小日向美穂「お昼寝のお供」 (150)

キャラ崩壊注意
偶に地の文

・晶葉ラボ

美穂「あ、晶葉ちゃん。ちょっとお願いがあるんだけどいいかな?」

池袋晶葉「・・・ん、どうしたんだ美穂さん、わざわざこの私のラボまで足を運んでまで。」

美穂「えっと・・・ちょっといきなりのことで迷惑かもしれないんだけど・・・わ、私にとっては大事なことで、えっとその・・・」

晶葉「? なに、遠慮することはない、同じプロダクションのアイドルの仲じゃないか。言うだけ言ってみたまえ。」

美穂「晶葉ちゃん・・・!」

晶葉「ま、もっともこの私の天才的頭脳で解決できない問題などないがね!!」

美穂「うん!・・・えっとね・・・プ、ププ、プロデューサーの右腕が取れちゃったの!!」

晶葉「」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1391773955

~~~~~~~~~~~~

美穂「ご、ごめんね?晶葉ちゃん」

晶葉「・・・いやかまわないさ。間違いは誰にでもあるさ、しかしプロデューサー、というのが私の助手のことではなくこのぬいぐるみとはね」

美穂「えへへ・・・いつもはプロデューサーくんって呼んでるんだよ?さっきのはつい言い間違えちゃって」

晶葉「たった二文字が抜けただけで、ぬいぐるみと人体では意味が大分猟奇的になったがね。」

そう言う晶葉の前の作業台にはお大きめの、抱き心地の良さそうなくまのぬいぐるみが置かれている。
しかしその片腕の付け根の部分でほつれ、見ようによっては痛々しく肩口からぶら下がっていた。

晶葉「ふむふむ・・・腕を胴につなぐ糸が傷んでちぎれただけで、布地自体は無事だな・・・。どうやら問題なく修理できそうだな。」

美穂「ほ、ほんとっ?晶葉ちゃん!?ありがとう!・・・ああよかったぁ、こういうのに詳しそうな人が今事務所にいなかったら困ってたの!」

晶葉「まあ私の専門はロボだがな。裁縫が得意なアイドルは出払っていたのか?」

美穂「うん、まゆちゃんも海さんも今はいなくて・・・」

晶葉「なるほどじゃあこのぬいぐるみ、プロデューサーくんは私がなんとかしよう。」

美穂「!! 晶葉ちゃんありがとう!」


晶葉「だが私はこのあと助手と仕事でな、本日いっぱいはラボに帰って来られないんだよ」

美穂「ええっ!?」

晶葉「そう狼狽えないでくれ。君がこのプロデューサーくんを大事にしているのは知っている。なにせ仮眠中はいつも我が子のように抱きしめているからな。」

美穂「え、えへへ・・・恥ずかしいな」

晶葉「とにかくそんな大事なものを取り上げたままなのは心苦しい。そこにぬいぐるみの代わりになりそうなのがいるから持っていくといい。」

美穂「うん、ありがとう晶葉ty」

ウサミンロボ「ウサ」

美穂「」

そこにいたのは晶葉にとっての子供のような存在、ロボットのうちの一体だった。
しかし抱きしめて眠るにはその硬度と重量に問題が多すぎる。
美穂は晶葉の提案を丁寧に辞退した。

~~~~~~~~~~~~~~~~

・事務所

美穂「はあ・・・ううプロデューサーくんがいないとお昼寝がはかどらないよぅ」

美穂は事務所で暇を持て余していた。晶葉が仕事から戻り、ぬいぐるみを直してくれるのを待っているのだ。
だがあいにく今はお昼を少し過ぎた頃、彼女がもどるまでの時間はまだまだ長い。さらに美穂の仕事も午前のうちに終わってしまいレッスンの予定もなかった。

美穂「こんな日に限っていい天気だなぁ・・・」
  
  「・・・・・・・・・・・・・・・。」

  「・・・・・・・・・・・・・・・。」

  「ふあぁ・・・あれ・・・日にあたってたら・・・なんだかねむくなってきた・・・。」


どうやらぼんやりと日向ぼっこをしているあいだに眠気が出てきたらしい。
しかし美穂の傍らにいつものぬいぐるみはない。このままではいつもどおりの快眠とはいかないかもしれない。
そこに

棟方愛海「うひひ」

愛海「(右手にお っぱい!左手にお っぱい!!棟方愛海だよ!仕事を終わらせて戻ってみたらなにやらうつらうつらと船を漕いでる美穂っぱいがいるね!!)」

愛海「(これはあれでしょ!!お山を登っちゃおうと!登っていいよと!そういうことだよね!)」

愛海「(あたしのこの手が光って唸る!!お山を登れと輝き叫ぶ!!)」

愛海「(アツミングフィンガーーーーーーーーーー!!!)」

そこに現れたのは同プロダクションに所属するアイドル、女性の胸部を揉みしだくことに無類の心血を注ぐ個性派アイドル、棟方愛海であった。
ちなみにここまでのセリフはすべて口に出されたものではない。
彼女は事務所に入るやいなや一瞬で無防備な胸部の気配を察知し、声はおろか足音、気配に至るまでを完璧に消していた。
そしてソファの上で寝ぼけ眼、じきに眠りに落ちるであろう美穂に、正確にはその胸部に指をわきわきさせながら一気に肉迫した。

美穂「くぅ・・・プロデューサーくん・・・」

ぎゅう

愛海「!?」

愛海のその十指が美穂のノーガードの胸に触れようとした瞬間、彼女は抱きしめられていた。

美穂はいつものお昼寝のとき癖でぬいぐるみを抱き寄せたつもりだった。
ただ、そこにいたのがぬいぐるみではなく、いたいけな14歳の少女の肉体であっただけで。

愛海「(ななあんばななあ・・・柔らかい柔らかい柔らかい!?どこが?全身が!!あたし今柔らかい何かに包まれてる!!)」

美穂「・・・すぅ、んぅ・・・ん」ギュウ

愛海「」

棟方愛海(14)  身長151cm体重41kg
小日向美穂(17) 身長152cm体重42kg

二人のプロフィール上の体格差はそれほど大きくない。しかし虚を突かれた愛海に美穂の捕縛を解く術はなかった。
美穂は本格的に寝に入り、向かい合う形で愛海の背に回した手に力を込めた。

愛海「みみみ美穂さん? ちょっと美穂っぱいを触りたいから放してくれないかなーって・・・」

美穂「んぅ・・・んん」

愛海「(寝てるじゃん!さあ今なら揉みしだき放題だ!・・・って動けないんだけどね!)」

美穂「えへへ・・・プロデュ・・・サ、さ・・・ん」スリスリ

愛海「チガウヨー、あたしおっぱいの狩人ダヨー・・・だから頬ずりしないでー。」

美穂「・・・すぅ」

愛海「(これもう起きないよね。)」

愛海「(なのに揉みしだけない。こんなに近く、ゼロ距離におっぱいがあるのに!というか顔が埋まってるんだけど・・・83センチを顔面で味わってるんだけど!!)」



愛海「・・・」



愛海「あったかい・・・」

美穂、テクニカルにクリンチを決める

愛海「(そういえばここんところ誰かを揉みしだこうとしても木場さんに捕まったり清良さんに拡張されたり早苗さんにシメられたりで満足してなかったからなぁ)」

愛海「今まではみんなの胸に詰まった夢や希望を指を通して感じてきたけど、こういうのもアリだなぁ・・・指だけじゃない、なんか、こう体の芯から幸せが満ちてくるね・・・」



愛海「えへへ・・・・・・もうしばらくこうやっとこ」ギュウ




~~~~~~~~~~~~~~~~

後日

愛海「木場さんっ!!」ダダダッ

木場「む・・・懲りずに来たのかい愛海。仕方ない、躾も年長者の義務だ。相手しよう」

愛海「とりゃー!」ギュッ!!

木場「(しまった! 胴に抱きつかれた!胸にむかってくると見せかけてフェイントか!?)」


愛海「えへへ・・・あったかい」ギュウ・・・

木場「」
早苗「」
清良「」
モバP「」

愛海編終了
みほたんが他の子をハグするSSです。
書き溜めたらまた来ます。
次はロリの予定です。

師匠が可愛い…だと…?

素晴らしい

小日向美穂(17)
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http://i.imgur.com/2sQZ0xm.jpg

池袋晶葉(12)
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棟方愛海(14)
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木場真奈美(25)
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片桐早苗(28)
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柳清良(23)
http://i.imgur.com/urWjKcu.jpg
http://i.imgur.com/PmYFEMc.jpg


晶葉は14じゃなかったっけ

画像ありがとうございます。

~~~~~~~~~~~~~~


美穂「ふあ・・・うーん。少しは眠れたと思ったけどそれほど時間は経ってないなぁ。」

事務所のソファの上で目を覚ました美穂は目をこすったあと、その場で猫のように伸びをした。
四つん這いのまま背筋を天井に向かってぐっと伸ばし後ろに反らしていく。

美穂「うー・・・んん、」ググ・・・

美穂「んひゃんっ!?」ズルッ

しかしある程度の柔軟性を持つソファの上でするにはその姿勢は不安定だったらしく、その場で背中からソファの上に転がってしまった。

美穂「あいたた・・・というほどじゃないけど。・・・・・・あれ?誰もいない?さっき眠る前に誰か来たような気がするんだけどな・・・」

アイドルとして転ぶという行為はドジっ子アピールか醜態かどちらかである。が、それを判断する人物は近くにはいなかった。

実際は先ほどまで同じキュートに属すアイドル仲間がいた。
彼女は『女性を愛でる上で胸の大きさは関係ない』という持論を持っていたが、
ついに『もはや胸じゃなくてもいい』という境地に達し、その成果を確かめにどこかへ出かけてしまったあとだったので美穂はまたひとりだった。

少なくともその部屋の中では。

美穂「晶葉ちゃんが来るまでもうひと眠りしようかなぁ・・・。でもなんか部屋がさっきよりも暗い?」

美穂「あ、太陽が向こうの方に行っちゃったんだ・・・。うーんこの時間帯だとこの部屋には今日はもう日が差さないかな・・・」

美穂「でもでも別の部屋ならまだ太陽に面した窓があるよね?」タタタ・・・

ぬいぐるみがないならせめて日向ぼっこだけでも

そんなつもりで彼女は事務所内の移動を始めた。
日が移動し、しかも厚い雲が太陽の近くをちらつき始めたらしく、ひなたを作るには日光がやや心もとなくなりそうなので
完全に太陽が隠れる前にお昼寝スペースを探そうと、美穂はまず仮眠室を訪れた。

