橘「今日は女の子の日か……」美也「にしししし」(155)

橘「どうしよう、結局当日になったけど何も用意してないぞ……」

橘「このままじゃ美也になんて言われるか」

橘「そうじゃなくても、絢辻さんに言われてたのに」

橘「ど、どうすればいいんだろ?」

美也「にぃに!おっはよー!」

橘「うわぁ!な、なんだよ美也、いきなりっ」

美也「むっふっふー。なんだじゃないよにぃに!期待してたんだからね」

美也「はいっ、プレゼントちょーだい!」

橘「あー、それなんだけど、さ……」

美也「んにゃー?」

橘「……」

橘「よ、用意してなくて」

美也「……」

橘「は、はは」

美也「にぃに?」

橘「ははは!……はい」

美也「……にしし!」

橘「まことに面目、え?」

美也「しょーがないなあ、にぃにってば。いっつもお金ないー!って言ってるんだもん」

橘「美也?」

美也「最初から期待してないよーだ!にぃにのお馬鹿、にしししし!」

橘「美也……」

美也「じゃ、みゃーは部屋に戻るねー。にぃにもビーバー読みたかったら」

橘「美也、外出るから着替えて」

美也「え?」

橘「プレゼント、一緒に探そう。なんでもは無理だけど、頑張るよ」

美也「にぃにとおっ出かけ、ふんふんふーん!」

橘「美也、あんまりくっつくなって。歩きにくいだろ」

美也「みゃーは歩けるからいいの!ほら早くっ」

橘「はいはい。おーい美也?そんなに急ぐと、って危ないっ!」

美也「へ?わぷっ!」

「わぁっ!いたーい、ご、ごめんなさいー」

橘「すみません妹が……なんだ、梨穂子か」

梨穂子「え、純一?じゃあ当たったのは美也ちゃんだったんだ。ごめんねー、美也ちゃんは大丈夫?」

美也「う、うん。りほちゃんごめんね。にぃに、りほちゃんに失礼だよ!」

橘「ご、ごめんつい。梨穂子、手貸して」

梨穂子「ありがとーじゅんいち……えへへ」

橘「梨穂子?どうしたんだ?やっぱり頭とか打ったのか!?」

梨穂子「ち、違うよー。朝から純一に会えて幸先いいなーって思っただけ」

橘「はあ?な、なんだよいきなり……」

梨穂子「えへへー」

美也「にっしっし、りほちゃん積極的ー」

梨穂子「わ!み、美也ちゃん違うよ!」

橘「えーと……」

梨穂子「ん……」

橘「り、梨穂子はどこかに行く予定だったのか?」

梨穂子「う、うん。ちょっとお買い物に」

橘「そっか。香苗さんとか?」

梨穂子「ううん一人だよ。ちょっと欲しいのがあるだけだから」

美也「……んにゃー。ねえお兄ちゃん、りほちゃんと一緒に行かない?」

橘「え、いいのか?」

美也「お兄ちゃんはいっつもりほちゃんに迷惑かけてるんだから、今日くらい返さないとねー」

梨穂子「ふぇー、純一達はどこに行くの?」

橘「えーと、今日はひなまつりだろ?それで」

美也「主役の女の子にプレゼントを買いに行くのだー!」

梨穂子「わあ、いいなー。えっと、でも私が行ってもいいの?」

橘「ま、美也もああ言ってるからな。梨穂子も今日くらい、僕に甘えてくれよ……ん?でもいつものような気も……」

梨穂子「う、うん……じゃあ」

橘(お……おおっ!?)

橘(梨穂子のふかふかが腕にっ!いや、この腕が収まる感じ、た、谷間じゃないか!)

