律子「全く、亜美はチュー威力三万なんだから」(151)

亜美「えっ、三万?」

律子「そうよ」

亜美「へぇー! それってすごい? えらい!?」

律子「何バカなこと言ってるの! ダメダメよ」

亜美「えっ、ダメなの!? だって三万なんでしょ!?」

律子「三万だからダメなのよ!」

亜美「……そなの?」

律子「あなたは普段からチュー威力が足りないって言ってるの」

亜美「さ、三万じゃ足りないんだ……」

 
律子「当たり前でしょ。三万ってのは全然足りないって意味よ」

亜美「うあうあ~……そうだったんだぁ……」

律子「そんなことも知らないなんて……ホントにこの子は」


亜美「で、でもさ!」

律子「?」

亜美「亜美が三万ってことは、他のみんなはもっとあるってこと?」

律子「そうね……まあ亜美よりは、ってところかしら」

亜美「じゃ、じゃあ律っちゃんはチュー威力どんくらいなのさ!」

律子「私? 人一倍ってほどでもないけど、まあ一丁前には備わってるつもりよ」

亜美「い、一兆前!?」

律子「?」

亜美「だいたい9000億くらいか……やっば……」

 
律子「そう、このままじゃヤバいのよ亜美」

亜美「て、ていうか……いつ亜美がチュー威力三万だって……」

律子「まあ普段の行動を見てたら分かるけど」

亜美「普段!? 亜美、そういうこと何もしてないよ!」

律子「してないから問題なんでしょう!」

亜美「ひえぇ~……」

律子「とにかく、日ごろからもっと積極的に考えて行動して、チュー威力を鍛えなさい」

亜美「で、できるわけないよ! 誰としろっていうの!?」

律子「そんなの一人でも、誰といるときでもできるでしょう」

亜美「えぁっ!?」

 
律子「……分かったわ。確かに自分だけだと、どういうところに気をつければいいか気づきにくいものね」

亜美「そ、そうだよ……だいたいそんな……やり方なんてわかんないし……」ボソボソ

律子「伊織やあずささんに色々アドバイスしてもらいなさい」

亜美「あの二人に!?」

律子「だって毎日一緒に活動してるんだから、やりやすいでしょ? 何か不満でもある?」

亜美「ぇ……ぃゃ、別に……亜美もヤじゃないけど……なんてゆーか……」

律子「なら何も問題ないじゃない」

亜美「……いやいや……だってそーいうのは……付き合ったり、してからじゃないと……」

律子「いいからこれから頑張ってみなさい。いざって時は私も付き合うから」

亜美「マジで!?」

 
律子「当たり前よ。私は竜宮小町のプロデューサーよ? こういうときに私を頼らなくてどうするの」

亜美「そ、そーいう問題じゃないよ!」

律子「そういう問題よ? 事実伊織やあずささんに足りない部分があるときは私がアドバイスしてるんだから」

亜美「ぅぁ……ぁ……」

律子「どうかした?」

亜美「知らなかった……いつの間に……」

律子「私はいつだって全員に気を配ってるのよ」

亜美「し、しらなかった……」

律子「ふんっ、この私を舐めたりしないでほしいわね」

亜美「な、舐めるわけないじゃん! ふざっけんな!」

律子「殊勝な心がけだこと。それでいいのよ、じゃあまた明日ね」



亜美「……ぅぅ……竜宮小町ってそんな感じだったんだ……」

こないだ途中で投げたからやり直すよ

 
──────

亜美「……って言われてもなぁ……そんなの練習なんて出来るわけないじゃん……」



P「音無さん、この後……」

小鳥「あら。いいですねぇ……是非……」

亜美「ただいまー……」

P「……亜美?」

小鳥「亜美ちゃん。こんな時間までずいぶんかかったのね」

亜美「うん……律っちゃんに怒られてた」

P「何かやらかしたか」