ガチャッ

美穂「・・・えっと」キョロキョロ

美穂「あ! あっちの窓の近くならお昼寝できそう!」



???「.........」













???「...ふわぁー、」


ちょっと席外します。

こひなたん、師匠を浄化する、の巻
流石やでぇ……

~~~~~~~~~~~~~~~~~
仮眠室

プロデューサー、事務員、たまに社長が仕事の合間の休憩を取るためにつくられた部屋、仮眠室。
現在では某ニートアイドルをはじめとした何人かのアイドルもそこを利用しているのだが、そのせいか
雑誌、文房具、化粧品、アロマキャンドル、着ぐるみ、ハードカバーの本、モバイルゲーム機、メガネクリーナー、小麦粉、砂糖、塩、、オイル、なにかの燃料など
アイドルの趣味の道具が持ち込まれ、そう狭くないはずの空間が混沌としている。
いま美穂がいるのがその部屋だった。


美穂「ここならまだ眠れるね。・・・わっ、床もここだけあったかい。」サスサス

美穂「じゃ、なにか毛布でも持ってこようかな。」トタタ・・・

美穂「・・・といっても何が何やら・・・あうぅ、モノがあふれかえってて枕すら見つからないよう・・・」ガサガサ

美穂「あ、これ毛布だ!」



毛布「...なにー...してるのー?」ノソッ



美穂「喋った!?」

何故か設置されていた大型のメガネ置きをどかしたところで、その奥に丸まった毛布を見つけたのはいいもののその毛布が突然毛皮を持った動物のようにもそもそと
動き出した挙句、喋り始めた。もちろんこれは晶葉の発明品でもなければ毛布系アイドルでもない。

毛布「...ふわぁ...」モゾモゾ

遊佐こずえ「...よくねたのー...」

美穂「な、なんだぁ・・・こずえちゃんかぁ・・・びっくりしたー」

こずえ「?...こずえはー...こずえだよぉー?」

美穂「うん、ご、ごめんね?起こしちゃった?」

こずえ「......ふぁ...はふー......こずえはー...いまおきたところなのー」

美穂「そっか!・・・よかったぁ・・・じゃ、じゃあその毛布、借りてもいいかな?」チョイチョイ

こずえ「......これぇー?...いいよー?」

美穂「ありがとうこずえちゃん!」

こずえ「.........みほも...ねるのー?」

美穂「うん。私もさっきまでお昼寝してたところなんだけど、ちょっと眠り足りないから寝ようと思って」







こずえ「.........そうなんだー.........」

美穂「?・・・どうかしたの?」

いくつか予備があるはずなのだが散らかった部屋のせいで希少価値の上がっていた毛布の譲渡は滞りなく完了した。
しかし美穂はこずえが落胆、あるいはなにやら残念そうな空気を出したのを感じとり、その理由を尋ねた。

遊佐こずえ(11)
http://i.imgur.com/lKqIIhl.jpg
http://i.imgur.com/3RCk8s9.jpg

何故か設置されていた大型のメガネ置きをどかしたところで、その奥に丸まった毛布を見つけたのはいいもののその毛布が突然毛皮を持った動物のようにもそもそと
動き出した挙句、喋り始めた。もちろんこれは晶葉の発明品でもなければ毛布系アイドルでもない。

毛布「...ふわぁ...」モゾモゾ

遊佐こずえ「...よくねたのー...」

美穂「な、なんだぁ・・・こずえちゃんかぁ・・・びっくりしたー」

こずえ「?...こずえはー...こずえだよぉー?」

美穂「うん、ご、ごめんね?起こしちゃった?」

こずえ「......ふぁ...はふー......こずえはー...いまおきたところなのー」

美穂「そっか!・・・よかったぁ・・・じゃ、じゃあその毛布、借りてもいいかな?」チョイチョイ

こずえ「......これぇー?...いいよー?」

美穂「ありがとうこずえちゃん!」

こずえ「.........みほも...ねるのー?」

美穂「うん。私もさっきまでお昼寝してたところなんだけど、ちょっと眠り足りないから寝ようと思って」







こずえ「.........そうなんだー.........」

美穂「?・・・どうかしたの?」

いくつか予備があるはずなのだが散らかった部屋のせいで希少価値の上がっていた毛布の譲渡は滞りなく完了した。
しかし美穂はこずえが落胆、あるいはなにやら残念そうな空気を出したのを感じとり、その理由を尋ねた。


連投失礼


こずえ「...こずえー...ごほん......よんでほしかったのー...」

美穂「本?これかな?」

こずえ「うんー...」

よくみるとこずえが寝ていたと思しき場所に本、パッと見て絵本らしきそれは、どうやら手作りの絵本らしく、絵の描かれた厚紙を毛糸のような紐で束ねたデザインだった。

『創作絵本 作:喜多 日菜子 わたしと白馬の王子様 第12巻 ~企業戦士とコンサルティング編~』

美穂「これは、日菜子ちゃんのかぁ・・・」

こずえ「...ひなこー...さっきまでよんでくれたけどー...おしごとにいっちゃったのー...」

美穂「そっか・・・よしっ!!  わかったよこずえちゃん!!」

こずえ「?......なんなのー?」

美穂「この続き、私が読んであげる!毛布のお礼だよ!」

こずえ「...わぁー...ほんとなのー?」

美穂「ほんとだよっ」

こずえ「...みほー......ありがとおー...」トテトテ

ギュ

美穂「わっ!? えへへ・・・どういたしまして♪」ナデナデ

抱きつくという、喜びをわかりやすいスキンシップで伝えてきたこずえの頭を撫でながら美穂は絵本を手に取り、
その中身に一通り目を通した。ほとんどの文字が平仮名で書かれているため子供でも読むのに苦労はしなさそうだが、
他の人に読んでもらうというのはまた違うものなのだろう。

美穂「(・・・そもそもこずえちゃんは色々謎すぎてロシア語や英語をスラスラ読めたとしても違和感ないんだよね・・・)」

こずえ「...みほー?」

美穂「・・・ん?あっ、それじゃこずえちゃん、あっちの日当たりのいいところに行こっか?」

そういって移動した場所は先ほど美穂がお昼寝の場所に指定したところだった。

こずえ「...おそとー...くもってるのー...」

美穂「これじゃ、お昼寝はどっちみち無理かぁ・・・」

美穂「じゃ、こずえちゃん、おいで?」

こずえ「こずえー...みほのおひざのうえにすわるのー......」ギュ

美穂「ふふ、じゃあ読むよ?えっと・・・・・・『ときは現代、人々は世界をより良くしようとベンチャービジネスに力を入れていました。』」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

太陽が完全に雲に隠れ、頼りない明るさになった仮眠室内を絵本を朗読する声がゆっくりと漂っている。
こずえを膝の上に載せた美穂の声である。

美穂「・・・・・・『こうして、王子様は三人の賢者の会社が悪い王様に吸収合併されるのをみごと阻止しました。』」

こずえ「...すごいのー...」パチパチ

美穂「・・・えへへ・・・『そしてその頃お姫様は自分の企業の海外進出を狙い、海の向こうの国の王様に会いに行く旅を始めていました』」

美穂「・・・・・・ん・・・ふわ・・・」

こずえ「みほー...ねむいのー?」

美穂「んー、どうだろ?日向ぼっこをしてるわけじゃないんだけどなぁ」

絵本の読み聞かせ、というのは子供を寝かしつけるのに適していたりする。
この場合の子供というのがどの程度の年齢を指すのかはわからないが少なくとも今美穂は自分の朗読会で寝落ちしそうになっている子供だった。

だが、ただの読書なら美穂もそんな子供っぽさは発揮しなかっただろう。これでも彼女は17歳おなじキュートアイドル、安倍菜々とも同年齢である(断言)
強いて原因をあげるならこずえを膝の上に抱え、そのまま窓の下、壁にもたれた姿勢が思いのほか彼女をリラックスさせていたことだろう。

遊佐こずえ(11) 身長130cm体重28kg

自分よりも20cmも大きい人間に抱えられているこずえの体は、今ちょうど膝上にすっぽりと埋まっているのだ。
そのためこずえの背中は美穂にぴったりと張り付いたように預けられ、美穂はこずえの温度をほぼ直に感じていた。

ちいさな子供特有のやや高めの体温、
美穂はまるでそれを逃がさんとするように後ろから手をまわし抱きしめるように本を持つ形になっていた。

美穂「ところでこずえちゃんの髪の毛って柔らかいね」ギュ

こずえ「...うんー...えへへー...くすぐったいのー」

美穂から見て、あごのすぐ下にふわふわとしたこずえの髪の毛があり、朗読中のちょっとした身じろぎの度にその白みを帯びた毛先が美穂の顔を撫でていた。
それはあたかもあの白いくまのぬいぐるみの、もこもことした表面に顔をうずめているようで・・・

美穂「・・・『そしてお姫様は無事書類に印鑑をおs・・・・・・」

こずえ「みほー?」

美穂「んぅ・・・・・・すぅー・・・」

こずえ「?.........ねちゃったのー?」



美穂「くぅ・・・」

寝ていた。
手に持った本は取り落としていたが、こずえを後ろから抱きしめたような体勢はそのままだった。



こずえ「............」






こずえ「...こずえー...きょうはれっすんまでじかんがあるのー......」

こずえ「...だから...みほとー...もっとねるのー......」


そういうと美穂の腕の中で目を瞑り、こずえも寝る体勢に入った。
しかし毛布は朗読中、少し離れたところに置いたままだったので、毛布なしでねることになりそうだったが。
このまま日の差さない部屋で普段着のまま寝るとなるとやや肌寒くなるかもしれない。

そのことをこずえはすこし気にしたようだった。

こずえ「みほー......今日はありがとうなのー...」





こずえ「.........これは............お礼なのー」




・・・・・・少し、部屋の中の色が変わった。
いや部屋に差し込む光の色が変わった。
厚い雲のフィルターを通した寒色系の色から、燦々と輝く太陽から直接ふり注ぐ暖かい色に









そのあと仮眠室には二人分の寝息だけがあり、その二人を
雲一つないすっかり晴れ上がった昼過ぎの太陽が照らしていた。

さすがこずえちゃんだなんともないぜ


画像ありがとうございます

こずえ編終了

書き溜めできたらまた来ます。

投下します


~~~~~~~~~~~~~~

事務所


ガチャッ

???「うーっす・・・ 今戻ったぜ」

???「あれ?・・・おいPー、ちひろさーん」









結城晴「・・・・・・・・・なんだ、だれもいないのかよ」



仮眠室の中で小さな寝息が二つほど聞こえ始めてから少し経って。

静かな事務所の扉を開けたのは男勝りな口調が特徴の少女、

ボーイッシュな見た目と、それに反してウサ耳の似合う可愛らしさの両方を兼ね添えたクール所属アイドル、結城晴だった。


晴「あ、壁に予定表貼ってあんじゃん。・・・・・・Pのやつは晶葉さんについてんのか。ちひろさんは別の場所でイベントの打ち合わせ、と」

晴「(えー、じゃあオレすげえ暇じゃん、なにして時間潰そっかなー)」


晴「よっし・・・リフティングの練習でもしよっと」

趣味がサッカーである彼女は特に悩むこともなく次の予定までの間に打ち込む暇つぶしを思いついた。

晴「(ボールどこやったっけ・・・・・・あ、そうだ、布団のある部屋だ。みんながいろいろ持ち込んでたからオレもボール置き場にしたんだったな)」

晴「(そーいや、さっきは雨でも降りそうだったってのに、随分いい天気になったな・・・)」スタスタ

晴「誰か戻ったら外で一緒にサッカーやるかー・・・」



ガチャ



こずえ「?・・・・・・はるー?・・・」

晴「うおっ!?・・・・・・・・・こずえか、なんだ?寝てたのか?」

こずえ「うんー......ふわぁ」

晴「おいおい、まだ眠いんじゃねーのか?」

こずえ「...こずえー...もうおきたのー」

晴「ふーん、じゃあオレとサッカーしに行こうぜ、今なら外もあったかいしな。」

こずえ「いいよー...」

晴「じゃ、オレはこのとっちらかった仮眠室からボール探さねーといけねえから、ちょっと待ってろ」

こずえ「.........こずえもさがすのー...」

晴「あ?いやいーよべつに、すぐ見つかるし」




こずえ「......はやくぼーるみつけないとー......またさむくなっちゃうのー」

晴「寒く?まあ確かに今の天気はこの季節にしちゃあ、ありえねーくらい快晴だけど」

こずえ「もうすぐ...それも......おわるのー......」







こずえ「......これいじょうはー.........こずえにも...むりなのー...」

晴「???」







自分よりひとつだけ年の小さい少女の、要領を得ない言葉に晴はしばし頭の上にクエスチョンマークを浮かべた。

こずえ「......はるー...ぼーる...あそこにあるー」

晴「お!あったあった」


が、雲のようにふわふわと白い毛を揺らす少女の示す先に自分のボールが転がっているのを認めるとその疑問符も消えた。

企業戦士と聞いてACかと思ったがそんなことはなかったか


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


十数分後
事務所


ガチャッ!!

バタン!!


晴「うおおお寒い寒いさむさむ!!」ドタドタ

こずえ「......ふわあー」トタトタ

晴「なんだよなんだよ!まーた急に寒くなりやがって!」

晴「えっと暖房のスイッチは・・・・・・これか!」ピッ

こずえ「......あったかいのー」

晴「わりーなこずえ、こんなに寒くなんなら外になんか連れてかなきゃよかったな」


こずえ「...んーんー...」フルフル



こずえ「......はるとさっかー......たのしかったのー」



晴「・・・へへっ、そっか」ナデナデ

こずえ「んふー......」

結城晴(12)
http://i.imgur.com/UUgTILt.jpg
http://i.imgur.com/xB9QANQ.jpg



サッカーに出かけてからしばらくして、

急な天候変化による寒さに耐えかねて二人は事務所に戻ってきていた。


晴「しっかしまだ誰も戻ってきてねーんだな」

こずえ「......ぷろでゅーさーも......ちひろもいないのー」



こずえ「...だれもいな......」



こずえ「.........あー............みほー......」

晴「?」




こずえ「はるー......こっちきてー?......」

晴「こっち?ああ仮眠室か。なんかあるのか?」

こずえ「はるー......くるー...」クイクイ

晴「おうおう、ひっぱらなくても行くって・・・どっちみちボールしまわなきゃなんねーし。」

何かを思い出したらしいこずえと、それに手を引かれた晴は仮眠室へと入っていった。

~~~~~~~~~~~~~~~~

仮眠室

仮眠室に入った晴はボールをしまう場所を探していた。とにかくモノが多い上、転がりやすいボールだと何かの拍子に何処へ行くかわからない。

慎重にその球の置き場を吟味していた。

晴「え~っと・・・・・この着ぐるみは仁奈のか、ここに置いとくとあいつらがボールで転ぶかもしれねーなー・・・。」キョロキョロ

晴「こっちは・・・・・・・・・なんだこのメガネの数、こっちは調理道具か、こっちの本棚の上には置かないほうがいいな。」

晴「ん?・・・車のカタログ、はわかるんだけどこっちのバッテリーパックは明らかに車用じゃねーよな・・・」



晴「(・・・のあさんのか?)」



晴「いやないない!!」ブンブン



こずえ「はるー...?」

晴「!おうこずえ、どうした?」

こずえ「みほー...」

晴「?どーした?」

こずえ「.........あっちー...」クイ

そんな風に大事な遊び道具を任せる場所を探していた晴を連れてこずえが向かったのは仮眠室の窓際、

数分前まで太陽に面した窓から陽光が降り注がれていたところである。

その窓のすぐ下で誰かがうずくまっている。

晴「あれって美穂さんじゃねーか、なんだ寝てたのか」

こずえ「さっきー、いっしょにねてたのー」


美穂「・・・んんぅ・・・・・・ん」モゾモゾ


晴「・・・・・・なんか美穂さん、寒そうにしてねーか?」

こずえ「...もうふー...かけてあげてほしーのー.........」

晴の言うとおり、

窓の下で体を丸めた少女、美穂は眠りながらも寒さを感じているのか、時折無意識に手足をこすり合わせていた

仮眠室ではエアコンが動いていなかった上、外はさっきの陽気はどこへやら、寒くなっているので美穂の体は安眠するにはやや冷たくなっていた。

そばには一枚の毛布が使われたわけでもなく置かれている。


晴「いやこれ毛布かけるより先に布団に運ばねーと・・・・・・なんで床の上に寝てんだ美穂さん」

こずえ「さっきは......あったかかったのー...」

晴「うん?まあそうだったけど・・・。」
 
 「よしこずえ、美穂さんを布団の上まで動かすぞ」

こずえ「...はーい...」

幸い布団は先ほどの探索の際に荷物の奥から発掘していた。

晴はその布団を手早く敷くと、次に美穂を動かすために行動を開始する。


晴「・・・そういや、Pはたまに杏さんとか乃々さんを背負って仕事に行ったりしてたな。」

晴「といってもオレじゃあ美穂さんは担げないし、こずえとふたりがかりだとしてもなー・・・」チラッ



こずえ「こずえ...おにんぎょうなのー...だっこするより......だっこされたいのー」


晴「・・・・・・・・・こうなったら、ちょっと手荒だけど美穂さんを布団の上まで転がすしかないか」

こずえ「はるー...こずえもてつだうー......」

晴「おう、じゃあいくぞ」ガシッ

こずえ「...ふわぁー......い...」キュッ

その場で思いつく限りの最適な問題解決方法を実行するべく二人は寒そうに、それでも未だに眠りから覚めない美穂の体を掴んだ。

晴は美穂を転がしやすいような位置、肩のあたりに手をかけぐっと力を込めた。



なぜかこずえは美穂の靴下を引っ張っていた。


晴「よっ・・・こいせ」グイッ

こずえ「...よーこい......せー...」クイ

美穂「う・・・・・・ん、んん・・・」



美穂「・・・・・・・・・・・・・・・?」



ぼんやりと、定かでない意識ではあったが美穂は目を覚ました。

まず感じたのは日向ぼっこのときとは程遠い、芯から凍えるような肌を包むうすら寒さ。

次に目に入ったのは目の前にいる誰かがこっちに手を伸ばし、何やら自分を引っ張っている光景。

最後に、自分に触れている手のひらから心地よいぬくもりが伝わってくるのを感じた。






晴「は?え?」





そして晴は美穂に抱きすくめられた。


壁の方を向いて床に寝そべっていた美穂の肩を掴んでこちらを向かせたまでは良かった。

丸まった体の前面がこちらを向いたとき、ちらっと美穂の目が開き、自分の方を見たと思った刹那の出来事である。



美穂「くぅ・・・」ギュウウウ・・・


晴「(なに?なんだよなんだよ!?起きてた!?いや、寝てるよな?無意識?)」


寒さに耐える小動物のようにたたんでいた手足がこちらに向かって伸びてくる瞬間、これは美穂の狸寝入りによるドッキリか何かか、などと考える暇は晴にはなかった。


美穂「ん・・・あったか・・・」ムギュウ・・・


晴「(ちょ、美穂さん力強っ!)」


晴の背中に回った美穂の両腕はそのままがっちりと固定されたように晴を捉えていた。

自然、晴も美穂と同じように床に横倒しになり、次いで足までもが美穂のそれにに巻き取られる。


結城晴(12):身長140cm体重37kg

その小柄な体躯は正面からの抱擁で動かなくなっていた。

いつの間にか冷えていた体を温めるため、腕の中の暖かい何かを決して逃がすまいと美穂が力を弱める様子はない。

さらに抱き寄せられ、晴の頬にほおずりする。

サッカーという適度な運動で温められた晴の体は今や美穂にとって手放せない存在となっていた。

美穂「・・・・・・・・・すぅ・・・・・・ふふ」







こずえ「みほー......しあわせそうなのー.....」

こずえ「.......よかったのー...ふわあ」

晴「ちょ、こずえ、こずえ・・・!」ボソボソ

こずえ「なあにー...?」

晴「抜け出せねーからちょっと手伝ってくれ・・・。このままじゃ美穂さん運べねーよ」ムギュギュ


こずえ「...............てつだうー?」


晴「とりあえずオレを引っ張ってここから・・・・・・」


こずえ「...............」


晴「こずえ・・・?」

こずえ「...............」

こずえ「...............」







こずえ「.........もうふなのー」ズルズル

こずえ「.........これでよくねむれるよー?」バサッ


晴「オレが寝る手伝いじゃねーよ!!(小声)」

美穂「・・・・・・ん・・・すぅ」ギュウ


こずえ「.....こずえももういっかいねるー......」ダキッ

晴「うおっ!?」



前門のキュート、後門のキュート

正面からは晴の体温で少しでも暖をとろうと美穂が密着するように抱きしめてくる。

後ろからは毛布に潜り込んだこずえが晴の背中にしがみつき、首筋にそのやわい毛を撫でつけていた。

クールアイドルにはまずないスキンシップである。

晴「(・・・・・・やばいやばいやばい・・・なんかやわっこいし、ふわふわしたのがあたってるし・・・)」

美穂「むにゃ・・・ふぅー・・・」

こずえ「...はふー」

晴「(息!首とか耳に寝息があたって・・・!!)」ゾワワ


晴「(あーもう!!)」

晴「(・・・・・・こうなったらオレもこのまま寝ちまおう!!)」

晴「おやすみっ!!」

彼女は目を瞑り、そして割とすぐに眠りに落ちた。

サッカーで少しばかり疲れていたのか、晴を包むの人肌が意外と心地よかったのか

前後から二人にはさまれたまま晴もじきに同じように寝息を立て始めた。












こずえ「......おやすみー...はるー...」



フレッシュアイドルはるちん編終了

画像ありがとうございました

だらだらと長すぎましたね。

次は誰を書くか全く決めてません

でもなにかしら書き溜めます


実に素晴らしい

小梅ちゃんの出番はありますか(小声)



コメントありがとうございます


三人で一区切りということで今回は番外編です

こひなたんは一旦お休みで

投下します










森久保乃々「机の下のお友」