美也「みゃーも、みゃーも!反対の腕はみゃーが使うのだー!」

橘「なんだよ美也、今日はやけにテンション高いな」

梨穂子「わあー、これ可愛いねえ」

橘「雛人形、の格好したクマか。梨穂子こういうの好きそうだもんなあ」

美也「お兄ちゃん、買ってあげたら?」

橘「そうだな、いち、じゅう……ほ、他にもひなまつりらしい物はあるし、もっと見て回らないか?」

梨穂子「うんっ。あ、美也ちゃんあっちでお菓子売ってるよ」

美也「ほんとだ、レッツゴー!」

梨穂子「ゴー!」

橘「やれやれ、前借りしたとはいえ、さすがに万単位は辛いや」

橘「ん?これ……」

梨穂子「おっこしものー、ひっなあられー」

美也「ひっしもっち、桃まん、まんまにっくまーん!」

橘「さすが梨穂子、ウインドウショッピングよりお菓子選びの方が長いじゃないか」

梨穂子「だ、だってえ、お菓子が売り切りで安くなってるから」

橘「ん?そういえば夏に向けてダイエットしてるんじゃ……今どうなってるんだ?このっ、柔らかいぞっ」

梨穂子「ふあー!こ、コートの上から突っついてもわかるはず……ない、よね?」

橘「……」

美也「り、りほちゃん。むにむにしてる、かも……」

梨穂子「え、ええー!うそー!」

橘「梨穂子。他の店に行こう」

梨穂子「で、でもー、あうう、おこしものがー」

橘「ほら、元気出せよ。これなんかどうだ?女雛テディキーホルダーだってさ」

梨穂子「うー、お腹……どうしよー」

美也「り、りほちゃん、これ、きびにゃんテディだって!こういうのもあるんだねー!」

梨穂子「あうう……やっぱりダイエットできないのかな」

橘「ま、まあなんだ。ダイエットできなくても梨穂子は梨穂子だし」

梨穂子「でも、純一はお腹がみっつ重なっちゃう子は嫌だよね?」

橘「それはまあ……」

梨穂子「はあ……」

橘「じゃ、じゃあこれは?お雛様のミニ扇子……ってなんだこれ?」

美也「えーと、『これは和紙でできています。お願いを書いて結んだら願いが叶うかも』だって」

橘「つまり、絵馬みたいなものかな。結構ついてるんだな」

美也「いっこ100円だって!お兄ちゃん、りほちゃん、やってみようよ!」

橘「ええ?なんか胡散臭いというか、ご利益あるのか?」

美也「もー、女心がわかってないよ!こういうのは、やるだけで楽しいんだから」

橘「やれやれ……ほら、梨穂子」

梨穂子「うー、え、何?」

橘「何じゃなくてさ、これにダイエットできますように、って書けば少しは励みになるんじゃないか?」

梨穂子「うん……じゃあちょっと書いてみる」

橘「ああ、美也は美也で書いてるみたいだし、僕も書いてみるか」

橘「へえ、男のは扇子じゃなくてお内裏様のアレなんだな」

美也「まんま肉まーん、百万個ー!にっししし!」

梨穂子「美也ちゃん可愛いなー。私は……えっと」

梨穂子(ダイエット……だよね。お願い事だもん)

梨穂子「……えっと」

梨穂子「ん、と」

梨穂子「他の人は何て書いてるのかな」

梨穂子「わ、大人の人も書いてるんだ。あはは、可愛い、こっちは幼稚園くらいの子かなあ」

梨穂子「こっちは……そっか、そういうのを書く人も居るんだ」

梨穂子「……うん、私もこっち」

梨穂子「純一と、もっと……えへへ」

橘「二人とも、願い事は書いた?」

美也「お兄ちゃん遅いよー。みゃーも、りほちゃんも、とっくに飾ったんだからねー」

梨穂子「あはは、純一ってば優柔不断だもんね」

橘「う、そうか。ちなみに二人とも何書いたんだ?」

美也「えー?そんなこと普通聞かないよ?信じらんないにぃに、デリカシーないんだから」

美也「ちなみにみゃーはまんま肉まん一億万個!たっのしみー!」

橘「美也は食い気ばっかだな……梨穂子は?やっぱりダイエットか?」

梨穂子「え、えっと」

梨穂子「ダイエットの励みになること、だよ」

橘「じゃあ次はどこ行く?」

美也「デパート!今地元商店街とコラボレーションしてるんだー」

梨穂子「あ、それ知ってるかも。確かー、色んなお店が出店してるんだよね?まんま肉まんとかー」

橘「まんま肉まん、ねえ?」

美也「にしししし!レッツゴー!」

橘「ま、いいか。行こう梨穂子」

梨穂子「うん……えいっ!」

橘「っと、り、梨穂子?その、む、胸がっ」

梨穂子「さ、寒いから。純一の腕につかまっててもいいかな……」

橘「う、うん……」

橘(腕で、腕で形が変わってる!)

梨穂子「……よーし、頑張るぞー!」

橘「さて、デパートには来たけど」

美也「んー、りほちゃんはやっぱり大きいなー」

橘「デ、デパートに来たわけだけど……」

梨穂子「うう、やっぱり太ってるのかな」

橘「ここは非常に……」

美也「いいなーりほちゃん、おっきくなる体操しても中々増えないんだよねえ」

橘「目のやり場が……」

美也「もー!さっきからうるさいよお兄ちゃん!」

橘「だ、だったら手を離せってば!」

美也「別に下着くらい大したことないじゃん!」

橘「……そ、それもそうか」

梨穂子「あ、あはは……そうなのかなあ」

美也「ねえお兄ちゃん、こっちとこっちどっちがいい?」

橘「そう言われてもなあ。好みでいいんじゃないか」

美也「もー、ほんとに女心分かってないなあ!こんなんじゃりほちゃんに嫌われちゃうよ、ねーりほちゃん」

梨穂子「ふぇ?え、えっと……」

橘「梨穂子か……ふむ」

橘(梨穂子なら大きいのがいいはず。見たところサイズは……好みの色はあれで柄は確か……)

橘「これかな」

梨穂子「え、ええっ!な、なんで私の好きなの知ってるの?サイズもぴったりのだし……」

橘「それは梅雨から夏の終わりにかけて成せる技、と言っておこうか」

美也「お兄ちゃん……変態チックだよ」

田中「あれ?橘君……と確か上崎さんと同じクラスの」

橘「あ、田中さん。こんにちは、何してるの?」

梨穂子「こんにちはー。桜井梨穂子です、よろしくお願いします」

田中「あ、田中恵子です。よろしく……何してるのはこっちのセリフだよ橘君、ここ、し、下着売り場なんだけど」

橘「ええと!妹の買い物に付き合ってて、それで偶然……」

田中「妹さん?あ、この間薫が言ってた?」

橘「そうそう、えと、こっちが妹の美也。それで美也、この人はクラスメイトの田中さん」

田中「よろしくお願いします。わあ、本当に可愛い」

美也「うにゃ……よろしくお願いします……」

田中「わあ……猫みたいで可愛い」

美也「うー……なんだか森島先輩とおんなじ感じがする」

橘「それで田中さんは今日一人?それとも薫と一緒に?」

田中「ううん、この間紹介した上崎さんと一緒に来たの。ついさっきまで一緒に居たんだけど」

美也「え、上崎?裡沙ちゃん?」

梨穂子「わー、上崎さんも来てるんだ」

田中「うん、けどいつの間にかいなくなっちゃって」

橘「上崎さん……ああ!胸のち……いさ……」



田中「橘君、それはセクハラだよ……」

美也「もー!にぃにの馬鹿!ふかふかマニア!」

梨穂子「そういうのは良くないよ純一」


橘「は、はい。ごめんなさい……」

美也「んー、でも裡沙ちゃん、今いなくなったんですよね」

田中「うん。下着売り場に着いたら、すぐ」

美也「っていうことは……にぃにが見えそーな場所と言えば……そこだ!肉まんアターック!」

上崎「ひ、ひゃあっ!」

田中「あ、上崎さんそこにいたんだ」

梨穂子「上崎さんこんにちはー……でもどうしてマネキンの後ろに隠れてたの?」

上崎「う、ううー……」

美也「もー、裡沙ちゃんこっち!みんなはそこでちょっと待ってて!」

橘「あ、ああ。えっと」

田中「……え、えーっと」

梨穂子「あはは……」

橘(どうしよう)

美也「ここなら聞かれないよね……」

裡沙「あう、あう」

美也「裡沙ちゃん、またお兄ちゃんの後つけてきたの?」

裡沙「きょ、今日は違うよ。田中さんと買い物に来てたら、たまたま橘君がいて」

裡沙「示し合わせてないのに会えるなんて、これってもしかして赤い糸なのかな、もしかして三年生からは、た、橘君とお付き合いとかできちゃったりするのかな!」

美也「それならりほちゃんの方が会うの早かったから違うと思うけど」

裡沙「……」

美也「それより言いたいのはそんなことじゃなくて!裡沙ちゃんはにぃにの事好きなんでしょ?」

裡沙「あ、あわわわわ!それはその!」

美也「だったら出てこないとダメ!もー、そんなんじゃダメって言ったじゃん」

裡沙「うう……うん」

美也「じゃあ行くよ!せっかくだからにぃにに下着選んでもらおー!」

裡沙「え、えええええ!?」

美也「それくらい積極的に行かないとダメだよ!にぃにの周りは意外と女の人いるんだよ?」

裡沙「知ってる……桜井さん、絢辻さん、棚町さん、森島先輩、一年生の七咲さんに中多さんにあと」

美也「すごいよねー、みんな綺麗だし、にぃにのどこがいいんだろ」

裡沙「むっ、美也ちゃん、橘君はかっこいいし優しいしちょっとエッチだけど」

美也「うにゃー、ごめん、ごめんってばあ。裡沙ちゃんそれくらいの勢いでにぃにと話せばいいのに」

裡沙「……えと、それはやっぱり恥ずかし」

美也「にぃに、おっまたせー!……何してるの?」

橘「あ、ああ美也……いや、何してるんだろ」

田中「橘君は青かなあ」

梨穂子「うーん、純一は赤いのも似合うかも」

田中「黒、とか」

「「あはは」」

美也「にぃに……」

橘「言わないでくれ美也」

裡沙「……はふぅ」

飯食ってくる

橘「えと、久しぶりだね上崎さん。輝日東ランド以来かな……僕のこと、覚えてる?」

裡沙「う、うん!覚えてるっていうか……ずっと……」

橘「え?ずっと?」

裡沙「その、うん……」

美也「ねえにぃに!裡沙ちゃんにはどんな下着が似合うと思う?」

橘「はあ!?なんだよいきなり!」

美也「いいからいいから!裡沙ちゃんの細めのふかふかには、ど・れ・が・いいかなー」

橘「か、上崎さんの……」

橘(おとなしめの上崎さんのスレンダーなボディ、決して大きくは無いけどしかし!あの時の柔らかさは痩せというよりも)

橘(ここは黒や赤よりもライトなグリーン!いや待てよ、他にも色々……レ、レースとかも)

裡沙(た、橘君の目がいやらしいよ!私でえっちな想像してくれてるのかな……はふぅ)

田中「あっちは盛り上がってるね」

梨穂子「うん、楽しそー……かな?」

田中「あはは。上崎さんも嫌がってはいないし、いいと思うけど……」

梨穂子「うん。でもそうなんだ、上崎さんも、なんだ」

田中「……ごめんなさい」

梨穂子「え?」

田中「私、上崎さんを応援してて。今度も三人で遊びにいくんだ」

梨穂子「……そっか」

田中「橘君モテるんだね。私も素敵な人だと思う」

梨穂子「うん、純一はかっこいいよ。ちょっとえっちだけど。それにね」

梨穂子「私も、負けるつもりないもん」

田中「……そっかあ」

橘「よし、上崎さんにはこれだ!」

美也「へー、うんうん!確かに裡沙ちゃんにピッタリかも!にぃにもやるじゃん!」

裡沙「これ、これが橘君の選んでくれた……えへへへへぇ」

裡沙(これを着て橘君に……はっ、そ、そういうメッセージだったのかな!)

裡沙(恥ずかしいけど、仕方ないよね!求められたら断りきれないよ!)

裡沙「あ、ありがとう橘君。私頑張るから……」

橘「へ?あ、うん。頑張って」

橘(頑張るって)

橘(も、もしかして選んだサイズが大きかったのかな)

橘(そしたら上崎さんはバストアップを頑張るってこと?)

