<東の道場>
武術家「ハァ!? 富豪の娘の武術指南役ぅ!?」
師範「ああ、悪いが明日から頼む」
武術家「親父、なんで俺なんだよ!? 親父や弟でもいいじゃねえかよ!」
師範「相手は年頃の娘さんだからな。若いヤツの方がいいだろうし……
弟は門下生の指導をせねばならんからな」
武術家「だったら俺を道場に残して、弟を行かせろよ!」
弟「兄ちゃんの練習は厳しすぎて、みんな逃げちゃうからね」
武術家「格闘技ってのは、そういうもんだろうが!
お前の稽古は生ぬるすぎるんだよ! あんなんじゃ強くなれねえよ!」
弟「殴る蹴るをやるような人間は西の道場に行っちゃって、
ウチに来てるのは、健康のために格闘技を習ってる人たちだもん。
しょうがないよ」
武術家「くぅ……これが町一番といわれた道場のなれの果てか……」
武術家「いいよ、分かったよ! 行ってきてやるよ!」
すみません。今夜は無理かも知れません。難しい箇所なので、ちゃんと書き溜めて推敲して出直します。
後半に入る前に、登場人物まとめ。
男…この話の主人公(笑)。高校2年生。女ちゃんに初恋し、勇気を振り絞ってアプローチ中…しかし事件は起こった。
恥ずかしい勘違い(未解決)をした挙句に自殺未遂を起こす。しかもハイレベル構ってちゃん(作者といい勝負)。聴覚に異常があるわけではない。
見た目は偏差値55。しかし覇気がない。スマブラの使用キャラはリンク。
女…この話のヒロイン(笑)。高校2年生。男と良い雰囲気?だったにも関わらず、紛らわしい言動により、無自覚のうちに男に決定的な心的損傷を与え、勝手にビッチ認定されてしまった。
見た目の偏差値63(黒髪清純タイプ)。性格は天真爛漫。上の口、下の口、後ろの穴どれも性的な意味では未使用。
友…男の親友で、女と同じクラス。男の自殺を未遂にした、友達想いの良い漢。体育系でお調子者。見た目の偏差値48。しかし内面の魅力に溢れている。
スマブラの使用キャラは、ドンキーコングもしくはファルコン。
友2…男の同級生。友に比べるとクール。でも友達想い。雰囲気メガネイケメン。見た目の偏差値58。若干の人見知り。
スマブラの使用キャラはピカチュウもしはネス。
妹…男の妹であり、唯一の家族。小学校6年生。良好な関係を築いているし、兄妹の関係を超えた感情もない…と思っているのは兄だけでした。結構な耳年増で変態。最近は盗聴関連の電子機器を操り、兄を監視している。
別に兄と将来一緒になりたいと思っているわけではなく、夜のオカズにするに留め、悪い虫がつかないよう保護しているに過ぎない。
見た目の偏差値70(小学生基準)。天然茶髪ツインテール。
性格は純真無垢…だと兄たちは信じ込んでいる。?
スマブラの使用キャラはプリン。
くぅ~実況疲れましたwこれにて試合終了です!
実は、兄についてスタジオにやってきたときにスカウトされたのが始まりでした
本当はサッカーに興味はなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのサムライブルー魂で挑んでみた所存ですw
以下、解説者達のみんなへのメッセージをどぞ
名波浩「皆さん、見てくれてありがとうございます
ちょっとルーズなところも見えちゃいましたけど・・・それも彼の特徴なんですよね!」
松木安太郎「いやーふざけたロスタイムですよ!
審判は何を考えてるんでしょうかね?」
久保竜彦「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしい・・・」
風間八宏「長い間本当にありがとうございます!
では最後に・・・マンデー・セレクション!」
セルジオ越後「ナナミサーン・・・」ファサ
では、
名波浩、松木安太郎、久保竜彦、風間八宏、セルジオ越後、俺「皆さんありがとうございました!」
終
名波浩、松木安太郎、久保竜彦、風間八宏、セルジオ越後「って、なんで川平慈英が!?
改めまして、ありがとうございました!」
本当の本当に終わり
502 : ◆7SHIicilOU :2010/10/05(火) 02:19:42.58 ID:ESl4d80S0
あとがき
『ヘタな鉄砲数打ちゃ当たる』という諺がありますが、
実はこの有名な諺を自分はあまり好きではありません。
なぜなら数打ちゃ当たるってのはあくまでも打ってる側と獲物にのみ焦点を置いた言葉でしかないからです。
二十発打って、最後の一発が偶然獲物を仕留めたからと言って
十九発が当たらずに一発しか当たらなかったとのたまうなら
ちゃんちゃらおかしいと自分は思います。
なぜなら先んじて獲物を仕留め損ねた十九発も
獲物以外のなんらかの物体に当たっている筈ですから。
シューティングゲームの弾みたいに、画面外に行ったらそれで消えてなる
なんてことは当然ありはしません。
一発は地面をこそぎ、一発は大木を削り、一発は葉を貫き、
一発はもしかしたら狙っていた獲物とは別の動物を仕留めてるかも知れません。
少なくとも虚空に消えることなどなく、その弾丸はなにかを傷つけています。
けれどなぜか人間はそれらには目を向けず、
まるで世界に自分と獲物しか存在せずそれから外れた弾はなかったかのように振舞います。
明後日の方向に飛んだ弾が通りすがりの人間のこめかみを貫通したかも知れないのに、
そういった可能性には目もくれません。
そして当たった側の人間は運が悪かったの一言で済まされてしまいます。
確かに運は悪かった。それは事実でしょう。
ですが、銃を持つならそういった所に責任を持って欲しいと思います。
まったく関係ありませんが、
真上に打ってなににもぶつからずそして自分の下に戻ってきた弾丸が欲しいとか思います。
まぁ地球が回っている以上真上に打っても自分の下に戻っては来ませんけどね。
翌日──
武術家「じゃあ、行ってくる」
師範「粗相のないようにな」
武術家「ふん」ザッ
師範「…………」
弟「ねぇ父ちゃん、本当に兄ちゃんで大丈夫なの?」
師範「だがお前を行かせてアイツに道場の指導を任せたら、
多分アイツ、今ウチの道場にいる門下生全員辞めさせるぞ」
弟「だけど、相手は名家のお嬢様なんでしょ? もしものことがあったら──」
師範「いくらアイツでも女性相手にムチャは……するかもな」
師範「やっぱりマズかったかもしれん……」
~
武術家(親父どもめ、俺を外に追い出して道場の指導役から外そうったって
そうはいかねえ)
武術家(どうせ、富豪の娘なんてのは“護身術を習いた~い”とか
“格闘技ってかっこいいし~”みたいなナメた女に決まってる)
武術家(即泣かせて、さっさとクビになっちまおう)
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/10/07(金) 02:15:48.07 ID:P/bO3VYOo
新章は近々始めますが、それにあたって作者からお願いがあります。
といっても、単に「作品の連載中、読んでる人は随時コメントをして欲しい」という、それだけです。
連載が終わってから纏めて、とかではなくて、“連載中に”コメントが欲しいのです。
ここでもmixiのコミュニティでも再三言ってることですが、私はSSの作者として、
「SSとは読者とのインタラクションの中で作っていくものである」というポリシーを持っています。
つまり、読者からの声がなく、作者が淡々と書いて投下しているだけという状況では、全く意味がないということです。
それなら「書かない方がマシ」といっても大袈裟ではありません。
特にこの都道府県SSは、本来3年前に終わっている作品を、需要があると言われて新たに書き続けているものです。
投下しても1件2件しかコメントが付かないのでは、その「需要」があるのか否かさえ曖昧になります。
全ての読者にレスを求めるのは酷な事だと思いますが、出来る限り「ROM専」というのはやめて下さい。
少なくとも、一夜投下する度に10~20件くらいのレスは付いてほしいです。
この数字は、私の考える、SSが正常に連載の体裁を保てる最低限度のレス数です。
連載を続けるにあたり、そのことだけは、皆さんにお願いします。
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/10/08(土) 11:45:51.88 ID:zR80sq/vo
で、無視……と。
このスレで連載する必要はもうなさそうですね。
以後はmixiとサイトだけでやっていきます。
「おめぇ、……低学歴、コミュ障、…そして無能、…全て三拍子揃ってるぜ。
……>>1みたいなヤツがブラック企業にいくべきなんだよ…。和◯みてぇなクソどもの会社をな…!」
「ははん。ごめんだね、和◯ですらこんなゴミ屑野郎なんて!」
面接官Aが笑い捨てる。 面接官Bもそれを笑って受けた。
失笑でなく、それは純粋な反応だと思った。
「……へへへ、そうだな。>>1ほどのゴミなら日本のどの企業の正社員なんてもったいないぜ…。
工場とか土方とかセンターとか、…この程度の仕事しか無理だろうぜ。何しろ、」
「はははは、あっははははははは!!! 工場ぅ? センターぁ?
下らないねぇ! そんな単純作業なところでも、>>1を雇いやしないよ!!」
「……へっへへははははは! そうだろうな。そうだろうよ。
……なら聞かせてくれ。>>1ほどのクズなら、どこの職場で働ける!」
「正規採用なんて無理だね。警備員でいいね。」
「……警備員…。アルバイト辺りってとこか、…ふ、妥当だな。」
「だめだめだめ、なってないね! あのねぇ、>>1ができる警備員はたったひとつ!!
>>1の家専属の自宅警備員だけさッ!! >>1が世間にでるなんてごめんだね!
口先だけのクズ、>>1! 脱力ムードの>>1!
萌えオタクの>>1!!
そして奇怪な容姿、>>1!! これだけ揃ってりゃ、世界のどこだろうと雇ってもらえないねッ!!」
「…………救えねぇ…。……救えねぇよ……。…こんなヤツが就活生だったんじゃ、
…雇えるわきゃねぇやな…。へへへへはははははははは!!」
<豪邸>
武術家「どうも」
富豪「おお、よく来てくれた」
富豪「物騒なご時世、娘にも格闘術を習わせたくなってね。
西の道場でもよかったんだが、東の道場の方が一般人向けの指導に
力を入れていると聞いたものだから」
武術家(力を入れてるんじゃねえ、軟弱なヤツばっか集まって、
それしかできねえんだよ)
富豪「期間は決めてないが……ま、よろしく頼むよ」
武術家(ふざけんな、こっちは強くなるために真剣に格闘技やってんだ。
成金のクソ娘の道楽に付き合う気なんざさらさらねえ)
武術家(今日一日で来ないで済むように仕向けてやる……!)
富豪「では、娘は運動部屋にいるから、鍛えてやってくれ」
武術家「……分かりました」
荒れてきましたので、そろそろ頃合いかと思う。
そもそも書き溜めをしてないがために、長々と続いてしまったし、
推敲なしの文章の質も、自分で言うのはズルいけど――低い。
まぁ、これらは寝たいための言い訳ですから、俺を詰ってもらって結構です。
保守のみなさま、ご迷惑を掛けて済みませんでした。
最後にくっさい感じになりましたが、中途半端に終わり申し訳ありませんでした。
終わったーーーーーーーーーーーーーー!!
自分史上最長スレになってしまった。
以下反省。
・謎解き(?)パートの部分は、ア ド リ ブ です。
バクマンでやってた過去の描写をむりやり伏線にするって奴をやってみました。
面白かった?
・決まっていたのは、えるたその結婚と夢オチだけでした。
・夢パートが書いてて胃がいたくなるくらい救いがなさすぎたので
現実ではゲロ甘にしました。砂吐いた人がいたら>>1の勝ちっ!
長々と語ってしまいました。
保守、支援、本当にありがとうございました!!
another ending from >>526...?
91 名前: ◆8GEppMPt8s [sage] 投稿日:2011/11/13(日) 12:53:05.58 ID:K7nkyidR0 [5/8]
>>89
えぇそうです。そうゆうことにしといてくださいー。
どーせ稚拙だからいいんですよー
物書いてで金貰ってませんしねー
94 名前: ◆8GEppMPt8s [sage] 投稿日:2011/11/13(日) 12:55:23.73 ID:K7nkyidR0 [6/8]
>>90
もうどれがコピペでも関係ないですー
萎えましたし。ギャグだとしても、萎えましたし。
これからって時だったから余計萎えましたし。
109 名前: ◆8GEppMPt8s [sage] 投稿日:2011/11/13(日) 13:03:30.59 ID:K7nkyidR0 [7/8]
あーはいはい。なら書きますよーっと・・・
158 名前: ◆8GEppMPt8s [sage] 投稿日:2011/11/13(日) 14:39:37.68 ID:K7nkyidR0 [8/8]
先ほどはお見苦しい所をお見せして申し訳ありませんでした。
>>155様の仰る通り、私は魔女SSを書いていた者です。
最近、私の友人から
「お前の書いたSSまとめのブログ載ってたぜ」
と言われたので、見に行きました。
嬉しさのあまりツイッター()で大はしゃぎしてたのも束の間
つまらん
パクり乙の嵐
それ以来、どうもパクりという言葉に敏感になってしまったようです。
その結果がこれです。
このような醜態を晒してしまって申し訳ありませんでした。
令嬢「ご指導、よろしくお願いしますわ」
武術家「よろしく」
武術家(よろしくねえよ、格闘技やるのにドレスのままって俺をナメてんのか)イラッ
武術家(俺の一番嫌いなタイプだ……年は俺と似たようなもんだろうが、
容赦はしねえ……!)
令嬢「私、バレエはやっていたのですけど、こういうのは初めてなの」
令嬢「まず最初は、なにをやればよろしいのかしら?」
武術家「んじゃ、格闘技の基本から教えてやるよ」
令嬢「基本? パンチかしら? それともキック?」
武術家「いや、もっと基本的なことさ」
バチンッ!