~~~~~~~~~~~~~~~

事務所


???「・・・ふんふん・・・やっぱりピンクがいいな・・・」ペラペラ


ソファの上に、寝そべりながら雑誌を読む少女が一人いた。

眼帯をつけ、獣耳のフードを深くかぶった姿は全体的に派手な色彩に彩られている。

???「あー・・・・・・今月号はこんなもんか・・・」パサッ


???「んーっ、」ノビーッ







早坂美玲「それにしても退屈だな・・・・・・Pのヤツもいないし」




読み終えた雑誌を事務所のアイドルが共有で使っているラックの上に無造作に放り、、

ソファで無防備に伸びをしたのはキュート所属アイドル、早坂美玲だった。

昼を回った頃にレッスンを終え、事務所に戻ってきたのだ。


美玲「(いつもならミョーにベタベタ構って来るってのに)」


美玲「ったくもー」





美玲「・・・・・・いやいやいや!!・・・・・・・・別にPに構ってほしいいわけじゃないぞっ!!」パタパタパタパタ


傍から見ればよくわからない一人コントのようなことしながらソファの上で飛び起き、

獣の爪を模した装飾をパタパタふるさまは、本人にそのつもりがなくとも小動物じみた可愛らしさがあった。


???「・・・・・・」ゴソゴソ




???「み、美玲、カワイイ・・・よ?」


美玲「わあぁっ!? なんだ今の聞いて・・・って可愛いってなんだ可愛いって!?」


美玲からは完全に死角になるソファの向こうからそんな声が届く。

リラックス、この場合は油断していた美玲は飛び起きたままはじかれたようにソファの向こうを睨む。


???「あ、・・・ハイスイマセン・・・ここにいたんで・・・聞いてました・・・」


???「ち、近くにいたけど・・・というか、み、美玲と一緒に戻ってきた・・・のに」











星輝子「さ、さすが私・・・ボッチノコ・・・空気と化していたぜ・・・・・・フヒヒ」ションボリ・・・


期待



美玲「そ、そんなつもりで言ったんじゃないって!!・・・落ち込むなよ輝子!!」ワタワタ



ソファのむこう、そこにある机、その下から少女が一人、ちらりと頭を覗かせていた。

特にまとめられてもいない伸ばし放題の、灰色が印象的な髪が事務所の床に広がっている。

彼女はパッション所属、茸に愛を注ぎデスメタルに心酔する一風変わったアイドル、星輝子だった。

美玲「ウチが反応したのはその・・・か、可愛いとかいう言葉であって!!別に輝子を忘れてたわけじゃないんだからなっ!!」


輝子「フヒ・・・気を使わなくても、だ、大丈夫なんで・・・・・・な、なれてマスカラー・・・・・・フヒィ・・・・・・」


美玲「ガッッッツリ落ち込んでるじゃんか!!」


乱れた髪を気にする素振りもなく手に持った何かの植木鉢、彼女の場合十中八九茸の鉢、を抱き寄せてぼそぼそと呟く輝子。

美玲は慌ててソファから飛び出すように立ち上がると輝子のもとに駆けつける。

こういう健気で行動的な一面もまたアイドルとしての彼女の愛くるしさにつながっていたりするのだが本人は意識していないようだ。

美玲「そんなしょげるなよ輝子・・・ウチが輝子のこと忘れたりするわけないだろ・・・」

輝子「フヒ、そ、そうだったな・・・わ、私としたことが、フヒヒヒヒ・・・」



輝子「フヒフハハッアッハッハッハァァァア!!!そりゃそうだったなァァ!!!トモダチを忘れるやつァいるわけねーよなァー!!ヒャッハァア!!」ガバッ


美玲「んにゃっ!!?」ビクッ



彼女の持ち味の一つメタル豹変。その特徴は簡潔に言うと消極的でおとなしかった性格から一変、荒っぽい言動を繰り出し哄笑する人格になることだ。

彼女の中の何らかの昂ぶりがトリガーになっているのだが、ほとんど予測不可能のタイミングである。

現に今も美玲はその不意打ちに驚き、その場に尻餅をついていた。


輝子「ハッ!!・・・・・・あ、ああ、ゴ、ゴメンナサイ・・・だ、大丈夫?」ワタワタ

美玲「ん・・・大丈夫だな、怪我なんかしてないぞ。」


机の下から這い出してきた輝子と、尻餅によって床に座り込む形になった美玲の目線の高さが丁度同じになる。


輝子「フヒ・・・よかった・・・」

輝子「!・・・そ、そうだ・・・痛いとこがあるなら、い、痛みに効くキノコがここに・・・」ズイッ

美玲「いや、別にどこも痛くないけど・・・なんだ?そんなキノコもあるのか?」ツンツン



輝子「フヒヒ、もちろん・・・こ、このキノコにかかれば一発で全身が麻痺して痛みなんて感じないよ・・・・・・フヒヒ」




美玲「うわわわッ!!?しょ、そ、そんなモンいらねーしっ!!アブネーだろ輝子!!」


輝子「な、なんちゃって・・・マ、マッシュルームジョークだぜ・・・」

輝子が差し出してきた植木鉢から生えたキノコを無用心につついていた美玲がまたも飛び退く。

輝子としても友達同士の冗談のつもりだったがこれで美玲は輝子に三度驚かされたことになる。


美玲「なんだウソかよっ!!ま、まぁウチはビビってなんかいなかったけどな!!」

輝子「フヒヒ・・・やっぱりかわいいな・・・美玲は・・・」

美玲「んなっ!!・・・・・・が、がおーッ!!ウチは狼だぞ!!このこのこの!!」ペシペシ

輝子「フヒッ、フヒッ、フヒッ・・・♪」


照れ隠しのつもりなのか美玲は服の袖口から生えたようなデザインの爪で輝子の頭を叩く。

といってもその爪は人体を傷つけないような素材で出来てる上に、

美玲もあくまでこれは二人のふざけ合いと認識しているので本気でぶつようなことはしていなかった。



ガチャッ




???「ただいま戻りましたけど......」




???「.........」キョロキョロ


???「.........」ホッ







森久保乃々「よかった......プロデューサーさん、今はいないみたいです...」

二人が悪ふざけに興じていたところで事務所にまたひとりアイドルが戻ってきた。

くるくるとカールされた髪に全体的にふわりとした雰囲気の服装、

自信なさげに泳いだ瞳と華奢な矮躯が一部の人間の庇護欲を刺激するクール所属アイドル、森久保乃々だった。


乃々「この隙にもう帰ってしまうのがいいです......ええもう、それがいいです、...もりくぼは限界の彼方なのです......」


美玲「いやダメだろ乃々」ヒョイ


乃々「!?...いたんですか美玲さん...」ビクッ


輝子「わ、私もいますよー・・・そしてキノコもここに・・・フヒヒ」ヒョイ


乃々はどうやら事務所の入口からは死角になっていた机のむこう、そこにいた二人から顔を出すまで事務所が無人となっていたと思っていたらしい。

そのせいで割と聞かれないほうがよさげな独り言を漏らしてしまっていた。

乃々「輝子さんもですか...」

乃々「あの......さっきのもりくぼの独り言は聞き流していただけると幸いです...プロデューサーさんの耳に入ると大変なので...主にもりくぼが」

輝子「?・・・よくわかんないけど、と、トモダチの頼みなら・・・・・・お、おっけぇ、だよー」

美玲「アイツの耳に入るとどうなるんだ?」



乃々「どうなるって......そんな逃亡の意志を聞いたら、あの人逃げられないようにもりくぼを延々マークし続けてきますし......」

輝子「・・・シンユウとずっと一緒、た、楽しそうじゃないかー・・・フヒヒヒ・・・美玲もそう思うよ、ね・・・?」

美玲「んなっ!?なんでウチに訊くんだよっ!?」

乃々「た、楽しくなんて......いや、楽しくなくも...なくもなくも...うう...むーりぃー、もうもりくぼは考えるのをやめますけど...」

早坂美玲(14)
http://i.imgur.com/eVfkwFG.jpg
http://i.imgur.com/Ta5Y5W0.jpg

星輝子(15)
http://i.imgur.com/u52ykSk.jpg
http://i.imgur.com/mrGmI6D.jpg

森久保乃々(14)
http://i.imgur.com/HCbgnGV.jpg
http://i.imgur.com/hwJCgiH.jpg



三人は以前ユニットを組んでいたこともあり仲がいい。

そんな風に和気藹々(?)と会話しながら森久保は机の側、美玲と輝子のいる元へまわってきた。

乃々「ではもりくぼは現実での逃走を観念し、せめて漫画の世界に逃げ込むことにします......」

そういって乃々は彼女の定位置、輝子のキノコ栽培場と化した机の隣、同じく机の下に引っ込むと手近に積まれていた少女漫画のページをめくり始めた。

輝子「じゃ、じゃあ私は引き続きキノコのお世話を・・・・・・キノコーキノコー・・・ボッチジャナイコーホシショウコー・・・♪」

美玲「・・・・・・ウチはなにしよ・・・」

女三人寄れば姦しい、というがこの三人の場合はそうでもないらしく、三人のうちのふたりはそれぞれの世界に集中し始めてしまった。

残った一人、手持ち無沙汰となった美玲はそんな二人を見るともなしに見ていた。

が、雑誌も読み終えた彼女が二人から離れたところで暇をつぶせるものなどないので、なんとなく乃々がいる机に潜り込んでみた。

乃々「ど、どうかしましたか美玲さん......ここはもりくぼの最後の牙城、残されしエデンですよ......だから何もありませんよ」

美玲「いや、なにもとらねーし・・・なーなー、机の下だと暗くて読みづらくならないのか?」

乃々「いいんです...暗闇に隠れ潜むのです......もりくぼにはこれで十分なのです......プロデューサーさんにも見つからないのです。」

画像ありがとうございます



美玲「・・・・・・あーうん・・・そうか・・・ところで乃々は今何読んでんだ?」グイ

乃々「もりくぼお気に入りの作家さんの最新作で.........って美玲さん近い、近いです」

美玲「あ?あーごめんごめん。でもさー、乃々が狭いとこで読んでるからこっからよく見えないんだよ」

机の奥に背中を付け、体を小さくして少女漫画を読む乃々、その手元を覗き込もうと美玲は四つん這いで机の下に潜りこんでいた。

狭く薄暗い机の下、もともと人がそこで活動することなど想定されていないため乃々に加え美玲が入るとさらに窮屈になっている。

乃々「でしたらもりくぼのスペースをちょっと空けますけど...、どうぞ座ってください」ズリズリ

美玲「お、ありがと乃々、よいしょっと」ストン

輝子「フヒヒ・・・つ、机の下の世界へようこそ・・・・・・」

美玲「なんだそれ!?」

乃々が譲ったスペースに美玲が収まり、こうして二つの机に三人の少女が収納された。

美玲「お、ここなら乃々の漫画も見られるな」

乃々「わ、わざわざこんなもりくぼなんかが読んでるのを覗かなくとも...そこに積んでますけど」

美玲「ん、じゃあ乃々、ウチもちょっと見せてもらうぞ」

乃々「どうぞどうぞ、もりくぼはここで静かに暮らせたらそれでいいですので...」

乃々はそう言うと近くに積まれた少女漫画の山に手を伸ばした美玲を一瞥し、また自分の手元に集中した。


美玲「・・・・・・え~と」パラパラ

乃々「...................」





乃々「.........今日はこのまま誰も来なければいいんですけど...」ペラッ










       ガチャッ!!!








乃々「!?!?!?」ビクゥ!!

美玲「ん?」

輝子「フヒィ?」


出し抜けのタイミングだった。

またも後ろ向きな発言をしたあとの、まさにその瞬間に事務所の扉が大きな音を立てて開かれた。

ただの偶然だと考えればわかりそうなものだが、

先ほどの発言にやや後ろめたさを感じていた乃々にとって、その開閉音は心臓をはね上げるには十分な衝撃だった。

乃々「(あう!?........うぅ...やばいんですけど!見つかるんですけど!このタイミングの良さはプロデューサーさんに違いないんですけど!!)」アワワ

乃々「(か、隠れないと、......こうなっては机の下じゃ心許ないんですけど!!)」グイッ

そしてパニックになった乃々は、おそらく相当パニックになっていたのかもしれない。

すぐ近く、伸ばせば手の届くところにいたものを引き寄せ、机の外から見えないよう自分を覆い隠した。、



近くにいたもの、



美玲「(な・・・なに・・・?)」ギュウ


乃々「......」ギュウウウ...


苦肉の策、この場合狗肉、あるいは狼肉の策かもしれない

乃々は机の外からの視線をシャットアウトするために美玲を背後から抱き寄せていた。


~~~~~~~~~~~~~~
事務所入口付近



????「・・・・・・・・・」




????「・・・・・?・・・・」スタスタ





~~~~~~~~~~~~~~~

机の下(乃々サイド)

話し声はおろかページがめくられる音も衣擦れ音もしない。

耳元でかすかに呼吸の音がしている。

美玲はただ、自分の背中がぶつかっているはずの、乃々の体から伝わってくる心音だけを聞いていた。

美玲「・・・?・・・・・・?・・・!!!?」

乃々「......すいません美玲さん......少し静かにしていてください......」ボソボソ

美玲「!?」ビクッ


机の下に入るに当たってフードは外していた。ケモノミミの部分が机の底につっかえることを危惧したからだ。

そのせいで、後ろから囁かれる声がダイレクトに美玲の耳をくすぐっている。

光のほとんど差さない狭い空間で密着する。

そんな経験など今までにしたことがあるはずもない彼女のキャパシティは破裂寸前となっていた。

美玲「~~~~~~~~~!!」

乃々「お願いしますお願いします......一緒にやり過ごしてぇぇ......(小声)」ギュウウウ

森久保乃々(14): 身長149cm体重38kg
早坂美玲(14):  身長147cm体重39kg

二人の体格はほぼ同じ、しかしこの場合後ろから先手を取った乃々の方が美玲を抑える上で優位だった。

美玲の首元に後ろから回した両手に精一杯の力を込める。ついでに乃々自身の鼓動をも止めようとするかのよう強く強く抱き寄せる。

狭い空間を静寂が満たす。唯一、二人分の脈拍の音だけが机の下で反響している。

美玲「(なにすんだなにすんだなにしてんだなんだよ乃々!!??うう~~・・・ひ、引っ掻くぞーッ!?)」

乃々「(すすすすみません美玲さん......もりくぼはあとで責任とってアイドルやめます......)」

乃々「(それにしても美玲さん、平熱高いのでしょうか......何だかちょっと熱くなってきたんですけど......)」

美玲のパーカーに比べれば軽くて薄い生地でできた乃々の服は二人の間での体温の伝達をほとんど阻害しない。

机の下の狭さも相まって二人の体感温度は上昇していた。

美玲「(乃々は相変わらず放してくれないし、なんか暑いし、・・・・・・へ、変な気分になってきたぞ・・・)」



ちなみに事務所に現れた人間からは机の下の三人は見えず、同じく三人からも死角になっていた。

しかもどうやら独り言を喋る方ではないらしく、その正体がプロっデューサーかどうかもわからなかった。

だが乃々にとってはその場は念のためにやり過ごすしかなかったのだ。


????「・・・・・・」スタスタ


キイィ・・・パタン・・・


しかしその謎の人物には何やら目的があったようで、じきに別の戸を開けるとそのむこうへ消えた。 






乃々「.................................」

美玲「.................................」






乃々「......なんかすいませんでした。も、もりくぼは責任とってアイドル引退します」スッ

美玲「・・・・・・いやそれはしなくていいぞ・・・うん・・・」スッ






輝子「ゆ、友情のハグか・・・羨ましいな・・・・・・フヒヒ」チラッ

美玲「!?」

乃々「!?」


若干の気まずさを残しながら離れた美玲と乃々。

なんとなく空気を察して一緒に息を殺していた輝子には二人が密着しているのが友達同士のふれあいに見えたらしい。



このあと『乃々ばかりずるい』というよくわからない理由で美玲は輝子からも抱きしめられ、

日にあたっていないひんやりとしていてそれでいてすべすべな肌で頬ずりされ、乃々とはまた違う積極性に身悶えすることになったとか。

~~~~~~~~~~~~~~~~~

応接室

????「・・・・・・」


????「(プロデューサーさん......ここにも、いない)」


????「(せっかく、面白い映画、見つけたのに......)」




















白坂小梅「そ、そうだ......たまには、他の誰か......誘おう」




番外、インディヴィジュアルズ編終了

本日の投下はここまでです

次回からこひなたん再開します

次は13歳クールロリです

コメントありがとうございました

白坂小梅(13)
http://i.imgur.com/q8tVBv7.jpg
http://i.imgur.com/CqU947O.jpg

乙ー
インディヴィいいね
次はあの子か

13歳はロリじゃねえ!

ロリだよそれは!



コメントありがとうございます。


13歳はロリなので手を出すとアウトです。


つまり17歳のこっひーはセーフです。


投下します。