橘「……頑張って!」

橘「その、上崎さんごめんね。できればプレゼントでもって思ったんだけど」

裡沙「ううん、私は……橘君が選んでくれただけで十分だから……」

美也「にししし、裡沙ちゃん、勝負下着ができたねえ!」

裡沙「は!はふっ!」

橘「田中さんも、せっかくの女の子の日なのに何もして上げられなくて」

田中「わ、私はいいよ。それより今度のデ、お出かけ楽しみにしてるから」

橘「うん!任せてよ、気合を入れて選んでおくから!」

田中「あはは。お願いするね」

梨穂子「じゃあ、またね。田中さん、上崎さん」

田中「うん、ばいばい。また学校で」

上崎「えへへへ……」

前スレのタイトル教えてください

>>48
美也「にぃに、もうすぐ女の子の日だよ!」橘「!?」

こんな感じのでやってました
もしよろしければ……

橘「じゃあ次はどうしようか」

美也「まんま肉まん!お腹空いたーっ!」

梨穂子「じゃあ商店街のコーナーに行こう?えっと、特設コーナーかな」

橘「っていうと五階か……そこに階段あるし、階段で行こうか」

梨穂子「ええー?じゅんいちー、ここ二階だよう」

橘「二階から五階ならすぐだろ?それにダイエットになるじゃないか」

梨穂子「ううー……」

橘「ほら、美也を見てみろよ。肉まんのために飛び跳ねてるぞ」

美也「にっくまん、にっくまん、まんまにっくまーん!」

橘「ほら、梨穂子もジャンプジャンプ!」

梨穂子「じゃ、じゃんぷっ!じゃんぷっ!」

橘「!……」

梨穂子「じゃんぷっ、じゃんぷっ……じゅ、純一ぃ、疲れるよ」

橘「……いいな」

橘「よし梨穂子、今度は階段をジャンプで登るんだ!」

梨穂子「ええー!む、無理だよー」

橘「いいや、これを乗り越えてこそ胸に、じゃなくてダイエットに弾みがつくんじゃないか!」

橘「さあ梨穂子、なるべく上下に大きく跳ぶぞ。それとコートは預かっておくよ!」

梨穂子「うん……じゃんぷっ!じゃんぷっ!」

橘「い、いいぞ梨穂子!じゃあ今度は下に降りてみようか、あだっ!?」

「ったくー、公共の場所でいかがわしいことしてんじゃないわよ」

「もう、橘君てば。大丈夫?桜井さん」

梨穂子「はあ、はあ……あ、あれ?棚町さんと絢辻さん?」

棚町「どーも。大変ねー、こんな変態に付き合わされて」

絢辻「ふふ、桜井さんは優しいね。でも自分を大事にしないと駄目よ?」

橘「ったた、何するんだよ薫」

棚町「何するんだよー、じゃないわよ。なんか知ってる声が聞こえたと思ったら、変態がいたいけな女の子にやらしいことしてるじゃない?人助けよ人助け」

橘「それにしたって殴るのはさあ……そういえば今日は絢辻さんと二人で来たのか?」

棚町「んー、っていうかそこで会ったって感じなんだけど。ま、せっかくだから一緒にね」

絢辻「ええ、棚町さんも五階に用があるみたいだから。クラスメイトと一緒の方がおいしいでしょう?」

梨穂子「え?じゃあ二人も商店街コーナーに行くの?」

棚町「ああ、違う違う。そっちじゃなくて隣のひなまつりスイーツのほう」

絢辻「今日までらしいから、話の種に食べに来たの」

梨穂子「あ、私全部食べたよー。どれも美味しかったなあ。そっかあ、今日までだよね……」

棚町「ぜ、全部ぅ?あれって結構店が出てたような」

絢辻「え、ええ……」

美也「はむっ、はふはふ、はふっ!」

橘「あーあ、美也、そんなにがっつくとむせるぞ」

美也「ふぉんふぁほほはいほー!んぐっ!げほっ!」

橘「うわっ、大丈夫か美也!ったく、食べてる最中に喋るからそうなるんだよ」

美也「にぃにのせいでしょー!まんま肉まん食べてる最中に話しかけてきて!」

橘「やれやれ。お、やっぱり大判焼きのクリームはクセになるな……」


絢辻「あれが橘君の妹さんなんだ」

梨穂子「うん、美也ちゃんって言うの」

棚町「あの純一にあんな可愛い妹がいるなんて詐欺よねー。お、この菱餅パイなかなか」

梨穂子「おいしいねー」モグモグ

絢辻「あ、このぼんぼり飴、甘すぎなくておいしい」

梨穂子「おいしいねー」モグモグ

棚町「……ね、ねえ桜井さん?ちょっと聞きたいんだけど」

梨穂子「んー、なあに?」

棚町「その、桜井さんってスタイルいいけど、何か特別なことしてる……?」

絢辻「……」

梨穂子「えー、そんなことないよう。今日もお腹のお肉のこと、純一にからかわれるし」

棚町「あんの馬鹿……」

絢辻「躾が必要ね」

梨穂子「後はなんだろー。食べ過ぎちゃったからかな、最近下着がきつくって」

棚町「しっ、下着がキツイ!?」

絢辻「ふ、ふふ……下着が、キツイ……?」

橘「はあ、結構食べたな」

美也「んにゃー、お腹一杯……」

梨穂子「腹八分目、腹八分めっ」

棚町「あー……ちょっと食べ過ぎたわ。てゆうか口の中あっまあま」