小鳥「お疲れ様。すぐ帰る?」

亜美「ちょっとだけ休憩……ちかれたよぉ。ふぅ……」

 
小鳥「そうね。こういうときは疲れもパーッと吹き飛ぶものが欲しくなるわよね」

亜美「ホントだよ~……」

小鳥「んふふ……やっぱり疲れたときはアレですよね、プロデューサーさん」

P「何が……あぁ、分かりますよ。んひひ」

亜美「?」

小鳥「こう……二人で思いっきり……ガッとやって」

P「いいですねえ」

亜美「なになに?」


小鳥「生チューよ」

亜美「…………」



亜美「な、な、な、生!?」

 
亜美「なっ、なにゃな何言ってんのさピヨちゃん!!」

小鳥「あ……ごめんなさい、亜美ちゃんにはまだ少し早かったかしら?」

亜美「こ、こんなところでそんなこと言うのがおかしいよ……」

P「そうですよ音無さん。そういうのは隠れてじっくり楽しむもんです」

亜美「にっににににんが兄ちゃん!!」

小鳥「まあまあ。この際だし亜美ちゃんもちょっとだけオトナの話聞いていきなさい。ふふふ……」

亜美「……ぁ、亜美もう帰ろっかな……」

小鳥「ちなみに今夜はプロデューサーさんとなのよ」

亜美「いぎぇっ!!」

P「ほらほら音無さん、そういうことはあんまり……ね」

 
亜美「……フタリってそういうカンケーだったんだね……おめれと……」

P「?」

小鳥「うふふ。でもいつもはあずささんと楽しむほうが多いかもしれないわねー。プロデューサーさんも忙しいし」

亜美「はっ?」

P「俺は社長とが多いかな」



亜美「はっ!!???」


P「いや……仕方ないんだよ。帰宅時間かぶるし」

亜美「仕方ないとかじゃないじゃん!!!!」

亜美「男同士って!!! おっとこどうしって!!!」

P「そりゃ俺だってたまには女性と……って気分にもなるよ」

亜美「たまに? たまになの?」

 
P「それに社長なかなか強くてさ。帰してくれないんだよ」

亜美「(社長も威力高いんだ……!!)」

小鳥「あずささんもなかなかですよ。癖のある味が好きなんですって」

亜美「えっ……味とかあるの? 好みって……?」

小鳥「人によってまちまちよ」

亜美「ぁぅぁぅぁ……」

P「将来は律子とも楽しみたいなぁ。アイツ絶対強いよ」

亜美「そりゃ9000億だもん……」

小鳥「?」

 
小鳥「でも……男の人とは久しぶりだから、ちょっとドキドキしたりして……なーんて」

亜美「ピヨちゃんも、今久しぶりって言った?」


P「おやおや……実は俺もなんですよ。音無さん」

小鳥「あら……嬉しいですね」


亜美「……えっ……あの」


P「今夜はとことんまで……ね」

小鳥「もちろん……♪」



亜美「……ストップ! スタップ!」

 
P「どうしたんだよ」

小鳥「亜美ちゃん、お迎えは来る?」

亜美「来るよ。くるけど……二人ともよく考えたほうがいいって!」

亜美「お、お……オトナってみんなこんななの?」

P「? 何が?」

亜美「だって……そんな、誰とでもみたいな……そんなのよくないと思う!」

小鳥「……亜美ちゃん?」

亜美「それに……兄ちゃん社長と、って……それ、絶対おかしいよ……」

P「おかしいって……失礼な奴だなあ」

亜美「あ……亜美は、そういうの……ちゃんとしたオツキアイとかでしたほうが……いいと思うけど……」

小鳥「まあまあ。それなら心配要らないわよ、亜美ちゃん」

亜美「……えっ」

 










小鳥「プロデューサーさんも、なんだかんだ好きで付き合ってるところありますもんね」

P「恥ずかしながら」

亜美「亜美もう帰るうううううううううううううううううう!!!!!!!」ダッ


ガチャッ!!!
バアァァン!!

小鳥「…………どうかしたのかしら」

P「アイツ色々詳しいんだなあ。将来ザル双子にでもなるのかな」

 
──────

亜美「うぅ……昨日はイヤなことばっか聞いちゃったよ……」

亜美「……兄ちゃんと社長と……ピヨちゃんとあずさお姉ちゃんと……ぅぅぇぇ……」


真「亜美。元気ないね」

亜美「あ、まこちん……」

真「疲れてる?」

亜美「……ちょっとね……」

真「こんな時期にスタミナ切れしてちゃだめじゃないか。もっと元気出さないと」

亜美「……うん」

真「今日も昼からレッスンだって、伊織が張り切ってたよ」

亜美「……がんばる」

真「あ、そうだ! ボク、最近カレー作るのにハマってるんだ!」

亜美「カレー?」

真「そうそう、こんな時期だけどね。好き?」

亜美「……うん! 超スキ!」

真「スタミナ付くし、今度食べにおいでよ! これでも結構自信あるんだ」

亜美「いいの!?」

真「もちろん!」

亜美「やった! まこちんの手料理なんてサイコーじゃん! ヤッフー!」

真「あはは、あんまり期待されても困るけどね……まだ覚えたてだし」

亜美「するよー! んっふっふ~、これは楽しみが一つ増えたね~」


真「……でね。基本的な作り方は一通り覚えたから、これからボクならではの食べ方を考えてみようと思って」

亜美「うん! うん!」

真「やっぱりこだわりって出来てくるんだよなー。食べるときは絶対チューからって決めてるし」

亜美「……は?」

 
真「ウチの父さんも意外でね、程よい刺激を楽しめるからチューからじゃないと嫌だってさ」

亜美「ちょっ、ちょっとまって。ワケわかんない」

真「……えっ?」

亜美「……なんで、これから食べようってときにそんなことするの?」

真「……えっ、どういうこと?」

亜美「変じゃん」

真「……いやいや、変じゃないよ」

亜美「変だよ!」

真「変じゃないよ! そのほうが味が楽しめるんだから!」

亜美「だから何の味!?」

 
真「!  ……はっはーん」

亜美「……な、何?」

真「なるほどねー。まだまだ子供の亜美に刺激の強いのはムリかぁ」

亜美「なっ……こ、子供でもいいよ! 絶対おかしい!」

真「わかったよ。しょうがない、刺激の苦手な亜美には甘い感じにしてあげるから」

亜美「あまっ……ぅぁ……」

真「お昼の番組でも色々研究してるしね。きっと亜美も満足行くと思うよ」

亜美「ま、満足って……」

真「そうだよ」

亜美「(研究って……昼ドラとかのこといってんのかな……)」

真「亜美も将来の参考に見てみなよ。3分で主婦のいろんなワザが分かって面白いよ」

亜美「ワザ!?」

真「ボクもお嫁さんになったら、あんなのを旦那さんに……いやぁ、照れちゃうなぁ」

亜美「お、お姫様になりたいんじゃなかったの……」

 
亜美「……も、もういいっ」

真「え、いいの? せっかくなのに」

亜美「まこちんのチュー星人」

真「えっ?」

亜美「チュー星人!」

真「なっ……」




真「失礼な!人が気にしてるのに……ボクのこと中性だなんて!」

亜美「あ、亜美レッスン行ってくるもん!」

真「ひどいよ亜美! チューしようじゃないか!」

亜美「だからそれを言ってるんだよおおおおおお!!!! うぁぁああぁあああぁぁぁあん!!!」ダッ

ガチャッ!!!
バアァァン!!

真「…………?」

 
──────

亜美「うぅ……なんでみんなこんなときに限って……頭んなかチューでいっぱいになっちゃうよ……」


伊織「亜美」

亜美「あ、いおりん……」

伊織「ちょうど良かったわ。さっき律子から連絡があってね」

亜美「何?」

伊織「あずさが風邪を引いて来られなくなっちゃったんですって。で、律子がお見舞いに行ってるの」

亜美「そなの? 大丈夫かな……」


伊織「だから今日の全員レッスンはチューしよ」

亜美「えぁっ!?」

 
亜美「い、今なんて!?」

伊織「だから、今日の全員レッスンは私たち二人しかいないからチューしよ」

亜美「なななな何言ってるかわかってんの!?」

伊織「二人きりなんだからそうするしかないじゃない」

亜美「何でそうなんのさぁ!?」

伊織「むしろ何もしないつもり?そっちのほうがアイドルとしてどうかと思うわ」

亜美「マジで!?」

伊織「?」

 
亜美「あ、亜美たちしかいないからってそこまでする必要ないと思うんだけど……」

伊織「何がよ。……あぁ、さっきの『チューしよ』って言ったアレ?」

亜美「う、うん……」

伊織「だから、私たちで勝手に練習しようと思って誘ったんだけど」

亜美「何でさ!?」

伊織「ライブまでもう時間がないのよ? 本番で披露するんだからサボってられないわ」

亜美「マジで!?」

伊織「?」

 
亜美「……うえぇぇ……」

伊織「ちょっ……どうしたのよ。アンタも具合悪いの?」

亜美「……そ、そうじゃなくて……」



伊織「へぇ……そりゃ律子から見れば亜美はチュー威力三万かもしれないわね」

亜美「いおりんも毎日訓練してるの?」

伊織「訓練ってほどじゃないけど、事務所や家でも心がけてるわよ」

亜美「いおりんのチュー威力はどんくらい?」

伊織「どのくらいって……べつに、私程度なら五万といるとおもうけど」

亜美「……なんだ。いおりんもたいがいショボいんだ」

伊織「ちょっと気になる言い方だけど……まあ否定はしないわ」

 
亜美「律っちゃんはもっとすごいんだって」

伊織「律子が? 当たり前じゃない。 アイツはむしろ謙遜してるほうじゃないの」

亜美「自分で言ってるよりもっとすごいってこと?」

伊織「少なくとも、そこらの奴よりはよっぽどしっかりしてるわ」

亜美「すっげー……」


伊織「ほら! 私たちも始めるわよ」

亜美「えっ、ぁ……」

伊織「……今度は何?」

亜美「い、いおりん……レッスン、ほんとにチューしちゃうの?」

伊織「はぁ? やるっていってるでしょ」

亜美「ほ、ホントのホントに今日のレッスン、チューしちゃうの……?」

伊織「……?」

 








伊織「えっと……だから、中止ちゃうよ、っいうとるやないの……?」

亜美「……マジで……?」

伊織「……ええ」


亜美「(何でいきなり関西弁?)」

伊織「(何でいきなり関西弁?)」

30分ほど離れる

 
──────

prrrrr


   『はい、もしもし?』

亜美「あ、あずさお姉ちゃん……」

あずさ『まあ、亜美ちゃん。こんばんは~』

亜美「今、電話して大丈夫? カゼよくなった?」

あずさ『ええ。ごめんなさいね、迷惑かけちゃって……』

亜美「ううん。よかった」


あずさ『事務所の皆はどんな様子だった?』

亜美「それがね……聞いてよ」

 
亜美「……でね、いおりんがいきなりレッスンでチューとかなんとか言ってくるんだ」

あずさ『そうだったの……意外ね、伊織ちゃんが……』

あずさ『(ねずみのものまねを……)』

亜美「結局なにもなかったんだけどさ……なんか今日いろいろありすぎてもう疲れたよ……」

あずさ『そうだったのね……』

亜美「律っちゃんにもいろいろ言われたけどさ……どうすればいいのかよくわかんないんだ」

あずさ『そう。亜美ちゃんも、胸中は複雑なのね』

亜美「当たり前だよ! 明日でもそんな……チューなんてムリだよ……」

あずさ『(流行ってるのかしら?)』

真「へっへー、給湯室でこっそりカレー作っちゃった!」グツグツ


P「…ん?」クンクン

P「なんか…カレー臭がしませんか?」

小鳥「ピヨ!?かかかか加齢臭!?」



保守

                      ,く\/>ノ
                     f ,'´⌒´ヽ

              (<i/ン、   ノ ( ノノVヽ〉  ,く\/>ノ
              '〃⌒`、ヽ ´''ノヽソ゚ ヮ゚ノ  f ,'´⌒´ヽ
       (<i/ン、  〈 ノV ヽ) (   ⊂   ノ⊃ ノ ( ノノVヽ〉  ,く\/>ノ
      '〃⌒`、ヽ ('l゚ ヮ゚ iノ∩ゝ  (つ ノ   ´''∩ソ゚ ヮ゚ノ')  f ,'´⌒´ヽ
      〈 ノV ヽ) (  ヽ  〈     (ノ     〉   /   ノ ( ノノVヽ〉
      ('l゚ ヮ゚ iノ∩ゝ  ヽヽ_)          (_ノ ノ   ´''∩ソ゚ ヮ゚ノ')
 (<i/ン、 O,_  〈                          〉  ,_O ,く\/>ノ
 '〃⌒`、ヽ  `ヽ_)                         (_/ ´  f ,'´⌒´ヽ
 〈 ノV ヽ) (           は や く か い て            ノ ( ノノVヽ〉
⊂l゚ ヮ゚ ⊂⌒`⊃                             ⊂´⌒⊃ソ゚ ヮ゚ノ⊃

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