~~~~~~~~~~~~~~
応接室


応接室。そこは仕事部屋の一つであり、例えば外部の人間との仕事の打ち合わせや場合によっては社員同士のちょっとした会議などを行う部屋であるが、

この事務所において社員と呼べる者が社長を除くと事務及び経理を担当し、事務机にかじりついているか銀行や役所などでの小難しい手続きを行っている千川ちひろと、

二百近いアイドルを輝かせるために暇さえあれば外を駆け回っているプロデューサーくらいしかいない。

そのためこの部屋使われるのは強いてあげれば社員間のミーティングくらいのものであり、つまり普段はほとんど使われないのである。

ただしアイドルの中には応接室を利用する者もいる。


白坂小梅「(DVD...みんな見ようと思ったけど誰誘おう......この部屋くらいしかプロジェクター、置いてないから...ここに呼んでこないと......)」


彼女もそのひとり、小さな体をパンクなファッションに包みホラーとスプラッタ、そしてオカルトに深い造詣を見せるクール所属アイドル、白坂小梅である。


小梅「(さっきの事務スペースには誰もいなかったみたいだし......)」

小梅「ほ、ほかの部屋も......まわってみよう、かな......」タタタ

以前なら彼女はこの手の作品は借りてきたときも独りで見ていたし、映画館へもひとりで見に行っていた。

しかし今は事務所の仲間、友人たちと並んで同じ画面を眺める楽しさを知り、こうして積極的に他人との触れ合いを求めるようになっていた。

いつからそんなふうに彼女の内面が好転したのかは本人ももう覚えていない。

誰のおかげかは覚えているようだが。


~~~~~~~~~~~~~
廊下


小梅「プ、プロデューサーさんの、言うとおり...だった。...みんなで見ると、た...楽しい」


そんなつぶやきを漏らしながらほんのついさっき借りてきたDVDを胸に抱え、小梅は廊下にを歩いている。

小さくまとまった顔は可愛らしくほころんでいる。

ただしその腕の中ではアジア系の男性が血まみれで、小梅とは対照的に断末魔の表情をパッケージいっぱいに貼り付けていた。


ガチャ・・・ パタン・・・


???「・・・・・・ふう・・・」




小梅「あ......」












小梅「は、晴...ちゃん...」

晴「・・・え?・・・あー・・・小梅さん、どもっす・・・」



~~~~~~~~~~~~~~~~

廊下(仮眠室前)

晴「・・・小梅さん、なんか急いでるっぽいけど、誰か探してるのか?」クイクイ

小梅「え、映画鑑賞のお伴」

晴「へ?あー、映画っすか・・・」パタパタ

小梅「...晴ちゃんも...ど、どう?...一緒に...」

晴「・・・いやー、このあとこずえとレッスンの予定入ってるから・・・」フー

小梅「そ、そう...ざ、残念」



小梅「と、ところで晴ちゃん、...どうしてさっきから...しきりに...え、襟元を引っ張って、自分を扇いでる...の?」

晴「え!?あ、い、いやちょっとシワが付いたらやだな~・・・と思って!」

小梅「顔も、ちょ...ちょっと赤いけど、も、もしかして....風邪?」



仮眠室から出てきたあたりから、小梅の言うとおり晴はなにやらシャツのえりをパタパタと動かし、熱を逃がすような素振りをしていた。

さらに顔も上気したように真っ赤になっている。冬場にしては妙にちぐはぐな様子だった。


晴「いやいや!!だ、大丈夫だって!・・・ちょっとさっきまで寝てたんだけど部屋を暑くしすぎちゃって!」ブンブン

小梅「?...そう......」

それを指摘されると慌てて否定するさまは明らかに何かあるようだったが小梅は特に疑いもせずそのまま受け止めた。




晴「(・・・・・・なんつーか・・・抱きつかれたままぐっすり眠っちまった・・・・・・しかも途中からはこっちからも抱き返してたような・・・・・・)」



晴「(し、知られたら・・・なんか、は、恥ずかしぃ・・・!!!)」ジタバタ





晴は十二歳ではあるが、自分はもう小さな子供じゃないという自負があり、それゆえに仮眠室で同衾したあげく熟睡してしまったという記憶はそんな子供じみた意地のようなものに抵触していたのであった。

そういうところがまだまだ子供だと、どこぞのPなら言いそうだが。





こずえ「...はるー?」ガラッ

晴「お、おうこずえか、・・・じゃあ小梅さん、オレらちょっと行ってくるんで!」

小梅「うん、...が、頑張ってね...」フリフリ

こずえ「ふわあー...こうめー...ばいばーい......」


パタパタパタ・・・ トテトテトテ・・・


小梅「.........」フリフリ



小梅「.........(いなくなっちゃった)」ショボン










こずえ「.....こうめー?」トタタ




小梅「あれ?......ど、どうしたの、こずえちゃん?......わ、忘れ物?」



こずえ「...このなかー......みほがいるよー?.....」クイッ


小梅「か、仮眠室の...なか?......まだ...誰か、いるの?」

こずえ「うんー......じゃー、こんどこそー......ばいばーい」トテトテ



小梅「........」


~~~~~~~~~~~~~~~~

仮眠室


美穂「(ほんと、びっくりしたなぁ)」

美穂「こずえちゃんに本を読んでいたのに、いつの間にか晴ちゃんと三人で同じ毛布で寝てるなんて」

美穂「お昼寝しようにももうそんな天気じゃないし・・・」


小梅「み、美穂さん......?」


美穂「こ、ここ小梅ちゃん!?どうしたの!?」ビクッ



眠りから覚めた余韻の中、


美穂は床にへたりむような姿勢でぼんやりと物思いにふけっていた。

ちなみに正午のあたりから事あるごとに眠りの世界に浸っていた美穂の着衣はお世辞にも整っているとは言い難い。

襟が乱れすらっとした鎖骨のラインが見えているし、

スカートは折れ目が付いてまくれたせいで熟睡後のすべすべな太ももが大胆に晒されている。

さっきまでかぶっていた毛布を剥いだことでずり上がったシャツにより汚れ一つない白い素肌とおへそを隠すものもなくなった。



そしてとどめにトロンとした寝惚け眼。



『誘っている』と判断されても仕方ない状態だった。





今回誘っているのは美穂ではなく小梅だが。



小梅「み、...美穂さん...えいが...い、一緒に、見よ?」


美穂「映画?どんなのかな?」


小梅「......こ、これ!」キラキラ


パッケージ「弾ける脳漿!飛び散る血飛沫!そしてリア充が爆ぜる(物理)!夏の避暑地でカップルは無事に生還できるのか!?」


美穂「」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

応接室


小梅「♪~♪~」ウキウキ


美穂「」ガクガクブルブル


美穂「(・・・プロデューサーくん、・・・そしてプロデューサー、私に力を・・・この場を乗り切る力を・・・)」



小梅「......えっと、こ、この映画はスプラッタ映画界では...し、新鋭、気鋭の○○監督が手がけた二作目で......ぼ、暴力の理不尽さ...と得体の知れない...きょ、恐怖を全面に押し出すことをテーマにしてて、」キラキラ

小梅「えっと...ほ、他にも演出に、携わってたのが、××って人で......この人が用意した...し、死体の人形、ちぎれた肉片、とかの小道具は...業界で、すごく、すごく、ひょ、評価が高いんだ、よ?」ワクワク



美穂「(小梅ちゃんそれ追い打ち)」



なし崩し、というか年下からのおねだりを無下にできない性格の美穂は今小梅とともに応接室にいた。

事務スペースのものに比べると些か値の張りそうな、随分座り心地のいい椅子に緊張したようにちょこんと腰掛けている。

一方小梅は壁際のスクリーン前、プロジェクターとプレーヤーのセッティングに取り掛かっており、

悍しさが容赦なく滲み出たDVD、その再生準備は刻一刻と進行していた。




小梅「♪~~♪~」カチャカチャ



無機質な機械の周りで、喜びを隠そうともせずちょこちょこと動きまわりながら機器の配線やレンズの角度を調節している。


美穂「(・・・かわいい、でも小梅ちゃんそんな急がなくても・・・。こ、心の準備が・・・)」


そんな小梅にまさか『やっぱり見ない』などと言える訳もなく、美穂は準備が終わるまで椅子の上に座ったまま震えていた。

すいません

今日は一旦ここまでです


誠に勝手ですがでも一応キリのいいとこまで書き込んどきます。


~~~~~~~~~~~~~~~

応接室(上映会場)


ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!

ドブチュッ!!

キィイイヤアアアアアアアアア!!


小梅「わぁ、す、すごい...!か、肩の肉が」

美穂「こここ、小梅ちゃん!?口に出しちゃダメ!!」イヤイヤ

小梅「あ、...ご、ごめんなさい...」



上映が開始されて数十分。

スクリーンに投影された映像の中では避暑地の別荘に集まった若者が何者かの凶刃にかかってむごたらしく死んでいた。

狙ってそういうふうに作られているのか、もうそろそろ映画の後半あたりに掛かる頃だが一向に犯人の正体が映らない。

刃物や鈍器を持った手元が映るばかりで本編はもっぱら若い美男美女が悲惨な有様になっていく過程を克明に映していた。



ちなみに小梅からは、美穂も手元しか見えていない。

上映開始数分で彼女の忍耐は振り切れた。

だが美穂は途中退室だけはしない、小梅を悲しませたりしないと必死で踏ん張り、

結果として小梅を膝の上に載せ、小梅の小さな背に上半身を隠しながら映画をチラチラ見るというスタイルになった。

だから美穂は、小梅からは胴に回された美穂の手しか視界に入っていない。


小梅「(でも、なんだろ...耳のすぐ後ろで小さい息遣いが聞こえると......ホラーっぽい、かな?)」


ドグシャッ!!

ナンデオレナンダヨオオオオオオオオオオ!!


美穂「ひゃっ!!?」ガシッ!!

小梅「わっ...!」


またも残酷シーン

端正な青年の顔が見る影もなく粉砕される。

何度目かの衝撃的シーンに美穂は小梅に抱きつく、すぐ目の前にいるのだから仕方ないことだ。



・・・のだが

小梅「(?...なんだろ、お腹...ポカポカしてる...)」






小梅「(.........え?.........)」















小梅「(服がめくれて......み、美穂さんの手が、私の服の下に直に入っちゃてる......!?)」


いきなりブツ切って申し訳ありませんでした。

投下します。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
映画上映中(おおよそ三分の二)


美穂「(きゃあ!・・・ううこわいよぉ、なんで小梅ちゃんは動じてないんだろ・・・)」ギュウ


小梅「(あう......おへそ...触られてる、恥ずかしくて...爆発しそう......美穂さんは、特に気にしないのかな...)」



白坂小梅の特徴を挙げる上で、だぶついた袖、という要素は欠かせない。

彼女は常日頃からややサイズの大きい服を着用することで袖を余らせ、それをぶら下げたファッションを好んでいる。

人の好みはいろいろだが、そのサイズオーバーの服というのは別に袖だけが余っているわけではなかった。

首元はゆるく、裾もはみ出しており今この時、そのゆるさ故に小梅の上着の、余った隙間から美穂の手が入り込んでいた。


ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!

ジニ゙ダグネ゙エ゙ヨ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙!!


美穂「ひゃっ!!」グイッ


小梅「ひゃうん...!??」ビクッ


偶然のいたずらか、映画が始ったから何度も美穂が小梅に抱きついていたせいで、小梅の服はインナーも含めてずれていた。

それが何かの拍子に後ろから回された手のひらが侵入するのを許してしまったのだ。

現在そのなめらかな手のひらは事あるごとに小梅の素肌を撫で回している。

無論美穂にそんな趣味もなければそもそも気づいていない。上映にあたって薄暗くした応接室の弊害というか僥倖というべきか。


小梅「(あう、くすぐったい......美穂さんの手、さっきまで寝てたからかな、なんだか火照ってる...)」


美穂「ひうぅ・・・」プルプル


小梅「(指も、震えてる...あう......どうしよ...ちょっと、これ以上は、そんな風に触られたら...私も......なんだか暑くなってきた...)」


膝の上に逃げ場はない。美穂が小梅を強く抱きしめるたび少しずつ熱を持った手のひらや細い指が服の下の、奥の方にずれ込んでいく。


小梅「(わ、脇腹、肋骨まで.........恥ずかしさが、も、もう限界......手、抜いてもらおう...)」


いくらなんでもこれ以上は仄かに温かい人肌に素肌を撫でられ続けるのにも限度がある。

美穂が自覚アリのかはともかくギブアップを伝えようと首だけを後ろに向けたとき。



ブオンブオンブオンブオン!!!!!!!!