絢辻「私も……コーヒーでも飲みたいわ」

橘「じゃあ、ちょっと買ってくるよ」

絢辻「あ、橘君、私が行くから座ってて?」

橘「いやいいよ。じゃ、二人で行こう。そのほうがみんなの分持ってこれるからさ」

絢辻「そうね、みんなコーヒーでいい?」

美也「あ、紅茶がいい!」

橘「わかってるよ、じゃあ行ってくるから」

絢辻「……ふう、桜井さんってその、結構食べるのね」

橘「うん、僕より食べるくらいじゃないかな」

絢辻「……でもあの体型なのよね。羨ましい」

橘「え?」

絢辻「なんでもない。聞いたら酷いわよ」

橘「は、はいっ!」

絢辻「そういえば、みんなブラックでいいのかしら」

橘「あ、うん。梨穂子は砂糖とミルク、薫は一応ミルクを持って行けば大丈夫だよ」

絢辻「……ふうん、よく知ってるのね」

橘「まあね、梨穂子とは幼なじみだし、薫とも年単位だから」

絢辻「……へえ」

橘「あ、絢辻さん?なんだか不機嫌になってない?」

絢辻「別に」

絢辻「ねえ、私のコーヒーの飲み方知ってる?」

橘「え?ええと、ごめんちょっと……」

絢辻「そう、よね」

橘「……」

絢辻「私も貴方の飲み方を知らないし、付き合いも少ない。こうして過ごすのもずっと少なく終わるのかしら」

絢辻「……橘君?どうしたの、立ち止まって。飲み物冷めちゃうわよ」

橘「そんなこと、ないよ」

絢辻「え?」

橘「それは、絢辻さんとこうやって過ごすのは最近になってからだけど、それだけで決まるようなものじゃないよ」

絢辻「……」

橘「僕はもっと絢辻さんと一緒にいたいし、遊びたい。これからだってお別れするわけじゃないじゃないか」

絢辻「……馬鹿ね」

橘「絢辻さん?」

絢辻「……知ってるわよ、そんなこと」

絢辻「仕方ないわね、そういうことならまだまだ付き合ってあげる」

橘「ははっ、ありがとう。絢辻さん」

絢辻「ええ……それはそれとして橘君?」

橘「はは……はい?」

絢辻「き、聞きたいんだけど?あ、貴方はその、む、胸がその……大きいほうがいいのかしら……」

橘「えと、ごめん。何?」

絢辻「う、うるさいわね!貴方が桜井さんにセクハラするのが悪いんでしょ!」

橘「あだっ!あつ!あちっ、あっつ!」

棚町「はー……妹ちゃんとは久しぶりに会ったけど、可愛いわねー」

美也「え?にゃー……」

棚町「うっわー、かっわいいわー!よーしよしよし」

美也「わー!と、トイレ行ってきまーす!」

棚町「あー……あちゃー、ちょっと撫ですぎちゃったかな」

梨穂子「あはは、美也ちゃんは猫可愛がりされるのちょっと苦手だから」

棚町「なるほどねー……ね、桜井さん」

棚町「今日はゴメンね?デートの邪魔しちゃって」

梨穂子「え、ええ?いいよーそんなの。それに偶然会っただけで、ほんとは一人で来る予定だったの」

棚町「へ?そうなんだ。それは意外ねー、結構桜井さんって人気あるから純一が見事射止めたのかと思ったわ」

梨穂子「ううん、純一には、片思いだから」

棚町「……そっか」

棚町「何ていうか、妙なもんよね」

梨穂子「うん……」

棚町「……うっし、決めたわ!」

梨穂子「え?」

棚町「あたしも純一が好きだから、高校にいる間に告白する!」

梨穂子「え、ええっ!」

棚町「それでダメでも落ち込まない……のは無理かもしれないけど、とにかく後悔しない!」

棚町「こんなに可愛い子も片思いなんだから、私みたいなのはもっと頑張らないとね」

梨穂子「……はあ」

梨穂子「あはは、うん、素敵だと思う。じゃあ私も頑張る!」

棚町「げ、桜井さんが頑張ると私はもっとキツいかなー……あっははは!」

梨穂子「あははっ」

橘「お、お待たせ二人とも。どうしたんだよ、変な笑い声上げて」

棚町「はー、おかしいったらないわ。あ、アンタには秘密だから」

梨穂子「そーだよー、純一には秘密!」

橘「な、なんだよ二人とも」

棚町「なんでもないっての!余計な詮索する男は嫌われるわよ?橘さん?」

橘「なんだよ薫、気持ち悪いな……ほら、コーヒー」

棚町「てんきゅ、ミルクは?」

橘「ああ、ほら。梨穂子はこっち」

梨穂子「ありがとー」

絢辻「あら?妹さんは?」

棚町「あー……えっと」

梨穂子「あはは……あっちの角から見てる、かな」

橘「……何してんだ美也?」

美也「……むー」

絢辻「じゃ、私たちはこれで帰るから」

棚町「そっちは楽しんでねー」

梨穂子「うん、ばいばい」

美也「さ、さよーなら」

橘「あ。絢辻さん」

絢辻「え?」

橘「これ。良かったら貰ってよ」

絢辻「これ……キーホルダー?」

橘「うん、あんまり高いものじゃない、っていうか安物だけど」

絢辻「ふうん……ふうん?」

絢辻「ありがとう、すごく嬉しい……!」

橘(え?あ、そっか。美也たちが居るからか)