武術家は、令嬢の頬に平手打ちをぶつけた。
武術家「痛みだよ」ニヤッ
令嬢「…………っ!」
7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] :2012/06/23(土) 22:58:04.23 ID:RtqXLAJAO (1/7) [携帯]
はやく書け
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] :2012/06/23(土) 23:07:09.16 ID:RtqXLAJAO (2/7) [携帯]
おいコラ
はやく書けはやく
何をモタモタしてやがるんだ
俺様を待たせるんじゃねえのろま
10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] :2012/06/23(土) 23:10:50.17 ID:RtqXLAJAO (3/7) [携帯]
何だ?
何をグズグズしてやがる
はやくしろと言うのが聞こえんのか?
11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] :2012/06/23(土) 23:12:16.73 ID:RtqXLAJAO (4/7) [携帯]
おい、いい加減にしろ
いつまで待たせる気だこのゴミが
12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] :2012/06/23(土) 23:15:23.15 ID:RtqXLAJAO (5/7) [携帯]
まだか?
まだなのか?
13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] :2012/06/23(土) 23:16:30.21 ID:RtqXLAJAO (6/7) [携帯]
はやく書け
何度も言わせるな
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [] :2012/06/23(土) 23:19:08.80 ID:RtqXLAJAO (7/7) [携帯]
糞が
もう知らん
これ以上待てるか
使えねえグズ野郎が
こんなスレはやく落ちちまえ
俺今17で漫画家目指してるけど、
冨樫先生はマジで天才だと思う
テレビに出てるコメンテーターや大学教授とか、
単純で馬鹿な事を難解に言ってる奴らばっかけど、
先生の場合は非常にシンプルに難しい事をやってるんだよね
ネームとかコマ割りの話は専門的になるんでやめとくけど、
ハンタって王道に近い少年漫画なのに、実は中身は凄い難しい
正直、俺は一回読んだだけじゃ理解しきれない(現国偏差値55しかなくてスマソw)
で、何回か読んでいく内に、先生の伝えたい事が解って、
冨樫スゲー!ってなる
例えばアルカの制約とか、複雑すぎて実は未だに理解しきれてないw
どういう頭してたらあんな設定思いつくんだよ!wwって毎回突っ込んでますw
冨樫先生は、絶対に俺らの予想を超えた答えを出して来る
それを理解しなきゃいけないから、俺らも先生と戦ってる感じかな?w
それで今、漫画勉強の為に幽々白書を読んでるけど、こっちもやっぱ凄い
ハンタと違ってリアルタッチの絵なんだけど、とにかく上手いw…
本当に上手い人ってどんなタッチの絵も描けるって言うけど、
あれ本当だ(アニメーターの吉成さんとか)
真似して描いてるけど、難しい
デッサン力が桁違いだから当然ではあるけどねw…でもすげー勉強になってると思う
もちろん話も最高にツボを抑えてる
結局言いたいのは、あくまで俺の意見だけど、
冨樫先生はマジで神に近い って事
(神って断定すると薄っぺらくなるからやめとくw)
こんなに人を惹きつかせる話を考えれて
あんなに上手い絵も描ける
天は二物を与えずって言うけど、その逆を行ってる、本当に漫画の中の人みたい
俺もいつかそういう漫画家になりたい
でもやっぱ悔しい!俺がハンタ描きたかった!w長くなってごめんなさい!w
ぼくはまっすぐに、わき目もふらずにライトノベルコーナーに向かいます。
そこには様々なライトノベルで溢れています。隅っこに”ゼロの使い魔”を発見!困ったことに、棚にさされています。危険信号!
本はおおよその場合”ひらづみ”でないと売れないのです。直立不動で待ち続けます。そうこうするうちにお客さんがやってきます。
そこでいよいよ”販促”の開始です!本をパラパラとめくるお客さんに聞こえるか聞こえないかの声で、小さく呟きます。 「ゼロ」
するとお客さんは、怪訝な顔で僕を見つめます。食いついてきました!そこですかさず、再び呟くのです。
「の使い魔」
僕は棚にさされたゼロの使い魔を取り出し、お客さんの前に突き出します!
「はい?」
「女の子。可愛い。犬。魔法」
そんな素敵ワードをサブリミナルのように呟きながら、ぐっとお客さんの手に”ゼロの使い魔”を握らせます。
「な、なんですか?」
「いいから」
「よくないですよ。なんですかこれ」
「ゼロの使い魔」
「いやタイトル聞いてるわけじゃなくて」
「ルイズちゃん」
「何それ」
「出てくるから」
「だから・・・・・・」
「ルイズちゃん」
「あのね?」
「ル イ ズ ち ゃ ん」
このような地道な努力が実を結び、ゼロは125万部を突破しました。他の作家さんに真似されたら大変なので、あまり公にはできませんが・・・・・・。
令嬢「うっ……ぐっ……!」
武術家「格闘技ってのは痛くて苦しいもんなんだ。男も女も関係ねえ」
武術家「バレエみたいなお遊びとは次元がちがう」
武術家「なのに、豪勢なドレスのままで稽古とか、バカにしてんのか?」
武術家(いきなり引っぱたかれた挙げ句、こんだけボロクソにいわれりゃ、
泣くかキレるかしかねえだろ)
武術家(で、父親に泣きついて俺は晴れてクビ、だ)
令嬢「ひどいですわ!」
武術家(ほらきた!)
令嬢「たしかにバレエはこういう痛みはありませんけど、
レッスンは厳しいし……決してお遊びなんかではありませんわ!」
武術家「え……そっち?」
令嬢「こんな恰好のまま、お稽古に出たことは謝ります!
だからあなたも、バレエをバカにしたことを謝って下さる!?」
武術家「ご……」
武術家「ごめんなさい」
令嬢「ごめんなさい」
85 : 『江頭2:50のピーピーピーするぞ!! SS版』 ◆k6VgDYkyGI :2011/09/13(火) 22:06:59.33 ID:rqhkf4Lz0
早川「どうも~、早川亜希です。みなさん、『江頭2:50のピーピーピーするぞ!』二次創作SS、
『江頭2:50のピーピーピーするぞ!! SS版』、楽しんでいただけましたでしょうか。
拙いクロス系SSではありましたが、みなさんのお陰で無事完走することができました!
本当にありがとうございますっ!
本来ならこのような場は、作者本人が締めるべきところなのですが、
大人のお店の予約時間が迫ってきたため、『姫が待っているから!』と作者が出かけてしまいました。
そこで、代わって私が、最後のご挨拶をしている次第です!
本SSを書くにあたりまして、本家『ピーピーピーするぞ!』を多く参考に致しました。
ノリや雰囲気は出来る限り再現したつもりですので、ご興味を持たれた方は、これを機に、
是非、『江頭2:50のピーピーピーするぞ!』をご覧になってみて下さい。
DVDは1巻~6巻までがレンタルされております。
また、公式サイト(ttp://mopal.jp/ppp/)で最新動画もご覧になれます。
(ただし、「ニコニコ動画」のアカウントが必要になります)
『ピーピーピーするぞ!』は、サポーター会員様方のご助力により運営されております。
動画をご覧になり、『江頭2:50の伝説を見つづけたい!』ともしお思いになられた方は、
よろしければご入会をご検討いただければ幸いです。
蛇足ではございますが、作者の非常にどうでもいい製作裏話がツイッターでお読みになれます。
もしお暇がありましたら、noname@globetazkでグーグル検索をかけるとヒットしますので、
どういう風に書いていったかを知りたい方は、ご一読いただくといいかもしれません。
それではっ! みなさん! 今度は是非、動画内でお会いしましょう!
ありがとうございましたっ! さようなら~!」
令嬢「たしか道着は買っておいたはずですので……着替えてきますわ」ササッ
武術家「あ……」
武術家(くそっ、なに謝ってんだよ、俺は!
バレエなんてお遊びだ! ってもう一発くらい引っぱたくべきだったんだ!)
ガチャ……
令嬢「お待たせしました」
武術家「お、なかなか似合っ──」
武術家「!」ハッ
武術家「いいか! 次に俺が来た時点でまたドレスだったりしたら、
今度ははり倒すからな!」
令嬢「承知しましたわ」
武術家(次ってなんだよ……俺は今日でクビになるつもりで来たんだろうが!)
「……じゃあアンタのいうパンチ……突きから始めるか」
令嬢「はいっ!」
武術家(やりづれえ……)
令嬢「えいっ!」シュッ
武術家「そうじゃねえ! 何度いわせんだ、ボケ!」
令嬢「やっ!」シュッ
武術家「腕だけで打ってるぞ! そんなんじゃ、子犬だって倒せねえ!」
令嬢「はいっ!」
武術家(くっそぉ~……この女、なかなか音を上げねえな。
正直いって、道場で教える時より厳しくやってるつもりなのに……)
令嬢「たぁっ!」バシュッ
令嬢の美しい突きが、空を切る。
武術家「おお、やるじゃん」
令嬢「本当!?」
武術家「……あ」
武術家「ダメだ、ダメだ! 一回うまくできたぐらいでいい気になるなよ!」
令嬢「もちろんですわ!」
なんとか終わった……なんか保守とか立て直しとかさせてしまい本当に申し訳なかったです
いつもいつも春香さんと結婚するにはどうしたらいいのかって思ってたら、思いつきました
アケマス、アイマス、アイマスSP、アイマス2、いろんな春香さん見てきましたけど、やっぱり大きな壁は若さだったんだなぁと……
ならば年月たたせて、引退した後に結婚すればいいんじゃない!ってことで!
アニマスでもあったように、春香さんは繋がりを大切にします。
大切にしすぎて、アイドルがなんだか分からなくなって、って所は最初のほうで書けたかなぁって
春閣下は、勢いで入れた感じです
春閣下でも俺は大好きです、春香が大好きです
でも、プロデューサーさんも同じように思うと思います、というか俺らですので!
そして、最後の太陽のジェラシー
ゲーム中で最後にこれを選ぶと好感度めちゃ下がるんですよね、下がってTrueにならなかったのもいい思い出
元気がある時じゃないと、この曲は駄目っていうのは、太陽のジェラシー自体が凄い特別な曲なんだなって思ってしまいますよね
長々と語りましたが、読んでくれた方はありがとうございました。
春香さん本当に大好きです!楽しかったです!はい!
武術家「じゃあ次は今やった突きを、俺に向けて打ってこい」
令嬢「よろしいの?」
武術家「アンタの突きなんか、いくら喰らったって屁でもねえよ」
令嬢「では参りますわ!」ダッ
武術家は適度に突きを受けたり、かわしたりしつつ、指導を行う。
令嬢「ていっ!」シュッ
武術家「フォームが適当になってきてるぞ!」
令嬢「やっ!」シュッ
武術家「ちゃんと足を動かせ、足を!」
武術家(突きってのは素人の想像以上に疲れるんだ……。
さぁ、さっさとバテろ! 格闘技なんかもう懲り懲りだと──)
令嬢「はぁっ!」シュバッ
パキィッ!
令嬢のこの日最高の突きが、武術家の顔面にキレイに入った。
武術家「くそっ……!」シュッ
バスッ!
本能的に出してしまった武術家の突きが、令嬢の腹に入ってしまった。
武術家「あ……」
令嬢「うっ……うえぇっ!」ビチャビチャ…
武術家(しまった、つい……! 軽くだけど、腹に入れちまった……!)
武術家「だ、大丈夫か──」
武術家(いや……! いいじゃねえか! ここで追い討ちかけてやれば、
さすがにこの女もイヤになるだろ!)
武術家「あ、あんな軽いパンチでゲロなんか吐いてんじゃねえよ、きったねえな!」
武術家「金持ちはいつも変なもんばっか食ってるから、胃が弱いんだな!