ギャリギャリギャリギャリギャリ!!!

ンガアアアアアアアアアアアアアアア!!!

イテエヨオオオオオオオオオオオオオオ!!!

ヤメテエエエエエエエエエエエエ!!!

タスケテタスケテタスケテエエエエエエベベベベベベベグボォ!!!




美穂「きゃああああ!!!」ギュ!グイッ!スルッ


小梅「ひゃ!?、ん、ん、んううう......!?」ビクッ


『新鋭気鋭の監督』『評価の高い演出家』『暴力の理不尽さ』

映画終盤、まだ難易んんか生き残っていた若い男女たちの後ろから殺人鬼が姿を現した。

新鋭気鋭は伊達じゃない、

その技術はおどろおどろしい風貌の狂人の纏う雰囲気が画面越しに流れ込んでくるようで、

逃げ惑う暇もなく若者が次々と惨殺されていく。飛び散る血肉は小道具だと分かっていても本物だと思ってしまうようなリアルさだ。


クライマックスの畳み掛けるような惨劇の連続。



美穂「ひいいい・・・いやああ・・・!」ギュウウウ

小梅「あううう...も、もう爆発するぅ......!」



意図せず起きたふれあい。


それは映画のスタッフロールが流れる十数分後まで続いた。

小梅編終了

こひなたんお昼寝してないですね。

次はちゃんと寝かせます。

誰とかは決めてません。

書き溜めできたらまた来ます

おつ、見てるぞ
ヴァリサの出番頼むな



コメントありがとうございます。

投下します。



~~~~~~~~~~~~~~

廊下

美穂「うう、こわかったよぉ・・・。まさか誰も助からなかったなんて・・・」

美穂「小梅ちゃんが楽しんでくれたみたいだからいいけど、今度はみんなと一緒に見たいね。」

美穂「プ、プロデューサーもいれて、そしたらきっと怖くないよねっ?小梅ちゃん?」

小梅「う、うん、...そのほうがた、楽しそう...コ、コレもういっかい......次はみんなと一緒に......ふふ」コレコレ


パッケージ「ンアアアアアアアアア!!!」


美穂「(それはもうやだよぉ・・・)」


映画を見終えた二人は現在事務スペースに向かって廊下を歩いていた。

美穂はこれといった目的もなく、眠りっぱなしに加え、座りっぱなしだった体をほぐすための散歩であり。

小梅は映画を観る仲間、いつものメンツだとプロデューサーや松永涼であるところだが、その二人は今日は見つからないらしく、事務スペースなら誰か戻ってきていると思っての移動である。


ガチャ、

ペッタペッタ

??「......ん?...」

美穂「あれ?」

小梅「......あ...」





美穂「・・・輝子ちゃん?」

小梅「しょーちゃん?」

輝子「...は、はい...ソウデスヨー?......フヒ?」


今まさに事務所に通じる扉を開けて現れたのは星輝子だった。

胸にキノコの鉢を抱え、屋内とは言え仮にも仕事場を裸足で歩きまわっている。

小梅「...い、今戻ってきたとこ......なの?」

輝子「い、いや?......だ、だいぶ前から...キノコたちと......愛を育んでた...よ?」

輝子「ところで......そっちの部屋、プ、プロデューサー、......いる?」

美穂「プロデューサー?・・・ううん、私と小梅ちゃんしかいないはずだよ?さっきまでは晴ちゃんとこずえちゃんがいたけど、今はいないかな・・・」


輝子「そ、そうなんだ.......フヒヒ...ど、どうやら乃々のき、杞憂だった...ようだなフヒヒヒ......」


小梅「?」

美穂「?どうしたの輝子ちゃん?」


輝子「な、なんでももない......」


何やら目的のわからない質問をしたあと、鉢を抱えたまま顔を横に向けフヒフヒと笑う輝子に二人は不思議そうな顔をする。


小梅「あ、そ......そうだしょーちゃん、い、一緒に...映画...見ない?し、新作借りて...きた」

輝子「え、映画?うん、みるみる......フヒヒ...トモダチと、一緒に」

輝子「...たったいま用事も...お、終わったところ....だし」

美穂「(用事?・・・プロデューサーがいるかを訊くことが?)」

小梅「...じゃ、じゃあ、い、いっしょにこっち来て?」

輝子「フヒ、うめちゃん、そ...その前にほかのみんなも...呼んでくる。...今ならつ、机の下にいる。」

小梅「み、みんな...?」

輝子「フヒ...ちょっと....待ってて」


ペタペタ

キィ バタン



美穂「・・・・・・よかったね小梅ちゃん!一緒に見る仲間、見つかったみたいだよ!」

小梅「...うん......うん!」


思わぬ出会いからどうやら小梅の願いは叶いそうだ。

待つともなしに事務所に通じる扉の脇に立ち、キノコを抱えた彼女が戻るの待つ。


ガチャ


輝子「...こ、こっちこっち...プ、プロデューサーいないってさ」クイクイ

乃々「......じゃあなんでもりくぼなんかを呼び寄せるんですかぁ...めくるめくもりくぼの世界に戻りたいんですけど...」

美玲「オマエそればっかだな。・・・・・・ところであの漫画って続き、もう出てるのか?」

乃々「はい、......もりくぼはおこがましくも発売日に買いに行きました......お気に召したようで何よりですけど」

美玲「いっ!?いや!き、気に入ったとかじゃないぞっ!・・・続き、そう!続きを読まないと気がすまないってだけだからな!」

輝子「フヒヒ...うめちゃん...みんな、連れてきた...よ?」

小梅「わあ......う、うれしい...あ、ありがとうしょーちゃんっ!」ダキッ

輝子「フヒッ......イイッテコトヨー」ギュッ

美玲と乃々を加え三人に増えて帰ってきた輝子に小梅が抱きつく。

普段おとなしめな彼女にしては突然な行動力だったが輝子もゆっくりと手に持った小さな鉢を落とさないように小梅の背に手を回す。

小柄な二人の、抱き合っている体のあいだでキノコとDVD表紙の男の顔が挟まれていた。


美穂「じゃあ小梅ちゃん、私は少し外に出てくるから。また新しいの借りたら、えっと・・・その・・・・・・・ソフトな内容だったら誘ってね?」

小梅「!...うん!じゃ、じゃあ美穂、さん...また...お、面白そうなの、借りたら......一緒に見よう...ね?」フリフリ

美穂「う、うん・・・面白そうな・・・ね」

おてやわらかに、どうかおてやわらかに

美穂は心中でそう付けたし、友達に囲まれてご満悦そうな小梅と別れ事務スペースへの扉を開けた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
事務所


ガチャ

バターン!!


??「ただーいまー!!今日も楽しいいお仕事だったよっ!」

???「フフン、イケてるアタシには出来ないことなんてないし!もっと大きなコトもやってあげるわっ!」

????「そうだね、次の仕事もその調子でがんばろっか?」


事務所の扉が勢いよく開けられ、そのままの勢いで室内に入ってきた一人を先頭に三人のアイドルが事務所に脚を踏み入れた。


??「あれープロデューサーさんいないのー?」

???「なによアイツ!せっかくこのアタシが戻ったってのにいないなんて、またどっかでナンパみたいなスカウトしてんじゃないでしょうね・・・」

????「あはは・・・さすがにナンパは言い過ぎなんじゃ・・・えっと、予定表にはPさんは晶葉ちゃんやほかの、遠くで仕事がある子達に付き添ってるみたいだよ?」

??「そっかー、私、かわいくできてたから褒めてほしかったのにー・・・」

????「ふふ、大丈夫だよ?・・・Pさんならいつだって私たちのことを褒めてくれるんだから」

???「でも一番目立つのはアタシなんだからね!」


ガチャッ


美穂「あれ?みんな戻ってきたの?」










赤城みりあ「あっ!!美穂さんこんにちはー!!」

的場梨沙「いま戻ってきたとこよ、なんか、プロデューサーどころかちひろもいないみたいだけど、美穂が留守番してたのね」

高森藍子「留守番お疲れ様です美穂さん」




美穂「え、あ・・・留守番?・・・わ、私はずっとお昼寝してただけだよ!?」


廊下から事務所への扉を開けた美穂が出会った三人はいずれもパッション所属アイドル、

天真爛漫でわんぱくな赤城みりあ

ややませた言動が目立つ的場梨沙

他の人には出せない独特の雰囲気を醸し出している少女、高森藍子

であった。どうやら一緒にしていた仕事が終わり、連れ添って事務所に戻ってきたようだ。

Paアイドル準備完了

本日はここまでです。

読んでくださっている方、ありがとうございました。

書き溜めできたらまた来ます。

赤城みりあ(11)
http://i.imgur.com/SOUqrYD.jpg
http://i.imgur.com/gNQZpks.jpg

的場梨沙(12)
http://i.imgur.com/zXnAA2w.jpg
http://i.imgur.com/4SG1INY.jpg

高森藍子(16)
http://i.imgur.com/C0H5VaO.jpg
http://i.imgur.com/SWazpai.jpg


画像ありがとうございます。

投下します。


~~~~~~~~~~~

事務所


美穂「みんな、おかえり」



みりあ「ただいまー!!」

藍子「ふふっ・・・ただいま戻りました」

梨沙「ところでミホは一体なにしてたのよ。」

美穂「私?さっきまで小梅ちゃんと映画をみてたんだよ」

梨沙「映画?って!小梅の映画って言ったらあのキモいのがいっぱい出てくヤツでしょ!?よく見れたわね」

藍子「梨沙ちゃん、そんな風にいっちゃ、めっ!だよ」

みりあ「美穂ちゃん映画見てたんだー!いいなー、面白かった?」

美穂「う、うん面白かった、よ・・・?」

美穂「(・・・・・・どっちかって言うと顔面が蒼白になる、という意味だったけどね・・・)」

みりあ「そうなんだー、また今度私も見せてもらおうっと!」

藍子「(それ、みりあちゃん大丈夫かな・・・?)」





藍子「美穂さんは、このあとの予定は何かあるんですか?」

美穂「う~ん、実は映画見る前はずっと寝てたから、これからちょっとした運動のつもりで散歩に行こうかな~って」

藍子「散歩ですか!いいですね、ご一緒しても?」

美穂「うん、一緒に行こっか藍子ちゃん」

梨沙「今から?外っていま結構寒いんじゃないの?」

みりあ「そういえば寒かったね~・・・」




事務所に戻ってソファに座りながらの雑談。

戻ったばかりの三人が並んで座った端に散歩に行く予定だった美穂も腰掛けている。



美穂「やっぱり外、寒いんだ・・・こずえちゃんだっこして寝てたときはあったかかった気がしたんだけどな・・・」

梨沙「こずえと、抱っこ?寝てた?どういう状況よそれ。添い寝じゃなくて?」

美穂「わわっ、いや、だ、抱っこというのはその・・・言葉の綾で!い、今はいないけど、さっき一緒に寝てたんだよ!」

みりあ「わあ~、こずえちゃんいいな~!私も美穂ちゃんと寝るっ!!」ピョンッ

美穂「え?わっ!?」ギュ



みりあの小さな体が体のバネを精一杯生かして美穂の膝の上に飛び乗った。

小さな体躯が膝の上の空間にすっぽりと収まる。


藍子「こらこら、そんいきなり飛び乗っちゃ、美穂さん怪我しちゃうでしょ?みりあちゃん」

みりあ「ごめんなさーい・・・えっと、美穂ちゃん大丈夫?」

美穂「うん、大丈夫だよ」ナデナデ

みりあ「・・・えへへー」



藍子「で、美穂さん、お散歩に行く途中だったんじゃないですか?」

美穂「あ、そうだった!ちょっとごめんねみりあちゃん、私上着とってくるから!」


美穂が年下の小さい子を膝の上に乗せるのも今日だけで三人目だったが、

じんわりと体の芯までほぐされるような温かみは飽きることはなく、

着替えを取りに行くため膝上の子をどかすのにやや躊躇した。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

とある並木道



みりあ「それでねそれでねっ、私がそのとき、アライグマの気持ちになるですよって言ったら仁奈ちゃんが『むむっ、この仁奈をさしおいて一人でどーぶつの気持ちにはさせねーですよ』って言ってね!」