棚町「ちょっとー、純一?薫ちゃんには何か無いわけ?」

橘「え?薫にか?」

棚町「ちょっと、何よその顔は。私だって曲がりなりにも女の子よー?」

橘「またらしくないこと言って……ほら」

棚町「っとと、何これ、髪ゴム?」

橘「菱餅カラーだってさ。意外と薫に似合うんじゃないかと思って」

棚町「……へー。ネタっぽいわりには可愛いじゃない、ま、もらっといてあげる。ありがとっ」

橘「ああ、じゃあまた明日な。絢辻さんも」

絢辻「ええ、またね」

棚町「ったく、もうちょっと色のあるもん寄越せって感じよねー」

絢辻「ふふ、そうね」

棚町「そういえばさ、キーホルダー貰ったときの思いっきりいい笑顔。あれも演技?」

絢辻「……さあ?どうかしら」

絢辻「そういう棚町さんも、顔が綻んでるけど?」

棚町「へ?そ、そっかな」

絢辻「ええ」

棚町「……ねえ、絢辻さん」

絢辻「何かしら?」

棚町「私、純一のこと、頑張ってみる」

絢辻「……そう、偶然ね」

絢辻「私も、足りない時間を埋めようと思ったところだから」

棚町「はっ、いい感じじゃない。勝負ね!」

絢辻「ええ、負けるつもりもないけど」

橘「えーと、あと行きたいとこある?」

梨穂子「あ、私ここの本屋に寄って行きたいな。参考書買いたいから」

橘「さ、参考書?」

美也「にしししし、お兄ちゃんは家で勉強なんてしないもんねー」

橘「う、それはその、なんというか」

梨穂子「あはは、えーと、参考書……うわー、たくさんあるなあ。どれがいいんだろう」

橘「凄いなこれ、こんなに種類ってあるものだったのか」

「ふふ、そうだね。地力をつけるならこれがいいかな。まだ受験までは時間あるから」

橘「はー、そうなんですか。さすが塚原先輩……え?先輩っ?」

塚原「こんにちは、一昨日の卒業式ぶりかな。橘君はデート?二人相手だ何て隅に置けないね」

七咲「違いますよ塚原先輩、片方は橘美也ちゃん、先輩の妹です」

美也「あっ、逢ちゃん!やっほー!」

七咲「うん、やっほー美也ちゃん」

塚原「あ、そっか。ええと、君とはこの間朝会ったよね?私はもう卒業したけど三年の塚原ひびきです」

美也「はいっ、よろしくおねがいしますー!」

梨穂子「えっと、二年の桜井梨穂子です」

美也「あ、りほちゃん。こっちは七咲逢ちゃん!みゃーと同じ一年生!」

七咲「よろしくお願いします……あの、失礼ですけど橘先輩の彼女さん……ですか?」

梨穂子「ううん、純一とは幼なじみ。今日はたまたま一緒に来たんだ」

七咲「幼なじみ……そっか、美也ちゃんが言ってた……大きい」

梨穂子「え?」

七咲「す、すみません、なんでもないです」

塚原「ふふ、大きなライバル登場、かな」

七咲「つ、塚原先輩!」

塚原「ごめんごめん、つい、ね」

橘「えっと、今日は森島先輩と一緒じゃないんですか?」

塚原「うん、はるかは別に用事があるみたいだから、今日は七咲と二人で来たんだ」

橘「そうなんですか。なんだか新鮮だなあ」

塚原「ふふっ、そうかもね。学校だといつもはるかと一緒だったから」

橘「はは、そうですね!塚原先輩は何か買いに来たんですか?参考書、はもう違いますよね」

塚原「あ、うん。それはその……」

七咲「ふふ」

塚原「う……」

七咲「塚原先輩は子供向けの絵本を見に来たんですよね」

橘「子供……ああ!あの保育園ですか?」

塚原「う、うん。何か使えそうなものは無いかなって。最近はシールブックみたいなのも出てるから」

橘「なるほど。じゃあ僕も探しましょうか?」

塚原「え?そんな、いいよ。妹さんと桜井さんを放っておくわけにはいかないでしょ」

橘「あ、そうですね……」

梨穂子「あ、大丈夫だよ純一。私ちょっと参考書探してるから」

橘「そうか?ならその間は塚原先輩の手伝いでも」

美也「さんせーい!じゃあ、みゃーも逢ちゃんと先輩のお手伝いするね!」

七咲「いいの?美也ちゃん、私は最初からそのために来たけど、美也ちゃんは」

美也「いーのいーの!それに逢ちゃんには言いたいこともあるからねー」

七咲「そうなの?じゃあ塚原先輩、私たちはあっち側を見てきます」

塚原「うん、お願い。美也ちゃんもありがとうね」

美也「にしし!どういたしましてー!」

橘「……じゃあ僕達も行きましょうか、先輩」

塚原「うん。じゃあ桜井さん、申し訳ないけど橘君、少しだけ借りていいかな」

梨穂子「はい、どうぞ!じゃんじゃん使ってくださいねー」

橘「物みたいに言うなよ……」

塚原先輩って保育士になるの?
小児科医じゃなくて?

橘「先輩、これは?」

塚原「それは少し大きい子向けかな」

橘「じゃあこれなんかどうです?」

塚原「これは面白いかも。橘君はこういうのどうかな」

橘「あ、面白いですね!仕掛け絵本ですか?」

塚原「うん、こういうのは子供は好きだから」

橘「へー……あれ?それを僕に感想聞くってつまり」

塚原「ぷっ……ふふ!」

橘「つ、塚原せんぱぁい」

塚原「ご、ごめんね。でも橘君、子供っぽいから」

橘「うう……」

塚原「ふふ、ごめんごめん。いい子だから拗ねないの」

橘(……頭の上に先輩の手が、ナデナデしてる!)

橘(塚原先輩の手のひらも柔らかいなあ)

橘(子供でよかった!)