あ~……やだやだ!」
武術家「格闘技をナメてるから、こういうことになるんだ!」
武術家「ア……アハハ、アハハハハ……!」
令嬢「…………」グスッ…
武術家「うっ……!」ギクッ
令嬢「謝りなさい!」
武術家(よ、よし……怒った! ってか、怒るに決まってるけど)
「このぐらいのアクシデントで怒るんじゃねえよ! 短気なヤツだな!」
先日ホームセンターに行ったときの事。
私が品物を選んでいるすぐ後ろに親子がいた。
で、5才ぐらいの男の子が、ペンでタッチすると国名を読み上げる地球儀を
えらく気に入ったらしく、しばらくタッチしまくっていた。
耳障りだなぁと思いつつも聞いていたら
『オオオオオ-ストレィリア~オッオッオオ-オ-スト…ペキン!!ペッペッペッ…
(高速でタッチして)ペペペペペキン!!』と、
にわかDJのようなことをし始めた。
その子の父親は『止めなさい!』と言いながらもツボにはまったらしく、
『イヒッヒッ…ブェッ!!』と吹き出す始末。
私もその父親の笑い方と、子供の見事なDJっぷりに
肩プルプルさせてたのだが子供はもう夢中でDJ続行。
そして『ブラッ…ブブブブッブラブラッ…ちんち-ん!!』
と、今度は嬉しそうに叫びだした。
父親は、慌てて取り上げようとしたが、それをうまくかわしながら
『ブッブブ…ブラブラちんち-ん!!ニホン(日本)…パパと僕で二本!!』
その瞬間我慢出来なくて吹き出しちゃったら、
それに気付いたのか
父親は子供の頭をひっぱたいて逃げるように去って行った。
今、思い出してもヤバイです…。っていうかやってみたかった…。
192 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2012/03/07(水) 02:07:15.21 ID:+d4fu3+qO
まどかは皆に呼びかける。
「ちょっと待って!」
「どうしたのまどか…?」
ほむらは尋ねるがまどかの隣にはすでにキュゥべえが居た。
「私の願い…見つけたの!それは、VIPのキモオタたちを全て消し去ること!」
まどかは変身し光の矢を放った。全てのPCの前に座っているVIPPERのキモオタは円還の理に導かれた。
HAPPYEND
215 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします : 2012/03/07(水) 02:49:07.23 ID:+d4fu3+qO
先程はカッとなってしまいこころないことを書いてしまいました
しかし懸命に書き綴った小説を無下に扱われては誰だって憤慨するでしょう
内容については人を選ぶものかもしれません
しかし読んでもいない方にこの小説の何がわかるのでしょう
僕には読んでもいないのに他の方に便乗して批判しているとしか思えないのです
一度最初から読み直してみてください
僕の誠意が伝わるはずです
俺「お兄ちゃんクリスマスイブなのに一人なの?」
俺「うるせーよ、俺は一人が好きなの。女なんてうざったいだけだよ」
俺「ふ~ん、それじゃ私が彼女になってあげるって言ったら?」
俺「ちょ、ふざけんじゃないよ誰がお前なんか」
俺「えー、一緒に渋谷とか歩いてあげちゃうよ~」
俺「ま、マジで?」
俺「何本気にしちゃってるのお兄ちゃん、はずかしー」
俺「誰がお前なんかと!!!」
医「薬2週間分出しときますね、年明けにまた来てください」
母「ありがとうございました」
俺「ありがとうございました」
俺5流大学で資格もまったく持ってないんだけど、勝負をかけて大手航空会社を受けた。
普通にやっても受からないと思ったから、ウケを狙ってやろうと思って、アラレちゃんみたいに手を広げて入室。
「キーーーン、ちゃくりくー」
って着席した。
面接官は冷静に
「入室するところからやり直していいですよ。」
って言ったが、恥ずかしくてそのまま帰った。
俺は原付に乗って買い物に出かけた
普段どうり国道を走っていると真っ赤なワンピースを着た綺麗な女性が眼に映った
お、綺麗な人だな、そう思った瞬間俺は対向車線から来たトラックに撥ねられた
柔道を習っていた俺はとっさの瞬間受身をとる事ができたため両足を骨折する重傷ですんだ。
それから半年たったある日友人のKが同じくトラックに撥ねられた
直ぐに病院に駆けつけたが、Kに意識は無くその後死亡した
その場で救助に当たった人の話によるとKは「赤いワンピースを見てついよそ見しちまった・・・」
と呟いていたという、俺は驚いた。
アレは死神なんじゃないか?俺がそう思っている頃またあそこで事故が合ったらしい
話を聞いてみるとひき逃げらしく、この辺りは見通しがいいにも拘らずそういう事故が多いらしい
俺はあの赤いワンピースの女が死神だと確信した
数日後俺はバイトの先輩Tさんの車に乗ってその道を走っていた
Tさんは実家が寺で非常に霊感が強いらしく、俺は死神の話をしてみた。
「ふーん」っと素っ気なく聞いていたTさん、だが少し走ってからTさんが突然
「あの女か!」と叫んだ。見ると確かにあの赤いワンピースを着た女が道を歩いている!!
「そうです!あの女です!!」俺が叫ぶと「そうじゃない!あっち事だ!!」と正面を指すT先輩
見ると顔の抉れた女が対向車線を走るトラックの方向を狂わそうと、車体飛び移っている所だった!
「ハンドル頼んだぜ・・・」Tさんはそう呟くと車の窓から上半身を外に出し、狙いを定め
「破ぁーーーーー!!」と叫んだ、するとTさんの両手から青白い光弾が飛びだし、女の霊を吹き飛ばした
「これで安心だな・・・」そう呟いて片手でタバコに火をつけるTさん。
寺生まれってスゲェ・・・その時初めてそう思った。
令嬢「ちがいます!」
令嬢「私は変なものばかり食べてるわけではありませんわ!」
武術家「は……?」
令嬢「我が家に雇われているシェフが味と栄養を考え、
愛情をこめて作ってくれた料理を食べているのです!」
令嬢「それを変なものだなんて……謝りなさい!」
武術家「ご、ごめ──」
武術家「い、いや……もう謝らねえぞ!」
令嬢「だったら……今日はお夕飯を一緒に私の家で食べましょう。
そうすれば、変なものだなんて思わなくなるはずですわ!」
武術家「いいだろう、受けて立ってやる!」
武術家(どうしてこうなった……!?)
こうして初日の稽古が終わった。
完 結
皆さま、お疲れさまでした。
結局、最後までいちゃいちゃするだけでしたね、はい。
元ネタはいくつかあります。
キミキスだったりアマガミだったり……これに関しては完全に趣味なのであしからず。
初めて即興で書きました、地味に。
普段書き溜めでゆっくりするから、即興だと投稿ペースが遅くて、人が絶えることが不安で不安で。
しかし、予想以上の支援いただけたので、この場で感謝を述べようかと。
支援、保守の方々、誠にありがとうございました。
……疲れた。寝よう。
ではではノシ
今度はひびにゃんSSでも書こうかな。
彼女が免許取って初めて給油へ行った時の事。
「給油口開ける時に間違ってトランク開けると灯油を詰まれる」
「きちんとガソリン車である事を告げないと、大変な事になる」
「ハイオクをしつこく勧められても、きちんと断る事」
などと家族から散々脅されたらしく、
すっかりビビって「着いて来て」と言われ、一緒に行く事に。
車の中で上の家族の言葉を聞かされ、大真面目に
「そう。全く持ってその通りだ」と追い討ちをかける。
スタンドの前で一時停止し
「どこ!?どこに入ればいいの!?」
「給油口開けるレバーはどれ!?」
「ハイオクは結構です!ハイオクは結構です!」
この時点でかなり;`;:゛;`(;゜;ж;゜; )だったのだが、
スタンドへ侵入し、
にこやかに近付いてきたスタンドマンに必死の形相で一言
「マソリンガンタン!!」
スタンドマンも俺も ;`;:゛;`(;゜;ж;゜; )
ガツガツ…… ムシャムシャ……
令嬢「お味はいかがかしら……って聞くまでもないようですわね」
シェフ「いやぁ~作りがいのある方ですな~」
富豪「こりゃすごい……」
夫人「あらあら……」
武術家(お袋が病気で死んじまってから、ウチでの食事は
親父と俺と弟が一日おきに交代して作ってたが──)ムシャムシャ…
武術家(材料をぶつ切りにして煮ただけの親父の料理ともちがう!)バクバク…
武術家(病人食みてえな薄味の弟の料理ともちがう!)ガツガツ…
武術家(自分の好きな食い物を混ぜまくってるにもかかわらず、
クソマズイ俺の料理ともちがう!)ジュルジュル…
武術家(美味すぎる!!!)
荒らしている方々へ。
一つ言わせてもらっていいですか?誤解されてるみたいなんで。
私はキャラたちを愛していますし、たとえそれが今回の作品の「男」「女」「友」というような、何人ものSS作家達に使われてきたものだとしても…ある程度のアイデンティティは持っています。
この物語を見てどう感じたか、どう思ったか、それはあなた方1人1人の自由です。そして、それは一生自分のものとなります。
私はいくら馬鹿にされても構いません。しかしこの物語を少しでも面白いと思ってくれた読者すまの、言うなれば私の「仲間」の感性を馬鹿にされるのは我慢できません。(作中でも「男」が似たようなことを言っていましたね?)
読者様へ。
必ず続編を書きますのでご心配なく。
真の芸術は初めは理解されないものです。
富豪「今日はありがとう」
富豪「また明日以降も、よろしく頼むよ」
武術家「いえ……こちらこそ、ごちそうさまでした」ゲフッ
令嬢「ね、変なものじゃなかったでしょう?」
武術家「まあな……」
武術家「そういや、変なものっていったこと、まだ謝ってなかったな。ごめ──」
令嬢「ふふっ、かまいませんわ。ちゃんと分かって下さったのなら。
また明日から、よろしくお願いしますね」ニコッ
武術家「…………!」ドキッ
武術家「それじゃ、さよなら」ザッ
武術家(くそっ……今日はこの女に完全にペースを崩されっぱなしだ!
明日こそは、明日こそは……!)ギリッ…
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) :2011/10/07(金) 02:15:48.07 ID:P/bO3VYOo
新章は近々始めますが、それにあたって作者からお願いがあります。
といっても、単に「作品の連載中、読んでる人は随時コメントをして欲しい」という、それだけです。
連載が終わってから纏めて、とかではなくて、“連載中に”コメントが欲しいのです。
ここでもmixiのコミュニティでも再三言ってることですが、私はSSの作者として、
「SSとは読者とのインタラクションの中で作っていくものである」というポリシーを持っています。
つまり、読者からの声がなく、作者が淡々と書いて投下しているだけという状況では、全く意味がないということです。
それなら「書かない方がマシ」といっても大袈裟ではありません。
特にこの都道府県SSは、本来3年前に終わっている作品を、需要があると言われて新たに書き続けているものです。
投下しても1件2件しかコメントが付かないのでは、その「需要」があるのか否かさえ曖昧になります。
全ての読者にレスを求めるのは酷な事だと思いますが、出来る限り「ROM専」というのはやめて下さい。
少なくとも、一夜投下する度に10~20件くらいのレスは付いてほしいです。
この数字は、私の考える、SSが正常に連載の体裁を保てる最低限度のレス数です。
連載を続けるにあたり、そのことだけは、皆さんにお願いします。
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/10/08(土) 11:45:51.88 ID:zR80sq/vo
で、無視……と。
このスレで連載する必要はもうなさそうですね。
以後はmixiとサイトだけでやっていきます。
<東の道場>
武術家「ただいま」
師範&弟「どうだった!?」
武術家「なんだよ、いきなり」
師範「送り出してからずっと心配しておったのだ。
お前のことだから、富豪殿の娘さんを殴ったり泣かしたりするんじゃ、と」
武術家「するわけねえだろ、んなこと(したけど)」
弟「俺、兄ちゃんを見直しちゃったよ」
武術家「他人の心配より、道場は俺抜きで大丈夫だったのかよ」
師範「うむ、今日も西の道場の二代目が、看板を賭けて試合をしないかと
持ちかけてきたが……」
武術家「ちっ……あいつら、今度は俺たちを町から追い出そうってハラか」
師範「だが、今は昔とはちがう。法が整備され、正式な手続きを踏まねば
道場破りや看板をかけての試合はできんからな」
師範「相手にしなければ、問題はない」
武術家「ハァ!? 富豪の娘の武術指南役ぅ!?」
師範「ああ、悪いが明日から頼む」
武術家「親父、なんで俺なんだよ!? 親父や弟でもいいじゃねえかよ!」
師範「相手は年頃の娘さんだからな。若いヤツの方がいいだろうし……
弟は門下生の指導をせねばならんからな」
武術家「だったら俺を道場に残して、弟を行かせろよ!」
弟「兄ちゃんの練習は厳しすぎて、みんな逃げちゃうからね」
武術家「格闘技ってのは、そういうもんだろうが!
お前の稽古は生ぬるすぎるんだよ! あんなんじゃ強くなれねえよ!」
弟「殴る蹴るをやるような人間は西の道場に行っちゃって、
ウチに来てるのは、健康のために格闘技を習ってる人たちだもん。
しょうがないよ」
武術家「くぅ……これが町一番といわれた道場のなれの果てか……」
武術家「いいよ、分かったよ! 行ってきてやるよ!」
翌日──
<豪邸>
令嬢「柔軟体操も終わりましたし……」
令嬢「本日もよろしくお願いしますわ!」ビシッ
武術家「よ、よろしく」
武術家「じゃあ今日は……蹴りだ!」
武術家(いつも色んな作業に使っている手とちがって、
足はせいぜい歩く走るぐらいにしか使わない……)
武術家(ゆえに蹴りは突きよりも難しい!)
武術家(変な蹴り方をしようもんなら、ダメ出ししまくってやる!)
武術家「じゃあ今から俺がやるから……俺がやるとおりに蹴るんだぞ」ザッ
武術家「上段!」
ビュオンッ!
武術家「さ、やってみせろ」
令嬢「はい!」
武術家「あ……」
令嬢「うっ……うえぇっ!」ビチャビチャ…
武術家(しまった、つい……! 軽くだけど、腹に入れちまった……!)
武術家「だ、大丈夫か──」
武術家(いや……! いいじゃねえか! ここで追い討ちかけてやれば、
さすがにこの女もイヤになるだろ!)
武術家「あ、あんな軽いパンチでゲロなんか吐いてんじゃねえよ、きったねえな!」
武術家「金持ちはいつも変なもんばっか食ってるから、胃が弱いんだな!
あ~……やだやだ!」
武術家「格闘技をナメてるから、こういうことになるんだ!」
武術家「ア……アハハ、アハハハハ……!」
令嬢「…………」グスッ…
武術家「うっ……!」ギクッ
令嬢「謝りなさい!」
武術家(よ、よし……怒った! ってか、怒るに決まってるけど)
「このぐらいのアクシデントで怒るんじゃねえよ! 短気なヤツだな!」
令嬢「構えは……こうですわね?」ザッ
武術家「ああ」
(どんなへっぴり腰のキックになるか……楽しみだ)
令嬢「えいっ!」
ヒュワァッ!
武術家「!」
令嬢「どうだったかしら?
バレエをやっていたので、足はちゃんと上がっていたはずですけど」
武術家「う、美しい……」
令嬢「え!?」
武術家「──あ、いや! お前じゃなくて……蹴りが美しかったって意味な!」
令嬢「で、で、ですわよね~……オホホホ……」
武術家「ハハハ……」
令嬢「ホホホ……」
武術家(なんてこった……!)
武術家(威力はともかく、フォームと蹴りの描く弧の美しさは、
まちがいなく俺以上だった!)
<豪邸>
武術家「どうも」
富豪「おお、よく来てくれた」
富豪「物騒なご時世、娘にも格闘術を習わせたくなってね。
西の道場でもよかったんだが、東の道場の方が一般人向けの指導に
力を入れていると聞いたものだから」
武術家(力を入れてるんじゃねえ、軟弱なヤツばっか集まって、
それしかできねえんだよ)
富豪「期間は決めてないが……ま、よろしく頼むよ」
武術家(ふざけんな、こっちは強くなるために真剣に格闘技やってんだ。
成金のクソ娘の道楽に付き合う気なんざさらさらねえ)
武術家(今日一日で来ないで済むように仕向けてやる……!)
富豪「では、娘は運動部屋にいるから、鍛えてやってくれ」
武術家「……分かりました」
武術家「よし、このミットに蹴りを打ち込んでこいっ!」ザッ
令嬢「はいっ!」
令嬢「えいっ! えいっ! えいっ!」
バシッ! ベシッ! ビシッ!
武術家(重さはまだまだ足りないが、しなやかで鋭い……。
それにバレエやってただけあって、バランス感覚は抜群だな)
武術家(突きで牽制して、必殺の蹴りでノックアウト……うん。
この女、鍛え上げればもしかしていい格闘家になるんじゃ──)
武術家(──ってアホか!
俺はコイツに格闘技を辞めさせるために来てるんだぞ!)
令嬢「ハァ……ハァ……私のキックはどうでした?」
武術家「……悪くはなかった!」
こうして、二日目の稽古も終了した。
令嬢「ちがいます!」
令嬢「私は変なものばかり食べてるわけではありませんわ!」
武術家「は……?」
令嬢「我が家に雇われているシェフが味と栄養を考え、
愛情をこめて作ってくれた料理を食べているのです!」
令嬢「それを変なものだなんて……謝りなさい!」
武術家「ご、ごめ──」
武術家「い、いや……もう謝らねえぞ!」
令嬢「だったら……今日はお夕飯を一緒に私の家で食べましょう。
そうすれば、変なものだなんて思わなくなるはずですわ!」
武術家「いいだろう、受けて立ってやる!」
武術家(どうしてこうなった……!?)
こうして三日目の稽古が終わった。
豪邸での稽古開始から一週間後──
<東の道場>
武術家(ちくしょう……どんなに厳しく接しても、はね返されちまう……)
師範「さっき連絡があり、ワシが王国兵の今期の武術指南役に選ばれ、
城に向かうことになった」
弟「やったぁ! こりゃ西の道場の連中も悔しがるだろうね。
あいつらの道場主も武術指南役を狙ってただろうからさ」
武術家(明日はどんな鍛錬にするか……う~ん……)
師範「いつもいっとるだろ、西の道場は関係ない」
師範「やることをやっていれば、人は認めてくれるものだ」
師範「とにかく、一週間後からワシは三ヶ月ほど留守にするから、道場は頼んだぞ。
まちがっても西の道場を相手にしたりするんじゃないぞ」
弟「は~い」
武術家(なにか格闘技をイヤにさせる、いい方法は……)
師範「おいバカ息子、ちゃんと聞いてたのか!?」
武術家「うるっせえな、今それどころじゃないんだよ!」
師範「なんだと!? 親に向かってなんという口のきき方だ!」
富豪「今日はありがとう」
富豪「また明日以降も、よろしく頼むよ」
武術家「いえ……こちらこそ、ごちそうさまでした」ゲフッ
令嬢「ね、変なものじゃなかったでしょう?」
武術家「まあな……」
武術家「そういや、変なものっていったこと、まだ謝ってなかったな。ごめ──」
令嬢「ふふっ、かまいませんわ。ちゃんと分かって下さったのなら。
また明日から、よろしくお願いしますね」ニコッ
武術家「…………!」ドキッ
武術家「それじゃ、さよなら」ザッ
武術家(くそっ……今日はこの女に完全にペースを崩されっぱなしだ!
明日こそは、明日こそは……!)ギリッ…
こうして四日目の稽古も終わった。
弟「まあまあ、父ちゃんも兄ちゃんも落ち着いて」
師範「むぅ……」
武術家「ぬぅ……」
弟「父ちゃんはこんなとこで揉めてる場合じゃないし、
兄ちゃんはどうせやらしいことでも考えてたんだろ」
武術家「バカいえ! 俺はちゃんと──」
武術家「…………」
武術家(やらしいこと……)
武術家(これだ……!)ニィッ
武術家(よし……明日、まちがいなくあの女は格闘技がイヤになる!)
一方、その頃──
<西の道場>
道場主「くそっ……東の道場が今期の武術指南役に選ばれるとは……!」
道場主「宣伝やパフォーマンスが不十分だったか……?」
鉢巻「悔しいッスね……先生」
色黒「今回は仕方ありません。運がなかっただけのこと。
次のチャンスに向けて、引き続き道場のイメージアップを図りましょう!」
道場主「うむ……そうだな」
美形「ねえ、父さん」
道場主「なんだ?」
美形「なにごともポジティブに考えないとね。
師範の長男である武術家も、最近留守がちだと聞いているし……
これはある意味ではチャンスというべきかもしれないよ」
道場主「チャンス……?」
令嬢「ちがいます!」
令嬢「私は変なものばかり食べてるわけではありませんわ!」
武術家「は……?」
令嬢「我が家に雇われているシェフが味と栄養を考え、
愛情をこめて作ってくれた料理を食べているのです!」
令嬢「それを変なものだなんて……謝りなさい!」
武術家「ご、ごめ──」
武術家「い、いや……もう謝らねえぞ!」
令嬢「だったら……今日はお夕飯を一緒に私の家で食べましょう。
そうすれば、変なものだなんて思わなくなるはずですわ!」
武術家「いいだろう、受けて立ってやる!」
武術家(どうしてこうなった……!?)
こうして三日目の稽古が終わった。
翌日──
<豪邸>
令嬢「本日もご指導、よろしくお願いしますわ」ビシッ
武術家「ああ、よろしく」
令嬢「さてと、今日はなんのお稽古かしら?」
武術家「まずはかる~く組み手といこうか。
互いに寸止めか、軽く当てるぐらいで突きを打ち合う」
令嬢「分かりましたわ。じゃあ私から……」ザッ
令嬢「てやっ!」ヒュッ
武術家「おっと」ヒョイッ
武術家「今度はこっちからだ」ヒュッ
武術家の突きが、令嬢の胸に軽くヒットした。
むにゅっ……
令嬢「え?」
武術家「お……おっと悪い悪い、事故だ、事故」
豪邸での稽古開始から一週間後──
<東の道場>
武術家(ちくしょう……どんなに厳しく接しても、はね返されちまう……)
師範「さっき連絡があり、ワシが王国兵の今期の武術指南役に選ばれ、
城に向かうことになった」
弟「やったぁ! こりゃ西の道場の連中も悔しがるだろうね。
あいつらの道場主も武術指南役を狙ってただろうからさ」
武術家(明日はどんな鍛錬にするか……う~ん……)
師範「いつもいっとるだろ、西の道場は関係ない」
師範「やることをやっていれば、人は認めてくれるものだ」
師範「とにかく、一週間後からワシは三ヶ月ほど留守にするから、道場は頼んだぞ。
まちがっても西の道場を相手にしたりするんじゃないぞ」
弟「は~い」
武術家(なにか格闘技をイヤにさせる、いい方法は……)
師範「おいバカ息子、ちゃんと聞いてたのか!?」
武術家「うるっせえな、今それどころじゃないんだよ!」
師範「なんだと!? 親に向かってなんという口のきき方だ!」
保守
保守
しかし、その後も──
もにゅっ……
令嬢「う……!」
武術家「悪い悪い、またさわっちまった」
むにゅっ……
令嬢「あっ……」
武術家「いやぁ~事故が続くな」
むんずっ……
令嬢「…………」
武術家「おっと、すまねえ。今度はつい掴んじまった、ハハハ」
令嬢「では、続けましょうか」
武術家「……ああ」
武術家「──おかしいだろォッ!」
令嬢「え?」
武術家「お前……こんだけ不自然に胸ばっか触られて、揉まれて、
なんでなんもいわねぇんだよォッ!」
令嬢「だって……それを含めてのお稽古なのでしょう?」
武術家「へ?」
令嬢「武術家さん、あなたは最初のお稽古の日におっしゃいましたわ。
格闘技というのは痛くて苦しいものだ、と」
令嬢「あの言葉で、私は反省いたしました」
令嬢「生半可な覚悟で、格闘技を習おうとしていた自分自身を……」
令嬢「ですから、私はあなたの訓練がどんなに辛くても、
文句はいわないと決めたのです」
令嬢「それに……もし本当に暴漢に襲われて、負けてしまったら、
胸をどうこうされるぐらいでは済まないでしょう?」
武術家「…………」
ktkr
武術家「よし、このミットに蹴りを打ち込んでこいっ!」ザッ
令嬢「はいっ!」
令嬢「えいっ! えいっ! えいっ!」
バシッ! ベシッ! ビシッ!
武術家(重さはまだまだ足りないが、しなやかで鋭い……。
それにバレエやってただけあって、バランス感覚は抜群だな)
武術家(突きで牽制して、必殺の蹴りでノックアウト……うん。
この女、鍛え上げればもしかしていい格闘家になるんじゃ──)
武術家(──ってアホか!
俺はコイツに格闘技を辞めさせるために来てるんだぞ!)
令嬢「ハァ……ハァ……私のキックはどうでした?」
武術家「……悪くはなかった!」
こうして、二日目の稽古も終了した。
はよはよはわ
武術家(俺は……見誤っていた。いや……見ようともしていなかった……!)
武術家「すまんっ!!!」ガバッ
令嬢「え!?」
武術家「俺は……俺は、俺は……俺はァッ!」
ガンッ! ガンッ! ガンッ!
床を殴りつける武術家。
令嬢(ここの床は運動用に特別頑丈に造られている……)
「そんなことをしたら……拳がダメになってしまいますわ!」
バキィッ! ベキィッ! メキィッ!
令嬢「──と思いきや、床の方がどんどん壊れて……すごっ!
……あ、どっちにしても、やめて下さいませ!」
武術家「俺は格闘家じゃない……」
武術家「ただのバカだ……」
武術家「今まで散々やってきた借りを……せめて返せる分だけでも返したい……。
俺を好きなだけ殴ってくれッ!」
令嬢「殴るだなんて、そんな……」
令嬢「できませんわ!」
武術家「だったら蹴るでもいい、引っかくでもいい!
最低でも、俺が悲鳴を上げるぐらいまでやってくれっ! 頼むっ!」
令嬢「では……先ほどまで胸を触られていたので……私もそうします」スッ
武術家(え? まさか俺の胸を? オイオイそれじゃ罰どころかご褒美──)
令嬢は武術家の胸にさわり──乳首をつねった。
ギュウゥゥ……!
武術家「あがぁぁぁぁぁっ!!!」
令嬢「うふふ、これで貸し借りナシですわね」パッ
武術家「いだだ……っ! あ、ああ……叫んじまったからな……」
武術家(“つねり”は一説にはもっとも痛い攻撃とされている……!
この女、やはりデキる……!)ハァハァ…
令嬢(殿方の胸なんて……初めて触りましたわ)
令嬢(たくましい……胸板でしたわ)ドキドキ…
監督「こ、この球は・・・!!」
あらすじ:零冥高校(れいめいこうこう)に入学した桐生翼、そこは頭もよく野球も強い高校だった。
子供のころから天才児だった桐生翼(きりゅうつばさ)(主人公)は零冥高校に進学する。
ただし野球経験は0。野球のやの字も知らない。ある日、翼が帰宅しようとしていると野球部の練習している音が聞こえた。
何気なく覗いてみた。するとフリーバッティングのボールが目の前に転がってきた。
「お~い、とってくれ~」という部員の声。試しに思いっきりバッターに向かって投げてみた。
それが桐生翼伝説の始まりだった・・・。
武術家「……さて、気を取り直して稽古を再開するか」
武術家「天性の体の柔軟さに加え、バレエをやっていたこともあって、
アンタは蹴り技の方が得意そうだ」
武術家「だから俺は、アンタを蹴り技主体で鍛えたいと思う」
武術家「自分だけの武器ってのを作れば、自信につながるからな!」
令嬢「はいっ!」
武術家(なんだろう、この気持ち……なんだか、とても晴れやかだ)
~
その夜──
<東の道場>
武術家「お~う親父ィ、弟、メシができたぞ~」グチャッ…
弟「うわぁ……相変わらずメチャクチャな料理だ」
武術家「文句があるなら食うなよ」
師範「……お前、なんとなくだが表情が柔らかくなったな」
武術家「え、そうか?」
桐生翼、どこにでもいる普通の高校生だ。
彼はこの春、零冥高校という進学校に入学した。彼は天才児なのだ。
入学して1か月が経ち、だいぶ新生活にも慣れてきた桐生。
そんな時彼に転機が訪れる。
桐生「今日も一日疲れたなあ・・・さて帰るか。ん?」
??「お~い、とってくれ~」
桐生「なんだこれは?ボール?」
??「こっちに投げてくれ!」
桐生「そういえば、ここは野球も強かったな。」
そう呟いて桐生はボールを思いっきり投げた
ズバーン!!!
??「・・・え?」
桐生「なんだ今の感触は・・・」
監督「こ、この球は・・・!!」
??「キミ、すごいじゃないか!よかったら野球部に入らないか?」
桐生「野球か・・・野球をすれば今の感覚をいつでも味わえるのか?」
??「そうだな」
桐生「いいぜ、野球部に入ってやる。」
こうして桐生伝説が始まった。
それからおよそ一週間、武術家と令嬢の稽古は続いた。
武術家「この間みたいに、このミットに蹴り込んでこいっ!」
令嬢「はいっ!」
バシッ! バシッ! バシッ!