美穂「うんうんそれでそれで?」

みりあ「薫ちゃんも入れて三人のうち誰が一番アライグマの気持ちになれてるか勝負したんだー♪」

藍子「それって、どんな勝負だったの?」

みりあ「えっとねえっとね、仁奈ちゃんが考えたんだけど、アライグマの着ぐるみでコロコローって転がる競争とか、お尻につけたしっぽをフリフリして可愛い合戦したりしたんだ!」

梨沙「は?・・・こないだなーんか似たような着ぐるみ着てじゃれあってるなーとは思ってたけど、勝負だったのアレ?」

みりあ「そうだよー?最後は誰が一番洗い物が出来るかって勝負になったんだけど、みんなでカップやお皿を洗ってたら、プロデューサーに褒めてもらっちゃった♪」

美穂「そっか、自分からすすんで洗い物するなんてみりあちゃんたち偉いね・・・」ナデナデ

みりあ「えっへへー」ニコー

梨沙「いやちょっと待ちなさいよ!それで結局誰が一番だったのよ!?」

藍子「まあまあ」

事務所からそう離れていない並木道。現在四人はそこを横に広りすぎないよう気をつけつつ並んで歩いていた。

もっぱら話題を振っているのは暖かそうなコートに身を包んだみりあで、そのやや後ろ同じく防寒対策をしっかりとした美穂と藍子が、みりあの隣では肌寒そうに身を縮めている梨沙が各々のペースで歩いていた。



藍子「この先に落ち着いた雰囲気の公園があるのでとりあえずそこを目標にしましょう。」

美穂「公園かぁ、こんな近所なのに知らなかったな・・・藍子ちゃんはよく行ったりしてるの?」

藍子「うん、こうやって仕事の合間に休憩がてら」

藍子「あとその公園、季節によっては綺麗な花が見られるから、ちょっとした写真を撮る、というのもありますね」

みりあ「え、お花!?すごーい!!今行っても咲いてるかなー?」

梨沙「今何月だと思ってるのよ・・・そんなの咲いてるワケないじゃない。」

みりあ「そっかぁ・・・ざんねーん」

美穂「あはは・・・大丈夫、花はまた咲くよ、みりあちゃん」


美穂「ん、あそこにあるのがその公園かな?藍子ちゃん」

藍子「あっ、そうですね!あそこです!」

みりあ「わーーい!!」タタタ

梨沙「ちょ、はやっ!?・・・・・・全く、落ち込んでたと思ったら、あーっという間に元気になるんだから・・・。」


パッション特有とでもいうのか、弾むように会話に花を咲かせているうち、

件の公園の入り口が見えたあたりでみりあが駆け出し、それをあとの三人がのんびりと追いかけていった。


梨沙「は、はっくしゅん!!」

美穂「梨沙ちゃん、やっぱりその格好、寒いんじゃないの?」

梨沙「大丈夫よ!オシャレには我慢だって必要なんだから!!」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

自然公園

みりあ「あははは!とりゃー!!」バサッ

梨沙「あ、こ、このアタシに落ち葉をぶつけようなんていい度胸じゃない!!」

みりあ「きゃー♪」ダッ

梨沙「こらー!!アタシ直々にとっちめてやるわ!!」ダダダ



たどり着いた公園はなんというか藍子好みの、整備された地面に遊具が並んでいるというのではなく、

冬場であるためほとんどの葉は落ちていたが樹木が立ち並び、その間を静かに風が流れていくような、

一種都会の喧騒から隔離されたように思えてくる独特な空気に満たされ、それでいてどこか癒される場所だった。



美穂「みりあちゃんはいつも元気だね。」

藍子「ふふっ、アイドルの仕事中もずっとあの調子だったんですよ?よっぽど元気なんでしょうね」



少し離れたところで美穂と藍子はベンチに腰掛け、はしゃぐ小学生二人を眺めていた。

藍子は時折手に持ったトイカメラで写真を撮っている。被写体は主にみりあたちのようだが、

たまに冬風にそよぐ木の枝や近くを通った黒猫にもレンズを向けている。


梨沙「うー・・・さむさむさむ!!あー、こんなイケてるカッコのときに追いかけっこなんてやるもんじゃないわ!!・・・ふぇっきしゅん!!」

藍子「梨沙ちゃん、やっぱりその格好だと寒かったんじゃ・・・」

美穂「よ、よくみたら梨沙ちゃん、おへそとか肩むき出しなんだね・・・」



みりあとの鬼ごっこを不毛と評したのか、梨沙が立ち止まり息を整える。

その格好は美穂の言うように肩や腹部を露出する、おしゃれとはいえ防寒には向かないファッションだった。

一応、厚いフェイクファーのついた暖かそうな上着を着ているが、露出のためかしっかりと着込まれているとは言い難い。

足に関しても太ももがバッチリと存在をアピールしている。



梨沙「いーのよこれで、我慢すればどうってことないわ!」フルフル

美穂「ふ、震えてるけど・・・・・・このままじゃ風邪ひいちゃうよ・・・?」




美穂「だからほら、こっち、おいで?」ポンポン




梨沙「はい?膝?」




寒さに懸命に耐えようとする梨沙に美穂が示した解決案。

それは自分の膝をたたいてそこに梨沙を招くことだった。

というのも事務所のアイドル、こずえ、晴、小梅、無意識でやったのも含めれば愛海たち、

今日一日彼女らと密着して暖をとっていた美穂は、ついついそれらを自然なこととして、同じように誘ってしまったのだ。



美穂「あ、(わわわ!?・・・・・・つ、つい他の子たちみたいに膝に載せる流れに・・・・・・やっちゃった!?)」

藍子「?」

みりあ「あれー?追いかけっこおしまいなのー?」


~~~~~~~~~~~~~~~~~

公園のベンチ


梨沙「う、うん、・・・い、いいじゃない、ミホの膝」

美穂「えへへ・・・きょ、恐縮です?」

梨沙「どうせやるんだったら最後までしっかりやりなさいよ、ほらもっと腕寄せて!」ギュギュ

美穂「こ、こう?」ギュウ

梨沙「ん、あったか・・・」



状況としてはかなり突拍子もない流れではあったが、梨沙は美穂の膝の上で快適そうにしている。

膝の上だけにとどまらず自ら美穂の腕を取って自分に巻きつけるように体温を確保する。



みりあ「あーいいなー!私も私も!!美穂お姉ちゃん!!私も!」

美穂「ちょ、ちょっと待ってね?今は・・・」

梨沙「フフン、ここはアタシがもらったわ!アンタは元気有り余ってるんだし、事務所に帰るまで我慢してなさい!」

藍子「梨沙ちゃん、そんな言い方しちゃダメだよ、めっ」メッ

みりあ「そーだ藍子お姉ちゃん!!」ギュ

藍子「わ、ふふ・・・」ギュウ



美穂の膝の上、腕の中でのご満悦そうな梨沙の表情を見て羨ましくなったのか、

みりあは美穂の隣、藍子に飛びついた。

藍子は多少戸惑いこそしたが、すぐにしっかりとみりあを受け止めると美穂と同じように膝の上にみりあを据えた。


みりあ「へへー♪」ギュー

梨沙「ふふん♪」ギュー

藍子「ふふ・・・」



美穂「・・・ん・・・・・・ふわ・・・」ウトウト

梨沙「え、ミホ寝てるの!?」

人気のない公園、

時折冷たい風が吹くこともあるが人肌のぬくもりに触れている四人にはもうそれを寒く感じていなかった。

梨沙と温め合う美穂

みりあと温め合う藍子

午後のひとときがゆっくりと過ぎていった。





ヴぁりさ編、藍子みりあ編、ここで終了です。


みほちーお昼寝のお供リスト

Cu 愛海 こずえ

Co 晴 小梅

Pa 梨沙 (藍子 みりあ)

マンネリ化防止ということで複数キャラを一遍に投入しました。

一応三人以上書いたということにして次回は番外編で、その次にラストです。

番外編は安価の下の6レスまでに書き込まれたキャラから最低二人以上選んで書きます。

安価がなければラスト書きます。

ありがとうございました。

乙ー

薫ちゃん

ニナチャーン

茜ちん

美嘉

ブリッツェン


レスありがとうございます。

番外編行きます

こひなたんはお休みです

投下します