風呂行ってきます

橘「そういえば先輩、大学の準備とかはもういいんですか?」

塚原「うん、そう遠いわけじゃないし、まだ卒業したばかりだから。今は少しでも思い出を作ろうかな、って」

橘「そうなんですか……森島先輩とは、違う大学なんですよね」

塚原「ん……けど会えないわけじゃないから。寂しくはなるけどね」

橘「そ、そうですよね!いやあ、はは!」

塚原「くすっ、大袈裟なんだから」

橘「そりゃあ大袈裟にもなりますよ、塚原先輩と会えないなんて悲しいじゃないですか」

塚原「……も、もう。橘君はほんと、もう……」

>>95
ちょおまで保育園の手伝いしてたような記憶があったので……違ってたらマジすんません

橘「あ、これなんてどうですか……塚原先輩?」

塚原「え?あ、ごめん。何かな」

橘「いえ、なんだかさっきからぼーっとしてますけど。大丈夫ですか?風邪とかなんじゃ」

塚原「……ううん、これはそういうんじゃないんだ」

塚原「七咲やはるか、キミも含めて今まで当たり前に居た人がこれからは当たり前じゃなくなるんだよね」

塚原「……それが、少しね。もちろん来ようと思えば来れるし、会おうと思えばいくらでも会えるけど」

橘「塚原先輩」

塚原「な、なに?」

橘「あ……す、すいません。つい声が」

橘「その……先輩、可愛いなあって思って」

塚原「か、かわっ!?な、なんで?」

橘「えと、僕も中学から高校に上がる時同じようなことを思ったなあって、なんとなく懐かしくなっちゃって」

橘「先輩を見てたら、なんだか子猫みたいに見えて、可愛いなあって……」

塚原「こ、子猫?そ、そう……そう見えたかな」

橘「それに森島先輩のことですから、塚原先輩が寂しそうな気配を出したらすぐにちょっかい出しそうですし」

塚原「ぷっ……そうだね、はるかのことだから、隙を見せたら纏わりついてきそう」

橘「はい!それに僕だって、塚原先輩みたいな美人に呼ばれればすぐに行きますよ!」

塚原「えっと……あ、ありがとう」

塚原「うん、こんなに想ってくれる後輩が居るなら、センチメンタルに浸る余裕はなさそうだね」

橘「任せてください!絶対に塚原先輩に寂しい思いはさせませんから!」

塚原「た、橘君、ちょっと声が大きいかな」

橘「あ、すみません……でも何かあれば呼んでください」

塚原「ふふ、はいはい。その時ね」

橘「約束ですよ?」

塚原「うん、約束」

橘「じゃあ先輩、小指出してください」

塚原「え、うん」

橘「はい、ゆーびきーりげーんまーん」

塚原「……もう、おせっかいなんだから」

塚原「でも、そういう所は嫌いじゃない、かな」

塚原「……嘘ついたら針千本のーます」

橘・塚原「指切った」

美也「にしししし、じゃあ逢ちゃんにお徳情報ー!」

七咲「え?でも絵本とか……」

美也「もー!逢ちゃんはりほちゃんのこと気にならないの?」

七咲「りほちゃん……桜井先輩のこと?気になるも何も、さっき知り合ったばっかりだし」

美也「ほんとにー?でもなんだか今日のりほちゃんは奥さんの貫禄だったなー」

七咲「……えっと、これは少し難しいかな」

美也「そう言えば一昨日ねー、お父さんとお母さんが仕事だったんだけど、りほちゃんが晩御飯つくりに来てくれたんだー」

七咲「……こっちのほうがいいかな」

美也「それでねー?お茶を淹れる時も何も言わずに持ってきて、横から見てると夫婦って感じだったんだー!」

七咲「あ、でもこっちかな」

美也「逢ちゃん?さっきから同じ本ばっかり持ってどうしたのー?」

七咲「……」

七咲「……ねえ美也ちゃん」

美也「んー?なにー?」

七咲「その、やっぱり橘先輩って、胸がおっきいほうがいいのかな」

美也「うーん、難しい質問だねー。お宝本ではわりとそんな感じだけど、でも美人なら誰にでもデレデレしちゃうから」

七咲「……」

美也「あ、でも料理には弱いかも?りほちゃんがご飯作った後はちょっと優しくなるような気が」

七咲「美也ちゃん」

美也「え?」

七咲「……今度、ご両親が居ない時は晩御飯作りに行ってもいい?」

美也「にっしっし、だーい歓迎だよ!じゃあお兄ちゃんの好物教えとく?」

七咲「うん」

橘「あ、七咲。そっちはどうだった?」

七咲「橘先輩、塚原先輩も。ええと、これくらいしか」

塚原「そっか。まあそっちのコーナーだと少なそうだからね」

七咲「は、はい……」

橘「あれ?七咲そっちの雑誌は?料理雑誌?」

七咲「あ、これはその、私用というか」

橘「そっか。塚原先輩、これくらいで大丈夫ですか?」

塚原「うん、もともと軽く見に来ただけだから。十分参考になったかな、三人ともありがとう」

美也「にしししし、どういたしまして!」

塚原「じゃあ私は少し見ていくけど、三人はどうする?」

七咲「私は先輩の付き添いですから、立ち読みしながら暇を潰します」

橘「ええと、僕らは……あれ、梨穂子?お前参考書を選んでるんじゃ」

梨穂子「ひゃいっ!あ、純一……えへへ、なんだかああいうの見てると疲れちゃってつい……」

橘「なんだ、じゃあそろそろ行こうか?」

梨穂子「うんっ」

美也「じゃあ逢ちゃんと塚原先輩とはここでお別れだねー」

七咲「そうだね……じゃあね、ばいばい。先輩方も、また」

橘「ああ、また。塚原先輩も」

塚原「うん。美也ちゃんも桜井さんも、今日はありがとね」

橘「それにしても梨穂子、結局何の雑誌読んでたんだ?」

梨穂子「ええー、秘密だよー……」


七咲「……」

塚原「本当にライバルが多いね、凄い倍率」

七咲「はい……」

塚原「頑張って」

七咲「はい」

橘「そろそろいい時間だなあ」

梨穂子「そうだねー、もう帰る?」

橘「あー……でもまだ美也のプレゼントが」

美也「じゃあお兄ちゃん、最後にあそこ行こ?」

橘「ん?いいけど、写真館?」

梨穂子「あ、ほら純一。お雛様とお内裏様の衣装で写真撮影だって!」

橘「写真かあ……うん、面白そうだし入ってみようか」

橘「すみませーん、お雛様の衣装について聞きたいんですけどー……」

「んー!紗江ちゃんってばかっわいいー!じゃあ次は上目遣い!わお!素敵っ」

