわなあかんようなことになったら、真っ先に言うから
恭子「…」ドンッ、ドンッ!
――恭子ちゃんと漫ちゃんに ちゃんと言うから
恭子「…」ドンッ!ドンッ!
――ちゃんと言うから
恭子「…」ドンッ!!
恭子「…」
恭子「……うそつき」ポロッ
恭子「うそつき……うそつきっ…」…ドンッ!ドンッ!
――なんでもない、なんでもないで
恭子「なんやねん…やったら、やったら最初っから…!」ドンッ!ドンッ!
――言えへんことやってあるわ、そんなん、家族にでも……
恭子「最初っからっ…!そんな素ぶり見せなきゃええやろが…!」ドンッ!ドンッ!
――恭子ちゃんにでもあるわ!
恭子「郁乃さんの…アホおっ!!」ドンッ!!
『…めぐーりあーいーはー』
恭子「……」ポロ、ポロ
『ざんこくーすぎてー……こーわーいー…』
恭子「あほぉ…」ポロポロポロ
『残念、ノルマ失敗だドン』
恭子「…」…グシグシ
純「……漫のねーちゃん?」
恭子「!!?」ビクゥッ
――街
純「やー、すっげえ下手くそが力任せに太鼓叩いてんのが見えたからさ、壊れるぞって言おうと思ったんだよ」
恭子「…」
純「そしたら漫のねーちゃんなんだもんな、ははははは!」
恭子「…」カァ
純「…ま、かっこ悪いとこなら俺も見られたし、これでおあいこだな」
恭子「…なにがや」
純「ほら、バスケの」
恭子「あれは……べつに、かっこ悪ないし…」
純「いいんだって、俺がかっこ悪いと思ってんだから」
恭子「…」
純「だからおあいこ、っす」
恭子「…」
恭子「…うん」…コクン
純「よしっ」
純「で、なんかあったんすか?」
恭子「…」
純「あー…こんなとこで聞く話でもねーか……つーか俺が訊くことでもねーのかな、これ」
恭子「……ううん」
純「え、いいんすか?」
恭子「…わたしも、誰かに話しちゃいたい」
純「…」
恭子「かも」
純「ん…じゃあどっか、店入りますか」
恭子「…」コクン
純「そういやこの辺に、変な名前だけどうまいラーメン屋があって…」
恭子「…「カツ丼」やないやろな」
純「あれ、知ってんの?そんなら」
恭子「知ってるけど……却下や」
恭子「店はわたしが決める」
ごめん、投下しながら書き溜めてるのに追いついちゃいそうなんだけど、眠くて全然あたま回んなくなってきたから一旦寝ますわ…
できれば取っといてくれるとうれしいです けど、もし落ちちゃったら、その時はちょっと書き溜めしてからまた出直します…
本当にもうしわけない
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません