小鞠「夏海は去年までお兄ちゃんと一緒にお風呂に入ってたよね」 (85)

教室

れんげ「ほたるん。にゃんぱすー」

蛍「おはよう、れんちゃん。あれ、こま先輩と夏海先輩は?」

れんげ「まだきてないのん」

蛍「そっか」

れんげ「それより、ほたるん。ビッグニュースがあるのん」

蛍「え?なになに?」

れんげ「ウチ、ついに一人お風呂デビューしました!!」

蛍「へぇー、すごーい」

れんげ「ウチ、もう頭からお湯とかかぶっても平気なのん」

蛍「れんちゃん、偉いね。私なんて去年までお父さんと一緒に入ってたよぉ。最近、一緒に入ってくれなくなったけど」

れんげ「ほたるんはまだまだこどもなのんなー。ウチなんて湯船につかって30までは数えちゃうのん」

蛍「うん。私もれんちゃんを見習わないとね」

れんげ「見習うのん」

小鞠「おはよう、蛍、れんげ」

夏海「おーっす」

蛍「おはようございます」

れんげ「にゃんぱすー」

小鞠「なんか話してたの?れんげの声、廊下まで聞こえてたけど」

れんげ「よくぞきいてくれました。実はスーパーニュースがあるのん」

夏海「なに?一人でお風呂に入れるようになったとか?」

れんげ「なっつん!!なんで知ってるん!?エスパーなのん!?」

夏海「れんちょんのことならなんでも分かるからね、ウチは」

れんげ「流石、なっつん!!なっつんはウチのことなんでもしってるん!!」

小鞠「いや、声が廊下まで聞こえてたからだって」

蛍「聞いたんですか?」

小鞠「一人お風呂デビューだけはよく聞こえたからね」

れんげ「なっつん、なんでウチに嘘つくん!」

夏海「いやぁ。年上としてエスパーなところも見せておきたくてさぁ」

小鞠「なんだそれ」

夏海「でも、れんちょんはすごいなー。小学一年生で一人お風呂なんて難易度高いと思うけど」

小鞠「それもそうだよね」

蛍「私も去年まではお父さんと一緒に入ってました」

夏海「えー!?マジで!?」

小鞠「そうなんだ。ちょっと意外かも」

蛍「そうですか?こま先輩はどうですか?」

小鞠「私は早かったよ。小学校2年生ぐらいには卒業してたし」

夏海「ウチもそれぐらいかなー」

れんげ「みんなウチよりデビューが遅いのん。だめだめなん」

こまちゃんとなっつんは一緒に入らなかったのか

夏海「いやー。ある意味、れんちょんはすごいって。なんかさ、一人でお風呂って結構勇気いるし」

蛍「分かります。目とかつぶると怖いですよね」

夏海「そーそー。姉ちゃんとかよく泡を目に入れちゃって大騒ぎしてた」

小鞠「うるさいなぁ!シャンプーハット付け忘れたときのことを今言うなって!」

夏海「姉ちゃん、未だにつけてるんだっけ?」

小鞠「つけてないぃ!!小学5年生でやめたんだから!!」

蛍「それまではつけてたんですね」

れんげ「こまちゃん、ウチもそれは外せないのん」

小鞠「だよね。頭洗ってるときに目をつぶると、誰かが背後にいる感じがして……」

れんげ「いや、泡が目に入ったらいたいいたいになるからなのん」

小鞠「……」

夏海「あっはっはっは。やっぱり姉ちゃん、怖いんじゃん。今でもシャンプーハットは必需品なんでしょー?素直になりなってー」

小鞠「……なに?」

夏海「それにー、姉ちゃんが小2で卒業したのは父ちゃんと一緒に入るのだけで、暫くはウチと一緒に入ってたじゃん」

小鞠「いうなー!!」

蛍「そうなんですか?」

れんげ「こまちゃん、いつまでなっつんと入ってたのん?」

小鞠「いや、まぁ、えっと……」

夏海「去年までは一緒に入ってたよねー」

小鞠「入ってない!!2年前の12月が最後だった!!間違いない!!!」

夏海「去年みたいなもんじゃん」

小鞠「全然違う!!」

れんげ「こまちゃんとなっつんはデビューがおくれてるん」

夏海「いやいや、れんちょん。私は違うから。姉ちゃんが一人じゃ入れないから、仕方なくウチも入ってたんだって」

れんげ「つまり、こまちゃんだけが一人お風呂できてなかったと?」

夏海「そうそう。そういうこと」

小鞠「夏海……そんなこというんだ……」

夏海「え?なにが?事実だし」

支援

小鞠「夏海は去年までお兄ちゃんと一緒にお風呂に入ってたよね」

夏海「ばっ……!?!?」

蛍「え……」

れんげ「なっつん、そうなのん?」

夏海「いや!違うって!!姉ちゃん、なにいってんの!?そんなことあるわけないじゃん!!!」

小鞠「忘れもしないよ。去年の夏だったかな……」

夏海「おー!!おー!!ちょっとまってよ、お姉様ぁ!!!」

小鞠「なに?」

夏海「あれは……あの……小学生だったし……セーフってことで……」

小鞠「えー?でもなぁ、事実だしなぁ」

夏海「いやぁ、あれはだって、事故みたいなもんだったし……」

小鞠「事故ぉ?夏海から誘ってなかったっけぇ?」

夏海「ちがっ!!違いますよぉ!!都合のいい記憶をおもちですなぁ!!ウチの姉ちゃんは!!」

れんげ「なっつん、もしかしてウチらの中で一番一人お風呂デビューがおそかったのん?」

なっつんかわいい

夏海「ウチは早いって!!小3ぐらいで一人で入ってた記憶しかないし!!」

蛍「あの……」

夏海「ほたるんは信じてくれるよね!!ね!!」

蛍「なんというか……ご本人にきくのがいちばんかなーって……」

夏海「ほ、本人って……」

卓「……」

小鞠「お兄ちゃん、去年の夏に夏海と一緒にお風呂はいったよね?」

卓「……」コクッ

れんげ「やっぱり!!」

夏海「ちょっと!!兄ちゃん!!なんでいっちゃうかなぁ!!!」

蛍「仲がいいんですね」

夏海「ほたるん!!勘違いしちゃいけない!!事情、事情があるんだから!!」

蛍「事情ですか……?」

夏海「ほら、兄ちゃん!!話してよ!!あの日のことをさぁ!!!」

卓「……」

一年前

夏海「うぇぇ……さいあくだぁ……」

小鞠「ど、どうしたの、夏海!?ていうか、くっさ!!」

夏海「やっぱり?ウチも自分のこと臭いと思ってたところさ」

小鞠「もしかして、あそこに入ったの?」

夏海「見事に肥料まみれです……」

小鞠「どうしてあそこにはまっちゃうの?」

夏海「いや、普通に帰ってくるのもつまんないから、目をつぶって歩いてたらこんなことに……」

小鞠「バッカじゃないの!?そんなことしたら危ないじゃん!!」

夏海「反省はしてます」

小鞠「あーもう、いいからお風呂入りなよ」

夏海「へいへーい」

小鞠「ああ、そのまま上がるな!!おにいちゃーん!!拭くものもってきてー!!」

卓「……?」

小鞠「え?庭?」

卓「……」コクッ

小鞠「あ、そっか。まずは外で汚れを流したほうがいいか」

夏海「あー、そうしよう、そうしよう」

小鞠「そうと決まれば庭に移動して、ほらほら」

夏海「うぅー……」

卓「……」

夏海「なにぃ、兄ちゃん?」

卓「……」

夏海「え?」

小鞠「夏海ー!!はやくー!!」

夏海「今、いきまーす」

小鞠「ほら、そこにたって!水、かけるから!」

夏海「や、やさしくおねがいします」

小鞠「うりゃー!!」バシャーン

夏海「うわっぷ!!」

小鞠「どう?」

夏海「まだ、よごれてるかなぁ」

小鞠「それじゃ、もう一発ね」

夏海「も、もっと優しくして……」

小鞠「うるさい!!」バシャーン

夏海「うぶっ!?」

小鞠「これでよしっ。さ、これで拭いて」

夏海「はいはい……」ゴシゴシ

小鞠「拭いたらお風呂いきなよ」

夏海「わかってるってぇ」

卓「……」

小鞠「お兄ちゃん、どうかしたの?ずっと夏海を見てるけど」

小鞠「うわ!ホントだ!?夏海!血が出てる!!」

夏海「え?マジで?うわぁ……足、きったんだ……」

小鞠「もー。救急箱出しておくから、とりあえずお風呂ね。まだ少し臭いし」

夏海「そんなに臭い臭いいわなくてもわかってるって」

卓「……」

夏海「くさいし、血はでるし……夏海ちゃんの厄日だ……」

小鞠「救急箱はどこだっけー?」

夏海「あー……今日、夏休みの宿題しようと思ってたけど、やめたー」

卓「……」グイッ

夏海「おぉ!?な、なに、兄ちゃん!?」

卓「……」

夏海「……」

卓「……」

夏海「いや、なんか言ってよ……。そんな見つめられても……。今のウチ、くさいし……」

卓「くっせえな」

夏海「」

夏海「え?ウチの頭、兄ちゃんが洗うの?」

卓「……」コクッ

夏海「バカにしないでくれるかな、兄ちゃん。ウチは小6、来年から中1なんだよ?一人で洗えるって」

卓「……」

夏海「もういいからはなして」

卓「……」コクッ

夏海「それじゃ、ウチは禊を済ませてきますので。おっふろー、おっふろー」

卓「……」

小鞠「救急箱とれないぃ……!!うーん……!!だれぇ!!こんな高いところに救急箱置いたのは!!とれないじゃん!!」

卓「……」スッ

小鞠「ありがとう、お兄ちゃん」

卓「……」

小鞠「夏海はほんとバカだよね。来年から中学生なのに、正直不安しかないよ」

卓「……」コクッ

夏海「――じゃーん!!夏海ちゃん、ふっかーつ!!!」

小鞠「はい、こっち来て。絆創膏はってあげるから」

夏海「一人でできるってば」

小鞠「いいから、くる」

夏海「うぇー。姉ちゃん、最近母ちゃんに似てきてない?」

小鞠「さーね。夏海がバカだから、お母さんと同じ事を言わせてるだけじゃない?」

夏海「なんだよー、そのいいかたー。まるでウチが出来損ないの妹みたいじゃん」

小鞠「ほら、足出して」

夏海「はぁーい」

小鞠「えーと、ここだ。はるね」

夏海「おねがいしまーす」

小鞠「……ん?」

夏海「どしたの?」

小鞠「夏海、まだなんか臭いんだけど……」

夏海「え!?嘘!?しっかり洗ったって!!反省と一緒に!!」

こまちゃんかわいい

小鞠「反省と一緒に洗うな!!」

夏海「ど、どこ?どこが臭いん?」

小鞠「うーん……。よくわかんないけど、夏海が臭い」

夏海「存在が臭いのかよ!?」

小鞠「ちゃんとあらったー?」

夏海「あらったさ!!こう見えてもウチ、綺麗好きだもんね!!!」

小鞠「どの口がいってんの?」

夏海「臭いかなぁ……?」

小鞠「もう一回、入ってきたら?」

夏海「でも、今絆創膏貼ったばかりなのにとれちゃうじゃん。そんなもったいない。絆創膏に恨まれるって」

小鞠「はぁ?絆創膏貼ってても大丈夫だって。すぐには剥がれないし」

夏海「姉ちゃん、ちょっと離れてみて」

小鞠「えー?……これくらい?」

夏海「どう?臭う?」

小鞠「いや、臭わないけど」

夏海「おーるおっけー!!」

小鞠「夏海、お母さんにバレたらまた怒られるよ?いいの?」

夏海「これぐらいの距離を保っていればバレることはないでしょ?」

小鞠「……もういい。好きにすれば?」

夏海「わーい」

小鞠「あとで痒くなってもしらないからねー」

夏海「へーきだって!」

小鞠「夏海ったら……。私のいうこと一つも聞かないんだから……」

小鞠「でも、臭かったが気になるなぁ……」

卓「……」

小鞠「あ、お兄ちゃん。いたんだ」

卓「……」コクッ

小鞠「ねえ、お兄ちゃんからもいってあげて。夏海、臭かったのにお風呂入ろうとしないし」

卓「……」

たしかになっつんはくさそう

夏海「ふんふーん」

卓「……」

夏海「ん?なに、兄ちゃん?」

卓「……」クサッ

夏海「え!?なになに!?急に失礼じゃん!?」

卓「……」

夏海「兄ちゃんまで何言い出すんだよ!!もー!!妹をうやまえー!!」

卓「……」

小鞠「ほら、夏海。お兄ちゃんも臭いっていってるし、お風呂入って」

夏海「また夜に入るって。今はつかれてるんだから、ちょっと休ませてよー」

小鞠「あのねぇ……」

卓「……」スッ

夏海「え?なに……?本?」

小鞠「お兄ちゃん、その本なに?家庭の医学……?」

卓「……」ペラッ

夏海「……」

小鞠「えーと……。傷口に雑菌がはいって、かいし……?」

卓「……」フルフル

小鞠「ああ、壊死って読むんだ。壊死してしまう可能性があるので……よく洗いましょう……」

夏海「これがなに?」

卓「……」ペラッ

夏海「ぎゃぁー!?」

小鞠「お、お兄ちゃん!!なにこれ!?気持ち悪いんだけど!?あ、足が腐ってる写真なの!?」

卓「……」コクッ

小鞠「も、もしかしてこのままだと、夏海の足がこうなるの……?」

卓「……」コクッ

夏海「またまたー。兄ちゃん、そんな嘘がこの夏海ちゃんに通じるとでも思ってるの?あっはっはっは」

卓「……」

小鞠「な、夏海ぃ……」

夏海「足がこれぐらいのことで腐るとかないない。大袈裟すぎだってー」

卓「……」

夏海「もういいから。ちゃんとお風呂入るって。夜には」

小鞠「夏海!!もしもこうなったらどうすんの!?歩けなくなったらこまるじゃん!?」

夏海「いや、だってちょっと切っただけだしー」

卓「……」ペラッ

小鞠「え、えーと……小さな傷からでも……壊死ははじまり……ます……」

夏海「……え?」

小鞠「な、なつみ!!ほら、もっとよく洗わないと!!腐っちゃうから!!」

夏海「なんだよー!入ってきたらいいんだろ!!はいってきますよ!!」

小鞠「初めから素直にそう言えばいいのに」

夏海「全く。そんな写真みたいなことになるわけないのにさー。そこまでウチをお風呂にいれたいのはわかったけど」

小鞠「夏海、ちゃんと洗いなさいよ!!隅々まで!!」

夏海「はいはい」

卓「……」

夏海「姉ちゃんも兄ちゃんもなんであそこまでいうかねぇ……。わけわかんないし」スルッ

夏海「こんなことで足が腐るとか、ありえないし」

夏海「大体、さっき洗ったんだからもう十分菌も流れ落ちてるはずだし」

夏海「腐るとかないない。ありえない」ゴシゴシ

夏海「……」ゴシゴシ

夏海(でも、よく洗ったはずなのに、姉ちゃんには臭いっていわれたなぁ)

夏海(どうして臭いんだろう……?)

夏海(そういえば、腐ったら臭くなるってきいたことが……)

夏海(も……もしかして、ウチ腐ってきてる……?)

夏海「な、ないない!!だって、傷も浅かったし!絆創膏はったからもう安心だし!!」

夏海「消毒……はしてないけど……」

夏海「水で洗ったから……でも……菌はもうはいってて……ウチ、くさって……」

夏海「……」

夏海「うわぁー!!!!あぁー!!!ウチ、腐ってるん!?どーしよー!!!」

小鞠「夏海!?どうしたのん!?」

夏海「ねーちゃん!!ウチ、くさってるかもしれないのん!!」

小鞠「えぇぇ!?ど、どこが!?どこがぁ!?」

夏海「わかんないけど!!ウチ、臭いし!!」

小鞠「えー!?あー!!ちゃんと洗ったの!?洗ったら大丈夫だって!!」

夏海「でもでも!!さっき洗ったのに姉ちゃんには存在が臭いっていわれた!!」

小鞠「それは、なんかどこから臭ってきてるのかわかんなくてぇ……」

夏海「ってことはもう全身が腐ってるってことじゃん!?」

小鞠「そ、そうなの!?夏海!!全身が腐ってるの!?」

夏海「ウチ、もう人間じゃないのん!!」

小鞠「ぎゃー!!!ゾンビー!!!」

夏海「姉ちゃん、まてー!!!」

小鞠「こっちこないでー!!」

夏海「ひどい!!姉ちゃん!!!ゾンビでもウチ姉ちゃんの妹なのにー!!!」

小鞠「あ、そうだ……。私、なにいってんだろ……。で、でも、ゾンビになった妹とどう接していけばいいのん……?」

夏海「姉ちゃん……ウチのことみすてないでぇ……」

小鞠「よしよし。大丈夫だから、夏海のことは守ってあげるから」

夏海「姉ちゃん……もう姉ちゃんだけが頼りだよ……」

小鞠「でも、やっぱりちょっと臭いね」

夏海「腐ってるからね」

卓「……」コンコン

小鞠「あ、お兄ちゃん!?お兄ちゃん、夏海が大変なのん!!」

夏海「兄ちゃん、ウチソンビになっちゃったんだけど、家庭の医学でどうにかならない?」

卓「……」フルフル

小鞠「首振ってる……。だめなんだ……」

夏海「うぅ……ねえちゃん……」

小鞠「なつみぃ……」

卓「……」コンコン

夏海「な、なに、兄ちゃん?」

小鞠「え!?ほんと!?洗えば大丈夫なの!?」

卓「……」コクッ

夏海「兄ちゃん、それマジ!?マジなのん!?」

卓「……」

小鞠「よし!!なら夏海!!洗おう!!洗えるところは全部洗うぐらいの勢いで!!!」

夏海「あぁ、でも、ウチじゃしっかり洗える自信ないよ。姉ちゃん、洗って」

小鞠「洗ってあげたいのは山々だけど、私も自信ないよ……」

夏海「そ、そんなぁ!」

小鞠「そ、そうだ!お兄ちゃん!!」

卓「……」

小鞠「お兄ちゃんなら上手く洗えるはずだよね!!お願い、夏海を救って!!」

夏海「兄ちゃん、ウチの体を洗ってよー!!」

卓「……」コクッ

小鞠「やった!!夏海!!おにいちゃん、洗ってくれるって!!」

夏海「やっほー!!兄ちゃん、早くはいってきて!!ほらほら!!」

卓「……」ガラッ

小鞠「お兄ちゃん、がんばって!」

卓「……」コクッ

夏海「どうしたらいい?ウチ、座ってていいの?」

卓「……」ガシッ

夏海「おぉう……」

卓「……」ゴシゴシ

夏海「あー……」

卓「……」

小鞠「ど、どう?」

夏海「なんか懐かしいー。昔は3人でお風呂はいってたもんね」

小鞠「そうだね。自然と入らなくなっちゃったけど」

夏海「なんでかなー。兄ちゃんが嫌がりはじめたんだっけー」

小鞠「そうだったかも」

卓「……」ゴシゴシ

夏海「右が痒いかな?」

卓「……」ゴシゴシ

小鞠「私、着替えとタオル用意しとくから」

夏海「うん、おねがい」

小鞠「ごゆっくり」

夏海「あーい」

卓「……」ゴシゴシ

夏海「はぁー……きもちいー……でも……これ……」

卓「……」

夏海「兄ちゃん!!これはマズイって!!!」

卓「……」

夏海「いや、ウチ、裸だし!!兄ちゃんが体洗うってよく考えたら変じゃん!!」

卓「……」

夏海「ねえちゃーん!!!やっぱり姉ちゃんがあらってー!!!」

小鞠「なにいってんの。お兄ちゃんに洗ってもらったほうが確実じゃん」

夏海「そういうことじゃなくって!!ウチ、兄ちゃんに裸見られてるんですけど!!」

小鞠「夏海の裸なんてお兄ちゃんが気にするわけないってば」

夏海「ウチが気にするんですが!!」

小鞠「腐ってもいいの!?」

夏海「そ、それは困るけどさぁ」

小鞠「だったら、お兄ちゃんに洗われたほうがいいんだから、洗われてこい」

夏海「うぅぅ……兄ちゃん、目はつぶって……」

卓「……」

夏海「あ。もうつぶってたのか……。もしかして入ってくるときから?」

卓「……」コクッ

夏海「なんだ……そうなんだ……」

卓「……」ゴシゴシ

夏海「……」

卓「……」バシャーッ

夏海「んー……」フルフル

卓「……」

夏海「終わり?」

卓「……」コクッ

夏海「えっと……兄ちゃんが先、出る?」

卓「……」コクッ

夏海「あ……兄ちゃん……」

卓「……」

夏海「もう、ウチ、腐らない、よね?」

卓「……」

夏海「兄ちゃん!?腐らないよね!?」

卓「……」コクッ

夏海「はぁ……よ、よかったぁ……。兄ちゃん、ありがとう……洗ってくれて……」

小鞠「なつみー!!もう大丈夫なのん!?」ギュッ

夏海「ね、姉ちゃん……」

小鞠「ほら、体拭かないと。夏でも風邪はひくしね」ゴシゴシ

夏海「くすぐったいってぇ」

小鞠「我慢して!」

夏海「うぅー」

小鞠「お兄ちゃんっ」

卓「……」

小鞠「夏海のことありがとう」

卓「……」コクッ

夏海「今日はホント、夏海ちゃんは厄日だなぁ」

小鞠「なにいってるの。お兄ちゃんに体洗ってもらってよかったじゃん」

夏海「恥ずかしいだけだって、あんなの」

小鞠「私なんてもう随分、お兄ちゃんに洗ってもらってないんだから」

夏海「それはそうかもしれないけどさ。いや、ホント恥ずかしいし」

小鞠「ごちゃごちゃ言わない。まだ拭けてないんだから。一応、あとで絆創膏は貼りなおしとこうか」

卓「……」

小鞠「ほら、夏海。足、見せて」

夏海「もう血は止まってるみたいだけどね」

小鞠「貼っておかないとバイキンはいって壊死して、腐って、夏海が歩けなくなったら私が困るじゃん!!」

夏海「うぇー。ごめんなさーい」

小鞠「全く、夏海は……」ソーッ

夏海「慎重に貼ってくれるんだね」

小鞠「はい、貼れたよ。お兄ちゃん、これで夏海はゾンビにならずに済むんだよね?」

卓「……」

夏海「兄ちゃん。ウチの足は大丈夫なんだよね!?」

卓「……」コクッ

夏海「あぁー!!今日はホントにつかれたー!!お腹もすいたー!!ごはんまだー!!」

小鞠「もうすぐお母さんも帰ってくるから、それまでの辛抱」

夏海「はぁ……。そうだ。もうウチ、臭くない?」

小鞠「え?んー……うんっ。大丈夫。いつも通り、夏海の匂いがする」

夏海「よかったぁ」

小鞠「これもお兄ちゃんの洗い方が上手かったからだね」

夏海「確かに。兄ちゃんに頭洗われてるとき、すっごく気持ちよかった」

小鞠「本当?私も洗ってもらおうかな」

夏海「いいの、姉ちゃん?」

小鞠「なにが?」

夏海「冷静に考えてみ。兄ちゃんと一緒に風呂だよ?」

小鞠「それがなに?」

夏海「いや、だって、兄ちゃんに裸みられたいの?」

小鞠「水着着ればいいだけだし」

夏海「水着着てふろに入るのかー!!そんなの日本人としてどうかとおもうけどー!!!」

小鞠「裸でお兄ちゃんと一緒なんて無理にきまってんじゃん!!」

夏海「裸ではいったウチはどうなるんだー!!」

小鞠「しるかー!!」

卓「……」

教室

卓「……」

れんげ「ほぉー。去年、そんなことが」

蛍「えっと……」

夏海「兄ちゃん、細かいところまで覚えてるなぁ」

小鞠「わ、私、そんなこと言ってたっけ……?」

卓「……」コクッ

小鞠「あははは……流石、お兄ちゃんだね……」

れんげ「それで、こまちゃん」

小鞠「え?な、なに?」

れんげ「兄にぃとお風呂、一緒にはいったのん?」

小鞠「え……?」

蛍「は、入ったんですか?その日の夜とかに」

夏海「……姉ちゃん?」

小鞠「いやー。入ってるわけないよー。だって、私はもう中学生だったしー……」

夏海「入ったんだ!!姉ちゃんも兄ちゃんと入ったのか!!!」

小鞠「入ってない!!入ってないって!!!」

夏海「怪しい!!目が泳いでるし!!絶対に入ってる!!」

小鞠「お、お兄ちゃん!!なんとか言ってよ!!あの日、入ってないよね!?」

卓「……」コクッ

夏海「ホントに!?」

卓「……」コクッ

小鞠「ほ、ほら!!私とお兄ちゃんが一緒にお風呂入ったのは、小学生までなの!!」

夏海「ホントかぁ……?」

小鞠「ホントだってばぁ!!お兄ちゃんは嫌がってはいってくれ……あ」

夏海「……」

蛍「せ、先輩から卓先輩を誘ったんですか……?」

小鞠「あ……あにょ……」

夏海「こまちゃん、散々ウチのことバカにしておいて、兄ちゃんのこと誘ったんだぁ……へぇ……?」

小鞠「だ、だって……夏海だけ……洗ってもらって……その……なんか……不公平で……」

夏海「ふざけるなー!!!」

小鞠「うぇぇぇん!!ごめんなさーい!!!」

れんげ「結局、こまちゃんもなっつんも去年まで一人お風呂デビューできてなかったん」

夏海「違うって!!ウチのは事故だから!!ノーカン!!姉ちゃんのほうが問題あるっしょ!!」

小鞠「でも、一緒に入ってないもん!!ノーカンだぁ!!」

夏海「誘ってるくせに!!」

小鞠「でも、入り損ねたし!!」

蛍「あ、あの、やめてくださいよぉ」

卓「……」

蛍「す、卓先輩も見てないで二人を止めてください」

卓「……」

れんげ「ほたるん。兄にぃはこういうときどうすればいいのかわかってるのん」

蛍「え?ど、どうするの?」

れんげ「見守るん!!」

蛍「それだけ!?」

一穂「はーい。席についてー。楽しい授業をはっじめっるっよー」

夏海「ふんっ」

小鞠「ふんだっ」

一穂「あらぁ、どうかした?喧嘩でもしたの?」

夏海「姉ちゃんが兄ちゃんをお風呂に誘ったんだよぉ!!」

小鞠「夏海だけ一緒に入っててちょっとだけ羨ましかったの!!」

一穂「……なんの話?」

れんげ「こまちゃんとなっつんは一緒にお風呂入りたかっただけなのん」

一穂「一緒に風呂?へぇー。まぁ、裸の付き合いって大事だもんなぁ」

蛍「そうなんですか?」

一穂「そうだぞぉ、ほたるん。裸になることでお互いの距離が近づくってもんさ。だから、一緒にお風呂って大事なことなんだよねぇ」

れんげ「え……。ということは、一人お風呂デビューはいけないことなん?」

一穂「いけないことではないけどねぇ。みんなでお風呂もいいよねぇ」

れんげ「むむむ……ウチ、一人お風呂デビューは早すぎたかもしれないのん。ほたるん、なっつん、こまちゃん。話があるのん」

蛍「え?なに?」

宮内家

夏海「おじゃましまーす」

小鞠「きましたけどー」

蛍「こんばんはー」

れんげ「いらっしゃいん!!」

一穂「いやー。よくきたねぇ。さ、おはいり」

蛍「ちょっとドキドキします。友達の家でお風呂だなんて……」

一穂「そんなに広いお風呂じゃないから、ちょっと窮屈かもしれないけどねぇ」

蛍「いえ、そんなことはありません!!」

れんげ「今日はみんなでお風呂デビューなのん!!」

夏海「別にウチはさぁ……」

小鞠「私だって、入りたいわけじゃ……」

れんげ「兄にぃも一緒がよかったのん?」

夏海「なわけあるかー!!!」

一穂「まぁ、兄ちゃんも男だしね。その辺は先生として許すわけにはいかんねぇ」

れんげ「おふろーみんなでおふろー」

蛍「先輩とお風呂だなんて……うふふふ……」

一穂「しっかり温まっておいで」

夏海「……なんでこんなことに」

小鞠「れんげの頼みじゃ断れないじゃん」

夏海「そうだけど……」

れんげ「なっつん、迷惑だったのん?」

夏海「え!?いやいや!!そんなことないって!!ほら、れんちょん。服脱ごうか!ばんざーいして!ばんざーい!!」

れんげ「ばんざーいん!!」

夏海「よいしょー!!」グイッ

れんげ「すぽーん!!!」

夏海「いや、顔で引っかかってるから、れんちょん。気持ちよく脱ぎたかったんだろうけど」

れんげ「なっつん……はやくぬがしてなのん……」

蛍「先輩もバンザーイしてください」

小鞠「一人で脱げるよ!!!」

蛍「先輩、背中洗ってあげましょうか!?」

小鞠「一人でできるってばぁ」

蛍「で、でも、ほら!!みんなでお風呂の醍醐味ってこういうことじゃないですか!?」