~~~~~~~~~~~~~~~~

事務所

龍崎薫「むむ~」ムムム

市原仁奈「むむむ・・・でごぜーます」ムムム


ガチャ

スタスタ

橘ありす「ただいま戻りました、・・・なにやってるんですか二人共」

事務所に戻ったありすが目の前の光景にやや呆れたように疑問を投げかけた。

クール所属アイドル、常に手に携えたタブレットと落ち着いた態度が特徴的なアイドル、橘ありす。

有事の際にはタブレットを有効活用(主に検索機能のみ)している彼女だが目の前の状況に対してその武器が通じないことは直感で分かっていた。

目の前の状況。

パッション所属アイドル、着ぐるみを愛し、着ぐるみに愛されたアイドル、市原仁奈

同じく、パッション所属、常に溌剌、元気いっぱいのアイドル、龍崎薫

その二人が額を突き合わせんばかりに顔を寄せ、互いに一歩も譲らない様子でにらみ合っている。

最も、両者ともに九歳ということもあり、誰が見ても可愛いと表する光景ではあったが。



ありす「(いや、それはいいんです・・・それだけならまだ子供同士の喧嘩なんですよ・・・・)」


ありす「(問題はあれがどうゆう喧嘩なのか?というです)」



薫「むむむ~!」

仁奈「むむむむでごぜーますよ!」


ギュウウウウ


ありす「薫さん、仁奈さん」



ありす「どうしてそんな大量のコップを抱えてるのですか?」

龍崎薫(9)
http://i.imgur.com/eP5x5T0.jpg
http://i.imgur.com/EnZlBds.jpg

市原仁奈(9)
http://i.imgur.com/vJnMziG.jpg
http://i.imgur.com/a2VaIFb.jpg

橘ありす(12)
http://i.imgur.com/xJ9zmVh.jpg
http://i.imgur.com/XLt394L.jpg



薫「あっ!ありすちゃんおかえりー!!」ギュウウウ

仁奈「おかえりなせーませ!!」ギュウウウ

ありす「(コップの取り合い?いや、あの中にはみんなのお気に入りのものもある・・・あの二人は人のものを勝手に取るような子ではありませんし・・・)」


ありすの眼前、二人のちびっこはその小さく細っこい両腕の中に抱え込んだいくつかのコップを必死に抱きしめている。

幸い、ガラスや陶器などの割れやすい素材で出来たものは選んでないようで、一応は安全なようだが見ている分にはなぜか緊張感がある。


ありす「橘です。こんなよくわからない時にプロデューサーもちひろさんもいませんし、全くもう、あの人は・・・」

ありす「というか、ふたりとも、私の質問に答えてません。なにをしているのですか?」



薫「あ!そうだ!ありすちゃん!かおるたちは今勝負してるんだよーっ!!」

仁奈「そうでごぜーます!!これは仁奈にとって譲れねーものなんでごぜーます!!」

薫「むむー!!」


仁奈「むむむー!!」


薫「むむむむー!!!」


仁奈「むむむむむー!!!」


ありす「(コップを抱えながらどれだけ『む』を言い続けられるか選手権?)」



ありす「バラエティ番組か何かの企画ですか?」


薫「むえ?」

仁奈「むむん?」


ありす「・・・・・・」



ありす「・・・・・・・・・・・・むー」



小さい子との意思疎通は難しい。たとえ歳が近くとも。

それを改めて実感したありすであった。

ありす「で、結局何の勝負なのですか?」

改めて訊き直した。



仁奈「これはですねー。アライグマ勝負でごぜーます!!」

薫「どっちがアライグマなのかをしょーぶしてるんだよっ!!」



つぎは割と具体的なキーワードを聞き出せた。

しかしまだよくわからない。

仁奈「仁奈こそアライグマでごザーます!!アライグマの気持ちになるですよ!!」ムム

薫「かおるだってししまいになったことあるもん!!アライグマにもなれるもん!!」ムム

そうこうしてるうちにまた二人が謎の勝負を始めてしまう。

コップの中は空のようだが何がどうなってアライグマなのかわからない。

勝負の判定基準すらも不明だった。


ありす「・・・しかたありません」

ありす「まだ読み終えてない小説があったのですが、わからないものをそのまま放置するのも精神衛生上良くないですし、」



ありす「あなたなら分かりますよね?」クルッ



仁奈「むむー!!むー!」

薫「むむむむむむ~!!!」



●REC


???「・・・・・・」





ありす「美嘉さん」


城ヶ崎美嘉「あ、ありすちゃんおかえり」サッ


ありす「ただいま戻りました。・・・別にカメラしまわなくても大丈夫ですよ。特になにも、誰にも告げ口する気はありませんし。」

城ヶ崎美嘉(17)
http://i.imgur.com/qED0g4m.jpg
http://i.imgur.com/Re1NCjX.jpg



ありすが振り向いた先、ソファの向こうからハンディカメラを構えた城ヶ崎美嘉がそこにいた。。

城ヶ崎美嘉。こちらも仁奈、薫と同じくパッション所属、カリスマギャルと名高い、事務所の看板アイドルのうちのひとりである。

趣味はカラオケとプロフィールに記されているが、

時たま十歳前後のアイドル同士の戯れ合いを食い入るように眺めていることから、趣味はそれだけではないとのもっぱらの噂である。



美嘉「か、カメラ?なんのことかなっ★」

美嘉「ここに置きっぱなしだったから、机の上にでも置いとこうかなって思ってただけだよ?」コト

ありす「いや嘘ですよね、・・・それさりげなくおいたように見えますけどレンズの方がバッチリ薫さんたちの法向くようにしてますよね!」

美嘉「あっ!たしかアライグマ勝負の詳細についてだったよね★ま、こっち座って話そうよ」コト


ありす「(開き直って構え直しましたよこの人・・・)」



ありすは絶賛勝負中の二人から離れた位置のソファに座る美嘉の隣にちょこんと腰掛けた。



ありす「で、あれはなんなのですか?アライグマがどうとか・・・」

美嘉「ん、あれね★・・・この前みりあちゃん、仁奈ちゃん、薫ちゃんがしてた勝負の続きなんだけどね。」

美嘉「その勝負ってのが、だれが一番アライグマになりきれるか、って勝負だったんだけど、その決着がつかなかったんだよね。」

ありす「はあ・・・なるほど、みりあさん抜きで延長戦ですか。」

美嘉「そゆことっ。・・・みりあちゃんは今仕事はないはずなんだけど事務所にいないみたいだからさ★」

ありす「しかし概要はわかりましたがあのコップを抱きしめている異様な風景の説明がまだですよ?」

美嘉「あーうんうん。さっき言ったアライグマ勝負の内容に洗い物合戦ってのがあってね。いかにアライグマらしく食器を洗えるかって勝負」




ありす「はい?」


カメラ、そして肉眼を決してアライグマ合戦中の二人からはなさず、かいつまんで説明する美嘉。

その核心とも言える部分を話したあたりでありすは思わず疑問の声を上げる。

ちなみに手に持ったタブレットの画面にはアライグマの検索結果が表示されている。



ありす「アライグマの名前の由来は、べつに選択をするからではなく、川辺などでかになどの小動物を捕まえている様子が川で洗濯をしているように見えることから付けられた、という説が主流なんですが。」

ありす「(しかしアライグマ・・・このまえ、みりあさんの仕事に出てきた動物はレッサーパンダだったそうですけど、・・・・・・まさか関係はないですよね?)」

美嘉「ま~そうらしいんだけど、アタシも詳しく知らないし、だから今はあの二人はどれだけたくさん洗い物ができるかってのを競ってる感じかな?」


美嘉「まぁ、あっちのほうがかわいいし★」ジー


薫「かおるはコップいっぱいギューッてできるもん!」ギュー

仁奈「仁奈だってこんなにコップが持てやがります!」ギュー


ありす「そうですか。」ゴソゴソ


ありす「(・・・・・・小説読もうっと)」ペラッ

橘ありすは子供である。

しかし小説と現実が違うことぐらいはちゃんとわかっている。

曰く、


ありす「(解いた謎が大したことないなんて、現実じゃよくあることですよね。ミステリーのトリックじゃあるまいし。)」



美嘉「・・・ふふふふふふ」●REC


ありす「・・・・・」ペラッ



ガチャバターーーーーン!!!



日野茜「ただいま戻りましたーーーーーーーーボンバーーーーーーーーーー!!!」


ブリッツェン「ブモッ!!」

仁奈「わわっ!?」

薫「あ、茜さん、ブリッツェン、おかえりなさー!!!」

ありす「茜さんおかえりなさい」

美嘉「おかえりー★」


相変わらずアライグマになりきる勝負こそ続いていたが、そこそこに落ち着いた空気になり始めたところ出し抜けに事務所に戻ったアイドル一人と動物一匹がいた。

アイドルの方は日野茜、パッション所属、元気印の花丸女の子であり、

動物の方はブリッツェン、あるパッション所属アイドルのペット、あるいはいろんな意味で仕事仲間である。


茜「むむっ!?仁奈ちゃんに薫ちゃん!!何やら面白そうなことをしていますね!!・・・でもなんですかそれ!!」

美嘉「・・・よくわかってないのに面白そうって思ったの?」

ありす「ああ、あれですか?あれは・・・」

茜「いえいえっ!!お気遣い無くっ!!ここは私自ら答えを考えてみますっ!!」


茜「うーん・・・うーーん・・・うーーーん!!」


ありす「(ああ、また不毛な時間を過ごしてしまう人が・・・)」



事務所に入ってきたと思ったら、目の前の状況にいきなり大真面目に頭を悩ませ始めた。

行動、というか動作がいちいち早い。さすがはパッションを体現する行動力を持ったアイドルである。

その場で床に座り込み、腕を組んで眉を寄せる。考え込んでいるような唸り声も止まるようすはない。



ブリッツェン「ブモォ?」スリスリ

事務所に入ってすぐのところでそんなことをされると邪魔なのだが、人ならざるものの余裕か、

ブリッツェンは特にそれを気にする様子もなく、むしろ座り込んだ茜が背中を預けられるような位置に体をおろし身を寄せている。

美嘉「(茜ちゃんが毛皮の椅子に座ってるみたいになってる・・・あったかそう・・・)」


茜「むっ!!!」


薫と仁奈が向かい合ってにらみを聞かせている

   ↓

手になにか抱えている

   ↓

緊迫した雰囲気

   ↓

手に持ってるのは取られちゃいけない大事なもの

   ↓

そういうルールのゲーム、あるいは遊び(?)


茜「分かりました!!!」













茜「ラグビーですね!!!!!!」




美嘉「」

ありす「」

薫「え?」

仁奈「ん?」

ブリッツェン「ブモッ?」

日野茜(17)
http://i.imgur.com/NX3is9D.jpg
http://i.imgur.com/AbYhBde.jpg


画像ありがとうございます


日野茜、彼女は別に馬鹿ではない。

ただ、世の中にはじっくり考えるだけでは得られない答えもあるということを知らなかっただけだ。



茜「ラグビーだったら私はラグビー部のマネージャーなので詳しいですよーーー!!ボンバーーー!!!」ガバッ

ブリッツェン「ブモッ!?」

ラグビーの要素らしきものに、実際はそんなものはないが、反応した茜がその場で発射されたロケットのように勢いよく立ち上がる。

茜「よーし、まずは・・・・・・・」キョロキョロ


どうやら立ち上がったはいいが何をするのかつかみあぐねているようだ。

まさか二人に倣ったといって9歳児にタックルをぶちかますわけにはいかない。

結果として、



茜「う~~~ボンバーーーーーーーーーーーー!!!」







ブリッツェン「ブモォッ!!?」

すぐそばにいたトナカイに渾身のタックルをかました。


美嘉「え、なに?」

ありす「じ、事実は小説より奇なりと言いますか・・・・・・」



事務所に現れ、座り込み、立ち上がり、トナカイに突っ込む。

傍から見ても何もわからなかった。

茜はといえば、今やトナカイのお腹のあたりに顔をうずめてじっとしたままだ。



茜「むむっ!!これは!?」

薫「どうしたの?」

仁奈「茜おねーさん、どうしやがりましたか!?」



茜「すごいモフモフです!!あったかあったかです!!」



ありす「・・・・・・ラグビーは?」



茜はいま現在ブリッツェンのどうに手を回し、そのお腹に顔が埋まっている。

大型のトナカイ、その骨格こそ頑強だが、腹回りの肉付きは柔らかく、体表を覆う毛も含めて

茜を柔らかく暖かく包んでいた。

基本薄着で外を駆け回っていた風の子の茜にとってその暖かさはほとんど不意打ちで、

思わず突進も止まってしまっていた。


茜「・・・」モフモフ

ブリッツェン「ブモモ」スリスリ

茜「・・・」モフモフ

ブリッツェン「ブモブモ?」






茜「・・・・・・・・・・・・ぼ、ぼんばぁ・・・」ギュウウウ


仁奈「なんかよさそーでやがります!!仁奈にもモフらせてくだせー!!」ダッ

薫「か、かおるもー!!」ダダッ

茜の様子を見てたまらず仁奈と薫も駆け出す。

二人に先程までの剣呑さはどこにもない。

茜「おおう・・・」ギュウウ

仁奈「モフモフでごぜーます・・・」ギュウウ

薫「んー!」スリスリ



美嘉「(ああ・・・・・・いいわぁ)」●REC

ありす「(・・・なんなんでしょうこれ)」



ブリッツェン「ブモッホッホッホ♪」

動物のもたらす癒しは争いをも治める。

事務所は平和なぬくもりに満ちていた。





番外、安価な五人と一匹編終了です。

最低二人以上、しかし全員でないとはいってません。

次が最終回です。



気がつけば、ありす以外みんなパッションだったな

書けたので投下します



~~~~~~~~~~~~
翌日

晶葉ラボ


晶葉「ほら、美穂さんこれが五体満足のパーフェクトプロデューサーくんだ。」

美穂「わあ、腕がちゃんとくっついてる!!ありがとう晶葉ちゃん!!」

晶葉「はっはっは、なに、礼には及ばないよ、ちょうど新開発した繊維の強度テストが終わったところだったからね。実際に使う対象が欲しかったのだよ」

美穂「?よくわからないけど本当にありがとうね、プロデューサーくんは大事なお昼寝仲間だから大事にしてるんだ」

晶葉「そうか、助けになれたようで何よりだよ。じゃ、ウサミンロボ、お客人をお見送りしてきてくれ」

ウサミンロボ「ウサ」キュラキュラキュラ

美穂「それじゃ、晶葉ちゃんまたね!」スタスタ


~~~~~~~~~~~
事務所



またもや誰もいない事務所。

アイドルプロダクションとして忙しいのはいいことだ。



美穂「えっと・・・予定表によると私のお仕事は午後からか・・・」

美穂はソファから身を乗り出し壁に貼られた予定表に目を向ける。


その彼女のとなりには抱き心地の良さそうな、白くて大きなくまのぬいぐるみが美穂に寄り添うように座っている。、


美穂「ふふっ、たった一日だったのにずいぶん長く会ってなかったような気がするな」


プロデューサーくんを膝の上に置き、そのつぶらな目と目を合わせる。


美穂「これからもまた君と一緒に寝させてもらうね♪」ギュウ


ふんわりと温かい生地を体いっぱいで感じながらプロデューサーくんを抱きしめる。


美穂「ん・・・・・・」ウトウト

美穂「ふあ・・・・」コックリコックリ

美穂「これからも、末永く、よろしく、ね・・・・・・」スー



ほっと安心するような懐かしさを感じ目を瞑るとゆっくりと美穂は眠りの世界に降りていった。


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事務所

ガチャ

千川ちひろ「ただいま戻りましたー・・・と、ん?」






愛海「くー・・・ふふふ」

こずえ「....ん.......」

晴「・・・くかーっ」

小梅「すぅ...すぅ...」

梨沙「・・・うぅん・・・」






美穂「・・・んぅ・・・・・・」ギュウ

プロデューサーくん「   」



ちひろ「あらあら・・・ちっちゃい子達がみんな美穂ちゃんに寄りかかっちゃって・・・」


ちひろ「今日がいい天気というのもあるけど、みんな気持ちよさそうに眠ってますねえ・・・」





ちひろ「ふふっ・・・美穂ちゃんのお昼寝のお供は、もうぬいぐるみ一つだけじゃないのね」クスッ






美穂「・・・・・・・・・・・・・・・えへへ♪・・・」




これにておしまいです。

コメント、画像の数々ありがとうございました。

初SSでしたが随分と助けられた思いです。

次にSSを書くとしたら


星輝子「ドロヘドロ...?」荒木比奈「そっス」

になると思います。

余計な宣伝でした。

勝手がよくわかりませんがHTML化依頼してきます。


とてもほのぼののでほっこりした

乙ー
よくやった!


実に癒された
この美穂ちゃん見てると心が暖かくなるな

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