「こ、こうですかぁ……ひゃうぅ!?へ、変なところ触らないでくださぁい…!」

「わお、やっぱりこっちは顔に似合わずビッグサイズね。んー、ギャップも可愛い!」

美也「にぃに、やっぱりおうちに帰ろうかなーって……」

「あら?この声、もしかして」

森島「やっぱり!美也ちゃんだったのね?今日は可愛い子ばっかりだわ!」

森島「それに橘君と……えっと、ごめんなさい。見たことはあるんだけど」

橘「あ、こっちは幼なじみで、二年の桜井梨穂子です。ええと梨穂子、こっちは森島先輩」

梨穂子「うん、知ってるよー。有名だし、卒業式でも目立ってたもん。先輩、よろしくお願いします」

森島「……あ!フリスビーを当てちゃった子ね?あの時はごめんねー。そっか、橘君の幼なじみかあ」

森島「そうそう、こっちの子も紹介するわね?紗江ちゃーん」

中多「は、はいぃ……先輩、美也ちゃん、こんにちは……えっと、中多紗江です、よろしくお願いします」

梨穂子「桜井梨穂子です、よろしくね。うわー、かっわいいー!」

美也「ほんとだよ紗江ちゃん、すっごい可愛い!お雛様みたい!」

森島「でしょでしょ?今日は一日紗江ちゃんと居たの。とってもキュートだったわ!」

橘「へー……でも先輩、この間が紗江ちゃんと初対面だったんじゃ」

森島「そうよ?」

森島「ダメよ橘君?可愛いのは誰かに取られる前に取らないと!スピードが肝心なんだから!」

橘「はあ……つまり森島先輩を取られる前に取れ、ってことですか?」

森島「えっ……も、もう!そういうのはダーメ。ずるいんだから!」

橘「はは、それにしても先輩、それもお雛様の衣装ですか?」

森島「そう!うーん、でも言うのが少し遅いかな。ここもダメ、しっかりしなさい男の子!」

橘「す、すみません。でも凄く似合ってます、人形みたいで……」

森島「んー……欲しい?」

橘「はい、凄く!」

森島「ふーん、じゃあ指輪くれる?」

橘「はい……ゆ、指輪?」

森島「そ、くれたら一緒に暮らしてあげる!」

橘「え、ええと……って、み、美也?どうしたんだよ」

美也「……にぃにの、馬鹿!」

橘「った!なにするんだよ!」

美也「ふんだ、りほちゃんいこっ。奥で着替えられるってさー」

森島「んー、やきもち焼かせちゃったみたい」

森島「じゃあ二人が来るまで紗江ちゃん観賞でもしましょ?」

橘「紗江ちゃん……」

中多「しぇ、しぇんぱぁい……」

橘(改めてみるとこれは)

橘(普段ツインテールにしているところを下ろしただけでも新鮮なのに)

橘(十二単を着るとなんというか、森島先輩とはまた違ったお人形らしさというか)

橘(可愛らしさが突き抜けてる!)

橘「紗江ちゃん」

中多「は、はい……」

橘「凄くかわいいよ」

中多「はひっ!」

橘(この厚い衣装の下に豊満なふかふかが……)

橘「ううん、結構作りこんであると思ったら、襟だけ重ねてあるんですね」

森島「そうなの、だから意外と軽くて隙間もあるから、下着をつけたまま着れるのよ。ほら」

橘「ほ、ほんとだ……あれ?じゃあ和服って下着つけないんですか?」

森島「そうよ?夏も浴衣の時は穿いてないもの」

橘「は、初めて知りました……ちなみに、先輩は今後浴衣を着る予定は……」

森島「んー……見たい?」

橘「はいっ!」

森島「あ、でも夏まで半年くらいあるわね……じゃあ半年後にね!」

橘「……はい」

中多「あう、あうっ、あうぅ……」

美也「あー!にぃにが紗江ちゃんにセクハラしてるー!」

梨穂子「もー、ダメだってばー」

橘「ああ、二人とも……」

橘(な、なんで)

橘「り、梨穂子?お前、なんか薄くないか?」

梨穂子「う、うん。ちょうど襦袢がないらしくて、直接着てるから」

橘(和服ってかっちりしたイメージだったけど)

橘(厚い生地の間に覗く梨穂子の肌が!た、谷間も!)

橘(恥ずかしそうな感じもいいな……)

美也「むー……お兄ちゃんも早く着替えてくるの!」

橘「な、なんだよ……わかった、わかったってば」

橘「う、結構動きにくいな……」

森島「わお!かっこいいわよ橘君、王子様みたい!」

中多「は、はい。す、素敵だと思います……」

梨穂子「わ、すごーい!」

美也「にぃに、カッコイイよー。たぶん」

橘「う、うるさいな。じゃあこれで各自写真を撮ればいいか……」

森島「ん?」

橘「え?」

森島「そんなわけないじゃない。せっかくお内裏様がいるんだもの、お内裏様とお雛様で撮らないとね!」

すんません、眠気が限界なんで無理矢理切ります

美也「あー、楽しかったー!」

橘「そ、それは何より……僕は疲れたよ」

梨穂子「あはは、お内裏様はずっと写りっぱなしだったもんね。お疲れ様」

橘「梨穂子も、今日は付き合ってくれてありがとな」

梨穂子「ううん、今日は楽しかったよ。それじゃあ、私は家に帰るね」

橘「ああ、また明日。それじゃ」

梨穂子「……純一」

梨穂子「……ありがとう」

橘「ん?どういたしまして……なにが?」

梨穂子「あはは、なんでもないよーだ。美也ちゃんもばいばーい!」

美也「ばいばーい!」

橘「美也、その、今日はプレゼントっていうのが写真くらいしかなかったけど……」

橘「あれで良かったかな……」

美也「んー?んふふー」

美也「りほちゃんに会ったでしょ、まんま肉まんも食べたし、色んな先輩や裡沙ちゃん、逢ちゃん、紗江ちゃんに会えたし!」

美也「お雛様にもなれたし、すっごく楽しかったよにぃに!」

橘「そ、そっか。それは良かった!は、はは」

美也「にぃに、そのままでね」

橘「へ?」

美也「……せーの!」

美也「にしししし!ほっぺにちゅー!」

美也「感謝の表現なのだー!」

ごめんなさい、もう死にそうす。ここまでありがとうございました

  ∧_∧
⊂(#・ω・)  なんかひなまつり大して関係ないよ!ごめんなさい!
 /   ノ∪
 し―-J |l| |
         人ペシッ!!
       __

       \  \
          ̄ ̄

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