小鞠「……というか、蛍の体は直視できない」

蛍「ど、どうしてですか!?」

れんげ「……」

夏海「れんちょん、頭洗ってあげようか?」

れんげ「ウチ、ほたるんに洗って欲しいのん」

夏海「え?」

れんげ「ほたるーん!!あらってなのーん!!」

蛍「で、でも……」

れんげ「ほたるんにゴシゴシしてほしいん!!」

蛍「……うんっ。洗ってあげる」

れんげ「くるしゅうないのん」

蛍「夏海先輩はこま先輩のことお願いしますね」

夏海「えぇ……」

小鞠「……いいよ。一人で洗えるから」

夏海「いや、でも、姉ちゃんは頭洗うのヘタクソだし」

小鞠「なにをぉ!?なら、そこで見とけ!!うりゃー!!」ゴシゴシ

夏海「姉ちゃん、目開けてたら……」

小鞠「いたたたたた!!!目に!!目にはいった!!いたい!!いたい!!」

夏海「ほーら、いわんこっちゃない。姉ちゃん、流すよー」バシャー

小鞠「いたいぃ……」

夏海「ほら、目つぶって。ウチが洗うから」

小鞠「うん……」

夏海「やっぱり、姉ちゃんにはウチがいないとダメだね」ゴシゴシ

小鞠「違う。今日はたまたま上手くいかなかっただけだもん」

蛍「れんちゃん、痒いところない?」

れんげ「おしりがかゆいのん」

蛍「いや、頭の部分で言ってほしいんだけど……」

れんげ「さっぱりん!!」

蛍「湯船につかりましょうか」

小鞠「さんせー」

夏海「いやぁーごくらくじゃー」

蛍「あったかーい」

れんげ「いいゆじゃー」

小鞠「ふぅー……」

夏海「なんか今日は変に疲れちゃったよ」

小鞠「夏海が余計なこというから」

夏海「姉ちゃんが真実を隠そうとするから」

小鞠「それはだから……」

夏海「いや、まぁ、いいか。昔のことだしねー」

小鞠「そうだね」

れんげ「これから一緒にお風呂はいるときは、ウチらと一緒に入ればいいのんな!」

蛍「うん!いいね!週に一回は入ろう!!」

夏海「週一回は多すぎない?」

蛍「えー!?そうですか!?いいと思いますけど!!私の家で入ってもいいですよ!?」

小鞠「いや、どの家とかの問題じゃなくて」

れんげ「ウチも一緒がいいのん!!」

夏海「れんちょん、一人お風呂できなくなってもいいの?」

れんげ「一人よりみんなといっしょがいいのん!!」

夏海「れんちょんがそこまでいうなら、ウチも賛成ってことで」

小鞠「マジぃ?」

蛍「先輩は嫌なんですか!?」

小鞠「嫌って言うかさぁ」

れんげ「こまちゃん、アヒルさんと船だけじゃつまらないん?」

小鞠「玩具の問題でもないんだけど」

夏海「いいじゃん、こまちゃん。裸の付き合いしよーよ」ギュゥゥ

蛍「そ、そうですよぉ!」ギュゥゥ

小鞠「こまちゃんいうなぁ!!ひっつくなー!!蛍も引っ付いてこないでー!!自分が惨めになるからー!!」

れんげ「こまちゃーん」ギュゥゥ

小鞠「れんげまで!!もー!!」

夏海「姉ちゃん、その……ウチじゃ兄ちゃんの代わりをできるなんて思わないけど……」

小鞠「なに?」

夏海「ウチもほら、中々のテクニックあるし。ちゃんと洗ってあげるって」

小鞠「……わかった。その代わり、しっかり洗ってよね。私も夏海のことしっかり洗ってあげるから」

夏海「姉ちゃん!!やっほーい!!」ギュゥゥ

小鞠「はなれろー!!」

夏海「エヘヘヘ。ねえちゃんはかわいいなー」スリスリ

小鞠「バカにしてるなー!!!」

蛍「先輩は可愛いですよねー」スリスリ

れんげ「こまちゃん、かわいいのん」スリスリ

小鞠「子ども扱いはやめろー!!!一番年上だぞ!!!」

夏海「姉ちゃん!来週も来月も来年だってウチらと一緒にお風呂入ろうね!!」

小鞠「入るっていってんじゃん!!」
                        おしまい。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年03月10日 (月) 22:17:07   ID: N28_7QiE

結局こまちゃんがいじられるパターン

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