武術家「足だけで蹴るんじゃなく、全身のバネを使って蹴るんだ!」
令嬢「はいっ!」
バシィッ! バシィッ! バシィッ!
武術家(やはり……鞭のようにしなやかで、いい蹴りだ……!)
武術家「──いいぞ! その調子だ!」
令嬢「ありがとうございます!」
桐生「お前、1年だよな。名前は?」
松下「俺は松下 樹里(まつした じゅり)ポジションはキャッチャーだ」
桐生「松下か、よろしくな」
監督「え~お前ら聞いてくれ!彼が今日から野球部に入部する桐生翼だ!
パチパチパチパチ
監督「こいつはすごいぞ!さっき投げたボールが150キロを計測したからな!」
周り「150キロ!?すげえ・・・」
桐生「フン・・・」
武術家「──ちょっと見ててくれ」
令嬢「はい」
武術家「…………」スゥ…
サンドバッグの前で、深く息を吸い込む武術家。
そして──
武術家「はッ!」
ドズゥンッ!!!
サンドバッグがねじれるようにして、吹っ飛んだ。
令嬢「す、すごい……!」
こうして野球部に入部した桐生
彼はセンスの塊で、ぐんぐん成長していった
そして迎えた夏の初戦・・・
先発は桐生だった
桐生がもらった背番号は10
1年生ながら名門零冥高校の2番手を任されていた(エースは3年生の村山 武志)
そして桐生の公式戦初球・・・150キロのストレート。絶好調だ。
そのまま1回戦の栗岡高校を15-0でコールド勝ち。桐生が浴びたヒットは0本。12奪三振の快投だった。
武術家「これは俺が編み出した技なんだ」
武術家「深く吸い込んだ息を爆発的に吐き出すと同時に、突きを繰り出す……。
名づけて、深呼吸拳!」
令嬢「そのままですわね」
武術家「といっても、こんな技、実戦や試合じゃまず使えないけどな。
深呼吸するヒマなんてまずないし、あってもタイミングがむずい」
武術家「弟や親父、対外試合なんかでも試したことがあるが、まぁ当たらんわな」
武術家「こんな技はどうでもいいが、
戦いにおいて呼吸が重要だってことだけは覚えておいてくれ」
令嬢「呼吸……」スーハースーハー
令嬢(すごい突きでしたわ……)
令嬢(前に私がお腹に受けたパンチなんて、
武術家さんにとっては本当に軽いものだったということね……)
しかし思いもよらないことが桐生を待っていた
監督「桐生、お前は甲子園まで試合に出さん!それまでずっと練習だ!」
桐生「えーっ!?」
こうして桐生は甲子園まで練習をすることに決定した。
そして迎えた甲子園、桐生はスライダーとフォークを覚えて帰ってきた
甲子園初戦の相手は広島学院
広島学院「おい、エースの村山じゃなくて背番号10だぜ。しかも1年生らしい。なめやがって!」
気合が十分入っていたが桐生はあっさりと完封した。
そうして桐生翼の名は全国に広まった。
そしてその後はエース村山の連続ノーヒットノーランなどもあり零冥高校は甲子園優勝を果たした。
桐生翼の甲子園成績 .625 5本 34打点 0.00 2勝0敗 30奪三振
そして新キャプテンはセカンドの倉谷 満
松下「俺もレギュラー奪ったぜっ!」
そう、松下はキャッチャーのレギュラーを奪った
俺と松下の黄金バッテリーが誕生した
秋季大会、そして関東大会も順調に勝ち進んだ
そして選抜大会出場が決定された
桐生「当然だな」
松下「ああ!」
選抜大会では1回戦から完全試合を達成するなど絶好調
球速も153キロまで上がった
しかし3回戦の倉山実業に人生初めての失点を許す
桐生は落ち込んでいたが松下の「点をとられないピッチャーなんていない」
という言葉に励まされ復活。以降は失点してでも勝ちにこだわるようになる。
こうして選抜大会も優勝して甲子園連覇を達成した零冥高校。
史上初の3連覇に向けて桐生は決意を新たにする。
桐生翼の甲子園成績 .604 6本 26打点 0.33 4勝0敗 53奪三振
<東の道場>
師範「……さてと、今日からワシは三ヶ月間城で武術指南役を務める。
二人とも、留守は任せたぞ」
武術家「おう」
弟「うん」
師範「弟、くれぐれも西の道場は相手にしないようにな」
弟「分かってるって!」
師範「武術家、引き続き令嬢さんの指導を任せたぞ」
武術家「ああ」
師範「ところで、令嬢さんはどうだ?」
武術家「はぁ!? どうだって、なんだよ! あ、あんな女、どうもしねえよ!」
師範「ん? なにをいってるんだ。ちゃんと上達してるのか?」
武術家「え、あ……まあまあかな」
師範(コイツが“まあまあ”ということは、かなり上達したようだな)
「なによりだ。ではなにかあったら、連絡をよこすようにしてくれ」
小学校であった学級裁判を思い出しながら書きました。
イジメっこがクラス中からフルボッコにされるアレです。
オマケのほうは中学生がよくやる「無理矢理感動ごっこ」です。
よくやるって言ってもうちのクラスの女子だけだったかもしれませんが、
とにかく、クラス全部を巻き込んでいろいろやってましたね…。
小さな問題を、デカくしてから、無理矢理いい話にして締めるってヤツ。
第二次成長期の少女は何を考えてるのかわからないよ。
<豪邸>
令嬢「すごいですわね! 王国軍の武術指南役だなんて……
さすがは武術家さんのお父様!」
武術家「昔は泣く子も黙るような格闘家だったらしいが、今じゃただの腑抜けだ。
西の道場とやり合う気概もねえ」
令嬢「西の道場?」
武術家「ウチの道場より少し後にできたっていう道場だ」
武術家「道場主が昔、親父のライバルだったからか、なにかと張り合ってきやがる。
特に道場主の息子……アレは特にタチが悪い。
もっとも商売上手なとこがあって、今じゃ俺たちの道場よりでかいけどな」
令嬢「お強いんですか?」
武術家「人数が多いだけで、大したことねえよ。
一応油断できない奴はいるが、せいぜい二人か三人ってところだな」
(ウチの道場は試合ができるかも怪しいヤツばっかだけどさ)
令嬢「格闘技の世界も、色々あるんですのね」
武術家「……おっと、おしゃべりしすぎた。さ、始めよう」
令嬢「はい!」
稽古が終わり──
<東の道場>
武術家「おう、戻ったぞ」
弟「…………」
武術家「どうした?」
弟「ごめん……兄ちゃん!」
武術家「なんだよ、いきなり?」
弟「俺……西の道場から看板を賭けた試合を申し込まれて……受けちゃったんだ!」
武術家「──ハァ!? お前、なにやってんだ!?
相手にすんなって、親父にあれだけいわれてただろうがよ!」
すると、道場に残っていた門下生の一人がやってきた。
門下生「若先生! 弟先生は悪くねえんです! 悪いのはオラたち門下生なんです!」
弟「あ……バカ!」
武術家「……どういうことだ」
門下生「今日の午後、西の道場の美形たちが看板を賭けての試合を
申し込みにやってきたんです」
門下生「もちろん、師範もいませんし、弟先生は断固として断ってたんですが──
いつの間にか道場が向こうの門下生に囲まれてて……」
門下生「それこそ断ったら、門下生全員で道場に殴り込むといわんばかりで……」
門下生「そんでオラたち……ビビっちまって……稽古もせず、震えるような有様で……」
門下生「オラたちを見かねた弟先生はやむなく、試合を承諾したんです……!」
武術家「……そういうことか」
弟「兄ちゃん……ごめんよ……!」
武術家「…………」
武術家「いや……受けちまったもんはもうしょうがない。今さら取り消せねえ。
とにかく、試合をどうするか考えよう」
弟「兄ちゃん……!」
門下生「若先生、本当にすみません……!」
武術家(してやられたな……)
武術家(西の道場のヤツら、俺と親父がいない時を狙ってたんだな……)
門下生を帰宅させ、二人きりになる兄弟。
弟「兄ちゃん」
弟「俺、正直兄ちゃんにボコボコにされると思ってた」
武術家「んなことするかよ、大人げねえ」
武術家(……たしかに、以前の俺ならそうしたかもな。
門下生は全員殴って、弟に至っては足腰立たなくなるぐらいにはしてた。
んで、そのまま西の道場に殴り込みをかけただろう)
武術家(だけど、今はちがう)
武術家(昔は見えなかった、道場や門下生を必死に守ろうとした弟や、
そんな弟をかばおうとする門下生の“心”が見えちまった……)
武術家(これも……令嬢のおかげなのか?)
武術家(──なにをバカな!)チッ
武術家「……城にいる親父を呼び戻すわけにはいかねえ。
親父のメンツが丸つぶれになっちまうからな」
武術家「だからなんとしても……俺たち二人で何とかするんだ!」
弟「うん!」
<西の道場>
道場主「──な、なんだと!? 試合を承諾させた!?」
美形「ボクにかかればちょろいもんさ」
美形「アイツら、ボクたちが囲んだだけであっさり試合を承諾してくれたよ。
ま、あの弟にあの状況をどうこうする知恵はないと分かってたけどね」
美形「囲んだだけで脅し文句一ついってないし、ヤツらももう試合をするしかないさ」
美形「あとはボクと、色黒、鉢巻で試合に勝利するだけ……」ニィッ
道場主「し、しかし……お前そんな強引なやり方で……」
美形「なんだよ」ギロッ
美形「父さんだって東の道場を潰したかったんだろう!?
だからボクは今までずっと──」
道場主「わ、分かった! その話はやめてくれ! お前はよくやってくれている!」
美形「やっと……やっと、東の道場をこの町から消すことができるんだ!
ま、試合当日はここで朗報を待っていてくれよ」
道場主「う、うむ……」
翌日──
<豪邸>
武術家「う~ん……」
令嬢「どうかなさったの?」
武術家「いや……二週間後に道場の看板を賭けた試合を行うことになってな……」
【ルール】
試合日は両道場の合意の後、14日後。
道場は各三名ずつ選出し、団体戦を行い、どちらかが二勝した時点で決着とする。
審判は王国から審判資格を得た第三者が行う。
試合時間は10分、決着がつかなかった場合は審判による判定で勝負を決する。
武術家「──とまぁ、こんな具合だ」
令嬢「なるほど」
武術家「ウチは当然俺と弟が出る。だが、問題は……三人目だ。
ウチの道場の門下生は、健康のために道場に来てる人間ばかりだからな」
令嬢「…………」
令嬢「あのう……三人目、私ではダメかしら?」
武術家「なっ!?」
武術家「ダ、ダメに決まってんだろ! アンタは稽古を始めてまもないし──
なにより女じゃねえか!」
令嬢「あら、稽古の初日に私を叩いて、格闘技に男も女もないといったのは
どなただったかしら?」
武術家「い、いや……あれは……」
令嬢「それに……私も武術家さんのお力になりたいの……」
武術家「!」ドキッ
武術家(だが、冷静に考えてみると──
たしかに運動の延長上で格闘技やってる門下生たちより、
令嬢の方が期間は短いとはいえ、よっぽど実戦向けの稽古をしてる)
武術家(だけどなぁ……)
令嬢「……ダメ?」
武術家「い、いやダメってわけじゃ……ちょっと考えさせてくれ!」
その夜──
<東の道場>
弟「ごめん兄ちゃん、まだ三人目が決まってなくて……。
こうなったら棄権を前提に、だれかに出てもらうしか──」
武術家「……その話なんだけどさ」
武術家「令嬢に出てもらうってのはどうだ?」
弟「令嬢さんに!?」
武術家「短期間ではあるが、俺がマンツーマンで鍛えてるし、実際強くなってる。
んで、本人も希望してるんだが……」
弟「俺に兄ちゃんになにかをいう資格はないよ。ただ──」
武術家「ただ?」
弟「令嬢さんのお父さんが許すかどうか……」
武術家「!」
武術家(そのこと忘れてたぁ~!)
翌日──
<豪邸>
富豪「ほうほう、東の道場で女子同士の試合を行うのか」
富豪「娘をその試合に? それで、しばらくここでなく道場で稽古したいと?
もちろん、かまわんとも」
富豪「トレーニングの成果を出したいと思うのは当然だろうし、
道場の方がやはり稽古もはかどるだろうからな」
令嬢「ありがとう、お父様!」
武術家「ありがとうございます」
富豪「私は事業の関係で、おそらく観戦にはいけぬだろうが、頑張るんだぞ!」
令嬢「はいっ!」
武術家「…………」
武術家(これで一応、許しは得たってことでいいんだろうか)
武術家(だけどウソついてよかったのかな……)
武術家(とはいえ、道場の看板を賭けた真剣勝負に娘さんを出場させて下さい!
なんていったら絶対許してもらえないからな……)
武術家(バレないことを祈るしかねえか)
<東の道場>
令嬢「ここが武術家さんの道場ね、素敵な場所ですわ」
武術家「ボロ道場だよ」
弟「あ……こ、こんにちは! 兄ちゃ……兄がお世話になってます!」
令嬢「はじめまして、あなたが武術家さんの弟さんね」
弟「は、はい! このたびは……本当に、こんなことに巻き込んでしまって……。
──すみませんっ!」
令嬢「いえ、そんな……私から望んだことですもの。一緒に頑張りましょ」
弟「はいっ!」
武術家「なに顔赤くしてんだ、バカ弟」
武術家「せっかく三人揃ったんだ。試合の対策について話し合おう」
弟「うん!」
令嬢「はい!」
そして優勝した桐生はすっかり有名人だ
すでに来年のドラフトの1位指名を決定してる球団もあった(ソフトバンク、阪神、ヤクルト)
そしてさらに桐生は1年生が入ってきて先輩となった
桐生は一人の男に目をつけていた
そいつの名は伊達 傑(だて すぐる)
なかなかいい顔つきをしている。体格もいい。
どうやらポジションはサードらしい
しかし俺は伊達にショートが向いていると思ったのでショートにコンバートさせた
そうして桐生の2年生生活がスタートした
武術家「試合順はこれしかない」
武術家「ずばり──俺と弟で先に二勝する。
俺としても、やっぱ令嬢を試合に出したくないのが本音だからな」
先鋒 弟
中堅 武術家
大将 令嬢
弟「でも、これだと──」
武術家「ああ、分かってる。暗黙のルールを破ることになる」
令嬢「暗黙のルール?」
武術家「道場同士の試合は、実力順にするのが通例なんだ。
ようするに、こっちの一番弱い奴をあっちの一番強い奴にぶつけて
勝ち星を稼ぐとか、そういう真似はやっちゃいけないとされてる」
武術家「だから、なんらかの事情があって実力順にしない場合は、
事前に相手道場に通達しなきゃならない」
令嬢「なるほど、格闘家同士の“しきたり”というやつですわね」
弟「西の道場への通達は、あとで俺がやっとくよ」
令嬢「ちなみに西の道場には、どんな方々がおりますの?」
武術家「道場主の下に、息子である美形、あとは色黒と鉢巻が強い。
んで、実力ナンバーワンは色黒、次いで美形、三番手が鉢巻っていわれてるな」
武術家「つまり向こうの順番はこうなる」
先鋒 鉢巻
中堅 美形
大将 色黒
武術家「──ただし、もしかすると俺に色黒を当ててくる可能性がある。
ま、なんにせよ俺たちが二勝してみせるから安心しな」
令嬢「もしも……」
武術家「ん?」
令嬢「もし万が一のことがあっても……私、絶対に勝ちますわ!
だからあまり気負わず、戦って下さいね!」
武術家「分かってる、その時は全てアンタに託すよ」
武術家(そんなことがあっちゃならねえんだけどな。東の道場の誇りにかけて!)
なんと1年生から伊達はレギュラーになってしまった
桐生「とんでもない潜在能力だ・・・」(実は桐生がショートにコンバートしたおかげで才能が開花w)
そうして2年目の夏が始まった。キャプテン倉谷にとっては最後の夏だ。
倉谷「絶対優勝するぞ!オオーッ!」
松下「1回戦の相手は開運高校だ」
こうして全試合15点差をつけて夏の甲子園出場が決定した
令嬢「ハァ、ハァ……さすがは武術家さんの弟さん。
武術家さんの苛烈な拳法とはまた一味ちがい、お強いですわ」
弟「いやぁ……俺なんか……」
武術家「弟なんざ、まだまだ俺の足元にも及ばねえよ」
~
武術家「たしかにアンタの蹴りは武器になる!」
武術家「──が、多用はするなよ! 読まれたら効果は半減しちまうからな!」
令嬢「はいっ!」
~
令嬢「シェフに習ったので、お料理には多少自信がありますの。どうぞ!」コトッ…
武術家「おお~……!」
弟「美味しそう……!」
この日から、令嬢は道場に通うことになった。
2年生夏の甲子園 もちろんエースは桐生
冬を超えた桐生は球速が155キロまでアップ 変化球のキレも増した
1回戦の相手は村雨高校
伊達の3打席連続ホームランなどで試合を決定づけると桐生は完全試合を達成
また桐生伝説に新たな1ページを刻んだ
2回戦、3回戦は二番手投手の猿村が連続完封
そして準々決勝は桐生がノーヒットノーラン
さらに準決勝はスクイズで1点を奪われるものの1失点完投で決勝まで駒を進めた
武術家『今日は寝技の特訓だ』
令嬢『えっ? あなたの流派に寝技など──』
ドザッ……!
令嬢を力ずくで押さえ込む武術家。
令嬢『なにをなさるの!?』
武術家『これでもう逃げられねえ、叫んでも無駄だ』
ビリビリッ!
令嬢『ああっ! 道着を!?』
武術家『さてと……まずはあの時乳首をつねられた痛みを返しておくぜ。
あれは痛かったからなぁ……』
令嬢の乳首に吸いつく武術家。
令嬢『あ、あ、あ……!』ビクビクッ
武術家『豪邸で会った時から目をつけてたんだ。“生娘キラー”とは俺のことよ!』
………
……
…
令嬢「私ったら、なんてはしたない夢を……」ハァハァ…
令嬢『今日は私が寝技をお教えしますわ』
武術家『なにいってんだ、お前?』
ドザッ……!
令嬢は巧みな技で、武術家を押さえ込む。
武術家『なにしやがる!?』
令嬢『弟さんはすでに始末しました。もう叫んでも無駄ですわ』
ボキボキィッ!
武術家『ぐああああっ! う、腕が……っ!』
令嬢『今までよくもキツイ稽古で私をいじめてくれましたわね。
いきなりビンタをしたり、腹を殴ったり……』
武術家の足をへし折る令嬢。
武術家『あ、あ、あ……!』ビクビクッ
令嬢『だらしないですわね。そう、西の道場の刺客、“骨折りお嬢”は私のことよ!』
………
……
…
武術家「俺はなんつう恐ろしい夢を……」ハァハァ…
翌日──
<東の道場>
武術家「なぁ……」
令嬢「はい?」
武術家「アンタ、もしかして寝技とか得意か?」
令嬢「えぇ~っ!? ま、ま、まさか! 未体験ですわ、未体験!」
(まさか……正夢!?)
武術家「そうか! ならいいんだ……」ホッ…
(ウソじゃなさそうだな……。よかった……正夢じゃなくて)
武術家「んじゃ、今日も突きの稽古からだ」
令嬢「え……あの……寝技……は……?」
武術家「ウチの流派に寝技はねえぞ」
令嬢「そう……ですわよね……」
武術家(なんでガッカリしてんだ? 打撃だけじゃ不安になったのか?)
試合までの二週間、二人は順調に稽古を重ねた。
決勝の相手は愛知の新宮連合高校
世間の予想は零冥の圧勝だったが現実は違った
1年間桐生の研究をしてきた新宮の打線が桐生に襲い掛かる
1回表に粘って連続四球で塁に出ると送りバントとスクイズで1点を先制する
さらに2回表、ショートへの内野安打、盗塁、そしてタイムリーで2点目をとられる
桐生は慌てたが、松下が桐生をフォローし、すぐに立ち直った
それからはしっかり抑えた
しかし新宮の投手は左のサイドスローから繰り出すシュートを武器にしており、零冥打線は苦戦を強いられた
だが桐生の満塁ホームランで逆転するとさらに伊達と杉原も続き、この回6得点
結局決勝戦を6-2で勝利した 史上初の甲子園3連覇である!!
桐生翼の甲子園成績 .731 5本 40打点 0.50 4勝0敗
新キャプテンには名瀬 紲(なぜ きずな)が選ばれた
しかしこのままではダメだと思った桐生は変化球の精度を増すトレーニングに励む
毎日何球も何球も投げ込んだ
そして春の選抜出場が決定甲子園4連覇に向けて進みだした桐生
ちょうど1月にチェンジアップも習得し、投球の幅が増えた
変化球のキレもアップし、すでに手の付けられない投手になっていた
甲子園初戦を当たり前のように完封し、さらにその後もノーヒットノーラン
準々決勝と準決勝は二番手の猿村が投げ連続完封
決勝でも北氷高校に8回までパーフェクトに抑えていた
そして試合前日──
<東の道場>
武術家「今日の稽古は終わりだ。令嬢、家の近くまで送っていくよ」
令嬢「はい!」
弟「明日は俺と兄ちゃんが必ず二勝するから、安心しといて下さい!」
令嬢「あら、私も出番が欲しいですわ」
武術家「……ふっ」
~
<西の道場>
鉢巻「この作戦なら、ウチの勝利はまちがいないッスね!」
色黒「本当に……これでいいんですね?」
美形「当たり前だ、勝つことが第一なんだからね」
美形「もっとも──ボクは独自に他にも手を打ってあるがね。
もしかすると、戦わずして勝利できるかもしれないよ」
美形「明日、東の道場はこの町から姿を消す。やっと宿願が叶うんだよ、父さん……!」
道場主「あ、ああ……」
しかし桐生には致命的な弱点があった
―――そう、決め球がないのだ
その弱点に付け込まれ最終回に2失点
味方が11点とっていたから勝ったものの、今後に課題を残す投球となった
しかしなにはともあれ4連覇を達成した零冥高校!前人未到の5連覇に向けて桐生達は突き進むのであった・・・
桐生翼の甲子園成績 .734 6本 45打点 0.28 3勝0敗 31奪三振
ところが──
<豪邸>
富豪「……聞いたぞ」ギロッ
令嬢「え?」
富豪「お前たちがいっていた明日の試合、
なんでも西の道場との真剣勝負だそうじゃないか!」
令嬢「! ──な、なぜそれを」
富豪「てっきり女子同士のお気楽な試合かと思いきや……
あの武術家君もとんでもないことをしてくれたもんだ!」
令嬢「お願い、お父様! 私が行かないと──」
富豪「ならん! いいか、明日は召使に命じてお前を一歩も外に出さんぞ!
──よいな!」
令嬢(試合は三人が揃ってなければならないのに……)
令嬢(私が行かなければ、武術家さん兄弟は試合をすることもできない……)
令嬢(どうすれば……!)
桐生「くそっ・・・!こんな球じゃダメだ!」
松下「おい、どうしたんだよ!いい球来てるぜ!」
桐生「松下・・・俺は決め球がほしい・・・誰にも打たれない最強のボールが投げたいんだ!!」
松下「桐生・・・」
監督「投げてみるか?」
桐生「監督!?そんなボールがあるんですか!?」
監督「ああ・・・だが失敗したらお前はもうピッチャーができなくなるかもしれない」
令嬢「たしか道着は買っておいたはずですので……着替えてきますわ」ササッ
武術家「あ……」
武術家(くそっ、なに謝ってんだよ、俺は!
バレエなんてお遊びだ! ってもう一発くらい引っぱたくべきだったんだ!)
ガチャ……
令嬢「お待たせしました」
武術家「お、なかなか似合っ──」
武術家「!」ハッ
武術家「いいか! 次に俺が来た時点でまたドレスだったりしたら、
今度ははり倒すからな!」
令嬢「承知しましたわ」
武術家(次ってなんだよ……俺は今日でクビになるつもりで来たんだろうが!)
「……じゃあアンタのいうパンチ……突きから始めるか」
令嬢「はいっ!」
武術家(やりづれえ……)
令嬢「ハァ、ハァ……さすがは武術家さんの弟さん。
武術家さんの苛烈な拳法とはまた一味ちがい、お強いですわ」
弟「いやぁ……俺なんか……」
武術家「弟なんざ、まだまだ俺の足元にも及ばねえよ」
~
武術家「たしかにアンタの蹴りは武器になる!」
武術家「──が、多用はするなよ! 読まれたら効果は半減しちまうからな!」
令嬢「はいっ!」
~
令嬢「シェフに習ったので、お料理には多少自信がありますの。どうぞ!」コトッ…
武術家「おお~……!」
弟「美味しそう……!」
この日から、令嬢は道場に通うことになった。
翌日──
<東の道場>
武術家「なぁ……」
令嬢「はい?」
武術家「アンタ、もしかして寝技とか得意か?」
令嬢「えぇ~っ!? ま、ま、まさか! 未体験ですわ、未体験!」
(まさか……正夢!?)
武術家「そうか! ならいいんだ……」ホッ…
(ウソじゃなさそうだな……。よかった……正夢じゃなくて)
武術家「んじゃ、今日も突きの稽古からだ」
令嬢「え……あの……寝技……は……?」
武術家「ウチの流派に寝技はねえぞ」
令嬢「そう……ですわよね……」
武術家(なんでガッカリしてんだ? 打撃だけじゃ不安になったのか?)
試合までの二週間、二人は順調に稽古を重ねた。
翌日──
<東の道場>
試合は、申し込まれた側で行われるのが通例である。
美形「お久しぶり。元気そうでなによりだ、武術家君」ザッ
色黒「今日はよろしく」ザッ
鉢巻「相変わらずちっちゃい道場ッスねぇ」ザッ
武術家「……ふん。どっちが小さいんだよ。
俺と親父がいない間に、弟や門下生を脅すような真似しやがって」
美形「まあまあ、そう怒らないでくれよ」
美形「もうまもなく審判もやってくるだろうし、準備を始めよう」
美形「──だけど、おや? そちらはまだ二人しかいないようだが……?
この間渡された試合順の紙には、令嬢という女性がいたはずだけど」
武術家「…………」
弟「ちょ、ちょっと遅れてるだけだ!」
美形「ふん、そうかい。 ……来れればいいけどねぇ」
(昨日、令嬢の親には今日の試合のことをチクっておいたし、
万一許されて外に出られたとしても……ふふふっ)ニヤッ
そして試合前日──
<東の道場>
武術家「今日の稽古は終わりだ。令嬢、家の近くまで送っていくよ」
令嬢「はい!」
弟「明日は俺と兄ちゃんが必ず二勝するから、安心しといて下さい!」
令嬢「あら、私も出番が欲しいですわ」
武術家「……ふっ」
~
<西の道場>
鉢巻「この作戦なら、ウチの勝利はまちがいないッスね!」
色黒「本当に……これでいいんですね?」
美形「当たり前だ、勝つことが第一なんだからね」
美形「もっとも──ボクは独自に他にも手を打ってあるがね。
もしかすると、戦わずして勝利できるかもしれないよ」
美形「明日、東の道場はこの町から姿を消す。やっと宿願が叶うんだよ、父さん……!」
道場主「あ、ああ……」
<豪邸>
令嬢(どうしましょう……!)
令嬢「全部の出入り口を、召使に封鎖されて……あら?」
召使「ぐう……ぐう……」
召使たちが全員眠り始めた
令嬢「こ、これはどういうこと……!?」
シェフ「お嬢様」
令嬢「シェフ!」
シェフ「今日の朝食──旦那様ご夫婦とお嬢様のもの以外には
強力な眠り草を入れておきました。
旦那様と奥様は先ほど出かけられましたし、もう大丈夫です」
シェフ「行ってらっしゃいませ」スッ…
令嬢「……ありがとう!」
タタタッ……
シェフ(家の近くでたむろしていた格闘家らしき集団も、
私からの“差し入れ”で眠らせておいたので、どうかご安心を)
スレ立てしてきた
令嬢「ご指導、よろしくお願いしますわ」武術家「よろしく」 part2
<東の道場>
審判「このまま正午までに届け出のある三人目が来なかった場合、
東の道場は不戦敗となる」
弟「どうしたんだろう、令嬢さん……」
武術家「おい美形、てめぇまさかなにかやったんじゃねえだろうな!」
美形「オイオイまさか。まあ、良家のお嬢さんをこんな戦いに
駆り出すことにならなくてよかったじゃないか」
美形「君たちは戦わずして敗れることになるがね」
武術家「くっ……! 審判、俺たちは二人だけでいい! 試合をさせてくれ!」
審判「ならん。決まりは決まりだからな」
武術家「ぐっ……!」
すると──
ガラッ!
令嬢「皆さま、お待たせしました!」
武術家「令嬢!」
弟「令嬢さん!」
美形「…………」チッ
審判「ではまず、東の道場から試合順を発表してもらおう」
武術家「ウチはもう通達してあるように、先鋒が弟、中堅は俺、大将に令嬢、だ」
審判「では、西の道場」
美形「ウチは……先鋒は色黒、中堅は鉢巻、大将はボクだ」
武術家「!?」
武術家「ちょ、ちょっと待て、てめえ!
てめえんとこの実力ナンバーワンは色黒だろうが! なんで先鋒なんだ!」
武術家「道場同士の試合は実力順にするのがならわし……。
だったら、色黒は大将にするか、あるいは俺にぶつけるのがスジだろうがよ!」
美形「いやいや、つい先日鉢巻が色黒に勝っちゃったからさぁ~」
武術家「下手なウソこきやがって……!」ギリッ
美形「それに、実力順にするのはあくまでも通例……破ってもペナルティはない。
ですよね? 審判さん」
審判「うむ」
武術家「な、なんだと……!」
(俺は鉢巻にまず勝てるだろうが、弟じゃ色黒相手は厳しい!
これじゃ試合が令嬢まで回っちまう!)
はよ
弟「大丈夫だよ、兄ちゃん! 俺が……勝てばいいんだから!」
武術家「……ああ」
令嬢「弟さん、頑張って下さいませ!」
審判「先鋒の二人、前へ!」
弟「…………」ザッ
色黒「…………」ザッ
弟「お願いします!」
色黒「……こうして今は敵対しているが、私は東の道場を尊敬している。
君の父や兄は、優秀な格闘家だ。私も一目置くほどにね」
弟「!」
色黒「だが、君は眼中にない」
色黒「偉大な二人の影に隠れ、町民や農民相手にぬるい稽古をしているだけ……。
我々の脅しに屈したことといい、君はこの道場の足手まといに過ぎない。
悪いが、すぐに終わらせてもらう」
弟「ぐっ……!」
@(・●・)@
*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
令嬢「弟さんのお相手……強いんですか?」
武術家「まちがいなく西の道場一の使い手だ。
すまねえ、アンタの前に二勝するだなんていっておいて……」
令嬢「あら、あなたは弟さんを信じていないんですか?」
武術家「え?」
令嬢「私は……弟さんは勝つと思います」
審判「始めっ!」
色黒「しゃッ!」バッ
ベチィッ!
いきなりのハイキック、弟もどうにかガードする。
弟「くっ……」ビリビリ…
色黒「だっ! だだだっ! ──せいいッ!」
ガッ! バッ! バシィッ! ドゴォッ!
怒涛の連撃。弟は防ぐだけで全く手が出せない。
武術家(なにやってやがる……。
格上の相手に守勢に回ったら、オシマイだろうが……!)
武術家(──いや!)
色黒「くっ……」ハァハァ…
令嬢(相手の方、もう疲れている……!?)
色黒「せりゃあッ!」ブオンッ
弟「…………」スッ…
色黒「だりゃッ!」ビュアッ
弟「…………」ススッ…
武術家「弟のヤロウ……アイツ、色黒の間合いを見切って──
打撃の勢いや威力を全て殺してやがる!」
武術家(そうか……アイツ、日頃ぬるい稽古ばかりしてるかと思ったが、
町民や農民たちのゆるい打撃をも一流の打撃だと思って、
真剣に稽古していたんだ!)
令嬢「す、すごい……!」
色黒「ぬああッ!」ダンッ
ブオンッ!
色黒(またか……! 絶妙なタイミングで間合いをずらされる……!)ハァハァ…
弟(門下生たちの発展途上の攻撃に比べれば、
格闘技の理に乗っ取った、アンタの打撃はずっと見切りやすい!)
バキィッ!
疲れと焦りで足が止まった色黒に、弟の拳がヒットする。
色黒「ぐおっ……! ──があっ!」ブオンッ
スカッ
色黒「くそっ……」ハァハァ…
(認めねばなるまい……私はコイツを侮っていた!)
武術家(色黒が弟をナメてたというのもあるだろう。
弟がこの試合をいいテンションで臨めてるというのもある)
武術家(だがそれらを差し引いても強い!)
武術家(アイツ……きっちり強くなってやがった!)ニィッ
ガガガッ! バシッ! ガッ! ドゴッ!
弟(アンタらが俺が眼中にないってんなら、俺だってアンタらなんか眼中にない!)
弟(俺は父ちゃんや兄ちゃんを超えるために、ずっとずっと修業してきたんだ!)
バキィッ!
弟の突きが、色黒の顔面にクリーンヒットした。
色黒「ぐあ……っ!」ドサッ
武術家「いいぞ、ダウンを奪った!」
令嬢「その調子ですわ!」
鉢巻「色黒さん、一度落ちつくッスよ!」
美形「…………」
すぐさま立ち上がる色黒。
色黒(私が負ければ、西の道場の勝利は難しくなる……。
先生や美形さんのためにも、負けるわけにはいかん!)
色黒「はあああっ!」ダッ
弟「!」
バシィッ! ガガガッ! ドッ! ドガッ!
色黒の猛攻が、少しずつ弟をとらえ始める。
弟(──やっぱりさすがだ! この数分で、俺の動きを学習してる!)
だが、弟も巧みなフットワークで決定打を許さない。
審判「──それまでっ!」
試合時間の10分が経過した。
色黒(ぐっ……! 私としたことが、なんという無様な試合を!)
弟(──よし!)グッ
美形「…………」ニヤッ
審判「判定!」
シ~ン……
審判「先鋒戦! 勝者、西の道場!」バッ
武術家「ハァ!?」
弟「なっ……!」
令嬢「え?」
色黒(な、なんだと……!?)
美形「ふふふ、よくやったよ。よく倒されないでくれた」
色黒「美形さん、あなたまさか──」
武術家「ふざけんなっ!!!」
武術家「今の試合……たしかに終盤盛り返しはあったが、ほぼ弟が優勢だったろ!
弟の勝ちだろうがっ!」
審判「……異議は認めない。すぐ中堅戦の用意をしたまえ」
武術家「て、てめえ──」
美形「オイオイ武術家君、審判の判定は絶対だよ?」
武術家「……なんだと!」
美形「たしかに君の弟君は、優勢ではあったかもしれない。
だが、戦術に積極性がいささか欠けていたというのも事実だ」
美形「審判がその辺りを考慮したのなら、この結果も十分ありえる」ニヤッ
武術家「あのヤロウ……!」ズイッ
審判「これ以上食い下がるのなら、無条件で君たちの負けにするぞ」
武術家「ぐっ……」
弟「ごめんよ、兄ちゃん、令嬢さん……!」
令嬢「いえ、いい試合でしたわ。手本にさせていただきます」
武術家「…………」
武術家(弟たちを脅して試合を組んで、試合順も通例を無視して、
挙げ句審判ともグルってか)
武術家(いいさ、そっちがその気ならやってやるよ……)
武術家(いくら審判になにかしてても、圧勝すればさすがにどうしようもねえはずだ)
武術家(たとえ今日、東の道場がなくなるとしても、
ヤツらには俺の強さと恐ろしさを徹底的に叩き込んでやる)
武術家(この俺に鉢巻如きを当ててきたことを後悔させてやる……!)ビキッ…
鉢巻「あ、あの」ガタガタ…
美形「なんだい?」
鉢巻「武術家、すげえツラなんスけど……あれマジで人を殺しかねないツラッスよ。
元々中堅は捨て試合ッスし……俺、棄権してもいいッスか?」ガタガタ…
美形「ダメに決まってるだろ。ただでさえ試合順を実力順にしてないんだ。
ウチの道場が武術家から逃げたなんて風評が立っちゃかなわない」
美形「大丈夫さ、死にゃあしないよ(……多分)」
審判「中堅の二人、前へ!」
鉢巻「…………」ガタガタ…
武術家(鉢巻ィ……悪いが五体満足で試合場から出さねえぞ)ギロッ
武術家(最低でも全治数ヶ月には──)
令嬢「武術家さん、お待ちになって」
武術家「?」
令嬢「弟さんに労いの言葉を」
令嬢「それにまだ……私がいますわ」
武術家「!」ハッ
武術家(そうだ)
武術家(俺はなにを考えていたんだ)
武術家(弟の健闘を称えもせず、もう道場が負けた時のことばかり──
こんなもん、弟や後に控えてる令嬢への侮辱でしかない!)
武術家「…………」
武術家「弟」
弟「!」
武術家「ナイスファイトだったぞ。よくやった」グッ
弟「兄ちゃん……」
武術家「んじゃ、行ってくる。次の令嬢に繋ぐためにな」
向かい合う武術家と鉢巻。
武術家「…………」ザッ
鉢巻(こ、こうなったら殺される前に……勝負に出るしかない!)ザッ
審判「始めっ!」
鉢巻「うわぁぁぁっ!」ブオンッ
武術家「っと」サッ
鉢巻の捨て身のストレートをあっさりかわすと──
武術家「──はあっ!」
ドンッ!
脇腹に強烈な中段蹴り。
鉢巻「うげぇっ……!」
さらにダメ押しの左拳での突きが──
ピタッ
寸止めされた。
鉢巻「あ、あぐぅ……ま、参ったッス……!」ゲホゲホッ
審判「そ、それまでっ!」バッ
武術家(鉢巻の最初のストレート……キレたままだったらモロに受けてた。
……令嬢に助けられちまったな)
美形(予想に反してキレイに勝ちやがった……。面白くないな。
まあいい、次でボクが勝てば全て終わるんだ!)
令嬢「では、行って参ります」
弟「令嬢さん、戦ってもらうことになっちゃってゴメン……!」
令嬢「いえいえ、修業の成果を発揮できるのが楽しみですわ!」
武術家「令嬢」
令嬢「はい?」
武術家「あとは任せた」
令嬢「は、はいっ!」カァ…
美形「おうおう、見せつけてくれるねえ。
こっちはもうスタンバイオーケーだ。さっさと出てきてくれよ」
令嬢「分かりましたわ」ザッ
美形「君もつくづく不運な女だねえ」
美形「女の身でありながら、こんな真剣勝負の場に立つことの愚かさ……
たっぷり思い知らせてやるよ」
令嬢「武術家さんはおっしゃってました。格闘技に男も女もありません」
美形「……ふん!」
審判「始めっ!」
美形「ま、顔は避けてやるから安心しな──よっ!」ダッ
ベシィッ!
令嬢「あうっ!」
美形のローキック、令嬢の顔がゆがむ。
美形「そらそらそらっ!」ガガガッ
令嬢「くっ……」
弟(速い……ッ! さすが西の道場の跡取りで、ナンバーツーなだけはある!
令嬢さん、防ぐので精一杯だ!)
美形「女で、しかもほとんど初心者みたいな奴がこんな試合に出るとか──
なめてるのかい!?」
美形「ボクは君みたいな奴がホントムカつくんだよ!」
ドスッ! ドズッ!
令嬢のボディに拳が突き刺さる。
令嬢「ぐ……っ! くっ!」
弟(アイツ……いたぶってやがる!)
武術家「…………」
美形(武術家め、平気な顔しているが内心ハラワタ煮えくり返ってるだろう)
美形(だが、悪いのはお前なんだからな!)
美形「ほら、少しは反撃してみな!」
令嬢「たあっ!」ヒュッ
美形「ふん」パシッ
令嬢の突きが、あっさり弾かれる。
弟「令嬢さん、腕だけで打っちゃダメだ!」
弟(やっぱり……いきなりこんな試合無理だったんだ!
ただでさえ実力差がありすぎる相手なのに……
令嬢さん、動きも固いし、フォームもガタガタだ!)
武術家「…………」
バシッ! ベシッ! ドカッ!
令嬢「……ぐうっ」
美形「──ハハ、ボクが手加減してるからとはいえ、君も粘るねえ」
令嬢「ハァ……ハァ……ハァ……まだまだ、これからですわ」
美形(一応警戒していたが、コイツは弱い! だが、どうせ勝つなら……
武術家により屈辱を味わわせなくちゃ面白くないよなぁ)
美形「君は箱入り娘として、大切に育てられたんだろう? だったら」シュッ
むにゅっ……
令嬢の胸を掴む美形。
ザワッ……!
弟「なっ……!」
色黒「!」
鉢巻「マ、マジッスか!」
美形「ふふふ、こんなことされるの、初めてだろ?」モミッ…
令嬢「…………」
もにゅもにゅ……
美形(どうだ、武術家! お前がムリヤリ選手に選んだ女は
こんな惨めな目に遭っているぞ!)
弟「令嬢さん! あ、アイツ、ふざけやがって……!」
弟(でも……真っ先に飛びかかりそうな兄ちゃんがなにもいわない……なんでだ?)
武術家(不思議だ……なんで俺はこんなに冷静でいられるんだろう)
武術家(多分、令嬢に全て託すと決めたからだろうな……。
だから、今も怒らないでいられる……飛びださずにいられる)
武術家(いやむしろ……美形があんなマネに走ったのはむしろチャンス!
令嬢もそれを分かってるはずだ!)
もにゅむにゅ……
美形「どうだい? 屈辱だろう? 実力で敵わなかった上にこんなことされて」モミモミ…
令嬢「別に……これくらいどうってことありませんわ」
美形「!?」
令嬢「武術家さんは教えて下さいました。格闘技は痛くて苦しいものなのだと──
だからこういうことも覚悟していました」
令嬢「ただし一言だけ」
令嬢「私の胸を揉んでいいのは──武術家さんだけですわ」
美形「!?」
色黒「!」
鉢巻「へ!?」
審判「な……」
弟「え」
武術家「!」ブハッ
令嬢は呆気に取られた美形の胸に手を当て──乳首をつねった。
ギュウゥゥ……!
美形「いぎゃあぁぁぁぁっ!!!」
令嬢「油断大敵ですわね」ザッ
令嬢(でも今の感触……この人、もしかして!)
美形「よ、よくも……! よ、よ、よくもぉっ!」バッ
美形が令嬢の顔面めがけ、パンチを放とうとする。
だが──
ヒュワァッ ベシィッ!
令嬢の上段蹴りが、美形の頭部にクリーンヒットした。
美形「がっ……」グラッ…
(な、なんて美しい蹴り、だ……。今の今まで弱いフリ、してたのか!?)
美形(油断した──が、耐えられない威力じゃない!)
美形(突きはそこまでのレベルじゃないし、蹴りはもう喰わない……。
“詰み”だ!)
令嬢「…………」スゥゥ…
美形(な、なんだ?)
令嬢「はあっ!」
令嬢が息を吐き出すと同時に繰り出した突きが──
ズドンッ!!!
美形「ぐっ……はぁっ!」
蹴りで動きの鈍っていた美形に炸裂した。
ドザァッ……!
美形「が、がは……っ!(な、なぜ女の突きがこれほどの……!?)」ピクピク…
弟「今のは──」
(昔、兄ちゃんが編み出したスキだらけの技……!)
武術家「…………!」
武術家(乳首をつねって相手を怒らせ、怒った相手に蹴りをブチ込み、
ダメージを受けた相手に深呼吸拳──!)
武術家(令嬢……とんでもないコンビネーションを開眼しやがった!)
美形「が……ぐっ……」ググッ…
武術家「おい審判! 西の道場を勝たせたいんだろうが、ありゃもう無理だ!
これ以上やらせたら、それこそ大問題になるぜ!」
審判(私は息子の治療費と引き換えに、西の道場への肩入れを約束した。
だがそれはあくまでも、判定決着の時のみ──やむをえん……!)
審判「……それま──」
美形「ま、待てっ!」ゲホッ
美形「ボ、ボクは……ボクはまだやれるっ! やれるんだっ!」ヨロッ…
武術家「やめとけ。上段蹴りをモロに受けて、あの突きを喰らったんだ。
多分俺でも立てねえよ」
武術家「別に俺たちはてめえらの看板なんざ欲しくもねえ。
看板の話ならなかったことにしてやるから、大人しく寝とけ!」
美形「う……うるさいっ!」
美形「ボクはなんとしても……なんとしても!
君たちの道場を……潰さなきゃならないんだ……絶対!」ヨロッ…
色黒「美形さん、もう──」
鉢巻「立たない方がいいッスよ……!」
令嬢「ハァ……ハァ……」
武術家(令嬢だってもう限界なんだ。これ以上やらせるわけにゃいかねえ!)
美形「さあ……続きを……!」ハァハァ…
武術家「てめえ、しつこいぞ! 男だったら、いさぎよく負けを認めろ!」
美形「ふふ……男なら、か……」
武術家「?」
色黒(まさか!)
鉢巻(いうんスか、ここで!?)
美形「あいにくボクは……男じゃない、女だっ!!!」
武術家「……は?」
弟「へ?」
令嬢「…………」
武術家「なにをいうかと思えば、とうとう頭おかしくなったのか、てめえ!」
令嬢「武術家さん。彼……いえ彼女のおっしゃっていることは事実ですわ」
令嬢「露出の少ないゆったりとした道着でごまかしていますが、
先ほど触れた美形さんの胸は、紛れもなく女性のものでした」
武術家「な!?」
色黒(そう、これは──私や鉢巻のような古株しか知らない)
鉢巻(西の道場の秘密ッス……)
武術家「でもなんで男のフリなんか……趣味か?」
美形「な、わけあるか……! ボクは、ボクは──」
すると──
ガラッ!
道場主「もうやめるんだっ!!! ……娘よ」
色黒&鉢巻「先生!」
道場主「全て私のせいだ……私が悪いのだ……すまなかった」
美形「と、父さん……」
ザワザワ……
道場主「私と東の道場の師範が、若い頃ライバル関係だったというのは知っておろう。
だが、実際にはライバル関係などではなかった。
私と彼の実力には大きく隔たりがあり、私は勝ったことがなかった」
道場主「だから私は鍛錬よりも道場の経営に力を入れ、
結果として東の道場よりも規模を大きくすることができた」
道場主「だが──」
道場主「道場を建て、せっかく生まれた一人娘にも、私は来る日も来る日も愚痴ばかり。
師範や東の道場への劣等感をいつも口ずさんでいた」
道場主「そしてある日、まだ物心ついてまもない娘が──」
『おとーしゃん、あたしおとこのこになる!』
『ひがしのどーじょー、やっつけるまで!』
道場主「たしかに道場の上に立つなら、女より男の方が都合がいい。
東の道場に勝てるような強い道場にするには、なおさらだ」
道場主「だから私は幼い娘の心づかいにつけ込み、娘を男として育てた……!
知っているのはそこの色黒や鉢巻といった、一部の高弟だけ……。
すまなかった、娘よ……」ガクッ
武術家(マジかよ……)
令嬢「そんなことが……」
さらに──
師範「うむ。ワシも道場主さんから全てを聞いた」ザッ
ザワッ……
武術家「お、親父まで!?」
弟「お城に行ってたんじゃ……」
師範「長年の因縁がある東西の道場が看板をかけて試合をするんだ。
ワシのいる城にまで、ウワサは伝わってきたわ!」
師範「話を聞くなり、ワシはすぐに城を飛び出した!」
師範「おおかたワシを呼び戻すとワシの名誉にかかわると思っておったんだろうが」
師範「自分がおらぬ間に自分の道場が瀬戸際になっている方が、
よっぽど名誉にかかわるわ! ……余計な気遣いをしおって!」
武術家&弟(た、たしかに……)
師範「それに、道場がなくなって一番困るのはワシらではない。
今まで道場に通っていた門下生たちだ!」
武術家&弟(おっしゃる通り……)
師範「まったく、こんなことも分からぬとは……バカ息子どもが!
あとで久々にワシが“地獄稽古”をつけてやるかな」
武術家「ひ、ひぃぃ……! ま、待ってくれよ!」
弟「あれだけは勘弁して……!」
令嬢(武術家さんがあそこまで怯えるなんて……)ゴクッ…
師範「──だが、褒めておきたい部分もある」
師範「弟よ、敗れはしたが──日頃の門下生との稽古が実ったいい試合だった。
みごとだったぞ」
弟「う、うん! ありがと、父ちゃん(見てたんだ……!)」
師範「武術家!」
武術家「なんだよ親父」
師範「城で今日の試合のことを聞いた時、真っ先に心配したのはお前のことだ。
怒りのままに西の道場に乗り込んだり、
試合で相手を必要以上に痛めつけるのではないか、とな」
師範「だが、終始落ち着いて試合に臨んでいた。成長したな」
武術家「……と、当然だろ」
師範「そして、令嬢さん」
令嬢「は、はい!」
師範「格闘技を覚えてまだまもないというのに……いい試合をしてくれた。
なにより、バカ息子二人を助けてくれて本当にありがとう……」
令嬢「いえ、そんな。私から武術家さんに、出たいとお願いしたのですから」
師範「──そして、看板がなくなって門下生が困るのは西の道場も同じこと」
師範「今日の試合に関する一連の事件については、全て水に流す。
これが先ほど、ワシと道場主さんで話し合った結論だ」
武術家「……分かったよ」
弟「オッケー」
令嬢「はい!」
色黒「かまいません」
鉢巻「了解ッス」
師範「審判さん、あなたのやったことも同じく水に流しましょう」
審判「面目ありません……!」
美形「でも……これじゃ、なんのためにボクはずっと男のフリして……」ウルッ…
令嬢「本当は女として生きたかったんですのね?」ギュッ…
美形「……な、なにするんだ!」
令嬢「大丈夫、今からでも十分間に合いますわ。そうだ、今度私の家に遊びにいらして。
女性のたしなみを、レッスンしますから」
美形「……うん」グスッ
ワイワイ……
弟「とりあえず一件落着、だね」
武術家(くそっ、美形のヤツ一発殴りたかったのに、タイミング逃した……)
すると──
ガラッ!
富豪「ハァ、ハァ、ハァ……」
令嬢「お父様!」
師範「おお、これは富豪殿。どうされたのですかな?」
富豪「どうもこうもない! あなたのところの武術家君が、
私の娘を女子同士の試合だとウソをついて、
よりによって道場同士の真剣勝負に出場させたのですぞ!」
師範「え!? いや、それは──」
(バカ息子め、ちゃんと許可を取っていたのだと思っていた……)
富豪「言い訳は結構! この件については、あとで徹底的に追及──」
美形「その必要はありませんよ」
富豪「ん!? だれだ君は!?」
美形「令嬢さんの相手はボク──あたしだったんです。
女子同士の試合だというのは、ウソじゃありませんよ」ピラッ…
富豪「(胸がある……ホントに女だ)な、なんだ……そうだったのか」
富豪「ならばいいんだ。師範さん、変なことを申してすみませんでした」
師範「い、いえいえ。ワシらの方こそ」ホッ…
そして──
色黒「先ほどは君のことを侮辱してすまなかった。眼中にない、などと」
弟「え、いや、そんな」
色黒「さっきの試合……正直いって君の勝ちだった。だが、次は負けん。
いつかまた試合をしよう」
弟「はい!」
美形「……いいか、武術家君!」
美形「もう東の道場を潰そうなんて気はないが、
まだボク……あたし、ボクには東の道場を倒したいという気持ちはある!」
美形「今度こそ君たちに勝ってみせる!」
武術家(ボクかあたしか、どっちかに統一しろや)
「いいぜ、対抗戦でもなんでもいつでも受けて立ってやるよ!」
令嬢「ふふふっ……」
美形「じゃ、みんな帰るぞ!」ザッ
色黒「はい!」
鉢巻「うッス!」
道場主「うむ……」
一ヶ月後──
<豪邸>
この日、東西の道場の和解を祝し、パーティーが開かれていた。
シェフ「どんどん食べて下さいね! 料理はたっぷりありますから!」
富豪「こんなに大勢の客を招くのは初めてだわい、ハッハッハ」
夫人「皆さん元気がよろしくて、いいわねえ~」
ワイワイ…… ガヤガヤ……
令嬢「私がドレスをコーディネイトしてみたの。いかがかしら?」
美形「ど、どうかな……?」フワッ…
弟「すごくキレイですよ! 道場の跡取りってのが信じられないくらい!」
(本当にキレイだ……なんだか惚れちゃいそうだよ)
武術家「うん、いいんじゃねえか?」
(ダメだ、今までの印象があるから女装にしか見えねえ……)
美形「あ、ありがとう!」
令嬢「ふふふっ」
ワイワイ…… ガヤガヤ……
<豪邸の外>
二人きりで外に出た武術家と令嬢。
武術家「……悪いな、楽しんでるとこ呼び出して」
令嬢「いえいえ」
武術家「みんなの前じゃどうしてもいいにくかったからさ……」
武術家「そ、その……今までいえなかったけど……」
令嬢「?」
武術家「ありがとう」
令嬢「! ──いえ、今回のパーティー、費用を出し合ったのは皆さまですし、
お礼をいわれることなど──」
武術家「いや、そうじゃない」
武術家「西の道場とうまい具合に和解できたのは……いや。
俺がこんなにも和やかでいられるのは……みんな、令嬢のおかげだ」
武術家「令嬢と出会わなきゃ、俺は今も身勝手な格闘美学を振りかざしてただろう」
令嬢「……こちらこそ」
令嬢「あなたのおかげで、こんなに強くなれたんですもの……」
武術家「お、俺は……」
令嬢「?」
武術家「俺、は……俺、は……」ゴクッ…
武術家「俺はアンタのことが、好き、だっ!」
令嬢「!」
令嬢「はい、私もですわ……」
武術家「…………」スッ…
令嬢「…………」ギュ…
日頃の稽古で幾度も肌を合わせ、胸を触り合ったこともある二人であったが──
手を繋ぐのは今日が初めてだった。
~おわり~
色々ありましたが終われました
ありがとうございました!
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